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2016年7月4日 第7回医療介護総合確保促進会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成28年7月4日(水)15時~17時


○場所

中央合同庁舎第5号館 講堂


○議題

1.総合確保方針の改定に向けた検討
2.地域医療介護総合確保基金事業の評価指標の検討状況について(報告)
3.平成27年度地域医療介護総合確保基金(補正予算分)の内示状況(報告)

○議事

○田中座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第7回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、まことにありがとうございます。
 会議に先立って、構成員の交代及び本日の出欠状況について、事務局から報告をお願いします。

○黒田課長 御報告させていただきます。保険局医療介護連携政策課長の黒田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、構成員の交代がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 内田千惠子構成員が退任されまして、新たに日本介護福祉士会副会長の中野朋和構成員が就任をされております。
 続きまして、山科透構成員が退任されまして、新たに日本歯科医師会副会長の佐藤保構成員が就任をされております。
 それから、山本敏幸構成員が退任されまして、新たに民間介護事業推進委員会代表委員の馬袋秀男構成員が就任をされております。
 続きまして、構成員の皆様の出欠状況につきまして、御報告をさせていただきます。
 本日は、井上由起子構成員、大西秀人構成員、東憲太郎構成員、樋口恵子構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、東憲太郎構成員の代理として、折茂賢一郎参考人、樋口恵子構成員の代理として、新井倭久子参考人に御出席をいただいております。
 次に、前回の会議以降、事務局に人事異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。
 老健局長の蒲原でございます。
 保険局長の鈴木でございます。
 大臣官房審議官、医政、精神保健医療、災害対策、医薬品等産業振興担当の椎葉でございます。
 大臣官房審議官、老健、障害保健福祉担当の坂口でございます。
 大臣官房審議官、医療介護連携担当の濱谷でございます。
 医政局地域医療計画課長の佐々木でございます。
 老健局老人保健課長の鈴木でございます。
 老健局振興課長の三浦でございます。
 保険局総務課長の城でございます。
 なお、本日は厚生労働科学研究費補助金事業として、地域医療介護総合確保基金の評価等に関する研究を行っていただいている、国立社会保障・人口問題研究所の泉田部長にも参考人で御出席をいただいております。
 以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。
 早速議事に入ります。カメラはここまでといたします。
(報道関係者退室)

○田中座長 最初に事務局より資料1の説明をお願いします。関連して前回、構成員からお求めがあった点について参考資料1が提出されていますので、こちらの説明もお願いします。

○黒田課長 それでは、まず資料1の御説明をさせていただきます。右肩の下のところに通しページが打ってありますので御参照ください。
 表紙をおめくりいただきまして、1ページには今後の本会議における議論の進め方について記してございます。まず、上にございますが、「今後、平成30年度の医療計画と介護保険事業(支援)計画に向けた医療計画基本方針と介護保険事業計画基本指針が策定されることとなる」と見込まれております。今年度中を目途にということかと思います。
 総合確保方針につきましては、これらの基本方針あるいは基本指針の基本となるべき事項等を策定するものでございますので、「医療介護連携に求められる現場での取組や課題等」、「医療介護連携に求められる計画の進捗状況や進め方等」について御議論を行っていただきまして、年内の取りまとめを念頭にということでこの1ページに書かせていただいております。
 2ページでございます。「地域包括ケアシステムの具体化に向けた現場での医療介護連携の促進」といたしまして、ここでは視点について書かせていただいております。
 先生方も御案内のとおり、地域包括ケアシステムにつきましては医療介護総合確保促進法にも記載がございますし、その前にありました社会保障に関するさまざまな提言の中に記載がございますが、それを要素分解いたしますと、この真ん中のところに書かせていただいておりますような5つの要素ではなかろうかということで整理をさせていただいております。
 この仕組みの中核にありますのが、医療と介護の連携、医療介護連携がこのシステムの真ん中にあるということではなかろうかと思います。加えまして、3つの要素として、介護予防、住まい、自立した日常生活の支援というものがございまして、医療介護連携を中核としながら、こういった5つの要素も念頭に置いていただきながら、御議論いただくのがよろしいのかなということでまとめさせていただいております。また、2ページの真ん中より下のところにございます、この分野はさまざまな方々によって成り立っている分野でございまして、この議論をいただく際に、見方によってどの部分からのお話なのかということが交錯する場面が時々ございますので整理をしてございます。
 まずは、「個々の利用者にとって」ということで書かせていただいておりますのは、生活者の目線で切れ目なく医療介護サービスが提供されることであろうと思います。また、具体のサービスを提供していただいている方々にとりましては、さまざまな関係者の中で顔の見える関係・ネットワークということがあるのかなと思いますし、その下にありますように、「地域にとって」ということで申し上げれば、さまざまな地域のありようがある中で、地域の特性を生かしながら面的にもカバーをされるということが、1つの視点ではなかろうかということでございます。
 次の3ページをごらんください。
 こうしたものを少しブレークダウンしまして、きょう先生方からぜひ御意見を頂戴したいということで、横に置いていただくための論点としてまとめさせていただきました。「地域包括ケアシステムの具体化に向けて、地域において医療介護連携を促進するためには、以下のような観点において、かかりつけ医等医療従事者・介護従事者がそれぞれどのような取り組みを行うことが求められるか」とまとめております。
 ●で3つ、視点あるいは観点を書かせていただいております。
 ●の1つ目ですが、「入院時、退院時に備えた切れ目のない医療・介護提供に関する視点」でございます。居宅や施設から入院する、あるいは居宅や施設に病院から退院をするという場面では対象となる生活の場も変わりますし、それから必要となるサービス等々も変わるということがございます。こういった場面で、医療介護連携が必要となる場面が一つ典型的に生じるということでございます。その際に病院と職員の方々、それから介護支援専門医等の方々、これらを取り巻くさまざまな方々の連携が必要になる場面として、一つここに書かせていただいております。
 2つ目でございます。「居宅等における看取りを含めた切れ目のない医療・介護提供に関する視点」でございます。これは、お一人お一人がお亡くなりになるときに、病院でお亡くなりになる方が今は多いわけですが、在宅医療、介護の進展に伴いまして、居宅でということも出てきているわけでございます。こういった場面を支える観点に立てば、医療や介護の連携が生じるもう一つの場面ではなかろうかということで、こちらには書かせていただいております。
 3点目が「多職種連携に関する視点」というところでございます。そういったさまざまな場面がある中で、医療関係の方々、介護関係の方々の連携をいただくためにどういう場が求められるのかということでございます。一番下にございますのは、そういった支えとして、自治体、中でも都道府県、市町村、特に医療とつながっているという意味では都道府県に対する期待も多いわけですが、こういった方々に対して、取り組みの期待としてどのようなものがあるのかということもあろうかと思います。
 以上、3ページが資料でございます。後ろに個別の実践を幾つか添えております。これは時間の関係がありますので詳細の御紹介を控えますが、5ページにグループカンファレンス等をしている場面、気づき等の場面について記載がございますし、6ページには、滋賀県の東近江県域での2市2町における医療介護連携の取り組み、7ページには福井県の取り組み、8ページには大分県の取り組み、9ページに福島県の退院調整ルールの策定・運用に関する資料、10ページに岩手県釜石市での取り組み、11ページに神奈川県横須賀市の取り組み、12ページで広島市西区医師会の取り組みを御紹介させていただいております。また、13ページ以降で、介護保険制度の在宅医療・介護連携推進事業に関する資料を添えさせていただいております。
 私からは以上です。

○三浦課長 続きまして、先日の第6回の促進会議、3月の会議でございますけれども、そちらでケアマネジャーの研修制度について報告をせよというお話を承っておりますので、それについて御説明をさせていただければと思います。
 お手元右肩に「参考資料1」と振られた資料を御用意いただければと思います。表題といたしまして、「ケアマネジャーの研修制度について」という形で記載させていただいておるものでございます。
 1ページをおめくりいただきまして、まず、ケアマネジャーに対する研修制度が本年度から大きく変わっているところであることの御紹介をしたいと思います。
 こちらは上の箱に書いております1つ目の○でございますけれども、地域包括ケアシステムの中で、医療職をはじめとする多職種との連携・協働ということに着目をいたしまして、自立支援に資するようなケアマネジメントを実践できるような専門職を養成するという観点からの見直しを行ったところでございます。
 1つ飛ばしまして、例えば主任の介護支援専門員に関しましては、更新制の導入なども行っているというところが制度的な大きな見直しとなっております。
 具体的な研修の中身の見直しでございますけれども、1ページ目の箱をごらんいただければと思います。2つ並んでおります。真ん中に「研修制度の見直し」と書いてございまして、上のものが従来のもの、下のものが本年度からこのように変わりましたというものでございます。ごらんいただきますれば、介護支援専門員実務研修の受講試験を受けていただきまして合格をする。従前であれば実務研修を44時間受けていただいた上で、実務従事者に対して任意の研修、それから専門研修あるいは更新研修、さらに主任介護支援専門員研修という形の流れでなっておったところでございます。
 これに関しまして、平成28年度、下のほうをごらんいただければと思いますが、実務研修に関しまして、上のほうにあります任意で行われておりました基礎研修33時間と、従前の実務研修44時間を足し合わせまして、1つの実務研修という形に統合したところが1つ目の特徴かと思います。時間数にいたしましても、77時間から87時間という形で少し増量したところでございます。
 また、2つ目といたしまして、専門研修、更新研修でありますけれども、こちらにつきましても、時間数の増ですとか、あるいはその中身の見直し、後ほど御説明をさせていただければと思います。また、あわせまして、主任介護支援専門員研修につきましても時間数の増を行いますとともに、さらにその更新研修を新しく設けましたというものが全体の見直しの概要となっております。
 2ページでございます。こちらはそれぞれの見直しのポイントを掲げさせていただいております。
 まず、ケアマネジャーに関しましては、多職種との連携・協働あるいは自立支援に資するというあたりを目標としての見直しを行いました。
 実務研修におきましては3点ほど挙げてございます。特に医療との連携という観点で申し上げれば、実務研修の箱の2つ目の○でありますけれども、医療との連携及び多職種協働の意義などについての科目を新設したというところでございます。
 また、専門研修におきましても、同様に1つ目の○の最後の3行あたりでしょうか、医療との連携あたりを中心に重点化したような研修を行っている。
 主任ケアマネジャーにつきましても同様でございます。3つ目の○にありますが、多職種の協働の構築といったあたりを力点として置かせていただいた見直しを行っております。
 3ページ以降が、それぞれの3種類の研修の中身、課目についての見直し状況でございます。黄色が新しく追加をしたものでございまして、特に医療との連携という観点で申し上げれば、赤い枠で囲んだもののそれぞれについて、新しく充実させていただいたところでございます。3ページ目の上で申し上げれば、実務研修におきましては、医療との連携、多職種協働の意義について3時間を追加した。あるいは多くの専門職への説明、合意について2時間、そして、個々のケース、主因と申しましょうか、原因について、例えば脳血管疾患に関する事例、認知症に関する事例といったケースについてのマネジメントの展開といったあたりを追加させていただいておるのが実務研修の中身となっております。
 1ページ進んでいただきまして、今度は専門研修でございます。
 こちらも同様に連携ですとか、少し実践的な、医療との連携が求められるような局面における事例研修といったものを追加しているところが見てとれようかと思います。
 最後の5ページが、主任介護支援専門員の研修の内容でございまして、こちらにおきましても、黄色あるいは赤囲いといったところをごらんいただければ、多職種の協働ですとか、具体の医療との連携を想定したような事例研修、講習といったものを追加しているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明いただいた内容について、構成員の皆様から意見を頂戴します。挙手の上、御発言をお願いいたします。
 阿部構成員、どうぞ。

○阿部構成員 資料1の2ページでありますけれども、地域包括ケアシステムを構成する5つの要素として、医療介護連携とともに生活支援とまちづくりが掲げられております。実は6月2日に閣議決定されました日本再興戦略の中にこういうくだりがございます。ちょっと読みますと「公的保険外の介護予防や生活支援等のサービスが、地域包括ケアシステムの一環として活用されるよう、医療・介護関係者と民間事業者が連携してサービス提供を行う枠組みを構築する」。こういう意味で、生活支援とまちづくりについての議論もぜひこの場で進めていきたいということが1点目。
 2点目は、3ページの論点でありますけれども、いずれも大事な論点かと思うわけでありますが、これを具体的に考えていきますと、複数の市町村での共同作業でありますとか、あるいは地域の医師会との連携、さらに都道府県の取り組みが大事になるかと思っております。もちろん介護でありますから、市町村がそれぞれの単位として責任を持つことは必要であるとは思いますが、力の弱いところでは、単独ではできないこともあり得るという前提でさまざまな可能性を探っていければと思います。
 以上であります。

○田中座長 御意見ありがとうございました。
 山口構成員、お願いします。

○山口構成員 質問をさせていただきたいと思います。まず、この論点の中の1つ目の論点のところに「横断した連携が求められる」というところがございまして、前回か前々回も医療と介護を切れ目なく使うためには、コーディネーター的な存在が必要ではないかと、私も意見を申し上げましたし、ほかの構成員からも同様のお話が出ていたと思います。そんな中で今回、ケアマネジャーの研修制度がさらに見直しをされたということですけれども、見直しをしたということは、コーディネーター的な存在になり得るということを想定しての改善なのかどうかということで、見直しをされた理由を教えていただきたいと思います。また、今回の研修になったことによって、今までこれはできなかったけれども、ここまでできるようになるという、どこまでのことが期待できるということなのかを教えていただきたいと思います。

○田中座長 質問は2点ございました。
 振興課長、お願いします。

○三浦課長 振興課長でございます。どうもありがとうございます。
 まず、今回の見直しに至った経緯でございますけれども、少しさかのぼりますと、平成24年にケアマネジャーのあり方検討会というものが開催されています。それに至る以前の前段階といたしまして、私どもの介護保険についての議論を行います介護保険部会という場がございまして、そちらの中でケアマネの資質について、幾つかの課題が指摘されたということがございました。それを踏まえまして、議論を行って少し見直しをしてきたところでございます。
 この見直しの結果、具体にどこまでできるのかというお話がございました。それに対するお答えになりましょうか、3ページ以降にそれぞれの新しく追加をしたような項目が挙げられておるかと思います。地域課題についての対応なども担うような期待があるのかといったお尋ねもございましたけれども、そのような点に関しても、例えば5ページの主任ケアマネのところで申し上げれば、右側のところ、下から2段目に「社会資源の活用に向けた関係機関との連携に関する事例」といった項目もつけ加えておるという中では、ケアマネジャー全員がそうなるというわけではないかもしれませんけれども、ケアマネジャーもそういった地域での連携の一つのハブになれるような役割を期待できるのではないかと考えてございます。

○田中座長 鷲見構成員、お願いします。

○鷲見構成員 ありがとうございます。
 先ほど、ケアマネジャーの研修の見直しについては、実際にかなりボリュームが大きく、今後の利用者像に合わせた中身になっていると思います。
 実際、我々、介護支援専門員にとって大変なのは、いろいろな制度の切れ目がどうしてもあるといったところが、実際には一番困難な場面になろうかと思います。段階に合わせた体系立った研修があり、現任者に対しては、もちろんもう少しバックアップする必要があると思いますが、今後、新カリキュラムの研修を受ける人々は、かなりの力がついてくると思いますし、1人の介護支援専門員が迷うことなくずっと1人の利用者に付くという形に例えば生活コーディネーターであるとか、病院の医療連携室等の方々と連携しながらしていくような利用者が誰についていったらいいのかということがわかるシステムにすることが、一番シンプルでいいのではないかと思っています。
 以上です。

○田中座長 武久構成員、お願いします。

○武久構成員 医療と介護の接点というと、今はケアマネジャーしか考えられないのですけれども、ただ、介護支援専門員は福祉系の方が多いということもありますから、今回の研修の見直しは医療的な要素をかなり入れているという意味で、また認知症もどんどんふえますからそういうものも入っているということで、私は適切ではないかと思います。
 ただ、いろいろな統計によりますと、介護支援専門員は病院に63%行っているということなのですけれども、病院に行くときにどういう資格で行くのか。入院する前の私は担当のケアマネですと言って行くのか、病院を退院した後のケアマネですと言って行くのか、身分が不確かなまま病院に行って、ごめんください、面会に来ましたと言われても部外者と思われる可能性がある。どういうことかというと、退院してから居宅に帰るとは限らないわけです。いろいろな病院とかいろいろな介護施設に移るかもわからない。移ると、小規模多機能だったらそこのケアマネになるし、施設であれば施設ケアマネになる。どういう資格で行くのかというと非常に困りますので、鷲見さんもおっしゃいましたけれども、お医者さんだったら主治医がいますよね、がんセンターに行っても、どこの県立病院に行っても、主治医がいろいろ紹介状を書いたり、後のフォローをもらったりして連携していますよね。そういう部分が介護保険でないのが一番まずいのではないか。だから、主治ケアマネジャー制度というものをつくれば、一人のケアマネジャーがその患者さんがどこへ行こうと常にそこへ行って、病院に行っておれば早く帰るような方向をサジェスチョンしていくとか、いろいろなことでコーディネートができる、本当の医療と介護のコーディネーターとして活躍できる環境ができると思うのですけれども、今は細切れにケアマネジャーがかわっていきます。施設に入れば施設ケアマネジャーと居宅のケアマネ、主治ケアマネジャーの2人制度でやればいいのであって、そうでないと、病院に入ったらなかなか退院しないと。担当の主治ケアマネジャーが行けば後のことは段取りしますから、病状がよくなったら帰りましょうということができると思うので、ぜひコーディネーターとしてケアマネジャーを使うのであれば、このような研修の追加と、制度としての主治ケアマネジャーを提案したいと思います。

○田中座長 ケアマネのあり方について、お二人から重要な意見が提示されました。ありがとうございます。
 今村構成員、お願いします。

○今村構成員 ケアマネでなくてもよろしいですよね。

○田中座長 はい。

○今村構成員 幾つか論点がありますので、済みませんが、お時間を頂戴します。
 まず、資料1の1ページのところで、今後、総合確保指針を改定していくということで、医療計画と介護保険事業計画の両方の基本方針を策定していくということです。前からこの検討会でも、医療計画は都道府県で、介護保険事業計画は市町村が策定いたしますが、その連携が非常に大事だということで、それぞれの都道府県で皆さん工夫をされて、市町村の間での連携が図られていると思うのですけれども、その連携のあり方について、もう少し具体的にこういう連携の方法でやったらどうかということを、この会議で少し議論していただいたほうがいいのではないかと、どこかの県ではこんな事例ですという話ではなくて、もう少しこの会議で議論してもいいのかなと思っています。
 同じく1ページの地域医療構想なのですが、ここでは具体的な数字が出ていないのですけれども、ここで具体例を言うことが適切かどうかわかりませんが、私が診療している東京都の区西北部は二次医療圏の人口が180万ございまして、東京都の計画では、そこでの在宅医療の需要が約2万8,800ということになっていまして、在宅医療が2万件と推計されており、単純に地域の在宅医療が可能な医師数で割ると、1人20人以上ということで非現実的な数字になる。
 実は、都市部では在宅医療を専門でやっておられる医療機関があるわけですけれども、そういうところの在宅医療の数がどれだけあるかという実態が全く把握できていないのです。少なくとも、地域の診療所が今どれだけ在宅医療を行っているかというのは調べればわかって、それで需要と供給をある程度考えるということができるのです。医療計画と介護保険の事業計画をきちんと整合性を持ってやるのには、片方の計画がきちんとしていないと、例えば医療計画で在宅医療がどれだけあるかきちんとできていないと介護保険に影響してしまうということで、ぜひともその辺の計画の実現性、妥当性について、検証をしっかりしていただければありがたいと思っています。
 4ページ以降に関連資料ということで、各地域が非常にいい取り組みをされているということですが、今まではこういったいい事例をお示しして、これを横展開する。それぞれの地域でうちだったらこういうやり方ができるよねと、こういう例をまねしよう。ただ、恐らくこういうところでも本当にパーフェクトなことをやっているわけではないと私は思っているのです。何が課題なのか、逆に言うとそういう課題をきちんと出していただいて、それをあわせてお示ししていただくことが、今後いろいろ参考になるのではないかと思っています。
 ちょっと長くなって恐縮ですけれども、14ページの在宅医療・介護連携推進事業の実施状況については、以前、この会でも全国の取り組みを出していただいたのですが、どんどんオンタイムで変わっていっているのだと思うのです。それがすぐにわかるような仕組みで、今はどのように全国で進んでいるのかということがわかるような仕組みを、ぜひとも厚労省にはお願いしたいと思っています。
 この資料にはないのですが、今後医療と介護の総合確保を進めていく上で、私個人の考えなのですが、ぜひこういう視点も持っていただきたいということとして、一つは救急の話で、以前にも申し上げたように、熱中症で高齢者の同じ方が何回も何回も救急車を利用している、そういう救急の情報が全く共有できていないです。総務省の救急の話の中でも、そういうものをつないで連携しようと思っても、自治体と連携できないというお話がどうもあるようで、そういう高齢者が救急医療を利用するということは当然あるので、その辺の情報の共有も必要ということと、地域で医療をしていますと、認知機能が低下してきているのだけれども、医療を利用すればかかりつけ医が診ることもあるのでしょうし、介護を利用していればケアマネジャーさんが見ることもあるのでしょうけれども、サービスをまだ利用していない独居の認知機能が低下しているような高齢者の情報、例えば民生委員さんの情報だとか、社会福祉協議会の情報というものをどうやって取り込むのかというのがよく見えていないのです。
 長くなって恐縮ですが、最後に住まいという視点がすごく大事だと思うのですけれども、手すりがあるとか段差があるというレベルではなくて、医療や介護にかかわる方たちが、その高齢者が長期間そこで暮らしている住まいの環境をきちんと評価できるような能力というのは、誰がどのように持つのか。リハビリの方が動作だとか、そういうことを見るというのはあるのでしょうけれども、それ以外の幅広い住まいの視点の評価も少し考えたほうがいいのではないかと思っています。

○田中座長 いずれも大切な御指摘ありがとうございました。先進事例ならではの課題もあるというのは大変適切ですね。
 西澤構成員、次に折茂参考人の順でお願いします。

○西澤構成員 今、医療介護連携という話で、そして、その中で多職種連携と入ってきているのですが、実は現実的に考えてみると、いろいろな職種があってもどこかの組織に所属しているわけです。ですから議論するときには、医師、看護師だとか、ケアマネという職種の連携ということよりも、医療機関と介護サービス事業所との関連で物を見ないとおかしい。例えば看護師にしても、医療機関の看護師であったり、訪問看護の看護師であったり、あるいは介護施設にも看護師はいます。そういうところをきちんと理解して考えないと、単なる職種の連携というのでは勉強会で終わってしまいます。そこでそれぞれの事業所との関係を明確にして、議論を進めたほうがいいのではないかと思います。

○田中座長 ありがとうございます。

○折茂参考人 資料1の3ページ「地域包括ケアシステムの具体化に向けた現場での医療介護連携の促進(論点)」の(入院時、退院時に備えた切れ目のない医療・介護提供に関する視点)に「必要な医療と介護サービスのシームレスな提供を実現するためには」とありますが、例えば医療はフリーアクセスです。急病になればいつでも日本は医療を受けられます。ところが、介護は要介護認定という一つの縛りがあって、誰でも介護保険を明日から直ぐに受けられるわけではありません。その点についても、もう一回考え直すべきではないかとつくづく思います。といいますのは、例えば今日急性期病院に入院して、家族は退院後のことも心配ですので、市区町村に要介護認定を申請に行くと、市区町村によっては、入院した直後は受け付けを行わず、退院が決まってから再申請してくださいというところも実際にあるようです。一方で、急性期病院の退院は突然決まることもあって、退院が決まってからでは、要介護認定の申請が手おくれで退院後の介護サービスが受けられないということが一部に起こっております。医療と介護のシームレスな連携というのであれば、そこもしっかりできるように、考えなくてはならないと思います。
 また、要介護認定も、市区町村で認定が出るまでに時間がかかり、認定が遅れているところが複数あると聞いています。先日、私の関連の市区町村でも認定までに2カ月以上かかり、老健施設に入所中の方でしたが、認定の結果が要支援になってしまった人がいました。結局、認定期限が切れた後に結果が出て、自費で払わなくてはならなくなってしまいました。そうすると、利用者家族も困ります。2カ月前の申請ができるので申請を出していたのですが、さらにもっと遅れてしまったのです。ですから、医療介護のシームレスな連携というのであれば、行政的な制度ももう一度しっかり見直すべきではないかというのが1点です。
 2点目は資料1の13ページ、14ページの「在宅医療・介護連携推進事業」についてです。これは以前にも話が出ていたのかもしれませんが、14ページに「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況~都道府県別の平均実施数~」が示されております。これは13ページの(ア)から(ク)までの8つの事業項目を幾つやったかという単純に量(事業実施数)の話になっていて、質(事業の中身)の話になっておりません。例えば、事業項目を単に4つ、5つ実施しているからすばらしい地域だというのはどうなのでしょうか。本来であれば、その地域における様々なアセスメントとかニーズの抽出があって、それに基づいて事業項目を実施していくべきものだと思います。ですから、13ページで言えば(ア)とか(イ)をしっかりやった上で、他の事業項目を実施するのであれば理にかなっているとは思いますが、(ア)や(イ)の実施の前提が無く、単に実施事項項目の数の話だけでよろしいのでしょうかというところが2点目です。
 最後にもう一点言わせていただくと、参考資料1のケアマネジャーの説明で、ケアマネジャーは社会福祉系の方が多いということもあり医療関係が弱い、それで医療についての研修授業を厚くする。これはすばらしいことだと思います。しかし、一方医療モデルに従事している人たちが介護モデルのことを果たして理解できているのか。我々医者とか看護師等の様々な医療従事者は、医療、看護のことは一生懸命勉強してきておりますが、生活モデルの勉強をどの程度しているのか、実態の生活期はどうなっているのかという点を、果たして病院側が本当に理解できているのかというと疑問が残ります。逆にケアマネや介護側に医療を学べというのは一つありますが、医療側にもしっかり生活期や生活モデルを学んでいただく視点も必要なのではないかとは思います。
 以上です。

○田中座長 御指摘ありがとうございました。
 菊池構成員、お願いします。

○菊池構成員 資料1の3ページの最後の○のところに関連しているのですけれども、医療介護連携促進には、行政の関与も重要であると考えておりますので、市町村や都道府県に期待する役割について少し意見を述べたいと思います。
 地域の医療介護連携の体制整備については、平成27年度から地域支援事業に位置づけられた在宅医療・介護連携推進事業でベースをつくりながら進めるということだと思いますけれども、その進捗状況については先ほどの14ページのところにも、都道府県で進捗状況に差があるということが示されているかと思います。
 3月の介護保険部会の資料によりますと、市町村の規模によって実施率に差があって、小規模な市町村では実施率が低い実態が示されており、市町村が事業を実施する上での課題として、事業実施のためのノウハウ不足、関係機関との協力関係の構築、事業推進を担う人材の確保などが課題として挙がっておりました。現実問題として、小規模な市町村では、多職種連携といっても多様な専門職種の人材確保自体が困難な面もあるかと思います。そこで国や都道府県の役割としては、限られた人材で効果的に業務を進めるためのノウハウやデータの提供、市町村職員のスキルアップを図るための研修等に力を入れていくべきではないかと思います。
 また、市町村には保健医療の専門職としての保健師の配置と活動実績がありますので、7ページの福井県の例のように、在宅医療・介護連携強化を図るコーディネーターとして、保健師等を全市町村に配置するといった方法も有効かと思います。また、都道府県の関与としては、その下の8ページの大分県の例のように、地域ケア会議の導入、充実において、県から人材を出して広域支援を行うことも有効と思いますし、9ページの福島県の例のように、県の保健所等が連携調整支援事務局としてかかわって、二次医療圏の退院調整ルールを策定・運用し、関係機関、多職種の信頼関係が構築されていく事業なども、好事例として横展開を図っていくのがよいと考えます。
 一方で、医療介護連携にかかわる人材確保については、これから地域が人口減少に向かっていくことを踏まえて、もう少し踏み込んだ仕組みの検討、例えば複数の市町村が共同で専門職を雇用するとか、共同で事業委託できるような仕組みも都道府県で検討して、支援をしていただけるとよいのではないかと思います。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。
 馬袋構成員、お願いします。

○馬袋構成員 ありがとうございます。
 それでは、私から、ケアマネジャーの研修の資料から、ケアマネジメントについて意見を申し上げたいと思います。
 ケアマネジャーの研修として、医療のこと、またさまざまな研修を強化することについては良いことだと思います。
 しかし、考えないといけないのは、ケアマネジャー個人としての活動展開だけで判断するのではなくて、所属する事業所がケアプランそのものにも責任を持つという視点もしっかり持たないといけないと思います。ケアマネジャー1人のプランによるケアプランではなくて、ケアマネジャー同士でお互いプランを検証し合ったり、事業所として持てる資源をまず最大限、カンファで内容を調整していく事業所そのものの機能です。そして、地域の事業所と連携できる体制をつくるためにも、ケアマネジャー個々と事業所の運営を両方あわせた内容の視点が必要ではないかと思います。それが1点です。
 地域連携の病院との関係で思うのですけれども、医療・介護の双方の提供側から見れば、退院または受け入れという形になるのですけれども、利用者本人から見れば、地域で暮らす生活の中では入院も一つの通過点であるという見方ができるのではないかと思います。
 そう考えますと、地域包括ケアにおける、住みなれた地域で持続して生活している中で、病院等に入院というのは通過点でもあり、退院されるときは、新しく生活環境が変わったという視点で見ることが必要ではないでしょうか。すなわち、持続して地域で生活する中で、医療介護が、利用者からみた通過点として連携をするという視点であります。要するに、退院させて終わりということはないと思いますけれども、通過点ですから、退院を支援する側とすれば退院された後の在宅の状況を理解した上で退院というものをどのように考えるか。また、入院される場合は、入院を受ける側に対してどのような情報を提供するかという意味で、通過点であれば次へつないでいく方々に対する理解される情報というものが、連携する中で非常に必要な要素ではないかと思います。また、連携から、これからは、個々から事業所単位の連帯へという形へ強化していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございます。
 先ほど、西澤構成員も言ってくださいました個々の専門職の話だけではなくて、事業所あるいは法人の経営とか運営の視点も忘れてはならないと御指摘いただきました。
 白川構成員、どうぞ。

○白川構成員 2点、御意見を申し上げたいと思います。
 一つは、地域包括ケアが医療介護の連携を具現化したものだと認識をしているのですが、資料に示されるような様々な市町村の取り組み等については、私も各方面で話を聞いてはいるのですが、日本全体でどのようになっているかがよくわかりません。結局、国レベルで考えたときに、市民目線では自分の市の進捗状況が全くわからないというのが正直なところではないかと思います。
 厚労省が、市町村単位などで、どの程度進捗しているというスケジュールをつくっていく必要があるのではないかと思っております。それをベースに審議会等で議論していくことで、具体性を持たせることが重要ではないかと思っております。
 2点目は、ケアマネジャーとの関係や地域ケア会議など、各地域でいろいろな工夫をされていると思います。例えば医療では、在宅医療を強化するために、点数の面でインセンティブをつけたり、いろいろ工夫をしております。介護ではどのようなインセンティブがあるのか、不勉強で承知をしておりませんが、平成30年は診療報酬と介護報酬の同時改定ということもございますので、医療と介護の両方が連携したインセンティブを考えていくといったこともぜひ具体化していかないと、進まないのではないかと懸念しております。○田中座長 御意見、ありがとうございました。
 森構成員、お願いします。

○森構成員 ありがとうございます。
 3ページ目なのですけれども、一番上の●のところで、複数市町村にまたがる広域的な医療介護連携が求められるというところなのですけれども、最近、医療機関の機能分化が進んで、市町村を越えて入院することが少なくないのではないかと思います。そうした中、実は私は栃木県なのですが、今、県境に住んでいます。県内の隣の市の基幹病院に行くよりも、県を越えた病院に行ったほうが距離的にも近くて、患者さんもそちらを選ぶ患者さんが結構いらっしゃいます。
 そういう意味では、同じ県内ということにとらわれず、県を越えた広域的な医療介護連携を求められる地域もあると思います。そういうところであれば、地域の医療体制に応じた県を越えた連携体制の整備が求められるのではないかと思います。
 また、多職種連携に関する視点ということで言えば、当たり前のことといえば当たり前なのですけれども、地域包括ケアシステムの中で、サービス提供者としては対患者、対利用者という視点に加えて、対地域という視点で仕事をすることが重要になるかと思います。
 薬局を例にとれば、さまざまな機能があります。そうした機能を対患者、対利用者のみならず、地域のリソースとしてどう活用してもらうのかというのが重要になってくるのではないかと思っております。
 3ページの一番下の○のところなのですけれども、多職種連携について、もちろん行政が非常に大きな役割を果たすことになると思いますけれども、ここには地域の職能団体が関与して、連携体制を構築することが重要なのではないかと思っております。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。
 平川構成員、お願いします。

○平川構成員 ありがとうございます。
 3点ほど、意見を申し上げたいと思います。
 1つ目に、今後の総合確保方針の策定に向けては、医療保険制度と介護保険制度の財源構成の違いを踏まえた検討が重要ではないかと考えております。
 例えば、医療療養病床から在宅へと移行する形になれば、これは市町村にとってみれば、介護保険財政に影響が出るという課題もありますし、今、別のところで検討しております療養病床のあり方についても、実は財源構成のあり方によるさまざまな影響が大変大きな課題として出てくるのではないかと思っています。
 地方自治体におきましても、地域包括ケアシステムの推進の重要性という認識はほとんどの自治体が一致しているかと思いますけれども、そういう財源構成の違いによるさまざまな影響についても矛盾が解消できるような検討という視点も重要かと思います。
 2つ目は、2ページにあります「住まい」の観点であります。これにつきましては、都道府県もしくは市町村においての住宅部局との連携が重要かと考えております。やはり「住まい」というのは、こういう政策を進めるに当たっては極めて基本的な課題でありますので、住宅部局と連携も重要かと思っております。
 3つ目は、3ページの下に、行政の関与も重要であると書いてありますけれども、ここにおけます人材の育成の関係であります。どうしても地方自治体においては、人事異動がつきものでございまして、せっかく仕事になれてきた、地域の人たちの顔も見えてきたという状況になって、人事異動となる状況もあります。これによって人材が育っていかないという問題もあるかと思います。
 ある意味、大きな自治体においては、思い切って専門職を育てていくような意気込みで人事を検討していくことも必要ではないかと思っておりますので、これにつきましては、総務省も含めて関係団体と意思疎通をして検討していく必要があるのではないかと考えているところであります。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。
 小林構成員、お願いします。

○小林構成員 今回の総合確保方針の見直しは、資料1の1ページ目にありますように、総合確保方針を踏まえた医療計画と介護保険事業計画が初めて策定されるという点で非常に重要と考えており、3ページに示されております「現場での医療介護連携の促進」とは、方針の肝となるものだと考えております。
 4ページ目以降に関連資料で、医療と介護の連携に係る成功事例が多数記載されております。こうしたすぐれた取組みを横展開して、全国的に行われる必要がありますが、一方、ここで示されている取組みについては、非常に意欲的な職員の創意工夫に支えられている面があるとも聞いております。医療と介護の連携とは、ある意味では医療と介護をつなぐということであり、その点では、3ページの論点に記されております、「多職種による退院支援ルール」といったように、個人の力に頼ることのない仕組みづくりを進める必要があると考えますので、今回の方針においては市町村や都道府県でこのような制度に組み込まれた仕組みづくりが広く行われるよう、方針を定めていただきたいと思います。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。
 加納構成員、それから相澤構成員よろしくお願いいたします。

○加納構成員 2ページにあります「地域包括ケアシステムを構成するためのキーワード(例)」の中で、「地域にとって」とありますが、私はやはり、日本でいろいろなこういうものを考えるに当たっては、地域的な違いを認識してやっていかないと無理ではないかと思っております。これは大都市圏、地方中核都市圏、さらに市町村、言われている僻地の問題等も含めてですが、それぞれによって状況が全く違います。さらに医療と介護でもおのずから地域によっては、施設からオンリーワンになっているところはお互いの顔がもう見えているでしょうし、逆に大都市においては隣の人さえ全く顔がわからないという状況では、全く考え方が違うのではないかと思います。
 また、今後を考えるに当たって一番大きな問題の、一つは、やはり急増する大都市圏の高齢者に対してどのように対応するかということだと思うのです。4ページ以降を見てみましても、先ほど今村構成員もおっしゃったように、関連資料の中でも、東京での成功事例が果たしてあったのかどうか、そういったものを含めて高齢者が急増する大都市圏の問題は、かなりスポットを置いて見なければいけないのではないかと思います。
 大都市圏におきましては、我々がよく言う二次救急は、民間病院が主体的に救急医療を担っておりますので、そこのかかわり合いを意識して、いろいろなことを考えていかなければいけないと思っております。
 そういう意味で、ぜひとも大都市圏の成功事例があれば、やはりそれを参考に構築していく必要があるのではないかと考えております。

○田中座長 ありがとうございます。
 大都市圏の成功事例も探さなくてはなりませんね。
 相澤構成員、お願いします。

○相澤構成員 それでは、2ページ目の「地域包括ケアシステムを構成する5つの要素」の中で、医療というぐあいに一括にしていますが、私は入院医療と在宅医療は全く違うと思います。先ほどからいろいろと話題にありましたけれども、病院の医師、病院の看護師は、在宅のことを全くわかっていません。私が、病院の院長としてこんなことを言うのは恥ずかしいのですが、全くわかっていません。なぜなら、彼らは往診して生活の現場を見たことがないからです。私たちは往診に行くと、患者さんが困っていれば患者さんをお風呂に入れたり、摘便をしたり、おむつをかえたりを医師と看護師が一緒にやるのです。でも、その現場を病院の医者は知りません。看護師も知りません。そういう事実があります。でも、それをちゃんとわかれと言っても無理なのです。だから、わからないことを前提に組み立てをしなければいけません。私は、ここのところをどうやっても書きかえてもらいたいと思うのです。
 在宅医療で介護をしなければならない中で、医療が主体になってくると、そこで活躍するのは訪問看護師です。間違いありません。医療の提供が少なくなってくると、そこで活躍するのがホームヘルパーの人たちです。在宅介護の人たちです。それは、そこの利用者がどうかによって、主体となる人が違うのです。それを、一つのパターンで全て決めつけるのは、私は、大きな失敗を犯すのではないかと思っていることを、一つお願いをします。
 その上で「医療と介護の連携」のところで活躍する、あるいはそのまとめ役になるかもしれないのは居宅介護支援事業者なのですが、右側の「介護予防」、「住まい」、「自立した日常生活の支援」をするのは、地域包括支援センターです。これは違います。
 今、地域包括支援センターは、大変な状況に追い込まれています。それは、社会情勢が物すごく変わってきて、生活するのに大変なお宅が非常に多いからです。ひとり暮らし、高齢者の2人暮らし、そしてその中でも放っておかれる人たち。その人に対して、支援センターは物すごく大変な事業をしていて、相談だけでも物すごい時間がとられるのに、残念ながら行政から来る支援は物すごく少ないです。どうやっても、一生懸命にやろうとすればするほど赤字になります。だから、一生懸命やらないで、いいかげんに済まそうとすることが起こってきます。これは非常にまずいことで、ぜひ変えないとその地域の生活を守っていけないと思います。
 その上で3ページを見てほしいのですが、一つ目の●の下のところに※がついていて、病院職員等から介護支援の連絡がないまま退院していた場合は4割と書いてあります。これは、皆様ひどいと思うでしょう。ひどいと思うのですけれども、病院の職員は当たり前なのです。生活がわからないから、退院したらおしまいなのです。生活という概念がないのです。何を言いたいかというと、医療者は、医療は見るけれども、生活はわからない。ですから、お互いの協力と協働が必要になるのだというシステム構築をしないといけない。前にも申し上げましたけれども、介護は生活目線なのです。そして、医療は医療目線なのです。これは、当然方向が違います。違うけれども、両方が相まってやらなければいけなくて、それをどうするかということが、この1番の視点ですごく重要だと思います。
 もう一つ、その下の●で「医療と介護を一体のものとして」と書いてありますけれども、医療と介護はなかなか一体にならないのです。それをどうチームとして、一人の利用者の方々にうまく提供していくかという概念をつくらないとうまくいかない。例として、多職種による同行訪問の実施と言いますが、私のところも同行訪問させていますが、一回、二回同行に行っても全然意味がありません。どっぷりそこに浸って何カ月か一緒にいないとわからないということを、ぜひ私は教育の仕組みとして入れていただきたいと思います。
 長くなって申しわけありませんが、その下の●です。医療職や介護職等の多職種が日ごろからお互いに知り合って、顔の見える関係が大事だと言いますが、現実は、患者さんが退院するときに何をやるかというと、ほかの地域は知りませんが、我々は、まず退院して診てくれるかかりつけ医の先生が決まらないと帰せないのです。そうすると、かかりつけ医の先生を決めます。そして、かかりつけ医の先生に、どこのケアマネを使いますかと聞くのです。そうすると、私は日ごろ知っているこのケアマネがいいと言います。家の人にも一応、どちらにしますかと聞くのです。私はこっちがいい。違うケアマネを言うのです。まず、この調整がすごく難しくなってくる。ようやく決まったとすると、今度はそのケアマネは、使うサービス事業者がみんな違うのです。デイサービスはここ、入浴はここ、ホームヘルパーはここ、訪問看護はここ、全部事業者が違うのです。この連絡だけで、このケアマネは物すごい時間を使うのです。実際のサービスに関係のない連絡だけです。こんなばかなことを今やっていて、まだケアマネがたくさんいるところはいいです。人口がどんどん減っていく田舎はもう最悪です。全然、事がうまくいかない。今、私たちがやっているそういうところの人は、申しわけないけれども、もう住みなれた地域には住めません。ですから、住宅をつくりますから、地域の中核都市へ移ってきてくださいというのが現実です。住みなれた土地で暮らし続ける、ばかを言うなと。私は、そんな美しい言葉では済まない現実が、今、日本には起こっているのだということをしっかりと認識をしてやらないと、とんでもない形だけのものをつくって、よかったということに終わるのではないかということをすごく危惧していると申し上げたいと思います。
 長くなって済みません。

○田中座長 ありがとうございました。
 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 今、相澤先生がおっしゃった、現状をきちんと認識しなければならないという大変厳しい御意見は、まさしくそのとおりです。
 前段のことで確認なのですが、事実、病院の先生たちが、患者さんの生活環境をなかなか理解しておられないという現実があるのは間違いないと思います。ただ、今後それでいいのかどうかという議論は非常に大きな話で、日本医師会と四病院団体協議会が、中小病院の先生方もかかりつけ医なのだと、いわゆる患者さんの医療や生活も含めて理解をしているというのがかかりつけ医だということで定義をしていますので、病院の医師が生活はもう関与しないのだ、医療だけなのだということを前提にして、これから仕組みをつくって本当によいのかどうかということがあります。
 それから、今、介護保険の要介護認定の主治医意見書は、半分くらいが病院の先生が書いておられるのだと思います。確かに、私も認定審査会の代表をしている立場で、本当に生活のことを理解されていない意見書というものが多くある問題点については、先生と同じ認識を共有していますが、しかしながら、やはり病院の先生が生活のこともわからないで意見書を書いていますということを公に認めてしまっていいのかどうかということを、私は非常に危惧していまして、今はそうだけれども、連携をするには相手の立場をある程度理解しているから連携ができるのであって、相手は相手、私は私、だから連携してチームでと言っても、なかなか難しいのではないかと思うのです。
 大病院の急性期の医療を担っている先生に生活のことまで理解しろというのは酷だと思うのですが、少なくとも中小の病院の先生方は、地域の中で患者さんの生活に対する目線を持っていただくということを、持たなくていいということを前提にするのは問題かと思うので、あえて申し上げました。

○相澤構成員 私が申し上げたいのは、そこで医療機能の分化と連携ということを、今、盛んに言っていますが、その中で地域包括をどうしていくかという視点が全然抜けているのです。
 そこで重要なのが、中小の病院という言い方が本当にいいのかどうか知りませんが、地域にすごく密着していて生活までわかっている医師がいる病院、そういう人たちがやっている病院。病院機能分化というところと連携というところを絶対につくっていかなければいけないというのが私の考えているところです。

○今村構成員 病院の医師が、生活は見られないのだと言い切ってしまうのは問題ではないかということを言いたかっただけです。

○田中座長 荒井構成員、どうぞ。

○荒井構成員 大変参考になる意見をたくさんいただいておりますが、きょうの資料は概念的にはよくできていると思います。ケースの実情がよくわからないが、いいケースも悪いケースも、もう少し吟味しようじゃないかと、今村先生がおっしゃったことは同感でございます。
 この資料の中で、2ページ目で「地域包括ケアシステムを構成するためのキーワード(例)」と書いてございます。そのとおりだと思うのですが、きょうの議論をお聞きいたしますと、2番目の「サービス提供者にとって」の議論がほとんどで、個々の利用者にとって喜ばれる医療介護サービスというのはどういうものかを、発信する主体がいないという印象でございます。これは、どうすればいいか難しい課題です。
 我々の目標は、高齢者にとってよいサービスが提供できる地域をつくる、場所をつくることではないかと思いますが、それに向かってどのように展開をすべきかということだと思います。その中で、やはり進め方はここで決めて、こうしなさいというよりも、良い事例、悪い事例いろいろな地域包括ケアの事例が進行しておりますので、その事例を吟味して、いいところと悪いところを分析して、一ついいものをつくってより広く展開するということが大事かと思います。地域でやれることはそういうことしかございません。地域の環境は千差万別でございます。それぞれの現場が何よりも知恵を出す母体でございますので、現場の知恵がこういうところにも届くような資料づくりということにもなるかもしれませんが、知事会でも勉強会を始めておりますので、この場でも吟味をしていただけるような資料づくりということで、また利用者の声もその中に入ってくるようにということを心がけていきたいと思います。
 2つ目は、我々の目標はやはり医療介護が十分ある地域であっても、住民が元気でなくなる地域というのは余り良くないので、住民が元気で暮らしているという地域をつくることがより高次な目標かと思います。元気で暮らすには、やはりこの2ページ目で出てきているのでほっとしたのですけれども、介護予防というものが出てきております。予防というのは、診療報酬や介護報酬には入らない部分が多いのですけれども、地域では、元気で暮らすための予防が大きな要素になりますし、暮らしやすさも大きな要素になります。お医者さんに世話にならないというのが、より大きな、地域で元気に暮らす目標でございますので、逆説的ですけれども、俺の世話になるなよと言って指導していただけるお医者さんが一番良いかと思います。
 「介護予防」、「住まい」、「自立した日常生活の支援」と書いておりますが、自立する支援が大事だということを概念的に書いてありますので、それをどのように実現するかということが我々の大きな目標であるということを確認させていただきたいということが3つ目でございます。
 最後になりますが、実は、サプライサイドの中では、医療と介護というのは別の食堂であるように思いますが、今度は同じプレートで料理を出す、総合医療介護プレートができるかどうかということでございます。総合ケアプレートが、できれば地域で一皿で出てくればいいわけですけれども、そのときのケアマネさんはプレート屋さん、料理をアレンジする役目であろうかと思いますが、プレートの料金はどのようになるのか。プレートが分かれていると、料金はうどん屋さんはうどん幾ら、カレー屋さんはカレー幾ら、うどんとカレーと一緒に出てきたときの料金が報酬ということですけれども、総合ケア報酬というのは、一緒になるとどのようになるかということに関心がございます。
 それは、利用者にとっての関心事でもございますし、サプライサイドにとっても関心事でございます。合理的にできるように、プレートが1つになったら高くなったということではなしに、2つそれぞれ注文するよりも、1つ注文するといいプレートが出てきて、おいしいし安いプレートになれば良いと思います。報酬制度ということにもなるかと思いますし、ケアマネの役目に対する対価、あるいは事業所への報酬か個人への報酬かといったことが議論されると思いますので、これも発言された意見とは思いますが、大事な意見だと思いますので、このようなことを申し上げさせていただきたいと思います。

○田中座長 ありがとうございます。
 山崎構成員、千葉構成員の順でお願いします。

○山崎構成員 事務局に説明していただきたいのですが、今回消費税10%への引き上げが延期されるわけですが、今議論しております総合確保方針の改定につきましても、恐らく充実しさらに機能強化をするという方向で我々は考えなければいけないのでしょうが、この消費税10%への引き上げが延期されることによって、どのような影響があるのかということをお聞きしたいと思います。
 そのほか、ついでに、介護、医療のそれぞれの分野で個別に影響が考えられることがあればお聞きしたいということでございます。
 以上です。

○田中座長 これは、どなたかお答えになりますか。
 黒田課長、お願いします。

○黒田課長 お尋ねの件でございます。
 これから平成30年度に向けてということが、今回のこの会議の視点なのですけれども、財源のお話については、その時々の予算編成の中で財源が示され、それに応じて政策を考えていくというやり方になってまいります。その時点のことを、今、予測することはなかなか難しゅうございますが、むしろやりたいこと、あるべき方向性をこの会議でお示しいただいて、それを財政のフレームの中で具体化できるように検討していくというのが、私どものこの時点での立ち位置でございます。

○田中座長 千葉構成員、どうぞ。

○千葉構成員 論点のところで、多職種連携に関する視点で、いつも出てくる話の「日頃からお互いに知り合っている顔の見える関係が重要である」と、そのとおりだろうとは思うのですが、これをどのような形で行うかということになると、その後の関連資料等のあちこちで行われているところを見ても、また恐らく全国的にも頑張って行っている事例検討であったり、グループワークであったりといったようなところですが、出ておられる方々は、ほとんどボランティアです。皆、時間外に集まっては、こういうことを行っているというのがほとんどなのではないかと思うのです。つまり、皆さん大変忙しい仕事をされている中で、その仕事を切り詰めてここに集まる。ほとんど、その一人一人の個人の意識であるとか、意欲であるとか、仕事に対する責任感といいますか、向上しようとする意思であるとか、そういったようなことで任意に集まられていたりするのがほとんどだろうと思います。
 果たして、それで続くのか。あるいは普及するのか。何かこういうことをするときに、大体そういう方々に、ある意味行政的に強要する、強制するような形で、それがいいと言って提示する。でも、その方々だって、定時に帰りたいし、帰れば子供の御飯もつくらなければならないしという生活がある中で、さまざまな仕事をしておられる。そこに、時間外でみんな集まってやるのがいいのだ、やるべきだ、やっていないのかというような、ある意味、強要ではないかとか強制ではないかとか思うのですが、そういうことでいいのだろうか。ボランティアを求め過ぎている。本来であれば、ちゃんとシステム化をすべきであるし、ケア会議もそれに対するフィーをちゃんとつけなくてはいけないと思いますし、そういうことで手当をして、きちんとした組織的な形にしてあげないと、全国津々浦々ありますので、なかなかこれが制度として定着することが難しい。やはりボランティアではなく、ちゃんとフィーのついた労務としてこれらをつくり上げていくという基本的な考え方が必要なのだと思うのですが、なかなかそういったことがないようで、現場のスタッフたちや多職種の人たちにすごい負担をかけるだけの形というのは、しっかりと考え直していただきたいと思います。

○田中座長 中野構成員、お願いします。

○中野構成員 今の千葉先生の御意見と同じような感じなのですけれども、現場において、サービス担当者会議から始まって、リハビリ会議があって、栄養ケア会議があって、地域ケア会議があってという、会議も時と場合によってはボランティアで出ているという状況があって、会議の日程調整と資料作成のために現場は追われているという状況が、残念ながらあります。もちろん一つ一つの会議はすごく大事なものだし、意味のあるものだということも認識しておりますが、その会議が、ともすれば加算のための会議であったりとか、減算逃れのための会議であったりということも時と場合によってはあり得るので、その辺の会議のあり方みたいなものも、もうちょっと効果的、効率的にできると、サービス利用者にとっても、よりいいかと思っています。
 2つ目ですけれども、先ほどからの議論の中で、医学モデルは医療職が、生活モデルは介護がというお話があったと思います。それをつなぐのが、居宅介護支援事業所であったりとか、地域包括支援センターであったりというお話もあったかと思います。これは、要望というかお願いなのですけれども、居宅介護支援事業所とか地域包括支援センターが地域ケア会議などを行おうというときに、15ページに示すような「地域ケア会議の推進」というところを主に参考にすると思っております。そこで、真ん中の「地域包括支援センターレベルでの会議(地域ケア個別会議)」の《主な構成員》というところで、「医療・介護の専門職種等」に、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、など書いてあります。生活モデルは介護だというお話が先ほどからありましたが、残念ながらそこに生活モデルを担う介護専門職である介護福祉士が含まれていないのです。「介護サービス事業者」に含まれているのだと言われればそれまでなのですけれども、ここに介護福祉士という言葉を入れていただくと、生活モデルを担保する存在が盛り込まれることになると思っております。
 以上です。

○田中座長 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 ありがとうございます。
 この資料1の3ページにある論点を見ますと、地域包括ケアシステムの具体化に向けて、どのように医療介護が連携していくかということが論点としてまとめられているのですけれども、利用者がどうやって理解するかという視点が全然入っていないのではないかと、拝見していて思いました。
 特に医療介護を切れ目なく利用する、あるいは在宅でのみとりを選ぼうと思ったときに、どのようなシステムがあるのか、今どんなことが問題になっていて課題なのかということを、一般の方が知らないことには、実現が不可能だと思います。
 実は、私はここ1カ月くらい、ある医療系の企業の社員研修にかかわっていまして、合計200名くらいの方が参加されたのですけれども、その中で、地域医療構想が策定されていることを知っていると言った人は10人強しかいませんでした。200人の中で、10人強です。医療系の企業であってそうだということからしますと、一般の方は地域包括ケアしかり、地域医療構想もしかりで全く理解されていないのが現状ではないかと思っています。
 そうしたときに、やはり2025年まで9年を切っているわけですから、そろそろ本格的に国民、住民の人たちに、今、国や都道府県でどのようなことが話し合われていて、どんな方向性なのか、何を考え、しておかないといけないのかということを、情報提供する方法や、どう情報提供することが確実に伝わる手段になるのかなども論点の中でしっかり入れていかないと、このままでは2025年に直面して住民が右往左往するのではないかと思いますので、ぜひそういったことも論点に入れていただきたいと思います。

○田中座長 ありがとうございます。
 一わたりよろしゅうございますか。
 皆様から、大変貴重な御意見を頂戴いたしました。いずれも参考にすべきことです。しっかりメモをしておきましょう。
 続いて、資料2と資料3の説明をお願いします。

○黒田課長 それでは、お手元の資料2-1について、簡単に御説明申し上げます。
 1ページをごらんください。かねてよりこの会議で御一読いただいていることでございますが、地域医療介護総合確保基金につきましては、PDCAを回してくことが重要だというお話をいただいております。このため、都道府県におきまして、事後評価を実施して、都道府県ごとの審議会等での審議を経て国に提出していただくという仕組みを設けておりますし、また国は目標の達成状況、事業の実施状況について検証し、必要な助言を行うこととされております。このため、都道府県の評価に資するようにということで、前回の会議にも報告しておりますが、国におきましては厚生労働科学研究の仕組みを活用しまして、この指標のあり方について検討を進めているところでございます。
 資料2-2におきまして、きょうは泉田先生にお越しいただいておりますので、そちらの進捗状況についてお話を頂戴できればと存じます。
 私からは、以上です。

○田中座長 泉田参考人、資料2-2の説明をお願いいたします。

○泉田参考人 よろしくお願いいたします。
 1枚めくっていただきまして、「厚生労働科学研究について」というページをごらんいただければと思います。研究班の名称はそちらに書いておりますとおり、ちょっと長いものでございまして、昨年度から2年間の予定で実施しております。
 研究班員は7名でございます。これまで7回研究班会議を開催いたしまして、厚労省の関係各局の担当者の方に御参加いただきながら進めてきたところです。
 都道府県の方の御意見をいただきたいと思っておりますので、直接研究班には入っていただいていないのですが、昨年度はヒアリング調査を10都道府県で行ったところであります。
 1枚めくってください。「研究班の目的及び作業方針」でございますが、ここで御議論いただいているような基金の仕組みが効果的・効率的に活用されるために必要な持続的な評価の方法、それに使用される評価指標等を作成することが主な目的となっております。
 2番目に書いておりますとおり「指標例検討に際しての基本的な考え方(概略)」でございますが、都道府県の担当者の方に使っていただけることが一番重要で、マネジメントに資するものとするというところを念頭に置いて、作業を行っております。
 3番で「指標の構成・性質(概略)」の部分ですが、アウトプット指標とアウトカム指標の2種類に大きく分けて、作業を行っております。次のページに、アウトプット指標例の説明がございます。
 アウトプット指標例は、具体的なものは参考資料3に入っておりますので、そちらを参照いただければと思います。例を挙げますと、2の(1)にございますとおり、各種拠点の整備に関する事業にございましては、整備拠点数、利用者数。事業所に対する支援事業であれば、対象事業所数。研修に関しては、研修参加者数というものが入っております。考え方といたしましては、個別の基金事業を実施いたしましたときに算出されるものそのものを測定するのがアウトプット指標です。事業ごとに、種類によって適切な指標がいろいろあり得ると思われますので、都道府県が個別に適切に指標を選択することが重要ということになります。
ただ、まずはアウトプットを定量的に測定することが重要だということを申し上げておきたいと思います。昨年度の研究におきまして、定量的な指標を計画段階できちんと書いていらっしゃる都道府県では、評価指標、アウトプットの結果も書かれている割合が高くて、まずは書いていただくことが重要だと考えております。
 1枚めくっていただきまして、5ページの「アウトカム指標の考え方」でございます。アウトプットとアウトカムに関しましては、基金の事業を実施いたしましてアウトプットが出てくるというのは直接的な関係がございます。
 他方で、アウトカム、例えば事業を行った場合に患者と地域に対してどのような効果を持つかというのは、基金事業以外のさまざまな要因に影響を受ける。下に書いてありますとおり、医療計画でございますとかその他の計画、もしくは都道府県独自事業、その他予期しない要因で影響を受ける可能性がございますので、基金事業独自のアウトカム設定、評価を行いましても、形式的にはできるのですが、どこまで基金事業独自での評価を実施するべきかというのは、都道府県でのヒアリングでもいろいろな御意見があったところです。ですので、これまでも相当議論はしてきたのですが、具体的なアウトカム指標の設定や評価の枠組みは、引き続き検討できればと考えている次第です。
 6ページ目にまいります。今後、我々が研究班としてやっていきたいことです。「実効的な評価に向けて」ということで、アウトプット指標の評価を行いましても、事業の結果が出てくるのは3月31日ですので、その評価を翌年度の事業に反映させるというのはなかなか難しいというタイムラグの問題がございます。これをどのように整理していくかという点を、都道府県のヒアリングを踏まえながらもう少し考えていきたいと思っております。アウトカム評価に関しましては、さらに時間がかかると考えられますので、そこも、実効的な評価をするにはどう考えるかというのを考えたいと思っております。
 2番目としては「評価指標の達成値を把握する『手間』を考える必要性」ということで、都道府県の担当者の方が非常にお忙しくて、評価指標を設定しても、アウトプット指標はまだしもアウトカム指標を、統計を自分の手で計算してという手間がどうしてもとれないという御意見をたくさんいただいております。ですので、何らか事業のアウトカム評価に向けた指標のデータセットみたいなものを構築するということを考えていかなければいけないという点が、課題として挙がっています。
 3番目ですが、都道府県の他の評価の枠組みが医療計画等で評価がされているということと、予算編成の段階で予算部局と相当やり合っているという御意見もありましたので、それとの兼ね合いをどう考えるかということです。
 済みません、長くなっておりますが、最後7ページ目で「平成28年度の主要な研究課題」ということで、何をやっていくかという具体的な話ですが、医療介護の連携に関する指標は、基金事業の趣旨に当たる部分でもございますので、重点的に取り組んでいきたいと考えています。今まで申し上げてきましたアウトカム指標例を策定するということと、さらに3番目として、都道府県にヒアリングを行って、実務に耐える評価枠組みをさらに検討していこうと考えております。
 以上です。

○田中座長 ありがとうございます。
 お願いします。

○佐藤課長 続きまして、高齢者支援課長でございます。
 資料3に基づきまして、基金の内示状況について御報告させていただきます。
 平成27年度補正予算分でございます。前回の3月9日の会合でも、既にお示しいたしましたけれども、2月23日に都道府県宛てに内示をさせていただいたものでございます。
 1ページでございますけれども、この補正予算分につきましては、新3本の矢の中の安心につながる社会保障、その中の介護離職ゼロといいます政府全体の施策方針に基づきまして、所要額を積み上げたものでございまして、これによりまして今後2020年代初頭までに、約10万人分の在宅及び施設サービスを前倒し、上乗せ整備するというものに充てられるものでございます。
 目的は、介護離職の防止及び特養待機者の解消でございまして、この1ページの右下にございますように、全体で、公費ベースで1,561億円の基金規模でございます。このうち、国が3分の2を負担いたしますので、その左側「内示額(国費)」は1,040億ということでございます。
 2ページでございますけれども、この基金は2つの部分から成っておりまして、最初に、介護施設等の整備でございますけれども、これにつきましては右下にございますように1,406億円でございます。その3分の2が国費であるということでございます。
 3ページでございますけれども、2つ目に介護従事者の確保のための基金として、右下にございますけれども154億円の規模。そのうち3分の2、102億円が国費であるということでございます。
 以上、御報告させていただきます。

○田中座長 ありがとうございました。
 資料2、資料3は報告事項ですが、構成員の皆様からの御質問や御意見もあろうかと思います。挙手の上、御発言をお願いいたします。
 馬袋構成員、お願いします。

○馬袋構成員 教えていただきたいのですけれども、泉田先生の資料2-2で、最後の7ページにあります「平成28年度の主要な研究課題」として「医療・介護の連携に関する指標例の策定」ということで、特にここが一番重要なところなのだと先生はおっしゃいました。きょう配付されました資料1の13ページにあります在宅医療・介護連携推進事業がありますけれども、泉田先生の基金の内容のアウトカムと、市町村事業であります在宅医療・介護連携推進事業について、連携推進する一番の現場は市町村そのものです。そこで、在宅医療・介護連携推進事業はなかなか取り組みがうまく進んでいないという報告もありますので、基金を使って市町村が地域の中で密着してやろうとしているところへの影響の関係性についての調査、研究というのはこれとは絡んでいるのでしょうか。
 そこについての質問です。

○泉田参考人 ありがとうございます。
 現在のところ、都道府県の方にお話を伺っていて、市町村にはまだお話を伺えてない段階ですので、詳細はなかなか申し上げにくいところがございます。
 ただ、評価に関しては、まず我々は定量的な指標を重視するという観点ですので、基金事業として実施されているものについては、定量的な指標で上がってきたものについて、関係性を丁寧に見ていくというところから始めたいと思っております。
 ちょっと、お答えがなっていないかもしれませんが、以上です。

○田中座長 平川構成員、どうぞ。

○平川構成員 資料3の地域医療介護総合確保基金の関係で教えていただきたいのですが、補正予算分の内示についてですけれども、介護施設整備分と介護従事者確保分の割合なのですけれども、どういう基準でこういう割合になっているかというのを教えていただきたいと思います。
 もう一つは、各都道府県から申請が上がってきて、それに比べて内示の額が少なかった、その場合、本来であれば人材確保に使いたかったけれども、施設整備分のお金が内示されてしまったということもあり得るのではないかと思いますが、その場合都道府県の裁量によって、施設整備分から介護従事者確保分に区分間の流用が可能であるのかどうなのかということについて、お聞きをしたいと思います。

○田中座長 高齢者支援課長。

○佐藤課長 お答えいたします。
 まず、施設分と従事者分でございますけれども、先ほど御説明申し上げたペーパーにそれぞれ内訳が書いてございますように、2ページでございますけれども施設整備分が1,400億でございます。従事者確保分が154億という基金規模でございます。
 2点目の、施設と従事者のそれぞれの額等につきましては、政策目的を達成するために必要と考えられる額を、都道府県との日常的なやりとり等も踏まえまして積み上げております。施設と人材は、それぞれ別の制度になってございますので、それぞれに必要な額を計上し、内示をさせていただいているということでございます。
 3点目でございますけれども、そういったことから、それぞれ各都道府県との間で協議をいただいた上で、必要な額を、必要があれば調整をして配分をさせていただいているという状況でございます。

○平川構成員 ありがとうございました。
 この間、特に介護の関係につきまして言いますと、やはり介護従事者の人材確保という観点が、最も大きな課題だと思っています。そういった意味で、印象ですけれども、施設整備の分と介護従事者分にかなり差があるのではないかと思いますし、逆に施設整備分が、本当に全て執行できるのかどうなのかという懸念がございます。
 可能であるならば、人材から施設というのはあり得ないと思いますけれども、施設から介護従事者確保分に移せることが可能になるような検討というのもあるのではないかと考えているところであります。
 以上です。

○田中座長 西澤構成員、どうぞ。

○西澤構成員 泉田先生の研究の印象ですが、ここで基金の効果ということで、効果というのはアウトプットとアウトカムに分けており、これはすばらしいと思います。ともすれば効果ということでは、例えば研修会をやったときに、何人参加したということで、その数を効果だと。これを、アウトカムみたいな報告は非常に多い、特に行政のやる報告はそういうのが多いと思います。そこで終わってはだめなのだと、その先に何かがあるのだろうと、そこでアウトプットとアウトカムを分けたというのはすばらしいと思います。
 アウトプットというのは非常に出しやすいです。でも、その先のアウトカムは非常に難しいと思います。そういうことを今研究されているので、本当にそこで何らかの指標はつくれるかどうか大変ですが、ぜひアウトカムというものを何らかの形で見えるようになることは、ぜひ期待したいと思っております。
 以上です。

○田中座長 佐藤構成員、どうぞ。それから、荒井構成員に行きます。

○佐藤構成員 ありがとうございます。
 本日の資料2-1の2ページ目に、今までの主な意見が出されております。先ほどの議題1の中でも、それぞれの地域、特に都道府県の中でどのような事業がなされているのかが十分理解できていないという御指摘もございました。であれば、この方針に基づいて実施される基金のあり方、もしくは基金の事業が、本当に地域で十分理解されているのかというのも、今後、国民の視点から言えば大事な視点になってくるのではないかと思っております。
 一方で、実際にPDCAサイクルを回している都道府県が、47のうち25という実態もあり、先ほどタイムラグがあるという話もございました。22はどういうタイムラグになっているのかという、ますます都道府県の格差とか、評価の実態が乖離してくるのではないかという心配がございます。したがって、都道府県ごとのヒアリングも実施されているということでございますので、できるだけ国民に対する広報のあり方とか、周知のあり方とか、この基金事業も同様になされていくべきではないかと考えています。
 意見です。

○田中座長 荒井構成員。

○荒井構成員 ありがとうございます。
 このようなやり方について、全面的にサポートをさせていただきたいと思います。エビデンスベースドでこの事業を評価する、またそれを進めるということの基本的な考え方に拠っておられると思います。
 これをさらに深化させていただきたいと希望いたします。一つは、この評価を基金の事後評価から基金の配分へ結びつけるような評価方法にならないかという希望でございます。
 加えて、この基金の評価だけではなく、これはなかなか難しいと思うのですけれども、我々のテーマであります地域包括ケアそのものの評価をエビデンスベースドでできないかと希望いたします。地域包括ケアのKPIは何を目標にするのかということと、そのKPIがどのように達成されているのかという評価を、ぜひ考えて知恵を絞り出していただきたいと思います。
 最後に、このような手法は、医療介護、その他の社会保障で投資対効果を測定する最大の武器であるように思います。それは、将来の社会保障の受益と負担を測定する武器にもなる可能性がございますので、難しい課題だと思いますが、ぜひ頑張って、努力をしていただきたいと希望いたします。

○田中座長 ありがとうございました。
 泉田部長、森田所長への期待が詰まった発言が多かったようですが、協会けんぽでもアクションプランのアウトプット、アウトカムが取り組まれるようになりました。今はそういう時代です。いずれ、小林構成員からも説明いただくといいかもしれません。
 ほかにいかがでしょうか。森田さん、何か一言ありますか。

○森田座長代理 結構です。

○田中座長 ほかになければ、用意された議題はここまでですが、よろしゅうございますか。
 きょうは、皆様から大変的確な発言が続いてありがとうございます。
 論点のところは、まだまだ多少きれいごとの感じがするという意見がありましたし、西澤構成員や馬袋構成員から、論点のところは職種に偏った論点になっていて、実際の事業を行う主体に対する議論が抜けていると私も感じました。
 では、終了時刻よりやや早いですが、ここまでといたします。次回の日程について、事務局から説明をお願いします。

○黒田課長 次回は、今回に引き続きまして、総合確保指針の改定に向けた議論等を議題とさせていただきたいと考えております。
 日程など詳細につきましては、追って事務局より御連絡を差し上げます。よろしくお願いいたします。

○田中座長 以上をもちまして、第7回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。
 密度の濃い議論をありがとうございました。


(了)

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