ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議> 第1回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(2016年4月13日)




2016年4月13日 第1回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

平成28年4月13日(水) 14:00~16:00


○場所

航空会館201会議室(2階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

出席委員

五十嵐委員、生出委員、小縣委員、笠貫委員、黒木委員
黒野委員、佐藤委員、杉山委員、鈴木委員、宗林委員
部坂委員、矢口委員、湯浅委員

○議題

1.開会挨拶
2.委員の紹介及び座長の選出
3.「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」の趣旨等について
4.「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」における検討の進め方について
5.その他

○議事

○審査管理課長

 ただいまから、第1回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。まず本会議の開催にあたり、医薬・生活衛生局長の中垣より御挨拶申し上げます。

 

○医薬・生活衛生局長

 本日はお忙しい中、御参加いただきまして、心から御礼申し上げます。

 御案内のとおり、我が国は、既に平均寿命が世界の最高水準になるわけです。その中で健康寿命を伸ばすというのが政府の大きな目標となっております。この健康寿命を伸ばすという中では、セルフメディケーションの推進というのが1つの大きな柱と位置付けられております。今回、先生方に御検討いただく、いわゆる医療用医薬品を薬局・薬店でも買えることができるようにスイッチOTCにすることについては、セルフメディケーションの推進の1つの大きな柱と考えており、私どもも進めていかねばならないと思っているところです。

 従来は日本薬学会からの意見に限られていたわけですが、今回は学会や団体に限らず、一般消費者・個人を含めて多様な主体からの御要望の受付を行い、いわゆるスイッチOTC医薬品の候補品目の意見募集なども通じて、広く御意見を伺い、透明性を持って議論していくことが重要なポイントと認識しているところです。今後、先生方のお力添えをいただきまして、要望を受けた医薬品について様々な角度から検討を頂くということで、有意義な会議としたいと考えております。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 ありがとうございました。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退席いただくよう、お願いいたします。

 初めに、本評価検討会議の委員の先生方を御紹介いたします。お手元に座席表と、資料1として名簿をお配りしておりますので、御参照いただければと存じます。五十音順に御紹介をさせていただきます。五十嵐敦之委員です。

 

○五十嵐委員

 五十嵐でございます。皮膚科で、今はNTT東日本関東病院に勤務しております。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 本日は御欠席ですが、上村直実委員です。続いて生出泉太郎委員です。

 

○生出委員

 日本薬剤師会副会長の生出でございます。よろしくお願い申し上げます。

 

○審査管理課長

 小縣悦子委員です。

 

○小縣委員

 日本女性薬剤師会副会長の小縣と申します。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 笠貫宏委員です。

 

○笠貫委員

 早稲田大学の医療レギュラトリーサイエンス研究所の笠貫でございます。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 本日は御欠席ですが、門田淳一委員です。続いて黒木由美子委員です。

 

○黒木委員

 日本中毒情報センターのつくば中毒110番の黒木と申します。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 黒野祐一委員です。

 

○黒野委員

 鹿児島大学耳鼻咽喉科の黒野でございます。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 佐藤好美委員です。

 

○佐藤委員

 産経新聞社の佐藤好美です。一般消費者の立場から意見を述べさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 杉山茂夫委員です。

 

○杉山委員

 日本歯科医師会常務理事の杉山でございます。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 鈴木邦彦委員です。

 

○鈴木委員

 日本医師会常任理事で薬事担当の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 宗林さおり委員です。

 

○宗林委員

 国民生活センターの理事をしております宗林と申します。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 部坂弘彦委員です。

 

○部坂委員

 豊島区駒込で開業しております部坂耳鼻咽喉科医院の部坂と申します。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 矢口均委員です。

 

○矢口委員

 大泉皮膚科クリニック院長の矢口と申します。今回、このような席に立たせていただくようになりましたのは、日本臨床皮膚科医会で健保担当の副会長をやっているということで推薦されたと思います。頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 最後に湯浅章平委員です。

 

○湯浅委員

 鎌倉の七里ヶ浜で内科を開業している湯浅と申します。日本臨床内科医会の御推薦を頂いて、この会議に出席させていただいております。よろしくお願いいたします。

 

○審査管理課長

 ありがとうございました。また、本日は参考人として、慶應義塾大学病院薬剤部長・同大学薬学部教授の望月眞弓先生に御参加いただいております。

 次に、行政側の出席者を御紹介いたします。まず、先ほど御挨拶申し上げた医薬・生活衛生局長の中垣です。大臣官房審議官医薬担当の森です。御挨拶が遅れましたが、私は審査管理課長の山田でございます。よろしくお願いいたします。

 続いて座長の選出に進ませていただきます。資料2に開催要綱がありますので御覧ください。3.の(2)にありますように、委員のうち、お1人を座長として選出することとしております。事務局としては笠貫先生に、本検討会議の座長をお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

 それでは、座長は笠貫先生にお願いしたいと存じます。

 

(笠貫委員、座長席へ移動)

 

 本日は上村委員、門田委員より御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ15名の委員のうち、13名の先生に出席を頂いております。それでは笠貫先生、以降の進行をよろしくお願い申し上げます。

 

○笠貫座長

 座長に指名されました笠貫でございます。よろしくお願いいたします。私は一昨年の医療機器体外診断薬部会長のときに、一般用体外診断薬についての議論に参加させていただき、セルフメディケーションの重要性を十分認識してきたつもりです。この度、医療用から要指導・一般用医薬品への転用に関する評価検討会議が開かれることになりましたが、大変重要な役割を果たす会議になるだろうと思っています。日本の国民皆保険制度を国民のためにどう維持していくかという意味で、国民の目線から、医療用から一般用、いわゆるOTC化について議論されていくことになると思います。

 委員の先生方は、御紹介がありましたように、各ステークホルダーの立場から、医療機関も大きな病院から開業医の先生方、それから各専門領域の学会関係の方、そして薬剤師関係の方もおられ、枠組みとしてほぼ網羅されていると思います。消費者の目線からということで、多様な先生方に御参加いただいており、大変意味がある議論がなされるだろうと思います。各ステークホルダーが社会的合意というものをどう形成していくか、会議で議論できたらと思っています。よろしくお願いいたします。

 最初に事務局から、配布資料の確認を行っていただきたいと思います。お願いいたします。

 

○事務局

 本日、席上に座席表、議事次第、配布資料の一覧、資料1~5、参考資料1~4を配布しております。更に当日配布資料として、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告-スイッチ化のプロセスを中心に-」ということで、スライドの資料も配布しております。過不足等がありましたら、お知らせいただければと思います。

 

○笠貫座長

 資料の方はよろしいですか。それでは議事次第に基づき、本日の会合の趣旨・経緯を事務局から御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料2と資料3を御覧いただければと思います。目的等に関してです。まず資料2で、今回の検討会議の開催要綱です。本会議の目的は1.に記載しております。いわゆるスイッチ化について、消費者個人・学会・団体からの要望を定期的に把握し、要指導・一般用医薬品、いわゆるスイッチOTC医薬品の候補成分に関して、適切性・必要性を検証することによって、消費者など、多様な主体からの意見が反映され、透明性を確保した仕組みを構築することを目的とするものです。

 2.が検討事項です。大きな柱として2つあります。1つ目が消費者・学会等の要望の定期的な把握です。2つ目が要指導・一般用医薬品(スイッチOTC医薬品)としての適切性・必要性に関する科学的な検証・評価です。さらにOTCの特徴を踏まえた理解度調査など、新たな評価手法などについても御意見を頂ければと考えております。

 3.が、先ほど委員のメンバーの先生方の御紹介がありましたが、構成については医学・薬学の専門家、医療関係者、消費者代表等からなる委員で構成することとしています。要望の内容に応じて、必要に応じて各分野の参考人の先生方の出席を求めることができるようにしております。

 4.が運営についてです。どのぐらいの要望が出てくるかというところに関わってきますが、概ね年3回程度の開催を想定しております。要望の件数などを踏まえ、開催のタイミングについては随時開催とさせていただきたいと考えております。

 続いて、資料3「スイッチ成分の評価システムの検討について」を御覧いただければと思います。「日本再興戦略」改訂2014において、海外の事例も参考に、産業界・消費者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組みを構築する旨が記載されています。概要に関しては、後ほど望月先生から御説明いただく予定ですが、平成26年度の厚生労働科学研究「一般用医薬品及び一般用検査薬の地域医療における役割等に関する研究」において取りまとめられた報告を踏まえ、新たなスイッチOTC医薬品の候補成分についての評価スキームを、昨年の薬事・食品衛生審議会で御意見を頂いてまとめたものが資料3です。

 図の左側にあるのが、「旧評価システム」と書いておりますが、これまでの評価スキームを表しております。医薬品の関係学会に候補成分の概要の取りまとめを頂いて、その後、関係医学会の御意見を踏まえ、候補の選定をするものです。図の下のほうに「申請・製造販売承認(実用化段階)」と、矢印で書いていますが、こちらは製薬企業において、スイッチOTC医薬品として開発を申請し、PMDA(医薬品医療機器総合機構)における審査の後に、審査会承認という流れであることを示しているものです。

 右側の部分の「新評価システム」は、海外におけるスイッチOTCの評価の仕組みなども参考にしています。1つ目のポイントとして最初に緑色で囲んでいる、消費者個人も含めて学会、団体からの要望を随時受け付けることとし、提出されたものを整理して確認した上で、2つ目のポイントにありますように、本会議ということで、今回のスキームの根幹となる本評価検討会議において、パブリックコメント等も活用しながら透明性の確保や明確化を図っていくものとしたいと考えております。また、本評価会議で検討いただいた結果については、従来どおり、薬事・食品衛生審議会においても報告し、公表していくということを考えております。

 その後の申請の段階については、流れは従来どおりですが、OTCの使用環境に応じた調査ということで、添付文書理解度調査等、新たな手法も取り入れていくことで進めていければと考えております。資料2と資料3の説明は以上です。

 

○笠貫座長

 厚生科学研究班における報告について、研究代表者として取りまとめられた慶應大学病院薬剤部長・同大学薬学部教授である望月眞弓先生にお越しいただいております。引き続き、報告の内容など、御説明をお願いできればと思います。

 

○望月参考人

 パワーポイントが上下で2枚ずつプリントされている、当日配布資料を御覧ください。今日御説明いたしますのは、2013年度、2014年度にかけて実施した、「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」の中のスイッチ化のプロセスを中心に御説明いたします。

 まず、この研究に至った背景です。一般用医薬品承認審査合理化等検討会が、200211月に中間報告を出しております。その中で一般用医薬品の範囲の見直しと、それに伴って安全対策をきちんとしていかなければならない、情報提供をもっと充実する、あるいは承認審査の流れを、もっとスムーズに承認されていく仕組みにする等々の提案がなされておりました。その一方で、新たな一般用医薬品の販売制度、いわゆる第1類、第2類、第3類というように分類して、そのリスクの程度に応じて対応する専門家や販売の形態を変えていくものです。これについて、2009年の6月からスタートしております。

 また、一方ではインターネットで一般用医薬品を販売することについて、いろいろなお立場からの御意見があります。インターネット販売を行うという新設の仕組みと併せて、要指導医薬品の制度が2014年の6月に創設されております。この一連の流れの中で、やはりこれからの生活者の病気のセルフメディケーション、セルフケアということを、今、真剣に考えなければいけない時期にきているということで研究班が設置されました。生活者の意識調査、海外のスイッチ化、医療用から一般用に転用している薬にどのようなものがあって、どういう仕組みで転用がなされているかの実情調査をさせていただきました。その調査結果を基に、スイッチOTC医薬品の在り方について、医師・薬剤師等の専門家の意見を取りまとめたものが最初に申し上げた報告です。

 次の3ページのパワーポイントが、現在の日本の医薬品の販売の現状を図式化したものです。医療用医薬品と一般用医薬品と、大きく2つに分かれておりますが、先ほど申した経緯で医療用から一般用に転用する直後の品目について、要指導医薬品という括りができております。医療用は医師の処方箋に基づいて、薬局で調剤して薬を販売するという形ですが、要指導医薬品については薬局・薬店等で、薬剤師が直接対面で販売しなければいけないものです。さらに隣にある一般用医薬品になりますと、インターネットでも販売が可能です。第1類、第2類、第3類で販売するにあたって対応する専門家は、第1類は薬剤師でなければいけないのですが、第2類、第3類は薬剤師又は登録販売者です。なおかつ、それらについて対応する者がきちんと存在し、店舗を有すれば、ネット販売も可という形で販売されているというのが現状です。

 その下のパワーポイントが、これまでの日本のスイッチ化のスキームです。先ほどの御説明にありましたように、通常、企業がこれをスイッチしたいということで御申請されて承認を得ていくという形になりますが、その流れは存続したまま、それとは別の形でいろいろな人たちの意見を反映し、候補薬が選定できる形を取ろうということで、日本薬学会がスイッチOTCの候補成分を選定する作業を行うことが導入されています。日本薬学会が選定した後、日本薬学会と関係医学会とで、その候補成分についてスイッチ化する妥当性等を議論して意見調整を行って、これはスイッチ候補品の成分として挙げてもいいだろうというものについては、薬事・食品衛生審議会でスイッチ候補品として妥当であろうかということを議論するという形に、ステップを進めることになっております。その上でスイッチ候補成分として公表されたものが、これまでに22成分あり、実際にスイッチ化されたのが5成分です。

 先ほども申し上げましたが、このスキームとは別に、従来型の製薬企業が直接独自に申請をしていくというルートも残されているという形になっております。

 5枚目のパワーポイントを御覧ください。これは欧州と米国とオーストラリア、ニュージーランドのスイッチ化のプロセスについて調べたものを表にしたものです。一番御覧いただきたいのが、一番上の欄です。この「申請者」というのは、候補成分の申請も含まれています。その申請者としてドイツ、フランス、イギリスについては、製薬企業でないと申請できません。豪州、ニュージーランド、米国については誰でも可、つまり企業でなくても、消費者も含めて誰でも可です。ただし、米国については主に企業が申請しているという状況です。

 その下の欄が各国の承認に至るまでのプロセスです。フランスとイギリスは2段階方式になっており、今回お集まりいただいている会議体と類似のものになるかと思います。まず第1段階で候補を申請し、候補成分の妥当性についても議論するというところでのプロセスが1つです。その後、承認申請のプロセスに入っていくという形になっております。その他の国は、渾然一体として流れていくという形になっております。この中で重要な点としては、候補成分を絞り込んだり申請をする段階で、必ず専門家以外の消費者の代表等が関わっている会議体が、この中でも多いということです。あるいは、そういう方が関わらない場合であっても、公聴会形式とかパブリックコメントをするなどして、社会の声が反映できる場が設けられているというところが特徴です。

 その下の6ページの「検討組織」というパワーポイントは、フランスは十分な情報が収集できませんでしたので、フランスを除いたその他の国々の検討組織です。いずれもいろいろなメンバーが入っておりますが、赤字で示しているメンバーは、非医療専門家、患者代表、消費者団体から推薦された方等々が入っていることが御覧いただけると思います。

 次のページです。以上のようなことを踏まえ、その他諸々いろいろ検討いたしました。まず、スイッチOTC医薬品候補品目の選定から承認までの中で、重要なポイントが2つあろうということです。1つ目が、多様なニーズの反映と透明性の確保です。前は日本薬学会と関連医学会の中で候補成分を選定していくということで、あまりオープンな形になっておりませんでした。そこをきちんとした方がよいのではないか、社会の声を反映できる形にした方がよいのではないかということで、誰でも提案できる、あるいは専門家を中心とした一般消費者も含めた場でのヒアリングをしたり、パブリックコメントを実施したりするなどが必要ではないかということです。

 2つ目のポイントとして挙げているのが、今日御説明したものとは直接関係いたしませんが、これから多様なスイッチOTC医薬品が出てくる可能性がある場合、まずはそのOTC医薬品が適切に、安全に消費者に使っていただけるということを確保することが重要だろうということです。1つは、添付文書が非常に理解されにくい可能性があるというところを、添付文書の理解度調査等を行って、御理解いただける内容に変えていくような検討が必要ではないかということ。また、セルフチェックシート、販売者側がチェックするシート、あるいは情報提供資材として適切なものを作成して、消費者が適正に使用できるように支援する必要があるだろうということ。それから、製造販売後調査をきちんと充実・強化しておくことも大切であろうということになりました。

 これらの経緯を踏まえ、現行の日本のスイッチ化のスキームの中で不足していると思われる、括弧の右側にある、消費者等社会の声を反映するという会議体での候補成分の提案をしていっていただけるとよいのではないかということになりました。

 最後ですが、こうした形で社会のニーズも反映してスイッチ候補成分を出していただいた上で、やはり一般用医薬品が信頼され、安心して使用できることが重要であろうということです。1つ目としては、医師・薬剤師等の専門家の関与による適正使用や安全性に関する適切な情報提供が必ずなければいけない。2つ目として、市販後のデータ収集や医薬品のリスク低減に向けた取り組みをきちんとする。医師・薬剤師がきちんと目を通して関わった形でない、消費者が自ら購入して自ら使うという場での安全を確保するためのデータ収集を、きちんと行う必要があるだろうということです。3つ目が、国民自身の医薬品に対する理解の向上です。医薬品医療機器等法第1条にもありますように、国民の役割もきちんと認識した上で、一般用医薬品と上手に付き合っていただくことが重要ではないかということを御提案させていただきました。以上です。

 

○笠貫座長

 どうもありがとうございました。ただいまの御説明内容について、御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思います。望月先生の御説明にあったように、厚生科研費で研究がなされていて、その提案を基に、「スイッチ成分の評価システム」という形でお話を頂きました。どちらからでも御質問ありませんでしょうか。

 

○黒野委員

 鹿児島大学の黒野です。パワーポイントの5枚目の「誰でも」というのを詳しく教えてください。例えば個人ではないと思うのですが、企業以外のものというと、具体的にどういったものになるのでしょうか。

 

○望月参考人

 誰が申請をしている等々の細かなデータはないですけれども、つの例ですと、ニュージーランドの例ですが、いわゆる製薬企業にも属さず、大学にも属さない薬の専門家の方が、一般の方の意見を反映した形で取りまとめは行うけれども、出すのは団体から出してもいいですし、個人から出してもいいですということです。

 

○黒野委員

 個人でもいいのですか。

 

○望月参考人

 はい、個人でも構わないそうです。ただ、ここには全く書いてはおりませんが、報告書の方には、提出するにあたって、どういう資料等々、あるいはどういうデータを揃えて提出しなければいけないというのは決まっておりますので、かなりの知識がないと、その提案書をまとめることはかなり難しいかもしれません。一応インターネット上では具体的事例は公表されております。

 

○笠貫座長

 今の御質問と関連するのですが、誰でもという場合に、申請する難しさがあることはやむを得ないと思うのです。誰でもという3つの国が挙がっていますが、具体的に個人から申請があったとき、受け入れ体制はどうされているのでしょうか。

 

○望月参考人

 これも全部を調べていないので、先ほどのニュージーランドの例で言いますと、オンゴーイングで提出されて、議論をされる手前のものも含めると年間で4、5件ぐらいです。出してはまた戻ってきて、出しては議論の結果、いろいろな質問事項等々が出て、戻ってという、やり取りがあって、前に進めるものもあるし、進められないものもあるという状況のようです。

 

○笠貫座長

 消費者のリテラシーの話が入るので、各国でこれからどう展開するか分からないけれども、現実的には年数件というのは、5件ないし10件以内という感じですね。国民のリテラシーとして一般用というものに理解が深まればその段階で議論されることになると思うのですが、それが世界の流れだと思います。

 

○部坂委員

 先ほど自己紹介で申し遅れましたが、私は日本耳鼻咽喉学会の保険医療委員も兼ねておりますので、そちらからも出席としていただければと思います。質問ですが、パワーポイントの4ページのスイッチ化されている5成分ということですけれども、具体的にこれは名称とかも公表していただけるのでしょうか。

 

○五十嵐委員

 参考資料1の9ページになります。

 

○部坂委員

 はい、分かりました。ありがとうございます。

 

○笠貫座長

 学会の話が出ましたけれども、最初は企業申請で、次のステップで学会での検討申請となるとき、質と量が変わったとかいうことはありますでしょうか。

 

○望月参考人

 先生、質というのは何のですか。

 

○笠貫座長

 スイッチ化するための評価基準を持って申請してくると思いますが、企業が出してきた場合と学会が検討して出した場合とで違いがあるかという意味で質が変わったでしょうか。

 

○望月参考人

 承認するに値するものがきちんと候補成分として出てきているかというような質問と取っても大丈夫ですか。

 

○笠貫座長

 医療用として市販されていて、市販後のベネフィットとリスクが十分評価されたものが一般用になるのかと捉えていますが、学会で検討した時に、評価基準がはっきりしたもので、数が増減したことがあるのかお聞きしたかったのです。

 

○望月参考人

 学会としては、評価基準は15項目ぐらいのポイントがありまして、その評価ポイントについて医療用の医薬品としての様々な有効性と安全性の情報の中から抽出して、評価をした上で、候補成分を決めていくということを行っておりました。ただ、突然候補成分を選ぶのではなくて、一番最初に日本薬学会の方が行った作業というのは、一般の方々がこういったOTCがあると役に立つだろうというような症状をピックアップして、それに対して医療用の中でOTCに妥当性の高い、その基準にマッチした成分は何があるかというのを次のステップで選定をして、さらにその選定したものを関係の医学の専門家の先生方と、本当にこれをスイッチしても大丈夫だろうか、あるいは意味があるだろうかということを議論して、その中で生き残ったものが22成分あったということで、多分これの3倍ぐらいは候補成分を一旦選んで、その中から絞っていった形だと思います。

 

○笠貫座長

 学会がピックアップするときに、消費者の方から申請できるかについて、リテラシーが十分でないときに、学会として消費者のニーズがどこにあるかという調査や検討はなされてきたわけですか。

 

○望月参考人

 実は消費者のニーズという調査は学会としてはしていなかったと思います。私は今、学会の代表ではないのではっきりしたことは申し上げられないですけれども、学会の検討メンバーの中に薬局とか薬店の店頭でOTCを販売している人たちが参加されていて、そういた方々が消費者の声を集めていらっしゃるというところがありましたので、そういうメンバーの方からの、消費者がこういう薬を求めてきたとか、そういう声が非常に高いというようなのを集めて、これがニーズが高いのではないかという整理をしていったということだと思います。

 

○笠貫座長

 他にありますか。

 

○佐藤委員

 スイッチ化のプロセスとは少し違うのかもしれませんけれども、せっかく海外の事情が出ましたので、教えて頂ければと思います。それぞれの国において、一般用医薬品として手に入る薬は、何で比較すればいいのか分からないですけれども、成分で比較するのか種類というか、よく分かりませんけれども、一般用医薬品としてアクセスできる薬の種類に、各国によってどのような違いがあるのか。日本は比較的どんなものにでもアクセスできる国なのか、そうでないのか。その辺のところを教えていただければ有り難いです。

 

○望月参考人

 いわゆる医療用からのスイッチ成分というのは日本よりは海外の方が進んでおりました。それは実は私どもも調べておりまして、この中には出てこないですが、報告書の中では、例えばH2ブロッカーというのはよく御存知だと思いますが、それは日本でもスイッチ化されております。プロトンポンプインヒビターという、H2ブロッカーよりもうちょっと作用は強くて少し機序の違うものがあります。それはまだ日本はスイッチされておりませんけれども、海外では何ヵ国かスイッチをしているというような形で、販売されている成分の種類は日本はとてもたくさんありますけれども、医療用からのスイッチということになりますと、海外の方が比較的進んでいる傾向があるかと思います。領域によっても違うとは思います。

 

○笠貫座長

 医療制度が密接に関係してくると思います。フリーアクセスの話も出ましたし、消費者にとって利便性は大きな話だと思いますが、消費者からのニーズがどこから出てきているのでしょうか。そのバックグラウンドとして、どういう医療制度があるか、その関係についてスイッチ化のプロセスのところで知りたいと思ったのですが、それは報告書の中には含まれているのでしょうか。

 

○望月参考人

 医療制度との関係で、考察はしておりません。

 

○鈴木委員

 私も報告書に関わっていましたので、それ以外も含めてですけれど、基本的に医療へのアクセスが悪い国はスイッチOTCが多くて、医療へのアクセスがいい国は、気軽に受診できますからそういうものが少ないという傾向はあると思います。ですから、必ずしもスイッチOTCが多ければいいということではないということです。

 

○湯浅委員

 消費者等の社会の声を反映するということは非常にいいことだと思うのですが、現実問題、消費者の声をどう反映するのか。消費者の声を反映するのであれば、誰でも自由に声を発することができなければなりません。そのためには、申請書類などの手続きをできる限り簡素化する必要があります。一方、誰でも自由にというのは、少し問題があるように思えます。そのバランスをどのようにとっていくのか。今後の議論ということにもなるのかもしれませんけれども、分かる範囲内で教えて頂ければと思います。

 

○望月参考人

 多分、先生が最後におっしゃった、今後の議論であるのかなというように思います。私は一応薬学で医薬の専門家の一員だと思っておりますけれども、私どもから消費者の方を見たときに、こういった成分をスイッチした時に、消費者がうまく使いこなせるだろうかというような、非常に心配なところがある場合は、そういうのは候補成分として選ばないという形になるのですが、私どもにも現在の消費者の皆さんのリテラシーがどのくらい高まっていらっしゃるのかを、きちんと把握しきれていないところがあるかと思っております。こうした会議体の中で、実際に消費者の代表の委員の皆さまにも議論に参加していただくことによって、そうした消費者の皆さんのニーズと、それからその先の適正使用の部分がどのようにやっていっていただけるかというところの、私たちが持ってきた疑問のようなところをここで解決しながら、前に進んでいっていただけるのかなというように、実は期待をさせていただいているところです。

 

○笠貫座長

 他にはありますでしょうか。

 

○宗林委員

 今、消費者のニーズという言葉が出ていますけれども、医薬品の世界だけではなくて食品の分野の中にも機能性を謳える、制度としても新しい仕組みも出てまいりましたし、今年度からスタートした機能性表示食品というものもあります。その中にはやはり生活習慣病対応のものが多く健常者の方が使っていただくということではあるのですが、かなり消費者のニーズを反映していると思われるものが大変大きな市場を占めていますので、そういったところでまずニーズが掴めるのではないかなということが1つ。

 それからこのスイッチ化ということを議論するにあたっては、リテラシーの問題、色々な問題がありますけれども、やはり一方で自ら選べるものとして、食品の中にも表示の近づいてきたものがありますので、それを横目で見ながらきちんとした個別承認をされているこの医薬品というものをどう位置付けて、消費者の中でうまく使っていけるかということも是非考えていかなければいけない観点であると思っております。

 

○笠貫座長

 他にはありますでしょうか。

 

○黒木委員

 中毒情報センターの黒木です。望月先生にちょっと教えていただければと思います。スイッチOTCの医薬品等の安全性確保のための新しい手法のところで、消費者の行動調査ということで、添付文書の理解度調査と使用実態試験の箇所です。使用実態試験は15ページになりますけれども、やはり使用してからの有効性も心配ですけれども、安全性の方をもう少し具体的に、どのような試験であるとか、現在どのように評価されているかというのを教えて頂ければと思います。

 私の視点からしますと、現在、セルフメディケーションということで家庭の中に医薬品が増えてきておりますが、同時に子供の誤飲事故であるとか、親御さんの誤使用事故なども増えておりまして、消費者庁の委託を受けて中毒情報センターで調べたところです。とても安全性について心配がありますので、教えて頂ければと思います。

 

○望月参考人

 一般用医薬品がたくさん増えてきたこともさることながら、多分医療用の医薬品も家庭でたくさん増えていて、お子さんの事故のケースというのはOTCだけではなくて、多分医療用も含めてのケースということになろうかと思います。それとは別に、先ほど消費者の方に適切に使っていただいて、安全に使っていただけるようにということで、まず1つは、添付文書には安全に使っていただくための重要な注意事項とか、あるいは自分がそのお薬に合っている症状なのかを見極めるための情報がかなり網羅的に書かれているのですが、どこまで理解できているかはこれまで余り調べられてきておりませんので、実際に私どもがトライアル的にやってみたのですが、とてもよく理解していただける項目と、特に副作用とかの注意喚起の辺りの情報というのはなかなか理解していただけない。難しい用語も結構使われているということで、もう少し必要な情報が本当に理解できる形、あるいは言葉を選んで作っていかないといけない部分もあるというのが今の段階での実態です。

 その上で、今度は使用実態の方ですが、ここはまだ日本では実際には大昔に他の先生がおやりになって報告されているものがあります。それはもう使用実態試験というのをするのには、どういう仕組みが必要で、どのようにやっていくというところが目的のトライアルだったので、実際にそこから安全な使用についてのデータを得るというところまでは明確にはなかったと思います。これからこれをどういう形で、一応臨床試験に近いものになっていくと思いますので、やっていくのかということが課題になると思います。

 使用実態試験とは別に、先ほど製造販売後調査のところをもう少し拡充したりしていくのはどうかと、報告書では少し考えたところなのですが、製販後調査は、ただ、今の集め方は、箱の中にはがきを入れておいて、何か副作用などがあったらそのはがきを返送してもらう等々の集め方をされているので、そこの仕組みをもう少し違った、使用実態を反映する、例えば適切な使い方ができたか等の調査項目をそのはがきの中に入れて、使用実態が把握できるような仕組みを作ることも考えられなくはないのかなと思っています。まだ、実際にはそういう使用実態試験の結果が出ていないので、私にも具体的な言及はできないというところです。

 

○黒木委員

 ありがとうございました。メーカーの使用実態調査の件が出ましたので、ちょっとコメントですが、私ども、中毒事故とか誤飲事故が専門ですが、以前、ニコチンの成分がスイッチOTC成分として変わった時に、メーカーからの依頼もありまして、それは使用実態調査の中の1つだと思いますけれども、誤飲事故の問合せがあった時に報告してほしいということで相談があり、タイアップして調査した事例などもあります。企業と一緒にまた私どもも活用していただければと思います。

 

○笠貫座長

 他にはありますでしょうか。

 

○五十嵐委員

 今の御質問にちょっと関連しているのですが、添付文書理解度調査、頂いた資料では、症例数が20例ぐらいですか、これは米国ではもう既に先行されているのですが、米国での添付文書理解度調査若しくは使用実態試験は、どのぐらいの症例数を調査しているのかわかりますか。先ほどの使用実態試験は、こちらでははがきを利用とかというお話もあるのですが、米国では具体的にどのようなことをされているか、大体把握されているのでしょうか。

 

○望月参考人

 実際の数字はちょっと今日の資料では持って来てはいないですが、理解度調査に関しましては、具体的な数字はちょっと忘れたのですが、相当な人数で米国はやっております。正に先ほどの鈴木委員のお話にもありましたように米国は制度が日本とかなり違っており、OTC医薬品と言われるものは全て普通の小売店で売れるという形になっております。そのことがありますので、かなり様々な人が入った、人口全体を反映したようなポピュレーションで、かなりの人数を使って理解度調査をするということが米国の場合は行われています。多分、言語もいろいろな母語の方がいる中で、その添付文書を理解させるということについてはそういう調査が必要なのだろうと思っております。

 ただ、私は日本の場合は、そこまでのポピュレーションを全体に反映して云々というという調査は必要ないとは思っております。イギリスのやり方というのがありまして、もっと少人数に絞られた、ただ世代はいろいろな分布を取りますけれども、全体で多くても2030人ぐらいでの理解度調査を繰り返し、2、3回やるような形を取っています。そちらの方が、日本のいろいろな実態から見ると適している可能性があるのではないかと思っています。

 

○笠貫座長

 使用実態試験の世界の実情について、日本でどういう形を取れるのでしょうか。「スイッチOTCとダイレクトOTCとは違う」という話がありましたが、ここでは医療用から一般化というスイッチOTCの使用実態試験であり、その試験の持つ意味合い、重みというものが出てくると思うのです。スイッチされる前の医療用のときには副作用報告制度があります。

スイッチOTC化した場合には、薬剤師あるいは薬局の位置付けというのが非常に大きくなってくると思うのです。医療用での副作用報告制度は、企業が非常に大きな意味を持っていて、医療機関は10分の1ぐらいです。その報告数から見た時に、スイッチOTCになった時に、これは企業からどう出されるのか、あるいは薬局からどう出されるのか。あるいは消費者から出てくるのか、他の国々ではどのような形で副作用のチェック、安全対策をしていて、どのような実効が上がっているのかについてはお分かりになりますでしょうか。

 

○望月参考人

 今回は、副作用報告についての調査はしておりませんので分かりかねる状況です。申し訳ありません。通常の自発報告で収集される範囲と思います。医療用の医薬品でも、日本の使用成績調査というのはとても特殊な集め方をしていると思っておりますが、諸外国はそういう制度は持っていないと思いますので、一般的な自発報告という制度の中で集まってくると思います。

 使用実態試験は、副作用の報告を集める部分と、もう1つ、実態の中で正しく使えているのかというところを確認していきます。それできちんと効果が得られているのかという、使い方が正しくできて、効果もきちんと得られるのかというところも併せて見るというところがありますので。

 

○生出委員

 今の副作用の関連です。確か、厚生労働省の調査では年間に一般用医薬品では300件ぐらいだったと思うのです。そのうち、残念ながら薬局からの提供というよりは、企業からの副作用情報の提供というのが非常に多くて、2番目には副作用とは思わずに医療機関にかかって、その時に副作用と判明したということから、そういう順番で報告をされていたような気がします。

 

○笠貫座長

 消費者が副作用かどうかを判断するときに、薬剤師からの問い掛けというか、その意味付けを具体的に示していかないと、なかなか消費者の方も気が付かないことが多いですね。

 そういう意味では、日本薬剤師会あるいは日本薬学会などの責任が大きくなるということで、そこは何か議論されているのでしょうか。

 

○生出委員

 そう思います。会員の皆さんに副作用の報告をこまめに行うことと、そういうことに気が付いた場合にはきちんと報告してくださいということは伝えてあります。

 それから、メディナビ等を使っての情報を取るとか、いろいろな角度から発見できるような形を、薬剤師が関与できるような形を作っていきたいということで、発信しております。

 

○笠貫座長

 他にはございませんでしょうか。

 

○鈴木委員

 今までの一連の話をお聞かせいただいても、改めて医療制度によってどの程度のOTCが使われているかは違ってくるということですが、アメリカは極端な国で、お金をたくさん持っている方とか高い保険に入れる方は違いますが、普通の人には非常にアクセスが悪いので、取りあえずOTCでしのがないといけないという意味で、どのような方が買われても対応できるように、その辺が充実しているのだと思うのです。今回の報告書には、先ほどの海外の調査報告もありますが、「一般用医薬品に対する国民の意識の現状と課題」という内容も含まれております。それによると、今後どのような医薬品を薬局・薬店で発売してほしいかという問いに対して、「特になし」という方が602名と圧倒的に多くて、その他を全部含めても70名でしたし、一般用医薬品又はスイッチOTC医薬品についての意見や希望、不満に感じていることはないかという問いに対しても、「特になし」が663名と圧倒的に多くて、その他の方は全部合わせても20名でした。

 このように、我が国は非常にアクセスがよく、かかりつけ医にすぐに相談できるし、お薬も医療機関からもらえる場合もあるので、そういうシステムの中で解決されている問題も多いのです。今後スイッチOTCをある程度増やしていくという話が行われるのかどうか分かりませんが、その場合にはもちろん薬剤師の責任も重くなりますが、国民自身の自己責任も重くなってくるということは御理解いただかないといけないと思いますので、いい話ばかりではないということだと思います。今の医療制度のいい部分は是非残しつつ、多様なニーズに応えるという視点が必要ではないかと思います。

 

○生出委員

 鈴木委員のおっしゃるとおりだとも思うのですが、一方で2年前でしたか、医薬品医療機器法が改正になり、第1条の6に「国民の役割」ということで、きちんと自分たちが健康に対してとか、医薬品に対して、よく把握して対応することということが、改めて法律で求められていますので、自分自身でセルフメディケーションを実践することが求められているということも、今の流れだと思っております。

 

○湯浅委員

セルフメディケーションという考え方は、世界的にも認められています。ただここで気をつけなければいけないことは、国により保険制度が違うということです。セルフメディケーション、言い方を変えれば自己責任という概念は長い間、国民皆保険制度の立場をとってきたわが国の国民には、そぐわないというか簡単にはなじめないような気がいたします。これから未曽有の超高齢化社会に向かう中で、医療依存度の高い国民の理解を得るのはなかなか大変なような気がします。

 

○笠貫座長

 各ステ-クホルダーの立場での御意見は非常に大事であり、共通の認識を持つということで、議論を進めさせていただきました。いずれにしても、国民皆保険制度、世界に誇る皆保険制度をどう維持し、どう健全に発展させるかということは、皆さん同じだろうと思います。その中でセルフメディケーションが国民サイドのリテラシーとしていつ成熟するかは、分かりませんが、国民自身が皆保険制度を守り育てていくのだという気持ちになった時に、セルフメディケーションが確立されるのだろうと思います。そのプロセスにおいて、今、何をしなければいけないかということを議論していくことになるのだろうと思います。

 次の議題に移らせていただきます。この検討の進め方について事務局から御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料4と資料5を御覧ください。まず、資料4で、今後の進め方についてです。先ほど御議論いただきまして、意見をいかに反映できるのかということで、事務局で進め方について考えた資料です。

 まず、学会、団体、消費者個人からの要望を受け付けた後に、厚生労働省でPMDAと協力しつつ、リストの作成、整理などを行っていくことを考えています。それぞれの医療用医薬品としての有効性・安全性に関する情報などについては、情報提供を産業界にお願いするとともに、関係医学会、また医会の先生方に御協力をお願いし、要望として出されたものに関しての妥当性についての見解をあらかじめ頂き、それを資料として個別の要望ごとに整理させていただき、本評価検討会議において評価いただきたいと考えております。その結果については、薬事・食品衛生審議会に報告し、公表を考えております。妥当と判断されたものについては、その後、企業においてPMDAの相談制度なども利用いただきつつ、申請に向けた要指導医薬品としての開発を進めていただくという流れになるかと考えております。

 裏側にまいります。スイッチOTC医薬品候補成分の検討の進め方について(2)です。こちらはもう少し細かく流れを示した図です。要望については、随時受付をしていく予定です。受付の状況を見ながら、一定期間ごとに整理をし、処理をしていくことになりますが、一定期間で区切った後の流れは、受付をし、整理シートの作成をした後に本評価会議で御評価いただき、その後できるだけ広く御意見をということで、意見募集ということで任意のパブコメを利用させていただき、この場でも広く御意見を頂いて、その結果をもう1度本会議で確認いただき、評価をまとめていくという流れでどうかと考えています。

 一定の期間ごとに分けて、それぞれ作業いたしますので、この図に示したような一連の流れが順次時間差で流れていくといった格好になっていくかと思います。評価会議においておまとめいただいたものを「整理シート」と呼んでいますが、こちらも公表していくということで、正しい情報の発信にもつながるものと考えております。

 具体的に要望の受付については、今後厚生労働省のホームページに新たにウェブサイトを設けることを考えております。資料5を御覧ください。具体的な要望内容を一定の様式でということで、様式案を作成しております。医療用医薬品の方で未承認薬・適応外薬検討会議というものを運用しておりますが、そちらの様式等も参考に作成いたしました。

 1.の所は、要望者の選択をするような部分から「要望する医薬品」、これは必須の記載項目とはしておりませんが、「国内関連学会」、その他「医療用医薬品としての使用実績」「要望の効能・効果等」といった項目で、作成させていただいております。2ページ目です。「要指導・一般用医薬品として適切と考える理由」も項目として挙げて、記載いただくことを考えております。

 先ほども、一般の方が要望を挙げるのはハードルが高い部分もありますので、できるだけ項目を絞って作成しておりますが、更に、「記載上の留意点」を書いておりますが、各項目についての記載をする上で参考となるもの、例えばPMDAの添付文書の検索サイトといった、こういったところを参考にしていただきたいというところも示しつつ、記載要領を充実させていただいて、これを厚生労働省のホームページに掲載し、要望の受付ということで進めさせていただければと考えております。資料4、資料5の説明は以上です。

 

○笠貫座長

 ただいまの御説明に関して、御質問、御意見はございますか。

 

○五十嵐委員

 確認です。資料3、資料4を拝見して、今回のこの会は学会、団体、消費者からの要望を取りまとめて検討していく会なのですが、医療用医薬品をOTCに転用したいと企業の希望があった場合は、ここの会にはかかってこないという理解でよろしいのでしょうか。

 

○事務局

 要望自体はここに書いている学会、団体、消費者からの要望を受け付けると考えております。ただし、消費者個人から出てきた時もそうなのですが、もし企業から出てきた時も、ある程度要望者の方とやり取りさせていただいて、要望の適切性や内容の確認は事前に事務局で精査させていただきたいと思っております。

 

○笠貫座長

 企業からの要望も当然行われるわけですから、先生が言われるように進め方の(2)でいくと、要望の整理に企業が入っていないという意味合いですね。

 

○五十嵐委員

 そうです。

 

○笠貫座長

 そこは基本的には同じことなのですよね。

 

○事務局

 要望ということで出てくる可能性は当然あるとは思いますが、ここに書いているとおり今回の趣旨から言うと、製薬企業の方から直接というよりは、多様なニーズということで、特に消費者個人の方とか学会、団体からの要望を想定しているという意味で、企業とはここには書いていないということです。

 

○矢口委員

 今のお話だと、企業からOTCにしたいという要望があった場合には、学会を通してやれということでよろしいのですか。直接厚労省に要望を出すのではなくて、各学会、例えば皮膚科学会にお願いして、「要望してほしいのだけれども」と言ってくださいということでよろしいのですか。

 

○事務局

 決してそういう意味ではなくて、産業界側の意見というのは、資料4の左下にあるように、医療用の医薬品に関する情報の提供をお願いするという部分がありますので、ここで御協力いただくと考えておりますので、基本的にはこの仕組みの中では企業からの要望は想定していないということで、また学会等を通じて挙げてほしいということでもないかなと思います。

 個別の会社ということではなくて、例えば製薬協、日薬連なりの団体からということであれば、もちろん団体ということで対象にはなってくるものと思います。

 

○小縣委員

 日本女性薬剤師会の小縣です。実際の仕事は開局の薬剤師です。患者は確かに色々な方がいらっしゃって、理解のいい方もいらっしゃいますし、幾ら説明しても納得のいかない方もいらっしゃいますので、望月委員が先ほどおっしゃったように、なかなか説明書とか能書きだけで理解してもらうのは大変だと思います。私もこの会に初めて出てきて、今までの議論で思ったのですが、今、この会議で大体主成分を決めてだんだん上に挙げていく中で、企業側としては「それはまだスイッチにしてほしくない」という意見というのはないのでしょうか。

 

○五十嵐委員

 それに関連してですが、頂いた参考資料に、22成分のうちスイッチ化できたのが5成分とあります。だから、17成分のスイッチができていなくて、そこにはいろいろな理由があると思うのですが、例えば企業がその気ではなかったということもあると思うのです。この辺の解析は当然されていると思うのですが、現状において、今、残り17成分はまだ開発中のものがあるとか、そういうことの情報があれば教えていただきたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

 

○審査管理課長

 審査管理課長です。個別の品目についての開発状況というのは、ここで申し上げるわけにはいかないかと思います。

 

○生出委員

 今、医療用医薬品のうちの6割近くがジェネリックに変わってきている中で、オリジナルの医療用医薬品でなければスイッチ化できないのか、ジェネリックとなったものでも、例えばA社とB社があって、B社がジェネリックの会社でA社がブランドの会社だとしたら、A社が開発しないけれども、ジェネリックがあるB社でのOTC化というのは可能なのですか。

 

○審査管理課長

 それはもちろん可能です。現在の規制上は、新薬として承認しますと再審査期間というのが付いて、もう1度市販後の安全性等の調査を行った上で再審査を受けるということになりますので、基本的に再審査期間が続いている間はジェネリックも出ませんし、スイッチOTC化もできません。

 それで、スイッチOTC化の対象となるのは、基本的には再審査期間の切れた、いわゆるジェネリックも製造できるようなものということになります。

OTCの医薬品については、必ずしも医療用の医薬品と同じものそのものがOTCになるわけではありませんので、そこはまたOTCとしてふさわしい剤型・含量であるとか、他の有効成分との配合剤にするというようなことが行われますので、必ずしも先発品を開発した会社でなければOTC化ができないということはありません。

 

○湯浅委員

 最初に「利用者の声を本当に反映できるのか」というご質問をさせていただきましたが、利用者の声が反映され、公表された場合でも、それが必ず製剤化されるのかどうか疑問です。当然のことながら製薬企業が製剤化に向けて動かなければ、絵に描いた餅になる可能性が高いと思います。その点をどのようにお考えなのかお尋ねいたします。

 

○審査管理課長

 そのような懸念は当然払拭することはなかなかできないと思います。ただ、私どもとしましては、こちらの会議でおまとめいただいた結果について、開発を希望する企業に情報を提供し、なおかつ資料4に書いてあるように、PMDAにおいて細かいことも含めて、丁寧な相談を受け付けるというようなことをもって、開発企業をある程度支援することを考えております。

 ただ、先生がおっしゃられるように、最終的にどう考えても採算が取れないから駄目だとか、そういうことは当然あり得ると思いますので、最終的に製品化できるかということについては、必ず保証できるものではないと考えております。

 

○鈴木委員

 話を聞いていますと、資料3の旧評価システムから新評価システムへということで、左から右へ移るということだと思います。それとは別に望月委員の当日配布資料の4ページの一番下に※で、「このスキームとは別に製薬企業が独自に申請することも可能」とあるのですが、これは残るのですか、それともなくなって新しい評価システムに一本化されるのでしょうか。

 

○審査管理課長

 従来からの企業が独自に開発するというスキームも残ることは残ります。

 

○鈴木委員

 残るのですか。

 

○審査管理課長

 はい。

 

○鈴木委員

 それは問題があるのではないかと思うのですが。

 

○審査管理課長

 なかなか企業による自由な開発を、こちらから阻害するというようなこともできにくいかなと思っておりますので、その辺は適宜こちらの会議体にも御報告を差し上げるなりして進めていければと考えております。

 

○鈴木委員

 ただ、以前は企業がいきなり学会や医会の意見も聞かないで出してきて、それが問題になったことがありましたので、そういう仕組みが残ることになると、今までの問題点が一部残ることになりますね。もしかしたらと思って聞いてみたのですが、是非、それも併せて検討していただければと思います。そうでないと部分的な見直しという感じで、全体の見直しではなくなります。

 

○審査管理課長

 確かに、医薬品の研究開発自体は企業が主体になって行っているところですので、我々としては色々な場面で相談に応じるということをやっていますし、実際に承認申請がなされれば、いろいろな外部の専門家の先生の御意見も伺いながら審査をするわけですが、その中で、こちらの検討会議との関連というのをどうするかということは検討させていただきたいと思います。

 

○鈴木委員

 せっかくこれだけのスキームを作ったのに、それとは関係のない仕組みが残ることになると、いきなり学会、医会に意見も聞かないでボンと出してくるような、以前の問題点が残ってしまうのです。その時は私が急いで医会の意見を聞いて対応しましたが、それは今後繰り返すべきではないと思いますが、是非そこも見直していただきたいと思います。

 

○笠貫座長

 鈴木委員から御指摘のあった企業からは、別なシステムとして考えるのですか。ステ-クホルダーという、利害関係者はイーブンだと思いますし。全てが要望を出すという権利を持つべきです。そこを最終的に判断する評価会議があるという形を取っておかないと、企業の研究開発意欲も大事な話だと思います。各ステ-クホルダーの意見を議論できる評価会議で、最終的に検討するという筋道は残しておかないといけないと思ったのですが、企業からのものは別なスキームを考えるということになりますか。

 もし一緒にするなら、企業が残っていても、企業も個々の企業と団体としての問題は違うと思うので、全てステ-クホルダーとして参画できるというスキームがいいかなと思ったのですが、どうなのでしょうか。

 企業から申請されたところの評価をする会議は別な会議体があるということになりますか。「問題があった」ということですが、私は問題があったから全て駄目だということではなく、企業から出ていいものもあるはずなので、そこを評価するのがこの評価会議だという位置付けでいくならば、最初の申請も全てにオープンにしたほうがいいのではないかという感じはしますが、どうでしょうか。

 

○審査管理課長

 企業で独自に開発してというような道筋も、もう既に類似のOTCが承認されて、市販されているようなものであれば、余り大きな問題はなかろうかとも思いますので、その辺は整理させていただければと思います。基本的には、我々側としましても、これまでOTCになったことのないような新しいタイプのものというのは、この検討会議ですべからく御議論いただくべきだと考えております。

 

○鈴木委員

 問題になったのは皮膚科のステロイドの入った軟膏の話です。その時に企業は、古い薬だからいいだろうと思って出したようですけれども、皮膚科の先生方にお聞きしたら、皆さん反対でした。そういうことがこれからも起き得るということだと見直しとして不十分ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○五十嵐委員

 昔の話なのですが、そのままOTCになるには問題あるなということで、我々はかなり反対させていただいた経緯があります。

 また、望月委員から頂いたパワーポイントの資料の5枚目を見ますと、諸外国の申請は企業だけとか、誰でも可などになっているのですが、この流れを見ますと、企業からのものもこういった場で1回議論されているように見受けられるのですが、そうでしたら日本が少し違うのかなという気がします。今の話を聞いていると、多少問題があるのではないかなと私も思うのですが。

 

○笠貫座長

 皮膚科の具体的な話が出ましたが、これも要望の整理の所で受けて、それを関係学会、医学会に照会して、産業界にも、これはオーソライズされた団体なので、そこに照会して回答などを得ながら、最終的には整理シートで評価会議に上げるのだったら、今の問題はここでチェックはできるので、その再発はチェックできると思います。

 一本化するかどうかは大事な話ですから、五十嵐委員からも出ましたように、海外で見ると、企業のみというのもありますので、事務局でご検討いただけたらと思います。

 

○審査管理課長

 今の御意見を頂きまして、こちらで検討させていただきたいと思います。

 

○笠貫座長

 他にいかがでしょうか。

 

○大臣官房審議官

 この検討会議を設けるにあたって、当初の準備をしていた経緯が私もございますので、一言申し上げさせていただきます。

 かつて22の成分を薬学会から選んで5つしかものになっていないことについて、どうなっているのかという御質問が出ていて、これは本当に市場性があったのかとか、製品にする上で医療用は単味なのですが、OTCの場合は配合剤にしたりすることがよくありますし、あるいは一般消費者にとって使いやすいような製剤形態にするとか、いろいろな工夫をされているのが現代のOTCなのです。

 そのようにするには少し無理があるとか、技術的な問題、コスト的な問題、市場性、色々な要素でものになっていないというようなことは恐らくあるのでしょうけれども、それが非常に見えにくいと。そのような様子もあって、せっかく考えたけれども上手くいっていない、あるいは一方では鈴木先生が御指摘のように、透明性がなくて、何がどうしてこのようなものが突然出てきたのだというような話が分からないということを、誰から見ても分かりやすいような仕組みの中で検討いただいて、開発する側にとっても、それを使う側にとっても、それを使っている人たちを医療側から見ても、みんなよく分かるという形を実現していくためには、このような形でオープンに議論していただくという仕組みが必要ではないかということで、検討を始めたという経緯がございます。

 そのような中では、企業がどう考えているかというのも、この場で是非出させていただければいいのではないかと考えていたところですし、今の御議論から見ても、企業が要望するものは、むしろ企業としてできると踏んでいるので、出してくるということになるのではないかということも考えますと、企業からの提案がこの場に出てくるのが、実現性の面でいうと、ものになりやすいものとして出てくるし、それが消費者側から見て問題があるとか、医療側から見て問題があるということであれば、それはそこをズバリと指摘していただいて、なぜいいのか、なぜ悪いのかということがはっきり分かるようにすることが大事だと思います。

 これが、誰から見ても分かるようにするということができれば、みんな納得できるのではないかという思いがありまして、このような形で先生方にお手間を掛けていただいて、お集まりいただいたという経緯がございますので、正しく今の御議論のような形で実現していただければなと。

 事務局側としても企業の開発の要望というのは、利益相反の問題も結構ありますので、取扱いにはある程度慎重でなければいけないというところはあるのですが、スイッチOTC化を分かりやすいプロセスで進めていくということに関しては、やはりステ-クホルダーとして、ちゃんと姿の見える格好で参加してもらいたい、提案もしてもらいたい、意見も言ってもらいたいということは、考え方としてずっとこの検討会の構想を練ってくる中ではそういう議論もございましたので、正しく御指摘のような点を汲み取った形で思っております。

 

○笠貫座長

 矢口委員どうぞ。

 

○矢口委員

 1つ質問があるのですけれども、私、この会、全くのひよこでございますので全く分からないのですが、「2008年からスイッチOTC医薬品の候補品目が」というようにたくさん出てきていると思うのです。その品目というのは、私が考えると、企業から要望されたとか、そのような項目が多いのかなと思うのですが、実際問題はどうなのですか。または、この委員会のどなたかが、ここで言うと日本薬学会の方でピックアップをして、それを議論したのか。どういうことだったのかをちょっと教えていただければなと思います。

 

○事務局

 事務局でございます。参考資料1の9ページ目を御覧いただいているのかと思います。こちらについては先ほども御説明を少しさせていただきました、日本薬学会の方で、適切性というような判断から選定するということでしていただいて、その中で更に絞られて、審議会でも議論いただいて、最終的に候補成分とされてきたものが22成分ということでございます。

 

○矢口委員

 では、企業からの要望というのはほとんどなかった。数少ない、そういうことでよいでしょうか。

 

○事務局

 この旧評価システムでは、その企業からのというのを基づいてというものではなかったです。

 

○矢口委員

 ありがとうございます。

 

○宗林委員

 資料5のこの書式ですが、これが要望を出される形なのだと思うのですが、2つあって、例えば、医療用医薬品としての副作用の発生状況などは※が付いているところはどうやら必須項目というようにして書かれているようですが、医療用医薬品としての使用実績の副作用の発生状況は※が付いていて。なぜ適切なのかとか、例えば、備考の連絡先などは書かなくてもいいのかと改善点があるかと思うのですが、これはどんな形で厚生労働省の方に出すことを想定されているのでしょうか。

 それからもう1つは、折角このような形で、今企業の方も最初のところに入るのかどうか分かりませんが、要望するのであれば、きちんと周知というか、仕組みの変化について透明性を最初のところから高めていただきたいと思うので、それをどのような形で、各団体からも出せるというような説明を積極的にしていかないと、分からないままにまたなってしまいますので、その辺をお聞きしたいと思っております。

 

○事務局

 ありがとうございます。要望の手段なのですけれども、要望用のメールアドレスを用意させていただきまして、この様式に基づいて作成いただいたものを、参考情報、資料とかもありましたらそれもつけた上で、メールにて受け付けるということを考えております。先ほどの必須事項のところを、2ページ目の適切に考える理由ですとか、その辺りも、当然ここも必須になります。先ほどの企業からの要望も含めていくという方向性ということで考えていきたいと思いますので、その辺も含めてこちらの資料5の方は修正をさせていただいて、ホームページの方で掲載をしたいと思います。

 また、ホームページに出すだけではなくて、今後やはりこういった仕組みが出来ましたということを広くお知らせをするということで、そういった手段をどういった形でしていくのか、いろいろな機会に御紹介をさせていただくですとか、そういったことも今後御意見を伺いながら考えていきたいと思っております。

 

○宗林委員

 そうすると、副作用の発生状況はどこを、第三者が要望する場合はどこから引っ張ってくるのですか。重篤なものだけではないですよね。

 

○審査管理課長

 基本的には医療用の医薬品の添付文書がPMDAのホームページで公開されておりますので、その添付文書を御覧いただければ、ある程度のことは書けると思います。

 

○宗林委員

 割合とかということですね。

 

○審査管理課長

 そうですね。重篤な副作用にどういうものがあるかとか、臨床試験の中で何例中何例に発生したとか、そういう情報は添付文書に記載されておりますので。

 

○笠貫座長

 余りハードルがそれで高くならないようにということですね。最初の要望の話なので、次のステップで議論されるように配慮をしていただきたいと思います。それでよろしいですか。

 

○宗林委員

 正確にこれを消費者が把握するのは難しいかと思いますのでということです。

 

○笠貫座長

 厳密にやるのは難しいですね。

 

○黒木委員

 本日の参考資料3について教えていただきたいのです。日本におけるスイッチOTC成分ということで、1983年~2015年までのものが載っていますが、これが企業から挙がって了解したものの一覧ということで、よろしいでしょうか。それプラス望月先生の報告書の9ページの日本薬学会からの検討結果のうちの候補、承認されたものということで、よろしかったでしょうか。少し確認させてください。

 

○事務局

 参考資料3でお配りしておりますのが、いわゆるスイッチという仕組みが導入されてから企業から申請があって承認されたものというものの一覧でございます。委員御指摘のとおり、報告書の中に出てくる表が、候補として挙がってきた22成分で、そういう意味で言うとここの中の5成分が重複というか、かぶっていることになります。

 

○黒木委員

 ありがとうございます。ですから、企業から挙がってくるものが、年に1件から5、6件程度。また、日本薬学会から挙がってきたものが、この資料の程度といったことでという認識で、よろしいわけですね。

 

○事務局

 はい。

 

○黒木委員

 やはりこれも企業から挙がったものも、いろいろな学会、団体、個人から挙がったものも、このような検討会が出来ましたので、私も是非この場に持ってきてもらって、評価していただければと思います。先ほど、ほとんど問題がないというお話でしたので、ここの場ではきっと公開して、議論して、ほとんど問題がなく了解されるものだと思いますので、是非そのステップを踏んでいただければと思います。

 

○鈴木委員

 企業が入ってないということですけれども、望月先生の資料の5ページを見ると、独、仏、英など、中医協ではなじみのある国では申請者は企業ですね。誰でも可ということは、アメリカを見ても(主に企業)と書いてありますので、企業も含まれるのではないですか。

 それから、検討組織を見ると、ドイツでは専門家だけでやっていて、必ずしも患者代表や消費者問題の方を入れているとは限らないし、企業の方は入っていませんね。アメリカで企業関係者は議決権なしとありますけれども。各国はそのような感じでやっているのに、その辺の検討がまだ十分ではなかったのかという気もしますが、事務局はどのようにお考えなのか、教えていただけますか。

 

○事務局

 ありがとうございます。先ほど御意見、先生方からいただいておりますので、この学会、団体、消費者以外に企業も、この場で要望を出していただくという形で進めていくということでさせていただきたいと考えております。

 

○鈴木委員

 確認ですが、企業からもここに出していただくけれども、検討会議には企業の方は入れないということですね。

 

○事務局

 委員として企業の方をお呼びすることは考えておりません。ただ、参考人として資料等の説明をいただくということはあるかと思います。

 

○鈴木委員

 分かりました。

 

○笠貫座長

 佐藤委員。

 

○佐藤委員

 資料5の話に戻らせていただければと思うのですが、すみません。一般消費者の方も、これを書くということでしょうか。とてもとてもハードルが高いと思いました。まず第一に、成分名と一般名が多分わからないのではないかと思います。もしも一般の消費者からの声を本当に掬おうと思っているのであれば、「薬品名」とか書いて、次の中に、「例えば成分名や一般名」と書いていただく方が書きやすいと思います。その後の「要望理由」に、どうしてこの薬がほしいのかを、普通の方は書かれるのだと思うのです。

 その次が「国内関連学会」になっていて、一般の方が書くのだとすれば、優先順位としてはもっと後でもよろしいのではないかなと思いました。

 それから、その次が「医療用医薬品としての使用実績」とありまして、先ほど、添付文書を見ればということだったのですが、商品名なり、一般名なり成分名なりが分かれば、患者さんというか、一般消費者の方が添付文書を見て書かなくても分かることかと思います。むしろ私はこれ拝見した時に、あなたに起きた副作用の話を書かせるのかなと思ったのです。もし、そうでない一般的なお話を聞くのであれば、これが必須である必然性が私には分かりませんでした。

 その上には、「会社名」とありますけれども、恐らくもしも要望したいものがある場合は、医療機関でもらった薬を手元に、これが買えるといいなと思って、書くのではないかと思うのですけれども、必ず会社名が書いてあったか少し定かではないので。「成分名」「一般名」が分かれば、「会社名」は分かることですので。要は、その御本人でなければ分からないことを聞けばいいのであって、そうでないこと、プロの方が要望されることを前提にしているのであれば、これは「※」は必要ないのではないかと思います。

 それから、その次の「要望の効能・効果等」のところの「効能・効果」で、やはり※が付いているのですけれども、これは普通の方が書かれるのだとすると、先ほど、上の箱にあった「要望理由」とどんな違うことを書けばいいのかなという気がいたしました。

 その次の「用法・用量」、※が付いてないですけれども、恐らく商品としてどのぐらいの量がほしいのかということを聞いていらっしゃるのだろうなと思いました。何となくそういうことを聞いているのだということが分かるようにしていただければと思いました。

 基本的に、一般の方のニーズをくむのであれば、もう少し書きやすい形にしていただければいいなと思います。そのあと、それを実際に商品化するのかどうか、あるいはそれが適切なのかどうかをここで話をするわけですから、挙がってくる情報は多い方がいいので、もう少し出しやすいものにしていただければと思います。

 

○黒野委員

 このOTCの候補を一般の方からの募集もするということですが、一般の方からですと色々な薬がここに挙がってくる可能性があるかと思うのです。例えば、OTCとしてどんな薬剤を想定しているかといったことも、ある程度は概念として、ここに記す必要があるのではないかと思います。というのが、先ほど、例えば資料1の9ページで、今5つの製剤が製造・販売承認済みということなのですが、5剤のうちの4剤がアレルギー性鼻炎の治療薬です。非常に偏りがあると思われます。確かにそれだけニーズがあるのでしょうし、恐らくここにも私が呼ばれてきたのは、今後もそういったニーズが高いと思われているのかもしれませんが。そうすると、このOTC薬って、非常に偏った領域の薬剤になってしまうのですが、それをどのように考えられているのか。もっと広い範囲でOTC化して、これ広めようと考えておられるのかどうか、それをまずお聞きしたいです。

 例えば、セルフメディケーションが可能、あるいはセルフダイアグノーシス、自分で診断がある程度できるような疾患の治療薬がOTC医薬として望ましいなど、何か具体的に示していただけると、一般の方も応募しやすいし、我々もいろいろ書類を出すときの参考になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○鈴木委員

 それについては、従来から我々だけではなくて、専門家の方も自覚症状があって、比較的短期間の服用で自覚症状が改善して、自分で服薬を中止できる薬が、OTCとしてふさわしいという判断を出していますので、私は、やはりそれを維持すべきだろうと思います。それを目安にしていただいたら、いいのではないでしょうか。

 

○黒野委員

 それをどこかに謳わないと、一般の方は分からないと思います。

 

○笠貫座長

 是非、一般の人に分かりやすいパンフレット、あるいはこの申込用紙のところに、説明を入れていただくことをお願いしたいと思います。

 

○小縣委員

 一般の患者さんは、自分はどういうところが具合が悪いからと言って、薬局にお薬を求めてくるわけです。その際に、薬局で薬剤師は、それはお薬で治せるものなのか、それともそのままお医者さんへ行った方がいいから、お医者さんに行きなさいというように受診勧奨をするのか。そこが薬剤師の大事な仕事の1つです。決して患者さんは、お薬の成分を言って、これをくださいと言う人ばかりではありません。頭が痛いと言ってくる人もいますし、患者さんの話を聞きながら、その頭の痛さは風邪からきているのか、それとも普段持っている偏頭痛なのか、それとも血圧が高いのか。その辺は薬剤師としては患者さんとお話をして、判断をするわけです。でも、診断はお医者さんのする仕事ですので、際どいところまでいったら、これはもうお医者さんに行くべきだと言って、そこで受診勧奨をします。

 この紙も薬品名や成分名で、これをスイッチOTCにしてほしいというよりは、一般の患者さんにたずねるのならば、何を治す薬がスイッチOTCであったらいいかというところをたずねる方が、よいと思います。その症状の中でそれを治すのだったらこんな薬品も、こんな薬品もあるというところを、まず検討し、成分を絞り、万が一誤った使用方法で使用しても大きな害がないことを中毒症状などを御存じの先生方とも検討して、先ほど鈴木先生がおっしゃったように、比較的短時間の服用で自覚症状が回復できるという、そういうところまで判断した上で、成分名を選定していくべきなのではないかなと思います。

 まずは、もしスイッチOTCで大事な部分を逃したくないのであれば、何の症状を治したい人が薬局に来るのか。多分病院に行くまでもない、若しくは病院に行く時間がないというところで薬局に来られて、スイッチOTCを選ぶのだと思います。その辺りのところを考えると、成分名で最初からいろいろ意見をしていくことは、ちょっと違うのではないかなと思います。

 

○笠貫座長

 望月先生も鈴木先生もスイッチOTCにどういうニーズがあり、どういうことを消費者が求めているかという調査をされています。その調査の話を踏まえて、消費者の人たちが、要望を出せるという新しい画期的なシステムなので、消費者の人たちが入れないことのないように壁をできるだけ低くする工夫が必要だと思うのです。スイッチOTCを一般の人に分かりやすい言葉で、パンフレットを作るとか、また消費者向け、他の団体、学会と同じものにはならないかもしれないですが、要望書の必須のところを消費者の場合にはどこまで求めるかについて工夫をしていただくことで、よろしいでしょうか。

 

○宗林委員

 根幹に関わる話になってしまうかもしれませんけれども、スイッチ化にするものが、今、短期間で症状改善する、OTCの位置付けが今まではそうだったと思うのですが、例えばEPAが出たときは脂質代謝の関係で、長期に飲むものだと思うのですね。また、受診を1回してきちんと定期的にかかっているようなものも、その後、例えば半年に一遍はお医者さんにかかるけれど、その間はOTCで選択をしていくということも、スイッチOTC化の中の考えに入れていくのか。どういったものをその対象にするかどうか、色々なものの要望が出ると思うのです。そういう考え方の頭揃えをしなくていいかどうか。あるいは、来たものの中から頭を揃えていけばいいのかもしれませんが、いつかそういう時をきちんと皆さんの中で考えなくてはいけないのではないかなと思うのですね。

EPAの時もお話したのですが、食品のほうでも既にEPAはずっと前からたくさん出ていまして。特に最近はこの600ミリとかというふうに、きちんと今は成分名が書いてあって、機能性成分とか、含有量が書いてあるものが、食品分野で機能性表示食品として市販されていることも鑑みて、今のスイッチ化するものの範囲をどういう考え方でいくのか。先ほど鈴木先生のおっしゃったことはもちろんのことですが、それだけで一応頭を揃えていくのかどうかを、どこかで考える場が必要かなと思ったものですから。

 

○湯浅委員

EPAについて言えば、魚油を使用しているわけですが、海洋汚染の問題が深刻です。先発医薬品メーカーの製品は、汚染物質を取り除きほぼ100%に近い純度を保っています。また、酸化防止のため包装にも工夫が施されています。幸いEPAOTC薬は、先発医薬品の原薬をそのまま使用しており純度も保たれており、先発医薬品と比べても遜色ないように思います。しかし、患者がセルフメディケーションの名のもとに、自己責任でこういった生活習慣病薬を自ら購入する、いわゆるOTC化するには、まだまだ考えなければならない問題点がたくさんあると思います。そういう意味で、今後、議論の場に上がった薬剤について、いろいろな角度から丁寧に意見交換をしていく必要があると感じています。

 

○笠貫座長

 他に御意見があれば短くお願いいたします。

 

○杉山委員

 議論が戻ってしまうので大変申し訳ないのですが、ずっと聞いていて、最後にどうしても引っ掛かっているところがあります。望月先生のパワーポイントの7番目の承認審査までの経過のポイント2の最後に書いてある、「製造販売後調査の充実・強化」ということなのですが、実は実際にOTCが増えてくると、この部分が非常に重要になってくるだろうと思います。この点についてどのように事務局がお考えになっているかということを、もし今案があればお示しいただければありがたいと思います。以上です。よろしくお願いいたします。

 

○事務局

 ありがとうございます。製造販売後調査、特にスイッチOTCに関しては、現在3年間の製造販売後調査ということでやっていただいているところです。ただ、先ほども望月先生からもございましたとおり、今の方法で十分捉えられているのかという問題意識のところも踏まえて、実は今、厚生労働科学の研究班がございまして、その中で千葉大学の先生方に御協力いただいて、先ほど少し出てきた使用実態の調査の関係とかも含めて、そういったものを製造販売後調査の手法として新しく活用できないかというのを御議論いただいておりますので、この辺り研究の成果など踏まえまして、やはり充実強化というところは今後少し検討していきたいと考えております。

 

○笠貫座長

 スイッチOTCをめぐるたくさんのシステムの問題を指摘されたと思います。スイッチOTCが日本の少子高齢社会において皆保険制度を維持し、発展させるかという意味で大事な問題であるという共通の認識があったと思います。スイッチOTCを健全に進めていくためにはステップバイステップでいろいろな問題があることも、今日の議論で分かったと思います。この評価検討会を設けて、スイッチOTC化に向けてのスキーム作りをすることは、画期的だと思います。消費者という視点からOTC化を考えるということに、皆さんの意識が向かっていると感じましたし、これから大きくこれを展開できるだろうと思いました。

 要望申請書については事務局でお考えいただいて、次の進め方も考えていただけたらと思います。

 その他として、添付文書理解度調査ガイダンスについて、事務局からの説明をお願いいたします。

 

○事務局

 ありがとうございます。先ほどの先生がおっしゃいました、要望の様式等はまた改めて検討した上で、先生方の御意見を伺った上で、修正をかけていきたいと思っております。参考資料2でございますが、今回、参考配布ということで、先ほど会議の中でも出てまいりましたが、添付文書の理解度調査ということで、イギリスのユーザーテスト、日本で言う「患者向け医薬品ガイド」であったかと思いますが、これについて作成する上で、ユーザーテストというのがされておりまして、それを主に参考にということで、「添付文書理解度調査のガイダンス」の取りまとめをさせていただいているところです。繰り返し繰り返し試行錯誤をして添付文書は作っていくという性質のものですが、こういった理解度調査を企業の方でしていただいた上で、内容を消費者の方が理解をして、それで行動できるものという形のものにしていただいて、申請時に案として付けていただくということで、今後ガイダンスということで発出をしていきたいと考えております。以上でございます。

 

○笠貫座長

 この件については特に御質問はございませんでしょうか。このガイダンスに基づいて、適切な調査が行えるように、周知するようにお願いしたいと思います。

 それでは、今後の予定について事務局の方からお願いいたします。

 

○事務局

 本日は色々御意見をいただきまして、ありがとうございました。今後、厚生労働省のホームページに、サイト等を立ち上げさせていただきますので、その際にはまたいただいた御意見等も反映した形のもので、適宜御意見も伺いながら開始をしていきたいと思います。今後の検討会議の開催については、また別途日定調整をさせていただいた上で、御連絡をさせていただく形で考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

 

○笠貫座長

 時間が超過しましたことをお詫びいたします。先ほどの要望申請については、御意見のあった先生方にも、事務局の案を示ししていただいて、検討していただくようお願いいたします。

 

○審査管理課長

 はい。事務局で検討させていただきまして、座長と相談をさせていただきます。また、御意見いただいた先生方に適宜御相談をさせていただきたいと思います。

 

○笠貫座長

 それでは、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございます。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課

03-5253-1111(内線 2737、2741)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議> 第1回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(2016年4月13日)

ページの先頭へ戻る