ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第96回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2016年8月24日)




2016年8月24日 第96回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成28年8月24日(水) 15:00~17:00


○場所

経済産業省別館114共用会議室(1階)


○出席者

【委員】

福井部会長
相澤委員、井伊委員、石原委員、磯部委員、大澤委員、
川越委員、倉根委員、玉腰委員、中村委員、西島委員、
宮田委員、門田委員

○議題

1.平成27年度厚生労働科学研究の成果の評価(案)及び厚生労働省の平成29年度研究事業に関する評価(概算要求前の評価)(案)について
2.研究指針の改訂について
(1)人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の見直しについて
(2)ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する指針の見直しについて
(3)ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針の見直しについて

○配布資料

資料1-1  厚生労働科学研究の成果の概要(平成27年度)(案)
資料1-2 厚生労働科学研究の成果に関する評価(平成27年度報告書)(案)
資料1-3 厚生労働省の平成29年度研究事業に関する評価【概算要求前の評価】(案)
資料1-4  戦略研究について
資料2-1  個人情報保護法等の改正に伴う指針の見直しについて(中間とりまとめ)(概要)(医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議)
資料2-2 個人情報保護法等の改正に伴う指針の見直しについて 参考資料
資料2-3 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針新旧対照表(案)
資料2-4 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する指針新旧対照表(案)
資料2-5 ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針新旧対照表(案)
参考資料1  厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2-1  厚生労働科学研究費の実施状況(平成27年度報告書)
参考資料2-2 厚生労働科学研究の成果表(平成27年度)
参考資料2-3  平成27年度採択課題一覧
参考資料3  人を対象とする医学系研究に関する倫理指針
参考資料4 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する指針
参考資料5  ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針

○議事

 

 

○下川研究企画官

 定刻になりましたので、ただ今から第95回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。

 本日は9名の委員から御欠席の御連絡をいただいております。出席委員は過半数を超えておりますので会議が成立いたしますことを御報告いたします。

 続いて、本日の会議資料の確認をお願いいたします。座席表と議事次第のほかに資料1-1、資料1-1と資料1-2の間に委員の先生方には机上配布資料として資料1-2及び資料1-3の説明ページについてというものをお配りしております。それから資料1-2、資料1-3、資料1-4まで枝番で資料1があります。

 資料2としては資料2-1から資料2-5まで枝番であります。

 そのほか参考資料1、参考資料2は参考資料2-1から2-3までの枝番です。参考資料345と続きます、資料は以上です。資料の欠落等ありましたらお申し出ください。

 それでは福井部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○部会長

 本日はお手元の議事次第にありますように議題が二つです、御審議をよろしくお願いいたします。最初に「平成27年度厚生労働科学研究の成果の評価()及び厚生労働省の平成29年度研究事業に関する評価(概算要求前の評価)()について」御審議をお願いいたします。最初に事務局から説明をお願いいたします。

○下川研究企画官

 本日の進め方ですが、まず私から資料1-1から資料1-3まで、まとめて資料についての全般的な御説明を差し上げたのち、研究事業ごとに事業の所管課から平成27年度事業の事後評価と来年度の事業への事前評価()について御説明を差し上げる予定となっております。

 研究評価につきましては、内閣府で国の研究開発評価に関する大綱的指針が策定されております。これに基づき、厚生労働省では厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針を策定しております。この指針に基づき、当部会においては厚生労働科学研究費補助金について平成27年度の各研究事業の成果の事後評価、それから来年度実施する事業についての事前評価をお願いするものです。

 まず資料1-1を御覧ください。資料1-1は平成27年度の厚生労働科学研究の成果の概要で、それぞれの事業の所管課が外部評価委員会の先生方の第三者的な確認評価を得てまとめたものです。

4ページを御覧ください。4ページ、研究事業の一覧を見ていただきますと厚生労働科学研究費で実施した研究事業が記載されております。

 まとめ方ですが、5ページを御覧ください。1.研究事業の基本情報から始まり、研究事業の予算、課題採択の状況、研究事業の目的、研究の成果及び政策等への活用状況とあります。次に6ページ、研究成果の評価、7ページ、6.の改善すべき点、及び今後の課題、全部で6項目によりまとめております。

 次に資料1-2を御覧ください。この資料は資料1-1をもとに資料1-2の評価を作成しております。

12ページを御覧ください。資料1-1をもとに研究事業ごとに(事業の概要)(事業の成果)(事業の成果の評価)、それから13ページ、(改善すべき点、及び今後の課題)4項目に整理しております。

 次に資料1-3、こちらは「厚生労働科学研究費補助金の来年度の研究事業に関する事前評価」()です。こちらの資料も、それぞれの事業の所管課が外部評価委員会の先生方の第三者的な確認評価を得てまとめたものです。

 資料の構成ですが13ページを御覧ください。Iの実施方針の骨子の中の(1)として事業の概要、14ページ、IIの要求要旨として新規課題がある場合には新規課題の内容などが記載されております。3として研究成果の政策等への活用を記載し、15ページ、II研究事業と各戦略との関係があります。次に16ページの一番下、III研究事業の評価の項目からなっております。以上が資料全般についての御説明です。

 次に、事業ごとに各事業の所管課から御説明をいたします。事業が28あり、説明時間が長くなりますので、まず資料の最初から15事業を御説明し、そこで一旦説明を終わりまして15事業までについて御意見をいただきます。次に、残り13事業を御説明して御意見をいただくこととしたいと考えております。

 御説明に当たりましては1事業ずつ、平成27年度の事業の事後評価()とそれに対する平成29年度の事業の事前評価()を同時に行いたいと思います。各事業所管課におかれましては、基本的に資料1-2と資料1-3により平成27年度と来年度の評価()、全部合わせて1事業2分以内で御説明いただきたいと思います。

 委員の先生方には、机上配布資料として資料1-2及び資料1-3の説明ページという資料をお配りしております。まずはその資料で前半の政策科学研究から慢性の痛み研究まで順に御説明をお願いいたします。

○事務局(政策評価局)

 よろしくお願いします、政策評価局の千葉です。

 資料1-212ページ、資料1-316ページを御覧ください。最初に資料の訂正があります。資料1-212ページ、右上の金額ですが、25971(千円)とありますが正しくは419540(千円)となります、申し訳ございません。

 この研究事業では、人文・社会科学系の人口・少子化問題、社会保障全般の研究や統計情報の分析・活用等の研究を行いました。(成果)としては、診療報酬における費用対効果や大規模データベースを用いたビッグデータ解析基盤の整備、ICD-11改訂においては暫定版の妥当性の検討などに関する研究結果が得られました。これらの研究は科学的根拠に基づく社会保障政策施策立案に必要性が高いと考えます。

 また、この研究は事前評価委員の審査を受けて研究・計画等の妥当性を踏まえて採択しており、候補課題は必要性・緊急性の高いものを設定しております。多くの研究は行政ニーズを反映して、厚生労働行政に有効に活用されており、中長期的な観点でも社会保障政策の検討に必要な理論・データを蓄積する研究を行っております。

(改善すべき点・今後の課題)としては、事前評価では厚労行政の政策・立案の総合的な促進に資することが十分に見込めるテーマを厳選し、中間評価では必要に応じて方向性や期間の見直しを行うことで研究費の有効活用を図る点、統計調査そのものを改善する提言を生み出す研究を採択するとともに論文化、研究発表を進めることも更に強化して、統計分野において世界をリードする知見を生み出すべきと考えます。

 資料1-316ページを御覧ください。これらの課題を踏まえ、平成29年度では審議しているので緊急性の高いものを優先的に取り上げるため、省内各部局からの意見を聴取するとともに連携を積極的に図り、社会保障全般に関わる厚生労働行政に活用することを目指していく次第です。

○事務局(保健統計局)

 続きまして保健統計局です。研究事業のうち、統計情報総合研究事業につきまして御説明差し上げます。資料1-318ページからになります。

 今、説明しました課題を踏まえて、引続き研究・計画等については効率性が高いものを採択しており、精度の向上及び国際福祉化の面の向上といったところを主眼に研究を続けていきたいと考えております。

○事務局(厚生科学課)

 続きまして臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業について厚生科学課より御説明申し上げます。

 本研究事業は平成本年度より開始しておりますので、平成27年度の成果に関する評価はありません。

 平成29年度の評価案について、まず資料1-322ページを御覧ください。

○部会長

 ちょっと待ってください。

○中村委員 説明を始めた時にページをしっかり指定してくれませんか、追いかけられません。

○部会長

 今、資料1-326ページでよろしいですか。

○事務局

 まず22ページを先に御覧いただけますでしょうか、資料1-322ページです。こちらは医療なのですが、医療面のデジタルデータを利活用するための基盤構築に関する事業になります。その研究の中で医療分野の人工知能を用いた研究も実施しております。昨今、人工知能の開発が重要視されているということで、より明確化するように、研究事業名を「臨床研究等ICT基盤構築研究事業」、本年度はこれで決出しておりますが、来年度から「臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業」に変更して実施したいと考えております。

 評価について26ページを御覧ください。現在診療報酬明細書(レセプト)データのほか、学会等でいろいろな医療データベースがそれぞれ独立して存在しておりますが連結性が乏しいということで、診療行為の実施結果に関するデータベースも限られております。既存のデータベースを拡張・連結するとともに、電子カルテ情報のデータの互換性を確保して利活用基盤を進める必要があります。

 有効性の観点としては、医療分野の大規模データベースを構築して利活用していくためには種々の課題を解決する必要があります。既存データベースの利活用の連結や電子カルテからデータ収集の標準化、人工知能を用いた利活用の仕組みの構築など、いろいろな課題をこの緊急事業の中で平行して実施して、その成果を組み合わせることで効率的に基盤構築を進めることが可能と評価いただいております。

 有効性の観点としてはデータベース間の連結を進め、新たなデータ収集についても標準化を図っていくということなどにより大規模データ基盤の構築が可能となってまいります。

 平行して利活用の方策を検討することにより、医療機関ごとのデータの比較分析による診療プロセスの効率化、集めたデータの利活用によるイノベーションスイッチが期待できるというような評価をいただいております。ICT事業については以上です。

 続いて倫理的、法的、社会的課題研究事業について厚生科学課より御説明いたします。こちらも新規事業となりますので平成27年度の評価はありません。資料1-330ページの下部、「研究事業の評価」を御覧ください。こちらはゲノム・ICT・人工知能等、新たに生み出された科学技術が健康・医療関連分野に実装していく際の倫理的、法的、社会的課題への指針と呼ばれております。これについて検討が十分行われていないということでその検討の必要性が指摘されております。厚生労働分野の各種先端的な研究事業と平行して、LC課題についても検討していくことで新たな科学技術の社会実装を効率的に進めることが期待できると考えられます。有効性について、この研究事業が直接成果を出していくというものではない部分もありますが、人文社会科学や自然科学の様々な分野の観点から具体的な課題の抽出・重要度の評価をする調査研究を行うことにより、先端技術と社会技術との差異の政策の検討に資するものと評価いただいております。以上です。

○事務局(国際課)

 資料1-214ページを御覧ください。「地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究事業」について国際課より御説明いたします。

 まず14ページ、評価結果ですが、内容としては本研究事業は保健医療分野の国際協力の充実を図ることを目的として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に関する研究等の事業を実施しております。研究事業の成果としては、こうした研究成果が『Lancet』誌に掲載されたり、G-7伊勢志摩サミットにおける議論の根拠となるほか、来月に予定されておりますG-7神戸保健大臣会合に向けた方針等に提供することとされております。

(成果の評価)としてはこうした成果などを踏まえ、費用対効果が非常に高いという御指摘をいただいております。

 一方(改善すべき点、今後の課題)ですけれども、WHO総会等の国際会合における我が国からの介入の改善、こうした御指摘を踏まえ平成29年度の計画をしております。それについては資料1-332ページを御覧ください。こちらが平成29年度の計画でございます。次のページ、33ページを御覧ください。33ページの2.要求要旨の(3)(4)ですが、従来のある意味延長上である()()G-7のフォローアップといったことに加え、先ほどの御指摘を踏まえ()()において新たな研究計画を立てております。()としてはWHO総会等、国際会合における戦略的・効果的な介入に関する研究、()として国際保健政策人材を育成するための仕組みやツール等の開発等ということを計画して、先ほどの御指摘に答えていきたいと考えております。以上です。

○事務局(厚生科学課)

 厚生科学課です、厚生科学課特別研究事業について御説明させていただきます。資料についてはまず資料1-112ページから、それから資料1-215ページをお願いいたします。

 資料1-215ページにありますように、この研究事業は国民の生活を脅かす特発的な問題や社会的要請の強い諸課題について、行政による緊急かつ効果的な施策が必要な場合、先駆的な研究を支援し、当該課題を解決するための新たな科学的基盤を得ることを目的として実施されております。

 平成27年度は全部で37課題をこの中で実施をしております。その次にあります緊急事業の成果ですが、主に具体的な成果としては対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2015年度版の策定などといったような、各部局における施策の検討に適宜活用されてきております。外部評価委員からも、概ね事業の根に沿った成果を得ているというような評価をいただいております。

 こういったことを踏まえ、資料1-337ページからになりますが、来年度の事業実施方針を御覧ください。来年度の事業実施方針ですが、同様に厚生労働省の各施策分野における緊急のニーズに対して臨時的に実施するものとして、同様に実施をさせていただきたいと考えております。以上です。

○事務局(医政局研究開発振興課)

 医政局研究開発振興課です。資料1-216ページを御覧ください。平成27年度、未承認薬評価研究事業の「成果に関する評価」です。本研究事業は国内では承認されていないHIV治療薬等について、その有用性を評価し、我が国への導入を検討する研究事業です。平成27年度は全体で7種類の薬剤を12月末までに、延べ65症例に146回薬剤を提供し治療研究を行っています。

(成果の評価)としては、本事業は血液製剤の使用等により、HIVに感染した血友病患者に対して国内では未承認の医薬品による治療機会を確保するものです。更に、国内での未承認薬の情報を患者・医療従事者双方へ提供し、臨床試験が困難な薬剤について、治療機会を確保し、迅速に使用経験を収集して日本人における治療経験と有害事象の状況について収集し情報提供を行っております。有用性は非常に高い研究と言えます。

(改善すべき点及び今後の課題)ですが、本事業は薬害エイズ訴訟の和解措置として実施しており、HIVに感染した血友病患者等に関する未承認薬の有用性を評価し、至適治療法を開発する研究を推進するものですので、行政としても引き続き支援していく必要があります。

 なお、本研究事業はHIV治療薬等の国内承認を目指す医薬品の開発研究ですので、平成28年度からはAMEDの臨床研究、治験推進研究事業における研究課題の一つとして実施しております。そのため、資料1-3の厚生労働科学研究補助金としての概算要求前評価には今、記載はありません。以上です。

○事務局(雇用均等児童家庭局母子保健課)

 お手元の資料、資料1-217ページと資料1-342ページをお開きください。成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業に関し、雇用均等児童家庭局母子保健課より御説明させていただきます。

 平成27年度の研究に対する評価ですが、研究事業の概要としては妊産婦等の健康の保持増進と次世代を担う子どもの健全育成の向上を目的としている研究です。平成27年度の成果としては、母子保健分野の主要な施策である「健やか親子21(2)や精神疾患を含めたハイリスク妊産婦の把握、それから効果的な保健指導の在り方等に関する研究を重点的に行ってまいりました。

(成果)(課題)ですが、本事業で開発されたシステムや作成されたマニュアル、パンフレット等は実地臨床や自治体での保健・医療活動等に活用されていると評価いただきました一方、「子ども・子育て支援」に関する研究、育成疾患に関する支援や医療提供体制の整備に関する研究、産前・産後の妊産婦支援といった母子保健領域等、新たに認識された医学的・社会的課題を解決するための研究を推進しなさいという宿題をいただきました。

 それを踏まえ資料1-342ページ、平成29年度の事業ですが、評価委員の先生からも必要性の観点で本事業は母子保健分野における多様な行政的・科学的課題に対応するために必要な研究だということや、日本一億総活躍プランの第二の矢としても重要性が高まっているという御指摘をいただきました。

43ページ、(3)、先ほどの課題を踏まえ平成29年度は妊婦健診、出生前診断、新生児スクリーニング、乳幼児健診、健やか親子21(2)、それから思春期保健に関する研究等を実施していくという方針にしております。以上です。

○事務局(健康局がん疾病対策課)

 続きまして健康局がん疾病対策課です。資料1-218ページを御覧ください。(がんの政策研究)について発表いたします。

 まず、がんの政策研究はがん研究10か年戦略に基づいて「充実したサバイバーシップを実現する社会の構築」と「がん対策の効果的な推進・普及」を目的として、全体の計画であるがん対策推進基本計画の目標達成を目指しております。

 平成27年度の成果としては、がん検診精度管理を行う手法として「事業評価のためのチェックリスト」策定等を挙げております。

(成果の評価)ですが、がん対策を推進する上で必要性・重要性の高い研究を推進したことで着実な成果を挙げており、がん対策の推進に寄与したとされております。

 また、(改善すべき点及び今後の課題)としては、がん対策推進基本計画に基づいて「がんの年齢調整死亡率、こちらの20%減少」を10年間の目標として掲げておりましたが、平成27年中間評価の推計によると目標達成が危ぶまれております。こうした状況を踏まえ、平成2712月「がん対策加速化プラン」を策定すると共に、そのプランに基づいた研究事業も推進しているところです。

 続きまして資料1-3、平成29年度事前評価、46ページと47ページを御覧ください。46ページの(2)、効率性の観点からがん研究推進状況の全体像を正確に把握した上で、適切な研究課題の企画立案や、課題ごとの研究特性に即した研究計画、エンドポイントの設定を明確にした上での評価の実地等が指摘されております。また、最後の(4)においては、先ほど申し上げた平成2712月に策定された「がん対策加速化プラン」、またがん対策全体の計画であるがん対策推進基本計画は平成296月に第3期を策定することとしており、今、まさにそれに向けた議論を行っているところです。加速化プランに掲げたがんの予防やがんとの共生、またそのような議論を踏まえた研究開発を重点的に推進すべきであるとされております。以上です。

○事務局(健康局健康課)

 続きまして健康局健康課です。資料1-219ページを御覧ください。循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業です。

 生活習慣病は急速な高齢化を背景にますます重要な課題となっております。(第二次)「健康日本21」「日本再興戦略」において、より一層生活習慣病対策を推進していくこととされております。

 平成27年度、(本事業の成果)の評価として、代表的なものとしては肥満になる前、高リスク化する前の介入の重要性、また肥満でないもののリスクが高い層への介入の重要性を示し、特定健診・保健指導の検討会等での検討に用いられました。

 また、喫煙による疾患リスクの増大と禁煙による上昇した疾患リスクが減少することを明らかにし、禁煙治療推進への活用が期待されるといった事後評価をいただきました。

 続きまして資料1-351ページを御覧ください。平成29年度ですが、評価委員からがん以外の代表的な生活習慣病について、保健医療の現場や行政施策に直結するビジネスを扱っている研究事業はほかにはなく、本事業は健康日本21の取組みの推進、地方自治体や企業、国民等の健康づくりを支援し、社会保障制度を持続可能なものとすることに貢献する重要な研究事業との評価をいただいたところです。以上です。

○事務局(健康局健康課女性の健康推進室)

 健康局健康課女性の健康推進室です。資料1-220ページを御覧ください。こちらは女性の健康の包括的支援総合研究事業の「成果・評価」となっております。

 これまで女性の健康に関する取組については、主に疾病分野ごとに展開されてきており、研究においても妊娠・出産や疾病に着目して行われてきたことから、女性の身体はライフステージごとに劇的に変化するという特性を踏まえた取組や社会的な側面を含めた包括的な支援が不十分であり、そうした背景に基づき平成27年度より本研究事業が開始されております。

 一年目である平成27年度としては、女性の健康の包括的支援のための情報収集・情報発信と医療提供体制等に関する研究が実施されております。評価委員会からは、女性の健康に係る国民への正確な情報提供体制や医療提供体制の整備については女性の健康の維持・増進、少子化対策、健康寿命の延伸、更には女性の社会参加を後押しすることによる社会・経済活動の活性化につながると考えることから社会的価値が高いものと評価いただいております。

(今後の改善・課題)としては、社会的決定要因が生活習慣に及ぼす影響や健康影響、その効果的な介入方法の開発が必要になってくるのではないかということでした。

 続いて資料1-355ページを御覧ください。先ほど申し上げたように現代女性のライフステージごとの健康課題について明確化し、研究成果を通じて女性の健康に係る国民への正確な情報提供体制や必要な医療提供体制を整備することで、女性の健康の維持増進や健康課題の克服、延いては社会・経済活動の活性化に貢献することが見込まれるということで、社会的に求める施策に直結する重要な研究事業というように評価いただいております。以上です。

○事務局(健康局難病対策課)

 続きまして健康局難病対策課です。

○事務局

 続きまして、健康局難病対策課です。資料1-221ページ、資料1-357ページを御覧ください。難治性疾患政策研究事業の評価です。(概要)ですが、本事業では、医療費助成の対象となる指定難病などではなく、難病法において規定されている広義の難病、すなわち、「発病の機構が明らかでない」「治療方法が確立していない」「希少な疾病」「長期の療養を必要とする」という4要素を満たす疾病を対象として、診断基準・治療指針の確立、病態解明等を通じて、難病医療の向上を目的としております。(成果)ですが、指定難病の申請書である検証調査個人表に基づく、指定難病患者データベースシステムの登録を306疾病に対して決めました。また、疾病ラインが確立していない「非典型溶血性尿毒症症候群」について、客観的診断基準などを作成していただき、平成277月、17次の指定難病に認定されました。

(評価)ですが、各研究はオールジャパン体制で、関連学会等と連携を取りながら、診断基準、治療ガイドラインの策定、診療体制の構築等が行われており、現場における難病医療の質は向上しております。また、難病情報センターや研究班のホームページ、関連学会等を通じた普及・啓発が積極的に行われ、研究の成果は確実に国民へ還元されてきております。

 次に、(課題)です。調査研究班には当該疾病の取りまとめ、すなわち、(診断基準や診療ガイドライン等のアップデートにとどまらず、実用化研究班との連携や、関連学会・患者会・行政との窓口、診療体制の窓口としても)役割を期待されることから、306疾病ある指定難病の全てをカバーした体制とする必要があります。更に、小児成人移行期医療を推進する観点から、小児を対象とする班と、成人を対象とする班の、強固な連携や、統合を進める必要があります。

 続いて、資料1-357ページの下、要求要旨の部分を御覧ください。平成29年度は、指定難病に指定されているものの、まだ対象とする研究班の存在しない疾病、306の疾病難病中240は研究班にありますが、約60疾病についてはまだ研究班はありませんので、その疾病に関する研究を進めたいと考えております。また、今年度中に希少疾病が新たに指定難病に指定されますので、その研究に関しても進めてまいりたいと思います。以上です。

○事務局

 免疫アレルギー等施策研究事業、免疫アレルギー疾患施策研究分野に関して、健康局がん疾病対策課より説明します。資料1-223ページ、資料1-363ページを御覧ください。免疫アレルギー疾患は患者数も多く、長期にわたりQOLを低下させるため、国民の健康上重大な問題となっております。病態解明や根治的な治療法が未確実であり、また、急病率が高いため、非専門医が診察する機会が多く、そのため、ガイドラインに則した標準治療が普及していないという問題があります。平成27年度は、リウマチに関してはリウマチ治療の標準化を目的に、関節超音波検査の普及及びエビデンスに基づいた、一般向けの診療ガイドラインの作成を行いました。アレルギー疾患に関しては、エビデンスレベル向上に資する疫学データの収集と、アトピー性皮膚炎等の既存のガイドラインの整備を行いました。これら平成27年度制作研究において、一定程度の成果を得られましたが、未だ発症原因や病態が解明しておらず、予防、診断及び治療法も十分とは言い難いという御指摘を頂いております。

 資料1-363ページを御覧ください。これらの改善点を踏まえ、平成29年度では、疫学研究を更に充実させることによって良質なエビデンスを蓄積し、標準治療となり得るガイドラインの整備を行い、これら研究成果の普及を行うとともに、治療の均てん化を図ることで、免疫・アレルギーに関わる医療全体の底上げが可能になるとの評価を委員から頂きました。以上です。

○事務局

 続きまして、健康局難病対策課、移植医療対策推進室です。資料1-22526ページ、資料1-36869ページを御覧ください。移植医療基盤整備研究分野の平成27年度の評価結果です。まず(事業の概要)ですが、本研究事業は造血幹細胞移植及び臓器移植の2つの領域について、患者・ドナー双方の立場からみた、適切な移植医療推進のための社会的基盤構築を目的としております。造血幹細胞移植では、非血縁ドナーや臍帯血の安全性確保と利用促進に向けた研究を、また、臓器移植では、小児も含めた臓器提供の適切な選択ステージや、医療スタッフの教育プログラム開発に向けた研究を通じ、それぞれ施策提言などの面で行政責任が大きい事業です。実際、造血幹細胞移植では、非血縁者間、末梢血幹細胞移植の提供の条件の緩和、臓器移植については、臓器を提供していただける脳外科の救急病院の負担軽減策について、各々厚生科学審議会での審議の上で実施するという成果が得られています。今後の課題として、造血幹細胞移植領域では、非血縁者間骨髄移植コーディネート期間が長期になっている点、また、臓器移植において、臓器提供数は増加傾向にあるものの、まだまだ不十分であるという点があります。これらの課題を踏まえ、資料1-36869ページ、平成29年度ですが、造血幹細胞移植では、平成28年度から開始した、骨髄バンクのコーディネート期間短縮、及び、ドナーアプリの質向上に向けた対策を開発する研究を優先的に推進し、まだ十分には普及していない非血縁者間、末梢血幹細胞移植について、より安全で効率的な体制の構築を目指した、新たに研究を進めていく方針です。また、臓器移植の分野におきましては、平成28年度から開始したソーシャルマーケティング手法を用いた、より適切な臓器提供の選択指定時に向けた研究を優先し、更に平成29年度からは、これまでの研究成果に基づいた臓器提供のモデル病院を構築し、それらを水平展開し、最終的に、ドナー家族、患者の心理的負担の軽減、満足度を考慮した体制構築を目指した研究を進めていく予定です。以上、本領域は、いずれの領域とも第三者であるドナーの善意、安全を最大限尊重する必要性からも、本事業は重要であるという評価を評価委員から頂いています。以上です。

○事務局

 健康局難病対策課です。資料1-227ページ、資料1-370ページを御覧ください。慢性の痛み施策研究事業の評価です。まず概要ですが、「慢性疼痛は、精神医学的、心理学的、社会的要因が複雑に関与して痛みを増悪させ、遷延させている」との観点から、平成25年度よりチームアプローチ、すなわち、多診療科、多職種により、痛みを診療する痛みセンターを発展させてきました。今後は痛みセンターを拠点とした慢性痛診療システムの普及を図る必要があります。

 続きまして、(成果)ですが、器質的な面だけでなく、多角的な治療を行うユニットである痛みセンターを昨年度より施設実施して、19施設とし、更に普及のため、ホームページも作成しました。また、運動療法に行動療法的アプローチを組み合わせた介入方法として、入院3週間集中プログラムのパイロット運用を開始しました。また、啓発ビデオも作成していただきました。

 次、(成果の評価)ですが、我が国でも集学的な医療が、痛みや生活障害、精神心理状態を改善させることが明らかとなりました。一方で、痛みセンターの運営は、診療報酬でカバーされていないことなどによって運営が厳しいともお聞きしております。また、今後、慢性痛患者がドクターショッピングすること無く、効率のよい痛みセンターの開発が必要だと考えております。そのためには、痛みセンターで診療すべき患者の基準、スイートスポットと呼んでいますが、その研究が必要と考えています。次に、(課題)ですが、痛みセンターと近隣の医療機関が連携するモデルを作ること、また、痛み診療のガイドラインを作成することが今後の目標です。

 続きまして、資料1-370ページに移ります。平成29年度は、痛みセンターを各集まり拠点として、地域医療との連携をして、慢性痛診療システムを実施するためのモデルの構築を行ってまいります。「痛みセンター」での認知行動療法に対して、エビデンスをまとめて、診療報酬がつけば痛み医療の普及が進むと考えております。以上です。

○部会長

 ここまでの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。大変急ぎ足で、理解が難しいとは思いますが、いかがでしょうか。これはAMEDを介しての研究も全部入っているわけですね。それだけの確認です。

○下川研究企画官

 これは、厚生労働科学研究だけ。AMEDの事業は入っておりません。AMEDの事業についてはAMEDのほうで評価を行っております。

○部会長

 厚生労働省、ピュアな研究費のことです。中村委員、どうぞ。

○中村委員

 厚生労働科学研究からAMED研究に移したという、HIVの話がありました。確認をさせていただけませんでしょうか。御説明では、特に施策研究として特にやってきたという御説明があった中で、今年度からAMEDに移すという、その理由を教えていただければ有難いと思います。

○下川研究企画官

 医政局の研究開発振興課でございます。資料1-216ページに記載している、御指摘いただいた、HIVの治療に関する承認薬・治療です。こちらAMEDは、平成27年度に制度ができたときに、医薬品の開発等を支援するということで、平成20何年度発足時には履行しようかという考えもあったのですが、当時はこちらは、先も紹介しましたが、薬害エイズ訴訟の分かるものとしてお話していきます。非常に行政的な課題で、国民がついて行けるかということと、被害者団体との調整も済んでいなかったことがありまして、平成27年度は、引き続き厚生労働省において、施策研究として実施しましたが、平成28年度においては、患者団体との調整、それから、AMEDとの調整を経て、AMEDにおきまして、他の医学的研究と同様に、AMEDにおける研究事業として実施することにしております

○部会長

 資料1-3には、関係部局でAMED難病研究課とか、いろいろ書かれていますが、これは調整をしたり連携を取っている部署ということでよろしいでしょうか。

○下川研究企画官

 資料1-3に「AMEDの研究事業の関係の有無」とありますが、連携して行っている場合にはそこに記載しております。

○部会長

 何をしている場合に記載しているというのですか。

○下川研究企画官

 連携をして。

○部会長

 関係部署の所に記載、AMEDの部署を記載しているということですね。

○倉根委員

 特別研究について御質問します。資料1-337ページだと思いますが、単純な質問をまず。事前評価委員会というのは、特別研究のための事前評価委員会がもう存在しているわけでしょうか。それとも項目によって、緊急的に作成するのですか。

○事務局

 いえ。既に特別研究事業のための評価委員会が既に設置されております。

○倉根委員

 ああ、そうですか。それから、通常の研究の多くは、申請者がこういう研究をするという申請をするのでしょうが、特別研究の場合は、厚労省のほうでこういう研究が必要であると。そうすると、申請者は誰、どうやって決めることになるのですか。実施する研究者はどうやって決めますか。

○事務局

 担当部局の中で適当だと思われるような研究者と相談していただいて、いわゆる指定型という形、あの方ということでの方向で申請をしていただいて。

○部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○川越委員

 資料1-32627ページのICTですか。人工知能等を使った研究で、こういうビッグデータ使った診療の在り方や方向性を探っていく研究だろうと思いますが、1つここでの報告を拝見すると、電子カルテの標準化で、今までは電子カルテにもいろいろなソフトがあって、これを1つにして、それを全部分析できる環境を作っていこうということだと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○事務局

 厚生科学審議会よりお答えしますけれども。電子カルテを直接標準化するわけではなくて、ビッグデータに出していく仕組みというか規格を標準化したりすることです。

○川越委員

 つまり、いろいろなものが電子カルテがあるけれど、必要なデータがこちらに取れるような格好、データとして上がってくるような格好を検討しているのですか。考え過ぎかもしれないのですが、こういうデータの作業は非常に大事なことだと思います。一方で、診療所にとっては診療内容を丸裸にされることがありまして、コントロールされる恐れがあるのか、別にそういうことを考えてなければそれで済んでしまうし、そんなことを考えていないということですが、そういうところまでコントロールした影響は、アメリカなどはかなり進んでいると聞いておりますが、そういうところまで踏み込んだ考えがあるのでしょうか。

○事務局

 研究開発のためのデータを取ってくる仕組みとか。もちろん将来的にはそういった医療機関の立ち位置とか、ある程度評価していくようなこともあり得るのかとありますが、すぐそこに至るというようなものではありません。

○部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○井伊委員

 平成27年度の評価と平成29年度の事業と、資料1-2と資料1-3の関連なのですが、私どもで少しだけ関与したので。助成の健康包括的支援総合研究事業のことで。例えば、資料1-220ページ、平成27年度の成果に関する評価の中には、今後の課題として、最後に、「効果的な介入方法を開発する」と述べられていて、そういうことがこれから必要であるということで評価されていて。しかし、資料1-3の、平成28年度に行って、それで、平成29年度に行う中には、介入方法を検討するようなことは記載されていません。一方で、AMEDとの関係ですが、これはAMEDの研究事業にも上がっていて、助成の研究の包括的支援、実用化研究事業というのがAMEDに上がっているのですが。ということは、平成27年度の評価の中で書かれている、今後の課題の中の介入方法の開発はAMEDのほうでやると読めばよろしいのでしょうか。ということを確認したいところです。

○事務局

 健康推進室です。AMEDのほうで行われている研究については、介入方法については、どちらかというと厚労省のほうでやりたいと思っています。実際、平成29年度ではなくて、今後もそうなのですが、平成28年度の時点でも、それに近い課題については掛けておりまして、それが今後に反映されてくることになります。AMEDのほうでは、どちらかというと医学的な検討だったり、というところが近い内容になっております。

○井伊委員

 医学的な検討ということは。

○事務局

 というよりは実際、研究の中では、そういった医療に関する話であるとか、そういったふうに、医学的に変わってきていれば、受け取るほうでは展開していただいています。

○井伊委員

 検診項目とか、検診内容に関することをこちらでやると書いていますが、そういうことですか。

○事務局

 そうなっています。

○井伊委員

 そういう整理だと。分かりました。

○部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

相澤委員

 先ほど部会長からお尋ねのあった、AMEDとの関係ですが、AMEDのものについても、概算要求の枠組みの中では、厚生労働省の予算として概算要求がされているという理解ですね。ここで審議の対象としているのは厚生科学研究だけれども、予算の枠組みとしては、厚生労働省の予算の枠組みの中に入っているものがあるという理解でよろしいですね。

○下川研究企画官

 そのとおりです。前回の科学部会のときにはAMEDも併せて方向性を御審議いただき、今日は評価です。

○部会長

 残りの部分についての説明をお願いします。長寿科学からでしょうか。

○事務局

 老健局老人保健課です。長寿分布政策研究事業の評価結果について、御説明申し上げます。資料1-229ページ、資料1-375ページを御覧ください。長寿科学政策研究事業は、地域包括ケアシステムの構築を推進するために、介護保険に係る諸課題等の解決に資する研究を実施することによって、効果的かつ効率的な介護サービスの提供を図るものです。

(成果の評価)といたしましては、事業の成果の活用によって、厚齢者に効果的に介護サービスが提供されるようになるとともに、効率的で持続可能性のある介護保険制度の運営がなされるようになる。また、その成果が広く活用されることによって、高齢者の保健医療水準が向上することが期待されるとの評価を頂いております。

(今後の課題)としては、介護領域にとどまらず、医療領域の研究分野との連携を行うために、データエビデンスを構築できる研究を推進してもらいたい、とのものを頂いております。

 それを受けまして、資料1-373ページですが、これらの課題を踏まえまして、平成29年度では平成37年に向けて「地域包括ケアシステム」を構築するため、引き続き高齢者に関する総合的な研究を推進していく必要があるとの評価を評価委員から頂いたところです。以上です。

○事務局

 老健局認知症室です。資料1-230ページ、資料1-381ページを御覧ください。認知症施策研究事業の評価結果です。(研究事業の概要)としましては、認知症施策推進総合戦略の推進を目的として、主に認知症の人がやさしい地域作りや発症予防、早期診断・早期の適切な対応に関する研究を実施しているところです。

 成果といたしましては、レセプトデータを基礎とし、地域ごとの実態を把握・可視化するためのフレームワークの作成、認知症による要介護認定発生の違いを分析、また、術後認知機能低下の実態解明等を行いました。

(評価)といたしましては、医療・介護での情報交換シートや在宅向けの認知症対応マニュアル、認知症支援に資する脆弱性スクリーニングツール、また、認知症対応力向上を目指した研修プログラム等に資する内容となっており、今後、認知症の早期悪化要因把握や医療・介護費用の効率化に活用できることが期待されます。

(改善すべき点)としましては、適切な対応するためのツール作りは進んでおりますが、認知症の実態、つまり若年性認知症や大都市における有病率、介護者負担軽減のための(BPS)Dに対する介入方法については、研究が十分に推進されておりません。

 資料1-381ページを御覧ください。これらの問題点を踏まえ、平成29年度では、一億総活躍社会に向けた認知症の人の介護負担軽減に関する研究や、認知症の実態調査を行い、地域の介護離職、PTSDへの対応、高齢者の虐待防止、後見人制度等を取り巻く諸問題の解決につなげていくことにしております。以上です。

○事務局

 資料1-232ページを御覧ください。障害者生活総合研究事業について、障害保健福祉部より御説明申し上げます。当該研究事業に関しましては、(概要)ですが、本研究事業は、障害者に関する行政的問題の解決を目的といたしまして、障害者保健福祉全般に関する研究を実施しているところです。平成27年度においての(成果)といたしまして、具体的には、失語症や行動障害を有する患者の実態把握、さらには、精神障害者の状況に関しましては、抗精神薬の処方実態の把握、あるいは、鬱病に対する認知行動療法の現状や効果的な普及・啓発の手法などについて開発いたしました。

 これに対する(評価及び今後の課題)といたしましては、現時点におきまして、入院中心の精神医療から精神障害者の地域生活を支えるための精神医療への改革の実現が、喫緊の課題となっていること、そうした患者の精神科医療ニーズの増大、多様化する現状、これらに関して更に研究を進めるべく強化・充実が必要であるとの御指摘を頂いております。

 資料1-386ページを御覧ください。これらを踏まえ平成29年度は、平成30年度に次期報酬改定を控えていることなども踏まえまして、基礎資料の収集や更なる体制整備等に関する成果を出すことが目的といたしまして、研究課題を立てております。さらに、精神障害分野におきましても、御指摘いただきましたとおり、入院医療中心の精神医療から、地域生活を支えるための精神医療の施策に向けて、さらに技術的な施策的な研究を行う方針としております。以上です。

○事務局

 健康局結核感染症課です。資料1-233ページ、資料1-389ページを御覧ください。新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業の評価結果です。本研究事業は、国内外の新興・再興感染症から国民の健康を守るために、その時々の感染症に関する行政課題を解決することを目的としまして、予防接種を含む新興・再興感染症に対する行政施策の科学的根拠を得るために必要な研究を実施しております。

 具体的には、サーベイランスシステムの改善や集められたデータの利用促進についての研究、個別の感染症に対しての対応マニュアルの作成や全国の地方衛生研究所での精度管理等の検査体制の評価、ワクチン等に関する有効性・安全性の評価などを実施しておりまして、今後も実施していくべきであると、高い評価を頂いております。

 資料1-389ページを御覧ください。平成29年度については、特に薬剤耐性対策アクションプランを踏まえた対策、また、オリンピック・パラリンピックに向けた対応に資する研究についても行う必要がありまして、本研究事業は、国民の健康を守るために必要な行政対応の科学的根拠を得るために、非常に重要な研究であると評価いただいたところです。以上です。

○事務局

 健康局結核感染症課エイズ対策推進室です。資料1-235ページ、資料1-39394ページを御覧ください。エイズ対策研究事業について御説明申し上げます。本研究事業では、HIV感染者、エイズ患者への効果的な対策を推進するとともに、HIV訴訟の和解を踏まえた恒久対策の一環として、必要な研究成果を得ることを目的としております。

 平成27年度は、エイズ発生動向調査を補完する正確な疫学・臨床情報の把握、抗HIV治療のガイドラインの策定、血液製剤によるHIV感染被害者の長期療養に対するニーズの実態把握などの成果が得られました。日本のエイズ医療の標準化や質の向上、医療体制整備の推進に貢献しているとの評価を頂いております。

(今後の課題)といたしましては、効率的かつ効果的な現状把握の方法の確率とともに、保健所などでのHIV検査数減少もあることから、平成29年度にはHIV検査受検勧奨に関する研究について、強化・充実を行うことを考えております。また、HIV感染症は、治療の進歩によって、今や慢性疾患となっており、血液製剤によるHIV感染被害者の長期療養に関する課題が大きくなってきていることから、平成29年度には、引き続き長期療養体制の整備に係る研究のほか、被害者の高齢化への対応について研究を推進してまいります。以上です。

○事務局

 肝炎等克服政策研究事業について御説明させていただきます。健康局がん疾病対策課管理対策推進室です。資料1-236ページと資料1-39599ページを御覧ください。本事業では、国内最大級の感染症である肝炎の克服に向け、関連する行政課題を解決するための研究を行っておりますが、平成27年度には、疫学研究により感染に気付いていない潜在患者が以前より減少したものの、多く存在し、継続に至っていないキャリアが多いことが明らかとなり、肝炎対策推進協議会で報告されました。

 これらの掘り起こしのために、肝炎ウイルス検査の実施施設情報を分かりやすく発信する上でツールを作成したり、院内の肝炎ウイルス検査陽性者を精密検査につなげるための電子カルテ、アラートシステムを作成がされております。また、肝炎患者のおかれている背景を考慮して、適切に対応できるようにする相談支援システムを作成され、全国展開に向けて進められているところです。

 研究事業の成果は、今年6月に行われた肝炎対策基本指針の改正や、本年10月より開始予定のB型肝炎ワクチンの定期接種化の基礎データとして活用され、また、自治体担当者への会議や医療従事者向けの研修会等で報告され、行政や臨床現場に還元されていると評価を頂いております。

 資料1-3ですが、本邦には、依然多くの肝炎ウイルスキャリアが存在し、その掘り起こしやフォローアップ、肝炎患者等に対する偏見・差別への対策、肝硬変・肝がん患者への支援の在り方等が課題として挙げられております。平成29年度では、改正された肝炎対策基本指針でも明記されている職域での掘り起こしやフォローアップの全国展開に向けた対応、普及・啓発を含めた偏見・差別への具体性を持った対応、肝硬変患者のイケるデータや事業セイ利用内容など、把握等に対する対応の研究を実施したいと考えております。研究の実施については、研究の進捗状況管理がプログラムオフィサーにより行われ、必要な部分は他の研究班と連携するなど、効率的に行われており、また、研究の方向性についても、肝炎研究10か年戦略等を適宜見直しが行われ、肝炎の克服に向けた診療体制や社会基盤の整備を目標にした重要性の高い研究事業であるとの評価を受けております。以上です。

○事務局

 医政局総務課です。資料1-238ページを御覧ください。地域医療基盤開発推進研究事業に関しての評価です。本研究事業は、医療提供体制の構築・整備や医療人材育成・確保などに関する研究を実施するものとして行っているものです。

 昨年度の成果といたしましては、災害医療コーディネーターを育成するための研究カリキュラムの策定、また、医療事故調査制度の見直しを検討するための基礎資料を策定し、制度改正につなげるなどの成果が得られていまして、医療政策における各分野の政策検討に活用しているものです。

(成果の評価)といたしまして、地域で継続して生活を送れるようにする体制の構築などに貢献するものであって、行政的意義が大きいこと、また、実施の方向について、研究期間を原則2年間以下としてやっていること、また、評価委員の意見を反映するため、行政官が研究班会議への参加などを通じて適切な進捗管理を行っていることの評価を頂いております。また、行政施策との関連が深い政策課題については、成果が直接政策に反映されるなどの有効性の高い研究等、評価を頂いております。

 一方で、改善すべき点、今後の課題ですが、2点ありまして、1点目といたしましては、課題設定といたしまして、今年度以降も引き続き地域医療構想の策定、地域包括ケアシステムの構築の推進に資する研究を推進する必要がある。また、2点目といたしまして、成果の活用ということで、周知・活用できるように実用性を高める必要があるとの御指摘を頂いております。

 これを受けまして、平成29年度ですが、資料1-3100ページ以降を御覧ください。課題設定については、「地域医療提供体制の構築・整備」、「良質な医療の提供、(EBMITの推進、医療安全)、また、101ページですが、(医療人材の育成・確保)(訪日外国人旅行者や在留外国人数の増加への対応)といった観点で柱を立てまして、課題設定、他の活用に努めていきたいと考えております。以上です。

○事務局

 労働基準局安全衛生部です。資料1-239ページ及び資料1-3109ページを御参照ください。私からは、労働安全衛生総合研究事業の評価結果について御説明いたします。資料1-2ですが、(研究事業の概要)から説明いたしますと、職場における労働者の安全と健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に関して、労働安全衛生行政の科学的な推進を確保して、技術水準の向上を図ることを目的とした、総合的な研究事業です。(研究事業の成果)としまして、代表的な事業を3つ記載してありますが、いずれの事業も法令改正を含めた制度改正等を検討するに当たって、不可欠な科学的根拠を得ているところです。

(成果の評価)(今後の課題)ですが、労働安全衛生を取り巻く課題は多岐にわたるものの、日本再興戦略改定2015に掲げられました労働の質の向上の実現、あるいは、労働安全衛生法に基づき策定されました「第12次労働災害防止計画」の目標達成に向けた、本研究事業の効率的な実施を通じた科学的根拠の集積とこれに裏付けされた行政施策の必要が不可欠であり、今後も時事に応じて適切に課題を設定するとともに、研究内容を行政施策に的確に反映していくように評価いただいたところです。

 資料1-3に移らせていただきます。109ページにありますIII(研究事業の評価)に目を転じていただきますと、平成27年事業の評価、御指摘を踏まえまして、平成29年予定の研究課題を設定したところですが、評価委員からは必要性、効率性、有効性のそれぞれの観点から一定の評価を頂きましたところ、総合評価といたしましては、これまでと同様、科学的知見の集積をもって、計画的・法律的に労働安全衛生行政の点から図っていくべきであり、継続課題の適切な実施と雇用・経済情勢の変化や行政施策の動向に的確に対応したテーマを設定、研究の推進をしていくべきとの評価を頂いた次第です。私からは以上になります。

○事務局

 生活衛生食品安全部企画情報課です。資料1-241ページ以降、また、資料1-3111ページ以降に基いて、御説明をさせていただきます。初めに資料1-241ページですが、「平成27年度食品の安全確保推進研究事業」についての評価です。資料にありますとおり、本事業の概要ですが、食品に係るリスク管理機関として、科学的根拠に基づく施策を効果的に実施するために、必要な科学的知見の収集及び手法の開発などを行うものです。

(成果)といたしましては、各種の試験法の開発やガイドライン()の作成を進めているところです。本事業に関しましては、食品の安全性の確保は国民の健康を守るために極めて重要で、多くの国民が高い関心を持っている分野であることから、科学的根拠に基づくリスク管理等の施策を推進する研究は必要不可欠であり、極めて重要な研究事業であるとの評価を頂いております。

 一方で、食品の規格基準や監視指導等に資する研究を行うとともに、最近の国際的動向も踏まえ、食品安全行政における国際調和と科学的根拠に裏付けされる施策の推進のため、より一層研究を充実させるべきである、との課題を指摘いただいていています。

 資料1-3114ページですが、これらの課題を踏まえまして、平成29年度では、研究事業により得られた試験法やガイドラインなどが、迅速に自治体や検疫所などで活用されるよう、また、得られた治験が国際機関に提供されるなど、国際貢献にも活用されるようにしていく予定です。評価委員からは、必要性とともに有効性も高い研究事業であるとの評価を頂いているところです。

 資料1に戻りまして、改めまして41ページですが、平成27年度カネミ油症に関する研究事業についての評価です。(本研究事業の概要)ですが、「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」に基づいて、カネミ油症に関して総合的な研究を推進し、ダイオキシン類の生物学的毒性の解明やカネミ油症の治療法等の開発などを行う研究です。

(成果)といたしましては、患者の血中のダイオキシン類濃度と症状や所見との相関など、ダイオキシン類に関する研究を進めているところです。

(評価)ですが、本件事業については、カネミ油症の診断・治療等に係る技術の向上や、その成果の普及、活用及び発展を図るための研究が推進されているとされており、極めて重要な研究事業であるとの評価を頂いております。一方で、先ほど申し上げた法律に基づいて実施しておりますが、カネミ油症に関する専門的、学際的又は総合的な研究をより一層充実させるべきとの課題を指摘いただいているところです。

 資料1-3118ページですが、これらの課題を踏まえまして、平成29年度では、国や油症ダイオキシン研究診療センターとの連携の下、関係者(自治体・患者団体・医療機関など)に情報発信するなど、研究成果を有効に普及・活用・発展させる予定です。評価委員からは、カネミ油症患者等の検診及びその結果の分析、カネミ油症の診断基準に関する研究、厚生労働省の健康実態調査の分析等のカネミ油症の健康影響に関する研究、及びカネミ油症の治療法の開発等に関する研究を、更に推進する必要があるとの評価を頂いているところです。私からは以上です。

○事務局

 医薬・生活衛生局総務課です。私からは、「医薬品・医療機器等でレギュラトリーサイエンス政策研究事業」について御説明します。資料1-243ページを御覧ください。(研究事業の概要)ですが、薬事行政ということで、医薬品・医療機器等の品質・安全性の確保対策や血液事業、薬物乱用対策、薬剤師の資質向上など、そういったことに関しまして科学的合理性と社会的正当性に基づいた規制・取締り、制度設計等を行うための根拠の創出に資する研究を進めるということです。

 平成27年度の研究の成果ですが、薬剤師の関係でありますと、医師と薬剤師が連携して薬物患者治療を行うマニュアルなども作成するとか、あるいは、薬局に関しまして、診療報酬改定の中での引用とかいうこともしております。血液関係であれば、血液製剤に関してのトレサビリティーによる把握とか、大学病院を中心としたパイロットスタディーによって血液製剤別の副作用の発生する分析、検討ができたこととか、薬物乱用対策であれば、鑑別方法が開発されたりとか、今、そういったことを行っております。

(成果の評価)ということで、薬剤師関係であれば、そういう患者本位の医薬分業を推進する中で、この研究の成果はこれらの関連施策に反映して、行政的意義は極めて高いということ。あるいは、規定関係であれば、こういう医療の透明性を高める上で必要不可欠であること、そういった評価、あるいは、薬物乱用の関係であれば、こういった鑑定研究は必須であることを頂いております。

(改善するべき点)ということは、今後の課題ということであれば、薬剤師関係であれば、更にこういうマニュアル関係であれば、がんを対象とした実際にPBPを導入しその効果を検証すべきという御意見とか、血液関係であれば、パイロットスタディーの成果を踏まえて全国展開できる研究を進めるべきとか、薬物乱用関係であれば、最新の治験を得る必要があるとか、そういったことの御指摘を頂いております。

 資料1-3122ページですが、こういったことを踏まえまして、平成29年度におきましても、薬事行政の様々な分野について継続して研究を進めたいと思っております。委員からは、本事業を通じて得られた成果は、薬事監視、血液対策、薬物乱用対策等の薬事規制全般が科学的根拠に立却して実施されることの裏付けとなっているので、薬物行政・血液行政上の諸施策に必要であることとか、そういった保険者の向上につながるとか、そういった意見を頂いております。以上です。

○事務局

 医薬・生活衛生局化学物質安全対策室から御説明いたします。資料1-24546ページ、資料1-3130131ページを御覧ください。化学物質リスク研究事業ですが、資料1-2としまして、研究事業の概要としましては、本事業は化学物質によるヒト健康へのリスクに関して研究を実施している所です。平成27年度の成果としましては、シックハウスに係る化学物質について、指針値の作成・見直しを進めるために、基礎データを取得したり、また、Bhas形質転換試験法に係るガイダンスをOECDで承認されるなど、成果が得られております。

(成果の評価)としましては、本事業で得られた成果は、化学物質審査規制法などの国内における施策への反映のみならず、基礎データを活用して国際的な試験法ガイドラインに直結するなど、国際貢献にも資するものであるという評価を頂いています。

(今後の課題)としましては、リスクを最少化して、化学物質管理をしていくという国際的な目標がありまして、この目標達成に向けて引き続き有害性評価を進めていくべきとされておりまして、この目標達成のために化学物質の有害性評価の迅速化、ナノマテリアル等の安全性、子どもなどに対する化学物質の安全性、シックハウス問題と、これらの4つの分野について評価を進めて成果の取得を目指すべきとされております。

 資料1-3に移ってください。これらの平成27年度の指摘を踏まえまして、平成29年度で、先ほど申し上げた4つの分野について、研究を進めることとしておりまして、事前評価の130ページの(4)の総合評価で、これらの4つの分野について、調査研究を進めて研究成果の証拠を目指すべきと評価を頂いています。化学物質リスク研究事業は、化学物質を利用する上でヒト健康への影響を最少限に抑える目的で行う行政政策の科学的基盤となる事業であり、国民生活の安全確保に大いに寄与する不可欠なものであるという総合評価を頂いております。以上です。

○事務局

 健康局健康課です。健康・安全・危機管理総合対策研究事業について、御説明いたします。資料1-248ページです。資料1-3141ページです。平成27年度の話ですが、本研究事業では、地域における健康・安全の基盤形成、水安全対策、生活環境安全対策、健康危機管理、テロ対策を扱っておりまして、いずれも効果的な健康危機管理体制を常時確保するために必要なものでありまして、その成果は手引、ガイドライン、基準値や検査方法といった健康危機事案の対応に当たる行政機関等にとって重要な形で得られております。全国の健康危機管理体制の底上げ均てん化に大きな役割を果たしているとの評価を頂きました。

 資料1-3141ページを御覧ください。健康危機管理事案の発生に際しましては、地方自治体、他省庁、保健所等の行政機関によるサービスの充実・評価とともに、関係する職能団体や業界団体、さらには地域住民と協働できる体制をいち早く確保することが重要であります。本事業では、多様な健康危機課題を対象に、行政機関、管理機関、関係機関・団体との連携及び地域住民との協働のあり方について、健康危機事案発生を想定した平時からの対応を検討するとともに、健康危機の発生防止、発生に備えた準備、発生時の対応のそれぞれの段階についての研究が実施されることとしており、時事の変化に対応するためにも、両者とも研究推進を図ることが必要ということで評価を頂いております。以上です。

○下川研究企画課

 以上が結核研究事業の評価案ですが、これらについて御意見を頂く前に、資料1-2と資料1-3の評価の総括についても御説明します。資料1-249ページを御覧ください。「終了課題の成果の評価」とありますが、上から3行目に163課題と書いてあるのですが、「162課題」の誤りです。申し訳ありません。162課題について、原著論文として総計1,797件など、数多くの論分や学会の発表があったということです。また、厚生労働省をはじめとする行政施策の形成・推進に貢献する基礎資料や治療ガイドライン、施策の方向性を示す報告書、都道府県へ通知、医療機関へのガイドライン等、施策の形成等に反映された件数及び予定反映件数を集計しましたところ86件となっていまして、概して厚生行政に資する研究が進められたことが言えるのではないかと考えております。

50ページには、事業ごとの成果の一覧表があります。最後の51ページですが、「おわりに」の下から5行目ですが、「厚労科研費の性格上、学術的な成果と施策の形成への反映等の行政的な貢献の2つの観点から評価が必要である点十分留意する必要があるが、今後は施策等への活用、国民への分かりやすい成果の説明・普及の努力等について、事後評価の重点を置くべき観点として留意しつつ、評価を進める必要がある」とまとめさせていただいております。

 資料1-3142ページを御覧ください。こちらは来年度事業の評価ですが、下から5行目ですが、各研究事業の「推進分野」として具体的に特定された内容は、厚生労働省としての方向性に照らし、現在、不足している取組を明らかにした上で課題を設定し、新たな取組の開始又は現在の取組の拡充が提案されており、また、それによって期待される成果もできるだけ具体的に設定されていることから、おおむね適当であると記述させていただきました。以上が、資料1-2と資料1-3をこのような案としてまとめさせていただきました。

 資料1-4を御覧ください。戦略研究について、戦略研究の枠組みでは、来年度は予算要求しないことを考えておりますので、御説明いたします。戦略研究については、平成17年度に創設されて以降、8分野17課題が実施されておりまして、国民の健康を守る政策に関連するエビデンスを生み出すための大型臨床介入研究等を実践することによって、一定の成果を上げてまいりました。

2.「現状」ですが、現在、解析のみ実施している「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」と「健康医療分野のデータべースを用いた戦略研究」の2課題が実施中ですが、本年度末をもって終了して、来年度以降は新たな戦略研究は予定されておりません。また、昨年、(AMED)が作成されまして、厚労科研究に期待される役割、研究予算の枠組の変化が生じております。これらの状況を踏まえまして、戦略研究という枠組では、平成29年度の予算要求をしないこととしまして、健康医療分野のデータベースを用いた研究については、臨床研究等ICT基盤構築研究の事業の中で取り組むことといたしまして、大規模臨床介入研究については、適宜、必要に応じてプロジェクトを立ち上げる等、柔軟に実施していくこととしたいと考えております。また、これまでの戦略研究について、別途、総括を行う場を設けまして、今後の厚生労働科学研究のあり方についての示唆を得たいと考えております。長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。

○部会長

 かなり膨大な情報ですけれども、委員の先生方から御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○川越委員

 配布資料で見ていただいたら一番分かりやすいと思うのです。16番と22番は、今話題になっている地域包括ケアに関する内容で、上は介護保険のほうで、下の医療のほうになります。ここの連携と申しますか、正にインテグレーションというのは、研究の中でインテグレートされているのですか。あるいは、施策の段階でこのすり合わせをするというような格好になっているのでしょうか。

 実は現場で一番困っているのは、医療と保健の連携の距離の取り方が難しいのです。医療のほうは医療保険の中でやられるわけですけれども、医師法保助看法で、医師の責任の下にやるという体制をしっかり取ってあるのですけれども、介護保険のほうは、そういう体制はどこに責任があるのかというのが分からないのです。現場では、この両方のすり合わせと言いますか、うまく組み合わせるというやり方は非常に困難を極めています。こちらの研究レベルだと、どのぐらいのことまで踏み込んで計画を立てたのでしょうか。

○事務局

 老健局です。評価のときに、課題としてその点が挙げられております。介護領域にとどまらず、医療の研究分野との連携を行うために、データエビデンスを構築できるような研究を推進してほしいという課題を頂いております。正にそれに取り組んでいるところです。研究の分野はもちろんのこと、研究の分野だけでの連携ではできない部分もありますので、それはもちろん政策の分野でも、医療と介護との連携を進めていくことにしております。

○川越委員

 担当部署が違うのですけれども、この研究のレベルでは連携を取っているのでしょうか。

○事務局

 担当部署とおっしゃいますと、16番の老健局の部分と、21番の医政局の総務課の部分ということですか。

○川越委員

 はい、そうです。

○事務局

 実際の仕組みとして、そこをある情報を繋ぐようなものというのは現在はありません。ただ、当然医政局と老健局と、場合によっては医療だと資料だと保健局というのは常日頃から連携を取っておりますので、その中での調整は当然行っております。

○川越委員

 委員としてどういうところまで踏み込んで意見を言えばいいのか難しいのですけれども、現場の話はちょっと聞いていただきたいということがあります。医療と福祉の連携ということは現場で非常に問題になっていることを念頭において、いろいろな研究にしろ施策を立てていただきたいと、進めていただきたいと希望しております。よろしくお願いいたします。

○倉根委員

1-3の資料で、研究経費の規模というのは、全て調整中になっています。平成27年度の研究費の規模というのは括弧に書いてあります。今の平成28年度があるので、そこは見えていないから何とも比較のしようがないのです。規模感としては、平成27年度の研究費とほぼ似たような額で、平成29年度は考えるということでしょうか。それとも、そこについては基準評価が高くてもそれが増えるのか、評価のほうが高くても減るものもあるかもしれないし、評価が比較的良くなくても大体横ばいでいくものもあるかもしれません。この辺は今後の話ということですか、どのように考えればいいのですか。

○佐原厚生科学課長

 その辺は平成29年度の予算になりますので、これから年末にかけて予算要求をしていく形になります。ただ、これはAMEDの研究費も含め、厚生科学研究費も前年より増える方向で要求していきたいと思っていますし、そのように努力していきたいと思っています。

○門田委員

 本来我々が科技部会として、ここに上がってきているどこを評価し、どこをオーソライズするのがこの部会のミッションか、そこのところをはっきりする必要があるのではないかと思うのです。倉根委員がおっしゃるように、私もそれが気になったので、この評価の目的の所を見ると、評価の結果に基づく適切な資源配分等を通じて、次の段階の研究開発にうんぬんという、そういうことは厚生労働省に任せるというのか、この委員会のミッションなのか。ここの所をはっきりさせないと、我々はいろいろな責任を取らされますけれども、これは非常に重要なことではないのかと思います。そこのところはもう少しはっきりしてほしいという気がします。

○下川研究企画官

 金額についてはこの部会で御議論いただくというよりも、ここに書いてある評価についてオーソライズいただくということです。金額については、省内でまた検討を行うということです。

○門田委員

 次年度のことについては、この文章で見る限りひょっとしたらそうなるのかと思うのですけれども、評価の段階で、数千万円の研究もあれば、10何億円というものがあって、そのバランスが評価の対象には入っていない。個々の評価委員の皆さんは、それぞれの部署、部署での評価委員の皆さんだからそれは当たり前だと思うのです。ここは、それが全部上がってきて、我々に見せられて、それをどうするかということは我々が評価しなければならないのではないのかと思うのです。今まではそれで来たのかもわからないけれども、少し検討する必要があるのではないでしょうか。

○下川研究企画官

 検討させていただきます。

○部会長

 この部会では全体像を御覧いただいて、その内容と方向性、確かに研究費の総体的な評価というのを我々は全然できない状況にあります。今後そのことについても考えていただければと思います。全体的にこのテーマと、今後の方向性みたいなところは、非常に短時間ですから把握できない所もたくさんあると思います。全体的に御覧になっていかがでしょうか。それぞれ委員の先生方が深く関わっている分野もあれば、そうでないところもあると思います。がんについて門田先生はいかがですか。

○門田委員

 いろいろ問題は抱えております。今正に新しい基本計画を作らなければならないようになっています。それと5年単位で考えるものと、それから年度単位のこれということで難しさがあるのも事実だと思うのです。やはり、大きな方針を、もう少ししっかりしたものを出すべきだと思います。反省を込めてですけれども、そう思っています。

○部会長

 研究なのか、それとも施策として行うべきで、それがどこまで進んでいるのかという話と、話を聞いていると分かりにくいところもテーマによってはありますが、いかがでしょうか。

○宮田委員

 この部会は一体何をするのかということも含めてです。例えば2015年度の認知症政策研究事業は3,000万円しか予算がありません。多分各部局が、自分たちの既得権としてこういう研究費を持っているために、各年度ごとにその予算配分というのは硬直化していると思うのです。もし私どもがここで議論して意味があるとしたら、その軽重をここで我々が意見を具申することではないかと思っています。なぜ3,000万円なのかということを、私は強く疑問に思っています。

 がんはうまくいきつつあると思いますけれども、がんの次は間違いなく認知症になるだろうと思われていて、そちらのほうの負担は地域にも、家族にも敷衍してまいりますので、こういうことをもう少し早く、私たちは科学的な根拠を持って、政策立案するようなデータをもっと取っていかなければいけないと思うのです。それが3,000万円でいいのか。金額だけですみません、日経なのでそうなってしまいます。

 議論を大雑把にさせていただきますけれども、多分皆さんが毎年ここで、とにかく報告がうまくいくといいなと思っているでしょうけれども、私どもは大きな目で、もし皆さんに意見を申し上げるとしたら、こういう予算配分でいいのか、もうちょっと先を見て軽重を付ける。メリハリを付けて、将来必ず重要になりますから、この認知症対策というものは早めに手を打つというようなことを、ここで議論できたらいいと思うのです。何かすごい細かい説明をここで言われて、ほとんど評価も似たような表現なので、全然脳が働かないような審議会になっているというのが、これだけの方を招いて、これだけの時間を使って、もったいないような気がしています。取りあえず評価はしっかりやられたのだから、それはよいとして、この予算配分でいいのかどうかというのを、皆さんで15分以上は議論したいと思っています。そういう感想です。

○部会長

 認知症については、例えばこれは研究に使うお金というのと、ひょっとして対策費として、実際に現場でどれぐらいお金を使っているのかというのは、少し分けて考える必要があるように思うのです。その点について事務局から意見はありますか。

○佐原厚生科学課長

 認知症のことだけではなくて、今、門田委員から、あるいは宮田委員から頂いた御指摘は、確かにそのとおりだと思うところがあります。最終的に配分については行政として判断させていただきたいと思います。どのようにウエイトを付けていったらいいのかについては少し検討させていただいて、実際的にどのようにやっていったらいいのかというのは、すぐに頭に浮かんでこないところがありますけれども、少し研究させていただいて、また御相談させていただきたいと思います。

○部会長

 確かに個々の評価ではなくて、これ全体を見る立場にある部会ですので、もう少し全体を見ながら意見を言えるような形にしていただければ有り難いです。

相澤委員

 多分先生方がおっしゃっていることは、その審議の対象が一体何なのかということを明確にしていただいたほうがいいのではないかと。それは、あくまでも審議会は諮問機関ですから、行政庁から諮問を受けている範囲内で意見を申し上げるわけです。今の先生方の御意見を伺っていると、どうもその範囲がどこを言っているのか1つ明確ではない。

 その中で全体的なところはどうなのですかと。特に今は以前に比べてAMEDが出来たおかげで、またそこの中が切り分けになってしまっているので、また全体像が分かりにくくなっているという問題もそこにあるのではないかと思います。そこは部会長と御相談をしていただいて、明確にしていただくのがよろしいのではないかと思います。

○部会長

 そのような課題について、今後とも話し合って、この部会の役割ももう一段明確にできればと思います。差し当たって、ただいまの案についてはこの部会として了承ということで進めさせていただいてよろしいでしょうか。

○井伊委員

 最後の、オリンピック・パラリンピックの熱中症対策というのが出ています。熱中症対策は、オリンピック・パラリンピックには限らないですし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのための何か特別なことだったら、ここでなくてもいいのかなという気はいたしました。感想です。

○部会長

 参考にしていただきたいと思います。

○川越委員

 繰り返しになると思うのですけれども、実績評価がされて、これからの計画を示していただいたということで、最終的に皆さんが知りたいのは、これは次年度の中で数値で出てまいりますので、それを単に厚生労働省の判断に任せていただきたいというのはよく分かるのですけれども、この評価を踏まえて、我々も今の現状抱えているような問題も含め、そういう中で我々の意見としても言わせていただきたいと思います。予算案みたいなのができたとか、あるいはどこかで具体的なことを説明していただける機会をこの場ででも持っていただけたらと願っております。

○佐原厚生科学課長

 その方向で検討させていただきます。

○部会長

 よろしくお願いします。議題1の案については了承したということで進めさせていただきます。ありがとうございました。少し時間が押しておりますけれども、議事2、研究の倫理指針の改定について御審議いただきます。事務局から説明をお願いします。

○下川研究企画官

 平成279月に個人情報保護法の改正が行われたことを受け、医療研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会を設置することについて、今年の2月に開催された科学技術部会にお諮りし、御了解を頂いております。この専門委員会において、今年の4月から8月までの計6回にわたって御議論いただき、中間取りまとめを行いましたので御説明いたします。

 中間取りまとめの内容の御説明の前に、指針改正施行までのスケジュールについて御説明いたします。資料2-212ページの下半分を御覧ください。3省合同の専門委員会で、8月に指針改正案を取りまとめました。本日部会で御了解を頂けましたら、9月にパブリックコメントの手続に入り、その後パブリックコメントの内容を検討するために再度3省合同の専門委員会に諮ります。そこで必要に応じて御意見を基に指針案を修正し、その後再度この部会に諮り、年明けになってしまうと思いますけれども、できるだけ早期に指針を公布し、来年春の個人情報保護法の施行と同時に指針を施行したいと考えております。

 資料2-11ページを御覧ください。個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法の改正に伴い、「ゲノム指針」、「医学系指針」等の見直しの検討を行っております。

 個人情報保護法の主な改正点ですけれども、1番目は個人情報の定義が明確化されました。具体的には個人識別符号が個人情報として新たに定義されております。また、要配慮個人情報が新たに定義されております。これらについて具体的には、法律に基づく政令等で定められることになりますが、現在の政令案では、個人情報保護委員会規則で定める基準に適合するDNAの塩基配列などが個人識別符号になる予定となっております。また、要配慮個人情報は特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報になりますけれども、例えば病歴等を含む個人情報が該当する予定となっております。要配慮個人情報の取得や提供に当たっては、原則本人への同意が必要となっております。

2番目として、個人情報保護法により、匿名加工情報という概念が定義されております。資料には匿名加工情報しか記載しておりませんけれども、行政機関個人情報保護法及び独立行政法人個人情報保護法では、匿名加工情報ではなく、非識別加工情報という概念が定義されております。どちらの情報も加工方法としては同じものですけれども、個人情報を特定の個人を識別できないように加工し、かつ個人情報を復元できないようにしたものです。これは一定の基準に従い、個人情報を加工して、民間事業者に識別行為を禁止するなど、一定の規律を求めることで、民間企業におけるパーソナルデータの利活用を促進するために設けられております。

3番目は名簿屋対策として、適正な流通を確保するために、情報を提供する側、される側に提供日、提供先、提供元等の記録を残すことが規定されております。

4番目は、一定の基準を満たさない外国の第三者への提供に当たっては、原則本人の同意が必要となっております。

2ページです。このような法改正を踏まえ、「指針の見直しの基本的な考え方」です。これまで指針では、全ての研究者が遵守するべき統一的なルールを定めてきております。これは単に個人情報保護の観点だけではなく、研究対象者の自由意思による同意など、患者の権利・利益の保護の観点も踏まえて統一的なルールとしているものです。また個人情報保護については、研究機関が民間か公的機関かによって、適用になる法律が異なりますけれども、複数施設間での共同研究などにおいて、資料・情報のやり取りに支障が出ないようにすることも考慮し、指針上の統一的なルールは各法律を包含したものとなっております。

 このため、私立大学、学会等の学術機関が、学術目的で個人情報を取り扱う際は、個人情報保護法の適用外ですけれども、これまでも指針において、他の機関と同様の措置を求めてきております。したがって、今回の指針見直しに当たっても、統一的ルールを定めるという考え方で検討を行っております。

 また法改正により、個人情報の取扱いが一部厳格化されることを踏まえ、個人情報の取得・提供に当たり、同意が必要となるような場合には、研究に支障が出ないように法律の例外規定が適用できる場合には適用するということも考慮に入れて、指針見直しを行うこととしております。

 次に具体的な検討内容です。5の個情法等の改正に伴う見直しの検討事項を御覧ください。用語の定義の見直しです。これまで指針において匿名化という定義を使用してきております。法改正により、DNAの塩基配列の中には個人識別符号として、個人情報になるものがあることや、ある機関に個人情報でない匿名行為を行ったとしても、別の機関で別の情報と照合すると個人情報になるということもあり得ることも考え合わせて、匿名化の定義を検討いたしました。

 また従来指針で使用していた連結不可能匿名化、連結可能匿名化という言葉も廃止することといたしました。これは、従来連結不可能匿名化や、対応表を相手に渡さない連結可能匿名化によって、情報提供先では個人情報でなくなるという整理であったのですが、法改正後は幾らこの処理をしても個人識別符号が残っていれば個人情報になりますし、またある機関で個人情報でないと考えていても、別の機関で別の情報と照合すれば、個人情報になることもあり得るということで、この言葉を廃止することといたしました。

 次は3ページです。匿名化の定義については議論の結果、従来の匿名化の定義を基本的に踏襲しつつも、一部修正しています。括弧書きで(個人識別符号を含む)という部分があります。ここを追加しております。特定の個人、死者を含むを識別することができることになる記述等、括弧して(個人識別符号を含むの全部又は一部を取り除くこと)を言い、代わりに当該個人と関わりのない符号又は番号を付すことを含むといたしました。

 匿名化の行為そのものは、匿名化の結果個人情報となる場合とならない場合を両方含む広い概念としております。匿名化の定義の点線の囲みの下の部分ですけれども、この匿名化を行った結果、個人情報とならない場合を匿名化されている情報(特定の個人を識別することができないものに限る)として、一方匿名化しても個人情報のままの場合は単に匿名化されている情報としております。

 次にインフォームド・コンセント等の手続の見直しです。文字では分かりにくいですので、図で説明いたします。資料2-26ページを御覧ください。新規の試料、情報を取得する場合ですけれども、医学系指針において、新規試料情報を取得する場合は、基本的にインフォームド・コンセントが必要になっています。(4)で、情報のみを扱う場合はこれまではインフォームド・コンセントではなくて、オプトアウトでも可能となっておりました。しかし、法改正により右側の(4)'の赤字の所ですけれども、要配慮個人情報を取得・提供する場合と、一定の基準を満たさない外国への個人情報の提供は原則同意が必要になりました。しかし、この場合であっても例外規定に該当する場合は、従来どおりオプトアウトでよいこととなります。

 例外規定というのは、公衆衛生向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合などがそれに当たります。

相澤委員

 今説明していただいているわけですが、説明資料にパワーポイントのページと、紙のページと両方番号が打ってありますよね。

○下川研究企画官

 すみませんでした。パワーポイントのページではなくて、一番下の真ん中に振ってあるページです。パワーポイントだと1112になります。下の真ん中の6ページになります。情報のみを扱う場合は、これまでインフォームド・コンセントではなくてオプトアウトでも可能でした。法改正により(4)'の赤字の所ですけれども、要配慮個人情報を取得・提供する場合と、一定の基準を満たさない外国への個人情報の提供は原則同意が必要になりました。しかし、この場合であっても、例外規定に該当する場合は従来どおりオプトアウトでよいこととなっています。例外規定と申しますのは、公衆衛生上の向上のために特に必要がるある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合などがそれに当たります。

 下の図のゲノム指針の場合は、もともと新規取得はインフォームド・コンセントが必要ですので、法改正による影響はありません。

7ページです。自機関で取得した既存試料・情報を自ら利用する場合です。取得した際の利用目的を変更して使用する場合、これまで連結不可能匿名化された資料・情報を扱う場合や、連結可能匿名化された資料・情報を扱う場合であって、対応表を持っていない場合は、個人情報でないという扱いで、手続が不要としてきております。今後は個人情報ではないとは言い切れませんので、右のほうになりますけれども、匿名化された情報が個人情報でない場合は手続を不要とすることで、(2)'の所ですけれども、連結不可能匿名化等の言葉を置き換えて、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る試料使用情報の場合に限り手続不要といたしました。

 下のゲノム指針のほうですけれども、(7)の連結不可能匿名荷の場合は手続不要で、(8)の対応表を保有していない連結可能匿名化の場合は、通知又は公開とアクションが異なっていますので、見直し案では区別するために、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)であって、対応表が作成されていないものと、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)という2通りの言葉に置き換えております。

8ページです。既存試料情報を他機関へ提供する場合です。医学系指針のほうですが、これまで連結不可能匿名化や対応表を提供しない連結不可能、連結可能匿名化した資料・情報の場合は個人情報でないという扱いで手続不要としておりました。先ほどの説明と同じですが、今後は個人情報でないとは言い切れないので、(2)'の部分ですけれども、連結不可能匿名化等の言葉を置き換えて、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)試料・情報の場合に限り、個人情報でないとして手続不要としております。

 しかしながら、個人情報になる場合は矢印が下のほうに行き、ここで民間の場合は、要配慮個人情報かどうか、外国への提供かどうかで扱いが変わっています。個人情報保護が適用になる民間の場合は、通常は矢印が右へ行って、オプトアウトで提供になりますけれども、基準を満たさない外国へ提供する場合や、要配慮個人情報を提供する場合は、矢印が更に下へ行き、本来は同意が必要なのですが、公衆衛生上向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合には例外規定が適用になりますので、その場合はオプトアウトで可能になります。

 行政機関、個人情報保護法と独立行政法人個人情報保護法が適用になる国や、独立行政法人が学術研究目的であれば、個人情報提供可能ですけれども、この場合も民間の場合と横並びでオプトアウトを行うことにしております。

 ゲノム指針のほうは、現行で連結不可能匿名化の場合は連結可能匿名化されており、対応表を提供しない場合の取扱いについては、先ほどの既存試料、情報の自機関利用の場合と同じ考え方で見直しをしております。また、従来ゲノム指針では同意取得困難な場合には、連結不可能匿名化を行うか、連結可能匿名化し、対応表を提供しないことによって、個人情報でなくすことによって研究が行えてきました。今後はその行為によっても、必ずしも個人情報でなくなるということは言えないということがありますので、同意困難な場合でも個人情報を扱える道筋を作る必要が出てきました。このため、見直し案では更に下に続く矢印の経路を作っております。その経路は、今御説明した医学系指針と同じ考え方によって、国・独法等の場合と、民間で分かれる経路となっていて、オプトアウトで対応する案となっております。情報を提供した場合、いずれの場合も提供先、提供日等を記録し、保管する必要があります。

9ページは、既存試料・情報の他機関から取得して研究を実施する場合です。個人情報でない場合は、提供元の手続等を確認するだけでよいのですけれども、個人情報の場合はインフォームド・コンセントかオプトアウトの手続を行うことになります。また、改正個人情報保護法では、第三者からの個人情報の提供を受けるときは、提供者の氏名や、提供者が個人情報を取得した経維について確認するとともに、受領年月日、確認した事項等を記録し、一定期間その記録を保存しなければならないことになっており、指針でも同様となります。

 資料2-14ページに戻ります。(3)匿名加工情報、非識別加工情報の取扱いの部分です。2)匿名加工情報は、特定の個人を識別することができない情報で、かつ他の情報と照合する行為は禁止されているなど、法律の一定の規律が求められておりますので、個人情報でない情報と同等に扱えるということで、既に作成された匿名加工情報のみを用いる研究は、医学系指針の対象外としております。

5ページで、インフォームド・コンセントについても自機関で保有している既存の個人情報から匿名加工情報を作成し、自機関で利用目的の変更を行う場合や、他機関への提供を行う場合で、インフォームド・コンセントが難しい場合には、インフォームド・コンセントを受けることなく、既存情報から匿名加工情報を作成し、利用・提供できるという案にしております。

(4)新指針施行前までに対応するべき事項(経過措置)の部分です。この改正結果を踏まえ、研究機関が新指針施行前までに対応すべき事項は何か、またそれ以外の事項についてどれぐらい猶予があるかということです。個人情報保護法に基づき、法施行後直ちに行うべきものと、法改正に関わらない事項に分けて検討を行っております。これまで個人情報として取り扱っていなかった情報が個人情報となると、現在実施中の研究についても、これまで指針の対象外として扱ってきた情報が指針の範囲となって、もともと指針の範囲内であっても、新たにインフォームド・コンセント等の手続を取らなくなったりする場合が起きるかと思います。このため、法施行前までに実施すべき事項としては、研究者の方々は実施中の研究を点検していただき、必要があれば研究計画の修正を行い、倫理審査委員会での審査など、法施行に備える必要があります。

 また、点線で囲って「補足」と書いてある部分ですけれども、研究における個人情報の取得が個人情報保護法や、指針の改正前に行われていれば、法と指針の改正後に改めて取得等を理由に係る本人の同意を得る必要はありません。ただ、既存の同意の範囲外で利用する場合は、改正後の法・指針に基づいた同意の手続を行う必要があります。

 法改正と関係のない事項。これは、これまで指針の改正で適用を猶予してきた事項のことです。医学系指針については、このうち研究計画書の変更が必要となる研究計画ごとの措置については、指針の改正に伴って遵守は求めず、従前どおりとします。施設単位で求められるような事項、例えば倫理審査委員会や教育研修等の規定については、内容によって一定の猶予期間を求めて遵守を求めることにしております。

 ゲノム指針については、平成25年施行の指針で新たに追加された規定で、これまで猶予してきた規定については一定の猶予期間を設けて遵守を求める案となっております。

7ページです。法改正とは関係ありませんけれども、医学系指針とゲノム指針で不正使用が見られる事項について見直しを行いました。ゲノム指針における倫理審査体制について、医学系指針と整合性を図ることにいたしました。具体的には、ゲノム指針では原則自機関に倫理審査委員会を設置することとされておりますけれども、その規定を削除し、医学系指針と同様に、他施設の倫理審査委員会への審査を可能とすることとしております。

(2)倫理審査委員会の構成と成立要件です。ゲノム指針のほうが、医学系指針よりも緩い規定となっておりますので、医学系指針にそろえることといたしました。以上が医学系指針、ゲノム指針の改正案の内容の説明です。

 このほか個人情報保護法の改正に伴い、ヒト授精胚の作製を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針にも影響が出ますので、改正案について母子保健課より御説明いたします。

○神ノ田母子保健課長

 母子保健課長の神ノ田でございます。資料2-5を御用意ください。続きまして、ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究に関する倫理指針の改正()につきまして、御説明申し上げます。左側が現行、右側が改正()となっております。改正内容は先ほど説明があったとおりで、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針と同様の改正をしようというものです。改正()の右側の所の(10)個人情報につきましては、定義を修正しております。(11)の個人識別符合につきましては定義を追加しております。(12)匿名化の所につきましては、連結可能匿名化、連結不可能匿名化の定義を削除しております。

 次に、裏面ですが、対応表の所ですけれども、定義を追加しております。

 第5章の所に研究の手続とありますけれども、この指針については今回、合同会議の検討の対象になっていなかったのですが、この指針の取扱いとして、個人情報の保護については、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に準じた措置を講じる」と書かれておりますので、今回この医学系倫理指針が改正されることに合わせて整合性を図るための改正ということです。パブコメ等の手続につきましては、先ほど説明のあったとおりのスケジュールで進めさせていただきたいと思っております。以上でございます。

○部会長 ありがとうございます。こちらもかなり膨大な資料で全部御理解していただければ有難いのですが、ただいまの説明につきまして、御意見がございましたら、お願いします。

○倉根委員

 すみません、ちょっと聞き逃したのかもしれませんが、この資料2-1で、中間取りまとめという言葉なんですけど、この中間取りまとめというのは、また委員会が今後合同会議が開かれて、変更もあるという意味なんですか。今は今日は報告ということなのですか。

○下川研究企画官

 中間取りまとめを行いましたので、パブコメの手続に入ってもよろしいでしょうかということをお諮りするものでございまして、パブコメの結果、今なおまた見直すこともありますので、またパブコメの後に中間取りまとめ()をまた見直すこともありますので、中間という位置付けになります。

○倉根委員

 まず、今の段階では合同会議としてはこれがファイナルですよっていう、そういうことですね。

○下川研究企画官

 そうです。

○倉根委員

 これからパブコメの意見がいろいろ出てきた場合にという、そういうことですね。

○下川研究企画官

 もう一度、専門委員会で御審議いただきまして、確定をさせるということです。

○部会長

9月にパブコメをしましてその後、それぞれの3省の親委員会でパブコメも含めた更にもう一回、検討をしていただいて、それからファイナルになると伺っています。何か御意見はございませんでしょうか。

○宮田委員

 御苦労様としか言い様がないんですけれども、これ、出来の悪い個人情報保護法に対応して、要するに指針をこういうふうに手を入れてくると、どんどん増築改築で、訳の分かんない旅館みたいな構造になることを恐れていて、結局ここでオプトアウトに持ってくるときに、公衆衛生上の必要性とか、研究とか、そういう個人情報保護法の例外規定を活用しているので、そういう構造からすると、やっぱり医療情報とかそういったものは、個人情報と別枠の法として取り扱うことをそろそろ考えないと、この次の改正が来たら、本当に崩れちゃうような感じがしています。ですから、そういう意味ではここでの議論の趣旨ではないでしょうけれども、この指針は本当に御苦労様としか言いませんけれども、もっと大きな枠で厚生労働行政にとって、医療データとか、ゲノムデータとかそれが今後必須になってくると思うので、それをもうちょっと扱いやすいような形の法的基盤を是非、厚生労働省内でも議論を進めておいていただきたい。そうじゃないと、本当に医療のことや公衆衛生のことを分かっているとは言いかねる、個人情報保護委員会というのがもう1つあって、そこが判断することになります。そこの委員のリストを見ると、医療関係者って1人ぐらいしか入っていなくて、とても正しい判断ができない可能性があるので、もうそろそろ私どもがきちっと医療の個人情報ということを法的な枠組として用意すべきではないかということを是非、議事録に残したいと思ってます。

○部会長

 ありがとうございます。

相澤委員

 個人情報保護法そのものの問題がここにあるので、この指針自体は一生懸命これに合わせようと努力されてるので、ここの問題ではないと私も理解しておりまして、そもそも今の情報社会とこの個人情報保護法が今のグローバルなビッグデータの時代に適合してないんじゃないかと。さらにおっしゃられたように、医療情報の取り扱いということで、いろいろな側面があると思うんですね。いろいろな側面があるのですが、仕方がないから一生懸命合わせられてるので、これをどうこう言っても、元の法律でこう決まっちゃってますから、これに順応せざるを得ませんよねっていうところは、しかも、今回私もあれですけど、詳細はあれですけども、できるだけ基準の整合性は図ろうとしていることについては、私は3省庁で基準の適合性を図ろうとしている。それから、異なる倫理指針の間で適合性を図ろうとしていることについては、努力を担保すべきだと思います。問題はやはり個人情報保護に関する法律をもうちょっとちゃんとしてもらわないと、困るなあということ。すみません、感想みたいなので、申し訳ございません。

○部会長

 玉腰先生、いかがですか。

○玉腰委員

 先ほど宮田委員が言われたのと同じで、ほかの規則に合わせてその都度変えていくのはもう無理だと思いますし、今日、前半であった厚労科研の話を考えても、これがちゃんとできるような枠組を担保するには、やはり医療の研究系のルールを別にちゃんと持つべきではないかと思いますので、是非その方向で検討いただきたいと思います。

○部会長

 事務局はいかがでしょうか。何か佐原課長から一言。

○佐原厚生科学課長

 御意見として賜っておきますとしか今のところ言えませんが、取りあえず、今日のこの指針は今回の個人情報保護法に合わせてこのように対応する方向でパブコメさせていただきたいという御理解をいただきたいのが今日のミッションでございますので、すみません、よろしくお願いします。

○部会長

 ミッションにつきましては、よろしいでしょうか。科学技術部会としてこの中間取りまとめ()などについて、了承したということで、手順を進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし)

○部会長

 ありがとうございます。重要な御意見だと思いますので、ずっと取りまとめといいますか、合同部会をやっておりますと、常に本質的な所に視点が向かざるを得ない場面が多々ございますので、是非、医療、医学について、個人情報保護法との関連をまた考え直す機会があればいいなと思います。

 それでは、本日はこれで全ての議事が終了いたしました。事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。

○下川研究企画官

 次回の日程でございますが、1026日水曜日を予定しておりますが、正式に決まり次第、委員の皆様には改めて日程、開催場所について御連絡申し上げます。事務局からは以上でございます。

○部会長

 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第96回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2016年8月24日)

ページの先頭へ戻る