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2016年8月31日 第12回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局 研究開発振興課

○日時

平成28年8月31日(水)15:00~17:00


○場所

三田共用会議所 第4特別会議室(4階)
〒108-0073 東京都港区三田2-1-8


○出席者

【委員】

福井部会長 荒戸委員 今村委員 梅澤委員 岡野委員
掛江委員 紀ノ岡委員 木下委員 高橋委員 中村委員
花井委員 前川委員 松山委員

【事務局】

研究開発振興課 森光課長 厚生科学課 下川研究企画官 厚生科学課 吉本課長補佐

○議事

○森光課長
 まず、傍聴の皆様方にお知らせをいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますようお願いいたします。

 それでは、ただいまから第12回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催させていただきます。本日は部会の定数25名に対して、現時点で13名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。

 本日の会議資料の確認をお願いいたします。1枚目が議題です。個人情報保護法の改正に伴う指針の見直しということで、資料1-11-21-3とあります。また、長崎大学からの第一種再生医療等提供計画変更届に関して、資料2-1から資料2-3となっています。御確認いただき、もし資料の不足等あればお知らせいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 委員の先生方にお願いですが、発言の際にはお手元の卓上マイクのスイッチをオンにして御発言いただき、終わりましたらオフにしていただきますようにお願いいたします。以後の進行については福井部会長にお願いいたします。

○福井部会長
 それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。議題1「遺伝子治療等臨床研究に関する指針の改訂について」事務局から説明をお願いいたします。

○下川研究企画官
 平成279月に個人情報保護法の改正が行われたことを受けまして、遺伝子治療等臨床研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会を設置することについて、今年の215日に開催されました本部会においてお諮りし、御了解をいただいております。この専門委員会は、遺伝子治療等指針だけではなくて、医学系指針、ゲノム指針も併せて検討しており、厚生労働省だけではなく、文部科学省、経済産業省の3省の合同委員会となっています。この専門委員会において、今年の415日から89日までの計6回にわたり御議論いただき、中間取りまとめを行いましたので、御説明させていただきます。

 中間取りまとめの内容の御説明の前に、まず、指針改正施行までのスケジュールについて御説明いたします。資料1-2です。スライド番号ではなく、一番下のページ番号で12ページです。下半分の「今後のスケジュール」ですが、3省の合同の専門委員会で、8月に指針改正案を取りまとめました。本日の部会で御了解いただきましたら、9月にパブリックコメントの手続に入り、その後、パブリックコメントの内容を検討するために再度、3省合同の専門委員会に諮ります。そこで必要に応じ、御意見をもとに指針案を修正し、その後、再度この部会に諮り、年明けにはなってしまうかと思いますが、できるだけ早期に指針を公布いたしまして、来年春の個人情報保護法の施行と同時に指針を施行したいと考えております。

 次に、資料1-11ページです。個人情報保護法が昨年9月、行政機関個人情報と独立行政法人の個人情報保護法が今年の5月に改正されています。これに伴った指針の見直しの検討を行っております。まず、3.個人情報保護法等の主な改正点です。1番目として、個人情報の定義が明確化されています。具体的には、個人識別符号が個人情報として新たに定義されています。また、要配慮個人情報も新たに定義されています。個人識別符号というのは、現在の政令案では、個人情報保護委員会規則で定める基準に適合するDNAの塩基配列などが該当する予定となっています。また、要配慮個人情報というのは、人種、信条、社会的身分や病歴などにより、本人に対する差別、偏見等の不利益が生じないよう、特に配慮を要する記述が含まれる個人情報となっています。例えば、個人情報であって病歴が含まれる場合が該当することになります。要配慮個人情報の取得や提供に当たっては、原則として本人への同意が必要となっています。

2番目として、個人情報保護法により、匿名加工情報という概念が定義されています。資料には匿名加工情報しか記載しておりませんが、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法では、匿名加工情報ではなく、非識別加工情報という概念が定義されています。どちらの情報も、加工方法としては同じものであり、個人情報を特定の個人が識別できないように加工し、かつ、個人情報を復元できないようにしたものです。これは、一定の基準に従い、個人情報を加工して、かつ、民間事業者に識別行為を禁止するなど、一定の規律を求めることで、個人情報でない情報と同等な扱いができるようにして、民間企業におけるパーソナルデータの利活用を促進するために設けられた制度です。

3番目として、名簿屋対策として適正な流通の確保を行うために、情報を提供する側、される側に、提供日、提供先、提供元等の記録を残すことが規定されています。

4番目として、一定の基準を満たさない外国の第三者への提供に当たっては、原則、本人の同意が必要となっています。

2ページです。このような法改正を踏まえ、4.指針見直しの基本的な考え方です。これまでは全ての研究者が遵守すべき統一的なルールというものを定めています。これは、単に個人情報の保護の観点だけではなく、研究対象者の自由意思による同意など、患者の権利、利益の保護の観点も踏まえて統一ルールとしています。また、個人情報の保護については、研究機関が民間か公的機関かによって適用する法律が異なっています。真ん中の表を御覧いただくと分かりますが、個人情報保護法は、私立大学、私立病院など民間事業者が対象となっています。行政機関個人情報保護法は、国立の研究機関などが対象となっています。独立行政法人個人情報保護法は、独法、国立大学が対象となっています。また、公立大学や公立の研究機関、公立医療機関の場合は、各自治体の個人情報保護条例の適用となります。法律等により取扱いが異なる部分はありますが、複数施設間での共同研究などにおいて、試料・情報のやり取りに支障が出ないようにするということも考慮して、指針においては、各法律を含有した統一的なルールとなっています。表の下に※がありますが、私立大学、学会等の学術機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う際は、個人情報保護法の適用除外ですが、これまでも指針において、他の機関と同様な措置を求めてきており、今回の指針の見直しに当たっても、統一ルールを定めるという考え方で検討を行っております。

 また、4番目の○の部分ですが、法改正により、個人情報の取扱いが一部厳格化されることを踏まえて、個人情報の取得・提供に当たり同意が必要となる場合に、研究に支障が出ないよう、法律の例外規定が適用する場合には、適用することも考慮に入れて指針を見直すこととしました。

 具体的な検討内容です。5.個情報等の改正に伴う見直しの検討事項を御覧ください。用語の定義の見直しの1)ですが、現行の指針において、「匿名化」という言葉が定義されています。法改正により、DNAの塩基配置の中には個人識別符号として個人情報になるものがあるということや、ある機関で匿名化を行って個人情報でないようにしたとしても、別の機関では別の情報と照合することによって個人情報になることもあり得るということを考え合わせて、匿名化の定義を検討しました。

 次に、3ページの一番上の部分です。従来、指針で使用していた「連結不可能匿名化」、「連結可能匿名化」という言葉を廃止することとしています。これは、連結不可能匿名化や、対応表を相手に渡さない連結可能匿名化によって、情報提供先では個人情報ではなくなるという整理であったのですが、法改正後は、幾らこの処理をしても、個人識別符号が残っていれば個人情報になりますし、また、ある機関で個人情報でないと考えていても、別の機関で別の情報と照合すれば個人情報になることもあり得るということで、この言葉を廃止することとしました。

 匿名化の定義については、議論の結果、従来の匿名化の定義を基本的には変更しないということになりました。しかしながら、個人識別符号を取り除くという点や、その他の軽微の修正を行い、そこの四角で囲っていますが、「特定の個人(死者を含む)を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む)の全部又は一部を取り除くことをいい、代わりに当該個人と関りのない符号又は番号を付すことを含む」と定義しています。匿名化の行為そのものは、匿名化の結果、個人情報となる場合と、ならない場合の両方を含む広い概念としております。このため、「匿名化の定義」の点線の囲みの下の2番目の囲みの表の部分ですが、この匿名化を行った結果、表の左側ですが、個人情報とならない情報を「匿名化されている情報(特定の個人を識別することができないものに限る)」として規定する。一方、表の右側ですが、匿名化しても個人情報のままの場合を「匿名化されている情報」と定義しました。表の右側は、例えば、単に名前や住所を削っても、別の情報などから個人が識別できるような場合が相当します。

 次に、インフォームド・コンセント等の手続の見直しですが、文字では分かりにくいので、図で御説明します。資料1-26ページです。インフォームド・コンセント等の手続については、遺伝子治療の場合は患者さんの同意を取って治療を行いますので、法改正による影響は受けませんが、医学系指針やゲノム指針における疫学研究の場合は大きな影響を受けますので、ここでは2つの指針について記載しています。遺伝子治療等医学研究指針に基づいて実施された研究で用いられた試料・情報を他の医学系研究等に用いることがあれば、これらの指針に基づいて試料・情報のやり取りをすることになりますので、御参考までに医学系指針等の改正について御説明いたします。

 まず、「新規試料・情報を取得する場合」です。医学系指針において、新規の試料・情報を取得する場合は、基本的にインフォームド・コンセントが必要です。しかし、表の左の丸4ですが、情報のみを扱う場合は、これまでインフォームド・コンセントでなくてオプトアウトでも可能となっています。しかしながら、法改正により、表の右の丸4'の赤字の所ですが、要配慮個人情報を取得・提供する場合と、一定の基準を満たさない外国への個人情報提供をする場合は、矢印が右に行きまして原則同意が必要になりました。しかし、この場合であっても、例外規定に該当する場合は従来どおり、オプトアウトということになります。例外規定というのは、公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合などがそれに当たっています。下の図のゲノム指針の場合は、もともと新規の取得はインフォームド・コンセントが必要ですので、法改正には影響はありません。

7ページは、自機関で取得した既存試料・情報を自ら利用する場合です。取得した際の利用目的を変更して使用する場合、医学系指針では、表の左の丸2の赤字の部分ですが、これまでは丸2の連結不可能匿名化された試料・情報を扱う場合と、丸3の連結可能匿名化された試料・情報を扱う場合で対応表を持っていない場合は個人情報ではないという扱いで、手続不要としてきております。先ほど御説明しましたように、今後は別の情報の照合により個人情報となる場合もあり得るということで、これらの「連結不可能匿名化」、「連決可能匿名化」という言葉は廃止しまして、匿名化された情報が個人情報でない場合は手続を不要とするという考え方です。表の右側の丸2'ですが、「連結不可能匿名化」との言葉を置き換えて、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)試料・情報の場合に限り手続不要としました。下のゲノム指針のほうは、表の左の丸7の連結不可能匿名化の場合は手続不要ですが、丸8の対応表を保有していない連結可能匿名化の場合は通知又は公開と、アクションが異なっていますので、見直し案では区別するために、「匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)」、かつ対応表が作成されていない」ものと、丸8'の「匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)」ものという2通りの言葉に置き換えております。

8ページは、既存試料・情報を他機関へ提供する場合です。まず、医学系指針ですが、表の左側は現行ですが、連結不可能匿名化や、対応表を提供しない連結可能匿名化した試料・情報の場合は、個人情報ではないという扱いで手続不要としていましたが、先ほどの御説明と同じで、今後は連結不可能匿名化等の作業が個人情報ではなくなると言い切れませんので、表の右側の丸2'ですが、「連結不可能匿名化」の言葉を変えて、匿名化されている(特定の個人を識別できないものに限る)試料・情報の場合に限り個人情報でないとして手続不要としました。しかし、個人情報に該当する場合は、図の矢印が下に行きまして、民間の場合は要配慮個人情報が含まれないかどうか、外国への提供かどうかで扱いが変わっています。個人情報保護法が適用になる民間の場合は、通常は矢印が右に行って、オプトアウトで提供になります。基準を満たさない外国へ提供する場合や、要配慮個人情報を提供する場合は、矢印が更に下に行き、本来は同意が必要なのですが、公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合という例外規定が適用される場合はオプトアウトを行うことになります。

 一方、行政機関個人情報保護法と独立行政法人個人情報保護法が適用になる国や独立行政法人の場合は、個人情報の提供に当たって、例外規定として、学術研究目的等があれば個人情報を提供可能となっており、この場合は民間と同様、オプトアウトの手続となっています。

 一方、ゲノム指針ですが、現行の連結不可能匿名化の場合や、連結可能匿名化されて対応表を提供しない場合の取扱いは、先ほどの既存試料・情報の自機関利用の場合と同じ考え方で見直しております。また、従来ゲノム指針では同意困難な場合は、連結不可能匿名化を行うか、連結可能匿名化して対応表を提供しないことによって個人情報でなくすことによって研究が行われてきましたが、連結不可能匿名化等の作業によっても、今後は必ずしも個人情報でなくなるとは言い切れないということで、同意困難な場合でも個人情報を扱える道筋が必要ということで、見直し案では、更に下に続く矢印の経路があります。その経路は、今御説明した医学系指針と同じ考え方により、国・独法等の場合と、民間で分かれる経路となっており、例外規定が適用できる場合はオプトアウトで対応する案となっています。情報を提供した場合は、いずれの場合も、提供先、提供日等を記録して保管する必要があります。

9ページは、既存試料・情報を他機関から取得して研究を実施する場合です。個人情報でない場合は、提供元の手続等を確認するだけでいいのですが、個人情報の場合はインフォームド・コンセントかオプトアウトの手続を行うことになります。また、改正個人情報保護法では、第三者から個人情報の提供を受けるときは、提供者の氏名や、提供先が個人情報を取得した経緯について確認するとともに、受領年月日、確認した事項等を記録し、一定期間その記録を保存しなければならないこととなっており、指針でも同様となります。

 資料1-1に戻ります。4ページを御覧ください。(3)匿名加工情報等の取扱いです。今まで、図を使ってインフォームド・コンセントについて御説明しましたが、これは個人情報か個人情報でないかという観点での取るべきアクションについての御説明でした。ここでいう匿名加工情報については、個人情報なのか個人情報ではないのかということですが、匿名加工情報は特定の個人を識別することができない情報ですが、他の情報と照合すると特定の個人を識別できる場合もないとは言えない情報となっています。したがって、個人情報保護法では、他の情報と照合する行為を禁止するなど、法律により一定の規律を求めており、この規律により個人情報でない情報と同様の扱いが可能となるものです。

2)ですが、従来、医学系指針において既に連結不可能匿名化された情報のみを扱う場合は指針の対象外としてきております。

 匿名加工情報等は、今御説明しましたように、一定の規律により個人情報ではない情報と同等に扱うことが可能となっています。このため、既に作成された匿名加工情報等のみを用いる研究は、これまでの、既に連結不可能匿名化された情報のみを扱う場合と同様に考えて、医学系指針の対象外としております。

5ページは、インフォームド・コンセントについてです。自機関で保有している既存の個人情報から新たに匿名加工情報を作成し、自機関で利用目的の変更を行う場合や、他機関への提供を行う場合ですが、原則、インフォームド・コンセントは必要としつつも、インフォームド・コンセントが困難な場合はインフォームド・コンセントを受けることなく、既存情報から匿名加工情報等を作成し、利用又は提供できることとしています。

(4)新指針施行前までに対応すべき事項及び経過措置です。この改正内容を踏まえて、研究機関が新指針施行までに対応すべき事項は何か、また、それ以外の事項について、どれぐらい猶予があるかということですが、個人情報保護法の改正に基づいて対応が必要な事項と、法改正に関わらない事項を分けて検討を行っています。これまで個人情報として取り扱ってこなかった個人情報が個人情報となると、現在実施中の研究について、これまで指針の対象外として扱った情報が指針の範囲となったり、もともと指針の範囲内であっても、新たにインフォームド・コンセントの手続を取らなければならなくなったりする状態が起きます。このため、法の施行前までに実施すべき事項としては、研究者は実施中の研究を点検して、必要があれば研究計画の修正を行って、倫理審査委員会での審査など、法施行に備える必要があります。

 補足しますと、点線で囲んだ部分ですが、研究における個人情報の取得が個人情報保護法、及び指針の改正前に行われていれば、法及び指針の改正後に改めて取得・利用に係る本人の同意を得る必要はありません。ただし、改正後に既存の同意の範囲とは異なった目的で利用する場合は、改正後の法に基づいた同意の手続を行う必要があります。

 次に、2つ目の○ですが、一方、法改正と関係ない事項です。これは、これまでの指針の改正の適用を猶予してきた事項です。医学系指針については、このうち研究計画書の変更が必要となる研究計画ごとの措置については、指針の改正に伴って遵守は求めず、従前どおりとし、一方、施設単位で求められる事項、例えば「倫理審査委員会」や教育・研究や研修等の規定の作成については、内容によって一定の猶予期間を設けて遵守を求めることとしております。遺伝子治療指針の場合は、インフォームド・コンセントを得て研究を実施していますので、新たな同意を取得する必要がある等の影響はないと思います。

 一方、研究計画書で修正する必要がある可能性がある箇所としては、研究計画書に記載が求められている項目で、個人情報等の取扱い(匿名化されている場合はその項目を含む)という項目があります。例えば、これまで連結可能匿名化されていた情報を個人情報として扱う計画に変更する場合は、研究計画書の一部を変更する必要が出てくる可能性があります。また、遺伝子治療指針の場合は、医学系指針やゲノム指針と異なり、これまで適用を猶予されてきた項目はありません。したがって、個人情報保護法に係る改正事項のみ、個人情報保護法と同時に適用する案となっています。

7ページの項目6です。法改正とは関係ありませんが、医学系指針とゲノム指針で不整合が見られる事項について見直しを行っています。ゲノム指針における倫理審査体制について、医学系指針と整合を図ることとしています。具体的には、ゲノム指針では原則、自機関に倫理審査委員会を設置することとされていますが、その規定を削除して、医学系指針と同様に、他施設の倫理審査委員会の審査を可能とすることとしました。また、倫理審査委員会の構成と成立要件についても、ゲノム指針のほうが医学系指針よりも緩い規定となっていますので、医学系指針にそろえることとしました。ここまで、法改正の影響を強く受ける医学系指針とゲノム指針の御説明が中心となりましたが、次に遺伝子治療等指針の改正案について御説明します。

 資料1-31ページです。個人情報保護法の個人情報の定義に合わせて、個人情報の定義を修正しております。改訂案の丸2で、個人情報として個人識別符号を追加しております。また、一九に、個人識別符号の定義も法改正に合わせて修正しております。

2ページです。表の左の十九です。「匿名化」の定義は先ほど御説明しましたが、個人識別符号を除くことを追加するほか、微修正を加えていますが、内容としては基本的に変更はありません。また、先ほど御説明しましたように、改訂案では、表の左の二十と書いていますが、連結可能匿名化の定義を削除しております。

 同じページの5章のインフォームド・コンセントの部分は、先ほど御説明しましたが、遺伝子治療の場合はもともとインフォームド・コンセントが必要で、法改正によって影響を受けませんので変更部分はありません。

3ページです。表の左の6番の「匿名化されていない試料・情報であって、その本人を識別できるものが」という表現がありますが、「匿名化されていない試料・情報であって」と言わなくても、「その本人を識別できる」という表現だけで個人情報というふうになりますので、改訂案としては、「特定の個人を識別することができる試料・情報」と修正しています。

7番です。「匿名化されていない試料・情報」と書いていますが、匿名化イコール個人情報でなくする作業とは言えず、匿名化をしても個人情報に該当する場合もありますので、「匿名化されていない試料・情報」というのは、改訂案としては「特定の個人を識別することができる試料・情報」と修正しています。

3ページの下から4ページの頭にかけての部分ですが、連結可能匿名化された情報について対応表を保管する場合についてですが、「連結可能匿名化」という言葉は廃止しましたので、「匿名化された情報について対応表が作成されている」という表現に修正しております。長くなりましたが説明は以上です。

○福井部会長
 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いします。

○花井委員
 資料1-28ページのゲノム指針の説明で、新しい概念として、連結可能が廃止されて、要配慮個人情報という概念が新しく出ているという説明だったのですが、8の下の表において、要配慮個人情報の概念だけがまだで、例えば端的にゲノム自体は疾病部位がどんどん特定されてくると、ゲノム自体がその人病歴に疾病を特定するわけです。ゲノム自体は既に要配慮になってしまうのか、そうではないのかです。

○下川研究企画官
 要配慮個人情報になるかどうかですが、ゲノム情報というだけでは個人情報という扱いにはならず、特定の個人を識別し得るようなゲノムの配列とか、意義付けとか、具体的にどういうものが該当するかというのは、今後個人情報保護委員会から解釈なり、通知なりが多分出ることになるかと思います。

○花井委員
 今後ゲノムの研究が進むにつれて、個人情報の範囲が広がっていくように思えるのですが、そういう理解でいいということですか。ある程度その可能性があると。

○下川研究企画官
 科学の進歩とともに、個人情報の該当性は変わっていくものだろうと考えています。

○福井部会長
 ほかにはいかがですか。

○高橋委員
 最終的に結局、社会的重要性が高い研究ということで例外になっていくと思いますが、それを決定するのは倫理委員会になるのですか。

○下川研究企画官
 どういった場合に該当するかといのは、個人情報保護委員会事務局に相談した上で、私どものガイダンスのほうに具体例、例えばこういう場合というのを書かせていただくことになるとは思いますが、それを参考に最終的に判断するのはそれぞれの倫理審査委員会になるかと思います。

○福井部会長
 ほかにはいかがですか。

○荒戸委員
 指針の新旧対照表の用語の定義の「個人情報」のところですが、丸1のほうは個人識別符号が除かれていて、丸2のほうは符号が含まれています。すると、丸1は個人識別符号に関係ないのではないかなと思うのですが、丸1と丸2の関係がよく分からないので、教えていただきたいのです。

○吉本課長補佐
 こちらの定義は改正個人情報保護法との並びで記載をしているものです。

○福井部会長
 これは資料1-31ページの話でよろしいのでしょうか。どの部分ですか。資料1-31ページの改訂案の所ですね。

○荒戸委員
 そうです。

○吉本課長補佐
 改正個人情報保護法の記載ぶりとそろえております。意味としては、丸2に個人識別符号が含まれるものとありますので、個人識別符号が含まれれば、すなわち個人情報ということになります。丸1において、個人識別符号を除くとしているのは、丸2との重複を避けるためと思われますが、意図としては個人識別符号が含まれるものは、全て個人情報であるという個人情報保護法の定義とそろえております。

○今村委員
 ちょっと頭の整理ができにくいのですが、個人情報保護委員会と、各省庁での権限というか、あるいは検討事項というか、どこでどのように。例えば、遺伝子治療に関する臨床研究は厚労省でやるのですね。例えば個人情報保護委員会では何も取り扱わないということで、厚労省で決めたことがそのままということになるのですか。

○下川研究企画官
 指針そのものは個人情報保護委員会と直接的には関係はありませんが、指針には個人情報の保護に関する部分が一部含まれており、その部分は個人情報保護委員会事務局と、法令違反にならないかどうか、解釈は大丈夫かどうかというところの調整を行います。指針そのものは個人情報保護法そのものと直接は関わっておりませんので、内閣府の所管にはなりません。

○今村委員
 例えば、ここに挙げられている3つの指針があって、その中身に個人情報と関わる部分がどうしても出てきますよね。それは厚労省で検討したり、文科省で検討したりする。それはそれとして別個に個人情報保護委員会でもそれに適合しているかどうかを検討するという取扱いになるのですか。

○下川研究企画官
 指針そのものは私どもで検討するのですが、個人情報保護法に関連する部分が一部ありますので、その部分はこの指針の書き方で個人情報保護法と齟齬がないかどうかという確認を個人情報保護委員会事務局に対し行っております。

○今村委員
 取りあえず第一義的な検討は各省庁でやって、それでいいかどうかというのを委員会のほうに確認するというやり方ですか。

○下川研究企画官
 そのとおりです。

○福井部会長
3つの省庁で検討している場に、個人情報保護委員会事務局の重要な方が常に出席されていて、検討の状況もずっと把握されており、法律より少し厳しい倫理的なレベルでこういう指針を作ろうということですので、法律イコールではないところも幾つかあるのも事実です。

○今村委員
 でも委員会の規則というところで、いろいろなことの調整と言いますか、一体的に検討しているということですね。

○福井部会長
 はい、そうです。ほかにはいかがですか。最初のところで事務局から御説明がありましたように、パブリックコメントをこれから1か月間行って、更にそれを踏まえて、3省合同の委員会で検討して、それからもう一回ここに上がってきますので、この委員会でもう一回検討していただくことになると思います。そういうことで事務局、よろしいですか。

○下川研究企画官
 そのようになっております。

○福井部会長
 それでは、ほかに御意見がないようでしたら、この時点での指針の改定について、この部会としては了解していただいたということで、パブリックコメントに移ることとしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

(非公開部分の議事概要については以下のとおり)

議事:第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認

議事概要:

 以下の第一種再生医療等提供計画の変更について、再生医療等提供基準に適合していることを確認した。

 

【再生医療等提供機関】

 長崎大学病院

 

【提供しようとする再生医療等の名称】

 「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナーまたは心停止ドナーからの膵島移植」


(了)

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