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2016年7月8日 第4回データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会議事録

○日時

平成28年7月8日(金)15:00~17:00


○場所

全国都市会館 2階大ホール


○議題

1.前回のヒアリングにおける質問事項等について
2.ビッグデータの現状について
3.構成員からのプレゼンテーション
4.当面の検討事項の整理について

○議事

○西村座長 皆さん、おそろいになりましたので、ただいまから第4回「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を開催いたします。

お忙しい中、ありがとうございました。

きょうの出欠でございますが、葛西構成員、金丸構成員、神成構成員、宮田構成員、この4名の方から御欠席の連絡をいただいております。

厚労省のほうの人事異動があります。事務局から簡単に御紹介をお願いしたいと思います。

○保険課長 保険課長でございます。

メーンテーブルのみ人事異動、御紹介をさせていただきたいと思います。6月21日付で唐澤前保険局長と吉田前審議官が異動し、鈴木康裕保険局長と濱谷浩樹審議官が配属されております。

 以上でございます。

○西村座長 それでは、議事に入りたいと思います。

カメラ等はございませんね。

議事に入ります前に、本日用意しております資料について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○保険課長 本日の資料でございますが、まず資料1は「支払基金と国保連の比較等」ということで、前回、前々回のヒアリングを踏まえまして御要望いただいた点などにつきまして、支払基金と国保連の比較をした資料を用意しております。

資料2につきましては、厚生労働省あるいは保険者が持っているビッグデータの現状につきまして説明をした資料でございます。

資料3-1、資料3-2は、林構成員、飯塚構成員からのプレゼンテーションの資料でございます。

資料4は座長の提出資料ということで、用意させていただいております。

参考資料が2つありまして、参考資料1は、これまでの構成員からの主な指摘を整理したものでございます。参考資料2は、規制改革の閣議決定について、支払基金の該当部分について用意したものでございます。

資料は以上でございます。

○西村座長 それでは、資料の内容の御説明をお願いしたいと思います。

○保険課長 それでは、まず資料1について御説明をいたしたいと思います。「支払基金と国保連の比較等」ということで、前回、前々回のヒアリングを踏まえまして、事務局のほうで支払基金と国保連、御指摘いただいた点などについて比較をした資料でございます。

1ページおめくりいただきまして、2ページ目は「支払基金と国保連の職員数の推移」ということでございます。初めの青と赤の実線の部分は、国保連と支払基金のそれぞれ総職員、全ての職員の数でございます。御案内のとおりに、国保連は審査支払以外の業務をしておりますので、総職員の数につきましては、国保連の職員の数のほうが支払基金の職員の数よりも多くなってございます。

その下のほうに参りまして点線、破線になっているものの数は、国保連支払基金の職員のうち審査・支払を担当している職員の人数の推移でございます。支払基金の審査担当職員というのは、本部の職員を除きまして、また、支部の職員につきましては、いわゆる庶務あるいは会計といった職員を除いた数字でございます。国保連の審査担当職員、担当者数といいますのは、主に審査・支払を担当されている職員ということで、各47支部から提出があったものを足し合わせたものでございます。これで見ますと、支払基金のほうが1,000人程度人数が多くなっているという状況でございます。

1ページめくっていただきまして、3ページは、前ページの平成27年度の職員数、審査・支払を担当する職員の数を都道府県別に見たものでございます。やはり都市部においては企業が多いということで、支払基金の職員の人数が多くなっております。一方で、地方におきましては、国保連のほうが職員数が多くなっているという地方もございます。

4ページ目は、保険者・医療機関からの再審査請求の状況でございますで。一次審査、原審査をした後、保険者、それぞれ医療機関においてその審査結果に対して不服がある場合には、再審査を審査支払機関に上げられるということになっております。それぞれ保険者側と医療機関側の数字を並べております。この数字で見ますと、支払基金、国保連を比べますと、国保連のほうが再審査件数は多くなっております。医療機関でも同じような状況でおります。また、そういった請求があったときに、実際査定になった、あるいは医療機関でいいますと、査定されたものが覆された、そういった件数におきましても国保連のほうが多くなっているという状況にございます。

5ページ目は「支払基金の支部間差異解消のための取組み」ということで、前回河内山理事長のほうからそういった取り組みについて説明があったと思いますが、支部の間で審査の結果が違うということで、支部間差異がある場合、支払基金の本部に置かれております支部間差異解消のための検討委員会、あるいは審査情報提供検討委員会というところにその案件が挙がるということになっています。この取り組みは平成7年から行われております。

例えば医科で見ますと、平成7年から645の事例が挙がりまして、78事例につきまして、それを統一して、公表するという形になっております。こういった取り組みで支部間の差異の解消に取り組んでいるということでございます。

下のほうの2の「審査充実全体会議」といいますのは、1のほうだけではその差異の解消がなかなか進まないという面がございますので、支部からの申し出によらずに、そういうところで解消したほうがいいという問題があったような場合には、審査充実会議というものを設けて審査をし、その中で意見の合意を得たものについて、さらに1の支部間差異解消の検討委員会にまた上げるということで、さらにこれを加速化して、解消するという取り組みを行っております。

平成27年度から実施しておりますけれども、今のところまだ16事例ですが、この16事例をまた上の会議のほうに上げて、差異の解消に取り組んでいるという状況でございます。

6ページ目は、先ほど言いました公表になった事例を一つ挙げております。どのような事例であるかといいますと、膵臓疾患で「糖尿病」という病名がない場合に、糖尿病の検査をしていいかどうかということで、従来認めている支部とそれを認めていない支部というのがございました。認める理由というのは、慢性膵炎では糖尿病の合併症が多くて、血糖値の平均を評価することは臨床的に有用性がある、あるいは認めていない理由としては、「糖尿病」という病名がない以上、それは認められないのではないか、そういう意見でございました。

それを協議した結果、このケースにおいては、原則として「糖尿病」「糖尿病疑い」の明示のない場合には、膵臓病疾患のみの場合、糖尿病の検査は認められないという結果になったという事例でございます。もちろん、これはたまたま認められないとなった事例ですけれども、逆に認められるとなった事例もございます。これはたまたまこういう事例を一部御紹介したということでございます。

私のほうからの紹介は以上でございます。

○西村座長 資料2のほうは後でやるのですね。

○保険課長 資料2もこの後、引き続きでお願いいたします。

○西村座長 どうぞ。

○保険システム高度化推進室長 そうしましたら、資料2につきまして、続けて御説明をさせていただきます。保険システム高度化推進室長でございます。

資料2をめくっていただきまして、3ページ目にNDBについて概要をまとめさせていただいております。NDBについては、日本全国のレセプト、健診等のデータを収集しておりますが、高齢者の医療の確保に関する法律に基づいた収集を行っております。

保有主体は厚生労働大臣になっておりまして、現在、レセプトデータ、特定健診・保健指導のデータについて、それぞれ約7年分を格納しております。レセプトについては、平成21年4月から平成28年1月、特定健診については平成20年度分からとなっております。基本的には個人を特定できる情報については匿名化をして、格納するという形をしております。

4ページ目にNDBの収集の経路を載せさせていただいております。

まず、レセプト情報のほうは、審査支払基金から出てくるところで匿名化処理をして収集をしております。特定健診・保健指導の情報については、保険者から支払基金のほうに報告が行きますので、これを収集するという形をとっております。

5ページ目からはレセプトと特定健診について、それぞれどんなデータが入っているのかというのを少しまとめさせていただいております。

レセプトについては、傷病名ですとか投薬、注射、手術、こういった情報、検査であれば検査の情報といったものが入っております。

黄色のところに書いておりますが、患者の氏名ですとか生年月日の「日」といった個人の特定につながりそうな情報は落として収集しております。

6ページ目は、特定健診・特定保健指導のデータの内容になっております。

特定健診・保健指導の内容については、主に健診の結果が入っております。具体的には、例えば血糖の検査をすれば、実際血糖の数値がどうだったのかといった情報になっております。

それから、黄色のところに書いておりますが、こちらについても御本人のお名前ですとか、そうした個人の特定につながりそうな情報は削除して収集して行っております。

続きまして、データ回りの関係ということで、7ページ目から介護総合データベースについて、まとめさせていただいております。

めくっていただきまして8ページ目は、データベースの概要をまとめさせていただいております。こちらは、介護保険法に基づいて厚生労働大臣が収集するという形をとっております。

保有する情報は、介護レセプトのデータと要介護認定のデータになっております。これまでこうしたデータを活用しながら、例えば課題とか取り組みというのを客観的に把握するということをやってきたのですけれども、今後は「地域包括ケア『見える化』システム」の中でも利用するということにしております。

9ページ目は、介護レセプトについて少しまとめさせていただいております。このデータベースの中に入っている介護レセプトは、平成24年4月分からになっておりまして、今、約5.2億となっております。

主な情報としては、例えば要介護状態区分ですとか、どんなサービスを利用されたかといったような情報が入っております。

10 ページは、もう一つの要介護認定のデータについてまとめさせていただいております。こちらは市区町村が要介護認定に用いた調査の結果が入っておりまして、平成21年4月分からでございます。格納されている主なデータは、要介護認定の一次判定と二次判定のデータになっているのですが、例えば一次判定であれば、基本調査74項目ですとか判定結果という情報になっております。二次判定についても二次判定結果といった情報が入っております。

11 ページ目で介護保険総合データベースの収集経路をまとめさせていただいております。要介護認定については、市区町村から匿名化をして収集しております。介護保険レセプトについては、国保連から匿名化をして収集するという形をとっております。

12 ページ目は、国保のほうのデータベース、KDBについてまとめさせていただいております。

13 ページに国保データベース(KDB)システムの概要をまとめさせていただいております。基本的にはKDBのシステム、国保連のほうでデータが集まっておりますので、これを突合処理、集計処理をして実際に活用できるような形にするという形をとっております。市町村それぞれ活用できる端末がありますので、その端末のほうから国保連にあるデータを見ながら、さまざまにデータを活用しているということでございます。

14 ページのほうで大まかにどんな情報が入っているのかというのをまとめさせていただいております。下のほうに「KDBシステムが保有する情報」ということで挙げさせていただいておりますが、大きくこの3つが入っております。

1つが健診・保健指導の情報ということで、特定健診の結果の情報であるとか、保健指導の結果の情報が入っております。

医療については、レセプト等からとってきた傷病名であるとか診療内容といった情報が入っております。

介護についても先ほどの介護レセプト等からとってきた要介護状態区分、どんなサービスを利用しているかといった情報が入っております。

15 ページ目でKDBの活用の流れをまとめさせていただいております。基本的にはKDBはこうしたデータを活用して効率的、効果的な保健事業を実施して、その評価を行って、さらにその課題解決を進めていくといった利用の流れを想定していて、下のほうに書いてありますが、まず全体的な地域の状況把握を行った上で、重点課題を抽出。そして重点課題に対して対策を講じて効果を確認というサイクルを回しながら活用を進めていくといったことを想定しているものでございます。

最後に、16ページ目のところで医療保険者のマイナンバー対応の状況を御紹介させていただきます。

17 ページ目なのですけれども、マイナンバー制度で情報をやりとりする、情報連携をするためには、それぞれ各機関が情報提供ネットワークに接続する必要がございます。青のところで書いてある情報提供ネットワークというものでございます。基本的にはこのネットワークに接続することでそれぞれの機関に所属している方の情報をやりとりするということになるのですが、医療保険者については、直接健保組合とか協会けんぽがこの情報提供ネットワークに接続するという形をとらずに、できるだけ効率的にやるためにも、社会保険診療報酬支払基金と中央会に集約して情報提供ネットワークに接続するという形をとらせていただいております。こういった形で医療保険の集約化したシステムという形でマイナンバーのシステム構築を今、進めているということで、これは来年の7月以降に稼働するという状況でございます。

また、今後の話として、こうしたシステムを活用しながら、オンライン資格確認であるとか医療等IDといったところも検討されているという状況でございます。

私のほうからの説明は以上でございます。

○西村座長 どうもありがとうございました。

それでは、資料1、2、両方について御質問あるいは御意見を伺いたいと思います。挙手を願いたいと思います。よろしくお願いします。では、山本構成員。

○山本(隆)構成員 資料2の11ページで介護保険総合データベースの御説明があったのですけれども、ちょっとわからないところがあったのです。要介護認定データと介護保険レセプトデータを連結しているのですね。これは匿名化の後で連結するように書いてあるのですが、匿名化の後で連結というのはできるのですか。

○保険システム高度化推進室長 「匿名化」と書いてあるのですけれども、要は、NDBと同じような形で、固有のハッシュのIDを振り出して連結するという形をとっております。

○西村座長 よろしゅうございますか。

○山本(隆)構成員 はい。

○西村座長 山崎構成員、どうぞ。

○山崎構成員 事務局の資料1になります。実態を正しく把握するには不十分で、誤解を招くおそれがあるのではないかということで、2点指摘させていただきたいと思います。

4ページの下の【参考】として、3月分の原審査請求件数では、支払基金が6,140万件、国保連が5,604万件で、支払基金のほうが1割程度多くなっています。この請求件数をもとに再審査に対する査定率等も含めて両者を比較しているわけですが、以下のような問題があるように思います。

1点は、実は国保連は公費負担併用分の件数を含んでいない。つまり、保険診療と公費負担の併用の場合は、1件として国保連は計上しております。

ところが、支払基金は、公費負担分の件数を含んでおりますから、レセプト1枚に対して、ここでは2件として計上されています。レセプト1枚ですから、2倍の手間がかかっているとは思いませんが、たまたま給付の主体が、保険者と国なり地方自治体が主体になっているということで、2件になっている。したがって、結果的に手数料をそれぞれからいただいているということになるわけですが、分母になる審査の件数が、両者を比較すると、支払基金のほうはややか、かなりか、多くなっているということでございます。ですから、件数のベースをそろえて比較すべきで、国保連と比べるのであれば、支払基金の公費負担併用分は例えば1にするとかしないと、不公平だと思います。

 第2点は今、お話ししたことと関係しますが、審査の手数を考えると、件数ばかりではなくて、1件当たりの医療費の額が大きな影響を及ぼすはずでございます。平成26年度の医療費の総額で見ると、国保連分は、国保が11.8兆円、後期高齢者医療が14.5兆円で、合わせて26.3兆円です。支払基金分は、被用者保険が11.6兆円。そのほかに、私は正確な数字を知りませんが、生活保護の単独分がこれに加わるとしても、大ざっぱに見て国保連の審査支払総額は、支払基金のほぼ2倍程度になっていると思います。

したがって、両者を比較するのであれば、件数というより、むしろ審査支払の医療費の総額を考慮して比較しなければいけないということで、私が見るところによると、国保連というのは、支払基金を大きく上回る分量の審査を支払基金よりかなり少ない職員数でこなしているという見方もできるのではないかと思います。これは事実関係ですので、申し上げておきます。

○西村座長 ありがとうございました。

事務局から今、特に異論はございませんね。大丈夫ですね。

○保険課長 特に異論はございません。そういう面の比較も可能かと思いますので、またよく検討してみたいと思います。

○西村座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○松原構成員 資料1の最後の5ページでございますが、「支払基金の支部間差異解消のための取組み」。いろいろなことを取り組んでおりますし、また適切な回答になることもあるのですが、6ページのところ、随分議論された上に、ほかのものとの兼ね合いの中でもこういう結果になっているわけでありますが、普通の皆さんは、例えば慢性膵炎という病気と糖尿病という病気は別の病気だと思っておられるわけです。部位も違うし、関係ないのではないかと。ところが、医学的には糖尿病と関連する大事なインスリンを出しているのは膵臓であります。つまり、膵臓がガタガタになるとインスリンが足りなくなって糖尿病になる。医者にとっては全くイロハのイ。つまり、常識であります。

だから、病名だけ見ますと全然別のように見えます。別のように見えると、別だから関係ないということであります。しかし、随分議論されたところでありますけれども、最終的には「糖尿病」あるいは「糖尿病の疑い」という病名をつければ何の問題もないということですが、もともと医師の常識としては、慢性膵炎の人を糖尿病の発症の一番初期につかまえなければいけないのは当たり前であります。これは病名がなくても、当然、当たり前だという考え方。そういったことを重く見るか、重く見ないかということでありますので、むしろこの例は、どちらかというと審査基準を統一したために間違っていると思います。

医者の中にもいろんな意見がありますが、ただ、これを決めたときには、恐らくほかの幾つかのものとのコンバートも政治的にあったように思います。そういった病名だけで判断することは患者さんにとって余りいいことではないという一例でもあります。格差がなければいいという問題ではないということを主張したいと思います。

また、それと同じように、この前、胃がんの例で、どうして国保と社保で支払いの金額が違うのだという意見がございました。簡単に聞くと、胃がんという大きな病気、そんなものに差が出るのかと。医者以外の皆さんも、そんなひどいことと思われるかもしれませんが、しかし、胃がんの中にも大変速く進むタイプのがん、リンパ節に転移しやすいがんと、それからゆっくり進むタイプのがんがあります。そういったものを含めて、医療機関としては、その方に一番適切な治療をするということが大前提です。例えばこの人は国保だからAという治療法で、あるいは社保だからBという治療法というのは絶対にありません。もしそのようなことをするようであれば、厚生労働省に申し上げて監査に入っていただかなければならないような状況だと思います。つまり、あり得ないわけであります。

何が問題かといいますと、一元的には、要するに、患者さんはそれで支払いをされて帰られるわけですから、病院の収入が削られた分だけ減るだけであります。つまり、患者さんにとっては何のマイナスも現実問題起きません。しかし、なぜそういうことが起きるかというと、例えばリンパ節に転移している可能性が大きいならば、それなりの化学療法をしたり、あるいはそれなりの拡大手術をする。そういったことを認めるか認めないかというのに差があったとしても、簡単に言えば、病名のところに「リンパ節転移の疑いがあり」とか、あるいは「リンパ節転移がある」ということを書けば同じ扱いになります。先ほどの話もそうですが、病名をとにかく現場につけさせて、話が終わるというような終わり方は正しくなくて、むしろそういった細かいことは、よくわかっている医者にお任せくださいと。そして、それを審査するのが医者であれば、一目瞭然、どういう状態だというのがわかります。そういったことにおいて、簡単にIT化して病名だけ載っければ済む話ではないということをもう一度ここで申し上げておきたいと思います。

支部間、国保と社保の違いというのはそれほど大きなものではありません。簡単に言えば、この例のように病名を追加すれば済む話のところがほとんどであります。

以上であります。

○西村座長 どうもありがとうございました。御指摘ごもっともと思います。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○森下構成員 資料1の5ページに「支部審査委員会から差異の見られる事例を登録」とあるのですが、これはどういうふうに登録がされるのかというのが、印象がわからないのですけれども、支部の審査委員会の時点では、当然査定をするかしないかということになるのですが、それが最終的におかしいかどうかというのは、上に上がってきて初めてわかると思うのですが、これを見ていると、支部の審査委員会の時点でもう既におかしいというのがわかってしまって、それを登録してくるというふうに読めるのですけれども、それはすごい自己矛盾を来している気もするのですが、一体どういうふうにこういう事例をピックアップしているのかというのをもう少し教えてほしいのですが。何となくこれを見ていると、おかしいのをわかっていて査定して、それを上げているという、とんでもなく変な現象を感じるのですけれども、いかがでしょう。

○保険課長 済みません。きょうは実態がわかりませんので、この矢印のとおりかどうかもわかりませんので、一度実態を聞いてみて、どういう形で気づきが起こって、それでそこに挙げようというふうに思うのか、それを聞いて、また御説明したいと思っています。

○森下構成員 それで結構です。本来であれば、中央で食い違った事例があって、それを見てやるというのはわかるのですけれども、最初の段階でわかるというのは、実態としてそんなことはあり得ないように思うので、ぜひフローをしっかりわかるように説明をお願いいたします。

○西村座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、次の議題に移らせていただきます。きょうは、事前にお申し出をいただいた林構成員と飯塚構成員のお二人からプレゼンテーションをお願いするということにいたしました。それぞれ約1015分プレゼンをいただいて、その後、御質問等をお受けするということにしたいと思います。

まず、林構成員からよろしくお願いします。

○林構成員 ありがとうございます。

資料3-1をごらんいただきたいと思います。「診療報酬の審査の効率化と統一性の確保について 規制改革に関する答申及び規制改革実施計画」の概略を御説明させていただきます。

答申は3点ございます。3点について、それぞれ現状認識、改革の内容、実施時期を示してございます。

まず、スライドの2枚目でございます。「1.診療報酬の審査の在り方に関する検討組織の設置と具体的検討」。この点は検討委員会、この有識者会議の設置を求めた理由を述べております。「現状」のところに書きましたように、100%電子レセプト化したにもかかわらず、相変わらず人手による非効率な審査支払事務が行われている。この現状を見ますと、果たして現在担われておりますこの基金の担い手としての資質への疑問があり、また、その背景には実質上の業務独占の構造があるのではないかということで、抜本的な構造改善を求めております。

スライド3でございます。規制改革の内容。現在の支払基金を前提とした組織・体制の見直しではなく、診療報酬の審査のあり方をゼロベースで見直すということを求めております。「ゼロベースで見直す」というのは、担当大臣であります河野大臣みずからの発言で始まったこの答申内容でございます。

実施時期でございますが、検討組織の設置は、こちらの有識者検討会を既に措置していただきました。この検討会での方針を夏をめどに整理していただき、平成28年内、12月末までには結論を得、得次第速やかに措置していただく。これが答申の1点目でございます。

スライドの4枚目、答申の第2項め「診療報酬の審査の在り方の見直し」でございます。ここはICT活用のための検討項目を具体的に挙げております。

次のスライド5は規制改革の内容です。「社会保険及び国民健康保険の診療報酬の審査において、ICTの最大限の活用により人手を要する事務手続を極小化し、業務の最大限の効率化、高精度化、透明性の向上、並びに医療機関及び保険者の理解促進を図るために、以下のa~iについて具体的に検討し、結論を得る」としております。今後この有識者会議の中にいらっしゃいますICTや経営の専門家の皆様で御検討いただきたい項目を挙げておりますので、読み上げさせていただきます。

a 医師の関与の下で、全国統一的かつ明確な判断基準を策定すること

b 上記判断基準に基づく精度の高いコンピュータチェックの実施を可能とすること

(医学的判断を要する審査対象を明確化すること)

c コンピュータチェックに適したレセプト形式の見直しを行うこと

d レセプトの請求段階における記載漏れ・誤記などの防止措置を構築すること

e 審査結果の通知及び審査基準の情報開示をICTの活用により効率的に行うこと

f 医師による審査における医学的判断を集約し、継続的にコンピュータチェックに反映する仕組みを構築すること

g 医師による審査及び合議のオンライン化や、審査結果等のデータ蓄積を自動化し、統計的な分析結果の参照や過去事例の検索や人工知能の活用などにより、医学的判断を要する審査手続の効率化、高度化を行うこと

h 医学的な判断が分かれるなどの理由から審査結果に疑義がある場合について、医療機関及び保険者からの請求に基づく医師による再審査の仕組みを効率化すること

i 社会保険及び国民健康保険のレセプト情報の共有化及び点検条件の統一化を図ること

以上、申し上げましたaからiについて、平成28年夏をめどに方針を整理し、28年内に結論を得次第速やかに措置することを閣議決定しております。

次のスライド6でございます。3つ目のポイント。ただいま2点目で申し上げましたようなICT活用のための検討をした上で、いよいよ3項め「組織・体制の在り方の見直し」を閣議決定しております。

現状認識としましては、もう御案内のとおりでございますので、読み上げませんけれども、昭和23年、今から68年前、戦後まだ食糧もままならないようなころにできました支払基金法に基づきます組織・体制をゼロベースで見直すということを求めております。

スライド7は、規制改革の内容でございます。「医療費の円滑で適切な審査・支払を維持しつつ、社会全体として効率的な組織・体制の在り方を追求する観点から、現行の支払基金を前提とした組織・体制の見直しではなく、診療報酬の審査の在り方をゼロベースで見直すため、以下のa~cについて具体的に検討し、結論を得る」。

この点につきましては、ICTの活用についての項目を検討された後、この有識者会議において以下に申し上げるような手順で検討し、そして年末までに結論を得たいということについて、6月2日付の閣議決定をしております。

まず、aでございます。「診療報酬の審査の在り方の見直し」の検討を踏まえた上で、現行の支払基金が担っているとされる各業務、これは次のスライド8のところで図解しておりますけれども、こういった業務、特に職員による点検事務、aの審査、bの職員による点検事務というのを図解しておりますが、また、Bのところにあります説明や指導、こういった各業務について、その要否を検討し、不要、非効率な業務は削減すること。

手順のb。現在の手順のaで必要とされる業務のうち、効率的な運営を図るため支払基金以外のもの、これには民間企業も含まれますが、支払基金以外のものを保険者が活用することが適切な業務の有無を検討し、当該業務がある場合の具体的な活用の仕組みを構築すること。

その上でc。aで必要とされる業務のうち、bの検討を経て支払基金が担うことが適切な業務がある場合には、その具体的な組織・体制等のあり方、これには「業務拠点も含めた職員及びシステムなどの体制、業務範囲、法人形態、ガバナンス体制、事務費負担の在り方、法規制の在り方」が含まれますが、こういったあり方を検討すること。これを閣議決定しております。

最後のスライド8は、ただいま申し上げた3点目をかみ砕いたものでございますが、右下のところに書きましたように、業務の要否、誰がどのように担うのが適切なのかをゼロベースで議論したいと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

○西村座長 ありがとうございました。

引き続き、飯塚構成員のお話も関係していると思いますので、御説明をいただいて、その後、質疑応答ということにさせていただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○飯塚構成員 大変僣越ですが、話をさせていただきます。いつも時間が押しておりますが、きょうは時間の流れが速いので、先ほど座長先生が10分から15分とおっしゃっていただきました。もうちょっとかかるかもしれません。ただ、私は極めて本質的なことを書いたつもりであります。そして、私のこの6枚のペーパーに基づいて、実は今、林先生がおっしゃった、私たちに対する閣議決定による宿題aからiについて、それの回答がこの6枚のペーパーをもとに書けてしまうくらいの内容ですので、時間が多少出るかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

それでは、表紙をまずごらんください。「新しい支払基金の7つの役割」と書いてございます。「新しい支払基金」というのは、河野大臣がおっしゃったというゼロベースで見直した支払基金のことであります。私たちが目指す支払基金です。それについて、7つの役割があると思っております。この7つについて、この後御説明いたしますが、それは相互に論理的に関係している7つであります。A1があるから、A2があり、A2があるからA3があり、A7まであるというものであって、関係のない雑多なものを並べたものではありません。

その次、「診療報酬40兆円の審査」と書きました。ここにいらっしゃる先生方であれば、「それはおかしいだろうと。『支払基金の役割』であれば、支払基金が点検しているのは11兆だろう、何で40兆がここに出てくるのだ」とおっしゃると思います。そのとおりです。そして、そこがまさにこの案のポイントになるものであります。私は、11兆のための支払基金なら要らないと言うと失礼だけれども、本当にゼロベースにしなければおかしいだろう。しかし、医療費全体の40兆のための支払基金になるのであれば、現在の日本にとってウエルカムだと。時代がそれを要請していると思っております。

次に2ページです。「重要な前提」と書いてございます。実はこのページが私にとってアルファであり、オメガであります。

この図の中の左側の青いところをごらんください。「基金の従来の役割」として、社保の医療が8.8兆。それから生活保護等の医療扶助などが2.3兆で11兆であります。

右の赤いところをごらんください。「国連連の従来の役割」として、国保の医療が11.8兆、後期高齢者が14.5兆で、合わせて26.3兆になります。11兆と26兆で37兆。国民医療費40兆の中で自己負担分3兆を除いた37兆は、国保連の26兆と支払基金の11兆でなっています。私たちは社保、国保と普通に言いますので、1対1のようなイメージを持ってしまいますが、違います。1対2.5であります。つまり、先ほど山崎先生がおっしゃいましたように、国保にはここだけで2.5倍の負荷がかかっています。

さらにその下、介護保険が10兆とあります。2.5倍の負荷がかかっている国保に、さらに10兆円の介護保険の審査という負荷がかかっており、合計すると36兆になります。基金は11兆に対して、国保が扱わなければいけないのが36兆。3.5倍であります。

これがまず私たちが直視しなければいけない現実であります。数字ですから、現実をそのまま語っております。

それから、基金の審査員数。3,600です。国保連のほうは2,600。つまり、1,000人違うということであります。ということは、3分の2で国保連はやっている。つまり、36兆をベースに考えれば、3.5倍の負荷があって、なおかつ人は3分の2。そしたら、3.5を3分の2で割り戻せば5.25になります。つまり、支払基金と国保連を普通に比べて5.25倍、約5倍の負荷が現在かかっている。この事実を構成員の方にぜひわかっていただきたいと思います。

次に人の顔の絵が3つございますが、私は、ここに書いてある数字を初めて見たときに愕然といたしました。何かというと、1人当たりの年間医療費であります。青い小さい絵のところ、社会保険は15万であります。それに対して、国保は1人年間32万。後期高齢者は1人年間92万であります。15万と32万と92万、この3つの数字は、これはこれから医療を考えるときの一つの大事な座標軸になると思います。

ですから、先ほど山崎先生がおっしゃったとおりです。件数で見たって意味がないのです。要するに、後期医療の1件は社保の6件に値する。6倍の差があるということ。これは本当に愕然とする。多いだろうなとは思ってはいるけれども、この一人当たりの年間医療費が社保は15万円と後期高齢者は92万円という数字を見ると、本当に襟を正さざるを得ないなと思います。

つまり、今の医療費審査の主戦場は国保と後期高齢者なのです。ここが最も大事な戦場であり、なおかつぜひ2025年問題を考えてください。2025年になると、団塊の世代1,000万人の一番最後の年代の人たちも75歳になります。一番大きな赤丸が1,000万人ふえるのです。現段階ではまだ団塊の世代は1人もこの大きい赤丸、つまり後期高齢者に入っていませんが、2025年には一番最後の年代の人まで入って、ここにプラス1,000万人になる。つまり、2025年に向けてこの大きな赤丸がどんどんふえていく。今、1対3.5だと申し上げたものが恐らく1対7とか、そのぐらいの数字になってしまうだろうと思います。そうなったときに、国保の審査というのは体をなさなくなってしまうかもしれません。

それで、どうするかでありますが、たまたま今、支払基金に余剰があるということがあります。これは天の恵みのような感じがいたしますが、支払基金に余剰がある。そして同じ県庁所在地に県の国保連もあり、基金の支部もあるということであるとすれば、この支払基金の余剰を活用しない手はないだろうと思います。この支払基金の余剰を活用することによって、2025年問題は対応が可能になる。私は、県庁所在地に両方あるのですから、双方が共同すべきだと思います。共同の受付をし、共同の審査をする必要があるだろうということを考えております。

2のところに「共同受付・共同審査」と書いておりますが、従来のレセプトは、社保分のレセは支払基金に、国保分のレセは県の国保連にただ行くだけでありましたが、改革後は、医療機関の中にある社保と国保の混在している状態のレセプトを支払基金または国保連が共同で受け付けて、そして共同で審査をして、フラッグがついたものについて、支払基金と国保連の審査委員会に分けて上げていく。こういう流れを考えています。

では、共同審査と言うけれども、どうやるのということでありますが、3ページに「共同審査の方法」と書いてございます。共同審査といっても、一緒に同じ医療機関のレセプトを審査するのではありません。

下の東京都の医療機関の表をごらんください。病院が640あって、特定機能病院のように審査が困難なところが120、やや困難なところが190、それ以外が330になります。この病院を3つに分けるというのは、今でもやっているやり方であります。診療所も1万2,600をA、B、Cに分ける。Aについて支払基金が見よう。Bについて国保連が見よう。Cは支払基金と国保連が話し合って分けっこしよう。もちろん、その逆でも構いません。どちらがAを見るかは、県ごとで話し合って決めればよい。これが共同審査であります。

具体的には、中ほどの青いところをごらんください。支払基金東京支部と東京都国保連、それぞれ審査担当が200人と150人おりますので、それぞれ支払基金東京支部の中に東京共同審査センターというのを置く。それから、東京都国保連の中にも東京共同審査センターという同じ名前のものを置いて、センター長を1人にして、この350人を組織として動かしていって、A、B、C、先ほど分けたような医療機関に対する審査をやっていく。それが共同審査のことであります。

同じように、千葉の場合は120人と100人おりますので、220人が千葉共同審査センターとして動いていくということで、共同受付をして、その後、共同審査をするというのが、共同審査の姿であります。

ですので、別に新しい組織をつくるわけでも何でもないです。場所も同じだし、人も同じです。東京であれば池袋と飯田橋にありますが、そのままで結構です。この改革には一切お金はかかりません。ただ、法改正によって支払基金の人が国保のレセプトを見る。これは今の基金法第一条に規定されていますが、国保の人が社保のレセプトを見るというのはありませんので、国保法の改正が必要になってきますが、いずれにしてその権限を与えることによって、場所も同じ、人も同じで、共同審査ということが可能になります。

4ページをお願いします。先ほどのaからiまでの閣議決定による、我々に対する宿題の一番最後、これが一番重いのですが、iとして社保と国保の点検条件の統一化を図るというふうにあります。点検条件の統一というのは何かというと、ここの表をごらんいただきとうございます。支払基金の点検条件、本部が設定している点検条件は、こういう4種類あって、96万になります。それから、47の支部がありまして、その支部が設定している点検条件が13万あって、合計して109万ということであります。

国保連のほうは、国保中央会が設定しているものが8,700あります。それから、37の県が県独自の点検条件を持っておりまして、合計して6万7,000というものであります。ですので、我々に課せられたタスクのi、点検条件の統一化というのは、109万と6万7,000の統一化ということに一旦はなるわけでありますが、しかし、それはなかなか難しい。

真ん中の絵をごらんください。A県基金支部とA県国保連合会、今はそれぞれ別ですので、結局、47掛ける2で、94のこういう事実上独立した団体があり、独立した点検条件を持っている。せめてA県の基金支部とA県の国保連合会の点検条件ぐらいは一緒にしたい。つまり、94を一つにすることは難しかろうけれども、9447にするということぐらいはしなければいけないし、そのことによって初めて共同受付と共同審査が可能になります。

前々回私が申し上げたのですが、同じ病院で、同じ年齢で、同じ疾患の人が社保と国保でいたときのレセプトの内容はそんなには違わないだろう。同じような2枚のレセプトに対して、支払基金の点検条件と国保の点検条件が違うのはおかしい。同じ病院に入っている人に対する公的な審査でありますから、そこを単なる被保険者資格でしかない社保と国保で分けることは全然論理的ではない。だから、せめてA県における基金支部とA県の国保連合会の点検条件ぐらいは一つにしていきたいということを申し上げたつもりであります。まず47にするということを考えていきたい。

それから、中ほどの紫色で書いてあるところでありますが、例えばA県の審査基準というものがまとまってできたとして、それは医療機関に対して開示をするべきだと。この前、支払基金は70%ぐらいを開示すると言っていましたが、こういう機械的な点検条件は全部開示して、点検条件のソフトを医療機関に渡してしまう。医療機関は、審査支払機関に出す前に自分のところで自主点検をして、フラッグがついていたら数字を直す、あるいは直さずにこれで行くというのだったら、ちゃんと摘要欄にその理由を書き込む。そういうことをしていただけると、共同審査のほうも随分はかゆくだろうと思います。また、その段階で医療機関が民間のそういうことができるところに委託することなどは自由にできると思います。

ですので、県ごとの審査基準をつくって、それをソフトとして医療機関に渡して、まず第一段階は医療機関のほうでちゃんと整理して下さいということは、合理的な考えだろうと思います。

ということで、医療のレセプトが社保と国保が一つの塊になったといたします。そうすると、次に4に書いてあることができるようになります。つまり、医療の塊とそのほかの集団の塊とのマッチングができる。例えば医療と介護をマッチングするということで、わかりやすい例を書いておきました。365日在宅介護、毎日ヘルパーさんが来ていますという介護のレセプトがあったとして、でも、このおばあちゃんは夏場2カ月入院していましたよということであれば、このヘルパーさんの夏場2カ月の在宅介護はなかったわけですので、それは当然削らなければいけない。

あるいは柔整とのマッチングも可能です。6月2日に骨折しましたということで医療を受けた人。それがまた6月2日、柔整のほうでも整骨の治療を受けているということであるとしたら、柔整のほうは切らなければいけない。医療のほうのデータが一つになることによって、他のグループとのマッチングがきちんとできるようになるということがございます。

次の5ページをお願いします。縦覧点検と突合点検。現在の支払基金と国保連合会がやっている縦覧点検も突合点検も、まだ始めたばかりなので、現段階では限定的なことしかできていない。現在の縦覧点検は、点数表で三月に1回と決まっているような、例えば検査と注射とかです。そういう項目だけをそのシステムで引っ張り出して見ている。

しかし、縦覧点検で一番求められているのは、この絵のおばちゃんのように、A病院からユリノームが出ている。B病院からもユリノームが出ている。C病院からも出ている。いわゆる「はしご受診」と言われるものをちゃんと見つけていくことであると思います。

実は私の知り合いは、まさにこのおばあちゃんのようなはしご受診をやっていて、余りに痛くて苦しかったのですね。複数の病院から劇薬をもらってそれを飲んで、胃に穴があいて、結局死んでしまいました。ですから、はしご受診というのはぜひとめなければいけない。

これはこのおばちゃんの健康を守るためにも、結果としては3倍になっている医療費を小さくするためにも必要なことであります。はしご受診のパターンをこのシステムの中で引っ張り出して、その情報を保険者に知らせ、保険者がおばあちゃんを指導するということでこれはなくなっていくと思います。

○西村座長 飯塚構成員、貴重な話ですが、もうちょっとスピードアップ、お願いします。

○飯塚構成員 はい。

7番の医療ビッグデータのことであります。私が考えているのは、支払基金の中に共同審査センターとビッグデータセンターをつくっていくということであります。ただ、ビッグデータについては、先ほど御説明があったNDBのような特定の研究者のためのデータにはしない。それよりも、下に例で書きましたけれども、いろいろな切り口で、支払基金のほうから有益な情報を出していって、それを国民に提供する。例えば病名マップとか、薬でどれが人気があるのか薬剤使用量のデータとか、どこの病院でどういう手術をしているか。そういったものなど、いろいろな切り口で有益な情報を考えて、それを国民に提供するということが必要であろうと思います。

ということで、時間が長くなりましたが、以上でございます。

○西村座長 どうもありがとうございました。

それでは、お二人の御報告について御質問あるいは御意見を伺いたいと思います。また挙手をお願いしたいと思います。どうぞ。

○森下構成員 飯塚さんに御質問したいのですけれども、4ページの「点検条件の統一・開示と自主審査」というところなのですが、これは飯塚さんにお聞きするのがいいのかわからないですが、社保と国保連の間でオーダーが2つ違うというのは、物すごい点検条件の差だと思うのです。これは主に電子点数表が多分大きな理由だと思うのですけれども、なぜ社保はしていて、国保はしないのかという点と、それから先ほど来都道府県ごとに違うのはおかしいという話をしながら、都道府県ごとにそれぞれ13万件と6万件という設定があるわけですね。これが結局のところそこにつながるのではないかという気もするのですが、ここに設定が置かれている理由というのは何かあるのでしょうか。本当はほかの方に聞いたほうがいいのかもしれませんけれども。

○飯塚構成員 109万と6万7,000というのは、確かに大きな差があります。これは私もまだ十分理解していないのですが、それぞれ点検条件をつくるときの思想が違っていて、支払基金は、とにかく全部に網をかけようというような発想だと聞いています。それから、国保連は、必要なものにターゲットを絞って網をかけていこうという思想でつくっているということなので、これだけ大きな差の数字が出ているということだと思います。

○西村座長 それはもともと人が少ないからというところから発しているわけですか。

○飯塚構成員 いや、そこまでは聞いていません。

○森下構成員 支部で選定されているこの条件です。本来であれば、これは中央で1個というのはわかるのですが、なぜ支部ごとに設定しなければいけないのかというのがよく理解できないのです。ここは設定すればするほど、結局、県ごとに違うということですね。ということは、県ごとに当然ながら違った査定が出てくる理由の一つではないかとも思うのですけれども。

○飯塚構成員 それを私も同じように支払基金あるいは国保連に聞いたことがあります。そうすると、彼らの答えは、それぞれの医療機関にとって請求傾向で問題があるというものについて、支部設定の点検条件をセットしているのだと。だから、医療機関ごとに問題があるというのは別に全国の話ではなくて、あの病院はという話なので、こういうふうになっているというように聞いております。ただ、この点は私なりにがもう一度検証してみたのですけれども、その説明は違うなと思っております。

○森下構成員 これは多分事務局にお願いしたほうがいいと思うのですが、それぞれにどういう条件でこういう数字が出てきて設定されているかということと、なぜ県ごとに設定があるのか。具体的にするとしたら、どういうことを一体設定するのかというあたりを社保と国保、両方に聞いていただいて、ここをちょっと。

ここが一つ統一されていない理由だと思うのです。あるいはベストプラクティスでどちらかになれるのであれば、そちらのほうへ合わせたほうがいいのだろうと思うので、その理由と条件と、しなければいけない理由があるのであれば、その辺をぜひお聞きしてもらいたいと思います。

○保険課長 わかりました。

今、後ろからメモが入って、カウントの仕方とか、いろいろ数字はあるそうなので、いずれにしても、ここのところはきちっと調査をしてみたいと思っております。

○西村座長 では、ほかの皆さん、御質問。どうぞ。

○松原構成員 基金を数字のほうから分析されて、こういう方法があるという御提案については、数字だけ見ると一理ある点もあるのですが、例えば資料3-2の2ページであります。先ほど話もございましたけれども、件数ではなくて金額で考えるという話をいただいて、これだけ差があるから改善しなければいけないとおっしゃるわけですが、簡単に申しますと、例えば上の部のところで、介護保険の10兆円と医療保険の11.8兆と全く同じ手間であるという前提に立って金額を足しておられるのはどうも違うのではないか。介護保険と医療保険は全くその構造が違います。介護保険というのは、アメニティーを高めて、患者さんがどのように暮らしていくかというところに焦点を置いています。支給限度額を決められて、それをケアマネジャーさんがうまく適切にやるということですので、審査においては、金額が決まっているということにおいて、かなり簡単であります。そういったものを全て金額だけで足し算して考えるということ自体がどうも私には理解できません。

 資料の真ん中のところ、社保は1人年間15万円。国民健康保険は32万、後期高齢者は92万。しかし、前も申し上げましたけれども、社保の成り立ちと国民健康保険と後期高齢者の保険は、まず年齢が全く違います。つまり、社保は働いている元気な方が入っておられるのであり、国民健康保険は、定年退職された方や、あるいは病気でおやめになった方がかなりであります。昔は、農業をやっておられた方がかなりいらっしゃいましたけれども、今は退職者を中心として、高齢の方が多うございます。当然一番病気になりやすい時期だからこそ費用がかかる。さらに、御高齢になられたら、確かに寝たきりになったり、いろんなことがございますので、費用がかかるわけですが、そこにおいても、まず社会保険1人年間15万、これだけ安いというのは国民にとって幸せなことでありますけれども、現時点で働いている人が一体どういう病気になるかと考えますと、例えばけがで大きな手術をしなければいけないので入院したり、あるいはがんになって大変な手術をしなければいけない。つまり、大人数いた中の一部の人たちが重大な病気になったところにおいて、この仕組みを作動させているわけであります。単純に考えましたら、15万の中で、簡単な病気の人もいらっしゃいますけれども、むしろ大きな病気になった人の審査というのは大変であります。十分な医療を若い人たち、働いて人たちが受けられるようにということでこの制度があるわけですから、もしその中で病気になって入院された方はかなり大変だと思います。

逆に言えば、後期高齢者になって自宅で寝たきりになられている方は、確かに全体の費用は多いかもしれませんけれども、それほどさまざまな治療をするわけではありません。そういったことから、簡単に金額だけの足し算で考えるのは、どうも納得がいきません。お金の額ではなくて、内容の質の問題を十分に議論して考えねばならないと思います。

また、4ページの真ん中のところ、各県ごとに差があるということを御理解いただいたのは大変うれしゅうございますが、さらにその先には「一本化」という単語が出ると、そのように考えていらっしゃるのであれば、それは違うと。日本の国は南北に長く、文化も違い、収入も様々で、交通網も違います。例えば大阪や東京だったら、1時間もかけたらどんな病院でも行くことができますが、地方に行くと、2時間も3時間も、あるいは前の日から行かなければかかれないところもあります。そういったことを含めて各県でいろんな対応をしているというのが国保連合会ではないかと思います。

ただ、このときにおっしゃった審査基準を公開して、例えばコンピュータでどのようなチェックをしているかということを公開するチェックを自分のところですれば恐らく簡単な病名漏れとか簡単なミスというのがかなりなくなります。チェックする内容について公開していただく事は意味があります。基金も国保も公開していただければ、これこそ審査において手間がかからずに、大きな問題が起きずに、人数が減らせる最大の手段ではないかと思います。そこのところをぜひ規制を改革するということでやっていただきたいと思います。

また、一番下の「医療と介護」のところで、介護のところでかかっていた人が医療のところで2カ月入院していたのがわかったから、この介護の費用は査定する。これは当たり前にやっていることであります。簡単に言えば、国保が両方のデータを持っておりますし、さらに言えば、社保のほうに国保から介護のデータを移転すれば済む話でありますので、何も大きな仕組みをつくる必要はないと思います。

最後に5ページであります。これはユリノームを3カ所で出す。これは何とかしなければいけないと私どもも考えております。保険者さんのところにデータが行って、1~2カ月おくれてから連絡するという方法ではなくて、むしろこの患者さんにかかりつけ医を持っていただいて、そのかかりつけ医のところでどんな薬剤をどんな病院で飲んでいるのかということを完全に把握していただく。ければ、医師がそういうことで3つとも同じ方向の薬だということを説明すれば、患者さんでも簡単にわかる話であります。こんなことで胃に穴があくということは、逆に言えば、内科医は何をしていたのだと私は言いたいところであります。

つまり、保険者さんにこういうふうな形でやるよりも、むしろかかりつけ医を充実させて、そこにおいて判断できるような仕組みをつくっていくのが本来の筋ではないかと思うところであります。

そういったことを考えると同時に、先ほども資料2でありましたが、ビッグデータ、NDB、かなり大きなデータベースがあって、分析するのも大変でありますけれども、研究だけでなく、いろいろなことに使えるのは事実であります。しかし、前から申し上げておりますように、患者さんの個人情報が漏れるというのは大変なことであります。例えば免疫疾患の中に特別なもので、患者さんのデータが外に漏れたら、その方にとっては大変つらいことになります。守秘義務がかかって、法的にそれでとめられているから大丈夫だということをおっしゃる方がいますが、そういうことで一人の人のデータが漏れれば、その人にとって致命的であっても、漏らした人にとってみれば罰金刑で済む話であります。

そういったことも含めて、こういった大変機微な情報については、やはり国が守っていくべきであり、そういったことを解除して、全てデータを集めてというのは簡単に考えるべきでないと思います。

データを処理して、これを各都道府県で利用して、保険者さんもそれを見て、いい方向に行くということについては賛成でありますが、あくまでも患者さんの病気というのは最も重い個人情報であります。病気にくっついて、現在は遺伝子情報も同じような列に並べることができます。これが漏れればいろいろなことが起きるということは、どなたが考えても御理解いただけると思います。そこのところを十分注意して使っていただきたいということでございます。

以上です。

○西村座長 どうも貴重な御意見ありがとうございました。

どうぞ。

○森構成員 ありがとうございます。

同じ資料の5ページの松原先生がお話しになったユリノームのところですけれども、私たち薬剤師も患者さんの併用薬 について 必ず 把握 するように しているのですが、患者さんが 話して くれないと限界があります。 まずは、 かかりつけ薬剤師を持って いただき、 仮にそう では ないとき等に、レセプトを名寄せした上でチェック することは 、確かに役に立つと思います。ただ、大切なことは、薬機法の中でも国民の役割として第一条の六に「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない」とあるように、まず国民は、かかりつけ医は、かかりつけ薬剤師を持ち医療機関 への受診や薬局を利用する時には、受診している医療機関等の情報をきちんと 伝える ことだと思います 。そうしない限り、この問題は解決しないと思います。

もう一つ、審査基準 についてですが、 公開できる情報は公開いただければ事前にチェックできると思います。最近後発品の使用が進んで、先発品にはない規格の後発品が 発売されることがあります。 薬局としてその情報を知らずに、製剤を加工し て自家製剤加算の算定を行い、 返戻が来ることがあります。支払基金や国保 では、新しい規格が発売されたために チェックをかけるのだと思いますが、あらかじめそういうことがわかれば、 薬局として対応できる と思います。

ただ、前回もお話ししたのですけれども、 医薬品の用量等で この範囲はいいという 基準を示す ことによって、本来 の薬機法に承認された 薬の使い方ではなくて、保険の使い方が先に ならないように 注意が必要だと思います。

○西村座長 どうぞ。

○松原構成員 一言だけよろしゅうございますか。医者はそういうことはいたしません。ただ、どうしても体重が大きい方、それからその方の肝臓の代謝、腎臓の代謝、つまり、データを見ながら、それについて一番適切な薬を選ぶわけでありますが、例えば非常に肥満の方の場合には、量的に多くの薬を使わねばなりません。体重が大きいことをレセプトに書くことはないわけでありますけれども、チェックの仕方は、例えば分布を見て、この医療機関は余りにも大きな量ばかり使っているということであれば、むしろ指導の対象になるのではないかと思っております。つまり、標準的な使い方から余りに外れて、偏っているということをもって調べることができます。医療機関、医者は、とにかく薬を出したいとは思っておりません。そのところは御理解賜りたいと思います。

○西村座長 どうぞ。

○佐藤構成員 済みません。こういう会議にはふさわしくないのですが、風邪を引いておりまして、声がちょっと荒れていることをあらかじめ御承知おきください。

この検討会のミッションを確認しておいたほうがよくて、基本的に規制改革会議から言われているのは支払基金の業務改革ですね。業務改革の一環としてのICTの活用だと思うのですけれども、その話ときょうの国保連との話はどういう時間軸で捉えるのか。

例えばアイデア1は、支払基金の業務改革をまず進め、ICT化を進め、今度効率化されたものを持って国保連とのあいのりをしていくのか。同時に国保連のほうも効率化してもらってと。そういう話をしているのか、それとも、ICT化するのはちょっと時間がかかるということも考えれば、人が足りません。当座どうしましょうか。では、人が余っているのだったら代行でもしましょうか。そういう話をしているのか。

後者だとすれば、これは規制改革会議のミッションには合っていないことになりますし、前者だとすれば、とりあえず我々が考えなければいけないのは、支払基金のほうの業務改革だと思います。私は地方財政をやっている人間なので、国保連の問題が大問題だというのはわかるので、できることなら並行にやってほしい。まさに審査基準も合わせてほしい。同じ地域なのだからということも含めて、同じ歩調で業務改革をしましょうというところから始めないと、議論が違うところに行ってしまうかなと思います。

○西村座長 今の御指摘もっともで、次に問題提起をさせていただく内容があります。佐藤構成員が前回おっしゃった話で、今までの御指摘を踏まえて、どういう論点があるかということを整理して、私の認識では、今の話は、改革会議の御指摘にもあったように、その前に実態をもうちょっとしっかり把握して、その後、組織のあり方という手順だと認識しておりますので、この後の進め方に関係するというふうに理解いたしました。

現状について御指摘がもしありましたら、おっしゃっていただいて、その後、大変恐縮ですが、この後の進め方に関してお話を伺いたいと思います。

どうぞ。

○山崎構成員 飯塚構成員のプレゼンにつきまして、何点かお聞きしたいことがあったのですが、ただいまほかの構成員のお話の中でかなり解消しておりますから、それは差し控えます。

1点、事務局の最初の資料にもありましたけれども、国保連の2,600万人の中には介護保険を担当している人は含まれていないと書いてあります。

それから、支払基金の共同受付・共同審査をして、その過程で審査が困難な病院については支払基金が担当するということになっているのですが、これは支払基金のほうに比較的人的な余裕があるということでしょうか。

○飯塚構成員 Aを支払基金にして、Bを国保連にしてもいいし、逆でも全然構いません。それぞれの県において、あるいはこれだったらずっと固定化するから、時々変えようとか。ですから、先ほど私が言ったのは、別にコンクリートにそうするという意味ではないです。

○山崎構成員 はい。ということは、共同受付の機関も国保連であってもいいということでしょうか。

○飯塚構成員 それはそれぞれの共同審査センターが話し合って決めればいい。

○山崎構成員 なるほど。わかりました。

あと、林構成員のお話で、閣議決定では最後の「組織・体制の在り方の見直し」につきましては、支払基金に限定して論じているわけですが、飯塚構成員が御提案なさった共同受付・共同審査ということになりますと、場合によって支払基金、国保連という2つの審査支払機関が並存している現状を超えて、全面的な審査支払機関の再編につながるような可能性もあると思っておりますので、そういう話になりますとかなり大がかりな話なので、改めて機会があれば意見表明をさせていただきたいと思います。

○西村座長 どうぞ。

○林構成員 御質問いただいて、ありがとうございます。

1点だけ誤解がないようにしておきたいのですけれども、私どもは、答申の2項めのiのところで「社会保険及び国民健康保険のレセプト情報の共有化及び点検条件の統一化を図ること」は求めておりますが、それ以外、国保のあり方といったことは一切この答申の中では盛り込んでおりません。

特に3点目の「組織・体制の在り方」は、先ほど読み上げを省略いたしましたが、現状認識として基金法で47都道府県全てに支部などを設置することを決めていることとか、診療報酬に係る業務に関する費用、取り扱うレセプトの数を基準として保険者に負担させることなど、こういった基金法の問題のあり方をまず改めるということを閣議決定しておりますので、飯塚構成員のおっしゃられた支払基金の47支部と現行の員数は必要であるとか、基金は現状のままでいいというような考えとは全く逆のことを考えております。

○西村座長 山本構成員、何かございますか。

○山本(雄)構成員 幾つかありまして、まず飯塚先生から出た資料で重複処方のところの記載に関してちょっと気になったところがあります。5ページのところで「保険者がおばあちゃんを指導することで、解消される」と書いてあるのですけれども 実際保険者はもう既にデータを使って、被保険者がどのぐらい同じ病名でたくさんの医療機関へ行っているかとか、重複の処方を受けているかというのを把握しています。大きな問題は、では、保険者がどういう権限でその人に指導するのかというのがはっきりしていないがゆえに、わかったけれども動けない、見える化できたのだけれども動きようがないというので困っているというのがあります。これは今後ビッグデータで様々な状況が見えたはいいけれども、誰がどの権限で仕事をするのという話につながるようなところかと思います。ですから、すごくいい事例なのですが、具体的な解消をしようとなると、支払基金だけではなくて、各保険者の機能、権限という話になってくるかと思います。

もう一つ、民間による審査の話が途中林先生からの話で出ましたけれども、健保は、実態ベースで言いますと、審査支払基金にほぼ必ずと言っていいぐらい委託をするものの、民間のレセプト審査機関にも審査を依頼すべしという指導を厚生局からよく受けていて、中央でもやってもらうけれども、民間でもレセプト審査をしてもらうべきだという指導を受けているという実態があって、この重複を指導しているのはいかがなものかというのは、現場の健保さんからはよく聞く話なのですね。こういった実態もよく理解した上で、支払基金のあり方を考えていただかなければいけないのだろうと考えております。

松原先生のおっしゃっているところは、私も医者の端くれとして非常に賛同するところです。保険の仕組みですとか診療内容が標準化されることがあり得るとはとても思えないですが、今回はそういう議論よりも、保険料を払っている被保険者側からしたときに、何に対して保険料を支払っているのかというのを透明化しましょうね、説明責任を果たしましょうねというぐらいの認識かなと私などは勝手に解釈しておりまして、その範囲でレセプトの記載内容をできるだけ透明性の高いものにしましょうという議論ぐらいかなと思っております。

そうしたことを考えたときに、組織のあり方、構造というのは、その組織が担う業務だとか戦略と裏表になりますので、どんな機能を果たすべきなのかを決めるべき。そういう意味では、極端に言ってしまうと、「支払」基金という言葉に引っ張られてしまって支払いだけとか審査だけが言われてしまう。名称を先に変えてもらうほうがまだ議論が速いのではないかと思うぐらいです。林先生のお示しいただいた3のa、b、cのcに書いてございますように、aからiはやるにしても、その次のページのcのところで、現状「支払基金」と呼ばれているところが担うべき適切な業務は、今の医療実態を鑑みたときにどうなのだと。

場合によっては、先ほど松原先生おっしゃったように、ちゃんとしたレセプトの書き方を支援するというような機能のほうが実は重要で、医者はレセプト作成ではなく診療に専念してもらいましょうというぐらいの話や、いやいや、保健事業の円滑な実施のための支援をしましょうという話になるかもしれませんけれども、そうしたものが見えて初めて、では、組織・体制を今と変えるのが必要なのではないかという議論の順番のほうが前に進むのではないかなと。コメントでございますけれども、そう考えました。

○西村座長 森田副座長から。

○森田副座長 時間が押しているようですので、簡単にお話ししたいと思います。きょういろいろと地域差の問題であるとか、保険者の審査の統合の話が出ておりますけれども、実はほとんど同じようなことが5年前に「審査支払機関の在り方に関する懇談会」で出ていると思います。

あのときに何が問題になったかということだけ情報提供を含めてお話ししておきますと、最初は、同じ患者さんが同じ病気で、仮に同じ先生だと仮定して、それが違う都道府県で診察を受けたときに違う審査の結果というのは、やはり不合理ではないか。しかも、同じ県の中で国保系と支払基金系で違うというのは、合理的な差というのを説明できないのではないか。そういう議論がありました。

そこで、いや、実際そういうのは少ないのではないかという話もあったのですけれども、ある調査によりますと、同じレセプトを違う都道府県で審査した場合、かなりの差が出ている。そういうこともあったものですから、それはできるだけ審査基準を統一していくべきであるという議論になりました。ただし、医療といいますのは、現場で患者さんとお医者さんの信頼関係と長い間の蓄積の結果、行われていることですから、急激に変えるということはなかなか難しいので、それを統合する方向で進めていくという結論になったと思います。

そのための調整の機会をふやすということですけれども、今回このようなことが言われておりますのは、その効果が必ずしも出ていないということだと思いますし、原点はそこにあるということだと思います。

最終的には医学の知見をきちっとした形で客観化し、標準化していくということがあろうかと思いますし、実際の治療方法については、いろいろな考え方があるのかもしれませんけれども、保険としてどこまで支払うかということについては、かなり標準化というものが可能であろうと思いますし、すべきではないかとあのときも考えたわけでございます。

そういう意味でいいますと、保険の仕組みがどうあるべきかということも、当然そこからは議論の延長として出てくる話だと思っております。今回は規制改革のほうも閣議決定ベースにされておりますけれども、我が国の場合には、国保は今度都道府県単位になりますが、それにしても数十あるのに加えて組合健保が千何百、そして協会けんぽがある。この形が審査支払基金という仕組みをつくらざるを得ないというところもありまして、たしか山崎先生も御一緒だったと思いますけれども、後期高齢者医療制度をつくる前のときの研究会で、その点からも議論、問題提起はされたと思いますが、そういうのにつながっていくということも議論としてあり得ると思っております。

さらに言いますと、保険局長と医療課長がいらっしゃいますけれども、今の診療報酬の仕組みが非常に複雑なのと、基準そのものがやや裁量的な記述があるかなと思っておりまして、これもまたいろんな意味でのばらつきをつくり出す原因かなと思っております。

この後のお話になるかと思いますが、これから詰めていくときには、かつてもそういうことを議論して、そういう問題提起もされたということは少し頭の片隅に置いていただきますと、効率的に議論ができるのかなと思って情報提供させていただきました。

○西村座長 どうもありがとうございました。

今のお話も含めて、座長の能力不足もありまして、かなり話が発散しつつあるような印象がございます。前回佐藤構成員がおっしゃっていただいた論点を整理すべきだという話を受けて事務局と話し合いまして、参考資料1に整理をいたしました。これを説明してもらうわけですが、その前に、今の話を受けて、次の私からの提案を先に申し上げたいと思うのですが、検討事項、今後の進め方ということについてごらんいただいて、こういうことが不十分だというような話があったら伺いたいのですが、できましたら2つの大きな論点に分けてワーキンググループを設置して、それぞれで今の話。それが結構難しいということが今、わかりました。つまり、飯塚構成員の御提案は、大変斬新な御提案でございますが、制度をどうするかということにかなり踏み込んだ議論をされておりまして、そういうことを考えると、データヘルスの話と相互にいかに関係しているかというのがよくわかるわけでございますが、この場で大勢の方でこういう議論をしていると、なかなか着地点が見つからないような気がいたします。

そこで、参考資料1の説明を事務局にお願いしつつ、2つに分かれておりますが、そのことをごらんいただきながら、ワーキンググループを設置したいという私からの御提案を御検討いただきたいと思います。

この内容で、1にあるものについて2のこれも入れるべきだ、2の内容について1のこれも入れるべきだというような議論がございましたら、ぜひおっしゃっていただいて、この後2つのグループに分けて進めてまいりたいという提案をさせていただきたいと思います。

では、事務局から説明をお願いします。

○保険課長 今、座長からお話がありましたので、資料4をごらんください。当面検討すべき事項の整理といたしまして大きく2つの事項に分けております。(1)と(2)でございます。

(1)は、審査支払機関の業務の効率化と審査における不合理な差異の解消についてということでございます。1といたしまして、審査事務の効率化を推進するために、どのような方策が考えられるか。これは、コンピュータチェックと職員の役割をどのように考えるか。今のコンピュータのいろんな技術を考えて、職員の業務の役割分担をどう考えるかという論点。あるいはコンピュータチェックにおいてのAIの活用ということが果たしてできるものなのか、費用はどれぐらいかかるものなのか。そういう論点を1としております。

2は、審査における不合理な差異をどのように解消していくかということで、審査支払機関間あるいは地域間の審査の差異をどのように見える化していくか。まずは見える化していく。今はお互いにその関係はわからないということですから、見える化をする方策。そうした上で、一挙に進めるというのもなかなか難しいかもわかりませんけれども、それをどのようにソフトランディングして具体的に統一を図っていくのかという論点でございます。

3は、審査の効率化、質の向上を図るという観点から、今は支払基金は被用者のレセプトしか見られないわけで、国保連はいわゆる国保のレセプトしか見られないわけですけれども、レセプトのデータの連結を、今のマイナンバーのインフラなども使いながら、どのようにレセプトデータの連結を考えていったらいいかというような論点を掲げております。

一方、(2)のほうは医療・介護におけるサービスの質を高めるためのデータの活用ということで、今回ビッグデータをいろいろ活用して、保険者機能の強化と医療の質あるいは医療の効率化を図っていこうということでございますが、まず保険者機能の推進のためには、ここは「審査支払期間等のデータ」と書いていますが、今、支払基金機関だけでなく、国の持っているNDB等のデータをどのように活用していったらいいかということ、具体例等を議論していただきたいと考えております。

2は、実は介護のデータも含めて考えておりますので、地域包括ケアの推進のためにどのようにビッグデータを活用するということが考えられるのか。

3と4はちょっと逆転すると思いますので、そういったことをするために、データのあり方、どういうふうなあり方をすればデータを使いやすいのか、今のデータにどのような問題があるのか、そういうことを議論していただければと思います。

その上で、審査支払機関がそういうビッグデータの活用ということの中で果たすべき役割があるのか、そういうことについても議論をいただければありがたいと思っております。1、2につきまして、それぞれワーキングチームをつくって、具体的な方策について集中的に検討を進めるということを進めてはどうかと考えております。

その上で、秋以降、このワーキングチームの検討結果も踏まえて、先ほど林先生から御指摘がありました支払基金の組織・体制の問題も含めまして、審査支払機関のあり方等の検討をさらに進めるということにしてはどうかと考えております。

私のほうからの説明は以上でございます。

○西村座長 先ほど申したように1と2が相互に関連してございます。しかし、とりあえずこの2つに分けて議論を深めていただくという提案でございますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○尾形構成員 今後の検討の事項、進め方について具体的に整理していただいたものだと思いますし、「当面の検討」ということですので、効率的な検討の進め方に資するものだろうと思います。全体としては異論がないのですが、1点だけコメントさせていただきます。

「(2)医療・介護のサービスの質を高めるためのデータ活用について」の のところに「地域包括ケア推進のため」と書いてあるのですが、これは非常に大事なことだと思います。ただ、これとあわせて医療自体の問題としてぜひ入れていただきたいのは、今、地域医療構想がつくられつつあるわけで、せっかく医療法まで改正して保険者あるいは保険者協議会に意見を求めるという形になっているわけですので、地域の医療提供体制に対して積極的に関与していくというところが重要だと思うので、その辺を少し加えていただければと思います。

○西村座長 そのことに必要なデータのあり方ということですね。

○尾形構成員 はい。

○西村座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○山口構成員 議論の進め方としてはまことに結構な形で、やっと着地点が見えてくるのではないかと思っています。どうなるかと思ってずっと聞いていたのですけれども。

審査のほうの不合理な差異ということなのですが、これはここに書き込んでほしいということではないのですが、「不合理な差異」ということについては、言葉として違和感を覚えていました。不合理かどうかということは別として、審査基準の差異を縮小するということについては間違っていないと思いますので、その差異をとにかく洗い出してもらって、それを類型区分していただいて、そうした差異が審査全体の中で審査に係るコストであるとか、効率化に対して看過できないような影響があるかどうか、そういうところもちょっと御議論いただいたほうがいいのではないかと考えております。

以上です。

○西村座長 ありがとうございます。

今のお話は、今後の方向を考える前に差異の洗い出し、その意味ということをしっかり検討するということで理解いたしました。結構だと思います。

ほかにいかがでしょうか。まだ少し時間がございます。こういう方向で進めたいと思いますが、御意見ございましたら。どうぞ。

○林構成員 ありがとうございます。

先ほど私が御紹介した3つのポイントの2番目、ICTを活用するための検討というのが、(1)のほうのワーキングでICTや経営の御専門の方によってなされることを大いに期待しております。そういったものが済んで初めて、秋以降になると思いますが、この組織・体制を検討するということでございますが、年内に組織・体制のあり方についても結論を得るということをお願いしておりますので、この秋以降のスケジュールについても前広でスケジューリングをお願いしたいと思っております。

○西村座長 今のお話は事務局と相談して、秋以降のスケジュールを考えたいと思います。

飯塚構成員から組織のあり方も含めて斬新な御提案をいただきましたので、そういう組織のあり方も踏まえて今の2点をワーキングで検討した上で、もう一回飯塚構成員の話も検討したいと思います。

どうぞ。

○山本(雄)構成員 時間があるというので、すごく細かいことで申しわけないのですが、「組織・体制の在り方の見直し」と書いていただいているのですが、林先生にもお出しいただいた資料7ページに書いてあるbやcの部分というのは、「組織・体制の在り方の見直し」という表題の終わりに「業務の見直し」というのが書いてあって、「組織・体制の在り方」と書いたときに、業務の必要性の有無とかの検討も読み込めそうであれば、このままでいいと思いますし、あえて「組織・体制・業務の在り方の見直し」とまで書くべきだということであれば、書いたほうがいいのではないかなと思って。済みません、小さいようで大きな違いかなと思って、ここで申し上げておきます。

○西村座長 林構成員、ちょっと遠慮がちにこういう表現になったのですね。違いますか。

○林構成員 私どもの答申に書かせていただいたのは、閣議決定事項でございますので、きょうの資料4の最後のところにはしょって「具体的な組織・体制も含め」とありますが、当然ながら答申で閣議決定された事項については検討していただけるものと考えております。

○西村座長 とにかく、まず業務の検討、その後、組織というイメージでございますね。

○山本(雄)構成員 はい。

○西村座長 どうぞ。

○飯塚構成員 ちょっとお願いしたいのですが、ワーキンググループを作り(1)と(2)に分けることは賛成です。そして、(1)の中で「不要・非効率な業務を削減すること」というふうに閣議決定があるのですが、何が不要で非効率なのかということは、先ほど私が申し上げましたように、40兆円をベースに考えての議論なのか、11兆円を考えてのことなのか。佐藤先生が私たちのミッションは何だろうということをおっしゃられましたけれども、決して11兆円だけの話ではなかろうと思うのです。部分最適だけ求めて、全体最適を忘れるということのないようにしなければなりません。そういう議論が(1)の中でできるようにしていただければと思います。

○西村座長 今の話、私も医療経済が専門でございまして、医療費に大変関心がございます。ただ、松原委員の御指摘もあって、そういうことを踏まえた費用の検討ということをぜひ1のほうではお願いしたいと思っております。

どうぞ。

○森下構成員 今のポイントと一緒なのですけれども、あくまでここに出ているのは例題と考えて、当然その議論の中では別の話題も場合によっては取り上げるというふうに理解しておりますが、まずそれでいいかという点。

それから、このワーキングへの各委員の割り振りです。構成員が割り振られるのか、それともそこでまた専門委員が出るとか、その辺の具体的なお話というのは、これから事務局との間で決まっていくという理解でいいのでしょうか。

○西村座長 はい。前者は当然でございまして、後者については、今から申し上げようと思っていました。場合によっては両方参加していただいても結構ですし、皆さんの御意向を伺った上で、1、2、それぞれの分担を決めて。ただ、両方にみんなということになると、議論が効率的に進みませんから、できましたらどちらかを重点的にというイメージでおりまして、御希望に沿って事務局から御相談させていただいて、私のほうで最終的に人選案を次回提案させていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

○森下構成員 はい。

○西村座長 それでは、当面の検討事項の整理ということで御了解いただいたということで、事務局がワーキンググループの設置の手続をこれから進めさせていただきます。

予定時間より10分ほど早うございますが、これで終了したいと思います。

事務局のほうから連絡がございましたら、お願いします。

○保険課長 次回の開催日、開催場所、詳細については、また追って連絡を申し上げたいと思います。

以上でございます。

○西村座長 どうもありがとうございました。

 


(了)

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