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2016年5月18日 第27回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成28年5月18日(水) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)


○出席者

出席構成員

五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員、小国構成員
落合構成員、北田構成員、合田構成員、後藤構成員、鈴木構成員
友池構成員、西川構成員、平安構成員、藤原構成員、堀田構成員
村島構成員、山本構成員、横谷構成員

出席参考人

安藤参考人、戸高参考人、中村参考人、花岡参考人、渡邊参考人

○議題

第II回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第III回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第IV回要望の未承認薬・適応外薬の開発要望について
要望品目の医療上の必要性について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬・生活衛生局審査管理課

 研究開発振興課の方が少し遅れているようですが、定刻となりましたので、只今より第27回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催します。

 会議に先立ちまして、本検討会議の構成員に変更がありましたので、新たに御参画いただくことになりました構成員の先生方を御紹介します。横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門主任教授の平安構成員です。

 

○平安構成員

 よろしくお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 本日は18名全員の委員の先生方が御出席になっています。また、ワーキンググループの検討状況を御報告するに当たりまして、各ワーキンググループからの参考人として先生方に御出席いただいています。これまで御出席いただいている先生方についての御紹介は割愛させていただきまして、今回初めて御出席いただいている先生方について御紹介します。精神・神経WGの渡邊参考人です。

 

○渡邊参考人

 精神・神経WGの杏林大学の渡邊です。本日、座長の勝野先生が所用で御欠席のため、私がサブで出席させていただきます。よろしくお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 カメラの撮影はここまででお願いします。それでは堀田座長、以降の議事進行をお願いします。

 

○堀田座長

 皆様、今日は全員出席という大変喜ばしいことです。新年度初めての検討会ですが、このように熱気に溢れているというか、そもそも部屋が暑いというか、こういう環境の中で進めさせていただきますが、どうか皆様方、活発な御意見を頂きまして、実のある会議にしてまいりたいと思います。それでは、まず本日の配布資料の確認を事務局からお願いします。

○医薬・生活衛生局審査管理課

 配布資料の確認をさせていただきます。まず席上の一番上に、一枚紙の座席表です。それから、議事次第、その裏に本日の配布資料一覧があります。この資料を見ていただいて、御確認いただければと思います。

 まず資料1として一枚紙ですが、「検討会議における検討の進め方」、資料2-1として「第II回要望に係る専門作業班の検討状況の概要等について」、資料2-2として「第III回要望に係る専門作業班の検討状況の概要等について」、資料2-3として一枚紙の横表ですが、「第IV回要望の未承認薬・適応外薬の開発要望について」というものです。資料3-1~資料3-5ですが、「医療上の必要性に関する専門作業班(WG)の評価」というものが5つあります。資料4-1として一枚紙ですが、「企業から提出された開発行程表について」、横表の冊子ですが、資料4-2が「第I回要望関連」、資料4-3が「第II回要望関連」、資料4-4が「第III回要望関連」です。資料5として一枚紙で、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の検討会議での検討結果を受けて、「開発企業の募集を行った医薬品のリスト」です。資料6として、「Cisatracurium besylateの筋弛緩剤としての開発について」という一枚紙です。それから、参考資料として16まで一綴りにしています。この参考資料の一番最後のページの参考資料6は、各構成員の先生方が執行部に所属している学会についてお示しさせていただいておりますが、前回会議の資料を本日現在に更新した内容になっています。本検討会議の公平性の観点から、当面は構成員のうち、当該学会の執行部、具体的には理事会メンバー以上の場合ですが、そこに在籍する方には、当該要望に係る背景事情等の説明は行うものの、議決には参加しないこととすることになっています。

 本資料の内容に誤り等がありましたら、この時点でお知らせいただければと思います。本日の審議については、こちらの内容に基づいて進めさせていただきたいと思います。資料の不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。以上です。

 

○堀田座長

 資料の方はよろしいでしょうか。何かありましたら、お知らせいただくようにお願いします。それでは、前回の会議を23日に開催していますが、事務局から、その後の進捗状況についての説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料1を御覧ください。前回からの更新として、左下の要望品目数に、201512月末までの第IV回要望品目の16品目を追加しています。なお、第I回~第III回の要望品目は、前回御報告させていただいた数字から変更していません。

 その他、資料の右下にあります開発要請の件数についても、新たに開発要請をしていますので更新があります。具体的には、20164月末までの第III回要望は現在31件となっていますが、前回の御報告のときは21件となっていました。詳細については資料2-1~資料2-3で御報告します。裏面についても、同様の箇所について件数の更新をしています。以上です。

 

○堀田座長

 ありがとうございました。第IV回要望は随時受付をしており、取りまとめ期間が短いのでこのように少数となっています。全体の傾向としては段々と捌けてきたという一定の成果と考えることもできます。何か御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

 それでは、特になければ、第II回、第III回、第IV回の未承認薬・適応外薬の開発要望について、事務局から説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料2-1を御覧ください。第II回要望については、前回会議までに未承認薬26、適応外薬78の合計104品目について、医療上の必要性が高いとの評価を頂きました。前回会議時点で検討中であった4件のうち、循環器WGにおいて1件、医療上の必要性は高くないと評価されています。具体的な概要については、資料3-2で御報告します。引き続き検討中の3件については、本資料の別添1に一覧としてまとめています。

 続いて2ページ目を御覧ください。こちらは開発要請又は開発企業募集を行った品目の状況を示しています。前回時点で開発要請していた86件のうち、前回会議時点で検討中のものが9件ありました。こちらについては引き続き検討を行っており、本資料の別添2に一覧としてまとめています。

 続いて資料2-2を御覧ください。こちらは第III回要望についての資料です。前回会議までに合計34件、具体的には右上にあります未承認薬11件、適応外薬23件について、医療上の必要性が高いと評価を頂いています。前回時点で検討中であった43件のうち、代謝・その他WGにおいて2件、循環器WGにおいて2件、抗がんWGにおいて1件、小児WGにおいて1件、合計6件が医療上の必要性が高いと評価されています。また、循環器WGにおいて1件、精神・神経WGにおいて1件、抗がんWGにおいて1件の合計3件が、医療上の必要性は高くないと評価されています。具体的な品目の概要は、資料3-1~資料3-5で御説明します。引き続き検討中の34品目については、本資料の別添1に一覧としてまとめています。

 続いて裏面、2ページを御覧ください。前回会議で医療上の必要性が高いと評価された10件について、開発要請を行いました。前回会議時点で検討中であった12品目と合わせた22品目のうち、1件は既に開発を着手しているものでした。引き続き検討中の21品目については、本資料の別添2に一覧としてまとめています。

 続いて資料2-3の一枚紙を御覧ください。こちらは昨年71日~1231日までの第IV回要望を取りまとめたものです。その結果は資料にお示ししたとおり、未承認薬が1件、適応外薬が10件、未承認薬迅速実用化スキーム対象品目が5件、合計16件の要望がありました。このうち適応外薬の3件、未承認薬迅速実用化スキーム対象品目の1件については取り下げとなる要望があり、残り12件の検討を今後進めさせていただくこととしています。以上です。

 

○堀田座長

 資料が多いのでよく分からなかったところがあるかもしれませんが、何か御質問や御意見がありましたら、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

 それでは、次に行かせていただきます。今度は要望品目に係る医療上の必要性の評価に関する検討状況についての御説明です。まず最初に代謝・その他WGから、花岡先生に御報告をお願いしたいと思いますが、その前に要望番号III-(1) -80のレボチロキシンと、要望番号III-(4) -21parathyroid hormone for injectionPTH)については、日本内分泌学会からの要望ですので、関係する横谷構成員は議決に参加しないこととなります。御意見については承ることは可能です。よろしくお願いします。

 

○花岡参考人

 それでは、資料3-1を御覧ください。まずレボチロキシンナトリウムについて、WGにおける検討の結果、医療上の必要性が高いと判断しました。要望された効能・効果は粘膜水腫性昏睡及び重症甲状腺機能低下症です。重篤性については、粘膜水腫性昏睡は甲状腺機能低下症を基盤に発症し、低体温、呼吸不全及び循環不全を起こし、適切な治療がなされない場合は死に至ることから、「ア」の基準に該当すると判断しました。また、有用性については、欧米では粘膜水腫性昏睡又は重症の甲状腺機能低下症を適応として本剤の静注製剤が承認されており、米国甲状腺学会におけるガイドラインにおいて、本薬の静脈内投与が標準治療として記載されています。したがって、本剤の静注製剤の有用性は「ウ」の基準に該当すると判断しました。

 なお、本邦において承認されている甲状腺ホルモン製剤は経口製剤のみであり、経口製剤を経鼻又は経管投与する方法においては、粘膜水腫性昏睡や重症の甲状腺機能低下症では、腸間膜の浮腫や循環不全等により、薬剤の吸収が不十分か、十分に得られないことが問題とされていますので、本邦における静注製剤の必要性はあるものと考えられます。

 続いて資料の2ページを御覧ください。PTHについても、WGにおける検討の結果、医療上の必要性が高いと判断しました。こちらは副甲状腺機能低下症に対して要望が出されたものです。重篤性については、副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモンの分泌低下により、低カルシウム血症及び高リン血症が発現する疾患であり、対症療法である活性型ビタミンD製剤及び経口カルシウム製剤による治療が行われています。しかしながら、既存治療で安定した効果が得られない患者さんにおいて、低カルシウム血症による痙攣発作が生じることに加えて、疾患自体の合併症や既存治療の副作用によって、骨や脳の石灰化が生じ、癲癇発作や錐体外路症状等の神経症状を呈することから、「ウ」の基準に該当すると判断しました。

 また、有用性については、本剤は米国において「副甲状腺機能低下症における低カルシウム血症に対するカルシウム及びビタミンD治療の補助」を適応として承認されており、既存治療を行っている副甲状腺機能低下症患者を対象に本剤の上乗せ効果を検討したプラセボ対象二重盲検無作為化比較試験において、本剤群ではプラセボ群に対し既存の治療薬である活性型ビタミンD製剤及び経口カルシウム製剤の必要量が有意に減少した報告があります。また、既存薬で十分な治療効果が得られない場合には、本剤が治療の選択肢として有用であるという海外公表文献があること等も踏まえ、「ウ」に該当すると判断しました。以上です。

 

○堀田座長

 ありがとうございました。それでは、この報告の2剤について、御意見、御発言がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。私から1つお願いしたいのですが、この2番目のものについて、副甲状腺機能低下症の根源的治療というのは、何をもって根源的と言っているのか。根治的ではなくて、作用メカニズムのもとのところに効くという、そういう意味合いですか。

 

○花岡参考人

 そのように考えています。

 

○堀田座長

 こういう表現は、適応症にあるのかなという点が少し気になりました。

 

○花岡参考人

 開発要請時の効能・効果については、海外承認事例の効能・効果を踏まえたものに一応変更する予定としているところです。

 

○堀田座長

 よろしいでしょうか。この2つとも、PTHも含めて、医療上の必要性は高いというWGの判断です。特に異存がなければ、そのような形で、開発要請をしたいと思います。ありがとうございました。

 続いて循環器WGです。戸高先生からお願いしたいと思います。

 

○戸高参考人

 それでは、循環器WGから戸高が報告します。資料3-2を御覧ください。1ページ目ですが、Aminocaproic acid(アミノカプロン酸)についてです。この要望は日本呼吸療法医学会より、線維素溶解に伴う著しい出血に対する止血促進作用として、要望が挙がったものです。言うまでもありませんが、多量の出血は患者自身に大きな不利益を生じ、出血性ショックに至れば通常は致死的であることから、適応疾病の重篤性は「ア」の生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断しました。

 しかしながら医療上の有用性について、現在の本邦の医療現場においては、こういった大量出血時の既存療法はかなり確立していると考えられることに加えまして、提出された資料からは、本品は既存療法と比較して明らかに優れていることが示されていないことから、「ア」~「ウ」のいずれにも該当しないと判断しました。したがいまして、本要望に関しては、医療上の必要性の基準に該当しないと判断しました。

 続いて2ページを御覧ください。エノキサパリンナトリウムについては、日本産科婦人科学会より、抗リン脂質抗体陽性女性における反復流産の予防の適応に対する要望です。米国のガイドラインにおいて、抗リン脂質抗体症候群では流産のリスクが高くなることが記載されており、胎児の生命に影響を及ぼすことから、適応疾病の重篤性としては「ア」の生命に重大な影響がある疾患、胎児の生命に重大な影響があるという意味ですが、それに該当すると判断しました。

 しかしながら、本要望について海外6ヵ国での承認は全くなく、国内外のいずれにおいても、ヘパリンとの比較試験を含め本要望に関する有効性及び安全性を検証した臨床試験はありません。そういったことから、本剤の臨床的位置付けは、現在適応を持っているヘパリンカルシウムよりも高いものとは示されていないと判断しました。

 現在、本邦において、抗リン脂質抗体症候群合併妊娠に対するヘパリンカルシウムの投与が保険償還されており、自己投与も含めて非常に治療しやすい状況にあることから、医療上の有用性は「ア」~「ウ」のいずれにも該当しないと判断しました。したがいまして、本品目は医療上の必要性の基準に該当しないと判断しました。

 続きまして、3ページと4ページを併せて御覧ください。いずれもインドシアニングリーンに対する造影効果の要望でして、ほぼ同じ内容と思われますので、まとめて報告します。

3ページの方は日本外科学会及び日本形成外科学会より、血管、再建組織の血流状態観察(赤外線照射時の蛍光測定による)の適応に関する要望です。4ページ目は胸部外科学会、心臓血管外科学会、血管外科学会より、心臓血管の血流状態観察の適応に関する要望でして、ほぼ同じ使い方になります。

 こういった血管及び再建組織の血流評価は、手術の成功を判断する上で重要な指標の1つであり、特に消化器がん等の手術時の再建臓器や虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス手術時の吻合グラフトの血流評価は、患者の生命予後を左右することから、適応疾病の重篤性は「ア」の生命に重大な影響があるに該当すると判断しました。

 また、本要望内容は英国及びドイツにおいて承認されており、米国では保険償還がされています。本邦では、外科手術において術中に循環血流を評価する他の相当するような有用な方法はないことから、医療上の有用性は「ア」の既存の療法が国内にないに該当すると判断しました。以上により、本品目の医療上の必要性は高いと判断しました。循環器WGからの報告は以上です。

 

○堀田座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの3つの報告に何か御意見を頂ければと思います。

 

○村島構成員

 これに関しては、昨年度のAMEDの研究班でガイドラインを作成させていただいて、その中でシステマティックレビューとか総意形成会議等をやりまして、やはりこれは低分子ヘパリンが有用性があるということで、認めてほしいという要望だと思いますが、低分子ヘパリンと未分画ヘパリンに差はないという結論でまとまったと思いますので、このWGの結論を支持したいと思います。

 

○堀田座長

 ありがとうございます。その他の御意見はよろしいですか。

 

○伊藤構成員

 細かいことですが、3ページ目と4ページ目の括弧書きの所です。「赤外線照射時の蛍光測定による」と書いてあって、片方は「近赤外線照射による蛍光イメージング」と書いてあります。これは何か測定の方法が違うのですか。

 

○戸高参考人

 同じだと思います。これは、いかんせん要望学会から出てきたものがそのまま載ってしまいますので、統一できていませんが同じものだと思っています。

 

○堀田座長

 ということだそうですが、WGでの評価の方は共通でやっているということです。ありがとうございます。他にはよろしいでしょうか。もし御意見がなければ、次に参りたいと思います。

 次は精神・神経WGの渡邊先生になります。よろしくお願いします。

 

○渡邊参考人

 よろしくお願いします。資料3-3を御覧ください。精神・神経WGにおいて今回検討が終了したものは1品目です。資料1ページを御覧ください。モルヒネ塩酸塩水和物について、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の呼吸困難の効能・効果に対する要望が提出されています。

 医療上の必要性に関するWGの評価の欄を御覧ください。まず適応疾病の重篤性については、「イ」の「病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」と評価しました。COPDは、正常に復することのない進行性の気流制限を有する炎症性疾患です。主症状は慢性の咳嗽、喀痰及び労作時の呼吸困難であり、日常生活に著しい影響を及ぼすことから「イ」と評価しました。

 続きまして、医療上の有用性については「エ」の「該当しない」と評価しました。モルヒネのCOPDの呼吸困難に対する効能・効果については、海外6ヵ国のいずれの国においても承認されていません。イギリス、オーストラリア、カナダの診療ガイドラインでは、COPDの呼吸困難に対するオピオイドの有用性を示す記述があり、カナダの診療ガイドラインでは、開始用量1mg/日から忍容性を確認しながら増量する旨が記載されていますが、要望された用法・用量とは異なっています。また、イギリス及びオーストラリアの診療ガイドラインには、用法・用量が明記されていません。更にCOPDGlobal Initiativeによるレポートでは、呼吸困難のコントロールに対するモルヒネの使用について、重篤な有害事象の可能性があり、効果が期待される患者は限られる旨の記載があります。

 加えて今回提出されました海外臨床試験の報告では、経口徐放性製剤及び静注製剤が用いられており、経口の即放性製剤を用いた臨床試験の報告は提示されていません。また、これらの報告の中には、COPDの呼吸困難に対するモルヒネの有用性が認められなかったとの報告もあり、有効性について一貫した結果が認められていません。

 以上により、欧米等において、モルヒネ塩酸塩がCOPDの呼吸困難に対する標準的療法の1つに位置付けられていると判断できるエビデンスは得られておらず、国内における有用性が期待できるとは言えないと考えることから、「ア」~「ウ」のいずれにも該当しないと評価しました。精神・神経WGからの報告は以上です。

 

○堀田座長

 ありがとうございました。ただいまの精神・神経WGの報告に、何か御意見、御発言はいかがでしょうか。

 

○小国構成員

 報告に直接関係はないのですが、こちらはモルヒネのCOPDに対する適応、つまり呼吸疾患ですよね。精神・神経WGでこちらを討議するというのは何か違和感を感じたのですが、これはやはり精神に対するモルヒネの作用が関連するので精神・神経WGで討論するということなのでしょうか。

 

○堀田座長

 その辺はどうですか。事務局として、振り分けをどのようにしているか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課長

 審査管理課長です。WGの振り分けについては、現在、PMDAの新薬審査部、第1部から第5部までにそれぞれ対応したWGとしていまして、精神・神経WGは新薬審査第3部の担当する医薬品を担当いただくことになっています。代表的な分野として、精神・神経用剤を審議いただくのですが、それに加えて麻薬や感覚器官用薬についても御担当いただいています。

 

○堀田座長

 確かにどこかでやらなければいけないので、どこが適切かという問題だと思います。ありがとうございます。この要望につきまして、個人の要望ということではなくて、学会の方の立場での何か特別な表明はないでしょうか。

 

○渡邊参考人

 学会からは特に出ておりません。

 

○堀田座長

 よろしいですか、ありがとうございます。それでは、この御報告については基準に該当しないという判断にさせていただきたいと思います。それでは、資料3-4に基づきまして、次に抗がんWGから安藤先生、よろしくお願いします。

 

○安藤参考人

 抗がんWGから発表いたします。資料3-4を御覧ください。1件目はIII-(3) -1.1のボルテゾミブです。日本リンパ網内系学会と、日本血液学会から要望が出ております。原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫です。用法・用量は、成人に11回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間静脈内投与又は皮下投与した後、10日間休薬する。これを、3週間を1サイクルとして投与を繰り返す。

 適応疾患の重篤性に関しての該当性は「ア」と判断しました。原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫は致死的な疾患であり、重篤性があります。医療上の有用性については、該当性は「ウ」としました。これに関しては、欧米等6か国では承認されておりませんが、ガイドラインと教科書の記載内容と海外の臨床試験も幾つか行われており、それから、ボルテゾミブは原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫に対して欧米で標準的な治療と位置付けられていると判断されました。それで、国内外の医療環境の違い等を踏まえても、国内における有用性が期待できると考えられ、「ウ」に該当すると判断いたしました。

 備考の所で、本要望では静脈内及び皮下投与が要望されていて、国内の医療現場では皮下投与が主に用いられていて、使用実態を踏まえて開発を進めていくことが望ましいとWGでは考えました。

 次は要望番号III-(3) -9です。日本造血細胞移植学会、日本血液学会、日本リンパ網内系学会等が要望しております。アレムツズマブ(遺伝子組換え)の効能・効果は、造血幹細胞移植の前処置で、移植片対宿主病の予防です。用法・用量としては、11回、体重1kg当たりアレムツズマブ0.16mgを緩徐に点摘静注し、投与期間は前処置として6日間としました。

 適応疾患の重篤性に関しては、造血幹細胞移植を要するような血液疾患というのは致死的な疾患ですので、重篤性は「ア」に該当すると判断しました。医療上の有用性は「エ」と判断しました。造血幹細胞移植の前処置に関する効能・効果では、アレムツズマブは、欧米等6か国では承認されておりません。欧米等の診療ガイドラインでも、造血幹細胞移植の前処置にアレムツズマブの使用を推奨するような記載は認められませんでした。また、海外臨床試験も、今回要望の用法・用量とは異なる用法・用量での投与が行われた海外試験があるのみでした。

 さらに、この薬剤は、企業の開発戦略上の都合により、欧米では販売されておりません。以上から、医療上の有用性が判断できないということで、「エ」に該当すると判断いたしました。以上です。

 

○堀田座長

 この2品目に対する、医療上の必要性に関するWGの報告に御発言、御質問がありましたらお願いいたします。

 

○山本構成員

 本当は自分で勉強しなければいけないのでしょうけれども、分子標的薬なので、一応ここの構成員の方たちに対する情報も含めて、何に対するモノクローナル抗体かを教えていただいて、それを基に判断させていただきたいと思います。

 

○堀田座長

 この後のものですね。これは、CD-52という抗原に対するモノクローナル抗体です。恐らくB細胞の大部分とT細胞の一部も抑制する効果があると思います。

 

○安藤参考人

 そうです。

 

○山本構成員

 免疫学的には、今までもかなり使われていたものではあります。でも、実際に欧米各国でこういう状態ということは、やはり日本が先走る必要はないだろうということでしょうね。

 

○安藤参考人

 あと、医師主導治験も行われておりますので。

 

○堀田座長

 これは、適応としては日本でも、慢性リンパ性白血病に適応が2014年に取られています。欧米では2001年に承認されているのですが、今は販売されていない状況もあるというのは、先ほど説明のあったとおりです。このものについては、随分いろいろ多岐にわたる学会からの要望がありますが、大丈夫ですか。当然ながらこれは適応外ということでありますし、ある程度エビデンスがあるかどうかというのが基本になると思います。特に御発言はありますか。ないようですので、これについては多くの要望はありますけれども、現時点では、必要性の基準に該当しないという判断で、この検討会としての結論でよろしいでしょうか。ありがとうございます、それでは、そのようにさせていただきます。

 次は資料3-5で小児WGです。小児WGは中村先生です。要望番号のIII-(4) -11のイベルメクチンについては日本病院薬剤師会からの要望が出ておりますので、北田構成員については議決に参加しないことといたします。よろしくお願いいたします。

 

○中村参考人

 説明いたします。1ページです。イベルメクチンの小児のアタマジラミ症に対する要望です。ここに要望者名がずらっと並んでおります。この背景として、沖縄で特にOTC薬の抵抗性のアタマジラミが大きな問題になっていることもあるようです。沖縄の関連の団体も併せて出されたということが申請の書類に書いてあります。

 適応疾病の重篤性についてですけれども、アタマジラミ症は、学校保健安全法施行規則第18条において、学校において予防すべき感染症の第三種の「その他の感染症」に該当していて、伝染のおそれがないと医師に認められるまで、出席停止の措置をとることもできるというものです。社会生活に著しい影響を及ぼすと考えられるということで、適応疾病の重篤性は、「ウ」のその他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当すると判断しました。

 医療上の有用性についてですが、本要望品目は米国でアタマジラミ症に対して承認されており、欧米のガイドラインでも治療に推奨されております。本邦においてはピレスロイド系のフェノトリンを有効成分とする外用剤が一般用医薬品として販売されておりますけれども、本邦を含めピレスロイド抵抗性のアタマジラミが報告されております。このイベルメクチンはピレスロイド抵抗性のアタマジラミにも効果があると報告されていますから、医療上の有用性は「ウ」、欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えるに該当すると判断いたしました。以上です。

 

○堀田座長

 イベルメクチンについては、医療上の必要性に該当するという報告ですけれども、御意見、御発言がありましたらお願いいたします。

 

○西川構成員

 重篤性ですが、沖縄の状況は知りませんでした。一般にアタマジラミというのは、櫛ですいて、よく洗浄すれば早くて1日、1週間以内に駆除できると書いてあるものもありますが、それで、どうして重篤かを説明してください。

 

○中村参考人

 岡部先生の方が詳しいと思います。

 

○堀田座長

 先ほど発言されようとした岡部先生お願いいたします。

 

○岡部構成員

 岡部です。基本的に私はこれに反対しているわけではないのです。学校保健安全法で、学校において予防すべき感染症の第三種の「その他」は、疾患を特定しているのではなく、状況によって該当する病気が例示としてたくさん挙げられています。アタマジラミの場合は、その中の一例としては出ておりますが、必ずしもアタマジラミ全てが該当しているわけではありません。したがって、出席されている方も数多くあります。

 これは私の意見ですけれども、逆にこのような状況から、アタマジラミにかかった子供さんが、言わば差別みたいな形で、汚いというようなことを言われて学校に行けない、あるいは幼稚園・保育園に行けないということがしばしばあります。先ほど先生がおっしゃったような治療の仕方を十分するようにという指導を現場ではされていると思うのです。ですから、重篤という意味では、決して生命に危険を及ぼすようなものでもないし、何か合併症が出るようなものでもありませんが、社会生活、幼稚園生活ということを考えると、重篤な場面もあり、適切な治療薬としてあった方がいいと思います。

 

○堀田座長

 ここで言うところの重篤性というのは、必ずしも身体における重篤性だけではなくて、社会的あるいは生活関係の状況の重篤性も含めておりますので、そこは余り問題にする必要はないと思います。

 

○西川構成員

 ごもっともだと思います。それは薬でなくても、保健指導で十分対応できるような気もするのです。

 

○中村参考人

 いや、そんなに簡単に洗浄で落ちるようなものではないです。うちの子も何度かあって大変な思いをしましたけれども、そう簡単に落ちるものではありません。既存のOTC薬は虫卵に効かないということもありますので、何度も何度も使ったりしないといけないというものです。普通に洗浄したり、ブラシでといたぐらいで虫卵が落ちるような簡単なものではありません。

 

○堀田座長

 ここは、岩田先生から一言、感染症のお立場から。

 

○岩田構成員

 私も、中村先生と同じように思います。これは、かなりポピュラーな疾患ですけれども、かかった方は大変苦労されると思います。自然に治るのだったらそんなに苦労することもないと思うのです。中村先生がおっしゃるとおりだと思います。

 

○堀田座長

 西川先生よろしいですか。

 

○西川構成員

 皆さんがそれでいいということですので、結構です。

 

○小国構成員

 副作用に関して質問させていただきます。イベルメクチンは大村先生がノーベル賞をもらった薬です。経口で試したときは、2歳以下、体重15kg以下の小児では確か検討されていなかったようですが、これはローションなので、皮膚からの吸収なので経口のように副作用というのは余り心配しなくてもいいのでしょうか。経口の治験の際には痙攣とか頭痛という副作用があったような気がします。

 

○中村参考人

 提出された資料の範囲内ですけれども、経口投与に比べると、外用の濃度ははるかに低いと書いてあります。なにぶん提出された資料のデータの信頼性はまだ確認できておりませんので、それについては審査の方でじっくり見ていただくということでよろしいかと思います。

 

○西川構成員

 子供が学校に行けないということは、社会的に重篤であるということです。小児適応が念頭に置かれていると思うのです。小児における安全というのはどうなっているでしょうか。

 

○堀田座長

 その点については審査の方でもう少し見ていただくことにいたします。この検討会としては、この報告を了とするということでよろしいですか。アメリカで承認されたのに、発明国の日本で承認していないというのは、ちょっとそれもどうかというのがあります。いずれにしても、この検討会としての結論としては基準に該当するということにしたいと思います。

 これで、要望品目に係る医療上の必要性に関するものを終わり、次に研究開発振興課から、企業から提出された開発工程表について説明をお願いします。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 研究開発振興課治験推進室長です。資料4-1を御覧ください。前回からの変更点について簡単に御紹介いたします。本文の1行目、第I回要望数については変わっておりませんが、第II回要望は「94」と書いてあります。前回の資料では「95」と1件多かったのですが、要請取り下げ品目が1件ありましたので、1件減っています。第III回要望「32」と書いてありますが、本年2月に要請を11件行いましたので、前回「21」と書いてあった所が、「32」になっております。資料4-1についての主な変更点については以上です。

 資料4-2以降を御紹介いたします。資料4-2は第I回要望についての総括表です。表紙に承認数等が書いてあります。承認済み総数が「168」、前回は「164」で御紹介しておりますので、この1回の間に4品目が承認にまで至りました。一歩前の段階の承認申請数で、承認申請済みが「5」で、前回は「8」ですので3件減っています。その下の治験計画届提出済みが、前回は「10」であったところ、「9」になっていますので、治験提出済みが1件減って、上の段に移り、更に4件が承認に移って「168」「5」「9」となりました。具体的な品目について順番に御紹介いたします。

18ページを御覧ください。青塗りしてあるカラムがあります。352bというユーシービージャパンのレベチラセタムは、本年2月に承認にまで至りました。

26ページには、青で塗っている品目が3品目あります。336332243番、全薬工業のリツキシマブ、それからヤンセンファーマのリスペリドン、サノフィのビガバトリンの3つの品目が、本年2月に、最後の品目は3月ですが承認されております。販売名と承認内容についても若干色を変えてあります。こちらについては販売名が決まって、前はアルファベットで書いてあったものが、正式に日本語名になっています。承認内容についても、要請内容の記載ではなくて、実際の承認内容に切り換えて記載させていただきました。

28ページで、ファイザーの70番が、承認申請済みとして1件増えました。エプレレノンのセララ錠になりますが、前回は治験計画届提出済みで御報告させていただいたものが、承認申請まで進展したことになります。下の青く塗ってある大原薬品工業のクリサンタスパーゼについては、前回は別の名前で載っていましたが、JANの通知に基づき名称変更しています。内容自体の変更はありませんが、青で示しています。資料4-2は以上です。

 

○堀田座長

 印刷の色を言っていますけれども、皆さんの資料は白黒です。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 申し訳ございませんでした。ちょっとフライングして手持ち資料はカラーを使っておりました。塗ってある所は他にありませんので、多分間違いはないかと思います。次からは、白黒で御説明いたします。

 次は資料4-3です。こちらは第II回要望の品目の進捗状況の一覧表です。表紙を見ると、承認済みが今は73、承認申請済みが6となっています。前回は承認済みが70、承認申請済みが9でしたので、3件が承認まで至った計算になります。下の方のその他の所が「1」になっていますが、前回までは「2」でした。先ほど冒頭で御紹介しました1件要請取下げというのがここです。下の段が「2」になっていますが、開発要請取り下げ品目が1件から2件に移り、総合計が95から94になっています。つまり、承認が3件、取下げが1件です。

 具体的品目は10ページを御覧ください。一番下のII-189II-190番の所です。サノフィのプリマキンリン酸塩の製剤です。成人と小児の承認になりますので、2件計上しています。いずれも本年3月に承認されています。販売名が前回は未定でしたが、販売名も承認内容に切り換えています。また、要請内容を承認内容に修正して記載しています。

14ページを御覧ください。II-22番の日医工のアミトリプチリン塩酸塩です。こちらも本年2月に承認となっています。

25ページは、開発要請が取り下げられた品目になりますが、II-91番、フレゼニウスカービジャパンの魚油由来ω3系静注用脂肪製剤です。腸管不全関連肝障害の御要望を頂いていたのですが、精査したところ、海外において承認実態がなく、ガイドラインの記載もないために、検討対象外ということもありましたので、要望者と相談したところ、今回は開発要望を取り下げるということでお返事を頂きました。したがって、開発要請を取り下げ、今回はこちらに計上させていただきました。資料4-3は以上です。

 次に資料4-4です。今回から大分品目が増えましたので、様式を変えさせていただきました。一覧表の1ページ目の表は第III回要望ということで、201381日から現在の第IV回要望の始まる前の2015630日までの期間に募集させていただいた随時募集の品目です。20148月・11月、20155月・8月・11月と頻回に要請を掛けておりますが、随時募集ということがありますので、御審議いただいた都度御報告させていただいたという経緯です。

 今回新しく御報告させていただく欄は、一番右の欄の第6回開発要請分の所になります。御審議いただいた中で、今の結論としては、公知申請予定されているのが9件、治験計画届提出予定が1件、その他1件の合計11件が最後に要請させていただいたものです。

 前回からの動きという意味では、一番右の欄で御紹介いたします。承認済み件数は1件のままで動いていませんが、承認申請済みは前回は0件で御紹介していますが、5件が承認申請まで至っております。治験計画届提出済みは3件で御紹介していましたが、今回は1件減っていますけれども、その分が承認申請済みに移っていると考えていただければと思います。公知申請予定については、今回は9件上乗せされているのでグッと多くなっていますが、前回は10件でした。計画届提出予定のものは、5件が5件の据え置きで、最後のその他が2件だったものが、今回追加された1件を加えて3件で、合計32件です。

 具体的品目については5ページを御覧ください。右の欄のIII-(1) -13III-(1) -14が第1回要請分ですが、承認申請されたものです。具体的な日付けについては申し上げられませんけれども、承認申請はされたことになります。III-(1) -34III-(1) -54III-(1) -26についても全て承認申請まで至っております。

7ページで、第3回開発要請分になりますが、III-(1) -69の味の素製薬のポリエチレングリコールが、治験計画届提出済みまで至りました。

9ページです。変化があったものは、第6回要請分の所です。III-(1) -22.1III-(1) -22.2III-(1) -74III-(2) -2III-(2) -3.1III-(2) -3.2III-(3) -10III-(3) -13III-(3) -24III-(3) -25について公知申請を予定している品目です。1ページ目で、20162月要請分が9件となっていますが、これらが9件に相当する品目です。

13ページは、要請後1年以内に治験計画届の提出を予定している品目です。III-(4) -3のシャイアー・ジャパンのミダゾラムです。15ページはその他の案件で増えた1件ですが、III-(3) -23、日本歯科薬品のメピバカイン塩酸塩になります。以上が資料4-4です。

 資料5です。こちらは公募品目ですので、要請というよりは、むしろ手挙げでやっていただいているものです。表面の9番のプロゲステロンは承認済みまで至りました。前回の御報告のときには、申請中だった品目です。2つ下の11番と12番が承認申請中です。前回は治験実施中と承認申請準備中ということで御報告させていただきましたが、今は申請まで至っていますので、恐らく1年以内に結果が出ます。

 裏面は、第II回要望募集になりますが、3番と4番です。前回は承認申請中でしたが、両方とも承認済みです。6番のカルグルミック酸も、前回は承認申請準備中だったものが、承認申請中となっています。9番のペガデマーゼは、前回未公表だったのですが、今回は治験実施中ということで御報告できるようになりました。

 以上が、開発要請・要望の進捗状況の御報告です。説明は以上です。

 

○堀田座長

 只今の開発工程表の概要、そしてこの開発の結果が出た企業の募集の問題についての報告について、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。企業公募中のもの、見つからないというのはどこにありましたか。資料5は開発要請を行って既に動いているものですね。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 全て載せさせていただいていますので、裏面の下の方を見ると「なし」と書いてある所が、まだ相手が見つかっていない所です。「あり」で「企業名未公表」というのは、ライセンス契約等で、企業名を公表してしまうと、条件が悪化したりしますので、まだ御報告できない状態ではありますが、事務局では存在を確認している状況ですので、御指摘の見付かっていない所は、第II回要望募集の16番、17番です。また、第III回要望募集でも3番のアナキンラは「なし」になっていますので、まだやっていただける所が見つからない状況です。このように見ていただければと思います。

 

○堀田座長

 以前に比べると、手挙げしていただいている企業が多くなったと思います。あと、残りのものに対する対応としては、どのようなことを考えているのですか。強制力をもってやらせる以外に、開発の要請の仕方とかインセンティブなど何か工夫をするのですか。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 先生方の御尽力もさることながら、業界の取組も非常に熱心にやっていただいた結果、パテント交渉でもかなり苦戦されているものの数多くのものが承認まで至っている状況です。残ったものについては、より一層のご厚情とご寛恕が頂きたいぐらい時間がかかりそうな気配を醸し出しております。そこについては個別に、業界企業の方とも緻密な相談をして、何がボトルネックになっているのかを、丁寧に相談に乗っていきたいと思っております。

 実際にはパテントを手離さないと言われてしまうとなかなか導入できない。一番しんどいケースは、この品目というわけではありませんが、パテントを海外本社で持ってしまって、日本に出さないと。いずれ日本に自分の支社を出したいと思っているので、どこかにそのパテントを出すこと、導出はしませんと言い切られてしまうケースです。それでは日本に支社をつくってくれるのですかと言うと、なかなか日本に乗り出さないというパターンが非常に厳しいパターンで、このようなケースは事実上、すぐには手が出ないものになります。そういうものになると、パテントが切れるまでは事実上導入できないことはあります。

 非常にこの制度は有名になりましたので、これで手を挙げると値段がはね上がるということを一部の企業の方からは聞いています。「なかなか厳しいんですよ」ということも言っていただいているので、具体的な条件によって、コンサルの仕方も変わっているところがあります。できるだけ公募ではなくて、要請にさせていただいた方がやりやすいこともあろうかと思うので、この辺については引き続き検討した上で、先生方に制度の見直しとか、あるいは要請先の基準の見直しというようなことも御相談申し上げたいと思っているところです。

 

○堀田座長

 いろいろな手立てをして、随分解決してきたのですが、どうしてもいろいろな事情で残るものがあります。それに対しても今後は新たな手立てを考えていくということで、事務局に努力をしていただきます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局から資料6の説明をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料6の、Cisatracurium besylateの筋弛緩剤としての開発について御報告いたします。本剤については、ちょうど1年前の第23回検討会議で医療上の必要性が高いと御判断いただきました。その後昨年の521日に開発要請を行ったものです。今般、この要望について、要望者である日本小児救急医学会より要望の取下げの申出を頂きましたので御報告いたします。

 具体的には、成分名がCisatracurium besylate、要望内容は、手術中又は処置、検査、集中治療に際して、成人及び小児を対象に、全身麻酔や集中治療室での鎮静の補助として骨格筋を弛緩させ、気管挿管や人工呼吸を円滑に実施できるようにするという内容でした。

 この取下げに関する申出として下に記載しておりますが、全身麻酔のために使用できる医薬品は、現在はrocuronium(ロクロニウム)というものがあり、これを上回る利点がないという判断をされて、今回この要望を取り下げるという申出がありました。こういう申出がありましたので、今、開発要請を掛けているところですが、開発要請を取り下げて処理をしたいと考えております。報告は以上です。

 

○堀田座長

 取り下げの報告ですけれども、何か御意見はありますか。既に企業が手を挙げてしまっているということではないのですか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料4-414ページに、グラクソ・スミスクライン社の方に開発要請を成人、小児についてかけていたものです。この度、要請をされた医学会から取り下げという報告があったというものです。

 

○堀田座長

 開発要望はしたのだけれども、既存治療を上回る利点が見付からないという理由で、学会からの取り下げということです。そもそも、その前にきちんと検討して出すべきという感じがします。今の報告も含めて、全般について御意見を頂けたらと思います。

 

○鈴木構成員

 資料2-3の裏の12番から16番に未承認薬迅速実用化スキーム対象品目が挙げられています。5品目ある中で、実用化に向けて進んでいるのは12番の1つだけで、1つは取下げ、残りの3つは要望内容を確認中とのことです。成分名を見ると、何となくそれほど画期的な成分ではないような気もするのですが、欧米でも未承認とのことです。それらの品目について、どの程度の見通しを持っているのか、もう少し詳しく教えてください。例えば、要望内容確認中というのはどういう意味なのか、前向きなのかそうではないのか、そういうことも含めて教えてください。

 

○堀田座長

 これはどちらにしましょうか、事務局か各WGの方からか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 事務局から御回答いたします。現在、要望を受けて、学会等から情報収集しています。今後、WGの先生方にそれを見ていただいて、検討をしていただくということですので、まだ端緒のところなので、具体的な回答は本日のところは難しいです。

 

○鈴木構成員

 本当にまだ検討が始まったばかりという意味ですね。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 そうです。

 

○堀田座長

 まだ時間に余裕があります。前の議題に戻っても結構ですので、御発言や御質問がありましたらお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 今、鈴木構成員から御質問のありました未承認薬迅速実用化スキームという新しいスキームの方で、3つについて要望内容確認中というのがあります。1つは要望取下げがあります。取下げは資料2-315番ですが、こちらについて簡単に御説明させていただきます。成分名が日局のダントロレンナトリウムということで、既に成分が承認されていますので、未承認薬ということではありません。これは、今まであったスキームの方でもう一度出していただくということで検討しているということでの取下げです。以上、簡単に補足の説明です。

 

○堀田座長

 この際、いろいろモヤモヤしていることがありましたら、是非御発言ください。

 

○小国構成員

 資料2-35番のミダゾラム、麻酔前投薬というのは未承認薬となっていますが、これは適応外薬ではないのですか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課長

 ミダゾラムは、成分としては既承認です。既承認の成分は注射剤で、これは口腔内投与です。ですから、投与経路が違うということで、未承認薬になります。

 

○小国構成員

 分かりました。

 

○堀田座長

 その他はよろしいでしょうか。本日予定した議題は以上です。事務局から報告事項等がありましたらお願いします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 次回の会議は、83()15時からを予定しております。御多用のところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。その他に報告事項はありません。

 

○堀田座長

 少し時間は早いようですが、本日はこれで終了といたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課

03-5253-1111(内線 4165、4229)

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