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2016年9月15日 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第7回)議事録

医政局医事課

○日時

平成28年9月15日(木)16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

新井 一 (全国医学部長病院長会議会長)
一戸 和成 (全国衛生部会長)
今村 聡 (日本医師会副会長)
小川 彰 (岩手医科大学理事長)
片峰 茂 (長崎大学学長)
神野 正博 (全日本病院協会副会長)
北村 聖 (東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授)
権丈 善一 (慶應義塾大学商学部教授)
羽鳥 裕 (日本医師会常任理事)
平川 淳一 (日本精神科病院協会常務理事)
福井 次矢 (聖路加国際病院院長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社編集局社会保障部次長)
松田 晋哉 (産業医科大学医学部教授)
山口 育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

○議題

医師偏在対策について

○議事

○堀岡医事課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第7回「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」を開催いたします。

 構成員の先生方におかれまして、本日は大変お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。

 ここでカメラは退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○堀岡医事課長補佐 初めに、本日の御出席について御連絡させていただきます。

 本日は平川博之構成員、森田構成員は欠席しております。また、本田構成員、松田構成員がおくれて参集いただくという御連絡をいただいております。

 次に、構成員の交代について御報告させていただきます。

 荒川構成員にかわりまして、全国医学部長病院長会議会長、新井一構成員に。小森構成員にかわりまして、日本医師会常任理事、羽鳥祐構成員に御就任いただいております。

 また、前回の医師需給分科会以降、事務局におきまして異動がございましたので、御報告させていただきます。

 椎葉大臣官房審議官でございます。

○椎葉大臣官房審議官 よろしくお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 武井医事課長でございます。

○武井医事課長 よろしくお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 黒田医療介護連携政策課長でございます。

○黒田医療介護連携政策課長 よろしくお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 鈴木老人保健課長はまだ到着しておりません。

○鈴木老人保健課長 います。

○堀岡医事課長補佐 失礼いたしました。

 佐々木地域医療計画課長でございます。

○佐々木地域医療計画課長 よろしくお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。

 では、片峰座長よろしくお願いいたします。

○片峰座長 それでは、久しぶりの開会となりましたけれども、よろしくお願いいたします。先回の第6回、中間まとめをやる会だったと思うのですが、それを欠席いたしまして、失礼いたしました。

 中間まとめを読ませていただいて、とりわけ偏在対策のところに関しては、かなり踏み込んだ表現もあって、今後の改革の実現に希望を持たせる報告であったのではないかなという感想を持ちました。

 そういった意味では、それを今後実質化していくということで、今年後半かなり頻繁に開かれるということになっておりますけれども、非常に重要な会となると思いますのでよろしくお願いしたいと思います。

 それでは初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 資料の確認をお願いいたします。

 資料でございますけれども、ワードの資料1、パワーポイントでつくっております資料2、そして参考資料1、2という資料になっております。

 机上配付資料といたしまして、1、2、3、4、5、6、7と、7番まで机上配付資料を置かせていただいております。

 資料の不足、乱丁、落丁などございましたら事務局までお申し付けください。

○片峰座長 それでは議事に入らせていただきます。

 最初に議題1「医師需給分科会の今後の進め方について」でございます。

 資料1に基づきまして、事務局のほうからまず御説明をお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 資料1に基づきまして、医事課の堀岡が御説明させていただきます。

 資料1「医師需給分科会の今後の進め方について(案)」というものでございます。

 中間取りまとめを6月に取りまとめられておりますけれども、今後検討を深めるべき医師偏在対策の各事項について、より実効性のある地域偏在・診療科偏在対策を優先的に検討するということのために、以下のスケジュールのとおり議論してはどうかと考えております。

 具体的には、きょう9月15日第7回、既に資料を置かせていただいておりますけれども、「都道府県における医師確保対策・医師養成過程に関する制度の現状と論点提示」というものを示させていただいた後に、10月、11月と月2回程度のペースで議論をしていきたい。8回目、9回目、10回目で都道府県における医師確保対策・医師養成課程を通じた医師偏在対策をより具体的に議論を進め、その途中において必要に応じて有識者からヒアリングなども行わせていただこうと思っております。

11月の第11回に骨子を出した後に、12月上旬に取りまとめるというようなスケジュールで進めさせていただいてはどうかという事務局案を出させていただいております。

 また、医師偏在対策については、医師需給分科会や関係検討会で議論を行った後、最終的には医療部会で検討を行うということとしたいと考えております。

 資料の説明としては以上でございます。

○片峰座長 どうもありがとうございます。

 それでは、ただいまの御説明に対して質疑、御議論をお願いいたしたいと思います。

 どうぞ。

○小川構成員 それはそれで大変結構なのですが、この進め方で問題はないと思うのですけれども、そもそも論なのですが、偏在対策の各論に入る前に、この間の中間取りまとめの5で、当面の医師養成数の基本方針を決めたわけですけれども、中位推計からいきますと2024年に需給が均衡するということになりますと、入学者ベースで考えれば2018年、あと2年後には定員を削減しなければならないということになるわけです。

 そういう中で、第1点目は29年から30年までの追加増員について議論しましたし、29年までで終了する暫定増の取り扱いについて、当面延長ということになったのですけれども、この辺もう一回ちゃんと確認をしておかないとまずいのではないかなと思うのです。

 というのは、大学あるいは受験生側からいたしますと、いつまでこの事態が続くのだということが明確になっていないと、今後の議論にも大きな影響を及ぼすと思いますので、ぜひ、当面延長するのはいいのですけれども、例えば平成29年まで一応暫定増となっているわけですが、平成29年に当面延長するということを決定するのはこの委員会でいいのですか。そもそも論です。違うでしょう。その辺、どうなのでしょうか。

○片峰座長 どうぞ。

○武井医事課長 医事課長でございます。

 今、御質問いただきましたのは、医師の需給推計につきまして、中位推計で2024年ごろに均衡。上位推計ですと2033年ごろに均衡。それから医学部定員の基本的な方針という当面延長について、どこの場でどういう議論をこれからしていくのかといったご質問かと思います。

 最終的にその決断をした時点で、医学部定員ですとか今後の医学部卒業生、それから医学部入学生に対する影響を考えると、早い時点でしっかりと情報を伝えていく必要性があるという点かと思います。

 前回提供した需給推計の結果ですが、やはりきちっとした調査を行って、最新のデータをとって、そうしたデータに基づいて推計をし直していく。新たな調査を行っていくという点についても合意されていたというところかと思いますので、今、早急に新たな調査を組んでいるところであります。

そして、最新の調査結果に基づきまして、この推計をもう一度精査した上で、新たな推計値を出したいと考えておりますので、将来的にデータ等が出てきた段階で、この需給の分科会でも御議論していただくような、そのような機会を設けたいと考えております。

 併せてこの分科会で出された議論については、医療部会のほうでも議論されますので、医療部会の場でも今後議論いただき、最終的な今後の方向性を出していくことになると思います。なるべく早く調査を進めていきたいと思っておりますし、これで最終決定ということではございませんので、あくまで中間取りまとめまでの推計で、暫定的なものであるとお考えいただければと思います。

○片峰座長 座長としても関連の質問なのですけれども、この会が始まりました時は、中間のとりまとめ段階までは29年度からの医学部定員をどうするかという結論を出さなければいけない。だけど秋口には、地域医療構想が各県から出そろうということもあるし、それから今後偏在対策の議論も進む。その中で、例えば32年度以降、あるいは29年以降の部分に関しましては、本会の後半で議論をして、何らかの結論を出すという御説明もたしか最初はあったのです。いろいろな議論の中で変わってきたということでしょうけれども、今の課長の御説明では、その議論をすることは排除しないという理解でよろしいのですか。

 要するに、需給予測の精査をしなければ議論が始まらないという話ではないのではないかなという気もするのですけれども、そこら辺、いかがでしょうか。

○堀岡医事課長補佐 32年以降の医学部の定員についても、いずれはきちんと議論しなければならないのですが、まず中間取りまとめまでに必要だったのは、29年度というのが喫緊に迫っておりますので、2930年の暫定の定員が消えるものについてどう考えるかということをまず結論を得ることが何よりも大事ということで、まず中間取りまとめを差し上げました。

 その後やはり医学部定員のことを議論するためには、偏在対策というものを議論するということが何よりも大事だということの順番は、恐らく全員意見は一致していただけると思っておりますので、少なくともまずは中間的に取りまとめいただいた。

 次は、偏在対策について本格的に議論したいと考えております。32年以降については、いずれにせよどこかの段階できちんと議論しなければならない問題だとは、事務局も考えております。

○片峰座長 それでよろしいですか。どうぞ。

○新井構成員 全国医学部長病院長会議の新井でございますけれども、今、小川構成員からお話がございましたように、やはり大学の運営上も、いつまで定員増が続くのかということは、非常に大きな関心を持っております。

 しかしながら、仮にどこかでお尻を切った場合にその後にどうするのかという、量の問題、やり方の問題、その辺を含めて示していただかないと、これは受験生に対しても不親切だと思います。また、我々大学にとっても非常に運営上困るということになりますので、ぜひ需給バランスを精査するなら精査するで、その辺のところを明確にしていく必要があるのではないかと思います。

以上です。

○片峰座長 とにかく、今後の議論の中心は偏在対策を取り上げますが、その中で、需給問題にも踏み込む場面もあってもいいわけですね。そういう理解でよろしいですね。

○堀岡医事課長補佐 少なくとも、29年度の暫定増についての中間とりまとめのある程度議論は終わって、延長するということになったわけですから、まずは偏在対策を議論したいと考えております。

○片峰座長 わかりました。

 では局長からどうぞ。

○神田医政局長 お手元に参考資料で、6月3日の中間取りまとめの最終ページに定員の扱いの基本方針というものが出ています。

 いろいろな意見があって、この場の到達点がここに書いてあると御理解いただければと思っております。喫緊に文科省からも決めていただきたいという話がありました29年度までの暫定増については、当面は延長せざるを得ないのではないか、29年度から31年度の追加増員については慎重に精査をしていく、と記載されています。

 それから、32年度以降どうするのだ、将来の学生がどうするのか将来像がわからないではないかというお話がありましたけれども、この場の到達点としては、今、どうするかということについては、偏在対策の効果等について検証を行って、22年度から31年度までの暫定増の取り扱いを含めて結論を得るというのが到達点であり、その範囲においては明確になっていますので、要は検証しないと結論が出ないというのが、この場の到達点の結論だと、中間取りまとめの段階での結論だと御理解いただければと思います。

○片峰座長 とりあえずそういったことで、次に進みます。よろしいですか。ありますか。

○小川構成員 ですから、黄色のこの間の第6回の参考資料1の37ページにある、「医師需給分科会中間取りまとめにおける見直し案」というので、定員増になってきた経緯が入っているのですけれども。29年までの暫定増に関しては、平成30年、31年は継続するということで理解をしてよろしいのですね。そういう準備をしていて。

 もう一点、先ほど気になることを武井医事課長さんが言ったのだけれども、この委員会としては、松田構成員が大変御努力をされてつくってきた医師需給推計に基づいて議論をしてきたのだと思うのです。だけど先ほどの話ですと、この医師需給推計についてはまだまだわけがわからないから、新しくつくるのだということになると、ちょっとおかしくないですか。

 一応、松田構成員としては、こういう上位推計、中位推計、下位推計をもう既に出して、この出された上位推計、中位推計で議論をしてきたはずなのです。そこが違うよということになると、そもそも論として、基本のところが崩れてしまうのです。

○片峰座長 どうぞ。

○武井医事課長 報告書を見ていただきますと、データの取り扱いについてその旨の説明があると思うのです。3ページ、4ページをごらんいただければと思います。

 特に3ページの3ポツの「将来の医師需給推計(全国レベル)について」でございますけれども、全国レベルでの医師の需給動向を踏まえた検討を行うという中で、限られた時間の中で一定の前提を置いて推計をしております。例えば、その次の4ページのところに「ゆとりを持った労働環境で医療の提供を可能とする必要がある」ですとか、「かかりつけ医の普及等を踏まえた外来医療の姿、将来の女性の働き方」こういったものについては、今回の前提となった限られたデータでの推計になっておりますので、実態は十分に把握することができなかったという認識で、今回作業を中間取りまとめの段階で出していただきました。

 その次のパラグラフのところにありますように、「将来、あるべき医療の提供体制とそこにおける医師の新しい働き方を示すビジョンを策定した上で、必要な医師数を推計するプロセスが必要である」ということで、今後、状況を正しく把握するために、新たな全国調査を行うこととしており、この流れに沿って今後議論を進めていく必要があると考えております。

○片峰座長 よろしいですね。まだ最後に時間がとれるかもわかりませんので、もし御意見があればその時にお願いいたします。

 それでは次に移らせていただきます。

 次は議題2「医師偏在対策の主な論点について」であります。資料2に関しまして、事務局のほうからまずは御説明をお願いいたします。

○久米地域医療計画課長補佐 それでは、資料2「医師偏在対策の主な論点について」をご用意ください。

 まず1つ目、「医師需給分科会中間取りまとめ等における医師偏在対策に関する事項について」というところで、これまでの議論の整理をさせていただいております。

 今も議題になっておりましたが、中間取りまとめにおきましては、平成18年の医師需給検討会の中で、これまでマクロ的には必要な医師数は供給されるけれども、それはミクロの領域で需要が自然に満たされることを意味しないということでございました。そういう結論が得られたということで、これを踏まえまして、地域枠などを中心に、医学部定員の暫定増などを行ってきたというところでございます。これで過去最高の9262人の定員となったと。あわせて医師定着策なども行ってきましたけれども、これは医師が勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重したものでございました。

これによりまして、小児科や産婦人科の医師数の増加など、一定の改善が見られたところでございますが、こちらの分科会でも穴のあいたバケツに水を幾ら入れてもというお話がございましたが、その穴をふさいでいかなければいけないということでございまして、自主性を尊重した対策に加えて、一定の規制を含めた対策を行っていくという観点から、さらに強力な医師偏在対策について議論し、年内の取りまとめを目指すということになっております。

 次ページを見ていただきますと、医師偏在対策のメニューが掲げられております。こちらは中間取りまとめで掲げられたメニューでございます。こちらにつきまして、年末までに検討するということでございますが、特にこの医師需給分科会において御議論いただく項目といたしまして、まず1から3番までの医師養成に関する部分、それから4から8までにかけては、都道府県の主体的、計画的な取り組みの強化というところと関連してくる部分でございます。1から8ぐらいにかけての部分について、重点的に、これから年末に向けての医師偏在対策の検討を行っていただきたいと思っております。

 それから次をおめくりいただきますと、先ほど申し上げた中間取りまとめの内容につきまして、大臣が経済財政諮問会議におきましてプレゼンした資料でございます。

 中を見ていただきますと、これまで医師の診療科・勤務地の選択の自由を前提とした取組みが行われてきましたけれども、今後は医師に対する規制を含めた、地域偏在・診療科偏在の是正策を検討しますと、経済財政諮問会議で大臣が御説明をしております。

 それを踏まえまして次のページを見ていただきますと、いわゆる一番上、骨太の方針というものでございますが、実効性のある地域偏在・診療科偏在対策を検討する。それで本年内に取りまとめを行うということが決まっております。

 このほか、これまでに取りまとめられた報告書等の御紹介をさせていただきますと、まず平成25年に「社会保障制度改革国民会議」の報告書におきましては、医療計画の策定者である都道府県が、マンパワーの確保を含む都道府県の権限、役割の拡大、こういうことを担っていくべきということが書かれております。

 また、次のページを見ていただきますと、「保健医療2035」こちらは大臣の私的懇談会で取りまとめられた事項でございますけれども、保険医の配置・定数の設定、それから自由開業の見直し、それから医療計画の策定責任者である都道府県が地域の医師確保計画を策定していくというようなことが、この中に掲げられております。

 これらのことを前提といたしまして、次に、現在都道府県においてどのような医師確保対策が行われているかにつきまして御説明させていただきます。

 8ページをごらんください。医療計画につきましては、現在、都道府県が策定することとされております。都道府県は医療法におきまして、国民に対して医療提供体制の責務を負うという形になっておりまして、その一環として行っております。

 この医療計画は、昭和60年に導入されたものでございますが、全国的には医療資源の総量が一定の水準を満たすものの、地域偏在が大きいことや、地域機能分担・連携が不十分だということでこれらを是正するために導入されたものでございます。

 医療計画の中には「医療従事者の確保に関する事項」、これには当然医師も含まれますが、それについて記載するとなっております。これは平成9年から必須の記載事項となっておりますが、この記載内容につきまして、今、都道府県でばらつきがあるという現状にございます。

 次のページは条文でございますので割愛させていただきまして、10ページをごらんいただきますと、どのような内容が47都道府県に定められているかということを簡単に書かせていただいております。

 主にマル1マル2マル3と書かせていただいておりますが、「現状の把握と分析」、「目標の設定」、それから「目標を達成するための施策」ということで3段階に大体分けられているという状況でございます。

 大体の都道府県では、人口10万対医師数などを用いて、これまでの推移ですとか、全国値との比較、こういうものを行っておりますが、目標の設定の段階に至りますと、例えば増加を目指すというような定性的な記載でありますとか、記載がないといったものまでさまざまでございます。また、施策につきましては、しっかりと書いている県はございますが、全体としては既存の施策を列挙しているというようなところもございます。

 次のページで具体的に見ていただきますと、A県では、各県内の医療機関の全従事医師数という現状値を書いた後に、では病院ではどうか、また、二次医療圏ごとにはどうかというような値を書いている。特に、小児科とか産科とか、必要な診療科については特出しして書いている。その上で目標を5年間どう確保していくかということを書いて、その上で、施策の中で、県内のC大学との地域枠を活用してどう確保していくか、また、地域医療支援センターでどういうことをやるかとういうことも具体的に書いているという状況にございます。

 一方でB県でございますが、こちらは指標としては臨床研修医の採用実績を1,500人にするということだけが具体的な目標として定められておりまして、参考という形で全国医師数の人口10万人当たりの医師数を全国順位で上げていくというようなことが書いてある。対策も見ていただきますと、簡単な項目列挙にとどまっております。

 また、医療計画の中に定めるものとあわせて、医療法の中で、地域医療対策を都道府県で定めるという規定が置かれております。いわゆる「5事業」に係る医療従事者の確保、それからそれに関する医療の確保に関する事項について、都道府県が地域医療対策協議会、これは各都道府県に置くことになっておりますが、この協議を踏まえて定めて公表するということになっております。この協議会は平成18年の法改正で法制化されているものでございますけれども、医療計画で定める医療従事者の確保に関する事項と、この地域医療対策、今、十分整理されているという状況にはございません。また、都道府県によっては、地域医療対策協議会というものを十分開いていないという県もあると聞いております。

 次を見ていただきますと、現在「地域医療対策の規定」がどうなっているかと申しますと、この地域医療対策を定めるに当たっては、都道府県は特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、臨床研修病院など、県内の医師不足対策に必要な実施機関の協力を得て、協議を経て定めるということになっております。その上で都道府県が必要と認めるときには地域医療対策協議会の面々に対して、医師の派遣等の要請を行うということができるとなっております。

 これに対しまして実施機関は、医師の確保について協力するよう努めなければならないとなっておりまして、特に公的な病院だけは協力しなければならないという義務になっています。

 また、先ほど医療計画の関係について御説明いたしましたが、次のページを見ていただきますと、「医療計画作成指針」というもの、こちらは厚生労働省で定めております。この中身を見てみますと、医療計画の中には先ほど申し上げました地域医療対策で決められた事項について列挙しろというようなことを書いてございます。この辺りの整理をどうしていくかということについて、後で論点で述べさせていただきます。

 具体的には、15ページを見ていただきますと、【例1】と書いておりますが、【例1】の県におきましては、医療計画の中で現状、課題、施策と書いた上で、また地域医療対策でも同じようなことを書いているという状況にございます。

 また【例2】におきましては、現状、課題、取組みと書いた上で、この取組みの事項の列記を地域医療対策の中で書いているということでございます。

 ほかの都道府県が関係する取組みといたしまして、16ページ以降、地域医療センター現状の取組みでございますとか、18ページの地域医療構想の策定ガイドラインの中でも、病床の機能分化を進めていくためには医療従事者の確保が必要だというような記載がございます。

 こうしたことを踏まえまして、「都道府県における医師確保対策に関する論点」でございますが、まず医療計画における医療従事者の確保に関する事項につきまして、全ての都道府県において医師確保を実効的なものとしていくために、PDCAサイクルの下で、まず指標を立てて、それに基づく目標、目標を達成するための対策、こういったものを一体的に医療計画の中で必ず定めるということについてどのように考えるか、また、医療計画と地域医療対策の関係をどのように整理するかということが論点として挙げられます。

 また、今申し上げました医師数の指標、これを定めるに当たって、どのような点に留意すべきと考えるかといったことも論点でございます。

都道府県内で完結するような指標とするのではなく、全国的に比較可能な指標とすべきではないか。指標を設定する区域、これは三次とか二次とかいろいろあるかと思います。これをどのようにすべきか。人口の多寡、それから可住地面積、これは北海道や東北などでは広い地域がかなりございます。へき地、離島なんかがある地域をどうするか。医師年齢が、これは高齢化しているような地域もございますので、そうしたことを考慮すべきではないか。それから大病院、こども病院それから周産期医療センターなどがあるところでは、一部の医療需要が急激に上がるということになっておりますので、そういったところを考慮すべきではないかといったことを挙げさせていただいております。

3つ目の論点でございますが、医師数の指標を定めることによって、都道府県における医師が不足している地域、それから過剰な地域というのが見えてくることになります。こうなったときに、どのような施策と関連づけていくべきかということを挙げさせていただいております。

 医療機関の開設に当たって、どのような制度的な枠組みが設けられるかといったことですとか、管理と書いてありますが、管理者要件といったことが中間とりまとめの項目にも挙げられております。それから、医師養成過程において、どのような部分とリンクさせていくか。それから、医療保険。これは保険医の定数といった話が中間取りまとめにおいても項目として掲げられてございます。

 それから4点目でございます。この指標をつくっていくと言いましても、医師がどのように配置され、どこで働いているかという実態を知る必要がありますので、どのようなデータベースを構築していくべきかといったことも論点としてあると思っております。

 先にちょっと次のページを見ていただきますと、今、国の制度の中で、どのような情報を集めるようになっているかといったことを説明してございます。

医籍は医師国家試験合格後に登録するものでございます。これでまず把握し、医師届出票、これは三師調査と言われるものでございまして、2年に1回医師には届け出ていただいているもの。これによって、従業施設、業務の種別ですとか主たる従業先、それから専門性の資格など、こういったことを把握できることになりまして、平成28年度からは、出身大学等についても把握できるようにしていきたいと思っております。

 それから、保険医になった際に登録をすることになっていまして、これでリアルタイムにどこの医療機関で働いているかということが分かるシステムがそれぞれございます。今はそれぞれ別のシステムになっておりまして、紐付けはなされていません。

 また、今、臨床研修をどこで受けたか、それから専門研修をどこで受けたかというような情報をしっかりと一元的に把握するような仕組みがございませんので、データベースをつくる際には、こういった状況を踏まえて考える必要があると思っております。

 戻っていただきまして、19ページの最後の論点でございますが、医師数の指標や目標、対策、これが一体的に定められる。また、そのデータベースがしっかり構築されるということが実現するとした場合、どのようなキャリア支援を行っていくことが必要と考えるか。また、地域医療支援センターにおける強化策としてどのような内容が考えられるか、ということが論点として考えられるということでございます。

 以上が都道府県の取組みに関する事項でございます。

 続きまして「3 医師養成過程について」御説明させていただきます。

 まず1つ目は「3-マル1 医学部(地域枠)」についてでございます。

23ページをごらんいただきますと、こちらの分科会の皆様にはよく見ていただいている資料ではございますけれども、平成20年度以降、医学部の入学定員を過去最大規模まで増員していることを示してございます。

 中を見ていただきますと、青線が定員全体の数で、オレンジの数は地域枠の数でございます。ここで地域枠と言いますのは、平成9年からプロットされておりますが、平成20年に緊急医師確保対策として始められたものだけでなく、その前から、都道府県、大学で独自の取組みをされているところもありますので、そういうところも含めた地域枠でございます。

  次のページを見ていただきますと、地域枠で入学した方がどのような勤務をされていくことになるのかということを、臨床研修の修了者アンケートでお示しをしている資料でございます。

 これを見ていただきますと、地域枠を使った方が、臨床研修終了後、大学と同じ都道府県で勤務する割合は68%でございます。これと比較いたしまして、地域枠と関係なく、地元の方が大学と出身地が同じ都道府県、いわゆる臨床研修後にどこで働くかというのをみると、78%の方が同じ都道府県で勤務するということになっております。

 次を見ていただきますと、地域枠と地元出身者の枠の割合について、各大学ごとにお示しをさせていただいております。例えば、一番上を見ていただきますと、北海道の旭川医科大学、平成28年度の入学定員122名ですが、このうち地域枠募集定員72名のうち、地元出身者の枠が55名といった形で、このように地域枠を設定している大学の一覧を掲げさせていただいております。

79の大学のうち、地域枠を設定しているのは71大学で、90%が設定している。このうち、地元出身枠を設定しているのは44大学です。これは62%です。また、大学が導入している地域枠のうち、地元の出身者枠は約49%、約半分となっております。

 このようなことを踏まえまして、論点でございます。27ページを見ていただきますと、「○現在、各都道府県、大学、医学部において、地域医療に従事する意思を持つ学生のための地域枠が設定されて」おります。地域枠の入学者よりも、地元出身者の方が、臨床研修の終了後、大学と同じ都道府県に勤務するという割合が高い。大学が導入している地域枠の地元出身者枠は、約半数程度という形になっておりますが、今後、医師の卒業後の地域定着がより見込まれるようにするためには、どのような施策が必要と考えるか。こうしたところが論点かと思います。

 次は「3-マル2 臨床研修」についてでございます。29ページをお開きください。

臨床研修が必修化されたときには、全国の定数管理というものが全くされていないという状況でございました。このため、研修医の募集定員が、研修希望者の1.3倍を超えるという規模まで拡大し、研修医が都市部に集中するといったことが続きました。

 これを受けまして、平成22年度の研修から、都道府県別の募集定員上限を設定しまして、平成27年度には1.22倍まで縮小し、今後平成32年度に1.1倍ぐらいまで縮小させていくということが決まっております。

こうしたことによって、次のページを見ていただきますと、左の真ん中のグラフを見ていただきますと、紫色の都市部の県では、研修生の採用実績というものがだんだん減ってきて、逆に緑、それ以外の道県の採用実績が増えてきているという形にはなってきております。

しかし、これを詳しく、右のグラフを見ていただきますと、横軸に人口10万人当たりの医師数をとりまして、縦軸に各都道府県別の研修医の採用率をとっております。これを見ていただきますと、右上の象限を見ていただきますと、大阪、京都、東京、福岡、いわゆる都市部では、人口10万人当たりの医師数も多い。かつその都府県にある大学、臨床研修病院では非常に採用率が高いといったことになっております。

 一方で、埼玉、福島、新潟、秋田のような、医師数が非常に少ない県におきまして、臨床研修病院の採用数が非常に少ない。このようにグループ分けされる状況が出ておりますので、こういった状況をどう改善していくかということが一つの論点かと思っています。

 次のページを見ていただきますと、こちら真ん中の表の見方でございますが、まず初期臨床研修病院がどこに所在しているかと、出身大学と同じ都道府県で臨床研修を受けるといったときには、出身大学と同じ都道府県で勤務する割合、これが85%いるというデータが出ております。

 一方で、出身大学と異なる都道府県で臨床研修を受ける場合には、84%が出身大学以外の都道府県に勤務するといったことになってございます。

 こうしたことを踏まえまして、32ページの論点でございますが、臨床研修医の採用実績の割合を踏まえ、全国の募集定員倍率、今まで減らしてきていますが、まだ採用率が50%前後であるといったような都道府県もございました。こういったことについてどのように考えるかといったこと。

それから医師が出身大学の所在する都道府県内で臨床研修を受けた場合には、その都道府県で勤務する割合が高いといったことを踏まえまして、臨床研修病院に同一の都道府県内の大学出身者の研修医を呼び込むためにどのような方策をとることが考えられるか。こういったことが論点かと思っております。

 最後に「3-マル3 専門研修」につきましてでございます。

これまで新たな専門医の仕組みにつきましては、平成25年に厚生労働省の報告書が取りまとめられて以降、日本専門医機構が設立されまして、準備を進めてこられたということでございます。平成29年度からスタートということで進めておりましたが、平成28年の社会保障審議会医療部会の中で、このままいっては地域偏在が助長されるのではないかといった意見がございまして、そういった懸念などを踏まえて、厚生労働省としましては、都道府県の中でしっかりと偏在が起きないような調整をしてほしいといった要請をいたしました。しかしながら、6月7日には、日本医師会や四病院団体協議会のほうから、「新たな専門医の仕組みへの懸念について」という要望書が出されまして、一度立ちどまって、新たな検討の場を設置して、医師及び研修医の偏在が深刻化しないかどうかについて集中的に精査する、平成30年度から一斉に新たな専門医の仕組みを開始する、ということで、今、機構のほうでは新理事を新たに選出し、そのもとで準備が進められているという状況でございます。

 これまでの過程におきまして、いろいろ御意見があったところでございます。まず1つ目は、都道府県等から関係者と調整等の権限が必要ではないかといった意見が出されております。まず、医師会と四病院団体協議会の要望書の中では、都道府県、医師会、大学、病院団体等の関係者がしっかりと協議、連携して、都道府県の協議会において了解を得ることが、専門研修を進めていく上で重要ではないかという要望が出されています。

 また、平成28年7月の知事会の要望からは、都道府県にそういった役割を求める際には国、専門医機構、都道府県及び関係機関の役割や権限を法令等で明確に規定することが求められております。

 また、次の論点としまして、定員の設定や、研修施設の認定基準の設定を行うべきという声が上がっているといったこと、これは36ページにございます。こちらを見ていただきますと、同じく知事会の要望の中で、国と専門医機構、基本診療領域学会は、責任を持って研修施設や定員の設定等を行うべきということを言っておりますし、また、都道府県の下の全国衛生部長会というところからは、専門医の診療科ごと、地域ごとの医師の適正数や専門医等の認定基準の設定等による診療科間、地域間の医師偏在の解消に努めてもらいたいと、こういった意見が出されております。

 以上を踏まえまして、専門研修に関する論点でございますが、プログラム作成や病院群の設定等に当たっては、日本医師会・四病院団体協議会から都道府県等の十分な関与が求められているといった状況にございます。また、全国知事会の要望にあるとおり、日本専門医機構、都道府県等の役割・権限を法律に明確に規定することをどう考えるかということ。

 それから、医師の地域偏在、診療科偏在を解消するために、専攻医の地域ごと、診療科ごとの定員等の設定についてどのように考えるか。こうしたことが論点かと思っております。

 説明は以上です。

○片峰座長 ありがとうございます。

 偏在対策に関する論点、まとめていただいたのですけれども、各論につきましては大きく2つ。

 1つは、都道府県における医師確保対策という点。

 2つ目に、医師養成過程、それぞれ幾つか述べられたと思うので、分けて議論したいと思います。

 最初は、都道府県における医師確保対策について御議論いただきたい。

○今村構成員 厚労省の御説明に対して、今後の進め方で確認させていただければと思うことがあるのですが、よろしいですか、座長。

 3ページに、中間報告で取り上げられたものの中で、この会で議論するものはこれだという御説明をいただいて、これは非常にわかりやすくていいのですが、少なくともメニューに挙がったので、この場ではなくてもどこかでは議論をするということがないと、このメニューに挙げている意味がないので、(1)から(8)はこの会で、(10)については実は税制改正要望で、厚生労働省はこの要望を挙げていただいているので、既に取り組み済みということだという理解なのですが、この(9)については、どこかで議論する予定があるのか、今後の方向性と、メニューとして挙げた以上はどこかでやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 もう一点は、規制的な手法の取り扱いについて。実は、保健医療2035を含めて、自主性を尊重するだけではなく、ある程度規制的なということは、ここでは合意されているとは思いますが、その進め方について、例えば今回の中間取りまとめの中で、いろいろな対策をとったけれども、偏在が改めて続く場合にはこういった規制をとるべきだという書きぶりになっている部分と、そうではなく、強力な規制的なものもここで検討するようなことが書かれていて、規制という言葉が余りに広過ぎて、何を規制的に行うのかがわからない。これはもうちょっと明確にしていただかないと、現場が非常に混乱すると思っています。こういうことについては、早急に議論する、こういうことについては、いろいろな対策をとったけれどもどうしても進まないから議論をしておくというような整理を、事務局には次回以降していただければと思います。

○片峰座長 それは論点ごとにということですか。

○今村構成員 規制ということの中身、言葉が一人歩きするのは非常に危険だと思いますので、そのことについてはわかりやすく、今日ではなくて今後、明確にしていただきたい。

○片峰座長 ただ、どういう規制の在り方がいいのかというのも、非常に重要な論点ではありますよ。

○今村構成員 そのことも含めてですね。

○片峰座長 そうですね。では、厚生労働省のほうから何かございますか。どうぞ。

○堀岡医事課長補佐 先ほど、一番先に特に今村委員のほうから特出しでいわれた(9)のフリーランスのことなどは、実はこの医療に関係する部局だけでできるもものではないので、事務的には他部局とどんなことができるのかというのを調整も進めておりますので、何か御報告できることがきちんとできましたら、この部会、その他で御報告させていただきますので、事務的な調整は始めているということだけは御報告させていただきます。

○今村構成員 ありがとうございます。

 以前もこの問題について、労働基準局で現状を調査していただくというお話があったと聞いておりますが、結局その結果が何も出てこない。部局と相談しています、結果が出たらお知らせしますということでそのまま終わらないようにぜひきちんとしていただきたいというお願いでございます。

○片峰座長 この議論の進め方にも、どなたかございますか。

 神野さん。

○神野構成員 まさに規制ないし偏在対策とそれから医師養成の数の話は、先ほど事務局からも説明いただいたように、前回までの議論でも、規制的手法をとらないならば養成は増やさなければいけないし、それから規制的手法が強ければ、養成数を絞る可能性があるという話をしていたわけです。やはりどういった形で偏在対策をするかという話をがちっと進めた上で、養成数の話になるのかなと思いますので、前回最初に事務局からおっしゃった方向性としてはまず、規制をどうするかというのを進めるべきだと思います。

 今も今村構成員からもありましたけれども、規制の種類をどうするか、法的規制なのか、それも医療法、医師法の規制なのか、保健医ということになったら、健康保険法の規制なのか、それとは別にインセンティブみたいなもので偏在対策するのかといったようなことなどどういう種類があるのかというのをきちんと整理する必要があるのかなと思います。

○片峰座長 重要な論点ですね。

○権丈構成員 議論の進め方とおっしゃられたので、一言なのですけれども、先ほど、小川構成員がおっしゃっていました、この検討会でやった試算そのものがおかしいから全面的に書き直そう、作り直そう、やり直そうではないかというのは、検討会の議論の中では出てきていないのですね。私も政府の報告書の作成に起草委員として関わったことがあるのですが、報告書をまとめるときには、議事録を懸命に読んで、その範囲内で一所懸命やっていこうとするわけですけれども、この検討会で議論していないことが、いきなり報告書の中にぽんと出てくる。しかもこの検討会でみんなでやってきたことが否定的にまとめられるようなことがあるということは、非常に議論の健全性といいますか、意味といいますか、要するにそういうものがおかしくなってきます。

もし、他からの意見で何かが議論される、あるいはそこで書き込まれるということでしたらば、その出所も明らかにしながらまとめていくような形で提示して頂き、そしてまたこの場で皆でその件について議論をするという手順を経ていただければと思います。

○片峰座長 この件は、先ほどもちょっとお答えいただきましたし、もし追加があれば次回にきちっとお答えいただくということでいいですか。よろしいですね。

 それでは、進め方に関してはよろしいですね。

 どうぞ。

○福井構成員 いろいろな項目のところで、何度も出ていて、3ページの(1)から(8)まで検討する全ての項目にかかわりますのが、それぞれの専門分野で、理想的な専門医はどれくらいの数必要なのかがそもそもわからない限り、目標が設定できないのではないでしょうか。

 医師の数には限りがあり、全ての学会が対象になります。専門領域の横の連携も必要です。そのような事も考慮して、どれくらいの数の専門医が必要なのかというターゲットをまず決めないと、ただ医師の数をどうしようと言ってもなかなか議論が進まないのではないかと思います。

 全国的な数を決めた上で、それぞれの県の調整ができるのではないでしょうか。

○片峰座長 この件は、後半の医師養成のところでよろしいですね。何かありますか。

○久米地域医療計画課長補佐 具体的な議論のところでお話しいただければと思いますが、いろいろなやり方があると思いますので、その点につきましても、いろいろ御意見いただければと思います。

○片峰座長 それでは、その都度また御議論いただけると思いますので、まずは先ほども申しました、都道府県における医師確保対策というところに絞ってということで、最初に一戸構成員から発言要求があがっていますので、お願いいたします。

○一戸構成員 ありがとうございます。

 都道府県の立場で一言。19ページの論点のところですけれども、今、事務局から御説明いただいたように、都道府県の取り組みにばらつきがあるのは事実だと理解しています。

 ただ、PDCAサイクルですとか、医療計画のつくり方のようなものについては、国で示される指針がはっきりすれば、都道府県はつくれると私は思っております。

 論点5つくらいありますけれども、下の2つも、国において環境整備していただけると、これは県で運用可能だと思っています。

 やはり3番目のところが一番大事でして、県に幾ら権限を付与されても、配置するお医者さんの数が、同じ土俵で全都道府県に権限を付与できる環境が整備されない限りは、幾ら都道府県に権限を付与されてもなかなかうまくいかないだろうと考えております。

 国における規制について、いろいろ御意見があるのは承知していますけれども、衛生部長会の議論の中でも、一生懸命やっている都道府県であればあるほど、県だけで奨学金制度も含めて医師確保していくのは限界に近づいている。国レベルでのきちんとした規制を導入しない限りは、同じ土俵として都道府県が権限を行使できないという雰囲気がございますので、ここの都道府県の医師確保策に対する論点としては、同じ土俵で戦えるように、国として積極的に規制を行使してもらいということでございます。

 個別の案件については、後ほどの議論でお話しさせていただきたいと思います。

 以上です。

○片峰座長 一戸構成員、要請文のことはよろしいですか。

○一戸構成員 要請というのは。ああ、要請文。

 その件についても後ほど個別の段階でお話しさせていただきたいと思います。

○片峰座長 重要な論点だと思うのですが、ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○今村構成員 事務局からお示ししていただいた資料と、机上に配られた幾つかの県の計画というのを見せていただいて、特に11ページなどをみると、事務局がこれを出されているのは、こんなに県によって取り組みや目標の立て方が違うのだという例で出されているのだと思うのです。

 今、一戸委員からもお話があったように、一定程度のルールというものを国がつくらないと、この状況を放置して他県がどうだのというのは、例えばB県の方がA県でこういうのをつくっているというのは多分知らない。調べようと思ったら調べられるのかもしれないけれども、簡単には見られないということになっていると思いますので、これはやはり一定の方向性というものを国がお示ししていただくことは大事です。

 ただし、示されたからといって、土俵が違うという今の御議論は、それはそれであると思うのです。そもそも目標がしっかりしていなければ、対策も立てられないと思うのです。

 もう一点、その際に、どちらかというとプロセスで、人口当たりとか、幾つかの論点が書かれているのですけれども、実際の医療現場で医療を受ける患者さんたちに、具体的に今どのような問題が起こっているのかということは、それぞれ多分地域ごとにいろいろあると思うのですけれども、そういう視点というのも入れていただいた方がいいのではないか。単純に人口比とかいうと、都市部の周辺の県と地方の県では全く条件が違うわけですから、そういうことも含めて、提供者側の話だけではなくて、山口さんがいらっしゃいますけれども、医療を受けられる側にどんな問題が起こっているのかという視点はどこかに、県の中の協議でも結構なのですけれども、ちゃんと入れていただくようにしていただきたいと考えます。

○片峰座長 どうぞ。

○山口構成員 今の御意見に対して、それを調べていただくときに気をつけていただきたいなと思うのが、例え僻地ですと、2カ月でドクターが交代しても、来てくれるだけでもう十分助かるのだと受け止める地域がある。つまり、地域によって満足度がかなり違うと思うのですね。そういったことも踏まえながら、この地域ではこういう実情があってという前提がないと、かなり高い要求をする地域と、もうこのレベルで十分なのだというところとの違いがあると思いますので、そこは留意していただきたいなと思います。

 それとは別に私から質問なのですけれども、この分科会の中でも、地域医療支援センターが、かなり都道府県によって差があるという話が以前から出ていたと思うのですが、先ほどの御説明の中で、12ページの「地域医療対策について」というところで、地域医療対策協議会が十分に開かれていないところがあるという御説明がありました。2つ目のポツのところに、地域医療対策協議会は地域医療対策について議論する場として法制化されたと書いてあるのですね。法制化されているのに十分やっていないところがあるということになると、どういうことをすればちゃんとできるようになるのかということがちょっと不安に思いました。

 実際にこれは、例えば地域医療対策協議会、これまでもう12年あるわけですから、実際に行われているかどうかの確認作業は行われているのかどうかということと、もし、きちんと機能していないということがわかったときに、どんな対策が講じられているのか。もし、今、おわかりでしたら教えていただきたいと思います。

○片峰座長 どなたか。どうぞ。

○久米地域医療計画課長補佐 体系的にどの都道府県でどうかというところを、公的にちゃんと調べているという状況ではございません。ただ、そういったこともやらないといけないとは思います。

 ただ、今回論点として提示させていただいているとおり、そういった状況も踏まえて、どういった対策が必要かということをぜひこの中で御議論いただきたいとも思います。実態についてはちゃんと聞いていきたいと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○一戸構成員 では、青森県の状況から申し上げますと、先ほど山口委員からありましたけれども、青森県も地域医療対策協議会については、ある一定の時期から開催されていません。もともと地域医療対策協議会、緊急医師確保対策で、どこかの病院でお医者さんが足りなければ、ここに要請すれば公的病院に配置をお願いするという形でスタートしているわけですけれども、その配置できるお医者さんがいない。

 事実上、手駒がないのに会議をやっても手形が切れないという状況があって、なので、先ほど申し上げたように、医療計画にしても、地域医療対策協議会にしても、ある一定の目標を定めたとしても、都道府県が同じ土俵で議論できる素地がないと、権限を行使できないということなのです。なので、そこはやはり法制化してもお医者さんがいなければ、配置する手駒がないわけですから、そういった形になっているということで、やはり国において一定の権限行使をしていただくということがやはり都道府県としては大きなポイントだと思っています。

○片峰座長 どうぞ。

○北村構成員 今の議論のほうへ行くのですけれども、確かに11ページのこれをみて、私は非常に驚きましたし、それから手駒がないのに協議会をつくっても仕方がないという御意見もわかります。

 それから、厚生労働省が土俵を均一化してそれをつくらないと地方で何もできないという御意見もありますが、いろいろ聞いてみると、地方の行政官が、医師確保に対して十分な知恵と技能を持っているかというのは、また疑問があるように思います。

 現在大学では、公衆衛生大学院というのを整備したりして、マスター・オブ・パブリックヘルスなどの称号を出した、こういう行政の専門家をどんどんつくっています。そういう人たちをぜひ雇用というか使っていただいて、県の地域医療対策をやる専門家をしっかり育ててほしい。それで、厚生労働省に土俵をつくってくれと言って待っていても、多分いつまでたってもつくってくれないだろうし、手駒が来るまで何も会議ができないと言っていたら、永遠に手駒は来ないと思うのですね。

 日本の医学教育の歴史を見て、各県によって非常に大きく違います。古い7つの帝国大学から始まって、いろいろな種類の大学があって、それぞれが関連病院とか、そういうのを持っていたために、なかなか均一に医師を育成できていない現状がある中で、各県の現状をしっかりと把握して各県独自の対策をつくる、そういう人材をぜひ各県で教育するなりつかってほしいと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○羽鳥構成員  今の北村先生のお話、まさに社会学の先生たちが新しい専門医にも入りたいということを目指しているので、非常にいい発表だと思います。ありがとうございます。

 私の質問は、44から46ページにあたりにかけて、これだけいわゆる地域枠を持っているところの数が、非常に多いところと少ないところとあるのですけれども、地域枠できちんと入学される方が、地元出身者の方が臨床研修終わった後、大学と同じ都道府県に勤務する割合が非常に高くなる。地元の人は、その大学でとどまることが多い。そして初期臨床があるととどまることが多いということはわかるのですけれども、ある中四国の私立大学が、ことし中部のある県に地域枠を設定している例があるのです。そしてその卒業生が果たして、その県に残ってくれるのかどうか。大学そのものは中四国のほうにあるので。そういう実態もあるので、その辺はちゃんと精査してほしいと思います。

 例えば、東京都とか大阪の出身の先生が、県の地域枠を利用して、中四国のほうに行っても、どこへ行くかわからないようなこともあるので、きちんと追跡する地域枠の設定も必要なのではないかと思います。地域枠の先生の質が均一かどうかというのはまた別にして、一生懸命勉強されている先生は多いと思いますので、その辺の仕組みをしっかりつくり上げておいてほしいと思います。

○片峰座長 地域枠の話は、後半に議論しますけれども、恐らく先ほどの御説明は、地元の人が地元の大学に地域枠で入ったらかなり確実に残っているけれども、そうでない場合はという話だったと思います。

 どうぞ。

○平川(淳)構成員 平川です。

 先ほどの北村構成員のお話ですけれども、私は現場におりまして、やはり一戸構成員のように本当に医師が足りないと思っています。学問的なことで解決をするというほどの余裕がないほど、大変厳しい状況にあると思います。

 私たち精神科病院も医師が足りないというところでは一戸構成員を同じような立場です。将来、北村先生のような考えでやっていくのは理想かもしれませんけれども、今、足りないというところですので、やはり日本国を維持するために、どんなところでも国民が安全に生活できるような環境を国として整備することが必要だと思います。まずは、医師を充実したうえで、次のステップとして、北村先生のおっしゃるようなことが正しいとは思います。まず今、大変な時期です。もちろん、少子高齢化の中で、過疎が進む中でどうしたらいいのかということはきちんと考えるべきだと私も思います。

○片峰座長 今のところは非常に重要な論点だと思うのですね。

 先ほどありましたように、地域ごとに事情が違うわけだから、地域の独自性というのは物すごく大事なのだけれども、そこに国なりがどう関与すればそれがうまく回っていくかということが一つの論点ではないかなという気もするのです。

 どうぞ。

○一戸構成員 何か、都道府県は今なにもやっていないかのようなあれですけれども、本当に奨学金も含めて、さまざま苦労しているわけです。これは政策立案云々という問題ではなくて、目の前の問題なのですね。

 前にも申し上げましたけれども、1人お医者さんが開業するだけで大きな問題になるような状況の中に、県庁の中の政策立案云々というのを待っているような余裕なんてないわけです。

 都道府県も今までなにもやっていなくて、厚労省にお願いしているわけではなくて、やった上で国の関与がもっと強化されるべきだという時期に来ているのではないかということでございます。

○片峰座長 ほかに。

 一戸構成員の言われることももっともなのですけれども、都道府県によっては、まだまだ人材の面でも、仕組みの面でも、やる気の面でもいまいちのところも恐らくあるのだろうと思うのですね。そういうでこぼこが恐らくあるのだろうという気がするのです。そこも含めて国がどうてこ入れしていただけるかということのような気もするのですが、ほかにいかがですか。

 どうぞ。

○権丈構成員 地域枠の後で話してなんですが、あと都道府県の話とか、規制の話とか、全部含んだ話になってしまうので、この場で話をさせていただきます。医師の偏在をどう解決していけばいいかというのは、研究レベルではほぼもう解決しているのですね。

 これは、いろいろなエビデンスレベルの高いものから言っていくと、地元枠は効く。これは欧米、カナダを含めて、いろいろな研究がずっとあって、地元枠は一番に効く。次に出てくるのは、総合診療医であるとか、プライマリーケアとか、家庭医という人たちは地域に行く傾向が高い。そして、地域医療をどのように経験したか、研修したかというのが3番目ぐらいになりますけれども、これは短期間では効きはしないし、ある程度の期間やったら効き始めるとかいうのは、大体技術的には決まっているのですね。

WHO2010年に、僻地医療に関してのアドバイスを出していて、医学部入試において、僻地出身者を優遇すべきであるとか、教育に介入しなかったら解決しませんよというガイドラインを出しているわけです、

 それで本日の資料2の24頁にある「地域枠・地元出身者と都道府県への定着との相関関係」は、世界的には昔から言われている地域には地元出身者の定着率が高いという事実をここでは追認してくれています。地域医療には地元出身者が定着するという意識は、実は昔からあって、だから1973年に一県一医大構想をつくったと思うのです。これは直感的にね。

 ところがその後の2000年代、バブルが崩壊して、その責任者捜しの中でこの国ではエリート層をたたき続けていったので、日本のよくできる子供たちが行き場がなくなって、そこで都心の進学校の子供たちが医学部を目指してしまったんですね。そうすると一県一医大構想が壊れてしまったわけです。都心の進学校の人たちが地方の医学部を埋めていくという状況で。そこに地元枠ではない奨学金による地域枠というのが余り効かないというのも、この世界の研究では大体落ち着いています。

 だから、とにかく地元枠、プライマリーケア、総合医をどう養成していくか、地域医療に関してどれだけ若いときに経験をさせていくかという政策技術を、教育と保険医の登録と管理職の要件にどう組み込んで制度化していくかという中で、県がやる、都道府県がやるといろいろな形になっていくと思いますので、ぜひ皆さんもその辺は御検討いただければと思います。

○片峰座長 先生、それは国も関与しなければいけないし、地域もそうですか。それからもちろん大学も含めたアカデミアも関与しないと。

○権丈構成員 そうですね。管理職をどうするか、病院の院長さんになるためにはこういう条件を満たしてくださいというときに、今度は国になるのではないかと思います。

 それで教育ということになってくると、今度は文科省を含めた形での国になってきますし、ただ、都道府県でどこまでできるかというのは、専門医の養成にかなりこれから先かかわっていただくことになるのではないかと思って、2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書にある「マンパワーの確保を含む都道府県の権限・役割の拡 が具体的に検討されて然るべきであ る」あたりは、そういうことをある程度想定しながら書かれているのではないかと思います。

○片峰座長 福井先生どうぞ。

○福井構成員 もう一つ違う視点からの意見ですが、医師の短期間のローテーションのインセンティブを強くして、必要な場所で、これこれの期間診療してもらえればこれこれのインセンティブがあるというふうにすれば、喫緊の課題については、効果があるのではないでしょうか。ただ、それを一つの県でというのはなかなか難しいと思いますので、やはり国全体でできるだけ短期間のローテーションができるような、そういう仕組みも考えられないかと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○今村構成員 権丈先生のWHOのも、ある程度エビデンスが出ているというお話は非常に参考になったので、論点として、全国医学部長病院長会議と日本医師会が、研修も卒業した大学についてやったらいいのではないかという提案を出させていただいて、なるべく卒業した大学に長くいればいるほど地域に対する愛着というのが強くなるのではないかというような仮定に基づいて提言をしているのですけれども、大学教育というか、その地で何年いたかという長さというのは余りそこの定着には関係ないのでしょうか。影響はないのでしょうか。

○権丈構成員 いや、これはきょうの結果にある程度ありますね。大学を出たところでというところの、どこでしたか。よろしくお願いいたします。

○小川構成員 29ページ。

○権丈構成員 29ページでしたかね。

○今村構成員 ありがとうございます。

 権丈先生から御指摘いただいた1県1医科大学のはしりの国立大学の卒業生としては、要するに当時でも、医師の資格が取れれば別にどこでもかまわないという感覚が申しわけないけれどもあって、その地の医師不足のために、県がお金を出して大学をつくって、私もそれで医師になれたのですけれども、結果的には東京に出てきて研修をして、それが個人の人生としては別に悪いことだとは思いませんけれども、やはり国の税金を使ってやっている仕組みとしてどうなのか。

 あらかじめ、自分が研修はここでやらなければいけないよと示されていたら、受けなかったかというと決してそんなことは多分なくて、要するにあらかじめ8年なら8年で医師になるのだという要件であれば、それは納得して皆受験するのではないかなと思っているので、そういうことも一つの選択肢として検討していただいたらいいのかなと思うのです。

○権丈構成員 よろしいですか。

 先ほども言いましたが、それを規制と呼ぶのかどうかというと、規制じゃないのかもしれないし、教育段階で、こういう資格要件はこうなりますよというのは、かなり効くのだけれども、規制とも呼べないのではないかという手段みたいなものは山ほどありますので、規制はこれだ、あれだという議論というのは余り建設的ではないかなという気がいたします。

 昔、73年の時に医学部に、都心の人とかいろいろな方が行かれるというのはありました。それはだけど、量的には誤差のうちだったのです。ところが、バブルが崩壊していって、どんどんと日本のエリート層がたたかれていく中で、子供たちがどこに行こうか、どこに進学しようかというときに、医学部に向かってしまったのですね。そこで、都心の進学校の人たちが、大量にマスとして、地方の医学部に行くという状況になって、その状況を見て偏差値を調べに行ったら見事に90年代にあがっていたわけです。

以前、この検討会で医学部の入学段階での現状を放置していると、工学部とかの他の学部がだめになりますけれどもいいでしょうかという話をしていたのですけれども、かつては医師養成段階での自由と言われてたものが、状況が変わって、今では無策と言われても仕方がない状況になっていると思います。そのために、医療そのものがおかしくなってくるところもありますので、御検討いただければと思います。

○片峰座長 北村先生。

○北村構成員 権丈先生の分析、まさにそう思いますが、外国と違う制度があります。それは医局制度です。

 過去において、日本の地域医療は医局によって守られています。したがって、関連病院というネットワークが非常によくできている。それを壊している。そして、都会から優秀な偏差値の高い人が地方へ行って、ライセンスだけ取るという、この2つがごちゃごちゃになってややこしくなっています。

 もう一つ外国と違うのは、日本の場合、多くの医局員は30前後のどこかで研究者になるのですね。それで博士号を取る。

 徹底して臨床医だけをやる人は、今までは少なかったのです。最近は博士号よりも専門医ということで、研究へ入らない人もいますが、過去においては、研究に入るという間は抜けてしまうということが、医師の地域での確保がなかなか難しい、医局からの派遣に頼らざるを得ないというような現状があったのですね。

 さっき言ったのですが、都道府県も大学にお願いしておけば、自然に医局員を派遣してくれる時代が長かったので、都道府県の地域医療対策協議会はむしろ大学との人間関係さえできていれば、大学におんぶにだっこでよくて、自分で何かをつくる必要はなかったわけだと思いますが、今は時代が変わったので、地域医療対策協議会を初め、県の組織で責任を持って医師の偏在等をやっていかないと、医局に頼っている県こそ本当の医師不足になっているのではないかなと私は思っています。

○片峰座長 どうぞ。

○片峰座長 どうぞ。

○新井構成員 先ほど今村構成員から、卒業した大学のある県で初期研修をすると、その後の定着率に結びつくということで、それは実際に推奨されるべきだと思うのです。そのやりようを、どうするのかが非常に問題だと思います。

 例えば、大学病院を含めそういうことに積極的にかかわって、定着率の高い施設に対しては何かインセンティブを与えるとか、やり方はいろいろあるとは思うのですけれども、その辺の具体的な議論が今後必要になってくるのではないかなと思います。

 画一的に、強い強制力でそれをやることが果たして妥当かどうかというのは、ちょっと慎重に議論したほうがいいのではないかなと思います。

○片峰座長 最後に神野構成員。

○神野構成員 私もルーラルエリア、地方の病院です。米国の地方の病院と提携しているのですけれども、そこのドクターがおっしゃるには、地方の高校生たちに医者になれとか医療へ行けというのを教育しなければだめよというのをしきりに言われまして、私どもも、5年ほど前から地元の高校へ行って、とにかく医療系へ行こうということを一生懸命訴えたら、確かに少し医学部進学率が上がったかなという事例がございます。

 これはさておきまして、次の議論かもしれませんけれども、今のお話にもありましたけれども、先程の31ページで、出身大学とどこで臨床研修をやるかということで、定着率が違うという話がありました。

 ただ、例えば先程の11ページに戻りまして、このB県というのは、どこかわかりませんけれども、臨床研修の採用実績が目標1,500人の県ですので、恐らく2年間だとしたら、1年間に750人ほしいと言っているわけですので、これは相当人口がいるところで、医学部が1個ぐらいの県だろうということになるわけです。

 ここで医師確保をするときには、ここに医学部をもっといっぱいつくれという話になってしまうわけですね。29ページの出身大学とどこで臨床研修をするのにプラスもう一つ要素として、出身地というのを入れた上で、出身地と大学と臨床研修先のこの3つの組み合わせで考えた上での議論をする必要があるのかなと思います。

 したがって、私どもの県で医学部に行くときに、私どもの県の大学じゃなくて、隣の県の、お互い田舎同士ですけれども、その辺の県の医学部に行って、我々の県に戻ってくるのはものすごいウエルカムなのですけれども、これをまた、出身大学で臨床研修しろということになると、それは否ということになってしまうので、その辺のところはちょっと、出身地を絡めて議論すべきなのかなと思います。

○片峰座長 それでは医師養成のほうに話が移ってきていますので、そちらに移りたいと思いますけれども、今までの都道府県の話、いろいろ御意見が出ましたけれども、ここで厚生労働省のほうから何かコメントがございましたら、次に移る前に出していただければ、ありますか。なければ結構です。

○久米地域医療計画課長補佐 いろいろ御意見いただきましたので、次回以降、都道府県の権限、規制等について具体的な案をお示しさせていただきたいと思います。

○片峰座長 それでは、もう入っていますけれども、医師養成過程の改革についてというところに焦点を絞りたいと思います。どなたからでもどうぞ。

 一戸さんから。

○一戸構成員 いいですか、よろしくお願いします。

 それでは私のほうから、お話しさせていただきますけれども、医師養成過程、地域枠から臨床研修、それから専門医までありますけれども、それぞれについてお話しさせていただきたいと思います。

 まず、27ページの地域枠の論点についてですけれども、私が第4回の分科会で提出させていただいた資料ですとか、今回は机上配付資料7で配付させていただいていますが、青森県の重点施策提案要望書というのがあるのですけれども、その中にも書いてありますが、現在何で地元に残るのを担保しているかというと、ほぼ奨学金だと理解しています。ただ、奨学金であっても、奨学金さえ返してしまえば、ほぼ地元に定着しないという問題があります。

 弘前大学は、私が提出した資料を後で見ていただければいいのですけれども、地域枠の定着は、ちょっと数字のあれがあるのですが、ほぼ100%残っています。それは大学の運用が極めて厳しいために、地域枠の学生の皆さん、地元に残っているのですけれども、やはり地域枠の運用を奨学金に頼るのはもう限界があると考えています。

 地元出身者だけでも多分残らないと思います。弘前大学の場合、地元出身者の地域枠ではない一般枠の人たちは残らない傾向もありますので、地元だから全部残るということでもないので、その辺は地域枠の運用を厳格にしていただくということが我々としてのお願いで、それから32ページの臨床研修については、まだ倍率1.1倍ですので、先ほどの資料のようにマッチ率の高い県と低い県がある。マッチ率の高い県は医師数が多い県で、マッチ率の低いところは医師数が少ない県で、どんどん格差が広がっていくという問題がありますので、この倍率についてはより厳格にしていただくということが、医師数の平準化につながるのではないかと考えています。

 最後、専門研修についてですけれども、今の専門医制度に関して都道府県に与えられているのは、プログラムが地域医療に与える影響があるかないか程度の確認をするようにと言われているのですけれども、確認したところで都道府県が行使できる権限というのはなかなか少ないので、都道府県の専門医制度に対する法律上の権限といったようなものを明確にしていただくということが必要だと思いますし、知事会の要請書にもありますように、先ほどから申し上げているように、県に幾ら権限を付与されても、どう権限が行使できるかということになりますと、やはりこの専門医制度については地域ごとに専門医の数ですとか、こういったものを国のほうでしっかりと関与する中で設定していただく必要があると思っていまして、こういった国の役割、県の役割、こういったものをしっかりと積み上げていって、専門医制度をうまく回るような形にしていっていただければと思います。

 以上でございます。

○片峰座長 ほかにいかがでしょう。

 今村委員。

○今村構成員 今、一戸委員から、専門医の仕組みに関して、国あるいは県、機構、学会等の役割というお話があったかと思うのですけれども、これは厚労省への確認なのですけれども、きょうの資料の中に、社会保障審議会の医療部会で、専門医機構が今どのような取り組みをされているかという理事長の御報告をいただいている。これは最も大事な社会保障審議会医療部会が、最高の決定機関だという理解をしておりますが、そのもとに専門医の在り方の検討会が設けられて、私もその委員になっているですが、今そちらは委員会が開かれていない。あの中でも、役割についてそれぞれの県や国がどのように関与するかという議論が一時期されていたということがあります。

 この場でも専門医の仕組みについていろいろな意見が出てくるということで、どういうものの決まり方をしていくのかということを明確にしないと、重層的にいろいろな場で議論することは大事かとは思いますけれども、やはり大事なことを決めていくので、一定のルールというか、プロセスを明確にしていただければと思っているのですが、いかがでしょうか。

○片峰座長 どうぞ。

○堀岡医事課長補佐 現時点での考え方としては、偏在対策という論点の中では、この分科会でまず専門医制度のいろいろな意見について御議論いただいて、結果的に医療部会に御報告、また医療部会での新たな御議論というのは当然いただくものですけれども、まずは、偏在対策の一環として、専門医制度についてここで御議論いただくのかなと考えております。

○今村構成員 専門医の仕組みに関して、例えば定数を設けるというのは非常に大きな論点です。それは確かに、結果的に偏在解消に寄与する問題だとは思いますけれども、専門医の仕組みそのものの中の大きな論点でもあるわけです。

 だから、どこで決めたことが最終的に施策の決定につながっていくのかというのは、とても大きな議論で、一般社団法人である専門医機構ができて今、議論が始まっている中で、それを縛るような議論をこの会でするというお考えでいらっしゃるのか、その辺の整理をしていただきたい。

 それから、さっき申し上げた、委員会が設けられているのに、あれはもうなくなっているという理解なのかどうかという、そこもあわせて教えてください。

○片峰座長 課長、どうぞ。

○武井医事課長 今、委員からいただいた御意見、物事を決定するプロセスを明確にしていって、それぞれの議論が今後の対策に有効に生きていくような、そういった仕組みが必要であるという御指摘だったと思います。ここで皆さんに御議論いただいている分科会の検討内容が、親会に上げられ、最終的には、冒頭申し上げましたように、医療部会でも議論されます。特に枠のような話は、法律との関係性もございますので、それは医療部会で議論していくことになります。

 最初に御質問があった、専門医に関する別の検討の場ですが、この分科会と医療部会をセットにして議論していくことになりますので、そちらは当面開かない予定でございます。

○片峰座長 あの、ちょっといいですか。

 この会の最初の回だったと思うのですけれどもね、偏在問題を議論するときに、専門医制度も大きなツールの一つという認識があったのですが、そこで出た意見は、専門医制度は、基本的にはプロフェッショナル・オートノミーなのだと。要するにトレーニングの質をまず第一にしなければいけなくて、専門医制度を偏在問題とくっつけることはけしからぬというような議論があって、私は若干ショックを受けたのです。

 この間の議論の過程の中で、そこら辺がどう考えられているのか。私としては、この検討会としては、偏在問題を考えるわけだから、その中の一つの要素として、専門医の問題を考えても私はいいのではないかなと思っているのですが、今村先生、そこら辺はどうですか。要するに向こうとはインディペンデントになりますね。

○今村構成員 議論は議論として、当然それぞれに皆さん思いがあって、御意見がありますからいいと思うのですけれども、私が確認したかったことは、ここである一定の結論が出たら、当然その上の会に上がっていくというたてつけにはなっていても、やはりこの会の決定が相当尊重されることになる。

 だから、専門医機構の議論が始まって、新しい思考の中で議論が始まっている中で、それを縛るような形になってよいのかどうかというのは危惧するところで、プロフェッショナル・オートノミーで今、機構が維持されているという以上は、やはりそちらの考え方も尊重せざるを得ない。したがって、例えばここにヒアリングで来ていただいて意見交換をするというようなことがあってもいいのではないかと思います。

○片峰座長 では、厚生労働省の方どうぞ。

○武井医事課長 今、御指摘いただいた点を十分踏まえて、それから各委員会の整合性をとっていくということは当然のことです。また、専門医機構がいろいろな今後の対策を進めており、その報告が本日の参考資料で出されていますが、これはやはりプロフェッショナル・オートノミーに基づいた考え方であると思います。

 そうしたものも十分尊重しつつ、医師偏在対策として将来何が必要かというのはこの場で御議論いただくこととし、その結果をしっかり上の会議体に上げていただくことが重要で、最終的にいろいろな考え方が整合性をとった形で整理されていくような方向性を考えております。

○片峰座長 どうぞ。

○小川構成員 専門医の話までいってしまったものですから、大分先にいってしまったなと思ったのですけれども、専門医の制度設計は、あくまでも社団法人日本専門医機構がやるわけですよ。それは別にこの委員会がやるわけではない。ですから、今、そういう作業を専門医機構の中でやっているわけで、これが来年の4月ではなくて、再来年の4月に間に合うように制度設計をしましょうということをやっているわけです。

 執行部があれだけ変わってしまった原因の一つは、先生がおっしゃったような専門医制度が、どうも医師の地域偏在に悪影響を及ぼしそうだということで問題になって、ああいう形になったわけです。

 ですから、できれば私としてはこの委員会で専門医機構のほうに、こういうふうにやってくださいという提言を申し上げてもいいのではないかなと思います。

 大分いろいろ論点が出てしまったものですから、31ページの「初期臨床研修病院の所在地と、臨床研修修了後の勤務地との関係」が85%対16%、圧倒的に違うわけです。ですから、臨床研修制度を一番最初のときに、第2回医師需給分科会の資料5-1で、日本医師会と全国医学部長病院長会議が緊急提言ということで資料が出ていますけれども、これにありますように、出身大学がある地域での臨床研修というのを今、臨床研修制度のゼロベースで見直しをするということで、厚生労働省のほうに委員会ができる予定になっているのですが、なかなかできないのですが、そちらのほうでちゃんと議論をしていただいて、臨床研修制度の中に、この部分を盛り込んでいただかなければ実質的には進まないと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○平川(淳)構成員 平川です。

 専門医のほうに戻りますが、今、学会に行くと、もう恒例の、歩くのも大変な人がポイント稼ぎ、専門医を維持するためにいらっしゃっています。全く意味がないと思います。

 専門医が偏在に影響するというのは、そういう研修を受けられないとか、手術の経験件数を計上できないということで、都会の手術の多いところに医者がいるとかというような問題が、専門医が影響する一つの原因だとも言われたと思います。

 それから、大学の医局制度の復活によってまた偏在が起こるというようなことも言われています。そういう意味では、専門医機構のほうにこの会から厳しい規制を要求するのでなくて、逆にこういうふうに緩めれば、50以上になったら、僻地にいれば専門医を維持していいよというような感じで、少しインセンティブを与えるような形である程度経験を持った先生が地域で働けるような仕組みをぜひつくっていくような提言はいかがかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○片峰座長 本田さんどうぞ。

○本田構成員 私も専門医の部分で、先ほどもありましたけれども、日本専門医機構のほうで議論をもう一度されているということと、プロフェッショナル・オートノミーを尊重するということは、一定程度尊重すべきだと思っています。

 しかし、何度も言いますけれども、尊重してきた結果が10年この状況になっているというということを考えると、先ほど厚生労働省のほうでも議論の上への持っていき方というのはまたきっちり考えるとおっしゃっていましたけれども、ここで偏在対策を議論するという以上は、そこに踏み込んだ議論をやって、先ほど小川構成員からもありましたが、もちろん専門医機構のほうにもさまざまなステークホルダーはいらっしゃるけれども、ここはより広い形のステークホルダーが参加しているわけですから、社会がどう見ているのかということを、きっちりここの場で、専門医機構の方々にお伝えして一緒に議論するという場があってもいいのではないかと思うので、偏在対策の際に専門医のことを外して議論することは、あり得ないと思いますので、そういうことをきっちりやっていただきたいとひとつ思っています。

 もう一つだけ、臨床研修の部分なのですけれども、私不勉強で大変恐縮なのですけれども、なぜこの倍率が、出てくる医学生の数というのはわかっているのに、なぜそれをすごく超えるような倍率の設定がそもそもされているのかということが私にはわからなくて、そういう設計だと必ず偏在は起きるわけですね。どうしてこうなっているのかということを教えていただきたいです。

○片峰座長 どうぞ。

○桑原臨床研修指導官 今、本田構成員から御指摘いただきました、出てくる卒業生は大体見込みが立っているのであれば、その数どおりに研修医の募集定員を設定すればいいではないかということなのですけれども、まず一つには、研修医に対してもぴったり同じだけの募集定員を設定してしまいますと、臨床研修病院の間で競争をすることによって、質の向上が図られるのではないかという発想が実現しないということがあります。より研修医に来てもらえるように、どういう臨床研修がいいのだろうかと考えることで、臨床研修の質が上がるのではないかという発想がありました。

 二つ目には、もともと臨床研修を導入するときには、募集定員の上限というものは決めていなくて、途中から導入いたしました。

 そうすると導入した時点でいきなり、今までこんなに来ていた研修医の数ががくっと減るようなことはできませんので、それを徐々に徐々に減らしていくということもありまして、その歴史的経緯と質の向上という観点から余裕がある状態でございます。

○本田構成員 経緯はなるほどという部分もあると思うのですけれども、徐々に徐々に減らしていくということであれば、今回の議論をもとにもう少し現実に近い、全くぴったりというのも現実的ではないと思うのですが、そちらの方向へもう少し近づけていくということもあってもいいのではないかなと感じました。

○片峰座長 さっき今村先生からもございまして、今の本田構成員のほうからもありましたけれども、この次とか次の次の会で、専門医機構の方との意見交換を行うとか、あるいは研修医制度についても、committedの意見交換を行うとか、何かそういう可能性についてはいかがなものでしょうか。

○武井医事課長 今日は専門医に関する議論が非常に多かったために、今後専門医機構に来ていただくことも含めて、座長と御相談させていただければと思います。

○片峰座長 それではどうぞ。

○羽鳥構成員 私も神野先生も、専門医機構の理事でありますので、言葉は重く受けとめておりますが、6月27日に新しい機構の理事会になってからは、本当に雰囲気が変わっていると思います。その機構の理事も、患者さん団体も、いわゆる知事会からも来ていただいているので、知事の方も来ておりますので、そういう意味ではいわゆる学者さんあるいは利益団体の集団ではないということをまず御理解いただきたいということが1つ。

 今までの機構のいわゆるガバナンスの問題で、膨大な借金とか、それから事務機能、事務能力の問題とかでこの3カ月若干遅れておりますが、その辺のめどが大分たってきましたので、平川先生や本田先生のおっしゃられた議論はきちんと始めていく形になると思います。

 きのうも吉村先生が、医療部会のほうできちんと説明されていると次のあれに出ておりますけれども、必ず皆さんに御負担のかけない方法ででき上がってくると思いますので、もうしばらくお待ちください。

○片峰座長 どうぞ。

○新井構成員 先ほどの本田構成員のご発言ですけれども、今までの専門医制度が、地域偏在に極めて悪い影響を与えていたかというと、それは必ずしも正しくない。

 前執行部で進められようとした専門医制度の改革が、地域の医師偏在に極めて悪い影響を及ぼす可能性があるということで、新しい仕組みに変わったわけですから、この部会から提言をするのは、非常によろしいかと思います。ただ、私自身は地域医師偏在に影響を及ぼした要因については、やはり初期臨床研修制度が極めて大きいと思います。

先ほど小川構成員から発言がございましたけれども、全国医学部長病院長会議としては、初期臨床研修制度をゼロベースの見直しということをお願いしていますし、そこを議論せずに、初期研修制度ありきで医師の偏在の対策を語るというのは問題があるのかなと思います。我々全国医学部長病院長会議としては、卒前の教育への初期研修の一部の前倒し、あるいは専門医制度もリンクした形で、医師育成のグランドデザインというものをしっかり踏まえた上で、この医師の偏在というのを語っていかないと思います。どこかだけをいじって済むという問題ではないように考えます。

 以上です。

○片峰座長 どうぞ。

○権丈構成員 私は自分を政策技術屋と位置づけておりますので、政策技術の話をさせていただきます。

 まず、地域枠のところ、いつかは専門医のところでも政策技術として、こうすればうまくいくよという話は機会があればさせていただいて、高度な政治的判断はお任せするという形で、これから先もやっていきたいと思うのですけれども、この地域枠の導入のところで、資料2の26ページ「地域枠の導入状況(大学別一覧)」をごらんください。

 政策技術とすれば、地域枠の募集人員と地元出身枠というところに物すごく差があります。地域枠の募集人員1617人を、全部地元出身枠のほうに移していくと、定着率が高まります。今は、地元枠は783人の48%ですね。

定員数そのものは、政策技術屋として論じさせていただければ、この前の厚労省の試算で、私はあれでいいだろうと思うわけですけれども、その定員数の中で今度は、臨時的に地域枠を設けていくというようなことを今、やっているわけですね。その地域枠というところに、地元出身枠を増やしていく方向で検討していくというのは、私は規制でも何でもなく、人々の選択の自由を保障した範囲の中で効果のある、しかも奨学金まで節約することができるかもしれないというような、結構いい政策ではないのかなと思っております。

○片峰座長 ありがとうございました。どうぞ。

○小川構成員 地域枠の問題がやっと出てまいりましたので、発言させていただきます。地域枠に関しましては、文部科学省の「大学における医療人養成の在り方に関する調査研究」というのがございまして、全国医学部長病院長会議が、「地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告」というのを28年の3月に出しています。

 これは皆様のお手元にあります、第5回医師需給分科会の資料2にそのままつづられております。これを見ますと「卒後、一定の義務履行を条件として奨学金の貸与を行うもの」というのがあります。

 大きく分けると3つあります。2番目は別枠で選抜して、卒後一定の義務履行を条件とするが、奨学金の貸与がない。

 3番目は、別枠で選抜して、卒後義務履行及び奨学金貸与がないという、この3つがあるのですよ。だから、皆さん地域枠と言うと一つの制度が走っているのだと皆さん思っているのだけれども、実は全く違う制度が走っているわけで、したがって、その24ページの「地域枠・地元出身者と都道府県への定着との相関関係」で、地域枠で入学した人の、その都道府県で勤務する割合が68%。極めて少ないのですが、これは何でこうなっているかというと、こういうさまざまな雑多な地域枠を全部一緒くたにしてデータを出しているからこうなるわけで、地元出身が78%、高いのもわかるのです。この24ページの表をちゃんと詳細に分析をしていただかないと、地域枠での有用性というのは出てこないわけで、ぜひ、よろしくお願いをいたします。

○片峰座長 どうぞ。

○山口構成員 私も今、小川構成員がおっしゃった24ページのところがちょっと気になっていまして、地元出身の、大学と出身地が同じ都道府県が78%とあるのですが、これの地域差というのがあるのでしょうか。東京出身で東京の大学を出てもこのパーセンテージの中に入っているわけですね。そういうことから言うと、地域によっての違いが、データとして出せるのであれば私も出していただきたいとちょうど思っていましたので、関連で意見を述べさせていただきました。

○片峰座長 どうぞ。

○武井医事課長 今、御指摘いただきましたのは、東京のような地域における分析や、地域枠の中身についての分析に関する情報提供になりますので、次回には、そうしたデータや分析した情報を提供させていただきたいと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○今村構成員 同じことの繰り返しなのですけれども、地域と言っているのは県という理解でよろしいのですか。

○堀岡医事課長補佐 そうです。

○今村構成員 もしそうだとすると、25ページの東北医科薬科大学の55というのが、これは東北の医師不足の他の県の定数も含んでこの55になっているのではないのですか。

 調べて精緻につくってください。

○武井医事課長 その点調べてということで。

○今村構成員 今、小川先生とか山口さんがおっしゃったことと同じなのですけれども、きちんとつくらないと、分析と言っても結局いいかげんになってしまうので、ぜひそこをよろしくお願いします。

○小川構成員 では、そのことに関してよろしいですか。

○片峰座長 はい。

○小川構成員 今のことなのですが、この25ページの地域枠の導入状況で、大学別一覧というところなのですけれども、地域出身枠というのと、その県から入学しているという実数と全然違うのですよ。これは枠だけの話ですから。

 だから、例えば岩手県の岩手医科大学ですと、地域枠募集人員が28になっていますが、地元出身枠が15になっています。これは、15の募集人員は、地元出身でなければ入れませんよという15です。そのほかに28あるのですけれども、28から15を引くと、まだ13募集人員が残っているのですが、これは他県の方でもいいのだけれども、地元県でもいいのですよということですから、実は地元からの入学生は15以上いるわけです。

 この表の見方、それから表のつくり方、地元出身枠はこれでいいのですけれども、本当に地元からいついつの年次で何人入っていたかということに関しては別でございますので、注意していただければと思います。

○北村構成員 ちょっとこれに関連して。

○片峰座長 どうぞ。

○北村構成員 同じく地域枠で地域に残るといっても、県庁所在地とか大学に残っても、地域に残ったことになる地域枠があるのです。

 本来は、県庁所在地ではない、二次医療圏でいえば医師が不足している本当のルーラルエリアに行かなければいけないのに、県庁所在地にいてもいいというのがあると思うのです。そこのところを正確に出していただきたい。

 もう一つ、比較対象として、自治医科大学を一度評価して、自治医科大学の人たちがどういう行動をしているのか。それに比べて地域枠はどう違うかというのが明らかになると、自治医科大学は、中央病院と田舎を往復したりしていますので、少なくとも半分の3年とか4年は、県のルーラルエリアへ行っていると思いますので、そういうのも鑑みて出していただくといいと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○権丈構成員 よろしいですか。

90年代ぐらいの研究の中に、93年ぐらいの論文にあるのですけれども、Home coming Salmon 仮説と言って、サケは生まれた川に帰ってくるというのがこの世界の大体受け入れられている仮説なのですね。

 ですから、皆さんがおっしゃっているのは、この仮説が日本では成立していないのではないかという仮説なので、その方向で検討するのはなかなか大変なのではないでしょうか。私は成立していると思います。

 この仮説を棄却するのは相当難しいと思いますし、余り彼ら事務局に負荷をかけるのは、私は余り趣味ではないのですし。ただこのサケの母川回帰仮説というものに基づくと、政策というのはある程度絞られてくるということはあり、そして日本では棄却されるのか、いや棄却されていないのではないかというような程度のことを見ていただければ十分だと思うし、そうすると、私は、本日の資料2の24頁程度の分析をやれればいいのではないかと思うのです。

○小川構成員 よろしいですか。

 地域枠の義務履行のルールというのが、今、北村先生がお話になったのですけれども、そこを明らかにしてほしいというのですが、県によって温度差があるのです。すごくきっちりやっているところと、ほとんどいいかげんにしかルールをつくっていない県と、物すごい差があるのですね。

 多分岩手県がきっちりとつくっている県の一つだと思うのですけれども、公的機関病院に2年間、そして大学院あるいは専門研修2年を挟んで、公的機関病院、その他公的医療機関にまた2年、そして大学院あるいは専門研修2年を挟んで、その他の公的医療機関に2年、そして大学院、専門研修を挟んで公的機関病院またはその他公的医療機関3年ということで、合計1、2、3、4で9年なのだけれども、9年にプラスその間に6年間の義務履行の特例が認められている。そこで専門医になったり、あるいは専門医になる研修をしたり、あるいは大学院で学位を取ったりというのをその間に入れていくという格好で、9年プラス6年、15年かかるわけですけれども、そういうような仕組みになっています。

 これは後で、次回あたりちゃんとデータといいますか、そういう仕組みをお出ししてもいいのですけれどもね。

 ですから、それが各県によって随分でこぼこがございますので、これも国がある程度関与して、指導しないとばらばらになってしまうのではないかなと思って危惧しています。○一戸構成員 今、小川先生もおっしゃられたのですけれども、多分事務局が各都道府県の今の地域枠のことをしらべると、物すごい大変な作業量になると思うので、それは余り意味がないと思うのですね。

 一番大事なのは、小川先生がおっしゃったように、結局最後どういう形の地域枠の制度にしたら残るのかということを前提に、それに合うような制度をやっているところはどこなのか。成果が出ているかどうかというのから見ていった方がよくて、一覧を精緻に全部1から10まで項目を並べるというのは、私も自分でやっていた経緯からすると大変なので、事務局のほうに助け舟なのですけれども、結局地域枠をどういう形にするのかという議論から逆算して見ていただいたほうが早いのかなと思っています。

○片峰座長 文部科学省、どうですか。要するに、地域枠の多様性の問題とあるべき論と、将来どうするのかとかいろいろ議論は出ました。

○寺門医学教育課長(文部科学省) 御意見を拝聴いたしておりましたけれども、今、一戸先生がおっしゃった部分のような質問は、入り口を幾ら議論してもしょうがない部分がある。ですから、定着が大事だ。地域の医師不足のための地域枠として成立した以上、定着が図られてこその地域枠とするならば、方法論はあると思いますけれども、ベストプラクティスのところはどういう形なのか、例えば定着に県が御努力しているのか、地元医師会が御尽力しているのか、そういうことも勘案した上でないと、入試の部分だけでどうするというのはなかなか難しい点があるのかなというところは、今日改めて、先生方の御意見を拝聴して思いましたので、引き続き先生からの御意見を踏まえながら、厚生労働省と考えてまいりたいという感想でございます。

○片峰座長 ありがとうございました。

 大分時間がなくなりました。あとお2人くらいだと思います。では、どうぞ。

○神野構成員 地域枠で一つ大事なのは、最初の話に戻りますけれども、診療科の規制が必要かどうかという話なのですね。

 その地域に本当に何科が必要なのかという話ですけれども、例えば地域枠で入りました、卒業しました、私眼科になるわと、眼科の先生に申しわけないのですけれどもね。

 それで、地方にやろうかと思ったのだけれども、いわゆる地方で、若い眼科の医師は要らない僻地病院はたくさんあるわけですね。一人医長で、もう一人は要らない。そうすると、ずっと県立中央病院にいる。こういった地域枠では何もならないので、先ほどの最初の話の診療科云々のところに、地域枠に関してもやはり、その県に必要な診療科に行きなさいというのはある程度規制をかけてもいいのではないかなと思います。

○片峰座長 どうぞ。

○羽鳥構成員 そもそも論になってしまうのですけれども、議論の大前提として、平成31年までの臨時定員増をこれで止めるのかどうか、その共通認識は皆さんで持っていただかないと、要するに平成31年度で今ずっとふえていますね、地域枠とかいろいろな。

 それをそもそも止めるのかどうか、そうしないとあと10年、20年、30年後には医師余りが当然出てくるわけですから、前提としてそれがあるのかどうか。その辺はまたどこかで議論してほしいということが1つ。

もう一つ、先ほどデータベースのことがあったと思うのですけれども、2年に1度の調査とかあったと思うのですが、専門医機構でもデータベースをつくるという話があって、あちこちでデータベースをつくるのは本当に無駄なので、どこか1カ所できちんとしたデータベースを構築して、それを専門医機構のほうにも見せていただく、それでもいいのではないかと思いますので、その辺しっかりつくっていただきたいなと思います。

 もう一つ、専門医制度と皆さんおっしゃりますけれども、専門医の仕組みですから、一戸さんのこの文章の中で、専門医制度と書いていらっしゃるのですけれども、皆さん、専門医の仕組みと言い直していただきたいと思います。

○片峰座長 最初の御質問は、きょう最初に議論したことなのですけれども、この前中間報告を出して、そこでとりあえずの決着がついたというのがここの認識なのです。

 だから29年度までの分は当面維持する。それから31年度までは、少なくとも減らすことはない。さらにふやすことに関しては慎重にやりましょう。32年度以降は、もろもろ検討した上で、改めて議論しましょう。それでよろしいですね。

○羽鳥構成員 それでいいと思います。

○片峰座長 ほかに、よろしいですか。

 そしたら最後に総括があれば、厚生労働省のほうからお願いして、閉めたいと思います。なければ終わりたいと思います。

○堀岡医事課長補佐 ありがとうございます。

 次回の医師需給分科会については、10月6日、午後1時から3時の開催を予定させていただいております。会議の場所は追って御連絡をさせていただきます。

○片峰座長 では、これで終了したいと思います。

 終わります。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
(代表) 03(5253)1111(内線4127)
(直通) 03(3595)2196

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