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2016年9月23日 第19回がん検診のあり方に関する検討会

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年9月23日(金)13:00〜15:00


○場所

航空会館 5階 501〜502会議室


○議題

(1)報告事項
   ・がん検診受診率等に関するワーキンググループ報告書について
(2)がん検診の費用対効果について
(3)がん検診における過剰診断について
(4)第3期がん対策推進基本計画策定に向けた議論の整理(案)について
(5)その他

○議事

○事務局 ただいまより、第19回がん検診のあり方に関する検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。初めに、本年7月よりがん・疾病対策課に渡辺課長が着任いたしましたので、一言御挨拶を申し上げます。

○がん・疾病対策課長 佐々木の後任の渡辺です。よろしくお願いします。がんの関係の大きな流れで言いますと、がん検診のことも含めて、来年6月にがん対策計画を改定していくという作業があります。それに向かって頑張ってやっていきますので、御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

○事務局 また、今回より構成員として、杉並区杉並保健所地域保健・医療連携担当課の椎名課長に構成員に加わっていただきましたので、一言御挨拶をお願いします。

○椎名構成員 御紹介いただきました椎名です。杉並区で、がん検診を所管させていただいております。どうぞよろしくお願いします。

○事務局 また、本日はオブザーバーの守殿氏より欠席との連絡を受けております。続きまして、資料の御確認をお願いします。初めに、座席表、議事次第、資料1「がん検診受診率等に関するワーキンググループ報告書」、資料2「がん検診の費用対効果」、資料3「がん検診における過剰診断」、資料4「第3期がん対策推進基本計画策定に向けた議論の整理()」。参考資料1「がん検診のあり方に関する検討会構成員名簿」、参考資料2「がん検診の現状」、参考資料3「平成28年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査集計結果」、参考資料4「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」、参考資料5「平成29年度予算概算要求について」、以上です。資料の不足、落丁等ありましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、カメラをお納めいただきますよう、御協力をよろしくお願いします。この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 本日の議題に入ります。初めに、(1)報告事項、がん検診受診率等に関するワーキンググループ報告書について、本ワーキンググループを取りまとめていただいている斎藤構成員より説明願います。

○斎藤構成員 資料1で御説明します。614日に始まり、829日まで3回のワーキンググループで検討しております。検討内容は、II5項目がありますが、これらについて報告書に沿って御説明します。

2ページを御覧ください。まず、1「市町村間で比較可能ながん検診受診率算定法」です。これについては、2つ目の○、市町村事業におけるがん検診は健康増進法に基づいた健康増進事業であり、住民全体が対象となることが確認される。3つ目の○は、3つの受診率が存在する。一番下の○に、その中の基本計画の評価指標になっている国民生活の基礎調査による受診率は、これはアンケートであり、いろいろな理由で過大評価となりがちである。正確性に欠けるという欠点は指摘されております。

3ページの1つ目の○です。これは地域保健・健康増進事業報告ですが、これが現在では分母・分子ともに実数です。従来までは、分母の算定方法が、自治体間で標準化されていなかったので、比較性に欠けることが指摘されております。一番下の○ですが、それに変わって平成20年から用いられている推計対象者数は、これは分母から職域で受けられる人たちを除いたものですが、クーポン事業など以降、こういった人たちが地域検診を受けているということで、分子にはカウントされてしまうという問題が発生しております。

 次のページ、そういうことで、今後の方向性としては、どういう指標を設けるかですが、市町村間で受診率を比較するためには、全ての自治体が同じ条件で算定可能なデータを算定式に用いる必要がある、という原則にのっとって検討しました。その下に書いてありますが、分母は全住民、それを構成する保険種別の分画が示してあります。色が付いた所が把握可能な所です。分子も同様に示してあります。この中で、把握が可能なのは色が付いた国保被保険者であり、それを主体にします。

 一番下の○ですが、職域で検診を受ける人の割合が、あるいは可能な人の割合が、自治体間で非常に格差がありますので、これを含めると、比較性が損なわれるということになります。

 次ページ、ということで、市町村間で比較可能な指標としては、国保分の国保という指標を提案しました。つまり、対象者は国保被保険者。そのうちの受診者を分子とする受診率です。なお、その下の※にありますが、基本計画では74歳までの年齢調整死亡率の減少が目指されておりますので、後期高齢者を含めておりません。ただしこの指標では、国保保険者以外の対象者への働き掛けが評価されない嫌いがありますので、その下の○、地域保健・健康増進事業報告による受診率を参考にすべきであるという保留が付いております。

 ちなみに地域保健・健康増進事業報告は、この春から分母が対象者住民全員となっておりますので、市町村間の比較性は担保されていることになります。

 将来的な展望として、一番下の○です。今後、正確な真の受診率を把握するためには、職域の把握が不可欠です。これはできることからという観点で言いますと、健康増進事業による検診の受診者の中で、これを加入保険別に集計することを目指していく。延いては、最終的に職域を全部把握することを目指すべきであるというまとめにしております。

6ページ、2「保険者間で比較可能ながん検診受診率算定法」です。現状は、職域での検診は、これまでがん対策として位置付けはされておらず、目的が受診機会の提供ということで、健診の原則で行われてきたという実態があります。そこで、がんの死亡率減少を目指したものには必ずしもなっていないということです。一方、職域は、対象者はがん対策の半分、あるいはそれ以上を占める重要な対象です。更に3番目の○ですが、こういった職域の検診法は標準化されていない、一定のものが決まっておらず、データも把握されていません。

 こういうことに基づいて、今後の方向性として、正確な受診率を把握するには、職域のデータが不可欠ですが、その対象者・受診者を含めた分母・分子の把握可能な仕組みを作る必要があるということです。このように、実効性がある結論には至っていませんが、この案件に関しては多くの議論がなされて、その中で改めてがん対策の中で職域検診がどういうものかという議論はされました。がん対策として組み込むかどうかということに関しては、制度上難しいという現状も改めて明らかになったと思います。今後、職域を組み込んだ仕組みを考えるには、制度上の位置付けをはじめ、抜本的な対応が必要であることを明記した上で議論を進めるべきと考えます。

3「がん検診受診率の報告内容および公表方法」です。現状、3つの受診率があることは御説明したとおりです。今後の方向性は、国民生活基礎調査はこれまでどおり行う。ちなみに、国民生活基礎調査の集計様式は平成28年度から改定されて、詳しくは申し上げませんが、これまでよりも受診率の把握に精度の向上が期待されます。

2番目、健康増進事業報告は、住民全体を分母として、指針に沿ったがん検診を分子としてカウントすることで受診率を求める。これは従来と変更が加わりますので、詳細な検討がこれから必要です。

 市町村間の受診率比較評価は、最初の項目で申し上げた従来の推計受診率に変わって、国保分の国保という指標を用いるべきであるという結論が出されました。

4「精密検査受診率等の目標値設定」については、現状、受診率だけが目標値としてかつて設定されていましたが、実は幾ら受診率が高くても、精密検査の受診に至らなければ、それは効果につながりません。そこで、がん死亡率減少に直接つながる指標である精検の受診率について、改めてその目標値を基本計画の中で設定すべきであるということです。

 次のページ、ちなみに紛らわしいのですが、実はこの目標値とは別に平成20年の厚労省の事業評価委員会において、精度管理のための目標値が設定され、それは全5がんについて90%以上とされています。この当時は精検受診率が低かったわけで、50%台のものもあったわけですが、その後改善し、現在6585%となっております。

3番目の○です。この受診率の向上には、未受診率と未把握率を正確に算定する必要がありますが、今、非常にこれが誤分類されておりまして、これが受診率を上げる妨げにもなっております。この正確な把握が必要となります。

 今後の方向性ですが、未受診・未把握を減らして正確に分類した上で、精検の受診率の向上を図れるということです。本来、精密検査受診率は100%となるべき指標であることから、目標値は100%、あるいはそれに準じるレベルに定めるべきであるという結論が出されました。

5「その他」ですが、がん検診受診率やほかのプロセス指標については、今、言及した平成20年度3月の報告書以来検討されていません。これもワーキンググループの中で改定すべき許容値・目標値の資料となるデータ等が示され、改定案も示されています。

 今後の方向性は、それを踏まえて本検討会などで、現行の基準値よりも改善していますので、改定案を検討することが求められると思います。以上です。

○大内座長 ワーキンググループの報告を頂きました。本検討会の下に設置されて、3回ほど検討されたと思いますが、かなり詳細な中身になっているかと思います。特に受診率の算定等について3つの案件があって、それをどのようにしていくか。正確な受診率を求めるための更なる検討が必要であるといった内容です。皆様から御意見等はありますか。

○祖父江構成員 3回ほど休んでおり、議論が既にあったことをまた蒸し返すことになるかもしれませんが、その辺は御容赦ください。

 まず、受診率に関することを検討する一番の目的は、日本国民全体の受診率を適切なターゲットを設定するという前提ですが、受診率を50%、あるいは40%に引き上げることと理解してよろしいですか。

○斎藤構成員 そうですね。

○祖父江構成員 その前提でいきますと、市町村における受診率を比較可能な形で算出することについて、これは結論でいくと、国保加入者に限るというものですね。それは計算しやすいですし、比較可能にはなりますが、一番重要な受診率の低いターゲットを落としている指標にはならないですか。

○斎藤構成員 おっしゃるとおりです。御指摘の冒頭にあったように、真の受診率という対象者全体を分母にして、それで基本計画に沿う検診を分子としてカウントするということが求められているわけです。利用可能なデータに制限があるということで、唯一、国保分の国保に、第1指標として取りあえず落ち着いたわけです。

○祖父江構成員 計算しやすいところに限りますという態度は、私はあんまりよろしくないと思います。

○斎藤構成員 第2指標として、下の2つ目の○に書いてありますが、第2指標として健康増進事業報告における受診率も一応設定してはいます。

○祖父江構成員 そのことが1つと、保険者間で比較可能ながん検診受診率を算定するということについて、市町村と職域という分け方をしていますが、職域と一くくりで言えるものではないですね。保険者間というのはもっと複雑なものです。そのことを十把一絡げに職域としてしまうのはよろしくなくて、組合健保、協会けんぽ、共済、それぞれ特徴があって、それぞれの受診率の算定法があるはずですから、それを検討した上で比較可能ということを、このチャンスに検討すべきではないですか。

○斎藤構成員 職域は、協会けんぽと組合健保を合せて大半を占めるわけです。その2つの事情を反映するデータを示していただいて、議論をしています。

 端的に言うと、協会けんぽのほうは、指針と同じ項目をやっているわけです。対象年齢が35歳以上と少し低いのですが、健康増進事業同様にカウントできる資格があるかもしれないというプログラムです。組合健保のほうは、純然たる任意型検診になっているということです。いずれにしろ、どちらも受診率の算定は、協会けんぽのほうは数は把握できますが、それも健康増進事業とコンペアラブルな数はなかなか把握できない。組合のほうは、それは全く可能ではないというところまでは明らかにしております。ですから、議事録や資料レベルで見ていただくと分かりますが、そういった議論も一応しております。

○祖父江構成員 もっと踏み込んだことを報告書に書かれたほうが、私はいいと思います。今後の実施主体につながる議論に是非してほしいと思います。ですから、市町村の中での国保加入者に限るというのも、保険者間での受診率の比較という意味では非常に良いと思いますが、残る、いわゆる国保以外の保険者における受診率をどう算定するかということをもっと詰めて報告書に書かないと、次の議論ができないと思います。

○斎藤構成員 それについては、冒頭からメンバー間にそういうコンセプトを共有して開始したつもりですが、当初から時間的な制限もありました。それと答を出すべきことも求められていましたので、その中で報告書にはこの分だけをまとめたというところです。

○祖父江構成員 せっかく構成員の中に組合健保と協会けんぽの方が入っておられるので、少しそこを踏み込んだ形で現状はどうなのか、比較可能な受診率を算出するにはどうしたらいいのか、検討すべきであることは最初から分かっていることですから、もう少し具体的な内容を詰めたほうがよろしいのではないですか。

○斎藤構成員 ここで私が聞く立場にあるかどうか分かりませんが、先生の指標についての何かアイデアはありますか。

○祖父江構成員 保険者で算出するとして困るのが、市町村というのは居住地単位で計算できます。ところが、居住地という単位が、社保のほうが難しくなりますね。多くの場合、会社の所在地、本社の所在地。

○斎藤構成員 それは協会も同じです。

○祖父江構成員 協会けんぽの場合でも県単位にはなっていますが、本社の所在地です。そういう市町村を居住地単位で行う受診率の比較と、保険者単位で行う場合の単位というものが、どういう整合性があるかぐらいのことを詰められると思うのです。

○大内座長 それでは課長からお願いします。

○がん・疾病対策課長 事務局から2点ほどコメントさせていただきます。1点目の国保分の国保、斎藤先生がおっしゃるとおりですが、補足等々させていただきます。国保分の国保としておりますが、未来永劫というわけではなく、取りあえず今、比べられる数字ということで出しております。市町村ごとに数字を見比べて、ベンチマーク的に出せる数字ということで、比べられる数字ということで、取りあえず出しております。

 職域のことについてはいろいろ議論があります。本日の資料4でもたたき台として出しておりますので、そこでも議論を頂ければと思います。2点ほど事務局からコメントさせていただきました。

○白川構成員 祖父江先生の御意見はごもっともですが、ワーキンググループに私が出席したわけではありませんが、健保組合や協会けんぽの代表者が申したのは、実態的に今、職域でがん検診の実態を把握する手段がないという現実です。例えば健保組合は1,400ぐらいしかないですから、そこに全部調査を掛ければデータを取れるのですが、協会けんぽは全国で100万事業所あり、そこに全部調査するのですかという話になってしまうのです。

 申し上げたいのは、ワーキンググループの報告書で記載されているとおり、職域についても正確な受診数を把握すべきだという意見です。しかし、具体的な手段がないものですから、これは事務局にも申し上げているのですが、職域保険だけのワーキング、もしくは、検討会を作り、今後どうするか話し合えるような場を設定してもらえないかとお願いをしておりますが、今現在では相当難しいことが一点目です。

 もう一点は、何で医療機関からデータを取らないか疑問です。例えば、住民検診、市町村のがん検診を受けている国保の方のデータを取ろうとしても、人間ドックへ行っている方は分からないわけです。それでしたら、がん検診を行う医療機関が全国で幾らあるか知りませんが、病院で言えば9,000弱です。そこからデータを取ればかなり正確な数ができると思うのです。

 当然、被保険者番号等を登録していますから、保険者ごとの比較も可能という方向に、課長はこれで固定するわけではないという御意見ですが、その次の段階では医療機関からどのようにがん検診の受診者数を把握していくかを、この会でも議論していくべきではないかと私は考えております。

○大内座長 今後の方向性の中にも書き込まれておりまして、後ほど第4の議題で、第3期に向けた論点の整理がありますので、もう一度議論しましょう。その前に、ワーキンググループに参加された松田構成員から一言お願いします。

○松田構成員 まず、分母・分子をともに国保とした受診率を指標の1つとして上げた理由ですが、祖父江構成員がお話になったように、一番計算しやすいというのはもっともですが、ただそれだけではありません。4ページに表がある通り、がん検診の受診者には様々な健康保険加入者本人、あるいは扶養家族がいて、それが地域のがん検診と職域でのがん検診に入り乱れて受診していて、今、我々が持っている受診率の数字は正確性に欠けます。国保の加入者は、職域の検診を受けることはほとんどないと考えられますので、受診率を正確に把握する手段は国保の加入者しか今のところないということです。ただ行く行くは、今議論になっている職域の検診についても全て把握をして、地域に居住する全ての住民を対象にして受診率を求める。それが本来の在り方だと思います。今回提案した受診率の算定法がまず1歩であって、今後、職域の検診は当然把握をすべきだと思います。

 先のワーキンググループで、職域の検診は精度管理に問題があると私は言ってしまいました。我々が持っている数字からすると、精検受診率などが低いということははっきりしております。議論の中で、職域におけるがん検診の精度受診率が低い理由の1つとして、職域ではがん検診の結果の把握をすることによって、がんが見つかった受診者本人が不利に扱われる等の問題があるという指摘がありました。ですから、職域でがん検診を行うための法的な根拠、さらにはがん検診の結果によって不利に扱われない等々、様々な問題をこれからクリアをしていかないといけないと思います。ですから、この報告書は第1歩で、行く行くは祖父江構成員が言われた方向に当然進んでいくべきだろうと考えています。

○大内座長 第1の報告については、この程度で止め置きまして、後ほど第4の議題の中でも議論させていただきます。次に第2の議題の「がん検診の費用対効果について」、福田構成員より資料を基に説明願います。

○福田構成員 資料2を使って、「がん検診の費用対効果」について説明いたします。この検討会でも、ときどき費用対効果という話が出ますので、費用対効果の分析方法を簡単に御紹介した後、がん検診での事例と費用対効果の分析ガイドラインについての話をしたいと思います。

3枚目です。まず、費用対効果を考えるときの原則として重要なポイントは、費用と効果の両方を評価することです。費用対効果ですので、単に安いもの、費用がかからないものだけを効率的とは言わないということで、必ず費用と効果の両方を評価することが必要です。もう1つ重要なのが、複数の方法を比較することで、これは有効性と安全性の評価でも同じような観点がありますが、がん検診をやった場合とやらなかった場合、あるいは方法が違う場合に、それぞれ費用がどれだけ違って、どれだけ効果が違うか、これが重要な点です。この2つが基本です。

 それぞれをどう考えていくかについては、その下のスライドです。先ほどの2番目の○の、複数の方法を比較するということについて御説明いたします。これは、仮にあるがん検診を受診する場合と、しない場合を想定した模式図です。一番上が、がんの進行を非常に単純化したもので、がんでない状態から、早期がん→進行がん→死亡と進んでいくと仮定します。真ん中は、がん検診を受診しない場合ですが、この進行過程のどこかで発見されて治療をされますが、症状が出てから、進行してからというケースが多くなると思います。その場合、当然発見して治療をし、治癒する場合もありますが、死亡する方も多くなると思います。一方、ここでがん検診を受診していくということになりますと、早期の段階で発見される方が増えますので、その時点で治療することにより治癒する方が増えるということです。最終的なところで、下の場合には治癒のほうを少しだけ矢印を太く書いているのですが、上に比べると死亡にいくより治癒にいくほうが多くなる。理由としては、早期に発見する方が多くなるからというようなことです。ですから、真ん中のものと下のものを比較するという形で、がん検診を受診した場合に、しない場合と比べてどれだけ有効性と安全性に優れるか、あるいはコストがかかるかという分析をしていくことになります。

 次のスライドで、費用と効果を考えます。費用としては、当然検診の費用を考えますが、重要なのは関連する精密検査あるいは治療の費用等も考慮して、トータルで費用がどちらの群がどれだけかかるかを検討することです。

 その下に模式的に書きましたが、大腸がん検診のようなイメージで考えますと、まず検診の費用としては、スクリーニングとして便潜血をやっていますので、がん検診を受けていない人にはこの費用はかかりませんので×にしています。がん検診を受診している方については、とてもかかります。一人当たりの費用はそれほど大きくないですが、全ての人が対象になるということで、トータルコストとしてかかることになります。

 それに対して精密検査の費用に関しては、便潜血を受診して陽性だった方には内視鏡検査をしますので、そこはお金がかかります。未受診の場合にも、全くかからないわけではなくて、当然症状があったり疑わしい場合には内視鏡検査は行われると思いますので、△で書いてあります。ただ、この辺りに関しては、一般には検診を受診するほうが、便潜血検査並びに精密検査の費用はかかるものと考えられます。

 一方で治療費を考えますと、ここでは大きく早期がんと進行がんを分けていますが、がん検診を受診をした場合には早期がんの費用は、それなりにかかるかもしれませんが、その先で進行がんの治療は対象患者数が減ることによってかからなくなると考えられます。一方で、左側の未受診のほうに関しては、早期がんではたまたま発見されれば治療になりますが、多くが進行してから発見されるということになりますと、進行がんの治療費がかかることになります。当然でありますが、一般的には早期がんの治療費に比べて、進行がんの治療費のほうが多くかかると思います。それから、ここには入れていませんが、例えば検査に伴う有害事象が発生する場合には、こういう費用も考慮することになります。つまり、関連する費用を全て考慮するというのが、基本的な考え方です。

 次に、アウトカムをどう考えるかということです。これも模式的に単純化させていただきました。住民の健康状態を考えますと、仮に非がんの状態のときを「とても良好な」状態としますと、早期がんの状態というのは「良好」から「とても良好」です。と言いますのは、もともと症状がなければ検診で見つかったとしてもそれほど健康状態には影響はないと思いますので、この程度としています。これが進行しますと、「不良」になってくる方が出てくると思います。治癒をすると、ある程度良好な状態に回復し、場合によってはがんでない状態と同じ程度で生活できる場合も多くありますので、◎から○程度にしています。死亡は死亡してしまうということですので、「とても不良」という表現も変かもしれませんが、そのようにしています。そこで効果を考えるには、生存年数の延長だけでなく、特にがんですので生存年数は重要ですが、それ以外の健康状態の評価も重要になると一般には考えられます。

 そこで、これは定性的に状態を書いたものですが、次のスライドのように、費用対効果を考えるために、アウトカムを定量化していくという方法があります。最近、多く取り上げられているのが、QALY(Quality Adjusted Life Year)、日本語ではよく「質調整生存年」と訳されていますが、このような指標を用いるという考え方です。概念は下の図に書いたとおりなのですが、生存年数と生活の質(Quality of Life)の双方を考慮するというものです。Quality of LifeQOL)については数値化することになっているのですが、1が完全な健康、0が死亡ということで、状態が悪いとか健康状態に問題があるという場合には、1 未満の値として表現されます。この2つを掛け合わせることによって、QALYという指標を算出することができます。

 例えば図の左側のほうですが、QoLスコアが0.7で、2年間生存すれば0.7掛ける2で、1.4QALYと計算するという考え方です。実際には、健康状態は変化すると考えられますので、右のように曲線的に変わっていくのであれば、曲線化の面積で計算することになります。このような指標が生存年数だけではなくて、QoLも反映される指標として多く用いられるようになってきています。これらの指標を使って、最終的に費用対効果をどう出すかというのが、その下です。

 評価対象、検診をするかしないか、あるいは方法を比較することに対して、効果と費用を別々に算出します。別々と言っているのは、効果は上に挙げたQALYや生存年数ですので、費用とは単位が違うという意味で、「別々」と申し上げています。

 それに対して、右側ですが、最終的には「増分費用効果比」と呼ばれる指標を算出します。これは費用がどれだけ増加するかが分子で、効果がどれぐらい増加するかが分母として算出される値です。一般に右下のグラフのような形で我々は表すのですが、慣例なのですが、横軸は効果で縦軸は費用です。従来の方法Aと新しい方法Bを考えたときに、AからBの所ですが、これは健康状態がどれだけ改善をするかで、aからbは比較対照よりどれだけ費用が増加するかです。上の式にある増分費用効果比は波線で示されている矢印の傾きを表すということになります。

 横軸が効果、縦軸が費用ですので、矢印の傾きは従来の方法と比べて新しい方法を取ったときに、1単位効果が増えるのに幾らかかるかという指標を表しています。これが波線の矢印です。それなので、この傾きが小さいほうが、つまり同じ効果を得るのに追加のお金がかからないほうが効率的、値が小さいほうが効率的だと判断できるという指標です。一般的に、これは国内だけではなく諸外国でも、このような形で費用対効果の分析が行われています。

 ただ、最終的には費用対効果は増分費用効果比で出てくるのですが、これは傾きの程度によって費用対効果の程度を判断することになりますので、どのぐらいだったら費用対効果がいいのだろうかという判断が必要になります。つまり、効果も増えて費用が削減になるのであれば、これはもう理想的ですが、そうばかりではありません。追加で長く生きられるためには、もう少しお金をかけてもいいという判断は当然あり得ると思いますので、その辺りを判断していく必要があるわけです。

9枚目のスライドの上に、「増分費用効果比の解釈について」、参考ということで文献上のものを御紹介させていただきます。先ほど御紹介した1QALYという質調整生存年、簡単に言うと1年元気に生きられるという成果を得るのに対して、増分費用効果比を算出した場合に、どの程度までいいだろうかということを議論している国があります。これは文献の紹介なのですが、下の1・2・3の3つぐらいの考え方が諸外国では取られております。

1は、一般的に広く受け入れられている既存の医療にかかる費用を目安とする。年間、こういう医療は通常はやっているというものを、おおむね目安として考えるという考え方です。2は、国民が幾らまで支払っていいと考えるかです。一般に「支払意思額」というのですが、1QALY増加に対して、どの程度負担してもいいと思っているかという調査は国内でもされております。国内ですと500600万円です。これは最大払ってもいいという全額の平均です。という調査です。もう1つは3で、WHOなどが提唱していますが、一人当たりGDPといった経済指標を使うものです。WHOでは、一人当たりGDP13倍程度以下であれば、小さければ小さいほど効率的ですので、そのようなことが言われています。日本ではこのぐらいが目安ということは、特に決められておりませんし、定まったものはありませんが、こういう考え方があるという御紹介です。

 続いて事例です。1つは海外の事例で、カナダのものです。子宮頸がん検診のものに関してです。子宮頸がんの進行をモデルを使って推計するというスタイルで、検診の方法としては細胞診と液状処理の細胞診と、HPVDNA検査がありますので、これの組合せで、どれをやっていくか、あと検診を何歳からやるか、あるいは検査頻度を毎年、2年ごと、3年ごとというような、この組合せをすることによって、いろいろな検診のやり方を想定することができます。これについて検討したというようなものです。

 結果は次のページの上の所です。横軸がQALYという単位で書いていて、横軸が効果、縦軸が費用です。図の中でPAP 1yr(CURRENT)という●がありまして、これが現在カナダでやっていたというもので、18歳以上に対して細胞診を毎年実施するというものだそうです。それ以外のものを、それぞれ費用と効果を算出していって、グラフにするとこういう形になるということです。

 どう見るかというと、横軸が効果、縦軸が費用ですので、右にいくほうが効果が高い、下のほうが費用が安いということになります。これから見ると右下にある▲の所ですが、PAPHPVage 3yrと書いてあるものですが、これが細胞診とDNA検査の組合せを30歳以上に3年置きに実施するというやり方で、これが効率性の観点から最もいいのではないかというのが、この論文の結論です。このような形で見ていくということです。

 もう1つは、国内で実施されている研究がありましたので、御紹介させていただきます。これは乳がんの検診としてされているもので、毎年の視触診と、これにマンモグラフィを加える、あるいはそれを2年に1度行うというような3つのものについて、費用対効果をみようというものです。各年齢層についてされているのですが、この中で4049歳についての結果が詳細に記載されておりましたので、それを基に上と同じようなグラフを作成させていただきました。13枚目のものが数字そのもので、この中のSurvival durationTotal costの所をグラフ化したのが下になります。これも見方としては同様で、右のほうが効果が高く、上のほうが費用が高いということになります。

 そのように見ていきますと、検診なしを含めて4つのやり方があるのですが、左から右に順番に見ていくと、効果の低いほうから高いほうになりますので、「検診なし」に比べて次に効果が高いのは「毎年視触診」、次が「2年ごと視触診+マンモグラフィ」、次が「毎年触診+マンモグラフィ」ということになります。毎年視触診というのは、2年ごとの視触診+マンモグラフィに比べると、お金もかかって効果が低いというやり方なので、通常は我々はこういうものは選択肢としては取らないということになります。このようなことが、こういう論文から分かってきます。

2年ごとの視触診+マンモグラフィを検診をやらない場合と比べるとどうかというと、増分費用効果比367万円ですので、1年生存延長当たり367万円かかるということになります。この中には、先ほど見ました検診の費用だけではなくて、治療費等も考慮された分析ということが書かれています。ただ、これについては、先ほど「QALYだとこのぐらい」という目安を出しましたが、ここは生存年数ですので、そのまま先ほどの目安を使うわけにはいかないのですが、1年長生きするのに360万円程度であれば、一般には費用対効果はいいのではないかと思います。

 これに対して、毎年視触診+マンモグラフィをやるということになりますと、2年ごとにやるというものから見ると効果は上がります。ただし、当然お金もかかるということになりますので、2年ごとのものから毎年を見ると、その増分費用効果比は1年生存延長のために800万円ということになります。ここは少し検討の余地があるかなということだと思います。結果的には、2年ごとの視触診+マンモグラフィという選択肢は、費用対効果の観点からも優れているのではないかと思われます。このような研究が国内外でされているという状況です。

 最後に分析ガイドラインについてお話をさせていただきます。このような分析をやって、例えば今のような結果を基に、どれが効率的だろうかという議論をする場合には、分析方法をある程度統一していくというところが重要になってきます。例えば費用はどこまでを含めるのか、効果としてはQALYを使のかLife Yearを使うのか、あるいはほかの指標を使うのかといった点です。そのために、このような費用対効果の研究を意思決定に用いている国においては、分析のためのガイドラインが作成されています。よくあるのは、医療技術評価機関と呼ばれているような組織が作るもの、あるいは研究者が提案しているものがあります。

 最後の16枚目のスライドです。我が国においては、本年4月より中央社会保険医療協議会において、費用対効果評価の試行的導入というのが、医薬品・医療機器に関してスタートいたしました。これについても同様に、医薬品・医療機器の費用対効果を評価するのに当たって、ある程度手法を統一することは必ず必要だろうということが中医協で議論され、この分析のためにガイドラインが整備されているということです。

 要点だけを書かせていただきましたが、幾つか抜粋して御紹介いたします。まず2番の、分析を誰の立場からするのかですが、公的医療の立場ということで、ここでは国民医療費の範囲での医療費の分配を考えておりますので、公的な医療費を考えましょうということです。5番に、追加的な有効性・安全性というのがありますが、費用対効果を考えるには、まず比較対照と比べて追加的な有効性・安全性をシステマティックレビュー等できちんと評価することが重要になってきます。6番の分析手法としては、今お話をした費用効果分析を用いて増分費用効果比で結果を表します。

8番の効果指標に関しては、今日、御紹介させていただいたQALYを基本としつつ、疾患や医薬品・医療機器等の特性に応じて、その他の指標も利用できるとしています。これは、特に試行的導入という段階ですので、そのようになっております。10番の費用の算出については、原則としては診療報酬点数を使って、消費量は標準的な診療過程を使う。さらに12番には割引という操作もありまして、長期にわたるものについては現在価値に換算するための割引措置を行うということです。ちなみに、先ほど紹介した国内外の研究についても、このような割引という操作はきちんとされております。私からは以上です。

○大内座長 ただいま、がん検診の費用対効果に関しまして、今までの考え方、具体的な事例も含めて説明いただきました。特に御意見はありますか。よろしいですか。この検討会では具体的な議論をしたことがなかったので、今後の第3期の基本計画策定に向けた議論の整理の中でも後で触れますが、こういった論点での整理も必要だろうということでの御説明かと思います。

○白川構成員 費用対効果は、基本的には疾病にかかった方の治療、医療技術というか、あるいは新薬が出たときに、それがどういう費用対効果かという、いわゆる治療が中心の考え方だと私は思っていたのですが、今回は検査ということです。4枚目のシートに「がん検診を受診する場合としない場合」というポンチ絵があり、今の福田先生の話ですと、この2番目と3番目の比較を中心に行うという話ですが、がんの発見率との関係もあり、非がんのままでがんにならない方もたくさんいますが、この辺はどのようにこの計算の中に織り込むのかを教えていただけますでしょうか。

○福田構成員 これは計算する場合に、一般にはがんの罹患率等の疫学のデータを使って、通常はどのぐらいが罹患しているか、あるいはその中でどのぐらいが発見されていくかというところを設定して、モデル上の計算をしていくというやり方です。

○白川構成員 受診した人全部の費用ということで考えるのですね。

○福田構成員 はい。ただ、特定のがん検診について考える場合には、そのがん検診にかかる費用だけを考えます。例えば乳がんであれば、乳がんの検診の費用だけを考えている、あるいは乳がんの治療に関する費用を考えていくということになります。あとは治療以外に、最初に御指摘のあった予防的なもので、がん検診もありますし、あるいはワクチン接種等でも、こういう検討がされている国もございます。

○白川構成員 がん検査によるがんの発見率は、私は余り見た記憶がないのですが、学会の中ではかなり確定されているのですか。

○福田構成員 「発見率」というのは、少し言い方があれかもしれませんが、感度、特異度等をベースに計算していくということです。

○大内座長 がん検診の発見率について、5大がんについては、毎年国で各臓器ごとに把握されております。例えば乳がん検診、マンモグラフィですと全国平均が0.3です。

○白川構成員 年代別に出ているのですか。

○大内座長 年代別にも分かります。

○斉藤委員 蛇足だとは思うのですが、今の御指摘について、発見率で計算する前提として、その検診をやるとがんで亡くなるのが防げるという根拠があるものについてだけやるという前提があり、一言コメントします。というのは、組合健保で検診をやっている目的は、受診機会の提供と早期発見ということになっています。ですから、見付けるということが目的そのものになっているわけですが、その延長で費用効果を論じると効果の過大評価になるかもしれないので、コメントさせていただきました。

○大内座長 もう一点は、科学的根拠をもって導入されている検診の実態の費用対効果がどうなっているかということと、新たに開発されている、あるいは開発中で臨床試験に入っているような検診手法の評価についても、費用対効果で見ていくということも行っています。

 実は、乳がん検診の40代のマンモ+触診の件については、2006年のCancer Science、今、説明があったとおりの解析をしておりまして、そのときに課題として残っていたのが、今問題となっているマンモグラフィ上のDense Breast対策で、超音波検診についての有効性はどうなのかということで、同じようなツールを使って、その1年後に日本乳がん検診学会誌に、乳房超音波検査とマンモグラフィ等との費用対効果についても報告しています。昨年1年間の乳がん検診の見直しのときに、超音波検診の件について議論されましたが、今後この検討会等で乳がん検診の在り方を考える場合に、議論の中身としてそういったデータも必要になってくると思います。福田先生は、そういったことも含めて、今後入ってくるような検診手法についても、この観点からQALYあるいはICERといった観点で評価が必要だということの意見だと思います。よろしいでしょうか。次の第3期の基本計画の中でも、課題としてこれを入れる予定ですので、後ほど議論していただきたいと思います。

 よろしければ第3の議題「がん検診における過剰診断について」に入ります。本件に関しては、祖父江構成員から説明をお願いします。

○祖父江構成員 資料3です。既に斉藤構成員からの利益と不利益の話の中で、過剰診断の話は出てきていますが、復習という意味でお話させていただきます。

 下の図です。検診の利益と不利益のうちの利益に関しては、主には、がん死亡率の減少ということです。それを見るには研究が必要で、受ける群と受けない群の死亡率の比較で検証するという話です。

 次のページです。実際にそういう研究が幾つか行われているうちの1つの例示です。胸部ヘリカルCTとレントゲンの両群について、肺がん死亡率を比較したものです。アメリカのNLSTという研究ですが、図にあるように、T0T1T2と、3回ほどCTかレントゲンかの検診を受けて、その後6年、7年といったところまで死亡率を見ました。対象者としては26,000人ずつぐらいです。受診率は98%という非常に高い3回の受診を経て、死亡率が胸部X線に比でヘリカルCT群で0.80に下がりました。こういうことをもって、検診の有効性、死亡率減少効果を確認するということです。

 一方で不利益は右側です。利益に対して、不利益というのは必ず存在します。主に不利益というのは、間違った判断をされるということです。右の図でいくと、検査結果は陽性なのだけれども、本当は疾患のない偽陰性の人です。あるいは○の付いている、疾患はないのに検査の結果は陽性となって、間違った判断をされるという人に対して、何らかの不利益が生じます。それとともに、過剰診断というのがあります。

 下の図です。陽性反応的中度というのが、偽陽性の割合、横側に取った偽陽性の1から引いた値という感じですので、下の図はPrevalenceが大きくなるとPPVが高くなるというものなのですが、偽陽性の割合もPrevalenceに従って大きくなるというようなことです。Sensitivity/specificityというのは、そういうPrevalenceの大きさには依存しないということです。

 本来の過剰診断です。がんが右側にいくような自然経過を取るわけですが、左が検診発見可能となる時点があり、経過すると治癒可能分岐点というのがあって、症状が発現します。検診というのは、治癒可能分岐点が症状発現の前にあるのでまずいわけですが、その前に検診を受けることで治癒可能なうちに見付けます。

 先行時間、生存時間はこのような定義ですが、滞在時間というのが検診発見可能になってから症状が発現するまでの間の長さのことです。これが長いと、ゆっくり進むがんであるということです。過剰診断というのは、滞在時間が寿命に比べて長いというもので、その方の寿命よりも長いので、その方が寿命を全うするまで症状を起こさないというようながん、これも検診で見付かるわけです。見付かると早期がんで治療するわけです。この場合、検診で見付けた検診関係者側も患者側も、早期発見ができてきちんと治療ができ、助かったのでよかった。何も悪いことはしていないという状態なのですが、放置した場合にどうなるかということは確認しようがないということです。だけれども、頭の中で考えるとこういうことがあるだろうということです。

 ですから、「過剰診断とは」ということで、まとめです。病理学的に、がんでないものをがんと診断したという意味ではありません。立派ながんです。浸潤、転移というようなこと、あるいは病理学的に診て画像的にがんです。がんの成長速度と個人の余命の2つのファクターで決まります。他の不利益と異なって、途中の経過で間違った判断がされたわけではありません。だからこそ厄介であるということです。個々のがんについて、過剰診断かどうかを判断することは通常は非常に難しいです。将来的にある種の遺伝子異常が、これは放置してもいいというようながんを示している、ということがあればいいかもしれませんが、今のところはそういう診断は難しいということです。

 では、個々のがんで定められないのであれば、何でこのようなことを言うのかということなのですが、集団としての罹患率が期待以上に増えることを証拠としております。1つの例が、検診評価のためのランダム割付試験です。ほかに幾つかあるのが、罹患率の年次推移というものを見ての話です。

 先ほどのNLSTという評価研究ですが、これは縦軸に死亡率ではなく罹患率を取っています。死亡数、罹患数でもいいです。ヘリカルCT群のほうが上にきていて、逆転しているわけです。T0T1T2と検診を受ける際に先取り効果で多く見付かります。これはいいですね。

 期待するところは、これはランダム割付をしていますので、長期観察すると罹患数は一致することを期待します。そのためにランダム割付をしています。ところが、多くの評価研究で、長期観察した場合に、ずっと離れたままだということが幾つかの評価研究、特に最近のものはそのようなことが多いです。これはなぜかということを考える際に、胸部X線のほうで、CT群であれば早期発見されていた例が、その後ダメオシをして、ずっと観察されないという例が幾つかあるので、ずっと離れたままだと。そういう説明が一番合理的ではないかということです。これが、過剰診断の証拠になるということではないかと考えられるようになっています。リスク比が罹患率から1.13倍多くなっているということですので、13%分の過剰診断が起こっているのではないかということです。

 こういうことが、一番定量的には考えやすいですが、ほかの事例として、前立腺がんについて、国ごとの年齢、階級別の罹患率の推移です。アメリカで非常に特異的なことが起こっているのは、これは1990年代にPSAが非常に急速に普及したときに対応して罹患率が急速に増え、その後は減少しているというものです。普及して落ち着いたというような感じの現象と対応しているということで、これも過剰診断の例ではないかということです。

 次のページです。我が国のneuroblastoma、神経芽細胞腫の検診というのがありますが、これは生後6か月の子供から、濾紙で尿を採取し、その中のカテコラミンの代謝産物を測ることで、早期発見につながるというものです。やってみましたところ、2003年に休止したということになっています。なぜ休止したかというと、海外で評価研究を行った結果、死亡率減少効果が見られないということだったわけですが、同時に罹患率が増加するということもありました。その後の経緯を見ますと、起こっている現象としては、全ての年齢層で罹患率は減少し、死亡率はほとんど変化がないということです。

 もし検診に効果があるとすれば、休止をした段階で、14歳の辺りの罹患率がもう少し上がってもよかろうということが期待されますし、本当に死亡率減少効果があるのであれば、死亡率も休止以降に増加傾向が見られるのではないかということが懸念されましたが、その後ほとんど変化はないということは、2003年以前の罹患されていた人は一体どういうことだったのかということで、恐らく過剰診断が一番合理的な説明であろうということになります。ですから、過剰診断というのが頭の中で考えて起こり得る話というだけではなく、現実のデータとして、その可能性を支持するものが幾つかあるということが、こういうことで言えるのではないかと思います。

 あとは、ガイドライン作成のときに利益と不利益を両方とも考えます。利益と不利益のバランスを考えて判断します。次のページにいきまして、その際に対策型と任意型という考え方があり、集団レベルと個人レベルで判断します。実際に厚労省の研究班とか、国立がんセンターに引き継がれていますが、幾つかのガイドラインでこうした判断をしていますが、このときに必ず利益と不利益の両面を考えることで判断をしています。

 次のページです。U.S Preventive Services Task Forceという所はそれを更に進めたような考え方でやっています。不利益が利益を上回るのでやめましょうというのを、D判定と言います。それがPSAを用いた前立がん検診については、2012年にそのような判断がされ、その後、少しアメリカでは混乱を生じたわけですが、アメリカの泌尿器科学会がその1年後の2013年にガイドラインを改定しており、その改定後の内容でいくと、40歳未満は受けないことを推奨する。4054歳は定期がん検診を推奨しない。PSA検診を考慮している5569歳の男性には、Shared decision-makingを強く推奨し、個人の価値や好みに基づいて行うことを勧める。70歳以上はPSA検診を推奨しない。相当にconservativeなというか、やらない方向での判断を推奨しているということで、アメリカにおいてもU.S Preventive Services Task Forceの判断をそれほど無視しないというか、むしろ肯定的に扱う傾向にあると思います。

 なぜそのようなことを言ったのか。これはU.S Preventive Services Task Forceですのでアメリカ国民に対してのステートメントですが、前立腺がんは数千人の男性とその家族を巻き込む重大な健康問題である。しかし、PSA検査を受ける前に、全ての男性は現在の科学がPSAについて語っていることを知るべきである。それは非常に小さな利益をもたらすかもしれないが、大きな不利益をもたらすかもしれないという点である。我々臨床家はその証拠を考慮して、個々の受診者がPSA検査について理解し、小さな利益の可能性でも不利益を上回る価値があると個々に判断しない限り、PSA検査を行わないことを勧める。

 ここでいう「小さな利益」「大きな不利益」というのは何かというと、利益としては、前立腺がん死亡を1,000人中1人は回避できる。不利益としては、1,000人中の3040人は勃起障害、排尿障害が起こる。2人は治療により心臓発作、重篤な心血管イベント、1人は血栓が起きます。3,000人に1人が外科治療の合併症により死亡します。ここでは、不利益については過剰診断ではなく、主に合併症ということを出しています。この利益と不利益のバランスを考えると、受けないほうがいいという判断をしたということです。

 次のページです。前立腺がんに関しては、推奨グレードは全年齢に関してDですが、幾つかのがん検診に関して、例えば子宮頸がんなどですと高齢者についてD、あるいは21歳未満についてDです。このことをイメージに描いたものが下の図です。利益というのは黒線で、罹患率が上がる高齢者とともに、死亡減少効果というのも量的には大きくなっていきますが、あるところで頭打ちという形です。それに対して不利益は、若年で特に偽陽性、リバーシブルなものがありますので偽陽性とか、あるいは放射線被ばくといったものが主たる不利益ですが、高齢者にいくに従って急速に過剰診断あるいは合併症というのが増えて、恐らく利益と不利益のバランスが、ネットとしてプラスになるという年齢はかなり限られていて、そこの年齢層に対してのみ、対策型検診を行うという考え方が適切なのではないか。

 任意型というのは、特にお年寄りの場合は個人のレベルで健康度というのは相当違いますので、受けたほうがよかろうという人もいるでしょうし、そうでない人もいます。ですから、対策型としてやるよりは、個々の方々が判断するという形での提供のほうがよかろうということがイメージされるということです。ですから、過剰診断というのが、利益と不利益のうちの不利益の1つとして、大きなファクターになり、そのことをきちんと考えた上でリコメンデーションも出すことが必要になってくるのだと思います。以上です。

○大内座長 ただいま「がん検診における過剰診断について」の概要、最新の諸外国の動きについても触れていただきました。特に御質問等はございますか、よろしいでしょうか。この点も、後の第3期のがん対策推進基本計画策定の中に出てきますので、御承知おきください。

 では、本日の本題に入ります。「第3期がん対策推進基本計画策定に向けた議論の整理()」について、資料4です。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 では、お手元の資料4を御用意ください。こちらは、本検討会での議論を整理いたしまして、第3期がん対策推進基本計画に向けた意見ということで、がん対策推進協議会に今後、提出することを考えております。

 まず1ページの「内容」です。本議論の整理の構成です。I「はじめに」、II「がん検診の現状と課題」、III「がん検診の今後のあり方」となり、現状と課題、今後のあり方という2つの構成にしております。それぞれ、14の細項目がありまして、II1が基本的な枠組み、それに対してIII1が基本的な方向性、II2ががん検診の受診率、に対して今後のあり方としてIII2でがん検診の受診率というように11で対応しているという構成になっております。

2ページ、「はじめに」です。こちらの経緯ですが、現在、がん対策基本法に基づいて設置されているがん対策推進協議会では、第3期の基本計画に向けた議論を行っております。こうした中、本検討会で本年度3回の会議を行いまして、今回報告書を頂きましたワーキンググループでも同じように議論を3回行っておりまして、それらを反映した議論をまとめたものがこちらになるといったことを書いております。

3ページ目は、IIといたしまして「がん検診の現状と課題」を4つの項目に分けて御説明しております。1番目は、「基本的な枠組み」といたしまして3つあります。1つ目が、がん検診は健康増進法に基づく市町村の事業として行われているということです。2つ目の○といたしまして、現在、国としては、平成28年度までにがん検診の受診率を50%にすることを目標に掲げております。以下、様々な対策をしているといったところを書いております。3つ目といたしましては、がん検診の現状を踏まえると、以下のとおり多くの課題が見られる状況にあるといったことで2以下を挙げております。

2といたしましては、まず受診率です。受診率は先の説明のように50%を目標にしておりますが、国民生活基礎調査によりますと、現状、3040%台に上昇はしておりますものの、まだ50%には届いていないという状況にあります。このような中、「経済財政運営と改革の基本方針2016」におきましては、次期の基本計画では、国際的にも低い受診率を鑑みて更に高い目標を設定すべきではないかといった意見も出されております。22つ目の○ですが、受診率が低い原因につきましては、個別受診勧奨などの普及啓発が不足していることや、受診者の立場に立った利便性が配慮されていないといったことが現状として挙げられております。3つ目は、現在、精密検査の受診率は6585%となっておりますが、現状のところ、目標値が定められていないといった現状があります。これは後に議論していただくことになります。

3「科学的根拠に基づくがん検診の実施」として1つ目が、現在実施されているがん検診の内容の一部は、科学的根拠に基づくものとは言い難い状況が見られるという現状があります。2つ目といたしましては、平成28年度の調査によりますと、指針以外のがん種に対して検診を実施している市町村が全体の85%余りになるといったことです。また、精度管理を適切に実施している市町村は、増えてはいるものの十分とは言えないということです。

4「職域におけるがん検診の質の向上・市町村との連携」といたしまして、先の国民生活基礎調査の報告では、がん検診を受けた者の4070%程度が職域で受けているという実態があります。ただ、これまでのところ、職域のがん検診については検査項目や方法等が明確化されておらず、保険者や事業主によって実施方法が異なるため、受診率の算定が困難であり、また、全体を定期的に把握する統一的なデータフォーマット等の仕組みがない状況にあるといった現状があります。

 また、2つ目の○としまして、被用者保険の被扶養者は、被保険者に比べ、がん検診受診率が低くなっている。また、被扶養者が市町村で受診しているような場合もあるが、保険者はその実態を把握できていない。また、職域でがん検診を受けることができない者に対して、市町村から受診機会を提供されない場合もあるといった現状を報告しております。

IIIといたしまして、今までのIIで分類されました4つに対して、それぞれ、対応した形で今後のあり方を整理しております。

1「基本的な方向性」です。基本的な方向性といたしましては、がんの早期発見・早期治療を更に進め、がんによる死亡率低下を目指していく上で、がん検診の更なる充実は必要不可欠であるという大前提に基づいたものと、がん検診は市町村事業として行っており、各市町村が健康長寿のまちづくりを競い合う中で、受診率の向上、精度管理を含めた質的な充実等を図っていく必要があるということです。「5年以内に」という文言は、これも第2期に盛り込まれていた事項です。

4つ目の○につきましては、がん検診の項目や方法については、国内外の知見を収集して検討し、科学的根拠のあるがん検診を推進していく必要がある。これは、今後もこのような検討会で引き続き議論するといったことを基本的な方向性に挙げております。5つ目の○といたしまして、職域におけるがん検診の実態をより一層把握し、その質的な充実を図るとともに、市町村におけるがん検診と職域におけるがん検診の連携を強化し、より多くの人にがん検診を受診できるようにしていく必要があるといったことを盛り込んでおります。

2「がん検診の受診率」につきましては21つ目の○です。先ほどの50%が達成できていないといったところですが、ここに現在の50%よりも高いパーセントを目標として設定すべきである。これは○抜きにしてありますが、ここの○につきましては、本検討会で具体的な数値を御議論いただく。具体的な数値がもし難しいということであれば、その理由なども御議論いただきたいと思っております。

2つ目の○といたしましては、高い目標を達成するには、各市町村が健康長寿のまちづくりを競い合う中で受診率の向上を図り、国全体で受診率を高めていくことが必要であるとした上で、これはワーキンググループで報告されたことですが、市町村間が比較し得る受診率といたしましては、国保分の国保といった計算式を用いることが妥当であると書いております。

3つ目の○に移りまして、市町村間で比較できる受診率とした上で、各市町村が全国での位置付けを確認し施策に役立てることができるよう、国は各市町村のがん検診受診率等を公表するべきであるとしております。

4つ目ですが、受診率向上策については、これまでの施策の効果を検証した上で、効果的な方法を引き続き検討していく必要があるが、当面の対応としては、ここから具体的な受診率の向上施策を列記しております。市町村は、検診受診手続の簡便化、効果的な受診勧奨方法の開発、職域がん検診との連携、対象者の網羅的な名簿管理に基づく個別受診勧奨・再勧奨、かかりつけ医から受診勧奨等に力を注ぎ、併せて、健康サポート薬局におけるかかりつけ薬剤師を通じた受診勧奨も進めるべきである。また、がん検診と特定健診を同時に実施するなど、受診者の立場に立って利便性の向上を図ったり、女性が受診しやすい環境を整えたりするよう努力することが望まれる。また、平成28年度から開始される保険者努力支援制度等のインセンティブ策も活用していくべきである。ということで、この項目では受診率向上政策の具体的なところについて言及しております。

7ページの一番上、項目2の一番上ですが、こちらは精密検査の受診率についてです。本来は100%となる指標であるが、第3期の基本計画では、ここも○抜きにしておりますが、どういった値を目標とするかということについても、先ほどの受診率、第3期に盛り込む受診率と合わせて御議論いただきたいと思います。

3「科学的根拠に基づくがん検診の実施」です。指針で科学的根拠に基づく検診を推奨しておりますが、現状、科学的根拠に基づかない検診が実施されているといった現状がありますので、科学的根拠に基づくがん検診を実施するような普及啓発を行うとしております。国は、内外の知見を収集し、引き続き、がん検診の指針等について検討するということです。

3つ目ですが、都道府県は、生活習慣病検診等管理指導協議会の一層の活用を図り、がん検診の実施方法や精度管理の向上に向けた取組を検討すべきであるという文言で、これも第2期からの引き続きになります。

4つ目ですが、精度管理の一環として、検診実施機関では、受診者に分かりやすくがん検診を説明するなど、受診者の不安を軽減するよう努める。これも第2期からの引き継ぎです。最後の5つ目も、第2期から引き続き検討していただきたい課題として挙げております。

4つ目は職域です。これは、いままで余り踏み込んだ書き方がされておりませんでしたが、今回の議論を踏まえた上の記載となっております。

4つ目の1つ目としては、国においては、職域でのがん検診について、継続的な実態把握に努めることが必要である。

2つ目です。がん検診の正確な受診率を把握し、効果的な対策を行うためには、職域におけるがん検診について最低限必要な検査項目や方法を明確化し、受診率を算定できるようにすることが必要である。その上で、職域におけるがん検診の対象者数・受診者数を含めたデータの把握可能な仕組みを、職域におけるがん検診関係者の意見を踏まえつつ作る必要があるとしております。

 最後は職域と地域の連携についてです。市町村におけるがん検診と職域におけるがん検診の連携を強化する。市町村検診と職域検診のいずれの受診機会も提供されない状況をなくしていく必要がある。このため、職域においてがん検診を提供する保険者及び事業主は、被用者保険の被扶養者に対し、職域でがん検診を受ける機会のない場合は、市町村におけるがん検診を受診するよう情報を提供すべきであるとしております。

5「その他」の項目です。その他の項目には3つあります。1つ目が、がん検診における効率性や費用対効果の議論はまだまだ十分には行われていないため、今後、引き続き検討する必要がある。

2つ目が、がん検診のデータが収集・蓄積されておらず、受診率把握や受診勧奨等に対して適切な対策を取ることが困難な状況にあるため、検診機関のデータフォーマットの統一やがん検診データの収集方法等について、今後、引き続き検討する必要がある。

 最後が、がんの予防や早期発見の重要性に関する教育を、関係各省と連携して行う必要がある、といったところが今後のあり方です。

 以下は本検討会及びワーキンググループの開催要綱と構成員の名簿とさせていただいております。以上を踏まえた上で、各項目ごとに御議論いただければと思います。こちらからは以上です。

○大内座長 ただいま「第3期がん対策推進基本計画策定に向けた議論の整理()」を示していただきました。1ページの内容の所に、IIの項目に現状と課題、IIIの項目に今後のあり方で、1が基本的な枠組み、2が受診率、3が科学的根拠に基づくがん検診の実施、4が職域に関すること。これがペアで書いてありますので、議論としまして皆様にしていただきますのは、この両方を見ていただきながら、この4点について確認をしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

3ページに移っていただきまして、まず、現状と課題の1「基本的な枠組み」です。ここに○が3点書いてあります。5ページをお開きください。第3期の計画に向けた方向性ということで、○が5点あります。このような書き込みになっております。いかがでしょうか。大変重要な点ですので、残りの時間を十分に使いまして項目ごとに確認を取りたいと思います。

○斎藤構成員 今のは3ページの1と、5ページの1ですよね。

○大内座長 はい。

○祖父江構成員 現状と課題ということですから、課題の部分もちょっと含めてのコメントですが。受診率がおおむね低いということでの問題が指摘されていますが、それ以前に、どうやって測るのかが定まっていないというところが問題としては大きいと思います。スクリーニングの受診率もそうですし、精密検査の受診率を一体どうやって測っているのかということについても、低いというだけではなくて、測り方が定まっていないということのほうが課題だと思います。

○大内座長 今、祖父江構成員から大事な点を指摘されたのですが、○の3つ目に、「以下の通り、多くの課題が見られる状況にある」ので、この下に記載されているのが受診率及び、精検受診率とか、あるいは職域といった、いわゆる国全体の、いわゆる評価ができていないということもここにありますので。ではここはもう一回、後で戻りましょうか。

○祖父江構成員 はい。

○大内座長 ここを議論してからにしましょうか。先生の言われることは、受診率とか、精検受診率とか、あるいは職域のがん検診受診率の計算式・・・。

○祖父江構成員 いや、11個いくとなるとそうですが、もっと大きな意味でいろいろコメントはありますけれども。

○大内座長 本日の(1)報告事項と(2)の費用対効果はどうか、それぞれにおいて指摘されたところですので、それも鑑みながら議論していきたいと思います。方向性については、これは非常に当たり前のことを書いておられるわけですが、祖父江構成員からすれば、もっと根本的な問題があるのではないかということ。それは正にそのとおりです。では、まず2の「がん検診の受診率」でいかがでしょうか。ここで項目ごとに見ていきましょう。どうぞ。

○祖父江構成員 いいですか、私ばかりが喋って。

○大内座長 ええ。

○祖父江構成員 短めに言います。ポイントは、国保加入者だけに限って指標化するということを提言するわけですね。私はそれはむしろ悪影響のほうが大きいと思います。計算しやすいところだけでこういう指標化をして、市町村別に並べて。では、高い所は安心して何もしないのかということになりますね。むしろ、国保加入者以外の住民の受診率をどうするのかというほうが目的としては大きいはずです。国民全体の受診率を上げることがミッションなのですから。よくできているところだけをターゲットにして、そこを指標化してリスト化しますということを提言すること自体、私は余りよろしくないというか、間違っている方向性だと思います。

○井上構成員 頭の中が整理しきれなくて、そもそも問題に発展してしまうかもしれないのですが、私も今の話に大賛成です。基本は、ここでこの時期に提言する内容としては、今後の方向性として、受診率をきちんと把握する方法を開発していくということを提案に盛り込んでもいいと思っています。その中で、具体的に上がってきた職域に関してどうするかということになってくると思うのです。

 資料4を拝見していますと、そもそも、市町村別に集計するということがうたわれていて、一方、職域としては、受診者の在住市町村別の集計は無理なのだという現状があり、結局、職域の情報に、最終的に受診者住所が連結できるような情報が存在していなければ、根本的に市町村と職域の情報を連結すけることができないわけです。しかし、最終的にこの基本計画策定ということになると、実際のところ、オールジャパンとしてどのくらいの受診率なのかというところに最終的には向かっていくわけですが、結局、市町村別に分けて受診率を出していくところにどう職域のデータを入れ込んでいくかという点に議論が流れているような気がするのです。

 したがって、職域を入れて、最終的に市町村別の比較までできる、受診者の住所にまで遡って市町村別に比較できるようにすることを方向性に盛り込んでいくのか、オールジャパンの受診率を最終的に出せればいい、すなわち、分母を加重したりして、平均を出すなどの方法で何らかのオールジャパンとしての一番精度の高いデータを出していくことが目標なのか、その前提について我々がコンセンサスを持っておかないと、何か、これは各論の整理に終わってしまって、何となく議論が終わらないような気がします。

○大内座長 今回、受診率等に関するワーキンググループを設置までして、職域も含めた形で議論していただいての報告が上がったわけですが、実態を把握できるかどうかということで、現実的な対応ということでの第1の計算式、あるいは次に第2の計算式が示されたわけですが、おっしゃるように、国全体のがん検診受診率が分かっていないということ。これは何とか書き込んで、本検討会の最も大切なところだと思いますので、5ページの「基本的な方向性」の最後の所に職域についても書いてあるのですが、多分、井上構成員も祖父江構成員も、オールジャパンでのがん検診受診率、実態を明瞭に何とか検討できないかということだと思うのです。事務局のほうからいかがでしょうか。

○健康局長 確かにおっしゃるように、最終的に国全体の受診率をどう上げていくのかということが大事です。ただ、実際には検診を実施している主体というのは市町村であり、あるいは保険者が担っていて、実際にその対象者にアプローチできるのも彼らでしかないわけです。国は、啓発はできますが、直接的に働きかけることができる場面を持っているのは、もちろん保険者であったり、市町村です。ですから、市町村がどれだけ頑張ったかということを評価するための指標はベンチマーキングで、これは昔、老健事業で検診の全国的地図がありましたが、ああいう形でお示しをして、その中で単純に上か下ではなくて、実際にそれは自分たちがどのぐらい改善しているかということを見るための道具として、なおかつ、ほかと比較していただく。

 本来であれば、もちろん、それぞれ自分の所で持っている指標でもいいのかもしれませんが、それを全体の中で評価していただくために、暫定的なものとして、今こういうものを考えさせていただきました。ただし、将来的には、市町村が住民全体の中でどれだけちゃんと受けているか。それは市町村事業として提供していなくても、それも含めて把握すべきであるということについては、そうだと思います。ですから、今度それをどういう形で把握できるようにするのか。医療機関側から把握するのか、それとも保険者から提供いただくのか。それとも例えば市町村が、かつて私が勤めていた保健所の管内の市町村では、住民に全部、検診の前にアンケートを取って、過去、どういう検診を受ける機会があるのか、受けているのかどうか。そういうものを把握した上で、事業対象にするかどうかを選んでいた市町村もありました。いろいろな方法があると思います。

 そこについては、第3期の中で、そういうことをもう少し詰めていかないと、第3期のスタート時点でそれが用意できている状況ではありませんから、それは第3期の中で、できるだけ早い時期にそういうものを明らかにしていきたいと思います。ただ、当面、暫定的にと言いますか、最初の段階で何もしないで、市町村比較はしないで、これは使えないからどうするのかという形になると、それだと今後、我々はどういう形で市町村にお話をするのか。受診率を向上していっていただくことについて、このような指標ではとりあえずやってもらったらどうですかということでお話をしたいと思っておりますので、できましたら、ワーキングのほうでおまとめいただいた方向も踏まえ、あそこの中で宿題事項も必ずあるわけですから、その宿題事項は。確かにこの報告書の案の中に、そこまで書き込んでいない、できていないのは事実ですから、そこについては御意見を踏まえて、更に修正をしたいと思いますが、同時にそれはやりつつも、当面、暫定的にはこういうものを使うべきという形で御提言いただければ有り難いと考えています。

○大内座長 局長から御意見を頂きました。ありがとうございます。恐らく今までの長いがん検診の経緯も含めて、市町村事業というのは健康増進法の中での報告事項になっていますし、一方で職域に関しては別枠の法律があって。しかしながら本検討会は2年ほど前から保険局の保険課長にも入っていただきまして、白川構成員にも入っていただいて、職域についても検討する。それはがん対策加速化プラン等の中でも、協議会のほうからの意見も受けて動いているわけですので、本検討会として何らかのステートメントを出しながら、近々測れるような体制に持っていければいいと思うのですが、それはまず私の考えです。

○斎藤構成員 この問題は、祖父江構成員の御指摘どおり、大きなところから話していかなくてはいけない。ワーキンググループでも、そういう前提で話しましたが、大きなところでは3期基本計画。しかし、近いところでは、がん対策加速化プランの指標を作るということがありました。しかし、その両者を調定することは非常に難しかったわけです。それで、後者のほうを優先しました。とはいえ、将来に向けてどういう再構築といいますか、その全てを把握する仕組みを作るかにつながるような整理はしておきたいということで、議論はしたつもりです。ですから、この報告書に、今、御指摘があったような大きなことを書き込むことは非常に重要だと思います。今、局長さんからもコメントがありましたが、3期計画に反映させていくということがありましたので、是非そうしていただきたいと思います。

 井上構成員が御指摘の、とにかく全日本把握するので、分母を加重して推計するなどすべきという話ですが、このワーキンググループで議論したのは、既に推計受診率もありますし、重ねて推計値を作るべきではない。必要なのは実測値で利用可能なものを割り出すというのがタスクであるということでした。そういう合意で始まりましたこともコメントしておきます。

○椎名構成員 私のほうからは5ページの「がん検診の受診率」について、よろしいでしょうか。1つ目の○の所で、第3期計画ではより高い目標を設定すべきであるという書込みがありますが、もともとがん検診の受診率については、カラーの資料の中である国民生活基礎調査の数値を基に評価されているということで、よろしいのでしょうか。そうしますと、ワーキングのほうの報告書の中の3ページですか。この国民生活基礎調査における数字は、「自己記入によるアンケートの集計であることから、実態よりも過大な評価となりやすく、正確性に欠ける」という指摘があって、これは正にがん検診を実際に区市町村の立場で行っている私どもからは実感そのものです。その中で、さらに目標値を上げるということになると、相当、現場の数字と乖離していくのではないかということが危惧されますが、その辺りも踏まえて更に数字を上向けるという考え方が必要なのかどうかということ。

 この評価の中で精度管理のために、7ページにありましたが、精密検査受診率については、かなり実施している立場として、きちんとした数値が把握できるのですが、受診率として出てきている目標値は、もともと自分たちの実態からかなり離れているという数字を目標として掲げつつ、精度管理では自分たちの評価として行っていくということに、現場の感覚としては違和感があったものですから、目標の立て方はどう考えていったらよいのかということを、ちょっと意見として申し上げたいと思います。

○大内座長 がん検診受診率という算定の仕方について、そもそも3通りあって、それが実態を把握しているかどうかということで、ワーキンググループではより実測に近いのが先ほど第1として出されたわけです。国民生活基礎調査に基づくものは、過大評価に近いのではないかというのも皆さん分かっておられることなので、ここに書き込む5ページの50%より高い○○パーセントというのはどういう計算式に基づくものなのかと、またそもそも論に戻ってしまうのです。ですので、ここは非常に難しい判断ではありますが、がん対策協議会第3期に向けて、時間的にも、あと12か月でこちらから報告を上げなければいけないのです。なので、そもそも論に戻ってしまうと、何も進まないということになりますから、そういった計算式の確定といいますか、あるいは提言も含めた上で落とし所を考えていただきたいというのがあります。いかがでしょうか。

○道永構成員 3ページに戻りたいのですが、現状と課題の所で、がん検診の受診率というのは、一番最初に50%を目標としているという文章が出てくるので、違和感があるのかなと思います。現在の受診率は、先ほどからお話が出ているように、必ずしも正確なものではないということをまず書いて、それについてワーキンググループを作ったわけですから、それを入れ込むと読みやすいのかなと思うのです。最初に受診率50%だけ出てしまっているので、先ほど椎名先生がおっしゃったように、これだけ伸びているのに、なぜみたいな形になると思うので、実は受診率はもう少しきっちりとしたものですということをまず書いて、それでなぜ正確でないかということを現状と課題の所に入れ込めば、あるいは今後の在り方の所のがん検診の受診率という所にまたそれも書き込めば、総論的なことで話が読みやすいのかなと思います。これだけ検討していて、今まで受診率そのものについての記述がなかったのではないかと思うので、それを入れ込むと分かりやすいのかなと思いました。

○大内座長 ただいまの道永構成員の提案は、ワーキンググループから上がってきました、この第1指標ですね。具体的にこの計算式での数値は直近のデータで分かっているのですか。第1指標に基づくデータを確認されましたか。平成27年、あるいは平成25年辺りでもいいのですが、そのデータは何パーセントですか。

○斎藤構成員 いや、見てはいません。全部は見れないので。今言っているのは、新しい指標での話ですね。

○大内座長 はい、新しい指標にした場合。

○斎藤委員 それは今出せる自治体と出せない自治体があるので、全体の数字はまだ把握していません。

○大内座長 いや、ですから、ここに書き込む以上は、今回、第1指標としてこのような計算式が出たとすれば、それを基に現状が何パーセントで、次の目標を何パーセントにするということも書いたほうがいいということが道永構成員の意見でしょう。

○斎藤委員 実際にはワーキンググループの議論では、まず把握できる、できないを把握すべきであるということで、一部の都道府県では調べたのですが、できそうではあるけれども、現状すぐできない所もあるということでした。

○大内座長 事務局のほうで何かデータをお持ちですか。

○事務局 国保分の国保の具体的なデータについては算定できるかどうかというところを、先ほど言われたようなところですが、具体的な数字としてはまだ持ってはおりません。ただ、今回の国保分の国保というのは、基本計画の目標となるパーセントの出し方ではなくて、市町村間での比較のための指標としての出し方ですので、そこに少し語弊があるかと思います。基本計画に用いる算定法は、国民生活基礎調査であり、国保分の国保はあくまで市町村間の比較と、そういった整理がワーキングで話されたところです。

○大内座長 混在しているわけですね。ここは言葉として整理しておきましょう。もともとの第2期までのがん検診受診率の設定は、明記されていたわけではないですが、具体的に使ったデータは国民生活基礎調査だったわけですね。ですので、それにのっとってここに一旦書くのですが、より具体的には今回ワーキンググループで提言のあったような市町村間で比較可能なものも使うということですよね。もっと職域も含めて、全てを把握すべきが本当の実態、本当はそこまで書く必要がありますよね。だから、3段階だと思うのですが、まとめられますか。

○健康局長 今の基本計画の目標値は国全体の目標値で、それをただ単純に市町村に落とし込んで、全部の市町村が50%でいいというわけではなくて、市町村によって年齢構成も違いますし、市町村によって国保の人が多い、少ないもあります。ですから、多分、市町村ごとに見ると、実はそれぞれの目標値がないといけないのですが、市町村の目標値をどう設定するかというときには、また別の議論が必要だと思います。

 今ここで書いているものは、あくまで国全体のものであって、国全体としては50%です。国民生活基礎調査のデータは、確かに御指摘の点もありますが、これについては先ほどの斎藤先生からのお話もあったように、次回の国民生活調査は改良されるわけで、そこは我々が現時点で捕捉できるのはこれしか使えないのです。

 将来的に市町村あるいは保険者からのデータがもっと正確に把握できるようになった段階では、もう少し別の指標を使うことができる、国全体でも使うことができるようになると思います。そのときには市町村ごとの目標値と国全体の使っている指標が同一の指標になり得るかもしれませんが、現時点では少なくとも難しいことですので、現時点における目標値の設定、第3期における目標値の設定と、将来に向かってこういうことを整備していくことについては、少し分けて書かせていただきたいと思います。

 また市町村が使うものも、市町村が自分たちがやったものをどう評価するか。ベンチマーキングとしてほかの市町村と比べる中で、改善している、改善していないということを把握する指標として、どういうものがよいかという観点でワーキングのほうで御議論いただいたものですから、それはそれで指標の性格、目的、どういう場面で使うかということも含めて、少し今後の方向性の中に書き込ませていただいて整理したいと考えています。

○大内座長 そもそもがん検診の受診率50%というこの目標値、国としての設定は、2007年からのがん対策基本法の施行に合わせて、がん対策基本計画の中に盛り込まれていたと思います。それで、この検討会は、そのときは私の記憶では休会中だったと思います。前垣添忠生座長のときは、国全体のがん検診受診率について議論した記憶はありません。50%という数字がどこから出てきたのかも、この検討会では私には記憶がありません。祖父江先生、ありますか。

○祖父江構成員 そうですね。ないですね。

○大内座長 ですので、恐らく5ページの書き方は、「がん検診の受診率」の○の1つ目ですが、現在の50%よりも高い目標を設定すべき、あるいは現在よりも高い目標を設定すべきとか何かにして、具体的に私どもが決めることではないような気もしてきました。ただし、設定に当たっては、国全体を把握できるようにとか、市町村間で比較可能なとか、そういったことの注意すべき点をここに書き込んでおいたほうが、がん対策基本計画第3次に反映されるべきであろう、そういったことをより具体的な事例として出しておいたほうがいいと思うようになりましたが、いかがですか。福島局長、これは私どもがここに数値目標を書くべきなのですか。

○健康局長 これはまた全体の基本計画の中で、基本計画全体の目標を何にするかという問題があります。基本計画の中で何を全体の目標とし、そしてどういう評価指標を使っていくのか。その中で、領域ごとの目標を作るか、作らないか。これはまた対策協議会のほうで御議論いただく必要があると思いますが、この会としてはどのようにお考えか、もし明確に出すことが可能であれば出していただければと。ただ、これは政府全体の方針ですが、私どもの骨太の方針では現在よりも高い受診率を目指すということは明記しておりますし、少なくとも50%を維持という考え方はないと考えております。

○大内座長 お手元のカラーのOECDの下段のほうに、乳がん検診、子宮頸がん検診の国際比較がありますが、先進国の中で日本は最低です。これを見ると、平均が6割を超えていますので、恐らく皆さんは60%というのを意識されていると思うのですが、我々はこの検討会としては50%よりも高い目標を設定すべきであるということぐらいしかできないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○白川構成員 私も座長のおっしゃるとおりだと思います。要は正確な実施率が把握できていない段階で、50%が高いのか、60%がいいのか議論するのは、少し早い感じがするのです。

 ついでに申し上げると、例えば5ページなどを読むと、2「がん検診の受診率」とあり、これが現在の50%よりも高い何パーセントを目標として設定すべきであるという表現があり、その下に「高い目標を達成するには、各市町村が、健康長寿のまちづくりを競い合う中で」と、これはほとんど市町村のことしか書いていないのです。職域は職域で別にあり、職域の被扶養者は受診率が低いしか書いていなくて、職域は何をするのかほとんど書いていないのです。

 要は申し上げたかったのは、基本法の関係があり、国保を中心に考えなければいけないという面はありますが、国全体の受診率向上ということで何人かの先生方がおっしゃいましたし、受診率を把握できていないのに、上げましょうと提案をしても、今40%から60%にしましょう。そのために何をするのかという事が、国保は健康長寿のまちづくりを競い合えと書いていますが、職域は何も書いていないのです。

 私は、国全体で取り組む部分と国保が取り組むべき部分が整理できていないから、読んでいるほうが理解できない、あるいは誤解してしまう。検診結果についても国保は取れるかもしれませんが、職域は取れません。何で医療機関から取る発想にならないのか、あるいはそういう方向性をここに入れないのか、健康局長、お答えいただけますか。

○健康局長 まず、保険者については、現在のところ健康保険法上に義務付けられていない、保険事業で行われているということで、今後、がん検診をどのように位置付けていくのか。これは保険局で更に議論をしていただく必要があると考えています。もちろん、がん対策を預かっている健康局という立場から言えば、保険者にも積極的にがん検診を進めていただき、しかも有効性の明らかなものを進めていただきたいと考えておりますし、私どもはそのためにいろいろな技術的な御支援はしていきたいと考えております。それが基本的な立場です。それが書き込んでいないという御指摘がありましたので、そこについては確かに保険者は何をするかということは、多分、義務的な形では書けませんが、どこまで書けるかは保険局とも協議をして、もう少し書き込みたいと考えます。

2点目の医療機関から把握すべきであるという観点ですが、これは将来的には受診者の誰が受けたかということが把握できるような仕組みができれば、医療機関から把握できると思いますが、医療機関も結局、市町村ごとにそれをまた戻してやらないといけないので、誰がどこで受診するかという、検診の形態も、がんの種類によって個別検診の形態もありますし、また集団検診でやっている所もあります。精密検査は、基本的には医療機関、個別で受けているわけで、それをどういう形で捕捉するのか。別に保険者からということではなくて、私どもはその捕捉の仕組み、仕方というのは今後、検討する必要があると。

 ただ、現時点で技術的に可能なことと、将来的に目指していくこととは、これは第3期の中で書き込めることと、第3期の中で更に検討を加えて第4期に向けてやっていくことというのがあると思いますので、そこは今の医療機関からの把握というのは1つの御提案とは考えますが、それについては更にどういう捕捉の仕方が最も適切に効率的にできるのかということについては、研究させていただきたいと考えております。

○白川構成員 中間報告には、「基本的な方向性」と書いてあり、今後どうするかということを書いているわけです。今の局長のお話だと第3期ではなくて第4期以降しかできないので、書きませんと言っているわけです。そんなことはないと思います。被用者保険のほうで、私もがん検診は積極的にやりましょうとみんなに呼び掛けています。しかしながら、これは、法的義務はないので、事業主とか保険者が好意でやっているのです。それでデータを取れと言われても、データは今取りようがないわけです。御本人たちに自発的にデータを出していただくか、検診機関から出していただくしかないわけです。しかも、フォーマットはバラバラです。協会けんぽに至っては、そういう補助金を出すような仕組みもないから、取りようがないわけです。誰が考えても、検診機関から取ったほうがいいに決まっています。検診機関は全部でどのくらいあるか知りませんが、1万もないと思います。そこから何でデータを取ろうとしないのか、あるいは取るような検討をすると書き込まないのか、不思議です。

○健康局長 そこから取らないということも明言をしておりません。ただ、どういう捕捉の仕方をするのが最も効率的にできるのかというのは、その方法論も含めて。検診機関から取るのが、検診機関に出したときに、例えばそれを市町村ごとの集計に使うのか、あるいは国全体で集計に使うのか、そのときに重複した人がいないのか、いるのか。そういうことを全部排除して計算しなければ、実際にはそこは難しいです。

○白川構成員 そのために番号制度を入れようという話になっているのではないのでしょうか。番号制度が入れば、医療の番号制度はまた別に作ろうという議論が今されていますが、これはみんな分かるわけです。何でそのように考えないのか、私には理解できないのです。

○健康局長 医療等IDの利用をどうしていくのか、医療等IDとして検診の受診状況をどのように

把握するのかについては、それをしないというように申し上げておりません。ですから、その捕捉の仕方も含めて、医療等ID、あるいはその前のマイナンバー制度自体がこれから始まるわけですが、そのインフラができる中で。

○白川構成員 そういうことではなく、何で書かないのですかと言っているのです。

○健康局長 書かないというように申し上げておりません。それは医療機関からの捕捉と明記するかどうかについては、医療機関からの捕捉も1つの方法論であって、そこはどういう。

○白川構成員 私は意見を申し上げただけで、それを採り入れるかどうかは健康局でご判断ください。

○健康局長 医療機関、検診機関から捕捉できるというのは、将来的には非常に魅力的な方法であるというように考えております。ただ、それが第3期の中でどのぐらい実現できるのか。そもそもインフラそのものが第35年間の計画の中で実現できていること、あるいは達成すべきこと、それから、その中で更に検討すべきこと、いろいろあると思います。そこは第3期の中でどこまでできるか、少し議論させてください。しないというように言っておりませんので、そこについては誤解のないようにお願いいたしたいと思います。

○大内座長 時間が超過しておりますので、この問題を後で継続させていただきたいと思います。今、白川構成員のおっしゃったことは、もうかねて10年以上前から、本検討会が始まった第1期のときから議論のあったところで、保険者の在り方、あるいは検診機関等に関して、精度管理上の問題のほうが先行してやっておりますが、職域を含めた国全体のがん検診受診率が未把握のままであったりとか、そもそも論からずれがあります。今回、良い機会ですので、ここでもう一度立ち返って、今御指摘いただいたようなことも含めて、この記載内容を再度検討したいと思いますが、いかがでしょうか。

○斎藤構成員 今、非常に積極的な御指摘を頂いたと思うのですが、書き込めというお話ですね。データを取るという前に、ワーキンググループでの報告の中でも申し上げましたが、やはり職域が大きく2つあって、やり方が標準化されていない。今、基本計画の中で論じるべきは、基本計画の趣旨に沿った科学的根拠、精度管理という条件をクリアしたがん検診ですね。そういうことを今すぐ職域でやると言っても、先ほどの御指摘のように法律もないわけですから、これは無理なわけですね。そういうことも含めて必要なことを書き込めとおっしゃっているのかなというように取りましたが、そういうことで、事務局は大変でしょうけれども、この報告書にそういうことをきっちり書いてはいかがでしょうか。

○大内座長 恐らく現状での法律との関係もありまして、局長も、もっと前向きに発言したいところもあろうと思います。ただ、所掌が健康局ですので、先ほどから言っていますように法律との問題。そこで、提言という形で書き込むことも可能かと思いますが、そこは改めて私と事務局とで打合せをさせていただいて、皆様に改訂案を提示したいと思います。そうでないと、第3期に向けて一体何をしているのかということになりかねませんので、よろしいでしょうか。時間的にはもう既に予定の時刻を過ぎています。私は座長を預かって5年目になりますが、超過したことはありませんでした。今日初めてです。

○斎藤構成員 1つだけ確認です。この会はこの記述を決める会なのですが、重要な修正部分があると思うのです。それはその段階でフィードバックできると。

○大内座長 今からその議論をします。事務局のほうのお考えをください。

○がん・疾病対策課長 時間的には次の協議会でこの議題を話をするまでに少し時間がありますので、会はそれまでに再度開催する方向で検討させていただきます。○大内座長 相談しながら、ただし、できる限り、第20回も開催する方向で、できないときにはメール審議とかにしますが、多くの論点が出ましたので、それを整理されて、構成員が納得されるような形にしていただければと思います。福島局長、よろしいですか。

○道永構成員 最後に、ちょっとだけお時間を頂きたいと思います。4月から胃の内視鏡の検査が始まりました。各自治体から医師会のほうに委託されているのですが、現場のほうで取扱い方がちょっと違いがありまして、現場が結構混乱しております。医師会のほうにいろいろな質問がありますので、できましたら事務局のほうで通知でも、Q&Aでもよろしいのですが、作っていただいて、自治体のほうにこういった形でやるのですよということを、きっちりと出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○事務局 そちらは対応させていただこうと思います。

○大内座長 時間が超過しましたが、一応、本日の議論はここまでとさせていただきます。修正案については、後ほど皆様に御提示いたします。検討会については、開催できるよう調整いたします。マイクを事務局にお戻しいたします。

○事務局 本日の検討会の議論も踏まえました次回の検討会などについては、調整した上で御連絡させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

○大内座長 構成員の皆様におかれましては、長時間にわたりましてありがとうございました。以上で終了いたします。


(了)

健康局がん・疾病対策課

代表 03−5253−1111(内線3826)

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