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2016年8月29日 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第16回) 議事録

○日時

平成28年8月29日(月)15:00~17:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14C(14階)


○議事

 

○徳本難病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「平成28年度第16回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会」を開会いたします。委員の皆様方にはお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、本日の出席状況について御報告申し上げます。委員の方皆様に出席いただいているという状況です。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 ここからは水澤委員長に議事をお願いいたします。

○水澤委員長 それでは、第16回の指定難病検討委員会を開始したいと思います。大変暑くなった中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 まず最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 それでは、配布資料の確認です。資料1-1は、第15回指定難病検討委員会での指摘事項に対応する疾病(一覧)です。資料1-2は、第15回指定難病検討委員会での指摘事項に対応する疾病(個票)です。資料2-1は、第16回指定難病検討委員会において検討する疾病(一覧)です。資料2-2は、新規の指定難病として追加を検討する疾病(個票)です。資料2-3は、既存の指定難病に含まれるものとして検討する疾病(個票)です。資料2-4は、既存の指定難病の診断基準(個票)です。

 参考資料1は、指定難病(平成29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病(一覧)です。参考資料2は、指定難病の要件についてです。資料の欠落等がありましたら事務局まで申し付け願います。

○水澤委員長 資料はよろしいでしょうか。それでは、議題は(1)(2)(3)とありますが、最初に第15回の委員会での指摘事項について確認をしたいと思います。前回委員会では9疾病について御議論いただいたわけですが、そのときの指摘事項についての議論を頂き、その後、(2)は前回と同様に、指定難病の要件を満たすと考えられる個別の疾患について、御議論いただくという順番で行いたいと思います。

 それでは、最初の議題から御説明をお願いします。

○福井難病対策課長補佐 まず、資料1-21ページ、先天性GPI欠損症について御説明いたします。本症の疾病概念は、太田原症候群やウエスト症候群とオーバーラップしているのではないかという御意見を頂きました。

 研究班に問い合わせたところ、てんかん症候群病名である太田原症候群・ウエスト症候群には、他のてんかん関連指定難病と同様に様々な基礎疾患を有するものがあり、先天性GPI欠損症はその1つですのでオーバーラップはあります。ただし、てんかん症候群の重症度分類では、てんかんの頻度等が判定に重要となるのに対し、先天性GPI欠損症の重症度分類では、日常生活動作で判定するBarthel Inde×を用いているため、GPI欠損による骨関節症状や難聴等が問題の患者は、てんかん症候群よりも先天性GPI欠損症としての申請が妥当と考えます。

 したがって、てんかん関連指定難病の鑑別診断として、先天性GPI欠損症を除外する等の文言の追記はせずに、先天性GPI欠損症と確定診断された患者でも、主たる問題が難治てんかんの場合は、てんかん関連指定難病で申請できることを、研究班や学会等を通じて普及していきたいと考えております。さらに、悉皆的なデータ収集や法律的な研究という観点からは、これらの疾病を扱う研究班同士が連携していただける体制を整備していきたいと考えております。

6ページ、非ケトーシス型高グリシン血症です。本症の疾病概念は、ミトコンドリア病、既存の指定難病の21番と類似しているが重複はないのかという御意見を頂きました。

 研究班に問い合わせたところ、ミトコンドリア病の基本病態はミトコンドリア内のエネルギー代謝障害による種々の細胞・臓器傷害ですが、非ケトーシス型高グリシン血症ではエネルギー代謝障害がありません。したがって、両者は責任酵素がミトコンドリアに存在する点は共通していますが、疾病概念が異なるために重複はないと考えられます。

13ページ、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症です。鑑別診断にGLUT1欠損症を加えるべきではないかという御意見を頂きました。鑑別診断に関しては15ページを御覧ください。研究班に問い合わせたところ、GLUT1欠損症とは脳のエネルギー代謝基質であるグルコースが中枢神経系に取り込まれないことにより生じる代謝性脳症で、異常眼球運動やジストニア等、AADC欠損症と類似の症状を認める疾病です。研究班によると、GLUT1欠損症は神経伝達物質病ではないこと、また髄液中の糖が低下するGLUT1欠損症に対して、本症では髄液所見が大きく異なることなどから鑑別が可能であるため、必ずしも鑑別診断として明記する必要はないのではないかという見解でした。

18ページ、メチルグルタコン酸尿症です。概要の最後に、メチルグルタコン酸尿症の「IV型、V型はミトコンドリア病として扱う」とありますが、ミトコンドリア病との関係について整理が必要という御意見を頂きました。

 本症のIIII型とミトコンドリア病との重複の可能性について、研究班に問い合わせたところ、将来的にミトコンドリア病の概念、つまりミトコンドリア病の診断基準の項目である「ミトコンドリア関連分子の各遺伝子」の範囲が拡大されれば重複する可能性がありますが、現時点では重複はないと考えるのが妥当との見解でした。

 またIII型の症状で、失調症状には起因によって様々な名称があるため、失調を小脳失調に改めるべきとの御意見を頂きましたので、そのように修正しております。また22ページ、III型の診断基準、Dの遺伝学的検査で、遺伝子がOPC3と誤記されておりましたので、OPA3への修正もいたしました。

27ページ、大理石骨病です。大理石骨病の診断のカテゴリーにおけるProbableで、B2のいずれかを含むとありますが、 Definiteでは不要なのかという御意見を頂きました。

 学会に問い合わせたところ、Definite(1)には、Probableと同様に「B2のいずれかを含む」を追記いただきました。

 一方、Definite(2)では、遺伝子検査で変異が同定されたものの中に、画像所見に乏しい例もあると考えて、従来どおりの記載とする旨、御報告を頂きました。

 また、第15回委員会における診断基準の説明の際に、口頭でDefiniteを対象とすると申しましたが、資料の記述のとおり、Definite及びProbableを対象とします。訂正いたします。以上です。

○水澤委員長 5疾患について御説明いただきましたが、順次、今の御説明でよろしいかという点を御確認いただければと思います。最初は先天性GPI欠損症ですが、てんかん症候群に合致する症状を呈している場合には、そちら側としても認めるということでよろしいですか。そのようにおっしゃったような気がします。

○宮坂委員 結構です。

○水澤委員長 次が非ケトーシス型高グリシン血症で、ミトコンドリア病に含まれるのではないかということでしたが、一応、現段階では別として扱っていくほうが実際的であるという御回答だったと思います。これについはいかがですか。よろしいですか。

○大澤委員 はい。

○水澤委員長 またありましたら、最後までにおっしゃっていただければと思います。3番目が芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症です。

○福井難病対策課長補佐 事務局から一言。AADC欠損症に関して、鑑別診断にGLUT1欠損症は追加しないということを御説明したのですが、資料に残ってしまっていますので、消すようにいたします。失礼いたしました。

○水澤委員長 そういう意味なのですか。どちらとも取れる説明だったのですが、加えなくてもいいのではないかという研究班のお答えです。今の御説明だと、症状としては似ている部分がかなりあります。疾患としては本態は随分違いますが、症状は似ているので鑑別にあっても悪くはないような気もしますね。そんなに厳重なものなのですか。

○徳本難病対策課長補佐 その辺はあっても悪くないと我々も思っています。今の研究班のコメントは書かなくてもいいのではないかということでしたが、今までの流れを踏まえて、先生方に御判断いただければと思います。

○水澤委員長 似たものを鑑別する訳ですから、ほかの疾患も入ってきてもいいのではないかと思うぐらいですが。これはどうでしょうか。珍しい疾患です。日本ではほとんどなくて、台湾で少しあるだけだと思います。

○大澤委員 現象的にはGLUT1欠損症の患者が、この候補に上がるというところです。学問的に概念が違うという点から入れないということならそれでもいいのですが、臨床の立場で患者の症状からアプローチというと、一応は入るかなというところですね。

○水澤委員長 むしろこのような症状を示すものの、その中のごく一部におられるかどうかという問題ですね。

○宮坂委員 研究班が言っているのなら、入れてもいいでしょうね。

○水澤委員長 あったほうがいいのではないですかね。

○福井難病対策課長補佐 では、そのようにさせていただきます。

○水澤委員長 研究班の御説明がそういうことだと思いますので。その点はよろしいでしょうか。お願いして入れていただけばよろしいかと思います。

 次はメチルグルタコン酸尿症です。これもミトコンドリアとの関連です。現段階ではというお話でしたが、別にして扱っておいてほしい、そのほうがいいというお答えでしたので、それでよろしいかと思いますが、これについてはよろしいですか。では、よろしいのではないかと思います。

 最後の大理石骨病です。診断基準のカテゴリーの表記の仕方だったと思います。それを直していただいて、また、検討していただいたのはProbableも入っていいのではないかということですよね。Aのうち2項目以上、Bのうち3項目以上で、かつB2のいずれかを含むということです。それでCの鑑別すべき疾患を除外するということになりますから、これも相当ストリクトに決まってくると思います。よろしいでしょうか。

○直江委員 本筋とは関係ない話で、9ページの高グリシン血症のProbableという書き方についてです。普通は症状があって検査所見が満たされるとDefinite、症状があっても検査所見が満たされない場合はProbableという整理なのですが、検査だけは満たすというのは、本筋から言うと、ちょっとおかしいなと思うのです。症状がないのに検査だけするということはあるのでしょうか。

○水澤委員長 これは多分間違いですね。

○福井難病対策課長補佐 Aのうち1つ以上という項目があって良いかと思いますので、研究班に確認しておきます。

○直江委員 お願いします。

○水澤委員長 前回も気が付きませんでした。書き方の間違いだと思います。Aの部分が抜けていると思います。ほかにはよろしいですか。お気付きの点があったら、是非、会が終わるまでに御指摘いただければと思います。一応、御覧いただいて、研究班の回答について、御審議、確認いただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、今回の検討対象の個別疾患の御説明に入ります。よろしくお願いします。

○福井難病対策課長補佐 それでは資料2-21ページ、進行性ミオクローヌスてんかんについて説明いたします。当初、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病及び関連遺伝疾患として情報を頂いておりましたが、ここで対象とするウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病及び良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんの3疾病の総称として、より適切なものとして進行性ミオクローヌスてんかん(PME)への変更要望が研究班からありました。

PMEは不随意運動としてのミオクローヌス、てんかん発作としてのミオクロニー発作及び全般強直間代発作、小脳症状、認知機能障害を4徴として、進行性の経過を呈する遺伝性疾患群の総称ですが、ここでは小児期から思春期に発症して成人以降も罹病期間が長く、PMEの中核疾患であるこれらの3疾病を対象としております。

 てんかん発作やミオクローヌスに対する各種抗てんかん薬や、抗ミオクローヌス薬による対症療法を中心とする長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は4ページです。症状、遺伝学的検査を含む検査所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外し、Definite、若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えています。6ページ、重症度分類ですが、既存の指定難病でも多く用いられている、てんかんの重症度分類を用いてはどうかと考えています。

 次は9ページ、先天性三尖弁狭窄症です。三尖弁の狭窄により、右心房から右心室への血液流入に支障を来す疾患です。右室低形成を合併することが多く、ここでは右心室で肺循環を賄えない重症例を指します。心不全、低酸素血症、右左短絡、フォンタン型循環破綻に由来する様々な症状を呈します。一定基準を満たせば、フォンタン型手術を施行しますが、根治的治療にはならず、また、フォンタン術後の合併症発生頻度や、予後は加齢とともに悪化することが多いなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は11ページです。症状及び検査所見の組合せに加えて、後天性のものを除外して、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。12ページの重症度分類ですが、既存の指定難病でも多く用いられているNew York Heart Association(NYHA)分類を用いて、II度以上を対象としてはどうかと考えています。

 次は13ページ、先天性僧帽弁狭窄症です。僧帽弁の狭窄により、左心房から左心室への血液流入に支障を来す疾患です。先天的な弁輪の低形成、弁上狭窄輪、弁又は弁下組織の構造異常などに起因します。肺静脈うっ血による肺水腫、肺高血圧を来し、体重増加不良、頻回の呼吸器感染症といった症状を呈します。進行すると、心拍出量低下、浮腫などの右心不全症状が現れます。根治的な治療はなく、成人期以降についても、継続的に利尿薬、末梢血管拡張薬の服用など、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は15ページです。検査所見の組合せに加えて、後天性のものを除外し、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。16ページ、重症度分類ですが、NYHA分類を用いてII度以上を対象としてはどうかと考えています。

 次は17ページ、先天性肺静脈狭窄症です。当初は肺静脈狭窄として情報提供を頂いておりましたが、術後の合併症等による後天性の部分を除外して、先天性肺静脈狭窄症として資料が修正されております。肺静脈が先天性に狭窄している疾患で、狭窄が重症化して閉鎖となっていることもあります。共通肺静脈腔の左房への吸収過程における異常とされ、肺外の肺静脈が主な病変です。指定難病87番、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症と名称が類似しておりますが、こちらは肺内の肺静脈が主な病変であり、病態や疾病概念に重複がないことを研究班にも確認しております。

 症状は多呼吸、チアノーゼ、呼吸困難、体重増加不良を認めます。重症化すると右心不全を認めます。治療はカテーテル治療か、外科手術ですが、再狭窄の頻度は高いとされております。また、2本以上の肺静脈が狭窄又は閉鎖している場合には、成人期では肺高血圧、右心不全、呼吸不全を合併しているとされるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は19ページです。症状、検査所見の組合せに加えて、総肺静脈還流異常症の術後に見られるものなど後天性のものを除外して、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。21ページ、重症度分類ですが、NYHA分類を用いてII度以上を対象としてはどうかと考えています。

22ページ、左肺動脈右肺動脈起始症です。左肺動脈が右肺動脈から起始し、右気管支と気管分岐部直上を迂回し、気管の後方及び食道の前方を通り左肺に至ります。この異常走行により、右気管支と気管下部及び食道が圧迫されます。圧迫の程度により、出生直後から重篤な呼吸器症状を惹起し得る疾患です。早期に外科治療が必要であり、手術後も成人期には肺気腫、無気肺が進行し、慢性呼吸不全や、呼吸器感染の合併が見られるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は24ページです。検査所見の組合せにより、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。25ページ、重症度分類ですが、NYHA分類を用いてII度以上を対象としてはどうかと考えています。

26ページ、カルニチン回路異常症です。カルニチンサイクルを構成する酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)、同じくCPT2、カルニチン/アセルカルニチントランスロカーゼ(CACT)及びカルニチンをミトコンドリア内に輸送するカルニチントランスポーター(OCTN-2)の先天的な欠損により、長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への転送が障害され、脂肪酸代謝が十分行われなくなり、その結果、エネルギー産生の低下を引き起こします。

 症状は意識障害、けいれん、嘔吐、横紋筋融解、体重増加不良、代謝性アシドーシス、肝機能障害に加え、各臓器への脂肪蓄積など多岐にわたります。成人期においても、L-カルニチンの内服等、対症療法を継続する必要があり、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は28ページです。新生児マススクリーニング等による発症前型と、発症前型以外に分けて記載されておりますが、症状と遺伝学的検査を含む検査所見の組合せにより、Definite、若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えています。

30ページ、重症度分類ですが、先天性代謝異常症の重症度分類を用いて、中等症以上を対象としてはどうかと考えています。

 次は32ページ、前眼部形成異常です。前眼部の発生異常により、先天性に角膜混濁を来し、視力障害、視機能発達異常を来す疾病です。視力が比較的良い症例でも成人期以降に白内障、緑内障等の合併により、さらなる悪化が見られ視力予後は不良です。重症例には角膜移植が施行されることがありますが、合併症を生じやすく予後は良好ではありません。このように長期の療養が必要な疾病であり、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は34ページです。検査所見の組合せに加えて鑑別診断を除外して、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。35ページ、重症度分類ですが、研究班作成の重症度分類を用いて、III度以上、すなわち、罹患眼が両眼で良好なほうの眼の矯正視力0.3未満を対象としてはどうかと考えています。また、注2にあるように、視野狭窄を伴った場合には1段階上の重症度分類に移行してはどうかと考えております。

 最後に36ページ、無虹彩症です。当初は先天性無虹彩症として情報提供いただいておりましたが、研究班で再検討した結果、より一般的で、かつ海外の用語との整合性などから、「先天性」を省略し、無虹彩症として修正されております。ただし、外傷性や術後の異変性等の後天性のものは鑑別診断で除外されております。

 無虹彩症は虹彩がほとんど観察されないことで見出される遺伝性疾病で、常染色体優性遺伝形式を示します。幼少時より視力は不良であり羞明を訴えます。眼振、斜視、白内障、水晶体脱臼も併発します。角膜輪部機能不全や緑内障は進行性であり、失明に至ることもあるなど、長期な療養が必要な疾病であり、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は38ページです。検査所見と遺伝的診断の組合せにより診断し、鑑別診断を除外して、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えています。40ページ、重症度分類ですが、前眼部形成異常と同じものを用いてIII度以上を対象としてはどうかと考えています。以上です。

○水澤委員長 合計8疾患ですが、最初にミオクローヌスてんかん、先天性の心肺奇形に当たるものが4疹患、代謝性疾患を挟んで、あとは眼に関するものが2疾患となっています。順番に従って御議論いただければと思いますが。いかがですか。

○宮坂委員 進行性ミオクローヌスてんかんとして、3つのものを1つにまとめている。それはそれでいいと思いますが、グローバルにこういう分類法が認められているのでしょうか。

○水澤委員長 そうですね。

○宮坂委員 それなら結構です。

○水澤委員長 幾つか問題があって、私も少し研究班と厚労省との協議に参加させていただきました。3番目の良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんというのは、私たちには、非常に良性だというイメージがあって、進行性のミクローヌスてんかんというのは、もともとあった概念ですが、そういうのに入るかどうかというのは議論になりました。いろいろ文献等を調べていただいて、この名前とちょっと裏腹に進行性になっていくものがあるということで、これも一緒に加えてもらうのがいいのではないかということになった次第です。

○宮坂委員 分かりました。

○水澤委員長 ほかはよろしいですか。そうしたら、心疾患は4つぐらい、心肺奇形がありますが、これはいかがでしょうか。

○宮坂委員 非常に細かな点で、表記についてです。胸部×線が片仮名になってるのとローマ字の×になっているのと両方あるので、どちらかに統一していただいたほうがいいと思います。

○水澤委員長 そういったのが幾つかあると思いますので、是非お願いします。診断基準のところで、例えば15ページを見ますと、Definiteを対象とするというところで、注として、後天性の狭窄は除外するとなっているのですが、このようにはっきり書いてあるものと、そうではないものがあります。それは一応、鑑別診断の中に入っている疾患名で、後天性のものは除外できるといった理解でよろしいのでしょうか。

○福井難対策課長補佐 細かいやり取りは研究班としてなかったのですが、確認してみます。

○水澤委員長 多分そうだろうと読み取れるところもありますし、ちょっとはっきりしないところもあるかなと思ったのですが、確認していただければと思いました。

○徳本難対策課長補佐 我々のほうとしては、明記しておかないと後天性のものが紛れがあるというものに関しては、そのように明記することを考えておりまして、研究班とのやり取りの中で、そういう紛れがあるかないかを、ある程度確認させてもらって、必要なものには、そのように記載させていただくということです。今回改めて、もう一度その辺を確認して、必要なものにはその記述を追記するということで対応したいと思います。

○水澤委員長 ほかにはどうですか。

○和田委員 9ページの症状3(2)ですが、チアノーゼ性腎症という言葉がありますが、ここで一般的に使われるかどうかを確認していただけないでしょうか。

○水澤委員長 よろしいですか。確かに、比較的聞き慣れない言葉だと思います。

 ほかはいいですか。私もこれまで気付いてなかったのですが、24ページの左肺動脈右肺動脈起始症についてです。24ページの診断基準のところで、これは先ほどの議論と似ているかもしれませんが、これは検査だけなのです。もちろん検査で調べないと起始異常は絶対分からないと思うのですが、症状も何もなくてもいいのかなと思います。検査だけだと、ちょっと違和感がありますね。突然検査をするみたいな感じになってしまうので。少し確認していただいたほうがいいと思います。

○錦織委員 9ページの先天性三尖弁狭窄症の概要の2行目では「右心室で肺循環を賄えない重症例を指す」と書かれていますが、こういう症例、つまりは先天性三尖弁狭窄症の中での重症例だけが該当するという意味合いですね。

 病名をこのように書いていて、概要の中で“重症例を指す”となっていて、ちょっと特殊だと思うのです。全ての疾患で重症例というのはどんな疾患でもあるので、その中で(小児慢性特定疾患から成人の指定難病への)“トランジション”のこととか、いろいろあって、十分にこれは非常に重症であって何とかしなければいけないというのは、医療が発達して成人まで生きることができるようになったからこそ、出てくる問題であることは分かっているのですが、書きぶりというか整理の仕方として、病名で上げておいて、よく読み込まないと、ここでは自分たちは対象にはなるのか、ならないのかということで、ちょっと誤解を生みやすいような枠組みになってしまっていないかなというところが、少し気になり、何かコメントを頂けませんか。

○徳本難病対策課長補佐 これに関しては、いわゆる病名と、そのあとの重症度分類の部分とが、ちょっとごっちゃになっている部分もあると思いますので、疾病概念としての症状と、指定難病となる重症度の部分と、もう少し整理できるように書き分けられるかどうか、研究班に確認したいと思います。

○錦織委員 そうですね。重症度分類で分けてもらったら、そこで十分、対象になるかどうかだけがはっきりすればいいのではないかと思いました。

○水澤委員長 ほかにいかがですか、お気付きの点はありますか。

○宮坂委員 15ページの先天性僧帽弁狭窄症の症状の記載がないですよね。

○水澤委員長 15ページ、これもそうですね。

○宮坂委員 多分みんな似たような研究班が対応しているはずですが、受け取る人が個別に関わっているので、余り統一してないのですが、本当は学会として、きちんと統一してもらったほうがいいのだと思います。

○水澤委員長 これは日本小児科学会、日本小児循環器学会ですね。

○宮坂委員 これは上がってくると、それぞれの学会では「いいよ」と言うのですが、整合性までは見てないのです。だから、本当は研究班の主任研究者なりが全部共通のものにしてもらわなければいけないのです。

○水澤委員長 誰かそういう責任を持てる人がいればですね。富山大学の内田さんですかね。そういう方で、担当の方がおられれば。少し見ていただければと思います。

○徳本難病対策課長補佐 今、御指摘いただいた点は、今回挙げた8つだけではなくて、従前の306にもある程度共通する部分もあると思いますが、今回、先生方から御指摘いただいたということを、改めて研究班にフィードバックしまして、最終的には先生方の御指摘に合うような形で修正をお願いしたいと思います。

○平家委員 今まで認定されているもので、診断基準で症状がないのも結構あるということですか。

○水澤委員長 確か、発症前のがありますね。高コレステロール血症でしたか、遺伝性のもので議論になりましたね。

○平家委員 今回はなるべく良い形、症状を入れるという形で、順次そういったものも整理していくというスタンスでよろしいですか。

○水澤委員長 良い整理の仕方の見本ができるといいなと思います。今回かなり似た心肺奇形の疾患群ということで、ちょうどいいのではないですかね。ほかのものも含めていかがですか。カルニチン回路異常症、それから眼の問題が難しいですね。

○飯野委員 眼の問題についてなのですが、この2つの疾患とも眼外症状というのがあるという記載があります。前眼部形成異常ですと34ページに眼外合併症としていろいろなことが書かれていますし、無虹彩症でも、遺伝子異常のほうで眼外合併症というのが39ページの注9に書いてあります。診断基準ではなくて、重症度分類のほうは視力のことしか書かれていないので、眼外症状があったときはどこで拾えるかということ、そのようなものも、重症度を高めるとか、そのような配慮をしなくてもいいのかというのが気になりました。

○水澤委員長 確かに、これはどの程度出るのかということは、なかなか分かりにくいです。まれかもしれませんが、そちらがひどかった場合、確かにおっしゃるように、どうやって重症度を判定するのかという問題は出てきますかね。

○徳本難病対策課長補佐 今、頂いたような視点で研究班とやり取りをしていませんので、頂いた御意見を研究班のほうに投げて、何かそういったものを組み込んだ重症度分類ができるかどうか確認をして、次回までに何らかのお返事をさせていただきたいと思います。

 研究班のほうとしては、眼の疾患として共通の重症度分類という形で作っていただいた部分がありますので、改めてほかの部分もどう評価するのかについて御意見を聞いて、次回までにお返事できるようにしたいと思います。

○水澤委員長 そうですね。是非お願いします。これを見ると、これまでのBarthel Inde×とか三軸での評価の仕方を、このようなことがあったときには追加すると記載しておけば十分うまくいってしまうような感じがしますが、御確認いただければと思います。

○和田委員 2つの眼の疾患、先ほどから議論になっていますように、診断基準34ページと38ページの診断、Definiteのところに、せっかく書いてあるAの症状が出てきていないので、そこをもう一回入れていただければと思います。

○水澤委員長 確認していただいてと思います。

○宮坂委員 これは各学会に頼むときに、きちんと症状を入れた診断基準を作ってほしいとか書かなければいけないのではありませんか。そうしないとフォーマットが統一できなくて、今は気が付いたものだけですが、実際には気が付いてなくて抜けているということがあり得ますよね。

○徳本難病対策課長補佐 それにつきましては、先ほど申し上げた306の分も含めて、今後の課題だと思っておりますので、まずは今回追加の分はしっかりまとめて、306については引き続き適宜振り返りをしていきたいと思っております。

○平家委員 そういう疾患がある一方で、29ページにありますように、カルニチン回路異常症では症状が出る前に診断が付くものもありますので、そういった疾患の区別というか、そういったところの御配慮をお願いしたいと思います。

○水澤委員長 前のシリーズでは遺伝性の高コレステロール血症などがありまして、発症前のものを難病とするのかという議論がありました。なかなか難しいと思います。

○直江委員 眼科のほうで32ページと36ページで、これは書き方だと思いますが、予後というところを見ると、32ページのほうは、米国基準に当てはめると症例の4割がロービジョンと書いてあるのですが、アメリカの基準がいきなり出てきて、私たちにはなかなか分からないと思います。36ページを見ますと、「幼少時より中等度から高度の視力低下(矯正視力で0.1程度)を認め」とあり、ああ、そんなふうかと。36ページのほうが分りやすい書きぶりではないかと思います。この辺を含めて、細かいことですが相談していただければと思います。

○徳本難病病対策課長補佐 診断される現場の医師が困らないように、なるべく分かりやすい形で、今、頂いた御意見を研究班と調整をしていきたいと思います。

○水澤委員長 同じ方ですね。

○宮坂委員 引退していれば違う人です。

○水澤委員長 なるほど。そのほかお気付きの点はありますか。細かい点も、本質的な点も含めて、割と満遍なく御意見を頂いたかと思います。

 非常に小さいことを1つお話すると、39ページの注10の最後の行の弧発の「弧」が違うので、孤独の「孤」にしてもらったほうがいいかと思います。こういうのはまだあるかもしれませんね。

 大体よろしいですかね。整合性という面で、いま一歩みたいな感じがありましたね。よろしくお願いします。

 そうしましたら、個別疾患の御意見はかなり頂いたかと思います。資料2-3に移ります。今回対象とするものの疾患の御検討はよろしいですか。そうしましたら、既存の指定難病に移ります。資料の御説明をお願いします。

○福井難病対策課長補佐 資料2-3と資料2-4について御説明いたします。既存の指定難病に含まれるものとして検討する疾病です。資料2-31ページと資料2-41ページを御覧ください。

 初めに、先天性両側性傍シルビウス裂症候群についてです。大脳外側に位置するシルビウス裂周辺の構造異常(多くは多小脳回)若しくは機能異常により、構語障害、嚥下困難を来し、てんかん発作、上肢優位の痙性麻痺、知能障害、高次脳機能障害を併発する難治性疾患で、原因としては先天性の脳回形成異常である多小脳回の報告が多いとされています。資料2-41ページ、指定難病138番の神経細胞移動異常症の概要の症状欄には、傍シルビウス裂症候群の記載があります。また、資料2-44ページの診断のカテゴリーには、「てんかん発作や知的障害などの症状から脳構造異常を疑い、画像検査でそれぞれの病型のいずれかを確定することで診断する」とあります。資料2-43ページの画像所見のポイントの➃に多小脳回の記載もあります。よって、先天性両側性傍シルビウス裂症候群は、神経細胞移動異常症に含まれると考えております。

 研究班に相談したところ、新たに指定難病として追加する必要はなく、また、神経細胞移動異常症の基準の修正も不要とのことで御了承いただいております。

 続いて、ヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎についてです。資料2-33ページと資料2-48ページを御覧ください。当初はヘルマンスキーパドラック症候群肺線維症として情報を頂いておりましたが、研究班よりヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎が、より適切であるとして名称の変更要望がありました。ヘルマンスキーパドラック症候群は、全身性白皮症、出血傾向、全身のセロイドリポフスチン沈着を特徴とする常染色体劣性遺伝を示す疾患です。その後、本疾患に高率に間質性肺炎が合併することが明らかとなりました。資料2-48ページの指定難病164番の眼皮膚白皮症の原因に、症候型のヘルマンスキーパドラック症候群は9型まで原因遺伝子が同定されているとあり、11ページの真ん中辺りにある診断の1として、眼皮膚白皮症の診断基準で、DefiniteProbableであり、かつ、出血傾向がある場合に血小板機能異常を認めるか、あるいは、各遺伝子変異が明らかであれば、ヘルマンスキーパドラック症候群と診断するとあります。また、資料2-431ページ、指定難病65番の原発性免疫不全症候群の➄原発性食細胞機能不全症及び欠損症の下から6行目辺りに、慢性的な経過をたどる好中球減少症の代表例としてヘルマンスキーパドラック症候群2型などという記載もあります。しかし、これは9型あるヘルマンスキーパドラック症候群の一部であるため、ヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎は眼皮膚白皮症のほうに含まれると考えることが適切と考えております。

 研究班に相談したところ、新たな指定難病としての追加の必要はないことで御了承いただいております。また、参考ではありますが、原因を特定し得ない間質性肺炎の総称である特発性間質性肺炎は、指定難病85番として既に指定されています。

 資料2-35ページと資料2-432ページを御覧ください。シュバッハマン・ダイアモンド症候群についてです。本症は、膵外分泌異常と造血不全による血球減少を主徴とする常染色体劣性遺伝先天性骨髄不全症です。資料2-432ページの指定難病65番の原発性免疫不全症候群の➄原発性食細胞機能不全症及び欠損症のV番に、シュワッハマン・ダイアモンド症候群の記載があります。よって、シュバッハマン・ダイアモンド症候群は、原発性免疫不全症候群に含まれると考えております。

 研究班に相談したところ、新たな指定難病としての追加の必要はないことで御了承いただいております。

 資料2-37ページと、資料2-427ページを御覧ください。先天性角化不全症についてです。本症は、テロメア長の維持機能の障害を背景とし、主に皮膚、爪、口腔粘膜に特徴的な所見を有する遺伝性骨髄不全症候群です。研究班に確認したところ、これも資料2-427ページ、指定難病65番の原発性免疫不全症候群の➁免疫不全を伴う特徴的な症候群の×III番として先天性角化不全症の記載があります。よって、先天性角化不全症は原発性免疫不全症候群に含まれると考えております。研究班に相談したところ、新たな指定難病としての追加の必要はないことで御了承いただいております。

 これらの疾病について、新たに指定難病追加の要望を頂いた研究班や学会には、既存の指定難病を担当している研究班と連携し、効率的に研究を進めていただけるようにお願いもしております。以上です。

○水澤委員長 これはいずれも資料2-1に疾病名の一覧があり、そこに書いてある名称で申請がありましたが、よく調べてみると、その右側のほうの既に指定難病になっているものに含まれるということで、研究班の方々も御理解いただいたということです。これについてはいかがでしょうか。うまく重複しないでよかったなと思いますが、何かお気付きの点などがあれば御指摘いただけますか。よろしいですか。

 このヘルマンスキーパドラック症候群というのは随分たくさんあって、あちこちに含まれているという感じでしょうか。御説明は、いずれも非常にリーズナブルな御説明で、大きな問題は全くないかなと思っておりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 全体を通じて、どうでしょうか。最初のほうにもありましたが、いろいろ御協力いただいて非常に早く進んでいるような感じがいたします。特にないでしょうか。

○千葉委員 若干、前の議論の蒸し返しになるのですが、例のシュバッハマン・ダイアモンド症候群は、結局、原発性免疫不全症候群に含まれるということになりますが、前も、補体の欠損症のところで問題になった、いわゆる免疫不全ということ以外のほうが重症度としては重要であるというところで、あのときはそれで議論になったわけです。例えば36ページを見ますと、やはりこれだけだと免疫不全が中心になっているので、個別に一つ一つというところがどうなっていたかという再確認をお願いしたいのです。

 多分この中には、これでは重症度分類に分類できない疾患が、例えばこれもひょっとしたらそうかもしれないかなと思って聞いていたのですが、いかがでしょうか。これは中等度、上記治療が継続的には必要でない場合も入れるのですね。中等以上を対象とするというのは。だから、とにかく一定期間が必要であった場合は入るという理解だったわけですね。最初の辺りが、やはり問題だと思うのですが。

○徳本難病対策課長補佐 今、頂いたような、いわゆる診断基準や重症度分類については、政策研究班がありまして、そこで新たな知見が得られれば、またこの指定難病検討委員会で御議論いただくという形になっていますので、そういった視点も含めて、この原発性免疫不全症候群を担当していらっしゃる研究班には、今後の研究のテーマとしてお伺いしたいと思います。

○水澤委員長 今のヘルマンスキーパドラック症候群に関しては2つのところに記載があります。眼皮膚白皮症と原発性免疫不全症候群があって、眼皮膚白皮症のほうではQKRというのが書いてあって、原発性のほうは31ページで2型が対応するとあります。AP3B1遺伝子の異常でしょうか。これの2型がどういう症状かということで、この資料だけだと臨床症状としては、眼や皮膚の症状も出そうな感じはしますが、どうですか。

○錦織委員 出ます。

○水澤委員長 今のこれで大体拾えるかどうかといったところが1つですかね。

○錦織委員 そうですね。ヘルマンスキーパドラック症候群は全て眼皮膚白皮症ですので、皮膚の色や毛髪の異常などから拾えるのですが、これはシンドロミックアルビニズムという中に入っていまして、皮膚と色素異常を伴うこと以外に、ほかの臓器の疾病を持っているという症候性の白皮症に分類されますので、その中で19型、今は10型まであるかと思うのですが、血小板の凝集不全を伴うものや、好中球の輸送や好中球の機能異常を伴うもの、間質性肺炎を伴うものなど、日本では間質性肺炎を伴うものが多いと思うのですが、それぞれがあって、やはり患者さんが来られる間口といいますか、最初は皮膚や毛髪の異常、それで、それぞれに対してどういう症候の異常があるかというところは、遺伝子検査ができればその検査をもとに診断していくし、できなければ経過を見ていきながらということになるので、やはり眼皮膚白皮症の中で拾って、それぞれの合併症をきちんと見ていくというのがリーズナブルではないかとは思います。答えになっていますでしょうか。

○水澤委員長 ありがとうございました。私も、今、よく見てみたのですが、ヘルマンスキーの所というか、千葉先生が問題にされたのは眼皮膚白皮症の重症度ですね。見てみますと、12ページにある重症度分類はAとありまして、各症候群において、その症状があるものということで、例えばヘルマンスキーのところを見ますと、視力障害は「矯正不能な」と書いてありますが、そのほかのものについては、病名は書いてありますが程度は書いていないのです。ですからこれは重症度別にはなっていないですね。視力のところだけがこれは入っていると思われます。ここもほかのものと少し整合性を持って記載していただくと、先ほどの御懸念もかなり解消できるのではないかとは思います。

○宮坂委員 今のことに関連してですが、例えばこのヘルマンスキーパドラック症候群というのは、カタカナで書いたり欧文表記になっていたりして、これは表記を統一してキーワード検索ができるようにすれば、必ず引っ掛かるはずなのです。そうしないと、やはり希少な疾患が400ぐらいあって、しかも原発性免疫不全症候群の中にはたくさんの病気が入っている。そうすると、こういう間違いが起こってしまうと思うのです。だから、本来的には表記を統一してキーワード検索ができるようにしておけば、絶対間違えないと思います。そうしないとちょっとまずいかなと思います。

○徳本難病対策課長補佐 今、頂いた御意見に関してですが、従前までに、306までに入っているものの重症度分類に関して、まずは、今、御意見を頂いたと思います。それに関しては、研究班に今の御意見をお伝えしまして、今後の改定に向けて検討をお願いするという形にしたいと思います。

 いわゆる重症度分類の内容などということではなくて、表記に関しては宮坂先生から従前から幾度と御指導いただいている内容ですが、それに関しては、今回の追加に合わせて、また、今後のデータベース関係の臨床調査個人票等の新たな様式を我々は通知する予定がありまして、その際に合わせて表記も一定程度可能な範囲で見直すことを考えておりますので、また先生方に御意見を伺いながら、より良い、分かりやすいものにしていこうと思います。

○水澤委員長 ありがとうございました。そのとおりだと思います。

○直江委員 今、原発性免疫不全症候群が200近くの疾患を含んでいて、これは言ってみれば難病の中のモンスターですよね。今、検索の話や、中等度以上という、中等度は免疫だけに限らずに、今はいろいろな障害があるという話も含めて、この免疫不全症候群の場合に、例えば指定難病で登録された場合に、一体その中で特定の疾患がどのくらいあるのかという。つまり、ひとまとめになると、これで例えば1,000人や2,000人というよりは、もう少しほかのものだと、例えば10人や3人などという病気があった場合に、例えば、今、問題になっているパドラック症候群が実際に何人いるのだという資料が出るのでしょうか。

○徳本難病対策課長補佐 臨床調査個人票に、各病型のどれを満たすかというチェックを作っていただければ、データベースにはそれとして残るわけです。

○直江委員 いやいや、あったほうがいいと思います。だって、特に原発性免疫不全症候群だけは、これで1名とカウントされても、実際問題これは200近くの疾患がある中で、一体どういう患者さんが何人ぐらいいるのだということには、特にこの症候群に関しては少しアバウトすぎて。それから、何がお困りかということが分からないのです。必ずしも免疫で困っているのかどうかは分からないわけでしょう。例えば精神障害だったり、てんかんだったりもする場合もあるわけですから、そこが汲み取れるのかどうかという。

○宮坂委員 これは多分、原発性免疫不全症の臨床個人調査票を見てみれば、どういうふうになっているか分かると思いますが。でも、全ての病型に対応できるようになっているとはちょっと思えないですね。

○直江委員 だから、それで200書き込んであるのかどうかというのは、すごい調査票になってしまいますね。

○水澤委員長 チェックリストだけでも23ページになってしまうと思うので、今後の課題でしょうかね。

○徳本難病対策課長補佐 その辺りは今後の課題としなければいけない部分と、先ほど申し上げた、直近で改定をするときに反映できるものと、多分幾つかの段階、難しさがあると思いますので、今、頂いた御意見もうまく取り込めるようには、可能な範囲で検討したいと思います。

○宮坂委員 それともう1つ、臨床患者個人調査票の件です。今も、周知するかもしれないとおっしゃっていましたが、前にもここでも言いましたが、110のときの分と306までの分が書きぶりが違うのです。表記法が違う。新しいほうは「有」「無」などと付けていく。臨床データは一切入れないのです。110までのほうはデータが入っていたりするものがあります。

 やはり、今後本当にこのデータを利用して、難病データベースなどを作ろうと思うと、どこまでデータが入っていなければいけないのかについて再検討する必要があるのではないでしょうか。結局その「有」「無」というのは、都道府県の現場の人にとっては、判定するときに「有」「無」だけでいいのですが、本当に科学的に「有」「無」だけでいいのかどうか。そういう検討は余りされていないのです。臨床個人調査票の中身は、余りここで討議されたことがないですよね。

○徳本難病対策課長補佐 これに関しても何度も御意見を頂いていますが。

○宮坂委員 あると言っていますが、我々はものを見たことがないのです。

○徳本難病対策課長補佐 今、臨床調査個人票の修正版を作成していて、余りにも「有」「無」だけの簡素なものは、データも入れてもらうように修正していただいております。

○宮坂委員 それは各学会にフィードバックしているのですか。

○徳本難病対策課長補佐 まず、研究班にフィードバックさせていただいていて、多くの研究班は学会とも連携していただいているので、その御意向を反映した調査票にはしていくつもりです。

○宮坂委員 それと、最終的に本当に難病データベースを作ろうと思うのであれば、やはり、何が必要で何が不必要か、それと全体の整合性、統一性は必要だと思うのです。そういう意味で、この委員会が適切なのか、上の委員会がいいのか、どこなのか、あるいは研究班で討議すればいいのか分からないのですが、一度きちんとそういうことをやっておかないと、データを集めたはいいけれども、データとして使えないという話になりかねないと思うのです。だから、そこはきちんと検討しておいたほうがいいと思うのです。

 こういうものは最初が肝心で、途中で改編していくのもできないことはないのですが、やはりきちんと話し合って、データベースとして利用するためには何が最低限必要なのか、どういうことがあったほうがいいのか。そうしないと、各学会に、あるいは各研究班に聞けば、見て別に問題がなければ「それでいいよ」と言ってしまうのだけれども、整合性や統一性というのは誰も見ているわけではないのです。だから、やはりそこはすごく不安なところなのです。

○水澤委員長 今の御意見には何かありますか。先ほどの免疫不全のほうのリストに行きますか。臨床調査個人票のチェックはされましたか。では、これが終わったらやりましょうか。今、調べていらっしゃるので。時間はたっぷりありますので大丈夫です。

○徳本難病対策課長補佐 先ほど頂いた話の、原発性免疫不全症に関しては、一応、診断が何の診断なのかというのは書く部分はあるようですので、それで分かるようになっていると思います。

○水澤委員長 それはリストがあって、チェックすればいいようになっているのですか。

○徳本難病対策課長補佐 そうですね。診断が何だったのかということで、×連鎖重症複合免疫不全症や、ほかのオーメン症候群など、52ほど並んでいるのが臨床調査個人票の中にはあります。

○宮坂委員 でもそれは多分、疾患名をチェックすればいいだけでしょう。

○徳本難病対策課長補佐 そういうことだと思います。

○宮坂委員 ほかの疾患はそうではなくて、ちゃんと要件がそろっていて、なおかつ病名があると、それを都道府県で審査をして「いいです」と言っているわけですが、どうも原発性免疫不全症候群は、病名だけチェックしたら、もうそれでいいということになってしまうような話だと思うのですが、違いますか。

○徳本難病対策課長補佐 一応、ほかの症状とかを、臨床所見などでどういう合併症があるのかなども項目としてありますし、そもそも先生が御主張のように、原発性免疫不全症候群は65番のものなので、細かくはデータは取っているというような印象はあります。

○水澤委員長 そうですね。要するに、前からある110までのものだということですね。今のお話は、非常に大事な点だとは思います。宮坂委員もおっしゃったように、やはり我々のこの委員会のマターというのが、指定難病であるかどうかを決めていく、議論していくということなので、恐らく別の委員会ないしは、私の理解では研究班としては松山先生の研究班で御検討されて、ある程度統一されたものを出しておられたと思うのです。宮坂委員がおっしゃるように、上がってきたものをチェックしただけではなくて、全体を並べてみて整合性が取れているかどうかというのを、どこかでやるような、委員会なり班なりに、やっていただいたら非常にいいのではないかと思います。この点はよろしいでしょうか。

○大澤委員 都道府県に病名がどのように下りるのかを教えて頂けますでしょうか?

 

○徳本難病対策課長補佐 基本的には、ここで御議論いただいて告示をした病名、及び、それに基づく我々が通知した診断基準、臨床調査個人票に基づいて、各都道府県では事務を行っているものだと認識しています。

 一方で、いわゆる診断基準などが余り分かりにくくて誤解をいただいているという実態はあるかもしれませんが、原則、そのようなことはないよう、我々はできるだけ分かりやすく、通知などを作るように心掛けているところです。

○大澤委員ありがとうございました。

○平家委員 先ほどの原発性免疫不全症候群の臨床個人調査票の件なのですが、この疾患は全て、今、PIDJというある組織に全部入れ込んで、遺伝子診断をするようなシステムになっています。そこで登録するときに、検査所見や年齢などを全て既に登録しているような形で診断が進んでいます。そこに入力すべき臨床検査のデータなどを全部羅列しているということで、それプラス診断名を臨床個人調査票の中にチェックするといったものが付け足しになっているというような感じです。いわゆる臨床個人調査票の検査所見や、いろいろな情報に関しては、既に共通で運用している。それをここに流用しているという形になっていると思います。

○水澤委員長 大分御議論いただいて、非常に広汎な御意見をいただき、ありがとうございました。ほかにはどうでしょうか。本日の御議論の結果としては予定どおりお認めいただいたと。細かい御意見を頂いて、それはそれぞれお答えがあったように、修正あるいは問合せをしていただくということではありますが、全体としては、3つの課題について、それぞれお認めいただいたと理解しております。よろしいでしょうか。

 それでは、長時間ではないのですが、本日は非常にスムーズに進ませていただきまして、ありがとうございました。今後の予定について、事務局のほうから何かありますか。

○徳本難病対策課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。次回、第17回の指定難病検討委員会の日程については、決まり次第、御案内申し上げます。事務局からは以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。また、是非よろしくお願い申し上げます。


(了)

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