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2019年2月25日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第7回議事録

○日時

平成31年2月25日(月)13:00~15:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール1A
東京都港区西新橋1-15-1 大手町建物田村ビル
 

○出席者

大崎 和子 (社会医療法人きつこう会多根総合病院看護部長)
太田 秀樹 (全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
尾形 裕也 (九州大学名誉教授)
鎌田 久美子 (公益社団法人日本看護協会常任理事)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
小林 美亜 (千葉大学医学部附属病院医療の質向上本部地域医療連携部医療安全管理部特命病院教授)
島崎 謙治 (政策研究大学院大学教授)
平良 孝美 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター副院長)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
竹中 賢治 (全国自治体病院協議会副会長)
鶴田 憲一 (全国衛生部長会会長)
森本 一美 (公益社団法人日本看護協会看護研修学校校長)

○議題

(1)看護職員の確保策について(ヒアリング)
(2)その他

○議事

○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「医療従事者の需給に関する検討会第7回看護職員需給分科会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ、御参集いただき、まことにありがとうございます。
本日は、池西構成員、伊藤構成員、太田圭洋構成員、内藤構成員、春山構成員、平川構成員、伏見構成員、本田構成員、山口構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。
また、迫井審議官は所用により欠席となります。
それでは、ここでカメラは御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。
では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。
それでは、早速議事を進めてまいりたいと思います。
本日は、看護職員確保策の取組に関して認識を深めていくために、前回に引き続きまして、ヒアリングを中心に進めていきたいと考えております。そのため、参考人として、愛知県健康福祉部保健医療局医務課地域医療支援室の志字剛太主事、一般社団法人愛知県労災指定医協会の山口裕彰事務局長のお二方にお越しをいただいております。
また、医療法人社団じうんどう慈雲堂病院の田邉英一理事長につきましては、後ほどお越しをいただく予定となっております。
このほか、構成員の中から、本日は平良構成員にプレゼンテーションをお願いすることとし、御準備をいただいているところでございます。
参考人の方々、平良構成員、お忙しいところ、どうもありがとうございます。
続きまして、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第、座席表のほか、
資料1-1 支援センターの取組
資料1-2 沖縄県立病院における看護師確保の現状と課題
資料1-3 精神科病院における看護職員確保の現状について
資料2 看護職員需給分科会のスケジュールの見直しについて(案)
参考資料 第5回・第6回の御意見の整理 看護職員確保について(たたき台)
愛知県からの「求人・求職バランスシート」「いきサポ愛知第4号、第5号」の会報
をお配りしております。
不足資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。
なお、構成員の皆様のお手元にございますブルーのファイルの赤いラベルの参考資料7に、勤務環境改善支援センターについての資料を追加で入れておりますので、御参照ください。
○尾形座長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。まず、ヒアリングを行った後、資料2について、事務局から説明をお願いすることといたします。
まずは、「支援センターの取組」について、御説明をお願いしたいと思います。愛知県の志字主事、それから、愛知県労災指定医協会の山口事務局長、御説明をお願いいたします。
○山口参考人 愛知県医療勤務環境改善支援センターの山口と申します。よろしくお願いします。私のほうからは、資料1-1「支援センターの取組」から御説明をさせていただきたいと思います。
めくっていただきますと、私どもが支援センターの業務を受けましたのが、平成29年4月からということで、今現在、2年弱になります。事務局体制とかマネジメントシステムにつきましては、先生方もよく御存知だと思いますので、ちょっと飛ばさせていただきまして、3ページの「支援センターの取り組み内容」から入っていきたいと思います。
これは、平成30年度に、私ども支援センターとして、セミナーを、県の医師会館で4回、一宮、豊橋の医師会で各1回ずつの6回開催しました。★印のついていますのが、そのときのセミナーの演題になります。この中で、1回だけワークショップ形式のものが2つほど取り組みをさせていただきました。
続きまして、次のページに移っていただきますと、マル2の「医療機関からの相談対応」としまして、今年の1月31日現在の件数が載せてあります。平成29年度が1件、30年度が6件で、来所による相談はすごく少ない状態です。電話相談は、平成29年度が72件、今年は30件で、かなり減ってはいるのです。どうしてかといいますと、これは、アドバイザーの医療機関訪問を重点に置きまして、医療機関の訪問件数をふやしたということでございます。アドバイザーの派遣につきましては、今年の1月31日現在では、平成29年度は48件、30年度は69件、これは医療機関にお邪魔した件数です。括弧書きとして、医療労務と医療経営のアドバイザーの人数が、平成29年度は76人、今年平成30年度は136人と、大幅にふえております。
この中で、院内研修も医療機関から特に求められていまして、特に、ハラスメント研修につきましては14件ございました。その中で2件は実施をしまして、あとの12件は年度内もしくは新年度で、今、日程調整をさせていただいております。ハラスメント研修は後で触れさせていただくのですけれども、看護職員の方がなかなか定着が悪いというお話をよく耳にします。その際に、1つには、看護職としての看護ケアに要する時間を充足させたいといったところが看護職員の方の大きな要求です。もう一つは、医療機関における人間関係のほうが、もっとスムーズな形で進んでいけば、看護職員の方ももっと有効に活用ができるのかなといったところがございます。スムーズな人間関係を築くためにはどうするかというと、ハラスメント研修ということで、何でも物が言える、あるいは、言ってはいけないこと、あるいは、してはいけないことをきちんと認識をしていただいて、その上での良好な人間関係をつくっていただく。こういう形でハラスメント研修に、今はちょっと重点を置いているという状態です。
それと、5番目に、「いきサポ愛知」を昨年度から隔月で発行していまして、大体1,500部印刷をしております。お手元に、「いきサポ愛知」の4号、5号をつけさせていただきました。この中には、医療機関の名前も一応載っています。これは、医療機関さんの了解をとった状態で、私どもが医療機関に対して働きかけをして、では、今どういうところまで来ているのかということで御紹介をするという内容になっております。第4号では、豊橋市の市民病院さん、めくっていただきますと、春日井市の東海記念病院さん、名古屋市港区の岡田整形外科内科さんということで、病院が2つと有床診療所が1件という内容になっております。第5号は、これは今年の4月から適用される労基法の改正の部分をちょっと触れまして。後ろのほうになりますけれども、名古屋市北区の大隈病院さんで、実際に取り組まれた内容で、「子育て支援窓口」を院内に設置して、今現在、相談の受付をしております。こういう内容を掲載させていただきまして、病院規模あるいは有床診療所の医療機関さんにお配りをしているという内容です。
続きまして、先ほどお話がございました、愛知県の名古屋中ハローワークで、看護・介護・保育の分野でバランスシートをつくっておりまして、この直近のデータを各医療機関さんにも提供しようという内容です。有効求人数、有効求職者数、就職が決まった件数、あるいは、下のほうには年代別という形で載せさせていただきまして、これを各医療機関さんにお配りをしているという内容でございます。
その次のページに戻ります。6番として、「関係団体との連携促進」ということで、私ども支援センターでは運営協議会を年2回開いております。そこで、前年度の事業実績の評価、あるいは、新年度の実施計画の策定に当たりまして御意見をいただいているという内容でございます。今回、年2回ということになりますので、途中、8月31日、10月24日、2月8日ということで、愛知県と愛知労働局の課長あるいは課長補佐の方にも御出席いただきまして、そういう途中経過の事業執行状況について御協議をお願いしているという内容です。
「いきサポ愛知」につきましては、病院協会さんとか医療法人協会さん、看護協会さんにも配布をしまして、広報をお願いしているところでございます。
その次、4番です。実際に医療機関にお邪魔してお話をお伺いする、あるいは、電話で問い合わせがあるという内容につきましては、ハローワーク等へ求人を出しても応募がないということの苦情が一番多かった内容でございます。この内容につきまして、直接、支援センターでは紹介はできませんので、ハローワークさんへ出す求人票の書き方とかこういうものを特に重点を置いて御説明をさせていただくという内容です。
その次に、有料紹介会社から看護職の方の応援を求めるということで動くケースが多かったのですけれども、大体、手数料は年俸換算の20%が、以前、1年から2年ぐらい前はそういう状態でした。今現在は、最大50%までとれるという内容になっていまして、35%から40%近くの手数料を医療機関が払って約半年間いていただこうと。半年たったら、その方は勤務の必要がないということで、ほかの医療機関に移ってしまう。そうすると、医療機関とすると継続性がなかなかとれないということで、医療機関の方もすごく悩んでおられるところでした。
ほかには、次のページで、支援センターで看護師の紹介をしてほしいという話も結構あったのですけれども、私どもの事業分野ではございませんので、これはハローワークさんとかナースセンターさんのほうに御紹介をさせていただくということでございます。
5番に入ります。今回、名古屋市内の病院さんで私ども平成29年から取り組んできまして、そこの医療機関さんの経過として1つの例を挙げさせていただきました。
最初の起点となりましたのが、29年9月26日、これは事務長さんから「働き方の向上として評価制度を導入したい。本来なら、働き方、環境整備を進めていかなければならないことはわかっているが、働きやすさと生産性向上は別の話と思っている。各部署から人を集めてプロジェクトを立ち上げたとしても、動いていける自信がない」というのがほとんどの医療機関です。
医療勤務環境改善マネジメントシステムのPDCAで提案がされていますのがPlanですね。要は、医療機関の実態をまず把握をしましょう、課題を見つけましょうといったところまでが通常は支援センターの守備範囲と聞いています。ただ、そこで、あとは医療機関さんにお任せすることになってしまいますと、医療機関さんとしては、自力でそれをもう少し発展して解消するといったところの時間的なものとか人的な要素がちょっと足りないということがございまして。私どもの前に受注してお見えになった団体さんは、そこで一つ区切りでとまってしまったのですね。私どものほうに来て、そこでとまってしまったら、また、同じ轍を踏むということで、もう少しプロジェクトチームをつくったり、あるいは、一つの課題を克服するためにどうしたらいいのかというような、ファシリテートという形で助言・指導するといったところまでは入ろうということで取り組んできたところです。 そこで、先ほどの「いきサポ愛知」に幾つか御紹介ができるような内容に少しずつなってきたということがございます。
経過的には、その後、29年12月12日から、そこの医療機関さんで課題をそれぞれ見つけていただいたわけですけれども、メンバー的には6~7名で発足していただいたということです。院長の許可もいただいた上で、そこの委員会で決めたことは優先的に院長先生も守っていただくという、権限が付与されないと、ただガス抜きで終わってしまうといったところがございまして、こういったところは院長先生も御理解をいただいたという内容です。それで、実際に動いてきました経過としては、その後ずっと載せさせていただいたところです。
10ページに、子育て世代の離職防止を目的とした子育て支援窓口の開設といったところがございまして、これを医療機関さんのプロジェクトできちんと議論がされまして、どういう形の支援ができるのかどうか、その支援の時期はいつにするのかといったことで、熱心に議論をしていただきまして、それで、30年12月12日に、「子育て窓口のご案内」というポスターをつくって、それを掲示したということでした。
医療機関さんのプロジェクトのお話を聞きますと、育休をとって復職をしようといった場合には、実際に、復職した後のフォローが一番大事と。復職する前にいろいろ体制をつくっていただくのは必要だとは思うのですけれども、復職しても、元の職場に戻れるかどうかはわからない。外科とか内科とかそういう病棟のほうにお見えになった方が、そこの病棟で受け入れてくれるのかどうか、そこは、御本人の希望するところと違ったといったところもちょっとございまして、受け入れた後の検討も必要ではないかというふうで、今現在、相談の窓口をつくって、動いていただいていると。
一番最後にもありますように、今度、特別休暇の半休取得、こういったものも医療機関でもっときちんととれるようにしようではないかという声も上がりまして、1つの1サイクルが終わったということで、今度、2サイクル目に入っていっていただけるというふうなことが、その医療機関のプロジェクトとして動き出してきているかなと思いまして、それを載せさせていただきました。
5番目です。支援センターの支援内容につきまして、これ、3つほど項目は挙げさせていただきました。人材確保が最優先で取り組まれるという必要があります。こういったものにつきましては、今後についても、適切な助言を展開させていただきたいなと思っております。
ちょっと長くなって、大変申しわけありません。
7番目の一番最後のほうになります。今後の支援センターの活動としまして、「セミナー」の計画実施が当然今年もさせていただこうということで、6月に改正労基法が施行されまして、愛知県内の医療機関にも監督署から行政指導が入っています。この中で、その指導の内容とか、これから先、防止をするにはどうすればいいのかといったところ、あるいは、看護師の正循環勤務体系で実際に採用されているところがあるのかないのかというお問い合わせもちょっといただきまして、愛知県内で今現在取り組んでいただいている医療機関さんには、7月のセミナーで中間報告的なところもしていただこうと思っています。
「院内研修」につきましては、今現在のハラスメント研修を今年度、来年度に向けて開始をしていきたい。
あと、今年、大学病院規模で「職員の意識改革」の院内セミナーをやってほしいということで、そこは約5,000人規模の医療機関ですけれども、これから先、医療機関さんと打ち合わせをしまして、どういったところが本当に必要なのか、必要でないのか、そこを絞って進めていければと思っております。
あとは、アドバイザーの派遣と平成31年度から「医師勤務時間短縮計画」についての助言も入ってくるということで、当然、医療機関さんに向けて、医師に対する時間短縮のほうで、また、新たな御助言を進めていければと思っております。
概略ですが、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見を承りたいと思います。
吉田局長。
○吉田医政局長 特に構成員の方から御質問がなければ、時間をとるような形で済みません、事務局から、2つほど教えていただきたいのです。
2つありまして、1つは、ここに書いていただいたように、アドバイザリーを初めとしてセンターの対応能力というところが、私ども全国47センターをお願いしておりますと、いろいろな機会に我々も把握をさせていただいていますけれども、人を確保するのが大変、あるいは、ノウハウをためるのが大変というお話を伺っています。医療機関にノウハウがないからセンターにアドバイスを求めると言っても、それに応える人がどこにいるのだろうかというのは地域によっては非常に悩みが多いと伺っておりますけれども、きょう御報告いただいた、例えばアドバイザーみたいなところ、「いきサポ」を拝見すると、派遣されている社労士さんの一人ずつの御紹介もあるやに伺っていますが、職能で言うと社労士さん、あるいは、社労士さんの中にもいろいろと得意・不得意が分野としてありましょうから、どういう形で人を確保されているか。あるいは、センターとして、そのセンターの職員の方々の人づくりをどうされているかというのが1点です。
もう一点は、統計の話ではなく、皮膚感覚でお答えいただければと思うのですが、勤改センターのお仕事は、決して看護師さん、看護分野だけに限るものではなく、例えば、今、御報告ありましたように、来年度以降は、ドクターのいよいよ2024年からの上限に向けてのいろいろなプロジェクトを、今、検討会で検討をし、それを、また、実務に落としていこうと思っておるのですが、今までの愛知県におけるお取り組みを振り返られたときに、あるいは、受託をされたお立場で振り返られたときに、その職能分野別で言うとどの分野が。ほとんどが看護師さんですとか、半分ぐらいですとか、ざくっと感覚的なところでどんな感じかというのを、特に職員に限らず、病院全体の先ほどありました大学病院クラス、意識改革とかというと職能はあんまり関係ないように思いますけれども、その辺りについて2つ教えていただければと思います。
○尾形座長 山口事務局長、お願いします。
○山口参考人 それでは、まずセンターの対応能力というところですけれども、今現在、アドバイザーで社労士の方は6名お願いをしています。医療経営アドバイザーとしては2名。ですから、8名ですね。支援センターは月曜から金曜までの開所なので、5日間につきましては日にちを決めてアドバイザーの方が入っていただいている。ただ、アドバイザーの方に入っていただいても、先ほどの件数で言いますと、電話とか来所による相談はすごく少ないのですね。そうすると、実際には、医療機関に赴いて、医療機関の求めているものが何なのかといったところをまずは把握をしていただかないと、食い違ったままで何も話が進んでいかないといったところがあります。
きょう資料としてはちょっと持ってきたのですけれども、済みません、すぐには出てこないです。
実際には、前年度と比べるとアドバイザー派遣の人数は約倍になっています。アドバイザーの方は社労士で開業してお見えになりますので、開業している間を縫って支援センターに御協力をお願いしていると。そうすると、アドバイザーの方が私どもの仕事にシフトをしていただくときにそれなりの手当を払わざるを得ないといったところがありまして、通常よりも若干高めにしています。その高めにしている理由につきましては、当然、医療労務の研修を受けられた社労士の先生に一応就いていただいているということがございまして、当然、医療機関を実際に顧問先でお持ちの社労士の先生がお見えになります。そういったところで、最初、各医療機関にお邪魔するときには、私、事務局長も同席をして、それでお邪魔しているということです。私どもの労災指定協会は、愛知県内で労災指定医療機関が約1,300あるのですけれども、約50年の歴史がありまして、それで、医療機関の先生方とかそちらとも接する機会が多いのですね。そういったときには、なれない社労士の先生方と私もお邪魔して、一緒にお話をお伺いするという形で対応させていただいています。ですから、私ども職員のほうは、労災指定協会の事務と支援センターの事務ということで兼務みたいな形でさせていただいています。
前年度、もう一年前は、社労士の先生方を11名抱えまして、半日単位で午前・午後と分けてシフトを組んでいただいて、そこへ入っていただいていたのですけれども、それですと、半日単位で人がかわってしまうということで、なかなか連絡体制が難しいということがございまして、今年からは1日単位で入っていただくという内容になります。
医療機関にお邪魔するときに、病院規模ということになりますと、お一人だけで対応するのはなかなか難しいということがございまして、場合によっては複数でお邪魔して、それで、それぞれのアドバイザーがどちらを担当するのかという形で分業化するという形で負担を減らすというのが1つかなと思っています。
勤改センターで、私どもはどちらかというと看護職の方がどうしても人が足りないという先生方の御要望もありまして、看護職の方を対象にせざるを得ないと思っていました。今年の4月から、医師を除く医療従事者の労基法の改正で縛りがついてきますので、そこはそこで私どもフォローはさせてはいただくのですけれども、今度からは、医師の方につきましても、5年計画の中でどうやったら勤務時間を減らしていけるのかということは、何回か医療機関と接触を持たないとそう簡単には進んではいけないということがありますので、1回や2回だけではなくて、医療機関の中にきちんと入った上でお話ができるような形を進めていければと思っています。
○尾形座長 吉田局長、よろしいですか。
○吉田医政局長 はい。
○尾形座長 太田(秀)構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田ですが、ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですが、助言いただく内容の中に、ハローワークに提出する書類の書き方の指導もあるということなのですが、そんなに難しい内容は要求されていないのですが、そこのコツは具体的にどういうことかということと。
それから、派遣で、期限が切れたらお辞めになってしまう方は確かにいらっしゃるのですけれども、派遣会社の非常に手厚い処遇というのがあって、どこかに就職するたびに就職の祝い金がもらえたりするのですね。それを目当てと言ったらちょっと失礼かもしれないのですが、何カ所も半年ごとに動いていく方がいます。そういったことを法的には何ら規制がないのでしょうか。これは山口参考人にお聞きすることではないかもしれないのですが、その2点ですが、お願いします。
○山口参考人 ハローワークに各医療機関の先生方が直接赴いて求人票を出しましょうといった場合に、定型的なことは書けても、そこの医療機関として特色が何があるのかと。要は、残業がないとか、福利厚生が進んでいるとか、シフト勤務がほかの医療機関と比べても楽なほうですよというようなものとか、そういう特徴点をきちんと書かないと、求職をする方からすると、どこを判断基準にするのかというふうに多分なってくると思うのですね。ですから、そういう部分の書き方のアドバイスをちょっとさせていただいているということです。
2つ目ですけれども、有料職業紹介、こちらで紹介会社を通してほとんどのところが動いてお見えになるのですけれども、安定課にお聞きする限りでは、登録の仕方によっては、20%ぐらいの手数料で終わるところもあれば、最大50%までそれを手数料としてとれるところがあるといったところで、需給調整のほうでそういった話をちょっとお聞きしました。 ですから、何としても看護師の方を集めなければならないということになりますと、ハローワーク、ナースセンターさんで紹介がなければ、そういった民間の会社を利用する以外ないということが現実だと思っています。
ただ、それだけの手数料を払うのであれば、ほかの職員の方の福利厚生できちんと回されたほうがもっと有用ではないのかなとは思っています。
○太田(秀)構成員 済みません、質問の仕方がちょっとまずかったかもしれないのですが、登録して、半年ごとで渡り歩くような方もいるのですが、それは法的には何ら制限はないのでしょうか。それは事務局にお聞きすることかもしれませんね。
○尾形座長 事務局、お願いできますか。
○乗越看護職員確保対策官 これにつきましては、また、資料もお示ししたいと思いますけれども、職業安定法がこの問題については対応するということで改正をされておりまして。それに基づく指針をつくっておりまして。その指針の中に、求職申込の勧奨につきまして、求職者に金銭等、お祝い金、そうしたものを提供することによって行うことは好ましくないということが指針の中に盛り込まれております。その他、紹介したその求職者に対して、就職した日から2年間は転職の勧奨を行ってはならないことといったようなことについても、その指針の中に明記されておりまして、そうしたことによって、就職してから短期間で転職をするよう勧奨して、おっしゃるような繰り返し手数料を得ようとすることについて防止をするという仕組みになっております。これが平成30年1月1日から施行されております。
○尾形座長 よろしいですか。
○太田(秀)構成員 はい。
○尾形座長 ほかはいかがでしょう。
釜萢構成員、どうぞ。
○釜萢構成員 本日のテーマとは少しずれてしまうのですが、勤務環境改善支援センターと地域医療支援センターとの連携について、愛知県の取組等について教えていただければ、大変ありがたいと思います。
○志字参考人 今、愛知県で、地域医療センターを管轄しているのが、私のおります地域医療支援室にあります。また、そこで、医療勤務環境改善支援センターも担当しているということで、一応組織の形としては連携はとれる状況にはなっております。ただ、地域医療支援センターの例えば運営委員会とか、センターに入っていただいている医師の先生の方と直接やりとりをしているかというと、今は、まだ、その段階にはない形ですね。
○釜萢構成員 今後の改善の方向等についてはいかがでしょうか。
○志字参考人 今、医療法が改正された中で、そういった地域医療支援センターと勤務環境改善支援センターは連携をとるようにということの指針が出ていますので、もちろん今後はやっていかなければならないということで、今は、まだ、検討中という段階でございます。
○釜萢構成員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、次に移りたいと思います。次は、「沖縄県立病院における看護師確保の現状と課題」についてということで、御説明を願いたいと思います。
平良構成員、よろしくお願いいたします。
○平良構成員 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの平良と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、沖縄県立病院全体のお話と、現在、私が勤務しております病院における看護師確保の現状についてお話をさせていただきます。
2ページをお開きください。本日お話しさせていただく内容はこちらの4点です。特に4点目の離島診療所の看護師確保については、へき地医療の人材確保の難しさ等がありますので、私どもの県立病院がどのような取り組みをしているのかをあわせて御説明させていただきます。
3ページをお開きください。県立病院の御説明をいたします前に、まず沖縄県の概況から少しお話しさせてください。
4ページです。日本列島の南西方向に位置する沖縄県は広い海域に点在する島々から成り立っておりまして、合計160の島で構成されております。距離にして約1,200キロ、東京から九州までがすっぽり入ってしまうほどの広さの中にあります。沖縄県の人口は約142万人で、その半分は南部保健医療圏に集中しております。65歳以上の高齢化率は19.6%で、全国でも低い値となっております。沖縄県の保健医療圏は5つありまして、本島は北から北部・中部・南部医療圏の3つ、離島になりますけれども、宮古医療圏、八重山医療圏の5つとなっております。
5ページをお開きください。沖縄県の看護関連指標についてお示ししております。看護職の実人員数は左上の表のとおりです。人口10万単位で見ますと、全てで全国値を上回っている状況です。県内においては、看護系3大学と5校の看護師養成所があり、入学定員は合計で726人です。ここにはお示ししておりませんが、平成29年度の卒業者数683人の中で看護職として県内に就職したのは443人で、県内就職率は64.9%でした。県外へ就職したのは173人で25.3%です。
右下囲みの正規雇用看護職員離職率10.9%と新卒看護職員離職率7.6%は、全国の数値でして、沖縄県の値が漏れております。本県の看護職員の離職率は10.4%、新卒者の離職率は6.4%で、いずれも全国値より低い値となっています。
では、6ページをお開きください。次に、沖縄県立病院の看護師確保について御説明いたします。
ページをめくっていただきまして、7ページをごらんください。初めに沖縄県立病院の概要からお話しさせていただきます。ページ左にお示ししています図のような組織になっております。地方公営企業法全部適用の組織で、沖縄県病院事業局に県立病院課と6つの県立病院があります。看護職員の平均年齢は39.6歳と、高めになっております。
右にお示ししましたのは、平成30年度の各県立病院の看護職員と看護補助員の正職員の定数です。
8ページをお開きください。沖縄県立病院には、左側にお示ししました5つの役割がございます。特に救急医療は、24時間365日、一次から三次救急医療の提供をしている組織です。
看護師確保対策としては、右にお示ししてありますようなことを行っております。2番目の看護師養成機関への看護職員派遣研修は、年に1人職員を派遣し、看護教員としての実務研修を行わせております。研修期間中の給与は県立病院からの支給となっています。現在までに、看護師6名を研修に出しております。3番目にあります認定看護師資格取得助成は、年間約6名に対して、研修費用や県外での宿泊費を補助するものです。研修期間中も給与の支給はあります。現時点で、17分野54名の認定看護師が6病院で活躍しております。5番目の代替看護師派遣事業については、後ほど御紹介させていただきます。
めくっていただきまして、次に、沖縄県立6病院の1つであります当院の看護師確保の取り組みについてお話しいたします。
10ページは時間の関係上、飛ばさせていただきまして、11ページをお開きください。当院の概要です。当院は、許可病床434床の急性期病院です。入院基本料は一般入院料1の施設となっております。看護師は、30代から40代の看護師が多い組織で、看護師の平均年齢は38.3歳と高めになっております。
12ページをお開きください。平成25年度から平成29年度の看護師離職率は、左のグラフのとおりです。平成29年度は、全体で4.3%、新人が4.4%の離職率でした。離職理由は右にありますけれども、最も多いものは健康上の問題、他施設への転職でした。29年度の離職者26名中2名は新人で、離職理由は急性期への不適応と県外施設への転職になっております。
13ページをお開きください。当院における看護師確保の取り組みについては、主として、離職防止の取り組みを御説明いたします。当院では、平成23年に沖縄県ナースセンターが開催しました「看護職のワークライフバランスワークショップ」参加しまして、勤務環境改善に取り組み始めました。変則二交代制もその取り組みの1つです。また、勤務管理システムによる出退勤管理を導入して、看護師長による労務管理の強化に、今、取り組んでいるところです。看護師1人当たりの月平均超過勤務時間は、現時点で4.7時間となっております。超勤理由の多くは記録に関するものとなっています。
育児・介護支援としては、育児短時間勤務や部分休業、介護休暇等の制度を活用しながら働き続けられるように支援をしております。
育児・介護以外の支援として、大学や大学院への進学のための修学部分休業や自己啓発休業、配偶者同行休業などを利用してキャリアを継続している職員も現におります。
14ページをお開きください。当院では、目標管理を徹底することで、個人面接を通してキャリア支援を行い、モチベーションの向上を図り、やる気を持って生き生きと働くことができるように体制を整えて支援をしております。現任教育では、クリニカルラダーごとの研修内容の整備をしておりまして、個人個人は自分の立ち位置を確認して目標を持って前進できるようにキャリアファイルをつくりまして、嘱託を除く全ての看護師に配付し、ポートフォリオとして活用してもらっております。これは、人事異動で他の県立病院へ転勤となっても、個人とともに移動して次の職場でも使えるようになっておりまして、キャリア支援が滞らないように努めております。
15ページをお開きください。最後に、沖縄県病院附属診療所の看護師確保について御説明いたします。
16ページをお開きください。この図は、沖縄県の「第7次保健医療計画」から抜粋したものです。少しわかりにくいですけれども、太い線で二次医療圏ごとに区画されております。一番下の枠の中に記号の意味が書かれていますので、御注目ください。赤塗りの四角に白文字で「病」と書かれたものはへき地医療拠点病院でして、県全体で7施設あります。そのうちの5施設は県立となっております。県立病院が運営しています附属診療所は、赤塗りの丸に白文字で「医」と書かれた16施設です。診療所側から見た本院を「親病院」と呼んでおります。町村立のへき地診療所は8施設ありまして、図の中では緑塗りの丸に黒文字で「医」と書かれたマークが置かれたところになります。
17ページをお開きください。この図は、沖縄県立病院のうち5病院が運営している離島診療所を取り出して示したものです。各県立病院は所属する医療圏にある離島診療所の運営をしています。当院は南部医療圏にありまして、8カ所の離島診療所を運営していることになります。
18ページをごらんください。当院附属診療所のある離島の人口と島の入域観光客数を参考までにお示ししたものです。人口の多いところで1,300人弱、少ないところでは約250人という島々です。一方、島を訪れる観光客の数は、右の表のように、10万を超えるところもあり、観光立県を打ち出している本県にあっては、今後もこの傾向は続くのではないかと考えております。
19ページをお開きください。沖縄県病院事業局では、16カ所の離島診療所の看護師確保策として、平成25年に、沖縄振興特別推進交付金を活用した沖縄県病院事業局代替看護師派遣事業を開始しております。企画の目的は、お示ししてありますように、離島診療所における看護師の勤務環境を改善することによって、安定的に看護師の確保を図ることです。具体的には、診療所の看護師の研修参加機会や休暇の確保、それと、体調不良等の急な対応を要する問題の発生時に安心して島から出ることができるように、かわりに勤務する看護師を派遣するという事業です。代わりに勤務する看護師は、離島医療支援看護師、通称「しまナース」と呼ばれております。県立病院全体で2名の配置となっており、所属は県立病院課です。運用については、次の資料で御説明いたします。
右下のグラフは、この事業によるしまナースの派遣日数の推移を示したものです。平成24年度は、事業開始前ですので、診療所の代替看護師は全て親病院からの派遣となっていました。しまナースの派遣日数は、2名の合計です。
20ページをお開きください。左にお示ししてありますのが、しまナース派遣までの流れです。左下の診療所看護師が島を離れる用件が発生する場合に、事前に親病院の看護部に依頼をして、それを受けた看護部が県立病院課へしまナースの派遣要請をします。しまナースの調整がつかない場合には申請が却下されますので、親病院内部で派遣する看護師を調整して診療所へ行かせることになります。
しまナースの活動内容は右にお示ししたものです。診療所看護師業務の代行はほとんど全て実施しております。
21ページをお開きください。ここでは、診療所看護師の業務をざっくりと御説明いたします。県立病院附属診療所は、医師1名、看護師1名、事務1名体制での運営が基本です。その中で、看護師の業務は左に示したものが主な内容となっております。与薬業務の薬剤在庫管理は、薬剤の保管だけではなくて、発注から廃棄手続までの一連の管理を行いますし、検査業務は、検体の採取はもちろんですが、血液の遠心分離処理や搬送に耐えられるような梱包、沖縄本島へ向かう船までの搬送などもナースが行っております。
22ページをお開きください。一人でさまざまな業務に対応した仕事をしている診療所看護師には、業務を進める中で迷うことも多々あります。そこで、当院では、月に1回程度、16診療所の看護師が自由に参加できるWEB会議を開催しております。診療所看護師が振り返りをしたいと考えている事例の検討が主なテーマとして挙がりますが、認定や専門看護師から知識を得たり、意見を聞いたりする勉強会も要望に応じて開催しています。右上の写真は、県立中部病院の認定看護師が中部病院から会議に参加して講義や相談に応じるところを写真に撮ったものです。その左側上にあります写真は、WEB会議のモニターを撮ったものです。
左の表は、平成29年度に実施したWEB会議のテーマを一覧にしたものです。直接対話をすることで、情報の共有や意見の交換ができるので、問題解決が書面で行うものよりもスムーズに行えるということで、診療所看護師からは好評を得ているものです。
23ページをお開きください。今後の課題ですが、今後の課題としては3点挙げております。離島診療所で働く看護師の安定的な確保は大きな問題と考えます。先ほど御説明いたしましたように、診療所看護師の業務内容は多岐にわたっていますので、看護実践能力が高くて、協調性や調整能力に優れた人材の育成が必要と考えております。看護師1人配置となるため、休暇の確保や日々の相談体制、看護師としてのキャリア支援等も含めて、さらなる勤務環境の改善を図る必要があると考えています。
2番目に挙げました働き方に関する多様なニーズへの対応も大きな課題でして、育児や介護、自分のキャリア開発など、さまざまな理由で働き方の相談に来る職員がふえています。辞めずに働き続けられる環境をどのようにつくるのか、業務の効率化は必須ですが、多様な働き方を受け入れる職場の風土づくりも強化が必要なところだと考えております。
3番目の時間外勤務縮減の取り組みも業務の効率化を図ることが必須で、そのためには、
職員の意識改革もあわせて取り組まなければいけないと認識しております。
以上で発表を終わります。ありがとうございました。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見をどうぞ。
竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 全自協病の竹中です。全自協病学会でこの「しまナース」に関しましては御発表をお聞きしておりまして、すばらしい取り組みだといつも感じております。
質問でございますが、離島の診療所が16~17ございますよね。しまナースは補完的に機能を代替するということで送られるわけですが、常駐している方は常にこの診療所にはいらっしゃって、そういう方の研修とか、確保といいますか、そういうことはどのようなことになっているのでしょうか。
例えば、21ページのような、薬剤師業務の服薬指導等々の業務もしなければならないという状況で、研修もなかなか大変であろうし、行く人も確保できるのかなと思ったりしますものですから、その点をよろしくお願いします。
○平良構成員 ありがとうございます。
現在、16診療所にそれぞれ1名ずつ看護師は常駐しております。短い人で1年で交代になりますけれども、行っていただければ勉強になる。急性期病院のような看護のスキルが学習できるというよりも、地域が見れる、生活の中に医療があるということで、残ってくれる人も結構おりまして、今、うちの8病院では、最長4年目、今度戻ってくる職員がおりますが、4年行ってくれた人もおります。
確かに、先ほどもお話し申し上げましたように、一人しかおりませんので、実践能力が確かであるというところもそうですけれども、医師一人、事務一人ですので、3人しかおりませんので、協調性がないと、まず、チームワークが乱れる。それと、役場の職員とか、社協の職員の方々、民生委員の方々と一緒に島のことをやっていかないといけませんので、調整能力もあるということになりますと、かなり育成は難しいです。しかし、先ほども資料でお示ししたように、クリニカルラダーのIIIとかIVとかという看護師が結構な数おりますので、その中から能力の高い人の人選はできます。ただ、行けるかどうかというのは、また、別の話でして。そういうような問題が1つあります。育成については、県立病院課で、島しょ看護体験研修というもので5日間のコースを組んでおりまして、それは、中身は結構優れていまして、沖縄県立看護大学が研究事業で開発しましたプログラムを県立病院バージョンに一緒に変えていただいて、県立病院の職員向けに行っているものです。診療所の看護のあり方そのものとか、地区踏査とか、現場に行った実習もしますので、事前に、どのような仕事が島では行われるというのをある程度把握した上で行っていただけることになります。
○竹中構成員 4~5年程度の若い中堅の方をローテートするようなシステムができているということでしょうか。それには、何かインセンティブを効かせるような優遇制度とか何かそういうのが働いているのでしょうか。
○平良構成員 離島ですので、へき地手当が、生活の不便さとか、本島との距離とか、島によってインセンティブは違いますけれども、月々の離島手当はついております。
システムとして、何年目のナースを離島診療所配置と決めてローテーションしているからというと、どうも、そうもいかなくて、配置転換にはいつも難渋して、人探しは苦労をしているところです。ただ行ってもらうのではなくて、そこで開発できる能力が先ほども申しましたようにございまして、どちらかというと管理能力のほうが育つところだと私たちは考えておりまして、副師長の前の段階とか師長の前の段階とかで頑張っている職員をできるだけ行ってもらうようにという努力はしております。
○竹中構成員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
島崎構成員。
○島崎構成員 今のしまナースのことで、ちょっとイメージがわかない部分がありお伺いするのですが、19ページの資料を拝見しますと、しまナースの派遣日数が331日で、2人だと165日とかと、そんな感じですよね。そうすると、研修は1日で終わったりすることもあるのかもしれませんけれども、派遣される2名の人は県立病院課に配置と言っても、ほとんど県庁にはいないのでしょうかというのが質問の1つです。
それから、常勤でおられる看護師さんの力量に比べて、代替で行った看護師さんの力量が劣ると言ったら失礼かもしれませんが、そういうことになると島民からいろいろな不満とか出てきたりするのではないかと思うのですけれども、県立病院に配置されている看護師さんのイメージ、例えば、ベテランであるとか、非常に力量が高いとか、あるいは、165日も行くという話になると、肉体的にもかなり大変なのではないかと思うのですけれども、その辺どのような感じなのか、御説明いただきたいと思います。
それから、29年度は親病院からの派遣が結構ふえていますね。これは平成29年度の特異性なのか、2人ではちょっと回らなくなっているのかとか、その辺の需給の状況について教えていただけますでしょうか。
○平良構成員 確かにおっしゃるとおりで、しまナースが職員として名前は県庁に置いていることになりますが、もっと具体的に言いますと、県庁兼務で南部医療センター・こども医療センターに配置ということになっておりまして、離島に行かないときは、当院で救命救急センターに行ってみたり、小児科に行ってみたりして、スキルの維持を図るような研修をしております。ただ、この日数出ておりますので、なかなか当院にもいないです。
29年度に親病院からの派遣もかなりふえてきているのは、これは必然かと思われます。特に何か変わったことが起きたとかではなくて、今まで我慢していたというか、出てはいけないではないですけれども、遠慮していた診療所のナースたちが、研修があるからこの研修へ行きたいとかというのを言ってきておりますので、しまナースを配置した効果だと思っております。これはもともとのねらいがそういうことでしたので、いいことかなと思っております。ただ、これがずっと続くという傾向にあるということもありまして、県立病院課では、しまナースを3名体制にするという動きが出ております。そうなれば、また、親病院のほうもちょっと楽になるかなと思います。
しまナースのスキルが、実際の診療所のナースと比べてどうかということですが、むしろ、高い人がしまナースになっておりまして。今までしまナースをしてきた人は全員離島診療所の経験者です。16診療所どこに入っても、特徴さえつかめば結構動いてくれていますし、しかも、常駐でいるナースが気がつかないところの作業環境の改善でありましたりとか、物の整理の仕方とか、ほかの診療所を見ておりますので、いいところの取り入れとか、あるいは、診療所のナースが親病院に物を言えないときは、代弁者になって、情報提供も親病院にしてくれますので、しまナースができて、環境は大分変わったと思います。
○島崎構成員 それなりの年配の方なのでしょうか。希望される方も結構いらっしゃるのですか。それから、なかなかしんどい仕事なのではないかとは思うのですけれども、集まるのでしょうか。
○平良構成員 何しろ平均年齢39歳の組織ですので、しまナースも40前後の者が行っております。今、一人は50歳代の者が行っておりますが、体力的に厳しいということで、2年が限度のような感じになっております。ただ、島に常駐するナースに比べまして、人材確保のハードルは少し低いような気がします。
○尾形座長 よろしいですか。
○島崎構成員 はい。
○尾形座長 それでは、小林構成員どうぞ。
○小林構成員 追加で御質問ですけれども、1診療所に1人の看護師ということは、土日とか休日とか、特に18ページを見せていただきますと、離島へ入ってくる観光客数がかなり多いということで、観光シーズンになると、そういった方々から傷病者が出てくると思うのですけれども、そうすると、24時間オンコール体制になってしまったりとか、しまナースの派遣もありますけれども、なかなか休暇がとりにくい等のことが起きると思うのですけれども、その辺りはどのように対応なされているのでしょうか。
○平良構成員 おっしゃるとおりで、原則、土日は拘束しておりません、非拘束です。ただ、使命感がありますので、出にくいという声はやはりあります。確かに非拘束ではありますが、急患が発生したときには、医師1人では無理なこともありますので看護師も出ております。それは、超過勤務の扱いで処理をしている形になります。これが続くことは今のところ目立ってはおりません。これは事例ですけれども、台風の時に、ヘリで搬送しなければいけない患者さんが発生してしまい、診療所で点滴やら何やらして患者さんを診ないといけなくなるのですけれども、3日間、医師と2人で交互に泊まって患者さんを診て、やっとヘリが動かせるようになって搬送したという実態もあります。その後、しまナースの確保ができたり、親病院からの派遣の看護師が調整できましたら、休暇をあげるようにはしております。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。
森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 人材育成についてお伺いいたします。しまナースの育成を、病院が体制的に構築されてその体制の中でおやりになっているのか。本人のキャリアラダーとの関係でラダーⅢということがお話に挙がったのですが、このレベルになるまでは無理だとか、このレベルになったら、しまナースとして、本人の希望も含め推薦が上がってくるのか。病院全体的な体制整備も含めて教えてください。
○平良構成員 ラダーのIII以上はもう決まっていることでして。どうしても離島診療所の看護師の業務からしますとラダーIIIは必然でしょうということで、III以上の人ということで決めております。
ただ、体系的に、看護師を離島診療所のナースとして育成をしているかというと、検討を始めようとしているところで、まだ、体系化はされておりません。ただ、沖縄県立病院の役割の中に「離島医療支援」が入っておりまして、診療所がある病院であるというのは、入職時から看護師には当然のように言い聞かせておりますので、教育の中で体系化すればどうにかなるかなと思わないこともないのですけれども、生活をする場が移る、しかも、離島・へき地となると、行ける人が限られてきて、行きたいと思った人でも、子育てがあったりとか、介護があったりとか、そういうことで断念するという人もおりますし、どちらかというと「行かせてください」という人はほぼいないです。ただ、私たちは、現場の師長たちに、「育てたい看護師を出しなさい」ということで、半分説得のような形で対応しているところです。教育の体系化はこれからやっていかなければならなくて、キャリアパスとしてどこか入れ込めないかなと、考えているところです。
○尾形座長 よろしいですか。
○森本構成員 はい。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 16ページと17ページについて質問します。へき地の診療所の看護師確保は、本県でも非常に難しくて、地元出身者がいなくなると、大体看護師さんが集まらないという状況があります。この16ページを見ると、歯科診療所を除いては、県立もしくは市町村立の病院ということは、籍は公務員として県庁から派遣しているということですか。そうした中で、人事異動は平均何年かというのが最初の質問です。
2番目の質問は、私の理解と違っていたのですけれども、12ページの離職の中に定年が入っているのですけれども、一般的に、左側の図は、常勤の離職率と新人看護師の離職率はどっちが高いのかよくわかりませんけれども、平成28年に常勤の離職率がここだけが高いのですが、これは、定年が多いから高くなったとか、そんな理由ですか。
○平良構成員 2番目の質問からお答えします。そういう背景もあります。定年を除いてしまいますと、かなり低い離職率になってしまうということと、たしか、日本看護協会の算定の仕方が、定年の看護師も入っておりますので、比較しやすいようにということで、入れております。28年は、確かに定年の数が多かった年です。
1番目の質問で、離島診療所に配置する看護師ですけれども、県立病院の看護師、正規の職員が行くことになっております。もし、その職員が途中で長期の病気とか育休・産休に入ってしまう場合には、年度途中の配置になりますので、正規の職員よりも臨任職員を配置することもありますけれども、16診療所の看護師としてそれぞれに1名ずつ定数がとられているところですので、確実に看護師を配置します。離島は、診療所を含めまして、宮古・八重山も離島ですので、一応の線としては3年間、どの職員も3年は行ってもらいますという条件で県の職員を採用しておりますので、行ける時期かどうかというところでの配置の難しさはありますけれども、期限としては3年です。
○鶴田構成員 ありがとうございます。
これ以外にも診療所とか病院等があって、看護師さんの確保が困難だという理解をしてよろしいのでしょうか。民間の診療所がどのくらいあって、そこの確保がどうなっているのでしょうか。
○平良構成員 民間は、多分今はないと思います。町村立の診療所が、沖縄本島の中に4カ所、それと、本島と橋などで全くつながっていない離島に4カ所あります。そちらも、基本、看護師1人ずつの配置になっておりますが、1つ大きいところでは、たしか5人配置のところがあったと記憶しております。確保は多分に難しいです。
○尾形座長 よろしいですか。
○鶴田構成員 はい。
○尾形座長 大崎構成員、どうぞ。
○大崎構成員 いろいろな取り組みをされておられまして、地域柄もあるかと思うのですが、離職率4%はすごくうらやましい限りです。支援のところでお聞きしたいことがあります。休業のところの自己啓発休業というところで、大学等への就学とか、JICA、国際ボランティアとあるのですが、実際、うちも海外へ行きたいと言って離職をする者が毎年いるような状況です。実際の数字として、どれぐらいの期間で、実際に戻ってきておられるのかというとこと、あと、夜勤のことです。「今後の課題」にも書いておられるように、育児休業はすごくいいことですが、その他の職員の夜勤負担が増すことを挙げられているのですが、育児支援を今受けておられる方は全体の何%ぐらいで、夜勤負担を軽減するためにどのような取り組みをされているかというところをお聞かせください。
○平良構成員 ありがとうございます。
自己啓発休業で海外に行っている人は今はおりませんで、大学に編入するということで、これは本土の大学ですが、2年の休業をしている者が1人おります。もう一人は、外国に御主人がいらっしゃるということで、配偶者同行休業制度を活用し2年休業して、身分そのままで行っている者もおります。今まで、自己啓発休業とかをとった人たちは、ほぼ戻ってきて仕事をしてもらえています。
そして、育児の休業制度を利用している職員ですけれども、現在、育児短時間制度を使っている者と部分休業を使っている者を合わせて16名ほどおります。この中で夜勤までどうにかやってくれているのは16名中2名です。私が、資料の中で、お互いさま意識を醸成する必要があるといったのはそこの辺りで、自分ももらったから、次、誰かのためにという風土をつくらなければ働きにくい環境になるかなという思いがあります。今現在のところは、夜勤負担を月1回でも2回でもやってもらえないかということを、看護部長が面接で相談をしています。院内保育園がありますので、そこで週1回夜間の預かりをしておりまして、学童まで預かりますので、週1回どうにかならないか。月2回ほどどうにかならないかという相談で、今、やっと2名ほどです。
○尾形座長 そのほか。
小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 遠隔ケアとか、遠隔の辺りのフォローアップについてお聞きしたいのですけれども、例えば、何かICT等の技術を使って、専門看護師・認定看護師にコンサルテーションできるとか、もし、そのような仕組み等の取り組みがありましたら教えてください。
○平良構成員 今現在、そういう仕組みはまだ構築されておりませんで、月1回のWEBを使った会議で、聞きたい、学習したいことがあれば事前に内容を申し出てもらって、県立病院全体の中から適任者を探して、そこの病院からミーティングに入ってもらう形で、わざわざ来てもらわなくてもできるようにはしておりますが、いつでも、誰でもというシステムには、今のところなっておりません。
○尾形座長 よろしいですか。
○小林構成員 はい。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 最初のほうの御説明にちょっとありましたけれども、8ページの認定看護師資格取得助成というようなお話がありましたが、特定行為の研修に関しては、県立病院での認識あるいは今後の見通しについてはいかがでしょうか。
○平良構成員 県立病院全体での特定行為ができる看護師についての検討はまだ行われておりませんで、一部出ている話を申し上げますと、一般病院の300床とか500床というところでは研修医もおりますので、今のところ、積極的にという話は出ておりませんけれども、16診療所においては、そういう能力を持った看護師がいるということで、災害時とか急患が複数発生したときとかは、島民の健康を守るという意味で有益なのではないかという話は出ております。本格的な話し合い、どう取り組んでいくかとかどうやるかというのは、まだ行われていないところです。
○釜萢構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
それでは、私から1つお聞きしたいのですが,21ページに、診療所看護師の業務ということが書かれておりますが、ここに、「服薬指導、薬剤管理はナースの仕事」ということで、先ほど研修というお話もあったのですが、この「薬局なし、薬剤師なし」という現在の体制で、特段、大きな問題はないと考えてよろしいのでしょうか。それとも、やはり問題を感じておられるということなのでしょうか。
○平良構成員 県立16診療所がある離島において、調剤薬局が今設置されている離島は3カ所ございます。そのほかは、薬局はありませんので、薬剤管理とか、問題と言えば、調剤はナースにはできませんので、医師1人、ナース1人の中で、どのように分担をしてやっていくかというところが問題と言えば問題に挙がっているところです。服薬指導まではよろしいのですが、医師が調剤後に分包機に入れた薬をナースがパックしていくという分包などもやりますので、確かに業務が煩雑になってはいると思います。これで今まで与薬のミスは起きておりませんので医師との連携はとれていると思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
どうもありがとうございました。
それでは、先に行きたいと思います。お待たせいたしました。資料1-3「精神科病院における看護職員確保の現状について」御説明をいただきたいと思います。慈雲堂病院の田邉理事長、どうぞよろしくお願いいたします。
○田邉参考人 慈雲堂病院の理事長・院長をしております田邉と申します。どうぞよろしくお願いします。本日は、当院における「精神科病院における看護職員確保の現状について」のお話をいたしたいと思いますが、質問等で答えられない部分に関しては、看護部の部長の陸を連れてきましたので、座長のお許しを得て、お答えさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
1枚おめくりいただきまして、本日お話しするテーマですが、慈雲堂病院とはどのような病院か、それから、当院の看護職員確保策について、そして、今後の課題についてというところを少しお話しできればと思っております。
1枚おめくりいただきまして、3ページ目を見ていただきたいと思います。
慈雲堂病院は東京の練馬区にあります。東京都の中でも、区西北部保健医療圏にありまして、練馬区・板橋区・豊島区・北区という4つの区が合わさった二次医療圏の中にあり、その中でも、練馬区の南の端に位置しております。隣は杉並区、少し歩くと武蔵野市、また、西東京市に近いというような立地にある病院でございます。開設したのが昭和4年ですので、今年でちょうど90年ぐらいたつという古い精神科の病院でございます。
4ページ目をごらんください。この区西北部保健医療圏、東京は1,300万都市でありますが、大体200万人弱ぐらいの方が暮らしています。東京の人口に当てはめますと、14.2%ぐらいの方が住んでいて、今月2月1日現在では、練馬区の人口が73万人で高齢化率が21.77%であります。
5ページ目をおめくりください。その区西北部保健医療圏の中で、医師や看護師、准看護師など、どの程度の方が従事されているかというのを、「東京都保健医療計画」の平成30年3月改定資料より引用してきましたが、大体このぐらいの方が従事されています。
このような立地に建っております慈雲堂病院でございますが、6ページ目に大体の沿革を示させていただきました。昭和4年に日蓮宗のお坊さんが建てたということになっており、石神井慈寮院から慈雲堂病院に名前を改めまして、昭和の年代は患者さんの収容の時代というべきものが精神科の場合ありましたが、その時代を経てきました。
平成の年代に入りまして、事業をいろいろ展開してきていますが、病棟の改築等いろいろ行いながら、病床数もたびたび変更しながら、方向性としてはダウンサイジングに向かっているという形になります。
特徴と言えるべきものは、精神科の中でも認知症の医療に取り組んできたということで、平成27年には地域連携型認知症疾患医療センターも始めておりますし、オレンジカフェとか認知症デイなど始めております。地域移行機能強化病棟といいまして、一定の患者さんを退院させると、診療報酬は高いのですが、病床数の削減を行わなければならないという施設基準があり、それを当院は導入しましたので、最近の2年間は520床から509床となりまして、現在509床で運営しているという病院でございます。
7ページ目をごらんください。病院は全部で10病棟の病棟構成になっておりまして、1つだけC棟5階というところが一般科の病棟であり30床ですが、残りは全て精神科の病棟となっております。施設基準で一番多いのが精神科の一般の入院基本料15対1を取得している病棟で、これが5つあります。そして、急性期の入院に対応する救急入院料の病棟が41床で1つ、また、認知症の治療病棟のB棟2階があり、主立ったところとしてはそのような形で病院を運営しています。
職員数は、常勤換算で、428.5人、看護師が159.7人、准看護師が36.4人、看護補助者が80.8人となります。
付帯する施設や事業に関しては、そこに書かれたように、デイケア、グループホーム、重度認知症デイケアなどを行っております。
8ページに移ります。当院の看護職員確保策についてでございますが、今回、ここが一番お話しするところではないかと思いましたので、1項目から6項目まで挙げさせていただきました。
おめくりください。まず1番目ですけれども、「当院における看護職員確保の課題」で、私が考えるところでは、精神科病院共通の課題として、長期慢性患者の高齢化と同時に、職員も高齢化してきているということが挙げられると思います。
当院固有の課題としては、今から10年ぐらい前から言われてきていることですが、平均年齢が高い看護職員あるいはほかの職員も含めてですが、定年が66歳であるので、ほかの病院を定年退職した方も採用しているという面もありまして、必然的に年齢は上がっていきました。そして、准看護師の勤務者数が多かったということです。かつての精神科病院は、患者さんとともに生活するような印象もありましたものですから、非常にゆっくりとした時間の流れの中で、現状の役割に満足される方が多かったこともあって、上位資格取得に対してのモチベーションは余り高くなかった、のんびりとした文化もありましたがあったという形であります。また新卒の採用が余りなかったということもあります。さらに10年ぐらい前には、数年後には定年退職のラッシュも見込まれていたという事情がありました。
そして、10ページ目ですが、2項目目の「改革の転機」が訪れたことをお話ししますと、2007年に大きな赤字を出しまして、経営危機に直面したということがありました、診療報酬の改定とか病棟建替等により非常に重い負担を背負い込んだ割には収益が上がらず、病院存続の危機に直面した時期がありましたが、そこから立ち直っていきました。10年前から、10年後の90周年を見越した『ビジョン90』を策定しまして、病院が目指すものを全職員で共有して、以下に掲げるものを施策としました。救急とか外来充実とか長期入院患者の地域移行、人財の育成などを目指していきました。計画の説明と達成状況につきましては、私が年度末に職員を集めて報告するということをやっております。今まではこのような報告もしていなかったのですが、始めることにしました。これを行うことによって院内の一体感(職種間連携)を醸成して、チーム医療を促進していったということになります。
11ページをごらんください。「看護職の確保」についてでございますが、看護資格者の特徴を挙げさせていただきましたが、資格を持つ者としての使命感が非常に強く、みずからのスキル向上に非常に関心の高い職種であります。また、後進の育成にも協力的であると考えております。そこから教育体制を充実し、勤務環境を改善していけば、採用の増加と定着、人財確保につながるのではないかと考えました。
12ページ目でございます。人財の確保についてですが、先ほども言いましたが、当時の数年後に迫る定年退職者増加への対応が最優先課題になっていきます。退職者が多くて、施設基準を割るようなことになってしまっては、収益にも関わってきますので、それに対する対応が必要になってきます。そのための短期的な対応として、中途採用の強化をしていこうということになります。どこの病院でも行っていることと思いますが、募集広告を打つとか、看護フェアへのそれまで以上の積極的な参加を行っていく。それから、病院職員の皆様からもどなたか紹介していただければ、一定期間勤務された後にお手当をさしあげるというようなことをやっております。それから、定年退職後に引き続きお仕事ができる方に関しては、嘱託で雇用をし続けるということを考えました。3番目に、紹介会社の利用ということで、手数料がかかりますが、それも使っているということでございます。
上記の対応をしながら、将来を見据えた抜本的な対策を行ってきたということでございます。
13ページをごらんください。長期的な対応としまして、それまでほとんどいなかった新卒者の安定的な採用と定着を行っていこうということを考えております。看護学校とのコネクションづくりがまず大事であります。さまざまな学校からの要望がいろいろ来ますので、それを受け入れてゆきます。すなわち看護学校の実習受入れをまず強化いたします。看護学校への講師の派遣、精神科領域に関するところに講師を派遣してゆきます。それから、看護学校に向けての就職説明会を行っていくということです。
また、看護学生に対して、卒業する前にインターンシップを受け入れておりまして、これは2014年から始めております。また、スライドには書き忘れましたが、高校生の一日看護体験について、高校3年生で看護師を目指そうという方の看護体験等も受け入れるということを始めております。
そして、ナースバンク・看護フェアの活用であります。近年は既卒者だけでなく、学生の参加もふえているということだそうです。そして、それらを含めまして、入職される前に精神科の看護を知ることによって、入職後のギャップを払拭するということになります。入職後に「こんなはずじゃなかった」と言って退職しないようにと目指しています。このことは退職者が退職時に述べた言葉から分析してゆきました。
14ページに行きます。取組による効果がどのくらい出てきたかということですが、「新卒看護師の採用増加と定着」ということで、ほかの病院の事情はよくわかりませんが、それまでほとんど新卒の採用がなかった当院に、2014年から2018年にかけて少しずつ新卒の方が来るようになりまして、1年以内にそれらの方々が退職してしまったのは、2016年のときに1人だけいただけで、あとは残ってくださったということになっております。
また、2番目に、インターンシップの参加によって、採用試験受験者への流れがあります。すなわちインターンシップを行った後に、その後、当院の採用試験に来ていただくという方がふえております。2014年から2018年にかけてそれまで参加者が1桁台だったのが14人にふえておりますし、このようにインターンシップの参加者自体もふえているということになっています。
3番目ですけれども、既存職員へのモチベーションのアップにつながります。こういった学生実習の受入れとか、看護師比率も、後で出てきますが、正看護師がふえてきましたので、既存職員のモチベーションもアップしてゆきました。教えることなどを通じて、やる気が出てきたということでございます。研修参加等のスキルアップの意欲が醸成されていったと考えております。
15ページです。先ほど少し触れましたけれども、2015年以降に、緑色のバーが高まっていますけれども、定年等の退職者がそれまでよりもふえるという時期があります。赤い実線が退職者の総数で、これは定年等も含めていますが、点線のオレンジが定年の退職を除いた実質的な退職者ですので、いろいろ対策を打った結果、オレンジの線とか点線が下がってきていると、これは実績として挙げられます。先ほど述べてきたことが少しずつ実ってきたと考えてよろしいのではないかなと思っております。
それから、16ページに移ります。看護師と准看護師の職員数の推移と病床100床当たりの看護資格者の推移をあらわしています。准看護師は、いろいろな調査でいわれてきているように、どんどん減少していますし、当院でもオレンジの棒グラフを見てわかるように准看護師の人数は減ってきております。10年ぐらい前からすると、半分以下になってしまいました。
病床数は減っている一方で、看護師は同じぐらいの人数か右肩上がりのようにふえているということですし、灰色の折れ線を見ますと、100床当たりの資格者はむしろふえているということです。病棟再編を行いましたので、小さな急性期の病棟ですけれども、看護資格者全員をそろえなければいけないとか、精神の療養から15対1の看護基準に上げたり等変更していますので、必然的に看護職員の数はふやさなければ維持できないということになりますので、こういった状況が見てわかると思います。
17ページをごらんください。長期的取組の具体的な内容を示しています。採用面についてですが、看護学校の実習の受入れは現在8校ありまして、大学から4つ、看護専門学校の4校、年間受入れの学生数は242名で、受入れ病棟数は6病棟になります。四角の囲みの中に示しましたが、いろいろな病棟で受け持つことを考えていますし、最近は、看護学校だけでなく、某大学の救命救急科の実習も受けたりしております。そのための実習指導者は23人おりまして、年間1~3人ぐらいを実習指導者の研修に参加させて、指導者を育成しているということでございます。
それから、看護学校への講師の派遣は、4人現在派遣しております。
18ページです。長期的取組の具体的な内容(採用面)を続けますと、就職説明会については、当院の看護部の売りであります『7つの“つなぐ”』をアピールして、いい病院ですよということを宣伝しております。いろいろなところにつないでいくということが書かれていますけれども、病床数も病棟もあり、救急から認知症から精神の慢性期までさまざまありますので、いろいろな患者さんについて学ぶことができますということですし、レベル別の教育プログラムがあり、4年間しっかり教育していきますよということをアピールしているということであります。
19ページです。インターンシップの積極的な取組も行っています。インターンの経験によりまして、当院の特徴とか職場環境を知る機会となりまして、入職後、自身の働くイメージを描くことができています。そこで働く先輩の考え方や姿勢に触れて「人間対人間の看護」を通し「この看護チームの一員になりたい」と思える出会いを大切にしております。
それから、ナースバンクや看護フェアの活用です。地元の練馬区の看護部長会共催で年2回開催する看護師募集のフェアに参加しております。近年は学生の参加もふえているということで、精神科は苦手かなという先入観のある方にも、精神科を知ってもらうよい機会になっているようです。
それから、育成面での具体的取組ですが、20ページに移ります。院内外への研修の積極的な参加です。年間看護部教育予算は520万円ほど組んでおりまして、院外研修の参加者は、延べ377名になりました。院内研修は、救急とか、看護研究の発表会には、外部講師を招聘して行っております。
奨学金制度の対象を拡充しまして、通信教育での看護師資格取得を促進しております。准看護師に向けてステップアップを促すということで、2011年~2017年度までの累計13名が看護師になりましたが、そのうち准看護師から看護師になった方が11人いるということです。先ほど、准看護師の数が右肩下がりと申しましたが、実際は、准看護師から看護師の資格を取得された方がいて、つまり退職で減っただけでなく、看護師の資格を取得されたために准看護師としてカウントされる数が減ったということになっています。
それから、3番目ですけれども、准看護師の役職者の登用をしておりまして、副主任までは、准看護師でもベテランの方に保助看法に触れない範囲で登用しているということになっていますが、それが上位資格への取得促進へのモチベーションにもつながっているのではないかと思います。壁というか限界を感じられますでしょうから、そこから看護師の資格を取ろうというような気持ちにつながっているのではないかと思います。
これらの事から、「教育にも力を入れている精神科の病院」という評価をいただいているようです。
21ページです。これまでは教育やソフト面をお話していましたが、ハード面の改善も行いました。業務支援・業務負担の軽減策として、院内キャッシュレスシステムを構築しております。御存知かもしれませんが、精神科の病院は、患者さんが療養する、治療するという環境の場のほかに、生活する場がありまして、患者さんのお小遣い金等を管理する必要がございます。それに関して、以前は現金を預かって看護室の中で、責任のある師長さん達がお金を数えていたという時期もあったのですが、そのようなことはやめまして、キャッシュレスシステムで負担をなくしております。電子カルテ、勤務計画作成ソフトも導入しました。また、売店のオーダリングも開始しております。それから、ベッドメイクの外注委託化をしまして、これは看護補助者向けのタスクシフトというか、タスクの外注化になるのかもしれませんけれども、そういったことを始めておりまして、看護補助者がより患者さんに近いところで動けるようにということを考えております。
それから、勤務支援については、院内保育室の夜間、準夜帯に限りますけれども、対応しています。休日は隔週ですね。全部の週は網羅できませんけれども、このような対応を行っております。
病棟再編につきましては、2014年から2019年にわたり3度の再編を行って、病棟機能を再編して、病床数の削減を実施しております。10年間で約95床の病床を減らしております。
22ページに移ります。ソフト面からの改善ですが、既存の勤務環境ですが、実労働時間は、日勤帯は7時間になっていまして、年間の休日数は115日、それに有給休暇。定年は長いと思いますが、実質66歳となります。そして、これは特徴の1つかもしれませんが、登録休暇制度を設けておりまして、有休の消化できない部分を、年間5日ずつ繰り越していきまして、最大50日になりますが、これを将来、病気とかけがをしたときに、この登録した休暇を利用することができるという制度を行っております。
そして、2009年以降の改善内容としては、夜勤の3交代、2交代の並立運用があり、現在では2:1で2交代が多いということになっています。勤務制限配慮リストを活用して、健康面や家庭の事情に配慮をしております。ストレスチェックの集団分析結果を活用して、東京都の勤務環境改善マネジメントを導入して、これは現在、進行中であります。
24ページをごらんください。今後の課題を少し書きました。振り返りとしては、新卒者の確保と定着が大きかったかと思います。安定的に効果が発揮されるまで10年近くかかりましたが、その成果が今出てきているかなということですし、それらに対しての取組が既存の職員のモチベーションの向上にも影響を及ぼしているかなと感じております。
今後の課題ですけれども、3つほど挙げさせて頂きます。まずは
子育て世代への支援ですね。新卒がふえるということは若い世代がふえますので、そういったところへの支援もより充実していかなければいけないということになりますでしょう。介護世代への対応ですね。看護職員の平均年齢は45歳ですけれども、介護離職への取組がほかの業態に比べて深刻となりますので、この取組は引き続き行っていかないといけないですし、一番難しいところは、看護補助者の安定した確保もあります。今のところ、看護補助者が基準を割ることはございませんけれども、逆タスクシフト等が起こらないように、安定した確保も行っていかなければならないかなと感じておるところでございます。
以上であります。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見を承りたいと思います。
鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 大変貴重な御報告ありがとうございました。危機的な状況を解決するというところで、本当に勤務環境改善を初めさまざまな取り組みをされたところに、今、感銘を受けております。
看護師確保といったところで、特にこういうところが非常に効果があったとかそういったことがあれば教えていただきたいなと思います。
それと、全体的に、今、発表されましたとおり、キャリアアップというようなところでいろいろな奨学金も出している。そういった意味では看護師への積極的な展開をするための支援が今後全国的に充実してくことを願っています。よろしくお願いいたします。
○田邉参考人 それでは、看護部長に聞いたほうがよろしいかと思いますので、発言をさせもよろしいでしょうか。
○尾形座長 お願いいたします。
○陸参考人 看護部長の陸と申します。よろしくお願いいたします。
今、何が一番効果的だったかというのは3つくらいあるかなと思います。学校を受け入れて、学校等への講師の派遣とか、それによってどういう学生さんがいらっしゃるか。精神科をやりたいという学生さんもいらっしゃるのですが、その方たちが精神科へ来るかというと、先生たちは「最初は一般科に行ったほうがいい」と言うので、流れてこないということもありました。でも、先生たちと学生と話をしていると、最初から精神科をやりたいという人もいるので、「先生、それは精神科でやったほうがいいのではないですか」とこちらも言いましたし、インターンシップも受けてみてください、実習だけではわからないこともたくさんあるので、インターンをやっていただくと、その中でどうやって働くのかというイメージができるということで、インターンシップも始めました。そういう形で学校からの情報も流れてきて、それによって就職につながっていきました。
看護フェアもたくさん行った時期もありました。本当に足りないので、たくさんのフェアに参加させていただいて、あっちもこっちもというふうに行きました。最初はなかなか結果につながってはいかなかったのですが、行く回数を重ねると、この人はこういうふうなところがいいのではないかなというふうなのがわかってきましたので、その人たちがどういうふうに働きたいのかというのを、当院の病棟の中でどうやって実現できるかという話について個別的に話ができるので、そこで話をして、例えば、直ぐにそこではつながらなかったとしても、数年後に、「あのフェアに来ていたのですよ」という方が応募してくれたりするとか、そういうこともありました。
あとは、新人がなかなか来なかった時期に、中途の方を採用したことがありました。スライドの図で、退職がふえたときがありましたが、あのときには定年の方もふえましたし、嘱託でいられた方が、病床数が減ったので、減った時期に辞めたいと言ったことがありました。その時は中途の方を採用して、何とか補いたい思い、実際に採用はしたのですが、病棟側がちょっと忙しくなってしまった都合で、採用即一人前に働いてほしいという思惑もありました。当時入った人たちには厳しい環境だったのかもしれないと反省しまして、それから中途で入った人たちにもきちんと教育をしようということで、丸二日間は、そういう中途の人が入った月の最初のところで、いろいろな院内の講師、たとえば師長、科長らが入って、たとえ少ない人数でも、2人でもやりました。そうしたところ、定着がよくなったのです。どういうところにどういう師長さん、科長さんがいるか、どういう思いで仕事をしているかがすごく伝わって、中途採用でも途中で辞めるということがなくなってきました。
あとは、准看護師さんたちも、若い方は8年くらいたつと、進学したいと言いますので、奨学金を病院にお願いしています。行ける人はほとんど進学したと思います。あとは、まだその年数に満たない准看護師が数人いるくらいで、残りは高齢でもう60歳近い方たちは進学ということにはならないので、まだいらっしゃいますが、ベテランはベテランなりの仕事をしてくれています。20代から60代まで幅広い年代層の中で、年齢層の広い精神科ですので、若い人たちだけだと、高齢の患者さんとか、精神症状のちょっと重い方たちには難しいことがありますが、当院にはそういうベテランの人たちがいますので、その人たちが若い人たちを導いてくれるということで、これが定着につながっているのだと思います。
○尾形座長 よろしいですか。
○鎌田構成員 はい。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 非常にいろいろな取り組みを積極的にされていらっしゃると拝聴しました。その上でお伺いするのですけれども、2007年に経営がかなり深刻な状況に陥ったというお話がありました。きょう、直接経営のお話をお伺いするつもりはありませんけれども、いろいろなところへ研修に出したりとか、いろいろ休暇を与えれば、その分、人件費をどうするかという問題が出てくるのだろうと思います。語弊があるかもしれませんが、公務員型の年功序列賃金体系であれば、年齢が高いと賃金が上がってしまうという問題がありますけれども、先生のところはどういう賃金体系にしているのでしょうか。それとも、職能に応じて、あるいは働き具合に応じてボーナスのところで調整するという形をとっているのでしょうか。
○田邉参考人 今のところは、年功で上がっていく体系を採用していますが、本当はそういういろいろ能力に応じてとか成果に応じてという制度をやりたいところでもあるのですけれども、なかなか全てに導入することはちょっと難しくて、検討はしているのですが、今のところはまだ結びつかないということであります。人件費は70%ぐらいは出ていますので、非常に厳しく経営をやっております。
ですから、入院患者さんの獲得とか、あるいは、外来患者さんをふやすような施策を打ったりとか、様々収益がプラスになるように、これは看護職だけではないですが、医局の先生も含めて、医局会などのときにお話をしてみたり、毎月運営会議がありますが、運営会議の中でも、各部門の長といった役職者の方に経営指標について、今月は稼働率が何%、日当点が何点、室料差額の徴収率についてとか、あと、外来の人数が何人というふうなことを毎月お伝えして、目標からこのぐらい乖離していますよとか、今月はもう少し頑張りましょうとかフィードバックをしています。かつての当院ではそういうことを全然やって降りませんでしたが、そういうことをフィードバックして、共通の認識を皆さんに持っていただいて、収益をなるべく保つということを行っております。
○島崎構成員 ちょっと抽象的な質問になるかもしれませんが、働きやすい環境を整備するということと、経営が改善されるということとは、どういう関係にあると思われますか。つまり、働きやすい環境を整備するとモチベーションも普通は上がってきますね。一般的なサービス業みたいな分野だと、その結果、客さんが集まり経営がよくなるという具合に結びつきますね。診療報酬で縛られている病院経営だと、必ずしもそのモデルがきちんと当てはまらないのかもしれませんけれども、職員のモチベーションが上がるような、あるいは、働きやすい環境を整備するということは、経営との関係で一対一の対応に結びつかないかもしれないけれども、いい方向に結びつくというふうにお考えになりますか。ちょっと誘導的な質問になったかもしれませんけれども、どんなふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○田邉参考人 やはりコストはかかると思います。実習指導者にしても何にしても、その分、病棟を空けなければいけない職員が出てきますので、それを埋める人を用意しなければいけないです。それから、働きやすいと言えば、有休などもとりやすくしなければいけないので、休む分の人も確保しなければいけないので、質をよくしようとすると、人件費率といいますか、そういうものは高まってきます。ただ、それでスキルのアップした方がふえるということは、治療にいい具合につながっていくと考えていますので、その点ではプラスになっているのではないかとは考えております。
○尾形座長 太田(秀)構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 印象で恐縮ですけれども、精神科のナースは男性が比較的多いのではないかと思うのですけれども、職場の環境を整備する上で、男性とか女性とかという視点は余り影響はないのでしょうか。
○田邉参考人 私の印象は、昔は看護人さんと言われていたような時代があったようですけれども、男性がそんなに多いということはないような気がいたしておりますけれども、実際はどうですか。
○陸参考人 当院は、3割弱ぐらいは男性職員がいます。急性期病棟では、女性に触れてほしくないとか、女性のナースに来てほしくないという方がいるので、夜勤は、男性もいる、女性もいるというふうにしておかないとちょっと難しいところがありますので、ほかの病院などでは、「別に女性同士で夜勤をやっていますよ」というところもあるのですけれども、当院はもともとそのようにやってきたので、できる限りそうしています。
女性役割、男性役割ではないですけれど、患者さんとの協調とか、看護の上で協力しながら患者さんにどうやっていけばいいのかというときに、男性の方の役割というのもありますので、男性女性両方いたほうがいいのかなとは思っています。男性がふえてはいますけれども、半数までには至らないですね。
○太田(秀)構成員 お聞きしたかったことは、もし、男性が多いとすれば、男性の看護職に対しても、職場の環境ということになると、もちろん今はイクメンもいますから、子育ての視点も重要だと思うのですけれども、何か特別に男性を意識した対策はあるのでしょうかという質問です。
○陸参考人 男性を意識したというのはないのですけれども、男性たちも主張をしますので、子供が生まれるのでここは休みが欲しいとかという形で、休みを欲しいと言う人もいますし、育休をとっている男子職員もおりますし。
○尾形座長 よろしいですか。
○太田(秀)構成員 はい。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
高砂構成員。
○高砂構成員 10年近い確保と定着の取り組み、在宅でも参考にさせていただくことがとてもたくさんありました。ありがとうございます。
この10年近い取り組みに対して、どんなシステムで、もちろん看護部長さんを初めだと思うのですけれども、どんな体制づくりでお進めになられたのかお伺いできますでしょうか。
○陸参考人 体制については、私たち看護師が働きやすくするにはどうしたらいいかということですが、経営側にそれを伝えると、経営側はいろいろ考えてくれています。例えば、看護助手さんたちが少し少なくなっているときにベッドメイクは外注にしたらどうか、など、いろいろアイデアをくれます。私たちだけのマンパワーだけではどうにもならないというところは、そうやって経営の方たちがいろいろなアイデアを考えてくれたり、それを取り入れながら、自分たちは専門職として何をやっていったらいいのかというのをずっと話し合ってきました。
○尾形座長 小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 准看護師の上位資格取得についてお伺いしたいのですけれども、先ほど、上位資格を取るに向けて奨学金を給付しているということだったのですけれども、その奨学金の詳細について、もし、よろしければ教えていただきたいのですけれども、内部から出している奨学金なのか、また、何年か継続して働ければ返却しなくてよいのか、また、ほぼ全員取得しておられるのか、そういったことについて教えていただければと思います。
○陸参考人 今は准看護師が進学するために奨学金を出していることが多いです。ほとんどの方が取りますので、看護師資格を取ったら、そこにかかった放送大学とか授業料、教科書代まで、資格を取ったときに半分お支払いします。あと3年後にはもう半分お支払いするという形になっています。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日のヒアリングを終了したいと思います。大変参考になるお話をたくさんお聞きできたと思います。参考人の方々及び平良構成員、本日は、どうも御説明ありがとうございました。
(参考人は傍聴席に移動)
○尾形座長 それでは、先へ進みたいと思いますが、申しわけございません。時間になってしまいましたが、10分程度延長させていただければと思います。
次に、資料2「看護職員需給分科会のスケジュールの見直しについて(案)」でございますが、事務局から説明をお願いいたします。
○乗越看護職員確保対策官 それでは、資料2でございます。裏面をごらんください。看護職員需給分科会のスケジュールにつきましては、この資料の左のほうに「見直し前」とありますけれども、1月の需給分科会におきまして、推計ツールについて御了承いただきまして、その後、推計ツールを発送して、4月末に都道府県の推計の集計を行うということとして、第5回需給分科会にお示しをしておったところでございます。
こうした情報につきまして、都道府県にお示しをしていたところですけれども、これにつきまして、幾つかの都道府県から、こうした推計を報告するに当たりまして、議会、また、関係者、こうした方との調整期間が必要であるというようなお声をいただきました。事務局といたしましては、当初は、議会の関係につきましても、都道府県の年度内に行われます3月の議会におきまして御報告をいただくということも想定しておりましたけれども、都道府県におきましては、もう少し調整の期間が必要だというお声があり、都道府県の議会につきましては、定例で6月から7月にかけて開催されておりますけれども、そうしたスケジュール感になってございます。そうしたことを踏まえまして、都道府県の作業の調整も含めた作業のことを考えまして、スケジュールの見直しを行いたいということでございます。
「見直し後」にございますが、都道府県からの報告の締め切りは、当初は3月下旬、それから、集計4月末としておりましたけれども、こちらを先ほどの議会のスケジュール感も踏まえまして、都道府県からの報告の締め切りを7月末、8月に都道府県集計を行うというスケジュールとさせていただきたいということでございます。
それから、それにあわせまして、看護職員の今現在行っております確保策に関する議論でございます。こちらは、当初、3回程度とお示しをしてございましたけれども、これも前回のヒアリングも含めまして、5回程度にふやすということ。これも、さまざまのこれまでの議論で論点の提示もいただいておりますので、5回程度にするということにいたしたいと考えております。
また、当初、報告書のとりまとめは6月末としておりましたけれども、この間の確保策の議論に関しては、確保策についての中間とりまとめも行ってはどうかということで、6月末に中間とりまとめということでお示しをしてございます。最終的には、骨子、報告書のとりまとめ、こちらを8月から9月にかけて行いたいという、このような見直しを行いたいということでございます。
説明については、以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問・御意見いかがでしょうか。
よろしいですか。
全体として、スケジュールの後ろ倒しということで、分科会での検討回数もふえているようでございまして、皆様には御負担をおかけしますが、特段、御意見がなければ、このスケジュールの見直しにつきましては、事務局案のとおり了承をすることといたしたいと思います。
ありがとうございました。
それでは、本日の議論はここまでとしたいと思います。本日、ヒアリングでの御説明あるいは構成員の方々からいただいた確保策への御意見等につきましては、事務局で検討していただき、次回の分科会に向けた準備をしていただければと思います。
最後に、次回の日程等について、事務局から連絡をお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、改めて、御案内を申し上げます。
○尾形座長 それでは、これをもちまして、第7回看護職員需給分科会を終了いたします。長時間の御議論、どうもありがとうございました。
 
(了)

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