ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 心血管疾患に係るワーキンググループ> 第1回心血管疾患に係るワーキンググループ 議事録(2016年8月17日)




2016年8月17日 第1回心血管疾患に係るワーキンググループ 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年8月17日(水)13:30~16:30


○場所

田中田村町ビル・貸会議室(8階)8E会議室


○議事

 

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回心血管疾患に係るワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、また台風一過の大変暑い中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の魚谷と申します。ワーキンググループの座長が決まりますまでの間、議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。お手元の構成員名簿に沿ってお名前を読み上げさせていただきますので、誠に恐縮ですが、お名前を呼ばれた構成員の方は御起立いただきますようよろしくお願いいたします。まず、東京医科歯科大学循環制御内科学教授の磯部光章構成員です。心臓病経験者で日本心臓ペースメーカー友の会副会長・神奈川県支部長の井上美枝子構成員です。奈良県立医科大学健康政策医学講座教授の今村知明構成員です。地方独立行政法人奈良県立病院機構奈良県総合医療センター総長の上田裕一構成員です。国立循環器病研究センター理事長の小川久雄構成員です。自治医科大学学長の永井良三構成員です。日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院の看護部長の三浦稚郁子構成員です。日本病院会副会長の宮崎瑞穂構成員です。なお、岡山県保健福祉部長の荒木裕人構成員、日本看護協会常任理事の川本利恵子構成員、日本医師会常任理事の羽鳥裕構成員からは、御欠席との御連絡を頂いております。本日は、構成員11人のうち8人の方に出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。今回、参考人として横浜市立大学医学部救急医学教室教授森村尚登参考人に御出席いただいております。また、遅れての御参加となりますが、日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院副院長高山守正参考人にも御出席いただく予定であります。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の御確認をお願いします。まず、議事次第、座席表、心血管疾患に係るワーキンググループ構成員名簿、資料1「心血管疾患に係るワーキンググループ開催要綱」、資料2「ワーキンググループの進め方()」、資料3「第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会における心血管疾患関連の意見(報告)」、資料4「近年の急性期治療の主な進歩」、資料5「急性期専門的医療を行う施設の役割分担等の考え方()」、資料6「高山参考人発表資料」、資料7「搬送体制及び施設間ネットワーク構築の考え方()」、資料8「急性期診療提供体制に係る評価指標イメージ()」。参考資料といたしましては、参考資料1「医療計画及び地域医療構想」、参考資料2「現状の心血管疾患の急性期治療に係る施設基準」、参考資料3「消防法第35条」、参考資料4「病院収容所要時間別搬送人員の状況」、参考資料5「循環器病に係る診療提供体性の在り方に関する検討会開催要項」、参考資料6「循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた考え方()」。資料に不足、落丁等ございましたら事務局までお申し出ください。以上をもちまして撮影を終了し、カメラを納めていただきますようお願いします。

 それでは、議事に入らせていただきます。まず議題2、座長の選任に移りたいと思います。本日は、構成員の皆様方が選任されて最初のワーキンググループとなりますので、構成員の互選により座長を選任させていただきたいと思いますが、どなたか御推薦ございますでしょうか。

○上田構成員 私の目の前に循環器学会の理事長経験者がお二人いらっしゃいますけれども、永井良三先生に座長をお願いしたいと存じます。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。ただいま上田構成員から座長に永井構成員を推薦する旨の御発言がございましたが、いかがでございましょうか。

(異議なし)

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 御異議がないようですので、永井構成員に本ワーキンググループの座長をお願いしたいと思います。それでは、永井座長、お手数ですが、座長席へお移りいただきまして、今後の議事運営をお願いいたします。

○永井座長 御推挙いただきました自治医科大学の永井です。親委員会のほうは脳卒中と循環器疾患両方を議論するということになっておりますが、こちらはワーキングで循環器疾患、心臓病、大血管障害などを中心に検討をさせていただきます。急性期からいろいろなフェーズがありますので、その点も含めて御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入らせていただきます。最初に、資料1「心血管疾患に係るワーキンググループ開催要綱」と資料2「ワーキンググループの進め方()」について事務局から御説明をお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 それでは、まずお手元の資料1「心血管疾患に係るワーキンググループ開催要綱」について御説明させていただきます。

 資料1を御覧ください。まず、1番の趣旨です。脳卒中、心臓病その他の循環器病は、我が国の主要な死亡原因であるとともに、介護が必要となる主な原因の1つであります。循環器病に係る医療又は介護に要する負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、国民の健康寿命の伸延等を図るため、循環器病に係る診療提供体制の在り方について検討することを目的に、平成286月に「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」が設置されました。また、この検討会におきまして脳卒中と心血管疾患にそれぞれ専門性の異なる視点における検討が必要な項目があることから、脳卒中と心血管疾患の2つのワーキンググループを立ち上げて議論することが決定されました。これを受けまして、本ワーキンググループでは心血管疾患に係る診療提供体制の在り方について検討することといたします。

2番の検討事項です。(1)心血管疾患に係る急性期診療提供体制の在り方について、(2)心血管疾患に係る回復期~慢性期診療提供体制の在り方について、(3)その他心血管疾患診療提供体制に関する事項についてを検討事項として挙げさせていただいております。

3、その他の事項ですが、1番、本ワーキンググループは健康局長が、検討会座長の指名した別紙の構成員の参集を求めて開催する。2番、本ワーキンググループには、構成員の互選により座長を置き、ワーキンググループを統括する。3番、本ワーキンググループには必要に応じ、別紙構成員以外の有識者等の参集を依頼することができるものとする。4番、本ワーキンググループは原則として公開とする。5番、本ワーキンググループの庶務は、厚生労働省健康局がん・疾病対策課が行う。6番、この要綱に定めるもののほか、本ワーキンググループの開催に必要な事項は健康局長が別に定める。7番、ワーキンググループで得られた成果は「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告する。以上が開催要綱となります。

 続きまして、資料2「心血管疾患に係るワーキンググループの進め方()」について説明させていただきます。お手元の資料2を御覧ください。心血管疾患に係るワーキンググループの進め方の案です。第1回、本日817日のワーキンググループですが、まず「第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」における意見を御報告していただきます。また、ワーキンググループの進め方()を提示させていただきまして、次に主に搬送~急性期の診療提供体制の在り方の骨子に関する検討を行っていただくように考えております。

 次の第2回の予定ですが、9月中旬を予定しております。こちらのワーキンググループでは回復期~慢性期の診療提供体制の在り方の骨子に関する検討を行っていただき、また加えて急性期診療と回復期~慢性期診療間の連係体制の在り方の骨子に関する検討を行っていただく予定としております。この2回のワーキンググループを受けまして、10月初旬をめどに2回のワーキンググループにおける議論を整理いたしまして、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療の提供体制の在り方に関する検討会」へ報告をいたします。このようにワーキンググループでの診療提供体制の在り方の骨子に関する議論を報告する形を考えております。 その後、秋以降ですが、第3回は12月頃を暫定的に予定しております。搬送~急性期の診療提供体制の在り方のより詳細な検討を行っていただき、第4回は平成291月頃を予定しておりますが、回復期~慢性期の診療提供体制の在り方のより詳細に関して検討を行っていただきます。第5回は3月頃を予定しておりますが、急性期診療と回復期~慢性期診療間の連係体制の在り方の詳細に関する検討を行っていただきたいと考えております。その後平成29年春をめどにこの5回のワーキンググループにおける議論を整理いたしまして、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」へ報告することを考えております。資料2の説明は以上となります。

○永井座長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いしたいと思います。

○磯部構成員 進め方のほうですけれども、前回の全体の検討会で地域医療計画とか、その辺の1つのゴールがあるということを伺っておりますが、この検討会という小人数の限られた所での議論だけで進めるには、内容が非常に重くかつ大きいと思います。何かこのワーキンググループの過程で参考人からの話を伺うのだとは思いますけれども、もう少し広く現場の意見を伺うような、聴取するような機会というのはお考えなのでしょうか。

○永井座長 いかがでしょうか。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 実は特段そのような機会を考えているわけではございません。といいますのも、この1回目、今日と次回、2回のワーキンググループで一旦、今、医政局のほうで検討しています医療計画に向けて疾病対策の観点から意見を言うという機会と捉えています。その後3回目から5回目まで併せて5回のワーキンググループと、その途中に挟む2回の検討会をもってこれからの循環器、心臓病の措置も含めた疾病対策について、それなりにしっかり議論したいと考えています。ですから、その時点で何らかの機会を持つことは可能かと思いますので、今日頂いた御意見も含めて、幅広く現場の先生方に意見を聞きながら来年度、春をめどにと考えておりますけれども、その際にはそのような形で御意見を聞くという場を持ってもいいのかなということを考えているところです。

○永井座長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし御意見ございませんでしたら、続いて資料の3から3458について事務局から御説明をお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 続きまして資料3から説明させていただきます。お手元の資料3を御覧ください。

 こちらは前回、6月に開催された「第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」における、主に心血管疾患関連の意見をまとめたものとなります。1から3は心血管疾患急性期診療における搬送・診断・治療に関する課題・意見等を記載しております。4は心血管疾患診療におけるその他の課題・意見等を記載しております。

 出た意見としてはまず1、搬送に関する課題・意見ですが、心筋梗塞については搬送システムの確保が必要ではないか。前回の検討会の議論であった高度な専門的医療を行う施設は、地方では数が限定されると考えられますので、アクセス方法の確保も必要になるのではないか。あと、現状の把握のためにアクセスの見える化が有効であるという御意見を頂いております。

 3の治療に関する課題・意見等ですが、心筋梗塞に関しては内科的治療には時間的制約の概念もありますので、必ずしも完全な集約化は適さないのではないか。また、逆に外科治療については集約化が必要ではないか。心筋梗塞に対するPCIについては、治療の質の確保という点も重要ではないかという御意見も頂いております。

 もう1つ、大動脈解離に関して、大動脈解離の治療成績は良好とは言えず、原因として救急搬送を受けることができる医療施設において外科治療の質が確保されていない可能性が挙げられています。緊急時の手術室の確保も困難となり、ある程度専門性が高い医療施設への集約が必要ではないかという御意見を頂いております。また、心臓リハビリテーションも適応患者の約45%しか行われていないとされております。これに関しても、実態を把握した上で介入が必要ではないかという御意見を頂いております。

 4のその他の課題・意見等に関しては、急性期のみならず、慢性期も含めた御意見として頂いたものも記載しております。まず心筋梗塞、大動脈解離のほか、加えて急性期では急性心不全に関する検討も必要ではないかという御意見も頂いております。不安定狭心症患者に対する症状や早期受診についての啓発も必要ではないか。循環器の慢性期診療提供体制を考える上では、急性期病院と地域医療機関との連携が必要ではないかというような御意見も頂いております。

 資料3の次のページ、5を御覧ください。こちらは循環器病における課題・意見等という形で記載させていただきました。これは前回、6月の検討会において心血管疾患領域に加え脳卒中領域も含めた循環器病としての課題・意見を整理しております。こちらで出た御意見としては、地域医療計画では高度急性期、急性期、回復期、慢性期に位相分けした整理がなされております。検討会で示す急性期、回復期、慢性期とも、ある程度整合性を取ることが必要ではないかという御意見も頂いております。

 中ほどになりますが、常時受入可能で、的確に診断できる病院を確保するためには、高度な専門的医療を行う施設で診断の上、集中管理が必要でない患者を専門的医療を行う施設に転院させるほうが有効ではないかというような転送体制の御意見も頂いております。

 次ですが、循環器病は急性期病院退院後もその経過を観察しなければ治療が成功したか否かを評価できないので、その評価方法も検討が必要ではないかというような御意見も頂いております。

 このような御意見を踏まえ、次の資料4、こちらは近年の心血管疾患急性期診療の主な進歩について記載しております。近年の心血管疾患急性期診療の主な進歩に関してですが、まず1つは、一律に禁忌とされていた急性心筋梗塞症例、左冠動脈主幹部病変等に関する冠動脈ステント、薬剤溶出型冠動脈ステント/ベアメタルステント共にですが適用の見直しがありました。

 また、大動脈疾患に対するステントグラフト治療の普及。こちらは胸部大動脈解離/大動脈瘤に対するステントグラフトの治療件数を日本胸部外科学会の年次報告より記載したデータになります。胸部大動脈解離、胸部大動脈瘤に対するステントグラフトの治療件数は、この5年で数が非常に増えております。心血管疾患の急性期において、このように低侵襲な治療法が普及してきたことを踏まえながら、急性期の診療提供体制について議論する必要があるのではないかと考えられます。

 資料5をお開きください。こちらは急性期の専門的医療を行う施設の役割分担等の考え方を案として記載しております。

2枚目のスライドですが、こちらは搬送から急性期の診療提供体制の全体のイメージ像を記載しております。前回の検討会で頂いた御意見も踏まえ、まず発症後、救急搬送される場合若しくは患者様が直接受診される場合があるかと思います。その中でも症状の啓発が必要ではないかと考えています。

 この時点で心血管疾患を疑った場合には、心血管疾患の急性期診療を行う施設へできるだけ早く、直接搬送する体制が必要なのではないか。また、心血管疾患を疑われなかった場合等、心血管疾患の急性期診療を行わない主に心血管疾患の初期対応を行う施設に搬送された場合には治療適応に応じて適切な連携を行い、急性期診療を行う施設への搬送体制が必要ではないかというようなイメージを記載させていただきました。

 また、心血管疾患の急性期診療を行う施設の中でその役割分担に応じ、高度な専門的医療を行う施設と専門的医療を行う施設の2つに分けて記載しております。この内部でも治療適応に応じた適切な連携が必要ではないかと考えられ、そのようなイメージを記載しています。

 次のページ、3番目のスライドです。こちらは先ほどの点、全体のイメージの後半の部分になります。心血管疾患を急性期に診療する施設の役割分担はどういうものであるかをイメージとして記載しております。上の大きな枠に記載しております部分が心血管急性期の専門的医療を行う施設です。この部分を、主に高度な専門的な医療を行う施設、専門的医療を行う施設、この2つに分けて記載しております。

 まず上段の高度な専門的医療を行う施設に関しては、イメージとしては24時間体制でインターベンション治療(PCI)、加えて外科的治療が可能な施設をイメージとして想定しております。役割としては、まず治療適応の適切な判断、急性心筋梗塞に関してはPCI、インターベンション治療に加えて外科的な治療も対応できる。またポンプ失調・急性心不全に対しては内科的な治療に加え、外科的な対応が必要な場合にはそのような対応もできる設備がある。前回の検討会でも出ましたが、急性大動脈解離に対しては外科的治療、血管内治療が行えるような施設であり、なおかつ24時間体制で行えるような施設が望ましいのではないかというように考えております。急性期から早期のリハビリテーションをの実施、また地域全体の連携によるクリティカルパスの導入など、地域全体の心血管疾患の教育、医療従事者への教育にも役割を負っていただくような形を想定しております。

 下段の専門的医療を行う施設ですが、こちらは24時間体制で再灌流療法、いわゆる内科的な対応が可能な施設を想定しています。こちらの役割としては治療適応を適切に判断すること、。急性心筋梗塞に対しては再灌流療法(PCI)若しくは血栓溶解療法が対応可能である。ポンプ失調に対しては内科的な対応で血行動態を安定させることが可能な施設である。大動脈解離に関しては外科的治療、血管内治療を行うことも1つ想定しておりますが、こちらは必ずしも24時間体制でなくても対応可能な施設を想定しております。早期のリハビリテーションの実施、地域連携のクリティカルパスの導入、地域教育・医療従事者教育も1つの例として挙げております。こちらに関しては集約化と均てん化の議論があります。専門的医療を行う施設は、1つのイメージとして挙げさせていただいておりますが、この中でイメージとして挙げた役割を全て満たさないといけないのか、それともある程度役割に幅を持たせた方が良いのかという点に関してもいろいろ御意見を頂ければと考えております。

 下の主に初期対応を行う施設は、心血管疾患と診断し、専門医的医療を行う施設へ搬送が可能で、専門的医療に対応できない施設を想定しております。こちらの施設とは専門的医療を行う施設と治療適応に応じて適切な連携体制を構築できればと考えております。

 これを受け、それぞれの高度な専門的医療を行う施設に必要な医療資源はどのようなものが考えられるかを記載したスライドが、以下の4枚目と5枚目のスライドとなります。まず4枚目のスライドですが、高度な専門的医療を行う施設に必要な医療資源を1つ案として記載しています。こちらは必要な医療資源を施設、機器、人員の項目で記載しております。

 施設としては特定集中治療室(ICU)、心臓内科系の集中治療室(CCU)、手術室又はハイブリッド手術室のような手術室があり、できれば24時間体制で対応が可能であるところを想定しております。機器に関してはCTや血管連続撮影装置、こちらも24時間対応が可能である。大動脈バルーンパンピング法、経皮的心肺補助法、補助人工心臓等、循環動態の補助が対応可能な資源。人員ですが、循環器の専門医、循環器内科、心臓血管外科医師である者が1つ想定されます。こちらは循環器内科若しくは心臓血管外科医師による当直体制が常時可能な体制が構築できるような人員を想定しております。その他コメディカルスタッフとして慢性心不全看護認定看護師や診療放射線技士、臨床工学技士、臨床検査技師等といった医療資源を1つの案として挙げております。全体の連携体制等を考えると、退院調整部門のようなものも必要ではないかと考えております。このように、高度な専門的医療を行う施設に必要な医療資源の項目を明確にする必要があるのではないかと考えます。

 次の専門的医療を行う施設に必要な医療資源ですが、こちらも同様に施設、機器、人員に分けて記載しております。施設に関しては、先ほどの特定集中治療室(ICU)、心臓内科系集中治療室(CCU)に準ずるような設備、手術室。機器に関してはCT、血管連続撮影装置、大動脈バルーンパンピング法、経皮的心肺補助法などを1つの案として挙げております。人員に関しては循環器の専門医、循環器内科、心臓血管外科医師を挙げております。こちらは同じ人員でもオンコール体制等により、心血管疾患の緊急対応が可能な人員体制を想定しています。その他コメディカルスタッフや退院調整部門も医療資源の案として記載しています。

 少し飛びますが、次に資料8を御覧ください。資料8は急性期の診療提供体制に係る評価指標のイメージを記載しております。こちらは前回の検討会において参考資料6として記載しております。参考資料6の一番最後、4のスライド、搬送・診断・治療における課題と医療施設に求められる役割を基に診療提供体制及び個別の医療施設の評価指標を設定することが必要ではないかという提案です。それを受けまして評価指標のイメージを記載したものになります。この2枚目のスライドは診療提供体制全体の指標に係るイメージですので、後半のネットワーク体制や高山参考人からの発表を基にまた御議論いただければと考えております。

 資料83枚目と4枚目のスライドでは、専門的医療を行う施設に係る指標のイメージを記載しております。こちらは先ほどの資料で提示いたしました役割分担や必要な医療資源を基に指標のイメージを記載しております。

 まず、上のストラクチャー指標ですが、ストラクチャー指標で専門的医療を行う施設、高度専門的医療を行う施設でそれぞれ記載しております。先ほどの資源の案を踏まえICUCCUに準ずる施設の有無であるとか手術室の有無、高度専門的医療ではICUCCUの有無、手術室の有無に加え、ハイブリッド手術室の有無等。診断に関しても同様にCTや血管連続撮影装置、大動脈バルーンパンピング法、経皮的心肺補助法等の有無及び実施可能かどうかについて。高度な専門的医療を行う施設では、補助人工心臓が実施可能。人員に関しても同様に、医療資源を基に記載しております。こちらは先ほども言いましたように、どのような体制が取れるか、厚みに関しても反映する必要がある可能性があるかと考えております。

 次に下段ですが、専門的医療を行う施設に係る指標イメージのプロセス、アウトカム指標を記載しております。まず専門的医療を行う施設、高度専門的医療を行う施設のプロセス指標に関しては、虚血性心疾患に関する冠動脈インターベンションの件数。これに加え、現在のインターベンションのガイドラインをどの程度遵守して行われているか。急性期に関しては、急性心筋梗塞に対する冠動脈インターベンション件数。こちらはDoor to balloon time90分以内の割合がどのぐらい占めているか等に関する指標。心臓血管外科の手術件数は緊急手術を行った割合も1つの案として記載いたしました。その他、急性心不全の症例数でありますとか早期のリハビリテーションをどの程度実施できているか、地域連携クリティカルパスの導入・診療計画作成数、地域教育・医療従事者教育の実施と地域連携・地域教育にどのように関与するかの指標も案として記載しています。

 高度な専門的医療を行う施設に関しては、同様にインターベンションの件数やガイドライン遵守率、Door to balloon time90分以内の割合等。こちらに関しては、急性大動脈解離に対する件数も1つの案として記載しております。

 全体のアウトカム指標として年齢調整死亡率、リスク調整の院内死亡率、平均在院日数等を案として記載しております。以上がこちらからの説明と事務局からの説明となります。

○永井座長 ありがとうございます。ただいまの説明を踏まえ、急性期専門的医療を行う施設の役割分担と評価指標について御議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 私からですが、資料51ページ目下段、それから資料71ページ目下段、裏のまた下段に同じ絵が3回使われています。特に、資料57の最後は搬送から急性期の診療提供体制のイメージとなっています。しかし患者さんが直接受診する場合もありますし、その前、前駆症状のときの啓発が大事であるという話がありましたから、どうなのでしょうか。搬送から循環器疾患が始まるわけではなくて発症から始まるのではないかと思うのですが。つまり、必ずでもないですが、多くは発作の前駆症状があるわけです。そこの啓発が重要です。これから在宅や遠隔医療が行われまが、実は搬送前の対応が重要と考えたほうがよいと思うのですが。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 御意見、ありがとうございます。今回、搬送、診断、治療を整理して、前回の検討会で課題を整理して、急性期の診療提供体制を議論するという形で記載しております。御指摘のとおり、今回、啓発も表に入れております。これを入れると、一番前に発症という文言がありますので、それを含めた体制という形で御議論・御意見を頂ければと考えております。

○永井座長 搬送は搬送できちんと議論しないといけないと思います。意外と盲点になっているのが前駆症状的な発症、そこの啓発について前回、脳卒中の患者会の方がおっしゃっていたと思います。これは心臓でも全く同じです。

○三浦構成員 私もよく経験しているのがペイシェントディレイと言われるもので、患者さん御自身が御自分の症状をしっかり循環器疾患、狭心症や心筋梗塞だというように自覚されないということが病院到着を遅らせていることが結構あると思います。そうすると、多分心不全のステージ分類で言うとAか、Bにちょっとなっているような患者さんですが、外来診療ぐらいでしか啓発するところがなかなかない。そこにどのような教育・指導を持っていくかが課題だと思います。入院されたとしても結構在院日数が短く、あっという間に退院されてしまいますので、その辺りをどうするかというのは非常に課題だなと思っております。

○永井座長 循環器疾患というのは、誰でも加齢に伴う病変は持っているのです。それが臨床的に急に悪くなるというフェーズがあるわけで、そこをいかに早く捉えて対応するかが重要です。病気があるかないかではなく、ある年齢になればみんなある程度は持っている。それが突然悪くなる。でも、その数日前あるいは数週間前から実はいろいろな前駆症状がある。そこを是非視野に入れていただきたいと思います。

○磯部構成員 今のことに関連して申し上げますと、永井先生のおっしゃったとおり、早期発見というのは可能だと思います。今、メタボ健診が行われておりますが、例えば心電図や心不全の観点から言うとBNPなどのバイオマーカーを健診に入れるという形で早期発見していくという視点がこの前段階として非常に重要だと思いますので、そういうことも御検討いただきたいと思います。

○永井座長 余り前へ行くと健診の話になってしまいます。ですから、整理としては急性期の前の前駆症状的な、症状が軽いときの話、それから慢性期のケアをどうするかを視野に入れる必要があります。慢性期に再び増悪しないための医療や教育、診療体制をどうするか。余り前へ行くと予防の話になってしまう。多分、一次予防は今回の議論のスコープではないのだと思います。

○三浦構成員 慢性期の方の再発予防をするという意味では。

○永井座長 多分、それは議論に入ってくると思います。

○三浦構成員 そうすると、今の遠隔医療など、例えば不整脈デバイスなどはモニタリングシステムがかなり発達していますので、遠隔医療などに活用するのも1つなのかと思いますね。

○永井座長 いかがでしょうか。

○上田構成員 今の御指摘を受けて言うと、いわゆる不整脈が抜けていますよね。、心筋梗塞と大動脈解が対象になっていますが、そのように思います。

○永井座長 不整脈も突然死の問題ですので視野に入れていただきたい。デバイスがかなり進歩して、ペースメーカーも今はモニターできる時代になっています。これについて、枠組みの整理はいかがでしょうか。

○宮崎構成員 直接関係あるかどうか分からないのですが、今のお話を聞いて、救急隊がきちんと判断して高度の所に送る教育をしっかりして、適切な所に送っていただくわけです。それは必ずしも自分でない場合もあるし、あるいは患者様が自分で判断して来られることも多い。そうすると、大きい病院だけ作ればいい、そこへ全部運ぶということではなく、やはり各施設が連携していく。そのためには相談体制をしっかり作る。特に高度な施設は、その下と言うとちょっとおかしいのですが、低次の所に対してきちんとデータの相談ができる。

 例えば、小さい各病院ですと必ずしも心臓関係の方が当直しているわけではない。それでも、患者は「胸が苦しい」といって来ます。そうすると、それを相談できるものとなると、やはり心臓に関して言うと私はちょっとよく分かりませんが心電図、超音波ができれば超音波でしょう。超音波が夜中とかにできるのかどうか分かりませんが、そういうものを相互に、特に情報の機関に送れるような体制というのは今まだ、恐らくできていないのではないか。

 救急隊も心電図の電送システムが少しできているとは思います。大体、2チャンネルぐらいになると思うのですが、今は結構いろいろな画像転送ができて、12誘導が送れるようなことももそれほど難しくなくできるのではないかと思います。画像転送システムを整備して、相談体制をしっかり作っていただいた上でいろいろな施設を類型に分けて整備していく必要がある。多分、普通の病院では分からないと、専門でない場合送ってしまえというところもある。そうすると、大きい病院ではすべてになかなか十分対応できない。私の知っているある地域では高度といわれる施設が患者さんを選ぶので、なかなか頼りにならない。自分に都合のいい患者さんだけを受けて、困った患者さんはなかなか受けてくれないので、ほかの病院に頼まざるを得ないみたいなこともあります。その点で相談体制をしっかり作っていくことが必要かと思います。検査データなども送れるようになりつつあると思いますが、まだ不十分かなということを感じています。

○永井座長 相談体制と情報の共有、あるいはICTの活用、そういうことも地域で大事だということでしょうか。

○今村構成員 議論の総論的な指摘をさせてもらいたいと思います。今、循環器体制に対して病院がどうあるべきかという話と、地域全体がどうあるべきかということをきちんと分けて議論したほうがいいと思います。地域医療計画や地域医療構想は、二次医療圏単位で医療が整備されているかどうかという観点で見ます。この場合、高度の循環器を診る病院が二次医療圏単位で1つあればいいのか、それとも三次医療圏単位で1つあればいいのかということをきちんと明示しておく必要があると思います。それが一番急ぐ作業で、大体今年の1月ぐらいには地域医療計画のほうの循環器の整備基準が決まると思います。その辺までには、どれぐらいの規模の大きさの病院がどれぐらいの人口に対して必要なのかということを明示していく必要があると思います。

 病院体制として幾つかに区分していくという話はもう少しあとでもまだ間に合うと思うのですが、それに対して二次医療圏単位で何を作るのか、三次医療圏単位で何を作るのか。特に、この前の地域医療構想の段階では二次医療圏、三次医療圏とは別に医療圏というものが想定されました。例えば奈良の場合ですと、二次医療圏が5つあるのですが、循環器だけに関して言えば2つに分けようと。上半分と下半分というように分けようということで、地域医療構想の構想圏域という別の区分けができるようになりました。地域全体に対してどれぐらいの規模の急性期の医療が必要なのか、という観点での議論というのはもう少し深めていただく必要があると思います。それが地域医療計画に乗せていく上で一番重要かなと。

 その上で、地域に対してこれだけの医療が必要ですと言ったとき、それを進行管理するためのアウトカム、どういう数字で進行管理をしていけばいいのか。先ほどの資料7で出てきた数字がそうなのですが、あれだけでは全然進行管理ができないのではないか。前回の医療計画改定の際にも出てきたアウトカム指標やストラクチャー指標だけではなかなか管理できなかったので、そういったところを是非留意して議論をしていただければと思います。

○永井座長 地域医療計画との連携は、この検討会のスコープとして入っているのでしょうか。もちろん関係はありますが。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 はい、もちろん大きく関係してくると思っています。冒頭のすぐあと、このワーキンググループの進め方について御説明させていただいたときも御紹介したのですが、2回のワーキンググループでまずは骨子を固め、医療計画のほうに考え方を反映させていく。その後、これは少し時間を掛けながらと思っていますけれども、恐らく二次医療圏あるいは先ほど御説明がありました構想圏域でどれぐらいの医療提供体制が必要なのか。そういう細かい議論を重ねていって、というように進めていこうと思います。まずは医療計画に打ち込む骨子のために、どう分けるのかとかネットワークはどうあるべきなのかを今日は議論していただこうと思っています。そのあと、更に詳しく、先ほど今村構成員がおっしゃったような内容の議論を進めていきたいと思っています。

○永井座長 地域医療計画の話は急がないといけないのですが、まずあるべき論を先にするということですね。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 はい。今回は急性期、次回は回復期から慢性期、あるいは急性期と回復期をどうするのかといったことを、まず一通り議論していただきたいと思っています。

○永井座長 いかがでしょうか。

○磯部構成員 今の今村構成員のお話を受けてお話しますと、地域によって高度と専門的医療を行う施設を類型化していくという方向性については異論はありません。これから東京都のCCUネットワークの御説明があると思いますが、私は長野県の病院に7年ほど勤務しておりました。地域の事情というのは東京都とは全然違っております。人口当たり幾つの病院、あるいは県を半分で割るとか、市町村単位の区域の話と医療圏とはまた別だと思うのです。今、高速道路あるいはヘリコプターの搬送システムが劇的に変わってきています。やはり、高度の医療施設をどれぐらいの単位に1つ置くかというのは、発症して、覚知してからその施設に運ばれるまでの時間という考えにしていただいたほうがいいと思います。人口やいわゆる行政単位を少し超えた形で病院の再編なり類型化をしていただくといいかと思っています。オンセットから病院のドアまでどれぐらい時間が掛かるのか、ということを単位に考えていただくといいかと思います。以上です。

○永井座長 ありがとうございます、ほかにいかがでしょうか。

○小川()構成員 少し話題が外れますけれども、細かい点ですが病院の定義、今、磯部先生がおっしゃったことも少し関係あるのですが、資料5のスライドの3枚目の「高度な専門的医療を行う施設に必要な医療資源」に補助的人工心臓と書かれています。恐らく、定義すると、かなり無い地域が多くなります。

 もう一点、資料8のスライド34で、ここにも補助的人工心臓が実施可能と書いてあるのですが、特に急性期医療、それからある程度の期間までは経皮的心肺補助装置(PCPS)で結構可能ですので、必ずしも補助人工心臓を書くのは適切ではないのではないかと思います。

 もう一点、これも高度と言えば高度なのですが、地域のことを考えると無いところもある。もう1つは資料8、やはり高度のところに書いてありますけれどもハイブリッド手術室の有無、私はTAVIの施設認定の係もしているのですが、まだTAVIができない県が日本に4つあります。ですから、そういうところは当然ハイブリッドオペ室などないと思いますし、そういう県に高度を設けますと、その県は高度な施設がないという感じになりますので、その辺も少し考えていただきたいと思います。ハイブリッドがあるに越したことはないのですが、ハイブリッドがなくてもある程度可能ですので、そこまで記載するのは少し問題かなと思います。

○永井座長 細かい項目でいろいろ問題があるかと思います。また、実際、軸流ポンプのカテーテルがあると、PCPSは要らなくなる可能性がありますね。

○小川()構成員 はい。

○永井座長 インペラが承認されてくると。

○小川()構成員 PCPSまであればまず合格としてあげないと、なかなか全部は徹底しないと思います。

○三浦構成員 必要な医療資源の所で看護師の立場でちょっと気になったのは、高度な専門的医療を行う施設、資料54番目のスライドに慢性心不全の認定看護師とあります。私はこの慢性心不全の認定の教育機関で講師もしておりますので、慢性心不全になる人たちを教えているのですが、集中治療室領域で働いている人がほとんどいない。慢性と名前が付いているせいだと思うのですが、慢性心不全の認定看護師になるスタッフはほとんど回復期か慢性期を診ているナースばかりで、人工呼吸器管理などの経験が非常に少ないという現状があります。

 ここにもしナースとしての人員を配置するなら、専門看護師のほうがいいのではないかと思います。急性重症患者看護専門看護師というのがいますので、どちらかというとそちらのほうがふさわしい。若しくは認定で言うと集中ケアの認定看護師のほうがいいと思います。ただ、循環器に特化した認定看護師というのは実はこの慢性心不全しかないのですが、集中ケアはジェネラルなICUを経験した人たちなので、サブスペシャリティとして循環器を経験している人たちがいるかもしれない。どちらかというと、高度なほうは急性重症患者看護専門看護師若しくは集中ケアの認定看護師、あと慢性心不全の看護師でもいいかと思います。専門的医療を行う施設に関して言えば、ここは慢性心不全や集中ケアの認定でもいいのかと思います。

 ただ、この会議とは直接関係ないのかもしれないのですが、慢性心不全の認定看護師は学校が今、1つになってしまいましたので、これから生まれてくる数が少なくなってくる。集中ケアも学校が3つはあると思うのですが、もしかしたら少ないかと思います。

○小川()構成員 循環器に関してはここまで入れなくてもいいのではないかと思います。条件として。

○三浦構成員 そうですね。実際問題、慢性心不全の認定看護師はまだ140150人ぐらいしか全国的にいないと思います。CNSはもっと少なくなるかもしれません、循環器を持っているという人は。

 もう1つ気になったのは、早期リハビリテーションの実施が専門的若しくは高度専門的な医療を行う施設に書いてあります。そうすると、今度は心臓リハビリテーションを実施する人員がどういう人員なのかも少し考えるべきなのかと思いました。私たちはフェーズ3まで施設としては持っているのですが、主に今は看護師、理学療法士が連携して心臓リハビリを実施しているところです。この早期心臓リハビテーションの実施というのをどういう人員でやっていくのかというのも検討すべきかとちょっと思いました。

○永井座長 ありがとうございました。

○磯部構成員 今日は急性期の診療体制ということで議論になっていますが、慢性期の診療体制と高度専門医療を行う施設は不可分一体で、やはり慢性期の中心的な病院でハブの中心のような形になってくるのだと思うのです。そうすると、今、認定看護師の数は非常に少ないのですが、むしろ私は高度のほうに中心的な役割を持たせるとすれば、ここでチーム医療をやって多職種介入をやって、早期リハビリテーションのセンターにするという構想にもしするのであれば、認定看護師を増やすという方向で、高度専門医療施設にもそういう要件を設けたほうが、より将来の発展性があるかと思います。高度専門施設にも専門医療施設にも両方認定看護師を配置したほうが私はいいのではないかと思います。

○永井座長 いかがでしょうか。この指標をこれから施設基準にしていこうということですか、それとも単なる参考の数値なのか。指標と言っても、必須的な項目と努力目標的なものといろいろあると思いますが。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 正しく御指摘のとおりです。これから我々がイメージしているのは、例えばがんの診療連携拠点病院のように、その地域でその疾患の中心となる医療施設をイメージしていますので、当然、今日挙げたような内容については要件になっていくだろうと思います。ただ、その要件が必須であるのか、原則必須であるのが望ましい項目であるのかということは、これからの議論によって、具体的に何名とか、どういう施設かということを検討するときにも併せて議論していくようになるのではないかと思います。ただ、今日ここに挙げた項目は、それらの要件になってくるものと御理解を頂ければ良いと思います。

○永井座長 がんと心臓病では違うところも随分ありますので、病気の特性に応じた体制作りだと思います。

○今村構成員 今の御指摘の点で、地域医療計画と連携させるのであれば、これは余り厳しくしないほうがいいと思います。がんと循環器疾患の根本的な違いは、患者さんの数が全然違うのです。頭数としての数は確かに多いのですが、入院期間に割り戻すと、がんの方はかなり長い間入院されているのですが、循環器の方は特にAMIがどんどん短くなっていますので、例えば二次医療圏単位でAMI1年間の年間必要ベッド数を数えていくと、10を切ってくる地域がたくさん出てきます。それはなぜかと言うと、AMIは冬が多くて、夏は少ないですから、季節変動が非常に大きい。それを1年間延ばすから、平均在院数は昔は20日とかありましたが、今は7日とかなので、ものすごく少なくなっているのです。

 ですから、数字だけで見たらベッド数はほとんどなくていいという数字になってしまうので、ちゃんと少なくなっても確保しなければ駄目だよということを注意喚起していかなければいけないと思います。そのときに少ないベッド数をこういう基準で分けるという考え方を明示したほうがいいと思います。そのときに先ほどのように、ある県では多分ないだろうという話があったら、その県は高度急性期がないという話になってしまうので非常に危険だと思うのです。ですから、数としてすごく少なくなってしまうことを留意して、この基準ももう少し緩めたほうがいいのではないかと思います。

○永井座長 ベッド数は少なくてもよいのかもしれませんが、いざ患者さんが入院すると、人手が足りないということが起こります。外国では稼動率7割ぐらいにして、常に余裕を持たせた診療体制になっています。そのほか、慢性期のケアが非常に重要です。いつまた悪くなるか分からない、病気との付き合いが20年、30年、場合によっては40年ぐらいになります。これもがんと違うところです。急変すること、急変したときの致命率が極めて高い。そうすると慢性期や回復期のケアが重要です。いろいろな面があるかと思いますが、いかがでしょうか。全体的なことでも、細かいことでも結構です。

○森村参考人 私は救急をやっておりまして、今までにER、二次救急、三次の救命センターの勤務の経験がありますが、日本の場合はこのように地域に根ざしたいろいろな救急医療体制の形があって、その中で心血管救急とタイアップしているのが現状かと思います。

 タイムウィンドウで考えますと、永井先生が一番初めにおっしゃられた、発症から、特に前駆症状が出てからの枠組みについて今回の在り方を検討するうえで絶対に入れ込まなければいけないことだろうと思ってお聞きしておりました。

 ご参考までに、今日総務省の救急企画室の方が来られていますが、総務省がナショナルナンバーで♯7119という、看護師さんが救急電話相談を展開するという仕組みの中で、まだ数はそれほど多くはないですが、緊急の受診を非常に迷われていた人が、結局、救急搬送を勧められて致命的にならずに済んで、新聞や当該部局にお礼のメールが来たりとか、幾つかデータも出ていると思います。東京、大阪、奈良、福岡、横浜、札幌、田辺と現在7地域で行っていますので、先行してこのような事業を展開している組織との連携を強化していくことを盛り込んでいくのが良いのではと思ってお聞きしていました。

 救急隊の活動のことに関して宮崎先生がお話されておられたように、正にそのとおりだと思います。厚生労働省医政局と総務省消防庁救急企画室とで、救急隊活動の質の担保、向上を図るために、計画立案、教育、実践、検証という、いわゆるPDCAサイクルの手法を用いたメディカルコントロールという事業があります。

 このメディカルコントロールの中の根幹の一つは、救急隊活動を規定する事前取り決め、すなわちプロトコルと呼ばれているものです。例えば資料7に書かれていたような心血管疾患を疑った場合という所ですが、何をもって疑うのか。東京都のCCUネットワークもそうですし、私が今仕事をしている横浜もそうですが、ある尺度を用いて、基準を用いてプロトコルを策定していますが、これはどうしてもオーバー気味にせざるを得ないということになります。この辺もどこまでオーバーを容認していくのか。これは3番目と関係しますが、先ほどほかの構成員の先生がおっしゃっておりましたが、施設のQI、あるいは地域のQIを考えていくときに、やはり全体の目標値が必要になってくると思います。この地域、あるいはこの地区ではオーバートリアージは50%までは容認するが、その代わり見落としは2%以下にしようといった目標値を決めませんことには、地域内の各施設がそれに対してどれぐらいカバーできるのかという、施設内のベンチマーキングもできなくなってくるのではないかと思います。

○永井座長 ありがとうございました。搬送前の相談体制と啓発ですね。過剰とみえても、疑われるときは入院させたほうがよいと思います。異常がなくても問題ないという体制作りと患者および職員への教育・啓発なのです。多分、それで救われるかなりの患者さんがいるのではないかと思います。いかがでしょうか。

 そのような議論を踏まえて、各地域でどう設計するかという議論になると思うのですが。県の中で何万人につき1つあったほうがよい病院などの議論も必要になってくるのでしょうか。今村先生、その辺はいかがですか。

○今村構成員 最終的には県が決めるように地域医療ケアはできているのですが、県が考える基準を示していく必要があると思うのです。その中で、がんのようにちゃんと登録制度があって、どれぐらいの病院がどこにあったらいいかというのがあれば、それに基づいて県が計画を作れるのですが、今回、地域医療構想を作るときに、患者さんの数だけで見ていたら、循環器の疾患というのはなかなか数だけでは語れない部分がたくさんあって、奈良県を上半分、下半分に分けたのを二次医療圏単位に見たら数が少なすぎるということがあります。その上で、その地域全体をカバーする二次医療圏は県全体で1つでは少なすぎるから上半分、下半分ぐらいだとちょうど時間的にも、搬送時間の話もありますので、1時間以内に搬送できてカバーできるということで考えたわけです。

 地域医療計画を作る際にも、今までは日本で同じ基準で全部作っていたのですが、同じ基準を各県に当てはめたら全く場違いなものになってしまうので、各都道府県別に考えてくださいということで、各都道府県単位できちんと考えられるようになったと。そのときにこういう考え方で切ってください。そこから先は各県の裁量ですよと注意喚起できるようにしないといけない。

 今回の場合は、高度の循環器の病院とは何か、急性期の病院とは何かということと、それがどれぐらいのその地域、例えば搬送時間で1時間以内とか、人口で言うと20万人に1人ぐらいなのかという大まかな基準が要るのではないかと。奈良の場合は、大体50万人から70万人に1か所ぐらいかなという話は議論した結果としてあるのです。今までの二次医療圏では20万人以上ぐらいできていますから、それよりももう少し大きいスケールではないかと思います。

 何と言っても、がんのように数で語れるものではないので、数で見るとものすごく少なくなってしまうというのが循環器疾患の恐るべきところです。その割に死因では上位を占めているわけです。そこのアンバランスを埋めるような提言をこの委員会からやっていかないと、がんと同じルールでやっていくと、本当に違うものになってしまうと思いますので、そういった留意が必要かと思います。

○永井座長 ある程度の集約化は必要ですが、そこがフルにいつも稼動していると、今度は予定手術ばかりという、前回の議論になります。他に病院が全くないと、他県へ行かないといけないということも起こり得るわけです。ですから、集約しつつ、ある程度余裕をもたせる体制を作らないといけない。患者さんが多いときと少ないとき、さらに緊急の飛び込みに対してどうするか。この辺もがんと違う所だと思います。ですから、多少無駄があってもよいというくらいの構えでないと、いざというときに対応できないわけです。

○宮崎構成員 今回のがんと心臓と脳卒中の違いというのは、何と言っても時間のファクターが圧倒的に違うことですいっぽう均てん化も必要ということもあります。そうすると、全ての地域に高度なものを作るということは、実際問題で不可能ですから、先ほどと重なりますが、相談体制をしっかり作って相談をして、そのときにすぐ送れる体制とする。送ると言っても、各病院のひとりの当直医が病院を空けて救急車に乗って行くわけには行きません。しかし、救急車のほうはドクターが乗ってくれれば引き受けるみたいなことがありまして、当直医が同乗ののドクターを呼ぶまでに時間が掛かるということがあり、その間に時間を失うということがあります。そうすると、やはり高度な所というのは、ある程度昼間であればドクターヘリもありますし、夜であればドクターカーみたいなものを使って迎えにとか、少なくとも、その前に相談体制を作って、この人が来たらすぐに専門医を呼ぶ準備を始めておくことで、時間の短縮ができると思うのです。相談体制と搬送体制の組合せというのは非常に大事ではないかと思います。

 また、高度な施設というのは、その地域に対してある程度責任を持ってほしいと思います。そういう意味では、指標の中にも相談を受けた数とか、不応受の数とか、そういうものも評価指標にして欲しい。やはり、こういうものを作った場合、ストラクチャーで、こういうものがある施設は良い施設だということではなく、どこまで応じてもらえるか。やはり、運営体制がしっかりしているかどうかということも評価の中に入れていただきたい。どのぐらい受け入れたかという数だけではなく、どのぐらい地域が頼りにしているか。地域によって症例の少ない地域はあると思いますので、必ずしも受入れの数だけでその施設を評価しないで、その地域からどのぐらい信頼されているかという評価をしていただいて、それに対してある程度経済的な支援などいただければと一般病院としては思うのですが。

○永井座長 正にそこががんとの大きな違いです。時間との争い、発症した直後の相談体制、搬送、それらを組織として対応できる運営体制。相談のセンター、地域でのセンターなどがあってもよいのかもしれません。ハードの議論とか、搬送の議論だけにならないようにする必要があるということです。今回、そこを提言できればと思います。

○森村参考人 今の御意見とほとんど重複していますが、QIの中にドクターカーを出せるスタッフがいるという項目がありますが、実際に出している数、あるいは転院搬送を受けた数が出ていますが、地域間の比較をする場合には数だけではなく率が必要になってきます。本来、その周辺にいる心血管の対象患者さんのうちの何パーセントを通常地域内で受けていて、その地域外からは何パーセントぐらい受けているか、両方の視点からベンチマークすることを是非盛り込んでいただきたいと思います。東京都の♯7119では、救急電話相談の相談対象のうち、救急車ほどではないが緊急度が高いと判定された小児の患者さんに焦点を当てて、そのような場合には医療機関の番号案内にとどまらず、#7119から医療機関に直接電話連絡して、受入れの確約を得てから案内するという事業を展開しています。その際に、確約が得られずに該当する医療圏外の医療機関を紹介することもしばしばあります。各医療圏の間で、該当する医療圏の中で完結しているのは何パーセント、外の医療圏から受けているのは何パーセントという数値を出しておりまして、それらは1つのクオリティ指標としても有用であり、視覚的にも非常にわかりやすくなっています。加えて、ドクターカーあるいはドクターヘリといった、現場に医療をデリバリーするということを機能として持てていれば、それは非常に良いことだと思います。もうやっている地域もありますので、是非、盛り込んでいただきたいと思います。重複になりましたが強調させていただきました。

○渡辺がん・疾病対策課長 御意見ありがとうございます。確認ですが、今、森村先生が言われた部分につきましては、ネットワークの関係になってくる話だと思いますので、高山参考人が来てお話を頂いた後、また御議論を頂ければと思います。

 その1つ前に、宮崎先生からお話を頂いた点については、正に資料8のプロセス指標、アウトカム指標の所にそのような概念が入っているかと思います。私どもも理想型を考えた場合、これだけ良いものと。さらにどんな指標があるのかと考えているところですので、そのような類いの御意見をより多く頂ければと思います。

○今村構成員 先ほど永井先生がおっしゃった、多少の無駄がないとしんどいだろうというお話と関連するのですが、病院の経営的に申し上げれば、先生には釈迦に説法かもしれませんが、空床の部分というのは確実に赤字になるという問題があります。特に循環器の場合、AMIが冬場は繁忙期で、非常に採算性が良い所になります。夏場の場合は空床が目立って赤字の原因になる。

 この赤字の部分を、例えば不整脈などで夏場を埋めていかない限りは、このAMIを中心に診ていると、どうしても赤字になってしまうと。それをまた患者さんの数に割り戻すとものすごく少なくなるので、その赤字の部分は見えないが、病院内ではAMIをやっている所は非常に肩身が狭くなるという問題があると思います。先生に申し上げるのは厳しいのですが。

○永井座長 これは非常に重大な問題で、夏と冬では、循環器では2倍ぐらい患者数が違うのです。夏はICUも半分ぐらいしか埋まらない。人件費をはじめとする使っていない部分のコストは誰が負担するのか。使った人が負担するのか、使っていない人が負担するのか。そういうことは病院経営上非常に大きな問題です。これもがんと非常に違うところです。

 しかし、いつも満杯だったらよいのかというと、急性発症した救急の患者さんはそこでは診られない。しかも、その地域で何十万人に1か所しかないとなると、どこへ行けばよいのだという話になります。ですから、ゆとりの作り方については、ある程度行政や社会に認識してもらわないといけないのです。ある程度ゆとりがあって初めて機能するということです。特に時間を争う循環器疾患の場合には、その問題が非常に顕著に出てくる。

○三浦構成員 私たちもCCUネットワークに入っていて、加盟施設71の中で、心筋梗塞を最も多く受けているのですが、いつでも受けられるために、常にCCUを空けておくという努力をしております。そうすると、夕方になってドドドッと一般病棟に上がったりとか、ハイケアユニットにドドドッと人を出したりとかして、来るか来ないか分からないが、ベッドは空けておくという状態をやらざるを得ないのです。しかし、それをこういうふうな体制を取ったときに、それが使命だからということだと、きちんとそういう役割を取っていかなければいけないとは思ったりはするのです。そうすると、やはりアウトカム指標の所で、正に応受率と言うのでしょうか、きちんとその使命、役割を果たしているかとか、そういった所は入れたほうがいいかと思います。

 あとこの中にもありましたが、ただ急性期治療をすればいいというだけではないので、在宅復帰率や、機能分化されてますので、高度急性期、急性期、回復期という役割分化もあると思うので、そういった回復期への移転率というか、在宅復帰率というものもきちんとQIとして見ていく必要もあるのかと思ったりもします。

 また、直接関係あるかどうか分かりませんが、昨年、140150ぐらいの大血管疾患の緊急手術をしているのですが、そうすると2日に1回、3日に1回ぐらいは緊急手術をしているのです。結局、その人材確保というのは非常に大変なところで、そのためにどうにか確保はしているのですが、その辺りの病院の経営的なことは非常にいろいろあると思いますので、そういったところも評価されるような仕組みがないと、なかなか24時間体制でずっとやっていくというのは難しいと思います。

 どちらかというと、血管内治療のほうが夜間はやりにくかったりするのです。TEVAREVARのほうが逆に夜間はやりにくくて、手術のほうがやりやすかったりするので、どちらが高度かと言うと、血管内治療よりも手術なのでしょうが、しかし、どちらかと言うと当院の場合は血管内治療よりも緊急手術のほうが実施しやすいという現状があったりします。施設によってかなり違いはあるのだろうと思います。

○永井座長 余りぎりぎりの体制にすると、現場が疲弊してしまいます。そうすると、崩壊する可能性はありますので、この辺りをどう設計したらよいかということを、是非お考えください。

○上田構成員 榊原記念病院のようにハイボリュームセンターと、日本の平均的なセンターでは圧倒的に違うということは1つ御理解いただきたいと思います。先ほどのドクターカーの件ですが、私は今村先生と同じく奈良県で勤務していますが、近畿で見ると、残念ながら公的病院はなかなかドクターカーは持てない。ドライバー2人を24時間雇うというのは大変なことで、私どもはNICUは何とか日中は確保しているのですが、それに加えて大人のほうはどうするのかという議論をしています。実はプライベートの病院はドクターカーが出向いています。どこへでも患者さんを迎えに行くので、そこには急性解離もAMIも常時受け入れています。そのような病院が近畿にもあって、ボリュームは緊急部分が加わるために年間300とか、400近い数がでています。ベースにはそういう病院の取組方があるのですが、それを公的病院に運用してくる際に、いろいろな人員の人件費で大変であったり、車をどのように運用するのかという経営的な点は大変難しい問題です。

 ですから、どういうふうにしたらいいかと言うと、やはり、地域の中での完結型を考えなければいけないのと、プラス、圏域を超えて対応すること、奈良で言うと大阪、京都、南へ行けば和歌山に近付きますし、東へ行くと三重県にも近付くので、ある程度、県を超えたネットワーク作りをしていかない、結局、県内の医療圏で完結するというのは難しい。大阪の人たちが奈良県に流れ込むということも可能なような形になってもよい。まさしく時間の問題があって、“がん”だと考えて1週間以内にどこかの病院を探して、情報を得て受診できますが、それができない時間的制約の中、病院側の対応としてどうするかという課題です。この会議の中では多くが公的病院でしょうから、公的病院の役割をどのように果たすのかという視点でも、議論できたらと思います。

 もう1つは、ここに麻酔科医が抜けていることです。先ほどの、夜間に手術すると翌日の定期手術ができなくなるということですが、総合病院では問題になってきて、麻酔科医が十分に確保できた上で、土曜も日曜も夜間も手術ができることになるので、この基準の中には、麻酔科医の体制を是非とも入れていただきたいと思います。

○森村参考人 先ほど言ったドクターカーのことに関しては、1病院に対する要件という話ではなくて、地域の中にあるコンポーネントをどうやっていかしていくかということを総論的に見据えた上で、各医療機関にはこうあるべきだという形でやっていけばいいので、もう先駆的な所は、例えばプライベートな組織がドクターカーを担い、受け入れる所は公的な病院という所もあります。そういったものを書き込んで、地場産業と言われている、まだ必ずしも均一でない所に総論を落としていく書き込み方の工夫が必要かと思ってお話した次第です。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。

○磯部構成員 先ほど来問題になっているネットワークの話題になるのかもしれませんが、病院1つだと余裕ができない時期がどうしても出てきますし、人的な、経済的な問題もあります。先ほど相談というキーワードもありました。高度専門病院が中心にあって、その回りにサテライトのように専門的医療を行う施設があるという形で、その間の連絡体制例えば東京でこれだけたくさんの病院があって、みんなどうやって相談しているかというと、医局のつながりだったり、人的なつながりだったり、学会の仲良しだったり、そういう形で結局、患者さんのやり取り、相談をしているのが現状なのです。

 システマティックにきちんとネットワークを作ることが重要です。東京都のCCUで患者さんのたらい回しはまずほとんどないのです。現状で、それぞれの専門病院をたくさん配置する中で、高度の病院との縦のつながり、専門的医療病院の相手の横のつながりをもう少しシステマティックにできるような体制を組んでいただくのが一番大事ではないかと思います。

○永井座長 少し議論を整理したいと思います。役割分担の考え方として、高度専門的医療施設は24時間体制でPCI、外科治療が可能であり、専門的医療は、内科的治療が可能とあります。この区分けはどうなのでしょうか。24時間のPCIは難しいというお話もありましたが。高山先生、資料51枚目の裏側、施設の役割分担でどういうことを高度専門的医療と専門的医療のそれぞれに求めるかですが。

○高山参考人 高度な専門的医療を行う施設に必要な医療資源ということで、こちらにリストアップしていただいております。施設として特定集中治療室、心臓内科集中治療室、集中室・ハイブリッド集中室。このような施設が挙げられるわけですけれども、心臓血管系ということになると、心臓血管でない特定集中治療室とはちょっと違ってくるのが現状です。こちらで心臓内科系集中治療室と挙げていただいていて、この中にも力のある施設とそうでない施設とが実際あって、いわば救命センターが、救命センターと高度救命救急というように、本来、ある程度の分かれ方があるのではないかと思います。特に、通常の急性心筋梗塞の場合は、カテーテル緊急PCIをするということで、これはある程度カテーテル室があればできるのですが、特に心原性ショックの患者さんの場合は補助循環を使うとか、緊急な外科手術が必要になることもかなりありますので、そういう意味では、東京でも行える施設は限られてまいります。ですから、日本全国を考えても、やはり機器と人員がしっかりそろった高度な心臓血管系の治療ができる施設と、そこまででなくても、カテーテル治療はまず満遍なくできるという所に分けていったほうが効率的にはできるのではないかと考えます。

○永井座長 今までの議論で余り要求水準を高くすると、県によっては、なかなか対応が難しいこともあるので、ある程度は少し緩和したほうがよいと思うのですが。

○高山参考人 そうですね。

○永井座長 具体的な項目については、後ほど構成員の方々からも御意見を頂いて、取りまとめたいと思います。また、医療が進歩すると、状況はすぐ変わります。先ほどちょっと話に出たインペラという軸流ポンプのついたカテーテルが普及すると、ショックに対して対応できるようになると思います。それと、評価指標には、先ほどの議論にあったいろいろな質の議論、指標や相談体制や運営体制も評価指標に入れていきたいということです。

○磯部構成員 評価指標のことで、ちょっと細かいことですけれども、アウトカム指標でリスク調整院内死亡率というのは大変大事だと思うのですが、私どものように、大学病院なり、高度のことをやっておりますと、どうしても重症が多いわけで、単に年齢調整死亡率だけでは大病院や中心になる病院が不利になるのは当たり前で、全てにおいて、アウトカムについては重症指標を、リスクの調整を入れていただかないと困ると思います。平均在院日数もそうです。その辺を現場の実態を踏まえて、アウトカムを調べていただかないと、実態にそぐわなくなってくると思います。

○小川()構成員 そのとおりです。

○永井座長 御存じと思いますが、中枢的な病院ほど重症の患者が送られてくるわけです。そうすると、死亡率が高くなります。逆に、それほど機能の高くない病院は非常に生存率が高くなります。重症度をセットにしての死亡率が重要です。

○磯部構成員 今、診療のボリュームでインターベーションを何件やっている、アブレーションを何件やっているということで、往々にしてランキングをされることが実態として行われているのですそこにほとんど質の評価がされていないということが我々専門家は常々思っているところです。例えば急性期のPCIと慢性期のPCIをどういう割合でやっているかとか、評価は非常に難しいと思うのですけれども、慢性期のPCIで、どういう形でどういう病変を実態として治療しているのかというのが本当の質の治療ではないかと思いますので、なかなかDPCで補足できないデータで実態は分からないのですけれども、そういうアイディアをできれば盛り込んでいただきたいなと思います。

○小川()構成員 永井先生がずっとおっしゃっていたことで、今思ったのですが、稼動率とかそういうことばかり評価として言われていますが、CCUに関しては、特に稼動率というのは少し考えていただいた稼動率にしないと、稼動率一杯にしていると、急患は受け入れられないし、急患の人を受けようと思って、今、榊原病院がおっしゃったように、空けていくと稼動率が低くなるのは当然なのです。それを分けて考えていただかないと、CCUは特別に考えていただかないと難しいと思います。

 それから、がんとの違いは圧倒的に、こういうことを言ったらあれですが、医療の効果が非常に大きいのが循環器で、早く来たために助かるのは非常に循環器のほうが大きいです。そこら辺も考慮していただいて、稼動率とか評価に関しても考えていただきたいなと思います。

○宮崎構成員 その点に関して、やはり連携というと、どうしても上下の連携みたいなことになるのですけれども、水平連携というか、大病院同士が自分の所で手術しているときに、もう一台救急車が来ると、なかなか対応しにくい。特に夜間は無理だと思うので連携相手と距離が近い所であれば、患者さんを紹介し合うような形を作って欲しい、東京はやりやすく、地方はちょっと難しいかもしれません。それでもある程度の施設がそろっている所で、水平連携というか、それをしっかり作っていくことが効率化的にも良いのではないかと思います。大学や医局が違ったりしますと、それが実際なかなか今まだできていないのではないかと思うわけですが、それを厚労省の力でうまくできる形は難しいのでしょうか。

○永井座長 先ほどの連携、相談とか、運営体制、情報の共有という所と関係があります。そういう意味では、東京都CCUネットワークは非常にうまくいった例ではないかと思うのです。高山先生、その辺の御意見はございませんか。また後でも御説明いただきますけれども。

○高山参考人 後で申し上げますけれども、逆に東京は施設がありすぎるからこそ、どこかものすごく秀でている施設がないことが良かったのかもしれないです。あと、各施設を育てていったということがあるのではないかと思います。

○三浦構成員 CCUICUのことなのですが、これは当然、特定集中治療室の管理医療というか、施設基準を取っている条件のCCUICUということなのです。そうすると、13があると思うのですけれども、今CCUは医療重症度看護必要度が変わってから、非常にCCUに入れづらくなっている心血管救急の患者さんが増えていまして。

○小川()構成員 そのとおりです。

○永井座長 ちょっと説明していただけますか。

○三浦構成員 今年度の診療報酬の改定で、医療重症度看護必要度が変わりまして、A得点、B得点の基準が全部変わって、そうすると、今までだったらCCUに収容すべき患者さんがCCUに収容できなくなったという実態がありまして。

○上田構成員 うまく治療ができたらという意味ですよね。

○三浦構成員 そうなのです。今もう心血管救急は本当に治療がうまくいっていますので、本当に問題なく治療できるのです。そうすると、CCUに置けない状態になっていって。

○小川()構成員 これ、高山先生も言われていたと思うのですが、CCUの基準を決めている委員に循環器の医師が入っていないのです。ICUの人だけが決めているのです。だから、循環器の先生がみんな、おかしい、誰がこんな基準を作ったとものすごく怒っているのですが、今おっしゃるとおり、ラインを抜かないといけない方向にもっているのに、ラインを入れておかないとCCUに置けないとか、全く逆のことをやっているのです。あれはICUのドクターが決めているのですよ、恐らく。ですから、循環器のドクターが1人も入っていないので、ものすごく循環器の先生は怒っているのです。だから、CCUの基準を決めるときは必ずICUばかりではなくて、循環器のドクターを入れていただきたい。磯部先生がおっしゃっていましたよね。全く逆方向にやっているというのを非常に考えていただきたいと思います。

○高山参考人 ちょっとその点、補足させてください。特にここ10年ぐらい前から急性心筋梗塞の治療が非常に良くなって、循環器の救急をやっている医師は何を求めたかというと、できるだけ患者さんを、侵襲を低く軽く、最初の治療できちんと治療して、後になるべく負担にならないようにしようということで、例えば鼠径部から治療したのを手首からやるとか。それで、なるべく本当に早く家に返すと、退院させるということを本当に一生懸命頑張ってきたからこそ、治療成績が良くなってきたのですが、逆にそれが裏目に出て、本当にいろいろな管を抜いてしまって、1日でも診られなくなってしまっているということが非常に大きな問題点になっていると思います。それはちょっと、どうしても付け加えておきたいです。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。先生方、大変盛り上がっている中、大変申し訳ないのですが、もちろん診療報酬で今日頂いた意見、新しい今回の診療報酬に関して重症度看護必要度ABが変わっていますし、結局いろいろ課題があることも、もちろん存じ上げておりますし、診療報酬という手段、ツールがこういった医療提供体制の質を上げて、更に充実させる点で非常に重要なものということは認識しておりますが、健康局の検討会の議論の中で、もちろん今日頂いた御意見は当局にお伝えしますけれども、今回ストラクチャー指標等で挙げたこのICUCCUの条件も、もちろん診療報酬の条件をイメージしてはいるのですけれども、それに捕らわれず、御議論を頂ければ有難いと思っております。

○永井座長 循環器疾患の場合は、急変があるわけです。そこを勘案して多少余裕を持たせないといけないと思います。

○磯部構成員 細かいことなのですが、このプロセス指標、それからストラクチャー指標両方そうなのですが、基本的なコンセプトは高度専門医療のほうで手術が24時間できるということで、専門医療の施設は必ずしもできなくてもいいということなのだと思うのです。この専門医療のほうに手術室の有無がストラクチャー指標になって、評価される。件数もプロセス指標で評価されるとなると、ちょっと何か矛盾を感じるのですけれども、必ずしも専門医療では手術しなくてもいいと言われていて、なのに、やはりたくさんやったほうが評価されるというのは、どういうコンセプトなのか、ちょっと伺いたいのですが。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 こちらに関しましては、最低限必要なもの、あれば望ましいものも全て今回案として記載させていただいておりますので、必ずしもこれを全て満たしていなくてはならないという形ではイメージしておりません。ですので、ある程度基準を緩く幅を持たせてという御議論も頂きましたので、その中でこの部分は少なくとも必要であろう、この部分は地域の実情に応じて努力目標等という形でお考えいただければと考えております。

○磯部構成員 少し御検討いただきたいと思います。必ずしも必要ないのではないかと私は思います。

○今村構成員 先ほどの診療報酬の絡みともあるのですけれども、今ここで例えばICUの基準を入れて、診療報酬のほうが付かないという話になったときには、赤字になりなさいという基準になるのです。だから、逆に診療報酬の裏付けが確証できないような指標は強硬に入れないほうが今後の医療のためにいいと思いますし、その上で診療報酬の裏付けが付いてくるようならば、その後、追加していっていただく形をとっていかないと、ちょっとあるべき論で議論をして、結果的に頑張った病院の赤字が拡大する形になると非常に不幸なことだと思うので、それは避けていただきたいと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。保険制度が出来高払いになっているわけです。でも、現実には使わない部分を余裕として置いておかないといけない。そこのコストを誰が負担するか。どうしても診療報酬を工夫しないと運営できないということなのです。使っていない施設の負担です。それが循環器診療では必須なのです。特にICUCCUについては余裕を持たせておくことです。よろしいでしょうか。そうすると、この項目であるとか、資源の在り方、指標の在り方は構成員の先生方に御覧いただいて、事務局と連絡を取りながら、もう少し完成度を高めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に資料78について事務局から、また高山先生から資料6の説明を続けてお願いいたします。最初に事務局からお願いいたします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 資料7「搬送体制及び施設間ネットワーク構築の考え方()」です。こちらは、急性期の診療提供体制における搬送体制、施設間ネットワークのイメージを記載しています。

2枚目のスライドです。心血管疾患急性期における医療施設受診までの流れの案です。こちらは、先ほどの全体のイメージの主に前半の部分を記載しておりますが、まず発症の際の啓発です。急性期の心血管疾患の症状と早期受診の教育です。それを受けて、救急搬送の場合若しくは患者が受診する場合でも、できるだけ専門的医療を行う施設に直接受診、搬送されるような体制が必要ではないかと考えています。救急搬送の場合は、急性期の心血管疾患疑い例の判別、都道府県による基準の使用等を記載しております。それによって適切な医療機関を選定して、搬送を行います。また、患者が直接受診する場合も、症状の啓発等で、できるだけ専門的医療を行う施設を受診していただくような体制が必要ではないかと考えておりまして、このように急性期の心血管疾患を緊急性に加えて、かつ専門性が高い疾患であるため、確実に心血管疾患例を判別し、専門的医療を行う施設に直接搬送する体制が必要ではないかと考えております。

3枚目の「心血管疾患施設間ネットワーク構築のイメージ」です。こちらは、ネットワーク構築のイメージを地方型、都市型という形で、1つの例として記載しています。

 まず地方型です。先ほど少し議論にも出ましたが、高度な専門的医療を行う施設を必ずしも平均的な救急搬送圏内に設置できないような地域も存在している可能性があります。その場合には、1つの例として、平均的な救急搬送圏内の内部では専門的医療を行う施設でネットワーク体制を構築していれば、より高度な専門的医療が必要になった場合には、このような専門的医療を行う施設の連携体制を、これはアクセス等も考えて検討していただければと考えています。

 一方、都市型のイメージです。こちらは、平均的な救急搬送圏内に高度な専門的医療を行う施設が複数存在したり、専門的医療を行う施設も数多く存在するような形をイメージしております。こちらは、このように先ほども議論に出ました高度な専門的施設間のように、横の連携も含めて、全体でネットワーク体制を構築するようなイメージを記載しております。このように、地域の現状に即した施設間ネットワーク体制の構築が必要ではないかという形で、イメージを記載しております。

 あと、平均的な救急搬送圏内の1つの資料として、今回の参考資料4に救急自動車による平均搬送時間及び搬送人員の病院収容時間別割合の資料を付けています。こちらは参考資料4として付けていますので、御参考いただければと思います。こちらは、都道府県別の平均搬送時間と、搬送人員別の収容時間別割合のデータを記載しています。

 資料74枚目のスライドです。これは救急搬送から急性期診療提供体制のイメージで、こちらは全体像を再び記載させていただき、その中に施設の役割であるとか、ネットワーク構築のイメージを、少し文言を追加して記載した全体像のイメージです。啓発、搬送体制、施設間の役割を明確にして、それぞれの連携体制をきちんと取るようなイメージで記載しています。

 資料8は先ほども御説明させていただきましたが、急性期の診療提供体制に関わる評価指標イメージで、この2枚目のスライドが、急性期の診療提供体制に係る指標のイメージです。これは地域の診療提供体制の指標をイメージしています。病院到着前の体制、病院到着後の体制と、2つに分けて記載しておりますが、それぞれストラクチャー、プロセス、アウトカム指標で記載しております。

 消防機関が傷病者の状況を確認するための観察基準導入の有無、受入病院を確保するためのシステムの有無、虚血性心疾患により搬送された患者数、収容までに要した平均時間や受入れの紹介回数等を例として記載しております。

 病院到着後に関しては、それぞれ高度な専門的医療、専門的医療を行う施設数、遠隔医療のシステム導入の有無、あと施設間の連携の数、急性心筋梗塞に対するインターベンションの件数、Door to balloom time90分以内の割合、心臓血管外科の手術件数、緊急手術の割合、リハビリテーション実施件数も記載しています。この件数は先ほどとは違って、地域全体でどのように置かれているかをイメージして、全体の指標として記載しております。また、アウトカム指標としては、年齢調整死亡率、リスク調整院内死亡率、平均在院日数等を案として記載しております。事務局からは以上です。

○永井座長 続けて高山先生からお願いいたします。

○高山参考人 資料6を御覧ください。私は東京都の心臓血管救急連携システム、こちらは東京消防庁、東京都福祉保健局、東京都医師会と共同で長年運営しているのですが、その責任者をしております。我々の実績と経験を基にお話させていただきます。

 急性心血管疾患への地域心血管救急診療システムの構築と運営です。これは、特に急性心筋梗塞で作ってきまして、そして急性大動脈症というと、対応がまた少し異なるところをお話したく思います。

 次のページです。講演の流れを示していますが、どのような心血管救急連携システムになっているかという話、大動脈の話、どうやって日本全体にいかしたらいいかという話をさせていただきます。下に、横に長い「男」と「女」と書いたグラフがありますが、これは急性心筋梗塞の年齢調整死亡率で、こちらを見ていただきますと、東京都は右のほうにあって、一番左のほうの男を見ますと、岩手県、青森県、低いほうですと、東京、佐賀、熊本、島根とあるわけです。同じ日本の中なのに、年齢調整死亡率が岩手、青森ですと、1.8倍から1.9倍ぐらい高いという現実があります。東京は非常に密集した所に大勢の人が住んでいて、良い病院も多いのですが、どのように重症心血管疾患を多数に対応しているか、これがある程度できているから、この数字で納まっているとお考えいただきたいと思います。

 その右上に示したのは、皆さん御承知のように、日本の医療レベルは世界の中でも屈指のレベルにあると思います。しかし、急性に起こる特に心血管疾患、それから脳卒中、消化管の出血といったものを含みますが、肝心なことはベストな医療をどのように、早期に緊急に必要な所に供給できるか、そのシステムを作ることが非常に重要です。

 その下が、東京の心血管救急の模式図なのですが、福祉保健局が東京都医師会に委託して、東京消防庁と協力して、東京23区と多摩に、現在71から72の加盟施設になりましたが、早期に搬送して適切な治療ができるシステムを運営しております。

 次のページです。東京のこういった緊急心血管疾患を知るというのは、1つは東京消防庁の集計があります。細かく申し上げるつもりはありませんが、消防庁の集計を見ると、左側の下の「心・循環器疾患の搬送状況(平成26)」を見ていただきますと、救急車の出場は75万件もあり、実際に急病が搬送人員の65%の43万件、そのうち心・循環器疾患と付くのが全体の4.8%で、32,374人です。これは、その右のページの上下の段のように、現在分類をしており、これも実際に患者を受け取った救急の循環器系の医師が、救急隊に病名を書いて、こういう病気だということを書いて渡すのですが、それを分類したものが、こちらです。これに関しては、もともと粗い分類だったのですが、4年前に集計を見直し、私が実際に細かく内容を見て、毎年1回これに分類できないものも、全部私自身でチェックしています。

 次のページです。上の段に、「心・循環器疾患の搬送状況(平成25年中)」とあります。これを見ていただきますと、横に棒グラフが高いほうから左から並んでいまして、東京で一番多いのは心不全の搬送で、8,124人です。そうしますと、狭心症、不整脈、心筋梗塞と並んで、大動脈。今日特にお話したいのは心筋梗塞と大動脈ですが、大動脈が心筋梗塞というものの約3分の1あります。しかし、その右のほうに胸痛、心肺停止です。こちらも丸を付けてありますが、これの中には非常に多数の心筋梗塞が、また、ある程度の数の大動脈瘤が入っています。この疾患をどのように多くの施設で能率的に受け取っているか。これは、その下に「東京都CCUネットワーク:組織構成と活動」と示してあります。1978年に設立されておりますが、上に書いてあるような3人の先生方、また更に多くの先生方が御苦労なさって、初めから東京都福祉保健局、医師会、消防庁と連携し、しっかりと東京都の予算を取ってスタートしたという経緯があります。御存じのように、東京は非常にたくさんの人口があり、夜間で1,318万、昼間で1,548万があります。これを240隊の救急隊が搬送を行っているということになります。

 私どもは、3か月に1回、CCU連絡打合せ会という会議を行っており、様々な傷病者に関する医療行政の話、搬送の諸問題といった問題点を取り上げながら、意見を聞いて、まとめていっております。これらは東京都の公務として記録されるようになっており、今、東京都CCUネットワークの中には、これを運営する委員会、学術委員会、倫理委員会、利益相反管理委員会といった委員会を作って、いろいろやっています。

CCUと言いますと、もともと急性冠症候群、特に急性心筋梗塞を急性期の診療をしようということで、米国で1960年代に始まって、冠動脈系の集中治療室だったのですが、そのノウハウをいかして、21世紀に入ったら、むしろ心臓血管疾患全体を見るCardiovascular Care Unitです。そういった意味の心血管集中治療室ということで、いろいろな心臓血管系、大血管系の疾患を見ています。

 東京都CCUネットワークは、東京都全域で質の高い緊急心血管診療をどうやって効率的に実施するか、地域に差がなく、どのように供給できるかということを命題として運営しております。

 次のページです。そういうこともありまして、搬送システムとしては、東京消防庁にCCU対応あるいは共通対応という言葉があり、共通の傷病者は自動的にCCUネットワークのCCUに搬送するというルール作りをしています。ですから、これが119番コールをしてもらって、すぐに救急車が行けば、すぐにそういう動きになりますので、非常に早いです。ちなみに、東京都で約75%の心筋梗塞は救急車で運ばれてまいります。そして、一次、二次救急医療機関に患者が受診する場合もありますので、その場合も、そういった医療機関が搬送先を探さなくても、119番に電話して、急性心血管病らしい、あるいは心筋梗塞らしい、CCUネットワークへ送ってほしいと言うと、搬送先を探さなくても自動的に中央の総合指令室で場所を決めると選定しております。

 この下の段を見ていただきますと、東京は非常に救急の患者数も多いので、地方の県のように、いわゆる輪番制の当番制を取ると、当番に当たると1日当たり10件以上の緊急のカテーテルをやるというような状況になりますので、大きな施設はいいですが、小さな施設はほとんどパンクしてしまいます。そうならないように、平日当番、休日当番と分けて、実際に当番があっても、基本は直近のCCU施設に運ぶ。そういう所が患者を受けられなければ、当番が受けると。最後の切札的な当番の役割をしております。

 そして、傷病者が胸痛を訴えて、診療を受けている専門病院が近ければ、そこに運んでくれますし、患者さんが冷や汗をかいているなど余裕がなければ直近のCCUネットワークの施設へ搬送し、そこで必要な治療をして、23日したら通っている病院に転院するということもよくやっております。

 そして、心肺停止は原則救命センターへ、三次救急へ運ぶということになっているのですが、実際に共通で心肺停止になった場合、緊急のカテーテルをやり、再灌流治療をしたほうが、生存退院できる率は高いということがはっきりとデータで出ております。むしろ胸痛で搬送中の心停止は、CCUへそのまま運ぶことを勧めています。実際、救命センターは非常に能力が高いのですが、重症の心筋梗塞に関しては、高度機能を持ったCCUが働かないと、実際に患者を助けられないというのが、日本全国同じ状態です。

 右に「東京の心血管緊急システムの維持」ということで、どのように工夫しているかを示しています。夜間人口は1,300万人ですが、この辺の細かいところは大体申し上げましたので、読んでいただければ十分だと思います。申し上げたいのは、心臓救急施設は救命センターと違いまして、余り補助を受けていませんから、非常に苦しいベッド数と、人員が少ない中でやっていて、辛うじてぎりぎり、互いに連携して、患者がもらえなければすぐ近くの別のCCUに頼むとか、こういうことをやって、協力し合ってやっております。東京都に起こる緊急心血管疾患の実態ということで、CCUネットワークの患者集計を次にお示しします。

 次のページは、どのように患者を集計しているか。私たちは二段構えで集計しております。まず、CCUネットワーク運営の基本事項と取決めです。表があると思いますが、これは手書きで3か月に1回、各CCUからここに赤の四角で囲っているのは、急性心筋梗塞の患者が、201410月から12月に、男が何人入って、女が何人入って、何人死んだか、そして、それぞれ何歳で、それぞれ重症度を示す何群になるかということを書いて、死亡した患者には丸を付けるというルールになっています。こういった形で、ラフなデータですが、迅速に集める、つまり、大体3か月、6か月遅れで東京全体のデータは集められます。その下に、「診療データの開示」と書いてありますが、これは1年分のまとめですが、3か月ごとに各疾患、心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈といったものを示しています。なおかつ、これは病院名は伏せてありますが、どこの病院に何人心筋梗塞が入院して、何人死んだかということを、全部各施設の会議で皆さんに配っています。例えば上から赤線で囲った2つ目の、心筋梗塞180人という施設は、これは私どもの榊原記念病院ですが、心筋梗塞はこの年で一番多いのですが、死亡は3人と少数です。こういうような死亡が少ないというのもすぐに分かるのですが、これは榊原記念病院は救命センターがありませんから、心原性ショックなどはどちらかというと少ないです。そのために死亡が少ないだけで、ここに参加している人たちは、みんなそういうことはよく分かっている。むしろ、実際にこのような、例えば私どもの病院も重症をもっともらっていいのですが、救急搬送のルールで、重症搬送が余り来ないというもったいない状況になっているのです。こういったところも東京全体、お互いに理解してやっています。

 その右の上を見ていただきますと、なぜこういうことをやるかというと、これは今までに多数の、海外も国内も含め、いろいろないい臨床の研究のデータが出ておりますが、第1級病院の結果だけを見ても、その地域全体が分かるわけではないわけです。ですから、いい所も含み、全体に同じような患者を多数診る所は全部を含んで、そして、我々が考えるのは常に東京全体の発生数をつかもうと。そのベースをつかんで、そしてその解析をしていこうという考えです。

 下に円グラフがありますが、東京全体の主要CCUネットワーク、これは2013年に入院した救急車以外にも自分で来た患者もありますが、そういうものを含めた、17,640例の緊急心血管疾患の内訳です。心筋梗塞は4,587例、死亡率は5.1%です。このように分けていきますと、急性心不全が一番多くて、死亡率も高いです。そして、黒い枠で囲ってあるように、大動脈解離、真性瘤というのが、数が非常に多いということが以前から問題になっていて、これをどうするか。そして、2009年までは、CCUに来る患者の集計しかできていなかったものですから、本当の実態が捉えられていなかった。この2013年は救命センター、心臓血管外科にも協力いただいたもので、その数も入って集計できています。

 裏を見ていただきます。実際、東京都CCUネットワークは2010年時で67施設、患者数からすると、このように非常に多数の施設から非常に少ない施設まで分布はあります。ただ、重要と考えるのは、地域を頑張っている病院がしっかりと見ようとしているか。その意思がしっかりとある所は、働いてもらうという姿勢で進めています。

 その左の下に「東京都の急性心筋梗塞死亡率の推移」とあるように、1982年には急性心筋梗塞は、全体で20.5%が死んでいました。これが、今は5.1%、大体5%ちょっとぐらいで、今は5%を何とか切るかというところまできております。

 実際こういったものの運営には、東京都が非常にたくさんのお金を出してくれているということです。もともと、1990年代の終わりぐらいまで、救命センターとCCUには、東京都はほぼ1億円のお金を毎年出していたのです。救命センターのものはそのまま続いたのですが、CCUのほうは3分の1に削られまして、2000年頃から3,800万円の予算で何とか運営しています。これは集計することの努力に対するデータ作成量ということが一番大きいのですが、そういうことで、各施設が働いた分、それなりに分ける形になっています。

 右の上のKillip重症度分類の頻度です。院内死亡率2014とありますが、このトータルと一番下の段を見てください。現在、心不全のない急性心筋梗塞が一番多いのですが、死亡率は1.2%です。そして、心原性ショックは本当に死亡率が高かったのですが、現在は30.3%まで下がってきております。下に「Killip1967」と出ていますが、トーマス・キリップが最初に報告したアメリカのデータでは、Killip1が6%、Killip4が81%、ここまで悪かったものが多くの施設の努力で、それも非常に優秀な施設だけでなくて、全体でここまで来ているということです。これを申し上げたいと思います。

 ちなみに、万が一大規模災害が起こると、緊急カテーテルができなくなるので、しばらくの間、実は心筋梗塞の死亡率はこのぐらいになってしまうという可能性がある。そのことは御理解いただきたいと思います。

 ここまでがCCUの入院患者のデータ集計ですが、その下の段に「個人調査ファイル」とあります。実際、私たちは個々の疾患別の集計のほかに、各個人票の集計をしております。次のページに「CCUネットワーク入院患者個人調査ファイル登録」とあります。これはwebベースでデータを入れられるようになっていて、事務局が集めて、それを集計しています。そして、この上の段に「データ集計・解析」、真ん中に「学術委員会疾患別研究班」とあります。こちらにあるように、いろいろな疾患で研究班を作っておりまして、それでデータを解析して、その結果を学会、論文に発表し、それを更に都民のために、広報的なパンフを作ったりしています。ちなみに、磯部先生は急性心筋炎の班長です。

 例えば右の上を見ていただきますと、もともとアメリカのAHAガイドライン2010では、胸痛発症があって5分以上続いたら、救急隊のコールをするようにというのが提唱されているのですが、5,556例の2010年から2011年の東京の患者のうち時刻集計のあった2,255例を集計してみると、実は5分以内の救急コールは9.8%しかできていなくて、20分以内のコールも27%、こういったところは都民、市民に胸痛が治まらなければ早く救急車を呼ぶようにといった宣伝をする資料にしています。その下の段を見て、実はいろいろなところを見ると、例えば時間がどのぐらい掛かるかというのを見ると、多摩と都内では、余り差がありません。それから、開業医に一旦診てもらうと、CCUに入るまでが遅くなってしまいます。それから、家での発症のほうが救急コールが遅いとか、日中は早いけれども夜は遅いといったことが分かっています。

 次のページです。残り3分の1ぐらいですが、大動脈のことを前のほうで話をしたように、非常に死亡率が高いので、これは何とかならないかと考えておりました。そして、2010年の終わりから組織作りをしたのですが、たまたま大阪梅田で車が暴走して何人か死んだときに、実は大動脈解離を起こして、心タンポナーデになっていて、意識を失っていたということがありました。こういうことが、実はかなり起こっているのです。

 大動脈に関しては急性心筋梗塞と違うのは、起こったらできるだけ早く、スタンフォードA型というのは約55%ぐらいありますが、24時間以内に手術をしないと亡くなってしまいます。それを、どこができるかということです。東京でも、全てのこういったCCUがある施設ができるわけではありません。

 これは2007年、2008年、2009年と調査をしまして、どういう条件のある所が手術ができて、成績がいいかということを調べて、右の下にある「急性大動脈スーパーネットワーク」という構想を作り、それを組織化いたしました。これは急性の大動脈疾患を可及的に全例を受け入れて、CCUあるいは救急センター、循環器内科の医師が迅速な診断、トリアージして、厳密な血液管理が必要で、心臓血管外科医とディスカッションをして、迅速に手術をすると。こういったことをどの程度できるか。東京では緊急に24時間、大動脈の疾患を受けられる病院というのは、このときに10施設あって、100%受け入れましょうといった所に重点病院という名称を付け、100%とまではいかないけれども相当数、8割方を受入れられるという所を緊急大動脈支援病院として組織化いたしました。この右上に小さな字で示していますが、国際的にはInternational Registry of Acute Aortic Dissections(IRAD)と言っている、世界的な登録の研究があるのですが、急性大動脈解離は1時間経つと1%死亡率が増えて、24時間で2430%ぐらいが死んで、48時間では約半分が死ぬという疾患です。患者の2分の1は緊急の外科手術が必要で、24時間以降になると多臓器不全とか、DICを起こして、手術をしても死亡してしまうのがほとんどになってしまうので、いかに早く手術するかということが重要になります。

 これをめくっていただくと、やはり同じように、こういった疾患を多数受け入れている施設があります。要は、余り受け入れない施設を患者さんが経ないように、直接行くようにという組織作りをしようということで、緊急大動脈重点病院を作ったわけです。

 実際、この重点病院、支援病院は、頑張っている病院の中では、むしろ大学病院、大きな総合病院というよりは、私どもの施設のような専門病院のほうが、つまり24時間いつでも手術をするには、ほかの科と余りコンフリフトがなく手術できるという利点があって、むしろそういう所の施設が、なかなかいろいろな意味で苦しいながらも、たくさん頑張っているわけです。

 下の図で、いかに能率的に優秀な外科医につなぐかということです。こういう中で、東京は右上の東京都の図のように、☆の所が重点病院の場所、そして○の所が支援病院で、多摩と23区に分散してやっております。ちなみに、2013年の急性大動脈疾患の死亡率を見ていただきますと、実は集計してみましたら非常に多数あって、これは驚いたのですが、東京全体で2013年、大動脈真性瘤の破裂が390例、大動脈解離が1,260例、計1,650例もありました。

1つは、大動脈解離を左の下に円グラフで表していますが、全体の死亡率は24%、これが緊急手術ができれば、死亡率は10.7%となります。しかし、緊急手術がもう遅くてできない、あるいはほかのいろいろな条件でできなかったということになりますと、死亡率が55%と非常に高いです。このような、非常に怖い疾患であることが、これでお分かりになると思います。

 次を見ていただきますと、症例数に関して本当にこんなにあるのかということを初めは思ったのですが、実は3年間ほとんど同じ数字です。そうしますと、これは今まで私たちが疫学的に捉えていたよりずっと多い数字だということが分かりまして、これを考えると、その下の「日本における急性大動脈症の救急施設への入院患者数」を見ていただきますと、東京の人口は日本の約10分の1ですので、日本は人口13,000万人ですと、大動脈解離が年間に12,500例、真性瘤破裂が4,000例起こって、院内死亡で3,3004,000人ぐらいが死んでいると推測されます。

 そして、その下の段を見ていただきますと、右上に「2012年の東京都CCUネットワーク収容例の疾患数、死亡数」があります。死亡数で見ると、一番多いのは368人で急性心不全なのです。2位は実は心筋梗塞ではなく、急性大動脈症の325人です。でも、これをよく考えていただきますと、急性心不全は平均年齢は80歳代です。急性大動脈症は60歳代です。つまり、社会でいろいろ頑張ってやられている責任ある方々が、ぼんぼん死んでいるというのがこの疾患です。そして、これを世界の集計データあるいは日本のこれまでのデータと比べますと、これまで日本は疫学的に約10万人当たり、年間3人から5人ぐらいと言われていました。また、最近出た英国のデータでも、院外死亡を含んでも6.0というものが出ています。それに比べると、東京は非常に多い。これは救命センターの心肺停止例を多く含めたということが1つの要因ではないかと思いますが、日本では高血圧が多いということも、1つの要素であるのかもしれないです。これは、今、学術委員会大動脈班が、より細かい検討を行っております。その右に、予後改善への課題(1)(2)とありますが、これは読んでいただければ分かりますので、飛ばさせていただきます。

 次に、「急性大動脈症への対策における課題とその克服」ということで、ポイントを4つ挙げました。1つは重大性に関する認知がまだまだ不十分ということで、医師・救急隊・行政・市民への広報・啓発ということが必要です。これは既に始めております。2は、担当する課が広く情報交換が不十分ということです。これは循環器救急だけでなく救命センター、また脳卒中を起こす方も多数ありますし、放射線科に行く患者、外科に行く患者といろいろ分かれているところを、やはり全体で連携してうまく情報を交換しないと、そして病院をまとめるということが必要です。3番に、突然死が多数です。心肺停止例の8%が、急性大動脈症だということが横浜市大から研究論文で出ております。こういったものもまだ十分に解明されておりません。もう1つは、特に緊急医療施設としては、心臓血管外科医が対応できる施設が決して多くないということです。最近は増えてきておりますが、外科医自身も日中の手術もあり、夜間も全部受けるわけにはなかなかいかない。そういうところで、こういう外科、同時にコメディカル、麻酔科といった人たちをどうやってうまくサポートして、育てていくかということが重要です。

 そういうことを考えますと、地域をどうしていくかということを考える。これから日本全体を考えると、東京は都市型と私は呼びましたが、通常の高度な急性大動脈解離の手術がいつでもできるような施設、あるいは特に心原性ショックで特殊な治療が必要な施設は高度施設として、そうでなくて通常の心筋梗塞の治療は、緊急心血管集中治療施設としましたが、このような施設に2段階に分けるのは1つかなと思います。

 そして、広域型としましたが、特に地域で、地方ですと、高度な機能をどこかにポイントを置いて集約し、資源と人材を投資して、むしろ搬送を効率化するとか、院内遅延を最小にするとか、そういう努力で、まだ地方をうまくコントロールできるのではないかと思います。

 また、治療施設としては、3「治療施設を考える」としましたが、大学病院、総合病院、実際に手術の実施機関が非常に多数で、話を聞くと手術室の順番がなかなか取れないとか、麻酔科医がなかなかカバーしてくれないとか、こういう問題が出ます。心臓血管専門施設は、そういう点ではそういった障害はなく、こういう緊急の治療には向いておりますので、ただ、それでもいろいろな施設の規模とか、経済的な問題など、いろいろな問題がありますので、何らかのサポートを受けながらやっていくのがベターだろうと思います。

 その右上に、今年の625日に神奈川循環器救急とRegistryを考える会で、このネットワーク組織をどうやって作るかの講演をいたしました。私はいろいろなこういう講演を頼まれ、あるいは急性心筋梗塞の連携システムを作るのでも、7県のお手伝いをさせていただいて、いろいろな講演も更に頼まれていたのですが、同じように神奈川の場合を想定して、いろいろ解析しますと、神奈川ですと人口が9127,389人、これを考えると東京と同じように起こることを考えれば、心筋梗塞は年間3,490例、心不全が3,934例、急性大動脈症が1,120例起こります。それをどうやって対応していくかということで、むしろ赤い点線の丸で囲んだ、川崎、横浜、藤沢の辺りは、多分都市型で多数のいい病院がありますから、お互いに連携しながらやるようなやり方、そして神奈川の西半分は山もありますし、山梨県に近いような地域は病院も少なくなってきますので、こういう所は広域型のような取り方をして、施設をうまく分散してやっていくような方法だろうと考えております。

 黄色で囲った中に示しましたが、非常に重要なところは、その地域のデータをきちんと取ることです。それに応じて、どういう組織作りをするかが見えてくると考えます。以上です。

○永井座長 大変細かいところまで、御説明をありがとうございます。では、残った時間を質疑応答をしたいと思います。いかがでしょうか。

 最後から3枚目の裏に発生数が書いてありますが、東京の場合には8.8と、高いのはCPAOA、これ、専門外の方はなじみない言葉かもしれませんが、Cardiopulmonary Arrest on Arrivalですね。

○高山参考人 そうですね。

○永井座長 それを東京の場合は含んでいるけれども、例えばイギリスは含んでいないということなのですか。

○高山参考人 英国オックスフォードの報告で、6.0というのが上にあると思います。これは疫学的に死亡報告から解析したものですが、院外死亡も含んでいます。東京のものはCPAOA、心肺停止を全て含んではまだいませんが、かなりの数は救命センターからデータをもらって、救命センターでCTを撮ったり、あるいは、その場でエコーをやって、心タンポナーデになっている、そういうことを診ていますので、そういう患者さんは大動脈解離という回答をもらっています。そういう意味では、その分の数が増えた理由の1つに考えられると、そのように考えております。

○永井座長 そうすると、大阪、小川先生の所は、これはどのような違いなのでしょうか。3.1

○永井座長 余り調べられていないがために低いという。

○高山参考人 そうだと思います。

○小川()構成員 データ上はそう思います。

○上田構成員 そうですね。

○磯部構成員 十何年前の状態ですね。

○小川()構成員 そうですね。

○永井座長 これは大分前なのですね。最近のデータは意外と各地域はないものなのですか。

○高山参考人 この高槻のものは、市全体の、言わば人口集計のときに、一緒に死因を解析したりそういうところはきているので、全てがうまく網羅できていないのではないかと思います。方法として、医療機関に入院した患者を集計するような、そういう方法のほうがより多くを取り上げられている可能性は高いというようなコメントをされています。

○永井座長 東京ぐらいの数はあるのだろうと考えていたほうがよろしいということですね。

○高山参考人 はい。

○森村参考人 1つ教えていただきたいのですが、エリアベースというか、ポピュレーションベースが大事だということで、その中で適正配置や、いろいろな施設を配置していくときには、もともとのペイシェントがどれぐらい発生するのかというところはすごく重要になってくるということは間違いないと思います。

○高山参考人 はい。

○森村参考人 もしもそういったデータがあるのかどうかなのですが、例えば、各施設ごとの年間に診られているケースとアウトカムとの関係というのは、なかなか出しにくいとは思いますが。

○高山参考人 そういうことですね。

○森村参考人 去年、実は横浜市のデータなのですが、やはり経験値が増えれば増えるほど、スキルは上がってくることが示されています。外傷のデータも調べましたが、同様でした。ただ、あまりにも施設の負担が増えてしまうのも問題になりますので、今後はどのくらいの症例数がそれぞれの病院に搬送されれば、スキルの質が保てるのかについて考える必要があると思います。先ほど話されていましたが、常にある程度症例数があり、経験値は保てるけれども、忙しさもそこそこという、限界点というかそういうカットオフ値が出てくると、何例以上この地域では1施設当たり診られるような配置をすればいいとかということが出てくるのかと思ったので、東京でそういったデータはあるのかと思いまして。

○高山参考人 それは大動脈についてですか。

○森村参考人 いや、MIで。

○高山参考人 MIでは、東京都CCUネットワークに加盟したいという施設はたくさんありますので、ある程度の基準は作っております。

1つは、日本循環器学会の教育研修施設、教育関連施設、それと、急性心筋梗塞が最低月2例はいてほしい。年間24例です。そういう下限は設けています。そして、施設の中で、例えば医師の数が少し減ってきて、患者数が減ってきているというところが3年続くと、実際、今までは何施設かネットワークの加盟から下りていただいて、準会員ということで会議には来られるけれども、要は、救急隊に共通の積極的な搬送、推奨は十分にできないということになるので、最低限はきちんと確保して、みんな頑張っていただくというようなルールはきちんと作っています。

○永井座長 いかがでしょうか。先生が来られる前に、先ほど宮崎先生から発症早期の相談、連絡などの広い意味での運営体制ですが、東京都ネットワークには、ちょっとおかしいと感じた時の相談体制はあるのでしょうか。

○高山参考人 東京都は消防庁に相談センターというのがあります。そちらに電話を掛けて、看護師の相談を受けられるようになっています。話を聞くと、これは救急車が行ったほうがいいなというのは、すぐに救急隊が行くようにというやり方をしています。

 実際、救急隊と心臓血管救急の医師とが必ずしも連絡が取れないものですから、「CCUハートライン」という電話を各施設にもってもらって、それは救急隊が直接CCUの医師に電話していいと。例えば、搬送した患者がどうなったかということを後から聞いたりすることもできます。そういうようなこともやっております。

○永井座長 一般市民への啓発活動も東京都CCUネットワークとして何かなされていますか。

○高山参考人 これは東京都としては、心臓病の患者家族へのAEDCPRを教える活動を各施設でやってもらって、それを推奨して、あと、インストラクターを教育するとか、いろいろなことをやっています。それから、ポスターを作って、保健所、区役所とか、あるいは各医療機関に貼ってもらうようなものも医師会と協力してやっております。

○永井座長 かなり先進的な取り組みをされているということなのですね。これは都道府県で違うのでしょうか。

○高山参考人 例えば、札幌市が約5年前から同じように、札幌市は実際集計をしたら、急性心筋梗塞の死亡率が東京で5.78%のときに、どうして札幌全体は10%を超えているのだということがいろいろ議論になって、やはりシステム化をしようということで、札幌市全体で同じような組織作りをして、あっという間に死亡率が6%ぐらいになりました。

○永井座長 いかがでしょうか。

○今村構成員 搬送時間のことについて御意見を伺いますが、地域医療計画で、救急隊の搬送時間というのをアウトカムの1つにしていますが、実際に搬送時間を見ると、東京都が一番平均時間では長いです。

○高山参考人 多分それは疾患によって違うと思いますが、例えば、東京はデータを全部集計しています。急性心筋梗塞の病院の中間地の搬送時間が2時間です。ですから、決して遅くはないと思います。ただ、全体からすれば、東京全体、先ほど磯部先生もお話になっていたように、東京はほとんど心臓血管系は、たらい回しはありません。まれに出ますが、むしろほかの疾患のほうがそういった問題が出て、それで、それが全体を遅くしていることにつながっているのではないかと思います。

○今村構成員 そうなのですね。搬送時間そのものが、まず移動距離の問題と、そして、搬送先を決めるまでの時間の問題と非常に混在していて、地域医療計画のほうでも、これを最初は重きを置いて指標にしようとしていましたが、これで表現できるものは何かといったら、分からない。実際、細かく分析していくと、日勤帯と準夜帯と深夜帯で搬送時間は大きく変わる。二次医療圏単位で見ていくと、1つの病院が準夜帯で救急を終えると、急に搬送時間が長くなるという問題があったり、なかなか搬送時間というものを救急医療体制の指標に使いにくいと思っています。東京都は、ほかの数字も混ざっているということで長くなっていると思います。先生のお立場から見て、この搬送時間というのは、どのような使い方があるとお考えでしょうか。

○高山参考人 先生がおっしゃる搬送時間は。

○今村構成員 各地から先生の病院に来るまでの時間、現着までの時間です。

○高山参考人 むしろその時間は、現在、現場の時間が長くなっています。要するに、救命士のいろいろな処置行為の時間が長くなっていて、そのために東京も2014年は覚知から40分を超えてしまいました。それが2015年は少し戻して、また39分までになりました。救急救命士のいろいろな行為をどこまでするかどうか、そこのところは、これからやはり議論を呼ぶところだと思います。

 特に、心電図の12誘導を取るかどうかというのは、本当に取り入れるかどうかが1つ話題になったと思いますが、12誘導でSTが上がっていれば、緊急PCIの用意をすることができるということで、それをやるといいだろうということが1つありますが、東京都CCUネットワークは、いつでも緊急PCIができるという条件の下に全部入っていますので、だから、むしろそれは要らないかもしれないというような考えもされています。その辺、まだ。例えば地域を決めて、言わば、テストケースである地域をやってみるとか、そういうことをしないと、実際のアウトカムをきちんと検証しないと何もまだ言えないかと思います。

○今村構成員 分かりました。ありがとうございます。

○小川()構成員 非常に興味あるデータですが、これ、確かに大動脈疾患は増えていっているというのが現状だと思いますが、経時的なデータ、最近あったようなデータはお持ちですか。

○高山参考人 だから、増えているかどうかというのは、全てを網羅できているというところが非常に難しいと思いますが、一応、東京都CCUネットワークで収容した心筋梗塞、それは外科まで含めると、確かに増えています。例えば、ただ、これは年齢調整で訂正してみないと分からない部分もありますが、実数としては少し増えているという印象は持っています。

○小川()構成員 恐らく、日本は一番CTが普及している。その診断力が、かなり向上しているのが影響していると思います。

○高山参考人 はい。

○小川()構成員 だから今後、ますます診断力が向上しているから、ますます増えていく。実際、患者さんも増えているのではないかと思います。ですから、心筋梗塞と同じぐらい解離に対してのこういう救急のシステムの対策ということをしておかなければいけないかと思いますが、いかがですか。

○高山参考人 やはり心筋梗塞の急性大動脈症としてはもう3分の1の数ですから、そうすると、全く無視できない。

○小川()構成員 そうですね。

○高山参考人 それも私は申し上げましたように。

○小川()構成員 死亡率が高い。

○高山参考人 年齢が若い50歳代ぐらいからどんどん出てきますから、やはりそれが非常に問題点だと思います。

○磯部構成員 最初、省のほうから、資料7の一番下に2行あって、「確実に心血管疾患を判別し」という御説明がありましたが、これはオーバートリアージの考え方と逆でして、私はこの「確実に」というのは要らないのではないかと思います。

○高山参考人 要らないと思いますね。

○磯部構成員 最初に森村先生からも御説明がありましたが、オーバートリアージをどのような形で許していくのか。それから、逆に、見落としをどれだけ許すのか、その辺について東京都CCUネットワークで、結局、救急隊の判断でそのネットワークに乗せるか乗せないかとしているわけですよね。その辺の判断基準ということが大事だと思います。どういうシステムになっていますか。

○高山参考人 救急隊は病名は言ってはならないことになっています。ですから、あくまでも症状で対応する、言わば、小さなカードがありまして、こういう場合にはこのようにするというルールが決められているのです。基本的にはオーバートリアージになっていますので、そのときに実際連れてきた患者さんが、例えば心筋梗塞でない場合ももちろんあるわけですが、それを決して非難しては絶対いけないということです。若い医師に当然そういうことは教えていますけれども、そういう考え方を、よりオーバートリアージをむしろ勧めるということを、もっと広く全体に公表してもらったほうがいいのではないかと思います。

○磯部構成員 だからこの下の2行にある「確実に」というのは、ちょっと循環器の医者からすると、よろしくないのではないかと思います。

○高山参考人 そうですね。

○磯部構成員 その辺を御検討いただきたいと思います。むしろ、オーバートリアージを推奨するということが望まれると思います。

○高山参考人 そうです。

○永井座長 何でもなくても入院させたほうが、あるいは来ていただいたほうがいいと。

○高山参考人 そうですね。

○永井座長 そこで失敗した例というのはたくさんあります。確実でないときに判断を保留する、それでなろうとすると、失敗するのですね。いかがでしょうか。

 高山先生が示された東京区部は恵まれているのだと思いますが、多摩地域や神奈川の広域地域、この辺との違いはいかがでしょうか。

○高山参考人 多摩も実は搬送時間は都内とほとんど変わらないです。ほとんど有意差はないですし、そして、本当に山の奥になりますが、多摩の一番奥の奥多摩になると、逆に心筋梗塞は、いつもその地域にある小学校に、大体救急隊がバアッと行って、そこに搬送して、そこからヘリコプターで立川に運ぶので、もう1時間以内に大体緊急収容ができているのですね。ですから、そういう意味では、多摩地域も何とかうまくできていると思います。

 隣接地域ですと、神奈川、そして、すぐその隣の山梨東部、相模湖とか、その隣接地域がやはり、ある意味、医療過疎の部分があります。実際、八王子の東京医大とか、ああいった大きな病院には、かなり救急でもお世話になっているのが現状です。本来は、余り都府県の区切りを言わないで、救急も気持ちよく受け入れられるような連携を、更に今後できればいいのではないかと考えています。なかなか予算の問題があって、こういうところもまだ解決できていないところは多いです。

○永井座長 多摩の夜間はどうされるのですか。

○高山参考人 夜間はやはりヘリコプターは飛びませんので、救急車で運んでいます。青梅市立総合病院が、これをすごく頑張っている施設です。救命センターもありますので。

○永井座長 1時間少々ぐらいで。

○高山参考人 そうですね、大体1時間あれば。

○永井座長 いかがでしょうか。あとは、ネットワーク間、あるいは施設間のネットワークというのは、東京都の場合はどうなっていますか。

○高山参考人 施設間。

○永井座長 施設と施設の間で一度搬送された後、どのように今度、調整していくかです。

○高山参考人 例えば大動脈の場合は、できるだけ手術しない所には運ばないということになっていますが、現在、もし患者さんが行ってしまう、あるいは行ってみてCTをやってみたら、解離だったという患者さんがある程度あります。例えば、一昨年のデータですと、それは搬送例の、確か5.2%だったと思います。少しありますが、ただ、迅速に動かせるようにルールを決めています。うまくできています。

○永井座長 それは、もう一度CCUネットワークに相談するのですか、それとも、病院間でそこの調整をするのでしょうか。

○高山参考人 それは病院間で調整することもありますが、消防庁にすぐに連絡して、いずれにしろ救急搬送になりますから、救急車を呼びますので、すぐ近くという所で、どこかすぐ選別はしてくれます。

○永井座長 はい。

○小川()構成員 私はこの部分のデータを見てくるのを忘れましたが、JROADのデータで言うと、心筋梗塞で循環器の専門施設に入るのが7万人いますので、大動脈解離が心筋梗塞の3分の1と考えると、両方合わせて10万件近く救急疾患があるということになります。専門施設に含まれる、日本で。心筋梗塞と解離だけで約10万件いるという試算になりますね、大体。そうすると、かなり大きな問題になってきます。

○高山参考人 そうですね。

○小川()構成員 3分の1というか、2万件は大動脈解離がいそうですね、日本に。

○高山参考人 私が試算していたように、やはり解離の数は。

○小川()構成員 3分の1ですからね。

○高山参考人 そうですね。急性大動脈症として、真性瘤の破裂が実際は解離より更に死亡率は高いのですが、そちらを合わせると、17,000人ぐらいは日本中ではいるだろうと、2万人ぐらいはいるのではないかと。

○小川()構成員 2万人を超えるかもしれません。

○高山参考人 ええ。

○永井座長 増えているのですか。

○小川()構成員 そこは分からないです。

○高山参考人 実際、治療している患者さんは増えていますが、発生率が増えているかどうかは分からないです。

○永井座長 いかがでしょうか。

○宮崎構成員 開業医を経るといっても、これはかなり有意な差があって、しかも結構、Nが多いですね。これは何とかしなければいけないと思います。

○高山参考人 そうですね。

○宮崎構成員 これについては、その原因、理由というのは、開業の先生が分からないのか、分かってもすぐ移せる方法がないのかとか、どういうことなのでしょうか。

○高山参考人 いや、そうではないのですけれども、かかりつけのお医者さんに、例えば胸痛がすごく強ければ119番を呼びますが、それほど強くなくて、あるいは消化器症状とか、あるいは一旦出たのがまた治まったとか、そういうときはどうしようかと思って、できれば皆さん救急車は呼びたくないと思っているのが正直なところですから、119番のコールをしないで、まず近隣の医療機関に行くということが1つあります。そのことの現われだと思いますので、各施設の先生方には、自分たちの患者さんには、胸痛が出た場合には、もう病院に電話をするとかしないで、119番をコールしてくれと説明してくださいといった、そのようなパンフレットも作って配っています。

○永井座長 高山先生、資料8を御覧いただいて、診療提供体制の評価のための指標とか、連携体制を反映する指標、これをこの検討会でこれから考えなければいけないのですが、こういうところで何かお気付きの点がありましたら、御指摘いただけますでしょうか。

○高山参考人 評価のほうですか。

○永井座長 資料8です。評価指標、急性期診療提供体制に係る指標、あるいは、裏には専門的医療。

○高山参考人 分かりました。例えば、我々の施設、CCUネットワークとしては、二段構えで、症例の集計をしているところで申し上げました。できるだけシンプルに地域を全部できるだけ網羅したいということと、その中で、個票で取るのは、やはり忙しいドクターが全部データを入れられないので、今は大体半数の施設がリサーチナースのような方、あるいは事務の方がデータを入れてくれて、そういうことに対するデータ登録の方法のセミナーとか、そういうことも私たちはやっております。いずれにしろ、二段構えにして、1つは大枠をつかむことと、細かな詳細を検討できるような体制を私たちは作っているというのが、方法としてはいいのかと考えております。

○永井座長 それは急性期だけではなくて、慢性期のフォローも含めて。

○高山参考人 一応、30日まで。

○永井座長 30日まで。

○高山参考人 今のところ総務省、消防庁に、包括的同意でやっていますので、ただ、1年とか、もちろん見たい場合もありますので、それは別に臨床研究計画を作って、それできちんと倫理委員会を通して、各施設でデータ集計してもらって、それを集めるといったようなことをやっております。

○永井座長 あとは、この指標のイメージとか、内容について何かお気付きの点がありましたら、また後でも結構です。事務局から連絡が行きますので、御意見を頂ければと思います。ここまでで構成員の先生方、いかがでしょうか。

○小川()構成員 先ほど少し話しましたが、今、高山先生のような仕事を全部、一応、全国でやっているのですが、今度の個人情報保護法案ができると、これができなくなるので。

○永井座長 そうですね。

○小川()構成員 特に厚労省のほうからも、医学会からも出してもらいましたが、この仕事ができやすいように、永井先生にもよろしくお願いをしておきたいと思います。厚労省の、特に個人情報の保護法案は全部翻って、全てできないというような感じの文章を書かれていますので、かなり問題になるのでは。医学は別というような感じにしていただかないと、何もできなくなると思います。

○永井座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 ネットワークの考え方、資料7の裏側のページに地方型と都市型という、この2パターンを出していただいていますが、現実、地方は1個だけという所が大半を占めていると思います。典型的かもしれませんが、その病院以外はないという状態で、そのない状態から、この支援してくれるようなネットワークのものを作り出すのか、それから、そこの1点を更に充実するのかという選択になるので、このパターンにもう1つ、1点集中からというのがあるのかと思います。地方型は、恵まれた地方型と、恵まれていない地方型があることを認識していただいたほうがよいと思います。

○三浦構成員 オーバートリアージの話に戻りますが、私もこれはすごく重要だと思うので、心臓かな、分からないけど、怪しいと思ったら、施設に収容していただくのは本当にいいと思います。

 一方で、高度な専門的な循環器治療はできるけれども、循環器しかできないという施設というのは、他疾患だったときに、ほかにつなげていくのは非常に難しくて、自宅に帰せる人だったら問題ないと思いますが、循環器以外で集中的な治療が必要になったときに、やはり病院間の連携というのが非常に重要になってくるのかと思います。高度な専門的な治療ができる、循環器の専門的な治療ができる総合病院だといいと思いますが、循環器しかできない施設だと、他疾患の方がいらっしゃったときに、また次の病院を探すのに、結構大変な思いをすることがあるので、そういったところも、また課題なのかと。オーバートリアージは本当にしたほうがいいと思います。そのように思ったりしました。

○小川()構成員 国立循環器病研究センターは、確かにそのような病院ですが、千里救命センターというのが近くにありますので、循環器疾患で来ても消化器疾患だったというときは、そちらに早めに移るようにしています。それは大事な点だと思います。

○永井座長 あと、意外と盲点なのが、循環器以外の専門病院における循環器合併の患者の手術、緊急処置ですね。数としてはそれほど多くないかもしれませんが、結構重大な合併症を持っている方が多いです。

○森村参考人 今のお話だと思いますが、今、オーバートリアージされたケースを、その後どうやってトランスファーするかというベクトルとは逆のベクトルも考えなければいけなくて、先ほど開業医のドクターたちが遅いと言ったところの1つのファクターは、例えば、診断能力という問題ではなくて、やはり診療情報提供書を書かなければいけなかったり、御家族に病状説明をしたり、等々で、実は重症例であればあるほど結構時間が掛かる。我々は今、横浜市で「重症外傷センター」という重症外傷を集約するシステムを2014年からスタートさせましたが、周辺の救命救急センターですら、運んで来るまでの間にものすごく時間が掛かっていることが、今の課題になっています。それは、今のようないろいろな縛りがあるからなのですね。要するに、転送させたときの、このケースを、誰がどこまで責任を取るのか。診断も含めてですが、その医療行為は、どこからどこまでで、その搬送している間、救急隊に預けているということでは、やはり済まされない話になると思います。この際、行政的なルール化をして、前医の負担を少しでも軽減できるような仕組みを考える必要があると思います。アメリカを例に取ると、病院間搬送に関するレジスレーション、いわゆる法制化が進んでいて、ここまではここの責任、ここまではこちらの責任。例えば、ここは簡略化していいとか、情報提供者なしでもいいから、とにかく運びなさいとか、そのようなところは検討をすると、いわゆる上り搬送には非常にスムーズになるのではないかと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。いろいろと御議論を頂きましたが、時間を待てる医療と、待てない医療の違いが非常に鮮明に浮かび上がったように思います。引き続き議論をしていきたいと思います。取りまとめに当たっては、本日、参考人でお見えの先生方にも、いろいろと御意見を伺って進めたいと思います。議事は以上ですが、何かありますでしょうか。よろしければ、次回は回復期から慢性期の診療提供体制の在り方の骨子と、急性期診療と、回復期から慢性期診療間の連携体制の在り方の骨子、2つについて検討を行う予定です。事務局から連絡事項等をお願いします。

○永井座長 それでは、本日のワーキンググループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 心血管疾患に係るワーキンググループ> 第1回心血管疾患に係るワーキンググループ 議事録(2016年8月17日)

ページの先頭へ戻る