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2016年9月23日 第99回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成28年9月23日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○議題

(1) 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2) 平成29年度予算概算要求の概要について
(3) その他

○議事

○小杉分科会長 定刻より少し前ですが、定足数に達しておりますので、ただいまから第99回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございます。議事に先立ちまして、当分科会に所属されます委員の交代がございましたので、御報告いたします。まず、労働者側委員の板垣委員に代わり、UAゼンセン常任中央執行委員の永井委員です。

○永井委員 永井です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 続きまして、労働者側委員の高橋委員に代わり、日本基幹産業労働組合連合会中央副執行委員長の上野委員です。

○上野委員 上野です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 最新の委員名簿は参考資料としてお渡ししておりますので、御確認ください。本日の出欠状況ですが、三村委員、荘司委員、臼田委員、大隈委員が御欠席です。なお、浅井委員と中村委員につきましては所用により途中から出席となっております。

 次に、6月に事務局に人事異動があったところですが、前回の分科会では他の公務により欠席となっていた宮野職業能力開発局長が本日出席されていますので、御挨拶をお願いいたします。

○宮野職業能力開発局長 大変御挨拶が遅れまして、恐縮でございます。621日付けで職業能力開発局長を拝命いたしました宮野です。よろしくお願いいたします。621日直後に分科会が開催されたわけですが、私は熊本地震の政策の検証委員会という官邸で開かれている会議のメンバーとして、前職からそのまま引き続きやることになり、ちょうどそれに出なければならないということで、残念ながら拝命直後の分科会を欠席いたしました。改めて、おわび申し上げます。

 いずれにしても、本日も平成29年度の概算要求の内容等について御議論いただきますが、職業能力開発行政は引き続きたくさんの課題を抱えていると考えております。既に報道されて御案内のとおり、職業能力開発局の組織も、最終的にどのような形になるかは分かりませんが、来年度に向けて強化したいということで組織要求をしている状況です。

 さらには政府全体の動きとして、働き方改革というのは大きな課題となっておりますが、その中でも、具体的な議論はこれからですが、やはり人材育成というものも1つ大きな課題として取り上げられてくるだろうと考えております。そのような中で、引き続き分科会の先生方にも多々いろいろな形で御議論をいただくことになろうと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に移ります。最初は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。これは914日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○藤浪企業内人材育成支援室長 資料1について御説明いたします。資料1-1の別紙の「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱()」です。内容は、キャリア形成促進助成金の改正です。具体的な内容につきましては資料1-2を御覧ください。

 中小企業等経営強化法に係る助成措置を追加するものです。まずはじめに、この中小企業等経営強化法については、この法律は中小企業、小規模事業者の経営力向上、生産性向上を支援することを目的としたものであり、その具体的な支援を行う機関として業界団体等が事業分野別経営力向上推進機関として認定されるスキームとなっております。この法律は今年の7月に旧法を改正して施行されておりますが、その改正において、この推進機関に対する能力開発事業による支援、助成措置が求められることになったことから、キャリア形成促進助成金の一般団体型訓練において、この推進機関が行う中小企業等の生産性向上のための訓練を助成対象として追加することにより、当該訓練の実施を促し、中小企業における人材育成の取組を推進するという趣旨です。

 現行のキャリア形成促進助成金の一般団体型訓練において助成対象としている訓練は、資料にもあるように、マル1「若年労働者を対象とする訓練」、マル2「熟練技能者の指導力強化及び技能承継のための訓練」、マル3「育児休業中・復職後・再就職後の能力アップのための訓練」としているところですが、今般新たにマル4として、中小企業等の「生産性向上のための訓練」、すなわち推進機関が行う、同法に基づき別途策定する事業分野別指針に定められた事項に関する研修として行う訓練を追加し、この資料の下の助成スキームの図にあるとおり、この推進機関が、同法に基づく経営力向上計画認定企業として認定された中小企業の従業員に対して当該訓練を実施した場合に、この推進機関に対して、その経費を助成するものです。

 施行の時期ですが、この措置につきましては今般の経済対策に盛り込まれておりますので、補正予算成立後、速やかに施行する予定です。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○村上委員 今回の諮問内容というのは、大企業と比較して職業訓練機会の少ない中小企業の皆さんにとって、職業能力開発機会や生産性の向上にも資するものと考えられるので、妥当ではないかと思います。施行に当たり、本当に必要なところに十分周知していただくようお願いしたいと思いますし、内容も分かりやすく是非周知していただきたいと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。ほかにございますか。

○大久保委員 生産性向上のための訓練という名前ですが、生産性をどう高めるか、これは働き方改革との関連の中でもすごく活発に議論をしているテーマです。分かりやすく言えば、生産性はなるべくインプットが少なくてアウトプットが多いほうがいいわけですから、働く場におけるインプットは労働時間ですよね。なるべくスピードを早く仕事ができたほうがいいわけで、アウトプットはなるべく専門的な技術を通じて付加価値の高い製品やサービスを作る、あるいはイノベーションを起こせることがいいわけです。その両方がダイレクトに生産性向上に効くわけです。その流れと、ダイバーシティー経営や働き方改革のような話が組み合わさったときに、生産性を高めていく構図が回ると私は理解しています。生産性を高めるための訓練というのはどういうものかは、この能開局の事業の中でもしっかり考えていく必要があると思っております。

○小杉分科会長 何か、ほかにございますか。

 特にないようでしたら、当分科会といたしましては「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、妥当と認める旨を、私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げますが、よろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文()の配布をお願いいたします。

                             (事務局報告文()を配布)

○小杉分科会長 お手元に配布いたしました報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 次の議題に入ります。次は「平成29年度予算概算要求の概要について」です。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○木塚総務課長 資料21ページ、平成29年度の概算要求の総括表です。概算要求の総額については1,828億円ということで、対前年度82億円の増額となっています。内訳として、一般会計の要求額が116億円、対前年度で77,000万円の増額となっています。主な増要因ですが、外国人技能実習機構の運営に係る経費によるものです。技能実習機構の運営費については、今年度は年度途中からの予算の計上でしたが、平成29年度は年間予算を計上したということで増額となっています。

 労働保険特別会計については、労災勘定の要求額は35億円で、対前年度21億円の増額となっています。主な増要因は、東京障害者職業能力開発学校の建て替えに係る経費の計上によるものです。雇用勘定の要求額は1,678億円で、対前年度53億円の増額となっています。主な増要因としては、非正規雇用労働者の人材育成に取り組む企業を支援するためのキャリアアップ助成金の人材育成コースについて、執行実績を踏まえた増額となっています。

2ページは、主な施策について記載したもので、概算要求の全体像を示した資料です。職業能力開発局では、「ニッポン一億総活躍プラン」などを踏まえて、マル1人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備、マル2女性、若者、高齢者、障害者等の多様な働き手の参画、マル3人材育成を通じた国際協力の推進、この3つを柱として、平成29年度の概算要求を行ったところです。

3ページ以降は、この3つの柱に沿ってより具体的な施策の内容を記載しています。ポイントを絞って御説明します。

 第1の大きな柱「人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備」では400億円を計上しています。このうち、1の労働生産性向上に資する人材育成の強化では、労働者の自発的な職業能力開発支援のための教育訓練プログラムの開発とか、各種助成金の活用による企業内訓練の推進、民間人材の活用による在職者訓練の拡充など、労働生産性向上に資する人材育成に向けた取組を一層推進するための経費として321億円を計上しています。

2は、人材の最適配置のための職業能力評価制度の構築です。技能検定制度が産業界の人材ニーズに適合したものとなるよう、職種・作業の新設・統廃合や、技能検定3級の設定ほか、社内検定制度の構築に取り組む企業に対する一貫した支援等による社内検定の拡充・普及促進に取り組むための経費として43,000万円計上しています。

3は、若者が技能検定を受検しやすい環境の整備として、ものづくり分野など地域における人材育成を支援するため、若者の技能検定の受検料減免措置等に係る経費として17億円を計上しています。

4ページです。4は、地域の創意工夫をいかした人材育成の推進です。公的職業訓練の枠組みでは対応できない人材育成の取組を行い、人手不足分野における安定的な人材の確保を目指す地域創成人材育成事業等のための経費として、75億円を計上しています。

 第2の大きな柱「女性、若者、高齢者、障害者等の多様な働き手の参画」では、1,356億円を計上しています。このうち、1の女性の活躍促進に向けた職業能力開発の推進では、公的職業訓練において、育児等による時間的制約がある方向けに託児サービスの支援の提供や、保育分野について、求職者の特性・ニーズに合わせた訓練コースの設定等のための経費として12億円を計上しています。

2の、若者の活躍促進として、(1)若年無業者等に対する就労支援の推進です。地域若者サポートステーションに係る経費を38億円計上しています。平成29年度の概算要求においては、高校等の関係機関との連携を強化し、アウトリーチ型等による切れ目のない就職支援を実施する等、高校中退者などをはじめとする若年無業者等に対する就労支援の一層の推進を図ることとしています。

5ページ、(2)技能の振興では、技能五輪国際大会の誘致や国際大会出場者の競技力向上に向けた取組等のための経費として23億円を計上しています。

3の、中高年齢者の職業能力開発の推進では、新たな場での活躍を期する中高年に対する再就職に向けた準備支援を含めた新たな職業訓練コース等の支援策の開発等のための経費として2,000万円を計上しています。

4の、精神障害者など多様な障害特性に応じた就労支援の推進については、精神障害者等の職業訓練を支援するため、職業訓練校に精神保健福祉士を配置して、そのサポートを受けながら職業訓練を受講できるようにするほか、障害者職業能力開発校において、本訓練受講前に職業訓練への適応を促すための導入訓練を行うための経費とか、先ほど言いました、東京障害者職業能力開発校の建て替え等のための経費として85億円を計上しています。

5の、非正規雇用労働者の職業能力開発機会の充実では、人材育成に取り組む企業への支援を通じて、職業能力開発機会の充実を図るため、キャリアアップ助成金等の経費として109億円を計上しています。キャリアアップ助成金については、執行実績を踏まえた増額となっています。

6ページです。6の、公的職業訓練等によるセーフティネットの確保です。地域ニーズに対応すること等により、より安定した就職の実現につなげるために、公共職業訓練と求職者支援制度における職業訓練を実施する費用として1,154億円を計上しています。32億円の減額となっていますが、主な削減要因としては、求職者支援訓練について執行実績を踏まえたことによる減額ということですが、希望される方が受けられるような必要な額はしっかりと確保を図っているところです。

 第3の大きな柱「人材育成を通じた国際協力の推進」では39億円を計上しています。技能実習法案が成立した場合に、新たな技能実習制度を円滑に推進するための技能実習機構の費用として35億円を計上しています。

1枚ページを付け足しています。先般の審議会でも御指摘がありました技能検定の受検料の減免措置について、補足的に御説明します。この資料の右上の点線の囲みにあるとおり、製造業における就業者数は500万人近くいらしたわけですが、現在、300万人を下回り200万人台となっている状況です。技能検定制度については、個人での能力開発の動機付けや、あるいは目標設定として重要な役割を果たしてきたと考えております。特に、こうしたキャリア形成というのは若いうちから取り組むことが有効であるということで、若い方に技能検定を受けていただこうということで3級の促進等を図っているところですが、右下にあるとおり、いわゆる受検料が、一般であれば21,000円、学生は若干安くなっていて15,000円ですが、受検料が非常に高いという御指摘を受けているところです。そういうことで、ものづくり分野を支える必要な人材の確保・育成を支援するということで、受検料の減免を行いたいと考えています。都道府県や指定試験機関、業界団体に対する支援を図りたいと考えています。

 具体的な実施方法ですが、対象としては、ものづくり分野の技能検定の2級と3級の実技試験を考えています。御案内のとおり、3級はエントリー級ということで、まず動機付けということで受けていただきたいということとともに、2級を対象にしているのは、2級に通れば一人前ということでして、非常に2級を取られた方は定着が進むということもありまして、2級又は3級ということです。35歳未満については、2級を取得される方の平均が約30歳ということで、若干回り道をしてその資格を取られる方もいらっしゃるだろうということ。また、青少年あるいは若者と言ったときは、通常は35歳未満を想定していろいろな政策をやっているところでして、そういうところから35歳未満を対象にしたいと考えているところです。支援額については、現在の実技試験の標準的な受検料が17,900円ですので、この約半額ということで9,000円を想定しているところです。要求事項の内容はマル1~マル3にありますが、約16億円を要求したいと考えています。いずれにしても、しっかりとこの要求を財務省と調整をして、財政当局との関係で予算獲得できるように努力をしていきたいと考えております。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、この件について、皆様から御質問、御意見を受けたいと思います。

○高倉委員 3ページの3つ目、「若者が技能検定を受検しやすい環境の整備」について、2点質問させてください。まず1点目です。この件については、この分科会において労働側からも、技能検定においては受検意欲のある人、特に若い人が受検しやすくなるように措置をお願いしたいということを言い続けてきましたので、今回、若者を対象にした減免措置が取られるということは非常に評価をしたいと思います。これを効果的なものにしていくためにも、その実務を担っている業界団体などはもちろんですが、受検を考えている若者や、教育機関に向けて、積極的な周知、広報、受検の呼び掛けなどを是非進めていただきたいと思います。現時点で何か考えられている施策があればお知らせいただきたいと思います。

2点目です。最終ページの、最後に説明を頂いた具体的な減免措置のやり方についてです。支援額の上限は「9,000(都道府県方式の実技試験の標準手数料の1/2)」と記載していますが、もう既に説明のあったとおり、学生には低い値段を設定しているようなところもありますので、具体的にはそういう場合に9,000円が適用されるのか、都道府県方式の実技試験の標準手数料の2分の1が適用されるのか、どういった作業をされるのか、その辺を教えてください。

○木塚総務課長 まずは周知については、都道府県とか、あるいは指定試験機関、業界団体、そういう業務に携わる所と連携をして、しっかり周知を図るように努力したいと思っています。

2点目の、若い学生の方等に対してどれだけ減免するかということですが、私どもとしては、一般が9,000円減額するところですので、可能であれば学生の方についても同様に9,000円減免したいと考えていますが、いかんせんこれは要求事項ということですので、財政当局、あるいは関係機関と調整の上で最終的には決まるのかと思っています。少なくとも2分の1はしっかり確保できるように努力をしたいと考えています。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。

○諏訪委員 この若者技能検定について、ないものについては3級を設定するとあるのですが、今現状、3級が存在するものもありまして、2級と3級を比べると、確かに3級はスタートアップなので簡単で取れやすいのですが、2級になるといきなりレベルががんと上がるものがかなりあります。やはりそこで、3級はこれほど簡単に取れたのに、2級になると難しくなって、ペーパーは受かるけれども実技がなかなか通らないというケースがかなりあるのです。ですので、これから試験問題等も含めて見直しをされるのであれば、是非、段階的に取れるような、若者が意欲をそこで持てるような実技試験というか、そういうものも検討していただきたいと思っています。お願いします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。この件について。

○搆主任職業能力検定官 ありがとうございます。おっしゃるとおり、3級はエントリー級で、できるだけ幅広い層から受検させることを主眼にする一方、2級は、企業で即戦力とされる能力を目指しているため、2つの級で求められる技能には開きがあります。国は技能検定を提供する立場ですが、3級から2級に至る間に実務経験を積み、腕を上げてもらいたいと思っています。

○諏訪委員 実務をやっていくと、やはり技能検定みたいな基本的なところからどんどん外れていくのです。そこでまた、実務を積んだ後に基本的なところに戻るというのは、やはり若者は抵抗感があって、これが何の役に立つのだろうかというところに陥りがちです。ですから技能検定は少し減少している。中小企業にとっては、やはりそれを取ったから何になるのだというふうに考える企業が非常に多いですので、できれば、3級と2級の間に2.5級、準2級ではないですが、一人前になる前に1回資格を取らせておくというのが、私的には若者の意欲をそがずにすむのではないかと思います。

○搆主任職業能力検定官 御指摘ありがとうございます。先ほど申し上げたように、2級の難易度は企業ニーズと関連しており、変更は簡単ではありませんが、御指摘を踏まえつつ、現場で実際に使われる技術に寄り添うことは、技能検定が価値を持ち続けるために必要なことであると思います。

○諏訪委員 よろしくお願いします。

○小杉分科会長 是非、きちんと現場の状態を取り入れて考えていただければと思います。何かありますか。

○木塚総務課長 いずれにしましても、技能検定制度については、業界団体等とよく連携をしながら対応させていただいていますので、そういう実情も十分踏まえて、できるだけワークするような形で考えていきたいと思っています。またいろいろ御指摘を頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

○小杉分科会長 すみません、お待たせしました。

○田口委員 技能検定の同じ所についてです。減免措置については、取り入れていただいて大変有り難く思っています。具体的実施方法で、2級と3級が対象になっていて、1級というのはなかなか今まで考えられなかったことだと思うのですが、今後の生産性向上とか、ものづくり分野を支える中核的な人材の育成というのを考えると、やはり若い世代で1級を取得していくというのは非常に今まで以上に大事になってきている、必要性が高まっているのではないかと思っています。

 若者が35歳未満ということなのですが、御存じだと思うのですが、全産業平均で1級の技能検定の平均年齢は35.3歳、建設関係に限って申し上げると35.6歳で、更に建築大工に限りますと34.4歳なのです。ですから、やはり人材育成は、できるだけ若いうちに向上心を高めて資格の取得をしていく道筋を付けるという点ですと、1級も含めて、今後考えていただければということなのです。それで、30歳、35歳というのは世帯形成世代で、住宅の取得の分野で見ると、ここ10年ぐらいで30代で家を買う人たちというのは2割ぐらい減っているのです。ですから、かなり所得的にも厳しいので、そういう観点からも少し来年度は考えていただければと思っています。以上です。

○小杉分科会長 この点はよろしいですか。

○搆主任職業能力検定官 御指摘ありがとうございます。今回の減免措置では、おっしゃるとおり、エントリーの3級と、それから即戦力になる2級までということになっています。建設業などでは特に1級技能士のステータスは非常に重要とされており、是非若いうちに1級まで取ってもらいたいという気持ちはありますが、この枠組みでは、2級まで合格する層をできるだけ増やすこととし、その中から少しでも1級を目指してものづくり分野を支えてくれるような人材が増えてくれればと思っています。

○小杉分科会長 ほかに御意見はありますか。

○浅井委員 労使双方のご指摘をお伺いし、今後の課題として、中小企業の現場への適用可能性の点、若年者の職業訓練機会の点で、筆記については現行の3級、2級、実技については、2.5級のような位置付けのものを、特に中小企業の現場で活用いただける仕組みを考えていくことも今後の課題かと思います。

○小杉分科会長 今後の課題として受け止めていただければ。

○搆主任職業能力検定官 需要、ニーズ等も把握しながら今後に向けて検討させていただきます。

○小杉分科会長 ほかに。

○大久保委員 2つあります。1つは、今、話題になった技能検定です。3級というエントリー級を幅広く作っていくということなのですが、エントリーレベルのところを作るのであれば、それが失業者向けの訓練とやはり連動していることが大事だと思っています。今まで技能検定と公的職業訓練やそのほかの求職者支援訓練の連携はそれほど密接にできているわけではなかったと思うのです。もともと訓練と職業能力評価は二本柱だと中長期のところでも書き込んだばかりですので、訓練をやった結果として3級が取れて、そして失業者が就職していけるという流れをしっかり作っていただきたいと思います。あるいは、今2級の問題についても御指摘がありましたが、それと在職者支援訓練との関係はどうなのか。訓練との連携というところをしっかり見ていただきたい。これはお願いです。

 もう1つは質問です。予算の6ページの6に「公的職業訓練等によるセーフティネットの確保」という項目があって、これは予算全体1,828億円のうちの1,154億円なので、大半がここなのです。新規のところについては御丁寧な御説明があったのですが、この一番本丸の所について、もう少し説明をお願いしたいと思います。つまり、公共職業訓練についての来年度の予算要求の考え方はどうなっているのか、求職者支援制度については来年度はどのような設定になっているのか、その辺のところを少し補足で説明いただけると助かります。

○木塚総務課長 まず1点目の御指摘については、ポリテクカレッジ等においては、いろいろな実技を学ぶ上で技能検定を受検するようにということは進めたりしているわけですが、いずれにしても、よく連携というのもしっかり考えていくように取り組んでいきたいと思っています。

 それから2点目の公的職業訓練の中身ですが、1,154億円ありまして、そのうち、いわゆるポリテク、あるいは都道府県等でやっている公共職業訓練が1,009億円ということです。この1,009億円を実施主体ごとに見ていきますと、国が大体507億円です。これは、高齢・障害・求職者支援機構という所で、ポリテクですとかポリテクカレッジ等々、国が実施主体になっているものが500億円程度ということです。それから都道府県で、都道府県の職業能力開発校でいろいろ、あるいは障害者の関係とかやっていただいていますが、それで約150億円弱という形です。それから、民間の教育訓練機関、ここにいろいろな形で委託訓練等々をお願いしているわけでして、ここに約360億円程度入っています。都道府県は正確に言うと大体143億円ぐらいですので、これを足し上げるとちょうど1,000億円程度ということです。それから、求職者支援訓練については、国のほうで、いわゆる認定をして、認定を受けた民間の教育訓練機関で実施していただいていますが、ここの実施主体は全て民間ということでして、もろもろの経費として144億円ということです。

  具体的な考え方としては、実績を十分踏まえながら、特に今回、「一億総活躍プラン」等も作成されて、生産性向上が重要であるという指摘もあり、そういうものを踏まえつつ、在職者訓練とか、ポリテク、あるいは職業能力開発校等で実施していますが、特にそうしたものを充実させるということ。それと、昨今の受講者、あるいは求職者の状況等を踏まえながら予算を組み立てて積算しているということです。

○大久保委員 これは確認です。公共職業訓練のほうなのですが、来年度の失業者の見込みをどのように考えてこれになっているのですか。

○木塚総務課長 公共職業訓練については、来年の予算上の想定されている訓練者数と言うのでしょうか、訓練全体で総計で約30万人程度ということです。

○大久保委員 離職者訓練は減らしているのですね。

○木塚総務課長 はい。これは在職者訓練とかも入った数字です。離職者訓練だけに特化しますと。

○宮野職業能力開発局長 今、数字をお示ししますが、やはり雇用失業情勢を踏まえて、離職者訓練は少し減らし、在職者訓練を少し増やすというトレンドです。

○大久保委員 分かりました。

○小杉分科会長 減らす量というのは、大体、今年からのトレンドでという感じですか。

○宮野職業能力開発局長 はい。

○小杉分科会長 もしそれで、考え方がしっかり分かれば。

○木塚総務課長 離職者を総計しますと、公共職業訓練で約142,000人、それから、求職者支援訓練で約42,000人ということですので、総計184,000人程度ということになります。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○木塚総務課長 あと、学卒者訓練で22,000人ということです。その一方で、在職者訓練を若干13万人程度で増やしている、計画上はそうなっています。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに。

○村上委員 今御説明いただいた資料2には直接出ていないのですが、これからの要望ということで申し上げます。職業訓練に関して、受講している学生に対する支援のことです。職業能力開発大学校、あるいは都道府県立の職業能力開発校などに通う訓練生を対象に、厚生労働省の施策として技能者育成資金融資制度があり、年間50万円、26万円といった額の融資をしているところです。これについて、利用枠が少ないのではないかということや、有利子で利率が3%ということで、これも大変厳しいのではないかという指摘があります。昨今、日本学生支援機構の奨学金の問題については注目をされ、無利子枠を拡大するとか、給付型を創設するなどの議論がされているところですが、ものづくりに携わっていく学生や若い人たちを支援していくという意味では、この厚生労働省の施策も併せて御検討いただけないかと考えておりますので、是非要望として述べさせていただきます。

○小杉分科会長 その辺りは、学生支援機構、文科省のほうも見ながらという感じになりますか。

○木塚総務課長 いずれにしても、育成支援制度については、もともと旧雇用能力開発機構が実施しており、そこが業務としては廃止しておりますので、今は労働金庫等から支援して、何かあったときに予算で補填するような形式でやっております。その辺りの制度の在り方については、状況を十分踏まえながら、御指摘も頂いておりますので、今後の他の機関の貸付け状況等も踏まえながら、適切なものとなるように対応してまいりたいと思っております。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに皆様からありますか。

○稲原訓練企画室長 今の点で少し補足いたしますと、融資件数については、昨今減ってきております。ただ、今、委員の御指摘のありましたように、確かに当融資制度は年利3.0%で、他の国等の公的の教育ローンが大体2.3%程度ということで、他の融資よりは少し高めな設定をされているのも、申請件数が減った原因なのかということも考えられます。御指摘の点も踏まえ、先ほど総務課長も答えたような形で、他の方面とも情報共有をしながら検討してまいりたいと思っております。

○原委員 4ページの第21の「女性の活躍促進に向けた」という所なのですが、「職場復帰する女性等のキャリアアップ・労働生産性向上に資する教育訓練プログラムを開発する」と。比較的長い期間で見ているのかと思うのですが、職場復帰をする女性のキャリアアップや労働生産性向上というよりも、まずは先に職場へのスムーズな復帰を支援できるようなプログラムが大事かなという感想です。

2つ質問があります。1つは、この部分は多分女性をメインとした教育訓練プログラムの開発事業をお考えになっていると思うのですが、具体的にどのようなものを考えていらっしゃるのでしょうか。もし、今分かっているものがあれば教えてください。2点目は、「また」以降なのですが、「保育分野について、求職者の特性・ニーズに合わせた多様な訓練コースを設定し、女性の人材確保支援の充実を図る」。この文章がよく分からなくて、保育士としての資格の取得を支援していくのか、それとも資格を持っていても保育士として就いていない潜在的な保育士を、保育士として働きやすくなるように支援するのか、ここは何をイメージしていらっしゃるのかがお分かりになりましたら教えてください。以上、2点です。

○伊藤キャリア形成支援課長 今お尋ねを頂きました項目については、今回平成29年度概算要求の中で、「労働者等のキャリア形成、生産性向上に資する教育訓練開発プロジェクト」という新規事業で、私どもキャリア形成支援課において計画、計上させていただいているものです。これについて、この後のその他議題とも若干関わってくるところですが、特に専門実践教育訓練に関して、この間、一旦キャリアが中断した女性や、非正規等の若者のキャリアアップに資するような要件設定、プログラムの開発の必要性を、委員の皆様からも御指摘いただく中で、基準の見直し・拡充を順次図ってきたところです。ただ、こうしたアプローチのみでは、給付があるとはいえ、基本的にはで御本人が受講料を負担して、その一部を給付する仕組みのため、市場性があらかじめ明確なもの以外については、民間教育訓練プロバイダーの立場では、なかなかリスクをとってプログラム開発をし設定をするということは難しいという側面もあるのではないかという問題意識の下で、ここでは女性活躍促進という文脈で掲げておりますが、この女性活躍促進、また今ほど申し上げました非正規の方々の真にキャリアアップに資する、しかし、今申し上げましたように、市場性の制約の下で十分な設定がされていないようなプログラムを、大学や専修学校、あるいは企業系のプロバイダーといった、実際に教育訓練を展開する機関に支援をする形で、プログラム開発を進めていこうというスキームです。

 具体的なイメージですが、これもこの後の議題3とも関わってまいりますが、現状でも専門実践教育訓練の中で、女性のキャリアアップに資するようなプログラムが少数ながら生まれているところです。例えばということで申し上げますと、情報通信技術分野において、当然この生産性の高い、また就職可能性の高いこういった教育訓練分野は女性にとっても有望な分野ですが、現状で言うとハイレベルのレベル3の教育訓練を対象にしているわけです。逆に言うと、レベル3ですと受講の時点でレベル2まで到達していることが前提で、そういった方々はもともと母数として少ないです。とするならば、いわば現状で言うとレベル31段の教育訓練プログラムですが、レベル2&レベル3という2段階の能力開発を図るような教育訓練プログラムといった発想があり得ないだろうか。

 それから、これも現状の専門実践教育訓練の中では、どちらかというとホワイトカラー、総合職系の女性がおしなべて受講することによって、技能・意識のブラッシュアップを図っていくことを目的としたような形態のものが多数ですが、もう少しキャリアアップ、就職可能性の高いような分野に絞った形で専門能力の向上、ブラッシュアップを図るようなプログラムがあり得るのではないかという一定のイメージは持っているところです。

いずれにしても、先ほど申し上げましたような事業スキームの中で、教育訓練プロバイダーの創意工夫、アイディアも頂きながら、今後予算が確保された暁には、より有効なプログラム開発、またそのプログラムの有効展開、有効活用を図っていきたいという問題意識です。

○稲原訓練企画室長 保育分野については、これは正に保育士の学び直しのコースで、保育士の有資格者の方々の学び直しのコースとして、今回計上させていただいているものです。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

○遠藤委員 先ほど、離職者訓練と在職者訓練の内訳や考え方について御説明いただきました。在職者訓練については、例年見ておりましても、なかなか執行率が高まってこない現状がある中で、今回予算を増額したということですから、ただ単に予算確保をするということだけではなく、執行率が高まらない状況の要因は何なのかということも、是非とも現場から吸い上げていただき、使い勝手の良い環境づくりに取り組んでいただければと思っております。

 重ねて、在職者訓練を受けたことによって、その成果がどのような形で当該企業の中で展開していったのか。例えば、端的に出てくるのは、生産性向上よりも、勤続期間が長く伸びるなど、足下にあって、すごく必要なデータで測るようなこともできるのではないかと思います。訓練を受講した結果どうであったのかというようなことも、今後、検討材料として出していただければと思っております。

 その関連で言えば、先ほど多くの方が御指摘されておりましたが、若者の技能検定に関わる部分についての方向性は皆さん賛同しているわけですから、例えば、エントリーレベルの3級を取った方がどのぐらいの期間で2級に上がっていくのかというようなことも、可能な形で追跡していただいて、それが思ったよりも遅くなってしまうということであれば、先ほど皆さんがおっしゃったようなこともあるでしょう。私は実務が分からないのですが、実技を短期間で推し量るのではなく、評価項目が複数あるのであれば、それを段階的に取得していくという形で2級まで上がっていく、実技自体の試験を複数年かけて合格に到達するという考え方もあるのではないかと思います。繰り返しになりますが、3級を取った方が製造業にどれだけ実際に就職をして、しかも就職しながらどれだけ勤続年数を伸ばしていけるのか、追跡調査は大変だと思いますが、そのようなデータも出していただければというお願いです。

○小杉分科会長 この点はいかがですか。

○木塚総務課長 在職者訓練の使い勝手の良いものという御指摘ですが、特に実際にどういうところがネックになっているのかというのは、御指摘のとおりです。どちらかというと、実施している機関の施設のキャパシティーの問題や、一般的に申し上げますと、離職者が中心であったということがあり、場所によっては少し待っていただいたりしているような所もあると聞いております。ただ、いずれにしても昨今の雇用失業情勢の中で、かつ生産性の向上にしっかり取り組むようにという流れの中で、私どもが与えられているいろいろな資源をしっかり活用していくという観点に立って、取り組んでまいりたいと思っております。また、いろいろな現場の声、あるいは業界からの御指摘も真摯に踏まえて、対応してまいりたいと思っております。

 それから、実際の評価を測るという課題については、なかなか実施される企業等の御協力も必要かと思いますし、どういう形でできるのか。今は、離職者の方等について検討を重ねているところで、在職者についても御指摘の点を踏まえてどういうことができるのか、少し勉強したいと思っております。

 技能検定については、今日いろいろと御指摘を頂き、どのような工夫ができるのかは、業界団体の皆さんのお考えも聞きながら、できるだけ適切なものとなるように対応してまいりたいと思っております。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○宮野職業能力開発局長 今の点ですが、若干補足いたします。在職者訓練ですが、局長を拝命して3か月で何箇所か実際に訓練施設を視察をして、在職者訓練についてもそれぞれの所でお話を伺いました。それぞれが設定をしている目標を達成した所もあれば、達成していない所もありました。達成していない所で、その原因は何かと聞いてみますと、1つは周知不足、認識されていないこと。もう1つは、特に利用されるのが中小零細の事業主の方だとすると、御案内のとおり、在職者訓練は一応実費程度の受講料は取るのですが、それが負担だというよりも、在職者訓練は短い期間ではありますが、例えば1週間なら1週間、従業員を派遣するというところがどうしてもネックになっているという声はありました。一方、そういった所でも、1回従業員を派遣した所はリピーターになる確率は極めて高いというお話も伺いました。したがって、こうした在職者訓練についてはそういった声もあるものですから、きちんと周知をして、それぞれの事業主にとっても効果があるものだということを、もっと周知していきたいと思っております。

 そういう意味で、今回の資料23ページの第11にも、「民間人材の活用による在職者訓練の拡充」という項目も入っていますが、これで少し在職者訓練で民間の講師の活用、あるいはいろいろな形で事業主の方のニーズを酌み取る、今までも在職者訓練は基本的にはオーダーメード型でやっているのですが、それをより充実するような取組を更に進めていきたいと思っています。

 もう一点、これも御指摘がありましたが、こうした在職者訓練や技能検定の効果ですが、就職率が大きなメルクマールになる離職者訓練と違って、確かに非常に難しい面はあると思います。一方、遠藤委員から御指摘がありましたが、実は今年の行政事業レビューで、同じく在職者訓練ですが、認定訓練がテーマになって、そこでも同じ御指摘を頂きました。ただ、有識者の方からも、どういう指標で測定すればいいのか分からないけれども、同じ御指摘で、1つ離職率、定着状況というのはあるよねということで、そこは宿題を頂いています。ですから、今の認定訓練、あるいはこういった在職者訓練、技能検定も含めて、そうした定着状況や離職状況なども含めて、どういった訓練が効果があるのかも、これからよく調べてみたいと思っています。

○小杉分科会長 よろしいですか。来年度予算で、在職者訓練にかなりウエイトを掛けていくというお話でございますので、是非今おっしゃられたような方向で、エビデンスをしっかり取るようにお願いしたいと思います。

○上野委員 資料25ページの「(2)技能の振興」について、2点ほどお聞きいたします。まずマル1に、技能五輪国際大会の日本国内への誘致が書かれております。その内容として、「技能五輪国際大会の日本国内への誘致に向けて必要な調査などを実施し、誘致に向けた具体的な方策を検討するとともに、出場選手の競技力向上に向けた取組を進める」と記載されております。この競技力向上に向けた取組の具体的な内容について、1点お聞きしたいと思います。

 過去の議事録を見ますと、技能五輪国際大会について、業界の中で独自に地方大会や全国大会を開催していること、大会の開催自体だけでなく、技能者の訓練に費用がかかること、特に、中小企業では、その経費が大きな負担となっていること、一方、国からは業界種目に対して費用が出ないことが、使用者側からの意見として出されておりました。せっかく、ものづくり分野における人材育成に国として力を入れていこうとしている中、技能五輪国際大会に向けた技能者の訓練について、国としてどのような支援策をお考えか、お聞きしたいと思います。

○小杉分科会長 技能五輪については、いかがですか。

○搆主任職業能力検定官 技能五輪国際大会については、2年に1度実施されています。我が国への誘致を念頭に置いて準備を進めますと、最も早くて平成35年になるので、誘致に向けた要件等について検討を行っています。また、御指摘の中で、出場選手の競技力向上についてですが、これは日本への誘致とは別の話で、我が国の技能五輪国内大会で優勝した選手が国際大会に出て活躍していく際に、国際大会においても良い成績を収められるように、国としてもできるだけのことをするということです。例えば、国内大会での競技課題と、国際大会とで少し違うものがあり、競技選手の負担も大きくなるわけです。こういったものを、何らかの形で解消することや、国内大会で選抜された後、国際大会までの準備期間を十分とれるよう配慮することなどが考えられます。こうした選手の技能以外のところでできるだけのことをやっていきたいということで、優先検討職種も含めて議論をしているところです。

○小杉分科会長 競技力向上というのは、そこの点ですね。

○搆主任職業能力検定官 はい。

○小杉分科会長 もう一点の後半のほうは、いかがですか。

 

 

 

○木塚総務課長 ものづくり分野でしっかり人材を確保するというのは、1つの課題でして、そのためにものづくりマイスター制度や、ものづくりでレベルの高い方に高校や中学校に行っていただいて、実際にデモンストレーションなどをして、若い方に動機付けをすることをしています。そして、そういう方々が実際に就職された後は、在職者であればキャリア形成促進助成金等で、いろいろな形でそのような在職者訓練を支援させていただいておりますし、特別な機運の醸成ということでは、先程来御説明申し上げております各種大会や、それに向けてのいろいろな支援です。例えば、国際大会では通訳分の費用を持つなど、企業側の方の支援もできる範囲でやっていくということで、予算を計上させていただいております。1点目に御質問いただいた分だけで、49,000万円となっております。

○小杉分科会長 国としては、まず裾野を広げるところを重視しているということですね。

○木塚総務課長 そうですね。裾野を広げるというのは、もちろん在職いただいた後は、ものづくり分野等は、キャリア形成促進助成金等でもしっかりと対応させていただいております。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○遠藤委員 ただ今の御指摘を聞いていて、思い出したことがあります。技能五輪国際大会の全種目にエントリーして競技者を連れて行くのは、日本だけであって、ほかの国は勝てる人、メダルを取れる人を連れて行くと聞いたことがあります。現状も、そういうことであれば、メダルを取ることが全てではないので、競技性を高めながら技能を向上させて、国際大会を踏んでもらう経験も帰国後十分にいかせる分野はあると思います。メダルを取る、優秀者になるということも大切ですが、それだけにとらわれずに、予算の兼ね合いはあると思いますが、全種目にエントリーできて対応できるのであれば、その道も譲らないで維持してもらえたらと思います。

 それから、先ほどの御指摘は、オリンピック、パラリンピックをずっと見ていたものですから、いわゆる強化指定のような形を取って、大会に出られる人というのは、数年間掛けて国が予算を付けることで、メダリストになれるぐらいまでの状況をつくっているというスポーツの世界があります。必ずしも技術者の世界に当てはまるとは思いませんが、そのような派遣候補者になった時点で、別途の新たな仕組みを作ってあげるようなことも予算の中で可能であれば御検討いただくことで、裾野が更に広がっていくのではないかと、先ほどの御質問とお答えを聞いていて思いましたので、発言いたしました。

○小杉分科会長 最初のほうですが、どのような方針で、全てにエントリーをするのか、メダルを取れそうな人だけを連れて行くのかという辺りは、どうなっていますか。

○搆主任職業能力検定官 基本的には、機会はできるだけ与えるという立場から、可能な範囲で、余り範囲を狭めず行うようにしています。また、国内大会で優勝して我が国代表となった時点で、これは国として精一杯支援すべきものと思います。当面、国内大会の課題と国際大会の課題で差がある部分など、集中訓練等が必要と思われる点を優先的に対応することにしています。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかにありますか。特にないようでしたら、この議題はここまでといたします。

 それでは、3番目の議題に入ります。最後に、「その他」として事務局から報告事項があります。専門実践教育訓練の活用状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○伊藤キャリア形成支援課長 キャリア形成支援課です。それでは、お手元の資料3-1及び3-2に基づき、専門実践教育訓練の活用状況等について御報告を申し上げたいと思います。最初に資料3-1が専門実践教育訓練の講座指定の状況に係る資料です。本制度に関しては平成2610月に制度創設以降、毎年度4月と10月の年2回に指定を行うという計画の下で申請、受理、審査、また指定を行ってきているところです。

 お手元の資料は去る7月末に公表した直近の平成28101日付けの講座指定の状況です。総数としては、この度新たに指定した講座が152講座、従前からの講座を含め、101日時点でアクティブな講座という意味では累計2,243講座という状況です。

 この数字について、時系列の観点で整理したものが、次の資料3-21番にありますので、併せてこちらを御覧ください。この度が制度創設から5回目の指定になります。一番右側の欄に各指定時点での新規指定数を掲げております。制度創設の平成2610月が最も多い800強の指定数です。それ以降は、この指定講座の大部分は4月開校という季節性もあり、4月と10月を比較した場合には4月指定の数のほうが10月指定をかなり上回るという構造の下、この度、5回目の指定数は152でした。

 対象課程としては、資料3-21、マル1~マル5にあるように5つの類型があり、制度当初からの3つの類型に、本分科会での御審議を踏まえてマル4とマル5の2つの類型が付け加わってきたという構造です。資料3-11枚目の枠囲みに戻っていただき、その内訳を見た場合には、1番の業務独占・名称独占といった国家資格の取得を訓練目標とする養成課程、すなわち当該課程を修了することによって資格が取得できる、若しくは受験資格が取得できるという、1年以上等の要件を満たす課程が61講座です。文科大臣認定による専修学校の職業実践専門課程が70講座、いわゆる専門職学位課程が3講座です。

 それに加え、これも文科大臣認定の(4)大学等の職業実践力育成プログラム(BP)ですが、今回は2回目の指定となります。ただ、文科大臣における指定については年1回ということですので、今回新たに指定した14に関しては、文科大臣第1回指定をされたBPプログラムの中で、前回、申請が間に合わなかったもの、あるいは時間の経過の中で私どもの指定要件を満たすこととなったものです。

 詳しい説明は割愛しますが、2ページ以降に具体的な講座例を掲げているように、高度ものづくり、あるいは認定看護師といった特定の高度職種に係る養成プログラム、先ほども少し質疑の中で触れたような、女性のキャリアアップに資するものといった多様なプログラムがこの度指定されております。

 また、今回初めて指定の対象となる「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とした課程」については、第1回の講座指定は4講座にとどまったというところです。こちらも講座の内容に関しては、本分科会での審議の過程で御説明したような代表的なITベンダー資格、レベル3以上のものなどが実際に対象になっているわけですが、制度創設から実際の申請指定までの期間の制約等もあり、数としては少数にとどまったということです。こうした実績を踏まえ、今後、経産省、IPAなど関係機関との連携を一層強化しながら、せっかくのこの制度を生かし、より多様多数の講座指定を目指しての働き掛け等を更に強化したいと思っております。

 また、同じ資料3-1には、課程の類型、都道府県別の指定状況も示しております。特に地方部における講座指定の確保、この間、数次にわたり御指摘も頂いているところです。私どもの広報活動、また各労働局の個別の働き掛けにより、指定講座の上積みのなされている地方県もありますが、なお少数にとどまっている都道府県も一定数あります。引き続き今後の運用面での最重点課題ということで、ユニバーサルサービスにふさわしい各地域における講座指定の取組を進めていきたいと思います。

 次に資料3-2です。1番は先ほど触れましたが、2番以下についてです。この間、専門実践教育訓練の給付の実態についても何度か御質問も頂戴しておりました。この度、安定局雇用保険課との連携の下で、ようやく一定のまとまった形で受給実績について御報告できる段取りになりました。

 このデータの性格ですが、平成2610月及び平成274月付けの指定講座、すなわち上の表でいうと、上の2つの欄に相当する計1,500余りの講座、これを受講し、かつ受給要件を満たすものとして専門実践教育訓練給付を受給した者に係る実数です。半年単位で支給しているので、1人の人間が2回受給していることもありますが、ここにあるCの実受給者数欄の一番下にある5,858人というのは、平成27年度における本給付の実人員ということで御理解いただければと思います。これに関してこの時点で対象となっている3つの課程類型別の実績を掲げております。aにある指定講座数については、先ほど申し上げた業務独占・名称独占が989講座、職業実践専門課程が531講座、専門職学位が71講座となっております。

 このうち受給者が1人以上いる講座という観点で見た場合には、マル1とマル3の類型に関しては受給実績のある講座が全体の3分の2前後を占めているところですが、マル2の類型に関しては受給実績がある講座数が1割台にとどまり、それと連動して、5,858人の受給者の内訳としてもマル1マル3の課程を受講している受給者が多数を占めている状況です。また、女性の内訳に関しては、このマル1業務独占・名称独占の養成課程については、女性が3分の2近くを占め、マル2マル3では女性が少数といった傾向が出てきております。

 次ページです。今ほど申し上げたような課程類型に更に分野を重ね合わせ、受給者数が15人以上、上位の課程&分野のプログラムを並べたのが(2)の棒グラフです。受給者数15人以上の類型&分野が27あります。このうち業務独占・名称独占の養成課程が最上位の看護師・准看護師、全体で第3位の社会福祉士、4位の精神保健福祉士等々が上位を占めている状況です。こうした医療福祉系の業務独占・名称独占資格取得を訓練目標とする養成課程が多数を占めている状況です。

 また、これ以外では専門職学位課程に関して、全体の順位としては2位ですが、「ビジネス・MOT」と私どもは業務統計上分類しておりますが、いわゆるMBAなどがその内容のかなりの部分を占めるもので、こうした課程の専門職学位が全体としても第2位を占めているという、全体としての課程類型・分野別の受給状況になっております。

 さらに、開講の形態別での受給実績についても把握を試みたものが(3)です。大多数は平日、昼間に主に開設している課程、これが1,591のうち1,400余りですが、少数ながら在職者の受講等に配慮する等の観点から主に夜間、あるいは主に土日、さらには主に通信でということで運用されている課程もあります。

 受講実績のある講座数としては、今ほど申し上げた夜間以下の類型に関しては相当数の課程が受給実績がありますが、在職者の受講の制約という観点もあろうかと思いますが、多数の昼間課程に関しては、受給実績のある講座数が4割強にとどまっています。こうした傾向を踏まえた上で、実受給者数に関しては必ずしも昼間課程に集中ということではなく、各課程・類型に比較的分散をした形になっています。これが雇用保険データそのものから集計したデータです。

 次の3ページの3はアンケート調査です。これは出所が別のデータです。平成2710月時点で専門実践教育訓練給付を受けている方は、先ほど申し上げた5,800人のうち4,500人です。調査設計上、この方々全員を対象とする形で、指定講座を有する施設を通じてアンケート調査を実施しました。有効回答数はこちらにあるように2,700余りで、回答率としては約6割というところです。

 今回の最初の調査に関しては、できるだけ回答数を確保する観点から、調査項目についてはかなり絞り込んで実施しました。したがって大まかな傾向ですが、まず年代に関しては、本給付の被保険者期間等の要件も反映して、30代が4割強で多数、次いで20代、40代という傾向です。性別、子供の有無についてもこのような形でざっくりと把握しておりますが、男女比では女性のほうが若干多い状況です。子供の有り無しという観点では、それぞれ子供のない受給者のほうが若干数が多いという状況です。

 また、受講開始時点での就業状況についても把握しております。就業・正社員の方が43%で最も多数で、就業・非正規の方が全体に占める比率としては16%でした。また、それ以外の求職活動中、一旦働いて辞めて学校に在学している方という広い意味での非就業の方が約40%という分布になっております。

 講座の受給理由についても、今回非常にざっくりと把握を試みたところです。複数回答ですが、「将来の仕事やキャリアアップに備えて」についてが、これは予想されるところですが、全体の4分の3の方が該当と回答しております。さらに「現在の仕事に必要な知識・能力の習得」、「転職のため」という理由がマルチアンサーですが続いています。

 また、全体数を先ほど申し上げましたが、就業状態と受講の課程及び分野の類型のクロスの把握も試みております。正社員の方に関しては、専門職学位(ビジネス・MOT)が多数という状況です。これに対して非正規の雇用状態の方、また、非就業の方に関しては、看護師・准看護師を始めとする医療福祉系の資格取得を目標とした養成課程受給者が多数を占める傾向が見て取れるところです。

 今ほど申し上げた受給データ、またアンケート調査に関しては初めての試みということで分析しております。まだ平成27年度までの受給者ということでデータ数も制約されております。今後、平成28年度以降の受給データを重ねることによって、更により正確な傾向が把握できる部分、また、この時点ではまだ修了している方はほとんどおりませんが、今後、順次、受講後修了する方が出てきますので、この方々が例えば求職中の方であれば、就職に結び付いているかといった把握も当然必要になってこようかと思います。分析の切り口に関しても、先ほど申し上げたように、今回は概況を把握するということでかなり絞り込んだ項目についての集計分析にとどまっておりますが、今後よりきめ細かな分析、さらにはこういった定量分析で測りかねる部分については、施設あるいは受講者等へのヒアリングなども当然必要になってこようかと思います。

 今回のデータを出発点にしながら、今も申し上げたように追加的な、よりきめ細かい分析を試みることにより、この専門実践教育訓練が制度の目的に沿った形での効果が上がっているのか、課題はどこなのかという観点に加え、この目的に沿った教育訓練で逆に取りこぼしている所はないのか、いろいろな視点があり得るのではないかと思っております。本日、委員の皆様から御意見を頂戴しつつ、ただいま申し上げたような更なる調査分析等を進め、また御報告を申し上げたいと考えております。以上です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。大変興味深い情報でした。

○大久保委員 ありがとうございます。資料3-22ページの上に、受給者数のグラフがあるわけですが、看護師やビジネス・MOTのところについては、看護師が指定講座数221に対して受給者数が1,396人で、ビジネス・MOTのほうは指定講座数34に対して1,173名が受給しているということで、非常に浸透率が高い。それはそれでいいことだと思いますが、ちょっと疑問に思っているのが、例えば介護福祉士は指定講座数は一応175指定されているにもかかわらず、受給者数は36人しかいない。看護師との比較をしてみると、50分の1ぐらいしかないので、随分違うわけですが、これはなぜかというのが1つ目の質問です。

 もう1つは、その少し上に保育士56人というのがあるのですが、保育士とか介護福祉士というのは、言うまでもなく社会ニーズが沸騰しているところで、こういう所に多くの人たちが中長期のキャリアを目指して、この制度を活用してほしいと思うのですが、浸透している看護師と、こちらの保育士や介護福祉士の所と、ばらつきが非常に大きいので、社会的ニーズの特に高い所に関しては、もう少し指定講座数を増やすとか、浸透を図るといった工夫をしていただきたいと思うのです。これはお願いですけれども。

○小杉分科会長 この辺は何か把握していますか。

○伊藤キャリア形成支援課長 今、大久保委員から御指摘があった点について、若干のコメントを申し上げたいと思います。ざっくりとMBAMOT系、あるいは医療福祉分野の国家資格に関わる受給者が多いであろうということは、私どもは予想して、大体それに沿った形での結果が今回出てきたと思っております。

 今ほど御指摘いただいたように、同じ医療・社会福祉系の資格の中で、かなり受給者数に格差が出ていることも、併せて今回のデータで私どもは初めて明確に自覚したところです。この要因については、いずれにしても更に多面的な分析が必要であると思っております。

1つには、この専門実践教育訓練に関しては、御案内のように受講を受給する側の要件として、原則、被保険者期間10年、最初については2年といった要件を満たす層と、現実にこれら資格の取得を目指して受講している層との重なりの度合いについて、それぞれの資格の市場性であったり、あるいは資格取得の難易度であったり、そういった様々な指向の下でこうした受給要件とかなり重なりの高い資格、課程と、比較的重なりが小さい資格なり課程があるということは、少なくとも1つの要因であろうと思っております。

 ただ、今ほど御指摘いただいた点についての十全な分析を試みようと思った場合には、こうした受給の実績という観点だけではなくて、受講しているけれども受給していない人の属性とか、そうした違う切り口でのヒアリング等による把握も必要になってくると思います。今、大久保委員から頂戴した問題意識も踏まえた形で、今後のヒアリングを含めての調査分析等を更に進めていきたいと、改めて考えているところです。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

○原委員 とても興味深い調査の結果の報告をありがとうございました。まだ修了者が出ていないということで、これから修了者が出るところでどういう指標を作っていくかがすごく大事になってくると思うのですが、経済学者のほうでは、こういう効果を測定するための調査の設計や手法なども随分開発されていて、詳しい者も増えていますので、私ではなくて結構ですので、もし私であればまた嬉しいですが、経済学者と連携して何かこういうことができて厳密な効果の測定などもできたらいいなというのが1つです。

1つ質問ですが、資料3-22番は雇用保険データであると。

○伊藤キャリア形成支援課長 はい。

○原委員 それで、3番の受給者に対するアンケートは独自調査であると。

○伊藤キャリア形成支援課長 はい。

○原委員 それで、受給者に対するアンケートというのは、調査対象者数が3ページにあって、4,520人。だけれども1ページの雇用保険のデータの実受給者数が5,858人で、これが総計だと。これがずれているのはどうしてですか。

○伊藤キャリア形成支援課長 最初に2番目の点についてお答えしたいと思います。資料3-21ページの下にあるように、平成27年度の実受給者数については5,800人余ということで、これを2番全体の分析対象としているわけですが、3番のアンケート調査については、昨年末に実施したもので、その時点で把握可能ということで、どこかで区切らないといけないので、平成2710月末時点での専門実践の給付受給者を対象にしております。その後新たに受給した方については、こちらの3番の分析の対象からは時間的な観点で漏れています。この差分の約1,300人については11月以降初めて受給された方という全体の構造です。

 それから1点目、原委員から大変有り難い御提案を頂きました。これも簡単にコメントを申し上げたいと思います。今回の分析の中では、先ほども触れたように、修了者はまだほとんど出ていない。より正確に申し上げると、平成2610月、最初の指定講座で少数ながら1年という講座がありますので、そこについて修了した人はごくごく少数いるのですが、統計分析に値するデータ数ではないということで、今回は割愛しました。したがってその部分は今後改めて分析可能なデータが出てくるということです。

 先ほどの議題の中でも局長、各課長からもお答え申し上げているように、求職活動中の方については当然、就職というメルクマールがあり、在職中の方に関しては定着という観点があり、こういった、いわば就業行動に関して、雇用保険データの枠組みの中でどこまで把握できるかという視点と、そこでいろいろと制約があるとするならば、できる限り回答率を高める工夫もしながらの、こうしたアンケート調査方式といった組合せなどが想定されるわけです。より精致で意味がある分析という観点で、原委員をはじめとする識者の皆様のアドバイスも是非頂きたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○原委員 どうもありがとうございます。もう1点ですが、この専門実践教育訓練給付金を導入する際にすごく議論があって、やはりその効果は厳密に把握していく必要性がすごくあると思うのです。今、伊藤さんのお話を伺っていると、雇用保険データと独自調査はちょっと別枠という形で捉えられているような感じがするのですが、できれば独自データのほうで雇用保険データとマッチできるようなキー変数を用意して、2つをうまく使いながら分析していくと、分からないことがもっと分かってきたり、より深い分析ができるので、その辺も考えていただけたらすごく有り難いです。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 せっかく御指摘いただきましたので、今の点も全く委員の御指摘のとおりだと思っております。雇用保険データでいわば自然体で把握できる属性は限られておりますが、例えば男女性別という観点は把握可能であり、別途、雇用保険データで把握している男女内訳と今回のアンケート調査の男女内訳については、ニア・イコールということで、言ってみれば受給者全体と今回の回答サンプルについては、そういう観点で余り大きなずれがないという問題意識を持って、私どもは2つのデータを見ているところです。更に統合的に分析するという観点については、いろいろとアドバイスも頂きながら、工夫をしてみたいと思っております。

○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。このデータはもう公表されているのですか。

○伊藤キャリア形成支援課長 先日の労政審雇用保険部会において、実受給者数ではなく、延べという言い方が正確かどうかは分かりませんが、受給者数データについては、この審議会の審議を通じて公表されていると認識しております。このデータに関しては、本日の分科会の資料という形でリリースさせていただくという考え方です。

○小杉分科会長 いや、見たことがなかったので。そういうことですね、分かりました。ありがとうございます。

○永井委員 資料3-2に関わることですが、まだ修了されている方も少ないというお話も今伺いましたけれども、支給実績、支給状況についてお伺いできればと思っております。1つは専門実践教育訓練給付の追加給付に関するもので、受講による職業能力開発が質の高い雇用につながったことを表すということですので、この追加給付の支給状況が分かれば、教えていただきたいと思います。

 もう1つは、教育訓練支援給付金についてです。45歳未満の方を対象にするということで、暫定措置として設けられていると聞いておりますが、こちらの支給状況についても分かる範囲で教えていただければと思います。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 2点目のお尋ねが教育訓練支援給付金の受給データですよね。1点目のお尋ねは。

○永井委員 追加給付についてです。

○伊藤キャリア形成支援課長 最初に教育訓練支援給付金に関してお答え申し上げたいと思います。教育訓練支援給付金は、御案内の方も多いと思いますが、この専門実践教育訓練を受講する方のうち、45歳未満の離職者の方を対象に、訓練受講中の支援策として、いわゆる専門実践給付、4割プラス資格等に結び付いた場合の2割とは別に、基本手当日額の50%相当を支給すると、お尋ねがありました平成30年度末までの暫定措置という位置付けです。これに関しては安定局雇用保険課のほうでデータ集計をしておりますが、確認したところ平成27年の初回受給者、したがって実人員と捉えていただいてよろしいかと思いますが、1,587人と把握しております。

 したがって、本日御報告した5,858人の内数と考えてよろしいかと思いますので、専門実践を受給されている方のうち45歳未満の離職者ということで、本追加給付を活用されている方が大体3割程度という構造と理解できるのではないかと思っております。

 それから、一般教育訓練給付ですが、こちらに関しての近年の状況は、大体受給者数は年間ほぼ12万人で安定的に推移しております。専門実践のほうは、何ぶん受講の期間が長いものですから、半年ごとに支給するという仕組みですが、一般教育訓練給付に関しては、修了後に一括で申請支給という位置付けですので、おおむね12万人で推移というのは、一般教育訓練給付のほうの、いわゆる実受給者に相当する数字と御理解いただければと思っております。

○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○大久保委員 すみません、もう1回お願いします。この専門実践教育訓練給付金については、議論のときに随分けんけんがくがくいろいろな意見があったのですが、もともと今まで能開局でやってきた施策とはちょっと違って、これは目的が中長期のキャリア形成に資するという議論から入ったのだと思うのです。

 そうすると、現在、この訓練で今まで使ってきた多くのKPIなどの指標、成果は、実際には失業者が雇用者になったとか、雇用保険に入っていない人たちが被保険者になったなどを達成項目の指標として使ってきたのですが、では中長期のキャリア形成に資するためにやったこの給付金は一体何で見たらいいのかというのは、議論はされたのですが、実はこれは中途半端なままに終わっていると思っています。これをどう評価するのか。先ほど定着という言葉もありましたが、今回のこの給付金については、支援額も給付額も結構大きいので、やはり定着では十分にその成果を見ているとは言えないと思うのです。

 先ほどの予算の中にも労働生産性の向上とかキャリアアップという言葉がよく出てくるのですが、では、キャリアアップとは何をもってキャリアアップができたと言うのか。一般的に、例えばここで言っている多くの人たちが受講しているビジネス・MOTMBAのコースのようなものであれば、実際には在職している人たちが通ってきて、その会社の中で中長期的には管理職になって、給料も上げていくという、より高い所得を得るためにきっと行っているのだと思うのですが。能開局としても、今までの就業と被保険者ということ以外の指標を持たないと、この給付金の評価はできないと思うのです。是非、いろいろな議論をお願いしたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 ありがとうございます。この中長期キャリア形成という本制度の目的に即した、いわばKPIは、なかなか見定め難いというのは、全くそのとおりであると思っております。私どもは指定講座のヒアリングについては少数ながら進めているところですが、その際には、ある種トライ&エラー的にどういう指標によって教育訓練プロバイダーとして本制度の効果というものを把握しているのか、あるいは把握しようとしているのかといった観点で、いろいろ聞き取りもしております。

 例えば、職位の向上とか、あるいは賃金の向上、なかなかこれはプロバイダーの立場でも正確に受講前あるいは修了後ということでの定量比較は難しい部分もあります。しかし、受講修了者からの聞き取りという形で、例えば今申し上げた職位や賃金について、アップorダウンという非常にざっくりした話ですが、そういう聞き取りをする中では、本講座の修了者について職位や賃金での上昇傾向が見られるということは、いわば傾向値としては部分的に聞き取っています。ただ、これをより精致な形で、どのように定量性も持って表現していくのかは相当難易度が高い課題であり、恐らく、なかなか1つの指標だけでは言い尽くすことは難しいだろうと思っております。私どももそういったヒアリングなども通じて工夫を更に凝らしつつ、委員の皆様からもいろいろな御提案を頂きながら、中長期キャリア形成という目的にふさわしいKPI、何らかの指標の設定についても、今後の工夫すべき課題と認識しております。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

○大久保委員 今のお話ですが、失業している人はともかくとして、在職中で雇用保険を現在払い続けている方であれば、雇用保険は労使折半で払っているわけですから、雇用保険データからその人の所得が上がったかどうかは一応分かるはずですよね。それはできないのでしょうか。

○宮野職業能力開発局長 雇用保険の保険料の徴収は、社会保険と違って、社会保険であれば一人一人標準報酬月額があるので、御承知のとおり分かるのですが、労働保険の保険料の徴収は、企業全体の払った賃金の総額に保険料率を掛けるだけなので、雇用保険のデータでは残念ながらそこは分からないのです。

 そういう点もあるので、おっしゃるとおり、この専門実践教育訓練給付は助成率も高いですし、先ほど在職者訓練の効果について申し上げましたが、それ以上にどういう効果があるのか、きちんと見定めなければならないし、かつ、それは非常に難しいのだろうと思います。

 先ほど大久保先生がおっしゃったとおり、この仕組みを作るときから、正にそういう議論はありましたので、まだ残念ながら現時点では、そもそも12年の講座が修了した人がまだほとんどいない状況ですから、現時点ではまだ見定めるタイミングにはないですが、そこはやはりきちんと見定めた上で、効果についてお示ししなければならないだろうと考えております。

 ですから、雇用保険のデータを使えればいいのですが、今申し上げたようなことなので、その辺りは少し個別の調査等々をやらないとなかなか難しいと思います。

○小杉分科会長 そうなのですね。分かりました。ほかにありますか。

○浅井委員 数字レベルで見た印象ですが、現場を精査すると正確ではないかもしれませんが、都道府県別の指定状況を見ますと、県レベルで極端に少ない地域も、経済圏として通学圏域にあるかどうかかと思うのですが、地域別で検証しますと、東北や北陸が、経済圏全体として少ない傾向がある印象を受けます。

 本制度の目的の「非正規雇用の若者などをはじめとする労働者の中長期的なキャリア形成」とあり、個人のレベルでの投資対効果として、受講しても地方に働く場所がない。まさに地方創生の話と関わってくると思います。その意味で、低く出ている地域は、受けたいけれども受けた結果が自らの投資対効果として出せないからニーズも少ない、結果として指定講座数も少ないというような、地域経済の深刻な疲弊の状況を表しているのではないかと思います。

○小杉分科会長 何かありますか。

○伊藤キャリア形成支援課長 この指定講座の地域偏在の課題は、これまで何度も御審議、御指摘も頂いております。仮にブロック的な観点で見ても、通常の人口分布等の観点以上に格差があることは、私どももそのような認識を持っております。相当数の専門実践教育訓練に相当する講座に受講ニーズがない限りは、先ほど市場性と申し上げましたが、開講するのは困難で、今御指摘がありました東北あるいは北陸等の地域では非常に少数にとどまっています。

 この講座指定の要件を満たすかは、逆に言うと地方部にあっては11つ特定されるわけですので、就職率等の要件を満たさない所もあるわけですが、ある種、しらみ潰し的に可能性がある所については働き掛けをするということで、ここに少数として掲げられている、特に都道府県労働局に対しては、その督励も行っているところです。

 また、それぞれの地域ごとの受講機会確保という観点では、こうした地域のばらつき解消の働き掛けプラス、例えば、e-ラーニング的な手法も用いた講座についても、これはかなり運用レベルの話にも関わってくるわけですが、工夫して位置付けていくといった幾つかの観点があり得るかと思っております。こうした点も今後の在り方の重要課題として認識し、取り組んでいきたいと思っております。

 分科会長、それから先ほど、永井委員から御指摘いただいた1点目について、もしかしたら私、ちょっと取り違えてお答えしたのかもしれません。2割給付ということで一般教育訓練給付の実績とお答えしてしまいましたが、専門実践教育訓練給付制度の中で、40%給付プラス修了後資格取得等に結び付いた場合にプラス20%という仕組みがあります。

 そちらに関しては、先ほども言いましたが、訓練修了に至っている人がほとんどいない状況ですので、修了後に資格取得等を確認した上で要件を満たせば支給するということです。追ってまた、こちらの部分の実績も出てこようかと思います。また、そのタイミングでこの部分については別途御報告を申し上げるということで、以上の補正、補足をさせていただきたいと思います。恐れ入ります。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

 地方の問題は、やはり教育訓練、教育機関そのものがどんどんなくなっているという状態がありますので、そこをおっしゃっているとおり、e-ラーニング等の導入も考えなければいけないのではないかと思います。

 ほかにありますでしょうか。なければ、この議題もここまでとさせていただきます。そのほか、皆様から何かありますでしょうか。特段に御発言はないようですので、本日の議論はここまでとさせていただきます。

 次回の日程については改めて事務局から連絡させていただきます。本日の議事録の署名人ですが、労働者側は高倉委員、使用者側は河本委員にお願いいたします。どうも今日は御参加ありがとうございました。


(了)

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