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2016年10月26日 第61回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年10月26日(水)9:00〜12:00


○場所

航空会館 5階 501〜502会議室


○議題

(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
   ・次期基本計画の全体目標とがん対策の指標について
   ・がん医療の充実について
(2)その他

○議事

 

 

○門田会長 定刻になりましたので、まだお見えでない委員の方はいらっしゃいますが、始めます。いつもと違って早朝からの会議になりましたが、よろしくお願いいたします。事務局から、本日の出席状況について報告してください。

○事務局 おはようございます。本日の委員の出席状況について御報告いたします。本日は、秋山委員、川本委員、桜井委員、宮園委員より、御欠席の連絡を頂いております。現時点で13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。また、本日は、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」座長・国際医療福祉大学副理事長・名誉学長北島政樹参考人、国立がん研究センターがん対策情報センターセンター長若尾文彦参考人、国立がん研究センターがん対策情報センターがん臨床情報部長東尚弘参考人、日本歯科医師会副会長佐藤保参考人、国立がん研究センター中央病院歯科医長上野尚雄参考人、岡山大学大学院医師薬学総合研究科消化器外科学教授藤原俊義参考人に御出席いただいております。

 以上をもちまして、傍聴される方におかれましては、撮影を終了し、カメラを収めていただきますようお願いいたします。また、携帯電話等、音の出る機器につきましては、電源を切るかマナーモードに設定いただくなど、会議の妨げとならないよう静粛にいただけますようお願いいたします。事務局からは以上です。

○門田会長 引き続き、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料の確認をさせていただきます。資料1「がん対策推進協議会委員名簿」、資料2「各検討会の検討状況について」、資料3「がん対策に関する行政評価・監視-がんの早期発見、診療体制及び緩和ケアを中心として-の結果に基づく勧告(概要)」、資料4「第60回がん対策推進協議会での主な御意見」、資料5「次期基本計画の目標設定について〜議論の背景〜」、資料6「がん対策推進基本計画 全体目標の考え方について(若尾参考人提出資料)」、資料7「がん医療の充実について〜議論の背景〜」、資料8「がん診療提供体制のあり方に関する検討会 議論の整理概要」、資料9「がん対策推進に対する歯科医師の取り組みについて(佐藤参考人、上野参考人提出資料)」、資料10「がん診療ガイドラインの運用等の実態把握及び標準的治療の実施に影響を与える因子の分析(藤原参考人提出資料)」。

 お手元の委員提出資料を確認させていただきます。桜井委員、勢井委員、難波委員、馬上委員、若尾委員提出資料「がん医療の充実について」、北川委員提出資料「認定がん医療ネットワークナビゲーター制度の実践と今後の展望」、松村委員提出資料「がん医療の充実(がん医療に係る人材育成と提供体制等)に関する意見について」。また、お手元には、机上資料ファイルと参考資料をそれぞれ御用意しております。資料に不足、落丁等がありましたら、事務局までお申し出ください。事務局からは以上です。

○門田会長 資料に何か問題はありませんか。よろしいですか。特に問題ないようでしたら、本日の報告事項から順次入ります。最初、(1)各検討会の開催状況について、お願いいたします。

○事務局 お手元の資料2を御覧ください。「各検討会の検討状況について」です。3つの検討会のうち「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」については、本年520日から4回の検討会を踏まえまして、本日、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」における議論の整理を御報告いただくこととなっております。「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」については、本年530日に第1回検討会を行い、3回の議論を重ねまして、今後、検討会において議論の整理案について議論を行う予定となっています。裏を御覧ください。「がん検診のあり方に関する検討会」については、本年512日より検討を重ねまして、途中、がん検診受診率等に関するワーキンググループを開催し、923日に第19回検討会を行ったところです。今後、検討会において、議論の整理案の確定に向けて議論を行う予定としております。事務局より以上です。

○門田会長 何か御発言はありますか。よろしいですか。特にないようでしたら次に進みます。その次、報告事項(2)「がん対策に関する行政評価・監視について」、事務局からお願いいたします。

○事務局 お手元の資料3をお願いいたします。「がん対策に関する行政評価・監視-がんの早期発見、診療体制及び緩和ケアを中心として-の結果に基づく勧告(概要)」となっています。こちらは総務省行政評価局によって行われた行政評価でして、930日に当省に対して勧告を頂いたものです。

 主な調査事項としましては、1枚目の左下側にありますが、「がんの早期発見のための取組の推進」、2つ目に「拠点病院の診療体制の適切な整備及び更なる充実」、3つ目に「緩和ケアの推進」に関する調査を頂いております。

 主な調査結果としましては、がんの早期発見のための取組については、1つ目の○で個別勧奨・(コール・リコール)の重要性に関する御指摘を頂いております。2つ目の○で市町村が行う検診事業において、受診率の算定方法の統一等についての指摘を頂いております。3つ目の○でがん検診の精度管理・事業評価についても、公表が行われていないなどの状況を指摘されているところです。

2つ目の拠点病院については、指定要件の充足状況の確認等について、現状の課題等を指摘いただいているところです。

3つ目の緩和ケアについては、1つ目の○で拠点病院における緩和ケアの提供体制について、2つ目の○で拠点病院及び拠点病院が作成した緩和ケアマップに掲載されている、地域の医療機関における緩和ケア研修の状況について、御指摘を頂いているところです。それぞれの調査事項に関する主な勧告については、右側の黄色の枠を御覧ください。

2ページ以降については、それぞれの調査項目について、詳細を記載されたものになっております。

4ページですが、4として「がん患者・経験者等によるピア・サポートの推進」についても、勧告としまして、研修の開催指針の策定等を検討する等、ピア・サポートを更に充実するための措置を実施するべきという勧告を頂いているところです。事務局よりの報告は以上です。

○門田会長 ただいまのは総務省からの勧告の報告でした。この件に関して、どなたか御発言はありますか。

○若尾委員 総務省行政評価局が厚生労働省に対して勧告を出したということですが、総務省行政評価局の査察のイメージか湧かないのですが、どのような形でそれぞれの拠点病院なりに評価をしに行ったのか、分かりましたら簡単に教えてください。

○事務局 資料31ページを御覧ください。右上に勧告日、勧告先等が記載されておりますが、その下に調査対象が記載されております。この中に国立がん研究センター等が書かれておりますが、全国51のがん診療連携拠点病院に対しまして、総務省行政評価局から直接評価に伺ったものと伺っております。

○若尾委員 その評価に伺ったというのは、突然行ったのですか、それとも、あらかじめいついつに何々のために行きますということを申し添えてから行ったのですか。

○事務局 調査については、事前に御連絡をした上で伺っているものと承知しておりますが、調査の詳細については我々も把握していないところがありますので、そういった形と御了承いただければと思います。

○若尾委員 分かりました。では、厚生労働省は、評価としてこういった勧告を受けたという報告を、今、私たちはここで聞いているという認識でよろしいですね。はい、分かりました。

○難波委員 2点あります。総務省の勧告が何を目的に行われたものかということと、次期基本計画の策定に当たっては、どのような効力を持つものかを教えていただけますか。

○がん・疾病対策課長 目的は、総務省のそもそもの業務として、各省が行っている事業に対して行政評価・査察をするというルーチンワークであって、たまたまといいますか、がん対策が取り上げられているということなので、総務省のルーチンの業務の中であるということです。これをどう受け止めるか、受け止めないかについても、正に次の基本計画に反映させていくというのは、正にこちらの議論ですが、これはどちらかというと、私なりの個人的といいますか事務局の見解ですが、ルーチンの業務がちゃんとできているかどうかと認識しておりまして、我々の協議会では、もう少し先のがん対策をどうしたらいいのかという話を協議していくということではないかと思っていますが、解釈的にはそのようなことでお答えさせていただきます。

○門田会長 よろしいですか。

○難波委員 はい。

○細川委員 同じ総務省の勧告のことですが、NHKのテレビでこの内容が少し出されたのですが、少し驚いたのは、緩和ケアチームの中に耳鼻科の先生が入っておられて、その方が患者へ対応することについて、何か批判的なことをおっしゃっていたのです。NHKにお話を聞くと、どうもこちらの調査をされた方の中には、耳鼻科の先生ががんを診ておられる、頭頸部がんというのが耳鼻科の対応だと思いますし、耳鼻科の先生方は、外科や内科の先生と同じようにがん対策をやっておられる方がたくさんおられることを、御存じなかったと聞いているのです。それで、耳鼻科の先生が緩和ケアチームでやっていることの批判をテレビでされていたのですが、総務省の方はそういったことも御存じの上で調査されているのでしょうか。報告書を全部見せていただかなくては、分からないのですが。

○事務局 総務省の担当官が先生の御指摘の事項を把握していたかどうかは、こちらで把握しておりません。資料については、総務省のホームページから全部ダウンロードできる形となっていることを申し添えます。

○細川委員 その内容は、精神科の先生がおられずに、患者の訴えを何か耳鼻科の緩和ケアチームの先生が聞いていることが、駄目だという主張だったのですが、もちろん、それは精神科の先生でも全てが緩和ケアをされているわけではありませんので、むしろ耳鼻科でがん患者に真摯に対応されている先生のほうが、患者にとっては、はるかにいいと思うので、意外なことが流れると思って驚いたのですが。また調査ができましたら、お願いいたしたいと思っています。

○山口委員 私も、拠点病院検討会の座長としてこのヒアリングを受けました。印象は、医療は余り御存じない方が、項目の数値目標等が達成されているかどうかを調査するもので、そこが主眼なのだと思います。国の予算を使って拠点病院事業が実施されている以上、その評価を行うという面が非常に強いのではないかと思います。だから、勧告の一部はもっともかと思う点もありますが、一部は少しいかがなものかと思う点もあります。しかし、この協議会としては無視するわけにはいかないと思いますので、これを踏まえてどのような方針を立てるかということになるのでしょう。また、先生の御指摘のポイントは、緩和ケアチームには精神科関係の医師が入ることが条件になっていますから、そこがチェックされたのだと思います。精神科の医師無しで耳鼻科の医師が緩和ケアの医師として登録されていたのであれば指摘されるのは致し方ないと思われます。

○門田会長 この件は御意見がいろいろ出てくるのですが、今、山口委員のほうでおっしゃっていただいて、あるいは事務局からの話はありましたが、あくまでも業務の実施状況の評価ということで、行政機関の政策についての評価は入らないというふうに、法律に基づいてやっているみたいですが、そういった意味で我々がやっている医療の専門家というよりも、行政的な面からということではないかと思うのです。今、それが社会にどうアピールされたかは、課題として残るところはあるかも分かりませんが、これから先我々がその辺りをどう見ていくかは今後の課題にして、この報告についてはこのくらいにしておきたいと思いますが、よろしいですか。

 書かれていることも、一部は当たる所はあるという話もありましたが、そういうことで、是非、当たるべき所は、当然それに対応することをやっていただきたいと思います。

 その次に移ります。本日の議事で、事務局から資料4の説明をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料4を御覧ください。第60回がん対策推進協議会での主な御意見を列記しております。先回は、ライフステージやがんの特性に応じたがん対策の課題について御議論いただき、特に思春期・若年成人(AYA世代)のがん対策に関する御意見について頂きました。就学・就労・経済的状況、家庭環境など個人差があるため、画一的ではなく個別のニーズに応じた対策が必要ではないか等、多くの活発な御議論を頂き、多くの意見を頂いたところです。

3ページですが、高齢者のがん、認知症とがんに関する御意見ということで、お二人の参考人の先生から御説明を頂きまして、このテーマについて活発な御議論を頂いたところです。「高齢者」の定義として、暦年齢は尺度の1つとして考え、多様性を加味し脆弱性や多様性を評価することが重要ではないか等、多くの御意見を頂いたところです。

4ページです。一番下ですが、がんの特性に応じたがん対策に関する御意見ということで、個々のがんの特性に応じたがん対策の必要性について、活発な御議論を頂きました。

5ページですが、特に、難治性がんとか希少がんについて、現在の取組あるいは今後の必要な取組等について、御議論、御意見を頂いたところです。

 また、がん患者、家族が安心して暮らせる社会の構築に関する御意見については、医学的根拠のない情報のため、本来、たどり着くべき標準治療に行かずに非常に予後を悪くしている事例を少しでも減らすために、適切ながん医療情報を科学的根拠に基づいて正確にカテゴリー化して、一般の方に分かりやすく提供することも重要ではないか等多くの意見を頂いたところです。事務局からの報告としては、以上です。

○門田会長 前回の発言をメモの形でまとめたものですが、どなたか御発言はありますか。

○馬上委員 4ページの一番下の・ですが、「患者の意思決定について、家族の有無に関わらず」で、私が記憶しているところでは、介護の状況とか、また、独居の状況といったことを正しく把握して支援していくことが必要だということを申し上げたと思うので、そういったところを加えていただきたいと思います。

5ページの切れ目から上に4つ目の・ですが、希少がん、難治性がんの対策が遅れてきているので、重点を置くべきではないかという所で、私は、希少がんの中に小児がんを含めてしまいまして、小児がんも重点を置くべきではないかを付け加えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○門田会長 そのほか、どなたかありますか。いつも申し上げていますように、個々いろいろな細かいことが載っているわけですが、最終的にこれを大きく括ってどうするかという形のときに使うので、項目一つ一つの文章そのものがこれから先残っていくとか、落ちるとかというものではないという理解を、是非お願いしたいと思います。よろしいですか。この件については、これで終わりです。

 その次に参ります。次期基本計画の全体目標とがん対策の指標についてに進みます。最初に、事務局より説明をお願いします。

○事務局 お手元の資料5を御覧ください。「次期基本計画の目標設定について〜議論の背景〜」とあります。こちらには、がん対策推進基本計画及び基本計画中間評価に書かれている事項を御説明させていただきます。1ページですが、がん対策推進基本計画においては基本方針を定めておりまして、3つの項目を基本的な方針としております。1つ目に「がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施」、2つ目に「重点的に取り組むべき課題を定めた総合的かつ計画的ながん対策の実施」、3つ目に「目標とその達成時期の考え方」ということで、目標及びその達成時期についても、基本計画に設定をするという形で基本計画を構成しております。

2ページにお進みください。がん対策推進基本計画においては、3つの全体目標を定めております。1つ目に「がんによる死亡者の減少」としまして、数値目標としましては、がんの年齢調整死亡率、75歳未満について20%の減少を1つの目標と定めております。2つ目に「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」、3つ目に、第2期基本計画において新規に盛り込まれた目標となっておりますが、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を設定しておりまして、この3つを全体目標としております。

 その下からは、基本計画中間評価における全体目標に関する記載を抜粋したものです。がんによる死亡者の減少については、がんの年齢調整死亡率及びがんの年齢調整死亡率の変化(がん種別)を測定指標としておりまして、それぞれについて各年ごとでの数字の変化を評価したところです。これらを踏まえまして、がん対策推進協議会で更に推進が必要と考える事項については、その下に記載されているとおりです。

4ページですが、「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」については、測定指標としまして、医療が進歩していることを実感できることなど、こちらにお示しするような6つの項目を指標として定めております。こちらについては、2015年の数値が示されているところです。これを踏まえまして、がん対策推進協議会においては、身体的な苦痛や精神心理的苦痛の緩和が十分に行われていないがん患者も少なくないため、全てのがん患者と家族の苦痛を緩和することができるよう、引き続き体制の検証と整備を進める必要があるという評価を頂いております。3つ目に、がんになっても安心して暮らせる社会の構築については、測定指標としまして、経済的な理由で治療を諦める人がいないことなど、3つの項目を定めております。

 がん対策推進協議会として、更に推進が必要と考える事項については、こちらに書かれていますとおり、社会全体でがん患者、家族を支える体制の整備が重要であるという御指摘を頂いているところです。詳細については、お手元の参考資料に「がん対策推進基本計画及び中間評価報告書」がありますので、そちらを御参照いただければと存じます。事務局からは以上です。

○門田会長 ただいまは、事務局から今までの議論の背景にあるものの説明をしていただいたということです。

○中釜委員 1つだけ指摘させていただきたいのですが、今後の目標設定に向けての議論の背景と書いてありますが、これまでの議論の中でがんにならない、予防するという議論があったと思うのです。次期の計画の非常に重要なポイントだと思います。この資料あるいは本日の資料の中にも、がんにならないという視点では「検診」という言葉が出てくるのですが、それ以上にこれまでのエビデンス、ゲノムを含めた、あるいは生活環境を含めたものからリスクを絶対的に評価し、例えば高リクスに対する積極的な介入とか、そういうものが、がんにならないという視点から、今後、絶対重要になってくると思います。そこがどうしても抜けがちになるので、そこは念頭に置いていただいて、必ず指摘いただければと思います。

○門田会長 今おっしゃっていただいたように、確かに非常に重要なポイントで、特に、これからはそうではないかというのは、前の協議会でもそういうのは話題になって、それでディスカッションをやりました。今の事務局のはこれまでの経緯ということでの話があったので、これからのことは触れないプレゼンになっていますが、これは今までの過去の経緯を示してきたという位置付けですね。よろしいですか。

○中川委員 今のことに関連いたしまして、今、事務局から全体目標が提示されて、一方で今日はがん医療が個別の課題として議論される。冒頭、御説明のあった資料2、各検討会の検討事項で、がん診療提供体制のあり方は医療のあり方が主だと思います。それから、緩和ケア、がん検診と。この3つの分野の検討に検討会が置かれて、それが上がってくるわけです。中釜先生がおっしゃったように、実はこの検討会で議論されていないと、私も門田先生と一緒に10年近くこの仕事をしてきまして、ここの検討会に挙がらないと、なかなか大きなテーマになってこないという傾向があるのです。ですので、例えば受動喫煙対策をはじめ、実はそういったことがこの全体の議論の俎上になかなか上がってこなかったという問題は、少しあると思います。

 それに関連して少し情報提供したいと思うのですが、お手元に小さな冊子がありまして、「がん検診のススメ 第3版」と書かれております。この冊子は、「がん対策推進企業アクション」という、これもがん疾病対策課の事業です。何名かの方もこのメンバーに入っていただいていますが、これは職域、会社の中でのがん検診受診率の向上、あるいは受動喫煙対策を含めたがんの啓発・教育の事業でして、もう8年続いております。

 この中で、現在、約2,512社の会社がパートナー企業と登録されて、従業員数で言うと550万人という大きな規模になっております。パートナー企業になっていただいた会社には、これを無償で差し上げております。今回、第3版ができましたので、皆さんに配布させていただきました。この中には、がんの予防なり、あるいはリスク管理といったことにも触れておりまして、今、この冊子は総計で250万部発行されています。

 もう1点、先ほどの資料2の緩和ケアの検討会ですが、私もこのメンバーにさせていただいておりまして、この構成員4人で提言書をまとめて、これをもちろん緩和ケアの座長、それから本会の門田会長にも提出させていただきまして、総計13人の専門家で21時間という時間を掛けた議論でできています。一般病院の緩和ケア、緩和ケア病棟の問題、緩和ケア研修を全臨床研修医に義務付ける。さらには、拠点病院の病院長が参加する形で拠点病院サミットを提案しておりますが、そういった意見を盛り込んだものです。次回あるいは次々回でまた冊子として配布させていただきますが、こういう活動も続けておりまして、今、皆さんに情報共有をしていただきたいと思います。以上です。

○門田会長 今、お二方から指摘を受けた予防、検診のことについて、これも最初から基本計画にはずっとあるのですね。ところが、それが実質的に大きく前に進んでいなかったことは事実で、これは否めないことなのです。これは相当大きく確保する必要があるという話を、前々回の協議会であえて会長として、皆さんの御意見を頂きました。そのときに、また山口委員からも類似の見方ではありましたが、健康者から、あるいは将来のがんにかかるという仮定について、何とか対策の必要性もお話いただきました。ですから、これは非常に大きなテーマだと思っております。今、動いている検討会の報告を頂いているので、少し遅れるのですが、今おっしゃっていただいていることについても、参考人のヒアリングを予定しておりますので、そのときにまたディスカッションしていただければと思います。この事項は、今、ディスカッションしている中で余り出てこないからということで、決して軽視しているわけではないことを、委員皆さんで共有していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほどの引き続きで、がん研究センターの若尾参考人と東参考人から、全体目標の考え方についてお話いただきます。

○若尾参考人 資料6を御覧ください。全体目標及び個別目標について、個々の目標をどうするかということではなくて、どのように考えるかということの資料をお示ししたいと考えています。

 スライド2を御覧ください。がん対策の流れと評価ということで、がん対策を進めるに当たりましては、体制の整備、スタッフの育成、院内の体制整備をして、それによって活動を行って、キャンサーボードあるいは研修会などの活動をして、その結果中間アウトカムが出て知識が普及する、あるいは標準医療が普及するなど、中間アウトカムが出て最終評価としては死亡率の減少、あるいはQOLの向上などになるという仕組みとなっています。ただ、これをどう測るかということについては、左側につきましては箱物ですので測りやすいですが、右側は、非常に直結する話で、なかなか計測が困難という課題があります。

3番目です。平成196月に設定されました第1期の基本計画では、こちらにありますように、2つの全体目標が設定されていました。左側の死亡者の減少につきましては、右側で最終的な目標としましては、がんで亡くなる方を減らすと。そのために上側の左にいっていただいて、治るがんを増やす、あるいは早期に見つかるがんを増やす、あるいは治療を改善するということ、更には先ほどの予防の話に関わりますが、がんにかかる方を減らすというアプローチで、がんで亡くなる方を減らすという考え方をしています。実際には、患者さんの診療は予防から検診、診断、治療と流れていくのですが、かかる方を減らすということで、第1期の計画では喫煙率を下げるということ、それから、早期に見つかるがんを増やすということでは、本来は精度の高い検診をするということもあったのですが、第1期では受診率を前面に出して、受診率を上げるということ、更に治療の改善ということでは、均てん化を進めるということで、これが3つの算定根拠となっています。四角の一番下にございますが、最終アウトカムは死亡率、生存率、罹患率などが、がん登録から出てくるデータとしてあるということです。

 第1期でどのように目標を設定したかといいますと、スライド4番目です。自然減が10%、喫煙率を半減するということで1.6%、こちらにつきましては、下に少し小さな字で書いてありますが、10年後に喫煙率が半減した場合の男性の肺がんの死亡率減少を、他の部位に外挿したという形で、全体のがんの影響が1.6%と算定しています。

 それから、受診率の50%達成ということで、これはがん患者の受診率が、非受診者に対する死亡率減少の大きさで、それぞれがん種ごとで、更にタイムラグがあるということで、それを計算した結果4.0%、更にがん医療の均てん化、こちらは、大阪府の地域がん登録のデータで、生存率の高い病院群の生存率を全てのがん患者さんに適用した場合の死亡率減少効果ということで、これもタイムラグを入れまして4.7%、この下の3つを併せて10%、計20%というような算定をしております。詳しくは下にURLがございますが、第3回のがん対策推進協議会の廣橋委員の配布資料を一部改定したものが、がん情報サービスに載っておりますので、こちらを参照してください。あるいは、今日の資料の21ページ以降にも、若干抜粋したものが出ています。

 次のスライドを御覧ください。その結果、2005年から2015年までに20%下げるという目標が設定されました。ここで以前も議論になったのですが、計画自体は下に青字で書いていますが、2007年から2017年のものです。なぜ2005年から2015年にしているかというと、2007年の時点で計測結果が出ているものということで、本来計画する前に遡ってしまっていますが、2005年のデータを使っています。もし、本当に計画の実施時期と合わせるということであれば、赤字で書いてありますが、2009年から2019年時点でのデータを使うことは可能なのですが、ただ、計画スタートの時点、あるいは計画終了の時点では数字が出ないというデメリットがあるということも、お含みおきいただければと思います。

 スライド6です。第2期の計画では、青字の所にありますが、がん対策の評価に資する医療やサービスの質も含めた分かりやすい指標の策定について、必要な検討を行い、施策の進捗管理と必要な見直しを行うということが、総合的、計画的に推進するために必要な事項として書かれておりまして、それを受けまして、7枚目のスライドを御覧ください。これは、平成25年の第40回の推進協議会の資料なのですが、この協議会で2評価指標の決定、施策評価の実施についての研究班の提案を協議会でディスカッションしていただいて、この指標を作ったというところがございます。

 スライド8枚目です。全体目標の2つ目につきましては、第1期のときは測れなかったのですが、協議会の委員の方々を含めたフォーカスグループインタビューで第2の全体目標、第3の全体目標について、ディスカッションしていただきまして、242の話題から、次のスライドですが、これは第43回の協議会の資料なのですが、青いところの1から6のカテゴリーを2番目の全体目標、3番目の全体目標に必要なカテゴリーとして抽出しました。その下のスライドで、1から6までの項目について、19の項目に分けまして、問いを作って患者体験調査で、それを確認させていただきました。

 スライド11を御覧ください。患者体験調査は、診断治療・その後の体験を患者さんに直接質問するということで、特色としましては、母集団を明確化しているということです。2012年の院内がん登録のデータで各病院から患者さんを抽出していただいて、全都道府県拠点と各県に2か所の地域拠点から協力いただいたということです、

147施設にお願いしたのですが、30施設が辞退されて、地域拠点の場合は、その残りの地域拠点から補充しています。あと、鳥取県は県庁の方針で県庁のほうで予算を取っていただいて、県内の全ての拠点にこの患者体験調査に協力、参加していただきました。結果として、134施設が参加して、回収率53%、約7,400の回答が得られております。

 この患者体験調査及び研究班で作りました指標について、今年度、スライド12ですが、がん対策評価検証事業というのが、委託事業でがんセンターのほうで担当させていただいておりまして、108日に指標を作ったメンバーの方々などの御協力をいただいて、進捗評価の意見交換会を実施しました。前回の調査の課題、解決策、あるいは今後の患者体験調査の実施計画、活用の方向性などについて意見交換を行いました。

 それが13ページにまとめてありまして、研究ではやはりなかなか協力が得にくいということもございまして、事業として実施することが必要であるということと、継続的に測定することが重要で、2年か3年ごとに患者体験調査をやることがよろしいのではないかという御意見を頂いています。

 それから、少し長期的になりますが、拠点病院だけではなくて、拠点病院以外にも広げることが望ましい。更には、鳥取県のように、各都道府県で独自の調査をやられているような場合は、できるだけ統一の調査に参加していただいて、全国の値を取れることが臨ましいというようなことを御指摘いただいています。

 スライド14を御覧ください。こちらは現在の第2期の計画の個別目標の例を表しております。最初にも述べましたが、それぞれ見ると、(3)は、小児拠点を整備するということ、あるいは中核機関を整備するなど、ストラクチャーのことが書いてあります。また、(2)などは、がん患者に分かりやすく提示できる体制の整備とされていますが、実際は2番の専門的な医療従事者の育成とは乖離しているというようなところで、今後、個別目標等を考えるに当たりましては、何を対象としているかということをしっかりと明確にした上で、検討していただくのがよいと考えています。

 スライド15を御覧ください。全体目標としては、アウトカムに近いもの、計測の可能なもの、更には数値が安定していることを対象とすることが望ましいと考えています。個別目標につきましては、ストラクチャー、あるいはアウトプットではなくて、アウトカムに近いもので達成されるべき状態は何か。患者さん、あるいは国民が何を得られるかを、しっかりと目標として明示して、併せてその状態を何で測るかということも考慮した形で、個別目標を作っていただくということが重要だと思います。前回は、測り方を関係なしに計画を作られた後から、測定指標を考えたという、ちょっと逆の順序になっています。今後は、しっかりと測り方を考えた上で、計画目標を作っていくということが必要ではないかと考えています。

 次のスライドです。諸外国における例を幾つか御紹介します。Healthy People2010、これはアメリカなのですが、アメリカの場合、全体目標を最初の2010のときに、21%減を達成していますが、実際には11.2%という、非常にアバウトといえばアバウト、日本だと2017になったということで、少し大騒ぎということではないですが、大きな話題になっても、アメリカでは半分もいっていないというようなことで、こういうことも行われています。全体目標が全てではなくて、部位別の死亡率あるいは罹患率など、多彩な目標値をしっかりと見える化して進捗を管理していくということが重要ではないかと考えます。

 英国のNHSCancer Plan2000でも、今度は逆に20%減を指標としていたのですが、計画半ばで達成してしまったということです。どちらかというと全体目標がどうというよりかは、生存率をはじめ、各論的な目標設定値を変更していったというところで、この全体目標というのは、きりのよい数値でスローガン的に位置付けられている例が多いというような状況です。

 次のスライドです。イギリスの例ですが、実際にいろんな数値を見える化、可視化して、それを常に出しています。

 下のスライドでは、地域ごとの指標の状況を赤字で挙げて、対象となるところを赤字で出しています。平均がBで示されているということで、地域ごとの状況も一目で分かりやすく見えるような形を実現しております。

 次のスライドです。こちらが我が国の状況です。1期の場合、平成19年から始まっているのですが、左側に矢印で紫、緑、青と書いてありますが、実際にその間のデータが出たのは、地域がん登録罹患では、平成12年から28年、あるいは生存率に至りましては、最後の28年にようやく18年〜20年の5年生存が出たということで、かなりギャップがありました。ようやく全国登録が今年から始まって、まだタイムラグはあるのですが、今までよりはタイムリーにデータが出てくることが今後予定されています。例えば、29年の罹患であれば、31年に出ますし、3年生存率にしますと、28年の3年生存率が33年に出るということで、今まで以上にデータの活用が今後可能になってくるということと、院内がん登録も1期のときはまだ始まったばかりでしたが、こちらも県別の集計から、施設別の集計になって、更に今年中には、施設別の5年生存率も出てきますので、今までデータがないところでがん対策を進めてきたのが、ようやくデータを使ったがん対策が進められるということで、それを目標に取り入れていただくことを検討していただきたいと考えています。

 最後のスライドです。今度は第3期で、全体目標に向けての論点として書いています。今はこの四角囲いをしている3つの目標があります。この3つの目標に対して、下に書いてありますが、現行ベースでいくのか、あるいは新規に追加するのか。その新規追加というのは、右下に書いてありますが、4つ目の全体目標を今後この協議会で検討して設計していくのかという議論が是非必要だと考えます。

 それから3としまして、変更するのか。変更の材料としては、先ほどの罹患率、生存率等、今まで余り出てこなかった数字、あるいは疾患別の死亡率、罹患率、生存率なども今後出てくるので、そちらをどのように活用していくかということについても、議論が必要だと思います。ただ1点、単に罹患率ということで考えますと、検診の受診率向上と罹患率は相反するものですので、罹患率が減ればいいということではなくて、検診の推進によって罹患が増えるということも注意が必要ですし、生存率についても、過剰診断が進むと生存率が上がるということで、何か1つということではなくて、いろんな数値を並べて、それらの数値を常に見れるような形。例えば冊子ですとがん対策白書のようなものを毎年出してきて、データの進捗度が分かる、あるいはホームページでは、がん対策のダッシュボードのようなページを作って、様々な統計データが見れるような形で、進捗を管理する体制が望ましいのではないかと考えます。以上です。

○門田会長 東先生、追加はありますか。

○東参考人 特にありません。

○門田会長 先ほどの事務局からの全体的な背景の話、それから1期から2期の具体的な全体目標の考え方を、ただいまお話していただきましたけれども、皆さんのの御意見を聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○勢井委員 教えていただきたいのですけれども、まず1つ、患者体験調査の活用の方向性のところにある、継続的に測定することが重要である。もちろんそうだと思うのですけれども、どうして23年ごとなのでしょうか。1年ごととかになっていないのでしょうか。

 それから、諸外国における全体目標改訂の例ということで、これは非常に図でもって、目でもってパッとよく分かりやすくなっているのですけれども、英国とかの例を今後情報センターのほうでもできるのかどうか、やっていく予定はあるのか。

 もう1つ、院内がん登録のスライド19の所なのですが、生存率については平成20年で5施設、ずっと施設は5つなのですけれども、これは今後増やすことができるというか、やっていくことは、事務局のほうに聞きたいのですけれども、できるかどうかちょっと教えてください。

○若尾参考人 すみません。説明が不足しておりました。まず、3番目からお答えします。19枚目のスライドで、5と書いたのは、5年生存を表しています。すみません。全国がん登録の3と書いたのは、3年だと比較的に早く出るということで、もし、経過期間内に生存率を評価するのであれば、3年生存率の活用も考えたほうがいいのではないかということで書かせていただきました。

 それから、1つ目の患者体験調査ですが、患者体験調査を毎年やるかどうかということについて、毎年やっても、余り大きな変化はないだろうということ、調査をするのは患者体験調査が全てでございませんで、ほかの様々な指標についても、計測が必要なので、大変申し訳ないのですが、我々のマンバワー等を考えますと、患者体験調査だけをやっているということではないので、今の体制ですと毎年やるのはちょっと厳しいのかなというのが我々の考えで、前回のこの意見交換会でも毎年は要らないだろうというような御意見を頂いています。

 それから、2番目のビジュアル化なのですが、これは必要だと思いますが、優先順位としては、しっかりと数値を出すところに注力しておりまして、これも今の体制で、こんなきれいなものができるかというのは、なかなか厳しいところがございます。何かデータをタイムリーに出していく仕組みは最低限作って、更にそこにエキストラでビジュアル化のところも、何か御支援いただくことで対応できればと考えております。

○勢井委員 5年生存率だというのは分かったのですけれども、今どれだけの施設が生存率を出されているのでしょうか。

○若尾参考人 全ての施設で生存率が出てくるのですが、その中で追跡率が90%に満たないような施設は公表はしないということと、今年は初めてですので、施設長の了解を得られない施設もゼロではありませんで、そういう施設の公表は、今回は控える形になっておりますが、最終的には全拠点病院が対象となっています。

○門田会長 よろしいですか。

○中釜委員 資料のスライド15なのですけれども、全体目標についての指標としてもアウトカムに近いものを設定するのは重要だと思いますし、そのアウトカムがきちっと測れるような個別指標を出していくことも、非常に重要だと思います。コメントがなかったので確認ですけれども、そういうふうに指標設定をすると、PDCAを回す、そのための指標の妥当性検証のスキームがきちっと取れるというところは非常に重要かなと思います。その点はどこかに書き込んでおくと良いのではないかと思います。アウトカムに向けての努力目標とか、進むべき方向が示されると思うので、そこは検討していただければと思います。

○若尾参考人 どうもありがとうございます。御指摘のとおりでございます。第2期のときに、何で指標を作るのが大変だったかというと、計画自体が指標を意識していない、測ることを意識していない計画が作られていたということで、スライド14のような文章になっていたので、今回はしっかりと測っていく、評価を続けていくということを念頭においた計画を作っていただければと考えています。それは、PDCAを回すにも必要な事項だと考えております。

○馬上委員 先日の指標評価の会に参加して、意見を述べさせていただいたのですけれども、患者体験調査については、小児とその家族については行っていないということでよろしかったでしょうか。もしできれば、今後は行っていただきたいということと、疾病別の解析についてお伺いしたいのですけれども、今後このようにたくさんの登録を解析することによって、希少がんとか難治がん、小児がんも含めてですけれども、そういったところが、公平な支援が受けられるのかどうかということを解析していくことはできるということでよろしいでしょうか。

○若尾参考人 すみません。小児がん、あるいは家族を対象とした患者体験調査は、今のところはできていませんでした。前回の意見交換会では必要ということで御意見いただいておりましたが、今回は、個別の話ですので割愛させていただきましたが、それは十分検討が必要と考えています。

 それから、希少がん、あるいは難治がんにつきましては、まずやはり必要なのは定義です。何を難治がんというのか、前回もありましたが、それを決めていただければ、それぞれの疾患別の統計は取れていますので、データをお示しすることは可能です。希少がんにつきましても、何が希少がんだという、そのリストアップができれば、そのリストに対しても集計をかけることは可能ですので、まず定義をしっかりするということも、第3期の中では必要なことではないかと考えています。

○馬上委員 そういう支援が公平に届いていないところを、小児がん、希少がん、難治性がんを重点的に施策を進めていく上で、すごく大切なことだと思いますので、よろしくお願いします。

○若尾参考人 補足しますと、先ほど疾患別のデータをいろいろ見える形でお示しすることは大事とお話したのですが、全体目標という形で、全体の死亡率という形になると埋もれてしまうのです。特に数も少ないということで、全体に対するインパクトが少ないのですが、そういう様々な疾患別の情報を可視化することで、その状況が進んでいるのか増えているのか、減っているのかということが見えてきますので、ほかとの比較で、進捗状況なども今まで以上にはっきり分かるようになると考えます。

○檜山委員 少し基本的なことを教えていただきたいのですが、さっき若尾参考人が言われましたが、検診をすると一時的に罹患率が増えるということは、多分、早期発見のことをやると増えると思うのです。そうすると、死亡率が見かけ上は減ってくるということがあり得るのではないかと思っているのですが、その辺の指標の取り方をどのようにするかということも、我々は統計学的に少し弱いものですから、そういうところを分かりやすく教えていただければと思います。

 もう1つ、医療の提供というか、医療は進歩していて、かなり、長く生きられる方が増えているので、小児がんなどは特に5年生存率は恐らく評価できないような状況になっているのですが、今示されました、早く指標を取りたいということで、3年生存率というのを出されたのですが、それが本当に指標としていいのかというディスカッションをされたのかどうかということも教えていただければと思います。

○若尾委員 まず、検診と罹患なのですが、今先生がおっしゃったように、検診すると、まずはやはり罹患が増えて、もしそれが本当に死亡率減少に有効な検診であれば、少しタイムラグを経た上で、死亡が減っていくということが予測されます。ただ、実際にはいろんな要素が複雑に絡み合っているので、そんな単純にはいかないと思うのですが、罹患を測るに当たっては、ほかの要素も十分に考慮しないといけないというところが1つあると思います。そのために、例えば罹患でそこを1つの代表目標にするのではなくて、様々なほかの要素も合わせた上で、罹患も提示していくような形が望ましいのではないかと思います。

 それから、死亡率につきましては、PDCAを回すにしても対策がうまくいっているか等を測るには、タイムリーな評価が必要で、3年生存率が適切かどうかというと議論があるところなのですが、海外を見ますと1年生存率で出しているような所もありまして、まず、医療の状況を把握するということと、こちらはちょうど35年以降が切れて提示していませんが、今後は10年生存率なども測定していく必要があると考えています。

○中川委員 若尾参考人がおっしゃったように、これまで指標の設定というのが遅れて、計画の評価だけに使われてきたという問題があったと思います。それは、私も全くそのとおりだと思っていて、資料の15の下、アメリカとイギリスをお示しになっていて、イギリスは全体目標の達成が比較的早くできている。若尾参考人はアメリカとイギリスだけをお示しになっているのですが、恐らくイギリスはかなり参考になると思います。その中で、全体目標については、ある意味スローガンであって、個別が大事。そこは我々も、例えばおめくりいただいた、米国・イングランドというものですが、右上の死亡数のトレンド。これは年齢調整ではなくて実死亡と数ということです。やはりかなり我が国に先立って、がん対策が進んでいる可能性があるので、そういったものを学ぶ必要があるのだろうなと。これまでそういう議論がなかったです。恐らく、内部ではそういう議論があったかもしれませんが。それと、個別の目標の中に、臓器別に分けて対策を立てる必要が明らかにあると思います。そこが今までがん対策として行われてきたのはどうかなと思います。臓器別に、肝がん対策、胃がん対策、子宮頸がん対策は明らかに違います。そういった議論も必要ではないかと思います。いすれにしても、よき先例に学ぶという姿勢はあっていいという気がします。

○田中委員 今のに関連して、イギリスで死亡率が減少した原因は、何だと分析されているのでしょうか。

○若尾参考人 すみません。ちょっとそこまでは十分に確認できておりません。ありがとうございます。

○若尾委員 スライド14、患者体験調査の活用の方向性ですが、今回は研究班として研究を一応行ったという報告を頂いたのですが、今後、私たちが第3次、それから5年、10年と考えるときに、やはりその成果を見るには、ある一定の数字は必要だと思うのです。

 今ここで言うことが適切かどうかは分かりませんけれども、PDCAサイクルを回すための1つの指標として、今回の研究が事業になって、その事業はもう少し強制力を持った各拠点病院での協力というか、参加体制の義務付けという方向に行ってほしいと考えた上で、次の評価の指標を考えていただきたいです。

 それから、先ほど中川委員が「個別の疾患に対する」ということをおっしゃいましたが、それとはまた別の視点で、各都道府県がどうするか。国の未達は各都道府県の未達ということにもつながってきます。というよりも各都道府県の未達が国の未達につながると思いますので、せっかくこの研究班の中で、すごく大変な作業の中から幾つかの指標を数字化するという作業をしてくれたので、全国各都道府県が同じフォーマットで、自分たちの都道府県がどういう状況で、PDCAサイクルを回す1つの目安にするかというような、各都道府県用の指標策定を、一緒に並行して考えるということは可能かどうか、教えてください。

○若尾参考人 まず、最初の、事業についてですが、ちょうどスライド12にありますが、がん対策評価検証事業というものを今年度から委託事業として委託を受けております。この中で今後、もしこれが継続していただけるのであれば、患者体験調査をこの範囲の中で実施することは可能だと考えています。

 ただ、測るだけではなくて、スライド13の一番下のポツにも書きましたが、今、若尾委員がおっしゃったように、病院側にもある程度、義務化を行うことで施設にとってもPDCAを回す数値を得られることでメリットはありますので、活用するようなものを事務連絡等で推奨していただく形で進められるのではないかと思います。

 それから、地域の情報につきましては、今日、例としてお示ししました「Healthy People2010」のホームページ等を見ますと、州ごとのデータなども同じフォーマットで出ておりまして、そうするとナショナルのデータも州ごとのデータも同じフォーマットで比較できます。そこまでは可能だと思います。ただ、今度、地域から市区町村の中はどうなっているかは、やはりそれは各都道府県のほうで整理していただいて、中央とすれば、県レベルまでのデータを整理するというところです。

 ただ、例えば患者体験調査で、都道府県のデータを代表するかという所では、今の数では、必ずしもそうではないことがありますので、統計データ等で都道府県の地域のデータとしてお示しできるものは同じフォーマットで出すということです。それが全てではないという状況だということは、御理解いただければと考えます。

○山口委員 この協議会の全体目標という重いテーマなので、23、発言をさせていただこうと思います。評価数値が明確に、あるいは信頼を持って言えるものについては、参考人のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、一方で、例えば予防を取って見ると、自然減10%、それはいったい予防がどれだけ関与していたのか。これは多分、評価はほとんどできない部分でもありますので、まず、評価できるものとできないものがある。しかし、できないものについても協議会として対応しなければいけないというところは踏まえておく必要が、まず第一点あると思うのです。

 それから2番目に、これは非常に悩ましい問題なのですが、全体目標として死亡率の低減を第一に置こうとすると、この協議会でずっと議論がなされてきた希少がんとか小児がんも含めて、非常に数の少ないものを重点項目にすることは目標達成のための集中と選択の原理から言うと、多分違うことになってしまうのです。むしろ、例えば膵がんのような難治がんで数の非常に多いものに重点を置くという方針が選択されることになります。

 ですから、数の非常に多い、死亡数の多いものをしっかりやるということを重点項目に置けば、死亡率の低減が達成できる可能性が高まりますが、非常に少ないがんについても同じ目標で推進することは難しいと思われます。そこで、希少がん、小児がんについては方法論や達成目標を変える必要があると思います。もちろん患者さんに御満足いただくような目標はたくさんあると思うので、そこの切り分けを、やはり協議会としては明確にすべきだろうなと思います。

 それから、最後に、患者体験調査ですが、私どもでは開設以来十数年にわたって、全く同じ項目で患者満足度調査というものをやっておりますが、サンプル数が1,000、それで行うと、低く見積もっても、その調査に対して数百万円の費用負担が出てくるのです。

 ですから、大変結構な話なのですが、そういうことを病院の負担としてお願いするに当たっては、例えば診療報酬の面とか、様々なバックアップが要るだろうなと思いますので、協議会としてこれをやるべきだという結論に至った場合、それが大きな負担にならないかどうかは常に考える必要があるのではないかと思います。以上、3点、指摘させていただきました。

○若尾参考人 まず、希少がんについては、確かに御指摘のとおり、全体目標の死亡者の減少ということでは、なかなかインパクトは少ないですが、別にそれが少ないからといって、対策しないということではありません。

 先ほど申し上げたように、希少がんを定義した上で希少がんあるいは難治がんの死亡者数などを常に見せることで、それが増えているのか減っているのかということは、今後、対策を進めるに当たっての参考にはなるのではないかと考えます。最初の評価できるものとできないものを区別するということは、正に御指摘のとおりだと考えます。

 それと、患者体験調査をやらせていただいたときは、なるべく施設に負担を掛けないという形で、郵送調査で行いました。抽出を実施していただくことと、患者さんの除外をやっていただくことを病院の御負担で、あとは郵送調査で、コストはセントラル側で対応させていただいたことはあります。

 ただ、なかなかやはりそれ自体にしても、数が増えると郵送料だけで、もう数千万円になってしまうので、そのコストの負担とそれの効果をうまく勘案した上で、どこまで数をやるかということは、十分検討する必要はあると考えております。以上です。

○門田会長 これが本当にこの基本計画を作っていく上でも基本中の基本の話で、一番重たい話を、今やっているわけですが、参考人にお聞きすることは、ほかに何かありますか。いずれ内部として、先ほどおっしゃっていただいた希少がんあるいは非常に多いものの死亡率をどう考えるかという辺りをディスカッションして、どういう形にするか。

○大江委員 この死亡減少の目標設定の所で、前にも一度お話したことがあるのですが、自然減の10%はあるのですけれども、この中に治療法の進歩というものが全然なくて、評価に関しても治療法が進歩して、当然死亡率が下がるというのもやはり大きい。そこも山口先生が言われるように、数字に出すのは難しいとは思うのですけれども、何かそういう評価を入れていただかないと、我々医療者としては、やりがいを感じないのですが。

○若尾参考人 死亡率の自然減というのは、別に自然に減っているわけではなくて、それまでのがん対策の蓄積した効果であると考えていただければいいと思います。

 それと、実際には、いろいろな前回の目標設定の課題があって、例えば、今の検診で50%増えればということで計算しているのですが、実際には検診の精度管理をしっかりすることで、検診の効果も上がるので、更に増やすこともできます。均てん化についても、実際その時点でのハイボリュームの成績のいい病院に合わせるという形なのですが、その成績のいい病院自体が、今、先生がおっしゃったように、治療法の進歩によって更に生存率は上がるということがあって、これよりも更に上がるというところがあると思います。

 ですから、そういうことも含めますと、やはり全体目標の数値というのは、ある程度、本当にアバウトな数値であって、ここを余り低い、高いということを議論するよりも、全体がどういう状況になっているということをしっかりと把握していくことが大事ではないかと考えております。

○門田会長 よろしいですか。では勢井委員、それから中釜委員、お願いします。

○勢井委員 患者としてなのですが、この患者体験調査というのは、やはり継続するべきだと思います。更には今回というか、出ているのが147施設の都道府県拠点病院ですよね。それプラス全国のがん診療連携拠点病院は、確か440ぐらいあるのですかね。そこにもやはり広げるべきではないかなと思います。もちろん費用は掛かりますけれども、その費用に関しては、知恵を出すことで、もう少し、例えば1,000人で先ほど500万円ぐらい掛かるということらしいのですが、それを半減できないかとか、更に3分の1ぐらいにできないかとか、その辺は少し知恵を絞ってでも全施設に対しての患者体験調査、満足度調査というのは、是非やってほしいなと思います。

○中釜委員 短いコメントですが、死亡率低減において希少がん等が及ぼす影響はインパクトが小さいという話ですが、もう少し丁寧な説明が必要と思います。均てん化によって死亡率の低減が実現できるコモンながんと、これまで議論があった集約化による対策で実現できる希少ながんがあるというところで、恐らく整理できるのではないかと思います。症例数が少ないことに対する別なアプローチについては、山口委員も指摘されたように、そういう問題として落とし込めるのではないかと思い、コメントさせていただきます。

○若尾参考人 補足だけさせてください。先ほど、スライド20枚目で説明を飛ばしてしまったのですが、この調査の所で、先ほど御指摘がありました、未成年者のがん体験調査、あるいは、今はちょっと話に出なかったのですが、遺族調査などもできていないです。

 あと、一番右側の所で、世論調査については内閣府のほうでやっているのですが、例えば、今回、指標として作ってできなかったことで学校に対する調査、これからがん教育を始めるに当たって、今の知識がどういうレベルか、がん教育が進んだ後はどうなるかということ。先ほど中川委員から企業アクションのお話がありましたが、あるいは企業での意識の調査なども、今後できれば測って、それをベースラインとして、対策がどのように進んでいるかという評価も必要だと考えています。

 この辺の調査をどういう形でするかというのを、今、研究班等で検討させていただいているところです。補足です。

○馬上委員 先ほど中釜委員がおっしゃったことに関連して、やはり小児というのは小児医療の疲弊がすごく長く続いており、小児科激減、小児科医がいないということがありますので、そういった土壌ということを勘案していただきたいです。

 あと、やはり数が少ないということが、診療体制とか、またQOLに関してどのように影響を与えているかを明確にして、公平な支援をということを私からは申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

○門田会長 この件につきましては、今後、引き続きディスカッションし、最終的に決めていかなければならない仕事ですので、今日はこの辺りで置きたいと思います。

 それでは、次にまいりたいと思います。がん医療の充実について、まず事務局のほうから資料7の説明をお願いします。

○事務局 がん医療の充実について、議論を整理し、まとめております。1ページ、がん対策推進基本計画においてがん医療に関する記載につきましては、1.のがん医療において(1)(6)までの記載がなされております。本日は(1)(2)(4)(6)について記載を御紹介します。(3)の緩和ケアにつきましては、12月に予定されている協議会で議論いただくことを考えております。また、(5)につきましては、第59回の協議会にて御議論いただいた内容となっております。

2ページ、(1)放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実と、チーム医療の推進につきましては、取り組むべき施策として、チーム医療とがん医療全般に関することで、こちらに示しているような概要が記載されております。

3ページ、放射線療法の推進につきましては、放射線療法の質の確保と均てん化、人材不足を解消する取組等それぞれの項目が記載されております。化学療法の推進につきましては、化学療法の専門医やがん薬物療法認定薬剤師、がん看護や化学療法等の専門看護師・認定看護師など、専門性の高い人材の適正配置をはじめとしてこちらに示すような項目が記載されております。

4ページ、手術療法の推進につきましては、外科医の人員不足の解消等、こちらに示しているような項目が基本計画に記載されております。それらを踏まえ、個別目標として、患者と家族が納得して治療を受けられる環境の整備、チーム医療の体制整備などが記載されているとともに、診療ガイドラインの整備など、手術療法、放射線療法、化学療法の更なる質の向上等について記載されているところです。

5ページ、基本計画の中間評価におきましては、測定指標として、横断的な医療チームによるがん治療サポート体制のある拠点病院の割合、納得のいく治療選択ができたがん患者の割合をはじめとして、こちらに示すような評価項目について記載がなされております。また、標準的治療の実施割合として、大腸がん術後化学療法実施率をはじめとし、こちらのような評価項目についての調査がなされたところです。

6ページ、測定指標の続きとしては、がん治療で生じた安全問題を検討している拠点病院の割合等、これらの項目について書かれております。それ以降につきましては、放射線療法、化学療法、手術の関連で、5大がん患者の術後30日以内の死亡率などの評価項目を定め、調査を行ったところです。

7ページ、がん対策推進協議会として、更に推進が必要と考える事項としては、がん医療全般において、拠点病院をはじめとした院内がん登録の活用、診療実態のより詳細な収集、それらを踏まえてのがん医療の質の向上と均てん化を図る必要があることなど、こちらに記載されているようなことが指摘を受けているところです。放射線治療、手術療法につきましてもこちらに示しているような項目が指摘されております。

8ページ、こちらは基本計画におけるがん医療に携わる専門的な医療従事者の育成についての記載の概要となっております。取り組むべき施策としては、より効果的かつ学習効果の高い教材の開発等により、専門医や専門医療従事者の育成を推進することなど、こちらに示すような項目を基本計画のほうで定めております。

9ページ、中間評価においては、専門的な医療従事者の育成につきましては、臓器横断的ながん臨床教育制度がある都道府県がん診療連携拠点病院の割合というものを指標と定めているところです。

10ページ、(4)地域の医療・介護サービス提供の体制の構築につきましては、取り組むべき課題として、各地域の医療提供体制を踏まえた上での検討、在宅緩和ケアを提供できる医療機関との連携等、こちらに示すような項目が記載されているところです。

11ページ、中間評価におきましては、がん対策推進協議会において、以下のような項目が推進が必要と指摘を受けております。

12ページ、(6)その他につきまして、希少がんと病理診断、リハビリテーションについての記載がありますが、本日は病理診断とリハビリテーションの記載を御紹介します。取り組むべき施策として、若手病理診断医の育成をはじめ、病理に関わる人材の育成について御指摘を頂き、基本計画に記載をしております。また、リハビリテーションにつきましても、がん患者に対する質の高いリハビリテーションの提供について、基本計画に定めております。

13ページ、それぞれの項目につきまして、測定指標を設定し、中間評価において指標の測定を行ったところです。事務局からの御報告は以上となります。

○門田会長 それでは、具体的に一つ一つ入りたいと思いますが、今日は3時間という長丁場ですので、今から10分間、休憩を取らせていただいて、ちょうど1030分から再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

                                     ( 休憩)

○門田会長 先ほどはがん医療の充実ということで事務局から話をしていただきましたが、これから、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の所から議論を進めたいと思います。まず最初に今までの整理について、資料8に基づいて事務局から説明をお願いします。

○事務局 お手元の資料は資料8と、事務局の参考資料としまして「がん診療提供体制のあり方に関する検討会における議論の整理」という冊子になったものがあります。そちらをお手元にお願いいたします。本日はがん診療提供体制のあり方に関する検討会座長であられる北島参考人に御出席いただいておりますので、まず北島参考人より御発言いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○北島参考人 事務局から今、御紹介いただきましたように、座長を務めさせていただきました北島でございます。

 冒頭に事務局から御説明がありましたように、本委員会が平成28520日をスタートといたしまして1026日まで4回、そして、本日の報告に至っております。ここまで、がん医療の均てん化のため、二次医療圏ごとに必要ながん医療を提供することを目的として拠点病院の整備を行ってまいりました。この委員会はその前に拠点病院の条件等々の議論をした委員会ですが、集学的治療の提供、あるいは各学会の診療ガイドラインに準じてスタンダードな治療が行われているかどうか、あるいはがん相談支援センターの設置、あるいは緩和ケアの提供、国内のがん登録、キャンサーボードの実施等について、そういう観点からがんの均てん化が行われているかという評価をしてまいりました。今回、この4回の委員会におきまして資料8にまとめております。現時点の問題点は何なのだろうかと、現状と課題を委員会でピックアップいたしました。あくまでもこの議論のときに患者さんの目線においてこの議論をしてほしいと、そういうことでこの議論を進めたわけです。

 その議論の中で、がん診療提供体制をもう1回見直そう、がん医療に関する相談支援と情報提供がどうなっているのだろうか、がん診療連携拠点病院における医療安全、今、特定機能病院において高度の医療安全管理体制が要望されておりますが、これががん拠点病院にも当てはまるかどうか、そのニーズはどうなのだろうか、それから、先ほどもいろいろ議論に出ておりましたゲノム医療。このゲノム医療に関しては、アメリカのファンデーションメディスン等々の議論を含めて行われました。特に2015年にオバマ大統領のPrecision Medicineというコンセプトが打ち出されて、その中で将来的な医療として、Personalized MedicinePrecision Medicineの在り方を含めて議論をしてきたわけです。それから、最後にがんの放射線治療。この問題点を洗い出すときに4人の専門家の方に参考人として来ていただきまして、現状あるいは将来構想について、がん情報、がん相談支援センター、放射線治療、がんのゲノムについて、4人の参考人の方から詳細な御報告を頂いた上で、我々、議論を進めて、その5項目に関して、今後の方向性についてまとめたものがこの図8です。詳細に関しては事務局から御報告させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 ただいま座長の北島参考人より説明いただきましたが、資料8に基づきまして事務局より御説明させていただきます。まず、がん診療提供体制のあり方に関する検討会における議論の整理概要です。

 まず、背景としまして、これまで、基本計画に基づき、がん医療の均てん化を目指しがん診療連携拠点病院を中心として医療体制の整備に取り組んでまいりました。そこで、これまでの現状と課題を踏まえ、医療提供体制がどうあるべきかについて議論を行っていただきました。まず、現状と課題を踏まえた上での今後の方向性という作りにしております。

 まず、総論的に「がん診療提供体制について」という項目について御説明差し上げます。現状と課題です。これまでがん医療の均てん化を目指し、標準治療、がん相談支援センター、緩和ケア等の取組を推進してまいりました。また、拠点病院ごとに運用状況の格差がある一方で、一律の基準を定めることの困難さも指摘されました。そして、がん医療において外来診療の役割が拡大してきているという現状も御指摘いただきました。これに対して今後の方向性としましては、均てん化が必要な取組に関しては、引き続き体制を維持することや、ゲノム医療、一部の放射線治療、希少がん、小児がん、難治性がん等については一定の集約化の必要性という方向性、また、がん以外の併存疾患への適切な対応の必要性、外来診療、後方支援施設、在宅医療等の在り方を検討するという必要性等について御議論いただきました。

 次に、がん医療に関する相談支援と情報提供です。現状と課題としまして、拠点病院のがん相談支援センターの認知度が不十分であるという現状や、科学的根拠がない情報の増加が問題となっていること等が指摘されております。今後の方向性としましては、個人情報に留意した希少がん等の情報提供の在り方を検討することの必要性や、科学的根拠に基づく情報を提供する仕組みを検討するということについて御議論いただいております。

 次に、がん診療連携拠点病院等における医療安全です。現在、特定機能病院において高度な医療安全管理体制を確保するための医療安全に関する要件の見直しが施行されております。こうしたことを踏まえて今後の方向性としましては、拠点病院の現状を勘案しつつ高いレベルの医療安全を求める要件を設定する必要があるのではないかという方向性について御議論いただきました。

 次に、がんのゲノム医療について、現状と課題です。がんのゲノム医療における治療法の選択を支持する遺伝カウンセリング体制についての人材不足や、必要な情報提供の在り方の標準化と課題を挙げていただきました。今後の方向性としまして、がんゲノム医療実現のための検査の質、医療現場の体制構築、人材育成、情報の取扱い等について検討が必要であるといったことについて御議論いただきました。また、臨床現場や研究に還元するためのデータベース整備の必要性等についても御意見を頂いております。

 最後にがんの放射線治療ですが、現在、拠点病院においてリニアックが普及しているという現状や、高精度放射線治療の整備に関する地域格差、担い手の不足といった課題についても御指摘いただきました。また、核医学治療や緩和的放射線照射の更なる整備の検討が必要な現状等について御指摘いただいております。今後の方向性としまして例えば、粒子線治療の集約化や都道府県を越えた連携の必要性、高精度放射線治療に関する情報提供の推進、RI内用療法へのアクセスや体制作り、必要な患者への緩和的放射線照射の提供等、こうした方向性が必要ではないかという御議論を頂いております。

 全文につきましては、事務局提出の参考資料として本日御提示させていただいております。事務局からは以上です。

○門田会長 一つ一つディスカッションをしたいのですが、時間の関係でこの診療体制の在り方全体について先に御発表いただいて、まとめてディスカッションをしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。それでは引き続き、佐藤参考人、上野参考人から、がん対策推進に対する歯科医師の取組についてということで御説明をお願いしたいと思います。

○佐藤参考人 本日、がん対策推進に対する歯科医師の取組ということで日本歯科医師会と国立がん研究センターの連名で発表する機会を頂きまして、誠にありがとうございます。

 なお、発表は私から行いますが、国立がん研究センターに係る部分につきましては、本日、国立がん研究センター中央病院歯科医長の上野尚雄先生に同席していただいておりますので、併せて御了解のほど、よろしくお願いいたします。

 なお、スライドは資料9ですが、ページ数は右下に振っておりますが字が少し小さくて見づらい部分がある点、どうぞ御容赦いただきたいと思います。

 本日発表させていただきたいのがこの3点です。これは後ほど、それぞれの項目で説明させていただきます。開いていただきましてスライド4、がん治療に伴って生じる口腔内合併症です。例えば化学療法におきましては、口腔粘膜炎、歯性感染症、味覚異常、口腔乾燥等がありますし、放射線療法においても、外科療法においても、緩和領域においてもスライドで示しますように様々な、がん治療で口腔に関連する合併症が少なくないという現状です。これらの口腔合併症は患者さんの療養生活の質を大きく下げるだけでなく、直接的、間接的にがん治療に悪影響を与えることが知られております。

 スライド5です。こちらのスライド、例えば骨髄抑制を起こす化学療法では口内炎は全身の感染症の重大なリスクとなりますし、口内炎がない場合のリスクとのオッズ比等も出てございます。このように薬物療法における口腔合併症を見ますと口腔内は、いわゆる常在菌の多い箇所ですので、がん治療中の口腔の局所感染症が全身への感染症に波及して時に重篤な結果をもたらすために、治療開始前から歯科が介入し、適切な口腔管理を行うことが推奨されています。

 スライド6、これは、国立がん研究センターによる各がん治療におきます歯科関与の、いわゆる決定木を示しているものです。予想される口腔合併症のリスクに合わせて、それぞれに適切な口腔管理を介入することでがん治療を口腔から支援することが、いわゆる周術期口腔機能管理の目的であり、必要な体制です。このような周術期の取組の必要性と重要性につきましては、国立がん研究センターの上野先生及び静岡がんセンターの亡き大田洋二郎先生等がこの重要性を類型化・体系化してこられ、この周術期の取組について、日本歯科医師会に対して全国に展開するということを御提言いただきました。これにより日本歯科医師会は、国立がん研究センターと連携協定を結び、これを全国に展開していくということで、開いていただきますと、平成24年になりますが、第34回の本協議会にがん治療における医科歯科連携の必要性ということで、正にこの両名で発表させていただいたという経緯があります。

 スライド8です。第2期がん対策推進基本計画におきまして歯科の役割が4点示されております。記載のとおりですがチーム医療とがん対策全般に関しては、「がん治療の副作用、合併症の予防や軽減などの見地から口腔管理を推進する」という記載が、また、手術療法の推進においても、歯科医師と連携を図り、質の高い周術期管理体制を整備するという2点が評価されております。一方で、携わる歯科医師の人材育成が不十分な点及び、先ほど来議論もございます、口腔がんは希少がんであるという位置付けがなされているにもかかわらず、その実態把握がなされていないという4点が示されました。

 次のスライドです。今回、第2期がん対策推進基本計画における歯科の評価と課題を類型化させていただきました。評価された点はチーム医療に貢献している、周術期に有効であるという点と、一方、課題としては、人材不足、人材育成の課題、口腔がん対策に対する課題と、大きく4つのそれぞれの課題と評価というように分けさせていただきました。そのうちの「周術期に対する取組」というのを開いていただきまして、次のスライドでお話いたします。

 スライド11になります。平成24年には周術期口腔機能管理という診療上の評価が新設されて、平成26年、平成28年の診療報酬では拡充がはかられているところですが、平成26年のがん診療連携拠点病院に対する局長通知についてです。2点あります。まず1つは、がん診療連携拠点病院における院内及び地域の歯科医師会とこれを連携することを促進することに努めるように、2点目としては、がん診療連携拠点病院での歯科医師等へのがん患者への口腔ケア(口腔管理)の研修実施に協力するよう努めるということです。特に課題でありました、周術期における課題として挙げられた人材育成、平成25年から日本歯科医師会に委託された医科歯科連携事業によって専門家パネルで作成された全国共通テキストを用いて人材育成を全国的に開始いたしました。この評価パネルというものが非常に大きな役割を果たしております。

 下のスライド12です。厚生労働省では国立がん研究センターにこの専門家パネルを設置して、その役割として、赤字で示しておりますが、標準的ながん医科歯科連携のための全国共通テキスト、いわゆるナショナル・テキストを作成するというような課題を示していただきました。

 スライド13になります。医科歯科連携専門家パネルの委員会の参加団体のお名前を一覧として掲げてございます。切れ目なく歯科をサポートすることを全国で提供するための、いわゆるナショナル・テキストをこのパネルの参加団体において作成していただきました。これだけの関係する団体を集めていただきましたのは、やはり厚生労働省の事業として推進していただいたのが大きな力であると考えております。さらに、PEACEプロジェクトの緩和ケア研修会の追加スライドとして導入も図られました。

 下の段のスライド14にそのテキストの一部を示してございます。若尾先生の御挨拶、歯科医師会のこのテキストに当たっての考え方を示して、これをもって受講するという体制を整えました。これは受講生にとって重要なテキストであったというだけでなくて、まだ医科歯科連携の進んでいない拠点病院の医科の先生方に、こういうテキストで教育を受けている人材が今回、連携に当たっていくのですという内容を示すためにも非常に有効なテキストだったと思っております。

 スライド15です。このテキストは、国立がん研究センターの医科歯科連携の全国均てん化に向けて示されているがん情報サービスからの引用です。ナショナル・テキストを用いて開催された均てん化講習会の受講者は地域でのがん患者の口腔管理の担い手になっていただくということで、その歯科医師名を登録して、がん情報サービスのホームページ上に名簿を記載していただいております。歯科の医療提供体制において実は、病院歯科は決して多くはありません。ほとんどが、いわゆる歯科診療所という診療形態を取っておりますので、それぞれ、地域においてそれらの診療所がこれらの拠点病院と連携するという方策を取っていくことは、いわゆるがん診療拠点病院に歯科がない場合でもその連携が可能になっていくということになります。

 下の段に全国共通がん医科歯科連携の講習会受講者数の累積の年次推移を示してございます。人材育成については当初課題として挙げられたとおり少なかったものの、これは国の事業として平成25年、平成26年、平成27年と、平成28年まで延長していただき、平成27年度末時点では、ここにありますように14,000人という累計になっております。

 スライド17になります。これは、現在進んでおります医療計画の見直し検討会の第3回の資料の抜粋になります。この医科歯科連携について、病床機能の報告というものは多くの項目があるにもかかわらず、これまで歯科の周術期に関する項目はありませんでした。今回、病床機能報告の中に、項目が5つ入ります。周術期の口腔管理について、病院に歯科があった場合にこの数が出てまいりますので医科歯科連携の実態が分かってくることになり、今まで、この実態が不明であった部分ですので、これも大きなデータになってくると思います。また、医科診療報酬で言いますと、周術期口腔機能管理の手術加算につきましても、同様に病床機能報告に平成289月から追加されることになりましたので、今後、データが集積されるものと思っております。

 スライド18は小括です。周術期における歯科の役割は、第2期がん対策推進基本計画の中でお示しいただいたそれぞれの部分につきまして、がん予防、がん治療・研究、それぞれのステージで役目を果たすために今回テキストになりました評価パネルのブラッシュアップ、人材育成のための普及事業をPDCAサイクルとして、まだ1回目ですので、これをサイクルとして実施する必要があるのではないかと考えてございます。

 続いて、口腔がん関連です。これは先ほど申し上げましたように、第2期がん対策推進基本計画の中では、希少がんであり、その実態把握が不十分であるというものです。第2期以降について少しお示しいたします。2002年、大分古いデータです、日本口腔外科学会の疫学調査によって口腔がんの性・年齢別分布と口腔がんの部位別腫瘍数が示されておりますが、2002年以降、これら、詳細なデータがなかなか集積されておりません。伴い、2004年、次のページですが、口腔がんの検診のポイントというガイドラインが、これも平成16年に示されて以降、5つのポイント、口腔がんの多くは舌、口腔底、歯肉に発生する等の5つの記載がありますが、これらのガイドラインについての見直し等も現在進んでいないという現状です。

 スライド22には日本のがんの対人口10万対比、これは希少がんの位置付けについてもこの協議会で幾つか御議論があるところですが、口腔・咽頭についてはその増加、減少がよく分からない程度のグラフになっておりますが、前回のプレゼンの際にも申し上げた口腔がんの問題点を1つお話させていただきたいと思います。

 スライド23になります。これも少し古いデータになっておりますが、日本と米国のがんによる死亡率の比較をWHOのデータベースから引いてきたものです。がん全体の死亡者数の、上が米国、下が日本ですが、口腔がんに関して見ますと、アメリカの場合は、いわゆる紙たばこ等の減少も含めて減少はあるものの、日本の場合は残念ながら死亡者数、つまり、重篤化した口腔がんが増えているということが危惧されております。口腔がんについては、第2期では希少がんとしての位置付け、実態が不明であるという点から、第3期に向けては、依然としてデータそのものが不足していることに加えて、収集システムをどういう位置付けにしているのか、それがどうあるのかという点がこの実態を把握するのに困難さが加えられている点です。

 先ほどありましたように、周術期について人材育成はそれなりに順調に進んでおりますが、では、口腔がんを専門にする歯科医師はどうかというと、これは不足している現状です。また、専門の医師に伝えるための地域における歯科医師会の体制、特に研修制度も不十分な関係もあって、なかなか早期発見、早期治療に結び付かない、そして、専門医療機関に結び付かないという現状があるのではないかと思っております。また、口腔がんについて、どういう病気なのでしょうかというような地域の皆様に対する教育であるとか、普及啓発であるとかというのも不足しているのではないかと考えております。

 最後になります。本日のまとめとして2点意見として述べさせていただきます。

 まず1点目です。周術期における医科歯科連携による有効事例を踏まえて、その効果を更に強化していっていただきたい。そのためにはPDCAサイクルとしての人材育成事業、医科歯科連携推進専門家パネル事業等の継続を位置付けていただくといったことを御検討いただきたいと思います。

2点目です。第2期で希少がん、そして実態把握が不十分であるとされた口腔がんも、同様に、データ収集、スクリーニングの在り方、予防及び早期発見、早期治療の対策が不十分であると考えております。これは研修システムも含め、まずはデータからということになるかと思いますが、増加する希少がん対策に遅れている口腔がんについての、まずデータ、現実の把握というものに対して更に対策推進が必要であると思います。資料説明は以上です。

○門田会長 ただいま、医科歯科連携、口腔がん等の御報告を頂きました。また後ほど、併せてディスカッションをしたいと思います。

 引き続きまして、がん診療ガイドラインの運用等の実態把握及び標準的治療の実施に影響を与える因子の分析ということで、藤原参考人からお話をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○藤原参考人 日本癌治療学会がん診療ガイドライン統括・連絡委員会の委員長を務めております、岡山大学消化器外科の藤原です。今回、班研究としましてがん診療ガイドラインの運用実態とそこに示されております標準治療の実施の状況について解析しましたので、報告させていただきます。

 スライド2を御覧ください。これは先ほど事務局から御紹介がありました平成276月のがん対策推進協議会での報告で、標準治療の実施割合がリストアップされております。その中で特に大腸癌の術後補助化学療法の実施率、乳房切除後の放射線治療の実施率、高度催吐性リスク化学療法施行時の制吐薬の処方率が実態よりも低いのではないかということがありまして、今回の班研究がスタートしております。

 次のページを御覧いただきますと、今回の研究目的と方法です。対象を乳癌、大腸癌、制吐薬の適正使用に絞りまして、日本乳癌学会、大腸癌研究会、日本癌治療学会と協力して小班を構成し、それぞれのガイドラインの運用実態について解析を行いました。

4ページを御覧ください。診療動向変化のプロセス指標としまして、乳癌に関しましては、StageIII、乳癌における乳房温存術後の放射線治療実施率、非浸潤性乳管癌における乳房温存術後の放射線治療実施率、腋窩リンパ節転移4個以上陽性例における乳房切除後の放射線治療実施率、大腸癌に関しましては、StageIIIにおけるD3(3)までのリンパ節郭清の実施率及び術後補助化学療法の実施率を挙げております。制吐薬の使用に関しましては、予防的制吐薬投与に関しましてアンケート調査を実施いたしました。

 まず、乳癌小班の解析結果について御報告します。その次のページの「調査の方法」という所を御覧ください。対象としましたのは、外科系のデータベースでありますNCD乳癌領域データで、2013年度の登録症例について解析しております。評価項目を更に詳しく分けまして、QIR1としまして先ほどの温存術後の放射線治療、QIR2としまして非浸潤性乳管癌における温存術後の放射線治療、QIR3としまして乳房切除後の放射線治療、いずれも推奨グレード:Aとなっております。対象症例数は、そこに挙げてありますとおりの数字です。

 次のページを御覧ください。まず、年齢によってこれらの3つのQIの実施率の差があるかというところを見ております。70歳以上の場合が青いバーになっておりますが、70歳以上では、やはり実施率が下がっているということが分かります。続きまして、2の年間症例数による実施率の差です。年間、乳癌の症例を200例以上扱っている施設から50例以下の施設までを分けまして、その施設間での分布を見ておりますが、乳房温存後の放射線治療ではそんなに大きな差はありませんが、一番右になりますが、乳房切除後の放射線治療は、やや大きな差があるというところが分かってまいりました。

 続きまして、次のページで3施設認定による実施率の差です。拠点病院か否か、あるいは乳癌学会の認定施設か否かでその差を見ておりますが、特に乳房切除後の放射線治療の実施率において、都道府県がん拠点病院、地域がん拠点病院、あるいはそれ以外、また認定施設、認定施設以外でやや大きな差があるということが分かりました。

 次のスライドでその認定施設による実施率の差を、横軸に施設数、縦軸に実施率を取ってプロットしております。拠点病院、認定施設ではゼロの部分がやや短いですが、非認定施設の所では、そこがやや大きくなっております。したがいまして、非認定施設においてはガイドラインの更なる周知が望まれると考えております。

 乳癌小班の結果を次のページでまとめております。温存術後の放射線治療は、70%以上で十分実施されているという結果でした。一方、切除後の実施率は、やや低い傾向がありました。それらの実施率に影響を及ぼす因子として年齢が挙げられました。また、施設層、拠点病院か認定施設か否かで若干差がありましたが、認定施設では実施率が64.3%でした。先ほど申しましたように、非認定施設ではガイドラインの更なる周知が望まれます。ただ、米国の同じようなデータと比較しますと、乳房切除後の放射線治療を受けたのは65%ですので、認定施設での実施率は、米国に比べて遜色ないという結論に達しております。

 続きまして、大腸癌治療ガイドラインの実態解析を行いました。13ページの「調査の方法」を御覧ください。これは、大腸癌研究会ガイドライン委員会による診療動向調査、いわゆるアンケート調査、一番下にあります調査票を用いたアンケート調査を、96施設、46,000例に関して行っております。指標としましては、D3リンパ節郭清の実施率と術後補助化学療法の実施率を取っております。14ページ目にそのデータがあります。ガイドライン発刊の時期を示してその推移を年度別に見ておりますが、リンパ節郭清、術後補助化学療法、いずれに関しましても、ガイドラインの発刊を挟んで実施率が上昇しております。特に「施設による実施率の差」という所で、横軸に実施率の低い施設から高い施設を並べ、縦軸に実施率を見ておりますが、ガイドライン発刊後、実施率が低かった施設の底上げが見られているということが分かります。

 次のページを御覧ください。やはり年齢による実施率の差で解析を行っております。80歳以下、81歳以上でその実施率の差を見ておりますが、やはり、81歳以上では実施率が低い傾向にあります。これは、ガイドラインの発刊前後でも余り変化が見られませんでした。

 次のページで施設種別による実施率の差です。大学病院、がんセンター、その他で年次的に実施率の上昇を見ておりまして、全ての施設種別において実施率は徐々に上がってきているということが分かります。

 大腸癌小班の現状のまとめ、次、17ページを御覧ください。大腸癌の標準治療とされておりますD3リンパ節郭清、術後補助化学療法の実施率は年々上昇し、2010年には70%以上に達しております。施設による実施率の差は見られましたが、ガイドライン発刊後に実施率の低かった施設の底上げが認められました。また、術後補助化学療法の実施率に影響を及ぼす大きな因子としては、やはり年齢が挙げられるというところです。この調査のlimitationとしましては、施設対象が大腸癌研究会の会員施設であったということと、実施しなかった理由は、今回、調査できておりません。

 その参考資料としまして、国立がん研究センターの東先生がまとめられたデータを18ページ目に挙げております。大腸癌術後補助化学療法を実施しなかった理由の大きなものとしては、やはり、全身状態の低下とか高齢というものが挙げられております。したがいまして、適切な臨床判断に基づいてガイドラインを遵守しないということは、むしろ臨床的にはbest practiceなのではないかと大腸小班では結論しております。

 最後に、高度催吐性リスク化学療法施行時の予防的制吐薬投与においての調査の結果です。調査の方法の所を御覧ください。今回は、対象施設としまして44施設、572診療科にアンケート調査を行いました。対象領域は、食道癌、胃癌、肝臓癌をはじめ、計13領域です。施設別の回答率は、75%、診療科別の回答率は、63.1%でした。

 次のページを御覧ください。回答者の背景としましては、大学病院が最も多く、次いでがんセンター、一般病院という順でした。それらの先生方に、ガイドラインの推奨内容を知っていますかという問いを出しましたところ、内容を含め全て知っているが59%、内容を一部知っているが37%で、両者を合わせると、90%以上が認知されておりました。

 次のスライドですが、高度催吐性薬剤使用時は制吐薬3剤併用が標準治療とされておりますが、その遵守率を見ております。全例3剤を使用している施設は76%でしたが、診療科別にその遵守率を比較しますと、造血器腫瘍で低い結果が出ているということが分かりました。脳腫瘍に関しましては、この回答数が少なかったので、若干データがぶれているのではないかと解釈しております。

 次のページです。3剤併用療法を行わなかった理由の中で大きかったものとしまして、3剤併用でないレジメン登録がなされていたという回答がありました。非遵守であったレジメンをその右の部分に挙げておりますが、赤字が、先ほど低く出ました造血器領域のレジメンです。ただ、その理由としましては、このレジメンにはステロイドが既に含有されているということがあります。したがって、そのレジメとは別にステロイドを使うということが実施されなかったというところが、3剤併用でないレジメン登録による非遵守の理由でした。

 次に、24ページのまとめを御覧ください。ガイドラインの推奨内容の認知度は、内容を含め全て知っていると一部知っているを合わせると96%であり、十分に認知されていたと考えております。ただ、3剤併用の遵守率は76%で、遵守率には診療科別に偏りがあり、造血器腫瘍では低く出ておりました。その理由の多くは、登録レジメンが3剤併用になっていなかったということですが、今後、ステロイド含有レジメンでは3剤併用を遵守すべきかどうかというところはまだ今後、検討していく必要があるのではないかという結論です。

 最後に25ページで、全ての3小班の解析をまとめた総括です。がん診療ガイドラインに示された標準的治療の実施率は前回の報告よりも高い傾向がありました。その理由としまして、放射線化学療法、放射線治療や化学療法は他院で継続して実施されることが多く見られますが、そういったデータが拾えていなかった可能性があります。また、施設間のばらつきが認められ、非認定施設のような施設にはガイドラインの更なる周知を進めるという必要も認識されましたし、また、施設の集約化も検討する必要があります。ただ、非認定施設の患者背景が、例えば高齢者が多いなどといった可能性もあり、そういった患者背景の更なる検証が必要ではないかということも挙がってきております。高齢者では標準治療を控える傾向があり、年齢は実施率に大きな影響を与えておりますが、個々の患者の状態や環境に合わせて、適切な臨床判断に基づき治療を選択、調節することが重要であるということも分かってまいりました。

 最後に、今回の研究組織、分担者・班友のリストを挙げております。以上です。ありがとうございました。

○門田会長 今までのいろいろなテーマについての御説明をいただきました。順番にディスカッションを進めたいと思います。

 まず、一番最初にがん診療提供体制のあり方に関する検討会の御報告を事務局と北島先生からいただきました。この件についてのディスカッションを行いたいと思いますが、御意見お願いいたします。

○若尾委員 たくさんあり過ぎて、何から言っていいか分からないという状況なのですが、「がん医療の充実について〜議論の整理〜」の資料7の内容からでよろしいですか。

○門田会長 はい。

○若尾委員 この中で(2)のがん医療に関わる専門的な医療従事者の育成で、私は今年の2月に予期せず突然、造血器系の病気になり、自分がもうどうしていいか分からなくなり、どの先生に診ていただこうかということも含め専門医を探したのですが、その専門医自体が分からないのですね。誰が一体専門医なのか、いろいろな拠点病院の情報の中で見ていると、血液学会で移植ができる認定医がいるかいないか、血液学会の中で認定医は何県に何人いて、どのような名前の方かが分かるのですが、全くの素人には自分の希少難病に対しては特にそうですが、専門医自体が分からない。

 そういった中で、専門医の育成や人材育成と言われても、一体、何をどうして育成していくのか、育成には今後、何年もかかるようなことを考えなければならないわけですが、まず、その専門医の育成に関する、専門医というのはどういうことなのかを私に分かるように説明してくださる方がいらしたらお願いしたいと思います。

○門田会長 学会からお願いします。

○北川委員 私どもが今コメントしようと思っていた大事なポイントです。御存知のように、日本専門医機構が発足し、新制度の開始が20174月に予定されていたのですが、諸事情があり延期になっております。がんの専門医に関しては、その中でもまだ議論が十分進んでいないのが現状で、まずは、基本領域の2階建部分(サブスペシアルティー)の中で、がんに関与するものをどう整理していくのか、あるいは、どう横断的に結びつけていくのかということが、これから議論されます。

 恐らく、患者さんにとっては、ご自分のがんを適切に治療できる専門医がどこにいて誰なのかというのが一番お知りになりたい情報だと思うのですが、そこを十分整理することにこれから着手するというところです。今後も患者さんの御意見を伺って、議論を進めるべきではないかと私も思っておりました。

 また一方で、がんプロフェショナル養成コースというものが、もう10年近く推進されているわけですが、その成果がどう、がん診療に関わる専門医を含む人材育成にどのように結びついているのかというところも、今後、議論しなければいけない重要な事項であると認識しております。

○若尾委員 患者としましては、がん対策基本法ができて10年、第1期のがん対策推進基本計画が5年、第2期が5年、これから第3期を作るというところにきていて、たまたま私は、宿命なのかもしれませんが、今年の2月に初めて難治性の希少がんになり、では一体、専門医とは何なのだろうというところを調べ、今日、専門医の育成がテーマになるので、この短期間で調べてみようと思ったのです。それで、患者が調べられる最大限の努力をしたつもりです。

 今回、事務局には申し訳なかったのですが、ぎりぎりまで調べ、第61回の若尾直子別添資料I、IIのところに自分で調べられる範囲のものを調べてみました。拠点病院が426あり、その拠点病院の指定要件の中で、専門医では頭頸部がん、自分が造血がんなので造血幹細胞関係の医者などの数や治療ができる無菌室の数を調べ、人口10万当たりどのぐらいあるのだろうかと調べようとしたのですが、それすらもよく分からなかったのです。

 それで、造血幹細胞移植のできるというようなことに限って、別添資料Iの中にまとめたのですが、これだけでもすごく分かりにくかったです。山梨県の場合、大人60歳代で造血幹細胞移植のできる医師は1人しかいないという結果が出ているのですが、それはほかの県ではどうなのだろうと思ったら、それも調べられない。そんな中で、専門医の育成と挙げていても言葉だけで終わってしまうような気がするので、来年の4月からということで少し延期されているとのことですが、是非、今困っている、今必要な情報提供が日本全国どこに住んでいても、どんながんになっていても分かるような専門医の在り方というものを早急に、それが学会の役割なのか、学会の連合体なのか、そこもよく分からないのですが、とにかく、困っている患者が分かるような専門医の見える化を早急に進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○門田会長 我々医療サイドの人間にしたら、非常に重要なことをおっしゃっていただいている。一方で、いろいろと現場で問題が発生し、こういう状況になっている。今、おっしゃっていただきましたが、たまたま私が専門医の在り方検討委員会という厚労省の委員を務めておりましたので、少しだけお話をいたします。

1年半ほど委員会をし、それで新しい体制に入るということが決まって動き始めたところなのですが、そこでディスカッションされた在り方の検討会での話は、今までいろいろな学会、研究会がそれぞれの学会の中で自分の領域の専門医を育てるという形できているものを、そろそろ患者目線というか国民全体で受診行動できるためのことが必要になる、そのような体制のためには、学会単位よりは大きな診療体制そのものを考えつつ、そういうものを作りましょうということがディスカッションされ、第三者機構で新しい体制をするということに切り替わって動き始めたところだったのです。

 そこで当然、話題になったのですが、今、おっしゃっていただいたように、どこにどういう方がどれだけいらっしゃるか分からないという、このデータベースを綺麗に整理するためには相当お金がかかるという話から、そのことの予算づけも厚労省から考えてもらい、そういう話まで進んできていたのです。それが今回のことによって地域偏在が発生するかもしれないということで、少し延期になっています。

 しかし、鋭意今、努力をされているところだと思うのですが、正に今、おっしゃっていただいたことが重要だという認識の下に構築しようという形にはきています。それが今、すぐ役には立っていないとおっしゃられると、私たちも困るのですが、でも、必要性というのは、もう皆さん同じような認識を持っていますので、今しばらくお待ちいただいて、そういうことについては、今までのところ学会単位でということになっていますので、少なくとも、学会で情報あるいは国立がん研究センターのがん情報センターで情報を入れていただくということで、今は対応していただくということではないかと思います。よろしいでしょうか。

○北島参考人 今、がん専門医のお話が出ましたが、やはり、歴史的にがん治療の専門医を構築しようと癌治療学会、癌学会、臨床腫瘍学会、がんセンター等で十数年前からがん治療認定機構を立ち上げております。このがん治療認定機構は、現在4団体で毎年ある程度の基準を設けて認定試験を行っております。

 それから、同時に厚労省主体に当初はeラーニングによりがんの専門医を育成するという試みも行われており、厚労省の研究プロジェクトから現在は日本癌治療学会に移行し、eラーニングによるがん治療の専門医、このような育成も行っておりますので、その辺、専門医機構に関しては、まだいろいろと議論があると思うのですが、その前段階の努力、専門医認定、この育成は十分行われていると思います。現時点ではそれを参考にしていただければと思います。

○門田会長 そのほかにありますか。

○細川委員 今の若尾委員のお話ですが、多分おっしゃっているのは、今、専門医機構などが考えているのは、内科、外科、などの19領域の専門医のことと思います。専門医機構の言っている専門医と、今、若尾委員が求めている自分の疾患について質問や相談のできる専門医とは違うと思います。がんの診断がつき、そのうえで、具体的にこういう治療があるのを知り、それを受けたい、そういうことがどこでできる専門医はどうすればその情報が分かるのかということですね。

 それについての情報は、今いただいた資料にもありますが、例えば、造血幹細胞移植ができる施設というのは、細胞移植学会の移植の認定医がいる所です。これは別に専門医という言葉はなく認定医となっています。現在のところ、専門医や認定医や指導医などは学会単位で自由に使えます。専門医機構で使われる専門医と若尾委員が求めている専門性を持つ専門医というのは違います。

 また仮にその分野の専門医がその施設におられても、その施設で希望される治療、この場合は造血幹細胞移植ができるかどうかというのは、また別問題です。

○若尾委員 そうなのです。

○細川委員 そうなのです。できれば、こういうことに関しては、本来、受診された病院の地域連携のようなところがインフォメーションセンターを持ち、そういった治療のできる全国の情報を把握できるという機構や制度を作らないと、専門医という用語だけで検索しても必要な情報を手に入れるのは無理だと思います。そういうところで齟齬があるため、今、議論が噛み合っていないと思います。

○若尾委員 少し関連していいですか。私は今日、何回か病理細胞、病理医という言葉も出てきていますが、一番最初の診断の病理の結果と病理のセカンドオピニオンを得た結果で、治療方針が全く変わったのです。そんなことも最初から私は、病理のセカンドオピニオンをしようと思って病院を訪れるほど専門的ではないので、自然の流れの中でたまたま病理医のセカンドオピニオンがあり、病名がALLに変わり、造血幹細胞移植があれば助かるかもしれないと流れていったわけです。

 本当にその立場になって初めて、自分にとって何が必要なのかということが少しずつ見えてくるという状態で、しかも、日毎に進んでいくので、時間的余裕が全くないのです。セカンドオピニオンのためにどこか遠くに行ってしている間に病状が進み、心停止してしまうというほど、縦隔はいっぱいのがん細胞で侵されていました。そういった中で今こうやっていられるわけですが、がん医療の均てん化の中で運だけに任せてはいけないと思います。

 希少がんでも何でもそうだと思うのですが、どこにいてもその人にとって最適な医療が得られるような診療体制、それは箱物ではなくて、大変かもしれませんがその人に何が必要か、それが専門医なのか認定医なのか指導医なのか、それが必要なのではなくて、その人にどういった医療者が必要なのかということが分かるようなネットワークの構築のようなことも含めた上で、次期のがん対策推進基本計画第3次の中で、検討していただけたらと申し上げたくて追加で意見を述べさせていただきました。

○門田会長 非常に患者サイドの貴重な御意見だと思います。

○北川委員 今の御意見は正にそのとおりだと思います。先ほど北島参考人がおっしゃった横断的な、いわゆる標準的ながん医療全般に対する知識を持つという意味では、がん治療認定機構によるがん治療認定医精度がそうした機能を果たしているものと考えます。専門医制度は先ほど細川委員もおっしゃったように非常に基盤的な基本的な、標準的なことをできる医師を専門医と称しています。

 一方では、基本領域のサプスペとして特化した領域では、今後別の取組が必要であると認識しております。先ほど資料8で示していただいたようながん医療に関する適切な情報提供に関しては患者さんが、今すぐに欲しい情報にどうやって早くたどり着くかということが大きな課題となっております。現在はがん相談支援センターの中で専門の相談員の方が活躍されているのですが、現場の要請に十分応じることが難しい状況です。日本癌治療学会では、こうした役割を補完する人材として認定がん医療ネットワークナビゲーターという制度を発足させて稼働し始めたところです。

 これに関しては、細かくは時間の関係で申しませんが、相談員の方が相談支援センターで行っていることを補佐し、そこを繋ぐ機能を担う人材と考えています。がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに専従するのではなく、むしろ、地域にいてがんの適切な情報にたどり着けるように支援する職種と考えています。そうした意味では医療職だけではなく、福祉や介護職の方々ががん診療に関連する基盤的知識をつけていただいて取得する資格と考えています。現在、日本癌治療学会として社会実装をめざしているところですが、これも単一の学会でできるようなプロジェクトであるかどうか非常に悩んでいるところです。

 今まで3年間は厚生労働省科学研究費のご支援をいただき基盤を構築いたしましたので、引き続き国策としてご支援頂きたいと思っております。

○檜山委員 今、北川委員、細川委員のおっしゃったとおりだと思います。今、若尾委員のおっしゃった専門というのは、恐らく高度に専門な医療をお探しと考えます。私も小児がんの専門医ですが、幾ら私が専門医だからといって小児がんを治せるわけではなくて、放射線の専門医も必要ですし、薬物療法の専門医も必要ですし、緩和の専門医も必要なのです。 そういう意味で、ある程度のモダリティも必要なので、高度の専門施設でないと治療できないような病気もあり、そういう専門性と、今、北島参考人、北川委員がおっしゃった専門医という、いわゆるがん治療認定医や歯科認定医というのは、そういう患者さんが来られたときに本当に高度な専門の治療が必要なのかどうかと見極められるような、本当の初期治療の専門性をもった方をきちんと均てん化させましょうという2つの考え方があるのではないかと思っています。

 北川委員が言われたナビゲーターの制度も、恐らく、そういうことの第一段階のところをうまく専門知識のある方が患者さんにアクセスされたときに、きちんと適正な診療ができるところに患者さんを適材適所に紹介し、そういうことができる方を専門医として育成しているということです。若尾委員の言われた専門施設というのは、そうした治療における専門医、本当に高度な造血幹細胞移植もそうですが、そういう専門性を持った方がたくさん集まった、いわゆるチーム医療、正しくは診療体制なのですが、診療体制の整った施設に集約させて高度専門医療が提供できるということをおっしゃっているので、少し議論が違うのではないかと思います。

 そういうところの専門施設の診療体制も、きちんとこうした施設の中で人材育成が必要だと各部門で言われているのですが、そういう方をどのように集めて、どのような診療体制を作るかというのが次の第3期の本当に重要な目的の1つではないかと思っているので、その辺は切り分けて議論されたらどうかと思います。

○北島参考人 がん診療体制の委員会では、その前段階で拠点病院の条件を決めるときに、相談支援センターの充実をかなり強調しました。現時点では恐らく、相談支援センターの人員配置が十分になく、まだ不足もあります。育成も十分ではありません。いわゆる国立がんセンターで教育を受けた方や北川委員の言われたキャンサーナビゲーター、こういう方たちが成長してきて、そこの相談支援センターで患者さんに十分な情報提供をすることができると、これが非常に望ましいと我々の委員会でも相当議論されてきたところです。やはり、拠点病院として相談支援センターを強力に設置していくと、人員配置を含め、これが今、必要なことではないかと思っています。

○馬上委員 関連して。やはり情報公開ということで、小児がんの領域は今集約を進めており、小児がんを含め希少がんですと、今の情報公開ではなかなか分からない面があるので、治療実績の公開というのは、詳細に進めていっていただきたいと思います。

○門田会長 時間もどんどん進んでいきますので、ひとまず診療体制の所を置いておいて、時間があったらまた帰って来ることにします。その次の「歯科医師の取組」についての意見交換をしていただきたいと思いますが、どなたか御発言を。

○山口委員 この「歯科医師の取組」に関しては、先ほども御紹介があった、亡くなられた静岡がんセンターの大田部長が一生懸命やって、今は草葉の陰でこういう動きになったのを大変喜んでいるだろうと思います。一方で、フロントランナーとして地域を見ていると、14,000人の歯科医の方々が研修を終えたにしては、その活動はまだ十分ではないのではないかと感じられます。私どもでは、がんと診断されたらともかく歯医者さんに行きなさいと。それで、まずは職員にも、がん患者の場合、歯科医療につながなければ業務上過失致死傷に相当するぐらいのことを言って、それを一生懸命推進しているのですが、そういう観点で、「周術期」という言葉が誤解を招いているのではないかという気がするのです。今日、聴講されておられる方で、「周術期の口腔ケア」と言ったときに、化学療法や緩和医療もこの周術期という言葉に含まれているとはお考えにならないのではないかと思います。ですので、歯科医師会や厚労省には、保険診療の項目において、「周術期」という言葉を少し工夫していただけないかということをお願いしたいと思います。

○若尾委員 度々すみません。私も大田先生のお話を聞いて、がん医療と口腔ケアの関係はすごく重要だと思い、山梨県は「口腔ケアとの関連」をがん対策推進条例の中に明記しました。私はそのとき、自分がなるなんて全然思わなかったのですが、自分が大量化学療法をするに当たって、治療に入る前に比較的理想的な口腔ケアをしていたのです。それで、口内炎等にならずに治療ができました。その後、指導してくれた歯科衛生士の役割がすごく大きくて、私が治療した病院では歯科衛生士のラウンドはなかったのですが、歯科衛生士の指導の下に口腔ケアをしました。だから、この医科歯科連携の中に、ここのレポートの中には歯科衛生士という言葉が一言も入っていないのですが、歯科衛生士がラウンドすることが当たり前ながん診療連携拠点病院になってほしいと思うので、その点も考慮をお願いします。

○佐藤参考人 山口先生、どうもありがとうございました。まさしく現在、手術前、手術中、手術後と、それぞれ3つのステージで地域の歯科医師ががんの対応に取り組んでいます。その中で、実際に対応しているにもかかわらず、現場の歯科医師が悩みとして最も感じることは何かと言うと、周術期という診断等を含めた課題があると、正しくそのとおりだと思います。

 また、均てん化の問題は先ほど来、ブラッシュアップの話で、PDCAサイクルを回していくと言ったとき、今、何が新知見で、我々周術期の歯科医師の連携に対して、がんの専門家の方々が求めているものが5年経って明確になっているのかという情報も不足だったと思いますので、もう一度評価を見直しながらという視点は大変有り難い視点だったと思いますし、今後の取組の重点項目と考えたいと思います。

 それから、歯科衛生士の御評価、本当にありがとうございます。我々は、実際に行うことにおいては歯科衛生士がなくてはならないと、周術期を御存じの方は事実なのですが、実際にそれを利用する方にどこまで認識があるかという視点を考えると、今後も我々が歯科衛生士の在り方をしっかり示していきたい。その課題は幾つかあります。私のプレゼンの中でもお話しました。例えば、がん拠点病院の中で歯科があるのかどうかというような問題も含めて、また、病院に地域から歯科医師・歯科衛生士が入っていく場合、歯科衛生士の役割は様々あります。間違いなく実際に行うのが歯科衛生士であるのが我々の認識ですので、医科歯科連携といっても、そこの中にはチームとして、歯科衛生士が確固たる位置を占めておりますので、その推進に向かっていきたいと思います。

 データの中で、例えば、がん連携拠点病院の話をしましたが、特定機能病院を含めると、大学病院歯学部を持っている場合には恐らく乗っかってくるだろうと。ただ、歯科大学の場合はどうかというと、拠点病院として認定されていない場合があって、そこにずれがあるのかもしれません。

 それから、もう1つその件の話をしますと、今現在の医療計画、都道府県の制定している中で、医師が在宅対策に向かって進めていくものについて、都道府県の計画で明確に示している所が24です。それに対して、歯科医師の数を増やすべきだという評価をしている所がその半分と少なく、周術期であれば当然同じ数が必要ではないかと思いますが、都道府県の計画そのものにも課題がいろいろあると思いますので、今日の御意見は貴重なものだったと、本当に感謝しております。ありがとうございました。

○馬上委員 小児がんのフォローアップについてお伺いしたいのですけれども。今、経験者が推定で13万人と言われていまして、幼少期に、強い抗がん剤、移植とか放射線を浴びたりすると、歯牙形成不全の方が多くいます。うちの娘がそうでして、4本生えていないとか、歯の表面がガタガタだとか、常に歯科のケアが必要なのですが、小児がんということが知られていなくて、診療を拒否されるような例もありまして、そういったことについてお伺いしたいと思います。

○佐藤参考人 大変難しい点があります。お一人お一人ケースが違って、例えば、私が経験したケースで言いますと、生えてこないという問題よりも、子供なので生え変わるのですね。生え変わる歯、プラプラしている歯をどうしましょうと、小児科の先生に御相談すると、出血をさせるわけにはいかないので、抜くのは駄目だと言われてしまうケースもあります。それはそれなりに歯科医師としての工夫をして、そのお子様が生え変わるときに、間違って吸い込まないように、それから、出血させないようにという工夫はするのですが、一つ一つのケースごとに違っていますので、医科と歯科の両方の先生の意見を調整しながら、どういう対応をすべきか。例えば、今言った、歯の交換というのは、全く病気を持っていないお子さんであれば当たり前に起こることが、1つの病気を持っているがために歯を抜けないという事象もそうですし、馬上委員がおっしゃったような、抜けない子たちにはどうするのだというようなケースは、実際の現場の経験値がまだ少し低いのかと思います。ですから、そういうふうな情報がどうなっているかという部分も今後の課題かと思います。我々歯科医師は、基本的には、医師がどういう治療の方法を考えているかに準じて連携していくスタンスを取っています。

○北島参考人 1つ提言があります。今、上野参考人もそうですし、それから、事務局で、がん医療の次期計画の目標設定とか、いろいろありました。その中に横断的チーム医療というお話がありました。今後の医療としては、やはりチーム医療というのは非常に大事ですが、恐らく今のチーム医療は、キャンサーボードが拠点病院にあるかどうか、その辺だと思います。例えば、口腔外科の術後に嚥下のリハビリとかが出てきますので、医師以外の職種、専門職ですが、メディカルスタッフ、嚥下能力とかをサポートするような職種を含めたチーム医療の構築、将来はそれが非常に大事になると思います。そのためには学生のうちからそういう教育が必要となってきます。そういう意味で、要するに、個別化のチームを作れるような、発症から診断治療、緩和医療、将来的には是非そういうチーム医療のコンセプトを含めていただければと思います。

○松村委員 ちょっと確認させていただきたいのですけれども。がんのところでは口腔ケアは大変重要だと思いますが、今の御報告の中で、2期で位置付けたものがどのような形で評価されているか。例えば、指導医と言ってはおかしいですが、歯科医師の連携の研修を受けた方の人数は分かったのですが、がん拠点病院のところで、地区の歯科医師会が連携して、どれだけ取り組まれているのかという、現時点の評価はあるのでしょうか。それを踏まえて、3期にどうやって入れていくか、できれば聞かせていただきたいと思います。

○佐藤参考人 すみません。今日は直近のデータを持って来ておりません。ですが、先ほどの、拠点病院と歯科医師会との連携事業は、基本的には各都道府県の中で進んでおります。今後、都道府県単位でそれが完結するのか、特に地域によって拠点病院が多少偏在しているのは地方にはもうあることですので、市町村区がいいのか、構想区域でいいのか、今後は幾つかの連携の場の組直しが必要になってくると思います。基本は、拠点病院とそれぞれの地区歯科医師会の歯科診療所が顔の見える関係を作っていくという取組はもう各所で行われています。ただ、それがどこで、どの割合で、どれぐらいの数かと、データを持って来ておりませんが、今後はそういうものも様々な場で示していきたいと思います。

○松村委員 できれば、提示していただいたほうが少しでも次の3期計画の中に盛り込んでいけるかと思うので、よろしくお願いします。

○細川委員 先ほど若尾委員もおっしゃいましたが、現場では、この歯は抜くか抜かないかなら歯科医の仕事ですが、そこに至る手前の予防や管理は歯科衛生士さんの仕事です。先ほどの精神科、緩和ケアとか、精神科の先生という所でも、鬱とかせん妄と病名が付いてしまえば精神科の先生の仕事ですが、そこに至る前の、患者さんとのコミュニケーションのレベルでは臨床心理士の方々の活躍の場となります。ところが、残念ながら、こういった分野の重要なメディカルスタッフは、ほとんどの病院で非常勤でしか雇われていないのです。地位の保全がないので、極めて不安定であり、また人事が庶務や総務、管理課などになるため、続けたくても、簡単に配置換えになってしまうことも非常に多いのです。例えば、MSWなどでも所属が看護部や医療職になっていなくて、事務部門であると全然扱いが違ってきます。新たに物事を進めるときに、現場に関わる人材のポジションや地位の確保も一緒に考えてやっていかないと、折角頑張ってやっている人たちがどんどん潰れてしまっているという現状が多くあることを御理解いただきたいと思います。

○門田会長 人材育成で医師とか、そういう特殊なものの、メディカルスタッフ全体でというのは余りなかったですね。

○檜山委員 少し手短に。今、松村委員もおっしゃいましたが、先ほどのがん診療連携登録歯科医という先生方が、実際、どれぐらいの方に関わって、診療所に多いと言われたので、どういうふうにされるのかと思っていたのですが、実際に拠点病院でどういう方々の診療が行われているか、是非実数を出していただきたい。その関わり方も、診療所の先生はどういう形で関わっていかれるのか、是非実数を出していただきたいと思います。先ほど参考人が言われた、チューマーボードは非常に重要な問題だと思うので、歯科の先生がどれぐらいチューマーボードの中に入っておられるのか。私も今、小児のチューマーボードをやっていますが、必ずしも歯科医がチューマーボードに入っているわけではないので、その人たちがチューマーボードに入っていただかないと、多分、先ほど馬上委員が言われたような問題もクリアできないのではないかと思い、そういう形の実数を出していただきたいと思います。

1つだけ聞きたいのですが。23ページに、日本は口腔がんは増えていて、アメリカは減っていると、理由を教えていただきたいのです。これは時代が古いので、もしかしたら喫煙の関係かと思い、たばこの喫煙率との指標になる可能性があるのかないのかだけを教えてください。

○佐藤参考人 簡単に申し上げます。プレゼンの中でも申し上げましたが、紙たばこのことがアメリカの減少につながっているのではないかという報告があります。日本の場合は、重症化の段階で見つかっているのが幾つか、検診事業をやっている所では分かっているために、死亡率が高いと分析している所もあるわけです。

○若尾参考人 23ページの資料ですが、WHOのデータベースの左側のほうで、死亡者数が上がっているのは多分年齢調整をしていない影響だと思います。23ページで上がっているのは高齢者が増えているための増加で、年齢調整のデータを見ないと実際のところは分からないと思います。

○門田会長 そのほかにもあるかと思いますが、もう1つ、がん診療ガイドラインの運用の件が残っておりますので、先にそちらに行きたいと思います。この件についての御質疑をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○山口委員 次期の基本計画で非常に大きな課題は、高齢者がん治療をどうするかという点であることは異論が無いところだと思います。例えば、今日プレゼンしていただいた中でも、ある項目は70歳、ある項目は80歳という形で、これは、いろいろな病気の病状とか、状況とか治療の重さとかによって決まるものだから、それが一概にまずいという話ではないのですが、一方で、75歳という一つの区切りがあります。また、患者さん自身の体力の問題も非常に重要なので、決して軽々に決める話ではないと思いますが、一般に、ガイドラインに沿って行われた割合というのは非常に誤解されることがあり、ガイドラインに沿っていないのは悪で、沿っているのは良いといった誤った考えもあります。専門病院では、ガイドラインはこうだけれども、この患者さんの場合はガイドラインを適用せず、個別化を進めるというあたりも専門医の腕の見せどころでもあるので、このガイドラインという言葉の表現あるいは意味合い、これを正確に、特に次期基本計画に書くときには注意をして書いていただくことが望ましいかと思います。今日のプレゼンの書きぶりでも何となく、高齢者では実施率が低い程度の書きぶりになっていますので、この辺を改めていただいたほうがいいと思うし、今後のガイドライン作成に当たっては、特に高齢者がん治療をどうするのかを意識して検討していただきたいと思います。

○藤原参考人 御意見ありがとうございました。今回、調査を行って、高齢者というのは確かに非常に難しいところがありまして、個々の多様性をどう評価するかが難しいです。我々癌治療学会のがん診療ガイドライン委員会でもその辺は問題にしておりまして、近々、臨床腫瘍学会が中心になって高齢者のためのガイドライン策定を始められるとのことで、癌治療学会もそこに協力して、高齢者のいろいろな問題点を洗い出して、それをガイドラインとしてまとめていくことにしております。それぞれの臓器別ではなく、横断的な学会がこういうことを指導しなければいけないと思います。そのガイドラインが出てくると、それぞれの臓器別のガイドラインと併せて使用することによって、適切な治療が行えるような体制になっていくのではないかと思います。

○門田会長 今の山口委員のと重なりますが、私が覚えている限り、癌治療学会は頑張って、順番にガイドラインを作っていただいたと思いますが、あの当時は文献検索とかいろいろなことをしながら、そして、論文の数あるいはそのクオリティーを含めて、推奨度ABとかいう形でそのときの標準を作ってきたのですが、今の先生のデータを見て、ものすごく膨大な数がありますね。その膨大な数の中で、このガイドラインそのものの価値というか、意義というか、実際には検証作業は進んでいるのですか。

○藤原参考人 ガイドラインの策定というか、文言というか、表現についてはMindsと、それから、癌治療学会も評価委員会を別個に設けて、個々のガイドラインについて検証しております。ただ、今後、ガイドラインがどのように生存率に影響したか、あるいは、QOLの向上にインパクトを与えたか、そういった検証についてはまだ、これからデータを集めて、我々の班研究も含めて、継続的に行っていく必要があると思います。

 第42回だったと思いますが、私は参考人として、ガイドラインの実施率と、それから、生存率へのインパクトを解析したのですが、ガイドラインの改定がどんどん進んできたのがここ510年です。生存率のデータがまだ追いついていなかったので、例えば今後、全国がん登録が前向きに進んでいくことで生存率がきちっと出てくれば、そこを検証していけるデータが揃ってくるのではないかと思うので、検証はまだまだこれからかと思います。

○門田会長 そのほか、どなたか御発言はありますか。

○若尾委員 御報告いただいた資料10の、制吐剤の報告についてお尋ねしたいのです。「回答率の施設属性」という所で、スライドのページ数が書いてないですが、後ろのほうの「制吐剤の使用の回答者の背景」で、対象施設が大学病院、がんセンター、一般病院となっていて、一般病院の割合が1割弱になっています。大学病院、がんセンターとなると、ガイドラインに関する認識はすごく違ってきていると思い、少しバイアスがかかっているのではないかと思いますが、その点はどうなのかを教えてください。

○藤原参考人 御指摘ありがとうございます。今回は調査までの時間が少し短かったので、その前のページにある「調査の方法」という所で示した対象施設でアンケートをできるだけたくさん回収したいということがありました。癌治療学会のガイドライン委員会、それから、癌治療学会の中で制吐剤適正使用ガイドラインを策定した委員が所属する施設が比較的、きちっとレスポンスしていただけるだろうということで、そういう所にアンケートを行っております。したがって、御指摘ありましたように、対象施設として、少しバイアスが大きいかというのもありますので、今後、これを一般病院に広めた場合にどれぐらい回答率が頂けるかが微妙ですが、またその辺りも含めて検討していきたいと思います。

○若尾委員 医療側の対策として、吐き気をしっかり抑えているようにやっていると答えることと、吐き気が全然なくてすごく楽だったと患者が思うこととは、また別の視点になりますので、もし時間的余裕や金銭的余裕があれば、病院側、医療側の、使っているという思いと、それを受けている患者がとても楽だったというふうな、QOLが保たれたと思っているかどうか、できれば両面からのアンケートもお願いします。

○北島参考人 がん診療提供体制委員会でも話題になったのですが、やはり高齢化社会において、がん以外の併存疾患にどうやって対応していくかと。最近、循環器内科医が特にカルディオンコロジストとして、がんの患者さんにいろいろ対応したいという希望のカルディオロジストの方が出ているので、今後、併存疾患に対する対策を盛り込んでいただければと思います。

○中川委員 北島先生の「診療提供体制のあり方に関する検討会」の議論の整理に戻りますが、これの12ページに、放射線についての、放射線治療に関する方向性が記載されています。この中で、幾つかコメントしたいのですが、12ページ、○の下から2番目ですね。これは先ほど若尾委員から、どこでどの医師にかかっていいか分からないという御指摘があったのですが、放射線治療についてもより専門性が高いこともあって、どういった放射線治療が提供できるか、患者さんに分かりやすく情報提供する仕組みが必要だと思います。

 この中身を具体的に考えていく必要があって、例えば、放射線治療はメスと違って装置が非常に重要になります。どういう装置、しかも、最新の物かどうかを含めて情報提供をする。それから、今回の中でも記載されておりますが、放射線治療の1つのキーが技術者ですね。理工系を含めた人材がいるのか、医学物理士への1つのポイントですが、どういった経歴を持つ医学物理士がいるのか。もちろんその医師についてもそうですが、この辺は放射線治療の特殊な側面があるので、そういったものを考えていく必要があると思います。

 それから、13ページについて。RI内用療法、それから、緩和的放射線治療が伸び悩んでいると。RI療法は、現状では主に甲状腺がんに対する内用療法、ヨード131を飲んでいただくという事例ですが、現在、これが130所余りしかありません。これは恐らくドイツの10分の1程度で、諸外国と比べても非常に数が少なくて、待機時間も半年に及ぶという現状です。緩和的放射線治療については、細川委員にいつも触れていただいている、医療用麻薬の使用量以外にも、緩和ケアの質を保つ上で非常に重要なのですが、この2つの治療に関して共通するのが、診療報酬が非常に低く抑えられていることです。取り分けRI療法については入院ですから、ほとんどの施設でDPCにかかってきます。このヨード131についても、これは薬です。ですから、放射線治療の枠内ではなくて、薬物として扱われるために、通常の放射線治療と違ってDPCの外にないという問題があります。その結果、ほとんどの施設でというか、恐らく全ての施設で採算割れしているのです。なかなかこれが進まないという問題があります。緩和的放射線治療も8,000点です。これは一連です。一連で8,000点でして、この辺を評価していただく必要があろうかと思います。以上です。

○田中委員 今の、放射線のことに関連してですが、先ほどの、専門医のお話でもそうだったのですが、患者への情報提供は非常に大事だと思います。放射線治療については、日本は手術偏重と言われてきたので、放射線治療を充実させることはとても重要なことだと思いますが、そもそもがんになったとき、放射線治療という方法があるという情報自体が十分患者に届いていないのですね。例えば子宮頸がんになって、婦人科へ行くと、ほとんど放射線の話はせずに手術が行われるのは普通だと思います。ですので、治療体制の充実とともに、その情報をどうやって患者に届けていくのかを並行して考えていかないと、なかなかきちんとした治療にならないと思います。ですので、がんになったときにはどういう治療法があるのかとか、その治療を受けるとき、どこでどういう専門医に受けたらいいのかという、様々な情報をどう患者に届けていけばいいのか、仕組みとして考えなければいけないと感じています。

○中川委員 大変重要な御指摘を頂いたのですが、先ほどから御議論いただいたガイドラインの中でも、日本が諸外国と比べてかなり特殊な記載をしている例もあります。例えば、子宮頸がんの2B期についてですが、これは海外では、基本的には放射線治療とだけ記載されています。一方、我が国では、頸がん2Bについては手術が最初に来ています。放射線治療も書かれているはずですが、この辺はガイドライン作成に当たって、もし国際的な基準と違うようなものがある場合は、患者側にそのことを情報提供しなければまずいのではないかという気がします。田中委員が御指摘になった所は、実はガイドラインを含めて、かなり包括的に、それこそ若尾参考人のなさっているような、ホームページの中でフェアに記載していただく必要があると思います。

○門田会長 いろいろな御意見を頂きました。参考人に対する質疑というよりも、これから先のことについての御意見も含めていただきました。これは引き続きここでディスカッションをしていきたいと思います。もう時間一杯になりましたので、ここで閉めたいと思いますが。

○中釜委員 桜井委員は欠席ですが、桜井委員が提出された資料の1ページ目の見方を、事務局から簡単に説明いただけますか。

○事務局 桜井委員御本人に御確認して、次回以降で対応できるかどうか、検討します。

○門田会長 それでは、本日はこれで終わりたいと思います。いつものように、発言できなかった内容については、来週の金曜日までに事務局のほうに届けるようにお願いします。本日はこれで終わりたいと思います。事務局のほうで何か連絡事項はありますか。

○事務局 本日は長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。次回の協議会につきましては、1124()14時からを予定しておりまして、がんに関する情報提供・普及啓発について、がんの予防・がん検診について等を予定しております。委員の皆様からの資料の事前提出期限については、2週間前の1110()頃を予定しております。議事に関して御不明な点等がありましたら、事務局までお問合せいただければと存じます。また、参考資料のファイルについては事務局で回収しますので、お持ちにならないよう、お願いします。以上でございます。

○門田会長 どうもありがとうございました。

 

 


(了)

健康局がん・疾病対策課

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