ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 理学療法士・作業療法士需給分科会> 第1回理学療法士・作業療法士需給分科会 議事録(2016年4月22日)




2016年4月22日 第1回理学療法士・作業療法士需給分科会 議事録

医政局医事課

○日時

平成28年4月22日(金)14:30~16:30


○場所

厚生労働省専用21会議室


○出席者

内山 靖 (日本理学療法士協会副会長)
大道 道大 (日本病院会副会長)
荻原 喜茂 (日本作業療法士協会副会長)
勝又 浜子 (日本看護協会常任理事)
釜萢 敏 (日本医師会常任理事)
小林 正義 (信州大学医学部保健学科作業療法学専攻教授)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
長澤 弘 (神奈川県立保健福祉大学保健福祉学研究科リハビリテーション領域教授)
野口 晴子 (早稲田大学政治経済学術院教授)
伏見 清秀 (東京医科歯科大学医療政策情報学教授)
星 北斗 (福島県医師会副会長)
本間 達也 (全国老人保健施設協会副会長)
松村 淳子 (京都府健康福祉部長)
水間 正澄 (昭和大学名誉教授(リハビリテーション医学))
山口 育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

○議題

1.理学療法士・作業療法士需給分科会について
2.理学療法士・作業療法士の需給を取り巻く状況について

○議事

 

○吉川医事課主査 ただいまから、「医療従事者の需給に関する検討会第 1 回理学療法士・作業療法士需給分科会」を開催します。構成員の皆様におかれましては、本日、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の会議の構成員の皆様の御紹介ですが、お手元の資料「理学療法士・作業療法士需給分科会構成員名簿」に 18 名の構成員の皆様の名簿を付けています。本来であれば、お一人お一人御紹介すべきところですが、できるだけ審議時間を確保したいと考えていますので、恐縮ではありますが、この名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。なお、北村構成員、本田構成員、松田構成員から、所用により御欠席との御連絡を頂いています。また、高砂構成員ですが、遅れて御出席のようです。

 ここでカメラの退室をお願いします。

 初めに、神田医政局長から御挨拶を申し上げます。

○神田医政局長 開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。委員の皆様方には、大変お忙しいところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、この度は委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。

 この理学療法士・作業療法士需給分科会につきましては、そもそも骨太の方針の中で、今ちょうど各都道府県で 2025 年に向けまして、各病床の機能ごとの目標数を立てる地域医療構想の策定が進んでおります。既に、昨年度末の段階で 12 都道府県で策定が終わっております。今年の前半までに 39 都道府県、年度末までには全ての都道府県で地域医療構想が策定されることになってございます。

 それを踏まえまして、新しい地域医療構想との整合性ですとか、地域偏在の問題に対応するために、医療従事者の需給に関する検討会を設けております。その下に、医師、看護師、それから、本日、開催させていただいております理学療法士・作業療法士について、それぞれ分科会を設けて検討させていただくということにしているところでございます。新しい地域医療構想を踏まえまして、どれぐらいの理学療法士・作業療法士の方が必要かと、そういった需給の問題、また、一方で理学療法士・作業療法士の養成数というのが非常に増加いたしております。一部には、質の低下ということも懸念されていると承知いたしておりますので、入学定員の取扱いについても検討が必要ではないかと考えております。

 この場におきまして今申し上げましたように、需給見通しでございますとか、確保策について、御議論を賜れればと考えております。委員の皆様方には、御専門のお立場から忌憚のない御意見を賜れればと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○吉川医事課主査 続いて、本分科会の座長の選出についてです。事務局からは、水間構成員に本分科会の座長をお願いしたいと考えていますが、いかがですか。

                                   ( 異議なし )

○吉川医事課主査 ありがとうございます。それでは、当分科会の座長は、水間構成員にお願いします。恐縮ではございますが、水間座長は、座長席へ御移動をお願いできますか。

                            ( 水間座長 座長席へ移動 )

○吉川医事課主査 以降の議事運営については、水間座長にお願いします。

○水間座長 御指名を頂きました水間ですが、これから議事を進行します。よろしくお願いします。冒頭で医政局長から今回の開催について御説明いただきましたが、是非、活発な御討論をお願いします。議事を始める前に、事務局より資料の確認をお願いします。

○吉川医事課主査 お手元の資料の確認をします。 1 枚目に座席表がありますが、それに引き続いて議事次第、理学療法士・作業療法士需給分科会構成員名簿、資料 1-1 「医療従事者の需給に関する検討会開催要綱」、資料 1-2 「医療従事者の需給に関する検討会の今後の進め方について」、資料 2 「理学療法士・作業療法士の需給に関する検討の必要性について」、資料 3-1 「理学療法士・作業療法士需給分科会の今後の進め方 ( ) 」、資料 3-2 「理学療法士・作業療法士の需給推計の進め方 ( ) 」、資料 4-1 「地域医療構想について」、資料 4-2 「地域包括ケアシステムについて」、資料 5 「理学療法士を取り巻く状況について」、資料 6 「作業療法士を取り巻く状況について」、参考資料 1 「経済財政運営と改革の基本方針 2015( ) 」、参考資料 2 「理学療法士及び作業療法士の需給の推計に関する意見書」、以上の資料を机上に配置しています。不足資料、乱丁・落丁などがありましたら、事務局にお申し出ください。

○水間座長 ありがとうございました。議題 1 「理学療法士・作業療法士需給分科会について」に関して、事務局より御説明をお願いします。

○吉川医事課主査 事務局から、資料 1 3 について、御説明します。資料 1-1 を御覧ください。「医療従事者の需給に関する検討会開催要綱」です。こちらの資料は、昨年 12 月に開かれました医療従事者の需給に関する検討会にて、御了承いただいた資料です。

1. 目的ですが、 3 つ目の○を御覧ください。現在、都道府県において、 2025 年の医療需要を踏まえた地域医療構想の策定が進められていますが、「病床の機能分化・連携に対応していくためには、医師・看護師のみならず、リハビリ関係職種も含めた医療従事者の需給を念頭に置く必要がある」と記載しています。

 資料 1-2 にお移りください。これを受けて、医療従事者の職種ごとに、全国・地域の需給の状況や確保のための改革が異なることから、医師、看護職員及び理学療法士・作業療法士、それぞれ 3 つの需給分科会を設置するという形で進めています。

 資料 1-2 3 つ目の○ですが、都道府県が平成 29 年度中に第 7 次医療計画 ( 平成 30 35 年度 ) を策定するに当たり、医療従事者の確保対策についても具体的に盛り込むことができるよう、各分科会とも平成 28 年内の取りまとめを目指すということで御了承いただいています。

 資料 2 を御覧ください。「理学療法士・作業療法士の需給に関する検討の必要性について」です。簡単ではありますが、これまでの経緯を書いています。昭和 40 年に理学療法士及び作業療法士の資格制度が設けられ、その後、数回にわたり、理学療法士及び作業療法士の計画的な養成が図られるよう、需給計画・需給推計が見直されてきました。

 直近の見直しである平成 12 年の意見書では、「需要と供給は平成 16 年以降 2 から 3 年以内に均衡に達し、理学療法士、作業療法士が過剰になることが予測されることから、その養成が適切に行われるよう関係者への周知徹底が必要であると考えられる」との見解が示されました。

 その後、高齢化の進展に伴い、医療需要が増大する中、現在、地域医療構想の策定が進められており、病床の機能分化・連携に対応するために、今後、理学療法士・作業療法士の需要が増加すると考えられます。また、 2025 年に向けて、地域包括ケアシステムの構築を進めていく中、在宅医療や介護などの分野においても、理学療法士・作業療法士の需要の増加が見込まれます。一方、平成 12 年以降、理学療法士・作業療法士の養成数が大幅に増加していることもあり、理学療法士・作業療法士の従事者数も増加傾向にあります。

 以上のような状況を踏まえ、今回、需給を検討する必要性があると考えています。

 資料 3-1 です。本分科会の今後の進め方に関しての案でございます。本日 4 22 日、第 1 回において、 PT OT の需給を取り巻く状況について、現状把握を皆様の中で御議論いただければと思っています。最後の第 5 回ですが、こちらは先ほど資料 1-2 で御説明したように、年内での取りまとめを目指しています。第 2 回、第 3 回を 7 月、 10 月を目途に考えており、それぞれ需給推計について、及び理学療法士・作業療法士の養成・確保について、皆様に御議論いただければと存じます。また、報告書取りまとめの下に※を書いていますが、地域医療構想については、先行する医師及び看護職員需給分科会での議論を踏まえつつ、その取扱いについて本分科会でも検討していくこととしてはどうかと考えております。

 資料 3-2 を御覧ください。「理学療法士・作業療法士の需給推計の進め方 ( ) 」です。今回の需給推計においては、本分科会の構成員である伏見構成員の研究班に、平成 28 年度の厚生労働科学研究において研究を行っていただくことを考えております。供給推計・需要推計それぞれについて御説明すると、供給推計については、先行する医師の供給推計の方法を参考にして、養成数及び性・年齢階級別就業率等から推計を実施してはどうかと考えています。また、需要推計については、先行する医師及び看護職員の需要推計の方法を参考にしながら、また、地域医療構想等も踏まえながら推計を実施してはどうかと考えています。その際、医師、看護職員とは異なる理学療法士・作業療法士に固有の事情についても、考慮することとしてはどうかと考えています。以上です。

○水間座長 ありがとうございました。ただいま事務局から、理学療法士・作業療法士の需給分科会の今後の進め方についての御説明がありました。ただいまの御説明に関して、御質問はありますか。

○大道構成員 療法士の数については、先ほどの御説明で地域医療構想に基づいてというのがあったのですが、地域医療構想に関しては、外来診療部門は抜けていますので、とすれば、例えば通院リハであるとか、その他、通所リハはどこまでかかるか分かりませんが、この数に関しては、どのようなカウントをされるおつもりなのですか。

○吉川医事課主査 ご指摘のように、地域医療構想の中では、外来部分に関しては計画に含まれていません。それに関しては、通院リハのレセプトなどを活用して、それぞれの需要を考えてはどうかと考えています。ただ、まだ具体的な方法については決定していないところですので、本日の会議の中でも構成員の先生方から御意見を頂きながら、今後の推計方法について検討してはどうかと考えています。

○山口構成員 資料 3-2 の中の 3 番目の○で、「需要推計については、先行する医師及び看護職員の需要推計の方法を参考に」すると書いていますが、結構、医師と看護職員の需要推計の仕方が違っている印象を私は受けているのですが、具体的にどのような部分を参考にしていかれる御予定なのかを教えていただければと思います。

○吉川医事課主査 医師及び看護職員の需要推計は、医師に関しては、現在までに全 5 回の分科会を行い、その中で需要推計についてもお示ししています。また、看護職員に関しても、 3 月に第 1 回分科会を開催しており、その中で需要推計の考え方等についてお示ししています。その方法に関しては、それぞれ共通するものもあれば、異なるものもあるとは認識しております。その中で、理学療法士・作業療法士の推計においては、例えば高度急性期・急性期・回復期・慢性期とそれぞれ病床の機能分化を行っていく中で、それぞれの病床の中で必要な理学療法士・作業療法士の数を推計するといった形で、病床ごとに推計を行うことは、共通と考えられます。

 また、医師の需要の推計の中で、いろいろと仮定を置いたところがあります。医師、看護職員で用いた推計の仮定は、可能な限り整合性を保つということも必要になってくるのではないかと考えています。

○釜萢構成員 資料 2 ですが、これまでの経緯の中の 3 つ目の○です。直近の見直しである「理学療法士及び作業療法士の需給の推計に関する意見書」 ( 平成 12 11 30 ) でこのような見解が示されていますが、その後の経緯を見ると、どうもこの見通しは余り当たっていなかったということになるのだと思いますが、その辺りについてどのような原因あるいは総括をしておられるかは、お示しいただけますか。

○吉川医事課主査 今、釜萢構成員から御指摘がありましたように、直近の見直しが平成 12 11 月に行われていて、その際には需要と供給がその見直し時点から約 5 年後、あるいは、その 2 3 年以降に均衡に達するというところで結論付けられています。今回は、約 15 年期間が空いて、再度検討することになりますが、その後、社会状況が変化する中で、需要に関しても供給に関しても変化が起きております。推計に関しては、当時、 5 年後に需給が均衡するという見解でありましたが、今回改めて推計を行うにあたり、前回の検討以後の変化についても踏まえながら考えていきたいと思います。

○堀岡医事課長補佐 補足しますと、前回の需給推計は、参考資料 2 に付けていますが、これはまだかなり前の平成 12 年の報告書です。当時は、例えば、今だと常識である回復期リハビリテーション病棟とか、そういった概念さえも普及してなかった状況でして、今とは医療提供体制の制度とか、そういうこともかなり違った状況での需要の推計でした。また、供給も、例えばこれを見ていただきますと、参考資料 2 1 ページの下のほうを見ると、供給も平均的増加を続けた場合、「入学定員が 5,500 人程度となり」と書いてあります。供給についても後ほど内山構成員から御説明いただきますが、今、理学療法士は 1 万数千人の養成となって、供給も需要も大きく情勢が変わってきている状況であると考えていますので、全く新しい、全然違う社会的情勢になったということを鑑みて、今回また検討会は新しく開き直すということです。

○釜萢構成員 当時としてはやむを得ない事情、また、その後の大きな社会的な変化があったことは御指摘のとおりですが、こういう見通しを立てる場合に、過去の見通しが仮に現状と違った場合に、どういう理由なのかということの反省をしっかりしないと、それが今後にいかせないと思うものですから、申し上げた次第です。

○星構成員 今のと少し関連するので余り深追いはしませんが、今回の推計のことがその後どうなったかという検証を、一定程度の期間の後にやることを前提に議論を進めないと、 15 年たってみたら、こんなに違いました。残念でした。という話ではいけない。これから入学定員にものを言うとすれば、それが本当によかったのかどうかを検証する仕組みを内包して始めていかなければいけないのだと思うのです。その辺り、事務局としてはその覚悟があるのかどうかを教えてください。

○吉川医事課主査 お答えします。医師需給分科会の中でも、今、星構成員におっしゃっていただいた形で、継続的に検証を行っていくことが必要であろうという形の御指摘がありました。理学療法士・作業療法士に関しても、前回は平成 12 年に検討を行い、その後いろいろ状況が変わって、今回需要と供給のバランスをまた改めて見直す必要が出てきました。御指摘の点は事務局でも考えさせていただきながら、今後の状況が変わったところで、また改めて検討を行うことは必要ではないかと考えています。

○長澤構成員 先ほどの山口構成員からの質問と少し重複しますが、資料 3-2 3 つ目の○では、「理学療法士・作業療法士に固有の事情は考慮する」という記載がありますが、先ほど、急性期とか、回復期とかの病期別のことは少し考慮するという御説明がありましたが、さらに固有の事情とはどういうことを指すのか、もう少し具体的に教えていただければと思います。

○吉川医事課主査 長澤構成員から御質問いただいたところですが、先ほど私が御説明したのは、例えば病床の機能ごとに必要な職種の数を考えることが 1 つの御提案ということです。そのほかに関しては、医師の推計では、高度急性期・急性期・回復期・慢性期それぞれに対して、病床ごとにどれぐらいの医師が必要であるかを推計のスタートとしています。

 一方、リハビリ職に関しては、入院している患者全てに対してリハビリを行っていくというよりは、入院している患者の中である一定の層、ある一定の疾患を持っている方、ある一定の年齢の方、そういった要素ごとにリハビリを行い、理学療法士・作業療法士が介入していると理解しています。ですので、病床ごとにそれぞれの理学療法士・作業療法士の数を考えるというよりは、病床ごとにどれぐらいのリハビリがあって、その上でそのリハビリに対して理学療法士・作業療法士がどれぐらい必要であるかと、そういうリハビリの数も考えながら推計を行っていくのが必要ではないかと考えています。

○長澤構成員 ありがとうございます。

○水間座長 ありがとうございます。そのほかにはよろしいですか。特にありませんか。そうすると、今いろいろ御質問がありましたが、今後の必要性に関しての検討の進め方については、先ほど御説明がありました形で進めていくということでよろしいですか。

                                   ( 異議なし )

○水間座長 その議論の中で、今、幾つかの御質問がありましたことに関しての議論、説明もなされると思いますので、資料 3-1 にある形で年内の取りまとめに向けてこれから議論を進めていきたいと思います。

 引き続いて、資料 4-1 について、少し背景に関することで、事務局から御説明をお願いします。

○吉川医事課主査 資料 4-1 に関して御説明いたします。地域医療構想についての資料を御覧ください。もう既に構成員の皆様方にも御案内のことかと思いますけれど、改めて地域医療構想について確認させていただくために、本日資料を提出させていただきました。簡単に全体の概要について御説明させていただきます。

1 枚目、地域医療構想について、「医療介護総合確保推進法」が成立した後、平成 27 4 月より都道府県が「地域医療構想」を策定することとなっております。「地域医療構想」は、 2025 年に向けて、病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに 2025 年の医療需要と病床の必要量を推計して、定めるものです。その内容として、右の中段の、「地域医療構想」の内容ですが、 1.2025 年の医療需要と病床の必要量及び 2. 目指すべき医療提供体制を実現するための施策、こちらを「地域医療構想調整会議」で議論・調整を行い策定するものです。

 続きまして 2 ページ目は、 4 つの医療機能の名称及びその内容です。今回の「地域医療構想」において、こちらに示しています 4 つの医療機能に病床を分化させることを考えております。それぞれ高度急性期機能に関して、急性期の患者に対して、状態の早期安定化に向けて診療密度が特に高い医療を提供する機能などと、定性的な説明をこちらでさせていただいております。

 続きまして 3 ページ目、 2025 年の医療需要及び各医療機能の必要量の推計の基本的考え方です。真ん中より下の 3 つ目の○ですが、推計に当たっては、 NDB( ナショナルデータベース ) のレセプトデータや DPC データなどを分析することによって行っていきます。具体的には 4 つ目の○の、患者に対して行われた診療行為を診療報酬の出来高点数で換算した値、つまり医療資源投入量の多寡を見ていくことによって、それぞれの病床機能を見ていくということです。具体的な方法については、 2 つ目の○の医療機能 ( 高度急性期機能・急性期機能・回復期機能・慢性期機能 ) ごとに、医療需要 (1 日当たりの入院患者延べ数 ) を算出し、それを病床稼働率で割り戻して病床の必要量を推計するという方法です。

 続きまして 4 ページ目、こちらは高度急性期機能、急性期機能、回復期機能の医療需要の考え方です。それぞれどのような形で分けているかについて、図がありますが、縦軸が医療資源投入量です。横軸が入院からの日数です。入院からの日数が経過するにしたがって、医療資源投入量が徐々に減っていくのが見て取れるかと思います。それぞれの変化を見ながら、高度急性期、急性期、回復期及び慢性期の変化の点を点数で示しています。

 資料の 5 ページは、先ほどの資料とおおむね類似したものですが、推計入院患者数の多い疾病上位 255 の疾患に対して、 DPC データにおける医療資源投入量を、入院後経過日数ごとに分析したものです。こちらを見ますと、やはり入院初日あるいは 2 日目辺りは医療資源投入量が多く、その後、徐々に下がっている様子が見て取れるかと存じます。

 続きまして資料の 6 枚目は、先ほどの説明と重複するものがありますけれども、それぞれの医療機能に対して、 C1 C2 C3 の形で、医療資源投入量の変化の点数、基本的な考え方を示しています。

 資料 7 ページは、昨年 6 15 日の内閣官房専門調査会資料にて示されたものです。左下の図は現状、 2013 年での病床をそれぞれ示しています。高度急性期は約 19.1 万床、急性期が 58.1 万床、回復期が 11 万床、慢性期が 35.2 万床となっています。これに対して地域医療構想策定ガイドライン等に基づき、一定の仮定を置いて地域ごとに推計した値を積み上げたものが、右側の 2025 年の推計結果です。高度急性期は約 13 万床、急性期は約 40 万床、などといった形で病床の程度を示しています。またこちらに関しては、右下に※ 1 ~※ 3 3 つのパターンを示していますけれども、それがゆえに例えば慢性期あるいは在宅医療等で対応する患者さんに関しては、幅をもった推計を行っているところです。

 続きまして資料の 8 ページ、こちらは平成 27 年度の病床機能報告による機能別病床数の報告状況の速報値です。今年 2 16 日時点での速報値ですが、各病院が報告してきた病床数の、高度急性期は約 16 9,000 床、急性期は 59 2,000 床、回復期は 12 9,000 床、慢性期は 35 万床と報告を頂いているところです。

 最後に、都道府県の地域医療構想の策定の進捗状況です。平成 28 1 月現在の情報ですが、構想策定の予定時期、図の 1 を御覧ください。平成 27 年度中に策定する形で答えている所が全都道府県のうちの 15 都道府県、また平成 28 年度の半ばに策定という形で答えている所が 24 都道府県、また平成 28 年度中に策定の形で答えている所が 8 都道府県です。簡単ですが、地域医療構想については以上です。

○水間座長 引き続き資料 4-2 、地域包括的ケアシステムについての説明をお願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 老健局老人保健課、介護保険データ分析室長でございます。資料 4-2 に基づいて、地域包括ケアシステムについて簡単に御紹介させていただきます。 1 ページ目、高齢者の数はこれから増える一方で、 2025 年には 65 歳以上の高齢者人口が 3 割を超える。 2055 年には 4 人に 1 人が 75 歳以上の方になるというような推計もあります。さらには認知症の高齢者が増えていくということで、 2025 年には 65 歳以上の高齢者のうち、約 20 %が認知症の高齢者になるだろうと。3ですが、 65 歳以上の単独世帯、あるいは夫婦のみの世帯が今後増えていくことが予測されています。また4として、その高齢者の増加の具合は地域によってかなり違うだろうということで、特に都市部では急激に増加をすることが予測されています。 2 ページ目ですが、 75 歳以上になると要介護率が非常に高くなるということで、そういった人口が今後増えることは先ほど御説明したとおりです。一方で、生産年齢人口、いわゆる保険料負担をされる側の人口については、今後 2025 年以降、減少することが見込まれており、負担する側が非常に減少するということです。

3 ページは、厚生労働省が地域包括ケアシステムを御説明させていただくときに、いつも用いている資料ですが、ポイントは 2 つあると思っております。 1 つは地域包括ケアシステムということで、包括的に様々なサービスを提供していくということです。この絵の真ん中に「住まい」とありますが、これが一応基本ですが、そこにお住まいになられている高齢者に対して、医療、介護、介護予防、更には生活支援といったものが支援をしていく、包括的な支援をこの絵で示しております。ポイントの 2 つ目は、右側の下の※ですが、この地域包括ケアシステムは、おおむね 30 分以内に必要なサービスが提供される、いわゆる日常生活圏域を単位として考えているものです。これは高齢者の方々が日常的に生活するエリアを中心に、一通りのサービスが提供できるような仕組みをつくっていこうという考え方でまとめられているものです。

4 ページ目は、先ほど来御説明していますことを字でまとめているものですが、医療・介護・予防・住まい・生活支援というものを一体的に提供することが地域包括ケアシステムとして必要だろうということです。その背景としまして、ニーズが増大をする一方、担い手である若い生産年齢人口が今後、減少することが見込まれているということが大きいということです。

 最後に 5 ページ目は、平成 25 年にまとめたものですが、この葉っぱの部分が、いわゆる専門職が提供しているサービスということで、医療・介護、リハビリそして保健・予防とありますけれども、こういったものが、土の所の生活支援とか、あるいは植木鉢の所のすまいというようになりますが、こういったものの上に成り立つという考え方で、こういったものが総合的に提供されなければいけないとして、この絵でまとめているものです。右側には自助、互助、共助、公助とありますけれども、こういうものを併せ持って今後来るべき 2025 年も含めて新しい介護の仕組みを考えていかなければいけないということです。以上です。

○内山構成員 内山でございます。よろしくお願いいたします。資料 5 に沿って御説明申し上げます。まず、理学療法士の概要について、共有するということで基本的なことから書かせていただいております。理学療法士の職務ですが、理学療法士及び作業療法士法第 2 条に書かれていますとおり、「「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」と定義されております。また、「「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行うことを業とする者」ということです。

 実際にそのような枠組みの中で、理学療法は標準的な根拠、エビデンスに個別性というものを加味した理学療法を実践しております。下の図には、主な内容を記載していますけれども、 PDCA サイクルにのっとり、評価に基づくその対象者の相対的な特性、課題を抽出しまして、目標設定・計画立案をした後に、運動療法、物理療法、また指導などにより、理学療法による働きかけを行います。経過の変化とともに再評価を行い、またその効果を見極めながら更にプログラムを進めていくといったようなサイクルを循環していくということです。活動・参加を支える移動・歩行能力の維持・向上というものを中核として、様々な病態や疾患を有する対象者にアプローチしているということです。目標としては、医療の共通したニーズである健康寿命の延伸を基に、可能な限り自立した生活の維持と再構築を図るということです。

 続いて病床区分等から見た理学療法士の役割として、予防、健康増進のところから、疾病や外傷による様々な病態、疾患に対して、高度急性期、急性期、回復期、生活期といった枠組みの中でそれぞれ対応していくということで、理学療法士の主な活動場所は下に付記したとおりです。

 続いて 5 ページ目の疾患・障害、領域等から見た主な関わりについて、簡単に整理をさせていただきました。左の上から、脳血管疾患、右に運動器疾患、後ほど出てまいりますが、この 2 つが全体としては大きな対象となっています。更にその下の呼吸器疾患、心疾患、この 4 つが現在の診療報酬の体系の中で、核として位置付けられているものでもあります。また、地域住民・虚弱高齢者等に対する地域での取組などについても非常にニーズが高くなっているところです。そのほか、スポーツのパフォーマンスの向上やコンディショニングについて、産業保健領域において、勤労者の腰痛、運動指導等による復職支援、生産性の向上などにも取り組んでおります。全体の数は現在において、非常に多くのものということではありませんが、特別支援学校、学校保健等についても書いてあるような内容について関わりがあるということです。

 続きまして理学療法士の養成実態として、供給に関わることについて現状を御報告申し上げます。 7 ページ目には養成校と養成課程カリキュラムについて書かれています。養成校の推移と現在の実態を見てお分かりのように、平成元年頃から増加をしまして、平成 22 年ぐらいでその増加の率というものは一旦ゆるやかになっていますが、現在 250 を超える養成校がありまして、先ほど御案内ありましたように、 1 学年の総定員数は 1 3,595 名となっています。養成校が学校種別により混在しており、 4 年制大学校が 98 校、短期大学、 4 年制専門学校、 3 年制専門学校とご覧のような分布になっており、同一職種で異なる養成形態を有するというのは、世界的に見ても比較的珍しいことになっています。これが冒頭、局長が申されたような質ということとも関係があるのではないかと考えております。

 理学療法士の養成カリキュラムにつきましては、いわゆる指定規則と呼ばれるものが 1999 年に改定をしており、現在もこれを使っている状況ですが、最後の改定の際には、大綱化がなされており、基礎分野、専門基礎分野、専門分野という大くくりの枠の中で、教育内容がそれぞれ右の単位数を配当し、短期大学で卒業に必要な 93 単位を標準として規則が成り立っているという現状です。

 続きまして、理学療法士養成校の入学定員の年次推移です。先ほどお示したものを少し拡大して、私どもが分かるそのときの事実と言いますか、経過を少し補足的に説明したものです。平成元年には養成施設カリキュラムの改訂があり、ここから夜間部の課程が増加しています。そして平成 4 年には広島大学において 4 年制大学教育が始まり、この 20 年間をかけておおよそ 90 余の大学課程を有している状況です。平成 21 年からは専門学校の数が若干減少に転じ、大学数の増加が進んでいるということですが、全体のスケールから見ますと、横這い傾向になっております。

 続きまして理学療法士の国家試験の合格率等の推移です。おおよそ 90 %以上が平成 22 年まででしたが、平成 23 年から少し低下をしており、 50 回では 80 数%になっているということです。

 これらを踏まえ、理学療法士の就業実態について御説明いたします。理学療法士の推移ですが、理学療法士数、これは国家試験の合格者数という累計数でしか示すことができませんけれども、 12 9,942 名となっており、現在では年間約 1 万人ずつ増加しているという現状です。その後の資料は、日本理学療法士協会の会員の就業実態を示していますので、それが全体としてどの程度の重みをもつかということで、この表を示しておりますが、日本理学療法士協会の会員数は 10 2,929 名となっております。

 次のページは組織率のことについてで、全体として約 90 %の入会率ですが、全合格者数に対して、現在在籍している会員数という意味での組織率を出しますと、約 80 %となっております。これまでのところは平均年齢が若い団体ですので、合格者数で現在の会員数を割るということが、おおよそ正確な数値にはなっているかと思いますが、今後についてはこのような計算でやると誤差が段々大きくなってくることは予想しているところです。

 続きまして会員の性別・年齢別のピラミッドですが、平成 17 年と平成 27 年についてお示しています。現在は、 26-30 歳、特に男性で多くなっており、全体の平均年齢は 32.8 歳と非常に若く、男性が 33.4 歳、女性が 32.3 歳です。男性と女性の比率は 5 7,000 3 8,000 となっています。会員における性別・年代別の就業率は、入会したときがおおよそ 95 %程度ということで、その後 31-60 歳までおおよそ横這いで、男性 90 %強、女性 80 %強、性別において 10 %弱の差がありますけれども、年齢区分ごとに大きな凹凸はないという状況です。 60 歳を過ぎると急激に就業率は低下してくるというところです。

 続いて就業先別の理学療法士数の推移です。平成 24 年から 5 年分をプロットしております。赤い線の、医療分野で働く者が約 80 %と高く、介護分野は約 10 %となっています。その他福祉、教育、行政で働いているということです。

16 ページは都道府県別の就業領域別・人口 10 万人当たりの理学療法士数をお示ししています。平成 26 年の都道府県別に見た人口 10 万人当たりの理学療法士数は、平均 75.3 人です。大雑把に示しますと、青で囲ってある所が比較的少ない所、赤で囲ってある都道府県が比較的多い所ということで、全体としては幾分、西高東低の傾向はあるかもしれません。

17 ページはリハビリテーションの対象患者像や病床別の平均担当患者数・単位数です。左と右では出典が異なっており、左はレセプト件数で見た理学療法・作業療法・言語聴覚療法を含むリハビリテーション料です。現在このリハビリケーション料ということで包括されていますので、これらの値を使わせていただいております。運動器疾患が 46.5 %で最も多く、次いで脳血管疾患 40 %、廃用症候群 7.8 %です。心疾患、呼吸器疾患は非常に少なくなっていますが、これはデータの信憑性ということが、こちらが勝るのでこれにしております。理学療法士の会員向けにどのような領域で主として働くかと言うと、心疾患のところはもう少し増えているという状況がありますが、作業療法、言語聴覚療法と合わせている数ですので、それは少し低く出ているというところがあります。

 右側は理学療法士に対するアンケート調査ですので、左のような厳密な数でない部分も若干含まれていると思いますが、 1 日当たりの平均担当患者数は一般病床、療養病床で約 11 13 人、回復期リハビリ病棟で約 7 人、平均単位数はおおむね 18 20 単位といったような調査結果が得られております。

 最後に 18 ページの都道府県別・病床別の 100 病床当たりの理学療法士数です。日本理学療法士協会の会員が所属している、 2,522 施設から解析したもので、これも調査ですので、冒頭で示しましたような全数の実態をすべからく正確に示したものではありませんので、全体の傾向、これからの御議論の参考ということで見ていただければという資料です。日本地図に、左から一般病床 (DPC1 2 ) 、次がそれ以外の一般病床、 3 番目が回復期リハ病床、 4 番目が療養病床となっています。それぞれ全国的には 100 病床当たり 5.6 人、 7.2 人、 23.3 人と、回復リハ病床で圧倒的に多い数となっており、療養病床では 9.6 人となっています。便宜的にそれぞれ 5 人区分で色分けをさせていただきましたけれども、全体としてはやはり地域による偏在も大きいということと、更には病床によってかなり異なるということです。これにつきましては、先ほど御説明がありましたように、病床の絶対数の中で理学療法の適用となるパーセントというのは、当然、病床区分ごとによってそれは異なるというようには理解しておりますので、その辺の補正、適正な係数というものを乗じたときには、この相対的な分布は変わり得るものと承知しておりますが、現状分析する範囲においては、状況を説明するという立場においては、このような実態であるということです。以上です。

○水間座長 ありがとうございました。引き続き、作業療法士を取り巻く状況について、荻原構成員から御説明をお願いいたします。

○荻原構成員 基本的に日本作業療法士協会の会員の統計資料を基にして今回説明いたします。作業療法士の業務から説明いたします。この資料は、第 108 回の社会保障審議会介護給付費分科会のときのヒアリング資料の一部です。

 理学療法士・作業療法士法がそこの下に書いてありますが、今、理学療法士の説明がありましたけれども、この部分で大きく違うのは、対象が身体だけではなくて精神の方も対象にするというところで、 1 つ大きく違います。理学療法が基本的動作能力が目的であることに対し、作業療法は応用的動作能力又は社会的適応能力の回復が目的になっています。手段としては、昭和 40 年のときの文言がそのままですので、「手芸、工作その他の作業を行わせる」ということになっています。

 上の図については、主に高齢者に向けてということで分かりやすく説明しております。ここで表されている内容は、平成 22 4 30 日の医政局長通知に掲げられた作業療法の範囲に書かれている内容で、それを盛り込んで分かりやすく表現したものです。主な対象というと当然、からだ、先ほども言いましたが精神障害も含めてですので、こころ、それともう 1 つは生活行為、廃用症候群等ということで主な対象になっています。評価は、当然 IADL/ADL 、作業能力の評価、認知機能の評価で、それらを評価して、その人に合った計画の立案をしていきます。

 主なアプローチということで、法律の文言に準じた形ですが、基本的なものについては作業耐久性の向上、作業手順の習得、これは具体的に単に物を作るという作業だけではなくていろいろな作業がありますので、その面での内容であると御理解ください。次に応用的となりますと、移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動に関する ADL がまず 1 つあります。それと御本人の活動と参加につながっていくわけですが、家事、外出等の IADL というものになります。次に社会的なものについては、高齢者の方ですので福祉用具等の使用に関するものも入ってくるということで、主に高齢の方に向けての作業療法の業務と御理解いただければと思います。

 作業療法の教育、卒前教育です。 1 点ここで訂正いたしますが、養成課程と養成校の実態ということで、 2014 年の数を掲げており、計が 173 ではなくて 174 に訂正していただければと思います。その中で、大学、短大 3 年、国公立の専門学校、私立専門学校という形で、教育の形態は文科省並びに厚生労働省の管轄で大学と専門学校という形ですので、これは理学療法と基本同じです。右に高等学校からということでフローになっております。

 作業療法士の養成カリキュラムです。これは基礎分野、専門基礎分野、専門分野ということになっており、基礎分野と専門基礎分野は、理学療法と基本同じ形になっており、専門分野のところで大きく変わってくるということになります。これが卒前教育です。

3 ページは生涯教育です。私ども作業療法士協会としての生涯教育の内容を示したものです。簡単にお伝えすると、一番下に軸があり入会から始まりますが、基礎研修を各 47 都道府県士会でやっていただきながら、事例報告を登録していただき、認定作業療法士を目指していただくということになります。認定作業療法士の分かりやすい内容としては、どこの場所でも作業療法を受けた内容が違わない、要は認定作業療法士が提供する作業療法は一定水準を担保されているというものです。

 その上で、それと並行して専門作業療法は、かなり専門特化されたものに進んでいただく。これは基本、両方できるという形になっています。認定を取りながらも御自分の専門を高めていけるという形になっています。 2016 2 1 日現在、専門作業療法士は 70 名ということで、福祉用具、認知症、手の外科、特別支援教育、高次脳機能障害、精神科急性期と書かれておりますが、これは順次、 1 1 つ増やしていくという形を取っています。下にありますが、認定作業療法士は 792 名という形になっております。これが私ども協会が設定している生涯教育です。

4 ページです。作業療法士の有資格者総数と協会員数・組織率の推移ということで、 1966 年から 2014 年度までの動きになっております。赤の折れ線が協会の協会員数で縦の棒が有資格者総数、これは先ほど理学療法士協会からありましたように、有資格者総数は国家試験の合格者の累計で、少なくともこれが実数ということではありません。亡くなられた方もいらっしゃいますので、そのような形で捉えていただければと。あとは組織率が黄土色の折れ線グラフということで、 2014 年は有資格者 7 676 人、協会員の会員数が 4 9,027 人という形になっています。

 めくっていただいて、これも人口 10 万対都道府県です。実際の母数が PT と比べると少し少ないのでこの数になっておりますが、全国平均では 39 です。やはり、どちらかというと西が少し高いと見える数字で、これも形としては理学療法士と基本的に大きな差はないのではないかと考えられます。

 ちなみに、ここにはお示ししておりませんが、諸外国はどのようになっているのかということで、 2012 年のデータでは、例えばデンマークなどは対 10 万で 126 という数が出されておりますが、少なくとも日本は対 10 万の数として、現在では中間ぐらいの位置にいます。

6 ページです。協会員の女性比率ということで 1993 2014 年のものを示させていただきました。棒グラフです。青が男性、オレンジ色に近いものが女性会員です。理学療法士と作業療法士を比べてみると、作業療法士は女性のほうが多いという形で推移してきております。基本は変わらないですが、少しずつ近年になって男性も入ってきたということは見ることができます。ですから、女性比率は本当に少しですが低くなっている感じはありますが、基本は女性が多いということで見て取れると思います。

 めくっていただき、日本作業療法士協会の性別・年齢別就業状況ということで 2014 年度のものを取りました。これも見ていただければ分かりますが、年齢の山は 26 30 が一番の山になっており、先ほどの理学療法士とほぼ同じであろうということと、就業のことについても同じ形になっていると思います。やはり女性が多いということで、 76.7 %というものがありますが、ここは 30 歳代の方が子育てとかということで少し仕事、常勤から離れる傾向は見て取れるという状況です。それが過ぎると、また復活していくという形にはなっております。

8 ページです。養成数 ( 入学定員 ) 及び養成施設数です。 1966 2014 年まで棒グラフと折れ線グラフで見ていただいております。 2014 年の所は記入されておりませんが、基本、入学定員は 7,245 人ということになっております。養成校数が 181 校となっております。これも 1991 ( 平成 3 ) の需給計画の見直し以降、かなり右肩上がりできてしまっているという、きてしまっているという言い方は変ですが、きているという状況で、ここ数年は少し落ち着いていると見るのか、それとも落ちてきたと見るのかですが、平らな状況にも見えてきています。

9 ページです。国家試験受験者数・合格者数及び合格率です。この表については 2002 2014 年度を見ていただいているということです。受験者数が一番伸びているのは、 2008 年や 2009 年ということで、その後は少し落ちているという状況が見えています。この背景に何があるのかということは、具体的にいろいろな観点から検討いただければと思います。

10 ページです。協会員の領域別配置状況です。 1993 2014 年に医療、介護、福祉、養成教育、行政・その他という形で図に表しております。主に医療機関と介護が分かる形になっています。 1993 2014 年まで基本、医療はずっと伸びてきていて、介護もそれに伴って伸びてきているという状況ではあります。具体的な数がここにありますが、先ほど冒頭でお伝えしましたように、作業療法士の場合には精神科がありますので、精神科病院も示しております。これが配置状況です。

 最後ですが、作業療法が対象とする主な疾患に係る協会員数です。これは、それぞれ協会員に自分の担当している主な疾患を挙げてもらった数字ですので、基本重複しております。 ICD10 に準拠した項目で回答していただくと、やはり脳血管障害が一番多い。あと骨折とありますが、これは主に上肢です。次にくるのが統合失調症、あるいは次に虚弱老人となっておりますが、これは介護保険領域の虚弱老人です。次に血管性認知症、感情障害、パーキンソン、脊椎障害、アルツハイマー、認知症で考えれば血管性認知症とアルツハイマーを足すといいことになりますので、 7,000 弱という形になります。あとは、それぞれ発達障害等ということになっております。

 以上、雑駁ではございますけれども、作業療法士を取り巻く状況について説明いたしました。ありがとうございました。

○水間座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御質問、御意見等をお願いいたします。

○伏見構成員 大変、分かりやすい御説明どうもありがとうございました。理学療法士を取り巻く状況について、資料の中から 3 点ほど質問いたします。まず、 1 点目は、 8 ページのグラフ、入学定員の年次推移の所です。平成 21 年以降ほぼ頭打ちという状況になっているのですが、これは何らかの原因があったのか、何らかの自主規制等があったのか、あるいは今後これが変動する見込みがあるのかどうなのかについて、教えていただきたいと思います。

2 点目は、 9 ページです。合格率等の推移なのですが、合格率の変動は結構大きい、特に平成 23 年などかなり落ち込んでいるのですが、これは合格基準をより厳しくしたとか、何らかの理由があるのかとか、その辺について、もしお分かりになれば教えていただきたいと思います。

3 点目は、 12 ページです。組織率の推移ということで、組織率が大体 80 %前後で、やや低下傾向ということで、協会に入会されている方の業務内容や勤務場所などは報告いただいたのですが、約 2 割の組織されていない方は、なぜ協会に入っていないのか、そもそも仕事をされていないのか、どういうことをされているのか、もしお分かりになったら教えていただきたいと思います。以上です。

○内山構成員 まず、 1 点目の養成校の推移です。明確に言えるのは自主規制等はしておりません。規制緩和の中で養成校が新しく申請されて、それが認可されていると理解しております。先ほども申しましたが、専門学校の数が減少して大学の数が増えているということで、一部は専門学校が大学の基準に沿うように組織改編をして、教員の数を増やしたり高度なカリキュラムを作成して、大学として文部科学省に認可を申請しているという状況があろうかと思います。あとは全体として社会のニーズ、入学者数や求人数ということは影響しているのかも分かりませんが、それは各学校の設置者の御意向も反映されていると思慮しております。

2 番目の合格率です。私たちが理解している範囲では、大幅な基準が改正されているということはないと承知しております。国家試験については、数年に一度、国家試験の出題基準の改正はなされていますが、必ずしも落ち込みの年度とそれが一致しているわけではないと思っております。様々な要因はあるのかもしれませんが、詳細な分析は持ち合わせておりません。

3 点目の非会員の方々がどのような領域で、どのようなことをされているかということですが、これはなかなか調べようがないといいますか、話に聞くところによりますとという形になってしまいますが、 1 つ別の調査では、行政にお勤めの方々の組織率は低いということです。あとは、世界の理学療法連盟という 111 程の協会が所属している所がありますが、 80 %という数は突出して多いという組織率になっております。他の国や地域で代表される協会ですと、 25 50 %程度という所が多いと伺っております。そのほかについては、私どもとしても組織率を高める努力は継続しているところです。以上です。

○本間構成員 全国老人保健施設協会の本間です。丁寧な御説明を頂いてありがとうございます。私も 46 回の国家試験のところが少し気になりました。

さて理学療法士について、資料 5 15 ページで新卒者の就業先の推移をお示しになっておられます。

 新卒者は急性期あるいは回復期に就職するということは非常によく分かるのですが、私どもの老人保健施設のような生活期の施設で働く理学療法士は、新卒で最初から来るのか、急性期、回復期を経験されて何年かたって来られるのか、もしそういうデータ等があれば教えていただきたいのです。

 最近の新卒者を見ていると、質が非常に厳しいと感じられます。新卒者の就職先選定が質に影響しているのかどうか、教えていただければと思います。

○水間座長 これは重要なところだと思いますので、 PT OT からもお願いいたします。

○内山構成員 ありがとうございました。私どももキャリアパスにも関連すると思いますので、この辺りのところは、また詳細のデータについては、きちんと追跡した上でお示しすることができればと思っております。今、印象でというお話ですので、あくまでも個人的な印象ということですが、最近になって質が低下したから最初は病院でということはないと思います。かつては、就業先の区分も大分違っていましたので、一概には申し上げられませんが、比較的大きな病院で指導を受けられるような状況から少し研鑽を積んで、そして地域やクリニックへ出ていくという大きな教育の流れも含めてと思っております。特に現在の教育体系は、非常に大きな見方をすると、回復期段階での理学療法を行うために必要な知識や技能を中心として教育がなされていて、単位の配分もそちらに多くなっています。また、臨床実習においても全体の 3 分の 2 は病院や診療所等で行うということで、地域で卒後すぐに働く卒前の教育が、必ずしも十分に担保できているとは言えない状況もあると思います。

 ただ、一方では新卒者で初めから地域在宅の中で働いていきたいという学生も少なからずおり、実際に就職している方々も散見いたします。それが全国的なパーセントとしてどのように動いているかということは、余りにも臆測になりますので、ここで具体的な数字は申し上げられませんが、そのような点は精査していきたいと思います。ありがとうございます。

○荻原構成員 私も基本的には、今の理学療法の説明でよろしいかと思います。ただ、あえてどうなのだと聞かれたとしての私の個人的な感覚としては、大学の教員もしていたことがありますので、一応国家試験は合格されたという前提で考えたときに、上と下の幅が少し広がっている感じはします。臨床家になられて 5 年ぐらいの状況を見ていると、とにかくどこの領域であったとしても一生懸命に頑張っている、先ほどお伝えした協会の研修にどんどん出てという方もいらっしゃるのと同時に、国家試験に合格しただけかと、極論ですよ、そういう方もいらっしゃって、この幅をどのように埋めていくかということは、協会としても真剣に取り組んでいるところです。

○水間座長 実感されている部分ということですが、まだ細かいデータはないとのことですが、先ほどの国家試験の合格率の落ち込みのところは、何か解答様式が突然変わってということがあったということは記憶しているのですが、そういうことではなかったでしょうか。

○荻原構成員 確か X(2) が入ったのがその、私も少し記憶が定かではごさいません。ちょうど符合するように思いますが、この理由は何かは分かりませんが。

○水間座長 確かにそういう傾向が変わったということが要因としてあったようにも記憶しております。はい、分かりました。

○勝又構成員 まず、内山構成員の先ほどの定員数の年次推移の所に、平成 11 年の規制緩和政策により養成校が増加したという記載があります。規制緩和の中身を少し教えていただきたいということが 1 点目です。それから、今まで御説明いただいた資料なのですが、厚生労働省の事務局の説明も含めて、感覚的に PT OT の方々が足りているのか足りていないのかということが全く分からないのと、それから地域偏在があるのかどうかということについても、この資料では読み取ることができないと思います。

 例えば、有効求人倍率がどうであるとか離職率がどうであるとか、更に医療や介護の部分でどういう役割を担って、どういう所に何人配置されているのかという客観的なデータが不足しているように思いますので、そういう資料の御提示をよろしくお願いしたいと思います。

○水間座長 ただいまの規制緩和について、事務局から何かありますか。

○堀岡医事課長補佐 申し訳ございません。今、整理しますので、 12 年の改正の内容や規制緩和の内容を少し調べさせてください。

○水間座長 あと 2 番目の質問に関して、客観的なデータは次回、出していただけますか。

○堀岡医事課長補佐 理学療法士協会、 OT 協会と一緒にやらないと実は分からないということもあるのですが、一緒に連携しながら、いろいろ客観的な推計に資するデータも含めて、検討して出させていただきたいと思います。

○水間座長 求人等のことに関しては、各協会である程度データは出せますか、過不足に関してとか。医師ではそういうことをやられたわけですが。

○荻原構成員 現実的に数年前までは、協会で集められる範囲の求人データを集めていたことがあります。ただ、養成校に求人の状況を確認し、それを集めていくということですので、オーバーラップしている部分がたくさんある、最終的に 1 つの病院が、例えば 3 つの県に同時に出しているとオーバーラップしてくるのです。そこがどうかということで基本、正確なデータではないということで取りやめている状況はあります。

○水間座長 各病院でどれだけ充足しているかというところは、ある程度は出せるのではないか、病院といいますか各施設ごとなど、是非できる範囲でその辺りと、それから地域偏在に関しても分かるデータを出していただければと思います。これは事務局と各協会で少し話合いをしてまとめていただければと思います。

○荻原構成員 了解いたしました。

○水間座長 今、まだ調べているので回答は少し後ということで、次に移ります。山口構成員お願いします。

○山口構成員 先ほどは御説明ありがとうございました。私は患者の立場ということで、ここに参加させていただいております。これから高齢者が増えてくるということを考えると、この 2 つの領域は非常に重要ではないかと思っております。それを前提にして 4 つ質問があります。内山構成員と荻原構成員のお 2 人にお聞きしたいのですが、理学療法は 7 ページ、作業療法は 2 ページの所で養成校が専門学校から大学までとあり、結構バラバラになっていると思います。聞くところによると先進国の中で 3 年制は日本と韓国ぐらいと聞いており、欧米の中には 6 年の専門的な教育をしている国もあると。理学療法も作業療法も非常に専門的な分野ではないかと思いますが、専門学校や大学の違いによって教育のプログラムは何が大きく違うのでしょうか。そして、それによって結果として何が変わってくるのかということを、まず 1 つ目として質問いたします。

2 つ目は理学療法の 11 ページの所です。全体としては、平成 26 年で約 13 万人と書いてあり、その中の会員が 10 3,000 人ぐらいとあるのですが、 15 ページにいくと全体が 8 5,000 人、これは平成 28 年で更にその 2 年後になっているのに全体が 8 5,000 人になっているのです。この全体数というのは先ほどの会員数と何が違うのか、数を見ていて分からなかったで教えてください。

3 つ目は、内山構成員と荻原構成員のお 2 人にお聞きしたいのですが、資料を拝見するとどちらも圧倒的に医療現場に従事していらっしゃる。就業先で言うと、例えば理学療法だったら 8 1 ぐらいの差がある。この 2 つの領域を考えると、介護の分野で、とても必要性が高まるのではないかと思います。実際には介護分野にもニーズがあるのではないかと。でも、これだけ圧倒的に数に開きがあるということは何か原因があるのではないかと思います。その原因としてこういうものがあるのだということがあれば、それぞれの分野から教えていただきたいと思います。

 最後の質問は内山構成員にです。作業療法士には認定作業療法士、専門作業療法士があるという御説明を先ほど頂いたのですが、理学療法士にはそういうものがあるのかないのか、もしないとすれば何か理由があるのかということをお尋ねしたいと思います。以上です。

○水間座長 ありがとうございました。それでは、最初の所からそれぞれお願いいたします。

○内山構成員 養成形態ということですが、説明のときにもお話いたしましたが、御指摘のとおり世界の中で 3 年制の専門学校教育が、一定以上の割合を占めている所は極めてまれであるということは御指摘のとおりです。参考までに米国においては DPT 、ドクター・オブ・フィジカルセラピーということで、一般の大学を卒業後に 3 年間の博士課程で専門教育を受けて、それで働くということになっております。世界の協会においては既に 10 年ほど前から理学療法士の教育水準は、 4 年制大学で行われるべきという総会の採択がなされているという現状はあります。

 プログラムですが、大綱化しておりますので、それぞれの大学の裁量で大学によって異なっております。先ほど申し上げたようなスポーツ領域、行政領域、保険領域というカリキュラムがそれぞれ独自に組まれております。学校形態ごとによって就職先に大きな違いがあるかと言われると、それはやはり形態というよりは、それぞれの学校の特色による違いもあろうかと思います。一部の国立大学では、一般の企業等にお勤めになられて理学療法の学びというものを更に広い範囲でいかすという活動もあり、官庁に勤められる卒業生も国公立の一部ではいらっしゃるような状況です。学校種別の国家試験の合格率も調査しておりますが、それには一定の開きがあるということは、やはりあります。 1 番目の質問の答えは以上です。

○荻原構成員 基本は養成施設の大学、専門学校という区別があるわけですが、教育内容としては指定規則があるので、大学にしても 3 年制にしても、まずはそこはしっかりとやる。その上で大学の教育となりますと 4 年制ということになりますので、プラスアルファと。実は理学療法士も作業療法士も、この職種が誕生してそれほどしないうちから、大学教育が必要であろうということを世の中に表明してきたところです。その理由ですが、やはり技術的なことだけで事済む領域ではないので、要は基本的に医師の方のように、急性期の心臓がどうのこうのという、止まってしまうとかということではないにしても、両方とも生命に関わる職種であると考えておりますので、その部分において 3 年制の教育ですと、指定規則の時間内をぎりぎりやるということになってしまいます。やはり対象者の方と一緒に、なおかつ人生のある一部分に関わるということになりますので、その部分の卒前の準備性というか、一言でいうと一般教養ということなのですが、基本は問題解決能力とか課題解決能力というようなことを目指すには 4 年制が必要であろうということで、当初からこちらは理学療法もそうですが、お願いをしているところではあります。かなり長い間、お願いをしております。

 外国の部分については、やはりもう修士課程までを通らないと、作業療法士としては働けないという国も、もう既にできています。そこら辺のところを最終的に、世界標準をどのように目指していくかというのはあると思います。

 もう 1 つ、共通しているところで、医療と介護、医療にしても介護にしても、両職種とも基本は、医療でいいますと診療報酬の項目であり、それは昭和 47 年に両方とも診療報酬の項目に設定されたわけです。その項目の時代的な変遷はありますが、要は職名記載されて診療報酬が取れるというところが医療機関のところで設定されていますので、それと介護もそうです。

 それともう 1 つ、障害者の総合支援法も職名記載がされているところがありますが、要は職名記載の数が反映していると御理解いただけると分かりやすいと思います。以上です。

○水間座長 ありがとうございました。それではまた内山構成員から、先ほどの数字の違いについてお願いします。

○内山構成員 これについてはきちんと確認させていただきます。目盛りの振り方も見にくくなっていますので、改めて確認いたします。

○水間座長 では、その次の御質問の医療と介護の比率の問題ですが。

○内山構成員 今、前段、作業療法士協会からの御見解もあるかと思いますが、 1 つは病院からの求人、需要が十分にというか、これまで非常に多いということはあろうかと思います。それと 2 点目は、先ほども少しお話しましたが、やはり教育の全体の課程というものが病院で働くために必要な、特に回復期で働くために必要なカリキュラムで構成されているということから、その志向性であったり、自分の自己効力感であったりというところが、そういう所に動きやすいというような間接的な動機になろうかなとも思っております。

 最後の御質問で、専門認定制度については、私たちの協会も持っています。専門認定理学療法士はお蔭様で、それぞれ 2, ,000 程度の登録者数が現在あります。日本理学療法士協会では、 12 の専門分科学会というものを持っていて、これらの登録者数を全部合わせますと、 8 万人以上ということです。その学術的なところへの関心は相当高く、そこで卒後教育の中で、総合的に見るということも含めて、専門分化した高度な知識や技能を修得するということについては、一定の活力があり、また、それを修得している方々も一定数いると考えています。

○山口構成員 先ほどの医療と介護の比率の問題ですが、収入として医療で得られる収入と介護の収入ということに、かなり差があるようなことも耳にしておりまして、今後、介護や在宅にリハビリの分野の方たちが出ていくとしたら、収入やキャリアパスも考えないと増えてこないのではないかということを少し感じましたので、問題点としてお聞きいたしました。

○水間座長 ありがとうございました。私が意見を言うのもとは思いますが、教育のところで、実習教育で、圧倒的に病院が多いのですね。

○荻原構成員 そうですね、指定規則で基本、医療関係職種ですので、医療関係職種の立ち位置で、そこで介護領域で活躍するということで、介護職種になるわけではないので。そうなったときに、現状の指定規則の中で、実習の割合が 810 時間ということなのですが、その中の医療の部分が主な形で従前から動いているので、そこも学生たちが医療以外の場所の場面に接するということが現実的には多いかと言われると、いやいや、まだ少ないですということになります。

○水間座長 そのような背景もあるかと思います。先ほどの御質問に関しては事務方、どうでしょうか。

○堀岡医事課長補佐 規制緩和の内容と試験のお話なのですが、今、咄嗟に調べた範囲では、実は恐らくそうであろうというのがあるのですが、この場で公式に我々行政のほうからお答えするには、本当に確実にお答えしたいと思いますので、次回までに調べさせていただきます。申し訳ございません。

○水間座長 はい、それでは次回までにということで、では、野口構成員どうぞ。

○野口構成員 内山構成員と荻原構成員、非常に勉強になりました。どうもありがとうございました。私のほうからはお 2 人に 1 点だけ状況を伺いたいのですが、やはり労働供給を考えるということは、先ほど収入の話ということがありましたが、賃金がやはり大きく影響してくると思うのです。その賃金のデータであるとか、あるいは例えばこれは三師調査の情報が不十分であるという話がこの前の親会でも出ていましたが、いわゆる労働供給を考える上で、例えばその人のライフコース、例えば今、いわゆる女性の社会進出で医師はどんどん女性比率が高くなっていて、その中で女性のライフコースと、やはり労働供給というのは非常に相関があるわけです。ですので、こういったいわゆる PT さん、 OT さんの詳細な労働者としてのデータ、家族構成、働き方、あるいは賃金水準といったものも含めて、どのくらいのデータベースが整備されているのかということを、お 2 人の先生にお伺いしたいと思います。

○水間座長 はい、ではまず内山構成員。

○内山構成員  5 年に一度、私たちの協会では白書というもので、かつては全数調査、最近においては抜取り調査ということで、ある程度のことを聞いております。全体の賃金についてはある程度のデータがございます。家族構成については聞いておりません。働き方については常勤、非常勤の別と、先ほどお伝えしたような主な就業先ぐらいまでは聞いていますが、それ以上、詳細なデータは今のところは持ち合わせていないというのが現状です。

○荻原構成員 作業療法士のほうも基本、 1985 年から 5 年ごとに白書という形で取っております。その中で、まず、一つは回答してくれないと基本、データにはならないということですので、回収率が問題だなとは考えておりますので、それが正確かということで言われると、あるいはデータベースと言われてしまいますと、それはできていません。そのことを前提に例えば賃金を見てみますと、初任給というところで見てみますと、 5 年ごとに少しずつ下がっているかなという感じはあります。それが一般的な初任給として、御本人が満足するのかどうかはちょっと置いておいて、今度はその伸び率という基本がデータとしては取れていないなという、追い掛けられていないという感じはありますが、そういう点の制限がある中でのデータということであれば、それは理学療法も作業療法もお示しはできるのであろうとは思っています。

○野口構成員 やはりこれからはパネルで、今追跡データがなかなか難しいということをおっしゃいましたし、回収率も大変だということをおっしゃったのですが、やはり 1 人の例えばプロフェッショナルをパネルで追求していくという、こういうデータ整備が、労働供給を論ずる上では必ず必須になってくると思うのです。これは OT PT に限らず、医師も看護師もそうだと思うのです。ですので、是非そういったデータベースの構築を国を挙げてやっていただくということをこの検討会の最後の提案として、付け加えていただければと思います。

○水間座長 できる限り、女性のほうも含めてデータがあれば、また提示していただければと思います。それでは PT OT のそれぞれを取り巻く状況については、いろいろと御議論いただきましたが、全体を通して、何か本日の議題に関しまして、御意見等はございますでしょうか。

○高砂構成員 先ほど実習のお話が少しありまして、今までは医療機関での実施が多かったので、医療機関中心ということだったのですが、この場は量的なことを検討するのが主ではありますが、今後、そういう実習の場所だとか、そういうものを変えたりだとか、そういう計画というのは今なされているのでしょうか。

○吉川医事課主査 事務局からお答えさせていただきます。今おっしゃっていただいたように、今回の需給の分科会のほうでは、主に今後の養成の数に関してフォーカスを当てた議論を、今後行っていくことを想定しています。ただ、今までの先生方からの議論を伺っている限り、カリキュラム・養成課程に関しても重要な部分であるかと思います。これに関しましては、今後、厚生労働省の中で理学療法士及び作業療法士のカリキュラムに関して検討の場を設ける準備を行っているところですので、そちらとの連携も今後、考えていきたいと思っております。

○水間座長 質の問題は冒頭でもそこまで踏み込めればという話でしたので、取り入れていきたいと思います。

 そのほかいかがでしょうか。

○長澤構成員 関連でちょっと追加なのですが、理学療法のところでは私もそうなのですが、供給側の立場として、全国大学理学療法学教育学会というのが 10 年ほど前から立ち上がっています。その中で、昨年度に調査を実施し、幸い全数からの結果を得ています。その結果からは、質的にどのようにしていくかとか、あるいは教員のどのレベルの方が、どんな割合で存在しているのか、あるいは今後どのような社会の情勢の変化の中で、どのようなことが必要であろうか等の結果が集計されているということですので、これも少し御参考になるのではないかと考えています。

○水間座長 事務局としては、そのデータをそちらにお送りいただいてということでよろしいでしょうか。

○吉川医事課主査 会議が終わりました後、長澤構成員とも御協力させていただきまして、次回の会議等で提出していただくかどうかも相談させていただきたいと思います。

○水間座長 そのほか、いかがでしょうか。途中の説明のところでも出ていましたが、固有の事情という言葉がありしたが、今、この議論の中でもそういう固有の事情ということも、御理解いただけた部分もあるかと思います。

 あと、実際の臨床の場では単位数というのも決められ、セラピストが医療の場でも介護の場でも限られている数といいますか、時間で決められて 1 日に対応できる数も決められていて、その辺も 1 つの固有の事情というふうに捉えられているので、その辺はもう少し御理解を頂いてはと思っています。

そのほかにいかがでしょうか。もう少しお時間がありますが、大体、疑問点が説明の部分では解決されたということでしたら、本日の御意見等を含めまして、今後の検討会を進めていきたいと思っております。特によろしいでしょうか。それでは幾つかの宿題が残りましたが、次回の議論の材料として用意いただければと思います。

 では、次回以降の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。

○吉川医事課主査 次回に関しましては、本日示させていただいたスケジュールを目安にしまして、 7 月頃に開催することを予定しております。本日頂いた御意見、あるいは御要望などに関しましても、できる限り準備を進めてまいりたいと思っております。開催日時及び場所等に関しましては、改めて御案内させていただければと存じます。以上です。

○水間座長 それでは予定より少しお時間は早いのですが、本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課
(代表) 03(5253)1111(内線4127)
(直通) 03(3595)2196

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