ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > がん検診受診率等に関するワーキンググループ > 第1回がん検診受診率等に関するワーキンググループ(議事録)(2016年6月14日)




2016年6月14日 第1回がん検診受診率等に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年6月14日(火)15:00〜17:00


○場所

航空会館 2階 201会議室


○議題

(1)座長選任について
(2)がん検診受診率等に関する問題点について
(3)市区町村間で比較可能ながん検診受診率算定法について
(4)プロセス指標、特に精検受診率目標値の見直しについて
(5)その他

○議事

○事務局 間もなく定刻となりますが、委員の先生方が皆様おそろいですので、ただいまより第1回がん検診受診率に関するワーキンググループを開催いたします。なお、本日、がん・疾病対策課長は、別な公務のため遅れて出席することをあらかじめ御連絡申し上げます。

 それでは、構成員の紹介をいたします。健康保険組合連合会保健部長の小松原祐介構成員です。国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部長の斎藤博構成員です。杉並区杉並保健所地域保健・医療連携担当課長の椎名惠子構成員です。大阪府立成人病センターがん予防情報センター疫学予防課長の中山富雄構成員です。公益財団法人福井県健康管理協会副理事長の松田一夫構成員です。全国健康保険協会本部保健第一グループグループ長の三浦淳一郎構成員です。

 また、本日は1名の参考人を招聘しております。「プロセス指標、特に精検受診率目標値の見直しについて」の説明について、国立がん研究センターがん対策情報センターがん医療支援部検診実施管理支援室研究員の町井涼子参考人です。

 続いて、事務局を紹介いたします。健康局がん・疾病対策課がん対策推進官の丹藤です。同じく主査の鉾之原です。私は、がん検診対策専門官の高橋です。よろしくお願いいたします。

 続いて、資料の確認をお願いいたします。お手元の資料を御覧ください。座席表。議事次第。資料1「がん検診受診率等に関するワーキンググループ開催要綱」。資料2「がん検診受診率等に関する問題点」。資料3「市区町村におけるがん検診受診率の算定方法」。資料4「杉並区におけるがん検診受診率の現状」。資料5「プロセス指標、特に精検受診率基準値の見直しについて」。参考資料1「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について」。参考資料2「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」。以上です。資料に不足、落丁などがありましたら、事務局までお申し出ください。

 次に、本ワーキンググループの座長を選出いたします。本ワーキンググループでは、開催要綱にありますとおり、構成員の互選により座長をおくこととしております。御推薦がありましたら、挙手の上、お願いいたします。

○中山構成員 座長については、様々ながん検診の研究班の主任研究者を務めておられ、親会でありますがん検診に関する検討会のメンバーでもある、国立がん研究センターの斎藤博先生を御推薦したいと思います。

○事務局 ほかには、いかがでしょうか。それでは、斎藤構成員にお願いするということで、よろしいでしょうか。よろしければ、拍手をもってお願いいたします。

                                     ( 拍手)

○事務局 それでは、全員一致ということですので、斎藤構成員に本ワーキンググループの座長をお願いいたします。斎藤座長、座長席にお移りください。それでは、一言御挨拶をお願いいたします。

○斎藤座長 御指名により、座長を務めさせていただきます。本ワーキンググループは、後で事務局から御説明があると思いますが、昨日も行われました「がん検診のあり方に関する検討会」、前身のがん検診検討会が確か平成16年から始まっているわけですが、ここから我が国の検診、つまり厚労省のいわゆる指針で、自治体に推奨される検診を議論して決めてきた流れの中で位置付けられる重要な会議だと認識しております。この会議の、いわば諮問を受けてといいますか、具体的な作業項目を担って、それに答申、報告をするという位置付けのワーキンググループだと認識しております。聞いている範囲では、非常に短い期間に結構大きなアウトプットを出さなくてはいけないということで、今、御指名を頂いて大変重責を感じているところですが、何とか皆さんの御協力の下に、本検討会のほうにしっかり報告ができるように議論を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。以上をもちまして、カメラをお納めいただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、この後の進行は、斎藤座長にお願いいたします。

○斎藤座長 早速、本日の議題に入ります。まず、議題2「がん検診受診率等に関する問題点について」、事務局から資料12の説明をお願いします。その前に、先ほどの挨拶で図らずも言及しましたが、このワーキンググループについて、恐らく資料1だと思いますが、事務局から改めて位置付けを正式な立場から御説明をお願いします。

○事務局 お手元に資料1を御用意ください。こちらは、本ワーキンググループの開催要綱となっております。座長からもお話がありましたように、本ワーキンググループの「趣旨」です。我が国のがん対策は、「がん対策推進基本計画」に沿って進められており、がんの早期発見については、科学的根拠に基づくがん検診を実施しております。この中で対策が遅れている分野や、加速することにより死亡率減少につながる分野について、実行すべき具体策を明示した「がん対策加速化プラン」を平成2712月に策定し、がんの予防における施策の1つとして、市区町村及び職域におけるがん検診へのアプローチを掲げております。

 がん検診については、「がん検診のあり方に関する検討会」において、科学的根拠などについて議論しておりますが、今般、市区町村及び職域における、比較可能ながん検診受診率の推計方法等を検討することといたしました。これを受けて、平成285月より、「がん検診受診率等に関するワーキンググループ」を設置し、市区町村及び保険者間で比較可能ながん検診受診率の算定方法、公表方法及び精密検査受診率の目標値設定等について検討した上で、検討会に報告することとしております。

 また「検討項目」としては、(1)市区町村間で比較可能ながん検診受診率算定法、(2)保険者間で比較可能ながん検診受診率算定法、(3)がん検診受診率の公表方法及び報告方法、(4)精密検査受診率等の目標値設定、(5)がん検診受診率等の評価指標、(6)その他となっております。以上が、資料1の説明です。

○斎藤座長 今、改めてこのワーキンググループの位置付け、それから負っている責務といいますか、タスクについて説明がありました。構成員の皆様、いかがですか。あらかじめ、ここで我々が何をやらなくてはいけないかの確認がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。

 それでは、次に資料2「がん検診受診率等に関する問題点」について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 お手元に資料2を御準備ください。こちらは、がん検診受診率等に関する問題点をまとめたものです。このワーキンググループは、がん検診に関する、がん検診の検討会で議論されたものについて、「次期がん対策推進基本計画策定に関する検討項目」、並びに「がん検診のあり方そのものに関する検討項目」として、大きく2つの検討項目を掲げております。検討会においては、がん検診のあり方に関する検討会において、5つの検討を基本計画策定に向けて議論するとなっております。職域検診実態調査の結果・分析。職域におけるガイドラインのあり方。指針以外の検討項目等の取扱い。受診率向上に向けた取組の公表。ワーキンググループの検討結果を受けた取りまとめです。以上は、検討会で話し合っていただく議論となります。

 続いて、本ワーキンググループにおける検討項目です。こちらは4つあり、各市町村及び職域におけるがん検診受診率の比較可能な算定方法。がん検診受診率の公表方法及び報告方法。がん検診受診率等の評価指標。精密検査受診率等の目標値のあり方となっております。

 続いて、「がん検診のあり方そのものに関する検討項目」です。こちらは、検討会で引き続き議論をしていただくことを想定しております。もし、ワーキンググループでも取り上げるような事項がありましたら、その都度おっしゃっていただければと思います。まず、必須事項としては、前のページにあります4つの項目について御議論いただきたいと思います。

 続いて、4ページです。現在、がん検診受診率の把握方法が幾つかあります。1つ目は、表の左側にあります「地域保健・健康増進事業報告」です。こちらの報告者は全国の市区町村となっており、毎年度報告する。また、内容については「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づいて、自治体が実施したがん検診の事業結果となっております。これらより得られる結果としては、対象者数、受診者数、受診率、要精密検査者数、結果人数などが結果として挙げられております。

 こちらの地域保健・健康増進事業報告の問題点としては、下にありますとおり、市区町村以外で行った検診、これは職域や個人の検診を含みますが、これについては把握ができない。2点目として、受診者数や対象者数は5歳階級毎との報告となります。3点目としては、対象者の範囲については、それぞれの市区町村によって捉え方が異なるといった問題点があります。

 また、がん検診受診率の把握のもう1つの方法として「国民生活基礎調査」があります。こちらは、抽出された調査、30万世帯及び世帯員74万人の方に対して行ったアンケート調査です。調査の頻度は、がん検診に関わる項目については3年に1回行っております。また、内容については、「あなたは過去1年間に、下記の5つのがん検診を受けましたか」という質問に回答していただき、これに受けましたと回答していただいた方がカウントされます。結果として出てくる指標が、受診者数と受診率となります。

 この国民生活基礎調査の問題点としては、市区町村、職域、個人において受診したがん検診を全て含んだ受診率となります。しかし、それぞれ分割することが、平成25年までのものではできないとなっております。こちらは、平成28年の調査からこの点を改善して、次の別添に示しておりますが、この点も分けて受診率を算定できることになります。2点目としては、市区町村単位での受診率の算定は不可能となります。3つ目は、調査対象者の主観的な回答となるところが、問題点として挙げられております。

5ページ目が、国民生活基礎調査です。右側が平成25年度の現状のもので、本年度行っている調査が左側の平成28年度です。例えば、一番上の胃がんの検診などについては、受けた、受けないの後に、どのような機会で検診を受けたかといったところに、市区町村、勤め先などを分けて聞いているということで、実施の機会について分けて集計ができます。

 また、下はこの国民生活基礎調査から得られたデータで示した数値です。胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん(子宮頸がん)、乳がんの受診率のデータが、3年ごとの年次推移で示されております。また、子宮頸がん・子宮がん、乳がんについては、過去1年で受けた方、また過去2年で受けた方といったお伺いの仕方をしております。指針では、2年に1度の子宮がん、乳がんの検診の実施を推奨しているため、2年に1度の受診率のほうを採択しております。

7ページ目は「地域保健・健康増進事業報告によるがん検診受診率の推移」となります。直近5年間の推移を示しておりますが、余り大きな変化はありません。一番上の30%台が頸がん、25%強が乳がん、1520%の間に肺がん、大腸がん、10%を切る所に胃がんの検診の受診率があります。

 下に移ります。こちらは、国民生活基礎調査による「年齢階級別がん種別検診受診率」となります。各年齢別、男女別に、それぞれ検診の受診率を示しております。いずれの検診においても、4050代、60代ぐらいにピークがあり、80代にいくに従って受診率が下がっていく傾向にあります。また、子宮頸がんについては、ピークが3040代ぐらいで、50%を超えるような受診率になっております。

9ページは、国民生活基礎調査では「医療保険加入別のがん検診受診率」についても分析が可能です。5つのがんにおける加入保険ですが、こちらは保険の加入状況を示すもので、必ずしも各がん検診がそれぞれの医療保険で提供されるものであるとは限らないという但し書きがありますが、ある程度の傾向はこれでつかめます。本ワーキンググループでは、被用者保険についてもお話いただきますので、そういった受診率についても、こちらのデータを御参照いただければと思います。いずれのがんにおいても、被用者保険・本人は、いずれも国民健康保険に比べるとやや高い傾向。あとは、被用者保険・家族は本人に比べると低い傾向があります。

 以上のことから、「がん検診受診率等に関する問題点」の中から抜粋いたしました。1つ目は、平成203月の「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について報告書」です。こちらは、参考資料134ページ別添5に付記しております。職域等において、がん検診が受診できる人数を対象者から除く推計対象者数を基にした受診率を提案しております。これは、昭和20年に出された報告書で、今から8年前の報告書です。市町村事業において、がん検診の対象者の計算方法を、別添5に示すように、職域で受ける機会のある方を除いたほうが望ましい。このほうが市町村事業を評価する上では、対象者の算定としては望ましいといったところの算定式を出しております。この算定式などについて、現状などを再確認する必要があるのではないかといったところが、問題点としてはあります。

 もう1つは、がん検診の評価指標、目標値のあり方が、この報告書が平成20年以降検討されていない状況にありますので、8年たった今、現状に合わせて、この報告書の再検討が必要ではないかといったところが、問題点として挙げられております。

 最後に、「各調査における現状のがん検診の受診率について」をまとめました。先ほど御紹介いたしました国民生活基礎調査と、地域保健・健康増進事業報告については、左側と真ん中に示しております。右側の推計対象者を基にした受診率は、先ほどお示しいたしました参考資料1の平成20年の報告書に基づいた報告です。こちらは、国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページより公表されております。こういった、がん検診の受診率は、それぞれあります。国民生活基礎調査は、主な目的として、がん対策推進基本計画の評価指標などに用いられております。また、地域保健・健康増進事業報告の主ながん検診の受診率についての主な目的としては、実数による受診率が把握できるといったところです。また、この推計対象者を基にした受診率としては、市区町村間での受診率の比較評価ができるといったところで、それぞれ目的も違い、それぞれ問題点と利点があるといったところを御理解いただいた上で、現状の把握、又は今後こういったものの活用などをお願いしたいと思います。以上です。

○斎藤座長 まず、私から確認したいのですが、この会議の前半導入部分は、この会議で何が求められているかを繰り返し明確にしていきたいです。恐らく、10ページに書いてある2つの○が、アウトプットとして求められているのかなと思います。最後のほうに御説明があった平成20年の報告書が、すべからく今がん対策として走っているがん検診に関わる重要な基本的なことが、全部ここに書かれてあるということです。本体の検討会でも度々言及されますが、この中に書いてある受診率の計算式、推計対象者数を基にした受診率を8年たって見直す。そのままでもいいかもしれないけれども見直すことが1つですね。

 もう1つは、目標値とあります。これは後のほうでの議題になりますが、少し紛らわしいです。いずれにしろ、この会で検討したことで、この報告書の中身に8年たって修正、あるいは改訂、あるいは更新を加えられるものは加えると。修正するということでよろしいのでしょうか。

○事務局 1点目は、それでよろしいかと思います。もう1つの精密検査受診率などについても、現在、がん対策推進基本計画では、受診率について50%を目指すと明示しておりますが、精密検査受診率についてはそういった具体的な数がない中、こういった指標などの現状値や目標値なども参考にした上で、精密検査の受診率についても、計画に盛り込むような具体的な数を。まず盛り込むべきか。盛り込むのであれば、どのような数が妥当であるかといったところも話し合っていただければと考えています。

○斎藤座長 今のところで、やはり初めに言葉ありきで整理しておきたいのですが、目標値という言葉が、参考資料の37ページに「目標値」と既にあるのですね。これは、精度管理の指標として、プロセス指標、精検受診率を含む数値に関して、最低限の許容値、それからできればこのレベルという、ある意味高い水準であれ目標値は設定してあります。この目標値と字面の上では一緒なので、ここでしっかり定義をしておきたいのです。今、事務局が言及された目標値というのは、文脈からいくと、基本計画の個別目標で設定された受診率、かつては50%、修正して一部40%という目標値ですね。それと同じような並び、位置付けで、新たに精密検査の受診率に目標値を設定するということですね。

○事務局 そのとおりです。

○斎藤座長 分かりました。それから、もう一点確認させてください。12ページに戻りますが、このワーキンググループにおける検討項目と、今日の検討課題なのですが、4つあり、本日の課題は1番目と4番目のポツになりますね。2番目と3番目については、内容を少し簡単に御説明いただけますか。

○事務局 説明が足りず、申し訳ございません。資料21ページ目ですが、「ワーキンググループにおける検討項目」、青い枠の中の2つ目のポツについてです。がん検診受診率の公表方法です。この公表方法というのが、がん検診の受診率は、先ほど後ろにお示しいたしました同資料211ページです。公表方法は、厚生労働省のホームページ、並びに国立がん研究センターのホームページなどで公表されているのが、現状の受診率となります。がん検診受診率の公表方法については、やはり各自治体、市区町村において、様々な事情があります。例えば、都市部などであれば、昼間の人口が非常に少なく、がん検診は職域で受ける方が非常に多い。そういった場合には、受診率はどうしても目減りした数が出がちであるという問題点。あとは郡部など昼間の人口もそれほど変わらないような自治体においては、受診率は都市部に比べると高めに出るといった、高めに出やすい、低めに出やすい自治体の受診率を横並びに、まず計算式としてはどういった計算式が妥当か。あとは、そういった計算式を基に算定された受診率を公表するのには、こういったホームページが妥当なのか。それとも、こういった検討会やワーキンググループの報告書の形として出すのが妥当なのか。公表されたときに、公平性、妥当性をもった公表の仕方でお伝えするといった問題意識があります。

2点目の報告方法については、受診率の報告の方法をそれぞれ11ページにお示ししました国民生活基礎調査、地域保健・健康増進事業報告、推計対象者を基にした受診率、それぞれの用途を把握していただいた上で、現状このような報告を使っていただきながら、受診率の市町村間の比較、並びに保険者間の比較、並びに年次推移なども検討していただきたいといった考えがあります。

3つ目の、がん検診受診率等の評価指標ですが、こちらは本日も議題にありますが、プロセス指標などについて、それらの平成20年の報告書の数が妥当なのか、それとも刷新すべきところもあるのかといったところを御議論いただいて、現状と合わせて修正、若しくは修正がなければ現状のままといったところをお話いただければと考えております。

○斎藤座長 大分、座長から確認をしましたが、構成員の皆様、何か御質問、御意見はありませんか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 続いて、議題3「市町村間で比較可能な検診受診率算定法について」に移ります。資料3について、松田構成員より説明をお願いします。

○松田構成員 資料3を御覧ください。ただいま事務局から説明がありましたけれども、現在公表されているがん検診受診率は3つあります。1番目の地域保健・健康増進事業報告と、3番目の推計対象者をもとにした受診率は、地域保健・健康増進事業報告に基づいております。実際に市区町村で行われたがん検診の数を拾っていますから。分子としては実態のある正しい数字を使っています。ただ、受診率というように計算する場合、その分母が1番目の地域保健・健康増進事業報告と、3番目の推計対象者数をもとにした受診率とでは違っています。

 なぜ一番下のような、推計対象者をもとにした受診率の考え方が出てきたかというと、自治体によって分母の設定の仕方が違っているということがあります。その前に、地域保健・健康増進事業報告ですから、行われたがん検診は全て指針に基づいています。それ以外のものは拾っていないのですが、分母が異なっている。自治体間の比較性を求めて、下のような推計対象者をもとにした計算を行っています。これは後ほど御説明します。

 2番目は、先ほど事務局から報告がありました。がん検診は、いわゆる市区町村の検診だけではなくて、それよりもっと多くが職域で行われています。あるいは人間ドックを受ける方もいるわけですが、その数が地域保健・健康増進報告では拾えません。それを網羅的に拾う方法として、国民生活基礎調査があります。これは3年に1回行われているのですが、あくまでもアンケート調査ということで、本当にがん検診を受けたのかどうかという記憶が必ずしも正しくない。ですから、がん検診を受けていないにもかかわらず、受診したという報告がなされる可能性があるということと、指針外のがん検診を拾ってしまっている可能性があります。

 もう1つは、先ほどがん検診を受けていないにもかかわらず受けていると回答することがあると言ったのですが、それは単に記憶違いだけではなくて、がん検診と診療で行われた検査とを混同してしまう可能性もあるわけです。しかしながら、地域・職域・市民が受けているがん検診を網羅的に拾う方法としては、現時点では、国民生活基礎調査しかありません。ただ、これも問題があることを指摘しておきます。それは指針外の検診、あとは記憶間違い、診療との混同ということです。

 次のページは、推計対象者数という考え方です。市区町村事業におけるがん検診の対象者は、まず40歳以上の市区町村人口です。これは子宮頸がんの場合には20歳以上ということになります。この人口から就業者数を引き算します。次に就業者のうち農林水産業に従事していた人は足し算をします。そして要介護45の方たちは、恐らくがん検診を受けることが非常に困難ということで対象から除いています。

 2の就業者を分母から除く理由としては、恐らく職域でほとんどの方たちはがん検診を受けることができるだろうという想定しているからです。先月の検討会では組合のがん検診の報告がありましたし、昨日の検討会を私は欠席させていただきましたが、協会けんぽの受診率の報告があったとお聞きしています。協会けんぽのがん検診受診率は高くありませんし、組合健保のがん検診受診率は結構高いというものの、必ずしも100%ではありません。就業者ががん検診を100%職域で受ける状況にはないということになりますので、これをまるまる引き算をしてしまうのは、やはり問題ではないかと思います。

 その下は、3種類の算出法によるがん検診受診率の胃がん・肺がん・大腸がんについてみたものですが、どの都道府県でも一致して地域保健・健康増進事業報告による受診率よりも推計対象者による受診率のほうが少し高く出ていますが、それほど変わりません。一方で、国民生活基礎調査による受診率は他の2つの計算式よりも随分高く出ています。このように乖離をするというのは、国民生活基礎調査が実態よりがん検診受診率を非常に高く見積っているか、若しくは地域保健・健康増進事業報告の受診率が実態よりも低すぎるかということです。

 本日は御紹介しませんけれども、福井県では、県内で行われている全てのがん検診を網羅的に拾っています。そうすると、その数字はどこに来るかというと、国民生活基礎調査よりも数パーセント低い。ですから、このアンケート調査はやはり高く出ているのではないかということが懸念されます。

 その下は、推計対象者数と実際の対象者数の乖離をみたものです。推計対象者数が、市区町村が考えている対象者数よりも少ないということが31%あります。すなわち、結構な数の地域では推計対象者数に基づく受診率は高く出ていることになります。なかなか実態が分からずにこういうことをやらざるを得ない面がありますが、これも多少実態とは懸け離れてしまう向きがあります。

 ちょっと分かりにくい説明になってしまいますが、その次を御覧ください。今回、がん検診については実施形態が3つあることを強調しておきます。1つ目は「住民検診」ですから、市区町村が行っているがん検診です。これは指針に基づいて行っているので、実施した数は全て把握できる。ただ先ほど申しましたように、受診率を計算すると、分母はなかなか正確に把握できていない。「職域検診」は先月御報告のありましたが、なかなか数の把握が難しいということになります。そして、その行われているがん検診が、指針に基づいているかどうか、あるいは精度管理が十分なのかという点も多少問題があります。そして「人間ドック」になりますが、これは全く把握のしようがないということになります。

 もう1つは、住民検診というようにひとくくりにしてしまっていますが、先ほど保険の話もあったのですけれども、国民健康保険の方たちは、専らというか、この住民検診を受けるだろうと考えられます。健康保険の本人も、職場で受けることができなければ、この住民検診に移動している可能性があります。

 従来は、国民健康保険の扶養家族になっている方たちは、この住民検診の対象にしているわけです。先月御報告を頂いた組合けんぽなどでは、市区町村のがん検診の対象になっていても、組合けんぽでがん検診をカバーしている可能性があります。受診率の分母と考えていても、それが他のがん検診を受けて、受診率には当然カウントされないケースもあります。そもそも分母と考えていない人たちが、職域の検診を受けられないために分子としてこの地域の検診に移動することがあります。ですから、保険者間の移動、あと地域検診、職域検診の移動がかなりあるということなので、それがなるべく移動がないようにということを考えないと、正確な受診率の把握ができないだろうということです。

 そういうことで今回提案した受診率としては、まず国民健康保険の対象者のがん検診の受診率です。この受診率を提案する理由は、他の健康保険での検診への移動が極めて少ないからです。ただ、これでも人間ドックを個人的に受けられればなかなか把握ができないということもあろうかと思いますが、それはさほど多くはないと想定されるので、まず一番正確ながん検診の受診を把握する。しかも、それは市区町村の比較もできるとすれば、分母、分子とも国保の加入者ということで行ってはいかがかということです。

 補足ですが、先ほどの国民生活基礎調査については、これまでと違って職域の検診を受けたかどうかをはっきり聞くようになりました。前回までは、勤め先の勧めで受けたかという、ちょっと曖昧な表現でした。今後は、この国民生活基礎調査も、以前よりは正確な把握ができる可能性はあります。ただ、それもあくまで本人の記憶に基づいているとか、指針以外のものを拾ってしまうことがあるので、ということをちょっと補足しておきます。あくまで指針にのっとったがん検診を、正確に実施状況を把握し、そして分子、分母とも確かなものを持って受診率を計算するとすれば、対象者は国民健康保険の加入者のがん検診の実施状況の把握、そしてその受診率の計算ということを提案させていただければと思います。

 参考に、その計算がどうなのか。困難なのか、算定が難しいとかいろいろ理由がありますので、クリアしなければいけない課題はあろうかと思います。繰り返しになりますけれども、保険者間、保険間の移動が非常に少ないことを考慮すると、最も正確な受診率をまず把握する方法としては国保。その次に、やはり全ての職域を網羅的に把握するという仕組みがいずれは必要になろうかと思います。もう1つは職域の検診についても、市区町村の検診と同じような精度管理、あとは指針に基づくものが行われるようになる必要があるというのが次の段階かと思います。以上です。

○斎藤座長 このデータについては、松田先生とコミュニケーションしていて、少しその意味で確認したいのです。今お示しになったように、現在利用できる受診率と呼ばれるデータは3つあると。いずれも分母、分子に問題があるということが最初のポイントです。その中で、最終的に国保の対象者を分母、分子にした受診率を、市町村間の比較可能な受診率として提唱されたわけです。

 その3つの計算式について、最初のは健康増進事業の、いわゆる事業報告の値です。それについては、実は自治体間で対象者数の算定方法、つまり分母がバラバラであるという実態は前から言われていたわけです。ただ、その詳細は不明なわけです。そういうことで、健康増進事業報告の分母と、3番目のある意味標準化された推計受診率、つまり職域で受けられる人を除いた1-+-4という式の分母を比べたいわけです。そうすると、47都道府県でのデータの関係が、受診率でみると地域保健事業報告よりは推計受診率が同じか、やや高めで、国民生活基礎調査がずっと高いというのが、47都道府県にほぼ共通の傾向が見られました。

 その下のデータは、自治体間でまちまちな対象者数の算定方法の実態が分からないので、その推計対象者数と比較をしたら全く重なるのは半分ぐらいで、あとは一致しなくて、おおむね健康増進事業報告で多めに出ているということです。ですから、それが受診率に換算すると、上の折れ線グラフになって、事業報告よりも推計受診率が高めだと。このように解釈しているのですけれども、いかがですか。

 つまり、この三者の受診率の問題点の中に、事業報告については自治体間での算出がまちまちであるということで、比較性が損なわれている疑いがあるということです。それを検証したのが、多分この棒グラフの趣旨だと思うのですけれども、そういうことでよろしいですか。

○松田構成員 そのとおりだと思います。問題は先ほど申し上げたように、分子としては実態がある数字なのですが、分母が確かかどうかということがなかなか分からないので、それを比較性がある数字として、推計の対象者数というものが出された。その前の市区町村が独自に決めている受診率は、分母がこれまた分からない。今、比較性を得るために、この対象者数を決めているのですが、それでもやはり問題点が残っているということかと思います。ですから、それをより確かな受診率を求めるために、国保のということに限定したものを提案したということになります。

○斎藤座長 冒頭でもう一言言い忘れたというか、付け加えるべきだったかもしれないのです。今お聞きになって、後ろの方も分かるように、本日の課題は検診受診率の算定方法、それから精検の受診率が話題になります。実は受診率と一言で言っても、分子、分母で自ずと値が決まってくるわけです。今も受診率に関して、分子、分母問題を話しています。この検討会の議論が空回りしないようにするために、その辺で専門家にしか分からないようなこともありますから、議論の場とはいえ、その辺の実態というか実情はこんなものだという、説明と言ったらなんですけれども、そういうコメントも専門家の先生方から入れていただいて、それで進めていきたいと思います。そういう観点で御意見、御指摘はありますか。今の御説明に対していかがでしょうか。中山先生は何かありますか。

○中山構成員 今の御説明のように、国民健康保険の人に限定をして受診率を算定するということは、基本的に私は賛成です。自治体が今まで受皿にしてきた、もう1つの対象者というのは、健康保険の被扶養者なのです。要するに配偶者が検診を受診するような場面がほとんどなく、自治体の検診を受けてきたということです。一部の自治体では、特定健診制度を開始したときに、その辺の方々が特定健診は受けたけれども、がん検診は受けなかったということで、大幅に受診率が下がったときがあります。そういう人たちをまた自治体の検診に呼び込もうというような活動をしてきた所も、いろいろ知っています。もちろん国民健康保険に限定して受診率を出すのもいいのですけれども、そういう被扶養者の受皿としての部分も評価は別個していただきたいと思います。

○斎藤座長 これは非常に重要な御指摘です。松田構成員は時間を気にしてそこは端折られたと思います。国保というのは、どうして分子、分母にカウントしたかというと、既に言及したように、現存の受診率が分子も分母も問題がある。一番簡単に言うと、実測値になっていないのです。推計値になっているわけです。そこで、今の目的は市町村間のがん対策のパフォーマンスを比較することです。そういうことになると、手堅いところは、直接の対象者として堅いところである国保対象者の部分をカウントする。これが実際に意味としても合理的なのではないかということでの提唱です。

 それに対して中山構成員からの御指摘は、それだけではなくて、責任がどこにあるかまだはっきりしない、職域で受けられる人たちの配偶者を中心に家族に対しても、自治体が受診勧奨をして、手厚く検診を行うのは評価されるべきではないかという御指摘なのです。それに対してどうぞ。

○松田構成員 中山構成員のおっしゃることはもっともだと思います。その前に健保組合であっても、100%がん検診の受診率があるわけではありません。ましてや扶養家族の方たちは、組合けんぽでがん検診がカバーされているわけでもありません。その人たちが市区町村の検診に移動するということは、それは当然のことながら行われていると思います。ただ、それは把握のしようがないのです。ですから、今後、国保以外のがん検診は一体誰が責任を持って提供し、精度管理するのかということがはっきりしていない状況であれば、今の受診状況、分子、分母を正確に把握するとすれば、それは国保に限定するというのは第一歩だと思います。

 その次は、職域における検診も全て網羅的に把握をし、そしてその検診の精度管理がされるということが当然なされないといけない。この受診率を、国保の受診率だけ調べて、それでおしまいというわけでは決してなくて、これまでは正確な受診率というものが日本には存在しなかったので、まず第一歩として、このような受診率を求め、そして市区町村間で比較をし、今後その受診率を高めるためにはどうするかということを検討したらどうか。ですから分子、分母、それから精度管理が確かなものを、まずは対象にし、これを手始めにすることを是非提案したいと思います。

○斎藤座長 座長の解釈で恐縮ですが、今までの議論も踏まえて、主たる指標としては、分子、分母が国保で、従たるものとして家族、それからひょっとすると分子のほうは職域の人もカウントすべきです。そのときに受診率をどう出すかというのは、分子、分母の関係で議論を深める必要があります。指標としては、その主たるものと従たるもの両方を考えることになりますか、いかがでしょうか。

○松田構成員 そのとおりだと思います。ですから、市区町村で行っている検診は国保だけではないです。そうすると、国保以外の人たちも、当然受けているわけです。ですから、どの程度受けるかということを把握はできます。ただ、その国保以外の方たちの受診率が幾つなのかというように計算しようとすると、それは非常に無理があって、実態として市区町村のがん検診を受けている人たちの加入している保険が何なのかを把握することは当然可能だと思いますので、国保以外の受診状況も分かるけれども、率としてはなかなか算出が難しいということかと思います。

○斎藤座長 中山構成員、これはいかがですか。

○中山構成員 おっしゃるとおりなのです。これは検診のやり方自体を大きく変えるとするならば、例えば検診を受けるときに必ず保険証を確認して、それを問診票にチェックすれば全部分かってしまうことなのです。例えば医療機関であれば保険証がないと、その受診自体ができないわけですから、当たり前のように検診を受けるときにもそういうチェックをしたら、この人が今何の保険に入っているのかすぐに把握できるはずなので、将来的にはそういう数字を出したらいいと思うのです。

○斎藤座長 今のことに関しては、恐らく自治体間で事情が違うと思うのです。松田構成員の示された資料の6ページに3都県での実態が書いてあります。これはすぐできるという所から、難しいという所まであって、これは今すぐ全部できるというわけではないのですが、少なからぬ自治体で現在可能であるということです。全部可能にするために、一体どういう条件が必要なのか今は分からないわけです。そういう意味では、この実態に関するデータがないので、その辺は必要かもしれません。椎名構成員から何か御意見はありませんか。

○椎名構成員 中山構成員から御指摘の点は、後ほどの説明のときに私からお話させていただこうと思っていますけれども、国保の加入者というのは、特に都市部の場合は割合として少ないのです。例えば杉並の場合だと区民の25%程度ということです。分子、分母が堅い数字で、受診率としてきちっと出すというのは非常に意味のあることだと思うのです。ただ、それだけが余り強調されると、区の施策として行っているがん対策全体の評価にはならないかと思っています。つまり、それ以外の区民にも、そういう機会を提供している立場としては、そういう面の評価も合わせたものにしていく必要はあるのかと思っております。

○斎藤座長 今の議論は、全部は無理なので、取りあえずということでしたが、そこは賛成ですか、それともそこ自体が。

○椎名構成員 国保に限定する形で評価するのは大変意味があることだと思いますので、でき得れば他の地域との比較などもさせていただけるといいなと思います。その上で、その他の評価も必要かと考えています。

○斎藤座長 その他の評価方法として、何か御提案はありますか。

○椎名構成員 私どもは、平成26年度末に、職域での状況がどうなっているかといった実態もちょっと把握しました。これは毎回はできないのですけれども、そういう評価。それから保険の種別で推計値になるのかもしれませんけれども、それを出していって比較するといった辺りも可能かもしれません。

○斎藤座長 それは、次の資料のところで多少出てくるわけですね。そういう議論ですが、中山構成員の御意見は、国保対象者をカウントすることが、現状可能でない所があると。今後もひょっとすると金輪際できないという所があるということでしょうか。先ほどの保険証を確認するというのは、国保以外の話を言っていますか。

○中山構成員 いいえ、一切合切、住民検診を受けるときに、保険証を確認したらどうかということです。資料で余り説明がなかったですけれども、国民健康保険の台帳と名簿を照合するのは難しいという資料がありました。それは確かに難しいので、現場現場で一件一件この人は国民健康保険に加入しているのか、誰なのかというのをチェックしておけば、そんなに難しいハードルはなくなると思います。

○斎藤座長 分子の把握にということですね。

○中山構成員 そうです。

○小松原構成員 健保の加入者、特に被扶養者で、市町村のがん検診を受けたいと言って窓口へ行ったときに断られることが多々あると聞いています。これはかなり誤解も入っているのだと思いますが、先ほどの国保に限定して、比較しましょうという話になってくると、市町村はまず国保の加入者に先行して、予算を付けて事業を実施したいという流れに多分なってくると思われます。余計そういう傾向が出てくるのかなという気がしています。 受診率だけの議論でいけば、松田先生がおっしゃったのは、正しく正論だと思いますが、余りそこを強調してパフォーマンスを比べてしまうと、被用者保険の加入者の受診機会を阻害してしまう恐れがありますので、そこだけ考慮していただけたらと思います。

○斎藤座長 それは、中山構成員御指摘の、あるいは松田構成員もそれを肯定されましたけれども、従たる指標として、その取組も評価する方法を考えるということで可能ですね。 他に御指摘はありませんか。次の杉並の話も参考になると思いますが、基本的に国保の分母、分子で、主たる指標にするということについては、皆さん賛成であるとくくってよろしいでしょうか。それと従たる指標といいますか、家族及び職域といったものも何らかカウントする方法を考えるということですね。その1つとして、現場で保険証を調べるというようなことも選択肢であるというまとめを一応させていただいて、引き続き議論を続けたいと思います。

 次は同じく議題3ですが、資料4で「杉並区におけるがん検診受診率の現状」について、椎名構成員から説明をお願いいたします。この御説明の後に、また今の議論を続けたいと思います。

○椎名構成員 説明いたします。杉並区は東京23区の西側にあり、中野区、渋谷区、三鷹市、武蔵野市、世田谷区と隣接する地域です。本年51日現在の人口が557,000人の住宅地域です。

 「杉並区がん検診の概要」を御覧ください。杉並区は平成253月に区独自で、がん対策推進計画を策定し、その中でがん検診を推進することとしております。こちらにお示しするように、基本、国の指針に基づくがん検診を中心に若干の独自事業を加えて実施しているところです。平成25年度に、このがん検診の管理システムを導入し、住民基本台帳、国保データと連携させて、がん検診の台帳管理を行っています。本格的にこれが使えるようになったのが平成26年度からなのですが、このシステムが導入されたことで効率的に受診勧奨することができるようになりました。

 国保加入者の方々には、がん検診の個別受診勧奨を行っております。毎年5月、6月にかけて特定健診の受診票をお送りするわけですが、その際に併せて該当するがん検診の受診券も送るという方法で行っております。それ以外の社保やその御家族、また生活保護の受給者の方々には、最初はハガキや電子申請などでお申込みいただくわけですが、受診歴がきちんとあれば、例えば前年度に胃がん検診を行っていたら胃がん、乳がん、子宮頸がんについては2年前といった受診歴があれば、それに合わせて、その後はがん検診受診券を自動発送するとなっております。

 次の資料を御覧ください。ここにお示ししているのは平成26年度のがん検診受診率です。まず、「国・報告」ですが、これは地域保健・健康増進事業報告の受診率です。参考として、右端に全国の数値を示していますが、全てのがん検診受診率が低いという結果です。この対象は国保加入者、また職域などで受診機会のない方、その御家族等といった、受診機会がない区民を対象とさせていただいておりますが、本区のような都市部では職域でがん検診を受ける区民が非常に多いということもあり、受診率自体は低く出る傾向にあると考えております。

 次の「都・報告」を御覧ください。東京都の工夫で、職域などで受診機会のある方を除いて、区市町村の対象者数、分母のところを絞り込む工夫として平成60年から5年ごとに、「健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査」で把握して公表し、それを私どもの対象人口に掛けて分母とし、実際の受診者数を割ります。それを受診率として毎年都に報告しているものです。詳細は割愛いたしますが、各がん検診の対象者のうち、職域、個人、医療として受けられる者、また入院、妊娠中、出張などで不在といった方を除き、地域でのがん検診を受ける対象人口の割合としているところです。

 平成26年度については、平成22年度の調査結果を基に対象人口率を使っていますので、例えば特別区における胃がん検診の対象人口率は60.5、肺がんが66.6となっております。これを使った受診率になりますので、当然分母が小さくなりますから、国の報告値より少々高い結果となります。

1つ訂正があります。この中の当報告の説明文のうち、乳がんの対象者が20歳以上となっていますが、正しくは40歳以上ですので、御訂正願います。

 次のシートを御覧ください。都の示す対象人口率に基づくがん検診の受診率というのは、1つの工夫ではあるのですが、基本になるデータの調査が5年に1度ということと、調査対象も多くはないですし、結果も大くくりに区部、市町村部と2つに分けてしまうので、きめ細かく区市町村の状況に対応したものとは言えない状況です。そこで、杉並区のがん検診の受診率の実状を把握するために、平成27331日現在国保に加入している区民を分母として算出した受診率が、平成26年度の結果です。国への報告の数値と比較すると、例えば大腸がんのように全国の平均値の倍といった結果もあり、全体的に国の平均に比較しても遜色ない受診率という結果でした。なお、この子宮頸がんと乳がんについては、平成26年度のみのデータなので、2年に1度ですので大体この倍ぐらいの受診率かと思われます。私どもとしまして、平成26年度に受診率を上げる工夫として、国保の方に個別受診勧奨を行っておりますので、その成果がこういう形で出たのかなと思っております。

 国保の加入者を対象に受診率を算定するというのは、分母が確実に把握できるので、区の施策の評価をする上で非常に参考になると思われますが、先ほど申し上げましたように区民の4分の1程度しかカバーしていませんので、それ以外の受診機会のない方々への施策の評価というのは別途やらないといけないのかなと思います。

 次のシートを御覧ください。「平成26年度杉並区精検受診率」です。プロセス指標の1つですが、各精検受診率の許容値は乳がんが80%以上ということで、それ以外は70%以上ですが、本区の場合はこの乳がんを除き、ほかは全て許容値に達しておりません。ただ、この数字だけを見るとそういうことなのですが、実際には平成26年度にシステムを使った勧奨ができるようになったので、平成25年度に比べるとかなり改善しています。今後、現在、許容値越えを目指し、がん検診実施医療機関での精密検査の追跡調査、精密検査個別受診勧奨を年間2回ということで実施しており、平成27年度のほうが更に成績はよくなると見込んでいます。

 次に御参考までに、私どもが行った調査を少し御説明いたします。「地域がん検診と職域がん検診」ということで、杉並区が行ったがん検診受診状況調査の結果について、御説明いたします。これは、がんの種別ごとに職域でのがん検診の有無、受診動向を把握するということで、職域でどうなっているのかは区からは分からないので、これを把握してみようと行ったものです。

 平成26年度末に行ったわけですが、圧着ハガキのアンケートで、内容は、「職域でのがん検診の受診機会はあるのかないのか」、「受診の予定も含めて、がん検診を受診しているのかどうか」等を、4050歳の社会保険の加入者と家族を対象に、お送りしました。ただ、回答率自体は低いので、あくまでも参考ということで御覧いただきたいと思います。

 その結果、5がんについて、やっていただいているという御回答が多かったです。職域でのがん検診の実施状況は、いずれのがん検診も6割前後、種別によっては7割近く受診の機会があるという御回答でした。

 職域がん検診があるかないかで受診の状況をお示ししたのが、次の8番のシートです。当然のことながら職場で検診があるという方の場合は受診率が高く、例えば胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんのいずれも9割を超えていて、乳がんなどは95%が検診を受けているという結果です。それに比較して、職場でそういった検診がないということですと、そもそも受けている方が非常に少ないということと、回答肢の中に「必要なし」というのを入れていたのですが、これを選ぶ方がとても多くて、例えば胃がんでは8割ということでした。

 次のシートを御覧ください。では、職場で検診がないという場合にどこで受けているかです。受けていない方のほうがもちろん多いわけですが、受けている場合はこちらにお示しするように、区の検診を御利用いただいている割合が結構高いということが分かり、区のがん検診、私どもが狙っている職域でがん検診の機会のない区民の受皿となっていることが分かりました。

 まとめです。がん検診のシステムを入れたことで、個別受診勧奨、精検受診率等、がん検診の精度管理が大変向上できることが分かりました。また、がん検診の受診率は、施策の効果を測る上で重要なのですが、なかなか今までは把握できませんでしたが、国保の受診率を使ってみると、評価できることがわかりました。また、社保の加入者の実態を調査したところでは、かなり職域で実施されているのだけれども、実施されていないとなかなか受診率自体が伸びないということも分かり、地域と職域は共通の目標をもってがん検診対策を進めていく必要があると思われました。私からの御説明は以上です。

○斎藤座長 3ページ、4ページのデータを見ると、先ほどの松田構成員の資料の2番目と3番目の体制は、推計受診率、健康増進事業報告の分母のほうが大きいということに一致するデータですよね。何か御質問、御意見はありませんでしょうか。

○三浦構成員 「6」と書いてある所です。対象者は区内在住の社会保険対象者ということですが、社会保険に入っている被保険者、被扶養者というのがあると思いますが、それについては何か区分はございますか。

○椎名構成員 特に区分しておりませんで、国保と生活保護受給者等を除いたところです。

○斎藤座長 今の御質問を教えていただけますか。

○三浦構成員 協会けんぽの場合は、被保険者はここで書いていただいているとおり、職場で受診機会を与えられる対象になっているのですが、被扶養者のほうは当初御発言がありましたとおり、地域で受けていただくようになっておりますので、その辺の濃淡があれば数字も変わってくるのかなと思った次第です。

○椎名構成員 これはシステムを使って出しておりまして、そういう形で特に違いは付けておりません。

○斎藤座長 ほかに御質問、確認はありませんでしょうか。

○松田構成員 10ページ目の「まとめ」についてお伺いします。受診率で国保限定というと誤解を生んでしまうのかもしれませんが、正確な数字を把握するためのスタートということで御理解いただきたいのですが、国保以外の社会保険の本人については、職域で受けられる方もあれば受けられない方もいますし、その扶養家族もいます。職域でがん検診を受けられない社会保険の本人と扶養家族に対する個別受診勧奨は、杉並区はどのようにされているのでしょうか。

○椎名構成員 個別受診勧奨という形では部分的に行っています。つまり、1度申し込まれた方には自動発送という形で、受診歴を見て、特にお申込みいただかなくてもお送りしているのです。ですが、一番大事なのはやはり入口のところで検診を受けていただく、そこに参加していただくというところが大事です。

 先ほど申し上げたように、では全体にそういうサービスをすればということかもしれないのですが、現在は実施していません。国保加入者に限定して受診券をお送りしています。

○松田構成員 追加でよろしいでしょうか。

○斎藤座長 どうぞ。

○松田構成員 国保の方には受診券をお送りするということかと思うのですが、それ以外の方たちが受けられるというメッセージは、どのように発信されるのでしょうか。

○椎名構成員 区のお知らせで丁寧に御説明しておりますし、パンフレットなどを用意し、窓口での御説明、ホームページでの御紹介、ポスター、チラシといったもので御案内しています。

○斎藤座長 1度受診した人にはそれ以降も送られるということは、初回は対象者全部に送っているのですか、どのようになっているのですか。

○椎名構成員 クーポン事業は除いて対象者全員にお送りしているわけではなく、自発的に参加していただく必要があります。

○斎藤座長 ということは、対象者名簿の管理というのは、ある一定の定義で一部を汲い取って、それプラス一旦受けた人となって更新していくということですね。

○椎名構成員 そうです。

○斎藤座長 そうすると、本当にコール・リコールではないですよね。分かりました。

8ページの職場でない人たちは、「必要なし」というのは意味が分からないのですが、理解をしていない人が多いということになりますか。この人たちには受診勧奨が届いていないということになりますか。

○椎名構成員 はい、そういうことだと思います。このアンケート自体が、いわば区の検診の受診勧奨になっております。1度もお受けになっていない方にも全部にお送りしていますので、ハガキに区のがん検診のお知らせが入っておりますので、これ自体がPRにもなるというものでした。

○斎藤座長 ありがとうございました。時間もきていますので、次の議題4「プロセス指標、特に精検受診率目標値の見直しについて」に移ります。これからプレゼンテーションしていただきますが、冒頭にコメントしたとおり、今まで議論した受診率も分母と分子を吟味しないままに、しかも3つある受診率のどれかというと、高い値が出る国民生活基礎調査を使ってきた。一方的に分母と分子の精度、再現性、客観性を余り鑑みないで、使いやすいものに言及してきたという経緯があると思いますが、それではいけないというのは今までのプレゼンテーションも含めて分かったと思います。

 この精検受診率というのも、同じ受診率というのは、5文字のうち3文字が同じなので混同されがちなのですが、実はこれも定義が違うと何を言っているのか訳が分からないことになるのです。そういうことも含めて、重要な指標であることは間違いないのですが、そういうことも含めて報告していただきます。

 ちなみに、この報告書の37ページに書いてありますが、これは平成20年に健康局長通達される前に、当時のがん検診検討会で議論されたものによっていますが、基礎資料としては研究班が作成したものです。そこで指標の許容値、目標値を作成したわけですが、そこから本格的な我が国の精度管理が始まったわけです。そういう経緯も踏まえていただいて、今後の目標値を設定するという意味をはっきり共有しながら議論を進めていきたいと思います。それでは、町井参考人からよろしくお願いします。

○町井参考人 御説明いたします。がん検診の精度管理指標には大きく分けて3つあり、短期的な指標としては技術・体制指標とプロセス指標、長期的な指標としてはアウトカム指標があります。

 まず、技術・体制指標です。これは、県、市区町村、検診機関の検診技術・体制を測る指標のことで、それぞれが整備するべき最低限の項目が「事業評価のためのチェックリスト」として公表されております。私ども国立がん研究センターでは、このチェックリストの遵守状況を毎年把握し、評価しております。

 次に、本日のメインテーマであるプロセス指標です。これは、ある検診技術・体制の下で行った検診の中間結果で、地域保健・健康増進事業報告で把握が可能です。これは国の基準値(許容値、目標値)との比較で評価をします。この基準値は、平成20年に国が初めて示したものになります。

 次のページです。そのプロセス指標基準値がどうやって設定されたかを、簡単に整理します。設定項目は御覧のように7種類あります。基準値の種類としては、許容値(最低限の基準)、目標値(全ての県が目標とすべき値)2種類があります。設定方法としては都道府県別のベンチマーキングで、下段のグラフを見てください。これは乳がんの精検受診率を例にしており、左から精検受診率が高い順に47県をプロットしたものです。上位10tileと上位70tileでトレンドの切れ目があり、それぞれ上位10%の平均値を目標値とする、上位70tileの下限値を許容値とするという決め方をしました。分かりやすさの点から、ほかのがん種、ほかの指標も、全て同様にこのような決め方をしました。

 上に戻ります。基準値の設定の対象年齢は、4074歳です。これは、がん種により重点となる年齢層が異なるが、分かりやすさを重視し5がん共通にしたということと、がん対策推進基本計画の全体目標で、がんの年齢調整死亡率は75歳未満の20%減少ということが根拠になっております。

 基準値の活用方法は、主に県単位で指標値と大きな乖離がないかを検証し、原因を追及します。また、精検受診率関連の指標、精検受診率は究極的には100%がいいわけですし、未受診、未把握率というのは究極は0%を目指すべきという分かりやすい指標ですので、市町村や検診機関単位でも重視すべきと整理されています。また、基準値は今後の精度管理状況に応じて、設定方法も含めて適宜見直すと整理されています。

 そこで3ページの下段に移ります。昨年、厚労省研究班の斉藤班ではワーキンググループを立ち上げ、プロセス指標基準値の見直しについて検討を開始いたしました。本日はその途中経過をお示しいたします。主な検討課題は3つあり、まず基準値の設定方法をどうするか。従来の県別ベンチマーキングは妥当かということです。次に、そもそも基準値を改訂するかどうかということで、精度管理水準の動向を見ました。さらに検診方式別(集団検診と個別検診別)に基準値を設定するかどうか。以上の3点について検討いたしました。

 まず、1つ目の「基準値の設定方法」です。海外でどのように基準値が設定されているかと言いますと、ランダム化比較試験などの研究成果を参考に決定する。すなわち死亡率減少を証明した研究の状況を検診事業で再現することにより、その国全体の死亡率を減らすというものです。しかし、一方日本の現状では、エビデンスに基づいた基準値設定は方法論も含めて今後の検討課題ですので、当面は現行のベンチマーキングが現実的だろうという結論に至っております。

 次のページです。「基準値を改訂するか」ということで、精度管理水準の動向を見ました。下段のグラフは、プロセス指標の全国値について年次推移を見たものです。精検受診率、未受診率、未把握率について、平成17年以降の推移を5がん別にお示ししています。

 説明が漏れていまして大変恐縮なのですが平成17年を起点にした理由というのは、平成20年の指標を設定した当時に利用できた最新のデータが、平成17年ということで、今の基準値はその平成17年のデータを基にして決めたということになります。したがって、トレンドも平成17年から見ているということです。

 グラフの上段の「精検受診率」をまず見ていきますと、平成17年よりも大幅に改善されております。特に平成19年と平成20年の所で大幅に改善されており、この理由としては、平成20年に地域保健・健康増進事業報告が大幅に様式が改訂され、精検報告までに1年間期限が延びたことが主な理由だと思われます。

 左下の「未受診率」、これは精検を受けない人の率ですが、やはり連動して平成19年と平成20年の間で著しく減っています。

 その横の「未把握率」、これは精検を受けたかどうかも分からない、また精検を受けたけれどもその結果が分からない人の率を指しますが、未把握率に関しては未受診率ほどの減りはないのですが、この理由としては、平成20年に様式が大きく変わったときに、未受診率と未把握率の定義も国がきちんと決めましたので、その影響があるかもしれません。というのは後で詳しく申し上げますが、それまで未受診率と未把握率の定義が厳密ではなく、両者が混同されていました。そこで平成20年に両者が排他的になるように、国がきちんと定義を決めたという経緯があります。それで、恐らくそれまで未受診にカウントしていたものが未把握に移ったということも考えられると思います。

 次のページです。要精検率、発見率、陽性反応適中度に関しては、これらの指標というのは高すぎても低すぎてもいけないという指標ですので、なかなか評価が難しいのですが、全体としては改善傾向ですが、ものによっては横ばい、あるいは水準が平成17年よりも低下しているものもあります。特に子宮頸がんの要精検率が年々上がってきておりますが、この理由は恐らく無料クーポンの影響で、新規受診者が増えたことが関係していると考えます。あとは、ペセスダ移行でアスカス判定が増えたことも影響していると考えております。また、子宮頸がんの発見率に関しては、学会規約等の変更で上皮内がんが今後がんのカウントから外れます。したがいまして、今後発見率が下がることが予想されます。いずれにしても、この要精検率、発見率、陽性反応適中度というのは臓器別の背景もありますので、引き続き細かく検討する必要があります。

 下段に移ります。これはまた、今までと違った見方で年次推移をお示ししたものです。この表は乳がんの精検受診率を例にしたものですが、上から精検受診率の高い順に47県を並べたものです。左端の平成17年のカラムを御覧いただきますと、赤いラインの下の70tile、下限値の赤いラインの所を見ていただきますと、下限値が80.78%になっています。その下の三重県から東京までグレーに塗った部分が、許容値をクリアしていない県ということになります。一方、右端の平成25年を見ていただきますと、70tile下限値が85.77%ということで、平成17年よりは5ポイント改善しております。また、グレーで塗った許容値をクリアしていない県も減っております。

 次のページです。ほかのがん種も、ほかの指標についても、おおむね今と同様の傾向になっており、70tileの下限値は改善しており、最大で10ポイントの改善をしております。また、既に多くの県が許容値をクリアしている状況です。

 次のページです。こうした背景を踏まえて指標値です。特に許容値はおおむね改善傾向ですので、上方修正すべきだろうと。ただし個々の数値は今後検討するということです。その際に上の表で示すような、今入手できる直近のデータは平成25年の事業報告ですので、平成25年の70tileの下限値を参考にして決めてはどうかという結論に至っております。また、子宮頸がんは先ほど申し上げたような理由で、暫定的に今回は修正してはどうかという結論になっております。

 次のページです。次の「検診方式別に設定するか」。すなわち集団検診、御承知のように集団検診というのは決められた日時、場所で受ける検診ですが、それと個別検診、すなわち受診者が希望の時間帯に自治体から指定された中から医療機関を選んで受けるという方式ですが、それぞれについて基準値を設定するかどうかを検討いたしました。ちなみに、データは示しておりませんが、個別検診の実施割合は近年どんどん増加しており、今では住民検診の約半分を占めております。

 下段のグラフは大腸がんの要精検率と精検受診率を例に、個別検診、集団検診、Overall47県でプロットしたものです。見ていただいて一目瞭然で、個別検診の水準が低いことがお分かりいただけると思います。これはほかのがん種でも、ほかの指標もおおむねほぼ同じという状況です。

 ということで、ワーキンググループでは、集団検診、個別検診のそれぞれに許容値を設定するかどうかということも議論したのですが、近年個別検診がどんどん増えている中で、個別検診だけ緩い基準を決めていいのか、それはよくないだろうというような結論に至っております。

 次のページです。こういったことを踏まえて、「現時点のまとめ」です。基準値の設定の手法は、従来と同じ県別ベンチマーキングが妥当であると。プロセス指標値の水準は、現行の基準値設定当時より改善しており、少なくとも許容値は上方修正が必要と。子宮頸がんの許容値は暫定的に改訂です。先ほどは言及しませんでしたが、胃がんは今年から検診の対象が50歳以上に変わっておりますが、胃のレントゲンは当面40歳以上も対象ですので、40歳以上を基準値の対象とする。最後に、個別検診の水準は集団検診より低いですが、個別検診用に緩い基準を設けるのは望ましくない。また、そのチェックリストが平成28年度から新しくなり、個別検診の精度管理が本格化します。したがって、ベンチマーキングも従来のOverallで実施するということが現時点でのまとめです。

 最後に、指標の中で特に重要な精検受診率に関して、少し補足させていただきます。次のページです。精検受診率を上げるには、未受診と未把握を下げることが重要なのですが、それぞれの対策は異なります。すなわち精検結果未把握を減らす対策としては、地域で精検結果を漏れなく把握する仕組みを作る、また精検結果が不明な者については本人や精検機関等への照会により、結果を確認するという対策が必要です。また、精検未受診を減らす対策としては、まず未受診と未把握を定義に従って区別し、未受診者に対して精検の勧奨を行うことが必要です。

 ここで未受診と未把握が実際に正確に区別されているかを、もう少し詳しく見る必要があるかと思います。下段に移ります。この表は、最近の地域保健・健康増進事業報告で、未受診と未把握がどうカウントされているかというのを見たものです。例えば胃がんのカラムを見ていただきますと、全1,737市区町村のうち、未把握者が0人とカウントした所、つまり精検受診者以外は全部未受診にカウントした自治体というのが40.8%あります。また一方、未受診者が0人、つまり精検受診者以外は全て未把握にカウントした自治体というのは22.3%あります。ほかのがんも同様の傾向です。中には本当に0人という自治体も当然あると思いますが、自治体によっては、多くは未受診と未把握の区別が曖昧な可能性があるのではないかと考えております。

 次のページです。「精検受診/未受診/未把握の定義」というのは、御覧のように排他的になっており、既に平成20年の報告書で公表されておりますが、今一度この周知徹底が必要なのではないかと考えております。

 下段に移ります。最後に、精検受診率の地域差を見ますと、大規模都市、例えば政令指定都市や特別区というのは極めて精検受診率が低く、未把握率が高い状況になっています。これは私どもが毎年行っているチェックリスト調査でも、大都市では精検受診率を上げる体制の整備がよくないという結果が出ており、それと一致しております。また、大都市では個別検診の実施割合が多いということも、こうした精検受診率の低さに影響していると考えます。いずれにしても、特に大都市で、より精検受診率向上のための具体的な対策が必要だと考えております。以上です。

○斎藤座長 ありがとうございます。プロセス指標全体をどう評価してきたかというのは、平成20年以降はきちんと把握して、分析・評価がされたと。自治体も目標ができて、それを遵守するように目指してきて改善が図られているということです。

 それとともに、今、特に話題、ターゲットになっている精検受診率に関しては、精検受診率という一くくりでは、何回も繰り返しますが、受診率以上に、この定義から知らないと数字の信頼性がバラバラになると。これを正していくためには、この区分も含めた正しい把握をする体制がないと、上げろ、上げろという連呼だけではどうも駄目だというようなことが、はっきり分かってきたのではないかと思います。ただいまの説明に対して、御質問はありますでしょうか。いかがですか。

 精密検査の受診率は、実はいろいろなプロセス指標があって、検診のパフォーマンスがきちんと成果が上がる方向にいっているかということの中心的な指標です。つまり検診の効果のポテンシャルは実施の過程でどんどん質が目減りしていくわけですね。目減りを、いかに減らすかという。例えば、精検受診率が100だと、ポテンシャルが成果につながっていくわけですけれども、逆にゼロだと、成果もゼロになるということです。それとともに、精検受診というもののデータの正確さ、信頼度の裏打ちが、ほかの未受診、未把握というものとも関わってくるということです。御意見、御質問はありますでしょうか。

○中山構成員 どうしても、がん検診の受診率向上の話ばかりが今まで注目されてきまして、私はいろいろな自治体、医師会とかに受診率を上げるための講演をしてくれと頼まれたときには、そこの精検受診率をまず算出して、例えば、23割の精密検査受診率を示している所には、もう検診をやめたらどうですかというお話をさせていただいております。それは、やはり7割の人は見落としになってしまうということですから、何をやっているのか分からないということになるかと思います。

 今までの御発表は、精検受診率がどのぐらいのカットオフというか、そういう基準を出すというようなお話で、全体的に上がってきたことは確かなのですが、一部の市町村は全く上がらないという所が残っているわけです。今までも口を酸っぱくして各都道府県からそういう自治体には、忠告なり何なりをやられているのですが、全く上がらないという所を、今度どうやって対応をするかということなのです。

 上がっていく市町村というのは、やはり顔が見える関係で、ここが問題であるということを言ったら、確かに上がります。県からそういう通達文を送れば、ああ、なるほど、ということで上がるのですが、そのようなことをやっても何も上がらない所もあるのです。そこをどうやって拾い上げるか。特にそれが大都市なので、県全体で見ると、非常にインパクトがある所になるのです。その辺をどう考えるかということです。

○斎藤座長 今の御指摘はどう考えるかなのですが、そもそも許容値と目標値を設定したときというのは、志をどの辺りに設定するかということだったのです。それで、精検受診率だけではなくて、検診の質が非常に全体として低い、ばらつきがある。問題は今の御指摘のとおり。その低い所が、先ほどのプロットでも不連続点がありましたが、そういう最低限の所をボトムアップするということで、この許容値というものを作ったわけです。

 今の御指摘は、そのようにして作った許容値ですが、それすらも全くそこの水準にもいかないような所があると。これをどうするかという問題があります。今回この課題である、精検受診率を目標値にするに当たって、どういう提案があるかと。そこにも関連してきます。要するに、まずはそういう劣悪な所をなくすための目標値設定なのか、あるいはこういう流れを受けて、もう少し志が高いところに設定するかですね。

 このことは、そもそもが「加速化プラン」等に端を発しているわけですね。加速化プランというのは、死亡率減少に届かない、計画の進捗が立ち遅れているというか、予定どおりいかない所を加速しようというわけですから、それとの関連で考えていくということになると思います。そういう観点で、皆さん御意見いかがでしょうか。今の中山構成員の御指摘について、いかがでしょうか。

○松田構成員 中山構成員の御指摘のように、精検受診率は極めて重要なので、単に受診率のみを求めるというのは、非常によろしくないと思います。

 ちょっと話を変えさせていただきますが、今回、職域の検診の実態を把握するということも、非常に大きなテーマになっています。これまで職域のがん検診は、精検受診率が非常に低いという話があったかと思いますが、それは今、町井参考人がお話になった、精検未受診が多いのか、未把握、要するに受けているかどうか分からないのか、受けていないのか、その把握をする仕組みがないのか、あるいは精検受診勧奨ができていない。その辺りはいかがなのでしょうか。

○斎藤座長 町井参考人。今、個別検診と、同じ健康増進事業の中に、集団と個別があるわけですが、個別と集団で差があると。

○町井参考人 はい、そうですね。

○斎藤座長 それはプレゼンテーションの中にも出てきましたが、個別で低い訳というのは、どこが悪いのかということです。というか、もっと大きいところで何か理由があれば。分かっているところがあれば。

○町井参考人 個別で低い訳というのは、やはり把握の仕組みがないのかなという気が私はしております。精検結果の把握する仕組みがないのかと。

○小松原構成員 多分、健保組合がどういう状態かということだと思いますが、把握をしていないというのが実態だと思います。なぜ把握しないかというと、金銭的に補助だけ出して、受診する機会を提供するということが多々あるからです。特に企業が補助している場合、その後まで追跡すると、どうしても受診率が下がってしまいます。言葉は悪いですが、退職勧告されるのではないかとかといった心配が受診者の心理に働いてしまうため、あくまでも会社側では把握しませんというメッセージとして、あえて把握しないという手法があります。

 この場合、どういう形で受診勧奨、要精検者に対して対応しているかというと、例えば人間ドックの場合は、健診機関が最後まで追っ掛けてい

ます。健保組合は補助対象機関のリストを渡し、そこで受診していただければ、もし要精検者になれば、必ずその後勧奨してもらって、半年後、1年後まで追っ掛けて、実際がんであれば、がん登録までいくという、こういう流れがあります。このような場合は、健保組合で把握ができません。

○斎藤座長 先ほどの職域、中山構成員の指摘は、また後にするとして、これ、同じ話題ですけれども、職域について何か説明はありますか。

○中山構成員 今おっしゃったとおりなのですが、事業主が提供する職場検診では、特定健診を含めた検査が提供されています。これを特定健診の受診としてカウントするために、個々の事業主に対して健診の結果と特定保健指導まで進んだかどうかを各保険者にデータ提供する旨、厚労省の課長通達という形で二度ほどあったそうですが事業者から結果までの報告があったのは全国で8%という数字が出ています。がん検診も同じような仕組みを盛り込もうとしても、多分、この程度しか精密検査の結果は返ってこないと思います。

○斎藤座長 実はそのとおりで、これを説明する直接のデータはなかなかないのですが、説明はかなりできるのですね。それは、例えば、健康増進事業については、これは対策型検診というものは精度管理のシステムが必須なのです。ただし、実際には先ほど中山構成員が御指摘のように、これに高低、優劣がものすごくあるわけですね。

 ところが、その中で、集団と個別を比べると個別が低いのです。なぜかというと、個別検診は、従来の集団がそういうシステムを持っているのに対して、医師会などで診療の延長線上でやる、つまり、精度管理の枠組みがないところでやっているので、精検受診率が先ほど説明があったように20%近く低いわけです。

 それから、職域の受皿というのは、一部そういった精度管理の仕組みがある所でやっていますが、基本的に人間ドックと同じで、精度管理の仕組みを持っていない所でやるので、そもそもデータのお返しが。

○小松原構成員 我々が各健保組合に提供している人間ドックは、精度管理がしっかりしている所を推薦しています。例えば、日本人間ドック学会とか、日本総合健診医学会は認定の仕組みを持たれています。我々の感覚で言うと、個別のほうが精度管理は高い印象です。そういう機関にお願いしておけば、大丈夫という安心感があるので、ある意味、把握しなくてもいい構図になってしまっているところがあります。職域では集団で検診するというよりも、個別型のある程度評価を通ってきた所でなるべく受診させて、その後の受診勧奨までお願いしているというのが実態です。

○斎藤座長 それと、先ほどの理論的に8%以上は望めないという話のギャップは、では、どこにありますか。

○小松原構成員 そこのギャップは、専業主からの特定健診データの受け渡しのお話でしょうか。

○中山構成員 事業主です。

○中山構成員 事業主は、そういった結果を把握もしたくないし、報告もしたくない。健診の結果病気に将来なるかもしれないという個人情報にはタッチしたくないという風土があるのでしょう。

○小松原構成員 がん検診には先ほどの松田構成員の資料の所にもありましたが、実施主体は健保組合だけでなく事業主もあります。今、私がお話したのは、健保組合のことをお話させていただきましたが、事業主が、例えばがん検診の企業アクション等に登録されていて、「ピンクリボン事業」に積極的になって乳がん検診を実施するとかといった場合、先ほど言ったように、機会の提供だけでとどめるというのが大多数だと思われます。会社にがんということをなるべく知られたくないと思う従業員と、会社もなるべく把握をしないという配慮があると思います。

○斎藤座長 そういう環境で、データは回収できるのですか。

○小松原構成員 それだと、専業主側は多分回収はできないと思います。

○斎藤座長 結局、できる仕組みはないのですね。

○小松原構成員 ないです。

○斎藤座長 さっきおっしゃっている精度管理というのは、プログラムの精度管理ではなくて、データを持っているということですか。

○小松原構成員 そうです。

○斎藤座長 ただ、そのデータが結局マネージメントに生かされる仕組みはないということですね。

○小松原構成員 ないです。

○斎藤座長 実際、消化器がん検診学会という所の集計では、、健増報告の受診者の半分ぐらいの数の胃と大腸を把握しているのです。それから、職域についても、結構な数を把握していますが、そこではやはり、精検受診率は20%低いのです。胃も大腸も。ですから、どう見ても個別にこの優良な機関はあるかもしれませんが、がん検診のマネージメントとしてのパフォーマンスは、いいという評価を我々はできないのですが、それについては反論されませんか。

○小松原構成員 いや、おっしゃるとおりだと思います。それは多分、先ほど先生がおっしゃったように、集団検診のほうがそういうレベルもある程度高いということは分かると思いますが、健保組合があえて実施している機関は、集団検診の実施機関ではなくて、個別検診の先ほど言った、ある程度、質の担保されている所をチョイスして実施しているということで、一概に個別検診がレベルが低いと言われると、多分、我々職域のほうからすると、ちょっと違和感を感じます。

○斎藤座長 言葉の確認をしたいのですが、個別検診と言ったのは、健康増進事業の中の対策型の個別検診を言っているわけですね。今、個別に提供される職域での検診ということですね。

○小松原構成員 そうですね。

○斎藤座長 分かりました。ということは、Overallで集計で、精度管理の数値が低いということは、やはりそういう優良な機関の割合が、シェアが非常に低いということでよろしいですか。

○小松原構成員 そうです。

○斎藤座長 今は職域の話になりましたが、職域の精度管理はやはりできていないと。

○三浦構成員 正に私たち協会けんぽは、事業所も非常に多くて、一応、単位としては支部47ありますので、支部単位でいろいろな運営をしています。一応、全国統一で運用ができるところでやっていますが、どうしても、健保組合は今おっしゃったとおり、優良な健診機関が選べるという環境にあると思います。ただ、協会けんぽの場合は、どうしても多くの加入者の方を抱えていまして、中山構成員がおっしゃったとおり、特定健診の対象者だけでも1,700万人います。まずはそのキャパを確保しようというのが、今の最大の課題になっています。

 その中に、被保険者については、がん検診の要素が、乳がん、子宮がんを含めて5つ入っている。一部は選択制になっていますが、そういう状況の中で、精度管理までできているのか、精検管理までできているのかということになってくると、指導区分の集約はできているのですが、まだそこまで正直、できていない状況になっているのではないかと思います。ただ、それを全然無視しているわけではありませんが、今、データヘルス計画というのがあって、地域の特性としてやはり、圏内で、その支部の中でがんの医療費が非常に高いといった傾向が出ている所は、まだ数は少ないのですが、手を付け始めている所はあるというように思っています。なかなか所帯が大きいものですから、健康保険組合の機動性とか、ちょっと目の付け所は我々はまた違う状況です。

○斎藤座長 ありがとうございます。議論で時間が大分たちましたが、精検受診率に関しては、目標値というのがゴールなわけですが、そこに関して、職域かどうかということも含めて、どこに持っていくかという議論は、今日はまだ先が見えないという状況です。しかし、そこを決めていかなくてはいけないということで、時間はもうありませんけれども、先ほどの中山構成員の御指摘で、ワーストの所をどうかしなければいけないという御指摘ですが、それについてはどうですか。

○松田構成員 これはどうしたらいいか、なかなか難しい面もありますが、1つは公表だと思います。大阪も公表されていると思いますが、それが全ての人の目に届くわけではないので、我が町はとても悪いということがみんなに知らされる。あとは、都道府県別でもいいのですが、きちんと分かるような形でデータを提供する。公表するということがすごく大事なのかなというように思います。

○斎藤座長 私、ちょっと下手な言い方をしました。考え方を、目標値の設定をどうすればいいかということなのですが。ここで時間がきましたので、目標値設定に関しては、職域、地域でそれぞればらつきがある。職域のほうが下位にあるわけですが、いずれにしろ、どこにターゲットを絞るかという話が必要だということが分かってきたと思います。今日の議論は時間の都合でここまでにして、この会の後の議論も含めて、次に向けて議論を詰めていきたいと思います。予定どおりに議論は進みませんでしたが、たくさんの情報、御意見を頂きましたので、今日の議論は終わりにしたいと思います。事務局から連絡事項等をお願いします。

○がん対策推進官 ありがとうございました。次回のワーキンググループの詳細については、またこちらで調整の上、御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。以上です。

○斎藤座長 それでは、本日の議論はこれまでとしたいと思います。時間がない中で、これは期限というか、このワーキンググループの日程感というか、どこまで今の課題を詰めればいいのか、それについて、事務局からお願いします。

○事務局 第19回の検討会におきましては、夏頃をめどに、こちらのワーキンググループの意見を集約していただきたいというスピード感を考えております。

○がん・疾病対策課長 夏というのは、6月、7月、8月という、その辺りまでで。

○斎藤座長 8月一杯ということになります。

 それでは、本日のワーキンググループは、これで終了したいと思います。構成員の方々、参考人の皆様におかれましては、御協力ありがとうございました。

 

 


(了)

健康局がん・疾病対策課

代表03−5253−1111(内線3826)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > がん検診受診率等に関するワーキンググループ > 第1回がん検診受診率等に関するワーキンググループ(議事録)(2016年6月14日)

ページの先頭へ戻る