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2016年5月27日 社会保障審議会児童部会第6回遊びのプログラム等に関する専門委員会

雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室

○日時

平成28年5月27日(金)13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第20会議室(17階)
 (東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員

植木 信一 (新潟県立大学人間生活学部子ども学科准教授)
大塚  晃 (上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授)
北島 尚志 (NPO法人あそび環境Museumアフタフ・バーバン理事長)
佐野 真一 (港区立麻布子ども中高生プラザ館長)
鈴木 一光 (一般財団法人児童健全育成推進財団理事長)
高松 絵里子 (北海道中標津町役場町民生活部子育て支援室長)
中川 一良 (社会福祉法人健光園 京都市北白川児童館館長)
羽崎 泰男 (城西国際大学福祉総合学部福祉総合学科特任教授)
松田 妙子 (NPO法人せたがや子育てネット代表)
吉村 温子 (玉川大学非常勤講師)

事務局

野村少子化総合対策室長
大津少子化総合対策室長補佐
齋藤少子化総合対策室長補佐

○議題

(1)児童館等における「遊びのプログラム」の開発・普及に係る調査研究業務の採用及び意見交換について
(2)「平成27年度児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究」のヒアリング
(3)その他

○配布資料

資料1 第5回遊びのプログラム等に関する専門委員会主な指摘事項等
資料2 児童館等における「遊びのプログラム」の開発・普及に係る調査研究業務一式に係る企画書等応募状況
資料3 児童館等における「遊びのプログラム」の開発・普及に係る調査研究採用一覧表
資料4 平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究」の概要
参考資料1 児童館等における「遊びのプログラム」の開発・普及に係る調査研究事業モデル児童館の選定の考え方等について

○議事

○大津少子化総合対策室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第6回「遊びのプログラム等に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。
 現在、北島先生、松田先生が遅れてございます。松田先生は15分ぐらい遅れるという連絡が入っております。今日は全員そろう予定でございます。
 また、本日は、27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の「児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究」について御報告していただくために、一般財団法人児童健全育成推進財団主任研究者企画調査室長の野中賢治様にも御出席いただいております。
○野中講師 (一礼)
○大津少子化総合対策室長補佐 これより鈴木委員長に進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 それでは、皆様、よろしくお願いいたします。
 実は今朝、山手線で通勤をするときにちょっと混み合っていまして、若い女性に席を譲られました。うれしくもあり、寂しくもありですね。日本の若い人たちは非常に健全で、教育も行き届いており、有難いことだと思いつつ、我が身について改めて職場で鏡を見てしまいました。若い方に自己覚知を迫られてしまいました。児童館でお勤めになっている皆さんも、子どもから自己覚知を迫られるということがあると思うのです。「おねえさん」と呼ばれていたのに、ある日いきなり、子どもに「おばちゃん」と呼ばれる。そのときに、ああ、世間から見たら自分はおばちゃんになったのだなと。私はもう完全に高齢者として見えたわけですから、高齢者の務めとは何かなということを考えました。変に頑張るのではなくて、受容しつつ自分の役割を全うしていく、そういうことが子どもに教えられる。現場で常々皆さん、考えさせられていることかなと。そういう子どもたちを支援する、指導するとか言っていますが、大人が逆に子どもから教わることもあって、児童福祉というか、児童館というのは、大変にいい仕事だなと思っております。
 さて、「遊びのプログラム等に関する専門委員会」は、28年度に入りまして第6回目でございます。本日も皆様方の御意見をいただきながら進めてまいるわけですけれども、今年度から新しいステージに入りまして、こどもの城の遊びのプログラムの実践状況報告、これの分析結果をもとに、モデル児童館に研究的プログラムを実施していただく。そこから児童館の持っている遊びの本質的な部分だとか機能・役割について実証しながら世間に発信していく。子どもと家庭にもきちんと手の届く児童館のプログラムということを大きく広げていくことを目的と考えております。
 また、今回は、「児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究」ということで、違った角度から野中先生にも昨年度の発表をしていただいて、この専門委員会とコラボできるところがあったら、お力添えもいただきながら今後進めていけたらどうかなと考えておりますので、そんなことを御勘案いただきながら今日の議事に入りたいと思います。
 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認についてお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○大津少子化総合対策室長補佐 資料の確認をさせていただきます。座席表と議事次第のほかに、資料1として「第5回遊びのプログラム等に関する専門委員会主な指摘事項等」、資料2としまして「児童館等における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究業務一式に係る企画書等応募状況」、資料3としまして「児童館等における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究採用一覧表」、資料4としまして「平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業『児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究』の概要」でございます。また、参考資料として「児童館等における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究事業モデル児童館の選定の考え方等について」をお配りしています。
 なお、委員の先生方にのみ、各採用者の取り組み内容の詳細版と、野中先生の研究報告を机上配付してございます。
 以上です。
○鈴木委員長 委員の皆様、よろしゅうございましょうか。今、お示しいただいた資料はお手元にございますか。
 前回第5回におきまして「今後の進め方」と「遊びのプログラムの改定、開発に向けた検討(モデル児童館の選定の考え方等)について」ということで、皆様からさまざまな御意見をいただきました。
 それでは、まず確認ということで、前回の概要である資料1について、事務局より御報告をお願いしたいと思います。
○大津少子化総合対策室長補佐 資料1をごらんください。前回5回の専門委員会におきましてさまざまな御意見、御指摘をいただいております。
 「今後の進め方について」でございます。御紹介させていただきます。
・モデル児童館の専門委員の派遣について、各委員が一生懸命取り組む必要がある。
・また、派遣に当たっては、委員会としてのしっかりとしたサジェスチョンができるよう、委員会としての事前の調整が必要。
・また、児童館ガイドラインの見直しについては、ワーキングという形で意見を積み上げるような時間が1回ぐらいあってもいい。
 というような御意見をいただいております。
 これら御意見については、今後の進め方の検討に当たっての考慮の材料とさせていただきたいと考えております。
 また、「遊びのプログラムの改定、開発に向けた検討(モデル児童館の選定の考え方等)について」の御意見をいただいております。主なものを御紹介いたします。
・児童館が対応可能な新たな地域課題も活動プログラムの候補である。
・モデル事業の実施後、全国への波及効果を狙うための展開もいろいろ考えたほうがよい。
・プログラムの実施箇所数について、必ずしも数にこだわらなくても、箇所数が少なくなってもやむを得ないと考えるのがよい。
 などの御指摘のほか、少し下のほうになりますけれども、内容に踏み込んだものとして、
・赤ちゃんと遊ぶとか赤ちゃんの育ちを見られるような経験ができるようなことが書かれるとよい。
・発達障害など子どもの特性を踏まえた取り組みを推進するという点については、とても重要な課題である。
・また、国際交流のような取り組みが児童館の中で行われていくというものもユニークな取り組みの一つ。
 などの内容に踏み込んだ御指摘をいただいております。
 これらいただきました御指摘については全て反映しまして、配付しております参考資料1の「児童館における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究事業、モデル児童館の選定の考え方」に整理させていただきまして、これに基づき仕様書を作成し、企画競争を実施したという状況でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 今の事務局の御説明、御報告につきまして、よろしいですか。前回の確認でございますので、先へ進ませていただきます。
 それでは、議事に入りまして、まず議題1につきまして事務局より御報告をお願いしたいと思います。
○大津少子化総合対策室長補佐 資料の説明の前に、今回調査研究事業で「児童館等における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究業務一式」の企画競争を実施いたしました。それにつきましては、平成28年4月15日に公示し、同日から5月13日までを応募期間として実施いたしました。応募の結果、19者から応募がありまして、5人の評価委員による企画書等評価委員会を経て、16者について採用とさせていただきました。この後、専門委員会の皆様に議論していただいた内容等を踏まえ、最終的な契約を進めていきたいと考えております。
 それでは、資料2と3について御説明させていただきます。
 まず、資料2をごらんください。「児童館における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究業務一式に係る企画書等応募状況」でございます。応募件数は、申し上げましたとおり、19件。
 紙をおめくりいただきまして裏面を見ていただきますと、地域別の応募状況や活動プログラムの内容別の件数を整理させていただいております。地域別に申し上げますと、やはり関東甲信越が多くなっておりますが、全国に広がった児童館から提案をいただいてございます。活動プログラムにつきましても幅広い活動プログラムの提案をいただきました。
 次のページは設置・運営状況、運営法人、児童館種別、最後のページは人口区分別の提案内容について整理させていただきましたので、ごらんになっていただければと思います。
 続きまして、資料3の説明に移りたいと思います。資料3は今回評価委員会を経て採用された16者について、採用内容を概要にしたものでございます。提出の早い者から順番に並べてございます。簡単に概要を御報告させていただきます。
 A、北海道の児童館からの提案でございます。内容を申し上げますと、毎月各児童館で算数のテスト行い、児童館対抗戦として順位を競う。
 外国人や退職校長・教頭に講師を依頼し、学習支援の充実を図る。
 また、NPOこどもの城合唱団を招き、合同で音楽遊びや交流体験を行う。同じ日に、大学のダブル。失礼しました。「ダブルダック」は誤字でございます。「ダブルタッチチーム」を招きダブルダッチ教室を開催する。大変失礼いたしました。
 また、町内の全児童館で行う「じどうかん祭り」の開催に合わせ、児童館間にバスをめぐらせ、公共交通機関の利用の少ない子どもたちにバスの乗車を体験させる。
 という内容でございます。
 続きまして、B、京都府の児童館からの提案でございます。毎週平日、土曜日におどり・和太鼓の講師を呼んで、障害のある児童と一緒に「おどり」や「和太鼓」の時間と位置づける。
 活動の成果を発表する場として、地域のイベン卜で発表する。
 という内容でございます。
 ページをおめくりいただきまして、C、宮城県の児童館からの提案でございます。児童館運営及び事業における子どもの参加の取り組みについて、毎回の活動記録をまとめたハンドブック及び動画として発信する。
 児童館において子どもたちの主体的な力や地域の担い手としての当事者意識を育んでいくプロセスを可視化する。
 という内容でございます。
 続きまして、D、京都府の児童館からの提案でございます。中高生の学習スペースを定期的に設置する。地域の高齢者を主軸としたお風呂屋さんの番台さんを設置し、高齢者と共有する場を設置する。
 学習している間に在宅高齢者や協力団体の人々が食事を調理し、学習終了後に参加者全員で食事をともにする。
 という取り組みでございます。
 ページをおめくりいただきまして、E、新潟県の児童館からの提案でございます。都市部の障害を持つ子どもたちがいろいろな体験を通して自信をつける機会をつくる。
 音楽により周囲とつながり、地域の子どもたちとコミュニケーションを図る。
 自然の素材で楽器をつくったり、裏山探検。
 人の声だけで音楽を楽しむ。
 という取り組みでございます。
 続きまして、F、鹿児島県でございます。種類豊富な鬼ごっこを通しルールを学ぶなどさまざまな体験をしながら仲間をつくっていく。
 いろいろな素材を使った造形遊び。
 ミュージカル鑑賞、参加、ワークショップの実施。
 子育て世代の親子に対する相談などの子育て支援を行います。
 次のページをお願いいたします。G、東京都の児童館からの提案でございます。短編映画をつくり上映したり、お茶屋さんをつくっておもてなしをする。
 衣装やメイク、ライブグッズの制作や、ダンスパーティーやバンドを行うステージの設置。
 丸太の家をつくったり、ペットボトルのロケット、パンなどをつくる。
 などのさまざまな取り組み内容でございます。
 続きまして、H、香川県。こどもの国。これは固有名詞なので外しておりますが、地域のこどもの国で好評だったプログラムを県内島嶼部などの僻地4カ所を拠点に移動型こどもの国を開催する。
 少し口頭で補足いたしますと、具体的な取り組みは、手遊びやじゃんけんゲーム、楽器の演奏やリズム遊びなどを行うということでございます。
 I、北海道の児童館からの提案でございます。「いのち」に関するいろいろな企画を行う。
 これも口頭で補足いたしますと、赤ちゃんの重さ体験や「いのち」に関する講演、また、異年齢交流などを実施するということでございます。
 次のページをお願いいたします。J、北海道からの提案でございます。複数の児童会館合同のイベントを開催。
 児童会館を利用したイベントの開催。具体的にはカフェの開催やフェスティバルの開催を行うということです。
 イベント開催に向けての宿泊学習などを行うという提案でございます。
 K、埼玉県の児童館からの提案です。ネーチャーゲーム、ツリークライミング、自然体験、自然野外活動、防災、護身術など、自然体験的な活動を行います。
 L、埼玉県の児童館からの提案でございます。他国語での挨拶やゲームを通して他国の文化を知る。
 調べ学習を通して身近な外国籍の人との交流を深める。
 外国人ボランティアや外国籍の子ども・保護者との交流を深める。
 というものでございます。
 M、秋田県の児童館からの提案でございます。中高生の居場所づくり。
 食事をつくる楽しみ、食べる楽しみを見出す。
 親子で体を動かす喜び。
 電気機器の工作。
 ブラックライトを用いた実験。
 生き物の革に触れたり、工作をしたりする取り組み。
 雪祭りなどのさまざまな取り組みをするという提案でございます。
 次のページをお願いいたします。O、埼玉県の児童館からの提案でございます。手のひらサイズの基盤コンピュータ「ラズベリーパイ」を使った簡単なプログラミング。
 プラネタリウムの仕組みと原理を学ぶ。
 実際にプラネタリウムを投影する。
 畑に出向いて収穫作業をしながら、生の野菜を味わい、特性を知る。
 という内容でございます。
 R、岡山県の児童館からの提案でございます。市内唯一の児童館が「移動児童館」として児童館のない地域へ行きます。
 これまで取り組んできたプログラムと、こどもの城の遊びのプログラムの中から、プログラムアドバイザーの意見を反映したプログラムを人数や年齢層にあわせて行うというものでございます。
 最後、S、島根県の児童館からの提案でございます。地元の祭りに模擬店を出店する。
 バルーンアートで遊ぶ。
 障害のある子どもたちと一緒に配膳等のお手伝い。
 保育所でのボランティア。
 おやつづくり。
 などを行うというものでございます。
 資料3の右手にある「期待される効果」は、提案者が期待している効果ということで、主なものを抜粋して記載させていただいております。
 資料の説明は以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
○羽崎委員 Sは島根県ですか。
○鈴木委員長 S。
○羽崎委員 鳥取ではないですか。
○野村少子化総合対策室長 鳥取の誤りでございます。
○羽崎委員 Sは鳥取ですね。
○野村少子化総合対策室長 申しわけございません。こちらのほうの誤植でございます。
○大津少子化総合対策室長補佐 申しわけございません。
○鈴木委員長 今、ずっと説明をしていただきましたが、どうでしょうか。御意見がありましたらお願いをしたいと思います。挙手をして、どうぞよろしく。佐野委員、お願いします。
○佐野委員 参考までに、19ですから、6件落ちている、不採用になっているわけですね。
○鈴木委員長 3件ですね。
○佐野委員 3件か。3件が不採用になった基準を教えていただければと思います。
○鈴木委員長 お願いします。
○大津少子化総合対策室長補佐 事務局のほうから御説明させていただきます。評価のルールでございます。幾つかの評価ポイントがございまして、各ポイントにおいて1つでも「0」という評価が評価委員のほうから上がってくると、そこは採用しないというルールが一つ。また、各評価会員から出していただいた点数の平均が6割に満たない評価点数であった場合には採用しないというルールでございます。今回その点数が6割に満たない県が2件と辞退が1件という状況でございます。
○鈴木委員長 よろしゅうございますか。
○佐野委員 はい。
○鈴木委員長 ほかにどうでしょうか。松田委員、お願いします。
○松田委員 遅くなって申しわけありませんでした。
 ここでの意見は、運営をしていくに当たり、附帯条件ではないですけれども、ここに留意してくださいということが伝えられるという意味で意見をすればいいということでよろしいですか。
○鈴木委員長 それも含めてどうぞ。
○松田委員 ありがとうございます。
 事前の資料、これはイコールなのでしたか。
○大津少子化総合対策室長補佐 事務局から失礼いたします。委員のほうには詳細の資料を机上配付させていただいております。
○松田委員 意図がいろいろだとは思うのですが、自分たちで手づくりでやるというところと、プログラムとか有名な人たちをぽんと呼んできてやるみたいなものがすごいくっきり出たなというのがあって、それはそれで刺激があったり、これから先に生かせるならいいなと思うのですけれども、予算をもらって何か呼んできて、丸ごとやってもらおうとかいうのではだめだなというのをすごく感じているので、そこをどうしていくのかなというところが報告に載るといいなと。呼んでよかったねとか、刺激があってみんな元気になってよかった、楽しかったということで終わるのではなく、呼んだ意味とかその地域への波及効果とか、その後それをどう生かすのかというところがここの専門委員会でバックアップできるところかもしれないし、その辺、何で呼んだのかというところの結果が見えてくるといいのかな。ずっとずっともらい続けて、ずっとずっと呼べるならいいですが、そうではないですねと。お金をもらって一発花火でやるというのではないのだよというところ、どれというわけではないけれども、そういうところが少し見えるところがあったので、そこが気になった。
 あと、子どもたちを巻き込むのだなというのがすごく見えたところがいいなと思ったところが幾つかありましたので、子どもや親たちにただアンケートをとるということではなく、プロセスの段階に巻き込むというところが地域の児童館には必要なのかなと思うので、その部分がこれから楽しみだなと思いました。
○鈴木委員長 御指摘のとおりだと思いまして、これはモデル児童館ですから、事業実施期間に何かをして、それをどう分析するか。分析できる素材として提供していただくようなところを、今後専門委員会も意見を言わせていただくという前提で第5回が終わったと思いますから、そこに専門委員会の役割もあるかなと思います。
 企画提案ですから、このやり方を私たちが丸のみするということではなくて、これからモデルとして児童館のありようを提言していくために、こんなふうに展開してくださいとか、こういう内容でアンケートをとってくださいというのは、むしろ専門委員会の役割としてお示しすることであり、これは次回以降決めていかなければいけないのかなと思っております。
 北島委員、どうぞ。
○北島委員 そこが一番気になっていて、この提案がこのまま実施されるとなると、言いたいことがたくさん出てきてしまうので、それを言える保証といいますか。本当は一番いいのは、個別の児童館と具体的に話し合えたらすごくいいなとも思うし、もちろん、こちらの意図をやれというわけではないので、分析の前に議論できる場が欲しいなというのが一つ意見としてはあります。
 そうでないと、これだけの資料でいくと、えっというのが僕の中ではちょっとあります。これがモデルになるというふうに考えると、例えば学習支援で月一回テストなどは、学校ではないのだから何でこんなことをするのだと個人としては思いますね。児童館がここに踏み込んでしまったら、これはモデル児童館の実践ですから、今後あり得るのかとなると、僕の気持ちとしては、それは厚労省ではなく文科省なので、ここに関しては非常に思いを持っていたりするので、なぜこれが入ったのだろうというのをちょっと思っています。
 子どもの運営とか町を巻き込んでとか、すごくおもしろそうなのが出ていますけれども、それもこの間、たくさんの先達たちがやってきたノウハウがあるし、あるいは失敗もあるので、ここの資料だけではどのようにするのか見えてこないので、モデルとなると、かなり突っ込んだ議論がしたいなと正直思っています。
○鈴木委員長 おっしゃるとおりだと思います。
 今、配付していただいたAからSまでの資料をちょっと見ても、ここから中身を完璧に推測するというのは難しいと思うのです。ある要件が書かれていれば、それはモデル児童館としてオーケーなのだろうなと思いますので、どういう意図でここに書かれているかというのは確認作業が必要なのかなと。それから、我々の思いはこうなのですけれども、専門委員会と意見交換しながら進めていただけますかという確認も今後必要であろうと。そういうことが本日、専門委員会が提言すべき中身になるだろうと思います。
 ほかにどうでしょうか。羽崎委員、どうぞ。
○羽崎委員 我々専門委員が集まってきて、我々は相当経験をしてきて、ある面でいろんなことがわかり過ぎるぐらいわかっていると思うのですが、そういう中だと、このモデルというのは、場合によっては未来、これからのヒントになるようなこともこの中に入っていいのではないかなと思うと、北島委員の言うこともわかるのですけれども、私的には我々がえっと思うような、学習支援というのは、例えば児童館でやっているところを少し見てもいいのではないかなと思うところがあって、それはなぜかというと、児童館が今後、今までと違った展開を要求されるときに、もしかしたらこういうのが将来参考になる可能性もある。現在は児童館でこういうことをやっているところはないかもわからないですが、学童が児童館と一緒にやっていくとか、子ども教室のほうもいろいろ複雑に絡んできている中では、児童館もその中に巻き込まれてくるとなると、将来の可能性の中にいろんなものが登場するというと、我々が逆にえっというようなものが中にあってもいいのではないかなというのが私の印象なのです。
 やる項目がたくさんあって、何でこんなにたくさん。もう少し絞っていったほうがいいのではないかなと。例えば一番最初の学習支援と下のほうの「じどうかん祭り」というのがどういうふうに関係しているのかなという感じもするし、全体にいろんなことをモデル事業としてやる。僕は、一つのものに対してやるという感覚を持っていたものですから、いろんなことをやるというような感じがちょっとあって、最後にまとめるときに何を目的にどういう形でというときに、さまざまなものがあり過ぎてしまって、どうかなと。そのあたりは、これから児童館のやる中でもしかしたらアドバイスの中に出てくるかもわからないのですけれども、今まで児童館でやっていないようなことがこの中にあってもいいのではないか、私としてはそういう考え方も持っていますね。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 中川委員、どうぞ。
○中川委員 Aからずっと見させていただきまして、従来の児童館が大事にしてきた、原則として取り組んできた遊び、それも自然との触れ合いであったりとか、あるいはさまざまな子どもたちとの交流遊びであったりとか、そういう部分も今後力を込めてやっていきたいという提案もあれば、一方で、先ほど来出ていますような、従来児童館の取り組みとしては余り着目されてこなかった学習支援なども取り上げられていて、ある意味児童館の懐の深さというか、間口の広さというのを感じるのですね。
 私は、学習支援についてはいろんな考え方があると思う。児童館でなぜ学習支援なのだと。ただ、児童館ガイドラインの中でも、単に遊びを通した健全育成だけではなくて、子どもの生活を丸ごと支援していこうという観点が織り込まれているわけです。そうしますと、例えば児童館にやってくる中学生、高校生を見ていますと、学校でうまく学習の機会がないというのですか、うまくそれに溶け込めない。おうちへ帰ってもどうもうまくいかない。そんなときに例えば児童館へよくやってくる子どもたちがいるとしたら、そこで子どもの生活を支えるという観点から、学習というのは中学生、高校生にとっては生活の大きな部分だと思うのですね。そこが子どもたちの中でしっかり確立されていくような支援を行っていくというのは、児童館のあり方としてこれからもっともっと注目していいのではないかなと思ったりもするのですね。
 ですから、従来の伝統的な取り組みとこれからの革新的な取り組みが今回採用された児童館の取り組みの中に混在して存在しており、大事にしていかなければいけないところとこれからもっともっと広げていかなければいけないところという観点で専門委員会としては見ていく必要があるのかなと思っています。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかにどうでしょうか。大塚委員、お願いします。
○大塚委員 もともと「『遊びのプログラム』の開発・普及」ということなので、プログラムをつくって、その目的もあるのでしょうけれども、これをどんなプロセスにおいて実施して、それがどうだったかということを評価する。1年であってもPDCAサイクルだと思うのです。その中で、こういう目的においてこういう効果を期待してということで、それを実証、検証するのでしょうけれども、応募企画のそれぞれを見させていただくと、「期待される効果」というのは、ある意味で評価の視点なのでしょうけれども、ここは、今からやることにおいて、行ったプログラムをどんなふうに評価しますかという視点を皆さんにもう少し具体的に頭に持っていってもらって、実際に例えば子ども自身にアンケートをとってみるとか、御家族に聞いてみるとか、地域の人に聞いてみる。そういうことを具体的なイメージを持ってやっていただくと、効果とか評価というものがもっと具体的に出て、報告書が豊かになると思うのです。やってからはそれができないので、やる前にそういう情報、あらかじめ評価、そして報告書に結びつくようなことをきちんと念頭に置いてやってくださいと。そういうことの情報を提供することは無駄ではないかなと思っております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。まさに今回、次回ぐらいでそれを出さないといけないかなとも思いますが。
 ほかにどうでしょうか。佐野委員。
○佐野委員 皆さんのおっしゃるとおりで、たくさん項目が出ているのですが、例えばAであれば学習支援、Bであれば障害のある児童との交流、Cであればプロセスの可視化。きらりと光る部分をこの委員の中で、ここを強調してほしいというか、ここに力を入れていきましょうというポイントを一つずつ見つけていって、大塚委員のおっしゃったような評価のポイントというのが整理されていくと、やっていくほうもわかりやすいのではないかなと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 お願いします。
○羽崎委員 質問なのですけれども、企画書が出ているときに、それに対する予算のあれも出てきているのですか。
○大津少子化総合対策室長補佐 予算も出てきてございます。ただ、対象とならないものとかも入っていたりしますので、現在精査中でございます。
○羽崎委員 私は、ちょっと項目が多いと。今、佐野委員が言ったように、僕はもうちょっと絞ったほうがいいなと思うのですね。それがもしかしたら予算をつくるために、ものを入れてしまったというような気もするところがちょっとあって、逆に言うと、この中の軸というのは児童館そのものが持っている可能性があるかなと実は考えているのだけれども、ただ、今、言った既定の予算の中でやっていくとなると、それだけではなかなか埋まらないということで、そこに付随したものを入れている可能性もあるので。それはそれで別に批判するわけでも何でもないのですけれども、もしかしたら児童館はそういう軸をちゃんと持っているのかなというのは、印象、イメージとしてはちょっと感じるのです。そうであれば、逆に言えばすばらしいかなと思っています。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 松田委員。
○松田委員 ちょっと確認なのですけれども、全部に設置しているのですか。この要綱がよくわかっていないのですが、アドバイザーとかプログラム委員会。あっ、委員会はこれのことか。現場にもこれをやるためのチームみたいなのが書いてあるのですけれども、それもメンバーがいろいろだなと。外から入れているところもあれば、内部でつくっているところもあるのですが、ここの人たちの役割みたいなのがここと違うことを言っていたら困るなとか、そこがどんなたてつけでしたかというのと、そこの人たちとどんなふうに一緒にやれるのかというところです。
○鈴木委員長 今いただきましたけれども、2つの集団がコラボしてやるときの難しさに共通すると思うのですが、専門委員会の発想というものはしっかり提言する必要があるのではないでしょうか。その上で、現地児童館の独特の文化とかやり方等を聞きながら調整していく機能も専門委員に求められると思います。一方的に押しつけてもうまくいかないでしょうし、現場の思いだけで終始されても、モデル児童館を設定した専門委員会の意図が消えてしまいますので、その辺は根気よい調整も必要だと考えます。ほかにどうでしょうか。北島委員。
○北島委員 一つは遊び、プログラムの専門委員会という意味合いが僕の中ではすごくあるので、「児童館の未来について」という委員会ではないと認識しています(もちろんそのことも入ってくるとは思いますが)。そうすると、今、言った学習支援が今後の児童館活動の可能性があるというのは物すごくわかるし、例えば僕も京都の寺子屋みたないもの、子どもが集まるような学習支援というのは今すぐでも必要かなと思うけれども、算数のテストを毎月やるというのはちょっとひっかかったところなのですが、僕らが根っこに持っているものは、「遊びを通して」というのを外しては。児童館の活動としてはいろんな活動、相談活動だってあるし、だけど、そこの部分で例えばどこかの館で学習も遊びと学びとありましたけれども、そこを徹底的に追求していくという視点がこの委員会の一つの大きな柱だろうと思っているので、まずは「遊ぶ」ということと「学ぶ」ということの関係性なり、それを明らかにしたいということ。
 もう一つは、先ほど言ったモデルと考えると、この字だけではわからないのです。例えばおやつづくりとか、今までやったネーチャーゲームとか、これに予算をつけていいのか。つまり、おやつづくりは、未来の活動を示唆するようなとんでもないおやつづくりをやりますというのだったら、また話が変わるし、出した方も時間のない中でやったのだと思うのですけれども、僕らがそこの視点をぶらさないでやっていかないと、先ほどから出ていますように、こんなにたくさんただやりましただけになってしまうのが怖いなということもある。食と遊びというのだったら、1年間食と遊びでやってみるとか、そういうことが必要だろうというのが思ったことです。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 どうでしょうか。

恐らくイメージとして第5回目で専門委員会としてまとめたつもりでも、現実のモデルが出てくると、今、皆さんの意見百出のように、気になるところが出てくると思います。それで、一度モデルの中身を見たところで、きちっと我々の思考の統一が必要かなと思います。次回最終結論に向けて、間にもう一回ワーキンググループでその辺は議論してもいいですね。例えば「遊び」と言っても、「遊び」の定義の確認が必要です。「遊び」とは何かというのは、専門の領域でも多数あることはご存じの通りです。本人が好きなことを自ら実行すれば遊びだというのが大体今の通説ですね。例えばノーベル賞をとるような人、あれは遊んでいるという専門家もおります。ある学者に言わせれば、寝食を忘れて好きでやっているのですから、日常生活はみんなおろそかになります。そこは家族にサポートしてもらったりしているわけです。遊びをどう捉えるかということがまず専門委員会の根っこにないと、そのたびにぐらぐらしてしまう。
 もう一つ、今、子どもと貧困の問題があって、貧困家庭の問題というのは、子どもにとって文化を伝承してくれる人がいないということが問題です。つまり、生活苦から親が日常の基本的生活習慣を教えていないわけです。その子どもたちはまたそれを繰り返しますから、学習とか、学んで知識を増やすとか、努力の価値とかが身についていません。塾的な勉強を強いても、それを行う意味がわからない。おやつづくりということをすると、おなかがすくと食べたいという目的がはっきりしています。それに向かって火をおこしたり、役割分担をして食事をつくらなければいけない。目的を持った行為をして満腹という喜びを得るというところから文化を根づかせるという意味がそのおやつづくりに隠されていれば、これは立派な遊びを通した学習支援活動ですね。その辺を恐らく専門委員会は確認していかなければいけないのかなと思います。従来的にただ予算取りのためのプログラムなのか、深い意味があるのか。これはなかなか書類からはわかりません。これが今の委員の方々の戸惑いではないでしょうか。その辺をじっくりと検討していく場をつくるかどうかというのもきょうの最終議題になるかもしれないなと思っております。 ほかにございますでしょうか。どうぞ。
○羽崎委員 皆さんの印象で、19というのは多い印象なのですか。それとも少ない印象なのですか。どうなのだろう。
○松田委員 応募が19。
○羽崎委員 応募が19で、その中から16選んで。応募そのもの、19というのは、これは多分こういうものに対するエネルギーの一つの指標になると思うのですけれども、全国の児童館に声をかけているのですね。
○鈴木委員長 そうです。
○羽崎委員 4,700~4,800のところにやって、19というのは少ないのか、多いのかといったときに、どうなのですか。僕はもうちょっと多いのかなという感じも。
○鈴木委員長 微妙ですね。
○羽崎委員 微妙なところなのだけれども、先ほど言ったように、これは全国の児童館のこういうことに対するエネルギーがどの程度のものかなという指標になると思うのですが、逆に言えば、16というものをいかにエネルギッシュにやってもらうか。そこに我々がいかにサポートできるかというのが大変に大事なものではないかなという感じはしますね。倍ぐらいの倍率でできれば、まだよかったなと思ったのですけれども。
 19は多いか、少ないかというのは、なかなか難しい判断だと思うのだけれども、少なくとも四千何百のところに案内を出して19というのは、微妙に感じることはありますね。余談です。
○松田委員 今年のを見て、来年出そうかなみたいな。
○羽崎委員 そうですね。私の知っている人たちもそういう人たちが結構いますね。今年、ちょっと様子を見たいという人たちも結構いましたけどね。
○松田委員 急だった。
○鈴木委員長 室長、お願いします。
○野村少子化総合対策室長 3月以前からの経緯を知る人間として、事務局からちょっと僣越でございますけれども。
 去年の夏の概算要求の段階、直後に開かせていただいたときにも、こんな要求をしていますということでお披露目した際には「10カ所程度」と書いてございまして、当然予算の査定はございましたけれども、3月にお集まりいただいた際にも、今日お配りした書類かな、基本的な考え方みたいなので御相談した際には、予算を要求する際の想定では10カ所程度ということでやりましたが、実際にはあれをやってみたい、こういうのをチャレンジしてみたいというのが来たときには、別に10カ所で切りとするのではなくて、20、30挙がってもいいのではないだろうかということで、たしか20から30にょろと書いたような記憶がございます。そういう意味では、もうちょっと出てきてもおかしくはないのかなと思いました。
 ただ、一方で、3月にこれまでお示しした日程、2カ月ぐらいでぽっぽっぽっと輪切りにしてお示ししたあれを見たときに、補助金の執行とかそういったものを考えたときには、先ほどの資料2のほうに書いてございましたように、4月、5月、しかもこの間1週間は連休でございますので、その間にプランを練って持ってきてということですので、概算要求を厚労省がしたぞと知っただけでどのぐらい準備を始めるかというと、普通つくか、つかないものについて、身が入った準備はなかなかしづらいと思いますので、そういう意味では、予算がある程度見えた年末、ないしは中身をお示しした3月から動いていると思えば、なかなか練りに練る時間がないということからすると、まあまあ、これぐらいかな。
 こういうことを事務局が言うと、お叱りを受けるかもしれませんけれども、募集を始めた段階では、テーマを見て選ぼうと3月に言ったけれども、1桁だったらどうしようかとか、その辺の不安もちょっとありましたので、そういう意味では、十幾つ出てきたというのは、期日を考えると、ある面やむを得ない面があったのかなという感じではあります。
 また発言の機会があれば、これを見た上で、今回の16をどう捉まえて取り組んでいけばいいのかという事務局の存念なりは簡単に申し上げたいと思いますけれども、とりあえず数というのを見たときの印象は、当初の予算で考えていた10カ所よりは多く出てきたかという感じです。たくさん出てきたら出てきたで、それはそれで選ぶほうの委員の方の評価が大変になるなという懸念はあったのですが、ちょっと時間がなかったのかなという面も正直あるのかなと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 2つ、3つしかなかったらどうしようという心配は私もありましたし、30、40来たら、どうやって絞るのだろうという心配もありました。現場でよく事業をされている方というのは、常に行政、国の方向性を見る余裕もなく立ち働いておりますので、どうしても反応がおくれますね。気がついて、そんなのがあるらしいからやろうといったときには、もう地方の事務局のほうで予算が間に合わないよということにもなろうかと思いますので、もし次年度以降あるとしたら、また期待をしたいと思います。
 よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○鈴木委員長 これについては細かい議論をする場がつくれると思います。
 それでは、今、御意見をいただきましたけれども、手を挙げてくださった児童館、採用者の取り扱いにつきまして、中身についてもさまざまに意見が出たところでございます。専門委員会として、16児童館にモデル児童館として取り組んでもらうということでスタートしてよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鈴木委員長 もちろん、今後も勧奨していくということでございます。
 今、意見が出ましたように、確認でございますが、改めてモデルとしてやっていただく以上は、専門委員会としていろいろと注文したいところとか、それからきょうお持ち帰りいただいて、また新たに気づかれる委員の方もあると思いますので、その対応については事務局にいろいろお考えしていただこうかと思うのですが、事務局のほうはどうでしょうか。
○大津少子化総合対策室長補佐 資料をお持ち帰りいただきまして、御意見がある先生方、事務局としては先方に採用の通知を流す関係もございますので、一旦6月1日水曜日までに事務局宛てにメールでいただきたいと思います。事務局のメールの宛先については、今日中に先生方に事務局のほうからメールをお送りさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木委員長 ありがとうございます。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○鈴木委員長 今、16児童館に取り組んでもらうということが決定いたしましたので、ここをやめろというような極端な意見ではなく、この辺は注意したり、事務局のほうから確認をしてほしいというような意見にとどまるかなと思いますが。
 それでは、そのように取り扱いをさせていただくということも含めてよろしゅうございましょうか。
(「はい」と声あり)
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 いただきました御意見につきましては、採用者について事務局を通じてお伝えをしていただこうかと思います。
 伝達内容というのは委員長に一任していただいてよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○鈴木委員長 ありがとうございます。それでは、誠心誠意務めますので、御信頼をいただきたいと思います。

それでは、予定よりも着々と進んでおりますが、次に議題2に移りたいと思います。これから野中先生に御報告していただきますのは、「平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」ということで、児童館における子育て支援等の実践状況に関する調査研究につきまして、市区町村の児童館に関する施策と児童館ガイドラインの普及・活用とその実態を把握しまして、児童館の現状と課題について再整理し、今後求められる児童館の役割や児童館活性化の方向を探ることを主な目的として調査研究をしたと伺っております。
 このことについて御説明をいただきながら、私ども専門委員会にとりましても非常に示唆に富むこともいただけると思いますし、今後一緒に協力していただけることもあるであろうと考えましてお願いをいたしました。 それでは、御準備を含めまして、野中先生、よろしくお願いいたします。
○野中講師 御紹介いただきました野中です。よろしくお願いいたします。調査研究につきまして報告の機会をいただきましたこと、この場をかりてお礼申し上げます。
(PP)
 本調査研究の研究体制につきましては、机上配付させていただいております報告書の6ページと186ページ、187ページに示してございます。なお、報告書の全文は、当育成財団のホームページに掲載してありますので、機会がありましたらお目通しをお願いしたいと思います。
(PP)
 本調査研究の目的でございますけれども、先ほど座長がお話しいただいたとおりでございまして、今年度は2年目に当たります。
 1年目は、児童館の施策を積極的に推進している4自治体の児童館施策を調査しました。要点はここにお示ししたとおりでございます。
 今年度は、区市町村の児童館に関する施策と児童館ガイドラインの普及・活用とその実態を把握することから、児童館の現状と課題について再整理して課題を抽出しようということで取り組みました。
(PP)
 そういう研究でございますので、児童館ガイドラインそのものを少し紹介しておきたいと思いましてページを設けました。ここで引用したものは、ガイドラインについての児童家庭局長通知のかがみ文の中の一部でございますが、ちょっと読ませていただきます。
 「児童館は、地域のすべての児童に健全な遊びを通してその健康を増進し、又は情操を豊かにする施設とされているが、職員の専門性を生かし子育て家庭の支援や児童虐待防止の対応も期待されているところである」として、今後の望ましい方向を示すために作成をしたというふうに書いてあります。
 このガイドラインの趣旨と特徴のところをお目通しいただきたいのですが、実はこのガイドラインは2011年3月31日に発出されています。作成は、先行研究を参考にしていただきながら、2010年から2011年にかけて作業が行われておりましたが、3月11日に東北大震災が起きました。そのことによって継続作業が非常に困難な状況にある中で、この児童館ガイドラインは、震災の復興と今後の全国的な児童館の活性化に役立てるためにぜひ必要だという厚生労働省の英断で、3月31日にこのガイドラインを発出したという経緯がございます。
 なお、当初予定していたのは、その際により徹底して内容を伝えるために、解説あるいは通知をもって未設置市町村も含めて、児童の健全育成に役立てる、児童館の量的、質的な発展に役立てようという構想のもとに進められていたのですが、こういう事態の中でガイドラインを発出するにとどまったということを聞いております。
(PP)
 そういう状況がありましたので、今後の児童館の新たな可能性を示すために今日的なものをしっかり示そうということで、技術的な助言にとどまらずに、児童館を今日の社会状況に応えるものとするための理念と目的の2点を作成したと理解しております。
(PP)
 以下、2ページにわたって内容の一端を紹介しました。ぜひ本文を改めてお目通しいただきたいなと思います。
(PP)
 7ページの本調査研究の方法のところをお開きください。今年度の研究では、ここに示しました4点にわたって調査を行いました。なお、4の「第三者評価項目の修正」につきましては、前年度、プレテスト含めて少し検証作業しながらもう一度精査をしたいと考えていたのですが、当育成財団が東京都の第三者評価の認定を受けておりますので、それが可能だと思って予定していたのですが、市町村の第三者評価は、年度当初に予算を組んでいる等、日程的なものがありまして、折り合いのつかないところがございました。引き続きの作業というふうに考えております。
 ここでは、1点目の児童館の実態調査は市区町村に対する質問紙による悉皆調査を中心に報告をさせていただきたいと思います。
(PP)
 8ページをごらんください。調査の概要は、ここでお示ししたとおりです。1,718の全部の市区町村に調査を行ったのですが、回収数は1,189、回収率は68.3%でした。
(PP)
 数量的なところをお示ししたいと思います。9ページ「市区町村における児童館の設置の有無」です。設置数は1,741。総数の中の62.2%、740市区町村でございます。
(PP)
 これを都道府県別に見ますと、都道府県によって設置率に大きな差異がございます。余り細かいパーセンテージを示すと順位みたいになって、別の使われ方をするかなと思いまして、大まかな状況を示してあります。関東近県で見ても、例えば東京が90%以上、70~90%が埼玉、神奈川や千葉、茨城の場合は50%未満ということで、県によって相当大きな違いがございます。
(PP)
 次に、児童館が減っているという話が一般に言われております。実は数年前、調査方法が変わったために、統計の数値が一時的に100の単位で減ってしまったということがあって、それは調査方法をもとに戻して、さほど大きな減少ではないということが今、言われているのですが、増減があるということが今回の調査でわかりました。まず、児童館設置740市区町村の中で、1館でも廃止の予定なり廃止の検討中があるかと調べましたら、107ですから、児童館のある市区町村の14.5%の中で廃止や廃止の検討がされているということがわかりました。その自治体で丸ごと全館を廃止したり、転用したり、統合したりという計画を立てている市区町村は1~2カ所でございます。
 休館、廃止の理由につきましては、複数回答の中で示された項目は大体こういう内容でございます。
(PP)
 一方で、児童館の新設予定、新設を検討しているというところもございまして、既に児童館がある740のうち新館の建設予定、検討中のところが8.3%ございます。それから、今まで児童館がなかったところで新たに児童館をつくるという動きが、この調査で23市町村、把握できました。
 経年で調べておりませんので、昨年度だけの調査ですが、多分増減があって、その中でトータルで言うとやや微減というか、そういう状態が想定される状態でございます。
(PP)
 児童館ガイドラインの周知状況につきましては、児童館未設置のところも全部含めて調べた統計では、周知していないところが61.5%、周知しているところが35.3%という数値です。
(PP)
 児童館ガイドラインの周知率を見ますと、児童館を設置しているところでも、主管課がそれぞれの児童館にそのことを伝えたり、関連するところに周知をしているというのは50%強にとどまっているのです。児童館を設置していないところでこのガイドラインを周知しているところは2.9%。3%弱という状態でございます。
 これは、最初に申し上げましたように、児童館ガイドラインの周知方法が具体的に進まなかったということもあったのだろうと思うのですが、それだけではない、何かがあるのかもしれませんけれども、今回の場合はそのことまでは把握できませんでした。
(PP)
 実際にそのガイドラインを周知しているところでの活用状況は次のところにお示ししてありますが、87.1%の市区町村が、児童館を知っていた場合には活用しているということが出ております。
(PP)
 活用の内容は、「職員研修」「運営の点検・見直し」「マニュアルの改善」「業務仕様書の改善」「その他」、具体的な面で活用がされているということがあります。
 それから、ここには書きませんでしたが、市区町村独自に児童館ガイドラインをつくっている自治体もありまして、そこが国のガイドラインを見て改善する、見直し作業をしているというところの例が報告をされておりました。
(PP)
 今回の悉皆調査の中で幾つかの項目で市区町村の担当者による自由記述の設問を行いまして、自由記述に含まれている児童館に関する主要なキーワードをピックアップして、それぞれの使用頻度を比較・分析をしました。その一端をここに紹介しております。
 これは、この間、市区町村で新たにスタートしている子ども・子育て会議の中で、児童館の健全育成施策に関連することがどのように議題になっているかということを調べたものの中からのキーワード検索なのですが、一番多いのは放課後児童クラブで、次に子育て支援、そして児童館という順番です。
 新しい事業としては利用者支援事業や相談事業に関する記述も見られるけれども、これは全体として少数です。
 もう一つの問題は、虐待とか要保護、障害、子どもの権利、貧困などは、いずれも子どもの問題では重要な内容なのですが、健全育成施策の検討では示されていないということがここでお示しした内容でございます。
(PP)
 ヒアリング調査の結果につきましては、報告書の中で相当の紙数をさいて調査報告をしておりますので、この委員会でのプログラム等のことについても少しは参考になるかと思われますので、お目通しいただければと思います。
 ここでは横断的に分析して抽出した場合の主な項目のみを示しました。1点だけ紹介をしておきますが、6番の「中核的な児童センターの必要」というところが、この間の動きで一つ特徴的だと思うのですが、小型児童館が多くないところでも、中核的な児童館の建設が進んでいるという実態がありました。一部読ませていただきます。
 「今回のヒアリング調査では、中標津町、亘理町、北本市でセンター設置があった。亘理町では東日本大震災の前年に児童センターを建設していたことから、震災後の保育機能などの代替を初めとして、外部支援のコーディネートなどを実施することができた。また、中標津町では中高生の活動拠点となるだけでなく、総合的な取り組みを実施できるセンターとして児童センター建設を実行している。結果、町内全域で健全育成事業を実施することにも好影響を与えている」。自治体における総合的な子どもの健全育成施策、あるいは子育て支援施策を推進したり、調整したりということと、市民にとって敷居の低い、行きやすい場所となるという意味での中核的な児童センターの設置が進んでいることは注目に値するのではないか、もっと調べてみる必要があるかなと思いました。
(PP)
 フォーカス・グループインタビューにつきましては、児童館長または主任クラスの実務経験の豊富な児童厚生員を対象にして行ったもので、次年度の調査につなげる意味で意見の収集をしたものでございます。項目だけをここに紹介してあります。
(PP)
 20ページ以後のまとめのところに入ります。3ページにわたって紹介してありますが、項目が行ったり来たりしますので、御了解いただきたいと思います。
 まとめは6点示しました。
 1つ目は、児童館の設置方針。
 2つ目は、児童館の目的。
 3つ目は、児童館の代替機能問題。
 4つ目は、今日的課題への対応。
 5つ目が、子どもの参画、子どもの権利保障ということ。
 6点目は、行政と現場の温度差ということで、6点を指摘させていただきました。
 このほかに、ガイドラインそのものについての分析のまとめもしてございますが、ここでは割愛させていただきました。
(PP)
 この中で2点だけ少し補足をさせていただきます。21ページの3、児童館の代替機能問題です。これは、児童館の廃止とか未設置の理由を聞いた場合に、児童館の持っている機能を代替する機能があるので、児童館が必要ない、あるいはそれにかえるということが出されているのです。施策が個別にメニュー化する流れがこの間強くなっている中でこの問題は起きていて、今後もこのことについては流れとして継続する可能性があると考えていますので、このことに関してはもう少し調べる必要があると思いました。
 研究会は、「今後の『児童館向け実態調査』などでより詳細な実態と考え方等を把握して、市区町村における子ども・子育てに関する施策と児童館施策が競合することなく、発展できる方策を検討していくことが求められる」とまとめたのですが、個人的な考えも含めてちょっと話をさせていただきます。
 2で示しました「児童館の目的」との関連を含めて、改めて「遊び」による子どもの育成ということを子どもの視点から考え直してみる必要があるのではないかということをこの中で感じています。担当者の中から出てくる意見の中では、遊びとそれぞれ持っているメニュー化された代替機能ということとの関連が読めなかったのです。遊びということの捉え方が非常に狭いのではないか。この部分が少し気になったところでございます。
(PP)
 もう一点は6番目のところです。「行政と現場との温度差」と書いたのですが、これはよく言われることでもあるのですが、今回は行政担当部署の考え方とフォーカス・グループインタビューで把握しました館長・主任クラスの現場職員の考え方との間には大変大きな差異が見られました。
 実はこのことは1年目の研究会でも少し議論がありまして、研究会のときに4つの自治体を選定したのですが、選定する根拠として私たちは3つの視点を出しました。
 1つは、行政的に児童館の施策を担当主管なり市町村そのものが積極的に推進しようとしている方向が明確に受けとめられるところ。もう一つは、児童館職員、児童厚生員と運営主体が積極的に児童館活動を展開して、施策に応えるような活動をしていて、行政との協力関係が維持されているところ。
 3つ目は、子ども、保護者、住民の児童館に対しての期待とか、そこでの充実が具体的な数値や事例で把握できているところ。
 この3つがある程度バランスよく協力していてそれぞれのと児童館評価がほぼ同じようなところを選ぶというと、必然的に幾つかに絞られたのです。児童館の活動を見るときに、この3つの視点を抜いてしまうと、事業者がこういうプログラムをやります、こういう活動をやっていますという話でも、行ってみたら、そのイベントのときしか子どもが来ていなくて、ふだんのときは閑古鳥が鳴いているというような問題があったり、それから、児童館の職員が私たちは一生懸命頑張っているのだと言っていても、行政あるいは住民からの評価が必ずしも高くなかったりするということが起きるのではないかと感じました。
 1年目の調査は時間がなくて、そういうところまで丁寧に分析できなかったという反省がありますので、来年度は個別児童館を対象とした悉皆調査の中で、できるだけ具体的な状況を把握していきたいと思っているのですが、改めて1年目の調査もそこの中に反映させてみたいなと考えております。
 研究の報告としては以上でございます。
 そのこととあわせながら、先ほど申し上げましたような、遊びによる子どもの育成を子どもの視点からどのように考えるかということをもう一度整理しながら再調査に当たっていく必要だとか、それから、今、子どもの貧困とか虐待とか、養育環境の問題とか、発達障害を持った子どもへのサポート等について児童館の機能、特に子どもの遊びとの関係でどういう視点を持てばいいのかということなどについても、もう少し委員の中での学習をしながら、調査の項目や分析の視点をつくる必要を私としては感じております。そのことを申し添えて報告にさせていただきます。
 ありがとうございました。
○鈴木委員長 ありがとうございました。児童館ガイドラインが5割ちょっとというのは、まあまあ、そんなものかなと思いつつ、それしかないのかというがっかり感もございまして、数値化すると見えないものが見えてくるので、現実が把握できると思いました。
 特に児童館のまとめのほうももっとゆっくりとお聞きしたいようなことでございますが、委員の方から、この点をもう少しとか、この点を深くとか、意味合いの御質問とかございましたら、挙手をしてお願いいたします。何なりと。
 最初に私のほうからよろしゅうございますか。今、最後のまとめのところで、児童館の代替機能問題、児童館が大変細分化されたプログラム、メニューをするようになってきまして、よく児童館はデパート化したなどと言われたことがありますけれども、代替的に子育て支援の施設をつくったから、もう児童館は要らないとか、そういう意味だろうと思うのですね。そういうお考えを持った担当者の方が、遊びを通した健全育成というものとその意味を読み切れなかったのではないかというようにおっしゃいましたが、具体的に児童館のどういう部分を今後強調していかなければならないのか。その辺、お考えがあったら、ちょっと教えていただけますか。
○野中講師 私の考えということになると思うのですが、遊びによる子どもの育成というか、遊びを子どもの視点でどう考えるかということを、児童館の中でどれだけ自覚的に整理をしているかということに関しては、行政担当者だけでなくて、児童館そのものの問題でもあると思いますので、それは次回の調査の中でもう少し把握したいと思っているのですが、何点かあると思います。
 1つは、遊びは、幼児期、児童期を通して子どもにとっての発達課題であるという視点をどれだけ関連する人たちが受けとめているかという問題だと思います。発達課題はハヴィガーストが指摘したものなのですが、ある意味では子どもの発達の中で定説として受けとめられているものです。だけども、実際に遊びを取り上げるときには、個々の遊びの効能とか遊びの内容だけが議論されて、児童期にどれだけさまざまな形での遊びの体験と、そこでいろいろ醸成されるものをしっかりと受けとめていくかという大人側の視点のところがやや弱いような気がします。児童館自身も個別の遊びの内容だけに着目をしているというところがあります。
 もう一つは、遊びは、遊びの内容だけでなくて、子どもが遊ぶということの意味、遊びたい気持ちになる、遊ぶことにもっと着目をする必要があるのではないかというのが問題です。
 遊びは、遊ぼうというお互いのサインを受け取り合うことによって成り立つということが、遊びを考える上で、とても大事な要素であることが最近の研究の中で指摘されています。子どもが遊ぼうとすること、遊び合うということを考えたときに、不安や心理的な抑うつを抱えている子どもというのは、なかなかスムーズにかかわり合いを持てなかったりすることがあります。
 児童館の中ではそういうことへの気づきから子どもの養育環境とか、いじめとか、友達関係とか、あるいは発達の問題とか、さまざまなことに気づいてかかわっていくということができるのです。ですから、個別テーマだけを取り上げるということではなくて、遊びの持っている総合性みたいなものに大人の側がどれだけ着目をしていくかということがあると思います。
 3つ目は、遊びや活動への橋渡しとなるような団らんといいますか、集まって和やかに過ごすということ。仕事とか何かで言うと「間」に当たるかもしれません。事と事との間とか、いわば中間的な間というか、生活の中での団らんの大切さということが、児童館も含めて余り重視されてこなかった。特に行政担当者にはそういうところの発想はほとんどない。遊びの中には、先ほど言った遊ぶこととの関係を含めると、遊びと遊びの間の橋渡しになる団らんという要素が必ず入っていないと、児童館活動のことを考えても、何かの目的を持ってきてしまって、終わったらすぐ帰ってしまうということが起こるわけです。これで済む児童館だったら、代替機能で済む児童館なのです。
 そういう点を含めて、地域の中に児童館があって、全ての年齢を通してということを考えたときに、児童館が持っている地域の中での生活、遊びの持っている、子どもの視点から見たものがちゃんと位置づいた活動がされていないと、問題が明確になっていかないのではないかということがあると考えます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 モデル児童館においてもそういうところが抽出できると一つの提言ができるということも今、ちょっと気がつきました。
 どうでしょうか。どなたか、この際。植木委員、お願いします。
○植木委員 私もこの調査研究の研究員だったものですから、そういう立場でも少し意見を述べさせていただきたいと思います。今、委員長のほうから、モデル児童館の内容とリンクができるのではないかというような御発言をいただきましたが、私もそのように考えております。例えば一つは、子ども・子育て会議の内容を今回調査してみますと、児童の健全育成施策の内容が議論されているということがわかります。その内容を見ますと、児童クラブは当然ですけれども、子育て支援に関する内容がそれなりにあるというところに一つ注目をしております。
 ただ、一方で、市町村の担当の方の考え方の範囲が狭い。限定して子育て支援を捉えている節がある。児童館を活用して子育て支援をするということには可能性があるわけでありまして、あえてそこまで言及していない可能性があるのではないかということが一つ仮説として成り立つわけです。
 そこで、今回のこの専門委員会でのモデル児童館の内容ですね。先ほどの前半の具体的な報告の中身を見ますと、やはり多岐にわたる。そうしますと、児童館でできる子育て支援は、教育や保護ではなくて、健全育成の立場でできる子育て支援とは一体何だろうか。あるいは児童館ができる事柄というのは、市町村の担当官が把握する、そういう狭いところではなくて、もう少し広く活用できる、そういう内容をモデル児童館、今回のこの専門委員会での調査研究によって明らかにし、提示ができるのではないだろうか。それを児童館ガイドライン等に反映させることができれば、これは一つの成果になるのかなと。こんなふうに感じております。
 児童館ガイドラインの周知率と施策の反映率が比例するということがこの調査でもわかりましたので、そういった意味では、そういった視点は重要かなと考えます。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 児童館のガイドラインを普及させると活動もよくなるということを念頭に置いて広めていくということも大事かなと。
 ほかにどうでございましょう。北島委員、お願いします。
○北島委員 野中さんの報告を聞きながら、最後の代替にかわってしまうという理由というところで、僕もここがとても大事なところだろうと思いました。
 遊びたいと子どもが思うその心のありようが大事だという指摘はすごく大事なことで、今おっしゃった遊びに向かえない子ども達の中のもうひとつ向こうにある見えないサインを見逃すなという視点と、実際児童館でやっている遊びやイベントは、一見遊んでいるように見えて、それは本当に子どもにとって遊びたい(自主的主体的)というものになっているのかという部分も同時に抱えているような気がしていて、先ほど言ったモデル児童館もそうなのですけれども、そこの検証なしには難しいだろうということも先ほどのモデル児童館の意見としてつけ加えたいなと思いました。
 3つ目、「団らん」という言葉を野中さんは使いましたが、僕も実際児童館の現場にいて、いわゆる「児童館文化」みたいなことをすごく言われていました。これは児童館を自分がやめてから違う児童館に行ったときに、男の子がやってきて、誰と。きょうは館長に用事があってきました何々です。あ、そう。館長、どこにいますか。ちょっとわかんない。呼んでくるからさ、事務室で待っていてと言われて、事務室に行ったら、麦茶、飲むと言われて、冷蔵庫から麦茶を出された。僕は、それはとても児童館の文化だなというか、つまり、こいつ、よそ者だよなということ。つまり、我が家的な感覚がなければ、よそ者だという認識はないわけですね。それが単に建物の公園であれば、行き交う人の一人なので、関心を示さないのだけれども、俺んちにおまえ、入ってきたな、誰だ、あ、館長に用があるのか、じゃ、待っていろと。その子は館長を呼びに行って、館長が来る。
 このときに児童館というのはやはりいいなとすごく思いました。「見守り」とか「監視」という言葉の中で一番大事なこの文化が根づけなくなっているという御指摘は、本当に一番大事なところのような気がして、ここをどうやって行政の方と一致できるか。例えば文化とか団らん、ここはとても曖昧なところですが、そこをきちっと語らなければいけないというのがこの委員会の責任だろうと改めて思いました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。ハンドルの遊び、余分に動く余地というのですか、何とか遊びをするとか、何とか事業をするのではない、余裕のある部分というのが意外と大事で、退屈だから遊んでしまおうかみたいな、退屈さも含めて子どもに提供できるような文化ということですかね、私なりに考えますと。
 ほかにございませんでしょうか。松田委員、お願いします。
○松田委員 今、指定管理とか委託とか多いと思うのですけれども、直営か公設民営。今、見ると、公設民営はまだ46%とここにあるのですが、でも、ふえてきている印象はすごくあるのですけれども、そういう児童館の活動というか、理解とか市町村の担当者の人とのやりとりと運営主体、現場とのやりとりとか、うまくいかないところは、こちらに傾向があるとか。
 でも、民営といってもいろいろだと思いますけれども、自治体によっては、5個まとめて出しますというような委託の出し方をしているところがあったり、学童クラブとかもあるかもしれないので、ちょっとわからないのですが、そういう傾向はここの中ではそんなに差異はないですか。
○鈴木委員長 御質問でよろしいですか。
○松田委員 はい。
○鈴木委員長 わかりますか。
○野中講師 はい。今の御質問は、悉皆調査というか、量的な調査のほうでは出てなくてヒアリング調査の中でのものなので、エピソード的なものとして受けとめていただきたいと思います。
 運営主体による差異があるかというところまではまだ分析していないのですが、子どもや保護者を「お客さん、サービスの対象」として捉えているのか、それとも「地域の中で子どもや保護者が生活したり活動したりする場所で、そこを職員と一緒にやっている。当事者として運営している」かということに大きな差異があるのは感じました。
 もう一つは部屋の構造等もそうなのですが、先ほど言いました間とか団らんとか、曖昧な表現で申しわけなかったのですが、実は児童館の建設のときに、子どもが遊びに入らなくても、居どころがあるようなレイアウトのつくり方とか、インテークの設定の仕方と職員対応のスキルというのが、意識してつくられている児童館があるのですね。そうすると、子どもたちはたむろしたり、談話したり、1人でいたりするということができて、そのほかにアクティブな活動ができる。子どもの遊びとか生活の心理を考慮したレイアウトというのを持っているところとないところは、見たときに明確に分かれます。その2つがあります。必ずしも指定管理がよくて効率がどうとかというふうにはならなくて、どちらもそれなりに課題があるのだろうと思うのですが、そこはまだ分析し切れていませんけれども、この二つには明らかな差異はあります。
 もう一つは職員の問題なのですが、記録と事例検討がしっかりされているところは、そういう問題についての気づきがあるのですが、単なる経験だけで記録もないし、何の事例の検討もないというところもありまして、これは経験も蓄積されないし、子どもが見せてくるさまざまなものもノウハウとして蓄積されていないなというのを感ずるところがありました。これは多分量的な調査だけではわからない部分だと思いますので、今、私どもがやっている研究の方法では限定的にしか把握できないのですが、何らかの形でそういう問題を調査すれば、そこからヒントがあるのかなというふうにも思いました。
○鈴木委員長 よろしゅうございますか。どうぞ。
○松田委員 済みません。質問が悪かったのですけれども、すごくちゃんと答えていただいて。
 やろうとしていることとやっている人が食い違う場合があるなと思っていて、自治体がこういうふうにやりたいとか、こういう場だというふうに思って建設も含めてやってくれていると、多分中もすごく変わるのかな。環境とかどういうところに建てるかとか。
 だけど、実際はもうここの中でやりなさいと言われて入ってくる方たちが最近は多くなっているのかなと思ったので、そこもプロセスにコミットできるのかというと、運営の人たちがそこからコミットできることはすごい少ないのかなと思って、すごい影響するのだなということがわかりました。
 ありがとうございます。
○鈴木委員長 私もいろいろ見せていただいて、児童館建設のときに児童館の職員さんが設計のチームに入るというところはまずないですね。ですから、段差が多かったり、プレイルームの真ん中に柱があったりする。後から言ってもどうにもならないという児童館がかなりの数あって、子どもも含めて、チームに入れるということのほうが少ない事例ですものね。最近そういうところが出てきたような感じがしますけれども、大事なことかなと思います。
 佐野委員、お願いします。
○佐野委員  私も今の松田委員と同じように、企業、財団法人、直営館、さまざまな運営主体がある中で、差異は当然生まれてきていて、その差異を埋めるのがガイドライン、最低限ここはやってくださいよというのがガイドラインなのかなと考えているのです。どこの自治体もたくさんの運営主体が入っている中で、行政側の考え方として、ちゃんとやらない運営主体は切ればいいのだ、次はもうやめさせればいいのだということで、首のすげかえをどんどんしていくと、全体のレベルアップには絶対つながっていかないと思うのです。
 ですから、行政側がここまではやってくださいよというものをきちっと示して、それを担うように行政がもっと指導をして、研修を行い積んで、どんな企業であれ、どんなNPO法人であれ、そこのレベルまで引き上げるという動きが必要だなと思うのです。
 この児童館ガイドラインの周知率、周知していないというところとか、周知しているというところに、主体別に企業体がどのくらい入っているとか、そういう率を調べていくと、行政側が今、指定管理をどう捉えているのかというのがもうちょっと明確になってくるのではないかなと思っています。もっと全体の底上げをするためにどう考えていくかというアプローチも必要ではないかと考えております。○鈴木委員長 ありがとうございます。
 中川委員、お願いします。
○中川委員 実は私もこの調査研究に携わらせていただきました。放課後児童クラブを実施している児童館、実施していない児童館、ここにどういう活動上の差異、運営上の差異が出ているのかというのが私自身の問題意識としてございます。
 私がヒアリングに行きました自治体の児童館は、放課後児童クラブを実施されていず、午前中の子育て支援の取り組みは非常に熱心におやりになっていたのですけれども、午後からの小学生対応というのが、従来児童館の基本メニューだと思うのですがところが、放課後児童クラブは小学校でおやりになっている、あるいは放課後子ども教室も小学校等でおやりになるということになると、従来児童館の午後からの中心的な利用者であった小学生の姿がなかなか見づらいという問題に直面されているなというのを実感として受けとめて帰ってきました。
 そんな中でいろいろ工夫はされていまして、例えば土曜日あるいは夏休み等に子育て支援の取り組みと小学生の取り組みをドッキングさせたりとかされているのですが、自治体の方も、児童館で放課後児童クラブを実施していないということにおいて、児童館に対して注目する程度が、実施しているところに比べて弱いのかなという感触も得たところです。
放課後児童クラブを実施する、それは一つの児童館のあり方として大いに取り組んでいくべきだと思うのですけれども、放課後児童クラブを実施していない児童館で小学生を対象にした健全育成の取り組みがどう展開できるのか。放課後児童クラブ以外の子どもたちに対する取り組みのあり方みたいものが今、全国的に問われているのではないかなという思いがございます。
 そういう意味でいきますと、先ほど議論になっていましたモデル児童館の取り組みというのは、そこに一つのあり方を見出せるきっかけになるのではないかなと非常に注目をしているところでございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 大塚委員、お願いします。
○大塚委員 お話を聞いていて、適切かどうかわからないのですが、例えば児童館の本来の機能とか遊びの話も出てきていて、遊びに対する考え方も概念規定、それぞれの考え方が違うと思いますけれども、どちらかというと、お話の中では、一般的にはある一定の水準まではいくけれども、その反対にメニュー化されたというような傾向になりやすいと。自由のなさとかという考え方もあるのかもしれませんけれども。行政的なかかわりということになると、特に強化されるようなということかも。
 そういう中において、こういうモデル事業というのは、いや、そんなことでなくて、「多様性」という言葉がありましたが、自由な発想かな、創造的なものかな、その関連性では、みんなが、ああ、こういうこともできるのだということを提案するためのモデル事業であってほしい。そういうこととして捉えていいのですか。それとも、今の児童館はいろんなことをやって多様で、もう立派だから、そんなこと。それによってこのモデル事業の位置づけもまた異なってくるので、いかがなのでしょうか。
○鈴木委員長 野中先生、お答えいただいていいですか。研究の成果のほうから。
○野中講師 ここのモデル事業のことについては、私、不勉強で申しわけないので、そこについては言及できないのですが、今の児童館の実態は、本来が何であるかは別問題として、全体としてその地域に全ての内容が支持されていたり、大事なところだと思われている比率は比較的少ないと思います。認知率も評価も地域によって大きな格差があります。次世代育成支援行動計画等を立てるときの調査でも、市町村によって児童館に対する評価は本当にばらつきがあります。それが実態です。
 それから、必ずしも行政のほうが把握していなくて、現場のほうがいいという構図だけではありません。逆の形もあります。政策的に行政側にしっかりしたリードがあって、そこに現場が追いついてくるとか、あるいは住民の方と行政との間で、児童館はもっとこういう役割があるのではないかということの中で、現場の職員がなかなか追いつけないでいる状態とか、そういう意味でさまざまありますが、いずれにしても、標準化となるようなものがなかなかないので、国のガイドラインを普及していくことで、そこからそれぞれのレベルなり差異の中で気づくものがたくさんあるのだろうなということを2年間の研究の中で感じました。そういう範囲でしかお答えできないのですが、よろしいでしょうか。
○大塚委員 はい。
○野中講師 申しわけありません。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかにありますでしょうか。高松委員、お願いします。
○高松委員 先ほど児童クラブと児童館の位置づけということでお話がありましたけれども、行政の立場から言わせてもらいますと、補助金が明確になってきているのが児童クラブで、児童館には明確になっている補助金というのがないです。そういう意味では、児童クラブに対しては、例えば要望にお応えしていくような場面が行政の中ではある程度考えられているのですが、そこに児童館がというのにはなかなか及んでいないのがどこの市町村も現状かなと私自身は思っています。
 私は、子ども・子育て会議の委員で、事務局のほうを担当させていただいているのですけれども、今回児童クラブの条例は各市町村で設置しなさいということでしたので、条例化されたので、定員数ですとか枠ですとか、子ども・子育て会議のほうでは審議のベースに乗っています。ただし、児童館ということになると、そこにも現状としては乗っていないので、市町村の部分として児童館を子どもの施策としてしっかり位置づけてあるところと位置づけていないところの格差というのが開いていったのかなと私自身考えています。
 ただ、先ほどもありましたけれども、行政担当者が児童館のあるべき姿、子どもの遊び、学びに気づいていかないというのは本当に現実的にあると思うのですが、実際に子どもの育ちを感じたときに、遊べていない、学べていない子どもたちの多い中で、そこに代替施設があるかというと、なかなかない現状の中ではない、だからこそ、児童館をすごく大事にしていかなければならないなと本当に思っています。
 今回モデル事業に応募させていただきましたが、遊べていない子どもたちは学べてもいない、将来の目標もない。将来の目標というか、将来が描けない。都心部であればいろいろな行政、文化、いろんなところで知り合う機会が多いのですけれども、田舎の子どもたちというのはそういう文化的なことも不足している。そういうところから学習意欲がなかったり、遊びの意欲がなかったり、そういうこともあるのかなと私自身、感じております。
 モデル事業を一つのきっかけとして、いろいろな角度から事業を行い、児童館ではこんなこともできるのだ。児童館ではこういうことで子どもたちの育ちを応援できるのだ。そして児童館施策自体が行政の中で大きなウエートを占めていけるようにモデル事業を活用できたらと考えています。今回やらせていただきたいということで手を挙げたからには、何とかやってみたいなと本当に思っています。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 大分時間も迫ってきましたが。羽崎委員、お願いします。
○羽崎委員 私も最近、全国の放課後児童クラブとか放課後の教室とか、あるいは児童館、いろんなところに行ってそこの方たちと話したり、実際に私が子どもに触れるというのはかなりの数やってきているのですけれども、児童館のこれからを考えたとき、先ほど「遊び」というテーマが出てきたのですが、これは別に教室とかクラブというだけでなくて、全国の子どもにかかわるところというのは、実はみんな「遊び」をテーマにしているのですね。これは民間であろうと何であろうと。その人たちは、「遊び」を一つのテーマにしながら、自分のところにいかに子どもを連れてくるかということに大変必死になっているのが現実だと思うのです。それは少子化の問題などとも全部絡んでいるのです。
 だから、そういう中で、例えば児童館の遊びというのはどういう特徴があって、要するに、子どもにとってそれが魅力的かどうかというのは、遊びをどういうふうに考えていくかというとき、物すごく大事な要素で、それは何かというと、全国の子ども関係の人たちが、子どもを自分のところに持ってこようと思うと、遊びなのですよ。魅力的な遊びをどうやって。例えば今は塾や何かでも遊び的にどうやってやるか。子どもたちを遊びと学びにどうやってくっつけていくかということを必死になってやっていく時代になってきているわけです。
 私はどちらかというとスポーツ関係の人間で、スポーツでもそうです。サッカーなどと言ったら、もう遊びですね。小学校時代、遊びを一生懸命やらせるということになっているわけです。
 そういう面では、児童館がこれから遊びというのを考えたときに、「児童館ならではの遊び」というテーマを考えて、極端に言えば、あそこの児童館はこういう遊びだということ、遊びの軸になるような。児童館の遊びのこれというのはジェネラルで、抽象的なのです。極端に言えば、どこかのサッカークラブがこういう遊びを通してサッカーをやっていると言ったら、そちらのほうがはるかにアピール力が強く出てしまう可能性があるのです。
 だから、児童館も例えばその地域に4つあれば、4つの児童館が全部特徴的な遊びのテーマを持つということをしないと。要するに、子どもにアピールする。ただ遊びをするから来てくださいというのでは、今の激戦、子どもの取り合いの中ではなかなか勝てないのではないかという気が私的にはするのですね。
 それともう一つ、児童クラブとか教室というのがあって、そこには子どもがいるのですね。私もそこで子どもたちと遊びを一緒にやるときは、子どもたちがもういるというのがわかっていて、そこでやるというのは、実はエネルギーが湧くのですね。何とかしようと思うのです。子どもたちにとっていいものをしたい。今は学童でも幼児期と同じように、養護だけでなくて、学びの部分をどうやってとるかというのを当然考え出してきているので、遊びの中にどういうふうに求めていくかということを物すごく考える。それは何かというと、行けば必ず子どもがいてくれるというところは、いろんなものを考えるときにエネルギーになるのです。
 ところが、もし児童館でこういうのをやったけれども、子どもがほとんど集まらないということがどんどん繰り返しで来ると、そこの職員そのものも少しずつ疲弊していくというか、そこがあると思うのです。
 これから研究会などでも児童館の遊びを考えるときに、今までは非常にジェネラルで、物すごく抽象的で広い世界だったのだけれども、子どもたちにとって遊びを魅力的にするときにはどうかという思い切った考え方を持たないと、この激戦の中で子どもたちに集まってもらうことは厳しいと思う。子どもが来なければ、そこで担当している人たちはどんどんマイナーになってくるということも実際にありますね。
 今、学童とか児童クラブ、併設で児童館があるところがあるのですけれども、児童館のプログラムと学童のプログラムを一緒にやってしまおうというぐらいの感じを持つ。学童がそこに来ている、50~60人集まってしまうわけですから、そのぐらいのことをやろうということは言っているのです。
 遊びを考えるときに何かはっきりした明確なものをこれからつくり出していかないと、そこで例えばプロパガンダして広報するにしても、何か魅力的なアピール力がないのではないかと最近は実際に感じるときがありますね。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 大分時間も迫ってきました。おっしゃるとおりで、なかなか魅力的なプログラムをつくっていくのは難しいなと思いますけれども、片や、こどもの城が閉鎖するときに、ディズニーランドができた、USJができた、キッザニアができた、もう公立のつまらないところは要らないよねという議論で閉鎖されたということも考え合わせると、公立、公的な児童館は何をベースに置くかというのが、また一つ専門委員会の議論になりますね。児童福祉施設なのだ、児童福祉施設で面白くするにはどうしたらいいかというのがテーマかなと考えられます。
 長らく聞き役になっていただいていますが、事務局、野村室長、この辺で総括した御意見があれば、ぜひ一言。
○野村少子化総合対策室長 総括をするほど偉くないのであれですけれども、今日、特に前半でごらんいただきました今年度事業の調査研究事業の話ですが、19応募があって、辞退1というのもありましたけれども、16ということで、採用させていただくことになりますが、今日お持ち帰りいただいて資料にお目通しいただいて、注意すべき点とか、こういったところにもうちょっと踏み込んでみたらどうかというアドバイスとか、そういったところをまたいただければと思います。
 事務局がこういうことを言っていいのかどうかあれですが、事務局というか、私の目で見ても、この会議の名前に忠実に、「遊びのプログラム」の開発とか普及といったところに非常に国語的な意味で限定に限定をかけてというか、狭くやっていくと、えっ、これは本当に対象になるのかと思えるものも入っていると思います。補助金交付の対象にするかどうかという評価の軸というところで、斬新性があるかどうかとか、そういったところは余り切り口にしておりませんでしたので、そういったものがあるかもしれません。
 なのですが、それぞれ地域の児童館で子どもと向き合う、家庭と向き合う中で、こういうことが課題だろうなということについて、では、自分らとしてはこういうことをやってみたい、あるいはふだんの児童館活動の中で、一発イベント的なものかもしれないけれども、こういうのをやって、児童館という場、フィールドを軸にした子ども同士の関係づくり、地域との関係づくりというのをやってみたいということで、それぞれの地域で抱える課題なり、それぞれの地域の現場のスタッフなり、あるいは行政当局からの御提案もあるみたいですが、問題意識があっての御提案と受けとめておりますので、そういう意味では、私たちは純然たる新しいプログラムを開発するのだというものでなかったとしても、つまり、既存のプログラムについてのマイナーチェンジ的なものであったり、あるいは既存のプログラムはやるのだけれども、そのプロセスについてやってみるのだということにとどまるものであったり、そういうのがまざっていると思います。
 そういったものも含めてプログラムに磨きをかけていくというのも大事かなと思いましたので、必ずしも一から新しいプログラムが生まれてこないようなもの、恐らく過半がそうなるのではないのかなと思いますが、そういった目でごらんいただいて、例えば中身を見たら、余り新規性がないなということでも、だけど、こう書いてあるところについて、こうやって踏み込んでやればよりよくなるのではないかとか、あるいはこういうふうにウイングを広げたらよくなるのではないのかとか、そういった形からいろいろ現場のほうにというか、取り組まれるところに気づきのきっかけといいましょうか、注意の段々といいましょうか、そういったものをいただければ、ありがたいなと思っております。
 19出てきたもの、一通り私のほうでも目を通させていただきましたけれども、正直言っていろんなレベルのものがあるなということ、それといろいろな問題意識を感じる。いわゆる「児童館」と言われたときに、ぱっと想像できる、小学生の子どもたちがよく集まってくるようにこういうことをしようとしているのだなというところもあれば、昨今話題になっている中高生の居場所をどうするのかというところで御関心を持っておられるところもあったり、あるいは中高と限るのかどうかわかりませんけれども、学習支援という絡みで何かできるのではないのかと。児童館となると、学習なのだけれども遊びというのを導入に、ないしは学習を切り口にしながらも、そこに遊びを後ろからかませていくとか、そういうアレンジを考えながらいろいろ苦悩しておられるのかなと思います。
 そういう意味では、この1年を通じてやってみて、これで一つの新しいプログラムができたとか、あるいは既存のプログラムについての工夫策というか、改善策ができたという形にはまだ届かないというものもひょっとしたら出てくるかもしれませんが、そこはある程度。だったら、そういうのはやらせないよというのでなくて、やってみて、どこまでできるかというのを評価するのもこのあたりで一つやってみなければいけないことなのかなというふうにも考えている次第でございます。
 16の中には、トライをしてみたけれども、結局、さっぱわややでしたと。つまり、だめでした、次につながることがありませんでしたというのもひょっとしたら出てくるかもしれません。ただ、その場合には、何がだめだったのかといったところについて整理をしていくというのも必要なのかな。当然プログラムとして共有する、あるいはこういうやり方をすればプログラムがうまくいったという成功体験の共有とかノウハウの共有というのも大事なのですが、一方で、失敗した、あるいはいまいちだったというのだったら、それの共有ということにも意味があると思いますので、そこは虚心坦懐に、現場現場で今回調査委員会をつくってもらうことになりましたので、そういったところも含めて報告、分析をやっていくということが大事なのかなと。
 要は、失敗を恐れずチャレンジをするというつもりで当然応募しておられると思うのですけれども、それぐらいの余裕と言うと、また公金の使い方として怒られるかもしれませんが、それぐらいのつもりで専門委員の皆さん方からも気づきの点についてはぴしっと言うと。その一方で、ある程度任せて見守ると。山本五十六の言葉ではないですけれども、そういったところも含みながら取り組んでいく必要が我々事務方としてもあるのかなと思います。
 そういう意味では、「モデル」と言うと、どうしても模範というふうに捉まえがちなところもあるので、確かにこれだけ短期間の間で企画書をつくって応募してきたという意味では、モデルたらんとするという気概もあるのだと思いますが、ある意味「試行」という意味のモデルという意味も。両方あるのかなと。何が何でも優等生、模範とかいうのではなくて、トライをしてみるという意味でのモデルであってもいいのかなと思います。
 こうした中からそれぞれの現代的な課題、ないしはこれからの児童館が地域の中で、遊びというのを一つの機軸にしながら、地域の子どもたちが直面している課題に応えるようなプログラム、行動内容、活動内容といったものを考える一つのきっかけにしていけるというのがあればいいのかなと。そうした中から、よりコアな部分として「遊びのプログラム」、今ある五百幾つかのメニューの改善につながっていくとか、追加につながっていくというのが出てくれば、それはそれでいいですし、いろいろなプランがあって、確かにこんなにいろいろ並べてどうするのだいというところもあるかもしれませんけれども、それは、進めていく中で、やる分にはやっていいのだけれども、では、今回モデル事業というか、この調査研究事業の中でスポットを当ててプログラムとして分析するような、5つやる中の2つは、特に報告では重点を置いてみようとか、ちょっとめり張りをつけるとか交通整理とかも必要があれば途中でやっていただくとか、そういう形でサポートをお願いできればなと思います。
 そういう意味では、先ほど数が予想していたのとどうかということ、うっというような御指摘もありましたが、16の中を見てもいろいろな差、違いがあると思いますので、そういったところをごらんいただいて、お気づきの点があれば、またアドバイスをいただければなと思っております。
 ちょっとまとまりのない話で恐縮でございますけれども、以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。大変緩やかにしっかりとというふうに励まされたような気がいたしますので、ぜひ見守ってまいりたいと思います。
 時間が参りましたので、これできょうは閉じたいと思いますが、また意見は6月1日までにいただいたり、今後必要があれば、事務方と御相談して、ワーキングをつくるなり間隔を狭めてこの専門委員会を開くなりということを御提言したいと思います。

私もきょう伺っておりまして、児童福祉の子どもに対する理念に共感して今まできた者でございますけれども、児童館がなければ、この部分の子どもは救出というか、救えないというか、支援できないのだということをどこかで証明できる専門委員会になれるように努力して参ります。そうすると、例えばモデル児童館を実行していただくときに、モデル児童館をやった児童館の子どもや親御さんや地域の方と、それをしなかった対照児童館、研究的に言えば、対照となるような児童館と同じアンケートをとって、結果に有意差が出るとか、そういうふうに数値化して、モデル児童館の意味だとか、あるいは児童館はやはり活性化しなければだめだということを何とか言語的に論証したいと思っています。
 今後の展開として、16のモデル児童館に必要に応じて専門委員の先生方に行っていただくということも大変ですね。行っていただいたときに共通概念で支援してくるような形もつくっておかないと、個人差が出ては困る研究ですから。そのような調整もかなり大変になると考えています。きょう御発表いただきました野中先生のところの研究も、次年度、もし3年目に入れば、細かい分析や調査で必要なもの、ないしは事前にモデル児童館に用意しておいていただきたいようなものを共通認識にして、お力添えをいただいたらよいのではないか、ということも皆さんに御提言申し上げたいと思っております。きょうはこの辺で閉じさせていただきます。 具体的には各委員の方々に少なくとも相当の御苦労をかけるようになると思いますので、ヒアリングや御指導や御提案や、そういった意見をいただきながら、いろいろとありようを考えてもみたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いをいたします。
 それでは、予定の時間をちょっとオーバーいたしましたので、このあたりで議事を終了させていただきます。
 事務局から連絡がございましたら、お願いいたします。
○大津少子化総合対策室長補佐 次回についてでございます。当初7月下旬を予定しているとお示しさせていただいております。具体的な日にちを申し上げることができない状況でございますが、今後の対応につきましては、委員長と相談の上、できるだけ早目に御連絡させていただきたいと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了いたします。
 皆さん、貴重な御意見、ありがとうございました。


(了)

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