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2016年6月29日 医療保護入院等のあり方分科会 第3回議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成28年6月29日(水)16:00〜18:00


○場所

東京都千代田区霞が関1−2−2
厚生労働省 講堂(低層棟2階)


○出席者

岩上構成員、江藤構成員、太田構成員、柏木構成員代理(田村氏)
吉川構成員、久保野構成員、山本構成員、澤田構成員、白川構成員
千葉構成員、中原構成員、平田構成員、本條構成員

○議事

○山本座長 それでは、定刻となりましたので、只今より「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会第3回医療保護入院等のあり方分科会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 まず初めに、資料の確認と本日の出欠状況について事務局からお願いいたします。

○占部課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 資料1は、「都道府県・指定都市への調査結果について」でございます。

 資料2は、「今後議論すべき論点について(案)」でございます。

 資料3は、「参考資料」でございます。

 あわせて、机上にお配りしておりますのは、本検討会における皆様からご意見の概要を整理させていただいた資料でございます。今後の議論の参考のために用意したものですので、適宜ご参照いただければと思います。

 以上について、足りない資料がございましたら事務局までお申し出いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 次に、本日の出欠の状況ですけれども、野沢構成員より欠席のご連絡をいただいております。また、太田構成員からはおくれて出席との連絡をいただいております。

 本日は、構成員の代理として1名の方にご出席をいただいておりますので、ご紹介申し上げます。

 柏木構成員の代理で、公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長の田村綾子さんです。

○田村氏 田村です。よろしくお願いいたします。

○占部課長補佐 事務局からは、以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、まず、事務局から、都道府県、政令指定都市に対する調査を行ったとのことでございますので、その結果について、また、これまでの議論を踏まえた今後議論すべき論点の案を作成してもらいましたので、これらについて、それぞれ説明していただいた後、全体についてご議論いただく予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、資料について事務局より説明をお願いいたします。

○占部課長補佐 資料1「都道府県・指定都市への調査結果について」でございます。

 2ページをご覧いただければと思います。

 今回、平成25年の精神保健福祉法改正による影響を把握するため、都道府県、政令指定都市を対象としたアンケート調査を本年3月から6月にかけて実施をしておりますので、その結果の概要についてご報告をさせていただきます。

 3ページをお願いいたします。

 医療保護入院の件数の推移についてまとめております。これにつきましては、平成25年度から27年度の3カ年につきまして、4月から6月の第1四半期の数値を集計しております。

 この表を見ますと、医療保護入院の全体の件数ですけれども、改正法施行前の平成25年度と改正法施行後の平成26年度を比較しますと、全体としてはやや増加している状況でございます。

 なお、旧制度につきましては、資料の※3のところにありますけれども、旧法第33条第2項に基づく保護者の選任がない場合等の4週間に限った入院制度につきましては、数字を除いて計算をしております。

 個別に見ますと、市町村長同意につきましては、改正法の施行前後で減少していることがわかるかと思います。他方で、旧制度の保護者による同意と現行制度の家族等同意の件数を比較いたしますと、同意者の対象が広がったこともございますので、全体としては件数がふえていることがわかるかと思います。

 内訳の違いはございますが、改正法の施行によって、医療保護入院の件数の推移自体については大きな影響は出ていないということかと思います。

 4ページでございます。

 精神医療審査会の実施状況ですけれども、審査会で審査を行う単位請求等の各種の手続につきまして届出数及び平均処理日数についてまとめたものでございます。手続によって多少異なる点はございますが、平均するとおおむね30日程度で処理をされているという結果となっております。

 なお、前回の分科会におきまして、審査件数に対してどの程度現状を変更する審査結果となっているのかというご指摘がございましたが、これについて、これは今回の調査結果によるものではありませんけれども、資料3の参考資料の27ページ以降に関連する資料をおつけしておりますので、後ほど適宜ご参照いただければと思います。

 5ページ、医療アクセスの観点から、現行法の34条に基づく移送も含めまして整理をしたものでございます。

 上から順に、家族等の依頼により保健所において診療支援計画を作成した数、そのうち、実際に訪問指導を行った数という形で順に記載をしております。医療アクセスという観点からいいますと、家庭訪問の検討から一定の割合で受診あるいは入院に結びついている、そのうちの一部に34条の移送によって入院となっているケースがあるという構造になっております。

 資料1については、以上でございます。

 続きまして、資料2をご覧いただければと思います。

 これまでの検討会及び分科会でのご議論を踏まえまして、事務局において今後検討を進めていくに当たっての論点としてたたき台の案をお示ししております。本日は、こちらについてのご意見をいただければと考えております。

 論点の項目としましては5項目を挙げておりますけれども、1ページ目以下、順次ご説明をさせていただければと思います。

 各論点につきまして、構成として、現状、これまでの検討会、分科会での主な発言の内容、それから、今後の検討に当たっての留意点という形で次のページ以降でまとめております。

 2ページをお願いいたします。

 「1 医療保護入院制度についてどのように考えるか。」という論点を挙げております。

 現在の精神保健福祉法におきましては、自傷他害のおそれのある方を対象とする措置入院、本人の同意に基づく任意入院、医療及び保護のため入院の必要があって任意入院が行われる状態にないものを対象とする医療保護入院という3つの入院形態が設けられているわけですけれども、これについてどう考えるかという論点でございます。

 3ページ、検討するに当たっての留意点としてこういった視点があるのではないかということで、何点か挙げさせていただいております。

 1点目から3点目につきましては事実関係として書いておりますけれども、前回の改正の際の検討会における「入院制度に関する議論の整理」におきまして「自らが病気であるという自覚を持てないときもある精神疾患では、入院して治療する必要がある場合に、本人に適切な治療を受けられるようにすることは、治療へのアクセスを保障する観点から重要」としまして、措置入院、任意入院以外の入院制度として医療保護入院を維持することとした。

 改正法に基づく指針におきましては、「入院医療のみに頼らず精神障害者が地域で生活しながら医療を受けられるよう、精神障害者の急性増悪等への対応や外来医療の充実等を推進する」としまして、「入院医療中心から地域医療中心」という考え方を示している。

 新規の医療保護入院件数につきましては、先ほどの自治体アンケートにおきましても同様の傾向にありますけれども、平成25年改正法の施行前後を通じて増加傾向にある。

 これらについて、記載しております。

 また、精神疾患につきましては、精神症状によって判断能力が低下する特性が、本人の意思に基づく医療へのアクセスを阻害すること、あるいは、こうした方に対して継続して安定的な治療をどのように提供することが考えられるかという点についてそれぞれ記載をしております。

 2つ目の論点として、「2 医療保護入院の同意のあり方についてどのように考えるか。」という論点を掲げております。

 前回の25年改正法におきまして家族等同意が導入されたところですけれども、こうした同意制度のあり方についてどのように考えるかという論点でございます。

 こちらについても、5ページで検討する際の留意点として何点か挙げております。

 まず、1点目でございますが、家族等同意の導入経緯及び趣旨について、本人の同意に基づかない入院を精神保健指定医1名の診断のみで行う仕組みについては、患者の権利擁護の観点から適当でない等の観点から、本人の身近に寄り添う家族が、医師からの十分な説明を受けた上で同意することを目的に、25年改正によって導入されております。

 また、市町村長同意につきましては、同意を行い得る家族等がいない場合等に行うことができることとされておりまして、本人を知り得る家族等が同意を行い、それが困難な場合には行政機関において同意の要件に合致するかというところについて確認をし、同意を行う制度になっております。

 3つ目の○につきましては、先ほどの資料1でお示しした調査結果につきまして、改正法施行後の市町村長同意の件数につきましては、施行前と比較して減少していることと、一方で、家族等同意による入院件数は旧法下の保護者同意による入院件数よりも多く、医療保護入院件数も増加しているということで、このような状況を踏まえまして、家族等同意について、医療アクセスへの影響の観点を含めてどのように考えるかということで書いております。

 4つ目ですけれども、一般論としまして、現場において同意を得るまでに余りに時間を要する制度では、医療へのアクセスを阻害する可能性がありまして、それを重視する観点からは、早期に同意を得られることが望ましいことになりますけれども、本人の権利擁護の観点からは、十分な情報が提供されて、その上で同意が適切に行われることが必要になりますので、そのあたりをどのように考えるかという点でございます。

 5つ目は、分科会でも議論のあった、いわゆる「公的保護者制度」につきまして、課題として、入院時においては、本人とのかかわりのない者が本人の意向に反する入院の同意を行うことと、本人にかわって同意を行う公的保護者の養成あるいはその選任等に関するコストをどのように考えるかという点について書いております。

 3つ目の論点でございます。「3 入院の必要性・妥当性をどのように審査するべきか」という論点を挙げてりおります。

 これにつきましては、少しページが飛びますが、8ページの図をご覧いただければと思います。

 現行制度におきまして、医療保護入院の開始時におきましては、入院に当たっての精神保健指定医の診断、それから、家族等同意、それによって入院を開始する場合には、医療保護入院の届出の審査、精神医療審査会における審査という形で、それぞれ必要性のチェックをするプロセスがございます。

 あるいは、入院中につきましては、精神医療審査会における定期病状報告あるいは退院請求の審査、それから、その病院内において退院促進措置という形で、これらはいずれもその主体あるいはその趣旨は異なりますものの、入院の妥当性について確認するプロセスがそれぞれ制度上盛り込まれている状況でございます。

 こうしたプロセスを全体として機能させていくことが必要だろうということで、7ページのところでそれぞれ検討に当たっての留意点ということで掲げさせていただいております。

 まず、前回改正で導入された病院内における退院促進措置につきましては、医療保護入院者退院支援委員会の開催や地域援助事業者との連携という形で進められております。これらの実施状況についてどのように考えるかという点でございます。

 精神医療審査会につきましては、審査件数あるいは審査に要する期間についてどのように考えるかということ、あるいは、その審査結果の状況につきまして、前回の分科会でも数字を示しているというご指摘がありましたけれども、例えば、退院請求につきましては、入院または処遇が不適当という審査結果となる割合が、審査結果のうちの4%程度となっておりまして、その定期病状報告につきましては「入院継続不要」となる割合が0.1%未満となっているという、これらの点について記載をさせていただいております。

 最後に、こうした審査会そのものを機能させるために、その委員確保という課題があるという点について記載をしております。

 4つ目の論点として、「4 移送をはじめとした病院医療へのアクセスを確保するための手段について、どのように考えるか。」という点を掲げております。

 これについては、10ページをご覧いただければと思いますが、前々回の分科会におきまして、精神保健福祉法第34条に基づく移送につきまして、地域による運用状況の違いについての指摘がございました。

 あるいは、医療保護入院に係る移送につきましては、精神科医療へのアクセスの一つの類型にすぎないという指摘もありました。こういった行動制限を伴うような移送の手続も含めまして、地域の中で医療を必要とする方に対して、どのような形で医療へのアクセスを図るかという視点から検討してはどうかという形で論点を書いております。

 具体的な例といたしましては、分科会におきまして、医療の必要性がある患者について、直ちに移送によって入院に結びつけなくてもアウトリーチによる対応が想定されることや家族等から保健所へアクセスした際の対応に地域差が想定されること、あるいは緊急性が高い場合の対応が必要になること、これらについてのご指摘がありました。

 また、4つ目の○ですけれども、34条の移送の手続につきましては、家族負担等を軽減する観点からは緊急性の要件を緩和することが望ましいという考え方と、行動制限を伴う移送については必要最小限にとどめるべきという観点からは、要件緩和について特に慎重に対応すべきという考え方がありますので、その双方についてどう考えるかということで記載をしております。

 最後に、5つ目の論点でございます。「5 入院中の患者の意思決定支援について、いわゆる「代弁者」のあり方も含めどのように考えるか。」という形で掲げております。

 これにつきましては、前回の分科会でもいろいろなご指摘があったところですけれども、検討の視点として12ページにまとめさせていただいております。

 そもそも、本人の同意を得ることなく行われる入院制度につきまして、人権擁護の観点から、入院中の意思表示や権利行使を制限されないよう、支援が必要となる場合があるのではないかということと、その上でいわゆる「代弁者」につきましては、必要性の有無について検討するに当たって、まずはその機能の整理が必要だろうということで、3つ目の○のところで、これまでの研究事業や分科会におけるご議論から、例えば、こういう機能が想定されるのではないかということで4つほどお示しをしております。

 上から順に、患者の意思を引き出し、意思決定を支援し、本人の同意があれば医療機関に意思を伝える機能。

 退院に向けた支援、退院促進を図る機能。

 退院請求など入院者が持つ権利行使を支援する機能。

 4つ目に、入院の必要性や適切な医療が行われているかどうかを判断する機能という4点を掲げております。

 ここの「代弁者」の取り扱いにつきましては、まず、その機能について少し整理ができればと考えております。

 駆け足の説明となり恐縮ですけれども、事務局からの説明は以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 それでは、これより意見交換を行いたいと思います。

 なお、時間が限られておりますので、ご発言をされる際には、なるべく簡潔にお願いいたします。また、論点が多岐にわたっておりますので、全体の進行上、少し分けて議論を進めたいと思います。

 資料2をご覧いただいて、論点1から3までについて、まとめてまずは議論をしていただきまして、さらに残りの時間で論点4及び5について議論できればと思っております。1から3と、4、5を分けて議論したいということでございます。

 早速でございますが、論点1から3までについて皆様方からご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○澤田構成員 澤田です。

 まず、1ですけれども、事務方にお願いしたいのですが、2ページの一番最後の行と未定稿の医療保護入院等のあり方分科会の主な意見で私の意見とされているところが変えられていますけれども、を変えないでいただきたい。正確に要約していただきたいと思います。

 資料2の3ページですけれども、どうも医療がとってもいいもので早く入院したほうがいいという大前提に立っている感じがするのですが、実際はそうではありませんね。入院によってトラウマを受けたとか、心に傷を受けた、嫌な思いをした、ひどい目に遭った、忌まわしい過去、そういう患者さんがたくさんいるわけですから、入院する必要はなかったという人たちもたくさんいるわけですから、それを全く棚上げにするというのはけしからぬと思います。

 4ページですけれども、指摘の3番目「本人と家族の利益が相反する場合があるのではないか。家族等同意は本人の権利擁護となっていない場合があるのではないか。」ですけれども、これはおおありです。家族はみんな本人の味方であるという幻想に立った砂上の楼閣のような制度は早くやめてほしいです。

 5ページ目の「公的保護者制度」についてですけれども、4ページの最後にもそのようなことが書いてありますが、本人とかかわりのない者が精神科医でもないのに同意するというのはあってはならないことだと思います。「同意者の養成、選任等に要する時間的・財政的なコスト」とありますけれども、とにかく本人に会ったこともない、精神科医でもないのに同意するというのはあり得ないことです。

 3番まででは今のところそれだけです。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 さらにご意見をいただけますでしょうか。

 平田先生、どうぞ。

○平田構成員 精神科救急学会の平田です。

 今の澤田さんのご意見に対して、ちょっと私の意見を述べたいと思います。

 最後のご指摘です。「公的保護者制度」への批判として、本人とのかかわりのない者が本人の意向に反する入院の同意を行うことは妥当性を欠くのではないかというご意見ですけれども、同じようなことが現行でも行われているわけです。例えば、市長同意の場合は、行政機関の担当者が、書面上は市町村長が同意をするということで、全く本人とは無縁の人が同意をしているわけです。しかも、実質的な家族等の役割を代行するような規定も何もないわけです。面会の必要もないし、退院請求や処遇改善の請求権もないという意味では、現在の市長同意はもっとさらに問題があるのではないかと私は思って、この「公的保護者制度」を提案したのです。ただ、誰でもいいというわけにはもちろんいきませんので、一定の精神保健福祉に関する知識、経験を持った人が、医師の判断の妥当性を吟味するという立場で同意をすると提案をしたのです。

 もう一つ、そういう人が妥当性を判断することの意味は、澤田さんもご指摘になったように、そもそも家族が必ずしもご本人の利益と合致している立場にない場合があるわけで、そういう人の場合、客観的な判断の吟味は難しいのではないかと考えて、ご家族のあり方によっては、こちらのほうがむしろ客観性が保てるのではないかと思います。

 ついでに言えば、同じページの本人の身近に寄り添う家族が同意をすることが書かれておりますけれども、現状の医療保護入院制度におきまして、入院に同意する家族は必ずしも本人の身近に寄り添う家族ばかりではありません。全く疎遠な家族が嫌々ながら同意する場合もあるわけですから、その辺も踏まえて「公的保護者制度」をもう少し検討されてもいいのではないかと思います。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 今の両先生のご意見を踏まえて、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○澤田構成員 私は、市町村同意にも反対でした。やはり本人に会ったこともない、精神科医でもない者が同意するというのは、あってはならないことです。それを拡大するというのは、とても賛成できません。医師の判断を審査するといいますが、精神科医ではないのでしょうし、本人に会ったこともないわけですから、結局はほとんどが事務手続にすぎないというか、みんな医療保護入院になってしまうことになると思います。本当にどう考えても、本人に会ったこともない、精神科医でもない者が判断するのはおかしいですので、とても認められません。

○山本座長 ありがとうございました。

 医療保護入院の同意のあり方についての議論がどうも中心でございますので、そこの議論を少ししたいと思うのですけれども、千葉先生、いかがですか。

○千葉構成員 千葉でございます。

 今、現場で一番困っているのは、この家族という問題が、どこまでが家族なのか。つまり、家族という名の他人という方々もあるわけで、ここに今までの検討会の中あるいは法の改正の趣意のところでは、「本人の身近に寄り添う家族」ということで、いわゆるケアギバーといいますかね、その人と生計を一緒にしているとか、その方をいろいろな意味で支援をしている家族という意味だったかと思います。

 身近だから必ずしもうまくいっているということも少々疑問がないわけではないのですけれども、現状では、病院の入院のときには全ての家族を対象として探さねばならないことになっていて、例えば、何十年も前に離婚をした。その離婚した元配偶者のほうで育って、一度も本人と会ったことがないような人も血縁では家族という扱いをしなければなりませんし、また、本人といろいろな意味で、けんかをされるといいますか、大変関係が悪くなっている方も家族として扱われなければならないところです。

 このために、病院としては、その家族を捜すことに大変時間と労力をかけさせられている現状があって、しかもかかわりたくないと言っている家族を説得しなければならないという、とても奇異なこと、本来それは医療を担う医療機関が行うべき問題なのかということまでで、疑問に思っているわけでございます。

 一番問題なのは、諾否、意思を表明しない家族あるいは表明することを拒否する家族、つまり、かかわりたくないという家族をどのようにするのか。この辺は同意権の放棄ということで、それが同意権という権利なのかどうかわかりませんが、それは同意することを最初からおりていると考えるべきであろうし、また、連絡がつきにくい方も、ある一定の努力をした結果、連絡がつかない場合には、これも外すべきではないか。後で反対があれば、それは退院請求権ということで行使していただければよろしいと思います。

 参考資料の11ページに、市町村長同意のところでの改正前後の比較がございます。何が変わったかというと、そこの33条の3のところに「その家族等の全員がその意思を表示することができない場合」となっております。その意思を表示することができない場合は「心神喪失の場合等のことをいう」となっていて、反対しないが同意もしない場合は含まれないといった、ここが一番現状の混乱を来している大きなところでありまして、まずはここを直さねばならないのではないのかということがあろうかと思います。

 本人を知り得る家族とか同意を行い得る家族はどういう家族なのかと思いますし、現在の全ての家族が対象になっていることとかなり矛盾をしているといいますか、ずれが大き過ぎることがアクセスの面で大変問題になっていると思います。

○山本座長 先生、少し簡潔に。申しわけありません。

○千葉構成員 以上のところを、まず、申し上げさせていただきたいと思います。

 ですから、該当者がいない場合は、いない場合というところにそういった家族は属させてしまうことが必要ではないかということがあります。

 もう一点だけですが、「公的保護者制度」のところで簡単に申し上げます。

 私は「公的保護者制度」はあってもよろしいと思います。ただ、全く何もわからないという人が来てどうだこうだと言うのはやはりおかしいと思いますので、「公的保護者制度」の役割は、それなりの研修もきちんと積んだ方々、資格をきちんとしなければならないとも思いますし、する役割としては、やはり入院に疑義があるあるいは少し問題があると思ったときに、精神医療審査会に対してそれを通告することが大きな役割ではないのかと思っております。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 今、千葉先生からご意見をいただいた前半の部分は、「家族等」の範囲についてのご意見だと思うのです。

 先ほどの「公的保護者制度」の議論にも関係するのですけれども、そもそも現在の医療保護入院の要件である家族等いずれかの者の同意を要件としていることが果たして妥当なのかどうかということを、まず、議論していただいて、その上で、もしそれが妥当であるということであれば「家族等」の範囲をどうするのか。そういう順番で議論していただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○江藤構成員 市町村の立場から発言をさせていただきます。

 私の地元の精神科病院にヒアリングをしたところ、家族等同意制度が導入されたことによって、病院としては必要な医療が迅速に実施されるようになったということで非常に助かっていると。さらに、退院支援についても、実は家族がかかわることで非常に円滑に進んでいるという事例も多くあるのだという意見をいただきましたので、決して家族等同意に全ての方々が否定的であるということではないのかなと判断しています。

○山本座長 ありがとうございました。

 田村先生、どうぞ。

○田村氏 田村です。よろしくお願いいたします。

 医療保護入院のもともとをただすと、監禁及び保護のための入院が明治時代のときには言われていたということだったと思うのですけれども、ご本人の同意がないのに病院に隔離することに対して、法律に違反しないためには同意者が必要だったというのがもともとのスタートだと思います。

 そういう観点からしたときに、どなたかが同意してくださればいいということであれば、確かにご家族であれ、成年後見人等であれ、なることはできるかと思うのですが、先ほど澤田さんのご発言にありましたように、純粋に医療が必要であって、そのための入院の同意だということになりますと、一定程度医療的なことがわかる方ではないと、本当に非自発的な入院が必要かどうかを判断することは実際には難しいのではないかと思います。そういった発想からすれば、指定医の方1名の診察のみで非自発的入院を決めること自体についても、再度検討する必要があるのではないかと考えます。

 権利擁護という立場から、ご本人さんの同意というか、身近なことがわかっている。その上で入院が必要かどうか判断するということが現状のあり方だと思うのですが、そこに関しては、医療及び保護の保護をどこまで含めるのか。その中身に関連してくるところではないかと思います。日常生活の状況ですとか、病気あるいは症状によって生活がどのように困難を来していて、そのために入院が必要かというところの判断であれば、医療以外の関係者がすることも可能かもしれませんけれども、そこまでを保護に含めてしまうことによって無用な社会的入院を生んできた歴史もあるかと思いますので、医療のための入院に限定したときに同意者は誰が必要なのかと考える必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○本條構成員 家族同意については、全ての人ではないですけれども、多くの人が異論を唱えておりますので、やはり考えていかないといけないのではないかと思っています。

 一つは、既にご発言にもありましたように、家族と本人は利益相反の関係になる可能性もあるということであります。

 もう一つは、これも指摘がありましたけれども、家族に果たしてそれだけ医療的な判断ができるかという問題が確かにあると思います。

 もう一点申し上げたいのは、家族の説明または同意ということはある程度あってもいいわけでありますけれども、問題は、それが代諾、本人の意思に反して同意するというか、承認する。そこが非常に問題ではないかと思います。あくまでも本人と一緒の側に立って応援していくとか、そういうことであれば家族もそういう役割を担ってもいいと思いますけれども、明白な本人の意志に反することもあるのに、本人にかわって同意することは、これは家族だけではなく何人であってもそういう権利はないのではないかと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 今の点は、法律家の先生はいかがですか。

 太田先生、お願いします。

○太田構成員 ちょっとおくれて参りまして、申しわけありません。

 既に議論されていれば申しわけありません。久保野構成員から後でご意見をいただければと思いますが、家族が同意することについて一体どういう機能を期待しているのか。もともとは保護者制度ということであれば本人のかわりという雰囲気だったのだろうと思いますけれども、人を強制的にある箇所へ収容するということが入院に伴いますので、それはやはり代理になじまないものだろうと思うのです。

 ですから、家族が同意するというのも、あくまでも何がしか医者の判断について納得がいく。それによって、家族が本人の利益になることを別の立場で判断するものであろうと思います。

 問題は、そのときの立場がちゃんと本人のことを考えているのかという利益相反の問題と、もう一つ能力の問題があります。一つには医者の言っていることの合理性を判断できるのかという能力もありますが、もう一つは本人にとっていいのかどうかわかるのかという問題です。千葉構成員が最初のほうでちらっと言われたように、いきなり同意しろと言われても、知らない人だよというケースがございます。この場合には、それはそれでちょっと問題だろうと思います。

 もう一つは、法制度を見ていてどうも気になるのは、家族が同意する際にどういうことを考えて同意するのかということを条文上は書いていないのです。それ自体も問題はあります。

 もっとも、これこれの同意をこういう観点から同意するかどうか決めるのだと条文に書いたところで、家族がそれを守る保証は何もありませんし、それをチェックする機関もございませんので、条文に書けばいいという問題でもございません。

 結局のところ、要するに、何のために家族に同意をしてもらうのかということだろうと思います。

 ただ、同時に、同意を外せば全くオーケーなのか、医者の判断だけで入れていいのかというところは、私はどうも疑問が残ります。やはり誰かのレビューは必要である。それから、それに対して本人の利益をちゃんと擁護できる立場にある人を探して、その人にチェックしてもらう必要はあろうかと思います。

 それは、あるいは家族でなくても、市町村、もしかすると保健所とか、あるいはケースワーカーの方たち、ソーシャルワーカーで、もし患者さんを知っているののであればそれでもいいのかもしれませんが、そこについてまだ私は定見を持っていないということになります。

○山本座長 ありがとうございました。

 久保野先生、いかがですか。

○久保野構成員 同意の性格については、今の太田構成員のご意見と同じ考えといいますか、改正前におきましても、同意につきまして、いわゆる代理ですとか、財産行為ではありませんのでそもそも代理という言い方自体も不適切かもしれませんが、結論として本人にかわって代理人的な人が何かをすることとは異なるのではないかと捉えられていたのだと思います。

 この会でも議論がありましたが、成年後見人においても、例えば、施設への入所などについて契約は結ぶとしても、入所、身体の移動といいますか、そこに入ることについての同意は成年後見人の権限には入らない、実務上問題があるという指摘はもちろんありますけれども、詰めて考えたときにはそこまではないと言われているところだと思いますので、むしろ、先ほど整理していただいたように、客観的な合理性についての医師の判断に対する第三者の目という意味と、その際に、もちろん本人の利益を考えて判断することとの両面があるというのもご指摘のとおりだと思います。

 その上で、本人の利益といったときに、恐らく従来の考え方として身近な家族が適切なのだと判断されてきたというのが「家族等」ということなのだろうと理解しております。

 その上での意見は、特に今の時点では結構です。

○山本座長 どうもありがとうございます。

 ここは論点整理でございます。何か結論を得ようというわけではありませんので、いろいろとご意見をいただいて整理したいと思います。

 江藤先生、今のご意見を伺っていかがですか。

○江藤構成員 法的なことについては専門の先生方にお任せをしたいと思うのですが、いわゆる何を優先的に考えるのかというところに関しまして、恐らく入院治療が必要な方がいる。それをなかなか本人が理解できず、しかし、本人にとってもそれがきっちり利益のあることだとして医者が判断をし、その上で、おっしゃったように、誰かの同意がどうしても必要だということからこういう事態になったと思いますので、先ほどの事務局が調べていただいたいろいろなデータからしても、やはり医療保護入院はふえています。そういうことからすると、必要なことに対して、入院治療のアクセスの保障を最優先で考えて議論するべきなのかなと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 この点について、ほかにいかがですか。

 平田先生。

○平田構成員 家族同意の意味を、医学的に偏った観点かもしれませんけれども、やはりインフォームドコンセントという文脈から考える必要もあるのではないかと思います。当初、外科の治療からスタートした制度ですけれども、今は医療行為において一般医療では必ず必要とされている手続なわけです。

 それを精神科の場合に置きかえて考えるとすれば、インフォームドコンセントが全ての治療の原則だと私は思います。入院の場合でも、ほかの医療行為についても全てそうだと思います。

 ただし、精神科の特殊性は、要するに、ご本人が判断能力を喪失しているあるいは減弱している場合にどうするか。一般医療の場合でも、幼児であるとか、あるいは意識障害などのあるケースに関しては、緊急避難を除けばご家族の代諾同意が認められているわけですから、それと同じ文脈で、少なくとも代諾同意のない医療行為の開始はまずいだろうという意味では、家族同意あるいはそれに類する第三者同意はあってよろしいのではないかと思います。

 ただ、いろいろ前提条件があると思います。

 1つは、その非自発入院が医療行為であることの論証をちゃんとできなければいけません。ご本人の利益になるのだということを論証できないといけないと思います。外科医が体にメスを入れることが傷害罪でないのは、やはり医療行為である、治療行為であると利益があるのだということを論証できるからなわけです。それと同じように、入院治療がご本人の意思に反してであっても利益になる、医療行為であることを論証すること。

 それから、ご本人が同意できないことを論証しなくてはいけません。ご本人の同意能力が失われている、減弱していることを論証しなければならない。さらに、同意する人の同意能力もきちんとあることが前提になっていますね。ついでに言えばというか、そこが一番大事なのですけれども、きちんとした治療が提供できるという保障がないと、どんな病院でもいいというわけにはいかないと思います。澤田さんがおっしゃったように、昔の病院は本当にひどい病院もありましたので、そういうクオリティーケアといいますか、医療の質がきちんと保証されているといった条件がなければ、同意という議論は精神科においては余り意味がないのではないかと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 久保野先生、お願いします。

○久保野構成員 再度失礼します。久保野でございます。

 家族等につきまして、一定の一般の医療などと比べて残す理由があり得るという点、それ自体は賛成でございますけれども、範囲についてなのですが、よろしいですか。後のほうがいいですか。

○山本座長 範囲については、次にしていただければと。

○久保野構成員 そうしましたら、すみません。

 ちょっと範囲の話の発言を始めてしまったのですが、先ほどの千葉構成員のご発言との関係で1点補足をさせていただきたいのですけれども、つまり、市町村長同意の要件についてという問題と、これも範囲と密接だとは思うのですが、これについて先ほどのご指摘の問題を考えるときに、ともすると、ご指摘がありましたとおり、「その意思を表示することができない」という条文の解釈、運用の話であって、そこを工夫すれば別の考え方があり得るという捉え方もされがちだと思うのですけれども、先ほどもありましたとおり、やはりこの「その意思を表示することができない」という条文の表現になってしまっているところがもとにあることは確かでございまして、かつては保護者のほうの要件のところで「義務を行うことができない」となっていたので、随分違った考え方ができる仕組みになっていたと思うのです。

 ですので、言いたいことは、検討事項の中で、市町村長同意の要件そのものの見直しが必要なのではないかという形で、明確に捉える必要があるのではないかという意見です。

○山本座長 ありがとうございました。

 千葉先生。

○千葉構成員 ちょっと短目に。

 法律の先生方にちょっと伺ってみたいと思ったのですけれども、従来の保護者制度の場合には、保護者選任という法的な手続をきちんと踏んで、その方に、そう言っていいのかどうかわかりませんが、ある意味、身上監護権を与えていたわけだと思うのです。

 それが今回の改正で、全くそういう手続を経ず、もともとそういうものが付与されていない人たちが、ご本人の身上監護に対しての諾否を行う、決定を行うこと、私としてはそれが根っこのところにあるのではないかと。

 先ほどの後見人も、後見人がついたからと言って身上監護権を持っている、持っていないはまだ法律家の中でも随分と分かれているところのようにお聞きしていますし、そうなってくると、その辺のところの部分は曖昧にしたまま、これらが「家族等」という範囲を与えられてしまったことに問題があるのではないかと思っているのですが、そのあたりはどう考えればよろしいのでしょうか。

○山本座長 ありがとうございます。

 久保野先生がよろしいですかね。

○久保野構成員 今のお話で、身上監護という言葉は法律の上ではまた別の使われ方をしますので一旦避けさせていただきますけれども、先ほど太田構成員と私のほうから、同意について、身体をどこかに閉じ込めるといいますか、とどめ置くことについての同意権限という形では捉えられないのではないかとお話ししました。成年後見人の場合はまさに身上監護権と呼ばれるものを与えられていて、裁判所の監督を受けながら本人の利益のために行動する人でして、私の民法的な発想ですと、成年後見人さえできないことがそれ以外の人ができることは余り考えられないという関係にあります。

 けれども、むしろ問題は身体を拘束することに同意するというものではないものが、今、ここでは問題になっているのではないかと位置づけるという考え方をしています。先ほどの平田構成員の言い方をおかりしていいのであれば、一般医療の現場でインフォームドコンセントを、家族代諾という、これは法的にやはり曖昧なものですが、実際にはそれで行っているというところがあると思います。それは、やはり外科手術が傷害罪になることを防ぐ同意と同じものを家族がしていると言えるかどうかというところ自体が、ここは本当は私の専門領域ではありませんが、そこ自体も恐らく曖昧さを残して現場が動いているのだと思います。そういう、身体にかかわる同意権ではない、それとは区別される本人の利益について何らかの関与をする事柄ではないかと整理しております。

○山本座長 太田先生、お願いいたします。

○太田構成員 非常に究極的な問題を考えますと、医者が何か一応説明をする、それに同意をしたのだからそれでいいと考えるのか。本人の場合にはそれで一応納得して、うんと言ったら、大体それで自分の利益を処分できると考えるわけです。そうではなくて、他人が同意する。あくまでも他人として同意するときには、本人になりかわって処分するわけではなくて、本人が何かしら自分で判断しにくい事情、能力等々、事情があるので、これは本人の利益になるだろうと思って、とりあえず判断、同意をするというシチュエーションであり、その場合には説明した側も同意した側も合理的な判断でないといけない。

 本人は、ある意味、合理的でなくてもいいわけです。それでも一応同意をした、合意をしたということになるケースがあります。しかし、第三者はそういう代理ができるわけではないとすると、そういうわけにはいかない。

 そこに恐らく究極的な、要するに、久保野構成員がおっしゃった、本人になりかわって同意するわけではないのだけれども、第三者としてチェックするとか、関与するという形で同意を与えるという別の構成を探るべきではないかという、そこに問題の所在があるのだろうと思います。

 お話を聞いていて、家族同意の位置づけ等々が議論されており、指定医1人が判断したらそのまま保護入院を開始していい、非自発的入院を開始していいという見解は余り強くないわけです。誰かにチェックしてもらう必要はあるだろう。

 問題は、それが誰であるかと何を期待するのかであり、昔の古典的なものは、要するに、本人が同意すればいい。任意入院がきかないので、任意の同意のかわりの誰かを探してくる。これは昔だったら保護者だったりするわけですが、お話ししたように、法律家としてはやはりそれは耐えがたい構成になります。

 そうなると、本人が機能しないので第三者がチェックしてもそんなにおかしくないので、非自発入院も許す。これは、ある意味、措置入院の論理に近くなってくるわけです。

 そのときになお期待するのは何か。一つは、医師の判断を合理的に判断できる人。もう一つは、本人の利益を合理的に判断できる人。それは医師の説明を聞いてわかる能力があることと、本人の利益状況をよく知っていること。一番望ましいのは、医師の説明がわかり、医師が持っていないような日ごろのつき合いから、本人にとっての利益につきさらにカスタマイズされた情報を持っていて、両方を見比べて多分医師の説明は合理的であろうと、整合性があると思って同意できれば一番安心できそうですが、多分そんな人はそんなにいないわけです。同居した家族で医師の説明がわかるというのが一番いいでしょうが、常にそうではないから問題になっている。

 そのときに、もし考えるとすれば、どの範囲まで家族に期待し、どの範囲から先は家族ではない別の人を探してくるか。そのときの仕組みとしても、本人に一番コンタクトを持っているソーシャルワーカーのような人がいれば、その人に期待しつつ、もう一人、医師の判断の合理性のほうは指定医をもう一人とやると、これは措置入院と変わらなくなってきてしまいますから、もうちょっと別の医療コメディカルみたいな人に頼めるのか、頼めないのか、あるいは、市町村が、カルテ、一件書類をがっと見てやるのかとか、そこら辺のある種の類型化ももしかすると考えられるのかもしれない。

 オール・オア・ナッシングで全部を考えると、ちょっとまずい段階に来ているのではないか。まずいというか、そこら辺をオール・オア・ナッシングで議論するべき状況にはないのではないかという気がいたします。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

○澤田構成員 太田構成員、ありがとうございます。

 私の母は、何が何だかわからなくて、同意しないわけにいかなくて言われるままに同意して、私が数人の男性看護師に無理やり押さえつけられて無理やり連れていかれて、それから会わせてもらえない。「一目姿を見せてください」と言っても見せてくれない、「様子はどうなんですか」と訊いても教えてくれない、まるで洗濯屋さんのような扱いを受けて、同意したことを後悔したそうです。

 私はそもそも伺いたいのですけれども、自傷他害のおそれがなく、急速を要してもいないのに、本人の同意なしにすぐに入院させる必要があるという根拠は一体何なのか、どなたか明らかにしていただきたいと思います。

○山本座長 その議論はなかなか時間がかかると思いますので、それはちょっと置かせていただきまして、次は、家族等いずれかの者の同意を要件として維持しますとした場合に、さらに家族等の範囲については、先ほど千葉先生が議論されたことなのですけれども、これについて少しご意見いただければと思います。いかがでしょうか。

○千葉構成員 自分で言っていてなんなのですが、そこのところは大変線引きが難しいし、基準もつくりにくい話なので、どうなのかなとは思いますが、まさしくその辺のところを誰かに判断をしていただきたいと医療側としては思うわけですけれども、少なくとも全ての家族に対してそうするというよりは、なりたい家族と言ったらなんですけれども、その人の面倒を私が見たいのですという任意制に持っていったほうがよろしいのではないかと思います。

 家族の中でも、よく我々が現場であるのは、同じ家族の中で総括される場合があるのです。片方は入院させる、片方はとんでもないと言って、そういう場合のときに我々はとても困るので、そういう場合は我々としてはノーカウントにしてしまうしかないということが起こってまいります。そういった場合もやはり勘案をしていただきたいと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。

 久保野先生、どうぞ。

○久保野構成員 久保野でございます。

 先ほどの同意の趣旨に照らして、あるいは、その求められる機能に照らして、同意の範囲を決めていくことが筋なのだと思うのですけれども、その一つのあり方として、「本人の身近で本人の利益状態をよく知る家族」ということを基準そのものとして設定する可能性があることは、一旦発言しておきたいと思います。

 ただ、私が今までのご議論などを聞いていて理解しているところでは、そのような基準を設定して、その判断を医療側に任せられるのは厳しいということなのだろうと思っております。

 ただ、このテーマについて医事法学会というところで少し議論する機会があったときに、一般の医療でも、実は先ほどのような本人の判断が聞けないときに、家族を必死に捜して適切な人を探してやっているのであって、むしろ変にこの人の同意でなければだめだとかと法律に書かれるのは困るという意見を医療側の方で述べた方もいらっしゃいました。また、先ほどの市町村長同意のハードルが高くなって困ったという医療側のお話を伺っていますと、明らかに遠方にいて、かかわりもなくて、本人の状況を全然わかっていない人であるのに、その人も「家族等」に入るということが困ってしまって、医療側としてはその人ではないほうが適切だと判断しているというお話もたくさんありました。そのようなことを考えたときに、「本人の身近で本人の利益状態をよく知る家族」といった実質的な要件を設定するということがあり得ないかということは、一応提案としてお話しさせていただきます。

 もう一つ、そのような実質要件は難しく、範囲を区切るともし考えるときに、現行の規定は民法の扶養義務者を基準に使っているのだと思いますけれども、扶養義務者の範囲が民法は他国に比べて広い部分があると言われていますし、昨今の現実の状況に照らすと、より現実的ではなくなっているのではないかという議論がありますし、さらに、以前に扶養義務者が他の法律でどういう役割を果たしているか教えてくださいと発言しましたところ、今回、資料に入っておりまして、拝見しましたけれども、生活保護の申請のところに条文があるようですが、それもこの精神保健福祉法よりは狭い範囲の者でありますし、それらのことを考えますと、やはり広過ぎるということは真剣に考えて、狭めたほうがよいと考えます。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 今の久保野先生のご意見をいただきまして、医療者側の先生方、今の久保野先生のご意見を踏まえていかがですか。何かご意見はありませんでしょうか。

 どうぞ、平田先生。

○平田構成員 今の久保野先生のご意見の要点がまだちょっとつかめていないところがあるのですけれども、家族の同意意思があって能力がある。それが一番理想なわけですけれども、その判断は誰がするかということになると、法的なリーガルモデルということを考えると、昔と同じように、「保護者」という名前から「同意者」という名前に変わるのかもしれませんけれども、裁判所で非自発入院同意者の選任手続みたいなものが必要になってくるという議論に収れんしてくるのではないかという気がします。それができれば、私はそれでもいいと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 太田先生。

○太田構成員 先ほどの久保野構成員がおっしゃったことと基本的には一緒で、こんなことがあるよという感じなのだろうと思いますが、趣旨から考えると、少なくとも意思の話よりもやはり患者の利益に関する判断能力、つまり、医師の説明が合理的かどうか、さらにもう一人、誰かについてもらって対処することが考えられますので、もし家族に期待するとすれば、本人の状況、本人の利益をよくわかっている。利害相反の関係を除いておいて、まず、定型的にそういうことが期待できるような、要するに、本人の情報をよく持っている人に限定すべきだろうということになります。

 そうなりますと、しばしば法律で出てくるのはやはり「同居の」という書き方がまずはそれを期待するものになるでしょうし、もう一つ、社会保障などを見ていると、「生計を同一にしている」というのも一つ出てくる書き方だろうと思います。そこでもとなると、「連絡をとっている」とか「密接な連絡がある」となるのですが、そこまでいくと、ちょっと具体的判断はかえって難しいかなという気がいたします。

 裁判所にあらかじめ特定させるというのは確かに明確なのですけれども、それだと保護者制度に逆戻りだということになるだろう。今後の社会状況を考えたときに、保護者1人に責任を負わせるわけにはいかないという判断もあったとすれば、そこは裁判所による特定を行う制度は難しいかなという気が、直感的にはします。

 扶養義務者とか、今、資料に列挙しているものをばっと見ると、これはどちらかというと、任意性というよりは、扶養義務という表現に一番あらわれているように、お互いに配慮しなさい、責任を負いなさいという観点であって、保護者制度のときには特定の人だったものが、責任を薄めるのだけれども、やはり責任の範囲で見るということになっているわけです。

 生活保護法の申請のことが書いてありますが、どうせなら生活保護の親族扶養の優先原則も考えると良く、ここに書いてあるのはまさにこの範囲であって、これは任意に引き受けるとか、そういう話ではなくて、面倒を見ろという話になっていて、そのレベルでやるのはどうかという気はいたします。

 先ほど江藤構成員がおっしゃった、いわば家族同意があることによって、退院促進によい影響を与えるという問題があるのですが、その意味で、任意性はやはり重要な契機ではないか。知らないけれども、今までつき合いはないのだけれども、今後、自分も関与したいと思いますという人に同意をしてもらっても余り意味はないところはあります。むしろそういう人については、患者さんに入院してもらった後の退院促進のところで協力してもらったほうがいいかもしれません。そういうことを考えると、責任を負わせるという範囲とはまた別の、要するに、情報とか、そういう観点で少し画することは考えたほうがよろしいかと思いますので、以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 ちょっと時間が押しておりますので、この論点2については。

 では、簡単に。

○久保野構成員 すみません。また一言なのですけれども、1回目の検討会で少し出たようなのですが、社会的養護下にある児童について、精神科での入院手続についてやや困難が発生しているということを伺ったことがありまして、今般、予防接種については予防接種の法でそういう手当てがされたと伺っております。

 そういう問題がもしあるのだとした場合には、根本は児童福祉法や親権の問題だとは思うのですけれども、この問題に即した対応があり得るかという点について、論点として提示だけさせていただきたいと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 それでは、2の論点を終わりまして、3の入院の必要性・妥当性をどのように審査すべきかという論点についてちょっとご議論いただきたいと思います。

 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○太田構成員 私も、第1回目の分科会にいなかったせいかとも思うのですが、先ほど澤田構成員がおっしゃった点がやや疑問になっていまして、医師の方にわかりやすく説明していただきたいのですが、つまり、自傷他害の危険もないのになぜ非自発的入院をさせるのか。

 医療のアクセスという観点はわかります。ただ、医療のアクセスといったときに、それは幾つかのレベルがあって、例えば、無医村ではないこと、行こうと思えばそこにお医者さんがいることは重要なアクセスです。ただ、行きたくもない人になお医療にアクセスさせることは、もう一つ別段階の話です。精神障害者の方々の場合には、合理的な判断ができないであろう、自分が病気であるという自覚も持てないのだからということでそこをクリアするわけですが、それにしても少し気になるのは、医療アクセスの保障のところで、どっちの話をされているのか。つまり、アクセスしようと思ったらアクセスできること。外来の医療を受信できること。やはり入院でないといけないこと。さらに自傷他害があって、これは本人が嫌がろうか何だろうが公の問題から入院させる。一応このように分けられるわけです。

 そうなったときに、非自発的入院の医療保護入院について、私にはよくわからないのは外来医療とかでなく入院させないといけない。投薬管理とか、いろいろな技術的な説明はいただけるのですが、私にはよくわからないのは、例えば、肝臓が悪いとか何かで行って、医者に食生活を気をつけなさいとか、3カ月に1回医者に来なさいと言われて、来なくなる患者の人とか幾らもいるわけです。そういう人に、もし効率的に肝臓を治そうと思ったら、それは入院させて病院食を食べさせるのが一番いいのかもしれないけれども、多分普通のお医者さんはそんなことは考えないわけです。

 精神障害の人に対して、外来医療とか治療全般でなくて、まさに医療保護入院をさせないといけない。それによって、例えば、ひょっとすると医療保護入院をさせたら3カ月で済むものが、そうでないと1年、2年かかるかもしれない、6カ月かかるかもしれないということでも、入院の必要があると考えられますか。そこら辺をどのように判断されるのか。どのように仕分けされているのかということを、もしわかりやすく教えていただければと思うのですけれども、どうも手続論以前に、なぜ自傷他害の危険もない人を非同意入院で入れるのか。それは外来医療とは区別されて入院させないといけないというのは、どう判断されるのか。よろしければ教えていただけないかと思うのですが。

○山本座長 要するに、医療保護入院をさせる妥当性についての理論的根拠はどこにあるのかということですかね。

○太田構成員 そうとも言えます。

○山本座長 これについては、いかがでしょうか。

○平田構成員 私は、精神科の救急医療の現場におりますので、そういった問題は常に考えて仕事をしているつもりでおります。

 今のお話を伺っていると、自傷他害のおそれのある措置入院が起点になってお話しになっていますね。一方の極にそれがあって、反対の極に、医療が必要であっても外来治療で済む医療があるのではないか、その間にある医療保護入院とは一体何なのかというお話だと思います。任意入院はもちろんありますけれども、そういうお話だったと思うのです。

 しかし、措置入院はご承知のとおりポリスパワーですね。警察権限による自傷他害の抑止のために権力が強制入院を発動するという考え方なのですけれども、実際の臨床現場で自傷他害の「おそれ」という言葉がついていますので、自傷他害があるかどうかの判断はかなりファジーなのです。そんなにきれいに分けられるわけではありません。一方の極にはもちろんありますけれども。極端な場合は、実際に自傷他害行為が発生してしまった場合が一番わかりやすいといえばわかりやすいのですけれども、その場合は、例えば、重大な他害行為であれば、医療観察法という別の法律に乗ってしまうわけです。そうではないケースについては、措置入院を要するかどうかの判断はかなりファジーな部分があります。

 ですから、措置入院から出発すべきではないと私は思っています。精神科救急学会はガイドラインの中で入院基準を定めましたけれども、まずは自発入院か非自発入院かという分け方をして、その上で非自発入院の中に医療保護入院と措置入院という分け方をしていこうという発想に立っているのです。

 非自発入院がなぜ必要かということを、入院させる医者はやはり論証できなくてはいけないと思っています。幾つか条件があって、詳しいことは言いませんけれども、7条件を学会のガイドラインでは示してあります。

 やはり大事なので言いますけれども、1つは、法律に定められた精神障害と診断できること。

 2つ目が、障害のために判断能力が非常に落ちていることを論証できること。

 3つ目は、そういう障害のために社会的に不利益に陥ることが明らかであること。この中に自傷他害も入ってきます。社会的な不利益の判断をどうするかは難しい問題ではあるのですけれどもね。

 4つ目が、医療的な介入なしには、そういう不利益がどんどん拡大してしまうあるいは固定化されてしまうことが論証できること。

 5つ目は、医療的な介入によってそういう事態を改善できる可能性がある、治療反応性という意味とはちょっと違いますけれども、改善の可能性が論証できる、証明できる、あるいは主張できる、納得させられること。説得力があること。

 6つ目は、入院以外に治療的介入の手段がないことです。精神科の治療は何も入院だけが治療ではありませんから、外来治療だってあり得るわけなのだけれども、外来治療ができないことを論証しなくてはいけない。

 最後は、そういったことを全て説明してもご本人に納得していただけない。要するに、インフォームドコンセントが成立しない。これは判断能力の低下と結びつきますけれども、この7要件があって初めて非自発入院が成立するという提案をしております。

○山本座長 ここで議論していただきたいのは、資料2の8ページの図をご覧いただいて、現在、この医療保護入院の必要性・妥当性を審査するプロセスといいますか、いろいろなハードルがありますということなので、要するに、これだけで足りるのか、それともこれにいろいろ問題点があるのかということを少し議論していただきたいということなのです。

○平田構成員 今の私の話は、この表でいえば「指定医の診断」というところにかかわることです。これは一番大事なことです。

○山本座長 わかりました。

 ありがとうございます。

 今の平田先生のところは「指定医の判断」ですが、ほかにはいかがでしょうか。この図を見ながら議論していただければと思います。

 澤田先生、ご意見がありますか。

○澤田構成員 図を見ながらと言われる前に手を挙げましたので図とは関係ないのですけれども、入院すること自体が大きな社会的不利益になり得ますし、その後の人生が大きく狂ってしまうことがいっぱいあるのです。それでも入院したほうがいいと、どうして言えるのか。

○山本座長 ちょっと待ってください。

○澤田構成員 ですから、医療保護入院そのものが大変問題なのですけれども、それを全く無視して医療保護入院は絶対続けていくと。

○山本座長 議論がまた戻ってしまいますので、ちょっとそれは置いておいていただいて、この図の「家族等同意」については、先ほど議論いたしましたね。先ほど「指定医の診断」については平田先生からいろいろとご意見をいただいたと思いますので、この精神医療審査会と医療機関における退院促進について、どういう問題点があるのだろうか、課題はどこにあるのかということを議論していただければと思うのです。

○澤田構成員 わかっております。

○山本座長 千葉先生。

○千葉構成員 精神医療審査会の届出の審査のところは、先ほどありましたように、30日ということですが、入院届の書面での審査ということも一つ問題があろうかと思いますし、やはり入院してから審査に取りかかるまでのタイムラグ、その辺のところは、現在の仕組みではこれが精いっぱいということはよくわかってはいるのですけれども、その辺のところに、話が前後してしまうようなところもなくはないのですが、その「公的保護者制度」といいますか、そういうところで監査を行う者が入ることによって、もっと早く、まずは入院の可否についてのところはもう少し細やかに審査ができるのではないかということを考えています。

○山本座長 ありがとうございました。

 岩上先生、どうぞ。

○岩上構成員 毎回、議論を前回の検討会と同じ話題でずっとやっていくと、また同じことになってしまうかなと思ってとても心配なのですけれども、私は、基本的には、前回、前々回の検討会であったのですけれども、医療保護入院は医者1名で決めるという流れの中で、しかし、法改正のときにそれはできないということで、家族同意が残ったという説明をここでは受けたと思うのです。

 そこでは、本来、裁判所の関与ができないのかという議論がいつも取り残されていて、それにかわるものが精神医療審査会だと、いつもそういう話になるのです。ですから、一つ、太田先生にもお聞きしたいのですが、先ほどの第三者の判断といったときに、日本の司法の仕組みの中に裁判所の関与は入れられないものなのかどうか。そういうことはきちんと議論すべきかどうかということ等も、実際、日本の中では難しいという話なのか。

 それをなぜ話すかというと、医療者側もそれは求めていることだと思うのです。医療機関は、医者が決めました、それでずっと入院させておきたいなどとは誰も思っていないので、そこがいろいろと誤解があるところだと思うのです。医療機関はきちんと治療をしたいので、ご本人のために入院を決めているけれども、そこに疑義があるのだったらそれはちゃんと調べていただいて構わないという考え方だと思うのです。

 ですから、そこに裁判所は関与できる仕組みが日本の中にあるかどうかということをちょっとお聞きしたいと思います。

○山本座長 入院のときではなくて、退院のときですか。

○岩上構成員 入院のときなのですが、なぜここで質問しているかというと、それにかわるものとして精神医療審査会を日本は考えているので、本当にそれにかわるものとして精神医療審査会を今後も考えていかなければいけないのかということをちょっと確認というか、先生の意見を教えてほしいと思いました。

○山本座長 わかりました。

 太田先生、お願いします。

○太田構成員 多分座長のほうが専門なのですけれども、もちろん、人の体に手をかける、人をどこかに強制的に収容するというときに、一番望ましい手続は裁判所の令状主義であると、法律学が伝統的に考えてきたことは間違いありません。

 ただし、措置入院もそうであるし、あるいは、退去強制の実力行使もそうであるし、行政が実力行使を行う場合に裁判所の関与は余り保障されていません。それが憲法上の要請に反していないかどうかについては争いがありますが、少なくとも不法滞在外国人を入管センターに入れる等々の判断は行政限りでやります。令状ではなく令書と言われる内部手続によってやります。そのことについて憲法上の問題はあろうかと思いますが、今のところ違憲と言われたことは裁判においてはありません。

 措置入院をさせるときから裁判所の令状主義を使うべきではないかという問題はもちろんあるのですが、しかしながら、普通の令状主義の問題と違うのは、違法状態であるというのは法律家が一番よく判断できますが、ここでの問題は、要治療状態である。自傷他害の危険がある、高度の要治療状態であるというのは、法学部出だけが判断してわかるかというと、わかるわけはないということです。

 つまり、裁判官は法適用になれている。ある基準、あるスタンダードを適用することになれている裁判官にプラスして、医療基準、医療が使っている基準を法システムのほうへ導入する、人間のほうにきちんと伝えるシステムが必要だということです。だから、裁判所のもとに精神医療審査会のようなものをつけて、裁判官とそこに参加する人たちが令状を出すかどうか決めるというのであれば、それはまたいい仕組みだろうと思います。なぜそうならないかというと、そこは裁判所と厚生労働省に聞いていただく以外ないということになろうかとは思いますけれども、そうだろうと思います。

 ですから、裁判所の関与よりは、誰に判断させるかということを実質的に考えたほうがいい。もしそこは独立性があればよいのであれば、前回、平田構成員がおっしゃったように、あるいは労働委員会のような独立行政機関、独立行政委員会で満足できるというのであれば、それはそれでいいだろうと思います。

 ただ、もう一つ私が気になっているのは、入院以外にないことという基準です。これは必要なわけなのですが、問題はそれを具体的にどのように書き下しているのか。それをどうやって、例えば、精神医療審査会において何か書類を示すときに、これこれの事由があると言って、具体的に書かせて入院の必要性を論証させるのか。ただ入院の必要がありますと書けばスルーするのか。ここら辺の審査のもう少し具体化した基準があり、それを具体的にチェックする仕組みになっているのかどうかであろうと思うのです。

 そうでもない限りは、これは誰が関与するのか、精神保健指定医をもう一人ふやそうかとか、精神医療審査会の中でもうちょっと法律家を入れようかといったところで大した機能はないだろうという気はいたします。

○山本座長 整理していただいて、非常にありがとうございます。

 どうぞ。

○岩上構成員 お話がすごくわかりやすく、ありがとうございました。

 検討会としては、常にそれは求め続けなくてはいけないと思うのです。できる、できないは別として、司法の中に精神医療審査会に当たるものをきちんとつくっていかなくてはいけない。それはあくまで私たちはずっと求め続ける必要があるというのは、私の考えです。

 その上で、いいことばかり議論して検討会を終わってしまうと、また全然違う法律になって出てきてしまうので、実効性のあるものとしては何をするかとなったときに、質問ばかりして申しわけないのですが、平田先生にもお伺いしたいのですが、精神医療審査会で何パーセントかの方で退院が必要だと上がってこられるではないですか。そういう方々を早目に、見つけると言ったら失礼な言い方ですが、早目にその人たちと出会う方法は確立することができるのかということをちょっとお聞きしたいと思うのです。

○山本座長 すみません。簡潔にお願いします。

○平田構成員 本人の権利擁護を持続的にちゃんとモニターできる人が一番大事なことです。日本では、現行制度では同意した家族にそれが一つは役割が期待されていると思うのですけれども、必ずしもうまくいかないです。

 都道府県によっては、弁護士会が人権擁護のための相談制度を積極的にアピールして、ご本人からの電話の窓口を病院の中に張って、何かあったらいつでも相談に乗りますという制度をやっているところがありますし、NPO法人が積極的に病院の中に、本人の要請がなくても定期的に訪問して患者さんと話をするという活動を、ボランタリーベースで今はやっている。そういったものが考えられます。

 私の「公的保護者制度」の提案も、そこのところも含んでいるつもりでありますけれどもね。

○山本座長 ありがとうございました。

 この精神医療審査会等については、もう少し議論が必要かなという感じはいたします。

 きょうは、まだ4と5をやらなければいけないものですから、このぐらいにさせていただきまして、次に、論点の4と5をまとめてご議論いただければと思います。

 どなたからでもどうぞ。

○澤田構成員 4ですけれども、資料2の9ページ、10ページですね。

 「精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者については」とあるのですけれども、まだ精神障害者であるかどうかもわからなかったり、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障があるかどうかもわからなくても、この制度とは別でしょうけれども、民間の業者を使って無理やり病院に連れていくことが黙認されていて、横行しているという問題も取り上げていただいて、ぜひ禁止して罰則を設けて取り締まっていただきたいと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。

 平田先生、どうぞ。

○平田構成員 私も澤田さんのおっしゃるとおりだと思います。

 そもそもこの移送制度はそういう違法な病院への搬送をブロックするためにつくられたはずなのです。ところが、どうも実際の運用は措置入院のほうに全部偏ってしまって、そもそものブロック機能がなくなってしまっているのです。救急医療現場で見ていますと、確かに首をかしげたくなるような民間業者による身体拘束を伴う移送は、しばしばと言ってはなんですけれども、見られます。それから、公的な機関も民間救急を盛んに利用しています。都道府県の移送もそうですし、国の医療観察保護の移送の場合にも民間の救急車を使っています。それに対する厳密な規定は確かに余り聞いたためしがありませんので、その辺も問題にすべきだとは思います。

○山本座長 どうぞ、千葉先生。

○千葉構成員 ニーズがそこにあるからという言い方も、1つあるのではないかと思います。決して指定医療機関が民間の輸送機関を使うことを推奨しているわけでもそれを使って動かしているわけでもなく、多くの場合はご家族がそういうものを利用されて救急を受診する等のことが行われているわけでして、医療機関が救急だからといって、そのおうちまで行ってその方を医療機関の車で搬送してくることがなかなかできにくいといいますか、そのこと自体に既に問題があるのだろうと思いますが、お困りになったご家族が、警察あるいは消防、救急等にご連絡をすると、それは場所によってですけれども、ちゃんと民間の移送のところを紹介されるという現実も聞いておりますので、そういうことに対してどう考えるのか。それを別のシステムにすべきなのか、すべきでないのかといったところも、きちんと根っこのところで話をしないと、これはなくならないと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 平田先生、どうぞ。

○平田構成員 今の話はちょっと誤解があるかもしれないので補足しますけれども、例えば、救急システムで行政が使う民間救急というものがあるのです。千葉県でも使っています。これは、車両と運転手と補助者を民間に提供していただくという形で利用しているわけです。必ず搬送する前、特に非自発的な搬送の場合はその前に指定医の判断が要ります。指定医が診察をして、移送なり入院なりの必要があると診断を下したときにのみ認められるという前提でありますので、医者の判断が必ず入ってきます。少なくとも都道府県レベルの救急システムでの民間救急、民救の利用はそういう条件があることを補足しておきます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ほかはいかがですか。

 どうぞ、吉川先生。

○吉川構成員 吉川です。

 この移送のところで「医療へのアクセス」という表現があるのですが、一方で、必ずしもこの移送の議論が入院ではなくて、アウトリーチによる対応といったことも書かれています。そういったことを考えると、医療へのアクセスが必ずしも入院という意味合いばかりではなくて、医療介入というところを法的にどう考えるのかというところも一つの論点になるのかなと思ったのです。必ずしも入院ということではなくて、医療介入です。

 先ほど、例えば、入院以外の方法で治療が提供できないという、平田構成員がおっしゃったこととも関連するのですが、では、入院以外の方法で医療介入というか、治療提供するといったことを考えたときにも、このアクセスは必ずしも入院ということだけではなくて、地域での医療介入とか、それは多分外来とか訪問とか、そういったところも入ると思うのですが、その辺も論点になるのではないかと思いました。

 以上です。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 この34条の移送手続についての要件を緩和すべきではないかどうかという議論はいかがでしょうか。10ページの一番下に書いてある議論で、2つ意見があるということですが。

 白川先生。

○白川構成員 すみません。その前に、この移送制度が自治体によって非常に数が違うことが大きな問題なのだと思うのです。

 移送制度そのものがきちんとした形での定義づけと利用の要件とかが明確化されていないところが問題で、あとは移送制度が、突然患者さんのところに行って、大勢で連れてくるみたいな形になってしまうこと自体が本当にいいのかということもあるのだと思うのです。その定義の部分とかと、あと、この形でいいのかということについては、どこかで議論しておかなければいけないことだと思います。

○山本座長 もう一回議論する必要があるということですね。

 今の白川構成員のご意見について、何かご意見がある方はいらっしゃいますか。

 どうぞ。

○平田構成員 移送制度が2種類あるのは皆さんご存じですね。措置入院関連とそれ以外。だから、ともに入院が前提の制度なので、そこの出発点が時代に即さなくなっていると私は思うのですけれども、都道府県に著しい差が出てしまいました。

 最初のそもそもの移送制度の議論に私はずっとかかわってきたので、よく覚えているのですけれども、実践のほうが先行していたのです。ある県の保健所の職員が、一生懸命患者さんの自宅を訪問して、入院の必要があるという判断をした場合に、今で言えば受診勧奨の制度を使って一生懸命病院に同行して入院をさせていたという実績があって、それをもう少し法的に担保してほしいという要望があって34条がつくられたいきさつがあります。

 全部が全部、それが動機ではありませんが、そこでスタートしたのだけれども、いざ法が施行される直前になって、警察庁から、29条の措置診察のための移送も行政がやるべき問題である、責任があるのだということを申し入れて、ほとんど何の議論もなしに29条関連の移送制度が盛り込まれたのです。

 スタートしたら、95%以上が措置入院関連の移送で占められてしまったという現象があります。その間には、行政と警察とのいろいろな対立構造がありました。柏崎の少女監禁事件がありまして、その後、警察庁の内部の管理体制の問題にまで発展して大問題になってしまったわけです。あのトラウマは、今でも警察関連の人に会うと、尾を引いていますね。余計な話かもしれませんけれども、都道府県によって差があるというのは、そういう意味なのです。

 今、移送制度で半分ぐらいは、ある行政、区域に偏ってしまっているのです。物すごく寡占状態にあって、ほとんど国の制度としては制度の体をなしていないというのが現状ではないかと思います。

○山本座長 そうすると、そういう現状を踏まえた上で、医療へのアクセスを確保するための手段としては、ほかにどういうものが考えられるかということだろうと思うのですが、その点は何かご意見がある方はいらっしゃいますか。

 今、精神科救急はどうなっているのですか。

○平田構成員 私は移送制度のときに遅刻してしまったので議論には加われなかったのですけれども、基本的な立場からもう一回説明しますが、移送制度という入院を前提としたアクセス制度は非常に一面しか捉えていない制度であって、そこが制度的な欠陥だと思っています。

 医療の必要性を判断すること。それから、必要があれば医療的な介入を行うこと。最後に、どうしても入院でなければいけないとなったときにこの入院のための移送があるわけで、診断と医療導入ということ、プレホスピタル的な移送が必要である。

 アウトリーチという言葉のほうが広い概念ですね。要するに、必要としている人に医療サービスをこちらから届ける。今の医療制度は患者さんが病院なり医療機関を訪れるのを待つという制度ですけれども、こちらから積極的に届けるという概念の中に、診断と医療導入のためのアウトリーチサービス、もう一つは、ポストホスピタルです。退院後の在宅ケアを支援するためのアウトリーチ、この2つをひっくるめてアウトリーチサービスがあって、前者のほうは、精神科の救急の概念で言えば、精神科移動救急サービスという言葉が適切かもしれません。入院を必ずしも前提としていません。診断と医療介入、介入の方法を決定するためのアウトリーチサービス、これを医療アクセスと考えて整理したらどうかと思っています。

○山本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、太田先生。

○太田構成員 先ほどの平田構成員のお話でなるほどとは思ったのですが、アウトリーチと言えば、ひょいと訪問看護のような訪問医療のことが思い浮かぶわけであって、要するに、平田先生の意見の中にも出ていたのですが、もしそれが余り積極的に行われていないとすれば、人数がいないということでしょうか。要するに、お医者さんの人数が少ないからということなのか。それとも、受診拒絶のようなことがあって、ある種の立ち入り権限のようなものが与えられないという問題、入ってくるなと言われたら、それまでになってしまうというそこら辺で問題なのか。

 同じ強制権限なら、移送のほかに、保健所の人が一緒に来て、ちょっとした立ち入り、何時間かの立ち入りみたいなもののほうがまだましなのではないかという感じもしないではないのですが、そこら辺はどう議論されているのでしょうか。

○山本座長 では、平田先生、お願いします。

○平田構成員 一言で言えば、プレホスピタル的なアウトリーチに関しては、やはり人手が足りないせいなのです。ポストホスピタルのほうは、診療報酬がつきましたので、医療機関でかなり行われるようになってきました。それから、地域の訪問看護ステーションもふえてきましたので、アウトリーチ活動は治療関係が既にある人に関しては盛んに行われてきて、件数もどんどんふえています。それによって利益をこうむる人も出てきていますけれども、プレホスピタルです。要するに、医療以前のアウトリーチは、物すごくいろいろな障壁がたくさんあってなかなか進みません。その中に人手不足もありますし、かつての患者さんを、無理やり新しい病院をつくって、器をつくってそこに患者さんを集めるための、収監のためのアウトリーチという時代が、昭和40年代、50年代に盛んに行われました。非常に嫌な言葉ですけれども、「患者狩り」などと呼ばれていたのです。

 そのトラウマがあって、医療者もなかなかそれをやりたがらない。来る患者を待っている。場合によっては警察と消防に連れてきてもらうということが習いになってしまっているという事実があります。

 プレホスピタル的な移送あるいは移動救急サービスを発展させるためには、人手をつけること。それを保障するため、医療でやるのだとすれば医療費をちゃんと担保すること。医療が必要かどうかわかりませんから、プレホスピタルに関しては、主導権は行政が握るべきだと思います。そのための法的な制度を整備する必要があります。半強制的な立入権といいますか、調査権限みたいなものは付与してもいいのではないかと私は思っています。

○山本座長 太田先生、いかがですか。

○太田構成員 まさにプレホスピタルを患者狩りにしないためには、医者と行政とで行くとか、そういうものが必要だろうと思いますが、これは保健所とか、福祉、あるいは本来は民生委員でさえありうると思うのですが、そういう福祉系のネットワークが事実上動いていないとすれば、それはどこら辺に原因があるとお考えでしょうか。

○山本座長 どうぞ、平田先生。

○平田構成員 サービスを受ける方の意思を尊重することになると、なかなか進まないですね。サービスなど必要がないとご本人が言う場合にはそれ以上は立ち入れませんから、そこのところが一番大きな障壁だと思います。

 ただ、それを無視して踏み込むためには、それなりの理由がなくてはいけないわけで、理由とそれをモニターするシステムがなければ、むやみに土足で上がり込むような行為はしてはならないと思いますけれども、その辺の制度的な兼ね合いが難しいので進まないのではないかと思います。

○山本座長 もともと、往診は患者狩りになりますよというので、これはまずいというので移送制度をつくったと、私の記憶ではそういう経緯があって、もう一つは民間業者がやるので人権保障が全然なっていないということで、行政が移送制度をやりましょうと言ったのだけれども、それがなかなかうまくいかないということだろうと思うのです。

 どうぞ。

○太田構成員 移送制度をそういう理由でつくられるのはもちろんわかるのですが、もう少し、保健所とか、ある種の行政機関の調査、職権調査のようなものがもう少し動かないものかと。

 変な話ですが、児童相談所にしても何にしても、気づかないですごく問題になったりするではないですか。ところが、お話を聞いていると、いわばそのためのアウトリーチと言いながら、無理やり連れてくる制度しかないというのはどうも変だというか、何かバランスが悪いなと。そこら辺はどこのリソースが欠けているのか、どのネットワークで対応するのが一番いいのかがちょっと見えない。何となくお話を聞いていると、一番最初からお医者さんを投入するべきなのか、それとも、保健所とか、何かそういうところから、あそこに患者がいそうなので来てもらえませんかと言って、医者に行くのがいいのか。そこら辺がちょっとどういう感じなのでしょうか。

○山本座長 千葉先生。

○千葉構成員 アウトリーチという言葉そのものが大変ひとり歩きをしてしまっていて、なかなかその概念とかの定義づけがきちんとできていないまま広がってしまったということがあるのですが、もともとアウトリーチは、保健的なアウトリーチと医療的なアウトリーチ、それと恐らく福祉的なアウトリーチという、介入する内容によって違ってくるのだろうと考えるべきではないかと思っています。

 医療は、基本的には求めてこないと、門をたたいていただかないとならないという形があります。そこから先、強制的に何か出ていくというのはそれなり強制権が必要になるわけですから、訪れてきた人に対して、それがご家族の相談だろうと何だろうとですけれども、医療の門をたたく。開いていただく。くぐってもらわなければならない。特に保険診療ということになると、もっとその辺のところはシビアになります。

 例えば、ひきこもりということでどうも精神障害らしいといった場合にも、診断も何もついていないのにいきなり医療サービスとしてそこに踏み込んでいくことは絶対にあり得ないと医療側は考えていて、それはやはり公的機関である保健所なり何なりがご家族とお話をしたり、あるいは、本人にできるだけ接触をしたりして、調査をしていただくあるいはそういうところの中でアウトリーチというサービスを行っていただき、必要があれば医療に結びつけてくるという形が望ましいと思っているので、この移送制度のところは、多くの場合はそういった保健のアウトリーチが先にあって、その上でいろいろと検討をする段階で、指定医なり何なりといういろいろな多職種の方々が検討した結果、やはり必要であろうかといった場合に、どういうアプローチをしていくのかということを決めていく。

 その結果、その方を安全に入院治療棟へ運ぶ。最後の移送は運ぶというところだけの問題なので、その前のところのプロセスがきちんとされるべきだとは言われているのですが、その場合に果たして緊急性といった場合はどうなのかということがありまして、もともとは緊急性がある人をいかに早く病院に収容するかということも、この移送制度の創設のときには一つの要件としてあったようなのです。

 その辺のところを、もう少し現代的に、移送制度ができていた時代背景と今とでは大分違うので、この内容についてはちゃんと検討のし直しをする必要があるのだろうと思います。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 それでは、4の論点についてはかなり議論していただいて、まだまだ問題があろうかと思いますけれども、最後に、残った時間で論点5についてご議論いただければと思います。

 澤田構成員、どうぞ。

○澤田構成員 資料2の11ページです。

 3番目にアンケート調査のことが書いてありますけれども、入院してひどい目に遭った人たちに、ひどい目に遭いましたね、味方になってくれる人がいたらよかったと思いませんかと聞いたら、6割の人は「はい」と答えるでしょう。こんな恣意的な調査は認められません。

 それから、5番目もそうですし、12ページの3つ目、機能ということですけれども、今まで看護師もPSWもできなかったことを、新たなポジションを設けたからといってできるのかと思います。むしろ看護師やPSWに、努力といいますか何といいますか、頑張っていただきたいと思うのです。

 それから、12ページ目の「代弁者」の機能。「代弁者」という言葉だけがこの検討会に丸投げされているのですけれども、そうではなくて、事務方にお願いしたいのですけれども、省内でどのような考えがあるのか提示していただきたいと思います。この短い時間の回数の少ない検討会に「代弁者」の一言で丸投げされても困ります。

○山本座長 「代弁者」を丸投げしているわけではなくて、これには幾つかの機能がございますねという意味で、この前の議論は大体整理がついたので、これを前提に、12ページに書いてございます、「代弁者」と一言で言ったっていろいろな機能があるのだということで整理させていただいたという経緯があると思うのですが、この機能を見ていただいて、これ以外にも機能があるのかどうか、あるいは、この機能はそもそも「代弁者」の機能とはちょっと違うのではないかというところがあろうかと思いますので、その辺を中心に残った時間で議論していただければと。

 この機能が決まらないと、一体どういう人がそういう役割を担うべきかということも決まっていかないと思いますので。

 澤田構成員。

○澤田構成員 この機能なのですけれども、精神科医や精神科の看護師やPSWが果たすべき機能だと思うのです。今までできてこなかったものを「代弁者」という新たなポジションをつくったからといってできるようになるのでしょうか。

○山本座長 今の澤田構成員の意見はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○岩上構成員 もちろん医療関係者の方がやる機能だと思います。しかし、議論の中では、医療保護入院を決めている立場に属する人でない第三者がいることの有効性があるということでの機能とお考えいただいたほうがいいと思います。

 もう一つは、この議論がどうして出てきているかというと、精神保健福祉法の改正の附則の中で、入院中の意思決定支援についてということで、さまざまな団体が推進事業等を使ってまとめたものがもとになっていると思うのです。

 皆さんが懸念しているのは、先ほど議論になっている入院時の権利支援をどうするか、その後の精神医療審査会のことも含めて、もっと権利擁護をがっつり組んでというお話だと思います。

 その議論の中で、入院の意思決定支援だけを見ると、とてもソフトなものになっているので、問題があるというご指摘をされるのだと思うけれども、前回も議論がありましたように、きちんとハードの枠組みをつくった中で何が必要かとなったときには、ご本人が話せる状況をどうつくるかと、この考え方は必要ではないかと私は思っているところです。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 どうぞ。

○澤田構成員 岩上構成員にお聞きしたいのですけれども、そうおっしゃるということは、11ページの5番目にありますけれども、岩上構成員のお考えでは、病院の職員ではない「代弁者」を設けることに意味があるということは、「医者と闘って患者の権利擁護をする者」といったお考えなのでしょうか。

○岩上構成員 澤田さんのお話は、いつも何か医療は問題を抱えているということをおっしゃる方が周りにいらっしゃるというお話なのだけれども、私はここの検討会で全体的にこういう意見があるという言い方はとても失礼だと思うのです。どこどこの病院がどういう問題があると言うのだったらわかるのですけれども、精神科医療全体がこういう問題を抱えていますと、精神科医療が問題だと、どこに根拠があるのか私にはわからない。あるのだったらということです。

 もう一つ、医療と闘って患者の権利を擁護することがもし必要な方がいらっしゃれば、私は必要な方はそれを利用すればいいと思いますので、そのために、前回も議論がありましたように、弁護士の方々とアクセスができるようになったほうがよければ、それも必要だと思います。

 ただし、私はここで「代弁者」の入院中の患者の意思決定支援の中でお話ししているのは、あくまでそれは闘うというよりもご本人が望んでいることの支援の一つだと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 千葉先生、どうぞ。

○千葉構成員 今の澤田構成員のお話は、資料の読み方に問題があるかと思います。11ページのところは、前回こういう指摘がありましたということを挙げているのであって、論点整理をしているわけではないし、これにどうこうではなくて、こういうご意見がありましたということを述べているところですね。それに対してどうだこうだ、どの立場だというのは、ちょっと進め方としては余りよろしくないと思います。

 問題は、12ページのところの論点はどうなのかということで、こういう論点あるいはこれのほかにつけ加える論点等はあるのかということをお話しする場ですね。

 私は、この○の2つ目の機能をどう考えるか整理する必要があるというところは大変賛成でございますし、この部分についてしっかりとするべきであろう。

 それは、その下の○が、事務局としては、今までの検討会や、あるいはいろいろな研究活動の中で挙がってきているものはこうだと挙げていただいているのですが、この辺のところをしっかりとすべきだと思います。

○山本座長 残った時間は少ないのですが、そこのところ、機能がいろいろとありますねというところは大体皆さん合意ができて、大体そこから出していただいたものがこういうところだろうと思うのです。

 どうぞ。

○田村氏 田村です。

 先ほど澤田さんからPSW等ができることだったのではないのかというご指摘をいただいて、私もPSWなので、おっしゃるとおりだなと思うのは、まず、ご本人の意思形成を支援するということを、医療機関の中にいても当然PSWとしてするべきことであろうと思いますし、退院請求などの権利行使の支援についても必要な機能だろうと思っています。

 ただ、ご本人さんの立場からしてみると、ご本人は納得しない中で入院させられた、その病院の職員からの説明ですとかかかわりに対して、素直になかなか受け切れない部分もお持ちかもしれませんし、むしろ第三者の立場で自分の話を聞いてくれるとか、あなたにはこういう権利があって、地域にはこういう情報がある、資源があることを伝えてくださる役割も必要なのではないかと思います。

 つまり、退院に向けた意思形成を支援するというあたりを考えますと、退院後の生活についてこんな支援が受けられるということや、こういうサービスがあることの情報提供などを行うことについても、医療機関以外の立場から行っていただくというのはあってもいいのではないかと思います。

 ただ、それは「代弁者」ということとは少し機能としては違っているのではないかと思いますし、ここで意思決定の支援者なのか「代弁者」なのかというあたり、「代弁者」の定義をどうするのかということは議論にあるのだと思うのですが、そこを明確にする必要があるのではないかと考えます。

 以上です。

○山本座長 吉川先生、どうぞ。

○吉川構成員 吉川です。

 今、澤田構成員が言われたように、確かに看護者が患者さんの病状回復に応じて意思表明できるようにとか、意思決定できるようにといった支援を努力するべきだと思います。

 そういったことを行うことを考えたときに、今、ここに記載されている機能が、読み返してみても、これが治療内容に関する意思表明と意思決定のことなのか、退院後の生活に関する意思表明と意思決定のことなのか、そのあたりによっても大きく役割機能が分かれると思いますので、そういったところを少し明確に。医療内容のことなのか、それ以外のことなのか、それによっても違ってくると思います。

○山本座長 何に向けた意思なのかということですね。その点をちょっと議論する必要があるかもしれません。

 千葉先生。

○千葉構成員 基本的なことですけれども、これは「代弁者」を全員につけるという話ではないので、「代弁者」を持つことができるというところにあるわけで、そうすると、その「代弁者」を持つあるいは患者さんが「代弁者」を選ぶというところについては、どのような形でするべきなのかといったこともあわせて、それこそ本人の意思が「代弁者」をちゃんと選べるのか、それに対する支援はどうするのかという、どんどんぐるぐる回りの話になりそうなところはなくはないのですけれども、そういった部分もちゃんと考えておく必要はあるだろうと思います。

○山本座長 太田先生。

○太田構成員 「代弁者」に想定される機能をもう少しクリアにしろというのは前回言ったことですので、そこはいいのですが、話を聞いていてちょっと落ちていたかなというのは「代弁者」はどういう患者の人に要るのか。つまり、この人を自分の「代弁者」にするのだと意思表明ができないと意味がないわけです。逆に、意思表明ができる人は、自分で早く出してくれと言えば、これは逆に別の意味で「代弁者」は要らないかもしれないです。そこら辺のどういう患者の人たちのためのどういうものかという、機能と類型とのセットが分析のためには必要かなという気がします。

 それでいくと、もう一つ問題になっていたのは、意思表明を明確な形ではできない、しかし、だからといってその人に対する権利擁護は要らないわけではないという類型であって、ずっと平田構成員がおっしゃっていた「公的保護者制度」の問題です。そのモニタリングが護民官のように入ってくるというのは、まさにこういうところの「代弁者」の一つの類型としては、もうちょっときちんと書いておくべきではないかと私は思いました。

○山本座長 整理していただきまして、ありがとうございます。

 本條構成員。

○本條構成員 「代弁者」を否定するわけではありませんけれども、意思決定支援ということについて少し申し上げたいと思うのです。

○山本座長 簡潔にお願いできればと思います。

○本條構成員 はい。

 それは、障害、病気によって判断能力が低下していることが前提になっておりますけれども、確かにそういう面もあるかもわかりませんが、判断能力がないあるいは決定能力がないということは、もちろん本人の病気にもよりますけれども、そういう面を判断できるあるいは意思決定ができるということを支援していくことが大事ではないかと思います。

 ですから、本人を訓練したり、病気を治していくことによってすることも大事でありますけれども、たとえ判断能力が落ちていても、適切な情報提供をして選択ができるようにしていくことこそ大事ではないかと思っております。それを担う組織づくりあるいはそういうシステムづくりをしていく必要があるのではないかと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 それでは、最後に澤田構成員、簡潔にお願いします。

○澤田構成員 この資料に掲げられている機能なのですけれども、従来のオンブズパーソンや退院促進とどこが違うのでしょうか。今あるものに予算をつけて、新しいものは作らない方がいいです。

○山本座長 活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。

 ただ、もう時間になってしまいましたので、きょうの検討会の議論はこのぐらいにしたいと思います。どうもありがとうございました。私の不手際でちょっと時間が押してしまいまして、皆さん、十分なご議論がしていただけなかったと思うのですけれども、申しわけございませんでした。

 本日、皆様からいただいたご意見を踏まえて、事務局においてさらに整理をお願いできればと思います。

 最後に、事務局から次回の分科会の日程等についてご説明をお願いしたいと思います。

○占部課長補佐 次回の「医療保護入院等のあり方分科会」につきましては、7月2110時から12時を予定しております。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 本日は、お忙しい中、非常に長時間にわたって熱心にご議論いただきまして、本当にありがとうございました。

 それでは、時間になりましたので、これをもちまして「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会第3回医療保護入院等のあり方分科会」を閉会したいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

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