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2015年11月18日 歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ(第3回)

医政局歯科保健課

○日時

平成27年11月18日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○議題

1.需給推計について
2.医科歯科連携に関する取組について
3.論点整理について
4.その他

○議事

○和田歯科保健課課長補佐

 委員の先生方、全員おそろいのようですので、若干早い時間ではありますが、ただいまより「歯科医師の資質向上等に関する検討会歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ(3)」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず、構成員の出欠状況ですが、西原構成員は所用により欠席との連絡を頂戴しています。なお、構成員の異動がありましたので御報告いたします。日本歯科医師会会長の山科構成員です。同じく日本歯科医師会常務理事の小枝構成員です。また、今回のワーキンググループでは、参考人として歯科医師の資質向上等に関する検討会並びに歯科医療の専門性に関するワーキンググループの構成員である伊東隆利先生、また、国立社会保障・人口問題研究所研究員の安藤道人様に参考人として御参画をいただいております。また、本検討会ではオブザーバーとして、文部科学省医学教育課の寺門課長に御出席いただいております。

 今回のワーキンググループにつきましては公開となっておりますが、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をお願いいたします。本日、御用意している資料ですが、お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料は13まで、また参考資料は14までを配布しております。また、別途これまでの検討会の会議資料については机上配布をしております。乱丁、落丁などありましたらお知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきまして、森田座長、よろしくお願いいたします。

 

○森田座長

 皆さん、お早うございます。次第に議論も煮詰まってきたようですので、本日も幾つかの議題がありますが、効率的な審議に御協力をお願いいたします。

 それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。事務局から紹介のありました資料が用意されておりますので、事務局より、その資料の説明をお願いします。まず、各構成員の発言要旨を踏まえた論点整理と関連資料について、資料1及び参考資料2に基づき、御説明をお願いいたします。

 

○和田歯科保健課課長補佐

 それでは、お手元に配布しております資料1について御説明させていただきます。こちらの資料ですが、参考資料1でお示ししている、これまでのワーキンググループにおける各構成員の発言を基に、論点整理をしてまとめたものです。簡単に御説明させていただきます。まず、(1)歯科医療を取り巻く状況を踏まえた対応についてです。こちらは、1)歯科医療の需要から3)歯科医師のキャリアパスについて、まとめております。

 まず、資料11ページ、1)歯科医療の需要について。ここでは人口動態との関係、各分野の需要、多様化する患者ニーズについてまとめております。1)-1人口動態との関係については、少子高齢化の進展や、将来的に減少する高齢者人口も勘案した需要と供給の関連性を見ながら、歯科医師の養成を考える必要があることなどをまとめております。なお、人口動態については、次の項目、2)歯科医師の供給についても触れております。日本の人口が減少するという前提で、少子化の影響により大学全入時代となっていることなどを考慮して、多くの大学が教育を含めて供給体制について検討を行わなければいけない時代になっていることなどをまとめております。

 また、下のほうになりますが、2)-2歯科医療の提供体制や診療形態等についてです。こちらは2ページにかけてですが、一番上の、小規模診療所が主体であることの歯科個有の課題。あるいは上から2つ目の、受診患者の高齢化による病院における歯科の具体的な関わりについてまとめております。この点は更に具体的な取組として、後ほど、伊東隆利参考人、栗原構成員より御説明を頂くこととしております。

 続いて、中ほどの2)-3歯科医師の養成・確保については、一番上の人口動態を踏まえた適切な入学定員の設定や、上から2つ目の、入学者の選別基準についてまとめております。その下の2)-4需給推計については、後ほど、安藤構成員より御説明を頂くこととしております。

 また、3)歯科医師のキャリアパスについてです。3ページの一番上に記載しておりますが、学生時代に臨床研修修了後の歯科医師像や、その後の歯科医師像について、現状と異なるようなキャリアパスが描けるような対応が必要とまとめております。この点は歯科医療の提供という部分と大きく関わってくる内容であると考えております。

 また、(2)です。こちらは先月の本検討会で提案がありました、student doctorの制度の導入、あるいは途中でドロップアウトする学生は早い時期に違う方向を考えさせることなども必要という意見もありました。

(3)ですが、歯科大学卒業時の選択肢を増やすことが重要であるとの御意見がありました。

 最後ですが、(4)として、法科大学院制度では、優秀な教育機関とそうでない教育機関を分けた対応が行われており、歯科大学についても一律で議論されるべきではないという御意見がありました。

 続いて、参考資料2を御覧ください。大部分が既出資料ですので、その点については簡単に御説明させていただきたいと思います。次のページ、スライドの右下番号4番です。こちらの資料は「日本の人口の推移」を示しており、少子高齢化が進展し、人口減少社会に突入していくことが示されているグラフです。

 続いて、スライドの56番目です。この資料は、東京都地域医療構想策定部会において配布された、高橋先生の資料を引用しております。上のスライド5の下のグラフを御覧ください。介護の需要は2030年に、医療の需要は2025年をピークに、以降、介護や医療の需要は減少していくことが示されております。

 その下がスライドの6です。医療の需要を75歳以上と74歳以下で分けたものをお示ししております。75歳以上については2030年をピークに、74歳以下については2020年から急激に減少することが書かれております。スライド56に示されているように、今後の歯科医療を含めた医療需要については、人口動態に大きく影響を受けることが御理解いただけたかと思います。

 続いて次のページ、スライド番号7です。こちらは何度か御覧いただいている資料ですが、「歯科治療の需要の将来予想」をイメージしたものです。右下の赤の破線で囲まれた、治療の難度、あるいはリスクの増加が予想される、いわゆる高齢者型の需要が相対的に増加していくことをイメージとしてお示ししております。歯科医療の需要に合わせた提供体制を構築していくことが、今後求められていくと考えております。

 スライド8以降は、供給に関するデータなどを幾つか御説明させていただきます。スライド8ですが、棒グラフに入学定員、折れ線グラフは上から18歳人口、18歳人口当たり歯学部入学定員数を示しております。18歳人口の減少に伴い、平成26年時点で約480人に1人が歯学部に入学することを示しております。

 続いて、スライドの9です。18歳人口のピークである平成4年を100としたときに、それぞれ歯学部の入学定員、あるいは18歳人口がどれぐらい減少しているかを示したものです。歯学部の入学定員については約90.418歳人口については約57.6となります。

 その下のスライドの10ですが、上の折れ線グラフは18歳人口を、下の折れ線グラフは18歳人口当たり歯学部の入学定員数を示しております。平成27年以降については、文部科学省などのデータにより推計しておりますが、18歳人口の落ち込みにより、結果的に18歳人口当たり歯学部入学定員数は現状よりも少なく、約400人に1人が入学することが予定されております。

 次のページ、スライド番号11です。こちらは初めてお出しする資料ですが、各ブロック別の「人口あたりの歯学部入学定員数」を示したものです。各ブロック別の人口を、各ブロック別の歯学部入学定員で割り算したものです。最もその値が少ない近幾ブロックを1とした場合に、最も多い北海道、関東甲信越、九州とでは約3倍の開きがあることを示しております。

 その下のスライドの12です。こちらも初めてお出しする資料ですが、「入学定員(募集人員)あたりの1日平均外来患者数」です。横軸が歯科大学・歯学部を表しており、歯学教育において臨床実習を充実するために患者さんの確保が大変重要であると考えております。ここでは1日平均外来患者数を、入学定員あるいは募集人員で割り算したということです。その場合に、最も値の高い一番左の1の大学を100とした場合の比較として示しております。最も多い1の大学と、最も低い29の大学で約10倍の開きがあります。なお、真ん中の15の大学を基準としても、最も少ない29の大学では約2倍程度の開きがあることがお分かりいただけるかと思います。

 続いてのスライドです。スライドの1315は、歯科医師に関することですが、スライド13については「歯科医師数の年次推移」を示しております。スライドの14は、各都道府県別の歯科医師数について、今後の人口減少を加味して推計したグラフとして示しております。

 続いて、スライド15です。こちらは年齢階級別の男女別歯科医師数を、それぞれ平成4年、14年、24年で追跡したグラフです。ブルーのグラフが男性を示しており、全体的に右に移っていることがお分かりいただけるかと思います。女性については赤で示しておりますが、各年齢層において若干増加していることがお分かりいただけるかと思います。

 その下がスライド16です。こちらは歯科診療所を含めた医療施設の数を示しております。

 続いてスライド1719ですが、こちらは常勤換算歯科医師数など、歯科診療所の規模を示したグラフを幾つか示しております。

 続いて、スライド20を御覧ください。こちらは「歯科関連診療科を標榜する病院数及び割合」を示しております。棒グラフが実数、点線でプロットしてある所が割合です。

 続いて、スライドの2124です。こちらは全国医学部長病院長会議に御協力を頂きました調査結果の概要です。スライドの21ですが、全国の医学部・医科大学附属病院、全80病院にアンケート調査を行った結果、左側の円グラフですが、歯科を標榜していない病院は2病院。右側の円グラフですが、医科歯科連携部門の設置状況ですが、周術期口腔管理センターなどの独立した連携部門を設置しているのは16病院、また、周術期管理チームなどの連携チームを設置しているのが9病院でした。各々の1覧表をそれぞれスライドの22、次のページのスライドの23に示しております。

 続いて、その下のスライド24です。それぞれ25病院の中で、連携部門を設置している25病院の多職種の構成状況を示しておりますが、最も多いのが歯科医師で22病院、次いで歯科衛生士が18病院となっております。

 続いて、スライドの2527です。こちらは地域医療連携推進法人制度に関する資料を掲載しております。先月の歯科医師の資質向上検討会において、担当課のほうから説明のあった資料を参考までに掲載しております。

 次のページ、スライド27です。当該制度に関する趣旨が、一番上段の囲みに記載されております。医療機関相互の機能の分担、業務連携の推進をし、地域医療構想を達成するための1つの選択肢として、この地域医療連携推進法人の認定制度を創設し、これにより競争よりも協調を進め、地域において質が高く効率的な医療提供体制を確保していくというものです。具体的な内容については、真ん中の囲みの2つ目の○に記載されておりますが、診療科の再編、共同研修、医薬品などの共同購入などが考えられております。

 その下のスライド28です。歯科保健医療を取り巻く現状を踏まえた、歯科医療サービスの提供体制の変化をイメージして示したものです。一番右の2025年のイメージになりますが、地域包括ケアシステムの構築が求められる中で、歯科医療の提供に関しても、他職種あるいは他の機関と連携した提供体制が求められてくると考えております。

 続いて、スライドの29以降は歯科医師の質に着目した資料を幾つか御説明させていただきます。スライドの30ですが、こちらは「主として従事している歯科医師の就業場所」を示しております。特に40代以降については、診療所の開設・管理になられる方が多いことを示しております。その次のスライドの31ですが、こうしたデータなども踏まえ「現状の歯科医師のキャリアパスについて」をイメージとして示したものです。

 スライドの32からは、国家試験に関するデータについて幾つか御説明をしたいと思います。スライドの32については、各年の国家試験の合格率などを示しております。

 続いて、スライドの33です。こちらは、歯科大学(歯学部)新卒者の平成27年の歯科医師国家試験の受験状況と合格率の割合を示したグラフです。横軸は歯科大学(歯学部)を示しております。棒グラフは受験者数と出願のみに分けております。ブルーの部分が受験者数、ピンクの部分が実際に出願しただけで受験はしていない方になります。折れ線グラフですが、緑の実線は合格率、紫の破線は新卒者がどれだけ受験したかという、受験者率というものを示しております。特に受験者率が低い、ピンクのウエイトが大きい大学については、相対的には合格率がやや低い傾向になっております。

 その下がスライドの34です。こちらは直近3年分の国家試験合格率と、入学当時の競争倍率を散布図に示したものです。例えば平成27年の試験を受験された方が、ストレートで進級した場合には、平成21年に入学していることになりますので、入学当時とは6年前の競争倍率を示しております。最低修業年限での国家試験合格率と、入学当時の競争倍率に相関関係が認められることを示しております。

 続いて、スライドの35です。先月より、4年に1度の「歯科医師国家試験制度改善検討部会」の議論が開始されました。歯科医師国家試験の実務的な内容については、こちらで議論を行いまして、私どもも年度末を目途に報告書を取りまとめる予定になっております。

 その下のスライドの36ですが、こちらは歯科医師臨床研修制度に関する説明資料です。

 続いて、スライドの37です。こちらは「歯科医師臨床研修支援事業」です。過去の予算事業として、歯科医師臨床研修を行う予定である既卒者の方に対して、これは臨床研修を行う歯科大学・歯学部附属病院において、ブルーで示されている、例えば一定期間の技術修練や進路変更を促すセミナーといった事業を行っておりました。現時点で本事業は行われていませんが、今後に検討を進める上で、こうした事業なども参考になるのではないかと考えております。

 最後にスライドの38ですが、これは第2回目の歯科医師の需給問題に関するワーキンググループで示したものです。「各ワーキンググループの議論を踏まえた検討の方向性」をイメージしたものです。やや抽象的な記載ぶりになっておりますので、今後の検討会やワーキングの議論を踏まえまして、具体的な内容なども追記していきたいと考えております。資料の説明については以上です。

 

○森田座長

 どうもありがとうございました。関連する質疑については、全体の御説明が終わった後で一括して意見交換の場で御発言いただきたいと思います。それでは続いて、需給推計について、安藤雄一構成員より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

 

○安藤()構成員

 それでは、私のほうから前回お約束という形になった「需給推計結果」を報告いたします。資料2を御覧ください。1ページ目に要旨が書いてありまして、2ページ以降は方法と結果、最後に参考文献が出ております。大雑把にどのように行ったかを申し上げます。この方法は過去に3度、厚生労働科学研究で行われた方法にほぼ準じております。歯科医師の供給が何人ぐらいなのかという予測を立て、そして全国で、ある特定の1日に患者さんが何人いるかという、患者調査というものがあるのですが、その動向を予測します。これが需要予測になります。そして、歯科医師が1日当たり何人ぐらいの患者さんを診るかを条件を立て、何人ぐらいの歯科医師が必要かということで、需要と供給のバランスを比較するという方法です。

 この方法が現在の需給を見る一番いい方法かどうかは、私自身も自信がありません。いろいろ意見が出て当然だと思います。ただ、過去に行った方法と準じておりますので、そういった点がこの方法の強みだと思います。大雑把にどういう結果かと申しますと、過去は供給のほうが需要よりも多い。つまり、歯科医師過剰だという結論を強く示唆するような内容の結果が得られておりますが、新しい推計ほど需要と供給の差が狭まっておりまして、今回、推計したところ、むしろ需要のほうが供給よりも上回ったという結果でした。以上が大雑把な報告でしたが、以下の方法について説明いたします。

2ページ目を御覧ください。「方法」の冒頭の部分は今おおむね申し上げた内容ですので、供給推計について、まず説明します。歯科医師の数は、三師調査として「医師・歯科医師・薬剤師調査」という、2年に1度行っている届出という形で把握しておりますが、届け出ない方もいらっしゃいますので、実際に出ている数字以上の数がいると見込まれておりますので、まず最初に、推計生存歯科医師数ということで、どのぐらいの歯科医師が実際にいるのかという見積もりを立てます。そして、新規に参入する歯科医師数は、今回は国家試験の合格者数という形の条件で、約2,000人という形にしました。そして、亡くなる方もいらっしゃいますので、生命表の最新データを用いて、推計生存歯科医師数に新規参入の歯科医師数を加えて、亡くなる歯科医師数を減じるという方法で、推計歯科医師数を求めました。その結果、3ページ目の真ん中に出ておりますが、平成24年現在で11万人弱という結果が得られております。

 そして、次に歯科医師の供給推計を行う前提条件といたしまして、(2)1に出ております国試の合格者数です。これは過去2年間分を見ますと2,000人ということで、だんだん減少してきておりますので、今後も2,000人で続くだろうという予測を立てました。ただ、これが今後も続く保証はできませんので、感度分析によって2,500人になった場合、あるいは1,500人になった場合という条件を付けたら、どのように変化するかという予測も行っております。

2ですが、これはそれほど大きな問題ではないのですが、新規に参入する歯科医師の年齢分布は男女でこのような形で分布するだろうということです。歯科医師の場合、割と社会人を経てから入学される方もいらっしゃるので、その辺も考慮したいということです。

 推計ですが、供給予測は実績値として最も直近のものが2011年です。これはこの年に患者調査が行われた最新のデータになりますので、そこから30年を予測いたしました。2041年として、6年に1度という形で予測したのですが、これは歯科疾患実態調査というものが6年に1度行われていますので、それに準じる形で6年に1度ずつ予測しました。

 次に需要の予測ですが、需要に関しては、患者調査を基に推計いたしました。患者調査というのは、3年に1度、抽出した医療機関に対して、どういう患者さんが来られたか調査する方法です。歯科の場合は大雑把に言いますと、人口の100人に1人、120130万人が受診している傾向が続いておりまして、近年は増加傾向にあります。ちなみに、この数は入院患者さんの数と同じで、人口の約1%なのですが、そしてこの数が過去の予測ですと、ほぼ一定に推移するとされていたのですが、少なくとも1999年以降の傾向を見ますと増加しております。その増加の傾向の内容を吟味したところ、各年齢ごとにかなり違っていることが分かりました。

14歳以下、1544歳、4564歳、高齢者の65歳以上と4つの年齢に区分して、このうち、14歳以下と4564歳以上ではほぼ一定という形で推移しておりましたので、このまま一定に行くという条件付けをいたしました。それから、4564歳以上は虫歯の減少に伴って、受療率も下がっているという傾向が出ておりましたので、それに応じて30年後に30%虫歯が減るだろうという予測をいたしました。

 すみません、今話していることは、ここには細かく出てはおりません。文章化はしているのですが、申し訳ありません。

 それから、高齢者に関しては歯の数が増えていて、それに応じて受療率も増えているという傾向がかなり著明ですので、これを基に予測いたしました。それで、その予測をした患者さんの数を歯科医師が1日に何人ぐらい診ているかの数で割ると、歯科医師が何人ぐらい必要かということで、これが需要予測ということになります。ここの数字でどれを使うかが問題になるのですが、ちょうど私が平成22年の厚生労働科学研究で、2005年の患者調査の個票のデータを分析しまして、そのときに得た平均値、幾何平均値の14.1人という数字がありましたので、これを使いました。

 それから、要介護高齢者等に対する歯科医師は、これは直接診療所に来る患者さんとは関係ありませんが、現状がこのまま推移する形で、病院や介護老人施設等も現状値が推移するという形で予測しております。

 それで、結果を申し上げます。6ページの図1を御覧ください。まず供給推計ですが、これは前回に予測した結果よりも減っております。減っている原因は、国家試験の合格者数が減ったことが影響しているという数字が得られております。

 それから、7ページの図2ですが、これは国試の合格者数を変えた場合の感度分析になりますが、これは合格者数を少なくすれば供給数も少なくなりますし、その逆も生じるので、約30年後の2041年では、1,500人、2,500人という設定によって、±1万人の数が変わってくるという見通しが得られました。

 次に「補足」を御覧ください。積上げ棒グラフがありますが、これは左のグラフと単位が違っているので注意してください。これは患者調査全体で行う推計患者数です。1日に全国でこれだけの患者さんが歯科医療機関に来るということです。先ほど申し上げたように120万人前後で推移しておりますが、その年齢階級別割合が出ております。2011年までが実績値で、2017年以降が予測値になります。ここで注意していただきたいのは、予測値は減ってはおりますが、人口の減少よりは減少傾向が緩いという点です。

 それから、高齢者の患者さんの割合が非常に増えます。これは人口の高齢化以上で、なぜかというと、現代の高齢者の方は歯の数が少ない方が多い傾向ですが、それが今、残存歯の数が増える傾向にあります。また、高齢者自体の数も増えている影響が、ここに強く出てきております。

 もう1つ注意していただきたいのは、歯科診療所に来られる患者さんですので、訪問診療は考慮しておりません。ですので、歯科患者は非常な勢いで高齢化の方向に、今、正に動いているということです。今、正に動いているというのは、この傾向が2011年~2017年にかなり動いているのが読めるかと思うのですが、どうも将来よりも今が動いている最中のように結果からは考えられました。

 この推計患者数を1日当たり歯科医師1人で14.1人という患者数で割った数値ですが、それが8ページに出ております。図3は冒頭の要旨でお見せした結果ですが、供給推計に比べると、需要推計のほうが上回っているという傾向です。2017年の時点から上がっているのですが、これは恐らく、前回予測した際、2011年が当時は予測値だったのですが、実績値が10万人高かったのですね。ですので、その影響が出たのではないかと思っております。

 下の図4は、赤と青は上のグラフと同じですが、点線は前回に予測したものです。前回は、供給のほうが需要よりも若干上回っているという結果だったのですが、それが新しいデータで分析したところ、このように変わったということです。

 それから、右上の図4を御覧ください。14.1人という歯科医師1人当たり1日の患者数を10人、20人、25人に変えたらどうなるかということですが、これは当たり前の話ですけれども、1日当たり診る患者数が少なければ、より多くの歯科医師が必要ですし、多くの患者さんを診ているのであれば、もっと少なくてよいという結果が出ております。実態がどの程度かというところになってくるのですが、2005年の患者調査の個票データで見たところ、14.1人が妥当と考え、この数値を使った次第です。しかし、この辺りはもちろん問題の残るところかと思います。

 以上のように従来、供給過剰という予測が行われてきましたが、その差が年々詰まってきて、今回むしろ逆転したという結果が分析して得られたということです。以上です。

 

○森田座長

 ありがとうございました。続いて医科歯科連携における取組として、構成員等から資料が提出されておりますので、それについて御説明をお願いしたいと思います。まずは本検討会委員であり、歯科医療の専門性に関するワーキンググループ委員でもいらっしゃる伊東隆利参考人より御説明をお願いいたします。

 

○伊東()参考人

 ただいま御紹介いただきました熊本市の伊東歯科口腔病院という歯科に特化した病院の伊東です。本論に入る前に熊本市のことを少しお話します。人口が73万人ぐらいで地方の中核都市最後に指定を受けた政令都市です。熊本県の県民が180万人いますが、その県庁所在地としての機能を持っております。ただ歯科大学はありませんで、九州で見ると長崎、鹿児島、福岡に5つの歯科大学がありますが、熊本には歯科大学がないという背景があります。そういう中で伊東歯科口腔病院の概要を報告させていただきます。

 まず、理念としては歯科医療を通して健康生活に奉仕するという一般的なことを書いております。行動目標として口腔科診療と病院医療の実践を挙げており、ここが少し一般的な歯科医療とは違うかもしれません。

 歴史を振り返ると、1939年に伊東歯科口腔科醫院として設立されております。これは私の父になる伊東武嗣が個人開業の形で小規模で始めました。口腔科醫院といっているところが、創立者の志を表しているのではないかと思います。長い間1人でやっておりましたが、1975年、私がそこに加わりました。複数のドクターでやるということで、有床の歯科施設へ、口腔科診療をするためには入院施設が必要だということで有床の歯科施設となりました。それ以来、ドクターが増えて中規模な歯科施設となりました。

 そこで1980年には医療法人化して、1989年には日本口腔外科学会研修施設指定を受けました。この目的はスタッフのレベルを維持するということ、それからまた若い先生たちのために研修のチャンスを与えるということでした。その後、歯科麻酔、歯周病学会、歯科矯正学会、補綴学会という7つの学会から指定を受けることになりました。1996年には厚生省の歯科医師臨床研修が試行段階で始まりましたが、その研修施設の指定を受けております。2006年にはこれが必修化になりました。2009年には開放型病院として認可を受けることができました。そして2010年には地域歯科診療支援病院という形で地域の先生、かかりつけの先生方、病院との連携を取りながら、歯科、口腔科を進めているところです。

高齢社会になるにしたがって、歯科の患者さんも1人の先生では対応困難であったり、あるいは救急を要するなど、あるいは専門性があるのではないかということで、かかりつけの先生方も自分で自己完結型でやる医療から、連携に頼る医療に変化しつつあります。そういうことで私どもの医院も歯科医師だけではなくて、麻酔科の医師、あるいは薬剤師、看護師、歯科衛生士、歯科技工士、放射線技士、栄養士、調理師あるいは社会福祉士、滅菌・消毒技士と、いろいろな多職種の人を抱えることになりました。

 そこで歯科病院とは何をする所かということをよく聞かれますが、繰り返しになりますが、かかりつけ歯科医で対応困難、それで救急を要する、専門性を必要とする患者を受け入れて二次医療を行うのだということで、当然、私たちのスタッフの中には口腔外科、そして矯正、小児歯科、麻酔科医師、補綴科、画像診断医そして口腔内科の指導者がいる形でやってきました。

 設備も現在は建築面積が約2,900平米、外来の診療室が24室、手術室が3つありまして、1つはクリーンルーム。全身麻酔は年間で350ほどかけていますが、そのための設備。それから病床を持ち、そのうち5床が開放型病床で地域の先生方に開放する形を取っております。そして今の進んだ画像診断装置を入れるために、いろいろな設備と放射線の技士、歯科放射線診断医がいます。それから歯科の技工室、消毒滅菌、栄養管理。こういった、我々が二次医療を受け持つ立場として設備と人材が必要となってきました。

 外来患者さんが現在1300人ぐらい、入院患者症例が年間1,000症例。これは簡単な症例も入れて、1日入院というものも含めて1,000症例。入院患者の延べ人数が4,500人で、平均の在院日数は大体4日から5日。手術が埋伏歯の抜歯、骨を扱う、骨を開けて抜歯をするといった症例以上のものを含めると約2,000件。そのうちの全身麻酔が350件。静脈内鎮静法、血管を確保して精神鎮静法をする、そういった手術が500件。それから病院の認可を受けるときに、あるいはそれ以前から救急医療、歯科大学がないということは病院歯科もなかなか育たないということで、いわゆる夜間、休祭日、そういったときの歯科医療の担保ができていないので、是非、伊東歯科で請け負ってほしいということで、県との約束で24時間、365日救急を受け入れるということをやっております。約年間2,000人ぐらい来院しております。それから当然、療養型、あるいは介護保健施設等での訪問診療の要望も高くなってまいりましたので、約年間に4,000回ぐらいの実動を行っております。

 そこで我々の1つの行動目標である口腔科診療について、ちょっと考えてみたいと思います。この絵は先ほども出ましたが、「歯科治療の需要の将来予想」ということで厚労省から出ているものですが、健常者型から高齢者型に変わっていくということで、これまでの単純な歯の形態の回復から、今後は口腔機能の回復へ。当然それは治療の難度、リスクが増加する。さらに患者の自立度が低下する。あるいは全身的な疾患等により外来診療に来られない。訪問診療がそこで発生する形になります。そういうことで我々も基礎疾患をよく理解した上で治療せねばならないということになりました。また加齢による口腔内の変化で、いろいろなものが現れてきます。そういったことで治療の難度・リスクが増加することから、医療安全をしっかり考えないと大変な事故につながることになります。それから診療の内容も単純な診療から、やはり口腔科とも言うべき複雑な診療に変わってくる。そして治療の難度が上がってきますので、中には専門医の医療が必要になってくる。そしていろいろな意味で歯科医療の介入頻度が高くなってきています。

 そこには書いてありませんが、当然治療時間は長くなりますし、難度も上がってくるということで、私のインプレッションで言えば、普通の抜歯をするというような場合に、こういった障害のある高齢者の抜歯ではやはり倍ぐらいは時間がかかるかな、手間暇かかるかなと思います。また神経を取るような治療であれば、3倍ぐらいは手間暇かかるかなという気がします。このようにこの厚労省の絵は歯科診療から口腔科診療に移行している絵とも読めるかと思います。

 それからもう1つの行動目標である病院医療というのが、次のスライドです。現在の歯科医療提供体制を左側に書いていますが、スカイツリー型といいますか、底辺は広い。しかしスカイツリー型で中身が薄い、細い。というのは中身としては29の歯科大学、そして70の医科大学、それから約200の病院歯科口腔外科。この辺りが今、かかりつけの先生たちで対応が困難、あるいは救急、あるいは専門性が高い仕事ということを引き受けているわけです。他の病院歯科の約6001人部長といいますか、普通のかかりつけの先生と余り変わらない仕事をしている。これからは歯科の医療資源としては病院歯科の充実、有床の歯科施設、あるいは私たちがやっているような歯科病院とか、いろいろなグループ診療であるとか、あるいは専門医の集団が集まってやるとかといったいろいろな形を取らないといけないだろうと思います。

 というのは、真ん中に書いていますが、医療安全とか安心を担保するためには、左側のスカイツリー型では無理かなと思います。そういう意味でこれからは少し構造改革といいますか、そういうことが行われて、スカイツリー型から、言うならばピラミッド型になるのではないかと思います。そのためにも病院歯科とか、歯科病院とか有床歯科とか、あるいはグループ診療とか、そういったいろいろな医療資源が開発されないといけないと思います。

 と同時に今度は1人院長制の限界というものも見えてきているのではないかと思いますので、複数制のドクターでやる。今度、法律的にできる地域連携推進法人とか、そういうものもありますので、法人化あるいは適正な規模、あるいはグループ診療などのようなものが開発されないといけないと思います。今、私たちがやっている歯科病院というのもその1つだと思いますが、機能的には多くのものを要求されるので、スタッフとしては分担しながらやっているという形です。

 このスカイツリー型の左側のものでいきますと、やはり今後地域間の医療格差が出てくるのではないかなと思います。地域医療の格差を測る尺度はいろいろ出ていますけれども、歯科医療でもそういうことが出てくるのではないかと思います。

 次のページ。そこで繰り返しになりますが、伊東歯科口腔病院でやっていることの幾つかの特徴を表してみたいと思います。まず「多数の専門スタッフがいるメリット」で、多くの分野をカバーできる。多様なニーズに応えられる。むしろこれは結果でありまして、かかりつけの先生から対応困難、あるいは救急や専門性を要する、というような患者さんを紹介されると、こういった形になってしまうわけです。ですから一般歯科診療に加えて、専門医療として口腔外科、矯正歯科、小児歯科、歯周病等が必要です。さらに救急診療、障害者の歯科診療、有病者の歯科診療、訪問歯科診療、そして高度先進医療など、各分野のことをせねばなりません。そのための指導医とか、専門医がやっと今育って常勤しているということです。

 このことは次に出てくる研修医制度にとっても非常に有利な条件でありまして、屋根瓦方式ができること、あるいはスタッフにとっても学会の参加、あるいは自ら専門医になっていく、更新ができるということになっていきます。そして皆でやっている余力が出てきたところで、社会活動ができる。歯科医師会活動あるいは歯科健診、啓発活動等に協力できます。1人院長制だとなかなかこういった活動に力を注げない事情が中にはあります。

 それからもう1つは、これからインフルエンザが流行りますが、そういった疾病のときに複数のドクターでやっていると対策が立てられる。かつてはドクターがガンバリズムでやっていた時代もありましたけれども、今はインフルエンザ、それから風疹とか、あるいは流行性結膜炎とかいろいろな流行病の診断がつくと、自動的に、ドクターは休まなくてはいけないことになりますので、1人院長制ではかなり厳しいものがあるかなと思います。

 それから伊東歯科が今やっていることで、研修体制について報告します。始めて20年になりますが、1年目は初期研修ということで厚生労働省の制度で動いております。内容は一般歯科診療。2年目、3年目は我々の独自のプログラムですけれども、中後期ということで一般歯科・口腔外科診療をやる。4年目ぐらいから専門医の研修で、すぐに必要なのは全身管理ですので、歯科麻酔学会の認定医を受ける。あるいは口腔外科、歯周病学会ということで78年目になると大体基幹学会の2つか3つの認定医クラスを取得して、一般歯科臨床のボトムアップを図ります。

 これはこの形が患者さん、国民の目から見たときに望ましい歯科医師の姿ではないかなと思われます。余りに最初から専門医療を志したドクターは、義歯はできるけれども抜歯ができない、抜歯はできるけれども義歯ができないというような、患者さんにとってはちょっと迷惑な歯医者さんになってしまう。そういう意味ではこの4番目に書いてあることを目標にやっております。現在、我々のところには各分野の指導医、専門医が常勤しております。

 ただ問題はその678にあるように共通項といいますか、医療職者にとって共通して研修しなくてはいけないBLSICD、それからリーダー研修です。こういったことはもう職種を越えてやる。BLSは救命、救急処置。ICDInfection Control Doctorです。これを養成していく。そしてリーダー研修で組織運営とか人格形成、こういったものを図っていくということです。

 それから3番目に「医療安全体制等の整備」ということで、今、伊東歯科で一番の問題はこの安全体制をしっかりすることですが、医療安全委員会を毎月やっております。根本原因を追究して、そして研修事業にそれを生かすということで、この医療安全委員会の下に院内感染対策委員会、それから薬剤の委員会、それから医療器具の委員会があって、全員参加で年に56回はやっております。それからインシデント・アクシデントレポートの蓄積は医療安全体制をやる上で一番大切なことで、どのような小さなインシデントでもクレームでもアクシデントでもいいから出しなさいということで、年間200件ぐらいの割合で蓄積しております。皆にはこれは我々の宝だと言っております。決して罰するものではない。我々の宝を積んでいくのだという意識で取り組んでおります。その情報を必ず全職員に貼り紙等で共有する。

 そしてICTラウンドというのはInfection Contol Teamです。これが月に何回かは各診療室を回ってお互い注意をしているということです。それから創意と工夫、これは表彰です。それからKYTは危険・予知・トレーニング。日本語なのですが、KYT、このことは非常に大事だと思って、ことあるごとにやっております。

 こういったことが伊東歯科の院内の特色ですが、院外に対しては3番目の項目を掲げていますが、主にこの右側が連携先との関連です。私どもはかかりつけ医という連携医を募集して、熊本県下約800人の歯科医師がいますが、約400人が連携医になっております。右側が訪問診療とか、それから急性期病院等で呼吸ケア、栄養ケアチームへの参加です。こういった形で我々とかかりつけ医、そして連携病院との連携を図っております。

 そして最後になりますが、この医療の連携だけではなくて、左側にある「歯科医療人の育成」にも心を配っています。歯科医師、あるいは歯科衛生士、そして奨学金制度。それから中学生など若い人に対するアピールです。それから右側の「社会貢献」としておりますが、いろいろやっております。ドクターが急病のときの代診の派遣制度。それから特に女性にとって働きやすい職場づくりを主にやっております。

 最後に「まとめ」になりますが、こういった歯科医療資源を開発して、歯科医療提供体制を構築して、そうすれば今、話題になっている需給問題、女性歯科医師問題、専門性問題、歯科医師の資質向上などに役立つのではないか。一番の要である医療経済的にも非常に節約効果が期待できるということです。

 最後に我々の歯科病院は現行の医療法で設立ができました。これからは地域医療連携推進法人などがありますので、こういった地域医療提供体制が構成しやすくなるのではないかなと思います。やはり熊本県という歯科大学がない地域で誰かが困った患者を診ないといけないので、そういう思いでこういう病院をつくってみました。ただ、歯科大学がない県がほかに30近くありますので、そういう県でも参考になるかなと思います。以上です。どうも失礼しました。

 

○森田座長

 ありがとうございました。それでは続いて広島大学病院の栗原構成員よりお願いいたします。申し訳ございませんが、大体10分ぐらいでよろしくお願いいたします。

 

○栗原構成員

 資料3-2の下の表ですが、次の円グラフにその内容をまとめています。「歯科医師と医師の業務形態の違い」ということで、今、伊東先生から御説明がありましたけれども、歯科医師では開設者・法人代表者が6割を占めている一方で、医師の場合は25%。まとめますと、歯科では開設・法人代表が多くて、医科のほうは診療所レベルでもネットワーク化が進んでいるという状況です。別の言い方をすると歯科医師は経営の負担が大きいと、言えるかと思います。

 先ほどから出ている「小規模医療機関」という、歯科診療所はその代表ですけれども、その問題点として6つ挙げさせていただきました。伊東先生からもありましたが、34番目は、例えば地域医療の格差につながる危険がありますし、医療経済については、5番目の所で御説明があったかと思います。その解決策として、歯科医療機関の大規模化という方策が考えられ3つの形態が考えられます。歯科医療診療所のネットワーク化・グループ化、病院歯科の充実、そして今、伊東先生からありました歯科総合病院です。これは需給問題だけではなく、資質向上というこのワーキングの上の検討会の目標から考えると非常に大きな課題かと考えております。

 次の5番、病院歯科の現状についていろいろとディスカッションされておりますようで、その資料について、また最後に少しまとめさせていただきますが、1人体制でできること、3人体制でできること、それぞれ悩みがあるようです。

3の図は伊東先生の病院で、平成24年度日本歯科医学会総会のシンポジウムの一つで、私が「将来の歯科医医療像」というテーマで講演させていただいたときに、1つの理想としてプレゼンさせていただいた、ちょっと古い資料ですが、こうした形で発表させていただいています。

 続いて7は「広島大学病院」です。医科34診療科、歯科13診療科を挙げている特定機能病院です。歯科の診療科はその中央に、右側は歯科の中央診療施設です。チェアーユニットは93台です。広島大学病院は医科歯科統合されておりますが歯科の入院のベースは40名となっています。

 広島大学病院は理念を3つ掲げていますが、それとは別に歯科としての運営方針、3つの「連携」をうたっています。「歯科の各診療科の連携」「医科歯科の連携」「地域医療機関との連携」の3つを中心に、私どもは進めますと宣言しています。

 具体的には歯科も病院の管理運営に関わり、医療事故防止、感染予防対策、いずれにも歯科医師が参画しており、先ほどの伊東先生から御案内ありましたICDについても、現在、歯科医師でICD4名がこれに参画しております。エイズ医療対策室、集中治療病棟部、あるいは栄養サポートチーム、こうしたものを管理部門としては参画させていただいています。

 職員研修に関しては、歯科からもいろいろと発信させていただき、全員参加義務の研修に、特に院内感染防止対策として、口腔ケアによる誤嚥性肺炎の防止といったことを中心に発信させていただいているところです。

 続いて1112です。広島大学病院はHIV感染者の治療に関して、中・四国ブロックのブロック拠点病院です。それにおいても医科・歯科連携させていただいています。1は通常のルートで、2番目はどちらかというと歯科が押しかけて行って、口腔内を診て、積極的に患者を引き受けるという体制です。

 現実にどのような治療が行われているかというのが12番目です。やはり今ART療法が導入されて以降、HIVウイルスがコントロールできるようになりましたので、歯周治療、口腔衛生管理、こういった一般的なところ、口腔の管理といったところが割合としては増えているところです。

 先ほど厚労省からの資料にもありましたが、「連携口腔ケアサポートチーム」というのを私どもは20121月に設置させていただきました。14にその患者数の経緯をグラフで示していますが、ほぼ真ん中辺り、その時点で開設して、それ以降の患者数の伸びというのがそういう状況で、2.5倍程度になっています。以下ではほぼ全ての診療科から現在紹介をいただいているところでありまして、この「口腔ケアサポートチーム」ではなく、「連携口腔ケアサポートチーム」という名前をあえて付けました。まあ、それが実っているかなと思っているところです。

 私どもの口腔ケアのレベルを向上させるためにいろいろ方策を練っていますが、患者を御紹介いただいている診療科の医師に講演を頂きまして、耳鼻咽喉科、血液内科、消化器外科、このように順番にやっていますが、これはずっと続けて継続的に歯科医師・歯科衛生士等に向けてやっているところです。毎回100名程度の参加ですが、院外にも案内をしており、1020名程度の院外からの参加もあります。

 逆に私どもから医師の先生方、あるいは看護師向けの研修会もさせていただき、「部門毎研修会」ということで、医局あるいは病棟も回らせていただいて、歯科医療に対する理解を深めていただいているところです。

 次に17は、口腔ケアの実際の知識だけではなく技術的な向上を図るために、職員研修会を定期的に開催していますが、上は院内だけを対象にした2012年です。下は院内外を対象にしており、このときは222名の参加者がありまして、歯科医師会、あるいは私どもが作っています広島歯科医療安全支援機構のメンバーが多く参加したという状況です。

 下の18は、「摂食・咀嚼サポートチーム」です。摂食・嚥下ではなく摂食・咀嚼、その「嚼む」ということに中心をおいて、チームを作ってNSTとも連携をしているという状況です。

 次が手術支援です。病院が統合して最初に私にクレームが付いたのが「歯科技工部門は赤字だから何とかしろ」ということでした。この不採算部門をサポート部門に大きく方向転換しまして、手術支援模型、この3Dプリンターを使って頭蓋骨、あるいは大腿骨、あるいは現在では軟組織、いろいろな医療上のトラブルがある場合でも、その標的組織をカラーで作ることができて、こういったことをさせていただいています。今、年間120個程度でまだまだ少ないのですが、これを強力に推進しているところです。また、下は麻酔です。経口挿管時に前歯を守るための装置で、これも年間約120件程度やらせていただいています。

 そしてスライド20の、広大病院の大きな特徴である「口腔検査センター」というのを置かせていただいています。これはほかの大学病院ではまず置かれていない組織ですが、たくさんの機能をもっており、ここでピックアップさせていただいたのが医科との連携です。シェーグレン症候群等の口腔検査。あるいは金属アレルギーの患者、これは皮膚科との連携、こういったことを進めているところです。口腔内細菌数、これは連携口腔ケアサポートチームでサンプルが出てまいりますが、月に大体600件程度。口腔内の細菌密度を計算しつつ、その現状を医師・看護師等と、電子カルテ上で情報共有をしているサポートもさせていただいています。

 スライド21です。口腔がんは私どもの大学病院の診療の中で大きなところを占めますが、口腔がんは集学的な治療が必要となっているところですので、当たり前のことですが、そこに挙げているような科と深い連携の下にやらせていただいています。

 その下、私は歯周病専門医ですけれども、「歯周病治療における医科との連携」をまとめております。歯周病の中でも歯周炎はそこに挙げています様々な疾患と関連することが分かってきていますので、今、現在そこに挙げているような、糖尿病中心ですが、NASHという肝炎だったり、心臓血管障害、あるいは関節リウマチ、あるいは腸内細菌叢、こういった点で私どもが連携させていただいています。メタボリックシンドロームということでのベースに右側の赤い点線枠、それに加えて私ども「加齢・高齢者」というキーワードで、もう1つ大きな枠組みで連携を進めようとしているところです。

 続いて「矯正歯科・先天性疾患」です。これは口蓋裂を中心としたもの、あるいは顎変形症、これは伊東先生の所でも多く症例はやっておられるかと思いますけれど、こういったもの。あるいは睡眠時無呼吸症候群といったものにも歯科の力を発揮して、連携させていただいているところです。

 その下、もう一度口腔ケアに戻りますが、私ども連携口腔ケアサポートチームと称しているところですが、地域に患者さんを術後、逆紹介をしています。大体4割程度を外に御紹介しているところですけれども、今後更にこれを充実するということです。各地域に医科歯科連携の拠点を作る必要性があるということを考え、今、調査しつつ拠点づくりに励んでいるところです。

25は、伊東先生からも医療安全について随分と御発言がありましたが、私ども広島大学病院は地域の歯科医院をつないで、「広島歯科医療安全支援機構」というのを立ち上げています。今日御参加の山科先生は当時広島県の歯科医師会の会長で、大変な御支援を頂きこの支援機構を立ち上げまして、医療安全に関して大学病院と歯科医師会が手を組んで、少しでも高いレベルの医療安全を確保するために日夜やっているところです。

 最後に26は、最初に病院歯科1人体制、2人体制がどうなのかといろいろ悩んでおられるというお話をさせていただきましたが、やはり歯科が複数科あれば中での連携はもちろん必要であろうと思います。病院歯科にあっては、やはり医科歯科連携が、これは非常に重要で、これまでのように口腔外科で水揚げを、口腔外科で入院させてもうけてくれというのは、少し状況が変わってきているのかなと考えています。そしてもう1つ、地域医療としての連携、二次医療、あるいは三次医療を提供するということでの連携が非常に重要かと考えています。

 最後に*を付けた所はJCHO、東京鎌田医療センターの医院長の内野先生のレポートから引用させていただいたのですが、「病院歯科は病院収入を上げるためのツールではない、患者には高度で安全性の高い医療を提供するために必須である」というようなお考えを提供していただいているところです。以上、早口になりましたが説明を終わります。ありがとうございました。

 

○森田座長

 どうもありがとうございました。急がせてしまいまして申し訳ありません。これまでの説明を踏まえ、論点整理の順番に沿って大きく2つに分けて意見交換を行っていただきたいと思います。まず、資料1で、13ページの上段部分(1)歯科医療を取り巻く状況を踏まえた対応について、歯科医療の需要、供給、歯科医師の養成・確保、需給推計を始め、そういうことについて議論ををしていただきまして、残った時間で3(2)(4)について、教育の話になりますけれど、そちらについて意見交換を行っていただきたいと思います。なかなか盛りだくさんの内容ですので、全て今日議論が終わらないときには、また改めてと思っておりますけれども、できるだけ効率的に御議論を進めていただければ有り難いと思っております。

 それでは資料1について、13ページの上段にかけて、歯科医療の需要、供給、歯科医師の養成・確保、需給推計に関して、御意見を頂戴したいと思います。この資料にかかわらず、各構成員の御説明資料に関しても御質問がある場合にはどうぞ適宜御発言をお願いしたいと思います。それでは、どなたからでもどうぞお願いいたします。

 

○羽村構成員

 まず最初に、安藤先生からの「需給推計結果」の御説明があり、今まで非常に歯科医師が多いということで、もっと少なくしろという意見が歯科医師会サイドで多いですけれども、私どもが地域に出て行くと、まだまだ歯科医が足りないと言っている方々の声を我々としては聞いていたものですから、肌で感じたことがこうして形に出していただいたのは非常に有り難いなと思いました

 その歯科医師の需給の中で、どうしても高齢者だけが注目されがちですが、安藤先生のお話にありましたけれども、子供たちの歯科診療の場に通院する率というのは、かつてと全く変わっていない、むしろ増えているということがありました。私どもの大学では地域医療連携のための拠点を作りました。最初の目的は高齢者だったのですが、どうも小児の例が多くなって、私たちの最初の目算とは違ったところで、子供たちの食べることへの支援というのが非常に多い、しなければいけないことが多いということが出てきました。そういう点から言うと、確かに高齢者にフォーカスを当てるのは正しいとは思いますけれども、これからの日本を背負う子供たちに対して歯科医師がどれだけ支援できるかというところもまだまだ大きいく、生活支援の歯科というのが非常に重要なのではないかなと思いました。是非ともこのような点も論点に入れていただければ助かると思いました。

 

○森田座長

 お待たせしました。山科構成員どうぞ。

 

○山科構成員

 羽村先生と意見が相対するように思います。将来のこと、これからの医療需要の中身のこと、質的なことは一旦置いておいて、現時点においてどういうことが考えられるかということで、安藤先生には1つの指標としての形の考え方をお示しいただいたことは、非常に有り難いなと思います。1点目としてもともと歯科医師会は需給については、まだ供給過剰であるという意識があります。それは10万人対比の将来試算した数値でみて10万人対比でも78人、平成34年では84人、平成44年では78人、と少し下がるけれども人口動態の現象から下がるというような推計も行っていますが、ここしばらくはやはり増加する予測です。

 それからもう1点、少し気になることは、平成22年に安藤先生がお示しになられた、将来推計の中に、1日当たりの患者数が厚労科研の14.1人ということで、それを指標にして行って、そのグラフを作られておられるということです。よく考えていただきたいのは、これは平均値というのですか、パイをその当時の平成22年の限られたパイを割っていったときに、やはり多くの歯科医がいるから、結局、割っていくと人数が14.1人になったということです。ですから、そういう割合をそのまま使って統計処理をしているために、20人ではどうだという形もデータとして出しておられるということです。医療機関の構成、それから経営状態もそうですが、先ほど申しましたように歯科医師数が多いから小さく割っていくと14.1になっているけれども、指標から14.1人を基本にして、将来推計をして勘案しているということで、20人でいけば、将来推計はどうかということも1つ考えていただきたいということです。

 それから、先ほど伊東先生初め、栗原先生も、伊東先生はスカイツリー型からピラミッド型と。それから栗原先生は歯科の各診療科の連携、それから医科歯科連携、地域医療機関との連携。これは現在ようやく途に就いて、これらがどのぐらい進むかということも確かにやらなければならない大きな要件です。需給のカウントをしてサンプリングというんですか、要するにシミュレーションしていくときに、まだまだ未知数な部分が非常にあるので、将来こんなに大きな我々にはパイがありますよと言いながら、教育体制とかその基盤がまだまだ不十分な状況であります。例えば地域包括ケアでもどれぐらい参画できて、どれぐらい広がっていくかと。こういう未知数の中で過去の数字の14.1人を使って、将来は十分足りますというような推計ではなく、依然と過剰の問題は続いていて、その中でこれをどう対策を考えていったらいいかを、数字だけではなく総合的に考えていっていただけたらと思っております。

 

○川添構成員

 少し短めで申させていただきます。本日はこの資料11)-2及び1)-3は特によくまとまっていると私は思うのです。今までの全体会議及びワーキング2回のものを通じて、この視点というのが、まず、これを更に具体化するために煮詰めていくべきだと思います。

 更に具体的に申しますと、大学あるいはそういう歯科医師を養成する側としては、このワーキングも、検討会も初めからずっと一貫しているのは、歯科医療の資質向上に一本筋が通っていると思うのです。そのためには大学では、数は置いておいて、まず、質ということからすると、どういう歯科医師を育てればいいのかを大学の者はいつも頭を悩ませているのですが、本当にまだここまですれば十分であるというような基準はないような気がします。

 入口の点、入試の問題では国立も私立も、今後は大学センターテストのような一定の基準を設定すべきではないかと。そうすると協力者会議等でも文科省で今まで検討されてきたCBTとかOSCE、そして更にstudent doctorというような診療参加型、これらはもういい基準までいっているので、学生に十分納得させてやれると思うのですね。しかし、それらを大学で更にこれでよしとなったら、早くカリキュラムの改編をやらないと6年かかるのですから、前に南先生もおっしゃったように、早くそういった訪問診療とか在宅とか、そうしたものをやらないと遅れている。

 それと教育目標が十分定かではないということ。そして、これは後でまた出てくるのですが、1)-3の要約の中では、連携している専門医あるいは専門機関を探せば、自ずと患者さんのニーズに合致した歯科医が選べるのではないか。そしてニーズに合った歯科医療、治療を受けられるのではないかと感じました。

 

○森田座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○伊藤()構成員

 参考資料215ページに、「年齢階級別の歯科医師数の推移」とありますが、これは平成4年から24年まで、特に70歳以上の方に着目しますと、多分男性女性合わせて約6,000人ぐらい、平成4年の時点も平成24年の時点も6,000人から6,500人ぐらいお見えになるのではないかと。これは普通の考え方でいきますと、ある一定の年齢の方がリタイアをされると、毎年リタイアされると思うのですが。一方で、今の現状を見ますと、平成17年当時は国家試験の合格率が80%ぐらいで、いわゆる供給の場面は2,600人から2,700人ぐらいの方がお見えになったと思います。今のもう1つ問題は、次の問題に入ってしまうかもしれませんが、63.7%ぐらいですか、安藤先生からの推計がありました。供給が毎年2,000人ぐらいとなりますと、実際に歯科医師全体の数でいくとリタイアされる方と、70歳以上全部がリタイアされるわけではないとしても、例えば3分の1の方がリタイアされると約2,000人ぐらい。片方で2,000人の供給があれば、全体の歯科医師の数としてはひょっとしたらこれは年齢別構成ではなくて、このまま推移していかれるのではないだろうかと。

 またもう少し、例えば新しい歯科医療の構造ができてくると、それこそ私どもは一般の歯科の方というのが多いような気がする。歯科医師の医院の数がコンビニよりも多いとおっしゃっていたのですが、一方では例えば求められてくる質が違ってきたということも伊東先生のお話で分かってきましたし、全体としてチームでやらなければいけないのが進んだ場合には、具体的にどういう具合になってくるのだろうなと。

 ちょっと私は歯科医師ではありませんし専門家ではありませんが、普通に数だけの上でいけば、ある程度集中をして治療に当たらなければいけない、そうなれば当然集中の歯科医師の数も点在していたものがある一定の所で固まらなければいけない場面も出てくるかもしれません。

 果してこの状況の中で、この高齢化社会に対応するために全体の量として、量という大変失礼ですが、その数としてはいかがなものかなというのが、今日の安藤先生のお話と合わせていきますと、今までの私どもの考え方、今まで多いのではないかというお話が少し何か私の感じからすると果して本当にそうかなという、少し疑問がつきかけたのですが。もしその辺りのことを何かの資料ですとか、教えていただけることがあれば。

 また実際に、例えばそういう集中する動きが出てきているのか。栗原先生がおっしゃられたように、チームとしてというか、拠点として固まってきているのか。そうすれば点在の所が段々少なくなってくるのかも、この辺りがちょっと私どもでは推計もできませんし、分かりませんが、少なくともこの資料からはそんなことが読み取れるのかなという気がいたしました。

 

○森田座長

 ほかに御質問、いらっしゃいますか。

 

○栗原構成員

 全く違う切り口で。歯科医師過剰とか大きく言われ始めたのが、皆さんも御記憶かと思いますけれども、東洋経済というところに歯科医師ワーキングプアと、年収300万円という記事が出て、それ以降、予備校でも歯学部に行くものではないというような教育がなされて、一気に、いわゆる資質という意味での低下。それと一部私立の歯科大学では、入学者数について非常に状況が大きく転換したということになっているかと思います。

 やはり今、この視点として資質向上ということを考えたときに、ある程度のそういった命を預かる職業に携わる人はもちろん資質が、その能力があって、その能力を担保する上でのそれなりの収入というのは確保されていなければ、そういった人材は集まらないと思うのです。先ほど14.1人という数字を、山科先生の御指摘がありましたけれど、能力としては14.1人ではないと思うのです。もっともっと診ることが可能であって、今、背景として多いということから、歯科医療費の全体の伸びがありませんから、多くなっていく、収入が少なくなっていく、そして構造的に医院長と言われる人が非常に多くて、再配分するともう少し。同じ人数であっても再配分する。あるいはいわゆる医院長と言われる人の割合を少しシフトすることによって、歯科医師の収入の面を考えないといけないと思います。それから全体の資質向上につながる大きなファクターになっていると思うのです。

 今回出ている資料はそういったものは一切出ていないですが、何といっても保険診療は、これは重要なファクターではないかと感じています。そういった点での分析が必要ではないかと思いますが。

 

○森田座長

 重要な御指摘だと思います。特になければ安藤委員から御発言お願いいたします。

 

○安藤構成員

 今、伊藤先生、栗原先生、山科先生がおっしゃった点についてお答えしたいと思います。まず経済に関しては、今回需給という観点でやっておりますので、経済に関しては除きました。話が歯科医師不足という点に経済的な要因を混ぜてしまいますと、これは経営者側、事業を行う側からの論点になってしまって、国民に公平な歯科医療を提供するという観点でまず話をすることが先決だと思いますので、そういったことで今回私の行ったものでは一切そういうことは考えておりませんので、その辺は御承知おきください。

 それから、伊藤先生がおっしゃった点に関して、スライド15で、参考資料2に関して。このままいくと後10年ぐらいたちますと、歯科医師が大量に辞めるという現象が全国のあっちこっちで起きてまいります。私はこれは勝手に歯科医の2025年問題と名付けているのですが。そうなった場合どうなるかというところが、全体としてはさておき、地域によってはもう実際歯科医師が不足している所、不足になるだろうということが見えてくるような地域も決して珍しくないと思います。という点をどういう考えるか。

 実際に昨日調べたのですが、医療施設動態調査を見てみますと、歯科医院の開設というのが次第に下がってきて、逆に廃止・休止がじりじり上がってきて、ほぼ均衡に達しようかなというような状況にきております。これが10年ぐらいたつと廃止・休止が増えて、そこで継承なり再編というのがどう起きるかというところが、今後の供給体制を考える上で最も重要なポイントだと思います。そこの前に適切な手を打つのがもし可能であれば、かどうかという見極めも必要だと思いますので、やがてそういった時期が近づいているであろうということです。

 それから補足として、私が行った供給の予測に関して、東大の方が医師・歯科医師・薬剤師調査の個票のデータを、1972年から2012年までつなげてかなり緻密な分析をしています。私どもの分析が緻密ではないというわけではないのですが、私ども公表値を使った分析で、東大のほうは個票のデータを使った分析で、私どももやったことはあるのですが、大体同じような結果が得られています。

 これは大学院生が分析をされて、先日公衆衛生学会で発表されたのですが、どうしてこういう研究をやったのかと聞いたら、若い世代で過剰、過剰と言われてきて、社会にちょっと出ていろいろ見てみると、どうも様子が違うという。羽村先生がおっしゃったようなことが研究を行う1つの動機付けになったということで、調べてみたら、やがて供給のほうは一段落着くだろうというような、私ども大体同じような予測が得られておりました。

 山科先生がおっしゃった「14.1人」、これはあくまでも14.1人というものを仮に20人としてしまうと、今までの流れから大きく変わってしまいますし、実際にもし20人で見たら、この図では、9の図の4に出ている緑色の20人の所を左側のグラフに当てはめれば、当然これは供給のほうが多いというように出てしまいますので、この辺りをどう見るかというところはもちろん重要な問題だと思います。

 ちなみに、これに関して、前回厚生労働科学研究で、平成22年に日本歯科医師会にお願いをして調査をしたことがあります。何について調査をさせていただいたかというと、いろいろなことを行ったのですが、診療中の空き時間、患者さんが来られない時間がどのくらいあるのかということで、確か2008年の歯科医療白書でここは是非調べなければいけないということを書かれていたので、お願いして調べたところ、そういう空白の時間がある歯科医院が7割で、空白の時間があると答えた方の時間は平均が90分だったという結果が得られています。もちろんそれは昼時の時間が多いというようなことも分かっております。この辺り、経営の問題を考えるのであれば、その辺も参考になるデータかなと思って、ちょっと古いですけれども、思い出しましたので御提示いたします。

 

○森田座長

 ありがとうございました。ただいまの安藤委員の御説明について、また加えて。

 

○南構成員

 今の安藤先生のお答えも踏まえて、感じたことを申し上げたいと思います。以前にも申し上げたと思うのですが、やはり推計は数字なので、その数字をどう読むかということを考えないといけないと思います。もちろん数字自体にも意味はあるわけですけれども。以前にも申し上げたかもしれないのですが、医師需給についての直近の研究班の報告は、医師の需給推計は限界であると、数字だけで足りるとか足りないとか、多いとか少ないということはできないのだといいました。つまり伊東先生がおっしゃったことと近いのですが、医師がどのように働くのか、また、社会が医師に何を求めるのかによって、事情は全く違ってくるので、数字が多いとか少ないという結論は出せないという報告を出したわけです、いわゆる大島班ですが、その報告に近い感じを今回の歯科の推計で私は感じるわけです。

 もう1つ。伊東病院は民間で唯一の単科病院ということで大変興味を持っていたのですが、今日の御報告で改めて興味深く思いました。前にも申し上げました医科の方では「総合病院の精神科問題」が、大分長いこと問題になっていました。そのことと、歯科の問題は重なるという印象を持ちました。

 つまり、単科の歯科病院はたった1つしかない。単科の精神病院は全国にたくさんあるわけです。結局、伊東先生の御報告を伺っていますと、歯科医がグループ化してチームでいろいろな専門性を分担して働くということの意義が、大きいということがよく分かりました。しかし現実はそうなっていないわけです。

 そこで、何点か伺いたい点があります。5床をオープンシステムにしておられて、地域の先生に開放しておられるというのですが、オープンシステムというのは分かるのですが、具体的に責任などの問題はどのようにしておられるのかということ。

 それから、24時間365日救急を受け持っておられるとのこと、この意義はものすごく大きいと思います。精神科についても街のメンタルクリニックはたくさんあるわけですが、24時間365日は対応しないので、本当に大変なところは全部、病院に投げてしまっているという実態があります。そういう意味では危機管理も受け持っておられるということの意義はものすごく大きいと感じます。栗原先生のお話も含め、病院医療でないとここのところはできないことではないかと思うのですが、こういう単科の病院がなぜ全国で唯一なのか、なぜ増えなかったのかということについて、もし何か御見識のある方がいたら教えていただきたいと思います。

 それから、もう1つ。入院患者さんは、小児を除くと平均年齢は高齢者になるのかどうか、そうなるかと思うのですが、そこを伺いたくて。そうなると基礎疾患のケア等いろいろなことがありますので、やはり今、常勤は麻酔科の医師しかおられないようなのですが、これで事足りているのかどうかという点を伺いたいのです。身体管理の必要性ということです。

 

○森田座長

 それでは、最初に伊東委員からお答えいただけますか。

 

○伊東()参考人

 たくさん質問を頂きましたが、まず、開放型の5床を地域に開放するということは、依頼があったときに断らないように5床は必ず空けておきなさいという規定があります。確かに歯科の入院患者さんはそんなに多くはありませんので、私どもも今5床使っておりますが、ほぼ充足している状態です。そのことは地域の先生方の要望に応えているということだろうと思います。ただ、問題は地域の先生が頼むだけ頼んで頼みっ放しということがありますので、そこでは共同診療という共同指導をするように勧められています。これは今から展開していかなくてはいけない点だと思います。この共同診療によって、責任の分担がはっきりしてきます。

 それから、救急を24時間365日するのは大変です。救急車で搬送される場合もあります。ただ、交通事故でも非常に重度な場合は三次医療機関を通して、こちらに紹介されてくるということがありますので、そういう地域の連携システムを利用します。また、逆に私たちが例えば出血の患者で、これは何か歯科だけではないなと、全身的な問題が必ず潜んでいるという場合は三次医療に送りますが、見極めがなかなか大変です。ただ、歯科的救急というのは、そういう命に関わることは一般の救急医療に比べたら低いです。歯科的な問題に不具合があるとか、そういうことが主としてあります。

 それから、歯科の単科病院が全国で1つしかないということです。歯科大学がない県が30近くありますので、いろいろな方が見学に来られます。栗原教授も来られたことがあります。ただ、なかなか実現しないというのは、1つは歯科医師会との問題や資金の問題があります。一番の要は、誰かが地域の中にそういうものが必要だという思いを持ってしないと行政は動かないと思います。私たちも認可を取るために34年かかりましたが、厚生労働省にも随分足繁く通って、熊本に必要だということを力説して、やっとたどり着いたということです。

 

○南構成員

 ありがとうございました。そうするとやはり大学歯学部、歯科大学がない県のことや地域による格差を考えた推計をしないと、意義づけが難しいと感じます。

 

○森田座長

 ありがとうございました。今、南委員から御指摘がありましたが、確かに推計をしてこの数字がぴたっと出たらそのとおりというものではないと思いますので、いろいろな形の推計値が出てきて、それをどのように考えるかということが必要になってくるかと思います。

 ただ、全く根拠なしに先のことを考えるというわけにもいかないと思いますので、その辺についてはもう少し議論を詰めていく必要があると思います。

 

○安藤()構成員

 今おっしゃったことを簡単に補足いたします。確かに患者調査はデマンドですので、非常にいろいろな要因を受けるのですが、実際の病気との関連を見るのが難しいというところがあります。実は私も最初は患者調査で何か分かるのかという気持ちもありました。ところが、歯科疾患実態調査に人数が過去半世紀ほど蓄積されており、それとの関連を見たら以外と説明が付くのです。

 歯科の特徴としては治療をやった痕跡が口に残るという、医科にはない特徴がありますので、その点を勘案すると、患者調査に関する医科との比較で申し上げますと、ある程度の説得力があると思い、そのような論文も書いたこともありますので御参考までです。

 

○森田座長

 ありがとうございました。何かほかに御発言はありますか。需給の問題に関しては、ますます難しいという気もしますが、私が聞いて感じた感想を述べます。私自身は社会保障・人口問題研究所におりますが、基本的に我が国の人口は減少してきており、高齢化が進んできているということで、それがベースになると思います。その中から一定の割合で歯科の患者さんが出てきて需要が出てくるということで、そこでどういう係数が掛かってくるかということが1つのポイントになるかと思います。国全体としてそういう現象がありますから、ここは供給の総量を考えるときの1つのポイントだと思います。

 もう1つは、今も御指摘がありましたが、地域によってかなり事情が違います。全体として少子化、高齢化で人口減少が進みますが、地域によっては高齢者の絶対数においてもピークアウトして減り始めるところがあります。他方、都市部においては、これから団塊の世代の人たちが高齢化して急増してまいります。ただ、その人たちも30年後にはかなり減り始めるということで、そうした地域的な需要の違いというものをどのように考えるかということ。これは、地域と時間の問題です。

もう1つは、高齢者とこれまでの治療との需要の内容の違いをどのように勘案するか。今申し上げますと、国全体の人口動態、地域的なばらつき、さらにそれの時間軸による変化、その内容について少しきめ細かく見ていくと同時に、どのようにそれぞれが連動していくかということも考えていく必要があると思っております。

 それから、栗原委員が御指摘になりまして、これは難しいところですが、基本的に経済的要素をどのように考えるかということです。簡単に言ってしまうと診療報酬の単価が上がると人数が少なくても経営状態といいますか、経営が可能になるわけですし、そこのところは全く未知数と言っていいかどうか分かりませんが、どのように考慮するかというのは非常に難しいところだと思います。

 ただ、私も中医協に関わっておりましたが、これから医療費総額を、結果的にはともかくとして、どんどん増やしていく、単位辺りを増していくというのはかなり厳しい社会情勢であるということは言えるのではないかと思います。この点についてどういう仮定を置くか、どういう見通しを立てるかということもあります。そうした要素も考えていく必要があるのか、あるいは安藤先生の場合には外されましたけれども、そういう形で考えていくのかということを検討する必要があると思います。

 今日頂いた意見をベースに事務局と相談して、少し整理した上で推計や論点を提示いたします。この点について、よろしいでしょうか。多分、今度は供給サイドの話になると質の関連でいいますと、教育の話にも関わってまいりますので、そこで20分ほど残っておりますが、先ほどの資料1でいいますと、3ページの(2)歯科医師養成過程における質の確保の問題、あるいは他職種での活躍の場、そうした他の分野における需給の問題。どちらかといいますとこれは教育の話になると思いますが、そちらについても少し御議論いただきたいと思います。これについて御発言はございますか。

 

○高梨構成員

2つ申し上げたいことがあります。先ほどの需要の問題にも若干絡むのですが、本部会でかなり最初の時点で発言したのですが、単純に人数が多い、人口比で人数が多いので減らすというのは、絶対あなたたちはギルド化したいのだという批判がきます。それは我々が散々、苦しんでいて、それをどのように国民に説得的に説明するかということが求められています。

 質を担保した供給をするためには、人数を絞る必要があるのではないかという観点を入れないと、単純に人口比で多いから歯科医師供給を減らすという議論は、私の感覚では多分国民の理解は全く得られないと思います。最近はある程度御理解いただいていますが、人数が多いから減らしてほしいということを申し上げたときに、一番最初に、「あなたたちが今まで儲かってきたものを維持したいだけではないか」という、かなりストレートな意見がありました。ですので、繰り返しになりますが、単純に人口比で多いから過剰だから減らしてくれというだけの議論では、国民の御理解は得られないと思います。

 あともう1点は、前回、本部会でもお話しましたが、質を担保するという観点からすると、法科大学院は文科省の評価を受けて、その評価に従って行政上のサポートに差を設ける。それによって競争を促したり質の改善を促すことによって、質の向上を図っていくということが図られています。それとの対比ですと前回、本会で伺ったところによると、余り歯学部や歯科大の間ではそのような評価ないしサポートの違いがないというのは、若干、奇異に感じるところで、その点について供給の質を担保するという観点から、そういうことを御検討なさったほうがいいのではないかと思っています。以上です。

 

○森田座長

 ありがとうございました。それについて、いかがでしょうか。歯科大学関係の方。

 

○羽村構成員

 この中では3人しかこのことについてお話できませんので、最初に口火を切らせていただきます。それぞれの大学の卒業生の質の担保ということについては、恐らくどこの大学でも目に見えない所ではかなりやっているはずなのです。特に卒業生の組織が、これは自分たちの生活もかかりますので、どこの大学でも卒業生の組織を作って、大学と連携して継続的な教育をしているということが現実にあります。ただ、それがなかなか目に見えない所で動いているのが実状ではないかという気がいたします。あと2人いますので是非お願いいたします。

 

○川添構成員

 私がもう1つ申し上げたかったのは、この頃聞きますと、入るときの基準が高大連携という中にあって、東大を始めとして入試そのものがAO入試やほかの面接などで入試の適正化を強化しようとしているような形に見えます。医学系や歯学系は、特にもう決まった知識量をきちんと全部しらみ潰しに理解してもらわないと、選択はないですし、芸術家を育てるような教育では良き医療人はできないと思います。やはり、以前からの大学センターテストを、是非私どももまだ残していきたいと思っております。

 ですから、そういう中にあって、文科省から言われる最低修業年限、すなわち我々で言うと6年間の中でどのくらい十分、60%とか65%だとか言われているのですが、そのことと国家試験の合格率をどこまで取り入れるかということであれば、十分学力に対してできると思うのです。あとは診療参加型をアンダーグラジュエイトの6年の間にどの程度やるべきかということで、よく訪問診療や在宅に学生を連れて行こうとするのですが、全員そこで集めてやるには膨大な、ほかにも科目がたくさんありますので1年ではとてもできないという悩みもありますので、診療をどこまでゴールとして大学でやって、あとは臨床研修医制度、1年を2年にするかどうかという議論も含めて十分議論すれば、教育に関しては授業料の問題はありますが、私立でも国立でも同じようにできるのではないか。以上です。

 

○森田座長

 ありがとうございました。

 

○栗原構成員

 私どもは国立ですので、大分考え方が違ってます。私ども広島大学は英語、日本語教育を始めて5年目に入るのですが、リーダーを育てることにかなり特化して基礎医学教育も相当力を入れてやっています。教育の方向性がかなり違うので、ここではなかなか議論にならないと思います。

 

○森田座長

 ありがとうございました。

 

○山科構成員

 在学中の教育については実際には在学6年つまり最低年限での国家試験の合格率が59%という数値です。要はその中で臨床教育をいかに速やかに効果的にやったかということが問われます。特に入学定員募集当たりの11日平均外来患者数、大学病院等の歯学部の病院の中で1番の1位の所が100としたら、29校のうち10人しか患者数が割り当てられない現実というのは、余りにも病院機能、あるいは教育機関の機能、特に臨床教育機能として本当に大学間でかなりの差がある。

 適正かどうか分かりませんが最低40人辺りのライン、そのような目的をある程度数字的にもっていただきたい。再度申し上げますが臨床へ入る前のOSCECBTの判定基準の統一化、基準化をしっかりとして教育をするということをお願いしたい。数の論理で国家試験の合格率等を踏まえる前に、質的な担保を大学の教育の中でしっかりとしていかないと、世に出て行ったときに歯医者さんはこうだというような言われ方をする。

 ここはあえて大学の先生方に言いたいのですが、やはり、6年間の修業年限の中で教育体制というものが確立し、しっかりと教育をするということをやっていただきたい。これは如実にこのグラフの格差に表れているのではないかという感じを受けます。当然、御異論があるのは、私の一方的な考え方になっているかも分かりませんが、その辺りに御意見があったらお聞かせいただきたい。

 

○川添構成員

2点ほど申し上げたいです。今山科委員が言った中に、このグラフそのものが、一番左側のものを100にするということには少し異論があるので、これは多分恐らく国立大学であろうと思われますので、それを除いてでも、しかし言われることは十分わかります。その1つの改善に学生の学力や資質ばかり見るのではなくて、前回も出ましたが教員の資質です。これは今、我々大学に対してはFD研修セミナーということで、それぞれの大学から、医療系とは限らないのですけれども先生を招聘して教え方、話し方、学生への興味の持たせ方など、いろいろ教えてもらうのですが、それをできるだけ有給の教員全員に義務化しています。

 それとは別に、最近では学生に評価してもらう授業評価があります。学生がこの頃は高い授業料を取って、あの先生の授業は聞きたくありません、あの先生を代えてくださいという、総代が代表して学長の所に言い来る時代なのです。それが案外的を射ているので、私はまた別に閻魔帳を付け直して評価をしています。それを全部公開するわけにはいかないところが、少しずつ変えていく。少し難し過ぎる試験問題を出して95%不合格にする教員もいますので、教員のトレーニングもやっておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 

○森田座長

 ありがとうございました。ほかに何かございますか。

 

○羽村構成員

 学生の臨床教育の中で何が大切かというと、どれだけ診療参加型臨床実習をできるかということ考えています。もちろん基準があり臨床実習のコアカリの第1水準、第2水準は行うということになっておりますので、そこまでどれだけできるかということだと思います。残念ながら今回のデータでは、あくまでも患者数だけなので、この中でどれだけの患者さんに学生たちが診療参加型臨床実習を行っているかというのは、提示されている数値では全く計り知れませんので、これだけで教育の質を言うのは難しいと思います。

 それから、安藤先生のデータで1日、歯科医師1人当り患者さんが14.1人という数値ですが、これは学生の診療参加型臨床実習ですと14.1人など診られないです。それこそ指導歯科医が1時間で終わることを学生たちは半日、1日かけて治療していく、それを患者さんが受け入れてくれるということになりますので、それだけの患者さんをどれだけ大学の病院で確保しているのかは、なかなか数値としては表れにくいと思います。

 ただし、今回提案がありましたstudent doctorについては、医学部のようにやるということになっていますが、これについては先般の全国の歯科大学学長・歯学部長会議で、これはやりましょうということでコンセンサスが取れています。ただ、医科の教育のコアカリキュラムの第1水準・第2水準と、歯科の第1水準・第2水準を比べると、歯科のほうがはるかに処置が多いのです。診査・診断だけではなくて処置がかなり歯科では入ってきますので、その分だけ患者さんに侵襲を与えるということで、躊躇されている病院があるということも致し方ないと思います。

 逆に言えば、診療参加型臨床実習をきちんとやっている病院については、現在も学生だということを分からせて診療していますので、それをstudent doctorと変えるだけなので、ネームプレートを替えるということですから苦労する事ではないです。ですから、どうしても数だけで、特に病院にいらっしゃる患者さんの数だけでは、質についての判断は難しいと思います。

 

○森田座長

 ありがとうございました。

 

○安藤()構成員

 すぐ終わります。私は現場の人間ではないのですが、教育の問題は歯科医師過剰をいいことに先送り先送りという形で、そんなことはないという反論があるかもしれませんが、全体を見ると何となくそのような印象があります。ただ、今回そうではなくて、むしろ10年ぐらいすると大量に歯科医師が辞めてその後どうするのだということで、このままもしかしたらそういう付けが回ってくる可能性もないとは言えませんし、過剰一辺倒で何となくこうでいいのだというところを、全体として考え直さなくてはいけないところにきているのではないかと思います。以上です。

 

○栗原構成員

 臨床実習の話が少し出ていたので、そのことがここでどれだけ重要なのかは分かりませんが、私自身は文科省がやれと言っている方針には大反対でして、student doctorとして、今、羽村先生が言われたように医科で検査、診断が多いというのは、それは非常にまともであろうと思っています。高齢社会を受けて、全身管理を主体にした教育をもっとしていかないといけない状況にあるにもかかわらず、現状では歯学部の歯、口腔以外の他領域の教育は、現実には看護師の教育よりも時間数が少ないのです。

 そういう状況で、単に今までどおり私たちが教育を受けたときと同じように、入れ歯を作ることができるドクターが、卒業する時点でそれができないといけないというのは全くナンセンスだと思います。そういうことは研修で免許を持ってから次の段階として、全身を正確に捉えることができるようになってからやるべきだと私は考えています。これを語り出すと時間がないので、今日、意見いただけない問題があるかどうか分かりませんが、やはり高齢社会を見た上での教育を臨床教育では議論すべきかと思っています。

 

○森田座長

 ありがとうございました。ほぼ予定した時間がまいりましたので、この辺りにさせていただきたいと思います。今日は時間がなくて私の不手際もありまして御議論いただけなかったのは、今のところ合格率が60%弱ということで合格できなかった学生諸君をどのような形で処遇するのか、別なルートを考えるか、これも大きな問題だと思います。

 この合格率が60%ということをどのように捉えるのかという問題もあるかと思います。これは現時点においても、それ相当の勉強をして質があればもっと合格率が上がる話なのか。そうでないとすると、最初から60%ぐらいの合格者数を前提とすると、これは大学の在り方として1つの問題を提議していると思っております。本当であれば、この点についてはオブザーバーの寺門課長にも何か御発言を頂きたいところですが、今日はよろしいですか。

 

○文部科学省寺門医学教育課長

 結構です。

 

○森田座長

 時間がまいりましたので、本日はこれくらいにいたします。本日出ました御意見を整理して私と事務局の相談の上で、また問題提議といいますか、論点を提示したいと思います。最後に触れましたが、今日は御議論、御意見で出なかった点についても問題として提議したいと思っております。それでは、事務局から何かありますか。

 

○和田歯科保健課課長補佐

 本日、御審議いただきました内容を踏まえ、次回は引き続き需給推計に関する議論とワーキンググループの論点整理を行う予定です。また、ワーキンググループの日時については追って連絡いたします。事務局からは以上です。

 

○森田座長

 これは非常に難しい問題で、これから限られた回数でどのように整理していくかということについては、この場だけではなく御意見がありましたら事務局にお寄せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは構成員の皆様、貴重な御意見をどうもありがとうございました。歯科医師の資質向上に関する検討会歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ第3回を終了いたします。


(了)

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