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2016年10月26日 第20回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成28年10月26日 14:00~16:00


○場所

田中田村町ビル5階 会議室5A(東京都港区新橋2-12-15)
http://www.kaigisurunara.jp/access.html


○議題

・室内濃度指針値の見直し等について
・その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第20回「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を開催いたします。

    委員の先生方には、御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。

   本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし喧騒に当たる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなどの留意事項をお守りいただきますようお願いいたします。

   前回の検討会以降、委員の入れかわりがありましたので、御紹介いたします。

   新たに香川委員が御就任されております。

   本日は田辺委員より御欠席の連絡をいただいており、委員の総数12名のうち11名が御出席でございます。

   また、事務局に6月21日付で異動がありまして、化学物質安全対策室長に日下部が着任しております。

   これ以降は議事に入ります。座長の西川先生、以降の議事進行をお願いいたします。

○西川座長 それでは、最初に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料を確認させていただきます。

   議事次第

   座席表

   委員名簿

   資料1-1 室内空気環境汚染化学物質調査において検出された化学物質の初期暴露評価・初期リスク評価の結果について

    資料1-2 指針値の見直し候補となる揮発性有機化合物について(案)

   資料2 平成27年度室内空気環境汚染化学物質調査(冬季全国実態調査)

   参考資料1 シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会の開催について

   参考資料2 室内空気中化学物質の指針値の見直しの仕方等について

   参考資料2別紙 室内濃度指針見直しスキーム

   参考資料3 室内空気環境汚染化学物質調査において検出された化学物質の初期暴露評価・初期リスク評価に係る文献一覧

   参考資料4 指針値の見直しに関する文献一覧

   参考資料3の下に参考資料3の文献を束ねたもの、参考資料4の下に参考資料4に関する文献を束ねたものがあります。文献を束ねたものにつきましては、著作権の関係や分量が大量にあることなどから、メインテーブルのみに配付させていただいておりますので、御了承いただければと思います。

   以上でございます。不備などございましたら、お申しつけください。

○西川座長 よろしいでしょうか。

   それでは、議事(1)「室内濃度指針値等の見直し等について」でございます。

   まず、前回の検討会から半年ほどたちましたので、室内濃度指針値の見直しスキームについて、共通の理解を持った上で効果的に議論するために、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、参考資料2をごらんください。

   こちらは、平成25年の第17回検討会におきまして御了解いただいた「室内空気中化学物質の指針値の見直しの仕方等について」でございます。

   2枚目のスキーム図をごらんください。

   新たに指針値を設定する化学物質の採用に当たりましては、右横の四角で囲った部分にございます居住環境内における全国実態調査等において高濃度・高頻度で検出された化学物質やWHOガイドライン等で指針値が設定されているもの、左横の四角で囲った部分にございます暴露評価等に資する情報などから、対象とする化学物質をリストアップしまして、一番上の四角で囲った部分にございますように、「A.WHO空気質ガイドライン等の指針値を十分に下回っている場合には採用しない」「B.室内発生源の寄与が低いと考えられる化学物質は採用しない」といった点を考慮することとしております。

   その結果、検討対象となりました化学物質につきましては、下の矢印に進みまして、初期暴露評価に続いて、既存のハザード情報をもとに初期リスク評価を行い、これまでに指針値を策定した化学物質の主要な用途・発生源かどうかも考慮し絞り込みを行った上で、詳細暴露評価・詳細リスク評価を行い、室内濃度指針値を設定することとなります。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございました。

   委員の皆様方におかれましては、このスキームに従って、御検討いただければと思います。

   それでは、1つ目、初期暴露評価と初期リスク評価についての結果の報告です。

   広瀬委員から御報告をお願いいたします。

○広瀬委員 それでは、スキームによりますところの初期暴露評価、それに引き続いて行った初期リスク評価の結果のサマリーについて、資料1-1及び資料1-2について、その内容について御説明させていただきたいと思います。

   最初に、初期暴露評価ということで、検討の対象にする暴露物質を選定するといった観点で物質の選定を、毒性評価を始める前に行いました。それは、これまでの過去の実態調査とこの検討会で酒井委員や神野委員から示していただいた物質の中で、高濃度・高頻度で検出された化合物を選定しました。

   その選定に当たっては、資料1-1を見ていただくとわかりますけれども、「室内環境中の主な発生源」ということで、発生してしかるべき発生源があることがわかるといった物質ということで、物質を選定したということになります。

   初期暴露評価・初期リスク評価の区別は難しいのですけれども、たとえデータが出たとしても、毒性データがないということなると先に進めないということもありますので、その中で、かつ、少なくとも反復投与等の詳細な毒性の出たデータ、単回投与だけではなくといった観点で毒性の指針値が決められそうなデータがありそうな物質ということで選定した結果がこの11物質ということで整理できたところです。

   主な発生源は、そこの表に出ていますけれども、多くは塗料の壁紙あるいは可塑剤のプラスチック、家庭内のそういう主に内装等で使われるような材質から出てくるような物質、この辺につきましては、神野委員や酒井委員などから情報をいただいて、まとめていただいたところです。

   リスク評価をするに当たっては、実態調査と有害性との比較が大事になりますので、プライオリティー、優先順位をつけるという観点からも、まずは最も高い値、左から3つ目のカラムですけれども、これまで最高で検出された濃度を指標として、その値にどのくらい毒性データが近いか、遠いかといったことが多分、優先順位の判定になるのではないかという観点で、この表は整理しています。

   左から3つ目のカラムは、それぞれの11物質についての検出最高濃度、その最高の濃度の出方も、新築あるいは主に夏、あるいは冬季の暖房器具等の影響で出てくるなどといったことも検討できるように、検出時期のデータも整理してここに載せているところです。

   次に、今、この11物質についてある程度の毒性の指標をする指針値、一口に指針値をつくるといっても結構大変な作業ですので、ここではまず初期的なリスク評価というものを行いました。初期的なリスク評価をどういうことで行ったのかの詳しい説明はここに出ていませんけれども、それぞれの11物質について網羅的に文献検索、あるいは国際的な評価書等から、急性毒性あるいは刺激性、感作性、慢性毒性、生殖毒性、発がん性、発生毒性といった観点でデータをそれぞれについて網羅的に収集しまして、その中で、指針値を策定する場合は、最も毒性の感度が高い指標を使うといった観点で、ここは、最終的には毒性の中身をもっと精査するわけですけれども、少し機械的に最も低いNOAELあるいはLOAEL、低いところで毒性が出た試験を抽出して、そこを並べたものが一番右側の「NOAELLOAEL)の根拠」となっている情報になります。ですから、それぞれの物質について、最も低い数値、毒性的な指標値が出たものを抜き出しています。それぞれの文献については机上配付で、委員以外のところはリストだけという資料となっていますが、多くは公表されている文献ですので、そこに当たっていけばもとの情報にたどりつけるものですけれども、その文献の中の毒性指標値を抜き出したということで、ここで示されているところになっています。

   その選択の仕方は、室内空気指針値ということですので、基本原則としては、慢性で吸入試験を行ったデータを優先として採用しています。ただ、慢性の吸入試験は、たくさんの物質で試験されていることはないので、この中で1つ、2つ、今回の場合は慢性を2年間やっているのは、メチルイソブチルケトンですね。それが慢性試験を行ったデータなので、これで選ぶということを行いました。ただ、慢性試験があっても、亜急性試験で例えば低いデータがあった場合には、この場合は低いデータを使うことを少し優先していますので、慢性があっても亜急性が選ばれていることもあります。
 次に、なるべく吸入試験で得られた毒性指標ということで、長い試験から優先的に、低い指標値となるものから優先的にとりまして、そういうデータがない物質も幾つかあります。その物質については、次善の策ということで、これまでのシックハウスの指標値でも使われているのですけれども、経口暴露での最も低い毒性指標を吸入暴露相当に換算して、その値を用いるということを行いました。

   例えば上から2つ目のテキサノールについては、余りたくさんのデータがなかったのですが、唯一反復投与で使えそうだったのは、15日間の強制経口投与のNOAEL:100mg/kg、この値しかなかったわけで、これは公表された文献として最も低い指標で、経口投与試験なのでそれを吸入暴露の換算値に変更する。このように毒性指標として11物質についてまず選定しました。

   最終的には気中検出濃度、どのくらいその毒性指標に差があるのかということを調べた比較の欄が真ん中の「初期リスク評価の結果」と言われるところで、3つの列が示されています。左側がNOAELまたはLOAELの体内負荷量、動物の吸入試験ですので、一旦動物の吸入量に変換した後、ヒトでの呼吸量に割り戻すやり方をこの場合は行っています。ですから、一旦は吸入あるいは経口でNOAEL等の毒性指標を出していますけれども、それが全部体に入ったと仮定したときの換算値としてNOAELを出しています。ですから、ここでは気中濃度ではなくて体内負荷量という単位で、体重当たり1日当たり何ミリグラムの摂取が毒性指標値の値に相当するであろうと考えられます。
  NOAELまたはLOAELは無毒性量で、無毒性量が実験にとって求められないときは、LOAELをここでは数値として出しています。その値をヒトでの24時間の呼吸をしたときの平均濃度になるという換算を行ったのが、その右側の列でして、NOAELLOAELに相当するヒトでの暴露濃度μg/m3 を計算しました。これが動物試験でいうところの動物による体内負荷量をヒトで換算したときの、そして、さらにその吸収量をヒトの呼吸量にまた戻した値は、この暴露濃度になります。それが例えば一番上の2-ヘチル-1-ヘキサノールであれば282μg/m3 、これは24時間平均値という値で補正し直していますけれども、こういう値になる。それで、それぞれの11物質について計算したものがその列になります。

   それで、最終的にはこの濃度が家庭内で検出されている最高濃度よりもさらに高ければ、動物で出るような毒性の濃度ではないということがわかる。それを比として求めたのが、最高濃度とのMOEMOEというのはMargin of Exposureで、動物での毒性指標と、ここでは最高検出量を対象としますが、つまりヒトの最高検出濃度、これは24時間中の一過性の値なのですが、24時間平均暴露値とこのピーク値との比ということで、必ずしも同次元の比較は行われていないのでリスク評価としてはかなり過大評価ではあります。

   そういった観点で見ると、例えば2番目のテキサノールであれば292倍、このMOEがどのくらいあればいいかということが次は問題になりますけれども、ここは優先順位を求める観点からは、この値が大きいほうはそれほど懸念がない。小さい値であれば、ある程度の懸念があるというか、指標値をさらに毒性評価あるいは暴露評価をもっと詳しく調べて検討する必要があるのではないかという指標になるということにしています。例えば、ごく一般的な話とすれば、慢性影響のデータがあった場合とヒトでのデータがあった場合のヒトでの無毒性量、ヒトでの最高暴露濃度の比が、通常の化学物質の場合ですと、100ぐらいが大体の基準になっている。それは安全係数に使うのは大体100だということから考えられるところです。幸い、ここで見た値はぱっと見は100を切る値はないというところですけれども、今後はまた毒性評価を精査した場合は、微妙に値がずれていくので、最終的なリスクをあらわしているものではありません。

   なお、実は検出濃度について、細かい話になりますけれども、これはトルエン換算での濃度の数値になっているところです。実際に毒性の数値はそれぞれの化学物質の分子量を換算したときの濃度ですので、そこにはまた分子量の差が少し不確実係数として混在しているということで、トルエンより分子量が大きい物質の場合は、ひょっとしたらもうちょっとマージンが小さくなる結果になるかもしれません。

  ともあれ、大まかな目安として、どういったところから手をつけていればいいのかということが導き出せるような初期評価を示したのが、この資料1-1になります。これがこれまで主に指針値、基準値が決められていなかった物質について調査して、優先的に高い物質であろうといった物質を選定わけです。

   続きまして、資料1-2、こちらにつきましては、既に指針値が設定されている物質について見直しをしてはどうかという案で、これは毒性の評価の観点から資料として作成させていただきました。

   既に指針値が設定されている物質のうちで、指針値自体が主に2000年から2002年、2003年の間に多分策定されていますので、既に15年以上時間がたっているということで、新しい毒性データもたまっている。その間にもっと感度の高いあるいはより妥当な毒性評価はないかということで、こちらについても2000年以降の新しい文献について調査した結果、従来の基準よりも低い値を見つけることができた物質として、4物質ありました。

   その4物質はキシレン、エチルベンゼン、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの4物質でした。それぞれについて、その発生源を示していますけれども、これはもとの検討会のところから出てきたものを抜き出しただけでして、これについて、室内の現行の指針値をそこで示しています。キシレンは870μg/m3 、エチルベンゼンは3,800μg/m3 、こういった値が2000年の評価での報告で指針値として策定されたわけです。

   それについて、例えばキシレンでありますと、その最初の知見ということで、そこで過去の値と現状が説明されていますけれども、現行の指針値というものは、実は妊娠ラットの吸入暴露の中枢神経影響というものを根拠にして設定されたところですが、米国のATSDRという主に化学物質の評価を行っている評価文書によりますと、例えば慢性のしかも吸入暴露については、ヒトでの影響ということを指標について、そのときのLOAEL 14ppmを根拠に、不確実係数はそこに書いてある300という値を適用していますけれども、0.05ppm、μg/m3 に換算すると、約200μg/m3 が、妥当な指標値ではないかというのを、評価書レベルで公表されているところを見つけることができました。

   これは従来の870μg/m3 よりも低い値ですし、従来の値は動物の値を用いた。今回はヒトでのより低いところで幾ら出るというものを指標にしているので、基準値、指針値としては、870μg/m3 より200μg/m3 がよいのではないか。これにつきましては、米国の評価をそのまま使うというわけではなくて、この後、もっと詳細な評価をして、指針値、米国と日本では体重からの呼吸への変換、あるいは体重のデフォルト値等々、実は細かいレベルで評価の設定が違いますので、この200μg/m3 がそのままになるわけではないですけれども、おおむねこのようなレベルになると思われます。おおよそNOAELで比較すると4分の1相当ぐらい、動物は0.20ppm、ヒトの場合は、これは24時間暴露の平均がかかってくるので、そのまま比較することはできませんけれども、0.05ppmですね。そういった観点から4倍ぐらい低く設定し直したほうがいいのではないかという最近の毒性の知見からのそういう提案ができるだろうということで、再評価の候補物質として、キシレンを挙げることができるということで、ここに示したところです。

   同様の観点で、エチルベンゼンについては、2000年当時は13週間、短期の試験だったのですけれども、そのすぐ後ぐらいに、実は2010年の評価では、2年間の暴露のデータも新たに公表されていまして、それから求めると、これはかなり違うのですけれども、3,800μg/m3 から250μg/m3 相当、約10分の1近くになりますけれども、そういった値のほうが妥当ではないかということで、エチルベンゼンが示されているところです。

   あと2つ、フタル酸ジ-n-ブチルとDEHP、こちらにつきましては、実は2000年の評価の当時、あるいは、経口暴露、これらの物質は吸入暴露の実験はほとんどないので、経口暴露の実験しかないのですけれども、そのときも厚労省あるいはIPCSというWHOの化学物質の評価の国際機構ですが、そこで求めたTDIを参考に、その値から吸入への換算を行って、当時は室内指針値を決めています。これも実は2014年に食品安全委員会で日本としてもTDIを再評価というか、時間もたったので再評価して経口暴露のTDIを設定したところ、当時2000年に厚労省あるいはWHOでつくった値よりも低い値が公表されております。これは換算の仕方を同じようにすれば、TDIの違いの比の分だけ室内濃度指針値をある程度低くすべきであろうと。例えば、フタル酸ジ-n-ブチルであれば、40μg/kg/dayから140μg/kg/dayというTDIだったわけですけれども、最新の食品安全委員会は5μg/kg/dayになっている。約10分の1近くは低い値がTDIとして設定されていますので、室内指針値も10分の1近く下げたほうがいいであろうと。
  DEHPについては、それほど大きな違いはないのですけれども、66μg/kg/dayから30μg/kg/dayなので、約半分ぐらいの低い値になるということが、再評価すると設定し直すことができるであろうと。そういった観点から、過去の指針値のうち、この4物質については、数倍から10倍近く低い値を設定したほうがいいのではないかということで、資料1-2を説明させていただいたところになります。

   以上が、資料1-1、資料1-2の説明になります。

○西川座長 ありがとうございました。

   それでは、初期暴露評価と初期リスク評価の結果について御検討いただきたいと思います。

   ただいまの御説明ですと、参考資料2のスキームでいきますと、全国実態調査において、高濃度・高頻度で検出された化合物で、既に指針値が設定されている化学物質の主要な用途・発生源を考慮して絞り込んだ化学物質が、この資料1-1の11物質ということです。

   また、資料1-2が、既に指針値が設定されている物質、全13物質のうち、最新の知見に基づき指針値見直しの検討候補となり得る化合物も選定していただいたということであります。

   ただいま御説明について、委員の先生方からコメント等がございましたら、お願いいたします。

   角田委員、どうぞ。

○角田委員 これだけまとめられるのは非常に労作というか、すばらしいことだと思うのですが、気になったところが数点ありまして、一つはNOAELLOAELが、NOAELまたはLOAELとしていますが、次のことでもありますように、やむを得ずLOAELLOELを使う場合には、10分の1にするということはよく毒性評価、許容濃度などでもやっていますので、LOAELLOELを使っているのが、4と7と11なので、これに関しては、LOAELLOELなので10ぐらいを考えたほうがいいのではないかと思いました。

   細かなことですけれども、体内負荷量はそれぞれの実験の体重をもとに換算されたのか、あるいはラットなら何グラムなどとやったのかということと、ヒト暴露濃度の換算のときにどう換算したのかという計算式ぐらいはあってもいいかなという気はいたします。

   細かいのですけれども、7のところの3-メトキシ-3-メチルブタノールは4週間なので、これは別で9番は28日間亜急性と書いてあるので、これは亜急性だと思うのですけれども、7、9、10が亜急性で、2と3は経口投与で、2は、これも亜急性レベルで、3はあえて言うのならば亜慢性に近いぐらいかなと思うのですけれども、これも考慮に入れるべきかと思いました。
11だけが慢性なので、これは慢性の値ということで、非常にわかりやすいと思うのですけれども、これもLOELだということも気にしなければいけないと思いました。

   ヒト暴露濃度のところがマイクログラムになっているので、桁がかなり大きくなっているのが気になるところなのです。こちらの実験結果は大体ミリグラムでこちらがマイクログラムなので、この辺の比較が難しいかなというところも思いました。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございます。

   幾つか御指摘いただいたのですが、単位を変えることは簡単にできることですし、試験の内容を亜急性、亜慢性、慢性、これも整理すればいいことだと思います。あとは、計算式をどこかに書いたほうがよいという御指摘ですね。それも含めて検討したいと思いますが、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 御指摘はごもっともで、文言あるいは計算式の必要性については、修正したいと思います。
  LOAELを確かに便宜的に10で割ったということにすれば、左の表の数値の並びが見やすいということは確かにそうなのですが、さらに、慢性、亜急性というファクターも実は考慮しなければいけないので、そういう観点から、あえて今回LOAELNOAELの換算もしない形でまとめた経緯があります。言いわけになりますけれども、そういう観点で示した値です。

   体重につきましては、論文にそのまま変換が出ている場合はその値、そうでない場合は化審法のスクリーニング評価で使うデフォルトを実は使っていまして、ラットの場合は200グラムか、350グラムとか、そういったデフォルトを使っているということと、マイクログラムにつきましては、見やすさをどちらにするのか迷ったのですけれども、最高検出濃度がμg/m3 だということで、比較のしやすさで選んだだけです。もちろん、ミリグラムにすれば、これは全部1000分の1になるということで、それが御指摘と質問への答えにさせていただきます。

○西川座長 ありがとうございました。

   そのほか、よろしいでしょうか。

    では、東委員、どうぞ。

○東委員 今の角田先生のお話にもかかわるところで1点だけお願いしておきたいところがあるのですけれども、MOEの見方なのですが、今、お話にあったようなLOAELNOAELの違いがMOEにも本来は反映されないと、今、比較が物質間でできない状態になっていると思うのです。亜慢性、慢性という、これは暴露時間も15日、28日、44日、90日、2年間という非常に幅広い期間が混在した状態になっていますので、これも本来MOEに考慮しないと、物質間の比較ができない状態になっているということがもう一点あるかと思います。

   それから、全て動物実験のデータなので、ヒトのデータが入ってくれば、本来はヒトと動物の種差のところも考慮していかないと、MOEが物質間でできないことになっていると思うのです。そのあたりを、もしできれば今回のMOEについては、物質間では大きい、小さいを単純に比較できないというところをどこかにつけていただいたほうが、誤解がなくていいのではないかと思っております。

   本来、多分リスク評価をする場合は、一つ一つ物質ごとにそのあたりをこのMOEに対してコメントを入れて、LOAELNOAELの違いとか、試験期間の違いとか種差、あるいは感受性の違いなども含めてMOEの値が検出最高濃度と比べてどうであるかということから、リスクとして大きいか小さいかという判断をすることになるかと思いますので、その点をお願いしたいということが1点です。

   もう一点、誤解のないようにということもありまして、真ん中のリスク評価のところで、ヒト暴露濃度のところのμg/m3 なのですけれども、これはヒトのNOAELLOAELではないと思います。あくまで動物のNOAELLOAELがヒトの暴露濃度に換算されたことになると思いますので、ヒトのNOAELLOAELではないというところも少し入れておいたほうがいいと思います。種差のダイナミクスなど、キネティクスですか、そちらが考慮された濃度換算にはなっていないというところがありますので、そのあたりも入れたほうがいいかと思っています。

   いろいろあるのですけれども、一旦切らせていただきます。

○西川座長 できるだけ一つ一つ議論させていただきます。

   一つはMOEの数値、これは恐らく一番厳し目の値を採用されていると思うのですが、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 確かに実際はMOEは、それぞれの物質の短期、長期、あるいはLOAELNOAELを考慮した後に設定して、それは実は初期評価では無理で、詳細評価である程度指針値を設定した後で、実際の暴露とMOEが大きいか小さいかということでないと確かに比較できないので、ここはどこまでの換算の値でMOEにするのか迷ったので、今回は動物実験の値をそのまま使うということで整理したということです。

   実際には、例えばもっと初期評価ということで考えると、短期の場合はもうさらに10とか、最初に全部デフォルトで掛けた上で、物質の横並びができるということは多分、物質間で書くという意味では、そちらのほうがよかったのかもしれないということで、それは今後の検討、時間はかかるということです。
NOAELLOAELの相当というのは、確かに頭出しのところに、「動物の」などと入れて、「動物のNOAEL又はLOAELのヒトでの相当換算量」ということで、そこは誤解が少ない修正が必要かと考えました。

○西川座長 あと、MOEの意義ですけれども、種差や個体差が入っていないということですが、それは評価をする際に、先ほど広瀬委員からも説明があったように、100以上があればよいのではないかという考えは、種差10、個体差10という考えが導入されますので、MOEの数値自体にはそういう点は加味されていないということだと思います。よろしいでしょうか。

  東委員、どうぞ。

○東委員 参考にされた実験データについてなのですけれども、2-エチル-1-ヘキサノールなのですが、これはラットの吸入実験のデータを使われているのですが、2-エチル-1-ヘキサノールは、ヒトボランティアのデータが結構使われていると思うのです。これは例えば日本産業衛生学会の許容濃度が先日出たのですけれども、そこも2-エチル-1-ヘキサノールはヒトのボランティアのデータを使っています。具体的には、2005年のヒトの目の瞬目回数とか、あるいは鼻刺激のデータを使ったものがあって、それを使っていまして、ほかにもドイツの指針値とかあるいはEUの職業暴露限界値とか、そういったあたりの2-エチル-1-ヘキサノールは、ヒトのボランティアのデータが使われていますので、そちらを使用したほうがいいのではないかと思っています。恐らくそちらのほうがMOEが小さくなるのではないかと思っています。
  PGMEのほうなのですけれども、プロピレングリコールモノメチルエーテル、これが、13週間のデータが、これは古い1983年のダウ・ケミカルのデータなのですけれども、これは2年間の暴露試験のデータがその後、同じダウのグループから出ているのです。最近ではスペンサーのデータが2002年に出ていたり、あるいは、同じダウのグループで、98年にも2年間のデータで出ていて、恐らくこの3001,104が2年間でNOAELになっているかと思うのですけれども、そのあたりのデータを参考にされたらいかがかと思っています。同じダウのところです。

   以上でございます。

○西川座長 よろしいでしょうか。

   2点御質問がありまして、1つ目の物質に対して、ヒトのデータがあるのではないか、しかも、NOAELが少し小さくなるのではないかという御指摘です。

   6番目の物質について、もっと長い試験があるということですが、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 手元に詳しいものはないのですけれども、ヒトでは、たしか1mg/m3 でも目の刺激があったといったデータがあったのですが、ここで例えばラットでやった場合は、0.2mg/m3 ということで、計算してしまうとこちらのほうが低くなったので、これがいいかどうかは別にして、よりもっと低いもので選ぶという観点で選ぶとこれになった。2-エチル-1-ヘキサノールについてはそうです。

   プロピレングリコールモノメチルエーテルのことについても、2年間のデータがあるのですけれども、これも短期のほうの指標をどれにとるかがもちろんあるのですが、感度のちょっとした所見をとっていったときに、計算上の話ですけれども、多分同じぐらいのレベルだったのですが、こちらがちょっと低くなったからということで、これを採用しています。

○西川座長 6番目の物質、より長期の試験のデータを用いると、MOEはもっと小さくなるのでしょうか。

○東委員 MOE1,104NOAELで、多分、同じになると思うのです。ただ、長期のものなので、短期、長期の換算は要らない。

○西川座長 ほぼ同じであれば、これらの物質を詳細評価に持っていくことについては問題ないかと思いますので、それは詳細のほうで検討したいと思います。ありがとうございます。

    それでは、池田委員、どうぞ。

○池田委員 日本大学の池田です。

   この室内濃度指針値の見直しスキームに則ってやったらこうなったということなのですが、ただ、私は前の委員会から出ておりまして、最後の13物質の指針値を出した後、その次あたりには、いわゆるテルペン類ですか、α-ピネンとか、そういったものをやろうということは決まっていた気がするのです。それが何となく見送られて今日に至っているので、このスキームだけではなくて、前回の委員会の続きとしての、その辺をどうか考えられたのかというところです。

   前回のところでは、たしかどれかが知見が不十分だから暫定目標値にとどまっていたことがあったと思うのですけれども、その辺をどう考えるのかということです。特にテルペン類の中には、それ自体がそんなになくても、いずれ室内にある触媒を使ったような空気清浄機と反応すると、ホルムとかアセトになってしまうようなものもあるようなので、現状の空気の濃度だけ測って、それでいいの悪いのということではなくて、それが化学変化したことも少し考慮に入れたほうがいいのではないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○西川座長 この表にない暫定的な対応をすることになっていたテルペン類を含めた物質についてはどうかという御意見ですけれども、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 私からは、もし暴露実態という観点から補強いただければ、ほかの委員にお願いしたいとは思いますけれども、少なくとも発生の関係でピネン、リモネン系、ヘキサノールもそうなのですが、天然でも出てくるものとの区別をどう考えるのかというところがあると思います。

○池田委員 だから、天然であろうと人工であろうと出てくるものは出てくるわけで、ですから、特にα-ピネン類は、今、いわゆる新建材はだめだということになって、天然がいいということでやたらと導入されていますけれども、そのかわり、アセトアルデヒドがふえているとか、そういうことがありますので、何でもかんでも自然ならいいというものではないと思います。特に、α-ピネン類は、総ヒノキでつくりたいという人が多いような気がするので、それで高気密・高断熱でやられた日にはとんでもない濃度になるし、また、それが触媒系の空気清浄機と反応でもするのならば、何が出てくるのかわからないという恐ろしいこともありますので、このスキームだけではなくて少し考えていただければと思いました。

○西川座長 ありがとうございます。

   実態として、α-ピネンの高頻度・高濃度の発生があったかについて、その辺については確認されていますか。

○広瀬委員 新建材のところで測れば、当然その値は高くなっているところです。それは確かにそれを管理するという目的のところまで踏み込んだことができるのかどうかというある程度の考えも行う必要があるのではということももちろんありますし、適正使用の観点からある程度考慮できるのかと思います。

○池田委員 使用や管理のことは、国土交通省にお願いすればいいのではないですか。

○広瀬委員 その辺をここで全部スキームに入れてしまうというのは少し難しいのではないかとも思いますが。

○池田委員 ですから、ここではあくまで健康影響という点から判断すればいいと思うのです。

○西川座長 それでは、今後の検討ということでよろしいでしょうか。

   中井委員、お願いします。

○中井委員 この値自体に関しては、いろいろと議論がありましたけれども、初期リスク評価ということで、こんなものと言っては失礼なのですけれども、ヒトのデータがないなど、いろいろあって、気になるところではあるのですが、目安という観点でそれはいいかなと思ったのです。

   広瀬先生のやられたことは、池田先生の発言と絡むかもしれないのですが、枠組みがわからなくなってしまうので、資料1-2の関係に近いかなと思うのですけれども、資料1-1は、今回はかられたものの中の濃度が高いものに関してリスク評価をやっていただいた。資料1-2に関しては、前回の指針値で決められたものから新しい知見があったもの。ただ、例えばDBPなんて今回、はかっていられないですね。その辺のつながりをどうこれから考えていくのかということがこれだけ見るとわからなくなってしまっています。DBPの現状の濃度が全然わからないのですけれども、例えばもしかしたら改正したほうがいい、確かに低くなることに特に異論はないのですが、出なければやめるということもある意味選択肢の一つになるか、その辺がわからないのです。私はこの後どう議論が進むのかよくわからないまま言うのですけれども、そこがこの枠組みの中だけでいってしまっていいのか、池田先生が言っていたような健康という観点、例えばヒトのデータという観点から11物質あるほうの2-エチル-1-ヘキサノールとかテキサノールに関しては、これに関する事例は何となく報告はあろうかなとは思っているのですが、それ以降のところがどの程度の観点なのか把握していないので、その辺をどう考えているのか。池田先生のおっしゃったピネン系のものなども含めて、そういった観点も入れていかないとどこかで落とし物、忘れ物をしてしまうような気がしてならないので、その辺をもう一回整理していただけるとありがたいのですが。

○西川座長 スキームについて見直しをしてほしいという御意見かと思います。

   神野先生、どうぞ。

○神野委員 名城大学の神野でございます。

   一つ、私見ですが、池田先生のおっしゃったピネン、リモネンといった天然にも由来する化合物で、それ自体の毒性もさることながら、恐らく池田先生が御心配されているように、オゾンなどが共存したときに、より反応性の高いものが生成する。その生成物の健康影響が懸念されるということだと思いますが、私も国立衛研に在職時代、いろいろ調べはしたのですが、定量的な議論ができる生成物のデータが余りないということと、まして、それに関する毒性データとなると、ほとんど皆無ということもあって、問題意識としては心しておく必要があると思いますが、リスク評価を進める上では、その毒性情報あるいは暴露情報の取得が律速になるのではないかと考えております。

  また、中井先生がおっしゃった、フタル酸エステル類についてですが、私の理解するところでは、恐らく指針値が定まっている化合物についても、毒性情報が更新されるのに伴って、指針値を随時見直していく必要があるということだと思います。濃度に関しましては、私どもで、厚生労働科学研究で準揮発性化合物の調査はさせていただいております。限られたサンプル数ではございますが、今回の新たな毒性情報に従って仮に指針値が小さくなることがあっても、その指針値を超える暴露濃度となることはないであろうという情報は得ております。ただ、これに関してはまだ全国調査と呼べるような広範なものではございませんので、ここでの議論を踏まえて、国立衛研で全国調査を進めていただけるのではないかと考えております。

○西川座長 ありがとうございました。

   東委員、どうぞ。

○東委員 今のフタル酸エステルの中井委員のお話、神野委員のお話もそうなのですけれども、フタル酸エステルは特殊な物質だと思うのです。経気道暴露で入ってくる室内の分よりも、恐らく食品とか、そちらのほうの寄与率のほうが高いと思うのです。ほかの室内濃度指針値をつくられた物質とか、ここで測定された物質というものは、ほぼ室内空気からのコントリビューションが非常に高いものだと思うのですけれども、そういう意味では、フタル酸エステルに関しては、よく最近アロケーションが検討されてきているのですが、経口で食品から入ってくる分が何割、経気道では室内空気から入ってくる分が何割というような分配率を調査した上で、室内の分は例えば10分の1だから、さらに厳しく10分の1にしなくてはいけないというような、そういう指針値の考え方は、今、いろいろところで取り入れようとしているところがありますので、そういう観点で、フタル酸エステルについては今後検討していったほうがいいのではないかと思っています。

○西川座長 ありがとうございます。

   今後の検討課題の一つにしていきたいと思います。ありがとうございました。

   そのほか、よろしいでしょうか。

    東委員、どうぞ。

○東委員 資料1-2のエチルベンゼンなのですけれども、ATSDR2010年のデータが使われているのですが、これは実は別のところで有害性評価を行ったことがあるのですが、ここの根拠論文がNTP1999年のラット、マウスの実験データなのですけれども、ここで出ている前立腺炎の増加が、濃度に依存した増加でないということと、腎症、腎障害というものが出ているのですが、これが、どうも統計の検定のやり方がどうも間違っている、不適切なところがあるようでして、単に2群間の検定でやっていて、本来ならば多重比較検定をやらなくてはいけないのですけれども、どうもそれが抜けているということで、これは別のグループでNTPの生データを取り寄せて検定し直したら、多重比較検定では有意でなかったので、このLOAELは恐らくNOAELと判断するのがいいのではないかと結論しているところがありますので、これは最終、まだこれから議論があるかと思うのですけれども、そのあたりをぜひ生データをもう一度確認いただいて、御検討いただければと思います。

   以上です。

○西川座長 私はこの参考文献を見て、前立腺炎の増加はないようですね。

○広瀬委員 これはATSDRの評価文書からということで、生のレポートにはまだ当たっていませんので、そういう意味では、もちろん詳細結果でやりたいと思いますし、ぜひその生データをいただいて、詳細評価で使わせていただければと思います。ありがとうございます。

○西川座長 よろしくお願いいたします。

   そのほかにいかがでしょうか。

   斎藤先生、どうぞ。

○斎藤委員 東京都の斎藤と申します。

   資料1-2ですけれども、現在ある指針値の見直しを進めていくということで、非常にこれについては早く取り組んでいただけないかと思っていた物質群でもございます。エチルベンゼンは非常に指針値が高くて、3,800というもので、3,800の指針値ならば、数百出てもいいだろうというような意識でお使いになっているのかどうかはわからないのですけれども、トルエン、キシレンは全くなくて、エチルベンゼンだけが数百出ているけれども、指針値をクリアしているという状況は実際に見ることもございますので、ぜひとも引き下げていただきたいと思っております。

   フタル酸エステル類ですが、確かに食品や化粧品からはほとんど除外されていきまして、今はそういったものには入っている状況ではないのですが、その壁紙でありますとか床に敷いてあるカーペットのバックでありますとか、特に2-エチル-1-ヘキサノールはこのフタル酸ジ-2-エチルヘキシルから出ていることもありまして、近年ビルから苦情をいただきますと、この2-エチル-1-ヘキサノールのにおいが原因での苦情であったという事例が結構ございますので、DEHPは建材には非常によく使われているということで、今、全国調査ではございませんが、東京都としてはかりますと、DBPDEHPの空気中濃度はそれほどかつての濃度と変わっているところはございません。ですから、食品からの摂取もそうなのですが、こういったものにさわることによって、手指から、あるいはハウスダストから摂取する部分についても、もしできれば考慮して、このような指針値に入れていっていただければと思います。

○西川座長 ありがとうございます。

   そのほか、よろしいでしょうか。

   細かいことですけれども、資料1-1の最初の物質、これはラットの吸入試験で毒性影響なしですね。したがって、NOAELは本来もっと高い可能性があり、他の試験と比較して、総合的に評価しないといけないと思うのですが、そのあたり、いかがですか。

   広瀬委員、いかがでしょうか。

○広瀬委員 これは多分一番低い値としてとったらこうなったということで、先ほど言った2-エチル-1-ヘキサノールのヒトでのデータがありますので、そうすると、今度はヒトのデータをとるという選択肢が次の評価になると思いますので、それは考慮されなければいけないと思います。

○西川座長 ことし、2016年に当該物質のリスクアセスメントに関する論文が出ていまして、それが最高になるかと思います。よろしくお願いいたします。

○広瀬委員 ありがとうございます。

○西川座長 よろしいでしょうか。

   それでは、これらの物質を選定するということで、次の段階である詳細リスク評価等に進めていただければと思います。ただし、これで固定されたものではなく、今後の実態調査や科学的知見等により、新たに追加したり、対象から除外することもあり得るものと理解しております。ありがとうございました。

   それでは、次の議題に移りたいと思います。全国実態調査についてでございます。

   酒井委員から御報告をお願いいたします。

○酒井委員 それでは、国立医薬品食品衛生研究所酒井より「平成27年度室内空気環境汚染化学物質調査(冬季全国実態調査)」につきまして、報告させていただきます。

   配付資料2、2ページ目をごらんください。

   室内空気汚染は、ライフスタイルの多様化、家庭用品の変遷などにより、質的・量的に絶えず変化し続けるため、継続した実態調査が必要となります。

   また、国内における居住環境につきましては、気候や風習などの多様性が認められるため、我が国の室内空気汚染状況を正確に把握するためには、定点的な観測ではなく、全国規模の広範なモニタリング調査が必要になります。

   国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部では、室内濃度指針値見直しを目的に再開されたシックハウス検討会に先駆けまして、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室からの依頼を受けまして、全国の一般居住家屋を対象とした室内空気汚染調査を継続的に実施いたしております。

   資料中ほどに記載したこれまでの全国実態調査の結果の概要に関しましては、第11回から第18回検討会におきまして、神野委員より御報告いただいているとおりでございます。本日は、赤で示しました平成27年度冬季、すなわち201512月から2016年1月にかけて実施いたしました全国実態調査の結果につきまして、青で示しました平成25年度夏季、平成24年度冬季の全国調査と、年度間、季節間の変動を比較した結果につきまして、御報告させていただきます。

   また、本日の報告には含まれませんが、平成28年度は同一住居家屋に分ける季節間変動を詳細に解析することを目的といたしまして、全国実態調査は現在進行中でございます。この調査結果に関しましては、次回以降の検討会で御報告させていただきます。

   3ページ目をごらんください。

   資料には、平成27年度室内空気環境汚染化学物質調査に御協力いただきました参加機関をお示しいたします。日本全国の地域性を考慮いたしまして、北は北海道から、南は沖縄まで、全国の地方衛生研究所22機関に御協力を賜りました。この場をおかりいたしまして、御協力いただきました皆様方に深く御礼申し上げます。

   実施規模といたしましては、これまでの全国調査と同等の合計100軒、機関名の横に括弧内に示しました数字が、各機関において御協力いただきました軒数になります。

   なお、これまでの検討会におきまして議論がございました「対象とする居住家屋を選定する際にそれなりのバイアスがかかっているのではないか」という御指摘に関しましては、第18回検討会におきまして、層化無作為抽出による首都圏実態調査の結果を神野委員より御報告され、地方衛生研究所と共同で実施しております全国実態調査と比較した場合に、VOC濃度の中央値並びに95パーセンタイル値はおおむね一致していることを整理させていただきます。

  4ページ目をごらんください。

   資料には、現行の室内濃度指針値見直しスキームより抜粋した「新たに指針値を設定する化学物質の採用に当たり考慮すべき項目」を示しております。

   スキームには、(2)居住環境内における揮発性有機化合物の実態調査等の結果等といたしまして、1居住環境内における実態調査等におきまして、定性的もしくは半定量的に検出された国内で指針値が設定されていない化学物質について、詳細な暴露データを収集する。高濃度・高頻度で検出された化学物質を対象として、採用を検討する。

   2は、室内濃度/室外濃度(I/O)比等の情報から、室内発生源の寄与が低いと考えられる化学物質は採用しないと示されております。

   この1に当たる居住環境内における実態調査等がこれまでの全国実態調査、すなわち初期暴露評価に当たります。資料の下半分には、第18回検討会において報告した平成25年度全国実態調査において検出された主なTVOC構成成分のリストを転載いたしました。本日は、これら化学物質の中から、外気に由来する影響が考えられる化学物質と家庭用品等の適正使用において低減できる可能性のある化学物質を除外し、赤枠で囲いました2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノール、TXIBの3物質の調査結果について御説明させていただきます。

   5ページ目をごらんください。

   先ほどもお話がございました、2-エチル-1-ヘキサノールの主な用途といたしましては、可塑剤の中間体、アクリル酸エステルの中間体、溶剤の中間体であり、室内環境中の発生源といたしましては、可塑剤の加水分解生成物、接着剤や塗料などの溶剤が考えられます。

   2-エチル-1-ヘキサノールは、これまでの全国実態調査における検出頻度が非常に高い化学物質で、TVOCの暫定目標値400μg/m3 のところ、単一化合物といたしまして、100μg/m3 を超過するケースも認められております。

   テキサノールは商品名であり、構造から見た名称は、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートです。

   テキサノールは造膜助剤、浮遊選鉱剤の添加剤、紙処理剤の添加剤として用いられ、トルエンなどを溶剤とした塗料の規制が進む中で、需要量の増加が予想されております。

   室内環境中の発生源といたしましては、ラテックス塗料、シーリング材の溶剤や助剤が考えられます。2007年には北海道紋別市の小学校で発生したシックスクールの事例でテキサノールの関与が疑われております。

   テキサノールと構造的に類似するTXIB、テキサノールイソブチレートは、現在室内濃度指針値が設定されておりますフタル酸エステル類の代替可塑剤として注目されております。

   室内環境中の主な発生源としては、ビニール製の床剤、玩具、壁紙等に用いられる可塑剤、溶剤、成型助剤が考えられ、テキサノールと同様に、近年シックハウス事例と関連づける報告がございます。

   本調査では、これらの化学物質につきまして、GC/MSを用いまして、微量分析に有用な選択イオン検出法で定量分析を行いました。

   6ページ目、資料の上部には、サンプリングスケジュールの概略をお示ししております。室内空気及び室外空気のサンプリングは、これまでの全国実態調査の方法を踏襲いたしまして、シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書第6回から第7回のまとめに明記される「室内空気中化学物質の測定マニュアル」に従って行いました。すなわち、居住住宅の測定におきましては、日常生活を営みながら、空気を24時間採取いたしました。室内空気採取時のポンプには、ジーエルサイエンス社製のSP208-20Dual-IIを用いまして、流速2mL/min24時間、合計2.88Lの空気を2検体同時に採取いたしました。

   他方、室外空気に関しましては、ガステック社製のサンプリングポンプ、GSP-400FTを用いまして、流速50mL/min58分間、室内空気と等量の2.9Lの空気を1検体採取しております。

   資料の下半分にサンプリングポンプの設置例を写真でお示ししておりますが、揮発性有機化合物の採取につきましては、これらのポンプにSafeLok Tenax TA吸着管を装着して、高さ1.2メートルから1.5メートルの位置でサンプリングを行っております。

   室外におきましては、外壁及び空調、吸排気口から2メートル以上離した室内と同等の高さに設置しております。

   「室内空気中化学物質の測定マニュアル」では、試料採取は室内では居間、寝室及び外気の計3カ所で行うこととされておりますが、本調査における室内空気の採取は居間のみを対象としました。このビデオデッキと同じぐらいのサンプリングポンプは、作動中の微弱な振動とモーター音が精神的なストレスとなります。一般居住住宅の寝室におきまして、日常生活を営みながらの室内空気を採取すること、すなわち、睡眠中のサンプリングの困難さは、全国実態調査に御協力をお願いする上で紛れもなく障壁となっており、ハード面の技術的な改良・改善も今後の検討課題であると考えられます。

   7ページ目、ここからは、定量分析の結果をお示しいたします。

   まず、室内空気中の2-エチル-1-ヘキサノールの定量結果をお示しいたします。左から順に、平成24年度冬季の111軒、平成25年度夏季の93軒、平成27年度冬季の100軒の調査結果につきまして、上段に散布図、中段には累積度数分布図、下段には中央値、95パーセンタイル値、最大値をお示しいたしました。

   散布図は、年度間、季節間の差異を比較しやすいように縦軸のスケールをそろえております。一つ一つのドットが、1軒分の濃度データを示しており、青いドットは室内、これは居間でございます。オレンジのドットが室内寝室、赤のドットが室外となっております。

    3つの独立した実態調査の結果から、2-エチル-1-ヘキサノールは夏季に高い値を示す傾向を示し、居間における濃度95パーセンタイル値といたしましては、3倍から5倍程度の上昇が認められております。

   冬季の調査と比較いたしまして、夏季の定量値が高くなる要因といたしましては、建材、軀体、内装材の温度上昇による放散が推察されます。

   また、平成24年度冬季、平成25年度夏季の調査では、居間と寝室の室内空気のサンプリングを行っておりますが、2者の累積度数分布のカーブはほぼ重なり、中央値並びに95パーセンタイル値はおおむね一致しておりました。なお、室外におきましては、いずれも中央値が定量限界以下となり、2-エチル-1-ヘキサノールは外気に由来する可能性が低く、室内に発生源があることは明らかでございます。

   8ページ目、続きまして、室内空気中のテキサノールの定量結果をお示しいたします。

   3つの調査の結果から、先ほどの2-エチル-1-ヘキサノールと同様に、テキサノールも夏季に高い値を示す傾向が認められました。

    また、平成24年度冬季、平成25年度夏季の調査では、居間と寝室の累積度数分布のカーブはほぼ重なり、中央値並びに95パーセンタイル値はおおむね一致しておりました。それぞれの年度の調査におきまして、高い値を示す特徴的な住居は数軒認められております。

   平成27年度冬季の調査では、118μg/m3 という非常に高い値を示す住居がございました。

    平成24年度冬季、平成25年度夏季の調査では、居間と寝室にともに高い濃度が検出されたケースがございますが、これらはいずれも同一住居に由来することから、テキサノールによる室内空気汚染は、日常生活の営みによる一時的なものでなく、建材や内装材に由来する恒常的なものであると推察されます。

  室外の空気につきましては、いずれも中央値が定量限界以下となり、テキサノールは外気に由来する可能性は低く、室内に発生源があることが、こちらも明らかになりました。

   9ページ目をごらんください。

   続きまして、室内空気中のTXIBの定量結果をお示しいたします。
TXIBにつきましては、2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノールと比較いたしますと、年度間、季節間の分布パターンにバラエティーが見受けられます。

   まず、一番左側の平成24年度冬季の調査におきましては、寝室と比較いたしまして、居間で高い値を示しております。同一住居におけるサンプリング地点の違いによって濃度差が認められる要因といたしましては、日常生活の営みによる一時的な放散もしくは室内に設置された家具等に由来する放散の可能性が推察されます。

   他方、平成25年度夏季の調査におきましては、居間と寝室との間に統計学的な有意差を認めませんでした。

   また、平成27年度冬季におきましては、20μg/m3 を超過するケースも認められ、年度間、季節間の変動を考察するためには、引き続きデータを集積する必要があると考えられます。

  室外空気につきましては、こちらも2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノールと同様に、中央値が定量限界以下となり、TXIBにつきましても、外気に由来する可能性は低く、室内に発生源があることが示されました。
  10ページ目をごらんください。

 平成27年度室内空気環境汚染化学物質調査の結果をまとめます。

    まず、調査の方法等につきまして、1つ目、国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部では、シックハウス検討会が再開された平成24年度に先駆けて、全国実態調査を継続的に実施いたしております。

   この実態調査では、気候や風習といった地域特性を考慮して、地方衛生研究所の御協力を仰ぎながら、全国の一般居住住宅を対象としたデータを集積しております。

   3つ目、室内空気汚染はライフスタイルの多様化、家庭用品の変遷になどにより、質的・量的に絶えず変化し続けるため、年度間、季節間変動を継続的に調査しております。今般は時間の都合上お示しいたしませんでしたが、TVOCの構成成分を詳細に解析することによりまして、個々の化学物質の経年的な増加、減少につきましても、調査を進めております。

   4つ目、外気の流入による室内空気汚染を考慮して、室外空気のサンプリングを同時に行っております。

  5つ目、「室内空気中の化学物質測定マニュアル」に従いまして、建築物と生活様式の情報をアンケート形式で収集し、室内空気汚染因子の推定を試みております。

   6つ目、室内濃度指針値見直しのスキームにのっとりまして、室内濃度指針値策定優先候補化合物につきまして、定量分析、暴露評価を行っております。

 続きまして、今般の調査対象化合物2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノール、TXIBにつきましては、1つ目といたしまして、室外空気の濃度(中央値)はいずれも定量限界以下であり、いずれも室内発生源の寄与が高いことが示されました。

   2つ目、居間と寝室の濃度を比較した結果、両者の中央値並びに95パーセンタイル値はおおむね一致しておりました。TXIBにつきましては、一部で例外も認められていることを補足させていただきます。

  3つ目、全国実態調査の実施時期といたしましては、冬季と夏季の濃度を比較した場合、両者の95パーセンタイル値は夏季のほうが高い傾向が認められております。

   最後の4つ目です。また、いずれの化学物質におきましても、高濃度の室内空気汚染が数軒認められております。

   繰り返しになりますが、2-エチル-1-ヘキサノールにつきましては、これまでの実態調査におきましても、高頻度の汚染が確認され、TVOCの暫定目標値400μg/m3 のところ、この2-エチル-1-ヘキサノール単一化合物のみで、100μg/m3 を超過する高濃度の汚染も見受けられております。

   テキサノール、TXIBにつきましては、現在指針値を策定されておりますフタル酸エステルの代替可塑剤として注目されており、近年、シックハウス、シックスクール事例と関連づける報告もございます。

   このような背景から、先ほどの資料1-1で示されたリストの中から、まずはこれら3つの化学物質につきまして、優先的に検討を行っております。

  また、資料1-2に示されました指針値の見直し候補となります、キシレン、エチルベンゼン、DBPDEHPの4物質につきましても、詳細リスク評価、詳細暴露評価を行いまして、指針値の策定に関する検討を進め、次回検討会で指針値案の提示を目指したいと考えております。

   以上でございます。

○西川座長 ありがとうございました。

  2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノール、TXIBの調査結果の報告をいただきました。

   酒井委員の御提案でありますが、先ほどの11物質のうち、この3物質について、まず、詳細暴露評価、詳細リスク評価を進め、指針値の設定を検討してはどうかということです。それに加えて、キシレン、エチルベンゼン、DBPDEHPの4物質について、指針値の見直しを検討してはどうかということでございます。

   ただいまの御説明について、委員の先生方から御質問、コメント等ございますでしょうか。

  では、まず中井委員、どうぞ。

○中井委員 多分私は毎回同じ質問をしていると思うのですが、またさせてください。

   わからなくなってしまったのですが、まず、対象家庭なのですけれども、継続した実態調査という意味でよくわからなくなってしまうのですが、これは毎回違う100軒でよろしいのですか。それとも、同じ100軒なのでしょうか。

○酒井委員 これまでの全国実態調査におきましては、よりデータをふやす観点から、なるべくサンプリングをする御家庭が重ならないようにという考えのもと、行ってまいりました。今回御説明をいたしませんでしたが、平成28年度、現在進行中のデータに関しましては、昨年度と全く同一の家庭をターゲットといたしまして、その同一家庭内での季節間変動を一つ押さえておこうと考えまして、その2つのコンセプトから実態調査を展開してございます。

○中井委員 ということは、今回のデータは違う家庭の結果ということでよろしいですか。

○酒井委員 はい。

○中井委員 わかりました。

   それで質問なのですけれども、ここだけデータについて確認したいのですが、ほかのものはなかなか見にくいのですけれども、2-エチル-1-ヘキサノールなのですが、季節変動があるなしということも結構あるかなと思うのですが、全部御家庭が違うということで、夏と冬の比較はなかなか難しいので冬と冬の比較をすると、平成27年のほうが高いという結果になっているのはよくわからない。継続の家庭かどうかにもよったのですが、独立の家庭なので、それなりに理由はあるのだろうとは思うのです。何かふえたような要因があるのかどうか、コメント等はございますでしょうか。

○酒井委員 ふえた要因を特定することはできないのですけれども、居間で比較いたしますと、平成25年の冬季が8.52というところ、平成27年度では15.81と高い値を示したことは事実でございます。また、こちらは冬季の調査ということもポイントが今後継続していく中で、夏と冬の変動が確実なものであるのかどうかも、さらに詳細なデータの集積が必要ではないかと考えております。

○中井委員 それと、幾つかのデータに関して高い値が見受けられているとおっしゃっているのですけれども、高い値が見受けられている御家庭の特徴、指針値を考えるときは、どちらかというと対策のようなものを考える必要が多分あると思うので、発生源なりなんなりの情報がないと、値が高いからだけではちょっと変だと思うので、あるいは、例えばこの高い御家庭で調査員の方がお邪魔されていると思うのですが、何か例えばにおったとか、住まわれている方の調子が悪そうだったとか、そのような情報があるとありがたいのですが。

○酒井委員 発生源の特定は非常に難しい問題であると認識しております。そういったところを補完するために、「室内空気中化学物質の測定マニュアル」には、建築物と生活様式をアンケート形式で回収してというところがございます。それらのデータを精査いたしましたところ、なかなか特定することが現在は難しいのかなという印象を受けてございます。ただ、傾向といたしましては、ワンルームのような生活の居住空間の狭いところが高い値が出る傾向があるという印象を受けてございます。

○中井委員 あと、築年数だけわかりますか。

○酒井委員 築年数も調査しておりますけれども、まだそちらのデータをお出しする状況にございません。

○西川座長 ありがとうございました。

   角田先生、どうぞ。

○角田委員 私もこの測定に関しては素人なので、今のことにも関連するのですけれども、テキサノールが27年度冬季が一つだけ高いものがあって、24年度の冬季も1軒だけですね。夏季はある程度出ているのですけれども、こういうものは普通測定のときに外れ値と考えて、例えばコンタミあるいは別の物質が同定されてしまったとか、そういう可能性はあるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○酒井委員 一つは、調査の規模ということが考えられます。実質的に実行可能性がある規模としてただいま100軒程度の調査は可能性があるところなのですけれども、もう少し数をふやしていく中で、そういった高い値を示すような家屋がまた数軒見受けられるのかどうかということも調査しなければならない対象だと思います。

   室内に関しましては、2つの吸着管を並行して調査しております。分析におきます外れ値という形でなく、2本の吸着管ともに高い値が出ているということですので、空気中にこのテキサノールが高濃度で存在していたことは明らかであると思います。

○角田委員 あと、次回もし報告されるときに、アウトドアは赤だとあれと思ってしまうので、アウトドアは黒にしてしまっていいのではないかと思います。よろしくお願いします。

○酒井委員 はい。次回に。

○西川座長 ありがとうございました。

   そのほか、いかがですか。

   斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員 テキサノールなのですが、水性の塗料から出ますので、たまたま室内で塗料などを使った御家庭であると、冬でも出てくるだろうということは予想されます。テキサノールは必ず2つのピークで出ますので、非常にわかりやすくて、ほかの物質と見間違える可能性はないのではないかという印象は持っております。

  それから、2-エチル-1-ヘキサノールなのですけれども、住宅ですので、最大値でも100ちょっと超えるぐらいという濃度でおさまっているのですが、一番発生源として大きいのは、コンクリートの上にビニールシートのような床剤を張ったところ、オフィスでは非常に発生が多いので、私どもが経験しております2-エチル-1-ヘキサノールの最も高濃度だったところは図書館なのです。床がもちろんビニールシートで、本がインクにこのDEHPが入っていて、紙のアルカリと反応して、やはり2-エチル-1-ヘキサノールが出るということで、床からも出るし、本からも出るしなどということだと思うのですが、最大値は600μg/m3 を超えておりましたので、指針値をおつくりになる際には、図書室が実際に今どれぐらいの濃度レベルなのかを、一つ数値として知っておいたほうがいいのではないかという印象を持っております。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございました。

   神野委員、どうぞ。

○神野委員 分析法に関して、少し補足させていただきたいのですが、私どもで調査を実施する際には、必ず拡散ブランクの吸着管を試料を採取する吸着管の横に置いて、それについても分析を行い、ブランクとしては検出されないことを確認して調査を進めています。したがって、角田委員の御指摘のように、例外的に検出されているように思われるかもしれませんが、あくまでも分析手法に起因するものではないということを申し上げたいと思います。

   あと、TXIBに関しては、恐らく玩具にも用いられていますので、そのような玩具がある部屋で高濃度に検出される可能性もあるのではないかと考えております。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございました。

   そのほか、よろしいでしょうか。

   ないようですので、2-エチル-1-ヘキサノール、テキサノール、TXIBの3物質と、指針値の見直しが必要なキシレン、エチルベンゼン、DBPDEHPの4物質について、とりあえず作業を進めていただくということで、よろしくお願いいたします。

   次に、前回の検討会において、暫定目標値と暫定試験法が定められているTVOC(総揮発性有機化合物)に関する標準試験法の確立に向けて、引き続き検討することになっていたかと思いますが、どのような状況なのかについて説明をお願いしたいと思います。

   神野先生、よろしくお願いいたします。

○神野委員 それでは、TVOCの分析法作成に関する進捗状況について簡単に御報告させていただきます。

   本日、資料等は準備しておりませんが、前回の検討会のときにも御指摘させていただきたましたように、TVOCの分析法を作成する上で、2つの重要な問題点がございます。その一つは先ほどの酒井委員からの御説明の中にもありました、サンプリングのポンプでございます。これは実質毎分2mLという超低速のサンプリングができるポンプが非常に限られていることが最大のネックになっております。サンプリングポンプが発する音の問題もございます。

   もう一つは、低流速でサンプリングする際には、拡散による汚染が避けられませんので、それをどのようにして防ぐのか、この方法を確立することが大きな課題です。国立衛研で調査される際には、SafeLokと呼ばれる、特殊な加工を施した吸着管を用いているのですが、それは特許の関係もありまして、製造している会社が1社に限られているという現状がございます。私どものところでは、まずこの2つの課題について、どのように克服するかということについて、この間研究を進めてきました。

   前者、すなわちポンプにつきましては、現在、国立衛研の御協力、御指導をいただきながら、私どもと企業のほうでポンプの開発から進めております。具体的には、連続して毎分2mLでサンプリングするのではなく、間欠的に間を置いてサンプリングすることによって、24時間の室内の状況を評価することができないかという検討を行っております。これにつきましては、ほぼサンプリングは終了しておりますので、できれば来春以降の本検討会で試験法とあわせて御紹介させていただけるかと思います。

   また、SafeLok吸着管に相当する、拡散による汚染を防止する方法につきましても、吸着管の前面に細管を取りつけることによって、ほぼ克服できることがわかりましたので、現在実証試験を進めております。これらをあわせて、来春以降の検討会で御報告させていただきたいと思います。

   もう一点、標準法としての加熱脱離法の検討を進めておりますが、あわせて簡易法、すなわち拡散サンプリング法によるTVOCの評価が可能かどうかにつきましては、私ども名城大学の研究として、2つのサンプリング法による測定値がどの程度一致するかについて検証を行っております。これについても、データがそろい次第順次報告させていただきたいと思っております。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございます。

   引き続き御検討いただいているということでございます。よろしくお願いいたします。

   ありがとうございました。

   その他、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 特にございません。次回の検討会の開催に当たりましては、追って御連絡させていただきます。

○西川座長 角田委員、どうぞ。

○角田委員 参考資料で知りたいことがあるのですけれども、候補に挙がった物質で、産業や職場におけるTLVなり許容濃度が決まっているものがあると思うので、それがどの程度で、できれば提案理由書などももし集められたら、事務局のほうで集めていただければ参考になるのではないかと思います。少なくとも、許容濃度とかTLVよりは厳しく設定しないと意味がないというか、理論的にはそれより厳しくなるはずなので、もし、我々の調査の仕方が不十分で、そういうものを見つけられなかったということにもなるので、許容濃度委員会なりアメリカのTLVACGIHは結構一生懸命やっていますので、そのデータを援用するというか、こういうものもあるのだと参考的に見ておくのも悪くないと思いますので、あるのかどうか調べていただければと思います。

○西川座長 それでは、事務局でその点対応いただけますと助かります。よろしくお願いいたします。

   それでは、これにて本日の検討会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

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