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2016年5月19日 第42回先進医療技術審査部会

(了)


第42回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成28年5月19日(木)16:00~17:35

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)

(3)出席者:
猿田座長、山口座長代理、一色構成員、伊藤構成員、
上村構成員、柴田構成員、大門構成員、田島構成員、
田代構成員、直江構成員、藤原構成員、松山構成員、
山中構成員、中村技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 課長補佐(歯科)
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.新規申請技術の評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.先進医療会議の審査結果等について
6.その他

議事録
○猿田座長 どうもありがとうございました。委員の先生方、特に何も問題はありませんね。それでは、早速議事に入りたいと思います。まず最初に新規申請技術の評価結果につきまして、これも事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局より説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 では資料1-1、15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は3件ございます。1件目、整理番号61、即時自己完結型バイオリジェネレーション法による歯周組織再生です。適応症は慢性歯周炎、ただし、2ないし3壁性垂直性骨欠損があり、フラップ手術の適応となるものに限るとなっております。申請医療機関は、岡山大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が上村構成員、副担当は、佐藤構成員、山中構成員です。また、田上技術専門委員にも御審査をお願いしております。
 資料1-5、37ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。
 まず実施責任者の要件ですが、診療科は歯科あるいは口腔外科、資格として日本歯周病学会歯周病専門医あるいは日本口腔外科学会口腔外科専門医が必要。当該診療科の経験年数は5年以上が必要。当該技術の経験年数は1年以上が必要。当該技術の経験症例数として、実施者、術者として5例以上が必要。その他の取決めはございません。
 医療機関の要件として、診療科は歯科あるいは口腔外科、実施診療科の医師数は、具体的内容として、経験年数5年以上の歯科医師が1名以上かつ経験年数3年以上の歯科医師が1名以上必要。他の診療科の医師数は不要。その他医療従事者の配置として歯科衛生士が必要。病床数の取決めは不要。看護配置の取決めも不要。当直体制の取決めも不要。緊急手術の実施体制も不要。24時間実施体制の院内検査も不要。他の医療機関との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会による審査体制は月1回実施(迅速審査あり)が必要。安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は5症例以上が必要。その他の取決めとして、デンタルX線検査で診断と経過追跡を行うことが可能であること、細胞調整室が整備されていることが必要とされております。その他の要件の取決めはございません。
○猿田座長 どうもありがとうございました。この37ページの施設の要件ですが、歯科及び口腔外科という領域ですが、どなたか、今、御説明いただいた中で内容的に御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がないようでしたら、この施設要件はお認めいただいたということにさせていただきます。
 それでは本日、まず主担当の上村先生から全体的な御説明をよろしくお願いいたします。
○上村構成員 本件技術の概要です。従来、歯周外科処置で行われております歯肉剥離掻爬術、以後、フラップ手術と申しますが、のみでは歯周組織再生の可能性は低い。それで、先頃保険導入されました歯周組織再生誘導法(GTR法)というものがあるのですが、それは遮蔽膜を扱うために操作が非常に煩雑であるということと、長時間の時間を要するということです。一方で、現在、先進医療Aとして施行されております歯周外科治療におけるバイオリジェネレーション法の技術では、異種動物由来の蛋白質を使うということで完全に安全とは言い切れない部分があるということです。御提案の技術は、既に保険に収載されております自家骨の移植術というのがあるのですが、それに、外科手術直前に患者から採取した末梢血由来の多血小板血漿を用いまして、それで成長因子と足場を供給するということです。その活性化のところでは、生物由来のトロンビン処置をすることなく、局方の塩化カルシウム液を僅かに添加する方法ということで、全て自己完結型となります。自己完結型とは患者さん由来の材料を使うという意味です。それにより、即時型でかつ自己完結型で、より安全な歯周組織再生療法を目指すというものになります。
 具体的には、採血室で患者さんの静脈からヘパリン採血を行いまして、遠心分離を何度か繰り返す中で多血小板血漿(platelet-rich plasma)、PRPと申しますが、それを分離しまして、自家骨と混合して、欠損している垂直性骨欠損部位に填入し、歯肉弁を縫合していくという技術になります。これによりまして、GTR法の併用によって従来では対応できなかったような幅の広い歯槽骨欠損にも対応できるという、そういった技術です。主要評価項目としましては、手術2週間後の臨床的アタッチメントの獲得量を主要評価項目にしております。
 私からの御説明の前に、田上先生からも幾つかコメントがありましたので、これは事務局でまたお願いしたいと思います。
○猿田座長 よろしいですか。
○上村構成員 はい。
○猿田座長 ありがとうございます。それでは、今日、田上先生が御欠席ということなので、事務局からコメントをお読みいただけますか。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。「先進医療審査の事前照会事項に対する回答2」、25ページを御覧ください。田上技術専門委員からは、垂直性骨欠損に対して自家骨移植単独とPRPを担体とした自家骨移植を比較した場合、現時点のエビデンスレベルも従来の先行臨床研究も顕著な有効性及び安全性を示したものはなく、現状の保険診療であるGTR法や先進医療Aで行われている再生治療と臨床成績に差が見られないと考えられることに対し事前照会を頂き、申請者から回答を得たところです。
 しかし、Rosello-Campsらの論文では、systematic reviewとmeta analysisから歯周組織欠損に対するPRP有効性は不確かであると述べており、また、Hassanらの原著論文で、自家骨群と自家骨プラスPRP群を比較した結果では自家骨プラスPRP群のほうが良好な成績を修めているものの、両群に吸収性膜を併用しているため本申請の根拠とは言えないかと考えられ、やはり、依然として有効性については十分なエビデンスがあるとは認められず、また更に、感染に対する対応が不十分との意見も重要と考えられるため、資料1-2、18ページを御覧いただきますと、実施体制の評価は医療技術の有用性等につき「不適」との御判断を頂いております。
○猿田座長 どうもありがとうございました。上村先生は後ほどまた総括的にお話しいただくということで。それでは、佐藤先生ですが佐藤先生も御欠席ということで、倫理的な面、これをやはり事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 「先進医療審査の事前照会事項に対する回答1」、23ページを御覧ください。
 佐藤構成員からは、同意説明文書の齟齬や修正に関して幾つかの御指摘を頂きましたが、いずれも適切に対応されたと御判断を頂いたため、資料1-2、19ページを御覧いただきますと、倫理的観点からの評価はいずれも「適」との御評価を頂いております。コメントとして、当初、必要と思われる情報が説明文書に欠けていたが、問合せの結果、補充され、残余及び基準に満たず使用できなかった試料の扱い、患者負担、有害事象が生じた場合及び補償の要件について記載されるに至った。保険による補償は、死亡、後遺障害1級及び2級の場合になされるが、適切であると判断した。その他の同意手続、患者相談等の窓口も適切と判断したとの御記載を頂いております。
○猿田座長 どうもありがとうございました。続きまして、山中構成員から試験の実施計画等について、よろしくお願いいたします。
○山中構成員 計画書は私のほうで審査をしました。照会事項に対する回答の中で申請者は、この医療技術(フラップ法)の有効性は保険収載されているGTR療法と同等の成績を期待している旨のコメントをされています。ただ、今の試験デザインは、そのGTR療法の成績を凌駕する、上回る、ということを仮定した試験デザインになっています。GTR法では対応できない幅広い歯槽骨欠損に対応できるので同等の成績でもいいというように考えているようですので、もしそうなのであれば、同等というか、非劣性を示すための試験デザインとし、かつ非劣性デザインで良いと考えられる臨床的な意義を十分に整理、説明することが必要なのではないかと思いました。
 それから、リファレンスに考えているGTR療法の成績が1994年の文献のデータなのです。これは時代背景の時代もありますので、これをヒストリカルデータとしていいのか、より新しい最近のデータがないのかなという気はしております。今回のフラップ法の予想される成績につきましても2008年の国際学会の発表のデータを引用されています。パブリッシュもなされていないようです。今回の研究では岡山大学の単施設研究で、50例を2年半で登録予定とありますので。そうであれば、そのぐらいの集積能があるのでしたら、その10年近く前のデータを最新とされているのはどうしてかなと。最近のデータがもう少し精緻に解析されていないのかなという疑問は持っております。
 それから、臨床的アタッチメント獲得量のデータというのがプライマリー・エンド・ポイントですが、これは多少統計学的な話になるのですがGTR療法の臨床的アタッチメント獲得量のヒストリカルデータは、2.2mm±1.9mmと標準偏差と平均値がほぼ同じ数字になっています。これはどういうことかというと、正規分布のような分布ではなくて右裾に尾を引いた分布になっているのです。右裾に大きな値があると平均値はかなり引っ張られてしまいますから、そういう分布をしているデータですので平均値を持ち出して議論をするというのは不適切なのではないかと思います。ですので、そういったところも検討していただきたいと思います。
 あと、先進医療実施届書には「実績のある症例数103例」と書いてあるのですが、この103例についての情報は、プロトコールとかロードマップには特に記載はありません。先ほどの2008年の国際学会の発表とか、あと、2007年にも国内誌で発表しているようですが、それを拝見しましても20数例のデータの記載があるのみで、何か事情があるのだと思うのですが、この103例についての説明が欲しいと思います。
 今、いろいろと述べてきましたが、いずれにしましても国内外の代替治療法、GTRとか自家移植とか、そういった既に使われている治療法の治療成績を丁寧にレビューした上で、今回の研究において示すべき臨床仮説を丁寧に議論、整理していく過程が必要なのではないかと思います。それがないまま、t検定とか、そういった統計手法に問題が矮小化されているので、全般に試験を実施する意義が理解しづらい計画書になっています。
 これは最後のコメントですが。研究計画の立案に関して、臨床研究に精通した専門家の関与がないか、ないし、関わっていたとしてもアドバイス程度なのではないかと思われます。ですので、充実した計画の策定並びに実施体制の構築が必要だと思われます。私からは以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。後ほど上村先生にはまとめていただくとして、どなたか、これまでのところで御意見を頂けますでしょうか、かなり厳しい状況だと、効果はなかなか読みづらいということですが。どなたか、御意見はございませんでしょうか。特に御意見がないようでしたら、上村先生からもう1回、全体的によろしくお願いいたします。
○上村構成員 田上先生からの御意見と山中先生からの御意見は重なる部分があると思うのです。今回の治療法が、今まで存在している治療法と比べたときに、これを臨床的にどのように位置付けるかというのを少し明確にしておくことが必要ではないかと思います。山中先生が今おっしゃったとおりで、やはりこの研究において示すべき臨床仮説を明確にするというところが重要になるかと思います。事前の照会事項に対する御回答も拝読しましたが、少し明確さに欠けるところがあって、そもそも、GTRに対する同等性若しくは非劣性を示そうとしているものなのか優越性を示そうとしているものなのか、この辺が少し、書いてあることと実際のプロトコールの中身と統計の標準作業手順書の中に書いてあることとが少し一致しないところがありますので、そこをより明確にしていただきたいと思います。
 これまで、かなりの数、この技術を使って治療をされています、それは事実であるわけで。せっかく次のステップに進まれるのであれば、50例また同じようにオープンラベルの試験をされても、 データを次のディシジョンにつなぐことはできないのではないかと思います。出口を目指すということは先進医療の中で非常に重要だと思いますので、やはり出てきた結果を次のステップにつなげられるような試験計画にしていただくほうがいいのかと思います。可能であればやはり、きちんとした対象群を置くとか、そういった工夫をされた上で比較ができるような試験でproof of conceptを示していくことを次のステップにされると、より早く患者さんにこの技術が届くようになるのではないかと思っております。最もシンプルな方法としては、比較試験をして、今までやっている自家骨移植に対してPRPの上乗せの部分を検証するということが重要かと思うのです。その方法論については、まず臨床仮説を設定してから考えていかれたらよいかと思います。
 それから、ちょっと細かなところですが、新しい技術として確立しようということですので、PRPの調整等についてもいろいろな調整の仕方があると思います。どういう比率で混ぜれば至適な混ぜ方になるのか、そういったところももう少し検証する必要がありますし、あと、安全性という意味でも、直前に調整されるということなので感染のリスクはほとんどないと思いますが、提案されている手法で作製されたPRPが少なくとも、例えば無菌性であるとか、エンドトキシンの混入とか、異物の混入とか、そういったものがないということをチェックするような体制、それは、どこかできちんとされておかないと次のステップというところで非常に難しいのかなと思っています。
 ということで全体的に、検討する課題がまだいろいろあるようですので。今回、全体的な総評としましては、今、指摘された事項に関してもう少し練っていただいて、継続して審議していくことでどうかと考えております。
○猿田座長 どうもありがとうございました。どなたか、御意見がございますでしょうか。一番気になるのは、田上先生からもかなり厳しい御意見が出て、本当にどれだけの効果が期待できるのかということと、安全性の面で先ほどのコメントがございましたものですから。山中先生も同じですね、計画書ですね。そういったことも含めてどなたか、御意見はありませんでしょうか。では、いろいろ大変ですが、一応、継続審議という形でいいでしょうか。
○上村構成員 もし非劣性ということであれば、 どのデータとの比較するのか、特に非劣性のマージンを取るのであればどういうマージンなのか、仮にオープンラベルでやるにしても過去のデータとの比較のrationalがきちんとないと、やはりディシジョンにつながらないのかなと思います。
○猿田座長 山中先生、プロトコールのところはどうですか、先ほど先生がおっしゃったとおりですか。もし先へ進めていくとなったときにプロトコールの書き方はどうですか。
○山中構成員 岡山大学にも臨床研究センターが出来て専門家がいろいろいらっしゃることだと思いますので、そういった方たちに指導を仰ぎながらもう少し樹立した研究計画の策定を目指していただければ更に。先ほど上村先生がおっしゃった出口を見据えた上では、やはり、きちんとしたデータ、きちんとした研究計画、それで結果が出たときに、みんながクリアに理解できる結果が一番望ましいわけですから、そういったデータが取れるように、出口を見据えてきちんとプロトコールを立てていただくことを目指していただきたいと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。よく分かりました。どなたか、御意見はございますでしょうか。特に御意見がないようでしたら、今、上村先生がまとめていただいたとおり、継続審議という形でここでは決めさせていただいて、1回戻していただくということでよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。それではただいまの案件は、整理番号61ですが、継続審議とさせていただきます。
 続きまして、整理番号62に移りたいと思います。これは、局所進行膵臓がんに対するゲムシタビンの併用重粒子線の治療です。それでは事務局から、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 では、資料1-1、15ページを御覧ください。2件目、整理番号62、局所進行膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線治療です。適応症は局所進行膵がん、ただし、遠隔転移がなく、T4(UICC)、服腔動脈幹若しくは上腸間膜動脈への浸潤ありの症例に限るとなっております。
 申請医療機関は、粒子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所病院です。審査監督構成員は主担当が山口座長代理、副担当は田島構成員、大門構成員です。
 資料1-9の77ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。実施責任者の要件ですが、診療科は放射線科又は放射線治療科又は放射線治療部又は重粒子線治療科です。資格として、日本医学放射線学会放射線治療専門医が必要。当該診療科の経験年数は10年以上が必要。当該技術の経験年数は2年以上が必要。ただし、放射線治療(四門以上の照射、運動照射、原体照射又は強度変調放射線治療、IMRTによる体外照射に限る)による療養について、1年以上の経験を有する者については、1年以上とすることが必要。当該技術の経験症例数として、実施者としては不要。ただし、重粒子線治療を主として実施する医師又は補助を行う医師として10例以上の症例を実施しており、そのうち重粒子線治療を主として実施する医師として5例以上症例を実施していることが必要となっております。その他の取決めはありません。
 医療機関の要件としては、診療科として放射線科又は放射線治療科又は放射線治療部又は重粒子線治療科。実施診療科の医師数として、具体的に放射線治療専従の常勤医師が2名以上配置されていること。うち1人以上は放射線治療専門医であることが必要。ほかの診療科の医師数は不要。その他医療従事者の配置として、1.病院内に日本放射線治療専門放射線技師認定機構の定める放射線専門治療専門放射線技師を含む専従の診療放射線技師が3人以上配置されていること。重粒子線治療室1室当たり2人以上の診療放射線技師が配置されていること。2.放射線治療に専従する常勤の医学物理士認定機構医学認定物理士が1人以上配置されていること。この両者が必要。病床数については不要。看護配置については放射線治療に専従する看護師が配置されていること。がん放射線療法看護認定看護師又はがん看護専門看護師であることが望ましい。これが必要。当直体制は不要。救急手術の実施体制も不要。24時間実施体制院内検査は必要。他の医療機関との連携体制は具体的な内容として自己の医療機関で対応困難な場合、診療協定を結んだ24時間診療可能な近隣の病院と連携することが必要。
 医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会による審査体制は2か月に1回以上に加え、要時開催されていることが必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関として当該技術の実施症例数は重粒子線治療について10例以上行われていることが必要。その他の取組として、日本放射線腫瘍学会の指定に準拠した複数の診療科で構成されているキャンサーボードを設置すること。脚注としてキャンサーボードの目的、方針、業務、構成メンバー、開催日程、記録の作成、保管法などを指針若しくは規定として文書化していること。自施設でキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にて、その機能を果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文章にて示せることが必要とされております。その他の取決めはありません。以上です。
○猿田座長 ただいま御説明いただいた施設の要件に関しまして、どなたか御意見はありますか。特に問題になるのはキャンサーボードの設置ということですが、どなたか御意見はありますか。山口先生、どうですか。
○山口座長代理 要件に関しては問題はないと思います。あとで申します。
○猿田座長 分かりました。どなたか御意ありますか。
○山中構成員 今回の重粒子線に関する申請では、キャンサーボードのことが最初から明記されていて良いと思うのですが、キャンサーボードの目的・方針・メンバーについて文書等で記して、とありますが、そこに関してはチェックはどう入ると考えればよろしいでしょうか。
○猿田座長 キャンサーボードのメンバーについて、誰がチェックすればいいのですか。
○山口座長代理 私は誰がするかということについては分からないのですが、この中で一番問題になるのはここだと思います。この問題は本研究に限定されることではなくて、陽子線、粒子線全てに関わることなのです。つまり、幾つかモダリティーがあって、この治療はできるとか、できないということを、当該の専門家ではない人は判定できるかどうかというと、大変難しいことだと思います。
 特に放医研などは医師が23人いますが、3人は歯科医で、医師は20人しかいなくて、そのうち17人が放射線の先生です。つまり、内科の先生が1人、外科の先生は2人という状況です。その2人の外科医も例えば膵臓がんの手術をどのぐらいやったことがあるかということに関しては確認することができず非常に問題が大きい。
 これは後で言おうかと思ったのですが、上腸間膜動脈に浸潤しているか、していないかというのは非常に判定の難しい問題で、現実には180度以上浸潤していない場合には実際には切除可能なものが結構多くて、今、高度な技術を持っている所では、180度までだったら積極的に取っているという状況もあります。その中で全ての施設がそうではありませんから、どこまで妥当な治療方針を決めることができるかという意味では、例えば放医研などでは近くの拠点病院に症例を検討してもらうとか、そういうプロセスは必要ではないかと思います。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見がありますか。
○藤原構成員 山口先生が後からおっしゃるのかもしれませんが、T4の診断は非常に難しいと思っています。あとプロトコールを見ると、遠隔転移がないことを画像診断で判断すると言っても、画像診断は何を使って遠隔転移がないことを判定するのかというのは曖昧で、このプロトコールのままだと恣意的にT4か否かの診断ができるようにみえます。山口先生のお話を聞いてから、再度コメントします。
○猿田座長 そうしたら、山口先生から概略をお願いします。
○山口座長代理 局所進行膵がんは非常に予後の悪い病気です。これに対して今まではゲムシタビンが使われたり、放射線治療が単独で行われたり、あるいはその併用が行われています。
 重粒子線についてはゲムシタビンとの併用療法は何例か行われて成績も出ておりますが、重粒子線とゲムシタビンの併用療法はほかのモダリティーに比べて優れていることを決定付けるようなデータはありません。まだ対象の問題もあったりして、なかなか解析が難しいということもあります。例えば重粒子線とゲムシタビンの併用療法でMedia survivalが例えば19.6ですが、ゲムシタビンと普通の放射線治療だと9~14という数字なので、差があるかどうかということはなかなか難しいのです。一般的な重粒子線をやっている先生や陽子線をやっている先生は最初から、これはあらゆるものに有効という感じで書いている人も多くて、そういう前提で話をされると非常に困るのです。サイエンティフィックにはまだ本当にこれはいいという証拠はないと思います。したがって、後でお話があると思いますが、大門先生などからいろいろ指摘されており、本来はコントロールスタディをやらなければ駄目なのです。が、ただ、単群でやる場合にどこまで評価できるかという問題はあります。大門先生もいろいろな問いに対しては、一応真剣に答えていただいて、「適」という判断でした。
 私の所は一応実施責任体制とか、医療機関の体制、医療技術の有用性に関しては、ここの施設のこの治療を行うについてはよろしいということで、キャンサーボードについては少し意見がありますが、「適」といたしました。
○猿田座長 後ほど細かく御議論いただくということで、倫理的な面から田島先生からよろしくお願いします。
○田島構成員 説明文書につきまして種々問題がありました。配布資料の1-7の68~71ページに掛けての項目を指摘させていただきました。臨床試験の期間と方法について、治療前・治療中・治療後の検査スケジュールについて、研究費の拠出元について、利益相反の内容について、患者相談の内容についてです。それぞれ適切に修正が加えられておりますので、同意に掛かる手続、同意文書については「適」としました。
 補償内容について、補償はなしとなっていますが、保険会社3社に補償契約を申し込み、いずれも本臨床試験がPMDAの補償除外リスト掲載の抗がん剤ゲムシタビンを用いるがん治療に関するものであることを理由に契約に至らなかったという事情がありますので、やむを得ないと考え「適」としております。ただ、更に1社保険会社と交渉中ということで、場合によっては補償保険の契約ができる可能性もあるようですので、できれば付保の上、補償ありとしていただけると良いと思っております。
 最終的に誤字・脱字等の修正等もお願いはしていたのですが、幾つか気になる所が残っております。タブレットの474ページの下から3行目に改行がされていますが、この改行は必要ありませんので、文章を続けて記載していただき、478ページでプロトコール治療の図のタイトルの治療の「療」の字が抜けておりますので、補充していただきたいと思います。訂正した赤字のままの部分もありますので、黒字に訂正していただくようにお願いします。以上です。
○猿田座長 丁寧に見ていただきまして、修正の部分はもう1回しっかりやっていただきます。それでは、試験の実施計画に関して、大門先生からよろしくお願いいたします。
○大門構成員 事前の指摘事項と回答の内容ですが、机上配布資料1-7の43~55ページ、57~65ページに記載されているとおりで、不備が幾つかあります。その点を指摘しております。主な点としては、例えば当初、プロトコール、届出書もそうでしたが、本試験は検証的試験という表題を打っており、そのような旨が関連書類の中の至る所に記載されておりました。本試験は単アームの試験ということで、そのような位置付けではないはずであろうということで修正していただいたりしております。
 また、それに関係することとして、山口構成員からも説明があったとおり、ランダム化比較試験の実施可能性の可否についても紹介しました。先般の重粒子線・陽子線治療と同様、困難な旨、理由を記載していただいております。
 そのほか、例えば記載されている症例数の設計法とは異なる方法で少なく例数が算出されている,中央判定委員会、効果安全性評価委員会の体制、業務手順などが書かれてなかったりなど、不備が散見されましたが、一応対応していただきました。
 藤原構成員の部分については、私自身見切れておりませんで、御対応いただいてないと思います。机上配布資料1-5に示すとおり、それ以外の部分は対応いただいたという意味で「適」とさせていただいております。以上です。
○猿田座長 それでは、御質問いただく前に、山口先生にまとめていただきます。
○山口座長代理 大門先生は非常に控えめにおっしゃいましたが、細かい所が随分不備で、応答のたびにきちんと直っていなくて、拝見していると大変我慢強くやっていただきました。最後にこれでよろしいでしょうという結論になったので、そこは尊重したいと思います。
 それから、先ほど藤原先生から御指摘がありましたが、切除不能というか、いわゆる局所治療をしてもしょうがない。手術治療法が全く適応にならないという意味と、局所進行がんという意味とは少し違っています。例えば主要な血管に浸潤がない場合には、当然遠隔転移がなければ外科治療が考慮されるというのは一致した意見だと思います。血管に浸潤している場合どうかというと、MRIとかCTで見るわけですが、実際に開けてみると、予想以上に剥離が可能なものも結構あります。特に先ほど申しましたが、血管全周ではなくて、半周、180度もないものについては、術前の予想と違って浸潤がないものがあって、取れるということで、かなり積極的な高度な医療施設では切除している所が多いわけです。
 一方で技術的にまだ余り良くない所は、例えば動脈ではなくて、静脈に浸潤しているだけでもやらないとか、そういうことで日本の医療の中でも格差のある部分なので、一律に一番優れた所のクライテリアを押し付ける必要はないと思います。
 問題は180度未満の本来なかったものかどうか分からないもの、浸潤があったかどうか分からないものが随分混ざり込んでしまって、実は本来手術で治療を受けられるべき人がここに入り込んでしまって、見掛けよりも治療成績が良くなるのではないかと心配されるわけです。
 今はまだガイドラインでもきちんと分かれていませんが、180度を境にして、180度未満のものはボーダーラインリジェクタブルの範疇に入って、これはやってもよいというか、そういう形に変わってきていますので、この研究計画の中では、特に放射線科の先生ですから、画像診断も当然できるわけで、血管浸潤があるとか、ないといった低いレベルではなくて浸潤が何度ありましたかとか、そういう所まで是非記載していただければと思います。
 データトラックというのを拝見したら、iPadの495ページに患者背景の登録が書いてあるのですが、あるかないかだけしか書いてないので、できましたら、ここは何度にわたってあるとか、そういう細かい記載が後で見たときに分かるようにしていただければと思います。大門先生にも随分直していただきましたし、こういう形でやっていただいていいのではないかと思います。
 もう1つは、キャンサーボードのことですが、幾つかの施設はいろいろな診療科があって、膵臓がんの手術の実績のある施設もありますから、全ての施設とは言いませんが、今回申請してきた放医研は、先ほど申し上げた構成のスタッフしかいませんので、近隣のそういう施設とタイアップして、できればそこまで症例を持っていって検討していただいてやっていただくのが正しいのではないかと思います。
○猿田座長 藤原先生、今言った形の山口先生の御意見の診断の件はどうですか。
○藤原構成員 この背景になったレッドジャーナル、International Journal of Radiation Oncology Biology Physicsのペーパーを見ると、アンリゼクタブルな患者を対象にしていて、なおかつ180度の周りを何とかと、いろいろ詳しくエリジビリティークライテリアが書いてあります。ですから、このプロトコールを見ると、T4とさらっと書いてあるだけなので、通すことは別に問題はないとは思いますが、リゼクタブルな人がちゃんと入ってないということをキャンサーボードで、特に外科の先生がちゃんと見る。千葉大の外科はしっかりしていると思うので、千葉大の外科の先生に見てもらえばいいかもしれませんが、T4のところと転移がないということを文書としてどういうものがT4で転移がないということを事前にボードで決めてもらう。これを見ると、JASTROの中に、膵腫瘍の検討班があるのですか、そういう所で事前にどれがT4で、アンリゼクタブルなのかというのを、ちゃんと画像診断でこうなったら、このように解釈しますというのを決めていただいて、それをキャンサーボードで確認した上でエントリーするようにしておいていただければ何も問題はないかなと思いました。
○猿田座長 実際には地理的に近いものですから千葉大学の先生方とかなり連携を取ってやっていただいたと思います。その点ではいいと思います。
 それでは、ほかの委員の先生方、どなたかありますか。
○柴田構成員 大門先生はじめ、先生方の最終的な判断には影響を与えないのですが、今後このデータを分析するときにちょっと注意していただきたいことがあるのでコメントさせてください。
 お手元の資料の45ページに化学療法先行かあるいは化学放射線療法かの比較に関する件があります。具体的には上から11行目辺りに「化学療法先行群の2年生存率は22%であり、化学放射線療法先行群の2年生存率は31%と両群間に有意差を認めませんでした。以上より」ということで、化学療法先行群としても問題がないのではないかという考察をされている点ですが、これが引用している臨床試験はもともと両群の統計学的な有意差を検出するように検出力を担保した試験ではないので、有意差がないことをもって、両者の成績が同程度であるという結論を導くことは不可能です。ですから、場合によっては化学療法を先にやることによって、治療成績が下がる可能性はあるかもしれないということを前提に今後の至適な治療方法を検討するときに考察していただく必要があるのではないかと思います。
 今回の臨床試験のデザインに関してはそこを含めた上でディシジョンルールを決めておられるので結果としては問題ないと思いますが、治療成績が思ったほど良くなかった場合や今後より適切な治療の組立て方を検討される際には先行研究の論文の解釈にちょっと誤解があるということを指摘させていただきたいと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。貴重な御意見を頂きました。ほかにありますか。
○直江構成員 私も今の先行試験のことが気になっていました。もう1つは、後治療ですが、プロトコールは3回のゲムシタビンと粒子線の治療ということで、後治療については規定しないということですので、プロトコール内の治療はわずか1か月ぐらいで終わってしまいます。その後はS1か、ゲムシタビンの治療を推奨するとは書いてあるのですが、特に決めないと書いてあるのです。それで本当に2年生存率で最終的なエンドポイントとして評価するとなっていますが、かなり影響するのではないかと。私は必ずしも専門家ではありませんが、そこはそれでいいのかなというのがちょっと気になります。
○猿田座長 その辺りはどうですか。
○山口座長代理 多分、直江先生の御質問に関しては、研究者は膵臓がんでそこまでやったら、何をやっても駄目というか、余り効かないと考えているのだと思います。ただ可能性はありますので、御指摘のとおりかと思います。ほかのがんと違って、セカンドライン、サードラインとある程度のパーセンテージが期待できる腫瘍ではなくて、ファーストラインさえもそれほどCRがないという条件なので否定しなかったのではないかと思います。
 それから柴田先生の御指摘はそのとおりで、そこは前加療がないほうがいいのですが、実際にない試験もあります。彼らが一番心配しているのは、今、膵臓がんとなるとどうしてもゲムシタビンとかいろいろなものを使います。特にものすごく進行している場合には早く治療してあげなければという気持ちになります。というのは半年とか3か月勝負の病気ですので、放医研に来た頃には何もかも全部行われていて、ちょっとでもスタートしようものならそれで除外されてしまうと症例が集まらないという危惧をしているのだと思います。そうすべきかどうかは分かりませんが、現状を考えると、やむを得ないのではないかというのが私の判断です。
○猿田座長 ほかにありますか。
○藤原構成員 配布資料の76ページの薬事承認までのロードマップを見ると、欧米での現状の所で、化学療法併用X線治療群と化学療法併用炭素イオン線治療群77例のフェーズ3を計画中ですと書いてあるので、その経過はちゃんと見ておいていただきたいのと、放医研の先生方は本来先進医療Bではなくて、IMRTと重粒子線の研究費は出しますと言ってしまえば、この比cc較試験はできるはずなので、それをこれまでやってこなかったことは猛省していただきたいと思います。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見ありますか。全体的には山口先生がおっしゃったように、大門先生にしっかり直していただいた所と、田島先生の2~3まだおかしい所は直していただくということを含めて全体的には一応「適」とすると言っていいのではないかということですが。そうですね。
○山口座長代理 一応全体として「適」としました。ちょっと前なのですが、先ほど患者の背景の基準等をもう少しマークしてもらうという条件です。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいま「適」としてよろしいのではないかという御議論を頂いたところかと認識しておりますが、事務局からこの確認事項についてお諮りさせてください。
 まず、先の先進医療会議において技術名の所で、切除不能との記載に関し、技術間で同じ適応であれば表現を揃えるべきとの議論がありましたが、これは先ほどの山口先生の御発言にもありましたように、今回の技術では局所進行ということが、むしろ膵がんにおいては正しい記載であるということで、このまま認めさせていただくということで了解いたしました。
 あとはCRFの記載です。T4の基準とか、血管への浸潤の角度等々の詳細な記載の項目を追加することを確認するということが1点。田島先生から頂いた現在補償が付くかもしれないという結果がどうなったかを確認させていただくのが1点。それから誤字・脱字の修正等を事務局等で確認しますが、この確認をするということで「適」という御判断を頂いていると理解してよろしいですか。
 あとはキャンサーボードの構成員の確認をどうするのかという御指摘を頂いていたかと思いますが、こちらは「その他」の欄に記載されている取決めの条件でよろしいでしょうか。あるいは技術にあっては、審査の平準化の観点から専門医等々の指摘があった技術もあるかと認識しておりますが、こちらの膵がんに対してはこの取決めでよろしいかどうかということを御確認だけさせてください。
○猿田座長 先生どうしましょうか。
○藤原構成員 前回も山口先生といろいろやったのとそろえるような記載ぶりがいいのではないかと思います。ざっくりではなく、もう少し細かく書いていただいて。
○医政局研究開発振興課専門官 そうしましたら、キャンサーボードの記載ぶりをもう少しこちらより申請者に確認させていただくことにいたします。
○猿田座長 大門先生、ほかに追加しておくことはありますか。
○大門構成員 御指摘いただいたとおりでよろしいと思います。
○山口座長代理 キャンサーボードの所は、あっさりキャンサーボードと書いてあって、キャンサーボードは何かとか細かく書いてないので、それはキャンサーボードとしてこの要件はこことフォーマットを作って共通にしたほうがいいと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、了解いたしました。今後の審議の際に事務局としても準備するようにいたします。
○猿田座長 どうしてもほかの施設との関係もやっておかなければいけないと思います。ほかにありませんか。今言ったところを、一応事務局から戻していただいて、ここでは一応「適」という形で行かせていただきますが、よろしいですか。
 それでは、そのような形にさせていたただいて、ここでは「適」といたします。それでは、事務局のほうは、その点、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、承知しました。
○猿田座長 続いて、63「骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する治療」です。これは技術委員としても中村先生にも来ていただいております。まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1、15ページです。新規の3件目、整理番号63「骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する治療」です。
 適応症は脊髄損傷、(ただし受傷後3日目から12週以内で、ASIAの機能障害尺度A又はBの部分的損傷が認められた脊髄損傷患者。脊髄の完全離断、離断に近い状態の患者は除く)となっております。
 申請医療機関は公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院です。審査担当構成員は主担当が松山構成員、副担当は田代構成員、手良向構成員です。また、中村技術専門委員にも御審査をお願いしております。
 資料1-13、111ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、「実施責任医師の要件」です。診療科は形成外科、脳神経外科、整形外科、神経内科、救急科のいずれかです。資格は、日本形成外科学会専門医、日本脳神経外科学会専門医、日本整形外科専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本救急医学会専門医のいずれかが必要。当該診療科の経験年数は5年以上が必要。当該技術の経験年数は不要です。当該技術の経験症例数は、実施者として1例以上、それに加え助手又は術者として1例以上が必要。その他の要件として、当該技術の術者として5例以上経験のある医師が、未経験の医師を指導して施行させた場合、施行した医師の経験と数えることが可能であると取り決められております。
 「医療機関の要件」として、診療科は形成外科、脳神経外科、整形外科、神経内科、救急科のいずれかが必要。実施診療科の医師数は常勤1名以上が必要。他の診療科の医師数は不要です。その他、医療従事者の配置として、臨床検査技能1名以上が必要。病床数は60床以上が必要。看護配置は10対1看護以上が必要。当直体制は、診療科を問わず医師1名以上の当直が必要。緊急手術の実施体制は必要としており、但し書きとして、他施設との連携により対応可能な場合も可としています。24時間実施体制の院内検査は必要としており、こちらも但し書きとして他施設との連携により対応可能な場合も可としております。他の医療機関との連携体制は不要ですが、但し書きとして、当該施設における緊急手術等の実施が困難な場合には近接する医療機関との連携確保を条件とすることが必要。医療機器の保守管理体制は必要。特定認定再生医療等委員会による審査体制は必要で、原則として毎月開催です。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は2症例以上が必要。その他の取決めはございません。以上です。
○猿田座長 ただいま御説明いただいた施設条件に対して、どなたか御意見はございますか。
○松山構成員 主担当の松山です。いろいろとコミュニケーションを取っている過程で、形成外科の先生のみが今回の申請者になっておられていて、それが今回継続審議になってしまった結構大きな要因ではないかと思っております。
 例えば、実施責任医師が、形成外科が適切であるのかどうか。もし形成外科が実施責任者である場合、他診療科として必ず整形外科のように脊損を診たことのあるドクターが付いていないと、さすがにいかがなものかと。加えて、リハビリを含めてCombination Therapyと申請になっておりますので、リハビリを担当する理学療法士の方が、そういう部門がなければなかなか医療機関として認められないのではないかという感覚を持ちました。この資料1-13の取扱いが非常に難しいところですので、少しコメントをさせていただきました。
○猿田座長 中村先生から何かございませんか。
○中村技術専門委員 少し疑問なことがあります。例えば形成外科学会の専門医の備えておくべき基本的な要件の中に、脊髄損傷が入っているかどうかです。一般には、おやりになっておられない診療科ですので、それが専門医の修めるべき必須要件に脊髄損傷が入っているかどうか、もし入っていなかったら、今の御指摘のようなことは是非とも必要なのではないか。やはり脳神経外科の先生など一般に担当する診療科の関与が必要なのではないかという印象を持っております。
○猿田座長 事務局、その辺りの確認はできますね。
○医政局研究開発振興課専門官 確認いたします。
○猿田座長 ほかにどなたかございますか。
○直江構成員 自家骨髄の移植ではないのでしょうけれども、細胞療法ですね。先ほどCell Processing Centerという話が出てきましたが、そういうのは要らないですかね。
○医政局研究開発振興課専門官 基本的には必要ないと認識しております。
○松山構成員 骨髄を取ってきて洗浄しているだけで、Cell Processing Cernterは実は不要という切分けになっています。
○直江構成員 培養しないのですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○猿田座長 ほかにどなたか、御意見はございますでしょうか。
 そうすると、この施設要件は松山先生、中村先生から頂いた意見を生かさせていただくということでよろしいですか。
 それでは、施設要件はそういう形にさせていただきます。まず、概略を松山先生から御説明いただいて、あとは細かく。
○松山構成員 骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する治療に関しては、長く鈴木先生がライフワークにされているお仕事で、恐らく骨髄由来単核球細胞の移植という面では第一人者であるというのは、間違いないことだと思っております。いわゆるヒト幹細胞臨床研究の指針というものが以前にありましたが、ヒト幹細胞臨床研究の指針の対象とする委員会で、探索型ファースト・イン・マンに関しては審議されているということは申し述べさせていただきます。
 この試験は20歳から60歳までの脊損の患者を対象としており、このウインドウのことは議論になると思いますが受傷から12週間、重症脊損の患者でASIAの機能障害尺度A又はBの患者を対象としており、培養せずに腸骨の部分から、胸骨と違うのでリスクはさほど高くないと私も認識しておりますが、骨髄を120cc程度吸引しまして、そこから赤血球あるいは血漿などを洗浄して落とし、単核球のみ、この中にはリンパ球、好中球、間葉系幹細胞も若干入っておりますが、こういうものを洗浄して取り、アルブミンの懸濁した後、髄腔内に注射するというものです。その後にリハビリテーションを行い、6か月までフォローアップし、副作用を含めた安全性と有効性の評価を行うというものです。
 「実施体制の評価」ですが、今のところ責任医師の体制に関しては「適」、医療機関の体制に関しても「適」とさせていただいておりますが、この部分は責任者が形成外科医であってはいけないというわけではなくて、脊損を診たことがあるような整形外科の先生などがフォローアップに入ってくれるのであれば、私はむしろそのほうがチーム医療として望ましいと思います。可能であれば、そういうコメントを付けさせていただければと思っております。
 「医療技術の有用性」に関しては、中村先生にかなり詳しく議論していただいておりますので、私は被験者の受傷後の期間の選定で、治るまでの間に浮腫などがメインの時期と、神経細胞が回復してくる部分の時期とフェーズが違うので、この単核球細胞のモードオブアクション、なぜ効くかということを考えたときに、少しウインドウが広くて、もう少しサイエンスベースで御議論していただければよかったなという問題意識を持っており、「適」「適」「不適」とさせていただいております。一旦、私はここで。
○猿田座長 恐れ入りますが、中村先生から技術的な面からお願いいたします。
○中村技術専門委員 説明させていただきます。タブレットの一番最後の1,143ページの課題の一番後ろにありますので御覧ください。ReviewというSpinal Cordの雑誌からのものが入っております。このreviewは脊髄損傷に対する臨床的なClinical trialを実施するに当たって、麻痺の自然回復をどの程度に見込むかを考えるためのガイドラインという内容になっています。
 著者として名前がたくさん書いてあるように、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、スイス、日本の7か国の18施設、21人の専門家が集まったパネルになっております。日本からは、慶應義塾大学の中村先生が参加しておられます。
 話をできるだけ手短にしたいと思いますので、1,147ページをご覧ください。一番上にFig.1のグラフが4つ載っております。左の上がASIAのAといって、モーターもセンソリーもコンプリートというものです。その下に、ASIAのBがありまして、これはモーターコンプリートでセンソリーは残っているというものです。右上はCですから、更に軽いものとなっております。
 脊椎損傷の予後、自然回復に関係するのは重症度と受傷してからの期間が重要ということは、臨床的に理解されていますので、この図は脊髄損傷受傷から3日から4週をInitial examinationとして、それから1年後との差を見ております。
 見ていただきますと、左上のASIAのAのコンプリートという人は、1年後にA to Aが80%ぐらいでありますので、80%は変わりませんがAからBに程度が変わった人が10%ぐらいです。言い忘れましたが、3つ、Model systems、Sygen、EMSCIとありますのはスタディの名前で、一番上は、アメリカの3,585例がベースになったスタディで、その下は1回目が37例、2回目が760例、28センター、アメリカとカナダで行われたスタディがベースになったものです。EMSCIはEuropean Multi Center Studyで、14センター、217例がベースになったスタディです。
 BにいくとB to Bと、BからAに悪くなるものもいて、ザッと見ても4割ぐらいの人はとどまるけれども、残りの6割は改善が見込まれるというスタディになっています。
 1,152ページにFig.8があります。これは先ほどのスタディの1つを2年半追い掛けたものです。横軸が月、縦軸が1年間のモーターの改善ポイントです。徒手筋力テストでの改善ポイントが付きますが、1年間に何ポイント改善するかを見たものです。
 横軸が月数ですので、3か月まではかなり改善します。ここの●が、In complete tetraplegicですから、Bのようなことです。■がcompleteです。○はparaplegiaですので、脊髄損傷よりも下の胸髄損傷以下ということですので、この際は●と■を見ていただければ結構です。9か月ぐらいまではかなり改善しますが、それ以降はかなりsteadyになっていくということが見て取れるものです。
 このように、基本的に自然回復が一定程度あり、その程度には重症度と受傷後の期間が非常に重要だということです。このデータは、大きなこれまでのデータがこのような形では解析されていないものを、期間と重症度をはっきりと追える例をreanalysisしたということです。そして、今後の治療研究をする人に必要なガイドラインとしてデータを提示したということです。
 どうして自然回復が起こるかという理由については、ここでは述べておりませんが、テキストブックにどう書いているかと言いますと、脊髄損傷では神経組織そのもののダメージが1次損傷として起こる。加えて、急速にすぐに生態反応が起こり、出血、血管の攣縮、浮腫という二次障害が起こり、数時間以内という短期間に麻痺は最高度に達するということです。
 その後の経過は、1次損傷は、ヒトでは改善が基本的に見込まれないということになっておりますが、2次障害についてはrecoveryしていくことはよく知られており、その期間が最初であればあるほど、たくさん改善していくということです。したがって、データを取って比較する、Historical Controlを取る場合には、自分たちが対象としてやろうと思っている期間と同じ期間のHistorical Controlをきちんと整理して比較する必要がある。経過が、後ろの期間の症例をContorolとして、受傷からの期間の短い例を対象とすると、これはもう明らかにOver Estimateになってしまうということです。
 もう1点は、このスタディは最重症型である、MRIで見ると、脊髄が離断しているというものは省くとなっていますが、Historical Controlにはそういう人も入っている可能性があるわけです。したがって、そこにもOver Estimateの可能性があるので、そういうところも検討していただきたいということです。
 そして、先ほど主担当からお話がありましたように、これまでのフェーズを変えてより急性期を対象にすると、機序としてneuroprotectionをしたいのか、Axonal Regenerationで何とかなるのか、あるいはplasticityを進めることを期待しているのかというコンセプトが変わるわけです。ですから、患者さんに急性期の早い人がいたので早くしたいというだけでは、少し問題で、そこも主担当がおっしゃるとおりかなと思っております。私からの説明は以上です。
○猿田座長 非常に大切なポイントを突いていただきました。後ほどまたお願いいたします。先に、一応倫理的な部分を田代先生からお願いいたします。
○田代構成員 倫理的観点からの評価を担当させていただきました田代です。お手元の資料の86~88ページに、事前照会事項についてまとめております。私からは、1点目として、健康被害に対する補償についての方針がよく分からないところがありましたので、大きく2点についてお尋ねしました。
 1点目は、当初の記載ですと「細胞投与の所だけを補償する」となっており、髄液の採取などがカバーされないということだと、再生医療学会で出されている補償のガイドラインにもそぐわないところがあり、そこの事実確認をしました。
 もう1点は、記載の中では補償の話と賠償の話がいろいろと混ざっていて、現実にはどうなっているかを細かくお尋ねしました。その結果、基本的には髄液の採取を含めて補償対象になっているということと、補償金に関しては補償保険から出るということ、医療費と医療手当については医療機関で負担するということですので、体制としては非常に充実していますので、その点では問題はないと判断しました。
 80ページの評価表に戻ってください。説明文書自体は、何度か審査も受けていらっしゃると思いますので、項目は網羅されているかと思います。健康被害に対する補償の方針は、先ほど言いましたように当初の記載は不明確でしたが、現実には比較的手厚くやるということが分かりましたので、それでよいかと思いました。患者相談体制についても、研究者以外の相談窓口が追記されたので、「適」といたしました。
 ただ、先ほど中村先生からのお話を伺いましたので、2点追加させていただきます。1点は、これは何度かreviewを受けているということで、私のほうでは科学的妥当性が担保されていることを大前提にこの評価をしていますので、当然ながら科学的に妥当な評価ができない試験に、患者を入ること自体が非倫理的なことですので、その科学的な妥当性ということによって評価は当然変わり得るということが1点目です。
 もう1点は、先ほど中村先生がおっしゃっていたように、自然回復の話が非常に大きいのだとすると、実はその説明文書には自然回復のことは全く書いていないという問題があります。そうなると少し誘導的になってしまう可能性があります。ですから、1つの提案としとは、このまま続けられるにしても、説明文書の「その他の治療」の所に、この中には今先進医療でやっているような、ほかの細胞治療の話なども載っているのですが、実際にはそういうことを仮に行わなくても一定程度の割合で、一定程度改善する可能性があるということを示した上で、この試験に参加していただくことが重要かなと思いましたので、その点はいずれにしても追記が必要かと思います。以上です。
○猿田座長 特に、その自然回復の問題は非常に重要かと思います。それでは、事務局から手良向先生の計画書をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 「先進医療審査の事前照会事項に対する回答1」、83ページを御覧ください。手良向構成員からは、改善割合のデータや解析方法を中心に幾つかの御指摘を頂きましたが、申請者とのやり取りにおいてもその懸念が解消されなかったため、資料1-10の81ページを御覧いただきますと、有効性及び安全性の評価方法について「不適」との御評価を頂いております。
 コメントとして、「閾値改善率と期待改善率の根拠及びそれに従った目標症例数の設定根拠については、再検討が必要と考えます」との御記載を頂いております。以上です。
○猿田座長 全体的に松山先生からお話を頂いて、それからもう一回ディスカッションさせていただきます。
○松山構成員 以前からの症例をきっちりと蓄積されている機関であるというのは間違いないと思います。ただ、彼らがスタートした時期から10年近くたっていて、サイエンスもかなり進んでいるのと、中村先生が御提示になられた論文のように、脊損というと全くrecoveryしないのではないかというイメージが非常に強かったのですが、そうでもないのだということが明確に分かってきています。そうであれば、投与したときに効果があるのであったら有り難い、効果がなかったとしたら、それは研究なのだから致し方ないというところはあると思います。一方で、投与したことによって何か問題があるのであれば、それはもしかしたらもう一度考え直さなければいけない。そういう時期にきているのだろうかなと思っています。
 今回、中村先生、手良向先生から、このような御指摘を受けて、この部分が北野病院で適切に対応できるのであれば、是非とも承認してくだされば有り難いと思っております。
 加えて、この細胞を通したときに、デメリットがある可能性を考えたのですが、単核球というのは脊髄に入れたら、もしかしたらそこで細胞が凝集して髄液の循環を止めてしまうリスクがゼロではないということで、現在この部分について、先方にラットなどのデータで、実際に髄腔内に打った後にどのような細胞が分布しているのかを問い合わせています。先方からは、ラットに投与しての体内動態のデータがあることを一文で頂いておりますので、その部分は生データを見させていただいて、最終的に、少なくとも投与することによってデメリットがないことは確認してあげたいと思っております。現状では継続審議ということにさせていただければと思います。
○猿田座長 それでは、構成員の先生方から、御意見はございますでしょうか。
○直江構成員 資料の91ページで中村先生と申請者とのやり取りで、全くそのとおりだと思って見ていました。骨髄液120ccにこだわっているのですね。ただ、これは細胞療法であれば細胞数がどれだけか、それから骨髄の細胞といってもいろいろなheteroな細胞ですので、恐らくCD34とか、CD133といったものの細胞数で、どれぐらいを入れるのかということが科学的な細胞治療の基本ではないかという気がするのですが、回答を見ていても、まずラットの研究はみんな細胞数でやっていて、ヒトになって骨髄液のボリュームにこだわっているという意味がよく分からないのです。
○猿田座長 非常に重要な点で、やはり科学的には細胞数ということです。ヒトでの実際は。
○松山構成員 実際は、培養の場合には細胞数が稼げるので、細胞数で設定されることが圧倒的に多いですし、薬事の場合にはそういう方向性になっております。
 一方で、骨髄液を100cc取って、細胞数が足りないからadd onで60cc取るかというのは、なかなかこれは難しい話で、山口大の肝硬変の話でもそうなのですが、トータルの取ってきた骨髄液という形で対応させていただいております。
 ただ、本当にどのような細胞が効いているのかということは皆さん興味がありますし、この骨髄液の中、例えばCD34のポジティブ細胞が何パーセントあって、何パーセント以上あった患者は効いているのか、総数でどのぐらいあれば効くのかということは、データをモニタリングすることによって、今、骨髄液の採取量としてやっているのが適切だったのか、直江先生がおっしゃったように、CD34あるいはそれ以外の細胞数が、これ以上取れるように頑張るべきなのかということが見えてくると思いますので、その部分は今後研究していただいて、知見を積み重ねていただければ、再生医療にとって非常に有り難いデータになるかなと思っております。
○猿田座長 山口の場合も、確か120cc以上取っていましたね。
○松山構成員 そうです。
○猿田座長 どなたか御意見はございますでしょうか。中村先生からは、特に事故を起こした後の期間の問題が非常に重要だというお話がございました。確かに、今までそういう話が出ていなかったものですから、非常に大切な点かと思います。ほかに、どなたか御意見があればと思います。細胞数の問題もありますが、松山先生としては、継続審議の形を取ればいいということですが、中村先生からは御意見はございますか。
○中村技術専門委員 いや、おっしゃるとおりかと思います。これはみんな注目していますので、このデータを世界に出すとなったときに、何をもって有効と言ったのかというときに、このままでは、こういうパネルは世界中の人が知っている、臨床家は自然回復があることはよく知っていますので、そうしたときにどうかなという話になってしまうので、ここは是非正当な評価をされるスタディにして、進めていただきたいと思っています。
○猿田座長 あと、手良向先生の計画書もしっかりしていただくということで、もし皆様よろしければ、この形で本日は継続審議ということで決定させていただければと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、そういう形にさせていただきます。ありがとうございました。事務局はそれでよろしいでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 結構です。
○猿田座長 ほかにご意見がなければ、今のは決定とさせていただきます。
 本日の審議をする部分は以上です。事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 試験計画の変更の説明をさせていただきます。先進医療Bの試験実施計画の変更について、本日は2件の申請がありました。
 資料2-1、113ページを御覧ください。1件目は東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号13「ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法」についてです。適応症は非小細胞肺がん(ただし、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る)です。本試験は、標準治療抵抗性の非小細胞肺がん患者を対象に、ゾレドロン酸を用いて培養した自己γδT細胞懸濁液を2週間間隔で6回点滴静注し、γδT細胞治療の有効性・安全性を評価・検討する単群探索相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間です。予定登録期間は平成24年7月1日から平成28年6月30日まで、予定試験期間はその更に1年後までです。予定症例数は85例で、今回の申請時点で17例が登録されております。主な変更内容は、予定登録期間及び予定試験期間の2年間の延長、その他記載整備です。
 変更申請の理由は、本試験は既に17例に施行されましたが、再生医療等安全性確保法や倫理指針への対応に時間を要し、症例登録が遅れており、現在の集積状況から平成28年6月30日の登録締切までに85例の登録を達成することは困難と考えられるため、登録期間及び総試験期間を2年間延長します。被験者登録の遅延については、被験者登録促進のため、関連医療機関への通知などの対策を予定しており、また本試験を適切に実施するための体制が整いましたので、更に症例集積を促進し、肺がん治療における本治療法の位置付けを明らかにするために本変更を申請するとのことです。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 ただいまのような理由での変更ですが、どなたか御意見はございますでしょうか。もしなければ、これをお認めいただくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、ただいまの案件は変更を認めるということにさせていただきます。中村先生、どうもありがとうございました。
 2点目をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、117ページを御覧ください。2件目は慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号24「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」についてです。適応症は早期胃がんです。本試験は、早期胃がんに対する安全な個別化手術術式の確立を目的として、センチネルリンパ節をリンパ節転移の指標とした胃切除及びリンパ節郭清を行い、従来術式に対するその根治性・安全性の検証を目的とする多施設共同非盲検単群試験です。
 主要評価項目は術後5年無再発生存割合です。予定登録期間は平成26年5月から平成28年5月まで、予定試験期間はその更に5年後までです。予定症例数は225例で、現在までに13例が登録されております。主な変更内容は予定登録期間及び予定試験期間の2年間の延長、その他記載の整備です。
 変更申請の理由は、本試験は平成27年度に実施計画書の改定を行い、当該手続の間、申請医療機関を含む全協力医療機関において症例の登録を中止していました。また、当該改定に伴い、各協力医療機関における先進医療Bの申請手続の遅延にも影響があったため、登録期間を2年間延長することで各実施機関の合意が得られ、申請されたものです。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 225例のところ、まだ13例しか登録されていなかったということで、プロトコールの変更、そのほかがあったということですが、そうすることによってかなり進むならということでの変更です。どなたか御意見はございますか。この期間でできるのでしょうか、大変かもしれませんが、ともかく新しい体制でやるということなので、特にご意見がなければ、これもお認めいただくということでよろしいでしょうか。それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。
 続いて、次は協力医療機関の追加です。事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、121ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている7つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料3-1に、各々先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関について記載しております。また、次の122ページに記載されている技術については、欄外の脚注にお示ししましたとおり、既に先進医療の協力医療機関として承認されていますが、医療機関の名称変更のため、新たに保険医療機関として指定されたことから、改めて申請を提出いただいたもので、該当医療機関においては引き続き先進医療を実施しております。
 資料3-2、123ないし129ページを御覧ください。事務局において、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただきたいと存じます。特に御意見がなければ、手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長 121ページからの所で、各機関のものを事務局にきちんと見ていただいていますが、全て認められている所であるということで、よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、お認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続いて、先進医療Bの取下げです。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4、131ページを御覧ください。この度、1つの技術について先進医療Bの告示を取り下げる旨、申出がございました。取下理由として、予定登録症例数を達成し、試験予定期間が終了したためとされております。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これは終了したということですので、よろしいですね。ありがとうございます。これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 続いて、報告事項を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5-1、133ページを御覧ください。去る5月12日に開催された第41回先進医療会議では、平成28年度以降の先進医療における粒子線治療の扱いについて、先進医療Aと先進医療Bに分け、特に先進医療Bについては現状の進行状況を御報告しながら、先進医療Bに移行することとされた適応症については引き続きその移行を進め、移行状況を適宜先進医療会議において確認することとなりました。
 また、資料5-2、137ページを御覧ください。こちらは、同じく去る5月12日に開催された第41回先進医療会議にて、先進医療会議運営細則の中で審議参加に係る利益相反について定めた部分を資料にお示ししたように一部改正し、次のページにお示しした様式を用いて、必要に応じて自己申告いただく情報の補正を、事務局として企業から直接情報提供を受けて補助できるものとできる旨了承されたところですので、こちらも併せて御報告申し上げます。以上です。
○猿田座長 ただいまの報告事項は、重粒子線のことと、皆さん方にいつも御苦労いただいている利益相反のことです。少しでも先生方を楽にできればということでの申出です。先進医療会議では、これでいいのではないかということでした。どなたか、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、この報告事項も御理解いただいたということで、終わらせていただきます。
 本日の審議事項は以上ですが、どなたか御意見はございますでしょうか。特になければ、先の予定を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程は、6月16日(木)とさせていただきます。開催時間は、次回は審議案件が多うございますことが予測されるため、御案内していた開始時間より30分前倒しさせていただき、15時30分から18時までの予定とさせていただきます。場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第先生方mmに御確認をお願いし、その後公開とさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長 お話がありましたように、次回は案件が多いので、開始時間を30分早めにスタートさせていただければということで、お断りさせていただきました。委員の先生方、最後に御意見のある方はいらっしゃいますか。ございませんようでしたら、本日の会議はこれで閉会とさせていただきます。御協力ありがとうございました。




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