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2016年12月14日 第5回「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成28年12月14日(水) 17:15~17:50


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

秋池氏、安藤氏、大内氏、大田氏、古賀氏、小峰座長、冨山氏、村木氏、森田氏、山川氏、横田氏

○議題

報告書案について

○議事

○小峰座長 ただいまから第5回働き方に関する政策決定プロセス有識者会議を開会いたします。本日は大臣にも後半に御出席いただけるということです。皆様におかれましてはお忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 それでは早速ですが、議事に入ります。議題は「報告書案について」です。この報告書(案)は、これまで4回の会議での皆様の御意見を踏まえ、取りまとめたものです。事前に全てのメンバーの方にご覧いただいて、その際にいただいた御意見を踏まえて修正を行ったものです。この後、事務局から確認的に説明した後、メンバーの皆様からは総括的な御発言等があれば頂戴したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の報告書(案)について、事務局から説明をお願いします。
○森川労働政策担当参事官 資料の報告書(案)をご覧ください。
 1の会議の趣旨・経緯については、規制改革実施計画に関することと、自由民主党の勉強会からの提言について書いております。
 2の現状ですが、まず「(1)政策決定プロセスの概要」です。こちらは働き方に関する政策を決定する際の一般的な法律制定・改正のプロセスを1~5で示しております。
 次に2ページの「(2)労政審の現状」です。1の労政審の基本的な組織ですが、労政審には7つの分科会があり、分科会、部会の議決が本審の議決とされているということ。2の委員構成ですが、労政審は労働政策審議会令により公労使の三者構成となっており、分科会、部会も労使同数となっているということ。3の議論の内容ですが、労政審は厚生労働省設置法に基づき厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議することとされており、働き方に関する法律の制定・改正を行う場合は、そのほとんどが労働政策に関する重要事項に該当するとして労政審で議論を行っているということです。
 3ページの3は、働き方に関する政策決定プロセスの課題です。
 「(1)議論する政策課題と議論の場」では、分科会・部会を横断するような課題については議論されにくい環境にあるということ、中長期的な課題についての議論が不足しているということ。
 「(2)データやエビデンスに基づく議論」においては、それが必ずしも十分とは言い難いということ、「(3)議論のスピード」においては、政策決定プロセス全体の中では、国会において継続審議になっている期間等を除けば、どこか特定の部分で時間がかかっているようなことはみられないが、その一方で、そもそもの課題設定のタイミングが遅く、労政審の俎上に載せるまでに時間を要する場合もあると考えられるということ。
 4ページの「(4)多様な意見の反映」においては、現状の労政審の委員構成をみると、年齢別では50代・60代が全体の約4分の3を占めており、勤務地別では東京都が9割弱、労使の委員を代表産業別でみると、製造業が半分弱と実際の雇用者割合に比べて非常に高くなっているということ。特に新規成長分野の企業や非正規雇用労働者などは既存の労使団体に所属していない場合が多く、委員に選出されにくくなっているということを記載しています。
 4は3の課題を踏まえた改革案です。
 「(1)議論する政策課題と議論の場」においては、現場を熟知した労使が法律の制定・改正等の議論に参画することは、当事者である労使の合意形成が図られることなどから、実効性のある法制度となり、遵守もされるという意義があるということ。このことから、以下の事項については公労使同数の三者構成による現行の分科会・部会で議論することが適切であるということで、1として我が国が批准しているILO条約で要請されている事項、2として中央レベルの労使交渉的側面がある職場の労働条件など労使を直接縛るルールに関する法律等の制定・改正を明示しております。
 しかし、働き方やそれに伴う課題が多様化する中、旧来の労使の枠組に当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよいと考えられるということで、これらの基本的な課題については、新たな部会「労働政策基本部会」(仮称)を本審の下に設置し議論する。この基本部会は、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成するものとし、課題に応じて高い識見を有する者を選任する。この中には、企業や労働者の実情を熟知した者も含める。委員は個人の識見に基づき自由闊達な議論を行うものとし、また、そのような方を選任する。基本部会においては、委員からの課題の提起を受けて議論を始めることもあり得るということを記載しています。
 また、ほとんどすべての法律の制定・改正を労政審で議論するということは、我が国が批准しているILO条約で要請されているものを除くと法制度の実効性を確保する等の観点から慣行的に行われているものであるので、他の会議等から提言された課題については、課題の性質や議論の状況等を勘案しつつ、慣行を見直し、柔軟な対応を行うとしています。
 「(2)データやエビデンスに基づく議論」については、各委員がデータに基づく問題提起やエビデンスの提示等を行い、議論をすることが望まれる。また、事務局も可能な限りデータやエビデンスを収集・整理し、これを提供すべきということ。
 「(3)議論のスピード」については、労政審での議論のみでなく、課題設定から法案設立までのトータルのスピードを速めるように労働政策の決定プロセスを運用していくということ。
 「(4)多様な意見の反映」においては、分科会・部会及び本審の労使の委員の選任に当たっては、産業構造、就業構造等にできる限り配慮するということ。分科会、部会においては、課題によって、多様な意見、利害を反映させるため、労使団体の代表以外の臨時委員あるいは専門委員を臨時的に任命する。そうした委員の任命で反映しきれない部分については、ヒアリング等を活用する。あわせて、多様な意見、利害を反映させる観点から、情報通信技術の発展に応じてテレビ会議等に関する機器を整備しつつ、地方人材の登用を促進する。また、必要に応じて地方視察やホームページ等を通じた国民からの意見募集も積極的に活用するということを記載しています。
 最後に「(5)改革のスケジュール」です。こうした改革に伴う労政審の組織に関する規定の見直しや、委員の選任については、労政審委員の次期改選期である来年4月を踏まえて行うということです。
 以上でございます。
○小峰座長 それでは、何か御発言があればお願いいたします。
○大田氏 規制改革推進会議の提言を受けて、このような報告書をまとめていただきまして、ありがとうございます。
 現実の働き方というのはかなり多様化していますが、制度の改革がそれに追い付いておらず、声なき声が政策の場に届かないという状態が長く続いてきましたので、今回の報告書の内容を歓迎しています。特に、労政審を通さなければ法改正や新規立法ができないというのは慣行にすぎないということ、それから、公労使同数を規定しているのは日本が批准しているILO条約34のうち2つにすぎないという事実を、この会議で確認して共有できたのはよかったと思います。
 問題は、この報告書が実効性を持ち、政策決定プロセスが本当に変わっていくのかどうかということです。若干懸念されるのは、報告書4ページの改革案の(1)の「以下の事項については、公労使同数の三者構成による現行の分科会・部会で議論することが適切である」というところです。1はクリアですけれども、2の「労使を直接縛るルールに関する法律等の制定・改正」という部分が拡大適用されないかと懸念しております。
 厚労省におかれては、労働政策を預かる官庁であるという責任を持って、政策決定プロセスをこの機会にしっかり変えていただきたい。くれぐれもお願いいたします。規制改革推進会議としても、この報告書の趣旨が生かされているかどうかというのは、フォローアップしていくこととしたいと思います。
 以上です。
○小峰座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○古賀氏 まず、様々な意見が交錯する中、議論をリードしていただいた小峰座長と、報告書案をまとめていただいた事務局の御労苦に感謝申し上げます。
 報告書案は、これまでの議論を踏まえて一定の方向性としてまとめられていると感じており、今後はこの報告書に沿ってしっかりと改革を進めていくことが重要だと思います。
 その上で何点か所見を申し上げます。一つは、今回の特徴の一つは、労政審本審の下に有識者で構成される労働政策基本部会を設けるということにあります。働き方に関する中長期的、あるいは横断的な課題について、多様な有識者がコンセンサスを得つつ、スピーディーに、ダイナミックに議論していくことが必要だと思います。
 また、有識者会議の議論の中には、労政審本審が形骸化しているのではないかという指摘も多くあったと記憶しています。労政審本審とこの基本部会とが連携を図りつつ、本審の議論も活性化させていくことも、是非よろしくお願いします。
 加えて、各分科会や部会の連携、横串も是非、運用の中で解決すべき課題としてテイクノートしていただければ有り難いと思います。
 最後に、繰り返し言ってきましたけれども、私は今でも、これからも、雇用・労働政策の策定と決定に当たっては、労使が現場の実態を踏まえて議論を尽くし、合意形成を図るというプロセスが非常に大事だと思っています。そのプロセスを経てこそ、実効性ある制度となり、職場で遵守される。この視点を決して忘れてはならない。この点を付け加えておきます。さらに、労政審以外の場で労働政策を含む多様な課題を議論する場合は、その場に労働者の代表がきちんと入って議論することも非常に重要であるということも付け加え、意見といたします。
 以上でございます。
○小峰座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○大内氏 私もこの報告書案を見まして、期待とともに不安もあります。これはどうやって運用されていくかというのは、今後注視していく必要があると思います。
 今、古賀委員がおっしゃった基本部会の話ですが、私も今回の報告書では、基本部会の位置付けが非常に重要ではないかと思っております。基本部会という名前は使いませんでしたが、そういう趣旨のことをこれまでも発言してきました。5ページの3行目に「個人の識見に基づき自由闊達な議論を行う」とありますが、これは非常に重要です。その上の行では、「企業や労働者の実情を熟知した者も含める」ということで、労使の経験者を排除するということではないのですけれども、あくまでも高い見地から、広い見地と言った方がいいのか、「高い識見を有する」という言葉が1行目に使われていますが、個人が責任を持ち、雇用政策、労働政策の在り方を中長期的な展望も踏まえて議論する場をこれによって作ることが本当にできるとすれば、それはすばらしいことだろうと思います。
 と同時に、労政審の本審の方も、基本的にはこういう考え方を踏まえながら、委員の選任をしていただけるのだろうと期待をしているところです。今のところも不安は全くないわけではありません。どのような委員の方が今後選ばれていくのかということは、我々は注視していかなければならないと思っております。
 5ページの(4)多様な意見の反映ですが、ここについては比例代表的なものではいけないのではないかということをしつこく申し上げてきました。そのことはこれによって完全に排除されているのですかね。それなら安心いたしますけれども。
 それから、委員の任命で反映しきれない部分についてはヒアリング等を活用するということで、そういう意思決定の機関にいろいろな利害がたくさん出てくると、かえって迅速な決定にマイナスになる可能性もあります。ただ、多様な意見を聞くということは重要なので、ヒアリング等の活用でうまく運用していっていただければと思う次第です。
 以上です。
○小峰座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○秋池氏 事務局の皆様、取りまとめをどうもありがとうございました。今回、労働政策について新たなプロセスができたということは、多様な働き方を含めて、働き方が大きく変ってきているこの時代に、とても重要なことだと感じております。基本部会に参加する人が「有識者」とされ、これは、労働の状況をよく知る人、あるいは経営の状況をよく知る人、あるいは学識がある人が、有識者として議論するということであり、この点がとても大事だと考えております。
 もう一点は、労政審、新たな部会のどちらでどの課題が議論されるかということも非常に重要だと思っておりまして、これは今後も継続的にモニタリングというか、フォローアップされていく必要があると思っております。
○小峰座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○山川氏 よくバランスを取ってまとめられていると思います。基本部会の設置についても、非常によいアイデアだと思います。
 今後の運用に関する課題ですが、課題を設定して、議論して、それを法の立案や制定に生かすというプロセスをどうするかという点は、まだあまりはっきりしていないのではないか。これまでのように他律的にこのようになっているからやらざるを得ないということですと割と楽かもしれませんけれども、今度はある意味で自律性が高まるというか、課題を発見して議論し、そして具体的な法律の立案というプロセスの自律性ができてくるので、その課題を議論した結果、では法律をこのように作っていく議論をしましょうというプロセスを今後どうするかは運用の中でいろいろ考えていただきたいと思います。
 以上です。
○小峰座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○村木氏 自分がこの行政にいたときに特に感じていた課題として、新しい課題が出てきたときに、やはり審議会にのせるというのは非常にパワーがいる。要するに審議会の議題にするということ自体が非常に大きな意味を持つので、そこで第一戦が終わるという意味で、この機動性というところは非常に難しかった。それを何とか、もっと熟度が低いものをどんどん議論する仕組みが欲しいと思っておりました。
 一方で、実際に制度を入れるとなると、制度を入れたら具体的に何が起こるのかとか、本当に適用ができるのかというところは、現場を知っている労使と本当に、時々、泣きそうになりながらしつこく議論するというのがやはり大事だということも、自分の経験では実感しました。その両方に配慮した案を作っていただいたと思っております。
 あとは、このレポートの主旨が生きるような運用をしていただきたいということがお願いです。
 以上です。
 (塩崎厚生労働大臣入室)
○小峰座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○冨山氏 私もこの報告書の中身は大変すばらしいものと思っており、このような形でまとめていただいて有り難く思っております。
 今の村木先生とちょっとかぶるかもしれませんが、私もやはりこの運用のところが大事だと思っていて、そこには2つの視点が大事だと思います。要は、賃金なり労働条件なりが健全に良くなっていかなければいけないというのが基本にあるのだと思いますが、その中には分配論的な議論と成長論的な議論があるのだと思います。特に基本部会で考えていかなければいけないのは、分配論はある意味では他のところでやっていると言えばやっているので、やはり成長論としてどうやって賃金を持続的に上昇させて、かついろいろな働く人の人生を豊かにできるかという議論だと思っていて、それは結局のところ突き詰めて言ってしまうと労働生産性を持続的に高めるということなのです。要は時間分の付加価値ですから、これを高めていくということは、時間を減らすか、付加価値を増やすということになるので、その視点がひょっとすると今まで弱かったかもしれない。でも、これからの時代、日本はとにかく人口、生産、労働時間が減っていってしまう国ですから、それはマクロ的な経済成長という観点からも、一人ひとりの幸福という観点からもすごく大事な問題だと思っていて、基本部会でそういった視点の議論ができたらすばらしいと思っているのが一つです。
 もう一つは、全然話が飛んでしまいますが、今、「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが大ヒットしています。火曜日の夜10時から、TBSで久々の大ヒットなのですが、何が言いたいかというと、ここに出てくる人たちというのは、実は今のいろいろな働き方を象徴している登場人物なのです。それで昨日の回で、ガッキーがやっている主役の女の子が「この契約だと私の最低賃金下回ってる」と叫ぶシーンがあるのです。契約結婚みたいな形で家事手伝いをやるという設定なのですが、段々そのうち恋愛関係になってしまってという話で、そういう人もいるし、星野源がやっている主役の男の子は、システム会社に勤めている36歳の独身で、これはかなりブラックな働き方をしている。それから、ガッキーは四大かつ院卒なのですが、就職がうまくできなくて、それでずっとバイトをやっていて、でも家事が得意なので、契約結婚というか、泊まり込み家事手伝いのような仕事を星野源の家でやっている。あとは、アラウンドフィフティーのキャリアウーマンの役を石田ゆり子がやっていて、これはまたこれでいろいろな苦悩を抱えている。あとはガッキーの友達が離婚して実家に帰って家で八百屋をやっていて、これはこれでまた一つの人生がある。大ヒットしている要因というのは、先ほどのような多様な働き方、生き方をしている人を、サラリーマンからマイルドヤンキー層まで上手に包摂していることで、いろいろな人のあるある感をつかんでいるからだと思うのです。
 要は、社会の最先端、先ほど大田先生も言われましたが、これは今後もどんどん変わっていくのだと思います。で、今が多分最も変わる加速がついている時期で、それこそAIが出てきたりとかいろいろな流れの中で、この先5年、10年で劇的に変わっていってしまう。ということは、かなりビビッドに、先ほど村木さんが言われたように、この基本部会で動きというか何というか、練れていなくて構わないので、始まりはブレスト的な議論でも構わないと思うのですが、そういったことを柔軟に議論できる場にしてもらえると、「逃げ恥」のドラマがヒットするペースと同じぐらいの感じで、世の中を追い掛けていけるような気がします。そのような基本部会にしてもらえるとうれしく思います。
 以上です。
○小峰座長 ありがとうございます。まだまだ面白い話がいろいろ出そうですけれども、そろそろまとめに入らせていただきます。
 今、いろいろ御意見をいただいたことは、運営に関することが非常に多かったと思います。これは事務局で委員の皆様の御意見をしっかり受け止めて、しっかり対応していただきたいと思います。
 それでは、報告書についてはこの内容で決定させていただくということでよろしいでしょうか。
 (異議なし)
○小峰座長 ありがとうございます。
 それでは、ここで大臣から御発言いただきたいと思います。
○塩崎厚生労働大臣 厚生労働大臣の塩崎恭久でございます。今日は第5回目の働き方に関する政策決定プロセス有識者会議ということで、大変活発な御意見を頂戴して、もっと早くから来ていればよかったと今思ったところでございます。
 7月から小峰座長の下でこの検討会を重ねていただいて、今日こうして報告書が取りまとめられたということで、まず心からこれまでの御努力と御苦労に感謝を申し上げます。
 8月に「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書も出ましたが、働き方改革はこれから3年間の最大のチャレンジだと安倍総理が言うぐらい極めて大事な問題として、課題の議論が深められつつあるわけです。
 今の話にも少しありましたが、多様な働き方をする方がたくさん出てこられているということで、多様な働き方を生かしていくことが個人個人にとっても、そしてまた社会にとっても、もちろん経済にとってもいいという考え方が広まりつつある。一方で、科学技術の進歩によって、今までのいろいろな形での制約が、時間的にも、空間的にも取り払われていくという中で、個人個人の選択肢も拡がり、可能性がまた拡がっていく。
 いろいろなことがあって働き方が多様化していくということであれば、その働き方に関する政策の決め方もいろいろ多様化していかなければならないのではないか。こういう発想で皆様方に議論を始めてもらいたいと思ったのが一つです。
 もう一つは、今日、大田弘子先生がおいでですが、規制改革推進会議からも、まずその実施計画の中で問題提起がなされておりました。与党の自民党からも労政審の在り方について問題提起もありました。今の労政審の委員構成の在り方とか、選び方とかそういうようなことについて、様々論点を頂戴してまいりました。
 特に今回、報告書では今申し上げたような問題点、特に基本的な課題については、従来の三者構成、衆参の厚生労働委員会で三者構成というのを、大臣になって一番最初に「三者構成で物事を決めるということをお前知っているか」と、このようにきつく言われましたが、その三者構成ではなく、今回は有識者の委員からなる新しい基本部会というものを設けることを御提案いただきました。経済政策や産業政策とリンクした政策、あるいは先ほど申し上げたようなAIなどの技術革新の変化の中で、労働政策がどのようになっていくべきなのかということについて、自由な立場での議論もやれるということを御提案いただいたと思っているわけで、言ってみれば、新しい労働政策の作り方というものを御提案いただいたと思います。また、他の会議等から提言された課題について、課題の性質とか、議論の状況を勘案しながら柔軟な対応を行うとの改革案を取りまとめていただきました。言ってみれば、労働政策の決定プロセスに新機軸を打ち出していただいたと思います。
 正直言って、労政審改革というのを正面から、厚生労働省でこのような形で議論するのも初めてのことでした。特に、連合の会長を務めていただいた古賀さんにも御参加いただき、議論していただいたわけです。そういう意味で、今回このような改革を実行するようにという提案をいただいた限りは、厚生労働省としても、これを良い意味で働く人のために、そして社会全体のためにも良いものとして生かして、政策提案や政策決定に使わせていただければ有り難いと思っております。
 ただ、せっかく良い提案をいただいても、これが実行されないというのでは困るので、システムとして新しい時代には新しい時代にふさわしい政策決定がなされるということがきちんと担保されるように、皆様方に引き続き、厚生労働省の中、特に労政審において、良い意味で新しい労働政策が良い形で出てくるようになっているかどうかということを、5回にわたる議論の中で積み上げられたものが生かされているかどうかを、是非チェックしていただきたいと、このように思っているわけです。是非、皆様方に定期的に点検、評価をしていただくようなフォローアップをいただければ有り難いと思っております。
 国会でもこの三者構成の問題については時々触れられますけれども、これからの労働政策の作り方や、その中身が国会でも取り上げられると思いますので、そういった国民的な議論に耐え得るような政策が作られるように、皆様方には引き続きフォローアップ等御指導をお願い申し上げます。
 重ねて、小峰座長をはじめ、皆様方のこれまでの御労苦に感謝を申し上げ、引き続いての御指導を賜りますようお願いを申し上げて、御挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○小峰座長 大臣、どうもありがとうございました。
 皆様の御協力で、無事に報告書を取りまとめることができました。誠にありがとうございます。
 以上をもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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