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2016年7月6日 第58回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年7月6日(水)14:00〜16:00


○場所

航空会館 5階 501〜502会議室


○議題

(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
   ・小児がんについて
   ・がん患者の就労を含めた社会的な問題について
(2)その他

○議事

 

○門田会長 それでは定刻になりましたので、ただいまより、第 58 回「がん対策推進協議会」を開催したいと思います。猛暑の中、皆様、本日もお集まりいただきましてどうもありがとうございます。それでは、委員の出席状況について、事務局より報告をお願いいたします。

○事務局 事務局でございます。本日の委員の出席状況について御報告いたします。本日は、中川委員、細川委員、宮園委員、若尾委員より御欠席の連絡を頂いております。なお、委員総数 16 名の皆様に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。

 また、本日は、国立成育医療研究センター小児がんセンター長の松本公一参考人、国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援部長の高橋都参考人に御出席いただいております。

 以上をもちまして、撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力をお願いいたします。

 また、傍聴される方におかれましては、携帯電話等音の出る機器についしては、電源を切るか、マナーモードに設定いただくなど、会議の妨げとならないよう静粛にしていただけますようお願いします。

○門田会長 引き続きまして、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料 1 はがん対策推進協議会委員名簿、資料 2-1 は第 17 回がん検診のあり方に関する検討会における主な議論、資料 2-2 は第 5 回がん診療提供体制のあり方に関する検討会議論の概要、資料 2-3 は第 1 回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会議論の概要、資料 3 はがん対策基本計画の見直しに向けた御意見 ( 57 回協議会 ) 、資料 4 は小児がん対策について、資料 5 は小児がん拠点病院・中央機関のこれまでの取組と課題 ( 松本参考人提出資料 ) 、資料 6 はがん患者の就労を含めた社会的な問題への対策について、資料 7 はがん患者への就労支援<現状と課題> ( 高橋委員提出資料 )

 また、お手元の委員提出資料を確認させていただきます。桜井委員、勢井委員、難波委員、馬上委員、若尾委員提出資料「がん患者の就労を含めた社会的な問題に関する意見書」、檜山委員提出資料「小児がん対策」、檜山委員提出資料「第 3 期がん対策基本計画に向けてのアンケート中間報告 (2016 6 29 日現在 ) 、松村委員提出資料「がん対策基本計画の見直しに関する意見」、馬上委員提出資料「小児がんおよび AYA 世代のがん対策および支援に関する意見書」、馬上委員提出資料「小児がん対策に関する意見書 ( 参考 ) 」、山口委員提出資料「がん患者の就労を含めた社会的諸問題」。また、お手元には、資料ファイルと机上参考資料をそれぞれ御用意しています。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。以上です。

○門田会長 資料に問題ないでしょうか。よろしいですか。ないようでしたら、本日の委員の皆さんに異動がございましたので、これも事務局より新たな委員の皆さんの御紹介をお願いします。

○事務局 それでは、新たに御参画いただく委員を御紹介します。お手元にマイクがございますので、御着席のまま一言、御挨拶をいただきますようお願い申し上げます。読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員の田中就一委員です。田中委員、お願いいたします。

○田中委員 読売新聞の田中と申します。よろしくお願いいたします。

○事務局 また、事務局に異動がございましたので、一言、御挨拶申し上げます。がん対策担当の宮嵜雅則大臣官房審議官です。

○宮嵜審議官 宮嵜でございます。 6 21 日付けで着任いたしました。よろしくお願い申し上げます。この協議会、平成 24 年、 25 年のときに御指導いただきましたが、また 3 年振りにということでございます。よろしくお願い申し上げます。

○事務局 渡辺真俊がん・疾病対策課長です。

○渡辺がん・疾病対策課長 同じく、 6 21 日付けで異動になりました渡辺と申します。よろしくお願いします。

○事務局 事務局からは以上でございます。

○門田会長 ありがとうございました。それでは、議事次第に沿って、事務局のほうから「各検討会の開催状況について」の報告をお願いいたします。

○がん対策推進官 それでは、資料 2-1 2-2 2-3 を御覧ください。この協議会と並行して議論が進められております各検討会について、その議論の概要を御説明申し上げます。資料 2-1 は第 17 回がん検診のあり方に関する検討会における主な議論です。検討会では、今、職域におけるがん検診受診率および精密検査受診率について、市区町村検診と職域検診との関係について、精度管理と目標値について、データの利用について、こういったことが議論されていて、さらにワーキンググループで議論を深めているところです。

 資料 2-2 を御覧ください。こちらは、第 5 回がん診療提供体制のあり方に関する検討会の議論の概要です。がん診療提供体制のあり方に関する検討会では、これまでがんの均てん化のため、各二次医療圏に必要な医療を提供する所を重視して、がん診療連携拠点病院等を整備してきたところですが、今後推進すべき取組として、ゲノム医療等、高度な医療を実施するために、選択、集中、機能分担、医療機器の適正配置等を考慮すべきである。こうした点を踏まえて議論を進めています。がんのゲノム医療、がん医療に関する情報提供、こういった議論を進めていて、今後、さらに放射線治療のあり方についてといった検討を、今、進めているところです。

 資料 2-3 を御覧ください。こちらは第 1 回がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会の議論の概要です。こちらでは緩和ケア提供体制ということで、今、拠点病院以外で治療を受けている患者さん、それから看取られている患者さん、こういったものが多いということで様々な意見を頂きつつ、議論を進めているところです。また、緩和ケア研修についても議論を進めています。 2 ページで、循環器疾患に対する緩和ケアといった観点での議論も、今、進めているところです。今、こちらでは緩和ケア研修について、より議論を深めて協議を進めているところです。各検討会の議論の内容につきましては以上です。

○門田会長 ありがとうございました。ただいまの各検討会からの御報告について、何か質問、御意見がございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。いかがでしょうか。桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 ありがとうございます。桜井です。私のほうから 2 点ほど追加をさせていただきたいと思います。まず、資料 2-1 のがん検診の部分ですが、この部分においてこれからも検討が進められていくと思われますが、いわゆる家族性腫瘍です。陽性の方のガイドライン、乳癌学会等々はもう作っていますし、諸外国の NCCN のガイドラインでも別立てで入っていますので、その部分をどういうふうに国内で扱っていくのかという部分についても、是非、検討をお願いしたいと思います。

 もう 1 点は資料 2-3 で、がん等における緩和ケアの更なる推進の部分です。こちらは私も構成員として参加させていただいております。この 5 30 日の議事録が出た後、 6 27 日のこの検討会の中で私が指摘した内容が 3 つほど欠けていましたので追記してくださいということをお願いしました。 1 つ目が小児がんの緩和ケア、ホスピスに対する検討体制、整備体制、 2 つ目が 40 歳未満の若年者の療養生活に対する支援の検討、 3 つ目が 40 歳以降、いわゆる第二号被保険者の介護認定に関する実施状況、この 3 点について、議事録から漏れているということで言及しました。事務局のほうも、これは加えますということでお答えを頂いていたかと思いますので、次のときには入れてくださるようにお願いしたいと思います。以上です。

○門田会長 これは、これでよろしいですか。

○がん対策推進官 はい、結構です。

○門田会長 ほか、いかがでしょうか。馬上委員、どうぞ。

○馬上委員 今、お話があった小児に対する緩和ケアというのは、不勉強で申し訳ないですが、研修とかそういったものはあるのでしょうか。

○事務局 事務局です。小児血液・がん学会のほうに委託をする形で、小児の患者さんへの緩和ケア研修というものを行っています。

○檜山委員 小児血液・がん学会としては、厚労省の委託を受けて、今、 CLIC という形で小児緩和ケアを 3 年間やらせていただき、大体、 30 50 人ぐらい来ていただいています。かなり充実した形で、あと緩和ケア学会と連携しながら今後の運用については検討を行っていく予定です。

○門田会長 ありがとうございました。そのほか、いかがですか。この件につきましてよろしいですか。これは検討会の報告ですから、随時、挙げていただいて、何かあればこちらのほうから検討会のほうに逆に意見を申すという形になっています。また別の機会でもあればそれは委員を通じて、あるいは事務局を通じて意見を出していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、議題のほうに移りたいと思います。「がん対策推進基本計画の見直しについて」が挙がっていますが、これにつきまして事務局より資料 3 の説明を、まずお願いしたいと思います。

○がん対策推進官 事務局でございます。資料 3 を御覧ください。こちらが前回の協議会 ( 57 回協議会 ) で御議論いただいたものを取りまとめたものです。がん対策基本計画の見直しに向けた御意見で、基本計画全体・枠組み等も含めて幅広に御意見を頂いたものを取りまとめたものです。

 まず、基本計画全体に対して、がん対策加速化プランをきちんと踏まえたものにするべきではないか。 5 年先、 10 年先を見据えての議論が必要ではないかといった御意見を頂きました。各分野別施策に関する御意見として、がん医療については放射線治療や希少がん、難治性がん、拠点病院やゲノム医療といった点について御意見を頂きました。

2 ページを御覧いただくと、がんに関する相談支援と情報提供、がん登録、がんの早期発見、小児がん、がんの教育・普及啓発、がん患者の就労を含めた社会的な問題、こうした御意見を頂きましたので、このようにまとめさせていただいています。以上です。 

○門田会長 ありがとうございました。何か御意見はございませんか。桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 ありがとうございます。第 57 回協議会です。私の発言として、加速化プランの中でも難治性がんというのは研究の 1 つの大きな柱となっています。この部分について希少がん、難治性がんの項目を追加すべきとありますが、多分、こういう書き振りではないと思います。希少がん、難治性がんを大きな柱として考えてほしいということで私は発言させていただいたかと思っていますので、訂正をお願いします。

○門田会長 ということで、よろしいですか。そのほか、いかがですか。中釜員、どうぞ。

○中釜委員 この資料を見させていただいて重要な項目が挙げられていると思います。今、御指摘のあった希少がん、難治性がんへの対策を含め、基盤となるような研究、研究のための研究ではなくて臨床的なネットワークを使いながら医療へ導出するという意味での研究の重要性があろうかと思います。この中に項目として挙げられていないみたいですが、それは是非、書き込んでいただければと思います。

○門田会長 よろしいですか。

○桜井委員 もう 1 点、裏の 2 ページ目の下にがん患者の就労を含めた社会的な問題と書いてあって、「各種制度をどのように周知していくか検討すべき」とありますが、私は、この法制度自体を、今のがん医療に応じた形で改正なり再整備をしていく必要があるのではないか、ということを発言しているかと思いますので、この部分についても修正をお願いします。

○門田会長 これは前に挙がった意見として出しているものですから、今後、また個々についてディスカッションするという前提で、ここに出したのがファイナルというものでは決してありません。項目として挙げておいていただいて、今後、引き続き検討するということで考えていただきたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。骨組の問題で前にここの所で 1 つ出てきたと記憶しているのは、山口委員がおっしゃったのでしたか、全体目標の位置付けがどうだという話がありました。全体目標があって重点項目が出てくるのではないかということで、あれは法律から見たときにどうかということがあるのでという説明があって、それを 1 回、調べてもらうと言っていたと思いますが、その辺は事務局のほう、どうでしたか。

○がん対策推進官 基本計画全体・枠組み等の検討に関する御意見の中で、例えば第 2 章と第 3 章を入れ替えたほうがよいのではないかとか、そのもう 1 つ上に、全体目標を掲げた後に書き込んでいく必要があるとか、こういった御意見を頂いていて、一旦、このように取りまとめさせていただいていますが、この辺りの議論は引き続き進めていければと思っています。

○門田会長 確かあのとき、法律の所の書き方によって、こうせざるを得なかったということの説明があったような気がしていたので、その辺りのことはどうだったか、もし分かっていればと思って質問しましたが、もしまだでしたら、一度検討していただきたいと思います。そのほか、桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 関連してですけれども、第 2 章の 2 つ上のポツで「大項目の構成については変更せず」と書いてあります。これも変更しないかどうか、多分、確定はしていないと思います。これも今後の検討ということでよろしいわけですね。先ほどの難治性がん、希少がんの部分についても、大きな柱としてということで私は言っていますので、是非、その辺りも含めて最終的に整理をお願いしたいと思います。

○がん対策推進官 こちらの資料 3 につきましては、前回の議論で頂いた御意見をこのようにまとめさせていただいたもので、このようにしますとか、こうなりますといったものではありません。そこを御理解いただいた上で御覧いただければと思います。

○門田会長 そういうことですね。そのほか、いかがですか。よろしいですか。それでは骨組ということで、前に意見があったものをまとめていただいているということで、これは今後、先ほどから言っていますように順番に詰めていく作業の 1 つの材料だという位置付けにしていただきたいと思います。それでは、その次です。本日は小児がんについてということ。それから、がん患者の就労を含めた社会的な問題について、この 2 点について深く議論を進めることになっています。まず、事務局より資料 4 の説明をお願いして、続きまして、松本参考人より説明をお願いしたいと思います。

○がん対策推進官 それでは、資料 4 を御覧ください。これまでの小児がん対策についてです。小児がん対策につきましては、スライドの 1 つ目ですが、平成 24 6 月の第 2 期がん対策推進基本計画の中に、重点的に取り組むべき課題として「働く世代や小児へのがん対策の充実」、また、分野別施策に「小児がん」を追加したところから大きく進んできています。平成 25 2 月には小児がん拠点病院を選定、また、平成 26 2 月には小児がん中央機関を選定するなど、対策が進められてきたところです。

2 つ目のスライドです。第 2 期がん対策推進基本計画における「小児がん」に関する記載です。現状として、医療機関によっては少ない経験の中で医療が行われている可能性がある。そのため小児がん患者が必ずしも適切な医療を受けられていないのではないかという懸念があること。患者の教育や自立と患者を支える家族に向けた長期的な支援や配慮が必要であること。治療や医療機関に関する情報が少ないといった現状から、取り組むべき施策として小児がん拠点病院の指定、また、小児がん拠点病院が地域の医療機関等と役割分担と連携を進めること。長期フォローアップの体制を整備すること。情報の集約・発信を進めること。こうした施策を進めることとされ、個別の目標として、 5 年以内に小児がん拠点病院を整備し、小児がんの中核的な機関の整備を開始することが目標とされているところです。

 この基本計画を受けまして、平成 24 9 月に出された小児がん医療・支援のあり方に関する検討会報告書の中に、中核機関に期待される役割、拠点病院に期待される役割、拠点病院の当面必要な数について、地域ブロックの設定について、拠点病院の要件についてといったものが示され、次の 4 つ目のスライドですが、小児がん拠点病院の主な要件として診療機能、診療従事者、医療施設、診療実績、こうしたものが定められました。

 これに基づきまして、平成 25 2 月に、スライド 5 番目にありますとおり全国 15 か所に小児がん拠点病院を指定したところです。 6 番目のスライドですが、さらに平成 26 2 月には、小児がん中央機関として国立成育医療研究センターと国立がん研究センターを指定し、そこが中心となって各小児がん拠点病院と連絡協議会を実施するなど、小児がんの対策を進めてきたところです。平成 26 10 月には、こうした小児がん拠点病院等の指定後の整備状況に係るヒアリングを行い、それぞれの機関で様々な課題が見えてきたということです。

 次のスライド 8 を御覧ください。基本計画中間評価においても、小児がんを年間 50 例以上診ている施設で、初回治療を受けた者の割合は 22.9 %、さらに推進が必要と考えられる事項として、地域の医療機関との連携による質の高いがん医療の提供、長期フォローアップの体制整備、晩期合併症、就学・就労を含めた社会的問題等への対応、小児がんに関する正しい情報を発信といったことが示されています。

 また、平成 27 12 月には「がん対策加速化プラン」の中で、小児がんについても実施すべき具体策として、「小児がん拠点病院連絡協議会」等を活用し、小児がん拠点病院の専門的医療の提供、地域医療機関との連携、相談支援、情報提供等を検証するということが求められています。

 スライド 10 を御覧ください。小児がん拠点病院を指定した後の診療実績の変化を示したものです。平成 23 年の拠点病院の申請段階から平成 26 年の実績を比べると、造血器腫瘍、固形腫瘍、脳・脊髄腫瘍とも拠点病院の診療実績が増加しています。また、拠点病院を中心として様々な機関と診療連携を進めていますが、具体的にはこちらにありますとおり、例えば北海道大学病院では地方の関連病院に月に 1 回、専門医の先生に出張していただいて連携を行っています。東北大学病院、京都府立医科大学附属病院、広島大学病院、九州大学病院では、インターネット等を用いた会議で症例検討や研修カンファレンスを行って連携を深めています。

 最後ですが、スライド 12 、「がん対策加速化プランへの提言」において次期計画策定時に検討すべきとされた事項について、御説明申し上げます。小児がん医療に関する事項や療養環境に関する事項、相談支援や長期フォローアップに関する事項、こうした項目の中で例えば拠点病院間での情報共有、小児 AYA 世代のがん患者の復学支援、こういったものを検討するべきとされているところです。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。引き続き、松本参考人のほうからお話いただけますか。

○松本参考人 ありがとうございます。国立成育医療研究センター小児がんセンター長を務めております松本と申します。この度は報告の機会を与えていただき、ありがとうございます。私のほうからは、小児がん拠点病院・中央機関のこれまでの取り組みと課題について発表させていただきたいと思います。

2 枚目のスライドです。本日の内容といたしましては、まず、小児がん拠点病院制定後にできたこととして集約化と均てん化、相談員育成と情報提供、そして、その後、今後考えるべき課題として 4 つ挙げさせていただきました。 1 つ目は長期フォローアップ、 2 つ目は臨床研究 ( および治験 ) の推進、 3 番目に小児がんに関する看護師やその他コメディカルの育成、 4 番目に小児がん患者の教育体制の整備、この 4 つを課題として挙げさせていただきました。がん対策推進官より御報告がありました点と、若干、重複することがございますので御容赦ください。

3 枚目のスライドです。小児がんは現在、 15 歳未満ですけれども、年間 2,000 2,500 人の発症がございます。そのうちの半分は血液腫瘍、また半分は固形腫瘍ですので、年間、血液腫瘍は 1,000 人程度、固形腫瘍は 1,000 人程度発症しているものと推測されています。拠点病院は右下の日本地図に掲げましたように、 7 つのブロックに分けて 15 の拠点病院が指定されています。 15 のうちの 6 施設はこども病院です。赤枠で括ったものですが、この 6 施設はこども病院ということです。この 15 の拠点病院で、先ほどお話をした年間 2,000 2,500 人の小児がん患者さんのうち、 40 %をカバーしているものと考えられています。左側の日本地図に示しましたが、各ブロックの協議会の参画小児がん診療施設は総計で 142 施設あると言われています。この小児がん拠点病院が制定される前は 200 程度の病院で診療しているということが報告されていましたので、そういう意味で集約化は少し進んだのではないかと思われます。

4 枚目のスライド、小児がん中央機関を御覧ください。小児がん中央機関には国立成育医療研究センターと国立がん研究センターが指定されています。国立がん研究センターでは、小児がん情報サービスを構築して情報提供に努めています。私ども国立成育医療研究センターでは、主にここに挙げた 6 つの事業を行っておりますが、その中で昨年行った大きなこととしては、相談員専門研修により初めて 40 名の小児がん専門相談員が誕生しました。ただ、相談員に関しては今後、成人との連携ということが非常に重要になってくると思います。特に大学病院では成人の相談員はできているのですが、そこの中に小児がんの相談員の方をうまく組み込めない問題もあると考えています。連絡協議会を各ブロックで行っていますが、その下に相談支援部会というものを作って、そのあたりの情報を共有したいと思っています。さらに、小児がん中央診断 ( 病理、分子診断、放射線 ) も中央機関としては大きな仕事です。

5 枚目のスライドを御覧ください。地域連携としては、各地域ブロック内で TV 会議システムを立ち上げたり、研修会などを開催して連携を図っています。ここには中四国の取組と九州・沖縄地域の取組を示していますが、ほかのブロックも同様にテレビ会議システムとか、あるいは研修会というのを行っています。ただ、コメディカル等との連携に関してはまだ少し遅れているところがありますので、看護師さん、その他コメディカルの方々の研修会などもブロック単位で開催するような方向に持っていきたいと思っています。さらに、小児がん拠点病院だけでなく、成人のがん拠点病院との連携、特に都道府県のがん診療拠点病院との連携も必要になっています。都道府県のがん対策に関して小児がんのほうの意見を聞いていただける場を、是非、作っていただきたく思っています。

6 枚目のスライドを御覧ください。これが情報提供です。国がんのほうで小児がん情報サービス (ganjoho.jp) というサイトを立ち上げていただき、ここに拠点病院の診療情報、その他の小児がん情報を掲載しています。アクセス数は月間 5 万〜 6 万程度ございます。開設してから非常にアクセス数が増えています。特にアクセス数の多いページとしては、ここに赤枠で括ってありますように、固形腫瘍や脳腫瘍などのアクセスが多いことが分かるかと思います。ということは、これらの疾患に対する情報の需要が大きいということが示唆されますので、そのあたりをもう少しきちんとやっていきたいと考えています。

7 枚目のスライドを御覧ください。集約化に関する例として、関東甲信越ブロックの取組をここに御紹介させていただきたいと思います。関東甲信越はブロック協議会参加施設が 37 施設ございます。その 37 施設の診療実績を、小児がん現況報告と同様のフォーマットで情報を収集し、インターネット上に公開しています。ここに URL を書くのを忘れてしまったのですが、「関東甲信越小児がん」というので引いていただくと、恐らくここのページに飛ぶと思っています。成育の中に作っていますが、これによって分かったことは、小児がん入院患者さんの在院延べ日数で集約化の有様を、 2012 年から 2014 年まで見ていただくと、 2012 年のときには 4 つの拠点病院で 28.2 %だったものが、 2014 年には 34.1 %と増えています。このように集約化が緩やかに進んでいることが分かるかと思います。

8 枚目のスライドを御覧ください。これは均てん化と集約化について先ほどの関東甲信越のデータを図示したものです。赤い線が関東甲信越の 4 つの小児がん拠点病院を示しています。左側のカラムが小児がんの新規患者さんの数、右側のカラムが小児がん拠点病院の指定前と後で、どのような変化があったか比を取っています。よく見ていただきますと、血液悪性腫瘍、脳腫瘍、固形腫瘍に関して、新規の患者さんというのは拠点病院で多いことが分かるかと思います。ただ、指定前後の変化で見ていただくと、血液悪性腫瘍に関しては拠点病院の割合が少し減っています。脳腫瘍、固形腫瘍に関しては少し増えています。このように集約化と均てん化というのは疾患によって違うと思います。血液悪性腫瘍の特にスタンダードリスクの白血病などに関しては、どちらかというと均てん化の方向に向かっていると思います。ただし、再発や難治の血液悪性腫瘍患者さんは拠点病院に集約しているような方向になっています。集約化に関して脳腫瘍、固形腫瘍は集約の方向に向かっているのではないかと思っています。以上が、今まで行われたことです。

 今後、考えるべき課題ということで、 9 枚目のスライドを御覧ください。 1 つ目に小児がん長期フォローアップですが、小児がん長期フォローアップの対象数を少し類推してみました。米国の報告では小児がん経験者というのは 38 8,500 人いると推定されています。そのうち 83.5 %は 5 年以上の長期生存者で、その 5 年以上の経験者のうち、 66 (5-59 ) から 88 (40-49 ) に何らかの慢性的な問題があるという結果が報告されています。この類推によりますと、 2020 年には、およそ 50 万人の患者さんが小児がん経験者になるのではないかと言われています。というのも、今、小児がん全体の生存率はすごく伸びていて 5 年生存率は 80 %近いものになっています。ここには書いていませんが、 5 年後に生存している子供のうち、 15 年以内に死亡すると予想される数は 6 %となっています。 1970 年代は 12.4 %でしたので、長期生存者の死亡率は半分に減っていることになります。これは米国のデータですが、日本のデータで人口比で当てはめてみますと、恐らく日本の小児がん経験者は約 16 万人、 5 年以上の長期生存者は 13 万人いると推定され、 20 歳代の約 180 人に 1 人が小児がん経験者であると推測されます。さらに、日本の 20 歳未満の小児がんの患者さん数が 3,000 人とすると、毎年、 2,400 人余りの経験者が増加することになると予想されます。

11 枚目のスライドを御覧ください。小児がん拠点病院の指定要件にもありましたように、小児がんの長期フォローアップ体制が整備されることが要件になっています。ところが、長期フォローアップの外来を各拠点病院で検討すると、実際には従来の外来と差異がない施設が多いという問題があります。小児がん専門看護師、その他のコメディカルの方の配置、相談員の配置など、内容の充実が求められるのではないかと思っています。さらに長期フォローアップセンターを設立して、データベースを構築する必要もありますし、学会と共同することで長期フォローアップのガイドラインを策定し、長期フォローアップ計画を患者さんに渡せるような自己管理のプログラムを作るなど、何かいいシステムを作っていくことが、今後、求められると思います。医療だけではなく、医療と支援を一体化することが長期フォローアップには重要だと思っています。

12 枚目のスライドを御覧ください。これは遺伝子解析を取り込んだ個別化医療の推進です。現在、小児がん拠点病院の指定要件として臨床研究を支援する部門、あるいは臨床研究コーディネーターを配置することが望ましいとなっていますが、如何せん、 6 つの小児病院というのは成人のインフラは使えないので、現在も整備を進めている状況です。ここに挙げましたのは 1 例ですが、小児がんの中でも白血病は本当に 8 割以上の方が治っています。このうち Ph-ALL 、フィラデルフィア染色体陽性の ALL というのは、予後の悪い疾患です。最近、遺伝子の検査によって Ph-like という新しい予後不良の疾患が明らかになり、 D-APPLE STUDY と書いてありますが、新しい薬剤を使用する臨床試験が行われております。再発・難治疾患の集まる拠点病院のネットワークを活用して十分な治験、臨床研究が行われる体制整備が必要だと思っています。

13 枚目のスライドを御覧ください。これは小児がんに携わる看護師やその他のコメディカルの育成に関してです。小児がん拠点病院の指定要件には、「小児がんに関する専門的な知識及び技能を有する専門看護師又は認定看護を配置することが望ましい」となっています。「望ましい」ということですから、ここに掲げたアンケートを 15 拠点病院に取りますと、小児看護専門看護師、がん看護専門看護師の配置が「あり」と答えた施設が、どちらかというと少ないことが分かっていただけるかと思います。さらに患者さんの家族が求める看護師の専門に関する調査では、 8 割以上の方がそういう専門教育を受けた看護師さんを配置していただきたいということですので、これは学会と共同して専門教育プログラムを確立し、研修体制を確立したいと考えています。

14 枚目のスライドを御覧ください。 4 番目に小児がん患者さん自身の教育体制の整備も問題だと思います。小児がん拠点病院における教育体制というのは、特別支援学校のものが 11 施設あります。北海道大学は、公立小中学校の特別支援教室から特別支援学校に何とかうまく格上げできることになったのですが、ただ、右側の図にありますように高校教育はまだまだ遅れています。高校教育が「あり」と答えた拠点病院は 15 のうちの 4 施設に止どまっています。その内容も十分でないという報告がありますので、これに関しても今後、考えていかなければならない課題だと思っています。

 以上、まとめが次の 15 枚目のスライドに載っていますので御覧ください。少し長くなりました。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

○門田会長 ただいま、お二人の方から御報告いただきましたが、委員の皆さんの御意見を頂戴したいと思います。既に、資料を出していただいている方がいらっしゃいますので、順番にいきます。

○檜山委員 学会の資料も用意しましたが、今の点について、松本参考人に少し御質問させていただいてもよろしいでしょうか。 1 つは、先生がお示しになった集約化のスライド 7 8 を見ますと、いわゆる難治がん、あるいは再発がんなどが集約されるべきで、そうでなく、ある程度治療が平易な造血器腫瘍の症例は、集約化ではなく、むしろ均てん化したほうがいいのではないかと、先生はお考えでしょうか。

○松本参考人 正にそのとおりです。関東甲信越の血液悪性腫瘍の左側の図を見ていただくと分かるように、スタンダードリスクの白血病患者さんは、 37 の診療病院で、均等に診療されているので、均てん化が必要です。ところが、脳腫瘍、固形腫瘍などは、やはり 37 の診療病院のうち 15 病院が診ていなかったり、 5 病院がゼロだったりということになっております。再発難治の血液腫瘍患者さんに関しても、固形腫瘍、脳腫瘍に関しても集約化が必要だと考えております。

○檜山委員 もう 1 つ、非常に難しい質問なのですが、先生は中央機関として、このような小児がん拠点病院を評価する指標のようなものを何かお考えなのか、そういうものが推し進められているのかを教えていただけますか。

○松本参考人 今は、厚労科研費の松本班というものを立ち上げており、拠点病院の在り方について検討しております。そちらで、各拠点病院の評価の指標を作って、それを今年度中にまとめて、一度 15 拠点病院を評価する仕組みを作っておりますので、来年にはまた御報告できるのではないかと思います。

○馬上委員 今のことに関して、集約と均てん化については、患者家族も非常に望んでいるところなのですが、今は 2,500 症例が 142 施設で診療されているというお話でした。それを、どのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。それから、拠点病院には要件がありますが、小児がんを治療している病院には何ら要件はありませんので、質の担保についてはどのように考えられているのでしょうか。拠点病院に関しても、脳腫瘍は症例数が 2 件でよいというような話ですので、今後この要件の改善は必須であると考えております。その辺りの御意見をお聞かせください。

○松本参考人  142 という施設数ですが、これはまだ実際にどれだけの施設が診療しているかは分からなくて、それぞれのブロックの協議会の参画施設数という位置付けです。ですので、関東甲信越では今、情報公開を行っておりますが、この情報公開を 142 の施設でも同様に行うように指示したところです。診療実績を公開することによって、さらに集約化が進むものと考えております。関東甲信越の例ばかりで申し訳ありませんが、この小児がんの協議会に参画する施設の 1 つの要件として、小児血液・がん学会の研修施設であることを 1 つの足かせにしておりますので、決して、 1 例しか診ていない施設が、協議会に入っているわけではないと考えております。

○桜井委員 今の件に関して質問です。均てん化と集約化ということなのですが、集約化をされていたときに、やはり小児がんの患児の御家族や周りの方の交通費などが相当かかってくるのかなと思っていますが、療養生活も含めて、この辺りの経済的な支援などもお考えなのでしょうか。

○松本参考人 療養生活に関しては、長期滞在施設を各拠点病院の周りに置くということが、 1 つ要件として定められております。交通費までを援助することはできないのですが、長期滞在施設の整備を考えております。もう 1 つは、各ブロックの診療病院と密に連携することによって、そちらでも拠点病院と同じような診療を受けられるような体制を、なるべく構築したいと考えております。

○檜山委員 私の用意した資料 1 ですが、黄色のスライドを御覧ください。今の松本参考人の御意見の中で強調したい所だけを、簡単に説明します。まず、拠点病院を中心に長期フォローアップと移行期医療というところが、まだ十分に働いていないというのが、我々学会としても課題だと思っています。先ほどもありましたが、ゲノムの医療が非常な早さで進んでいますので、やはり小児がんにおいても腫瘍ゲノムを見ながら分子標的を定めることと、もう 1 つは子供のゲノム情報から体質を見て、毒性の発生リスクを取得することが、長期フォローに関しても有用なインフォメーションだということで、その辺りを是非導入していただきたいと思います。

 それから、小児がん、希少がんですが、グローバル研究を積極的に導入し、諸外国の薬を持ち込むのではなくて、できたら海外と同時開発を目指していくのが本来の姿ではないかなと思っています。何で長期フォローが必要なのかというと、これは皆さんもうよく御存じなのですが、小児がんは今言ったように、 8 割近くの方は治っているのです。なぜ治っているかというと、かなり強い治療を成長期、あるいは発育ざかりの頃に治療してしまったということで、いろいろな晩期合併症が出てきたり、妊娠、あるいは出産の問題もどんどん出てきますし、今は社会的な問題も出ているということで、長期フォローが必要なことはよく御存じだと思います。

 ただ、これらの子供さんは成人になっていきますので、移行期医療の在り方となると、小児も成人もある病気であれば、成人の方にそのままお渡しすればいいのですし、先天性の病気となると、小児の方がずっと大人のままで見られているわけです。小児がんの場合はそうではなくて、 2) に書かれているように、大人になると成人科の医師と小児がんを治療された医師が両方でタイアップをして、移行期医療をやっていかないといけない分野であると考えています。

 その下の図は、既に松本参考人が示されましたが、日本のデータでもかなり治癒率は上がっているということです。どうして晩期合併症が起きてくるかという比率も、既に 5 6 は松本参考人が説明されました。一番大きな問題は、二次がんもかなり出てきているというところです。 7 は、晩期合併症です。お一人お一人の累積発症率も、晩期合併症の累積発症率も、年をへるに連れて増えていることは認識いただければと思います。その中で、内分泌や低身長、あるいは二次がんなどが出てきまして、 1 人で 1 つだけではなく、 2 つも 3 つも晩期合併症を抱えられている方がおられるということだけを認識いただければと思います。そうした方々をどのようなリスクの中で考えていくかが、 9 に書いてあります。では、誰がフォローするのかということで、 11 に実は静岡県立こども病院で小児がんの経験者を成人の機関に御紹介したデータで、成人の機関にそのまま御紹介してしまうと、半数ぐらいの方がフォローできなくなるという現状があります。これは、やはり成人を診られている先生方が小児がんを診ることにかなり不安がありますし、専門ではない領域ですので、そういうことが起きるということです。 12 に示したように、やはり小児がん拠点病院が中心となって、成人領域とも連携して長期フォローをやっていただくことが、将来的には重要ではないかと思っております。

 では、どうしたらいいかということを、 13 に書きました。きちんと情報を集めておくことが必要ですし、とにかく治療のサマリーを拠点病院で作っていただいて、それを持っておくと。 14 に示したように、患者にどういう治療をして、どういう形のフォローが必要かというプランをある意味で持っていただくことが必要ですし、患者にとってはフォローアップ手帳をきちんと持たせて、長期フォローアップのガイドラインを今学会で作成していますが、そうしたものをお渡しすることが必要ではないかと思っています。

15 ページからは、国際共同研究です。今、私がやっている小児肝がんは、既にアメリカとヨーロッパ全てのデータを集約して、リスク分類をかけております。 16 には、小児肝がんの JPLT2 というスタディーの晩期障害を示しておりますが、単なるシスプラチンとピラルビシンといって、そんなに対した強力な治療ではないのですが、それをやっても聴力障害が 5 分の 1 ぐらいの方には出てくるということです。 1 2 歳で聴力障害が起きるということは非常に重要なことで、その子の発語ができなくなりますし、コミュニケーションができなくなるということで、この時期の聴力障害は普通の聴力障害とは違い、非常に重要な合併症になっています。しかも、 300 人の方から 10 例と高率に二次がんが出ていますので、こうしたこともかなり重要な課題になっております。

17 は、既に皆さんに同意を得て 120 例のゲノムを解析させていただき、難治例のゲノムが出てきていますし、正常な組織を解析することによって、ある程度毒性と関連した多形が見て取れます。こういったことを、今度はゲノムのデータを長期フォロー、あるいは新規治療薬の開発につなげる。もう 1 つ大きな問題は、遺伝子変異がジャームラインに出てきているということです。これは、恐らく遺伝子性腫瘍が小児がんの中にはかなり隠れている可能性があるので、こうした子供を将来的には遺伝子性腫瘍の対策の中に盛り込まないといけないかなと思っております。

 その下は神経芽腫です。神経芽腫に関しても、かなり予後の悪いものが遺伝子解析でほとんどわかるようになってきました。これに関しても、ある程度治療が可能な状況となってきています。

19 20 は脳腫瘍です。脳腫瘍は、ゲノムで治療を分ける時代になってきていますので、 19 に関しては、ゲノムのデータをこうした国立がん研究センター等で集めていただいて、ゲノム解析で治療の方法を変えることも考えられていますし、胚細胞腫瘍も同様に c-kit m-TOR の阻害剤を治療薬に入れるというような新臨床試験が計画されています。ただ、何せ症例数が少ないので、こうしたことをどのようにするかということで、最後 21 22 に掲げていますが、肝腫瘍に関しては日米欧で共同の臨床試験体制が既に作られて、来年度からはじまりますし、胚細胞腫瘍に関しては、成人領域と連携して日米欧、インド、あるいはブラジルを入れた臨床試験を今計画しています。そうした中で、新たな治療法、あるいは標準治療を開発していくことが必要ではないかと考えております。

 ただ、先ほど松本参考人が言われましたように、実は小児病院で治験ができない状況があります。これは、こども病院なので、臨床治験をやる治験室がないというようなことで、治験をやろうと思ってもそこで治験ができないという現状ではあるので、是非その辺りも拠点病院としては充実させていただきたいというところがお願いです。

○馬上委員 脳腫瘍については、遺伝子解析が非常に進んでいるというお話なのですが、私も資料に意見書として書かせていただいた中に、ゲノム医療の進展に伴う遺伝子解析や個別化医療を小児がんで進めていただきたいということがあります。これについては、檜山先生、又は中釜先生に是非御意見をお伺いしたく思います。

○檜山委員 個別化医療は、小児がんだけではありません。ただ、小児がんの特徴は、遺伝子変異が検出される数が少ないというか、 1 例当たりの変異が非常に少ないということが分かっています。その変異自体が発がんに直結しているところが見て取れます。そうしたところから、ある程度分子標的を定めやすいのではないかなというところはあるかなと思っています。

○中釜委員 小児がんの脳腫瘍に関するがんセンターの取組と考え方ですが、檜山委員の資料の 19 に、小児脳腫瘍の例が示されています。ここにあるように、成育医療センター、あるいは JCCG を中心とした臨床グループからの症例登録、更にそれをゲノムの解析をするグループ、ここでは国立がん研究センター、あるいは大阪医療センターが書かれていますが、このパイプラインという形で取り組んでいます。ここには中央分子診断と書かれており、この連携をいかにスムーズにできるかによって、脳腫瘍の中央診断及びその観察研究が可能になったと理解しています。

 同じような仕組みを、一般の小児がんや上皮性の腫瘍でも作っていく必要があるかと思うのです。それに関連して、先程来、 15 の小児拠点、それから中央機能のお話をされていて、ある意味集約化と均てん化が進められていることは、非常にすばらしいと思います。一方で、やはり集約化の限界もあると感じるわけです。この資料を見ると、 10 %、 20 %ぐらいの症例の集約化、あるいは難治性のがん腫の集約化は、確かに当初の期待どおり進んでいるのです。では、残り 100 数十の拠点において、全ての要件を満たすようなところを求めるのがいいのか、あるいは各担当病院ごとに得意な分野に特化して任せるのか。集約化と均てん化があるときに、集約化のもう 1 つの目標としては、新しい標準治療の確立や、開発研究を行う仕組みも非常に重要かと思っています。そういう中で、集約化をうまく使える方法があるかと思います。そのときに、集約化される拠点病院において、全ての要件を満たす必要もないのではないかと思います。例えば、ある種のがん腫の開発研究、あるいは標準治療をするときには、得意な病院を集めてやればいいことです。個々の症例、個々のがん腫によって担当する先生方の努力により変わってくると思うのですが、そこがこの中央機関であり、先ほどの 15 拠点がコーディネートするような形で、そういうものを作り込んでいくのがいいのかなと、聞いていて思いました。小児がんについては、そういうことをやっていければと思います。

○馬上委員 今、正に中釜先生がおっしゃっていることは、私も常々考えております。小児がんは、超希少疾患の集まりなので、 1 1 つ全部を拠点病院で専門になるということは到底あり得ないと思います。その得意、不得意というのは患者には見えていませんので、そのような情報開示、又は先生方での取り決め、あとは連携です。専門性があっても連携がないと、今は拠点病院間でも連携がなくて、情報が流通していなくて、治療が適切にされていないとか、小児がん診療病院と拠点病院の間でも連携が取られていなくて、情報が流通していなくて、患者家族は適切に治療されていないということがありますので、そういったところをどうやって作っていくかだと思うのです。

○中釜委員 そのためにも、松本先生が作られたこの仕組みや集約されているデータを、どうやって共有し、それを今、馬上委員が御指摘の点に展開していくか。正に、そこは拠点、あるいは松本先生、あるいは我々ももちろん考えますが、そのようにして今後展開していく段階にきているのではないかと感じます。

○馬上委員 もう一点、小児がんの中央病院機関は、国立がんセンターと成育医療センターの 2 つがあります。今、表を見ますと、成育医療センターにものすごく要綱がありすぎて、伺っていますと、小児医療はもともと小児科医が少なかったり、小児科自体が激減していて、非常に疲弊しています。マイナスからのスタートなのです。治験のセンターがないとか、小児の病院がないということから始まっているので、是非中央病院でも役割分担を効率的に行っていただいて、予算配分などを協力してやっていただきたいというのは、すごくあります。よろしくお願いします。

○中釜委員 決して、成育と仲が悪いわけではなく、松本先生とも連携して話はさせていただいていますし、五十嵐理事長にも相談させていただいています。我々には拠点の要件を満たすほどの症例はないのですが、我々の技術等で提供できることに関しては、是非進めさせていただきたいと思います。

○松本参考人 確かに、ゲノム医療に関しても、国がんは大人のノウハウをしっかり持っていらっしゃいます。それから、いろいろな薬の早期開発に関しても、国がんのほうが非常にノウハウを持っていらっしゃいます。今も少しずつやっているところですが、是非共同して進めていきたいと考えています。

○檜山委員 関連ですが、国立がん研究センターは、がんの中央病院ですし、成育医療研究センターは子どもの中央機関です。成育医療研究センターでは、がんだけを取扱っているわけではないので、むしろ長期フォローの辺りはある程度成育医療センターでリードしていただきたいですし、ゲノム医療に関しては、やはりがんセンターにお願いするのが、学会としては現状ではいいのかなと思っています。先ほどの 142 施設の話は、ある程度学会としては認定施設として認定してきていますので、そういうところでも専門医を育成しつつ、均てん化というわけではないのですが、ある程度のレベルの施設です。家族の方もわざわざいつも拠点病院まで交通費を出して何時間もかけて行くのかという話にもなります。

 この小児がん拠点病院を作ったときのキーワードとしては、ネットワークというキーワードを必ず入れていただいていたはずなのです。そのネットワークの中にきちんと入り込んでいただく。診療レベルはある程度差はあるのだけれども、どの程度の疾患が診れるかというような病院が地方に 1 つずつあれば、ある程度そこでフォローもしていただけますし、治りやすい患者はそこで診ていただいて、拠点病院と連絡を取っていただきながら、長期フォローのガイドラインを守って、長期フォローしていただくのが、私は理想的な形だと思っています。無理矢理全部集約しろということは、まず日本ではあり得ませんし、医療資源が現状限られただけしか拠点病院にはありません。広島大学の 40 床しかない小児病棟に、すべての患者が中四国から集まってくること自体は、もう無理だということは分かっているので、その辺りはきちんと理解した形で考えていただければと思います。

 もう 1 つは、現実に患者にアンケートを取った中間報告なのですが、実は拠点病院ができてよかったというような意見がまだ余り見て取れません。今、何を望んでいるかを見ていただきたいのですが、一番はフォローアップ体制と、治療研究を進めることと、情報、相談の 3 つが、今かなり出てきているということだけを、患者側からの御意見として見ていただければと思います。

○松本参考人 長期フォローアップに関しては、やはり成育がやっていくべきことだと考えています。ただ、長期フォローアップをやるということは、全ての患者を成育に集めるということではないと思うのです。それは、長期フォローアップのセンターを作る。要は、指令を出したりするようなセンターや、情報を集めるようなデータセンターのような意味の長期フォローアップセンターが成育にあるべきだと、私は考えています。あとは、成人の施設とうまく連携して、現実に成人の施設と一緒に長期フォローアップをやっていくことが、一番大事なのではないかと考えています。

○山口委員  1 つのお願いと、 1 つの質問です。お願いのほうは、私が言うのも何なんですが、先ほどからの話題に少し絡みますけれども小児がん患者の家庭の三重苦という話を聞いたことがあります。 1 番目が、医療費が非常に負担になる。若い夫婦なので給与も少ない。そこに医療費の負担が大きい。今、かなり改善しているかもしれませんが、それがまず第 1 番です。

2 番目が、医療費以外の負担が結構掛かる。小児がん専門の遠くの病院に行かなければいけない。交通費も掛かる。日帰りで行っても、 1 日がかりになる。そういう医療費以外の負担です。

3 番目に、共働きの家庭だと妻が病気の子どもの世話のために仕事を辞めなければいけなくなる。そうすると収入が半減する。

小児がんの家庭はこのような社会的な問題を抱えているので、是非、中央機関におかれましては、小児がん患者の家庭における悩みや負担、こういうものを一度しっかり調査していただくことをお願いしたいと思います。

 もう一点は質問です。前回希少がんのお話のところで、門田会長、檜山委員が御指摘なさったこととも関係しますが、自分の経験からも多分、大きな問題だと思うので指摘しておきたいと思います。

 というのは、この基本計画を今後書いていく上で、「小児がん」という言葉と、「希少がん」という言葉、それから「 AYA 世代」、これらの言葉の対象者が、それぞれの患者さんとしてかなりダブっているという事実があります。ですから、どういう書きぶりにするかは別にして、しっかり内容を整理しておく必要があります。例えば、私どもの病院では、それぞれ 3 つのセンターを作るわけにいきませんので、小児がんは小児科が、また、希少がんは、整形外科や脳外科の先生が熱心に診療しているので、これらの診療科にまとまってもらい、小児・ AYA 世代混合病棟を作り、今、運用を始めています。この辺の整理を松本先生はどうお考えになるか、あるいは檜山先生はどうお考えになるか伺いたいと思います。

○門田会長 松本参考人、どうぞ。

○松本参考人 希少がん、小児がん、 AYA 世代のがんという、この 3 つのことですが、最大の違いというのは、小児がん患者さんは治るのです。ですから治った後の長期フォローが非常に大事になります。決して、 20 代、 30 代の希少がんの方が治らないというそういうわけではありませんが、小児は発達していく中でがんになるものですから、その発達ということを考えなければならないということが、恐らくこの 3 つの中では一番違うと思います。

AYA 世代のがんといったときには、 2 つの意味合いがあって、 AYA という世代に発症するがんと、それから、小児がんの後の二次がんとして AYA がんを発症するという、その 2 つの側面があるという点を考えなければなりません。

 希少がんに関しては確かに、骨軟部腫瘍のことは非常に言われていますが、骨軟部以外にもやはり希少がんというのはたくさんあります。患者さんの数としては、小児がんと同じ規模だとは思いますが、その診断の困難さとかそういうことに関しては、恐らく問題を共有することができるというように思います。やはり小児がんの唯一の違いというのは、成長していくということが違うので、そこを考えなければならないということが、他のがんと少し違うのではないかと私は考えております。その辺りをしっかりこれからの対策にいかしていただければと思います。

○門田会長 檜山委員、どうぞ。

○檜山委員 山口委員のおっしゃることはよく分かるので、私は小児がんをやっているので、小児がんをやっている人から刺されるかもしれませんが、私は小児がん対策を最初にお願いした数年前は、希少がんの代表として、小児がんの対策をまずやってくださいというようにお願いしたつもりなのです。希少がんは確かに、肉腫、あるいはいろいろなものがあります。先ほど最後に示した胚細胞腫瘍も、いわゆる AYA 世代の希少がんの代表だと思っていて、かなり泌尿器科とか、婦人科の領域にはある病気で、むしろ小児がんの数よりも多いかもしれないなというようなところもあるので、そういった小児がんの今回、ここ 5 年やっていただいて、ある程度その問題点が浮かび上がってきたので、それをモデルに希少がんとしてくくっていただいてもいいのかなというのが、私のかなりおおざっぱな意見なのです。小児がんは、それなりに小児特有なところも確かに松本委員の言われるところはあるので、本人がどういう治療を受けたのか全く知らないとか、何も知らずに大人になっているということもありうるので、そういう方たちにはきちんと治療サマリーを作ってフォローアップしてあげましょうよということは大事なのですが、やはり希少がんとしてのバックグラウンドは、かなり共有するところは肉腫系とかあると思いますので、そういうものをある程度センター化して、拠点化するのが本当にいいのかというところを、ある程度小児がんから学んでいただいて、そういったところに施策を施していただきたいというのが私の考えです。

○門田会長 馬上委員、どうぞ。

○馬上委員 関連ですが、今、小児拠点病院は 15 歳までしか診療しない所が多いのです。そうすると、 15 歳から 20 歳までの人はどこへ行けばいいのかという問題が非常に発生していまして、そういった意味でも、小児がんと、希少がんというか、 AYA 世代というところを続けて診ていただきたいというのが患者側からあります。

○門田会長 ありがとうございます。いろいろな意見が出ていますが、発言がちょっと偏ってきていますので、他の委員の皆さんから、何か御発言いただきたいと思います。

○北川委員 小児がんの問題で、やはり先ほどからキーワードとして「連携」と「フォローアップ」の重要性が指摘されていますが、非常に難しい課題ですね。特に移行期医療というのは、成人を扱う診療機関と小児専門病院の連携が極めて重要であり、小児がん医療においても均てん化と集約化をバランスよく行わなくてはならないという大きな課題があります。

 例えば、「フォローアップ手帳」という言葉もありましたけれども、ヘルスレコードを電子化して、せめて小児がん診療連携拠点病院で統一するなどの試みが可能であると思います。特に小児の患者さんが成人となった場合にご自分の診療記録が全く分からないといったことがないようなインフラの整備が必要であると思います。少なくとも電子カルテからの情報を 1 人の患者さんの手元に集約して、複数の医療機関の間で有効に、かつ精密に利用することはできると考えます。こうしたデータベースの共有が小児がん診療の分野でどの程度まで達成されているかお伺いできればと思います。

○松本参考人 ありがとうございます。檜山委員の説明資料の 14 枚目のスライドに治療サマリーと書いてありますが、これを今、ある程度共通フォーマットとして電子化して集めようとしております。この情報を入れることによって、今後のフォローアッププランというのがきちんと出るような仕組みを今、作っているところです。少なくとも小児がん拠点病院に入院した患者さんに関しては、治療サマリーを是非作って、共通化していこうという動きにはなっております。

○北川委員 小児がん診療連携拠点病院間の電子カルテ上の情報共有やデータの抽出は行われていますでしょうか?

○松本参考人 こういう情報等を電子カルテから吸い上げるシステムというのを今、いろいろ考えており、研究を進めているところです。一番はやはり、患者さんに不利のないような形で、しかも、そのデータが必ずどこに行っても把握できるような、そういうようなところが正に私は長期フォローアップセンターということにつながると思うのですが。

○北川委員 そうですね。

○松本参考人 それは今、少しずつですが。

○北川委員 整備されつつある。

○松本参考人 整備されつつあるところです。

○北川委員 ありがとうございます。

○門田会長 ほかにどなたか。

○勢井委員 徳島の勢井です。徳島のと言いましたのは、東京圏ではなく、田舎のほうでの実際の患者さんの例です。つい先日、連絡いただきました。その方のお子さんは網膜芽細胞腫で両眼とも失っています。それは発見が非常に遅れたからです。病院を何施設も回ったけれども、発見できなかった。最後にやっと見付けましたが、これはもう両眼とも取るしかなかった。地方でも診断可能なシステム化を、是非構築していただきたいことが 1 つあります。

 それから、先ほど山口委員からも出ましたが、経済的な負担です。子供の治療に親が同行するので旅費等の補助はできないのか?参考人からは、先程旅費はなかなか難しいと聞きましたが、少なくとも家族も寝泊まりできる施設を併設するとか、マクドナルドハウスとか持っている病院もありますので、是非、お願いできたらと思います。

 この方はどうしても、こちらの国立がんセンターに行かなければ、その先生しか診ることができないということで、どうしても親が付いて行く。費用が発生するといった現実的なところがあります。

○門田会長 松本参考人、どうぞ。

○松本参考人 網膜芽腫という病気に関しては、日本の中でかなり集約化が行われております。恐らく、国立がんセンターで 7 割近くの日本中の患者さんを診ていると思われ、集約化の最たるものだと思います。このような症例に対して、中央診断として、放射線診断の遠隔診断システムを整備しているところです。しかしながら、画像診断のプロフェッショナルが少ないため、専門家の育成が課題となります。

 また、早期発見・早期診断に関して、「東京都小児がん連携協議会」というのがありまして、「小児がん診断ハンドブック」という早期診断のハンドブックを昨年作成しました。それを東京都の一般診療の先生方にお渡しして、こういう症状があったら、早く専門医に見せてくださいという啓発活動を行いました。東京都では、それに対しての研修会も開いています。

 ですが、東京都だけでの取り組みではいけないと考えまして、少なくともそのハンドブックを PDF でネット上に上げてもらって、日本全国で見れるような形にしました。それを今、拠点病院の連絡協議会でも広報をしまして、少しでもいろいろな病院で活用していただくようなそういう仕組みを作っているところです。ありがとうございます。

○門田会長 湯澤委員、何かありますか。

○湯澤委員 湯澤です。松本参考人の資料 14 のスライドの所ですが、小児がん患者の教育体制の整備ということで、小児がんを経験した方が、では、病を克服して就労したいとおっしゃるときに、自分が求める職に就くために、果たして、今のこの教育体制が十分かどうかというところがあるかと思います。ですから、学習を受けられる環境を、もう少し充実していくといったところが長期フォローアップにつながるのではないかと感じております。

○松本参考人 ありがとうございます。教育体制に関しては、これは整備の進んだ小児がん拠点病院だけの話でも、この状態です。ということは、小児がん拠点病院だけの問題ではなくて、ほかの診療病院ではもっと悪い状況にある可能性がありますので、そこは少し実態調査をきちんとさせていただき、やはり底上げということもすごく大事なのではないかと考えております。

○門田会長 馬上委員、どうぞ。

○馬上委員 今の教育のお話で、やはり合併症が多いものですから、学校に戻ってからも病弱児級に通わなければならない方がたくさんいらっしゃるにもかかわらず、病弱児級がない、そして、少ない。特別支援学校の中でも病弱児対象という学校はすごく少ないと思うのですね。そういったものの拡充を求める声が非常に多く上がっております。

 学習支援についても、やはり発達障害の方には支援がたくさん付いているようですが、病弱児についても、学校教育の中で支援していっていただける形を推進していただきたいと思っております。

○門田会長 ありがとうございます。桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 ありがとうございます。馬上委員が提出されている意見のほうを見ながらですが、関連して、かなり議論はもう出たかなとは思っていますが、私はこの中から 3 つほど言いたいことがあります。

1 つ目は、情報公開です。馬上委員の資料にもありますが、情報公開専門性の開示とありますけれども、病院ごとに症例数をどのようなものを幾つやっているのかと。患者はやはり情報が宝になります。希望にもなります。これを是非、国立がん情報センターのサイトでもいいので、どの病院で何をやっているかということを明らかにしていただきたいということを強く希望します。

2 つ目は、馬上委員の資料の 7 番目に、後遺症、合併症の状況把握と対策。それから、少し下に下がった 3 番ですが、自立支援障害者枠の拡充というのがあります。私はキャンサーソリューションズという株式会社を経営していますが、小児がん経験者の方、 3 名ほどインターシップなどを通じて就労支援を行っておりました。

 この経験を踏まえて、明らかに認知機能が劣っている。こういう方、いらっしゃるのです。頑張って頑張って、一生懸命に就労しようとしていますが、付箋で作業の順番を書いても、その付箋を忘れているのです。そういう本当に厳しい状況があるということ。でも、この子たちは、障害者枠を取ろうかと思うと、最初の初診日のほうのデータがないとか、どういう治療をやっていたか分からないというのが、これが今の 40 代の小児がん経験者の現状です。今後、その長期フォローアップが出てきたときに、是非その治療歴を確実につないでいくということと、将来の社会的なキャリアにも結び付けていく。あるいは、制度にも届けられるような研究、仕組み作りというのも是非考えていただきたい。小児がんは、治すだけではないと思っています。

 もう 1 つは、それをやっていた中で、すごく思ったのは教育です。このときに対峙したお子さんたちと話すと、語彙数が少なかったのです。社会人がふだん使っている語彙数と明らかに少ないのです。私たちは当たり前に通じているだろうなあと思ってお話していた言葉が、ほとんど通じていないということに、後になって気が付きました。そういう問題もありますので、小児がんは通学というか、就学の問題は非常に大きいと思います。馬上委員から、その辺をフォローで、この資料を説明していただきたいと思います。

○馬上委員 ありがとうございます。ちょっと時間がないと思いますが、意見書を 2 つ出させていただきました。

1 つは、私からの意見書で多くの課題について申し上げていますが、もう 1 つのほうは、「がんの子供を守る会」のほうから、小児慢性特定疾患助成が切れる 20 歳以降の経済的支援など、署名に基づいた意見書がありますので、そちらも御覧いただきたいと思います。

 私が申し上げたいことは、大体お話いただいているのですが、最後に、今、生存率が上がっているがために、合併症が長期にわたって、また多岐にわたっているという問題があります。これは治療とか再発の問題のほかに、後遺症・合併症・保育・教育・就労・自立、そして、経済的なもの。自立支援です。そういったものに全部にかかってくる。生活領域から医療領域その人の人生全部にかかってくる大きな問題なのです。

 この問題については、今後ずっと重点課題であるべきで、小児がん対策自体もまだまだ始まったばかりで、マイナスからのスタートです。多くの希少がんの集まりが小児がんであり、小児がんの中にも難治性がんがあるということ。、小児がん、希少がん、難治がんをこれからもずっと重点課題にしていただきたいという気持ちがありますが、その中で、長期フォローアップというのは、大きな課題として、強い事業施策が必要だと考えております。

 あと、もう 1 つは、問題が非常に多岐にわたっているために、総合相談員というものが必要ではないかと思います。医療だけではなく、教育だけではなく、就労、福祉全般にわたって答えられるような、又は、采配できるような方の相談支援強化をお願いしたいと思っております。私からは以上です。

○門田会長 ありがとうございます。ほかにもまだいろいろ御意見があろうかと思いますが、そろそろ次に進みたいと思います。それで、もしここで発言漏れがあれば、事務局に直接のメールや、そのほかで送ってほしいとお願いしております。そのようにお願いしたいと思います。

1 点、今、いろいろなお話を聞かせていただいて感じたことは、我々が作ろうとしている基本計画というものと、それから、厚労省の下にある検討委員会で、その内容を具体的にどうするかという 2 点違った内容が、今日はいろいろ混同して出てきていると思いますので、少し御自分で整理された内容をお願いしたいと思います。我々がやっているのは、基本計画にどう書き込むかというのが一番大きなミッションなので、その内容の細かなことは、ほかのところでやるということがあっても、基本計画として何かが欠けているということがあってはならない。出たところは絶対に書き込まなければならないという観点で、また皆さん、御意見があったら寄せていただくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、引き続き、がん患者の就労を含めた社会的な問題について、事務局から資料 6 の説明をしていただき、その後、高橋参考人から、引き続き説明をお願いするようにしたいと思います。事務局、お願いします。

○がん対策推進官 それでは、資料 6 を御覧ください。がん患者の就労を含めた社会的な問題へのこれまでの対策について御説明を申し上げます。

 こちらは、がん患者の就労を含めた社会的な問題についても、第 2 期のがん対策推進基本計画から大きく施策が進んでおります。平成 24 6 月に出された第 2 期計画の中で、重点的に取り組むべき課題に働く世代や、小児へのがん対策の充実。分野別施策にがん患者の就労を含めた社会的な問題が追加されました。

 こうしたことを受けて、平成 25 4 月には、がん患者の就労に関する総合支援事業。治療と職業生活の両立等の支援対策事業。がん患者等に対する就職支援モデル事業といったものが開始されて、現在まで続いております。

 がん患者等に対する就職支援モデル事業については、全国展開を今、始めています。ハローワークが拠点病院と連携して行う、がん患者等に対する就職支援事業といったものが全国展開されています。

 また、平成 28 2 月には、事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインが公表されたところです。

 次ページです。 2 つ目のスライドですが、性別、年齢別のがん罹患者数です。御覧のとおり、がん患者の約 3 人に 1 人は就労可能年齢で罹患しているという現状があります。

3 枚目のスライドは、悪性新生物の治療のために仕事を持ちながら通院している者は、男性で 14.4 万人、女性で 18.1 万人と、合わせて 32.5 万人はおられるということです。

4 枚目のスライドは、がん患者を対象に調査を行った結果、がんの診断後、勤務者の 34 %が依願退職、解雇されている。自営業者の方も 13 %が廃業している現状があります。こうした背景の中、がん対策推進基本計画では、がん患者の就労を含めた社会的な問題に関する記載をしております。

5 枚目のスライドですが、取り組むべき施策として、がん患者、経験者の就労に関するニーズや課題を明らかにする。治療と職業生活の両立を支援するための仕組みについて検討する。患者が働きながら治療を受けられるように配慮する。また、事業者は、がん患者が働きながら治療や療養できる環境の整備。更に、家族ががんになった場合でも働き続けられるような配慮に努めることが望ましいとされています。

 こうしたことから、個別目標として、「がん患者、経験者の就労に関するニーズや課題を 3 年以内に明らかにした上で、国、地方公共団体関係者等が協力して、がんや、がん患者、経験者に対する理解を進め、がん患者、経験者と、その家族等の仕事と治療の両立を支援することを通じて抱えている不安の軽減を図り、がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指す」とされております。

 次ページです。こちらは、以降が、今、様々行われている事業です。 6 枚目のスライド2として、がん患者の就労に関する総合支援事業です。こちらは、がん診療連携拠点病院の相談支援センター等に、就労に関する専門家を配置しまして、がん患者が抱える就労に関する問題をくみ上げて、就労に関する適切な情報提供と、相談支援を行うことを目的としたものです。

7 枚目のスライドは、治療と職業生活の両立支援関係事業です。こちらは都道府県の産業保健総合支援センターなどの支援事業として、専門的な研修とか、相談対応、企業の個別訪問指導、それから、企業と労働者間の具体的調整を支援したり、治療と就労を両立支援センター等々と連携することによって、治療と職業生活を両立できるようなものを支援していく事業です。

8 枚目のスライドは、がん患者等に対する就職支援モデル事業です。こちらは平成 25 年度からハローワークに専門相談員を配置して、がん患者等に対する就職支援モデル事業を始めたものです。平成 26 年度は全国 12 箇所において実施し、平成 27 年度は、更にモデル事業の実施箇所数を拡充し、そういった対応を進めるとともに、事業主向けにもセミナーも新たに実施しているという事業です。

 平成 26 8 月ですが、がん患者、経験者の就労支援の在り方に関する検討会が開催されて、そこで出された報告書によると、がん患者、経験者とその家族の就労に関するニーズ、課題といったものは、それぞれある中で、やはり相談先が分からないと活用できる既存の制度、仕組みを知らないといった現状があり、そうした中で、就労支援の取組をより進めて、病気になっても人間らしく生き生きと働き、安心して暮らせる社会の構築を目指すべきとされたところです。

10 ページです。基本計画の中間評価の中では、その評価として、就労とがん治療を両立させるために、勤務先から支援が得られた、がん患者の割合いは 68.3 %、がん休職後の復職率は 84.5 %、がん治療のために退職した患者のうち、新規に就労した者の割合は 47.2 %という背景の中、更に推進が必要とされる者として、就労支援の一層の推進とか、医療機関と雇用、労働、関係機関、企業が連携した就労支援の充実というものが挙げられています。

 また、がん対策加速化プランの中でも、現状、平成 25 年がん患者の実態調査で、依願退職又は解雇された者の割合は、平成 15 年に比べて変化がないといったことから、やはり拠点病院等が相談支援センターを活用した相談支援とか、ハローワークや拠点病院と連携して実施する就職支援モデル事業の全国展開といったものが、実施すべき具体策として挙げられています。

 最後、 12 ページです。がん対策加速化プランへの提言においても、それぞれ医療機関、医療従事者に関する事項や、相談支援に関する事項、事業者に関する事項でそれぞれ就業支援、就労支援が位置付けられたところです。

 こうした中、平成 28 2 23 日に、「病気を抱える方の治療と仕事の両立と支援」に関するガイドラインというものが公表されました。こちらは治療と仕事の両立支援のために企業が取り組むべき環境整備とか、そういったところで、がんに関する留意事項といったものが示されているわけです。

 次ページです。治療と仕事の両立支援のための取組の進め方として、まずは労働者が事業者に申し出をして、主治医が意見書を作成し、その労働者が主治医の意見書を事業者に提出する。事業者は、産業医等の意見を聴取して、事業者が就業上の措置等を決定、提示する。両者で両立支援プランといったものを作るといったことが望ましい。こうした両立の仕方といったものを提示しているところです。

 最後に、がん患者等に対する支援事業として、ハローワークに相談専門医を設置する、その就職支援事業ですが、平成 28 年度からはモデル事業で蓄積した就職支援ノウハウや知見を幅広く共有して、全国実施、全国展開をするといった事業が始められたところです。

 私からは以上です。

○門田会長 それでは、引き続き高橋参考人からお願いします。

○高橋参考人 私どもは、平成 22 年度から継続して厚労科研の枠で、がんと就労というトピックに取り組んでまいりました。本日はこれまでの知見を踏まえて、社会的課題としての就労問題の特徴、これまでに明らかになった課題、更に 3 期基本計画に向けて必要と考えられる施策について述べさせていただきます。

 資料 7 を御覧ください。まず、社会的問題としての就労の特徴ですが、 3 点申し上げます。とにかく関与するプレイヤーが多いということです。フィールドは大別して、医療機関、職域、地域の 3 点がありますが、もし発症年齢が、まだ教育を受けている年齢であれば、学域も入ってきます。これらを全て統括する行政との連携も必要になってきます。フィールド内で、各プレイヤーがどのような役割分担を果たすのか、そしてフィールド内でどう連携するのか、更に非常にチャレンジングなのは、これらのフィールドを超えて外のプレイヤーとどう連携するのか、そこがもう決定的に重要なのですが、なかなかうまくいっていないという現実があると思います。

 就労の特徴の 2 番目です。複数の要因が関与しているということです。本人の就労力は医学的条件に加えて、心身の副作用の出方の個人差、あるいは周囲から得られる支援量の違い、更に職場要因である、職種、職位、その会社の就業規則、支援制度といった要因にも左右されます。ですから、同じがんや同じ治療を受けても、がん就労者の働き方の個別性が非常に高く、先ほど述べましたように、本人を取り巻くプレイヤーは多様であるだけに、状況がこれだけ多要因に影響されると、特定のプレイヤーから見える範囲が極めて限定的になるため、全体把握をするのがなかなか難しいという状況もあります。

 就労の特徴の 3 番目として、がん就労者個人を見た場合に、その就労力や対応力に個別性が大きいということです。就労力の落ち具合も、ほぼ以前並の就労力を取り戻せる方もいれば、落ちてほぼ症状が固定して、その現状で可能な働き方を検討しなくてはいけない方もいますし、現実的に様々な事情で就労が難しい方もおられます。ただ、本人が医療機関や地域でのサポートにつながれば、あるいは職場で適切な配慮があれば、一見就労が難しいと思われる場合でも就労力が改善する余地はありますし、実際にそのようなケースはあります。対応力に関しても、自力対応が可能なもの、あるいは少しの支援でいいもの、とても支援が必要なものと、いろいろな状況があると思います。

 次に、これまでに明らかになったことを述べさせていただきます。第 2 期基本計画で新たに「がんと就労」が取り入れられて、この 5 年間の進展でとても大きかったのは、都道府県行政あるいは患者支援グループ、様々な研究班などで、種々の実態調査が実施されたことだと思います。診断時の職場を離職したのは、調査によって差はありますが、おおよそ 3 5 人に 1 人という結果になっております。ここでは私どもの班のデータを示しますが、 2012 年のネット調査では 4 人に 1 人が離職、半数が所得減少、そして離職に至るハイリスク要因として、非正規雇用である方、産業医が不在あるいはプレゼンスの少ない職場で働いている方、そして扶養家族がいない方という結果も出ています。

2015 年に、国がん中央、愛知県がん中央、四国がんの 3 つのがんセンターの再来患者を対象として実施した調査では離職者は 2 割だったのですが、その離職タイミングを見ると、辞めた方の 4 割は治療が始まる前に辞めておりました。ですから、実際に治療と就労の両立にトライする前に仕事を辞めている。これは、本当に早期からの介入が必要だと改めて思いました。精密検査中も含めて、治療開始前から離職防止のアクションが必要です。「早まるな」という一言や様々な場所のポスター、あるいはメディア周知なども必要かもしれませんし、かかりつけ医の先生の関与も必要だと思います。

 次です。これも同じ調査で非常にショッキングなデータだったのですが、高額療養費制度、傷病手当金制度、医療費控除といった、みんなが使える公的支援制度の認知度と利用度が、これほど低いという実態です。せっかくの制度が活用されていません。しかも、治療対象者が公的支援制度を知った情報源は、自力あるいは家族が調べたとする回答者が多く、医療現場からの提供は低くとどまっています。

 これまでの進展の 3 点目です。このような課題が明らかになる一方で、この 5 年間に、がんと就労への社会的注目というのは明らかに高まってきたと思います。メディアがいろいろと取り上げる、患者支援団体や学会のシンポジウムが組まれる、ビジネスパーソン向けの勉強会が増える、都道府県行政による調査や研修などが行われるといった変化です。

 それから、企業の経営戦略における健康への注目、健康経営、 Diversity Management などのキーワードが非常に注目を浴びてきておりますし、私傷病体験があっても、働く能力がある従業員の活用が職場の活性化や労働市場での評価に結び付くという認識が、企業の経営層の間では急速に広まっていると思います。これは我々の医療者が考えるよりも、ずっと早い変化だと思います。それから、先ほどの御説明にありましたように、社労士、ハローワーク関係者の医療機関への配置が始まっています。しかし、配置されても開店休業という病院もあります。これはニーズの掘り起こし、そしてニーズがある方をいかに見つけて相談窓口に円滑に誘導するか、そこも重要になってくると思います。様々な冊子、書籍、支援サービスの増加は目に見える変化だと思います。

 続いて、第 3 期基本計画で検討すべき課題について、ここにザッと思い付くことを挙げてみましたが、様々な意見があると思います。がん就労者の支援のキーワードは「多分化交流」ではないかと思います。ふだん連携していない人たちがいかに連携するかということです。それから、ハイリスクがん就労者に向けた個別の支援の充実化、早期からの基本的対応が、事業場と医療機関の双方で必要であるということです。そして、進行中の施策の運営ノウハウの共有です。様々な新しい職種が病院の中に配置されるということは素晴らしいアイディアなのですが、隣の病院が何をやっているか、隣の労働局あるいは隣のハローワークが何をやっているか、そのあたりの具体的なノウハウ共有がこれからの課題ではないかと思います。例えばハローワークの就労支援ナビゲーターの方に向けた Q&A 集などは既にできていると思うのですが、それを受け入れる病院関係者側への Q&A なども是非必要だと思います。関連職能団体も非常に興味を持ってきておりますが、そういう団体との連携、更に医療機関における支援の充実も課題だと思います。がん治療と就労の両立が難しくなることの根底には、恐らく一般市民が、がんになったら動けないというイメージを持っていることもあるのではないかと思います。 2 人に 1 人ががんになると知っている市民は、私どもの 2011 年の調査では 1 割もおりませんでした。がんはまれで治りにくい病気だと、いまだに思われています。

 最後に、職域と医療機関のそれぞれで、どのような課題が必要かということを述べたいと思います。企業では、この左上の◇にあるようなアクションが必要で、既に実践している企業もありますが、その実践度は様々で、これらが円滑に実践できるようにする施策が必要だと思います。そのときのゴールは、がん就労者への対応だけでなく、周囲の従業員への対応、代替用員の確保、職務再配分も含めて、職場全体としてのパフォーマンスの維持が非常に重要になってきます。これが重要な経営戦略だということは理解されつつありますが、事業場が支援環境を整えやすくするようなコスト負担への配慮がとても必要だと思います。これは、特に経営余力のない中小企業に向けては重要ですし、具体的には、本当にこれはいろいろ考えねばならないことですが、ちょっと思い付くだけでも、企業が主治医から情報共有文書を得る際の金銭的な補助、休職中の従業員の社会保険料の補助、支援制度を持つ会社への助成などが考えられます。いずれも、がん以外の私傷病にも活用できるものです。それから、がん就労者への対応について、企業が個別の事例を相談できる受け皿が必要です。相談窓口として産業保健総合支援センターや地域窓口があげられますが、実際には企業にとって使いにくい状況もあります。相談回数の制限、個別事例に対応しきれていないなどの状況もあるので、やはり要改善だと思います。

 これが最後のスライドになります。医療現場の場合は職場と違って、やはり個々の患者さんに向けた対応になります。それから、正直に申し上げて、これだけ就労支援が大事と言われていても、多忙な医療現場では必ずしも優先順位は高くはありません。そして、たとえ拠点病院であってもその医療機関には多様性があります。疾病分布、マンパワー、その病院が使える地域資源は様々です。ですから、首都圏の High Volume Center でできるモデルを全国展開するということは非常に難しいですし、拠点病院の認定要件に「就労支援をすること」というのが取り込まれながらも、何をしたら病院で就労支援をしたと言えるのかわからない、どうしたら治療スタッフの協力が得られるのだろうかという切実な言葉が相談員からは聞かれます。医療者個人の支援力の向上と、医療機関全体としての対応力の向上の両方が必要になってくると思います。そして、企業と同様、対応の好事例や対応ノウハウの共有を推進する施策が必要ではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。ただいまのお二人の報告について皆さんの御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

○桜井委員 調査についてお聞きします。「がん就労者への支援 これまでの進展」というページがあります。この中で 2015 年に行われた調査に、治療開始前に離職が 40.2 %とあり、すごく驚く数字です。「この治療開始前」というのは、がんという診断を受けた後ということ、恐らく病理等で確定診断が出た後などで、がん診療連携拠点病院などがスタート地点と考えてよろしいでしょうか。

○高橋参考人 対象者が「診断を受けたときに働いていた方」という括りだったので、今おっしゃったとおりだと思います。そして、恐らくその前に辞めている方も大勢おられるのではないかと思います。

○桜井委員 分かりました。

 このデータについては、ほかにも幾つかお聞きしたいのですが、これは「前」とか「前後」となっているのですが、離職には社会保障制度の日数との関係が非常に重要だと思っています。これは何箇月とか、例えば傷病手当金の 1 6 か月後に退職されているのかとか、その辺りの数字は調査されているのでしょうか。

○高橋参考人 そこについては、タイミングを右に挙げたようなカテゴリーで聞いています。ただ、今、分析を進めているところなのですが、何年何箇月後ぐらいに辞めたかというデータは取っているので、離職までの時間について分析中です。

○桜井委員 例えば治療内容で、術前で chemotherapy をやる人たちは、私たちの調査だと離職率が高かったのです。そういう診断から最初の治療、最初の治療が手術なのか chemotherapy なのかでも違ってくると思うのですが、その辺りというのはいかがですか。

○高橋参考人 そこについては、最初の治療が手術か化学療法かについては聞いていないのですが、辞めるまでの期間の分析では、感染要因として、化学療法をやった方はやっていない方よりも早く辞めているという結果が出ていました。

○桜井委員 この調査の中では、つかめないということですね。

○高橋参考人 はい。

○桜井委員 もう 1 点です。私たちの調査でも同じような山が 2 つ出てきて、企業の規模や日数で具体的に拾ったので、後でお話はしますが、この治療開始前に離職された方というのが、私たちの調査はほとんどの方が非正規雇用の女性の方でした。これはやはり労働者派遣法なり何なりを変えていかない限り、難しいと思っています。「働け」といっても、契約があるので、これを「働け」といっても全国津々浦々まで、離職予防が実現できるとはなれないと思うのです。その辺の法制度改正について、どのようにお考えでしょうか。

○高橋参考人 正規雇用をベースにしていろいろな議論が進んでいると思うのです。非正規、自営、単身者がとても大変だということは言われながら、それではどのような施策が必要なのかという具体的なところが、まだ話し合われていないと思います。ですから、 3 期では本気でそこに取り組まなくてはいけないのではないかと思います。非正規だけではなくて、自営も本当に切実ですし、サポーターがいない単身者についても、とても大事だと思います。

○桜井委員 そこは私のほうで調査はしているので、後でお話させてください。

○馬上委員  2014 年の小児がん経験者に対する社会的偏見の実態調査の中では、企業では面接官や管理者の判断によるとする割合が有意に多い、そして書類審査で不合格とすると答えた学校が 2 施設で 1.8 %、企業が 5.4 %見られたということです。就労する前に門戸を閉ざされてしまうことに関しては、高橋先生はどのように思われていますか。

○高橋参考人 あってはならないと思っています。実は、昨年から今年にかけて、「初めての就活プロジェクト」というインタビュー調査を実施しました、対象は 14 名で、 8 割が大学を出ていましたが、その方々が初めて就職活動に直面して、どのような体験をしたかというインタビュー調査です。

 就活場面でカミングアウトするかどうかについて、彼らはいろいろな戦略を使っていました。相手を見て、この人たちが自分の小児がん経験をポジティブに捉えてくれると感じられるときには、自分がいかにそこからいろいろなものを学んだか、そこを自分のアピールポイントとして強調している。その一方でがん体験を伝えたときにネガティブな経験をする方もいるのですが、それは大卒で一般就職を目指すような条件のいい方々でさえ、そういう苦労をしているということですから、これは本当に就活場面での差別撤廃が必要になると思います。

○大江委員 抗がん剤治療をしながら仕事をされている方というのは、そんなに少なくはないかなとは思うのです。それで、実際に病院に行って抗がん剤治療をするには、 1 日仕事を休まないと駄目なのですが、例えば夜間透析のような形で、夜の時間帯に抗がん剤を受けたいとか、週 1 日でもそういうことができれば便利かなとは思うのですが、がんセンターなどで実際に通っている患者さんに伺うと、余りそういう要望は高くないようなのです。全体的には、そういう要望は余り高くないのですか。

○高橋参考人 本当にこれはいろいろな意見はあるようなのですが、皆様の意見をいろいろ伺うと、企業には昼間にしっかり通院時間を確保できるぐらいの対応をしてほしい、それが大事なのではないかという意見もあります。もちろん、日中の通院時間確保なかなかできないときに、夜間に対応できるような相談があるのも使えるという意見はあります。

 ただ、夜の選択肢を増やしたから、昼間に職場を抜けにくくなるということがあってはいけないわけですし、もし週末や夜の選択肢を増やすのであれば、治療は安全に実施されなくてはいけません。また、診療時間を延ばす病院のスタッフの働き方も考慮しなくてはいけないと思います。

○桜井委員 私どもの所でも患者さんに調査しているのですが、平日の夜間は放射線を希望される方が多いです。放射線というのは、受付から会計までで、ほぼ 30 分ぐらいで終わります。 1 か月弱の通院をするのが、非常に就労支援に非常に響いてきますので、平日の夜間に拠点病院でなくて近くのクリニックでいいと思うのですが、放射線外来を開けてくださいというのは非常に多いです。

 平日の夜に抗がん剤治療というのは、夜の遅い時間に帰ってきて、翌日に副作用等が出る可能性もありますので、患者としては土曜日の Oncology Center の開設を希望される方はいらっしゃいます。

 ただ、私たちも心配しているのは、がんと就労という話をしたときに医療者の就労問題はどうなるのだというところは非常に気になっておりまして、負荷が掛かってはいけないと思っています。

○門田会長 そのほかにいかがでしょうか。

○田中委員 読売新聞の田中です。私どもは「医療ルネサンス」という連載で、 5 年前に「がん共生時代」という企画の中「働く」という連載をしたことがあります。そのときに、契約社員の女性が乳がんになって 1 か月休職した後、契約の打切りを通告されたとか、大腸がんで人工肛門になった女性が就職活動をしているときに、「そういう人は雇ったことがない」と門前払いされたといった話がたくさんありました。今、そういうことがどのぐらいあるか分かりませんが、いまだに同じようなことはあるのだろうなと思います。

 就労支援は、患者と企業の双方にやっていかなければいけないと思います。患者のほうは情報を求めてくるので、そういう方にはきちんと対応することが大事だと思いますし、相談や情報を求めてくる企業に対してはアプローチしやすいと思いますが、全く関心がない企業もたくさんあると思うのです。

 厚労省に伺いたいのは、そういう全く関心のない企業に、どのような啓もうや支援の手立てがあるのか、ということです。どういうことが行われているのでしょうか。

○職業安定局首席職業指導官室 事業主の方への周知啓発ということですが、資料 6 の一番最後に「がん患者等に対する就職支援事業」の中で、昨年度から病院等と連携して、事業主等向けセミナーを実施しております。興味を持っていただいている事業主からは積極的に参加いただけると思うのですが、そうでない所に対して今後どのようにしていくのかというのは課題だと思っておりますので、今後どのようにすれば、効果的に事業主の方に広く啓発できるのかということについては、考えていかなければいけない課題だと考えております。

○高橋参考人 このテーマに取り組みながら最近実感しているのは、企業からの講演依頼、研修依頼が急激に増えているということです。それは 2 月の企業向けガイドラインの発出も影響しているとは思うのですが、それ以前から感じていた傾向です。がん就労者への対応が細やかな会社は、それを当たり前だと思ってやっているので、自分たちが好事例だということを必ずしもアピールなさらない。しかし、同業他社が具体的にどのように対応しているかということは、多くの方が興味を持っているところです。広島県では、「チームがん対策ひろしま」という活動に登録している企業が、自分たちの支援制度や対応のノウハウをお互いに共有する研修会を実施しました。ふだん、企業が自社の支援制度の詳細を外に出すことは多くないものですが、登録企業限定で共有するということとして、支援のノウハウについて、かなり腹を割って話し合うような研修を実施していました。

 これは医療機関に対しても同じことが言えるのですが、自分たちが今、持っているリソースの中で、どこから何を変化させられるのかアクションプランを考えるような研修、そして類似の背景を持つ他の病院が何をやっているのかを学ぶ研修は、今後とても可能性があるのではないかと思います。

 もう 1 つです。やはり就労支援というテーマは評価がとても難しいと思うのです。短期間にはなかなか変化が出ないものの、実感として関係者は何かが変わっているということを感じていると思うのです。ですから、患者調査にしても企業調査にしても、代表性がある大規模なサンプリングの調査で、定点観察のような形で、実際にさまざまな支援制度を有する割合や、公的支援制度の認知率などを地道に追っていくことは必要だと思います。

○山口委員 本日、提出させていただいた「がん患者の就労を含めた社会的諸問題」というパワーポイントの資料を御覧ください。がん対策推進基本計画をまとめるという視点に立ちますと、今まで日の当たらなかった所について一生懸命議論し、書き込むことは非常に大切であることは申すまでもないのですが、一方で、今、日が当たっている部分について、将来それを継続してやっていけるのかという問題も、この協議会はしっかりと押さえておかねばならないと思います。そういう観点で、簡単に申し上げます。

1 ページの下です。「がんの社会学」ということをやってきまして、河合隼雄先生との対談でできあがった言葉ですが、「医学は科学、医療は物語」。この「医療」という言葉の「医学」とは違うニュアンスを、是非協議会の中でも議論していく必要があると思います。行政、社会が、昔とは違って、大きな役割を果たしています。

 次のページです。がん対策の全体像は、以前、お話をしました。 20 万件のデータベースをもとに、がん患者、家族の悩みや負担について、科学的評価ができるように静岡分類というものを作り、全てをこれで分類しながら議論をしています。それをまとめると、次のページの上です。 4 つの大きな柱、 15 の分類に分けられます。「診療の悩み」「身体の苦痛」「心の苦悩」「暮らしの負担」が4つの柱です。

 実は、現在のがん対策推進基本計画の説明のために厚労省が出した概要に、似たような図があるのですが、出典が C.D. ソンダースの『がん終末期患者の苦痛』から取っているので、 1 つ大きな柱が抜けています。それは上の図に黄色で描いた「診療の悩み」で、実は一番多い悩みです。終末期患者を対象とした研究では、患者さんの闘病期間が長く、「診療の悩み」はすでに解決しているのです。しかし、診断直後の患者さんでは「診療の悩み」が大変多い。そこで、次期推進計画では「診療の悩み」への対処が必要だと思います。

 就労については、 2003 年の時点で、私たちが最初に指摘させていただいて、就労問題に日が当たってきたのですが、その責任も感じており、静岡がんセンターではかなり力を入れてやっています。

2 つのシステムがあり、 2011 4 月から独自のプログラムが、また、 2013 年からは先ほど御紹介があったモデル事業、この 2 つのプログラムが走っています。最初のほうは小規模ですが、 16 件のうち 5 件で就職が決まりました。その後、 3 名は離職となってしまいましたが、死亡された方、再発された方が中心です。修飾が可能となった方々は大変生きがいを感じておられました。

 一方でモデル事業のほうは、相談件数は 714 件で、大体 1 4 回ぐらい相談しておられるので、実人数はこの 4 分の 1 ぐらいです。病院の窓口にお見えになる方のほうが多いです。しかしハローワークに振りますので、その相談件数はハローワークのほうが多いという形になります。

 その下が、過去の数年間の経験を基に、あるいは今まで言われてきた調査の結果なども含めて、静岡がんセンターとして実施している就労支援の工程表です。この一番左端のさらに前の時点で、初診でお見えになった患者さん全てに、「がんになったからといって離職しては駄目です。もし離職したいという気持ちが起こったら、相談支援センターに来てください。一緒に考えましょう」ということを言うようにしています。それがスタートです。

 もう 1 つは、多職種チームでの対応が必要だということは間違いありません。

 また、私の場合は拠点病院の意見になりますが、拠点病院での就労支援の業務を明確に定義付けておく必要があると思います。離職後の再就職に関しては、病院長クラスの多くの先生が、「がん診療に集中せねばならないのに、なぜ、病院が再就職の世話をしなければならないのか」という反応を示されます。一方で、離職防止と両立支援は病院の役割だということについては、ほとんどの医療関係者が納得されます。ですので、相談支援センター、拠点病院について書き込む場合、再就職に関してはハローワークへの紹介の窓口になると。一方で、離職防止、両立支援に関しては、積極的に病院や相談支援センターが対応するといった仕分けをする必要が、計画上はあるのではないかと思います。

 「がんの社会学」という先ほどの図の中に、次期推進計画で取り上げるべき項目を自分なりに考えていますが、それを図に貼り付けてみますと、特に赤で書いてある部分が社会の関与が必須なポイントです。ですので、こういう問題について議論をしていく必要があろうかと思いますが、右下の「社会」と書いてある 3 つほどの問題について、最後にまとめてみました。

1 つは高齢者のがん医療です。罹患年齢で見ると、 64 歳までが 30 %、 65 74 歳が 29 %、 75 歳以上が 41 %になります。高齢者のがん医療という定義について、最初の頃に私が繰り返し申し上げたことがあるのですが、一般に言う 65 歳としてはならないというのが、この図から見ても明らかだと思います。一方、 75 歳以上になってくると併存疾患が、認知症を含めて増加します。それから、治療への耐容性が低下します。また、この年齢を対象として確立された標準治療はほとんど存在しませんし、臨床試験の対象にもなっていません。がん検診についても年齢についての議論があります。そして、老々介護、あるいは独居という形での社会的弱者が多い年齢層でもあります。従って、高齢者がん医療に関しては、各学会に対し、主に 75 歳以上の高齢者のがんについてどういう診療をすべきかという指針作りをお願いすべきと思っております。静岡がんセンターでは、各診療科が検討を始めていますが、やはりしっかりしたエビデンスを求め、指針作りを開始すべきと考えます。

 最後に、今、話題になっている高額薬剤の問題です。いろいろメディアでも報道されていますが、静岡がんセンターという一病院で、薬品消費額の推移を見たものが、この図です。免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボが現在承認されていますが、メラノーマの承認の段階ではほとんど影響は出ていません。ところが、昨年の 12 月に非小細胞肺がんに適応が拡大してから一気に増えています。直近の半期の統計では、 1,202 品目の中の 1 品目だけで 12 %を占めるという状況になっています。実人数は 100 人程度ですので、 0.3 %以下の患者さんに 12 %の薬剤費が使われているという状況が生まれています。

 右下に小さな字で、「薬品消費額ベスト 5 」と書いてありますが、全て分子標的薬で、これだけで 28 %を占めますので、以前から指摘されていた問題ですが、高額薬剤に関する問題については今後しっかりとした議論が必要ではないかなと思いますなぜなら、こういう問題のしわ寄せが、最終的には多くのがん患者さんに及んでいく可能性があるからです。

 最後のスライドです。免疫チェックポイント阻害剤の使用予測です。現在、メディアで報道されているのは少々過大に報道されていると思います。私どもの診療実績、実態を基に試算してみますと、今言われている金額の大体半分ぐらいなのではないかと思います。 7,900 億と 680 億で、年間が 8,580 億程度ということになります。

 これも報道では余り指摘されていないのですが、国の負担とともに、年間 3,500 万のほとんどが高額療養費制度でカバーされますから、最初に影響が及ぶのは市町村、県、あとは企業関係の保険組合ということになります。

 冗談ですが、ある市長さんは、これからオプジーボの使用に関しては医者ではなく、市長が決める。その市への貢献程度で判断すると話されました。いずれ、全てのがん患者にかなり大きな影響が出ている可能性があります。

 この問題については、大江委員をはじめ、肺癌学会の皆さんが使用基準を作っておられます。全ての高額な薬剤について、より厳格な使用基準を明確にし、また、有効性の判定のための、バイオマーカーを明確にするというようなことを、協議会の問題ではないかもしれませんが、申し上げておく必要があると思っております。

 今後、「費用対効果の評価」が使われることになると思うのですが、 TPP などが適用されるようになると、非常に難しい問題を孕んでくると思いますので、看過できない社会的な諸問題の 1 つではないかと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。今回、就労を中心としたテーマで協議がなされたと思うのですが、第 3 期に向けては、患者の生活面や経済面における社会全般的な支援の検討をもう少し深める必要があるなと考えます。そこで 2 つありまして、今回、連名で意見書を提出させていただいたものの中の、特に 8 の「生殖機能等に関する情報提供包括的支援の検討」という所を御確認いただきたいと思います。

 生殖医療に関しては大分進んで、技術が進歩していると認識しています。これが無秩序に広がることを防ぐために、今、恐らく日本がん治療学会のほうでガイドラインを作成いただいていると思うのですが、こちらも併せて配慮して検討しつつ、やはり患者の利益を守るということを大前提に置いて適正なものであるかというところと、患者の意見を考慮し加味していただきたいです。

2 つ目なのですが、高橋参考人にせっかくいらしていただいたので、今回の資料の中で、就労を中心に現状と課題をお示しいただいているのですが、社会全般的な支援、生活面や経済面というところに関して、是非、認識されている課題を共有していただきたいと思います。

○高橋参考人 社会経済的な課題、あと、生活面の課題も本当に、サバイバーシップとは要するに、その後を生きていくこと全てなので、全て入るのだと思いますが、やはり、社会的な問題にいろいろ取り組んでみて、いつも通奏低音のように根底に流れていると感じるのは、社会における偏ったがんイメージです。一度がんになってしまったら、たとえかなり状況が良くなったとしても、何かレッテルが貼られているのではないかと。そこへの対応は、やはり今後考えていくべきではないかと思います。

 例えばソーシャルメディアなどを使った HIV やがんのイメージ改善プロジェクトなどが海外にはあるようですが、さほど効果は上がっていないようです。要するに、私たちの心の中に何があるのかということだと思うのですが、これも車の両輪で、社会のがんイメージが先に変わったら、いろいろなものが変わる部分と、逆に、「あ、意外と働けるんだ」「意外とちゃんと社会生活を送れるんだ」と気づくことから二次的にがんイメージが変わっていくという両方あると思います。すみません、抽象的な話になりましたが、やはりがん偏見の問題は根深いということを申し上げたくて発言しました。

○桜井委員 本日の議題、小児がんについてと、もう 1 つは、がん患者の就労を含めた社会的な問題ということで、私たち患者委員のほうでは、患者委員というか協議会の委員 5 名で、先ほど難波委員もおっしゃいましたが、社会的な部分という形で提言を全てまとめてきました。意見に関しては就労だけではありません。全てを含んだ形、つまり、サバイバーシップ支援をしてほしいということでまとめてきました。

 でも、時間がだいぶ押していますので、重複する部分は外しながらお伝えします。意見として挙げているのは、今、 10 項目あります。この調査、意見をまとめるに関しまして、私の団体のほうでは、まず、就労しているがん患者さんが 300 人、配偶者の方、中小企業の経営者 ( 個人事業主 50 人含む ) 、御遺族の方、その他含めて 3,000 人以上のがんの患者さんのアンケート調査を行っております。その結果を踏まえて、この 10 個の意見を出させていただくということを、まず最初にお伝えしたいと思います。

1 ページです。まず「課題」の部分です。この辺りも端折りながらお話はしますが、第 2 期のがん対策基本計画が策定されて 5 年です。様々な事業が実施されてきていますが、まだまだ地域差もありますし、患者家族には届いていないと思うのが現状です。この辺りについても、是非、今の事業が本当に手に届いているのかというようなことを含めて、是非サバイバーシップの視点から検証をしていただきたいと思っています。

 というのは、どうしても再就職率や、働き続ける率などがゴールになっているのです。患者としては、それよりは、どういうふうに満足して仕事を得ているのか、どういう生き甲斐を持って仕事をしていくのかというものが大変重要で、これこそがサバイバーシップだと私たちは思っております。ですので、今回、ハローワーク等でも把握されている人たちのその後の人生というものを、是非、検証していただきたいと思います。雇用率がどうなのかだけではなく、その就労が続いているのか、御本人は満足されているのか、給与がほかの方と比べて標準的な給料をちゃんともらえているのか、こういう話も含めて、是非一度、今ある事業を検証していただきたいと思っております。

 それから、中小企業の経営者の方なのですが、私どもの調査では 61 %の方が、がんと仕事の両立が困難と答えておられました。この理由は、「事業規模からして余裕がない」が 76.2 %、「仕事量の調整が難しい」が 34.4 %、「がん経験者をどのように処遇してよいか分からない」と続いています。私も、私の隣にいる勢井さんも、患者アドボケートであると同時に、企業の経営者です。この気持ちはとても分かります。この中小企業経営者の人たちが、では、病状の説明というものをどういうふうにもらったかという部分ですが、「口頭による説明」が 82 %、「医師による診断書の説明」が 36 %、「本人が書類を使いながら説明してくれた」というものが 10 %、これに対して、理解度が 90 %以上なのです。要は、「言ったことは分かりましたよ」ということから、治療計画も、あなたが言っていることもよく分かりますけれども、事業の規模からして多様性をなかなか生み出せないのが中小企業の現状。規模からしても、やはり、対応できるだけの経済的な余裕、のりしろがないのですよというのが中小企業の現状だと思っております。

 それから、この調査のときに、ちょうどガイドラインが出たところでしたので、課題になっているガイドラインの普及についてどのようにお考えですかということも聞いております。出てきた一番の項目は、企業側から情報提供書、要は就労に関する情報を提供するというようなことになっていましたが、 53.2 %の企業が、これに対して費用を補助してくださいということを言われております。続いて、「共通のフォーマットの提供」、これはできるかと思っています。「執筆代行・仲介者のヒアリングによる提供書の作成」、これはほぼ中小企業では、多分私の会社もそうなのですが、私が書くことになると思います。人事がそれほどしっかり付いている中小企業はなかなかないと思いますので、恐らく、雇用主と人事総務の人間が一緒になって書くと思うのです。正直言って、これは非常に負担です。ガイドラインに記載がある、この就労情報の提供について、ではこの費用を誰が負担するべきか、「国が負担すべき」が 40 %です。補助する金額は 2,672 円は欲しいということです。この後の、就労支援プランの策定の費用は除いてということになります。これだけの費用をもらえれば私たちは情報提供しますよという、こんなことも出てきていますので、やはりガイドライン等々を広めていくということが今後の課題であれば、この辺りの制度設計、広め方についても併せて検討していかないと、ただ本棚に置いてしまうだけのような、本当にがんと就労を頑張っていただきたいところが付いてこないという問題があるかと思います。

 もう 1 つ大きな問題になるのですが、これはハローワークの方に是非お願いしたいところなのですが、私たちも電話相談をしていて、例えば体を使う、非常に体力を使うようなお仕事をされている方が、体力が低下して働き方を探すときにキャリアチェンジ、すなわち、職業訓練校の活用というのは非常に重要なのです。ところが、職業訓練校は 2 割休むと退学になります。ですので、がんの患者さんはほとんどの方が面接で落ちているのです。つまり、働きたいという意欲がある、今の仕事では難しい、だからオフィスの仕事ができるようなこういうものを習得したいと考えて、意欲も持っていらっしゃるのですが、そこにもたどり着けていないというのが現状です。私はハローワークの方に対しては、病院のほうに行って職業紹介をするだけではなくて、職員です。離職して一番最初に行く場所がハローワークですので、ハローワークの職員に対する研修も行ってほしいです。中小企業経営者の方が、職員でがんの患者さんが出たときに相談する相手が、社労士とハローワークだったのです。産業保健センターは一切使っていません。こういうところもすごく問題です。産業保健センターは全く使われていないのだということも分かっってきましたので、こういう既存リソースをもっと広めていくようなところも、是非やっていただきたいですし、職業訓練校の受講等々に関しても、推薦状の発行だけではなくて、体力に応じた通学が可能になるよう、休学に関する配慮通知状のようなものも発行していって、つまり、今あるリソースをもっと拡大していっていただきたいということを強く求めたいと思います。

 また、先ほど高橋参考人のほうからも発表がありましたが、診断直後にやめている方は、恐らく、がんの告知、診断を行っているこの時点からやめられている方も含まれているのではないかということです。これは一般的に、検診の実施機関でしたり、一般の病院、つまりプライマリーケアの医師といった所で、がんの診断を受けていたりするわけです。ですので、がんと就労というのは、拠点病院のみならず、こういった検診の機関とも、やはり啓発を連携していかないと、なかなか難しいのではないかと思っております。

 また、企業によっては今、時短勤務、ワークシェア、それから消失した有給休暇の再利用、これは就業規則に書込みがないとできないことなのですが、こういう様々な取組をされています。取組をされている好事例を集めるだけではなくて、国が是非これを表彰していただきたいと私は思っております。これは、以前の就労の検討会のときにも言わせていただきました。一番うまくいっている事例が、恐らく、子育て支援事業です。くるみんやプラチナくるみんということが出てきました。やはり、好事例をやるということは企業にとっては投資なのです。投資に対して、やはり表彰というようなものがないと、なかなか両輪が回っていかないと思っています。まず、これが 1 つ目です。

 端折っていきますが、 2 つ目が支持療法の徹底です。がんの患者さんが辞めている理由の第 1 位は何かというと、術後の後遺症、副作用、体力の低下です。これは付属に資料が付いているかと思いますので、そちらを見てください。これが原因で辞められる方が非常に多いにもかかわらず、がんの患者さんに、「御自身が受けている治療は何ですか」と聞くと、薬剤名等を答えられないがんの患者さんが非常に多い。最近の治療の内容等については非常に、免疫チェックポイント阻害剤等々も出てきて、複雑化してきていることも現状の 1 つでもありますので、栄養管理やリハビリテーションという視点も含めて、患者力を是非上げるような IC をしていただきたい。それから、副作用支持療法を徹底させるためにも、アピアランス支援センターの設置、生活情報センターの設置といったものも是非行っていただきたいと思います。現状は国立がん研究センターで医療従事者向けアピアランス支援研修をやっていますが、研修会は 3 時間で満杯です。医療者の方たちはこれを本当に受けたいと言っていても、開催回数がないのが現状です。しかも、患者はこれを原因にして離職されているということから、私は、病院が行うべき就労支援は、病院のリソースを生かした就労支援だと思っております。

3 番目は、先ほど来、高橋参考人からも出ていましたが、では誰が、主治医がやるのか、就労もやるのか、子供のこともやるのか、何をやるのかと、非常に今は相談支援センターにいろいろな情報が集積してきています。これも人を増やさないと限界だと私は思っております。そう考えたときに、患者が一番落ち込むのは外来の通院中、この間に再発の告知など、しんどい決定をしていかなければならないのですが、外来の看護師と私たちはほとんど会うことがありません。外来の看護師の配置基準は昭和 23 年から 1 30 のまま全く変わっていないという現状があります。これを変えていくのは、ほかの疾病に関しても影響が出てきてしまいますので、是非、コーディネート役を果たすような看護師というものを人材育成と同時に広げていく。外来にも立ち会えるような整備体制、あるいは、退院時のカンファレンスというようなものを、がん診療連携拠点病院の指定要件の 1 つとしても入れていっていただきたいと私は思います。そうした点からは、今、緩和ケアセンター、緩和ケアチームというようなものが動いており、この中の看護師が外来にもリンクナースとして動くというようなことも提案されていますので、是非こういった、ほかの検討会で提案されていることをきちんと外来にもつなぐような提案を、この中には盛り込んでいっていただきたいと思っております。

 また、患者力を上げるという意味では。

○門田会長 少しまとめていただけますか。

○桜井委員 はい。山口参考人がおっしゃられていたように、相談支援の内容のほうのアルゴリズム化や患者教室などもやっていただきたい。それから、ピアサポート養成プログラムもずっと置きっ放しになっていますので、これもやっていただきたいと思います。

4 番目が、関連法制度の整備です。これは、患者調査でも中小企業の調査でも一番多かったのは、 2 「時間単位でも取得可能な分割型の傷病手当金制度」です。それから、「がんの患者さんに対する助成金の交付」。それから、「子育て支援並みの社会保険料の負担の軽減」という話が出てきているのです。これは「加速化プラン」のほうでも、「医療に関する社会保障制度の在り方検討会」というものを別途設置してほしいということを私も進言しておりますので、是非、この法制度の部分、がんと就労を根本的に解決するには私は法制度整備しかないと思っておりますので、是非この部分をやっていただきたいと思っております。

 それから、配偶者です。配偶者も離職をされています。これは小児がんの方も同様ですが、配偶者の就労関係には 2 割の方が影響が出ていまして、ほとんどの方が有給休暇や欠勤で対応されており、 100 人に 1 人程度は家族の方も介護離職、就労離職をされております。この問題は非常に大きいのです。健康な方が離職されるということになってきますので、この辺りも、介護保険制度を含めての法制度改正を、やはり、是非検討していただきたいと思っております。

○門田会長 桜井委員、申し訳ないのですが、時間がございませんので、もう少し簡略してお願いします。

○桜井委員 分かりました。 5 番目は「経済的支援策の検討」という部分です。これは、先ほど来、出ておりましたが、離島や山間地域、あるいは、小児の通院等々に関する補助、それと同時に、患者申出療養制度が始まっています。こちらの検討の会議の中でも、申出を行うまでの費用負担あるいは制度利用のときの費用負担が課題になっています。こういうことを考える上でも、キャンサードラッグファンド等々の基金の立ち上げや、均点化なのか何なのか、その辺りの検討を、是非一度していただきたいと思います。

 ほかには、大人へのがん教育の推進というようなこと。それから、これは小児がんの所にも出ていましたが、サバイバーシップ研究というのは、やはり私たちはもっともっとしていただきたいと思います。サバイバーシップ研究がないと、障害年金、障害者手帳があっても、そこへたどり着けていないのが現状ですので、是非こういった研究も引き続きやっていただきたいと思います。

 先ほど難波委員のほうからもありましたが、 8 番目の生殖医療の部分です。これは AYA 世代、小児にも関係するということでしたが、実際に公費助成の対象になっているのは女性の場合は 42 歳までです。男性の場合は射精ができる可能な年齢となっていますので、これをどこの分野でやるのかということも考えていただきたい。ただ、この中で 2 点お話するとしたら、やはり経済的な支援の部分と、相談窓口の支援です。この 2 つについては是非、今後検討していただきたいと思います。

 もう 1 つ、ゲノム医療と関係します、先ほども小児がんの所で出てきていましたが、遺伝子変異陽性者に対する社会的不利益の擁護です。こちらはやはり、研究を推進していくという上でも、米国のジーナ法や、英国の ABI 法、生命保険の協定なのですが、こういうものに対する被験者保護というようなものを是非やっていただかないと、家計全体に関わることですので、この社会的な不利益の検討というのは、やはりサバイバーシップの根幹なのではないかと思っております。

 一番最後です。医療情報に関する部分です。これも難波委員のほうからもずっと言われていましたが、現状、多くの患者はやはりインターネットから検索をしています。私も本日、 Google で「がん治療」と検索しておりましたが、 0.53 秒で 2,320 万件のものが出てきます。このうち、科学的根拠がないものは 12 個、あるものが 1 個、公的な機関が 3 個しかありません。こういう現状を鑑みて、やはり学会による情報発信の認定ロゴマークの配付や、国立がん研究センターによるがん情報サイトに、注意喚起情報の発表や、若しくは、医業広告ガイドラインで規制内容の再考と規制強化、遵守徹底というものを行っていただきたいと思います。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。 30 分も超過してしまいましたので、ほかにも御意見はあろうかと思うのですが、いつも申し上げているように、もし発言したかったことが残っておれば、事務局のほうに、今週一杯でまとめには大丈夫ですか。

○事務局 はい。

○門田会長 今週中に事務局に届くように送っていただきたいと思います。

 本日は 2 つの具体的なことについての意見を頂きました。いろいろな意見をたくさん頂いたわけですが、これをだんだんとまとめていく方向性を検討していかなければならないということです。先ほども途中で言いましたように、内容的に細かいことではなくて、抜けていること、絶対にここは漏らしては困ることということはないようにしたいというのが基本的な考え方ですので、そういうことがあれば届けていただきたいと思います。

 本日はこれでお開きにしたいと思いますが、事務局のほうから連絡事項があればおっしゃってください。

○事務局 次回の協議会の日程及び議題につきましては、調整の上、委員の皆様に御連絡させていただきたいと思います。また、机上資料のうち、こちらの参考資料のファイルにつきましては、事務局で回収いたしますのでお持ちにならないようお願いいたします。以上でございます。

○門田会長 それでは、本日の会議はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

健康局がん・疾病対策課

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