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2016年10月12日 第4回ジョブ・カード制度推進会議

職業能力開発局

○日時

平成28年10月12日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室
(千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館17階)


○議題

1 ジョブ・カード制度推進に係る当面の重点事項の進捗状況について
2 ジョブ・カード制度関係の平成29年度概算要求等について
3 その他

○議事

○樋口座長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回ジョブ・カード制度推進会議を開催いたします。最初に、事務局から構成員の交代並びに出席状況について説明をお願いいたします。

○伊藤課長
 本会議事務局を仰せつかっておりますキャリア形成支援課課長の伊藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の皆様方、本日御多用のところ、本会議にお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、事務局からの御報告を申し上げます。前回、4月の会議以降、委員の交代がありましたので、御紹介申し上げます。お手元の資料1の裏面に10月現在の本会議の委員名簿があります。こちらを御参照いただければと思います。まず、日本経済団体連合会内の異動に伴い、高橋前委員に代わり、遠藤労働政策副本部長に委員として御就任をいただいておりますので、御紹介を申し上げます。

○遠藤委員
 遠藤と申します。よろしくお願いいたします。

○伊藤課長
 また、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会内の異動に伴い、野中前委員に代わり、神保書記長に新たに御就任を頂いております。

○神保委員
 神保です。よろしくお願いします。

○伊藤課長
 また本日は、委員の皆様方の中で、相原全日本自動車産業労働組合総連合会会長、また今野学習院大学経済学部経営学科教授が、所用により御欠席であることを御報告申し上げます。また、小沢横須賀商工会議所名誉会頭の代理として、菊池横須賀商工会議所専務理事に御出席を頂いているところです。

○菊池代理(小沢委員)
 横須賀商工会議所の菊池です。どうぞよろしく申し上げます。

○伊藤課長
 事務局からの報告事項は以上です。よろしくお願い申し上げます。

○樋口座長
 それでは早速、議事に入りたいと思います。議事次第にあるように、本日の議題は3つあります。1番目の「ジョブ・カード制度推進に係る当面の重点事項の進捗状況について」。2番目の「ジョブ・カード制度関係の平成29年度の概算要求等について」。そして3番目が「その他」となっております。

 まず最初に、1番目の「ジョブ・カード制度推進に係る当面の重点事項の進捗状況について」、厚生労働省及び文部科学省から説明をお願いいたします。

○松瀬企画官
 厚生労働省の松瀬です。お手元の横書きの資料2を御覧ください。まず最初の議題、「ジョブ・カード制度推進に係る当面の重点事項の進捗状況について」を、御説明申し上げます。最初に色刷りの「新ジョブ・カード制度」と書いてあるものがあります。昨年10月以降の新たなジョブ・カード制度の体制について簡単に記したものです。上半分の長方形の部分は「目的」の部分です。目的はそこに書いてあるように、大きく2つに整理されたところです。

 下のほうの左側、「活用の形態・様式」ですが、これは改正能開法に基づき、大臣が様式を定めることとしたものです。右のほうに移り、「周知・広報」ですが、昨年12月よりジョブ・カード制度総合サイトを運用しているところです。本日はそのスマホ版についてデモンストレーションを予定しております。

 次のページ、「重点事項・課題に対する対応状況」ですが、左半分が前回の会議で報告した当面の重点事項、課題です。右側がそれに対する現在までの状況です。まず1番目、「ジョブ・カード制度総合サイトについて」ですが、本年7月よりメール相談サービス機能を追加しました。また、アンケート調査項目に性別、年代、就業状況等を新たに追加しております。

 また、この後の2つ目の議題で詳細を説明しますが、ジョブ・カード制度総合サイトの使い勝手をより良いものにするために検討委員会を立ち上げ、次年度以降の改善事項について検討したところです。

 2つ目です。ジョブ・カード制度創設以来、商工会議所に御協力いただき推進している雇用型訓練の実績です。この後21ページに、もっと長いスパンでの実績が書いてありますが、ここでは直近5年分を記載しております。なお、一番下の「平成27年度」ですが、これは年度途中ということで、最終的にはもう少しこの数字は増えるということで、御了解ください。

 次のページ、3番目です。「雇用型訓練以外の取組」についてですが、昨年10月に職業能力開発行政について、都道府県労働局にもその組織拠点ができたところです。以降、私どもとしては全国会議や通達等に基づく指示などにより、ジョブ・カードの推進を都道府県労働局に指示してきたところです。また、今年度より委託訓練の実施要領においても資格取得コースを除き、原則全ての訓練コースでジョブ・カードの作成を義務付けているところです。

 4番目です。助成金のセルフ・キャリアドック制度を利用する場合や専門実践教育訓練においては、キャリアコンサルティングでのジョブ・カードの活用を求めているところです。

 5番目です。本年度より国家資格のキャリアコンサルタント制度が始まりましたが、その中でキャリアコンサルタント養成講習カリキュラムの中には、ジョブ・カードの講義を組み込むということ。あるいはキャリアコンサルタント試験を実務経験要件で受験する場合には、ジョブ・カード様式によりその実務経験を証明すること等々を定めたところです。

 6番目です。ハローワークインターネットサービスでは今後、求職者マイページを新設する予定ですが、その求職者マイページとジョブ・カード作成機能を連携させる方向で、現在省内で調整をしているところです。

 7番目です。これは本日後ほど改めて御説明しますが、文科省、経産省と連携し、好事例を収集しているところです。

 次のページ、「新ジョブ・カード制度の周知広報の取組」についてです。若干今ほど説明したものと重なりますが、簡単に説明します。まず、広く一般向けについてですが、昨年12月からジョブ・カード制度総合サイトを運用開始しました。

2つ目ですが、厚生労働省で持っているフェイスブックやTwitterといった広報機能を用いて、今月ですが、新ジョブ・カード制度の周知を試みているところです。事業主向けですが、これは主に経産省の協力を頂き、例えば地方経産局のメールマガジンにより、新ジョブ・カード制度の周知などを行っていただいております。

 一番下、「大学、専修学校等向け」ですが、これは主に文科省の御協力を頂いている部分です。例えば本年度の「全国キャリア・就職ガイダンス」が614日にありましたが、この席上でも新ジョブ・カード制度の周知を行っていただいております。

 次のページ、色刷りの絵が「ジョブ・カード制度総合サイトの全体の概要」を図解したものです。図の左半分ですが、「ジョブ・カード制度総合サイト」と書いてありますが、サイトのコンテンツにはこのようなものがあることを色分けで示しております。矢印が右のほうへ行っておりますが、上から個人の方、企業の方、その他機関の方ということで、それぞれの個人、法人等で利用されていることを示しているものです。

 次のページ、棒グラフの図です。昨年12月以来の「ジョブ・カード制度総合サイトの利用実績」です。正式にはアクセス数です。昨年12月は24万件を超えるアクセスがありましたが、以降は大体約3万件程度のアクセスでコンスタントに推移していることが、見てお分かりいただけるかと思います。

 次のページ、これは総合サイトのアクセスの状況から、具体的にどのようなアクセスのありようがあるかと分析したものです。左側の一番上の表は、トップページにまずどこからアクセスしているのかという「アクセス元の分析」ですが、約6割が「お気に入り・URL直指定」ということでした。これは恐らく反復継続して使っている法人などが多いのではなかろうかと、うかがわせる状況です。

 2つ目ですが、アクセスは一体どこにされているのかということですが、上2つは、「ジョブ・カード作成支援ソフトウェア」で、これが3割でした。同じく3割程度で、「ジョブ・カードとは」という説明のページがあります。この2つが人気のあるページということになります。下2つの表は、それぞれのアクセス元ですが、いずれもトップページからということです。

 右のほうに移り、「時間帯別のアクセス状況」ですが、平日日中の時間帯でアクセス数が多いことがお分かりいただけるかと思います。これも恐らく反復継続して訓練機関などが利用されていることをうかがわせる状況です。

 下のほうにいきます。本年3月からスマホ版の運用を開始しましたが、PC版との利用状況の比較ですが、折れ線グラフ、円グラフいずれを見てもPC版の利用が圧倒的に多い。これは使い勝手が非常に良いことを反映しているものと思われます。

 次のページ、「スマホ版ジョブ・カード作成支援アプリについて」という表ですが、これはこの後、NTTデータにデモンストレーションをやっていただくので、そのときに併せて説明しますので、このページからしばらく飛ばします。「ジョブ・カードの普及・促進に向けた取組」という、少し字の多くなったページに飛んでください。13ページです。これは我が方であれば労働局を通じて、文科省であれば大学、専修学校を通じて全国の好事例を収集しており、その一端を紹介しようというものです。

 そのページの中ほどの囲みを御覧ください。今般6事例を紹介します。大学は秋田県立大学をはじめ3大学、専修学校は創造社をはじめ3校です。そこでヒアリングの状況を簡単にまとめておりますが、大学としては、今後エントリーシートとの連携もできればいいというお考えをお持ちの所が見られました。専修学校は、在学中のみならず、就職のフォローアップを意識して利用していることなどが報告されました。

 次のページ、まず秋田県立大学についての状況の紹介です。右肩に「厚生労働省」と書いてあるのは、我が方が収集した事例ですので、私が今から説明します。秋田県立大学です。平成11年開学ということで新しい大学ですが、平成27年度卒業生はほぼ100%の就職ということで、非常に就職に力を入れて、かつ、その実績も上がっている大学です。

 中ほどの四角囲みですが、現時点では低学年(12年生)向けのキャリア教育に活用しており、3年次以降、就職活動に向けては今後利用していこうと考えているとのことです。一番下の囲みにあるように、エントリーシートとの共通性が高まれば、もっと推進していけるのではないかという意見も頂いております。

 次のページが岐阜経済大学です。一番上の「学校の概要」にあるように、昭和42年ということで開学以来50年を経ております。地方の中堅規模の大学といえると思います。中ほどを御覧ください。ここはハローワーク大垣と連携して、そのハローワークの職員が学内に入り、キャリア教育の一環で実際に学生と面談をやっているということでした。非常に行政との連携が取れた大学といえるかと思います。

 一番下の「取組の効果・課題」ですが、4年生が卒業以降、未就職で卒業してしまった者等々のフォローアップでの活用などを考えているとのことです。もちろん就活に向けて早期に課題把握することも期待しているとのことです。なお、一番下に書いてありますが、やはり今のところでは、これだけの体制をもってしてもジョブ・カードの作成については時間が掛かるので、もっと体制を強化したいという思いを持っておられるようです。

 次の富山大学の事例については、文科省の小代補佐から紹介を頂ければと思います。

○小代課長補佐
 文部科学省学生・留学生課の小代です。それでは、富山大学の事例について御紹介を申し上げます。まず、富山大学の概要です。昭和24年の設置ですが、平成17年に富山医科薬科大学と高岡短期大学を再編・統合した形で今の富山大学ができております。医学部から薬学部、工学部と非常に幅広い学部をそろえる総合大学ということです。

 実際にジョブ・カードを活用した取組ですが、正にこれから始めようとしているところで、10月の後学期から、活用しようということで、正課内のカリキュラムと正課外のカリキュラムと2つで考えているとのことです。

 まず、正課教育としては、教養科目の「生活の科学」という科目の中の1コマで、いつからかというと1018日のコマで実施するとのことで、準備を進めておりますが、その中で実際にジョブ・カードを作成して、キャリア・ビジョンを熟考させるということで準備をしております。実際の指導はジョブ・カード作成アドバイザーの資格を有した学務部長と就職支援課のコーディネーターの方などがいらっしゃいますのでその方を中心に、それからこの科目の担当教員と共同で行うとのことです。

 正課外の教育としては、キャリアプラン・ガイダンスということで、資料に書いてある「ジョブ・カードに書き込んで進路選択を拡大しよう」を、11月中に実施する計画をしているとのことです。就職活動により近い実践的なところを指導していこうと、同じくジョブ・カード作成アドバイザーと、就職・キャリア支援センターの相談員がサポートするとのことです。

 効果としては、当然、学生が自らの体験や関心などを体系的に整理ができて、更に就職のみならず履修計画を立てていく上でも助けになるであろうということを期待しているものです。さらに全学部対象の教育課程ということですので、学部等の専門性を超えたキャリア・プランの策定なども意図しているとのことです。

 一方、その課題としては、例えば障害を持った学生や、専門性の高い大学院生等にこれをどのように普及していくかといったことは、これから実際に行ってみて検討していくという段階です。富山大学は以上です。

○松瀬企画官
 ありがとうございました。次のページです。専修学校に移ります。まず最初が創造社デザイン専門学校です。概要にあるように、昭和42年設立から50年程度の専門学校です。グラフィック領域、イラストレーション領域等々を強みとしている学校で、生徒の半数以上が既卒者、社会人経験者ということです。中ほどに書いてありますが、専門実践教育訓練給付や委託訓練などを通じて、当方の事業をよく活用していただいている学校であることがいえると思います。それを通じて、ジョブ・カードについても一定の御理解を頂いているところです。

 ここでは1年次、2年次のインターンシップにおいてジョブ・カードを使い、その場での自己評価と企業評価の差分が、今後伸ばしていかなくてはいけない部分ということで、キャリア教育に使っているとのことです。また、その差分を埋めることで企業の人材ニーズにマッチした人材を育成することができるとのことで、ジョブ・カードを活用していただいているとのことです。また、この学校の特徴として、就職活動にはポートフォリオというものを活用しているのですが、ポートフォリオの活用とジョブ・カードをどのように合わせていくかを課題として考えておられるようです。

 次のページです。上野学園の事例です。これも同じく設立から50年程度の学校であり、会計、コンピュータ、美容等幅広い分野をカバーしておられます。中ほどに書いておりますが、ここではジョブ・カードの作成アドバイザーの資格を持っている職員が30名程度ということで、組織を挙げてジョブ・カードを推進していこうという、しっかりとした体制を整えている学校です。

 ここでは、内定後からジョブ・カードの作成に取り組むとのことです。そして卒業後のキャリアアップや離職防止、ステップアップの転職のためのフォローアップに使っていきたいと考えているとのことです。

 次のページですが、文科省の星川室長補佐より御紹介をお願いします。

○星川室長補佐
 文部科学省専修学校教育振興室の室長補佐の星川と申します。私からは学校法人秋葉学園千葉情報経理専門学校の事例を紹介させていただきます。まず、学校概要ですが、千葉県千葉市にある学校です。昭和29年に学校設立ということで、大変歴史があります。次の○ですが、学科は全部で6学科あり、いずれもビジネス系です。

 また、どの課程も2年制の学科で、2030名の定員と書いておりますが、全校生徒は90名程度とのことで、比較的小規模な所かと思います。ただし、専修学校全体としては生徒数200人以下の学校が大体65%ぐらいですので、特に小さいというわけではありません。正規課程だけでなく、千葉県の委託訓練などにも取り組まれてきたとのことです。

 「ジョブ・カードを活用したキャリア支援の取組」ですが、もともと導入のきっかけとしては、このジョブ・カードの推進会議の委員として、法人理事長である秋葉先生が参画されていたこともあり、ジョブ・カードを委託訓練だけではなくて、積極的に正規課程の学生にも取り入れていこうという試みで、早期から取組を始められたと聞いております。

 次に「体制」ですが、「教職員全員がジョブ・カード作成アドバイザーの資格を持つ」と書かれております。学校として、『キャリアコンサルティングの能力というのは、学校教育に携わる教職員にとって、当然身に付けるべき基本的スキルであり、キャリア支援を行う際に、生徒の目線に立って指導する上で非常に有効と考える』とのお考えから、教職員に資格取得を義務付けているとのことでした。

 「実施状況」ですが、クラス担任制を採っておりますので、各クラスに1人は担任が付いております。そのような状況の中で、担任が一人ひとりと丁寧に面談を行って、ジョブ・カードの作成を進めているとのことでした。ここの[5]に書いておりますが、就職指導だけではなく、生活指導や進路指導といった幅広い指導の際にもジョブ・カードを活用しているとのことです。

 また、「今年度の取組」と書いておりますが、今までは教職員にある程度任せて、ジョブ・カードの作成を進めていたとのことですが、今年度より、学校のキャリア教育システムとして活用するために、例えば今までは同じ「時期」に実施していたものを、同じ「日」にキャリア教育の授業を設けて、一斉にジョブ・カードを作成したり、今どういった取組を進めているのかを、教員同士で情報交換したりするような取組も、今年度から始めているとのことです。

 「取組の効果・課題」ですが、「就職対策」や「キャリア意識の喚起」というものは一般的なところかと思いますが、例えば、就職の面接に際し、志望動機や自己PRを、これまでは面接直前に暗記したものを話すことが多かったのが、ジョブ・カード作成を繰り返すことで、志望動機などが自然と自分の中に定着し、自己アピールする能力が向上したというようなことです。

 「課題」ですが、教員に相当な労力と努力が必要、また、2つ目の○にありますが、教員のモチベーションを維持し高める仕組みづくりが不可欠となります。これはキャリア教育全般にいえることですし、また、どこの学校でも同じことだと思いますが、各生徒のキャリア意識や自己分析を、ジョブ・カードが作成できる段階まで高めることが、なかなか難しいとのことで、非常に丁寧な対応が必要であるということから、このような書き方をされております。

 また、最後の「使い勝手が悪いと感じる部分」です。これは「様式1-2 キャリア・プランシート」の部分についてお話されていたのですが、「様式1-2」に「興味・関心事項等」「得意なこと、苦手なこと」「将来取り組みたい仕事」「仕事を通じて達成したい目標」というような記載欄があります。例えば「将来取り組みたい仕事」あるいは「仕事を通じて達成したい目標」という記載を、ジョブ・カードをパッと見て書けるような人というのは、なかなかいない、とのことです。それは生徒のレベルの問題もあるし、ビジネス系学科が中心の学校のため、志望目的があまり明確でない生徒が多いといった特徴も理由の一つだと思いますが、「弱点を克服した」「問題点を解決した」といった、経験談を引き出すようなことを書く欄があればいいというお話をされていました。

 また、ここには書いておりませんが、やはり企業でもう少しこのジョブ・カードというものが浸透してくれば、先進的に取り組んでいる学校としては、取り組んできた甲斐があるのだが、というお話もされておりました。以上です。

○松瀬企画官
 次のページを御覧ください。「ジョブ・カードの推進状況」のグラフです。上のほうの折れ線グラフは累積の数であり、一番右にありますが、今年7月時点で153万を超えている所までまいりました。下のほうはその単年度の数字で、当然、平成28年度は7月末時点ですので、ちょっと下がっておりますが、担当に確認しましたら、対前年で見ると少し上回って推移しているということでした。

 次のページ、同じくその累積数を、今度は棒グラフで示したものと、下のほうの表は機関別の発行状況を示したものです。訓練ごとに数字を書いておりますが、それぞれの訓練の実施実績とほぼ一致する数となっております。一番下に、「総合サイトによる取得者数」という欄を設けており、昨年度から数が上がり始めておりますので御確認いただればと思います。

 次のページ、都道府県別の取得者数です。東京、大阪をはじめとして、大都市部で多くの取得者を出しているところです。

 次が最後のページですが、これは前回の会議でも御指摘があった属性の分析を試みたものです。一番左の「男女別」ですけれども、ほぼ半数ですが、女性のほうが若干多くなっております。「委託訓練」は女性の受講者が多いということで、それが反映していると思われます。

 真ん中の「年代別」ですが、20代、30代が中心になっていて、続いて40代となっております。一番右の「就業別状況」ですが、青い「学生・生徒」という所は2.4%となっております。これまで訓練で主に活用しておりますので、その他(求職者など)ありますが、この属性に属する方々が最も多く、8割近くを占めております。以上です。

○樋口座長
 それでは、厚生労働省に説明していただきましたが、それと関連して、ただいまからスマートフォン版のジョブ・カード作成支援アプリを用いた「ジョブ・カードの作成手順について」、これはジョブ・カード制度総合サイトの運営受託会社である、株式会社NTTデータの担当者の方に、デモンストレーションのことをお願いします。

NTTデータ
 NTTデータの井口と申します。よろしくお願いいたします。お手元の資料29ページ目以降とスクリーンを用いて説明します。まず資料9ページ目の左側になりますが、「ジョブ・カード作成支援アプリのダウンロード」について、スクリーンを用いて説明します。今、スクリーンに映っておりますのが、ジョブ・カード制度総合サイトになります。画面右上にある緑色のボタンをまず選択していただきます。すると画面の中央に、App StoreというApplestoreへのバナーと、GooglePlayというGoogleStoreへのバナーがここにあります。こちらのバナーを選択していただくと、アプリを取得することができます。

 本日はAndroidの端末で御紹介させていただきますので、GooglePlayを選択させていただきます。今、こちらのスクリーンに映っておりますのが、GooglePlayと呼ばれるスマートフォンアプリがある場所です。今、こちらのスクリーンに映っておりますのが、Storeと呼ばれるスマートフォンアプリがある場所です。今、このようにStoreにジョブ・カード作成支援アプリが公開されているといった状況になります。こちらがジョブ・カード作成支援アプリのダウンロードに関する説明になります。

 続いて、アプリの起動から終了ということで、ジョブ・カードの作成と、あとは作成したジョブ・カードを用いた応募書類の作成について、説明します。まず、アプリの起動ですが、ジョブ・カードのアイコンを選択していただきます。すると、メインメニュー画面が開きます。メインメニュー画面のとおり、ジョブ・カードの作成と編集、応募書類の作成と編集、あとはジョブ・カードを作成してのアンケートを送信することができるので、使用目的に応じてボタンを選択していただく形になっております。

 本日はジョブ・カードの作成をまず御覧いただきます。こちらが作成するジョブ・カードの様式を選択する画面になっております。就業経験の有無や学卒者・学生等利用者ごとにメニューが分かれております。本日は「様式1-1」、キャリア・プランシートについて御覧いただきます。こちらが入力画面になっており、氏名、現住所等をスクロールしていく形で入力していただきますが、こちらが連絡先になります。

 そして、キャリア・プランに関する本人の記入欄や、キャリアコンサルティングの結果を入力することができます。また、入力に当たり、「入力補助」機能というものがあります。こちらは質問に答えると、キャリア・プランのひな形を作成する機能ですが、こちらをまず紹介します。こちらが「入力補助」機能の画面となっており、こちらでいろいろと質問に答えていくような形になります。こちらでは自身の価値感や自身の強みや弱み、自身の働き方の希望等を入力していただきます。こちらでそれらを入力していただくと、自動でジョブ・カードのキャリア・プランに関する本人の記入欄に反映することができます。本日は時間の都合もありますので、既に作成済みのジョブ・カードを用いて完成イメージを御覧いただきます。

 こちらが既に入力済みのジョブ・カードを用いて、入力が完成した画面イメージになります。氏名、現住所等をこのように入力される形になります。こちらが連絡先になります。また、こちらがキャリア・プランに関する本人の記入欄、あとはキャリアコンサルティングの結果等をこのように入力される形になります。

 スマートフォンでは、画面の下で少し見づらい所にありますが、右下に印刷ボタンというものがあり、こちらを押すと、PDFファイルとして、このジョブ・カードを保存することができますので、そちらのイメージを御覧いただきます。スクリーンの都合上、文字が小さくて申し訳ありません。こちらではPDFのイメージになり、このようにPDFで保存することができます。同様に様式2の職務経歴シート、様式3-13-2の職業能力証明についても同様に作成することが可能となっております。

 続いて、作成したジョブ・カードを活用して、応募書類の作成について説明します。既に作成したジョブ・カードを選択し、その記入内容を活用して、応募書類としての履歴書を作成することができます。本日は既に作成しているジョブ・カードを用いて、作成します。こちらが選択した様式に記載された情報が一覧として表示されます。例えば一番上だと職歴になります。その次に免許・資格情報になります。次にジョブ・カードの学歴等の情報がこのように反映されます。

 この画面で履歴書の目的に応じて、適当な情報を選択していきます。今回は全ての情報を一旦出力するという形で行います。こちらが選択した内容が表示された画面になっております。ここは氏名、現住所、こちらはジョブ・カードから情報が反映されております。また連絡先や、先ほどありました学歴、職歴等がこのように反映されます。こちらが職歴になります。続いて免許・資格情報になります。

 しかし、ジョブ・カードの記載がない項目として、志望動機や通勤時間、あとは配偶者の有無や本人の希望欄といった所は、ジョブ・カードに記載がないのですが、これについてはこの画面で履歴書の目的に応じて、その都度編集していただく形で活用が可能となっております。例えば本人の希望の中で、東京近郊で勤務したいということがある場合は、こういった形で入力します。このような形だと入力が完了した状態になっております。

 履歴書についても、先ほどのキャリア・プランシート同様に印刷機能があり、こちらも印刷ボタンを押すと、JIS規格に準拠したPDF形式として保存することが可能となっております。こちらが完成したPDFの履歴書になっております。ページが分かれている、こちらの1ページ目で学歴等の情報があり、2ページ目で資格等、先ほどの本人の希望等の情報が反映されたPDFとなっております。

 以上で、スマートフォン版の作成支援アプリを用いたジョブ・カードの作成について、説明を終わります。ありがとうございました。

○松瀬企画官
 それでは、資料28ページを御覧ください。私が説明を飛ばして、今のデモンストレーションからも漏れている最後の1枚のページです。「スマートフォン版ジョブ・カード作成支援アプリについて」というタイトルの付いたものですが、中ほどのPCとスマホの絵が描いてある所がありますが、要は機能的にはPCでもスマートフォンでも同じようにジョブ・カードの作成、応募書類の作成ができることを図解したものです。しかしながら、スマートフォンは小さいものですから、どこでも使える一方で、少し編集が困難というデメリットといえる部分もありますので、下の四角囲みにありますが、例えばスマートフォン版アプリはこのように使ってはどうかということです。

 どこでも使えるというスマホの利点を活かし、空いた時間に、例えば電車に乗りながらでも棚卸し等の作業ができる。ジョブ・カードなどの作成も一定できるわけですが、それをしっかりと、応募書類の編集を行いたいときには、メールで自宅のPCに飛ばしていただいて、そこで引き続き編集していただく等々の活用をしていただければ、より利便性が高まるのではないかと考えております。以上です。

○樋口座長
 はい、ありがとうございました。ディスカッションに移ります。まず、厚労省あるいは文科省からの説明、さらにNTT データからのデモンストレーションを含めて、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○関口委員
 大学・専修学校におけるジョブ・カードの活用事例の中で注目したいのが、17ページの創造社デザイン専門学校です。「ジョブ・カード等を活用したキャリア支援、能力評価の取組」の真ん中の○に、1年次、2年次ともに、約1か月間のインターンシップを実施。その際の能力習得の状況について、ジョブ・カードを用い、あらかじめ設定した習得目標とする能力要素に応じ、受講者自身と受入れ企業がそれぞれ能力評価を実施しているというところに注目したい。

 つまり、資格や免許がない分野、ここもそうだと思うんですけれども、仮にそういうものがあったとしても、インターンシップといっていますが、いわゆる職業統合型学習(Work Integrated Learning)と言うらしいですが、そういう場面で、実際の仕事現場に近い所で知識や技能を動員した結果として、どういうことができるかということが、学習成果としてはこれからは非常に重要なのではないか。そういうところについて、実際に企業の人たちからの評価、自分の評価ということで、相互にやり取りをする、そのことが記されているということはとても先進的だと思います。

 単に学習歴を示すということだけではなくて、その学校の就職先である業界のコンピテンシーから、教育のゴールになるLearning Outcomesは決まってくるわけですから、それが実際にどういうことができるようになるのかということを学校側がきちんと明示して、それについて学生一人ひとりがどういう水準なのかということが成績評価としてはっきり出ていて、それについて学生自身はどのように受け止めて、就職していくのかというところまで記載されているものがあれば、採用側の皆様にとっても、卒業後の生涯にわたるツールという意味でも、初期キャリア形成の中で、そういうものがどのように自分として再評価されるのかとか、どういうものが付け加わっていくのかと活用できていけば、就職の場面だけではなくて、その後にもつながるというツールになると、そういう可能性も感じるところですので、この事例には注目したいと思いました。

○樋口座長
 好事例という形で御指摘いただきましたが、厚労省で何かございますか。

○伊藤課長
 関口委員には、こうした学校の好事例開発等に当たって、大変な御助力、御指導を頂いており、ありがとうございます。

 今ほど、創造社デザイン専門学校についての重要な点をコメントいただきました。この事例は、専門実践教育訓練給付という制度がありまして、これを活用しての教育訓練を実施しているという着眼点で、もともとヒアリングにうかがったところ、いろいろやり取りをする中で、教育訓練の成果評価にジョブ・カードを活用していることが確認された事例です。

 補足しますと、お手元に参考資料2として、カラー刷りのパンフレットを準備しております。その後ろのオレンジ色の活用ガイドに、主要な様式、その記入例を示しております。ここで申し上げますと、11ページに様式3-3の能力証明シート(企業実習・OJT)がございます。具体的には、この様式を活用して、インターンシップの成果評価を行っているということです。

 ポイントは、委員からもお話があったとおりですが、直接的にはインターンシップにおいて、企業側と生徒の間で、デザインという教育内容に即した形で、能力ユニット、評価項目を設定した上で、自己評価、企業評価を行い、そこでまず1回すり合わせを行います。そのすり合わせをしたものをもう一度学校に持ち帰った上で、今度は教員と生徒との間でその突き合わせを行って、年度中途で行うインターンシップの成果と残された課題を確認しながら、1年時、2年時、各後期の教育目標を明確化する。こうした2段階にわたりジョブ・カードを活用することにより、実践的な教育成果が大いに上がっているという聴き取りをしたところです。

 先ほど、松瀬からも申し上げましたように、これは最終的には就職活動にも直接使われることがより期待されるわけですが、デザイン分野という特性を反映し、一般的に用いる就職活動ツールとしては、履歴書等の応募用紙、この世界でいうところのポートフォリオ、在学中に作成したデザイン系の作品をいろいろ編集したものを、「これが私の作品です」ということで、それぞれ応募先企業に示しているということで、この評価シートそのものが就職活動で多くの場合に活用されるところまでには至っていないというのが実態です。

 ただ、インターンシップで受け入れている企業が、正に求人を出している企業と重なっているわけですので、そういった意味では1年次、2年次の、こうしたより分析的な能力評価が就職活動支援にも使い得るという認識は学校側も持っているようで、そういった点を更に伸ばしていくために、どのような工夫なり支援が必要かといったことが重要な課題ではないかということを、事務局としても再認識しているところです。

○安永委員
 私ども労働組合も、企業の人事部の皆さんと採用に関する意見交換をしたり、労働組合自身もプロパー職員を採用していますので、それらの経験を踏まえてお聞きいたしました。

 学生への普及や広角的な活用という観点から言いますと、文部科学省との連携が重要だというお話もございました。今のインターンの問題もそうですし、免許や資格など大学3年次になってから慌てて対応しても、もはや遅いということも多いと思っております。意識をもって学生生活を送る、意識をもって学習するという観点からも、早い時期での対応が必要だと思っています。

 そういった意味では、資料213ページに、「今回紹介する6事例及びその所見」として、「大学」の所に、「職業意識啓発のために低学年次からの活用も検討されている」との記載がございます。また、14ページには秋田県立大学の「取組みの効果・課題」の所で、「就職活動への意識がまだ希薄な低学年の学生を対象に」といったこと、「それらの大学生活との結びつきへの理解を一定程度促進させることが可能」といったことが記載されていることも考えますと、低学年次からのジョブ・カード活用で得意なことを創り出し、得意とすることを学ぶといったことが重要ではないかと思ったところです。

○樋口座長
 今のお話について、文科省から何かありますか。

○小谷参事官
 文部科学省としても、本年3月に厚生労働省と共同の通知を発出させていただいて、大学等に対してジョブ・カード活用促進について周知を図ったところですが、まだまだその活用は乏しいというのが現状ですので、本日御紹介いたしました好事例や、委員の皆様の御意見などについても改めて大学等に発信いたしまして、引き続き、ジョブ・カードの活用促進に努めてまいりたいと考えております。

○菊池代理
 このような形で大学、専門学校の皆様がいろいろなケース・スタディで事例をモデルケースとしてスタートしたということは、おそらく今までにないジョブ・カードの普及と定着の試金石として、非常に重要な布石になっていると思うのです。

 その後、政策的にこういう形で実施する中で一番大事なところというのは、学生の皆さんがどのようにこれをモチベーションとして感じてくれたか、何のためにということがはっきり分かって、今後も役立つものだと感じていただけたものかということを検証することが大事だと思っております。恐らくそういうことも想定される中で実施されていると思いますので、是非その検証はお願いしたいと思います。

 やはり、大学生や専門学生の皆さんは、就職という1つの大きな目的があって、そこに向かってキャリアは積み上げていくものだと思いますので、それがこのジョブ・カードによってデータベース化されて、自身を立体的に表現できるツールとなっていくということ。となると、これを最終的に進めていくためには、就職のためにどう活かしていくのかということを実感させることが一番大切なことだと思うのです。その件でいけば、先ほど履歴書への流用がありました。そうであれば、以前にも出ていたと思うのですが、エントリーシートへの流用といった活用方法も本格的に考える必要があると思います。

 また、一番就職に向けて活用されている民間の就職サイト、リクルートサイトの評価、そういったところが触媒になって企業との連携でこのジョブ・カードを評価されれば、学生時代と社会人になったときのプラットフォーム、大学のプラットフォーム、社会人としての企業のプラットフォームというのがシームレスに使われていけば、このジョブ・カード制度は長い目で活用できるのではないかというイメージを持ちましたので、そういった視点も持ちながら、せっかくこういういい事例がスタートしたのであれば、これが生きていくような演出も是非していただくことも考えていただければと思います。

○樋口座長
 はい、ありがとうございました。正に御指摘のとおりです。

○伊藤課長
 今ほどお話がありましたように、ジョブ・カードをシームレスなプラットフォームとして活用するということは、本会議において整理いただいた「生涯を通じたキャリア支援ツール」という、正にジョブ・カードの目指すところであると事務局としても思っております。

 具体的に御指摘いただいた1点目の成果検証に関してです。先ほど御紹介しました事例のように、1年次、2年次は使い始めています。3年生は正に使っている最中というフェーズのものが大多数です。私どもも、当事者、言い換えれば顧客がどういう観点で役に立ったのか、どういう観点で使いやすかったのか、こういう点では使い勝手が悪い、そういった具体の意見を吸い上げ、これからの仕組みに配慮することがポイントであると思っています。

 考えていることとしては、例えばそれぞれの大学や専修学校ごとに、実際に授業を担当される教授兼キャリアコンサルタントというキーパーソンの方がいらっしゃいます。こういった方をつかまえて、教える側、支援する側プラス授業の中でジョブ・カードを実際に作成し、支援を受けた学生からもヒアリングを行い、その中で今ほど申し上げたような観点からの具体の意見を引き出すことが考えられると思っております。

 おそらく今年度時点では、3年の時点での評価、来年度後半ではそうした一連の2年次、3年次、4年次、最終的にジョブ・カードが効いて就職内定に至った、こういう部分で今一歩だったという、更にリアルな声も聞き取れるのではないかと思っております。

 そのような活動を、この度把握した好事例学校の協力も頂きながら、更に進め活用していきたいと考えております。

 後半で御指摘いただいたエントリーシートへの活用の結び付けについては、この後の議題の中で報告を予定していますので、その際に補足の説明を申し上げます。

○加藤委員
 今、お話のあったことと基本的には同意見です。データ等を拝見すると、これまでの取得数はほとんど訓練の中で取得されたということになっています。学生は2.4%ということです。今日のいろいろな事例を拝見して、そちらを考えていただけると非常に有り難いと思っております。

 今回、拝見したスマホ版やPCもそうなのですが、例えば我々の年代、40代、50代の方々というのは、仕事の中で習熟をしていったという世界かなと思いますが、今の学生は小学校から、インターネットの世界で、先ほどの文字入力などは当たり前にやっていらっしゃる世代がどんどん増えてくると思います。そうすると、5年、10年たったら、そういう方だらけになってしまうということなので、やはり学生のところから就職ということも当然なのですが、やはり、自分のキャリアを整理していくこんなツールがあるのだということを、学校の現場の中で教育していただけると、少しずつ当たり前の世界かなということで、それが企業側として見れば、エントリーシートとの連携など、発展的に考えていけると思いますので、是非学校の世界で更に広げていただけると有り難いと感じております。

○小谷参事官
 学校側からは、ジョブ・カードが企業のエントリーシートと連携すれば、ジョブ・カードの活用もより広がるという意見をよく伺うのですが、ジョブ・カードがエントリーシートに合わせるのか、エントリーシートがジョブ・カードに合わせるのかという問題はさて置き、このジョブ・カード制度が学生に浸透するためには、先ほど申し上げた好事例の周知のほか、13ページの資料にも書いておりますとおり、今後は、ジョブ・カードの活用状況の調査なども行っていく予定ですので、文部科学省としても定期的に実態を把握し、必要な対応を行うことにより、活用促進に努めていければと思っております。

○樋口座長
 文科省に聞きましたが、私も大学に身を置く者として、考えなくてはいけないことだろうと思います。経産省からは何かありますか。

○伊藤参事官
 文部科学省からお話がありました、大学に対しての様々な好事例の周知とセットで、企業における意識の啓発も重要だと考えております。経済産業省としては、先ほど御紹介がありましたが、各地方の経済産業局のメールマガジン等も活用するなど、企業側にしっかりと周知していきたいと思います。

○樋口座長
 こういうのは普及すると、プラットフォームで逆にまた多くの企業が利用するし、学生も同じく利用するというところはありますから、どこをきっかけにするか。

○小杉委員
 キャリアコンサルティングについてお聞きします。大学の例を見ましても、職員あるいはハローワークからの相談員の方、特に学生ですと自分一人でやるというよりは、コンサルティングという支援が必要だという状況が、今回の事例の中でも非常にそれがはっきりしたと思います。そこをどうやって手厚くしていくのかというのが、今後の課題ではないかと思います。

 また、スマホ版でも見せていただきましたが、この絵の中では、スマホ版でもキャリアコンサルタントやジョブ・カード作成アドバイザーが何らかの形で関わるような絵になっています。作成支援のキャリアコンサルタントについて、今後どのように拡充、育成されていくのでしょうか。

○伊藤課長
 小杉委員から御指摘があり、この度の事例からも浮かび上がってくるように、大学、専修学校等の領域におけるジョブ・カードの効果的促進の前提として、極めて重要な要素として、キャリアコンサルタント等の量と質の両面を備えた支援人材の整備が不可欠であると、この度の事例把握を通じ、私どもも再認識しているところです。

 これに向けた取組の現状は、御案内のように、ジョブ・カード作成支援については、基本的には本年4月から国家資格化されているキャリアコンサルタントが、ジョブ・カード作成支援の担い手です。ただ、現状でいうと、それぞれの領域別に、この国家資格取得者だけでは量的に不足する場合が大いに想定されるということで、人事、職業相談等に関わる一定の職務経験を積んだ方で、短期間のジョブ・カード作成支援に係る講習を修了した方について、ジョブ・カード作成支援アドバイザーということで、この役割を併せて担っていただいているところが今の状況です。

 今後の取組は、できる限りキャリアコンサルタント自身が、この役割をしっかりと担えるようにということで、この国家資格のキャリアコンサルタントのスペックの中にも、ジョブ・カードをはじめとするキャリア・シートを使いこなす知識と技能という要素を明確に付けているところです。

 国家資格取得に向けてのキャリアコンサルタント養成の中で、キャリアコンサルタントが備えるべき主要な知識と技能として、このキャリアコンサルタントを位置付けて普及していくことが、まず1つあると思っています。

 また、それぞれのキャリアコンサルタントの活動領域ごとの技能の進化であったり、関係者のネットワークの構築が大変重要ではないかという問題意識を持っています。五十嵐委員などには日頃から御指導いただいておりますが、キャリアに関わる学会あるいは職能団体の中でも、最近は大学の教員の方であったり、あるいはキャリアセンターで勤務される方が非常に大きなウエイト、ボリュームになってきているという認識を持っています。

 こういった職域ごとのキャリアコンサルタントの能力、関心を更に高めていただき、同時に今日御紹介したような事例を、そうした専門家集団の中で共有いただきながら、あの大学でこういう取組をしているのであれば、我が大学ではこのような活用があり得るのではないかという、キャリアコンサルタント相互のネットワークの中で、こうしたジョブ・カードを有効なツールとして位置付け普及していく。

 先ほど来、御意見を頂いているような行政ルートでの普及に合わせて、こういった職能集団、あるいは学会その他の専門性に係るこうした組織体やネットワークの中でも、ジョブ・カードの位置付けや具体的な活動事例について、私どもは関係団体の御協力も頂きながら普及する努力を更に進めていきたいと考えております。

○五十嵐委員
 大学教育に関わる者としての意見です。大学にいる者としては、こういう好事例のパターンが幾つか出てくると、ワンパターンの用に限られたものになってしまうのではないかと懸念されます。いろいろと選択肢があって、大学の実情に応じて使えるような形になればいいと思うのです。

 あえて危惧するところを申し上げますと、例えば秋田県立大ではキャリアカウンセリングのツールとしてジョブ・カードを用いているものと承知しています。そうすると、特定の職種を限定するのではなくて、可能性を広げるものとしての汎用性、応用性が問われます。この辺は、これからの使い方なのでしょうし、御指導いただくアドバイザー、コンサルタントの方の力量が問われるところです。高度経済成長期の安定社会に向けた人材育成ではなくて、本当に不安定な中でどのような人材を養成するのかというときに、余りにも特定のスキルとか、型にはめるような使い方はやや危険性もあるというところも踏まえていただけると願っています。多様な人材をどのように多様に採用していただけるのかというパイプも、是非産業界の方たちにも意識していただいて、ジョブ・カードの活用を考えていただければと思います。

 あと、私事になりますが、実は私も前期の授業で使いました。いろいろな気付きにはなるということです。ただ正直言って、私は夜の社会人もいるコースだったのですが、これから学ぶ1年生にとっては、どう何を書いていいか分からない。働く経験があった方にとっては、いろいろなものを思い出しながら書ける。使う学生も多様だということも踏まえて、対応する場合の担当者の力量が問われると感じました。ただ、そのような中でいろいろと気付きにはなるなあということで、かなり有効性はあったと思います。

 ただ、気付きだけで終わっていいのかというところは、今度は大学教育に求められるのかもしれません。そういう意味では効果測定ということで、マーケティングでも、「この商品はよかったです」という満足だけでは一時的ですから、その商品を使うことによってどれだけ生活が便利になったとか、豊かになったとか、そこまで測定できるかどうかです。ジョブ・カード活用の効果をどうやって実証的に測定できるのかというのは、今度は研究領域で問われる課題かなと思っています。

○樋口座長
 私もゼミで使ったことがあるのですが、学生から、職務経歴にアルバイトは入れるのか入れないのか。逆に企業はアルバイトをしていることをどう評価するのかというようなこととも関連して、ものによるのでしょうけれども、アルバイトをしていることをプラスに評価するのか、それともそちらに怠けていたのではないかとマイナスに評価するのか。本来は職歴ですから、キャリアを積むというところで、アルバイトはプラスにということだろうと思うのですが、学生のほうも判断を迷っていまして、企業の方はどう思っているのかというのを聞いてみたいとも思ったことがあります。それは今日はいいとしますが、そのようなことが関連してくるかなと思いました。アメリカだとキャリアを積む上でインターンシップも含めて、パートという形で完全に書かれるわけですが、日本の現状としてはどうなのかなと思いました。大久保委員から何かありますか。

○大久保委員
 この取組が進んできていると思うのですが、ジョブ・カードに個人が書式を入力して、それがその書式どおりに印刷されて出てきても、個人としては面白くないわけです。

1つは、自分のキャリアのデータベースですから、例えば学校で学ぶ、訓練を受ける、何かを習いに行く、いろいろな活動をするごとに、自分のジョブ・カードが、言わばその教育関連の所から提供された情報によって、どんどんリッチになっていく。そのことがどれだけできるかというのは、1つ大事なポイントだと思います。

 もう1つは先ほどエントリーシートの件もありましたが、出力書式をどう取るのかというのは大事なところで、データベースがどんどんリッチになっていけば、出力形態はいろいろな形が考えられると思うのです。1回入力した情報なのですから、多目的に活用したいと思うわけで、エントリーシートにチェックを入れれば、標準エントリーシートの形で出てきて、あと志望動機だけを入れたらエントリーシートにもなっているとか。あるいは先ほどの話ですが、ポートフォリオを示すときにも使えるとか、訓練を受けるときにも最初に自分がそれを整理して使えるとか。ユーザーからすると、いろいろな出力ニーズがあるのではないかと思っています。その出力書式に変換して印刷できるというところを充実させると、個人のメリットが出てくるのではないかと思います。

 それから、今日御報告いただいたデータを見ていて少し意外に思った数字が2つありました。1つは、これは立ち上がったばかりだということが大きいのだと思いますが、PCとスマホを比べた場合に、まだスマホの比率が非常に低いということです。ただ、一般的に学生、主婦は、我々の求人の業界でも完全にスマホがPCを上回っているのです。スマホのポテンシャルはすごく大きいので、是非スマホのところの普及を図っていただきたいと思います。

 もう1つデータで意外だったのが、40代、50代の人たちも作っているということ。これは訓練受講者が大きいのだと思いますが、もともとジョブ・カードに書くことが圧倒的に多いのは中高年なのです。その人たちにとってこそ、いろいろな使い勝手があるはずなので、今は若年を中心にジョブ・カードの推進してきていますが、生涯を通じたキャリア支援ツールとうたっているわけですから、中高年のところでどううまく使いこなせるのかということにも目を配っていただくといいのではないかと思います。

 もう1つです。ジョブ・カードの活用のサイトで入力していくときに、個人ですから、なかなか書けないとか、どう書いていいか分からない、中身の部分で迷うところが結構あるのではないかと思うのです。

 そこにいくと、ジョブ・カードを書きながらですが、様々なキャリアをプランする上で必要な情報源とか、あるいはそれを考えることを支援するためのツールがそこからリンクしていて、そういうものをいろいろ使いながら作っていくというイメージを広げていきたいと思います。それは厚生労働省が一から立ち上げる必要はなくて、民間が作っているものもたくさんありますので、若干の目利きは必要ですが、そういうものをうまくつなげて、サイトの機能を高めていくようなことをお考えいただきたいと思います。

○伊藤課長
 大久保委員からそれぞれ重要な点のコメントを頂戴いたしました。それぞれ関連付けて、現時点での事務局の考え方をお答えします。

 現状で、スマホ版ジョブ・カード作成アプリの作成実績はまだまだ少数にとどまっている点については、ジョブ・カードの利用者層と日常的なスマートフォン活用層が必ずしも合致していないということです。それから、そもそも私どもの広報活動が十分に浸透していない、あるいは存在は知っているけれども、イメージとしてPC版に比べて使い勝手が悪いのではないかという印象を持たれている等、いろいろな理由があり得ると思っています。

 今日御覧いただいたように、一般的な使い勝手という意味では、PC版に劣らないところまでの精度になっているのではないかと思っております。更に申し上げるなら、ユーザーとして想定している若者にとって、ジョブ・カードを作成して活用するというアクティビティが見えていないということなのか、どうやって動きを見せるのかということが、次の大きな課題ではないかと思っております。手法はいろいろとあり得て、制度的なアプローチに加え、例えば実際にジョブ・カードを使いこなすブロガー、あるいはスマホの世界でジョブ・カードの作成をリードするような人物像が見えてきたり、といったハードとソフトの両面からのアプローチがあり得ると思っております。

 先ほども利用者成果検証という観点からの御指摘を頂きましたが、スマホ版の活用という観点でも、少数ながら使い始めている方、あるいは知っているけれども、使用に至っていない方の声なども拾い上げながら、多様な工夫を講じ、スマホ版ならではの利点が活用されるようなフェーズに早く持っていきたいと思っています。

 多様な出力形態に結び付けることの必要性、重要性も、大久保委員から御指摘があったとおりだと思っております。現状の機能は先ほど御紹介したとおりですが、次のターゲットについてはエントリーシートということが当然考えられています。これは後ほどの議題の中で補足して説明したいと思っております。

 中高年に関しても、本会議等においても、その有用性は度々御指摘いただいています。現状でも、高齢者雇用安定法に基づく就職活動支援書を兼ねたというジョブ・カードの位置付けはしておりますが、先ほどの年代層分析はいろいろな評価があると思いますが、一定数いるという評価もありますが、私どもの見立てとしては、40代以上でジョブ・カードを作成している方の大多数は公的職業訓練受講者であろうということで、一般的な中高年の方々の転職その他の場面での活用は、まだまだ限定的であると思っております。

 今日は、どちらかというと、学校、若者に寄せた説明が中心になっておりますが、ジョブ・カードに期待される役割全体としては、ミドル以上も重要なターゲットであると思っておりますので、今後、その部分の普及の手立てについても、今日頂戴した意見を踏まえて、更に工夫していきたいと思っております。

○樋口座長
 今後という話が大分出てきましたので、次の議論もそれと関連しますので、ジョブ・カード制度関係の平成29年度の概算要求等について、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤課長
 議題2に関して、お手元の資料3「ジョブ・カード制度関係の平成29年度概算要求等について」、報告いたします。去る8月末に行った概算要求の中で、ジョブ・カードに関わる概算要求に関しても、この間の本会議における主要な御意見等を可能な限り踏まえた上で要求しております。

 全体像は1ページです。この間、「日本再興戦略」、また本年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」、行ったり来たりで恐縮ですが、6ページに本年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」のジョブ・カードに関わる部分を抜粋しております。若者の雇用安定等の観点から、「若者の能力開発、キャリア形成を進めるため、ジョブ・カードの活用促進」が閣議決定の中にも盛り込まれております。

 こういう方針を踏まえた上で、1ページにお戻りください。雇用型訓練とジョブ・カードの車の両輪での活用、今日の議題1で報告申し上げた学校その他の様々な領域におけるジョブ・カードの活用促進を図るための必要な予算ということで、大きくはここにある3つの事項について概算要求に盛り込んでおります。

1つ目は「雇用型訓練を活用する企業に対する支援等の実施」です。前回の会議の中で、現在、本事業を受託、実施いただいている商工会議所ネットワークの中で、雇用型訓練をキャリアアップ、さらに技能競技大会にも結び付けたという好事例を紹介申し上げました。この「雇用型訓練を活用したジョブ・カード」、言わばジョブ・カードのフルスペック型の活用の典型例ではないかと考えております。労働行政における非正規労働者の能力開発を通じたキャリアアップ支援の一丁目一番地の位置付けです。

 具体的には、ここにありますように各地域にジョブ・カードセンターを整備した上で、雇用型訓練を実施する企業を開拓するとともに、当該企業における訓練計画の策定、能力評価面も含めて、ジョブ・カードの作成等に関わる技術的支援、さらには、これら訓練受講者を正社員化するためのワンストップ型の専門的支援を実施するための体制整備及び事業実施に係る経費です。

 今ほど申し上げたような、これまでも取り組んできた雇用型訓練実施支援を各地域で着実に実施するための経費が中心です。この事業に関しても成果評価という観点で、よりきめ細かいものとしていくために1の[4]にあるように、実施企業に対するフォローアップということで、現状で申し上げると、本訓練修了者のおよそ8割が正社員化に至っております。裏返せば、残念ながら2割程度の方が正社員化に至っていないという現実もあります。こうした正社員化に至らなかった要因分析等もよりきめ細かく行うことで、本事業全体の精度をさらに上げていきたいという考え方です。

 大きな2点目の「ジョブ・カード制度の推進」です。本推進会議の設置・運営はもとより、ジョブ・カード制度全体に関わる周知・広報等の経費、さらに議題1の中でも縷々、御議論いただいているジョブ・カード制度総合サイトの運営・改修の経費ということで、平成27年度に開設した本ジョブ・カード制度サイトについて、平成29年度に最初の本格的なメンテナンス改定を行いたいということで、そのための経費を盛り込んでおります。具体的な内容は次の資料で説明いたします。

3点目は新規事項です。「ジョブ・カードの企業・学校における効果的活用方策の開発に係る調査研究」です。これも議題1に関連する内容ですが、現在把握しているジョブ・カード活用事例をベースにしながら、さらにこれを横展開するための調査研究事業として、この度、新たに要求しております。こちらも後ほど別資料で少し具体的な内容を説明いたします。

 それでは、補足資料の1点目として、ジョブ・カード制度総合サイトのメンテナンス改修に関わる考え方について、お手元の2ページ以下で説明いたします。前回の4月の本会議において、ジョブ・カード制度に係るプラットフォームとしてのジョブ・カード制度総合サイト作成支援ソフトウェアの重要性を御確認いただいた上で、より幅広い方々に効果的な活用をする上で、ジョブ・カード制度総合サイトに係る課題についても具体的に重要な御指摘を頂いたところです。

 前回の会議における、これらの御議論、御意見をベースとしつつ、技術的な観点からジョブ・カード制度総合サイトの具体的な機能改修に関わる論点や、改修の技術的な方向性という点について御審議いただくために、34ページにお示ししております。キャリア支援、キャリアコンサルティング、企業人事、こうした立場でIT技術等にも知悉されていらっしゃる外部識者の方々に御参画いただき、また、省内のジョブ・カード制度総合サイトに関わるシステム業務を所管している職員の方々にもサポートしていただく形で、数回にわたり技術的な検討を行うための委員会を開催、あるいは関係者からのヒアリング等も行い、そこで一定おまとめいただいた内容をベースとして、先ほど申し上げたジョブ・カード制度総合サイト改修に係る経費要求を概算要求に盛り込んでいるところです。

 ただ、あくまでも、これは概算要求ベースの、言わば仮置き構想で、より具体的な改修の方針に関しては、本日の本会議における具体的な御意見等も踏まえた上で、さらに詰めていきたいという考え方です。具体的な改修の内容として、現在、予定している内容をポイントのみ説明いたします。

1点目として、ジョブ・カード制度総合サイトが使いやすいもので、簡単にアクセスできて気軽に入力又は出力できるということが、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアを含めてのサイト活用の一番基盤となる事項であると考えております。そういう考え方から、技術的な内容で大変恐縮ですが、真ん中の囲みの「[2]webブラウザー化」という表現を使っております。要は、この作成ソフトウェアを活用する側のOSや個別のソフトウェアのインストールの状況に関わらず、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアが使えるという技術的な環境を整えたいという意味合いと御理解いただければと思います。

 また、その左側です。先ほど大久保委員からも作成ソフトを活用してのジョブ・カードの作成に当たっては、ガイダンス的な機能が大変重要であると御指摘いただきました。関連するサイトとのリンケージ等については、余りお金の掛かる事項ではありませんので、どんどんいろいろな御意見を頂き、拡充していきたいと思っております。

 同時にこのサイト上で、自己分析ツール、スキルチェック、ジョブ・カードを作成するためのガイダンスという機能を、より分かりやすく充実させる必要があるのではないかという発想の下で、ジョブ・カード制度総合サイトの「スキルチェック」と支援ソフト機能を連携させるとともに、先ほどスマートフォンの例で申し上げたようなジョブ・カード作成の流れの中で、ガイダンスに従ってweb上のある種の電子キャリアコンサルティングを受けることによって、より簡便にジョブ・カードを作成できる、そういった機能を拡充したいというイメージです。

 ここでもう1点紹介いたします。議題1でも取り上げていただいた「エントリーシート作成支援機能(仮称)の提供」です。前回の会議の中でもキャリアの出発点でのジョブ・カード作成を進める上で、大学生の就職活動とジョブ・カードを結び付けるということが大変重要ではないかという御意見を頂戴しました。こうした前回の御意見から着想を得、先ほど申し上げた検討委員会でも高い優先順位で、この点について御審議をいただき、御案内のようにエントリーシートに関しては、企業ごとにその様式に相当程度の差異があります。同時にかなりの部分について共通項もあるということも確認しております。

 言うなれば、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアの入力項目、入力支援機能を拡充することにより、最も典型的なエントリーシートに盛り込む、記載すべき情報のマスターデータを、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアを活用して作成するという発想です。ジョブ・カードを作成するという意識で、結果として大学生の就職活動におけるディファクトになっているエントリーシートについてのひな形も作成できる。

 企業ごとに特殊な項目がありますので、ここは付け加える必要はありますが、大部分のエントリーシート項目に関しては、作成支援ソフトウェアの機能拡充をすることによって作成、入力可能な環境を整備、仕様等々の幾つかのアイディアを持って、先ほど申し上げたように概算要求しております。今申し上げたような現時点の構想、その他の諸点についても、本日この後、御意見を頂きながらさらに構想を詰めていきたいと思っております。

 最後にもう1点だけ、5ページです。先ほど申し上げた今回新たに要求している「ジョブ・カードの企業・学校における効果的活用方策の調査研究」です。資料の右下の部分です。このうち、学校に関してです。議題1でも紹介したように、インターンシップにおける教育成果の活用という、ある種、専修学校における教育の本質と結び付いた活用事例が生まれつつあるところです。逆に見ると、まだまだ少数にとどまっているという反省もあります。

 より多くの専修学校の教育分野、より多くの学校において、今ほど申し上げた教育成果の評価、キャリア教育、更に就職支援、場合によっては就職後のフォローアップ、そういう多面的な場面においてジョブ・カードにより専修学校における教育効果を高めていき、より有効に活用するという観点で専修学校、あるいはその団体の御協力もいただきながら、より幅広い専修学校におけるジョブ・カードの有効な活用事例を開発するとともに、そこでの具体的なジョブ・カード活用の共通値をマニュアルとして整備したり、あるいはもしそこで現行のジョブ・カードの様式や活用方法について課題が発見された場合には、様式その他の活用方式の見直しにも、場合によっては結び付けていくという問題意識の下で、学校における、より効果的な活用方策についての事例把握、及び今ほど申し上げたような意味での調査研究を実施したいということです。

 企業では先ほど紹介したように雇用型訓練の領域において、全国で非常に幅広い業種、職種において相当数の多様な好事例が生まれているという自負を私どもも持っております。ただ、全ての企業が雇用型訓練、OJTを含めて本格的な教育訓練を通じて人材確保を行っているという実態には必ずしもないという中で、非正規雇用労働者を多数抱え、人材としての積極的な活用やキャリアアップが課題となっている業界が存在するという問題意識を持っております。

 こうした業界において、現在、「業界検定の開発」という形で、正確、適確な能力を評価するキャリアアップにつなげていくという取組に着手していただいております。こういう検定型の能力評価にとどまることなく、非正規雇用労働者をはじめとする若者等の職場における仕事ぶりについて、議題1でも触れていただいたような、より総合的な能力評価をジョブ・カードの能力評価シート等を有効に活用しながら行うことによって、こうした方々のより多面的で正確な能力評価、更にはこの方々の正社員化を含めてのキャリアアップにつなげていくことを期待し得るのではないかという問題意識のもとで、今申し上げたような課題を抱えている業界の御協力を頂きながら、これも事例の開発、それを踏まえての共通値、マニュアル化、場合によっては企業活用という前提での様式、その他の活用方法の見直しにつなげていけばという問題意識です。例えば、ホテル業界、スーパーマーケットという小売業界がイメージとしては考えられるということを、この資料の中で掲げております。

 今ほど申し上げたような、新たな好事例開発も含めて調査研究の取組を行いつつ、事業全体のベースとしては、先ほど申し上げたような全国における雇用型訓練、ジョブ・カードと連動したフルスペック型のジョブ・カードの活用を、当然、引き続き基盤としながら、それぞれの領域におけるジョブ・カードの有効な活用を図るための必要な予算を、この度概算要求の中に盛り込んでいるつもりです。今申し上げた「総合サイトの今後の改修の在り方等」を含めて、それぞれのお立場で御意見を頂ければ有り難く思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。説明は以上です。

○樋口座長
 概算要求の案について説明いただきましたが、何か御意見、御質問はございますか。

○久貝委員
 日本商工会議所です。雇用型訓練関係の来年度の予算を要求されているということをお伺いしました。今、全国で111の商工会議所が雇用型訓練を実施する企業を支援しております。実際に、その商工会議所を通じて雇用型訓練を実施した企業の95%は中小企業です。今までの8年半に雇用型訓練を終了した企業は約39,000社ということです。雇用型訓練を修了した方は61,000人で、そのうち49,000人弱が正規雇用され、8割強が正規雇用につながっていますので、是非、この予算の確保をよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、中小企業は最近、人手不足という話が非常に多いのです。この雇用型訓練を中小企業にやってもらうという時には、多くの書類を作成するという事務負担があります。誰でもできると言えばできるのですが、その会社の経理担当者の事務負担とか、提出のための事務負担などがありますので、こうした事務負担の軽減を併せてお願いできないかということです。以上です。

○伊藤課長
 今ほど雇用型訓練、ジョブ・カードセンター事業について、実際に実施に当たっていらっしゃる立場で、大変具体的な御意見を頂戴いたしました。今、基本的な数字の御紹介も頂戴しましたが、39,000社で6.1万人で、裏返すと1社当たり1.5人ぐらいということで、非常に小ロットできめ細かく中小企業において雇用型訓練が展開されて、したがって、先ほど私の説明でも少し触れたように、開拓から訓練計画の策定、ジョブ・カードを活用した能力評価、非常にきめ細かく11社、11人のサポートが必要で大事かつ大変手間のかかる事業であると思っております。

 そういう中で、今ほど頂いた書類の件に関しては、訓練実施計画、能力評価シートというジョブ・カードそのものに係る部分だけではなく、委員の皆様方へ案内のように一定の要件を満たす雇用型訓練を実施した企業に対しては、私どもキャリアアップ助成金という助成制度を持っており、このキャリアアップ助成金により御支援を差し上げるという仕組みになっておりますが、このキャリアアップ助成金の支給の手続に関しても、それぞれの実施現場から様々な具体的な御意見を頂戴しております。現在もこの事業推進に係るブロック会議を展開する中で、そうした御意見も多々頂いております。どうしても公的助成金事務上、必要な部分があることは一定、御理解いただき、いろいろな工夫の中で、せっかくこの事業に御協力いただく中小企業のお立場で負担軽減を図り得る工夫の余地は、もちろん私どもはあると思っております。

 現場ベースでの連携、さらに活用企業の声をしっかり酌み上げるという意識を持った上で、より活用のしやすい、助成金も含めての仕組み作りをさらに工夫していきたいと私どもは考えております。

○樋口座長
 今、説明いただいた概算要求で、直接ジョブ・カード制度に関係するものがここにピックアップされているということですね。

○伊藤課長
 はい。

○樋口座長
 それ以外に、これとの関連といいますか、例えば先ほどの専門実践教育訓練給付はこれまでもやってきましたし、来年度も続くということですよね。

○伊藤課長
 はい、そのようなことで結構です。

○樋口座長
 主にハードの所とソフトのメンテナンスの所で、運用は、ほかのところで概算要求なり補正でやるのか分かりませんが、出ているという説明でよろしいですか。

○伊藤課長
 はい。今、正に座長が御指摘のとおりです。ここの部分ではジョブ・カードと雇用型訓練の中核、核心の予算を本会議で説明するにあたり、ピックアップして紹介申し上げております。当然、このジョブ・カードは多様な場面での活用ということで、今、正に座長からお話がありました、専門実践教育訓練給付でも受給に当たっての要件確認のツールとしてもジョブ・カードを活用しています。あるいは公的訓練においても義務化されている部分と、推奨というところにとどまっている部分がありますが、当然、このジョブ・カードが付いているものです。

 更にジョブ・カードを活用した雇用型訓練を実施いただいた場合、今申し上げた助成制度がいろいろあります。これらについては、それぞれの予算の中の一部がジョブ・カード関連ということで、なかなかジョブ・カード関連部分を正確に切り出すことは難しいので、今回の資料上はこのような形でお示ししております。関連する裾野の予算ということでは大変幅広いものがあるということを、併せて報告申し上げたいと思います。

○樋口座長
 その関連で言うと、例えば企業の雇用型訓練の話ということは分かったのですが、受講生ではなくて、学校に対して直接的な普及を図るような支援は何かあるのですか。

○伊藤課長
 まず現状で申し上げると、私ども厚労省の立場では、ジョブ・カード活用に直接的に付いた形で、取組を支援するという予算は現状ではありません。ただ、今、関連する予算はいろいろと申し上げましたが、今回の平成29年度概算要求の中で、今後、専門実践教育訓練に位置付けていくということを典型的なイメージとしながら、非正規雇用労働者、子育て女性、あるいは中高年の方々が短期集中型で実践的な職業能力を身に付け、キャリアアップ、場合によってはキャリアチェンジを図るための教育訓練プログラムの開発を行うための予算を、総額は2億ほどですが今回の概算要求に計上しております。

 こちらに関しては、大学、専修学校等をはじめとする教育訓練プロバイダーに教育訓練プログラムの開発を担っていただくということです。支援というよりは、公共財として教育訓練プログラムを開発していただくための予算ですので、狭義の支援ではありませんが、学校に直接お手伝いいただくという意味では、今日の説明の範疇外で大変恐縮ですが、新たに厚労省としてそのような予算を併せて盛り込んでおります。

○小谷参事官
 文部科学省では、特段そういう予算措置はしておりません。先ほど申し上げたジョブ・カードの活用に関する状況調査等の結果を踏まえ、今後、必要に応じて検討していきたいと思っております。

○樋口座長
 雇用保険二事業でやるということになると、雇用保険に入っているということが前提でしょうから、学生でも入っている人もいるかもしれませんが、基本的に学生は適用除外ですよね。

○伊藤課長
 そうです。

○樋口座長
 そのようになっているので、なかなかこの中から出すのは難しいかもしれませんが、一般財源ということになるのだと思います。そこを考えていくということも現実的に難しいかもしれないけれど、一応、要求としてはあるということだと思います。

○関口委員
 5ページの調査研究の所で、専修学校についていろいろ御検討いただいているというお話を頂きました。前回のときに私はシートの様式について学校、あるいは大学、専門学校、それぞれ事情が違いますのでカスタマイズというお話が出たと思います。PC版とスマホ版で1つの統一フォームを前提として作られているわけですが、将来的に専修学校版に向けたカスタマイズ、あるいは大学版というものもできるのかもしれませんが、そういうことになると、データベースのフォーム等が変わるわけですので、改修費用が発生するのではないかと思います。これは随分先の話ということでしょうか。

○伊藤課長
 ジョブ・カードの様式、標題については、本会も含めて関係者や識者の皆様から御指摘いただく中で、今、委員から御指摘いただいたカスタマイズも1つの課題であると認識しております。もともと、ジョブ・カードの様式に関しては、昨年の能開法の改正により、職務経歴等記録書ということで、言わば告示様式として定めたわけです。ただ、実際の運用に当たり、全くカスタマイズの幅がないと考えているわけではありません。告示で定められた様式をベースとしながら使いやすい表示のレベルでの工夫が1つ。

 それから記入項目そのものに関しては、どちらかというと、今日も報告申し上げているように、PC版、スマートフォン版も含めたジョブ・カード作成支援ソフトウェアを、今後のジョブ・カード作成のプラットフォームとしていくということとの関わりで、余りカスタマイズの幅が広くなってしまうと、総合サイトの運営経費とか、場合によってはジョブ・カードを作成される人自身の手間が増える可能性もある。

 その辺りの手間やコストとの兼ね合いもにらみながら、必要なカスタマイズについては、当然、選択肢としてはあり得るという前提で、先ほど、新規要求している調査研究事業で確認をされた課題を通じて、様式等の見直しもあり得るということも申し上げましたが、今、委員から御指摘があったような観点も含めて、またこの度の新たな調査研究の到達点も踏まえた上で、もちろん、この場でも十分な御審議を頂きながら、事務局としてしっかり課題検証していきたいと思っております。

○樋口座長
 ほかにいかがでしょうか。

○菊池代理
 5ページの「調査研究について」です。新規ということで、これから進めていく上で調査研究事業が非常に重要な指針になっていくのだと思います。昨年の9月末まではジョブ・カードということで、当初の目的どおり雇用型訓練でキャリアを積んで、企業とのマッチングを進めてそこに就職するという、非常に分かりやすい制度として運用してきたわけです。

 昨年の10月から新ジョブ・カードということで、活用の幅が広がったということは間違いないのですが、裏を返せば総花的になっている。インプットもいろいろな幅が広がって、これは分かるのですが、やはりアウトプットの部分を、ジョブ・カードをこのように活用すればこういうように生きていくのですよという、明確にいろいろな提案が示されないと、なかなかイメージができないのではないかと。使った方が「どうぞ、いろいろ役に立つのですよ」と言っても、なかなか利用方法が分からないので、そこが調査研究のポイントになるのではないかと思っております。

 その中で、先ほど久貝委員からもありましたが、我々はジョブ・カード、当初、平成20年度から8年半、企業と雇用型訓練をつなげて双方の方々をつなげてきたわけです。この中にかなりの課題、事例、手法、いろいろなものが蓄積されておりますので、是非、調査研究の中で、8年間の蓄積を無駄にしないように、この中に組み込んでいただけると、やはりそういう部分はかなり濃密にアウトプットが表現できるのではないかと思いますので、その辺は中央ジョブ・カードセンターと連携していただいて、反映していただきたいということが1つの要望です。以上です。

○樋口座長
 ありがとうございます。サイトの改善だけではなくて、むしろそれを使ってどのようなことができるのかというところまでを含めて、検討していくことの必要性ということだと思います。今回はサイトの改善の要求ということですか。

○伊藤課長
 はい。要求事項としては、ジョブ・カードセンターの事業、サイトの改修・運営、そして新しい調査研究です。予算ですので、それぞれ主要経費ということで切り出しが必要になりますので、このような構成になっております。座長や委員からも御指摘いただきましたように、それぞれ、言うまでもなく、全くばらばらなものということではなく、ジョブ・カードセンター事業の好事例も十分、念頭に置いた上で雇用型訓練以外の分野でのジョブ・カードの企業における有効な活用の在り方如何ということを、より有効な形でアプローチしていく。

 あるいはその際の成果、仕様に関しても役に立ちましたねということではなく、先ほど申し上げたように、非正規雇用労働者のキャリアアップということを念頭に置くのであれば、雇用型訓練のように、正社員就職率何%というところまできっぱりと出せるのかどうかは別にして、そういう観点でのアウトカム指標を念頭に置きながら調査研究を行いたいと思っております。

 また、サイトの改修に関しても一般的な意味でのジョブ・カードの使い出ということもありますが、ジョブ・カードセンター事業や、今申し上げた調査研究事業、専修学校において新たに取り組んでいただく場合のジョブ・カード作成に当たっては、ジョブ・カード制度総合サイト、作成支援ソフトウェアをプラットフォームとして使ってもらう。そういう活動をする中で、総合サイトやソフトウェアの使い出について具体的な顧客の立場での御意見も当然あると思いますので、そういう意味では、今、座長から御指摘いただいたように、それぞれの事業単品ではなく、十分連動した形で運用していくということを肝に銘じた上で、もちろん、まずは予算確保ということですが、当たっていきたいという問題意識です。

○樋口座長
 よろしいでしょうか。それでは、いろいろ御意見を頂きましたので、こういう点についても十分に御考慮いただいて、適切にそれを反映させていただきたいと思っております。

 それでは、次に「その他」ということで厚生労働省から次回の会議等について説明をお願いいたします。

○松瀬企画官
 次回の会議については、ジョブ・カード制度を取り巻く状況を踏まえつつ、何を御議論していただくのか等を考えながら、座長とも御相談の上、開催の日程を決めたいと考えております。具体的な開催時期が決まりましたら、各委員に日程調整の案内を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○樋口座長
 これ以外でも結構ですが、何かございますか。よろしければ、本日の第4回ジョブ・カード制度推進会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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