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2016年9月28日 第13回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局 研究開発振興課

○日時

平成28年9月28日(水)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省共用第8会議室(19階)
〒100-8916 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2


○出席者

【委員】

福井部会長 今村委員 梅澤委員 大澤委員 掛江委員
木下委員 小林委員 高橋委員 田島委員 柘植委員
手良向委員 戸口田委員 中村委員 花井委員 前川委員
松山 委員 山口委員 山中委員

【事務局】

森光 研究開発振興課長 下川 厚生科学課研究企画官

○議事

○森光課長
 傍聴の皆様にお知らせをいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますようお願いいたします。

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第13回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催させていただきます。本日は部会の定数25名に対しまして、現時点で17名の委員の方に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告申し上げます。

 本日の会議資料の確認をお願いいたします。ひもでとじられておりますけれども、議事次第の束のほかに座席表、名簿、資料1と資料2-12-2があります。また、リストのほうにはありませんが、本日、名古屋大学より追加の資料が提出されており、紙媒体で机上に配布しております。説明文書、同意文書ということで、患者さん用、ドナーさん用の2つの資料になります。机の上にありますでしょうか。不足がありましたらお知らせいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきます。以後の進行は福井部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○福井部会長
 それでは、本日はお手元の議事次第にありますように、2つの議題について御審議のほどよろしくお願いいたします。議事1、遺伝子治療と臨床研究に関する実施施設からの申請等について、事務局より説明をお願いします。

○下川研究企画官
 まず資料1を御覧ください。国立がん研究センター中央病院からの研究計画の変更申請1件と、千葉大学医学部附属病院から計画の変更報告及び重大事態等報告の3件の計4件について御説明します。

 まず、国立がん研究センターからの遺伝子治療等臨床研究計画変更申請についてです。2ページを御覧ください。研究課題名はハプロタイプ一致ドナー由来T細胞除去造血幹細胞移植後のHSV-TK遺伝子導入T-リンパ球“Add-back”療法です。研究実施期間ですが、本研究は平成221220日に遺伝子治療は終了しており、現在、15年間の被験者長期追跡調査中の状況にあります。

 次に4ページを御覧ください。項目6、遺伝子治療臨床研究計画変更の概要の研究目的の部分ですが、本遺伝子治療は高リスク造血器悪性腫瘍患者にハプロタイプ一致造血幹細胞移植が行われた後、感染症をはじめとした造血幹細胞移植の合併症を軽減しつつ、GVHDが発症したときの沈静化の手段として、単純ヘルペスウイルス1-チミジンキナーゼ遺伝子導入ドナーリンパ球を追加輸注する治療法で、その安全性・有効性について研究するものです。

 今回の研究計画の変更申請の内容ですが、7ページを御覧ください。新旧対照表の下段にありますが、総括研究責任者の退職に伴い、総括研究責任者を国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科病棟医長の山下先生から、同病院同診療科の科長の福田先生に変更するものです。

 次に4ページに戻ります。5番目の倫理審査委員会の見解ですが、後任者は本計画に明るい造血幹細胞移植科長であり、変更に問題はなく適当であると判断されております。本計画の変更については、本部会後報告する前に遺伝子治療研究に関する審査委員会の委員の先生方に御確認を頂いており、御了解を得ております。

 次の報告は12ページになります。千葉大学医学部附属病院で行われている切除不能悪性胸膜中皮腫を対象としたNK4遺伝子発現型アデノウイルスベクターによる臨床研究の研究計画変更についてです。

15ページの研究の目的・意義を御覧ください。NK4はがんの浸潤・転移に関するHGFのアンタゴニストで、この研究はNK4遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを胸腔内に投与し、悪性胸膜中皮腫に対して遺伝子治療の安全性・有効性の検討を行うことを目的として行う研究です。

 次に16ページの真ん中辺りになりますが、変更内容の欄を御覧ください。この研究計画の変更は、2年間の研究期間の延長を3年や5年に延長するもので、今年の821日までで研究期間が終了するに当たり、高用量投与が予定計画3例のところ、まだ2例しか終わっていないということと、高用量投与2例目で死亡例があったため、千葉大の遺伝子治療等臨床検査審査委員会で、有害事象の判定によっては高用量について、予定3症例に3症例追加して6症例実施する必要があるため、研究期間を延長するものです。

 その後、千葉大の遺伝子治療等臨床研究審査委員会で、有害事象の判定としては、後ほど御説明いたしますが、高用量での死亡は原疾患の進展によるものと考えられ、本臨床研究との関連性は不明若しくは低いと考えられると結論されております。次に、今、御説明した高用量での死亡について、重大事態等報告が別途提出されておりますので説明します。

24ページの重大事態等の内容及びその原因の欄を御覧ください。患者さんは41歳で、原病歴に記載しておりますが、上皮型中皮腫と診断され、Cisplatin+Pemetrexedを投与して、一時PR部分奏功でしたが、その後PDと増悪したため、Cisplatin+Gemcitabineを投与しています。それでも病状が悪化し、緩和ケアの方針となりましたが、臨床研究への参加を希望したため千葉大学に紹介、受診されております。

 一番下に書いてありますが、今年の525日にウイルスベクターを投与されています。もともと投与前から少量の腹水がありましたが、25ページの上から7行目に書いてあるように、投与5日後の530日にグレード1の腹水の増量があり、投与9日後の63日には腹水を1,700mL排出し、腹水の細胞診で悪性中皮腫細胞が検出され、がん性腹膜炎と判断されております。その後71日に、増幅するがん性腹膜炎に対応するために、デンバーシャント造成術を施行しましたが、78日にシャント機能不全となり、腹水増加、イレウスを併発し、がん性疼痛が増強したため患者本人、家族と相談の上、ベストサポーティブケアに専念することとして、投与から48日後に亡くなられております。

22ページに戻ります。一番下の5、倫理審査委員会の意見の欄を御覧ください。倫理審査委員会としては、臨床経過を考慮すると原疾患の進展による死亡と考えられ、本研究との関連性は不明若しくは低いと考えられる。しかし、被験者の方がウイルスベクター投与後、比較的短い経過で亡くなられた経緯を鑑みて、腹水症例は可能な限り除外するとともに、原発巣以外の転移巣の反応に関して慎重に判断し、今後とも安全性の確認に留意し、当該研究を進めるべきとしております。これは高用量を投与された患者さんについてのものですが、次に、同じ臨床研究で中用量を投与された患者さんの死亡についての重大な事態等報告書が千葉大から提出されておりますので、御説明いたします。

33ページの「重大事態等の内容及びその原因」と書かれている欄を御覧ください。77歳の肉腫型中皮腫の患者さんで、別の病院でCisplatin+Pemetrexed、化学療法を望まれないということで、千葉大学に遺伝子治療を望んで来院され、中用量のウイルスベクターを胸腔内に投与されております。

34ページの一番上ですが、投与後、アデノウイルスベクターの排泄がないことを複数回確認し、投与後約2週間で退院されております。その6日後の受診でも自覚症状はありませんでしたが、グレード1の肝障害を認めております。投与から1か月後の222日に胸部CTで腫瘍が2%増大のSDであったが、自宅療養を希望されたということで、近医の在宅診療による緩和ケアを受けておられました。次第にパフォーマンスステータスが低下し、投与から162日後、約5か月後にお亡くなりになっております。

 欄の中ほどに「3.重大事態と本臨床研究との関連性」と書かれている項目があります。その一番下の行にある、労働健康福祉機構が出しているデータによれば、対処療法のみの生存期間の中央値は5.7か月と記載されており、直接の比較はできないと思いますが、生存期間はほぼ同じ数値となっておりました。

 次に31ページです。一番下の倫理審査委員会の欄を御覧ください。倫理審査委員会の見解としては、今回の死亡については遺伝子治療との直接の因果関係は認められず、原疾患の進行によるものと判断されております。今、御説明した千葉大学からの3件の内容について本部会に御報告する前に、遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会の先生方に御確認を頂いております。

 最初に御説明した研究期間2年の延長、それから3番目に御説明した中用量の死亡に関して原疾患による進行という見解は問題ないという御意見を頂いております。2番目に説明した高用量投与の死亡については、審査委員会の2人の先生から御意見を頂いております。まず1人の委員からは、原疾患の増悪による死亡という判断は妥当であるとの意見を頂いております。

 もう一人の専門委員からは、幾つか質問と御意見を頂いております。投与数日後に腹水が増加して、比較的短期間での死亡例であり、投与がきっかけで腹膜転移が促進された可能性は必ずしも否定できない。血中を含めてウイルス排出は2日目以降検出されなかったとあるが、腹水についても調べているのかどうかという御質問がありました。

 これに対して千葉大学からは、腹水はサンプルが得られず、ウイルスの存在は検討できていないとの回答がありました。また、同委員からは、今後は腹水症例を除外すること、転移巣の反応を慎重に検討することのほか、今回の死亡例についてインフォームドコンセントに含めたほうがよいのではないか。高用量投与について4例目を実施するかどうか、高用量の3例目までの結果を慎重に再検討して判断すべきであるとの御意見を頂いております。

 これに対して千葉大学からは、腹腔内転移が明確で多量の腹水を有する患者さんは全身状態が悪く、もともとエントリーできないのですが、今回の事例は開始前に臨床的に問題にならなかった腹水貯留が結果的に悪化したということと、また、今後は腹水を有する者の登録を除外するわけではないが、多少でも腹水を有する症例は、より慎重な事前審査が必要で、臨床研究開始前、アデノウイルス投与後も原発巣のみならず、腹腔を含めた転移巣の増悪の変化を追跡して研究する予定であること、4例目の実施については、高用量の3年目までの結果を慎重に検討して判断する旨の回答を得ております。

 また、被験者の方への説明同意書に、腹膜に悪性中皮腫が転移している場合は、その転移が急速に進行して、NK蛋白質の作用にて症状が悪化する可能性もあり得ると、追加する方向で検討する旨の回答があり、専門員から御了解を頂いております。説明について以上です。

○福井部会長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等ありましたら、委員の先生方からお願いします。いかがでしょうか。適切に対応されているという判断でよろしいですか。

○花井委員
 専門的過ぎて分からないのですけれども、一応、ベクターそのものと、ベクターが産生するものの影響があるかないかという話だと思うのです。先ほど症例で腹水から検出されたかどうか、サンプルがないということでした。今後腹水がある患者は完全に除外せずに慎重に検討ということなのですが、今後同じようなことが起こったら、今度はサンプルをちゃんと採るようにするということなのでしょうか。

 かと言って、腹水からベクターが検出されたから、それが因果関係があるということにはならないとは思うのですが、そういうことは言ってもいいのですか。ちょっと素人考えなのですけれども。研究中なのに、腹水を調べなかったというのは、何か今いち十分ではなかったように思えたのですが。

○福井部会長
 腹水との関連で何かメカニズムなりについて説明していただければ有り難いのですが。

○山口委員
 まず、腹水との関係なのですが、これはもともと対象疾患が中皮腫ですので、中皮腫で基本的には胸水がたまっているときが一番適応になりやすい。すなわち、中皮腫でいろいろ点在して腫瘍はありますので、胸水がたまっていないと、いろいろな所にベクターが入って行かないのですね。それで胸水があるほうがベクターがいろいろな所に点在している腫瘍に入りやすいという特徴があります。

 ただし、もう1つは、そこのベクターが血流に流れたりすると、sheddingといって外に飛び出してしまう、あるいはその目的としている胸水以外の所に出てくるリスクが生じます。それが安全性の目標の評価の1つだったのです。ですから、逆にこの結果では、いろいろな所に出たりしないことを調べるのはもう1つの目的だったわけです。

 今度は腹水の関係ですが、胸水にしか局在しない場合には、腹水の中には行かないだろうとは推察されます。ただ、できれば腹水に存在していたか調べられれば調べるべきなのですが、患者さんが末期のときに腹水をくださいとはなかなか言いにくい。特にベクターが遠くまで残存しているかは、我々はできるだけ患者さんの了解、あるいは家族の了解を得られれば、後で解析してくださいとは言うのですが、やはり家族の了解とか得られないと、そこまではなかなかデータは得られない。

 それで、もう1つは、ベクターが入っていかないと、そこにはもちろん遺伝子治療としての機能はないわけで、腹水にもしがん細胞がたまってしまうと、そこにベクターが移行ししないのであれば、遺伝子治療ベクターとしての多分効果がないことになります。ですから、転移巣がある人に本ベクター余り効果がない可能性はあるのだろうと思います。

 ですから、腹水がたまっているような人は、適応除外にすべきではないかというのが、今、御質問があったような委員からの問合せです。ただ、完全に腹水が有る無いを判定するのは難しいので、慎重にはするのですが、できるだけそれを除外するような形で、要するに、転移のない人を対象とするような形にはしたいというのが、千葉大の答えだと理解しております。

○福井部会長
 よろしいですか。いかがでしょうか。

○梅澤委員
 今の御質問と同じですが、お願いできなくても腹水を治療的に採らなくてはいけないときは、参考品として用意してもいいのではないかという考え方はあると思うのですよ。

○山口委員
 ですから、そういうサンプルが採れたときは、もちろん大学のほうに、検査してくださいということはお願いしております。

○梅澤委員
 それはしてあるのですね。

○山口委員
 ええ、今回のケースはその了解を得られなかったので、採れていないということです。

○梅澤委員
 はい、分かりました。

○福井部会長
 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問等ありましたらどうぞ。よろしいですか。それでは、遺伝子治療等臨床研究に関する2つの実施施設からの申請について、この部会としては了解するということで進めさせていただきます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。


(非公開部分の議事概要については以下のとおり)

議事:第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認

議事概要:


1 以下の第一種再生医療等提供計画について、再生医療等提供基準への適合性を次回の再生医療等評価部会において再確認することとした。


【再生医療等提供機関】

名古屋大学医学部附属病院


【提供しようとする再生医療等の名称】

間葉系間質細胞の骨髄内輸注を併用する臍帯血移植

 


(了)

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