ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第129回社会保障審議会介護給付費分科会議事録(2016年6月1日)




2016年6月1日 第129回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成28年6月1日(水)10:00~12:00


○場所

ベルサール九段


○出席者

阿部(井上参考人)、安部、伊藤、稲葉、井上、内田、河村、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、鈴木、鷲見、瀬戸、高野、武久、田中、田部井(鈴木参考人)、東、福田(直井参考人)、本多、松田(敬称略)

○議題

1.平成27年度の改定検証調査の最終報告について
2.平成28年度の改定検証調査の調査項目について
3.その他

○議事

○佐原老人保健課長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、第129回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 まず、本日の委員の出席状況ですが、大西委員、亀井委員、堀田委員から御欠席の連絡をいただいております。また、阿部泰久委員にかわり、井上隆参考人、田部井康夫委員にかわり、鈴木森夫参考人、福田富一委員にかわり、直井浩参考人に御出席をいただいております。また、齋藤訓子委員と東委員、若干おくれて参るという御連絡をいただいております。
 以上により、本日は22名の委員に御出席をいただく予定になっております。社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収方、御協力をお願いいたします。
 では、以降の進行は田中分科会長にお願いをいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。本日は「1.平成27年度の改定検証調査の最終報告」「2.平成28年度の改定検証調査の調査項目」などについて御議論をいただきます。
 まず、事務局より、資料の確認をお願いします。
○佐原老人保健課長 お手元の資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。委員名簿について一点訂正をさせていただきたいと思います。内田委員の現職のお名前について「副会長」となっておりますが「理事」が正しい記載ですので訂正をさせていただきます。失礼いたしました。
 委員名簿の後ろに資料がたくさんございますが、まず資料の1。
 それから資料の1-1から1-7までがございます。パワポの資料になっております。
 それから1-7の後に、資料の2、資料の3、資料の4、資料の5、資料の6までがございます。
 その後に、参考資料としまして、参考資料の1から5までがございます。
 過不足等がありましたら、事務局のほうまでお知らせをいただきたいと思います。
 また、本日メーンテーブルには改定検証・研究における平成27年度調査の7本の報告書(案)冊子で大変分厚いものではございますが、置かせていただいております。この報告書(案)はちょっと大部でございますので、傍聴の方にはお配りしておりません。傍聴の方には、後日、当省のホームページに全て掲載をさせていただく予定になっております。
 また、この報告書(案)7本、大変重いものでございますが、もちろんここに置いておいていただいて結構ですので、後ほど(案)が取れましたきちんと製本したものをお送りしたいと思いますし、また紙の報告書はもう要らないと、電子ファイルで送ってほしいということでありますれば、そのように対応させていただきたいと思いますので、これも事務局のほうにお申しつけいただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ここから議事次第に沿って進めてまいります。初めに議題1の「平成27年度の改定検証調査の最終報告」について議論を行います。議題1については先月24日に介護報酬改定検証・研究委員会が実施され、了承されております。まずは松田委員長からその委員会での議論の結果について御説明いただき、その後、事務局より補足説明をお願いします。
○松田委員 では、御報告させていただきます。
 5月24日に第11回の介護報酬改定検証・研究委員会を開催いたしましたので、その議論の結果につきまして御報告を申し上げます。お手元に資料2と資料3を置いていただけたらと思っています。
 この調査結果につきましては、3月下旬の分科会において一度経過概要の全体を報告させていただきました。結果、概要については3月下旬の段階から一部修正を行っていますけれども、基本的には内容は大きく異なっていません。御指摘のあった内容のうち反映できるものについては、最終報告書に反映しております。よって、委員会におきましては、この平成27年度調査については最終版として了承されました。最終報告として、ここでは御報告したいと思います。
 まず1番ですけれども、これは「看護小規模多機能型居宅介護のサービスの提供の在り方に対する調査研究事業」ですけれども、これはこの事業が在宅での療養生活の継続及び家族の介護負担の軽減等を支援するということで入ったものでございますので、その影響、効果を分析するというものでございます。一応、評価シートのほうで非常によくできているということでございますが、これに関しましては、分科会で出た意見としまして、3のほうの下のほうにありますけれども、在宅医療の限界点を高めるためのサービスであるにもかかわらず、その「終了者の理由」が「入院」が4割になっているということで、このことについてもう少しきちんと検討してほしいということで、これは次年度の調査のほうで対応させていただくことになりました。
 続きまして調査の2番目ですけれども、これは「中山間地域等におけるサービス提供の在り方に関する調査研究事業」でございまして、実際に中山間地域でいろいろな加算算定とかをやられていますけれども、そういうところがどういうサービスを提供しているのかということを中山間地域と中山間地域以外の比較もして、その問題点あるいは課題、実態を明らかにするというものでありました。
 これについても、大体よく調査できているのですけれども、一応意見のほうとしましては、中山間地域と中山間以外の地域でのサービス提供の違いみたいなものをもう少し目に見えるようにしてほしいとか、あるいは自治体での取り組みについてもう少し詳しく見てほしい、そういう意見が出たわけでございますけれども、これも御意見を踏まえまして、次の調査での対応にしたいということになっております。
 続きまして「リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究事業」です。これは目的としましては、介護保険施設や通所リハビリテーションあるいは通所介護で提供されているリハビリテーションや機能訓練につきまして、その機能の役割を明確にするということをやりましょうということで、利用者の特性あるいは事業者の特性、サービスの提供体制の目標等を調べたものでございます。これにつきましても、それぞれの実態がかなり明確にできたところでありますが、委員会、分科会等につきまして、医師との連携あるいは医療との連携のところで少しまだわかりにくい部分があるので、区分を明らかにしてほしいという御意見をいただきました。これも今後の議論の参考にするということで今回は対応しております。
 続きまして調査の4番目ですけれども、これが介護保険施設等における利用者等の医療ニーズへの対応のあり方を見るものです。これは介護保険施設におきまして、だんだん医療のニーズの高い人がふえてきておりますので、そういう方への医療提供の適切なあり方について医療保険との関係等にも留意しながら実態把握をしようというものであります。これにつきましても、このような調査が今回できたということで、ある程度のことは明らかになったのですけれども、一応、大きな問題「服薬の状況」等につきまして、やはり現場では、例えば認知症薬の問題とか抗がん剤の問題とか、いわゆる高額医薬品の問題がかなり出てきているのですけれども、そういうところをもう少し明らかにするような調査にしていただきたかったということで御指摘をいただいております。これにつきましても、ここの調査で対応したいと考えております。
 続きまして5番目が、いわゆる居宅介護支援事業所、介護支援専門員の業務の実態に関する調査であります。これにつきましては、これも非常にいろいろなことがわかったわけでありますけれども、問題点としましては、指摘がありました、例えば1人ケアマネの方が相談できる相手がいない等の問題が出てきましたので、そういうものをどのように今後対応していくのかということの議論をしたところでございます。それから、あとはケアマネジャーさんの業務に関しまして、やはりかなり書式が多く手間がかかるという指摘が出ておりまして、これも調査結果を踏まえて今後の対応を図ることになっております。いずれにしても1人ケアマネジャーさんの問題、それから業務の問題とかが明らかになった調査でありました。
 続きまして6番目ですけれども、これは介護保険サービスにおける認知症高齢者へのサービス提供に関する実態調査であります。これにつきましては、認知症高齢者の出現頻度、認知症高齢者のサービス提供実態について今まで明らかにできていなかったものが明確になったということで、非常によい評価を得ておりますが、ただこの中で分科会等における意見におきまして、その軽度の認知症の高齢者であっても被害的ないろいろな問題が出ているということでありまして、この軽度の認知症の高齢者についても少し深堀りする必要があるのではないか、そういう御指摘をいただきました。
 また、あとは認知症に関しましては、臨床的にきちんと診断されてないものが認知症と上がっているということで、この医療との関連につきまして御指摘をいただいたところでございます。これにつきましても、今後の調査で参考にさせていただきたいと考えております。
 7番目が質に関する評価であります。これにつきましては、今回はどちらかといいますと中等度以上の方を対象に、つまり肺炎とか転倒とか、そういうところのリスクを把握して、ハザードを把握して、それがどれくらい起こっているのかということで調べることによって、質の評価をやるという、そういう調査をやったわけでありますが、これにつきましては、ほぼほぼよい結果を得られまして、制度化に向けていろいろな可能性が議論されたところであります。
 ただ、一方で、軽い患者さん、あるいはADLとかIADLを見なければいけないような患者さんにつきましてどう見ていくかということで、今後、調査対象を広げるところでプロセスの観点から見るものを考えたほうがいいのではないか、そういう御指摘をいただいたところであります。また、医療と介護の制度間でかなりオーバーラップが出てきていますので、そこのところでの共通で評価できるような仕組みを考えることが必要だろうということで、例えば看護必要度のB項目みたいなものをあわせて使っていくことを考えたらどうだと、そういう御指摘をいただいたところでございます。これも今後の調査・分析において参考にしたいということで、一応結論を得ております。
 一応、以上のようなことでございまして、大体この御指摘いただいたことにつきましても対応した形での最終報告をまとめておりますので、一応これで最終報告という形で報告書にまとめたということでございます。
 以上でございます。
○佐原老人保健課長 では、事務局のほうから補足の御説明をさせていただきます。
 既に松田委員からかなり詳しく説明をしていただきましたが、補足で資料3をごらんいただきたいと思います。
 資料3は、3月に行いました改定検証・研究委員会と3月30日に行いましたこの給付費分科会で、これら7本の調査を報告させていただきましたときに、いろいろ御指摘をいただいたものを、これは網羅的にまとめたものです。
 1ページをおあけいただきますと、例えば1番目の看護小規模多機能の調査について、上が委員会における主な意見、下が分科会における主な意見ということで、以降、次の中山間地域の調査、それぞれについてまとめたものです。これらにつきまして、一つ一つどう対応したかについて整理をしたものがこの資料3になります。
 1ページ目をごらんいただきますと四角で囲っているところがあります。これは各委員の発言に対する対応方針ということで、それぞれの御指摘についてどのように対応したかをまとめたものです。
 まず1番目は調査検討組織で検討していただきまして、最終報告に反映するものです。例えば、2ページ目のこの看護小規模多機能の○の1つ目のところですが「通い・訪問・泊まりの月別の回数について、事業所別でも良いが、それぞれの回数は把握されているのか」ということにつきましては、3月に御報告したときにはそのことについてデータは出していませんでしたが、データがとれましたので、それも最終報告の中に反映させていまして、報告書の95ページに記載をする形で対応させていただいております。
 対応方針の2番目は、1ページ目のところですが「調査結果を踏まえ、今後対応を図る→指摘内容について、省として取り組む予定のもの」でございます。これは例えばどういうものかといいますと、3ページ目をおあけください。3ページ目が「中山間地域等におけるサービス提供の在り方に関する調査研究事業について」であります。こちらで一番最初のところですが「必要な訪問系・通所系サービスの提供が困難な地区」について「わからない、把握していない」との回答が8%あり、また、基準該当サービスについて「把握していない」との回答が2割程度の市町村から得られたわけでありまして、まだ2割程度の市町村でこの基準該当サービスというものについて御存じないということがわかりました。委員会等の御指摘は都道府県から市町村に情報提供するなどの取り組みが必要ではないかということで、こちらについては厚労省として改めて何らかの情報提供をする等の対応を図りたいと考えております。
 対応方針の3つ目は「今後の調査や分析においての参考とする」というものでございまして、先ほど松田委員からいろいろ御指摘をいただいたものについては、そのような対応を図りたいと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 全体としてはよろしいと思うのですけれども、調査した以上は次の改定に向けて検討を進めることになると思われますので、幾つか意見というか要望をお話ししたいと思います。
 まず1番の看護小規模多機能です。これでは、10ページの図表32を見ますと看多機は小多機に比べて病状不安定な方が多いと思うのですが、小規模多機能型居宅介護でも通いの間には往診とか認められていないわけですけれども、少なくとも看護小規模多機能では通所、いわゆる通いの、利用中でも往診を認める必要があるのではないかと考えられます。
 次の中山間地域のところですけれども、私のところは中山間地域もかなりあるので非常に現場感覚があるのですが、現在の指定地域と現場の感覚、実感が一致しないという状況がありますので、行政と事業者の話し合いにより柔軟に変更ができるようにしたらよいのではないかと思います。
 また、長い移動時間に対しては報酬上の評価も必要だろうと。これは本当に20キロ、30キロという場合もございますので、非常に非効率的でサービスの提供を拒むような事業者もいる現状もありますので、その場合には何らかのペナルティーが必要ではないかと思うのですけれども、そういった対応が今後必要ではないかと思います。
 リハビリと機能訓練のところでございますが、通所リハビリテーションと通所介護を完全に一体化するというのは難しいかもしれませんが、セラピストの配置や医師とのかかわりによって通所介護の評価を分けるということは可能だと思います。その際、医療は非営利ということでありますので、設置母体による差別化も必要になるのではないかと思います。
 4番目のほうはよくて、5番目の居宅介護支援ですが、16ページの図表35、これはよく取り上げられておりますけれども、自分の能力や資質に不安があるという方が40%ということなのですが、ケアマネの場合はいわゆる実務につくまでに実習というかそういう研修の期間が少ないので、そういう経験、年数によっても違いがあるのではないのかなと思いますので、そういった調査とか、あるいは聞くところによると、今年度から更新研修などが強化されるということでもありますので、もう少したってから、数年後再調査をしてみたらいいのではないかと思います。
 また今後独居の方がふえてまいりますので、独居モデルのケアプランの検討も必要になると思います。
 11ページの図表21ですが、1人ケアマネ事業所とそうではないところの比較なのですが、1人ケアマネ事業所はいろいろ課題も多いかと思うのですけれども、少なくとも医療機関との連携が1人ケアマネかそうでないかで違ってくるというのは問題だと思いますので、1人ケアマネの事業所であってもきちんと医療機関との連携がとれるようにすべきだと思います。
 6番目の認知症高齢者のところでございますけれども、今後は軽度者のサービスを削減していこうという動きもあるわけですが、そういう場合でも要介護ではたとえ軽くでもIADLの低い独居の方が多いという結果もわかりましたので、そういった方の対応は必要になるだろうと思います。
 最後に、サービスの質についてでございますけれども、これは医療でも同じですが、1点で評価してほかと比較しても余り意味がないので、PDCAサイクルを回してみずからの施設が少しずつ改善していくという取り組みが必要になると思います。
 以上です。
○田中分科会長 今後のあり方について御指摘いただきました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 改めてこの調査結果を見ると、介護保険が始まったころと今の環境は全く違うんだなと。まず15年間で余りにもサービスの種類がふえた。それもよく似たサービスがいっぱいあって、それぞれの認可が個別に行われ、監査が個別に行われる。看多機と小規模多機能の違いは何か。この辺についてどちらかに統一してもいいのではないかと思うのは私だけではないと思うし、今回のように介護と医療の接点を結びつけようという時代に通所介護と通所リハビリに分けていく必要があるのか。
 例えばここに書いてあるように、報告書では通所介護にOTとかPTを入れてリハビリをやっている。では、そこに書いてあるリハビリテーションという用語と機能訓練という用語との定義は何か。はっきりとしないと、福祉系では機能訓練という言葉を使い、医療系ではリハビリテーションという言葉を使い、ではその整合性は何かというと非常にわかりにくい。この30年の同時改定のときに何とかこのあたりがわかりやすいように。例えば基準該当サービスにしても、一体どのぐらい全国にあって、どんなふうに使われているのか。
 例えば中山間部であれば当然人間が少なくなって、要介護者も少なくなるのですから、自由開業制というようなことにすれば、やはり損益が出るところには民間事業者及び社会福祉法人でもなかなかサービスを提供することはやりにくいです。そうしたときに行政側がどういうサポートをするのか。「中山間地域に住んでいる人は気の毒だ」で終わるわけにはいかないと思います。
 これらのことにつきまして、5番の介護支援専門員のところですけれども、余りにも要求される業務が多過ぎて、給付管理票まで見る。例えばケアプランに入れた業者がちゃんとそれをしているかどうかの管理・監督も業務の中に入っているし、また継続研修でも非常に莫大な時間を使って受けなければ認めないということで、かなり負担になっているということは現実であるだろうと思います。
 6番目のところで、認知症については一体どこが見るべきかということ、これは介護保険部会でもお話をしたのですけれども、最近の認知症の特徴としては身体合併症を伴う認知症が多いわけです。そうすると、精神科へ行くと内科医がほとんどいないので、その身体合併症はまず二の次になると、それは患者の将来にとって非常にいいことではない。やはり認知症を専門に見るような内科系の一般病床、そういうところで精神科医と総合診療医とが一緒に診られるような体制の医療機関です。施設とは違うちょっと重症の人の医療機関は、精神科医療とはまた別に今後必要になってくるのではないかと思うわけでございます。
 そして認知症のサポート医とかいろいろなものをつくりましたから、内科医でも認知症を診るようなことができておりますけれども、やはり精神科医の助けがないとまずいのではないかと思っております。
 全体として、やはり30年の同時改定が唯一無二の今の医療と介護の継続的な利用ということで、福祉系も医療系も担当課が違うようですけれども、ここをもう少し胸襟を開いて話し合って、同一機能のサービスはできるだけまとめていくという形をとっていただければありがたいかなと。そのために、現場での調査について今年度の調査につきましても、そういう視点を入れていただくということで、この平成27年度の調査を見ておりますと、そういう感を強くしました。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 鷲見委員、お願いします。
○鷲見委員 (5)のケアマネジメントについてでございますが、現在の調査でいきますと、やはりプロセスが実践できているかどうかというあたりに焦点が行っているように思います。ケアマネジメントそのものはケアマネジャーが1人でするものではなくて、やはり職種協働で行うものですので、業務においては当然濃淡が出てくるわけです。そのケアマネジャーのかかわりについて現行では見られていないと思いますし、本来であれば、かかわったことが実際にどう効果が出てきているか、どうできて、すべきことがちゃんとできているのかどうかという視点に立って、やはりこれが見えてくるということが必要なのではないかと思います。
 特に、現行のケアプランチェックにおいてはどうしても機能維持や改善につながっているかどうかという視点が大きくて、地域で暮らす人々の自己決定であるとか看取り支援についてもこういったことも含めて見ていく必要があるのではないかと考えます。
 また、先ほどお話にもあったのですが、結論の出し方が初任者とベテランを一緒にして結論づけているというふうに見えます。研修体系がしっかりしていて、そのレベル感に合わせた研修が今回は行われるようになってきていますので、そこについても検討していただきたいと思います。
 なお、小規模多機能のような内包型のケアマネジメントと、外づけ、いわゆる居宅支援事業所が行っているケアマネジメントについて、やはりしっかり双方の課題とそれからそこを出した上で検討していくという必要があるというふうに思います。
 最後になりますが、独居がふえて地域の見守りというところが薄くなった中では認知症は本当に課題が大きく、ケアマネジャーとしてもここにはきちんとしっかりかかわっていきたいと思っています。
 以上です。
○田中分科会長 決意を含めてありがとうございました。
 内田委員、どうぞ。
○内田委員 まず(3)のリハビリテーションと機能訓練なのですが、リハビリテーションと機能訓練というのがやはり曖昧になっているなという感じが強くありますので、そこをはっきりさせていっていただきたいのと、例えばトイレでの立ち座りであるとかふだんの生活の中での歩行といったことも、やはりその方の、いわゆる生活リハビリというのにすごく関連していることで、専門職だけがかかわってやるリハビリとか機能訓練もすごく大事なのですが、当然医師とかそういう医療職との連携をしながら、でも介護職が行っているような生活リハビリ的なことも推し進めていくことが大事なのではないかなと感じております。
 あとはこの5番目の認知症高齢者へのサービス提供というところで、いただいたこの資料の中を見ると、認知症の生活自立度が(ローマ数字2)aとか(ローマ数字2)bとかという方々が、要介護度にすれば1とか2とかという状態なわけです。やはりどうも認知症と診断されている方々が、診断されていないのかもしれませんが、要介護度と連動していないというところはちょっと見受けられるのではないかと。恐らく要介護1とか要介護2ですと支給限度額があって、それを超えてサービスを使っていけないといった問題なんかも発生していないのだろうかというところがやや心配という感じがいたしました。
 それで、認知症の生活自立度の(ローマ数字2)aとか(ローマ数字2)bとかという人は、買い物ができないとか、外へ出かけたら帰れなくなるとかといったいろいろな生活障害をもう既に抱えていらっしゃる方ですから、当然訪問介護を使わざるを得ないのではないかと、必要なのではないかと思うのです。ですから、そこら辺がどうなのかなと。1と2の方々がちょっと大丈夫なのではないか、訪問介護は要らないのではないかと思われたりしているとしたら、それは違うのではないかと。
 あとは訪問介護のところでいけば、54%の御利用者が独居だということもあって、認知症の方で独居という方がやはり多いというのが見えます。こういうところで生活を支えるということでいけば、訪問介護等がかなり重要な役割を果たすのではないかと思われるのですが、これは質問です。
 独居の認知症の方がお使いになっているサービスはどういう組み合わせが多いのかというのは、この調査の中にはあるのでしょうか。
 ということで、以上です。
○田中分科会長 室長、お願いします。
○水谷認知症施策推進室長 認知症施策推進室長でございます。
 今御指摘いただいた点は、平成27年度の調査ではそういったところは調査をしてございません。この後御議論いただきます平成28年度の調査の案の中で、認知症の方に関する調査につきましては、ケアマネジメントの状況を調査したいと思っております。その中で、居宅で生活されている認知症の方についてどのようなサービスの組み合わせで提供が行われているのか、それによってどういう結果が生じているのかといったところを調査したいと思っておりますので、委員の御指摘の点については、ぜひ来年度の調査の中でそういった問題意識で調査をできればと考えてございます。
○田中分科会長 では、関連で、武久委員。
○武久委員 今の内田委員は生活支援は機能回復のほうがいいのだと、専門家は専門家で、そういうことは余り期待できないような言い方をされたのですけれども、リハビリテーションは日常に帰るための技術でございまして、生活支援もリハビリテーションを当然やっております。まだそれが十分でないというのであれば、PT、OT、STが今後反省しなければいけないことであって、いかに日常に早く帰るかということがリハビリテーションの本筋ですから、それをPT、OT、STができなくて機能回復のスタッフができるというのもちょっとおかしなことなので、そういうことではなく、実際に通所介護でOT、PTをスタッフとして雇い入れているところがたくさんあるということは、逆に言うとそういう人たちの助けをかりたほうがいいと現場は思っているわけですから、そこのところはもう少し機能訓練とリハビリテーションは同一語になるように近づけていくのが正しい方向ではないかと思います。
 以上です。
○田中分科会長 東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。
 資料3、11ページ、(7)質の評価に関することでございますが、ここの委員会における主な意見の中で「質の評価は、現状バラバラに用いられているアセスメント表を揃えるという意味で非常に重要である」という指摘がございます。今般、医療と介護の連携も声高に言われているところでございますが、実は医療の分野では病状に関する評価はもちろんきちんとされているわけです。ところが、病院の先生方が、例えばADLはどうなのかとか、認知症はどうなのかという評価をするツールが私はばらばらだと思っています。例えば、今、内田委員がおっしゃったような認知症の日常生活自立度、これはどれだけ認知症のために手がかかるかという評価でございますので、科学的な、例えば認知症のためにコミュニケーション能力がどれぐらいだとかそういう評価ではないのです。そういうことを医療機関のお医者さんがされているかというとなかなか私はされていないと思います。病気は診るけれども、そこのところはちょっと評価が余りできていない。仮にされていたとしても、その医療機関の評価とそれから介護とをつなぐケアマネさんが、またこれはいろいろな評価指標で評価をされている。それから私どもの介護を提供する場もいろいろな評価方法でやっている。これではやはり医療とケアマネさんと介護の共通言語がないという状況は非常に問題でございます。ビッグデータをとるという意味でもこれは問題でございますので、ぜひこの質の評価に関する調査研究事業がこれからますますそういうところを目途に進化をさせていただいて、ぜひ医療・介護にまたがる共通指標を開発していただくようにお願いをします。
 終了でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 お2人ですか。では、瀬戸委員、高野委員、順番にお願いします。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
 老施協の瀬戸です。
 幾つか意見と質問をさせていただきたいのですけれども、まず(3)のリハビリテーションと機能訓練に関する研究の17ページの最後、目標達成後のイメージを聞いたところ、サービス移行のイメージとして「通所リハを継続する」が79.5%となっていますが、通所リハの継続が達成目標かというところがあるので、それが本当に通所リハビリテーションのサービスに合致するのかどうかもう一度この辺のところを考えて、通所介護と通所リハビリのあり方をしっかりと検討することが必要ではないかと思います。
 それから(5)の居宅介護支援事業所と介護支援専門員のことですが、あとは5ページの資料ですが「介護支援専門員の保有資格」で看護師と准看護師が減少しているということが出ています。この理由は何かというのはすごく考える必要があるかと思っています。その理由もいろいろあるのでしょうけれども、現在医療との連携が非常に強調されていますので、例えば特定事業所加算に医療系職種がいれば評価をするとかそういうことで、やはり医療系の人たちがしっかりとケアマネジャーになることも勧めるということも一つかなと思っております。
 次は同じ資料の16ページでございまして、これは質問になるのですけれども、「業務遂行に関する悩み」で「記録する書式が多く手間がかかる」というのが約70%と最も多くなっていますが、その一番下のところにちょっとだけ自由記述で「特定事業所集中減算のため」というのが書いていますが、これ以外に書類の作成でどのような様式に手間取っているのかというのが、もしわかることがあれば教えていただきたいなと思います。
 もう一点、最後です。(7)のサービスの質の評価に関するもの。これも質問になるのですが、16ページの一番下「関連して対応すべき課題の整理」で、「質の評価については医療側での検討が進んでいる」と書いておりますので、具体的にどのような検討が進んでいるのか教えていただきたいということと、もう一つその同じ行で「介護保険制度におけるサービスについては慢性期の医療との重なりが大きいため、その医療~介護の連動についても検討が必要である」というのは、具体的どのような検討が必要なのかを、もし出ているのであれば教えていただきたいと思います。
 質問は2点でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 質問のお答えは、振興課長ですか、お願いします。
○辺見振興課長 御質問の1つ目のケアマネジャーの書類の作成に関するところでございます。調査に対する回答はご説明のとおりでありますけれども、一般的にケアマネジャーが作成する書類につきましては、ケアプラン作成過程でつくります関連書類とかサービス担当者会議における書類とか、あともう一つは、ボリューム感があるのは給付管理に伴うサービス提供事業者とのやりとりにかかわる書類と認識をしております。
○田中分科会長 質問を松田委員長、お願いします。
○松田委員 最後のページの御質問についてですけれども、例えば医療のほうで今何がやられているかといいますと幾つかあるのですけれども、例えば医政局がやっている事業で、これはもうことしで7年目になるのですけれども、病院団体ごとに質の評価指標をつくってそれを公開するという事業が進んでおります。これにつきましても、諸外国の例なども参考にやっておりまして、レセプトとDPCのデータを使って、そこから共通のロジックである程度、簡単にではないのですけれども、自動的に質の評価がつくれるようなものになってきておりまして、こういうものがかなり進んでおります。加えてDPCという制度の中で幾つか標準的な様式があるのですけれども、それを使って医療のクオリティー・インジケーターをつくっていくということがもう進んでおります。そういう意味で、医療に関しましては、諸外国の例なんかも参考にしながら、かなり質の評価が進んでおります。
 介護保険制度のところでの医療との重なりのところでは、例えば今回やったものとしましては、この中にも入っておりますけれども、転倒とか肺炎とか、いわゆる介護施設におけるメディカルなイベントのハザードを評価して、それをどのくらい防ぐことができているのか、そういう形のクオリティー・インジケーターの設定、あるいは、これは別途また研究のほうでやっておりますけれども、医療と介護の間でのいわゆるケアマネジャーさんが病院のほうに訪問するとか、いわゆる連携に関するいろいろな行為が診療報酬上あるいは介護報酬上で評価されております。そういうものがどのくらいやられているのかということを評価指標としてつくるという、そういうことも今やっているところです。
 以上です。
○田中分科会長 お待たせしました。高野委員。
○高野委員 それでは、(4)の調査研究事業の資料1-4の14ページのところでございますが、経口維持加算算定施設のうち協力歯科医療機関の関与が6割以上ということで、この概要、結果を見ますとかなり関与しているように思われますが、実際、施設に伺った経験からすると、それぞれ口腔内での課題がありながらそれが課題として認識されていなかったことも多かったと思います。そこで、入所者に対して口腔のアセスメントがなされるならば、もっと多くのニーズが明らかになり、適切な歯科保健サービスにスムーズにつなげることも可能になると考えます。こう考えると約6割の協力歯科医療機関の関与は少ないと考えるべきだと思います。
 それと経口維持加算の((ローマ数字1))と((ローマ数字2))を比べますと、継続的に関与が少なく、逆に言うと我々歯科医がもっとミールラウンドを通して積極的に関与していく努力もするべきかと思いましたので、意見として述べさせていただきました。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 1つ質問をさせていただきたいと思います。
 資料1-5の居宅介護支援事業所に関する調査について、17ページのところ、詳しくタイムスタディを個別に出しているところですが、図表37で「研修・講演等」と書いてある、この「研修」というのは、研修を受けるものなのか、それとも研修に行って教えるものなのか、どちらも入っているのかというところを1点確認させていただきたいと思います。
○田中分科会長 事務局でおわかりですか。振興課長、お願いします。
○辺見振興課長 小分類がありまして、受講と委員会等への出席、講師、両方入っております。
○田中分科会長 どうぞ。
○伊藤委員 受講と講師と両方入っているということですと、図表38ですとか、ほかにもあるのですが、この「研修等」というのが区別のつかない間接業務時間というところで丸められておりますので、今後ケアマネの間接業務を減らしていくことで業務に集中できるようにするという検討をしていくというときに、こういうデータを使っていくとすれば、研修機会が失われることがないよう、分析に当たってはそういう留意をお願いしたいと思います。
○田中分科会長 御指摘ありがとうございます。
 鈴木参考人、どうぞ。
○鈴木参考人 認知症の人と家族の会の鈴木です。
 (6)の認知症高齢者の調査研究のところですが、21ページのところにも指摘されていますように、認知症の人に対するケアの方針があるかないかということについて、認知症対応型通所介護とか小規模とかグループホームに、方針があるという事業所の比率が高いのは当然と思うのですが、逆に訪問介護とか訪問リハビリテーション、訪問看護、通所介護、それから施設系でも特養とか老健が非常に低いという、結果であります。これは我々本人や家族の立場からして非常に残念であり、そういうところの改善をぜひお願いをしたいと思います。
 それと好対照というわけではないのですけれども、その21ページの表の右側のほうのアセスメントの項目の中で赤く囲ってある「主介護者の介護負担・健康状態」、本人だけではなくて介護している人の負担とか健康状態に関心を持ち、アセスメントしていただいているというのは、非常にありがたいことだと思うのですけれども、そのアセスメント率の高いところと本人に対するケアの方針がないところがほぼ一致しているので、ぜひ本人と家族との両方に焦点を当てていただきたいと思います。
 これは24ページの図表39というところにも「家族支援」をしっかりやっていただいているというのが訪問リハ、訪問看護、通所リハなどで家族の健康状態や介護の負担に対するアセスメントの実施比率が、高くなっていることとあわせて考えると、本人に対するしっかりしたアセスメントとかケアにもぜひ同様なとりくみをお願いしたいというのが私の意見です。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。今後のサービスのあり方についてでした。
 一わたりよろしゅうございますか。もう一つですか。高野委員、どうぞ。
○高野委員 済みません。先ほどと関連しますが、認知症(6)で資料の1-6の23ページでございます。このそれぞれの認知症対応型共同生活介護の中で、歯科医の関与が71.4%ということがございますが、特に認知症の方は本人がそういうトラブルとかいろいろな課題を訴えることができません。そういう意味で先ほどと関連しますが、口腔のアセスメントが必要になるかと思います。あとは認知症になった場合に、義歯なども新しくつくったものを認知して使っていただけないということもありますので、認知症になる以前に通院しているときから認知症になることを早期に発見して対応していくべきということが加わると思います。それは歯科医が、逆に言うと認知症の協働、グループホームのほうは71%ですが、それ以外の施設がかなり低いので、これから努力していかなければいけない面かなと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。議題1については、一わたりよろしゅうございますか。
 皆さん、今後についてのサジェスチョンをいろいろと言っていただいたので、報告そのものについては本日の資料をもって最終報告とさせていただきます。事務局と調整の上、私に一任いただいて最終報告とさせていただきます。
 続いて、議題2「平成28年度の改定検証調査の調査項目」について、事務局から説明お願いします。
○佐原老人保健課長 それでは、お手元の資料4と5、6が関係の資料になります。
 まず、資料4について御説明いたします。資料4は平成28年度調査の進め方についての案です。従前と基本的にはスケジュール感は変わっておりませんが、改めて説明をさせていただきます。
 まず、5月24日に第11回の介護報酬改定検証・研究委員会を開催させていただきました。委員は3ページ目についているとおりであります。松田委員を委員長にお願いしております。こちらで調査の進め方及び具体的な調査項目について議論をしていただきまして、後ほど御紹介をします7本の調査について案をまとめていただきました。
 本日6月1日、給付費分科会におきましてこの委員会で取りまとめた項目内容について御審議をいただいて、大筋の御了解をいただきたいと思っております。
 その後、6月・7月になりますが、外部委託して調査をやることになりますので、厚労省において調査に関する仕様書を作成し、入札して受託機関を決定することになります。この段階、仕様書を作成する段階から、検証・研究委員会の委員の先生には関与いただいてやっていきたいと思っております。
 7月・8月ですが、受託機関が決まりましたら、受託機関と協議の上、調査票をつくっていきたいと思っております。この際にも、適宜、検証・研究委員会の先生方からの御意見もいただく予定にしております。また、昨年度と同様ことしも7本の調査を予定しておりますが、それぞれにつきまして、この研究委員会の委員を委員長として、調査内容に関する有識者、受託機関により構成される調査検討組織、それぞれの調査の調査チームのようなものをつくりまして、調査票のさらなる検討を行った上で、9月になると思いますが、改定検証・研究委員会としての御審議をいただき、もう一度この分科会で御審議をいただいた上で10月に調査に入りたいと考えております。
 1枚おあけいただきまして、11月・12月に分析・検証という形で、3月には昨年度と同様暫定的な結果の御報告、そして実際には年度が明けてしまうと思いますが、4月・5月に最終的な、今日のような分科会への最終報告という流れで考えております。
 次に、どのような調査をやっていくかについてですが、資料の5をおあけください。資料5は、全体像ということで前にもお示しをしている絵でございますが、左側に平成27年度介護報酬改定、右側に30年度介護報酬改定等がございます。これに向けて平成27年度7本、先ほど御承認いただきましたものに加えまして、28年度7本をやっていきたいと考えております。
 この中身につきましては、ゼロから考えるわけではありません。2ページ目ですが、「平成27年度介護報酬改定を踏まえた今後の課題」というものが既にこの分科会でおまとめいただいております。審議報告の中で今後の課題ということでこちらに書いている●のところをおまとめいただきまして、これに基づいてさらに次の3ページ目の右側になります。「調査項目(平成27年度~)」で、ここに書いてありますような(1)(2)(3)(4)とそれから(1)(2)ということで、こういったものについてやっていくべきということを既に御審議いただいております。したがって、平成28年度はこれらを基本に、ただし平成27年度と重複しないように配慮しながら進めていきたいと考えております。
 資料6をごらんいただきたいと思います。資料6は28年度に予定しております具体的な調査の7本についてです。1から7までありますが、それぞれ1ページごとに概要を記載しております。
 まず、2ページ目は「通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等の中重度者等へのリハビリテーション内容等の実態把握調査事業」であります。こちらについて「1.調査の目的」というところですが、リハビリテーションについては、平成27年度介護報酬改定においてリハビリの質の向上や社会参加を促すような評価がなされたところであります。
 平成28年度調査においては、1)通所リハビリと訪問リハビリテーションにおける介護報酬改定後の評価を検証する、例えば社会参加支援加算というものが新しくスタートしていますが、そういったものの検証をしていくとともに、もう一つは、2)維持期リハに関する平成28年度診療報酬改定も踏まえつつ、中重度者等に関するリハビリテーション内容の実態を把握し、診療報酬・介護報酬同時改定に向けた検討の資料としたいと考えております。
 ちなみに、診療報酬のほう、中医協のほうでも検証の作業を進めることになっておりまして、維持期リハビリテーションに関しては診療報酬側からの調査もやるということですので、その動向も踏まえつつやっていきたいと考えております。
 また、調査目的のところの3段目ですが、あわせてPT、OT、STが提供するサービス、これは訪問リハビリテーションと訪問看護ステーションからの訪問における機能と役割の違いについても、これは平成27年度調査では調べておりませんので調査をしたいと考えております。
 2つ目が、3ページ目をおあけください。こちらは「病院・診療所等が行う中重度者の医療ニーズに関する調査研究事業」です。「1.調査の目的」のところですが、今後、慢性疾患や認知症を有する医療ニーズの高い中重度の要介護者の増加が見込まれる中で、病院・診療所に入院する患者、特に長期に入院される患者さんについて在宅医療等を活用し地域でどのように受けとめていくかということが課題となっています。
 慢性期医療を担う病院・診療所、例えば介護療養型医療施設等がありますが、そういったところで行われている医療あるいは経管栄養・喀痰吸引を必要とする患者さんに対しての看護・介護など、どのようなものが行われていて、また、これらを今後地域で受けていく、訪問看護ステーションあるいは看護小規模多機能などでのサービスの状況等の調査を行いまして、長期に病院・診療所で入院されている患者さんが住みなれた地域で生活していくために必要な機能を明確化する。これも同時改定に向けてのデータの収集を行っていくものです。中医協のほうでも診療報酬の観点から同様の調査を行うと聞いております。
 3番目ですが、次のページで、こちらは「介護老人保健施設における施設の目的を踏まえたサービスの適正な提供体制等に関する調査研究事業」です。「1.調査の目的」ですが、老健施設は、入所者が居宅で生活できるようリハビリテーション等を提供する施設であり、今後、慢性期の医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者が増加していく中で、当該施設の本来の目的に沿った取り組みがより重要と考えられます。
 平成27年度調査では、先ほどの4番目の調査ですが、介護保険3施設間の比較を念頭に主に共通事項についての調査を行っております。28年度調査については老健施設に特化した内容で調査をしたいと思っております。例えば介護老人保健施設で提供される施設サービスから居宅サービスへの円滑なサービスの移行に向けた取り組みや、介護老人保健施設おける在宅支援の取り組み、それから、例えば3ポツ目ですが、介護老人保健施設のサービスを活用することで在宅での生活を円滑に行うことが可能な利用者というのは一体どういった方々なのかといったことについて、より深堀りした調査をしていってはどうかと考えております。
 4番目の調査ですが、5ページ目をおあけください。「介護老人福祉施設における医療的ケアの現状についての調査研究事業」です。「1.調査の目的」ですが、介護老人福祉施設については、入所者の重度化が進む中で、特に看取り期における医療ニーズに対応した医療提供状況を把握していく必要があると考えられます。平成27年度調査では、先ほどの老健施設と同様、介護保険3施設間の比較を念頭に共通事項についての調査が行われたところです。平成28年度調査については、例えば非常勤の医師が勤務することが多い介護老人福祉施設における医療的ケアの現状をもう少し掘り下げて調査する、あるいは医療職を初めとした職員の夜間の配置体制の実態はどうなっているのか、あるいは施設ごとの医療提供状況の違い、看取りを入所施設で完結するために外部医療機関との連携体制はどうなっているのかといったことについて調査をしてはどうかというものです。
 次ですが、6ページ目をお開けください。こちらは「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業」であります。「1.調査の目的」ですが、平成27年度調査においては居宅介護支援事業所の効果的な事業運営のあり方を検討するため、居宅介護支援事業所及び地域包括センターや、そこに従事するケアマネジャーの業務実態を把握したところであります。平成28年度調査は、ケアマネジャーの業務実態等を適切に把握するため、経年的に行うことが必要であることに加えて、先般、介護保険部会においてケアマネジメントのあり方について御議論いただいたのですが、その際に「自立支援、公正中立、総合的かつ効率的なサービス提供の視点に基づく適切なケアマネジメントを確立するための方策」等の論点が挙げられております。これらの検討を進めていくに必要な調査・検討事項を検討いたしまして、データの収集をしていきたいと考えております。
 次の6本目です。こちらは「認知症高齢者への介護保険サービス提供におけるケアマネジメント等に関する調査研究事業」です。まず「1.調査の目的」です。平成27年度調査では、認知症高齢者に対するサービス提供の状況や事業所の体制について、これは各介護保険サービス、13のサービスについて横断的な調査を実施したところであります。平成28年度調査では、平成27年度調査を踏まえて以下の調査を実施するということで大きく2つございます。1つはケアマネジャーによるADL/IADLの状態や鑑別診断実施の把握等のケアマネジメントのプロセスの実施状況、認知症の容体に応じた介護サービスの組み合わせということです。こちらについては「2.調査客体」の(マル1)が連動しますが、認知症高齢者に対するケアマネジメント調査ということで、居宅介護支援事業所に調査をする。先ほどの御議論の中で御質問がありましたことに関係するところです。それから、「1.調査の目的」の2)ですが、介護保険施設・サービス事業者が、これは13のサービス事業者を対象にしておりますが、それぞれが日常生活のケアを提供していく上でどのようなアセスメントを行っているか、あるいは医療機関との連携等についてはどのようになっているか等について調査をするものです。
 最後が「介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業」です。こちらは平成27年度調査の発展系となります。平成27年度の調査では、まず心身機能に関する介護保険各サービス共通のアセスメント項目を検討いただき、老人保健施設とケアマネ事業所で、そのアセスメント項目ver.1と呼んでおりましたが、これをやっていただいて、ver.2をつくっていただきました。平成28年度は4行目くらいに書いてありますが、これらの状況も踏まえつつ、平成27年度に調査対象としなかった他のサービスも対象として検討した上で、昨年度に作成したデータ項目に基づき、これはver.2というものですが、介護保険におけるサービスの質の評価のあり方及び周辺課題に関する検討を行うものです。こちらについては、「2.調査客体」のところで、(マル1)、(マル2)は27年度もやりましたが、(マル3)として通所介護事業所を追加するとともに、その他のサービスについてもできるだけ加えまして、共通のアセスメント項目としてどういうものが必要なのか等についてさらなる検討をしていただく。また、これを来るべき質の評価につなげていきたいということです。
 以上が、先週行われました改定検証・研究委員会で御議論いただいた内容になっております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、ただいまの説明について御質問、御意見あればお願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 これはこれからの調査ということなので、何点か意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、最初の通所及び訪問リハのところです。これは説明に含まれていたのかもしれませんけれども、今回の平成28年度診療報酬改定で医療保険から介護保険へリハビリの移行を促進するために目標設定等支援・管理料が新設されています。これは結構大きなインパクトがあるのではないかと思うのですが、その影響について、介護側でも調査をしていただきたいと思います。
 それから、2番目の病院・診療所の中重度のニーズのところです。本日も午後から療養病床の特別部会が開催されますけれども、介護療養病床、あるいは、職員25対1の療養病床に対して、平成29年度末の経過措置の終了に対する現場の医療機関の要望や、あるいは自らの施設の対応の予定、そうしたものも一緒に調査していただければと思います。
 4番目は介護老人福祉施設についてです。ここは我々の会員の先生方からも配置医の業務の見直しをぜひしていただきたいという声が強いのですが、まずは配置医の業務と、報酬の現状についての調査を、報酬は月0~80万円という話もあるようなので、現状についての調査をしていただきたいということと、あわせて、介護老人福祉施設に対する医療提供のあり方についての調査もしていただきたいと思います。
 (5)の居宅介護支援事業所についてです。何回も文章中に「公正中立」とこれ見よがしに書いてありますけれども、この公正中立に対する現場の受けとめ方をぜひ調査していただきたいと思います。
 そして、前回の改定は、我々の調査では大幅なマイナス改定が一番の問題でしたが、次が特定事業所集中減算、その次が配置医の問題でしたので、特定事業所集中減算に対する評価もぜひ調査をしていただきたいと思います。
 一方、不適切なケアプランを排除するために現場で考えられる取り組みについても調査をしていただきたいと思います。
 さらに、地域包括支援センターがケアマネの相談に応じることになっていますが、なかなか相談しない場合もあると聞いておりますので、相談しない理由について調査をしていただきたいと思います。
 また、行政によるケアプラン点検の話もありましたけれども、市町村ごとにいわゆるローカルルールが多過ぎて、現場のスタッフが苦慮している現状がありますので、それについても踏み込んだ調査をしていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。井上委員、それから安部委員と回っていきます。
 井上委員、最初にどうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 少し後ろのほうになってしまいます。(7)質の評価のところの最後の(マル3)活動・参加の指標の検討ということですので、これから検討されると思うのですが、この場合、心身機能だけではなくて、社会活動参加についても指標を検討することになっております。今後の検討課題だろうと思うのですが、今の時点でどんなイメージで指標をつくられるのかということをお聞かせ願えればと思います。といいますのは、これについては利用者の自己決定、個人の意欲、さらに環境などがかかわってくる部分ですので、どのような指標がつくられるのかすごく興味を持つ部分でもあります。利用者にとっては大事なことなので、どういうイメージをもっていらっしゃるのか、ぜひお聞かせ願えればありがたいです。
○田中分科会長 現時点で可能でしょうか。
○松田委員 前回の私どもの分科会でいろいろ議論をいたしました。その中で既にこの活動参加に関連する調査はいろいろなものがやられています。あるいは、都道府県がずっと開発してきたIADLでありますとか、あるいは厚生労働省が以前やっていました日常生活圏域総合調査がございますけれども、その中にもこの活動参加に関連する指標がかなり含まれています。そういうものを参考にしながら今回は選びたいなと思っています。新たにいろいろなものを設定してしまうよりも、過去にいわゆる参照できるデータがある指標を使っていったほうが多分よろしいだろうと思いますので、既に蓄積がございますので、そういうもので活動参加に関する指標は設定していきたいと考えています。
○田中分科会長 安部委員、どうぞ。
○安部委員 薬剤師の立場から要望を申し上げたいと思っております。まず(3)の介護老人保健施設における調査研究事業でございますが、私も薬局で仕事をしていますとさまざまな御相談を受けることがございます。薬に関する相談でございますけれども、介護老人保健施設に入所されたいという方の中で、積極的な治療ということではなくて、生活機能の維持や体調管理、疾病悪化の予防等で使っている薬剤の中で高額な薬剤が必要な場合がございます。そういった場合には、今の制度の中では老人保健施設で受け入れたい場合でも、受け入れられない体制になっていることがあろうかと思います。本来、老人保健施設に入りたい、対象としてもふさわしい方がそういった理由で老人保健施設を利用できない事実があると私は理解しておりますので、その点についてはどういう状況にあるのかということや、その状況に応じて解決するすべがあるのかということに関し、今後検討が必要かと思いますので、調査研究の設計の折にそういった点も配慮していただければと考えます。
 もう一点でありますけれども、(4)の介護老人福祉施設における調査研究事業のところでございます。
 3ポツのところの主な調査項目のところに「外部連携」というところがございます。ここに外部医療機関、歯科医療機関と書いてございますが、薬局が抜けております。直近では介護老人保健福祉施設に地域の薬局がさまざまな医薬品の供給や施設における管理というものも連携している事例が多いと聞いておりますので、医薬品の適正使用でありますとか、適正な管理の確保を効率的・効果的に行うという観点からも、せっかく「外部連携」という項目がございますので、薬局についても必要な調査をしていただければと思っております。
 それから(6)について、認知症高齢者に関しても、介護老人保健福祉施設と同様にさまざまな事業所サービスがある中で薬剤師が関与しているところもございますので、薬局との連携ということもあわせて項目として検討していただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 伊藤です。
 順番にいきますと(1)の通所リハ、訪問リハ等ですが、これについては、今回、事業所と利用者双方から提供されているリハビリテーションの内容について把握していくということで大変重要な調査だと思っております。しかし回収ができなかった事業所においても、質の面で課題を抱えている場合が考えられますので、回収率を上げるということかもしれませんが、ぜひ回答してきていない事業所における課題をいかに吸い上げるかという工夫をお願いしたいと思います。
 別紙2の中重度の医療ニーズに関する調査ですけれども、訪問看護ステーション等についての調査では、職員体制が項目の例に挙がっております。医療介護サービスの提供に関して勤務体制は非常に関係してくるところですので、職員体制として勤務体制も含めて調査していきたいと思います。
 6ページの居宅介護支援事業所に関する調査ですが、調査の目的として介護保険部会において論点が挙げられていることが引き合いに出されていて、ぜひその議論に資する形で今回調査が実施できればとは思いますが、先ほど資料4で御紹介いただいたスケジュールですと、11月・12月に集計・分析・検証、1月・2月に分析・検証で、結果が3月以降ということになっています。しかし介護保険部会のほうで今年、あれは2月17日だったと記憶していますけれども、三浦局長から年内をめどに意見を取りまとめていただければと考えていますというお話もありました。そうすると、取りまとめた後にこの居宅介護支援のケアマネ問題は引き続いて検討するということなのかどうかわかりませんけれども、恐らくやはり年内の取りまとめに向けて検討していく中に含まれると思っているのです。既に部会でも一回議論していますので、そのスケジュールと整合がとれているのかということをやや問題として感じましたので、調査結果が生かせる形で前倒しでやるということなのかどうか、伺いたいと思います。
 中身のことで言いますと、会計検査院から公正・中立なプランを作っていくという点で指摘がありましたけれども、ややその理解について、私は、その指摘というのは前提として、今のケアプランが公正・中立に作れるものであるのだという前提に立っているのだろうと思うのですが、そこに疑問があります。
 そういう意味でもこの利用者調査で利用者の意向を把握する工夫をぜひやっていただきたいと思いますし、実施に当たっては、事業所を通じて配票したり回収することによる調査バイアスの問題が出てくるので、その辺はぜひ可能な限り排除する工夫をお願いしたいと思います。
 1点、質問をさせていただきました。
○田中分科会長 スケジュールについて質問がありましたので、お答えください。
○佐原老人保健課長 スケジュールにつきましてですが、基本的にはこのケアマネジャーのところの調査も含めまして、先ほど御説明させていただいたようなスケジュール感になると思います。したがって、結果が出てくるのは、2月あるいは3月になると思いますので、その結果は介護保険部会の議論というよりは、実際の報酬設定のところで活用させていただく形になってくると思います。
 ただ、調査の進展のぐあいによって途中段階の調査の結果を御報告することが、そこは調査委員会とも御相談しながらですが、その辺は少し考えていきたいと思います。
○田中分科会長 稲葉委員、手を挙げていますね。
○稲葉委員 平成28年度の事業というために限定するつもりはないのですが、今後のサービスの質の評価に関する調査研究について3点ほど意見を申し上げたいと思います。まずサービスの質を向上させるためには、サービスを提供する事業者が質の向上の努力をするほかはない。それで質向上の努力のモチベーションとなるのは、サービス提供事業者にとっての、例えば加算がつくとか、また利用者から選ばれる、選ばれたいということになるわけです。現実には選ばれるためにはケアマネジャーが間に立って紹介するという実態があります。したがって、公に認められた質の評価基準に照らして、質の高いサービス提供事業所をケアマネジャーが利用者に紹介するという流れができるならば、サービスの質は上がっていくはずだと考えます。
 そこで、ケアマネジャーや利用者が納得して使える評価システムというものを目指していただきたいというふうに思います。そうなると先ほどから出ておりますケアマネジャーの公正中立という点においても、認められた評価に照らしてサービス提供事業者が選ばれるという点においては、文句なくといいますか利用者の利益に対して適切な紹介が行われているという公正中立性の確保にもなるのではないかと考えます。
 2点目です。その評価の対象がサービス行為そのものなのか、サービス行為を行う個人であるのか、またサービス提供事業所なのかなどをちょっとこれまでのいろいろな事業を見ていくと少しわかりづらいところがあったので、分けて整理して調査研究が進められることを望みます。
 3点目です。サービス提供事業所の質を考えるときには、例えば介護福祉士であるとか、専門職のことはよくクローズアップされますが、実際に事業所内では、管理者、その事業体によって施設長とか主任とかリーダーとなるような、実際に管理や指導を行う立場の人の影響が少なくはありません。ですので、そういった管理指導を行う立場の人の機能やその影響などについても触れながら調査研究を進めていただくと質の向上が進むのではないかと考えますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 今の話により、質の評価が進んで、いいサービスとそうでないサービスがはっきりわかるようになってくると、当然いいサービスのところに利用が集中します。そうすると、現状で特定事業所集中減算に引っかかることになります。即ち、質の向上を図ると特定集中減算に引っかかって減産されるという非常に不合理な話が起きるのです。ですから、質の向上を図るには、公正中立がイコール特定事業所集中減算ではないことをはっきりさせて、質を高めることが事業所にとってプラスになることにしないと質の向上は進ないと思います。ここはぜひセットで考えていただきたいと思います。
○田中分科会長 重要な論点です。ありがとうございます。
 東委員、お願いします。
○東委員 まず、先ほど二人の委員からお話がありましたので、少しコメントを申し上げたいと思います。
 まず、井上委員のほうから、活動参加の指標の具体的なものがイメージできないという御質問でございます。先ほど松田委員から少し御回答があったと思いますが、私どもの全国老人保健施設協会でこの活動と参加ということに対するICFに基づいた指標を何年か前から出してございますので、もしよろしければそれをごらんになっていただきたいと思います。
 安部委員のほうから、先ほど老健に入所するときに使っている薬剤が高価だと入れないという御発言があったのですが、確かにそういう老健もあるかもしれませんけれども、基本的に老人保健施設の場合、医療は包括でございます。もちろん、全く薬剤を使用していない利用者さんもいるわけですから、多少薬剤の単価が高い方がいらしたとしても、それは平均すると適当なところに落ちつくわけですから、基本的には使用薬剤が高価であったから入所を断られるということはないと私は信じております。仮にそういうところがあれば、またしっかりと指導をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それから、今回の調査研究事業の件でございます。資料6の(3)介護老人保健施設における調査研究事業でございますが、今回は平成27年よりももう少し深堀りしたということになっておりますが、今回の特徴は調査客体に自治体が入っているところでございます。この自治体のところの3ポツの(マル2)を見ていただきますと、自治体ごとの老健の整備状況等の調査というところで「開設事業所数・定員数、圏内の医療・介護サービスの状況」となっておりますが、ここはぜひ私ども老健の場合はいわゆる強化型老健、支援加算型老健というふうな類型もございますので、そういう類型に分けた整備状況及び、できたらそこのところの稼働率とかそういうものを調べていただけたらと思いますし、老健は在宅支援機能を持っておりますので、自治体に調査をする場合にこの(マル1)の老健のところではいわゆるショートとか通所とか訪リハの調査もするわけでございますので、自治体調査の場合でも、圏域、地域によって訪問リハビリや通所リハビリ、ショートステイが老健によってどれぐらいサービスが提供されているのかというところも、もし余裕があれば深堀りをして調査をしていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 武久委員、お願いします。
○武久委員 最初の鈴木委員の意見に私も賛成ですけれども、慢性期医療を中心にやっている者の立場としてもう少し詳しく要望したいと思いますが、維持期リハビリテーションがいわゆる介護保険サービスの通所リハビリテーション等に移行するようにということで、現実に実態としては維持期リハビリテーションの点数が約半分になっている。
 ところが、利用者はやはり医療機関のリハビリに対する愛着というか信頼度が結構ありまして、やはり何が違うかというとまずマンツーマンで行っていただけるというのがあると思います。この移行をいかにうまくするかですけれども、ちょっとした急性期病院では通所リハビリテーションを自分のところで設ける余裕がないところもございますし、この辺のところのスムーズな移行がどうかということ、やはり移行するにはリハビリのレベルが、維持期のリハビリと介護保険の通所リハビリのレベルが類似しているというかよく似ていることが条件になるのではないかと思うのですけれども、そのための整備がもう一つ機能的にも不十分ではないかと思われます。
 それで満足度の調査を一回していただけたらと思います。医療の維持期リハが通所リハに変わったというときにどちらがよかったかということを、聞きにくいかと思いますが、何か御意見があれば知らせてくださいということも要ると思いますし、また、アウトカム評価です。これは重要かと思いますので、今回医療のリハビリテーションにはFIMの利得ということで27点というのが出てまいりましたけれども、このような具体的な点数はともかくADLで何ができるようになったとかいうようなFIMの点数でもいいですけれども、何かしらの評価があるほうが介護保険のほうに移行しやすいかなと。EBMも要るかと思います。
 4番目の介護老人福祉施設ですけれども、古くから特養をやっているところは患者さんがだんだん重症化してまいります。悪くなって医療機関に紹介して、例えば胃ろうをつくっていただくとかいろいろなことで帰ってくるときに、特養では受けられませんということは紹介した手前なかなかそんなことは言えないので、引き受けていくとなってくるとだんだん重症者がふえまして、それに対して今の特養のスタッフでは医療的なスタッフは看護師100人に3人ということですから、対応できないとなると、外からの医療の提供に期待をしないといけない。ところが、これは戦後ちょっと問題がありまして、特養にお医者さんが自由に行って乱診乱療をしたという昔のことがありまして、それ以後、再診料も取れないし、何も取れないということで、いわゆる特養と関連する医療機関からは来てくれるけれども、そうでないところは、現実になかなか渋って来てくれない。
 配置医の問題も、いまだ前世紀の遺物のように特養の中に診療所をつくれと。その診療所の管理者になった人は、ほかのところはあとは1カ所しかできないとか、変なことがありまして、現実に特養の中に診療所が要るのかというと、配置医というのは名ばかりであって、やはり往診に来てくれる先生は別の先生だったり、いろいろしますので、そこのところをちゃんと医療機関に対して来やすい制度にしていただかないと難しいと思いますので、そのような項目をぜひ入れていただいたらいいと思います。
 連携医師の意見なんかも聞いていただいたらと思います。やはり特養に重症者がどんどん入ってきて、それから急性期を絞っていって、慢性期も認知対象の慢性期治療病棟しか認めなくて、あとは施設とか住居になっていくとだんだん老健や特養に重症者がしわ寄せにしてくると。それに対する対応が十分できるようなことを聞いていただけたらありがたいというふうに思っております。
 5番目です。居宅介護支援事業者ですけれども、いろいろなケアマネジャーを「レベルが低いからいろいろなことをできていない」「できていない」と言われるのですが、どこから言われるかというとあちらこちらから言われている。被害者意識があるのですけれども、これというのは、言いやすいから「これもやれ」「あれもやれ」といって、やらないといけない項目を余りにも多く押しつけておいて、そして十分にできないから、できないのはけしからんから研修をもっともっと厳しくしろと。1週間もかけて研修しろと。職種によって、こんなに研修を強要している職種はありません。どういうところかなと思いますから。
 まず27年度のときにも出ていましたが、ケアマネジャーとしては自分の仕事はどれかというのを順番につけさせたらいいと思います。この辺の医療と介護の接点だからケアマネジャーがしっかりしないといけないから、ケアマネジャーにいろいろなことをやらせろという要求はあると思いますけれども、ここは一つ問題だと思います。
 もう一つ。一生懸命真面目なケアマネジャーがケアマネジメントに時間をかけてやって、複数のケアプランを立てた。それで家族のところに持っていったら「こんなの要らん、要らん。ヘルパーだけ来てくれたらええんや」ということを言われたのがどのくらいあるかです。それに対して、自分の信念に基づいてケアマネジメントのこの利用者のためにはこういうケアプランがいいんですと一言でも文句を言えば「もうあんた要らんからやめといて。別のケアマネにするから」と。こういうケアマネジャー哀史的な、非常に厳しい環境で仕事をしているのがケアマネジャーです。これをもうちょっと理解していただかないといけないなと思いますし、やはり業務の整理というのが必要だと思います。
 認知症ですけれども、先ほど言いましたように、認知症には身体合併症が非常に多いのですが、身体合併症のことについて聞く項目がございませんので、できれば身体合併症について聞くということも入れていただいていいと思います。
 それと何科の先生が主治医かということも聞いていただけるとよりいいかなと思いますので、この認知症については、今後介護保険上での目玉、また医療保険上でも目玉となると思いますのでその辺をよく聞いていただけたらと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 適切な御指摘、ありがとうございました。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 5ページ目の特養の医療的ケアの現状のところでございますが、どんな行為をやっているのか、どんな体制でやっているのかということかと思っております。昨年、私どもで特養と老健に勤めている看護職の実態調査をさせていただいたのですが、近年、やはり入居者が重度化しているのと、医療処置が多くなってきていることが背景にあるかとは思うのですが、医療事故を起こしそうで不安だと回答してい看護職が多くなってきているという印象を持っております。特養の医療提供体制については、介護職員による喀痰吸引等の問題、それから介護職の医療行為に対する要望を拡大していくのかどうかということも課題としてあろうかと思うのですけれども、あわせて医療事故や医療安全の対策等もきちんととっていかないと現場ではケアに携わる職種が厳しい状況に置かれてしまうと思います。医療事故等のアクシデントが一たび起こると問題が長期化するというのは見えていますので、ぜひここの医療提供体制のところには医療安全の対策、それからインシデントの発生等についても加えて調査項目に入れておくべきではないかと思います。
○田中分科会長 本多委員、どうぞ。
○本多委員 先ほどの服薬の関係でございますが、施設の中で残薬指導などを行われている状況を把握できるのであれば、調べていただきたいと思います。あわせて施設の関係ですが、5ページの看取りについて、看取り介護加算が今回から算定できるようになりましたが、加算を算定している中で、救急搬送されるケースもあるかと思いますが、中には家族の意向によって看取りの場が変わることもあるかと思います。その状況や割合などを出していただければと思います。
 あと老健施設の関係になるかもしれませんが、入所の経緯や、退所後どこにいくということは調べられているかと思いますが、中には再入所、再々入所される方もいると思いますので、その実態と原因をもし調べることができれば、あわせて調べていただければと思います。
○田中分科会長 瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
 まず(1)の通所、訪問リハビリテーション等の重度者へのリハビリテーションに関しては、訪問リハとか通所リハビリテーションから通所介護への移行に関してもしっかりと調査をしていただきたいと思います。27年度改定でその流れができていまして、受けるということをしっかりとやっている事業所が通所介護にはたくさんありますので、積極的に受ける体制を維持できるような形を今後もとるような調査をしていただけばなと思います。
 (4)の老人福祉施設における医療的ケアに関してですが、現在、皆さん御存じのように介護職員には認定特定行為業務従事者という医行為をある一定条件のもとである程度できる職員がおります。ただ、それらの人に対する評価が実は余りなくて、介護福祉士として一部の加算に評価はありますけれども、医行為ができる職員がある程度評価されるようなことも把握できるようなこと、項目に入っているようでございますが、それを改めて調査していただければ大変ありがたいと思います。
 また要望と先ほど齋藤委員もちょっと懸念されておりましたが、「医行為に関する、実施に関する要望というのはどういうことなのか、広げるのか」ということですが、実態としては、例えば在宅ではインスリンの自己注射への補助とか胃ろうの栄養などは、家族が行っていれば問題はないのですが、残念ながら介護職員とかはできないで困っているという実態等もたくさんありますので、そういうことも把握できるようにしていただければなと思います。これらをすることで、介護福祉士等の業務拡大も含めて検討がされたり、先ほど言ったように、行為ができる職員の評価につながっていくのではないかと思いますし、そうすることで、今介護人材不足が問題になっている中で厚労省も山を高くするとおっしゃっていますので、そういう介護の人たちの質という山を高くする観点にもなるのではないかと思います。またこのことによって当然、看護職員も限られた中でやっていますので、看護職員がより専門的な業務に専念できるように、看護職員の負担軽減の観点からもとても有効だと思っています。ここは将来的にどうなるのかわからないですけれども、医行為をできる介護職員を准看護師等との兼ね合いもありますが看護職員にカウントできる考え方もできるような、そんな実態がわかるような調査をしていただければなと思います。
 (5)の居宅介護支援事業所に関してですが、特定事業所集中減算に関してはしっかりと調査をしていただきたいと思います。先般、会計検査院からも報告があったようでございますので、これらについてどうするのかということも含めるような調査をしていただければなと思います。
 それから地域包括支援センターなのですが、介護予防支援事業所と両看板でやっていますけれども、その中の業務が、いわゆる介護予防のケアマネジャーとしての業務と地域包括支援センターとしての専門職との業務の分担の内容がわかる調査と、さらには運営費等も非常に厳しい状況になっていますので、専門職としての役割を果たせるような運営費になっているかについての調査もできればやっていただければなと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 内田委員、どうぞ。
○内田委員 5ページの介護老人福祉施設のところ、先ほど来、御意見があります介護職員による医行為です。どの程度行われているのかとか、あるいは認定研修をどのくらい受けられているのかというのは調べていただいたらいいと思いますが、やはり介護職員による医行為実施に対する要望というのは、新たなことをやってほしいと思っているのかどうかというのはちょっと気になるところですので、そのあたりがどうなのかということと、あとは単純に実施状況だけを調べていただくだけではなくて、やはり支援体制みたいなものとか、それから一度認定を受けたからといってそのままでいいわけではなく、教育が中でどうなっているのかといったこともあわせて調査もしていただかないと、非常に危ない状況の中で何か求められるから介護職員が医療行為をしていくということはやはりよくないと思いますので、そのあたりは十分に調査をしていただきたいと思います。
○田中分科会長 鷲見委員、どうぞ。
○鷲見委員 先ほどの前段でも申し上げたのですが、再度お願いなのですが、調査項目の中にやはりケアマネジャーのかかわりについてきちんと入れていただきたいことと、内包型のケアマネジメントとそれから外づけといいますか居宅のケアマネジメントの双方の課題もきちんと出てくるような調査設計をしていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 特養の職員のケアの内容についてです。特養はどうしても歴史的経緯もあって医療が薄く、看護職の配置も少ないのに、重度の人がどんどん入って来て看取りまでしなくてはならないという現状があります。今までのお話を聞いていますと、医行為を介護にももっと認めろという話もありましたけれども、一方では、看護師が非常に不安に思っているということでした。看護師の方もほかではもっといろいろなことをやらせろと言っていらっしゃるのですが、特養では随分消極的なようです。以前の介護給付費分科会でも、医療では摂食嚥下はSTが行うわけですが、特養では歯科衛生士が行うということをおっしゃられましたけれども、特養だけ別に扱えというのはおかしいと思いますので、入所者の重度化への対応をどのような形で補うかを調査すべきであると思います。
○田中分科会長 高野委員、お願いします。
○高野委員 全般に言えるのですけれども、それぞれの3施設、入所者のために歯科ニーズを見出すためにも、介護職員向けの、例えば口腔の歯科的なものとか、そういう口腔ケアについての研修などもやっているかどうかの実態も調べていただければと思います。
○田中分科会長 以上でよろしゅうございますか。予算もあるので全部受けられるかどうかはわかりませんけれども、時間もありますし。
 ただ、御要望いただいたことが社会的に重要であるという指摘は十分に委員会側も理解しているはずです。あとは実際の調査については、ある制約の中で行うことになります。
 議題2については、本日の御意見を踏まえて、今後具体的な調査設計を行う際に各調査・検討組織における委員長が任命されますので、委員長の指導のもと検討することにさせていただきます。
 本日の審議はここまでといたしますが、よろしゅうございますか。
 河村委員、どうぞ。
○河村委員 「その他」ということで発言をさせていただきたいと思います。
 今回の議題とは直接関係ありませんが、今、消費税の延期の問題が報道されております。恐らく今日、総理大臣が消費税率10%への引き上げの2年半延期について説明することになっていると思います。
 しかしながら、この介護保険あるいは社会保障の財源については消費税による財源で賄うということで進められております。さらには、今、その議論をしながら介護報酬の改定に向かって進んでいるところでございまして、私どもの自治体としても低所得者の保険料の問題、あるいは滞納の問題等々を含めて、前回の消費税引き上げの延期になったことも含めて非常に危惧をしております。
 したがいまして、保険料の軽減策あるいは滞納の問題、またその財源をどうしていくかということは別枠財源を見つけないとできないわけでございます。ぜひ別枠財源を確保して、従来から言及されてきた社会保障に充当するということは貫徹をしてほしいと思っております。
 そうしないと、むしろ国民の皆さんあるいは住民の皆さんはそれを願いながらやってきた部分があるわけでございますから、特に厚労省の所管の部分が多いわけでございますけれども、その財源確保のために別枠で考えていただきたいと思います。社会保障の財源をどこから持ってくればいいという話ではなくて、国家全体のバランスの中でこの財源確保をどう考えていくかということであり、そのことについては真剣に考えていただきたいし、財源を確保していただきたいとお願いをしておきます。
○田中分科会長 大変重い御指摘でございました。ありがとうございます。
 では、ここまでといたします。
 次回の予定について、事務局より説明をお願いします。
○佐原老人保健課長 老人保健課長です。
 次回の予定の前に1点だけ、先ほどの議題1のところで申し上げればよかったのですが、この調査をやるに当たって大変たくさんの団体の皆さんに御協力をいただきました。回収率もまずまずの回収率となりました。いろいろなサービス提供事業者の団体の皆さんに御協力いただきました。この場をおかりしましてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 では、次回は6月15日、水曜日の10時~12時を予定しております。場所等は事務局から、追って連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 本日はこれにて閉会いたします。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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