ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第2回病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会議事(2007年6月26日)




2007年6月26日 第2回病院における薬剤師の業務及び人員配置に関する検討会議事

○議事

○専門官(飯村)
 定刻となりましたので、第2回「病院における薬剤師の業務及び人員配置に
関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、
ご多忙中のところ、当検討会にご出席をいただきまして誠にありがとうござい
ます。
 はじめに、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は大井洋
委員、鈴木満からご欠席とのご連絡をいただいております。なお、三村優美子
委員と山崎學委員より、遅れて到着するとのご連絡をいただいております。ま
た、社団法人日本歯科医師会の役員の交替に伴い、内山文博委員に替わり、新
たな委員として専務理事の村上恵一委員にご就任いただいておりますので、ご
紹介させていただきます。
 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表及び委
員名簿のほか、次のものがございます。資料1「病院における薬剤師の業務及
び人員配置に関する実態調査結果について(案)」、資料2「精神病床のみを
除く病院に関する集計表」、資料3「精神病床のみの病院に関する集計表」、
資料4「病院における薬剤師の業務及び人員配置のあり方の項目整理案」、資
料5「実態調査の主な調査項目の結果概要」です。また、参考資料1が「病院
薬剤師の人員配置基準に関するこれまでの経緯等」、参考資料2が「実態調査
の調査票」、参考資料3が「病院における薬剤師の人員配置の状況について」、
参考資料4が「医療事故情報収集等事業第8回報告書」の薬剤関連の抜粋です。
以後の進行につきましては齋藤座長にお願いいたします。
○座長(齋藤)
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。議事
に入らせていただく前に、昨年12月27日だと思いますが、昨年末に開催した前
回の検討会で実施することとされていた「病院における薬剤師の業務と人員配
置に関する実態調査」の結果をご報告いただくことになります。このアンケー
トの実施と集計は、事務局から日本病院薬剤師会に依頼されており、本日は、
実際に集計作業を行っておられた日本病院薬剤師会の関口久紀専務理事を参考
人として参加することをお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょう
か。
                              (異議なし)
○座長
 ありがとうございました。それでは議事に入らせていただきます。先ほども
申し上げたように、本日は、実施いたしました「病院における薬剤師の業務と
人員配置に関する実態調査」の結果をご報告いただきます。調査を実施してい
ただいた日本病院薬剤師会の会長である伊賀委員よりご報告をお願いいたしま
す。
○伊賀委員
 資料1に基づいて報告いたします。1「調査の目的」については省略いたし
ます。2「調査対象及び調査方法」につきましては、日病薬の会員が所属する
医療機関のうち20床以上を有する6,703施設について、平成18年6月の1カ月の
データについて回答を求めました。回答病院数は4,714施設あり、その回答率
は70.32%でした。これにつきましては、各病院団体のご協力によって会員施
設以外からもご協力いただいたことについて、病院団体のご協力に厚く感謝申
し上げます。そのうち、集計に用いることができた回答病院数は4,474施設で
した。3「主な調査項目の概要」は省略させていただき、資料1の2頁4「調
査結果」に入らせていただきます。基本的な調査結果の概略については3頁に
記載しておりますように、数値等については施設間でのばらつきが大きいこと
から、平均値ではなくて、より実態を適切に表すものとして中央値を採用しま
した。また、区分につきましては、病床規模の区分と薬剤師数の区分(常勤に
換算した薬剤師数)、それから対象患者数(1人当たりの常勤薬剤師に対する
入院患者数)に基づいて集計いたしました。
 2頁、調査結果についてですが、これは精神科病床のみを有する施設を除い
た3,964施設と、精神科病床のみを有する施設510施設に分けて病床規模別、薬
剤師数別、薬剤師1人当たりに対する入院患者数別に区別して単純に集計して
おり、その資料は、資料2と資料3です。資料2が精神科病床のみを除く病院
に関する集計表、資料3が精神科病床のみの病院に関する集計表です。
 資料1の4頁の図1は、平成17年度の病院報告による都道府県別の許可病院
数9,026施設と、日病薬が今回集計対象とした4,474施設の分布を示したもので
すが、おおむね相関しております。
 5頁の図2は、4,474施設の規模分類です。約50%が100~299床という形で
す。
 6頁の図3は経営主体別に全病院を分類したものです。医療法人が53.9%、
その他このような形です。
 7頁図4にありますのが病床区分別に分けた分類で、一般が主と一般のみで
7割を超えています。
 8頁の図5は薬剤師1人当たりの入院患者数で分けたもので、50%の施設が
30人以下という形で分類されています。9頁の図6は、薬剤師1人当たりの入
院患者数(精神を除く)で、30人以下が57%、31~50人以上が26%という分類
になっています。
 10頁の図7は精神科病院の薬剤師1人当たりの患者数です。ここに70~100
人以下が192とありますが、この「192」は間違っております。50~70人が28%
という分類です。これが510施設についての結果です。以上、非常に簡潔では
ございますが、今回の調査結果を資料に基づいて報告いたしました。
○座長
 この実態調査の結果については資料4と資料5が用意されており、これから
それらの資料についてご議論をいただく予定にしておりますが、いま説明して
いただいた資料1の内容について、また、資料2、3の見方等についてご質問
があれば、どうぞ。よろしいですか。では、資料4と5の説明をしていただく
中で、何かありましたらお聞きいただくということで、実態調査の結果につい
て項目を整理した資料4、それから主な調査結果をグラフ化した資料5につき
まして、事務局より最初に説明をお願いいたします。
○専門官
 本日のご報告結果の議論に当たりまして、資料を整理させていただきました。
資料4はアンケートの項目に従って業務の内容を括ってまとめたものです。ま
とめ方としては、実施すべき、あるいは実施が望ましい主な業務として<医療
・薬物治療の安全確保と質向上のための項目>、<適正使用のための医薬品管
理に関する項目>、<医療の安全確保のための情報に関する項目>、<その他
取り組むべき事項>と大きく4つに分け、さらに、それぞれの調査項目に従っ
て、業務内容を項目にまとめさせていただきました。
 1枚目に戻ってください。基本的には順番に並べておりますが、●と○に分
けております。より重要と思われる業務を●にして多少優先順位をつけました。
1頁ですと●が6つ、○を5つにまとめましたが、これは決して○の業務が必
要ないということではなく、優先順位をつけた結果です。
 同様に、医薬品の管理に関する項目も●と○に分け、〈医療の安全確保のた
めの情報に関する項目〉も●を1つという形で分けております。
 2として、これは今回の調査結果によれば、実施の率は非常に低かったので
すが、今後の課題として実施に向けた取組みが望まれる業務であろうというこ
とで2つ「放射線医薬品管理」と「IT機器の導入への関与」ということで、ま
とめさせていただきました。
 3として、これらあるべき業務を踏まえた人員配置のあり方としてのキーワ
ードという形で、「採用困難性」「業務の多様性」など5つを挙げました。
 資料5は、資料4で整理した各項目の代表的な調査結果をグラフにして説明
するための資料です。先ほど伊賀会長より集計概要をご説明いただきましたよ
うに、今回は病院の規模ということで、病床の規模によるもの、薬剤師の数に
よるもの、それから薬剤師1人当たりの患者数という3つの切り口で作ってお
りますので、資料2の集計表を基にグラフをそれぞれ3つずつ作ったという資
料です。
○座長
 どうもありがとうございました。これからの議論の進め方ですが、事務局で
まとめていただいた資料4の項目整理案に沿って、上から順番に検討を進めて
いきたいと思います。資料4の「I.実施すべき、あるいは実施が望ましい業務
」として挙げられた<医療・薬物治療の安全確保と質向上のための項目>から
見ていきたいと思います。最初に、事務局で●を付けて重要だと思われる業務
として整理している3つ「注射薬の処方せんによる調剤」、「医療の安全確保
のための処方鑑査の充実」、「がん化学療法への関与」についてご議論をお願
いいたします。まず事務局から、その3つの項目についてのご説明をお願いい
たします。
○専門官
 資料5をご覧ください。資料5の1枚目は、資料4の1つ目の●注射薬の処
方せんによる調剤業務の代表的な調査項目として調査番号28「注射薬の処方せ
んによる調剤」の実施状況をグラフ化したものです。上の図が500床以上から
300床、100床、50床で切った病床規模によるもの、下の図が常勤換算の薬剤師
が1人、4人以下、9人以下、10人以上かという切り口で分けたものです。
 上の図でも下の図でも一部実施までを含めると、病床が大きいほど、また、
薬剤師の配置が多いほど、つまり大きな病院ほど実施率が高まるという結果が
出ています。
 2枚目の上の図は、同じ注射薬の処方せんによる調剤の実施状況の図ですが、
これは切り口を薬剤師1人当たりの入院患者で割ったものです。資料5の2枚
目の上の図の青い一番左側の完全実施率は、薬剤師1人当たりの入院患者数で
最も手厚い30人に1人という扱いから一番薄い100人超に1人を見ても70%前
後です。先ほどの1枚目ですと、病院の規模に応じて実施率が高まっていると
いう傾向がありましたが、こちらの薬剤師1人当たりで完全実施のところだけ
を見ますと、薬剤師1人当たりの数ではそれほど差が出ていないという結果に
なっています。
 続いて資料4の2つ目の●、調査番号29「医療の安全確保のための処方鑑査
の充実」関連のグラフです。病床規模と薬歴に基づく処方鑑査(入院)の実施
状況で、同じようにグラフを3つ用意しております。
 2枚目の下のほうが病床規模による処方鑑査の実施状況です。青い実線、菱
形の点を見ると、全処方について薬歴に基づく処方鑑査を実施しているという
パーセンテージでは、山のようになっております。300床未満のところが35.4
%と一番実施率が高く、それより大きくなると全処法での実施率は下がってく
る。逆にハイリスク薬について実施という緑の波線の丸でプロットしてあるグ
ラフ、これは病床規模に応じて上昇していくということで、500床以上ですと
54.5%と半分以上が実施しているという結果になっています。
 同様に3頁目の上の図、薬剤師数によるグラフを見ましても、全処方に関し
ては山の形になっており、10人以上の大病院では下がってくる。その代わり、
ハイリスク薬について実施しているというのは、10人以上の病院では50%を超
えるという結果になっています。これは、病院が大きくなると全員の分の薬歴
に基づく処方鑑査は現実的に難しくなる。その結果、ハイリスク薬が処方され
る患者にピンポイントに対象を絞って実施しているという傾向が見受けられた
と思われます。
 3頁目の下の図は、薬剤師1人当たりの患者数のグラフです。この図ですと、
薬剤師の配置が厚いほど実施率は高いという結果になっています。
 4枚目は資料4のIの「実施すべきあるいは実施が望ましい業務」の3つ目
「がん化学療法への関与」関連のグラフです。調査番号33、抗がん剤への無菌
調製の実施状況ですが、4枚目の上が病床規模によるもの、下が薬剤師の数に
よるもの、5枚目の上の図が薬剤師1人当たりの入院患者数による実施状況で
す。これに関しては、500床以上の大きな病院ほど実施率は高い、薬剤師の数
も多いほど実施率が高い、薬剤師の配置でも、手厚いほうが実施率は高いとい
う傾向が出ております。
 5頁の下の図からは、抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)調製時のレジメンに基づく
鑑査の実施状況です。レジメンと申しますのは、抗がん剤の投与量、投与回数、
投与間隔、投与の方法等を管理するための薬物治療計画であり、これに基づく
鑑査を実施しているかというアンケートの結果です。
 5頁目の下の病床規模によるものですと、病床規模が大きいほど実施率は高
まるという結果が出ています。6頁はレジメンに基づく鑑査の実施状況です。
上の図は薬剤師の人数によるグラフですが、薬剤師の人数が多いほど実施率は
高まるという結果が出ています。下の図では、薬剤師1人当たりの入院患者数
においても、薬剤師の配置状況が手厚いほど実施率は高まっているという傾向
が出ております。以上が資料4の3つの●に相当する項目のグラフの説明です。
○座長
 ただいま最初の3つのことについてのグラフのご説明をいただきました。こ
れについて、伊賀先生からコメントがございますか。
○伊賀委員
 いま専門官からお話いただきましたので、特に私から申し上げることもない
のですが、基本的に、特に注射薬につきましては、規模によらず、現在の薬剤
師、特に病院薬剤師の主たる業務になっているという実績がここで示されてい
るということがご理解いただけるかと思います。また、特に大きな病院では、
薬歴に基づく鑑査のところはどうしてもメリハリをつけた鑑査になっている。
そのことがこの調査の結果からも出ているということで、規模等による差とい
うのはそういったところにメリハリが出てくるということもご理解いただけ
ると思います。また、薬剤師の数が多いほど業務内容の充実度の高いことがい
まの説明の中でもご理解いただけたかと思います。
○座長
 いま調査結果の内容と、それについての印象をお話いただきましたが、その
ほかにご意見、ご質問等はございますか。
○堀内委員
 資料1の図6にございますように、一般病院で薬剤師1人当たりの入院患者
数が、30人以下が約6割。30人以下というのは、特定機能病院の基準です。
精神科病床を除く病院のうちの6割程度がそのようになっているということは、
かなりの薬剤師数が実際上必要であるということの表れではないかと思いまし
た。
 もう1つは抗悪性腫瘍薬の件です。4頁に無菌調製の実施状況がございます
が、精神科病床のみを除くすべての施設で計算をしてあります。例えば500床
以上ですと60%となっていますが、抗がん薬を扱うのは必ずしもすべての病院
ではないと思いますので、抗がん薬を扱っているほとんどの施設で無菌調製を
実施しているのではないかという印象を持ちました。
○座長
 それは大変重要なご指摘だと思うのです。がん患者を扱っていない所も母数
として入るわけですか。
○伊賀委員
 これはがん患者への処方がある所が母数となっています。
○座長
 現実は足りている、いないということは別にして、病院の中ではすでに非常
に多くの薬剤師が働いているという現実があるということのご指摘だと思いま
した。ほかによろしければ、残り3つの●「患者情報に基づく服薬指導と薬学
的ケアの実施(病棟における医薬品関連業務への関与)」、「夜間休日におけ
る薬剤師の勤務体制」、「入院患者の持参薬管理」について議論をお願いした
いと思います。このことについてもまず事務局からご説明をお願いします。
○専門官
 資料4の●の4つ目は「患者情報に基づく服薬指導と薬学的ケアの実施(病
棟における医薬品関連業務への関与)」ですが、これに関連するグラフは資料
5の7頁です。まず調査番号45、薬剤管理指導業務により副作用が回避された
件数です。先ほど伊賀会長よりご報告いただきましたが、これは中央値です。
上の図が病床規模によるもの、下の図が薬剤師の数による切り分けです。これ
は件数で見ると差がないのですが、傾向としては、病床規模が大きいほど、薬
剤師の数が多いほど副作用の発見件数や重篤化回避の件数も多いという傾向が
出ています。
 8枚目をご覧ください。上の図は、同じ薬剤管理指導業務により副作用が回
避された件数の中央値ですが、薬剤師1人当たりの患者数の切り分けの図でも、
薬剤師の配置が手厚い30人以下のところが一番実績があったという結果になっ
ています。
 続いて、これも病棟での業務との関連ですが、調査番号64、全病棟に薬剤師
が常駐したことによって得られた成果です。これは薬剤師が常駐している施設
での結果集計ですが、患者とのコミュニケーションの向上、医師・看護師との
情報の共有化、医薬品に関する業務の安全確保について、それぞれ8割近い実
績があったという結果が示されています。
 9枚目の上の図が一部病棟に薬剤師が常駐したことにより得られた成果です。
調査番号64が全病棟の勤務、調査番号65は一部病棟です。こちらでも同様に、
患者とのコミュニケーションの向上、医師・看護師との情報の共有化、医薬品
に関する業務の安全確保がそれぞれ高い率であったというアンケート結果にな
っています。
 次は資料4の5つ目の●「夜間休日における薬剤師の勤務体制」に関連した
グラフですが、9枚目の下、調査番号46、夜間の勤務体制の実施状況です。こ
ちらは病床規模による勤務体制の実施ですが、一部夜間体制と夜間体制という
形でグラフを2本ずつに分けております。ここで夜間体制とは、当直、2交替
制、3交替制ということで24時間薬剤師がいること、一部夜間体制とは、一部
宿直、居残り、オンコール、シフト勤務等の何らかの体制で夜間の対応をして
いるといったことの集計です。こちらは重複回答がありますので、一部夜間体
制と夜間体制を合計すると100%を超える結果になっております。病床規模で
は、当然、病床が多く、規模が大きい病院ほど夜間体制の充実が図られている
という結果になっています。
 10枚目は調査項目46、夜間の勤務体制の実施状況に関するものですが、上の
図が薬剤師数によるもの、下の図が薬剤師1人当たりの患者数による状況です。
上の図を見ると、薬剤師の数が多いほど夜間体制が充実しているという結果に
なっています。下の図を見ても、薬剤師の配置状況が手厚いほど実施率は高ま
っているという結果が出ています。
 11枚目は資料4の一番下の●「入院患者の持参薬管理」に関する調査結果の
グラフです。調査番号78、持参薬管理の実施状況ですが、11枚目の上の図が病
床規模による切り分け、下の図が薬剤師数による切り分けです。上の図の一番
左側にある青い色、これはすべての入院患者に対して持参薬をチェックしてい
るというもの、左から2番目の薄い青色のものが、一部の入院患者に関して持
参薬チェックをしている、医師などに情報も提供しているというもの。右から
2番目の薄い黄色のものが、持参薬のチェックはしているが医師への情報提供
はしていないというもの、一番右側の赤いものが行っていないという結果です。
 上の図を見ると分かるかと思うのですが、「すべての入院患者において実施
している」については、病床規模が小さいほど実施しております。「一部の患
者に実施している」というのは病床規模が大きいほど実施しておりまして、一
番左側と左から2番目を含めて、何らかの持参薬のチェックをし、医師等に情
報提供をして情報を共有しているというものは、全体で見れば、病院規模が大
きいほどやっているという結果になっていますが、全患者となりますと、患者
の数が少ない病院ほど実施率は高くなりまして、大病院では一部の患者という
形でメリハリをつけた実施をしているという結果になっています。
 下の図は薬剤師数と実施状況のグラフですが、こちらも同じような傾向が出
ています。すべての入院患者と一部の入院患者を合わせますと、薬剤師の数が
多いほど実施しているという傾向が出ておりますが、すべての入院患者に対し
てチェックしているとなりますと、薬剤師の数が少なく、比較的規模が小さい
病院のほうが実施率が高いという結果になりまして、薬剤師が多いような病院
ではメリハリをつけたチェックを行っているという結果になっています。
 12枚目は、同じく持参薬の関与の実施状況の薬剤師1人当たりの患者数での
切り口での図です。こちらでも同様に一部の患者において実施しているという
薄い青までのグラフで見ますと、手厚い配置をしているところほど実施率は高
いという結果が出ていますが、すべての入院患者において実施しているという
濃い青に関して見ますと、薬剤師1人当たりの患者数の区分での差はほとんど
見られないという結果になっています。以上が残り3つの●の部分の関連グラ
フです。
○座長
 それでは、この3つの業務についてのご質問、ご意見を伺いたいと思います。
○村上(信)委員
 全病棟に薬剤師が常駐したとか、一部に薬剤師が常駐したとかという数値は、
どこにあるのでしょうか。全体の中で、最初にあるのはあくまでも注射薬の調
剤をやったということであって、今回の調査の中で、薬剤師が常駐したとかと
いうことは分からないのですが。
○伊賀委員
 これはあくまでも回答した数ですが、3,964施設のうちの228施設が全病棟に
薬剤師が常駐しており、255施設が一部という回答をしておりまして、そのデ
ータに基づいてグラフ化しました。
○村上(信)委員
 これを見ると、下に3,964と書いてあるから、それで迷ってしまうのですが。
○伊賀委員
 失礼しました。回答した数字は228施設と255施設です。
○専門官
 補足しますと、今日お配りした表の資料2では、調査番号63番が、薬剤師が
病棟に勤務しているかという調査項目です。そして資料2の10頁、総計の一番
右の欄の63番の項目で全病棟に勤務していると答えたのは228施設、一部病棟
に配置しているという回答は255施設というアンケートの結果になっておりま
す。
○座長
 当然なのかもしれませんが、病棟に薬剤師が常駐することによっていろいろ
な効果が非常に高く出ているということが明らかなデータとして示されていま
す。非常に高い率でコミュニケーションが向上するとか、情報を共有化できる
とか、安全確保が保証されるとかということのデータになっているようです。
そのほかに何かございますか。
○堀内委員
 1つは薬剤師の夜間の勤務体制のことです。薬のことについては24時間薬剤
師が責任を持っているとよく言われるのですが、実際上は夜勤体制や当直体制
はなかなかとれないのが実情だと思います。10頁の調査番号46の上の図を見ま
すと、薬剤師が10人以上いないと夜勤体制等をとるのは難しいことが明確に出
ているのではないかと思います。ローテーションで次の日に休ませることも必
要になりますので、そういう体制をとるには、どうしても10人以上が必要で、
それ以外は一部夜間、一定の時間までとか、オンコールなどの形で対応せざる
を得ないのではないかと思います。全体に、24時間責任を持つといいますと、
本来ならば夜勤体制をとるのが妥当だとは思うのですが、なかなか難しい状況
が表れていると思いました。
 もう1つは11頁にある持参薬の件です。これを見ますと、1人の薬剤師の所
ではほとんどのところが、8割近くが何らかの形で持参薬の管理に関わってい
るということです。最近は多施設に患者が受診することが多くなっていますし、
後発品等で難しい名前、あるいは剤形が似ていて判別が難しいもの、あるいは、
いろいろな健康食品を取っているケースもございますので、持参薬管理が薬剤
師の基本的業務になっていると思います。薬剤師が少ない状況の中でもやって
いることが、基本的業務の反映なのではないかという気がします。
○廣瀬委員
 8頁の調査番号64、全病棟に薬剤師が常駐したことにより得られた成果が3
つ、非常に高い成果で大変よろしいと思うのですが、この元の本日の資料2の
調査票の中で調査番号64を見ますと、この業務内容のパーセンテージの常駐施
設での割合、インシデントの防止、この辺が今回の報告にないのですが、ざっ
とでよろしいのですが、概要をまとめてお話していただければと思います。
○関口参考人
 今日のグラフには取りまとめられてはございませんが資料2、調査票の64番
を見ていただきますと、前列に薬剤師が常駐しているところでの業務の内容と
その割合が出ています。ここの分母は、63番の調査項目で、全病棟に薬剤師が
常駐しているという228施設の内訳でのパーセンテージ表示になっていますの
で、例えば注射薬の取り揃えですと13施設あります。全病棟に薬剤師が常駐し
ているというのが16施設になりますので、81.3%がそういう業務をやっていた
という内訳になります。もし必要であれば、この辺りのところはグラフ化して
まとめて合計することはできると思います。
 インシデントの防止件数は調査票の64番にありますが、これは月での件数を
とっております。病床規模でいきますと、例えば20~49では2件、50~99で2.5
件等々。これは中央値を取っておりますので、元の調査票に戻らないと最大値
と最小値が分かりませんが、中央値でいきますとこのくらいのインシデントの
防止ができていたというデータになっています。
○廣瀬委員
 8頁の調査番号64番の報告では、患者とのコミュニケーション向上、医師・
看護師との情報共有化、医薬品に関する業務の安全確保等、数的には結構指標
がはっきりしない感じのところで成果が高い数値で得られていて、これは仕方
ないと思うのですが、具体的に全病棟に薬剤師が常駐しているということは、
これからのチーム医療ではよい方向に向かっていると思うのです。薬剤師が病
棟に常駐しているとこんなに良いことが具体的にあるのだ、というものもある
ので、ここはもう少し数値化してグラフに出されたらいいと思いました。
○座長
 大変重要なご指摘だと思うのですが、具体的にはそういうことを進められる
のでしょうか。
○関口参考人
 もし必要であれば、提出したいと思います。
○座長
 せっかく常駐することに対して良いということを数値化してお示しください
ということですので、できることでしたら是非お願いしたいと思います。大変
現実的なことで恐縮なのですが、薬剤師の代わりに他の業種、例えば看護師が
持参薬をチェックしているというような現実はございますか。
○伊賀委員
 私どもの今回の調査では、そういったことは明確にはとっておりません。病
院によってはあり得るかと思いますが、私どもは十分に把握していませんので
正確にお答えできません。しかし、私どもとしては、持参薬については事故が
ありました後、日病薬としてすべての会員施設に対して徹底するようにという
ことを申しまして、これでかなり高い率になっております。薬のことは薬の専
門家が可能な限りやれるような体制にということでやっておりますので、ある
べき姿は薬剤師がやるべきだと思います。
○座長
 私も全くそのとおりに思います。申し上げたかったことは、そういう現場の
現実があっても、なおかつ病棟におられることでこれだけ良い効果を出してい
るということは、こういうことが方向性として必要だと言えるのではないかと
思うのです。ほかに何かなければ先に進ませていただきます。資料4の1枚目
に配された残りの○5つの業務について、ご質問やご意見を伺いたいと思いま
す。まず、これらについてのご説明をお願いいたします。
○専門官
 資料5の12枚目をご覧ください。12枚目の下の図からが○の業務に関連する
グラフです。まず最初の○、「手順書・薬歴に基づく調剤、院内製剤の実施」
の関連グラフとして、調査番号31、ハイリスク薬安全管理への対応状況のグラ
フがございます。ハイリスク薬とは、事故発生により患者に及ぼす影響の大き
さに十分配慮し、使用上及び管理上特に安全な取扱いに留意する必要のある医
薬品で、抗がん剤、糖尿病治療薬、免疫抑制剤など、こういったものへの安全
管理の実施状況についての調査結果です。
 12頁の下の図は病床規模による図でして、「薬歴に基づく調剤を行っている」
が一番上の濃い青、「定期的に業務手順書の見直しを行っている」が薄い青、
「取扱いに関する業務手順書がある」を黄色の棒グラフにしてあります。これ
を見ると分かりますように、各々の実施状況は病床規模が大きいほど実施して
いるという結果になっています。
 続いて13頁をご覧ください。同じくハイリスク薬安全管理への対応状況です。
上の図が薬剤師の数によるものですが、この図を見ても、薬剤師の数が多いほ
ど薬歴に基づく調剤、定期的な手順書の見直し、手順書があるといったことの
実施率が高まっています。
 下の図が薬剤師1人当たりの患者数での切り口の図でして、こちらでも下に
行くほど、すなわち薬剤師の配置状況が手厚いほど実施率は高まっているとい
う傾向が見られます。
 ここで補足させていただきますが、これは昨年6月時点での調査です。今年
の4月から医療法が改正されまして、病院における医薬品の安全管理業務には
この安全の手順書が義務づけられました。今は経過措置期間中でして、来る7
月1日から、この手順書に基づく医薬品の管理業務が義務づけされますので、
7月1日からは黄色いところは100%にならなければいけないということを補
足させていただきます。
 続いて資料5の14枚目をご覧ください。これは○の3つ目の「副作用未然防
止等のための高齢者への適正な薬物療法の支援」に関連するグラフです。病床
規模と服薬困難な患者への支援の実施状況ということで、右側の凡例にあるよ
うに、剤形の選択、嚥下補助剤の使用等により、患者の障害の度合いに即した
服薬支援を行っている、の実施率です。調査番号80に相当するものですが、上
の図が病床規模によるもので、病床規模が大きいほど実施しているという傾向、
下の図が薬剤師の数によるもので、こちらを見ても、薬剤師の数が多いほど服
薬困難者への支援が行われているという結果が出ております。
 15枚目をご覧ください。上の図が、同じく服薬困難な患者への支援の実施状
況でして、こちらは切り口が薬剤師1人当たりの患者数によるものです。この
上の図を見ても、下に行くほど、すなわち薬剤師の配置が手厚いほど実施率は
高まっているという結果が出ております。
 続いて15枚目の下ですが、これは病床規模と精神科病棟の患者・家族への服
薬情報の提供の実施状況で、資料4の一番下の○「精神科領域薬物療法におけ
るアドヒアランス(服薬遵守)向上に対する薬剤師の関与」という項目の関連
グラフです。ここで「アドヒアランス」という聞き慣れない言葉を使わせてい
ただいていますが、一般に「コンプライアンス」といいますと企業の法令遵守
をいうことが多いのですが、薬剤関連の世界では「服薬遵守」について、これ
まで「コンプライアンス」という言葉を使っていますが、最近の新たな概念と
して「アドヒアランス」という言葉が使われております。「コンプライアンス
」との違いは、「コンプライアンス」は医者や薬剤師に言われるままに服薬す
るという意味に対しまして、「アドヒアランス」は患者が医師や薬剤師と話し
合って理解した上で患者が積極的に治療を受けるという、より患者側も参加し
たことによる服薬遵守という意味です。
 精神科領域のアドヒアランス向上に関する薬剤師の関与ということで、資料
5の15枚目の下の図、109番の調査項目の説明をさせていただきます。こちら
は精神科病棟患者や家族への服薬情報の提供の実施状況で、おおむね病床規模
が大きいほど実施率は高いという結果になっています。
 16頁目は、同じく精神科病棟患者・家族への情報提供の実施状況です。上の
図が薬剤師の数によるもので、薬剤師の数が多いほど実施しております。下の
図が薬剤師1人当たりの入院患者での切り口の図でして、こちらも手厚い配置
のほうが実施しているという傾向が見られております。なお、109番に関しま
しては精神科病床のみでの集計、すなわち資料3で提示した表を基にグラフを
作成しております。
 続いて17頁目をご覧ください。これは調査番号110です。109番でそういった
情報提供をしていると回答のあった施設での結果ですが、患者・家族への情報
提供により得られた成果ということで「主体的に服薬できるようになった」、
「薬物治療に対して自身の意見や希望を反映することができた」、「副作用を
理解し、回避できた」、「治療に対する参加意欲が向上した」、「服薬の必要
性の理解が向上した」等、アドヒアランスという言葉に対応するような成果が
こういった結果となっております。以上が○に相当するところのグラフの説明
です。
○座長
 資料4の1枚目に記載された○5つの業務についてのご質問やご意見をお聞
きしたいと思いますが、何かございますか。
○山崎委員
 15頁に調査番号109、精神科病棟患者・家族への服薬情報提供の実施状況と
して病床数別に服薬情報提供の実施状況が書いてあるのですが、この病床数の
ところで、例えば300~499床までというのは、すべての病床に対してこういう
ことが行われているのか、というのは、精神科の場合は病棟の機能分化が進ん
でいて、診療報酬上、一般急性期、スーパー救急、精神療養病床等いろいろな
病床の機能があるわけです。したがって、例えば薬剤指導を病棟で行っても、
認知症疾患の治療病棟や精神療養病棟では一銭も取れなくて、全部丸めになっ
てしまっているわけです。したがって、丸めの病棟においてもそのような指導
がきちんと行われているのかというのは調査の設問では聞いているのですか。
○関口参考人
 精神科の場合の丸めの病棟での薬剤管理指導等の実施状況につきましては調
査番号106番の中で、精神科救急入院料算定病棟での実施件数にありますが、
いわゆる丸めの病棟での実施状況等についての調査を行っておりません。
○山崎委員
 500床以上のところで、82.1%というのはどういうところから出してきた数
字なのですか。
○関口参考人
 調査票の109番で、情報提供を行っているか行っていないかといったところ
のデータを基にグラフ化したものでして、全施設から情報提供を行っていない
という施設を引いた分が情報提供を行っているという形にしてパーセンテージ
で表現したものです。
○山崎委員
 確かに、病棟での薬剤指導というのは非常に大事なことだと思うのですが、
人員配置をするということは、病院としてはそれだけ人件費の持ち出しがある
わけですから、診療報酬上きちんと評価される体制を作っておかないと。やた
らに人だけ投入すればいいという話ではないと思います。一般科の療養病棟で
も同じ問題があると思います。したがって、アンケート等で人員配置をどのよ
うにするかを検討することは大事だと思うのですが、医療経済的にきちんとバ
ックアップを作ってほしいという気がいたします。
○座長
 そのご指摘は当然のことだと思いますし、そうでなければ、今後はこういう
ことを継続していけないということだろうと思うのですが、伊賀委員から何か
ございますか。
○伊賀委員
 この場ではそういった議論は馴染まないのですが、私どもとしては、座長が
おっしゃるように、診療報酬上の裏付けをきちんと評価していただけるような
施設基準にしていただけるように要望を今回もお出しします。是非、それにつ
いても実現できるように努力いたしたいと思います。
○座長
 大変重要なご指摘を、ありがとうございました。ほかにございますか。
○豊田委員
 いまご説明があって検討されてきたこと、ここに出てきたデータの結果は、
医療現場からすれば、なるほど、もっともであるということで現場の人たちが
大体納得できる結果だと思います。今回はいろいろな重要な項目について、薬
剤師が多ければ院内における成果は上がるということが数字の上で出てきたわ
けです。したがって、この検討会の目的は、最後はどれだけの配置になるかと
いうことにいくのだろうと思いますが、ここでは、このデータを基に、薬剤師
が多いほど病院の質が上がるということ、これは私も認めます。
 それに関連して、薬剤師の数をどのようにして確保するかということがこの
先の議論になるかと思いますが、現在、同じ厚生労働省の中の医薬食品局では、
薬剤師の将来需給関係についての検討会が立ち上がっています。当然、そこで
将来の需給を考えるときに、今日ここで出てきたような非常に大事なデータを
抜きにして、一体何を検討するのかと思うのです。私は前回の平成13年度のこ
の検討会にも出ていましたが、そのとき出されたデータの中で記憶として非常
に強く印象深いことがあるのです。そのときも単に薬剤師が増えるということ
だけが強調されました。当時の議事録を見ると分かると思いますが、平成17年
には薬剤師が就職難に陥るのではないかというぐらいの規模で薬剤師は増えて
いるというデータを厚生労働省のほうから出されました。そういったこともあ
りますので、現在この検討会と並行して医薬食品局で需給関係について検討さ
れていますので、是非、そこのデータも次回ここへ出していただいて、ここの
検討がより充実したものになるようにしていただきたいと思います。
○座長
 これも大変重要なご指摘です。委員がおっしゃられた今後の配置のあり方等
々については本日の最後でご議論いただきたいと思っております。もう1つの
ことで、医薬食品局との連携という点については、どなたからか説明をお願い
いたします。
○薬事企画官(関野)
 いま委員からご指摘いただいた需給の検討会は5月から始まっておりまして、
また今週金曜日に2回目を行う予定ですが、立ち上がったばかりですので、取
りまとめの予測を立てるまでには1年程度かかると思います。以前にも一度、
5年前に需給の予測を立てたことがございまして、その際には、供給数が需要
を上回るという形での予測を立てております。ただ、その後、平成18年から薬
学教育が6年制になり、志願者動向がどうなるかといったところの状況の変化
がございますので、今回改めてその辺の予測を検討してはどうかという経緯で
立ち上がってございます。しばらく時間がかかりますが、その際には、実際の
供給の部分がどういった動きをしていくかということとともに、薬剤師の需要
という面では、どういった業務についてこれからどんどん広がりを持っていけ
るか、期待が持たれているか等、需要の面でもいろいろな角度から検討が必要
だと思っております。何か参考になるような情報があれば、こちらの検討会で
も提供させていただければと思います。
○座長
 非常に重要なことだと思いますし、是非連携をとってやっていっていただき
たいと思います。ほかになければ、資料4の2枚目に移りたいと思います。そ
こに、〈適正使用のための医薬品管理に関する項目〉、〈医療の安全確保のた
めの情報に関する項目〉、〈その他取り組むべき項目〉、また「II.今後の課
題として実施に向けた取組みが望まれる業務」等々がございます。これらにつ
いて、まとめて議論をお願いしたいと思いますが、最初に事務局からご説明を
お願いします。
○専門官
 資料5の17枚目をご覧ください。資料4の2枚目裏面の最初〈適正使用のた
めの医薬品管理に関する項目〉の1つ目の●「手術部、ICU等における薬剤師
の定期訪問又は常駐による医薬品の適正管理」という項目の調査結果のグラフ
です。17枚目の下の図が調査番号58、手術室における医薬品管理の実施方法で
す。この図は病床規模によるもので、一番左の濃い青が常駐、斜線を引いたと
ころが定期訪問、薄い黄色がセットによる管理、一番右側のものがその他とい
う形で何らかの手術室での管理を行っているという結果です。これを見ていた
だきますと、病床規模が大きいほど薬剤師による手術室での医薬品管理を実施
しているという結果になっています。
 18枚目をご覧ください。同様に手術室における薬剤師による医薬品管理の実
施状況でして、上の図が薬剤師の数による切り口、下の図が薬剤師1人当たり
の入院患者での切り口です。上の図を見ていただきますと、病床規模と同様に、
薬剤師の数が多いほど実施率が高まっているという結果になっています。下の
図を見ると、こちらは下にいくほど、すなわち薬剤師の配置が手厚いほど、実
施率が高まっているという結果が出ています。
 続いて19枚目です。上の図は調査番号60のグラフです。こちらは手術室に薬
剤師が定期的に訪問することのメリットいうことで、先ほどのアンケートの59
番で「定期的な訪問をして管理している」と答えた病院での集計の結果です。
常駐については、該当施設数が少なかったため、ここではグラフにしておませ
ん。
 この調査項目60のグラフですが、不正使用の防止、経費の削減、請求漏れの
防止、事故防止、こうしたメリットが、薬剤師が手術室に定期訪問することに
よってあったという結果になっています。
 下の図が調査番号29です。こちらは資料4でいくと、山括弧の2つ目の〈医
療の安全確保のための情報に関する項目〉の●のところで、「医療の安全確保
のための他の医療スタッフへの情報提供等」というところの関連の調査番号29
番で、カンファレンスに参加、回診同行による情報提供の実施状況です。19頁
の下の図は病床規模によるもので、回診に同行している、カンファレンスに参
加して情報提供しているというのは、病床規模に応じて実施率が高まっている
という結果になっています。
 20枚目です。こちらも同様に、カンファレンスへ参加、回診同行による情報
提供の実施状況ということで、上の図が薬剤師の数によるもので、薬剤師の数
が多いほど実施率が高いという結果です。下の図が、薬剤師1人当たりの入院
患者数の区分で、こちらも下にいくほど、すなわち薬剤師の配置が手厚いほど
実施率は高くなっているという結果が出ています。
 21枚目です。こちらは資料4の2つ目の山括弧の情報に関するところの1つ
目の○です。医薬品の採用に関することで、新薬採用時の関与状況の図です。
こちらは、薬剤師が新薬作成時に評価資料を作成して、それで審査を行ってい
るという病院の結果です。病床規模によって実施率は高まっています。下の図
を見ていただいても、薬剤師の数が多いほど、新薬の採用時にきちんと評価を
して、採用に関与しているという結果になっています。
 22頁です。上の図は、同じく新薬採用時の関与状況の薬剤師の1人当たりの
入院患者での切り口でのグラフです。こちらも下にいくほど、すなわち薬剤師
の配置が手厚いほど、薬剤師が新薬採用時に関与しているという結果になって
おります。
 続いて下の図が、今度は後発医薬品の採用時での関与状況の図です。調査番
号57に相当するものです。これは3つ回答がありまして、一番上の薄い青が採
用基準を作成している、真ん中が患者に対して後発品に関する啓発を実施して
いる、下の薄いピンクが医師等に対し常に情報提供しているという回答です。
 それぞれ見ていただくとわかるように、病床の規模に応じて、こういった後
発品採用への関与の実施率、あるいは患者への情報提供等の実施率が高まって
いる傾向が見られております。
 23枚目です。こちらは薬剤師の数による後発品採用時への関与状況です。採
用基準の作成と、患者に対しての啓発の実施に関しては、薬剤師の数が多いほ
ど実施しているかが高まっています。医師等に対して状報提供というのは、基
本的には薬剤師の数が多いほど実施率が高いという結果になっていますが、そ
れほど差は見られておりませんという結果になっています。
 23頁の下の図は、薬剤師1人当たりの入院患者数と、後発品への採用の関与
状況です。こちらの図では、ちょっとばらけていまして、明確な傾向はなくな
ってきていますが、医師等に対して常に後発品の情報を提供しているという実
施率は、全区分を見ても高くなっていますし、採用基準の作成に関して言えば、
大体薬剤師の配置が厚いほど実施しているという結果になっています。
 続いて24枚目です。これは資料4の〈その他取り組むべき項目〉の卒前研修
の話で、調査項目の100の結果のグラフです。上の図が病床規模によるもので、
病床規模が大きな病院ですと、90%近くが卒前実務実習をやっています。ただ、
下にいくと、小さな病院ではこういったことの協力が難しいという結果になっ
ています。同様に薬剤師の数で見ても、薬剤師の数が多いような大きな病院ほ
ど実施率は高くなって、1人の病院ではほとんどが受入れは困難という結果に
なっています。
 25枚目です。上の図は同様に卒前実習の実施状況の薬剤師の1人当たりの患
者数での切り口ですが、これを見ても薬剤師1人当たり患者30人という、一番
手厚い配置の状況のほうが実施率は高いという結果になっていまして、規模が
小さい病院が多い100人以上というところでは、実施率は低いという結果にな
っています。
 下の104です。これは卒後研修の実施状況で、すでに薬剤師になった方の研
修を実施しているか、がん専門の薬剤師のための研修を実施しているか等の調
査項目ですが、この卒後研修の実施に関しても同様で、下の図を見ていただく
と、病床規模が大きなところでは30%弱実施していますが、小さなところでは
実施率が低いという結果になっています。
 26枚目です。薬剤師の数によるものが上図、薬剤師1人当たりの患者数によ
るものが下の図ですが、いずれを見ても、薬剤師の配置が手厚いところでは、
卒後研修を実施している施設が多いという結果になっています。ここまでが業
務に関する資料4の2枚目による業務に関するところの関連のグラフの説明で
す。以上です。
○座長
 薬剤師が非常に多彩な業務をこなしていく職種であることも、一面では見ら
れるようなご報告であったかと思います。何かご意見、ご質問はございますか。
○村上(信)委員
 最後のところを見てびっくりしたのですが、卒後研修がこんなに少ないとい
うことで、今回のことにも関係してくると思います。それは人が少ないからい
けないというにしても、例えば30人以下のところでも8.2%ということで、こ
ういう少ない状況について、これは薬剤師会のご意見、この辺のところのコメ
ントをいただきたいと思います。
○伊賀委員
 基本的に卒後研修というのは義務化されていないのはご存じだと思います。
したがって、実際に研修制度を持っているのは、大きな特定機能病院の研修生
制度ですね。
○村上(信)委員
 薬剤師になった後、自己勉強とか、そういうことを言っているのではないの
ですか。
○伊賀委員
 この時点では、私どもは卒後研修については、今後生涯学習ということで取
り組むべき重要課題ということで、薬剤師会ともども、それらの制度を、厚労
省からもそういった助成もありますが、それを動かし始めたばかりで、現時点
では医師のように研修が義務化されているケースではありません。この場合は
あくまでも卒後の研修生制度等を主体とした研修の実態を表しているものです。
このようにご理解いただきたいと思います。
○村上(信)委員
 医師の場合は、研修医制度ができる前から、研修は当然のパーセントでやっ
ていたわけです。看護協会でも、かなり研修率は上がっていると思うのです。
 この設問は、卒業直後の研修のアンケートとしておやりになったのですか。
○伊賀委員
 いや、これは薬剤師の場合には卒後の研修はいまご説明したような形でしか
ありませんでしたので、そういったものに関する今の実態を、まず調査させて
いただきました。その後、おそらく今年度頃から、本格的に生涯学習としての
卒後研修が始まりますので、そういうものが一定の期間の後には、どのぐらい
の実施率かとか、そういうことが出せると思うのですが、現時点では薬剤師の
場合にはそのような形でしか、卒後研修についてはアンケート調査はできませ
んでしたので、ご理解いただきたいと思います。
○山崎委員
 19頁の調査番号60で、手術室に薬剤師が定期的に訪問することのメリットと
いうので、一番上に不正使用の防止というので46.3%という数字があるのです
が、手術室における不正使用というのは、具体的にどういう事例なのでしょう
か。
○関口参考人
 例えば残った麻酔薬を自分で使ってしまったとか、いろいろと麻酔絡みの事
項があると聞いています。
○山崎委員
 こういうものは非常に誤解を与える項目だと思うのですが、病院の手術室に
おいて不正で薬剤を使うというのは、医療従事者として考えられない話だし、
そんなにあるとも思えず、したがって、この項目はおかしいなと思います。
 それから、21頁の調査番号55で、「薬剤師数と医薬品の新薬採用時の関与状
況」というところで、新薬を採用するときに、薬剤師が評価・作成した資料に
基づいて審査をしていると書いてあるのですが、新薬というのは、実際に聞い
てそれを使うとか、あるいはそういうことをするというのは医師が決める話で、
薬剤師が評価して、作成した資料で新薬を採用することはあるのですか。
○堀内委員
 新薬の採用の場合に、当然採用をするのは医師だけとは限らないです。いろ
いろなやり方はあると思いますが、薬事委員会等で、医師、薬剤師等、いろい
ろな職種が入って審議すると思いますが、中心は医師からの申請等があって、
それで議論をするということになると思います。
 その場合に、資料を薬剤師が作るということです。特に最近の新薬について
は、承認審査のときに医薬品総合機構が評価をしている審査報告書がありまし
て、こういうものがインターネットでも取れるので、できるだけ利用すること
も必要です。要するに、審査をするための資料を提供します。それに基づいて、
審議をして決定するのですから、薬剤部でこれを採用しますということを言っ
ているわけではないということです。
○手束委員
 先ほどの手術場の不正使用の防止は変えていただきたいと思います。たぶん
これは外に出るので、何のことかなとなるので、先生がご指摘されたように、
これは問題があるのだろうと思います。聞いたのはそういう意味ではなかった
のだろうと思うのです。例えば誤使用とか、そういうことでもないのですかね。
不正使用というのは、医療従事者が不正に使ったというのをチェックするため
に、薬剤師が定期的に行かれるわけですか。そこははっきりしていただきたい
です。
○関口参考人
 チェックということではなくて、そういうことが起こらいように定期的にき
ちんと管理しているという抑止的な部分があります。
○堀内委員
 表現は妥当ではないので変えたほうがいいと思います。
○手束委員
 薬剤師の業務というようなことになってしまうと、ちょっと変ですね。
○堀内委員
 事実上はチェック機構の役割があってやっていますから、主観的に言えばそ
こで防止をする意思があって行っているので、こういう表現になっているのだ
と思いますが、客観的にこのまま出ていった場合には大変誤解を招くと思いま
す。
○伊賀委員
 この点については表現を改めさせていただきます。それと、これは件数では
なくて、主観的というか、そういうことに薬剤師が入ることによって防止でき
るという部分も含まれるということです。ということで、これは改めさせてい
ただきます。
○倉田委員
 19頁の下の表ですが、調査番号29です。病床規模とカンファレンスの参加、
回診同行による情報提供の実施状況、これはよくて3割までいっていないので
すが、これは患者側からしてみると、もっと多くなって欲しいと思います。結
局それが薬剤師の人数が増えるということになると思うのですが、回診や情報
提供の実施状況というのは、もっと高くなってほしいと思いました。
○伊賀委員
 これにつきましては、時間的に十分に病棟にいることが可能であれば、回診
等には必ず同行できるのですが、残念ながら現状では、いまデータが出たよう
に3割程度しか実施できないので、ご指摘のように病棟に十分な数がいないと
いう現状をご理解いただきたいと思います。
○座長
 これは今後6年制の制度になって、病院実習が義務づけられます。それの情
報はこれには入っていないわけですね。
○伊賀委員
 まだ入っていません。
○座長
 それが入ってくると、病院の薬剤師も相当な影響を受けると予測されるので
すか。
○伊賀委員
 今度の実習は参加型になりますので、そういった面では、いままでのような
見学型ではないということで、かなり業務の中に学生の実習指導が入ることが
予想されます。
○座長
 ジェネリックの採用については、各病院とも非常に経済的な要素が加味され
たことだと思います。ただ、ジェネリックの医薬品そのものの情報は非常に必
要とされているのですが、このジェネリックの採用基準の作成に関しては、あ
くまでもその薬剤師の専門性の中でやっているということですね。
○伊賀委員
 基本的には、そういった情報を収集、解析して、評価して、それを提供させ
ていただいているとご理解いただければと思います。
○座長
 次に移ります。資料4の2枚目のIII.「あるべき業務を踏まえた人員配置
のあり方」について、ご議論をお願いしたいと思います。事務局からご説明を
お願いします。
○専門官
 資料5の27頁です。人員に関連するアンケートの調査ということで、前回年
末の第1回検討会のときに、「実際に足りているのかという、現場の印象、不
足感を調査すべき」というご意見がありましたので、調査番号92は、そういっ
た薬剤師として行うべき業務を遂行するのに十分な数が確保されていると思う
かといったアンケートです。これは、あくまでも充足感ということで、何か根
拠があって、何人以下であるから足りないということではなくて、現場の薬剤
師の感触としてのアンケートです。
 92の上の図が病床規模によるもの、下の図が薬剤師の数によるものですが、
まず上の図の病床規模によるものですが、薬剤師の数が足りていると思うと回
答があったものを、棒グラフで示しており、50床以下の小さな規模のところで
すと、20%程度が足りていると回答したのですが、500床規模の大きな病院に
なると、5%未満のところしか足りていると感じていないということで、大き
な病院ほど足りていないと認識しているという結果になっています。
 下の図は薬剤師の数によるもので、これも薬剤師の数が10人以上の比較的大
きな病院が多いところの区分で、逆に薬剤師が足りていると答えた回答は少な
いという結果になっています。上の図を見ても、下の図を見てもそうなのです
が、ほとんどの施設で、充足していると思っていないという結果になっていま
す。
 28枚目です。上の図は同様に薬剤師が足りていると思うかというアンケート
の結果の薬剤師1人当たりの患者数での切り口でのグラフです。これを見ると、
薬剤師の配置状況が手厚いほど、30人以下のところは足りていると思うという
回答が一番多かったのですが、それでも12.7%ということで、9割近くの病院
で薬剤師は足りていないと思っているという結果になっています。
 下の図が、常勤の薬剤師の採用の難易度で、足りているか足りていないかは
先ほどの92で、96は採用するときに薬剤師の採用の状況は容易なのか、困難な
のかということの調査です。
 28頁の下の図は、常勤の薬剤師の採用の難易度で、左側の青いほうが困難、
右側の茶色が非常に困難ということで、300床未満の中小の病院が一番厳しい
という結果になっていて、常勤の薬剤師の採用が困難だと答えたのは、左側の
青い絵を見ていただくと、病院が大きいほど難しいという結果になっています。
ただ、非常に困難だとなると、中間規模の病院のほうが難しいと答えています。
全体で見ると、半分近くの病院で採用が難しいという結果になっています。
 29頁です。今度は上の図が薬剤師の数、下の図が薬剤師1人当たりの入院患
者での採用の難易度です。まず上の図ですが、青いところの採用が困難と答え
たところは、薬剤師の数が多いところほど難しいという結果になっています。
非常に困難というところを見ますと、逆に2人から4人とか、5人から9人と
いった中間規模の病院のところで、非常に困難という結果になっています。
 下の図が、薬剤師1人当たりの患者数での図です。これは薬剤師の配置が手
厚いところほど、薬剤師の採用が困難という回答になって、逆に薄いほど非常
に困難という結果になっています。ただ、全体を見ると、非常に困難、困難を
合わせると、半数以上のところで、薬剤師は足りていないし、集まりも難しい
という結果が、アンケートの結果から見受けられます。
 続いて30頁です。こちらは非常勤の薬剤師の採用の難易度で、これも常勤の
薬剤師と同様の結果が出ています。半分以上の病院が、非常勤の薬剤師の採用
が困難、あるいは非常に困難という結果になっています。病床規模によるもの、
薬剤師の数によるもの、薬剤師1人当たりの入院患者数での切り口ですが、そ
れぞれ非常勤の薬剤師でも常勤の薬剤師と同様の結果になっています。
 資料4の一番下の○の「現行の人員配置標準の遵守率」です。本日お配りし
ている参考資料3の4頁目の医療法に基づく都道府県等の職員による立入検査
での遵守率の調査ですが、平成17年度の調査結果が発表されました。平成17年
度では(1)の適合率を見ていただくと、全体で薬剤師の配置基準で適合率は
90.7%となっています。
○座長
 適合率というものの基準は何ですか。
○専門官
 薬剤師1人当たり入院患者70人と、あとは調剤に基づくものが加味されてい
て、参考資料の1に現行の基準がありますが、外来は処方せん75枚に1人、入
院は基本が70人に1人です。この基準に基づく医療法の配置標準に適合してい
るかです。
○座長
 非常に採用が困難だということの背景は、いろいろあるように思うのですが、
薬剤師がいないから採りにくいということなのでしょうか、それともいるのだ
けれども条件が厳しいから来ないということなのでしょうか、地域性のような
ものがあるのでしょうか。
○関口参考人
 これについては薬剤部長のアンケートで、今年何人辞めて、何人募集をかけ
て、どのくらい集まったかというデータを取ろうと思ったのですが、それは難
しいので、主観的に募集してもなかなか来ない、非常に集まりにくいといった
感じで答えてもらったので、地域的なものの解析はしておりませんけれども、
基データに戻れば、地域、各県ごとの採用状況の困難の度合いは出てくるかと
思います。
○伊賀委員
 辞めるときのタイミングというのは、必ずしも年度末とかにならないケース
も多くて、中途に採用しようとしても、なかなか対象となるような薬剤師がい
ないということもあると思います。もちろん、地域的なものも入っていると思
います。毎年必ず一定の数を採用できるということであれば準備できるのです
が、そういったタイミングの問題等、それからふさわしい病院薬剤師が採用で
きるかという質的な問題も入っているとご理解いただければと思います。
○薬事企画官
 参考になればと思いますが、供給面という観点で言えば、薬剤師の国家試験
の合格者は毎年8,000人程度出ていて、そういった人材がいろいろなところで
就職している状況にありますが、いま伊賀先生からお話のあったような状況の
一部も踏まえて、病院への就業の割合が増えていない状況があります。それは
他に行っている部分もあれば、非常に就職が難しい対象に病院がなっているの
かもしれません。そこの解析は難しい状況にありますが、毎年8,000人程度の
新しい薬剤師が、何らかの形でいろいろな職に就いている状況があります。
○山本委員
 現場の感覚ですから正確なことは申し上げられませんが、採用できにくいと
いう中に、医療部会、医療保健部会等でも議論が出ていましたが、国公立病院
等にかけられている定員の問題等もあるのではないかということです。前回、
村上委員からご指摘があったのですが、採用の枠が決められている中で、容易
に動けないことがあるのだというご指摘もありました。
 先ほど関野薬事企画官がおっしゃったように、全体の数は8,000人ほど出て
きますので、十分に数はあるのでしょうけれども、そういった部分も含めて容
易に採用できないということで、必ずしも求人が少ないとか、希望者が少ない
ということではないと考えています。
○座長
 その場合の採用枠というのは、先ほど伊賀委員のおっしゃった患者70人に1
人とか、その基準での枠ということですか。
○山本委員
 私どもが伺っている範囲では、当然医療機関ではそうしたことを基準に枠を
決めているのだろうと考えていますが、実際には全体の医療スタッフの規模な
どがあるのだと伺っているので、そうしたことを考えると、さまざまな要因が
あるのではないかと思います。
○廣瀬委員
 参考資料3に薬剤師数の構成割合が出ていて、平成16年では総数が24万人に
なっていまして、病院・診療所の従事者が4万8,000人です。そうすると、先ほ
ど1年間に8,000人の新卒の薬剤師が輩出されているわけですが、それは8,000
人が薬局、病院、大学、企業、行政の従事者が多くて、あとはその他とありま
す。この8,000人はここのところあまり変わらない輩出数だと思いますが、増
えているのか、減っているのか。たぶん医師の数とほぼ同じ8,000人ぐらいだ
と思うのですが、これは病院・診療所の従事者が減っているから、今回のアン
ケートに大きく影響しているのですか、もともと少ないのですか。その辺が、
先ほど言われた別の需給の検討会との関係もあるのかと思うのですが、病院・
診療所の従事者はとても少ないですね。8,000人出ていく割合が、みんな企業
や薬局に行ってしまうのでしょうか。
○座長
 要するに8,000人のうち、どこに何人行っているかということですね。
○伊賀委員
 これは平成17年度の調査ですが、卒業生に対する調査では、病院に入れるの
が1,300人ぐらいです。薬局は2,700ぐらいです。医療関係にかかわる方は、
8,000人のうちの5,000弱ぐらいになると聞いています。大学院に進学される方
もいます。
 逆に、病院に入れるチャンスは卒業生にとっては大変難関で、大体1,300ぐ
らいで変わっていません。
○豊田委員
 8,000人卒業しているので、それでいいかということですが、これは圧倒的
に足りません。以前は、薬剤師は調剤が主であるということで、これは毎年
8,000人の内訳が変わっていくことはないのですよね。大体同じような形で、
おそらくこの10年ぐらいも同じような割合で、病院やいろいろなところに行っ
ていると思うのです。
 仕事内容は、先ほど来のアンケートの結果、今回の調査を見ても、薬剤師の
仕事は10年前と非常に違って、多岐にわたり、期待される部分が多くなりまし
た。特に、医療の質を上げるためには、薬剤師の役割は領域が確立してきてお
ります。そうすると、従来の数でそれをやることになると、かなり無理がいく
ということです。
 今回のデータにも出ているとおり、多いところではしっかりとやっています。
多いところではしっかりやっているのではなく、多いからしっかりやれるとい
うことになると思うので、私は薬剤師の役割はしっかり認める立場、期待もす
る立場でありますが、いかんせん数が足りない。さらにこのあと充実した内容
を期待していくとすれば、まず総数を増やさないと、そういった期待が実現で
きないのではないかと思います。
 先ほど医薬食品局のほうで需給計画を検討しているということでしたが、今
日の折角の貴重なデータも、そちらで是非活かしていただいて、薬剤師の総数
を上げることが一番だと思います。
 あとは地域差であるとか、これは医師不足、看護師不足もそうです。まず総
数が増えないことには、地域差やいろいろなことを言っても始まらないです。
ですから、まず総数を増やした上で、いろいろな施策を講じていくという形で、
薬剤師に医療の場で役割を果たしていただいて、医療の質に貢献してもらいた
いと考えます。
○山崎委員
 アンケートの質問ですが、28頁の調査番号96ですが、常勤薬剤師の採用の難
易度のところで、500床以上で採用が困難というのが26.3%、採用が非常に困
難というのが21.1%です。そうすると、残りの52.6%はどこに当たるのでしょ
うか、足して100%にならないのですが。
○村上(信)委員
 困難ではないのではないですか。
○座長
 そういうことになってしまうのですけれども。
○山崎委員
 そうならそういうことで、困難ではないというフレームも作ってもらわない
と、何となく変に誘導したような資料になっているような気がします。
○専門官
 補足させていただきますが、資料2の集計表をご覧ください。20頁の調査番
号96で、何人募集して、採用人数がどのくらいで、退職人数がどのくらい、欠
員が何人ぐらいかという形で調査したところです。常勤の薬剤師の採用が困難、
非常に困難というものだけを今回はグラフにしましたが、容易かというような
○を付けるアンケートにもなっていて、容易と付けてきたのは全体でも9.6%
でした。足し算をして合わないというのは、どちらでもなくてちょうどいいと
か、容易でも困難でも非常に困難でもないというところが、印を付けてこなか
ったという解釈をしています。グラフの作成上、容易を省略してしまったのは
不適切だったかもしれませんが、そういった結果になっています。
○薬事企画官
 先ほどいただいたご意見の関連ですが、毎年8,000人強の薬剤師が世の中に
輩出されていますが、トータルの薬剤師数で見ると、2年ごとの調査ですが全
体としては増えています。ただ、一方で今日の参考資料にもあるような、病院
での就業率の割合というのは、比較的横ばいの状態になっていて、おそらく供
給数がある一定数あったとしても、何らかの就職しにくい状況も病院側に、制
度的な部分も含めてあるのではないかと認識しています。
○山崎委員
 薬局に勤務している薬剤師の内訳をもう少しはっきりしてほしいと思います。
個人立の薬局に勤務している薬剤師と、多店舗で展開しているスーパーの中で
やっているような全国展開をしているようなところの調剤薬局にいっている薬
剤師の数の伸びをきちんと把握したいと思うので、その辺の統計的な資料はな
いのですか。
○山本委員
 先生のご指摘の部分ですが、医療経済実態調査等で人数が出ていると思いま
す。直近の数字は平成17年の調査だと思うのですが、基本的に薬局の場合には
どういう形態かと申しますと、個人立というのは非常に少ないです。そのとき
に申し上げたのですが、税金等の対策の関係で、個人立よりも商業法人のほう
が多ございます。そうした意味では、全体のかなりの部分が商業法人の中で働
いているというケースだと思います。
 と申しますのは、個人立になると、毎月毎月源泉徴収が発生します。在庫等
を考えると非常に処理がしにくいという問題がありまして、多くの薬局が法人
立を取っています。もちろん株式会社形式を取っていて、株式の形で資金を集
めているところは多くはありませんが、形態としては同族会社の形で、有限会
社あるいは株式会社が多ございますので、そういった意味の分類でいけば、法
人に働く薬剤師の数のほうが多くなると思います。
 ただ、現実問題で、それが全部問題があるかというとそうではありません。
私の店もそういう店です。通常のケースからすると、医師の方々の医療機関と
比べるところでは、個人と法人という比べ方が非常に難しいということです。
その辺は平成17年調査が出ているので、数にしても何人という数字が出ている
ので、それを参考いただければと思います。
○山崎委員
 どうしてそういう質問をするかというと、病院の勤務の薬剤師が、一時期も
のすごく少なくなったときがあります。それがどうしてかというと、スーパー
の中に作る調剤薬局が、ちょうど医薬分業を政府が推進していて、急速に増え
た時期があります。あの時期に病院にくる薬剤師が払底してしまったこともあ
って、現在もその延長線にあるわけです。
 したがって、医薬分業をするというのが国の政策だというのはわかるのです
が、うちも調剤に切り替えてみて思ったのですが、逆に患者の負担が増えてい
ます。患者の家族とか、患者から、また院内調剤に変えてほしいという意見が
出てきていて、医療財政の合理化だといってした医薬分業が、反対に患者の負
担を増やすという、非常に変な結果になってしまっているということは、もう
1回ここで検証しないといけないと思います。
 したがって、医薬分業をずっと国として推進して、患者の負担が増えても医
薬分業を推進していくのかというのも、1回確認したいような気もします。
○座長
 大変重要なご指摘なのです。
○山本委員
 この辺は本来ここの議論なのかどうかは正直なところわからないのですが、
山崎委員のご意見に、薬剤師としての感想を述べようと思います。
 確かに分業することが国是として進められているので、そういった意味では
何が分業のために必要なのか。先生がおっしゃるように、1対1の関係で患者
と医師の関係ができていれば問題はないのですが、最近はそうではなくて、患
者は複数の医療機関にかかるケースがありますので、そうした意味からすれば、
医薬品をどう安全に管理するかという観点からすると、薬局を1つに決めてい
ただければ、最も良い管理ができるだろうと、そのようなことを薬剤師会とし
て考えています。
 負担増の部分ですが、おっしゃるように負担増になっています。先生方と同
じように、私どもも一定の技術水準を保たなければならないということで、そ
の部分については過大な手間賃、費用は必要ではないわけですが、一定の水準
を保つだけの費用は必要です。その提供する水準が、院外処方せんを発行する
ことで増える負担よりも上回っていれば良いわけで、そうした方向で上回れる
ような努力を日々努めているもりです。ただ、昨今言われているような問題点
については、私どもは十分に認識しているので、そうしたことがないような運
用にしたいと考えています。
 もう1点は、分業の進展に伴って、街の薬局が増えたから、一時、薬剤師が
足りなくなったのではないかというご指摘もありますが、ここはこの議論と全
くかけ離れた議論で申し上げれば、街の薬局というのは先生方以上に人数制限
を受けていて、まず、1日に40枚を1枚でも超えると、薬剤師の数が2人と1
人増えてきますので、そうした意味で言えば、いまご議論があったような病院
の中での薬剤師の数の問題と同様な規制を受けています。しかも、それは厳し
い状況で、それをどう担保するかということが、まず1点です。
 もう1つは、薬剤師が1人しかいないと、その薬剤師はどのように毎日の仕
事をして、安全を担保するのかということになると、数の問題以上になるべく
複数の薬剤師を置きたいということは、当然あって然るべき議論で、そのこと
について私どもも、それを止めろというのは難しくございますし、医療の安全
を考えれば、人を増やすことはあって然るべきだと思います。
 そのようなことがありまして、先生方の所へ行くべき薬剤師を取っていると
理解されますと、大変困ったことになるわけですが、その一方で分業が進むと
いうことは、先ほど豊田委員がおっしゃったように、薬剤師の仕事が多様化し
ている、そのことによって仕事が増えていくのであれば、入院患者に対する薬
剤師の視点、あるいは入院患者に対して薬剤師は一体何をしているのだという
ご指摘があるように、そちらのほうへ業務を振ることも片方ではありますから、
その部分で、手が足りなくなった外来については、分業をしていこうではない
か。そこで大きな負担がかからないシステムを組むのはもちろんです。現在、
そのようなことを考えているので、山崎委員のご指摘については、日薬として
も十分に理解をしていまして、そういうご指摘、ご批判のないような形にした
いと努力しておりますので、是非ご理解いただきたいと思います。
○村上(信)委員
 医薬分業については、もうやれるところはやるし、やれないところはやる必
要はないと思います。例で私の病院を申し上げますと、敷地が巨大で、処方せ
ん数はかなり多いわけです。院外になると敷地内につくれませんから、病院の
周りをみんな薬局に買い占められているのです。でも、患者をそんな遠い所に
行かせるのは申しわけないから、薬剤師をたくさん雇って、院内薬局をやらざ
るを得ないということもあるわけですから、これはこれでいいと思います。
 ただし、先ほどから出ているように、入院に関して、あるいは病院薬剤師の
業務は大変重要で、増やさなければなりません。いまの定員で足りないのはわ
かります。今回のアンケートは、まさにそういうことが出ているわけです。た
だ、ここで定員をもっと増やしましょうと決められたら困るというのは、1点
は、数が足りないという問題、薬局に流れてしまって充足できないという点で
す。もう1つ大事な点は、診療報酬の点で、保証されない限りは、ここで勝手
に決めることはできないということだけは申し上げたいと思います。
○堀内委員
 いまのことに少し追加します。医薬分業の進展により病院薬剤師が入院患者
を中心とした業務ができるようになってきたことは、我々にとっては大変メリ
ットがあったと思います。これで多様な業務を行うことができるようになりま
した。調剤報酬については、何とか改善していただきたいと思います。
○伊賀委員
 医薬分業の話になりましたが、病院薬剤師としては、いま話が出たようにチ
ーム医療に貢献できるようになったのも、全国平均で分業が55%に近くなった。
山崎委員のおっしゃるように、患者の負担などはもちろんありますが、逆に言
うと、入院患者に対する病院薬剤師のいろいろなケアが、分業が進んで時間的
なものと、それからいま話が出たように、人数そのものは増やせないので、ど
うしても外来の部分を切り離した形で、病院の中でのチーム医療にかかわるよ
うになったというのが、今回の実態調査でもかなり出てきたと思います。それ
によって医療の質が向上しているという事実も、私どもとしては評価していた
だきたいというのがございます。
 ただ、今おっしゃったように診療報酬上の、我々病院薬剤師の評価というの
は、もともとあまりないのですが、病院の中では医科のほうに入っていたりし
ているので、今後はそういった意味では、医師、看護師等と同じような形で、
チームの中での加算というか、薬剤師がそれに入っていれば加算していただく
ような方向とか、そういった形の要望も出していきたいと思っています。単独
での調剤フィーとか、そういうものは体系からいって大変難しいです。そうい
うこともあるので、その辺も是非ご支援いただければと思います。
○山本委員
 時期が時期ですので、誤解があるといけないのでおことわりしておきたいの
ですが、ただいま薬剤師のフィーについて、同じ薬剤師で価格が違うというご
指摘があって、診療報酬上の評価が違うというお話がありました。
 私どもとして、病院の薬剤師を著しくおとしめて評価しているつもりもござ
いませんし、かといって開局者を著しく上げているとも思っておりません。こ
れまでの議論もそのように進んできました。
 したがって、今回の議論の中で申し上げれば、先ほど来、それぞれの先生方
がおっしゃっているように、実態としはてはこれだけの数が必要なのだ、ある
いは必要なものをきちんと確保していただいているという論点からすれば、単
に価格の多寡という問題をむしろ薬剤師側から持ち出すのは、極めて不穏当だ
という気がします。ましてや、これから改定時期に向かって、低いのだという
ことになれば、では高い方はどちらだということになると、いまのご議論は院
外薬局は高い、院内薬局は低い、では上げ下げするかという議論に結び付くの
で、そうした議論ではなしに、この議論は本当に必要な数を確保することがあ
って、その中で費用をどうするかという問題ですから、当然診療報酬上の評価
は必要ですが、AとBを比べてどうだという議論をされますと、そこは本来のこ
この議論からは外れてしまいます。ただ、結論として出すときには、いわゆる
費用の問題がかかりますので、診療報酬上の評価が必要だということは従来か
ら、常々言われておりますので、その範囲の中でとどめていただきたいと思い
ます。
○廣瀬委員
 先ほど医薬分業の話がありましたが、資料2の24の院外処方せんの実施施設
というのが、病床規模トータルで見ても、平均95%はすでに院外処方をしてい
るという回答になっています。
 この調査は10年前にもされているのでしょうか。つまり、薬剤師の業務が非
常に多岐にわたってきている。しかしながら調剤という仕事に関しては確実に
減ってきているというようなことは、このデータから言えて、その分もっと患
者のそばの服薬指導や、国民にとって重要な薬剤にとっての情報提供、そうい
うことにシフトをしていきたいというデータではないかと思って見ているので
すが、院外処方が95%と進んでいるというこのデータから見ると、社会の状況
が変わってきている状況ですね。本日の資料では、薬剤師を1名病棟配置をす
るというのが平成8年の医療審議会ですね、この辺のことなどに影響を受けて、
薬剤師の業務のあり方、国の政策が医薬分業に進んでいったとか、いろいろな
背景がこの10年であるかと思うのです。この結果を考察するような何かデータ
はないのでしょうか。
○座長
 端的に、ここ10年で院外処方せんの率は上がってきているのですか。
○山本委員
 上がってきております。ただ、先ほどご覧になった数字でご指摘がありまし
たが、全体の調査からすると、病院と診療所に分けて、院外処方せんの実施、
発行状況を2年に一遍国が調査していますが、その数字からすると、病院が65
%ぐらいだったでしょうか、診療所で50%強という数字ですので、全体をとっ
てみると多少のばらつきがあります。ただ、ここでは、たまたま今回の調査対
象、かなり大きな母数ですから、90%近く出ていますので、そういった意味で
は、急速に進みつつあるということは間違いありません。
○座長
 私の印象では院外処方せんが増えることによって、薬剤師は院内での病棟薬
剤師としての活躍であるとか、いろいろなところに異動して、職種というのか、
そういうことを変えてきているのではないかという印象があります。ですから、
先生のご指摘のようなことは起こっているのではないかと思います。
 それと、薬科大学が増えてきて、卒業生が増えているということの今後の予
測というのは何かあるのですか。
○薬事企画官
 ご指摘の大学の数ですが、平成14年までは46校という形で推移してきました
が、その後は年々数校ずつ増えて、現在は46に対して4割強、約5割増えた形
になっています。したがって、定員数も以前の46校のときは8,000人程度でし
たが、現在は1万2,000人ぐらいになっています。ただ、増えてから間もない時
期ですので、まだ卒業生が出ていない状況もあり、今後こういった方々がどの
ように国家試験を受けて薬剤師になっていくかは、これから数字として出てく
ると思います。
○座長
 非常にたくさんのご意見をいただきました。時間となりましたので、本日の
ところはこのような議論を踏まえたという認識にしておきたいと思います。事
務局から、次回の進め方についてご説明をお願いします。
○専門官
 本日は貴重なご意見をありがとうございました。本日のご意見を踏まえまし
て、事務局で病院における薬剤師の業務及び人員配置のあり方について、取り
まとめのための叩き台を作成させていただきますので、次回は、取りまとめの
案についてご議論をお願いしたいと存じます。
 日程につきましては、すでに先生方にご案内しておりますとおり、7月30日
(月)の16時から、場所は今日と同じ省議室になります。
○座長
 本日はこれで閉会とします。お忙しいところをご出席いただきましてありが
とうございました。


 照会先
 医政局総務課 飯村
 連絡先:03-5253-1111(内線2522)


(了)

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