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2016年6月13日 第18回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年6月13日(月)15:00〜17:00


○場所

航空会館 501〜502会議室(5階)


○議題

(1)報告事項
   ・第17回がん検診のあり方に関する検討会における議論について
(2)がん検診に関する最近の知見等について
(3)職域におけるがん検診について
(4)その他

○議事

○事務局(高橋) 定刻となりましたので、ただ今より「第18回がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 本日、がん疾病対策課長は別の公務のため欠席させていただきます。また、祖父江構成員及び松田構成員から欠席との連絡を受けております。なお、本日は全国健康保険協会本部保険部長の守殿俊二氏にオブザーバーとして御参加いただいております。

 また、本日は2名の参考人を招聘しております。国立がん研究センター社会と健康研究センターの検診研究部、検診評価研究室室長の濱島ちさと参考人です。なお、がん対策推進企業等連携事業における調査研究報告の御説明につきまして、東京大学医学部付属病院放射線科准教授の中川恵一参考人をお呼びしておりますが、本日は遅れて参加するとの連絡を受けております。

 資料の御確認をお願いいただけますでしょうか。初めに座席表です。続いて議事次第、資料1、がん検診のあり方に関する検討会構成員名簿、資料2、第17回がん検診のあり方に関する検討会における主な議論、資料3、がん検診の現状、資料4、がん検診の利益と不利益、資料5、がん検診における最近の知見、資料6、全国健康保険協会におけるがん検診についてです。なお、議事次第では守殿参考人提出資料となっておりますが、守殿氏提出資料と訂正させていただきます。資料7、がん対策推進企業等連携事業における調査結果報告です。参考資料1、がん検診に関する実施状況等調査集計結果、参考資料2、平成27年度市町村におけるがん検診の実施状況調査集計結果、参考資料3、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針、参考資料4、がん死亡率に関する最近の統計学的データ、以上です。資料に不足、落丁などありましたら事務局までお申し出ください。

 なお以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、この後の進行は大内座長にお願いいたします。

○大内座長 本日の議題に入りたいと思います。初めに、(1)報告事項です。512日開催の「第17回がん検診のあり方に関する検討会における議論」を事務局においてまとめていただきましたので御報告願います。

○事務局(高橋) 資料2を御覧いただけますでしょうか。資料2は、第17回がん検診のあり方に関する検討会における主な議論をまとめておりますので、御説明いたします。議論につきましては、議論の内容について各テーマごとに分けて列記しております。

1.職域におけるがん検診受診率および精密検査受診率については、2つの意見がありました。女性のがんである乳がん及び子宮頸がんは、胃がん、肺がん、大腸がんに比べ被保険者の受診率が低い。被保険者において、精密検査受診率が、がん検診だけでなく、それ以外の疾病疑いの精密検査受診率も低いというのが問題である。

2.市区町村検診と職域検診との関係については、4つの意見がありました。被扶養者は被保険者に比べ、がん検診受診率が低いが、被扶養者の中には市区町村で受診しているケースがあり、その場合、健保組合では把握できない。がん検診の実施主体は保険者、若しくは市区町村いずれかにすべき。職域検診は必ずしも住所で登録されていないので、市区町村の受診率と比較するのは難しい。職域と市区町村のがん検診の受診機会を融通できる体制が必要。以上です。

3.精度管理と目標値については、3つの意見がありました。精密検査受診率は精度管理に属するものであることから、目標値設定に関しては、「検診受診率のみならず、精密検査受診率等、精度管理に関する目標値を設定する」とすべきとし、「精度管理に関する」を追記します。上記と同様に、職域においても、「検診受診率のみならず、精密検査受診率等精度管理に関する目標値を設定する。」とすべきとします。職域についても精度管理を確認するべき。以上です。

4.データの利用についてです。がん検診データの連結管理可能な体制の構築及び法制化を検討してはどうか。検診機関のデータフォーマットが統一されておらず、正確な実態把握には、このフォーマットの統一や電子化が必要ではないか。日本医師会では、検診会社と突き合わせのできる健康診断の標準フォーマットを作成しており、こうしたことも利用してはどうか。

5.その他として、女性のがん検診は、受けられる医療機関が限られていることが問題。健康保険組合の調査結果だけで、職域がん検診一般の議論をすべきではない。健康度を維持する問題と併せて、費用対効果の問題も考慮すべき。職域において、最低限必要な検査項目や方法を担保するガイドラインを作成すべき。以上です。

○大内座長 ただ今、資料を基に、前回の検討会における議論をまとめていただきました。この整理に当たり、要点のみですので、構成員の方の中から追加の御意見等がありましたら御発言をお願いします。よろしいでしょうか。

○菅野構成員 2番の市区町村検診と職域検診との関係についての1つ目ですが、被扶養者の中には市区町村で受診しているケースがあり、健保では把握できないとなっています。これは逆のことも言えまして、職域で受けている人を市町村で把握できないということが結局、分母の問題もあって受診率が正確に把握できないことにつながっていますので、表面だけ言ってしまったかと思っています。前回はそこまで言っていないですが、比較ということで考えるのであれば国民健康保険に入っている人同士で市区町村の比較をすれば、そこは確実に市区町村同士の比較にもなるわけです。もし、データの連携等ができて職域のものも入れば全体で比較できるということになりますので、ちょっと裏の言い方も書いておいたほうがいいかと思います。

○大内座長 おおむね、修正は必要ないですか。

○菅野構成員 はい。

○大内座長 大丈夫ですね。

○菅野構成員 これ自体は。

○大内座長 4つ目に、職域と市区町村が関係するので、本当は、こういったところにデータの共有化も含めて書き込めればいいかと思います。ほかに御意見はありますか。

○斎藤構成員 今の菅野構成員と同じで、前回、必ずしもきっちり議論が出たわけでなく、言わずもがなみたいなことなのですが、この議論の要約だけを見ると、ちょっと誤解を招くかなということで追記を検討するとか、あるいは今回それを言及して入れるかどちらかにしたいと思います。

4番のデータの利用なのですが、これは井上先生からの御指摘だったと思いますが、連結可能な体制をということがあります。実は、連結しようにもデータがないということが根本にあるので、この問題点をはっきりさせることが必要かと思います。この要約だけを見ると、データがあるのに連結できていないことが問題のように見えるのですが、実は職域についてのデータがないということが基本なので、そういうものも何か追記できればしたほうがいいかと思います。

○大内座長 4番の1つ目の件に関して、今、斎藤構成員から、少し追記されてはどうかということでした。がん検診データの中で、前回初めて出されましたが現時点では連結できるほどのデータとなっていないということが分かるような表現に変えてはどうかということでした。事務局、いかがでしょうか。

○事務局(高橋) 連結ができるかどうかという問題と、そもそもデータが把握できていないという問題があるという御指摘をいただきましたので、その点を修正します。データについては、どちらのデータがないというのが具体的にありましたら、御指摘いただければ。

○斎藤構成員 基本的に職域にはないということです。

○事務局(高橋) ありがとうございます。

○井上構成員 今のところで追加です。法制化を検討してはどうかというより、私の言っていた意図は法制化はされても結局使えるようにならない。もちろんデータが存在するということも重要な話ではあるのですが、そこから先、連結する時、連結に必要なキーとなる情報が、結局連結できなければデータが存在しても使えない、リンク自体もできないことになってしまう。むしろ、その辺のニュアンスを上げていただきたいと思いました。

○白川構成員 今の話は井上先生のおっしゃるとおりで、職域のほうでデータがないというか、電子化されたデータがないという意味でおっしゃったのだと思います。例えば、健保組合で言えば、人間ドックから報告はもらっていて、データ自体は紙であります。それが人間ドックの健診機関では全部バラバラなものですから、それを電子入力すると大変な作業になります。それをおこなっている健保組合もあるのですが、実は紙のまま保管しているというところもあります。ですから斎藤先生がおっしゃったとおり、職域のデータというか、電子データがないという意味ではそのとおりだと思います。

 ただ、法制化まで行くかどうかは別として、やはり標準のフォーマットに統一するとか電子化しやすいような、あるいは健診機関で電子化した上で、その電子データを健保組合に送ってもらうとか、番号制度もありますので、まず何か工夫をしていかないといけない。おっしゃるとおりデータの蓄積というのは、このままではどうやっても進まないという気がしております。以上です。

○大内座長 4番に、3点ありますけれども、恐らく2点目と3点目のほうが先であって、1点目は3点目よりは逆かなと思いました。

○白川構成員 そのような感じです。

○大内座長 白川構成員の御指摘のとおりです。今、指摘されたことは2点目と3点目に書いてありますので、書きぶりを変更してもらえますか。

○事務局(高橋) 承知いたしました。

○大内座長 よろしいでしょうか、それでは後で修正をお願いいたします。

 続いて、本日のメインになります。今回の第18回の本検討会には多くの傍聴者の方もおられますけれども、最近がん検診を取り巻く状況や動きが活発化しております。国民の皆様の関心も高まっているところです。本検討会は基本的に科学的根拠に基づく、がん検診のあり方について議論を重ねているところですが、時代の流れとともに新たな検診方法、データも蓄積されてきていますし、利益・不利益といった視点からの見直しも図られております。そういった状況を鑑み、ここ最近のデータも含めて参考人、あるいは構成員の中からサマライズしていただき、議論を深めたいという趣旨です。

 したがって、(2)がん検診に関する最近の知見等についてということで、まずお二方から報告をいただき、議論したいと思っています。最初に、事務局から資料3「がん検診の現状」についての説明をお願いします。

○事務局(高橋) お手元の資料3を御用意ください、がん検診の現状について御説明申し上げます。

2ページ、日本の健診(検診)制度の概要です。こちらは昨年11月、第1回健康診査等専門委員会で作られた資料で、日本の健診(検診)制度の流れを年代別に、また被保険者・被扶養者・労働者その他に分け記載しております。

 この中で今回、本検討会におけるがん検診ですが、左下にがん検診、肝炎ウイルス検診などは、被保険者・被扶養者、うち労働者などに対し、保険者や事業主が任意で実施・助成するとされております。また被保険者、被扶養者、労働者に属さないその他の方に対しては健康増進法にのっとったがん検診が提供されているという整理の表です。

 次のページには、本検討会における検討の流れを示しております。本検討会は4年前、平成245月に設置されて以降、中間報告、並びに指針の改正を行ってきております。これまで平成252月に、子宮頸がん検診の検診項目について中間報告をし、3月に指針を改正しました。また、平成258月に、がん検診の精度管理・事業評価及び受診率向上施策のあり方について中間報告をし、平成266月に指針を改正しています。平成279月に、乳がん検診及び胃がん検診の検診項目等について中間報告をし、平成282月に指針を改正したという経緯があります。

 また、がん検診の基本的な条件として、がんになる人が多く、また死亡の重大な原因であること、(2)がん検診を行うことで、そのがんによる死亡が確実に減少すること、(3)がん検診を行う検査方法があること、(4)検査が安全であること、(5)検査の精度がある程度高いこと、(6)発見されたがんについて治療法があること、(7)総合的にみて、検診を受けるメリットがデメリットを上回ることとされております。

 次のページ、現在、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に定められている市町村のがん検診の項目についてまとめています。一番最近の改正があった点については、胃がん検診に内視鏡検査が加わり、対象者が50歳以上、検診間隔が2年に1回以上となっています。こちらに対しては但し書きがあります。当分の間、胃部エックス線検査に対しては40歳以上に対し実施可、また受診間隔については当分の間胃部エックス線検査については年1回実施可としております。また乳がん検診については、視診、触診は推奨しないという文言が追加となっています。

 下の表ですが、こちらに前回の検討会の参考資料も再掲しております。

 上期の検診項目を指針では定めておりますが、これらのがん検診に対して指針で定められた項目以外の検査がされている部分を抜粋しております。例えば、胃がん検診に対しては、ペプシノゲン法、またヘリコバクター・ピロリ抗体検査などが既に行われています。肺がんの胸部CT、大腸がんの内視鏡、乳がんの超音波、子宮頸がんのHPVなどの検査について各自治体で既に行われている割合を表わしております。

 次のページは、国の指針で示しているがん以外のがん検診に対して、既に実施している市町村の割合を示しております。この中で前立腺がん検診のPSAは全市町村における割合として78%、また子宮体がんの検診については30%ほどとなっています。

 また、海外の検診について、最近の動向をアップデイトしたものを下に表わしております。乳がん、子宮頸がん、大腸がんについて、対象者及び受診間隔を示しております。一番下に日本が記載されており、日本とそれぞれ各国の年齢または検査間隔の違いが分かると思います。

 次は、日本で提供されている胃がん、肺がんの検診が、ほかの諸国では余り行われていないということもこちらに記しております。以上です。

○大内座長 それでは、続いて資料4に移ります。「がん検診の利益と不利益」に関して、斎藤構成員から説明をお願いします。

○斎藤構成員 それでは、事務局の御指示で、利益と不利益についてお話します。この利益、不利益についてはまとまった成書にも余り記述がありませんので、基本的な考え方についてお示しします。これを理解する上で一番重要なことは、患者さんを対象とする診療上の診断とは全く違うというところです。

2枚目、がん検診の目的はそういうことで、当該がんの集団においては死亡率、それから個人においてはリスクを下げることです。集団における死亡率が下がる、あるいは罹患率が下がるということが、個人においてのリスクの減少の必要十分条件ですので、集団において下げられるような科学的根拠が一番上位の根拠となります。対象は、もう既に述べましたように、健康で無症状な全国民であり、その指標は、目的が達成できるかどうかを見るための死亡率であること。そして、健常者が対象であるために不利益が小さいことが必要条件となってきます。

 次ページ以降は、利益と不利益を御紹介します。利益は、何よりも死亡率減少効果です。ここに、2つのこれまでの子宮がん検診、乳がん検診の成果をまとめたものを示しています。これは主にヨーロッパの国々ですが、検診の施策としての導入以降に軒並み、いずれも死亡率が下がっていて、とりわけ子宮がん検診では80ないし90%の抑制が見られています。もちろん、これらの低下には治療の進歩も影響するわけですが、とりわけ子宮がんではこのスクリーニングの効果が主であること、それから乳がんについても、このような低下の50%、あるいは少なくとも30%程度に検診が寄与していると報告されています。ちなみに、この乳がんのほうで下段に日本のトレンドを示してありますが、残念ながら低下をみていません。

 この利益と不利益ですが、今、示したように、国家的がん対策として死亡率を下げる方策としては、喫煙対策を除けば唯一がん検診が位置付けされているものです。次に利益と不利益が、利益はあるかもしれないけれどないかもしれない。一方、不利益は必ず起こるということをまず御説明したいと思います。

4ページです。検診を行いますと、陽性と陰性に分かれます。それぞれに、がんがある場合とない場合があり、この4つのケースになるわけです。上段右の陽性でがんがないという偽陽性。それから、その対角線にある陰性だったけれどもがんがない。この2つが、まずぱっと見て分かる不利益です。検診を始めると、この偽陽性と偽陰性は必発ですので、検診を一旦始めると不利益は必ず発生するということがわかります。ちなみに、偽陽性を見る指標は特異度、それから偽陰性を見るときの指標は感度です。この両者が両方高く相並び立つことが理想ですが、これは相並び立たない。どちらかを高くするとどちらかが低くなるという関係です。検診では、先ほど示したような健常者対象という理由で、この不利益、取り分け偽陽性を抑えることが、患者対象の診断と際立った相違点になります。

 その下に利益と不利益が整理してあります。利益はがん死亡の減少です。これはあるかどうかは分からないわけです。その理由は後で説明します。がん死亡の減少があって初めてその下に書いてある、付随的な利益もあり得るわけですが、この死亡の減少がないままに例えばQOLを指標としますと、これは効果を見誤ることになります。また、不利益としては偽陰性に伴う診断・治療の遅れというのが最大のシリアスな不利益と思われがちですが、実は世界的には、この上段の偽陽性者への不必要な検査、それによって惹起される不安というものが非常に重視されています。これは、やはり検診をやった場合に一番量的に多く発生する、偽陽性というものが重視されることになります。また、がんが見つかった場合も過剰診断という不利益もあるわけです。こういった利益と不利益のバランスをきちんと判断しなくてはいけないということになります。

5ページです。こういう検診の性質に考慮した検診導入のための条件です。先ほどの事務局から示された7つの条件はここから拾ったものです。赤で示した所が診断検査との相違点ですが、時間の関係上説明は省きます。その下が、その後、補完された、言ってみれば、上のクラッシックな基準に対して、これは私はモダンな基準と呼んでいますが、各国で採用されている実際の基準です。ここで伏せ字でなく太字で書いてある所が利益と不利益に関する条件です。

 一番最初に、有効性を示す科学的根拠がなくてはならない。次に、教育、検査、診療というのは、これは検診はスクリーニングを入口にして、その後の診断治療、さらにそれを定期的にグルグル回していくというプログラム全体の管理をしていかなければならない。結局トータルでプログラム効果に結び付かなければならないいということから付されている条件であり、これが先ほどのグラフで示したように、成果があがっている国々での必須条件となっています。そういう仕組みを使って品質保証、つまり精度管理を高度に行うことも必須条件としてあがっています。こういう仕組みができない、あるいはマネージメント/精度管理ができないものは、この基準を満たさないので検診を行うべきではないと判断されます。

 また、不利益についてきちんと情報提供を受けて、あくまでも自己決定権を担保することも条件として書かれています。最後に、こういったことをトータルして、利益が害を上回らなくてはならないということです。これが現在各国で使われている条件の下地になっているものです。

 次ページです。ちょっとビジーな図ですが、昔から使っているオリジナルの図です。ここで、なぜ科学的な根拠が必要か、精度管理が必要か、それが利益と不利益の最大化と最小化につながるかを御説明します。物事は何でも、やった場合とやらなかった場合を比べないと本当のことは分からないわけですが、検診を行った場合を行わなかった場合に比べる必要があります。左から説明します。まず検診を行いますと、検診結果がプラスになると精密検査が行われます。これを受けた場合に、がんがあった場合、治癒する場合と治癒しない場合があります。通常、治癒する場合ががん検診のメリットと考えられがちですが、実はそうではないのです。この治癒した場合も3つの排他的ケースに分かれます。まず最初に、もし検診を受けていなければ後にこのがんで死亡したのが、検診のお陰で助かった場合、これは間違いなくメリットです。しかし、その検診を受けないで、その数年後に発症して病院で診断されてからでも間に合う場合。これは例えばがんの10年生存率がゼロパーセントでないことを考えれば自明です。更に3番目に、不必要ながん、その発見(診断)が意味のない過剰診断という場合もあります。この3つの場合の合計なのです。

 問題は、この3つの区別が全くできないわけです。そこで検診を行わなかった場合、右端を見てください。これらは、メリットもない代わりにデメリットもないわけですが、このメリットがあるかどうかは、このがんの死亡の数の差でしか把握/判断できないことになります。したがって、ここで死亡を指標とした科学的根拠が必要だということです。それがないままにやると、この2段目、3段目の不利益だけになってしまいます。それからまた左に戻ってください。精密検査を受けない場合もこの検診は発生するわけです。患者さんと違って必然性がない、モチベーションがない状態で、もちろん受けたくない人も受けていますから、精密検査が必要だと言われても受けないグループが発生するわけです。ここを受けるようにコントロールしないと、その中に含まれる診断の遅れ、がんがあった場合に診断が遅れて、これは大腸がんなどでは死亡率が5倍高くなることが分かっていますが、こういう不利益を大きくしてしまうわけです。これが検診で特に精度管理が必要だというゆえんです。 不利益の例を幾つか紹介します。次のスライドです。これは、偽陽性による不利益の例として「不安」あ上げています。不安などは大したことではないだろうと考えがちなのですが、先ほども申し上げたとおり、国際的にはこれが非常に重視されています。ここに実際の例として、40代の女性がマンモグラフィ検診を受けて要精検とされたと。別にナーバスな人ではなかったのだけれども、この間、精検結果が出る1か月半余りの間にだんだん不安が募って身体症状が出て、ほとんど生活ができないような状況になった。こういう例が実は人知れずたくさんあることがだんだん分かってきています。ただし定量的な把握はなかなかできません。そこで認知されないわけですが、実際たくさんあるわけです。マンモグラフィは、今現在、約9%の要精検率です。1,000人が受けると一応ポテンシャルとして、こういう不利益を受ける人が80人程度発生するわけです。もちろん、この80人のごくごく僅かの人がなるわけですが、検診の対象は10万、20万、あるいは50万ですから、その分母から発生する数は相当なポテンシャルがあると考えなくてはいけないわけです。発生するこういう人の母地になるような偽陽性者は、がん発見を重視すると、つまり先ほどの感度を重視すると増えていきます。この両者はトレードオフの関係にありますので、がん発見に固執する余りこういう不利益を発生させることになります。この辺の認識が我が国でも今後求められるところです。

 次に、スクリーニングそのものによる不利益の例です。スクリーニングそのものは、それほど大きな侵襲はないわけですが、例えば、今回導入された胃の内視鏡検診では、これは診断検査ですから、シリアスな死亡例などの偶発症があり得るわけです。これがスクリーニングによる直接のシリアスな不利益です。ここを最大限抑制するような体制が求められるわけです。

 次に、検診のやり過ぎについてです。やり過ぎというのは、対象を拡大し過ぎ、あるいは頻度を頻回にしすぎた場合の不利益です。これはマンモグラフィを行った場合で、2番目と3番目のカラムに対象年齢と間隔が書いてあります。右側は、このマンモグラフィの検診で救命される数と、それから、非常に少ないとは言え10万人当たり長期間に発生する乳がん死亡のリスク比を取ったものです。この比が大きければ大きいほど利益と不利益のバランスがいいわけですが、上からいくと、最上段の50代に比べて、その下の40代、その下も含めても同じことが言えますが、50代に比べると40代は、リスク・ベネフィット比(利益/不利益比)が小さくなっているのが分かります。同様に、真ん中のカラムです。2年間隔の検診に比べて毎年やるのは、やはりリスク・ベネフィット比が小さくなるのが分かっています。先ほどの国際比較では、基本的に23年に一度の検診間隔になっていて、日本では現在2年間隔ですが、これを1年間隔で検診の効果を上げようということになりがちですが、それは不利益を増やすことにつながる危険をはらんでいることを知らなくてはいけないと思います。

 次ページです。過剰診断です。これはもう既に御存じのことかと思いますが、2枚の絵で御説明します。理解のために単純化して作ってあります。最上段が普通の発がんから転移(アウトカム)までのコースです。こういうような放っておくと死に至らしめる典型的ながんに対して、検診で早期介入をすることによって死亡を回避することが求められるわけですが、ただ、がんの自然史、進展様式は多様であり、がん種によっては非常に特徴があります。3段目に示しますように、発がん後、早期がんから進行がんに至る期間が極端に長い、あるいはまったく進展しないというものも中にはあります。そのほか、進展はするのですが、平均余命辺りでやっと進行がんになる場合もあります。これらは決して、このがんが死因になることはありません。

 次のスライドの3段目です。こういうがんに対して検診を行うと、一見早期発見の効果と見えて検診の効果と見誤るわけですが、その実は、無駄な治療診断が行われて、中には一定の割合でシリアスな偶発症が発生することもあります。

 次のスライドです。こういうがんのポテンシャルがどのぐらいあるかということは、このWelchらの推計で出ていますが、これは有名な前立腺、甲状腺について主に述べています。前立腺、甲状腺は、御存じのように進展せず、死因にならないがんがたくさんあります。潜伏がん、あるいは潜在がんと言いますが、こういうものを把握する方法としては、このがん以外の死因で亡くなった方に剖検をやった場合に、どのぐらいの予期せぬ前立腺、甲状腺がんが発見されるかという割合でみる方法があり、そのようなデータは、前立腺については日本人でもあり、30余りでそういうデータがあって、生涯の死亡や転移のリスクとの差を剖検での潜在がんの割合(分母)で割ると、この割合が出てくるわけです。前立腺がんでは90%前後、甲状腺がんでは99%と算定されています。日本では、前立腺がんの生涯死亡リスクはこの計算で使われているデータの3分の1から4分の1ですから、前立腺がんの過剰診断の割合はもっとポテンシャルとしては高くなります。ちなみに、これは潜在がんを全て検出した場合という仮定で計算しています。このように、がんによっては大半が過剰診断がんであるということで、いかに有効性が確保された後でも、このような過剰診断のために検診を導入すべきではないという判断ももちろんあるわけです。

 次にもう1つ、不利益の発生源として精度管理の程度が低いことがあげられます。有名なNHSGray Mの教科書では「質の悪い検診は何もしないより悪い」と書かれている理由です。

 次ページです。精度管理の意義というのは、結局は、これは正しい検診と言うか、効果のある検診を目一杯高めて、質を高くして行うことによって死亡率の減少が達成されるわけです。ところが、検診による死亡率減少効果というのは研究からきていますから、これは理想的条件での値であって、言わば効果の最大値であり、不利益の最小値に当たります。実際のプラクティスで事業としての検診を行いますと、スクリーニングから最終的な診断、それからプログラムの管理というところまでどんどん目減りしていきます。ですから、この目減りを小さくしなくてはいけない。具体的に言うと、スクリーニング精度、それから精密検査の診断の精度、感度、精検受診率、治療の質、それからプログラム全体の管理、などの、言ってみれば検診のプログラムのパーツのパフォーマンスの質を、deficitがないように、1に近づけていくことになります。これをしないと、最初の死亡率減少効果が目減りして、結局ゼロになってしまうことになります。つまり、左の下のサイドにありますように、精度管理をすることで効果の最大化と不利益の最小化が図れますが、それが不良であると、効果は最小化あるいは消失して不利益は最大化します。実は、最初のグラフで日本とほかのヨーロッパの国々との間で成果が出る出ないの差というのは、この仕組みが二本で今までなかったからともいえます。日本では、今ようやく、この精度管理の目減りのしない仕組みのスタートラインに立って、成果が少し出てきているところだと考えてください。今までの検診では成果が出なかったということです。

 次のスライドです。このような精度管理は検診の提供形態によっても特性が分かれます。対策型検診と任意型検診と2つの検診があることは既に、よく知られていますが、時間の関係上1点だけ言うと、この精度管理の体制は対策型では必須です。任意型では、これは保証されず、基本的に精度管理の仕組みを欠いています。先程来、話に上がっている職域でデータがないこともそうです。ですから、先ほどの不利益の最大化と最小化、それから利益の最大化が図られるか図れないかということがあり、実際に対策型と任意型で、例えば精検受診率で、胃がんや大腸がんでは20%ぐらいの差があることが分かっています。ですから、成果をあげる意味では任意型といえども、やはり精度管理をするような方向に行かなくてはいけません。

 それから、下から2段目、これは検診で重要な特異度が対策型では重視されますが、任意型では感度を優先する余り特異度が非常に低くなりがちです。具体的に言うと、特異度90%以下の検診というのは、普通はそこでアウトなのですが、そういう特異度が低いものも勘違いして行われがちです。

 その次のグラフです。これは新しい、国際的な検診に関するコンセプトの提唱です。これは、米国のAmerican College of Physicians(ACP)から提唱されたもので、縦軸が価値(利益と不利益の差)を示しているスケールです。横軸が検診の強度です。ここでいう検診の強度intensityは対象者を拡大すること、それから、頻度/回数を多くする、例えば隔年から逐年にする、あるいは、感度の高い新しい検査を使う、あるいはカット・オフ値を下げて感度を高くしようとする、こういうことを含みます。バリューというのは、これは受診者本人の価値です。Benefitsから、つまり利益からHarmsつまり、不利益を引いたもの、あるいはCostsも引いたものであって、それをValueの太線で示してあるわけです。

 そうしますと、スクリーニングの強度を、特に任意型検診などでは強くしがちですが、どんどん増やしていくと価値はあるところから低下していくことになります。そういう中で、価値が高い検診を提供することが求められています。これは、不利益を更に重視するような方向に国際的な認識がシフトしつつあることを示すものです。将来の展望として、このIntensityをなるべく減らす方向が提唱されています。

 次に、そもそも、新しい検診法に求められる最初の条件というのは、有効性が確立した検診、例えば、大腸がんの場合、便潜血検査の化学法と比較し、感度と特異度のどちらかが一緒で、もう片一方が高いこと。つまり、どちらか一方だけ高いだけでは駄目ですということです。これは利益の最大化と不利益の最小化の片方だけではだめで、両立するにはこういう条件が必要だということです。

 次のスライドは、今まで話した利益と不利益の、がん検診を行った場合と行わなかった場合のまとめです。検診を行った場合は、利益がないかもしれない代わりに、不利益の項目は一切発生しないわけです。この差をきちんと確保できるかどうかを確認しなければならない。そのための条件が、先ほどの10箇条に示されたような科学的根拠と、不利益をマネージメントできる仕組みということになります。

 最後の天秤の絵は、それを象徴的に示したものです。我々は、利益のほうに確実に傾くという、ポジティブバランスを確認しなくてはいけない。そのための条件は、今、申し上げたとおりです。科学的根拠、精度管理ということです。

 こういうことで、検診を常にチェックして、そして、この検討会も、そういうポリシーでこの指針に採用すべき検診を検討してきたわけですが、このような枠組みが非常に大事であることを改めて申し上げて、利益と不利益の御説明としたいと思います。以上です。

○大内座長 「がん検診の利益と不利益」についてまとめていただきました。では続いて、「がん検診に関する最近の治験」として、資料5にあるように、本日は国立がん研究センターから濱島先生を参考人としてお招きしています。では濱島先生、説明をお願いします。

○濱島参考人 では、資料に基づいて御説明させていただきます。1枚目をめくっていただきますと、「有効性評価に基づくがん検診ガイドラインの評価」というのを、まとめとして出しております。2005年から私どもの研究班を主体にして、有効性評価に基づくがん検診ガイドラインを出しておりますが、できるだけ国際的に標準化された方法に近い形で、更に日本のバックグラウンドを考慮した形でガイドラインを作成し、その推奨を出しております。

 これを見ていただきますと、判断が保留になっている検診があります。そういった場合は対策型検診としては推奨せずに、任意型検診として個人の判断で受診可という判断をしております。そういった「I」というのがあります。ほかには、BAという形で対策型検診として推奨という形にはなっていますが、いまだに検診としての科学的根拠が少し十分ではないものもあります。こういったものについては2010年から2015年にかけて、様々な新しい研究成果が出ておりますので、そういった研究の主たるものを御紹介するとともに、最近のガイドラインの動向についてもお話していきたいと思います。次のページの「推奨グレード」は、今の有効性評価に基づくガイドラインのABCDIの解説です。

4ページからは胃がん検診についてです。胃がん検診ガイドラインは、実は2014年に改訂して、私どものガイドラインのシリーズの中では、最も新しいガイドラインとなっております。こちらについても新たに内視鏡検診の証拠が出つつあります。ただ、このガイドラインの作成時に、報告書ということで今お示ししていますように、韓国からの報告書を入手いたしました。本来、報告書というレベルのものはガイドラインとしては採用いたしませんが、韓国の研究者側にも、がんセンターのほうにも再三にわたり、問合せやディスカッションを重ねて、証拠として取り上げたものです。この結果では57%の死亡率減少効果を認めておりますが、こちらについては、いまだに原著論文が公開されていない状況です。

5ページに行きますと、韓国の研究は保留になっておりますが、以降、日本で行われた鳥取、新潟の症例対象研究以外のデータを用いて、鳥取市、米子市の新たなコフォート研究の成果が報告されております。こちらではレントゲンを比較対照にして、内視鏡検診6年間の追跡で67%の死亡率減少効果を確認しております。今までは症例対照研究が1件でしたが、こういった形で少し報告が増えております。韓国の症例対照研究だけでなく、中国でも症例対照研究が行われておりますので、今後の公表が期待されているところです。

6ページが胃がん検診の国際比較で、実際には日韓の比較となります。旧ガイドラインでは、日本では40歳以上はレントゲンを毎年という形で推奨しておりましたが、同時期の韓国では内視鏡も含め、2年の間隔で推奨しておりました。新ガイドラインができて、日本では内視鏡検診が認められたところが大きなトピックですけれども、韓国のガイドラインでは4074歳という形で年齢を規定しております。日本は50歳以上でした。ただし、韓国のガイドラインは国立がんセンターのガイドラインで、実際の政策としてこういった委員会を経て吟味された最終結果は、以前のものと同様になっておりますので、40歳以上で上限なしで、レントゲンと内視鏡の両方を選択で2年の間隔となっております。

7ページが、マンモグラフィの評価です。マンモグラフィについては、既に8件のRCTが行われているところですが、この間、AGE trialという英国の研究とCanadian Studyという研究が、それぞれ新しいデータを更新してきました。AGE trialというのは、特に40代検診をするかしないかというのが国際的に大きな議論のあるところで、その40歳にフォーカスした研究です。英国では、その研究について18年間の追跡を行いましたが、乳がんの死亡率と全死因死亡率ともに有意な差は見られませんでした。ただ、これに関しては40代前半を対象にしておりますので、10年以内という限定をしますと、25%の死亡率減少効果を認めております。

Canadian Studyのほうは、40代と50代の両方を対象にしている研究です。すみません。AGE trialのリクルート開始が1992年というのは誤りで、1990年代の後半、2000年前後です。カナダに関しては1990年代の早い時期から開始して、20年近いフォローをした結果が出ております。こちらについては当初から、介入群と対照群に差が出ないのが問題になっていたところですが、継続した研究でも乳がん死亡率に差が出ないという報告となっております。

8ページです。乳がん検診については、もう1つの新たな方法として我が国を初めとして超音波が検討されております。超音波に関して、限段階では死亡率減少効果は報告されておりませんが、感度・特異度の報告が2010年以降、徐々に出始めております。上段に行ってください。Ohuchi先生の前の5つの研究は、US Preventive Services Task Forceでも取り上げられている研究です。いずれの研究も感度は0.81、特異度は0.70.95という辺りで、ほぼ同様の結果を見ておりますが、Ohuchi先生の研究が最も感度・特異度も高いという成果を出しております。しかし最近出されたアメリカの研究で、超音波単独という方法でいきますと、感度は0.5まで落ちますが、特異度はほぼ維持できるということで、0.86という報告となっております。

9ページの乳がん検診のアジアでの比較を見ていただきたいと思います。こちらは現在行われている検診ということで、アジアでは韓国、シンガポール、台湾、日本が一応、国のプログラムを持っている検診です。韓国、シンガポール、台湾については、組織型検診として運用されておりますので、受診率も3050%で、これも徐々に増加しております。対象については、韓国と日本が40歳以上で上限なしですが、シンガポール、台湾は69歳という上限を設けております。検診間隔は2年ということで変わっておりません。方法については、ほかの国はほとんどマンモグラフィ主体ですが、今までは日本はマンモグラフィ単独でしたが、これからは。韓国では視触診を入れても入れなくてもいいということになっておりますが、国のプログラムでサポートする部分はマンモグラフィだけとなっておりますので、実質的にはマンモグラフィの運用となっております。

 乳がん検診については、先ほど40代のことについてAGE trialでも触れましたけれども、それだけでなく、本当に効果があるかどうかは様々な議論を呼んでおります。10ページを御覧いただきますと、題名に「Mammography Wars」と出ております。こういった論争を称して、こういう表現がよく使われております。その一番大きなきっかけとなったのが、2000年に出た北欧コクラン・センターのシステマティック・レビューとメタ・アナリシスの成果です。こちらの要旨が2000年に『Lancet』に報告されております。この検討ではマンモグラフィのRCT8件行われていますが、その質は決して高くなく、本当に質の高いものはごく一部で、それもMalmo studyというスウェーデンの研究とCanadian study2つが、ある程度の質を担保しているけれども、ほかはかなり問題があるというのが1つです。

 それから、実際にマンモグラフィ検診には全死因死亡の減少が認められないといったことが論争の始まりとなり、様々な意見の交換が出ました。以降、継続した研究についても乳がんの罹患・死亡だけでなく、全死因死亡も、死亡率についての検討も行われるようになっております。そういった研究について、いろいろな意見がずっと継続して出ておりますが、最近のものとしてはBMJに出た研究でも、「がん検診は全死因死亡率減少に寄与しない」という論争や、Annals of Internal Medicineなどでも、乳がん検診については治療・診断が進歩した現段階で、新たな評価を行うべきといったことが提示されております。

11ページを御覧いただきたいのですが、中でも最近非常に問題になっているのが、2013年にSwiss Medical Boardから出た、マンモグラフィ検診中止の勧告です。これはスイスの1団体からの報告です。ホームページに行きますと、ドイツ語とフランス語しかないのですが、この要旨が『The New England Journal』に出ました。この勧告のベースになっているのが、上段にあるコクランのレビューです。コクランのレビューというのは、先ほど御紹介した論争のきっかけになったものの新しいバージョンです。こちらのシステマティック・レビューを基にして、実際に全死因死亡の減少にも寄与していないし、実際に、ほかの研究も参照して、例えば50歳以上の女性1,000人が2年間でマンモグラフィを受けると、どのぐらいの人が利益を受け、どのぐらいの人が不利益を受けるかについて検討しますと、一般の方々が持っているイメージとか、実際の現状に、科学的な根拠から推計されるデータでは、大きな開きがあることを示しております。

 こういった勧告が出たことがきっかけになり、様々な論争が出たわけですが、この結末がどうなったかを12ページに示しております。12ページを御覧いただきますと、実際にスイスでは、どういった形で検診が行われているかと言いますと、スイス政府は5069歳ないし74歳まで、2年ごとのマンモグラフィを推奨しております。しかしスイスというのは伝統的に任意型検診が普及している地域で、スイスには26県あるそうですが、その中で半分以下の11県しか導入しておりません。こういった状況での推奨です。

 その中で、ほかのスイスの研究者から出た提案では、マンモグラフィをすぐに中止しなさいというよりは、まずはインフォームド・デシジョンメイキングを推奨すべきで、あとは検診の新しい科学的根拠を確立するために新しい研究をしましょう、それまでは今のエビデンスが最良ということで、現在の組織型検診を続けましょうという提案も出ております。こういった意見がある一方で、スイス国内ではどういった反応が見られたかと言いますと、非常に有名ながんの専門病院とか、Swiss Federal Public Health Officeからは、こういった勧告を拒否するという声明が出ております。

 また、ヨーロッパ全体からはどういった反応があったかについては、13ページを見ていただきたいと思います。IARCEuropean Codeが、2015年に新しいガイドラインを出しております。IARCは、私もメンバーとして参加しております。現在の段階では速報版しか出ておりませんけれども、エビデンスレポートの報告が出ております。この中でも5074歳については、死亡率減少効果ありという評価をしております。ただ、4049歳については限定的という評価になっております。同様にEuropean Code against Cancerからもガイドラインが出ております。こちらも50から70歳〜75歳までは科学的根拠ありという同様の評価をしております。

 アメリカのガイドラインも同年に、US Preventive Services ForceACSともに改訂が行われております。US Preventive Services Force40代の問題では、前回の改訂で非常に議論を巻き起こしました。特に今回のUS Preventive Services Forceの推奨についても、グレードCという判定で変えてはおりません。5074歳に推奨という判断をしております。ACSについては、もうちょっと幅を広げて、45歳から、余命を10年まで推奨という形を取っております。

 超音波については、ACSEuropean Code against Cancerでも評価しておりませんが、US Preventive Services Forceでは根拠が不明ということで、グレードIという判定になっておりますし、IARCでは死亡率減少効果の証拠が不適切で、偽陽性の増加が問題だということを提示しております。

14ページは子宮頸がん検診についてです。細胞診の評価については定着していることもあり、HPV検査をどう導入するかが大きな議論となっておりました。これに関するRCTが一番先に出たのがインドでした。それに引き続いて、スウェーデン、オランダ、英国、イタリアから結果が出ております。それぞれ国によって併用法、単独法というように少しずつ違っておりますが、対象はほぼ2060代です。スウェーデンに関しては、30代に限定した評価を行っております。

 次のページがその成果のまとめです。NTCCというのがイタリアの研究、POBASCAMというのがオランダの研究、Swedenscreenというのがスウェーデンの研究で、最後が英国の研究となっております。それぞれ見ていただきますと、一番上段のNTCCというイタリアの研究のみ、単独法を使っております。63%の罹患率減少効果を認めたという報告になっておりますが、ほかの研究については30%から20%の罹患率減少となっており、有意な結果は出ておりませんでした。この4つの研究についてメタ・アナリシスを行った結果、40%の浸潤がん罹患率減少効果が認められたということになっております。こちらに関しては、時期を2.5年以内と2.5年以降というように分けて検討しております。

 次のページは、今の結果をまとめてグラフにしたものです。全体象で見て、介入群と対照群を比較しますと、介入群と対照群が開いていくことがお分かりいただけるかと思います。左側が全対象です。初回テスト陰性者に限定した右側のグラフを見ていただいても、当初は対照群と介入群に差はありませんが、経過を追うごとに両者の差が開いてくるという傾向を見ております。こういったことでHPV検査に関しては、まだRCTの結果が出ていない時期には導入できるかどうか、非常に議論のあったところですが、4つのRCTがほぼ出そろったところで、HPV検査を導入する所も増えております。その導入だけでなく、HPVにはもう1つ大きな役割が期待されております。

 それが17ページです。同じような研究がRCTの中でもされておりますが、カイザーコフォート研究というアメリカの研究は、US Preventive Services Forceの評価に大きな影響を与えた研究です。アメリカでは通常、細胞診は2年間隔で行われておりました。この2年間隔で行われている細胞診にHPVを追加することによって、検診間隔を延長できないかということが検討されております。

 赤い枠の所を御覧いただきたいと思います。HPV陰性の初回のCIN3以上の病変発症は細胞診陰性の2分の1で、0.17%と0.36%でした。これが初回ですけれども、HPV陰性の場合の3ラウンド目のCIN3以上の発見率が0.17%ということで、細胞診陰性のものとHPV陰性のもので2ラウンド、3ラウンドの発見率が同等位ということが、この研究によって示されました。この結果によって、もしHPV検査を細胞診に追加した場合、従来の2年間隔だけでなく、少なくとも5年までは延長することができるということが示されました。これによって、US Preventive Services Forceは、両者の併用で間隔を延長したタイプのものも推奨となっております。同じような検討がヨーロッパのRCTでも行われて、最低5年の延長は可能だろうという方向で、ほぼ一致した見解が得られております。

18ページが現在のHPV関連の検診の導入の状況です。アメリカは任意型検診ですので、保険者や州などによって導入の方法が違いますが、基本的にUS Preventive Services ForceACSともに併用法を推奨しております。英国に関しては、細胞診という従来の方法に加え、これをトリアージという方法で使う、生検の1つの方法として使うことを提示しております。具体的には19ページの「英国NHS」と書いたものを見ていただきたいと思います。ほかにもオーストラリア、ニュージーランド、オランダ、カナダ、イタリアの一部といった所での導入が始まっております。おおむねヨーロッパはHPV単独法、アメリカは併用法となっております。この理由として、アメリカではFDAHPVの単独使用を認めていなかったこともありましたが、2014年に単独使用でスクリーニングを使うことが承認されましたので、今後はアメリカも単独使用の可能性が出てくると思います。

 さらにオーストラリアですが、オーストラリアは最初、英国に準じた形でトリアージとして使っておりました。細胞診を2年ごとという検診から、来年5月からはHPV単独で5年の方向に変換する予定になっております。オーストラリアは御存じのように、HPVワクチンを最初に導入した国ですが、当初は接種の有無にかかわらず、HPV検査を単独で使用することになっております。しかしHPVワクチンと子宮頸がん検診のデータをリンクさせた新たなモニタリングシステムを現在構築中と伺っております。19ページは英国のことですので省略いたします。

20ページは、子宮頸がん検診のガイドラインの国際比較です。今お話した4研究がそろったのは、ごく最近ではありますが、2012年辺りからアメリカ、ヨーロッパともにいろいろなレポートが出ております。アメリカのUS Preventive Services ForceACSともに併用を推奨しております。もちろん、これは細胞診単独でも推奨しておりますが、今回はHPVに話をフォーカスしておりますので、そちらしか提示しておりません。30代を対象として、5年ごとの検診を推奨しております。ただし、終了年限についてはUS Preventive Services Force65歳と明記しておりますが、ACS65歳以上で、更に過去10年間に23回陰性といった条件も付記した形になっております。

HPV単独法を最初に推奨したのがオランダのエビデンスレポートです。オランダはPOBASCAMというRCTを行っており、その結果、併用法を推奨するのではなく、更にモデル解析を行って、最終的に費用効果分析を基に、HPV単独法を推奨しております。この単独法の対象も30歳以上として、30代については5年ごと、40代については10年に一度の推奨となっております。

 同年にはイタリアのHTAレポートも出ております。これはヨーロピアン・コード・コミッションの精度管理のガイドラインの準備に合わせて行っていると伺っております。こちらも30歳以上に単独法で、5年を推奨しております。最近出たEuropean Code against Cancerでも、HPV単独法を3560歳、ないし65歳以上で、5年という形で推奨しております。いずれも、今まで出たガイドラインは、30歳以上を推奨しているのが特徴ではあるのですが、来年から導入するオーストラリアは25歳以上を対象としており、今までにはない評価となっております。ここまでが子宮頸がんで、21ページからが大腸がんです。

 大腸がんに関しては、有効性評価に基づくガイドラインを作り、10年以上経過していることもあり、実際にはたくさんの研究が出ております。その中で非常に大きく変わったところは、シグモイドスコピーのRCTが出たところかと思います。2010年に英国から出ており、それ以降イタリア、アメリカという形で結果が出ております。最初に出た英国の研究では、シグモイドスコピーによって全大腸がんの約30%の死亡率減少効果を見るという結果が出ており、後からのイタリア、アメリカでも、ほぼ同等の結果が出ております。ただ、この結果を見ますと、PLCOでは、遠位と近位とで分けますと、遠位大腸が下がっております。イタリアとアメリカの研究では、近位では両方とも下がっております。

 これらの研究に加え、比較的古い時期に行われたノルウェーの研究があります。この2研究を加えたメタ・アナリシスの結果が22ページです。その結果を見ますと、大腸の罹患については18%の減少、死亡については28%の減少という報告が出ております。この3つのRCTが出ることによって、シグモイドスコピーの評価はほぼ固まったと言っていいような状況かと思います。英国では、既にシグモイドスコピーを対策型検診の一部に導入しております。

 次に23ページです。シグモイドスコピーのほうは評価が固まったということになっておりますが、トータルコロノスコピーはどうか。RCTは各国で進行しております。しかし今の段階では、まだプロトコールや中間報告という形での公表になっており、最終的な結果は出ておりません。死亡率を対象とした報告に関しては、コホート研究、症例対照研究が出ております。コホート研究についてはアメリカから、比較的大型な研究が2件出ております。両方とも20年以上のフォローをしており、最初に出た研究では30%の死亡率減少効果で、つい最近出た研究では70%と出ております。ただし最近出た研究では、右側・左側とも死亡率減少効果が認められておりますが、2014年の研究では左側のみとなっております。

 同じように、全大腸内視鏡については、症例対照研究もアメリカ、カナダを中心に出ております。こちらも非常に大型の症例対照研究で、4070%近い死亡率減少効果が出ております。

25ページが、大腸がん検診ガイドラインの国際比較です。US Preventive Services ForceACSともに2008年の改訂です。もともとUS Preventive Services Forceは便潜血、シグモイドスコピー、トータルコロノスコピーを丸めての推奨という形を取っておりましたので、それは変わらず、丸めてグレードAとなっておりますが、85歳以上には推奨しないことになっております。あと、便のDNA検査や、CTコロノグラフィーについては、証拠不十分という判断をしております。ACSでは、便潜血、シグモイドスコピー、トータルコロノスコピーについては推奨しており、更に年限についても提示しておりますが、US Preventive Services Forceでは保留となっている便のDNA検査とCTコロノグラフィーについても推奨しております。昨年出たEuropean Code against Cancerでは、欧州での推奨ということになりますが、5060歳を開始年齢とし、7075歳までということで、免疫法・化学法の両方による便潜血を推奨するとともに、トータルコロノスコピー、シグモイドスコピーを用いた場合は、検診間隔を延長できることを付記しております。

 次に、26ページの肺がん検診に移ります。肺がん検診の有効性評価に基づくガイドラインは、レントゲンの検診を推奨しておりますが、こちらは世界的に見て非常に特殊な状況にあります。むしろ最近では、CTをどうするかが国際的に非常に話題になっております。PLCOは従来のレントゲンの問題を解決するために行われた研究で、NLSTPLCOの一部のデータを使いながら行われたCTの評価研究です。こちらがPLCOの結果です。両方とも13年の経過を見ており、レントゲンによって肺がんの死亡率は減少しないという結果になっております。NLSTでは喫煙者に限定しており、この導入によって80%の死亡率減少効果を認めております。

 今まで胸部レントゲンを検診として導入しているのは日本だけということもありましたので、ガイドラインとして公表されることがなかなかありませんでした。ですからガイドラインとして公表されているものは、現段階では27ページにお示したように、アメリカのUS Preventive Services ForceACSのガイドラインです。US Preventive Services Forceの公開年が間違っておりますが、もうちょっと遅い時期だったと記憶しております。両方ともCTについて推奨ということを規定しております。対象者は55歳以上で、US Preventive Services Forceでは80歳まで、ACSでは74歳までという形で年齢が異なりますし、過去の喫煙についても考慮されております。ただ、CTを撮るだけではなくて、もちろん従来から非常に重要視されている禁煙カウンセリングも重要ですし、こういった検診を受けるに当たって、シェアドデシジョンメイキングも必要だということが付記されております。ここまでが肺がんの検診についてです。

 最後に、28ページからが前立腺がんの検診です。前立腺がんについては、ガイドラインでも採用したPLCOERSPCの追跡期間を延長して、13年にしたという報告が出ております。この結果、特に今までと変わっておりません。PLCOでは死亡率減少効果なし、ERSPCでは21%の死亡率減少効果ありという結果になっております。ERSPCは多国の共同研究で、一番大口のオランダ、スウェーデンからは単独で死亡率減少効果が単独では出ておりますけれども、最大の対照群を持っているフィンランドからの研究では出ておりません。

 次のページは、国際比較です。こちらの結果を見ても、US Preventive Services ForceACS、アメリカ泌尿器科学会(AUA)European Code against CancerのいずれもPSA検診については推奨しないという方針になっております。ACSAUAでは、検診そのものは推奨しませんが、受ける受けないに関して、一部、インフォームド・デシジョンメイキングをしましょうという形での勧めとなっております。評価については、どういう評価をするかは多少分かれておりますが、対策型検診としては推奨しないという方向になってきております。

 最後の30ページに、今お話したもののまとめがあります。保留になったもの、あるいは証拠不足のもの、いずれの検診についても、順次いろいろな研究が報告されております。中には、まだ研究が十分出ていないものもありますが、また新たに、十分な検討をする余地があるという形でデータがそろってきているかと思います。以上です。

○大内座長 濱島参考人に最近の治験についておまとめいただきました。今、事務局からと、斎藤先生からリスク・ベネフィット、濱島参考人からは最近の治験について報告がありました。ここでまとめて議論をしたいと思いますが、皆様からいかがでしょうか。もう少し詳しいデータがほしい、あるいは気になる点等ありましたら御意見をお願いします。

○菅野構成員 私は参加して、内容も多少は素人ながらに理解できるようになっているのですが、今お話を聞いていて、実際の立場としては市民に説明するときに、どうしても治験について、もう少し分かりやすく提示する必要があるなというのが、今日聞いていて改めて思ったということで、感想的になってしまいますが、検討会として今後もそういった面も意識しながら、お話を進めていけたらなと思います。

○大内座長 恐らく菅野構成員は地域を扱っている担当者として、市民目線、国民目線で最新の治験の説明、新たなデータが出てきますと、それを解釈して説明するわけですが、ブラッシュアップしていかざるを得ない。しかし、かなり変わりつつあることをどこまで理解できているかということと存じます。濱島参考人からの30枚目の表が一番分かりやすいと思いますが、現状、新たな研究、あるいは評価などが行われていて、現時点ではこのようなサマリーとなっています。1つのレポートが出ると、よく大きな反響が出てくることがありまして、特に乳がん検診などは1960年代のNew York HIP研究から始まって、もう50年です。コクラン・レポートなどでも10年に一度は必ず大きなコメント、解析が出てくるわけです。そういったことから、最近は例えば乳がん検診についてはマンモグラフィのデンス・ブレストに対する問題点等々が、日本のみならず世界的に議論が再燃しているところです。濱島先生には、全てのがん検診、国がまだ検討していない、例えばPSA(前立腺検診)についても、最近の動向を調べていただきました。子宮頸がん検診、これはHPVDNA検査についても議論を重ねて一定の見解、中間報告として日本でのデータを求めており、今、青木班が動いております。そういったこともありますが、最近の動向として、HPV検査が世界的に入ってきているということがあります。

○濱島参考人 RCTの結果が公表されたことで、ほぼ効果は確立したという方向に向いてきています。あとは私どもも、今ちょうど子宮頸がんのガイドラインの改訂をして、エビデンスレビューを行っているところですので、来年の年度末まではその新ガイドラインを公表できる予定になっております。

○大内座長 問題点は、今日のがん検診検討会にはなじまないかもしれませんが、そもそもの、がん一次予防対策であるHPVのワクチネーションそのものが日本国内において、まだ停止している状況にありますので、その点については別枠で議論が必要だと思います。国際的に見れば、日本はWHOからも勧告を受けているわけですが、まずは国として、がん対策全体を考えた場合には、1次予防も含めたことも議論すべきということが1つありました。何か御意見はありますか。道永先生、いかがですか。

○道永構成員 濱島先生の20ページ目のスライドなのですが、子宮頸がん検診はどの国も30歳以上で、30歳以下には勧めないというところがありますが、日本は20歳からですよね。この子宮頸がんの検診のガイドラインを作っている国での20歳代のいわゆる罹患率とか死亡率というのは、そういうデータがあるのでしょうか。

○濱島参考人 先ほどちょっとお話しましたが、今日はHPV検査にフォーカスしてお話しておりますので、細胞診に関しては特にお話しておりません。おおむね20歳というのは、ヨーロッパの国では25歳以上から導入しております。ですから、これは細胞診が要らなくなったということではなくて、HPV検査を入れた場合の推奨のみに限定しております。HPV検査に関しては、30歳以上を入れるというのがほぼ一致した見解です。ですから、先ほどオーストラリアが25歳から入れるということになったのは非常に特異な結果になっておりますので、そういったことに関して、今後20代でも使うかどうかという検証が進むかと思います。

○大内座長 五大がんのほかにも、幾つかのがん検診についての最近のレビューが入っていますが、よろしいですか。後ほど、また時間が残りましたら、この議題に戻りたいと思います。時間が押していますので、先に進めさせていただきます。

 続きまして、議題3、職域におけるがん検診についてです。資料6に全国健康保険協会におけるがん検診についてとありますが、本日は協会けんぽから守殿様にお越しいただいておりますので、この資料を基に御説明いただきたいと思います。では、守殿様、お願いいたします。

○守殿保健部長(協会けんぽ) 全国健康保険協会の守殿でございます。よろしくお願いします。今日は協会けんぽにおけるがん検診ということで説明させていただきますが、資料6に基づいてお話いたします。恐縮ではありますが、「協会けんぽ」そのものの組織形態、この辺のところから少し説明いたします。御案内のとおりですが、協会けんぽは平成2010月に政府管掌保険を引き継ぐ形で、民間組織として発足しております。資料に書いてありますように、事業規模としては加入事業所が全国185万事業所、加入者数は直近で3,700万人で、およそ国民の3.4人に1人が協会けんぽの加入者ということで、日本最大の医療保険者という位置付けになっております。

 加入事業所の皆さんは、基本的には左側の図にありますように、健康保険組合を作ることができない中小企業、若しくは小規模企業の方が多く、右側のグラフでも分かりますように、その事業所の約8割が従業員規模が9人以下ということで、非常に小さな事業所の集合体ということになっております。特に従業員規模が2人までといった所が43.1%で、約半分を占めているという、ある意味、特異な状況の中で事業所の集合体になっているということです。さらに、加入者の方々は、ここにありますように健康保険組合等に加入していない被保険者と被扶養者で、健康保険組合が解散等された場合には協会けんぽの加入者という形になりますので、協会けんぽは被用者保険の最後の受け皿という認識で、現在、活動しています。

 ページが変わって、健診の実績ですが、先ほど御紹介した事業規模、事業所の状況等もあり、健診としては被保険者向きに、生活習慣病予防健診を実施しております。対象年齢は、基本的には特定健診ですので40歳以上ということで、受診率が現在46.7%となっております。被扶養者については特定健診ということで、受診率が19.3%となっております。人数規模としては、下にありますように、全加入者のうち40歳以上の方が46.3%、そのうち被保険者が74.9%、被扶養者が25%といった構成になっております。生活習慣病予防健診のほかに、労安法からデータを提供いただいた事業主健診データが5.2%含まれております。

 次ページ、全国健康保険協会の加入者が受診する健診という枠組みですが、左側の立て付けが被保険者の健診、右側が被扶養者の健診となっております。被保険者については、基本的には事業所は労働安全法に基づく定期健康診断は事業者健診ということで、事業主に義務付けられておりますので、協会はこれを包含した形で、この健診にがん検診を付加した生活習慣病予防健診を推進しております。基本的には、ここにありますように、協会けんぽ以外で労安法に基づく健康診断を実施している方々を生活習慣病予防健診に切替えを促していくといったことが主な受診促進策として実施している部分です。逆に被扶養者については、協会が実施している高齢者の医療確保に関する法律を根拠に基づいております特定健康診査では、がん検診項目はありません。その代わりと言ってはおかしいですが、被扶養者は住民として市町村において実施されるがん検診に受診していただくというスキームで、健診を促進しております。健診促進策としては、特定健診と市町村において実施されているがん検診を同時実施するということで、加入者の皆様に受診機会の促進という形で施策を進めているところです。

 被保険者の生活習慣病予防健診の内容ですが、一般健診は先ほど申しましたように、特定検査の検査項目に、便潜血反応検査、胸部レントゲン検査、胃部レントゲン検査等々にがん検診を付帯したものとして、その健診費用の約6割を協会けんぽが補助しているというスキームで健診を実施しております。それにプラスして、付加健診は40歳の方、50歳の方を対象ということで、このときに腹部超音波検査が入ってまいります。その他の健診として、年齢、対象者等々を限定した健診は、乳がん検診、子宮頸がん検診、肝炎ウイルス検査等々を実施しております。

 続きまして、被扶養者です。こちらも先ほど申しましたように、一般健診については、がん検診項目は含まれておりませんが、こちらも協会けんぽから補助額として最高6,520円の補助金を出して、受診促進を行っているところです。そもそもの健診の受診率ですが、先ほど46.7%とお話しましたが、ここのグラフにありますように、健診の受診率は、若干ですが右肩上がりで普及はしております。ただ、先ほどありましたように、協会の小さな事業所が山間部や島嶼部を含めて、広い地域に点在しております。さらに、1つの事業所当たりの健診対象者が他の健保組合に比べて極端に少ないということで、なかなか効率的な実施は難しいという状況も抱えております。また、保険者と事業主との距離が非常に大きく、健診に対する理解が不足しているというのも現実です。それに加えて、事業所の規模における受診率ということでは、1例として50人以下の事業所の健診率、データは古くて恐縮なのですが、平成22年のデータです。

 ここにありますように、10人を切ると健診率が大きく落ちていきます。2人以下の事業所では2割に届くかどうかというような健診率ということで、事業所規模による健診環境の違いも非常に大きな要因になっております。

 続きまして、被扶養者の対策ということで、特定健診とがん検診の同時実施の推進状況です。これは平成26年度のデータですが、1,741の市区町村の中で、集団健診を実施されている市区町村が1,487あります。そのうち協会の被扶養者も受診可能な同時受診をしていただいている市区町村が1,077市区町村ということで、これは平成25年度に比べて25増えています。現在、各支部においては、各市区町村と健康づくりに関する包括連携契約の締結促進を図って、こういった同時受診の促進環境を強く進めているところです。

 そういった関係上、被扶養者のがん検診の詳細なデータは、当然、協会けんぽでは持ち合わせておりませんので、被扶養者のデータは市区町村の行政の数字にまとめられているという状況です。

 最後に、がん検診の受診率です。当然ながら、被保険者という括りになりますが、こちらは平成26年度の数字になります。胃がん検診については36.7%、5476,560人が受診されています。同じように、肺がん検診が47.1%、大腸がん検診が43.1%、乳がん検診が19.9%、子宮頸がん検診が16.0%という受診率になっている状況です。非常に簡単ですが、説明は以上です。

○大内座長 健保連は前回説明があったわけですが、また今回初めて協会けんぽからのデータをお示しいただきました。皆さんから御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。私から確認なのですが、3ページにある被保険者と被扶養者の健診についてですが、被保険者についてはある程度カバーされていて、被扶養者については、そもそもがん検診項目はないということですか。

○守殿保健部長 検診項目にはありません。

○大内座長 ですので、2ページにありますように、受診率が被保険者は46.7%と、ある程度高いのですが、被扶養者は19.3%で、極めて低いですね。これはどちらかというと市区町村の健康増進法で行われている、そちらの市区町村事業のほうで実施されている健診に近い数字かと思うのですが。

○守殿保健部長 ですから、被扶養者のがん検診の受診率は不明です。特定健診としての受診率は19.3%です。

○大内座長 しかし、5ページにありますように、協会けんぽからは補助額が出ているということですね。

○守殿保健部長 そうです。特定健診についてはです。

○菅野構成員 市区町村の職員としては、私も非常に興味のあるところで、2つ質問があります。これは全国の協会けんぽということですが、県などによって、がん検診をやっている内容などは特に差はないということでいいのかどうかというのが1つです。もう1つは、被保険者については、かなり受診率等も把握していて、見ると指針のがん検診なのかと思うのですが、精度管理の状況についてはどの程度把握されているものなのか。この2点をお願いします。

○守殿保健部長 全国47支部で、健診項目については同一です。2番目の質問については、先ほどもありましたように、なかなか掌握は難しいといいますか、まだそこまで行っていないというのが現状で、まず健診率です。ここでのお話ではないかもしれませんが、もともと義務化されている特定健診そのものの健診率の目標に、まずは達していないということもありますので、どうしてもそれが第一義ということもありまして、特定健診をどう受診していただけるかということが、今のところ我々の一番の主眼に、どうしてもならざるを得ないという形になっております。

○道永構成員 今の3ページなのですが、私は不勉強なのか、労働安全衛生法に基づく定期健康診断に、確かに胸部レントゲン検査と喀痰がありますが、これは恐らく肺がんが対象ではなくて結核や、じん肺とかなのですね。ですから、それで勘違いがあるのだと思うのですが、今、厚生労働省のほうで項目の見直しをしていまして、恐らく肺のレントゲンについては結核だけに特化するものではないということで今話が進んでいますので、ここはちょっと内容が違うのかなと思いました。

○大内座長 そのような御指摘だと思います。

○斎藤構成員 この協会けんぽで提供している健診については、今後、職域に対しての健診の枠組みがない中で、非常に重要なことは、対象年齢は35歳からですが、指針にある健診項目を基本に行っていると。付加健診というのがありますが、それは置いておいてですね。ですから、もし精度管理をして行うとすれば、カウントすべき対象なのです。しかも、職域の40%から45%ぐらいを占めるということで、非常に重要だと思います。そこで問題になるのが、こういった健診データがないということですね。受診率だけは分かるのですが、プロセス指標が分からないという中で、これを今後それぞれの委託している健診機関から回収して、各支部で集計するという可能性はあるのでしょうか。

○守殿保健部長 データ自体は当然入っていますので、そういったことは可能だとは思います。

○斎藤構成員 私が言っているのは、受診の数だけは把握できているというのは分かりますが、例えば要精検率とか、がん発見率とか、全く分からないですね。レセプトデータがあるだけで、今のところ分からないですよね。そこが今後、可能性があるのかどうかをお聞きしたいのですけれども。

○大内座長 精度管理に関する、例えば精密検査受診率などは分かりますか。

○守殿保健部長 そこは今すぐ数字を。ちょっと調べて。

○斎藤構成員 そこは分からないですよ。今は分からないということまでは我々も把握しているのですが、今申し上げているのは、それを今後、データを取ることができるようになるかどうか。これが非常に大きいと思うのです。

○白川構成員 協会けんぽのことを100%分かっているわけではないのですが、多分、事業主で定期健康診断を実施するときに、がん検診も実施してくれれば、その分、補助金を出しますという形だと思います。多分データを取らないと、本来、補助額というのは決定しないと思うのですが、その辺が微妙なところであり、きちっとデータをもらい、それとの対応で補助金を払うケースと、そうでないケースがあるのではないかと思います。これは勝手に私が想像しているのですが、補助金とデータを11の関係にしていけば、多分データを取ることは可能であり、100%取れるのではないかと思うのですが、先ほど私が申し上げたとおり、健診機関で全部ばらばらのデータですから、それをもらい処理できるかというと、事務的には大変な作業です。ですから、協会けんぽも健保組合と同じように、前段階でいろいろな工夫をしないと、有用なデータの蓄積ができない。無理すればできないことはないのですが、負荷が大きくなりすぎて、対応できない可能性が高い気はします。その辺はいかがですか。

○守殿保健部長 一番最初におっしゃったように、本来ならセット健診ですので、全てを網羅して補助金という形になるのですが、その分、少し健診率の。本来でしたら生活習慣病予防健診を受けていただいた方は全部、この項目が入っているはずなのですが、健診ごとに少し差があるといったことも事実ですので、そういった面もあるということと、基本的には特定健診として実施している健診ですので、事業主と共有するのも特定健診項目部分ということになっております。

 基本的には、がん検診の結果は個人に返ってまいりますので、今後、我々が進めているのは事業主と、事業所の健康づくりといいますか、従業員の健康増進をどうやっていくかという部分について、根本になるところの根拠法がばらばらの健診を組み合わせてやっているというところは、保険者としてもデータの返し方ひとつにしても、なかなか統一して動けないと。こちらをすると個人情報が当然出てまいりますので、本来は事業主健診をカバーする生活習慣病予防健診という形で、事業主にも御紹介をしているわけです。そうしますと、また個人情報上でいろいろな矛盾も出てまいりまして、事業主が個人負担部分を負担している場合は、どこまでデータ提供していいのだとか、そんな話も実際の事業主からまた出てまいりますので、せっかくやっているがん検診項目が、なかなか生かしきれていないというのは御指摘のとおりです。その辺のところはせっかくやっている健診をどう生かしていくかということは本当に課題だと認識しております。

○大内座長 本当に貴重なデータをありがとうございました。時間の関係上、次に進めさせていただきます。

 続きまして、資料7を御覧ください。がん対策推進企業等連携事業における調査結果報告とありますが、本日は中川参考人にお出でいただいていますので、中川先生のほうから御説明をお願いします。

○中川参考人 中川でございます。資料7を御覧ください。がん対策推進企業等連携事業の活動と調査結果について御報告したいと思います。名前が大変長い事業で、1ページ目のロゴにありますが、「がん対策推進企業アクション」というように通称されております。この検討会と同様に、がん疾病対策課の下で行われている事業です。

2ページです。この事業は、もともと2009年に始まった職域等におけるがん検診受診促進企業連携推進事業という、がん検診、職域等におけるがん検診の受診促進に関する活動から始まりました。2013年度からは、現在の名称に変わって、がん検診の受診促進のほか、就労支援、あるいはがんに関する教育ということもミッションに入っております。現在は、職域がん検診を中心としながらも、職域のがん対策全体を推進という形になっております。

 これは入札で、事務局が決められていますので、有識者等によるアドバイザリーボード会議というものを作っております。詳しくは、2ページ目のホームページを御覧いただければと思います。本日、お越しの道永構成員にもお入りいただいておりますし、健保連様、あるいは協会けんぽ様、産業医の先生方、社労士の方など、幅広い立場でお入りいただいております。そのアドバイザリーボード会議の議長を足掛け8年間させていただいております。

 この中で、現在まで推進パートナー企業という、この事業に賛同し、職域におけるがん対策を推進するという立場を表明していただいている企業様が、現在のところ、2018社あります。

2ページです。実は、これはミスプリというか、数字が抜けていますので、円グラフの中を時計に見立てていただいて、分類名の所ですが、12時から1時の所は1万人以上です。数字は、「値」社の所は108社です。ここから時計回りに、その隣が、5,00010,000未満、数字は、全体で2,007社ですので、そのパーセンテージを掛けていただければ、また、ホームページを御覧いただければと思います。その次が1,0005,000、約3時の所は5001,000、その下が、100500未満、一番左側の所、一番大きいところ、44%という所が、100未満ということです。やはり大企業がかなり多いということが分かります。67日現在では、2,007社です。参加されている推進パートナーの企業の総従業員数は、約510万人ということです。大変大きな規模になっております。

3ページ、これは従業員数1万人以上の企業です。4ページを御覧いただくと、50010,000未満という日本を代表するような企業を含めて参画されています。

5ページ、昨年度に行った推進パートナーを対象とする現状調査です。昨年の1218日までに登録された1,823社に対して行い、591社から回答を頂いております。回答率は、32.4%と、かなり頑張ったのですが、こういった数字にとどまっています。

6ページは、昨年度に、がんと診断された従業員がいた割合です。当然ながら、5,000名以上の企業では、90とかなり多い。1,000名以上では、94%という数字ですが、その従業員規模が少なくなってくると、当然減ってくるわけです。それでも19名以下の所でも、約6%。全体では、46.1%の会社に、がんの患者さんが出たということです。

7ページは、受診率です。先ほど来、協会けんぽの所でも指摘されているように、企業規模によって受診率が変わってまいりまして、これは喫煙率等もそうなのですが、300名以上の大企業においては、胃がん、肺がん、大腸がんが、95%程度。ただし、乳がん、子宮頸がんは8割程度になっています。中小企業は、取り分け、乳がん、子宮頸がんの受診率が低くなる。ただし、これはそもそも、この企業アクションに参画され、かつアンケートに答えるという、そういう意味では一定のバイアスがかかったデータであるということを指摘しておかねばなりません。

8ページ、部位別の検診受診率の変化です。2008年、2013年、2014年を比較しています。肺がん、大腸がん、胃がんに関しては、上昇が見られ、7割から9割近い受診率ですが、やはり女性のがんということになると受診率が低く、あるいは伸び悩んでいるということが指摘できると思います。

9ページは、対策型の研修のあり方ですので、飛ばします。

10ページ、パートナー企業が、それぞれのがんに関して、どういった方法を取っているかということですが、10ページ目が胃がんです。胃部X線の検査、それと、今回新しく取り入れられた胃内視鏡検査に関するもの。ただし、その右側にあるペプシノゲン、あるいはヘリコバクター・ピロリ菌抗体の項目も、かなり実施されているということです。

11ページは、肺がんです。喫煙者に対する喀痰検査が、実は非常に行われていないのです。これは職域検診の大きな問題だと思っております。一方で、胸部のCTはかなり行われているということです。

12 ページ、大腸がん検診ですが、便潜血の二日法を行っている企業が8割程度ということですが、この一日法も2割程度あって、少し問題であることが分かります。

13ページ、乳がんです。視触診が5割、超音波が53%といった状況です。

14ページ、子宮頸がんに関しては、自己採取法ということも行われておりますし、先ほど議論がありましたが、HPVの検査も7%近く行われています。

15ページは、この現状調査に関するまとめをしております。先ほど申し上げたように、かなりのバイアスがあるわけですが、8割を超える企業ががん検診を受診している。しかし、中小企業における女性のがん検診の受診が非常に低いという問題があると思います。科学的根拠に従ったがん検診という点では、おおむね行われておりますが、しかし、対策型の基準から離れている項目もありますし、また、本日は余り触れていませんが、過剰診断に相当するような検診項目もあったのは確かです。

16ページ、これは精検に関するスキームです。

17ページは、検診受診の把握、要精密検査者の把握、要精密検査者に対する受診勧奨。そして、要精密検査の受診の確認。未受診者への受診勧奨という各項目に関する実施の割合を示しています。

 要精密検査者を把握している企業は、約半数ですが、しかし、精密検査を受診しているかという確認まで実施している企業も、また3割あるということで。実はかなり幅があるということが分かっております。

18ページ、職域に関するがん検診受診率の向上のために10項目ほどポイントがあるのではないかと思っております。また、お目通しいただければと思いますし、ホームページも御参照いただければと思います。

 最後に1つ、大内座長にお願いがあります。本検討会の職域に関わる部分と、重なった部分があります。また、取り分け、同じ所轄のがん疾病対策課の中であり、私どもとしても、もしお許しいただけるものならば、前回の資料2の中にありましたが、一番下にある「職域におけるガイドライン」、これは、私どもとしても非常に関心を持っておりますので、少なくともこのガイドラインができるまででも結構なのですが、私がオブザーバーという形で、もし、この会議を聞かせていただけることができれば、大変有り難いと思っております。以上です。

○大内座長 本日は、中川先生に参考人としておいでいただきました。パートナー企業ということで、がん対策推進を共に行っていく事業の活動状況について説明がありました。大変貴重なデータかと思います。

 中川参考人も言われたように、実はこのデータは、職域の検診と重なる部分が多くありますので、最後の先生の御意見については検討させていただきます。そもそもがん検診検討会は、健康局長の命で動いておりますので、事務局と相談させていただきます。では、御質問はありますでしょうか。これも皆さん、初めて御覧になるわけですが。

○井上構成員 大企業について、かなりの割合で押さえられているかと思いますが、2ページでお示しになられていますように、実際に全体で500万人の従業員数ということで、漏れている部分の大部分は、中小企業というよりも、かなり小さい規模の事業者が落ちているとありましたが、大企業に関しては、全体のどのぐらいの企業がここに加入されて、把握されているのでしょうか。

○中川参考人 大企業のうち、どのぐらい入っているかということですか。

○井上構成員 そうです。主に大企業というのは5,000人以上の企業でよろしいのですか。

○中川参考人 どこなのでしょう。定義が300以上というように、先ほどは受けていますけれども。

○井上構成員 実際にはそのぐらいあるうちの、半分ぐらいとか。

○中川参考人 それほど入っていないと思います。今、数字は出てきませんけれども、調べればすぐ分かりますので。持ち帰りまして、すぐ出るデータだと思います。私が知らないだけです。

○井上構成員 大体、全体の何を見ているのかということをイメージするために伺いました。

○中川参考人 必要だと思います。

 それと、申し上げたように、例えば、本日拝見させていただいた参考資料1ですが、これは白川構成員がおられる健保連から、各健保組合に依頼したものだと理解しておりますが、これは正に大企業中心、ほとんど大企業です。本来、中小、零細、協会けんぽのデータはやはり、私は必要だと思っていますので、是非。これは大変だと思いますが、協会けんぽの中で同じような調査ができる必要があるのだろうと思っています。

○大内座長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○斎藤構成員 詳細に御説明ありがとうございます。中川先生が言われたのも、分かるとおり、当初、2006年か2007年にがん対策推進本部ができて、いろいろな事業が打たれましたが、すべからくと言っていいくらい事業名には受診率が付いているのです。事程左様に、その受診率、受診率と言って、随分それを上げろ、上げると言ったのですが、そもそも受診率の位置付けは私のプレゼンテーションで示したように、海外で成功している例というのは、組織型検診のクオリティアシュアランスの仕組みがあって、その中で受診率が必然的に上がる方法を見い出して定義しているわけですね。それが日本で上がらない理由は受診率を単独で扱ってきているからだと。掛け声が随分かかっていたのだけれども、それは機能しないということだったと思います。

 その中で、本日の先生の御説明は、がん対策基本計画では、個別目標になっていますが、途中から個別目標になりましたけれども、科学的根拠に基づいた検診を精度管理をして、そして、100%の市町村で行うという、これに基づいて、当初は受診率、受診率と言っていたのが、大企業の一部を反映したものとはいえ、受診率だけでなくて、科学的根拠に基づかないのがどのぐらい行われているか。

 それから、最後から2枚目の折れ線グラフは、精度管理が行われていないという実情もあぶり出していて、正に、先生が先ほどコメントされた職域に関するガイドラインの中で必要になってくる項目だと思います。ただ、問題は、職域を系統的に全貌を把握することが必要なわけですが、先ほど来、御指摘があるように、やはり現状では根拠法が明確になっていなくて、またがっているということで、それは難しいわけですね。それをどうやっていくかというのが、この議論だと思います。多分、先生は御提案があると思いますが、どうしたらよろしいですか。

○中川参考人 これは私が申し上げる立場ではないのかもしれませんが、やはり根拠法をもう一度作らないと、結局、進まないのではないでしょうか。企業の中では、女性が働くと、若い社員の方に、がんが増えます。定年の延長というか、長く働くようになると、これは5560、更に65、もっと、ということになれば、当然、特に男性は55から一気に、がんが急激に増えるわけです。最近は、オプティボに象徴されるような、進行がんに対する医療費がものすごく上がっているわけです。それを考えると、やはり職域におけるがん対策というのは非常に重要であって、それをきちんと推進するために法律が必要というように思っております。

○大内座長 これは何度か議論になるのですが、健康増進法があって、あと、労働安全衛生法があって、その職域と市区町村の検診のそもそもの根拠法が違っています。しかしながら、本検討会では、前回から白川構成員に入っていただいて健保連のデータを、本日は、協会けんぽも拝見しましたし、職域について、同じレベル、同じ目線でやっていきましょうということでワーキンググループを策定されて、質の向上も図りましょうということで、今動きつつあります。

 本日は、たくさんの資料がありまして、説明に多くの時間を割いたものですから、大変不消化の部分がありまして、私、座長の不手際で申し訳ありません。時間を守りたいと思いますので、予定の時刻になってしまいました。特に御発言のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。では、一旦、事務局に戻します。

○がん対策推進官 ありがとうございました。次回の検討会の詳細については、また調整の上、御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。以上です。

○大内座長 それでは、第18回がん検診のあり方に関する検討会を終了いたします。


(了)

健康局がん・疾病対策課

代表 03−5253−1111(内線3826)

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