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2016年4月5日 第5回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会

○日時

平成28年4月5日(火)13:30〜15:30


○場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室


○議題

(1)健診・検診の考え方と尿腎機能検査の位置づけについて
(2)特定健康診査の審査項目について(腹囲・その他)
(3)その他

○議事

○中田健康課長補佐 皆様おそろいでございますので、ただいまから「第5回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、御礼申し上げます。

 本日の出席状況につきまして御報告申し上げます。

 本日は、杉田構成員より御欠席の御連絡をいただいております。

 資料の配付につきましては、座席図のほか、議事次第の裏に配付資料一覧がございますので、御確認いただければと存じます。

 また、構成員の皆様にはパイプファイルで参考資料といたしまして、前回までの検討会資料と標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】等を配付させていただいております。

 もしお手元に配られてないもの、落丁等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 資料はよろしいでしょうか。

 では、撮影はここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○中田健康課長補佐 それでは、以降の進行は、永井座長にお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○永井座長 それでは、よろしくお願いいたします。

 本日の議題は「特定健康診査の健診項目について(腹囲・その他)」であります。

 本日の議題に入る前に、前回座長預かりとさせていただいております、尿腎機能検査の検査項目、実施すべき対象者等の位置づけについて御報告をさせていただき、その後で本日の議題であります腹囲について御検討をお願いしたいと思います。

 事務局から、前回の議論の整理をまとめていただいておりますので、資料1について説明をお願いいたします。

○高山健康課長補佐 御説明申し上げます。

 まず資料1の御説明に当たりまして、後ろのほうについております参考資料の1をごらんください。こちらは議論の進め方になります。2月2日の第2回の検討会でもお示ししたものです。

 第4回では、この中で「3 個別の特定健康診査の健康健診項目等の見直し」で、尿腎機能、詳細な健診の御議論をいただきました。今回の第5回はこちらで腹囲・その他の御検討をお願いしたいと考えております。

 資料1にお戻りください。前回の検討会の概要をお示ししております。

 前回は「1.尿腎機能について」の議論が行われまして、尿腎機能検査は腎機能障害の重症化を早期に評価するための検査である。尿腎機能検査は「基本的な項目」から「詳細な健診の項目」へと位置づけを整理し、検査の対象者を明確とした上で実施することとする。尿腎機能検査の検査項目、実施すべき対象者、検査間隔等は改めて検討することとなりました。

 おめくりいただきまして2ページ目の「2.血液一般について」も御議論いただきまして、血液一般は貧血の重症化を早期に評価するための検査である。血液一般は健診項目から廃止することも可能とするとされました。

 「3.12誘導心電図について」も御議論いただきまして、12誘導心電図は合併症としての心疾患の重症化を早期に評価するための検査であり、血圧高値や不整脈が疑われる者等に対して実施する。12誘導心電図を実施すべき対象者は、早期に検査を受けることが望ましいことから、次年度に詳細な健診として実施するのではなく速やかな受診勧奨を行う。特定健康診査において速やかに検査の実施が可能な場合には、引き続き詳細な健診として実施することは妨げないとされました。

 また「4.眼底検査について」も御議論いただきまして、眼底検査は合併症としての眼疾患の重症化を早期に評価するための検査である。眼底検査を実施すべき対象者に対しては、早期の検査が望ましいことから、次年度に詳細な健診として実施するのではなく、対象者を明確とした上で速やかな受診勧奨を行う。特定健康診査において速やかに検査の実施が可能な場合には、対象者を明確とした上で引き続き詳細な健診として実施することは妨げないとされました。

 検査項目以外の御議論の中で「2.その他」ですが、健康診査と医療が担うべき役割は区別されるべきであること。例えば、健診の受診を中断している患者や受診中だが適切な管理がなされていない患者に対して、注意喚起を行う意味で特定健康診査の検査項目を検討すべきではないこと。それらの者に対しては医療が担うべき役割として、確実な受診勧奨やガイドラインに基づいた医療を行うべきであることが議論されました。

 4ページ以降には、これまで第1回から第3回までの検討会の概要をお示ししておりますので御参考としていただければと思います。

 以上です。

○永井座長 ありがとうございました。

 もし、今の御発言につきまして、御意見があればいただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 それでは、尿腎機能検査の位置づけについて、事務局で整理をしていただいておりますので、資料2について御説明をお願いいたします。

○高山健康課長補佐 御説明いたします。

 資料2「健診・検診の考え方と尿腎機能検査の位置づけについて」をごらんください。第4回で御議論いただきました、尿腎機能検査の御検討を踏まえまして、永井座長と御相談をさせていただいて資料を作成いたしました。

 1枚おめくりいただきまして、2ページは、第1回健康診査専門委員会で合意されたものになります健診・検診の考え方をお示しいたします。

 こちらでは「健診」は主に将来の疾患のリスクを確認する検査群であって「検診」は主に現在の疾患自体を確認する検査群であるとされました。また、左下の括弧書きにございますように「健診」において行われる検査項目の一部は、測定値などによって疾患リスクの確認と疾患自体の確認の両方の性質を持つものがあるとされております。

 3ページには、特定健康診査における健診項目の考え方に関するこれまでの議論を整理させていただきました。

 1つ目は、繰り返しになりますが 「健診」は主に将来の疾患のリスクを確認する検査群であり「検診」は主に現在の疾患自体を確認する検査群である。健診において行われる検査の一部は、両方の性質を持つことがあるということです。

 2つ目の特定健康診査の健診項目は、虚血性心疾患や脳血管疾患等の危険因子もしくは生活習慣病の重症化の進展を早期に発見する項目であって、かつ介入可能なものであるということ。具体的には、健康診査の基本的な項目は、虚血性心疾患や脳血管疾患等の危険因子を早期に発見する項目であって、事後措置は主として特定保健指導であること。また、詳細な健診の項目は、生活習慣病の重症化の進展を早期に発見する項目であり、事後措置は主として受診勧奨であること。

 3つ目は、健康診査と医療が担うべき役割は区別されるべきであることとまとめさせていただいております。

 以上を踏まえまして、座長とも御相談させていただきまして、4ページに「尿腎機能検査の位置づけについて(案)」をまとめさせていただきました。尿腎機能検査は腎機能障害の重症化の進展を早期に発見する項目であるとされたことから、血圧と代謝系に関する特定保健指導以外に有効な保健指導による介入方法が確立していないとされましたので、主として医療機関への受診勧奨の対象者の抽出を目的として詳細な健診として実施することが適当ではないかと考えられました。

 尿腎機能検査は、40歳〜74歳の対象者に多く見られる高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症等を対象疾患とし、血圧または代謝系検査が保健指導判定値以上のもので、医師が必要と認める者に対して実施することとしてはどうかとされました。

 本来であれば、当該年の検査値に基づいて、尿腎機能検査の対象者を選定すべきですけれども、現状では、検査結果が迅速に判明しないなどの状況も認められますことから、当該年もしくは前年の検査結果に基づいて対象者を選定することも可能としてはどうかと考えております。

 特定健康診査では、詳細な健診項目として血清クレアチニンを実施する。糖尿病性腎症等の重症化予防が課題となっている保険者が、尿たんぱく検査をあわせて実施することを可能としてはどうかと考えております。

 一般に腎機能障害の進展は緩徐でありますので、尿腎機能検査は毎年実施する必要はないという議論がございましたが、実施間隔を含めて医師が必要と認めるものを尿腎機能検査の対象者とすることによって、適切な検査実施間隔等については、引き続き科学的知見を蓄積していくものとしてはどうかと考えております。

 資料2の説明は以上です。

○永井座長 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして、いかがでしょうか。御質問、御意見をいただけますか 。

 津下構成員、どうぞ。

○津下構成員 ありがとうございます。

 4ページの図ですけども、検査の性格というか、何を見つけるための検査か、そのレベル感をきちっと示すことができているのではないかと 思います。

 今までの健診項目は羅列的に書いてあって、何がどういう意味合いを持つのかがわかりにくい部分がありましたけれども、基本的な項目については、全身に影響を及ぼし、血管障害を起こして、後でさまざまな病気を起こしてくるというリスクファクターと言われるようなものを取り扱っていて、詳細な項目は血管障害の結果としての各臓器の疾患レベルを示している。そこで、詳細な項目という名前を私は変えたほうがよいのではないかという提案をしたいと思います。今までの詳細な項目の位置づけが何となくはっきりしない項目群の名前でありましたので、例えばこれは主に臓器の障害を診る項目としては、という意味です。腎臓の検査や心電図、眼底検査などが入ってくるわけですので、個別の臓器の障害が起こっているのを判定する項目であるということで、その検査の意味づけを明確にして、どういう対象者にどういう健診項目が必要なのだということを意識的に選び取るようなプロセスがこれから出てくるといいのかなと考えます。

 ですので、この図に今までの検査項目や、これから検討される検査項目等についても、どこの位置づけにあるかをわかりやすく示して、対象者・受診者にもお伝えする。保険者にとっては、どういう対象者であるからここの臓器障害まで含めなければいけないとか、そこまでは要らないとか、そういう判断ができるようにしていく。

 対象者を選択して個別的にする考え方と、集団特性を考えて選択される場合があり得るのかなと思いますが。

○永井座長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。

 今のこの絵は、各リスクファクターの間の関係とか、どのくらいそれぞれが関与しているかが描かれていますので、指導するのには割と便利なのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。

 磯先生。

○磯構成員 今の津下委員の御意見を私なりに解釈しますと、詳細な項目の説明として、例えば「臓器障害に関する項目」を加えてはどうかという意味合いでしょうか。

○津下構成員 前回は詳細な項目がどういう位置づけで行うということが十分整理し切れなかった。臓器障害的なものも基本項目に入っていたり、他の意味合いの検査項目も入っていたので、なかなかこういう整理ができなかったと思うのですけれども、こういう整理ができるのであれば、詳細な項目というよりも、もう少し具体的な名称をつけたほうがわかりやすいのかなという感じがいたしました。

○磯構成員 一般の方は臓器障害というと、よく理解できない可能性もありますが、保健医療者から見ると、詳細な項目は括弧づけで(臓器障害に関する項目)とするとか、注解つけるなりをしたほうがよいと思います。

○永井座長 この点はよろしいでしょうか。

 中田補佐。

○中田健康課長補佐 項目につきましては、事務局でも整理させていただきまして、御相談させていただきたいと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、ただいまのような形で、まとめたいと思います。

 詳細な項目については、改めて記載の仕方等について、御報告いただければと思います。

 続きまして、本日の議題であります「特定健康診査の健診項目について(腹囲・その他)」について、御議論いただきます。

 初めに、資料3と資料4について、事務局より御説明いただいた後、研究班の成果として各構成員に発表していただき、御議論いただければと思います。

 事務局から、お願いいたします。

○高山健康課長補佐 資料3をごらんください。

 本日、御検討いただきます、腹囲・その他について、特定健康診査・特定保健指導の満たすべき要件のうち、検査と事後措置に当たる(4)から(7)までの要件をどの程度満たすかについて、永井座長に代表研究者をお願いしております厚生労働科学研究補助金特定健診・保健指導における健診項目等の見直しに関する研究班で御検討いただき、作成いただいたものです。

 網かけとなっている部分は、それぞれの項目を特定健康診査として実施する際に、現状では、課題が指摘されていると考えられている箇所を示しております。

 具体的に御説明いたします。

 資料3で、まず「身長」「体重」「身体診察」「血圧」については、現状も実施されておりますし、課題とされているものはないという認識でございます。

 「BMI」につきましては、事後措置の「対象者」で、これは腹囲と同じになるのですけれども、国際的な動向としては「腹囲」「BMI」が第一基準ではなく、判定基準の一つとして扱われていること。「腹囲」「BMI」を第一基準とすることで、特定保健指導の対象となる女性が少なく、女性が保健指導を受ける機会が限定されているのではないかという指摘があることを挙げさせていただきました。

 引き続きまして「腹囲」ですけれども、腹囲は「精度/有効性」で、測定精度に懸念があるのではないか。一方で、内臓脂肪蓄積を簡易にはかる指標としての有用性はあるのではないか。

 また「カットオフ」ですが、メタボリックシンドロームの診断基準等によって示されてはおりますが、国際的な基準と一致していないことが課題ではないかと挙げさせていただいております。

 続きまして、こちらの整理をもとに、資料4で論点を書かせていただきました。腹囲の測定についての論点として、3つ挙げさせていただいております。

 1つ目が、保健指導対象者の選定・階層化基準において、腹囲を第一基準とすべきか。

 2つ目が、腹囲の基準値は、男性85センチ以上、女性90センチ以上とすべきか。

 3つ目は、特定保健指導の対象となっていない非肥満のリスク保因者に対する対応の必要性について、どのように考えるか。

 この3つの論点について、御議論いただければと考えております。

 その後ろに参考として、平成24年7月に行われました前回の検討会の中間取りまとめで、腹囲について指摘されている項目について、挙げさせていただいております。

 事務局からは以上です。

○永井座長 ありがとうございます。

 続きまして、門脇構成員から、資料5について御説明をお願いいたします。

○門脇構成員 資料5「腹囲(ウエスト周囲長)に関するエビデンス」で、厚生労働科学研究班の研究結果について、御報告いたします。

 2ページ目で、平成17年に我が国でメタボリックシンドロームの診断基準が策定されました。内臓脂肪蓄積を診断の必須項目とし、内臓脂肪面積100平方センチメートル以上をマーカーとして、おへそのレベル、以下「臍レベル」と申しますが、臍レベルで測定した腹囲(ウエスト周囲長)の基準値が男性85センチメートル、女性90センチメートルと定められました。

 平成20年度から「メタボリックシンドロームに着目した特定健診・特定保健指導」が実施されています。

 オールジャパンのデータをもとに心血管疾患発症を効果的に予防するという観点から、ウエスト周囲長に関するエビデンスの構築を目指して、便宜上先行研究とよびますが、私が研究代表者を務めました、厚生労働科学研究「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」を平成19年から平成21年度に行いました。

 引き続き私が研究代表者を務めました、厚生労働科学研究「特定健診・保健指導におけるメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出に関する横断・縦断研究」を平成22年度から平成26年度まで実施しました。便宜上これを本研究とよびます。

 この研究結果をもとに御報告をいたします。

 3ページ目は、左に特定健診・保健指導の歩み。右に今、述べました厚生労働科学研究の歩みについて、時間経過とともに示しています。

 特定健診・保健指導が第2期目に入ったときに、本研究の研究成果の一部が参考として用いられていることを申し添えてておきます。

 4ページ目で、研究代表者は私ですが、疫学の専門家として、本会議にも御出席の磯構成員に統計解析を担当していただいています。また、岡村構成員にも疫学専門家として参加していただいております。

 この研究の大きな特徴は、12コホートが具体的に記載してありますが、我が国で代表的なコホート、北は北海道から南は沖縄までをほぼ全て含むオールジャパンの体制で行われたことで、地域的にも偏りが非常に少ないコホートと思います。

 5ページ目は、縦断研究についての報告です。具体的には、腹囲の値を最初に測定し、その後、心血管疾患の発症をフォローした研究です。。

 これは先行研究での集団を用いた検討ですが、フォローアップ期間は8年から12年以上となっています。 男性が1万4,000人、女性が1万7,000人余りで、全部で3万1,000人のコホート研究です。特に焦点を合わせたのは、現行の特定保健指導における保健指導対象者の選定と階層化の方法に準拠して、保健指導レベル別に見た心血管疾患発症のリスクの検討です。

 6ページ目のスライドを見ていただければ、先行研究での集団は、それぞれ開始の時期はまちまちですが、8年から12年以上フォローアップされて現在に至っている集団です。本研究での集団は、2010年をベースラインにして、前向きに現在も心血管イベントについて収集している段階で、時間がたつにつれてデータが蓄積する形になっています。

 7ページ目は先行研究での集団ですが、心血管疾患の分類としては、虚血性心疾患、脳卒中で、これをまた2つに分けています。虚血性循環器疾患とは虚血性心疾患と脳梗塞を合わせたもの、全循環器疾患とは虚血性心疾患と脳卒中を合わせたもので、全循環器疾患発症数ですが、現在、平成26年末で男性649人、女性546人の計1,195人が全循環器疾患を発症しています。

 スライドの8ページは現行の特定保健指導における保健指導対象者の選定と階層化の方法を説明したものです。大きく40歳〜64歳と65歳〜74歳に分けられます。40歳〜64歳の場合に、ウエスト周囲長とBMIの組み合わせで4つのカラムが左から右にあり、上から下に追加リスクに応じて0、1、2、3以上の4つのカラムがあります。

 追加リスクとしては、血糖、血圧、脂質に加えて、この場合には喫煙も入っています。大きくウエスト周囲長が男性85センチ、女性90センチ以上ある者は内臓脂肪蓄積があると考えられます。ウエスト周囲長がこの値を満たしていなくても、BMI25以上ある場合には内臓脂肪蓄積の疑いとなっています。内臓脂肪蓄積がある方、内臓脂肪蓄積の疑いのある方は、それぞれ追加リスクの数に応じて動機づけ支援レベル、あるいは積極的支援レベルに分類されます。

65歳〜74歳の場合には、40歳〜64歳の場合で積極的支援レベルに相当した場合にも、65歳を超えるとこれを動機づけ支援レベルとして扱う取り決めになっています。

 まず、行いましたのは、動機づけ支援レベルや積極的支援レベルとして特定健診・保健指導の中で指導されてきたものが、もともと心血管イベントのリスクが非常に高い者

であることが想定されていますが、実際にそうだったのかどうかの検証を行いました。

 その場合に、何を対照群にとるのかが問題になります。まず、対照群をウエスト周囲長とBMIの基準をともに満たさない、すなわち内臓脂肪蓄積なしとされる者を対照群として解析をしました。9ページ目の表に結果を示します。

 この対照群は、いわゆる内臓脂肪蓄積がなくて、ただリスク数はゼロの場合もありますし、1や2以上の場合も含んでいますが、それに比して動機づけ支援レベルはハザード比がほぼ1とほとんど変わりませんでした。

 しかしながら、積極的支援レベルは男性が1.61、女性は1.65と有意にハザード比が高く、リスクを有する者も含めて内臓脂肪蓄積がない者を対象にした場合においても、積極的支援レベルは確かに全循環器疾患のリスクが高いことが検証されました。

 このデータから、10ページ目にありますように、対照群をウエスト周囲長とBMIの基準をともに満たさない者として解析すると、現行の特定保健指導の階層化基準で選定された「積極的支援レベル」群の心血管疾患発症のリスクは、対照群より高いことが示されました。

 さらに、厳密な意味での対照群をとることにいたしました。すなわち内臓脂肪蓄積がなくてもリスクファクターが存在する、あるいは重積する場合には、当然のことながら、全循環器疾患のリスクは高くなると考えられますので、内臓脂肪蓄積がないというだけではなく、リスクファクターも0の本当の意味での者を厳密な対照群として解析をしました。12ページ目の表に結果を示します。本日お示しするスライドの中で、このスライド12が最もポイントになると考えています。

 一番左に青く囲みましたのが厳密な対照群で、男性と女性と分けてありますが、男性も女性も内臓脂肪蓄積がなく、リスクもないという者です。 最初に注目いただきたいのは、一番右のカラムです。積極的支援レベルは、男性がハザード比3.17、女性はハザード比2.83と、全循環器疾患のハザード比がおおむね約3倍でした。すなわち全循環器疾患のハイリスク群に対して、積極的支援レベルの保健指導がされていることが改めて確認されました。

 右から2番目のカラムの動機づけ支援レベルについても、男性では1.97、女性では2.32と、おおよそ全循環器疾患のハザード比が2倍の者が、動機づけ支援の対象となっていることが改めて確認されました。これが第1に重要なことです。

 第2に重要なことは、右から3番目の白地のカラムを見ていただきたいのですが、内臓脂肪蓄積については、存在する、あるいは疑いがある、かつ、リスクが0のものです。その場合のハザード比は男性が1.14、女性は0.82でした。

 すなわち、内臓脂肪蓄積があったり、内臓脂肪蓄積の疑いがあったりしても、実際のリスクが0の場合には、現在は保健指導で情報提供レベルの扱いになっていますが、確かにこの群はリスクが高くないことが確認されました。

 左から2番目、3番目に赤地で示した部分は、内臓脂肪蓄積はないものの。リスクが1つ、あるいは2つ以上ある。科学的な言葉ではありませが、いわゆる「痩せメタボ」と言われることのある集団です。

 この集団は、男性も女性もそれぞれ厳密な対照群に比べて、男性では2倍程度、女性では2倍から2.5倍程度にリスクが高い群で、これは確かに何らかの対応が必要な群だと考えられます。

 この研究から得られた結論としては、対照群を、ウエスト周囲長とBMIの基準をともに満たさず、かつリスクファクター数がゼロの者として解析すると「積極的支援レベル」群だけではなく「動機づけ支援レベル」群の心血管疾患発症のリスクは対照群より高いことが示されました。また、ウエスト周囲長とBMIの基準をともに満たさないが、リスクファクターを有する者も、心血管疾患発症のリスクは厳密な対照群より高いことが示されました。

 ちなみに、12ページにもう一度戻っていただきたいのですけれども、動機づけ支援レベルや積極的支援レベルであるにせよ、現在情報提供レベルとして取り扱われている「痩せメタボ」であるにせよ、リスクが高い赤地で示したもののそれぞれについて、発症数がどれくらい分布しているのかを見ることが重要です。

 男性で見ますと、情報提供レベルの発症数は152112です。動機づけ支援レベルと積極的支援レベルは138176です。すなわち男性では、動機づけ支援、積極的支援など、内臓脂肪蓄積を有する者のほうが発症数は若干多いことがわかります。

 しかしながら女性で見ますと、その数字は174111が情報提供レベル、動機づけ支援あるいは積極的支援レベルは15930で、これはいわゆる「痩せメタボ」のほうが発症数は多いということになります。ここへの対応の必要性が示されているのではないかと思います。

 このようなことを踏まえまして、ウエスト周囲長の基準値を男性85センチ、女性90センチとするという、現行の特定保健指導の階層化基準で選定された群の心血管疾患発症のリスクは、対照群より高いことが改めて示されました(14ページ)。

 また、BMIとウエスト周囲長の基準値をともに満たさない情報提供レベルの場合でも、リスクファクターが0の者と比較すると、リスクファクターが存在あるいは集積している者では、心血管疾患発症のリスクが上昇していたことも同時に示されました。

 このような知見を参考として、現在、行われている第2期の健診・保健指導プログラムでは、医療保険者の判断により、動機づけ支援、積極的支援の対象者以外の者に対しても、必要に応じて保健指導の実施を検討することが望ましい。特に、腹囲計測によって内臓脂肪型肥満と判定されない場合にも、血糖高値・血圧高値・脂質異常等のリスクを評価する健診項目を用い、個別の生活習慣リスクを判定するという、いわゆる「痩せメタボ」に対する対応についても、記載されました。

 スライド15は内臓脂肪蓄積に着目した特定健康診査・特定保健指導における腹囲の考え方を示しています。メタボリックシンドロームの構成要素は腹部肥満、トリグリセリドとHDL-コレステロール。これについては一括して脂質異常と扱う場合が我が国では一般的かと思います。それから、血圧、空腹時血糖です。

 これらのリスクが重積する場合は、大きく2つに分けることができます。すなわち腹部肥満を伴う場合と、腹部肥満を伴わない場合に二分することができ、腹部肥満を伴う場合には、内臓脂肪蓄積によるリスク重積であり、これは内臓脂肪蓄積を減少させる介入によって対応すべきものであり、現在の内臓脂肪蓄積に着目した特定健康診査・特定保健指導における腹囲の考え方の基本になっているものです。

 もう一方、腹部肥満がないリスクファクターの重積は、内臓脂肪蓄積以外の原因によるリスクの重積であり、内臓脂肪蓄積を減少させる介入とは違う、それ以外の介入によって対応すべきものです。

16ページからは、横断研究について、報告します。横断研究では、リスクファクターに着目した適切な腹囲の基準値の設定に関する研究を行いました。既に示したように、男性の腹囲85センチ、女性の腹囲90センチ以上をもとにして選定したものは、長期的な全循環器疾患と関連を認めましたが、横断研究では、また別の観点から、腹囲について検討したことになります。すなわち腹囲と心血管疾患のリスクファクターの存在や、その重積の関連という観点からであり、リスクファクターとしては血圧高値、脂質異常、高血糖との関連を検討しました。。

 まず、スライド17の左下は、先ほどの3つの心血管病のリスクファクターのうち、それぞれの臍レベルでのウエスト周囲長の方が平均リスクファクターを幾つ持っているのかを検討したものです。もともと、メタボリックシンドロームの基準算定の上で、内臓脂肪面積100平方センチメートルがリスクファクター1つの存在に相当します。この内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当する腹囲として、男性85センチ、女性90センチが定められました。今回の横断研究の結果で見ましても、男性は85センチの前後でリスクファクター数が1となり、女性は90から95センチのところでリスクファクターの数が1となり、内臓脂肪面積から算出された現行基準値と合致する結果を得ました。

 もう一方、スライドの右下は、リスクファクターが集積することについて、どの腹囲から集積するかという意味でのカットオフポイントを求めようとROC曲線を描いたものであります。

 このROC曲線は比較的平坦で上への凸の度合いが少なく、基本的にここにカットオフポイントを設けることは困難です。しかしながら、あえて感度と特異度の和が最大になるところを選びますと、男性では85から87センチ、女性では82から84センチと算出されます。

18ページに記載したように、本研究では、メタボリックシンドロームを構成するリスクファクター数が1を超えるウエスト周囲長は男性では85センチ前後、女性では90センチ前後であることが示されました。これは、内臓脂肪面積100平方センチメートルに対応するウエスト周囲長として算出された我が国のメタボリックシンドロームの診断基準の基準値と合致しました。

19ページは横断研究の結果のまとめですが“絶対リスク”の観点、すなわちリスクファクター数が1を超える臍レベルでのウエスト周囲長は、男性85センチ前後、女性90センチ前後と、もともとこれを決めた元となったデータの母数は比較的少数でしたが、オールジャパンの3万8千人を超える集団(男性2万人以上、女性も1万7,000人以上)集団においても、男性85センチ、女性90センチがリスクファクター1に相当することが確認されたことになります。

 これは男女を問わず、心血管疾患の絶対的発症リスクをあらわす指標であり、さまざまな費用やリソースに対する効果の指標として適切なものと考えます。

 一方“相対リスク”の観点を見ますと、ROC曲線は芳しくはないのですが、一応カットオフポイントを求めると、先ほど御報告したとおりであります。

 これは男女それぞれに分けて、心血管疾患の相対的発症リスクをあらわす指標であり、医療資源や医療費に余裕がある場合には介入の対象になる可能性があることになります。男性の場合には絶対リスクと相対リスクからみた腹囲基準がが一致しますが、女性の場合には絶対リスクの場合には90センチ、相対リスクの場合には82ないし84センチと相違が認められ、その間に存在する者は、女性の中において、絶対的リスクが低いものの相対的にリスクが高いものとして、医療資源や医療費に余裕がある場合には介入の対象になる可能性があると位置づけています。

 次に、スライド20は先ほどの事務局からの報告でもありましたが、日本基準と国際糖尿病連合(IDF)の基準の間の関係を見たものです。

 日本基準では、ウエスト周囲長が必須であり、それに加えて、脂質異常、血圧、空腹時血糖の3つのうち2つ以上を満たすものをメタボリックシンドロームとします。

 もう一方、IDF基準では、脂質異常が中性脂肪とHDL-コレステロールが分かれており、日本基準に比べると4項目から5項目になっています。一番の違いは、1から5のうち3つ以上を満たす場合にメタボリックシンドロームと診断する取り決めであり、ウエスト周囲長の基準を満たすことを診断の必須項目にしていないことです。

 もう一つ、これはしばしば見逃されるのですが、日本以外の各国の基準では、20ページに絵が描いてありますが、肋骨下縁と前上腸骨棘のちょうど中点レベル、最もくびれたところで腹囲を測定します、ミッドポイントともいいます。

 日本の場合には、全て中点レベルではなく、おへその高さで測定していることから、本日は詳細は示しませが、本研究班でも対応関係について詳細に検討しています。

 そうしたところ、男性は寸胴ですので、臍レベルと中点レベルはほぼ同一の値になります。しかしながら女性の場合には、例えば、中点レベルで80センチの場合には、臍レベルでは84センチに相当しますので、国際的に日本の90センチと世界の80センチは違うということがしばしば言われるのですが、実はこれは84センチだということを改めてリマインドさせていただきたいと思います。

 強調したい点は、日本の基準が内臓脂肪面積100平方センチメートル、心血管病のリスクファクター1という根拠がある数字であるのに対して、国際的な基準は全てBMI25に対するウエスト周囲長を求めたものであり、そこをよく吟味することなしに、国際的なものが全て上位であると言うことはできないことを改めて申し上げたいと思います。

 それを踏まえた上で、21ページから、2つの点を検討しました。

 1つは、腹囲を必須項目にすることについて、賛成意見と反対意見がありますが、その点ついて具体的に検討しました。

 表は、ウエスト周囲長の項目を必須とした場合、すなわちウエスト周囲長プラスリスクファクター1、2、3の2つ以上に比べて、ウエスト周囲長の項目を必須としない場合、すなわちリスクファクター3つとウエスト周囲長を含めて4つのうち3項目以上あるとメタボリックシンドロームにした場合の実際の人数の変化を示しています。4つのうち3つあればメタボリックシンドロームとするという場合におきまして、ウエスト周囲長プラス2という現行の腹囲を必須とする基準を満たすものは、腹囲を必須としない基準の場合にも全て入ってきます。従って、腹囲を必須としない場合に増加するものは、いわゆる「痩せメタボ」ということになります。男性は約30%増えることがわかりました。しかしながら、やや意外なことに、女性はほとんど増えません。すなわち女性で、空腹時血糖値と中性脂肪値、血圧値の3つのリスクファクターを満足するものの大部分は、ウエスト周囲長が90センチ以上であったと、結果としては読み取ることができます。

 データは詳しく示していませんが、虚血性循環器疾患のハザード比を調べると、ウエスト周囲長の項目を必須とした診断基準から必須としない診断基準に変更した場合でも、非メタボリックシンドロームに対するメタボリックシンドロームの心血管疾患発症のリスクは、男性:1.851.91, 女性: 1.641.76と大きな差は認めませんでした(22ページ)。

  

 したがいまして、男性の「痩せメタボ」については、先ほど既に対応が必要であるということは申しました。そのような対応をすることを前提に、これらの結果からは腹囲を必須としないという診断基準をあえて設ける必要はないと考えられました。むしろウエスト周囲長の項目を必須とする診断基準で診断されたメタボリックシンドロームの管理については「内臓脂肪を減らす」という簡明で合理的な介入手段とリンクしていますが、それを必須にしない場合には、その後、さらに2つに再分類して、同じことの繰り返しをすることになって、無駄に見えます。

23ページから最後の解析をお示ししたいと思います。

 女性の腹囲が90センチで、もう少し低いところから拾ったらどうかという意見もあります。この解析は、特に女性で必要な解析なのですが、現行の女性のウエスト周囲長90センチ以上の者は内臓脂肪蓄積がある群とされますが、それに加えて、内臓脂肪蓄積の疑い群について、BMI25以上だけではなく、ウエスト周囲長が80から90センチの者を内臓脂肪蓄積疑いとして特定保健指導の対象とした場合について解析してみました。

24ページの表ですが、上が現行を示し、女性を40歳〜64歳と65歳〜74歳に分けて保健指導レベルを示しています。

 一番右の2つのカラムは、ウエスト周囲長90センチで、内臓脂肪蓄積を認めるものです。左から4つのカラムは、BMI25以上あると、これは内臓脂肪蓄積の疑いだということで、動機づけ支援や積極的支援をされるのですが、BMI25未満で腹囲が90センチ未満だと、現行では情報提供レベルにとどまります。

 スライドの左から3番目のカラムに太い青で囲んだように、黄色や赤の間に緑がある形になりますが、これに対して、スライド下半分に、仮に80センチから内臓脂肪蓄積の疑いということにした場合、BMI25以上と同じように、追加リスク数や年齢に応じて動機づけ支援や積極的支援レベルとなり緑が黄色や赤に変わることになりますが、その場合に、どれぐらい対象者数が増えるのか。また、その者たちがどれぐらい心血管イベントのリスクがあるのかを示しています。

 少し驚きますのは、25ページで、現行の女性の場合ですが、情報提供、動機づけ支援、積極的支援に分けて見ますと、実に76%が情報提供レベルであり、積極的支援は5.5%、動機づけ支援は18.2%です。ところが今のような変更をしますと、つまり、腹囲80cmから拾い上げると、動機づけ支援レベルの者の割合が一気に倍近くになります。

 この群でどれぐらいリスクが高いのかを検討しました。26ページに結果を示します。26ページに現行の選定方法による場合を示します。棒グラフの高さは心血管疾患発症のハザード比です。また、棒グラフの横幅と高さを掛け合わせた面積が人口寄与割合(Population Attributable Fraction)に相当し、集団全体の心血管疾患発症のうち、各カテゴリーがどれぐらいのパーセントを説明できるかというものです。

 ハザード比が1を超えた部分について、パーセントであらわしてあり、これが追加リスクに相当します。ハザード比が1未満の部分も合わせると全部で100%になる計算となります。左に40歳〜64歳と右に65歳〜74歳を示しています。

40歳〜64歳では、受診勧奨者は確かにハザード比が4倍以上、全部女性で検討ですが、積極的支援レベルはこれもハザード比が4倍以上、動機づけ支援レベルは2倍以上と、リスクの高い群が受診勧奨や積極的支援、動機づけ支援となっています。

65歳〜74歳の場合には、積極的支援はありませんので、受診勧奨と動機づけ支援レベルが同じぐらいのハザード比になっています。

 次に、80から90センチの者も、内臓脂肪蓄積の疑いとして、動機づけ支援や積極的支援という対象にしますと、実際には、積極的支援レベルはほとんど増えないことがわかります。しかしながら、動機づけ支援レベルが2倍程度に増えることになります。65歳〜74歳の場合には、積極的支援はそもそもないので、動機づけ支援が非常に増えます。しかしながら、ハザードリスクはかなり低くなってきます、現行では3近いのですが、2倍弱になりまして、実際にはPopulation Attributable Fraction25.2%から29.5%までにしかふえないことになるわけでございます。

 したがいまして、この部分の結論ですが、女性においてウエスト周囲長が80センチから90センチメートルのカテゴリーも、追加リスクがあれば特定保健指導の対象とし、情報提供レベルや追加リスク数がゼロないし内臓脂肪がないものとするモデルで解析を行いましたが、その結果、積極的支援レベル群の増加はわずかにとどまり、動機づけ支援レベルが増加すること、女性の前期高齢者で心血管疾患発症のリスクが低いものを多く拾い上げることが明らかになりました。

 もちろん、いわゆる女性の「痩せメタボ」の部分については、先ほど申し上げましたように、既に対応すべきであるということになっていますので、ウエスト周囲長が80センチから90センチメートルの女性に対する対応は、女性の「痩せメタボ」に対する対応に含まれてくるのではないかと考えます。

○永井座長 ありがとうございます。

 続いて、今の痩せた方のリスクについて、資料6がございます。

 これは岡村構成員から、御説明いただけますでしょうか。

○岡村構成員 資料6は1枚だけなので、裏側を見てください。

 現在、腹囲、ウエストで内臓脂肪の評価をしているのですけれども、もともと門脇構成員が言われましたように、内臓脂肪面積100平方センチメートルで、かつ、危険因子を1個以上持っているというところで判定しています。

 実際に内臓脂肪面積とウエストとの関連がどうなっているかについて、地域のデータで調べたものがありますので、報告させていただきます。

 2ページの上は、永井班に入っておられる国立循環器病研究センターの宮本先生からの報告ですが、現在、内臓脂肪面積計測はCTを使わない方法として、インピーダンス法ではかる方法がありまして、薬事法で承認された機器が2社から出ております。

 1.はある病院の人間ドックの受診者で、大体男女とも1,500人ぐらいで解析した結果でありまして、危険因子を1個以上持っている方の有病率がどのぐらいかを検討したものです。青いほうが男性で、赤いほうが女性のデータです。

 左端は、内臓脂肪面積が100平方センチメートル未満で、かつ、ウエストが基準未満という基準になるグループですけれども、見ていただきたいのは、当然、右端の内臓脂肪もウエストも基準を満たしているところが一番有病率は高いのですが、内臓脂肪面積だけが該当するもの、もしくはウエストだけが該当するものが真ん中の2本に立っています。

 基本的に男性、女性の両方を見まして、危険因子自体の有病率は2つの群で差がないということになりますので、実際にウエストだけでやりますと、左から3番目のところは現行では拾われないということが起こっているだろうということになります。

 続きまして、下の2.のデータは、私どもでやっております神戸のデータですけれども、治療中の人はまったく入っていない、かなりヘルシーな人の集団でございます。

 ここで見ますと、特に男性では、基準は上の病院のドックの受診者と同じ区分になっておりますけれども、左から3番目は危険因子を1個以上持っているものをオッズ比で示しております。いわゆる腹囲は基準に達していないのだけれども、内臓脂肪が100平方センチメートルを超えているところで、男性のところはかなり効率に危険因子を持っていることが示されております。

 1.と2.で使っている機器が違って、それぞれ臥位で測定、立位で測定という違いが若干あるのですが、下のほうは若干数が少ないので、女性ではばらついておりますけれども、基本的にはウエストだけで内臓脂肪面積をそのまま測れて

いるわけではないことを示唆されるのではないかというデータでございます。

 簡単ですけれども、以上です。

○永井座長 ありがとうございました。

 それでは、これまで発表いただいた事務局と構成員からのデータについて、何か御質問等がございましたら、御発言をお願いしたいと思います。

 寺本構成員。

○寺本構成員 先ほどの門脇構成員のお話の12ページで、情報提供レベルだから、ウエストは基準を満たさない人たちで、リスクが1つもしくは2つ以上というところで、確かにあそこはハザードリスクが上がっているのです。

 これは全循環器疾患ですね。主としてパーセンテージからすると、圧倒的に脳卒中が多いということになるのでしょうか。

○門脇構成員 脳卒中のほうが多いですけれども、圧倒的ではなくて、虚血性心疾患と脳卒中の比は1対2ぐらいではないかと思っています。詳細な資料に基づいて、もう一度御報告いたします。

○寺本構成員 もう一つ聞きたいのは、その中でリスクとして一番多いリスクは血圧なのですよね。

○門脇構成員 血圧です。

○寺本構成員 血圧ですよね。ですから、血圧が高いといずれにしろ、こういった循環器疾患のリスクが上がっていくと。そうすると、本来、こういう健診とは別個にやられている、いわゆる一般的な健診のデータがありますよね。

 要するに、血圧が高い方は循環器疾患が多いわけですけれども、そういったものとあわせたときに、整合性がかなり高いということですね。

○門脇構成員 そう思います。

○寺本構成員 わかりました。

○永井座長 岡村構成員。

○岡村構成員 今の12ページの図で、先ほど門脇先生もおっしゃいましたけれども、実際のハザードのリスクの相対的な大きさだけではなくて、患者さんの数が結構大事だということが言えます。

 これはもともとの制度自体が、こういう重症な病気に対する医療費をどうかしたいと考えていくことになると、ある程度発症者数が多いところを対象にしておかないと、その意味がなくなってくることになりますので、例えば、女性の積極的支援レベルを見ていただきますと、全体の発症者は数百人いるのですが、そこは30人しか発症者が出ていないことになりますので、ここをもって全体の医療費をどうかできるのかという疑念は当然出てきますので、ハザードの大きさも大事なのですが、どこからたくさん患者さんが出てくるかも、制度設計上は非常に大事な観点になるのかなと思いました。

○永井座長 藤内構成員。

○藤内構成員 22ページで、門脇構成員が言及されたように、腹囲を第一基準とせずに、瘠せているけれども、リスクを1〜2つ有する方をどうするかということが重要な論点だと思います。22ページの下の最後のパラグラフで、ウエスト周囲長の項目を必須とする診断基準が結果的には合理的な介入手段もあるし、特定保健指導の階層化の第一基準として、腹囲を残したままでいいのではないかと説明されたのですが、そういう理解でよろしいですか。

○門脇構成員 そのとおりです。

○藤内構成員 先ほどの12ページで議論されたように、今回のコホート研究でも、ウエスト周囲長を第一基準にしない場合には、男性で3割対象者がふえるということでしたが、それが現行どおりのままだと、特定保健指導の対象にはならないことになります。こうしたことから、むしろウエスト周囲長を第一基準としない方向で検討していってはどうかと感じるのですが・・。

○門脇構成員 15ページをごらんいただければと思います。結局、どういうリスクがある人を取り出すのかは、実際にはどういう介入をするのかということとリンクしなくてはいけないと思います。

 現行の腹部肥満を必須にする基準は、内臓脂肪蓄積に対する介入によって心血管イベントのリスクを減らそうとするもので、その妥当性は示されています。同時に、内臓脂肪蓄積以外の原因でリスクが重積した場合にも心血管病のリスクが高まることも分かりました。すなわち、腹部肥満のある群を抽出することの重要性が再確認されたと同時に、腹部肥満のないリスク重積者に対しては内臓脂肪蓄積に対する介入以外の介入をしなくてはいけない。その両方が大事だと申し上げているつもりです。

 ただ、腹部肥満がない者に対してどういう介入をするのかは、今後の検討課題になると思いますけれども、先ほど資料6で説明されましたように、ウエスト周囲長から見て腹部肥満がないと考えられる場合でも、内臓脂肪は100平方センチメートルを超えている場合もあるということです。

 例えば前回、GPTの中でも議論されましたけれども、ウエスト周囲長やBMIから見て内臓脂肪がないと考えられても、GPTなどが上がっている場合には、もしかしたら隠れ内臓脂肪などで、減量も問題になるかもわかりませんし、あるいはさまざまな栄養の偏りであるとか、塩分のとり過ぎであるとか、運動不足とか、さまざまな介入方法があると思います。

 今後、現在の特定健診・保健指導でも、先ほど申し上げましたように、いわゆる「痩せメタボ」そこに対する対応の必要性が言われているわけですが、一層の必要性があるのではないかということを改めて申し上げたいということです。

○津下構成員 まさにどういう介入のために誰を抽出するかという考え方で、もともとこの制度がスタートしたときには、内臓脂肪型肥満は減量することによって検査値等の改善が見込める、比較的介入可能性が高いということで導入された経緯があります。

 翻って、メタボ以外における介入ということで考えてみますと、基準値以内だけれども少し体重がふえてきた人は減量というのはあるかもしれませんし、たばことか過量飲酒とか、ある程度生活習慣介入が可能な方もあれば、加齢で筋肉量が減るとか、体質的なものもあるということで、多様な方が含まれてくると思います。さまざまな介入がうまくできる体制や、どういう人をターゲットにして何をするのかの議論をきちんとしておかないと、見つけた人をどうするのだろうということになってしまいます。介入効果がどのように期待できるか、そのような研究成果とあわせて腹部肥満以外の方々の対応を考える必要があるのかなと思います。

 あとは岡村先生の御発表にもありましたように、腹囲の現行の測定で限界があるとすれば、さらにそこを補完する検査等で対象者を広げるなどの方策について、議論の余地があるのかどうなのか。

 例えば、インピーダンスの方法もかなり簡便に広く実施されるようになりましたし、私どもの研究でも、生活習慣介入により腹囲は若干減っても、インピーダンス法の内臓脂肪面積が減っていない人は検査値が改善していないとか、意外と使い道もあるのではないかと思います。介入可能性も考慮に入れて対象者選定を考えるべきではないかと思っています。

○永井座長 肥満の是正は、もちろん保健師さんが介入しやすいという面がありますが、受診勧奨も介入ですね。ですから、保健指導をどうするか、あるいはどのように対象を選ぶかという話と、腹囲が基準を満たさなくても腹部肥満がないとは言えないという話を選ぶかです。

 視点が幾つかあり、なかなか難しい話なのですが、事務局から整理をしていただいた論点に沿って少し御議論いただきたいと思うのです。

 3つ論点を整理していただいています。

 最初は、腹囲を第一基準とすべきかという問題です。その他に、腹囲の基準を男性85センチ、女性90センチ以上とすべきか。さらに、非肥満のリスク保因者に対する対応の必要性をどう考えるか。

 この3点について、御議論いただきたいと思うのですが、先ほどの門脇先生が言われた腹囲長が基準を満たしていないという場合も、本当に腹部肥満がないとは必ずしも言えない。そこはよろしいですか。

○門脇構成員 これは目安ですので絶対的なことではありませんけれども、大きく言って腹囲が男性85センチ、女性90センチを超える場合には、内臓脂肪蓄積と診断されます。それ未満の場合には内臓脂肪蓄積を有する率が裾野を引きながら低下すると考えられます。

 永井先生、先ほど寺本先生から、虚血性心疾患で脳梗塞のお話がありました。手元の資料で確認をしましたが、ここにある資料で、男性の場合には、虚血性心疾患が398イベント、脳梗塞が668イベント。女性の場合には、虚血性心疾患が242イベント、脳梗塞が548イベントとなっています、全部合わせると大体1対2ぐらいという感じかと思います。

○永井座長 そういう意味で、インピーダンスはどのくらい信頼性があるのか、これを測定するのはどれくらい煩雑なのか、岡村先生、教えていただけますか。

○岡村構成員 これは今、薬事で通っているのが2機種しかございません。あえて研究班で違う機器を使ったりしてやっているのですけれども、腹囲をとるよりはかなり時間がかかります。ですから、将来的なものとか、選んでどうかするのは別ですけれども、これをすぐに導入しようということはなかなか厳しいのかなと。

 先ほど言ったドックでやるようなものであれば、費用負担等が任意のものになりますが、そういうものであればもちろん可能かなということです。

 インピーダンスは計算式等がそれぞれの企業のロジックでつくっていますので、結局内臓脂肪面積100平方センチメートルに合わせてつくっていることに恐らくなると思います。

○津下構成員 ドック学会のほうで、インピーダンスで測定した多施設の共同研究のデータがありまして、CTで測定した内臓脂肪面積との相関はかなりいいことがわかっています。腹囲を85センチ、90センチのほかに、現在でもCTで内臓脂肪面積を測定している場合にはこれを採用できるとなっていると思うのですけれども、インピ-ダンス法についてもそれを含めて判断するという方向も御検討されてもよいのかなとは思います。

○永井座長 はい。

○磯構成員 岡村委員から出された資料を見る限り、インピーダンスにしろウエスト周囲長にしろ、それぞれ長所と短所があって、どちらが優れているかはこのデータからは判断が難しいと思います。

 両方使用したらどの程度判断精度がよくなるかについても、今後検討が必要かと思います。

○永井座長 それと、門脇先生の12ページの資料をどう読むかなのです。確かに肥満をしている人はリスクが高いのですが、肥満していてもリスクがない人はリスクがないのですね。

○門脇構成員 そのとおりです。

○永井座長 結局、肥満していてもしていなくても、リスクの数にかなり依存していると読めるわけです。

○門脇構成員 全くそのとおりで、結局、肥満そのものというよりは、肥満に伴ってリスクファクターが起こってくることが効いていると考えられます。

○永井座長 それを考えて、どこに位置づけるかという話なのですね。

○津下構成員 あとは先ほど永井先生がおっしゃったように、治療につなげるという話に関連してですが、リスク1の中で、保健指導判定値レベルのリスク1と受診勧奨判定値レベルのリスク1が含まれている場合に、随分重みが変わってくるのではないかと思いますが、そのあたりは何かありましたでしょうか。

○門脇構成員 そこまで検討はまだしていない状況です。検討は可能だと思います。

○岡村構成員 今の津下先生のお話で、実際に要医療域が両方ともかぶっていますね。結局、動機づけ支援、積極的支援レベルでも、情報提供でも要医療域がかぶっていて、これはNIPPON DATAとかで前に検討したのですが、ほとんどの発症イベントは要医療領域から出ています。

 どちらにとっても、保健指導域の幅はそんなに、特に年齢構成が上がってくると、ほとんどの人が要医療域に入ってしまうので、かなりのイベントがそちらから出てくることになるので、本当は年齢をもっと分けて見るとか、どちらかと言うと母集団の数が幾らあってもイベントの数で制約されるので、かなりサンプル数を集めてもそこの検証は難しいかと思うのです。

○津下構成員 確かに今、先生がおっしゃったように、40歳の方の10年間と60歳の方の10年間は当然違うわけで、若年者にとっては10年間の発症リスクだけではないものが目的になってくるかと思うので、判断が難しいのかなと思います。

○門脇構成員 

 先ほど、津下先生の言われたことについて、そこまで検討していないと申し上げたのですが、26ページで情報提供レベルの中に受診勧奨者とあります。例えば40歳〜64歳のハザード比が4.5ちょっとなのです。動機づけ支援レベルは2.5ちょっとぐらいで、積極的支援レベルは4以上に行っているのです。

○藤内構成員 ということは、ウエスト周囲長が基準を超えていなくても、受診勧奨に相当するようなリスクであれば、受診勧奨の対象になるので、大丈夫ということになるのですね。つまり、本当に受診勧奨が必要な人はこういう形で、介入できるので大丈夫ということですね。階層化が現行通りでいいという理由がわかりました。

 

○門脇構成員 積極的支援のところは、受診勧奨は除いてあるという形になっています。

○永井先生 どうぞ。

○福田構成員 戻ってあれなのですが、やはりこれの位置づけを考えるときに、12ページの表はすごく重要かなと思います。これを見る限りは、海外でもあるようですけれども、腹囲をリスクファクターの一つの要素で、これも1個としてカウントしてほかと並べてというほうがいいのではないかと思ったりするのです。

 1個確認をさせていただきたいのですけれども、ハザード比を見ると、情報提供レベルの赤い四角の右側の一番下に3.54と女性のところにあって、リスクから言うと、このあたりが右側の動機づけと積極的支援の間ぐらいだと、何とかわかりやすい感じがあるのですが、ここだけどうして高いのかというのがあって、その下に括弧つきで書いてあるのが信頼区間なのかなと思うのですが、これを超えているように見えるので、3.54はもう少し小さかったりしないのでしょうか。そうすると、何となくしっくりくるものですから、もし御確認いただけると。

○門脇構成員 済みません。

○福田構成員 細かいことで済みません。

○寺本構成員 細かくないと思うのです。

○門脇構成員 確認いたします(検討会の後の確認により3.54は誤植で2.54が正しい数字と判明)。済みません。

○武見構成員 腹囲を基準とするのかしないのかについての意見ではないのですけれども、門脇先生が示してくださった15ページの図は、その後、津下先生が言った介入を考えると、とても大事な図だと思うのです。

 ですから、第一基準が何かは置いておいて、少なくとも腹部肥満があるタイプなのか、そうではないのかは、保健指導の質を上げていく上ですごく重要だと思うのです。

 というのは、現行では、どうしても肥満の解消あるいは腹部肥満、内臓脂肪を減らすことにすごく焦点が当たって、食生活指導などでもそこに目が行きがちな指導が多いように思うのです。

 実はそこよりも、もっと見なければいけないことがあるということで、例えば脂質異常をどうするかとか、高血圧をどうするかが切り分けられれば、もっと質が上がっていくと思いますので、そういう意味で15ページの切り分けをするということで、今回のデータ化はとても大事な点かなと思います。

○永井座長 どうぞ。

○岡村構成員 今までの議論を踏まえたときに、最初に腹囲を第一基準とし、その後に健診項目の数を数えるというのが今の考えで、逆に先に危険因子を言って、後で保健指導にどちらを向かわせるかを判断するときに腹囲を足し込むというほうが、何となく流れとしては、そうしろと言っているわけではないのですけれども、考え方としては、危険因子の数プラス腹囲を見て保健指導の方針を決めるというほうがすっきりしていると思うのです。○津下構成員 今の話で、昔はどうだったかと言うと、糖尿病教室とか脂質異常で、それぞれ縦割りでやってしまっていて、それぞれに痩せた人から太った人までいた。

 それがメタボの考え方で、上流側に内臓脂肪があって、そこから出てきたいろいろなリスクの人があるけれども、まずは減量が大事だというように、上流側という考え方が入ったことが一つ大きな違いです。

 例えば血糖値が高い人だけ集めました。その人たちの中に減量が必要な人とそうではない人がいろいろ入っていて、いろいろなプログラムを個別的に実施しなくてはならなくなると、効果が見えにくくなってしまう可能性があります。リスクのプールの中で個別化する前に、減量が必要な人を集めていくということが必要ではないかと考えます。血圧が異常な人でも腹囲が大きい人はそのうちに糖尿病などメタボ関連疾患がいずれ起こってきやすい人たちだという整理をしていく。保健指導をするときに、検査項目で縦割り個別の高血圧の人の教室とかにならないような、プログラムの考え方が崩れないということは、現場の動きやすさから言っても重要だろうと思います。

 ただし、右側にあるそれ以外の原因のリスクは、なぜそういうリスクがあるのかという原因究明が必要で、数%減量すればいいだけではない保健指導の技術や対象者のアセスメントがより必要になってくる。メタボの方はエネルギー収支が乱れているところから始めればいいので、割とプログラム化しやすい部分があったのですが、新たな部分についてもプログラム化とか、必要なアセスメントとプログラムの関係をつくって適切に体制を作ることが必要なのかなと思います。

○永井座長 ですから、それ以外の介入をどう組むかをよく考えないといけなくて、余り無理に保健師さんが引っ張り過ぎないことも大事だと思います。どこまで指導して、どこから医療に任せるかのプログラムをつくらないといけないですね。

 これは腹囲をどこに置くかにかかわらずやらないといけないことだろうと思います。

○門脇構成員 今、津下先生がおっしゃられたことは特定健診の根幹にかかわる非常に大事なところだと思うのです。

 以前は血糖値が高い、脂質異常がある、血圧が高い、それぞれについて別々なものとして個別対応していました。しばしば個別対応がうまくいかなくて、ともすれば早目に薬を処方するといったことが行われてきたと思います。

 その後、内臓脂肪蓄積が上流にあって、リスクファクターが重積する集団があって、ここは薬ではなくて、保健指導で内臓脂肪を減らすことによって、一網打尽に血糖、血圧、脂質を抑えて糖尿病の発症を抑制したり心血管イベントを抑制したりすることができるというのが今の特定健診のコンセプトで、そのコンセプトに基づく介入が心血管イベントの抑制に恐らく大きな役割を果たしているだろうというエビデンスをきょうは提供させていただいたと考えています。

 これは決して後戻りさせるべきではないと思うのです。もとの個別の対応に戻るのは、時代に逆行していることになると思います。同時に明らかになったのは、内臓脂肪によるリスクの重積以外に、まだ十分に原因が特定されていないものもあって、それについても無視してはいけないということです。

 それに対して、共通の原因がまだ見つかっていないわけですが、食事の面で気をつけることがないか、運動の面で気をつけることはないか、あるいは塩分の摂取で気をつけるべきことはないか。永井座長がおっしゃるように、対応の仕方はまだ一通りに決まりませんけれども、何らかの対応をしていかなくてはいけない集団として位置づける必要が明らかになってきました。これも内臓脂肪蓄積によるリスク重積の病態を明確化したからこそ、逆に「痩せメタボ」の存在も明らかになってきたのだと思います。

○永井座長 藤内構成員。

○藤内構成員 特定保健指導については、この後議論することになっています。先に健診の項目の議論をしているのですが、メタボをベースとするリスク以外の保健指導をどこまで入れるかという議論もこれからあると思います。その議論によっては、健診の項目についても、フィードバックが必要なのかなと思います。

○永井座長 寺本構成員。

○寺本構成員 今回のデータを見るとはっきりしているのは、結局、メタボリックシンドロームと定義されたものは、ある意味で言うと脳心血管病の一つのリスク、ワン・オブ・ゼムであって、そのほかのそうではないものに関しても血圧が高いとか糖尿があるとかはリスクになることを示してくれたことになるわけですよね。

 そういった意味で言うと、メタボを診断するための健診ではなくて、脳心血管病を予防するための健診なのだということをもう一回明確にしておいて、その中にメタボ型の非常に重要なものが入っているのだと分けると、そこでメタボに対する対策と、そうではない対策という分け方ができるのではないかと思うのです。

 そこを区分けしておかないと、メタボ健診と言ってしまうと、みんなメタボを診断するみたいな感じになってしまうので、そうではないのだということをもう一回確認しておいたらいいのではないか。

○永井座長 これは何度も議論になりますが、高齢者医療確保総合法の「内臓脂肪の蓄積に基づく生活習慣病」と書かれていることと関係があります。ただ、内臓脂肪といっても、腹囲に反映されない内臓脂肪による生活習慣はあるのだと考えれば、少し整理はしやすいかなと思います。腹囲が直後、内臓肥満では必ずしもない。

 そう考えると、分類の仕方あるいは基準のつくり方もいろいろあるように思います。

○寺本構成員 そういう意味で言うと、メタボリックシンドロームの診断自身が少し考え方を変えていかないといけない時期に来ているかもしれないのです。

 診断基準が2005年にできているわけで、その後、大分データもそろってきているわけですから、メタボリックシンドローム自身の診断をもう少し明確にすることを別の角度で、今回のデータはあれとは全く違いますけれども、そういったこともこれから検討する必要があるのではないかという気がいたします。

○永井座長 はい。

○津下構成員 その場合、介入可能性を考えることが大切と思います。3倍のリスクなのだけれども、どのように介入によって変えられるのか。一方で、家族性高脂血症のように生活習慣介入では難しい病態も、インスリン分泌能が低い方も見えて、生活習慣を頑張れと言っても難しい部分がありますから、そこは適切に医療につなげるなど、より精緻な保健指導が必要になってくると思います。

○永井座長 岡村構成員。

○岡村構成員 門脇先生の資料の15ページが非常にきれいに整理されていると思うのですけれども、先ほど藤内先生も言われたと思うのですが、これはまた保健指導等を考えていくときに、それ以外の介入方法をなるべく具体的に、どういう対象者でどういう方法でやると書かないと、漠然と「必要性があります」だけだと何も動かないので、どういう対象者で優先順位をつけて非肥満の介入をしていくかを示していく必要があるのかなと思いました。

○永井座長 磯構成員、どうぞ。

○磯構成員 今の岡村委員の御意見と関連して、これまでの多くの国内外介入研究があり、現在、宮本班で検討していますが、腹部肥満がない場合に高血圧、高血糖、HDLコレステロールの低値もしくは中性脂肪の高値という脂質異常に対して、どのような生活習慣の改善が有効かは、整理が必要と思います。

 具体的にはアルコール、ナトリウム。カリウム。カルシウム、魚。エネルギー摂取と運動など。これらをそれぞれのリスクファクターごとに整理して、どのように保健指導を展開したらよいかを明確化すれば、保健指導プログラムはできてくると思います。

○永井座長 どうぞ。

○津下構成員 ちょっと外れる話なのですけれども、治療中の人は特定保健指導の対象外で、特定健診のデータを分析すると、糖尿病、高血圧、脂質異常の薬を1剤以上飲んでいる方で男性の6割、女性の25%はメタボ基準を満たしています。

 こういう方々に対して、特定保健指導では減量指導はできないので、このあたりもリスク、循環器死亡を減らすという意味では、治療中の方の減量指導をどうするのかという課題は残っているとは思っております。

○永井座長 いずれにしても、非肥満のリスク保因者に対して対応が必要である。ここはよろしいですね。

 このグループに、どういう介入をどういうフローチャートで行うかという研究は、今まで保健指導関係者の間でなされたことはないのでしょうか。

 例えば血圧であれば、軽い高血圧でしたら、しばらく家で何回か測定してくださいという指導もあるわけです。3カ月たっても今と同じように高ければ医療機関を受診してくださいとか、いろいろ具体的なことを指導しないといけないと思います。

○津下構成員 よろしいですか。

 今、メタボではない非肥満の人で、生活習慣に介入しているという研究、モデル事業が進んでいますが、自己血圧の測定とか家庭血圧の測定とか、初回の減塩指導、あとは運動習慣、過量飲酒者の飲酒量を減らす。こういうことの有用性はありそうなのですが、介入頻度を上げればそれだけ効果が上がるかと言うとことまでは言いきれない状況です。初回面接でしっかり指導すると、非メタボの方だからかもしれませんが、それで効果が出る可能性もあって、どのぐらいの介入頻度が必要なのかもさらに検討が必要だろうと思います。

 今のところ感触なのですが、一回でも動機づけ支援型の指導をするのは有用性があるのではないかというように思います。

○永井座長 寺本構成員。

○寺本構成員 先ほどもお聞きしたのですけれども、12ページのウエストが正常というか、メタボの基準に達していない方々で、リスクが幾つかあるという方々で、かなりハザードリスクが上がってきているというわけですけれども、この中の危険因子、リスクとして順位づけです。それをつけないと、結局、例えば腹部肥満のない方でどういう介入をするかと言われても、最も多い介入は何であるべきかが出てこないのではないかと思うので、その辺がもう少しわかるとよろしいのではないか。

○永井座長 磯構成員。

○磯構成員 今回の資料に出ていませんが、門脇先生の班で検討しており、一番多いのは高血圧で、次いでは脂質異常、糖尿病です。

 我々も一般住民の4069歳男女の高血圧者を対象として無作為化比較試験を行い、保健指導により血圧値が低下することを証明していますが、肥満の有無別でサブ解析をしたところ、非肥満の人で血圧の低下に何が貢献したかと言うと、やはり塩分の摂取量の低下とアルコールの摂取量の低下です。この2つは強く血圧低下に貢献しています。

○津下構成員 門脇先生のデータで、女性の90センチを80センチに変えたらという話があったのですが、80センチは日本で言うと84センチと考えると、男女とも85センチとかにすると、どのぐらいふえるのかなというのは興味があるところなのです。

90センチを80センチまで下げるとかなり人数もふえるし、リスクが低い方々もふえるので、段階的にリスクがふえていくとすると、もう少し広げるとしたら85センチ以上を見ていくのも一つの方向かなと思って、先ほど伺いたかったのですが、いかがでしょうか。

○門脇構成員 絶対的リスクは、リスクファクターの合併の数や心血管イベントから見ると、男性85センチ、女性90センチとなりますので、内臓脂肪蓄積を基盤とした現行のコンセプトではそのようになると思います。

 もう一方、永井座長、岡村構成員からのデータにありますように、それ以下でも内臓脂肪蓄積の可能性がある場合に、さまざまな介入方法がありますけれども、女性の場合に、腹囲が90センチに達していなくて、GPTが上昇しているなど何らかの内臓脂肪蓄積の可能性を疑わせる検査値異常がある場合には、85センチから90センチまでの間に対してはそういった介入を行うことは、一般論としてはあり得るのかもしれません。

○永井座長 その場合に、対象者が増えすぎて、保健師さんが手一杯になる可能性がありますね。

○門脇構成員 そうなのです。

 先ほど示しましたけれども、80センチまでにすると、動機づけ支援者は約2倍に増えてしまうので、恐らく85センチまでですと、2倍には増えずに1.5倍とかそういうレベルではないかと思うので、そういった数が増えることを頭に置いて、現場でのイメージも含めて考えていく必要があるのではないかと思います。

○永井座長 いかがでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。

 あとは国際基準との関係ですね。日本基準で論文を書くと、なかなか論文が書きにくいのだという話があるのですけれども、この点についてはいかがでしょうか、門脇先生。

○門脇構成員 「国際基準」という名前はついていますが、私の意見では、国際的に十分に議論され合意された基準ではないので、何ともコメントしようがないところもあるのですが、「国際基準」で出されている腹囲の基準はBMI25に対応する値を示しているだけのものなので、残念ながら、実際の心血管病のハザード比や心血管リスクファクターとの関連については、エビデンスがありません。

 「国際基準」策定の経緯は、さて置くとしても、内容的にみて介入方法を共通の病態に基づく生活習慣介入・保健指導ではなく、個別のリスクファクターに対する薬物治療も含めた個別介入に後戻りさせてしまった。逆に、我が国で特定健診・特定保健指導などの仕組みをつくったのは、我が国の誇るべき到達点だと思っています。

○永井座長 ほかに御意見はございますか。

 津下構成員。

○津下構成員 もう一つ、腹囲が入ったことで、健診の前に腹囲を意識して、少し減量される方がふえてきたのではないかと思うのですけれども、内臓脂肪面積と言うと、どうしても検査の用語になってしまって、自分では実測できない。

 腹囲や体重のメリットとは、セルフモニタリング、自己管理ができる数字で、一般の方には非常にわかりやすく、健康管理の目安なのだというメッセージを与える上では非常に有用な検査法でもあるし、安いこともあります。より精緻な測定法はもちろんそれを補完するという意味では重要なのですが、まずはスクリーニングとしてしっかりと位置づけていくことは重要なメッセージではないかと感じています。

○永井座長 指導しやすいという意味では、腹囲は確かにそうです。大事なのはわかるのですが、結局、リスクファクターを反映しているということになると、第一基準であるとしてもいいのですが、ほかの要因も第一基準ではないか。そういう相対的な問題と思います。

 具体的には、腹囲の大きな方とそうではない方で指導を変えていく。腹囲は、これが社会的に肥満に対する関心を国家的に、国民的に呼び起こしたという意味では、非常にいい指標だと思うのです。

○門脇構成員 今の永井先生の論点に沿って、大事なポイントだと思うのですけれども、もう一度考えてみると、確かにきょう議論されたように、肥満があるなしにかかわらず、最終的な心血管イベントと関係しているのはリスクファクターの数なのです。

 内臓脂肪蓄積がある場合には、内臓脂肪があって血圧や脂質や血糖値が上がる場合には、津下先生のデータで出ていますが、内臓脂肪を減らすことによってリスクファクターが大きく改善することが分かっています。

 心血管リスクを減らすために内臓脂肪に着目して、内臓脂肪を減らすことで心血管リスクを減らすという病態の上流に対する介入が、心血管リスクに対する効果的・効率的な介入であることが、津下先生の非常に大きな特定健診・保健指導のデータベースでも証明されていると思うのです。

 そこは我が国が世界のどこにもないすばらしい成果を既に得ているので、これはこれとして堅持しつつ、これまで対応できていなかった部分に対しても対応していくというのが前向きな姿勢なのではないでしょうか。

○永井座長 恐らくここで議論すべきなのは、メタボリックシンドロームとは何かという学術的定義を議論することではないと思います。

 こういう項目があったときにはどうするかという振り分けをすることが、現実的な対応なのだろうと思います。余り診断基準に踏み込むと話が混乱しますし、むしろ学会でゆっくり時間をかけていただく話なのだろうと思うのです。

○磯構成員 もう一つの視点は、先ほどの門脇構成員がおっしゃったように、国際的な基準とどう整合性をとるかですが、欧米と日本では肥満の分布が圧倒的に異なり、例えばBMI25以上の肥満者は、欧米では7〜8割、日本は逆に、2〜3割であることに留意する必要があります。そのためもし、欧米でメタボリックシンドロームのスクリーニングをしたときに、日本のように第一基準に腹囲を持ってくると、ほとんどが肥満ですから、効率性の面から余り意味がない。

 日本の場合は肥満者が2〜3割ですから、そこで腹囲で振り分け宇をして、その後の介入につなげるのは意味があると思います。

 問題は、これまで議論されたように、腹囲にひっかからない人とのハイリスクをきちんと同じように指導のほうに持っていくことが重要かと思います。

○永井座長 なぜ今まで腹囲を第一基準に置いているかというと、肥満がない場合には、内臓脂肪に基づく生活習慣病ではないという整理に法律的にはなっていたからです。そこをもう少し柔軟に考えれば、今のままの肥満がある場合とない場合、すなわち肥満があってリスクがある場合と、肥満がなくてリスクがある場合に分ければ、現在その表はそのまま使えるように思うのです。

 法律の定義に医学、保健側が余りにも厳密に合わせているように思います。本日の議論から、法律の解釈は柔軟であってよいのではないかと思うのですが、そこは厚労省としてはいかがでしょうか。

○高山健康課長補佐 きょうの議論をいただきまして、さらに分析する点もあるかと思いますので、そういったところは整理させていただきまして、次回に御議論いただきたいと思っています。事務局的には、今の段階ではちょっと。

 また、法律の整理については、保険局とも相談させていただきたいと思います。

○永井座長 だんだん本質的なところに入ってきましたけれども、きょうの議論はここまでとして、どうもありがとうございました。

 きょうの議論は一旦預からせていただいて、事務局と相談の上、もう一度次回に御議論いただきたいと思います。先ほどの腹囲の基準値、男性は85センチ、女性は90センチ以上とすべきかどうか。この点も含めて、次回に御議論をいただこうと思います。

 今後のスケジュールについて、事務局から御説明ください。

○高山健康課長補佐 今後のスケジュールでございます。

 次回の検討会の日程につきましては、5月10日火曜日を予定しております。

 場所等が明らかになりましたら、追って正式に御連絡を申し上げます。

 以上でございます。

○永井座長 それでは、本日はこれで終了といたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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