ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会> 第7回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会(2016年5月10日)




2016年5月17日 第7回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会

○日時

平成28年5月17日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室


○議題

(1)標準的な質問項目について
(2)その他

○議事

○中田健康課長補佐 定刻より早いのですけれども、委員の皆様がおそろいになりましたので、ただいまから第7回「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、御礼申し上げます。

 本日の出席状況について、御報告いたします。

 本日は、全員御出席いただいております。

 また、本日の検討に当たりまして、参考人といたしまして京都大学大学院、中山健夫教授。

 また、国立保健医療科学院国際協力研究部、三浦宏子部長。

 2名の方に御出席いただいております。

 配付資料につきましては、座席図のほか、議事次第、裏に配付資料の一覧がございます。また、議事次第の配付資料一覧以外に永井構成員から追加資料の提出がございましたので、追加資料も机上に配付しております。

 また、構成員の先生方にはパイプファイルで参考資料がございます。前回までの検討会資料と標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】を配付しております。もしお手元にないもの、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○永田座長 ありがとうございます。

 では、議事に入ります。

 本日の議題は「標準的な質問項目について」と「その他」でございます。その前に、前回の議論を事務局にまとめていただいておりますので説明いただき、その後、議題に移りたいと思います。

 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○高山健康課長補佐 資料1をごらんください。

 第6回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会では、以下のような御検討をいただきました。概要にお示ししております。

 腹囲についてですけれども、循環器疾患による年齢調整死亡率等を軽減するため、特定保健指導の対象となっていない非肥満の危険因子保有者に対して、特定保健指導の対象者と同等程度の介入を実施するべきである。

 非肥満を含めた保健指導対象者の選定・階層化基準においては、血圧、血糖、脂質等の危険因子による循環器疾患の発症リスクが高い者を抽出し、腹囲等により対象者を選定し、対象者に適した介入方法を選択することが望ましい。

 その際、従来との継続性の観点からは、腹囲が基準以上の者については、従来の介入方法を選択するとともに、腹囲が基準未満の者については、新たに介入方法も定めることが妥当である。腹囲の基準値は、男性85センチ以上、女性90センチ以上とするという議論が行われました。

 また、特定健康診査・特定保健指導についてですけれども、国際的に肥満者の割合が増加する中で、我が国の肥満者の割合は横ばい、もしくは減少傾向を示しており、メタボリックシンドロームの概念に基づいた特定健康診査・特定保健指導は、内臓脂肪蓄積に起因する生活習慣病対策に貢献してきた。内臓脂肪蓄積は若年期からの危険因子の重積と関係するため、内臓脂肪を蓄積させない取り組みは重要である。

 一方で、腹囲が基準未満でも内臓脂肪の蓄積が認められる場合もある。肥満者の割合が少ない我が国では、腹囲にかかわらず、血圧、血糖、脂質等の危険因子自体に対する対策も重要である。これらの視点を踏まえ、これまでの特定保健指導や非肥満の危険因子保有者に対する保健指導、受診勧奨などの介入を含めて特定健康診査・特定保健指導を総合的な生活習慣病対策として捉えていく必要があるという御検討がされました。

 2ページ目、虚血性心疾患・脳血管疾患の発症リスクについては、第5回でも御議論されました。構成員から提出された追加の資料をもとに御検討いただきましたが、そこでは男女ともに高齢、血圧高値、血糖高値、脂質異常、喫煙は虚血性心疾患・脳血管疾患の発症リスクを高める主たる危険因子である。

 喫煙は虚血性心疾患・脳血管疾患の発症に強く関連する危険因子であることから、現在、情報提供レベルである喫煙以外の危険因子を持たない者に対しても、喫煙に対する対策を検討するべきであるとされました。

 また、非肥満の危険因子保有者に対する対応についてですが、腹囲が基準未満の者では、喫煙者の割合が高い傾向にある。喫煙に対する対策は、全ての喫煙者にとって重要であるが、特に腹囲が基準未満の者に対しては、これまで以上に対策を強化する必要がある。非肥満の危険因子保有者に対する対策に取り組む保険者を評価する仕組みがあるとされました。

 また、保健指導対象者の選定・階層化基準については、腹囲は内臓脂肪の蓄積の程度により異なる介入方法を実施する観点で用いることから、腹囲と危険因子を同様に扱う諸外国のメタボリックシンドロームの診断基準に基づく概念は採用しないとされました。

 腹囲の基準値については、男女を合わせた絶対リスクを考慮して設定されている内臓脂肪蓄積が100平方センチメートルで、危険因子1つを有する値に相当する現状の基準を維持することとされました。

 また、腹囲にかわる内臓脂肪の新たな測定方法については、腹囲の測定は内臓脂肪の蓄積を簡易に推定する方法であるが、感度・特異度などの測定精度に課題があるため、より適切な検査法が求められるとされました。

 続きまして、尿腎機能検査の対象者等についてですけれども、尿腎機能検査は40歳から74歳の対象者に多く見られる高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症等を対象疾患とし、血圧または代謝系検査が保健指導判定値以上の者で医師が必要と認める者に対して実施する。

 また、本来であれば、当該年の検査値に基づいて詳細な健診項目の対象者を選定すべきであるが、現状では検査結果が迅速に判明しない等の状況も認められることから、当該年もしくは前年の検査結果に基づいて対象者を選定することも可能であるとされました。

 肝機能検査の対象者等については、肝機能検査は、NAFLD/NASHやアルコール性肝障害等を対象疾患とし、血圧、脂質、代謝系検査が保健指導判定値以上の者や問診等で不適切な飲酒が疑われる者で、医師が必要と認める者に対して実施することとされました。

 2項目目は腎機能検査と同様ですので省略いたします。

 また、12誘導心電図の対象者等については、12誘導心電図は左室肥大や心房細動等を対象疾患とし、血圧が受診勧奨判定値以上の者や問診等で不整脈が疑われる者で医師が必要と認める者に対して実施することとされました。

 眼底検査の対象者等についても、眼底検査は高血圧性網膜症や糖尿病性網膜症等を対象疾患とし、血圧または代謝系検査が受診勧奨判定値以上の者で医師が必要と認める者に対して実施することとなりました。

 事務局からは以上です。

○永井座長 ありがとうございます。

 ただいまの御説明に御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 よろしければ、では、本日の議題に移ります。「標準的な質問項目について」であります。まず、今回の論点を事務局から御説明いただきまして、次に各構成員に発表いただき、論点に沿って議論を進めたいと思います。

 では、説明を事務局からお願いいたします。

○高山健康課長補佐 資料2をごらんください。「健診項目についての論点(標準的な質問項目・理学的検査(身体診察)」でございます。

 2ページ目でございます。標準的な質問項目につきましては、4点の論点を提示したいと思います。

 質問項目は生活習慣病リスクの評価に資するか。

 質問項目は保健指導の階層化に資するか。

 質問項目は健診結果を通知する際の情報提供の内容の決定に際し活用可能か。

 質問項目は地域の健康状態の比較に資するかでございます。

 上3つは現在、標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】に記載されているものでございます。4つ目は第2回の当検討会におきまして、質問項目については地域の健康状態の比較という観点からも重要ではないかという御意見がございまして、そちらを本日、論点のほうへ挙げさせていただいております。

 また3ページでございます。理学的検査(身体診察)についての論点ですが、特定健康診査・特定保健指導において理学的検査(身体診察)で実施すべき内容についてどのように考えるかについて御検討いただければと思います。

 以上です。

○永井座長 ありがとうございます。

 それでは、最初に、中山参考人から資料3について、資料2の論点と関連させて御説明をお願いいたします。

○中山参考人 それでは、中山から説明させていただきます。

 私たちは厚労科研のこちらの系統的レビューとコホート研究に基づく特定健診質問票の開発を担当しております。私、代表研究者で、後ろに副代表の田原が来ておりますので、必要があれば御発言をお許しいただければと存じます。20分ほどでさせていただきます。

 お手元には、私たちの関係では資料3-1と、3-2はエビデンステーブルになっています。3-3が今回の結果として御提案させていただく質問票の項目、案1、2、3というような形でなっております。

 まず3-1に従って御説明をさせていただきます。

 2ページ目は標準的な質問項目で、このとおりです。現状の22項目です。

 3ページ目、質問票の目的の整理について。先ほどの検討会自体の4点がありましたけれども、それを踏まえた上で私たちの研究班で議論するに当たって、このような形で私たちなりの整理をさせていただいております。おおむね共通です。特定保健指導の階層化に必要な情報の把握、既往歴・治療状況の把握、詳細検査項目決定のための情報把握、集団の特性・変化の把握と考えております。

 4ページ目は現在の質問票の問題点の例です。例えば現在、たばこを習慣的に吸っているかというものに対して「はい」と「いいえ」だけです。禁煙、やめたといような形のものはこれまでは入っておりませんし、例えばQ13、この1年間で体重の増減がプラスマイナス3キロ以上あったというのは、プラスなのかマイナスなのかが不明。このような点が指摘されております。お酒を飲む頻度についても、途中でやめた方々の情報を把握する項目がなかった。このような諸点が指摘されておりました。

 5ページ目、今回の質問票の改訂の全体の枠組みです。

 まず左、階層化に必要な項目は、服薬であったりQ8のたばこであったりします。循環器疾患の既往・現病についてはQ46、飲酒について、それから詳細健診の判定に必要な項目として、現行では貧血のスクリーニングの項目。今回、これが心房細動、不整脈の可能性のある対象者をスクリーニングするということが目的として加わりました。リスク評価につきましては、既存の上記の項目以外の既存の質問票の残りの項目と、新規に追加を検討すべき項目。あとオプションということで産業労働衛生項目を検討しております。

 まず、上の3つにつきましては、階層化、既往・現病、飲酒については一部の修正で対応できるであろう。健診詳細項目については、健診項目の見直し班と連携する。リスク評価につきましては、循環器疾患・生活習慣病との関連を検討する。改訂質問票に含めるか、特定保健指導の質問票に含めたほうが適切ではないかというような項目も結構見つかりましたので、そのような対応をしております。あとは全く除外するかという対応をいたしました。企業健診などで把握すべき項目は産業衛生のオプションの項目というように把握しております。

 6ページ目、改訂質問票の作成のプロセスにつきましては、まず既存の質問票の問題点を抽出し、(2)改訂質問票に含めるべき要素を抽出、(3)班員が、それぞれの専門領域に関して、エビデンスに基づいて質問項目を立案。(4)質問項目案について、事前にレーティングを行っています。その後で班会議を開催し、作成者による趣旨説明を踏まえた上で、必要性、妥当性を議論いたしました。その後に班会議での討議を踏まえて再レーティングし、最終的に質問項目の候補を確定しております。

 この方法は、いわゆる総意形成手法の一つの修正デルファイ法ということになります。特にデルファイ法は意見のやりとりを行わず、修正デルファイ法やノミナル・グループ・テクニックは途中での意見交換を重視するタイプになりますけれども、今回はこのような修正デルファイ法を用いております。これはがん診療などでの診療の質指標などの開発で通常よく用いられる方法で、今回、それを採用させていただきました。利用可能で最良の科学的根拠と専門家の包括的な判断を結びつけるため、文献の系統的なレビューと統合、専門家パネルの議論、反復のレーティングによる意見集約を通してコンセンスを形成する手法ということになります。

 実際の修正デルファイ法による意見収束の結果をお示しいたします。まず7ページは既存の項目についてです。全部は御説明いたしませんが、例えばですけれども、一番上の20歳のときの体重から10キロ以上増加しているというものに対しては、お手元の赤、議論前のところが1~9段階で9のほうが採用する、1のほうが採用しないということになります。一番左のほうは7~9点にレーティングした。ですから、採用するということに強く合意しているという人たちが8人いました。それに対して、採用しないという方々もいらっしゃったということもわかります。

 これが議論の後で全体として左のほうに動いております。ですので、議論の前はおおむね採用する人たちが多かったですけれども、それでも散らばりのあった、ばらつきのあったそれぞれの専門家の意見が、専門家のディスカッションを通して、全体として採用するという方向に集約されたというような形で見ることができます。

 逆に例えばこの5番目のところ、この1年間で体重が3キロ以上ふえたというようなものについては、これはプラスマイナス3キロ以上ふえたという現行項目です。1回目のレーティングでは割れていたのが、2回目のほうでは全体として採用しないというような方向への議論が収束したということになります。

 この左下の血圧を下げる薬を使っていますか以降の項目は、議論の前のレーティングがありません。これにつきましては、ほぼ採用することが当然と考えられていた項目でしたので、1回目の議論のためのレーティングはしておりません。議論の後、念のためということで最終的にはレーティングをして、これはほぼ集約されるということが確認されております。

 8ページ目は修正デルファイによる今度は追加の項目についての検討ということになります。これは例えば一番上の父・母・兄弟姉妹に高血圧の人はいますかということについては、当初はやや採用するという方々が多かったのですけれども、議論をする上で最終的にはこれは採用しないという方向になってきております。エビデンス的には結構あるのかもしれませんけれども、高血圧の家族歴の判定が非常に信頼性はあやふやだということで、こういったようなことで1項目とるのはもったいないのではないかという議論がありまして、最終的にはこのあたりの項目が採用しないということで集約されております。

 次の4項目目以下をごらんください。体重を適正に保つように努めていますか、食べ過ぎないように注意していますか、おなかがいっぱいになるまで食べますかというような項目があります。これは基本的にはオーバーカロリー、過剰エネルギーの摂取ということを考える項目で、これは1つの項目に集約できるのではないかという議論が班会議の中でされました。ですから、レーティングの段階では3つの項目に分けてこれらの項目を考えておりましたけれども、班会議の中では1回目の議論前のレーティングの結果を見た上で、1項目に集約し、人と比較して食べる量はどうですかというような項目で議論後のレーティングをしております。こちらのほうではおおむねこれを採用するということで議論が集約されてきております。1つずつの御説明はここまでにさせていただきますけれども、このような形で合意形成を進めております。

 この結果で、改訂の質問票の全体像としては、9ページのような形になります。9ページは少し読みにくいので、それ以降について御説明をさせていただきたいと思います。9ページをごらんいただきますと、まず案の1、2、3で●がついております。例えば18番目のところが採用することが望ましいと私たちが考えている項目です。それぞれにつきまして、この内容、少しずつ項目の案、提案数をふやして、案2、案3という形で提案をさせていただきたいと考えております。

10ページ目をごらんください。10ページ目は改訂質問票のサマリーということになります。今の前のページのものを少しまとめ直したものになりますけれども、22項目については、このような必須項目(階層化)、赤いところが病歴、喫煙・飲酒、生活習慣(変更なし)、追加した生活習慣(1)のところ。生活習慣の今までになかった項目を追加したもののまず(2)のところにいきますと27項目になります。生活習慣の(3)までいくと32項目になる。オプションの労働衛生、このような形が全体像ということになります。結局、削除しているのは6項目ということになります。

11ページ以降は、この旧項目と新項目の照合表です。階層化の必須項目としては、このとおりです。特に修正はなく、たばこのところで文言が変わった、やめたというものが入っているということになります。

12ページ目が病歴の項目です。これは慢性腎不全、CKDのところの文言修正をしています。それともう一点が不整脈の質問項目を加えております。これは研究班の中で議論した上で、臨床の専門医の先生とも御相談させていただいて、このような項目を提案したいと考えております。

13ページ目が喫煙です。喫煙は現行の項目を吸っていますか、やめたという項目をふやし、本数についてもこのような本数掛ける年ということでデータを収集しようと考えております。

14ページ目の飲酒のところも、まず飲む頻度については、やめたというものが加わっていること。飲酒量について頻度掛ける合数で量を聞いているということになります。

15ページ目が身体組成です。身体組成は文言を一部修正し、プラスマイナスの体重増減は削除したということになります。

16ページ目は運動です。運動も基本的には質問項目は変えず、若干の文言修正はありますが、回答の選択肢をこれまでの比較性も保ちつつ、やや詳し目にとるようにしております。

17ページ目は、運動の項目をとる等に当たってアクティブガイドとの整合性も考慮したということです。そのような資料です。

18ページ目が食行動の(1)です。これも文言修正と2時間以内の夕食をとることの項目を今回削除しております。これは2時間以内の夕食をとるということ、間食とも合わせてカロリーの過剰摂取を把握したい項目であろうということですので、先ほどのコンセンサス形成の途中でもお話をいたしましたように、ほかの人と比べて食べる量が多いかというような項目に集約しています。また、エビデンス的にも就寝前の夕食をとることが将来の肥満につながるというような十分なエビデンスがなかったということで私たちは判断いたしました。

19ページ目が高血圧のリスクです。高血圧のリスクは、食塩(塩分)摂取を控えるようにしていますかを追加しております。

20ページ目はエネルギーの摂取過多です。これは申し上げたように、人と比較して食べる量はどうですか。多い、普通、少ないに集約しております。

21ページ目は砂糖入りの飲料を毎日飲みますか。これはエネルギーの摂取過多にも関係する項目です。夕食後に間食をとることが週3回以上あるか。これについて、間食、夕食後に限らず間食を毎日とりますかというような形の項目にさせていただきました。

22ページ目が睡眠です。睡眠につきましては、特に短時間の睡眠の方が肥満と関係するというようなエビデンスが多くなってきているということで今回は採用。睡眠で休養が十分とれているかというような自覚的な睡眠の良好感ではなくて、今回は平均睡眠時間はどの程度かということについて把握しております。

 いびきや無呼吸、いわゆる睡眠時無呼吸の項目は、優先順位は高くありませんが、項目数が許すのであれば候補であるのではないかと考えております。これも肥満やメタボリック症候群と睡眠時無呼吸の関係を示唆する論文が多いということに基づきます。

23ページ目が食行動の(2)です。これはかんで食べるときの状態はどれに当てはまりますか。口腔状態について追加。さらに歯について、口腔状態について一歩踏み込んだ質問票については、これはやや優先順位が低いですけれども、項目が許せばということで入れております。

24ページ目が食事パターンです。これはこれまでは明確なものは余りありませんでしたが、毎日1回以上魚を食べていますか。これは脂肪摂取、特に動脈硬化に対しては望ましい脂肪の摂取ということで魚を採用しております。野菜を食べていることと果物を食べていること。当初、野菜と果物を一緒に聞いてもよいのではないかという議論もありましたが、果物については果糖が多く、エネルギー過剰摂取にもつながるということで、分けて聞くのが望ましいというように考えております。ただ、これは最必須項目ではなくて、項目にゆとりがあれば優先順位の上のほうでよろしいのではないかというように考えております。

25枚目が主観的な健康度です。これにつきましては、これまで従来の班には項目がありません。ただ、主観的な健康度が将来の脂肪を初めとするさまざまな疾患のリスクとなるということは既に多くの研究があること。このようないわゆる社会経済的な因子を把握しておくことがこのましいのではないかということで、修正不可能な項目ではありますけれども、項目数が許すのであればよろしいのではないかと考えております。

26ページ目がリスク因子の自己管理です。これも必須の項目では、優先順位は若干下げて考えております。ふだん自宅で体重をはかっていますか、ふだん自宅で血圧をはかっていますか。これは例えば地域間の比較による保健行政の方向づけなど、このような生活習慣病、または体重の自己管理について意識の高い人たちがどれくらいいるのかというようなことを経時的に見る上では有用な項目ではないかと考えております。

27ページ目が生活習慣の改善・保健指導につきましては、この改善してみようと思いますか、保健指導を受ける機会があれば利用しますかの両項目とも保健指導のほうで聞くことで、特定健診ではなくしてもよろしいのではないかと考えております。

 最後が28ページ目、産業労働衛生のオプション項目になります。労働における身体負荷の程度、1週間における労働時間、月当たりの深夜業、仕事上でのストレス、職場での受動喫煙の問題、このようなものを挙げております。

 これに基づきまして、それをまとめたものが資料3-3ということになります。

18項目までがまずは案1、必須のものではないかと考えております。

 案2というところでは、先ほどの食塩の問題、食生活の問題、それぞれの意味合いが少しずつ違います。食塩であれば高血圧のリスク、20番の人と比較して食べる量はどうかということであればエネルギーの摂取過多、平均睡眠であれば肥満のリスク、22のかんで食べるときの状態であれば栄養障害の指標。23番、裏のほうになりますが、魚であれば摂取脂肪のバランス、野菜であれば循環器疾患の予防。それぞれ食生活については意味合いの違う項目をこのような形で提案させていただきたいと考えております。

 青のところは睡眠と健康と口腔状態。項目数が可能であれば今後の有意義な情報が得られるのではないかと考えております。

 以上で説明を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

○永井座長 ありがとうございました。

 続きまして、武見構成員から資料4について、資料2の論点と関連させて御意見をお願いいたします。

○武見構成員 それでは、資料4について説明させていただきます。

 おめくりいただきまして、質問項目の考え方。これは標準的なプログラムの改訂版にあったことですけれども、先ほどあった視点とほぼ同じというように考えておりますので、要するにリスク評価だけではなく、その後の保健指導とか情報提供についてどうかということもやや視野に置きながら検討いたしました。

 3ページ、時間も余りなかったので、きちっと系統的にレビューできたわけではございません。では、どうしようかということで、これは上のほうに長く書いてあるのは津下班、津下先生の中で一部保健指導の教材に関する検討をさせていただきました。その中で収集した食生活関連教材の分析で多く上がってきた食行動の項目を中心に、今回少し文献をレビューしてみたということです。このときに、食行動というものが実は1つのポイントです。どういうことかというと、食事摂取量で多くの研究がされてきていますけれども、今回の問診票でそれを把握することは無理です。そうなると、いわゆる受診される健診対象者の方が自己申告で適切に答えられるものということでは、やはり行動をしている、していないみたいな形で整理されるものがいいのではないかということをまず考えました。

 また、食事はかなり海外と日本と違いますので、日本人を対象とした研究を対象に基本的に拾ったということでも基本的には考えて拾ったということになります。

 下のほうに現在の項目と幾つか拾われたものの中で検討したらどうかなというものを4つほど出しております。

 まず、上のほうの現在の項目4つですけれども、これについては、一番上から行きますけれども、食べる速度のこと。これは後ほど詳しく説明しますけれども、系統的レビューが2015年で1本ありました。その中に横断研究が18件とコホート研究が2件あったということで、後で御説明いたします。

 その下、3つ、夜遅い食事、夕食後の間食、朝食欠食。実はこれは全く中山先生のところと同じで、この3つも要るかなというところがまずありました。非常につながっている話ですので。どれを採用するかということについて、夜遅い食事か、朝食かということなのですけれども、実は提出してから、朝食については、食行動をたくさんレビューした論文が1本見つかりまして、それは肥満との関係を見ているものなのですけれども、BMIを中心に見ています。それで見ると、実は朝食欠食が関連する、関係しないというと、どちらの結果も結構ありまして、uncertainなかなかアンサートゥンティーというような言葉も英語で使っていたりしますけれども、日本人の縦断的な研究とかもレビューに入っている中では、やはり朝食欠食者のほうが長期的に見ても体重増加はするということもあります。先ほど中山先生からたくさんのエビデンスを御紹介いただいたので、この3つの中をどう整理するかということでは朝食欠食でもいいかなというように今は思っております。

 その下が、今の質問票に入っていないものということになりますけれども、まず腹八分です。これは食べる量との関係のものになりますけれども、実はそこには、横断研究で英文論文が2本、日本語が3本、コホートが1本見つかりました。外食、中食は実際には余り日本人ではなかったです。ファストフードとかの研究はいっぱいあるのですけれども、日本人はないので、それは飛ばしたいと思います。

 次のバランスのよい食事。先ほど食事パターンとおっしゃったところと関係するかと思いますけれども、これについては、横断研究1本、コホート研究2本、日本人を対象としたものが出ていますので、後ほど御紹介したいと思います。

 最後の甘い飲料です。これは実は、日本人の研究は非常に少ない。海外では、今、非常にシュガーが話題だということもあり、とても研究が進んでいますけれども、日本人では余りない。ただ、ここだけは保健指導とかのいろいろなところで見ていると、実際には飲料というものがかなり肥満者に多いことと、変えやすいということも含めて、先ほどおっしゃったもので言うと保健指導側の視点かもしれませんけれども、大事かなとは思っております。

 ということで、この後、食べる速度のところと腹八分とバランスのよい食事。それについてもう少し詳細に御説明したいと思います。

 まず、4ページをごらんください。「食べる速度・速食いと肥満に関するレビュー論文の結果」になります。左側は横断研究の結果ということで、そこにある論文が抽出されているわけですけれども、全体で見てBMI25以上になることの関連ということでは、オッズ比が2.15と出ていますので、やはり食べる速さというものは関係するということが出てきております。

 また、おもしろいのは、右側のサブ解析なのですが、それは小さくて見にくいのですけれども、性とかあるいは幾つかの要因で対象を分けて検討しています。上から3つ目のエネルギー調整をしているというのが大事かなと思います。つまり、摂取量そのものを調整しても、やはり速く食べるというところでオッズ比が2.57というように出てくるという結果です。つまり量とはまた独立的にというか、独立まで言っていいかわかりませんけれども、肥満と関係するということがわかります。

 横断研究は1本ですけれども、そこにあるような結果が得られておりますので、私たちが今回精査した結論としては、食べる速さについては、質問の聞き方も割と安定しているというか、今と同じで「速い、普通、遅い」という形で出てきていますので、このまま継続採用でよいのではないかというように考えました。

 5ページ、腹八分と肥満リスク要因に関する先行研究です。これは横断研究が3本、縦断1本ということなのですけれども、横断研究の中では調整変数の扱いとかを考えますと、一番上の研究が一番しっかりした研究かなとは思います。その中では満腹まで食べるという者は、そうではない者に比べてBMI25以上になるオッズ比が高いということが出ております。

 横断研究のほうで、これは職域コホートの男性のデータでは「腹いっぱい食べるほう」と回答した者に比べて「腹八分に控えるほう」「どちらともいえない」のオッズ比が低いという結果が出ているということになります。ですので、腹八分、つまり、満腹まで食べないということは、恐らく肥満やメタボリックシンドロームと関連するものと捉えてよいと思いますが、問題は聞き方だと思います。そういう意味では、今、御紹介した中もやや質問の仕方がばらついておりますので、それをどういうように聞くことが妥当かということ、これが大きなことかなと思います。

 先ほど、中山先生のお話では、食べる量が重要だということで、幾つかある項目の中で、今回は人と比較して食べる量はどうかというものを新規に提案されているということなので、それは後で意見を言ったほうがいいかはわかりませんが、関連するので今意見を申し上げます。人と比較して食べる量がどうかということ、そういう形で聞いて、実際、摂取量とか肥満とかをどうなっているのかを見たのがあるのかというのが疑問であることと、もう一つは、肥満者は、あるいは痩せようという願望のある者、両方ですけれども、量について非常に過少申告するということは世界中の研究でわかっているわけです。そうすると、食べる量はどうですかと聞いたときに、本当は多いのだけれども、普通と答えてしまうかなということもやや懸念される中でどうなのかなというのは先ほどの御報告を聞きながら思いました。

 6ページ目になります。バランスのよい食事とリスク要因。非常に漠然とした表現なのですけれども、その死亡率に関する先行研究ということで、横断研究が1本、縦断研究が2本、最近出ております。横断研究の結果は、女子大学生のデータで、実はバランスのよい食事は何かというと、こま型の食事バランスガイドに沿った食事をしているかどうかということをそれぞれこのぐらいとりましょうというものに関してスコア化をするという方法を用いています。これは、縦断研究の一番最初にある高山コホートを使ったOba先生たちの研究でその方法を提案してらっしゃいます。残りの2つもその方法を基本的には準じた形で使っているものなのですけれども、言うなれば、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物、あと菓子とか飲料ですね。それを適正に食べている人ほど、上の横断研究では女子大生ですから死亡は関係なく、腹囲が低いとか、LDLコレステロールが低いという結果が出ていました。

 下2つ、高山コホートとあとJPHCスタディーについては、高山コホートのほうでは、女性では総死亡、循環器死亡のハザード比が低い。JPHCスタディーでは、そこに図を1つ入れましたけれども、総死亡、循環器疾患と脳血管疾患、いずれにしてもスコアの高い人のほうがリスクは低いという結果が出ております。調整も十分されている結果ということで、非常に参考になる結果かなと思います。

 また、ここにお示ししていないのですが、JPHCスタディーは、対象を特性で分けたサブグループの解析をやっておりまして、非肥満者と肥満者に分けた結果も出ております。実は肥満者は、今説明したような有意な関連が出ていないのです。非肥満者のほうで総死亡、あとがんも出ています。循環器疾患、脳血管疾患、いずれもバランスの良い食事のスコアが高い者ほど死亡率が有意に低いという結果が出ています。そういう意味でも、今回、前回までの議論で非肥満者に対しての保健指導などを強化していくというような論点も出てきた中では、場合によっては、こういう生活習慣をきちっと押さえておければ、非肥満者に対して、何も問題がないのではなく、こういう点は生活習慣として問題だということをかなりエビデンスに基づいて伝えられる情報かなと思います。

 ここで次に行きますけれども、7ページ、問題は、実はこのスコア化はどうやって行われているかというと、全て非常に詳細なFFQを用いて、そこから食品群から全部サービングを出してというやり方ですので、現実はそこをどう捉えるかということが大きな問題として出てきます。いろいろ考えたのですけれども、ここはかなり飛躍があると言えば飛躍があるところでもありますが、食事バランスガイドに沿った食事、言いかえれば主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物を適量食べる食事が総死亡や循環器死亡のリスクを下げるということが示唆されている中では、簡便に把握するものとしては、1つは「健康日本21」の目標に上がっている、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事の回数です。これは「健康日本21」第2次の目標として入っていて、策定時が68.1%、目標値80%ですが、ほとんど26年まで厚労省のデータを見ましたけれども、変化がないのです。そこで質問票に回答することで、こういうことをきちっと知っていただき、そういうことに取り込んでいくということも必要かなと思います。

 地域の健康状態の比較に資するかということで言えば、これは辻班の47都道府県の食生活の項目を全部抜粋して見たりしたのですけれども、ほとんどの県あるいは市町も当然国が採用すれば似たような目標を採用している。でも、それは独自にモニタリングしなければいけないという中で、もし特定健診の問診票でこういうことがモニタリングできてくれば、それはかなり地域や集団にとっても大きな情報になっていくのではないかと思いましたので、御検討いただきたいと思います。

 最後、8ページですけれども、生活習慣変容ステージの項目については、いろいろ書いてありますけれども、結論は中山先生と同じです。必要ないのではないかという結論になっております。

 以上でございます。

○永井座長 ありがとうございます。

 それでは、もう一人、津下構成員から御説明をお願いします。

○津下構成員 追加資料で一番後ろについている資料をごらんいただけますでしょうか。縦の資料になっております。

 今回、生活習慣の問診をどうするかということがありましたので、このたび日本肥満学会の肥満症診療ガイドライン2016に、肥満につながりやすい生活習慣について、エビデンスを整理し、まとめられているということで、それを御紹介させていただきたいと思っております。

 これは全て問診で得られた結果でということではなく、例えば摂取量については、定量的な調査、もう少し詳しい食事調査等の結果を用いた研究等でエビデンスレベルが1となっているのもあるので、すべてが問診ベースというわけではございません。2ページ以降を見ていただきますと、外国のものもありますけれども、日本の論文がかなり採用されてこのようなステートメントになっております。

 食生活については、エネルギーや糖質、たんぱく質の割合というもののエビデンスがあるということと、早食いはエネルギー摂取量と独立して肥満と関連する。早食いというのはエネルギー摂取量のような定量化したものではなく、個人の問診でありますが、肥満と関連するという報告がございます。飲酒については、飲酒量が多い場合に体重増加リスクを上昇させる。身体活動については従来と同じことでございまして、生活活動、運動、そして座位の時間が長いというものが肥満と関係するということです。

 睡眠については、短時間睡眠が体重増加と関連するというエビデンスがあります。

 先ほどの話で、1項目に絞ると言われたときに、睡眠時無呼吸症候群のことも含めて前回の問診では、時間だけではなく熟眠感も聞いたほうがいいのではないかということになりました。睡眠で休養が十分とれていますかというと、時間も大事だし、熟眠感、睡眠時無呼吸など睡眠が不十分な状態、朝起きてすっきりしないという状況も両方必要だと。それを合わせて考えたときに、休養がとれているかというようにされているという経緯がございます。項目数を減らせといった場合にこれだけでいいのかどうかというのは検討が要るのかなと思います。

 次に喫煙ですけれども、禁煙後の体重増加というのはエビデンスとしても認められており、これは保健指導にも重要な情報でございまして、やめたという情報が得られるということは重要なことではないかというように思います。

 重度の喫煙のヘビースモーカーの場合は、メタボの合併率も高いということも、日本でも、メタボとたばこの合併で循環器疾患リスクが高まるということが言われておりますので、これもそうだと思います。

 地域性ということがございまして、そういうものとの関係。

 それから、労働時間等との関係がこのステートメントの中で肥満と関連する、体重増加と関連するというように出ております。

 7ページをごらんいただきまして、これは肥満の方と非肥満の方で問診の答えが有意に違うという問診項目を肥満の診療の中では用いられております。肥満者と非肥満者で有意に異なる食行動について問診を行い、下にありますようなダイヤグラムを用いて説明しています。エネルギー過多の理由として、認識が十分できていない、そんなに食べていないのに太ってしまうというようなものやら食事の内容やら、空腹感の違い、このようなことが問診で聞かれています。いずれにしても問診の内容、聞き方は具体的でわかりやすくて答えやすいというのが重要ではないのかなというように思います。

 以上、肥満症のガイドラインから抜粋した資料を御提供させていただきました。

 以上です。

○永井座長 ありがとうございます。

 それでは、標準的な質問項目につきまして、資料2の論点に基づいて御議論いただきたいと思います。どの点からでも結構ですので、御発言をお願いします。

 岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 今の3人の先生方のいろいろ発表を聞いたときに、中山先生の班でやるときにどういう議論したかというのをもう一回整理すると、1つは、問診に当たって、階層化と詳細な健診を選定するための項目はまず必要である。それを1つ分けましょう。

 お酒とたばこについては、リスクファクターと並列で放り込んでもイベントを予測するぐらいファクターが強い。結構やめたという情報がないというのは20世紀の問診票かと外国人の研究者に言われたことがあるので、考えられないようなものだということについて、これについては多分疑念の余地は恐らくないだろうと思います。

 それ以外のものについてなのですが、1つ考えなければいけないのが受診者全員にとる問診である。我々で議論すると、患者さんとか保健指導に来た人を前にしてこれをどう使うかという姿勢になるのですけれども、無辜の民というか、要するに全く異常がない方も全員とる問診ということになるので、意義としては地域としての健康のモニタリングができるかどうかということ。現在は要治療とか、要保健指導ではないけれども、先々危ないぞという人をディテクトできるかという視点があるので、肥満者の指導をするとか、患者さんの指導をするという視点とは変えなければいけないということで、それぞれの問診の意義があるのはもちろんわかるのですが、あとは保健指導に来たときに聞けばいいという整理に恐らくなってくるので、サンプルとして保健指導ではこれを聞いてくださいというのを分けることがもちろん可能になってくるので、よほど問診として挙げるのは大事なものにしないといけない。多分最初、そういう議論をして入っていますので、そういう視点で全体の今のお話を見直したらどうかなということを最初に述べたいと思います。

○永井座長 ありがとうございます。

 項目数は大体幾つぐらいが適切なのか、議論されましたでしょうか。

○中山参考人 現行が22項目ということで、私たちはもちろん許されれば多くてもいいかなと思うのですけれども、22項目、出し入れをした上で落とすものと入れるものを含めた上で30項目弱ぐらいというところかなとは思っております。

○永井座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 津下構成員、どうぞ。

○津下構成員 各論的な話でいいですか。まず6番の腎不全、腎臓病なのですけれども、今までの聞き方だと腎不全ということで割と進行した腎臓病の状況を言っております。CKDとなりますと、CKDの3期とか3B以上だとかなり進行しているのですけれども、軽症の方もCKDと言われている可能性もあるのですが、その辺については何か議論がありましたでしょうか。CKDと入れてしまうことで比較的軽くても主治医の先生によっては注意をされることもあり、医師による対応の差もあるかもしれません。ここの質問の意図としては、4、5、6のように、重症疾患の状況があるかどうかということをつかむということでいうと、どうでしょうかということです。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 この部分になりますけれども、1つは、例えばクレアチニンの検査の対象者を何で選んでくるかということも恐らく絡んでくるのですが、正確な病態とか重症度をもう診療にかかっている方だったら聞いているだろう。かかっていなくて、例えば1回だけ言われて放置している人ももしいたときに、そうしたら、その人は例えば健診でクレアチニンをはかる対象になるかもしれないということになるので、そのスクリーニングという観点で誰を詳細な項目に持っていくかという観点になると広く聞いておいたほうがよくて、特に、現在治療中ではなくてCKDがあると言われたことがある人は確認する必要があるかな。そういう使い方のほうを想定しているという話だったと思います。

○永井座長 CKDの定義が問題になりますね。どういう基準でCKDと言うのか。そこは何か議論されましたでしょうか。

○中山参考人 CKDという言葉自体はかなり認知度も高くなっているのではないかということで、岡村先生おっしゃったように、慢性の腎不全だけではなく、慢性の腎臓病、CKD、腎不全というような形で、いくつかの言葉で広めにカバーできれば良いかと考えております。

○永井座長 わかりました。

 いかがでしょうか。どうぞ。

○武見構成員 済みません、中山先生に質問したいのは、食べる速さのことなのですけれども、7ページの資料を見ると、人と比較して食べる速度が速いは、最初のときにはかなり採用するということで、最終的には採用しないに終わったのはどういう議論だったのかなという。

○中山参考人 1つは食べる速さの問題。先生おっしゃるように、いろいろエビデンスがあったことは確認ましたが、ほとんど横断研究でした。食べているから太るのではなくて、今、太っている人は速く食べている人が多いというようなことを示すような研究が多かったような印象です。まさにそれであれば、保健指導のときに太っている人に対して、あなたはもし速く食べているようだったらゆっくり食べたほうがいいのではないというような保健指導のほうに回せることですし、余りリスク予測としては十分ではないのではないかということで、速さの項目は優先度を下げた経緯があります。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 補足です。リスク予測については、一応先ほど言ったように、今は治療や指導の対象になっていない人をディテクトできるかという問題もあるのですが、この食べていることの中ではこの項目が一番まだあったというのは確かで、これは千葉県か何かのデータでも前向きで出ているのはあったと思いますし、逆に食事のところはこの部分と二十のときから10キロ体重がふえた者しかメタボの新規発症の予測能が余りないというのも現状としては出ていますので、ただ、項目が多いので集約をどうするかという過程も恐らくあるということで今こんなになっているということだと思います。

○永井座長 津下構成員、どうぞ。

○津下構成員 実は、きのう保険局の検討会があって、よほど変えるべきエビデンスがあれば変えるけれども、持続性とか、そういうことも重要ではないかという論点もありました。そうすると、早食いに関しては、これまでも設問にありましたし、独立して肥満に関係するとすれば、今後、そういう方々に対してそういう食行動の見直しとかをしていくというのにつながるのではないかと思います。 早食い自体が本当に満腹感を感じるままにどんどん食べてしまうというエネルギー超過につながる行為であることや、わかりやすいというか、例えばお昼御飯を食べていて人より速く終わる。人と比べて食べる量が多いというのは、なかなか評価が一般的には難しく、たとえば武見先生と私が食べる量が同じでよいのか、その人の必要量や活動量の差もあって、どう判定していいか難しいのかなという気がしますがいかがでしょうか。○永井座長 どうぞ。

○中山参考人 食べる量が人に比べて多いかどうかということについてのエビデンス、今までの報告は限られております。バリデーション自体も十分されていないところだと思いますが、私たちの研究班では、それぞれ皆さんコホート研究を持ってらっしゃる。既存のエビデンスだけではなくて、それぞれのコホートで幾つか検証したものも議論に含めています。これは私たちの京大の長浜のコホート研究で、5年間の追跡では人と比べて食べる量が多いかという項目で、5年後の腹囲が8590の基準を超えるのがオッズ比として1.5。まだ論文化されてはいませんが、そういったようなことも議論に含めました。食べる量が少ないという方は、5年後の腹囲の増加のリスクが明らかに低い。こういったようなことも議論のときに参考にいたしました。

○永井座長 よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。

 藤内構成員、どうぞ。

○藤内構成員 先ほど、食事のリスクを評価する設問で、問診票に残すものと、特定保健指導の際の問診として尋ねる質問に分けていいのではないか。例えば夜遅い夕食あたりは、特定保健指導のときに尋ねられる質問に少し格下げしていいのではないかという説明がありました。その趣旨はわかるのですが、全員に尋ねるべきリスク評価の項目と、指導の対象者になった人に次の尋ねる設問というように分ける際の線引きが重要だと思います。もちろん項目に余裕があれば、全員に尋ねたいところですが22項目なり、ある程度の項目に絞りたいというときに、その線引きの基準についてもう少し説明していただけるとありがたいのですが・・。

○中山参考人 そこの線引きは今回の修正デルファイ法ということになります。専門家がそれぞれの情報を得た上で、議論した上で2回投票して集約ということになります。

○永井座長 磯構成員、どうぞ。

○磯構成員 実を言うと、私も中山班の分担研究者として議論に加わりました。中山先生にデルファイ法を使用し系統的な開発をしていただきましたが、分担研究者の中に管理栄養士が入っていなかったということもありますし、やはり開発の際にはさまざまな職種の研究者が入ることが重要かと思います。そこで栄養の専門家の意見を聞いて、再度議論することが必要ではないかなという印象を持ちました。

○永井座長 どうぞ。

○中山参考人 どうもありがとうございます。

 きょういただいた御議論でまた御指示があればそのようにさせていただきたいと思います。

○永井座長 どうぞ。

○津下構成員 論点の4つ目、地域の健康状態または地域職域、職場で、ここの職場は早食いの人が多いとか、いろいろな場の統計データで何かアクションを動かせるような項目が入っていると、単に状況がわかるだけではなく、ポピュレーションアプローチとしての介入方法につながる。そういう観点で重要視すべき項目と、どうかなということについてはいかがでしょうか。

○中山参考人 野菜をどの程度食べていますかとか、魚を食べていますかとか、基本的な生活習慣としてそれぞれの地域の健康行動を測定する上では役に立つと思います。自宅で体重をはかっていますか、血圧をはかっていますかという項目も今まできちんと調べられはいないことですが、健康管理の上で1つの目標も示せるのではないかと考えております。

○永井座長 門脇構成員、どうぞ。

○門脇構成員 先ほどからの議論を伺っていて私がよくわからないのは、個々の項目について、エビデンスなどについて議論しているのですけれども、結局質問票というのは全体としてそれがバランスよく取り入れられて、何らかのアウトカムに対してどうそれを予測するのに有効かどうかという総合的な観点から議論されなくてはいけないと思うのですが、それがばらばらに議論されてできているように思うのですが、その点はいかがでしょうか。つまり、どういう項目、どういうバランスの組み合わせによって目標とするアウトカムについて予測力がある、ないという議論で決められるべきだと思うのです。

○中山参考人 ありがとうございます。

 エビデンスはもちろん、それぞれの項目ごとのエビデンスにどうしてもなってしまう傾向があるかなと思います。しかし、当然同じような項目が同じような傾向を持って1セットにしたほうがいいこともあり得ると思います。先ほどの食生活のことについては、私たちの判断では幾つかの項目がエネルギーの過剰摂取を示しているようなものについて、それを議論した上で、ほかの人と比べて食べる量が多いかどうかということに集約をさせて。

○門脇構成員 質問票全体として項目の数やバランスを決めるためには、いろいろな質問票の項目やバランスを幾つか比較して、1つのアウトカムなり少数のアウトカムで比較する必要があるのではないか。そういう比較にならないと、その議論にどういうバックグラウンドの方が加わったのかという、そちらのほうが強く出てしまうのではないかという懸念を感じます。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 私も同じ班に入っていますので、実は幾つかのコホートで、実際に全ての問診票を入れて、実際のメタボリックシンドロームであるとか高血圧の発症がどうなるかというのは予測モデルを全部やりました。やった結果、結論的にいうと、現行の問診票だと例えば高血圧の発症予測能は全項目ほぼなし、アルコールしか残りません。それから、メタボリックシンドロームについては、二十からの体重増加が10キロ以上あったという項目と、先ほどあった早食い、コホートによって一部ばらつくのですけれども、一部の項目しか恐らく残らないというもので、少なくともこれからメタボになりそうな人を予測するとか、これから血圧が上がりそうな人を予測するというのは、全体の問診票としては予測するのが余りなさそうだという結論は出ています。まずそこを前提としていて、あとは個々の項目に戻って文献からつくり直すということを実はやっていまして、その作業が入っていますけれども、時間が限られているので、そういうきょうの発表はなかったので誤解を与えて申しわけありませんでした。

○門脇構成員 そうしますと、この項目を入れかえたり数をふやしたりすることによってメタボリックシンドロームの発症の予測能等が改善したというところまで出ると、それがある一定のエビデンスだというように思って私は言ったのですが、それは今、検討中ということですか。

○岡村構成員 そうなると思います。ただ、実際の発症を見るまでには当然年数がかかりますから、今のままで走っていいのか、それとも文献レビューで問診の項目を変えて次、走るのかというところは時間的なものがあるので、そこをどう考えるかということになるかと思います。

○永井座長 予測能が余りないということになると、本当に意味があるのかとなりますが、どういう基準で選ぶかという議論はどうだったのでしょうか。

○中山参考人 予測能が今、具体的に何%説明がどのくらいあるかということはお示しできないのですけれども、少ないとはいえ、ある程度の予測は可能なわけです。これまでのデータでの検証は十分ではありませんが。

○門脇構成員 理屈としては、今までのものに予測能がないとして、新たなものをつくって検証はこれからだということにならざるを得ないということですね。ただ、例えばその点で諸外国では、恐らくそういった質問指標のバリデーションみたいなもののデータがたくさんあると思いますので、それは一定の参考にできるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中山参考人 ありがとうございます。そこについては、レビューを追加して取り込みたいと思います。

○永井座長 福田構成員、どうぞ。

○福田構成員 まず、非常に系統的なレビューとかをお示しいただいて、ありがとうございました。

 2点、素朴な質問でお尋ねしたいのですけれども、1つはたばこに関して、たばこをやめたというのは当然必要だと思いますので要ると思うのですが、やめた方についても、吸っていたときにどのくらいの本数とか年数を聞いていますが、これの目的の一つが情報提供の内容の決定ということからいうと、やめた人に関しては、むしろいつやめたかのほうが重要な気がするのです。つまり、先月やめましたという方であれば、非常に再喫煙のリスクが高いですから情報提供すべきですし、10年前にやめたという話であれば、余りその内容は要らないような気がするので、むしろ吸っていたときにどのくらいよりも、やめてどのくらいとか、質問がふえてしまうとだめなのかもしれないのですが、そのほうが情報提供には影響するのではないかなというのが1点です。

 もう一点、本当に素人で申しわけないのですが、基本的な栄養障害に関する情報として歯の数を入れたというのはなかなかいいのではないかなと思うのですが、抜けた歯とか抜いた歯という聞き方をするのは、何で残った歯を聞かないのかなと。論文のテーブルを見ても残存歯数というほうが多いような気がするし、単純に残っているのを数えたほうが間違いはないような気もしてしまうのですが、これは何か理由があるのでしょうか。

○中山参考人 1点目、禁煙者についてはおっしゃるとおり、保健指導ということで考えるとやめた時期ということ、そのことについて十分な議論はありませんでした。御指摘、有益な御助言と感じております。

 2点目の抜けた歯につきまして、これは歯科の先生方の中で議論していただいた上で今回これを出していただきましたので、それを今回尊重しております。

○永井座長 どうぞ。

○三浦参考人 歯科分野から今回参考人ということで一言御発言させていただきます。

 現在歯数を聞く聞き方もぜひ検討していただければと思います。ただ、最終的には、喪失歯と現在歯数は裏表の関係となるので、意味合いとしては同じこととなります。表現については全体の先ほどからの議論にあるように、全体のバランスで決めていただければいいかと思います。ただ、論文的にはリスク要因として現在歯数を用いる研究が多いので、自分の歯が何本あるかということで聞かれるケースのほうが過去においては多かったということだと思います。メタボリックシンドロームの予測に使うということになると、逆の方向から聞くというやり方もあるかと思うので、このあたりは全体のバランスの中で最終的に落としていただければいいのかと思います。

 それ以外に全体といたしましては、非常にエビデンステーブルもしっかりと準備していただき、修正デルファイという、はっきり言うと時間のかかる方法でここまで精査していただいたことをまずもってお礼申し上げたいと思います。

 リスク評価に関しては、受診者全員に聞く問診項目であるということを配慮して、幅広にそしゃく等も含めて聞いていただいているので、全体の流れとしては、私はこの形でいいのかと考えております。ただ、これまで議論してきたように、聞き方をかなり精査しないと、答える側がちゃんと答えられなくなって、せっかくいい項目であっても正しいデータが得られないので、このあたりは少し練っていただければと思います。

○永井座長 どうぞ。

○武見構成員 今の聞き方ということに関して、食生活は一番難しいと思うのです。つまり、食塩摂取量が多いとか、野菜摂取量が多いことが疾病リスクと関連するということは十分わかっているのですけれども、では、これを1問の中でどうやって聞くかということがすごく難しくて、そこについてもう少し検討が必要だと思います。

 例えば食塩なのですけれども、食塩摂取を控えるようにしていますかということで、食塩摂取量が推定できるというのはどのくらいわかっているのか。逆に私たちは、それでは食塩摂取量の差は出ないというデータも幾つも知っているので、逆の点もありますし、その辺はどうですか。

○永井座長 岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 幾つかあるのですけれども、1つは問診票についてのバリデーション。バリデーションがありますという問診はもちろんいっぱいあって我々も知っていますけれども、健診の場でとれるようなものがまずない。だから、1つにつき例えば1時間ぐらいかけてとっていいのであればきちんとしたものが出てくるのですけれども、結局、方向性を問うという形なので結構シンプルに聞くしかないという話になってきている。これがまず1点です。

 特にその分、栄養のところは非常に難しいのですけれども、全体として見たときに、まず最初の話としては、今、非肥満の問題も出てきているところがあるのですが、全体的に肥満のところにターゲットを絞り過ぎてこの問診ができているので、それで1つに集約できないかみたいな話に当然なってくる。では、それ以外のところは何かというと、それで塩とか魚とかそういう話が出ていたと思うのですが、これも幾つかみんな栄養の研究をやっている人間で、普通に聞いたら、例えば必須脂肪酸が多いから魚を聞いたほうがまだましで、肉とか卵とかを聞いても全然ほかでは出ないとか、いろいろなことをみんな見た上でやっているとか、塩についても、横断で聞くとかえって血圧の高い人が控えていたりして逆転して出るのですが、例えば全くそういう状態を除いて、血圧の高い人を除いた集団だと1グラムぐらいは違うとか、幾つかのエビデンスはあるのです。

 ただ、その制約下というものがあって、とにかく今も「はい」「いいえ」で多分1人5分ぐらいで皆さん書いていると思うのですけれども、実際にその健診のときにそれぐらいの時間しかなくて聞けるものでどこまで詰められるかみたいな話になるので、どうしても聞くのに当たっては限界があるだろうということは認識しなければいけないだろうと思います。

○武見構成員 その辺、もう少し検討していただきたいなという気がいたします。

 例えば魚のことも脂肪酸の関係はわかるのですけれども、一方で、最近、食塩の研究、厚労科研の佐々木先生たちのデータで日本人の食塩摂取源、調味料の次は魚。魚と野菜の食事パターンの人は食塩摂取量が多い。こういう結果も出てきていますので、そういうことも含めてどう聞くかということは、食生活、栄養についてはもう少し御議論いただきたいと思っております。

○永井座長 どうぞ。

○門脇構成員 肥満と関連して、人と比較して食べる量はどうですかという質問があるのですけれども、これについては私たちが臨床的に経験するのは、肥満者は、私は余り食べていないのに肥満するということを大体言う場合が多いので、人と比較して食べる量はどうですかという聞き方では適切かどうか疑問があります。

○中山参考人 これも人と比較して食べる量はどうですかというのは、もとはなかった項目を議論してここに集約したものです。この項目自体の直接のエビデンスは非常に限られています。御指摘、了解しましたので、もう少し検討させていただきたいと思います。

○永井座長 そのほか、津下先生、どうぞ。

○津下構成員 代表する問診を、集約してしまって抽象的で何を聞かれているかわからないというよりは、その項目の中で代表的なものを選ぶとか、そのような工夫をしていただくともう少し具体的なイメージで一般の方もわかりやすいのかなと思いました。

 この項目の議論とは別に、今、特定健診では、大事な生活習慣の問診がほとんど実施者によって、する、しないでデータに残っていない。データに残っていても十分に活用されていない。特定健診の項目、必須項目は分析が可能なのですけれども、この項目については、登録した人のデータしか見られないということになっています。そうしますと、地域の地区診断をしようとか対策を考えようというときにも非常に偏りますので、できるだけ多くの保険者が登録していただけるように、実施していただけるように、まず実施率をしっかり上げていただいて活用を進めていく方策も同時に御検討いただければありがたいなと思います。

○永井座長 磯構成員、どうぞ。

○磯構成員 先ほど門脇先生から予測というお話をいただいたのですが、そもそも全ての問診の項目について予測性が担保できるかというのは、先ほどの岡村先生の話にもありましたように、質問の回答をシンプルにしたため、難しいところがあると思います。

 ただ、たばことアルコール摂取と身体活動に関してはメタボの方にも、非メタボの方にも重要であるため共通して聞けると思います。一方、食生活に関しては、シンプルな問診を用いて大まかでも素速く把握して、かつ指導に持ってゆくきっかけをつくるという方針が重要と思われます。そこで栄養の専門家のご意見をお伺いして、実際の指導となる現場に落とし込んでいくための知恵を絞る必要があると思います。

○永井座長 どうぞ。

○津下構成員 生活習慣や食行動は年代によって変わります。これは4074歳まで特定健診の全ての年齢をこの問診で網羅することがやや難しいのではないか。例えば就労、4064歳、64歳以上とどこで区切るかというのはまたあるとは思うのですけれども、脂肪蓄積が進みやすい年齢と、それよりもサルコペニアとか徐々に始まる年代と聞くべきポイントや対象者全体ということを考えたときに、優先的な取り組みにつながるような聞き方とすると、分けて検討するということについて、可能かどうかということをお尋ねしたいのです。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 学問的に検討はもちろんできると思うのですけれども、制度的に分けて本当に入力していくのかどうかみたいなところが1点と、一応これは制度的には74歳までということになっていますね。そうすると、4074歳の範囲で本当に2つに分けていくのかどうかということになると、オプションか何かでつくることはできると思うのですが、全く何歳から何歳はこの問診で、何歳から何歳はこの問診というのがフィージビリティーとしては難しいのではないか。国のほうがどういうあれかわかりませんけれども、私はそういうような気がしました。

○永井座長 どうぞ。

○寺本構成員 かなり初歩的なことを聞いて申しわけないのですけれども、7年ぐらいやってきて、今までの問診票の中で、先ほど岡村先生がおっしゃったように、この中でほとんど聞いてくるのは、体重が10キロふえたとかそういったようなことぐらいしか余り聞いていないのだと。ただ、私はそれぞれが本当にどの程度のものなのかということのデータ、まずそこからデータが出てこないと、本当にこれが意味をなしていないのかどうなのかよくわからないので、そこいらのことは今まで検討はされているのですか。

○岡村構成員 それは先ほど津下先生の言われたことと絡んでくるのですけれども、階層化に使わないものというのは、入力してデータを送るのがどうも必須になっていない。だから、二十何項目あるのですけれども、我々は何となく全部使っているものだという認識でいたのですが、実際調べて見ると、階層化以外のものは入力したりデータを記録したり提出する必要がないのでやっていないところが結構あるので、全数的なものが結構難しいような状況がどうもあるみたいです。ということになると、逆に今まで全部入れていないのだったら、シャッフルしてももうつくり直してしまってもいいという考え方もなきにしもあらずだという考え方もできるということかと思います。

○寺本構成員 その辺は、今後はそれはきちっと入れていくということにしようという方針でよろしいのですか。そうでなければ、これは議論してもまた結局これしか必要ないではないかという話になってしまうので、そこいらはちゃんと決めておいてやらないと御議論が変に空転してしまうような気がするのです。

○永井座長 現場ではこの項目数が多過ぎるのではないかということでしょうか。

○寺本構成員 先ほど項目数がどうなのですかと言うのだけれども、現実には実際に聞いている方たち、実際に受けている方たちが、この項目ではとてもではないがやっていられないということなのか、それゆえにどうしても入力するものがこれだけに限られているということなのか、そういうところがよくわからないと項目数も決まらないという気がするので。

○永井座長 津下構成員、いかがでしょうか。

○津下構成員 入力については、1項目幾らみたいな話のところもあるようで、そういう意味で入力をしていないというところもあるやに聞いております。

○武見構成員 今の話は、回答することの入力と両方ですね。

○津下構成員 そうですね。だから、データとして例えば保健指導機関、健診機関、保険者等で全数入力しているところでは、各指導によって例えば食行動の5つの問診のうち、指導の前とどう変わったかとか、そういう検証にはかなり使われていて、いろいろな学会などで報告されていますし、飲酒量についての研究などもされていますので、こういう標準的な質問票があることで身近な研究がすごく盛んになる。わざわざ質問票を設計しなくても、この質問票があればこれを活用して分析がされて、報告は出ているという状況になっているかと思います。

○寺本構成員 もしそういうものが幾つかでもそういうところで、ローカルという言い方でいいかどうかわからないですけれども、そういうところでやられているのだとすれば、まずそういうものから評価することのほうが重要なのではないか。例えば先ほどの階層化だけの問題ではないですね。その人の行動変容を起こしたりとか、そういったことはすごく重要になるので、それに対してどういう影響を与えているのかということをまずそこからレビューしていかないと、何かこれがいい悪いということを議論するのはどうかと思う。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 ただ、いずれにしても、今までの議論、この問診のままでいいという感じには恐らくならないとは思います。ですから、ここは今、サイエンスを検討する場なので、ちゃんとしたものはちゃんとしたもの、変えるべきものは変えるということをきちっと決めておかないと、エビデンスがないからもう5年様子を見てやろうかというようになると、今度は逆に15年やったからそのままいこうかとか、どんどんそのまま既成事実が積み上がっていく。

○寺本構成員 私が言いたいのはそういう意味ではなくて、幾らかでもそういうデータがもしあるのだとするならば、それを利用しない手はないのではないかということです。せっかくこれだけ長いことやってきているわけなので、そういうデータを使わない手はないのではないかという気がする。文献レビューだけで言うと、一個一個にどうしてもならざるを得ないので、そういう問題が出てくるのではないかな。

○永井座長 藤内構成員、どうぞ。

○藤内構成員 この問診項目、それこそ何項目になるのかというのはこの後の議論になると思うのですが、確かに少ないほどよい。特に階層化に必要な項目、詳細な健診の対象者を抽出するための項目、これは多分外せないと思うのですが、その後のリスクを評価するりための項目、これはポピュレーションとしての対象集団全体の生活習慣あるいは将来の心血管疾患のリスクがどれくらいあるのかということを評価する意味で、重要です。これまでの特定健診の問診項目を見直すにしても、受診者全員の問診項目を分析することで、生活習慣病対策をそれぞれの自治体や保険者が有効に立てることができるということを示していかないと、項目が少ないほうがいいという議論になってしまいます。22項目よりももっと少なくすべきだという議論になったときに、これだけの項目を尋ねることでこういう効果がありますよということをしっかりメッセージを出していくことが大事かなと思います。

○津下構成員 幾つかの自治体で、愛知県でもそうですけれども、市ごとに問診でマップをつくったりして、それと肥満との関連、因果関係にはならないですけれども、そういう活用をされていたりしています。そういう事例もこの問診の意味としては非常に大きいなと思っています。実際に「健康日本21」の市町村の評価の中でもこれは使われている事例も数多くありますので、逆に変えるときには十分な根拠を持って変えていく、納得できるように変えていくということが大事だと思います。

○永井座長 きょうは議論がいろいろありましたが、よろしければ座長にお任せいただいて、あと各構成員、参考人の方とも相談しながら最終的にまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○永井座長 ありがとうございます。

 そういたしますと、今後は保険局の検討会でまたさらに標準的な質問票の議論が行われます。特に制度的な見地から検討を行う予定となっております。

 もう一点、きょう御相談いただきたいのは、理学的検査(身体診察)についてでありますが、資料2の論点に沿いまして議論を行いたいと思います。

 理学的検査(身体診察)で実施すべき内容についてどのように考えるかということでございます。

 先ほどの資料2の3ページ目に論点がございます。

 どうぞ。

○高山健康課長補佐 資料2をごらんください。

 3ページ目になりますが、現状、点線の中に示しておりますように、標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】におきましても、具体的な健診項目の中に基本的な項目として理学的検査(身体診察)というものが位置づけられております。

 一方で、標準的なプログラムの中でもそれ以外の部分で内容であるとか、そういったことに関しての言及は、実は明らかな明示されているものは見当たらないという状況です。一般的に身体診察と申しますと、医師の判断で行われているものが実態だと思うのですけれども、今回、今までの御検討いただいた中で、これから例えば12誘導心電図で不整脈等を対象にしていくというような御検討がされたかと思うのですけれども、そういった中で一般的に身体診察について、どういったものを位置づけていくかというような観点であったり、これからそういった方々を選定していく段階でどういったものが必要かというような観点で御検討いただければと思います。

○永井座長 この点、いかがでしょうか。

 寺本構成員、どうぞ。

○寺本構成員 先ほどの質問事項とも関係するのですけれども、医師から例えば脈が乱れているとかというような表現がありますね。これは割にない人のほうがむしろ少ないのかもしれないので、いろいろと言われている方は相当いると思うのです。その中にはかなりいろいろな複雑なものが入っていて非常に難しい部分があるので、これは診察の際に理学所見として入れておいて脈の乱れ。私たちも今リスク管理チャートをつくっているのですけれども、その中では最初の段階でやるべき診察の中に脈の乱れというものを入れているので、そういうようなことは少なくとも入れておいたほうがよろしいのではないか。

 そうすると、例えば先ほどの問診の中のその部分というのは、むしろ恐らく心房細動を判断したいということはあるのだろうと思うので、理学所見の中に入ってきてしまう気がするのですが、その辺はいかがですか。

○永井座長 不整脈は非常に大事です。問診と脈診、場合によっては聴診でしょうね。そういうところは大事だということは言っておいてよいのではないかと思います。

 岡村構成員、どうぞ。

○岡村構成員 理学的検査と言った場合と身体診察と言った場合で若干広さが違うような気がするのですが、診察で一番大事なのは、ちゃんとお話を聞いて、どのような既往歴で自覚症状はあってということで、その中に、今、言われたような脈の話とか、あと貧血ぎみなのかみたいなものがはいってくるので、どこまで書いてくださいというのは別なのですけれども、この辺を見るような感じで見てくださいということと、あと治療とか保健指導への動機づけみたいなものが本当は診察の中でできたらいいなというところに集約されるのかなと思います。

○永井座長 どうぞ。

○門脇構成員 私の理解では、今では理学的な検査という言葉は余り使わないのではないかなと思うのです。もともとフィジカルイグザミネーションの誤訳で理学的検査と呼ばれるようになったという経緯があるので、身体診察というようにしているのが通常の今の医学教育ではないかと思うのです。御確認ください。

○永井座長 身体診察でしょうね。全身をしっかり見る、話を聞いて、何かぐあいの悪そうなところがないかどうか、話を聞いて診察する。そこには先ほどの貧血の問題も関わります。貧血の項目をどうするかという議論がありまして、もし赤血球数、ヘモグロビン値を削除するのであれば、貧血もしっかり診察していただくということになるだろうと思います。いかがでしょうか。

 津下構成員、どうぞ。

○津下構成員 先ほどの問診の場合はその結果が入力されて実施状況がわかるのですけれども、身体診察の所見については、どの程度どういう所見がとられているのかというのは、現状ではデータがないと考えてよろしいのでしょうか。

○永井座長 データはない。

○高山健康課長補佐 現状においてないと思います。

○永井座長 これから全データを蓄積しないといけないと思いますけれども、やはりお話を伺っていると、非常に重要な症状や所見が診察の過程で聞けたり、あるいは見つかったりすることがありますので、基本はしっかり診察を行うことが望ましいのではないかと思います。

 どうぞ。

○寺本構成員 これは一般的に言うと、基本的な項目の中で身体計測の中というのは全て数値化されるものですね。体重とか腹囲とかというのは数値として入ってくるわけですね。例えば今、言ったような脈の乱れとかというのは、むしろ逆に言えばプラスかマイナスかの世界になるのですけれども、そういうような入力がこれからというのはあり得るかということですね。ですから、今の貧血の問題もそうだと思うのですけれども、それもあるかなしかになるのではないか。方法が恐らく身体計測だとそれしかないのではないかと思うので。

○永井座長 当然、精密検査絡みになるわけですね。心電図とか血液検査、多分そういう項目を設けるということになるのだと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。また何かお気づきの点がありましたら、事務局のほうにお申し出いただければと思います。

 時間が早目ではありますけれども、本日の議論はここまでといたしたいと思います。今後のスケジュール等について、事務局から御説明をお願いいたします。

○中田健康課長補佐 今後の日程につきましては、6月3日、金曜日を予定しておりますので、後日改めて正式に御連絡を差し上げたいと思います。

 以上でございます。

○永井座長 では、本日はこれで終了いたします。

 どうもありがとうございます。


(了)

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