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2019年6月3日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第9回議事録

○日時

令和元年6月3日(月)13:00~15:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 新館 ホール12E
東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング
 

○出席者

池西 静江 (日本看護学校協議会会長)
太田 秀樹 (全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
太田 圭洋 (日本医療法人協会副会長)
尾形 裕也 (九州大学名誉教授)
鎌田 久美子 (公益社団法人日本看護協会常任理事)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
平良 孝美 (沖縄県立南部医療センター・子ども医療センター副院長)
伊藤 彰久 (日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
小林 美亜 (静岡大学大学院創造科学技術研究部 特任教授)
島崎 謙治 (政策研究大学院大学教授)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
竹中 賢治 (全国自治体病院協議会副会長)
鶴田 憲一 (全国衛生部長会会長)
内藤 誠二 (医療法人社団温光会内藤病院理事長)
大崎 和子 (社会医療法人きつこう会多根総合病院看護部長)
春山 早苗 (自治医科大学看護学部学部長)
伏見 清秀 (東京医科歯科大学医歯学総合研究科教授)
森本 一美 (公益社団法人日本看護協会看護研修学校校長)
山口 育子 (認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

○議題

(1)看護職員の確保策について(ヒアリング)
(2)その他

○議事

○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「医療従事者の需給に関する検討会第9回看護職員需給分科会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところを御参集いただき、まことにありがとうございます。
本日は、平川構成員と本田構成員の御欠席の連絡をいただいております。また、吉田局長、迫井審議官は、冒頭公務のため不在で遅れて参ると聞いております。伏見構成員と内藤構成員は遅れての参加となります。
それでは、ここでカメラは御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。 では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。それでは、早速、議事に入りたいと思います。はじめに、事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に、議事次第、座席表のほか、資料としまして「今回ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」の資料をお配りしております。不足資料等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○尾形座長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。ただいまお話がありました資料の「今回ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」につきまして、まず事務局のほうから説明をお願いします。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。それでは、お手元の資料「今回ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」をごらんください。
まず、おめくりいただきまして、論点が2つございます。1つ目が「地域に必要な看護職員の確保と多様化する働き方への対応」、2つ目が「働き続けられる職場環境づくりの推進」ということで、この2つについて資料に沿って説明させていただきます。
3ページをごらんください。まず、1つ目「地域に必要な看護職員の確保と多様化する働き方への対応」でございます。
大きく3つに分けておりますが、訪問看護、介護分野、教員等の人材確保についての現状でございます。訪問看護ステーションの求人倍率は、ナースセンターのデータによりますと3.78倍となっておりまして、病院と比較して高くなっているという状況がございます。 2つ目の○にありますように、訪問看護に従事している職員につきまして、年齢構成を見てみますと、病院に従事する看護職員と比較して年齢の高い方の割合が多いということで、これは介護保険施設等においても同様の傾向にございます。
一方、新卒の訪問看護師を採用するための取組も徐々に進められておりますが、実際に新卒者を採用している事業所はごく少数にとどまっているという状況で、採用していない理由として、教育体制が十分でないことなどの育成面での困難さが指摘されておるところでございます。
4つ目の○は、現在、訪問看護師を地域で確保するための施策でございます。地域医療介護総合確保基金を活用した取組、ナースセンターの取組などを行っているところでございます。また、教員に関しましては現在、看護基礎教育検討会におきまして検討を行っておるところでございます。受講生の利便性向上のためにeラーニングの活用の推進等の内容について議論が行われておるところでございます。
次の4ページをごらんいただきまして、「地域間、領域間での偏在」についてでございます。 地域間の偏在につきましては、現在、人口10万人当たりの都道府県別の看護職員数については、最も多い県と少ない県の間で2倍以上の差があるなどバラツキが見られるところでございます。一方、病院の病床100床当たりの都道府県別看護職員数を見ますと、大きな差が見られないということがございます。また、2次医療圏単位の病床数、看護職員の就業者数で見ても正の関係にあるといった状況があるということでございます。
こうした看護職員の確保につきましては、地域によりましても課題が異なっているということから、現状、対策といたしましては、地域の実情に応じた確保策の実施が求められるということで、中央ナースセンターにおきまして、平成29年度より地域に必要な看護職確保推進事業に取り組んでいるところでございます。これによりまして、各都道府県のナースセンターが都道府県と密接に連携して、地域の課題に応じた計画を策定して、それに基づいて関係団体と連携した確保策を推進しているというのが取組についての現状でございます。
それから、「養成時からの多様なキャリアパスの支援」という観点からは、現在、看護基礎教育の検討会におきまして、病院以外の多様な場での実習を推進するよう、実習施設の要件等の見直しについての検討が行われているところでございます。これによりまして、今後の学生のキャリアパスにもつながるような内容になってこようかと考えております。
それから、看護職員の多様な働き方について情報を提供する事業といたしまして、厚生労働省において「看護職のキャリアと働き方支援サイト」を作成いたしました。それを発展させる形で、中央ナースセンター事業といたしまして、現在「ナースストリート」のサイトを運営しているところでございます。
5ページをごらんください。今回、御議論いただきたい点といたしまして、論点を挙げさせていただいてございます。まず、1つ目でございます。今後も増大する訪問看護や介護分野におけるニーズに対応する看護職員を確保していくために、多様なキャリア形成を支援する対策を講じる必要があるのではないか。そのために、特に以下の観点から、どのような方策が考えられるかということで、1つ目として、訪問看護や介護施設に就職する新卒者をふやすための、学生への情報提供、新人教育・指導体制の確保、定着支援等の観点。2つ目として、病院からの転職時に訪問看護等への就業を促す観点。3つ目として、復職時、セカンドキャリア移行時の就業先に訪問看護等が選択されるための勤務環境の整備等の観点。
2つ目の○は、そうした際に小規模な事業者が多い訪問看護事業者への支援といたしまして、都道府県ナースセンター、関係団体が果たす役割について、どう考えるかということも論点として挙げてございます。
それから、3つ目でございます。地域ごとの異なる課題に対応していくために、まずは、その課題をきちんと整理・分析した上で対策を講じることが必要ではないか。その上で、地域によってさまざまな看護職員確保に係る課題に対しまして、地域の実情に応じて、関係者が連携して取り組む看護師確保対策への支援として、どのような方策が考えられるか。
それから、キャリア支援の観点からは、多様な場での活躍が求められている看護職員が適切なキャリアを選択できるようにするために、学生時代、就業中、育児等による休職中、退職時等におきまして、必要なキャリア支援として、どのような方策が考えられるか。このような論点を整理させていただいております。
6ページは、事務局のほうで例えばということで整理したものでございます。「職場体験の充実」ということで、インターンシップなどを支援してはどうか。これは、訪問看護等の事業者においては、インターンシップの取組が病院などに比べて、まだまだ進んでいないといった実情を踏まえたものでございます。それから、「多様な働き方に対応した研修の推進」ということで、自施設以外での看護実践を体験するような研修を実施してはどうかという点。それから、「地域に必要な看護職確保の推進」は、先ほど申し上げた「地域に必要な看護職の確保推進事業」を全国で展開できるようにするための、中央ナースセンターによる都道府県ナースセンターの支援等についての情報提供の提案でございます。
7ページ、8ページは、これまで分科会におきまして頂戴しております御意見の概要についてでございます。9ページ以降は、参考となる資料でございます。こちらは、詳細な説明については割愛させていただきます。御照会等ございましたら、また後ほどいただければと思います。
続きまして、論点2について説明させていただきます。資料の39ページをごらんください。論点2「働き続けられる職場環境づくりの推進」についてでございます。この論点におきましては、夜勤に従事できる方の確保、また看護補助者の確保等を中心に整理させていただいてございます。
まず、夜勤の関係でございますが、現状におきまして、病院に勤務する正規雇用者の看護職員のうち、夜間勤務を行わない方の割合が2割に上る状況ということで、夜勤時に繁忙度が増しているという認識を持つ看護職員も一定以上存在しているという状況もございます。また、夜勤を可能とする条件として、看護職員に調査したデータによりますと、家族の理解・協力が得られること、夜勤回数の少なさなどの負担軽減、夜間保育があることなどの環境改善、夜勤手当が高いなどの適切な評価が求められてございます。
また、看護補助者は、数といたしましては近年減少傾向にございます。看護補助者を「必要量を満たすだけ配置できていない」と認識している医療機関が37.3%を超えるなど、看護の現場におきまして不足感がうかがえる状況でございます。また、その理由といたしまして「募集しても集まらない」といった理由を挙げる医療機関が91.5%という状況にあるところでございます。なお、看護補助者の現状につきましては、こうした状況を踏まえまして今年度、実態調査について研究事業で行う予定としております。
現在、夜勤負担の軽減に関する支援といたしましては、地域医療介護総合確保基金を活用した環境整備、また都道府県の医療勤務環境改善支援センターによる助言等、また診療報酬における評価等々を行っておるところでございます。また、看護補助者の活用につきましては、厚生労働省看護職員確保対策特別事業におきまして、平成24年に看護管理者の研修テキストを作成いたしまして、これによりまして都道府県で基金を活用した研修を実施しておるところでございます。そうした現状を踏まえまして、40ページ、御議論いただきたい点ということで整理させていただいたものでございます。
1つ目が、夜勤に従事することができる者を確保するために、夜勤ができる理由で挙がっておりました夜勤の負担軽減、処遇、家族の理解の促進、こういった観点から、どのような方策が考えられるかということ。
それから、夜勤を含めた看護職員の業務の効率化、負担軽減を図っていくために、看護補助者を確保し、効果的に活用していくためには、どのような対策が考えられるか。特に、看護職員との適切な役割分担、またその明確化や周知の観点、定着促進のためのスキルアップや処遇をどのように考えるかという観点。また、そもそも募集しても集まらないといったことを踏まえますと、職業として十分に周知されていないということも考えられますので、そうした職業としての周知、魅力向上の観点から、どのような方策が考えられるか。
それから、夜勤など看護業務の効率化を、医療機関内において効果的に取り組んでいくに当たって必要な支援策をどう考えるかということで、特に、医療機関や病棟のマネジメントを担う看護管理者が行う取組に対して、どのような支援が必要かということで論点を整理させていただいております。
例えばということで、これは事務局で整理したものでございますが、看護管理者のマネジメント能力の向上への支援ということで、看護管理者のマネジメント能力の向上を図る研修を充実してはどうかということ。
それから、看護補助者の確保・活用という観点からは、看護補助者の業務の実態を踏まえた役割についての検討。これは、先ほどの実態調査も踏まえてということになろうかと思いますが、そうした検討。また、夜勤に対応できる看護補助者の育成支援といったこと。 また、看護補助者になっていただく方をふやしていくということで、看護補助者の周知・確保のキャンペーン、こうしたものをハローワーク、ナースセンターと連携して実施するといったこと。それから、看護補助者との協働のあり方、活用に関する看護管理者、看護職員、ともに働く方への研修ということもあわせて行ってはどうかということで、これに限るものではございませんけれども、提案させていただいております。
簡単ではございますが、論点についての説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。ただいま事務局から、資料「今回ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」についての説明がありました。今、お話がありましたように、2つの論点が示されております。相互に関連する部分もあろうかと思いますが、とりあえず、ここでの議論を2つに分けて御議論いただければと思います。
それでは、最初の論点1「地域に必要な看護職員の確保と多様化する働き方への対応」、資料で3ページから38ページまででございますが、この部分につきまして御意見や御質問を承りたいと思います。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 御説明ありがとうございました。論点1、2に入る前に、1つ事務局に確認したいことがあります。よろしいでしょうか。
前回までの資料を見ますと、これまでの看護職員需給分科会における確保策に関する意見の整理の中で、新たな視点による対応が必要な論点の1つに、人材確保指針の見直しというのが記載されております。今回はそれが論点には挙がっていないのですけれども、私も第5回の検討会で、働き方改革の推進や夜勤者の確保等の方策が実効性のあるものになるように、人確法の指針等に反映していくべきという意見を出しております。この論点については保留になったままと認識していますが、今後、中間取りまとめ等において議論されるものなのでしょうか。今日の論点1と2とは違うのですけれども、最初に確認させてください。
○尾形座長 確認ということですので、事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 人材確保指針については、当然、確保策を具体的にどのように進めていくかという観点から、手法についての検討になろうかと思います。これまで提案された論点につきまして、これは実際どのような確保策を進めていくかという内容かと思いますので、そうした確保策の具体的な内容を踏まえて、それを推進していくための方策について、それがどういった形がふさわしいのか、確保指針の見直しといったものがふさわしいのか、それは今後また御議論いただくことになろうかと思います。今回は内容についての御議論ということで、今回の論点には挙げておりませんけれども、今後またそういった指針のあり方についても御意見を頂戴できればと考えております。
○尾形座長 鎌田構成員、よろしいでしょうか。
○鎌田構成員 今後、これはまた検討されるということで、了解しました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。山口構成員。
○山口構成員 訪問看護師のことですけれども、5ページの議論いただきたい点の一番最初の〇のところです。どのようにすれば確保していけるかということで3つ挙がっていて、例えば2つ目の、病院からの転職時に訪問看護等への就業を促すとか、あるいは復職時、セカンドキャリア移行時の就業先に訪問看護ということについては、ある程度うなずけるのですけれども、新人の人たち、学生さんに情報提供したり、新人教育するということについては、私は結構ハードルが高いのではないかと思います。
というのも、14ページを見ますと、実際の新卒者の採用がないということとか、反対も多いということもあります。これは患者側から見ても、訪問看護ということは家に来られるわけですから、例えば社会的経験が少ない人に多様な暮らしがわかるのか、社会的背景の理解であったり、生活への理解とか問題点を見出す能力の必要性。そういったことを考えると、単に若い人で数を増やしていけばいいということではないのではないかと感じているところでもあります。
そこで、少しは新卒採用の方の人数があるということは、採用されている実態もあるとは思うのですけれども、そういう中で何かプラスアルファの教育をしなければ、いきなり新卒の人を訪問看護ステーションにということはかなり難しいと思うのですけれども、実際に教育の成果が上がっているような、何か事務局で把握されているような実例がもしあるのであれば、御紹介いただきたいなと思いました。
○尾形座長 事務局、いかがでしょうか。
○乗越看護職員確保対策官 今、手元で御紹介できる実例を持ち合わせておりませんので、少し調べさせていただいて、御紹介できるようなら用意させていただきたいと思います。
御指摘のように、新人の訪問看護職員を育成するために、最初に幾つか同行訪問の数を重ねないといけないといった負担はあろうかと思いますけれども、それを踏まえても、新人の訪問看護師さんを入れることによって、組織の活性化が図られるといったことをメリットに挙げるような事業所もあるといったデータもございます。そうしたものを含めまして、少し整理ができましたら準備したいと思います。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 もしあれば、ぜひお示しいただきたいと思います。新人の方で訪問看護ステーションに従事する方を増やしていくとすれば、最初、どんな教育があって、どんな経験をして、キャリアパスと言いますか、段階的にこんな経験を経た人がなると望ましいというものを、若い人がある程度見えるようにしないと、いきなりぽんと放り込まれたとしても、なかなか続かないのではないかと思います。そのあたりが若い方への教育ということをしていくにしても、もう少し丁寧なメニューの提示というのでしょうか、そういうものが必要ではないかと思います。
○尾形座長 では、池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 今のお話ですが、実はある県で以前、調査したことがあるのですが、そこには2年課程と3年課程と准看課程がありました。准看課程と2年課程の方は、訪問看護とか、地域に出ることについて結構興味があると答えた方があり、その多くが高校新卒の方ではなかったのですが、難しいとは思うのですが、ことに准看護師についてはいろいろな意味で難しさはあるのですが、なりたいという気持ちを大事にして行ける体制をつくっていくと、今よりは増えるかなという気がしております。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田ですけれども、ただいまの山口構成員の御質問に個人的にお答えします。
私は、1992年から訪問看護をやっています。ですから、一番リアリスティックな立場で意見を言うことになると思うのですけれども、28年前は、10年ぐらい病棟で経験した師長クラス、当時は婦長でしたけれども、それぐらいの人たちにやってもらうと安心できるなという思いで訪問看護をやっていました。ところが、この28年間で訪問看護の質が相当変わってくるのです。当時は、介護の領域も看護がやっていたのです。ところが、明確なタスク・シフトが進みまして、看護師はより医療に近いことを行い、介護は介護士に任せられるようになってきたわけです。
それで、若い人たちに訪問看護をやらせるのは無理だろうと当時は思っていたのです。しかし、経験の浅い3年ぐらいのナースを訪問看護師として雇用するようになって、しっかり教育すれば立派な訪問看護師に育っていくということを現場では経験しています。
ただ、免許を手にしたばかりの人を訪問させるというのは、これはなかなか難しいというのは現実だと思います。病態の判断と、せめて点滴とか採血といった基礎的な技能だけは身につけてもらわなければいけないわけです。ですから、そういう経験・技術の乏しいナースを訪問看護師として育てていくには、うちの場合は老健などにも出向させて、老健の入所者で補液のトレーニングと言うとちょっと語弊があるのですけれども、ルート確保の経験を積んでもらうという状況です。
それが現実ですので、お考えのように若い看護師がいきなり生活の場に踏み込んで、人生を左右するようなケアにかかわることは難しいだろうというのは、そのとおりです。しかし、マインドがあれば育てることは十分できると思います。
○尾形座長 今の件ですか、鎌田構成員。今、山口構成員の御質問の関係を先に検討したいのですが。山口構成員、追加ですか。どうぞ。
○山口構成員 太田構成員、ありがとうございました。今、お話しいただいたようなことを、例えば全国展開でマインドのある人を3年目ぐらいで育てていくとしたら、どういった教育のあり方とか、どの地域でも全体的に増やしていこうという話ですので、御経験の中から、こういうものがあればいいのではないかということを追加で教えていただきたいです。
○太田(秀)構成員 これも従来から議論になっていると思うのですけれども、最初から訪問看護を目指すのであれば、訪問看護に必要な技能を病院で学べる。つまり、病院で学んだ人を地域で使うのではなくて、地域で求められる技能を病院で学びながら訪問看護師として育てる。つまり、例えば週に3日間、訪問看護するのであれば、毎週2日は病棟とか施設に出向いて、そこでトレーニングするということが普遍的なスタイルになっていけば、可能であると思います。
○尾形座長 それでは、小林構成員。
○小林構成員 千葉県では、2012年から新卒訪問看護師育成プログラムに取り組んでいます。そのプログラムでは、2年間で訪問看護を実践できる知識・技術を修得し、「単独で24時間緊急対応ができる」レベルに達することを目指した教育・研修計画が組まれています。今お話がありました、地域の病院に出向いて研修する内容も含まれています。現在、山梨県や広島県など、いろいろな県でもそのプログラムの展開が始まっておりますので、ぜひ一度、それについて御紹介いただければと思います。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 山口構成員の疑問ですが、私も数年前まで同じような感じを持っていたのですけれども、その後、いろいろ地域の先駆的な取組などを見ておりますと、必ずしも拘泥しなくてもよいと思うようになりました。その意味では、先ほどの太田構成員の意見にどちらかというと近い考え方に立っています。
かつては、急性期の病院で急性期医療の業務に携わり、ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんけれども、夜勤ができなくなるとほかの分野に出ていくというキャリアパスというか、キャリアラダーみたいなものがあったと思いますけれども、私はもうちょっと多様であってもよいと思っています。ただし、新卒でいきなり訪問看護ができるかというと、そこは結構ハードルが高く、実際にそういう受け入れをしているところでも、ベテランの訪問看護師の同行訪問を含めて、一定の期間は習熟させるとか、あるいは急性期の病院に派遣して、そこで一定の技術を習得させるとか、少なくとも1年ぐらいはそういう習熟をするなどの、いろいろな条件をつけているところが多いのではないかと思います。
ただ、具体的な例で申し上げれば、これは別の検討会でも、たしかどなたかが御紹介されたかと思いますけれども、茨城県県立中央病院では、いろいろな業態のところと看護師さんの人事交流を行っていて、その中には働き方改革の検討委員会の委員も務められていた中島さんのところの訪問看護ステーションとも人事交流をする。つまり、新卒の人を病院のほうで受け入れてトレーニングし、また返してあげる。逆に、病棟看護師さんを訪問看護ステーションのほうに派遣して、病棟看護と訪問看護の垣根を小さくするという取組が行われているところもあります。こうした例は探していけば決して少数ということではないと思います。
ただ、その場合に問題となってくるのは、同行訪問する間は介護報酬あるいは診療報酬はその分は取れないので、不採算の問題が出てくる。そこはどう解消するのか。そこは基金を使った補助金のような形でお金を補っていくのか、あるいはこれはもっと政策的な話になりますけれども、さっき申し上げたような看護師さんの人事交流を面的にもっと本格的に進めていくのであれば、そこの基幹的な病院が県立病院であれば地方交付税で措置をするとか、いろいろな対応の仕方が考えられるのではないかと思います。
○尾形座長 鎌田構成員。
○鎌田構成員 訪問看護の人材を確保するのは非常に重要な課題でもあることから、私もこの分科会でこれまでも発言しておりますし、国にも、日本看護協会として地域における訪問看護提供体制の推進を組織的に進めるために、国が訪問看護の総合確保計画を策定し、訪問看護に携わる看護職員の確保が本当に実効性のあるものにすべきということを要望してきております。
さらに、今の研修の事も含めて、訪問看護に関する課題を一体的に解決して人材確保を進めるために、各都道府県に訪問看護支援センターのような拠点をしっかりつくることが必要だと思っております。そのセンターが中心となって、訪問看護へ新卒者が就職できるよう教育体制の確保や定着等についての支援を実施するとともに、多様なキャリア形成という観点からも、今、言われたような病院と訪問看護をつなぐ研修等も実施可能となるのではないかと思います。そのため、この訪問看護支援センターのような拠点をしっかりつくり、各県がきちんと検討することが必要ではないかと思っております。
○尾形座長 では、高砂構成員。
○高砂構成員 昨年、横浜市で市内の看護師養成施設に在籍する看護学生5000人にアンケートを行ったところ、訪問看護師としての就職の関心は「ある」が17%、「ややある」が33%という、とても高い回答を得ています。ただ、「すぐになりたい」となると1%、三十人弱となっていくのですけれども、最初、池西委員にもおっしゃっていただいたように、実習などで学生自身が訪問看護にとても興味を持っているというのは大切にしたいと思います。また、育成のところでは、島崎先生と重なるのですけれども、地域で育てる。事業所としては、規模も小さいですし、十分なことはできませんが、地域にある病院に実習に行ったり、地域にある学校の実習室をお借りして訓練するなど、いろいろな試みがなされています。きらきら訪問ナース研究会とか新卒訪問看護師の会とか、いろいろなホームページもできていますので、活動をごらんいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員。
○太田(圭)構成員 ちょっと話題が変わってしまうのですけれども、問題意識として発言させていただけたらと思います。
資料の12ページ、13ページで訪問看護ステーションの数、及び働いていらっしゃる方の数というのを今回、御提示いただいています。これは、先ほどの教育体制をどうするかという議論とも絡むのですけれども、どうやって解釈するのだろうと見ておりました。平成24年ぐらいから、施設数はほぼ1.5倍まで上がっている。右下を見ますと、1施設当たりの看護職員数は、近年増加傾向にあるとおっしゃられていますけれども、看護師数はほぼ5.0で横ばいだと私は見ております。全従事者数が7.1と上がっているのですが、私の実感的に言うと、これはセラピストの方が増えているという状況です。
左を見ますと、訪問看護ステーションに働いていらっしゃる方は大幅に増加しているのですが、どこにスタッフが行ったかというと、結局、小規模施設がこの六、七年、延々増え続けた。なので、一施設の規模は大きくならず、小規模施設であるがゆえに、例えば新人の研修とか、当然のことながら、産休・育休に入ったときにどうするかというのが抜け切れないという供給の状況だろうと、この資料を見させていただいて思うわけです。
事務局にちょっと質問ですが、医療保険の訪問看護事業所が1万施設あるという形になっていまして、これはn数で言うと病院の数よりも当然多いわけでございます。今は株式会社立の訪問看護ステーションというものが延々増え続けているわけですが、何か厚生労働省本省として、訪問看護ステーションの今後の数としての目標ですとか、1施設当たりの人数に関して、これぐらいにしていくのが適正じゃないかという考えとか検討があるのかどうなのかというのを1回お伺いしたいと思います。
なぜならば、今、医療の世界、医政局マター、病院もそうですし、診療所もそうですし、外来を含めて、さまざまな計画的な検討がなされる中で供給体制を検討していく形になっております。訪問看護が非常に重要だというのはわかっておるのですけれども、今後5年間の看護師需給を考えなければいけない検討会ですので、その辺のことに関して、何か検討した結果ですとか考えがあったらお知らせいただきたいなと思っております。以上です。
○尾形座長 事務局に対する質問ということですので、お願いします。
○島田看護課長 事務局でございます。大事な御指摘かと思います。ありがとうございます。訪問看護ステーションといいますか、訪問看護事業に関して、厚労省の中でもさまざまな部局で所管しているということもありまして、それが幾つかの課題であるということは承知しているのですけれども、現時点において、先生の御質問にありました、1カ所当たりの規模をどういったものを目指すのかといったことについて、厚労省として明確な方針といったものは、特に今、持ち合わせていないところです。
ただ、1カ所当たりの職員の数については、目標というよりも、規模の小さいところも当然それなりの役割を果たしていただいていると思いますし、大きなところであれば、研修体制とか利用者の方々への一定の安定したサービス供給といった拠点化をするという方向性については、それぞれの役割をしっかり評価していくというということではありますけれども、最終的に何でなければならないという形で集約するといった方向性は、特に今のところは明確になっていないところです。
○尾形座長 関連ですか。では、太田構成員。
○太田(秀)構成員 非常に厳しい御指摘と思うのですが、更に輪をかけるようなことを申し上げるのですけれども、実は廃業する訪問看護ステーションは多いです。もちろん、その辺の調査もされていると思うのですけれども、廃業の理由をちゃんと分析しないと、訪問看護師を育てても、ステーションが潰れてしまうと、せっかく心のある訪問看護師たちが路頭に迷うわけです。データなどを見ると、株式会社立の小規模の2.5人ぐらいの訪問看護ステーションの廃業が多いと聞いています。ではどうして廃業するか。0.5がパートタイマーということですが、0.5欠けると、もう指定基準を満たさないのです。例えば病気で休む、けがで休むなど。
そういうことは、仕組みで救済できるのではないかと思います。質問ですが、廃業するステーションに関して、どういうふうに背景を分析されているのかということをお聞きしたいと思います。
またステーション運営している所長は、労働法に関する知識も求められるし、税法に関する知識も求められるわけです。ですから、単に医療技術がすぐれているとかマインドがあるだけじゃなくて、経営の視点をしっかり持って運営しないと廃業につながるわけですね。そういったところの指導も、国としてどういうふうに考えておられるかということもできればお聞きしたいと思います。
○尾形座長 これは看護課として答えられるかどうかわかりませんが、どうぞ。
○島田看護課長 ありがとうございます。今、訪問看護に従事する方をどう確保するかといったことを御議論いただいているわけでございますが、その背景として、先生御指摘のように、どういう、事業所としての方向性とか、その事業所としての課題を解決するといったこともあわせて、これは厚労省としても考えていかなければいけないと思うのですけれども、それは訪問看護の事業の全体に係る課題でもございますので、その課題自体をこちらの分科会のほうで御議論するのはちょっと限界があるかと思いますので、厚労省として持ち帰らせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 確かに関連する他部局もあるので、看護課としお答えするのはてなかなか難しい面もあるかもしれませんが、せっかくここでいろいろな議論が出ているので、もうちょっとそこは検討すべきだと私は思います。それはなぜかというと、小規模の事業所、確かに改廃が多いというのはそのとおりですし、実際問題として、そこの事業所の経営者としては何が必要かというと、労務管理は当然必要だし、診療報酬と介護報酬の知識も当然必要なわけです。
私は、実際に訪問看護ステーションを経営している人の話を聞きましたけれども、3年に一度、介護報酬の改定があり、2年に一度、診療報酬の改定があり、毎年のように改定内容を咀嚼することに追われている実態がある。診療報酬・介護報酬が複雑になり過ぎるのか、いいかどうかはちょっと別の問題としても、プラスアルファで労務管理をきちんとしていくことが求められています。働き方改革に伴い、きちんとした労務管理の履行が求められている中で、大規模化を進めていくという政策方針を出すべきだと私は思います。
さらに言えば、どなたかも御指摘されましたように、多様なキャリアパスを考えていくとか、あるいは夜間の訪問看護も必要になってくる。看取りなどの場合はそういうことが当然必要になるわけですけれども、そういうことを考えた場合に、小規模の訪問看護ステーションではなかなか対応できません。もちろん、地域によっていろいろなバリエーション、経過措置であるとか、地域における特性というのは考えていかなければいけないにしても、私は看護需給の分科会で議論している以上、もうちょっと大規模化を進めるべきだという方向性ぐらいは出してもよろしいのではないかと思います。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 今までのいろいろな御議論を聞いておりますと、きょうの検討会は訪問看護の分野が今、議論されておりますけれども、地域において必要な看護職をどういうふうに確保し、その人たちがどこで、どういうふうに働いていくことが地域にとって望ましいのかという検討あるいは合意形成がそれぞれの地域でなされていますけれども、もう少しそのあたりが強力に効率よく行われることを、もう一度振り返って考えてみたほうがいいように感じます。
きょうの資料の4ページですか、現状の地域、領域間での偏在の2つ目のポツのところに、必要な看護職については、中央ナースセンターが指針を示して、都道府県のナースセンターが役割を担う。それには、関係のいろいろな行政はもちろんですし、病院、診療所、医療関係の団体もみんなそこにかかわって合意形成をするということが、現状の分析として書いてあるわけですが、これがさらに拡充されなければいけないなと強く感じます。
先ほどの訪問看護の職員の研修あるいは育成というところで、病院との連携は非常に大事なのですけれども、そのあたりも地域全体で問題点をしっかりと把握していくという作業を、もっと強力に進めなければいけないなと感じます。それぞれの事業所は、事業所の存続をかけて一生懸命頑張るわけですけれども、地域として必要な看護職がちゃんと働き場があってやっていけるというところに対しては、行政も積極的にかかわって、さらに連携をとっていかなければならないわけですけれども、そこの核になるのに、都道府県のナースセンターというのは非常に大事だなと思います。そのナースセンターの運営協議会のようなものもあるわけですから、そのあたりに医療提供の病院、診療所も当然かかわりますし、行政がしっかりとその中で地域全体を考えてやっていくということを、さらに推し進めていくということが大事ではないかと感じます。
訪問看護事業所が小規模のところがたくさん増えてきたということで、確かに経営が非常に難しいところもありまして、先ほど太田構成員が言われたように、たまたま病気などで欠員になってしまった場合の、いろいろな安全弁をどうつくるかということは非常に大事だと思いますが、ナースセンターがそのあたりにかかわってくる。ナースセンターは、看護職の再就職も大きな業務ですけれども、それとともに、地域の看護職の有効活用というか、必要なところに必要な人材がうまく配置できるようにということに、さらに役割を担っていく。そのために、いろいろな関係者がしっかり支えていくという体制がぜひ必要だろうと思って、発言いたしました。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員。
○鎌田構成員 今の釜萢構成員の発言に関連しまして、6ページに挙げてあります、地域に必要な看護職の確保推進事業につきましては、前回も報告されましたが、今年度も引き続き、ナースセンター事業として実施することにしております。昨年度のこの事業においても、県行政やナースセンターと地域の関係者がワーキンググループを組織し、地域の実情を踏まえた具体的な確保策や定着に向けたアクションプランを作成することで、成果が出ているといった報告も挙げられています。今後、本会としても、このモデルを全国で展開していきたいと取り組んでおります。
さらに、地域偏在等、さまざまな都道府県ごとの課題もありますが、これについてはナースセンターだけではなく、都道府県行政の積極的な取組が必要であります。都道府県では医療計画を策定しますが、この地域偏在も含めた看護職の確保についても、しっかり医療計画の中に位置づけることが重要であると思っておりますので、この策定については国からも積極的に働きかけをしてほしいと思っております。以上です。
○尾形座長 池西構成員。
○池西構成員 6ページの地域に必要な看護職確保の推進というところで、今、養成所も、これからの養成所のあり方を考えているのですが、養成所の特徴、強みは、その地域の子どもたちを看護師にして、その地域で働くということをとても大事にしているところです。実際、養成所の卒業生をみると、多くがその地域で働いています。また、養成所でもカミングホームのような形で、卒業生たちに養成所に戻ってきてもらって、地域でのつながりを強化する取組をしているところもあります。
そういう意味で、地域に必要な看護職確保対策の中で、養成所が果たす役割を模索しているところがあります。例えば、今、ナースセンターの運営協議会とか、そういうところにももう少し積極的に養成所が入っていき、卒業生を中心として、いろいろな場所できちんと働ける仕組みづくりをしていければいいのかなと思っています。
○尾形座長 ありがとうございました。竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 先ほどの釜萢構成員の意見にほぼ似ているのでございますが、若い人たちは、いきなり訪問看護に行きたいという方も少ないだろうし、また地域にいきなり若いときに行こうという方も少ないだろうし、そういったときに訪問看護に若い方中心のプログラムができていて、そういう方向にインセンティブを働かせるというのはいい方向だろうと思います。ただ、もう少しマジョリティとして多くの方を引き寄せたいというときには、転職というものを大きく誘導していくことを考えていかなければならないだろうと思っています。
その転職する際の、例えばハローワークとかあるのですが、どうしても「職安」というイメージがあって、若い子たちがなかなか行きにくい場所でございます。そこで看護力というものを国家資本と考えたときに、全体の中でその転職の流れを自由にできうる体制に整理することはできないかということを考えるべきだろうと思っています。そのような流れをつくるために、ナースセンターというのは大きな機能をなすだろうと思っておりますが、そういったところで全看護師の動向を把握してデータベースをつくるということが必要になってくるだろうと思います。
ただ、今のナースセンターでそれを全部やろうというのは、人員も少ないし、なかなか大変でございますので、国のほうとしましても、そのようなナースセンターの組織づけに対する御配慮をいただければ、もう少しできるのかなと思っております。以上でございます。
○尾形座長 春山構成員、どうぞ。
○春山構成員 看護師等々の国家資格を持っている人がたくさん潜在している中で、1つは、なぜ訪問看護、在宅看護のほうに移行していかないのかというところを考えないといけないかなと思うのですけれども、私は2つあると思っておりまして、教育・研さん体制というところと待遇なのかなと思っています。ですので、なぜそこに流れないのかということを踏まえて考えていくということ。そのときに、在宅へ看護職が流れていく道として、新卒、転職、セカンドキャリアがあると思うのですけれども、新卒の人が在宅でいきなり働くというのは、そういう教育に当たっている方のお話も聞いていますけれども、相当の教育体制と、簡単なことではないということですので、そこはそれであっていいのですけれども、復職とセカンドキャリアから流れていく場合の研修・研さん体制と待遇というところを、仕組みとしてしっかり考えていかなければいけないと思うところです。
あと、私は教育機関に勤めておりますけれども、教育機関の立場としては、どこの看護の教育機関でも行っているかもしれませんが、ライフイベントもあるけれども看護師という国家資格を持っているという重みを意識して、生涯のキャリアパスというものを描いていかなければいけないという教育は、これからますます強化する必要があると思っています。私の大学の学生も、将来は訪問看護師になりたいと言いますけれども、ストレートに訪問看護師の道を選ぶ学生というのは本当に一握りと言うほどもいないぐらいなので、キャリアパスというところをまず各教育機関でしっかり描くというところを教育していく必要があるかなと思います。以上です。
○尾形座長 伊藤構成員。
○伊藤構成員 私も、最初から看護師が在宅医療をできるのかなという不安はありましたが、きょうのお話でも、キャリアを積んだ上でなくとも在宅医療にかかわっているという実態が随分紹介されておりますので、新卒あるいは第2新卒とかで在宅医療に移行できる選択肢を提供し、それを実現しやすくしていくということは悪いことじゃないと思います。
その際、養成機関のほうでは、在宅看護学を教育されていると思うのですけれども、その中で在宅、訪問看護ステーションなどで働く医療の現場の魅力などをきちんと伝えられるようなカリキュラムが提供される必要があると思っていますし、また、その進路指導に当たってバイアスがかかってしまうようなことがないように、それは先生のほうからすれば、キャリアパスとして、まず病院でやったらどうというのもあるかもしれませんけれども、その辺は学生の向き、不向きなどを十分見きわめるような進路指導ということも重要なのではないかと思います。
また、勤務開始後についても、どこかの医療機関に働き始めた後に在宅医療に携わりたいという気持ちになることも考えられますから、それはきょうもお話があったように、相互交流の機会がとても大事だと思います。これを行っていくときに、なかなか訪問看護ステーションとか介護保険施設などでは研修が十分できていないということが資料にもありました。
どこかの病院でやってもらうというのはすごくいいことだと思いますけれども、病院の側とすれば、自分のところで働いてくれる看護師の養成のために労力を使うならわかるけれども、いずれ出ていってしまう人のことを積極的に研修・教育できるかということがありますので、そこをシステムとして組んでいく必要があると思います。
あと、学生の研修を受け入れる介護保険施設とか訪問看護ステーションのほうにも、ただ学生にこういう業務なのですよということを伝えるだけじゃなくて、業務を実感できるような実習も普及させていく必要があるのではないかと思います。病院のほうは、かなり実践的な実習をさせていると思いますので、そういう各方面、総合的に取り組んでいく必要があるだろうと思っております。
ちょっと教えていただきたいのが、在宅医療関連講師人材養成事業の中央研修の受講者128人ということが25ページに出ております。地域医療介護総合確保基金についても、奈良、和歌山、茨城などでは研修のこととか、訪問看護師の養成の事業が、熊本、山梨、大阪で実施されているということです。実際にどういう看護師が、こういう講習や研修、養成の対象になっているのかということも見ていきたいと思います。病院の規模とか設置者に偏りがないのかと、気になっているところであります。
というのは、働いている看護師の側からは、いずれ在宅に行ってみたいと思っている人はいろいろな病院にいるのではないかと思います。民間病院の小さいところにいるのだけれども、いずれ在宅に移ってみたいと思っている看護師が、こういう事業に触れるチャンスがなかなか無いということがないようにしないといけないと思っています。地方のナースセンターを使った事業の紹介もありますけれども、求職者自身にきちんと情報が届いて、その選択肢、自分のキャリアパスのために選択できるような情報の伝わり方ということもとても重要だと思います。長くなりました。
○尾形座長 特に今、御質問ということではないですね。高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 4ページに都道府県の地域課題と挙がっているのですけれども、都道府県ナースセンターと市区町村の関連団体が具体的に支援策を検討することによって、都道府県の中でも地域格差があると思いますし、確保数とか支援策が具体的になるのではないかなと考えておりますので、その辺でも協働できるといいなと思っています。
あと1点、私が言うのもあれですけれども、平成28年に機能強化型訪問看護ステーション1、2というのができて、平成30年に3という、診療報酬の中で常勤の看護師が何人いるとか、地域の中のステーションのネットワークをつかさどる役割を担うステーションというのも制度の中で位置づけられています。ただ、まだ全ての市区町村にあるわけではないので、そういうステーションが全ての市区町村等で活躍できるような御支援をいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員。
○伊藤構成員 済みません、先ほど言い忘れました。 研修の体制ですけれども、資料の20ページの介護保険施設の継続教育プログラムや学習支援策の実施というところが、医療機関のほうに比べて著しく低いというのが見てとれます。どういうところで働くかというのは、それぞれの看護師の選択だと思っておりますけれども、行ってみたはいいけれども、その後、不安に思ったり、あるいはさらなるキャリアアップが閉ざされないようにすることも大事です。この定着支援という言葉が論点の中にありましたけれども、そういう意味でも研修機会というのは重要で、訪問看護ステーションもそうですけれども、介護医療院とか老健で働いた人の継続的な教育という機会も重要だと思っています。
○尾形座長 鎌田構成員。
○鎌田構成員 話題は変わりますけれども、論点1の中に教員等の人材確保と書かれています。これまで、今回の分科会で教員等については議論がされておりませんでしたので、私のほうから一言発言したいと思います。
教員の不足については、本会が2018年に看護師養成所の教員の勤務実態等に関する調査を行いました。現所属で就業継続の意向を持っている方は45.2%で、病院や訪問看護の約6割より低いという状況があります。また、今の職場で就業を継続したいと思わない理由を見ると、持ち帰り業務が多いというのが59.3%。また、時間外勤務が多いというのが45.3%で、上位2つとなっております。必要な負担軽減策としては、約7割の方が専任教員や実習指導教員の増員を望んでいまして、また4割が事務職員の増員と回答しています。
指定規則を見ると、看護師と看護師学校養成所は専任の事務職員を有することとされていますが、実際、現場では給与の計算等を行っていることが多く、教務事務を担う事務職員がいないので、教員に負担がかかっているといったところから、持ち帰りの業務や時間外勤務が多い状況です。この辺の負担を軽減することが不可欠ではないか。また、看護教員養成講習会の未受講者も非常に多く、教員として必要な事項を学んでいないという実態もありますし、教員としてのアイデンティティが確立されていないのが現状ではないかと。そういった意味では、教員の質の維持、担保、向上のためにも、看護教員養成講習会等の開催のあり方等についても、eラーニングであるとか、いろいろ工夫されていますけれども、さらに検討、見直しが必要ではないかと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。もう一つ論点がございますので、そろそろ論点1を切り上げたいので、手短にお願いします。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 ありがとうございます。ちょっと戻りまして、先ほど島崎構成員がおっしゃった、規模の大きな訪問看護ステーションの目標を立てていくということについて、私も賛成で、できる地域とできない地域があると思うのですけれども、できる地域についてはそういうふうに目標を立てていただくことが必要ではないかと思います。さっき太田構成員が、廃業になると路頭に迷う訪問看護師がいらっしゃるということをおっしゃいましたが、患者側も路頭に迷うと思うのです。
せっかく信頼関係を築けても、廃業になってしまったということになると、また探して、一からつくらないといけないということからすると、経営的に安定している、あるいはかなり技術の高い医療が提供できるような、大きな規模の訪問看護ステーションの目標値というものを私は立てていく必要があるのではないかと思っております。
○尾形座長 春山構成員。
○春山構成員 地域に必要な看護職員の確保として、看護師特定行為研修の推進というのが1つ挙げられると思います。というのは、まだまだ厚生労働省の目標値には遠いですけれども、実際、私どものところの研修センターに来ている看護師というのは、訪問看護師もいますけれども、病院や各医療機関が今後より在宅医療を強化していくという目的で看護師を送り出していたり、それから、研修終了後、病院の中で働きつつ、地域の看護職と、それは訪問看護師も含めてですけれども、同行訪問して一緒に相談に乗ったりという活動が進んでいたりします。それから、研修終了後は施設においても、これもまだまだ少ない数ですけれども、それこそキャリアアップ等々につながるようなやりがいを持って活躍されている方も出てきているので、一つの方策として、この特定行為研修の推進というものが挙げられるかなと思います。以上です。
○尾形座長 平良構成員。
○平良構成員 今までの論点と、ちょっと違いますけれども、5ページ、上から3つ目の○のことについてですけれども、私は看護職員の確保・定着の困難をきわめるのは、人口が少ない山間僻地、それと離島などの小規模の施設ではないかなと思っていまして、そのようなところ、ミクロの部分が切り捨てになるような、取り残されるような対策ではいけないのではないかと思っています。ここに書かれてありますように、看護職員の地域での不足や偏在の対策を考えるために、地域の実情の分析が必要であるというのは、私もそのとおりだろうと思います。
しかしながら、需給の推計は都道府県単位ですので、地域ごとの状況は見えてこないのではないかと懸念しています。地域の実情に応じた確保策を実施するためにも、地域ごとの分析を行うのに必要な情報については、国としてどのような支援ができるのかは、今後の検討課題としていただきたいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。まだ、ほかにも御意見はあろうかと思いますが、もう一つ論点がございますので、とりあえず先に進みたいと思います。また後で時間があれば、前のほうに戻っていただいても結構ですが、次に論点2「働き続けられる職場環境づくりの推進」ということです。39ページから59ページまでの部分につきまして、御質問あるいは御意見を承りたいと思います。太田構成員。
○太田(圭)構成員 太田でございます。今回、夜勤に関する論点、及び看護補助者の論点を挙げていただきまして、ありがとうございます。正直、今回、資料を見させていただきまして、私、びっくりしました。資料の49ページになります。私、さまざまな厚労省の資料を見てきていますけれども、この資料を出していただいて、私どもに届いたのは初めてです。何が書いてあるかといいますと、看護業務補助者の数は、平成24年までは少しずつ増えてきたけれども、そこから減っていっているという衝撃的な資料になります。過去この検討会で、病院の看護補助者の確保というのは非常に厳しくなっているという話、何回も出ておりますけれども、それが本当に数字としてあらわれていると思います。
平成24年というのは、それまで交付金だった介護職の処遇改善が処遇改善加算になって、かなり大きく介護職の方が介護施設側に流れた年であります。その後も、いわゆる入院医療でも当然、御高齢の患者さんが増えてきていて、さまざま介護的なケアが必要な方の比率が高まっています。また、その患者さんの絶対数が増えている中で看護補助者の数が減っている。実際、求人を出しても確保できていないという資料を出していただいております。
これに関して、今回、論点として、40ページですけれども、看護補助者の業務の実態を踏まえた役割の検討と書いていただいております。役割の検討もそうですが、病院医療の中における看護補助者の位置づけというものを、一度しっかりと厚労省として考えていただいて、ケアをされる方の供給の中に、病院の中の看護補助者というものも視点として入れていただいて対策を立てていただかないと、この傾向が進んでいくと、病院医療は多分もたないと思いますし、当然のことながら、看護師さんの方のワークシフトをする相手すら、そもそもいないという形になっていきます。ですので、ぜひ真剣に本省として対応いただければと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。森本構成員。
○森本構成員 看護補助者の業務の実態を踏まえた役割の検討とあるが、本会では、既に看護チームにおける業務の現状・課題について情報収集を重ねて、看護チームにおけるより良い業務のあり方について検討し、「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」を作成しております。その中で、看護チームにおける各職種の責任や指示のあり方についても言及しているため、ぜひ御活用いただきたいと思っております。
また、補助者の活用に関する看護管理者や看護職員への研修は、本会が既に実施しており、引き続きオンデマンドの研修・配信などを行う予定にしております。看護補助者に関しては、処遇の問題や現場の教育に対する負担が大きいと聞いています。今年度、科研が行われると聞いていますので、本来であれば、それを踏まえて議論するべきではないかと思います。確保が困難な理由や定着しない理由も明らかにした上で、各対策について検討したほうが有効ではないかと考えております。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 この看護補助者ですけれども、減っているということと、それから高い割合、91.5%で集まらないという回答があるということについて、私も結構衝撃的だなと思って見ていました。いろいろ考えてみると、例えば自分が職につくときに、看護補助という名前に「補助」がついていること自体、モチベーションとしてやってみようという気持ちになるのだろうかということに、そこからまず疑問を感じました。というのも、例えば事務の方は、病棟クラークという名前になったことで役割が少し違って見えてきたと思います。看護補助者のスキルを上げるといっても、実際に免許があるわけでもなくて、一体何をもってスキルアップとするのかということも見えてこないと思います。
実際、待遇がどれぐらいなのかということをお聞きしてみると、待遇面でもとてもいいとは言えないというか、低過ぎるぐらいの待遇ということもありますので、いろいろなことを見直していかないといけないのではないかということを感じています。
この資料の中で、今、研究が行われているということですけれども、どういう人が、どんな理由で今、就いているのかということを調べていただくことで、逆に見えてくる課題があるのかなと思いまして、そういうことまでされているかどうかということがもしわかれば教えていただきたいと思います。それから、40ページの下のほうの看護補助者の確保・活用というところに、夜勤に対応できる者の育成支援とあるのですけれども、夜勤に対応というのはどんな対応を具体的にイメージして、ここに書かれているのかということを少し具体化していただきたいと思いました。2つ質問です。
○尾形座長 2点御質問です。
○習田看護サービス推進室長 事務局でございます。1つ目の御質問の補助者の調査ですけれども、今のところ、どういう方々が補助者として業務をされているのか、なぜ補助者になろうと思ったのかという点についても調査の中で把握していきたいと考えております。
○尾形座長 2点目はいかがですか。
○乗越看護職員確保対策官 夜間の看護補助の業務ということの御照会だったかと思います。これは、もしかしたらほかの構成員の皆様のほうが御承知かもしれませんが、夜間におきましても、看護補助の実施している内容については、日中と恐らくそんなに変わらないのではないかと考えております。介助ですとか運搬ですとか、そうした業務を夜間においても行うというのが想定されるのではないかと考えてございます。
○山口構成員 それは、昼間にできることを夜、やるというだけの意味ですか。拝見していると、今までできていなかったことを育成して支援するように、新しい項目に見えたのですけれども、今は、昼間、大半の方が働いているけれども、そうではなくて、夜間も仕事をする人を想定していくという意味でしょうか。
○尾形座長 これは、医療機関にお勤めの方にお答えいただければ。では、平良構成員。
○平良構成員 私どもの病院でも、看護補助者の夜勤をする人を探しておりますけれども、人の確保がなかなか難しいところです。今の御質問の何をさせているかということですけれども、事務局のお答えのとおりで、体位変換とかおむつ交換とか移動の介助ですとか、看護師と一緒にやっております。それと、急性期の病院ですので、夜間でも検査や治療が発生しますので、検体を検査室まで運ぶ、薬品を取り寄せるなど昼間と同じようなメッセンジャー業務などを行っています。夜勤の看護師が少ないものですから、負担軽減には随分なっていると思います。
○尾形座長 よろしいですか。では、大崎構成員、どうぞ。
○大崎構成員 うちも100対1の急性期看護補助加算で3名の者が夜勤をしております。緊急入院になった方が夜間にせん妄を起こされたりしますので、看護補助者はその見守りをしてくれ非常に助かっています。先日、看護補助者のナラティブ研修をしましたが、新人よりも患者さんをよく見てくれていて、すごく戦力になるな、大事にしないといけないなと改めて思ったところです。看護補助者の処遇については、以前発表しましたように、介護保険施設を同じ法人内に持っておりますので、急性期病院の看護補助者にも処遇改善加算をつけておりますが、そういうことを考えていかないといけないのではないかと思っております。
○尾形座長 ありがとうございました。竹中構成員。
○竹中構成員 そもそもこの看護補助の制度ができるときに、とにかく資格は要らないから誰でもいいよ、地域での雇用を増大してくれという感じで始まったような感じがいたします。しかしながら、実際、病院に入りますと、たとえばリネン交換にしても感染の知識が必要ですし、また、時にはナースに準じた仕事もさせられているのかなという気がするのでございますが、そういう中で、全く知識がない方がいきなり病院に入って、長続きしないのはもっともかなという感じはいたします。
そこで、そろそろこの看護補助者という概念に対しまして、職業としての職種の位置づけをきちんとすべきじゃないかと考えております。社会の中で身分の保障といいますか、職種をきちんとして、それなりの処遇をするという対応を今後していかないと、先ほどのグラフのようにどんどん少なくなっていくのではないかと思いますので、その点の議論も必要かと考えます。
○尾形座長 伊藤構成員。
○伊藤構成員 夜勤負担の軽減ということで、45ページのグラフで夜勤時の繁忙度ということでは、2割以上の人が「忙しくなった」と言っていて、「余裕ができた」というのはほとんどないという状況で、看護補助者が確保できないことが理由なのかどうなのかは、これだけじゃわかりませんけれども、看護補助者に限らず、とにかく夜勤をする人を増やすということが重要だと思います。そのためには、健康管理は当然前提ですけれども、夜勤をする人ということでは、実際問題、処遇ということが重要になってくると思っています。あと、看護師そのものの無理のない配置ということが一番、本来のあるべきことだと思っています。
今回の資料に出てきた看護補助者のこの間の推移ですけれども、これは私にすれば余り違和感がなくて、今、雇用が大変逼迫してきていて、特に非常勤というか、時給制のところなどは賃金にもものすごく影響が出て、単価が上がったりしているわけですから、働く側とすれば、職業選択の自由があって、特に資格を求められないということからすれば、極めて合理的な行動だと思っています。仕事に見合った処遇がされているかどうかということで、シビアに働く側が見ているという面があるのではないかなと思っています。
そういう意味で、先ほど調査をするということでしたけれども、もう調査設計をされてしまっているかわかりませんけれども、看護補助者の前職とかその後の仕事とか継続勤務期間ということは把握しておいて、やめた人にアプローチして、どういうところに課題があるのかということも把握していくことが、まずもって必要だと思っています。看護補助者そのものの働かせ方については、組織的に明確化していって、業務自体を明確化して、教育体制の確立といったことも必要だと思っています。安上がりの雇用ということでは、もはや回らないと思っておりますので、適切な雇用管理ということが重要だと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。内藤構成員。
○内藤構成員 当院も53床の急性期病院をやっております。その中では、看護師の数もぎりぎりですけれども、夜勤の看護業務補助者を非常に募集しておりますけれども、ほとんど集まらないような状況です。
先ほどから出ていますように、当院でも看護補助者を募集しますと、前歴は飲食であったり、家事手伝いみたいな者であったり、看護師とか医師のように医療に対して熱意を持つ、もしくは興味を持っているというより、人のお世話が好きとか人に接することが好きで、かつ、そこそこ給料がよかったり、自宅から近いから来たという形の方が多くて、うちをやめたらどうするかというと、また飲食に戻りますという形で、資格を持った人間ではありませんので、どちらかというと、そのときの自分の気持ちとか給料。
ですから、さっきお話もありましたけれども、実際のところ人材が非常に足りませんので、そうなると、残念ながら医療機関は人が足りないときに給料を上げるわけにいきませんので、人がどんどん流出してしまうという意味では、看護師とか医師のように医療機関で働くということが前提でない方については、流動的になってしまう可能性が非常に高いのではないかと思って、実際のところ、どのように集めていっていいのかがちょっとわからない状況です。
特に、看護補助者に対して、我々として期待している一つのものとしては、特に夜勤など看護師の数が少ないといいますか、手数が回りません。それから、急性期病院と言いましても、今、ほとんどが御高齢の方ですので、認知症もあったり、自分で動けるつもりでもうまく動けない方。そうすると、ベッドから落ちてしまう。何とか歩いても途中で動けなくなる。おトイレに行きたい、ナースコールが幾つも重なってしまうと、看護師がなかなか対応できないときに、例えば見回りとか。
つまり、各病室にモニターをつけて見るということは、個人情報の問題もあってできないということが言われていますので、実際にそういう事故を予防するためには見回りの回数を増やすしかないと思いますけれども、その見回っている余裕が看護師には全くないという意味では、失礼ですけれども、看護師の手足になるぐらいの感じで動いていただける方がいらっしゃるだけでも、夜勤の看護師はすごく助かっているのではないかと思っています。
今後、ますます御高齢の方、認知症の方が増えてきて、救急病院ですらそういう方に対応していかないといけない中では、看護師の確保も必要ですけれども、資格がなくても、目の代わり、手足の代わりと言っては失礼かもしれませんけれども、そういう方が病院に増えてこないことには、入院はしていただいたものの、事故の多発であったり、お互いに不幸なことが起きてしまうということは、ふだんのミーティングでも出てきていますので、解決策があるわけではありませんけれども、何とかして増やしていく。
それから、そういうところに外国人の方に入っていただく。それこそ、こうなってくれば、モニターを使うとか、そういうことでもしていかないと、安心した医療の現場が提供できなくなっているのではないかと現場からは感じております。済みません、質問というよりも、いろいろお話しさせていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員。
○太田(秀)構成員 竹中構成員の御発言にちょっと触発されたというか、専門性をしっかり明確にするべきで、誇りを持って働けるようにしていこうという御発言だったと受けとめるのですが、まさしくそれは正しいと思いました。
ちょっと話題がそれて恐縮ですけれども、今、看護の専門性と介護の専門性に対して議論が始まっていると思うのですね。そもそも介護職の歴史を見ると、看護職のお手伝い的なところから介護職が生まれてきているはずですね。しかし、今、介護計画を立てる専門職に育ったわけです。介護過程の展開という。つまり、看護過程の展開、看護計画と介護計画というものは、そもそも視点が違っているということは大分はっきりしたわけですね。療養上の世話という中においても、看護計画における療養上の世話ですから、介護計画におけるものとは、当然専門性が異なれば違うわけですね。
そうすると、看護補助職という専門的な仕事があった場合、ナースのためにあるのか、患者のためにあるのかという根本的な部分をもう一回見直すと、つまり看護師のために働いているのか、入院患者のために働いているのかというところが非常に重要で、結局、看護補助職の人たちが患者の世話をしっかりしてくれれば、結果的にナースの仕事は少なくなると思うのですね。今後看護補助職としての専門性を議論するのであれば、患者のために仕事をするのか、ナースのために仕事をするのかという根本的なところから、もう一度議論すべきではないかなというのが私の意見です。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 まず、前提として申し上げれば、誰でもできる仕事に高い賃金を出すことはなかなか難しいと思うのです。それから、ほかの人でも代替できるという位置づけで、例えばモチベーションが上がるかどうか。先ほど山口構成員がおっしゃった問題とも関係しますけれどもね。それから、例えば高校の先生がそこに就職することを勧めるかという問題もあると思います。そういう面からいくと、業務独占ではないにしても、それぞれの職種の専門性とは何かということをきちんと考えていくことが必要で、それは同時に、結果的には看護師さんのためにもなっているのだろうと思います。
なぜかといえば、現実問題として、いわゆる看護補助者が充足できないために、その部分を看護師さんが代替しているという、この前、この場で申し上げたような逆タスク・シフトみたいなことが現実に起きてしまっているわけです。ということを考えれば、方向性としては、看護助手と言ってもいろいろあるだろうと思いますけれども、そこでお医者さんとか看護師さんとはちょっと違うにしても、どういう意味での専門性があるのかということは、きちんと議論なり、実態を把握する必要があるだろうと思います。
違うケースで言えば、介護の世界でも、介護士がやるべき仕事と、それ以外に誰でもできるというか、ボランティアがそこに入ってきてもらってできる仕事の峻別とかがされていますね。例えば、病院の中でも、一括りで看護助手と言っている仕事の中でも、そういう区分が果たしてできるのだろうかみたいなことは、私はその部分について必ずしも十分な知見を持ち合わせていませんけれども、その点については、どの程度の学術的な蓄積なり、実態の把握なり、議論がされているのか。それは、ぜひ知りたいなと思っております。
○尾形座長 いかがでしょうか。そもそも看護補助者の実態の調査をするということですので。どうぞ。
○釜萢構成員 今、島崎構成員から御質問がありましたけれども、しっかり実態が把握されているようなデータは、全くと言っていいほどないと思います。ですから、そこのところも検討が必要ですけれども、一方で、人口減少で、特に若年人口がどんどん減っていく中で、医療にだけ人材を確保するということは不可能ですから、仮に待遇が改善されたとしても、看護補助の方をそんなに増やすことが果たして可能なのかなということを常に考えながら、できることをやっていかなければいけないのではないかと思います。
○尾形座長 太田構成員。
○太田(圭)構成員 急性期と回復期、慢性期で看護補助者がされていらっしゃる仕事は、少し違うところは多分あると思います。なので、これは実際に研究や何かで把握していただきたいと思うのですが、例えば慢性期、いわゆる療養の病床ですと、基本的に看護が4対1、看護補助が4対1で入るという形で人員配置基準が診療報酬上、決まっています。具体的に言いますと、例えば、48床の病床があると、看護師さんが12人、看護補助者が12人でその病棟をケアするということになります。ですので、慢性期ですと、検体を運ぶとかそういう話よりも、先ほどから少し介護のスタッフの方の話がありましたけれども、食事の介助から体のお世話、移乗から、ほぼ全ての介護のケアをさせているというのが現状だろうと思います。その人がもう集まらないというのが、今の医療の状況だということは非常に大きな問題だと思っておりますので、ぜひしっかりと研究していただいて、必要な人材が確保できるような形の手段というか、立てていただければと思います。以上です。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。森本構成員。
○森本構成員 夜勤従事者の確保は先ほど伊藤構成員のほうからも発言がありましたように、負担に見合う処遇の改善が対策としては必要で夜勤従事者の確保のためには、もう少し柔軟な、かつ多様な働き方、例えば早朝勤務帯のみの勤務や短時間勤務などを検討するという、処遇改善などが対策として必要であると考えます。国において、3カ年計画で夜勤交替制勤務に従事する看護職の実態の把握、分析、介入研究を進めていると聞いておりますが、これらの結果を踏まえた、負担軽減のための効果的な対策や夜勤そのもののあり方をぜひ検討していただきたいと思います。
○尾形座長 これは、御要望として承っておきます。ほか、いかがでしょう。よろしいでしょうか。看護補助者については、今、議論が出たように、実態がまだよくわかっていないということのようですので、ぜひ詳細な実態の調査をしていただいて、それを踏まえて議論したいと思います。
それでは、論点2はこの辺にいたしまして、1つ残っておりますのが、前回宿題となりました「有料職業紹介について」ということで、資料の最後、60ページから62ページの部分につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○乗越看護職員確保対策官 資料の60ページが有料職業紹介についてということで、61ページ、62ページでございます。前回、ナースセンターの無料職業紹介事業についてのご議論をいただきましたけれども、その際に有料職業紹介事業者について、どのような実態になっているか、また、その規制についての御議論をいただきまして、その際に御照会があった事項についてでございます。
61ページは、有料職業紹介事業者の事業運営の適正化を図るために行われた対策ということでございます。上のほうが、職業安定法によりまして行われた対策ということで、これは職業紹介事業者に、みずからの紹介実績に関する情報提供を義務づけることとしております。これは、厚生労働省のホームページにおきまして、そうした情報が提供されておるところでございます。情報提供する項目に挙げておりますような項目を情報公開することによりまして、求職者・求人者が適切な職業紹介事業者を選択することができるようにする、このような効果を目的としたものでございます。
それから、同じ改正法に基づきまして指針を改定してございます。これは、職業紹介事業者の業務運営について、指針におきまして遵守すべき事項を明記したものでございます。例えば、紹介した求職者に対し、就職した日から2年間、転職の勧奨を行ってはならないことということを位置づけまして、いろいろ御指摘のあった、同じ人物に何回も転職勧奨するということを行わせないような事項を位置づけてございます。こうしたことによりまして、短期間で転職するような求職者の勧奨とか、繰り返し手数料収入を得ようとすることを防止するということで、これらの取組について、平成30年1月1日から施行されておるところでございます。
それから、62ページが有料職業紹介事業者による看護師の紹介手数料についての実績でございます。直近の28年と29年を御紹介させていただいておりますが、全体の紹介手数料については300億円を超えているということで、就職の件数自体は約5万件になりますので、1件当たりの紹介手数料は大体60万円ということになっております。説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 ありがとうございました。きょうは出ていないですけれども、前回の資料と見比べていただければ、ナースセンターの無料職業紹介と比較すると、就職件数は有料職業紹介のほうが4.2~4.3倍高いという状況ですけれども、一方で、1人当たり60万円、毎年300億円以上の金がこの業界に流れているということで考えると、これがさらに1年後の、例えば就職先がどこなのかというのも把握していけば、この効率性ということを評価できると思います。無料職業紹介、前回ありましたけれども、求人情報の登録ということも特別に組み合わされて事業が行えるわけですので、その辺のアドバンテージを生かしながら、広くこのナースセンター事業というものの情報が看護師にちゃんと伝わって、みんな知ってもらえるように有効活用していくという取組を提起していく必要があると思います。以上です。
○尾形座長 内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 前回のときもお話しさせていただいたと思いますけれども、結局、手数料300億円というのは、我々医療機関が経営している中から原資としてお支払いしているものになりますので、その分は医療機関としても現状、本当に微々たる利益を出している中から、継続するためにまたそこにお金を払っているという意味では、実は先日も提供させていただきました東京都病院協会の紹介業のアンケートの中でも、最近また手数料の値上げのことが言われております。もちろん、人が足りないわけですから、取り合いになれば高くても欲しい。そうすると、医療を継続していくことがどんどんできなくなっていく。本当に厳しい状況、切羽詰まった状況になっていると思います。
さらに最近は、看護補助者も紹介料であったり、派遣といった形が出てきていて、実際のところ、本来は医療に提供すべき原資がそちらのほうに流れてしまっているということ。それは、この数値だけの問題ではなくて、医療の現場を支えている我々としてみれば、日本の医療はどうなってしまうのだろうというところにまで影響するような問題だと私は思っております。
紹介業をなくせというのは難しいにしても。先日も東京都看護協会の建物が新築になりましたので、私も落成のときにお祝いに行ってきましたけれども、今回はナースセンター、東京ではナースプラザですけれども、広いスペースもとっております。ナースプラザの紹介のなかで、そこで病院を選んで、紹介業者に頼んで就職するという流れもあるという話を聞いて、本当にびっくりしてしまいましたけれども、それを利用する看護師さんたちへの啓蒙活動、意味というものをしっかり提供していく必要性、教育していく必要性があると思います。
うちも本当に小さい病院ですので、利益が厳しい中で、年間で10人も雇うと利益が半分になってしまいますので、そこのところは下卑た話で申しわけありませんけれども、御理解いただいて、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、今までの議論全体を通じてでも結構ですが、何かございますでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 訪問看護ステーションの運営、非常に難しいのですね。なぜかというと、先ほど申し上げましたけれども、労務管理から始まって、バランスシートの見方まで求められるわけです。それで、御承知の方もいらっしゃると思いますけれども、日本財団が訪問看護ステーションのアントレプレナー養成コースをやっておりまして、今年で5年目になるかと思うのですけれども、非常にすぐれた経営者が全国にいっぱい育っているのです。私もかかわっているのですけれども、ものすごくレベルの高い教育プログラムです。そこに登場する講師の面々も本当に一流の方が多くて、いい仕事を日本財団がやっているわけですけれども、残念ながら周知されていなくて、なかなか受講者が集まらないのですね。廃業に追い込まれるステーションが多いというのは、恐らくしっかりとした知識を持たずに、安易な開業の方も多いと思うので、この場で御紹介するのがふさわしいかどうか、ちょっと疑問もありますけれども、このような事業もあるということです。ちなみに、開業支援で開業祝い金や車両をもらえるとか、日本財団ならではの潤沢な予算でいい思いをしてもらえるので、ここで御紹介させていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。島崎構成員。
○島崎構成員 最初の論点1のほうで申し上げるべきだったかもしれません。今回のテーマと直接関係ないかもしれませんが、訪問看護の質の評価をどうしていくのかということは、ぜひきちんと考えていただきたいなと思います。というのは、例えばかかりつけ医とかかかりつけ薬剤師、かかりつけ歯科医とかいますけれども、かかりつけ看護師さんはいないですね。
それは、いざとなったときに、そういう看護師さんが必要になってくるわけですけれども、例えば人生の最期の看取りをお任せするときに、どのレベルの訪問看護ができるのかということについて、もちろんそこは、例えばかかりつけ医なり、あるいは信頼できる在宅医の先生が推薦するからいいだろうというやり方もあるのかもしれませんけれども、訪問看護の質をどうやって維持していくか、評価をどうしていくかということは、訪問看護は国民から期待されているだけに必要になってくるのではないかと思います。その点について、今回のメーンテーマじゃないかもしれませんけれども、ぜひ関係の団体とか関係している方々には御検討いただきたいなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 訪問看護を含めて、いろいろと検討、調査していただけるということなので、一言。
私の仮説ですが、なぜこんなに訪問看護ステーションの小規模施設がこの5年でできたのか。多分、有料老人ホームとかサ高住がたくさんできて、それごとに基本的に介入する、いわゆる訪問看護ステーションを個別でつくっていらっしゃる株式会社さんがいるからと、私自身の解釈としては思っています。有料の施設、それも在宅ですが、何カ所からも訪問看護が入る施設というのは意外に少ないという印象を持っています。
なので、今後の看護の需給を考える、訪問看護の看護師さんを考えていくと同時に、介護の体制そのものを我が国はどうしていくのか。多分、全部かかわってくる問題なのだろうと思っておりますので、いろいろな視点で調べていただいて、それが訪問看護の提供の仕方として正しいのか、正しくないのかを含めて、今後、長期的にいろいろと御検討いただければと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。そろそろ予定の時間が近づいてまいりましたので、本日の議論はこの辺にしたいと思います。本日、構成員の方々からいただきました確保策についての御意見につきましては、事務局で十分検討していただいて、次回の分科会に向けた準備をしていただければと思います。最後に、次回の日程等について、事務局から連絡をお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、改めて御案内を申し上げます。
○尾形座長 それでは、以上をもちまして、第9回「看護職員需給分科会」を終了したいと思います。長時間にわたります熱心な御議論、本当にありがとうございました。
(了)

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