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2016年11月22日 第9回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成28年11月22日(火) 14:30~16:30


○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)


○出席者

委員(50音順)

浅見委員 浦上委員 岡部委員 小幡委員 滝沢委員長
永井委員 平井委員 藤野委員 望月委員 山口委員
湯谷委員 吉田委員 渡部委員 渡辺委員

厚生労働省

馬場政務官 橋本審議官 宮崎課長 松田室長 小柳補佐
久保補佐 倉吉補佐

○議題

(1)報告書のとりまとめについて
(2)その他

○議事

○久保補佐 皆様、お集まりのようですので、これより「第9回水道事業の維持・向上に関する専門委員会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては御多用中にもかかわらずお集まりいただき、まことにありがとうございます。まず初めに、厚生労働大臣政務官の馬場より一言御挨拶を申し上げます。
○馬場政務官 皆さん、今日は。「第9回水道事業の維持・向上に関する専門委員会」の開催に当たり一言御挨拶申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては御多忙の中、御出席を賜り、また毎回熱心に御審議・御指導いただき厚く感謝申し上げます。
 本専門委員会はこれまで8回に渡って、広域連携の推進や水道施設の計画的な更新等による水道事業の基盤強化及び指定給水装置工事事業者制度の課題解決に向けた対応策について、精力的に御審議をいただいてまいりました。
本年4月には私の地元・熊本にて地震が発生いたしまして、44万戸以上の断水が発生するなど大きな被害を受けました。災害対応能力の確保も大きな課題であると強く感じているところです。そのことに関しましても、委員の皆様方には大変お世話になっておりますことを感謝申し上げます。
 今日は朝からまた東北で地震がありました。地震がこれでおさまることをまずは本当に心から祈りたいと思います。何もこのあとが続かないようにしたい。今後、あらゆるところで災害が起きる可能性がありますので、また委員の皆様方には御指導いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 本日は報告書の取りまとめに向けた御議論をいただくこととなっております。厚生労働省といたしましては、報告書をおまとめいただいた後は、その御提言をしっかりと受け止め、必要な制度改正を含め、将来に渡って安全・安心な水道を守るために、水道事業の基盤強化及び指定給水装置工事事業者制度の改善に全力で取り組んでまいります。
本日も忌憚のない御議論をお願いいたしますとともに、これまでの委員の皆様方の熱心な御審議に感謝申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。よろしくお願いします。
○久保補佐 恐れ入りますが、政務官はほかの公務のため、ここで退席させていただきます。
                                (馬場政務官退席)
○久保補佐 本日の委員の出欠状況についてお知らせいたします。本日は石井先生が御都合により御欠席ということです。委員15名中14名の御出席となっております。出席委員数は過半数に達しておりますので定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 本日の配布資料の確認を行います。本日配布しました資料は机の上にクリップ止めのものと黄色のファイルがあると思います。クリップを外していただきますと、まず議事次第、次が本専門委員会の名簿、その後ろが資料1、国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき政策について(案)です。資料はこれのみです。ほかは参考資料として前回の議事録を付けております。
 黄色のフラットファイルのほうにつきましては、これまでと同様、水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項(概要版)と本体、それから指定給水装置工事事業者制度に係る課題解決の方向性と対策(案)の概要イメージ図、本体資料、更にその後ろに、厚生科学審議会生活環境水道部会運営細則とこの専門委員会、水道事業の維持・向上に関する専門委員会の設置についてという紙です。不足等ありましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 ここで傍聴の皆様へのお願いです、カメラ撮りはここまでとさせていただければと思います。御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、以降の議事進行を滝沢委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○滝沢委員長 皆様、御協力をよろしくお願いいたします。本日の議題は、「報告書の取りまとめについて」ということで、前回までの議論を踏まえ、事務局にて策定いただいた報告書(案)について、取りまとめの方向で御議論いただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、報告書(案)についての御説明を事務局からお願いいたします。
○久保補佐 資料1の「国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策について(案)」です。この資料につきましては前回、第8回に骨子の案の叩き台という形で御提示したものをベースに、前回いただいた御意見を踏まえ、報告書のスタイルにしたものです。
 まず、前回の骨子ではタイトルがありませんでしたが、これにつきましては今申し上げたとおり、「国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策について」としております。
 その他、体裁につきましては普通の文章のスタイルにし、脚注や参考資料を付けております。
 内容面でも、3章が3ページから先にありますが、ここが(1)から(5)の各論に分かれております。ここについて、それぞれの各論の冒頭に、1章にも書いてあるのですが、それぞれに関する現状や課題といった記述を再度記述するという形にしております。
 また、この報告書(案)全体を通して、「義務付ける」とか「法律上位置付ける」といった文言が出てくる場所があります。そういったところが、今後、我々としては法制度を触っていく必要があるだろうと考えている場所であると御理解いただければと思います。
 それでは、本文につきまして、主な変更点を中心に御説明いたします。まず1ページ、9行目に、「経営状況の急激な悪化が懸念される」という言葉があります。もとの骨子案では、「財政状況」としておりましたが、岡部委員、石井委員の御指摘を踏まえて、「経営」としております。
 同じく25行目、「小規模の水道事業者ほど職員数が少なく、災害などに自力で対処することが難しい」という部分の記述です。当初、地震のみを書いていたところですが、これも前回の御指摘を踏まえ、地震のみならず豪雨といった災害もあるだろうということ、更には事故発生時にもなかなか対処が難しいことがあるということを付け加えております。
 次のページ、上から2つ目の○、39行目を御覧ください。1章ということで、これまでの議論の流れを書いている部分ですが、ここに、「水道事業をめぐるこうした課題及び新水道ビジョンに掲げられた安全・強靱・持続の理念を踏まえ」ということで、まさに過去、基盤強化に向けてずっと行ってきた議論の流れをここで示しているということです。
 2章にまいります。今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性ということで、法律で言いますと、責務規定のところなどをイメージしながら書いている部分です。
 2つ目の○のところ、水道事業の基盤強化とは何かということを括弧書きで書いている場所があります。すなわち適切な管理による健全な施設の保持、財政基盤の確保、最後に人材の話があります。人材のところで前回御指摘があったとおり、前回ですと、「技術力を有する職員」といった書き方をしておりましたが、技術力のみならず、経営ノウハウを有する人材も重要だということ、それから職員に限らず、官民連携も考えれば、ここは「人材」という言葉を使うのがいいだろうということ、さらに、確保のみならず育成も重要だといった言葉を追加しております。
 同じページ、60行目、56行目からのパラグラフですが、「単独で事業の基盤強化を図ることが困難な中小規模の事業者においては広域連携を図ることが必要」という書き方をしております。ただ、報告書全体として、官民連携というのもクローズアップしているところですので、60行目からのところに、「民間企業の技術経営ノウハウ及び人材の活用を図る官民連携も」、少し飛ばしますが、「水道事業の基盤を強化していく上で有効な方策の1つである」というパラグラフを加えております。
 同じく64行目から「人材育成について」、繰返しになりますが、これも「一層の推進が求められる」ということを改めて特記しております。
 このページの最後から次のページにかけて、これらの観点を踏まえ関係者それぞれの責務を明確化しましょうというところです。ページがまたがる部分に、「中長期にわたって事業の持続性を確保する観点から」という一言を加えております。これは浦上委員からの御指摘を踏まえてということですが、非常に重要な視点だということで特記しております。
 責務規定については前回の骨子案から大きくは変えておりません。ただ2点、国の書き方について、83行目のところになりますが、前回の資料では、「国は必要な支援を行うよう努めなければならない」という書き方をしておりました。ここにつきましては、いろいろな委員の方々から、「財政的な支援という言葉がほしい」という御意見をいただいたところです。現行の水道法の第2条の2の第2項というところが国の責務の規定になっておりますが、そこの言葉を引用するような形で、1つは81行目になりますが、「基本的かつ総合的な施策を策定し、これを推進する」という言葉を加えました。また、83行目につきましては、「必要な技術的及び財政的援助」という法律の言葉に改めております。
 84行目のレ点のところ、ここは災害時の連携協力ということを書いております。前回の骨子案ですと、単に「関係者」という形で主語を書いておりました。ここにつきまして、関係者とは誰なのかを明記するために、「国、地方公共団体、水道事業者、水道用水供給事業者及びその他の関係者」と列挙する形に改めました。
 87行目になります、これは石井委員からの御指摘です。頻発する豪雨災害への対応を含め、例えば合流式下水道の整備といった観点で関係省庁は互いに連携を図ることが重要ということを書いております。
 3章の課題に対する具体的な対応に入ります。(1)適切な資産管理の推進、まず初めが【台帳整備】です。台帳につきましては、まず、なぜこれが大事なのかを99行目から100行目にかけて書いております。すなわち、「水道施設の適切な管理のほか、適切な管理だけでなく、計画的な施設の更新や災害対応、広域連携や官民連携等のすべての基礎のような形、すべての基礎となる有用な情報である」ということを書いております。 101行目、「台帳の整備率が6割程度にとどまり」とあります。これは前回お示しした、台帳の整備状況や点検の実施状況の資料に書いてあった数字を引用してきたものですが、明記しているということです。こういったことを踏まえ、台帳の整備を行うことを水道事業者及び水道用水供給事業者に義務付けるべきというようにしております。
 108行目についても追記しております。台帳については義務ということであり、「台帳に記載すべき事項について、国は具体的に示すべきである」ということを書いております。
 113行目から先、【点検を含む維持・修繕】です。ここは余り大きな変更はありません。ただ118行目からのパラグラフ、前回の資料でお示しした現実の点検の実施状況について、機械・電気・計装設備では約9割の業務者で日常点検している等々の情報を記載しております。
 124行目になりますが、ここも台帳と同じく、「維持・修繕を義務付けるべき」としております。維持・修繕の中でも、点検の方法について132行目から先に書いております。内容は前回と変えておりませんが、「適切な時期に、目視その他適切な方法で点検を行う」ということ、135行目から、「うち特に鉄筋コンクリート構造物については、例えば、5年に1回の頻度で近接目視等により劣化状況の確認」といったことを書いております。その後、138行目からのところで、湯谷委員からの御指摘、「国においては、点検を含む維持・修繕の内容を定めるに当たって基本とすべき考え方をきちんと示すべきである」という一言を加えております。
 次のページ、【更新需要及び財政収支の見通しの試算並びに計画的更新】です。ここについては特に変更はありません。153行目あたりになりますが、見通しを試算すること、それから具体的な更新施設や更新時期をあらかじめ定めて、計画的に施設を更新するということ、そのように更新するよう努めなければならないということを法律上位置付けるべきとしております。
 同じく158行目から、「そのような見通しの試算を行った場合には、わかりやすい形で公表するよう努めなければならない旨を同じく法律上位置付けるべき」としております。
 【給水需要に見合った施設規模への見直し】というところは特に大きな変更はしておりません。
 (2)持続可能なサービスに見合う水道料金の設定です。こちらの変更点としては190行目から先、骨子案では、「更新需要等を考慮した料金の設定について定期的(3~5年)おきに見直しをするように認可権者は促すべきである」という書き方をしておりました。ここにつきましても湯谷委員からの御指摘を踏まえ、まずは「水道事業者が主体的に見直すべきである」という趣旨を入れました。それから「見直し」という言葉がいかにも料金の数字そのものを必ず変更するようなニュアンスを持つ言葉かと思いましたもので、「検証及び必要に応じた見直し」という形に噛み砕いて記載しています。
 199行目から先、こちらは吉田委員から御指摘がありました。日本水道協会が策定している水道料金算定要領その他、そういった資料について国のほうからも周知を図るべきという一文を加えております。
 (3)広域連携の推進にまいります。7ページの上、これは事務局で書き加えております。広域連携には、「広域化検討の手引き」にある4つの形態として事業統合、経営の一体化、管理の一体化や施設の共同化があり、それに加えて、この報告書としては事務代行や技術支援といった形態も考えられるとしております。この中で、特に管理の一体化を図る上で、ITの活用が有効だということを改めて記載しております。
 こちらにつきましては、224行目あたりと230行目からの長いところになります。「都道府県は広域連携の推進役を担うべきであるということ、このため、都道府県が広域連携を推進する協議の場を設けることができる」。更に230行目から先の枠組みの話、「厚生労働大臣が基本方針を定める、都道府県は基本方針に基づき、関係市町村の同意を得て、水道事業基盤強化計画を策定できる。策定した場合には公表するよう努めなければならない」。更に243行目から、「広域連携を行おうとする水道事業者及び水道用水供給事業者は、具体的な広域連携の実施方針等を定めた広域連携実施計画を策定できる。更にその計画を策定した場合は公表するよう努めなければならない」ということ、このあたりについては前回お示しした骨子からは特に変えておりません。
 また、「広域連携実施計画」というところにつきましては、これまで「広域連携推進計画」という名前で呼んでおりましたが、内容を踏まえ、改めて「実施計画」という名前に変更しております。
 続いて247行目から先になります。ここは今回、新たに事務局で付け加えた文章になります。237行目でお話をしたとおり、水道事業基盤強化計画というものを都道府県に策定してくださいとしております。一方、現行の水道法には第5条の2というところで、広域的水道整備計画の策定というものが規定されています。これまではこの基盤強化計画と広域的水道整備計画は別ものと考えます、というような形で我々は御説明してきておりました。
 ただ、よく考えますと、どちらも都道府県に策定いただくものとなっているということで、今後都道府県が計画を作っていくに当たって、例えばどちらの計画を策定すべきなのか、あるいは両方作らなければいけないのか。そういった感じで混乱が生じる事態もあり得るだろうということで、改めて、両計画を整理すべきという一文を追加しております。
 次のページ、255行目を御覧いただければと思います。ここも、国の支援というお話です。ここはまず中核となる地方公共団体の果たす役割の重要性にも配慮して支援ということを前回の骨子案では書いておりました。ただ、まず主語がないということ、支援というのも何なのかということで、改めて、「国は必要な技術的及び財政的援助を行うべき」という形で書いております。
 259行目からの台帳整備などに関する支援のところも同様で、「国は必要な技術的及び財政的援助を行うべき」としております。
 また、ここの文章につきましては前回平井委員から御指摘があり、全体として都道府県が広域連携の推進役を担っていくに当たって、国ときちんと連携してほしいという御意見がありました。ということで、順番が逆になりましたが、251行目のところ、「都道府県が広域連携等の水道事業の基盤強化を推進するに当たり、国は上記枠組みの運用の考え方を示すとともに、先進的な取組事例の情報提供を行う等、積極的に連携・協力すべきである」ということを記載しています。
 続いて、(4)官民連携の推進にまいります。ここにつきましては、結構文章の順番を変えたりなどしていますので、見た目は一見変わっているように見えるかもしれませんが、基本的には同じ文言を使って同じ意味で書いております。
 265行目からの一文につきましては、骨太の方針の引用として、政府全体の取組として利用人口の減少の中、安定的な経営を確保するために、事業の広域化を行うとともに、官民連携を活用しましょうということを記載しております。
 269行目からのパラグラフを御覧ください。ここは浦上委員から、とかく官民連携というのは経費削減の手段という形でとらえられがちですが、実はそうではなく、水道事業の持続性、公共サービスの質の向上の観点から行うようなものであるという御意見がありましたので、その旨を271から272行目にかけて記載しています。
 同じく275行目から276行目にかけて、こちらは渡辺委員からの御指摘なのですが、地域の状況に精通した民間企業との連携を一層活用しましょうということ、それから275行目で、民間企業の技術や経営ノウハウはどちらも重要で、そういったものに力を借りていこうということ。これは石井委員の御指摘だったと思いますが、その旨をここに記載しております。
 その他、282行目から先について、特に285行目から先になりますが、官民連携にはいろいろな連携の形態があって、各水道事業者はそういった多様な選択肢の中からそれぞれの事業のあり方を踏まえた上で適切なものを選択すればいい。国は、各事業者がそれを上手に選択できるよう、必要な情報や留意点を示していくべきであるということが書いてあります。
 290行目からはコンセッションの話になります。こちらについては、結論として295行目、「法制的に必要な対応を行うべき」というところは変更しておりませんが、途中のところ、留意点として、滝沢委員長からお話のあった水質の安全性の確保をきちんと考えましょうということを293行目、また石井委員から御指摘がありましたが、特に「官民の権利・義務関係の明確化」といったところに関連して、災害時等の不測の事態も想定してよく考えましょうという一言をそれぞれ追加しております。
 297行目からに移ります。こちら、骨子では日本再興戦略の準備金などを検討しましょうといった記述を踏まえ、「税制上の措置を検討すべき」といった一文が入っていた場所になります。こちらについては、実は関係省庁間で検討・調整を行った結果、税制改正を行わずとも現行制度の運用で対応できることが明らかとなりました。そういったことで、この報告書(案)におきましては具体的な運用の考え方を記載するということで、このような文章に変えております。読上げは省略させていただきます。
 304行目から先になりますが、民間企業が水道事業の運営に関わることとなった場合の料金原価の算定方法について、これも骨子から変えているわけではありません。しかし、公営企業と同じように総括原価主義とするとともに、総括原価には法人税や配当金を含めることができるようにということを記載しております。
 最後に、(5)指定給水装置工事事業者制度の改善について御説明します。こちらも内容としては320行目から321行目にかけてで、「指定に有効期間を設ける更新制を導入すべきである」ということ、次のページの326行目、「指定の有効期間は5年間とすることが適当」という基本的な構造は変えておりません。
 こちらについては渡辺委員から御指摘がありました。1つは優良事業者の表彰といった制度がほしいということです。事務局で検討した結果、直ちにそういったものを導入するというのは難しいかなということもありまして、1つは331行目になりますが、水道事業者が更新の申請時にいろいろな情報を確認することにしております。その確認した情報を利用者が指定工事事業者を選択する際に役に立つような形の情報ということで分かりやすく情報発信しましょう、これにより、選ばれるべき指定工事者が選ばれるという形に持っていこうということを1つ書いています。それと合わせて、347行目からのパラグラフになりますが、まずはこの報告書の345行目までに書いたような取組を推進することが大事ですが、その先の更なる方策として、優良な指定工事事業者に対する表彰、現にやっている事業者も幾つかございます。そういったものの普及拡大も考えられるのではないかということを記載しています。
 同じく渡辺委員からの御指摘ですが、334行目から335行目にかけて、「配管技能者として配置されるべき者の考え方について、国は改めて周知の徹底を図るべきということ」、それから352行目から353行目にかけてですが、(3)広域連携の推進の取組によって水道事業の事業統合が行われた場合、事業統合を行っただけでは直ちにはそれぞれの給水道事業者の給水装置工事の施工方法等が統一されませんので、そういった点にも留意する必要があるといったことを書いております。
 事務局で追記したものですが、337行目のパラグラフ、もともとここは指定工事事業者に対する講習会などを検討していきましょうということが書いてあったところです。ただ、そもそもの話として、指定工事事業者の資質の向上が重要な課題ということ、340行目、講習会を充実させた上で今度は指定工事事業者も是非、講習会の機会を積極的に使っていただきたいということを記載しております。
 356行目から先、2パラグラフほどあります。骨子では付いておりませんでしたが、ここに「おわりに」という章を設けております。1つは359行目からのところになりますが、この専門委員会では特に議論はなかったお話ですけれども、例えば新水道ビジョンなどでは重点的な項目ということで掲げられている水道の国際展開について一言記載しております。すなわち、「水道の国際展開の推進も、水道業界全体の育成につながるということで国内の基盤強化にも寄与することが期待され重要な課題である」といったことを記載しております。
 11ページ、最後のページになりますが、「水道は、国民生活に最も密着した社会基盤の1つであり、国、地方公共団体、水道事業者、水道用水供給事業者、指定給水装置工事業者等の関係者は、その真摯な取組により、常に国民の期待に応えることが求められる。国は本報告書の提言を踏まえ、法整備その他の必要な対応に早急に取り組むことが望まれる」という旨を記載しております。
 以下は参考資料です。参考1が本専門委員会の開催経緯、参考2が委員の名簿、その後ろ、14ページから先はスライドになりますが、主には水道の現状と課題に関するバックデータということで30数枚付けております。説明は以上です。
○滝沢委員長 御説明ありがとうございました。本日の議題はこれ1件ですので、どの部分からでも結構ですので御意見をお聞かせください。前回の委員の皆様の御意見を踏まえまして、修正した案ということでお示しさせていただいていますので、御確認の上、御発言いただければと思います。
○吉田委員 日本水道協会の吉田です。第3章の中身について、3点、意見を申し述べたいと思います。
 1点目は、3ページの95行目以降に、課題に対する具体的な対応として、台帳の整備、予防保全の実施、アセットマネジメント、広域連携の推進やそのための計画策定、指定給水装置工事事業者制度の改善などについての記載があります。いずれも水道事業の基盤強化などに向けた、新たなツールであり、法的に位置付けることも示されています。
 一方で、第1章、第2章にもありますが、近年、水道事業等に従事する職員数が減少していることなどからも明らかなように、各水道事業者は、効率的経営に向けて、ヒト、モノ、カネ、ぎりぎりで事業を運営しているという実態もあります。特に小規模な事業体の中には、必要な職員数を確保できないという状況もあります。そうした中で、今回掲げる新たな取組を、実際の事業の中で着実に実施させるためには、これまでの委員会でも発言してきたように、どうしても技術的・財政的な支援が必要不可欠と考えています。「現在、日本の水道が世界的に見てもハイレベルにあるのは、ある意味、水道法で規定されている水道事業の保護育成の下での国庫補助等の制度によるところも大きいと思います。是非、この報告書で掲げた、具体的な取組を実践していくためには、安定的な技術的・財政的支援を担保していただきたいと思います。
 2点目は、官民連携のコンセッションについてです。9ページの290行目からのパラグラフになります。ここには、コンセッションの法制化のための留意点が書かれていますが、もう1点、事業体がコンセッションを導入する検討に当たっての留意点という視点も必要かと思います。文章の中にも、293行目の後ろから、「事業の安定性、安全性、持続性を確保する観点から…、法制的に必要な対応を行うべきである。」と記載されています。地方公営企業に代わって、民間事業者が水道事業運営権者となるコンセッション方式を採用するか否かについては、ここに書いてありますように、事業の安定性、安全性、持続性の確保とか、海外の先行事例、例えばコンセッション方式から退行せざるを得なかった事例の教訓を十分に活かすということが不可欠であると考えています。コンセッション方式導入後に、万一、事業者が経営破綻した場合、又は大規模災害や大規模事故が発生した場合などの非常時においても、発注者側である自治体と受注者側であるコンセッション事業者の責任分担を、文言上で明らかにしておくこともはもちろんですが、事業運営上でも、こうした非常時にも、安定性、安全性、持続性が確保できる体制を平時からきちんと構築しておけるかどうかということが、コンセッション方式を導入できるかどうかの検討に当たっては重要なことであると認識しています。
 コンセッション方式を導入した場合、民間事業者に経営権を委譲することになりますので、発注者である自治体側には、水道事業や個々の業務を運営する背景、組織、能力等は失わざるを得ない状況となります。そうした場合でも、非常時にに住民に給水ができるという実務上の体制を確保できるかどうかという視点が、導入の検討に当たっては必要だろうと考えています。その点については、異論はないものと思います。
 この点については、報告書案の292行目の「官民の権利・義務関係の明確化」から「法制的に必要な対応を行うべき」の所に書かれているとは認識していますが、できればコンセッション方式の導入に当たっての留意点を整理される中で、今申し上げたような留意点についても、もう一度明確化していただきたい。
 3点目は、9ページの(5)指定給水装置工事事業者制度の改善の更新制度の導入です。これから制度化、又は必要な法制度化をしていくに当たっては、是非円滑に導入して機能させてほしいと思います。そのためには、この報告書にも書いてあるように、過度な負担にならないように留意していく必要があると思います。
 具体的な制度設計、水道事業者や関係民間事業者への周知、実施に当たっての準備期間の確保などとともに、新たに更新制度を導入することになりますので、更新料の考え方は全国的に問題になるかと思います。更には、国からの通知に基づき各水道事業者が行っている指定工事事業者に対する研修、講習のサイクルとの関係なども含めて、基本的な考え方を示すなどきめ細かな対応をしていただきたい。私からは以上です。
○滝沢委員長 ありがとうございました。1つ目と3つ目は要望という形ではありましたが、事務局から3点について、御回答を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○宮崎課長 とりわけコンセッション絡みの御意見が多かったかなと感じております。現時点では、まだここには、「災害等の不測の事態も想定した官民の権利・義務関係の明確化」という言葉しか書けていないのですけれども、いろいろなリスクの分担については、これからもかなり詰めていく必要があると思います。どういうケースがこれからあり得るかといった点も含めて、まだ見通せない部分もあって、現時点ではこのような表現にさせていただいています。というのも、第1番手で出てくると思っておりました、大阪市の「コンセッション事業」につきましても、やや後ろ倒しになっているような状況で、そのほかのタイプで、どのようなコンセッションが可能かというのは、まだ見通せない状況です。PFI法によれば、「コンセッション」といっても、いろいろなタイプが含まれるようなことも想定されておりますので、個別の事例については、もう少し検討が必要かなという感じがしております。
 しかしながら、水道法において、どういうことが整理されていれば、コンセッションをやりたい所がスムーズに進めていただくことができるのかなということからも、最低限の手は打つ必要があるということから、今、法制局等とも相談をし、詳細については検討中であるということを申し上げて、御意見については伺ったという形にさせていただきたいと思います。
○倉吉補佐 財政的・技術的援助の話と、指定更新制度についてお答えをさせていただきます。援助の関係につきましては、前回の専門委員会においても、多くの御指摘を頂いたところでございまして、厚生労働省としても、報告書において提案をしている、新たな制度の実効性を担保していくためには、技術的・財政支援というのは不可欠であると考えています。
 特に御指摘がございましたとおり、職員のいない規模の小さい事業体におきまして、「台帳の整備」ということが義務化されることは負担であるかと思いますので、そういった資産管理に関係する、情報の整理のツールについては、きめ細かな支援が必要であると考えております。厚生労働省としても、援助の必要性、重要性を痛感していますので、委員の皆様の御意見、また都道府県の方々、事業体の方々の御意見も聞きながら、援助の内容等によって検討していきたいと考えています。
 また、指定更新制度の改定につきましては、報告書の中においては、5年の更新を明記していますが、実際に制度として運用の面で新たに入れていくことになりますと、更新料の考え方など、実際の実務面で今後考えていかなければいけないことが多いと思っておりますので、それにつきましても、水道事業者の皆様や工事事業者の皆様の声を聞きながら、きちんと準備を整えていくということをさせていただければと思います。
○滝沢委員長 ありがとうございます。今朝も地震がありましたが、日本は実に災害が多い国であるという前提で、災害時にも安定した水を供給する、あるいは復旧するということが非常に大事だということは、全ての皆さんが合意するところだろうと思います。そういうことも念頭におきながら、どういう仕組みがいいかということを御検討いただければと思います。
 また、海外の事例で再公営化なんていうのがありますけれども、一旦コンセッションにして、また再公営化ということが仮にあると、非常に大きな混乱が生じるということであろうと思います。そういうことも踏まえながら、文言としては、292行目に加えていただきました、「災害等の不測の事態も想定した官民の権利・義務関係の明確化」というようなことと、「事業の安定性」というところで、そういう内容も含んでいるということだろうと思います。引き続き御検討いただければと思います。
○小幡委員 しっかりまとめていただいていると思います。3点確認をしたいのですが、法律的にみると、法律上義務付けるのか、あるいは努力義務なのかという辺りで、大きな違いがあると思います。
 「台帳の整備」につきましては105行目、106行目で義務付けて、108行目で具体的に示すべきであるということと、124行目の所で修繕をきちんとしなければいけないとなっています。水道というのは、大変重要な社会基盤でございますので、必要最小限のことは、少なくとも義務付けていただきたいので、賛成なのですが、小さい事業体とか、なかなかこれをやっていくのは、実際上は大変かもしれないということがあります。それで、後ろの8ページの259行目の所で、「国は技術的及び財政的援助、小規模な水道事業者には情報の整理、一時的支出が困難だから」と書いてあるのですが、位置の問題なので、どちらでもよいのだとは思いますが、義務付けられてもなかなか自費でやるのは大変かもしれないなという含みで読んでいくと、「援助もある」ということが後で出てくるので、前のところには、「援助」の話は全然書かれていないというのが少し気になった点です。
 それから先ほどの「コンセッション」の所ですが、やはり、PFI法のコンセッションというのは新しく出てきたものなので、それをどのように水道事業に当てはめていくかというところで、認可されるのは誰になるのか、もともとの市町村か、あるいはコンセッションを受けた事業者なのかとか、詰めていかなければいけないところがいろいろあると思うのです。下水道のほうもなかなか法技術的に難しいことがあるようです。ただ、ここは、水道法の趣旨、性格、関係法令間の法的整合性を十分重視する。この段階ではこれぐらいしか書けないと思うのですが、今の水道法にコンセッションがあまり摩擦ない形で、これから運営していけるように、是非、法的整合性を考えていただきたいと思います。これは非常に細かな法技術的な話になりますので、今後、法制局との調整もあると思いますが、実体に適合して、一番、市町村等にとってもやりやすい形でできるようなシステムを構築していただきたいと思います。
 あともう1点ですが、6ページの184行目の所で、これは水道料金の話で、非常にいろいろ議論ございますけれども、本来、将来の施設更新の財源の資産維持費を計上して、水道料金を算定すべきであるというのは正にそのとおりで、私も水道法の目的はこのままでもよいと思うのですが、現実に周知徹底していくということが必要で、恐らく自治体でも大丈夫な所は問題なくうまく資産維持費も計上され、値上げしていかなければいけないということでうまく収まればよいのですが、他方で全くそういうことを考えていなくて、非常に低廉過ぎてやっていた所が、突如これを加えよと言われても、なかなかうまくできないということはどうしても出てくると思います。これはやむを得ないのですが、住民の理解を得るように努めるという辺りで通すしかないのですが、どうしてもそういう自治体は、一般財源のほうを繰入れながら、将来的にはこのような状況に向かっていくという形で公表していくことになると思います。その間は全部水道料金で賄えというのも、難しいところは若干出てくるかもしれないと思います。それも含めて、住民の理解を求めながら徐々にということでやっていけばよいと思います。
 最後にもう1点ですが、今回の委員会での検討は「水道の基盤整備」、「基盤強化」という大変大事なテーマなのですが、自治体間に差がありまして、非常にしっかりやっていて、問題はない、このままやっていけばよいという所と、他方で、事業者によっては、大変な所もありまして、このままでは安全、安心な水道が供給できなくなるという危機感が大事だと思うのです。現状と課題という所でかなり出てきているからよいとは思うのですが、終わり辺りにもう少し多少盛り込んで、「このままでは大変だ」というような指摘があってもよいかと思います。これは感想ですが。
○滝沢委員長 どうもありがとうございます。コメントと御意見だったと思いますが、4点いただきました。最初の所で、国が支援するというのが、もう少し分かりやすく書かれていたらということと、コンセッションに関しては、詰めるべき点が多いというところですが、「今の水道法と整合を図ってください」と書かれたとおりなのですが、資産維持費に関しては、現行の料金が安いところほど、やはりどうにも難しいだろうと、確かに私もそのとおりだと思います。それについて住民の理解が必要だということ。それから最後に、危機感を明らかにするようなことを加えてはいかがかというコメントでしたが、いかがでしょうか。
○倉吉補佐 まず、1点目ですが、台帳の整備に関する「財政的な援助」について、「広域連携」の最後の所に書かれている点ですが、台帳の整備が義務付けられたときに、実際に自らできないほど基盤の弱いところについて、援助はするけれども、できれば広域的な、規模を大きくしていくということもこの機会に考えていくような趣向を持っていただきたいということがありまして、「広域連携の推進」の所に記載をしております。
 コンセッションの件につきましては、御指摘いただきましたとおり、摩擦がないように実態に合うような形で、制度を措置することができればと考えておりまして、現在、法制局で、かなり議論をさせていただいているところで、まだなかなか方向性等についても、明確なことを申し上げられないのですけれども、小幡委員がおっしゃるとおり、実態に合ったような形として作ることを考えていきたいと思っています。
 水道料金の件につきましても、おっしゃるとおり、急に資産維持費を計上することは難しいということは、我々としても認識をしておりまして、地域の実情がそれぞれある中で、一般財源も用いながら少しずつ水道料金をきちんとしていただければというようなことも考えています。
○宮崎課長 最後のまとめの所に、「もう少しきちんと取り組みなさい」というような言葉があってもというお話でした。今日お配りした資料の中の参考資料にもありますが、全国的に見まして人口減少社会であります。例えば東京都であっても、何十年か先のことを思えば、今から準備が必要であろうと。ましてや小さな所、あるいは田舎になればなるほどしていくべきだろうというのはおっしゃるとおりだと思います。管路の更新率を見ましても、東京都は2%ぐらいやっていますけれども、その他の所は軒並み1%。さらには、0.5%切っているような所もたくさんあると。これが現実ですよね。このまま放っておくと、大変なことになるだろうと。耐震化もなかなか進んでいないのではないかという思いを持って、この報告書を書いてまいりましたので、小幡委員がおっしゃるように、もう少し終わりに何か追記できるよう、工夫したいと思います。
○滝沢委員長 はい、ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○渡部委員 松江市の渡部でございます。前回、欠席しまして大変申し訳なかったと思っています。1つ目は2ページの57行目の所ですが、「地域の実情を踏まえつつ、職員確保や経営面のスケールメリットの創出につながる広域連携を図ることが必要である」とありますが、今日も地震があったわけですが、広域連携の大きな目的は、災害対応をやっていかなければいけないというのが、目的としては非常に大きな要素になるのではないかと思っています。具体的に申し上げると、例えば地域の局地的な災害も特に頻度が多いわけでして、そういうときに、水融通など極めて重要になってくるということで、そういう部分で、災害時の対応という部分をそこへ付け加えてもらうといいかなと思っています。
 それと、これは今回、法律の改正ということで、基本的には賛成の立場で、要望に近い意見だというように聞いていただきたい。3点ほどお話をさせていただきたいと思います。というのは、この法改正が行われて、現実的には、我々は地方の事業体を含めて、いかに実施計画なり制度設計をしていくかというところが我々の一番大きな関心事でもありますし、重要なことだと思っています。
 まず1点目は適切な資産管理の推進というところでございまして、例えば施設機能を維持するための施設の管理方法については、4ページの127行目の所にも書いてありますが、その中で、例えば「予防保全」というのが状態監視保全と時間計画保全というのがあって、実際は、例えば経営的視点から、更新を先送りにするとか、逆に言ったら、時間保全ではなくて、状態保全を優先させて、独自でやっていける部分が自治体としていろいろあるわけでございます。
 具体的に言えば、管路の問題で、法定耐用年数でいけば、40年というのが1つあるわけですが、いわゆる社会状況において、今民間のほうでも非常に耐用年数の長い管路とか、そういうのも出てきているわけですので、そういう状況に応じて、更新をやっていく上においては、やはり国のほうで少し耐用年数の基準というものの法律ではなくて、実施の部分できちっと定めていただいて、ある程度それに従ってやっていくということが必要と思う。今、管路更新に130年はかかるという根拠をより正確な情報として集約する上でも耐用年数の見直しを国において、定めていただければ、より一層正確な維持・修繕というものができるのではないかと思っております。是非、そういう方向で制度設計なり、通知とかいろいろな形があると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それと2点目は「持続可能なサービスに見合う水道料金の設定」ということで、5ページから書いてあるわけです。特に料金設定のいわゆる基準になるものについては、私の隣に吉田委員がおられるわけで、日本水道協会の「水道料金算定要領」というのは非常にいろいろな情報を集めて正確に作られたと思っておりまして、うちのほうの料金改正のときにも使わせていただいたわけです。是非、参考にということではなくて、少し国のほうが、いわゆるお墨付きで認定して、この日本水道協会の算定要領を国の基準として、地方に対して通知などで出していただければ、より一層適正な料金改定が進んでいくのではないかと思っています。是非、これを有効活用できるように、国の基準として定めていただきたいと思っています。
 3点目ですが、簡易水道部分の文言ですが、7ページの219行目から222行目、広域連携の中に、簡水・上水の、これも広域連携の1つだと書いてありますし、8ページの260行目から262行目まで、小規模な水道については、国が必要な技術的及び財政的援助を行うべきであるということですが、実は我々が考えております、簡易水道統合の部分には、拠点都市が中心となって統合していく部分と、全く福祉水道として前から申し上げているように、やはり小規模同士で統合しても、いわゆる不採算ベースでメリットが出てこないというところがあり、当然、当分の間ずっと残っていくわけですので、是非、法律改正と合わせて、制度設計の中で、持続的な小規模水道、例えば5,000人未満の所の情報を収集していただいて、財政的支援をやっていただきたいと考えております。
 これもいつまでもやるということはなくて、広域連携を前提にある程度、拠点となる都市とか都道府県、この辺が手を出しやすいような形で財政支援をしていただきたいと思っております。それはなぜかと申し上げますと、松江市においても周辺にあるわけですけれども、それは慈善事業じゃないですけれども、ただ単に採算が悪い所を引き取っていくということが、極めて住民感情や議会感情も含めて、「そんなことをしてどうするのだ」という話になるので、そういう部分をフォローできるような、少しきめ細かい支援も、御検討いただければと思っております。是非、法律改正が実のあるものになるような、ということで、要望という形で御意見を言わせていただきました。以上です。
○滝沢委員長 4点頂きました。最初は「広域連携」の中で、災害対策が一番重要だということです。それから要望ということで、資産管理に関して、「状態監視」でいいものは長く使うということ。耐用年数を国が示してほしい。料金は算定要領を国の基準としてほしいという御意見。それから簡水については、時限で構わないので、何らかの支援がいただきたいと、これは要望だと思いますが。
○久保補佐 財政支援以外の3点についてお答えします。まず初めの「災害対応能力の向上」の点です。こちらについては、今回の制度改正全体の議論として、基盤強化を図るためのいろいろな制度を入れていこうとしているのが1点です。それで、基盤強化を図ることで災害対応能力も高まっていくという、そういう構造になっていると考えておりますが、確かに第2章のここについては余り明示的に「災害」という言葉も出てきておりませんので、表現について少し工夫するということで検討させていただければと思います。
 それから御指摘のあった1つ目は、例えば耐用年数の基準についての御指摘がありました。例えば管路の耐用年数といいますと、法定耐用年数で40年とありますが、その数字自体は、実際の耐用年数として運用するには少し使い勝手の悪い数字かなと思います。ただ、では実際の耐用年数はどうやって考えるのかというと、それこそ管路の材質や埋まっている土壌の環境等によっても様々異なりますので、基本的には水道事業者さんがそれぞれの実情というか、管路の置かれている場所などに応じて適切に定めていくべきというものになります。
 ただ、そうは言いましても、なかなかそんなに全ての事業者が事細かに決められるものではありませんので、確かにおっしゃるとおりで我々厚生労働省としましても、例えば大きめの水道事業者ですと、様々な劣化状況の調査等を行って、それに基づいて実耐用年数をこのぐらいにしましょうという設定をしていたりしますので、そのような情報を集めて発信していくといった形で、少しでも技術支援の1つということになると思いますが、個々の事業者のお役に立てるように検討してまいりたいと思います。
 それからもう1つ、御指摘のありました料金の算定の考え方の件です。これは、委員もおっしゃっていたとおりで、日本水道協会の作っている要領がそのままでもかなり物がいいという部分もありますので、何か改めて厚生労働省で検討し直してということにはならないのではないかと思いますが、おっしゃるとおりで、ただ単に日本水道協会でこういうものが定まっていますので、御参考にどうぞという出し方をするのではなくて、国としてなるべくこれを参考として使ってもらいたいのだというような趣旨を何とか出していけるように、今後の周知のときの書きぶり等々を考えてまいりたいと思います。
○小柳補佐 今、簡水統合の話がありました。簡水統合については、御存じとは思いますが、簡易水道の統合期限の延長を3年にさせていただき、それに合わせて統合された簡易水道についても、引き続き何らかしてできないかということは、財政当局としても調整をしているところではあります。ただ、各事業体の実情をリサーチしているという話があったと思うのですが、その辺りも踏まえて、先ほど倉吉からお話がありましたように、今後どういった財政措置が必要なのかについては、都道府県や事業体の皆様からいろいろお話を伺って決めていくことも考えておりますので、その際に意見聴取をしていきたいと思っております。ただ、財政上どうしてもそんなに急激に予算が増えるということもできないので、事業の中身を、メリハリを付けていく、優先順位を付けていくような形になるのかなと思います。
○滝沢委員長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますか。
○平井委員 神奈川県の平井です。事務局におかれましては大変よくまとめていただいてありがとうございます。私ども都道府県としては、やはり広域連携の推進役を非常に意識しながら、この委員会に参加させていただきました。その中で、前回から付け加えて申し上げたいのは、例えば7ページの247行目からの部分ですとか、こういったことを整理していただいたこと。それから前回私が申し上げましたことに対して、次の8ページ目の251~262行目まで、難しい御注文をしてしまったのですが、文章化していただき感謝申し上げます。
 その中で1点確認をさせていただきたいことがあります。今更なのですが、7ページの224行目からの○の所で、「都道府県は」ということで、「協議の場を設けることができる」とあります。これは法律上に明確にすべきであるということが書かれていて、一方で237行目からは、「都道府県は、基本方針に基づいて、水道事業基盤強化計画を策定できるものとし、公表をすることに努めなければならない」ということで、これも法定事項になろうかと思います。
 実際にこういった動きを私ども都道府県がしていくときの協議の場と、計画策定の関係性についての確認ですが、当初の議論では、この「協議の場で計画を作る」というようなことも含んでいたかに思うのですが、最終的にこの形になってきますと、あくまでも計画の策定者は都道府県で、協議の場というのは義務ではなく、できる規定で設けるといったときに、一般的に我々行政でやることは、何かの計画を作るときにはそれを諮る審議会等があって、そこに諮って最終的に知事決裁ということにはなりますが、必ず審議会等の意見を聞くという関係性ができてくるわけです。
 しかし、ここでの運用というのは、協議会は広域連携の協議を円滑に進める場であって、計画策定と必ずしも制度的に完全にリンクしたものではないと。都道府県が主体となって、市町村の合意を取りながら計画を作っていくということであって、必ずしも協議の場に諮らなければいけないものではないという、そういう関係性でよいのかなということを、今更ながら確認をさせていただきたいと思っております。
 それから、5ページ目の158行目からの○の所と、6ページ目の194行目からの○の所を読みますと、前回もあとで気がついたのですが、同じような記載となっています。これは法律事項としては、「最終的に財政収支の見通しや施設の更新需要の見通しの試算を行ったら、住民に分かりやすい形で公表するよう努める」と書いてあるので、法律の条文としては同じことに帰着するということであれば、157行目のほうは、「適切な資産管理」という観点で書いていただいて、194行目のほうは、「持続可能なサービスには水道料金の設定」という、それぞれ両面の趣旨で書いていただいていると思います。この文章だけを読んでいきますと、ほぼ同じ文章なので不自然がないように言葉を少し補っていただけるといいのではないかと思います。以上です。
○滝沢委員長 2点御意見を頂きました。最初は224行目以降の所で、「協議の場を設ける」ということと、「基盤強化計画」との関係性ですね。もう1つは「財政管理の公表で、住民に対して公表する」というのが2か所出てくるのですが、少し整理をしてはいかがかという御意見だったと思います。御回答いただきます。
○倉吉補佐 1点目の計画と協議会の関係ですが、まず協議会自体は広域連携を推進するために設けていただくものです。協議会を設けていただく際に、計画を絶対作らなければいけないというものではありません。ただ、ここについては、例えば協議会が設置されている状況の中で、基盤強化計画を作るという話が別の所で出てきた、というようなことになったときの協議会の扱いについては、今後もう少し精査していく必要があろうかと思っております。もし何かこの点について、こういう形であるとより使い勝手がよいのではないか、ということがあれば御意見を賜れますと幸いです。
○久保補佐 158行目からと194行目からの文章ですが、少し迷っているところがあります。おっしゃるとおりで、これは同じ条項になることを想定しています。前回骨子でお示ししたときは、実は少し文言を変えて書いていたのですが、それが逆に仇となって、アセットマネジメントの規定と別に、料金については今は供給規定の規定がありますが、そこにこういった情報提供のことを書き込むのかというような受け取られ方をした方がいたもので、それであえて今は全く同じ文言にしています。
○永井委員 全水道労組の永井と申します。2つほど発言させていただきます。1つは8ページ目に、(4)官民連携の推進とあります。これは、これから先の水道事業を考える場合には当然で、必要不可欠な事項だと思っています。282行目に「官民連携には」とありますが、包括業務委託あるいは第三者委託、DB、PFI等様々な連携形態があるという記述は全然問題はありません。問題は、私の意見としましては、9ページの290行目と297行目です。先ほどコンセッションに関しては個別の事例にはまだ整理が必要なのだというお話がありました。そうした中で、これまでの実態や実績を評価するとするならば、コンセッション方式だけをなぜここで特出しして書いているのか。もしも官民連携で記述するならば、コンセッション方式は書くとしても、この他指定管理者制度や第三者委託、こうした部分も触れておかなければ、まとめだけを見ましたら、この方式でいこうかということにもつながりかねないということを危惧しております。ですから、ここに記載するのはいいのですが、前でも下でもいいのですが、今ある実績を見ているとするならば、指定管理者制度も大変有望な管理方式だと思っていますので、記述としては入れるべきではないかなというのが1つです。
 それから最後のまとめですが、早急に取り組むことが望まれるということなのですが、これは望まれたいと、もう一押し、受け入れる側として、そうだねと、このように記述できないものかという2つについてお伺いさせていただきました。以上です。
○滝沢委員長 2点ありました。コンセッション方式の記述の仕方の点と、一番最後の「望まれたい」ということですが、いかがでしょうか。
○宮崎課長 既に水道法において第三者委託までは制度化されておりますし、実績も上がってきているのが実態だろうと承知しております。今回コンセッションについていろいろ書いているのは、コンセッションはこれから出てくるので注意が必要です。様々なデータがあり得るので、そういうものがうまくはまるように、私どもとしてももう少し検討していきますということを書いたのみで、第三者委託や指定管理者制度を否定しているわけでもなくて、それらは当然のものとして折込み済みであると。ただ、コンセッションについてはまだ議論が収束していない部分があるので、注意しながらやっていきますということを書いたにすぎないと思っております。
 それからまとめの部分についての御発言については、先ほど小幡委員からもありましたように、少し工夫したいと思っております。
○滝沢委員長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○湯谷委員 北海道の湯谷です。私から2点意見等を述べさせていただきます。まず、7ページの247行目です。今回初めてこの水道事業基盤強化計画と広域的水道整備計画の関係が出てきておりますが、関係を整理するのはいいと思いますし、すべきだと思います。ただ、広域的水道整備計画は、あくまでも地方公共団体の要請を受けて都道府県が策定するものです。今想定しております水道事業基盤強化計画は、都道府県が自ら策定できるという、こういう違いがありますから、その関係の整理に当たってはその辺りの違いを考慮してやっていただけたらと思っております。
 また、7ページの243行目の関係では、基盤強化計画については都道府県、広域的水道整備計画についても都道府県ということで、その関係は今申し上げたとおりですが、水道事業者が作る広域連携実施計画と広域的水道整備計画の関係も、何らかの整理が出てくるのかと思います。
 2点目は、6ページ目の178行目です。前回の会議でも御質問させていただいたのですが、簡易水道事業における料金の設定ということで、ここに書いてありますとおり、水道料金は簡易水道であっても総括原価でやるということはそのとおりなのですが、やはり、現状として料金だけでは成り立っていないこともあって、一般会計からも繰り入れて成り立っているということで、その辺りの簡易水道事業における状況も意識して、表現を整理していただけたらいいと思います。以上です。
○滝沢委員長 3点御意見を頂きました。1つ目は、247行目の広域的水道整備計画と237行目の水道事業基盤強化計画です。前者は市町村の要望に基づくので、少し内容が異なるということに留意して、その違いを整理していただきたいです。
 2点目は、その更に下の所ですが、事業者が作る実施計画との関係を整理していただく必要があるのではないかと思います。3点目は、178行目にあります簡易水道の料金ですが、現状を踏まえたような表現に御検討いただけないかという、この3点です。御回答いただけますか。
○倉吉補佐 1点目の広域的水道整備計画と事業基盤強化計画の関係の整理です。今後、都道府県に作っていただくということですと、やはり広域的水道整備計画の改定ということではなくて、基盤強化計画の策定をお願いしたいと考えているところで、制度上もその点が明確となるようにしていきたいと思っているところです。
 手続については、御指摘がありましたとおり、広域的水道整備計画については、関係地方公共団体からの要請があって、初めて都道府県が計画の策定の権限が発生して策定をする形になっております。一方、今回提案をされております事業基盤強化計画については、都道府県が主体的に策定できる形になっているところです。今後の対応の方向性として、こういった2つの計画について1つにまとめていくような方向ですと、こういった手続については両面的にすることが考えられるのかなと思っております。
 広域的水道整備計画と水道事業者が策定する広域連携実施計画については、現状で手続面等についての整理について、特段留意する所があるということまでは、こちらとしては具体的に考えてはいませんが、実際に都道府県の方々や水道事業者の方々の御意見を踏まえて、制度を考えていければと思っています。
○久保補佐 178行目の独立採算制のところですが、ここは前回の御意見も踏まえて、独立採算制により運営することを「基本」とするという形で書いたつもりではあったのですが、おっしゃるとおり、まだ少し表現としてより独立採算を強く押し出している部分もあろうかと思いますし、何よりここで言いたいのは総括原価主義を採っていて、その原価をしっかり見積もってほしいというのが言いたいことだと思いますので、そういうことで表現はまた検討させていただければと思います。
○滝沢委員長 ほかに御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺委員 全管連の渡辺です。(5)指定給水装置工事事業者制度の改善の項で、2点ほど申し上げます。10ページの2つ目の○で、配管技能者のことが記載されており、技能を有する配管技能者の重要性については、これまでも度々申し上げてきたところです。国は、改めて周知の徹底を図るべきとされていますが、是非ともよろしくお願いします。また、それを受けての水道事業者の対応状況、つまり供給規定等の技能者の位置付けをどのように明確化しているかを追跡調査する等により、徹底を図っていただきたいと思います。
 2つ目は、同じく10ページの3つ目の○です。工事事業者の技術力等の資質向上の必要性が示されていますが、そのとおりだと思います。水道利用者に良質な工事を提供するためには、技術力、技能力のアップが不可欠であることから、指定更新の際に、各水道事業者が指定工事事業者に対して講習会の受講を指導するように、国からも働きかけをお願いしたいと思います。私からは以上です。
○滝沢委員長 今後、具体化していく中での御要望だとお聞きいたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
○望月委員 日本経済研究所の望月です。今までのこの委員会であがってきた様々な課題点と、それに対する皆さんの意見はこの短期間でまとめて反映していただけたと思っております。ですので、今日は若干感想めいていますが、会議の中でも何度か発言させていただきましたように、官民連携については広域化と並んで非常に大きなテーマになってくるかと思います。その意味でも、今回こういう形で記載していただけているということは非常に意味のあるところかと思います。
 先ほど御発言がありましたように、「官民連携」と言ってもいろいろな手法があるということで、第三者委託、DB、PFI、そして今回は新しい手法ということでコンセッションといった、いろいろな手法が選択肢としてあるということを示すことが非常に重要かと思います。その中で必要なもの、適切なものを各水道事業体が自主的に選べることができるというのが、重要になってくるところかと思います。その意味で手法等の併記をしていただくというのもありますし、これは恐らく今後の中でまた改めて取り組んでいただくところだとは思いますが、今まで既に整備されています手引き等がありますが、法改正が行われた暁には、各水道事業体は手引きを見てどのように進めていこうかと見ていくかと思いますので、本委員会だけでなく、ここ数年で出てきている様々な手法についても反映していただいた改定版の手引きをタイムリーに出していただけると、いいではないかと思っている次第です。
 あとは、やはり今回いろいろ課題がある中で、この「官民連携」という視点でいきますと、当然水道事業体、それから利用者の安心・安全には十分確保しつつ、一方で民間事業者側の参入を阻害するような形になると、それはそれでせっかくのツールや手法ももったいない形になると思います。今、法改正に関しては厚労省でいろいろとされていらっしゃると思いますが、そういった視点も是非入れていただきながら進めていただければと思っているところです。
○滝沢委員長 要望ということで、法改正に合わせて手引き等も適宜見直して、更新していただければと思います。よろしくお願いします。ほかに御意見はいかがですか。
○藤野委員 主婦連合会の藤野です。私は利用者の立場から申し上げますと、先ほど平井委員が御指摘された所で、同じような言葉「住民が理解を醸成していくために」という記述が2か所に出てきて、また次ページに「協議の場を設けるときに地域住民も」という記述があります。本当に一番大事なのは、現状の大変なところを利用者が知らないということだと思うのです。ある程度進んだところで、こうなりますというよりも、私はやはり現状をまず知らせ、最初からコミュニケーションを図り、どうやっていったらいいかを住民とともに考えていくことをもう少し明確に表記していただいたほうがいいように思っております。
 この2か所に分かれている記述を1つにすると、更に住民というか、利用者という表現が少なくなることが懸念されまして、できるだけ早い段階から利用者に情報提供し、一緒に考えていくというようなことがもう少し上手に取り込めないかなということを考えています。私もどこをというのをうまく言えないのですが、本当は課題の所で利用者が現状を理解していないということをしっかり書くべきではないかと思ってはいます。そのことを1点指摘させていただきたいと思います。あくまでも、これを踏まえるときに、利用者のことを文言から減らさないようにしていただきたいという意味です。よろしくお願いいたします。
○滝沢委員長 現状を水道の利用者がよく知らないことが課題として書かれていてもいいのではないかというようなことです。また、ここの書き方をうまく工夫して、住民の理解が重要だということがうまく伝わるような書き方ができないか。具体的にどこということではないのですが、いかがでしょうか。
○久保補佐 なかなか、今ここでこういう修文をというのは思いつきませんが、重要な御意見だと思いますので、書きぶりを少し検討したいと思います。また御相談させてください。
○浅見委員 今のことと若干関連するのですが、今回の題名で、「国民生活を支える水道事業」という名前を付けていただき、非常にターゲットが明確になったのではないかと有り難く思っております。ただ、今も御指摘がありましたように、水道ビジョン、新水道ビジョンと、住民の信頼を得て、皆さんからのオーナーシップを獲得しながら水道を支えていただけるようにという理解を進めていこうということを今までもいろいろと試みていたのですが、確かに住民の理解という点でもう少し書いていただけると有り難いかなと思います。
 少し思っていたのが、最後の「おわりに」の所で、現状でこのままいきますと、国民生活に非常な不便が生じる可能性があるとか、この水道事業の基盤強化が結局、生活の維持に十分重要なところであるというのがもう少し伝わるようにしていただけると、今の御趣旨にも近いものになるのではないかと思っておりましたので、1つ目の指摘にさせていただければと思います。
 もう1つは、8ページの251行目と255行目で、都道府県の役割で具体的な所に書いていただいているのですが、これが情報提供や連携・協力、技術的・財政援助というので書いていただきました。これは是非、法律の文言上もそうですし、具体的に制度や例えば水道課での本部を策定するなり、何らか継続的に都道府県や地域の広域連携を進めていくような手段とセットで、是非進めていただきたいと思っております。
 一番難しいのが、特に力のある地方公共団体等の政令市とかがあって、実際はそこが支援をしたいのだけれども、市の議会等との対応でいきますと、何で市の外の仕事をしなければいけないのかということを言われてしまうような懸念です。今までやっている所も最初はそういうことがあったけれども、いろいろな手段で県民や市民の方の理解を得て、県内のサポートをできるようになってきたところがあるようです。そういった取組も支えられるように、やはり国として近隣の広域連携は強力に進めていく必要があるのだということを、継続的に進められるような文言と体制の整備をお願いしたいと思います。以上です。
○滝沢委員長 1つ目は「おわりに」の所ですが、これは御検討いただけるということで、先ほど回答いただきました。2つ目は、地方の中核になるような都市が近隣都市を支援しようと思っても、なかなか理由付け等が難しいというようなこともありますので、やはりそういった中核都市に対しても、積極的な役割が果たせるような仕組をこれから御検討いただければという御意見だと思います。よろしくお願いいたします。
○山口委員 今、平井委員、藤野委員が御指摘になられた6ページの190行目以下と、194行目以降の料金の設定についての検証、見直しと、施設更新需要と財政収支の見通しの試算の公表という形で、それぞれ挙げられています。これから水道料金の設定を見ていくときに、更新の計画がどう立てられているかはやはり注目されるポイントで、その計画がベースになって料金にも反映されてくる部分があるということだと思います。料金を見るとか更新需要と財政収支をそれぞれ公表するだけではなくて、それが全体の流れとしてまとまって理解されるような情報提供の工夫を、例えば運用の場面で自治体でそういった情報提供をしていくときに、どういう組立てで料金の設定につながっていくかというところの理解として大事だと思いますので、工夫をお願いしたいと思います。以上です。
○滝沢委員長 公表の仕方を分かりやすく工夫してくださいということですね。
○浦上委員 事前にメールでのやり取りをさせていただいたので、ある程度疑問は解決した部分はあるのですが、ここで改めて2点御指摘させていただければと思います。まず1点目は今後、「広域連携」や「官民連携」において、様々な財政的援助を検討されていかれると思いますが、過去にも財政的援助のスキームが変化したりして、逆に広域化や官民連携が滞るようなことがあったかと聞いておりますので、やはり今後そういった財政的支援の援助のスキームを作られたら、将来にわたって安定してそれが維持されるように是非、国にはお願いしたいと思います。
 それから「おわりに」の所の書きぶりなのですが、11ページ目で、「国民生活に最も密着した社会基盤」と水道を表現されているのですが、最も密着した社会基盤が幾つかあって、そのうちの1つが水道ということではなくて、実は水道が一番重要な社会基盤であるというような表現にしていただきたい。例えば国民生活に密着した社会基盤のうち、最も重要な社会インフラであるとか。要するに各行政の方の話を聞いていると、やはり水道事業の優先順位というものが、他の様々な課題に比べて少し後退気味であるような印象を受けていますが、やはり水道は人間が生活する上で水道がないと生きていけないわけです。要するに、水道がない所に人間は住めないので、そういう意味では、「水道が最も重要な社会インフラである」というところを、せっかくここに書かれるので、もう少しそこが全面的に出るような表現にしていただければと思います。以上です。
○滝沢委員長 「おわりに」に関して、いろいろな要望がありました。
○岡部委員 報告書を大変よくまとめていただき、ありがとうございました。私からは、報告書そのものについてではないのですが、今後この報告書が実際に動いたとき、若しくは将来にわたっての要望ということで聞いていただければと思います。特に「官民連携」については、「広域化」と一緒に両輪として、水道事業、特に中小の事業体を支える大きな役割を果たすと思っています。官民連携に関しても、いろいろな制度や法整備もしていただき、特に官民連携を行うに当たって大きな障害は、今は余りないと考えています。先ほど浦上委員からも少しありましたが、やはり財政支援の面で、特に官民連携の場合に、以前も申し上げたかもしれませんが、複数年にわたって安定した財政支援がないと、つまずくような話も聞いておりますので、その辺りを是非お願いしたいと思います。
 もう1つは、この委員会でまとめていただいた成果で、先ほど住民に対して、「分かりやすい形の公表」とありましたが、水道事業体の方々、水道関係の方々にも分かりやすく、本報告書の内容を水道課から是非説明していただきたいと思います。そういった情報提供は、この中にもたくさん書いてありますが、特に中小の方々は情報がないと思います。皆さんが余り知らないことも多いという感じも受けています。「官民連携」にもいろいろな情報交換の場等を設けていただいていますが、そういった情報提供等に関しては、引き続きよろしくお願いしたいと考えています。以上です。
○滝沢委員長 要望ということでよろしくお願いします。一通り御発言は頂いたと思いますが、追加で御発言を希望される委員の方がいらっしゃいましたら、いかがでしょうか。特に御意見ということではよろしいですか。
 それでは、一通り御意見を頂戴し、「おわりに」も含めて幾つか文言等の修正という形になったかと思います。この報告書全体を通じて、内容あるいは構成に関して大きな修正の御意見はなかったと私自身記憶いたします。ということで、もし皆様が御賛同いただけるようでしたら、「おわりに」も含めて文言の修正が幾つかありましたが、この修正に関しては私、委員長の滝沢と事務局で調整をさせていただき、あとのまとめは委員長一任という形で御了解いただけますでしょうか。
                                     (了承)
○滝沢委員長 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、本日頂いた御意見等を踏まえて、修正案を作成し、必要に応じて関係者と調整した上で最終案を確認させてください。皆様におかれましては、本日まで9回にわたり、精力的に御議論を頂きありがとうございました。
 今後の予定については、事務局から御説明をお願いいたします。
○久保補佐 どうもありがとうございました。思えば、9回にもわたっての議論ということで、本当に長い間お世話になりました。今、委員長からもおっしゃっていただきましたとおり、報告書の取りまとめについては、この後委員長と相談させていただきながら作業を進めていきたいと考えております。その上で、なるべく早くに取りまとめて、速やかに公表をしたいと考えております。その際には、委員の皆様には事前にいつ公表するのかといったこと等についてお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 その後の話になりますが、この専門委員会の親の会というような位置付けで、「厚生科学審議会生活環境水道部会」というものがあります。例年、大体1月、2月に開催しているもので、今年度も大体来年の1月の終わりぐらいの開催を予定しております。ですので、そちらの方に、この専門委員会の報告書の内容を御報告し、また必要な制度改正の準備も進めてまいりたいと思います。
それでは、最後になりますが、審議官の橋本より御挨拶を申し上げます。
○橋本審議官 審議官の橋本です。一言、御礼の御挨拶をさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、本当にお忙しい中、9回にもわたり大変熱心な御議論を頂き、誠にありがとうございました。お陰さまで、本日報告書の内容について、大方の合意をしていただきました。改めて、皆様方の御協力と御支援に感謝を申し上げたいと思う次第です。
 今ございましたように、報告書については、先ほど委員長一任の御了承を頂きました。本日も、たくさんの心のこもったいろいろな御指摘を頂いたと思っております。こういった貴重な御意見を踏まえて、どういった形で修正を行うか、よく滝沢委員長と御相談させていただければと思っております。
 また、今後の水道事業の基盤強化等に当たりまして、今日の御意見の中にも財政支援の件など、様々な御指摘を頂き、要はいかに制度を実効あるものにしていけるかということに関わる御指摘だと思いますし、私どもに対して国としての役割をしっかり果たしてほしいというお気持ちからの叱咤激励であるとも受け止めているところです。そういったものを、しっかりと私どもとして受け止めさせていただき、今後の制度設計等に反映させていきたいと思っております。
 この報告書の取りまとめは1つの区切りですが、決してこれが終着点ではないわけで、この報告書の表題が「国民生活を支える水道事業の基盤強化等に向けて講ずべき施策について」ですので、正にこの水道事業の基盤強化等のスタート台に立ったということであろうと思っております。
 いろいろと状況が厳しい中ではありますが、報告書の内容をしっかりと受け止めて、制度の改善に向けて必要な対応に邁進をしていきたいと考えているところです。今後とも、皆様方におかれましては、私どもに対する御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
○滝沢委員長 それでは、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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