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2016年3月24日 歯科医療の専門性に関するワーキンググループ(第4回) 議事録

医政局歯科保健課

○日時

平成28年3月24日(木)10:00~12:00


○場所

省議室(9階)


○議題

○ 医師における総合診療医に相当する歯科医師について

○ 歯科医療の専門性に関するワーキンググループでの確認事項について

○ その他

○議事

○和田歯科保健課長補佐 定刻となりましたので、ただ今より「歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医療の専門性に関するワーキンググループ ( 4 ) 」を開催いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。

3 11 日付け日本歯科医師会の組織変更に伴い、当該ワーキンググループ委員に交代がありましたので御紹介いたします。日本歯科医師会副会長の柳川構成員です。

○柳川構成員 おはようございます。まとめの時期と伺っておりますが、今日から参加をさせていただきます柳川です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○和田歯科保健課長補佐 続いて資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表、構成員名簿、そのほか資料は 1 から 3 まで、参考資料は 1 から 4 までお配りしております。これまでの検討会及びワーキンググループでの資料につきましては、お手元の青いファイル内にまとめておりますので、御参考までに配布しております。乱丁、落丁などありましたらお知らせいただければと思います。

 なお、今回のワーキンググループについては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。それでは西原座長、以降の議事運営についてよろしくお願いいたします。

○西原座長 おはようございます、ただ今から第 4 回のワーキンググループを開催いたします。年度末のお忙しい中、構成員におかれましては御参加いただき、御議論いただくということで誠にありがとうございます。

 このワーキンググループはこれまで第 3 回まで重ねていく中で、かなり論点は整理できたところもある一方、まだ議論が足りないところもあるというのが現状かと思います。そのようなこともあって、冒頭は 4 回若しくは 5 回という御案内をしていたところでしたが、 5 回目を開くこととした上で、その 5 回目のスケジュールを決めさせていただければと思います。このことも御理解いただき、御協力お願いします。

 議事に移ります。今回のお手元の資料の案内がありましたが、議事次第としてはこの資料に従って大きく 2 つ、「歯科医師における総合診療医に相当する歯科医師について」という項目と「歯科医療の専門性に関するワーキンググループでの確認事項について」とさせていただいておりますけれども、冒頭申し上げたように論点を整理してまいります。御協力よろしくお願いいたします。

 まず資料 1 を、高田専門官から説明をお願いしたいと思います。

○高田歯科口腔保健専門官 資料 1 について御説明いたします。今、西原座長から詳細な説明があったところですが、平成 27 1 16 日に親会である「歯科医師の資質向上に関する検討会」が開催され、今回 4 回目のワーキンググループを迎えているところです。構成員の皆様には現在、第 5 回の日程調整を行わせていただいているところです。当初、 4 月に開催すべく日程調整を行っていたわけですけれども、ちょっと日程の調整が厳しいというところもあり、新たに 5 月の日程調整表も机上に置かせていただいております。

 今後の流れですが、 5 月を目途に歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ、女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループという、その他 2 つのワーキンググループのものと合わせ、歯科医師の資質向上に関する検討会としての報告書をまとめる予定となっております。以上です。

○西原座長 ありがとうございました、これはスケジュール感を持っていただければという資料かと思います。引続き資料 2 、資料 3 も併せるような形で事務局からお願いします。

○高田歯科口腔保健専門官 資料 2 、資料 3 について御説明いたします。まず資料 2 ですが、ツーアップ印刷のパワーポイントの資料になっております。資料 2 は前回、第 3 回の歯科医療の専門性に関するワーキンググループの資料から医師における総合診療医に相当する歯科医師についての部分を抜粋したものです。前回の再掲資料になりますので簡単に御説明いたします。

 まずスライド 2 ページ目の(1)、そもそも医師における総合診療医に相当する歯科医師が必要であるか否か。また、必要とするならばどのような歯科医師であって、どのような枠組みで設けるべきであるかという論点についてです。例えば、医師における総合診療医に相当する歯科医師が必要であると考える場合であっても、歯科医療の提供体制の中での位置づけや習得すべき研修の内容、習得すべき施設などが求められる像によって変わってきますので、このようなものをまずは示させていただいているところです。

 具体的な例示として、 3 ページ、 4 ページ目に日本医師会の小森構成員から以前に御提供いただいた資料を提示しております。「医科における新しい専門医の仕組み」の資料から参考として抜粋したものです。

5 ページ、 6 ページにおいては医師における総合診療医に相当する歯科医師と既存の専門医、そしていわゆる一般歯科医との関係性についてどのような位置づけを考えているか、どのようなイメージが持てるかという観点から例を示しております。まず、例 1 として示しているのは既存の専門医も、医師における総合診療医に相当する歯科医師も両者とも一般歯科医よりも上位に位置づけているものです。そして、既存の専門医と医科における総合診療医に相当する歯科医師は並列の関係にあるという位置づけです。この場合、既存の専門医と医師における総合診療医に相当する歯科医師は習得する研修内容によって異なる位置づけができるということです。

 なお、例 1 は現在存在する様々な歯科の専門医について質の担保が図られていことが前提となった図となっております。また、下の、例 2 として示している図は既存の専門医を医師における総合診療医に相当する歯科医師又は一般歯科医師と独立して考えることとして、かつ医師における総合診療医に相当する歯科医師を一般歯科医よりも上位に位置づけているものです。資料 2 については以上です。

 資料 3 に移りたいと思います。資料 3 は文字中心の両面 1 枚のものとホチキス止めの参考資料とを組み合わせて説明をしていきたいと思いますので御用意いただければと思います。

 資料 3 について、本ワーキンググループを取りまとめるに当たり、これまで委員の間で合意の得られている事項と今後も検討になるであろう事項の 2 つに分け、整理させていただいているものです。別刷りにしておりますが、資料 3 の参考資料と合わせて適宜御覧ください。

 まず 1 、これまでの議論で関係者間で合意が得られている事項について確認をさせていただきます。 (1) として、すべての歯科医師が生涯にわたり研鑽を積むことが必要であるということです。これについては専門医制度がいかにあるべきか、また医師における総合診療医に相当する歯科医師は必要か否かなどの議論とは全く関係なく、制度がどうであろうとも、歯科医師が能動的に研鑽を積むべきであるということをまず大前提として確認したものです。

 また、現在歯科医師会、学会、大学同窓会、数多くある民間主体のセミナーなど、様々な実施主体により独自に行われている研修について、歯科医師として必要とされる項目については、標準化すべきであると考えます。これについては別刷りの参考として、資料の参考の1として、すべての歯科医師に求められることということで、先ほど資料 2 で説明したものと同じ資料になりますが、小森構成員から御提供いただいたものを参考に付けさせていただいているものです。

 続いて (2) 、すべての歯科医師が医師の新しい専門医などの仕組みと同様に 1 つ以上の専門医を取得することについてです。これについては参考2 -1 、2 -2 を見ながら御説明したいと思います。これについては、まず結論を申し上げてしまうと 1 つ以上の専門医を取得することは現時点では歯科の場合にはなじまないであろうということです。この点に関しては、例えば現役世代には難しくても次世代の歯科医師には可能なのではないか、又は診療所に勤務しながら専門医を取得できるような体制整備を、まず図るべきではないかなどという御意見がありました。しかし、参考マル 2-1 、マル 2-2 にありますように、歯科医師は多くが歯科診療所に勤めているという就業形態、又は現在の専門医の取得状況は多く見積っても 15 %程度であるというようなことを踏まえ、参考3を御覧ください。

 こちらは専門性の所有の状況、持っているか持っていないかということと歯科医療提供内容との関係を示しているわけです。参考3の一番左にあるような、自ら専門性を有していて、かつ自分が持っている専門性に特化して診療している方というのは、基本的には保険外の診療を中心にやっている方であって、歯科の中ではかなり限られた人たちであるということが言えます。歯科医師の多くは右の 2 つに当たると思いますが、専門を持っているか持っていないかに関わらず、基本的には一般診療を行っているということです。これらのことを踏まえ、すべての歯科医師が何らかの専門性を取得し、自らの専門性以外の領域の診療については当該専門医に紹介していくなどというような体制を取るということは現時点では少し難しいのではないかと考えているところです。

 文字の両面 1 枚の資料に戻っていただき、 (3) を御覧ください。歯科医療の専門性に関する広告、インターネットでの情報提供についてですが、関係団体により所属会員に向けて分かりやすく法令やガイドラインの周知がなされるべきである。これについては今、議論していただいているような専門医又は専門性に関して、どんなに素晴らしい研修制度を設定したとしても、その運用が適切に行われなければ全く意味がないということです。以上、これら 3 点の事項が合意を得られている事項として挙げております。

 続いて 2 、関係者間で今後更に検討が必要という事項、本日はこちらの 2 の項目を中心に御議論をいただきたいと考えております。まず (1) 、歯科医師のキャリアパスとしての研修の在り方をどのように考えるかということです。先ほどのパワーポイントの資料を 1 枚めくっていただくと、参考4 - 1として歯科医師のキャリアパスについてのイメージ図を示しております。基本的には、歯科医師は卒後 1 年目、 2 年目、 3 年目ぐらいまでは大学病院に残る方もいらっしゃるわけですが、多くは勤務医を経て歯科診療所を管理・開設されます。生涯研修制度においても、既存の専門医制度についても、これらを踏まえると対象を臨床研修を終えたキャリアの短い歯科医師であるのか、既に一定の経験を積んだ歯科医師かに分けてまず議論すべきである。今後の論点においても、習得すべき内容や研修すべき施設、経験すべき症例数など、どのような歯科医師に何を習得させるかを、このキャリアパスを勘案した上で整理、議論することが必要です。

 また、女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループにおいても出されている意見として、妊娠、出産、育児、介護などのライフイベントに配慮した研修の在り方について考慮されるべきではないかと言われているところです。

 また、パワーポイントの資料に戻っていただき、参考4 - 2を御覧ください。これは毎年、臨床研修を修了する歯科医師に行っているアンケートですが、研修歯科医が予想する 10 年後の働き方というものを示したものです。この結果から、男性は診療所を管理・開設する、女性は診療所に勤務したいというように考えている方が多いところです。管理・管理、勤務を含めると、将来的には歯科診療所で働くと回答している方が圧倒的に多いことを考えれば、一定の経験を有する歯科医師への研修制度を考えた時には診療所において勤務しながら習得できる研修の場の設定、又は診療所に勤務する者が研修・習得すべき研修内容についてもウエイトを置いて議論をする必要があるということが考えられます。

 両面 1 枚の文字のほうの資料に戻っていただき (2) 、パワーポイントの資料は 1 つ進んでいただいて参考5を御覧ください。参考5に絵で示しておりますが、歯科における研修の実施主体としては大きく分けて 4 つ考えられます。特に、歯科において特徴的なのは一番右側に示してある民間主催のセミナー、いわゆるスタディー・グループというものが多数存在し、そのレベルについても内容についても玉石混淆であることが特徴として挙げられます。

 また、歯科についての研修は実施主体が独自に行ってきて、互いの連携が余り見られません。それぞれの団体に所属する歯科医師以外にも多くの研修の機会を与え、またその研修の質を担保する、補い合うという関係から、これらの研修の在り方を、相互乗り入れをするとか、共催をするとかといったように、共に行うというような形も新たに行ってはどうかと提示させていただいております。

 続いて (3) について、スライドについては参考6を御覧ください。参考6にもお示ししたとおり、現在、歯科の学会は治療体系を基本として歯科の中で細分化されております。資料では日本歯科医学会に所属する学会の一覧を示しておりますが、各学会が独自に認定基準を持ち、その専門医を設定し認定をしております。

 今後、専門医について検討していくに当たり 2 つのポツを記載しております。まず 1 つ目のポツですが、客観的な認定基準や研修内容を評価して、各専門医の質を担保するため、第三者機構というようなものが必要であるかということです。これはアウトカムとして、専門医の質を担保するための方法として、求められる要件は何かというような論点に代えられるかと思いますが、その論点を満たすためには何が必要かということが挙げられます。

2 つ目のポツですが、専門医の客観的な評価と広告の可否とここには書いております。仮に 1 つ目のポツで、専門医の質を保証するという仕組みが整ったと仮定した場合に、専門医の客観的な評価と広告できる専門性資格の関連性についてどのように考えるかということです。以前に御説明をさせていただいておりますが、現時点では広告できる専門性は外形基準の要件を満たす各学会からの届け出を厚生労働省が受ける、受理をするという形で進んでいるわけです。その受理をする際、予め関係団体の御意見を伺っております。重ねて申し上げますが学会から申請されたものを承認するというような仕組みではなく届出制度です。

 このため、例えば 2 つ目のポツについての今後の採用の一例として、例えば現在規定されている外形基準に新たな満たすべき要件として第三者評価等追加をする。または、日本歯科医学会、日本歯科医師会などで広告できる専門性として、これは適切か否かということを内部で御判断いただいているところですが、この御判断をいただく際の基準に追加していただく。このような 2 つのパターンが考えられるのではないかと考えております。

 続いて、 (4) については資料 2 でお示ししたとおり、医師における総合診療医に相当する歯科医師について記載しております。まず、必要なのか否か、必要であればどのような歯科医師像なのか、どのような枠組みで議論すべきなのかということについて御意見をいただければと考えております。

 最後に 3 、関係団体等による協議と書かせていただいております。 1 の合意が得られている事項及び 2 の関係者間で検討が必要とされている事項において、今後、より具体的な検討が必要になってくるものについて、医科歯科の相違点を踏まえて日本歯科医師会、日本歯科医学会、大学などが主体となって、第三者を交えながら議論してはどうかということを挙げております。

 また、補足になりますが、日本歯科医師会や日本歯科医学会については事務局や窓口が明確になっているところですが、大学についてはどちらに御相談をするべきかも併せて御意見をいただければと考えております。

 最後になりますが、本日は議論を深めるために参考資料 1 から参考資料 4 を用意しています。このうち、参考資料 3 として A3 の大きな資料があります。こちらについては、以前に専門性に関するワーキンググループ ( 2 ) でお示しした参考資料 5 について、新たに調査・整理した、資料になっています。詳細な説明については本日は割愛させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○西原座長 主に資料 3 に今日の議論が集中するのだと思いますが、その他にも少し踏み込んだ説明をしていただいたがゆえに、また混乱されたところもあるのではないかという思いがありますので、座長としてあらためて整理した上で、議論をスタートさせていただければなと思っております。

 まず 1 番で、これまでの議論で関係者間で合意が得られている事項と、大きなその 2 で、まだ合意が得られずに検討が必要と分けています。それぞれ両括弧絡みの番号で示していますが、これは、サブジェクトとして全く異なるものではなくてつながり合っているものです。要は、 1 つは新たな、「医科でいう総合専門医というような形のものが必要かどうか」という議論の中で、まだ最終的に煮詰まっていない部分があり、そこに横たわる問題として、生涯研修のシステムが、歯科においてはどのようになっているのかということを踏まえた議論が必要でしょうということで、 2 (1) 2 (2) では、生涯研修の運営にまで踏み込んだ説明を高田専門官はしてくれたと理解しています。

3 番目の所は、既存の専門医制度を総合専門医とともに、「統廃合」という言葉が正しいかどうかは別として、国民にとって分かりやすく、納得のいくような形での専門医性を考える方略としては、どのようなものがあるのか。さらにこの会議で頻回に出ている、患者が標榜という問題で、インプラント科とか矯正科というのはよく出てきますが、そこで起きてくるトラブルを解消する術を見い出した上での議論展開をしなければいけないということを、 3 番の所で高田専門官は表現したと御理解いただければ、良いかなと思っています。

2 ページ目の (4) は、正にリフレーズで、歯科専門医、歯科総合専門医をどうしましょうという点については、少し煮詰まった感がありますが、私としてはこの総合医は、これから卒業する歯学生、そして研修医を終える世代が目指すものとして作り上げるのか、もう一方で既存の専門医制と、同一視した形で作り上げるのかということで、考え方に大きな違いが出てくると思っています。

 これはお願いなのですが、先ほどイメージ図、ポンチ絵でも事務局から御案内がありましたが、既に歯科界で歯科医業を営んでいる方たちの多くは一般開業医、オーナー歯科医です。そのオーナー歯科医の方々の専門医制というと、また違ったいろいろな経営面でのファクターも入り、更にインプラント、矯正で起きてきたような問題を起こす可能性がないとは言えない、まどろこしい言い方ですが。やはり私としては、大学人として歯学生を育てていく中で、社会が求める歯科医師で例えば後で御案内はありますが、かかりつけ歯科医というものの外形基準が決まったとしたならば、その外形基準に適した素養のある歯科医師をどのようなカリキュラムで育てていくのかということがあって、その次に、かかりつけ医という形での専門医ができるということを勘案しますと、これからの総合歯科専門医については、これから世の中に出る歯科医師がはつらつとして歯科医業を営み、そして世の中の国民のためになるようなものは何かということに、少し絞ってお考えいただけるとよろしいかという思いを持っております。これはあくまでも私の提案ですから、御意見を頂ければと思うところです。

 ただ一方、既存の学会がアカデミアとしての学問を追究する活動については尊重させていただきますということは度々お話をしました。しかし、ここでの切り口でも国民目線という視点をからめて、 (3) の所で挙げさせていただいたということで、ご理解いただければと思っています。

 それでは、今の案について、資料 3 に掲げたことについて、御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

 まず、 2 番目の (1)(2) については、生涯研修の運営ということで、後で参考資料で御案内させていただきますので、まず (3) における「歯科における学会は」というところで、既存の学会の将来像について、今、高田専門官からもありましたが、新たに作り上げた A3 の紙、参考資料 3 ですが、これを御覧ください。本当に多くの学会が、それぞれ異なる基準でそれぞれ身の丈にあった基準という言い方が正しいのでしょうか、基準を学会ベースで作って、運営しているという姿が見えてくるかと思います。

 このような現状の中で提案事項として、まず第三者機構が必要かということですが、必要であっても、その第三者機構が機能しなければ全く意味がないわけですから、具体的に専門医が社会に認められるようになるにはどうしたら良いかということで、山口構成員、今回出された資料等を御覧になって、何かお気付きの点はありますか。

○山口構成員 「第三者機構が必要か」ということですが、今、医科のほうでも専門医機構のあり方について問題が出ているところでもあります。まず、内部での話合いが大事なのではないかなと思います。これは、資料 3 の参考5に、学会、歯科医師会、大学と 3 つ大きく分けて書いてあるわけですが、学会はその中にたくさんあるわけですが、大きく分けると 3 つ。まず、その 3 者が合同で話し合うような現状の機会というのはあるのでしょうか。

 というのが、ここがまずきちんと内部で話合いをされて、その内部から合意を得ながら前向きにするにはどうすればいいか。それぞれ学会にしても歯科医師会にしても大学にしても、いろいろな得意分野があると思うのですが、それを生かしながら連携して、まず何が必要かということを考えていくことが、私は不可欠ではないかと思います。

 そういったことから、先ほど研修の話が出ていましたが、そういった研修も、この 3 者が一体になって一律の研修というようなことを位置づけていくということも必要なのではないかと。そのようなことをこの資料を見て、御説明をお聞きしながら感じました。

○西原座長 今、山口構成員から頂いた意見は、この案の裏返しの 3 番目に、「第三者を交えて議論してはどうか」と。これは、これまでのこのワーキンググループで、小森構成員から、医師における専門医制度の過程で、教育界、医師会、学会が胸襟を開いて本音で話し合ったというお話を伺っています。

○山口構成員 例えば医科のほうですと、全国医学部長病院長会議というのがありますが、例えば歯科の場合は大学の中でも、そういう会議というのは私は余り聞いたことがないのですが、そういう位置づけのものがあるのかどうかということと、先ほど申し上げた 3 者合同というような機会が、現状としてはどうなのかというのを、前提として教えていただけますか。

○西原座長 私から御説明させていただいてよろしいでしょうか。

 まず、 29 大学に歯学部がございます。 11 国立大学、 1 公立大学、 17 の私立大学。そして、 11 大学の国立は病院長学部長の会議体をもって、年に 1 回の会議を行っています。これは持回りで、それぞれの大学が順番で主管して運営されています。

 一方の私立大学の 17 大学は、私立歯科大学協会の下、いずれにしましても 17 大学の学長、学部長、病院長での会議体を持っていると申し上げていいかと思います。

 現在は、国公立 12 大学が一体となり、国公立大学歯学部長等懇談会という会議が立ち上がっています。さらに、その後それぞれの 2 つの異なる会議体が一同に介して議論していますが、 29 大学が集まる国公私立歯科大学学部長、学長、病院長会議が開催されますが、そこの議事運営がどのようになってきたのかということが、結局は問題になるのかと思います。

 私が出席してきた限りで申し上げますと、このような重要な案件、例えば歯科医師の需給問題もそうですし、共用試験がどのように取り扱われているかという問題もそうですし、歯科医学教育のグランドデザインをしっかり描かなければいけないのではないかというような案件については、 29 大学では展開されてきていなかったというのが現状です。

○鳥山歯科保健課長 詳細は、今、座長から御説明がありましたが、医学における法人格を持った団体というのはないということです。

○山口構成員 法人格はともかくとして、やはり歯科にまつわるいろいろな立場の方たちが合意を得ながら進めていかないと、新しいことというのは絶対にうまくいかないと思いますので、現状をお聞きして、できるだけ早くそういう会議体を持っていただきたいと思いました。患者の立場からも信用できる歯科という専門性も含めて、是非お願いしたいと思います。

○西原座長 ただ、前回の文部科学省での調査協力者会議の議論の流れを私なりに解釈しますと、今後歯科の教育界の改善に向けて議論しなければいけませんよという動きが出ている中で、鳥山課長も陪席しておられますが、モデルコアカリキュラムの改編に伴うようなことも、国家試験にも影響してくる複合した問題なので、医学系のみならず歯学系も、「厚生労働省、文部科学省が一体になって」という発言も出ました。正に、そういう雰囲気になったと思っています。

○小森構成員 歯科の領域のことは分かりませんので余り勝手なことは申し上げることはできないと思っていますが、基本的にはいろいろと制度論を決めてしまうのは拙速だと思うのです。医科においても、専門医制評価認定協議会ができたのは昭和 56 年で、日本医師会、日本医学会、それらの組織間で喧々諤々の議論の 35 年なのです。

 その結果、ようやく合意ができたということについては、 1 つはクオリティ・コントロールをしましょう。つまり、各学会が学会独自の基準で決めていたけれども、このことをプログラム制を取ることによって、こういうようなことをきちんと研修をしたということを国民の方々に透明にして、そしてそれを習得したと。そのプログラムを公開しましたというコントロールです。

 しかしながら、あくまでも外から。機構というのは、これをあくまでもオーソライズすると。外部評価するという意味でのクオリティ・アッシュアランスなのです。ですので、国民の方々に見える形で専門医の取得をする、あるいは更新することを、プログラムを見せた上で、確かに行っているということをもう 1 つ外から見る。この 2 つをやはりやらなければいけないということで、やったということなのです。

 医科の事情を申し上げて大変恐縮ですが、大学はもちろん研修の中核ですが、やはり学会と歯科医師会が中心となるべきだと私は思っていまして、民間主催のセミナーというのは、あるいは大学も大変恐縮ですが、学会、歯科医師会のセミナーには皆さんは余りいらっしゃらないので、やむを得ずやっているというようなところがあるのではないか。大変御無礼な言い方ですが。民間主催のセミナーは今後はなくしていく。アカデミアとプロフェッションが自らやることであってという理念の下にやるべきだと思います。

 それから、先ほど高田専門官がお話になられた、これは三師調査ではないのですよね。医科の場合は三師調査なのですが、この前の 8 月の会議に私も、医政局医事課が三師調査で調べたものを出して、皆さんにお示ししましたが、全体では確かに 50.9 %の医師が専門医を持っているのですが、医師になってから何年間かは当然持っていないわけで、お示ししたように 60 %を超えるのが医師になって 10 年目なのです。その後、 70 歳であっても 60 %台を維持していまして、大体 65 %の方がずっと持ち続けているのです。そういう意味では、今回出された資料はないというか、三師調査ぐらいはできるのでしょうけれども、三師調査の場合は広告可能な専門医、 4.6 %の方しか持っていないということなので、統計学的にその数字を出しても余り意味がないからお出しにならなかったのかなという感じがしますが。つまり広告可能な専門医を持っていらっしゃる方が 4.6 %という現状の中で、では総合診療歯科医をどうするこうするというのは、ちょっと拙速でないかという感じがします。

 ですので、まとめの 3 の、これから歯科医師会、学会を中心に、もう 1 度とことんこれをもんでいただくということが必要なのではないか。

 それから、この前プログラムの一端をお見せしましたが、日本医師会も基本的にカリキュラムがあって、プログラムを持って、そして到達目標があって、評価があり、これだけ到達したので与えるというようになっていますが、歯科医師会の生涯教育の中のプログラムは、今まではたまたま出ていないのですが、そういうことを土台にして、また議論されてはどうなのかなと。そのプログラムを歯科界全体でどのように評価されるのか。

 手前味噌で恐縮ですけれども、今回、この前に日本医師会生涯研修カリキュラム 2009 をお見せしました。このカリキュラムを改正して 2016 を作りましたが、医科における臨床研修の到達目標及び評価の在り方に関するワーキンググループ、私も構成員なのですが、そこでお示ししたときに、これは素晴らしいと。これを基に臨床研修の評価をしようと、到達目標を作っていこうと、こういう動きもあります。ですので、そういった歯科医師会が作っていらっしゃるカリキュラムやプログラムを、歯科界全体で評価をする、そして、各学会が持っているプログラムをみんなで議論して、ともに標準化するという議論を先にした上で、制度論をされるべきではないかなと、そのような印象を持っております。

○高梨構成員 従前、第三者機関のお話もあったのですが、第三者機関というのは第三者がやることが重要なのではありません。第三者が行うというのは、は公正性とか透明性を担保するための手段なのです。先ほどからお話が出ていますが、国民にとって透明でかつ公正だと、信頼できる専門医の認定制度ができれば、第三者機関であることは必ずしも必要なくて、透明性、公正性を担保できる何かシステムがあればいいのです。そして、それは学会御自身でもできないことではないはずだと思うのです。むしろ第三者を機関にすることによって制度が大きくなりすぎて機能しないということも、ほかのケースではあります。ですので、第三者機関を設立すること等にこだわらず、国民から見て、これは信頼するに値するのだと理解できる透明性、公正性のあるシステムが作れればいいのであって、必ずしも第三者機関に拘泥する必要はどこにもないのではないかと思います。

○西原座長 ほかにいかがでしょうか。

○柳川構成員 日本歯科医師会の柳川です。日歯の研修制度については今日出ていらっしゃる小林委員のほうがお詳しいので、また御意見があるかと思いますが、私は「歯科の総合診療医についてまだ拙速だ」というお話は十分に理解ができて、まだ議論が深まっていないという内部的な状況はあります。ただしたとえば、生活習慣病の対策と地域包括ケアへの参画ということが、今、社会から求められている歯科医師像であり、生活習慣病のほうは例えば糖尿病と歯周病の関係に象徴されますし、地域包括ケアは在宅医療や介護との関係に象徴されると思います。

 それで、第三者機構なのですが、私は山口構成員が御指摘になったように、厚生労働省、日本歯科医師会、日本歯科医学会辺りが、 3 者で十分な合意の下に設置する方がいいでしょうし、専門性に係る、そういう第三者的な機能は必要だと考えております。

 それは、例えば取りも直さず、各学会の認定の基準や更新の基準の統一、新たな専門医制度の運営、あるいは診療報酬上の課題や広告可能な資格の承認というようなことは、そういった議論が十分にできるような仕組みをきちんと作っておくことが重要で、そのためには 3 者間の合意が必要と思います。

 更に、新しい組織についてはガバナンスなどは当然必要だと思いますし、設置を視野に入れた話合いの中には、日本歯科医師会も入っていくことが求められていると思います。

○西原座長 今、お名前が出た小林構成員は何か追加はございますか。

○小林構成員 今は特にございません。

○西原座長 そうなりますと、もう一つの、あまたある歯科関係の学会を束ねている形の日本歯科医学会、特に今、法人化するに当たって連合という組織での運営を考えているという段階での、お二人の出席者、今井構成員、井上構成員、どちらからかお願いできますか。

○今井構成員 学会として縷々議論を進めているところです。小森先生が言われましたように、我々は今、基本的に専門性とかそういうような問題よりも、歯科の在り方そのものが問われていると理解しています。そこで、今後の歯科がどうあるべきかというところから、今、議論を始めているところです。したがって、拙速に何かを進めようという考えはございません。

 先般も申し上げましたが、学部教育から卒後研修、そしてこの専門性を取得するに至るシームレスな歯科医療のクオリティを高めるためにどうあるべきかということを、今、正に真摯に検討しております。これは歯科医師会とも、共に手を取り合って始めているところです。

 第三者機構については、まだまだそれを議論する段階ではないと、私個人としては思っておりますが、社会的な通念、観念から、歯科医学会あるいは今後 4 月にできる連合の中に、傘下の学会から会費を徴収している学会が、そういうものを評価するということ自体に、社会がどのような評価を与えるかが問題です。やはり COI の問題が最終的には問われて、社会的には第三者機構というものは形としては作らざるを得ないのではないか。そのように考えています。

○西原座長 井上構成員、よろしいですか。

○井上構成員 私は、ある歯科大の付属病院の病院長をしておりまして、本日は朝 8 時半から研修修了の式をやってまいりました。そこで述べられたのは、正にここに書いてある「全ての歯科医師は生涯にわたり能動的に研修を積むことです」と、もちろんお決まりの文句を言ったのですが、どうやって研修するのかと言われたときに、はっきりした言葉がないことを自分でしゃべりながらよく感じたところです。

 これに関しましては、参考資料5にある学会、歯科医師会、大学、民間主催のセミナーというのがあるのですが、ここのどこが透明性を持つかということも、小森先生がおっしゃったように、はっきり分からない。高梨先生がおっしゃったように、国民が理解できないのです。

 先週、歯科医師国家試験の合格率の発表があり、一番高い所は 90 %を超えていますが、一番低い所は 30 %ぐらいしか合格率が出ない。そこから出た大学の学生は、もちろん誰が出たかというのは分からないのですが、例えば信頼される何とかになるためにはどうすればいいかというようなことも含めて、今、歯科大学自体が、どうやったら国家試験に受かる学生を作れるかということに奔走してしまっていて、ここまでは到達しないのが、実は現状なのです。

 それから、私の口から言うのもおこがましいのですが、ここにある 4 つのこういったような研修機構の中で、私は頼まれれば全てに出てまいります。しかし、先ほど小森先生がおっしゃったように、民間主催というのは、ある意味で金銭的な目的が大きなところがありまして、やはり学会、歯科医師会が認定したプログラムを受けた先生であるという人間を専門医とするべきであろうと。それを認めていくのは第三者機構としては、何らかの形でそこがクリアにするゾーンのハードルを作っていかないといけないのではないかと考えています。

 先ほど高梨先生がおっしゃったように、機構は要らないのかもしれないのですが、現状では、私はないと各々学会の成熟度によって、各々の学会に任せる。これはまたこの中ですごく議論が生まれてしまうのですが、やはり機構というのは作ったほうがいいのかなと考えています。あとは今井先生と同じでございます。以上です。

○西原座長 よろしいでしょうか。今の意見交換を聞いて、 1 点腑に落ちないのが、日本歯科医学会がシームレスに教育全体を考えて、歯科医師会で話合いをされているというところなのです。これは今井先生がおっしゃったところなのですが、それは内輪の会議としてそのような話をされているという理解でいるのですが、正に小森構成員であれ、山口構成員であれ、それを、しっかりとした開示性のあるもののレベルにまで作り上げなければ、歯科はいけないのではないか。もう一方で、医科は 35 年の時間をかけていますと。やっていますというからには、そこまで持っていくというときに、どこが音頭を取るのかということも大事で、どこかがやればいいということでは一向に進まない。私としては、ここにはいろいろな団体から歯科関係がいるわけですから、ワーキンググループとしては喫緊な課題として、どこが取りまとめるかというようなところも詰めていかなければいけないかなという思いがあります。歯科医師会と日本歯科医学会の連携のところの具体を、皆さんに御案内していただけますか。そうすると、議論が展開しやすいかなと。これは歯科医師会からでも結構ですし、日本歯科医学会からでも結構なのですが、お願いいたします。

○今井構成員 昨年度、現在の歯科医学会の 2 期目の執行部が始まってから、新たに従来にない教育と研修に関する委員会を立ち上げました。そこで、正に今歯科の在り方をどうすべきか、学部教育から始まって、生涯研修に至るまでの歯科の在り方についての議論を始めているところです。

 その委員会より、会長への答申が出て参りますので、それをコアにして歯科医師会の先生方、あるいは大学の先生方等々と、連携を図るというような運びと考えております。現状のところはそのようなところです。

○西原座長 ということは、歯科医師会はカウンターパートということになりますか。

○今井構成員 現状の歯科の先生方の 9 割以上は開業医の先生ですので、この部分は非常に大事です。したがって、一緒に考えていくということは必須な問題だと思っています。

○西原座長 喫緊度から申し上げますと、教育界に関しては 7 月と記憶しておりますが、 29 大学の会議は年に 1 回しかありません。そこに住友会長の答申の文書いただけると、議論がそこでまた展開されると思います。

○今井構成員 かなり重い内容なものですから、そう早急に結論が出るところではないのですが、もし我々がある程度の中間的なものでよろしければ、少し議論をして、そのような方向にできるように努力をしてみたいと思います。

○西原座長 是非答申を内部でまとめる段階でも、呼び掛けを教育界のほうにしていただかないと、まとまりにくいかと思います。

○今井構成員 先生の御心配はよく分かりました。もちろん、大学との連携は十分に取らなければいけないということは基本ですので、その点は必ずさせていただきますので、よろしく御理解いただければと思います。

○山口構成員 今、昨年から議論を始められたということなのですが、議論を始めるに当たって、例えばこの段階はいついつまでにというような、スケジュールのようなものは立てて行われているのでしょうか。

○今井構成員  3 つほどの大きなテーマで行っております。まだ議論の最中ですので、詳細には申し上げられませんが、それについてのスケジュールはきちんと取っております。少なくとも、この夏ぐらいまでには結論ではないのですが、一定の方向を出そうというような話です。

○西原座長 今、今井先生から伺ったのは、 1 つそこでお待ちするとして、もう一つ小森構成員から出ていた専門性をクオリティ・コントロールとクオリティ・アシュアランスをしっかりさせた形で提示するという作業を丁寧にされてきたということなのですが、私の理解では、連合という組織は正にそこの部分をまず先に担う組織で、お二人にお願いしたいところですが、どのようなタイムラインで、どのような方向性で、専門性を括られていくかということを、もし今の段階でお話しできることがあればお願いします。

○今井構成員 これはまだ正式に決定したことではありませんので、その点をまず御了承いただいてお聞きいただきたいと思います。

 平成 29 年度に、出来ればスタートしたいと考え、今のところは注目をして見ています。つまり、そこに合わせて、一定の方向性が出せるようにし、その後どういう形にすればいいかとう検討に入るということで、今、具体的に相談しているところです。

○西原座長 それぞれ御質問いただいた小森構成員、山口構成員よろしいでしょうか。

 最後にいろいろ多面的に整理するために御意見を頂く予定でおりますので、一応ここは一段落とさせていただきます。次に、今の説明の中で参考資料 1 「歯科診療報酬におけるかかりつけ歯科医機能の評価等について、これも事務局は和田補佐からでよろしいでしょうか、説明をお願いできますか。

○和田歯科保健課長補佐 参考資料 1 について説明いたします。参考資料 1 は、表題のとおりですが、歯科診療報酬におけるかかりつけ歯科医機能についてです。今般の診療報酬改定で、保健局医療課で作成されたこれまでの中医協資料、あるいは改定説明会資料を抜粋したものですので、簡単に紹介いたします。なお、これまで議論されている内容と少し視点が異なるかもしれませんので、あらかじめ御承知置きいただければと思います。

 まず、スライド番号 3 4 ページを御覧ください。こちらの 2 つの資料ですが、昨年 11 月に中医協で配布された資料の抜粋です。スライド 3 の下の囲みに、かかりつけ歯科医機能の概念、あるいはかかりつけ歯科医の考え方について、それぞれ歯科医師の考える概念、あるいは一般の方が考える概念を整理しております。歯科医師の場合については、治療から予後までを担う包括性と、定期健診や患者情報の管理といった継続性、そして患者の声を聞き丁寧に説明するという対話性、更に専門性がバランスよく満たされているのが、かかりつけ歯科医と考えている方が多いという傾向でした。一方、一般の人々はといいますと、通いやすさ、あるいは時間、回数がかからないという利便性。また、話をよく聞いてくれて、説明もよくしてくれるという対話性に重きを置いているということで、歯科医師と一般の方々が考えるかかりつけ歯科医の像が明らかに違うということが推察されたものです。

 スライドの 4 番目ですが、こちらは東京都の調査で、かかりつけ歯科医を持っている方が 7 割ぐらいを占めているというものをお示ししたものです。

 続いて、スライド 5 以降ですが、こちらは今月報告された改定説明会の資料の抜粋です。スライド 6 は、本検討会でも何度か引用させていただいた資料を改変したものですが、人口動態、あるいは歯科疾患の罹患状況の改善などによって、従来求められていた歯科医療サービスが変わってきているというものを概念として示したものです。スライド 7 は、かかりつけ歯科医の効果を 2 つのデータで示しております。左のデータは、フォローアップの回数が多いほうが、新たなう蝕発生率のリスクが低くなることを示しているデータです。一方右側のデータですが、 3 年以上同じかかりつけ歯科医であれば、歯の本数が 20 本未満になるリスクが男性だと約 10 倍、女性だと約 7 倍ということが示されております。こうしたデータを基に、今般の診療報酬改定でかかりつけ歯科医の機能が評価されたところです。

 スライド 8 から 10 ですが、先ほど説明したデータを踏まえ、今般 4 月の診療報酬改定において、医療安全、あるいは高齢者の口腔機能管理に係る研修を受けた歯科医師の配置などの施設基準を満たしたかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において、う蝕などの歯科疾患の重症化予防を行った場合の評価が新設されたと聞いております。簡単ですが、参考資料 1 については、以上です。

○西原座長 一方で医科のかかりつけ医のお話を参考資料 4 という形で小森構成員がお出しいただいていますので、続けて御案内いただければと思います。

○小森構成員 かかりつけ医という概念について、日本医師会、あるいは医学会でどのような考え方の整理をしているかという説明を求められましたので、お話いたします。前もお示しいたしましたが、学部教育、 2 年間の臨床研修、専門研修は基本領域については 3 年から皮膚科の 5 年と、領域によって様々です。その後、専門医としてそれぞれの領域、基幹病院、あるいは地方の病院、診療所で、初期医療、救急高度医療を担い、またそこに総合診療専門医が一致するということです。総合診療医の専門性を認めるということは、当然ながらこの部分の学問体系をしっかり打ち立てていくということであり、単なる診療の領域を示しているということではありません。医科の場合には、そういった研修は一般的な場合個人差はありますが、そういったことを卒後 10 年、あるいは 15 年、人によっては 20 年程度行った上で、更に専門性を進化させていくというような方々と、中小病院、あるいは診療所の医師として専門性の能力を持ちつつ、広い総合診療能力を持っていくということで、正にそこにこそ、かかりつけ医としての医師の在り方であると。また、例えば大学の教授であっても、かかりつけ医機能、つまりどういった立場の方、ほとんど手術場で仕事をしておられる心臓外科の教授の方であっても、現在の地域医療包括システム等について学ぼうとする意欲を持たれ、様々な医師会が主催する退院カンファレンス、あるいはケアマネージャーの方々の現状を勉強し、患者の退院、あるいは相談にしっかり答えていただくという方は、各科専門医であってもかかりつけ医機能を有していると評価をしているわけであり、そういう意味では全ての医師はそれぞれの立場でかかりつけ医機能を持っていただきたいと。

 今回の専門医の仕組みに対する基本領域とサブスペシャリティー領域の整理をしておりますが、あくまで全ての医師はかかりつけ医として国民に寄り添うことが必要であると思っております。特に、超高齢化をを現実に迎えている我が国において、世界に発信する、そして国民の方々に安心していただくために、今は総合診療専門医を急速に養成するのではなく、かかりつけ医の機能を強くすることが重要であると思っております。そのことに対する研修制度を、 4 1 日から開始するということです。

 スライド 5 、研修内容は、基本研修、応用研修、実地研修としております。基本研修は、今、回覧をしております日本医師会生涯教育制度におけるカリキュラム行動、単位数 60 単位以上取得を頂いた方に認定書を発行しているわけですが、それを持っていた、つまり、総合的な診療能力並びに医の倫理、医療安全等について学んだという実績のあることを基本研修としており、それが最低の要件です。

 更に、現在高齢社会、そして地域における人口減少地区における対応、更には高齢の方を中心に様々な疾病を同時に持っていらっしゃる、また障害と闘っていらっしゃる方に対応するということで、応用研修を必須としております。「倫理」、「質・医療安全」「感染対策」、健康増進、あるいはフレイル予防、リハ等のことですが、このことについて 10 単位、 3 年間で 10 時間取っていただくということを必須としております。

 最後は、かかりつけ医機能については、社会的な機能が極めて重要な視点です。したがって、学校・園医・警察協力医、健康スポーツ医、感染症定点観察はもとより、一番大事なことの 1 つは、医師会が主催をしている早朝・休日・夜間・救急診療の出向、あるいは産業医といったことに参加をしない医師は退場いただくということでもあります。もちろん、退院カンファレンス、地域ケア会議、様々な職種との連携、あるいは市民を対象とした講座、これは公民館等を含むわけですが、そういったことについても積極的に参加をする行動を 2 項目していると。普通の医師は全員クリアできる。あるいは、大学の教授の方々であっても、地域医療に関心のある方はクリアできるという内容です。そういった 3 点を必須として、各都道府県医師会がかかりつけ医、例えば福岡県医師会認定かかりつけ医とすると。これを、今、手挙げですが、現実に既に行っている県が 2 県、そして 4 1 日から開始をすると回答いただいた都道府県医師会が 22 、検討する予定はないとの回答は 0 で、早晩 47 都道府県医師会が全て行うことになっていくだろうと思っております。そういった過程を踏まえて、日本医師会認定かかりつけ医も当然数年のうちに議論の俎上になってくるということです。

 私どもとしては、総合診療専門医、先ほどの図に、総合診療歯科医が、歯科領域の専門医の上、下とか、一般の歯科医の上、下ということではなくて、かかりつけ医機能というのはむしろ専門以上に、上位概念として置いているという整理をしておりますので、御参考になればということでお話をいたしました。

○西原座長 今、かかりつけ医の話を小森構成員から伺いました。歯科のほうでこの件について質問等はありますか。

○小林構成員 長期間議論された結果のすばらしい制度だと思います。内容について知識がないので質問なのですが、この参加率は、今後出てくるのですか。この制度にどれぐらいの医師が参加しているかという点は、全員参加ということなのでしょうか。

○小森構成員 現在、基本研修については 11 7,000 人が参加をしております。実地研修は、基本的には全ての開業医は行っているはずですが、私も石川県医師会長をしておりましたが、ごく希にそういった活動は自分のフィロソフィーとして行わないという医師が数名いらっしゃって、医師会の仕事はそういう方々を説得して、医師免許を持ったということと、そのことをすることは同義であるということをお話をすると。ごく希な例ですが、実地研修はほぼ行っておられると。そのことを、更に重点的に学ぶということは、 4 1 日から行うということです。

○西原座長 地域で歯科医開業地域活動をされている鴨志田先生、いかがですか。

○鴨志田構成員 私は違う角度で違うことを言うかもしれませんが、今回平成 28 年度の診療報酬改定で参考資料が出ています。実は、私は非常に驚いて、かかりつけ歯科医の機能を強化すると。これについて、経済誘導と言ってはいけないのでしょうが、結構な点数が付いて、我々一般の開業医としては、何とかこれを目指さなければいけないなという認識をしたのですね。かかりつけ医機能強化型の診療所という言い方で、厚労省は大きく舵を切って、これでいくのだと。これからはこのようにしてくれというようなお考えでこうなったと思うのですね。

 その中で、今回の議論の発端になった総合診療医、総合診療専門医とどのように絡めていくかと。もちろん、あんなにたくさん学会がありますから、ここで意見をまとめるのは非常に大変だと思いますし、全体の専門性についてお考えをたくさん頂いて、学会なりでそれこそオートノミーでやっていただくというのがあるのですが、今回は近視眼的に見ると、総合歯科専門医というものを新しいプラスワンでどうするかというところに少し絞ったほうが、実現しやすいような気がします。

 それから、小森先生のように、医師会のように 30 年もかけてやっていてすばらしいのですが、我々のほうがそんなにのんびりしていていいのだろうかと。超高齢社会に入っていますが、恐らくこれを見据えて、かかりつけ歯科医の機能強化というような話が出てきたのだと思うのですね。そういった意味で、先ほどのグラフにもありましたが、我々歯科のほうは一般歯科医がほとんどですから、この一般歯科医が国民の信頼に耐えるような制度設計をまずするというようなことが大事で、もちろん専門医全体をどうするかとか、教育をどうするかは日々検討してブラッシュアップするべきことですが、現在求められているのは多くの一般開業医が国民が求めているような総合歯科専門医というものを目指すような動機付け、目指すような方向を持ってもらうところを近視眼的に考えると、何かやったほうがいいのではないかという気がします。

○西原座長 伊東先生、いかがですか。

○伊東構成員 私も、最初はこの検討会に出席するときに、第三者機構や総合歯科診療専門医というような言葉を聞いて、そういうことが果たして実現するのか。あればいいけれども、すごいエネルギーがいるのではないかと、今、小森先生の 35 年も議論してきたというお話を聞くと、これは今の歯科会にそれだけの余力があるのかなということを心配しながら、ずっと聞いておりました。

 もう 1 つは、今、既に歯科界が持っている力があると思います。それは、日本歯科医師会が生涯研修などで取り上げている、これは非常にいいプログラムで、すごいエネルギーを日本歯科医師会としては入れていると思います。そういうものが、もう少しうまく利用できないかと。今までのような、ただ聞くだけで済ますというような研修ではなくて、もう少し能動的にきちんと評価を付けられるような研修会に模様を変えれば、それだけでもかなり大きな力があるだろうと思います。

 それから、もう 1 つは、日本歯科医学会が管轄している各学会の専門医制度も、これはピンキリですが、非常にいい制度の所もあります。今の若い先生たちは、卒後研修が終わったあとに、そういう専門医制度を持っている施設に興味を示すこともあります。それも、入門編と専門医の所とありますが、むしろ入門編の所を幾つも取ってみて、幾つもやってみて、幅広い力を蓄える。それが、一番患者に喜ばれる歯科医師像だと感じています。例えば、余り専門性が高じて、入れ歯はうまいけれども抜歯はできないという、変な歯科医が現在は起きていると思います。そういう意味では、今の若い人たちは敏感に感じて、今の高齢社会で入れ歯のことも分からなくてはいけない、先進医療のことも分からなくてはいけない、訪問診療も出来るようになりたい、外科的な素養も必要だということを感じていますので、専門学会は門戸を広げているということもあると思います。無い物ねだりではなくて、今歯科界にあるいいものをもっといかす方向で議論を進めていただきたいと思います。そのためには、今、座長がおっしゃったような協議の場で、今後の歯科医療の在り方の根本を探るというようなことに手を付けていただいて、それから下ろしていただきたいと思います。そういうことが、オートノミーになるのかなという気がいたします。

○今井構成員 小森先生、大変プリミティブな質問で申し訳ないですが、かかりつけ医と専門医性というのは別に考えていくという考えでよろしいのでしょうか。

○小森構成員 おっしゃるとおりです。

○西原座長 誠に恐縮なのですが、今、小森先生に御案内いただいたかかりつけ医の 1 枚目の所と、高田専門官が説明資料に使ったポンチ絵集の参考4の 1 と、和田補佐がかかりつけ医で使った 10 ページの部分を 3 つ並べながら見ていて、歯科医師の分布の特殊性はあるものの、やはり小森構成員に説明いただいた医師のキャリアパス像をグランドデザインとして歯科がどのような形にするか。いずれにしても、アウトカムの歯科医師を基軸にして語らないと語り得ないものなので、柳川先生、いかがでしょうか。御意見を頂けたらと思います。

○柳川構成員 まだ副会長になって 2 週間で大きなことは全く言えないのですが、ご指摘はご尤もですし、小森先生の日医のシステムが非常に参考になるだろうと思います。今の先生のご指摘とずれるかもしれませんが、和田補佐が説明された、かかりつけ歯科医機能強化型の資料の下に施設基準があります。これは、歯科医師に求められる機能がかなり網羅されているもので、実はもともと感染対策も含めた医療安全部分に外来環という要件がありました。もう 1 つは、在宅歯科医療を進めましょうということで、在宅歯科医療支援歯科診療所の施設基準があり、この二つが合わさったものなのですね。やはり、そう簡単な基準ではなくて、研修も医師会と同じだと思いますが、都道府県歯科医師会を中心にこれに叶う研修を熱心にやっているのが現状です。実際は、外来環のほうは確か全体の歯科診療所の 12 %ぐらい、それから在宅医療支援歯科診療所のほうは 9 %ぐらいでしょうか。したがって、まだ 1 割程度の歯科医療機関しか申請していないというか、クリアできないような状況で、更にこれを両方となりますと、かなり研修を受けていても、すぐに増えていくことはなかなか難しく、時間がかかるだろうと思います。

 ただ、意義があるのは、このように厚労省を通じて方向性が示されたことだと思います。今、先生もご指摘のとおり、例えば歯学教育や共用試験、あるいは国家試験、その後の臨床研修、更に歯科医師会がやっている卒後の生涯研修も、その一貫性と申しますか、方向性を明らかにやっていくということが極めて重要だと思いますので、その辺りは学会等とも連携協力しながら、また医師会のものを参考にしながら、資質向上のシステムとして作っていくことだろうと考えています。

○伊東構成員 歯科診療所、歯科界というのは、歴史的に1人院長制が長いこと続いています。そこに、昔からもちろん医療安全とか倫理とか感染の防御などはあったと思いますが、特に、高齢社会になってそういうことが非常に大事だと言われるようになりました。しかし、今の歯科界では、小規模であるがゆえに、そこが達成できないということがあるかと思うのです。ですから、少し規模を拡大するというか、余力を作る意味では、こういった外形基準といいますか、設置基準、あるいは人的基準というものを利用しながら、歯科界が1人院長制から少し進歩していくために、これをうまく利用すればいいのではないかと思います。

 非常にうまくいった例は、実は唇口蓋裂の子どもたちの矯正や手術が、更生医療の枠の中に入りました。そして、それは手術も矯正も保険でできると。そのためには、それなりの基準が必要ですよということでした。それまで唇口蓋裂の子どもの患者はかわいそうな状態でしたが、最近では矯正も保険が効く、手術も保険が効くと。あるいは、その後の補綴も、噛めるようにするのに保険が効くという一連の流れができて、福利につながったと思うのです。そういうことを考えますと、保険制度の中に位置づけることは非常に力があると思います。

○山口構成員 先ほど、施設基準を満たせる所が 1 割ぐらいしかないとお聞きして、そういうこと自体も患者には全然見えないなという気がいたします。私は、歯科というのは医科の専門医と少し分けて考えるべきではないかと思っています。これは合意できていることですが、そう考えている中で、総合歯科診療医というものも本当に必要なのかと最初は思っていたのですが、理想としては一般歯科医の方が今まで以上にしっかり研修を積んでいかれる。例えば、施設基準ももっと多くの方が取ることが本当は必要だと思うのですが、実際にそれが全体でできるかというと、やはり差が出てくるのが現状ではないかと思います。

 だとしたら、やはり一般歯科医の方の中で、具体的にこういう研修を積んでいるということが、例えば総合歯科診療医の方がそうなのだということを位置づけることができれば、患者から見たときにこういう研修を積んでいる歯科医の方なのだなという、選ぶ基準というか、信頼にもつながっていくのではないかという気がいたします。そういう意味では、総合診療歯科医という位置づけが 1 つあったほうがより分かりやすいのではないかという気がしました。

 小森構成員に質問なのですが、このかかりつけ医としての認定を 4 月から多くの所でということですが、具体的にこのドクターはかかりつけ医の認定を取った人ですよということが、一般の患者にどのように分かるシステムになっているのかと、どんなことを具体的にやってきたのかをどう知らせていらっしゃるのか、あるいはその予定なのかを御紹介いただければと思います。

○小森構成員  1 点目の質問に対しては、先ほど申し上げましたように、既に 2 県行っているわけですが、 22 県が参加をされるということです。これは、 3 年間の研修を終えたあとになりますから、早くても 3 年後からということになります。まずは、都道府県医師会認定かかりつけ医という称を与えます。それを、待合室等に掲額をしていただきます。それと、広告ということではなくて、自院のホームページに掲載をされてもいいものだろうと思います。それから、日本医師会の生涯教育、又は新しい専門医の認定更新に関わる共通コース、領域別講習については、 8 月に紹介したときに一部報告申し上げましたが、全国の都道府県医師会が現在 3 5,000 回に及ぶ講習会を行っております。もちろん、事務的な手続で小さな郡市区医師会は必ずしも入力できないという場面はあると思いますが、これを 1 つのシステムに全部登録をしていただき、 4 1 日から開始いたします。

 新しい専門医の仕組みについては、山口構成員も今、専門医に関わる検討会の委員をしていらっしゃって、初回が 25 日ということです。とはいえ、この仕組みそのものの理念には全員賛同しているわけで、地域医療の問題に対する強い懸念があったことから、どのような形にするのがもっともいい解決かという検討だろうと思っております。

 いずれにせよ、新しい仕組みにおいて医の倫理等について学ぶことについては、日本医師会としては、そのシステムには、例えば専門医の認定更新に関わる共通講習、領域別講習に関しては、これはメーカー、企業の共催は認めないことが大前提ですし、 COI そのほかもクリアにした上で、そのことを今の HPKI の技術で認証制度にのっとってそれをやることにいたします。したがって、大変恐縮ですが、歯科、医科にかかわらず、英文で書かれたサーティフィケーションがやっても、それが本当にどういう意味があるかは分かりませんが、そこで掲額をされるかかりつけ認定医制度のほかに、日本医師会の生涯教育制度に関しても、そこで掲額されるものについては、また専門医の認定更新に関わるものについては、都道府県医師会も認めていると。日本医師会もその研修会の資質と参加を保証していると。それから、各領域別ですと、各学会も認定をしています。領域別講習ですと、専門医機構も認定していると。四重の承認を得たものを、しかも認証局という組織の中で誤りがないということですので、それは掲額をしていただいたときに患者も今申し上げたように、都道府県医師会が承認をし、日本医師会も承認し、各学会が承認し、専門機構も承認をして、なおかつメーカーが共催していない講習会にこれだけ出席をされているという仕組みを、 4 1 日から稼働させます。

○西原座長 ありがとうございます。 1 つまとめの議論の前に、整理したいのが、コマーシャル、要は、雑誌等に載せられているリカレント教育と称する様々なセミナーの件について、少し私のほうで研究班を持ちまして、手元の資料で申し上げると、参考資料 2 をご覧ください。厚生労働科学研究費補助金の地域医療基盤開発推進研究事業で、 2 年間行ってきました。 1 ページを開けていただくと、要旨が書いてありますが、この事業では 2 点、検討してまいりました。

1 つは御承知のように、今年度、国家試験の制度改善の議論が行われることに先立ちまして、昨年度中に教養試験と、教養の成績、特に CBT を中心とした知識試験の成績と、国家試験の相関等を調べて、今期の会議に資するようなデータとして提出いたしました。

 その後半の部分が、この最後のパラグラフになってきますが、歯科医師のキャリアパスに沿った一連の生涯研究として、大学がそれぞれ講習会等にどれぐらい関与しているかということを調査、研究いたしました。

 結論を申し上げると、小森先生も発言の中にありましたが、やはり大学業務の忙しい中で、本日、東京歯科大学のパンフレットが回覧されたかと思いますが、同窓会とともにという取組がほとんどでして、ほぼどこの大学も何らかの形で同窓会と卒後研修を行っていると。それがシステマティックに議論を尽くして行われているのか、場当たりで行われているのかその評価は、この次のものになりますけれども、外形調査をする限りでは、行っているということです。ただし、それでもなお、民間の開催するセミナー等を受講しているということであれば、これは少し学会、専門医レベルでのセミナーの場合は、日本歯科医師学会が束ねている学会に呼び掛けるなどして、原因も含め調べていくことも必要なのかと思います。

 例えばですが、感染という観点から申し上げると、歯科医師の感染に対する意識の低さというのは、日頃、指摘されているところですし、インプラントの使用に関して問題が起きたときに、厚生労働省も研究班を立ち上げて、調査、研究をして、その結果やはり、感染に対する意識がまだまだ不足しているという結果でしたので、やはり卒後のセミナーというものも系統立って行っていかなければいけないということは確かではないかと思います。これは、日本歯科医学会として取り組んでいることだと思います。

 もう 1 つは、歯科医師会としては、卒後研修によりセミナーの質的な向上、あるいは質の担保あるいは開示性ということで、何らかの関わりを持たれていたのか、あるいはこれから今後、どうされるのかという御意見を頂いておかないと、まだ解決のまとめへの糸口がつかめておりませんそれぞれの組織からお答えいただけると助かるのですが、歯科医学会はいかがでしょうか。

○今井構成員 今、座長から連合としての立ち位置ということですが、連合が今回、法人化する一番大きな目的としては、医療事故調査制度への対応つまり医療安全対策ですので、当然この感染対策はその中に含まれます。

 もう 1 つは、この歯科の専門性の問題で、この 2 つの軸を大きく連合が対応していこうということになっています。

○西原座長 そうすると、対応して、対象となるのは一般歯科医師。

○今井構成員 これは学会の連合体ですので、あくまでも学会に加盟しているということになりますが、法人格を持ち、社会的な責任がありますので、日歯、あるいは従来の学会と連携しながら社会的な対策を練っていくというようなことになると思います。

○西原座長 そうすると、学門的なレベルで出てきた見解を、受け手と言いましょうか、歯科医師会としては委員会活動の中でこれも展開されていく。そのときに、巷に多くあるセミナー等をどのように捉えるかということについて、少し御意見を頂ければと思います。

○小林構成員 生涯研修の部分でどういうセミナーがあるか言いますと、先ほど表、参考の5ですが、一応、このような形でいろいろ行われていますが、その中の内容についてやはり精査して、ある程度評価、あるいは認定する基準を見直すという時期にきていると考えております。

 今、西原先生からいただいた参考資料 2 のアンケート調査の 2 ページで、問 1 、「歯科医師の生涯研修に関して、貴学が実施主体となって主催されている研修コース」をどれぐらいやっているかということで、一応、定期的にやっているが、 23 あると出ていますが、 6 ページの後ろの問 23 になると、既に専任の部署を設置しているというのは 8 校しかないということで、それ以外の所は専門の方がいない形で実施ししているということは、実を言うと、多分、歯科医師会とか、各都道府県歯科医師会、日本歯科医学会関係で御協力いただいている部分はあるかと思います。そういう部分ではクオリティを維持しているのですが、それ以外の研修については、維持できない部分もあるかと思いますので、その辺はやはり、これから考えていかなければいけないと思っております。

 このアンケート結果を拝見しても、大学との連携というものを歯科医師会がどの程度できるか分かりませんが、卒前、卒後教育というのはやはり 1 つの流れですので、その辺は協力関係を作っていきたいというようには考えています。

 また、歯科医学会のほうでやられている研修と、いわゆる各専門分科会、学会のやっている研修等と日本歯科医師会の生涯研修をうまくミックスした形というのも視野に入れて考えていきたいと考えています。平成 14 年、平成 15 年に日本歯科医師会の学術委員会で、生涯研修のグランドデザインを策定しました。この中で、生涯研修を実施するためには、研修コードを制定し、偏りなく広く学び研修すること、履修状態とその目標を設定しました。前回の委員会でも報告させていただきましたが、あのような内容で立ち上げた時期がありました。それがやはり昨今の高齢化社会に伴い、内容がうまく社会情勢と合っていない部分がみられますから、それを見直しながら生涯研修の部分を構築し直さなければいけない時期だと考えております。

○西原座長 ありがとうございます。

○南構成員 今日の議論の前の部分にも関わることですが、この生涯研修をどのぐらいの大学でやっているかということです。確かに医師も歯科医師もその養成機関である歯学部、医学部からしか養成されないと考えると、医育機関が生涯にわたる教育を責任を持ってしていただけるということは、非常に重要なことだとは思いますが、医療と医学、それから、歯科医療と歯科医学というのは、一如なものではありますけれども、片や教育、片や国民に提供する社会保障のサービスということでと、ちょっと色彩が違うわけです。大学、特に、歯科医療のことに関して申し上げれば、先ほど歯科医学会の先生からも御案内がありましたが、歯学教育は、国家試験の合格率も 9 割から 3 割と、大学ごとの格差が大きい現状なわけです。仮に 3 割の人しか歯科医師国家試験に合格できない大学に生涯教育というのを求めても、現実的にはちょっと違和感があるというか、それより前に優先的にきちんとやるべき学部教育があるのではないかという気が率直にしてしまうのですね。

 何を申し上げたいかと言うと、かかりつけ歯科医師機能の先ほどの和田補佐が説明してくださったことを見ても、歯科医師の方々が考えるかかりつけ歯科医師と、国民が考えるかかりつけ歯科医師が、イメージになっている、乖離しているということです。専門性のことを議論するより前に、議論のプラットフォームを少し整理しておかないと、余りに多様なことをまとめて議論している印象が拭えないわけです。私としては最初から座長もおっしゃっているように、歯科医師にとって、あり得るべきキャリアパスだとか、国民にとってあってほしい歯科医師の姿とかそういったものを、やはりきちんと論じて、この「あるべき論」をまず歯科内部の方々、歯科医学会とか歯科医師会とか、内部の方々できちんと議論を詰めていただき、早急にすべきことと、将来的にはもっとこうあるべきであろうという長期的にやるべきことを共有していただきたいと思います。その辺を整理しないと、なかなか出口に至らないのだと思います。国民的には良い歯科医療を提供していただきたいというのがありますが、その前提は医学教育、歯学教育でもあり、見えない部分ではありますけれども、一如につながっている部分ですので、何度か同じようなことを違う言葉で申し上げていますが、是非、当事者である歯科の先生方とくに教育現場の先生方に、まずはよく話し合って詰めていただきたいと思う次第です。

○西原座長 文部科学省からも見えていますけれども、調査研究協力者会議の議論は、あくまで国家試験の数字はともかくとして、やはり歯科医師として具備すべきものをまず掲げて語っていると思います。かなりここにきて数値目標も含めて厳しい状況下で我々は歯科医師を育てていて、さらに自分たちの大学がどういう学生を育てるのかと。いわゆるどこの大学においても、 3 つのポリシーと、教育研究目標、これを明確に出していかないと助成金も含めて考えましょうという時代に段々なりつつある中で、文部科学省の立場から、一言何か御意見を頂ければと思います。

○佐々木企画官 ( 文部科学省オブザーバー )

西原座長、発言の機会をくださり、ありがとうございます。文部科学省の佐々木です。今、御指摘いただいたとおり、 3 2 日に文部科学省で歯学教育の会議を開いて、年度中、今月中を目途にその報告書をまとめる予定です。この報告書も踏まえてということになりますが、 6 日後の来週の水曜日、 3 30 日にモデルコアカリキュラムの 6 年ぶりの改訂を目的とした検討会を開催します。この WG からも 4 名の方に委員として参画していただく予定です。来週立ち上げて、約 1 年、来年 3 月までぐらいを目途にモデルコアカリキュラム、つまり 29 の歯学部の共通の部分をまとめていただいて、その次の平成 29 年度の 1 年間で、それぞれの 29 学部での教育内容を見直していただくというのが、まず卒前教育での当面のスケジュールになります。

2 点申し上げたいと思います。 1 つは、先ほど 6 年ぶりにということを申し上げましたが、今の各歯学部のカリキュラムは、恐らく平成 24 年に作っていただいて、それに基づいて教育を行っていただいているわけですが、この間、平成 24 年で言うと、 8 月には「社会保障制度改革推進法」が民主党政権の頃にまとめられ、法律として成立しましたし、翌、平成 25 4 月には、本日の議論になっている「総合診療」をどう考えるか、それの関わりがありますけれども、平成 25 4 月には、医政局の医事課が事務局を務めたところで、専門医の仕組みを、本日の議論で小森先生が詳しく説明してくださった専門医の仕組みを作ろうというのが平成 25 4 月の合意です。

 つまり 30 年来の歴史がある中で、それをある程度整理しようというのが、平成 25 4 月、 3 年前の話であったわけですが、そこで初めて総合診療医が必要と言われた中で、それを総合診療専門医、 19 番目の領域として議論が始まったのが、ある意味で 3 年前ですので、医科も、確かに 30 年の歴史はあるけれども、今の議論というのが、僅か 3 年の間の議論ということになるのだろうと承知しております。

 翌、平成 26 6 月には、「医療介護総合確保推進法」、この中で、先ほどの話にもありましたが、医療安全についての新たな制度が設けられたり、また、国民の責務も設けられたりしているわけです。

 また、翌、平成 27 6 月には、政府全体の方針である、いわゆる「骨太の方針」の中で、ここで初めて政府全体の文書として「かかりつけ」という言葉が出てくるわけです。当然、本日の資料、歯科保健課の資料にもありましたとおり、かかりつけ医、かかりつけ歯科医という用語は、例えば、社会保障審議会医療部会では出ていたわけですが、政府全体の文章の中で「かかりつけ」という言葉が出たのが、昨年 6 月であると承知しております。その文章の中で、かかりつけの普及を目的として診療報酬で対応ということで、今回かかりつけ歯科医、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局という形で、一気に「かかりつけ」という言葉が、政府全体の方針として展開されているものと承知しております。

 こういったこの 5 年間、 6 年間の動きを踏まえての見直しになるわけですから、本日の議論もそうですし、関連する WG との議論というのも今度のモデルコアカリキュラムに反映させていくという、非常に激しい時代の流れの中での改訂になるものと考えています。これが、 1 点目です。ちょっと長くなって恐縮です。

2 点目は、モデルコアカリキュラム、歯学教育を考えたとき、これは医学教育も共通してのものなのですが、縦糸、横糸を今、考えなければならないのだろうということです。縦糸というのは、例えば、医学のほうで先々週、国会の参議院予算委員会での質問があったのですが、モデルコアカリキュラム、国家試験、初期臨床研修、専門医、生涯教育、これを一貫した、例えば、到達目標の整理とか、そういう一貫したものとしてモデルコアカリキュラムの見直し等をすべきではないかということの御指摘を頂きました。これは恐らく、正に今日の議論がそうでしたけれども、歯学部教育においても同じことが言えるのだろうと思います。つまり、そのライフスパンを見越した上での縦糸としてのモデルコアカリキュラムの位置づけ。

 横糸とは、チーム医療です。地域包括ケアシステムの構築に代表されるように、チーム医療、しかも、恐らくこれからは有資格者だけではなく、有資格者以外の方も含めた形での多職種連携が必要になるものと承知しております。こういった他の職種との関係、横糸を見越した上でのモデルコアカリキュラムの見直しをしないと、恐らく本日の議論の出口に、新しいモデルコアカリキュラムの歯学生たちが飛び込んでいくわけですから、それに対応できるような検討をしていこうということを、今日の直接のテーマではないのですが御紹介したいと思います。御発言の機会を頂き、ありがとうございました。○西原座長 今、文部科学省の、モデルコアカリキュラム改編作業のお話しがありました。一方で、医療系大学では、自分の出口、どのような歯科医師になるのかという、いわゆるアウトカムを基盤としたアウトカムベースの教育体系にいくつかの大学が変えようとしている。

 もう 1 つは、国家試験は普通に通る大学であるのならば、次に実践的な歯科医療人として専門医になるのだと、あるいは地域包括医療を目指すのだというような、形で、いくつかの選択肢を、これからの歯科医師に与えないと大学の生き抜き、勝ち抜きはないだろうという感じになっています。そうしたときに、現場の我々は、歯科医師会、歯科医学会とやはり語り合わなければならないということを、本日の議論ですごく感じたところです。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 最後に研修のことでもう一言です。先ほど合格率が 9 割から 3 割というお話がありましたが、 3 割というのも出願した人が全て受けているわけではないという現状を考えると、パーセントで一概に言えなくて、学年の中での割合になると、もっと少ないかということを感じております。そうすると、大学でいろいろな研修ができる大学と、そうではない大学という差が当然ながら生じますので、どこの大学を出たとしても、やはり一定の研修にしていかないと、ましてや、民間のセミナーということもかなり乱立しているようですけれども、民間のセミナーになってくると、また更にばらばらということもあると思います。

 資料 3 2 (2) の所にあるように、先ほど歯科の方向性についても、合議体で考えていく必要があるのではないかと申し上げましたが、この研修もやはり、できれば共同して、全国に拠点のある歯科医師会が中心になって、いろいろな大学や学会と進めながら、この研修は大学が得意とか、こういうことは学会の方にやってもらう必要があると整理していく。それぞれの得意分野をいかしながらの研修の在り方ということを是非考えていただきたい。そうすることで、一定の基準が作れてくるのではないかと思います。

○西原座長 今の発言は、 10 年目を迎えようとする研修医のシステムに係る部分になってくるかと思いますが、本日の専門性の会議とは少し外れますが、事務局のほうで、お答えいただけますか。

○鳥山歯科保健課長 御意見、御要請をありがとうございます。私からこの場で 2 点だけお答えさせていただきます。先ほど文部科学省の佐々木企画官から歯学教育モデルコアカリキュラムの改訂について御説明がありましたが、これは結果的に偶然ですが、来年度歯科医師国家試験の出題基準の改訂も行います。したがって、私どももちろんこの 2 つ、目的は異なりますが、非常に関連性が高いものでありますので、文部科学省と十分な連携を図っていきたいと思っております。

 それと、歯科医師の臨床研修については、今、座長から御説明がありましたとおり、まる 10 年になりました。しかしながら、当初の関係者の熱気がかなり冷めて、逆にその問題となるような事例も少なからず御報告いただいておりますので、どういった方策が良いのか、もちろん私ども歯科医師の臨床研修については別途、審議会で随時御議論もいただいておりますが、関係者の御意見を頂きながら、より良いものにしていただくよう多方面から御意見を頂きたいと思っております。

 それと、一番幅広に卒前の教育から臨床研修、更にその後の生涯研修にわたる私どもの資料ですと、正に将来にわたるキャリアパスを示すものですが、これをかねてから私どもいろいろな報告書などで、厚生労働省と文部科学省で連携してということは活字としてはお示しをしておりますが、なかなか行政指導では難しい面もあります。かといって、歯科医師会を中心に御検討いただくのか、大学の先生方を中心に御検討いただくのか、やや正直、責任の所在が不明確なところがありますので、この場で私の口から即答させていただくことは困難ですが、行政としても問題意識としては、強く持っておりますということだけお答えをさせていただきます。

○今井構成員 これはお願いと申し上げたほうがいいと思いますが、その研修の場に先ほど山口委員から歯科医師会、大変貴重な御意見を頂きましたが、もう 1 点ですね、やはり病院歯科の充実というものを深く検討していただきたい。

 この場で申し上げていいか分かりませんが、歯科の診療報酬は大変低いですので、不採算部門ということで病院歯科がどんどん閉鎖されています。そういうようなことで中核病院として医科のほうも見ますと、基幹病院が研修機関としてかなり活用されておりますので、是非、中核病院の中の歯科を、 1 つの二次医療機関のみならず、教育、研修の、教育用の場として活用できるようなことも今後、検討していただければと思っております。お願いです。よろしくお願いいたします。

○西原座長 それは、私が取りまとめる立場ではないのですが、いわゆる制度疲労を少し起こしつつあるということは否めないかと思いますので、その制度疲労の改善策の 1 つとしては考える価値のあるものだと思われます。

 ちょっと時間を超過したのは、枝葉が最後広がり過ぎて、私の不手際です。お許しいただきまして、この次の会議では、まとめの段階に入ることをお伝えして、本日の会議を終わらさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

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