ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会> 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会(2015年6月30日)




2015年6月30日 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

○日時

平成27年6月30日(火) 14:00~16:00


○場所

東京国際フォーラム ガラス棟G510会議室
(東京都千代田区丸の内3-5-1)


○議題

障害者の芸術文化振興について

○議事

 

 

○長井自立支援振興室長補佐

 事務局でございます。定刻になりましたので、ただいまから「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 座長に議事運営をお願いするまでの間、厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室の長井が進行を努めさせていただきます。

 本日は、東海道新幹線で火災事故がありまして、その関係で構成員の方がおくれていらっしゃることがあろうかと思います。

 また、きょうはカリキュラムの中に社会福祉法人グローの取り組みが御報告されるようになっているのですが、場合によりましては次回にということがあるかもしれません。そのことについて御承知おきいただきたいと思います。

 まずは資料の確認をさせていただきます。

 お手元に議事次第がございます。それから、きょうの席の配置図でございます。それから、右肩に数字が打ってございますが、資料が1番から5番まで。それと参考資料。それから、冊子でございますが、「障害者の芸術活動支援取り組みの事例集」が置いてございます。それと、国際交流センターのパンフレットが用意されていると思います。

 以上、お手元にございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、本日、第1回目の会合ということで、厚生労働省の藤井障害保健福祉部長と、文化庁の佐伯文化部長から御挨拶を申し上げます。

 

○藤井障害保健福祉部長

 皆さん、こんにちは。本日は、御多忙のところ、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。私、厚生労働省で障害保健福祉部長をしております藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 共生社会を目指していくというのが政府全体の目標ではありますけれども、障害のある人も、ない人も、同じようにチャンスがある社会、生きがいを感じることができる社会をつくっていくことが大事だということは今さら申すまでもございませんけれども、そういった社会をつくっていくために文化・芸術の果たす役割は大変大きいものがあると私どもは考えております。

 一方で、障害者の芸術活動につきましては、これまで一部の福祉事務所等で独自の取り組みがなされてきたところではありますけれども、全国的な取り組みですとか、あるいは地域の利害といったものは決して十分ではなかったのではないかと考えています。

 私ども、そういった状況を踏まえて、平成25年に「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」を開催して、相談支援とか、あるいは人材育成、また権利保護等について御議論をいただいて、中間取りまとめをいただきました。

 その一つの成果として、厚生労働省では、平成26年度から芸術活動を行う障害者やその家族、あるいは福祉事務所等で障害者の芸術活動の支援者を支援するモデル事業を実施するなど、幾つかの施策を展開してまいっております。

 また、本日、御発表いただく予定ですが、全国障害者芸術・文化祭、これは毎年やっていますけれども、昨年度は鳥取県で開催をしていただきまして、私もお伺いをしましたけれども、大変盛大に行っていただきました。鳥取県には大変感謝を申し上げる次第でございます。

 そして、今後ということになりますけれども、いよいよ2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定をされています。その中で、オリンピック憲章にもうたわれている文化プログラムへの対応も御準備をしていく必要がございます。

 本懇談会は、こうした状況の中で、文化庁の皆さんと共同で開催をさせていただき、また内閣官房や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会を初め、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関係者の皆様にも御参画をいただきまして、有識者の皆様とこの懇談会の場で情報の共有、意見交換を行わせていただき、ネットワークをつくっていくことで、オリンピック・パラリンピックに向けまして、さらに障害者の芸術活動の支援を推進していければと考えている次第でございます。皆様方の忌憚のない御意見を頂戴できれば幸いだと思っております。

 簡単ではございますが、冒頭の私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 ありがとうございました。

 文化庁、佐伯部長、お願いいたします。

 

○佐伯文化部長

 御紹介にあずかりました文化庁文化部長の佐伯でございます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、この懇談会の構成員の皆様、それから、オブザーバーの方々、お忙しい中、この懇談会の参加を御了承いただきまして、また、本日、足を運んでいただきまして、まことにありがとうございます。

 今、藤井部長からお話がありましたように、障害の有無にかかわらず、全ての人々が芸術、文化、あるいはスポーツに親しみ、優れた才能を生かして活躍できる、そういった社会を築いていくことが非常に重要であると考えております。

 特に、現在、我が国におきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、スポーツのみならず、文化、特にスポーツの場合はどうしても東京周辺になってしまいますが、文化活動については全国津々浦々で展開することが可能になりますので、日本全体を盛り上げていきたいと、このように考えております。

2012年のロンドン大会につきましては、障害のあるアーティストの方々の活動を支援する大規模なプログラムでございますアンリミテッドが展開され、障害のある方々の優れた芸術に関する認知度の向上、あるいは活躍の場の拡大に大きく貢献したと伺っており、また、それがオリンピック・パラリンピックの後もさまざまな活動の基盤として機能していると伺っております。ぜひ、このような取り組みをこの東京大会においても、我々としては展開していきたいと思っているところでございます。

 障害のある方々の芸術文化活動に関しましては、先ほど藤井部長から御紹介がありました、平成25年に開催されました懇談会の中間取りまとめを踏まえまして、文化庁におきましても、平成26年度から新たな事業を開始するなど、さまざまな取り組みを行っているところでございます。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、皆様方の御意見を踏まえながら、さらに取り組みについて磨いていきたいと思っているところでございます。

 特に、この分野、縦割りのことは政府としてよく批判されるところでございますが、文化庁、厚生労働省は比較的しっかりと連携をとってきておりますし、今回の懇談会につきましては、内閣官房、外務省、国際交流基金、組織委員会、あるいは関係自治体の御協力も得ながら進めて、よりネットワークのとれた取り組みとしていきたいと思っております。皆様方の活発な御議論をいただきまして、政府で取り組む事項等について御意見をいただき、よりよい活動を展開されることを我々としても努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私の御挨拶といたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 ありがとうございました。

 続きまして、構成員を御紹介させていただきます。50音順に御紹介させていただきますので、御了承ください。

 まず最初に、社会福祉法人素王会理事長、アトリエインカーブクリエイティブディレクターの今中博之構成員でございます。今中構成員は、新幹線の都合で遅れて来られると思います。

 次に、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会常務理事の上野密構成員です。

 

○上野構成員

 上野でございます。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 一般財団法人たんぽぽの家事務局長の岡部太郎構成員です。

 

○岡部構成員

 岡部です。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 鳥取県福祉保健部障がい福祉課長の小林真司構成員です。

 

○小林構成員

 小林でございます。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 特定非営利活動法人障碍者芸術推進研究機構天才アートミュージアム副理事長、京都市教育委員会指導部総合育成支援課参与の重光豊構成員です。

 

○重光構成員

 重光でございます。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 公益社団法人全国公立文化施設協会事務局参与、出雲市芸術文化振興アドバイザーの柴田英杞構成員です。

 

○柴田構成員

 柴田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)事業プロデューサーの鈴木京子構成員です。

 

○鈴木構成員

 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 全国手をつなぐ育成会連合会統括の田中正博構成員でございますが、田中構成員におかれましては、15時をめどに到着されるとの御連絡をいただいております。

 続きまして、社会福祉法人グロー~生きることが光になる~法人本部企画事業部統括の田端一恵構成員でございますが、田端構成員も新幹線の都合で遅れているということでございます。

 続きまして、毎日新聞論説委員、野澤和弘構成員です。

 

○野澤構成員

 野澤です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 東京芸術大学美術学部教授の日比野克彦構成員です。

 

○日比野構成員

 日比野です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 独立行政法人国立美術館・東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗構成員です。

 

○保坂構成員

 保坂です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 東京芸術大学美術学部教授の本郷寛構成員です。

 

○本郷構成員

 本郷です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 続きまして、オブザーバーを御紹介させていただきます。

 内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局、田村参事官です。

 

○田村参事官

 オリパラ本部事務局の田村です。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、高橋参事官です。

 

○高橋参事官

 高橋です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)、荒木参事官補佐です。

 

○荒木参事官補佐

 荒木と申します。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 外務省大臣官房文化交流・海外広報課、藤井事務官です。

 

○藤井事務官

 藤井と申します。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 国際交流基金企画部総合戦略課、正野課長です。

 

○正野課長

 正野と申します。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会企画財務局文化教育担当課、田中課長です。

 

○田中課長

 田中でございます。よろしくお願い申し上げます。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 関係自治体からも御出席をいただいております。

 東京都生活文化局文化振興部事業計画担当統括課、上坂課長代理です。

 

○初芝代理

 上坂が不在にしておりまして、代理で参りました初芝と申します。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 愛知県健康福祉部障害福祉課、浅野課長も新幹線の都合でおくれているようでございます。

 次に、滋賀県健康医療福祉部障害福祉課、丸山参事も新幹線の都合でおくれているようでございます。

 続きまして、事務局を紹介させていただきます。

 文化庁文化部芸術文化課の加藤課長でございます。

 

○加藤課長

 加藤でございます。どうぞよろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 文化庁長官官房政策課の富田文化プログラム推進企画官でございます。

 

○富田企画官

 富田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 文化庁文化部芸術文化課の益井課長補佐でございます。

 

○益井課長補佐

 益井と申します。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 厚生労働省障害保健福祉部企画課の川又企画課長でございます。

 

○川又企画課長

 川又でございます。よろしくお願いします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 厚生労働省障害保健福祉部自立支援振興室の道躰室長でございます。

 

○道躰室長

 道躰です。よろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 よろしくお願い申し上げます。

 それでは、座長の選任の手続を行いたいと思います。開催要綱では、構成員の互選により座長を決定することになっておりますので、よろしくお願いいたします。

 どなたか、自薦、他薦も含めまして御意見ございませんでしょうか。

 鈴木構成員、お願いいたします。

 

○鈴木構成員

 前回の懇談会から引き続き本郷先生にお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 ありがとうございます。

 ほかに御推薦ございませんでしょうか。

 それでは、本郷構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。御異議ございませんでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○長井自立支援振興室長補佐

 ありがとうございます。

 それでは、本郷構成員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。座長席のほうにお願いしたいと思います。

 

(本郷構成員、座長席へ移動)

 

○長井自立支援振興室長補佐

 それでは、以降の議事運営につきましては、本郷座長にお願いいたします。よろしくどうぞお願いいたします。

 

○本郷座長

 本郷です。御指名ですので、座長を務めさせていただきます。

 進行に当たりましては、皆さん方の御協力をよろしくお願いいたします。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 カメラ撮影の方がいらっしゃいますれば、ここまでということでお願いいたします。恐縮でございますが、カメラ撮影の方は退室をお願いしたいと思います。

 

(報道関係者退室)

 

○本郷座長

 それでは、議事次第に沿って進めさせていただきます。

 まず、議事次第4の「(1)厚生労働省と文化庁の障害者の芸術文化振興に関する取組について」、事務局からの御説明をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 厚生労働省の障害部企画課長の川又と申します。よろしくお願いします。

 資料2をお願いいたします。「厚生労働省における障害者の芸術文化振興に関する取組について」という資料でございます。

 1枚めくっていただきまして、障害者芸術の支援をめぐる動きということで、簡単でございますが、過去15年ぐらいをまとめております。

 第1回の障害者芸術・文化祭、大阪で開催されましたのが平成13年でございます。

 その後、滋賀県など、民間の取り組みなどもございますが、平成19年には総理官邸での障害者の会などでも障害者芸術などの御紹介がされました。

 また、平成20年でありますが、文部科学省と共同で「障害者アート推進のための懇談会」が開催をされております。

 それをさらに発展させるような形で、平成25年でありますが、「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」を文化庁と共同して開催をさせていただきました。本日の構成員の多くの先生方は、こちらの懇談会でも御協力をいただきましてありがとうございます。

 この懇談会の報告の中身なども踏まえまして、厚生労働省におきましては、平成26年度から「障害者の芸術活動支援モデル事業」という取り組みを開始いたしました。

 平成13年からの芸術・文化祭も第14回目が鳥取県において昨年行われております。こちらにつきましては、後ほど詳細を小林課長から御紹介いただくことになっております。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック、文化のプログラムも開催されるということで、それに向けまして、改めて今回、メンバーもオブザーバーもより拡大した形で懇談会を開催させていただく、そうした運びになったところでございます。

 次の2ページ目ですけれども、障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会、平成25年8月に取りまとめられた報告書の概要となっております。

 なお、本文につきましては、資料の最後に参考資料という形でつけておりますが、今回は概要で内容の復習をさせていただければと思います。

 障害者の芸術活動の意義につきましては、障害者の芸術活動を支援していくことは、その社会参加を進め、障害の有無にかかわらず、人々がお互いを尊重しながら共生する社会を実現していく上で非常に重要な意義を有している。

 また、障害者が生み出す芸術作品は、これまでの芸術の評価軸に影響を与え、芸術の範囲に広がりや深まりを持たせるという点で芸術文化の発展に寄与する可能性を有する。

 障害者の芸術活動への支援の方向性につきましては、「裾野を広げる」という視点、それから、「優れた才能を伸ばす」という2つの視点を踏まえて仕組みをつくっていくことが重要との指摘をいただいております。

 具体的には、その下に3つ箱がございますが、左から、障害者、その家族、支援者等に対する支援の在り方ということで、相談支援の充実でありますとか、障害者の芸術作品に関する権利保護、地域において障害者の芸術活動を支援する人材の育成、障害者による芸術鑑賞への支援。

 真ん中でございますが、障害者の優れた芸術作品の展示等を推進するための仕組み。具体的には、優れた芸術作品の評価・発掘、保存、展示機会の確保等、作品の販売や商品化への支援、障害者の芸術作品の評価・発掘、発信等を行う人材の育成、障害者の芸術鑑賞のための環境づくり。

 右側でございますが、関係者のネットワークの構築ということで、障害者やその家族、障害者の芸術活動を支援する福祉サービス事業所や特別支援学校等の職員、障害者の芸術活動に理解のある美術関係者等のネットワークの構築といった中身でございます。

 3ページ目をお願いいたします。現在、厚労省として取り組んでいる事業等でございますけれども、先ほども御紹介しました全国障害者芸術・文化祭、平成13年度から開催されております。

 なお、今年度、平成27年度につきましては、鹿児島県におきまして、1127日から29日を予定しているところでございます。

 真ん中の障害者の芸術活動支援拠点モデル事業でございますが、これも先ほどの懇談会の報告書を受けて、芸術活動の支援拠点についてのモデル事業を立ち上げたところでございます。これは次のページで詳しく御紹介いたします。

 3ページ目の一番下ですが、芸術・文化講座開催等事業ということで、これは都道府県、あるいは市町村が独自にさまざまな作品展とか、音楽会等の場をつくるときへの助成でございまして、地域生活支援事業という事業が障害者総合支援法の中にございますが、こちらの事業を活用して、各自治体が独自に取り組みを行うものへの支援となっております。

 4ページ目ですが、先ほどの芸術活動支援モデル事業ということで、昨年度から開始をしております。今年度2年目となっております。

 事業の中身としましては、1つは障害者芸術活動支援センターを設置するということで、美術活動に取り組む障害者や家族、支援者に対する支援を推進するために、障害者による美術活動への支援方法、あるいは著作権保護に関する相談、人材の育成、ネットワークづくりなどを行うものでございます。これをコアにいたしまして、さまざまな関係者からなる協力委員会を設置したり、あるいは調査・発掘、評価、発信を行ったりということでございまして、モデル事業の実施主体のうち1カ所につきましては、全体を統括する事務局を担っていただくという仕組みの事業でございます。予算としては、全体で1億円程度の予算を組んでおります。

 次の5ページ目が、モデル事業のスキームということで、昨年、平成26年度から、おおむね3年間ぐらいを目途にということで当面進めております。今年度は2年目に当たります。来年度も予算要求をしていくことを考えておりますが、この3年間のモデル事業を通じまして、相談、あるいは人材育成、ネットワーク、調査・発掘といったものの具体化を図っていき、また、その成果を各地域に普及をしていくといったことを考えております。

 6ページ目は、今年度のこのモデル事業の実施団体ということで、そこの地図にあります7団体が今年度の実施主体ということで、先般決まったところでございます。今年度の活動につきましては、これから具体的に動き出すところでございます。

 最後の7ページ目になりますが、障害者芸術・文化祭の資料でございます。この芸術・文化祭への助成を通じまして、各自治体、都道府県が持ち回りで開催をしておりまして、開催状況は、一番下にございますように、第1回目の大阪府から、昨年度の鳥取県、今年度の鹿児島県。

 なお、平成28年、来年度は愛知県、29年度は奈良県を予定しているところでございます。

 厚生労働省からは以上でございます。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 続きまして、文化庁から、よろしくお願いします。

 

○加藤芸術文化課長

 文化庁からも御説明させていただきたいと思います。

 文化庁の資料は、お手元の資料3でございます。

 まず、1ページ目をめくっていただきますと、障害者の文化芸術活動を振興するための取り組みということで、文化庁の今年度の取り組みをここに挙げております。全部で7つの項目を挙げさせていただいておりまして、その後にそれぞれの事業のポンチ絵がございますが、最初のページでかいつまんで御説明させていただきたいと思っております。

 文化庁におきましては、障害のある、なしにかかわらず、優れた芸術文化活動を振興していくとともに、全ての方々が文化芸術活動に親しみ、また、さまざまな文化芸術活動の鑑賞活動に取り組めるように、いろいろと取り組んできているところでございます。

 それで、今年度の予算の中での対応ということで、まず最初にございますのが、障害者の優れた芸術活動に関する調査研究の実施でございます。これは、戦略的芸術文化創造推進事業の中で取り組んでいるものでございますが、具体的に例として申し上げますと、実は平成26年度からこの事業を始めているわけですけれども、心揺さぶるアート事業というのがございまして、これは埼玉県立近代美術館を中心としまして、日本各地で活躍されております、優れた文化芸術活動を行っております障害のあるアーティストの方及びその造形作品の調査データ化を実施いたしております。

 また、全国各地の美術館の学芸員の方から何人か調査研究員を選定しまして実施することによりまして、日本各地のさまざまな情報を収集し、そしてアーティスト、またその家族、障害者施設の職員の方々との面会ですとか、作品、その活動の視察等を行いまして、平成27年度、今年度以降の展覧会の開催に向けてのいろいろな調査等を実施してきたところです。昨年度、そういった形で進めてきまして、今年度は、その結果をもとにしまして、予定としましては、10名を超える作家の方を選出しまして、全国4カ所で巡回展を実施する予定でございます。

 そういった事業ですとか、あと、公立美術館におけますアール・ブリュット作品の普及、展示活動の在り方に関する調査研究としまして、滋賀県立近代美術館に委託しまして調査研究を、昨年度に引き続き今年度も実施いたしております。

 また、NPO法人の都市文化創造機構で出張インクルーシブカフェというのを開催していただいているのですけれども、昨年度に続きまして今年度も5都市で継続開催をするということでございます。

 また、アトリエインカーブで障害のある方の芸術作品の国内外での展示及び作品の保管ですとか、市場動向調査、こういったものも委託して実施いただいているところでございます。

 それから、2つ目の○にございます障害者の芸術活動を支援する人材育成事業にも取り組んでおりまして、これにつきましては、障害者の芸術活動を支援する新進芸術家育成事業と、その育成を芸術系大学において行う基盤構築のための調査事業ということで、東京芸術大学を中心に取り組みをいただいているところでございます。こういった事業をやっているところでございます。

 それから、3番目の○にございますのは、地域の美術館等で実施されます障害者の方の芸術作品の展示等に対する支援でありまして、平成26年度、ここにありますように、イニシアチブ事業というものがございましたが、平成27年度は、文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業ということで取り組みをしておるところでございます。

 具体的には、平成26年度は滋賀県で「ふらっと美の間」ということで、滋賀県内での施設におきますアール・ブリュット作品の展示の活動に取り組んでいただいたりしております。

 また、平成27年度におきましては、「美の滋賀」ということで、滋賀県での取り組みもございますし、鳥取県では、障害者と健常者がともにつくる劇団事業ということで、県内の障害者の方が鳥取県の地元のプロの劇団、鳥の劇場のプロデュースによりまして、演劇、表現活動に取り組んでいただくといった事業を支援させていただいております。

 それから、4番目の○としましては、海外で開催するアートフェア等への出典に対する支援ということで、優れた現代美術の海外発信促進事業の中で、障害を持ったアーティストの方が取り組まれる事業をこれで支援していくということで考えております。

 また、5番目の特別支援学校の生徒による作品の展示ですとか、実演芸術の発表の場というのは、今年度は7月末に全国高等学校総合文化祭が滋賀県で開催されますけれども、その中で特別支援学校の生徒の作品等を展示するということを実施する予定でございます。

 それから、子供たちに対して、障害のある芸術家による優れた文化芸術の鑑賞・体験機会を提供ということでございますが、文化芸術による子供の育成事業を毎年実施いたしております。その中で、具体例としましては、中学校におきまして、車椅子ダンスの披露ですとか、車椅子ダンスの体験等を実施しているということで、平成26年もございましたし、また今年度も類似の事業を実施したいと思っております。

 それから、最後の7番目の○は、映画制作支援事業における字幕制作に対する支援でございまして、これはバリアフリー字幕を文化庁が支援する日本映画、それから、アニメーション映画、その制作者に対して、バリアフリー字幕を作成するに当たって支援させていただいております。平成27年度は、ここに書いてあるような数を予定しているところでございます。

 これが文化庁の障害者の方に対する文化芸術活動を支援するための概要でございます。その後、それぞれの事業のポンチ絵がございますが、これはまた後ほどでも見ていただければと思います。

 資料の9ページ、10ページに、文化庁におけます2020年のオリンピック・パラリンピックに向けました文化プログラムについてのポンチ絵を2枚つけさせていただいております。皆様、御案内のとおり、オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツだけではなくて、文化での祭典でありまして、文化庁におきましても、文化プログラムに向けた支援等を進めるということで、2020年までの目標としましては、魅力ある文化プログラムを全国津々浦々で展開していきたいと考えております。

 そのための「重点施策」としましては、重点施策マル1、文化プログラムの育成、マル2、文化プログラムに向けた環境整備、マル3、文化プログラムに向けた発信強化という3つの施策で取り組んでいきたいと思っております。

 そして、2020年で終わるのではなくて、その後、2030年に向けまして、さらに真の文化芸術立国の実現に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 リオの大会が来年行われますけれども、それが終わってすぐにスポーツ・文化・ワールド・フォーラムを来年の秋にはキックオフイベントとしてスタートさせたいと思っております。そこから3つの重点施策を宣伝する中で、2020年に向けて文化プログラムに取り組んでいきたいと思っております。

 最後の10ページでは、3つの重点施策についての簡単な概要でありますけれども、文化プログラムの育成では、地域のさまざまな魅力ある文化芸術の取り組みですとか、文化芸術の担い手の育成などの取り組み支援、これは国際的な芸術祭ですとか、地域の音楽、踊りなどの公演、訪日外国人でも鑑賞を体験できる事業など。それから、芸術団体や劇場・音楽堂等によるトップレベルの舞台芸術活動の支援といったこともやりたいと思っております。

 マル2の文化プログラムに向けた環境整備におきましては、国立文化施設の観覧・鑑賞環境の充実におきまして、多言語化ですとか、そういった対応をしていきたいと思っております。

 また、マル3の発信強化におきましては、各地域の文化資源の魅力の再発見や活用・発信を促すですとか、芸術文化の世界への発信に向けて、海外フェスティバル・展覧会への参加支援ですとか、国際共同制作公演支援等を実施していきたいと思っております。

 このような文化プログラムに向けての取り組みの中で、障害のある方々の芸術、表現活動の支援も取り組んでいきたいと思っております。

 簡単ではございますが、文化庁からの説明にかえさせていただきます。

 

○本郷座長

 加藤課長、ありがとうございました。

 続きまして、先に議事次第の4の「(3)第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会の開催結果」につきまして、鳥取県福祉保健部障がい福祉課長の小林様から御説明をお願いしたいと思います。

 小林様、よろしくお願いいたします。

 

○小林構成員

 失礼いたします。それでは、資料5をごらんいただきたいと思います。私からは、昨年度の大会の紹介で、まず最初にパワーポイントで概要を説明させていただきまして、残り5分程度で映像、ダイジェスト版をつくりましたので、そちらをごらんいただきたいと思います。

 まず、資料5の1ページ目、ページを打っていなくて申しわけありませんけれども、最初の資料でございますが、大会の概要といたしましては、テーマは「障がいを知り、共に生きる」ということで、鳥取県が進めておりますあいサポート運動と同じテーマでございます。

 開催期間は、平成26年7月12日から11月3日までという約4カ月間の中で開催させていただきました。これにつきましては、最後に書いていますけれども、障がいのある人もない人も一緒になって楽しめるアートの祭典を目指しました。というのは、障がい者だけの大会にはしたくないということで、障がい者の芸術活動の発表を健常者の方によく見ていただいて、交流もしていただきたいということで、こういう目標を掲げたところでございます。

 めくっていただきまして、このとっとり大会の特色でございますけれども、先ほど開催期間を約4カ月間と申しましたけれども、近年と申しますか、これまでの大会の開催期間は約3日間が主流でございました。例外といたしましては、滋賀県と埼玉県が大会期間が長いのがありましたけれども、とっとり大会におきましては、3日間を約4カ月間とさせていただきました。例えば、美術作品等の展示につきましても、3日間では余りにも短過ぎるということで、障がいのある方の発表の十分な時間をとりたいということと、見に来ていただける方々の事情も考慮した上で、開催期間を4カ月間としております。

 それから、舞台発表でございますけれども、これまでの大会では、県内の皆さんから公募されておりましたが、とっとり大会におきましては、全国から公募ということでございました。

 それから、美術作品につきましても、これまでの大会では、全国公募はされておりましたが、海外からは公募されておりませんでした。とっとり大会では海外からも公募いたしまして、約80点余りの作品がまいりました。

 それから、この大会を開くに当たって一番心配したのは、よく障がい者の大会をしますと、見に来られる方々は障がいのある方の支援者でございますとか、御家族といった方がメーンでございまして、一般の方々は余り見に来ないというのがございました。とっとり大会の前年に県大会ということで、障がい者の舞台発表等を開いたのですけれども、やはり来られた方はそういった方々でございました。悪口ではありませんけれども、前年の山梨県の大会におかれましても、観客は少ないような状況でございましたので、とっとり大会においては、健常者の方々がより多く来ていただきたいというのが一番の重点事項ということで取り組みました。そのためには広報を重点的に行いましたし、イベント内容もちょっと工夫して行ったところであります。それはまた後ほど説明させていただきます。

 それから、その他の特色といたしまして、障がい者がつくったキャラクターということで、1枚戻っていただいたところにロゴがあるのですけれども、その左側に「パレットくん」というキャラクターがあるのですが、これは県内の障がい者の方につくっていただきました。筋ジストロフィーの患者の方でございまして、日ごろ、就労継続B型でデザインを担当している方にお願いしたものでございます。

 それから、さっき申しましたけれども、広報ということで、キャラバン隊を編成いたしまして、いろいろなイベントでございますとか、ショッピングモールに出かけていって、大会自体を広報していただきました。そのリーダーにつきましては、軽度の知的障がいのある方に努めていただいたところでございます。

 それから、障がい者への配慮を学んだボランティアと書いておりますが、鳥取県があいサポート運動を進めておりまして、障がい特性を理解した上でちょっとした手助けをするという運動でございますけれども、車椅子の押し方ですとか、支援の仕方を学んでいただいて、ボランティアの方に大会に臨んでいただいたものでございます。

 次の資料をごらんいただきたいと思います。大会自体は、舞台発表のステージイベントと美術作品の展示会、それから、ワークショップ等に分かれております。

 まず、ステージイベントでございます。7月12日にオープニングセレモニーという形で、いろいろな舞台発表を交える中で大会の幕開けをさせていただきました。その折には藤井部長にも来ていただきました。

 それから、8月につきましては、長崎県の瑞宝太鼓という、知的障がいのある方々でございますけれども、プロ並みの太鼓をされる集団でございまして、こちらに来ていただきまして、鳥取県の、健常者ではございますけれども、小学生が太鼓をしておりますけれども、そういった方々とコラボしていただきました。

 それから、大会が始まる前でございますが、昨年が鳥取県出身の糸賀一雄さんが生まれてから100年でございましたので、それを記念するフォーラムを開催したところでございます。

 それから、鳥の演劇祭ということで、先ほど少し御紹介がございましたけれども、鳥の劇場というプロの集団がございますが、宮崎県のまあるい劇場という、障がいのある方がおられます劇団に来ていただきまして、そちらで演劇をしていただいたというものでございます。

 それから、特別支援学校合同文化祭と申しますのは、県内の特別支援学校が一堂に会しまして、それぞれの学校が日ごろ取り組んでいる芸術文化活動を発表するというものでございました。

 それから、あいサポートコンサートと申しますのは、海外からも、あいサポート運動に賛同するような団体に来ていただきまして、県内の公募団体と舞台芸術を発表していただいたというものでございます。

 また一枚はぐっていただきまして、こちらもステージイベントでございますけれども、11月1日から3日までをクライマックスイベントと位置づけました。これが従来で言う3日間の大会になるのですけれども、こちらでも集中的にいろいろな舞台芸術を発表していただきました。

 まず、全国から公募させていただいて、来ていただいた方々の発表でございますとか、慶応義塾大学の中島教授によります「差別と配慮」といった記念講演もさせていただきました。

 それから、先ほど御紹介ございましたけれども、文化庁の補助金を今年度受けますけれども、障がいのある方とない方が一つの劇団を作りまして、そこで「じゆう劇場」という団体になりまして、チェーホフの「三人姉妹」という演劇を演じていただきました。

 それから、県立米子養護学校という知的障がいのある学校と、健常者である日野高校の生徒のコラボによりまして「荒神神楽」というものの発表をさせていただきました。

 それから、先ほどちらっと申しましたけれども、障がいのある方だけのイベントではなくて、誰もが知っているような著名な方々にも来ていただいて、障がい者の方にも見ていただくとか、健常者の方でも来やすいような環境整備ということで、「がーまるちょば」といった方々にも来ていただきました。

 それから、ダウン症の金澤翔子さんによります書道パフォーマンス、それから、大阪の「ジェネシス・オブ・エンターテイメント」の車椅子ダンス、それから、プロの「ハンドサイン」という手話を使ったダンス等のグループにも来ていただきました。

 こういった方々に来ていただきまして、とりぎん文化会館大ホールは2,000人が定員なのですけれども、2,000人近いお客さんに来ていただいたというものでございます。

 そのほかにも、四角で囲っておりますけれども、日韓手話演劇でございますとか、プロの方のピアノコンサート、バイオリンコンサート等も開催したというものでございます。

 それから、次の資料でございます。こちらは展示イベントになります。

 まず、NHKハート展。これは毎年、NHKが開催されていますけれども、大会の中に共催という形で開催させていただきました。こちらは、障がいのある方が詩を書かれまして、その詩をイメージするような写真とか絵を著名人の方がつくられて、セットで展示するイベントでございます。有名なところでは能年さんが絵を描かれたものもございました。

 それから、日本チャリティー協会が主催されておりますパラアート展につきましても、この大会の中で開催したところでございます。

 それから、一番右側にありますけれども、アーチストリンク作品展を開催いたしました。こちらは、障がいのある方と、障がいのないプロの芸術家の方に一緒になって同じ作品をつくっていただくというものでございまして、写真に写っておりますのは、視覚障がい、それから、聴覚障がいがあわせてある盲ろう者の方と芸術家の方とのコラボによります作品でございます。

 それから、下におりまして、国際障がい者アート展。こちらは公募展になりますけれども、海外からも募集いたしまして、海外からは78点、県外からは233点、合わせまして698点の作品を展示させていただきました。

 それから、アール・ブリュット展も県内で開催させていただきまして、西部地区から巡回という形で3地区で開催いたしまして、同じ県内を巡回するアール・ブリュット展は恐らく今回の大会が初めてではないかと思っております。

 おめくりください。発表以外にも、ワークショップという形で、障がいのある方が取り組みやすいような芸術活動につきまして開催いたしまして、その中で障がいのある方、もしくはその支援者の方に来ていただいて、実際に芸術文化活動を学んでいただくというものを開催させていただきました。全部で6種類のワークショップを開催いたしました。このワークショップには、視覚障がいのある方等、いろいろ障がいのある方に来ていただきまして、楽しんでいただいたというものでございます。

 それから、次の資料をお願いいたします。この大会の成果でございますけれども、まず一番大きかったのは、多くの観客の前で、障がいのある方がこれまでやってこられた芸術活動を自信をもって発表して、それに対して多くの拍手をいただくということで、自信とか達成感を抱かれたのではないかと考えております。

 それから、大会の出演以外にも、キャラクターをつくっていただくとか、キャラバン隊のリーダーを務めていただいたりとか、県内の障がい福祉サービス事業所には大会に関連したグッズを作成するということで、社会参加という意味ではよかったのかなと考えております。

 またおめくりください。今度は観客に来られた方々でございますけれども、多くの健常者の方に来ていただきまして、障がいのある方の美術作品でございますとか、舞台発表を見ていただきまして、障がい者への理解促進にも結びついたのかなと考えております。それから、先ほど申しました「荒神神楽」でございますとか「じゆう劇場」につきましては、障がいのある人、ない人が一緒になって一つの作品をつくり上げるということで、お互いの理解促進、それから、交流が図られました。

 次の資料でございます。先ほど申しましたボランティアでございますけれども、ボランティアセンターを開設いたしまして、ボランティアを募集しましたところ、実人員で739人の方に御登録いただきまして、実際に延べ1,210人の方にボランティアとして大会に携わっていただきました。先ほど申しましたけれども、ボランティアを始める前には、車椅子の操作の仕方でございますとか、障がい特性に応じた配慮の仕方等を学んでいただきまして、実際に大会で御支援いただいたというものでございまして、大会の中でこういったボランティアの方が視覚障がいの方を案内したりといった光景を見ますと、率直によかったなと感じたところでございます。

 次のページをお開きください。大会に直接かかわってはいただいていないのですけれども、大会をサポートしてくれる応援団ということで、キャラバン隊等がお邪魔したときに、障がい者に対するメッセージを書いていただいて、なおかつ大会も応援しますよ、大会にも行きますよといったような方々につきましては、応援団という位置づけで、大会のホームページ等で紹介させていただいたというものでございます。

 また、そのほか、国内のみならず、海外の作品でございますとか、海外の方々にも来ていただいて、障がい者との交流でございますとか、健常者との交流によりまして、障がい者理解等も進んだものと考えているところでございます。

 次の資料をお開きください。こちらはバリアフリーということで、大会のメーンの開催会場近くの主要なJRの駅から開催会場までの間に歩道があるのですけれども、その歩道を車椅子でも乗りやすいように、車椅子の幅だけ段差をカットするようなことをいたしまして、ハード的なバリアフリーといったものもしたところでございます。

 それから、大会の開催会場までは、シャトルバスでございますとか、ジャンボタクシー等を配置いたしまして、大会に参加しやすい環境も整備したところでございます。

 それから、日ごろ、こういったイベントがあったときに、重症心身障がい児者の方々はなかなか外に出にくいということがございました。何かあったときに開催会場に看護師等がおられれば対応できるのですけれども、そういった環境がない中では難しいという声がありましたので、各開催会場には、救護室ということで、日ごろ支援されている看護師に来ていただきまして、何かあったら対応していただくという環境も整えていったところでございます。

 それから、一枚おめくりください。この大会では初めてとなりますけれども、皇室の方々に御臨席いただきました。秋篠宮妃殿下・佳子内親王殿下に来ていただきまして、舞台芸術等をごらんいただくとともに、県内の障がい者もしくは障がいのない方々との交流をしていただいたということで、大変名誉なことだと考えているところでございます。

 次の資料をお願いいたします。こういった大会を通しました結果でございますけれども、大会の入場者の延べ数は約4万3,000人余り、それから、大会のイベント数は97イベントと書いておりますが、県の実行委員会で主催したのは24イベントで、残りの73イベントにつきましては、市町村でございますとか、関係団体に、障がい者の芸術文化に関するイベントを開催していただいたものでございます。それから、ボランティアは先ほど申しましたが、延べ1,210名でございまして、4カ月間にわたりまして大変にぎやかな期間だったと考えております。

 最後のページになりますが、こちらは大会のことではないのですけれども、大会が終わった後も大会の成果を引き継いで障がい者の芸術文化活動を支援していきたいということで、今年度の予算の内容を参考までに記載しているものでございます。

 まず、障がい者アート関する情報発信拠点の設置ということで、大会の愛称でございますあいサポートを掲げまして「あいサポート・アートインフォメーションセンター」を設置させていただきました。こちらは、障がい者アートの常設展示を行ったり、相談支援、人材育成、普及啓発等を行う施設でございまして、厚労省が進めておられますモデル事業に準じたようなものでございます。

 それから、日ごろの練習機会の確保が必要ということで、ある程度人数がまとまっている団体につきましては、練習に関する経費等の補助、それから、練習すれば、当然ながら発表の機会も必要でございますので、発表機会の確保ということで、個展とか、舞台芸術を発表する際の補助金の制度を設けております。あと、あいサポート・アートとっとり展、あいサポート・アートとっとり祭りと書いておりますけれども、こちらは県内の美術作品の公募展と、舞台芸術発表のイベントを今年度も開催するというものでございます。

 それから、専門的な活動機会への参加ということで、先ほど御紹介していただきました「じゆう劇場」による演劇、その演劇による県外公演といったものも予定しているところでございます。

 それから、こういった県内の活動のみならず、私どもの平井知事の意向でございますけれども、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けましては、東京都はもちろんのこと、有志の都道府県と連携いたしまして、カルチュラル・オリンピアードということで、全国的なイベントとして、舞台芸術祭でございますとか、アール・ブリュットの開催等を連携しながらやっていきたいということでございまして、この懇談会に期待するものでございます。

 パワーポイントの説明は以上でございます。

 それでは、次に、5分程度のダイジェストをごらんいただきたいと思います。

 

(動画上映)

 

○小林構成員

 以上でございます。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 それでは、議事を進めさせていただきますが、本日は初めての集まりということで、構成員の皆様からお一人ずつ、上野構成員から順番に、お一人2~3分程度で、御意見、きょうの発表がありましたけれども、そういうものの御質問でも構いませんので、御発言をいただけたらと思います。

 それでは、上野構成員、よろしくお願いします。

 

○上野構成員

 上野でございます。

 先ほど来ありましたように、前回、平成25年度の懇談会から参画させていただいております。私どもは全国肢体不自由児者父母の会連合会、名称が長いので、普段は全肢連と申しております。よろしくお願いいたします。

 前回もお話し申し上げましたけれども、私どもの取り組みとしては、全国の肢体不自由児者の親御さん、昭和30年代前半から、当時、ポリオの後遺症、それから、先天的に手足の不自由な子供たちの連合会でございまして、早期発見、早期療育と同時に、養護学校の全県設置であったり、義務化というような運動をしている中で、在学中に療育の一端として、障害を持った子供たちの芸術ということで、書であったり、絵画であったり、また、当時は電動のタイプライターがございましたので、カラーリボンを活用した電動タイプライターのタイプアートというものを推進してまいりました。

 こういったものは、ただ単に療育の中で展開するのではなくて、それらを広く、多くの方々に周知をしていきたいということで、コンテストという形態をとりまして、ノートであったり、下敷きであったり、レポートということで、これらを一般の学校であったり、企業のCSR、ノベルティー的な形で御利用していただいたりということで、会の活動の告知とともに、障害を持っていても、これだけすばらしいものができるということを40年来進めてまいりました。

 本日、私、全肢連の立場でこの懇談会に出席させていただいておりますけれども、他方で社会福祉法人の日本肢体不自由児・者協会の理事、評議員を仰せつかっている関係で、こちらは厚生労働省、文部科学省の御後援のもと、ことしで34年目になりますけれども、肢体不自由児・者の美術展を展開しております。これは、常陸宮殿下総裁のもと、毎年、全国の肢体不自由の方、身体障害の方を対象とした芸術的なものを、ちょうどこれからの時期でございますけれども、募集いたしまして、東京、大阪、福岡、新潟、沖縄等で展示をし、広く一般の方々に御紹介するという活動をしてまいりました。

 今回、2回目となりますこの懇談会を通じまして、きょうの鳥取県の事例もございましたけれども、私ども、47都道府県に肢体不自由児・者の父母の会がございまして、昨年ちょうど中国・四国ブロックのブロック大会を鳥取県で開催いたしまして、非常にいろいろな形で刺激になりました。この懇談会がより多くの障害を持った方々、それから、支援者の方々の一助となるように、これからもぜひよろしくお願いいたします。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 続きまして、岡部構成員、よろしくお願いします。

 

○岡部構成員

 一般財団法人たんぽぽの家の岡部と申します。きょうはお招きいただき、本当にありがとうございます。

 たんぽぽの家の活動なのですけれども、私が今、35歳ですが、私の年をはるかに超える、40年以上にわたる活動をしています。もともとは奈良県の重度の障害を持つ人の親御さんたちが、自分たちの障害のある子供たちが学校を卒業した後に行く場所がないということで、自主的につくる運動を始めたというのがきっかけです。ちょうど40年目になるのですが、活動の起点となったのがわたぼうし音楽祭という、まさに障害のある人たちが自分たちで自己表現をする場をつくるというものでした。音楽祭は、障害のある人が詩を書いて、そこにミュージシャンが音楽をつけて、それを舞台の上で歌うというものですが、そういった運動が今に続いておりまして、広くアート活動のサポートということに至っています。

 たんぽぽの家が目指すのは、きょうのいろいろなお話にもリンクしますが、全ての人が創造的に豊かに生活をしていくために、文化芸術活動を使ってさまざまな取り組みをしていくということです。その中でも特徴的なのは、市民参加型、市民主体になっていくこと、当事者が必ずそこにいるということだと思っています。当事者性を重んじているのですけれども、当事者というのは、障害のある人ももちろんそうですが、それを支える人、また、地域にいる市民の人たちが主体的に芸術文化を楽しむ、生活を楽しんでいくということです。

 奇しくもなのですけれども、私たちの役割だなと思っているのが、先ほど鳥取の御報告もありましたが、全国の障害者芸術・文化祭が、佐賀、鳥取、ともに御依頼をいただきまして、お祭りが終わった後に私たちが行きまして、福祉を変えるアート化セミナーを実施させていただいています。この取り組みはもう10年以上前から自主的にたんぽぽの家が取り組んでいるものですが、主に福祉施設の職員を対象にして、日常の中で障害のある人たちのアートをどう捉えるか、そして、それをどう支えていくかという取り組みをしています。もちろん、フェスティバルなどで盛り上がってハレの場をつくるのはとても大事だと思うのですけれども、むしろそうではない三百六十何日、日常の中で彼らの表現をどう捉えて、どう発信していくのかということを私たちは支えていくような立場なのだなと思っています。

 あと、大事にしているのが、とにかく支援が届きにくいところや、特別なニーズがある人たちのところに行こうということです。よく言うのが、私たちは制度から漏れ落ちていくものに対してまなざしを持とうと言っていまして、それが例えば、今で言うと、東北支援です。たんぽぽの家ととともに活動しているNPO法人エイブル・アート・ジャパンとともに、被災地の障害のある人たちの活動支援を芸術文化で行っています。

 ちょっと話は長くなるのですけれども、最後に、私たちが大事だと思っているのが、アートはとても大事なのですけれども、さまざまな価値判断を、障害のある人もない人も、専門家もアマチュアも関係なく、一人一人がそれぞれの評価軸を持って価値判断をしていくことだと思っています。どうしても私たちは評価の定まっていないものに対して自己判断を停止してしまう、私個人もあるかもしれないですが、そういう傾向があるように思っていて、どうしても専門家の言うことを100%信じてしまったり、なかなか自分に自信が持てないという方が多いと思います。さきの原発事故以来、専門性のもろさといいますか、専門性だけに頼り切らない価値判断を大事にしなければいけないと思っているのですけれども、実はアートというのは、自分たちが何を大事とするか、自分たちが何が好きかという非常に単純なものですけれども、そういったものを育んでいく力があるのではないかと思っています。

 ちょっと話が長くなりますので、これで終わりにしたいと思いますが、またよろしくお願いします。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 続きまして、小林構成員、お願いいたします。

 

○小林構成員

 失礼いたします。昨年、大会を開催いたしまして、目の当たりに、障害のある方が芸術・文化活動を発表されるときの笑顔でございますとか、それを応援している県民の方の姿を見ますと、障害のある方にとって、芸術文化活動は一つの生きがいでもあるのだろうなと感じたところでございます。

 鳥取県といたしましては、昨年、大会を開催いたしまして、やっと障害者の芸術文化活動振興のスタートラインに立ったのかなと。今後も引き続きそういった活動を振興するように方策をとっていきたいのですけれども、そのためにも、一つの方策として、東京オリンピック・パラリンピックに向けたカルチュラル・オリンピアードの中で、障害者の芸術文化振興を一層やっていくことが重要かなと考えております。

 鳥取県といたしましても、他の都道府県の皆様と一緒になって連携しながら、そういった活動に取り組んでいくといったことの一翼を担いたいと考えておりますので、国等の御支援等があれば大変ありがたいという面もあるのですけれども、民間の各団体とも連携しながら、そういった取り組みが進んでいけばと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

○本郷座長

 ありがとうございます。

 重光構成員、お願いします。

 

○重光構成員

NPO法人の障碍者芸術推進研究機構の重光と申します。

 私どもは法人を設立して活動を始めまして満4年、法人としては5期目なので、まだ取り組みが浅いのですけれども、私どもの特徴としましては、私たちが活動を始めた出発は、教育現場での取り組みからスタートしているというところが、全国的には例は少ないのではないかと思っております。教育現場で取り組みを始めて、卒業した人たちが行き場がない、活動する場がない、いわゆる筆を折るという状況はたくさんあると聞いて、そういう場を確保していこうということで取り組みを始めております。

 京都市立の学校は、児童・生徒減で学校統廃合をまちの中心部等で進めているのですけれども、現在もまだ跡地活用が定まっていない学校が20校近くございます。その中の一つ、東山区にあります新道小学校の2階と3階6教室を借りて、アトリエとして活用しております。これまでは余暇活動的に、福祉施設に、就労B施設とか生活介護施設に通っている人が土日活動できるようにあけてきたのですけれども、中には、福祉就労施設で作業の中身が合わない、もっと絵を描きたいのだけれども、実際には違うことをしているということで、平日も活動できないかという声が出てきておりまして、この秋から福祉施設と私どもが提携して、平日のアトリエを開催する。毎日月曜日から金曜日まで、丸一日、5日間開催するという計画を今、進めておるところでございます。

 福祉施設と私どもが提携しながら、市内全域で、活動の場がない人たちに平日の活動の場も提供していくというふうに、今、計画を進めておるところでございます。

 以上でございます。

 

○本郷座長

 続きまして、柴田構成員、お願いします。

 

○柴田構成員

 柴田でございます。初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私から4つばかり申し上げたいことがございます。

 1点目は、つながりということでございます。障害のある方々とともに、活動を支える場をどのようにつくっていくかということが重要ではないかと思います。今の鳥取県の事例を拝見して改めて気づかされたことは、人の輪が人から人へつながっていくという、このつながりが物すごく重要なのではないかと、改めて思いました。人脈ネットワークとか、ノウハウの獲得とか、意識改革とか、言葉であらわすと、こういう平たいことになってしまうのですけれども、人が人にどのような形で何を伝えていくかということがすごく重要ではないか。それが2020年まで、それ以降に続くような形でロードマップをつくっていくことが重要なのではないかと思いました。

 2点目は人材についてです。私は芸術文化活動を支える立場の人間で、通常はプロデューサーとして、劇場経営者として活動しているのですけれども、このような活動を支える人材を多く輩出することが重要かと思います。施設の職員、文化ボランティア、地域住民などの育成を積極的に図っていく必要があるのではないかと思います。

 私の数少ない経験ですけれども、札幌でプロデュースの仕事をしておりました折には、副音声の鑑賞ガイドとか、手話の観劇会とか、点字台本の作成とか、送迎サービスなどを地元の文化ボランティアの方々と福祉ボランティアの方々と協働で実践しておりました。地元の人材の育成ということが非常に重要かと思います。

 3つ目に環境でございます。ハードについての環境整備もしないといけないのではないかということを常日ごろ考えております。施設のバリアフリー化、鑑賞環境の充実、創造活動の環境整備など、たくさんあります。公文協の平成26年度の調べを見てみますと、この5年間に大規模改修を行いたいと希望している施設は約80%あります。しかしながら、バリアフリー化を希望している施設は7%に過ぎないというデータが出ております。ここら辺、どういうふうにしていくのかがこれから大きな課題なのですが、創造する側も、鑑賞する側も、それを支援する側も、安心・安全ということが非常に重要でございますので、それをどう担保するかということが重要かと思います。

 4点目に、社会への波及効果についてであります。2020年に向けて、全国的な機運の醸成、それから、地方の声をどのように中央に、全国に届けていくのかということが非常に重要だと思っております。社会参加の機会、文化の多様性の拡充と言ってもいいと思うのですけれども、全ての国民一人一人が全ての面で平等にアクセスできる機会、システムを持つ社会をつくっていくことが重要ではないか。これがこの活動につながっていくのではないかと考えております。

 以上です。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 それでは、鈴木構成員からお願いいたします。

 

○鈴木構成員

 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)の鈴木と申します。

 私の専門分野は、舞台公演やイベントの企画制作なのですが、障害者の方との芸術活動や支援活動は始めて15年になります。ビッグ・アイは、厚生労働省の委託を受けて2001年より、障害のある人が芸術文化を通して社会参加を実現することと、また、国際交流の実現も果たせることを目的に事業運営をしております。

 主な事業は、障害のある人のアート活動や優れた作品を発掘し、社会へ発信するとともに、国際交流の機会を促す事業として、2011年よりビッグ・アイ・アートプロジェクト作品募集事業、障害者の国際アートコンクールというものを実施しております。これまで日本国内だけではなく、海外からは、アジア、北米、南米、ヨーロッパから約20の国が参加していただいております。

 また、ビッグ・アイの開設当初より行っているのが、視聴覚障害者への情報保証や知的障害者への鑑賞支援など、障害の種別に応じた鑑賞支援のサポートも行っております。ビッグ・アイでは、舞台公演、ワークショップ、イベントなどを年間50事業ほど実施しているのですけれども、障害者の参加率は約40%になっております。

 障害者の芸術文化振興についてですけれども、これまで多くの障害者の方のアートや舞台芸術を通じて感じていることは、芸術表現の活動の前にある鑑賞、舞台芸術に触れる、楽しむということがなかなかハードルが高くてできない障害者の方が多いと感じております。

 今回の懇談会であったり、差別解消法が来年度からスタートするのですけれども、そういうことをきっかけに、これまでビッグ・アイがやってきておりました鑑賞やセミナーとか、単純に参加するというところへの支援、こういったものを全国文化施設や、できたら美術館、博物館などにも支援の波及をしていける、アプローチをしていけるようなことを、今後、ビッグ・アイとしても課題として考えております。

 以上です。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 続きまして、田中構成員、お願いいたします。

 

○田中構成員

 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。

 ちょうど1年前に、全日本手をつなぐ育成会という社会福祉法人のほうは、事業体としての役割を終えて解散する運びとなりまして、今は全国の都道府県・政令指定都市のそれぞれの会が連合体を通して運動体を継続していくということで会を維持しております。

 昨年の6月に発行した雑誌が通算700号になる、こういった表紙で、表紙のほとんどを障害のある方の絵を活用して雑誌をつくってまいりました。そのような会の歴史とともに、今、さまざまな動きが、障害のある方の特性にスポットを当てて、それぞれの個性や才能が生み出す芸術が多様な人々をつなぐ架け橋となるという視点で、会としても捉えていきたいと思っております。

2020年にオリンピック・パラリンピックが開かれることに向けて、先ほどもオリンピアードの話がありましたけれども、会としても、このさまざまな動きに、特に民間で横の連携をとりながら、この運動を盛り上げていきたいと思っております。オリンピアードですので、国内だけにとどまらず、欧州やアジアの人と交流するプログラムに取り組んでいきたいと思っております。

 特に日本の障害者のアートに関しては、アール・ブリュットという考え方のもとでプラットフォームをつくっていければと思っていますし、先行するヨーロッパ、もしくはこれからのアジアの中からも、成熟した社会のあり方が示されている、優しさがある絵だという評価も得ていますので、それらをこのオリンピアードのかかわりの一つのツールにしていきながら、今、文科省には、オリンピアードの役割の中で、民間の親善大使、フレンドメンバーシップと言えるようなかかわり方をさせてもらえないかというアプローチをしていきたいと思っています。

 そして、2018年に日本とスウェーデンの国交樹立150周年の記念の行事が行われるとされておりますが、スウェーデンからも、日本の特別支援学校に、このようなアール・ブリュット作品の展開についての学びを得たいということで直接問い合わせが来ておりますので、会としても、そのようなかかわりについて積極的に応援をしていきながら、両国の教員並びに生徒の人的交流や、インターネットでの情報共有などにも働きかけをしていきたいと思っています。

 また、2017年には、フランスのナントで文化交流事業が行われる予定でおりますので、そこにも積極的に参加をして、さまざまな活動を通して、障害のある御本人の多様な価値観を多くの方に知っていただく機会に広げていきたいと思っております。

 以上です。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 野澤構成員、お願いいたします。

 

○野澤構成員

 こんにちは。毎日新聞の野澤と申します。

 本業は新聞の論説委員なので、社説を書く仕事をしております。社会保障全般が私の担当なのですけれども、障害者関係は、28歳の長男が重い知的障害と自閉症という障害がある関係で、かれこれ20年ぐらい前からいろいろな立場でかかわってきました。お隣の田中さんが先ほど言っていらした、解散した全日本育成会、最後のほうでは理事だったり、権利擁護委員会だとか、「手をつなぐ」の編集長をやったりとかしておりました。厚生労働省のいろいろな制度改革の検討会も最近は声をかけていただいて、週に1回ぐらいは藤井部長や川又課長と顔を合わせているという立場であります。

 私の長男は絵のほうは全く理解ができていなくて、小さいころからあれこれしようと思っているのですが、ほとんど関心を示さない。ただ、音楽については非常に強い感受性を持っていて、特にロックが好きで、武道館に私と一緒に行ったり、若いヘルパーさんと一緒にライブハウスで4時間ぐらい踊りまくって帰ってくるみたいなことをしております。

 美術のほうは、ヨーロッパで日本のアール・ブリュットが連続して展覧会を開くということがあって、オランダのハーレム市とロンドンで行われた展覧会に2回行ってまいりました。前々から作品はすばらしいと思っていたのですけれども、現地で非常に注目されているのに衝撃を受けたのですね。私も記事で何とか紹介したいと思っているのですけれども、古いメディアのせいか、障害者の娯楽だとか、レクリエーション、趣味のようなものとしてしか見てくれないのですね。そうではなくて、ヨーロッパに行くと、彼らはアーティストとして評価されているということを目の当たりにしまして、これは日本の認識を相当変えていかなければいけないのではないかと思ってきました。

 いろいろな可能性だとか、価値があると思うのですけれども、これまではともすれば福祉の受け手だとか、支援される側、受ける側として位置づけられていた障害者が、そうではなくて、文化芸術を発信する側、全く180度違う立場に立っていることに私は非常に興味を持っていて、特にすばらしい作者の中には、言葉も発しない最重度の、同じ飛行機で行っても、飛行機の中で自分の頭をたたいているという行動障害を起こすような彼もいたりまして、これまでは福祉の現場や社会の中では厄介な人たちみたいな見られ方をしていた人が、そうではない、全く違う立場に立っているということで、最近は非常に刺激を受けております。

 よく、障害者、みんな違って、みんないいとか言われて、あるいは多様性と位置づけられていますけれども、さまざまな価値を認めていこう、その中の一つ、当然それでいいと思うのですが、私はその向こう側に、全員が全員そうではないのですけれども、むしろ社会をリードする、これから進化させていく推進役、リーダーとして、彼らの存在もあり得るのではないかと、本気で考えてきました。ヴェネツィアビエンナーレで1人、澤田真一さんという方がアーティストとして招待されたりしています。障害者の社会参加としての文化芸術、もちろん、それがベースでいいと思うのですが、そうではなくて、これから社会にイノベーションを起こす起爆剤なので、政権の成長戦略にぜひ位置づけていただきたいぐらいの思いがしております。そうした役割がこの会で果たしていくことができればいいなと思って参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○本郷座長

 ありがとうございます。

 続きまして、日比野構成員、お願いします。

 

○日比野構成員

 今、野澤さんがおっしゃったこと、私も思っていまして、単純に人がどうして何千年かけて、それこそ何万年かけて、今、こういう状態になってきているのかなと思うと、人と人がかかわることによって、まざることによって、自分もわかるし、1足す1が2ではない、違うことが生まれてくるしということの連続だと思うのです。こういうミーティングという形式もその中から生まれてきて、意見交換とかするのでしょうし、言葉だけではなくて、自分の考えていることを絵にしてみて、人に見せて、鑑賞して、どう思うとか、何か知らなかったことが絵の中にあるからといって気づきがあったりとかということの連続で、人間が進化したというのですか、ここまで来ていると思うのですね。

 だから、私たちは、教育とか、会社とか、企業とか、いろいろ言いますけれども、一番もとのところは、個と個がかかわることによって生まれるという、人間のすごい単純な力があると思うのですね。それを改めて気づかせてくれるというのが、ここ数年、「アール・ブリュット」という言葉であったり、「障害者アート」という言葉であったり、弱者という、障害に限らず、社会の中の、例えば、老人とか、母子家庭とかも含めて、社会の中のメーンストリームではない、周辺というのですか、というところとのかかわりの中で、自分にないものと接することによって、今まではそういうものに接しなくて、王道を行けばそれでいいという社会もあったのですけれども、いやいや、そうではないよねということを、今、改めて感じるようになっていて、その気づきによって、個と個が、自分にないものと接することによって、違うものが今、生まれかけているような気がします。

 例えば、今、文化庁とか、厚労省とか、鳥取県の紹介で、いろいろな障害者の文化祭的な、いろいろな催し物か紹介されていましたけれども、そういうところで学ぶことはすごくたくさんあって、片や、この場で話すことではないのかもしれないのですけれども、例えば、学校教育という、6・3・3で学制があって、月曜日から金曜日まで時間割があって、1時間目というフレームがある中での教育というものさえも、それが本当にこれから有効なのかなという、それで放課後とか週末になると、いろいろなワークショップがいろいろな地域で、その枠を超えて、自分にないものと接する場がたくさんあるという状態があって、学校に行くと同い年の子がいて、きのうの続きをやってという、その蓄積的なものとの比較とかを見ると、それが全く違う、反転するときがあってもいいのではないか。日常の中でいろいろな違うものと出会って、蓄積的な教育は何かネットの中でやるようなこともできるのではないか。よりリアルな世界での体験、経験、気づきというものがもっとメーンになるような社会が、障害者の研究というか、美術とかアートとかのプログラムをきっかけにして生まれてくるような、まさに野澤さんがおっしゃっていた、その次の、その向こう側の、2020のレガシーよりもっと先の展開のきっかけになるようなことが、ここ数年をきっかけにして動いていけばいいなと思いますし、そういうものにするだけのいろいろなものが、それなりにいい動きで絡み始めているのかなと思っています。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 保坂構成員、お願いします。

 

○保坂構成員

 東京国立近代美術館の学芸員をしております保坂と申します。

 アール・ブリュットを研究するという立場から、障害者の芸術文化というものにかかわっております。美術館で働いていると、いろいろな連絡をいただくのですけれども、最近ですと、あるアメリカのギャラリー、現代美術のフィールドにおいては非常に重要なギャラリーなのですけれども、そこがアール・ブリュットの作家として知られるある人を扱いたいということで、どうしたら扱えるのだみたいな話があったり、あとは、タイのアーティストが日本のアール・ブリュットの作家のドキュメンタリーをつくりたいのだけれども、誰をとったらいいのだとか、いろいろな連絡を頂戴します。恐らく私だけではなくて、ここに参加されている方は、そういう連絡を国内外からもらっていると思うのですけれども、そういう情報が共有できるような場、全部に発信するか、関係者で共有するか、いろいろな考え方があるかと思うのですけれども、何かそういう場があってもいいのかなと思ったりもしています。

 今年度は多分、アール・ブリュットに関してはいろいろな動きがあると思うのですが、1つは、滋賀県が、県立近代美術館がという形になりますけれども、今年度から作品を収集するという方向で動いているかと思います。私も美術館でずっと働いているので、これがどういうインパクトを持つのか、意味を持つのかということは非常にわかるのですけれども、そこに踏み出されるということで、期待をしています。

 それとは関係なくなのですけれども、私のほうも、勤務先のある種の助成金を得る形で、1022日ぐらいからパリで開催されますアウトサイドアートないしアール・ブリュットのアートフェアというものがあるのですけれども、そこに現状調査をしていく予定です。

 先ほど岡部さんが言葉を選んで言われていたかと思うのですけれども、私はアール・ブリュットという立場からかかわっていて、ある種の専門性の立場からかかわっているのですが、障害者の芸術文化振興をどうしていくか、そしてそれを2020年に向けてどうしていくかということを考えたときに、実際にはレンジが広いと思うのですね。アール・ブリュットと言われるものからなのか、までなのか、よくわかりませんけれども、呼ばれないもの、だけれども、ある種の場をつくっていくようなもの、そういう意味で、非常におもいしろいもの、楽しいものもあったりするかと思います。

 実際、それは障害者がやることだけではなくて、本当は健常者のほうにもあるはずで、健常者がつくるアート性の高いものと、そうではなくて、もう少し場的に見て楽しいものはあるはずで、実は非常に広い広がりを持っているわけですね。恐らく、非常に広い広がりを2020年に向けてどう受けとめてというか、それを発信していくか、あるいはプログラムをつくっていくかということが大事だなと思っていて、個人的には、そういうのは日比野さんみたいな人がとても得意とされているところなので、どう考えられているのかなというのはすごい気になるのですけれども、レンジの広さで言うと、さらにそれを東京の問題で考えるのか、日本の問題で考えるのか、アジアの問題で考えるのか、世界の問題で考えるのかというところもまた難しいけれども、楽しいところで、先ほど田中さんからも話がちらっと出ていましたけれども、恐らく今後の動きとしては、アジア、近隣諸国に対して、今、自分たちが考えている、私の場合ですとアール・ブリュットになるのですけれども、アール・ブリュットという考え方を、正直、まだそんなに定着というか、認識されていないところもあったりするので、現代美術は一方で人気となっている中で、アジア諸国に対して、アール・ブリュットという考え方をもって、また別の側面から文化を支えていきましょうということをやっていけるのではないかと考えたりもしています。

 以上です。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 本日は、議事の順番を変更して進めさせていただきましたが、社会福祉法人グローの齋藤様がお見えになりましたので、議事4の「(2)平成26年度障害者の芸術活動支援モデル事業の実施状況について」、齋藤様から発表をお願いしたいと思います。

 齋藤さん、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

 

○齋藤氏(社会福祉法人グロー)

 社会福祉法人グローの齋藤と申します。

 本日は大変遅くなってしまって申しわけありませんでした。構成員の田端も、新幹線、私より後ろに乗っていたもので、今、新横浜ぐらいというのがメールで届いておりますことを御報告します。

 本当は私は1時間半ぐらい前に来て、実はきょうは私の30代最後の誕生日なもので、自分にごほうびで、せっかく東京に来るので、おいしいランチを食べようかなと思っていたのですけれども、こんなことになってしまいまして、新幹線でも車販の弁当が全部売り切れていて、じゃがりこを食べてまいりました。今、ちょっとおなかがすいている状況ですけれども、簡単に、前年度行いました障害者の芸術活動支援モデル事業の実施状況について御紹介させていただきたいと思います。

 事業の中身については、厚生労働省から御説明があったかと思いますので、詳しくはお話ししませんが、僕らがモデル事業連携事務局の設置という部分を担わせていただいたことについて、きょう、恐らくお手元に「障害者の芸術活動支援取り組み事例集」という冊子をお配りしているかと思うのですけれども、そこを参照いただきながら御報告をさせていただければと思います。

 先ほど御説明があったと思いますけれども、ごらんの5団体が前年度採択を受けまして、きょう、岡部さんがお見えになっていますけれども、たんぽぽの家とも一緒に事業を進めさせていただきました。

 僕らが担わせていただいた事業連携事務局の業務内容を御紹介しますと、このモデル事業の目的自体が、モデル事業実施による成果の普及による障害者の芸術活動支援の推進ということがありましたので、1つに、各実施団体間の情報共有を図っていこうということと、また、各実施団体の円滑な事業運営を促そうということと、モデル事業の実施状況自体を全国に発信していこうということと、最後に、これは複数年での取り組みになるとは思いますけれども、全国に普及可能な支援モデルを整理していくことを試みました。各実施団体の情報共有に向けては、各実施団体にお集まりいただいて、連絡会議を開催しましたり、各実施団体からの問い合わせに対しまして、相談対応とか、情報提供を行っていました。

 また、円滑な事業運営を促す取り組みといたしましては、実際にそれぞれの団体に訪問をさせていただいて、事業の実施状況をお伺いしたり、実施団体向けの勉強会を企画して開催したりしています。

 また、モデル事業の実施状況を全国に発信することについては、専用サイトを構築したり、ことしの2月ですけれども、実践報告会を滋賀県の大津市で開催をさせていただきました。

 また、支援モデルの構築に向けた取り組みとしましては、昨年度はお手元にあります事例集をまとめてみたということでございます。

 それぞれの取り組み状況について御紹介しますと、こちらが1回目の連絡会議の様子の写真です。

 連絡会議には各実施団体の代表者ですとか、あとは芸術や、著作権や司法の専門家の方,また厚生労働省や文化庁の関係の方にも御出席いただいて、1回目の会議には、きょうお越しの野澤さんにも御出席をいただきました。その節はありがとうございました。

 3回、モデル事業連絡会議を実施しておりまして、1回目の会議では、それぞれ初顔合わせということで、実施団体の紹介ですとか、事業計画の共有、またモデル事業連携では何をするのかということの成果の目標についての共有をしました。

 また、事業計画の共有の際には、大きなスケジュールボードを壁に張り出して、こういうものですけれども、どれぐらいのスケジュールでどの事業をやっていくかというワークを、アイスブレークも兼ねて取り組みました。

 2回目には、後ほど紹介する巡回訪問の際に、各実施団体に一通りお伺いした後で、そのときに話題となった、相談を受けたときにどう分類していったらいいのかという話題が多かったこともありまして、相談支援の内容の分類を中心に議論をしました。

 3回目には、相談分類のさらなる精査と、あとは、事例集の内容とか、レイアウトの確認、完成までの今後のスケジュールを確認しております。

 これが、ちょっと見えにくいですけれども、9月から3月まで、およそ半年間でしたけれども、それぞれの実施団体がいつ、どのような事業を実施するかということを1回目に共有をしています。

 こちらもモデル事業連携の一つの成果である相談支援の分類シートですけれども、お手元の事例集の10ページをごらんいただきますと、分類の項目と、5つの実施団体に寄せられた相談件数が記載してありますので、御参照いただければと思います。横に相談者別、縦に相談者内容別を記しています。相談者内容別では、大きく、創作環境に関する相談、また展示機会に関する相談、作者の権利保護に関する相談、作者・事業所への取材に関する相談と分けました。

 次に、巡回訪問ですけれども、各実施団体の方々に2回ずつお会いしに伺いました。中でも1回目につきましては、ごらんいただいている6つの内容について話題にしてやりとりをしたということでございます。

 巡回訪問の際に、勉強会の企画に当たって、どんな勉強会を御期待ですかというお話をしたところ、これまでそれぞれの団体でも取り組みが余りなかった相談窓口を開いたときに、権利保護、作品の利用に関する相談が寄せられた場合、具体的にどのように対応すべきかということが各団体へ巡回訪問した際に話題になっておりましたので、前年度の勉強会では、2回とも権利保護をテーマに勉強会を企画しています。

 1回目の勉強会では、以前の障害者の芸術活動支援を推進する懇談会の構成員でもあった中久保弁護士に、作品の著作権や所有権についての講義をいただいた後、相談対応に関するグループワークを行っています。例えば、作品をモチーフにグッズをつくりたいという相談がセンターに寄せられた場合、何をどのような順序で確認すべきかということをグループワークで話し合いました。

 2回目は、実際に滋賀で受けた相談の事例を用いて、相談事例の検討会のようなことを実施しています。このときにも中久保弁護士に出席いただいて、およそスーパーバイズのような役回りで御出席をいただいたということをやっております。

 また、全国への発信に向けて専用サイトを構築しました。昨年の12月2日に開設をしまして、ことしの6月15日現在で4,786件と、そんなに多くはないのですけれども、いろいろな方々にごらんをいただいています。

 例えば、サイトの中では、各実施団体が自身のセンターのホームページにアップしたニュースが自動的にこのように順番に紹介をされるようなページを設けてみたり、それぞれの実施団体の紹介ページはもちろんのこと、事業実施カレンダーでそれぞれの実施団体がいつ、どのような催事を実施するかということも閲覧できるような仕様にしています。

 また、全国に向けた発信として、2月7日に滋賀県の大津プリンスホテルで実践報告会を開催しました。そのときには、まず、厚生労働省の川又企画課長に日本の障害者の芸術活動の現状や、これまでの経緯、またモデル事業の事業概要などについて御説明をいただきました。そして後半に、それぞれの実施団体から、2月時点でのこれまでの取り組みと今後の展望について発表していただいております。

 最後に、お手元にお配りしている事例集ですけれども、事例集では、相談支援、人材育成、権利保護、それぞれについて、各実施団体の取り組み状況をまとめております。

 相談支援の部分では、先ほど分類項目について紹介をいたしましたが、各実施団体の相談活動回数ですとか、あとは、それぞれ実施団体が受ける特徴的な相談がある一方で、典型的な相談もございましたもので、典型的な相談についてはQ&Aで載せたということとか、特徴的な相談については、事例として、もう少し詳しく掲載をしています。

 また、人材育成については、それぞれの実施団体がどのような地域に対して課題意識を持って研修を企画したのか、そして実際にどのような成果が得られたかについて、それぞれの団体から御寄稿をいただいて紹介をしています。87ページには、各実施団体が招へいした講師の一覧をまとめるなどしまして、実際に今後、研修会を企画したいと思った際に、その団体の方が手に取って役立つ情報としてもまとめております。

 権利保護については、ごらんいただいているような、ちょっと見えにくいですけれども、それぞれの団体が取り組む事例を、ごらんのような見出しで紹介をしているという状況です。

 その事例集をまとめる段で、今回、連携事業の紹介だけではなくて、全体をできるだけ紹介してほしいとお伺いしていたもので、あくまで事例集から、実施団体が寄せてくださった成果を抜粋して紹介をします。

 エイブル・アート・ジャパンからは、モデル事業の実施を契機として、芸術分野との人的ネットワークが生まれたことですとか、県内の情報把握、調査を行ったことによって、県内にどのような資源があるのかという情報が蓄積できたという成果が寄せられました。

 また、愛成会からは、これもネットワークですけれども、ほかの団体と事業を実施することによってネットワークが生まれたということですとか、弁護士による無料相談を実施したことによって、柔軟な相談対応がかなったことに加えて、そこに同席したスタッフのスキルアップにもつながったという成果が寄せられました。

 私たちグローとしましては、連携事業を通じて相談内容を分類できたことによって、相談対応に必要な情報が整理されたことですとか、そのことに加えて、実際に情報収集して、データを、例えば、全国の公募展情報とか、そういうことを整理したことを成果とさせていただいたり、あとは相談対応と権利保護に関する研修の開催によって、滋賀県が4年前に福祉事業所向けに策定した著作権保護ガイドラインの普及が県内で進んだことなどを成果としています。

 また、たんぽぽの家からは、県内の20調査の実施を通して、芸術活動支援を進めるための提案がまとめられたことですとか、また、相談は以前からお受けになっていたとのことですけれども、相談窓口をしっかり設けたことで、当事者からの相談がふえたということが報告をされています。

 最後に、ひゅーるぽんからは、事業を始めてみて、改めて山間部や島嶼部からの相談が多いことを受けて、これまでその地域に支援が届いていなかったことを実感されたということですとか、これもほかの団体と共通しますけれども、事業の実施を通してネットワークが県内に生まれつつあるということが報告をされました。

 今年度につきましても、引き続きグローが今回モデル事業の連携事務局を担わせていただけることになりましたので、今年度は団体も7つにふえていると伺っておりますので、実際に各実施団体が行う事業をまとめさせていただきつつ、さらには、全国に普及可能な支援のモデルへの提案についても踏み込んで成果をまとめていきたいと考えております。

 また、このように障害者の芸術活動支援のモデル事業が国で始まったことを受けて、実は滋賀県にもいろいろな自治体や、あるいは民間の事業所から、これは滋賀県にとどまらず、各県からですけれども、比較的多くの活動を始めるとか、活動をさらに充実させたいという相談が寄せられてきました。特に前年度は。改めて国が障害者の芸術活動支援に取り組み始めたことの効果というか、影響を感じているところです。私たちも、さらにこの取り組みを進めていきたいと思っております。

 ちょっと駆け足になりましたけれども、以上です。御清聴ありがとうございました。

 

○本郷座長

 ありがとうございました。

 今の発表、質問か何かございますでしょうか。

 なければ、時間もまいりましたので、本日はここまでとしたいと思います。

 事務局から何かございますか。

 

○長井自立支援振興室長補佐

 事務局でございます。

 次回の予定でございますけれども、構成員の皆様の御予定を伺いまして、日時等を追って御連絡をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○本郷座長

 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会> 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会(2015年6月30日)

ページの先頭へ戻る