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2016年6月15日 第二回医療計画の見直し等に関する検討会

医政局

○日時

平成28年6月15日(水)12:30~14:30


○場所

主婦会館 プラザエフ スズラン(9階)
東京都千代田区六番町15番地


○議事

○坂上課長補佐 ただいまから、第2回「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 本日は、尾形構成員より20分ほどおくれるとの御連絡をいただいております。また、伊奈川構成員より1時間ほどおくれるとの御連絡をいただいております。

 それでは、初めに、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、本体資料としまして資料1から4までございます。その次に、参考資料1から2までをお配りしております。

 不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

 もし、報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行は遠藤座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。

 まず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。資料1から資料3までまとめて御説明いたします。

 資料1「二次医療圏の設定について」という資料をお手元に御用意ください。まず、資料1について御説明いたします。

 本日、二次医療圏につきまして、まず、二次医療圏の考え方と地域医療構想との関係。2つ目といたして、二次医療圏と5疾病・5事業との関係。3つ目といたして、医療・介護を見据えた圏域の考え方について。最後に、論点について御説明してまいります。

 3ページまでお進みください。まず、現行の第6次医療計画における医療圏の設定状況です。

 医療圏の考え方ですが、病床の整備を図るべき地域的単位として二次医療圏、特殊な医療を提供する地域的単位として三次医療圏をそれぞれ医療計画の中で各圏域を定めているところです。

 現行の状況として、二次医療圏は現在、全国で344医療圏がございます。その考え方としては、一般の入院に係る医療を提供することの単位として二次医療圏を定めております。その設定に当たりまして、社会的条件として、地理的条件、日常生活の需要の充足状況、交通事情等を加味して設定することといたしています。

 また、三次医療圏は、現在、全国で52の医療圏がございます。基本は都道府県を1つの単位としていますが、北海道のみ6つの医療圏を三次医療圏として設定しています。この場合の三次医療圏を考える際の特殊な医療としては、右下の(参考)にございますように、臓器移植や先天性胆道閉鎖症といった発生頻度が特に低い疾患等を特殊な医療と位置づけ、これらについては三次医療圏を1つの単位として提供するということを基本としています。

 4ページにお進みください。この医療圏に関して、前回の医療計画の作成指針において見直しの考え方をお示ししています。

 その際の見直しの考え方といたしては、人口20万人以下の医療圏において、流入率が低く流出率が高い医療圏につきましては、一体の区域として医療を提供する体制が整っていないと考えられる場合については、医療圏の見直しを求めたところです。

 前回の平成20年の患者調査におきましては、(参考)のグラフの中にあります左上のエリアに該当する医療圏が見直しの対象という考えに基づいています。

 その該当する医療圏といたして、前回の際には87の医療圏が該当しています。この該当した医療圏のうち、3つの県において見直しが行われて、現在344の医療圏となっています。

 5ページにお進みください。第6次医療計画の際に医療圏の見直しを行った2つの県を御紹介しています。

 まず栃木県になりますが、栃木県は県東・央という形で、宇都宮を含む医療圏を1つの一体的な医療圏としていました。しかしながら、この県東と宇都宮に関しては、実際の住民の生活圏域とか医療の提供体制を踏まえた場合に必ずしも一体的でないということで、県東を切り出す形で前回、医療圏の見直しを行っているところです。県東を切り出すことによって、県東における医療提供体制を充実するという方向で医療計画の策定を進めていると伺っています。

 6ページにお進みください。

 一方、徳島県におきましては、右上の人口を見ていただくとわかるかと思いますが、西部I、西部IIは人口が4万人程度、また、南部IIにつきましては人口が2万人程度という非常に小さい圏域を設定したところですが、医療資源を活用することを目指して、より広い圏域を設定するという形で前回、第6次の際に東部IとIIをくっつけて東部、南部IとII、西部IとII、それぞれをくっつけて1つの医療圏という形で広域的な医療提供体制の構築を目的に医療圏の見直しを行っています。

 7ページをお開きください。

 前回の際の20万人、いわゆるトリプル20の条件を現在の直近のデータ、平成26年の患者調査に当てはめた場合、現行においても78の医療圏が該当しています。この78の医療圏のうち、前回のデータにおいても該当していた。過去においても現在においても条件に当てはまる医療圏として、現在57がございます。

 幾つかの医療圏では、この20%の流出・流入の状況が前回と直近のデータにおいて差があるということで、常時この20%が流出・流入しているわけではないということで、そういった経年の変化も考慮しながら医療圏の設定の見直しが必要と考えております。

 8ページにお進みください。

 前回、医療圏の見直しを各県にお願いしたところですが、前回の見直しの際に、医療圏を検討したものの、結果として医療圏を見直さなかった理由として、各県から挙げられたものとして以下のものがございます。

 まず1つ目ですが、現行の医療機関等の配置により、医療提供体制が構築されている中で、圏域の枠組みのみを変えたとしても実効性がないのではないか。

 2つ目として、圏域を広域化することは一定の効果があるとしても、過疎地の患者さんの利便性につながらないのではないか。

 3つ目として、現行の圏域が他の行政圏域、特に災害時の救護体制等と整合性をとる必要があるため、現行のままとしたといった意見をいただいております。

 一方で、その後の変化として、地域医療構想の策定において、将来の需要や疾病構造の変化を踏まえて、医療提供体制の検討をするということを地域医療構想の検討の中でお願いしているところです。

 9ページをお開きください。地域医療構想におきましては、構想区域の設定をお願いしたところです。

 構想区域の考え方としては、地域における病床機能の分化及び連携を進めるために、二次医療圏を基本とする。その上で、人口構造の見通し、医療需要の動向、医療従事者及び医療提供移設の配置の状況等の見通しを考慮して一体の区域として認められる単位を構想区域というふうに位置づけています。

 また、構想区域の役割としては、将来の病床の必要量を設定する地域的な単位。また、構想区域ごとに調整会議を設定し、今後の地域医療構想の実現のための方策を協議する。その単位を構想区域と設定しています。

10ページにお進みください。現在、各県におきまして地域医療構想の策定を進めていただいているところですが、地域医療構想の策定に当たりまして、その構想区域を現行の二次医療圏から見直した例を挙げております。

 こちらは神奈川県の構想区域の現行の検討状況を挙げておりますが、神奈川県におきましては、横浜市内にありました3つの二次医療圏を1つの横浜という仮称の構想区域に設定することで現在、地域医療構想の検討を進めているところです。これ以外にも複数の県において、地域医療構想の見直しに当たって圏域の見直しを行っているところが幾つかございます。

11ページをお開きください。今後の、将来の人口構成等を加味した場合に、2025年における、いわゆるトリプル20の該当状況をお示ししたものが11ページになります。

 その際、今後の人口の減少等を踏まえまして、やはり20万人以下になる医療圏も複数あることから、それの条件に当てはまる医療圏が90医療圏、2025年時点で現行の状況をそのまま投影すると、90医療圏が該当することが見込まれています。

 続きまして、12ページから、絵で御説明しました二次医療圏と5疾病・5事業との関係について御説明してまいります。

13ページをお開きください。

 まず、二次医療圏のおさらいになりますが、医療計画において、一般及び療養病床の入院医療を提供する地域的な単位を二次医療圏と設定しております。ただ、5疾病・5事業、さらには在宅における医療提供体制というものにつきましては、二次医療圏を基礎としつつ、地域の実情に応じた圏域のあり方を検討することを医療計画の中でお願いしているところです。

14ページをお開きください。その5疾病・5事業に応じた圏域の例を幾つか御紹介したいと思います。

 まず、14ページですが、兵庫県の例を挙げています。

 兵庫県におきましては、脳卒中と急性心筋梗塞につきまして、図の中にあります丹波と阪神北を1つの医療圏として、それ以外は二次医療圏と一致しているのですけれども、一部の医療圏をくっつけた形で圏域の設定を行っています。この急性心筋梗塞、脳卒中以外にも、救急とか小児・周産期につきましても、複数の医療圏を分割または統合した形で圏域を設定した運用を行っています。

 その圏域の設定の考え方に当たりましては、医療機能の分布の実態や搬送時間等を考慮して兵庫県においては設定しているという説明をいただいているところでございます。

 次に、15ページをお開きください。

 また、北海道におきましては、がんの圏域の設定の考え方として、北海道全体には21の二次医療圏があるのですが、その中で複数の医療圏をくっつける形で、基本としては三次医療圏単位でがんの提供体制の構築を図っているところでございます。

 図でいきますと、左が二次医療圏になりまして、右が三次医療圏と合致していますが、がんの医療提供体制につきましては三次医療圏6つで提供体制の構築を進めているという状況でございます。

 このように、各県におきまして、疾病もしくは事業に応じまして圏域を柔軟に見直しているところでございます。このような形でそれぞれの疾病・事業ごとの圏域の見直しというものを今後進めていく必要があろうかと考えております。

 続きまして、16ページへお進みください。今、御説明いたしました医療圏の見直しを検討するに当たっての分析の例を御紹介していきたいと思います。今回は、脳卒中と急性心筋梗塞に関する各医療圏のカバー状況の一部分析を行ったもので御説明したいと思います。

17ページをお開きください。今回、どのような分析を行ったかというものを簡単に御説明いたします。

 今回の分析に当たりましては、各医療機関へのアクセスの状況とそのアクセスに至るまでの時間でどのぐらいの人口がカバーされているかということを分析しております。分析に用いましたのはDPCのデータを用いておりまして、地域全体の全ての状況をカバーしているわけではございませんが、恐らく急性期の疾患に関しては相当程度カバーできていると考えております。

 分析の方法になりますが、今回、脳梗塞と急性心筋梗塞を中心に、最寄りのDPC病院までの搬送時間が30分以内の人口カバー率を二次医療圏ごとに分析しています。そのカバー率をどのような分布になっているかというものを今後御説明していきたいと思います。

18ページをお開きください。

 こちらがそのイメージになりますが、長野県を例にとっておりますが、色の濃い部分、緑もしくは傍聴の方は黒い濃くなっている部分になりますが、医療機関を中心に、まず一番濃い部分が15分以内でカバーしている範囲になります。その周辺の少し薄い部分が30分以内のカバー範囲になっておりまして、その範囲にどのぐらいの人口の方が住んでいるかということで割合を算出しております。

19ページにお進みください。

19ページの資料の見方になります。これは脳卒中を例にとっておりまして、脳卒中の患者さんが30分以内で病院にたどり着ける人口の割合がそれぞれの医療圏において、どの程度カバーされているかというものをプロットしたものになります。

 例えば右上のグラフになりますと、人口50万人以上の医療圏だけを抽出しております。この人口50万人以上の医療圏におきましては、多くの医療圏においてカバー率が80%以上と、高い割合で30分以内で脳卒中の患者さんが病院にたどり着けるということが見てとれるかと思います。

 左下に行っていただきますと、こちらは人口20万人以上50万人未満の医療圏になりますが、80%を下回る、もしくは40%、60%というカバー率の低い医療圏が幾つか散見されるかと思います。

 さらに右に行っていただきますと、人口20万人以下の医療圏を抽出しておりますが、人口20万人以下の医療圏におきましては80%以下。さらには、そのカバー範囲。30分以内では医療機関にたどり着ける人口の方がほとんどいないという医療圏も幾つか存在するということが見てとれるかと思います。

 同じように、次の20ページにお進みください。20ページになりますと、こちらは心筋梗塞の資料になっております。

 心筋梗塞、前の脳卒中と多少比較しながら見ていただくとわかるかと思いますが、心筋梗塞の場合は50万人以上であっても80%を下回る医療圏が幾つかございます。その要因としては、やはり心筋梗塞を疑った場合には十分な治療ができる医療機関に搬送する必要があろうということで、この30分の時間内にたどり着ける人口のカバー率が少なくなってきているということが一つ要因として考えられるのではないかと思っております。

 同様に、人口20万人以上もしくは20万人以下におきましても、前のページの脳卒中と比べまして80%を下回る、カバー率が低い医療圏の数が、比較した場合に多くなっているということが見てとれるかと思います。

21ページにお進みください。今、御説明しました脳卒中と急性心筋梗塞を、横軸に心筋梗塞、縦軸に脳梗塞を位置づけましたものがこちらのグラフになっております。

 人口50万人以上につきましては、グラフを見ていただくとわかるかと思いますが、いずれにおいても80%以上のカバーをしている範囲が多いというところの医療圏が集中的に見てとれるかと思います。

 一方で、20万人以上もしくは20万人以下になってくると、そのカバー率が低くなっていること。また、グラフをよく見ていただくとわかるかと思いますが、右下のエリアに出てくる医療圏がないということが見てとれるかと思います。これは何を意味しているかといいますと、脳梗塞に関しては、ある程度カバー率がいいところであっても、心筋梗塞に関してはカバーできていないということが見てとれるかと思います。

 今後は、こういった疾患ごとのどのようなカバーができているかということを十分踏まえながら医療圏、特に5疾病ごとの医療圏というものは柔軟に検討した上で設定していく必要があろうと考えております。

 次の22ページと23ページにつきましては、今後の将来の流出入の分布がどのように変わるかということを推計しているところではございますが、ざっと見た感じ、2013年と2025年で分布が大きく変わる傾向はないかなというところが見てとれるかと思います。

 こういった現状及び、さらには将来的な受療動向というものを踏まえながら、今後の医療圏の設定をやっていく必要があろうと考えております。

 続きまして、25ページまでお進みください。25ページにおきましては、医療と介護連携を見据えた圏域の考え方を御提示させていただいております。

 総合確保方針におきましては「医療・介護サービスの一体的な整備を行う観点から、医療計画で定める二次医療圏と、介護保険事業支援計画で定める老人福祉圏域」を一致させるよう求められております。

 現行の老人福祉圏域に関しては、数としては二次医療圏と一致しているところでございますが、5つの圏で二次医療圏と老人福祉圏域が異なっているところでございます。老人福祉圏域の考え方としては、介護保険法に基づき、都道府県が定める介護保険事業支援計画で定める圏域となっておりまして、その圏域ごとで介護給付等の対象サービスの種類や量の見込みを定める地域的な単位となっております。基本的に二次医療圏のほうが広くて、一部にその中を分けた形で老人福祉圏域が定められているところでございます。

 今後、どのように整理していくかという観点から申しますと、医療・介護連携を推進するためには、二次医療圏と老人福祉圏域を単純に一致させるのみならず、都道府県と市町村の役割や連携のあり方という観点も十分踏まえる必要があろうかと思っておりまして、別途設置しますワーキンググループの中でそういった観点での検討を進めていければと考えております。

27ページにお進みください。これまで御説明いたしました二次医療圏のあり方に関する論点を整理しております。

 まず1つ目といたして、二次医療圏の考え方と地域医療構想との関係ですが、これまでと同様に、人口規模とか患者の受療動向を踏まえた上で二次医療圏の設定を行うことを基本としてはどうかと考えております。さらには、地域医療構想を踏まえまして、これからの人口構成の変化といったものを勘案しつつ、二次医療圏と構想区域を一致させることを基本としてはどうかと思っております。

 2つ目に、5疾病・5事業との関係ですが、特に緊急性の高い脳卒中や心筋梗塞といったものにつきましては、緊急時の搬送体制といったものを勘案しながら、二次医療圏で自己完結できる設定を基本とすることが必要と考えておりますが、その際に、先ほど御説明いたしました複数の二次医療圏等を広域的に設定することも検討の対象とする必要があろうと考えておりますし、緊急性が相対的に低いがんのような疾病の対応につきましても、そういった広域的な設定というものが必要ではないかと考えております。

 また、他計画等との整合性につきましては、介護との連携を推進する観点から、老人福祉圏域との整合性を踏まえた検討を行う必要があろうと考えております。

 続きまして、資料2をお開きください。資料2で、5疾病・5事業について御説明してまいります。

 まず2ページから、5疾病・5事業及び在宅医療の定められた経緯を簡単におさらいしたいと思います。

 3ページにつきましては、前回の第1回でも御説明しております医療法の改正の経緯をまとめた資料になります。

 4ページをお開きください。医療計画の中に疾病や事業を特に位置づけられたのは、第4次計画までの反省を踏まえまして、第5次から位置づけております。

 第4次計画の見直しの際には、従来の医療圏の設定というものは基準病床数の算定を基本としておりました。それ以外に、必要な医療機能を確保するための関係者間での調整を行うということを念頭に置いた医療計画になっておりましたが、課題といたして、具体的な目標となる数値がないこと、また、各県で実効性をもって計画の実現に向けた推進をさらに進めるために、住民等がその内容を客観的に評価できる事項が少ないといったことが課題になっておりました。

 それを受けまして、第5次の医療計画の見直しの検討において、住民の視点に立った評価方法が提案いただいたところです。その際に、主要な疾病に関して疾病の経過に基づいたシナリオを作成して、サービスの消費者・提供者の双方で情報を共有する新たな方法を考えてはどうかという御提案をいただきまして、特に対象疾病・対象事業を位置づけまして、記載事項をより具体化した医療計画というものの策定を進めてきたところでございます。

 5ページをお開きください。第5次医療計画の際に、その対象疾病・対象事業を明確化しております。

 まず、対象疾病につきましては「生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病」として、第5次の際にはがん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の4つを位置づけております。

 また、同じタイミングで5つの事業も位置づけておりまして、こちらにつきましては政策の観点から特に医療の確保に必要な事業ということで、救急医療、災害、僻地、周産期、小児といった5つの事業を位置づけております。

 これらにつきましては、一番最下段にありますが、疾病・事業ごとにつきまして「必要となる医療機能」「各医療機能を担う医療機関等の名称」「数値目標」、それぞれを医療計画上、位置づけることといたしました。

 6ページにお進みください。

 第6次医療計画におきましては、これらの事業の中で特に、さらに各県においても取り組みが進んでいた事業として、在宅医療。また、患者数の現状とか死亡数の現状、医療連携の必要性の観点から、疾病として追加が必要なものとして精神疾患を追加することによって、第6次からは5疾病と5事業プラス在宅という見直しを行っております。

 7ページをお開きください。7ページは、第6次の検討の際に精神疾患を追加した理由を整理したものになっております。

 まず患者数につきましては、平成20年の患者調査において約300万人と大変多かったこと。また、死亡数につきましても、精神疾患による死亡数は1.1万人ですが、自殺との関連性もあるということ。3つ目として、医療連携が病院を中心とした急性期の入院医療のみならず地域の病院や診療所、訪問看護ステーションなど、個々の機能に応じた連携推進が必要という観点から、前回の第6次におきまして精神疾患を追加しております。

 8ページから、これらの疾患につきまして、現状の疾病構造等を少しまとめております。

 9ページですが、今後、対象疾病を検討するに当たって、まず基本的な考え方を整理しております。

 現行の対象疾病の考え方ですが、法律上の文言であります、広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病を対象としてはどうかと考えておりまして、これまでの検討会とか研究班の報告を踏まえますと、具体的な考え方として、患者数が多く国民に広くかかわるもの、死亡者数が多く政策的に重点が置かれるもの、症状の経過に基づくきめ細やかな対応が必要なもの、医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なものを対象疾病としてはどうかと考えております。

 また、5事業に関しては、具体的な考え方になりますが、医療を取り巻く情勢から政策的に推進すべき医療、医療体制の構築が患者や住民を安心して医療を受けられるようになるもの。こういったものを対象事業としてはどうかと考えております。

 次に、10ページをお開きください。まず、対象疾病を考えるに当たりまして、現行の死亡率がどのようになっているかというものを整理しております。

 こちらのグラフは見られる機会も多いかと思いますが、現在、死因の第1位は悪性新生物(がん)が1位になっております。心疾患につきましては、1985年に2位となりまして、1994年、1995年に一度低下しておりますが、1997年以降は再び上昇傾向に変わっております。肺炎は近年、上昇傾向が続いており、2011年には脳血管疾患を抜いて第3位となっておりまして、脳血管疾患につきましては、1985年以降は減少傾向が続いております。

 次に、11ページをお開きください。11ページは総患者数の年次推移をお示ししております。

 総患者数につきましては、直近の報告におきまして、糖尿病の患者さんが約300万人と推計されております。次に多いのが精神疾患となっており、いわゆる5疾病に該当するものが順に上位から並んでいるところでございます。また、肺炎につきましては、この総患者数で見た場合は他の疾患と比べて少ないという状況が見てとれるかと思います。

12ページをお開きください。前回、相澤構成員のほうから御指摘のございました肺炎について、事務局のほうで現状を少し整理しているところでございます。

 肺炎につきましては、まず左上の図1をごらんいただきたいと思います。肺炎の患者さんの年齢構成につきましては、75歳以上の患者さんが約7割を占めております。

 次に、下に行っていただきまして、図2になりますが、入院肺炎症例におけます誤嚥性肺炎の割合ですが、年齢が高くなるにつれまして誤嚥性肺炎の割合が非常に高くなっており、高齢者の中では7割以上が誤嚥性肺炎が占めているところでございます。

 さらに、右に行っていただきますと、その誤嚥性肺炎の背景であります嚥下障害の原因疾患といたしては、一番多いのが脳梗塞、2番目が脳出血、3つ目がクモ膜下出血ということで、脳卒中等の後遺症によって、この誤嚥性肺炎が大きく発生と関係していることがわかっているところでございます。

 こういった肺炎の対策につきましては、脳卒中との関連が非常に重要かと考えております。

 続きまして、13ページ以降ですが、医療計画策定に当たって調和をとる他の計画等の例示を挙げております。

 こちらにつきましては、13ページにありますように、健康増進法におけます健康増進計画とか、医療費適正化計画、がん対策推進基本計画、介護保険事業支援計画や、都道府県で策定いただきます障害福祉計画。これらの関係計画との調和をとって進めることが必要と考えております。

 また、14ページをお開きいただきますと、5疾病・5事業、さらには在宅以外の疾病におきましても、都道府県において各県の状況を踏まえ、特に必要と認める医療等に関しては各県独自に定めていただいておりまして、その主なものを14ページに列挙しているところでございます。

 以上を踏まえまして、16ページをお開きください。「5疾病・5事業に関する論点」として事務局で整理したものが16ページになります。

 地域での医療提供体制の実情を考慮した上で、今後の高齢化の進展等に伴う疾病構造の変化に対応するため、医療計画に記載すべき疾病・事業について、次のような観点から検討してはどうか。

 1つ目、まず疾病についてですが、医療計画に記載すべき疾病は、広範かつ継続的な医療の提供が必要なこと等を理由に、他の健康増進計画等との調和をとりながら進める必要があろうと考えております。また、これを進めるに当たりまして、医療計画に記載すべき疾病のあり方については、疾病の構造を踏まえ、どのように考えていくのか、整理が必要と考えております。特に高齢化の進展に伴い今後さらに増加する疾病につきましては、特に他の計画との調和をとりながら、医療のみならず予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応するということを基本としてはどうかと考えております。

 一方、対象となる事業につきましては、これまで取り組んできております5事業を中心に重点的に取り組むこととしてはどうかと考えております。

 続きまして、資料3をお開きください。資料3では、PDCAサイクルを推進するための指標についてまとめております。

 3ページをお開きください。まず、3ページに指標に関するこれまでの経緯をまとめております。

 指標につきましては、第5次医療計画の際に対象疾病・対象事業を位置づける際にあわせて導入しております。第6次医療計画の見直しの際に疾患と事業を追加したことにあわせまして、指標も追加しております。特にその際には、都道府県間の指標のばらつきを改善するために、必須・推奨、それぞれ指標を位置づけまして指標を整理しているところでございます。

 以降、簡単にこれまでの経緯を御説明してまいりたいと思います。

 5ページをお開きください。

 最初に、指標を位置づけました第5次医療計画の作成指針の中においては、まず具体的に4疾病・5事業、それぞれについて医療機能を明らかにした上で、医療機関の名称とあわせて数値目標を記載するということを指針上位置づけたところでございます。

 ただ、その際には、指標の目的としては現状把握を主たる目的として、ストラクチャー、プロセス、アウトカム、それぞれについて、各県で指標を定めていただいたところでございます。ただ、後ほど御説明いたしますが、その目標の設定状況や評価にばらつきがあって、都道府県間、さらには医療圏間の比較が困難といった課題が前回の最初の第5次の医療計画に位置づけた際の課題として明らかになっております。

 6ページをお開きください。最初に、医療計画の中に数値目標の設定をお願いした際のばらつきの状況です。

 最初、導入した際には、見ていただくとわかるかと思いますが、一番多い県におきましては87の指標を設定していただいておりました。一方で、最初に導入した際には、一番少ない県におきましては3つということで、指標を具体的にこちらから御提案が十分でなかったということもあろうかと思いますが、当時はこのようにばらつきが大きかったということが見てとれるかと思います。

 それを踏まえまして、7ページに行きまして、見直しをしてはどうかということで前回取り組んだところでございます。

 その際に、まず全ての都道府県で入手可能な指標等を位置づけること。それをもとに、指標から現状を踏まえ課題を抽出し、数値目標を設定して、達成するための施策等を策定する。また、それらを評価する場を設け、定期的に見直す。さらには、それを住民等に公開することを前回の医療計画の検討会の中で取りまとめをいただいたところでございます。

 8ページに行きまして、検討会の取りまとめを受けまして、現行の第6次の作成指針の中でどのように記載があるか。

 現状を把握するために、全ての都道府県共通の指標を設定すること。それをもとに、医療体制の経年的な比較、あるいは医療機関間の比較や医療体制に関する指標間相互の関連性なども明らかにすることを目的としております。

 それに基づきまして、達成するための必要な施策というものも医療計画上、位置づけまして、それを評価可能で具体的な数値目標も定めた上で、必要な施策とあわせて記載することをお願いしております。

 9ページにお進みください。第6次医療計画の中で、今、申しました必須指標・推奨指標というものをそれぞれ設定しております。

 必須指標に関しては、全ての都道府県で入手可能な指標。推奨指標といたして、独自の調査、データの解析等が必要ですが、把握する必要性が高いと考えられる指標として複数の指標をそれぞれ医療計画の指針の中で定めて、各県のほうで検討をお願いしたところでございます。

 また、それらを用いた使い方というものも10ページ以降にお示ししております。

 第6次医療計画の指針の中で、具体的な手順といたして、そちらにありますように、まず従来どおり、現状の把握、圏域の設定、連携の検討をいただいた上で、4番目として、それらの指標を用いた課題の抽出。5番目として数値目標を定めるとともに、具体的な施策、さらには評価を行った上で、住民の方々へ公表するというのを第6次の中で手順としてお示ししております。

 それでは、11ページに進んでいただきますと、実際、それをPDCAサイクルの中と関連させるイメージ図を11ページにお示ししております。

 ステップの6番目の施策の中で「数値目標を達成するために必要な施策の立案及び実施」というところで、それを踏まえまして、7番目のプロセスとして評価を行うこと。それで、評価結果を踏まえまして、改善策を検討し、PDCAサイクルを回していくということを前回の医療計画の中でお示ししたところでございます。

13ページにお進みいただきますと、こういった考え方を各県に指針という形でお示ししたところで、まずは指標がどのように各県において活用されたかというものをまとめております。

13ページの見方でございますが、例えばがんの列を見ていただきますと、指針の中で必須指標を22御提案したところです。それで、各県の中でどのぐらい、それらの指標が採択されたかというものがその次の段になっておりまして、22のうち、平均をとると21.4ということで、多くの県において国からお示しした必須指標が採択されているところでございます。

 一方で推奨指標を見ますと、例えば精神疾患におきましては16の推奨指標を御提案しているところですが、実際の平均としては10.6と、少し乖離があるという状況が見てとれるかと思います。

 それ以外に、14ページをお開きいただきますと、国からお示しした推奨指標・必須指標以外に、県独自として指標を定めているものが幾つかございましたので、御紹介しております。

 こちらはがんに関係する指標ではございますが、例えば上から3つ目で「ニコチン依存症管理料算定件数(レセプト数)」とか、その下段に行きまして「在宅患者訪問薬剤管理指導の届出施設数」「認定看護師数(がん分野)」「地域連携クリティカルパスの運用件数」。こういったものを各県独自で定めているものもございました。

 こういった指標を幾つか定めた上で、実際にPDCAサイクルが回っているのかというところを例示として1つ挙げております。15ページをお開きください。

 高知県における、実際、指標を活用して施策とつなげた例として1例挙げておりまして、こちらにつきましては周産期医療におきまして、早産予防を目的として早産に係る指標を設定して、実際に事業展開を行ったというものを挙げております。

 まず、県の課題として、超低出生体重児(1,000g未満)の産まれるお子様の割合が全国の0.3%に対して、高知県では0.5%と高いことがわかりました。その際に指標として、三次周産期医療施設が2施設あったところでございますが、そこに対する他の医療機関からの紹介事例のうち、妊娠28週以降まで妊娠を継続できた割合というものを指標と位置づけ、これが改善するという目標を立てました。

 その際に、これらを短縮するためにどうするかということを目的に、子宮の頸管長、いわゆる妊娠されている方の子宮の長さの部分をエコーで計測するということが早産を予防することと関連があることが指摘されたところでございます。それのはかるということを施策の中に導入することを県のほうで推奨していったということで、実際のそれらの取り組みを進めることによって、28週以降の妊娠を継続できる方の割合がふえていったということが県の中で取り組みとして評価できたということです。

 この取り組みを進めることによって、最初の課題でありました低出生体重児の割合も全国平均に近づいていったということが高知県のほうから聞き取りでいただいている事例の御紹介になります。

 それを実際のPDCAサイクルのプロセスにはめたものが16ページの図になっております。

18ページにお進みください。このような指標を活用しながら、今、各県において取り組みが進められているところでございますが、まだまだ課題が幾つかあるところでございます。

 その中で、今、課題として挙げられているものが、指標の整理が必要ということが挙げられております。現在の指標につきましては、指標はあるのだけれども、それを実際、誰がどのようにするのかということの行動の主体を明確にしてはどうかという問題とか、指標の中で、全ての都道府県が採用していないような指標については、外すことによってスリム化してはどうかということも挙げられております。また、これ以外にも有効と考えられる指標があるかどうかも検討してはどうかという御指摘をいただいております。

19ページには、各県にヒアリング等を行った中で指標に関する意見を幾つかいただいているところで、指標が多過ぎる、もしくは地域の実情が十分に反映されているかどうか、アウトカムに関する指標を追加してほしいといった御意見とか、指標をシンプルに整理してほしい、アウトカムとのつながりを見えるようにしてほしいといった御意見もいただいております。

 実際、20ページをお開きいただきますと、各県にアンケートを行った際に、まず20ページは脳卒中ですが、国のほうから◎が必須指標、○が推奨指標になりますが、有用であるといった御意見もある一方で、使用していない、もしくは使用しづらいといった御意見もいただいておりまして、こういった御意見を踏まえながら、今後、指標の見直しを行っていければと考えております。

21ページは、同様に救急に関する指標を挙げております。

 続きまして、22ページになりますが、今後、指標を検討するに当たりまして、医療の質に関する指標も今、検討・研究が進んでいるところでございます。

 これらにつきましては、医療の質の評価・公表に係る研究のほうで進めているところで、事業のほうも行っているところでございますが、こういったものも今後、活用する際に参考としてはどうかと考えております。

 また、23ページをお開きいただきますと、各医療機関の指標ではあるのですが、地域という観点から見た場合に幾つか指標というものが考えられないかと考えております。

23ページの資料を御説明いたしますと、左上になりますが、病院ごとの脳卒中に対して地域連携パスを算定している割合が各病院ごとにわかっております。高いところでいきますと、80%程度の地域連携パスを活用している医療機関もあれば、全く活用していない医療機関もあるということが見てとれます。

 これらの医療機関におけます脳卒中の入院の期間との相関をとったものが右のグラフになっておりまして、脳卒中の地域連携パスの使用率を横軸にとって、縦に入院期間をとっております。パスの使用率が高いほど、入院期間が短いという一定の傾向が見てとれるかと思います。

 こういった各医療機関の指標ではあるのですけれども、地域全体の指標として、ある程度、関係性が見られるものについては今後、検討の材料としてはどうかと考えております。

 以上、まとめまして、25ページをお開きください。

 今後、医療計画の実効性を高めるため、PDCAサイクルをより推進する指標として、次のような観点から検討してはどうかということを整理しております。

 まず1つ目ですが、都道府県が医療計画を策定するに当たりまして、収集しやすいこと、さらにはそれらの指標に基づいて活用がしやすいかどうかという観点が重要と考えております。

 2つ目ですが、現状を評価できる指標となっているかどうか。さらには、それらの指標が施策とちゃんと連動しているか。連動する指標となっているかということについても重要な視点かと思っております。

 3つ目といたして、医療機関の指標という観点のみならず、地域全体でどのような評価ができるかという視点も踏まえた指標の検討をしてはどうかと考えておりまして、今後、指標を整理する際には、これらの視点を踏まえた検討を行っていきたいと考えております。

 長くなりましたが、以上であります。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、議題が3つに分かれておりますので、一つ一つ御議論していただければと思います。

 まず、1番の「二次医療圏のあり方について」、資料で言えば資料1でございますけれども、これについて何か御意見・御質問はございますでしょうか。

 それでは、鈴木構成員、お願いします。

鈴木構成員 次期の医療計画と今までの計画との大きな違いは、その間に地域包括ケアシステムの構築が進むことだと思います。地域包括ケアシステムの構築が進みますと、在宅や施設の高齢者の、少なくとも軽度から中等度までの救急は日常生活圏域にある中小病院や有床診療所で対応していくことが可能になっていきます。

 それに伴って、二次医療圏は従来よりも高いレベルの医療ニーズに応える必要があるのではないかと思います。地域の最後のとりでとなるような高度急性期と急性期に特化した大病院が立地できる人口規模が必要となりますので、二次医療圏として人口が少ないところ、あるいは医療資源が乏しいところは二次医療圏を統合していく必要があると思います。

 二次医療圏は人口が2万人台から200万人台まで、横浜を入れると370万人というところもあるわけですけれども、人口規模が少ない二次医療圏は恐らく日常生活圏域にほとんど近い状態なのではないかと思います。地方では大体、日常生活圏域は市町村になっておりますので、そのように思います。

 がんについても、本来は二次医療圏で完結することが望ましいと思いますが、患者さんがより広範囲に移動されますので、人口が少なかったり、医療資源が乏しい二次医療圏はより広域的な圏域の設定が必要になると思います。

 質問があります。10ページの神奈川の地域医療構想区域ですけれども、先ほども言いましたが、ここでは横浜が3つの二次医療圏を1つに広域化したということですが、横浜は全体の人口が370万人ですから、一つ一つの二次医療圏を見ても人口は100万人以上あったわけです。今回の見返し話は、トリプル20という言葉もありましたが、人口の少ない二次医療圏を少し大きくしていこうという話だと理解されますけれども、逆に大きな、二次医療圏に上限はないと考えていいのかどうか。それをお聞かせいただきたいと思います。

 もう一つは、1921ページに、30分以内の人口カバー率の圏がありますが、これを見ますと、今までは20万が一つの区切りの数字になっていましたけれども、さらに50万人以上ということで、50万人という数字がもう一つ出てきました。図を見ますと、脳卒中は50万人あれば何とかカバーできますが、それでも心筋梗塞はカバーできない場合もあるわけですけれども、例えば脳卒中、心筋梗塞にしても、少なくとも、80%以上をカバーするためには50万人が必要になると考えているのか、即ち50万人という数字がもう一つの目安になっていくのかどうかということです。

 その2点について、事務局の見解を聞かせていただきたいと思います。

 以上です。

遠藤座長 ありがとうございます。

 では、事務局、コメントをお願いします。

○木下課長補佐 まず、1点目の上限に関しては、住民の方が密集して生活されているエリアに関しては、恐らく大規模な医療圏の設定ということもあろうかと考えておりますので、特に上限という考えは現在持ち合わせていないところです。

 また、今回御提示いたしました19ページ以降の分析の際の50万人に関しては、あくまで分析の際の一つの目安として用いた数字でございまして、従来のトリプル20のときの20万人との考え方とは全く別で、あくまで分析の一つの目安として50万人で今回切らせていただいたところで、今後、50万人を基準に何か議論するということまでのことを念頭に、この数字を御提示しているところではございません。

遠藤座長 鈴木構成員、よろしいですか。

鈴木構成員 わかりました。ありがとうございました。

遠藤座長 ほかにございますか。

 西澤構成員、どうぞ。

西澤構成員 質問ですが、例えば脳梗塞の30分以内の人口カバー率とあるのですが、例えば今回、この区域の中において、かかる医療機関は、この区域の中でかかった数だけなのか。例えば、その区域からほかの医療圏へ行ってきちんと対応できたものも含めたデータなのか、教えていただければと思います。

遠藤座長 事務局、お願いします。

○木下課長補佐 カバーに当たりましては医療機関を中心にしておりますので、県域を超えているケースもあるかと思います。そこまで子細な分析はできておりません。

○遠藤座長 西澤構成員、どうぞ。

○西澤構成員 わかりました。

 基本的には人口で見るのはいいのですが、人口だけで見ると誤る。やはり広さ、アクセスの問題があると思います。例えば20万人であっても、非常に狭い地域であったらカバー率は高いはずですし、50万人であっても、非常に北海道の僻地みたいに広いところであれば、無理やり50万人にしてすごく広域にしてしまっても、これはカバー率が低くなると思います。ですから、特にこれは医療圏ごとに特徴があると思いますので、ぜひそういうことをきちんと加味しながらやっていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにどうぞ。

 それでは、安部構成員、お願いします。

○安部構成員 資料の中で、30分以内の人口カバー率、脳卒中、心筋梗塞の資料を出していただきました。私は東京23区に住んでおりまして、自分の義理の母親と住んでおりますので、年が年ですから、いつこういうところに運ばれるかわからないという状況であります。一方、10万人以下の地方都市に私の実の母親が住んでおり、この50万人以上と20万人以下のところに私の母親が住んでいるという状況にあります。その実感として、東京23区と地方都市と全く同じ医療の提供というものは無理なことは理解できるわけでありますので、そういった意味では5疾病・5事業に応じた圏域の設定というものは、私は合理的なのではないかなと理解しております。

 一方で、今、2人の母親の話をしましたのは、2人とも恐らく、自分がどんな医療圏に住んでいるか、どんな医療を受けられるかということの認識が基本的にないと思っております。特に、平成26年に医療法の中に、国民が良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう云々ということで、医療に関する選択肢を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならないということが明記されました。

 また、薬機法にも、医薬品を適正に使用するために、きちんと有効性・安全性に関する知識と理解を深めるよう努力しなければいけないと規定されています。つまり、国民が医療という資源をうまく使うために努力しなければいけない、理解しなければいけないものがたくさんあると規定したものであると思います。

 したがいまして、医療計画を適正につくるという観点では、きょうお示しいただいた資料の方向に沿って議論をすればよろしいかと思うのですが、一方でそういった、せっかくつくった医療圏とか提供体制というものについては、いかにそこに住んでいる方が、自分がどんな医療圏に住んでいて、どんなサービスを受けられるのかということについても、直接ここでの議論ではないかもしれませんが、やはり非常に重要な観点かと思いますので、意見として申し上げました。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、尾形構成員、お願いいたします。

○尾形構成員 二次医療圏の見直しについてなのですが、4ページを拝見しますと、前回の基準で87医療圏が見直しの基準に該当した。それで、7ページのほうに行きますと、今回同じような基準で当てはめると78が該当し、しかし、前回も該当した、連続して該当しているところは57という数字が挙がっております。

 私、冒頭おくれたので、あるいは御説明があったのかもしれませんけれども、かなり前回と今回で該当する医療圏が変動しているように見えるのですが、この変動の要因については何か分析されているのでしょうか。

○遠藤座長 事務局、お願いいたします。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 個々の医療圏を突合したわけではございませんが、やはり一番大きな要因としては、患者さんの流出入の20%近辺にある医療圏が、前回のときにはその20%という要件に該当した、いわゆる二十.数%だと思うのですけれども、そのような条件に該当したところが、その3年後もしくは6年後の調査において一つの基準に該当しなくなったということが幾つかの医療圏では考えられるかと思います。

 もう一つは、やはり人口の変化ということの要因が多少あろうかと思っております。

○遠藤座長 尾形構成員、どうぞ。

○尾形構成員 そういうことを踏まえると、また同じ基準でいいのかどうかという議論があると思います。それから、これだけ該当したといっても、医療圏を本当に変えたところは非常に少ないという話もあるので、例えば基準が同じだとしても、その中でよりプライオリティーの高いところを決めるといった考え方もあるのではないかと思います。これは意見です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、お待たせしました。鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 論点が3つあるので、2つ目と3つ目についてもう少し意見を述べさせていただきます。

 今後、高齢化に伴って地域に密着した医療のニーズが増加していきますので、日常生活圏域における地域包括ケアシステムは充実していかなければならないと思いますけれども、高度急性期医療のニーズは若年層や人口の減少に伴って低下していきますから、そうした減少ものに対応していくことも必要であり、そうしないと高度急性期の大病院で高齢者に対していつまでも若い人と同じような治療をするということにもなりかねません。そういう意味で二次医療圏の見直し、具体的には統合が必要になると思います。

 他の計画との整合性ということですけれども、今後、高齢者医療と介護は一体化していくわけですが、それは日常生活圏域の地域包括ケアシステムで対応していくことになっていくと思います。その際に、老人福祉圏域を、目的にもよるのですけれども、二次医療圏に合わせることは差し支えないと思うのですが、質問ですけれども、二次医療圏は自己完結するという目的があるわけですが、そもそも介護は日常生活圏域で完結しているわけです。それに対して、老人福祉圏域を設定する意味は何なのか。市区町村単位で介護が完結しているのならば、二次医療圏に合わせて大きくしても小さくしても自由な気もするのですけれども、その目的は何なのかについて教えていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 事務局、どうですか。

○木下課長補佐 老人福祉圏域に関しては、25ページにお示ししておりますように、介護保険法の中において県が定めます計画の中でまず定めているところです。その目的といたしては、文字をなぞるようで恐縮なのですけれども、介護給付の対象サービスの種類ごとの量を定めることを念頭に置いている単位がこの老人福祉圏域というふうに考えております。

○遠藤座長 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 そうしますと、二次医療圏のような目的はないのですね。介護保険事業支援計画を立てるためならば、二次医療圏に合わせて大きくしたり小さくしても構わないという位置づけでよいのでしょうか。

 要するに、老人福祉圏域があるので二次医療圏は変えられないという本末転倒したような議論もあるのですけれども、そういうことではないと私は思っておりますが、いかがでしょうか。

○遠藤座長 それでは、かつて老健局におられた計画課長、どうぞ。

○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。

 老人福祉圏域の話、今回、医療計画、それから、主に念頭に置いているのが介護保険事業支援計画あるいは介護保険事業計画の整合の意味で事務局は引用をしています。もちろん、これは御案内だと思いますが、根っこは特養の整備を初めとします老人福祉8法関係の見直しの中で出てきた概念です。ですから、基本的には施設整備の意味合いを持っておりますので、そういう意味での性格は医療計画の圏域と大きくは似ています。

 しかし、先ほど鈴木構成員がおっしゃったとおり、そもそも医療の施設の整備の考え方と、それから、福祉・介護の施設の整備の考え方、特に医療は連携して圏域を接する前提として、患者さんのやりとりとか機能をお互い連携して広げていこうということですので、そういう意味での大きな考え方は違います。ただ、根っこの行政としての圏域の考え方は基本的には、今、お話をしたようなとおりでございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 おっしゃりたいことは大体わかるのですけれども、ということは、二次医療圏に合わせればいいのであって、老人福祉圏域に二次医療圏を合わせなければならないということはないということですね。どうですか。

○遠藤座長 局長、どうぞ。

○神田医政局長 私自身は、老人福祉8法改正を昔、平成元年だったと思いますけれども、直接担当していましたが、老人福祉圏域ができたのはそもそも、昔の特別養護老人ホームに措置する措置権限というものは、県の福祉事務所にあったものを市町村におろしたのです。そうしますと、市町村が特別養護老人ホームに入れるという判断をするようになったのですけれども、特別養護老人ホームの整備というものは一市町村だけで完結するわけではなくて、もう少し幅広いニーズを見る必要がある。要は、市町村に1つずつ特別養護老人ホームをつくるということではなくて、もう少し広域的に特別養護老人ホームの入所需要は見なければならないということで、措置権を市町村に移譲するかわりに、県がそれを広域的に見て、特別養護老人ホームの入所需要をきちんと見るべきであるという、その入所需要を見る圏域が老人福祉圏域ということで設定されたと理解しています。

 そういう意味で言いますと、入院需要を見ている二次医療圏というものと、何がしかの入所需要を見ている老人福祉圏域というものはやはり整合性が、入院・入所という需要を見る意味では一定の整合性があったほうがいいのではないかという考え方ではないかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 5県で地域は一致しないとは言え、実際には数は一致しています。やはりそういう方向に動くのだろうと思うのですが、逆に言えば、二次医療圏の見直しに合わせて老人福祉圏域も見直してもいいということにはなりませんか。

○遠藤座長 医政局長、どうぞ。

○神田医政局長 老人福祉圏域というものは、先ほど申し上げました経緯からしますと、行政区域ベースのものが非常に多いのではないかと思うのです。

 要は、個々の市町村が特別養護老人ホームの入所権限を持つようになったのですけれども、それを束ねて広域的に特別養護老人ホームの施設はどれぐらいつくったらいいかというものを考えるということで言いますと、恐らく、行政区域というものをかなり尊重したものが老人福祉圏域になっている。それに対して医療圏というものは、非常に申し上げにくいこともありますが、基準病床数という病床規制が絡んでいますので、一番最初に入れるときも、それ以上、全くベッドができないということにならないような観点も含めて、いろいろな要素を勘案して医療圏が設定されていると思うので、必ずしも完全に一致はしていませんし、医療圏に必ず合わせるべきだということでもないのかなと。

 それはただ、2つの圏域が1つの圏域とか、そういう整合性はできるだけとったほうがいいと思うのですけれども、必ず医療圏に合わせろということでもないのではないかと思うのですが、むしろ田中先生とかのほうが詳しいかと思われるので、この場で皆さんに御意見をいただけたらとは思います。

○遠藤座長 鈴木構成員、どうですか。

○鈴木構成員 お話はわかるのですけれども、大体ほとんどが一致しているわけです。ですから、事実上は合わせているのであって、それで別に差し支えないということなので、要するに老人福祉圏域があるから二次医療圏は変えられないということにはならないと思うのですが、そう言えるということでよろしいということですね。

 わかりました。

○遠藤座長 よろしいですか。関連でございますか。

では、相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 まず、いろいろ質問が、5つぐらいあるのです。

 1つは3ページのところで、二次医療圏の考え方というものは一般の入院にかかわる医療を提供することが相当である区域というぐあいに決められて、私も住民の方々にそう説明するのですが、住民の方々からはいつも、一般医療とは何ですかという質問をされて、はたと詰まってしまいます。これは今、本当に一般的に、地域に密着した医療ということになりますと、鈴木先生が言っているような、中学校区域、あるいはちょっと広げれば高校でもいいのでしょうけれども、そういう区域の狭い範囲の中での一般的な医療、地域密着医療という概念が非常に強いのです。

 逆に、三次医療は特殊な医療。特殊な医療というものは何なのかといったときに、特殊な医療は時代によってどんどん変わってくると私は思うのです。最初のころは特殊な医療であったものがどんどん広がっていって、一般、普通になってくる。この言い回しは、私がいろいろな人に説明するのにすごく困るので何とかしていただきたいなというぐあいに思っていますし、もう少し、医療が変わってきているのであれば変わってきたような説明の仕方をしていただきたい。

 例えば(参考)のところに、三次医療圏で提供する特殊な医療とありますけれども、高圧酸素療法等というものはそんなに、三次医療圏ではなくてもっと狭いところでやっていると思いますし、指肢切断等では恐らくもうちょっと狭い範囲内で私はやっているのではないかなと思うので、やはりこの辺の整理をしておかないと非常に大きな問題が起こるのではないかなと思います。

 それから、流出・流入の考え方ですが、これは全ての患者さんの流出・流入ですね。長野県で調べてみますと、療養型と一般病床の患者さんの医療は全く流れが違います。療養型の患者さんがたくさん流入してくるところもあれば、いわゆる一般病床の、一般病床を急性期と言っていいのかどうかは知りませんが、そういう患者さんがたくさん流入してくるところがあります。これを、ちょっと変な言葉で申しわけありませんが、くそとみそを一緒に議論すると多分、医療圏というものが見えなくなるのではないかなという気がいたしますので、そこはある程度、区分して見ていく必要があるのではないかなと思っております。

13ページのところに、ここで医療計画制度においては、一般及び療養病床での入院医療を提供する地域的な単位として、これまで二次医療圏を設定してきたということですね。それが恐らく一体的に医療を提供するということですから、恐らくこれは入院医療をどうするかという圏域と考えていいのかどうかということを少しお伺いしていきたいと思います。

 といいますのは、私たち長野県で分析していますと、救急医療の流れと、入院医療の流れと、もう一つは外来医療の流れというものは全然違うのです。これをどう考えておられるのかということを含めて、やはりこの圏域をどう考えていくのは非常に大事だと思います。

 その上で18ページを見ていただきたいのですが「ツールから取得できるデータの例」です。これは私のいる長野県が出ているのですが、ここで分析するのに、なぜ30分以内にしたのかが私には到底理解ができないのです。長野県では、地域では1時間来るのは当たり前です。これは見ていて、黄色のところから来る人は、高速道路で来れば、この青いところまで恐らく30分かからずに来ます。とすると、これは一体、何をもって30分としたのか。30分を根拠として、こういうぐあいに分析するのだったら、なぜ30分なのかという根拠がないと、そうすると我々は60分でもいいではないかという話になるので、もし分析をするのですと、その辺のことを明確にしていただきたいなと思います。

 その上で、21ページについて申し上げたいと思います。これは脳卒中と心筋梗塞を挙げられたのは、恐らく脳卒中と心筋梗塞が5疾病に入っている影響であると思いますが、実は脳卒中と急性心筋梗塞は全く患者さんの流れが違います。

 脳卒中は急性期が終わると、ほとんどではありませんが、そのまま帰ってしまう人もいますが、回復期リハビリテーション病棟に移る方が大勢います。その後、どうしても戻れない方は療養病床に行く流れになっています。急性心筋梗塞は大体、回復期リハなどというものはありませんので、帰るか、相当ぐあいが悪いと療養病床のほうに行くような流れになっていて、全く違う患者の流れを示しているものをこのようにグラフにしてつくるのはそれなりの意味があるのかもしれませんが、そういう全く患者さんの流れが違うのだということを理解しながらやっていかないと、またとんでもない読み違えをすることがあると思います。

 最後にもう一つ、多分、厚生労働省の方々は言いにくいと思うので私がかわりに言いますけれども、都道府県が二次医療圏を壊せない理由はもう一つあります。先ほど局長が言っていましたような行政区域の問題です。

 二次医療圏は設定しましたが、二次医療圏にある市町村が広域の連合を組んでいますと、そこの壁を崩すのはなかなか難しいです。県が崩すのはかなり難しいです。そうしますと、県はそこに配慮すると、3万でもしようがない、二次医療圏にしようか、5万でもしようがないという流れになってくるわけで、それをやはり打破するようなデータというものをしっかり県民に示す、あるいは国民に示すことが私は大事ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいということを要望として最後に申し上げたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 どれも非常に重要な御指摘だったと思いますが、これは御意見ということで、特段必要ありませんね。

○相澤構成員 はい。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかに。

 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 今の相澤先生の意見の補足もあるのですけれども、この21ページの分析の中で、脳卒中と心筋梗塞をかけていただいて、全く状況が違うという図を出してもらって、これはなかなかおもしろい分析であると思うのですが、これは脳卒中で切りますとこんなふうに分かれると思うのですけれども、これを例えば脳出血、クモ膜下出血で切ったら心筋梗塞と同じような形になると思うのです。

 それは、脳卒中という目で見たら、神経内科系は全部診ていますので、非常に広域の場所で診てもらっていますけれども、脳出血、それもクモ膜下出血になりますと、脳外科のあるところということになりますので、脳外科の分布と心筋梗塞の分布も違いますので違った図にはなるのですが、同じ脳卒中群の中でも脳疾患群の中でも状況が違うものがあります。

 ですので、その中で特に慢性と急性という話の区分けが一番関係してくると思います。この脳卒中で言いますと慢性の部分がやはり強くて、奈良県の場合で見たときに、大阪と奈良県の関係を見ますと、大阪は急性でいて、がんを含めて移行している方が多いのですけれども、今度は、奈良のほうには慢性期で来られている方がいる。そうしますと、感覚的には大分、大阪に依存しているのかと思っていたら、慢性期をかなり引き受けているので、数の上で足し合わせるとプラスマイナスゼロという状況が起こってきて、なかなか表面では見えない。

 ただ、地域医療構想をつくった際に、病床機能別に分けてそれを議論したので、それぞれ分けて考えることができて、構想をつくる段階ではその2つを区分けすることができた。ですから、その流入・流出も、せっかく構想であれだけ細かく見たわけですので、特に急性期の流れと慢性期の流れが違うということを考えれば、構想での考え方をぜひ、この医療区域の考え方に取り入れてもらって、共存させるような形でやっていただくのが一番きれいかなと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。せっかく新しいことをやっていてデータ分析をしているわけですので、それを活用したらどうかという御意見ですね。

 野原構成員、どうぞ。

○野原構成員 1点質問と、1点意見を述べさせていただきたいと思います。

 広域的な圏域の設定につきましては、もう既に5疾病・5事業については通知上、柔軟な設定が認められておりまして、岩手県でも周産期圏域などは広域で設定しておりますし、本日、各県の状況についても御説明があったところでございます。

 また、一方で二次医療圏が、一般及び療養病床に係る入院医療全般を一体の区域として整備する圏域という形で医療法上、整理されていると理解してございますが、疾病等の属性により広域圏を設定する。いわば二.五次医療圏といったような考え方かと思いますが、そういった考え方を盛り込むことについて、法とか施行令改正をも想定した検討を今後進めていくのかどうかということをお聞きしたいと思います。

 また、地域保健法上、都道府県は二次医療圏を参酌して保健所の所管区域を設定することとされておりまして、多くの都道府県では行政区域としての保健所圏域と一致させているのではないかと理解しております。二次医療圏設定については、老人福祉圏域のほかにも、例えば食品衛生や感染症対策といった公衆衛生行政圏域との整合の視点も求められるのではないかと考えております。

 以上です。

○遠藤座長 最初に御質問がございましたね。

○野原構成員 はい。

○遠藤座長 では、事務局、コメントをお願いしたいと思います。

○木下課長補佐 現状においても、5疾病・5事業ごとの圏域の設定ということは可能となっておりますので、改めて今回、法改正等々が必要になるという認識は持ち合わせておりません。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、加納構成員、お願いいたします。

○加納構成員 5事業に関する、救急医療に関しての概念なのですが、救急医療に関しては、我々、現場といたしましては一次、二次、三次という救急体制で医療機関が担っており、また診療報酬等でもそういう形で評価されているわけであります。今後はやはりいろいろな形があるかと思いますが、今ではちょっとした急患に対する治療と救急医療とがごっちゃになっているようなところもありますし、在宅で対応できるものと、いわゆる二次救急等で診なければいけない医療とかがあります。そういったことをしっかりと認識していかず、何かごっちゃになって評価されると、今、頑張っている二次救急、さらにこれから、恐らく地域包括ケアシステムで今後何かあったときにしっかり支える二次救急の評価、というものがぼやっとしてしまう可能性があります。

 従って、三次救急というものはあくまでも二次救急が受け入れない高次の医療を担う救急機関だと考えておりますので、主に先ほどから出ています脳卒中、心筋梗塞等は今、二次救急でやっておりますので、それらに対する評価、また、見方をしっかりと間違えないよう、5事業の中の医療において認識していただきたいかなと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 大体、よろしゅうございますか。

 それでは、2番目の議題でございますけれども、5疾病・5事業についてということで、資料2に当たりますが、いかがでございましょうか。

 それでは、佐藤構成員、どうぞ。

○佐藤構成員 医療計画に記載すべき疾病についてですが、歯科においては特にがんにおける終末期の問題とか、糖尿病における6番目の合併症などの対応によってそれなりの成果を上げてきているという認識を持っています。今回お示しがございます、高齢化の進展に伴い、今後さらに増加する疾病についてという点も、医療機能の分化と連携という視点、それから、地域包括ケアという視点でお進めいただければと思っております。

 それから、5事業についてですが、現在の5事業とすることには賛成いたします。ただ、災害医療について、前回の第6次のときの中長期の視点を新たに加えたという点が今回の熊本等で十分それが発揮されたのかという検証も必要なのかと思います。特に避難所運営も含めてですが、もしこれが例えば地域の防災計画に生かされていたらという視点もあるのではないかなと思っています。

 また、直下型だったということもありまして、DMAT、それから、JMATもすばらしい活躍をしていただいたと感じておりますが、一方でJMATがあれほどの活躍をしながら、2015年の段階でしょうか、正確な数字はあれですが、都道府県で設置されている割合が45%という現状であったと思っています。これらの数値についても、5事業の中で取り上げてはいかがかと考えています。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見はございますか。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 今後、高齢化が進みますと、肺炎と大腿骨頸部骨折と脳卒中が多くなると言われておりますけれども、それらは少なくとも軽症から中等症に関しては、日常生活圏域における地域包括ケアシステムを構築する中小病院や有床診療所でできるだけ対応できるようにする必要があると思います。そのためには、現行制度である在宅療養支援病院と在宅療養支援診療所の充実や、在宅や施設の高齢者の軽症から中等症の急性期に対応できる地域密着型の急性期病院も整備する必要があると思います。

 5疾病・5事業につきましては、引き続き現行のものを充実させていくことでいいと思います。いろいろな疾患が候補としてはあると思いますけれども、それぞれもとになる原因や疾患があるものも多く、現行のものを充実させていけばいいと思います。基本的には5疾病・5事業も二次医療圏で完結するのが望ましいと思いますが、特に救急医療だけでなく、周産期医療と小児救急も含む小児医療は二次医療圏で完結するようにすべきであると思います。

 地方ではなかなかそうした対応が進まず、そういう医療が整備されていない二次医療圏では少子化・人口減少が著しく進んでいますので、むしろ、ある程度、医療圏を統合して、そうした医療がきちんと二次医療圏内で完結できるようにしていく必要があるのではないかと思っております。

 以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、安部構成員、尾形構成員の順でお願いします。

○安部構成員 資料の13ページ、14ページを中心に意見を述べたいと思っております。

14ページには「医療計画に記載するその他医療提供体制の確保に関し必要な事項」ということで「(7)医薬品等の適正使用対策」が前回の平成24年のところできちんと明記していただいております。5疾病・5事業はもとより、医薬品の適正使用を確保することは医療の質と費用対効果等を確保するために必須のものであり、その重要性は変わらないことでございますので、今回の医療計画を検討する際にも、医薬品等の適正使用対策はきちんと重視していただきたいことが要望の一つであります。

 その上で、13ページのところには「医療計画作成にあたって調和をとる他計画等」ということがございます。今年、薬局に対するさまざまな動きがございました。厚生労働省が患者のための薬局ビジョンを策定し、また、薬機法の中でも健康サポート薬局を規定し、地域医療の中で地域包括ケアを見据えつつ、かかりつけ機能を活用した一元管理、医療多職種の連携、24時間相談応需体制の確保、その他さまざまな薬局の機能が規定されています。そういった意味で、今回の「医療計画作成にあたって調和をとる他計画等」という中に、健康サポート薬局に示された観点を十分に踏まえて、施策の例としてぜひ御検討いただき、入れていただきたいと思っております。これは要望でございます。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、尾形構成員、お願いします。

○尾形構成員 資料の6ページを見ますと、前回の見直しで2つの大きな見直しがあった。1つは精神疾患を加えて5疾病・5事業にしたということと、もう一つは在宅医療を5疾病・5事業並みに引き上げて重点的に記述する。こういうことになったと理解しております。

 それを確認した上で、16ページの論点というところを見ますと、そもそも全体が5疾病・5事業のことだけを書いているので、やはり在宅がここで落ちていると思います。在宅については、また別途議論されるのかもしれませんが、やはり2025年、あるいは地域医療構想といったことを踏まえますと、在宅医療は非常に重要であると思いますし、それから、現在の医療計画で必ずしも十分に記述されているようにも思えないので、ぜひ在宅という論点を加えていただきたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 事務局、これについて、在宅について何かコメントはありますか。

○木下課長補佐 

 在宅につきましては、ワーキンググループで深めていきたいテーマの一つと考えておりますので、御指摘を踏まえまして、そちらで十分に議論していきたいと思っています。

遠藤座長 よろしくお願いします。

 ほかにございますか。

 西澤構成員、どうぞ。

○西澤構成員 質問ですが、今の16ページのところの「1.医療計画に記載すべき疾病について」は、これは見出しでは5疾病と書いているのですが、5疾病だけのことを言っているのか、そうではないのか。特にそれによって、例えば1.の3番目のポツで、予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応するというあたりの関係をもうちょっと具体的に、あわせて説明いただければと思います。

○遠藤座長 事務局、質問の御趣旨はよろしいですか。

 では、コメントをお願いします。

○木下課長補佐 ここで「医療計画に記載すべき」というのは、今の5疾病をどのようにするかという観点で論点整理をさせていただいております。

○遠藤座長 田中構成員、どうぞ。

○田中構成員 今、西澤先生が御指摘になった疾病ですが、3つ目のポツの疾病は5疾病だけではないですね。

○木下課長補佐 失礼いたしました。3つ目のポツに含めています疾病というのは、5疾病以外のことをどのようにやっていくかということに関しては、予防も含めた地域包括ケアシステムの中でやっていくという観点も必要ではないかと考えております。

○田中構成員 ついでにですが、この3つ目のポツの文章の日本語の意味なのですけれども「地域包括ケアシステムの中で対応する」とは、二次医療圏とは別なところでとか、あるいは医療計画とは別なところでという意味ですか。それとも、医療計画の中の二次医療圏とは違う圏域設定の中なのか、これの日本語としての意味がよくわからないので、説明してください。

 「地域包括ケアシステムの中で」とは、今までとは違うシステムのほうに移したいと言っているのか。それとも、少し好意的に解釈しますと、二次医療圏よりもう少し小さい単位ですね。先ほどから鈴木先生が言っていらっしゃるような小さい単位で多くの高齢者に伴う日常医療は対応すべきであって、今まで言っていた二次医療圏よりもうちょっと違う単位も考えていかないと医療・介護連携できないとの意味ですか。

○遠藤座長 事務局、お願いします。

○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。

 ここの日本語は少し稚拙であるということを反省しつつ、私どもの認識をお伝えしますと、申し上げたい、あるいは認識として書かせていただきたいことは何かといいますと、予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応することとしてはどうか。まさに予防も含めて書いておりますとおり、医療の提供体制だけでは本来対応できない、少し広く対策として捉えなければいけないということなので、医療の提供体制だけではない部分をどう書くかという問題意識をにじませているということです。

 その上で、ですから、従来とは違う、捉え方としては、医療以外のものを含めた部分を含めて重要ではないか。特に、明示的に書いてはおりませんけれども、高齢者をめぐるさまざまないろいろな、いってみれば疾患もそうでしょうし、あるいはフレイルみたいな、そういった状態像もそうだと思うのですが、さまざまな支援がこれらの医療に限らず介護のほうも含めて対応を求められています。

 それらをあわせて、名称として適切か、捉え方として適切かどうかというのはあるのですが、あわせて地域包括ケアシステムのような地域ベースの対応で受けとめるということを今後考えていかなければいけないので、そのことを、先ほど尾形構成員の話にもつながるのですが、在宅も含めて少し集中的に検討していってはどうかというのが事務局の認識でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 西澤構成員、お願いします。

○西澤構成員 今の尾形構成員、それから田中構成員、そして私、同じことをいろいろな、別な聞き方をしたと思いますが、そうしますと、トータルすると、やはりこれは5疾病に限っていないということだと思いますので、そのようにきちんと改めていただいて、最後のほうも、読み方によっては一部のものは医療計画で見ないで地域包括でと誤解されるので、医療計画もしっかりやるけれども、地域包括ケアでもと、そういうことをわかりやすく書いていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、山口構成員、お願いします。

○山口構成員 16ページの資料の3つ目のポツのところで、基本的に5疾病・5事業が基本になるということはもちろん、それは賛成なのですけれども、医療計画とはいえ、医療・在宅・介護ということをやはり分けられない時代になってきていると思いますので、ぜひここのところはそれプラスして、もう少し広く盛り込んだことを医療計画の中にも書き込んでいくことが必要ではないかなと思います。

 その上で、9ページの5事業のところに「医療体制の構築が、患者や住民を安心して医療を受けられるようになるもの」とあって、5事業が基本になることはもちろんなのですけれども、患者や住民が安心して医療を受けられるようになるための対策には地域差が生じている時代ではないかと思います。基本は基本としても、やはり地域の特性を強調していただくということをこれまで以上にしていただく必要があるのではないかなということを意見としてお伝えしたいと思いました。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。御要望として承りました。

 では、今村構成員、齋藤構成員、櫻木構成員の順でお願いします。

今村構成員 先ほどの、在宅が重要という西澤構成員、尾形構成員の意見に賛成でして、私が思うに、地域包括ケアを成立させるために医療的なケアの面からのアプローチが必要であると私は思っております。

 先ほどの肺炎については脳血管疾患の中で診ていくのが適切であるということで、それはそのとおりだとは思うのですけれども、実際に肺炎はほとんど誤嚥性肺炎でありまして、誤嚥性肺炎の防止ということになってきますと、日ごろから元気ですとなかなか起こらないから社会的参加とか、奈良県自身が今、誤嚥の防止対策の中で誤嚥体操をつくって全員で頑張ってやろうということをやっていまして、そういったことから予防していかない限り、肺炎は減らないということだと思うのです。それは地域包括ケアに任せていればいいということではなくて、地域包括ケアの中に医療的なケアを入れていかなければいけないということであると思うのです。

 大腿骨頸部骨折の話もそうですし、もう一つ、難病の話も全く同じことが言えて、難病の方々の在宅ケアをしていくのですけれども、医療的ケアが行われないのでなかなか難病対策が広がらないということがあると思うのです。ですから、地域包括ケア全体で在宅医療を考えていく中には、そういう本来の疾病対策の延長として在宅でやらなければいけない部分を全体でカバーしていくことが今後必要であると思いますし、今後の議論の中では、ぜひその点は考えていただきたいと思います。

遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、齋藤構成員、お願いいたします。

○齋藤構成員 今、多くの構成員の方々から在宅医療の点をということで、私もこの16ページの資料を見たときに2.の記載すべき事業で、5事業については重点的にと書いてあるので、もしかしたら、在宅医療は何か違うところに位置づけられるのだろうかと大変疑いを持ったような状況ですが、事務局の回答を聞いて非常に安心をしたところです。

 別途、ワーキンググループのところでしっかり検討したいということですが、在宅医療につきましては、どの疾病でも在宅医療が必ずくっついてくるということになりますので、今般の子供の在宅医療などもかなり、訪問診療であったり訪問看護であったりというものの利用者が少しふえてきている状況もありますので、在宅医療につきましては引き続き医療計画にはしっかり位置づけて、もう少し詳しい検討と、それから、どうやって県の人たちがいろいろな指標を使って計画ができるかということについて、積極的に議論はしたいなと考えています。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 お待たせしました。櫻木構成員、お願いします。

○櫻木構成員 尾形先生が御指摘になったように、前回の第6次のときに精神疾患が記載すべき疾病に入ったわけですけれども、資料で言いますと6ページとか、あるいは9ページのところになるかと思いますが、5疾病の考え方は9ページのほうですね。広範かつ継続的な医療の提供が必要であるということですけれども「具体的な考え方」の中に医療機関の機能に応じた対応とか連携が必要であるという記載がありますが、いわゆる精神科病院ないしは精神病床の機能についての何か評価とかをどのように進めていくかというお考えはありましょうか。

○遠藤座長 事務局への御質問ですね。

 どういたしますか。コメントは可能ですか。

 では、地域医療計画課長、お願いします。

○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。

 櫻木構成員が御指摘の点というのは、先般、医師の需給の関係の議論でもお話があったかもしれませんが、例えば地域医療構想で今回は精神病床ではない他の病床につきまして、4つの機能区分で機能を捉えて医療需要推計を回しているわけですけれども、精神医療についてどう考えるのかということがそもそもの課題としてあります。

 その中で、これは他の部局にもなるのですが、精神医療に関しまして、入院医療も含めてですけれども、今後どういうことを体制整備も含めて考えていくのかという議論をされております。ですから、同じようなテーマをあちこちでということではないのだろうと思いますので、主に内容的な観点で、私どもの理解は、障害部が主催されておりますそういった検討会の議論を基本的にはまず前提とさせていただいたほうがよろしいのではないのか。

 私どもの医療計画は、最終的には医療の提供体制の整備でございますので、精神病床も含めてそういった記載をしていくことになると思うのですが、ですから、そこは同じ行政の中でやっておりますので、そういった議論の進捗とか考え方が整理されれば、それを適宜取り入れさせていただいて記載をしていくというのが基本的な医療計画におけるスタンスではなかろうかなと事務局としては受けとめております。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 櫻木構成員、よろしゅうございますか。

○櫻木構成員 多分、今、おっしゃったのは、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会での議論を指しておられるのだと思いますけれども、確かに医療計画は医政局でやっておられて、あちらの議論というのは社会・援護局の関係ですね。きょうは伯野室長がいらっしゃっていますが、その辺のいわゆる連携といいますか、この場合は医療機関の連携ではなくて厚生労働省内の連携ですが、それがきちんとされているかどうかというのはなかなか見えてこないといいますか、医療計画のいろいろな議論の中で、一応、向こうの検討会の議論を待ってというふうに言われますと、ここでの議論は一体、精神病床・精神医療に関してはどうなのかなという気がするのですけれども、その辺はどうでしょうか。

○遠藤座長 伯野室長、どうぞ。

○伯野地域医療対策室長 先ほど課長のほうからもございましたが、少なくとも省内の連携はしっかりとらせていただいていますし、また、先ほどおっしゃっていただいた検討会には梅田審議官も出ておりますし、当然、私も出ておりまして、医政局側としてもそういった検討会の中に参加させていただいて、医療と、医政局と障害部との連携はしっかりやっていく所存でございますし、また、そういった議論を当然無視するわけにはいきませんので、そういったところで出てきたような中身をこちらのほうで反映させていただくという流れになるかと思っております。

○櫻木構成員 よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 それでは、相澤構成員、お願いします。

○相澤構成員 前回、私が御高齢者の肺炎のことについて質問したところ、このようなデータをいただき、ありがとうございます。

 あえて言いますけれども、誤嚥性肺炎の原因と嚥下障害の原因というものは多分、私は違うと思うのです。臨床で診ていますと、誤嚥性肺炎の患者さんは御高齢によって全体の機能が落ちてきた患者さんが圧倒的に多いです。嚥下障害はなぜ起こったか、御高齢の場合は明確ではありません。それで、よくいろいろな病院から回ってきた患者さんを診ますと、多発性脳梗塞という名前がついています。多発性脳梗塞は、お年寄りであれば誰でも多発が起こってきます。病名としてついているだけであって、どう考えてもそれが原因とは思えないということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、なぜ、この間、私が御高齢の方に特有な疾患という言い方をしたと思うのですが、なぜ、それが問題かということは、当然、人口がふえてくるということもありますけれども、この御高齢の方々が入院してきますと、平均在院日数がかなり長くなります。これは何とか、やはり地域の医療計画の中で上手に計画をつくっておかないと、将来、私は大変なことになるのではないかなと思っています。

 先ほど鈴木先生のほうから、御高齢の方はこういう疾患が多いとおっしゃいましたけれども、脳卒中で明らかに急性の脳卒中とわかる方は急性の治療をしなければいけません。むしろ、今、多くなっているのは認知症の方と心不全です。何だかわからない心不全なのです。そして、この心不全の方は骨折を伴っていたり、あるいは糖尿病を持っていたり、非常に複雑な病態をとっています。実は、地方ではこういう患者さんをどうしていくのかというのは非常に大きな問題で、こういう患者さんを地域密着型の医療でどう診ていくかということは非常に大きな問題であるのに、どこにもそういう医療計画上乗ってこないというのは非常に片手落ちではないかなと思っていて、それは先ほど加納先生なども言っておるように、御高齢の方が地域で急にぐあいが悪くなったときにどうしていくのかという計画が必要ではないかなと思っています。

 それは地域包括ケアという名前で呼ぶのか、それとも、地域における御高齢の方々の、御高齢と言うと、90歳でも100歳でも元気な方がいらっしゃるので、お叱りを受けるので、御高齢ということで一括でくくってはいけないと思いますけれども、何らかの生活機能障害を持っておられる方のそういう急性の病気の発症に関して、どういうぐあいに日本は医療を提供し、その方を同地域で診ていくのか。これは非常に大きな問題であると思いますので、ぜひどういう項目でやっていくのがいいのかわかりませんが、どうも、5疾病・5事業のこれまでの感覚の中には、私は絶対入ってこないと思うのです。でも、非常に重要なことなので、ぜひお願いしたいというぐあいに申し上げたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では、今村構成員、お願いします。

○今村構成員 済みません。1点、数字の読み方のところで気になることがあったので。

 資料の11ページの総患者数の年次推移の肺炎の数が物すごく少ないという数字を、これは本当に肺炎が少ないというふうになると嫌だなと思いましたので、ここの総患者数というものは、もともとはほとんど通院患者数が大半を占める計算式になるので、通院できなかったらこの数には出てこないのです。

 ですから、入院している人のうちの肺炎か占める割合とかで見たら結構、この肺炎の総数は多いですし、新入院の方の数で見たらどうしても多いのですけれども、なかなか肺炎で通院するのがしんどかったら、これは再来患者数を掛けた部分が一番きいてくる数式ですので、外来で何人通っているかというのが一番多く出ている数字だということという前提で見ていただいたほうがいいと思いました。そこだけ注意喚起です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 事務局、これはよろしいですか。

○木下課長補佐 はい。

○遠藤座長 それでは、もう一つ議論がございますので、そちらに進ませていただきたいと思います。3つ目の議題でありまして、PDCA サイクルを推進するための指標について、資料3でございますけれども、これについて何かございますでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。その次に、鈴木構成員の順でお願いします。

○山口構成員 先ほど安部構成員から、一般の方が、自分たちがどんな医療計画の中にいるかわからないというお話がありました。実は私、きのう、ある製薬会社の社員研修で講演に行ってまいりまして、参加されていた40人ぐらいの方に、地域医療構想を知っている方と聞いたら、たった2人しかいらっしゃいませんでした。医療に関係している企業の方ですら、この人数かということにちょっと愕然として、一般の方となればさらに数が少なくなるのではないかなと思っています。

 ですので、この医療計画や地域医療構想をいかに住民に知らせていくのかということが問われてくると思う中で、こういうPDCAサイクルがうまく回ったものを住民に公表することによって医療計画ということもの理解にもつながっていくのかなと思いながら拝見をいたしました。

 ここでは高知県の好事例が紹介されていますが、こういったことも、こんなことをやってもらったら目に見えて数が変わってくるのだなということの住民の納得になると思うのですけれども、こういう好事例を取り上げる中で、うまくいった理由や工夫は確認されているのかどうかということを質問させていただきたい。

 それと、都道府県全体的に、このPDCAサイクルがどれぐらい回っているのか。本当に一部で一例を紹介されたのか、いや、半分以上はうまくいっているところがあるということなのか。そのあたりの事務局としての持っていらっしゃる感触を教えていただきたいと思いました。

 もう一つ質問で、20ページ、21ページのところに、これまでの指標について有用だというものと、使用していない、使用しづらいという×がついたところがございます。この×のついたところの理由というのが、何か具体的に尋ねておられてデータとしてあるのかどうかということもあわせてお聞きしたいと思います。このあたりがうまく整理していくことによっていい指標が出てきてPDCAがうまく回り、住民にきちんと伝えていくというつながりになれたらいいなと思いますので、そういう意味でお聞きしたいと思います。

○遠藤座長 事務局、お願いします。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 まず、1点目の好事例ですけれども、今回、私どもで把握できたものの御紹介をさせていただいているところです。今回の第6次の際に定期的な評価を行うようにということを、今、自治体のお願いしたところでして、まずその評価に取り組んでいる段階でして、さらにそれを施策につなげるというところのフェーズまで進んでいるところは知っている範囲で多くはない状況です。そういった取り組みと実際の施策とつながっている事例の収集というものは並行して行っていく必要があろうかと思っております。

20ページ、21ページの有用、もしくは使い勝手が悪かった理由ですが、その前のページにありますように、各県の意見と相関しているところではございますが、それらの指標自体がそもそも地域の実情と直結しているかどうかがわかりにくいというのがその理由の一つであろうかと思います。

 しかし、その特定の指標につきましては、一部の医療機関のデータであったりすると、必ずしも地域全体の指標につながっていないということもあろうかと思います。その場合には、県の施策なのか、特定の医療機関の取り組みなのかといったところもなかなか難しいというところで、県全体の計画の指標には位置づけにくいといったようなものも一つの理由かと思います。

○遠藤座長 よろしいですか。

○山口構成員 はい。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木構成員、お願いします。

○鈴木構成員 私は何回も地域包括ケアシステムという言葉を使わせていただいていますが、それには当然、在宅医療も含まれております。きょうは医療計画の見直しの検討会ですから、入院医療について特化してお話をさせていただいておりますけれども、最初にも言いましたが、地域包括ケアシステムの充実に伴って、二次医療圏に対しては従来よりも高いレベルの医療ニーズへの対応が求められると思います。ですから、三次はもっと高くなるということですが、そういう考え方が必要になってくるのではないかと思います。

 二次医療圏がその機能を十分に果たしているかどうかを知るには、二次医療圏全体の評価が必要になってくると思います。さらにPDCAサイクルを回してその見直しや充実が必要になると思うのですが、先ほど来、行政の抵抗という話もありましたけれども、確かに地方へ行きますと、私も地元の県の医療審議会や地域医療構想調整会議に出ていますが、そこに出ている古参の市長さんが県の保健福祉部長を何とも思っていないような発言をぽんとされたりするので、県の方も苦労されていると思いますけれども、そういう場合にも客観的なデータにより見える化して、住民の方に納得してもらうことが重要になります。

 そうした場合にも使えると思いますので、この二次医療圏でいいのですかという話ができるようなデータは必要になると思います。

遠藤座長 ありがとうございます。

 では、尾形構成員、お願いします。

○尾形構成員 7ページを拝見しますと、これは前回の、6年前の検討会での議論ということでまとめられていて、4つ目のポツに「最後に、これらの情報を住民等に公開すること」というふうになっています。先ほど山口構成員がおっしゃったように、まさに住民にいかにして伝えていくかというのは非常に大事だと思いますし、これは第5次の医療計画の議論、たしかワーキンググループで議論したのですが、そのときは、とにかく住民に読んでもらえる医療計画にしようということを考えました。これだけの労力と時間をかけて誰も読まないというものをつくってもしようがないので、とにかく読んでもらおう。医療関係者だけではなく、広く地域住民の方に読んでもらえるものにしようということを議論したことを覚えております。そういう意味で、単に計画をつくるというだけではなくて、いかにそれを読んでもらえるようにするかというところもぜひ評価の一つの視点としていただければと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、齋藤構成員、お願いします。

○齋藤構成員 1点質問と意見です。

 質問は、25ページの論点は、今後、指標について、この1.から3.の考え方で検討するという、検討の方向性だと思うのですが、この検討の場というものはここの場になるのか、それとも、何か別途、研究班があって、そこから何か提案されるのかどうかということが質問でございます。

 それから、意見としては、19ページ、20ページでほとんど使われていない指標があって、研究会の報告では、使われていないのだったら、その辺を使うかどうかも含めて検討してはどうかという内容であると思うのですけれども、ちょっと懸念しているのは、一律に使われていないからといって本当に有用ではないのかということとはちょっと違うと思っております。使われていない指標もやはり意味がいろいろあると思いますので、単純に指標から外すという考え方ではなくて、前回の医療計画の策定からさまざま、また医療の質とかアウトカム評価というものも研究も進んでいると思いますので、そのあたりも含めて専門職の意見を聞くなどしながら、どういった指標を選択し、活用するかということについて、研究者などの意見も聞きながら検討するという方向性を出していくことが有用と思っています。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 質問が出ましたので、よろしくお願いします。

○木下課長補佐 具体的な指標をどのようにするかという点につきましては、今、研究班でその指標をどうするかという、そのたたきの整理はしているところでございます。それを踏まえて、本検討会で最終的な御意見を伺って決めていくというプロセスを考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、伊奈川構成員、今村構成員、その次に佐藤構成員の順番でお願いします。

○伊奈川構成員 時間がないようですので、手短に申し上げたいと思います。

 指標というテーマでしたので、発言しようかどうか迷っていたのですけれども、先ほど尾形構成員からもありましたように、この医療提供の話というものは、本当は住民にとっても身近な話のはずなのですが、県レベルで展開されているということと、やはり医療の専門性というものがかなりネックになっているのだろう、と思います

 そういう点から言いますと、この情報というものがどういうふうに住民の方に伝えていくかというのは非常に重要でありますし、私どもは保険者としてもそういった点ではいろいろと、今までも医療の提供体制には積極的に関与していこうということでやってきておりますけれども、今回のいろいろな検討の中ではそういった視点、住民にとってもわかりやすい指標といったことの工夫が必要ではないかなと考えております。これは意見でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、今村構成員、お願いします。

今村構成員 先ほど指標の研究班の話が出ていまして、多分うちの研究班のことだと思うのですけれども、なかなか実際につくっていくとなると、これだけのことを総括的にする指標というものは難しい状況で、たくさんの指標を入れたり外したりしながら工夫をしているところであります。ですので、全ての要望にお応えできるかどうかはわかりませんが、広く意見を聞きながら、今、つくっている状況であります。

 その中で、今、地域医療構想でもPDCAサイクルを回していて、こちらの地域医療計画のほうもPDCAサイクルを回すので、この2つをどんなふうに整合性をとっていくのかというのが、実際に研究班を回している中で、向こうは向こうでPDCAを回そうとしていますので、それの整合性がとれるものをつくっていくべきだと思いますので、また連絡を密にしながら案の作成に協力していきたいと思います。

○遠藤座長 ぜひよろしくお願いいたします。

 では、お待たせしました。佐藤構成員、どうぞ。

○佐藤構成員 25ページに今回の観点を示していただきました。一方で、前回の第1回のあり方検討会におきまして、都道府県が毎年実施しているところが25という数字もお示しされています。今回のこの視点の中にもちろん含まれてはいると思いますが、多くの都道府県、できれば全ての都道府県がそれが定期的に実施されるような視点は何か、観点は何かというのもあわせて、この中に視点として入れていただければと思います。要望です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。

 それでは、相澤構成員、それから、野原構成員の順でお願いします。

○相澤構成員 この指標が適正なものかどうかは厚生労働省がチェックをしているだろうと思いますが、例として挙げますと、以前に二次医療圏ごとに地域がん診療連携拠点病院を1つずつつくるということで、県は全ての二次医療圏に地域がん診療連携拠点病院をつくるという計画を上げて、その達成に躍起になっていたことがあります。大体、3万人や5万人の医療圏で地域がん診療連携拠点病院は必要なのでしょうか。

 何を言いたいかといいますと、その指標そのものが私は非常に疑問であるというものがたくさんあることを申し上げたいなと思います。例えば一番問題なのは、このストラクチャーの指標であると思います。厚生労働省がこうしなさいと言うと、都道府県は非常に素直といいますか、厚生労働省の言うことをすぐ聞きますので、それを指標にします。そして、このストラクチャーの指標というものは非常に見えやすく、そして、評価しやすいのです。

 二次医療圏に1つつくる、2つつくる。それは非常に簡単で、そこに飛びつきますけれども、その指標が本当に地域の人のためになって、本当に地域の医療の質の向上に役立っているのかどうか。ぜひやはり、何かそこをチェックする機関をつくってほしいと思います。それは多分、県ではだめだと思います。自分でつくった指標は達成することに躍起になるからです。ぜひそれだけは、この指標をつくってやっていくときにお願いしたいなと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 野原構成員、どうぞ。

○野原構成員 資料の19ページに、研究班から都道府県の意見という形でお示しいただきました。大体、都道府県の担当の意見としてはこれに尽きるのではないかと理解してございます。

 私ども岩手県の現行計画では、目標値146、現状把握の管理指標として412500を超える指標を管理しております。我々の反省も含めて、500を超える指標について、その管理が目的になっていないかどうか、また、わかりやすく住民の方々にお示しできているかどうかというのは本当に検証をしなくてはなりませんし、それを踏まえて今後進めていかなくてはならないと考えてございます。

 そういった意味でも、今日多くの構成員の方々からも御意見があったとおり、多くの指標を施策評価と連動した形で住民の方々にわかりやすく示すという視点で、見直しの御検討を進めていただければと考えてございます。

遠藤座長 ありがとうございました。

 大体、予定した時間になりました。

 議題の最後に「その他」というものがございますけれども、事務局、何かございますか。

○木下課長補佐 事務局でございます。

 資料4を御用意ください。今年の10月に第3回目の病床機能報告を控えているところでございますが、その際に各病床の機能以外に報告いただく事項がございまして、その報告事項につきまして、今般の平成28年度診療報酬改定に伴いまして項目の見直しが必要な項目がございます。

 例示としてそこに挙げてございますが、例えば退院支援に関する項目の退院調整加算につきましては、現行が左にあったものでございますが、右のような変更が行われております。また、リハビリテーションに関する項目につきましても、現行の左の項目に対して、今般、廃用症候群のリハビリテーション料の新設といったものもございましたので、こういった見直しがございます。

 これらの見直しにつきましては、私ども行政のほうの手続といたして、秋の報告に向けた手続、告示等の改正も必要なこともございますので、診療報酬の改定を受けた項目の見直しということを行っていきたいと思います。この見直しを行うことにつきまして御了解いただければと思っておりまして、今回、資料4を用意させていただきました。

 以上であります。

○遠藤座長 いかがでしょうか。診療報酬によって、このように名前と若干の要件が変わったので、趣旨が同じであるからこのまま使っていきたいということだと思いますが、よろしゅうございますか。

 特段、反対の御意見もないようですので、そのように対応をお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、本日御用意した議題は全て終了いたしました。

 事務局におかれましては、本日いろいろな御意見が出ましたので、それをまた整理して、今後の議論に資するような資料等の作成をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、これにて本日の議論を終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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直通電話:03-3595-2194

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