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2016年5月19日 医療従事者の需給に関する検討会(第3回)議事録

医政局医事課

○日時

平成28年5月19日(木)16:30~17:30


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

荒井 正吾 (奈良県知事)
荒川 哲男 (全国医学部長病院長会議会長)
尾形 裕也 (東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)
小川 彰 (岩手医科大学理事長)
荻原 喜茂 (日本作業療法士協会副会長)
勝又 浜子 (日本看護協会常任理事)
加納 繁照 (日本医療法人協会会長)
釜萢 敏 (日本医師会常任理事)
北村 聖 (東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授)
権丈 善一 (慶應義塾大学商学部教授)
堺 常雄 (日本病院会会長)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
西澤 寛俊 (全日本病院協会会長)
野口 晴子 (早稲田大学政治経済学術院教授)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部長)
半田 一登 (日本理学療法士協会会長)
平川 博之 (全国老人保健施設協会副会長)
福井 次矢 (聖路加国際病院院長)
伏見 清秀 (東京医科歯科大学教授)
邉見 公雄 (全国自治体病院協議会会長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社編集局社会保障部次長)
松田 晋哉 (産業医科大学医学部教授)
松原 謙二 (日本医師会副会長)
水間 正澄 (昭和大学医学部リハビリテーション医学講座教授)
森田 朗 (国立社会保障・人口問題研究所所長)
山口 育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
山崎 學 (日本精神科病院協会会長)

○議題

1.医師需給推計について
2.医師偏在について

○議事

 

○堀岡医事課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第 3 回医療従事者の需給に関する検討会」を開催いたします。構成員の先生方におかれましては、本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。ここでカメラの退室をお願いいたします。はじめに、本日の出欠について御連絡いたします。片峰構成員と伏見構成員から、所要による欠席との御連絡を頂いております。以降の議事運営に関しては座長にお願いいたします。

○森田座長 それでは早速、議事に入ります。はじめに事務局より、資料の確認をお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 資料としては、中間取りまとめ ( ) 、パワーポイントでできている参考資料 1 、今までの意見などをまとめた参考資料 2 3 つとなります。資料の不足などがありましたら、事務局にお申し付けください。

○森田座長 よろしいでしょうか。それでは議題、「中間取りまとめについて」に入りたいと思います。資料「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会中間取りまとめ ( ) 」は、先ほど行われた「第 6 回医師需給分科会」で議論を行いました。その場で頂いた御意見に基づく具体的な修正内容については、座長預かりということになっております。この案について、事務局から説明をお願いいたします。また、医師需給分科会で出された御意見についても報告をお願いいたします。

○堀岡医事課長補佐 先ほどまで医師需給分科会で議論をしていただきました。そこでの主な議論について、事務局より御紹介いたします。非常に多くの活発な議論が行われましたけれども、大きなものとしては 2 つありました。まず、 1 つ目のパートの偏在対策については強力に進めるべきという御意見を、様々な先生方から頂きました。その中で事務局のほうで修文を考えているのが、チーム医療についても医師偏在対策の 1 つの重要な指摘であるので、この中に含めて検討すべきではないかという御指摘を頂きましたので、チーム医療、つまり医師の業務分担の在り方などについて読めるように、座長と相談して事務局のほうで医師偏在対策の中で書かせていただこうと思っております。もう 1 つのパートである医学部の定員については、大枠の内容自体は分科会としても御了解を頂いたと考えております。

 それでは、「中間取りまとめ ( ) 」について御説明いたします。 1 ページを御覧ください。「はじめに」の部分で、この検討会の開催の経緯、医学部定員の考え方について御説明させていただければと思っております。この検討会は高齢社会が一層進む中で、人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制を構築する中で、医療従事者の需給の見通し、医療従事者の確保策、また医師の地域偏在対策などについて検討することを目的に開催されたものです。この検討会の下には分科会が設定されており、この分科会の中では特に平成 20 21 年から始まっている医学部定員の暫定増が平成 29 年に終了することから、この取扱いなどについて早急に検討することが求められております。昨年の 12 月には 6 回にわたって開催され、先ほどの分科会で中間取りまとめを頂いたところです。

 そもそもの考え方ですが、これまで医学部定員は 1,637 名の増員が行われてきましたが、今まで偏在対策という形では、勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重した地域偏在対策を講じてきました。ですから基本的に地域偏在対策は自主性を尊重したもので、地域における医師不足は解消していないと考えております。また、医師の養成に関しては中長期の期間を要すること、医学部の進学者が増加すれば他の領域の人材不足を招くといった指摘を常々頂きました。そのため、今後は地域の偏在対策の議論が非常に重要で、これを進めていくことが重要だということを基本的な考え方として書かせていただいております。

2 番が、「これまでの医学部定員について」です。今までも定員の経緯は何度も御説明したところですが、今一度復習ということで御説明させていただきます。医学部の定員は昭和 48 年、いわゆる 1 1 大構想の推進で増加が図られ、 8,280 人になりました。その後、医師過剰が見込まれたことを踏まえ、平成 15 年以降しばらくの間、 7,625 人で維持されてきました。そして平成 17 年に「医師の需給に関する検討会」という会議の前に、平成 17 年に行われていた検討会においても医師の需給について議論がされ、 2 つの同じ観点で議論がされております。 1 つ目が医学部定員のことです。そのときは、平成 34 年にマクロでは需要と供給が均衡するが、ミクロでの需要が満たされるものではないということでした。 2 つ目の偏在対策については 2 ページの (2) にありますように、医師の数は全国的に増加しているものの、地域間の医師の格差は必ずしも減少に向かっていないと。地域の必要な医師確保の調整を行うシステムの構築や医療機能分化・連携、事故の究明を行う制度、チーム医療体制の整備や医師の業務の効率化といった様々な施策を打たなければならないということが、平成 17 年の検討会でまとめられてきました。

 その後、医学部定員については様々な対策で増加が認められてきました。後ほど 5 番の医学部定員の考え方で細かく御説明いたしますが、簡単に申しますと 3 段階で増えてきました。まずは「新医師確保総合対策」ということで、特に医師不足が深刻な 10 県について、各県 10 名ずつ増加してきました。次の「緊急医師確保対策」というのは平成 19 年に定められた対策で、平成 21 29 年までの間、医師確保が必要な地域での診療科と医師を確保するということ限定で、全都道府県に 5 名まで、また、平成 21 年に決められた経済財政改革の基本方針の中では、平成 22 31 年まで毎年、地域に従事する明確な意思を持った学生に対して地域枠という中で、毎年原則 10 名まで暫定的な増員が認められてきました。現在、過去最高の 9,262 人の医学部定員となっております。

 平成 17 年の報告書の中で、医師偏在について様々な施策を講じていくこととされましたが、実際に行われた今までの歴史の偏在対策は、 2 ページの一番下の○に書かれております。このような大幅な医学部定員の増員が医師の定着につながるよう、この頃はあくまでも自由に選択をするという自主性を尊重した形でやっております。しかし平成 20 年以降、診療報酬改定で小児・産科を充実したり、「チーム医療推進会議」で医師の負担軽減などを目的として業務範囲を見直したり、 3 ページ上にありますように地域枠を定めたり、地域医療支援センターを設置したりといったことが行われてきました。

 また、平成 26 年の法改正によって基金を都道府県に設け、医療従事者の確保に活用したり、地域医療支援センターを医療法に格上げしたり、医療勤務環境改善支援センターを設置したり、特定行為を手順書によって行うことができるような看護師の制度を創設したり、医療事故に関わる調査の仕組みを医療法に位置付けたり、様々な制度改正が行われてきました。このように大幅な増員とともに、緩やかな自主的な取組によって小児科医師が増えてきたり、産婦人科医師についても平成 18 年以降は増加に転じるなど、一定の改善は見られているところですが、現在でも地域における医師不足の指摘は引き続き強いものがあると考えております。そのため、医学部定員の増員により医師数の全国的な増加を図ったとしても、医師の偏在対策を十分図らなければ、地域の医師不足の解消にはつながっていかないと考えております。

3 番目が「将来の医師需給の推計」です。これについては参考資料 1 34 ページを御覧いただければと思います。今回は、 2025 年のあるべき入院医療の姿である地域医療構想に基づいて、医療需要の推計を行っております。また、医師が今のような過重な労働から、ゆとりを持った労働環境で医療の提供ができることを可能とする考え方に基づいて、推計を行っております。まず、 34 ページで前提などを説明したいので、資料としては飛ばしながら説明させていただきます。

4 ページの下から 2 つ目の○を御覧ください。「今回行った推計の主な前提は次のとおりである」と書かれております。地域医療構想を踏まえて 4 機能別の病床の機能区分ごとに、それぞれ必要な医師数を見込んでいます。 2 つ目として医師の勤務時間については、それぞれ今の労働時間よりも減少するという仮定の下で、上位推計、中位推計、下位推計を作っております。 3 番目は、臨床以外に従事する医師についても、国際分野、行政分野、製薬業界など、様々な分野に医師がおります。そういった医師も不足しておりますから、それらについても定員を充足した上で、さらに分野によっては大幅に増すということで見込んでおります。

 需要推計の結果は 4 ページの下から 5 ページの上にかけての部分です。医師の需要が最も大きくなると仮定した上位推計については、 34 ページの一番上の青のグラフです。平成 37 年には 31.4 万人、平成 52 年には 31.5 万人になります。 2 つ目の緑の中位推計については、平成 37 年及び平成 52 年に 29.9 万人、最も医師の需要が小さくなる下位推計については、平成 37 年と平成 52 年に 29.2 万人になるという推計をしております。また、前述の仮定に加えて、精神病床については患者調査の受療率や将来人口の構成等を踏まえ、一定の幅を持って算出したり、外来医療については、レセプトデータに基づく受療率や将来人口の構成の変化などを踏まえて算出したり、老健にも医師がおりますので、介護老人保健施設における医療については、介護給付費実態調査に基づく入所率に、将来人口の構成を算出したりして、丁寧に需要の計算をしています。

 次に供給推計です。 34 ページのグラフの赤の線です。供給推計については平成 27 年には 27.4 万人、平成 37 年には 30.3 万人、平成 52 年には 33.3 万人で、ほぼ一定の数で増えていくという推計をしております。具体的には平成 28 年の 9,262 人を一定の人数だと仮定した上で、過去 10 年分の国家試験の合格率や性年齢別などの就業率のデータに基づいて、平成 52 年までの値を算出したものです。また、今回の推計においては分科会における参考人の意見などを踏まえ、 30 50 代の男性医師の仕事量を 1 とした場合に、女性医師は育児や子供がいたりして労働時間が短くなる傾向を勘案して 0.8 60 歳以上の高齢医師については 0.8 、研修医についてはそれぞれ 0.3 0.5 という形で見込んでおります。

5 ページの (3) 需給推計についてです。今の仮定の下でこのグラフを作りますと、上位推計の場合、平成 45 年頃には 32 万人で医師需給のマクロでは均衡し、平成 52 年には 1.8 万人の医師が過剰になると考えております。中位推計の場合はグラフのとおり、平成 36 年に約 30 万人の医師需給が均衡し、平成 52 年では 3.4 万人が過剰になると考えております。下位推計の場合は平成 30 年頃に 28 万人で医師需給が均衡し、平成 52 年には医師供給が 4.1 万人過剰になると考えています。現在、我々のほうで粗々に推計しているものはここです。

 ここで 4 ページの 2 つ目の○に戻っていただきたいと思います。この推計については、一定の精度を持った形でやっていると考えておりますけれども、今回前提となったものは限られたデータで、実態を十分に把握し切れているとは言い難いと考えております。この分科会でも推計の点、例えば女性医師が本当に 0.8 でいいのかといった御指摘も頂いております。国民のニーズに応える安心・安全な医療を提供するためには、男性・女性いずれの医師についても年齢構成等の変化を適切に見通す中で、医師の働き方や勤務状況など、より精度の高い推計を行って医師の働き方を示すビジョンを策定した上で、必要な医師数をより精緻に推計することが必要だと考えております。この推計はある程度の精度を持ってできているとは思いますが、医師の働き方、勤務状況などの現状をより正しく把握するために、新たな全国調査を行った上で、今後の議論の中でより精度の高い推計を年末にお示ししたいと考えております。

 次に 6 ページに戻って、分科会などで議論が出たり意見のあった医師偏在対策について、今後年末に向けて検討を進める項目を見出ししております。医師偏在対策については分科会における各構成員の意見、関係団体の提言等を踏まえ、次の事項について検討を深めることとしております。実施に当たっての課題、法制的な課題や関係者の意見などを踏まえて、年末に向けて取りまとめを行うこととしたいと思っております。

(1) の医学部については、いわゆる地域枠のこれまでの効果について地元出身者の定着率などを検証し、より良い地域医療の在り方を検討していきたいと思っております。また、医学教育については今でも、地域医療がこうだといった寄附講座などもありますが、地域医療の向上に対してより早期の動機付けを図りたいという方向性はどうか、という御意見がありました。

(2) の臨床研修については、今の募集定員数は実際の臨床研修よりもかなり大きい倍率ですので、なお一層の縮小を検討してはどうか、募集定員の配分に対して都道府県の権限を一層強化してはどうか、出身大学の地域で行われることを基本的な枠組みとすることについて、研修医に促す仕組みを検討してはどうかといった御意見がありました。

(3) の専門医についても都道府県の権限強化、診療領域ごとに地域ごとの枠を設定するのはどうかといった意見がありました。

(4) が医療計画による医師確保対策の強化です。医療計画において、医師数が不足する特定の診療科などについて確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医などの定員の調整を行えるようにしてはどうかといった御意見がありました。また、仮に将来的に医師の偏在が続く場合には、例えば十分ある診療科の診療所に更に開設するということがあったときに、保険医の配置・定数の設定、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討してはどうかという御意見がありました。

(5) が医師の勤務状況等のデータベース化についてです。現在、医籍登録については人生で 1 回ですし、三師調査は 2 年に 1 回ですので、医師の勤務状況をより把握するための柔軟なデータベースを検討してはどうかという御意見がありました。

(6) の地域医療支援センターは現在でもありますけれども、所在地の医育機関との連携を講じた上で、医師のキャリア形成・異動を把握して、医師のキャリア支援も含めて配置調整がより良くできるように、その機能を強化してはどうかという御意見がありました。

(7) は行政的なことです。都道府県が国・関係機関などに必要な対策を求めるような仕組みについてです。

(8) の管理者の要件としては、現在、臨床研修が終わったことが管理者の要件となっているわけです。さらに特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院や地域医療支援病院、診療所などの管理者の要件とすることを検討してはどうかという御意見を頂きました。

(9) がフリーランス医師についてです。医師の資格や専門性が有する公益性を踏まえ、いわゆるフリーランス医師や多額の紹介料・給料を要する者への対応について、検討してはどうかという御意見もありました。

(10) の地域医療機関の事業の継承に際しては、事業承継に当たっての優遇税制について検討してはどうかという御意見を頂きました。

(11) は女性医師の支援についてです。病院における柔軟な勤務体制の採用など、ますます増える女性医師に対する支援を推進してはどうかという御意見を頂きました。

(12) では ICT などの技術革新に対応した医療提供の推進として、医師が業務を効率的に行うことができるよう、 ICT などの技術を活用した医療提供を推進してはどうかという御意見を頂きました。

(13) 、サービス受益者に係る対策としては、患者に対して医療機関に詳しい内容や、「かかりつけ医」について情報提供をするという取組を進めてはどうか、という御意見を頂きました。さらに前回の分科会で、チーム医療について御意見を頂いたところですので、これを反映させていただきます。

 最後に、 5 番の「当面の医学部定員の基本的方針について」です。参考資料の 37 ページを御覧いただければと思います。医師の養成のためには医学部入学中を含め、 10 数年の期間が必要となります。そのために現在行われた推計では、中位推計の場合であってもあと 8 年で医師需給が全国的に均衡することを踏まえますと、既に現時点で将来的な供給過剰は見込まれています。今後、 4 のような今までよりも強力な医師偏在対策の検討を行っていくことを踏まえ、当面の医学部定員の基本的方針については、次のとおりとしたいと考えております。

(1) が平成 29 年度で終了する医学部定員の暫定増の取扱いについてです。この赤、黄色、青の表を見ていただければと思います。黄色の部分については平成 20 21 年度に医師不足県や、特に医師の確保が必要な地域などに対する増員です。これが 317 名分認められているわけですが、平成 29 年度で終わることになっております。平成 30 年度以降もこれらの措置が、特に医師不足の深刻な都道府県や医師確保が必要とされることを対象として設けられた仕組みであることと、平成 20 年度の制度開始時の入学生が、この 3 月で臨床研修を終えたばかりですので、その効果についてまだ十分な検証を行うことができていないといったことを踏まえ、当面延長することとしてはどうかと考えております。

(2) が平成 29 31 年度までの医学部定員の追加増員の取扱いについてです。「経済財政改革の基本方針 2009 」と「新成長戦略」と、 2009 2010 年にまとめられたものにおいて、平成 22 31 年度まで増員が認められているところです。この 3 年間に追加増員を行うとした場合に、中位推計ではあと 8 年で全国レベルの医師需給が均衡するとされる中で、なお医学部定員を増員することとなることから、各都道府県からの追加増員の要望に対しては、これが本当に必要な増員であるかどうかについて、慎重に精査していってはどうかと考えております。

(3) として、平成 32 年度以降の医師養成数については、今回の医師需給推計の結果や、これまでの医学部定員の暫定増の効果、今回の見直しによる医師偏在対策の効果などについて、可能な限り早期に検証を行った上で、平成 32 年度以降の医師養成数については結論を得ることとしたいと考えております。事務局からの説明は以上です。

○森田座長 御丁寧な説明をありがとうございました。御質問、御意見等を承ります。この中間取りまとめ ( ) に関しては、先ほどの分科会ではおおむね御了承を頂いたと思っております。特段大きな修正であるとか、部分的な反対という御意見はなかったということです。多少それに対して、この部分については付け加えるべきであるという御意見がありましたが、それは冒頭に御紹介のあったとおりです。この取りまとめ ( ) に関して御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。加納構成員どうぞ。

○加納構成員  7 ページの管理者要件の所で、特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを義務付けるというところです。「臨床研修病院、地域医療支援病院」と書いてあります。例えば、民間病院等の一般病院は入らないという認識でいいのかどうか。診療所といえども、我々医療法人だと幾つかの診療所を医療法人内で持っている場合があります。透析のグループだと、透析の診療所を幾つか持っています。その点の管理者に関しても、それが入るのかどうか。その範疇と、この「一定期間」というのは、まだこれからの議論だという認識でよろしいのでしょうか。

○森田座長 事務局お答えください。

○堀岡医事課長補佐 これについては夏以降の議論ということですので、一定期間診療に従事することがどれぐらいなのか、どういう地域なのかということは、まだまだここで何か決まっているわけではないということです。いずれにせよ、地域医療に大きな影響を与えないように、そういうことを慎重に検討してまいりたいと思っております。

○加納構成員 病院に関しては臨床研修病院と、地域医療支援病院ということで特定化されているという形で考えてよろしいのでしょうか。

○堀岡医事課長補佐 「等」と入っておりますので、それも踏まえて夏以降検討する中で検討していくものです。現時点で列記しているのは「臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所」です。要件について、今、代表的なものとしてはこの 3 つを考えています。

○加納構成員 これから議論するということでよろしいのでしょうか、まだ決まっていないのでしょうか。

○堀岡医事課長補佐 はい、そのとおりです。

○加納構成員 続けて失礼します。 34 ページの表で、青い線で書かれている上位というものであっても、この前議論させていただいたのですが、高度急性期のドクターが 45.7 時間働くという条件だったかと思います。高度急性期に従事するドクターは、一番忙しい所ですから、今後 3 交替はないかもしれませんけれども、それに近い形で、逆に勤務時間をもっと短くしていかなければ、高度急性期の現場の対応ができないのではないか。この 45.7 時間というのが正しいのかどうかという議論はなかったのですか。もっと短くなる可能性があるのではないかということなのですが。

○森田座長 地域医療計画課長どうぞ。

○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。今回の推計に関し、加納構成員から御指摘がありましたけれども、将来実際に病院で勤務される方が、従事する時間を前提とするのかというのは、いろいろな御意見があったのはそのとおりです。そういう御意見を頂きながら、一定の仮説を置かないと推計自体ができないので、推計については補足資料の 9 ページに書いてあるような数字を 1 つの前提として推計しています。この数字で、加納構成員御指摘の 45.7 という置き方そのものについては、当然いろいろな御意見があり得る、あるいはあったわけです。そのことの是非というよりは、こういう仮説を置いて推計をすると、こういう数字になりますという議論にとどめています。

 そのことに関連して、中間取りまとめでは 4 ページの、先ほど事務局から説明させていただいた部分の中に言及があります。例えば、 4 ページの 1 つ目の○、 2 つ目の○辺りに記載してありますが、それから 3 つ目の○もそうです。特に 3 つ目の○の、「医師の働き方の勤務状況等の現状を正しく把握するために」ということで、今後、そういうことは更に精緻に検討していくことを、一応ただし書きとして書いて、この中間取りまとめを行ったという整理をしております。

○加納構成員 単なる推計するための前提の数字という認識でよろしいのですか。

○迫井地域医療計画課長 はい。

○森田座長 松原構成員どうぞ。

○松原構成員 今のお話に関してなのですが、病院というのは大変忙しい病院もあれば、ゆっくりしている病院があるのは事実です。病院の中でも、 ICU の部門と、そうでない部門は大分違います。そこのところを、全ての急性期の ICU のような形で考えると大変です。中医協でもよく議論したのですが、患者さんというのは、急性期で入院してきて、そして手術するなり治療するなりすると、自然に回復していくと手が掛からなくなります。

 そういうことも含めて、現場の実情に合わせて計算しないと、どうもこの数が机上の空論に思えて仕方ないのです。そういう中で具体的に考えれば、例えば病院というのは入院患者さんの数はもともと決められています。それに対して医師の配置というのが決められていますから、 1 人の医者が診る病院の病棟の管理する患者さんというのは、ある一定のところで何とかいかなければならないようになっています。むしろ、私が現場の医師の話を聞くと、朝から晩まで外来をやって、夜になるとようやく開放されて病棟を見てと。疲れ疲れ、そして更にそういう仕事がある。むしろ病診連携をきちっとすることと、また急性期は急性期で 3 交替で対応するけれども、 ICU などはです。そうでない場合には、それなりの対応をすればいいということです。

 さらに現場の医師から聞くと、つまり医者がやらなくてもいいことを山のようにさせられると。書類を書いたり、いろいろな準備をしたり、看護師さんがやってくださらないことは、全て医者がやらなければならない。そうすると夜中までかかるということです。むしろそういう勤務においての条件をきちっとするためには、病診連携をきちっとして、各先生方が余計な仕事をしなくていいように、例えば医療クラークなどを十分に増員する。これはお金の問題はありますけれども、即座にできることです。そういうことで対応すれば、医者が何時間もそういう事務的な仕事で拘束されることさえ外せば、かなりそういうものは改善する。そういうことをせずに、机上の空論をして、それでこれだけ要るのだという話になるのは、ちょっと納得ができない点があります。

 前回も、当直というのは大変な仕事だから、当直手当ではなくて残業手当を払うのは当たり前の話ではないかと申し上げましたけれども、そこのところは財政的に我々が全体で考えていかなければならない問題ではないかと思います。もう一度ポイントを申しますと、病診連携をきちっとすることと、医者の事務的な負担を進めることが一番大事である。

 さらに今回、 10 年たてば役に立つ医師を、今これだけ増やすということは、 10 年後には大変な財政負担が来るのは間違いないことになります。 20 年、 30 年先には、これが大変な国家負担になります。そうなると、本当に今困っているのは目の前のことですから、目の前のことでできることを早くやる。そういうことにすべきであって、これを 10 年、 20 年、 30 年先まで増やすことを考えながらやるべきではないと私は思います。

 さらに専門医の数を調整すればいいという意見もありますけれども、しかし世の中を見ると、例えばかつてのロシアのように、全て計画を持って、人数を調整して、割り当てて、個人の自由を奪って物事をすると、結局うまくいかないのは歴史的な事実です。むしろ、その医師が自発的に、どの分野で働きたい、どの分野を研究したい、どの分野で治療したいということを、その個人個人を大事にしながら、そしてその中で 120 %の力を出していけるような仕組みを我々は考えるべきだと思います。

 そういうことを踏まえた上で、今現在できることをしっかり厚生労働省にやっていただきたい。財政的なものも、例えば都道府県に十分に費用を出して、都道府県ごとにいろいろなことに対して対応できるようにすれば、医師不足をもっとダイレクトに緩和することができるのではないでしょうか。それなしで、 20 年、 30 年先には大変余ることが分かっているようなことをするのは、根本的に間違っていると私は思います。

○森田座長 荒川構成員どうぞ。

○荒川構成員 松原構成員のお話につながることです。前回も発言させていただきました。 2 ページの「医師の偏在については」の所で、もちろん医師の偏在解消というのは第一義的に非常に重要な問題です。今の話は2の 2 行目の「医師の業務の効率化等」の所に当たると思うのです。意見のまとめの 7 ページの 12 番の「 ICT 等の」という所が、医師の業務を効率化するという項目になっています。例えば、医師の業務を支援するような医療クラークとか、そういう者を育成して、特に医師不足地域にはすぐに充てられるような行政的な強化もできると思うのです。その項目がここに入っていないと思いますので、その項目は是非入れていただきたい。

○森田座長 事務局お願いします。

○堀岡医事課長補佐 御指摘ありがとうございます。実は前の分科会でも、そのチーム医療によって医師の負担軽減を図ることは重要な観点だという御指摘を頂きました。冒頭に私が説明いたしましたように、チーム医療のことを、偏在対策の 13 個のどこに入れるかは考えておりますけれども、先生が言った 12 番の所に足そうかとも思っていたのですが、どこかに書かせていただこうと思っています。

○荒川構成員 最後のページは、各大学にとって重要な問題だというのは、定数の設定を、毎年のスケジュールでいくと 7 月中には確定しておくということでないと、受験生が混乱を起こします。例えば、来年度の定数を秋頃にまた増減するというような変更が起こると非常に混乱を招くので、 7 月中には増員するなり減員するなりは別にしても、その定数を確定していただきたい。そのことがこれでは読み取れないので、それを是非お願いしたいと思います。

 もう 1 つは (2) で「本当に必要な増員であるかどうかについて慎重に精査していく」とありますけれども、これは具体的に。私は分科会のほうに出席できなかったので、そこで議論があったかも分からないのですけれども、どういう精査をして、それをどう評価するのかという具体的な策はどうなのでしょうか。

○森田座長 事務局お願いします。

○堀岡医事課長補佐 分科会のほうでかなり議論があったところです。いずれにしても、今受験しようとしている医学生等に迷惑のかからないように、できる限り早く文部科学省と連携して、そういう定員をきちんと確定する。できるだけ早くそういう確定をしていきたいと思っております。「慎重に精査」というところも含めて、少なくとも今受験しようとしている学生が混乱しないように、できる限り早く両省で検討していきたいと思っております。

○荒川構成員 「できるだけ早く」という言葉がすごく曖昧なのです。 7 月中には確定しないと、非常に大きな混乱になります。ですから、それはちゃんと明言していただきたいと思います。募集要綱とか、そういうところにも盛り込んでいかないといけない話なのです。

○森田座長 この点については、文部科学省のほうから何か御発言はありますか。

○寺門医学教育課長 先生の御懸念は十分分かりますので、例年のスケジュールの中で、今回の御提言等を踏まえて、きちっとしたものができるように引き続き厚生労働省と連携しながらやっていきたいということです。また、小まめに全国医学部長病院長会議のほうに情報提供したいと思いますので、そこは御理解いただければと思います。御懸念は十分に私どもも理解しております。

○荒川構成員 先ほどの、慎重に精査するということに関しても、例えば定員を増やすことが早晩ストップが掛かりそうだということを懸念して、駆け込み増員ではないですけれども、そういうことが起こる可能性もあると思うのです。そういうことに対して、どのように精査するのか。本当に正しい定数の増なのかどうかをどうやって判断するのかを明確に示していただかないと、我々にとっても説明が付かないことになってしまうので、その点もよろしくお願いします。

○森田座長 勝又構成員どうぞ。

○勝又構成員 確認なのですけれども、 4 ページの医師の労働というか働き方についてはすごく重要だと思っています。全国調査を行うことについては賛成です。このスケジュールから見ると、 12 月末までに報告書を取りまとめるということになっています。全国調査をやった上で、更に働き方ビジョンの検討をやって、そしてそれを反映させて、今回医師の需給見通しを作るということでよろしいのですか。

○森田座長 事務局お願いします。

○堀岡医事課長補佐 全国調査をやらせていただいた上で、今の推計をより精緻化して行っていくことを考えています。

○勝又構成員 間に合わせるということなのですね。

○堀岡医事課長補佐 はい、そのとおりです。

○勝又構成員 すごいスケジュールだと思いました。

○森田座長 お待たせしました、堺構成員どうぞ。

○堺構成員 先ほどのチーム医療に関連してです。実は、日本病院会が会員にアンケート調査をしました。医師でなくてもいい仕事、例えば診療報酬で、医師の作業補助などが出ていますけれども、会員病院は大分あれの効果は評価しています。皆様大分御心配なさっているのですけれども、実際に現場では非常に助かっているということがあります。もし時間がないようでしたら、日本病院会の資料もお使いいただければ非常に参考になるのではないかと思います。

○森田座長 ありがとうございます。

○荒川構成員 先ほどの話でちょっとしつこいようですけれども、都道府県でこれだけの増員が必要だという見解が出たとして、受け入れるのは大学なのです。この数字も出ていますけれども、全国で 1,600 人増員されていると。ほとんどの所で、教員はそのままの数でやっていますし、設備も特に増やしたりはしていないということで、かなり一杯一杯の状況にはなっています。ですから、それ以上の増員をもしするのであれば、そういう財政的な措置といったことも考慮してやっていただかないといけないと思います。その大学が受入れ可能かどうかということの最終判断をするといったところを残しておいていただかないと、都道府県から無理やり押し付けられて、これだけ増やしなさいみたいなことになっては困ると思いますので、その点もよろしく御配慮いただきたいと思います。

○森田座長 御意見をありがとうございます。これについて事務局か文部科学省からお願いいたします。

○寺門医学教育課長 そこは、当然必要な地域医療の中で真に必要な増員数があり、それを養成するに当たって必要な教育研究設備が大学であって、それでマッチングができて、両省でやっているというのが今の体制です。今回新たにこういう状況の中でそういうことをしていくのであれば、引き続きその点は同じだと思います。そこは十分でないという御指摘は分科会でもありましたが、必要に応じて検討していきたいと思います。

○森田座長 厚生労働省のほうからどうぞ。

○堀岡医事課長補佐 実は分科会でも全く同じ議論がありました。今まではこういう議論、このような検討会もなく、こういう需給推計、将来的に余るということが明確にないまま、そういう都道府県が大学と協議をして、大学の合意が得られたものについては増やしてきたと認識しております。今回、こういうことが明確に出ておりますので、そういうことを踏まえて、より慎重に精査をしていくということです。いずれにせよ、大学の学生の募集などにはもちろん影響を与えない、問題を与えない範囲で、きちんと慎重に精査していくということです。いずれにしろ、緊急に大学へ何か御迷惑をおかけすることのないようにしていきます。

○森田座長 他にはいかがでしょうか。北村構成員どうぞ。

○北村構成員 先ほど、事務補助者、事務クラークが非常に役に立ったというお話がありました。この人たちは、国家資格もどんな資格もないのです。もし本当にそこに腰を据えてやるのならば、コ・メディカルでも新しい職種をしっかりと、厚生労働省で国家資格なり何らかの資格認定をする仕掛けを作って、その人たちの定数すら考えていったらいいかと思います。もちろん教育システムも必要だと思います。私のいる大学では、文部科学省から幾らかのお金を頂いて、 5 年間で教育システムを作るようなことをやったのですが、それで終わってしまいました。是非、こういう評価の高いような職種は、ちゃんとした資格にしていただいたらいいと思います。

○森田座長 釜萢構成員どうぞ。

○釜萢構成員 北村先生からの御指摘に関係してです。まだ国家資格ではありませんけれども、認定の医療秘書の資格を、日本医師会が作っています。これは、教科書もしっかりしていますし、それぞれの医療秘書学院できちんと教育をして、レベルの高い医療秘書を養成しています。今後これが別の形で、あるいは国家資格になるという話も出てくるかもしれませんが、現状で日本医師会がそのような制度を設けておりますことを、是非皆様に御理解いただきたいと思います。

○森田座長 この部分については、先ほどありましたチーム医療の項目の所で反映できれば、そうした形で工夫していただきたいと思います。本田構成員どうぞ。

○本田構成員 先ほどの分科会でもその意見があったことの繰り返しになってしまうかもしれません。今の議論を伺っていて更に思ったのですけれども、具体的にできること、しなければいけないことがたくさんあるわけです。松原構成員もおっしゃっていましたけれども、そういうことをきっちりやっていくということを、最終的に取りまとめていくことがとても大事だと思います。 4 ページにあるように、精緻な推計を更にするというのも、必要な部分はあるのかもしれません。それができないから具体的な策をまとめないということに必ずならないような形で、 6 ページの 4 の医師偏在対策の部分の一番最後の「年末に向けて検討を進め、取りまとめを行うこととする」の所は先ほども議論がありました。「具体的な検討を進め」とか、何かもう少し強力な形で、ちゃんとやるのだというのを示せるような形にしていただければと感じました。

○森田座長 事務局、これはよろしいですか。

○堀岡医事課長補佐 検討させていただきます。

○森田座長 私は、分科会のほうの分科会長代理をやっておりましたので、その立場で申し上げます。先ほど出た御意見では、ここにもありますように「法制的な課題」その他と、ここだけではなかなか決められないことがありますので、そういうことを考えながら、一生懸命検討するというのが事務局の説明だったと思います。荒井構成員どうぞ。

○荒井構成員 医療需給と専門医制度が大変急いでされていることを踏まえ、知事会で地域医療研究会を設けています。厚生労働省の担当も来て勉強会をしようと。前回最初をしました。その中で本日の議論に関係することを多少申し上げます。幾つかありますが、 1 つは地域医療構想の役を、地方に担っていただいていますが、地域医療構想の実現には、医療従事者の確保が大前提だという意見は、当然でありますけれども強く出されました。

2 つ目の医療需要の推計については、エビデンスベースでシュトでやりたいという意識はとても強くありました。これは心強いことです。その際にデータの活用をしたいと。最新のもの、細緻のものを利用したい、またトレンドの推計もしたい。地域の意識として、地域医療構想の役目を投げられた結果、そのような医療需要の推計も自らしたいという意識がとても強くなってきています。

3 つ目は、在宅医療における医師は不安だという意見が出ております。在宅医療における医療行為の在り方を研究しないといけないということです。

4 つ目は、終末期医療における医師・医療行為の在り方がまだ研究をしていないという意見が出ました。

5 つ目は、専門医制度については、医師の偏在助長の懸念があるという声も出ております。関係のあるポイントだけを御紹介しました。それは、これから年末にいろいろ取りまとめが行われるに当たり、月 1 回ペースで厚生労働省の事務局にも参加していただいて、研究を深めたいと思います。次回は 6 月中として、医療需給と専門医制度の集中的な検討を進めたいと思っています。

 本日の基本方針についての意見です。医学部の定員制についてです。この推計について、普通は需要のミクロの積上げをして、供給のほうの必要数を測るのが普通です。しかし需要のミクロの積上げはなかなかできないので、エイヤッというわけではありませんが、マクロで積み上げて、定員を決めて、偏在是正を並行して図るという手法ですが、これはやむを得ないのかと思います。

 しかし、今後、地域医療構想、あるいは恒常的な偏在是正の努力を続ける必要がありますので、需要のミクロの積上げ、これは地方の役目でもあろうと思いますが、積上げをしていく必要があろうかと思います。そのようなマクロの医師需要の推計が、暫定定員の延長などが出ております。そのような意見を踏まえると、このマクロの医師需要の積上げはいろいろな対策を取られても、余り精緻化するものかどうか、多少難しいように思います。それを前提にしてでも、暫定定員の延長というのは、この場で賛成しておきます。

 その上で偏在対策についてです。これはとても重要なことだと思います。需要推計をエビデンスベースで精査したいという意欲がありますので、やはり診療科別、地域差別、急性・慢性の別など、ミクロで需要推計をする努力をしていきたいと思います。厚生労働省の御協力もお願いしたいと思います。

2 つ目は、在宅医療偏在是正の中で、在宅医療の医師を確保するのはとても難しいという感じです。その際、この場では「チーム医療の業務の見直し」という言葉で表されておりますが、病院のチーム医療と、在宅医療のチーム医療とは大分様相が違うように思います。在宅医療の場合の医師不存在の場合の医療行為の在り方ということを、正面切ってもう少し勉強していただきたい。

 これは、実は診療報酬の付け方によると思います。医師がしない医療行為は、どういう診療報酬、あるいは診療報酬は出ないのか、介護報酬なのか、薬剤師報酬なのか。薬の投与について、医師がいない薬剤師の投与はまた報酬が違ってくるかもしれません。在宅のチーム医療の場合の診療報酬を体系化するというのは、されているかもしれませんが、何だか複雑でよく分からないような感じがいたします。在宅の医療行為は、医師がいない場合でも、誰がしたかというよりも、何をしたかを中心に診療報酬が出ればいいように思うのですが、なかなか難しい感じがします。チーム医療という、フワッとした言葉だけではなくて、病院の場合のチーム医療と、急性期の場合、慢性期の場合といろいろ違うと思いますので、そのシチュエーションに応じて、その対策を考える。

 法律家の場合、非弁行為というのが弁護士法にあります。非弁行為を代替するオールタナティブの議論が進んで、措置が随分進みました。オールタナティブレゾリューションズというのが随分進んで、法のサービスが随分充実してまいりました。医療の場合のオールタナティブレゾリューションという観点は抵抗もあると思うのですけれども、シチュエーションを区切って資格ができるという資格の面もありますけれども、こういうシチュエーションではこういうことをやればいいという、プロセジア、マニュアルのようなものにもなると思いますが、ちょっと研究を深めたい。現場は必死になって、どのような在り方がいいか研究しているものです。

 本日の資料の中では、 ICT の活用というのが、在宅医療でも関係してまいります。過疎地において、スマートフォンを持ってもらって、見守りスマホのアプリの開発をしたりしております。そのときに、医療機関と通信ができるようなことも、医師需要の関係につながってくると思います。書き込みはどのようなことでもいいですけれども、そのようなことが重要であるという指摘をさせていただきます。

 最後は、医師の勤務条件の改善が、医師需要の減につながる場合と、増につながる場合があると思います。医師需要の減につながるのは、コ・メディカルが助けてくれると、医師の非医師行為というのが、時間を取って残業要素になっているようにも思います。医師は医師行為に専念してもらう観点からは、コ・メディカルの役割分担が大きいと思います。逆に、医師の残業が今まではサービス残業に近いようなものが多かった。特に急性期の病院医に多かったように思います。その勤務条件を穏当にする観点になれば、医師の需要増につながるものと思います。そのような、現場の事情に即した研究。その動向を量的に測るのは難しいのですけれども、そのような観点で、医師の適正な、医師にとっても働きやすい配置ということを、我々は追求していくことを、この機会に確認させていただき、知事会としても努力をしたいと思います。

○森田座長 御意見をどうもありがとうございます。予定した時間が大分残り少なくなってまいりましたけれども、更に御発言はいかがですか。釜萢構成員どうぞ。

○釜萢構成員 先ほどの医師需給分科会でも出ておりましたが、この親会としても皆様に確認をしておきたいと思います。今回取りまとめられるであろう中間取りまとめの意義と目的。今後 12 月までの検討は、主に医師の偏在の対策についての具体的な検討というように伺いました。それを踏まえて、最終取りまとめは、中間取りまとめとどのように違い、また何を求めるのかという辺りについて事務局の考え方をお聞きします。

○森田座長 事務局お願いします。

○堀岡医事課長補佐 最終取りまとめについては、分科会のときにも御説明いたしましたが、 4 番の医師偏在対策について、ずうっと何か月にもわたって今後議論していく予定です。そこについて、実施に当たっての課題、法制的な課題、関係者の意見などを踏まえて検討した上で、非常に具体的なものをここに書いていく。 4 番を大幅に深めていくことが、最終取りまとめの一番の肝になると考えています。

○釜萢構成員  5 番の本日の 8 ページのものについては、今回これが了承されれば、最終取りまとめもこの形になるということでしょうか。

○堀岡医事課長補佐 分科会のときにも申し上げましたけれども、 5 番については、大きくは今回の中間取りまとめが固まってきているものだと考えております。

○森田座長 松田構成員どうぞ。

○松田構成員 非常に細かいことなのですけれども、今年度、医師の働き方、勤務状況の現状に関する調査を新たにするとした場合に、もし厚生労働省が単独でやる場合は、その手続は必要なくなりますが、もし、これを厚労科研みたいな枠組みを使ってやろうとすると、実際は大学はいろいろと面倒くさくて、倫理審査とかいろいろなものを通さなければいけなくなります。この時期だと、下手すると 8 月に当たってしまうことになると、多分間に合わない。

 そうすると、既存のいろいろな調査に上乗せするような形でやるようなことを考えていかないと、本年中はちょっと難しいと思います。どういうやり方でやるかというのも踏まえ、少し実現可能性のある期間を設定してやらないといけないと思います。本年中というところは、もう一回御検討いただいたほうがいいのかと思いました。

○森田座長 関連してどうですか。地域医療計画課長どうぞ。

○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。これは、医事課と両課でやりますので、必ずしも十分な御説明はできない部分があります。基本的に大きな検討の取りまとめをするスケジュール観をお示しして、これで御了承いただくことになります。まず優先すべき大きなフレームとしては、進め方、御指摘のありました具体的な内容をちゃんと検討してしっかり盛り込むということです。それに向けて調査をいかに充実させるかということだろうと思います。もちろん精緻な調査をやって、しっかり検討して、しっかりした対策をまとめるというのが理想です。

 現実には年度の途中でもありますし、様々な予算はある程度執行に係った上での話ですから、今からエクストラでどのような調査ができるのか。ましてや具体的に調査を実施していただくに当たって、実施をお願いする機関に様々な、今日はいろいろな制約もありますので、これは可能な限り御相談させていただいて、実現可能な範囲でやっていくしかないわけです。いろいろな工夫については、ある程度御相談させていただいて、いずれにしてもここで記載させていただいているような内容を実施に移すべく、いろいろな工夫をさせていただきたいと思っています。

○森田座長 松原構成員どうぞ。

○松原構成員 最後にどうしても言っておきたいのです。この需給の推計を見ると、右肩上がりにグングンと上がって、少し下がっているように見えます。今、日本国が一番困っているのは、 75 歳以上の方が増えるということであり、更にその 10 年後には 85 歳以上の人たちが多くなるということです。このことは、日本の国の人口構造の問題点ですので致し方ないことです。しかし、医療の在り方は、先ほど荒井構成員がおっしゃったように、もう少し考えなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。

 例えば、終末期においてはどうあるべきか、在宅においてはどうあるべきか、そこのところをきちっと考えていかなければ、ただ単に人数が増えるから、今の状態でいくとこうなるという話ではなくて、将来において私たちはどういう医療をして、どのように御本人の尊厳を保ちながら、人生を終わっていただくか、そこのところの議論が足りないまま、いろいろと考えても難しい問題が出てくると思います。また、若い人たちは減ってくるわけです。非常に濃厚な治療をして、若い人たちを助けねばならない治療は、減ってくるわけです。そこのところのバランスを、机上の空論ではなくて、もう少し考えていただいて、現実に合わせて、これからの医療を踏まえた上で、こういう需給について考えていただきたいのです。簡単に増やせばいいということについての議論は違うのではないか、もう少し考えるべきことがあるのではないかと思っていることを、最後に付け加えさせていただきます。

○森田座長 他にはよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、親会議のほうの取りまとめに入ります。本日報告のありました中間取りまとめ ( ) については、幾つかの部分について、例えば偏在化を防ぐために医師の負担を減らすということで、コ・メディカルの充実を図るということ。あるいは、もう少し調査をきちっと期日までにするとか、大学の入試に合わせてといいますか、それを考慮して決定をずらすという御意見もありました。分科会もそうでしたけれども、大筋について、根本的にこれは賛成できないとか、変えるべきだという御意見はなかったと理解いたしましたけれども、それでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本日頂きました御意見については、座長の私のほうで集約して分科会にお伝えすることといたします。

 一応、座長預かりとなっている分科会のほうの中間取りまとめ ( ) に反映されるようにして、あとは本来の座長でいらっしゃいます片峰先生と御相談をして修正することにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、最終的に修正した中間取りまとめについては、後日、構成員の皆様にも共有していただきます。

 これは中間取りまとめですので、本日も議論に出ましたけれども、これからは偏在対策も含めて、慎重に議論すべきことが課題として残っていると思いますので、どうぞそちらのほうの議論はよろしくお願いいたします。中間取りまとめとしては、今申し上げましたような形で公表させていただきます。これもよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、本日の検討会を終了させていただきます。最後に事務的な事項について事務局からお願いします。

○堀岡医事課長補佐 次回の日程については、追って事務局から御連絡させていただきます。

○森田座長 本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
(代表) 03(5253)1111(内線4127)
(直通) 03(3595)2196

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