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2016年12月7日 第7回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会議事録

○日時

平成28年12月7日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階国会側)


○議題

1.支払基金の組織・体制の在り方について
2.その他

○議事

○西村座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を開催いたします。

 きょうの出欠でございますが、尾形構成員、金丸構成員、宮田構成員から、御欠席の連絡をいただいております。

 それから、神成構成員、林構成員が少し遅れて出席されると伺っておりますので、開催をさせていただきます。

 それから、本日、参考人として、前回御紹介した、健保連から棟重理事、国保中央会から原理事長、社会保険診療報酬支払基金から伊藤理事長、日本病院協会から大道副会長に御出席いただいております。

 前回の検討会で提案させていただきまして、審査委員会の現場で実際に審査に携わっておられる医師の方にお話を伺うということで御了解をいただきましたので、本日、参考人としてお二人御出席いただいております。社会保険診療報酬支払基金の宮城県支部の鈴木審査委員長、神奈川県支部の田口審査委員長のお二人に出席をいただいております。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 きょうの議題は、「支払基金の組織・体制のあり方について」、そして、「その他」としております。

 まず、議事に入る前に、きょうの用意している資料について、事務局から御説明をお願いします。

○保険課長 保険課長でございます。

 本日の資料ですけれども、まず、資料1として、「これまでの議論を踏まえた論点の整理について」(事務局作成資料)でございます。

 資料2「支払基金の審査委員会の現状について」(事務局作成資料)でございます。

 また、参考資料として、「支払基金のシステム開発のプロセス等について」、また、本日の参考人であります審査委員長からの参考資料として、「審査の意義と支部における審査等について」、さらに、飯塚構成員提出資料として、「支払基金のガバナンス、特に公益代表の役員の選定について」

 以上となっております。よろしいでしょうか。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○西村座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入ります。

 きょうは、引き続き、「支払基金の組織・体制のあり方について」の御意見を伺いたいと思っております。

 この議題の検討にあたりましては、前回の検討会における御指摘を踏まえまして、本検討会における御意見等を、簡単に今までの御意見をまとめて、そして、論点に整理した資料を作成してもらいました。資料1でございます。構成員の皆様方には、当該資料も御参考にしていただいて、支払基金の組織・体制のあり方、あるいはガバナンスに関する御意見を伺いたいと思っております。

 そこで、まず最初に、資料1及び2について、保険課長から説明をしていただいて、次いで、きょうお見えいただいた審査委員の方々からのお話を伺った上、そして、議論に入りたいと思います。

 まず、保険課長からよろしくお願いします。

○保険課長 それでは、私からは資料1と資料2ついて御説明をいたします。

 まず、資料1、1ページおめくりをいただきます。これまでの議論を簡単にまとめて整理させていただいたものと、本日、御議論いただきたい点について御説明する資料でございます。

 1ページ目、業務の効率化についてということで、レセプトの審査は、医療機関からの請求・受付後のコンピュータチェックと職員による審査補助業務を経て、審査委員による医学的な専門知識を要する請求内容を中心とした審査を行っているということでございます。この点については、審査・支払効率化WGで、特に職員によるコンピュータチェックの箇所を中心に検証を行ったところでございますが、以下のとおり、非効率と考えられる点について改善の余地があるのではないかという御意見があったところでございます。

 まず、1点目が、審査・システムが最新のICT技術に基づく設計となっていないため、業務の効率化に必要な機能を備えておらず、職員による審査補助業務に必要以上の手間がかかっているのではないか。

 また、コンピュータチェックの条件設定にばらつきがあるため業務量がふえる原因となっているのではないか。審査支払機関から医療機関等にレセプトが返戻・査定される際に、不適切とする理由が十分に示されていないため、大量の情報提供とチェックが必要となる場合があり、非効率となっているのではないか。

 また、レセプトの形式がコンピュータチェックに適したものではないことから、審査におけるコンピュータチェックの寄与度が低いため、職員の審査補助業務が非効率となっている原因なのではないか。

 というような点が御指摘をされたところでございます。

 以上を踏まえて、審査・支払効率化WGでは、現状の支払基金におけるシステム刷新計画の全面的な見直しなどシステム面での対応、審査におけるコンピュータチェックの寄与度を向上することによる徹底的な審査業務の効率化、コンピュータチェックの条件設定等の差異の見える化による、差異の把握・分析や統一化等の取組み、など、非効率を解消するための具体的な方策について御意見をいただいたところでございます。

 2ページにまいりまして、ビッグデータの活用についてでございます。

 一方、ビッグデータ活用WGにおいては、ビッグデータの有用性、現在ある医療・介護に関するデータベースの連結、保険者機能強化及び地域包括ケアの推進の観点なども踏まえたビッグデータの活用方策について御意見をいただいたところでございます。その中で、審査支払機関に求められる役割についても、以下のとおり、意見があったということでございます。

 まず、1点目。支払基金・国保中央会が連携できれば、横断的なデータの連結に向けて、全体の他のデータベースの構築をサポートしていくような役割が果たせるのではないか。

 保険者の規模にばらつきがあることから、スケールメリットのある支払基金を中心としつつ、国保中央会と連携して、国民全体の健康を増進させていくことが重要ではないか。

 被用者保険のデータについても、国保中央会・国保連合会のKDBのような取組みを検討していくべきではないか。

 というような御意見があったところでございます。

 また、前回、第6回の有識者会議においては、以上を踏まえまして、保険者の取組みや審査支払機関に期待する役割について御議論をいただき、次のような意見をいただきました。

 保険者において、ビッグデータを活用できるようになれば、さらなるデータヘルスの取組みが進められるのではないか。

 保険者の中には、データヘルスの推進にあたりデータ分析の人材やノウハウの不足が課題と感じられているところがあるため、審査支払機関がビッグデータを活用し、個々の保険者を支援してくれるような役割を期待している。

 というような御意見があったところでございます。

 次、3ページにまいりまして。支払基金に必要なガバナンス体制についてということで、支払基金に今後必要となるガバナンス体制のあり方については、審査・支払効率化WGにおいて、以下の御意見があったところでございます。

 現状を抜本的に改革し、業務の効率化やシステムの設計構築、セキュリティについて主体的に取り組むために、支払基金の中に専任のCIO、並びにそのCIOを支援するチームとしてCIO専門家によるタスクフォースを設置するなど、持続的な体制を確保する。

 業務効率化やシステム等の専門家の配置などを推進し、業務改革やシステム刷新計画の立案・遂行、ベンダーマネージメント、セキュリティ等における推進体制の見直しを実施する。

 上記を踏まえて、支払基金の事務局は、審査される側と審査を行う側の意見のとりまとめや、審査・支払業務全体の改革を推進する立場へと役割を進化していくべきである。

 というような御意見をいただいております。

 4ページですが、これまでの議論を踏まえて、本日御議論をいただきたい点というところでまとめをさせていただいております。

 支払基金の審査業務についてはシステムの刷新や審査におけるコンピュータチェックの寄与度の向上に伴い、今後、業務量が減少することが見込まれる。これを踏まえて、支払基金の業務を効率化し支部職員をスリム化させることが可能と考えられるが、支部のあり方について、以下の観点からどのように考えるか。

 審査業務や職員のスリム化に伴い、47都道府県の支部の効率化について、どのように考えるか。

 2つ目として、韓国のHIRAでは、審査業務を全国一元化している一方、我が国では支部における審査を行っているところ、支部での審査を行うことのメリット及びデメリットについて、どのように考えるか。

 現行のシステムでは、多くのレセプトについては支部で審査が完結することになっているが、この点についてどのように考えるか。

 また、審査委員会の構成は三者構成(学識経験者、保険者代表、診療側代表)となっておりますけれども、このことや利益相反の仕組みについて、どのように考えるか。

 それから、先進医療に係るレセプトや、専門医の少ない診療科に関するレセプトの審査体制については、どのように考えるか。

 ということでございます。

 支部のあり方については、審査委員会のあり方と密接に関係しておりますので、今回、審査委員会の先生に来ていただいておりますので、その点についても議論をいたしたいと考えております。

 また、ビッグデータの活用においては、今後、データ連結の基盤の核となることが支払基金及び国保中央会に求められているが、以下の点についてどのように考えるか。

 保険者機能強化に向けて、ビッグデータを活用して保険者を支援することについて、どのように考えるか。

 上記のとおり、審査業務や人員についてスリム化する中で、ビッグデータ活用で期待される役割を果たすための人材や体制について、どのように考えるか。

 また、本有識者検討会で指摘された事項について、今後、確実な実施を担保するために、どのような人材・体制が必要と考えられるか。

 また、具体的なスケジュールや数値目標などを盛り込んだ改革工程表が必要ではないか。

 このような点について、本日、御議論をいただければありがたいと考えております。

 資料1については、以上でございます。

 それから、資料2について、「支払基金の審査委員会の現状について」で、後で、審査委員の先生方に補足をしていただければありがたいと思いますが、資料を若干説明させていただきたいと思います。

 1ページおめくりいただきまして、まず、都道府県の支部については、47都道府県の支部に審査委員会を設置することになっております。

 審査委員会の審査委員は、診療担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者から同数を委嘱することになっております。こういう三者構成になっております。

 診療担当者を代表する者及び保険者を代表する者は、それぞれの所属団体の推薦によって委嘱をされることになっております。

 審査委員会は、2ページで御紹介いたします特別審査委員会の審査対象以外のレセプトを支部において審査をしていただくことになっております。

審査委員の任期は2年間でございまして、審査員数は4,620名(うち常勤131名)となっております。

これが、支部における審査委員会でございます。

2ページ目は、本部に置いております特別審査委員会についてでございます。

本部に特別審査委員会を設置する。

特別審査委員会の審査委員は、支部審査委員と同様に、同数の三者構成で所属団体の推薦によって委嘱をする。

 特別審査委員会の審査対象範囲は、40万点以上の高額レセプト等についての審査です。具体的には、四角の中にあるレセプトの審査をいただいております。

審査委員会の任期は2年でございまして、審査委員数は54名となってございます。

次に、3ページ目でございます。

審査委員会におけるレセプトの審査体制等として、審査委員会の会期ですが、審査委員会は、毎月分につき前月分の請求書のその月の末日までに審査する。おおむね中旬から下旬までの時期に審査委員会を開催することになっております。

審査委員会は、審査委員の担当を定めて、あらかじめ1次審査(個人審査)をすることができることになっております。

審査決定は、審査委員の2分の1以上が出席する2次審査(合議)において行うとされております。

審査委員会は毎月会期を定め、その期間の最終日に合議による決定をするという運営になっております。

また、各種部会を設置しておりまして、都道府県支部の審査委員会には、審査運営委員会、審査専門部会、再審査部会、審査研究会というような各種部会を置いて、これを毎月開催しているということでございます。

4ページにまいりまして、審査委員会の主な機能でございます。

効率的で円滑な審査・支払を実施していくために、保険診療ルールの正しい理解と、これに基づく適正な診療とレセプト請求の確保が重要であり、診療内容に関する誤請求が多い医療機関に対しては、審査委員会から電話連絡、文書連絡により保険診療ルール等を周知しております。

繰り返し文書連絡等を行っても改善されない医療機関に対しては、任意による面接懇談、訪問懇談等によって繰り返し改善の要請をしているということでございます。

また、紛争予防のための仕組みとしては、保険者、診療担当者、学識経験者からの三者構成になっていることと、地域の医療機関への説明・指導力を発揮できる医師が審査委員として、直接医療機関へきめ細かい指導をできる体制を備えているということでございます。

くわしくは、この後、審査委員の先生方から御説明をいただければと思います。

私の説明としては、以上でございます。

○西村座長 それでは、きょうお越しいただいたお二人の審査委員長の方に、審査の意義あるいは支部における審査の現状などについてお話をいただければと思います。

 鈴木委員長からお願いします。

 資料が、参考資料として出ております。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 宮城支部の審査委員長をしております鈴木と申します。このような機会を与えていただきまして、座長ほか構成員の先生方に感謝したいと思います。与えられましたお話に従って、現在の審査委員と支部でどんな格好でやっているか、どういう考え方でやっているかということについて、まず、御説明を申し上げたいと思います。

 まず、1ページ目をごらんください。

 まず、審査の意義ですけれども、ただいま、いろいろなシステムについての御説明がありましたけれども、この審査は、診療行為そのものが公的医療保険制度の趣旨に合致し、その定める保険診療ルールに適合しているか否かをチェックするものであります。

 本来、医療が持つ特性は、この下に幾つか書いてありますけれども、要するに、個別性が非常に高いということに尽きます。その内容については、各項目を後でごらんいただければと思います。

 これに対して、医療保険の審査は、健康保険法制度の体系の中では、制度的な安定性が求められますので、この法律の論理として、保険診療ルールの一律的・画一的な適用を求めるという要請が一方ではあります。

 次に、日本の今の医療保険制度を支えている「プライドをもって」と書かせていただきましたけれども、各審査委員はできるだけ公平、公正にということを考えながら審査に従事しております。

 その中で、進歩の非常に早い医学・医術の知識を取り入れながら、患者さんに施された医療の医学的な妥当性と、それから、保険診療ルールの「折り合う」部分を考えながら審査をしております。

 ある薬剤によっては、例えば1年間に新しい薬剤の種類が3カ月に一遍、4カ月に一遍導入されるような、非常に速いスピードで動いている側面もあります。いずれにしても、それらについていかなければいけない、ないしは、それをリードしなくてはいけないということを意識してやっております。

 審査の過程において、査定あるいは返戻といった行為をなすことは、この診療自体を否定しているものではなく、保険診療として妥当性があるかないか、または、疑義があることを示したものと理解しております。

 そういうことで、この審査結果については、医師が医療行為についての話ではなく、保険診療に妥当性があるかないかということの審査を行い、その妥当性があるかないかの判断をしたということでの信頼をしていただきまして、医療機関にその結果を受け入れていただいていると考えております。

 また、審査委員の審査分担は、自らが関与する医療機関を担当することはありません。なおかつ、このメンバーそのものは固定的なものではなく、一定期間ごとに、半年あるいは1年ごとにローテーションをしております。そういうことから、医療機関ごとでの不平等な審査は生じないものと考えております。

 3ページをごらんください。

 これは、同じく審査の意義の続きですけれども、診療報酬点数表等の国の定めは、スライド1で申し上げましたけれども、抽象性の高いものが少なくありません。そういうことから、実際のレセプト審査にあたっては、地域の医療実態も類推と書いてありますが、加味しながら審査を行っております。

 1枚のレセプトでは保険診療ルール上は問題のない請求であったとしても、地域の医療の実態を把握している審査委員会であれば、これまでのその医療機関の請求傾向から、いろいろ類推することが可能であり、適正な保険請求であるかどうかの判断ができる。それに対する指導もできます。

 それから、地域の医療実態を把握している地域の審査委員会が審査しているということで、今までのお話ししたようなことも含めて、各医療機関に納得していただけることになっており、それから、信頼もいただいていると考えております。

 次に、4ページに移ります。

 コンピュータチェック附箋の見直しを含めて、電子レセプトの請求を前提とした業務ですけれども、これらのシステムの効率化を進めることはいうまでもないことと考えております。

 しかし、例えば、電子レセプト請求に併せて開始された突合点検と縦覧点検があります。突合点検と申しますのは、医科や歯科のレセプト、例えば病名とか、その後の医療行為などが書いてありますけれども、それで、点数も書いてあります。そういうものと、今度は処方の内容と突き合わせることが突合ですけれども、突合点検もやっております。従来は別々でした。それを、電子レセプトができたことで、これを一緒にやれるようになっております。

それから、保険者からの再審査の例で縦覧点検は、各事例ごとに過去にさかのぼって、現在から数カ月あるいは1年、場合によっては2年という月ごとのレセプトをずっと連続して見ることが求められております。そうすると、従来の一枚一枚の紙レセプトの審査の話ではなく、複数のレセプトを、関連の医療機関について、あるいはレセプト1つについて、こういう関連するレセプトを何件も同時に見なくてはいけないということで、これは非常に複雑な審査になっております。

ということで、これは職員にかかるサポートの比重は、補助業務に依存しているところがあります。それから、審査委員が限られた時間の中で、この膨大な数のレセプトを実際に審査するためには、突合・縦覧も含めて、非常に深く検索しなくてはいけませんので、それによる職員の事務は不可欠になっております。こういうサポートがあるところで初めて適正な審査を行えるようになっているのではないかと考えております。

 また、審査する立場としては、国が定める診療報酬点数表等に示された内容については、適正な審査をすることが求められていると認識しております。

 以上、私の分担のところで御説明申し上げました。

○西村座長 どうぞ、田口委員長。

○神奈川県審査委員会田口委員長 では、引き続きまして、神奈川支部の田口でございます。先ほど、鈴木審査委員長から話がございましたように、この機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 では、引き続き、神奈川支部の現状を踏まえながら、審査とはどういうことか、どのように取り組んでいるかということについて説明をさせていただきたいと思います。資料の5を見ていただければと思います。

 まず、支部における審査ということで、神奈川の場合ですけれども、レセプト審査は、国の定める療養担当規則あるいは診療報酬点数表、薬価基準等をもとに審査をしておりますが、曖昧な基準も少なくありません。このために、実際の審査においては、何らか具体的な基準も必要となります。その際に、地域の特性も視野に入れた判断を行っているということが現状でございます。

 この地域性を視野に入れるということを具体的に申しますと、地域内の医療機関の請求傾向といった地域医療の状況を把握している審査委員及び審査委員会が審査することは重要だと考えております。

 また、医療環境に差異がございます。患者さん本位の審査の観点から、機械的な審査・一元的な審査をするのではなく、地域事情を考慮して審査するということでございます。

 また、レセプト情報に加えて、さまざまな患者さんの背景を類推、加味して判断しているので、地域事情を理解している審査委員が判断することが最適と考えております。

 では、続きまして、職員の役割でございます。

 基金の職員としては、審査委員が限られた短時間の中で、大量のレセプトを効率よく審査するためのサポートをしております。適正で効率的な審査を行うための審査委員のサポート役である職員体制の見直しは、審査の質の低下を招かないかということが懸念されます。このように考えております。

 質の向上を目指すためには、コンピュータチェックの精緻化を通じて、附箋貼付の見直し、電子レセプトの審査事務の効率化は必要な取り組みと考えますが、サポート体制のスリム化はその効率化の度合いに併せて検討されるべきではないかと、このようにも考えております。

 また、同時に、日進月歩の医療にあっては、複雑多岐にわたる請求に対して職員のさらなる審査事務能力の向上が必要であるというのが現場の実感です。

 また、ICTの活用は推進すべきでありますが、審査方法の見直しは、我が国の医療のあり方そのものに関わる重要な点であると、このようにも認識しております。

 7ページ目でございます。コンピュータチェックの公表について触れさせていただきます。

 審査精度の向上及び審査の透明性を高めることによりまして、レセプト審査に対する信頼性の確保に結びつく、このようにも考えております。

 レセプト請求が適正になりますと、その結果、再審査請求の減少にも結びつき、支払基金だけでなく、医療機関、保険者の方の事務の効率化にもつながるのではないかと思われます。

 このようなことを推進するためには、ICTを活用しましたコンピュータチェックの精緻化及びコンピュータチェックの公表範囲(基準)を明確にする議論も重要ではないかと、このように考えております。

 以上であります。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 それでは、皆さんから、今のお二人の御説明に対する質問を含めて、さらに、資料1でありました、今までの議論の論点整理について、御意見を伺いたいと思います。どちらかというと、質問をしていただくほうを優先したいと思いますので、御質問をよろしくお願いします。

 森下構成員、よろしくお願いします。

○森下構成員 ありがとうございました。

 宮城県の鈴木審査委員長にお伺いしたいのですけれども、3ページ目に、保険診療ルール上は問題のない請求であっても、適正な保険請求であるか否か審査できることとなっていますが、保険診療ルール上問題がなければ、本来、それがだめというのはよほどの理由が要ると思うのですけれども、これはどういうことを具体的にいわれているのでしょうか。本来は認められているものを認められないというのは、格別な理由がないといけないと思うのです。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 例えば、同じようなケースが多く請求されていても、ある疾患だけに特化したような病院であればいいわけですね。ところが、そうでない病院で、同じような傾向レセプトの請求数が多く出てきたら、保険診療上、認めて良いものかどうか、また、倫理観から架空請求も視野に入れつつ審査をしています。これは結構幅を持って審査をしているという意味です。

○森下構成員 架空請求であれば、それは全然別の話であって、本来、診療上、例えば、今月からそういう患者さんがたくさん来たとかであれば問題ない話ですね。それを、コンピュータ上の問題でオーケーなのに、実情を見ずにだめというのは、それは本来のちょっと範疇を超えているのではないかと思うのです。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 ただいまの御提案のとおりの要素というのはもちろん我々もわかっておりますけれども、ただ、専門に特化した診療を行っているわけではないことが分かっているところから請求が多数出てくることがあるのかなというのは、地域に根差した我々は不思議に思うところもあるということで、それは査定するという意味ではないのです。それはお聞きして、本当にそうなっているかどうか、レセプト上で確認するということです。それでオーケーであれば、全然問題ないわけです。

○森下構成員 もう一点いいですか。

 次のページの突合縦覧点検の話ですけれども、過去の流れをずっと見ていくという話をいわれたのですけれども、これは具体的にどういうふうな理由をもって見るのか。全例でそれをやられているのかどうかで、2点についてちょっとお聞きしたいのです。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 これは、保険者さんから申し出がある場合がほとんどだと思います。申し出があった場合、例えばあることについて、当月の話、あるいは、ある何年何月の話からさかのぼって、そこまでの医療行為に関して、これはどうですかということで御質問があった場合に、それをずっと見ていかなければいけない。病気そのものも途中で変わってくる可能性もある。それから、薬を使うことによっていろいろ変化することもある。

いろいろな状態がある中で、例えば今年の3月から昨年の3月まで1年なら1年分のときに、こういう治療行為、例えば、この薬が投与されているのが正しいですか、あるいは、検査が連続してあるのは正しいですかということで、ずっと1年、場合によっては2年にさかのぼって出されることもあるわけです。そうすると、途中での変化も含めて、これは認めなくてはいけない場合もある。これは多いかもわかりませんねと、そういうことの判断をしております。

○森下構成員 いずれにしても、職員の方よりも、むしろ、ICTを活用すべき事例のように思うのですけれどもね。わざわざ職員のサポートがつかなければできないというよりも、どちらかというと、コンピュータチェックにむしろ適している事例のように私は思ったのです。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 これについては、同じ病名が全部ついているとは限らないわけですね。途中で変わっていくのです。そうすると、治療内容も途中で変わってくることがあるのです。多くの病名が付く方は、実はたくさんいらっしゃいます。この病名を一つ一つ全部過去の病名から、その薬、検査が本当に合っているのかというのを、その時期時期について、一つ一つ全部照らし合わせていくという、実は非常な大変な作業になります。

これをある程度整理したものを見せていただかないと対応しきれないので、時間の短縮といったら申しわけないですけれども、事務方のところである程度整理していただいて、問題はこの辺のところに集約されますよ、これをどう考えますかという話にしていただけると、我々は比較的短い時間でもやっていけるという話になるのだろうと思います。このような一連の作業をコンピュータで整理するためには、現在のレセプトの記録形式を見直す必要があると思います。

○西村座長 どうぞ。

○神奈川県審査委員会田口委員長 神奈川の田口でございます。

 先ほどの保険診療ルール上の問題ない請求、これにも関係するかもいたしませんが、私どもは、1枚のレセプトを見ていることがまず原則でございます。ただ、その場合に、患者さんは千差万別、それから、病気も、同じ疾患名であっても、いろいろ背景が異なります。そうしますと、医学のルールで決まってないようなことであっても、逆に、決まっていても、それが本当に保険上適切かどうかということを目視、人間の目で見て考えなければいけないということが出てきます。

 ですから、簡単に例を出しますと、疑い病名で毎月同じ検査をすることが果たして医学的にあり得るのかどうかということも議論になります。保険診療ルールでは、疑いの病名があって、検査ができていれば、一対一の場合には、それは適正と判断せざるを得ないわけです。それを、我々は専門的な立場で、果たして医学的に整合性があるかどうかということを見ながら判断するということで、ルール上に問題のないという表現になってくるということで御理解をいただければと思います。よろしいでしょうか。

○西村座長 森下構成員、よろしいですか。

○森下構成員 はい。

○西村座長 それでは、別の方の御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○佐藤構成員 ちょっと教えていただきたいのは、今回の検討会で課題になっているのは、まさに、支部間での判断基準といいますか、審査基準に差異がある。これは何でだろう。それぞれ地域の特性があるのは理解した上でなのですけれども、そこで、ちょっと2点だけ伺いたいのですけれども、1つ目は、支部間で、例えば今回の宮城県さんと神奈川県さんの間で、例えば、自分たちの審査について何か基準とかやり方とかについて情報交換するケースはあるのでしょうか。例えば、おたくではこうやっています、うちはこういうふうにやっているのです、どっちがいいですかね、みたいな感じですね。そういう形で何らかの情報交換をする機会があるのかということ。

支部点検条件項目数といいますか、つまり、支部間の支部独自の設定ですね。これが年々ふえているというイメージがあるのですけれども、これはどんな経緯で、ある種ルールとしてつけ加えられていくのか。あるいは、なくなるものがあるのか。どんな感じで支部独自の判断基準は変化していっているのか、加わっていっているのかということについてちょっと教えていただければと思います。

○神奈川県審査委員会田口委員長 神奈川の田口でございます。

 まず、支部間の情報交換についてですが、確かに、いろいろな方法を持っております。一番は、基金本部が中心になりまして、それぞれの情報交換をするということ。また、支部間の問題点を列挙して検討をするということで、それは全国でやっている場合と地区地区でやっている場合と、また、特別に別のグループをつくってやっているというようなことで、情報交換をしております。

 それから、支部の差異についての取組みに関しても、お互いに意見を出しまして、お互いの情報をイエス・ノーというようなことで、全国の調査を時々その項目についてやっております。それで、全体的な集約ができるような方向に、これは基金本部の指導でやっているということが現状でございます。

 以上でございます。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 続けて、お答えさせていただきます。

 ブロックの中での検討も実はやっております。もう一つは、各先生方がコンピュータで照会事項を全国一斉に発信できるのですね。これについて専門の御意見を伺いますというやり方は、実は頻繁に行われております。

 それから、いろいろな問題ですので、スピードがたまたまタイミングが合えばいいけれども、合わないようなときは、全国一斉に発信して、実際に専門医の先生方から御意見を伺う。それから、専門医の先生方は、どこにどういう先生がいるというのは大体わかりますから、そこのところへ直接どういう格好で審査をされているか。どの程度の内容までだったら、実際にルールとして考えていいかを想定している。そういうところで多少の幅が出る可能性があるのだろうとは思いますけれども、そういうことをやっております。

○佐藤構成員 ありがとうございました。

 本部のほうで、実は地域間の差異について検討をしているという話は聞いているのですけれども、話の差異の解消に向かって議論が余り進んでいないということがあって、こういう検討会での議論になっているという経緯があるということだけは御理解ください。

 きょうの事務局さんからも出ている話と絡んできているのですけれども、資料1の最後の4ページで、先進医療に係るレセプトとか、まさに、今、専門医という話が出ましたけれども、専門医の少ない診療科に関するレセプトの審査体制をどうするのかという話が出ているのですが、現場レベルでは、例えば、自分たちのほうになかなか専門家がいないという場合は、本部を通してやっていただくという形ですか。あるいは、ブロック単位という話があったので、支部の間で何かそういう連携があると理解したほうがいいですか。どんな感じで取り扱われていると思えばよろしいでしょうか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 審査は毎月単位です。実は、物すごいスピードが必要になるのです。そうすると、全国をまとめてから審査するのは、現実的にはそれではなかなか間に合わないということは多々あります。ということで、支部間で、専門医の間での話はもうあるレベルではやられています。それから、先ほどお話ししたように、メールで一斉に全国に出しています。各自が出したところで、専門医の先生方の御意見がいろいろ出てきますので、それも加味して、各支部の中で、全く専門的な知識のある審査委員がゼロということはないので、その先生方の御意見も踏まえてディスカッションをしています。

○神奈川県審査委員会田口委員長 補足ですけれども、いろいろなツールを使いまして、タイムリーにその専門以外のことに関しては各支部に問い合わせることができるルールにはなっております。

○佐藤構成員 具体的にツールというのは。

○神奈川県審査委員会田口委員長 iPadです。そういうものを使ってこういう症例の場合はどういうことかということを質問しています。それぞれの支部には医療顧問の先生もいれば、専門の先生もいるということですので、対応は十分に可能になるということです。理想的には、各支部に全ての専門家がそろうのが一番理想ですけれども、それができない場合の補てんの方法ということで御理解をいただければと思います。

○西村座長 それでは、飯塚構成員お願いします。

○飯塚構成員 神奈川県さんの5ページの一番最後にある「・」ですが、レセプト情報に加えて、地域事情を理解している審査委員が判断することが最適だとあります。

 レセプトの審査ですので、レセプトの情報が全てであります。そのレセプトの情報のほかに、それに加えて、なおかつ、地域事情を理解している審査委員の先生の判断が適切だと。それは抽象的にはあるかな、生活保護辺りのことをいっているのかなとか思いますが、この最後の「・」の御説明を賜りたいのです。

○神奈川県審査委員会田口委員長 先ほどから幾つか説明させていただきましたように、疾患、病気というのは単一ではないということは御理解いただけているとは思うのです。そうしますと、先生がおっしゃいますように、レセプトというのは一枚の紙ですから、それで判断をするということですが、その医療が果たして適切かどうかということを、その医療機関の状況あるいは患者さんの背景・地域性、こういうことを考えて、ここまでは少し過剰ではないだろうかということを判断したり、逆に、ルールではここまでと決まっているものでも、この病態を考えた場合は、プラスアルファもしていいだろうということは、これは、審査の専門性が高い人が医学的に判断をするということの表現でございます。

○飯塚構成員 それでは、この地域事情ということは、もう少し砕いていえば、各医療機関ごとの事情という理解でよろしいですか。

○神奈川県審査委員会田口委員長 2つございます。先生がおっしゃいますように、医療機関の問題もありますし、それから、地域の医療ということは、地域の環境ということで我々は捉えておりますので、具体的なこととしては、例えば、気候の問題とか、生活習慣の問題とか、家族性とか、そういうようなことも地域の医療の差異としてあらわれてくるということで、医療というのは生きているものですので、その辺は取り入れて判断をするのがピアレビューの本質かと考えております。

○飯塚構成員 今のお話はちょっと奇異なのですよ。つまり、神奈川県でいらっしゃいますね。ですから、例えば、東京都で小笠原諸島の診療所とかそういうのでもなくて、あの割とコンパクトなエリアの中の気候の差異とかそういったものが、レセプト審査のメルクマールになり得るのか。その点、もう一度伺います。

○神奈川県審査委員会田口委員長 神奈川のことに関しますと、神奈川は面積的にかなり横に広いところでございます。大都市もございます。それから、郡部もございます。そうしますと、おのずと医療の集中度が異なっております。そういうところが地域差として、地域環境としてあらわれるのではないだろうかと思っております。ですから、大都市のいろいろなものが充足している医療の集中性と、それから、逆に、郡部での医療の差異は、我々としては審査のほうで参考にはいたします。

ということでございます。

○飯塚構成員 ありがとうございます。

○西村座長 神成構成員、お願いします。

○神成構成員 職員の取り組まれている業務について、附箋の話は出てきているのですが、それ以外の業務について教えて頂けないでしょうか。まず、資料の4ページ目の真ん中の「しかし、」のところに、複数のレセプトを審査するので、職員によるサポートの比重が高くなっているという記載がございますが、このような複数のレセプト審査において、職員が具体的にどういうサポートをしているのでしょうか。

 それから、6ページ目の下のほうの2「・」目に、「さらなる審査事務能力の向上が必要である」と書いてございます。具体的にどのような能力向上が必要遠考えなのでしょうか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 では、私から申し上げます。

 突合は、医科や歯科のレセプト一枚一枚と処方の内容とを突き合わせるという話です。そうすると、例えば、それが縦覧とも一部かぶってくることがしばしばあるのですけれども、そのときにコンピュータで合わせられるところもあれば、例えば、別の医療機関に一定期間かかっていて、薬をもらってくることがあったりするのですよ。そうすると、単純にそれだけではやれない場合も出てくるのです。そういうことが検査の面だったり、治療の面も含めて、そこのところをずっと調べてもらうとなると、我々が見ている範囲内だけでは確かに不十分だねというのはわかります。

○神成構成員 ありがとうございます。

 もう1点の、さらなる審査事務能力の向上についてもご説明いただけますでしょうか。

○神奈川県審査委員会田口委員長 審査事務の方は、専門性をかなり持っています。医療はかなり進歩します。例えば、ある疾患でカテーテルを2本使う、3本使う、それがいいのかどうかというようなことは、本当に進歩して早いので、こうした機械的とは言い切れない判断を求められます。もちろん、それは最終的には審査委員が判断しますけれども、事務方の職員がまず判断をします。そうすると、事務方の職員はどうしてその知識を得るかというと、彼らは研修を受けております。私どもがその医学的なものを教えています。これは毎月毎月やっています。そういうことで、今の医療に合わせるような能力を身につけてもらうということをしているということでございます。これは、将来も、さらに継続していくと思います。

 それから、2つ目として、コンピュータでチェックできないような文章、レセプトに関しては、医療の必要性を、医療機関は文章で書いてきます。それを判断するということを事務の人と一緒にするということで、更なる能力の向上が必要と、このように考えます。

○神成構成員 ありがとうございます。既にそのような取り組みを進めていらっしゃって、今後さらに強化していくことが望ましいというお考えですか。

○神奈川県審査委員会田口委員長 はい。

○神成構成員 宮城県の鈴木委員長も、御意見があれば、ぜひ。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 今、お話がありましたけれども、これは物すごく進歩が速いのです。未来の話はまだ十分入ってないと思います。これが常にオン・ゴーイングで変化しているものを、我々が学会へ行ってやっとわかるレベルまで、2、3カ月ずれれば保険では入ってくるわけです。それを職員が、学会に行ってない人がどうやって理解できるか。これは相当早く、我々が専門医の立場としてやらなくてはいけないし、事務の人たちもそれを理解して、それを普遍的にできるだけ同じ支部全体、あるいはエリア全体、基金全体が理解することは、物すごいスピードが要求されるので、それを我々も達成しなくてはいけない、そういうことになると思います。

○西村座長 もうお一方、御質問を受けようと思いますが、いかがですか。

 山本(雄)構成員、よろしくお願いします。

○山本(雄)構成員 ありがとうございました。

 私からは1点ですけれども、審査委員の先生方が診療時間を割いて従事されていると、非常にお忙しい中でやられていると思うのですが、一方では、審査業務のガバナンスとかを見ると、請求側でいる先生が、今度はその支払う側で仕事をするわけですので、どうしたって利益相反のマネージメントが欠かせないと思うのですね。具体的に、どのようなルールやガイドラインを持って、審査委員の先生方の利益相反マネージメントみたいなものをされているのかというのをお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 今、全部はお話しできないかもしれませんけれども、1つは、担当する先生の関連する病院に対しての審査には当たらせていません。これは47支部どこもそうです。多分、これは一番わかりやすい利益相反の話だろうと思います。

 それから、診療所あるいは病院の先生方が専門性を得るために、医学部6年、その後、ドクターを取るのに最短で4年、その後の専門医になるまでに十数年かかっているわけですね。専門医で動けるようになるまでに実は十数年かかっています。この先生方が、我々もそうですけれども、お互いにそれをやっているから、医学的なことに関してはある程度理解ができる。ただ、これを療養担当規則に従った場合に、あるいは、点数表に従った場合にはどうか。この一点のところでのやりとりしていることなので、実は非常に医学的な専門性に関しての理解はお互いかなり共通している部分はもちろんあるわけです。問題は、保険の診療報酬ルールと思われることに対して当てはまっているか当てはまらないか、この一点だけでやっているので、利益相反はあんまり起きないだろうと思っております。

○山本(雄)構成員 済みません。わからなかったのが、もしその一点でやっているのであれば、逆に、医の専門性はどこに行ってしまうのかというのが、今ちょっとわからなかったのです。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 では、もう少しわかりやすくお話しします。例えば、我々審査委員が基金の仕事をしたからといってもその時間を他の仕事に充てれば得られるであろう収入は得られないです。それでも審査委員を引き受けています。

○山本(雄)構成員 今の話はちょっと理解が難しいですね。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 要するに、審査する先生は、少なくとも自分の利益のために基金の審査をしている訳ではありません。

○山本(雄)構成員 そここそが、むしろ、利益相反に見られるのではないかという気がします。

○西村座長 鈴木参考人、済みません、今の話はちょっと時間がかかるので、田口参考人から別のお話を。

○神奈川県審査委員会田口委員長 利益相反に関してですけれども、まず、第1点としては、審査委員の先生はかなり強い倫理観を持っております。それを持って、自分たちは専門の立場で、専門的に公平・中立な審査をすることを基本にしているということが第1点でございます。

 2点目として、自分が審査する場合、自分の病院は決して審査をいたしません。必ず違う病院を審査するということが第2点でございます。

 それから、第3点としては、長く同じところを見ているということはいろいろ弊害が出ますので、定期的に、先ほど鈴木委員長が説明させていただきましたように、必ず一定の期間で受け持ちの部署、対象病院を交代、これである程度担保をしていこうと、このように考えております。

○山本(雄)構成員 済みません。追加で1点ですが、そうしたマネージメントみたいなルールは明文化されていたり、あるいは、一定の頻度で改正されていくものなんでしょうか。

 というのは、例えば、地域医療連携など医療機関間の連携をといっている中では、自分の所属医療機関だけ見なければいいというところから、だんだんと医療圏というものの見方が拡大していく時代になっていく中で、マネージメントルールも多分変わっていくのだろうなと思ったときに、そういうルール改正が今どのぐらいされているのか。これはされていないならけしからんとかいうレベルの話ではなくて、今後のあり方という意味ではどうなっているのかなと思っての質問です。

○神奈川県審査委員会田口委員長 受け持ちの対象病院をかえるのは、ルールとして確立されていると私は認識しております。実際、私が審査しているときに、1年ごとに受け持ちの医療機関がかわっています。それが明文化にはなってないですが、一応そういうルールにはなっております。

○山本(雄)構成員 ありがとうございました。

○西村座長 林構成員、どうぞ。

○林構成員 きょうは貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

 コンピュータの点検項目についての支部における設定についてお伺いしたいと思います。基金においては、各都道府県の支部において、随時、審査委員会からの御要請によって、コンピュータの点検項目を設定なさっていると伺っております。両先生におかれまして、御経験の中で、御自身から提案して、支部点検項目を設けられたことがおありかどうか。もし、おありだとしたら、何年間のうち何項目ぐらい御提案なさった御経験があるか。また、その御提案の際には、どういう客観的な証拠をもとに御提案なさっているのかどうかという点を教えていただけますでしょうか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 これは、支部によってさまざまです。内科、外科、それぞれからいろいろ出されますので、私、内科ですけれども、そこだけで何個もという話には必ずしもならないと思います。個人的には、多分、数件は出しているとは思います。

○林構成員 内科であったら、年に数件、1桁というレベルですか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 そういうことではなくて、個人的に、これは必要かなというので出せるのは、数件ぐらいはそれぞれの人がいろいろと出されて、それを整理して、大体この辺のところを検討しましょうということになると思います。

○西村座長 年間ですか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 年間で全体でやったら、何十だと思います。

○西村座長 つまり、毎回、会われるたびにそういう話がありますか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 何件かずつ共通して出てくるものをやろうということです。

○林構成員 それは、地域事情、地域の特性という場合に、御記憶なさっている中で結構ですけれども、例えば、どういった項目を、鈴木先生の場合は御提案なさったことがありますか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 多分、例えば同じことがあっても、宮城県の場合だと、離れているところで、医療機関が少ないところがあります。そういうところで、例えば、2週間に一遍の薬剤の投与があった場合に、それが、いろいろな条件があった場合に、これが少し長くなると。そうすると、今のところは30日に1回でも大丈夫だよという話にはだんだんなってきていますけれども、そうすると、単純に、2週間に一遍とか、風邪の薬だから、5日よりもうちょっと長くても、やむを得ない部分もあり得るだろうな。それは詳記されているような場合には、これはやむを得ないかなと思っております。それはレセプトの中に詳記されているというのが条件ですけれども、そういうことも含めて見ているということになると思います。

○林構成員 そうすると、今みたいなものを点検項目で設定なさるわけですか。2週間に1回ではなくて、何か緩和する方向で。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 今のコンピュータでは、十分には読めないです。

○西村座長 田口委員長、いかがですか。

○神奈川県審査委員会田口委員長 それでは、神奈川の例になりますけれども、コンピュータチェックのシステムに関しては、事務方にコンピュータチェック委員会を設置しております。その委員会を中心に、いろいろ問題があるもの、あるいは、コンピュータチェックにかけたほうがいいものをまず討議をいたします。それは、同じようもので間違いが積み重なっているものを中心にチェックしています。

といいますのは、既に、コンピュータチェックは本部でも、今100項目ぐらいやっています。支部でも、10万項目以上コンピュータチェックになっていると思います。既にチェックをしてありますので、さらに、それに上乗せをするのは、今はそれほど多くないのです。というのは、今のコンピュータの精度の限界があるのではないかなというふうに我々は実は考えているわけですね。

それはどうしてかといいますと、同じようなことでも、例えばお薬1つでも、同じ内容なのに表現が違う。例えば、風邪といっても、上気道炎もあれば、咽頭炎、喉頭炎などもあり、これを一つ一つやると、全てコンピュータチェックでなかなか網羅できないところもありますが、そういうようなことを踏まえて、これは早くコンピュータチェックにかけたほうがいいというような項目を抜き出して、今かけているというのが現状でございます。

○西村座長 ありがとうございました。

 今のお話は、これまでどうかという話と、これをどの程度ICT化できるかというのは、ちょっと意識のずれがありますので、この辺りで御質問を伺うのはと思います。

 どうぞ。

○森田副座長 最後に1点だけ伺わせていただきたいと思います。

 私自身というか、ここでの多くの方の問題関心は、保険の趣旨でいいますと、1ページ目の最初に書いてあります「公的医療保険制度の趣旨に合致し、その定める保険診療ルールに適合しているか」その判断をするとしますと、同じ保険証でもって地域が違ったら診療に違う結果が出ることはあってはならないはずだと思っております。それが地域ごとに、地域の実態において違うということがあるとすれば、これは問題ではないか。そこのところに一番私自身は問題関心を持っています。

 先ほどのお話ですと、ルールに関しては、いろいろ都道府県間で調整をするというお話がございましたし、支払基金なり本部のほうでも調整をするというお話がございました。そうした形の調整が進むとすると、要するに、都道府県単位に審査の仕組みを必ず限定しなくてはいけないのかというのが疑問になってくるわけでございます。実際に、なかなか専門医の先生方をお願いしするのは難しいようなところに関しては、例えば、都道府県が幾つか合わさってブロックでそういう単位をつくることは可能かと思いますし、当面、現在の診療報酬の定め方ですと、全部コンピュータへ載せるのは難しいのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、将来的には一元的な形でやることも可能ではないかと思っております。

特に都道府県単位で審査会を置くことの理由は、先ほどの1つは地域の問題で、中に大都市があって郡部もあるというお話でしたけれども、神奈川県の横浜市と宮城県の仙台市では違う理由は合理的に説明できるのかどうか。そこのところを調整されているのかどうか。むしろ、今のデータ解析だと、一定の都市部ないし農村部の条件をそろえていけば、共通の基準が設定できるのではないかという気がいたします。

利益相反の問題はないとおっしゃいましたし、そうおっしゃるとは思いますけれども、この点に関しても、例えば、審査の基準を統合する方向で行くならば、例えば、審査委員の都道府県間の相互乗入れとか、そうした形をとることは可能なのか。それによって効率化ができるのではないか。都道府県ごとの人口、医療圏ごとの人口は相当格差がございますので、そういう方向での将来的な統合審査のあり方は可能なのかどうか、その辺はいかがお考えかということを伺いたいと思います。

○西村座長 今までの御質問は、恐らくこれまでのやり方に対する批判を意図した質問ではないと思います。ここで、今、御質問に対応して、率直なこれからの見通しについてお考えをお答えいただくとありがたいと思いますが、お二人いかがでしょうか。

○宮城県審査委員会鈴木委員長 ただいまの御質問は非常に幅があるのと、それから、奥行きもあるのと両方ですね。1つは、先ほど神奈川でのお話もありましたけれども、実は、各地域の中でも細かいところの差はやはりあります。仙台と横浜で本当に差はないかといわれたら、働いている人の人口構成もそうですし、県ないしは市の人口構成もそれぞれ異なっていますし、子供の数ももちろんそういうことで違ってきていますし、かなり違っているところがあります。交通の便もあって、例えば車でもいいではないかといっても、車だけで動けない人がいっぱいいます。それから、老老介護で足りなくなっているという、例えば家庭にあった人の医療をどう見るかという、現場では相当の差があります。そうすると、それを一概に全部で一くくりに同じような格好でやれるかなという心配が1つはあります。公的保険制度ですから、いろいろなルールでできるだけ統一したほうがいいという考え自体は、我々もそう思います。

ただ、これを本当に全国を例えば幾つかのブロックに分ければ、それで、それぞれの審査がきちんといくかといったらどうでしょうか。我々は医療機関の特性も含めて審査しているつもりなので、それをまとめたところが、各医療機関の特性だったり、患者さんのいろいろな集まり方の違いだったり、それを全部わかった上で、保険上、適正化かなどを判断します。もちろんレセプトでの審査ですから、そこに示された情報だけではわからないことがたくさんあるので、我々は場合によっては返戻しなくてはいけない。場合によっては、向こうから返されたもので、これは認めなくてはいけない場合もあり、いろいろな場合がありますので、これは一概にはそういい切れないところがあるかなという印象はあります。

○西村座長 では、田口委員長。

○神奈川県審査委員会田口委員長 現状を考えますと、やはり現状ではブロック制は難しいのではないかなと、このように考えます。これだけの膨大なレセプト、月に全国で8,000万枚ぐらいのレセプトがございます。ブロックに分けますと、どういうふうな分け方になるかはわかりませんけれども、何千万枚近いレセプトを、この限られた時間で、今のシステムでどういうふうにするかということは、これは非常に困難な問題がございますので、それを解決できるような方策がもしあれば、将来的にブロック制ということは視野に入れることは必要かと思いますけれども、現時点ではかなり難しい。審査委員を集めることも問題ですし、医療のレセプトのシステムは、毎月限られた時間に医療機関から提出して、限られた時間に審査して、支払うという、このシステムをなかなか膨大なものを1カ所というのは難しいのではないかと、このように認識しております。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 それでは、参考人のお二方に質問という時間は、これで終了したいと思います。

 あと、構成員の皆さんの御意見を伺いたいと思います。

 佐藤構成員。

○佐藤構成員 早目に失礼しないといけないものですから、早目にいわせてください。

 きょう、大きなテーマとしては、恐らく、審査の現状もそうなのですけれども、支払基金のガバナンス問題といいますか、支払基金の今後のあり方が問われるのだと思います。事務局の資料でいうと、きょう議論してほしいところの4ページ目のところですね。支払基金の業務のところだと思うのですけれども、先ほどから出ているようなブロック化はともかくとして、まず、審査についてはどこまで広域化・共同化できるかということは問われてくるかなと。専門性という言葉が何度か出てきたのですが、わかってきたのは、専門性はお医者さんだけではなく、実は職員にもいえるかもしれないとなれば、そんな専門性のある職員を47都道府県全部が持つのはまず無理でしょうというのは素直な話です。専門医も当然そうですね。

 ですから、何らかの専門性が求められるのであれば、それは審査委員としてのお医者さんであれ、職員であれ、やはり共同利用というのが前提だと思うのですね。となれば、広域化を考えなければならない。それは、幾つかのレセプトとか幾つかの条件においては、1つは本部に投げるか、あるいは、本部に専門家を集めるということですね。あるいは、拠点に集めるか。私は東北出身なのでわかりやすいと思いますが、例えば仙台ですね。そういう形で拠点に専門家を集めるかという形で広域化を進めていかないと、これは多分回らないのではないかということが1ついえると思います。

 本部がどこまで支部をグリップしているのか私はよくわからないので、今回、審査の透明性云々という議論が出ていますけれども、本部で少なくとも支部がやっていることはちゃんとわかる。これはこれから調べるのでしょうけれども、支部ごとの審査基準の差異、あるいはそれが生まれてきた経緯というもの、あるいは、その結果というものは、それがいいか悪いかは横に置いておいて、少なくとも本部で把握できる状況はつくっていかなければいけない。

 さっきの利益相反のケースでいえば、再審査に関して同じ支部がやっていいかどうかというのはちょっと問われると思うのですね。そこの支部が出した結論を持っているわけですから。となれば、例えば、それは本部が引き取るというやり方をしてもいいし、拠点支部をつくれるのであれば、拠点が引き取るというやり方もあってもいいかもしれないので、そこは審査の透明性に関わる部分だと思うのです。

 長い目で見たときに、これから支部の業務を見直し、特にビッグデータの分析とか活用のほうにシフトしていくということであれば、職員の中でも、人材もそちらのほうが重要になるとなれば、これから若い人を雇っていくときは、恐らく、これまでどおり各支部ごとの雇用というよりは、できるだけ本部で雇うか、あるいは、拠点にある支部で雇うかという形で、人事配置も長い目で見て変えていくというやり方をしていかないとちょっと出口が見えないかなと思います。

○西村座長 ありがとうございます。

 この後、構成員の皆様の御意見を伺いたいのですが、どうして田口先生と鈴木先生に何もいわなかったかというと、この後、もし、それは違うのではないかという御意見がございましたら、挙手をしていただいて、御意見を伺いたいと思っておりますので、まだ御苦労様でしたとは申し上げませんので、どうかお許しください。

 それでは、森下構成員よろしくお願いします。

○森下構成員 私も、残念ながら、これは原則的には中央ですべきであって、佐藤さんがいわれたとおりだと思うのですね。特に専門性の高いものとかは中央化すべきでしょうし、ある程度ブロックで可能であればブロック化すべきである。これでなくて、支部でしなくてはいけないというものをむしろ支部に持っていくべきであろう。原理原則として、まずは中央で一元化していくところから始めていって、そうでないものを支部にお願いしますというスタンスだと思うのですね。特に専門性が高いものとか最新のものは、先ほど、審査の補助の方の教育も出ましたけれども、これは、残念ながら、首都圏なり関西圏なり大きいところでないと難しいのは事実でしょうし、専門医が少ないところで、さらに、その専門のサポートする方が育ってくるのは当然難しいだろう。そういう意味では中央で置くべきものはある程度明確になってくるのだろうと思います。

 一方で、地域差に関しては、これはゼロではないというのはそのとおりだと思いますが、基本的には、ルール上超えているものに関して、それがいいかどうかというのを支部で見るというのはいいと思うのですけれども、審査上可能になっているものを勝手に減額をするのは、本来であれば、その医療費を当然医療機関が自費で払うわけですから、同じお金を払っている患者さんが違った医療を受けてくるところにつながると思うのですね。そういう意味でいけば、ルール上、例えば先ほどあった疑いが続くのはおかしいというのであれば、疑いが続くものに関しては算定しないというルールを中央で決めて、それで、超えているものに関しては個々に見ていくというのが筋論だと思うのですね。

ですから、患者さんが全国同じ医療を受けられるという大前提のもとに、ルールを中央で決めていって、そうでないものがあるのであれば、支部から中央に再度それをルール化するかどうかという話を上げてもらって、それが妥当であれば、全支部統一する。そうでないのであれば、中央が把握をした上で、いわゆる地域に特定な病気はやはりありますから、そういうものに関しては認めるということで、これはいずれにしろ中央がガバナンスを示さないと解決がつかない。これは中央にガバナンスがないという状態は、もう戦国時代と同じようなことをしている話で、正直な話、これはちょっと異常だと思います。ですから、ルールをしっかりはっきりしてほしいと思います。

○西村座長 松原構成員、お願いします。

○松原構成員 どこか発想が間違っています。なぜ都道府県があるかというと、国のいろいろ決めたことを国民のためにきめ細やかに合わせるために都道府県があるので、今現在、地方創生、そして、地方を豊かにして、地方で暮らせるようにするという政府の方針から考えても間違っています。森田先生は社会科学者だったと思いますけれども、社会科学の世界では、一つ決めたら、その決めたことが全体を支配します。しかし、自然科学の世界では、幾つかの自然の中のルールで各状況が違って、例えば、先ほど申しました気候が違う、地理も違う、交通網も違う、そういったものを加味して、細かく決めて、それを審査するというものが各地の支払基金であります。

各地の基金が機能してないと断定するというのはまちがいです。今回いろいろな説明を受けて、これほど支払基金はいろいろなことをしているのだとわかりました。例えば専門性の問題も、わからなければ、今は情報化社会ですから、メール一本送ればわかります。必要なところが必要なように対応してきめ細かくやっている。我共はそういった説明も何もせずにやっていますから、外から見たらいかにもほかの世界と同じように、何か丼勘定でやっているように思われているとは思いますが、しかし、今説明を受けたようにきっちりやっています。

利益相反の問題でも、かなり倫理性の高い状態で、そして、自分を犠牲にして、患者さんにとって一番いい医療ができるようにするのが審査委員の仕事です。その中で、自分のところを見るとか見ないとかというレベルの低い話ではなくて、あくまでも全体を見ながら、十分な医療ができるように判断しているのが基金です。

外から見たらわからないでしょうけれども、今回説明していただいて、恐らく皆さんもこれだけ基金がやっているのだということをおわかりいただいたと思います。自然科学の世界では、物事は一つには固まりません。不確実性があって、非常に難しい話です。社会科学のように、法律一本決めたら従うのがルールだという話ではありません。

ルールとして、いろいろなことを中医協で決めて、そして、法律なり、告示なり、通知なりで出たものを実際の医療に当てはめて細かいところまで判断しているのが基金です。一つの県の中では、県の中でもいろいろな差異があります。隣の県のことはわからないことがよくあります。そういったことも踏まえた上で、一番いい医療を提供しているからこそ、医療機関は基金を信頼して、基金が査定して戻したのであれば、それは自分の医療的な考え方に問題がなかったか,あるいは、ルールに反していたか、いろいろなことを考えて、医療機関は我慢しています。いいたいことは、恐らく各医療機関で山のようにあるはずです。信頼できる基金がされているから我慢しているので、中央が決めたから全て従え、あるいは、中央が全て集権してやれという話は私共は納得いきません。

以上です。

○西村座長 いかがですか。

 今の松原構成員のは、内容は大変説得力があるのですが、自然科学、社会科学の定義はちょっと違うような気がします。

○佐藤構成員 済みません。社会科学専門家としては、自然を相手にするより人間を相手にするほうがよっぽどやっかいなので、いうとおりやってくれないのが人間ですから、不確実性ははるかに人間社会のほうが高いと思います。

 私は地方再生の専門なので、今、地方創生で、地方の特異性を求めている。医療の分野でも、まさに医療費適正化計画もそうですし、地域医療構想もそうですし、都道府県にやってもらうことと、それぞれの地域の事情を反映してやるべきことというのはあるので、それを画一的にやれとはいってないのですが、これは分野によるので、例えば診療報酬は全国一律ですね。地方分権が全てだとおっしゃるならば、なぜそれは分権化しないのかという話になってしまいますので、全国で統一するべきことと地域差を尊重するべきことは、これは分野によりますということで、問われているのは、審査基準というのは果たしてどちらに属するのか。つまり、原則、全国一律でやるのがいいのか、あるいは地域差を前提にしてやるのがいいのかというのは問われる。別にどっちがいいということをアプリオリにいうべきものではない。

 ただ、少なくとも1ついえるのは、まずやらなければいけないことは、散々出てきているキーワードで、見える化だと思うのですね。つまり、まさに、我々はわかってないというのがいろいろな不安材料。つまり、審査基準に地域差があります。でも、どこにですか、どの程度ですか、それは一体どういう違いですか、全然わからない。それが結果的に医療費のコストにどのぐらいの差異があるのかもよくわからないということですから、まずは見える化。

 それから、これは別に現場の方を否定するものではないので、現場の方々がいろいろ頑張っていますし、それは前提ですし、わかっているのですけれども、どの程度、どういう働き方、業務に違いがあるのか。私が気になるのは、支部ごとにみんな頑張っているのはわかるのですけれども、支部ごとに業務の内容とかが違うというのであれば、ベストプラクティクスというとあれですが、どこかで合わせるべきものは合わせるし、尊重するべき差は尊重するという形でどこか整理しなければいけないはずなので、それさえも、業務の中身を見える化しないといけないことなのだと思うのです。

 ですから、全体として通じるのは、平たくいえば、まずは支払基金の中身の見える化を進めていくということ。そこから始めて、統一できるものは統一しましょう。差異として残すべきものは残しましょうという、そういう仕分けになっていくのではないかなという気がします。

○西村座長 神成構成員のお手が挙がりました。

○神成構成員 神成です。

 佐藤構成員の意見と関連した内容です。今回、審査現場をお伺いしてそこで稼動しているシステムを拝見して、使い難いシステムになっていると認識しております。順々似システム開発が進められ、全体設計も出来なかった等の事情もあるのでしょうが、使われている方々はご苦労されていると認識しております。本日の議論の中でも、現行のシステムの不具合を指摘される内容がございました。システムが足りない部分を人力で補っているという事だと思います。

 前回のこの場で、WGからの取りまとめということで報告した内容に含まれておりますが、抜本的にシステムをきちんと設計し直すという事を最上位にして進めていかなければいけない。また、やはり前回、支払基金の各支部設定の合計数については報告させて頂いておりますが、具体的な中身は確認しておりません。ですので、佐藤構成員がおっしゃったように、もう少し内容を丁寧に確認したうえで、物事を進める必要があるのではないかと思います。

実際にそういったものをきちんと運用するための最適なシステムをどう設計するか。それに応じて、そうすると、今、森田さんがおっしゃったような話も必然とできるようになる。さっきから、コンピュータはできないからといわれるたびに、私も済みませんとずっといいたくなっていて、済みません、おっしゃっていることのほとんどはコンピュータで処理できますといいたくなったのですが、そういった皆さんの不満を聴いた上でいいシステムをつくると、しかも、それに見える化を併せると自然と皆さんが納得する形にするのが今回の落としどころではないかなというのをつくづく思いました。

 以上でございます。

○西村座長 どうぞ、山口構成員。

○山口構成員 参考人の鈴木先生、田口先生の御意見と大分重なるところがございます。私も過去に16年間、歯科ですけれども、審査委員をやっておりました。基本的なルールは全国統一であることはもう間違いないので、告示・通知で定められているので、そこは間違いない。何を考慮して審査をするかということなのです。そこが地域差であるとか、患者さんがどこまで医療を望むかとか、それから、医療の供給体制がどうあるかということ、そこを見ていかなければだめだと。そこがあると、出てくるレセプトも地域的な濃淡が出てくるのだということです。そうすると、審査委員が審査するレセプトで着目する部分も全然違ってくるのだということで、そういった意味では地域の実情をよく理解した上で審査をすることが必要だと考えております。

 それから、レセプトを出してくる医療機関についても、その医療機関の先生がどのような専門性を持っているかとか、その先生が哲学的なものを含めてどのような考えで診療しているかということを把握した上で審査することも重要で、そのためにはレセプトを返戻したり、電話照会をしたり、あるいは、請求ルールをよく理解されていない可能性があれば、文書連絡をして、ルールを再確認してもらう。それから、レセプトを見て、どうしても書面だけで処理できないものについては、審査委員会に来ていただいて、面接懇談をして、その意見交換をすることもある。

そうしたことを円滑的に行うためには、地域で診療している先生方の顔が見えることが非常に大事だと考えております。審査の効率化だけをいえば、中央に集約してやるのが事務的には一番効果が上がるのでしょうけれども、審査委員会の現場であるとか、その果たすべき役割を考えれば、都道府県という地域単位で審査をすることには相当の意義があるだろうと考えています。

 以上です。

○西村座長 森構成員、よろしくお願いします。

○森構成員 ありがとうございました。

 私も改めて鈴木先生、田口先生からお話を聴いて考えたのですけれども、審査の意義、先ほど、保険診療ルールに適合しているかとか、していないものは通していないと私は思っています。ただ、診療報酬・調剤報酬算定要件があって、明確なものもあれば、幅があって判断が必要になるというもの、そういうものの地域特性を踏まえた上で判断をしていて、最終的に患者本位の医療のためにどうあるべきかということを判断するのが地域なのかなと思いますので、支部のあり方を今議論されていますけれども、患者本位に考えたときにどうあるべきなのか。細かく見るにはどうしたらいいのかということを踏まえて今後検討していくべきだと思います。

 以上です。

○西村座長 葛西構成員、どうぞ。

○葛西構成員 私は1点だけですけれども、このままいくと、専門性とか先進性に関して、最後の事務能力向上というのがちょっと気になっていて、人間がやり続けるには、いつかどんどん限界が来るのではないかというのがちょっと不安です。

 何かというと、私もちょっとある治療をしていて、多少先進性がある治療をするときに、自分で疑念があるような検査があったのですけれども、それはある薬を投与するのに必要な検査だったということを説明いただいてなるほどと思うのですけれども、多分、全てのドクターがそういった先進性の情報を全部フォローができるとは思えないのですね。それは何かというと、保険適用後の情報を保有するのか、適用前の臨床も含めて過去の情報も多分かなりお調べになって審査をされていると思うのですが、そういった情報を電話で問い合わせをするとか、iPadで見るだけでは当然ないと思うのですが、それは何か効率化をしてあげないと、ここの業務プロセスはいつか破綻してしまうのではないかなというところはちょっと気になりました。

○西村座長 ありがとうございます。

 林構成員、どうぞ。

○林構成員 ありがとうございます。

 そろそろこの議論も佳境に入ってきているのだと思います。これまで伺ったところでは、まずは、コンピュータ点検の効率化・統一化の話は、もうやるべきことはかなりWGで整理していただき、今後、スピードアップしてそれをやっていくスケジュールを立てなければいけないと思っております。

 もう一つ、審査委員会の審査の効率化・統一化というところですけれども、見える化というときに、差異の見える化はまず前提としてお話があったわけですが、では、その差異が地域ごとにあったときに、その地域ごとのいわば例外の部分の説明がエビデンスに基づいた、証拠に基づいたものなのかどうか、客観的に我々はまだそれを見たことがない。多分、レセプトでは情報が非常に限られているので、実態では、審査委員会の先生方が地域の医療機関についての細々した事実を御存知で、それをもとに判断能力の高い審査委員の先生方のある意味主観的な基準で、「ここは信頼できる」、「信頼できない」といったような、そういった「ものさし」が働いているのではないかと思うのですが、それはもう少し客観的な基準として盛り込むことができれば、その例外の合理性というものも我々は判断できるようになっていけると思います。

そうであれば、それを中央で見たときに、宮城県で地域の事情でこういうふうに医療機関が少ないエリアではこう見ましょうとかいうことが合理的だと認められれば、それは神奈川県でも同様な条件があったら当てはめましょうということで、それをコンピュータチェックの統一的なところにフィードバックしていければ、我々の考えている、ドクターの判断をもとにコンピュータチェックの効率化を今後図っていくというところにもつながるのではないかと思います。コンピュータの点検関係の話には、審査委員会の判断の見える化、客観化といったことも、両方関わってくるのではないかと思います。

○西村座長 ありがとうございました。おっしゃるように佳境に入ってきました。

 山本先生お願いします。

○山本(隆)構成員 今の議論に大きな反対はないのですけれども、ただ、これはある意味ではICTの力を借りて、レセプト審査に生かしていこうというのが大きな目的だと思うのですけれども、そのときに絶対忘れてはいけないのはレセプトのあり方なのですね。これは、今おっしゃられたようなことをコンピュータでやろうと思うと、今のところ不可能です。それは、紙では十分同じように書いていたコメントみたいなものが、一部はコード化されて、一部はコメントのまま残っているのですね。今も、前後に並んでいるとかそういったことを想定した電子記載で、全く意味のないようなことがたくさんございますし、それから、最低限必要な臨床情報といいますか、あえていえば病名ですけれども、その病名さえ未コード化病名が結構あって、病名を見ただけではコンピュータは理解できないというふうなことがいっぱいあるのですね。

 ここを何とかしないと、いくらやっても精度は上がらない。つまり、もともとのものが悪ければ、どんなに磨こうとどうにもならないので、この議論の中でも出てきているのですけれども、レセプトのあり方を現場の医療機関に負担をかけない状態でどれだけブラッシュアップできるかということは、これは時間のかかる話ですけれども、相当真剣に検討しないと、結論が出ても、それが実現できないということに多分なるのだろうと思うのですね。そこはぜひ外さないで議論をしていただければと思います。

○西村座長 山崎構成員、どうぞ。

○山崎構成員 ありがとうございます。

 大きな流れとして、審査の統一化・効率化を進める上で支部機能を集約化していく。究極的には、韓国のHIRAのような単一の機関に集約するという流れがあることは、私、承知しております。ただ、単線的にそちらに進むことにはちょっと懸念することがありますのでお話しします。

 それは、1つは高齢者医療確保法でございます。都道府県の医療費適正化計画を推進する上で、必要とされる場合には、都道府県独自の診療報酬を定めることができることになっております。法律上は13条と14条ですが、13条は都道府県が必要と認め、意見が提出されたときは、その意見に配慮して定めるということですし、14条は、国が必要と認めるときは、都道府県知事と協議した上で定めることができるということになっております。

 このうち14条に関しては、経済財政再生計画の改革工程表で、高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策について、平成29年度末(来年度末)までに、関係審議会等において検討し、結論を得、それに基づいて必要な措置を講ずるとされております。仮に、都道府県別の診療報酬が設定された場合、それが都道府県の特定の医療圏についての単なる点数の特例にとどまれば問題はないと思うのですが、点数の解釈に、地域の特性を反映させて幅を持たせるとか、あるいは、地域独自の診療報酬の項目を設定するということがあるかもしれません。その場合、支部機能をむしろ積極的に認めて残さざるを得ないのではないかというのが1点でございます。

 それから、今まさに佳境に入ろうとしているのが地域医療ビジョンに基づく医療計画の推進でございます。2025年に向けた病院病床の再編、医療・介護の連携が大きな課題になっているわけですが、しかし、それは強権の発動は極力避ける。できるだけ関係者の自主的な調整に委ねるというのが、これまた、日本的な進め方に今はなっているわけですが、その自主的な調整をサポートするために、都道府県ごとに基金を置いて、それで支援をしようということになっているわけでございますが、この支援は、病床転換等の初期的な投資的経費にとどまっております。もし、診療報酬の特例でもって、これをさらに経常的な費用についても支援することになれば、自主的な再編といいながらも、かなり強力なサポートができるのではないかということでございます。

 ですから、その2点において、しかも、日程に上っている課題に応える上で、むしろ積極的に支部機能を残しておく必要があるのではないかと私は思います。

 以上です。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

○森田副座長 山崎先生のおっしゃるのは、内容的には、私も余り違った意見を持っていませんけれども、1つ申し上げておきたいのは、支部ごとに違うルールを決めるときにも、当然ですけれども、もとの全国ルールに、上位のルールに反しない限りできちんとした手続を踏んで、内容をチェックした上で決められたローカルルールは妥当だと思います。現在そうかどうかは、疑問であるという点が1点。

 もう一つは基金のほうですけれども、現在の診療報酬の場合、これから人口減少が進みますと、多分、人口が減少している地域では患者さんの数が減ってきますので、医療機関の経営が非常に難しくなってくるという状態になります。それをどうやって支えるかというために基金という形がありうると思いますけれども、それが本当に支えるために使われているかどうか。先生も同じ会議に入っておられますけれども、これはこれから多分議論になってくるところだと思います。

○山崎構成員 現状を認めたわけではなくて、できるだけコンピュータチェックも進め、統一化・効率化を進めた上であっても、支部機能を積極的に認める必要が出てくるかもわからないということでございます。

○森田副座長 支部を単位にするか、同じ条件の地域特性を持ったところを単位にするか、これはルールのつくり方の問題で、現在のコンピュータだと、それくらいのルールはできると思います。

○山崎構成員 おっしゃるとおりだと思います。

○西村座長 まだ少し私が使いたい案件がございますので、皆さんどうしても発言とは思いますが、理解できます。次々回最終を考えておりますから、そこで、事務局が提出する皆さんの御意見をまとめるにあたって、これはどうしてもいっておきたいという話があると思います。しかし、申しわけございませんが、保険者からも、今までの議論を踏まえて、何か御意見を伺いたいと私は思っておりますので、健保連の方、よろしくお願いします。

○健保連棟重理事 ありがとうございます。

 日頃から、支払基金が適正に審査していることはわれわれも十分理解していますが、保険者の観点から、2点意見したいと思います。

 1点目は、前回の第6回有識者検討会における保険者ヒアリングの中で、白川が、レセプトの二次点検により健保組合に負荷がかかっているので、コンピュータチェックの審査基準を一部公開し、支払基金と健保組合の役割分担を明確にしていただきたいと主張しましたが、まずは、審査基準を適切に「見える化」していただきたい。もちろん、医学的判断は尊重しますが、医学的判断の部分とそれ以外の部分を明確にしていただく等コンピュータチェックのさらなる活用による審査全体の効率化を進めていただきたいと思います。

 2点目は、支払基金の今後の組織体制の在り方についてですが、平成28年5月23日に開催した第2回有識者検討会で支払基金が提出した「審査・支払業務の効率化と審査支払機関が担う新たな役割」は、支払基金が自ら提言した改革案であり審査の充実と効率化を目指す内容については、われわれ保険者が考えている方向性とほぼ一致していると認識しています。いろいろと組織の在り方、支部機能の在り方等、整理すべき問題はありますが、有識者検討会の結論も踏まえながら、まずは、支払基金の着実な改革を進めていただきたいと思います。

○西村座長 ありがとうございます。

次々回最終回で、そこで、事務局がきょうのお話を受けてとりまとめをする必要があります。そういう意味で、どうしてもここで申しておきたいという話がございましたら、挙手をいただいて伺いたい。

 どうぞ。

○葛西構成員 これはこの会の最初のころからずっと続いているのですけれども、きょうもそうですが、比較的各所で大体現代のICTでできるという言葉が出るのですね。現代のICTでできるというのは、僕は現場で物をつくる側の人間なので、湯水のようにお金があって、湯水のように時間があれば、現代のICTを使えば多分できるという前提条件のように聞こえてしまう。

当然ですけれども、現在ある支払報酬基金さんにいらっしゃるベンダーさん、それから、支払報酬基金さんの、これは僕ではなくて、どちらかといえばもう一つのWGでいわれていましたとおり、ベンダーさんのコントロールがよくないとか、当然、それらは今後、to beを含めて、to beに向かった仕様策定がちゃんとできる体制なのかということが練られてない限りは、ちょっと青い鳥症候群になってしまうと思うのですね。現代のICTできっとできるといい続けて早何年というのが日本国政府の電子政府のあり方が続いているので、そういったことにきちんとした落としどころがない限りは、解としては余りいい解答になってないのではないかというのは1つ危惧しています。

 これについていうと、前回も私いったのですけれども、この支払報酬基金さんが悪いとかではなくて、例えば、国保中央会さんがいいという話でもないのですが、国保中央会さんですと、例えば、保険情報管理課があって、いわゆるデータの利活用を専門とする部門があるのですが、支払報酬基金には当然ないです。そういった意味でいうと、支払報酬基金さんは、審査業務をやるためにシステムの部門が整備されている。利活用に向けた形はもともととってない、当たり前なのですね。そういう制度なのでということで、あり方が変わるのであれば、部門のあり方も含めて、それから、システムの管理、IT化バランスの仕方も含めて考えなければいけないだろう。

 それから、もう一点ちょっと気になっているのは、前に、私は、このシステムはどういうお金を使ってやっていくのだろうかというのをちょっと気にしているといったのは、特別会計で随意契約がすごい多いのですね。僕は、随意契約を全部競争にすればいいとは思っていないのです。ただ、随意契約でやるということは、比較的特定の仕様にずっと引きずられがちであるのは間違いないです。かといって、特別会計制度をなくせとも思わないのですが、この辺りの論点もはっきりさせないと、いくらここで議論をしていっても、現場ではずっと随意契約で既存のベンダーさんで、比較的今までと余り変わりがないというふうになる可能性があるという、その特別会計のあり方、規則のあり方ですね。それが反していると、飯塚さんも出されていましたけれども、通則法などが変わってきているはずで、そういった特殊法人の通則法のあり方も含めて、組織ガバナンスのあり方も同時に考えないと、多分これはでき上がらないと思っています。想像以上にベンダーさんの量も多いので、それから、想像以上に関係者も多くて、この辺りの整理をもう一個したいなと。

 それから、最後に3つ目が、省庁をまたいで、例えば、総務省さんでもそうですし、一部経産省もそうでしょうけれども、各省庁さんのところでいろいろな医療情報を取り扱うプロジェクトが多発するので、これらとの整合性はどこでとれているのだろうかというのはずっと疑念があります。

 この3点については、何らか方向性だけ。最後のはすごく難しいのは私もわかっているのですけれども、何らか方向性を指し示さないとよくないのではないかと思っています。

 以上です。

○西村座長 ありがとうございます。重要な御指摘と思います。

 資料を配っていただいております、飯塚構成員、お願いします。

○飯塚構成員 今、葛西先生がおっしゃった青い鳥症候群は、私も国にいたときに、電子政府の関係の仕事をして、もう10年以上前にやっていました。でも、一向に進んでいかない。決裁すら、まだ判こを押している。そういうことを考えていくと、本当に楽観的に33年にできるのかと。33年に200億のお金、誰が工面して誰に払うのか。そういうことをきちんと踏まえた上で、例えば、本当に33年に200億のお金が工面できるかどうか誰が保証するのか。これは先の話ですので、厚労省さんも努力するのでしょうけれども、しかし、お金のことは何とも確約もできないでしょう。

 そういう中で私が思いますのは、あと2回になっている。きょうのこの会議も非常に有意義だと思うのですね。2時にスタートしたあのときのレベルよりも1時間40分たって随分上がっていると思うのです。しかし、この上がってきたレベルも、あと、もう2回で終わりで、12月過ぎたらどうなるのか。改革を迫られるほうは、12月が終わったらめでたしめでたしになってしまうのか。しかし、そうであってはいけないと思うのですね。

22年の有識者会議でたくさんのいい提案、それが実現されなかった、その一番の理由は、私はあのいい提案というバトンを受け取る人が支払基金の執行部にいなかったのだと思います。ですから、今回、この議論をまた同じわだちを踏ませることのないようにするためには、ちゃんとバトンを受け取る人を少なくともあと残された2回の会議の中で工面しておく、その方法論だけでも確立しておくことが必要だろうと思います。

 資料1の3ページをごらんいただきますと、保険課がまとめた支払基金に必要なガバナンスの体制の一番最後のところです。CIOを置きましょうとか、専門家を置きましょうとか、あるいはPDCAを月に1回回しましょうとか、そういうことはWGで議論しました。そういうことを踏まえた上で、上記を踏まえて、支払基金の事務局は、全体の改革を推進する立場に今後なっていくべきだと。ここは非常に大きな提言だと思うのですね。22年の会議が雲散霧消してしまったのは、この全体の改革を推進する立場になり得ていなかったということがあると思います。では、支払基金の事務局、それを引っ張っていくのは公益代表の4人の役員ですが、そういった人たちをできるだけ私たちのDNAを受け継ぐ人たちであってほしいと思い、この提案の資料をつくりました。

12月、1月ぐらいに、ちょうど公益代表の役員4人のうち3人が任期満了になりますので、この機に、ぜひ私たちのDNAを引き継ぐ人で、具体的にはどうやってどこから探すのかということですが、一番必要なことは、まず、ちゃんと選ぶということで、そのためには選び得る材料を公募で引き出して提供してもらうということで、この1ページの下のほう、マル1からマル4まで、ある意味で当たり前の課題ですが、こういう課題をきちんと出して、きちんと応えさせる。支払基金の現状と問題点とか、この検討会における議論の概略とか、その中で特にあなたが必要だと思うものは何かとか、将来の審査機関のあり方のビジョンとか、そういうものがきちんと書けるような人を何らかの方法で選んで、このDNAを託したい。

 選ぶ方法としては、第二に書きましたけれども、閣議決定でもいっておりますが、公平・公正な選定委員会を設置するのだというようなことがありますので、こういう2つの手法を経て、バトンを渡す人をきちんと特定しておこうと。それが私たちの最後の仕事の1つだろうと思います。

 以上です。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 今の御提案について、何か御意見がございますか。

 それではもう一件、前回御質問が出ておりまして、開発プロセスに関して、審査・支払効率化WGのほうで御議論をいただいて、そこの進捗状況とか、この辺りを神成構成員に資料を配っていただいておりますので、そのプロセスについてちょっと御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。御質問があった案件でございます。

○神成構成員 ありがとうございます。

 前回、葛西構成員からのご質問がありましたのでご説明申し上げます。内容としては、前回のWGの報告内容を精査したものでございます。

 参考資料の「支払基金のシステム開発プロセス等について」をご覧ください。1ページ目は、第6回の資料1別紙から抜粋したものでございまして。支払基金において今まで調査・検討された内容についてまとめております。それをもう少し細かくかみ砕いた資料が2ページ目でございます。

 2ページ目の赤字をご覧ください。こちらは、本委員会の場において、確か6月に開催された際に支払基金が提出された今後のアクションプランより前に作成されたものでございます。具体的には、昨年度、基金内で検討されてきたものです。こちらをご覧いただきますとわかるように、業務フローに関するBPRは実施せずに、現行の業務フローを崩さない範囲での検討が主体でございました。ただし、この検討に際しては、基金内でプロジェクトチームをつくられ、様々な角度から検証を重ね、この左下にございます6項目を要件として取りまとめられ、それをもとに設計を実施されておりました。

WGの中で実際に実施されている設計内容を精査させていただいたところ、これら6項目の全てを実施するのでは無く、主に金額の問題から2項目のみを対象とした内容に絞られておりました。そこで絞られた内容を改めて精査しまして、前回の委員会の場で報告させていただきましたように、この検討設計内容については全面的に見直すということを提言させていただきました。その上で、BPRに基づいて、ゼロベースで検討をするということを提言させていただいた。

 さらに、専任のCIO、タスクフォースの設置に加え、継続的な議論を出来る場として、厚労省、医師会、国保に加えて、関連政府機関等が入った会議体を設置し、そこで進捗を見守ると言った内容についても提言させていただきました。以上、お答えになっていない点もあるかと思いますが、基金における、現行までのシステム構築プロセスを主体にまとめさせていただきました。

 以上です。

○西村座長 どうもありがとうございます。

 今のお三方、葛西構成員、飯塚構成員、神成構成員の報告が、この会議の最終的な報告が青い鳥にならないようにというための御示唆でございます。そういうことを踏まえて、次回、何とかこれを全体として、実現可能性ありかつまとまっていく方向に議論を集約させていきたいと思いますので、皆さんの協力をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、きょうの会議は終了ということで、事務局に回しますが、事務局から連絡がありますか。

○保険課長 次回の開催日は、122117時からを予定しておりますので、開催場所やその他の詳細については、追って、御連絡申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○西村座長 ありがとうございました。

 これで終了いたします。

 


(了)

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