ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 「民泊サービス」のあり方に関する検討会> 第5回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録(2016年1月25日)




2016年1月25日 第5回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部 生活衛生課

○日時

平成28年1月25日(月)13:00~15:00


○場所

全社協・灘尾ホール(新霞ヶ関ビルLB階)


○議題

1.関係者からのヒアリング
  ・京都市、港区、新宿区、渋谷区
2.中間的な論点整理に向けた検討の方向性について
3.その他

○議事

○事務局 定刻より若干早いのですが、先生方がおそろいのようですので、第 5 回「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開催いたします。構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ当検討会にお集まりいただき誠にありがとうございます。議事に入るまでの間は、厚生労働省生活衛生課の私、吉岡が進行を務めさせていただきます。

 お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、資料が各自治体の御説明で枝番が付いておりますが、資料 1 からと、資料 2 、資料 3 ということで用意しております。不足等がありましたら事務局までお知らせいただけますでしょうか。

 本日の構成員、オブザーバー、関連する省庁からの御出席について、配布座席表に若干変更がありましたので、出欠の変更の関係についても説明いたします。まず、梅沢構成員が御欠席のため、相模原市の健康福祉局保健所長の鈴木仁一様が代理で出席です。川口構成員が御欠席のため、全国賃貸住宅経営者協会連合会事務局長の稲本昭二様に御出席いただいております。高橋構成員が御欠席のため、株式会社日本総合研究所総合研究部門主席研究員の岡田孝様に代理で御出席いただいております。森川構成員が御欠席のため、一般社団法人不動産協会事務局長代理の根岸秀光様に代理で御出席いただいております。冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退室いただきますようお願いいたします。

 以降の議事進行については、座長の浅見先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浅見座長 どうぞよろしくお願いいたします。第 5 回の検討会では、最初の 1 時間で議題 1 の関係者からのヒアリングとして、京都市からは民泊施設実態調査の中間報告について、港区、新宿区、渋谷区からは民泊の現状や課題などについて御説明いただいた後、一括して質疑応答、意見交換を行うこととしたいと思います。後半の 1 時間で事務局からの資料の御説明を頂いた後、議題 2 の意見交換に移りたいと思います。本日も活発な御議論をお願いいたします。まず、京都市の糟谷観光政策監より御説明をお願いいたします。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  初めまして、京都市観光政策監の糟谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず初めに京都市民泊施設実態調査の中間報告について報告いたします。資料 1-1 です。調査に至った経緯ですが、京都市では現在、ホテルの稼働率が約 9 割にもなり、安心・安全で魅力あふれる宿泊施設の整備・促進が大きな課題となっております。一方で、増大する宿泊需要を背景に、ネットを介した民泊が急増しておりますが、これらの施設については関係法令による許可を得ておらず、施設の安全衛生が確保されていないもの、また宿泊者のマナー違反など、問題も少なくありません。こうした状況を踏まえ、今年度末を目途に民泊の実態を明らかにするための調査を実施し、課題の抽出などを行い、京都にふさわしい安心・安全が確保され、かつ周辺住民の生活環境との調和が図られた宿泊環境の整備方針、こういった方針の策定につなげていくこととしました。

 調査内容ですが、大きく 3 つあります。民泊仲介サイトに掲載されている情報の調査、都市計画法に基づく用途地域の適合及び旅館業法に基づく許可の確認、関係者に対するヒアリング調査です。まず、民泊仲介サイトに掲載されている情報の調査については、 8 つのサイトに掲載されている施設数や施設のタイプ、施設の所在地、運営しているホストの住所地などの情報を収集いたします。サイトの掲載状況については参考資料を付けておりますので、御覧いただきたいと思いますが、多くの民泊仲介サイトでは、民泊施設の連絡先や詳しい所在地については掲載されておらず、宿泊を予約しなければ連絡先や住所地、所在地を知ることはできません。そのため、都市計画法や旅館業法との突合については、掲載されている所在地の町名や外観写真などの情報を基に、施設の所在地を推定し、そのうち特定できたものについて、現在、確認作業を行っております。

 なお、関係者ヒアリングについては、民泊施設周辺の住民、また民泊仲介サイトの運営事業者、民泊業務代行業者、不動産管理会社、市内で民泊を運営しているホストなどにヒアリングを行います。こうしたヒアリングで得られた情報を基に、民泊の実態を明らかにする中で、例えば法令の許可を得ているものの課題があるものについては新たなルール作りを、また一方で現時点では法令をクリアできていないものの、具体的に例えばこういう取組を行っていることにより、大変安心・安全が確保され、地域でうまく運営が進められている、そういったモデルとなるようなケースがあれば、望ましい民泊を増やしていくための規制緩和につなげていきたい。その両面の対応につなげていきたいと考えております。本日の報告では、資料 1 ページの 1 (2) のアに示す調査のうち、最大規模の民泊仲介サイトである Airbnb についての調査が一定まとまりましたので、報告申し上げます。

2 ページです。施設数及び施設タイプについては、京都市内に 2,542 件の民泊施設が掲載されており、京都駅や市内中心部、観光地に近い 3 つの区で半数以上を占めております。戸建て住宅の割合が 34.6 %、集合住宅が 62.2 %となっており、集合住宅が高い割合を占めております。施設タイプ別に見ますと、戸建てにおいては一棟貸しタイプが約 57 %、ゲストに個室を提供し、キッチン、バスなどはホスト若しくは他のゲストと共同利用する部屋貸しのタイプが約 40 %となっております。一方で、集合住宅においては、一戸貸しが約 87 %、部屋貸しが約 12 %と、戸建て住宅と集合住宅では大きく傾向が異なっております。なお、サイトに掲載されている説明からは、部屋貸しタイプやシェアルームの場合であっても、ホストが常駐しているかどうかの判断はできませんでした。

3 ページの (2) 施設所在地の特定についてです。所在地が特定できた施設は 26.7 %にとどまり、さらに集合住宅については、所在地を特定できた施設であっても、部屋番号の特定までには至っておりません。

4 ページ、運営しているホストの住所地については、京都府外在住者が 26 %、海外在住者も約 2 %となっているなど、約 30 %が京都府外から運営されている状況です。施設タイプ別に見ますと、集合住宅において、京都府外の運営者が民泊施設を運営している傾向が強いことが伺えます。

5 ページ、 1 泊当たりの料金の分布ですが、 6,001 円から 1 2,000 円の施設が多く、料金的にはビジネスホテルなどとほぼ同額が設定されていることが分かります。

(5) 宿泊可能人員については、定員が 2 名と 3 名の施設で、約半数を占めております。また、市内全体の民泊施設の最大宿泊可能人員は約 1 万人となっております。ちなみに、京都市内における旅館業の許可施設による市内総客室数は約 3 万室ですので、かなりのボリュームであることが分かります。

6 ページの (6) 最低宿泊日数は、 1 泊から宿泊可能が半数以上を占めており、国家戦略特区の活用の条件となる最低宿泊日数となる 6 7 日以上を設定している施設は 1 %にとどまっています。なお、平成 25 年の京都市観光総合調査によると、 5 泊以上される外国人観光客は 19.3 %、平均宿泊日数は 3.4 泊となっております。以上が中間報告の概要です。

 引き続き、残りの 7 つのサイト及び法との突合、関係者ヒアリングなどを進めていきたいと思っております。今回の調査を進める中で、ネット上からの情報だけでは、特に集合住宅の場合、何号室で行われているのか特定できないため、なかなか民泊の実態の全貌を明らかにすることはできませんでした。地域社会の中で受け入れられる良好な民泊の在り方を検討していきたいと考えておりますので、その大前提となる民泊の実態を把握できるよう、サイトの運営者から住所地や連絡先など、資料を御提供いただくなど、情報提供に御協力いただければ大変有り難いと考えております。また、 Airbnb のサービス利用規約には、「全ての適用法令を遵守していること」との項目があります。京都市をはじめ、各自治体から掲載施設が法令違反である旨の情報を提供した場合には、是非、宿泊者や近隣住民の安心・安全のために、サイトの掲載を削除していただけないかと考えております。

 今後、新たなルール作りをするに当たり、民泊をあっせんするサイトにおいては、掲載している施設が法令上の許可施設であることが分かるように、許可番号の表示を義務付けするなど、違法営業が横行することのないような、そんな工夫も要るのではないかと考えております。

 最後に、京都市の民泊に対する考え方について少し説明いたします。京都市では、観光振興による経済の発展、雇用の創出、更に伝統産業、伝統文化、農林業の振興を図っていく、また山間部をはじめ、周辺地域の活性化を図っていきたいといった狙いを持っております。そこで、京都市観光振興計画においては、観光客数を目標に掲げるのではなく、観光消費額を掲げ、広く市民が豊かな生活を実感できることを目標としております。したがって、宿泊のキャパを増やす手法についても、戦略的に伝統産業や伝統文化の振興に効果の高い富裕層のホテルの誘致や、また経済効果の高い MICE を推進し、国際会議の誘致を進めるためにも、都市格を高めるようなホテルやシティホテル、ビジネスホテルの誘致といったホテルの誘致を 1 つの柱にしております。

 第 2 の柱が旅館の稼働率向上です。台湾からの観光客の約 40 %が旅館を利用していただいており、また韓国でも旅館への人気が高まってきているとお伺いしております。日本ならではの体験ができる旅館、今後一層、外国人観光客のリピーターが増える中で、京都の大きな強みであると感じております。旅館の魅力の更なる向上、情報発信の強化を図り、稼働率を上げていきたいと考えております。

 第 3 の柱として、農家や京町屋を活用した多様な宿泊施設の整備で、こうした全体的な宿泊環境の整備といった大きな枠組みの中で民泊施設を位置付け、民泊の在り方、活用方法について検討していきたいと考えております。宿泊客の増加により、ホテルの宿泊単価を上げ、従業員の所得の向上や非正規雇用から正規雇用に転換が図られる、また宿泊施設で着物や清水焼といった伝統産業が利用されたり、京野菜や伏見のお酒が提供される。そういったことにつながることが観光を基幹産業の 1 つとして確立していくために、大変重要なポイントであると考えております。

 大変有り難いことに、京都市では現在多くのホテルの建設計画があり、更にホテルを建設したいといった声もお聞きしております。また、旅館業界においても外国人観光客の受入れのために、施設改修や設備の充実、多言語対応などの取組が進められてきております。したがって、民泊の影響によって、万が一にでもホテル建設への投資意欲が損ねられてしまう、あるいは旅館が廃業に追い込まれてしまったという事態になることは、観光を基幹産業として育てていこうとする方向性や経済効果、雇用効果を考えると、マイナスになりかねないと思っております。

 京都市としても決して民泊に反対しているわけではなくて、宿泊施設が足りないことが切実な課題となっておりますので、多様な宿泊施設の提供といった観点からも、良い形での民泊の在り方を見出した上で、積極的に増やしていきたいと考えております。これまでにも京町屋を活用した宿泊施設については、日本文化を体験していただくことができ、文化遺産の活用、空き家の活用という観点からも大変有効であると考えており、規制緩和を行って推奨しているところです。このように民泊サービスは、地域によって観光の捉え方や観光客の状況、またホテルの状況など、様々異なるものがあり、大変地域性の高いものではないかと考えております。そうしたことから、地域によって事情が異なる中で、全国一律の民泊制度を作るのではなく、各地域によって柔軟に対応ができるような、そういった枠組みができれば大変有り難いと考えております。大変長くなりましたが、以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○浅見座長 続きまして、港区みなと保健所の菅根生活衛生課長より御説明をお願いいたします。

○菅根生活衛生課長 ( 港区 )  港区みなと保健所生活衛生課長の菅根でございます。最初に、港区の地域特性を少しお話させていただきます。港区には JR 新橋駅から品川駅までの駅周辺に位置するビジネス街、台場、東京タワー等の観光地のほか、六本木や赤坂、青山通りなどの繁華街にある商業地域など、多くの方々の往来のある地域があります。その一方、海岸沿いにあるタワー形マンション群や麻布、青山、白金、高輪といった緑の多い閑静な住宅街を持ち、今後 5 年間は毎年約 5,000 人ずつ、ほぼ全ての年齢層において人口が増える推定の下、良好と言われる住宅地域を併せ持つ区です。

 民泊サービスに関する話に入る前に、港区内のホテル、旅館等の現状を簡単に説明いたします。資料 1-2 の一番上の表です。昨年 12 月末現在で、港区内にはホテル営業が 71 件、旅館営業が 52 件、簡易宿所営業を含めると全部で 137 件の宿泊施設があります。それらの客室数の合計は 2 5,338 室となります。ホテル、旅館の客室数については東京 23 区内で最多となっております。この表には記載しておりませんが、宿泊者の定員は 5 万名を超えています。現在、港区の人口は外国人を含めて 24 4,000 人ですから、それに比べてもかなり大きな数字になっております。さらに、 5 年以内に新規オープンするホテル、旅館で約 3,000 室の客室の増加が見込まれております。

 次に、旅館業法関係の相談や許可の件数の推移について説明いたします。 2 番目の表です。表の下に記載してあるように、相談件数は延べ件数です。特に分類しておりませんので、この中にはホテル、旅館の新規オープンに関する相談、ホテル、旅館の利用者からの苦情や相談、国家戦略特区に関する問合せ、いわゆる民泊に関する苦情や問合せ、全部含まれております。御覧いただくと分かりますように、昨年度、今年度と相談件数は急増しております。東京オリンピック・パラリンピックを見据えての新規オープンの相談も多いのですが、昨年度は国家戦略特区関係の相談、そして今年度途中からは民泊関係の苦情・相談が多くなっております。ちなみに直近の昨年 12 月の旅館業法関係相談数は 75 件でしたが、このうち民泊の苦情は 27 件で、全体の 36 %を占めていました。

 民泊に関する苦情・相談の具体的内容について説明いたします。 3 に記載したものは平成 28 1 月現在対応中の 7 件の苦情・相談の概要です。いずれも家主不在の事例です。建物の形態としてはマンション、いわゆる共同住宅が 5 件と大半を占めています。また、所有の形態としては賃貸が 4 件、区分所有が 3 件と半々でした。なお、所在地を用途地域別に見ると、商業地域が 5 件と大半を占め、その他は第一種住居地域、第一種中高層住居専用地域が各 1 件でした。

 相談の内容は 7 件とも共通で、当該物件が業界最大手の会社である A 社のサイトに登録され、「民泊施設」として使用されているのでやめさせたい、若しくはやめさせてほしいというものでした。最近の報道で、 A 社の仲介サイトについては広く知られるようになったため、相談者はまずサイトを確認してみる、あるいは利用者に直接尋ねてみるといった形で、登録されていることを確認し、保健所に相談されるケースが増えています。相談される理由としては、民泊施設として違法に使用されている。外国人の出入りが多く、防犯、火災、あるいは感染症の面で心配だといったものが大半です。そのほかには、収集日を守らない、分別が不十分であるといったゴミ処理方法や夜間の騒音、共用部の階段での立ち小便といった不適切な行為などの内容がありました。平穏な生活を求めている空間に不特定人が入ってくることに対する不安感や、こうしたことを通じて不動産の価値が損なわれるのではないか、といった心配が背後にあるものと感じています。

 港区での具体的な対応方法について簡単に説明いたします。なお、この部分は資料に記載しておりません。相談者から御相談を頂きますと、それを裏付ける資料、具体的にはインターネットの仲介サイトのページのプリントやマンションの管理者のメモ等を確認いたします。その上で外観調査等、現地調査を行います。その結果、旅館業法に抵触する可能性が高いと判断した場合は、物件の所有者、賃貸物件であれば賃借者に運営形態を確認します。これは原則として文書で照会をし、併せて旅館業法の関係条文を同封しております。こうしたことを手始めに営業者とやり取りをして、旅館業法に抵触している場合は改善するよう指導しています。これまでの事例では、改善にかなり時間がかかっています。

 指摘を通じて難しいと感じているのは、主に次の 3 点です。まず、旅館業法に該当するかどうかの判断です。旅館業法の場合は、宿泊の対価を受けて宿泊させているかどうかがポイントになりますが、この確認が難しい点です。仲介サイト上で物件が特定できる例は少なく、あとは利用者からの聞取りなどを中心としております。最近では営業者も旅館業法に関して様々な情報を得ており、友人として泊めてもらっている、会社の社員寮として使用しているといった主張をする例が多くなっております。次に営業者への接触方法です。営業者の連絡先が不明なケースも多く、こうした場合は不動産の登記事項証明書を入手して、所有者の住所に郵送するような形でアプローチしています。このため、営業者との連絡にも時間がかかっています。 3 点目に行政指導の限界です。無許可施設の場合は旅館業法の立入権限等が直接的に及ばず、営業停止等の行政処分もできません。このため、営業者に対して協力を求め、任意に調査をすることになります。これも指導を難しくしている原因だと思います。

 最後に資料の 4 番目について説明いたします。本検討会で前回議論された検討の方向性 ( ) の中に、早急に取り組むべき課題として、現行の簡易宿所営業の枠組みを活用して、旅館業の許可取得の促進を図ることが挙げられたと伺っています。確かに旅館業の許可を取得した場合は、誰が営業者なのかはっきりし、また宿泊者も旅館業法の枠の中で把握できるというメリットがありますが、民泊サービス事業者を全てこの中に取り込むことは難しいと考えています。つまり、指摘を受けるまでは現状のままで、営業する方が相当数に及ぶのではないかと考えています。それでも当面の対応として、簡易宿所営業の枠組みを活用するといった場合に、お願いしたい事項を現場で旅館業法の許可事務を取り扱っている立場からお話させていただきます。

1 点目は賃貸借契約、管理規約に反していないことを許可の要件としていただきたいということです。これまでの旅館業法の考え方では、建物の所有権や使用する権限等は許認可に直接関係しないということについては承知しております。しかし、現在問題になっているのは正にこの点であり、これを解決しないまま許可取得を促進した場合、更に問題を複雑化させると考えています。当面、通知によって対応する方法もあるかとは思いますが、法令の許可要件にしない限り、そのことを理由に不許可にはできないと理解しております。その結果、無理に許可した場合、その許可処分が行政不服審査や行政訴訟の対象になることも想定されます。このため、賃貸借契約や管理規約に反していないことの確認は、是非、法令で規定することをお願いいたします。多少時間はかかるかもしれませんが、このほうが健全な形での民泊サービスが進むことにつながると考えております。

2 点目は建築基準法や消防法との調整を、国において十分に行っていただきたいということです。旅館業法の許可は出たけれども、その物件が建築基準法や消防法に抵触するようでは、営業者自身の利益も損なわれます。建築基準法に関しては、建物単体の構造の問題と、用途地域による建築制限の問題があります。このため、事前に建築基準法や消防法との調整を十分にお願いいたします。これは現場の自治体レベルでの調整でできる問題ではありませんので、国レベルで関係省庁間の調整を切にお願いいたします。

 結びに、私どもは基礎的自治体の職員として、区民の方の安全・安心を守ることを最優先にして仕事をしています。増加する旅行者への対応という社会的状況は理解しておりますが、区民の方が自らの住まいで平穏に生活をする、また周辺の良好な居住環境が維持されることは、全ての出発点と考えております。その上で外国人をはじめとする多くの旅行者の方々も安全・安心して利用いただける宿泊施設の提供が重要と考えております。現場の実情に応じて縷々申し上げましたが、今後の検討の参考にしていただければ幸いです。ありがとうございました。

○浅見座長 続きまして、新宿区の高橋健康部長より御説明をお願いいたします。

○高橋健康部長 ( 新宿区 )  新宿区健康部長の高橋と申します。保健所長を兼務しております。よろしくお願いいたします。

 新宿区におきましては、いわゆる民泊の苦情が住民から大変多く寄せられております。現場の実情について委員の皆様に御報告させていただきますとともに、地域住民の安全・安心が確保できるよう、旅館業法に違反し横行する営業を一刻も早くなくしていきたいとの趣旨から、適切なルール作りが早期に実現されますよう、区としてお願い申し上げたいと存じます。

 資料 1-3 を御覧ください。はじめに、旅館業に関する相談・苦情の対応状況について御説明いたします。 2 ページを御覧ください。最初の表は、平成 25 年度以降、保健所に寄せられた相談・苦情についてまとめたものです。白い部分が旅館業法の許可に関する件数、水色の部分が宿泊施設を経営したいなど事前の営業相談に関する件数と、そのうち民泊に関するものを再掲しています。ピンクの部分は、苦情受付の件数で、こちらも民泊に関するものを再掲しております。

 平成 27 12 月までの相談・苦情件数を見ていただきますと、例年に比べて突出して増えています。特に月別で見ますと、昨年 11 月が最大となっており、これは特区法に関する報道が多数あったことが影響していると思われます。この 12 月までの民泊に関する苦情の 49 件について、この後具体的に内容を説明していきます。

3 ページを御覧ください。主な苦情として、「見知らぬ利用者が出入りして不安である」「深夜の騒音など、生活マナーを守らない」などの訴えが多く寄せられております。

4 ページを御覧ください。特に深刻な例を挙げています。自宅敷地内への不法侵入や器物損壊、窃盗など、犯罪と思われるような行為も見られまして、このような事例については、既に苦情者が所管の警察署に相談しておりますが、引き続き注意するよう助言しながら、処理を進めています。

5 ページを御覧ください。当保健所での一般的な処理の流れです。 A は当該施設の所在地、部屋などが特定できた場合の流れです。まず、職員が現場に行き、営業者の調査、特定を行います。営業者が特定できた場合は、次に旅館業に相当する営業行為の事実を調査・確認いたします。旅館業法に違反する行為が確認された場合は、営業者を呼び出し、指導・是正を求めます。この結果、改善が確認されたものは処理完了となります。

 一方、 B の所在不明・匿名等です。場所が特定できないというもので、この時点で調査不能となり、新たな情報があるまで保留となってしまいます。

6 ページを御覧ください。先ほどの表でお示ししました平成 27 年度 12 月までの民泊に関する苦情の 49 件につきまして、施設の類型を示しております。 (1) は施設種別で、アパートやマンションなど、共同住宅の 1 室を提供する事例が最も多く、全体の 7 割以上の 36 件を占めています。

 次のページです。 (2) の調査状況です。 49 件のうち、 A 、所在が特定できた 41 件が調査対象となります。残りの 8 件は、 B 、所在が特定できなかったものになります。 A 41 件のうち、処理完了の 13 件は是正が確認され、違反が解消されたものです。処理未完了の 28 件は、1から3の理由で調査を継続中のものです。

 まず1は、営業者を調査特定中の 8 件です。マンションの管理会社や不動産業者に賃貸借人情報を照会したり、郵便受けに保健所へ連絡するようポスティングするなど行っておりますが、連絡が取れない状況のものです。

 2は所在も営業者も特定できていますが、営業行為の実態が確認できていないもので、 5 件あります。現地を何回訪問しても、営業者も利用者も不在のため宿泊行為が確認できなかったり、事情を尋ねる旨ポスティングしても連絡がないなどのケースです。

 3は、所在も営業者も違法行為も確認できているにもかかわらず、是正に至っていないケースの 15 件です。このうち多くは是正の意思表示があり、改善報告を待っている状態ではありますが、改善の動きが全く見られなかったり、違法行為の事実を認めなかったり、連絡が取れないなど、対応に苦慮しているケースが含まれます。さらに、営業者が宿泊行為を認めず、保健所からの呼出しも拒否し、海外へ渡航してしまったというような事例もあり、警察に相談しているところがあります。

 このように、現行の旅館業法では明らかに違法であると確認できているにもかかわらず是正に至らないケースが、保健所が把握しているだけでも相当数あり、民泊サービスの適切なルール作りが求められるところです。

8 ページです。 (3) 苦情のあった建物の用途地域別の内訳です。左から用途地域、苦情の件数、一番右が建築基準法でホテル・旅館の建築が可能な地域であるかどうかを示しています。○は可、×は不可、△は条件付きで可です。

49 件の苦情の中で最も多いのは、商業地域で 20 件でした。ホテル・旅館の建築が認められていない地域からの苦情は多くて当然と思われますが、むしろ商業地域など、ホテル・旅館の建築が可能な地域からのほうが苦情が多いという結果になっております。民泊サービスを旅館業法に位置付けるだけでは、このような苦情は減らないと思われますので、更に適切なルール作りが必要と思われます。以上、現状について説明させていただきました。

 次のページです。これらを踏まえ、区として要望させていただきます。全文の読上げは省略させていただきますが、特に申し上げたいところを読ませていただきます。中程です。

 こうした近隣住民とのトラブルのほか、感染症対応における支障やテロリストの潜伏、違法薬物の取引など、犯罪拠点となるおそれもあり、自治体として大きな危機感を持っています。

 最後の 3 行ですが、地域社会の安全・安心の確保及び平穏な生活環境に深刻な影響を与えるため、近隣住民の理解が得られるような適切な措置を取っていただきたいというところです。

 次のページ、「別紙」を御覧ください。こちらが具体的な要望内容になります。 1 として、民泊サービスを旅館業法に位置付けることとした上で、 (1) として、こちらは既に法令等に規定されている項目ではありますが、民泊サービスについても、以下の 5 点について適用除外としないことを要望します。

「営業者が自ら管理者となるか、管理者を設置すること」「管理者が同一施設か敷地内に常駐し、宿泊者と面接すること」「衛生措置、設備基準は条例で別に定めることとすること」「感染症の拡大防止のため適切な措置を講じること」「立入権限、不利益処分、罰則を適用すること」。以上の 5 点が (1) の内容です。

(2) です。こちらは新たに規定を設けることを要望するものです。「近隣住民に適切な説明を行うこと」「管理組合の規約や賃貸借契約に違反していないことを確認するなど、近隣住民の理解を得るための措置を講じること」「許可を受けた施設に看板などの掲示をすること」。

 続いて 2 番です。建築基準法、消防法等関係法令との調整を行うこと。

3 番は、あっせん・予約を取り扱う者に対して、法に基づく適切な措置を講じることとしております。以上、新宿区から要望させていただきます。区の現状を御理解いただきまして、民泊サービスに対する適切なルール作りについて、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○浅見座長 最後に、渋谷区の篠生活衛生課長より御説明をお願いいたします。

○篠生活衛生課長 ( 渋谷区 )  渋谷保健所生活衛生課長の篠です。どうぞよろしくお願いいたします。私からは渋谷区の状況について御説明いたします。

 渋谷区はハチ公をはじめ、ファッションの街として国の内外の観光客を集めています。近年は、スクランブル交差点も外国人から大変人気の観光スポットと聞いているところです。

 資料 1-4 です。旅館業法の相談件数です。相談件数は表 1 のとおりです。トータルの件数が入っていませんので御説明します。平成 24 年度は 249 件、平成 25 年度は 263 件、平成 26 年度は 320 件、平成 27 年度は既に 12 月の時点で 740 件ということで、倍増しているところです。

 続いてですが、時間の都合で他区の資料と調整が十分に取れていませんでしたので、資料に記されていない項目を若干口頭で申し上げます。施設の数です。平成 27 12 月末現在、ホテルが 56 件で 4,811 室、旅館が 47 件で 999 室、簡易宿所は 6 件で 133 室、下宿は 1 件で 16 室です。平成 24 年度からの 4 年間のトータルは、いわゆる旅館業法の許可件数はトータルで 10 件、廃止件数は 19 件、全体としては微減傾向です。

 続いて、民泊に関する苦情対応の事例です。随時、指導・調査などをしているところです。調査・指導の手順、内容等は、港区、新宿区と、ほぼ同様です。

 続いて、裏面の表 2 の「相談内容」を御覧ください。個別の相談内容については、時間も押していますので省略させていただきます。建物の種別で申しますと、分譲マンションが 13 、賃貸マンションが 9 、戸建てが 3 です。また、申立者の分類は、管理組合からが 8 、管理会社が 7 、近隣住民が 6 、居住者が 4 、住んではいないけれども所有している所有者・関係者が 5 という結果です。

 相談の種別は、旅館業法に適合しているかあるいは届出は出ているかといった、法令遵守についてのものが 19 件です。防犯や感染症などの不安を訴える危機管理に関するものが 9 件、ごみの出し方などについてが 4 件、騒音問題については 7 件、共用部分、いわゆるエントランスなどを占有して非常にうるさいといった苦情が 2 件となっています。

 また、旅館業法で、現在課題となっていることの 1 つが、旅館業法違反の罰金が 3 万円と定められていますが、現在の物価水準から見ると極めて安く、抑止力としての効果が低いのではないかという意見もあるところです。

 私どもの区では、急増する宿泊者に対応するため、いわゆる民泊などの多様な宿泊施設の在り方については、前向きに受け止めていきたいと考えているところです。現在、御議論いただいている規制緩和等に当たりましては、今まで各自治体からも出たいろいろな諸問題を、いかにして解決し、近隣、地域住民の理解を得て、円滑な導入が図られるか、これが重要な課題だと認識しているところです。私からは以上です。

○浅見座長 ただいまの御説明に対して、御質問、御意見はございますでしょうか。

○廣岡構成員 新宿区に確認です。 7 ページの苦情の類型で、処理完了が 13 件で違法状態が解消されたということをお伺いしたのですが、どういう形で解消されたかということを御存じであれば教えていただければと思います。

○高橋健康部長 ( 新宿区 ) 13 件全て、営業を廃止していただいたということです。

○北原構成員 京都市にお伺いします。先ほどおっしゃいましたネットでの仲介業者である Airbnb 社に対して御要望というので、最後にお述べになった営業許可の取得の有無等について表示することについて、 Airbnb 社に申入れはされたのでしょうか。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  コンタクトを取ろうとして頑張っているのですが、なかなかインタビューを受けていただけませんので、引き続き要望していきたいと考えています。

○廣岡構成員 京都市に伺います。最後の「最終報告に向けて」という所に、用途地区の適合性とか、旅館業法の有無について、これからということなのですが、一応 3 月までということで、もう取り掛かられていると思うのですが、現在のところを分かる範囲であれば、この辺りがどのような感じかを教えていただければと思います。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  まだ作業中ですが、かなり許可を取っておられない所が多いという感触です。

 まずは実態を把握したいので、特定作業に全力を挙げて取り組んでおりまして、それに合わせて引き続きこの法の突合もしていきたいと思っています。

○吉川 ( ) 構成員代理 報告いただいた内容からすると、全ての自治体は民泊については、ある程度進めていくということではそのように考えておられるけれども、現状では問題がたくさんあるからということで、何らかの規制なりを早急にしていただきたいということで、皆さんそれは同じということで考えていいですね。ありがとうございます。

○相澤構成員 京都で私も民泊したことがありまして、大変良かったのですが。

 戸建てと集合住宅に分けていただいたのですが、完全にうまく分けられるものなのでしょうか、あるいは一部一戸建てのような形で、アパートのような形で使われている所もあるのかなという感じがしたのですが、そういうことはないのですか。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  基本的には戸建てで、ゲストハウスのような形で複数入っている所もありますが、それは集合住宅とは違うといったことで受けております。

○相澤構成員  4 つの自治体について、感染症について、何か問題になった事例はあるのでしょうか。

○高橋健康部長 ( 新宿区 )  新宿区です。問題になったというよりも、以前に新型インフルエンザが流行した時期に、宿泊者名簿を常備していただいていたので、接触者についてですとか、行先の把握が完全にできたということでよかったわけなのですが、これが名簿が備えられていないですとか、どこのどなたか分からないということですと、そういった感染症対応の場合にいろいろと支障を来すのではないかと危惧しているところです。

○菅根生活衛生課長 ( 港区 )  港区です。具体的に大きなトラブルがあったということではないのですが、 MERS 等の海外での感染があったような場合に、近隣の方々から「そういったものの対策はできているのか」というような不安は、話した中で聞いているところです。

○今井構成員 新宿区の方に確認させていただきます。御要望書の中に、「テロリストの潜伏、違法薬物の取引など、犯罪拠点となるおそれもあり」ということがあります。こういうおそれは十分にあると思うのですが、なかなか機微にわたる情報ですので具体的には結構ですが、実際にはそのような御経験が今までにおありになったのでしょうか。

○高橋健康部長 ( 新宿区 )  具体的に今あるということではございませんが、警察などとも情報交換をしている中で、非常に危惧しているという情報は頂いております。

○浅見座長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 次に進めます。事務局で準備いただいた資料の説明をお願いいたします。

○厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部生活衛生課長田課長 資料 2 です。前回の検討会において、これまでの議論を踏まえた検討の方向性のたたき台をお示しさせていただきました。それを踏まえて、更に御意見を頂戴いたしましたので、前回の意見を取り込んだ形で、更なる検討の方向性についての深掘りというか、更に具体化した内容について、本日事務局で御用意させていただきました。

 前回頂いた御意見の内容を、赤字で付記しています。 2 ページです。 1 つは、赤字の 1 つ目の所です。これは規制改革会議から頂いた意見で、「関係省庁における検討をスピードアップすべき」ということです。今ほどの質問のやり取りにも出ましたが、一番最後の所に、「民泊というのはテロリストなど、犯罪者の潜伏場所になるおそれもあるということで、本人確認なり宿泊者名簿は確実になされることが必要だ」といった御意見を頂いております。

5 ページです。旅館業法との関係についてです。前回、簡易宿所の枠組みを活用した基準緩和についての提案をさせていただきましたが、そうした内容について、「活用することに賛成」といった御意見を頂きました。その 3 つ下の所に、「その際に簡易宿所の面積基準を一人当たりのものにすれば、許可のハードルは解決できるのではないか」、さらに「面積基準だけでなく、玄関帳場などの通知に記載されている要件の緩和を検討の対象とすべき」といった御意見を頂きました。

 赤字の 2 つ目のポツの所ですが、「一定の民泊サービスについては、旅館業法の適用除外とした上で必要な規制を新たに行うことも含め、抜本的な対応を検討すべき」といった御意見がありました。 5 ページの下から 2 つ目のポツですが、「旅館業法の宿泊拒否の制限規定はホームステイ型民泊にはなじまないのではないか」といった御意見がありました。

6 ページにいきまして、建築基準法における用途地域規制との関係で、この辺りが前回かなり御意見を頂いた部分の 1 つです。「この用途地域の規制の問題というのは、最大の論点の 1 つではないか。住宅という概念に外れない範疇のものについて許容されるべき」、その一方で「どのようなタイプのものであっても民泊というのは住宅ではないと言わないと、混乱の元ではないか」。「旅館業法の規制を緩和したとしても、ホームステイタイプの民泊では用途地域の問題がなお引っ掛かるということであれば、参入は増えないのではないか」、さらに「ホテル、旅館は、住居専用地域では一切営業できないとが、民泊についてできるように緩和をすると、良好な住環境を求めてそこに住んでおられる方に大きな影響を及ぼすので、慎重な検討が必要ではないか」「周辺の住民とのトラブルを避けるために、用途地域の規制が緩和となった場合でも、住環境保持の観点から一定の線引きが必要なのではないか」等の御意見があり、さらに最後の部分ですが、「一方で、日本の優良な住宅に泊まるという外国の方からのニーズ」という観点、他方で「どのような民泊であれば住居専用地域で許容されるのかといった点を、どのように調整するのかというのが大きなポイントではないか」等の御意見があったところです。

11 ページです。赤字の一番上の所で、分譲マンションにおける問題点は基本的には住民自身の問題だということで、「管理規約のひな型を示すなど、自己防衛の仕組みを作るとよいのではないか」「分譲マンションの民泊は混乱の元となるため、分譲マンションでは『住宅ではない』と整理すべきないではないか」、 1 つ飛びまして「ホームステイ型民泊については、旅館業法の適用除外とした上で一定の規制を設けるべき」「戸数や部屋数、面積など、何らかの条件を設けるべきではないか」、 1 つ飛んで、「賃貸借契約、管理規約の確認については非常に重要なポイントということで、そこは強く取り組むべき課題である」、 11 ページの一番下の所で、「トラブル防止のためマンションにおける民泊利用については、管理規約をしっかりチェックすべきというメッセージも強く打ち出すべき」といった御意見などを頂いたところです。

 こういった前回頂いた御意見を踏まえて、前回「これまでの議論を踏まえた検討の方向性」としてお示ししたものに、一定の加筆修正を加えたものが、 12 ページ以下の内容です。

 まず、「総論」と「早急に取り組むべき課題」です。ここについては、大筋で大きな御異論はなく、賛意を頂いたと認識しましたので、基本的には前回の資料では「何とかすべきではないか」と表現していたものについて、「すべきである」といった表現にさせていただいております。

 その上で、「総論」の 2 つ目の○ですが、先ほども御紹介しました「全体としての検討のスピードアップを図るべき」という御意見を頂戴しましたので、これは早急に対応可能な課題についてスピードアップということだけではなく、全体としての検討のスピードアップという趣旨もあろうかという理解の下に、まずは早急に対応することが可能な課題について速やかに対応するということを申し上げた上で、「更に検討のスピードアップを図るべきではないか」という形で修正させていただいております。

 次に、「早急に取り組むべき課題」です。すなわち前回の議論で確認いただきました現行制度の枠組みの中で、法律改正を伴わない範囲で何ができるかということに関しては、簡易宿所の枠組みを活用した旅館業法の許可を取得しやすい枠組みということですが、その際ということで、簡易宿所における客室面積基準、延床面積は 33 以上という基準になっていますが、これについて見直す方向で検討して、「許可を取得しやすい環境を整えるべきである」としています。

 その具体的な見直す内容について、前回の御議論で「一人当たりの基準を設定してはどうか」という御意見を頂いたことを踏まえまして、 13 ページで「具体的には」ということで、「簡易宿所の客室面積基準を見直し、対象物件の類型を問わず定員一人当たりの面積を設定の上、収容定員に応じた面積基準とし、 33 未満の物件についても、その規模に応じて活用できるようにすべきではないか」としております。これまで物件の特性に応じた議論ということで、 10 ページの表のような分類を整理しておりますが、この面積の基準ということに関しては、必ずしも物件の類型を問わず共通の課題ではないかということで、「対象物件の類型を問わず」とし、この見直しについては全体に関わるものとして整理させていただいてはどうかという提案です。

 その下です。家主不在のケースについては管理上の問題が出てきますので、前回に「管理体制の確保を前提として許可対象とすべきではないか」ということにさせていただいたところですが、併せてということで、これも前回「簡易宿所における通知上の玄関帳場の取扱いについても検討対象とすべき」という御意見を頂いたことを踏まえ、「このような管理体制が確保されるのであれば、自宅の一部などを活用して少人数の宿泊客を受け入れる民泊サービスを行う場合においては、玄関帳場の設置を求めている通知の運用を見直すべきではないか」と述べております。

 なお、この点については資料 3 を、関連ということで御覧いただければと思います。資料 3 の裏面です。そもそも簡易宿所における玄関帳場の設置に係る通知の取扱いはどういうものかということです。ここに書いてあるように、旅館業における衛生等管理要領という通知を発出させていただいておりますが、その中で簡易宿所営業の施設設備の基準として、法令上の基準にはなっていないわけですが、「適当な規模の玄関、玄関帳場又はフロント及びこれに類する設備を設けること」と定めており、この通知の内容を見直してはどうかという提案です。

 なお、この簡易宿所における玄関帳場等につきましては、 15 の都道府県で、こういった国の通知も踏まえる形で、条例で設置を求めているといった実態がありますが、公衆衛生上支障のない場合には緩和できるといった規定によって、一定の弾力運用をしているような自治体もあるという状況です。

 資料 2 13 ページにお戻りください。先ほど来、自治体の皆様からの御意見でも頂戴しています賃貸借契約、管理規約に反しないということの確認を求めるという点を入れさせていただいております。

 次に、「中期的に検討すべき課題」です。すなわち、その検討の結果の結論の内容によっては、法律改正を伴い得る事項についての内容です。前回、「家主居住で自宅の一部を貸し出すようなホームステイタイプの民泊については、旅館業法の許可の枠組みを適用する必要性・妥当性について、検討が必要ではないか」ということで、検討課題としての課題提起をさせていただいたところです。

 ここについては、様々な御意見も頂戴し、前回の議論で一定の方向性に集約されるという状況ではなかったと認識しておりますので、検討が必要ではないかという問題提起の記述にとどめておりますが、その検討に当たって、様々な具体的な検討の視点を頂きましたので、そういった論点をかみ砕くという意味で加筆させていただいております。

 その際に海外の事例も参加にしつつ、例えば以下のような観点からの検討が必要ではないかということで、 1 つ目のポツですが、貸出日数、宿泊者数、面積などといったことの要件設定についてどう考えるか。それから、宿泊サービス提供者が行うべき管理の内容・程度ということで、先ほど新宿区の御要望から、具体的に旅館業法の適用除外としないことというご提案も頂いておりますが、例えば届出、宿泊者名簿、宿泊者受入義務、衛生管理といったものについて、何をどの程度求めるのか求めないのかといったようなことです。

 これに関連して、資料 3 の表面を御覧ください。かなり簡略した資料になっていますが、現行の旅館業法の体系上、営業者にはどのような義務がかかっているか、あるいはそれに対して自治体はどのような指導監督権限を有しているのかを簡潔にまとめた内容になっています。まず、左側の箱の所の営業者ですが、営業を行うに当たって許可を受けていただきまして、その上で営業をしていただく必要があるということです。営業者の責務として、安全衛生の水準の維持・向上、サービスの向上に努める義務が記載されております。営業者の講ずべき衛生措置としては、換気、採光、清潔等の宿泊者の衛生に必要な措置を講じる義務といったことです。宿泊拒否の制限ということでは、ゆえなく宿泊を拒否してはならないといった規定があります。また、宿泊者名簿の備え付け義務があります。

 右が都道府県知事の権限です。ちなみに、保健所が置かれている市あるいは東京都の 23 特別区については、それぞれ市長、区長にこの権限が下りています。まず、営業の許可を与える権限がありまして、必要がある場合には営業者等からの報告徴収・立入検査の権限が規定されております。また、許可の基準に適合しなくなったと認める場合には、営業者に対して改善命令を出すことができ、その結果の状況等によっては営業の許可を取り消すあるいは営業の停止といった強権的な権限が与えられています。

 こうした現行の旅館業法で何をどこまで求めているのかといったことも念頭に置きながら、この民泊について何をどこまで求めていくのかについての更なる議論をお願いできればということです。

 資料 2 13 ページを御覧ください。 3 つ目のポツですが、仮に現行の旅館業法の許可の枠組みと異なる類型を認めるとした場合に、それをどういった法制度の下に整理するかということです。旅館業法の中に、従来の旅館・ホテルとは異なる新たな類型として位置付けた上で、そういったタイプのものについてかかる規制という内容に線を引いていくということなのか、旅館業法とは全く異なった新たな法体系の下に、規制の枠組みを設けるかといったことなども整理が必要なのではないかということです。

14 ページです。「関連する制度における取扱いについても検討すべきではないか」ということで、前回の検討会における議論の紹介をさせていただきましたが、かなり用途地域規制における取扱いについて、様々な御意見を頂戴したところです。日本の暮らしを体験できるという観点は民泊を積極的に進めていくという観点かなと思いますが、他方、住居専用地域に住まわれている方の住環境を保持するといった観点、こういった両方の観点を踏まえながら検討が必要ではないかということにさせていただいたところです。仲介事業者規制については、前回から特に加筆はしておりません。事務局からの資料の説明としては以上です。

○浅見座長 ただいまの事務局からの説明を踏まえて議論を進めたいと思います。まず資料 2 12 ページ、「これまでの議論を踏まえた検討の方向性 ( ) 」の「早急に取り組むべき課題」です。これは法律改正を伴わない現行制度の枠組みの中で、例えば政省令の改正等によってできるものについて早急に検討を進めるということで、前回の検討会で整理したものです。本日は、その具体案が示されました。これについて御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○北原構成員 この議論の方向性について、長田課長から詳細な御報告がありましたが、私がこの会議に出る前の 23 日の朝刊、全国紙である日経新聞においてでかでかと、民泊の問題についての報道が新聞紙上に踊って、「民泊解禁 2 段階で。まず『カプセルホテル』扱い」などという見出しを大きく掲げていました。その中に書いてあることは、我々はこの会議の中でまだ議論をしていない、あるいは確かにしている、問題点になっている所についても、あたかも方向性が決まってこうなる、こうだというような表現で記事が書かれているわけです。私も構成員の末席を汚させていただいておりますけれども、民泊の在り方は 2 段階で既に決まったとか、タイムスケジュールまで予告したような紙面が踊っている。こういった大手の新聞で正に全国紙の 1 面を飾るということは、私は我々やこの会議を愚弄しているものとしか思えませんし、できれば座長名で是非、この新聞社に対して抗議を行っていただきたい。

 特に我々が議論をしていない所で言が及んでいるのが、「まずカプセルホテル扱いで」という所です。カプセルホテルが簡易宿所の営業許可でやられているという議論を、この場でしたことはありません。しかし「まずカプセルホテル扱いで」などという言い方で、省令等々の改正によって民泊を簡易宿所扱いにして、第 1 段階でやるという議論まで書かれております。

 なおかつ、ワンルームマンションでも OK という言い方をしております。「ワンルームマンション」などという言い方は、この会議でもしておりませんし、方向性の中で大きな問題である営業者、ホストが在室しているのか、住んでいるのか、いないのかが議論のポイントになっているにもかかわらず、ワンルームマンションでも OK ということは、住んでいなくてもいい、在室していなくてもいいということを、もうここで言い切っているのです。また、これからの重要な論点として長田課長が縷々申し上げているにもかかわらず、第 1 段階の第一住専では営業は認めないけれども、第 2 段階で解禁していきたいというような議論が、既に新聞紙上で踊っているということは、民泊をやろうとしている人にとっては「何だ、もう民泊は OK じゃないか。何でもいいじゃないか。やればいいんだ」ということになります。

 せっかく京都市をはじめとした行政区でいろいろな調査もされ、本人、営業者と連絡が取れないといった事情でお悩みになっていて、なかなか調査が前へ進まないという実態があるにもかかわらず、このような報道がなされるということは、私は大変憤りを感じております。是非、座長名で抗議文を出していただきたいというのが私の思いですので、提案させていただきます。

○浅見座長 今の御提案について、何か御意見等はありますか。

○岡田代理人 ( 高橋構成員代理 )  本日、高橋が欠席しておりますので、代わって関連するコメントをさせていただきます。まず今回の旅館業法等の現行制度における簡易宿所の枠組みを活用することは、早急に取り組むべき対応策として適切と考えております。戸建て・共同住宅問わず、一個人が本拠として使用する住宅において少人数の宿泊客を受け入れる場合には、所有者の居住の確認を前提として、旅館業法による許可取得について適用除外とするか、又は規制緩和、届出等の一連の手続に係る簡素化が必要ではないでしょうか。具体的な確認や届出の方法については、今後議論のあるところですが、住民票やマイナンバーカード等による、事前の本拠確認を行うなどということが考えられないでしょうか。

 地域コミュニティーへの配慮に当たっては、保健所等の当局への届出の完了及び本人確認済みに係る書類等を発行し、これを町内会や共同住宅の管理組合へ提出することを制度化してはどうでしょうか。なお、所有者は、一個人が宿泊客から得た収益等に対する公租公課については、当然適切に徴収される必要があり、そのための方策について検討することも必要です。さらに、旅館業法等の現行制度における対応は当座の措置であり、今後のストックとして住宅等の利活用を有効的に進めるに際しては、現行法のみで一律にカバーすることは限界があることは明らかです。中期的には民泊に係る新たな定義付けを行って、用途規制や消防法など、関連制度に係る包括的・抜本的な制度設計を行うことが必要と考えます。

 多様な民泊の形態を鑑みると、民泊を従来の旅館業法の宿泊施設とも、いわゆる本拠をベースとする住宅とも異なるものとして位置付けることも必要ではないでしょうか。その際にはホームステイ型の民泊だけでなく、それ以外の類型の民泊についても検討の俎上に置くべきではないでしょうか。また、今後民泊を中心的な業として担うことが想定される業者・業態は、賃貸住宅を管理する宅建業者や旅館業者と考えられます。そこで、まずはこれらの事業者を対象に、イコールフッティングに配慮しつつ制度設計を実施し、これをベースとして家主不在の民泊等の場合への課題にも対応できるように、検討を進めてはどうでしょうか。

○浅見座長 できれば両者の御意見等に関連して御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。もし新聞報道について御意見があれば、事務局のほうでお願いしたいと思います。

○長田課長 マスコミの皆さんとの関係については、毎回、この検討会終了後にも記者ブリーフィングという形で、質疑に答えるということをしております。事務局の立場としてはできる限り、この検討会における議論の趣旨がしっかりと理解されるように、引き続き努めてまいりたいと思っております。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

○吉川 ( ) 構成員 神奈川県です。まず 1 点は、これを「 2 段階」と言うか「当面の対応」と言うかは、今のお話の議論になりますが、取りあえず当面の対応としてこうだということが、前回、 1 12 日に出されたと理解しております。あの中での問題は何かと考えていくと、仮に当面の対応として、今言った旅館業の簡易宿所と位置付けるというのはいいと思いますが、少なくとも位置付けられないそれ以外のものについては違法であると。つまり、旅館業法違反であると。

 あくまでも位置付けられて、その手続が済んだものが当然のことながら許可されて、営業していくことになるのでしょうけれども、仮に位置付けられて許可を取らないものは、全て違法であるとすれば、その次のステップとして、これを「第 2 段階」と言うかどうかはともかくとして、今度は先ほど言った中期的な課題として持っている部分です。これについてどういう対応をするかによって、その時間的な軸と内容的な問題で、それぞれの自治体の負担は、相当大きなものになるのではないでしょうか。端的に言えば、当面の課題で簡易宿所と位置付けたにしても、それを全て対象にして許可を取らせるといったときに、事務的にはかなり大変な話です。

 具体的な対象の物件にしても、その手続にしても、そういったことをしっかりとやっていかなければいけないということになってくると、恐らくそんなに簡単にはいかないと思うのです。そういう中で、次のステップがどういうやり方になるかによって、本当にどこまでやればいいのか。これは自治体としてはかなり悩む種かと思います。そういった意味では、今後のタイムスケジュールではないのですが、そういうことも踏まえていく。

 私が最初にこの会議に参加したときの理解とすれば、秋までに全てまとめていくということでお聞きしているのです。途中で方針を出して、こうだというところまでは当初は理解していなかったものですから。仮にそういうことであるとすれば、最終的にどういった形で方向付けるのか、あるいは、どういう形でこの会議について 1 つの判断をしていくのか。そういったことを示していかないと「当面の対応」だけでは、極めて大変な実務を背負うことが想定されるものですから、そこは慎重に考えていただかなければいけないのではないかというのが 1 点です。

 もう 1 つは、この検討の方向性の中の細かい点です。 13 ページの一番上の「 33 未満の物件について」というのが、今まで 1 つの面積基準だったわけですが、これが定員一人当たりの面積を設定の上、収容定員に応じた面積基準という話になると。今、国家戦略特区でやっている在り方の中では、 25 という 1 つの基準があります。この表現だけで言うと、更にそれよりも低い基準の可能性があり得るかと思っております。この辺は国家戦略特区ということで、本来は規制を外していくということでの関係で、少しそういった視点での整理が必要ではないでしょうか。ここにはこう書いてありますが、国家戦略特区というのは、あくまでも規制緩和という形で、特別に対応できる地域であるわけです。それを更に超える形になってくると思いますから、そこは一つ議論としてさせていただきたい。実は、神奈川県は全県が国家戦略特区に指定されているものですから、そういった意味でこうした内容においては、かなり深刻な問題になる可能性がありますので、そこの点はあえて付記させていただきたいと思います。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

○北原構成員 今のお話です。先ほど長田課長がお示しになった資料 3 の第 7 条で、首長が報告徴収・立入検査の権限を認められているということならば、これらを適用して調査や今後の。査察権と立入検査の意味の違いは分かりませんが、特区の中でも大阪府や大田区辺りでは、査察権まで条例に書いておられましたので、これを適用するわけにはいかないのでしょうか。もちろんコストや手間が掛かることは、十分承知した上で聞いております。

○浅見座長 今の点はいかがでしょうか。もし、何かお答えすることがあればお願いします。

○北原構成員 要するに今、行政区の方がおっしゃったように、査察や立入りがなかなか難しいから、営業者が誰かも分からないし、実際に営業許可を取っているかどうかも分からないという実態があるときに、強制的に立入検査の権限が 7 条で認められているのなら、厳格に適用して実施することはできないのかという質問です。

○吉川 ( ) 構成員 それ自体はできるのではないかと思いますが、そういう対象がどこにあるかというところが、なかなか把握ができない。先ほど京都市からもお話があったように、そういった状況の中で今言った制度を具体的に運用していくとすれば、正にそれぞれ暗中模索の中で動くわけにはいかないわけです。それこそ単にそれぞれ街の中を歩いて、「どうだった」という形ではできないものですから。そういった意味で実効性を担保するためには、恐らくかなり業務量が増えるだろうと。そういうように業務量が増えている中で、これは当面ですよ、次はこういうようにいきますよと、どういった形の段階が踏まれるかを明確にしていただかないと、行政サイドとすれば業務量そのものが大変な状態の中で動いていかなければいけないというところが、悩みになるのではないかという指摘です。

○北原構成員 京都市の調査でも、 Airbnb の営業をされている 2,000 何件ほどのうち、 26 件しか特定されていないわけです。全部やることはとても不可能ですから、まずはその 26 件だけでも強制的に立入検査をしていただいて、「あなた方は営業許可をお持ちですか。ないのでしたら是非、申請してください」と言うことをやりますと一罰百戒です。やはりそういう事例が 1 件でも 2 件でもあると、そういう事業をおやりになっている方も「これはまずいかな」という効果は、十分期待できるのではないでしょうか。

○三浦構成員 多分、厚労省の方に御説明いただいたほうがいいと思うのです。今、北原構成員が御指摘になった資料 3 の第 7 条の「報告徴収・立入検査の権限」というのは、旅館業の許可を得た業者に対してできるもので、許可を得ていない無許可営業については、警察庁の管轄になるのではないですか。

○長田課長 基本的には営業者向けのものです。

○浅見座長 ということは、立入検査ができないということですね。

○三浦構成員 できない。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

○小林構成員 今回の問題というのは旅館業法という枠組みが、一方でネットの社会に遅れているということで、いろいろな問題が起きていると思うのです。旅館業法そのものは、住民の静謐・静穏な環境を守るとか、宿泊者をきちんと特定して治安維持を守るとか、衛生を守ることを目的にできていて、それを今のネットの社会でやろうとすると大変だと。大変だとは思うのですが、大変だから簡単にしてしまおうじゃないかとか、今まで守っていた法益もしようがないじゃないかということはやめてほしいと思います。大変でもしようがないのです。社会が、住民が迷惑するのだったら、迷惑しないようにするのが法益ですから、そういう仕組みにしていただく。簡単にしたら法律違反にならないからいいじゃないかというような制度設計は、やめていただきたいと思います。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

○末永構成員 「早急に取り組むべき課題」と「中長期的に検討すべき課題」とを分けて、それぞれの対応をしていくことには私も賛成です。その上で、中期的に検討すべき課題については、ホームステイタイプの民泊のみ検討すると、ここに書いてあるのですが、ホームステイ型の民泊だけでなく、いわゆる共同住宅の空き室や空き家を活用する民泊も、改めて旅館業法上の許可の枠組みについて、その必要性や妥当性を中期的な場でも検討する必要があるので、それを是非加えていただきたいと考えています。

○三浦構成員 今の意見は、ちょっと誤解があるのではないかと思うのです。 12 ページの方向性の案を見ますと、「早急に取り組むべき課題」の 2 番目の○を見ていただきたいと思います。「自宅の一部等を活用して少人数の宿泊客を受け入れる『民泊サービス』」というのが対象になっています。それに対して「中期的に検討すべき課題」の 1 番目の○を見ていただければ分かるのですが、「家主居住で自宅の一部を貸し出すようなホームステイタイプの『民泊』」が対象になっているのです。したがって早急な課題のほうの対象は、「自宅の一部等を活用して少人数の宿泊客を受け入れる『民泊サービス』」なので、より広い範囲を対象にしていると私は理解しているのです。そういう意味で、議論の中で「自宅の一部等を活用して少人数の宿泊客を受け入れる『民泊サービス』」の要件を、もう少し詰めていく必要があるのではないかと思っています。

○長田課長 今の御指摘に関連してです。「早急に取り組むべき課題」では、言葉としては「自宅の一部等を活用して」という表現にさせていただきましたが、先ほどの説明でも申し上げたとおり、面積の基準に関しては活用物件の類型を問わず、共通的な課題ではないかということです。次の 13 ページですが、面積基準の見直しについては対象物件の類型を問わず、全体として適用ということで考えてはどうかという提案をさせていただいております。

 その上で、中期課題について事務局としてはこれまでの議論の積み重ねの中で、家主居住のホームステイタイプについては、議論の中でもう少し緩やかなものを考えるべきではないかという御意見が多く出されたことを踏まえ、ここについて更なる検討の対象としての課題ということで、前回提案をさせていただいたところです。

 先ほど末永構成員からいただいた御意見ですが、私の理解としては、中期でもホームステイタイプ以外の部分についてどうするかを、検討課題として整理すべきではないかという御意見を頂いたと理解しておりますが、よろしいでしょうか。

○末永構成員 はい、そのとおりです。

○吉川 ( ) 構成員 ちょっとどこで言うのか分からないので申し上げます。「中期的に検討すべき課題」の一番最後の所に「仲介事業者に対しては」というのがあります。仲介業者は法律などが新たに必要になるから「中期的に検討すべき課題」の所に入っているのだと思うのです。以前、 Airbnb のヒアリングのときでも、物件について実態は御自分でも分からない。また調査して報告しますみたいなことは席上で言われていたように思うのです。まず、それがどの程度進んでいるのかということを知りたいです。

 それから、京都市さんの報告でも、なかなか連絡が取れないというようなことをおっしゃっていました。私が一番気になるのは、民泊サービスを利用する人は自己責任で民泊を選んでいる面もあるのだからということで、規制の緩和に当たってはそういう点も踏まえてというようなことが 2 ページにも書かれていて、前回出た意見ということになっているのです。自己責任というのは、ある程度情報が安心して開示されている上で選んだ自己責任であるべきなのに、 Airbnb だけを言うわけではないのですが、この間のヒアリングのときも実態をつかんでいないということを自ら認めておられたし、京都市さんの調査でも非常に危ないような、なかなか連絡が取れないというようなことをおっしゃっていたことからすると、自己責任だから、特にネットで利用する人が多いわけですから、こういうことがこの会議の中の 1 項目として出ているのは気になるということ。

 それから、仲介業者については中長期でいいのだろうと思いますが、中長期でしないといけないけれども、早急に検討もしながら、最終的には結論としては中長期になるかもしれないということですが、それでよいのだろうかと心配しています。ということで、この検討課題の在り方の持っていき方の記載や順序というものを検討していただけたらと思います。

○今井構成員 質問と意見と両方が重なりますが、まず、今の 2 ページの自己責任については私も同じように思います。従来も、旅館業法等があるというのは、利用者がどのような旅館の実態かが分からないので、事前に行政庁が許可を取るということで、最低限の品質を保証しているという制度設計だと思いますので、それが妥当しない所では自己責任でもいいのですが、本日の御報告でもありましたように、民泊についてはまだ実態が不明ということですので、私も自己責任という言葉をここで強調するのには違和感がありました。

 それから、 12 ページから 13 ページの辺りです。 13 ページの冒頭の赤丸の所で、 33 ということについて見直すということで、これはこれで結構なのですが、確か前回も質問させていただいたのですが、 12 ページの最後のポツで、なぜもともとこれが 33 となったのかと。その当時の趣旨と、それが現況に応じて合理性がなくなったということを、ここに書かなくてもいいですが、どこかで御説明していただければ、状況の変化に応じた規制の緩和という方向性も正当化できるのではないかと思いました。

 それから、 13 ページの早期に検討すべき○の下から 2 番目の「旅館業法の許可に当たり」という所です。これは、特に本日、港区さんのほうからの御意見としても大変重要なことがあったかと思います。資料 1-2 4 でおっしゃったような所が一番大事だと私も思っておりますので、これが本当に本筋だと思います。旅館業法の許可に当たって、許可をするということは行政庁で最低限の基準のお墨付きを付けるということですから、どのような事業者がどういうことをやっているかというものを示していかないといけないと思います。それができないのだったら、それでもすぐにやるというのは少し拙速であろうと思いますので、この辺りは慎重に御検討いただければと思いました。

○松村構成員 自己責任という文言は私が言ったわけではないのですが、今、とても旗色が悪いようなので敢えて発言します。私はこの議論は正しいと思っているので、このまま是非、維持していただきたい。自己責任ということを言うときには、自己責任なのだからあらゆる規制が不用だと言っているわけでは決してない。自己責任が問われるようなものでも、最低限の基準、最低限の規制は当然に必要。自己責任という言葉で全ての規制が不用だということを言っているわけではない。しかし一方で、そういう性質のものだということはあらかじめ分かっていて選択しているということも、利用する人が認識すべきだということ。全てのものに同じ規制を課す必要はないという意味なのだと思います。私自身は自己責任という考え方は決して間違っていないと思います。

 言うまでもなく、自己責任というのは、そういう基本的な情報すら開示されていないということも十分知った上で、そういうリスクも知った上でということであって、そんなことも知らないで、知らないことに過失もなかったなどという人は、保護しなければいけない。また第3者に迷惑を掛けるというのは自己責任論の外の話なので、一定の規制が必要だということは、自己責任を重視したとしても当然のことだと思います。しかし、全く同じ規制を課さなければいけないかどうかに関しては、考える余地はあると思います。

 それから、神奈川県から伺った意見は、私の理解が間違っていないかどうかを確認したいのですが、当面の課題と中期的な課題がある。当面で出てきた後で、中期的な姿というものがはっきりしていないと、当面のところでもいろいろな事務処理のところが困る。つまり、中長期的に見ても許されないであろうというような類型のものと、中期的にはすぐに許されるようになるような類型のものがあったとすると、当然、後者を重点的に監視などしたいということも当然出てくるでしょうから、仮に中期的なものであったとしても、その姿はできるだけ早いタイミングで示してほしい。そういうことをおっしゃったのだと理解しました。その理解で正しければお答えは不用ですが、もしそうでなければ教えてください。

○吉川 ( ) 構成員 今のとおりだと思います。やはり、ここで議論をするということでいけば、当面だけではなくて、中期・長期的なことについてどういうふうなことを考えて、どう対応していくかということを明確にしていかないと、恐らく現場のほうが、今度は中長期はいつ解決するのだとなってくるわけです。そこのところの混乱が心配だなと。そういった意味では、この場ではやはり、当面ということだけではなくて、中長期もしっかと議論をしていただきたいという意味です。

○廣岡構成員 一番最後の仲介事業者と、今までお話になったことと関連しながら、私の考えを少し述べさせていただきたいのですが、前回、ホームステイ型は旅館業法から外すと。その基準として、「営業」という言葉を定義して、営業していなければ、それは旅館業法の適用外にすると。先ほど京都市さんはじめ、民泊を調べたら、結局、なかなかそういう営業要件に該当しないし、新宿区さんのでも、結局、指導したらやめてしまったということですから、多くの今の民泊は業になっていない。そういう所に実際に旅行者が泊まっているわけで、何か事故があったときに、そういう所では責任は取れないと思います。したがって、そこは先ほどの、それでも泊まるのであれば自己責任になるのかもしれないですが、それでない所は業にしてしまって、業の事業者が責任を取ると。仲介事業者については、業でない所を紹介したら、それは仲介事業者が連帯して責任を取るような枠組みを作る必要があるのではないか。実際に業の所を紹介している分については、日本の旅行業約款の考え方で、一次責任を問わないというふうな型を通してもいいのですが、業でない所で事故を起こした場合には、仲介事業者が何らかの責任を取る。そうなった場合、やはり、業と、業でないということを明確にしておかなければ、自己責任も含めて分かりにくいのではないかと考えます。

○今井構成員 今の廣岡先生に質問なのですが、その場合の業というのは、反復継続して行うという意思があれば足りるのか、それとも、現に反復継続したという事実が必要なのか、どちらでしょうか。

○廣岡構成員 今の考え方では、私の理解しているところでは、報酬を得て反復継続すれば業になるということなのですが、これは先週お話したように、ある意味の、お金はもらっているのだけれども、いわゆる実費だけもらっているような所は業として外す。一番最初の第 1 回のときに私が質問させていただいたのは、病院とか学校の寮などで宿泊しているけれども、それはどうなのだというところなのです。その辺りはちょっと、寮のほうは正確な答えは頂けなかったのですが、病院では、本来宿泊目的ではなくて、別の目的のために宿泊しているから、それは旅館業を取らなくても認められるというお答えだったようですので、いわゆる宿泊事業として、それで実費以上の収益を得ると、その辺りを定義するのは難しいですが、そこで切っていくのが現実的、それが仲介事業者の規制とも連動するのではないかと考えております。

○浅見座長 よろしいですか。

○今井構成員 ちょっと考えさせてください。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  京都市の調査では、ホームステイ型がきちんと集約することはできなかったのですが、ホームステイ型でサイドビジネスとしてしておられる方のお話は聞くこともできました。きちんと実費以上にサイドビジネスとして位置付けられ、確定申告もされる予定であるといった方が、ホームステイ型で反復して入れておられるといった事実もありますので、ホストファミリーがいらっしゃるからといって、国際交流で営利目的ではないということには必ずしもならない例もたくさんあるということを御紹介したいと思います。

○浅見座長 後半の前半では、どちらかというと、先ほど申し上げましたように、「早急に取り組むべき課題」ということで少し御意見を頂きたかったのですが、 1 つ出た意見としては、少し中期の方向性を見据えた上で検討したほうがいいだろうという話はありました。ただ、ここに書いてある簡易宿所の枠組みを活用するというような点や、面積基準の点、あるいは賃貸借契約や管理規約に反しないことの確認を求めるべきという点、それから、関連する制度についての取扱いの検討もすべきだという点については、特に余り大きな御異論はなかったように思います。

1 つ、余り御意見が出ていなかったのは、家主不在のケースにおいて、宿泊者の本人確認、緊急時の対応体制など、一定の管理体制を確保することを前提に、旅館業法の許可対象とすべきであるという点がありますが、これについて何か御意見があればお願いしたいのですが、特によろしいでしょうか。

 それでは、基本的にはこういった方向で進めたいと思いますが、皆様、非常に重要だとおっしゃっていたのが「中期的に検討すべき課題」ですので、これについて少し次に議論を進めたいと思います。「中期的に検討すべき課題」については、先ほどの「早急に取り組むべき課題」を踏まえつつ、現行制度の枠組みを超えた検討が必要な課題、つまり、例えば法改正等が必要なものだということだと思います。今回は、前回の検討会での御議論を踏まえて、検討課題について更に掘り下げた論点が提示されています。これらについて、できれば御議論いただきたいと思います。もちろん、若干「早急に取り組むべき課題」にも関係するものはあると思いますが、併せて御議論いただければと思います。いかがでしょうか。

○小林構成員 先ほどの 4 つの自治体の方から現場の声を聞きましたが、やはりこういうネットに対応した新しい形態というものに対しては、ものすごく苦労されていると思うのです。民泊については規制緩和という方向で議論されている感じがしますが、実は先ほどの 4 自治体の方々が言っているのは規制緩和ではなくて、規制強化をすべきだというふうにおっしゃっているように聞こえました。

 実際にネットの社会の中で、匿名性のようなことがあって、なかなか分からない。それに対してどういうふうに権限を持たせて、それできちんと行政処分をしていくのか、違反処理をしていくのかという体制をきっちり、この新しい法体系の中で作っていかないと、国民の生活は守れないと思います。

○浅見座長 ほかにはいかがでしょうか。ありませんか。先ほど、ホームステイ以外についてもというような御意見も出たのですが、こういったことの関連でもいいのですが。

○根岸代理人 ( 森川構成員代理 )  不動産協会の根岸と申します。先ほど、国家戦略特区のお話も少し出たのですが、旅館業法の特例ということで、特区に限って 7 日という規制があります。今後この民泊を検討されていくときに、その 7 日を今度は下回るような例を全国的に認めていくのか。あるいは特区の枠組みはどう維持していくのかということを併せて御検討いただければと思います。

○松村構成員 既に意見が資料に書かれていることではあるのですが、旅館業法の宿泊拒否の制限の規定に関しては、インターネットビジネスにおいては相当困るというか、この規制が決定的に制約になる可能性があります。つまり、大騒ぎするなどというような評判の悪いゲストは断わることができないと困る。それは逆も当然あるわけで、評判の悪いホストは選ばなくなるということもある。そういう仕組みがインターネットの世界ではかなり大きな役割を果たしている。そうすると、本日お伺いした自治体の方でも、そういう大騒ぎして過去に迷惑を掛けたというような人を、このタイプの所では断わるという機能が加わることによって、何かマイナスになるなどということは基本的にはないと思うのです。むしろ心配するのは、そのような大騒ぎする人を拒否するというようなことだけで本当に排除できるのかということのほうだと思いますので、この点は是非検討をお願いします。それは短期のほうなのか中長期のほうなのか分からないのですが、評判の悪いゲストは泊めないというような機能を損なわないようなルールを是非作っていただきたい。

○三浦構成員 厚労省の方にお伺いしたいのですが、そもそもこの宿泊拒否ができないという、電気や水道だったら分かるのですが、旅館業において宿泊拒否ができないという規定の根拠はどこにあるのですか。実質的な理由です。

○事務局 旅館業法は戦後すぐの法律ですので、そのときの環境によっているところが大きいかと思います。やはり、宿泊場所が確保できないということになると、現在と違って、あらかじめ予約等が速やかに行える環境でもありませんので、泊まる場所をきちんと確保することが衛生上も必要ということから、一定の迷惑行為や感染症に感染しているおそれがあるなどといったようなことや、条例で定めるようなケースを除いては宿泊を受け入れるというような観点で設けられていると考えております。

○三浦構成員 そうしますと、旅館業法が作られたのは相当昔の話で、宿泊施設も限られていたということで、野宿なんかをされてしまうと感染症の問題や治安維持の問題があるから、宿泊業者が受け入れるということだったということで、今はかなりの数の宿泊施設がある中で、まだ 5 条は維持しなければならない必然性はあるのですか。

○長田課長 そこについては、まずこの法律の条文が規定された背景を踏まえつつ、一方で、今日的課題として、例えば障害者の方の受入れをどういうふうに考えていくか。ただ、これを旅館業法の中で規制していくのか、別途の考え方で対応していくのかというようなことはあるかと思いますが、今後の宿泊業全般の在り方としてどうするかというのは、 1 つの検討課題になり得るとは思います。ただ、早急に今、一律にイエス、ノーとお答えをするには、やはり幾つか考えるべき論点があるのかなとは思います。

○三浦構成員 私も松村構成員の説に賛成なのですが、旅館業法上は、明らかに法令違反を犯すような方については拒否できるのですが、過去においてクレーマー的な方や、ほかの旅館さんでいろいろあった方を断るのは、 5 条を守る限りはなかなか難しいのです。

 もう一方で、地域を言ってしまうと特定できてしまうので地域は言いませんが、ある所のホテルさんで、 16 歳以下の方は同伴拒否しているホテルがあるのです。これはなぜかというと、大人の雰囲気を守りたいという意味なのです。これは、ホテル、旅館を経営している方たちが、自分たちのホテル、旅館をある一定の色付けをしたいというのは当然の欲求だと思うのです。もし第 5 条がこのまま維持されてしまうと、経済を萎縮させる原因になるので、その辺りはやはり検討すべきだとは思います。

○吉川 ( ) 構成員 京都市さんにお伺いしたいのですが、最低宿泊日数が 1 泊あるいは 2 泊、全部で 3 泊から 5 泊の間にほとんどが入ってしまっているということは、日本への観光旅行は、これぐらいの日数しか連泊しないと考えておられるのでしょうか。実状がそうなのでしょうか。

○糟谷観光政策監 ( 京都市 )  外国人の市内の宿泊客数で言いますと、京都市内に泊まっておられる方で 5 泊から 10 泊が 16.6 %、 10 泊以上が 2.7 %ということです。京都を回られて、例えば東京にお泊まりになったりとか。バケーションが長い国であれば、やはり 2 週間、 3 週間、国内旅行される方もいらっしゃるかと思いますが、現在、京都市内で泊まられる方は、 1 泊が 8.6 %、 2 泊が 17.0 %、 3 泊が 17.3 %、日帰りの方が実は 16.3 %いらっしゃって、これは京都に泊まれなくて、ほかで泊まって京都に日帰りで観光に来られている。そんな状況です。

○浅見座長 ほかはいかがでしょうか。特によろしければ少しまとめていきたいと思います。まずは、御意見として、あるいは御質問として出ていました、 1 つはマスコミの対応の仕方ということで、これについては事務局とも御相談してみたいと思います。

 もう 1 つ、今井構成員から出ていました 33 の理由について、もし分かることがあれば次回以降にでも少し御披露いただきまして、特にここでは否定する文章になっていますので、否定する理由を少し明確にしたほうがいいのではないかということで、そういった点についてお示しいただければと思います。

 ホームステイの民泊のタイプなのですが、いろいろな要件等を詰める必要があるのですが、これについてはある程度進めることができるというような意見もあったと思います。一方で、それ以外のタイプについては、あるいは更に踏み込んだ見直しを行うかについては、結構、御意見もいろいろあったようにも思います。ですので、これについては論点として位置付けて、もし可能であれば議論していきたいと思いますが、これについては事務局で整理をお願いできればと思います。

 ほかに何か全体的なまとめとして、これだけはというものがもしあればお願いします。

○今井構成員 座長がおまとめいただいたことに関連してですが、ホームステイ型の話の際に、先ほど京都の方からも御説明があったのですが、実は利益を得てという業態が多いというお話がありました。私も純粋にホームステイだけという方は実は少ないのではないかと思いますので、できましたら確定申告を伴うような事業者の方が実際にどのくらいいるのかという実状も分かった上で検討を進めたほうがいいかと思います。

 併せてもう 1 点、お客さんが来たときに宿泊の拒否ができるかという問題が、今、先生方からも提案がありました。不特定多数の客を相手にして行う事業者として、本来そういう、タクシーの乗車と同じで拒否ができないということが許可の条件となっていたと思います。他方でフーリガンのような評判のある方を泊めないという方向で考えるのであれば、それは現在の旅館業法から、あるいは業法から外れると思います。その区分けも、実際にどういうふうな状況になっているかをもう少し情報を出していただいて議論したほうが建設的かと思いますので、可能であればよろしくお願いいたします。

○浅見座長 今の点についていかがですか。

○北原構成員  2 点です。今後の課題の中で、いろいろと民泊をされる中で、先ほど質問もありましたように、感染症のルートの確認の意味で、いろいろな我々の所に宿泊になる方の衛生上の問題が発生するケースが結構ありますので、いずれにしても、民泊というものについても、衛生行政の法の中に入れていただいて、適宜指導や、いろいろな情報をそこから取れるような体制は維持していただくことが必要ではないかと思います。

 もう 1 つは、先ほど港区から御意見もありましたように、これはずっと昔に出来た法律ですから、旅館業法の罰則規定が懲役 6 か月又は 3 万円以下の罰金となっているのは、極めてその何十年前の時代に即した金額の 3 万円です。今回、大阪の特区の条例でも 200 万円以下と金額を上げておられますので、これは是非、法改正も中長期的な課題の中に組み込んでいただかないと、言ってみればやり得みたいな方がおられますので、罰金を払ってもやってやれというような方を排除する意味では是非御検討いただきたい。

○浅見座長 ありがとうございました。ほかに何かありますか。

 先ほど私が申し上げた点にプラスして、 1 つは業の線引きの問題です。これは明確にしていく必要があるということ。それから、宿泊拒否について、少し根拠も明らかにしつつ、どうすべきかを検討すべきだということ。それから衛生面の確保の仕方です。仮に外す場合であったとしても、衛生面というのは非常に重要ですので、これをどうすべきかというのも引き続き検討が必要だろうということ。最後におっしゃいましたが罰則の問題。これは自治体からも要望として出ていました。これも少し検討する必要があるのではないかというようなことがあったかと思います。

 以上の取りまとめで大体よろしいでしょうか。

○長田課長 様々な御指摘を頂きましてありがとうございます。頂いた御指摘に関連して十分なお答えになるかどうかというのはありますが、少しコメントをさせていただければと思います。

 まず、当面の対策と中期対策との関係ですが、当初、夏から秋ぐらいをめどに結論を頂きたいというお願いをいたしまして、この検討会の議論をスタートさせていただいたわけですが、その議論の流れの中で、法改正を伴わない範囲で対応できることがあり得るのではないかと。そういったものについて、早く手を打つべきという御意見を頂戴し、その具体化に向けた議論を積み重ねていただいたと理解しております。

 これは、違反になる者と違反にならない者の線を引くということではなくて、もともと議論の論点の設定としては、反復継続をして有償で宿泊サービスを提供するという者は、その是非はともかくとして、あくまで旅館業法の許可を取ってもらわないといけないというのが、今の法令解釈です。その前提の中で、できる限り旅館業法の許可を取得しやすい環境を整えることによって、少しでも無許可で営業されている者について、許可という合法的な枠組みの中に取り込んでいくという 1 つのアプローチだと事務局としては理解しております。

 その上で、御指摘いただきましたとおり、当然、最終的にどういう成案を得るかということについての議論は、なるべく方向性を早く見定めていくということも大事です。本日の検討会の資料でも、検討のスピードアップを図るべきという規制改革会議の御意見を踏まえて、そういった視点を盛り込んでおります。もともと 3 月時点で中間のまとめをお願いしているところですが、そこの中で方向感についてどこまでのコンセンサスを得られるかは、かなり論点も多岐にわたりますので、どこまでのものにできるかということはありますが、次回以降また、中期課題も含めて一定の方向性集約に向けた議論の積み重ねをお願いできればと思っております。

 それから、仲介事業者の規制の関係で、中期課題に位置付けられていることの関係についての御指摘を頂いたところです。およそ国民に規制、義務をかけることは法律事項になる。そういう意味において中期課題というふうに掲げさせていただいたわけですが、ある意味、法的拘束力は伴わないにしても、今、何をどういった形でアプローチしていけるのかというところについては、大変重要な指摘だろうと受け止めましたので、その辺りをもう少し何らか整理ができないかということについては、少し考えてみたいと思います。

 それから、 33 の件です。これは確か、前回か前々回にもお答えをして、申し訳ございませんがそれ以上の答えはないのですが、これはなかなか古い制度でもありますので、必ずしも経緯がはっきりしない面がありますが、もともと簡易宿所という営業形態が、多数人利用を想定した中で、大体、恐らく 10 人ぐらい規模の利用を想定した場合に、最低必要な面積基準として設定されたのではないかと考えております。その限りにおいて、全く合理性がないということではないのだろうとは思っておりますが、少人数を受け入れるようなケースを典型例とした民泊サービスにおいては、 33 以下の物件が一切活用できないということになりますので、そこの合理性というものについて御指摘いただいて、その点についてはこれまでの議論の積み重ねを踏まえて、一定の見直しを図っていくということではないかと認識しております。以上です。

○浅見座長  33 の件はよろしいでしょうか。

○今井構成員 はい。

○浅見座長 それでは、大体時間になりましたので、これで終わりにしたいと思いますが、まず、早急に取り組むべき課題については成案の取りまとめを事務局にお願いいたします。また、中期的に取り組む課題については、本日の議論を踏まえまして、更に論点を深掘りした内容を整理していただき、更に議論を深めていきたいと思います。

 次回以降の日程等について御説明をお願いいたします。

○長田課長 日程の前に一言、「早急に取り組むべき課題」である、先ほど来話題になっております簡易宿所の面積基準については、旅館業法の施行令で位置付けているものですので、本日おおむね御了解いただいた内容に沿って対応するとした場合には、政令改正という手続が必要になります。その手続に向けた細部については一定、事務局で整理の上、対応させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局から次回以降の日程等について御説明させていただきます。本日は 2 時間にわたりまして熱心な御議論を賜り感謝申し上げます。第 6 回の検討会については、 2 29 日月曜日 13 時から 15 時を予定しております。場所はまだ未定ですので、また追って御連絡させていただきます。また、第 7 回以降の具体的な日程については、事務局から改めて御連絡させていただきたいと考えております。

 これをもちまして、第 5 回「民泊サービス」のあり方に関する検討会を終了いたします。次回以降もよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 「民泊サービス」のあり方に関する検討会> 第5回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録(2016年1月25日)

ページの先頭へ戻る