ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会> 第6回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会議事録(2016年11月16日)




2016年11月30日 第6回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会議事録

○日時

平成28年11月30日(水)13:00~15:00


○場所

全国都市会館 (3階第1会議室)


○議題

1.ビッグデータの活用における保険者・審査支払機関の対応体制の在り方について 
2.支払基金の組織・体制の在り方について
3.その他

○議事

○西村座長 定刻になりましたので、ただいまから第6回「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を開催いたします。

 お忙しい中、ありがとうございます。

 きょうは、佐藤構成員から御欠席の連絡をいただいております。あとは皆さん御出席でございます。

 きょうは参考人を何人かお呼びしてございます。

 まず、健康保険組合連合会の白川副会長です。

○白川副会長 白川です。

○西村座長 次に、全国健康保険協会から小林理事長です。

○小林理事長 小林でございます。よろしくお願いします。

○西村座長 あわせて稼農部長です。

○稼農部長 よろしくお願いします。

○西村座長 国民健康保険中央会から原理事長です。

○原理事長 よろしくお願いします。

○西村座長 また、八戸市から工藤健康部長にお見えいただいております。

○工藤八戸市健康部長 工藤でございます。よろしくお願いいたします。

○西村座長 社会保険診療報酬支払基金から伊藤理事長の出席をいただいております。

○伊藤理事長 よろしくお願いします。

○西村座長 ここからはカメラの撮影は御遠慮ください。

 きょうの議題でございますが、一つは「ビッグデータ活用における保険者・審査支払機関の対応体制の在り方について」、もう一つが「支払基金の組織・体制の在り方について」「その他」としております。

 議事については、こういうやり方でいきたいと思います。

 前回、御指摘がありました保険者機能とは何か。

 「ビッグデータの活用における保険者・審査支払機関の対応体制の在り方について」議論をいただきたいと思いますので、まず保険者の現状の取り組みについて、参考人として出席いただいております健保連、協会けんぽ、国保中央会の順番でプレゼンをお願いしております。

 プレゼン終了後、お三方のお話を伺った後、まとめて皆さんの御質問、御意見を伺いたいと思います。

 これを一区切りとして、次に「支払基金の組織・体制の在り方について」を用意してございまして、事務局から支払基金の組織体制等に関する資料の説明をお願いしております。これについて引き続き皆さんの御議論を賜りたいと思っております。

 その後でございますが、前回の有識者検討会で御了承いただきましたもので、私から米国の医療と医療費の地域差など保険者との関係等について簡単に御説明をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本日用意しております資料について事務局から確認してください。よろしくお願いします。

○保険課長 保険課長でございます。

 本日の資料でございますけれども、まず資料1-1につきましては健康保険組合連合会から作成いただいた資料でございます。

 資料1-2は、協会けんぽ作成の資料でございます。

 資料1-3は、国保中央会作成の資料でございます。

 資料2は「審査業務において支払基金以外の者を保険者が活用することについて」です。事務局の作成した資料でございます。

 資料3は「支払基金の組織体制等について」です。これも事務局の作成した資料でございます。

 資料4は「医療・医療費の地域差要因の分析手法と今後のヘルスデータ収集について-アメリカの経験を踏まえて-」、西村座長の提出資料でございます。

 そのほかに参考資料1として「これまでの意見の整理」

 参考資料2として「健康・医療WGにおける審査業務体制等に係る主な御発言概要(抜粋)」です。

 資料は以上でございます。御確認いただきたいと思います。

○西村座長 ただいまから議事に入ります。

 最初の議題が「ビッグデータの活用における保険者・審査支払機関の対応体制の在り方について」でございます。

 ビッグデータ活用ワーキンググループで御議論いただきまして、ビッグデータの有用性あるいは保険者機能強化及び地域包括ケア推進の観点などを踏まえたビッグデータの活用方策について御議論いただきました。基盤となるデータの連結、レセプトデータの評価についてさまざまな御意見があったと記憶しております。

 ここでは、そういったビッグデータを活用していくために今後保険者としてどういった取り組みが考えられるか、あるいはどのような人材や組織体制が必要か、また審査支払機関はそういった保険者の取り組みに対してどのような役割を果たすことができるかなどという観点から議論を深めてまいりたいと思います。

 さらに前回の御議論の中で、保険者機能という一つのキーワードでございますが、保険者機能とは何かという御指摘がございまして、その点の説明を踏まえて、まず保険者の皆さんから保険者の現状の取り組みなどについてプレゼンをいただき、その上で今申したようなことについて議論を賜りたいと思います。

 順番に最初は健保連から白川さんにお願いしたいと思います、よろしくお願いします。

○白川副会長 御紹介いただきました健保連の白川です。

 お手元に資料の1-1を御用意いただければと思います。

 有識者検討会で御指示を受けましたので資料を作成しましたけれども、中身は2部構成になっていまして、ローマ数字の1は、現在、健保組合、健保連でどのようにデータを活用しているかを御紹介させていただく部分です。

 2つ目は、保険者機能という御指摘を前回受けましたので「ビッグデータを活用した保険者機能の強化に向けて」ということで方向性等をまとめさせていただいています。

 1ページ、2ページ目です。

 現在1ページ目の枠囲みの中ですけれども、健保組合では平成25年度に国からの助成金を受けまして、レセプト管理・分析システムを、1,400の健保組合がありますけれども、全て導入して平成26年度から本格稼働をしています。

 健保連は、健保組合の支援のために全組合を対象とした健診・医療費データに基づく医療費分析全体集計データベースを構築していまして、3つ目の●ですけれども、その分析結果を各健保組合に提供する形です。

 対象となるレセプトデータは1年間で3.2億枚です。特定健診もやっていますので、こちらが860万件です。

 2ページ目に、ポンチ絵で恐縮ですが、ちょっと説明させていただきますと、左半分が健保組合です。健保組合では支払基金から電子化されたレセプトを頂戴し、独自にやっています特定健診・保健指導の、これはXMLのデータですが、これをレセプト管理・分析システムで合体させまして、下にありますいろいろな分析を行う。分析の内容につきましては、簡単に後ほど御説明します。

 一方、右半分ですが、これは健保連の本部の形です。上に「組合集計値のアップロード」と書いてますけれども、健保組合側から集計値だけ頂戴し、それを処理して、矢印の下ですけれども各種の集計を行っている。定期的に公表している分もありますが、多くは「全体集計値のダウンロード」と書いていますけれども、健保組合に集計結果を送付する形です。

 3ページ目をごらんいただければと思います。現行のシステムの特徴点をまとめています。

 基準仕様は全組合共通ですので、同一の分析機能を実現していること。

 特定健診とレセプトデータを突合できる仕組みになっていること。

 3つ目は、かなり小規模の組合もありますので、簡便性を重視し、グラフとか図表の作図が自動的に行えるシステムになっています。

 4つ目ですけれども、汎用性です。大規模組合等においては独自の機能追加ができるカスタマイズが可能という形になっています。

 5つ目ですが、組合全体集計データを活用し、業態・形態・規模別に比較分析が可能な形です。

 最後の●ですけれども、健保連本部では個票、個人情報は受け取っていません。集計結果だけという形にしています。これは個人情報漏洩防止の関係です。

 4ページ目です。どんな分析をやっているのかをまとめたものです。

 左半分は医療費集計データ、右半分は特定健診のデータです。個々に御説明は避けますけれども、これ以外を含めて数十項目の分析を毎月行っているということです。

 なお、定期的に公表をしていると申しましたけれども、大体10項目ぐらいの件については報道機関等に公表させていただいています。具体的な中身につきましては、5~8ページです。これは事例ですけれども、健保組合における分析事例を5~6ページで2件お示ししています。

 5ページ目は、生活習慣病医療費の経年変化ですけれども、これは自動的に下のグラフを作成する仕組みです。

 6ページ目ですが、糖尿病判定の健診項目「HbA1c」の値から対象集団の分布状況を可視化するものでして、当然、重症化予防などの個人への介入を行うことも必要ですので、個人の履歴なども閲覧することが可能な仕組みになっています。

 7~8ページ目です。健保連における集計値です。

 7ページ目、枠で囲んだ部分ですけれども、【平成26年度「悪性新生物(がん)の動向に関する調査分析」】です。疾病19分類別の医療費の割合、1人当たり医療費、これ以外にも男女別とか年代別等の集計もあります。これは26年度分のレセプトデータをもとにとりまとめたものです。

 8ページ目は【平成27年度「後発医薬品の使用状況に関する調査分析」】です。小さい字で大変恐縮ですが、グラフで青い部分が先発品、赤いところが後発品、緑が後発品に置きかえ可能なのですけれども、まだ受け入れられていないもの、金額的にはこれぐらいになりますという帯グラフになっています。

 以上、第1部の健保組合でのデータ活用の現状です。

 スタートして2年半ほどしかたっていないこともありまして、まだまだ不十分ということは考えていますけれども、さらに充実していきたいと考えています。

 9ページ以降が保険者機能です。

 保険者機能の中でもビッグデータを活用した保険者機能あるいは支払基金さんとの関係で保険者機能ということにテーマを絞らせていただいています。

 この後(1)~(4)まで少し詳しく御説明をさせていただきたいと思っています。

 最初に10ページ目ですが、「(1)健診・医療費データと介護データの活用による保健事業」というテーマです。つくりとしては、【現状】【課題】、今後健保組合、健保連がどういう方向を望んでいるか、向いているかをまとめさせていただく体裁でまとめています。

 まず、この件に関する【現状】です。健保組合では保険者機能強化の観点から既に健診・医療費データを活用してエビデンスに基づくデータヘルス計画、これは昨年度からデータヘルス計画を3年計画ということで進められています。

 【課題】ですけれども、健保連による医療費分析はレセプト情報の集計データに基づく分析です。個票そのものを対象にしていませんので、検査・薬剤等の個々の診療行為に及ぶ詳細な分析は今のところかなり困難という状況です。

 【方向性】を3点書いています。

 1つ目はむしろ要望という形でありまして、将来的には健診・医療費データだけではなくて介護のデータも連結させ、経年データから個々人の健康状態や罹患状況、要介護状況を追えるようデータを蓄積していかなければいけないと感じています。

 2つ目は、健保連としてはこの経年データを活用して現時点の疾病予防や重症化予防等の保健事業が将来の医療費や介護費用にどのような影響を及ぼすかなど、保健事業の効果と手法について分析を行っていきたい。

 簡単に申しますと、現在、血糖値がこれぐらいの方は何年後ぐらいにはこれぐらいのリスクがあるとか、何年たったら人工透析のリスクがこれぐらいあるとか、そういった形のデータのまとめ方ができないか。また、それに対応した形の保健指導を行いたい。こういうことです。

 3つ目でございますが、支払基金に対しては各種データの活用に基づくデータヘルス計画が効果的かつ持続可能となるよう「データヘルス・ポータルサイト」の運営等の医療保険者に対する総合的な支援機能を期待したいという記載をさせていただいています。

 2つ目のテーマは(2)健保組合のレセプト二次点検です。

 まず、【二次点検の現状】です。健保組合は二次点検を行っており、二次点検で疑義レセプトが生じた場合は、支払基金に再審査を請求することになっており、それが1年間で240万件ほどあります。このうち、25%について我々の請求が認められたという状況でありまして、減額査定額は18.5億円という実績です。

 【課題】ですが、健保組合が支払基金の審査に払っている費用は166億円ほどです。一方、減額査定額は、支払基金の一次審査で91億円、健保組合の二次点検で18.5億円ですから、110億円程度です。もちろん、医療機関に対する牽制効果はありますが、金額だけでいうとこういう現状です。

 2つ目は、診療報酬の取り扱いが不明確な部分と医学的判断が入る余地がある部分が二次点検を実施する場合に大きな障害になっている点です。

 3つ目は医学的判断が支部ごとに異なるケースが多々あることから、支部間差異が生じており、再審査請求で請求が認められない時にその理由を記載する仕組みになっていますが、裁定理由が医学的判断の場合は詳しく記載されていないことから健保組合側の納得が十分に得られていないという問題があります。

 4つ目は、支払基金による一次審査は、電子点数表による定型的なコンピュータチェックは公開されていますが、それ以外のコンピュータチェックは審査基準が公開されていないという問題があります。そのため、コンピュータチェックを外注業者に委託している健保組合もありますが、コンピュータチェックの重複という非効率性が発生していると思われます。健保組合では全てのレセプトをコンピュータチェックで二次点検しているわけではなく、紙レセプトで二次点検しているところもあるのが現状です。

 【方向性】ですが、支払基金の審査の充実強化を図り、二次点検の負荷を減じていくべきと考えています。支払基金のコンピュータチェックの審査基準を、全部かどうかはわかりませんが、一部公開して二次点検の役割分担を明確にした方が効率的であると考えています。

12ページは、今申し上げたことを表の形にしたものですので、説明は割愛します。

13ページ目ですが、3つ目のテーマは(3)医療提供体制への意見・提言です。

 これは、保険者機能の中でも非常に重要な機能と認識していますが、現状は地域医療構想調整会議等に参画していろいろな意見を述べるということです。患者側が適切な医療機関を選択するための必要な情報の公開は、現在は限定的という状況です。

 課題ですが、個別保険者のデータのみの分析結果ではなかなか説得力のある意見、提言を行うことが困難ということ、地域において患者が病状等に応じてどのような医療機関を受診すればよいかを保険者としてなかなかアドバイスできないのが現状です。

 方向性ですが、まず、医療提供体制はどちらかというとこれまで医療提供者側と行政が中心に体制の構築をしてきました、今後は、保険者としても患者、住民の立場から意見、提言を強めていく必要があると考えており、そのためにはビッグデータの活用が必須と考えています。

 保険者としては患者が求めている医療提供体制に関る情報を分析し、受診時における適切な医療機関を推奨していく取り組みを進めたいと考えています。残念ながら今はそういう体制にない状況です。

14ページ目は参考ですので、省略します。

15ページ目は、4つ目の問題意識です。

 「(4)診療報酬改定・医療費適正化に資するレセプト分析・提言の実施」です。

 何度も申し上げているとおり、健保連では個票は原則受け取らないことになっていますが、それではなかなか政策提言できないので、診療報酬改定や医療費適正化に資する政策提言のためにシステムの集計データとは別に一部の健保組合からレセプトデータ、個票を収集しています。件数は、約6,000万件です。

 これをもとにいろいろな政策提言を行っていますが、課題としては、国保や協会けんぽなど、他の保険者のデータがないので、国民全体のデータによる分析ができない状態です。また、健保組合の加入者は大都市に多いとか年齢層も若いという問題がありますので、データが偏在しているのが現状です。

 方向性ですが、国保連と支払基金のデータを連結したビッグデータが構築されれば保険者として政策提言等に活用していきたいと考えています。

16ページは、6,000万枚のレセプト個票の分析の結果、中医協等で御提案し、実績として採用された項目、湿布薬、ビタミン剤、短期滞在手術基本料3が実績としてあるという御紹介です。

 最後のページですが、これは厚生労働省がまとめた報告書で、保険者機能とは何かという定義と考えています。1~6までありますが、われわれとしてこれから力を入れないといけないと考えていますのはマル6でして、医療の質や効率性向上のための医療提供側への働きかけ、診療報酬の交渉等もここに含まれています。今後、ここに力点を置いた活動をしていきたいと考えています。

 私からの報告は以上です。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 引き続き資料1-2で協会けんぽさんからの御説明をお願いしたいと思います。小林理事長、よろしくお願いします。

○小林理事長 全国健康保険協会の小林でございます。

 本日は、協会けんぽの「保険者機能の発揮とデータ活用について」の取り組みを御説明する機会をいただき、まことにありがとうございます。

 早速ですが、配付させていただいた資料1-2に基づいて説明させていただきたいと思います。

 資料の1ページをご覧いただけたらと思います。「全国健康保険協会(協会けんぽ)の設立の背景・趣旨」でございます。

 まず、協会けんぽの設立の背景についてですが、それまで国において厚生年金と一元的に運用してきた政府管掌健康保険については現金給付等の現業的な業務が中心であり、保険者機能が不十分、全国一本の保険運営で都道府県ごとの実情が十分反映されていない、保険料の負担者である加入者、事業主の関与が弱いといった課題があり、平成18年の医療制度改革の際に抜本的な見直しが行われました。

 その結果、協会けんぽについては加入者の健康づくりや医療政策への意見発信といった保険者機能を発揮するための組織として設立されるとともに、都道府県単位の保険料率や加入者・事業主の意見に基づく運営を行うこととされました。

 このように協会けんぽは平成2010月に設立されたわけでありますが、設立の経緯において保険者機能の発揮といった機能が強く求められている組織であると考えております。

 次に資料の2ページは「協会けんぽの規模」でございます。

 ただいま説明したような経緯で設立された協会けんぽは、現状では加入者数は3,759万人、国民の3.4人に1人が加入する一方、その加入者は中小・小規模企業で働く方が多く、全部で約192万事業所がありますが、加入事業所の全体の約8割が従業員9人以下という特徴があります。このため加入者・事業主とのつながりが弱く、健康保険委員の委嘱やメルマガなどの広報によって連携を図っておりますが、加入事業所が多いことからも一定の限界があります。また、各種データの活用においては対象母数が少ないことにより個人が特定されることのないよう個人情報の保護といった観点からも十分な配慮が必要となっております。

 次に資料の3ページをごらんいただきたいと思います。

 「協会けんぽの保険財政の傾向」についてです。協会けんぽの近年の保険財政の傾向を見ますと、黒の実線で示されている医療費の伸びが点線で示されている賃金の伸びを上回るといった赤字構造となっております。このため必要な医療給付は確実に行いつつも医療費の適正化に向けた取り組みを行っていくことも喫緊の課題であると考えております。

 次に、資料の4ページをご覧下さい。「協会の保険者としての活動範囲の拡大」についてです。

 医療保険者は、医療給付の審査・支払業務、レセプト再点検といった従来からの業務に加え、医療費の適正化を目的に、加入者に対する健康づくりや健診・保健指導、地域の医療提供体制に対する地域医療への意見発信などを行うなど新たな業務に注力することとなり、その活動範囲は拡大しております。

 続いて資料の5ページですが、先ほど申し上げましたとおり医療費の適正化を進めていくための取り組みについては、協会けんぽにおいて保険者機能強化アクションプランという3カ年のプランを作成してPDCAサイクルを回しながら実施しております。その際、資料の中でも赤い枠線で囲んでおりますが、戦略的な保険者の機能というべきもの、言い換えれば加入者の資格管理や現金給付の審査などの基盤的な機能をベースとして、その上に成り立つプラスアルファの機能である、保健事業等を通じた加入者の健康増進や医療提供体制への働きかけを特に重視して取り組みを進めております。

 この保険者機能強化アクションプラン等を踏まえ、協会けんぽの各種データ活用については6ページにお示ししております「データヘルス計画」がその中心になっております。データヘルス計画においては、エビデンスに基づいた保健事業を実施するため、データに基づいた現状把握をベースに施策を重点的に講ずべき対象の抽出や健康・医療情報の見える化に取り組んでおります。

 また、データヘルス計画の進捗確認や展開を行うため、協会けんぽ本部において外部有識者を含めたデータヘルス推進会議を開催しております。データヘルス計画の具体的な内容としては、詳細は後ほど御説明いたしますが、特定健診・特定保健指導の推進、コラボヘルスと呼ばれる事業主等の健康づくり意識の醸成を目指した取り組み、重症化予防対策の3つの柱に基づいた取り組みを進めております。

 7ページ以降は、それぞれの柱ごとの具体的な内容を記載しております。

 まず7ページでは「特定健診・特定保健指導の推進」です。これらの取り組み結果に係るデータを分析した結果、協会けんぽでは事業所規模が小さくなるほど健診受診率が低くなることがわかっており、小規模事業所へのきめ細かなアプローチを実施しております。そのほか健診受診データとレセプトデータを組み合わせることにより要治療者であるにもかかわらず医療機関を受診していない方が把握可能となり、後ほど御紹介しますが、そうした方には受診勧奨を積極的に行っております。

 続いて資料の8ページの「事業主等の健康づくり意識の醸成を目指した取り組み(コラボヘルス)」についてです。

 加入者の健康増進を考える上では事業主に自社で働く方の健康状態に関心を持ってもらい、従業員とともに健康で生産性が高まるような体制を構築していくことが重要です。このため、協会けんぽでは、例えばヘルスケア通信簿といったICTを活用したツールを利用し、事業所ごとにそこで働く方の健康状態や健診結果のリスクなどについて同業他社との比較も含めて見える化をしております。

 このようなツールを活用することにより、事業主は自社の従業員の健康度をより客観的に把握することが可能となり、例えば健診受診率の向上などどのような点に力点を置くべきかなども見えてくるようになります。

 最後の3つ目の柱は、資料の9ページの「重症化予防対策」です。

 この分野については、健診データとレセプトデータを活用し、血圧値や血糖値で要治療と判定されながら医療機関を受診していない者に対しての受診勧奨を都道府県に置かれております47全支部で実施しております。今後、現在一部の支部で行っております糖尿病の重症化予防の事業として透析に移行する手前の加入者をデータで抽出し、受診勧奨を行う取り組みを、全支部に拡大して実施していく予定としております。

 次に資料の1012の「ジェネリック医薬品軽減額通知サービス(概要)」をご覧下さい。

 協会の各種データを活用した取り組みとしてデータヘルス計画のほかに、例えばジェネリック医薬品の使用促進が挙げられます。協会では、レセプトデータの分析により先発医薬品をジェネリック医薬品に変更した場合の自己負担の軽減額を通知するサービスを平成21年度から全国展開して協会全体で実施しております。

 資料の11ページにありますように、これまで合計約1,316万人に通知を送付し、約347万人がジェネリック医薬品に切りかえていただいております。また、累計の年間軽減効果額はコストが約32.3億円に対して約603億円になっております。

 続いて資料の12ページになりますが、これらの取り組みの結果、協会けんぽのジェネリック医薬品の使用割合は国全体と比較して約4ポイント上回っており、直近の平成28年7月時点では67.5%となっております。

 以上が協会けんぽにおけるデータ活用の状況となります。

 なお、今後更なる戦略的保険者機能の発揮に向けては、協会けんぽだけではなく、先ほど白川副会長からもお話がありましたように、他の医療保険者における情報も連結し、例えばジェネリック医薬品の使用割合に係る都道府県格差の要因分析など、医療保険全体で同様の傾向を示している課題などを分析していくべきだと考えております。

 加えて、個人単位で医療と介護をシームレスに提供していくためには、医療データと介護データの連結も不可欠だと思いますので、診療報酬支払基金におかれましては、そのためのデータ仕様の標準化やビッグデータの活用に向けたデータの質の向上に努めていただきたいと考えております。

 私からの御説明は以上です。どうもありがとうございました。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 3番目に国保中央会の原理事長から資料1-3に基づいて説明をお願いします。

○原理事長 資料1-3に基づきまして「保険者機能の強化に向けた国保連合会・国保中央会の取組みについて」、まず私から御説明させていただきます。

 1ページ目でございます。御案内のとおり国保連は、国民健康保険の保険者が共同で事務を行うために法律に基づいてつくられた公法人でございます。保険者である市町村等の意向は国保連の会員として総会あるいは理事会を通じて実現されるという仕組みでございます。

 役割でございますが、審査支払業務が中心になるわけでございますけれども、これに加えまして、先ほどのような性格の法人でございますので、国保保険者が行うべき事務の共同処理もやっております。

 3つ目の○でございます。事務の共同処理をやるためには国保中央会が標準システムを開発しているということでございまして、その経費は、国の補助金もございますけれども、基本は国保連を通じて市町村や国保組合の保険者が負担している形になっております。大変、国保財政が厳しい状況でございますので、ICTを活用した審査業務の効率化等々を行いながら手数料単価の抑制に努めているところでございます。

 2ページ目は、先ほど申し上げました連合会の業務を4つの制度ごとにどういうものが具体的にあるかを整理した表でございます。

 例えば、国保の保険者事務の共同事務の欄を見ていただきますと、代表的なものとしては資格確認や高額療養費の支給額計算、医療費通知についての保険者事務、共同電算処理を行っております。また、第三者行為損害賠償求償事務あるいはレセプト点検の支援もございます。

 3ページ目は「保険者機能の強化に向けた国保連合会・国保中央会の今後の取組方針」でございます。大きく3点あろうかと思っております。

 1点目は「審査支払業務の効率化の推進」です。

 審査支払業務の確実かつ効率的な実施は重要な保険者機能の一つであると考えており、実際、国保連の主要な業務でございます。したがいまして、今後の方針といたしましては、有識者検討会からの提言も踏まえながら、コンピュータによる事前チェックの拡充をはじめとするICTの活用や審査基準の統一化、透明化の推進に支払基金とも共同しながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 2点目がビッグデータのさらなる活用でございます。連合会・中央会におきましては、保険者等の委託により保管している各種データを利活用し、国保データベース、KDBシステムと呼んでおりますけれども、こういったものや健診等データを管理するシステムを構築いたしまして、データヘルス計画の策定支援あるいは糖尿病性腎症の重症化予防と被保険者の健康管理や医療費適正化に寄与する取り組みを実施しております。

 下の4ページにKDBシステムの状況の絵を描いてあります。このシステムの特徴は、健診、医療に加えまして介護の各種データを利活用して被保険者の資格情報とも結びつけた上で保険者に対していろいろなデータヘルス等の情報提供をしているところでございます。

 ちょっとごらんいただきますと、具体的にはベン図にありますように、全体で蓄積データ件数が約354,000万件ございます。マル1の円の全体で35億件です。これに基づいて統計情報をつくって、それぞれ保険者が政策立案をする際に提供する。

 マル2にありますように個人が特定できる情報でございますので、具体的な特定健診あるいは特定保健指導に活用する。

 マル3にありますように、先般の熊本地震でもそうでございますけれども、災害時にかかりつけ医以外に患者さんが医療機関を受診したときにその方の既往歴とかいろいろな情報がかかりつけ医以外の医師にも提供できるようにこのシステムを活用して情報提供をしているということもやっております。

 マル4に介護と医療の給付情報がひもづけられますので、例えば訪問リハのような両方に請求があるものは重複請求をチェックできるといった給付の適正化の支援をやっております。

 また、高額医療の高額介護合算療養費のように高齢者御自身では自分が該当しているのかどうかなかなかわからないものについて、ここで仮計算して申請を勧奨してあげることによって被保険者のサービスの向上につながっていると考えております。

 3ページに戻って「今後の取組方針」でございます。

 マル1でございますが、地域保険である国保の強みを生かしまして国保連が保有するデータと被用者保険のデータとの連携を実現させ、地域住民の生涯を通じた健康・疾病管理の実施を目指すとともに、地域包括ケアシステム構築に向けた市町村の取り組みを支援していきたいと考えております。

 また、現在は当該市町村の了解があれば、当該市町村の被保険者の範囲内で個人情報をマスキングした上で情報提供することが可能でありますが、個人情報保護の問題もございましてなかなか利用が広がっておりません。私どもとしてはデータを保有する保険者の理解と協力を得ながら研究機関等がデータを利用しやすくして新たな治療法の開発など医療の質の向上や住民の健康の確保にも寄与していくといったことにも取り組んでいきたいと考えております。

 最後が、その他の保険者機能の発揮でございまして、先ほどいいました事務の共同処理をさらに推進していきたい。特に当面は平成30年4月に国保財政運営の都道府県単位化がございますので、そこに向けまして国保情報集約システム等の開発をはじめ、保険者の事務の共同処理を推進していきたい、確実に処理をしていきたいと考えております。

 また、国保連は保険者協議会の事務局を務めておりますので、そういう立場から医療計画や医療費適正化計画の策定・変更に際しましていろいろなデータ提供や意見提出といったことを行うことによって貢献していきたいと考えているところでございます。

KDBシステムにつきましては、時間の関係できょうは御説明は控えますけれども、6ページ目以降に参考資料という形でさらに詳しい資料をつけております。その概要とどういう場合にこれを活用しているのかの活用例をつけておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。

 私どもは保険者の共同事業体ということでございますが、保険者そのものではございませんので、きょうは青森県八戸市の工藤健康部長にお越しいただいて、国保保険者という立場からこの後少し御意見を述べさせていただきたいと思います。

○工藤八戸市健康部長 青森県八戸市健康部長の工藤と申します。

 本日は発言の機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。国保の保険者ということで私から発言させていただきたいと思います。

 まず保険者機能でございますけれども、国保の保険者である市町村におきましては、被保険者が病気やけがをした際の費用を救済する際の保険給付はもちろんでございますが、そのほかにいつでもどこでも安心して質の高い医療が得られるよう地域の医療の確保に努めるとともに、予防活動を中心とした健康づくりを推進していくことであると認識してございます。保険者としては、これらの機能を十分発揮することが重要でございますが、御承知のとおり国保につきましては高齢者、無職者の加入割合が高い、しかも低所得者が多いといった構造的な問題を抱えてございますので、厳しい財政運営の中で少ない職員によりまして、機能を果たしていかなければならないということで大変苦慮している状況でございます。

 こういった中、市町村が共同して目的達成のために設立した団体である国保連合会さんにおきましては、主たる業務である診療報酬の審査支払業務のほかに保険者事務の共同処理業務を通じまして保険者機能の充実強化といった部分に貢献しているところでございます。特に平成30年度から実施される予定でございますが、国保の財政運営の都道府県への移行につきましては、さらに必要不可欠な存在であると認識してございます。

 また保険者機能の充実強化に向けて重要な要素では、国保連合会さんのことになりますけれども、審査の効率化、保健事業への支援の充実が重要であると考えてございます。これも国保連さんの話にはなりますけれども、国保連合会への昨今の補助金の減額あるいは加入者の減少などによる収入減、こういった部分に伴いまして国保の審査支払手数料の単価の引き上げが避けられない状況ではございますけれども、限られた人員の中でより質の高い審査を維持していかなければならないと伺ってございます。

 ということで、国保連合会さんにおきましては、なお一層ICTを活用した審査業務の効率化、こういった部分を推進することが重要と考えてございますし、私どもとしても期待しているところでございます。

 さらに当市の状況でございますけれども、先ほど理事長からお話がございましたKDBのデータを使いまして、データヘルス計画を作って事業を推進しているところでございますけれども、御存じのとおり、このデータにつきましては偏りがある。当市も同様でございますけれども、高齢者、無職者、こういった部分の割合が高い状況でございまして、市民全体の健康の把握ということでは十分ではないという状況でございます。

 仮にこのデータに他の保険者のデータも取り込むことが可能となれば、市全体の状況が把握できるということで、より有効なデータヘルス計画を作成することができますし、市の健康づくりの全体計画である健康増進計画、こういった部分の立案、評価にも活用できると認識してございます。

 そういうこともございまして、市としては市民全てを対象とした健康づくりに努めていくことが必要でございますので、国保の加入者だけではなくて他の保険者のデータも含めた全住民の生涯を通じた健康、疾病情報、こういった部分が例えば国保連合会さんにおいて一元的に把握できる、そういった部分の仕組みができればと考えているところでございます。

 以上でございます。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 ちょっと時間が押しておりますので、お三方への御質問を含めて、ビッグデータの活用における保険者・審査支払機関の対応体制の在り方についてという議題で御審議をお願いしたいと思います。

 どうぞお手を挙げてください。では、尾形構成員から。

○尾形構成員 ありがとうございます。きょうは保険者機能なので個別論の前に総括的なコメントをさせていただきたいのですが、保険者機能をどう捉えるかという一つの頭の整理ですが、大きく事前と事後と分けて考えることができるのではないかと思います。事前事後は診療が行われる前か後かという意味で、事後に当たるのが従来ここで議論してきたレセプトの審査支払とか二次点検といった話だろうと思います。

 もう一つ重要なのは事前の話で、先ほどのプレゼンテーションの中でもあったように最近は事前のウエートが大きくなってきていると思います。例えば健保連に御用意いただいた資料1-1で見ると、一つはヘルス事業、保健事業です。これは10ページの話だろうと思います。

 2番目の医療提供体制の関与で1314ページです。最後にそもそも診療報酬の決定そのものにどう関与するかという、これは中医協の支払い側としての機能で、1516ページに書いてあります。保険者機能といったときに一体どこの部分をいっているのかという頭の整理が必要なのかなと思います。レセプトデータあるいは健診データの活用は、事前、事後いずれにもかかわるものですけれども、それぞれの用途あるいはニーズが異なるので、それぞれに応じた適切なデータの活用あるいは分析が求められるのではないかと思います。

 以上です。

○西村座長 ありがとうございました。

 こちらの山本構成員。

○山本(雄)構成員 ありがとうございます。

 幾つもプレゼンテーションを聞かせていただいたのですが、私からのコメントとしては、保険者さんがそもそも持っているKPIといいますか、何をもって成果指標としているのかがいまいちわからなかったというのがコメントです。保険者機能の強化といった場合に、評価指標だとか測定する指標がないと改善か何だがそもそもわからないはずですので、そもそも保険者として何が成果とみなされるのか、その指標は何なのかが一つ疑問だったのがございます。

 もう一つ、資料1-1の一番最後のページに書いてある6つの「保険者の果たすべき機能」がありますけれども、簡単にいってしまうと、保険料、集めたお金をどう使うのですかというガバナンスの話と、もう一つは加入者の健康をどう管理を含めて扱っていくかという健康管理ガバナンスの2ついいたいのかと受けとめました。

 前者に対して、どんなお金の使い方をするのだという点で医療提供体制や診療報酬に対して何かを申し上げる。これは普通の発想でいいかと思うのですが、もう一つの健康管理側に関してちょっとわからなかったことがあります。

 そもそも保険者がどのぐらいそこに関与できる権限ないしは責任を負っているのかというところで、これは現場で保険者さんと個別に話していると、踏み込んで健康に関する介入をしたいのだけれども、どこまでやっていいのかよくわからない、どの責任あるいは権限のもとにやっていいのかよくわからないといわれます。そもそもそこの強化がないと、仮にデータでいろいろなことが出てきても担当者がこうなっているのだと納得しておしまいというのでは意味がないものですから、アクションできる環境整備で足りないものは何なのかというのはお伺いしたいです。

 それに関連する2つ目の質問の関連なのですけれども、途中の記載で、多分、資料の1-1だったと思うのですが、レセプトの審査は医療職がいなくて難しい。二次審査のほうですかね。だけれども、一方で保健事業の立ち上げだとか効果測定はやるのだと書いてあって、審査は、医者はいないけど保健事業は医療職がいなくてもできるという書き方に私なんかは読めて、ちょっと矛盾しているのではないかと思いました。外部に委託しているから片方はできるけれども、もう片方はそうでないとか、何か理由があるのかないのか。その2つないしはプラスアルファで3つがコメントと質問です。

○西村座長 どうぞ

○白川副会長 御質問に正確なお答えかどうかは別にして、まずKPI、成果指標は何かという御質問ですが、健保連全体としての成果指標は持っていません。ただ、個々の健保組合は、それぞれ毎年予算を組み、事業計画を作成しますので、その時点で、例えば、後発医薬品の促進による使用割合を何%にするかという目標を設定し、それを成果目標にする。これは一つの例ですが、健保組合でそれを目指していろいろな工夫をして目標を設定している。

 特に2番目の御質問とも関係するかと思いますが、健保組合だけでやれることは非常に限定されており、どうしても事業主側の協力を仰がなければいけない事業がたくさんありますので、事業主側ともすり合わせをしてKPIを決めていく。健保組合は、そういうビジネス的な手法については慣れている部分もあるということだと思います。

 2つ目の健康管理でどこまで保険者が関与できるのかという話ですが、仰るとおり非常に微妙な問題です。例えば、健診でがんがわかった時に、事業主にそれを告知していいのかどうかという問題もあります。多分、それは御本人の了解が得られればいいとなるのでしょう。

 それから、特定保健指導で生活習慣病の数値が悪い場合は保健指導に介入できる。これは法律的に認められていますので、保険者としては全面的に関り合いができる。ただ、医師でないと判断できない、例えば腎症糖尿病のような話はできるのかというと、保健師さんがいるところは一定程度できると思いますが、いないところはできないので、現状、非常に微妙なラインがあることは確かです。

 最初の御質問と若干絡みますけれども、例えば第1期がスタートしたばかりのデータヘルス計画の作成について、アウトプットは非常に簡単です。特定健診の実施率を何%にしましょうというのは簡単なのですが、アウトカムをどうするかが非常に難しくて、そのことによって病人の数をこれだけ減らすのだ、医療費をこれだけ減らすのだ、というところまで、現状、なかなか実績が出ていない。それと同じように、保健指導を実施したらどれぐらい医療費に影響を与えるのだというデータがまだそろっていないので、どこまで介入したら良いか、どれだけ投資したら良いかで、まだ迷いがあるのが現状かと思います。

○山本(雄)構成員 それは数字が出たとて、「ビッグデータを活用した保険者機能の強化に向けて」と9ページに書いてあるところに保健事業をよりやりやすくするためにこういう機能の強化が必要なのだという記載が余りなくて、どちらかというとレセプト点検あるいは診療報酬改定を含む医療提供側への意見というのが前面に出ている。そうすると、ここで強化したいといっている話と目指すところが合致していないのではないかという印象があるのです。

○白川副会長 少し資料が足りないかもしれませんが、私どもとしてはビッグデータを活用した保険者機能に限定して資料を作成しましたので、今、御指摘の部分が抜けていることはその通りだと思います。

 少し話が戻りますが、3つ目か4つ目の御質問で、レセプトの審査は医学的判断が入るけれども保健事業の測定はできるかという御質問がありましたが、レセプトの二次点検でわれわれは医師がチェックする必要はないと考えています。ここで言っていますのは、医学的判断が入り、個々のお医者さんと患者さんの関係で判断を下されているものですから、われわれとしては非常に複雑になってよくわからない。そこに介入していけるかというと、それは逆にやってはいけない話だと思っています。そのために個々のお医者さんで判断が違うので支部間格差が生まれるのが現状であり、ここはどうにかしていかなければいけないという問題提起です。

 保健事業の測定は、先ほど申し上げたとおり、アウトカムを今どうしようかという議論を進めている最中であり、その時に例えば重症化予防等について医師の判断が必要かどうか、それがアウトカムに絡むとか絡まないとかということがあるかもしれませんが、現在は個々の事業についてアウトプットとアウトカムを定義づけしていこうと。それを全健保共通の指標にしていこうという動きで、残念ながらまだ固まっていない状況です。

○西村座長 どうもありがとうございました。

○白川副会長 済みません。ちょっと十分ではないかもしれません。

○山本(雄)構成員 いえいえ。とんでもないです。ありがとうございました。

○西村座長 補足はございますか。

○稼農部長 協会けんぽでございます。指標の関係だけ述べさせていただきます。

 私どもの資料1-2の5ページをお開きください。先ほどアクションプランという3年計画をつくってやっているという説明をしましたが、これは昨年度つくったものでございまして、これを回していくに当たって、外部有識者の運営委員会等でもPDCAをどう回していくのかという議論がありまして、これについては各アウトプットの指標とアウトカム指標を御議論いただきまして、目指すべき指標あるいはとるべき指標項目を定めております。実際に指標をどう盛り込んで、それをどう結果に反映するかは難しいところでございますが、そういった取り組みをしているところでございます。

○西村座長 何か具体的な例がございますか。

○稼農部長 例えばアウトカム指標でいいますと、例えばメタボリック関係でいいますとメタボリックシンドローム該当者及び予備軍の減少率を例に挙げております。先ほどお話がありましたように、健診率については健診の実施率を定めております。

○西村座長 ありがとうございます。

 では、もうお一方。金丸構成員。

○金丸構成員 ありがとうございます。

 この期に及んで基本的な事項を確認させていただいて恐縮なのですが、まず初めに、レセプトデータは一体誰が所有しているデータなのかをちょっと確認させていただきたいと思います。

 それから、健保連と協会けんぽは保険者が集まってつくった組織だと思うのですけれども、健保連と協会けんぽは保険者ですかというのを確認したいです。

 最後は、支払基金のシステム投資と健保連と協会けんぽの御自身のシステム投資があると思うのですけれども、意思決定プロセスとかかわり方。

 例えば、審査支払のシステムに関する仕様に関して健保連とか協会けんぽがどこまでかかわられるのか。そのプロジェクトは割と長い期間かかると思うのですけれども、プロジェクト管理にどんなふうにかかわられるのか。システムの投資金額の妥当性のチェックはどんな方々がどんなプロセスを経てやっていらっしゃるのかを教えていただければと思います。

○西村座長 どちらかというと後者のお話を健保連さんと協会けんぽさんにお答え願えますか。

○白川副会長 まずレセプトデータは誰が所有しているかという話ですが、これは保険者です。具体的には、健保組合や協会けんぽさんとかが所有者になると思います。

 2つ目の御質問の健保連は保険者かといわれますと、健保連は保険者ではありません。あくまで健保組合が保険者です。

○小林理事長 私どもは保険者です。ひとつの保険者であって、先ほど申しましたように全国で3,700万有余人が私どもの加入者であり、192万事業所が私どもに加入する事業所であります。連合体ではありません。

○白川副会長 3つ目の御質問ですが、金丸構成員の趣旨は、支払基金がいろいろなシステム開発をする時に保険者としてどういう関り合いを持つのだということでよろしいですか。

 システム投資だけではないのですが、毎年この時期に協会けんぽさんと私ども利用者、支払基金との間で事務費単価を協議することになっています。その時に支払基金側からシステム投資が必要な時はこういう項目について投資したいという御提案がありまして、それについてどういう内容でどういう仕様か等について、金額面も含め概括的な議論をし、その結果、事務費単価を決めていくプロセスです。

 ただ、御指摘のように、システムの仕様とか開発スケジュールといったことまでは、私の経験では今まで議論したことはありません。必要性云々については議論しますが、それは支払基金さんにお任せしていたと思います。

 協会けんぽさんもよろしいですか。

○小林理事長 同じです。

○白川副会長 以上でございます。

○西村座長 どうも。この議論は後の議題と関係します。もしよかったら関連の御質問を受けても結構です。宮田構成員。

○宮田構成員 私からも今の関連なのですけれども、先ほど山本構成員からお話があったKPIの話と、今、金丸構成員からお話があった調達資金なのですけれども、こういった形で、例えば重要な成果指標、先ほどロジックモデルで何%に減らすとかという目標も既に立てられていてすばらしいことだと思うのですけれども、そういうことを達成したり、いいシステムをより安く入れた場合とかは実際基本的にいいことだと思うのですが、こういうことに対する評価、組織としてのインセンティブというのか、動機づけ、保険者というよりはその先の人々をどうエンパワーするかに注目されがちなのですが、組織全体としてはどういう仕組みでそのあたりを評価されているのかを、基本的なところで恐縮なのですが、お伺いしたい。

○小林理事長 協会けんぽそのものの業績の評価という意味からしますと、厚生労働省の業績評価検討会で私どもの事業計画の一つ一つの項目の業績が評価される仕組みになっております。

○宮田構成員 となると、ここでの議論につながってくると思うのですが、前回、ここの議論でも今回限られた期間の中の提言で組織改革とか業務に関して、この検討会が提案したとしても一気に全てやることは難しいので、そういう意味で定期的な見直しというのか、評価、フィードバック、組織としてのPDCAをどう回していくか、支えていくかも恐らくすごく重要なことになってくるのかと。

 きょうお話をお伺いして、限られたデータの中でもう既にフィードバック、ベンチマーキングも含めて、さらにいうと成果指標もつくられて私自身すごく感銘を受けて、もうこんなに進んでいるのかというところもあったので、こういったよりよい取り組みをやっていったときに組織全体としてもっと前向きにできるような枠組みはすごく重要になるのかと感じました。

○西村座長 お答えいただく時間がございません。というのは、もう一つ議題がございます。今の話はここで一旦終了させていただいて、次の議題は今回と次回と続けてやる予定でございます。しかも今のお話に関係があると思いますので、次の議題に移らせていただくということで、今までの御意見は事務局で整理し、次の検討会に提出してもらうことにしたいと思います。

 次の議題でございますが、「2.支払基金の組織・体制の在り方について」でございます。まず事務局から資料2と3の説明をしていただいて議論に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○保険課長 保険課長でございます。

 資料2と資料3を説明させていただきます。

 まず資料2をごらんください。これは「審査業務において支払基金以外の者を保険者が活用することについて」という資料でございます。

 1ページでございます。本会議の論点でございまして、また規制改革実施計画の中で閣議決定されている論点でもございますが、まずは審査支払機関の「○組織・体制の在り方の見直し」でございまして、以下のa、bに書いてある部分でございます。

 読み上げさせていただきますと、

a 「診療報酬審査の在り方の見直し」の検討を踏まえた上で、現行の支払基金が担っているとされている各業務(特に、職員による点検事務及び説明・指導)について要否を検討し、不要・非効率な業務を削除すること

b aで必要とされる業務のうち、効率的な運営を図るため、支払基金以外の者(民間企業を含む)を保険者が活用することが適切な業務の有無を検討し、当該業務がある場合に具体的な活用の仕組みを構築すること

となってございます。

 審査・支払効率化ワーキングにおきましては、職員の手間をなるべく減らしていくコンピュータチェックが提言されておりますが、審査支払業務において支払基金以外の者を保険者あるいは民間企業が活用することについての論点を議論する必要がございます。

 具体的な提言を今事務局からできるわけではないのですが、そういった議論をいただくための参考といたしまして、2ページに「審査支払業務のアウトソーシングについてのこれまでの経緯等」という資料をまとめさせていただいております。従来、規制改革会議等で取り上げられてきた論点でございます。

 マル1が「審査支払機関の委託先の変更」でございます。

 いわゆるたすきがけを可能にするということで、支払基金は被用者保険を審査し、国保連は国民健康保険の審査を行うとなっておりますけれども、平成19年に法改正を行いまして、たすきがけでも審査ができるという法的な枠組みを設けております。

 これは「考えられるメリット」で、保険者が自由に委託先を選べることによって審査支払機関間の競争を促して、審査の質の向上とコストの削減による委託手数料の軽減効果を期待するということで行ったものでございます。しかしながら、今のところ実績が上がっていないのが現状でございます。それにつきまして、要するにどういう原因で実績が上がっていないかを私どもで整理したものが「考慮すべき点」でございます。

 現行の仕組みにおきましては、委託先を変更する場合、保険医療機関が請求先変更を識別できるように保険者番号を変更する必要があるとしております。被用者保険の再発行等の事務負担が保険者側に発生するということで、審査支払をするときにどっちの審査支払機関に委託するのかが保険者においてあるいは医療機関において認識ができるというようにということで、そのためにもし被用者保険を国保連に頼む場合は保険者番号を変更する必要があることを現在定めております。これが保険者にとってかなり負担になっているということでございます。

 では、仮にこの通知を改めて保険者番号を変更しないで委託ができるとしたらよいではないかとなりますが、この場合については医療保険側が患者ごとに請求先を把握しなければならない。今度、医療保険側に負担事務がかかることがございます。そのようなことがございまして、平成19年に法改正し3年間かけていろいろな準備をやってきたということですが、いまだ実績が上がっていない状況になってございます。

 次のマル2は「保険者による直接審査支払」でございます。

 法律上、手当てするまでもなく保険者がレセプトの審査を行うことになっておりますが、それを審査支払機関に委託できるという規定がございます。したがいまして、法律上は保険者が直接審査できる仕組みになってございます。これにつきましても、保険者が審査を行うための条件、考慮すべき事項の通知で我々で出している経緯がございます。

 保険者が直接審査を行うために公正な審査体制の確保を行うための環境整備、保険者の中で審査のための医師等を採用する必要があること、また審査支払に関する具体的な紛争処理ルールの取り決めについて対象利用機関との合意が必要であること。保険者が直接審査するといいましても、どの保険者のレセプトが審査されるレセプトなのかが医療機関が認識できる必要があること。

 審査を行うと審査結果についての紛争等の処理のルールを定めて、そういう直接審査を行う保険者については医療機関と合意を得る必要があることになっております。そういうこともございまして保険医療機関における直接審査はまだ実績がない状況になっています。

 一方、調剤薬局につきましては26組合が今直接審査をしている状況になってございます。

 これが、アウトソーシングの今後議論すべき具体例ではないのですが、今までこういうことについて議論をされてきたという経緯を御説明しています。こういうことも踏まえて、今後、支払基金が行う業務のうちこういうことはアウトソーシングができるのではないかということがあれば本日御議論を賜れればと考えております。

 後ろの資料は今説明した2つを詳細にした資料でございますので、説明は省略させていただきます。

 資料3について御説明させていただきたいと思います。

 「組織・体制の在り方の見直し」についてはa、bのアウトソーシングの議論を経た後、cで「aで必要とされる業務のうち、bの検討を経て支払基金が担うことが適切な業務がある場合には、その具体的な組織・体制等の在り方(業務拠点も含めた職員及びシステムなどの体制、業務範囲、法人形態、ガバナンス体制、事務費負担の在り方、法規制の在り方等)を検討すること」ということでございます。

 審査・支払ワーキング等あるいはビッグデータワーキング等の在り方を踏まえまして、具体的にいいますと支払基金の支部のあり方をどうするか、今後、支払基金に必要なガバナンスのあり方をどうするかという御検討をお願いしたいと考えております。

 2ページ目に、そこにかかわると思われます条文を我々で抜粋しております。第三条で「基金は、主たる事務所を東京に、従たる事業所を都道府県に置く」とされております。「2 基金は、前項に定めるものの外、必要の地に従たる事業所の出張所を置くことができる」とありますが、現在、出張所はございません。

 第八条は基金の役員等の体制でございます。第八条に「基金の役員として理事長、理事及び監事を置く」と。

 「第九条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する」。

 以下、理事について、幹事についてが定められております。

 また、十六条には「従たる事業所ごとに、審査委員会を設けるもの」となっておりまして、基金は支部において審査を行うことになっております。

 二十一条については、原則は支部ごとに審査するのですが「主たる事業所に特別審査委員会を設ける」ことができるとなっていまして、現在、40万点以上の高額のレセプトについては本部に審査委員会を設けて審査を行っている状況でございます。

 二十六条はやや色合いが違いますけれども、業務に要する費用は「診療報酬請求書の数を基準として負担させる」という規定がございます。それが2ページでございます。支払基金における現行の組織体制等ということで資料を御用意しております。

 4ページは「社会保険診療報酬支払基金の主な業務」でございまして、支払基金は、現在議論になっております赤で囲った審査支払業務以外にも業務をしております。例えばマイナンバーの関係業務あるいは高齢者医療の支援金、拠出金の業務、介護保険納付金の業務、特定B型肝炎給付金の支給業務、その他の業務と、ほかにも業務をしているということでございます。

 5ページは、一部、職員の数と臨時職員の数は以前にお示ししておりますが、それに審査委員の数も合わせまして、支部ごとの職員の人数をお示しした資料でございます。

 6ページは、支払基金の支部においてどのような業務があるのかを1カ月のカレンダーにてお示しした業務でございます。一番上がイベント、どういうことがあるのか、それで審査委員がどう動くのか、職員はどういう業務を行うか、職員が関係者とどういう連携をするかを一表にまとめたものが6ページの資料でございます。

 7ページに具体的な業務の内容を色分けとともに書かせていただいております。

 8ページは、支払基金の4,310人の職員のうちそれぞれの職員がどのような業務に従事しているかについて示した資料でございます。マル2の審査事務が31.6%、マル4の再審査事務において17%です。ここで半分ぐらいの職員が審査、再審査の業務に従事しているということでございます。

 9ページと10ページは以前に提出させていただいた資料でございますが、9ページは支払基金の本部の組織体制図、10ページは東京支部の組織体制図になってございます。

 これに関連いたしまして、参考資料の2をごらんいただきたいと思います。

 支払基金の支部のあり方につきましては、特に規制改革会議の健康・医療ワーキングで昨年の11月から御議論をいただいておりまして、ここでホームページから抜粋した議事録を用意しております。どのような御意見があったかということの参考にしていただくために若干紹介したいと思います。

 まず、支払基金法を改正して支部の集約を含めた組織体制の抜本的な見直しを通じてコストの削減をすべきである。

 地域ブロックごとの主要都市に支部機能を集約し、審査業務を一括実施する等の見直しを検討すべきである。

 医療の専門分化が進み専門分野の審査委員の確保が困難である状況の中で、今や、紙レセプトの時代ならともかく、IT化が進んでいるのだから、都道府県の支部という場所に縛られる必要はないのではないかという御意見。

 4つ目の○では、職員の審査はこれまではブロックとか本部で一括して行うと。審査委員は各都道府県で少し縮小した形でやっていただくのはどうかという御意見。

 審査委員はすごく大変だと思うので、都道府県でそれなりの先生を確保するのは、東京、大阪ではいいのだけれども、地方では大変難しくなっている。

 都道府県単位にこだわる理由がいま一つわからない。特に専門性の高い内科は比較的多いけれども、マイナーな領域になると審査委員の先生が減ってくる。そこで都道府県にこだわり続けなければならないのではないかということ。なぜ都道府県単位でなければいけないのかという議論。

 レセプトが10万点を超すのは当たり前で、特に100万点を超しているものもある。そういうものはブロック単位ではなかなか難しいのではないかという御議論。

 審査委員の確保が困難な支部や専門分野がある状況について従来の各支部での審査にこだわる必要はなく、集約化を進めたらどうか。

 高額の医療費のレセプト審査は今でも1カ所で既に行われており、現行の医師の審査の前段階の事務は都道府県単位である必要はないのではないかという議論。

 国民皆保険の中で給付範囲が地域によって異なる現状が残っており、統一性を確保することが必要ではないか。都道府県ごとの審査では公平性が保てないのではないかという意見。

 これは抜粋したものですが、このような意見をいただいておりますので、こういう点も含めて御議論いただければと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 残りの時間で今の資料2と3について御議論賜りたいと思います。どっちかというと3のほうが広範な課題でございますので、できましたら、2についてまず御質問、御意見を伺って、できるだけ後半に時間を割きたいと思います。

 いかがでしょうか。2について、支払基金以外の者を保険者が活用する、アウトソーシングをやることについての御意見がございましたら、よろしゅうございますか。どうぞ。

○林構成員 本日はこの議論の頭出しかと思っております。

 ちょっと資料の誤字ではないかと思うのですが、資料2のスライドの2ページ目の「マル1審査支払機関の委託先の変更」とございますが、「審査支払業務の委託先の変更」ではないでしょうか。

 同じくスライド3のマル1のタイトルがマル1「審査支払機関の委託先の変更」になっていますが、「審査支払業務の委託先の変更」ではないか。といいますのは、そもそもが保険者が審査支払業務をするのが原則であって、それをアウトソーシング委託している先が基金であったりするのが出発点であることを忘れないで今後の議論をしていきたいと思っております。

 それからスライド1にあります「○組織・体制の在り方の見直し」についての規制改革実施計画では、この順番、まずはaのところで不要・非効率な業務を削減するという、これが前提になって、その後で残る業務について、では担い手としてふさわしい先はどこなのかという議論の立て方をしておりますので、現在の非効率と思われる業務の効率化がまずは前提でございます。

○西村座長 事務局は今のに特にございませんね。

○保険課長 まさに林構成員のワーキングで議論していただいたので、そのとおりだと思います。

○西村座長 どうぞ。

○森構成員 ありがとうございました。資料2の2ページの「マル2保険者による直接審査支払」なのですけれども、現行認められているもので、このことに関してどうのこうのいうつもりはないのですが、例えば今後民間への委託でこういうことをやるところがふえることは、ある意味では非効率になることもあるのかなと。

 もう一つは、今審査を統一しようとしている中で、審査をするところ、保険者の直接審査を含めて進めていくことは、ある意味では逆行することになるのではないかと思ってちょっと心配しています。

 以上です。

○西村座長 どうぞ。

○山崎構成員 ちょっと早目に退席しなければいけないので発言させていただきます。

 第2回の韓国のHIRAからのヒアリングがあったときにちょっと質問しました。そのとき持っていた問題意識なのでございますが、今、進めているコンピュータチェックを強化していくことによって審査の効率化を図るのは大賛成でございますが、方向として韓国のHIRAのような体制をモデルとして目指すべきかになると、日本と韓国の事情に相当違いがあって、留保する必要があるのではないかという気がしております。

 日本の医療は患者負担が2割弱ありますが、そのほとんど全てが保険診療の枠内での患者負担でございまして、純粋な自由診療はほとんどないということでございます。

 それに対して、韓国の場合は、あのときにいただいたデータによりますと公的な給付が55%で個人負担が45%でございますが、日本では混合診療が事実上認められていないのに対して韓国は混合診療が認められておりますから、自己負担の部分についてもかなり自由に受け入れられると思っております。

 つまり徹底してコンピューターによる機械的な審査をすることは恐らく医療現場からすると相当不満があるのだろうと思うのですが、その部分が混合診療という形でかなり弾力的に医療側あるいは患者さんにも受け入れられるのではないかと思っております。

 そう考えると、日本においてはほとんどが公的な医療でございますから、医療が求める自由度を診療報酬の審査の中で一定程度弾力的に受けとめる必要があるのではないかという気がしておりまして、それが診療報酬の解釈の幅にもなっているのかなということでございます。

 結論として、混合診療を認めている韓国と基本的にそれを認めていない日本とで究極の姿として同じ体制を目指すことには無理があるのではないかと。当面コンピュータチェックを進めていくのは大賛成でございます。そのように思っております。

○西村座長 ありがとうございます。

 どうぞ。松原構成員。

○松原構成員 まさに山崎構成員がおっしゃったとおりです。つまり金額が少なければそういった形でできるのですけれども、日本は混合診療ではなく、特定療養費という形で対応しております。異なる仕組みに一律に当てはめると非常にうまくいかなくなる。各都道府県において行う仕組みが支払基金の中にあるということであります。まさにそのとおりであります。

 保険者の直接審査支払の薬剤に関しては、10数年前に議論したときに私も参加しました。薬の突合ができなかったのでどうしても審査を直接行いたいという意見があったわけです。今は突合ができる形になっていますから、そのときの議論はなくなっていますので、本来は不要なものかと思います。やはりシンプルな形にしないと、ある保険者はAで審査して別の保険者はBだと現場が混乱して、どこへ請求していいのかわからなくなります。いちいちチェックするのは大変ですし、そのあたりは現場の混乱を御理解賜りたいと思います。

 さらにアメリカのように一方的な直接審査をやると、結局、医療機関が保険を扱いたくなくなります。日本の公的保険でアメリカよりも非常に安い金額で行っているということは基金の審査を全員が納得しているからです。納得できなかったら当然そこのところの保険者は排除する運動が出てまいります。そういうことのないように、医療機関がある程度辛抱している、我慢していることを御理解いただきながら、日本の国の医療が非常にいい医療になっていることも御理解賜りたいと思います。

○西村座長 ありがとうございます。

○森田副座長 いいですか。一言だけでよろしいですか。

○西村座長 一言。

○森田副座長 今いろいろ御意見が出ておりますけれども、5年前にこの問題について議論したときのことをちょっとだけ情報提供させていただきますと、同じように保険者の原点として、要するに先ほどKPIのお話も出ましたけれども、最小限の保険料で最大限の医療のサービスを提供するのが保険者の役割だろうと。それが保険者機能としての一番ベースにある。そのために現在の体制で何をどうするかという観点から見たときに、委託であるとか直接審査も当然あってしかるべきではないかという議論はいたしました。ただし、ここの「考慮すべき点」にあるような制度上の、障害とはいいませんけれども、問題点をクリアするところが実質的には少ないだろうという話になったのですけれども、そちらの方向で保険者として頑張っていくべきではないか。

 森構成員からありましたように、その場合に審査の統合を図っていくときからばらつきが出るのではないかという議論がありましたけれども、審査の統合の話とそれぞれの審査の手数料ないし事務の効率化の話とはちょっと違うのではないか。基準はそろえて審査をしているとしても、それ自体の効率化は進められるはずではないかという議論もありました。それだけ報告しておきます。

○西村座長 ありがとうございました。

 今のお話は、いずれも資料2の議論でございますが、実は次の議論がかなり煮詰まってから話題になるような課題かと思いますので、座長の権限で次の資料3に関する、つまり支払基金の組織体制の在り方について御意見を伺って、恐らくその議論をする中で今の議論もかなり浮き上がってくるのではないかと思いますので、3の組織体制の在り方について議論を進めていただきたいと思います。

 また、お手を挙げていただきたいと思います。ちょっと大きなテーマなので、なかなか最初口出しがしにくいでしょうか。

○森田副座長 よろしいでしょうか。

○西村座長 今までの経過を踏まえてよろしくお願いします。

○森田副座長 副座長が余り最初に余計なことをいわないほうがいいのかもしれませんけれども、これも前のときに議論があったと思いますけれども、例えば資料3の2ページにあります社会保険診療報酬支払基本法は昭和23年にできた法律でして、十何条あたりはたしか前のときは改正されていなかったかと思います。事務局で改正があったら御指摘いただきたいと思います。

 何を申し上げたいかといいますと、少なくともこのときにはコンピューターによる審査は全く想定できなかった時代なわけでして、そのときに大量の非常に複雑な審査をどう組織的にやるのが効率的かを考えて、その時点で合理的な仕組みとしてつくられていたものだと思います。それが明らかにデータをオンラインで送るようになり、コンピューターを使って審査ができるようになった時代には、その仕組みそのものの合理性は問われるべきではないか。それを最初に申し上げておきたいと思います。

○西村座長 ありがとうございます。

 そういったことを踏まえて、できたら前向きな議論をしたいと思います。

 どうぞ。山本構成員。

○山本(雄)構成員 ありがとうございます。

 資料3の8ページで「各業務に係る」と書いていただいているところに、やられている作業内容のプロセスが書いてあるかと思うのです。資料2の議論でもちょっとあったのですが、なかなかこうした作業の委託先を変えるのは難しいとおっしゃっていたのですけれども、これをよく見てみますと、例えば「マル1審査準備事務」は、要はレセプトデータ自体のデータの前処理にも近いと思うのですけれども、フォーマットがちゃんと合っているのですか、誤記入ないですかと。こういったものは一括してやるほうがいいかと思います。ですが、その次の、審査の内容についてはもう少し第三者委託も含めてやるのだとすると例えばマル1とマル2を切り分けて見せるだとか、さらに請求支払事務となった場合に、これはまた今の段階で一本化するのが得なのか分けるのが得なのかは軽々にはいえない気もするのですけれども、個人的にはそこはまた一体になっていてもいいのではないかと私は正直思うのです。

 そんな見方でしていきますと、例えばですけれども、マル1とマル5に関するあたりはどこかで一体でやって、それのほうがデータ活用という意味でも便利だろうと。ただし、審査と内容のチェックという作業は、今、二次審査もやっていることを鑑みると、切り分ける、あるいは基本ルールを明確化した上でなのですけれども、そこに作業効率という意味での競争が働くようにするなんていうのも一案かと思いながら聞いておりました。コメントです。

○西村座長 一つの御提案が出ましたが、これについてもぜひ御意見を賜りたいと思います。組織・体制のあり方と申しますが、中身で何をやるかを議論しないと組織のあり方を議論しても。どうぞ。

○金丸構成員 どんなシステムができるかというか、どんな仕組みにするかによって組織体制というのは実は前提が変われば変わると思っております。

 今、山本構成員が御指摘なさったとおり、同様に8ページを見ると業務の内容が書いてありますけれども、システム的に見ると機能がモジュール化されているイメージが浮かびますので、例えば医療機関から見て共通であるべき、例えば請求先は一旦はそこにレセプトを束ねてスイッチングして振り分ければいいと思いますから、あくまでも医療機関はワンストップのナンバーにデータを送ればいいわけで、そこからは複数に振り分けることでも可能だと思います。

 それから、審査をなさる委員の皆様もデータベースのできばえによっては分散してアクセスすることも可能ですし、物理的に同じ場所に集まるほうがよければ物理的にお集めになればいいし、割とフリーなオペレーションのやり方とか運用のやり方が可能になる時代ですから、そういうことを踏まえて、組織設計から入るとイメージしているものが違ったままどうするという話になりますから、むしろ機能分解して機能の実現のされ方について議論していけば、おのずから最適な組織体制は出てくるのではないかという印象を持ちました。

○西村座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○神成構成員 今、金丸構成員がおっしゃったことに少し近いのですが、前回私どもで報告させていただいた資料1において、例えば全国の付箋の解除が全体の9割程度あることがわかったということをいっている一方で、私どものWGの中でわかったのは対応の付箋を職員が外す具体的な作業量の情報は入手していないことを指摘しております。

 これが、先ほど金丸構成員がおっしゃったこととつながるのですが、具体的な作業量が判明していないので、具体的にどれぐらいの作業量を減らせるかをここで示すこと私は不可能だと思います。先ほど森田副座長も金丸構成員もおっしゃったように、恐らくこの法律をつくったときにはインターネットがなかったことは事実であり、コンピュータチェックを前提とされなかったことは事実だと思いますので、よりよいコンピューターのシステムのあり方をもう少し議論する必要があると思いますが、それがあった上で何を人がやるべきかを見た上で全体構成を考えることが私は必要だと思っていて、今この絵を見ながら、ここは何人減らせるかというのは余りに乱暴で、できないのだろうと思うのですが、今の体制であり続ける議論をするよりは何があるべきかを議論しないと出てこないのではないかという気がします。

 それは、最初に保険者の皆様、健保連の方がおっしゃった中に、それぞれビッグデータ解析といった話が入っているのですが、その作業が重複しているようです。そういったものを本当にそれぞれが持つことがいいのか。きちんとしたデータがあれば、その結果を共有して御提供すれば、それぞれがシステム運用する必要が無くなる。そういったもの全体として、先ほど森田副座長がおっしゃったように、最終的に国民一人一人によいためにはどこがどの機能を持つかという議論をしないと、結局はみんな似たようなものを持ってしまっているのが今一番問題なのではないかということを、思った次第です。

 以上です。

○西村座長 どうぞ。

○森下構成員 私も似た意見なのですけれども、健保連の白川さんの資料にあったように、支払基金の審査費用が166億円で減額査定が110億円で本来取り返したお金以上に払っている。審査機関に対する威嚇効果はあるにしても、普通に考えたら明らかにおかしい。誰が見ても費用対効果が悪いのは明確だと思うのです。そういう意味では費用対効果をしっかり考えて一体何をすべきか。

 その中の原則としては、審査ルールの統一等もあるように、基本的には可能なものは全て統一を1カ所でしていく。どうしても各地区であるべきものは各地区へ持っていく。原則としてのシステムとして、あるいは制度として1カ所でできるものは一つにまとめていくことを前提にしないと議論ができないと思います。それこそ支部ルールがいっぱいできるのと同じ話になっていって、現実としてこれは必要なのだというところはもちろん残すにしても、原理原則はできるだけ明確にして組織論をしないと、またパッチワークをしてしまうことになりかねないと思うので、ぜひ費用対効果の面と原理原則としては可能なものは1か所にまとめていく、必要なものはもちろん残すということでいいと思いますが、どっちが原則かは明確にしてもらう必要があるだろうと思います。

○西村座長 ありがとうございます。

 余り時間もございませんので、きょうせっかくお見えですので、保険者の3団体の皆さん、現場を預かっておられるわけですから、今のお話に対して何か御意見がございましたらちょっと伺いたいと思います。どうぞ。

○白川副会長 私どもは支払基金さんを利用させていただいていますが、支払基金のような中立的な立場の審査機関は必要不可欠な存在と思っています。また、審査のレベルも非常に高く、緻密な審査を行なっており、評価しています。

 ただ、全体として電子化時代の中では非常に非効率な形になっていますので、私どもとしては集中してできるものは集中化し、地域でしかできないものは地域化あるいはある程度ブロック化するという形で、効率化をテーマに見直していくべきことを要望しています。

 以上でございます。

○西村座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○小林理事長 資料2とも関係するかもしれませんが、協会では支払基金に対して基金の取り扱うレセプトの約4割以上に当たる年間約4億件のレセプトの審査支払業務を委託しており、非常に密接な関係にあります。このため、支払基金の見直しに関しては審査支払という現状の委託業務の継続性が損なわれることのない慎重な検討が必要だと考えております。

 ただ、この会議でも御指摘があったとおり、支払基金の審査における都道府県格差やICTを活用したレセプト点検の更なる推進などの改善の余地はあると考えておりますが、支払基金の審査支払業務の源泉は全て保険者からの委託手数料であり、システム改修などの実施に当たっては、医療保険者にとって業務の利便性や安定性といった点を欠かすことができないのではないかと思っています。

 以上です。

○西村座長 ありがとうございました。

 林構成員。

○林構成員 ありがとうございます。

 資料2の事務局の議論の立て方に私は問題があると思っているのです。スライド1のaの実施計画で申し上げたのは、現在、そもそも非効率と思われる業務があるのではないか。端的にいえば、職員によるコンピューターチェックで付箋がついたものを外すという点検業務、医師への説明指導という名目で行われている業務がもっと効率化できるのではないかという視点に立っておりまして、その点がワーキングなどを経て実態がより明らかになった以上、今回の規制改革推進会議の意見書でも申し上げたとおり、原則としては審査基準コンピュータチェックのルールについては公開する。原則として、そういったチェック項目のシステムについては支部設定ではなくて統一化する、それを打ち立てることを前提として組織論をすべきではないかと考えています。

 現状、ワーキングで調査していただいた中で、現在のコンピュータールールの膨大な項目がある中には、先ほど医療サイドからの御意見がさまざまありましたけれども、ドクターの裁量によるべき項目とそうではない項目が混在しているのではないか。歴史的な経緯もあると思うのですが、こういったものを整理して、我々はドクターの裁量の部分をなくすという議論をいきなりしているのではなく、まずはコンピュータールールでの事前点検をもっと効率化できるのではないかということを申し上げていますので、そういった議論をした上で業務の効率化をして組織論という順番で議論していただきたいと思うのです。

○西村座長 ありがとうございました。

 おっしゃるとおりで、前回そういう種類の議論が既に出たので、それを踏まえて1つだけ留保点という趣旨で恐らく事務局はこれを出したのではないかと思いますので、そこで今の御意見をちゃんと記録に残したいと思います。

 松原構成員どうぞ。

○松原構成員 おっしゃるとおりだと思います。なぜ前業務で付箋を外さなければいけないかを考えますと、要するにプログラム自体が適切ではないのです。だからこそ公開が必要です。完全なプログラムであれば、はがす必要はないわけですから。そうすると、オープンにしてそれをみんなで見たらそこに何の問題があるかがわかりますから、それをやりましょう。そうすればはがす業務はなくなりますし、非常に効率化することだと思います。

 要するにプログラムの改正も要るし、プログラムの立て方もあるでしょう。今おっしゃったように恐らく単純ミスとそうでないものがまじっているとすれば、プログラムを公開すれば単純ミスは一瞬のうちになくなります。つまり自分のところでチェックしてみて、こんな間違いだったのだというのがわかると同時に、先ほど申しましたように本来のプログラムが十分でないからはがさなければいけないので、それがなくなればかなりの人数は減らせると思います。そういったことで効率化するという事こそあるべき姿だと思います。

○西村座長 どうぞ。

○神成構成員 今回のワーキングの議論では具体的なはがした付せんの中身そのものについて私どもは分析しておりません。9割は余りに多いと思っておりますが、9割全部がなくせるかどうかについて結論は出しておりませんので、コンピュータールールを直せば全て減らせるということは不安だと私どもは思っています。私も、あくまで推論として、一般的に幾ら何でも9割もの付せんをはがすのはおかしいだろうと思うけれども、システムがあったらすべて減らせるかというと確約できないので、そこだけちょっと何かをしましょうねということはいわせてください。

○金丸構成員 ゼロになるとは、いっていないのではないですか。自分の責任ではないのだから大丈夫です。

○西村座長 済みません。時間がございません。

○林構成員 済みません。私の発言の中でそんな部分はなかったと思います。

○神成構成員 誤解されないようにして頂ければと思います。

○西村座長 葛西構成員。ぜひお話を。

○葛西構成員 よろしいでしょうか。この絵だけで何かの結論を出すのは、私の中で、ある程度、報酬支払基金がどうなっているのかはいろいろなところから聞いたのですけれども、次回か、そのままもし検討が継続されるようであれば教えていただきたいのが、もう一歩踏み込まないとと思っているのが、何でもそうなのですけれども情報システムをつくっていく過程の中でなぜ完璧に実装されていかないかはいろいろな事情で本来あるべき姿がそうではなくなっていく過程があります。それは組織ガバナンスにすごく影響しているのだと思うのです。私自身もそうなのですけれども、この絵を見るだけの組織図でいうと、昔からよくある独立行政法人のシステムの組織図に近いと思っています。

 これはどういう経路をたどるかというと、まずあるべき業務の姿を描いた後に当然予算を要求します。予算を要求してから、各部門、いわゆるユーザー部門といういい方をしてしまうのが厄介なのですけれども。

○西村座長 ちょっと短目によろしくお願いします。

○葛西構成員 ごめんなさい。ユーザー部門さんからヒアリングして、ベンダーさんと仕様を決めて、今度、会計課に行ってやっとシステム化するという過程を経るのです。そういう形で使用をつくっていくとは思うのですが、報酬支払基金さんの中でやっている情報システムの仕様の策定のもうちょっと具体的な流れをぜひ教えてもらいたいと思っています。これはかなり突っ込んだ話なのですけれども、業務の変革をするにしても、システムの変革をするにしても、誰がどういう意思決定をしてどうやって仕様化が行われているのか。その上でどこに意思決定上の課題があるのかは検討しないとずっとまとまらないのではないかと思っている次第です。それが見えないとこれだけだとちょっと何もいえないかと。

○西村座長 わかりました。それが次回の宿題です。

 飯塚構成員からも御意見をということがあります。

○飯塚構成員 支部のあり方については、ワーキングで提案した医療機関の事前チェックはできるだけ早く、平成33年なんていわないでやるべきだと私は思うのですが、そういうものをやっていく中でどのぐらい人が減らせるかとか、平成33年に向けていいものがどうやったらつくれるかとかという流れだろうと思います。

 もう一点。ガバナンスのあり方についてどなたもおっしゃっておりませんが、もうこの検討会もあと数回で終わりになるわけです。この検討会のたくさんの成果を実現するためには、前回の有識者会議で提案したけれども実行されなかったという反省を踏まえなければいけない。何で実行されなかったのかというと、それは申しわけないけれども、支払基金のガバナンス、特に人的体制が十分でなかったのだろうと思います。ついては支払基金法には公益の代表者をどうやって選ぶのかが何も規定されておりませんが、今までやってきたようないわゆる公募によるやり方をもう少し詰めて、適正、的確な公募ができて、いい人を選ぶことができる体制をつくっていく。例えば、公募で自己アピールだけ書かせるなんていうことではなくて、現在の審査支払機関の問題点と過去の検討会における問題点に対するあなたの意見とかというものをきちんと問うて、ちゃんと答えを書いた人を選んでいくことで人的体制を堅固なものにする必要があると思います。

 以上です。

○西村座長 ありがとうございます。

 今の葛西構成員、飯塚構成員のお話については、事務局と私とでいろいろ相談させていただいて対応させていただきたいと思います。

 ちょうど時間が来ました。申しわけございませんが、実は私がちょっとお話をさせていただきたいと思っておりまして、3分で終わりますので5分ぐらい超過することをお許しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 資料4でございます。今までの議論を踏まえてアメリカでどういうことをやっているというのは学校の先生がレクチャーするような話になるので省略したいと思いますが、アメリカでこの種の議論は今私たちがこれからどういうデータをどう集めてどうやっていくかという議論に過去の経験が参考になると思いまして、ちょっと用意しました。

 決して地域差が今回の話題では中心的な話題ではございませんが、地域差に関してアメリカですごい話題になりまして、御承知と思いますが、Medicareという割と公的な保障をする組織と民間保険が中心の組織、いろいろなものが絡み合っておりまして、それが過去40年間ずっと議論を加えてきました。その中で今これから私どもがデータヘルスの問題を考えるときに大事なポイントと思う点を2~3申し上げてお話を終えます。詳細は資料をごらんください。

 まず、2ページに赤で書いてございますが、要するに当初はお医者さんたちが不当な医療をやっているのが地域格差の原因だという話が出て、しかし、それは3種類に分けることができるだろうと。誰がやってもどこでやってもはっきり一つ決まっている効果的な医療、ちょっと順序を逆にいいますが、3が医療機関とか医師がたくさんおられるので、その結果、たくさんやってしまうという側面、意外に今まで余り話題にならなかったことで、私は患者の希望に即した医療をどうやって提供するかは現場のお医者さん方がいろいろと考えておられることがありました。それをこれからどうやっていくかというためのデータ集めはこれから欠かせないと思います。

 恐らく1は割と楽観的でございますが、後で紹介しますが、日本ではこの種類の疾病に関しては割と地域格差あるいは問題はそんなにない。データが整理されるとそんな不正な請求も少なくなると思いますが、3はこれからかなり大きな議論になると思います。しかし、余り話題にならなかった問題は2でございます。

 次の4ページにございますが、特に生活習慣病といった種類の病気、患者の体質、日常生活の運動、食生活の差異がもろに反映すると同時に、しかしそれだけではうまく患者さんがままならない治療がございますので、そこのあたりのデータをしっかり集めないことには、これからもこれが不当であるとか、これが不当でないとかという議論が進んでまいると思います。

 そういうことを踏まえて、どうして標準化ができないかという研究が最近オランダ、イギリス等で急速に始まりました。これを1112ページに書いてございます。

 最後に13ページに申し上げますが、私の提案として、こういうレセプトデータ、個別診療データと各地域で診療内容がかなり異なることは、population dataと申しますが、地域の健康水準とかなり関係していることがいろいろなところで、省略しましたが、各国の調査結果でわかってまいりました。そういう地域の健康水準に対する配慮のデータを収集し、個別の診療データをうまく合体させることによって、これからよりすぐれたヘルスを向上させるためのデータ収集が進むのではないかと考えます。

 そういう意味で、私としては地域ごとの違いをどう考えていくかは組織のあり方の問題にも関連づけながら議論を進めていく。そこが実はアメリカあるいはヨーロッパではかなりわかってまいりましたが、残念ながら日本では疾病ごとの特徴とか患者さんの特徴とかそういうのは、うわさではいっぱいやるのですが、客観的なデータはございません。そこで、そういうデータを集めながら、地域ごとの統一をどこまでやって、どこが地域ごとの違いを見込めるということが必要ではないかと思います。

 ちょっと時間を頂戴しまして済みません。4分で終わりましたので、お許しいただきたいと思います。

 それでは、ここできょうの議論は終了とさせていただきたいと思います。

 次回、引き続き「支払基金の組織・体制の在り方について」という議論を行いますが、もし皆さんのお許しを得ることができましたら、現場で審査を行っておられる審査委員の方々の御意見もぜひ伺いたいと思いますので、そのあたりを参考人としてお呼びしたいと思いますが、御了承いただけますでしょうか。

 それでは私どもの責めはこれで終わり、事務局から次回の日程等をお願いします。

○保険課長 次回の検討会は、来週12月7日水曜日の15時からを予定しております。開催場所やその他詳細につきましては追って御連絡申し上げたいと思います。

 以上でございます。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会> 第6回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会議事録(2016年11月16日)

ページの先頭へ戻る