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2016年11月8日 第20回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年11月8日(火)17:00~19:00


○場所

航空会館 7階 701~702会議室


○議題

(1)がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理(案)について
(2)その他

○議事

 

 

○事務局 第20回がん検診のあり方に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は井上構成員、福田構成員より、遅れて参加するとの連絡を受けております。また、保険課長は他の公務のため途中退席させていただきます。

 資料の確認をお願いいたします。座席表、議事次第、資料1「がん対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告(概要)」、資料2「検診標準フォーマットの普及に向けた取組」、資料3「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理()」、参考資料1「がん検診のあり方に関する検討会構成員名簿」、参考資料2「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」、参考資料3「がん検診受診率等に関するワーキンググループ報告書」です。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申出ください。

 以上をもちまして、カメラをお納めいただきますよう、御協力のほどお願いいたします。以後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 第20回がん検診のあり方に関する検討会を開催いたします。議題として、初めに報告事項があります。930日付けで、総務省行政評価局からの勧告が出ております。本件について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料1です。総務省より930日に勧告を受けたがん対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告です。こちらの調査事項としては大きく3つあり、そのうちの1つ目が、がんの早期発見のための取組の推進です。2つ目が、拠点病院の診療体制の適切な整備及び更なる充実、3つ目が緩和ケアの推進となっています。

1枚おめくりいただいて、がん検診のあり方に関する検討会に関わる事項として、1つ目は「がんの早期発見のための取組の推進」の勧告についてです。調査結果については3つあります。がん検診の対象者全員に個別勧奨を実施している市の受診率は高く、また、既存の研究においても個別勧奨・再勧奨(コール・リコール)は有効であると評価となっています。一方、第2期の基本計画及び検診指針では、コール・リコールの重要性が明確に規定されておらず勧告としては、次期基本計画等において、コール・リコールの徹底を明記といったところを受けております。

 2つ目は、市町村が「地域保健・健康増進事業報告」に報告する受診対象者のデータが区々となっているほか、受診率の算定方法が統一されておらず、比較困難な状況だといった勧告を受けております。この背景として、国として正確な受診率を把握できていないほか、都道府県及び市町村からも算出方法が統一されておらずこれについての勧告が、正確かつ比較可能な受診率の統一的な算出方法のあり方を都道府県及び市町村の実態を踏まえて検討するとされております。こちらについては、これまでに3回行った、がん検診の受診率等に関するワーキンググループ並びに前回の検討を踏まえ、本日、この議論を深めていただきたいと考えております。

 3つ目として、がん検診の精度管理・事業評価について、一部の都道府県では、精度管理・事業評価が未実施、評価結果の公表が行われていないなど不十分な状況であり、これについては、市町村に対して評価結果に基づく具体的な検討課題を示すなど精度管理・事業評価を適切に実施している都道府県では、陽性反応適中度が4.44.6%と他の都道府県と比べて高い数値になっているところを踏まえて、勧告としては、都道府県に対し評価結果の公表など精度管理・事業評価の実施を徹底するとされております。これについては、都道府県の評価結果の公表などを、国立がんセンターの公表なども含めて、今後対応していきたいと考えております。こちらからは以上です。

○大内座長 がん対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告についての報告でした。第19回の検討会は923日で、この勧告が出る1週間前でした。その第19回においては、別途設置されたがん検診受診率等に関するワーキンググループの報告も上がってきて議論したところでしたが、途中で議論が止まっております。そういったことも背景にありますが、このような形で総務省行政評価局からの勧告が出ています。

 特に、調査事項1が、がんの早期発見のための取組の推進で、正しく、がん検診のあり方に関する当検討会の所掌になると思います。その中で3点ありまして、1つが、がん検診における個別勧奨のコール・リコールについては有効だということが評価されていますが、この重要性が明確でなかったということです。これを明記することです。

 第2が、先ほどのワーキンググループの結果を受けて、受診率の算定方法を比較可能な統一的なものにするということを求められています。3点目は、精度管理・事業評価について、総務省でも調べられたようで、都道府県ごとにばらばらなこと、公表も行われていない都道府県があることが判明したので、その点について対応するようにということです。皆様から御意見はございますか。よろしいでしょうか。こういったことを含めて、今日は議論に入りたいと思っています。

 では、第2の議題「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理()」についてです。前回の第19回の議論を受けて、修正案が資料3に示されています。この説明を事務局からお願いする前に資料2がありまして、道永構成員から「健康標準フォーマットの普及に向けた取組~ 生涯保健事業の体系化に向けて~」ということで、日本医師会で策定された案について、御説明いただきたいと思います。

○道永構成員 資料2です。今まで職域で実施されているがん検診のデータをどのように収集し、がん検診受診率の実態を把握していくかという議論がなされてきました。その中で白川構成員から、「職域におけるがん検診の結果データに関して、フォーマットが統一されていない」というようなお話がありました。データを提出するのが保険者なのか事業主なのか、あるいは検診実施機関なのかということもありますが、そこは後の議論として、本日は以前にも口頭で御紹介させていただきましたが、健診と検診のデータの標準化に向けた、日本医師会をはじめとした医療関係団体の取組について、簡単に御説明させていただきます。

 スライドは2枚目です。現在の我が国の健診制度等については、ライフステージに応じて整理すると、このような形になると思っています。しかし、各健診制度で実施されている健診結果については、前回御指摘のあったがん検診も同じですが、健診実施機関ごとに内容が異なっているというのが現状です。

 このことによって、例えばデータヘルス計画などで検診データを活用しようとしておられる保険者の方は、データを分析する際に苦慮されているのではないかと考えております。今後、医療等IDによって、各健康診断制度の結果データを集めて、ひも付けをしたとしても、このままの状態では、その方の健康管理に資するデータになるとは考えられません。このことについて、日本医師会をはじめ健診関係団体はかねてから懸念しており、何らかの取組が必要だという結論に至りました。

3枚目です。具体的には、むしろ機関を問わず、組織横断型の健診データ標準仕様を策定し、普及しようという取組を始めました。

 スライド4です。具体的に標準化する健診の一覧を挙げています。がん検診についても、対策型がん検診、職域の任意型がん検診、人間ドックも含めて、標準化されたフォーマットの下で健診結果をデータベースに格納するということを考えております。

5枚目です。この取組ですが、これから仕様を策定しようというのではなく、既に検診標準フォーマットとして試験運用を開始しております。まずは特定健診のデータを中心に、協力を得られた健診機関等に、約140万件のデータの変換作業を行っております。データをただ標準化しただけではなく、施設ごとに検査結果を分析して、検査値についても一定の傾向が見られるなど、より精緻な分析が可能になるのではないかと考えております。

6枚目です。こうした試験運用の結果を踏まえ、このフォーマットをさらに普及させたいとの考えから、ここにある健診関係団体とともに、平成22年に設立した日本医学健康管理評価協議会という会議体の中で、その普及に向けて協力して取り組んでいくということで、去る1012日に共同宣言として公表させていただきました。

 その内容がスライド7です。一つ一つの説明は割愛させていただきますが、この共同宣言を具体的に実行していくために、今後も関係団体と協力し、検討を重ねていきたいと考えています。

 最後に8枚目です。事業主から保険者への健診データ移行に際しても、このフォーマットを用いて統一化された形で移行できるよう、そのシステム変更等に関する予算要望を厚生労働省にはお願いしているところです。このフォーマットについて、もっと詳細をお知りになりたいということであれば、日本医師会の担当者が出向いて、説明に上がることも可能です。このように、データの標準化に向けたシステムが構築されているということを御理解いただき、地域、職域のがん検診の実態を把握するためにも御活用いただければと思い、御紹介させていただきました。簡単ですが、説明は以上です。

○大内座長 道永構成員から、健診標準フォーマットに関する御説明がありました。前回の議論でもありましたが、市町村事業のみではなく、職域における健診データ等も含めて、データを評価できる形にしたいということで、日本医学健康管理評価協議会というものが出て、1012日に共同宣言がされたということです。御意見がありましたらお願いいたします。

○白川構成員 今の道永構成員の御発表は、誠にもって敬服する内容です。先生がおっしゃるとおり、各医療機関から出てくるデータというか、様式自体が全部違うという、誠にもって不可思議な仕組みになっておりまして、本来は国が主導して何らかの措置を取るべきだと、私はそれほど重要な問題だとは認識しているのですが、はっきり申し上げて、国は法律ができると動くのですが、法律ができないと全然動かないものですから、日本医師会あるいは病院、人間ドックの団体等にこういう活動をしていただいているというのは、我々としては感謝申し上げたいと思っております。

2つ要望があります。1つは、実は私どもは特定健診は法的義務ということで、全部フォーマットを決めて電子化したのですが、そのときにXML方式というシステムの構成にしたものですから、はっきり言うと日本ではほとんど使われていない仕組みで、そのために現場が大混乱に陥って、整備するのに2年近くかかったという経験を持っております。このフォーマットを決める際にも、今、一番使われているのはCSVという方式だと思いますが、そういうなじみやすいシステムにしていただきたいというのが1点目です。

2つ目は、電子データ化というのを同時に進めていただきたいというお願いです。既に、当然検討されていると思いますが、これもレセプトの電子化ということで、確か民主党政権の時代だと思いますが、始めていただいて、今は98%ぐらいまで電子化は進んでいると思うのですが、電子化されないとオンラインの送受信もできませんし、統計処理等も格段に違いますので、当初から電子化を前提に御検討いただければと思っております。

 要望は以上ですが、最後に財政措置をというのは、私は至極ごもっとも思います。これは医療機関側にかなりの投資の御負担をお掛けすることになると思いますので、何らかの財政措置を国としても取って、全面的に支援すると。冒頭に申し上げたとおり、これは本来は国がリードして、必要であれば法律あるいは政令、省令等を決めて、医療機関側にお願いすると言いますか、協力を仰ぐ、そのための財政措置も取るというのが、本来の姿だと思いますので、是非強力に進めていただければとお願い申し上げます。

○大内座長 2つの御指摘がありましたが、お答えできる範囲でいかがでしょうか。

○道永構成員 レセプトに関しては、あくまでも今は健診のことですので議論から外れます。標準化ということで今問題になっているのは、例えばX線の所見についての用語が少しずつ違うということで、それを統一化しようとしています。それが今やっていることです。

 電子データというのはもちろん必要なので、それは進めております。ただ、レセプトとのつながりというのは、この段階ではお答えできません。あくまでも標準フォーマットは特定健診が主なのです。

 恐らく電子カルテの普及率が98%というのは多分病院だけで、まだ個人の先生は電子レセプトを全部使っているわけではないので、そこは少しお時間を頂ければと思っています。

○大内座長 ほかに御意見はありますか。

○祖父江構成員 具体的に、がん検診に関しての標準フォーマットというのは、どのような内容を含んでいるのでしょうか。

○道永構成員 もし必要でしたら、ものすごく膨大なデータがありますので、それをお持ちします。今回はそれを全部割愛して参りました。すみません。

○祖父江構成員 WEBなどで公開されていないのですか。

○道永構成員 まだだと思います。

○大内座長 では、がん検診のフォーマットを作るときには、是非専門家の御意見も含めて、幅広く統一化させていただければと思います。

 それでは、道永構成員からの御提案も受けまして、今回の資料3「がん検診のあり方に関する検討における議論の整理()」についての説明をお願いします。

○事務局 資料3です。こちらは、前回の第19回の検討会で出された議論の整理()を基に修正したものです。「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理()」と、題名を変更しております。

 目次です。立て付けとして、前回の議論の整理案は、「現状と課題及び今後の方向性」といった大項目を設けておりましたが、「各検討項目ごとに分かれてしまって分かりにくい」という御指摘もありましたので、今回は検討項目ごとに列記した上で、それぞれ現状と課題、今後の方向性という並びで順序を変えております。前回出ました議論の整理から変更した点を中心に御説明いたします。

3ページです。1番目の「わが国におけるがん検診の受診率(現状と課題)」です。この2つ目の○に、具体的な国民生活基礎調査によるがん検診の受診率を記載しております。(胃がん39.6)など、括弧の中に含めたデータと、後述のとおり、「国民生活基礎調査は、実態よりも過大な評価になりやすく、正確性に欠けることに留意する必要がある」といった項目を、前回の指摘を受けて記載しております。

 また、その2つ下の※について、「平成28年の国民生活基礎調査では、職域におけるがん検診受診者をより正確に把握するために、調査表の質問項目を変更した」といった点も加えています。

 その2つ下の「今後の方向性」の2つ目の○に、がん検診の受診率の目標値として、「現在の50%よりも高い目標値を設定すべきである」といった文章に加えて、※としてOECDHealth at a Glance2015のデータを記載しています。こちらによると、OECDの直近のデータでの平均値は、子宮頸がんで61.6%、乳がんで58.8%となっていますので、議論の参考にしていただければと思います。

4ページです。2.「市町村におけるがん検診の受診率及び算定方法」(現状と課題)です。現状と課題の3つ目の○に、「がん検診の受診率は、『国民生活基礎調査』、『地域保健・健康増進事業報告』、『推計対象者を基にした受診率』の3つで報告されている」という記載の上で、それぞれの算定方法についての実態と問題点を、その下の3つで記載しております。この記載は、ワーキンググループの報告書を参考にしております。

5ページです。「今後の方向性」について、前回議論になった国保分の国保というデータは第1指標として、あくまでも「指標」として統一しています。また、第2指標としては、地域保健・健康増進事業報告におけるがん検診の受診率を参考とするといったところも、引き続き記載しております。

 今後の方向性の2つ目の○で、こちらも受診率ではなく、「国保分の国保などの指標を定めた上で」という記載に変更しております。

6ページです。今後の方向性の最後の○で「市町村においてがん検診の対策を行う際、当面は健康増進事業による検診の受診者について加入保険者別に集計することを目指し、将来的には、職域で行われる検診も含め、全住民を対象とした受診率を実数で算定する仕組みを構築し、より正確な受診率について検討すべきである」としております。

7ページの一番下の○です。精密検査受診率について、前回は丸抜きにしていたところに、「本来100%となるべき指標であるが、現状を鑑みると、第3期基本計画においては、90%を目標に設定すべきである」とした上で、その下の※で、現状の地域保健・健康増進事業報告における精密検査の受診率を記載しており、6585%程度となっております。

8ページの4.「職域におけるがん検診の質の向上及び市町村との連携」です。ここは「現状と課題」の2つ目の○で、職域の現状を追記しております。「市町村が実施するがん検診が健康増進法に基づく一方、職域におけるがん検診は、法に基づかず、保険者や事業主が任意で実施しており、実施者によって実施方法が異なるため、必ずしもがんによる死亡率の減少に効果的ながん検診が実施されているとは言えない」です。

 また、下の「今後の方向性」も追記しております。1つ目の○は「職域においてがん検診を提供する保険者や事業主は、職域におけるがん検診の実態をより一層把握するとともに、その質的な充実に努める必要がある」、2つ目の○は、「職域におけるがん検診を効果的に行うためには、職域におけるがん検診に対するガイドラインを、職域におけるがん検診関係者の意見を踏まえつつ策定し、保険者や事業主はこれを参考にしてがん検診を実施する必要がある」。またその下の※ですが、「職域におけるがん検診に対するガイドラインを策定する際は、がん検診の対象とすべきがん種、検査項目、対象年齢、検査間隔については、指針を参考にすべきである」としております。また、その下の○ですが、「将来的には、職域におけるがん検診の対象者数・受診者数を含めたデータの把握のため、保険者や事業主、検診機関で用いるデータフォーマットの統一化や、がん検診データの収集のための仕組みを作る必要がある」ということで、これが前回から加わった主な変更点です。

 こちらからは以上ですが、この変更点や全体について御議論いただければと思います。

○大内座長 ただいま説明にありましたように、前回、923日の第19回では、タイトルが「第3期がん対策推進協議計画策定に向けた議論の整理()」だったのですが、今回は、タイトルも変わっています。「がん検診のあり方に関する検討会における議論の整理」ということで、私たちが議論している中身をそのまま反映するということになります。

 今、御説明がありましたように、書き方が、項目は1.2.3.4.と変わっていませんけれども、並び替えというか、最初に受診率であれば、現状と課題で、今後の方向性ということですね。市町村における検診についても、現状と課題、今後の方向性、あるいは、最後の職域におけるがん検診についても、現状と課題と方向性というように分けて整理されております。この点については、踏み込んで議論させていただきたいと思います。

 まず、「はじめに」については、前回と全く同じ文言ですけれども、特に問題はありませんでしょうか。

3ページ、がん検診の現状と今後の方向性です。第1に、我が国におけるがん検診の受診率で、総務省からの勧告にありますように、受診率が統一化されていないということ等も受けまして、今回は、この点できちんとした計算式を決めることも必要になります。今回は前回と異なっているのは、現状についてより詳しく書いてあることと、今後の方向性の中で、この受診率を上げるべく、具体的な数値までは入っていませんが、第1期の基本計画で示された受診率50%を達成できていないということを考えて、その点をどのようにするのか。

 具体には、がん対策推進協議会でこの数値目標を出したわけですので、今回も本検討会でその数値目標まで記載すべきかについては、議論のあるところだと思いますが、その点も含めまして皆様からの御意見を頂ければと思います。では、受診率について御意見があればお願いいたします。

○祖父江構成員 欧米諸国の標準を考えたときに、50%という目標は確かに低いわけですね。ただ、現状のキャパシティーとか考えて、それほど高い目標というところを掲げるのは現実的ではないという側面もあります。

 我が国の受診率の向上の施策のまずい点は、やはりターゲットを絞っていないということだと思います。受診率を向上させるといっても、きちんとターゲットを定めて、更に適切な検診間隔を守った上で、受診率を上げるという、そういうことをきちんと明記したほうが私はいいと思います。

○大内座長 ただいま祖父江構成員からは、ターゲットについても明記されたらいかがかという。これは、対象年齢の具体的には上限でしょうか。

○祖父江構成員 上限も下限も、そうですね。

○大内座長 上限、下限について、ある程度記載してはいかがかということですが、祖父江先生としては、どのような案をお持ちですか。現時点では、4ページの上の*がありますが、「健康増進法に基づくがん検診では」ということで、「年齢制限の上限を設けず」としてありまして、開始年齢についてはもともと書いてあって、「40歳、(子宮頸がんは20)から69歳までを対象」とすると一応、ここに案としては出しております。

○祖父江構成員 ですから、この文言の所に細かい年齢とかを書くのではなくて、適切な対象者に対して、適切な検診間隔を守った上で受診率を上げましょうという、そういう文言にしてほしいということです。

○大内座長 適切な対象者に対して、適切な検診を行う。

○祖父江構成員 検診間隔です。

○大内座長 検診間隔ですね。

○祖父江構成員 はい。守った上で。

○大内座長 まず、検診受診率については、「現在の50%よりも高い目標を設定するべきである」でとどめておいてよろしいですか。

○祖父江構成員 はい、私は特には。

○大内座長 よろしいですね。

○祖父江構成員 はい。

○大内座長 祖父江構成員の意見としては、次の○として、適切な対象年齢と検診間隔について設定すべきであるという文言でしょうか。

○祖父江構成員 はい、ですから、そういうものを守った上での高い目標設定値を設定すべきである。

○大内座長 この現在の50%より高いその前の文言、ここに入れるということですね。

○祖父江構成員 はい。

○がん対策推進官 祖父江構成員、御意見ありがとうございます。先ほどの御指摘の点については、6ページ以降に科学的根拠に基づくがん検診の実施及びがん検診の精度管理の中で、例えば7ページに、「がん検診の指針等においては、科学的根拠に基づき、対象とするがん種や年齢及び検査方法が推奨されている」とありますので、この中で、ある程度言えている部分もあるのかと思います。これはこの50%という目標のところにも併せて記載するかということについては、また御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

○斎藤構成員 海外の高い受診率というのが達成できている1つの仕組みというか、原則が今、祖父江構成員が説明したことだと思います。これは前に、確かどこかでヒアリングのときにプレゼンテーションもされていると思います。ですから、後段のほうで、正しい検診を正しいやり方でやるという文脈の所で触れるのはもちろんですが、やはり受診率の項目の所でも、これを触れておくというのは合理的だと思います。

○大内座長 そのように改訂はできますね。一部の文言を追加する。祖父江構成員の御指摘にありましたように、適切な対象年齢及び検診間隔について文言を加えて、50%より高い目標を設定すべきであるということで、あとは、事務局と座長で検討させていただきますが、よろしいでしょうか。では、斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 3ページの2つ目の○ですが、この記述を見ると、1つ目の○を受けて、何か施策が奏功して受診率が上がったかに見えるのですが、これ、そういう判断は必ずしもできないわけで、この上がった要因は、調査票のフォーマットを改訂したこと。つまり、個々のがん検診ごとに受けたか受けないかと聞くフォーマットにしたわけですね。これによって、受診の有無が格段に答えやすくなったために受診したという回答率が高まったと見るべきで、そういう議論も前にあったと思います。ですから、ここは、そういうあたかも施策が奏功したかのような予断を与えないように、上昇したということではなくて、この数字だけを淡々と書いておくにとどめるほうがいいと思います。それが1点です。

 もう1つは、この目標値が50%だけ書いているのですが、実は、基本計画の中間見直しで、3がん、胃、大腸、肺については、確か、当面40%という数値に置き換えたと思いますが、そこも記述したほうがいいと思います。このレポートを見て、協議会なり何なりの方々が判断できるように、ダブルスタンダードにならないようにここに書いてしまったほうがいいかと思います。

○大内座長 ただいまのは、現状と課題の○の2番目で、3行目ですね。「3040%に上昇したものの」ということの文言が、実はこれは上昇したとは言えないということで、これ、あくまでも「30ないし40%台であり」でしょうかね。

○斎藤構成員 そうですね。

○大内座長 依然として、諸外国に比べて低い状況にあるということになろうかと思いますが、事務局はいかがでしょうか。

○事務局 そのように検討させていただこうかと思います。

○大内座長 ほかに御意見はありますでしょうか。では、2.の市町村におけるがん検診の受診率及び算定方法に関して御意見を頂きます。

 この度の総務省からの勧告にありますとおり、市町村単位で比較可能な受診率の算定方法等もワーキンググループの議論を踏まえて示されていたところです。○の3つ目にあるように、「国民生活基礎調査」、「地域保健・健康増進事業報告」、「推計対象者を基にした受診率」とあって、こういったことについてはワーキンググループで相当議論されまして、5ページの今後の方向性で、前回、第19回で示されたように、受診率の第1指標としては、このように国民健康保険の被保険者数を分母として、その受診した者を分子とするということを協議されたわけです。書きぶりが若干、変わっていますが、第2指標として、地域保健・健康増進事業報告の受診率も参考とするとなっております。この点について御議論いただきます。いかがでしょうか。

○祖父江構成員 前回、物議を醸すようなことを言いまして、その結果、かなり苦労していただいたということだと思います。ここでまた、ひっくり返すようなことを言うのはやはりひんしゅくなので、これは大前提として、比較可能なものとして国保加入者に限って、市町村間で算出すると。

 これは、私自身は完全に納得したわけではないですけれども、受け入れるとしてですよ、その第2指標として地域保健・健康増進事業報告の受診率を参考とすると書いていますが、その前段の現状と課題の所では、3つの受診率の算定方法があり、いずれも正確性に欠けるなり、実態を反映しない受診率であるというようなことが書いてあって、なぜこれを第2指標として採用するのかという理由が全く書いていないですね。何か記述はあるのですか。

○事務局 こちらはがん検診受診率等に関するワーキンググループの報告書、お手元の参考資料37ページにあります。ワーキンググループの中で、地域保健・健康増進事業報告、今までまちまちだったという対象者については、住民全体を対象とするというところで統一すべきだといった議論がされております。そのため、住民全体と、今後、事業報告の対象者を統一すれば、市町村の比較する第2指標としてなり得るのではないかといった議論がワーキンググループでされたことを受けて、第2指標とされました。

○祖父江構成員 提案ですけれども、やはりそのままこの3つのうちの1つを指標として使うのは、余り望ましくないロジックだと思うのですね。正確性に欠けると言っているのですから。替わりの指標としては、地域保健・健康増進事業報告に有効算出する、受診率を算出する分子、分母がありますね。それから、国保加入者の分子、分母を引いた値をそれを「受診率」にして、何をやっているのかよく分かりませんけれども、少なくとも国保加入者以外の対象者に対する受診率を出して、それを「第2指標」とするというのはどうなのでしょうか。

○斎藤構成員 ワーキンググループで我々が実際に提案したのは、分母は全住民で、分子は国保以外という案がオリジナルだったのです。それがどういう経緯でしたか、このようになったのは。

○事務局 国保以外でのデータを算出できるかどうかにつきまして、先ほどの参考資料34ページですが、受診率の算定をするための算定因子の構成のところで、市町村別の算定が可能なデータの中から受診率の指標となり得るものを検討した際に、今のような議論になったという経緯がありました。

○大内座長 祖父江構成員の御意見、第2指標として、地域保健・健康増進事業報告を入れるとすれば、これは条件を付すべきだということでしょうか。

○祖父江構成員 というか、何か理由付けがないと、なぜ第2指標として地域保健・健康増進事業報告の受診率を第2指標として使うのか。余り正当化されていないと思いますけれども。

○松田構成員 よろしいでしょうか。

○大内座長 どうぞ。

○松田構成員 がん検診の受診形態というか受診場所は、1つは市町村があり、もう1つは精度管理等に問題があるとはいえかなり多くの部分が職域で行われている。地域と職域の2つのくくりがあるわけですけれども、実はその間に相当数の出入りがあるというところが問題だと思います。

 ということは、例えば国保本人あるいは健保の扶養家族の方たちが、多くの場合、市区町村のがん検診の対象になっているわけですが、健保の被扶養者については事業所の検診を受けている方もある。

 また事業所で検診を受けられない人たちは地域の検診を受けている。ですから、保険者間の移動があるために、受診率というものが非常に分かりにくい。保険者間、すなわち地域、職域の移動が最もないと考えられるのが国保だというように実は私は理解しているわけです。行く行くは、先ほど斎藤構成員がお話になったように、受診率の分母というものは、その地域の全住民、4069歳とするかは別にして、全ての住民が対象であって、分子というものはその中で地域、職域を問わず、がん検診を受けた全ての人たちとするのが妥当だと。でも、今のところは、職域で受けた人数が全く把握できないとすれば、最も把握できる国保を当分は使って比較したらどうか。それが地域と職域のがん検診の移動がないからだというように私は理解しているところです。

○祖父江構成員 国保加入者は第1指標として使うというのはそれは別に、そこの議論は全然していません。

○大内座長 第2指標について、条件を付すかどうか。

○松田構成員 ごめんなさい。

○大内座長 ワーキンググループの報告の7ページに戻っていただいて、この中ほどに、「住民全体を対象者とし、指針に沿ったがん検診を受診した者を受診者とするが、今後、報告内容について検討するべきである」と、この部分を具体的に書き込めますか。

○事務局 ワーキンググループに記載された事項は、今までこの議論の整理の中にも反映させていただいております。可能な範囲でこちらは検討したいと考えております。

○大内座長 使って良しとする理由に、あるいは条件をここに記載するということが、祖父江構成員からの意見です。それを反映させるということでよろしいでしょうか。祖父江先生。

○祖父江構成員 いや、余り理解していませんけれども。なぜ第2指標として、地域保健・健康増進事業報告が適切なのですか。ほかの国民生活基礎調査と、推計対象者を基にした受診率と比べて、どこがいいのですか。

○斎藤構成員 どう説明すればいいのか。

○事務局 もともと議論のはじめとして、市町村間で比較可能ながん検診受診率算定法を検討する必要がありました。国民生活基礎調査は、市町村別の受診率が出せないため、残りが地域保健・健康増進事業報告、または推計対象者を基にした受診率の2択となり、地域保健・健康増進事業報告の対象者を統一化すれば、こちらを第2指標としてできるのではないかという議論がされました。

○斎藤構成員 ちょっと思い出しました。かつてというか去年までは、地域保健・健康増進事業報告の分母というのは、自治体によって標準化されていない、独自の係数を掛けたりして算出していた事実があります。ところが、この春から分母は年齢で定義した全住民になったということで、分母は比較性がある事になった。それから、分子は、アンダーエスティメートにしろ、そういう意味で、この率がより即しているだろうと。だから、推計受診者数による受診率よりはいいだろうということで。先ほどの国保以外というのが、どうも系統的に把握できないらしいというようなことになったので、それで替わりになったと覚えております。

○祖父江構成員 2.の現状と課題に書いてある前提が崩れていますね。地域保健・健康増進事業報告は正確性に欠けていたということですね。

○大内座長 だから、最新の情報をここに書き込むべきですね。

○斎藤構成員 結構複雑なわけです。だからその主たる要因が、正確性が欠けていたというのが、昨年までの分母の非統一性ということのためで、地域保健・健康増進事業報告のちょっと前までの状況はそうだった、それと全対象者が分母になっている現在では違ってきている。

○事務局 これまでの流れと、ワーキンググループで決まったことを記載するなど、今後、統一された対象者とした地域保健・健康増進事業報告の値を第2指標とするという文脈にさせていただければと思います。

○大内座長 4ページの地域保健・健康増進事業報告の中の文言を整理していただいて、全住民を対象とするように変わったということを、ここに記載するということでいかがですか。それは可能ですね。

○事務局 はい。

○大内座長 正確性に欠けるではなくて、「使える可能性がある」ということをここに明記しておかないと、第2指標として使うことができないと。

○松田構成員 先ほど国保ベースの第1指標は祖父江構成員が渋々というか、御了解いただいたにもかかわらず、その説明をしてしまいまして申し訳ありませんでした。

 ワーキンググループでは、分母、分子を国保に限定してしまうと、国保以外の受診を妨げるのではないかという議論がありました。かつて、そういうことが実際には行われたようで、職域でがん検診を受けられない健保本人あるいは扶養家族をがん検診の対象から除外しようという動きがあってはいけないという議論があって、国保以外の人たちの健保本人等の受診者をどれだけ受け入れているのかということも見ないといけないのではないかということで、今の第2指標というものが出てきたわけです。

 ただ、祖父江構成員が言われるように、やはりちょっと問題があります。正確性に欠けるのだろうと言われると、その通りかと思うので、今は市区町村の間の比較をしようとするとこれしかないということだと思いますが、行く行くは全ての人たちを対象にした受診率を求めるということをしっかり明記した上で、比較する1つの材料にはなるのかということかと思います。

○大内座長 はい。それでは、4ページの地域保健・健康増進事業報告に関する文言の修正を含め、さらに5ページの*2番目の、また、上記の算定法による指標だけでは、不十分だということを書いた上で、第2指標についての書きぶりも変えるということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 皆さん、大体、方向性は見られていると思いますが、最終的は、職域も含めて全住民なのですけれども、それは後ほどまた総合的に議論させていただきます。

○斎藤構成員 よろしいですか、もう1つ受診率の所で重要なことがあります。今後の方向性のところですが、ここで2つの指標が出てきて、下から2番目の「公表するべきである」という記述があります。これは文脈からいくと、第1指標を公表すべきであるということに読めるのですが、そこがちょっと判然としないきらいがあると思います。

 もう1つ重要なことは、実は第2指標のほうは、かつてのと言うか、去年までの第2指標ですけれども、これは公表されているわけです。これは自治体の人は、そういう理解で誰も疑わないのですが、これは公表すべきであるとすると、今の公表はどうなっているのだということになりますから、それをこの2つの指標のどれを公表すべきということをきちんと特定しないと、混乱すると思います。ですから、例えば今後の方向性の34行目に指標が出てくるのですが、これを第1指標と書いて、下の真ん中の*で第2指標と書いてありますから、その下の公表すべきであるという所を、第1指標を公表すべきであるという記述を追加すればいいのかと思います。

 それと、ついでにその*の第2指標が書いてある所は、先ほど説明したような、ねじれというか、ややこしい背景がありますので、それも何らか齟齬がないように文言の調整をしていただければと思います。

○大内座長 5ページの下から2つ目の○ですが、「各市町村における値を公表するべきである」。何を、この値については第1指標と明記すべきかどうかということですね。

○斎藤構成員 そうですね。第2指標に当たるものは、これまでも公表してきているということです。

○大内座長 よろしいですね。これは総務省からの指摘にもありますように、市町村間で比較が可能なデータということを考えれば、公表する。それを具体的には、第1指標。私はそのようにこれで読めると思ったのですが、あえて書く必要はありますか。

○斎藤構成員 これは意見を聞きましたが、やはり自治体の担当者は混乱すると思います。

○事務局 検討させていただきます。

○大内座長 第1指標を使うということですね。

○事務局 第1指標を使うということを検討いたします。

○大内座長 検討していただく。市町村におけるがん検診のこの項において、御質問はありますか。

○斎藤構成員 大内座長、すみません。たくさん言って。これも重要なので一言だけよろしいですか。

 受診勧奨の一番下の○で、この所に「かかりつけ薬剤師等を通じた受診勧奨も勧める」と書いてありますが、現状、この人たちが何を勧めればいいかという知識を持っているかというと、それは想定できないのですね。例えば、今、85%の自治体が指針外の検診を行っているわけですが、その原因というのは、やはり指針外と指針内の検診の理解が、違いについて理解がない、何を勧めれば対策型として勧めればいいかということの理解がないということが分かっています。ですから、ここに基本計画に沿って、推奨するという趣旨の一文を入れることと、それから、それを担当する推奨の担い手がきちんと、寄って立つことのできるコンテンツとか、それから教育が施されるという趣旨の記述も必要かと思います。

 ただ、具体的に言うと、一番簡単なのは、最後の所に、「なお、以上の勧奨に当たっては、がん対策基本計画に沿った推奨をすること、その推奨に必要な教育も併せて行う必要がある」というような趣旨の記述を加えていただきたいと思います。

○大内座長 独立して項目を追記することによって、網羅されますね。

○斎藤構成員 そうですね。

○大内座長 今の文言で。

○斎藤構成員 独立した○にしてもいいかと思います。

○大内座長 はい。では、検討させていただきましょう。ほかにありますでしょうか。

○松田構成員 5ページ目の下から4行目ですが、「職域のがん検診との連携」という文言がありますけれども、これはそのとおりだと思います。しかし何を指しているのかが今一、よく分かりません。

 具体的には、職域でがん検診を受けているかどうかを把握して、受けていない人たちは市町村ががん検診を提供するということかと思いますが、あるいは、職域でがん検診を提供してくださいと要請する等というようなこともあろうかと思うので、これがもう少し分かりやすい言葉になったほうがいいのかと思います。この文言だけだと読んだ方が何を指しているのか、今一よく分からないような気がしますが、いかがでしょうか。

○大内座長 具体的にどういう文言がいいのですか。

○松田構成員 これは後で職域の検診が出てきますが、職域事業所にがん検診が義務化されていないので、それをやれとは書けません。職域のがん検診の受診状況を把握することと、職域でがん検診の受診機会がない人たちに受診を促すというようなことをはっきり書いたほうがいいかと思いますが、どうでしょうか。

○大内座長 どこに書きますか。

○松田構成員 職域のがん検診との連携のところを、もっと具体的に書いたほうがいいかと。当面は職域で受けられない人たちに市区町村ががん検診を提供するということを明記したほうがいいのではないかと思います。

○大内座長 職域におけるがん検診について議論を深めてから、もう一度ここに戻ります。5ページ目の一番下の○が、この中身が膨らんできまして、ここに書き込むと、相当混乱がみられますので。

○松田構成員 分かりました。後ほどで結構です。

○大内座長 次に進みますが、皆さん、よろしいでしょうか。それでは、3.の項です。科学的根拠に基づくがん検診の実施及びがん検診の精度管理に関して、現状と課題です。いかがでしょうか。

○斎藤構成員 何点かあるのですが、いずれも結構重要です。1点目は一番下の○で、精密検査受診率の目標値という言葉が記述されています。精密検査受診率の目標値と言えば何を指すかというと、ほとんど100%の自治体の人が、平成20年に健康局長通達された事業評価委員会の報告書の中の記述を、反射的に思い浮かべると思うのです。これとその違いが非常に紛らわしいのです。ですから、これは用語の使い分けをするか、何か手当てをしないと非常に混乱すると思います。ちなみに、そのときの設定には目標値と許容値があり、目標値はいずれも90%なのです。ですから今回と重なってくるわけです。この用語の使い分けをきちんとしたほうがいいと思います。

○大内座長 がん検診の精度管理に関する検討会で、平成20年度に既に目標値が定められています。それと齟齬が出てしまうということで、文言の修正も含める。

○斎藤構成員 ここに記述された目標値の発端というのは、恐らくがん対策推進基本計画の次の個別目標的な位置付けの目標値ですよね。そのことに関しては前々回辺りに、やはり混乱するという話もして、指摘申し上げたのです。違うものですから、用語にはっきり違いがないといけません。

○事務局 精度管理上の目標値の位置付けではなく、国として、対策として目標を定める、その目標値であることを記載すべきだと思います。

○斎藤構成員 このまま読むと間違いなく混乱します。たまたま数値が90%ということで同じになるとしたら、ますますです。「初めに言葉ありき」で、用語は非常に重要です。

○大内座長 ほかにもう1つ、2つあると言われましたけれども。

○斎藤構成員 ここは1つだけですが、そうすると「今後の方向性」に行ってしまいます。

○大内座長 では、今後の方向性について議論いたします。いかがでしょうか。

○祖父江構成員 これは表現の問題ですが、例えば現状と課題の2番目、3番目には「科学的根拠に基づくものとは言い難い」とか、「指針以外のがん種の検診を実施されている」と書いてあります。ということは、こういうものをやるなと言っているわけですね。今後の方向性の表現形として、最初の「5年以内に」うんぬんの所でも、「科学的根拠に基づくがん検診を実施する」と言っているのですけれども、本来言うべきは、科学的根拠に基づかない検診を実施しないということを、恐らくは言いたいわけです。言いにくいかもしれませんが、私はそちらの表現のほうが直接的であり、言いたいことを訴えられるのではないかと思います。

○大内座長 最初の○は、科学的根拠に基づくがん検診を実施することと、単純にそう書けばいいことですか。それとも根拠のないことを行ってはいけないというように書くのですか。

○祖父江構成員 分かりやすさから言うと「その心は」みたいなことで、そういうことを言っているわけですよね。今の表現形だと、科学的根拠に基づくがん検診を実施することを目標とするという。そのとおりですよ。そのとおりですが、ちょっと分かりにくいですね。

○大内座長 書き方ですね。

○事務局 そちらについてはがん対策加速化プランの中で、今のような文言があります。「一部の自治体では厚生労働省のがん検診に関する指針に基づかないがん検診が行われることを踏まえ、推奨するがん検診のみならず、効果が明らかでない検査項目を明示したガイドラインを策定し、関係団体と協力して普及啓発に努める」としておりますので、一応がん対策加速化プランにのっとった言い回しにできるのではないかと思います。推奨しないところは推奨しないという明記をすることは、加速化プランに書かれた内容として一致するところです。

○大内座長 よろしいでしょうか。

○斎藤構成員 今の御指摘について言うと全く賛成ですが、意味合いをもう少しポジティブにして注釈も付けるとすれば、例えば人的・経済的資源を基本計画に沿って有効活用するためにも、そういうことが必要であるというような記述を入れればどうかと思います。

○大内座長 効率性ですね。文言についてはまた検討させていただきます。では、7ページに移っていかがですか。科学的根拠に関する項目です。

○斎藤構成員 今後の方向性の一番上、2つ目の○です。この2つ目の○と4つ目の○が、全面的ではないのですが、冗長というか重なっているのです。「方法について科学的根拠のあるがん検診を推進していく必要がある」というのと、まだないものについて評価しろみたいなことですが、かなり重なっていますので、これを1つにまとめたほうがいいかと思います。それが1点です。

 もう1つは3つ目の○の中で、「関係団体と協力して普及啓発」うんぬんと、都道府県と市町村の役割みたいなことが書いてあります。ここに先ほどもあった「公表」という記述を入れてはいかがかと思います。つまり、科学的根拠に基づいた検診をやっている所のみならず、指針以外の検診を行っている所も公表すべきであるという記述を入れるべきだと思います。実際に先ほど度々言及している報告の中でも、都道府県の役割の所で明記されています。「積極的に住民が自ら受けるがん検診の質を判断できるように、生活習慣病管理指導協議会で、つまり県が結果をホームページに掲載する等の方法により、積極的に公表する」と書いてありますし、チェックリストの中にもこれに該当する項目があります。実は、そこが非常に遵守度が低い項目になっています。公表というのは加速化プランのほうでもそうでしょうけれども、1つの重要項目になっていますから、ここにも公表について記述すべきではないかと考えるわけです。

○大内座長 斎藤構成員の御指摘はごもっともで、精度管理の状況について市町村ごとも含めて、公表の文言を入れるべきだろうと。都道府県においては一部で、既にホームページ上で公表している所もあります。それも市区町村ごとに見える形を取っている所もありますが、それをここに書き込んではいかがかということですね。

○斎藤構成員 そうです。先ほど事務局から資料の提示があった総務省の行政評価にも、マル3に太字で「公表」と書いてありますので。

○大内座長 各市町村が公表すると言っても、なかなか大変ですから、この主語は都道府県でよろしいですか。

○斎藤構成員 これは都道府県の役割に位置付けられていたと思います。

○大内座長 設置されている生活習慣病検診等管理指導協議会の役割になると思うのです。

○斎藤構成員 チェックリストも、これは都道府県版のチェックリストですね。

○大内座長 事務局としてはいかがでしょうか。修正案はもちろん可能で、具体的に宮城県などは10年ほど前から、市町村ごとの5大がん検診の精度管理状況について公表しております。そういったことを参考にしながら。そのフォーマットを作られたのが斎藤構成員ですので、この文言も含めて修正していただけますか。

 ほかに御意見はありますか。下から3つ目の「国、都道府県及び市町村が、がん検診の普及啓発を行う際には、がん検診の意義、対策型・任意型の違いや、がん検診で必ずしもがんが見つけられるわけではないこと、がんでなくてもがん検診の結果が『陽性』になる場合もあるなどがん検診の不利益についても理解を得られるよう、普及啓発活動を進める」ということで、がん検診の利益と不利益について、ここで書いてあるわけです。それから、大きくは対策型と任意型があるというように、ここは大変重要な項目になっております。このような表現でよろしいですか。がん検診で必ずしもがんを見つけられるわけではないことというのは、偽陰性(False negative)ですね。がんでなくてもがん検診の結果が陽性というのは偽陽性(False positive)ですね。これが不利益になるわけです。そういった言葉がここに入っていますが、よろしいでしょうか。

○祖父江構成員 後で発言しようと思っていたのですが、不利益について特に強調すべきは、若年の受診者及び高齢の受診者について、不利益が利益を上回る可能性があるので、必ずしも年齢を広げればいいというわけでもないというのがそこに根拠を置くことなので、そういうことも含めて説明すべきという気がします。

○大内座長 日本のがん検診は対象年齢の上限が設定されていませんので、高齢者になるほど、実は不利益が増えているということはデータ的にも出ています。ですから、どこかに書き込む必要があるかと思っていました。後ほど検討させてください。

○斎藤構成員 今の点は科学的根拠がないというか、認められていない若年者、それから科学的根拠がある場合でも高齢者では・・・という記述にしたほうがいいのかなと。細かいですか?

○祖父江構成員 しかし不利益そのものが、若年では偽陽性が多いとか、……受診枠の副作用や副反応が大きいとか。

○斎藤構成員 確かにそうです。

○大内座長 これは最初に議論した、我が国におけるがん検診の受診率の中で祖父江構成員が言われたように、3ページから4ページにかけて追記する項目があります。いわゆるターゲットポピュレーションですね。適切な対象者及び受診間隔というところにも関係するわけです。その辺との整理をさせていただきながら、修正を行ってはいかがかと思いますが、よろしいですか。この方向性について、ほかに御意見はありませんか。

○福田構成員 では1つだけ。これは読み込めるのかもしれませんが、7ページの上から2つ目の○で、「科学的根拠に基づき、対象とするがん種や年齢及び検査方法が推奨されている」とあります。先生からもありましたように、これに受診間隔みたいなものも入れておいたほうがいいのではないですか。もしかしたら検査方法で読めるのかもしれませんが、それも議論をした上でやっていますし、実は前の受診率などを計算するときにも影響してくるかと思いますので。そんなことはないですか。

○大内座長 それは「等」に入っているのです。

○福田構成員 読み込めるのかなと思いつつ、ちょっと。

○大内座長 ・で「受診間隔」ですか。

○福田構成員 先ほどの不利益の話などもあるので、それもきちんと議論した上でやっていますというのが、どこかにあったほうがいいのではないかと思います。

○大内座長 では「方法・間隔等」でいきますか。ほかにいかがですか。

○椎名構成員 対象年齢のことです。対象年齢が若年については示されていますけれども、高齢についてはいわば天井のない状態なのです。そこは全然意味が違うのかなと思います。ですから高齢者の受診のリスクについては、きちんとお示しいただく必要があるのかなと思います。書込みとして、リスクがあるといった辺りはお示しいただいたほうがいいかと思います。

○大内座長 椎名構成員からの御意見は皆さんが感じておられることで、先ほどの祖父江構成員からの提案を受けて、いわゆる対象者の適切性について書き込むということで、文言を整理したいと思います。7ページの最後の○で、精密検査の受診率について書いてありますけれども、「90%を目標に設定すべきである」というのはよろしいですか。

○斎藤構成員 ここも先ほどと同じことですね。

○大内座長 今日何とかまとめないと、第3期の基本計画に間に合いませんので、よろしければ進ませていただきます。4.の職域におけるがん検診の質の向上及び市町村との連携の項について、現状と課題、今後の方向性について議論を頂きます。いかがでしょうか。まずは現状と課題です。

○斎藤構成員 幾つかあります。まず、ここのセクションは職域におけるがん検診の質の向上ということが書いてありますので、このタイトルから引っ張られると、精度管理が主体になるというのが1つです。これは中身との関係で後で言及します。その前の具体的な言及としては2つ目の○で、「法律に基づかず」という記述がどうなのかと。確かに明確に健康増進法ではやられていない。とはいえ、職域の一部はある法律を意識してやっておられる所もあると聞いておりますので、やはりこの記述はちょっと。法律に基づいていないと言うと、何か意味がよく分からない。確かに所轄法というのはないわけですが、背景をきちんと調べた上で、この記述を少し修正したほうがいいかと思いました。

 それから2番目と3番目の話が、実施方法、項目、対象年齢というように、先ほど来話題に上がっている記述が重複しています。タイトルとはちょっと乖離しますが、2番目をアセスメントと言いますか、科学的根拠のほうにして、3番目を精度管理のほうにしたほうがいいかと思うのです。具体的には2番目の○の「法律に基づかず」の後を、「任意で実施されており、検査項目及び対象年齢など、実施方法が異なるため」というように直す。そして3番目の○の1行目、検査項目及び対象年齢などから「異なっており」を削除し、こちらは「全体を把握する統一的なデータ、フォーマット等の仕組みもないため、精度管理が可能でない」というようにして、その後の受診率に関連する所は別の○を立て、「さらに同様の理由で対象者数及び受診者数の全ての把握ができず、受診率の算定が困難である」というように整理をすると、アセスメント、マネージメント、受診率というようにきれいに分かれて、重複もなくなると思います。

○大内座長 「職域におけるがん検診の質の向上」というのは、正しく精度管理を徹底するということで、今後、将来の方向性にも書き込んでありますが、後ほど議論します。確かに2つ目の○に「法に基づかず」と書き込むことが本当に必要かどうか。後ろに「保険者や事業主が任意で実施しており」と書いてあり、「任意」という言葉が使われていますから、「法に基づかず」というのはなくてもいいのかなという気がしますが、どうですか。あったほうがいいですか。

○祖父江構成員 いや、私はここが一番の問題だと思うので、はっきりこういうように書いていただいたほうがいいと思います。それにつながる「今後の方向性」というものが出てくると思うのです。

○斎藤構成員 指摘は、記述が妥当かどうかという話です。前回の議論でも、それに対応する法律がないということは明確に議論になりましたので、それはやはり書いたほうがいいと思います。

○大内座長 では、先生の意見は修正ですね。「法に基づかず」は残してよろしいですね。

○斎藤構成員 趣旨は残す。文言はこれでいいのでしょうか。

○井上構成員 趣旨は残すけれども、例えば「裏付けとなる法律がなく」とか、誤解を生まない言葉に変えればいいだけだと思うのです。残すことには大賛成です。

○斎藤構成員 間違っているかもしれないし、正しい認識ではないかもしれないけれども、指摘した具体的な理由は、一部の職域では医療保険法か何かで読み込んで、検診をやっているという事例を聞いたことがあるのです。それがどういう位置付けなのかはよく分かりませんが、そういうきっちりした根拠を確認したほうがいいかと思うのです。もう1つは、「法律に基づかず」と言うと、法律に違反しているようなニュアンスがするのです。

○大内座長 祖父江先生、何かありますか。

○祖父江構成員 確かに違反しているようなことを言っているわけでもないので、ある法律を根拠として、検診がやられているというわけではないという意味合いに修文するのは賛成です。

○白川構成員 今の議論はそのとおりだと思います。「法に基づかず」という表現は、確かに正確性を欠くので、法定の義務はないというような趣旨にしていただければいいと思います。

 あと1点あります。ここの部分の最後の「必ずしもがんによる死亡率の減少に効果的ながん検診が実施されているとは言えない」というのは、ちょっと言い過ぎだと思います。確かに精度管理の面で若干劣る部分があるかもしれませんが、間違った検診をやっているようなことを書く必要はなく、精度管理が若干不十分だという記述は構いませんが、ここは表現を少し工夫していただかないといけないと私は思いますが、いかがですか。

○大内座長 白川構成員の御意見は、「異なる」で止めておいたほうがよろしいのではないか、後ろの「必ずしも」以下は余り意味がないのではないかということですね。

○斎藤構成員 これはワーキンググループで、職域のほうから実態報告をしていただいたときの資料でも明らかですが、目的がやはり受診機会の提供であると。それから、実際に80%が捕促されていないということで、診療の延長での枠組みでやっているというのは、もう明らかで、これはワーキンググループでのコンセンサスです。ですから成果があがる、がん対策としての検診の枠組みにはなっていないということなのです。記述には工夫の余地があるかもしれませんが、趣旨として、これは間違っていないと思います。

○白川構成員 私が申し上げたとおり、精度管理とか対策型になっていないという問題があるのであれば、そう書けばいいので、「がんによる死亡率の減少に効果的な検診が実施されていない」というのは、書き過ぎだと申し上げているのです。正確に書いていただきたい。確かに法的義務ではないけれども、保険者も事業主も、厚意でやっているのです。それを否定的な書き方にしないでいただきたいということを、意見として申し上げているだけです。

○守殿オブザーバー 今、白川構成員がおっしゃったように、協会けんぽとしても同じような考え方です。私どもも基本的には指針に基づいて、がん検診の項目をやっております。そういった意味ではここまで書かれると、本当に何をやっているのか全く分からないというお話になってしまいます。

 その上に「重要な役割を担っている」という一言を書かれているという話からすると、我々は何の役割をここで評価されているのかという話になります。受診機会の提供が一番だとは思っていますが、受診率のところからも削られている。当然、精度管理はおっしゃるとおりで、そこはできていません。そのとおりです。では、この「重要な役割を担っている」という認識は、何をもってそうなのか。重要ならばそこを伸ばすということを何かはねているのか、後を読んでいきますと全く無意味なことをやっているという話にしかならない、何が重要なのかさっぱり分からないということです。

 もう少し言いますと、協会けんぽも指針に基づいて検診をやっています。その数はこの間お示ししたように、実際は膨大な数の検診をやっているわけなので、その数やそのデータが生かされないというのは、確かに「全てを把握していないから」と言われると、それまでですが、現実に何十万人という検診の実績があるということも、被用者保険のところでは事実なので、これを生かす方法がないのかという議論もしていただけないでしょうか。それが最後のガイドラインをという所にはねているのかもしれませんが、うがった見方をすると、ここを初見すると非常に懐疑的にならざるを得ない表現になっているので、意図されることが何なのかを、もう一度見直していただけたらと思うのです。職域に対して目指す方向がこうだということなら、そういう書きぶりにしていただいたほうが素直に読めるかと思います。

 それと、やはり加入者の目にも触れます。我々もがん検診と併せて、生活習慣病の検診をやっていますので、そういった受診率そのものにも大きく影響する可能性があります。少し未来志向と言いますか、現状否定型ではなくて。そういった気持ちがどうしても文面から読み取れてしまうということも、少し御配慮いただけたらと思います。

○大内座長 ただいま、貴重な御意見を頂きました。やはり実施方法が異なるということで、とどめておいたほうがよろしいと思います。「今後の方向性」について、ここでまた議論をしますが、職域については実態調査から始まって、精度管理のためのガイドラインも策定するというように書き込まれておりますので、今後も含めて、既に検診の機会を与えるという重要な役割を担っているわけで、それは評価すべきだと思いますし、今後も続けていただきたい。それが死亡率の減少効果に役立っていないと書かれるのはおかしいと思います。ここは白川構成員が言われたようにとどめておくべきだと思います。よろしいでしょうか。

○斎藤構成員 法律もないところを厚意でおやりになっているのは分かります。確かに協会けんぽは年齢の上限の問題を除けば、5がんとも全く指針と同じです。ですから職域が様々であることも承知していますが、やはりこの会議自体が、がん対策推進基本計画を進めていくという目的でやられているわけです。そういうことに照らすと、ある程度は実態の正確な記述は必要です。確かにこの表現を今の御議論を踏まえて修正するとしても、そこはやはりある一定の記述をすべきかと考えます。

○白川構成員 私には全く理解できません。別に厚意でやっている話ではなく、保険者も事業主もそれなりにがん検診を進めようとして、一生懸命やっているということです。それが専門家から見れば、精度管理上の問題など、いろいろと御指摘はあるでしょう。それはこれからの取組として、我々としても対策を打ちましょうという話です。現状と課題というテーマだから、そういう課題がありますと書けばいいので、「必ずしもがんによる死亡率の減少に効果的ながん検診が実施されるとは言い難い」という表現はどうかと申し上げているだけです。

○斎藤構成員 言っていることは間違っていないのですが、記述を工夫していただきたいということです。

○白川構成員 先ほどの発言を聞いていて、医療法か何かを意識してがん検診を行う事業主もいるとか言っていましたが、お金の掛かる話なので、そんな事業主はいません。法律に基づかないで任意でやっているわけです。誤解を招くような発言はやめていただきたい。

○斎藤構成員 このことに関しては、先ほど理由を付けて申し上げました。職域に関してはワーキンググループでの資料や議論を踏まえて申し上げています。そういうことで御説明いたします。

○大内座長 では、先ほどの第2の○については修正を行います。第3については斎藤構成員から修正案が出ましたので、事務局のほうで検討していただきたいと思います。第4の○、「被用者保険の被扶養者は被保険者に比べ、がん検診受診率が低くなっている」というのは事実ですので、前回、前々回でも示されたところです。※も事実としてよろしいですね。今議論になりましたが、今後の方向性が大変重要です。「職域においてがん検診を提供する保険者や・事業主は」、実態の把握、その質的な充実に努める」ということで、精度管理について書き込まれています。それを受けて第2の○がガイドラインを策定するというところまで踏み込んでいます。ここまででいかがでしょうか。将来性について、方向性について御議論ください。

○道永構成員 また現状と課題のほうですが、よろしいでしょうか。3つ目の○を先ほど斎藤先生が変えてくださったのですけれども、ここは受診率が主になっているので、この受診率の部分は前の受診率の所に置いたほうがよろしいのではないでしょうか。質の向上ということで、精度管理のみをここに書いて、最後の所は市町村との連携なので、とても大事だからここに入れる。どうでしょうか。

○斎藤構成員 ○を1つ。

○大内座長 そこについては事務局と相談の上、項目を分けることにしますので、斎藤先生はアセスメント、マネージメント等を含めたこの3分割ですよね。

○斎藤構成員 受診率を把握するのはマネージメントに属することで、受診率を上げるというのは、それを分けて議論していますよね。ここはマネージメントで把握する仕組みになっていないということを混ぜたいのかなということで、○を1つ独立させるという提案をしたということです。

○大内座長 ここの整理は、事務局と座長で分かりやすくさせていただきます。では祖父江構成員、お願いします。

○祖父江構成員 今後の方向性のところに幾つか記述があるのですが、8ページの下に○が2つありますね。ページをめくってまた2つと。これはいずれも主語が「保険者や事業主が」、何かする必要があるということで記述されているのですけれども、現状と課題のところにあるように、保険者、事業主がやるのに、これは法律に基づいていないわけですよね。裏付けがないものに関して何かしろと言うのは、ちょっと無責任な印象を持ちます。

 ですから、イの一番に書くべきことは、国が職域におけるがん検診を実施義務のある検診と位置付ける必要がある。私はこのことだと思います。そうすれば、ほかの4つの記述が、その裏付けの下に保険者、事業主が行うということでつながりますし、最後に国が受診率の高い保険者を公表すると書いていますけれども、これだけではないぞというところを記述できるのではないかと思います。

○大内座長 ただいまの件は、ここで健康局長だけでの判断は難しいかと思いますので、法に基づかないということが影響されていますけれども、今の祖父江構成員の提言といいますのは、この職域におけるがん検診についても、何らかの法的な根拠を置くべきではないかという御意見です。

 多分、これはほかの、もちろん今回の職域のことなども入れていただいておりますが、いかがでしょうか。白川構成員とオブザーバーの守殿さんにもお聞きしたいのですが。そういったことで、かなり大きなステップアップになってしまうのですが。最後に、国は公表についてはインセンティブを与えるとも書いているのですが、今、祖父江構成員が言われたような、健康増進法のような形で、がん検診を行うべきとするようなことを提言できないかという意見なのですね。いかがでしょうか。

○白川構成員 法定義務にまで格上げすることは、お金の絡む話にもなります。市町村のがん検診には補助金が付いていて、なぜ職域のがん検診は補助金がないのかという話になります。

 ものすごくお金の掛かる話でもありますから、私は今現在は、職域のがん検診を法定化するというのは非常に難しいと思っております。ただ、かなり強い努力義務みたいな表現を入れることについては、別に反対はいたしません。

 実は国保の場合と違い、被用者保険の場合は問題があります。なぜかというと、個人情報に絡むところを、事業主と保険者の間でどうするかということが、いまだに解決されていない。例えば、被保険者が人間ドックを受診し、がんが見つかった場合、事業主に告知できるかというと、これは個人情報の観点から言うとできません。

 事業主側としてはそういう情報をベースに配置転換とか、労働負荷とか、本当は考慮しなければいけないのですが、そういう連携が今、できていません。そういう実務上の問題もありますから、一口に事業主とか保険者と書いていますが、その裏には相当難しい問題も含んでいることは申し上げておきたいと思います。

 したがって、その連携をどう組むかというのが被用者保険の場合は、国保側と違い相当大きな問題であり、そこのところを考えながらの表現にしなければいけないと私は思います。

○守殿オブザーバー 協会けんぽとしましては、今、おっしゃるように、1つは健康経営とかいう概念で、非常にコラボヘルスということで、事業主との連携ということを片方では一生懸命進めているという状況です。

 もう1つは、我々にとっては被扶養者、こちらについては、やはり地域住民という考え方がメインですので、基本的には先ほどから言っていますように、がん検診は地域のがん検診を受けていただく受診機会を促進するという立場で動いているということになっています。

 前もお話しましたが、全国47支部で各行政と健康に関する覚え書きを結んでいます。その中に特定健診の推進であるとか、データの共有などを取り決めて、今、各地域で進んでいるのは、国保と協会けんぽが一緒になって、対象者に対してがん検診を進めるという活動をいろいろな形で進めています。その中で、例えば、一元的な受診勧奨案内であるとか、保険者を区別せずに、住民として勧奨しようとか、ワンストップの問合せ体制を作ろうとか、そういった形でいろいろな試みが地域で始まっております。

 話を蒸し返すようですが、そういった試みの成果が、先ほどの指標の中で評価されないというのは、やはりどうしてもその辺は納得感がいまだにないわけなのです。そういった部分を行政と協会けんぽの職員が打合せをして、そういった形で動いている、数が増えている、受診率が増えていると、どうしても受診機会の提供の増大が、私どもの評価という形になってしまっているのです。先ほど、斎藤構成員のお話のように、では、次の展開はというのは当然付いてくるのですが、ただ、現状の受診機会を広げているということは、先ほどの大きな役割という部分で評価を頂いた上で、そういった活動を認めながら、どうしていくのかというワンステップ、もう1つ入れていただけると有り難いかなと思っています。

 被保険者については、先ほど白川構成員が言われたとおりです。それから、習慣病は予防という観点があるので、生活習慣を改めるということで、フィードバックしやすいのですが、がんというものは、一旦保険者も情報を得てしまうと非常に扱いにくい課題だと。これは事業主も同じなのですが、ここの情報共有をどうするのだと、この事業主ということで、先ほどの白川構成員と話がかぶってしまいますが、再三出てきますが、では、事業主はどうしたらいいのだという話に基本的になってくると思うのです。

 ですから、やはり、被養者保険におけるがん検診というものは、先ほどありましたように、法制化するまでもないとは私も思うのですが、それに近い議論をもっと深める必要があるのだろうと、国保と一緒になってやるという単純な話ではなくて、本当に被養者保険の中でも、以前も議論に出ていたと思うのですが、けんぽ組合と協会けんぽと共済、みんな課題が違うので、その辺はやはり深掘りする必要があるのだろうなと思います。以上です。

○大内座長 9ページに白川構成員と守殿オブザーバーの御意見もありますように、今後の方向性の中に、対象者数や保険者と事業主、それから市町村における検診との連携ということなどが書いてあるのですが、祖父江構成員の言われたことを第1の○にして、法的な根拠というのは、やはり、なかなか書けないですかね。

 ですから、いろいろな問題があるということが言われましたので、この方向性の案に書いてある、特に上から3つ目に職域においてがんに適用する保険者や事業主はということで、この市町村との連携、これは道永構成員からも最初に日本医師会の取組について紹介されたとおりですけれども、そういった連携強化に向けての整理をする。この検討会に初めてそういった職域について、きっちりとした形で議論を深めているところですが、まだ不十分な点があり、文言整理がかなり重要になってくると思っています。果たして、あと15分でできるかどうか、いかがでしょうか。

○椎名構成員 9ページの○の2つ目ですが、私、これをよく読ませていただいて、市町村との連携で具体的に書き込まれているところは、ここだけのように読めるのです。それで、まずこの文章なのですが、「職域においてがん検診を提供する保険者、事業主は、職域でがん検診を受ける機会のない者に対し」というのは、具体的にどういう、つまり女性のがん検診などをイメージされた文章なのかとは思うのですが、これだけ読むと、ちょっと素直に分からない。やっているのに機会がないとはどういうことかなと読めてしまうのが1点です。

 それから、これだけだと市町村におけるがん検診を受診するよう情報を提供するというのは、非常にある意味、一方的なように見えるので、実際はこういった事業主さんですとか保険者さんと、区市町村さんがコミュニケーションしている部分があると思うのです。そういった取組をもっと進める必要がある。その中でこういった機会のない方についても、がん検診が十分に届くようにするべきだといったような書きぶりに変えていただいたほうがいいのかなと思いました。

○大内座長 事務局、いかがでしょうか。

○事務局 職域でがん検診を受ける機会のない者というのは、先ほど守殿オブザーバーが言われたような、協会けんぽにおける被扶養者のような方を想定して書いた文章ですが、そのようなことに配慮した分かりやすい文章に改めるよう調整したいと思います。

○白川構成員 9ページの上から3個目の○ですが、前回、被用者保険では保険者や事業主ががん検診のデータを集めることは、相当大変であることを申し上げました。医療機関側から取ったほうが効率的で正確だという意見については、残念ながら書いていただけなかった。ここにありますとおり、データフォーマットの統一、道永先生がおっしゃっていただいた、今、作業を進めていただいているものですが、これは是非とも、できれば何年ぐらいと入れたいのですが、まず、インフラを作らないと医療機関側からデータをもらうというわけにもいきませんので、そういう記述をしていただいて、非常に良かったなと思っております。

 それから、9ページの5個目の○のところですが、これは事務局のほうにもお願いして、保険者、事業主は努力義務なのですが、何らかのインセンティブがあったほうがいいのではないかということで、記載していただいたと感謝しておりますが、言葉としては、被用者保険では、データヘルス計画というものを、どこの保険者もやっていますから、そのデータヘルス計画の中にこれを入れるとか、がん対策の推進を織り込むだとか、そういうことも少し触れていただければ良いと思います。一番最後にインセンティブを与えるための方策、あるいはデータヘルス計画の中へ織り込むとか、そういうものを一文入れていただくとよろしいのではないかと思いますので、御検討ください。

○事務局 ありがとうございます。今の点につきまして、関係する部局もありますので、そちらと検討したいと思います。

○大内座長 道永構成員にお願いしたいのは、ここにデータフォーマットの統一について記載されていまして、先ほど原案を示していただいたのですが、国への要求、いわゆる概算要求も書き込まれておりますけれども、この「将来的には」と言っても、やはり年度が大事だと思うのです。今、白川構成員が言われたように、このフォーマットができて、運用に至るまで、ほぼ何年ぐらい掛かるかも含めて、先生、御意見を頂けますか。

○道永構成員 まだ、はっきり分かりませんけれども、この間、記者会見したときに、やはりメディアの方から質問がありました。まだ何年にどこまで進められるかというのは分かりません。本当に今、出発点です。ある程度のデータがあるので、先ほど申し上げました所見の問題といったものが標準化できれば、少し前に進むのかなと思っています。ちょっとこれは担当の者に聞いて、大体どれぐらいのスケジュールなのか、今度、確認しておきます。

○大内座長 予算要求については、これは何年から何年と期間は決めていないのですか。

○道永構成員 これは平成29年度の要望なので、来年度になっています。

○大内座長 分かりました。来年度から予算を組んで動くということですね。

○道永構成員 そうです。来年度の予算ということです。続けてよろしいですか。先ほど白川構成員からのお話も同じなのですが、「国は」というところで、検討するべきであるということですが、今、実際に厚生労働省がやっている事業の中で、スマートプロジェクトというものがありまして、それを進めるということと、あとは、がん対策推進企業アクション、1回こちらでヒアリングしましたが、今、それも進んでいますので、そちらの推進ということを入れ込んでいただければと思います。

○大内座長 インセンティブに関して、私も具体的なことを書いていないので、ちょっと気になっていたのですが、今、白川構成員と道永構成員から具体的にデータヘルス計画や幾つかの案が出ましたが、どうしましょうか。書き込むことは可能ですか。

○健康局長 スマートライフプロジェクトという所は、キーアクションプランというものを既に我々はやっていますから、実際これは事業主を公表したり、表彰したりという仕組みをやっております。こういうものについては、既にここにがん検診の受診率の高い社会保険者や事業主を公表するなど、これは受診率が高いだけではなくて、工夫をしている所、そういう努力をしている所を表彰しているわけで、そういうものを活用して、「公表するなど」の「など」のところに実はそういう意味合いを含めておりますけれども、例示として書くことは可能と思います。

 データヘルスの場合、がんの場合のデータヘルスは非常に難しくて、先ほど守殿オブザーバーがおっしゃっていたように、特定健診あるいはデータヘルスで、例えば、医療に結び付いていない人たちをちゃんと結び付けていくか、糖尿病の管理などをやはり中心に議論しているので、がん検診の場合は正に病気を見つける二次予防の方法であって、データヘルス計画の中でどう位置付けるかという議論は必要だと思っています。そこはちょっと保健局とも相談した上で、ここにデータヘルスというものを明示するかどうかについては、少し考慮させていただきたいと思っております。

○白川構成員 データヘルスは、平成30年度からの第二期に向けた検討が行われている最中で、事業項目の中に特定健診や保健指導は必須で入れるという構想になっていますけれども、それ以外に重症化予防やがん検診、精密検査などの項目を入れ込もうという議論が行われています。

 がん検診といっても相当幅広いものですから、ある健保組合では胃がん検診を中心にやろうかとか、健診の結果から、精密検査を勧めることを事業項目に挙げる所もありますから、かなり有力に行えると思います。

 それからもう1つは、ここにインセンティブと書いてありますが、具体的な例でいうと、東証の健康銘柄を30社ぐらい発表しています。あれは経済産業省がやっていますが、その中に評価項目がたくさんあり、がん検診も入っているのです。これは経済産業省の話なので、厚生労働省は関係ないかもしれませんが、何かそういう工夫ができるのではないかと私は思っておりますので、よろしくお願いします。

○健康局長 承知しました。

○大内座長 国の役割ということで、ここに質の高い保険者、事業主を公表するなどとありますが、あとはインセンティブですね。余りお金の掛かることはできないと思いますが、インセンティブの中では既に幾つか優良企業等の認定なども始まっていると思いますが、具体的な項目を書くべきかどうかについてお伺いしますけれども、この文言でよろしいですか。

○がん・疾病対策課長 本当にいろいろな所でいろいろな取組がされていますので、先ほど事務局からも申し上げましたように、もう少し具体的な書き方をしていけるのではないか、そのように思っております。

○大内座長 では、そのようにさせてください。ほかに御意見ありますか。

○斎藤構成員 小さい指摘で恐縮ですけれども、9ページの用語がちょっと見には分かりにくいかと。指針とガイドライン、指針は前のほうでスペルアウトして書いてはいるのですが、ここをパッと見たときに、ガイドラインはまずがん検診ガイドラインを思い浮かべます。ですから、初出の所に説明したほうがいいと思うのです。具体的には、8ページの下、今後の方向性の2つ目の○の所で、例えば職域におけるがん検診を効果的に行うためには、ここはカギ括弧でも付けて、「職域におけるがん検診に対するガイドライン」として、こういう意味であると明記したほうがいいと思います。あるいは、その後の「地域における指針に相当する」みたいなことを書けば、関係性がはっきりするのではないかと思います。

 それからもう1つは、2つ目の○で「職域におけるがん検診を効果的に行うためには」、これは将来の話ですので、目指す方向ということで、やはりこれもがん対策の基本的なポリシーを踏まえてということを書いていただいて、その上で、関係者の意見を尊重し、それを踏まえて策定したというような記述のほうがいいと思います。

○大内座長 参考にさせていただきますが、そもそも第三次がん対策基本計画に向けて、この提言をまとめているわけですので、それは御理解ください。

 細かい御指摘は、皆さん御理解されていると思うのですが、職域におけるがん検診に関する制度、特に精度管理に関するガイドライン策定ですね、検診項目もそうですけれども、それについてはよろしいですね。今後ここが重要になってくると思います。

 もう時間が来てしまいましたが、ここでどうしてもという方がおられたらどうぞ。

○祖父江構成員 その他の所で、余り深い議論はされていないのですが、高齢者のがん検診に対して、先ほどの不利益等の問題もありますので、市町村の中には高齢者に対して個人受診勧奨通知を出したり、あるいはは受診時の自己負担の無料化等をして、過度なインセンティブを与えている所があると思うので、そういうことは余りよろしくないというようなことを、ここに記述してはどうかと思いますけれども。

○大内座長 分かりました。では、それは事務局と検討させていただきます。ほかに御意見ありますか。では、幾つか修正点がありましたので、もう一度事務局と相談して修正した上で必要な部分に関しては、座長として預かることにしておりますが、皆様の意見も今後参考にして、追加でお聞きすることになろうかと思います。では、一旦マイクを事務局にお戻しします。

○がん対策推進官 本日は長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございます。次回の検討会の詳細につきましては、また調整の上で御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○大内座長 それでは、本日の第20回の検討会を、これにて終了いたします。御苦労さまでした。

○がん対策推進官 もう一度座長と御相談させていただいて、この議論の整理()を最終的なものとしてまとめていきたいと思っていますので、引き続き御協力いただければと思っております。今回で座長に預らせていただいて、議論の整理をまとめて、()を取りたいと思っておりますので、御協力をお願いいたします。いずれにしても、座長と御相談したものを先生方に御覧いただいて、最終的なものを決めたいと思っております。

○大内座長 先ほど私そう申し上げましたので。

○がん対策推進官 すみません、事務局として確認させていただきました。ありがとうございます。

○大内座長 では、これで解散とします。

 

 

 


(了)

健康局がん・疾病対策課

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