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2016年9月2日 第二回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

医政局

○日時

平成28年9月2日(金)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議事

○桑木室長補佐 ただいまから、第2回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 議事に入ります前に、新たに構成員になられた方の御紹介をいたします。公益社団法人全日本病院協会副会長の猪口雄二構成員です。

 また、本日は、九州大学名誉教授・九州労災病院院長の岩本幸英先生、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢先生を参考人としてお呼びしております。

 なお、私どもの医政局の神田につきましては、別用がございまして、後ほどこちらに参りますので、御了承いただければ幸いと思います。

 初めに、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか資料1-1、1-2、2-1~2-3、資料3と資料4をお配りしております。不足がございましたらお知らせください。

 議事に入ります前に、まず、団体を代表して御参加いただいている構成員の方が欠席の際には、かわりに出席される方について、事前に事務局を通じて座長の了承を得ること、及び、当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言をいただくこととしておりますが、本日の会議につきまして、池端構成員の代理としまして、日本慢性期医療協会の井川参考人を代理として出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桑木室長補佐 以後の進行は田中座長によろしくお願いします。

 報道の方でカメラ撮りをされている方がございましたら、ここまででよろしくお願いします。

(冒頭カメラ撮り終了)

○田中座長 皆さん、おはようございます。

 早速議事に入ります。事務局資料に基づいて議論を行うため、初めに事務局から資料の説明をお願いします。

○伯野医師確保等地域医療対策室長 地域医療計画課の伯野でございます。

 それでは、資料に沿って説明をさせていたければと思います。

 まず、資料1-1をごらんください。前回のワーキングでの構成員の皆様方からの主な意見を整理したものでございます。

 まず「在宅医療と介護の整合性について」でございますが、1つ目、2つ目の○にございますとおり、在宅医療の需要を考える上では、サービス付き高齢者向け住宅の動向もしっかり把握すべきという御意見。

 3つ目の○でございますが、療養病床の受け皿の議論の動向次第で在宅医療の需要が変わってくるのではないかという御意見をいただきました。

 次に「現状把握のための指標について」でございますが、1つ目としましては、サービスの実績に注目した指標を充実させる方向性は重要である。

 2つ目、医科のみならず歯科などのニーズをどのように把握するのか、考え方を整理する必要がある。

 3つ目としましては、ケアマネジャーの活用を強化することで効果的な在宅医療を提供できる環境につながるのではないか。

 4つ目は、連携の指標として、退院支援加算を指標にしてはどうか。

 5つ目として、機能強化型の訪問看護ステーションもいい指標ではないか。

 2ページ目の一番上、在宅死亡者数のみがアウトカム指標となっている点に違和感がある。在宅時々入院というのも立派な在宅医療ではないかといった御意見でございます。

 次に「在宅医療の充実のための施策について」でございますが、1つ目から3つ目の○にございますとおり、在宅医療の体制を構築する上では、都道府県の支援が必須である。また、その際には保健所が力となり、郡市医師会の力も非常に大きいという御意見がありました。

 4つ目でございますが、圏域の設定に当たっては、地域性に応じて柔軟に設定すべきという御意見でございました。

 5つ目でございますが、退院支援ルールの有効性についてコメントをいただいております。

 6つ目、7つ目でございますが、住民への理解や急性期病院の医師への理解など、在宅医療を提供する者以外への理解が必要という御意見をいただきました。

 最後に、高齢者だけではなく、小児、精神疾患、障害者の方々も含めて、地域包括ケアの範疇であるという御指摘もいただいた次第でございます。

 続いて、資料1-2「在宅医療に関する見直しの方向性について(案)」をごらんください。

 1ページ目、第1回のワーキングの御意見などを踏まえまして、在宅医療に係る見直しの方向性について整理をさせていただいております。

 まず「1.目標設定について」でございますが、高齢者の増加に伴い増大する慢性期の医療・介護ニーズに確実に対応していくため、地域の医療機関で対応すべき在宅医療の需要や目標とする医療機関数やマンパワーなどの提供体制について、都道府県に考え方の記載を求める必要がある。

 2点目でございますが、目標とする提供体制を検討する際には、在宅医療サービスと介護サービスが相互に補完する関係にあることや、介護保険施設等の整備状況に地域差があるという状況に鑑みまして、医療計画をつくる都道府県と、介護保険事業計画をつくる市町村とが協議をする場を設置した上で、お互い整合的な目標を検討する必要があるというのが2点目でございます。

 3点目、第1回の意見でもございましたが、サービス付き高齢者向け住宅の整備状況の把握を地域によって検討する必要があるということとか、療養病床の受け皿の動向を踏まえて検討する必要があるということが、前回のワーキングで御意見が挙がっておりましたので、サービス付き高齢者向け住宅の整備計画や療養病床の動向など、在宅医療の提供体制を考える上で、地域において留意すべき事項や協議の進め方について、今後国において整理し、都道府県に示していくことが重要であるとさせていただいております。

 次の2ページ「2.指標について」でございますが、まず1番目、現状では各医療機能との関係が不明瞭なストラクチャー指標がありますので、そういった指標を見直した上で、医療サービスの実績に着目した指標を充実していく必要がある。

 2点目でございますが、医療・介護の連携体制について把握するための指標や、高齢者以外の小児等に係る在宅医療の体制について把握するための指標を充実していく必要がある。

 3点目、現在、アウトカム指標として在宅死亡者数のみが挙げられておりますが、みとりに至る過程を把握するための指標を充実するなど、見直しを行っていく必要がある。

 4点目、具体的な指標については、今、申し上げたような趣旨を踏まえつつ、今後、都道府県がそもそもデータを取得できるのか、あるいは継続的なデータ取得が可能なのかといった点も確認した上で、決定していくこととするとさせていただいております。

 (参考)として、ここに提示させていただいているものに限定するわけではございませんが、「新たな指標の例」を掲載しております。

 次に3ページ「3.施策について」でございます。

 第1回のワーキングのときに説明させていただきましたが、現状でも在宅医療の圏域を設定することになっておりますが、都道府県の中で圏域の設定を行っていないところも多いことから、効果的な対策を講じるためには圏域の設定や課題の把握を徹底するよう求める必要があるとしております。

 補足をさせていただきますと、こうした圏域の設定によって逆に患者の動きに支障が生じたり、あるいは提供体制に支障が生じたりということがないように、圏域の設定に当たってはこれまでどおり地域の実情に合わせて柔軟に設定していくというのが前提だと考えております。

 2点目、在宅医療の提供者側の視点だけではなくて、提供者以外の視点も重要ということで、具体的には、地域住民に対する普及啓発、あるいは入院医療機関に対し在宅医療がどういったものかといった研修の実施を挙げております。

 3点目、地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業を担う市区町村との連携が重要であり、連携に当たっては、地域の医療に精通した医師会等との連携や保健所の活用により、市区町村への支援を行っていく視点が必要である。

 4点目、在宅医療・介護連携推進事業は8つの項目になっておりますが、その中でも、ここに記載されているような専門的・技術的な対応が必要な事業だとか、広域的な視点が必要な取り組みについては、都道府県が医療計画に記載して、市町村の取り組みを支援していくような重点的な対応の視点が必要とさせていただいております。

 4ページ以降は前回出させていただいた資料の中で、幾つか抜粋して参考までに掲載させていただいております。

 議題1については、説明は以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 ここで、議題1「在宅医療に関する見直しの方向性について」の議論を行います。ただいま説明がありました資料1、資料2をもとに、御質問、御意見があればお願いいたします。

 鈴木構成員、お願いいたします。

○鈴木構成員 それでは、幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。

 1ページから3ページの「見直しの方向性について(案)」についてでございます。まず、1ページの「1.目標設定について」でございますが、一番上の○につきましては、在宅医療の提供体制については直接在宅医療を行うかかりつけ医だけでなく、かかりつけ医の在宅を支える無床の在支診や、いつでも入院できるかかりつけ医機能を持つ在支診や在支病を含む有床診療所や中小病院、 24 時間対応の訪問看護ステーションが必須であることを明記すべきであると思います。

 続きまして、2つ目の○でございますが、ここにある「協議の場」というものと、後から出てきます「在宅医療にかかる圏域」というものは、一致させようとしているのかどうか、これは質問でございます。

 それに対して意見でございますけれども、我々としては一致をさせずに両者とも地域の協議の上で柔軟に設定できるようにすべきであると考えております。

 次に、介護保険事業計画とありますけれども、介護保険事業計画のみであるとサ高住が漏れる可能性があるのではないかと思います。サ高住も含めるという話をされておりますので、そうであれば「等」という言葉をつけて、それらを含むということを示したほうがいいのではないかと思いますが、それはどのようにお考えでしょうか。これも確認の質問でございます。

 3つ目の○についてでございますが、サービス付き高齢者向け住宅の整備計画とありますが、そもそも整備計画というものがあるのかどうかということを確認の質問をさせていただきたいと思います。ない場合はどうするのか。大ざっぱな整備目標みたいなものはあるかもしれませんが、いわゆる特定施設ではないサ高住の整備計画として介護保険事業計画のようにしっかりしたものがあるのかどうか。あったとしても、サ高住は国交省との共管というか、主に国交省が主導的に整備していると思いますので、その場合、介護保険事業計画との整合性がとれるのか。そうしたところを確認させていただきたいと思います。

 さらに、3つ目の○のところですが、療養病床のあり方が明らかになるのは平成 30 年2月ですし、その動向がわかるのは平成 30 年4月以降になりますので、その在宅医療のニーズを第7次医療計画に入れることは間に合わないのではないかと思いますけれども、どのように反映させることを考えているのか、それについてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 続きまして、「2.指標について」のところはいいと思いますが、3ページの「3.施策について」でございます。1つ目の○につきまして、在宅医療に係る圏域の設定は、今回、新たに行うというのではなくて、現行の第6次医療計画において未設定の都道府県が 27 あるということは、以前資料で説明されておりますが、その未決定、未設定のところの都道府県に設定を求めるという理解でよろしいのかどうかということと、先ほども言いましたし、御説明にも一部ありましたけれども、圏域の設定は、屋上屋を架すことのないように柔軟な設定とともに、圏域は設定されても二次医療圏のように医療機関の診療範囲や患者さんの移動を妨げるものではないと理解していいのか、これも確認の質問でございます。

 3つ目の○でございますが、在宅医療・介護連携推進事業は、介護分野で以前から議論をした上で、既に推進されている事業であり、全て郡市区医師会等に委託できることを前提に進められている事業でございますので、これは今後とも郡市区医師会等との密接な連携のもとに進められると理解してよいのかどうか、質問をさせていただきます。もしそうであるならば、その旨を医療計画にも記載していただきたいと思いますが、これについても確認の質問をさせていただきたいと思います。

 質問は以上です。

○田中座長 質問は、私の数え方では6つあったと思うのですが、伯野室長、答えてください。

○伯野医師確保等地域医療対策室長 御質問ありがとうございます。

 大変たくさんいただきましたので、1点目から順次お答えさせていただきたいと思います。

 1点目については、1ページの一番上の在宅医療の提供体制について、訪問看護ステーションや無床の在支診とか、様々な提供体制を具体的に書いたほうがいいのではないかという御指摘でございます。これについては、指標ともリンクすると思いますが、今後、どういった指標を盛り込んでいくか、先生の御意見を踏まえながら考えていきたいと思っています。

 2点目の協議の場と圏域についてでございますが、協議の場については、1つの市町村でおさまらないような課題についても協議をしていただきたいと考えておりますので、若干広域の場と思っております。一方で、圏域というのは、先ほど先生からもございました、私からも説明をさせていただきましたが、都道府県でかなり柔軟に圏域設定をしていただいているという実態がございますので、その協議の場と圏域というのが必ずしも1対1にならなくてはいけないとは思っておりません。なるべく地域の実情に合わせた、現在の体制を壊さないような形にしたいと思っております。

 3番目、介護保険事業計画と、3番目の○にございますとおり、サ高住の話でございますが、当然、サ高住に限ったところではないと思っております。介護保険事業計画とのリンクというのは大変重要だと思っております。

 4番目で、同じような流れでございましたが、サ高住の整備計画についてどうなっているのかという御質問でございます。こちらは、国交省で基本計画をつくっております。都道府県でもそれに基づいてつくられていると認識しております。ですので、都道府県の中でできるだけそういった情報が共有できるようにしていければと思っております。

 5点目でございますが、療養病床のあり方、受け皿の課題は、もう少し時間がかかる、第7次の医療計画に間に合わないのではないかという御質問でございます。御指摘の可能性は十分にあると思っています。一方で、これから高齢化に伴って在宅医療のニーズというのは確実にふえていく試算はございますので、そういった試算をベースにして、どこまで受け皿の話をできるのかというところは、今後、議論を踏まえながら検討していきたいと思っております。

 6点目の在宅医療の圏域の設定の関係でございます。先生がおっしゃられたとおり、未設定の圏域のことを申し上げております。圏域の考え方を変えるとか、今、地域の実情に合わせてある程度柔軟に設定できるものをがちがちにするということでは決してありません。未設定のところについてはしっかり設定をしてほしいという趣旨でございます。

 7点目の在宅医療・介護連携推進事業についてでございますが、恐らく医師会のお力が非常に重要なので、しっかり書くべきだということでございますが、こちらも3ページの「3.施策について」の3番目のところをごらんいただきまして、地域の医療に精通した医師会等との連携というのは大変重要だと思っておりますので、支援をする際にはそこは欠かせない部分だと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 鈴木構成員。

○鈴木構成員 大体御回答いただいたとは思うのですけれども、1つは、1ページの2つ目の○のところですが、私が質問したのは、協議の場を設置しても、介護保険事業計画のみの整備目標だけではニーズが把握できないのではないかということで、サ高住の計画などもあるわけですから「等」をつけてもっと広く反映させるべきではないかということを質問したので、それについては少しずれたお答えだったのではないかと思います。

 それと、在宅医療・介護連携推進事業については、御存じかどうか知りませんけれども、ちょうど明後日から、在宅医療・介護連携推進事業プラン作成強化セミナーが全国4カ所で開催されます。そこでは市区町村と郡市区医師会にセットで来てください、そうでないところがあれば、セットになっているところを優先しますという方針で我々も参加を呼びかけていますので、それを踏まえていただき、既に事業も進んで来ていますので、今さらそれをどうこうということではなく、それをしっかり尊重した上で、さらに推進を図るというスタンスで対応していただきたいと思います。

 最初の点について確認させてください。

○田中座長 室長、どうぞ。

○伯野医師確保等地域医療対策室長 大変失礼しました。少し御質問と違ったお答えをしてしまいました。

 おっしゃるとおり、介護保険事業計画のみならず、サ高住の整備なども視野に入れながら考えていく必要があるという趣旨で、1ページの3番目のところにサービス付き高齢者向け住宅の整備計画という文言を入れさせていただいています。御趣旨の内容を踏まえながらやっていきたいと思っています。

 以上でございます。

○田中座長 ほかにいかがでしょうか。

 玉城構成員、中林構成員の順でお願いします。

○玉城構成員 全国有床診の専務理事の玉城でございます。

 3つほど、要望があります。まず、1ページ目の「1.目標設定について」ですけれども、全国的に在宅医療をする先生方がまだ少なくて、医師の約 10 %しか在宅医療をやっていません。各地域に人口密度に死亡率を掛ければ、毎年亡くなる人数の予想が立ちます。それをその地域の医師数で割ると、医師1人当たりの年間死亡診断書発行数が出てきます。神奈川だと 2025 年に医師1人4人ぐらいになります。けれども、在宅医が死亡診断書を書くとしたら、1人 40 人ぐらいになってしまいます。そのように地域地域で将来の死亡数から推測される必要在宅医数を割り出せるような指標をおくと、各地域でどれだけ在宅医が不足しているか目安になって、どれだけ増やさなければいけないという目標ができるのではないかと思っています。

 「2.指標について」ですけれども、今、指標として、各地域で亡くなられた看取り数しか上がってこない気がしております。診療報酬から訪問診療をやっている人数や、往診が出た人数を上げると、看取りに至る過程をある程度つかめるのではないかという気がします。それも厚労省のデータからすぐ出てくると思うので、出していただきたいと思います。

 「3.施策について」ですけれども、鈴木常任理事から言われたように、郡市医師会というのが非常に大きな役割をしております。以前、救急医療を全国展開するときに、休日急患診療所、夜間急病診療所を医師会立でやっていただいて、医師会の先生方が輪番で出てくるというようなことが今、全国でできております。将来の看取りに関しても、ぜひ郡市区医師会立の在宅医療診療所みたいなものをつくりやすくしていただいて、医師会の先生方が輪番で出て、処理しきれない看取りの数を処理していけるようなシステムをどこかでモデル地区をつくっていただければ、それを見習って今の救急医療のように全国展開していけるのではないかと思っています。

 以上3点、アイデアですけれども、ぜひ採用していただければと思っています。

○田中座長 御意見、御提言ですね。ありがとうございました。

 中林構成員、お願いします。

○中林構成員 ありがとうございます。

 2点意見を申し上げます。

 まず「1.目標設定について」につきまして、2つ目の○ですが、医療計画と介護保険事業計画というのは計画期間が違っております。特に介護保険事業計画においては、 2025 年の地域包括ケアシステムの構築に向けた目標設定で今、進められておりますので、そこの計画にそごがないようにしっかりと数値目標であるとか期間を整合していただきたい。

 先ほどもありました協議の場において、特に都道府県、市町村において介護保険事業計画は保険者実施計画になりますので、ここをしっかりと協議の場といいますか、市町村が主体的に動ける場を検討していただき、できるだけ時間をかけて協議をできるような工夫をしていただきたいと思います。

 「3.施策について」の4つ目の○ですが、在宅医療・介護連携推進事業の8つの取り組みは、平成 30 年に全ての事業を各市町村で行うことになっておりますので、毎年進捗状況等を把握できるようなアンケート等で実態調査を行っていただければと思います。

 以上です。

○田中座長 佐藤構成員、お願いします。

○佐藤構成員 ありがとうございます。

 まず「1.指標について」ですが、この4点については賛同いたします。特に、医療サービスの実績に着目した指標の重要性というのは前回のワーキングでも発言させていただきました。

 一方で、 12 ページの参考資料もその際に指摘させていただきまして、歯科診療を受けた患者数というのが我々にとって実績に当たるのではないかという発言をさせていただいたのですが、修正に至っていないと考えています。恐らく、当然のことながら、医政局では保険局、老健局とも十分にプレゼンスの方向性であるとか、資料の取捨選択であるとか、最終的な作成であるとか、それぞれの部分で十分調整をし、連携を図っているものと考えておりますが、こういう資料が出てきますと、関係部局等との十分なそれぞれのステージでの調整もあわせて強くお願いしたいと要望いたします。

 以上です。

○田中座長 猪口構成員、お願いします。

○猪口構成員 幾つか意見を言わせていただきます。

 「2.指標について」ですけれども、参考に新たな指標の例というものが出ておりますが、今ですと、ナショナルデータベースとかを使うことによって、届け出をしている施設の数だけではなくて、実際の訪問診療の数とかが多分出るのではないかと思います。確かに訪問看護ステーションの 24 時間のみとりのほうは一々数が、加算がありませんので出ないかもしれませんが、介護保険のほうでは緊急時の訪問看護に加算がありますので、そういうものを利用する。それから、退院支援加算もそれぞれの病院等で行った場合の算定回数も出るのかなという気がしますので、そういうものを利用すると、もう少し具体的になるかなと思います。

 「3.施策について」ですが、3つ目の○の地域支援事業、在宅医療・介護連携推進事業、これはとにかく地域で医療と介護の連携は絶対に必要なことで、ここを、先ほど介護保険のほうで行われていることは重々知っておりますが、医療のほうからもこれを後押しするということが非常に重要だと思います。特に医師会等が中心になるということは全く異論はありませんけれども、現実の場では、それぞれの地域に密着した病院、 MSW 、医療ソーシャルワーカーが非常に力を発揮していると思います。特に介護支援専門員との連携等も常に行っておりますので、そういう人たちを十分に活用するということがあるといいのではないかと思います。

 また、その下の4つ目の「(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援」とありますが、実際にさまざまな相談を受けているのも、そのような地域にある訪問看護ステージもしくは地域に密着した病院の MSW 等が相談支援を受けておりますので、そういうことをうまく形づくり、包括支援センターと相対するまではいかなくても、ある程度の数を地域に設置していくという方向性があったほうがよいのではないかと思っております。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 越田構成員、お願いします。

○越田構成員 ありがとうございます。

 私のほうから3点お伝えしたいと思います。

 まず、1点目は、特に「3.施策について」ですけれども、中核市である金沢市の事業展開に関わりながら、在宅医療の推進に関しては、将に今後の市町村のマネジメント能力が問われるに違いないと考えております。私ども市町村は、住民の生活に一番近いところで施策や事業を展開していかなければならないので、できればここで市町村に対して「しっかり頑張れ!」ともうちょっと強いメッセージを発信していただきたい。市役所内はどうしても縦割り行政になりがちですので、福祉と医療だけではなく様々なものを取り込んだ「地域包括ケアシステム」の構築には行政内でも視点とアンテナを少し高くして取り組む必要があると思うのです。先ほどからサ高住のお話が出ていますが、確かに国交省マターのサービス付き住宅に関してはおそらく、厚労省との密な連絡調整があり、また人事交流があったりして、政策形成がなされたのではないか思うのですけれども、この事業が窓口となる自治体におりてきますと、国交省からおりてきた案件は住宅政策部局、厚労省からおりてきたのは福祉保健部局といった具合に、意識的ではないにせよ縦割り行政になってしまうことがあります。市町村という最も住民に近い基礎自治体だからこそ、国や都道府県の政策をよく読み込み、受け入れて、更に総合調整機能を持つような部署を作って、それこそ包括的な施策展開を図らねばならないと思っております。そういった意味で、もうちょっと市町村はしっかりしなさいと、そして頑張りましょう!というメッセージを発信していただけるといいかなという気がいたします。

 2点目は、(ア)から(ク)まで在宅医療介護連携推進事業のことです。これは当然 30 年度までにはやらねばならないことであるのですが、特に(オ)の窓口について、当初は確か「相談支援センター」であった記載が、だんだんトーンが下がってきており、今は窓口になっています。確かに自治体の歴史とか背景、また地域診断の結果に応じて、オーダーメードの窓口体制をつくるべきだと思うのですけれども、もう少し詳細にその機能や役割も含めて、自治体に対して発信いただきたいと思っております。

 3点目は、市役所(町村役場)への関係者からの期待についてです。金沢市では在宅医療・介護連携推進事業を進めていくにあたって、これまで地域包括支援センターや病院の地域連携支援室、介護関係の事業者など各種関係団体ごとにお集まりいただき、お話を聞いて参りました。そのような中で、身近な問題、例えが退院支援の対象者の方の当面の生活費がない、困っている、市役所はどこが窓口になってくれるのか?救急搬送された患者さんに保証人がいない、成年後見人がすぐ必要だが、どうしたらいい?などと、市役所の本来業務のお尋ねが必ずありました。地域包括ケアシステムの構築にあたっては、身近な課題の解決に、市役所がどう関わってくれるのかということが期待されていることがわかりました。医療、介護、住宅に加えて、市役所本来が持っている住民サービスのタイムリーな提供も記載して頂き、市役所頑張れよというメッセージをいただけると、私共も動きやすいと思っております。

以上です。

○田中座長 地域医療計画で今まで余り関係してこなかった市町村には多少強いメッセージを出したほうがいいのではないかという、心強い御発言をいただきました。

 角野構成員、お願いいたします。

○角野構成員 目標設定とか指標については、おおむねこれでいいのかなと思います。

 あと、「3.施策について」の○の3つ目、今も病院協会さんからお話がありましたけれども、滋賀県では二、三年前にモデル事業として大津市で在宅医療・介護連携推進モデル事業というのをやったわけなのですけれども、確かに在宅医療を支えるのは医師会の先生方が中心であって、それは間違いのないところで、ですから、先ほどの医師会のほうの御意見というのはそのとおりなのですが、今、現場の方が言われたように、まず、病院から家に戻るとき、ここが非常にキーになって来ます。ですから、その場合にいかに早くケアマネジャーが、まずは入院した段階でケアマネジャーがそれまでの生活の状況を病院に伝えること。もちろんケアマネがいる場合です。そして、退院のかなり前に逆にまた病院のほうがケアマネジャーとの連携をとるということです。要は、退院した日から生活を始める。在宅医療はまさに生活を支える医療ですので、生活を重視するということが大事なのかなと思います。

 そういったときに、今、 MSW というお話もありましたけれども、例えば愛媛大学の附属病院で今、患者サポートセンターというものが、非常に大きな組織で多人数、 50 60 名の方が、いわゆる地域連携室、普通は数名ですけれども、ここは数十名の方がかかわっている。この多くは実は看護師さんなのです。それも認定看護師で、本当に看護師のプロ中のプロみたいな人がそういう地域連携室みたいなところに所属されてやっているということがありまして、もちろん MSW の方も大事ですけれども、看護職の視点というのも非常に大事で、ですから、余りここで職種を限定して書いてしまうとちょっとぐあいが悪いのかなと。もし書くのならば、幾つか並べる必要がありますし、記載する場合は幅広くとるような形の記載の仕方がいいのかなと。当然受け手側といいますか、介護という場合で、ケアマネジャーの役割、早期からのかかわりとか、そことの連携というのはしっかりと書いた上で、次に医師会さんを中心とした地域での在宅医療というものが成り立ってくると思います。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 齋藤構成員、お願いします。

○齋藤構成員 まず、3ページ目の施策のところからなのですが、○の2つ目に医療計画の施策の中に住民に対する普及啓発の実施、あるいは医療機関で働く職員等に対して在宅医療で対応可能な患者像についての研修の実施というのが挙げられておりまして、これについてはぜひ明記をしていただきたいと思います。

 やはりなかなか急性期医療機関にいるナースも、あるいは医師も、前回の意見に出ておりましたけれども、御自宅で療養するということがなかなか見えていないので、こんな状態で帰れるわけがないと判断してしまうと、結局は療養の場を次も医療機関、次も医療機関となってしまうという状況があります。

 ですので、ぜひ研修に関しましては挙げていただきたいのですが、ただ、この研修については座学でやるのではなくて、実際に訪問してみるという体験型の研修をきちっとやるべきで、これにつきましては、今般、診療報酬の改定で急性期の医療機関等に1カ月以内5回までは退院後の訪問指導料がつくようなことになっております。これも1つ指標になるのではないかと思っておりますけれども、私どもが看護師長さんたちのお話を聞くと、この訪問指導が大変教育にも役に立っているというお声をいただいております。ですので、実際に治療した患者さん、あるいはケアをした患者さんが退院後どうなっているのかということを実際に見に行って、在宅の療養をイメージして、入院早期から退院調整に入るということが大変これからは大事になるかなと思っております。

 施策の3点目、4点目の地域支援事業ですが、確かに 30 年度までに(ア)から(ク)までの事業を全部実施することになっておりますけれども、先般の介護保険部会の資料では、特に「(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討」というところが実施率 43 %になっておりまして、この8つの事業のうち一番実施率が低い事業になっています。そうしますと、実際にこの計画を立てるのが 29 年度に都道府県が市町村との協議の上で立てることになっていますので、連携の課題がある程度明確化していないとなかなか整備も厳しいのではないかと考えておりまして、ぜひこの(ウ)や(オ)や(ク)というところに対応が必要な取り組みというのは否定しませんけれども、もう少し(イ)のところについても何か技術的なサポートを都道府県でやっていただいていくのが大事なのではないかと思います。課題の抽出がなければ対策もとられないという状況になりますので、そこをぜひ協議の場、あるいは計画を立てる際にきちんと協議をしていただいて、計画に反映していっていただきたいと思っております。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 新田構成員。

○新田構成員 まず、目標設定、指標等は施策としては良いと思っているのですが、実態として見ていると、現在行われている地域医療構想と市町村が第6期の介護保険事業計画のずれをとても感じました。区市町村が地域医療構想を理解することがなかなか難しい中で介護保険事業計画が行われています。そうすると、果たして在宅医療を市町村で位置づけることが出来ません。今、在宅医療で何が問題なのかといいますと、結果として在宅医療の限界というのは、昨年あたりの調査で入院後の ADL 低下と排泄の問題と BBSD が出現することです。在宅の限界になると明確に出ていて、それは例えば1回の入院について ADL が2段階以上落ちるともう帰れないという状況があります。

 そういう中で、急性期病院等も含めながら、在宅へ帰す目標設定等がとても重要で、そうしないと病院も困るわけで、どうやって在宅へ帰すのかという急性期救急病院の医療のあり方がまず必要なのだろうと考えます。

 これからの設定する対象者は、 75 歳以下というより、 75 歳以上、むしろ 80 歳以上の方が多くの人たちになります。そういった方の医療のあり方の、そして、医療のあり方と同時に家に戻す方策、施策というのがあって、その上でセーフティーネットとして、例えば先ほどあったさまざまな地域における、サ高住がいいとは私は思いませんが、例えば俗に言う看護小規模多機能といったものの設置目標も入れながら、そういった人たちを地域に帰すことを基準とするということで、結果として市町村も医療計画をつくれるような情報を都道府県から与えて、市町村も含めて医療計画をつくる。それで、トータルとして先ほどの在宅医療・介護のシステムづくりを入れていかないと、指標にはなっていかないのかなという印象で、もう一つ中に踏み込んでほしいと思います。

○田中座長 大変深い御意見ですね。ありがとうございます。

 井川参考人、お願いします。

○井川参考人 ありがとうございます。

 私は、先ほど角野構成員がおっしゃった、地域の中でのケアマネの重要性を考えに入れられた大津市でのモデル事業や、当協会の池端構成員が前回の施策の中で申し上げた福井方式というものを大変重要なものだと思っております。これは今までお話しいただいているストラクチャー的なお話ではなくて、むしろ在宅医療の質に関するお話だろうと思います。

 患者様にいかにして在宅での医療を長い間維持していただくかということを考える上で、医療の質は重要な点です。我々慢性期医療に携わっている人間が一番困るのは、急性期病院から来られたときに、そこの病院での治療しかわからないということです。多くの場合は、例えば肺炎などを起こされますと、肺炎のことしかわからない。その前の ADL や既往の状態などは何もわからないということが実際には起こっておりますし、それが在宅にそのままいきますと、オーバーオールな治療が恐らくできないだろうと考えております。

 そう考えますと、その中でケアマネジャーが各施設からのあらゆる情報を手に入れるということは、非常に重要な意味を持つのではないかと思います。有澤構成員が前回のときに申されたポリファーマシーという点に関しても、同じように予防の意味を持ってくるだろうし、そういう点でいいますと、こういう施策を進めていただくという文言というのをもう少ししっかりとつけ加えていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

○田中座長 貴重な御意見ありがとうございました。

 稼農構成員、お願いします。

○稼農構成員 市町村と都道府県の連携というところが非常に重要なテーマかなと思います。

 1ページ目の目標設定のところの一番最後の○と、3ページ目の「3.施策について」の上から3つ目の○が関連してくることだろうと思います。

 前回の資料においては、効果的な施策の立案についてということで、都道府県の好事例をつけていただいておりましたが、そうした都道府県や市町村、国との連携、特に県と市町村との連携でうまくいく好事例というものを情報発信していって、全国各地で参考にできるようなところが広がっていくといいのではないかと思います。

 以上です。

○田中座長 有澤構成員、どうぞ。

○有澤構成員 先ほど井川参考人からお話があったように、在宅を考えたときには、まず、介護支援専門員の方が中心となって、その中にさまざまな医療あるいは介護の職種が連携してくると思うのです。そういった点では、介護支援専門員の方を中心とした中でどのように動いているか、どのように連携しているかということをある程度目標設定の中に入れていただいたほうがいいと思います。それぞれの医療・介護を提供する側は柔軟にそれぞれ連携をとってやるというキーマンにおいては、介護支援専門員の方がしっかりと手綱を握っていただいてやるというのが一番の理想の形態ですし、それが質的なものの向上にもつながると思っておりますので、ぜひそういったものを入れていただきたいと思います。

○田中座長 一当たり御意見ありがとうございました。

 どうぞ。

○鈴木構成員 お話を聞いていますと、何人かの方から、医師会というと診療所で医療だけをやっているようなイメージを持たれているようですけれども、そうではありません。医師会には、私は中小病院の経営者ですが、我々の事業は医療半分、介護半分ですし、急性期の大病院は別かもしれませんけれども、それ以外の医療機関は多くが医師会員であり、医師会の中でさまざまな医療・介護連携も行われておりますので、そうした古いイメージは払拭していただきたいし、ぜひ医師会の活動が地域包括ケアの構築に向かって進んでいることを御理解いただき、支援していただければと思います。

 以上です。

○田中座長 ごもっともですね。

 よろしければ、時間の都合もありますので、次の議題に移ります。資料2-1以降の説明を事務局及びお二人の参考人からお願いいたします。

○伯野医師確保等地域医療対策室長 資料2-1をごらんいただければと思います。こちらは、ロコモ、フレイル、誤嚥性肺炎など、今後、高齢化に伴い増加する疾患等への対応について、親の検討会においても議論されまして、ワーキングでの検討事項とされましたので、まずは検討会での議論の概要や論点をお示しさせていただきたいと思います。

 1ページ目、まず、5疾病・5事業でございますが、対象疾患につきましては、生活習慣病その他の国民の健康の保持をはかるために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神の5つ疾病が位置づけられております。また、事業につきましては、政策的に特に医療の確保に必要な事業ということで、救急医療、災害、僻地、周産期、小児が位置づけられております。これらについては、疾病事業ごとに必要となる各医療機能を担う医療機関等の名称、数値目標をそれぞれ医療計画上に記載することになっております。

 2ページ、まず、5疾病の考え方でございますが、「患者数が多く国民に広く関わるもの」「死亡者数が多いなど政策的に重点が置かれるもの」「症状の経過に基づくきめ細やかな対応が必要なもの」「医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なもの」としておりまして、5事業については「医療を取り巻く情勢から政策的に推進すべき医療」「医療体制の構築が、患者や住民を安心して医療を受けられるようになるもの」としております。今般の検討会において、この考えでいくことを御確認いただいたところでございます。

 次に3ページ、疾患別の死亡率の経年的な変化でございます。現在、死因の第1位は悪性新生物となっておりまして、第2位が心疾患、肺炎は近年上昇傾向が続いておりまして第3位となっております。第4位は脳血管疾患でございます。

 次に4ページ、傷病別総患者数の年次推移でございます。糖尿病の患者さんが約 300 万人と推定されておりまして1位で、次いで多いのが精神疾患となっておりまして、続いて悪性新生物、脳血管疾患、虚血性心疾患となっております。続いて骨折となっておりまして、一方で肺炎は患者数で見た場合には他の疾患と比べて少ないという状況になっております。

 5ページ、肺炎の背景のデータでございます。まず、図1でございますが、年齢構成としては 75 歳以上の後期高齢者が全体の約7割を占めておりまして、図2を見ていただきますと、高齢者の肺炎については誤嚥性肺炎の割合が 70 %以上となっておりまして、また、図3を見ていただきますと、誤嚥性肺炎の背景である嚥下障害の原因疾患としては一番多いのは脳梗塞、2番目が脳出血、3番目がくも膜下出血ということで、脳卒中等の後遺症が誤嚥性肺炎の発生と大きく関係していることがわかっております。したがって、こうした肺炎の対策としては脳卒中施策との関連が重要であると考えております。

 続いて6ページ、医療計画の作成に当たって調和をとる他の計画等の例示を挙げております。例えばマル1の健康増進法における健康増進計画だとか、マル5の介護保険法における介護保険事業支援計画などが挙げられておりまして、これらの関係計画との調和をとって進めていく必要があると考えております。

 次に7ページ、5疾病・5事業、在宅医療以外の疾病についても、都道府県において各県の状況を踏まえて、特に必要と認める医療等については、各都道府県独自に定めていただいておりまして、その主なものを列挙しております。この中で(9)にございますが、保健・医療・介護の総合的な取り組みというものもございまして、ここには右端に四角で囲っておりますが、2パラにございますが、医療に密接に関連を有する施策について、連携方策や地域住民への情報提供体制を記載するとされております。

 8ページ目、こちらは第2回の検討会で論点とさせていただいた内容でございます。1の3番目のポツにございますとおり「例えば、高齢化の進展に伴い今後さらに増加する疾病については、他の関連施策と調和を取りながら、予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応することとしてはどうか」としております。

 次の9ページ、「検討会における主な意見」でございますが、「5疾病・5事業については、引き続き現行のものを充実させていけばよい」との御意見をいただいているところでございます。

 論点でございますが、ロコモ、フレイル、誤嚥性肺炎など、今後高齢化により増加することが想定される疾患などについて、医療計画の中でどのように位置づけていくのかということにさせていただいております。

 地域医療計画課からは以上でございます。

○健康課有賀女性の健康推進室長 続きまして、健康局健康課から「健康日本 21 におけるロコモティブシンドロームの取扱いについて」ということで、御説明させていただきます。資料2-2に沿って御説明させていただきます。

 健康日本 21 のもとになる「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」の中に、さまざまな考え方を書いているところですが、その中に「国民の健康の増進の目標に関する事項」として「目標設定の考え方」というところでございます。「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」の中に、途中で抜粋になりますけれども、「介護保険サービス利用者の増加の抑制、認知機能低下及びロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防とともに、良好な栄養状態の維持、身体活動量の増加及び就業等の社会参加の促進を目標とする」といったことを示させていただいております。

 この基本的な方針に続いて、個別具体的な目標をいろいろ掲げているところでございますが、今、御説明したことに関連する指標といたしまして「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」のうち「高齢者の健康」の中で、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合を増加することを目標として掲げており、皆様の認識を高めていただいて、健康増進をしていただくという意味で、こういったものを掲げさせていただいております。現状につきましては、新しいものとして平成 27 年の数字が認知度 44.4 %ですが、健康日本 21 の第2次の最終年度である平成 34 年度には 80 %の認知を目標としているというところでございます。

 健康課からは以上です。

○高齢者医療課濱課長補佐 続きまして、資料2-3で御説明させていただきます。高齢者医療課でございます。

 フレイルの対応を含めまして、本年度から高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進ということで取り組みをしておりますので、御紹介をさせていただきます。

 おめくりいただきまして1ページ目、この位置づけといたしましては、 27 年5月の経済財政諮問会議提出資料の中で、中ほどから少し下でございますが、「高齢者の虚弱(フレイル)に対する総合対策」ということで、 28 年度から栄養指導等のモデル事業を実施するということが出てまいりました。

 このフレイルの定義でございますが、現在、定まったものがあるわけではないのですけれども、2ページ目にございますように、「フレイル」とは、加齢とともに、心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態と考えて取り組みを進めております。加齢に伴う変化、食欲の低下、活動量の低下等がございまして、それが危険な加齢の兆候になってまいります。フレイルは身体的なものだけではなくて、社会的、身体的、精神的なそれぞれの側面がある。右側に矢印が出ておりますが、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能という考えで、中間的な段階からできるだけ健康な状態に戻していきたいという趣旨で取り組みを進めております。

 3ページ目、同様に、改革工程表でございますとか、改革の基本方針にも位置づけられてきたというものでございます。

 4ページ目、これまで高齢者の保健事業といたしましては、左側にございますように、健康診査でございますとか、それ以外の保健事業としては歯科ですとか、重複・頻回、ジェネリックといったあたりは医療費適正化を主眼とした取り組みが主に行われてまいりました。

 それが今後、右側ですけれども「充実の方向性」にございますように、生活習慣病等の重症化予防、心身機能の低下に伴う疾病の予防のための保健指導等を推進していくということになりまして、下向きの矢印が出ておりますように、まず、 28 年度から、栄養、口腔、服薬などの面から高齢者の特性に合った効果的な保健事業をモデル事業として実施していく。これが冒頭申し上げました、低栄養防止・重症化予防の取り組みでございます。さらに、一番下でございますが、ワーキングチームを設置して研究、検討を進めていくということになっております。

 この2つをそれぞれ5ページ以降で御紹介しておりますが、まず、モデル事業といたしましては5ページ目にございますけれども、 3.6 億円の新規事業ということで、今年度から進めております。

 「概要」のところでございますけれども、低栄養や筋量低下等による心身機能の低下の予防、生活習慣病等の重症化予防のための保健指導を実施するということで、個別の対応ということで、訪問による指導、あるいは相談という取り組みを、主に専門職の方が既存の拠点を利用して行っているというものでございます。

 さらに、研究、検討のほうでございますが、6ページ目、昨年度特別研究事業といたしまして、後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究を行いました。ポイントということで、まず左側ですけれども、高齢者の心身機能の特性として、フレイルが顕著に進行するですとか、慢性疾患を複数保有する、さらに、多機関受診、多剤、残薬といった問題が生じやすいといったことを挙げております。

 それに対応する今後の方向性といたしまして、右側、幾つか挙げておりますが、4つ目をごらんいただきますと、広域連合が保有する健診、レセプト情報等を活用しながら、専門職によるアウトリーチを主体とした介入支援に取り組むというようなことをおまとめいただきました。

 これを踏まえまして7ページ目、本年度はごらんのような一番右側で着色しております「高齢者の保健事業のあり方検討 WG 」というのを設けまして、 29 年度末までにガイドラインを策定するということを目指して取り組みを進めているという状況でございます。

 8ページ目は、今まで御説明しましたモデル事業とワーキンググループの流れを整理したものでございます。

 最後9ページ目、国のほうでモデル事業を設けまして、取り組み以前から幾つかの自治体で先行的に取り組みをしておりました。これは神奈川県大和市の取り組みの事例でございますが、ここでは栄養指導ということで、マル1の低栄養改善、マル2の透析予防という大きく2つの取り組みを行ってくださっているということで、マル1の低栄養改善につきましては、2つ目のところ、基本チェックリストから BMI や体重減少ということに着目して、 109 人の方に対して実施いたしました。その結果、約5割の人に体重増加等が見られたということでございます。糖尿病性腎症の透析予防につきましては、同様に、栄養指導を中心に個別指導を行ってまいりました。慢性腎不全のステージ3~4を抽出して、管理栄養士が6カ月の間に指導を行ったということで、 83 人の方に実施いたしました。8割の人に腎機能の維持・改善が見られたという成果が上がっております。

 高齢者医療課からは以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 それでは、ワーキングのためにお越しいただきました岩本先生、飯島先生、およそ 15 分を目安に御発表お願いします。

○岩本参考人 日本整形外科学会前理事長で現在九州労災病院の岩本でございます。御開業の先生の代表であります田辺先生と連名で「医療計画におけるロコモティブシンドローム対策の重要性」について御説明させていただきます。

 1枚めくっていただいて(1)、右下にスライドのナンバーが書いてあります。運動器疾患の患者は極めて多いです。運動器疾患の症状が、日本国民の愁訴の上位を占めております。これは国民生活基礎調査のデータですが、国民の 65 歳以上の有訴者率を見てみますと、男性では1位と3位が腰痛と関節、女性も1位、2位が腰痛、関節で、3位が肩こりということで、運動器疾患の症状が上位を占めております。

 次の(2)のスライドです。これは年齢階級別傷病分類別外来患者数のデータでございますが、 60 歳以上では運動器疾患の患者が最も多いということがわかっております。

 次の(3)、さらに 2009 年のコホート研究の結果、変形性膝関節症、変形性脊椎症、骨粗鬆症のうち、少なくとも1つ以上を有する国民は約 4,700 万人、全てを合併する国民も約 530 万人もいると推計されておりまして、運動器疾患が国民に広くかかわる疾患であることがわかっております。

 次の(4)、運動器疾患の治療の流れですが、骨折以外はまず保存療法、手術以外の治療を行う。保存療法が無効であれば手術を行うということでございまして、日本整形外科学会の新患調査の結果では、新患患者さんに対してはまずは保存療法が行われ、手術を行うということで、保存療法と手術の比率は9対1ということがわかっております。その下が全国手術調査の結果でございますが、高齢者に対する手術が多いということで、グラフで丸で囲んだところでございます。主な対象疾患は脊椎や関節の変性疾患、骨粗鬆症関連骨折で、これらに対する手術は経年的に増加しております。

 次のナンバー(5)、運動器疾患は要支援・要介護の大きな要因となっております。運動器疾患は合算すると 22.9 %で第1位となっております。円グラフの右側は国民生活基礎調査の実態の結果ですが、疾患別に見ると、1位が脳卒中、2位が認知症、3位が高齢による衰弱で、4位以下に関節疾患、骨折・転倒、脊髄損傷等の運動器疾患が並んでおりますが、これをまとめてみますと 22.9 %、第1位になるということで、非常に問題があるということです。しかし、左側の円グラフで国民の意識調査を見ますと、随分小さい比率になっておりまして、まだ国民は十分に認識していないということがわかります。下の四角で囲ったところですが、運動器疾患は国民の「健康寿命」の阻害因子でございます。今後は生活習慣病に加え、運動器疾患を念頭に置いた対策が必要であると考えております。

 次の(6)、ロコモティブシンドロームでございます。このように、国民に運動器障害の重要性を知らせるということ、また、今までは疾患別に対応しておりましたけれども、合併している人が非常に多いということになりますと、疾患別に対応するのではなくて、トータルに考える必要があるということで、ロコモティブシンドロームという概念を日整会提唱いたします。定義は、運動器の障害によって移動機能、歩行、立ち座りなどの移動にかかわる機能の低下を来した状態で、進行すると介護が必要となるリスクが高くなるというものでございます。

 さて、ロコモの原因が何かということですが、大ざっぱに考えますと3つに分けられる。1つは加齢による筋力低下、2番が加齢によるバランス能力低下、それと3番は変形性関節症や脊柱管狭窄症、骨粗鬆症などによる運動器疾患による痛みでございます。これに対してどういう対策をとるかということですが、1番、2番はトレーニングで予防することができるということで、ロコトレ、トレーニングを推奨しております。これはサロン型(集団)、在宅型(個別)のいずれでも効果があるというデータが既に出てきておりますので、今後、介護保険制度、在宅医療の重要なテーマではないかと思っております。また、運動器疾患による痛みでございますけれども、これは医療機関を受信して、早期に適切な診断・治療を受ける必要があると思っております。この中では医療連携が必要で、保存療法はかかりつけ医、手術は急性期病院という流れで、急性期病院で手術をしたら回復期病院でリハ、そして自宅・施設へという流れと連携が必要でございます。

 次の(7)、これは私たちが推奨しているロコトレの実際ですが、開眼片足立ちとスクワットでございます。このロコトレの効果ですが、半年間の開眼片足立ちで転倒頻度が3分の2に減少するというデータ、 75 歳以上を対象にした二、三カ月のロコトレで高齢者の運動機能改善が得られるというデータが得られております。

 その次(8)のデータです。ロコモティブシンドロームの取り組みは、国でも大きく取り上げていただきまして、第2次健康日本 21 の数値目標として、ロコモティブシンドロームを認知している国民の割合の増加が取り上げられております。平成 24 年の時点で 17.3 %だった認知度を、平成 34 年には国民のほとんどが知っているという 80 %まで上げるという数値目標が掲げられておりまして、現在は平成 28 年3月の調査の結果、 47.3 %まで上がってきております。そのほかに、足腰に痛みのある高齢者の割合を現在より約1割減らすという数値目標も設定してありますので、これについては治療も含めた取り組みが必要であると思っております。

 その次(9)、ロコモティブシンドロームの啓発活動は国から地方へおりてきておりまして、この啓発活動が進んでおりてきておりまして、この啓発活動が進んでおります。これは、啓発活動に用いられたポンチ絵でございますが、まとめの一番下のところに「要因」「概念」「簡易判定の方法」とありますが、最後には「対処法」が書いてあります。これには、自宅で行うロコトレ等の予防、地域活動での予防、実際に運動器疾患で困った場合には医療機関を受診するという対処法を記載してございます。

 その次( 10 )、ロコモの啓発活動は全国に浸透しつつあります。都道府県でロコモティブシンドローム普及啓発に関する研修会が行われております。写真は私自身が研修会の講師を務めているところでございます。ロコモコーディネーターというのは、医療系、介護系の有資格者に限定した指導者の養成が開始されております。また、一番下のロコモメイトプログラムというのは、一般市民のロコモ予防伝道者の養成という取り組みを実際に開発されて、全国で施行されております。

 その次( 11 )、ロコモとフレイルの関係性でございます。フレイルは、私どもが提唱した概念ではございませんけれども、フレイルは身体的だけではなくて、精神・神経的、社会・経済的な要素まで幅広く含む概念だと認識しております。そういう意味で、我々のロコモ対策というのは身体的側面にターゲットを絞った対策であると考えられますが、ロコモティブシンドロームの対策というのは筋肉とかバランス能力の低下を防止するというだけではなくて、疾患による痛みをともに改善して、とにかく移動能力を改善させるという、移動機能低下の予防、治療を目的とした取り組みであると御理解いただきたいと思います。

 その次( 13 )、救急医療の対象となり、生命予後を悪化させるロコモの原因疾患として、骨粗鬆症関連骨折を挙げさせていただきました。代表的なものは、大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折でございます。

 その次の( 14 )、我が国では、骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折は年ごとに増加しております。また、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折も増加しております。そして、骨粗鬆症関連骨折によって、日常生活動作が低下するということは世界で証明済みでございます。さらに、大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折といった骨粗鬆症関連骨折は生命予後を悪化させるということも世界的に証明されているものでございます。

 ( 15 )、骨粗鬆症関連骨折の予防・治療の問題点ですけれども、多職種による連携がまだ不十分で、今後、不可欠となってくるということでございます。骨粗鬆症関連骨折を起こすと、骨折を起こした患者さんを急性期病院で手術等で治療いたします。その後、回復期病院に移ってリハビリが行われる。そして、最終的には自宅や施設に戻られるということなのですけれども、急性期病院で手術はするけれども、その後の二次骨折の予防の薬物投与が十分に行われていないということがわかっております。回復期病院でもまた治療が中断してしまうということで、治療の連携が行われていないことが極めて問題でありまして、この問題は解決すべきだと思っております。

 ( 16 )、骨折の負の連鎖ですが、一旦骨折を起こした人は二次骨折を極めて高率に起こすということがわかっております。一度骨折した高齢者は高率に別の部位を骨折するということで、二次骨折を予防するということが非常に大切で、それは骨粗鬆症治療薬を確実に投与するということ、あるいは、運動療法を行うということで、二次骨折を予防するというのは非常に大きなテーマでございます。これは医療経済上の効率がいいです。というのは、もともとの骨粗鬆症のポピュレーションは非常に膨大ですけれども、一旦骨折を起こした人はその中の一部であって、その中のほとんどは非常に高率に骨折が起こるターゲットを絞って治療するという医療連携のシステムが必要であるということでございます。

 ( 17 )、英国では二次骨折予防に対する取り組みが非常に進んでおりまして、 Fracture Liaison Service が確立されています。急性期病院退院後の大腿骨近位部骨折患者、それ以外の脆弱性骨折受傷患者の二次骨折予防についての活動が普及しておりまして、地域かかりつけ開業医や、他の多職種と連携して、骨折患者ケアを専門に担当する専門看護師が主導的に FLS を運用しているということで、このような取り組みが我が国でも確立されるべきであろうと思っております。

 ( 18 )、運動器疾患の保健・医療・介護の提供体制をまとめてみました。縦が重症度、横が時間でございますが、まず最初に来るのは予防でございまして、ロコモティブシンドロームを予防することで介護予防につなげるということが必要でございます。ここでは、自宅でのロコトレやかかりつけ医のチェック等が必要だと思います。実際に発症してくれば、その上、病院や診療所における治療が必要だと思うのです。さらに、それが間に合わなくて手術が必要になった場合には、急性期病院での観血的治療が必要であろう。横軸は、例えば急性期病院で治療しても、そのうち回復期病院、最終的には介護施設、自宅へというような連携が確立されるべきだろうと思っております。

 最後( 19 )、今後一層の高齢化を踏まえて、ロコモ対策、運動器疾患対策が極めて重要でございます。患者が多く、国民に広くかかわります。骨粗鬆症関連骨折は生命予後を悪化させます。それ以外の疾患は生命予後に影響を及ぼさないかもしれませんけれども、我が国の医療政策の重要なテーマである健康寿命の延伸ということを考えますと、健康寿命の主要な阻害因子でございます。今後、政策的に重点が置かれるべきだと思っております。医療のみならず、予防・介護との連携が重要だと思っております。

 最後のまとめでございます。ロコモ、運動器疾患については、医療のみならず予防・介護との連携が重要であり、地方公共団体を含む関係機関等と地域の実情に応じた連携を推進、強化する必要があると思っております。

 以上でございます。

○飯島参考人 東京大学の飯島といいます。

 今、高齢社会総合研究機構という、医学部だけではなく全学(学部横断型)の組織であり、特に地域と一緒にいろいろ考えながら、アクションリサーチ、すなわち課題解決型の実証研究を進めております。また、日本老年医学会の一員でもあります。

 では、資料4を用いて御説明させていただきます。前半戦にフレイルの全般的なお話、後半戦に私自身がフレイルの概念をベースとしてコホート研究、そこから生まれてきたエビデンスを用いての実際の地域活動に落とし込んでいるという流れをお話ししたいと思います。

 おめくりいただきまして2ページ目、御存じのように「フレイル」というのはもともと「虚弱」( Frailty )というところから、ちょうど2年前、 2014 年5月、我々日本老年医学会が提唱したものでございます。特に一番の目的は、医学的にどのような詳細な内容に決めるかということもさることながら、国民に対する予防意識を高めるため、特にささいな衰えのうちにより早く予防意識を高めるためというところに重点を置いたということになります。

 3ページ目、フレイルという概念なのですけれども、先ほど来、厚労省の担当の方からも御説明がありました。右斜め三角形のフレイルモデルとされる図がありますけれども、健康というところと、要介護(すなわち、人のサポートを借りる時期)の一歩、二歩手前ということで、中間地点ということになります。フレイルに関する概念などはホームページにもステートメントをすでに出したりしておりますが、簡単にフレイルの概念を説明しますと、私の考え方では、キーワードは3つであろうと思っています。一言でフレイルというのを説明すると、先ほどお話しした「中間地点」であるということ。もう一つは「リバーシビリティー(可逆性)を持っている時期」であるということ。我々専門職種からするとしかるべき適切な介入、そして国民・市民側から見ればしかるべき適切な継続性のある努力・意識変容・行動変容によって、大なり小なり予備能力や残存機能がリバースすることができるという時期をフレイルとしております。あとは、次のスライドでお話ししますけれども、比較的体が衰えたという身体的なフレイル(いわゆるフィジカル・フレイル)というだけではなくて、フレイルは「多面的」であるということであります。

 4ページ、3つの丸が書いてあるベン図のようになっていますけれども、先ほど整形外科の分野のロコモのお話からもお出ししていただきましたが、このロコモは身体の衰え(フィジカル・フレイル)のど真ん中に位置づけされる重要な状態を指し、高齢期の方々の ADL を下げる最たる状態であります。そこに有名な筋肉の衰えを意味するサルコペニアも付随しているということになります。また、左下の丸ではメンタル・フレイル(こころの衰え)を意味し、さらにコグニティブ・フレイル(認知機能の低下)という部分も含まれます。そして、最後に右下の丸がソーシャル・フレイル(社会性の衰え)ということになります。閉じこもりなどが代表的とよく言われますが、それだけではなくて、人とのつながりや、ソーシャルコンタクトがちょっと減った、それだけでもソーシャル・フレイルに傾いているのです。その社会性の低下がまたサルコペニアをさらに助長し、また、それが進むとさらにソーシャル・フレイルにも進んでいくという、この3つが相まって負の連鎖(スパイラル)になっているということになります。

 5ページ目、先ほどの右斜め三角形をもう一度出させていただきました。フレイルモデルにおける4つのフェーズから見た、重要な言葉として「一連」のアプローチ施策と書かせていただきました。

 健康(剛健のイメージも含む)というフェーズ、真ん中に中間地点としてのフレイル、右側の要介護と、3つの大きなフェーズに分けてあります。お気づきのように、フレイルの一歩手前にプレ・フレイル(前虚弱状態)という言葉をあえて書かせていただいています。生活にさほど困っていないのだけれども、言われてみるとささいな衰えを幾つか自覚する等のイメージなのかもしれません。そのささいな早期の段階からより国民に気づき~自分事化を与えたいという国民運動を作ろうと思い活動しております。

 それぞれのフェーズごとに、特に「食・栄養」という視点に重きを置きながら、課題や力点を書かせていただきました。まず、健康の時期におきましては、当然高齢期であっても生活習慣病管理は必須であります。ただ、比較的メタボ予防という言葉に置きかえて聞こえている高齢者(特に 70 歳以上)も決して少なくありません。そうしますと、彼ら高齢者は「最近歩いていないからもうちょっと明日から歩かなくては」というジレンマの中で生活をしております。さらに、「本当はもうちょっと御飯を減らさなければいけないのだけれども、おいしいから食べてしまう」というジレンマの中で生活している訳です。そのような考えの高齢者は決して少なくございません。そこで、下に矢印で注意喚起ということで、高齢期における減量及びそれに潜むリスクということで書かせていただきました。市民の方々、特に 70 歳以上の高齢の方々で、私の市民公開講座も含めて様々な経験から、大体6割以上の方は体重をまだ数キロ痩せなければならないという感覚を持っているという印象を持ちます。あと、「 BMI パラドックス」という概念もございます。すなわち、中年層から高齢者前半におきましてはやはり高 BMI (すなわちメタボチックな状態)であると様々な疾病発症リスクが高いということはある程度コンセンサスになっているわけです。しかし、より高い年齢(後期高齢者)になってくると、むしろ逆転してくる。 BMI が痩せている方々のほうがいろいろな弊害及び亡くなりやすい。逆に、ちょっと小太りぐらいはさほどリスクになり得ないというエビデンスも出てきております。当然ロコモの概念からしますと、オーバーウェイト(過体重)というのは足腰への負担も大きいと思いますので、そこら辺はいろいろケース・バイ・ケースで考えなければならないです。

 また、プレ・フレイル(前虚弱)というイメージをしますと、「しっかり動かなければならない。しっかり噛んでしっかり食べなければならないという栄養管理の重要性。そして社会性を高く保つ」という三本の柱が重要になります。この3つの当たり前の言葉がちゃんと三位一体として「どれ一つたりとも欠けてはならない」という形で、各地域で国民の目や耳に届いているかどうかということに関しては、まだまだ課題であろうと思います。このメタボ概念から栄養管理を軸とするフレイル対策への「考え方のスイッチング」がとても難しくて、そこにちょっとしたコミュニティー活動における指標、市民同士でチェックし合える指標をつくりたいと思い、今まで推し進めてきた活動がございます。後ほど御紹介します。また、ここまでは専門職による早期の介入というよりは、国民への動機づけ(気づき~自分事化)が主体になるであろうと思います。

 3つ目に関しましては、自立支援ケア型ということで、要支援1/2から要介護1/2ぐらいをイメージしてもいいのかもしれません。「しっかりリハビリをやる、しっかり口腔ケアをやる、しっかり栄養管理をやる、そして少しでも外に出るようにしてあげる」という、恐らく専門職種がしっかりチームを組んで、こだわりを持ってどれだけやれるのかということかと思います。

 要介護(ケア)の部分に関しましては、本日は詳細なお話を割愛させていただきます。

 おめくりいただきまして6ページ、先ほどからロコモ、そして我々のフレイルの話でも出てきました、サルコペニアというのはとても重要でございます。

 次の7ページ目でちょっとお話ししますけれども、サルコペニア、ささいな衰えでもいろいろな弊害が起こってきて、しかも最終的には要介護リスクになりやすい、本当の要介護の入り口なのであります。例えば、先ほどのロコモに関する話題の中でもありましたように、特に高齢女性において転倒骨折は要介護になりやすいです。そして左側には外出頻度が減るという、いわゆる億劫になってくるという現象が起こってきます。そうしますと、普段からのソーシャルコンタクトがない高齢期の方々においては、特に認知機能に陰りが出てくる。そして右側に関しましては、本日は時間の関係上詳しくお話し出来ませんが、口腔機能のささいな衰えの段階、すなわち新概念「オーラルフレイル」の部分を指します。食べ物をしっかり噛めなくなってきたとして、例えば歯ごたえのあるお肉類はちょっと厳しい、だから軟らかいもの(白身魚など)ばかりに食生活がなっていってしまう。いわゆる食の偏りが出てきてしまうと、咀嚼能力の筋肉群がさらに衰えてしまい、来年もっと噛めなくなってくるという、お口の中における負の連鎖(スパイラル)が存在しているということを、もっともっとコミュニティーで周知するべきだと思います。このオーラルフレイルの部分に関しても、我々が今まで以上にエビデンスを積み重ね、フレイルの一つの考え方であるオーラルフレイルという新概念を立ち上げて、現在、日本歯科医師会の先生方などと一緒に啓発しております。

 おめくりいただきまして8ページ、栄養ということが一番重要であろうということで、高齢者の食べる力「食力」というものはさまざまな要素でコントロールされている。一丁目一番地は確かに口腔機能でありますが、加えて、例えば左下のお薬が増えてしまう状況(いわゆるポリファーマシー)も副作用だけではなく食欲減退という視点もみんなで再考する必要がございます。一番上、栄養バランスというだけではなくて、食に対する誤認識というところもうまく解いていかなければならない。また、社会性・心・認知・経済(貧困など)と書きましたが、非常に重要であります。例えば気持ちよく買い物に行けるのかどうか、気持ちよくお友達とデパ地下に行けるのかどうかというのは、なかなか専門職の手の届かない世界になりまして、本当に総合知を集めてまちづくりの一環としてやらなければならないことになります。

 そこで、後半は短時間で私の活動を少しお示しします。

 9ページ目、より早期から国民に予防意識の気づきを与えるという目的・狙いを掲げ、身近な場で市民同士でできる「フレイルチェック」というものをエビデンスベースで開発しました。特にプレ・フレイルという段階を意識して啓発したい。そのチェックを専門職が出向いてやるのではなくて、元気シニアが「市民フレイル予防サポーター」という担い手側となってやっていただくということをやっています。

 おめくりいただきまして 10 ページ目、 11 ページ目はセットでございます。私が継続しているコホート研究からのあるエビデンスの一つですけれども、例えば運動、食・口腔といういわゆる栄養、社会参加というものを、例えば簡単な質問群でマル・バツとやってみますと、運動、栄養、社会参加という3つが3つともできている方々を、 11 ページ目のスライドでいきますと3実施群で示してあります。また、1個が欠けている方を2実施群、2つが欠けてしまっている方を1実施群、3つともが達成できていない方をゼロ実施群と解析上仮定しますと、このグラフは右に行けば行くほどリスクが高くなるというデータです。例えば、フレイルというアウトカムを設定しますと、3実施群よりはゼロ実施群はリスクが高くなる。同様に、サルコペニアのリスクも、そして社会的孤立やうつ(抑鬱)などのメンタルフレイルやソーシャルフレイルのリスク、さらにはオーラルフレイルに関わる口腔機能低下のリスクも、3実施群よりはゼロ実施群はリスクが高くなることが分かりました。

 次、 12 ページ、新しい概念図を書かせていただきました。これはしっかり噛んでしっかり食べるという、いわゆる栄養管理の視点に重きを置いた形でのフレイル化を新しい概念図としてまとめてみました。

 4つのフェーズ(第1、第2、第3、第4段階)に分かれており、第1段階は比較的社会性や心という要素が主になっています。なかでも「孤食」というキーワードがとても重要でございます。鬱傾向、社会参加の欠如というものも我々のコホート研究で比較的早期に起こって、徐々に身体的なフレイルに傾いていくことが分かって参りました。あとは、ヘルスリテラシー(健康リテラシー)の高低も非常に大きな影響を及ぼします。特に、お口に関する健康リテラシーの重要性というものが再認識されてきました。

 第2段階は、ささいな衰え(いわゆるプレ・フレイル)をイメージして、ささいな衰えがちょっとずつでも重複し合うと、大きな重石となって第3段階の顕著なフレイルの段階に入ってくる。顕著なサルコペニアやロコモ、低栄養、などとなってくる。早目のうちに気づいてほしいということです。

 重要なポイントをまとめますと、(当たり前の話ではありますが、) 13 ページ目「3つの柱(三位一体)」に尽きます。まずはしっかり噛んで、しっかり食べるという栄養管理の視点。次に、運動、特に先ほどのロコモ予防トレーニングであるロコトレが推進されたり、しっかり歩数を増やすことも含めた様々な運動。ちなみに、分かってはいるがなかなか運動が継続できないという方々も結構な割合で存在します。ですから、純粋な運動というだけではなく、社会活動、社会参加、社会貢献の中でどれだけ身体活動を上げるのかという戦略的視点も重要かと思います。

14 枚目、これは国民向けに書いた図ですが、私自身は「フレイルドミノ」という言葉で呼んでいるものです。各パーツ(各ドミノ)は全部重要なわけですが、その上で一番上流に存在するドミノは社会性であります。コミュニティーにいらっしゃる方々にこの原点の内容を幅広く周知して行きたいと考えます。

15 ページ目、三位一体がうまく包括されている「フレイルチェック」というのを考案しまして、現在色々な自治体で推し進めております。チェックに対して、良いデータには青信号シールを貼り、悪いデータには赤信号シールを貼るなどの演出もしております。 16 ページ目に示したように、黄緑色をイメージカラーとして、そのTシャツを着ている新しいスタイルの市民フレイル予防サポーターたちを養成し始めております。すでに複数の自治体でスタートしております。この市民フレイルサポーターは、まず研修トレーニングを受け、次に実際に地域での集いの場(地域サロンなど)に赴き、 15 20 人くらいの集まった高齢市民に対してフレイルチェックを実施し、一緒に答え合わせをしながら、三位一体の重要性をみんなで理解し合います。このチェックを半年単位でチェックしていくもので、これは市民のためにもなると考えておりますが、もう一つ、市民フレイルサポーター自身のためになるとも自負しております。

17 ページ、フレイル予防とは、まさに「総合知によるまちづくり」でやっていかなければなりません。特に、コミュニティの中で「社会参加」という視点の処方箋をどのように切っていくかが非常に重要であろうと思います。産学官民と書かせていただきましたが、各自治体の中で、構成しているみんなで考えていかなければならない。

 次のスライド 18 は、参考資料の一つですが、私は御縁があって昨秋から一億総活躍国民会議のメンバーに入っていましたので、その成果物であるニッポン一億総活躍プランの中に「フレイル対策」を盛り込ませていただきました。一番最後の 21 ページ目になりますが、栄養、口腔、服薬(ポリファーマシー)の部分に今まさに専門職がしっかり踏み込んでいただきたいということと、プレ・フレイルというささいな衰えの段階から、各自治体で多様な社会参加を住民主体という視点で今まで以上に底上げできるかどうかが大きな鍵であると強調させていただいた次第であります。

 最後、医療計画のお話でフレイルというものを取り上げていただきました。確かに5疾病・5事業ということで考えますと、今回ご提示させていただいたフレイル、そして身体的フレイルというところに含まれるロコモも含めまして、「保健・医療・介護の総合的な取り組み」として専門職種、市民団体、そして多くの国民のみんなでやっていくことが重要かと思います。しっかりした予防活動に発展させていくことが、まさにロコモの分野であり、そしてもう少し幅広い視点でのフレイルではないかと考えております。

 以上です。

○田中座長 両先生並びに事務局、発表ありがとうございました。聞いていて一部ぎくっとするところがあった方もいらしたのではないかと思います。

 では、議題2「高齢化に伴い増加する疾患への対応について」、御意見、御質問があればお願いいたします。

 角野構成員。

○角野構成員 まず、資料2-1の5ページの肺炎、図3が嚥下障害の原因疾患の割合で、脳梗塞等が多いわけですが、これはもともとベースとなっている患者さんの数が多いわけですからこういう結果になるのかなという気もします。むしろ、嚥下障害の原因疾患はいいのですけれども、病気になってしまった後、在宅医療、在宅療養ということを考えた場合に、嚥下障害で誤嚥性肺炎が多いので、そういったところから、例えば ST による嚥下訓練であるとか、むしろ歯周疾患、口腔ケア、このあたりとの関連性が、私は感覚的に口腔ケアをしっかりしていたら誤嚥性肺炎は少なくなるのではないかと思うわけですが、実際あれば出していただき、なければどこかで、要は誤嚥性肺炎を起こした方の歯周疾患との違いであるとか、あるいは嚥下訓練をされていたか、されていなかったかとか、そういったことがもうちょっとわかってくれば、今後、在宅療養をしていく中でプラスになるのかなと思います。

 それから、7ページに障害保健対策とかいろいろあります。これとの関連で、今のロコモのお話とフレイルのお話なのですけれども、最後、飯島先生が言われましたように、両者は非常に大事ではあるのですが、今の5疾病の定義を鑑みれば、5疾病の中に入れるというよりも、9番の保健・医療・介護の総合的な取り組みといったところに位置づけて記載していくほうがいいのかなと思います。

 もう一点ですが、2番目の議題は高齢化に伴うということなのですが、在宅医療という項目が、保健医療計画の中で見ていきますと、最初の1ページに戻りますと、居宅等における医療の確保というところで、在宅医療のことが記載される形になるのかなと思うのですが、前回お話がありましたように、在宅というのは何も高齢者だけではなくて、障害を持った子供もそうですし、精神の方も、いろいろあるわけですね。また、今、言いましたように、歯科保健というのも在宅医療については非常に大事であるということから、どこか7ページの障害保健対策とか、あるいは難病等の対策、歯科保健といった関連するところについては、在宅という視点も持って何か記載をするとか、ここでもそういうことをしていただけるとありがたいと思いました。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございます。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 資料2-1の9ページに論点がありますが、これについてまず意見を述べさせていただきます。今後、高齢化により増加するロコモティブシンドローム、フレイル、サルコペニアなど、資料3の 11 ページにはロコモティブシンドロームは身体的フレイルの一部と示されておりますので、そのように理解していいのだと思いますが、それらはいずれも医療・介護・予防にまたがった疾患ないし状態ですので、疾患としてならば、例えば老年症候群という記載もありますが、そのように総合的に捉えるべきではないかと思いますし、医療ならば疾病予防、保健ならば健康寿命の延伸、あるいは介護ならば介護予防といいますけれども、そのように予防を重視して取り組むべきではないかと考えます。

 それから、飯島先生に幾つか質問があります。フレイルという言葉は、痴呆を認知症と言い換えたように、今まで虚弱と言っていたのを少しハイカラに言ったような感じもするのですけれども、例えば生活習慣病は日本の行政用語で、世界には通用しないと言われているのですが、これは世界に通用する概念、用語なのかを教えていただきたい。

 資料2-3の2ページにありますけれども、フレイルと老年症候群と認知症、認知症も同じような概念に入るのではないかと思うのですが、別の対策がとられていますけれども、どこまでがフレイルで、認知症全体としてはどのように考えたらいいのかも教えていただきたいと思います。

 資料4の 17 ページに産官学民とありますけれども、地域に行きますと、学というのは余り前面には出てこない気がします。医師会もこの分野は先生にかかりつけ医機能研修制度の貴重な一コマを提供して講義をしていただいておりますけれども、医師会の位置づけはどのようにお考えでいらっしゃるのかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

○田中座長 3点、飯島参考人に御質問がありました。

○飯島参考人 ありがとうございました。

 まず、1つ目ですけれども、「フレイル」という片仮名4文字は、日本での使用する言葉になります。世界における共通する言葉は「 Frailty 」になりますので、私自身も海外で講演するときには「 Frailty 」と言っています。「 Frailty 」の概念というものは比較的世界である程度出来上がってきていまして、身体的な「 Physical frailty 」を軸として、そこに様々な Social frailty Mental frailty Cognitive frailty が重なり合って負の連鎖(スパイラル)になって行くという概念が提唱されております。

 あと、認知症及び老年症候群ですが、先ほど言いましたように、フレイルの概念は多面的です。そこに心の虚弱(メンタル・フレイル)に、コグニティブ・フレイル( Cognitive frailty )が近い位置づけで存在します。よって、認知症はこの部分に入っていると考えております。

 老年症候群は、本当にある意味 nearly equal に聞こえるのですが、確かに高齢者独特の、完全に治すことができない病態(例えば尿失禁など)も入ってくるわけであり、様々なフレイルのサイン(兆候)であります。ただ、老年症候群と全く同じかというと、多面的なソーシャルとか、そういうところも入りますので、そこら辺は少し概念的には、完全な同義語というわけではないかと考えています。

 産官学民という抽象的な言葉で最後締めくくってしまいましたけれども、地域を守ってくださっている医師会様はある意味「学」でもあり、かつ「民」でもあります。

○鈴木構成員 わかりました。

 ぜひどこかに。話を聞くと、かなり医師会の取り組みを高く評価していただいているようなのだけれども、公式の文書には出てこないという感じもしますので。ぜひ入れていただければ、先生方もますますやる気が出るのではないかと思いますし、認知症も広い意味ではフレイルの中に含まれるという理解でいいということはよくわかりました。ありがとうございました。

○田中座長 たくさん手が挙がりました。

 新田構成員。

○新田構成員 先ほど肺炎の話がありましたが、我々は地域で摂食、嚥下の評価チームというのを地域5市町村でやっておりますが、まず、誤嚥性肺炎を起こさないために評価が必要で、評価の結果、口腔ケアのみではなくて、介護士から歯科医も含めて全職種が食べ物の一口量から姿勢の問題と含めて全てを行うことによって誤嚥性肺炎を防ぐということは、結果が出ております。しかしながら、この現状を見ると、 75 歳以上の方が急性期病院に誤嚥性肺炎で入院するというのは、それが行われていない。地域 NST システムをしっかりつくることによって、こういった肺炎を防ぐことが可能だろうと一つ思っております。

 もう一つ、先ほどのロコモティブの話とフレイルの話でございますが、先ほどロコモティブの説明の中に、ロコモティブというのは在宅医療の重要なテーマという話がありましたが、在宅医療は基本的には生活の質の改善で、在宅医療そのものはケアをすることのみではなくて、リハビリは前置主義が基本にあって、リハビリ前置主義の目的は QOL の改善です。先ほどもありましたが、移動機能低下の予防というのが重要なことで、生活の質を改善する、移動させるというようなことだろうと思います。

 したがって、疾患ということよりは、予防という概念にふさわしくて、先ほど話がありましたが、医療計画に記載するその他の医療提供体制で、飯島先生から話がありましたが、9の保健・医療・介護の総合的な取り組みに組み入れるということがふさわしいと思います。ただ、ロコモという概念は、地域から見ると、ロコモということだけではなくて、フレイルという大きな概念の中でロコモを入れ込みながら、地域計画づくりというのが必要かなと思っています。それぞれ別個にあって、市町村におりていくと何をやるんだという話になってしまいますので、これはもう少し整理して、大きくフレイルというものはあるのだろうと。三位一体の運動論があって、その中にもロコモというものが入ってくるのだろうという市町村計画、いわゆる支援計画に入れ込むような施策としてあるべきではないかと思います。

○田中座長 ずっと手を挙げると大変ですから、こちらから順番にいきます。

 中林構成員。

○中林構成員 5疾病の糖尿病に関しまして、日本介護支援専門員協会のほうでは、糖尿病協会と合同研修を設け、また、糖尿病に関するマネジメントのテキストを発行しておりまして、今後、このようなフレイルであったり、ロコモティブシンドロームのような知識等、マネジメントを行っていくケアマネジャーにとっても非常に大事な内容にもなりますので、ぜひ飯島先生のほう、御支援というか、そういう機会を設けていただきたい。また、それ以外の5疾病に関しましても、そういう機会をどんどん介護職にも勉強する場をいただければと思います。

 以上です。

○玉城構成員 ロコモティブシンドローム、フレイルに関しては、岩本先生、飯島先生の将来展望で完璧かと思うのですが、その中の資料にも出てきていると思いますけれども、根底に認知症が合併している高齢者が結構多いのです。 70 歳以上になると7人に1人、 80 歳以上になると4人に1人が認知症なのです。認知症の初期に関しては、ロコモもフレイルもある程度予防効果が出るのかもしれませんが、中等度、重症になってくると、体の問題よりも認知症の問題になってきてしまって、それをどこが見ていくかということが将来大きな問題になるのではないかと思っています。

 今、精神科領域でも認知症の予防学、治療学、 BPDS の対応学というのは全く確立させていなくて、それぞれの介護現場、医療現場で試行錯誤でやっている状況です。将来、高齢化に伴う増加する疾患としては、認知症を独立させて、ワーキンググループで治療学、 BPSD 対応学、予防学を何らかの形で、綿密なものはできないと思うのですが、確立させていただきたい。

 それから、将来の地方行政での介護に関して今、認知症の重症者に関しては精神科病院で認知症専門病棟というのができて、精神保健福祉法で見ていくということになっています。すぐに薬漬けになって ADL が落ちてしまいます。本来ならある時期我慢すれば自然の経過でおとなしくなってきます。認知症専門の介護施設を独自につくっていっていただきたい。認知症専門のサ高住、認知症専門の老健、認知症専門の特養とか、認知症の患者さんに合わせたハードをつくる、回廊をつくるとかしてほしい。認知症のお年寄りに関しては、ユニット型などはとんでもないですよ。ハードも整えた上で、ソフトも認知症介護に関するベテラン、資格ではなくて経験を積んだベテランが入ってくるような施設を将来増やしていっていただきたいと思っています。

○佐藤構成員 まず、肺炎の話が出ました。新田先生のご発言にありましたように、在宅での取り組みはトータルで評価がされているというのはお話のとおりだと思います。

 一方で、急性期については幾つかの研究的な事業が報告されていますが、今回、医療計画を見直す中で事務局のほうから病床機能報告の中に医科歯科連携として5項目が新たに入りました。これらの項目は今後、急性期における周術期の口腔機能の管理がどのような効果を示していくのかという重要な指標になっていくのだと思いますので、その点を医療計画の見直し検討会でも感謝申し上げたところでございますが、そこはぜひ見ていきたいと思っています。

 歯科保健対策、これは都道府県が決められることで、角野構成員がお話のとおりでございまして、第5次までの計画の大きな課題はそこにあったような気がするのです。つまり歯科保健医療対策だけを別枠にしていたというか、いわゆる5疾病との関連はどうかということですが、第6次では大分よくなってきました。ただ、問題は医療計画見直し検討会では十分その議論がされていても、都道府県の保健医療計画にはちゃんと落とし込めるかという課題がまだ残っているのだと思います。今回は在宅医療が大分フォーカスされていましたので、歯科系医療の対策についてもあわせて、在宅との関連で地域包括ケア及び多職種連携の中で考えていくのだというのが、毎回発言のたびに申し上げているとおりでございますので、その方針どおり進めてまいりたいと思っております。

 また、フレイル、きょうは飯島先生、ありがとうございました。歯科医師会の取り組みまで言及していただいて、感謝しています。基本的に私どもが考えているのは、フレイル予防が行われている地域というのは医療計画を推進しやすい地域というのでしょうか、健康な地域づくりが行われているのではないかというベースをつくっていくという一翼を担っていきたいと思っています。したがいまして、過去の例でいうと、 WHO などで推奨してきたヘルスプロモーションの考え方というのは、歯科医師会は特に 8020 運動を長く進めてまいりましたので、そういうベースがあるために、地域の中で地域づくりを含めた取り組みをしていきたいと思っています。ですから、疾患ごとの取り組みというのは飯島先生がお話のとおりで、この議論の中でというよりも、地域全体の取り組みとして捉えるべきではないかと考えています。

 以上です。

○田中座長 越田構成員、どうぞ。

○越田構成員 私は基本的にはフレイルもロコモも、むしろ市町村が策定する介護保険事業計画の中で、介護予防事業にがっちり組み込むべきではないかと思っております。ちなみに、金沢市の第6次介護保険事業計画にはフレイルもロコモも記載は全くありません。地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業の位置づけで、 30 年度からは必ずこれらの概念を入れる必要があると思っています。

 一方、健康日本 21 に準拠した金沢市の健康づくり計画(金沢健康プラン 2013 )には、ロコモの認知度に関する指標が記載されています。確かに若い世代への啓発も大切ですが、フレイル、ロコモをより意識し始めるのは、高齢者かと思います。この世代の方の多くの医療保険は国民健康保険で、その保険者は現在は市町村です。また、 75 歳以上の方々は後期高齢者医療で広域連合が保険者になります。そして、介護保険の保険者は市町村です。国民健康保険の都道府県化もにらみ、市町村は自らの自治体の責任で、フレイルもロコモもきっちりと介護保険事業計画に組み込む必要があるのではないかと思いますし、都道府県の医療計画の中で、このことを強調したらいいのではないかと思います。

 2点目は、フレイル予防対象者の抽出がなかなか難しい。いわゆる 25 項目のチェックリストのみでいいのか、またチェックリストによるセルフチェックの普及が充分ではないという課題があります。更にチェックリストで二次予防事業に参加すべき対象者がスクリーニングされても予防事業に繋がる割合が低いのが現状です。対象者の抽出、事業参加への誘導までの課程が面白くなければ、肝心の予防事業には繋がりません。そういったことを考えると、まさに飯島先生がおっしゃったように、地域でお互いに、このフレイル予防を広めていく。この手法はまさに地域包括ケアを推進する市町村事業ではないかと思います。改めて、ぜひ市町村の介護保険事業計画に取り込んでいただきたいと提案いたします。

 もう一点、ささいなことで恐縮ですが飯島先生に質問させていただきます。耳の聞こえが悪いことは、高齢者の閉じこもりや、社会性が低下する原因の一つになるのではないかと思うのですが、お話の中ではあまりお触れになっていらっしゃいませんでした。加齢による聴力低下(難聴)そのものを予防することは難しいとは思うのですが、このあたりをどのように解釈すればいいか教えていただけませんでしょうか。

○飯島参考人 ありがとうございます。

 難聴ぎみになってくる、それこそ目の不自由さも入ってくるかもしれません。これらの感覚器の不自由さは閉じこもりも含む社会性への影響が出やすいことは明らかです。しかし、フレイルをシンプルに表現するにあたり、それこそ体の各パーツの機能の衰えを全部入れ始めていくには限界があります。そして、フレイルというのは特に国民への予防意識を高めるためのというのが一番の目的としてありますので、よりシンプルに表現するということも意識しなければなりません。そういう意味では、先ほど鈴木先生からのご質問で老年症候群というキーワードが出ましたように、ある程度の部分はオーバーラップしているのですが、何でもかんでも入れ込んでしまうことは限界があると思っております。確かに意識はしております。

○田中座長 井川参考人、お願いします。

○井川参考人 飯島参考人の示されたフレイルモデルは非常にスムーズな経過で流れていっているのですけれども、実際には多くの症例は一旦どこかで何らかのイベントが起こって、そこでがくんと落ちる。その大きなイベントの一つが入院だと思うのです。私どもは慢性期病院の協会ですので、急性期病院に入院されてその後慢性期病院に転院してこられる方の約半数近くがアルブミンは既に 3.5 以下というデータを持っております。これは急性期病院で1週間ほど肺炎とかで入院されますと、大概の場合は御飯を絶食にさせられて、安静にさせられて、その時点で筋肉は落ちている。アルブミンも落ちている。当然リハビリは余りされていないという状況になって、フレイルが、アイアトロジェニックと言っていいのかどうかわかりませんけれども、そのようなフレイルをつくられてしまっている。飯島参考人が図でお示しになっておられるように、戻るのは非常に難しい。戻る矢印は非常に小さくて、進むのは非常に簡単という状況がございます。そういう意味で言うと、医療関係者そのものにかなりアピールしていかないといけない。特に急性期の短期間の入院だとか、リハビリであるとかそういうもので、フレイルの悪化をできるだけ防いだ状態にしていかないといけないのではないかなと我々は考えております。

○田中座長 齋藤構成員。

○齋藤構成員 資料2-3で、フレイル等に関しましては、保険者事業でこれから強化をするということは方針としては出されているので、ぜひその活動には期待したいと思っておりますし、私も越田構成員と同意見で、できれば介護予防の事業にがっちり仕組んでいくほうが効果的なのではないかと考えています。

 それから、栄養等に関しましては、私も自分自身、高齢の母を見ていると好きなものしか食べないという状況になって、偏食ぎみになってくるので、地域において栄養にかかわることをしっかりやっていくとなっていくと、今度は市町村ごとにそういった専門職がなかなか雇用もできないし、どこにいるかもわからないという状況になりますので、そのあたりは医療機関に就業している方々を上手に活用して、なるべく地域に出ていくということを何かの形で誘導していくというのが大事なのかなと思っています。恐らく地域によっては、これは訪問看護にも同様のことが言えるのですけれども、民間も参入しない、医療資源も少ないというところは、そこの病院が主軸となった地域包括ケアシステムというものをつくっていくとなると、病院で働いている人たちも地域の人材であると考えれば、もっともっと病院の外に出て行く仕組み、アウトリーチをしっかりやっていくことが大事で、そういった専門職の雇用、活用等について都道府県のほうからの御支援等が多分要るのではないかと思っております。

○田中座長 鈴木構成員。

○鈴木構成員 先ほどの議論にもなるのですけれども、急性期の病院から地域に戻るという話ですが、そもそも高齢者の軽症から中等症の急性期はなるべくなるべく地域包括ケアシステムの中で診られるようにすべきだと思いますので、入院するにしても、地域の中小病院や有床診療所を活用していくという視点が重要だと思います。

 それから、急性期の大病院ですけれども、要するに、そこから地域に戻るとしても、かかりつけ医は多くの方にいるわけですから、病院とケアマネの連携だけでは済まず、かかりつけ医を含めた医療や医師会とのかかわりも必要になってくると思いますので、それらも含めた地域の医療介護連携のあり方を考えるべきだと思います。

 以上です。

○田中座長 有澤構成員、猪口構成員、お願いします。

○有澤構成員 ちょっと違うものになってしまうかもしれませんが、2-3の5ページの高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進というところで、今後、これが一つのモデルになって事業として展開されていくということについては、実際に今これをやっている中で事業主体が後期広域連合で、実際に行うのは市町村というところで、なかなか市町村で取り組みが進まない。後期広域連合のほうで後押しをするよりも、市町村が手を挙げないとこの仕組みができないというので、これは何らかの形で推進を進める方向にしていただきたいと思っております。

 それと、ロコモとフレイルの対策についての今後の医療計画については、(9)、そういった中で、多職種の連携が必要ですので、特に薬局に関しては、例えばフレイルにしても、食欲低下の原因が薬であったり、あるいは転倒骨折をする前の段階の転倒のふらつきとかが医薬品の副作用であったり、もう一つは、骨粗鬆症治療薬の飲み方というのが1カ月なり1週間なり、それぞれ注射でも出ています。そういった使い方も含めて、薬局が複数の疾患への対応、かかりつけ薬剤師という機能を今、一生懸命周知啓発しておりますので、そういったものも活用していただくということがいいのではないかと思います。

○田中座長 猪口構成員、お願いします。

○猪口構成員 前の議論も今度の議論もそうなのですけれども、医療と介護の連携なのです。今回の今の高齢者のフレイル対策等々も、保健の事業なのか、介護予防なのか、多分両方でいかなければいけないとすると、これからどうしても医療部門と高齢者部門、もしくは福祉部門というのがどれだけ行政的にも連携するかというお話だと思います。これは区市町村だけの問題ではなくて、都道府県でもそこの連携がうまくいっていないので、幾ら支援しようと思っても、うまく支援ができない可能性があるので、ぜひ行政が国から都道府県、市区町村に至るまでそこの連携を強化していくという基本的なことをまずどこかによく記載していただけたらと思っております。

○田中座長 ありがとうございます。

 在宅医療及び医療介護連携については、まだ幾らでも議論できますし、さらに学ぶこともできます。ただし、残念ながら、医療計画をつくる親検討会のスケジュールの都合もあって、ワーキングでの議論はここまでとしなくてはならないそうです。きょうお集まりの方々でさらにどこかで集まって勉強会を開けますが、厚労省の正式なワーキングとしてはこれで閉じさせていただきます。まことにありがとうございました。

 事務局には頂戴したさまざまな意見を踏まえて、資料を適宜修正していただきます。

 老健局に伝えなければいけない事柄も幾つか出てきましたので、それもしっかり伝えてください。

 資料については、親検討会に報告しますが、その前に必要に応じて構成員の方々にも相談します。ただし、最終的には基本的に座長である私にお任せいただく扱いとさせていただきますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中座長 今回、取りまとめる意見については、先ほど申しましたように、親会である医療計画の見直し等に関する検討会に報告することになります。

 事務局から何かございますか。

○桑木室長補佐 座長からお話がありましたとおり、修正した後、親会である医療計画の見直し等に関する検討会に御報告いたします。活発な御議論ありがとうございました。

○田中座長 では、これにて「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を終了いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。また、参考人の方々もありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課 医師確保等地域医療対策室
直通電話:03-3595-2194

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