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2016年5月16日 第20回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室

○日時

平成28年5月16日(月)16:00~18:00


○場所

全国都市会館 第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

1.特定健診・保健指導の3疾患関連入院外医療費への効果額シミュレーションツールについて
2.第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて

○議事

○多田羅座長 定刻になりましたので、ただいまより第20回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しいところ本日は御参集いただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、本日の委員の出欠状況について、事務局から確認をお願いいたします。

野中室長補佐 事務局でございます。

 本日の委員の皆様の出席状況を確認させていただきます。

 本日は、伊奈川委員、岡崎委員、久野委員、細江委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいております。

 次に、欠席委員のかわりに出席される方について、御紹介いたします。

 細江委員の代理として、伏屋参考人。

 吉田委員の代理として、三輪参考人に御出席いただいております。

 続きまして、資料の確認をお願いいたします。

 お手元に座席表、議事次第、構成員名簿、資料1、資料2、資料3、参考資料を御用意させていただいております。過不足等がございましたら、お申し出ください。よろしいでしょうか。

 事務局からは、以上でございます。

多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 議題1「特定健診・保健指導の3疾患関連入院外医療費への効果額シミュレーションツールについて」を、事務局から御説明をお願いいたします。

安藤室長 データヘルス・医療費適正化対策推進室長でございます。

 私から、資料1と資料2を用いまして、特定健診・保健指導の3疾患関連入院外医療費への効果額をシミュレートするためのツールについて、御説明させていただきます。

 こちらにつきましては前回の検討会で、平成27年度に「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」で行ってきた成果物について御報告させていただきましたが、時間の関係がございましたので、次回の検討会で御説明させていただくと申し上げたものでございます。

 まず、資料1の概要がこちらのツールの開発の目的の部分でございます。このツールは「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」におけるこれまでの効果検証の結果を踏まえまして、個々の保険者において、実際に特定健診・保健指導のさらなる推進と検証に資することを目的として、同様の形で医療費適正化効果について検証できるようなシミュレーションツールを策定したというものでございます。

 平成26年になりますけれども、この検討会の中で、そういった各保険者でもシミュレートできるようなツールができないかという御要望をいただきまして、昨年度1年間かけてワーキンググループでの御議論を経て、今回、シミュレーションツールという形で御報告させていただくものでございます。

 こちらのツールの機能につきまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。このツールにつきましては、個々の保険者が被保険者数(加入者数)ですとか、あるいは特定健診の受診率等のデータを入力していただくことによりまして、特定保健指導の実施率等の増大効果による3疾患関連の入院外医療費の縮減額を算出して、その結果を視覚的に確認できるようグラフにて表示するというものになってございます。

 このツール自体は、入力データの年度に特定保健指導を受けた方に限定して、その方々の5年後までの縮減額を算定するという形になってございますので、当該年度以降に新規に特定保健指導を受ける方については考慮されていないことが課題としてございます。これについては、後ほどまた申し上げたいと思います。

 入力データにつきましては下に書いてあるとおりでございますけれども、極力簡便なツールにしようということで、具体的にはその左側に一覧で書いてございますが、現在、各保険者においてお持ちになっているデータ、被保険者数、加入者数あるいは被扶養者数ですとか、特定健診の受診率、積極的支援該当者あるいは動機づけ支援該当者の割合、特定保健指導の実施率について、それぞれ入力をいただくという形でつくっているところでございます。

 実際にどういった形になるかをイメージしていただくために、資料2の18ページをご覧いただければと思います。実際のシミュレーションツールの入力画面を示したのが18ページになってございます。この下に図が書いてございますけれども、入力いただきますのは1からそれぞれ8の部分までになってございまして、まず「1保険者種別」について入力していただく。

 「2入力データ年度」は仮に「平成26年度」と書いてございますけれども、こういった年度について入れていただく。

 「3人数構成」といたしまして、それぞれの保険者の加入者の男性女性別、かつ年齢構成別の人数について入力をいただく。

 その上で、4から6の部分ですけれども「4特定健診受診率」「5積極的支援・動機づけ支援該当者割合」「6特定保健指導実施率」につきまして、それぞれ足元での実績値と想定する目標値について御入力をいただくという形で、入力画面になってございます。4から6の部分については、全体、マクロの保険者としてのそれぞれ、例えば特定健診の受診率であれば、加入者全体での実績値あるいは想定目標値を書いていただくことになっておりますけれども、これは個々の保険者において年齢構成別にも入れられるような形になっておりますので、より詳細なデータをお持ちの保険者においては、それぞれ年齢構成別に実績値ですとか想定目標値を入れられるような形にもなっているところでございます。

 「7推計用一人当たり診療費」については「既定値利用」のところでクリックがされております。この既定値と書いてございますのが、まさにワーキンググループで行いました効果検証の結果を活用する場合には、この「既定値利用」というところをクリックしていただきますと、その結果を使った推計値が出てくるという形になってございます。こちらにつきましても、それぞれデータを持っていらっしゃる各保険者においては、それぞれ実際に保健指導を行った方と行わなかった方の医療費を入れられる画面も別途オプションとしてはついてございますので、実際にデータがある保険者においては、そういった自らの保険者のデータを活用して推計を行うこともできるようにしているところでございます。

 「8入院外総医療費(平成27年度)」は、平成27年度の入院外の総医療費について入れていただく。

 この画面を入れていただいた結果、出てくるのが19ページになります。19ページにAとBと2つのグラフを書いてございます。

 まず、Aが3疾患関連の入院外の医療費の縮減額について、特定保健指導を行った翌年度から5年間分累積でグラフ化できるような形でお示しすることになってございます。緑と青と赤という形で3つの棒グラフがそれぞれ並んでございますけれども、緑につきましては、特定健診の受診率のみを変更した場合の3疾患医療費に与える効果額。青については、特定保健指導の実施率のみ変更した場合の効果額を出せるような形になってございまして、その2つを足し上げた赤が、特定健診と特定保健指導の実施率をそれぞれ目標値に変えた場合、目標値を達成した場合の効果額という形で出せるような形にしてございます。

 他方、下段のBについては、想定目標値に基づく減額後の入院外の総医療費(単年度)についてお示ししたものでございまして、一番左に黒っぽい棒グラフが書いてございます。こちらが特に何もしなかった場合の入院外の総医療費でございまして、そこから先ほどの緑と青と赤という形で、それぞれ特定健診あるいは特定保健指導の実施率の目標を達成した場合の効果額を織り込んだ入院外の総医療費について、棒グラフとしてお示しすることができる機能になっているということでございます。

 次の20ページは、先ほども少し申し上げましたけれども、こちらはあくまでも単年度のもの。例えば平成26年度ですと、平成26年度に保健指導を実施した方と実施しなかった方についての5年間分の差を効果額ということで、5年分を掛けたものをお示しできるというツールになってございますので、実際には今の例で申し上げますと、平成27年度以降も新規に特定保健指導を受けられるという方が出てまいります。

 そういった方について、自動的に、オートマチックには積み上げをできるような形になっていませんので、実際の累積の効果額を見る上では、それぞれ平成26年度、平成27年度、平成28年度というように、単年度ごとに目標値設定をしていただいて、全く同じことですけれども数字を当てはめていただいて、最終的に縦に積み上げるという形にしていただければ、いわば3疾患関連の入院外医療費、保健指導の効果をより見ることができるといった形になってございます。こちらについては、オートマチックにはできないというところで、個々にそれぞれの年度ごとに作業をやっていただくといった形に現状はなっているということでございます。

 こちらのシミュレーションツールでございますが、本検討会で本日、御報告をさせていただくに際しまして、幾つか保険者の方に、実際にそれぞれの保険者の方々のデータを使って試行していただいてございます。

 その際、それぞれの保険者の方からいただいた御意見といたしましては、ツール自体はおおむねシンプルで使いやすいのではないかといった御指摘をいただいているのと、今回、医療費の削減効果を数値でお示しすることができる形になってございますので、それぞれ、例えば市町村であれば議会等々に御説明をしていくに当たりまして、その際の説明資料という形で活用することができるのではないかといった御指摘をいただいているところでございます。

 他方、縮減額自体は総医療費と相対比較すると、思ったよりも額が少ないといったことについても御指摘としていただいておりまして、これは効果検証の結果をそのまま使ってございますので、もとのデータ自体が総医療費と比較すると、やはり相対的に小さくなるということなので、しようがないところなのですが、そういった感想もいただいているところでございます。

 今後、これについては、各保険者に配付をさせていただきまして、ぜひ特定健診・保健指導の今後の企画をする際の一つの参考資料として、医療費への効果額を策定いただければと考えているところでございまして、私どもとしましては、実際にそれを使っていく中で、さまざまなツールについての課題も見えてくるでしょうから、そういった課題につきましては真摯にこれからも我々で受けとめて、シミュレーションツールについては、そういった御意見を踏まえた改善も図っていきたいと思っているところでございます。

 説明については、以上でございます。

多田羅座長 ありがとうございます。

 非常に便利な、各保険者で使っていただくためのシミュレーションツールについて説明いただきました。基本的には御理解いただけたと思いますけれども、せっかくの機会でございますので、御感想、御意見などをいただけたらと思いますが、津下委員、何かございますか。

津下委員 今村委員から。

多田羅座長 では、今村委員からお願いします。

今村委員 大変ワーキングが御苦労をされて、こういう有用なツールをつくられたことは敬意を表したいと思いますし、ぜひこれで各保険者がデータを出していただければありがたいと思います。活用していくなかでいろいろ課題も見えてくるという御指摘もありましたので、よりよい形にしていただければと思っています。

 以前もこの回で申し上げた薬剤費の話は、計算上どのようにやるかはあると思うのですけれども、薬価改定をやって薬価が下がっていくという問題と、後発医薬品を今、急速に普及させようという話が実際にあって、現場でも相当の勢いで後発医薬品の使用が進んでいるという実態があろうかと思います。その影響はかなり出てきてしまうので、このソフトはこのソフトで使いながら、それに加えてそういう保険者としての後発医薬品の使用率などの影響を補正するような対応はできるものなのか。技術的に非常に難しいのかもしれませんけれども、そういうことも課題として考えておいていただきたいと思っています。

 逆に、新しい非常に高価な薬が出てきた場合、例えば脂質異常症の薬で非常に効果が高く高価な薬が出るという話もありますので、そうなるとせっかくこういう取り組みをしても関係の医療費がぼんと上がってしまうことも起こり得るので、その辺を御検討いただければと思います。

多田羅座長 事務局、何かございますか。

安藤室長 ありがとうございます。

 以前より今村委員からいただいている御指摘でございまして、このシミュレーションツールはもとより、そもそもとしての我々のマクロのデータの効果検証の中でも、そこはワーキンググループの中で御指摘の点について、課題としてまた検証させていただければと考えております。

多田羅座長 非常に貴重な、具体的な課題ですよね。

 よろしくお願いいたします。

 津下委員、何かございますか。

津下委員 医療費適正化効果の検証をするときに、がんなど高額な医療費がかかることが想定される病名の条件をつけています。そういう前提で分析したデータに基づいてシミュレーションソフトをつくっておりますので、今後、さらに一般的に使いやすいような形にしていくことが必要かなと思います。

 それから、注意すべき点ですが、これは縮減額であって、実施群も医療費が減ったわけではなく、もともとそうかかっていない人がどんどん増えていくのを若干抑制しているというような結果であります。保健指導をやらないと、もっと増えているのだということを御理解いただいて、健診・保健指導の実施率を上げていくことにつながればいいのかなと考えております。

 以上です。

多田羅座長 ありがとうございました。

 縮減額であるということですね。

 どうぞ。

伏屋参考人 後期高齢のほうですので、直接私どもに関係しない部分があるのですけれども、1点お尋ねしたいのは、今日示されたこういうシミュレーションツールの部分で、全国的な傾向はわからないのですが、私ども地元の岐阜県が、今年度の4月以降、県が平成30年度から保険者になるというのもあるかもしれませんが、県民健康実態調査システムというシステムを県単位でつくりたいということで、市町村であるとか医療機関であるとか、保険者のほうに、いろいろな働きかけがございます。

 それはいわゆる特定健診とか健診データなどを匿名化して、県のほうに集約していく。そういう健診データと、医療機関から御協力いただけるレセプト情報データも匿名化して、県で一体的にこういう健診効果であるとか、どういう特徴があるかを今、取り組もうと岐阜県はしてお見えになります。

 こういうツールが出されるということは、最低限、例えば国保レベルで言ったら、各県皆やるという動きになっているのかどうか。今のお話を聞きますと、こういう検証ツールができたから、それぞれの保険者が活用するかしないかというレベルのお話かと思ったのですが、片や県では、そういう各保険者とか医療機関みんなに声をかけて、一つ県としてそういう検証なり何なりができるシステムをやろうとして見えるのです。

 それがこの検証ツールを拡大したものなのか、あくまで県独自のものなのかがイメージがわからないのです。

安藤室長 まず、それぞれの県で、まさに県単位で一つのデータベースをつくって、そこに保険者の健診データとかを入れてというシステムをつくる動きをされている県が幾つかあることについては、承知しております。その目的はさまざまであるとお伺いしております。

 私どもは、今回は基本的に各保険者さん向けのツールという形で配付させていただくわけでございますけれども、別途都道府県に対しては、同じように健診の実施率等を目標としている医療費適正化計画がございまして、その中で同じように医療費の見込みの金額を立てるということを、これは県がやるお話になりますが、都道府県が行っていくに当たって、そのためのガイドラインを出したりということを、別途検討作業を進めております。

 そういう意味でいきますと、健診・保健指導の実施率との関係の部分については、今回、こういったツールで配るかどうかは別にしても、考え方としては、こういった効果検証で行った結果を参考に、都道府県に対して特定健診・保健指導の実施率の効果額を将来の医療費の見込み額に使っていただくこともあわせて考えていかなければいけないのではないかと思っておりますので、そういう意味では、適正化計画の見直しの作業の中で、一定程度こちらの特定健診・保健指導の効果検証の話とつながってくるのかなと思っているところでございます。

多田羅座長 一応、それぞれのデータであるというレベルは、ここはそうですよね。

 一括したデータが処理できるわけではないですよね。各保険者単位で出していただいて、それを参考にということですね。

安藤室長 今回は目的が違っておりまして、これはまさに各保険者さんが特定健診とか保健指導を、特に実施率をこれから上げていかなければいけないという中で、その実施率を上げていく以上、当然、コストもかかってくる話になるわけですから、コストの見合いの効果がどうなのかを一定程度見るというために、まさにこういうツールをつくって、保険者さんが一つの説得材料として活用いただくことを目的として配付しているものでございます。

 他方、都道府県の今のお話ですけれども、都道府県は都道府県で、これは別の話になります。将来の医療費の見込み額をつくることが別の高齢者医療確保法の中で定まっておりまして、医療費適正化計画という計画の中で、都道府県は医療費の見込み額をつくっていくことになっていくのです。

 それの出し方をどう出していけばいいかについて別のところで検討を進めておりまして、ただ、医療費の見込み額を出すときに、一つ特定健診・保健指導の実施をすることで医療費の適正化の効果を出していくということは共通項としてあって、その際の見込み額、効果額の出し方の部分については、ベースとなるのはこの検討会でも御議論いただいた、まさに効果検証のワーキングでやったあちらの実績の数字が、一つは効果額を出す際の根拠になっていくのかなという、そこでは共通点が出てくるというものでございます。

多田羅座長 参考のために聞きたいのですが、見込み額というか適正化目標額は、何年計画ぐらいのものですか。

安藤室長 医療費適正化計画はまさに健診の期間と同じで流れてきていまして、これまで平成20年度からスタートしておりますけれども、5年刻みで計画期間がつくられておりましたが、平成30年度以降は健診の期間とも同じになりますけれども、6年刻みです。

多田羅座長 6年刻みで目標値を立てていく。

安藤室長 そういうことでございます。

多田羅座長 わかりました。

 よろしいでしょうか。

 ぜひ参考にしていただきたい。しかし、具体的にこの中で処理できるというものではないようでございます。

 どうぞ。

飯山委員 今の伏屋参考人のお話にありました、岐阜県さんがどういうシステムをつくるか私は承知していないのですが、県単位で言えば、国保連合会と私ども国保中央会でつくってリリースしております国保データベースシステムを使っていただければ、国保と特定健診と後期高齢者医療の全部がドッキングしてデータを出せますので、シミュレーション機能は今のところありませんけれども、相当細かい資料が出せます。

多田羅座長 県単位で出せるのですか。

飯山委員 県単位でも市単位でも、保険者単位でももちろん出せます。

多田羅座長 保険者単位はいけると思うのですけれども、それを県単位にする。

飯山委員 もちろんとれます。集計もできますし、全国レベルの集計もできますし、この前こちらでお話ししましたように、実際、健診を受けている方、医療機関にかかっている方、健診だけ受けて医療機関にかかっていない方、医療機関にかかっているけれども健診を受けていない方、そういった区分で、しかもその方々のレセプトの出現率がどうだとか、そういうことも出せますので、御活用いただければ相当なことができると思います。

多田羅座長 全部データがあるわけですね。

伏屋参考人 飯山委員からの資料の中で、国保さんのデータの部分はよく私どもは理解しているつもりなのです。たまたま、今、県がやろうとして見えるのは、国保は当然国保連からやるわけですが、各保険者まで全部入れるというわけですね。

 そういうことを岐阜県の場合はそうやって音頭をとって見えるもので、そういうことを各県に、厚労省のほうからやれと言ってお見えになるのかなということが知りたかった部分もあるのです。

多田羅座長 一応、厚労省からそれは各県でやってくれと言っているわけですよね。

安藤室長 そこは、特に厚労省からそうするように言っているわけではなく、各県がまさに自主的に、実際にやろうとするときには、各県、県内の各保険者さんと契約を交わされて、個人情報の問題もありますので、その部分のセキュリティーポリシーみたいなものを組み立てて、その上でそれぞれの保険者さんからデータをいただいて、データベースをつくるというやり方をしております。

 私が承知している範囲ですと、大体エリアで切れる市町村国保ですとか、あるいは協会、後期、ここら辺は非常にやりやすいのですが、健保組合は全国で本社が別のところにあってというところもございますので、各県も健保組合のデータについて、県単位で集めるのは非常に難しいところがあるとはお伺いしているところでございます。

多田羅座長 健保の白川委員、いかがでしょうか。

白川委員 健保のデータが集めにくいのは、例えば地域医療構想とか、それ以外の部分でも随分ある話でございまして、レセプトの様式に住所コードを入れるとか、大分変えていかないと集計は難しいのではないかと思っております。

 せっかく御指名いただいたので、これ以外の件で質問が3つほどあるのですけれども、1つは、3疾患ということでございますが、この3疾患はレセプトの疾病コード等で指定されると思うのですけれども、それは御通知いただけると考えてよろしいのでしょうか。

 生活習慣病に悪性新生物を入れる、入れないとか、保険者によって解釈が随分違うものですから、できましたら疾病コードを入れて連絡したほうがよろしいのかなと思います。

多田羅座長 その意見は具体的なことを、津下委員からでいいですね。

津下委員 例えば糖尿病でも1型糖尿病は生活習慣病ではないので、2型糖尿病だけ拾うとか、疾病コードを全てリストアップしています。このワーキングの報告書にも、ホームページ上でも記載しています。

 疾病については併せて薬剤コードも拾っております。ただ、先ほどの話にも関連するのですが、新しい薬剤を毎年キャッチアップしていく作業はこれからも必要かなとは思いますが、そのワーキングが効果検証した年度分につきましては、糖尿病の場合は糖尿病の薬が出ていることも確認した上で、病名を拾っております。

 それもワーキングの資料の中に公開されております。

白川委員 承知いたしました。

 多分、そうされているのは間違いないと思うのですけれども、それはきちんと連絡をしていただきたい。ホームページに掲載されているのでしたら、どこのホームページにあるということでも結構でございますので、お願いしたい。

安藤室長 わかりました。

白川委員 それから、外来医療費と書かれていますけれども、これもどういう定義で外来医療費ということにしているのか。多分、処方箋の薬剤は含まれていないと思うのですけれども、その辺のこともきちんと定義づけをして御連絡いただければ、均等な解釈ができると思いますので、よろしくお願いします。

 2つ目は、このシミュレーションを配付するタイミングでございますけれども、健保組合の場合は、大体6月に理事会とか組合会を開催する予定の健保組合が大多数でございますので、できましたらそれに間に合うような形で送っていただきたいということが2点目でございます。

 3つ目は、要望でございますけれども、以前から特定保健指導の効果額は、ワーキング等で非常にいいシミュレーションをやっていただいているので感謝をしているのですが、健診自体の効果が、言ってみれば健診を受けている人と受けていない人、あるいは健診を受けていない人と特定保健指導を受けた方の差がどうなのかといったことも、健診を勧奨するという意味では非常に有効な資料だと思いますので、これはナショナルデータベースでは非常にやりにくいということは理解しておりますが、何らかの御工夫をいただいて、これも保険者に提供していただくと非常に助かるということ。

 これは要望でございますけれども、以上の3点をお願いいたします。

多田羅座長 わかりました。

 3点目は、保健指導とは別に健診自体の意味合いについて出してほしいということですね。

 事務局、どうですか。

安藤室長 まず、1点目の定義づけの部分については、今の御指摘のとおりでございますので、その辺は効果検証のワーキングでやったところでございますけれども、実際にそこで行ったそれぞれの定義について明確にして、各保険者さんにお伝えするようにいたします。

 配付の時期でございますが、こちらは本日、それこそこの検討会で御了解いただければ、早速にでも、配り方については、申し訳ないのですが、各保険者団体とどうやるのが一番いいかは、すぐ近日中に御相談させていただきたいと思いますが、それを踏まえて速やかに配付をさせていただきたいと思っております。

 3点目がございまして、健診を受けられている方と受けていない方の違いの部分について、これはかねてまさにこの検討会でも御指摘いただいているところでして、前回の検討会でも御報告させていただきましたが、ナショナルデータベースでなかなか難しかったという経緯がございますので、今年度、それぞれ保険者さんの御協力もいただきながら、ワーキンググループで検証作業をやってみたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

多田羅座長 よろしくお願いします。

 国保のほうは、やり方とか配付について、何か具体的な要望はございませんか。

 どうぞ。

飯山委員 国保の保険者も、大体市町村は議会、自治体ですから、大体皆さんの御案内のとおりの時期ですので、そういったところで御配付いただければと思います。国保組合も6月には決算で理事会がございますので、6月、7月にいただければちょうどいい時期ではないかと思いますので、まさにそれで出していただければいいタイミングだと思います。

多田羅座長 今村委員。

今村委員 先ほど、白川委員の第3番目の健診そのものの効果ということで、こちらの保険局のワーキングで検討と、それはそれでいいと思うのですけれども、後で出てくるこれからの健診項目をどうするかという話は、まさしく健康局でエビデンスに基づいて項目をどう取り扱うかという話をしている。

 それぞれの項目に健診としてそれを実施する意味があるのかないのかを調べるということで会が設けられていると思っていて、そのエビデンスは費用そのものを言っているのか、それ以外のアウトカムを言っているのか、よくわからないのですけれども、どこの場所でそれを議論するのか。別に同時にやられても構わないと私は思うのですけれども、その辺の整理を厚労省でちゃんとやっていただいたほうがいいのではないかと感じました。

 それがあるからこそ、健診の項目をどうするのだという議論にもなるわけです。ですから、縦割りのようにあちらはあちら、こちらはこちらということがないように考えていただければありがたいと思います。

多田羅座長 事務局、いかがですか。何かその件、答えることはありますか。

安藤室長 了解いたしました。

 私どもがやろうとするのは、今までやってきた効果検証のいわば延長なのですけれども、特にそもそもとして健診を受けられていない方の中には、実際問題かなり検査値とかも悪い方がいらっしゃるのではないかというお話がございまして、実際にそこは見たことがないので何とも言えないのですが、そこをきちんと把握をして見ることができないかという問題意識に基づくものでございます。そういう意味では、現行の健診の仕組みを前提として、健診を受ける方、受けない方が実際、どういう属性になっていらっしゃるのかを、当初は今のナショナルデータベースで見られないかということだったのですが、なかなかそれはナショナルデータベースでは見られないということで、各保険者さんの協力を得ながら、その辺をもう少し解析できないかをワーキングでやってみたいと考えております。

今村委員 そこはよろしくお願いいたします。

多田羅座長 ありがとうございます。

 それはこれからのところですね。具体的な保険者の協力を得て、事例検討のような格好になる可能性がありますね。各保険者からの協力のもとに実績でやるということですね。

安藤室長 そこはワーキンググループで御相談させていただければと思います。

多田羅座長 よろしいでしょうか。

 せっかくのツールでございます。課題もあるかと思いますけれども、皆さんに汎用をいただいて、制度の基本のデータベースを各保険者で確立いただいて、そのデータをもとに行政あるいは市長さんとか、そういう人を説得するとか、いろいろな形で、データが何より必要ということで進めていることでございますので、そういう方向で御活用いただくよう、お願いしたいと思います。

 それでは、議題2に移らせていただきます。議題2「第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて」を、事務局から説明をお願いいたします。

安藤室長 資料3を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。御説明に入ります前に、本日、御議論いただきますのは、前回、4月4日の本検討会において、特定健診見直しの議論を行わせていただいたところでございますが、そのとき、前回の検討会でも申し上げましたように、我々が提示いたしました資料が非常にわかりにくかったところがございましたので、改めてそれぞれの健診項目について、健康局の検討会で行われている議論をつまびらかにしながら、我々としての議論の視点も提示させていただいて、本日、御議論をいただくものでございます。それをあらかじめ御説明させていただきたい。

 本日は一通り御議論をいただきますが、その上で、さらに全体を示してこの検討会で御議論いただきたいと思っておりますので、本日の議論で物事が決定するわけではないということをあらかじめお伝えさせていただきたいというのが1点目です。

 もう一点は、5月11日にいわゆる今、我々の特定健診・保健指導の基準となっております腹囲の基準についての新聞の報道がなされたところでございます。こちらは5月10日に行われた健康局の検討会を受けて、翌11日にそれぞれの新聞の報道がなされているというものでございまして、その中では、新聞報道を見ますと、いわゆる腹囲の基準について、腹囲の基準に該当しない方に対する保健指導についても、2018年度、すなわち平成30年度から実施するという形で、かなり断定的な形で新聞報道がなされていたのですが、こちらは委員の皆様御案内のとおり、基本的に健康局では、いわゆる学術的なエビデンスの観点からの議論が行われているのみでございまして、最終的にそれもある程度前提としながら、こちらの検討会で全体の制度としてどうするかを御議論いただいた上で、初めてそれで制度として実施するかどうかと。

 そういう流れでこの検討については、腹囲の基準だけではございませんけれども、全てについて、そのような形で進められておりますので、そういう意味では2018年、平成30年度から実施すると断定的に報道された件については、事実とは異なっております。

 ですので、特に腹囲基準のあり方については、本日というよりは次回の本検討会において、改めまして御議論をいただきたいと考えておりますので、その旨を説明に入ります前に、まずは御説明をさせていただきたいと思います。

 長くなりましたけれども、資料3に基づいて、本日の議題について御説明をさせていただきたいと考えております。

 先ほど申し上げましたように、4月4日の資料と重なるところもございますが、そもそもとして今、健康局の検討会でどういった観点で御議論がなされているのか。それを受けて、保険局の検討会でどういった視点で御議論いただきたいのかについて、資料として整理させていただいております。

 1ページは法令上の特定健診の定義についてでございます。法律の中で特定健診についての定義がなされておりまして、その定義といたしましては、糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査という形になってございまして、下段に書いてございます政令の中で、ここでの生活習慣病は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、その他の生活習慣病であって、内臓脂肪の蓄積に起因するものという限定が課せられているのが今の法令上の定義になってございます。

 それを前提として2ページでございますけれども、特定健診のターゲットをイメージ図のような形で整理させていただいています。まず、左側の絵をご覧いただきたいと思うのですけれども、御案内のとおり、不適切な生活習慣によってメタボリックシンドロームという状態が生じる。

 メタボリックシンドロームの状態については、内臓脂肪の蓄積と脂質、血圧、血糖というリスクによってはかる形になっているのが現行の特定健診でございます。

 メタボリックシンドロームの状態が重症化することによって、最終的には脳血管疾患ですとか虚血性心疾患といった、いわゆる合併症が生じる。重症化する過程においては、腎機能障害あるいは肝機能障害を発症して、最終的なイベントの発症につながることもあるということでございまして、したがって特定健診が最終的に目的とするのは、脳血管疾患とか虚血性心疾患といった、いわゆる重大なイベントを予防することを目的として、特定健診は実施されているというものでございます。

 したがいまして、右側の欄は特定健診のターゲットを書いているものでございますが、より直接的なものとしては、メタボリックシンドロームのリスクの把握で、こちらでは血圧ですとか血糖がどうなっているかといったリスクの把握をするのが一つあるということ。

 もう一つは、メタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展状況の把握で、先ほど申し上げましたように、メタボの状態が重症化することで、腎機能ですとか肝機能の障害を起こし、最終的には脳血管疾患という流れもあるということで、重症化の進展状況の把握を行うのが、特定健診のいわばターゲットになっているということでございます。

 そういったことを特定健診で把握して、それに対して特定保健指導あるいは受診勧奨という介入手段を講じることによって、最終的には真のエンドポイントの改善ということで、脳血管疾患ですとか虚血性心疾患の発症率を減少させることを目的として実施が行われているものでございます。

 3ページで、こういったことを前提といたしまして、まず、健康局の検討会においては、特定健康診査の健診項目の考え方について、総論としての整理がなされているところでございます。

 まず「1.健診・検診の考え方について」と書いてございますが、いわゆる「健診」は、主に将来の疾病のリスクを確認する検査である。他方「検診」は、主に現在の疾患自体を確認する検査であるという整理をした上で、「健診」において行われる検査項目の一部は、測定値等によって、疾病リスクの確認と疾患自体の確認の両方の性質を持つという整理がされているところでございます。

 その上で「2.特定健康診査における健診項目の考え方」で、これは先ほどの概念の部分と説明がかぶりますけれども、健診項目は虚血性心疾患ですとか脳血管疾患等の危険因子、あるいはメタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見するという項目であって、かつ、介入可能なものであるというのが今の特定健診の健診項目の基本的な考え方だろうと整理がなされておりまして、さらに、今の特定健診は御案内のとおり、基本項目と詳細な健診項目と大きく2類型ございます。

 この分け方、考え方といたしまして、基本項目については、虚血性心疾患ですとか脳血管疾患の危険因子を早期に発見する項目であり、かつ、いわゆる介入手段は主として特定保健指導であるものが基本健診項目に位置づけられるのだろうという整理がなされておりまして、他方、詳細な健診項目につきましては、メタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見する項目であって、その後の介入手段としては、主として受診勧奨が詳細な健診項目に位置づけられているのだろうという考え方の整理がなされているところでございます。

 以上を踏まえまして4ページでございますが、健康局における検討会の検討の視点ということで、大きく4つの視点が設けられているところでございます。1つ目が、現在の特定健診の各健診項目が、真のエンドポイントとしての虚血性心疾患、脳血管疾患等の危険因子を早期に発見する指標となっているかどうか。2つ目が、各健診の項目がメタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見する指標であるかという点。それから、検査の精度、有効性。結果に対する効果的な介入が可能かどうかという、大きくは4つの視点で、健康局サイドの検討会では議論がなされているということでございます。

 他方、5ページでございますけれども、私どもの検討会での見直しの視点はもちろん若干異なってまいりまして、健康局の検討会での科学的なエビデンスの整理は一定程度前提としながらも、これに加えまして、前回、申し上げましたように、例えば実施体制ですとか実現可能性、あるいは特定健診の実施率向上に資するかどうかという点、費用対効果という、制度として特定健診・保健指導制度を回していくに当たりまして、総合的な観点でこの検討会では御議論をいただいた上で、最終的に制度として入れるかどうかの御議論をいただくというのがこちらの検討会の役割になってくるということで、考えているところでございます。

 6ページは、健康局の検討会に戻っていただきまして、先ほど4つの視点を挙げさせていただきましたけれども、それぞれの健診項目について、どのような議論がなされているのかという各論について、6ページ以降にお示しをさせていただいてございます。

 まず、6ページは、代謝系の検査と血中脂質検査ということで、空腹時血糖やヘモグロビンA1c、尿糖ですとかコレステロールの検査についての検討視点で整理をしております。

 御案内のとおり、具体的には血圧ですとか糖尿病、高コレステロールといったこれらの項目ついては、既に国内外において、虚血性心疾患ですとか脳血管疾患の発症・死亡の危険因子であることですとか、その主たる介入手段は保健指導であるということについては、既に明確であるため、ここでは主としてそれぞれの検査の精度や有効性という観点からエビデンスの議論が行われているというところでございます。

 7ページは、代謝系の検査のエビデンスについての議論でございますけれども、まずは「1)血糖検査(血液)について」でございます。御案内のとおり、メタボリックシンドロームの基準では、空腹時血糖を用いることになってございまして、特定健診では、空腹時血糖またはヘモグロビンA1cのいずれかを測定することになっているということでございます。ただ、実態としては、必ずしも空腹時になっておらず、随時血糖検査になってしまっている場合があり得るのではないかという問題提起がされております。

 その上で、特にこの随時血糖で採血されてしまったものの有効性についての議論ということで、健康局では議論が行われておりますけれども、空腹時血糖、随時血糖、ヘモグロビンA1cのいずれも虚血性心疾患や脳血管疾患の発症・死亡を予測するということではないかという議論が行われているということでございます。

 「2)尿糖について」は、いずれかの血糖検査で適切に血糖検査が行われて、糖尿病等の判定がされるのであれば、重なるということもあるので、尿糖検査を実施する意義があるのか疑問であるといった議論がなされているということでございます。

 それを受けて「科学的知見に基づく現時点における整理」と枠囲みで書いてございますけれども、血糖検査については、随時血糖でも健診項目として活用可能ではないか。ただし、随時血糖を用いる場合には、食直後の採血は避ける必要があるのではないかということが、現時点の整理としてされてございます。

 尿糖につきましては、血糖検査と重なることもあるので、健診項目から廃止することも可能ではないかという整理がなされているということでございます。

 8ページは、こういった健康局サイドの検討会での御議論を踏まえて、保険局での議論の視点ということで、幾つか書かせていただいてございます。

 「1)血糖検査(採血)について」は、随時血糖も仮に健診項目の中で含めて可能であるとした場合には、当然、その後には保健指導につなげていくことが必要になってまいりますので、保健指導を実施するに当たってのリスクの階層化、いわゆる階層化の判定基準を新たに設定する必要があるのではないかということを論点の1つ目として書かせていただいております。

 その際、随時血糖も可能とした場合に、階層化判定に影響することになりますので、これはそれぞれの保険者においてになりますけれども、大規模なシステム改修を行う必要があることになってしまいますが、そのことについてどう考えるかを2つ目の論点として書かせていただいているところでございます。

 「2)尿糖について」は、後ほど出てまいりますけれども、尿検査全体の中で議論すべき点はないかということで、後ほどこれについては申し上げたいと思います。

 続きまして、9ページは血中脂質検査についてでございます。まず「1)コレステロールについて」でございますが、国際的には脂質に関するスクリーニングには総コレステロールが用いられておりますが、日本人のHDLコレステロール値は諸外国よりも高く、総コレステロール値のみで評価すると脂質異常のリスクを過大評価してしまうのではないかという議論がなされております。

 これは1で書いてございますが、総コレステロールはHDLコレステロールとLDLコレステロール等で構成されているということでございますので、日本人のHDLコレステロール、いわゆる善玉コレステロールが諸外国よりも高いということになると、当たり前でございますけれども総コレステロール自体が高くなってしまうことで、逆に脂質異常のリスクを過大評価してしまうのではないかということが、まずは言われているところでございます。

 他方、LDLコレステロールについて、現在、直接測定法という形でとっているところでございますけれども、検査精度については当時に比べますとかなり上がってきていることはありつつも、必ずしも検査精度が安定しないことが指摘されているのではないかということ。国際的なLDLコレステロールの評価である、フリードワルド式と書いてありますが、要は計算式でLDLコレステロールを出すという方法については、中性脂肪が高値の状況での採血において、LDLコレステロールを過小評価する可能性があるのではないかということでございます。

 こちらも2で、この計算式で出すLDLコレステロールの計算式を書かせていただいておりますが、総コレステロールからHDLコレステロールと中性脂肪を5で割ったものを差し引くというやり方で出すことになってございますけれども、中性脂肪が、例えば食直後の採血であったりしました場合に、高くなってしまった場合に相対的にこのLDLコレステロール値が低くなってしまって、要は過小評価してしまうのではないかという可能性について、健康局の検討会で指摘がなされております。

 一方で、精度が確立している検査項目として、総コレステロールとHDLコレステロールから求められるnon-HDLコレステロールがあるということで、これからHDLコレステロールを差し引く形でnon-HDLコレステロールが出されますが、こちらについては精度が確立しているのではないかということでございます。

LDLコレステロールとnon-HDLコレステロールは、虚血性心疾患や脳血管疾患の予測能について、2つの方法について検証しますと、同程度かあるいはnon-HDLコレステロールのほうが優れているのではないかというエビデンスの整理でございます。

 したがって、日本人のコレステロールの評価については、non-HDLコレステロールが望ましいのではないか。ただし、適切な試薬を使用して精度管理が行われるのであれば、臨床検査としてのLDLコレステロール直接法自体の使用は可能ではないかということが、健康局の議論の中で行われているということでございます。

 続きまして、10ページは「2)中性脂肪について」ということで、こちらにつきましては、中性脂肪は現状でも随時採血で行われている場合もある。実際に随時採血から中性脂肪の値をとっているというケースもございますので、それについて、エビデンス的にどうかということについて、今回、健康局は議論を行ってございます。

 結論としては、中性脂肪は随時採血であったとしても、虚血性心疾患あるいは脳血管疾患の発症予測能はあるといったエビデンスの整理がなされているところでございまして、以上を踏まえて、科学的知見に基づく現時点における整理といたしましては、まずは、コレステロールについては、non-HDLコレステロールを保健指導対象者への指導に用いることとしてはどうか。

 ただ、空腹時採血であれば、いわゆる計算式で算出されるLDLコレステロールも使用可能なのではないかということが指摘されてございます。先ほど申し上げたとおりですけれども、non-HDLコレステロールとは総コレステロールとHDLコレステロールから算出されることになってございますので、健診項目としては、LDLコレステロール直接測定法を廃止して、総コレステロールを追加してはどうかということが、健康局としての現時点での整理ということで、なされているところでございます。

 他方「2)中性脂肪について」は、こちらは随時採血であったとしても、健診項目として活用可能であろうと。これは現状と特に変わらないのですけれども、現在を追認するような結論が出ているところでございます。

 以上が健康局サイドの検討会における議論の今の状況でございますけれども、これを受けまして、11ページで、保険局の議論の視点ということで書かせていただいてございます。

 まず、中性脂肪については現状と同じなので、特に論点は整理しておりませんけれども、コレステロールの部分につきまして、健康局サイドでの検討会での指摘を要すれば、この点々の中に書いてあるとおりでございます。

 「科学的知見に基づく現時点における整理は以下のとおり」ということで、コレステロールは健診項目としては「総コレステロール」と「HDLコレステロール」と「中性脂肪」の3項目を測定して、結果的にLDL直接測定法は廃止する。

 これらの3項目から、計算式によりnon-HDLコレステロールとLDLコレステロールが把握されることになりますが、non-HDLコレステロールを保健指導に活用してはどうか。ただ、空腹時採血であれば、LDLコレステロールも活用することは可能なのではないかということが現時点での健康局サイドの検討会の整理でございます。

 他方、保険局の検討会での論点といたしましては、下に書いてございますけれども、いわゆるHDLは善玉、LDLは悪玉といったように、LDLコレステロールがいわば健診受診者ですとか特定保健指導実施者に定着してきている中で、このLDLコレステロール直接測定法を廃止して、総コレステロールを健診項目に追加することについて、果たして現場のコンセンサスが得られるのかどうかという論点を掲げさせていただいているところでございます。

 続きまして、12ページ以降は、残りの検査項目についての整理をさせていただいております。まずは肝機能検査、尿腎機能検査、詳細健診として行われております貧血検査、心電図検査、眼底検査における検討の視点で、こちらの項目については、それぞれ1から4の4つの視点で健康局の検討会で議論がなされているところでございます。

13ページで、まずは肝機能の検査についてでございます。1つ目の視点でございます真のエンドポイントとしての虚血性心疾患等の危険因子を早期に発見する指標であるかどうかという点についてでございますが、まず、肝機能とこういった脳血管疾患、虚血性心疾患等との関係に関する論文は少ないということでございます。そういった少ない中で分析してみますと、脳血管疾患、虚血性心疾患に対しては、3つの検査項目の中のγ-GTが最も予測能が高くて、次にALTGPT)であって、ASTGOT)の部分については予測能が低いということでございます。

 次の視点のメタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見する指標であるかどうかについてでございますが、こちらはALTのみ高値の場合には、一般集団と比べてメタボリックシンドロームの有病率が高いということが言えますが、ASTGOT)の部分については、メタボリックシンドロームとの関連に乏しいといったエビデンスの整理がなされております。

 3つ目の検査の精度、有効性については、既に確立しているのではないか。

 4つ目の効果的な介入が可能かどうかという検討視点でございますけれども、いわゆる介入手段としては、肝機能検査で異常とされた方の事後措置、介入手段としては、主として受診勧奨ではないかということが、まず指摘されているところでございます。

 その中で、γ-GTは飲酒習慣に関連するが、ALTですとかASTは飲酒習慣とは余り関連しないということが言われておりまして、さらにALTについては、内臓脂肪減少の効果を早期にあらわしやすく、メタボの該当者の方々に対する保健指導の効果を評価するために有効ではないかということが書かれているところでございます。

 以上を受けまして、科学的知見に基づく現時点における整理でございますけれども、肝機能検査については、メタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病の進展の評価を目的としており、事後措置、介入手段は主として受診勧奨であるため、詳細な健診に位置づけられることが考えられるのではないかということでございます。

 その際、詳細健診にした場合の検査対象者をどう選定するかでございますが、脂質異常あるいは血圧高値や血糖高値の方、問診等で不適切な飲酒が疑われる方に対して実施してはどうかということでございます。

 なお、虚血性心疾患や脳血管疾患の発症予測能の低いASTGOT)の部分については、そもそもとして健診項目から廃止することも可能ではないかということが指摘されているところでございます。

 これに対しまして、こちらの検討会での議論の視点ということで、2つ掲げさせていただいておりますけれども、1つ目は、肝機能検査は脳血管疾患あるいは虚血性心疾患等に対しての一定の予測能はあるということでございますし、保健指導において活用されているというのが実態としてある中で、肝機能検査の対象者を限定する、すなわち詳細健診にすることについてどう考えるかという論点を掲げさせていただいております。

 もう一つは、詳細健診になりますと、基本健康診査項目から外すことになるわけですけれども、それを行うことによる健診の実施率との関係についてどう考えるかについて、2つ目の論点として掲げさせていただいてございます。

 続きまして、15ページは尿腎機能検査についてでございます。まず、1つ目の検討の視点でございますけれども、真のエンドポイントとしての虚血性心疾患等の危険因子を早期に発見する指標となっているかどうかについてでございます。

 まず、尿腎機能検査については、腎機能の状態を評価する項目である。腎機能が低下した状態であるCKD(慢性腎臓病)については、脳血管疾患や虚血性心疾患の危険因子となっている。特に血圧が高値の方、あるいは高血糖、肥満等の危険因子の合併個数が多いCKDにつきましては、脳血管疾患や虚血性心疾患のリスクがより高いということがエビデンス上言えるということでございます。

 2つ目のメタボの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見する指標であるかどうかという点につきましては、中高年者におけるCKDの多くは、メタボの悪化に伴う生活習慣病が進展することに伴い発症するというエビデンスになっているということでございます。

16ページは、検査の精度、有効性についての議論でございます。こちらについては、現行は尿たんぱくによって尿腎機能については測っているということでございますが、それに加えて、いわゆる血清クレアチニン検査実施についてどう考えるかという視点で議論が主としてなされております。真ん中ぐらいに点線で、血清クレアチニンと尿たんぱく検査での結果について書いてございます。

 上段が尿たんぱく検査についての結果でございますが、陽性、弱陽性、陰性となった場合に、それぞれ右側に対応がこのように3つに分かれているという形で活用しているということでございます。これに血清クレアチニンから出されますeGFRという検査値を入れることに伴いまして、これまでは尿たんぱくがマイナスだった人の中に、実はすぐに医療機関の受診をしなければいけない方々ですとか、あるいは生活習慣の改善を行ったほうがよい方々をより発見することができるということで、一番上のポツに書いてございますけれども、健康局サイドの検討会の中では、CKDの有所見者が10%程度増加するのではないかということが言われているところでございます。

 他方、尿たんぱく検査、eGFR値、それぞれについても課題がございまして、一つ、尿たんぱく検査については、いわゆる濃縮尿とか希釈尿では過大あるいは過小評価の可能性があるということ。eGFRについては、実測値と比べてばらつきが多く、対象集団によっては過大評価する可能性があるという指摘もなされているところでございます。

17ページは介入手段についての議論でございますが、尿腎機能検査で異常とされた方の事後措置、介入手段は主として受診勧奨であり、受診勧奨後は医療機関において定期的に検査を実施することが想定される。健診で経過フォローする必要はないのではないかという議論がなされているということでございます。

 それを踏まえて「科学的知見に基づく現時点における整理」と枠囲みで書いてございますけれども、一つが尿腎機能検査は、メタボの悪化に伴う生活習慣病の進展の評価を目的としてございますので、事後措置は主として受診勧奨であるため、詳細な健診に位置づけられることが考えられるのではないか。

 その際の詳細健診の場合の検査対象者については、これまで尿腎機能に異常を指摘されていない方に実施することを前提とし、血圧が高い方とか血糖値が高い方などに対して実施するということが考えられるのではないか。ただ、検査実施間隔については、引き続き検討が必要ではないかということでございます。

CKDのうち、中高年者における主な疾患は2つございまして、一つが糖尿病による糖尿病性腎症、もう一つが高血圧による腎硬化症でございますが、このうちの糖尿病性腎症は尿たんぱく検査と血清クレアチニン検査のいずれもが早期に異常を呈するということでございます。腎硬化症の早期発見には、血清クレアチニン検査のほうが有効とされているということでございまして、要は、尿たんぱく検査か血清クレアチニンかで申し上げると、健診の対象者を踏まえると、血清クレアチニン検査のほうが優先されるのではないかという指摘がなされているところでございます。

18ページでございますが、こういった健康局での議論も踏まえまして、私どもの検討会での議論の視点ということで、幾つか掲げさせていただいております。

 「1)尿検査」として、これは前回のこの検討会での御議論も踏まえて、尿腎機能検査という各論ではなくて、そもそも尿検査という形で論点立てをさせていただいております。尿検査につきましては、従来全ての健診対象者に毎年度実施されているということ、健診対象者の経過把握に活用されていることもある中で、尿検査の対象者を限定する、すなわち詳細健診とすることについて、どう考えるかを1つ目の論点として掲げさせていただいております。

 尿検査自体、侵襲性がなく、健診受診者本人でも毎日把握できる指標であって、健診結果の情報提供時に説明することにより、健診後の健康管理にも活用可能な項目である中で、同様でございますけれども、対象者を限定することについてどう考えるかという、そもそもとして尿検査自体の位置づけについての論点立てを2つさせていただいているところでございます。

 この中で、先ほど飛ばさせていただいた尿糖検査についての位置づけでございますけれども、尿糖検査については、血糖検査が適切に行われる場合には、尿糖検査自体は必ずしも必要ないのではないかという論点を立てさせていただいております。

 「2)詳細な健診に血清クレアチニン検査を位置づけることについて」という別の論点を立ててございますが、こちらについては、まずは基本健診項目で引き続き尿たんぱく検査を実施すると仮定した場合には、尿たんぱく検査により尿腎機能を一定程度評価することができることになりますので、血清クレアチニン検査は対象者を限定して行う詳細健診として行っていくことでいいのではないかというのが1つ目の論点でございます。

 2つ目ですけれども、他方で、血清クレアチニン検査を詳細な健診に位置づけた場合でございますが、その年の基本健診項目により対象者を選定する場合には、詳細健診として再度採血及び検査が必要になってまいりますので、その分、コストが倍増することについてどう考えるかという、コスト論についての論点を一つ掲げております。

 また、前年の基本健診項目により対象者を選定するとした場合には、今、特に足元で糖尿病性腎症等の重症化予防の取り組みを保険者として推進している中で、そのような、いわば前年のデータを使うという取り方についてどう考えるかについて、2つ目の論点として掲げさせていただいているところでございます。

 続きまして、19ページからは、現行、詳細健診として行われている3項目についての論点になってございます。まず、血液一般検査ということで、いわゆる貧血に対する検査でございます。まず、健康局の検討会での議論でございますが、先ほどの4つの視点でございますけれども、まずは真のエンドポイントとしての虚血性心疾患等の危険因子を早期に発見する指標になっているかどうかという観点では、貧血検査については、脳血管疾患や虚血性心疾患との関連を示唆するエビデンスがないという結論になっているところでございまして、それを踏まえまして、現時点における科学的知見に基づく整理としては、この検査項目自体を廃止することも可能ではないかといった議論、指摘がなされているところでございます。

 これにつきまして、本検討会での議論の視点で、2つほど掲げさせていただいておりますが、一つには、従来実施されている項目であるということ、かつ、食生活の乱れによる鉄分ですとか栄養不足を反映する項目であることを踏まえて、こちらの健康局サイドにおける整理についてどう捉えるかを1つ目の論点として書かせていただいております。

 特に昨今、女性の健康が課題として指摘されているところでございますけれども、メタボとの直接の関係がない場合はもちろんございますが、そういった女性の健康(貧血等)を把握・予防する観点から、こちらの貧血検査の取り扱いについてどう考えるかという点についても御議論いただければということで、議論の視点に掲げさせていただいております。

20ページが心電図、眼底検査についての論点でございます。まず、心電図についてでございます。こちらは1から4まで掲げておりますけれども、まず、脳血管疾患、虚血性心疾患の予測能については、さまざまな所見があるということでございます。

 メタボの悪化に伴う生活習慣病の進展を早期に発見できるかという点についても、合併症としての心疾患の重症化の進展を早期に評価する指標となっている。検査精度も確立している。介入の手段については、保健指導判定値、受診勧奨判定値は定めておらず、保健指導方法は明確ではない。今は受診勧奨という形で対応する形になってございます。

 次に21ページは眼底検査でございますが、眼底検査も同様に1~2の部分については、それぞれ評価できるということでございます。3の検査の精度、有効性について、現在、片眼での測定では眼科疾患の多くを見逃している可能性があるという指摘がなされているのと、写真撮影の手技については確立した技法であるが、判定はそれぞれの判定するお医者さんの経験・技量に左右される可能性があることが指摘されているということでございます。

 以上を踏まえまして、22ページでございますが、科学的知見に基づく現時点における整理といたしましては、この心電図及び眼底検査については、メタボリックシンドロームの悪化に伴う生活習慣病を早期に発見するためのものであるということで、現行どおり詳細健診でいいのではないかということでございます。

 その際に、検査を実施すべき対象者は、早期に検査を受けることが望ましいことになりますので、特定健診を受診した次年度に詳細な健診として実施するのではなく、それであれば速やかな受診勧奨を行ったほうがいいのではないか。

 速やかに検査の実施が可能な場合には、引き続き詳細な健診として実施することを妨げないといった整理がなされているところでございまして、こちらにつきましては、保険局の検討会での議論の視点を書かせていただいておりますけれども、科学的知見に基づいた整理の方向で見直すことを検討していただいてもいいのではないかという論点を立てさせていただいているところでございます。

 以上、駆け足になってしまいましたが、資料の説明については以上でございます。

多田羅座長 ありがとうございます。

 非常に膨大な、全体についての丁寧な御説明をいただきました。

 基本的に、第3期における健診項目をどのように設定するかということで、健診項目の設定という非常に重要な、具体的な課題でございます。

 本日は、この件について、健康局の検討会で御審議いただいた内容を主として事務局から説明いただき、それに対して議論の視点ということで、我が検討会からはどのような議論ができるのかという方向を丁寧に御説明いただいたということかと思います。

 今日は、委員の皆様からできるだけ御意見をいただいて、今日、結論を出すというわけではないということでいいですね。

安藤室長 はい。

多田羅座長 議論の観点を明らかにしていただいて、健診項目の基本的な考え方、特に今村委員から先ほどのところで、健診項目設定の妥当性に対する見方が大事だという御意見もいただいたかと思います。

 そういう点も踏まえまして、第3期における特定健診の項目について、今日のところは具体的な御意見をできるだけ多くの委員の皆さんからいただいて、次の検討会で最終的な方向を決めたいという方向で議論をお願いしたいと思います。

 内容はかなり多岐にわたっておりますので、いろいろあるかと思いますが、できましたらこの資料に沿って御議論いただければありがたいと思います。

 まず、今村委員からお願いします。

今村委員 前々回、この検討会で個々の健診項目について御議論を既にいただいて、私は早退してしまったので、その議論は後で文書を拝見しました。極めて私の考えに近くてもっともだなと思って拝見したのですが、健康局の検討会との関係で言うと、健康局の議論は今、こうやって詳細にいただいた。その話は、保険局の本検討会で前々回、議論した後に健康局の検討会が開かれているわけで、その際、本検討会では項目について相当厳しい御議論があったように私は伺っているのですが、そのことは健康局の議論の中にきちんと報告されて反映されているのかどうかということが1点。

多田羅座長 わかりました。

 まずは、そこからお願いしましょうか。

今村委員 伺いたいことがもう少しあるので、続けて言わせていただきます。

 次に、新聞紙上で事実とは異なる報道というお話がありました。多分、議論そのものはされているので、非肥満の方の糖尿病対策は確かにすごく大事なことで、生活習慣病対策として物すごく重要だと私は思っているので、そのこと自体に反対するわけではないのですが、事務局から御説明いただいた1ページの特定健診の法律施行令には、内臓肥満の蓄積に起因するものと、施行令に肥満を定義しているわけですよね。

 そのこと自体の是非は別として、それを超えて肥満ではない人も対象にすることになると、そもそもの項目自体は、必ずしもメタボではない項目を当然入れても構わないという前提になるのかどうかを確認したいということなのです。

 もう一点は、細かい項目になりますけれども、血中の脂質検査について、11ページでLDL直接測定法は廃止ということを健康局の結論として挙げられているという御説明でしたけれども、9ページの一番下、これも健康局のお考えだと思いますが、適切な試薬を使用して精度管理をしていれば、使用は可能であるという結論を健康局で出されている。

 つまり、エビデンスとしてはだめだけれども、実際の実施に当たってはこういう視点でやればいいのではないかという議論は、そもそも保険局で議論することではないかと私は思うのです。どこまで何をそれぞれの局で議論するか、その議論したことをどのようにきちんと情報共有するのかが十分ではないように私は思うのですけれども、その3点について、お答えいただければと思います。

多田羅座長 事務局。

安藤室長 ありがとうございます。

 まず、1点目の前回のこの検討会での議論が健康局サイドに伝わっているのかどうかについてでございます。もちろん、事務的にはここでまさにどういった意見が出たのかについては、当然、お伝えさせていただいているところでございますが、健康局は健康局で、健康局サイドのスケジュールがあって、あのときは翌日に健康局の検討会が開かれたと思います。そういった形になってございますので、彼らの検討会の中でそれがどこまで反映されているかについては、どうかと思っております。

 ただ、若干視点が健康局と違っているところがあって、先ほども申し上げましたように、健康局はあくまでもこれまでの学術的な論文等から、そもそも今の足元の各項目についての知見はどうなっているかについて、基本的に学者の先生方に整理してもらっているというのが、健康局が今、まさにやっているところでございまして、それに対しまして、保険局の検討会では、まさに制度としてそれを取り込むのかどうか、あるいは見直すのかどうかという、より幅広い視点で御議論していただくことになっておりますので、もちろん関連はしますけれども、健康局の検討会と保険局の検討会で違った結論になってくるということは、当然あり得るのではないかと考えているところでございます。

 2点目の非肥満の取り扱いの部分については、今村委員、大変恐縮なのですけれども、中途半端なお答えをしても委員の皆さんもわからないかと思いますので、先ほど申しましたように、次回、いずれにしてもそちらについてはこの検討会でも御議論させていただきたいと思いますから、その際に先ほどの今村委員からありました御質問も含めて、説明の中できちんと御説明をさせていただきたいと考えております。

多田羅座長 ただ、誤報であるということは間違いないのですね。

安藤室長 先ほど申し上げましたように、平成30年度から実施するという形で断定的に各新聞が書いてあるのですけれども、それについては明らかに事実とは異なっております。

多田羅座長 それから、3点目ですね。

赤羽根室長 3点目につきまして、お答えをさせていただきます。

 3点目については、確かに難しい部分を含むかなというところもあるのですけれども、LDL直接測定法の適切な試薬を使用して精度管理が行われればという指摘は、基本的に精度というエビデンスの延長上ということで恐らく検討されたのではないかと思うのですが、当然、実務的なことともかかわってきますので、この検討会の中で議論するということが、所掌がバッティングするかということではないと思いますので、そこはそういうこともお含みおいてご覧いただければと思います。

今村委員 ありがとうございました。

 保険局としてのお立場で非常に苦労されているのがよくわかるのですが、ただ、先ほど御説明いただいたように、当然、検討会ごとに立場が違うので、違った結論になるかもしれない。そのときにこれはどちらを優先するのかが明確になっていないので、結局、健康局の出した結論をメディアの方が勝手に解釈して報道しているということになっているのではないかと思うのです。

 つまり、学問的にはこういうエビデンスが今ありますというのを健康局で議論されるのはいいのですけれども、そのことを制度の中に、あたかも入れたらいいとか外せるとかいう議論を、健康局である程度一定の結論を出すので、メディアでああいう誤解を生じるような報道につながっていると私は思います。健康局の検討会では、あくまでも科学的なエビデンスに基づいた部分だけを決めていただくということを整理していただいたほうがいいのではないかと私は思います。

多田羅座長 今村委員がおっしゃるとおりだけれども、健康局の検討会でも、結論的に「非肥満でも」という言い方をしていないでしょう。あれはマスコミの判断なのではないですか。

 非肥満の高血圧者などが大事であって、それが外れているというのは問題ではないか。これについては、先ほど室長が言ったように、次の検討会で十分議論するのだけれども、事実の問題として、検討会でそれは外すということは言っていないと思いますよ。

 その部分は、今の今村委員の意見と独立して、マスコミは誤報をしているということは確認できるのではないかということを私はお願いしているのです。

安藤室長 座長が御指摘のとおり、今回の報道について、私が申し上げるのも変なのですが、健康局の検討会での議論を事実とは異なった捉え方をされ、報道されているという感はあると思います。

多田羅座長 感はあるというのは、もう少し、事実でしょう。

安藤室長 その点についても、健康局サイドでどういう議論がされているかを本日は用意していないので、そこも含めて次回、きちんと御説明をさせていただければと考えております。

 そういう中にあって、総論的なお話として今村委員から非常に大切な御指摘をいただきましたので、確かにその部分についてマスコミ、一般の方々がよく理解されていないところは、同じ検討会を2つの部署でやっているということがありますので、役割分担の部分が必ずしも理解されていないところはあるのかなということで、それは我々からもきちんとマスメディアの方々に対して御説明を、これまでもしてきたつもりですが、さらにその部分は強調させていただきたい。

 あくまでも先ほど今村委員がおっしゃったとおりでございまして、健康局サイドでの検討会は、基本的には学術的な見地から、現在での足元の知見、エビデンスがどうなっているかについての整理をきちんと学者さんたちでやっていただいているというのが、健康局がやっていることでございまして、最終的に特定健診を見直しするかどうかは、当然、それだけではなくて、先ほど申し上げましたけれども、むしろそれ以外の実施体制ですとかコストですとかを含めて総合的な観点で御議論していただいた上で、最終的に制度としていけるかどうかを御議論していただくことになるわけで、それはまさにこちらの検討会で御議論いただいた上で、そこでこれはいけるのではないかという話になれば、初めて特定健診の見直しが行われるということになります。

 そういう意味で申し上げますと、最終的に特定健診あるいは保健指導も同じでございますけれども、見直しを行うかどうかの最後の議論はこちらの検討会で行っていただく。その結論を踏まえて、見直しが行われるということになります。それについては、改めまして私どもからきちんと、再度ですけれども、マスメディアの方々にはよくよくお話をさせていただきたいと考えております。

多田羅座長 どうぞよろしくお願いいたします。

 そこのところは同じようなタイトルの検討会の名前ですので、非常に紛らわしい。これは健康局が私は勇み足かと思いますので、その点、事務局から少し明確にしていただいて、マスコミにもわかりやすく伝えていただきたいと思います。

 その点はそういうことで御了解いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 ほかに、具体的な健診項目の設定について、どうぞ。

三輪参考人 細かい話で申しわけないのですが、ドクターの皆さんは御存じだと思うのですが、中性脂肪は空腹でも結構ばらつくのです。それを随時でもオーケーという話が出ていましたけれども、それで150の基準でやると、有所見が劇的に増えてしまう。結構ばらついてしまうということなので、それはどうかなと思います。

LDLの直接法も多分、御存じの方は多いと思うのですが、一部の試薬が非常にばらついている、一部の試薬はとても安定しているということで、先ほどの今村委員のお話にもありましたけれども、精度管理がちゃんと行われていい試薬を使っていればオーケーだと。フリードワルドは御存じのように、食事してきて中性脂肪が上がってしまっていると使いにくいわけです。健診は空腹で来るという常識は皆さん持っていらっしゃると思いますけれども、うっかり食べてきてしまう。コーヒーを飲んだら砂糖が入っていたということで上がってしまうことが結構あるので、できればLDL直接法でちゃんと精度管理を行われていればというほうがいいのかなと。先ほどの随時の中性脂肪のばらつきも含めて、随時は心配なところがあります。

多田羅座長 結論として随時はどうなのですか。

三輪参考人 随時は健診としてはやりにくいと思うのです。

多田羅座長 それはそうなのですけれども、私の個人的な意見ですが、結果として受ける方が随時に来ますのでね。

三輪参考人 来るのですね。そうすると、中性脂肪の随時の基準をまた別に決めないと、150だと厳しくなる。

多田羅座長 基準が少し違う、新しい基準が要るだろうということですね。

三輪参考人 やるのならです。ただ、かなりばらつきます。

多田羅座長 LDLはどうですか。

三輪参考人 LDLは直接で、精度管理をちゃんとやって、いい試薬を使っていれば使えるだろうと私は思います。

 フリードワルドは、中性脂肪でばらついてしまうということもあるので、直接法で精度管理をちゃんとやっていれば、そのほうが定着します。

多田羅座長 ここではnon-HDLでいくと、もうなっていますね。

三輪参考人 non-HDLは使えると思います。

多田羅座長 それはいいのですね。

三輪参考人 ですから、方針がそのようになれば、そのように変えていくのがいいと思います。

多田羅座長 わかりました。

 では、150のところは要検討ということですね。

三輪参考人 同じ基準は少し無理があるかなと思います。

多田羅座長 それは事務局と最終的に。

三輪参考人 クレアチニンですけれども、尿たんぱくがプラスの人しかクレアチニンをやらないという話ですよね。そうすると、尿たんぱくが出ていないがeGFRが落ちている人を拾えなくなってしまうという問題点があるのです。

 尿たんぱくが陽性になって、かなり腎機能が悪化している可能性が高いような人を捕まえるのは尿たんぱくでいいと思うのですが、そうでない人を捕まえたいのだろうと思うのです。もっと早い時期です。

 そうすると、尿たんぱくがプラスの人だけクレアチニンをやるのはどうかと。逆にコストのことがあるのでしたら、例えば節目でクレアチニンを必ずやっていただくというようにしないと、そういう人をうまく拾い上げられないのではないかという懸念を持ちます。

多田羅座長 16ページにそのことが図として示されていますね。尿たんぱくがマイナスでも、赤い枠がある。これは健康局の意向ですね。

赤羽根室長 そうです。三輪参考人が御指摘のとおりで、健康局でも、必ずしも尿たんぱくがプラスの人に対してクレアチニンをやるという前提ではなくて、具体的にどういう基準ということではないのですけれども、むしろ尿たんぱくがマイナスの方を拾うという観点での絞り込みを考えていると把握しておりますので、お伝えさせていただきます。

多田羅座長 そうすると、健康局は全数でクレアチニンを検査しなさいという考えですか。

赤羽根室長 というよりは、むしろ例えば血圧であったりとか、血糖を活用したような絞り込みを恐らく念頭に置いていると思います。

多田羅座長 だけれども、この図で見ると赤い印を入れていますよね。それに血圧とか何かの条件をつけていないのですね。

安藤室長 整理してお伝えいたしますと、まずは、健康局サイドでの議論としては、尿たんぱくあるいは血清クレアチニンであっても同じなのですけれども、尿腎機能の検査はまずは詳細健診で行うことが考えられるのではないかというのがありまして、その際の詳細健診の対象者の選び方としては、血圧が高値の方ですとか、あるいは血糖が高値な方を、いわば詳細健診の対象としてはどうかというのがまずはあるということです。

 詳細健診で今度行う検査法として、尿たんぱくがいいのか、血清クレアチニンがいいのかについては、両方やるというパターンもあるのかもしれませんけれども、必ずしもそこの部分については優先順位だけが示されておりまして、先ほども説明しました17ページの一番下のにありますように、健診の今の対象者を踏まえると、血清クレアチニン検査が優先されるのではないかという整理がなされているのが現状であると認識してございます。

多田羅座長 それは16ページのこれも、そうするとまずは血圧とか血糖の検査で詳細にやった上での判断だということですね。クレアチニンはいずれにしても、詳細健診に回るわけですね。

安藤室長 健康局サイドの議論の方向ですけれども、まずは血清クレアチニンに限らず尿たんぱくも含め、尿腎機能の検査自体が詳細健診。

多田羅座長 入っているわけですね。その詳細健診の入り口は血圧であるとか血糖値であるとかで見るというのが健康局の考えですね。

安藤室長 一つの検査対象者の決め方ではないかという議論がなされていると承知しております。

多田羅座長 わかりました。

 ということですが、三輪参考人、いかがですか。

三輪参考人 承知しました。

多田羅座長 どうぞ。

白川委員 健康局の検討スタンスは十分に理解しておりますし、これを制度として実施する場合の視点は保険局でまとめていただいていますけれども、基本的には現在、特定健診の基本項目としてやっている項目を削るには、それ相当の理由がないと削ってはいけないと前回も申し上げました。それは例えば、我々で言いますと、被扶養者の方はこの特定健診しかないわけですから、メタボの測定としては若干効果が薄いといっても、測定結果に対する効果があるわけですから、削ってはいけないというのが、この検討会での基本的な視点だと私は思っております。

 項目を変えるのであれば、全く画期的な検査法が出た、こちらのほうが信頼性は高いということであれば、それはそれで検討に値すると思いますけれども、若干効果が高いとか、そういったことで項目を変えてはいけないということを重ねて申し上げたい。

 それから、これは40歳以上の全国民を対象にした健診ですから、ドクターだけが理解すればいいという話ではないのです。コレステロールなどはまさにそうなのですけれども、善玉コレステロール、悪玉コレステロールは、この10年ぐらいずっとそういう言い方で国民の間に定着しているわけです。

 それを変えるのであれば、本当に納得性のある変え方をしていかないといけない。要は、non-HDLLDLの予測能はほぼ同じというイメージで、今までHDLと言ったものは、総コレステロールからnon-HDLを引いた値だと。ニアリーイコールだと思うのですけれども、そんなややこしいことを国民に説明して何の得があるのか。

 確かに精度の高い健診の結果が必要だというのはわかりますけれども、多少の誤差はあっても保健指導の中で傾向がつかめればいいわけで、疾患が疑われるのであれば、それは受診勧奨に切りかわるわけですから、コンマ何のところまで精緻に出す必要はないと思っております。

 それから、個別に申し上げますと、最初の空腹時血糖、ヘモグロビンA1cの話ですけれども、これは確かに随時血糖検査に結果的になっているケースが多いのは理解しています。被用者保険で言いますと、定期健康診断の結果をもらいますけれども、定期健康診断のときに空腹時血糖などをやると業務に差し支えが出るということから、なかなか空腹時血糖は難しいのが現状だというのがよくわかっております。

 したがって、ヘモグロビンA1cが一番いいと思いますけれども、それを補完するものとして尿糖をやっているわけですよね。ですから、随時血糖検査をもしもやるとすれば、これは定期健康診断をどうするのだという話、基準をどうするのだという話と全部絡む話でございますので、ここの検討会だけではとても結論を出せる話ではない。

 最初の原則から言うと、尿糖をせっかくやっているのに何で削るのだというのが私の率直な意見でございまして、補完するものとして必要ではないかと考えております。

 2つ目のHDL/LDLのコレステロールは、先ほど申し上げたとおりでございます。国際的に使われていようと何だろうと、日本の国民は大部分が善玉、悪玉で覚えている。それを変えるのだったら、もっといいネーミングを考えていただかないと、はっきり言ってこれではとても使えないと断言できます。

 肝機能の話も何かよくわからないのですけれども、これを読むと、肝機能検査は詳細健診でいい。したがって、基本健診項目から外せというように読めるのです。医学的にはそうかもしれませんが、今、健診として位置づけられて、例えばγ-GTなどは、異常まで行かなくても少し高ければ、あなたはお酒を控えなさいという保健指導に現実は使っているわけです。これを読むと、詳細健診にそれを回したらどうかというように見えてしまうのですけれども、そうだとすればとんでもない勘違いだと。保健指導ということを考えると、絶対にこれは外せない項目だと。基本健診項目ということで、継続すべき項目と考えております。

 クレアチニンの話でございますが、確かにクレアチニンが有効だというのはここに書いてあるとおりだと思いますけれども、それでしたら、詳細健診の中に位置づけをしていくという方向でよろしいのではないか。ただ、詳細健診は1年後しかやらないという決まりに今なっていること自体は、前々から若干問題だとは思っておりました。一次スクリーニングで、数値がかなり悪いのだったら1年後に詳細健診というよりは、受診勧奨という形にしていくのが普通ではないかと思いますので、その辺はこの検討会としても工夫が必要ではないかと考えております。

 最後に貧血の話がありましたけれども、メタボではないけれども鉄分不足で貧血の方とかもいらっしゃるわけですよね。ですから、これは私が最初に申し上げた原則から言って、何も無理やり削る必要はないでしょうということは申し上げたいと思います。

 長くなりましたが、以上でございます。

多田羅座長 ありがとうございます。

 どうぞ、今村委員。

今村委員 白川委員とは意見が違うことが時々あるのですが、今日は99%一致しまして、医師として医学的エビデンスを無視していいなどとは決して申しませんが、実際に現場で健診している立場になると、受診者の方たちに、前回の制度でトータルコレステロールを外すときに、どれだけ説明に苦労したかというのがあります。健診項目が少なくなって、こんな健診では受けても意味がないというお声があって、今、健診の受診率をどれだけ高くしようかということを工夫して苦労しているわけですから、本当に健診項目を減らすという発想自体は、やめてほしいと私は思います。

 また、クレアチニンについては、個人的には全例をやったほうがいいと私は思っていまして、一つには、国民に向かって今回、新たに健診項目にこれだけ腎臓の病気を予防するための項目を入れたのだというメッセージを発信して、より受診を高めるということと、もう一つは、クレアチニンを測定することによってeGFRが計算できます。

 例えば、尿たんぱくがプラスマイナスですよとか、クレアチニンが0.9から1.0になりましたというのは、国民が理解しにくいと思います。eGFRは、あなたが若いころの腎臓の機能が100点だったのが今53点になっていますというのは、患者さんにとってもの凄く説得力があって、そのことを聞くとみんなは、私の腎臓はそんなに悪くなっているのですかというようにして、保健指導としての効果にもの凄くつながるというのが現場の実感なのです。

 ぜひともここは、費用の問題とかいろいろあると思いますけれども、ぜひともそういうメッセージ性を高めるという意味でも、クレアチニンを全例でやっていただきたい。ここだけは白川委員と違うところですが、残りは全面的に私は賛成です。

白川委員 

 クレアチニンは、今村委員がおっしゃることは私もよく理解はしております。問題は、我々としては定期健康診断の項目にしていただければ全く問題ないし、むしろやったほうがいいということは、今村委員がおっしゃるとおりだと思っております。

多田羅座長 では、その結果待ちみたいなところがありますね。定期健康診断の検討もしていただいているようでございます。そこでクレアチニンが入るように我々も願うところですが、経営者という観点が来るとどうなってくるかということですね。

 どうぞ。

飯山委員 国保の立場から申し上げますと、白川委員と今村委員がおっしゃっていることに、私も本当に全面的に賛同したいと思います。先ほど被扶養者の方はこれしか健診がないとおっしゃいましたけれども、国保は被扶養者だけではなくて、全員そうなのです。

 学校を出てから40歳まで政策的に何かで行われている健診があればともかく、制度的にはないわけですから、特定健診から健診項目を削るということは、その方の全身状況を把握するのに、少しでも欠けるところが出てきてしまうわけです。

 今まで行っている健診項目については今までどおりにしていただいて、さらに、今村委員がおっしゃるように、充実するものは充実していただきたい。

 これが最後には私どもの前期高齢者から後期高齢者までずっとつながっていくわけですから、いかに平均寿命まで健康寿命を延ばせるかを考えた場合に、健診項目は絶対削らないで、充実する方向でお願いしたいと思います。

多田羅座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

伊藤委員 今まで保険者と医療側と話がありまして、大体一致しているところでしたが、私は被保険者の立場からいつも発言していますが、その立場からも、この点については一致しております。

 一番受診機会の少ない人に着目して考える必要があると思いますが、そういう中では、血液一般は健康状態を把握する一番基本的なものだと考えていまして、健診項目を減らすことが大幅なコストダウンになるのだという理由でもあるのであれば、そういうことでの検討なのかもしれませんが、今までの意見をお聞きしていてもそういうことではないようですから、ぜひ維持していただきたいと思います。

 検査の項目の立て方については、連続性を考えていただきたいと思います。コレステロールの部分など、これまでと状態が変わっているのかを受診者が確認できるように、なるべくそういう点では変えないでいただきたいと考えています。

 以上です。

多田羅座長 コレステロールもnon-HDLではなくてLDLで、善玉、悪玉で検査するのを続けてほしいという御意見ですね。

 津下委員。

津下委員 健康局の会議にも出ている立場として、その点で誤解がないようにご理解いただきたい点があります。どの検査項目も無駄だという議論は全くなく、やれるならやることは有意義だろう。ただ、よりエビデンスの強いものとか、特定健診の中の項目で、血圧、血糖、脂質のように全身に影響して、それこそ3ページに書いてありますように、「健診」の将来のリスクを予測するための項目と、腎臓や肝臓や、そういう臓器の障害を発見する検査としての「検診」とをどう整理するかということで議論が進められています。将来の疾病リスクの予測だけではなく現在、既に起こっている病気を発見することが保険者の実施する特定健診として重要だということであれば、それはその中に含められるのではないかと考えられます。

 つまり、3ページのまとめの将来を予測する「健診」だけが特定健診ではないという位置づけであれば、そういう観点になるのかなと。

 もう一点は、実施率を高めるために必要なことを検討する必要があります。たとえば、随時採血でも可能なように、また、随時のデータが入ってきたときもできるだけ判断を間違えないようにするにはどうしたらいいかということで、ヘモグロビンA1cの活用とか、さらには、LDLコレステロールの受診勧奨判定値が140になっていて、かなり受診勧奨者が多いので、そのあたりもnon-HDLにすることのメリットは、一つはあるのかなと。

non-HDLLDLをどう説明するか。LDLは本当の悪玉で、non-HDLになるとちょい悪まで含んだ悪玉みたいな「いいものではないもの」という言い方になるのかなという話にはなるのですけれども、わかりやすい言葉で説明する必要があることには同意します。随時採血でも判断しやすいようにしたり、現行法では受診勧奨判定値が余りにたくさん出過ぎるということについては、問題意識を持っています。

今村委員 よろしいですか。

 今の津下委員のお話を伺って、大体よくわかりました。お願いですけれども、それこそ最後におっしゃったように、例えば受診勧奨の基準を見直すというところは医学的なエビデンスに基づいて、健康局で言っていただければいいと思うのです。

 それをLDLコレステロールとnon-HDLコレステロールという新しい概念を入れるという話は、相当に現場に混乱を来すのではないか。受診勧奨が多いというのだったら、その基準値を医学的なエビデンスに基づいて変えていただければいいだけなのではないか。それこそ健康局で議論していただくことなのではないかと思います。

多田羅座長 項目そのものと値との関係があるということですね。ありがとうございます。

武藤委員 人間ドック学会ですけれども、健診機関の立場からお話しさせていただきたいのですが、今回、検査項目はこういった条件でこういった項目がいいという話になっていまして、先ほど来の話にある、そのままほとんど同じような項目であればいいのですけれども、こういう条件のときにはこれをやるということになりますと、現場が非常に混乱しまして、ミスが多くなります。検査漏れとか、あとは先ほどからの話にある、説明もいろいろな条件で話をしなければいけないので、できるだけシンプルな形で同じような項目にしていただけると助かると思っています。

多田羅座長 随時血糖はどうですか。

武藤委員 随時血糖は、先ほど来話にある受診率の向上のためには非常に有効かと思います。随時血糖はなかなか判断が難しいと思いまして、それをやるのでしたら、ヘモグロビンA1cで判断せざるを得ない。

多田羅座長 それはいいですね。

○武藤委員 食後の脂質は少し難しいです。先ほどから話がある中性脂肪は、食直後ですと600とか700とか、油っこいものを食べるとそれぐらいになってしまうときもありますし、非常にばらつきが大きいので、そこは一番課題かなと思っていまして、LDLの直接法が一番いいのかなという感じはあります。

多田羅座長 LDL直接法は随時でもいいのですか。

武藤委員 それはそんなに問題ないと思います。そんなに食事の影響を受けないのです。

 今回、non-HDLがやけに強調されていますけれども、動脈硬化学会のガイドラインではLDLもちゃんと重要視されていますし、CKDで言いますと、CKDのガイドラインではeGFRが重要視されていますので、今回のここの健康局の話だと、クレアチニンが重要視されているのですが、その辺のCKDのガイドラインや動脈硬化学会のガイドラインも参考にされたほうがいいかなと思います。

多田羅座長 わかりました。

 一応、委員の皆さんからは現状の重要性あるいは評価をいただいているかと思います。

岩崎委員 一点、違う視点の意見でございます。

 健康局でエビデンスに基づく議論があったわけですけれども、我々保険局の検討会では、それを制度として考えていくということだと思いますので、エビデンスはこの項目がこういう事象に対して関連性があるかどうかということを、論文などをもとに評価しているということだと思います。先ほどから出ておりますように、特定健診であれば40歳以上の全国民という対象集団を想定することになろうかと思いますので、そこに適用していくかどうかにおいては、いわゆる有所見率というか、有病率の議論がもう少しあってもいいのではないか、と思います。

 ですので、関連性の強さは一つ重要ですけれども、もう一つは対象集団として見たときに、ある程度有所見率が出てくる集団に項目として実施するほうが健診としてはいいということを考えますと、そこから来るある事象に対する寄与危険という発想の議論が余り出てきていないという風に思いますので、そういうものは制度として項目を追加するかどうかの議論に少し影響するのではないか、という意見です。

 クレアチニンなどもそういう意味で40歳以上の全国民を対象とした項目にするとすれば、実際に有所見率はどのぐらい、これは年齢階層とかいろいろな条件によって違うと思いますけれども、そういったことであるとか、クレアチニンを追加することで補足できる割合が10%増加するというのが、1%が1.1%になるのと、20%が22%になるのでは、議論を同じところではできないのではないかと思います。今日は余り反対的な意見は言いにくいのですが、保険局の会議が運用ベースを考える上で重要かと思いますのでもう少しそういう視点もあってもいいのかと思います。

多田羅座長 そういう視点とは、有病率のことですか。

岩崎委員 有病率のことでございます。それがわかると、全体にかけるのか、本当に対象とする方を絞った形での詳細健診のような形がいいのかということ、あるいは期間が毎年でいいのか、5年に1度でいいのかという議論は、もう少しきちんとした議論ができるのではないかと感じます。

多田羅座長 わかりました。

 よろしいでしょうか。

 健康局が張り切り過ぎているような気が少ししますね。そういう立場がないと、保険局の検討会に対して視点が立たないというのですか。だから、あえてこの検討会に意見を言うためには、かなり明確に張り切って、こういうことがあると言ってくれているという感じもします。しかしそれはそういうものでございますので、そういうものとして我々も参考に、一つの知見として勉強させていただくということで御理解いただいて、最終的には制度を運営しているのは保険局の検討会でございますので、今、岩崎委員からも御意見がございましたが、そういう有病率の点も入れながら検討していく。

 しかし、制度は既に相当時間もあり実績もあるわけなので、確かに白川委員がおっしゃっているように、変更するのはかなり大きなエビデンスがないと、非常に制度の混乱、現場の混乱となってきますので、保険局の検討会としてはそういう視点も大事にしないといけないということだと私としては思います。

 ということで、今日のところは委員の皆さんから、かなり積極的な、しかし前向きの意見をいただいたということで、次回にまとめる。これは予定としてはいつどうなりますか。

安藤室長 次回は引き続き、先ほど来出ておりますけれども、まさに新聞報道がなされた腹囲の取り扱いです。こちらについても、健康局の検討会では議論が行われていますから、保険局サイドの検討会でも議論いただきたいと考えておりますし、もう一つは問診の項目です。

 これは本体の項目に比べれば小さい話になるのかもしれませんけれども、問診項目についてどうするかについても議論がなされていくことになりますので、それについてもこの検討会で御議論していただきたいと考えております。

 それで一巡した上で、最終的に全体です。これは先ほど委員の方々からもありましたけれども、一般健康診断、安衛法に基づく健診の見直しの議論も別途行われておりますので、そちらと足並みをそろえていくことも必要になってまいると思いますから、その辺の調整もした上で、最終的に全体としてどうするかについて、こちらの検討会で御議論いただくことになりますので、直ちに次回でどうこうという話では全くなくて、まだお時間としてはかかってくるかなと考えてございます。

多田羅座長 わかりました。

 以上のようでございますので、次回、検討会に御足労ですが御出席いただいて、ひとつ御議論いただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、今日のところは以上でよろしいでしょうか。

 委員の皆様、御協力どうもありがとうございました。


(了)

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