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2016年5月30日 第3回専門医養成の在り方に関する専門委員会 議事録

医政局医事課

○日時

平成28年5月30日(月)17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議事

・臨床研修指導官 定刻より若干早いのですが、委員の先生方はお揃いですので、ただいまから、第3回「専門医養成の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 小川委員は、本日所用により御欠席との連絡をいただいております。

 また、文部科学省医学教育課からオブザーバーとして参加の佐々木企画官も遅れて出席の予定です。

 以降の議事運営につきましては、委員長にお願いいたします。永井先生、よろしくお願いいたします。

・永井委員長 ありがとうございます。それでは、ただいまから専門医養成に向けた議論を始めさせていただきます。最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。

・臨床研修指導官

 それでは、資料の確認をいたします。また、撮影はここまでとさせていただきます。

 お手元の資料のクリップを外していただけますでしょうか。

 一番上に議事次第、1枚ぺらの紙がございます。

 続きまして、右上に資料1とある、厚い資料を一つのホチキスでとめたものが資料1でございます。

 続きまして、右上に資料2とあります1枚ぺらの紙でございます。

 続きまして資料3、こちらも1枚ぺらで表、裏の紙でございます。

 続きまして資料4、A3の紙を三つ折りにしたもののホチキスどめでございます。

 続きまして資料5、カラフルな資料で横長の資料の1枚物でございます。

 以降、参考資料になりますが、参考資料1、ホチキスどめのものがございます。

 それから参考資料2、こちらは1枚ぺらの表、裏でございます。

 参考資料3につきましても、1枚ぺらの紙でございます。

 それから参考資料4、こちらもホチキスどめでしてあるものがございます。

 参考資料5は、1枚ぺらで横長のものでございます。

 次が、参考資料6でございます。こちらは、ホチキスどめのものでございます。

 最後が参考資料7、1枚ぺらの紙となっております。

 それから、先生方のお手元に青いファイルがございますが、こちらは第1回、第2回の専門委員会での資料をとじておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 不足する資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。以上でございます。

・永井委員長 ありがとうございます。

 それでは議事に入りますが、最初に欠席委員のかわりに出席される参考人としまして、小川委員の代理として全国医学部長病院長会議から島田参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

・永井委員長 ありがとうございます。

 では、議題の1、「一般社団法人日本専門医機構の組織・運営」について御議論をいただきます。今回は、これまでの専門委員会での議論及び日本専門医機構からの説明を踏まえまして、委員の皆様方から日本専門医機構の組織・運営について御意見をいただきたいと思います。

 まず、事務局から御説明をお願いいたします。

・臨床研修指導官 では、お手元の資料の先ほど資料1と申し上げました厚いホチキスどめの資料と、それからちょっと飛びますが、後ろのほうに参考資料1とある薄目のホチキスどめの資料がございます。それを取り出していただけますでしょうか。

 資料1につきましては、前回の専門委員会で日本専門医機構の理事会、あるいは社員総会の中での議論、議事がどのようになっているか。それをしっかり踏まえて議論を行うべきであるということで、日本専門医機構から提出いただいた資料でございます。それから、参考資料1は今までの医療部会、あるいはこの専門委員会で日本専門医機構について出た御意見を事務局のほうで抜き出しましてまとめた資料でございます。

 資料1、厚い資料ですが、この中で特に前回、28年度の予算案、あるいは事業計画について日本専門医機構の中でどのように議論がなされているかという御質問がありましたので、その点を中心にかいつまんで御説明申し上げます。

 下にページ数が振ってございますが、56ページをごらんいただけますでしょうか。上のところに、「平成27年度第9回理事会」とございます。こちらは、今年の3月7日に日本専門医機構で開かれた理事会の議事でございます。

 1ページおめくりいただきまして、57ページの上の方に「II.協議事項」とございます。この3月7日の日本専門医機構の理事会の中で、「1.平成28年度事業計画・収支予算書(案)」が協議されました。その下にございますが、28年度事業計画案と28年度収支予算書案について資料に沿って説明がなされ、承認された。また、理事よりこの3月7日のときに、2月18日に開催された厚労省の医療部会にて専門医制度について議論があったことから、このまま収支予算書案を執行してよいのかとの意見が出された。それに対して理事より、予算案は複数は作成できないため、当面方向性が決定するまでは現在の予定で進行すると想定しての予算案であるという説明がなされたという議論がございます。

 それからもう一つ、その下の2の見出しのところで、第44回医療部会での議論が2月18日に行われた。それを受けて、この理事会の中でどのような意見があったかということで、チェックマークが下のほうに並んでおりまして、このチェックマークにあるような意見がこの理事会の中で医療部会の議論に対して出されたということでございます。ごらんいただきますと、上から並んでおります。一つ一つは御説明申し上げませんが、このような意見が理事会で出されたということでございます。

 それで、この3月7日の理事会を踏まえまして、ちょっとページは飛びますが75ページをごらんいただけますでしょうか。上の見出しに、「平成27年度第2回社員総会」とございます。こちらが、3月14日に開催されました日本専門医機構の社員総会での議事録でございます。76ページの見出しの3のところに「平成28年度事業計画・収支予算書(案)」とございます。こちらで、社員総会に提出されてどのような議論があったかということがまとまっております。

 1段落目でございますが、事業計画・収支予算書は定款によると社員総会では報告事項となっているが、社員からの意見を十分に伺う趣旨で、議長より平成28年度の事業計画について説明がなされた。それで、複数の社員より報告された事業計画について2月18日に開催された医療部会で議論されたことが反映された内容でないとの指摘があり、その指摘を踏まえて再度理事会にて検討・修正し、次回社員総会に提出することとなった。

 また、収支予算書案については、事業計画が認められない以上、収支予算案も認められないのではないかとの意見が出されたということに対して、ちょっと飛びますが、池田議長より、本会議にて承認されないと4月からの機構の業務執行が困難なことが報告され、暫定予算という形で承認されたとございます。

 また、その下は同じでございますが、第44回医療部会での議論について、この社員総会でも報告がなされ、1段落目でございますが、2月18日に開催された医療部会より専門医制度の延期を求める意見があったこと。また、新たに専門医に関する委員会、この委員会が設置されたことに対して社員から次のような意見が出されたということで、チェックマークに並んでいるような意見がこの社員総会で出されたということでございます。

 時系列で続きまして、ページをちょっと戻っていただくのですけれども、62ページでございます。最初に理事会が開催されまして社員総会、それでまた理事会に戻ってまいります。62ページの上のところで、4月4日月曜日、第10回理事会でございます。

 その中で次の63ページでございますが、まず1のところに3月25日に開催されたこの専門委員会での報告がなされて、チェックマークがあるような意見が出された。

 それから、64ページの2でございますが、事業計画の修正案についてということで、3月14日に開催された社員総会で社員より、2月18日に開催された医療部会で議論された内容が事業計画案に反映されていないという指摘があって、その指摘を踏まえて資料のとおり修正したということ。それから、その2~3行下でございますが、平成28年度事業計画修正案を次回社員総会に再提出するということでございます。

 それで最後でございますが、最後の78ページでございます。第3回の社員総会が開催されました。これが4月25日でございます。この議事録はまだ作成されていないということでございますが、ここの議事次第の3番、「平成28年度事業計画について」ということで事業計画が提出されたということでございます。

 それからもう一つの資料、参考資料のほうを簡単に御説明させていただけますでしょうか。参考資料の1でございます。「前回までのご意見等(日本専門医機構について)」という部分を抜粋しております。「社員・理事」につきましては(1)の2行目の、もっと現場の、地域の方も含めて組織をつくる必要があるとか、(2)は今申し上げたような理事会、社員総会で予算が決まらなかったのではないかということ、あるいは(3)で専門医機構のガバナンスについての御指摘がございました。

 それから、次の見出しの「事務局体制」のところでも(4)(5)、事務局体制についての御意見がございます。(5)で申しますと、事務局機能の強化で今ある団体の機能を活用してはどうかというような御指摘もございました。

 それから、(6)からは「情報公開」についての御意見が続きます。(6)は、お金の流れが見えてきていない。あるいは、おめくりいただきまして(7)から(10)はいずれも同じ医療部会での御意見でございまして、(7)の一番上にありますような専門医機構でのいろいろな議論といったものが一般国民に十分に伝わっていないという同じような趣旨で(8)(9)(10)と続いております。

 また、前回この委員会で西澤委員より、専門医機構の中でどのような議論があったのか。議事録の中で判断しながら議論すべきだという意見が出て、先ほどの資料1でございます。

 それから、その下の「学会との役割分担・地域医療」のところでございますが、(12)で学会員が学会に対して反乱といいますか、学会員が心配しているということ。

 (13)の1行目でございますが、後ろのほうで、地域医療といったときに大規模病院で主だったところをやっているような地域医療が想定されているのではないか。

 あるいは、おめくりいただきまして3ページの(14)の3行目でございますが、専門医機構の持っている権限を分散させないといけないのではないか。

 あるいは(15)、いろいろ批判の対象になっていたのはサブスペシャリティーのさらにその後にできたたくさんの学会なのではないか。

 (16)で、機構の役割としてはサポーティングシステムのようなものであるべきではないか。

 (17)につきましては4行目、5行目ぐらいでございますが、誰がイニシアチブを持ってやるのか。そういうことをきちんと決めておかないと混乱が起こるということ。

 それから、(18)の1行目でございますが、学会の専門医資格はもう社会のものとなっているということで4行目、5行目でございますが、実務は学会がするにしても承認は機構が行うのが適切ではないかという御意見。

 あるいは、最後に(19)でございます。1年半、厚生労働省の在り方委員会の検討会でディスカッションされてきていて、また原点に戻るようなディスカッションがされているのは残念だという御意見がございました。

 以上、今までの医療部会、専門委員会の御議論と、それから専門医機構の中でこのような議論が行われているという御紹介でございます。以上でございます。

・永井委員長 ありがとうございます。

 それでは、この件について少し時間をとって御議論したいと思います。どこからでも結構ですので、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 では、山口委員からどうぞ。

・山口委員 この資料1について今、特化して意見を申し上げたらいいですね。

・永井委員長 はい。

・山口委員 前回、この議事録を踏まえて事前に見せていただいた上で議論をしたいという要望があって、今回議事録の提出があったと思うのですけれども、実際に事前に届きましたのがきょうの午前中、11時台にメールで議事録が届いてまいりました。

 それで、今、要点を挙げて説明してくださった部分については、机上配付ですということで事前には読ませていただくことができなかったんですけれども、ここに来て初めてということで、ざっと目を通すしかないという状況だったのですが、きょうの午前中にもお出しいただけなかったというのは何か理由があるのでしょうか。

・臨床研修指導官 事務局でございます。大変申しわけございません。専門医機構からの資料につきましては、ちょっと時間は正確に記録しておりませんが、金曜日の夕方に届きまして、すぐそこから先生方宛てのメール送付ができなくて、今朝午前中というか、昼でしょうか。お送りして、十分にごらんいただく時間がとれなかったことにつきましてはおわび申し上げます。事務局が遅くなってしまったということだけでございます。

・永井委員長 西澤委員、どうぞ。

・西澤委員 まず、要望していた議事録を提出していただいたことはありがたく思います。

 ただ、これで議論するといっても、実は添付資料がないとできません。このように議題で議論するんだったら、添附資料はそれぞれの理事会、社員総会では提出されてますよね。それも同時に出してくれないと、我々は今の議事録の文章だけでは全く判断できません。

 例えば、予算の中のどこが問題だったかというのを議論したいのに、その資料が今日はありません。これで議論しろというのはいかがなものかと思いますが、そのあたりのお考えをお願いします。

・臨床研修指導官 前回、西澤委員から具体的に専門医機構の中でどのような議論が行われているかがわかる資料ということで、専門医機構にもその旨を伝えて提出を依頼していたところでございます。こちらからはそういう依頼をしていたのですけれども、専門医機構として正式な議事録ということでこれを作成して資料として提出をするということで、この資料に至っているところでございます。

・西澤委員 例えば、第9回理事会で事業計画、予算案で、このままの収支予算案を執行してよいのかとの意見が出され、とあるが、このままの収支予算案自体がありませんこれでは議論できない事は、事務局でわかりませんか。このような議論するとき、当然その資料がないとここで議論できないと思いませんでしたか。

・臨床研修指導官 確かに、資料がともにあって議論をすべきだという御指摘はそのとおりであると思います。そこも含めて、当然専門医機構とも事前の調整といいますか、話をしていたところではございます。

・西澤委員 皆さんも同意見だと思います。これだけでは議論できないと思います。きょう、この資料だけでやっても短時間で終わってしまいます。これでもって機構の組織の問題は議論しました、終わりですと私はしてほしくありません。

 ですから、これに添付資料もつけて次回出していただいて、そこでもう一回この機構の組織の問題を議論させてください。以上です。

・永井委員長 議事録はあったほうがよいでしょうが、今までにいろいろな問題が指摘されていますので、それについて御意見をいただきたいと思います。

 例えば、ここにもたくさん機構の運営にかかわっていらっしゃる先生方がおいでですけれども、なぜ今になってこういう問題が起こったのか、私も非常に不思議に思うのですが、何か組織運営上に問題があったのかどうか。これを議論しませんと、同じことが繰り返される可能性があります。

 その点について、私は今まで議論に加わっていなかったのでわからないのですが、島田参考人いかがですか。

・島田参考人 全国医学部長病院長会議の小川彰前理事長は、専門医部会の委員長をやっておられます。それで、私も専門医の委員をやっていますので今日ここにおります。

 私は、現在は山梨大学の学長をしていまして1年たったところです。その前の6年間は山梨大学の病院長を6年間務めていまして、地方医療に関してはかなり知っているつもりでおります。

 もう一つは、私は日本皮膚科学会の理事長も同時にやっておりまして4年になりますけれども、それで専門機構のことは前機構のときからずっと理事長の立場で参加してまいりましたので、よく存じているつもりであります。

 もともと、なぜこのようになるかというと、社員総会をいつも開きます。1回、2回、3回とか開くけれども、必ず1回で何かが決まったことはありません。必ずそこで問題になって、もう一回持ち帰って、1カ月かそこらでもう一回開いて、それでその問題を解決するというような形をとることしかできなかったです。

 最初に何が問題になったかというと、学会を社員に入れなかったことです。学会と一緒にコラボレーションしないとこの専門医機構は成り立たないのに、なぜ学会を入れないかというと、要するに学会はもともと専門医をつくってきたけれども、これはCOIだとかいって利益相反というか、わけのわからないコンセプトで、実はこの専門機構は、学会は専門医をつくることに関与してはならないというようなコンセプトで始まっているんです。そういうことであるのであれば、学会は社員にもなれないし何にもなれない。

 それで、最初の社員というのは実は4つの団体しかなかったです。医師会と医学会と全国医学部長病院長会議と四病院協ですね。この4者しかなくて、それで理事会で決めたことはこの社員総会で素通りさせるというような形で行われていたようなんですけれども、我々学会も一緒に新専門医制度をつくっていかなければいけないのは自明の理です。学会が参画しないで専門医機構なんかできるわけはないです。審査はどうするのかとか、試験はどうするのかといったときに、学会の助けがないとできるわけがなかったんです。

 そういうわけで、学会はとにかく社員にしてもらって機構の運営に参加させてくださいと言ったんですけれど、機構側はこれは絶対に認められませんと言うわけです。なぜか。それは、学会が参加するのはCOIというわけがわからないことを言われた。

 そういうところから、まず第1回の社員総会は大もめにもめて、学会を社員にしてくださいということで、今、社員は18学会になっていますね。あとのプラス1は総合診療です。だから、なる予定としては19の診療科が社員になるということを勝ち取ったと言っては何ですけれども、そのときは内科学会、外科学会、脳外学会、それから私ども皮膚科学会ということで、4つの学会が中心になってすべての学会で一生懸命説得しましてなったわけです。

 その次にもめたのは、今度はファイナンス、財務です。財務に関して、いきなり一プログラム当たり10万円というのが出てきたんです。そうすると、大きな病院は180万円、あるいは190万円を払えというような話だった。それから、専門医の更新料を1万円にするという話が急に出てきたんです。先ほど山口委員さんがいきなり資料が出てくるというお話をされましたけれども、我々もそうです。社員総会に行って初めて、全く何も知らないでいきなりそういうものが出てくるんです。これは幾ら何でももう少し検討しないといけないのではないですかという話になって、それは戻ったわけです。

 そのときに言われたのは、機構のいわゆる定款ですね。これは、理事会で決めたことは社員総会に関しては報告事項である。大部分ですね。一部は社員総会で審議することもありますが、大事なことも全部理事会で決めたことは社員総会は報告機関であるから報告のみでいいのだというようなことで、それも通そうとされたのです。だけれども、それは幾ら何でもひどいんじゃないですかと言って押し返したわけです。

 それで、社員のほうから4名、財務委員に入る。定款変更を私個人としては主張したのですけれども、これはならず、財務委員に社員がなれば、しかも過半数をとればいいのではないかということで、4名の社員から財務委員が選ばれました。医師会、医学会、内科、外科ですね。それで、あと3人は機構が選ばれて、過半数の財務委員に社員がなることになったわけです。

 そこで、一応収まったんです。それが、昨年の6月です。それから、ことしになって2月にいきなり医師会さんが、このまま放っておくと地域医療の崩壊だというようなことを言われまして、この社保審でもそれが審議されたんですね。それで、これは可能性があるからというようなことで社員総会が開かれたのですけれども、そのときの3月14日の社員総会、この資料にもありましたね。この社員総会ではそれが盛り込まれた案が示されなかったんです。それで、医師会の中川副会長さんがこれは問題だとおっしゃったんです。我々も本当にこのままいくと地域の医療崩壊につながるのではないかと考えまして、激しい議論が行われました。

 その後に、このファイナンス、予算案を示そうとしたのですけれど、最初のところが間違っている。つまり、地域医療の崩壊の懸念が、社保審で示されたにもかかわらず、それに対する対応がなされなかったので、これは問題だからというようなことで、一応収支の報告の用意はされていましたけれども、結局それが認められなかったということです。

 それで、そのときに同時に出てきたのが理事の選考規程というものがありまして、役員の選考規程も実は全然議論されてこなかったんですこれも3月14日の社員総会だったと思うのですけれども、理事の選考規程はこうで、理事の配分はこうでと、いきなり理事の選考基準みたいなものが出てきたんです。そこで、これも我々は何の議論をされる間もなくいきなり最も重要な人事に関する案が出てきたので、おかしいということで相当議論しました。

 それで、今度はまた4月25日に開かざるを得なくなったんです。開かざるを得なくなって、ではどうなったかというと、結局、年度計画も理事選考規程もほとんど同じ案が出されました。では、同じ案だから認められないのではないかということでいろいろやりましたけれども、理事の任期はこの6月に終わってしまうんです。だから、時間がない。とにかく時間がないのでこのまま認めてくださいという高久先生などの意見もありまして、一応この理事の選考委員会と理事の領域ごとの配分をどういうふうにやっていったらよいかという規定がそこで認められました。今、役員の選考委員会のメンバーはほぼ決まりましたので、これから役員を選考させていただくというような段階になっております。

 そういうことで、もともと理事会が何かをお決めになるけれども、社員総会に一切何の連絡もなく、つまり学会に何の連絡もなくいきなり決まってくるわけです。それに対して我々がいろいろ反論するということが続いております。これをこのまま放っておいて新しいプログラムがはじまると本当に医療崩壊につながると思います。しかも、質の高い専門医と言っておられるけれども、全然質が高くはありません。

 だから、こういうような制度をいきなりつくって何もコンセンサスが得られていないのをどんどん進めていくと、非常に問題が大きいのではないかと思います。

・永井委員長 今お聞きしますと、当初は学会は社員ではなかったけれども、あるときから社員になった。そうすると、学会や機構の在り方はそこで変質したわけですね。その点について、理念やミッションや行動目標などの見直しはされたのでしょうか。

・島田参考人 それが、実は学会は社員になりましたけれども、機構上の定款は理事会が全てを決めて社員総会に報告という形になっていますから、我々は社員総会で少し意見を言えるようになったということはあるのですが、報告で押し切られるので本質的には審議できず何の変革もなかったと思います。

 ただし、我々が財務委員に関して要求したときには、財務委員を構成するメンバーの中の4名は少なくとも社員からは選ばれたということはありますけれども、ただそれだけで本質的な変更はなかったと思います。

・永井委員長 そうすると、プロフェッショナルオートノミーとは何かということになってくると思います。どこまで医療関係者、医療のプロフェッショナルの人たちの意見を取り入れられるか。場合によっては監査、例えば事業の内容や財務について監査が必要ですが、それはどのような仕組みになっているのですか。

・今村委員 私は機構のほうの監事も務めておりますので、ガバナンスにかかわるいろいろな御質問については私がある程度お答えをする必要があろうかと思っております。

 今、島田先生がおっしゃった学会と機構の関係が円滑でなかったというのは、理事会の議論を聞いていても私もまさしくそのとおりだと思います。4つの社員しかなかったというのは、設立時のあくまで社員ということですので、その4つに特に意味はございません。理念に賛同した大きな団体がつくる。

 その後に、診療領域という形で社員を構成しました。これは、学会が直接理事にならないようにということがあったと理解をしておりますけれども、きょう参考資料に定款がございます。この最初の定款というところの2ページを見ていただきますと、第2章に社員というところがあります。きょうのこの青い資料です。前回の配付資料の3枚目、下に2ページと書いてある一般社団法人日本専門医機構の定款というところをごらんいただきたいと思います。

 その社員の第5条に、この法人はこの法人の事業に賛同する団体であってという記載があります。私も監事として、そもそも領域という団体はない。ですから、これは定款上、領域という形のままで社員を構成することは問題だと思います。

 それから、第6条を見ていただくと、社員になろうとするものは理事会の定めるところにより申し込みをし、その承認を受けなければならない。つまり、理念に賛同する団体、例えば学会はこの機構に申し込みをすれば、その理事会で入れるか入れないかを審議するプロセスになっています。そこで、学会は入れないということになれば、はっきりと学会と対立をするということになるわけです。

 したがって、領域がそもそも社員になれないということで、それぞれの領域が脱退をされて、その領域をする学会が改めて機構に社員としての申し込みをされた結果として、18の学会が社員になられたというプロセスです。ですから、島田先生がおっしゃるような学会との関係というのは、非常にいろいろ問題はあったけれども、最終的には学会が理事として入られたという経緯があります。

 それから、いわゆる開始の時期が厚労省の検討会の中でおおよそ明示をされていたということで、そのスタートの年次に開始をするためにはプログラムが完成していなければいけないということで、機構の中で、業務の中でそういうプログラムの作成については物すごい数の委員会が開かれているのですけれども、ガバナンスにかかわる財務であるとか、総務であるとか、広報という委員会の開催について十分でないのではないかということは、理事会の中でも御指摘をさせていただきました。

 先ほどから財務が問題になっているように、財務基盤が脆弱であるとこれだけの大きな機構をしっかりと運営していけないということがありますので、一部の理事者だけの財務委員会ではだめだという意見は監事からも申し上げましたし、理事からもそういう声があって、財務委員会については社員のお声を反映するということで、先ほど島田先生がおっしゃったように社員からかなり多数の人数に入っていただいて財務委員会が新たに構築をされたという経緯があります。

 しかしながら、今回の機構の取り組みについて世の中にどれだけ発信をしっかりできているかという広報の委員会については監査を昨日行わせていただいたところですけれども、残念ながら昨年度1回しか開催されていない。この広報の重要性については、理事者の間からも相当に声が上がっていたということがあります。これだけのことをするのであれば、当然多くの地域医療にかかわる先生方に、今、機構がどういうことをしているかをやはり知っていただかなければいけない。その部分については、やはり十分でなかったのではないかということは私どもも感じています。

 これは、プロフェッショナルオートノミーというお話がありましたけれども、その部分はなかなか事務局の機能が弱くて、山口委員からも以前御指摘がありましたが、今、事務局が12人までふえたというお話がありますけれども、事務局長の方が非常勤で務められているということで、学会との情報共有も十分にできてこなかったという経緯があって、そこがなかなか改善されていないというところも一つの理由なのかと監事として感じているところです。

・永井委員長 森委員、どうぞ。

・森委員 今、大体のお話を伺っていてすごく感じるんですけれども、こういうところで議論するときに、それぞれが異なる軸で話をしたのでは議論にならないと思います。今の話もそうだと思うのですけれども、今村先生のおっしゃることもそのとおりでよくわかるんです。定款上の問題でクリアしているのだというのはよくわかるのだけれども、要するに学会を入れるか入れないかというのは理念の問題です。

 恐らく、これは在り方検討会のところでも十分議論されているはずですし、それぞれの学会が専門医をつくることに対して問題があるということも十分わかっていた。ですから、その学会をできるだけ関わらせないようにしようというのは、一つの考え方、理念だったと思います。それを、定款上は問題ないから入れたという説明は余り納得のいく話ではないと思います。ただ、それがいいかどうかは別にしてですね。

 それと、やはりガバナンスの問題が先ほどから出ていますけれども、私は現実の具体的な細かいことを言いたいと思うのですが、例えば私どもの学会からいろいろなお願いをするのだけれども、回答がなかなか返ってこないとか、ちょっと待ってくださいと言ってから何度も何度も請求しないとQ&Aの答えが返ってこない。

 あるいは、今まだ問題になっていますけれども、単位というものを60分以上の講義形式に限ると言ってきたんです。学会で60分以上の講義形式のものなんてありはしないです。それは小児教育であって、学校の教師が立って60分以上講義するという形式です。そうではなくて、学会というのは皆がいろいろなものを出し合って、新しい治験などを議論し合ってというシンポジウムであったり、ワークショップが非常に重要なのですけれども、そういったものは単位として認めないと言ってきたんです。

 それで、私どもの学会も非常に混乱しました。講演するものだけをずらっと並べるのが学会といえるのかということになってしまいました。これは、恐らく現実的なものを見ておられないからではないか、そういった面でもガバナンスに非常に問題があると言っているわけです。

 結果的にどうなったかといいますと、これも非常に高飛車な話で、暫定的に1年間シンポジウムやワークショップも単位として幾つかを認めるというような回答をいただいて、ようやく講演形式以外のものが単位として認められました。

 ですけれども、結局また行列をつくってスタンプラリーになると思います。こういった形式で専門医機構がスタートして、どんどん行列をつくっていくという形式で、本当にいいと思っていらっしゃるのか全くわからないです。

 ですから、これは次の議論になると思いますけれども、委員長提案を出されたことに関することは次で話しますが、そのときの一番重要な肝は倍率の話ではないんです。委員長提案の一番大事なものは1番、2番であって、機構の機能をどこに持っていくのか。機構の機能を縮小するにはどうすればいいか。それを地域にどう移していくかということが書いてあったんです。それで、私は賛成したわけです。

 ですから、今の機構の在り方そのものに問題があるということが一番の問題なのだということ、それが今回の最初の議題だと私は理解をしております。

・永井委員長 今まで余りにも権限が機構に集約し過ぎていて、その割には目配りの足りない問題もあり、なかなかフレキシビリティーがない。機構の使命や活動範囲をある程度分散しないと、多分この問題は収まらないのだろうと思います。余りにも多くのものを頑張って担ってこられたために、自縄自縛になっているのではないかと思います。

 邉見委員、どうぞ。

・邉見委員 もし島田先生の話が全部本当だとしたら、何か中学か高校のクラス委員会みたいな感じでガバナンスが全くないんじゃないかと、ちょっと心配です。そういうふうなところでずっとどんどんと物事を進めていくのはいかがなものかと思います。

 それから、もう一つは先生の意見とちょっと違うのですが、私は専門医学と専門医療は違うと思うんです。何となくこの18の学会、19の総合診療は医療だと思うんですけれども、臨床学会のほうが余り入っていないですね。私は、眼科なんかだったら、眼科学会よりも臨床眼科学会のほうが地域医療にもっと関係しているような感じがするんです。そういう代表が一つも入っていない。これは、ちょっとガバナンスとしても、社員構成としてもおかしいんじゃないか。

 前から言っていますように、専門医を養成する病院団体がいないというのも大きな問題ですけれども、これは大きな学会としても、もうちょっと臨床のほうの学会も入るべきではないか。その上に大きいものがあるというのはわかりますけれども、臨床も入っているんだといえばそうだろうとは思います。以上です。

・永井委員長 桐野委員、どうぞ。

・桐野委員 私は理事の一人なのですが、もともと専門医制度の在り方検討会の報告書に基づいてこの専門医機構はつくられたという経緯があって、その検討会では機構のファンクションとして相当大幅な機能を割りつけていて、機構としてはその在り方検討会に書いてあるとおりの機能を果たしているという言い分があるんだと思います。

 ただ、非常に大幅な専門医についての権限を与えられているのですけれども、それを専門医機構の理事会が決めれば社員はそれを承認すればいいんだというのは、そういう言い方はしていないんじゃないかと思いますが、そういうニュアンスがあったのかもしれません。

 ただ、本当はこの機構なるものは法令に基づく組織でも何でもなく、あくまでもプロフェッショナルコミッティーの信任に基づいて仕事をしている組織ですので、少なくとも設立時4社員の常に信任を得ながらやっていかないといけないという意味では、今から思うと私は情報の公開を最初から相当大幅にしておくべきだったし、議事録は全部発言録を公開して、場合によっては委員会を公開してもよかったんじゃないかと思います。

 それから、今やっていることの大部分は基本診療科の専門医制度ですね。これは50年ほどかかってつくられたもので、今の日本の医療制度に一応合わせながらつくられてきて、いいか悪いかは別にしてちゃんと機能してきたものなんです。それを全部含めて、押しなべて新しくしようというのは意欲的といえば意欲的なんですけれども、そういうことを、しかもかなり短い時間でおやりになろうと言ったら無責任で、やろうとしているというところに私はやはり無理があったのかなと思います。

 いつも私は個人的には、これは急ぎ過ぎた、急ぎ過ぎたということを理事会では申し上げてきたつもりなんですけれども、やはり来年から始めるという制約があればこういうことになるのかなという急ぎ過ぎの問題と、機構の権限の根拠の問題ですね。根拠は、やはりプロフェッショナルコミッティーの信任によって生まれているということを我々もよく認識しないといけないと思います。

 もう一つ発言させていただければ、社員との関係についてはもともと専門医制度の在り方検討会で学会から独立の中立的第三者機関をつくるといってスタートしたわけです。その理念に従ってやろうとしたのですが、途中でやはり学会の重要性ということももちろんあるわけで入れるということになりました。それを私は悪いこととは全然思わないのですけれども、入れるのならば入れるでもうちょっとよく議論をして、それではやっていることを評価する組織のもっと強力なものを外部につくらなければいけないとか、権限は設計をする部門と実務の部門を少し考えるとか、いろいろな余地があったと思うんですが、何せ時間が迫っていてタイムスケジュールに沿ってやらなければいけないということがあったことが、やはりどうしてもある程度無理を生んだのかなというふうに個人的には思っております。

・永井委員長 島田参考人、どうぞ。

・島田参考人 済みません。私の発言についていろいろと御議論があったので、ちょっと説明させてください。

 まず、今村監事から言われた、社員になるときに最初は領域だとおっしゃいましたが、皆さんはこれはよくわからないんじゃないですか。実は、領域はOKだけれども学会はだめだと言われたんです。つまり、私は皮膚科ですが、皮膚科の領域も最初はだめと言われていたんです。けれども、ようやく、では領域は認めるとなったんです。だから、領域代表は誰だということになって、いろいろ議論をしてもやはり理事長でしょうということで私は入ったんです。

 だけど、それだと要するに法人対法人の関係とかいろいろありまして、結局はうまくいかないんです。それで、学会ということで、やっと学会が社員に入れたということがございました。

 それと、森先生が御指摘になりました、これで本当に質の高い専門医がつくられるのかというようなことですけれども、例えばこれにガバナンスをかけるといいますか、委員長さんが極めて強権的なんです。我々のところもそうでした。我々のところも、症例報告を単位として認めてくださいといっても、ある理事の方はいいとおっしゃるんです。だけど、委員長段階になって学会との本当の折衝になるとだめになる。だから、先生がおっしゃった30分の講演だけを認めるとか、そのようになって我々は非常に苦労しているんです。だから、これで本当に質の高い専門医ができるのかというと、私は否だと思います。

 それから、桐野先生が言われました、これは本当かということですけれども、理事会と社員総会の関係ですね。これは、何回も議論しています。社員総会の速記録をぜひごらんください。速記録は多分、出せると思いますけれども、いわゆる普通のまとめのただの議事録だと、これはまとめてうまく書かれています。だから、議論がはっきり見えてきません。

 ただし、速記録を読むと、長いものですから一つの学会に1時間くらいかかるかもしれません。でも、これをお読みになると、いかに社員総会と理事会の関係がよくないといいますか、我々が議論をして議論をしてようやく認めさせてきたかということがよくわかられると思います。

 それから、機構の根拠ですけれども、プロフェッショナルオートノミーというのはどういう意味か、私もよくわかりませんが、これは医師がつくるという意味じゃないかと私としては思いますが、つまり厚労省が入らないということなんです。

 だけど、これは皆さん機構に従わなければいけないと、私ども学会の専門医機構と交渉をやっている委員たちもそうですけれども、厚労省さんがバックにおられるというふうに皆、思っているわけです。だから、従うんです。機構には何の根拠もありません。だけど、厚労省が常についておられるし、しかもこの国のシステムとして皆でつくっていくんだというようなコンセプトが実ははっきり言ってあります。だから、皆さんこれは従わざるを得ないというところで、嫌々ながらというか、認めざるを得ないのかなというようなところで認めてきた点も正直な話、実はあります。

 だけど、余りにもひどい機構の運営なので私ども社員は頑張って反論してきたということはあるんです。だから、その根拠というのははっきりしないとおっしゃいますけれども、プロフェッショナルオートノミーを医師がつくるということであればどこにも根拠はないわけで、やはり厚労省さんがバックにおられてしっかりやられるというようなことを何となく皆さん感じるから、そういうことだったら機構には従わなければいけないんじゃないかという議論に必ずなってしまいます。そういうことを申し上げたいと思います。

・永井委員長 荒川委員、どうぞ。

・荒川委員 全国医学部長病院長会議の荒川でございます。設立時社員として同じような意見になるかもしれませんけれども、一言意見を述べさせていただきます。

 総会なり、理事会には出ないですけれども、そういうところの議論で齟齬が生じた一番大きな理由は、機構は第三者機関としての独立性を保ちたいということにこだわりすぎたことではないかと思います。

 ただし、学会の関与なしには何もできないですので学会の関与が必要だ。ただ、会員としては認めたくないという齟齬のところから出発したので、かなりあつれきが生じたのではないかと思います。

 それで、学会もピンからキリまであるわけですけれども、少なくとも18の基本領域の学会はこれまでもプロフェッショナルオートノミーできちんとした専門医をつくってきたわけです。ですので、その評価の方法とかノウハウは十分に持っておられて、ただ、それがちゃんとできているかどうかを評価したり調整したりするのがこの機構の役割だと思うんです。ですので、そこを学会に預けられればよかったかと思うのですけれども、そこまで預けることをせずに機構で全部やってしまおう、という指向が強かったのだと思います。

 ただ、機構ができないところは手伝えというような形で学会にその役割を押しつけているといいますか、そういったことが根底にあって、それで学会としての発言を認めないということから始まったので、そういうことが起こったと思うんです。それで、後で社員として認められるようになりましたけれども、そもそもそういう設立時の状況というのが今も引きずられてきているように思います。

 あとは、先ほども言われていますけれども、専門医機構として情報の公開が余りなされなかったということとか、社員との対話が余りなされずに理事会で決めていったことをそのまま認めさせるというやり方できた。その改善はある程度はされたかもわかりませんけれども、余りなされてきていないのが問題として起こっているということなので、やはり学会は利益団体として入っているわけでも何でもないので、今後は学会のこれまで培ってきたノウハウとか、外科などは特に厳しく専門医を認定していましてかえって厳しいくらいですから、そういったものを少しマイナーチェンジをして応用していって、それを調整する機構として専門医機構が管理運営するという役割分担を明確にして進めていけば進む可能性はあるかと思うんですけれども、今のところではかなりぎくしゃくしているような感じがします。

・永井委員長 基本的な議論が足りないように思います。特に学会を超越した機構として、学会にできるだけ依存しない、よいシステムをつくろうとしたけれども、実務はできないわけですね。そういう状況の中で、機構がミッションを掲げて動いていったときに齟齬が生じているように思えます。

 では、最初に末永委員、それから羽鳥委員、山口委員どうぞ。

・末永委員 私も理事なものですから、なかなか発言しづらい部分もあるわけですけれども、感じましたのは、専門医制評価認定機構というのは2008年からできております。それを引きずって、整備基準がそこでつくられたものがまず私たちが新専門医機構に入ったとき、すぐに1カ月後に提示されたわけです。そういうところで、多少の違和感があったのは否めません。

 ただし、実は一番の問題は前から言っていますけれども、これは基準が非常に厳しくなって、質をよくするということが目的で基準を強く厳しくしたということで大規模病院、大学しかなかなか基幹施設にならなくなったというのが非常に大きいとは思うのです。ただ、こういうプログラムをつくるときに、実はプログラム認定の委員会というのはそれぞれの学会の代表の人たちが集まっているわけです。それぞれの学会の代表の人たち、逆に言うとほとんどそうだったものだから地域医療について詳しい人が全然入っていない。専攻医を教育する立場にある病院のほうの意見が入りにくくて、かなり厳しいものになってしまったという部分があるように思います。

 ただ、私が思っていましたのは、少しずつこれをうまく進めていくためには何回も何回も見直して変えていかなくちゃいけない。最初に完全なものをつくるということはあり得なくて、それをやり過ぎたら反作用がありますので、まずやってみて厳しく見直す。それで、見直すためには不満がいろいろ残っていますようなところ、例えば基幹施設が非常に限定されてしまったとか、そういうところについての見直しなどもかけていく必要があるんじゃないかと実は思っておりました。

 もう一つは、先ほど来からなぜ学会と理事会、社員と理事会のこんな激しい対立があるのかということを、我々が理事会、あるいは社員総会に参加するときにも感じていたわけですが、それはある部分、先ほどいろいろ話がある中で広報の話が出ておりましたが、やっていることが伝わらないとか、あるいは理事会の中でもいろいろな委員会のものがある程度固まるまでは伝わってこないというようなことがやはりあったのかと思います。

 それを言いますと、中途半端なところでいろいろ意見を出すと、またそれに対していろいろなことが出てくるからという言い分もあったわけですけれども、その経過の報告だとか、社員との連携だとか、そういうことについてはやはり反省すべき部分がいろいろあったかということは思っております。

・永井委員長 羽鳥委員、どうぞ。

・羽鳥委員 日本医師会も設立時の4団体の一つということでありますけれども、今のままでは来年4月からの施行は認めたくないということであります。高久先生座長の専門医の在り方検討委員会の報告書では、来年の4月にスタートすることを“目安”とはするけれども、決定ということではなく、あくまでも柔軟な書きぶりだったと思います。ですから、今これだけ来年4月施行に反対の議論がある中であったら、スタートがおくれたとしても大きな問題にはならないんじゃないかと思います。

 既に機構の新専門医制度にしたがったしくみにのって動いている学会があることは承知しておりますけれども、地域偏在やサブスペシャルティ問題など解決できていない領域においては、新専門医機構の在り方を1年以上かけてゆっくり議論しても遅くはないと思いますので、そこまで議論を戻していただけたらと思います。

・永井委員長 山口委員、どうぞ。

・山口委員 先ほど今村委員の中にもありましたけれども、これまでの議論、あるいは御説明をお聞きしている中で、やはりガバナンスの問題と事務局体制が脆弱だということは否めないのではないかと思います。これだけ大きな制度を動かしていくのに、事務局長が非常勤というのはちょっとあり得ない話ではないかと思いながら先ほども伺っていました。

 以前、質問をしたときに、事務局の人数はふやしたとおっしゃったんですけれども、人数をふやしただけで本当に力が発揮できているのかというと、ちょっとそこは人数だけの問題ではないのかということを考えますと、例えばこういう大きなこと、運営に慣れた団体の支援ということがある程度必要で、今お聞きしていても、いろいろ言っても返事がすぐに返ってこないというようなことが多々あるようにお見受けしますので、しっかりと事務局の体制が今どうなっていて、何を補充しないといけないかということをまず考えることと、それからやはり権限ということでいうと機構の持っている権限をある程度整理していく必要があるかと思いました。

 それから、先ほどから公開ということが余りなされていないということで、少し財務の関係のことが私は気になったので、今村委員が監事ということで少し教えていただければと思いますけれども、今回このプログラムの作成とか、データベースに厚生労働省から補助金が出ていると聞いておりますが、それが幾らでどのように使われて、その結果をどんな形で公開されているのかということが、今までのいろいろな資料を見ても、どこを見ても見えてこないということがあります。それの現状をひとつ教えていただきたいです。

 それから、議事録をきょう午前中に送っていただいた分だけを拝見しましても結構債務超過があって、有利子の債務を負うことになったということが議事録からは読み取れたんですけれども、それしか方法がなかったのか。何かほかに対策がとれなかったというような議論があったのかどうか。やはり財務体制というのは非常にこういう問題のところでは大きなことだと思いますので、わかる範囲で教えていただければと思います。

・今村委員 財務につきましては理事会の中でもかなり議論がされて、財務委員会を強化するということで、先ほど申し上げたように社員にも入っていただいていろいろな議論をしていただいているということがあります。

 基本的には今、収入源というのがほとんどない状況の中で、厚生労働省からのデータベース構築等にかかわる補助金、5,000万くらいだったと思うんですけれども、それプラスそれに不足する金額をどうするかということが議論になって、社員にアンケートをとったわけです。ですから、設立の趣旨に賛同して社員になっているので、社員から借りることができないかというアンケートをとった。ちょっとぼんやりですけれども、7つの団体だったと思いますが、かなりの金額を無利子無期限で貸してもいいという回答があった。

 しかしながら、社員から借り入れをすると、先ほどからお話があるようなCOIというようなことなんだと思いますが、制度が歪むというような御意見が理事者の中にも一部あり、また外部評価委員会という国民の声を聞くという形の委員会が一応設けられていて、そこに諮ったところ、社員からは借りないほうがいいというような結論があったという報告が理事会にされて、理事者の先生たちは判断する材料がほかにないので、有利子負債を借りることの重さという意見は相当にありました。

 つまり、収入がはっきり確定していない段階でお金を借り入れるということについては相当のリスクもあるんだという意見もあったわけですけれども、そこで総額として9,700万円の借り入れをするということが一定認められた。これを2回に分けて5,000万と、今は3,000万、8,000万の借り入れをしているのですが、この借り入れに際しては政策投資銀行というところが随意的に候補に挙がって、そこからお金を借り入れるということになった。

 その借り入れの条件については、私は監事として事前に見せていただいて、5,000万についても少し問題があるということで質疑を理事長、あるいは事務局長とさせていただいて、一定の説明をした上で借り入れるということを承認はした経緯がございますけれども、先ほどの議事録で、きょうの資料1の57ページを見ていただくと「協議事項」の1の事業計画・収支予算書(案)のところで下3行、「監事より、今回追加借入れした3,000万円の金銭消費貸借契約証書の約款が5,000万借入れ時のものと一部差異がある」ということで、このことが全く理事者にも監事にも報告されないままで金額が認められているから、借り入れをするということは問題があるということを理事会で申し上げたので、それについては手続上申しわけなかったという御説明は一応聞いておりますけれども、そういう形で有利子負債を抱えている。

 結局、プログラムを認定することによる認定料だとか、専攻医の方たちの更新料だとか、そういう収入をあらかじめ推計で見ているので、この5,000万についてはことしの10月までに返還をするということに多分なっていると思うんですけれども、収入が入ってこないと返せないということになると、機構はいわゆる一般法人ではありますけれども、そういった銀行に対してお金を返せないという状況が発生してしまう。

 私は、社員がきちんと協力をすると申し上げているので、そういったこともきちんともう一度検討していただく必要があるのではないかと思っておりますし、事務局の機能と財務というのは表裏の関係にあって、結局しっかりした財務体制がなければ事務局の強化もできないということがあると思います。

 それで、事務局については今、山口委員からも触れていただいたのですが、しっかりとした団体が今まで長年いろいろな活動をしているので、そういうところの機能をぜひ使っていただきたいということをこの委員会でも私のほうから申し上げていましたけれども、改めてしっかりと皆でこの制度をつくっていくことをやらない限り、うまくいかない。

 ですから、理念に賛同した団体が協力をするということをそういう事務局の機能、あるいは財源的なものでもしっかりと機構が受け入れていただく必要があるのではないかとは思っております。これは、別に法律に違反しているとか、そういう話では全くないので、監事として印鑑は決算には押すにしても、そういう思いを持っているということであります。

・山口委員 補助金の使途は。

・今村委員 補助金は、データベースの構築と、そのほかの活動に使われているという理解でおります。

・山口委員 公開はされているのでしょうか。

・今村委員 決算書は公開されることになりますので、先ほど西澤委員からありましたようにそういう資料がない段階で議論できないということですが、決算書については監事がまだ印鑑を押していない段階なので理事会にもかかっていませんので、そのお金の使い道についてはオフィシャルなものとして承認をされていない段階にあるという理解です。

・永井委員長 加納委員、どうぞ。

・加納委員 今の経過のお話を聞いておりますと、本来ですとこの専門機構が内容的にもしっかりとしたガバナンスを持って、しっかりとした運営をし、各学会も協力していい専門医制度が本来のプログラムで問題はないという形でスタートできればよかったのですが、やはり今の内容を聞いていますとあらゆる面で少し問題があり過ぎるかと思います。

 もともと、そもそも論としてこの2月あたりから大きな意見として出てきているのは、地域医療の崩壊につながるようなプログラムになっているのではないかということです。一部の学会のことだとは思うのですが、先ほどからのお話ですと島田先生からお聞きしたいろいろな方の努力はわかるのですが、やはり専門医機構の偏った一部のところ、例えば先ほど出ました精神学会のほうでしょうか。今、更新するためのところには人はどんどん集まって、ほかのところでは学会は全く意味がないような状況になっているとか、本当に現実離れした状況になってきています。それは多分、各学会も同じような形で、そういうもともとの最初の基本を決めた専門医機構の在り方がかなり問題であった。

 その中で、我々が今、意見を述べているように地域の中小病院から、余りにも中核病院、大病院中心になってしまっており、今後これがもし運営されたら専門医の方はずっとそこの機構の中で組んだプログラムの大病院にいないと更新できないようなシステムになっているとか、そういう不安まで出てきている状況になっているかと思うんです。

 ですから、これはやはりしっかりと考える時間、機構の問題及びガバナンスの問題もそうですが、先ほど島田先生もおっしゃったように、各学会が自信を持って出せるような状況にならないとこのスタートは難しいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。

・永井委員長 門田委員、どうぞ。

・門田委員 今、直接機構とは関係していないというか、財務委員ですのでしていないと言うとうそになりますが、それより前は監事をやったり、その前の段階では古いほうの機構の理事をやり、そのときに在り方委員会を立ち上げてこの骨格をつくった張本人として、その前半の初期のあたりの理念についてのお話をちょっとさせてもらいたいと思います。

 結局、皆さん御存じのように、日本の専門医制度がおかしくなった理由は何かというと、やはり厚生労働省が法人格を持った学会は医師が1,000人以上で80%以上というふうなことから、そこで専門医として広告ができるということをスタートした。それより前には、この機構の前のところから、あるいは医師会と医学会で3者懇談会を開いて、ばらばらにやっているものを何とか統一するという動きがあったんです。これも、長年かかってやってきた。

 そのころからやはりばらばらにやっていること、それぞれの学会がやっていることの問題というのは認識があった。だけど、その話が徐々に進んできて、そして3者承認までいったわけですね。医学会、医師会、機構の3者が認めるという形で、とにかく一体化していきたいということになった、その矢先に厚労省がそういうことを局長通達だったか何かで出していった。

 そこで、多くの学会が1,000人以上で法人格があれば専門医制度をつくって、それが広告できるというふうな形になった。それで、どんどんいろいろな学会が専門医制度を立ち上げてNPO法人とか、とにかく法人格を取りにいったということで、すごくいろいろなばらばらの何のコントロールもされない大きな数の専門医制度ができてきた。

 ところが、前も言いましたけれども、患者さんたちは学会さんがつくる専門医制度というのではなくて、自分たちが受診するときにどういうふうに診ていくかということが知りたい。患者さんは、学会独自の専門医なんか誰も求めていないんです。

 そういう状況がどんどん乖離していっていて、このままでいいのかというのが初期のころの在り方委員会の検討会だったんです。そこで、とにかく学会単位というところの問題点は基本領域が今、話題になっていますが、基本領域はそれほどダブりはないけれども、それからサブスペシャリティーになってくるといろいろなダブりが出てきて線が引けなくなっている状態がある。

 そういうことを全体としてどう解決するのかという話から、学会から離れた、学会認定じゃなくてそれ全体を俯瞰するような立場にある組織をつくって、そこがそれぞれ順番に、当時は2段階制と言っていましたけれども、2段階でつくるのがいいんじゃないかというふうな案を出したわけです。

 そのときには、先ほど邉見先生がおっしゃられたけれども、例えば今、臨床外科と、外科学会と、あるいは臨床何とかと、いわゆる学会というふうなことがあって、これも患者さんにしてみれば、その先生たちも自分たちがかかっていく先生たちの組織であって、そういうものを包含できるような中で自分たちがかかわっていくのにすばらしいドクターをどういうふうに決めたらいいのかということでしていくべきではないか。

 だから、外科系だからといって外科学会だけじゃないんです。臨床外科医学会もある。あるいは、ひょっとすると消化器外科学会とか、上に乗っているほうの人たちも、まず入り口の外科の専門医というのはどういうものかというところで意見を言うべきだ。あるいは、言いたいだろうということから、現在存在する学会の認定をする組織を改めて見直そうということからスタートしたわけですね。そういう意味において、学会ということから離れましょう。そうすると、初期の段階で社員をどうするかとなったときに、やはり大きな集合体のみ、今、挙がっていました4つのものを選んだということなんです。

 ですから、そういうことでスタートした。それは、厚生労働省で開かれた検討会もそうだったんです。ところが、新しいことをスタートしようとした段階で学会さんと機構と、そのときはもう機構の形がつくりかけのときです。そういうことが話題になった。

 でも、それはなぜそうなったかということは、今から振り返ってみますと、旧機構の理事だった人たちが新しい機構の理事に1人を除いて全員がいくような形になっていた。

・永井委員長 手短にお願いします。

・門田委員 わかりました。では、また何度かに分けてお話をしますけれども、そういうふうな話があってこの学会から離れたということを基盤にしましょうということがスタートしたんです。

・永井委員長 それも多分、基本領域とサブスペシャリティーでは状況は違うのだろうと思います。また、機構がどこまでできるかということを踏まえる必要がありますね。この点について西澤先生。

・西澤委員 最初に、この機構の資料にこれは何だという発言して、もっと詳しいものを出せと言いました。それはそれとして今後、機構の中でどういう議論をしているのか、必要なので見させてもらおうと思います。

 ただ、この後の議論は、細かいことより、もっと大きな議論を今、したと思っています。門田先生の話なども全くそのとおりで、もともとの在り方検討会での報告書というのを我々は皆きちんと熟知して、それがいいと思ってやっているのかというあたりは我々も反省しなければならないと思っています。

 機構も桐野先生が言ったように、期限が限られて、いいものにしなければならないということで、理事長以下かなり無理をしてやってしまったのが、ちょっと暴走みたいに見えた面もあるかと思っています。

 そういうことでは、もう一回原点にここで戻らないとだめだと思います。島田先生は裏に厚労省がいるからと言いましたが、私は逆に厚労省に好き勝手やってほしくないので我々がやるんだということでできたと思っています。これがここでも混乱しているからやはりあなたたちはできないんだねと言われて、厚労省から、では私たちがやるよと言われるのは、私は嫌です。

 ですから、もう一回プロフェッショナルオートノミーを考えて、きちんと医師会とか病院団体、学会、全て含めて、我々医療人がもう一回自分たちでやるんだということで、ここでもう一回議論しませんか。

・島田参考人 厚労省の方が汗をかいてまとめるとおっしゃったので、それが議論の対象になってくるんじゃないでしょうか。

・西澤委員 そうですね。それで、きょうの結論は、ここで我々でもう一回つくり上げるということだと思いますので、その方向でぜひまた議論したいと思います。

・永井委員長 北村委員、どうぞ。

・北村委員 今キーワードで、島田先生も西澤先生もおっしゃったプロフェッショナルオートノミーですが、私は大学の教育でプロフェッショナリズムというのを教えているのでもう一度確認したいのですが、医者が勝手に決めればプロフェッショナルオートノミーではないです。

 何が問題かというと、専門職が国民のために、言葉をかえれば地域医療のためにそれを優先してやるからプロフェッショナルオートノミーなので、プロフェショナルが自分のために、学会のために、あるいは大学の医局のために何かをやる。それを、厚生省の力を排除して自分たちでやる形が今なんじゃないかと私は思っています。

 プロフェッショナルオートノミーというのは、やはり地域医療や実際の患者のためにやっていたかというのをいま一度、皆さんで共有して、そして今、西澤先生がおっしゃったように、その原点からやっていけばオートノミーは地域医療が崩壊する専門医制度なんてあり得ないわけですね。だから、そういうことを考えていくべきだと思います。

・永井委員長 では、島田参考人、最後にどうぞ。

・島田参考人 山口委員からデータベースを厚労省が5,000万出したというんですけれども、こういうことがあるからやはり厚労省が裏についているんじゃないというようなことを思われちゃうわけです。お金がないときに、厚労省は随分お金を出しておられるということがありますね。

 それから、門田先生がおっしゃったのは理想論で、確かにそういうことでスタートしたというのは私も知っています。だから、皆さん協力しようということで、我々学会も随分協力体制で最初はいっていたんです。

 ところが、ディスカッションができないような状況だということがだんだんわかってきたんです。それでも、このまま放っておいたら、これはプロフェッショナルオートノミーかどうかは知りませんけれども、地域医療は崩壊するし、要するに質の高い専門医とおっしゃっていたのがその担保がもうできない。学会としてもできないということがわかってきたから、これは変えざるを得なくなったんです。

 最初の理想論はいいです。確かにそういう理想の形で、要するに誰か神様がいてその学会を全てガバナンスをかけられるようなすばらしい人が出てくれば、それはそれでいいかもしれません。だけど、今、機構がやっているのは本当に素人ですよ。我々の領域で言うと素人の人が結局、我々のところに押しつけてくるんです。森先生、そうですよね。全くのど素人の先生が我々学会にああしろ、こうしろと命令されるわけです。これが問題なんです。こんな機構で本当にいいですかというのが、我々の意見です。

・永井委員長 最後に森委員どうぞ。

・森委員 先ほどちょっと私の名前が出ましたので、精神神経学会が並んでいるわけではなくて、ほかの学会のことです。精神神経学会は来週やりますので、その結果はまた皆さんにお知らせをします。

 精神神経学会では幾つかの単位がとれるところが決められていますので、そこにどのぐらい並んで、どのぐらい混乱するのかというのをまたお知らせしたいと思います。ちょっと誤解をするといけないので。

・永井委員長 ありがとうございます。この専門医機構の在り方の議論は、これからも続けたいと思います。これは、今後どうするかということにもかかわってまいります。きょういただいた御意見はとりあえず専門医機構にはお伝えし、この場でもさらに今後議論したいと思います。

 本日、もう一つの議論は「今後の対応について」です。前回、私から「新専門医制度の論点」について提示いたしました。その趣旨はこの間もお話ししましたけれども、現時点で、専門医機構が考えている原案に基づいて新専門医制度を実施するのは私は困難であると思います。これは、皆さんも同感だろうと思います。

 ただ、一方で、各学会はこれまでも専門医を養成してきましたし、来年に向けても準備をしています。そこをコントロールしないと、また思わぬ影響が出てしまいます。また、新専門医制度のトライアルも必要になりますので、現在、各学会が用意しているプログラムについて、学会、地域協議会、本委員会、機構がそれぞれの役割に基づいて平成29年度の専門医養成を試行するという案があります。実際、各学会が機構を介さないで動いた場合、我々はとめることができません。ですから、新しい在り方のトライアルとして位置づけるのはどうかということです。また、正式な発足は後にしても、来年に向けて各学会の取り組みに委員会としてどうかかわるかという議論はしておいたほうがよいと思います。

 とくに研修医の皆さんに混乱を起こさないようにしないことは大切です。研修医は制度のあり方によっては翻弄されます。また、地域医療の混乱を防ぐということを考慮して、試行事業として行うとしたらどんな要件が求められ、どのようなスケジュールになるかという資料を、事務局につくっていただきました。この資料について、まず事務局から御説明をいただきたいと思います。

・臨床研修指導官 事務局でございます。お手元の資料2の1枚ぺら、それから資料3、それからA3を三つ折りにしました資料4、それからカラフルな資料5を取り出していただけますでしょうか。今、永井委員長から御指示がありましたように、委員長私案を踏まえて具体化したものがどうなるかというものでございます。

 資料2、上の見出しは「平成29年度における専門医養成に向けた関係者の役割(案)」とございます。

 1つ目の段落でございますが、委員長私案を踏まえまして29年度専攻医の偏在や地域医療の混乱といったものを防ぐために、関係者の役割を次のとおりとしてはどうか。これは29年度についてでございまして、30年度以降における専門医養成の在り方について、この専門委員会において今後議論するということを考えております。

 (1)(2)(3)(4)とございまして、(1)が「専門委員会」の役割、(2)が「各都道府県の協議会」の役割、(3)が「各領域研修委員会・学会」の役割、そして最後に(4)が「日本専門医機構」の役割でございます。

 (1)の「専門委員会」に戻っていただきまして、この専門委員会として地域医療の混乱を防ぐためには専攻医の定員枠を設定して、現在の後期研修医の養成から大きな混乱が起こらずに専攻医が養成されるようにする必要があるのではないか。

 具体的には、マルイチでございます。29年度において診療領域別、都道府県別、プログラム別の専攻医の定員枠を過去3年間の実績に基づいて、かつ、研修医の希望調査を踏まえて設定する。これによって、後で説明申し上げますが、現在の後期研修医の状況から大きな混乱がないようにすることができるのではないかというのがマルイチでございます。

 マルニは戻ってまいりますので飛ばしていただきまして、「(2)各都道府県の協議会」でございます。各都道府県の協議会は、今も設置いただいていろいろな取り組みをしていただいているところでございますが、大きく申しますと「研修施設の確認及び改善要望の取りまとめ」というのが現在の都道府県の協議会の中でできることではないか。

 具体的に申しますとマルイチでございますが、専門医機構あるいは領域研修委員会・学会からいろいろな情報、プログラム申請情報ですとか審査・調整情報が提供されます。それについて例えば施設、この病院が抜けているんじゃないかという必要な施設が漏れていないかを確認する。それで、この施設は追加が必要ですということを領域研修委員会・学会に提出いただくということがマルイチです。

 それからマルニでございますが、その施設が確定して、では具体的にその研修施設群の中でどのように専攻医がローテートするのかというローテート方針、あるいは基幹施設にどのように指導医を配置することを考えているか。そういうことについて、連携施設の側から要望を取りまとめてそれを領域研修委員会に提出いただく。

 あるいはマルサンでございますが、先ほど申し上げたように、その大きな専攻医の枠をプログラムごとに定めて地域医療に影響がないようにする。ただ、それを専門委員会で定めたとしても、例えば地域枠医師の受け入れに定めた枠に追加して必要になるような場合があると思いますので、そういった要望を都道府県の協議会で出していただいて取りまとめて提出いただく。そういったものが、都道府県の協議会の役割として考えられるのではないか。

 (3)は今、申し上げましたマルイチ、マルニ、マルサンとちょうど対応する形になっております。都道府県の協議会でそういった要望を各領域研修委員会・学会に出していただいて、それを受ける形でプログラムの調整を図る。

 例えばマルイチですと、先ほどの(2)のマルイチを受ける形で研修施設の追加の調整、あるいはマルニはそのローテート方針等に関する改善要望の調整、マルサンであればプログラム別の定員枠の要望の調整を行う。

 かつ、(3)のマルサンでございますが、プログラム別の定員枠の増員の調整をする。ただ、なかなかそういった領域研修委員会で調整をしてもなお検証が必要な場合で、(1)のマルニに戻っていただきまして、最終的にはこの専門委員会で個別に領域研修委員会から事情を聴取した上で調整してはどうかということです。

 ちょっと行ったり来たりしますが、(3)のマルヨンでございまして、そうしたやりとりを踏まえて各領域研修委員会・学会において各プログラムの実質的な認定、具体的には認定原案を作成するようなことだと思いますが、それをする。

 (4)の「日本専門医機構」としましては研修医の希望調査、プログラムの最終的な認定、例えばマルイチですが、実際に研修医が何人、どの診療科を希望しているかといった調査が必要ではないか。後ほど申し上げますが、そういう希望に応じて専攻医の募集定員という調整、補正が必要になるかと思います。

 マルニでございますが、最終的に各プログラムの条件つき認定ですが、条件つき認定と申しますのは、この29年度プログラムを認定したとしてもそれでずっといくわけではなくて、30年度以降に対して必要な見直しを行うという意味の条件つき認定と申しております。

領域研修委員会で実質的に認定されたものを認定するということでございます。

 定員枠設定方法につきまして、資料3をごらんいただけますでしょうか。繰り返しになりますが、専攻医の激変、偏在を防ぐためにはこういった枠を定める計算をしてはどうかという御提案でございます。

 「1.基本的な考え方」としまして、現在の後期研修医の配置状況からの激変を避けるためには専門研修プログラムを運用する研修施設群、具体的には基幹施設と連携施設がございますので、その過去3年間の後期研修医の採用実績に基づいてプログラムごとに定員の上限である定員枠を設定する。それをすることで、現在からの大きな激変を避けることができるのではないか。

 かつ、2つ目の「・」でございますが、都市部への専攻医の集中を防ぐということからしますと、単に実績だけに基づいて定員を定めるのではなくて、都市部の都道府県ですね。都市部の定義は、後ほど御説明いたします。都市部の都道府県では過去の採用実績の1.0倍、都市部以外の都道府県では過去の採用実績の1.2倍というふうに定める。

 次の「・」でございますが、プログラムごとに実績に基づいて定員枠を定めたとすると、では都道府県ごとの枠はと申しますと、その県内のプログラムごとの足したものを都道府県の枠とする。あるいは、診療領域ごとというのは、さらにそれを例えば内科であれば北海道から沖縄まで、それぞれの県の定員枠を足したものをその診療領域の定員枠とするということです。

 それから次の「・」ですが、実績に基づいて定めるだけではなくて研修医の希望調査を行って、その希望者数を踏まえまして必要な調整を行うということでございます。

 最後に、実績に基づいて各プログラムの定員枠を定めるとしますと、やはり非常に実績の少ないプログラム、あるいは地方においてはそれで定まってしまうのかということがございますので、プログラムごと、都道府県ごとの最低値を設定するというものでございます。

 それで、先ほどの都市部の設定ということで資料4、A3の資料をお開きいただけますでしょうか。1枚目の一番左の端の上に「平成27年度臨床研修医」の「募集定員上限」という見出しがございます。こちらは、いわゆる初期研修、臨床研修において都道府県ごとにそれぞれの都道府県の人口、医学部の定員、あるいは地理的条件、離島ですとか、医師数でありますとか、そういった要件を定めて都道府県ごとの上限を定めております。

 その右側のマルイチに、それぞれの都道府県の上限が全国に対して何%を占めているか。北海道の448人は、全国の中の3.87%を占めております。言ってみれば、これが地域の体制を踏まえてこういった研修の人数、受け入れの比率が基準になるのではないかということで、マルイチをベースにして考えるというものでございます。

 それに対して、内科の後期研修医が卒後3、4、5年目を調査したものでございますが、全国で3学年分で7,950人います。これを都道府県ごとに分けて、かつ、それぞれの都道府県の比率を右側のマルニでございますが、北海道であれば265人というのが全国の中で3.33%を占めております。そうしますと、先ほどの北海道の3.87%をベースに考えますと、今の後期研修医は3.33%ですので、2を1で割りますと0.86、要は北海道の研修体制に比べて今の後期研修医の受け入れというのは1を下回って0.86である。もっと受け入れる余地があるのではないかという数字と考えております。

 それで、その0.86をずっと下のほうに見ていただきますと網掛かっているところ、例えば東京ですと1.29とございます。言ってみれば、都道府県上限に対して今の後期研修医は1.29倍と、かなり東京の研修体制を上回って受け入れているのではないか。そういったことで、網がかかっているところは上回っているという考え方としております。

 それから、その左隣に青く塗っているセルがございます。これは、それぞれの都道府県で今、実際に後期研修医の比率を出しておりますが、その比率が高いところ、例えば東京ですとちょっと見づらいですが16.7%、全国の16.7%の後期研修医を受けております。そうするとどうなるかというと、東京というのは全国の中で非常に高い割合の後期研修医を集めていて、かつ集めているというのは東京の研修体制と比べてよりオーバーした形で受け入れている。この2つの条件を満たすというのが、言ってみれば都市部といいますか、集め過ぎているという考え方ができるのではないかというものでございます。

 ただ、この網掛けをしている、あるいは青い色を塗っているところはどこで線を切るかによって当然変わってまいりますので、あくまでもこういう考え方で都市部を設定する。先ほど申しました、都市部についてはプログラムごとに実績の1.0倍、あるいはそれ以外の都道府県においてはその実績の1.2倍という計算方法としてはどうかという考え方でございます。

 先ほどの資料3にもう一度戻っていただきまして、1ページの「2.過去の採用実績」のところでございますが、過去の採用実績は現在2行目でございます。それぞれの研修施設群に在籍する卒後3、4、5年目の医師の平均をとって過去の採用実績としてはどうか。

 あるいは、「3.都市部の設定」というのは今、申しましたように都市部の設定をしてはどうかということでございます。

 それから、裏をめくっていただきまして四角の下に「・」がございますが、診療領域によりましては過去の採用実績がかなり低い診療領域がございます。例えば臨床検査、形成外科、リハビリテーション科などですが、そういったところについては都市部を設定しないということをしてはどうか。

 かつ、4でございますが、実績に基づくだけではなくて研修医の希望状況調査を行って、1つ目の「・」でございますが、研修医の希望状況調査に基づく希望者数を踏まえまして必要な調整を行う。この考え方につきましては、具体的に検討が必要と考えております。

 また、4の2つ目の「・」でございますが、実績に基づくということになりますと、総合診療専門医についてはいわゆる実績がございませんので、その定員枠についてはこれから研修医が総合診療専門医をどのように希望しているかという調査の結果を踏まえて考えていく必要があるのではないか。

 それが、5の1つ目の「・」でございますが、プログラムごとに過去の実績を踏まえて非常に少ない場合がございます。その場合は、2人を最低保証としてはどうかということでございます。

 それから、最後に5の2つ目の「・」でございますが、それぞれのプログラムごとの最低保証だけではなくて、それぞれの都道府県ごとの最低限の定員枠というものを定めてはどうか。これは診療領域ごとに過去の採用実績がございますので、その採用実績を先ほど臨床研修医の都道府県別の比率がございましたので、それに応じて案分し、かつ1.2倍、あるいは1.0倍して都道府県ごとの最低数を定めてはどうかというものでございます。

 最後に、資料5をごらんいただけますでしょうか。繰り返しになりますが、地域医療に混乱を来さないようにするために、こういうことが必要ではないかという試行的運用に向けた関係者の役割とスケジュールでございます。それぞれ縦に関係者が並んでおりまして、一番右端、「専門委員会」は本日この定員枠の方針案の検討をいただいているところでございますが、その左隣に「都道府県協議会」で「地域医療確保の観点から必要な施設の確認」がなされております。

 「専門委員会」から下りてまいりまして、次回、今回お示した方針案をこの後、御議論いただきまして、例えば「募集・採用方法の検討」ですとか、あるいは希望調査を踏まえてどのように定員枠を調整するかということが必要ではないか。

 それから、左のほうにいっていただきまして「各領域研修委員会・学会」の列に「研修医施設の追加調整」とございます。各都道府県で、こういう施設が漏れているというものを追加調整する。

 あるいは、その左側の列でございますが、「日本専門医機構」において「研修医希望状況調査」、どれだけの人数が何科を希望されているか。そういうものを踏まえて、点線が右のほうにいきますが、その定員枠を考えていくのではないかというものでございます。

 一番右端のその下でございますが、そういったことを踏まえて「平成29年度定員枠の設定」、これが夏ごろではないか。

 そこからまた左にいっていただきまして、その定員枠を設定しますとどういう研修施設群で、あるいはそれぞれに何人募集数になるのかということが決まりますので、例えばローテート方針ですとか、あるいはプログラム別の定員枠についてそれぞれの地域で要望が出てくると思います。そういったものを取りまとめて、学会に提出いただく。それを受ける形で、「改善要望の調整」を「各領域研修委員会・学会」でしていただく。

 右の方にいきまして、また「都道府県協議会」で調整結果を確認して、最終的にこの「専門委員会」でそれを確認する。

 また左にいきまして、「各領域研修委員会・学会」で実質的に認定する。

 最後は「日本専門医機構」で条件つき認定ですが、条件つき認定というのは認定したからずっといくということではなくて、30年度以降に向けて当然見直しをするという条件で認定をし、専攻医募集をするということが29年度の混乱を防ぐために委員長私案を踏まえまして必要なものということで考えたものでございます。以上でございます。

・永井委員長 それでは、羽鳥委員どうぞ。

・羽鳥委員 この施行は、たった1年限りですね。29年度限りなんですよね。

・永井委員長 それは、わからないと思います。機構がしっかりできるまででしょう。

・羽鳥委員 わかりました。永井私案にエネルギーを注ぐよりも、やはりこの委員会では専門医機構の在り方やガバナンスの問題点を明らかにすることに注力したほうがいいのではないか。

 というのは、現行の基本領域学会専門医の仕組みのまましばらく動いていっても不可能ではないんじゃないでしょうか。

・永井委員長 実は新しいプログラムで動こうとしている学会が幾つもあります。これをどうするかということです。

 西澤委員、どうぞ。

・西澤委員 急にこういうのが出てきて、しかも非常に詳しいのが出てきてびっくりしています。今までの議論で桐野先生、北村先生、皆さんがやはりここで一回きちんと立ちどまって少し時間をかけてやりましょうということでこの委員会で一致したと思ったんですが、急にこれが出てきて、この資料の位置づけが全くわかりません。

・永井委員長 学会は今も専門医を養成しており、新しいプログラムで来年から始めようとしています。これは学会独自に動く話です。学会が主体なので、そこをどうするか。学会に対して、中止を求められるかどうかです。

 加納委員、どうぞ。

・加納委員 たしか、各学会は今まで先ほども出ました五十数年来の歴史ある今までの専門医制度をお持ちで、多分ことしの卒業生はその専門医制度でやっているわけだと思うので、それを1年間延期して次のきっちりしたものができるまで待つことはできないのでしょうか。学会は、どうでしょうか。

・永井委員長 島田参考人、どうぞ。

・島田参考人 学会によって違うと思います。絶対やらなければいけないという学会も幾つかありましたけれども、ほとんどの学会は、私は大丈夫かと思うんです。

・永井委員長 私のところには、新しいプログラムで動く予定と言っている学会がありますが、それはどうしたらよいのでしょうか。

・島田参考人 そういう学会も実はあるので、それは学会によってちょっと違うんですけれども、ただ、今の問題で言いますと、今の厚労省さんが出してくださったのは非常によく考えられた案だとは思うのですが、問題は地域医療が崩壊するとか、しないとかというのは、幾ら地方のスポットをつくって募集の定員を増やしても、各専攻医が本当に地方のプログラムを専攻するかどうかが問題なんです。

 プログラムは、今これでやりますと言っているほとんどの学会が物すごい募集人数なんです。実際に毎年専攻医になる人数よりも、1.7倍から2.数倍なんです。そんなにスポットがあれば、専攻医はどうするんですか?しかも都会の募集人数は実際の専攻医の数よりも1.5倍くらい多い学会がほとんどです。それでは全部、都会に集まりますよ。

・永井委員長 そこを調整しようというのが今回の厚労省の案です。それは機構に任せておくとできないということです。

 北村委員、どうぞ。

・北村委員 地域医療の崩壊する怖さの原点は、この枠じゃないと思っています。それは何かと言うと、基幹施設です。基幹施設と連携施設を分けて、基幹施設が大学とか1つ2つにしかならなくなるから、連携施設がひょっとして回ってこないんじゃないかと恐れおののいているんです。

 だから、次年度は基幹施設、連携施設なしでやっていただきたいと思います。要するに、連携施設に採用されても大学病院へ半年研修に行けば症例も経験できるし、珍しい症例もできるので、何が何でも大学に入局しないといけないような基幹施設、連携施設という言葉をやめて、ことしまでと同じようにどこの病院にでも入職して、そしてそのプログラムの中で一定の症例数を経験し、一定の腕を磨いたら専門医になれるということでどうなんでしょうか。

 一番の原点は、基幹施設と連携施設という制度をつくったことを恐れていると私は認識しています。

・永井委員長 事務局お願いします。

・医事課長補佐 基幹と連携をしないというやり方はあるかもしれません。しかし、それをしないということは定数枠をはめない今までのやり方でやるというところが出てくるということで。

・北村委員 では、県としても定数を決めていいんですか。

・医事課長補佐 仮にそれをやったとしても、どういう形でその数を担保するのかという問題が残りますので、それをどうするかという案がこちらでございます。

・北村委員 だから、人数は好きにしていいんですが、基幹と連携をやめませんか。何々県の総数はそれでいいのですが、いわゆる基幹施設、連携施設の合計というものです。

・永井委員長 今回の問題点の一つが、これまで施設認定だったのがプログラム認定になったというところです。そこはフレキシブルに考えてよいのではないかという御意見です。それは、もちろん私はあり得ると思います。

 では、邉見委員どうぞ。

・邉見委員 私も、北村委員と同じような考えです。やはり関連施設となりますと、短い期間ですぐに大学ほか、大きな基幹施設に行って、こんにちは、さようならみたいなことで、ほとんど戦力にならなくて患者さんにも地域医療にも迷惑をかけるし、職員もやる気がなくなるということで、私は全体で一つのプログラムでいいので、わざわざ基幹ということはどうか。

 例えば、金曜日に自治体病院協議会と関東ブロックの会議をやりまして、これは鶴田さんのところだと思うんですが、静岡県は西部に浜松医大という医大があります。ただ、中部、東部というのは基幹施設はほとんどないんです。浜松医大は、19全部持っているんです。中部はこども病院と、こころの医療センターと、県立総合が4つ、静岡赤十字が救急、それぐらいです。ほとんど県庁所在地でありながらないんですね。だから、静岡医大をつくらなければいけないなという話になるんです。

・永井委員長 いずれにしても学会は養成を続けるわけですから、学会は本委員会、地域協議会、機構と相談して試行していただく。つまり、学会に対してこれまでのシステムの改訂を禁ずることもなかなか言えないわけです。専門医養成を続けるならば気をつけて行わないといけないわけです。

 森委員、どうぞ。

・森委員 北村先生のお話もすごくよくわかるのですが、私はちょっと前にも申し上げたのですが、こういう仕組みをつくるのはとても簡単なんですけれども、実は問題になっているのはそこではないんです。簡単に言ってしまえば基幹施設の基準が厳し過ぎたというだけなんです。そうでなければ、こんなことは最初から起きなかったんです。

 そこの部分で、なぜ意見がうまく通らなかったのか、機構の方たちとうまく議論ができなかったのか、ちょっとわからないんですけれども、もともと専門医機構というのは初期研修とは違うんです。初期研修は研修が修了するかどうかが極めて重要なのですけれども、専門医研修、専攻医の研修というのは最後に試験をやるわけで、その試験に通るか、通らないかという問題もあるわけです。

 それで、合格率も違うかもしれない。いろいろな都道府県によって、あるいは各科によっても違うかもしれない。つまり、試験というものがもう一つ控えているんだよということを考慮すれば、どの程度基幹病院の基準を厳しくするべきかということが、もうちょっと現実的に考えられたのではないかと思うんです。それと、プログラムもこの基幹病院がつくるプログラムをやるという感覚ではなくて、地域の共通プログラムを基幹病院が中心でつくって、それをどこが採用してもいいですよというような仕組みにすればこんなことは起きなかったんです。

 ですから、最初の制度設計の仕方が悪過ぎるというのが私の意見です。これを徐々に変えていくしかないと思うんです。私どもの精神神経学会の場合はプログラムも全部出し終わっていますし、統括指導医の研修会もやりました。ですから、来年もし専門医機構がスタートしなかった場合でも新しいプログラムで学会としてやりましょうということを決めました。今のところは、専門医機構がやろうが、やるまいが、関係なく新しいプログラムでスタートすることを考えています。

・永井委員長 そのときに、地域やこの委員会と相談していただけないのかということがこの趣旨です。

・森委員 そうですね。ですから、次に私が言いたかったことなんですが、来年、機構がスタートするか、しないかということとは違う話だということを理解していただきたいと思います。

・永井委員長 いずれにしても養成するわけですから、学会が独自に動き過ぎたときには機構と関係なしに混乱が起こりますね。

 では、事務局どうぞ。

・臨床研修指導官 資料の御紹介でございます。参考資料4を出していただけますでしょうか。

 上の見出しに左側の「内科」からずらっと並んでおりまして、これは日本専門医機構に申請されたプログラムのデータでございます。「01内科」のところに、合計マルイチ523とありますが、全国で内科523のプログラムが申請されている。そのプログラムの募集定員の全てを合計しますと6,084人と、申請時点ではあるんですけれども、それだけの人数の募集定員数になっていると。

 ちなみに、各領域の募集人数を全て足し合わせますと1万9,000人を超える数になっております。それは何を意味するかと申しますと、今の2年目の臨床研修医、約8,200人です。その8,200人に対して1万9,000人を募集すると、かつて臨床研修で起こったこと、つまり募集定員に余裕があり過ぎて都市部、都会に集まり過ぎてしまうのではないかということが懸念されております。

 先ほど島田参考人おっしゃったのも、この全体の数をどうするかという意味で、これをいかにしていくかということが、今後地域医療に混乱を来さないために必要なことと考えて提案したものでございます。

・永井委員長 やはり総数や募集枠は重要だと思います。

 今村委員、どうぞ。

・今村委員 ちょっと違った観点でお願いと質問なんですけれども、資料2のそれぞれの役割ということで、各都道府県の協議会が大変重要な役割を担うということになっているんですけれども、以前にもここに挙がった参考資料5にもありますが、現実的にまだまだ県の協議会というのが機能していない。

 当然、厚労省は一生懸命、県に対して働きかけをしていただいていると思うのですけれども、最近もある県の協議会のトップの委員長であるドクターが、全く何をしていいかわからないというようなことをおっしゃっているという現状もある中で、この委員会では逐一ちゃんとこの協議会がこのように変わってきましたという数字を出していただかないと、我々としてもちょっと心配でとても絵には描けているけれども、実際には機能していないということにならないようにしていただければというお願いです。

 それから、全然違った視点で、これから専門医になろうとする後期研修医の方たちが今、枠をある程度決めていくのは地域医療に混乱を起こさないために大事だと思うんですけれども、では自分が今ここでこういう科で研修をしたいといったときに、それがだめだった。定数の枠に入らないといったときにどういう情報の中で、それはホームページか何かで一覧が出ていて、自分で次にあいているところに応募していくという話なのか。マッチングみたいな仕組みが余りない中で、若い方たちが非常に不安を持つんじゃないかとちょっと危惧しているのですが、その辺の対応についてはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。

・永井委員長 今、2点の指摘があったと思います。協議会の準備状況、それからマッチングをどうするかということですね。

・医事課長補佐 まず協議会につきましては、権限がない中で御努力いただいているとは思うのですが、なかなか動きが遅いという御指摘ももっともな部分があるかと思います。そういうこともありますので、今回提示させていただいておりますのは、都道府県ではやることをある程度限定して、都道府県内の要望を取りまとめ、領域もしくは学会に提出していただくということと、あとは病院施設で重要なところが研修施設として漏れていないかということを確認してもらうことに集約しているというところでございまして、こうしたことであれば進めていただくことは可能ではないかと思っております。

 あと、募集・採用につきましてはこちらの資料5にも書かせていただいておりますが、次回に「募集・採用方法の検討」と書いておりますので、ここの専門委員会で検討していただいて、早急に専攻医の方に混乱が生じないようにお示しをさせていただくということを進めてはどうかと思っております。

・今村委員 県の協議会がやることを限ったことにした。それで、県も取り組みやすいように変えましたということに対して、県がどこまで理解をして現実的に集約したことがどこまでできているかということを、毎回でなくてもいいんですけれども、この委員会に折々にやはり出していただかないと困ると思って、お願いということを申し上げました。

・臨床研修指導官 参考資料5でございます。こちらは、同じような形式で前回のたしか専門委員会でもお示ししたものでございますが、上から下に言ってみればそれぞれの都道府県、47分の幾つというのがございまして、47都道府県の中で幾つの都道府県がどのレベルまで達しているかというものでございます。

 例えば3のマルサンというところに、それぞれの見出しでございますが、「地域医療の確保の観点から必要な施設が漏れていないか、全てのプログラムを検証・調整を終えた都道府県」、こちらは具体的に県名を出す前提で調査していないので1つの県とだけ申し上げますが、1つの県がそのプログラムの検証・調整を終えたということで、これがだんだん下のほうに数字が上がっていくことによってその県の協議会の取り組みが進んでいくということです。

 ただし、きょうお示ししたように、当初、都道府県の協議会にここまで求めるということでつくったチェック表ですので、都道府県の協議会に求めることに応じてちょっとつくり方は変えていく必要があると思っております。

・永井委員長 山口委員、それから西澤委員、どうぞ。

・山口委員 この29年度をどうするかという資料2に基づいて、3つほど意見がございます。

 まず、1つには(1)の「専門委員会」のところに、枠を決めるという中で過去3年間の採用実績をということを考えると、多分、総合診療はここに入っていない。過去3年間の実績がないと思うんですね。今回の新しい専門医制度の中で目玉とも言われた総合診療専門医ということを考えますと、近い将来では2025年問題ということも含めて、私たち患者側から見るとやはり総合診療医というのがどう育っていくのか。

・永井委員長 それは、希望者数に基づくということです。

・山口委員 今後、それをやっていく中で先ほどから事務局の問題が出てきていますので、多分、総合診療医のことについて進めていくとしたら、今は専門医機構の事務局だと思うんですけれども、そこがしっかりと運用できるような体制をぜひ考えないといけないんじゃないかというのが1つです。

 2つ目として、この提案の中でやはり私も一番不安だなと思うのがこの各都道府県の協議会で、3月31日に医事課長通知が出ている中に、都道府県の取り組みということで4月上限までとか、いろいろ書いてあるのがほとんど行われていない現状が資料5を見てもわかると思います。だから、先ほど今村委員からもございましたけれども、ぜひそういったことについて本当に実現可能な方向に進めていかないと、ここが一番この中では弱いかと思いました。

 それから、これまでの議論の中でどうも専攻医が必ず中級領域のどこかに手を挙げるとほとんど思われていて、でも実は挙げなくてもいいんですよという話が今回のこの委員会、これまでの中で出てきています。そうすると、いろいろ人数の枠組みを決めるという中で手を挙げない人というのは全く考えられていないと思うんです。実際に研修医の中でも、どこかに手を挙げなければいけないんだとかなり強く思っているように聞いていますので、例えばこの希望調査をするときに選ばないというようなことも選択肢の中に入れるような調査になるのか。そのあたりのところを予定として聞かせていただいて、例えばそういう選択肢があれば、選ばないこともあるのかという周知につながるのかと思います。

・永井委員長 これは前も議論しましたけれども、別に専攻医にならなくても構わない。

・山口委員 でも、その情報はちゃんと広まっていないと思います。

・永井委員長 これは、義務ですか。

・医事課長補佐 希望調査につきましては、基本的に専攻医になりたいと思わない方についても全て対象として調査をしますので、そういうことを把握できるようにはなります。

・永井委員長 希望しないという欄もあるということですね。

・医事課長補佐 あります。

・永井委員長 では、鶴田委員どうぞ。

・鶴田委員 都道府県の話が出ましたので、少し都道府県の状況を説明したいと思います。5月10日時点で永井委員長の私案に対する都道府県の見解を全国衛生部長会としてまとめています。

 基本的に、都道府県としては法定根拠や権限が決められないと動けないという意見があり、現在の協議会での調整は実質上困難であるスケジュール上課題がある等の意見がありました。権限に課題があるとの意見が42自治体、協議会の調整が実質上困難であるとの意見が30自治体、スケジュール上課題があるとの意見が29自治体からありました。また、必ずしも一都道府県で決められるのではなくて、例えば静岡の場合だと他県の大学から医師が派遣されるので他県との調整が必要であるとの意見がありました。

 今回示された都道府県協議会が研修委員会に意見を言うということは不可能ではないと思うのですが、前回調査と同じようにどういう権限で意見を言うのかという話は出るかもしれません。また、意見を提出するということと、実際にドクターが配置されるというのは別問題だと前回も発言しているのですが、実際にドクターが配置されないと地域医療は維持できないという現実もあると思います。

 次に、今日出された資料についての疑問です。資料4の平成27年度臨床研修医の募集定員の上限1万1,583人という数字と、その右側の数字の人数の内科7,950人とか、小児科1,405人とか、こういう数字についてですが、左側の募集定員の上限というのは実数じゃなくていわば虚数、右側は実数だと思うのですが、そういう数字を比較することの意義というのがよくわからないのですが。

・永井委員長 法定根拠を事務局から説明いただけますか。

・医事課長補佐 自治体は別に法律の根拠がなければ何もできないということではなくて、関西広域連合からは専門医の件についても国に意見いただいているというような前例もありますので、意見を取りまとめてどこかに報告するということは自治体の業務として可能だと思います。

・臨床研修指導官 それから、もう1点です。資料4の都道府県別の募集定員上限と、それから実数を比べることの意義でございます。例えば北海道は上限448となっておりますが、実際には確かにそれより低いです。そうしますと何が起こるかというと、要は北海道が受け入れできるはずの数に対してこれだけしか後期研修医がいないということで、もしこれを実数にしますと北海道はそこそこ初期研修臨床研修医と比べると後期研修医はいるという数字になってしまいます。

 ですから、これを見ることによって、むしろ本来その都道府県でこれだけ研修ができるはずということに対して実際に後期研修医がどれだけいるかを表せるのではないかということで、異なった数字を比べた数にしているということでございます。

・永井委員長 2年目の研修医が実際何人いるのかという数字も必要と思います。

 では、西澤委員どうぞ。

・西澤委員 ずっと議論してきて、プロフェッショナルオートノミーとか言ってきましたが、何のことはない、あなたたちに任せてもできないから厚労省がしますよというものが出てきたような気がします。このことに関して、我々はどう考えたらいいかということで悩んでいます。

 それと、黙っていても学会はやるんだと言いましたけれども、実はプログラムの問題で多分、大学だとか基幹病院にいないと維持できない内容のものがありましたが、そのプログラム自体はどうせやるんだからと認めてしまうのもどうかと思います。

・永井委員長 全部ではなく、そういう学会があるということです。

・西澤委員 それを見込んで、ただ、都道府県に枠をはめても問題は解決しない。さっき言ったように研修施設とか協力施設がそこの問題を解決しない限り、これはおかしいと思います。

 そういう議論は、恐らく桐野先生、北村先生が言っているように、これからきちんとそういうことも踏まえて、そして議論するときには学会をそっちのけでするのではなくて、学会も一緒に入れながら、プログラムも含めながら議論していくというのが今の結論だと思います。そういう中でこの資料が出てきたのは、非常に違和感を感じます。たたき台というのであれば、ぜひ我々のほうに一回投げさせていただければと思います。

 それから、非常に詳しいデータですが、短期間で厚労省がどういう形でこういうデータをつくったのか、ちょっと教えていただければと思います。

・臨床研修指導官 今、西澤委員がおっしゃったのは資料4ですか。

・西澤委員 全部です。今、御説明あった資料2、3、4です。

・臨床研修指導官 具体的なデータにつきましては、こちらに載せておりますのも既存の調査、例えば後期研修医であれば医師、歯科医師、薬剤師、いわゆる3師調査のデータを取ってきていたり、臨床研修医の都道府県上限であればもう既に定めたものがございますので、既存のデータの組み合わせでつくっております。

・西澤委員 正しいかどうかわからないのですが、きょうは出ていませんが、この次に5月9日の機構の理事会の報告が出ればわかりますが、医政局の医事課長から専門機構宛てに当面、過去3年間の採用実績の1.11.2倍の全国定員等々のデータをつくれということを言われ、機構の理事会でもめたという話を聞いております。そういう事実はないのでしょうか。

・臨床研修指導官 今、西澤委員が御指摘のものは、資料3の1ページ目に「2.過去の採用実績」とありまして、そのプログラムごとに過去の採用実績を調べるために「※」がございますが、平成28年5月1日現在の卒後3~5年目医師の在籍状況をそれぞれのプログラムについて出してください。それをベースにこの専攻医の定員枠の設定の基礎資料としたいということで調査の依頼をかけたものでございまして、西澤委員が御指摘のものはその調査のことでございます。

・西澤委員 詳しくわかりませんが、機構宛てに厚労省の課長からこういうものをすぐにやれとか、そういうこと機構自体の組織のあるべき論として、今までプロフェッショナルオートノミーとか言われましたが、いかがなものか。やはり外から見ると、厚労省が全部指示したり、コントロールしているとも受け取られかねないので、私の感覚としてはどうかと思います。

 以上のことを含めまして、ここで厚労省がこのような詳しい資料を出したからどうこう議論するんじゃなくて、桐野先生たちが言ったように我々できちんともう一回、学会も含めて今後の在り方を議論すべきじゃないかと思います。

・永井委員長 邉見委員、どうぞ。

・邉見委員 地域医療協議会のことについて、ちょっとだけ情報です。私はもう引退した院長ですから言いたいことを言えますけれども、現職の院長はやはり大学の報告会みたいな、プログラムの報告会みたいな感じで、開いているところのお話を聞いてもほとんどがそうです。余り協議の場としては動いていない。ほとんどのところが、割り当てがこうですよというのを聞いているという感じです。それが1点です。

 2つ目は、先ほどから言っておりますし、島田先生もおっしゃいましたが、議事録の概要でなく発言録を知りたいです。誰がどのようなことを言って、どのような議論がなされているかというのを私たちは全くわからなかったから、このプログラムを見てびっくりしたんです。それまでは全部これに賛成していたわけですけれども、公開討議でもいいですし、とにかくわかりやすくしてほしいというのが2つ目です。

 3つ目は、やはり新医師研修制度によって大学の論文、数、研究、手術、全て減っています。だから、本音としてはこれをどうにかしなくちゃいけないというのも大分、大学にあると思うんです。それで、基幹施設を皆、大学にしたんじゃないかと私は思っています。

 それで、こういうのをするためには地域医療が落ちて大学は伸びる。大学が伸びたら地域医療が落ちると、シーソーみたいになるのではなくて、ウィン・ウィンにするためには、私は大学は研究枠というのを地域枠と同じように早くつくるべきだと思っております。これは、意見です。

・永井委員長 島田参考人、どうぞ。

・島田参考人 資料3の1の2番目に都市部の実績が書いてありまして、都市部は都道府県の過去の採用実績の1.0で、都市部以外は1.2と、この数字の根拠もよくわからないんです。都市部1.0では、ほとんどこちらに吸い込まれちゃうんです。これが今までは卒後臨床では行われてきたことで、地方大学は幾ら1.2というしょぼい数字を出してもらっても、これは要するにスポットはあるけれども結局こないんです。それが一目瞭然、この数字に出てきているわけですから、もっと都市部は制限してもらわないと全然話にならないというのがあります。

 それから、先ほど山口委員がお尋ねになった、どこにも所属しない専攻医がいていいのかという話ですけれども、私はそれはあり得ないと聞いていました。要するに、全てどこかには所属しないといけない。それで、所属できない人は総合診療にいくんだという話が一時はありました。

 では、総合診療は何かということなんですけれども、総合診療というのはつくるけれども標榜できないというような話もありますね。本当に標榜できるんですか?総合診療は、標榜はもう難しいという話もあるんです。大病院はいいけれども、要するに総合診療医として開業できるかどうかとか、そういう話まであるんです。

 この辺は本当に一番本質的な問題に触れているのに、この話をいいかげんにして総合診療をつくったらもっともっと医療がよくなるよね、地域医療よくなるよねと、そんなふうに雰囲気的には思うけれども、標榜もできないような医師をつくるような話は、全く私は国民の目をごまかしているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。社員総会では、総合診療だってちゃんと出ていますよ。

・末永委員 総合診療に関しまして少し言いますと、やはりこれもほかの18領域と同じように基準が厳しくなり過ぎている。そうすると、例えば本当に地域で国診協の皆さんが、自治医大出身の人たちが1人でやっているようなところは、そういう人たちは更新もできなければ、新たな研修医がそこで育つということもできない。

 これは年期の問題もありますけれども、こういうところも含めましてとにかく基準が厳しくなる。いい専攻医をつくるという言葉に踊らされて、その基準が全てのところで厳しくなり過ぎたというのがやはり問題じゃないかと思っています。

・永井委員長 大体、時間になってきたのですが、学会の意向を聞かないといけないと思います。今までどおりで何も変えないのか、新しいプログラムを運用するのか。もしそういう学会があれば、その学会をモデルケースにして議論したらよいと思うのですけれども、いかがですか。まずは、学会の考えを聞かないといけないと思います。

 前回のこの委員会で学会に持ち帰ってということをお話ししているのですが、まだ反応はありません。実は、新しいプログラムを機構と関係なしに動かそうとしている学会が幾つかあります。そういう学会をモデルとして試行事業ができるかどうかですね。そのときにいろいろな問題が出てきますので、議論したらよいでしょう。

 試行事業であったとしても全面実施は難しいと思います。ですから、まずは学会が来年どうするか、その意向を踏まえた上で、そこをモデルにして考える。それをしないと新しい制度により必ず混乱を招くと思うのですが。

 今村委員、それから加納委員、どうぞ。

・今村委員 お願いですけれども、きょうは後期講習で新しく専攻医になる方の議論で、前にもこの会で一応申し上げた、そういう方たちの声を機会があったらヒアリングしていただきたいということで、ぜひ一度やっていただければというお願いです。

 もう一つは、更新がもう既に始まっている中で非常に現場の方たちが不安感を持っているというのも事実です。それが単なる杞憂なのか、実際に非常にそのハードルが高くて今、専門医を持っておられる方たちの更新が難しくなっているのかというのは、自分の専門でない科については十分にわからない部分があって、そういう声が現場からほうはいとして湧き上がってくるというのは、やはり情報がきちんと伝わっていないということもあるでしょうし、実際にそのハードルが上がっているのかもしれない。ぜひ、更新をする方たちのこともいずれどこかでちょっと早目に議論していただければと思っております。

・永井委員長 加納委員、どうぞ。

・加納委員 今の更新の話もそうなのですが、変な形での呪縛の入ったプログラムがこのまま推移されるのは、やはり議論する場をしっかりと持っていただかないことには危険かと思います。なかなか走ってしまうと、逆に変更しにくくなってしまいます。今みたいにおっしゃっているように基幹病院中心、大学病院中心のプログラムだけになってしまうと、高齢者が急増するこれからの大事な都会の問題とか、いろいろな問題が本当に社会問題化してくる可能性もあるかと思いますので、しっかりそういう議論をすることを条件に必ず入れていただかなければいけないかと思います。

・永井委員長 ですから、やはり試行は必要だと思います。

・加納委員 試行事業が必要かより、プログラムを推移させ、一旦試行してしまうと止めることができないのではということを懸念しています。

・永井委員長 それぞれに機能を持たせて、どれだけ機能するかをみないといけないということです。

・西澤委員 医師会とか病院団体が反対したのは、会員の病院にこの制度が始まったら、このプログラムでやったら先生の病院から医者を引き上げると言われたからです。だから、そのプログラムが走ること自体、私たちは問題だと思っています。

・永井委員長 ですから、それをチェックしないといけないということです。まず、来年、各学会は何をしようとしているのかを調べなければなりません。学会のみに任せたら混乱が起こります。

・北村委員 この資料4は、学会が何をやろうとしているかをよくあらわしていると思うんです。島田先生は横にいらっしゃるので、例えば皮膚科を見ると、県の半分以上が1プログラムしかないんです。だから、恐らく大学だと思うんですけれども、半分以上の県は大学に属さないと皮膚科医になれないと書いてあるようなものなんです。

 それを、試みとはいえ、資料4ですけれども。

・永井委員長 島田先生の皮膚科学会は、来年どうされるのですか。

・島田参考人 北村先生が全県の半分以上が1プログラムしかなく大学中心だとおっしゃいましたがそれは事実だからしようがないです。山梨県はそういう県なんです。すでに地域医療が崩壊しているのです。大学が中心になって立て直そうとしているのです。だから、県ごとによって状況が全然違うと思います。

・永井委員長 だから、それを説明していただきたいのです。先生たちの学会は、来年の予定として、どういうプログラムでどうするか。

・島田参考人 予定というか、プログラムはありまして6人を募集するということになっているんです。

 だけど、大体、山梨県全体で実際に皮膚科にくるのは1名か2名なんですね。

・永井委員長 日本全体として皮膚科学会がどういうふうにするおつもりでしょうか。

・島田参考人 皮膚科学会は私一人で決めるわけじゃないですけれども、2~3日後に理事会がありますのでそこで方針を出すつもりです。

・永井委員長 相談していただけますか。

・島田参考人 もちろん、それはやります。

・永井委員長 どういう状況であれ、専門養成はするわけですから。

・島田参考人 だけど、今まで我々は従順な学会ですから、機構さんがおっしゃったように。機構と一緒にやっていくつもりだったんです。本当にそうだったんです。我々としては。それで今、進んでいます。だから、あとは機構がプログラムを認めればそのとおりにいくことになっちゃったんです。

 それはかなりの強権でもって私たちも抑圧されてきましたけれども、新専門医制度はやらざるを得ないということで、このままだとそうなります。でも、こういう審議会などでいろいろな御意見が出るので今はこの議論をペンディングしているんです。

 だから、ここで一旦やはりこれは延期だと言っていただければ、我々は延期してその間に考えたいと思うわけです。

・永井委員長 でも、延期しても来年度3年生がいるのですから、その人たちにどういう教育をするのですか。

・島田参考人 それは、我々は従来のプログラムで十分です。

・永井委員長 それならば従来どおりでよいのです。

・島田参考人 だから、そういう決定をしなければいけないけれども、今のままだとこの機構が。

・森委員 精神科も同じ状況なんです。さっきプログラムも新しいプログラムが走ると申し上げたんだけれども、私は学会の理事会で機構の問題点をずっと指摘してきました。

 だけど、精神科としてはそんなに大きな科でもないので、全体の流れ、言ってみれば長いものには巻かれるしかないでしょうというのが結論で、ここまできたわけです。

・島田参考人 そういうことなんです。私もいろいろしゃべっていますけれども、皮膚科学会としては機構とやっていこうとしていたんだけれども、余りにも混乱するので。

・永井委員長 だから、各学会がどうするかを意思表示しないといけないのです。

・島田参考人 それを助けるのが、この委員会なんですよ。

・永井委員長 この間の提案は、まず学会はどうするのですか。そのお手伝いはしますけれども、学会がしたくないものを実施させることはできないのです。

・島田参考人 この会で、さっきも言われた延期、延期という話が出ているので、延期をはっきり決めていただければ延期するわけです。

・西澤委員 今の話だと一致しているのは、学会もこれに従うと言っているので、新しいプログラムをやめて今年と同じようにやりなさいでいいのではないですか。

・永井委員長 それを命じることがそもそもできるのかということです。

・西澤委員 従うと学会が言っているんですから。

・永井委員長 それは、全部の学会に聞いてみないとわかりません。

・島田参考人 それは学会が勝手にやるから、ここで決めてもしようがないという話になりますね。

 だから、あとは御自由にということで、要するに一応この話は延期だということでいいんじゃないですか。これは全体として延期だということをおっしゃっていただければ、ただし学会は勝手にやるのは自由ですねと言っていただければそれで終わりです。

・永井委員長 学会によっては、新しいプログラムで独自にするところもあります。

・島田参考人 確かに、どうしてもやりたいと言っているところがあるんです。内科、外科、産婦人科、整形、これは要するに機構と仲よし学会ですから、要するに機構とお話をされて、私たちはこれでいきますとどんどん進めていったから彼らはもう後戻りできないんです。

 それで、システムも何億もかけて自分たちでつくらされた学会もあるんですよ。我々だって、5,000万かかるんです。これは、機構がどうしてもやれと言うから。

・医事課長補佐 そのように延期を表明される学会もあるかと思いますけれども、永井委員長がおっしゃられるとおり、延期ではなくて、機構の認定の有無にかかわらず、自分のところはプログラム制をやるとおっしゃっている学会もあります。その場合には先ほど参考資料4にお示ししたとおり、学会では枠をはめられないという状況にありますので、そこのところをどうするか。このまま走らせてしまっては地域医療に影響が出るんじゃないかということで、この案を提示させていただいているところです。

 ですので、永井座長に仕切っていただいたとおり、学会にしっかりと意向を聞いて、それを次回こちらで報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

・羽鳥委員 プログラム制に限らなくてもいいわけですね。今までのやり方でもいいわけですね。

・永井委員長 そうです。

・羽鳥委員 それはわかりますけれども、専門医機構は来年の4月にスタートすると明言されていますので、この専門委員会では少なくとも1年間は今のままいくと、ここで宣言していただきたいと思います。

・永井委員長 学会がその意向を無視してやりますと言ったときにどうするのですか。

・島田参考人 プログラムはもうできているので、そういう学会はどうぞということなんです。

・永井委員長 それこそ、プロフェッショナルオートミーに反することになります。

・島田参考人 そんな話は、厚労省が出てきた時点で破綻しているんです。

・永井委員長 時間も過ぎていますので、とにかく私は学会の意向を確認するということをステップとして踏むべきだと思います。それを踏まえて次回さらに議論したいと思いますので、よろしいでしょうか。

 では、時間になりましたので、あとは連絡事項を事務局からお願いします。

・臨床研修指導官 次回の専門委員会の日時につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。どうもありがとうございます。

・永井委員長 それでは、本日は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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