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2016年12月7日 第178回労働政策審議会雇用均等分科会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成28年12月7日(水)10:00~11:30


○場所

中央労働委員会講堂(7階)


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、中窪委員、奥宮委員

労働者代表委員

井上委員、山中恵子委員、山中しのぶ委員、山崎委員、松岡委員

使用者代表委員

布山委員、川崎委員、加藤委員、中西委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本大臣官房審議官、阿部雇用均等政策課長、源河職業家庭両立課長、河野短時間・在宅労働課長、六本総務課調査官、佐々木均衡待遇推進室長、高橋均等業務指導室長、白髭育児・介護休業推進室長

○議題

1 経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について 
2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)について 


○配布資料

資料1 経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について(案)
資料2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)(案)

○議事

○田島会長 ただいまから、第178回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。前回報告のとおり、斗内委員に代わりUAゼンセン男女共同参画局長山崎高明委員が雇用均等分科会委員となられました。山崎委員から一言、御挨拶をお願いいたします。

 

○山崎委員 おはようございます。初めましてという挨拶になります。御紹介いただきましたとおり、UAゼンセン男女共同参画局長山崎高明と申します。こういう重みのある会議は何分初めてですので、若干、緊張しております。よろしくお願いいたします。

 

○田島会長 本日は、権丈委員、武石委員、山川委員、渡辺委員から御欠席の御連絡を頂いております。頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。

 それでは、議事に入ります。本日の議題1は、「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について」です。資料1について事務局から御説明をお願いします。

 

○源河職業家庭両立課長 資料1です。前回、1121日に意見を並べた形で草案として出したものに、言葉を補い、かつ、皆様から出た御意見を踏まえた修正を行っております。1ページから御覧ください。【1 はじめに】は、基本的に変えておりませんが、最初にどのような考えで本年3月の改正を行ったのかということを書いております。

2つ目の○は、前から御議論いただいているとおり、経済対策を踏まえて今回の議論をすることになった経緯です。3つ目の○は、皆様方から、本来であれば来年11日の改正法の施行後、その施行状況を踏まえて、継続就業のための柔軟な働き方等、仕事と育児の両立支援のあり方について議論したいという御意見があったことを書いております。ただ、今回は限定された事項について議論することとし、労働政策審議会の雇用均等分科会では、本年9月以降議論を行ってまいりました。

 次は前提として念頭に置くべき事項を皆様方から2点挙げていただいております。まず、1点目は、都市部を中心に待機児童が多く見られることが今回の議論の背景であるということです。次は前回の会議で頂いた御意見を書き加えたものです。4月に限らず育児休業から復帰を希望する時期に子供を預けられる環境の整備、及び保育の質の確保があわせて望まれるということを書いております。2つ目は、今、「女性が輝く社会」の実現がテーマにあり、女性活躍推進法が施行されている中で、多くの企業が取り組んでいるということを書いております。一番下の○です。このような状況を基に議論することとなったわけです。おめくりいただき取りまとめを行ったので報告するということを書いております。

 【2 必要な措置の具体的内容】です。(1 雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長について)です。例外の例外という言葉を使っていたのですが、「緊急的な」という言葉がいいのではないかという御指摘を頂きましたので、何度か御意見を頂いているように、今回の更なる延長が緊急的なセーフティネットの措置であるということを書いております。

3つ目の○のなお書きについてですが、頂いた御意見を踏えたものです。特に16ヶ月以降の延長については必要性を見極めることが望ましいということを書いております。次は延長幅ですが、最長2歳までと考えられるという点、次の○は、頂いた御意見を踏まえて書き加えたもので、この制度は継続就業のために本当に必要な期間として利用されることが望ましいということを書いております。

 その下の、なお書きとまたから始まる○は、前回、皆様方から頂いた意見や要望を集約したものです。ここは書き加えたものなので読み上げます。なお、本延長制度はあくまで緊急的なセーフティネットであり、本人の希望の時期に職場復帰できるよう、保育所等に係る時宜を得た情報提供がなされることが重要である。

 また、保育の提供が切れ目なく行われることは、職場復帰を希望する育児休業取得者の不安を軽減するために不可欠であり、地方自治体は、国と連携して、保育ニーズに応じて保育所等の整備を進めつつ、その状況の的確な把握に努めるとともに、保育コンシェルジュの配置を進め、保育の利用を希望する労働者のニーズに応じたきめ細かな保育の選択肢を提供すべきであるということを書いております。

3ページです。(2 能力・モチベーション維持のための対策)です。基本的に変えておりませんが、皆様方から何度も御意見を頂いておりますように、最初の行に早い復帰が望ましいということを書いております。付け加えたものは、一番下、6番目の○のなお書きの所で、前のページで述べたように、利用希望者にとって保育所の情報が適宜十分に得られることは、労働者の復帰に向けたモチベーション維持にも有効であると考えるということを書いております。

 続いて(3 男性の育児休業取得を促進する方策)です。2つの○は変えていないのですが、3つ目の○は主として公益委員から御意見を頂いたものです。読み上げます。労働者が育児休業を取得しやすいように、事業主は労働者又はその配偶者が妊娠又は出産したことを言い出しやすい雰囲気作りに努め、対象者には企業が周知することが望ましいということを書き加えております。

 次の○については、皆様から意見を頂いた部分で、また、パパママ育休プラスの利用率が非常に低い現状を踏まえ、国は、パパママ育休プラスの周知について徹底すべきである。その上で更に使いにくいという状況であれば、その要因を分析し対策を考えるべきであるということを書き加えております。

(4 効果検証)です。新たに前回頂いた御意見を踏まえて書いたものです。今回、講じた策の効果については施行2年後を目途に調査した上で分析し、女性活躍の進捗との関係や男性の育児に関わる制度の利用状況等も検証し、必要に応じて見直すことが望ましいということを書いております。

4ページです。【3 その他】です。1は、前回までに頂いた御意見を踏まえて書き加えたもので、今回の議論の過程では、16ヶ月以降の延長分の一部をこれまで育児休業を取得していなかったほうの親とすべきとの意見も出た一方、育児休業は希望すれば取得できる労働者の権利であるにもかかわらず、もう一方の性に言わば強制的に取らせるような形になってしまうのはいかがなものかという意見もあった、ということを書き加えております。2については、改正法に期待するという内容で、これは基本的に変えていない部分です。説明は以上です。

 

○田島会長 ただいまの事務局の御説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

 

○井上委員 はじめにについて、意見と1点確認をいたします。まず、意見です。本来であれば、待機児童問題の対応策としても、また、女性活躍推進策としても、復帰したいタイミングで安心して子供を預けられる保育所の整備が重要であると考えております。この間の議論で公労使から繰り返し意見があったように、今回の育児休業期間の延長については、保育所整備を大前提とした、あくまで両立支援制度の側面からの緊急的なセーフティネットであると考えております。そのため、国の責務として保育所の整備はしっかりと進めるべきであるということを、改めて申し上げておきたいと思います。

 また、今回の議論に当たっては、公労使から育児休業期間の延長と女性活躍推進策との整合性を懸念する意見が出されたことも、議論の経過として押えておく必要があると考えております。今回のこの議論が、結果において女性活躍推進の逆行とならないよう、周知等を含めた施策の遂行に留意していくべきだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 その上で事務局に確認です。育児・介護休業法については、来月施行予定として改正されたばかりです。労働側としては、まだまだ議論もあり、十分な内容とは言えないまでも、公労使の議論の結果として受け止めているところです。しかし、仕事と育児の両立支援について、就業継続のための両立支援制度の拡充、あるいは有期契約労働者の両立支援、ハラスメントなどの背景にもなり得る性別役割分担意識など、まだ、多くの課題があると考えております。

 そこで、今回出していただいた、はじめにの3つ目の○ですが、「継続就業のための柔軟な働き方など仕事と育児の両立支援のあり方について」という記載です。ここの記載については、今申し上げた課題についての観点が含まれているという理解でよいか、事務局に確認したいと思います。

 

○源河職業家庭両立課長 御確認いただき、ありがとうございました。継続就業のための柔軟な働き方に関しては、以前から御指摘いただいているような短時間勤務や時差出勤など、継続就業のためのいろいろなものが含まれるものとして認識しております。

 

○井上委員 ありがとうございます。

 

○田島会長 ほかに御意見、御質問はございませんか。

 

○山中しのぶ委員 前回の発言を踏まえて、保育所の整備について、はじめにの6個目の○に、4月に限らず預けられる環境の整備と保育の質の確保が望まれる旨の記載をしていただき、ありがとうございました。政府として、待機児童問題の解消とともに、復帰したいタイミングで安心して子供を預けられる保育所の整備を進めていただきたいと思います。

 また、保育の質の確保については、本分科会の取扱事項ではないと思いますが、親が安心して働き続けるためには重要な問題であると思っております。125日付けの新聞では、認可外保育施設の立入調査に関する地域格差の記事がありました。具体的な内容ですが、原則年1回と定められた認可外保育施設への立入調査の実施率が50%未満の自治体が複数あったという記事の内容です。

 待機児童の多い地域では、認可外保育施設が最終的な受皿になっている所も多いと思います。親が安心して働き続けるためにも、待機児童問題により子供の安全に格差が生まれないよう、認可外を認可に移行させるなど、認可外保育施設も含めた保育の質の確保をお願いしたいと思います。以上です。

 

○布山委員 今回の議論をすることになった発端は、あくまでも都市部を中心とした待機児童の問題と認識しております。待機児童ということで言えば、保育所の整備等、かなり申し上げた意見も反映していただいていると思っております。その保育の整備のところで、今回、延長という話になっていますが、そもそも0歳児保育のニーズというのも、今もまだあると思っておりますので、それについても忘れないでいただきたいということをお願いしたいと思います。

 また、保育所の入所時期について、いつでも入ることができるという御回答もありましたが、待機児童が多い地域においては、基本的には4月入所が一番多いと思っております。そうなると、4月入所を意識した、いわゆる保活が望まれるという旨の周知も併せてお願いしていただいて、延長ができるだけないようにしていただきたいと思っております。また、先ほどからのお話にありますように、今回、緊急的措置という位置付けであるということから、待機児童の状況等を踏まえた、きちんとした見直しをするということも考えていただきたいと思っております。

 そのときの待機児童ですが、これもこの議論の冒頭で意見があったと思いますが、そもそも待機児童の定義がはっきりしていないということもあると思います。そうすると、今出ている数字がどういうものなのか。もしかしたら自治体でまちまちなのではないかと思っております。これは、最終的にきちんとしたものを把握した上での保育施策だと思っておりますので、こちらについてもきちんと行っていただきたいと思います。以上です。

 

○川崎委員 これまでいろいろ議論していた中身を、今回まとめていくと認識しております。お話があったように女性の活躍を推進していく中で、やはり育児休業からの早期の復帰が求められ、それに合わせて保育所をはじめとした、どこに子供を預けるのかということを考えていくわけです。

 そこの情報提供に当たっては、認可保育所にとどまらず複数の選択肢があることも含めて、保育コンシェルジュなどの情報提供の充実を、是非この機会に図っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○山中恵子委員 今、使側の委員からも労側の山中委員からも、保育の質、選択肢について、当審議会の取り扱い事項ではないですが、いろいろ御意見が出たと思っております。2の必要な措置の具体的内容の所の3つ目の○の所のなお書きについて、「特に16ヶ月以降の延長については必要性を見極めることが望ましい」とあります。

 労側としては前回も発言しましたが、育休の延長の要件を厳しくすることによって、結果的に仕事と育児の両立が困難な保育所への入所を強制するような、いわゆる、そこには保育の質等の問題で親としては入れたくないけれども、もう選択の余地がそこしかないということにならないようにお願いしておきたいと思います。

 現在、待機児童の多い都市部を中心とした地域で、育休から厳しい保活を経て心身をすり減らしながらも年度途中から認可保育所に入ることというのは、ほぼ不可能ということもありますし、第1希望がまず通らず、家から遠かったり、兄弟でもばらばらの所に預けなくてはならないなど、仕事と育児の両立が難しい保育所でも入れざるを得ないという場合があると認識しております。このような状況で結果的に就業継続が難しくなって、離職せざるを得ないという状況に至るという可能性が十分に考えられます。今回の育休期間の延長が保育所に入れない場合の緊急的なセーフティネットということであるならば、その対象の選択肢が絞り込まれてしまうということがないように、保育の質の充実も含めて選択肢をきちんと確保するということもお願いしておきたいと思います。以上です。

 

○中西委員 必要な措置の具体的内容の(4 効果検証)について、意見を申し上げたいと思います。9月から議論を重ねてまいりました育児休業期間の延長の件は、現在の保育所の待機児童問題に端を発していることは意見の一致するところです。したがって、ここに記載していただいたとおり、数年の実施の後に施策の有効性や待機児童問題の状況、及び女性活躍の進捗の実態を把握し、見直しの要否を検討することは非常に重要なことであると考えております。確実に実行されることを期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

 

○加藤委員 必要な措置という中に、保育コンシェルジュの配置を進めるという記載していただいております。資金的なことをお聞きしたいのですが、これは雇用保険特会を中心の資金として考えているのでしょうか。

 

○吉本審議官 コンシェルジュについては、雇用保険特会、いわゆる特別会計ではありません。子ども・子育て支援制度の中で、国費も入りますし、あと自治体の財源も使った事業として実施しているものです。

 

○松岡委員 男性の育児休業取得促進に関して発言をいたします。今回の資料13ページの3番、男性の育児休業取得促進の方策もそうですし、4ページにも触れられているとおり、言うまでもないことだと思いますが、男性の育児参画については引き続き促進する必要があります。3ページの最後に書いてある今後の検証や見直しの際には、この論点についても引き続きしっかりと議論をしていく必要があると考えております。

 ただ、4ページに、その他として議論経過についても触れられておりますが、今回は経済対策に向けたということで、限られたテーマに絞って議論してきた中であったとしても、労働側のみならず公益委員も含めて多くの委員から男性の育児参画促進のために、社会的に強いメッセージをこのタイミングでも打ち出していく必要があるのだという意見がありました。そのことについては、しっかりと経過として反映するべきではないかと考えておりますので、お願いしたいと思います。以上です。

 

○田島会長 ほかに御発言はございませんか。

 

○井上委員 局長がいらっしゃいましたので、改めて、私が冒頭に発言したことを踏まえて、御発言をお願いしたいと思います。今回、育児休業期間の延長を議論してきたわけですが、これは保育所整備を大前提とした、あくまで両立支援制度の側面からの緊急的なセーフティネットであります。そのため、国の責務として保育所の整備はしっかり進めるべきということを改めて申し上げておきたいと思います。

 それから、今回、公労使から育児休業期間の延長と女性活躍推進策との整合性を懸念する意見が出されたかと思います。これについて、今回の議論が結果において女性活躍推進の逆行とならないよう、周知等を含めた施策の遂行に留意していくべきだと考えておりますので、そこを是非ともよろしくお願いいたします。

 この議論が始まる冒頭の局長の御発言で、厚生労働省として汗をたくさんかいてしっかり施策を進めていくというお話を頂きました。そこは変わっていないと思いますが、今回、この議論経過を踏まえて、是非とも局長から一言、頂ければと思います。

 

○吉田局長 遅れて参りまして申し訳ございません。また、前回、前々回と国会等との間を掛け持ちしており、事務局でありながら、出たり入ったりで大変落ち着かない形で席に座らせていただいていることについて、まず、お詫びを申し上げたいと思います。

 この間、私がいない期間も通じて、それぞれ労使、そして公益委員の皆様方から頂いた御意見については、全て私自身もトレースしております。また、今、重ねて井上委員から御発言がありましたように、これまで、この分科会において育児休業について議論いただく大前提として、今、おっしゃったように、まず保育、受皿の確保、地域における受皿の確保が大事。また、それこそ優先すべき課題だということについて、公労使、それぞれ一致した御意見として頂いたことを十分受け止めさせていただいております。

 あえて、少しお時間を頂いて発言すると4点ほどあります。1つは、まず整備量の問題です。ニーズに応じて整備していくということで、確かに8割の市区町村は待機児童なし、待機児童だけを考えれば2割の市区町村ということになりますが、現に目の前で待機されている方だけではなくて、いろいろな保育ニーズは積み上がってきますし、刻々と変化しております。今、待機児童がおられるおられないにかかわらず、もちろん待機児童のおられることは、より重要なのですが、地区のニーズや地域のニーズにおいた保育所の受皿整備をしていただきたいということを自治体と確認しながら、必要な予算も含めて用意させていただいております。

 その間では、待機児童解消加速化プランを政府として掲げておりますが、その数字、目標量においてはニーズが変わりますので、これまでも積み上げさせていただきました。改めて申し上げるまでもなく、この分科会の一連の議論の最初のほうにも報告申し上げたかと思いますが、当初、予定していた整備量よりもニーズが上振れしているということから、今、2.7万人、来年度に向けて積増しをした上で整備を進めるということを自治体の方々としております。我々もニーズに応じてきちんと自治体の方々と相談しながら整備を進めるという点については、改めて我々自身で取り組むということをはっきり申し上げたいと思います。

 この間、今日の御発言の中でも待機児童のことに限れば、定義の問題、市区町村によってはいろいろな受止めがあるということを御指摘いただいております。これは、国会を含めていろいろな所から御指摘を頂いておりますので、並行して我々自身その辺りをどのように整理するのか。地域事情もありますので、固い定義を1つ当てはめて機械的にやるということがいいのかどうかという点については、なかなかそうではないという御意見も頂いておりますので、どういう形で、それぞれの地域ニーズを適切に、そして全国ベースで受け止められるのかという方法について、今、自治体の方々も含めて議論をしております。これについても併せて取り組むことによってニーズに応じた整備をしたいということです。

2つ目は、今日を含めた分科会で何度も御指摘いただきましたが、やはり、お母さん方、お父さん方と、そこにある受皿との間のマッチングは、情報を前広に提供するということ。また、いろいろな事情で第1希望に入れない、あるいは今の時点において受皿がないという場合においても、その後のフォローをどのようにするのかという意味では、保育コンシェルジュという私どもが掲げている仕組みに対する期待、そして、もっと縦横無尽に活動してほしいという御要望と受け止めております。

 今、私どもも同じ思いでおりまして、174市区町村にコンシェルジュを置いていると伺っております。これ自身、まだまだ全国の市区町村に比べて、また、平成27年度末で待機児童を持っておられるという方でも3割ぐらいと承知しております。今、平成28年度、それを踏まえて、各市区町村に、この取組をしていただいておりますので、直近ではもっと増えているかと思いますが、更なる取組を増やしていただきたいということ。この仕組みが出来たときに、同じコンシェルジュという名前であっても、どうしても市区町村によって、何をやっていただいているのかについて、ばらつきがあるという声も承っておりますので、特に良くやっていただいてる、あるいは評価の高い事例を横展開して、あるいは地域のニーズの方々に対してこういうことがあるのだと。

 例えば、アウトリーチをするとか、小まめに連絡する。例えば保育所の提供ということについても、ホームページで明らかにしているというのは大体スタンダードではありますが、保育コンシェルジュを置いて丁寧にやっておられる所は、あらかじめ登録していただき、そこに対してメールで一斉配信するとか、より細かい個別のニーズに対して応えておられる、そういう市区町村もあるということです。

 それぞれの市区町村の状況に応じてですが、そのような好事例も横展開して、今回、この分科会でも多くの方から御指摘いただいたコンシェルジュに対する期待と必要性、その活動の重要性を自治体の方々にもつなげていく。それを我々、行政、あるいは国の立場からも予算等、いろいろな仕組みの中できちんと手厚くさせていただき応援していきたいと思います。

3つ目は、量の話だけではなくて質といいましょうか、認可外と言われている所に対する指導監督の十分さの問題や、認可外と言われる所から、認可への入所を希望しているお父さん、お母さんが多いことも事実ですので、移行促進についても、それぞれ細かくは申しませんが、来年度以降きちんと取り組みたいと思います。それに対して自治体にお願いするだけではなく、国としてもいろいろな形で支援していきたいと思います。

 最後ですが、いずれにしても、こういう取組は地域によって事情が違いますので、それぞれ、女性の方々の活躍促進を考えた場合に、自治体の方々にお願いしていることや期待していることも大きいですが、自治体が在地的な実施主体であるにしても、俗に言う自治体任せにせずに、国と一緒になってやらせていただきたいと思います。また、どういう実態にあるのかということを国としてもきちんとフォローして、また、全国ベースでの問題点も受け止めながら、一方で自治体の方々と会話して進めたいということです。

 これまで育児休業について御議論いただいた、この分科会で出た意見については、我々、事務局として、同じ雇児局であります、私もその1人ですので、受け止めて、保育行政の担当部局、保育行政の課題の中にもきちんとつないで、一緒になって取り組ませていただきたい。そのことは、正に井上委員におっしゃっていただいたように、この会の冒頭にも申し上げたかと思いますが、改めて、このワンクールの議論を踏まえて、頂きました議論についても、私どもはきちんと受け止めて、次に向かって進めたいと思います。

 

○井上委員 どうもありがとうございました。非常に期待したいと思います。何よりも11日から改正される育児・介護休業法ですが、今、我々、労働組合も協約の締結に向けて準備しているところです。法施行後についても、特に中小企業等における周知等も含めて、是非とも御尽力いただければと思いますので、改めてお願い申し上げておきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

○田島会長 ただいま局長にコメントいただいた保育行政の問題も含めて資料1の関連で、何かほかに御意見、御質問はございますか。よろしいですか。それでは、資料1の内容については、大筋これでよろしいでしょうか。

 それでは、ほぼ御意見も出尽くしたようですので、ほかに御発言がなけれは「経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について」は、本日頂いた御意見を基に修正は事務局と私にお任せいただきたいと思います。特に御意見を頂いた方に御確認いただくようにいたしますので、修正は私に御一任いただき最終案とするという段取りで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○田島会長 ありがとうございます。それでは、事務局と私で雇用均等分科会報告を取りまとめ、この報告により労働政策審議会長から厚生労働大臣に建議することとしたいと思います。よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○田島会長 ありがとうございます。皆様から御異議がないようですので、報告及び建議を取りまとめ、後日、審議会長に代わって建議を提出したいと思います。報告文、建議文について、事務局が案文を用意しておりますので、配布をお願いします。

                          ( 報告文()、建議文()配布)

○源河職業家庭両立課長 1点付け加えます。今、お配りしているのは、報告の表紙になる報告文、建議文で、案は先ほど分科会長がおっしゃってくださったように分科会長に一任と皆様から御了承いただきましたので、分科会長と事務局で修正して、その上で最終的な案文とさせていただきたいと思います。

 

○田島会長 ただいまの事務局の御説明も踏まえて、報告文、建議文の文書については、ただいまお手元に配布された案のとおりとしたいと考えますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

 

○田島会長 ありがとうございます。案のとおりとさせていただきます。では、次に議題2「男女雇用機会均等対策基本方針(3)」について、事務局から御説明をお願いします。

 

○阿部雇用均等政策課長 均等政策課長です。御説明いたします。本日の資料については資料2ということで、これまで頂いた御意見を踏まえたもの、溶け込みの形をお配りいたしました。議論の参考に委員の方に、メインテーブルだけですが、見え消し版をお配りしておりますので、それも御参照いただきながら前回までと比べて、修正点について簡単に御説明いたしたいと思います。

 まず、1ページのはじめにの所です。前回、井上委員からはじめにの所の後段の所で、法改正の経緯について少しまとめた形で、きちんと最初に書いたほうが良いのではないかという御意見を頂きました。そういう観点で均等法の改正経緯などについて少し整理をいたしました。

 次に、4ページの労働力の質的変化です。これについては、前回、松岡委員から男女の職業の関係の違いについて少しコメントを入れたほうがいいのではないかという御意見がありましたので、男性については様々な職業に広く従事しているのに対し、女性では従事している職業に偏りが見られるといったような形でのコメントをお入れいたしました。

 次に、5ページの均等法等の施行状況等です。固定的な性別役割分担意識の解消が少しずつ進んでいるというような言い方を、前にしていたかと思いますが、ここについては、ほかの所と全体を見ながら、「徐々に進んでいる」ということで変更いたしました。

7ページの女性活躍推進法の書きぶりについては、全体としてそれぞれの法律の規定について整理をさせて頂いております。

 次に、10ページの第1のまとめに当たる所です。まず、前段で均等法の改正経緯についてまとめた形で整理させて頂いております。2パラ目で、「これまでの間に改善が見られるものの」の後で、第1子の出産を契機に半数以上の女性が退職し、その中には、就業継続を希望しながら離職を余儀なくされた女性も多数存在しているという書き方をしていましたが、ここについては「一定程度」ということで少し書き方を変えております。次に、「残業が多い」というところについては、「業務が繁忙である」という表現に統一いたしました。

 次に、第2の基本的考え方です。これについては、先ほどの10ページと同じような書き方で均等法の経緯が書いてあります。先ほどは全部赤だったので見にくかったのではと、コメントを後にしましたが、11ページの上で「均等法制定当時に指摘されていた法制上の課題については、ほぼ解決し」と、もともと書いてありましたが、解決はしてきたのですが、まだ、残っている部分もあるということで、表現を適正化し、「一定程度解決」という形に変更いたしました。

 その後に、女性に関する書き方と、男女ともにという書き方について、混在したような書き方になっていたところを少し整理いたしました。妊娠、出産等により離職するという、ここについては女性ということで整理させていただきました。次に、働き方の前提条件的なことについては、電通問題なども含め長時間労働が課題になっていることから、「長時間労働を前提とした」との書き方に変えております。その最後の所で、男性の関係について前回も川崎委員などから御意見を頂きましたが、「加えて、今後は、より一層、男性労働者が育児・家事を行えるよう職場環境を見直していくことが重要である」ということで書き加えさせて頂きました。

 次に「個人の職業生活期間の長期化」は意味が取りにくいという御意見があり、「労働者が安心して働き続けることのできる環境整備」ということで、女性労働者の就業期間が長くなるようにという趣旨を表現いたしました。そのほか、先ほど申し上げたように、男性女性の部分が共通事項と、それから分かるように書き直させていただきました。

12ページです。これも前回、中窪委員、川崎委員から長時間労働の是正の関係について書き込むべきという御意見を頂きましたので、「長時間労働を前提とした働き方の是正とともに、男性労働者が積極的に育児・家事を行うことができるよう社会全体で促していくことが求められる」ということで書き加えさせていただきました。

13ページは、2行目の均等法の趣旨的なところですが、中窪委員から御指摘のありました均等法の根幹となる性別差別の禁止がはっきり分かるようにということで「のほか」という目立つ言い方をいたしました。前回、松岡委員から調停制度の利用についての書き方を少し丁寧に書いたほうが良いのではないかと御指摘を頂きました。調停制度の関係については、労働局の雇用環境・均等部()へ訪れた事業主、労働者に対しての周知徹底と、被申立人に対する理解を求めることについての記述を加えさせていただきました。

 次に、14ページですが、ポジティブ・アクションと女性活躍推進法の関係、違いが明確になるようにということで、前回、井上委員から御指摘を頂きました。ポジティブ・アクションの項目の中に、女活法がどのようにできたかについて分かるような形で記載いたしました。

15ページの下のコース別雇用管理についてです。前回、山中委員から、転勤だけではなく指針の概要についても分かるようにということで、御意見がありましたので、平成25年の指針の概要について追記いたしました。

16ページの下のハラスメント対策の中で、妊娠、出産、育児休業等のハラスメントの関係です。溶け込みでは16ページ下から、見え消しでは17ページ3行目です。育児休業等に関するハラスメント、育介法に基づくハラスメントについては、男女労働者が対象になりますので、男性労働者も対象になるということについて、明確化するということで追記いたしました。その次のセクシュアルハラスメント防止対策については、前回、平成25年のセクハラ指針の改正についても明記すべきと御意見を頂きましたので書き加えさせていただきました。

 次の18ページは、女性活躍推進法の関係についてです。前回、山川委員から女活法のしくみについて少し丁寧に記載したほうが良いのではないかという御意見を頂いたので、女活法の冒頭に概要を追記いたしました。

 次の19ページは、「ライフステージに応じた能力向上のための支援」です。前回は、「女性の能力発揮のための支援」ということで項目立てをし、その中は女子学生の支援などということで書いておりましたが、前回、武石委員から男子学生についても記載すべきと御意見を頂きました。この項目については、前の基本方針も踏まえると、女子学生なり女性の能力発揮についてという記載で作っておりましたが、前回の武石委員の意見も踏まえ、男女ともに、男子学生も女子学生もということ、また女性に関わるものということで、そこを区別できるような書き方にしていくということで、この中を少し整理いたしました。

 項目についても女子学生ではなく、学生に対する支援という書き方にし、その上で、文脈の中で「男女双方の学生」という言い方に修正し、また、女活法のデータベースだけではなく、それ以外の利用できるものについても追記をしております。また、併せて、女子学生となっていた所を「学生等」という形に修正をしております。

 また、()の女性労働者等のキャリア形成に対する支援ということで、女性労働者だけでなく、「等」で読む部分については男性労働者になりますが、いわゆる女性労働者特有のキャリア形成の観点と、男女ともにキャリアアップを図っていく部分についての記載に変更いたしました。

22ページです。全体の流れの中で長時間労働の是正の所で、ワーク・ライフ・バランスの推進、男性の育児・家事という観点の文言を加えました。それから、両立しやすい職場環境づくりについては、複数の委員から男性の育児参加についても記載すべきとの意見を頂きましたので、「とりわけ」ということで、日本の男性の育児・家事時間が国際的に見て短く、育児休業の取得率が低いということについて、官民上げて、育児休業取得等を促進するための環境整備をするよう努めるという記載を追記いたしました。

 前回、お示ししたものに修正等を加えた所を雑駁な説明ではありますが、御説明申し上げました。御審議よろしくお願いいたします。

 

○田島会長 ただいま、事務局から現下の修正点を中心に御説明いただきましたが、資料2について御意見・御質問がありましたらお願いいたします。

 

○井上委員 ありがとうございます。私どもの意見を踏まえた修正を頂きありがとうございました。方針の着実な実行について意見を申し上げます。今回のこの基本方針の議論を通じ、改めて、1985年の均等法制定以降の取組の成果と課題を、一定程度整理できたように思います。今回、事務局から出されたものをはじめとする様々なデータから、法整備が成されてきた一方で、いまだ解決されない課題が多いということも改めて認識したところです。これは、男女平等に関する課題が一朝一夕では進まないということを表わしているのではないかと思います。ただ、制定時にはなかったセクシュアルハラスメントの防止条項が改正により加えられたことで、セクシュアルハラスメントというものが社会的に広く意識され、また、職場の風土・環境にも変化をもたらしたと思っております。

 さらに、行政やそれぞれの職場において、相談件数が取られるようになるなど、制定時には見えづらかった職場の課題を一定程度可視化し、改正を重ねてきたということについては評価ができると思います。

 職場における男女平等ですが、これを最終的な目標とし目指すべく、均等法また女性活躍推進法などを着実に定着させ、施行状況を絶えず注視していくことが重要であると思いますし、労使はもちろん、行政でも取り組んでいただくということが必要ではないかと考えております。その中で、職場の課題を見逃さないように、また、取組の中で解消されない課題、また新たに浮かび上がる課題については、法の見直しを含めてしっかりと行っていただくよう、意見として申し述べておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○田島会長 ほかに御発言はございますか。

 

○川崎委員 ありがとうございます。昭和61年に男女雇用機会均等法が施行され、これまでいろいろな男女の雇用に関わる法律の整備をすることにより、女性も男性も、仕事も子育てもというような側面が、随分、整備されてきたというようなことも、今回の取りまとめで大分理解ができました。

 ただ今回の前段の議論でも、女性が就業を継続し活躍していこうと思うと、やはり保育所の確保が重要というお話がありましたように、単に雇用の局面だけで男女の雇用機会の均等が進んでいくわけではないと。そういうことを考えますと、その保育環境の整備に加え、やはり税制、社会保障制度の在り方、そうしたものも目配りされていく、そうしたことからも雇用の局面において男女の均等が進んでいくというような在り方が、一方で必要なのではないかと感じています。

 税制や社会保障制度の在り方自体は、この雇用均等分科会の取扱事項ではないとは十分承知しているのですが、こうしたことを進めようと思うと、税制や社会保障制度での同じようなベクトルを併せた取組が必要になっていく。そうしたことを折に触れ発言していくということも是非、今回の基本方針を取りまとめていく中で、御検討いただきたいと思います。以上です。

 

○田島会長 ほかに御発言はございますか。よろしいですか。事務局から何かございますか。

 

○阿部雇用均等政策課長 御意見ありがとうございました。今日おおむね、基本方針については御理解いただいたと思っております。この後、均等法に基づいて都道府県知事の意見を聞くという段取りが必要ですので、その作業を進めさせていただくほか、任意になりますが、パブリックコメントを行いたいと思っております。その上で、年明けの一定の時期に、また、分科会で諮問の形を取らせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○田島会長 それでは、特に御発言がないようでしたら、本日の分科会はこれで終了といたします。最後に本日の議事録の署名委員は、労働者代表は井上委員、使用者代表は布山委員にお願いいたします。皆さま、本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

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