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2016年7月22日 第116回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成28年7月22日(金) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第116回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。

 議事に先立ちまして、事務局である職業安定局の幹部に異動がありましたので御報告をいたします。大西職業安定局次長、鈴木派遣・有期労働対策部長、坂根雇用開発部長がそれぞれ就任されております。

 本日の委員の出欠状況です。

 公益代表の鎌田委員、玄田委員、労働者代表の林委員、松原委員、使用者代表の鈴江委員、深澤委員、吉岡委員が御欠席です。

 それでは、議事に入ります。

 最初の議題は「(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。本件については、7月21日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。

 事務局より御説明をお願いします。

○雇用開発企画課長補佐 議題1について、御説明をさせていただきます。

 本来であれば、雇用開発企画課長の北條が説明をするところでございますが、北條が体調不良により本日休暇をいただいておりますので、私、雇用開発企画課長補佐の小沢と申しますけれども、私がかわりに説明をさせていただきます。

 まず、議題(1)でございますが「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。

 内容といたしましては、雇用調整助成金の支給限度日数の延長についてでございます。事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者の雇用の維持を図るために、休業等を行った場合における助成制度である雇用調整助成金につきましては、平成28年熊本地震の発生に伴う特例として、これまでにおいても生産指標の確認期間の短縮、具体的に言うと、3カ月から1カ月間への短縮や助成率の引き上げなどの特例措置を講じてきたところでございます。一方、本助成金の支給限度日数は現行1年間で100日といった上限を設定していることから、現行のままでは、最短で本年8月15日に終了することとなっています。また、熊本県からこの上限日数の延長につきまして要望等を受けておりまして、当方が実施した雇用調整助成金利用事業所へのアンケート調査におきましても、延長の要望のニーズがあることを確認したところでございます。つきましては、平成28年熊本地震の発生に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされた全ての事業主に対して、雇用維持に向けた切れ目ない支援を図ることが必要であると考えておりまして、支給限度日数の延長を考えております。

 日数の延長につきましては、東日本大震災当時の特例と同様に上限を100日から300日に延長することとしたいと考えております。なお、本特例措置の適用範囲につきましては、5月16日に施行しました助成率引き上げに係る特例措置と同様に九州7県に所在する事業主に限定する形で施行したいと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは本件について、御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 青木委員、どうぞ。

○青木委員 ありがとうございます。

 先ほど、御説明をいただきました案件につきまして、支給日数の延長を求めるニーズがあると捉えているということで御発言がございました。この省令案要綱について異論があるところではございませんけれども、今回の雇用調整助成金の特例措置の申請適用状況などについて、少し確認をさせていただきたいところでございます。あわせまして、雇用調整助成金利用事業所について、今後の休業の見通しとかはどのような実態にあるのか、厚労省の見解をさらに詳しく伺えればと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上でございます。

○阿部分科会長 事務局、お願いします。

○雇用開発企画課長補佐 まず、現在の雇用調整助成金の提出状況でございますが、これは7月15日現在のデータが最新でございますので、その状況を申し上げますと、熊本労働局管内における雇用調整助成金の計画届の提出件数につきましては、現在のところ1,000件となっているところでございます。これは比較対象となる前年度のデータは平成27年6月末現在のデータが参考数値という形になりますが、昨年6月現在の雇用調整助成金の計画届の提出件数は68件となっておりますので、大幅な提出の増加となっております。また、申請書の提出件数につきましては、7月15日現在で549件となっておりまして、昨年6月末現在の申請書の提出件数につきましては10件となっておりますので、これについても大幅増の状況となっているところでございます。なお、7月20日までを期限といたしまして、さかのぼり適用という特例措置を講じておりますが、こちらにつきましても、7月19日、7月20日で大量の計画届と申請書の提出が熊本労働局にあったとの報告を受けているところでございます。

 また、アンケート調査についてでございますが、雇用調整助成金の利用事業所の235事業所にアンケート調査を行いまして、うち151事業所から回答があったところでございます。その内容といたしましては、平成28年7月以降も休業等を実施する予定の事業所につきましては45.7%、また、そのうち雇用調整助成金の支給限度日数の上乗せを希望する事業所につきましては36.2%の状況となっておりまして、雇用調整助成金の支給限度日数の延長につきまして、ニーズがかなりあるということを確認しているところでございます。

○阿部分科会長 青木委員、よろしいですか。

○青木委員 ありがとうございました。

○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。

 高橋委員、お願いします。

○高橋委員 今の御質問に関連してなのですけれども、熊本県の状況はよくわかりましたが、対象地域が九州各県ですので、熊本県以外の状況についてもあわせてお知らせいただければと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○雇用開発企画課長補佐 九州管内のデータは全てとっておりまして、九州管内7県のデータでございますが、計画届の提出件数は7月15日現在でございますけれども、1,193件となっているところでございます。また、申請書の提出件数につきましても同じ7月15日現在でございますが、608件となっているところでございます。

 熊本の次に計画書の届け出が多いところが福岡県の44件、次に長崎と鹿児島がそれぞれ33件ずつとなっているところでございます。申請書の提出につきましては、熊本労働局の次は大分労働局の26件、次が福岡労働局の16件となっている状況でございます。

○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。

 熊谷委員。

○熊谷委員 今のお話を伺っていますと、大分浸透していると判断できるのですけれども、現実、現場ではまだ十分にそういったものを知らないという声も聞けているのですが、その点についてはどうでしょうか。

○阿部分科会長 お願いします。

○雇用開発企画課長補佐 熊本労働局におきましても、現地で出張の相談会等を開催しているほか、厚生労働省においてもSNS、具体的にはTwitter、またはホームページ等で周知を行っているところでございます。また、支給限度日数の延長につきましても、熊本労働局と熊本県、熊本市のほうで周知を行っていただける、協力もいただく形になっておりますので、そういった周知につきましては万全を期していきたいと考えております。

○阿部分科会長 よろしいですか。

 その他、いかがでしょうか。

 特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 ただいまお手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。そのように報告させていただきます。

 次の議題は「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱について(諮問)」です。本件については、6月27日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。

 まず、資料について、事務局より一括して御説明をいただき、その後、岩村雇用保険部会長より雇用保険部会での議論の報告をお願いしたいと思います。

 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

○雇用保険課長 雇用保険課長の田中でございます。私から議題(2)の関係資料について、まず御説明をさせていただきます。

 お手元に資料No.2-1~2-4までございます。まず、資料No.2-1でございますが、省令案の要綱でございます。資料No.2-2がその要綱の関係する部分の概要を御説明するようにつくっている資料でございますので、基本この資料に基づいて御説明をさせていただきます。資料No.2-3は雇用保険部会の報告、資料No.2-4は関係の資料でございまして、昨年末に雇用保険部会でまとめていただきました、雇用保険部会の報告と法律の概要がこちらに載ってございます。

 それでは、資料No.2-2をごらんください。今回、諮問させていただいております省令案でございますが、この省令案につきましては、昨年の雇用保険部会の報告に基づきまして、法律が3月に成立をしておりますが、その改正法案の施行に伴うものでございます。また、雇用保険部会の報告の中では、法律で対応せずに省令で対応する事項等々もございますので、その部分につきましても、あわせて今回の省令で措置をするという内容でございます。

 お手元順に御説明をさせていただきます。

 まず「1.特定受給資格者の範囲の改正(諮問要綱 1関係)」でございます。特定受給資格者の範囲につきまして、ここに2つございます。「賃金不払いを理由とする離職について、賃金の1/3を上回る額が支払期日までに支払われなかった月が1月でもあった場合」とするものでございまして、現行の基準では、引き続き2カ月以上もしくは離職前6カ月のうち3カ月以上であるものを「1月でもあった場合」と改正をする内容でございます。また、特定受給資格者に「事業主が育児・介護休業法等に規定する義務を違反した場合」というものを新たに追加するという内容でございます。

 続きまして「2.移転費の着後手当の額の引上げ(諮問要綱 3関係)」でございまして、UIJターンの促進等の観点から着後手当の額を国家公務員に準拠をした形で引き上げるというものでございます。親族を随伴される場合は、移動距離100キロ未満を現行3万8,000円から7万6,000円に、100キロ以上については9万5,000円に引き上げるものでございます。なお、これは親族を随伴される場合でございますので、随伴されない場合についてはその半額になります。

 「3.短期訓練受講費の創設(諮問要綱 5関係)」でございます。短期訓練受講費は今般の改正で創設をしたものでございます。受給資格者等が公共職業安定所の職業指導によって、必要な職業に関する教育訓練を受けて修了した場合に、受講のために支払った費用について支給をするものでございます。対象となる講座といたしましては、一般教育訓練給付の対象講座として指定をされていない、訓練期間が1カ月以内の公的資格を対象とする予定でございます。給付につきましては、受講のために支払っていただきました費用、入学料、受講料でございますが、上限額はこの2割で10万円までという内容でございます。なお、この短期訓練受講費につきましては、次に御説明いたします求職活動関係役務利用費と同様、給付制限期間中の訓練についても支給をされる内容になってございます。

 「4.求職活動関係役務利用費の創設(諮問要綱 6関係)」でございます。これは、受給資格者等が面接をする。それから職業訓練、教育訓練を受講されるといった場合に、そのお子さんについて、保育等サービスを利用された場合に支給をするものでございます。支給対象となる保育等サービスをここにローマ数字の(1)(2)(3)ということで書かせていただいております。

 (1)保育所、認定こども園で行われる保育等々。

 (2)が地域子ども・子育て支援事業として、子ども・子育て支援法の枠組みの中で行われる事業。

 (3)といたしまして、その他(1)(2)に準ずる役務というもので、認可外保育所で行われる保育でございますとか、ベビーシッターが行うものを対象とする予定でございます。

 これらにつきまして、面接等を行った日については15日分をマックスに、また、訓練を受講された日については60日分をマックスにということで支給をする内容でございまして、給付の割合は利用される費用が1日当たり上限8,000円と設定をいたしまして、その8割という設定にしてございます。費用の上限が8,000円の8割でございますので、給付費としての上限は6,400円になります。

 次のページの「5.一般教育訓練給付の対象となる費用の範囲の拡大(諮問要綱 7関係)」でございます。これは一般教育訓練給付を受けられる場合に、訓練開始日前の1年以内にキャリアコンサルティング、これは能力開発促進法に基づきます国家資格を有するキャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングに限定をしてございますが、これを受けられた場合の経費についても、一般教育訓練給付の支給対象とするものでございます。これらキャリアコンサルティングの費用につきましては上限を2万円といたしまして、一般教育訓練給付の中で支給をされるものですので、給付割合は2割という設定になってございます。

 6点目と7点目は、今般の育児・介護休業法の改正を踏まえた改正でございます。育児・介護休業法の改正によりまして、有期の期間雇用者についての育児休業、介護休業の取得要件が一部変更になりましたので、育児休業給付、介護休業給付の支給要件につきましても、同様に改正をするという内容でございます。

 改正の内容は6の箱の中にございますけれども「子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること」という要件がなくなる。それから「子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く」という要件の「2歳」のところが「1歳6カ月」と育児・介護休業法が既に改正をされておりますので、これを踏まえた形での改正でございます。

 「7.介護休業給付の対象家族の拡大(諮問要綱 9関係)」でございます。祖父母、兄弟姉妹、孫について同居・扶養要件がございましたが、介護休業につきまして、この同居・扶養要件が今度外れることになってございますので、給付につきましても同様に外すという内容になってございます。

 以上が、省令案の概要でございます。なお、施行期日は平成29年1月1日としてございます。

 事務局からの説明は以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 続いて、雇用保険部会での議論について、岩村部会長より御報告をお願いいたします。

○岩村委員 それでは、御報告を申し上げます。

 今、事務局から説明がありました省令案要綱につきましては、本日、先ほど行われました雇用保険部会においてあらかじめ検討したところでございます。その結果といたしまして、お手元の資料No.2-3をごらんいただきたいと思いますけれども、そこにありますとおり「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱」につきまして、妥当であるとの結論を得たところでございます。この旨の御報告を申し上げます。

 以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら御発言ください。特に御質問、御意見はございませんか。

 特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 ただいまお手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 それでは、そのように報告をさせていただきます。

 次の議題ですが「(3)職業安定法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」。これも諮問です。本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。

 それでは、事務局から御説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 運営企画室長の中條でございます。よろしくお願いいたします。私から「職業安定法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」につきまして、御説明をさせていただきます。関係資料は資料No.3-1~3-4になります。資料No.3-1が省令案要綱そのものでございますが、資料No.3-2に概要がございますので、そちらを使って御説明をさせていただきたいと思います。

 この省令案でございますが、ことしの5月に成立をいたしました「第6次地方分権一括法」の施行に伴いまして、必要となる手続等を定めるものです。

 「2 改正内容」をご覧いただきたいと思います。まず、職業安定法施行規則の関係でございますけれども、地方公共団体が無料職業紹介を実施するときにこれまで届出が必要でしたが、法改正により厚生労働大臣への通知によって実施をすることができることになりました。(1)のマル1につきましては大臣への通知事項を定めるものです。また、マル2は通知事項に変更があった際の通知について、マル3は無料職業紹介事業を廃止したときの通知事項を定めるものでございます。

 2ページの(2)のマル1でございます。求人者、求職者への明示をする事項として、省令で定めるものを求人者の情報と求職者の個人情報の取扱いに関する事項とするものです。マル2は明示の方法ということでございまして、求人、求職申し込みの受理後、速やかに書面かメール等によって明示をするという方法を定めるものです。

 (3)は求人、求職情報の提供について、マル1は提供する情報を定めるものです。具体的にはそこにございますように、求人または求職に関する情報のうち、求人者、求職者が自らの情報について自治体に提供することに同意したもの、ただし、求職者の個人情報等を除くこととしております。マル2は提供の方法として、法律で定めます電磁的方法に加えて、書面による提供も行うこととしているものです。

 マル3は、自治体が求人、求職に関する情報を適切に取り扱うことができないおそれがあると認めるときには、具体的には、現行のオンライン提供におけます利用規約に反したときを前提に、情報の提供を停止することができることとしているものです。

 次に「2.雇用対策法施行規則」についてです。法改正によりまして職業の安定のために必要があると認めるときは、首長から必要な措置の実施を国に対して要請できることとされておりますけれども、マル1は要請の際にはその内容と理由を記載した書面を添えることとしているものです。また、法律上要請は厚生労働大臣に行うこととなっておりますが、後ほどの(3)のところで大臣の権限は労働局長に委任をすることとされておりまして、実際には首長から労働局長に要請がされることとなります。労働局長は、法律に基づいて要請を受けた場合には学識経験者等の意見を聴いて、要請された措置を行うかどうかを判断して、その内容を首長に通知することになります。

 (1)のマル2はその通知の内容に首長の納得がいかなかった場合には、首長は大臣に直接権限を行使することを求めることができることとしたものでございまして、マル3はマル2の求めを受けた大臣は直接この権限を実施しなければならないこととしているものでます。マル4ですが、国が措置の必要性を判断する際に意見を聴く者について、学識経験者、措置要請に関係する自治体、その他必要と認める者としているものです。

 3ページ「(2)雇用対策協定の内容に係る要請の手続き等」についてです。マル1は、労働局長と首長は雇用対策協定を締結できることを規定するものです。マル2は、都道府県労働局長は、雇用対策協定を締結している首長から雇用対策協定の内容に係る措置の要請があったときには、法令又は予算に違反する場合その他の合理的な理由がある場合を除いて、業務に反映させるように必要な措置を講ずるものとしております。これは現行のハローワーク特区における指示への対応と同じ対応方針としてございます。マル3ですが、都道府県労働局長と首長は協定を実施するための計画の作成に係る協議、連絡調整を行うため、協議会を組織することができることとしております。

 (3)は、先ほど申し上げました大臣から労働局長への権限の委任の規定です。

 (4)でございますが、現在、雇用対策法施行規則の附則の規定に基づいて実施をされておりますハローワーク特区に関する規定については廃止をすることとしております。ただし、既に締結しているハローワーク特区協定につきましては、改正後の雇用対策協定とみなすことを経過措置として規定することとしております。

 最後に、この省令でございますが、法律と同じ8月20日の施行を予定してございます。

 次に資料No.3-3に基づきまして、運用面での方向性、具体的には地方公共団体への通知で定める事項の概要について御説明をしたいと思います。

 まず「1 職業安定法関係」についてです。1は自治体からの通知は事後の通知でもよいとするものです。

 2は、先ほどの資料No.3-2の(3)のマル3と同様です。

 3は、法改正により地方自治体は職業安定法の各種規制、監督の対象外となりますので、大臣は自治体に対して職業安定法上の行政指導は行わないが、地方自治法に基づく資料の要求や是正の要求等は行うということを記載するものです。

 4は、自治体は職業安定法指針の対象ではございませんが、※にあるような均等待遇の原則や労働条件等の明示等について、引き続き適切に対応していただくことをお願いするものです。

 次のページの5でございますが、これまで業務運営要領等で定めていた事項について、引き続き十分留意していただく事項についてお願いするものです。苦情処理や個人情報の保護、また、外部会場を利用した面接会等での紹介の実施も可能であるが、少なくとも一つの事業所は有していなければならないこと等とすることでございます。

 6でございます。若者指針につきまして、自治体も対象であることを記載したものです。

 7につきましては、自治体の希望に応じまして、研修や人事交流等の人的支援を行うこと、また、自治体が受理した求人について公共職業安定所でも受理し、ともに充足に努めることということを記載したものです。

 8は、自治体が無料職業紹介を実施する施設におきまして、雇用保険関係の業務や職業訓練関係業務、また、助成金関係業務の実施を希望する場合には、労働局で対応を個別に調整いたしますので連絡をお願いしたい旨を記載するものです。

 9は、自治体に職業紹介責任者講習会の活用をお願いするものです。

10は、自治体が民間事業者に委託をして、無料職業紹介を実施する場合には、当該民間事業者は職業安定法の規制や大臣の監督の対象となること、また、指定管理者制度で民間事業者に委託する場合も、同様に規制や監督の対象になることを記載したものです。

11は、自治体が行う無料職業紹介事業で、これは全部自治体の自前で実施していただく必要がございますが、国の公共職業安定所の愛称である「ハローワーク」を使えることとしたこと。ただし、国の公共職業安定所と誤認されないようなものとすることとしてございます。

12は、自治体も職業紹介事業報告書の提出をお願いするものです。

 4ページをごらんいただきたいと思います。「2 雇用対策法関係」です。

 1は、既存の雇用対策協定も改正法に基づく協定とみなすこと。

 2は、公共職業安定所の業務以外の労働局の業務に係る事項が盛り込まれているものや既存の雇用対策協定で国側が労働局長以外の者と締結しているものについても、改正法に基づく協定に準じた取り扱いとするものです。

 3は、自治体からの要請につきまして(1)は、要請内容は労働局長の管轄区域内のものに限定されないこと。(2)、(3)は措置の必要性について、学識経験者等の意見を聴くときには原則として、都道府県労働局におきましては地方労働審議会、大臣の場合には労働政策審議会の意見を聴くことについて、首長の意見を聴くこととするものでございます。(4)は既存の予算等で実施可能なものは、あえてこのスキームを使う必要はないことを記載するものです。

 引き続きまして、資料No.3-4について御説明をさせていただきたいと思います。

 これは法施行に向けまして、地方団体等との検討会を6月から7月にかけて3回実施をしてきておりまして、その際に出された主な意見をまとめたものでございますので御紹介をさせていただきます。

 まず、職業安定法関係でございますが、1は通知を簡素化してほしいとの御要望。

 2は実施に当たりまして、人的支援や財政支援、ハローワークの職員用端末の使用の希望。

 2ページ目の3でございますが、こちらは求人・求職情報について、個人情報の提供などの充実の要望。

 4は「ハローワーク」の愛称について、一部民間委託の場合も使用を認めてほしいというもの。

 5は、雇用保険関係業務の実施についての御要望。

 3ページの6でございますが、届出場所以外での職業紹介業務の実施についての御要望。

 7は、職業紹介事業報告書の廃止の要望でございます。

 雇用対策法関係でございますが、1は要請や協定の内容についての御要望。

 2は、雇用対策協定のひな形の提供や雇用対策協定の内容として、相互の要請は不要ではないかとの御要望。

 3は「一体的実施施設の継続実施」の要望。

 4は「ハローワーク特区協定に係る経過措置」の要望でございます。

 そのほか、法施行後の協議の場を設置してほしいという御意見もございましたので御紹介をさせていただきます。

 資料No.3の関係の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

 斗内委員、お願いします
○斗内委員 ありがとうございます。

 私からは、先ほどの「地方との検討会における主な意見」の点につきまして、2点ほど労働側の意見を申し上げたいと思っております。

 先ほどの資料No.3-4でございますが、その中で「4 地方版ハローワーク業務の民間委託の在り方」につきまして、民間委託する場合においても「ハローワーク」の愛称を可能にしてほしいという御要望がありましたが、私ども労働側としましては、公共職業安定所は、やはり国が責任を持って全国一体かつ無料で運営すべきという考え方を持っております。そういう意味では、利用者の立場から公共職業安定所イコール安心であり、公共職業安定所の愛称の「ハローワーク」が定着している等々を踏まえますと、「ハローワーク」の名称の使用を拡大するべきではないという考え方に立っておるところでございます。

 さらには「7 職業紹介事業報告書の提出」についての要望がありました。廃止、または業務を簡素化するという御要望がありましたが、基本的には、先ほど御説明いただいた資料No.3-3の運用上の方向性にも示されておりますとおり、地方が実施した職業紹介についても、報告がきちんとなされるべきではないかという2点を御意見として申し上げさせていただければと思います。

 最後に、今回の省令案の内容は8月20日施行ということでございますので、施行期日までなかなか日数が限られておるということからしますと、内容につきましては、本日示された運用上の方向性の内容も含めまして、十分な周知をぜひお願いしたいということを申し上げさせていただければと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 御意見が2点、最後に要望もありましたけれども、何か事務局からありますか。

○公共職業安定所運営企画室長 御意見ありがとうございました。

 まず、1点目のハローワークの愛称に関してですが、今回の法改正の趣旨といたしましては、地方公共団体が民間とは明確に異なる公的な立場で無料職業紹介を実施できるように各種の規制緩和を講じたものでございまして、この環境下で実施する地方公共団体の無料職業紹介事業をいわゆる地方版ハローワークと呼んでいるものでございます。このため、地方公共団体が全て自前でみずから行う無料職業紹介に限り、国の公共職業安定所の愛称である「ハローワーク」を名乗ることを認めることとしたいと考えております。これは通知事項でも御説明をさせていただきましたが、ここは全て自前でやる場合にということで限定をさせていただきたいと思います。

 利用者の方の中には、法改正によって公的な立場として位置づけられた機関か否かによって、この職業紹介を受ける機関を決めている方もいらっしゃると思いますので、仮に民間企業に委託しているケースについてもハローワークの名称を使用させてしまうと、利用者の方が正しい選択をできなくなってしまうおそれがございますので、こちらについては通知できちんと書いていきたいと思っております。

 2点目の御意見でございます事業報告書の提出につきましては、雇用対策法第11条等に基づきまして、厚生労働大臣が雇用に関する情報を収集整理しなければならないとされておりますので、こちらについても、きちんと引き続き提出をしていただくように通知に記載をしていきたいと思っております。また、改正法の周知につきましても、きちんと努めてまいりたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。

○斗内委員 ぜひお願いします。

○阿部分科会長 斗内委員、よろしいですか。

○斗内委員 はい。

○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。

 特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 ただいまお手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 続きまして、議題(4)は「国と地方自治体の連携の現状について」です。

 事務局より御説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 引き続きまして、運営企画室の中條でございます。私から資料No4に基づきまして、一体的実施事業等の状況について御説明をさせていただきます。

 一体的実施事業につきましては、平成23年6月から順次取組を進めてきたところでございます。平成27年度の実績でございますが、2ページに取りまとめておりますのでご覧いただきたいと思います。

 まず、マル1の実施自治体の数でございますが、159自治体、303拠点で実施をしてございます。自治体の内訳といたしましては、右側にございますとおり都道府県が33、市区町が126自治体となっており。昨年度と比べ13自治体、35拠点増加をしているところでございます。

 就職実績についてですが、マル2のところにございますように約8万人が一体的実施事業により就職をしております。一体的実施では、国と自治体で年度ごとに目標を定めておりますが、事業を実施した154自治体のうち139自治体で目標を達成しているところでございます。右の表でご覧いただきますと、未達成のところが39拠点ございますが、これらの自治体について目標を見てみますと、3分の2の自治体が生保受給者に対する支援を行っている拠点でございまして、設定している目標が「利用者数等」となってございますので目標達成のためには自治体の窓口からの送り込みが重要となっております。このため、今年度は送り込み等をしやすくするための連携強化を図ってまいりたいと考えております。

 具体的には、資料の14ページをご覧いただきたいと思います。自治体窓口から国の職業紹介窓口への送り込みをしやすくするためということで、マル1~マル3にございますようにまずは送り込み等をしやすい土台をつくるということで、共同での研修の実施や定期的な打ち合わせなどお互いの支援内容について理解を深めるということ。マル2にございますように効果的な送り込みを行うために、個人情報を共有するための取り決めを行うということ。また、マル3にございますように、連携状況を年度途中でも確認できるように新規求職者のうち自治体側から送り込まれた求職者の割合ですとかチーム支援対象者数など、連携指標の目標を立てるといったことで、連携を確実に進めてまいりたいと考えております。

 2ページにお戻りをいただきまして、マル3の利用者からの評価です。全体として95.3%の利用者の方から「満足」との回答をいただいているところです。この一体的実施につきましては、今回の法改正によりまして、法律にこの事業が明記されることになりましたので「第6次地方分権一括法」施行後も継続していきたいと考えておりますので、連携を強化し、改善を進めながら引き続き成果を上げられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今回の法改正により廃止をされますが、ハローワーク特区の関係の実績についても御説明をさせていただきたいと思います。18ページをご覧いただきたいと思います。

 実際には、19ページに実績がございますので19ページをお開きください。ハローワーク特区につきましては、平成2410月から埼玉県と佐賀県で実施をしてきておりますが、利用者数、就職件数は順調に増加をしてきているところでございます。※のところにございますけれども、平成27年度の埼玉県におきましては就職件数の実績が下がっておりますが、実際に自己就職についても確認をしておりまして、自己就職を含む就職件数については増加をしてきております。ハローワーク特区につきましては、先ほど申し上げましたように今回の改正によって廃止をされますが、成果を上げてきているものですので、新しいスキームへと移行し、引き続き当該施設での事業を実施できるよう自治体と調整を進めているところです。

 連携に関する事業の資料についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは本件について、御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 清水委員、お願いします。

○清水委員 ただいま御説明いただきました資料の7ページでございますけれども、利用者の評価が示されております。9割近くの施設で90%以上の利用者が一体的実施の取組を評価しているという内容でございます。また、13ページ以降には「一体的実施事業の業務改善」が示されております。利用者目線に立った運営こそが重要であり、これまでの取組実態を踏まえつつ、必要な改善については適宜対応をお願いしたいということ、そして、国と地方自治体との共同連携による就労支援、生活支援の一体的実施を推進していただきたいということでございます。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 御意見、御要望もありましたので、それに留意しつつ、お進めいただければと思います。

 次の議題に移りたいと思います。「(5)2015年度の評価及び2016年度目標設定について」です。事務局より説明をお願いします。

○雇用政策課長 雇用政策課の蒔苗でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、資料No.5-1~5-3及び参考資料No.5-1~5-3を用いて御説明を申し上げます。まず、参考資料No.5-3をごらんいただければと思います。こちらに書いてございますのは、閣議決定されております「日本再興戦略」等で中長期目標を政府として設定しておりまして、それに基づきましてこれから御説明する毎年のPDCAによる評価を行うということで、きょう評価をお願いしたいと思ってございます。

 中長期目標の関係で、6月の閣議決定で1点追加されているものがございまして、御紹介を申し上げますと、参考資料No.5-3でございますが「マル6 不本意非正規雇用労働者の割合」が新たに追加となってございます。後ほど御説明する年度目標のほうでは、若者の正社員就職のところで中長期目標を踏まえた目標を設定してございます。

 参考資料No.5-1をごらんいただけますと、今回、評価いただく年度目標でございますけれども、こちらにつきましては本日御審議いただきまして、いただいた意見を整理した上で、今後本審のほうに御報告するというスケジュールで進めていきたいと思ってございます。

 資料No.5-1と資料No.5-2を用いて御説明いたします。資料No.5-1が年度目標の評価についての資料でございまして、資料No.5-2が詳しい資料でございます。こちらにつきましては、ことしの2月に中間評価をいただいたところでございまして、その後、半年の実績を踏まえて、本日は今年度の評価をお願いしたいと思ってございます。

 資料No.5-2につきましては、評価シートがそれぞれ並んでございますけれども、その中で幾つか項目を書いてございまして、項目ごとの目標ですとか目標設定における考え方、あるいは施策実施状況やその分析、達成状況を踏まえた評価、今後の方針等について記載してございます。本日は時間の関係もございますので、私から資料No.5-1で御説明を申し上げます。

 資料No.5-1「2015年度 職業安定分科会における年度目標の評価について(案)」でございます。評価項目が4つございまして、1つ目がそこに書いてございますように「1.ハローワークにおける職業紹介等」でございます。後ほど出てまいりますが「2.失業なき労働移動の推進」「3.若者の就労促進」「4.高齢者の就労促進」という4つの項目の評価でございます。

 まず「1.ハローワークにおける職業紹介等」でございます。1つ目が「マル1 ハローワーク求職者の就職率について」でございます。こちらにつきましては、資料No.5-1のマル1に書いてございますように2015年度の就職率は31.1%と2014年度の実績を上回ったものの、目標の31.6%を下回ってございます。その原因といたしましては、次に書いてございますように雇用情勢が全般的に改善する中で新規求職者数が減少してございます。また、雇用改善が長くわたってきておりますので、相対的に就職困難性の高い求職者の割合が高くなる傾向にございまして、結果として早期再就職につながらず、失業率を押し上げる要因となってございます。こうした方々につきましては、そこに書いてございますように引き続ききめ細やかな就職支援ですとか、担当者制の就職支援などを実施して、就職率を高めていく必要があると書いてございます。

 「マル2 ハローワーク求人の充足率について」は企業側から見た指標でございます。こちらにつきましても、2015年度の実績は18.5%と目標の20%を下回ってございます。理由は今ほど就職率のところで御説明したのと同じ理由でございまして、求人が増加して求職者数が減少した影響によりまして、結果として、求人充足率が低下しているものでございます。我々といたしましては、そこにございますように未充足求人に対するフォローアップ等の求人者サービスの一層の強化を図ってまいりたいと考えてございます。

 「マル3 ハローワークにおける正社員求人数について」でございます。こちらにつきましては、2015年度は目標の425万人を上回って4382,000人というものでございます。

 次のページでございますが「マル4 ハローワークにおける正社員就職件数について」でございます。こちらも先ほどのマル1で見ましたように、全体の就職件数が下回ってございますので正社員の就職件数につきましても、目標の90万件を下回る842,000件となってございます。ただ、そこに書いてありますように就職件数全体に占める正社員の就職の割合は49.2%と前年度比で0.5ポイントアップしてございますので、取り組みには一定の前進が見られておりますけれども、求職者全体が減少しておりますので正社員全体の就職数の実績は伸び悩んでございます。

 「マル5マル6 マザーズハローワーク事業(重点支援対象者数、重点支援対象者の就職率)について」につきましては、母子家庭のお母さん等の重点支援対象者の数とその方々の就職率でございます。こちらにつきましては、いずれも目標数値を上回ってございます。

 「マル7 雇用保険受給者の早期再就職割合について」につきましても、その数値は36.3%と目標の33.9%を上回ってございます。

 「マル8マル9 就職支援プログラム事業」の開始件数と就職率でございますが、こちらはいずれも目標を上回ってございます。

 最後の「マル10 求職者支援制度による職業訓練」につきましては、訓練終了後3カ月後の就職率ということで評価してございまして、2015年度4月1日から2015年9月末までに終了した訓練コースの終了3カ月後の実績につきましては、基礎コースで見ますと54.8%と目標を下回り、実践コースにつきましては60.4%と目標を上回ってございます。なお、この実績は昨年度の前半に終了したコースの値でございまして、目標水準達成のためにも今後一層就職支援を強化してまいりたいと考えてございます。

 以上の10個の指標を受けまして「1.ハローワークにおける職業紹介等」の状況についての評価の案を用意してございます。3ページの一番上に斜字体で書いてございますけれども、

 ハローワークにおける職業紹介等の目標については、多くについては達成したものの、就職率・求人充足率等については目標を下回る実績となった。

 このため、引き続き、求職者へのきめ細かな就職支援を行うとともに、求人充足を図るための積極的・能動的マッチングの推進等求人者サービスの充実に向けた取組を行う等、目標の達成を目指した取組を進めるべきである。

という案でございます。

 「2.失業なき労働移動の推進」でございます。こちらは2つの指標がございます。

 1つ目が「マル11 労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)の対象となった者のうち早期再就職を果たした者の割合について」でございます。こちらにつきましては目標が65%となっておりますけれども、実績が45.3%と大きく下回ってございます。こちらにつきましては、再就職までの期間が比較的長い傾向にある45歳以上の方の割合が前年度に比べて大幅に増加、20%から70%となってございまして、こういったことが要因として考えられてございます。

 「マル12 産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率について」でございますが、こちらは実績が目標を上回ってございます。

 以上の2つの指標を受けまして、下に斜字体で評価案をつけてございますけれども、

  労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)については、早期再就職を果たした者の割合が目標を下回る結果となった。

  引き続き、国会における指摘や本分科会における議論を踏まえた見直し内容の着実な実施、実態把握を行い、労働者の安定的な雇用に結びついているかを検証していく必要がある。

  また、産業雇用安定センターについては、2015年度の目標を達成した。引き続き、積極的な企業訪問を行うとともに、個々の労働者の出向・移籍に当たっての課題把握、支援メニューの策定、必要に応じた各種講習・訓練の実施により、より一層スムーズな出向・移籍の実現に取り組む必要がある。

と書いてございます。

 4ページ「3.若者の就労促進」は3つの指標がございまして、いずれも目標を上回ってございます。

 1点目が「マル13 ハローワークの職業紹介により、正規雇用に結びついたフリーター等の数について」でございます。こちらは32万6千人と32万人を上回ってございます。

 「マル14 学卒ジョブサポーターによる支援(正社員就職者数)について」でございますが、こちらも20万6千人と目標の18万6千人を2万人上回ってございます。

 3点目の「マル15 新卒応援ハローワーク(正社員就職者数)」でございますが、こちらも10.6万人と目標を上回ってございます。

 以上の3つの結果を踏まえまして、評価案が下に斜字体で書いてございますけれども、

  若者の就労促進の目標については全て達成し、各種の取組により一定の成果が見られたところであるが、引き続き学卒者・若年者の就職支援に全力で取り組む必要がある。

  このため、わかものハローワーク等の支援拠点を活用し、個別支援を徹底するとともに、トライアル雇用等の各種支援策の活用や、ジョブカフェ・地域若者サポートステーション等関係機関との連携を引き続き実施することにより、フリーター等の正社員就職に取り組むべきである。

  また、学卒者等についても、引き続き、新卒応援ハローワーク等において、ジョブサポーターによる個別支援を徹底するとともに、学校や関係省庁とも連携を図り、就職支援に取り組んでいくべきである。

というものでございます。

 最後に5ページ「4.高齢者の就労促進」につきましても2つ目標を立ててございます。

 マル16、マル17でございますが、まず「マル16 高年齢者総合相談窓口でのチーム支援による就職率について」につきましては、最後の行のところに書いてありますように就職率が71.3%と目標の64%を上回って達成してございます。

 「マル17 シルバー人材センターにおける契約受注件数について」でございますが、こちらにつきましては、目標数値となった契約受注件数自体は2014年度を下回っておりますけれども、請負よりも一契約当たりの就業期間の長い派遣契約者数が伸びたため、就業数は人日ベースで見ますと実績がふえたというところでございます。

 これらの2つの指標を受けまして、評価案としてはそこに書いてございますように、

  高年齢者総合相談窓口での取組については、チーム支援に重点をおいて事業を実施したこともあり、目標を上回る成果があげられた。今後は、特に就職が困難な65歳以上の高年齢求職者の再就職支援が重要となっていることから、55歳以上の就職率に加え、65歳以上の就職率も目標とすることとする。

  シルバー人材センターにおける契約受注件数は、前年度実績を下回ってはいるが、実際の活動状況をより反映している就業数でみると、前年度を上回っており、着実に実績を伸ばしているところである。これを踏まえ、2016年度より目標をシルバー会員の就業延べ数とすることとする。

としてございます。

 なお、お手元の資料に「意見記入用紙」というのも1枚配っておりますので、本日これから御議論いただいた御意見に加えまして、来週金曜日までに事務局に御提出いただければ、その意見も反映したものを記載した上で、本審に報告したいと思ってございます。

 続きまして、資料No.5-3でございます。

 昨年度、2015年度の年度目標の評価を踏まえまして、今年度、2016年度の年度目標でございます。資料No.5-3にA4の横の表をつけてございます。これらにつきましては、景気ですとか雇用情勢、これまでの傾向なども判断して、下記のように目標設定をしてございます。新たに追加変更のありました指標について御説明を申し上げます。

 まず「2.失業なき労働移動の推進」のマル12につきましては、これまでの審議会の中で労働移動の数値だけを目標にするのではなくて、雇用の質も重視すべきではないかという御指摘をいただいたということもございまして、新たに今年度はマル12の指標を追加してございます。マル12は「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)による再就職者のうち、雇用形態がフルタイム労働者(期間の定めなし)である者の割合」ということで、こちらにつきまして、昨年度の実績の64.2%以上を今年度の目標としたいと考えてございます。

 「3.若者の就労促進」につきましてはマル14でございますが、アンダーラインを引いておりますけれども、昨年までの目標は「正規雇用」という表現だったものを「正社員就職」に変えてございます。こちらも同様に審議会での御指摘で、従前の正規雇用の中には直接雇用無期フルタイムなのですけれども、正社員ではない準社員とか嘱託などが含められていたということで、そういった方を除きまして、いわゆる「正社員就職」と少し目標を絞ってございまして、これを目標数値として立ててございます。

 「4.高齢者の就労促進」でございますが、「マル17生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率」ということで、こちらはターゲットを55歳以上と65歳以上に分けまして数値目標を立ててございます。

 最後に「マル18シルバー会員の就業数」でございますが、先ほど前年度の目標で申し上げましたように、こちらにつきましては人日ベースの目標を立ててございます。

 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 青木委員、お願いします。

○青木委員 ありがとうございます。

 マル4にございます「ハローワークにおける正社員就職件数」について、1点要望、意見を述べさせていただきたいと思います。

2015年から新たに目標項目として追加された正社員就職件数でございますけれども、残念ながら目標の90万件を下回ったという報告をいただきました。雇用の質に関する目標を設定して、取り組みが進められた結果として受けとめているところでもございます。

2016年度の目標設定につきましては、87万件ということでございますけれども、厚生労働省におかれまして、雇用の質にこだわっていただきまして、目標達成に向けて取り組みを強力に推進していただきたいと思います。また、雇用の質という観点では、有効求人倍率は改善をしたものの、質の高い雇用を求める失業者については無業期間が長期化していないかなど、現下の雇用情勢における実態を踏まえた対応なども今後検討が必要ではないかと思いますけれども、御見解があれば伺いたいと思います。

 以上でございます。

○阿部分科会長 それでは、事務局、お願いします。

○雇用政策課長 御質問ありがとうございます。

 まず、1点目の「マル4ハローワークにおける正社員就職件数」につきましては、今年度は87万件と設定してございますけれども、まさに委員が御指摘のようにこれはあくまでも目標でございまして、これを上回ることを目指して取り組んでまいりたいと考えてございます。

 2点目の労働市場を少し分析しながら、長期失業等のところに対策をということでございますが、今まさに来年度予算の概算要求に向けた検討をしてございますので、そういったところも見ながら対策につなげていきたいと考えてございます。

○阿部分科会長 青木委員、よろしいでしょうか。

○青木委員 はい。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

 斗内委員、お願いします。

○斗内委員 ありがとうございます。

 私からは労働移動支援助成金について、厚生労働省の御見解を少しお伺いできればと思っております。

 先ほどもございましたが、再就職に係る早期就職割合について、2015年度の目標の65%に対しまして、実績が45.3%という御報告がありました。この点も踏まえまして、労働移動支援助成金の政策効果について厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思います。

 また、先ほどの資料No.5-2の10ページに「マル11 労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)による再就職者に係る早期再就職割合」についての記載がございます。ポツの1つ目の後半部分に「2016年度の目標値については、平年度ベースの実績による適切な指標を設定するものとする」という表現がございますが、いわゆる労働移動支援助成金に関する見直しの議論をこれまでも行ってきたということでありまして、2016年度について、平年ベースの目標設定が適切であるのかどうか、この点についても御見解をお伺いできればと思います。

 また、10ページの一番下のところに「引き続き、支援対象者の再就職先での雇用形態等について調査・分析を行っていく必要がある」という記載がございますが、今後どのように調査をされまして、どのような形で報告がいただけるのかという点について、御見解をお伺いできればと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局、よろしいですか。お願いします。

○労働移動支援室長 労働移動支援室長の伊達でございます。私の担当でございますので、私から御回答をさせていただきたいと思っております。

 まず、政策の効果という点でございます。「日本再興戦略」の平成25年度から失業なき労働移動ということで制度を拡充してきたところでございまして、それに合わせまして、助成内容等をいろいろと見直してきたところでございます。実績といたしましては拡充後、直近の平成27年度の実績でいきますと、実際に再就職支援奨励金の支給の対象になった方が1万3,000人程度おられるということでございますので、ある一定の再就職につながっているような効果はあったのではないかと考えてございます。

 それから10ページの関係でございます。まず、平年度ベースの実績による適正な指標設定という部分でございますが、制度を拡充した平成26年度の実績が、年度で見ますと、ちょうど年度明けの平成27年1月ぐらいから新制度の対象者の実績が出てきており、実質的には3カ月程度の実績が実績として計上されているので、そういった点でいきますと、平成26年度の実績は丸々1年分の実績が反映されておらず、そういった意味で、平年度ベースで実績を見ていく必要があるということとしたものでございます。

10ページの最後の部分の雇用形態でございます。平成28年度の目標でも雇用形態について、新たな目標として設定したものでございます。国会でも雇用の質という点で質問があったところでございまして、雇用形態もこの制度を拡充したタイミングでフルタイムの無期雇用ですとか有期雇用、パートとか派遣といった形の再就職の状況を助成金の実績の中で把握するような項目を設けております。今回の労働移動支援助成金の全体の見直しの中では実態といいますか、その助成金の実績に関するいろいろな指標といった、統計的に把握できるようなものを見直しの中では、現場の労働局からの報告の項目の中で追加等をしておりますので、そういった統計的に把握できるようなもので全体を把握して、その結果を踏まえて分析していきたいと考えております。

○阿部分科会長 よろしいですか。

 斗内委員、どうぞ。

○斗内委員 ありがとうございます。

 これまでも労働側から意見をさせていただいておるのですが、労働移動そのものに対して助成するということではなく、処遇が下がるですとか雇用の質が劣化することにならないような労働移動に対しまして、助成するという考え方を行うべきではないかと思っております。そういう意味では、評価項目についても先ほどありましたように、早期に再就職ができたということだけでなく、労働移動の中身についてもよく分析をいただいて、しかるべき指標の設定等々をぜひ御検討いただければと思っております。ぜひお願いします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 その他、いかがでしょうか。

 清水委員、お願いします。

○清水委員 マル17になるのですが「生涯現役支援窓口でのチーム支援による就職率」というところでございます。2016年度の目標からは、65歳以上の項目が追加されております。参考資料No.5-2の2ページには目標設定の考え方がございます。「2016年度以降は、特に就職が困難な65歳以上の高年齢求職者を重点的に支援する」とされている一方、新たに設定した目標の43%は2015年度の実績を踏まえたものと推察をしております。重点的支援の内容及び目標設定の根拠について厚労省の見解をお伺いしたいと思います。お願いします。

○阿部分科会長 事務局、お願いします。

○雇用政策課長 高齢者の相談窓口での数値目標の設定の考え方というところでございます。こちらにつきましては、参考資料No.5-2に書いてございますけれども、2ページ目の下からでございますけれども、高齢者の総合相談窓口における55歳以上の就職率が64%でございますので、43%に設定したと考え方が書いてございまして、考え方は3ページの上に※(算式)とございます。「高年齢者総合相談窓口」における実績値をXとしまして、この比を用いてございます。55歳以上が26.3%、65歳以上が17.3%イコール64%対Xとしまして、これを解いてXを43%という考え方でございます。

○阿部分科会長 清水委員、よろしいですか。ウエートで案分するということですね。

○清水委員 わかりました。

○阿部分科会長 高橋委員、お願いします。

○高橋委員 今の参考資料No.5-2の3ページの上の※(算式)なのですけれども、これは平成26年度のデータ、すなわち2014年度のデータなのです。ところが、2ページの最終段落のところですけれども「55歳以上の就職率については」といって、2015年度の実績は71.3%とわかっているのですよね。それなのに、わざわざ2年前の55歳以上の就職率である64%を使って比例配分してデータを出しているのです。これは明らかにおかしくて、2015年度の実績値がわかっているのであるならば、この比例式で求めるとしても、直近年度である平成27年度、西暦で言えば2015年度のデータで求めるべきではないかと思うのですが、なぜ2年前のデータでやっているのかというのが私の質問です。

○阿部分科会長 お願いします。

○雇用政策課長 こちらにつきましてはきょう御報告して、御審議いただいているのですけれども、実はそれぞれの目標につきましては当年度が始まっておりますので、昨年度の年度末に一応数値目標を立てまして、これをそれぞれの各県におろしまして、ハローワークごとにこういう数値目標を立ててございます。昨年3月末時点では、2015年度の数字が出ていなかったので直近の2014年度ということで、今から見ますと確かに古いという感じになるのですけれども、ことしの3月末に計算した時点では直近の数字でございまして、そういう意味では、御審議するタイミングの問題なのかもしれませんけれども、立てたときの直近の数字でやっているというものでございます。ですから、ここを2017年度に置きかえますと、ハローワークの目標をさらにこのタイミングで上積みしていくという形になるのかと思います。

○阿部分科会長 高橋委員、どうですか。

○高橋委員 なので、平成27年度のデータで案分した数値を年度目標として掲げるべきではないのですか。

○阿部分科会長 確かに、片や2015年度の実績を使って目標数値を設定していて、片や2014年度で目標数値を設定するというのは何か意図があると見られても仕方がない面もあるので、高橋委員がおっしゃるように、2015年度の数値を使って目標値をつくったほうがいいのかもしれません。

○雇用政策課長 担当課と相談しまして、そこは少し検討したいと思います。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 意見なのですが、資料No.5-3なのですけれども、ここに2016年度の年度目標があります。一つの感想としては「1.ハローワークにおける職業紹介等」の年度目標の数とそれ以外は、年度目標の管理数としてはいびつな部分があるのですが、それは差しおいたとしても、1のマル5、マル6、2のマル11とマル13なのですけれども、2015年度の年度目標と2016年度の年度目標を見比べていただきますと、2015年度は数字とかパーセントに「以上」というのがついているのです。ところが、2016年度の年度目標になってしまうと、突然「以上」という2文字が落とされてしまっています。「以上」があるかないかではかなり目標値としての性格が変質してしまいますので、なぜ「以上」を落とさなければならないのかという合理的な理由がない限りにおいては、2016年度も「以上」をつけておくべきではないかと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 今、御意見がありましたので御検討いただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか、よろしいでしょうか。

 先ほども事務局から御説明がありましたが、本日議論したもの以外で御意見がございましたら、皆様のお手元にお配りしている用紙によって、7月29日までに事務局まで追加で御提出をお願いしたいということでありますのでよろしくお願いします。

 当分科会としての評価及び2016年度の目標については、本日の議論と皆様から追加で御提出いただいた御意見を踏まえ、私と事務局で相談して取りまとめをさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 次の議題は「(6)2015年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組について」です。

 それでは、事務局から御説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 運営企画室の中條でございます。私から資料6に基づきまして「2015年度のハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組について」の御説明をさせていただきます。

 この取組につきましては、昨年1月23日の当分科会におきまして、取組の内容を御説明させていただいたところでございますが、まず、改めて取組の概要について御説明をさせていただきます。

 1ページをご覧いただきたいと思います。ハローワークにつきましては左側の欄にございますように、従来から就職率等を中心にPDCAサイクルによる目標管理を行ってきたところです。今回はそれを拡充いたしまして、地域の雇用の課題を踏まえて重点とする指標を追加したり、中長期的な就職支援強化のための職員の資質向上や継続的な業務改善の取組を評価に加えて、マッチング機能に関する業務の総合評価をしていくというものでございます。

 この評価結果につきましては、真ん中の欄の半分より下の部分にございますが、ハローワークごとに実績や評価結果だけではなく「重点的に取り組んだ事項」「業務改善を図った事項」等を取りまとめて、労働局ごとに公表をすることといたしております。右側の欄にございますように、評価結果等を踏まえまして全国的な業務改善を図っていくこととしております。評価結果等に基づいて、重点的に業務改善が必要なハローワークについてはしっかりと指導していくとともに、好事例につきましては積極的に横展開を図っていくこととしております。

 2ページの「総合評価の構成」でございますが、全てのハローワークで共通の指標の評価とハローワークごとに重点指標や重点的な取組として、右の下の(2)にございますように、職員による事業所訪問や職員にキャリアコンサルティング研修を受講させるなどの取組に対する評価を総合的に勘案して実施をすることといたしております。

 3ページが「総合評価の方法」でございます。指標につきましては年度当初に目標を定めまして、マル1にございますようにその達成率を評価することにしてございます。マル2でございますが、実績が例年、この場合は過去3年間の平均としておりますが、これを上回った場合には加点を行うこととしております。マル3でございますが、指標だけではなくて、先ほど御説明した職員の資質向上の取組等を行った場合に一定のポイントを加算することといたしております。

 以上のマル1~マル3を合計して、ハローワークごとの総ポイント数を計算いたします。

 3ページの一番下のところでございますが、ハローワークにつきましては、置かれている労働市場の状況等も異なっておりますので、労働市場の状況や業務量等を踏まえまして、ハローワークを11のグループに分類して、そのグループの中でポイント数を比較評価することとしております。これにより、好事例を横展開しやすくしたいと考えております。また、業務改善につなげるということが目的でございますので、ポイント数そのものを公表するのではなく、評価結果については4段階とさせていただき、実績値や重点的に取り組んだ事項、業務改善事項をまとめて公表することといたしております。ここまでが昨年1月の分科会で御説明をさせていただいた取組の概要でございます。

 4ページからが今年度の総合評価の結果の総括でございます。今年度は全国427のハローワークを対象に実施をしているところでございます。なお、茨城労働局の常総所に大雨の影響があったこと、また、熊本労働局管内の9所につきましては地震の影響により対象外としております。

 4段階の評価の方法でございますが、点線のところにございますように、まず、11グループのグループごとに平均値を基準として、平均値以上を類型1、2、平均値未満を類型3、4に区分しております。その上で、類型1、2のうち目標達成率100%を満点とみなして、満点以上を類型1といたしました。また、類型3、4のうちグループの平均値の8割未満のポイントのところを類型4といたしました。ただし、括弧にございますように規模が大きい第1グループは平均値の90%未満、次に規模の大きい第2~第5グループにつきましては平均値の85%未満を類型4としておりまして、規模の大きいところはハードルを高く設定しております。この結果、類型1につきましては16所、類型2が198所、類型3が207所、類型4が6所となっております。右側のところが参考までにグループごとの満点と平均値を掲げたものでございます。

 ポイントの分布を示したものが5ページ、6ページになります。5ページの一番上が全体をあらわしたものでございますが、その下からは11グループを5つに分けて分布を見たものでございます。5ページの真ん中は一番規模が大きい第1グループの分布でございまして、先に進んでいただいて、6ページの一番下は一番規模が小さいグループで第9~第11グループの分布になるものでございます。規模が大きい方がばらつきが少なく、規模が小さくなるとばらつきが大きくなる傾向にございます。また、このグラフは横軸が就職件数等を含む指標に関するポイントでございまして、縦軸が職員の事業所訪問やキャリアコンサルティング研修の受講などの取組である所重点項目に関するポイントになりますが、就職件数等の主要指標につきましては、これまでもPDCAサイクルで取り組んできたこともございますので、指標に関しては一定の成果を上げてきておりますが、所重点項目につきましては今回初めて導入したということもございますので、初年度の取組ということもあって、積極的に実施している所と低調である所の差が出ているところでございます。

 7ページ以降で、好事例を4つほど御紹介してございます。7ページは東京労働局の飯田橋所でございますけれども、こちらにつきましては、1つ目の●にございますように求人型ハローワークのため、年間約3万件の求人充足数がございますが、2つ目の●にございますように求人担当者制を採用するなどによって、求人充足を意識した能動的マッチングの実施や、3つ目の●にございますように近隣の求職型ハローワークと連携をいたしました広域マッチングを積極的に実施しております。

 8ページは、岩手県の大船渡所の事例でございます。2つ目の●にございますように、震災の影響で特に人手不足である水産加工業につきまして、圏域を超えて宮城労働局の気仙沼所と連携をして、合同事業所見学会を実施したりという取組を行っております。また、3つ目の●にございますように自治体とも連携をいたしまして、自治体の施設での出張相談などを実施いたしましたり、4つ目の●、写真にも入れてございますが、事業主から聞き取った採否理由を「採用・不採用の決めて」と銘を打ちまして、玄関ホールに貼り出しており、これにつきましては他のハローワークでも導入をされた例でございます。

 9ページは、山形労働局の鶴岡所の取組でございます。こちらの所では、正社員就職の実現といった目標を明確化し、職員全員に共有を図って取組を進めております。具体的には、2つ目の●にございますように正社員求人確保の取組を重点として、職員の事業所訪問による求人開拓や画像情報の収集、事業所訪問を通じたコミュニケーションスキルの向上などを図っているところでございます。また、3つ目の●にございますように所内ミニ面接会を月10回程度開催いたしまして、1カ月以内の早期求人充足を目指して取り組んでいるものでございます。

10ページは、岡山労働局の津山所の取組でございます。津山所におきましては1つ目の●にございますように、これまでも「“鉄は熱いうちに打て!”求人充足大作戦」のスローガンに基づいて求人担当者制の取組を行ってきていましたが、さらにブラッシュアップをいたしまして、人手不足分野の正社員求人等を『パワーマッチング求人』として選定をし、充足担当者を選任してマッチングを図ったり、3つ目の●にございますように、雇用保険受給者に対する早期再就職を実現するために、雇用保険の認定日に合わせて所内ミニ面接会を実施し、認定に来た方がそのまま面接会に参加できるように、面接会の掲示が必ず目に入るようにレイアウトを工夫したりしております。

 以上、主な好事例を御紹介させていただきました。

 今後についてでございますが、類型4となったハローワークにつきましては要因をしっかり分析し、今後の改善につなげていくよう個別に指導を行ったところでございまして、全てのハローワークの機能強化に向けて、好事例については横展開を図ってまいりたいと考えております。また、この評価につきましては今年度が初年度でございまして、試行的な面がございますので継続的な改善が必要だと考えております。今後とも、ハローワークの中長期的な業務改善、機能強化につながるような形で取り組んでまいりたいと考えてございます。

 資料の説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 河本委員、お願いします。

○河本委員 初めての取組ということですけれども、とてもいいものではないかなと思っております。ハローワークが機能を上げることによって、今回御説明のあったいろいろな指標を達成していくことにつながるという意味では非常にいいものですし、継続して取り組んでいくことで変化を見ていくことが大事なのではないかなと思っております。だめだったところがだめではなくて、何をすればいいのかということを考えるきっかけになればいいのではないかと思います。

 そういった意味で、企業などでよく取り入れているこういった指標を達成するときにそこで働く従業員というか、職員の方が職場に対する満足度ですとか、そういう意識を調べて取り組んでいかれることもいいのではないかと思います。そこの意識が高ければ、さらに自分の資質を向上させるために何かを勉強していこうだとか、業務改善も自らやっていこう、もっともっと自分たちで改善に取り組もうということにこの4つの所は取り組んでいらっしゃるのではないかなと思いましたので、そういった観点でも、そこの組織風土ですとか所長さんのマネジメントだとかも深掘りされていくと、より効果的なものになるのではないかということを感じました。感想です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 今、河本委員からもございましたけれども、今後もこれを続けていって、先ほど議題にもありました厚生労働省の、職業安定局の目標を達成するように、ハローワークがよりいいサービスができるということは大事なことだと思いますので、今の御意見も踏まえながら指標をどうしていくか、それから、今後これをどうやってPDCAサイクルに回していくかというのを事務局で御検討いただければと思います。

 村上委員、お願いします。

○村上委員 ありがとうございます。

 今の御意見に賛同いたしまして、ハローワークの現場の方々がどうやってハローワークに来た利用者によい就職を提供できるかという意識を持って働いていかれることが大事だと思います。その意味では、ここで申し上げても仕方がないことかもしれませんけれども、ハローワークの現場の方々には非正規の方が半分ぐらいいらっしゃるということで、そういったところもぜひ改善をしていっていただきたいということを、私ども利用者としての立場から意見を申し上げておきたいと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 森下委員、お願いします。

○森下委員 森下でございます。

 私も見させていただいて、この取組は非常にすばらしいものだと感動しました。ただ、先ほど河本委員からも出ましたけれども、こういう試みを継続的に行うというのは非常に大切なことだと思いますし、どちらかというと、ハローワークというものが求人する側に立ってものを考えるのか、それとも、求職をする側に立ってものを考える立場なのか、我々はどうなのかと思うときがあるのです。例えば大きな会社様ですと、そういう意味ではいろいろな条件面もよいので、求職者側もそちらの方向へどうしても向いてしまうのですが、私どもはどちらかというと小規模事業者でございますので、常時求人情報を出しているのですが、なかなかその辺のバランスがうまくいかなくて、我々の求める方々に面接も来ていただけないというケースが結構あるかと思います。ですから、今後はハローワークで働く方々にとっても、その両面からバランスをとったいろいろな勉強をしていただいて、あちらこちらで対応しているようなこういうさまざまな例を積み上げて、今後はやっていっていただいたら非常に助かるなと思いました。どうもありがとうございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 ほかになければ、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいですか。

 それでは、次に移らせていただきます。次の議題は「(7)労働移動支援助成金の見直しについて」です。

 事務局より御説明をお願いいたします。

○労働移動支援室長 労働移動支援室長の伊達でございます。

 資料No.7でございます。「労働移動支援助成金の見直しに係る通達により定める細則について(報告)」となっております。前回の分科会におきまして、本助成金の見直しに係る省令改正につきまして諮問答申を頂戴した際に、見直しに係る通達等の細則について報告をするということになっておりましたので、本日、その内容について御説明を申し上げたいと思っております。

 資料の「1.労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」の「(1)支給要件」につきましてでございます。マル1~マル4につきまして、支給要件に追加をするものでございます。

 マル1は退職コンサルティングの実施についてでございますが、職業紹介事業者のグループ企業ですとか関連会社ではない、他の会社や社労士、弁護士といった個人が実施する場合に再就職支援を委託する職業紹介事業者との間で退職者を増やすような連携がある場合には、不支給とするとしたものでございます。

 マル2は職業紹介事業者の選定についてでございます。(注1)にも書いてございますが、事業主と労働組合等との間であらかじめ合意した複数の紹介事業者から選定することも可能としておりますが、そういったことも含めまして、対象者の希望する職業紹介事業者を選ぶことを可能とするといったものでございます。

 マル3の助成の対象とする委託対象の数につきましては、省令で職業安定局長が定める数以上としておりました。その点で大企業につきまして、30人以上とすることとしたものでございます。

 マル4は支給申請に当たりまして、人員削減を行う組織であります事業規模ですとか事業所、企業等の生産指標等が低下している状況、あとは経常利益の赤字といったものを見て、支給申請時に確認をして、審査をするといったものでございます。

 以上が支給要件に追加する項目となってございます。

 「(2)支給要件確認方法」としておりますが、これは支給申請時に支給対象者ごとに退職強要の受けとめの有無につきまして、本人署名によって確認を行うといったこととしておりますので、その内容に間違いがないかどうかといった点につきまして、労働局から直接御本人に郵便もしくは電話で確認をするものでございます。

 「(3)助成内容」についてでございます。助成率の見直しにつきましては、省令で職業安定局長が定める条件に該当する場合の助成率を優遇することといった整理をしております。その定める条件といたしましては、対象者の再就職先が良質な雇用といったものの実現となるような条件、具体的には、再就職先の雇用形態がフルタイムの無期雇用であることや再就職先の賃金が辞職前の賃金の8割以上といった内容で委託契約を結んでいただきまして、実際に再就職した場合に、その条件に合致した再就職となった場合にこの助成率を適用するといったものでございます。

 2ページ目の「2.労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金(早期雇入れ支援))」でございます。これは対象者を雇い入れる企業への助成ですが、助成内容といたしまして、成熟産業から成長産業への労働移動を進めるといった政策目的がございます。それに沿ったものとするために、省令で職業安定局長が定める条件に該当する場合に助成額を優遇するとしたものでございます。そういったことから成長性について(注5)にも若干書いてございますが、いずれかの指標を満たしている事業所の事業主が事業再編等を行う事業所からの離職者を離職から3カ月以内と早期に雇い入れた場合の助成を優遇するといったものでございます。

 「3.職業紹介事業者が労働移動支援助成金を扱う場合の同意条件」の関係でございます。本助成金を取り扱うに当たって同意をしようとする条件について(注7)に書いてございますが、再就職支援サービスの内容、支援対象者の再就職の実績といったものを労働局へ報告をいただいて、最終的には厚労省のホームページへ公表すること。

 対象者の再就職状況の把握とその把握した内容を委託元企業へ報告を行うこと。

 委託元企業に対する退職コンサルティングにつきまして、みずからもしくは他の会社との連携関係で行わないことといった項目を同意する条件として、新たに追加するものでございます。

 以上が、見直しに係る細則についての説明となってございます。

 事務局説明は以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは本件について、御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 村上委員。

○村上委員 ありがとうございます。

 労働移動支援助成金の見直しはこれまで議論してきた中身でありますけれども、今回、御報告いただいた通達の細則はいつから適用されるのかということを教えていただきたいと思います。それと、かなり細かな内容になっておりますので、わかりやすく伝えていくことも必要ではないかと思っておりまして、ホームページなどできちんと周知していただかなくてはいけないのではないかと思っているのですが、その点についても確認したいと思います。

 また、中身で1点、2ページの(早期雇入れ支援)の部分ですが、成長性に係る一定の基準として(注5)では、生産指標の要件とローカルベンチマークが「B」以上であることと書いてあるのですが、これはいずれかを満たせばいいのか、いずれも満たさなくてはいけないのかということについて教えていただきたいと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 お願いします。

○労働移動支援室長 まず、施行日でございます。省令改正が8月1日施行でございますので、それに合わせて8月1日から運用ということでございます。

 それから周知の関係でございます。今回の改正内容につきまして、改正部分のパンフレット等をホームページにアップをしております。助成金個々の本体のリーフレットのようなものがございまして、それは今、鋭意準備中という状況でございます。6月末に現場の労働局にこの省令の公布の関係の通知と、それに合わせまして、個々の改正部分についてのパンフレットを送っておりますので、それを使って現場サイドでも周知をしてもらうといったこととしております。

 2ページ目のローカルベンチマークといったものでございますけれども、これはローカルベンチマークと生産指標の過去3年間に5%といったものは、両方ではなくていずれかを満たしておればいいといった要件にしております。

○阿部分科会長 村上委員、よろしいですか。

○村上委員 最後の点なのですけれども、これはいずれかという議論だったのかどうか、もう一度確認したかったのですが、いずれもではなくて、生産指標なり設備投資の額が5%以上伸びていることとか「B」以上であるというのは、どちらを満たせばいいのですか。

○労働移動支援室長 生産指標、設備投資もいずれかでいいということにしております。どちらかではなくて、いずれかでよいということにしております。

○村上委員 わかりました。

○阿部分科会長 いいですか。

○村上委員 はい。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

 どうぞ。

○村上委員 中身の話ではありませんけれども、省令改正と今回の要領改正等も含めて8月1日からの適用であることですけれども、大変いろいろな議論があったものですのでしっかり運用状況を把握していただいて、次の見直しの議論に役立つように把握をしていただきたい。現場の職員の皆さんも大変かと思いますけれども、データがないという話にならないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか、特にございませんか。

 それでは、今回の労働移動支援助成金の見直しに係る細則に関して、職業安定局長が定める事項について報告をただいまいただきましたが、これについては、本分科会は了承としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。

 本日予定されている議題は以上で終了いたしました。本日の分科会は終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、労働者代表の青木委員、使用者代表の河本委員にお願いしたいと思います。

 本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。これで終わりにいたします。

 


(了)

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