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2016年3月29日 第4回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成28年3月29日(火)14時00分~15時30分(目途)


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 原田啓一郎
河野雅行 相原忠彦 高橋直人
池上秀樹 飯山幸雄 山崎岳
萩原正和 伊藤宣人 三橋裕之 田中威勢夫 田村公伸
<事務局>
唐澤保険局長 吉田審議官 宮嵜医療課長 三浦保険医療企画調査室長 他

○議題

柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題

○議事

14時00分 開会

○遠藤座長

 それでは、ただいまより「第4回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 まず初めに、委員の交代について御報告いたします。

 江口隆裕委員にかわりまして、新田秀樹委員。

 笠木映里委員にかわりまして、原田啓一郎委員。

 嘉数研二委員にかわりまして、河野雅行委員がそれぞれ専門委員として発令されております。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、新たに東京都後期高齢者医療広域連合保険課長の山崎岳委員が新たに専門委員として発令されております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、村岡委員、佐久間委員が御欠席です。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 まずは、柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題に関する資料が提出されておりますので、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。お手元に、右肩「柔-2」と振られております「柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題」という表題のついているものがございますので、御用意いただければと思います。こちらに基づきまして、御説明申し上げたいと思います。

 資料の御説明に入ります前に、ここに至るまでの経緯を少し補足いたしたいと思います。私どもこの療養費の制度に関しまして、保険者の皆様あるいは施術者の皆様より、現状の仕組みの中での課題を勉強させていただく機会を設けて、昨年1年間かけましていろいろと収集しておりました。そちらにつきまして整理し、それぞれの論点に関して資料をつけ加えたものが本日の資料という位置づけでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日の資料の1ページの下にございますけれども、1~9番までの構成となっております。1番で概要を説明した上で個別の論点という形でお話をしたいと思います。

 2ページより、しばらく柔道整復の施術に係る療養費の概要の資料をつけさせていただいております。こちらは皆様、御案内の方もおありかと思いますので、少しはしょりながら説明させていただければと思います。

 療養費につきましては、本来患者が費用の全額を一旦お支払いいただいた上で、保険者に対しまして請求を行い支給を受ける、いわゆる償還払いが原則とされております。しかしながら、柔道整復におきましては例外的な取り扱いといたしまして、昭和11年より受領委任形式という形で制度が一種現物化された給付ということで行われているというものでございます。

 支給の対象につきましては、点線囲いにありますとおり、急性または亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れ等ということで、骨折及び脱臼につきましては、下に小さい字で書いてございますけれども、柔道整復師法の規定に基づきまして医師の同意が必要だという形となっております。

 ただ、各保険者につきましては、私ども厚生労働省の保険局長の通知で支給基準を定めておりまして、それにのっとった形で支給額を決定していただくと。また、審査体制の充実のために、各都道府県ごとに審査委員会を設けているところでございます。

 受領委任の契約の当事者である地方厚生局、都道府県知事が指導監査をしているといったことでございます。

 参考までに従業者数などは、こちらに書いてあるとおりでございます。

 4ページが受領委任の仕組みで、ほぼいわゆる療養の給付と言われる医科、歯科、調剤などと同様の支払い方になっています。1つ点線で書いてございます2番の上のところに、骨折・脱臼の場合は医師の同意があるというのが1つ違うところですが、その他については現物化されているところでございます。

 5ページが、療養費の推移でございます。平成19年度からとっております。赤く枠囲いをしてございますのが柔道整復の療養費の推移でございまして、このような形で対前年比で伸びてきている。また、ここ平成24年、平成25年では減少に転じているといった状況でございます。

 御参考までに、国民医療費の伸びなどにつきましては一番上に書いてあるところでございます。

 6ページ以降は、これまでに私ども柔道整復療養費に関しまして講じてまいりました措置について整理したものでございます。契機ごとにまとめておりまして、6ページが平成2111月に行われました「行政刷新会議」の事業仕分けの結果に基づくもの。また、7ページが、会計検査院の平成21年の決算検査報告、平成2211月の対応ということでございます。

 それぞれ会計のタイミングで例えば、多部位請求の適正化や、その他の適正化、例えば、領収書の発行の義務づけ等々を講じてきているところでございますし、また、会計検査院の対応であれば、柔整の審査会の審査要領について少し重点化する項目といったものをお示ししている、このような措置を講じてきているところでございます。

 8ページは、昨年1124日の「平成28年度予算の編成等に関する建議」ということで、「財政制度等審議会」よりお示しいただいているものでございます。この中でも柔道整復療養費について特に言及がございまして、改めて柔道整復に係る給付のあり方の見直しを具体的に括弧の中で書いてございますが、こちらを取り組む必要があるといった指摘を受けているという現状でございます。

 9ページは、6ページ、7ページに書いてあるものと重複いたしますが、これまでの適正化に向けた主な取り組みということで、長期施術、多部位請求、患者による確認の強化、審査の強化、算定の明確化、その他ということで、各項目におきまして、ここ10年、20年くらいかけまして随時対策をとってきているところでございます。

10ページは、直接療養費の関係にはないのですが、柔道整復の養成の状況を整理したものでございます。上の箱をごらんいただきたいのですが、平成10年に柔道整復師養成施設の指定処分の取り消し訴訟というものがございまして、こちらで指定基準が満たされる以上は養成施設の指定を行わなければいけない、いわゆる規則行為だという司法判断をいただいておりまして、その結果として、柔道整復師の養成施設がその後、規則的に指定させていただいていると。その結果といたしまして、10ページにありますグラフのように養成施設、あるいは養成定員が伸びてきているのが見てとれるかと思います。

11ページは、それを受けまして就業柔道整復師数・施術所の数を示しております。こちらも養成数の増に伴いまして伸びてきていると。15年程度の間で約倍以上伸びていることが見てとれるかと思います。

 これに関しまして、また違う場でございますけれども、12ページにありますとおり、現在「柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会」を医政局において回しておりまして、その中で検討内容に書いてございますけれども、総単位数の引き上げですとか、最低履修時間の数、あるいは臨床実習のあり方などについて議論を行い、質の管理についての取り組みに進んでいるという御報告です。

13ページ以降は、課題と論点という形で整理しております。まず、支給基準についてでございます。

14ページをごらんください。支給基準は、先ほど私ども局長通達あるいは通知の中で療養費の算定基準をお示ししていると申し上げました。ただ、その一方で、14ページの参考にございますけれども、照会を数多くいただいているということがございます。例えば、近接部位によるもの、どの部位が近接部位なのか、あるいは算定ができないのかといったようなこと。また、往療の基準はどのようになっているのか、往療の同一建物の定義はあるのかといったようなことについて、少しきめ細やかなお示しをしていないのではないかといったようなことをお尋ねとして、よくちょうだいしているところです。

15ページです。亜急性及び外傷性の定義ということで、この場でもかつて御議論があったかと記憶しておりますけれども、亜急性及び外傷性の定義については、政府の質問主意書という形で国会議員の堀利和先生からちょうだいした質問に対して、亜急性とはということで15ページの下「身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すものであり」云々という形でお示ししているものでございます。

 これらを踏まえまして16ページにお進みいただければと思います。今後こんな形で論点というペーパーが何回か出てまいります。「現状と背景」というのは冒頭申し上げましたとおり、保険者あるいは施術者の方から御教示いただいた論点あるいは意見が書いてございます。そこに至るまでの背景などが書いてございます。「保険者・施術者の意見」に具体化された意見を書いてございまして、それを踏まえた「論点」ということで、私どもが今回提示しているというつくりになっておりますので、お含みいただければと思います。

 「現状と背景」をごらんいただければと思いますが、1番目でございますけれども、留意事項の通知、あるいは質疑解釈という形で支給対象についてお示ししているものの、明確化を図るべきではないかといったような御意見をいただいております。また、留意事項通知云々では亜急性についてお示ししていると。

 これを踏まえて、保険者・施術者の皆様からは支給基準について、できる限り具体的な事例に即して支給の是非を明確化するための措置が必要ではないか。あるいは、概念が明確でないとされる亜急性の解釈について、質問主意書の答弁を整理し、明確に提示してはどうかといったことをいただいております。

 これを踏まえて、私ども適正な請求について、柔整審査会における事例で解釈が曖昧だと指摘される事例を整理してはどうか。あるいは、審査に関する課題と重なる部分がございますが、審査に関する点とあわせた議論というのが必要ではないかという形で整理しているものでございます。

17ページ以降は、審査に関する課題と論点でございます。

 審査につきましては「柔整審査会」というものを設けております。こちらは全国保険協会都道府県支部、国民健康保険団体連合会にそれぞれ設けられているものでございます。18ページに通知、要綱を示してございますけれども、平成11年よりこのような組織が設けられておりまして、審査は全国保険協会都道府県支部長、都道府県民政主管部(局)長、または都道府県国民健康保険団体連合会理事長等が別に定める柔整審査会審査要領に基づき申請書の審査を行うという形でお示ししていると。

 組織につきましては、「2.組織」の()に委員の構成と書いてございますけれども、施術担当者を代表とする者、保険者を代表する者及び学識経験者の委員は、原則としてそれぞれ同数とするという形でお願いしております。

19ページは審査の要領、先ほどの6の()で申し上げたところですけれども、このようなものに従って、審査の要領をおつくりいただければということでお示ししている参考例でございます。1~10までございまして、7、8、9は先ほど審査の重点化と申し上げましたが、平成24年3月以降に追加されているものということで、アンダーラインを付しているものです。

20ページ以降は、柔整審査会の現状を見ております。設置状況といたしましては、協会けんぽあるいは都道府県の国民健康保険団体連合会それぞれ47カ所に設置されております。

 一方、4つ目の○をごらんいただきたいのですが、保険者に対する審査結果としてはこのような処理をしているということで書いてございます。1つ目は、請求額の減額または不支給等の措置が必要な場合は、その理由を附箋等に記載して申請書に貼付する形で保険者にお返ししていると。2つ目は、保険者等が患者に対する調査を行った上で療養費の支給の適否を判断すべきものがある場合は、その理由を附箋等に記載して支給申請書に貼付していると。3つ目は、保険者等が柔道整復師に対する質問を行った上で、療養費の支給の適否を行う判断すべきではないかと考えるものにつきましても、その理由を付して支給申請書に貼付して保険者にお返ししているというのが柔整審査会で行っている審査の内容となっております。

21ページは、審査会が行っております業務につきましてフローチャート的にお示ししているものでございますので、御参考にしていただければと思います。

22ページは、保険者と柔整審査会の調査権限について整理を試みたものでございます。表頭で患者調査あるいは施術所に対する調査、それを保険者、柔整審査会がそれぞれどのような権限を持っているかという形でお示ししております。

 患者調査に関しましては、保険者が権限を有していて、柔整審査会は権限を有していない。施術所調査に関しましては、保険者に関しては返戻することですとか、あるいは保険者等から照会を受けた場合には、的確に回答しなければいけないといったような形で、請求者に対する義務を課しているといったような関係になっております。

 それに対しまして、柔整審査会におきましては、直接の報告聴取などの規定はございませんで、△のところ、健保協会支部長または国保連合会はということで報告聴取をすることができるとか、柔整審査会は審査に当たり必要と認める場合には、健保協会支部長等に対して柔整師から報告等を徴するように申し出ることができるというのが現状の調査に関して付与された権限ということでございます。

23ページ以降に実態を少し見ております。23ページは委員構成でございまして、三者同数であるかどうかについて健保協会と国保について聞いているものでございまして、三者同数ではないというものが健保協会の場合は過半を占めており、国民健康保険の場合には5050になっていると。

24ページは、先ほどの要領を都道府県ごとに定めてという部分につきましては、「ある」とお答えいただいたものが半分弱になっているといった実態になっております。

25ページは、現在、柔道整復審査会のあり方について問題はどのようなことがあるか、あるいは改善が必要なことはどんなことがありますかと聞いたものです。ごらんいただければと思いますが、公的審査会のあり方については権限の強化ということを言われておりますし、支給基準については曖昧だという指摘をいただいているということ。

 それから、支給申請につきましては、電子化できないかといった御提案。

 指導監査については、柔整審査会から厚生局に対して直接施術所・柔道整復師の調査依頼ができるような権限を付してほしいといったような御提案をちょうだいしているというものでございます。

26ページですが、これらを踏まえた課題と論点ということで整理しております。現状と背景あるいは意見をごらんいただければと思いますが、重なる部分があるので省略したいと思います。それを踏まえまして、どのような請求が適正か、あるいは不適正かといったことについて、少し個別事例を整備してお示しすることで実際の審査に資することができないかということ。

 また、2つ目ですけれども、公的審査会の審査のさらに重点化を図るということ、あるいは不適正な請求について選別して、厳しく対処していくといったようなことなど、効果的な審査を行うための作業が必要ではないかと考えております。また、この取り扱いを全国の公的審査会に徹底することによりまして、全国統一的な審査を行うことに資することを考えたいということで、論点としてお示ししているところでございます。

27ページ以降は、長期・頻回・多部位対策ということで論点を少しお示ししております。

28ページは、患者の年齢別分布ということで御参照いただければと思います。

29ページは、患者の疾病別の割合ということで、平成13年と平成26年、13年ほど置いたものです。13年というのは私どもの手元にある調査の中で一番古いものですけれども、それと比べますと、骨折あるいは不全骨折、脱臼のシェアはほぼ0.1パーセントといったようなシェアになっていて、あとは打撲・捻挫が大層を占めているということがパイチャートで見てとれるかと思います。

30ページにお進みいただければと思いますが、一月当たりの回数別の割合を示しております。平成13年と平成26年を比べますと、平均の回数が6.34から5.39に下がっております。それぞれの分布はパイチャートをごらんいただければと思います。

31ページが、平成2610月のレセプトを抽出いたしまして、その中で初検月からの経過月数をお示ししているものでございます。ごらんいただきますと、初検月からの経過月数が3カ月以内の支給割合が全体の9割となっておりまして、3カ月を超過する場合には長期施術継続理由書が必要だということも少し影響しているのかと思います。これはうがち過ぎかもしれませんが、そのように考えられるのではないかと。

 その中でも、いわゆる超長期というか非常に長いという目で見ますと、5カ月、6カ月の割合は2%あるいは2.7%となっておりますし、それぞれの月ごとの施術回数は下の表にあるとおりでございまして、6カ月以降で見ますと、2%程度の中でその17%程度が13回以上といった分布になっていることが調査の結果明らかとなっているところでございます。

32ページが部位数制限による部位数の比較と書いてございますが、平成21年、平成22年、平成26年にそれぞれの請求書の中で部位数がどのように推移してきているかを見たものでございます。平成21年、平成22年は余り大きな変化はございませんが、平成22年から平成26年にかけまして2部位というのが非常に大きくふえてきているのが見てとれるかと思います。

33ページが、転帰が治癒となった支給申請書について何カ月ぐらいかかって治癒したかを見たものですが、3カ月目までが大層を占めていて、3カ月が全体の3分の1を占めているということが見てとれるかと思います。

34ページをごらんいただければと思います。こちらはいわゆる部位転がしと言われるものについて、少し考察を試みたものです。先ほどお示ししましたとおり、長期施術あるいは長期・頻回・多部位といったキーワードをもとに対策を講じてきたところでございます。緑の箱でくくったところでございますが、こちらのような策を逃れるためと書いてございますけれども、同じ患者について負傷と治癒を繰り返すような方策が現場でとられているのではないかということが書いてございます。

 例えば、負傷部位数が非常に少なくて、それから、短期間のうちで負傷と治癒を繰り返す、あるいは結果として同一施術所における同一患者の受療期間が非常に長くなっているといったような実態があるのではないかという御指摘をいただいているところでございます。

 これらを踏まえまして、長期・頻回・多部位対策ということで論点としては2つ挙げさせていただいております。長期・頻回・多部位対策を今後どう考えいくのかということ、あるいは問題ある請求事例としては、長期・頻回・多部位からいわゆる部位転がしにシフトしてきたのではないかといった指摘があることを踏まえまして、この対策が必要ではないかとしております。

36ページ以降、施術管理者でございます。

37ページに施術管理者の概要を書いてございますけれども、施術管理者というのは保険制度上に設けられた仕組みでございまして、施術所に勤務する柔道整復師が行う施術も含めて、当該施術所における受領委任の取り扱い全般を管理する者として置いてくださいということで設けられた制度でございます。この仕組みですけれども、現在特段の管理者としての要件というのは上乗せ的に設けているものはございませんで、資格があればよいということになってございます。また、1回指定すれば終わりだということになっております。

38ページが施術者の要件として書いているものでございますので、御参考までにごらんいただければと思います。

39ページ、管理者制度として見ているものでございます。それぞれ病院・診療所、保険薬局などについての管理する者について特段の要件を設けているかという観点で特に見たものです。下に参考までにということで、平成28年度の診療報酬改定におきましてかかりつけ薬剤師という議論をしておりました。その中で、かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能の評価、いわゆる施設基準の中で、基準調剤加算の施設基準でございますけれども、例えば薬局の勤務年数が5年以上とか、あるいは一定以上の勤務が継続していること、あるいはここに書いてございませんが、研修などを義務づけているといったような実態もございます。

40ページは御参考までということで、卒後臨床研修という試みが今、医政局の枠組みの中で行われているという御紹介でございます。なお、下の表の字が少し小さいのでございますけれども、卒業生全体の中で8%ぐらいの方が受けていらっしゃるというものですけれども、1年間の臨床研修、実習とスクリーニング、研修講座の受講といったものをお願いしているものでございます。

 これらを踏まえて論点として3点ほど挙げてございます。施術者管理者について講習受講や実務経験を求めることについてどのように考えるのか。また、仮にこのようなことを義務化した場合、その影響をどのように考えるのか。あるいは、施術管理者の更新制を導入することについてどのように考えるか。また、その更新制に係る体制、受理をしたり管理したりといったものについて、どのように考えるかということを挙げております。

42ページをごらんいただければと思います。こちらから指導監査に関する課題と論点として挙げております。

43ページ、44ページは、それぞれ集団指導と個別指導ということで現状の整理をしたものでございます。集団指導が初任者と申しましょうか、最初に施術所を開設した場合に行っているものでございます。個別指導というのは必要に応じてやっているというものでございます。

45ページが、それをフローチャート化したものでございます。

46ページにお進みいただければと思います。このような指導などは行っておりますけれども、実際に残念ながら中止、いわゆる保険医療機関では取り消しという内容に符合するものですけれども、このようになった場合の人数を書いたものがこちらの表でございます。これは経験年数別に書いてございますけれども、経験年数別に見ても若い人が特に多いというわけではないようでありまして、5~10年が一番多くなっているというところで、定期的な指導が必要ではないかというあたりがうかがえるような資料となっております。

47ページは、中止事例に係る協定・契約についてですが、協定というのは団体協定、いわゆる公益・社団に加入していらっしゃる方の場合ですし、それ以外は個人契約となっておりますけれども、それぞれの請求割合と中止施術者の割合は、このような形になっているというものでございます。

 これを踏まえまして48ページですが、指導監査の強化をどのように実現していくか。具体的には例えば、重点的に指導監査を実施すべき施術所の選定方法を見直すなど実効性を持たせる工夫が必要ではないかという整理をいたしております。

50ページをごらんいただければと思います。請求に関してということで、先ほどアンケートの結果でも御紹介いたしましたけれども、電子請求について、あるいは支給申請書の様式を一応私どもで決めてはいるのですけれども、現場で少し違う様式を用いている事例があるやに聞いております。これらを踏まえまして論点としては、措置がないものですから、まずは電子請求に向けたモデル事業という形で導入を検討してはどうか。あるいは支給申請書様式の中で、一部受取代理人欄が統一されていない、これは具体的にいただいておりますけれども、そのようなばらつきについて統一を徹底すべきではないかといったことを論点としてお示ししております。

52ページ、53ページは、個別にそれぞれの保険者さん、あるいは施術者さんからちょうだいしている論点として4点ほど挙げてございます。真ん中の「保険者・施術者の意見」をごらんいただきたいのですが、マル1初検時相談支援料のあり方について見直しが必要ではないか。これは初検のときに相談を行った場合に、あわせて算定できる相談支援料が平成20年より設けられているところですが、52ページのパイチャートをごらんいただければと思いますが、93%が併算定をしているという実態がある中で見直しが必要ではないかといった御指摘。

 マル2柔道整復とあはきの併給の実態についての検証が必要ではないか。

 マル3往療料のあり方について見直しが必要ではないか。

 マル4骨折・脱臼に関する医師の同意書の添付について見直しが必要ではないかといったことをいただいております。

 それぞれ論点として記載させていただいているところでございます。

55ページまでお進みいただければと思います。昨年来、世間を騒がせております療養費の詐取事件というものがございました。こちらにつきまして、私どもも十分な監査等ができているわけではない状況ではありますが、報道内容などにつきまして整理して、このような問題があったのではないか、あるいはこのような対策が必要ではないかという形で整理したものです。

 事件の概要を少しおさらいさせていただきますと、昨年11月、柔道整復師の診療報酬に当たる療養費を不正受給したとして、警視庁組織犯罪対策4課は暴力団組長の男や接骨院などを運営する会社役員の男ら十数人について詐欺容疑で逮捕したということで、捜査関係者によると、組長らは都内のコンサルタント会社役員の男らと共謀して、架空の施術記録を作成し、都内の自治体など健康保険事業を運営する保険者100機関以上に架空請求をして、約1億2,000万円をだまし取った疑いがあるということでございます。この資金につきましては、暴力団の資金源になっていたのではないかということで解明を進めているという報道の内容でございました。

 その中で、事件の特徴といたしましては4つ挙げさせていただいております。患者ぐるみであったこと、国民健康保険が狙われていたこと、負傷部位を数カ月おきに変更して不正請求を繰り返す、先ほど申し上げました、いわゆる部位転がしが手法として使われていたということ。それから、少額請求、いわゆる医科で申し上げる高点数のような狙われがちのものではなくて、少額請求という形で繰り返していたということが挙げられております。

 それらを受けまして、論点として4点挙げさせていただいております。まず、1点目は、架空請求の防止ということで、受療事実を確認できる仕組みが必要ではないか。2点目が、保険者における審査を実効あるものにするための仕組みを強力に進める必要がある。3点目、いわゆる部位転がし対策、先ほど申し上げたとおりです。4点目、少額請求についても確認できる仕組みの徹底を考えなければいけないということを考えているところでございます。

 説明は以上となります。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、今説明のあった内容について、御意見・御質問をいただきたいと思いますけれども、資料の1ページをごらんになっていただきますと、項目が1~9までございまして、非常に多岐にわたっているものですから、2つに分けて御議論いただきたいと思います。まず、1番は実態でございますので飛ばしまして、もちろん御意見があれば言っていただいて構いませんけれども、2番、3番、4番、9番について、まず御意見をいただきたいと思います。時間的余裕があれば残りをやっていくという段取りでさせていただきたいと思います。

 御発言される方は、どの項目について御発言されているのかがわかるように冒頭にお示しいただければと思います。いかがでしょうか。三橋委員お願いいたします。

○三橋委員

 9番に関しまして、今、事務局から御説明がありました。昨年末に起こりました反社会勢力による接骨院、歯科、医科を巻き込んだ不正受給事件につきましては、起こるべくして起きた最悪の事態ととらえておりますことはもちろんです。四半世紀以上もの長きにわたりまして、数々の問題点が柔整療養費で挙げられ、改善の必要が叫ばれる中で規制緩和の名のもと、国も我々柔道整復師業界も社会も含めて協議・検討、また修正も変更もなかなか加えてこられなかったという対応そのものであったのではないかと考えております。国家資格を持った者の資質を管理し、その環境を健全に維持可能にするための仕組みづくりを絶えず監視する必要があり、振り込め詐欺同様巧妙に忍び寄る、先ほども部位転がし等の問題がありましたけれども、巧妙にそれをくぐり抜けるような悪意ある者に国家資格者の倫理観が破壊されてしまうことのないような環境を早急に、この専門委員会の先生方のお力をかりて構築に向けて議論をしていただきたいと思っているところでございます。

 また、真っ当な正しい業務を行い、正しく請求している多くの施術者を守り、一部の黒の施術者を含めた悪意ある者を排除して、また新たに施術管理者となる柔道整復師にも揺るぎない倫理観を持たせるべく、本日御出席の委員の先生方に、ぜひ再構築に向けた議論をお願い申し上げる次第でございます。

 以上でございます。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。大変前向きな御意見がございました。

 それでは、池上委員お願いします。

○池上委員

 まず、この専門委員会が設立された当初の趣旨に沿った議論が開始されるということで事務局に御礼を申し上げたいと思います。

 次に、個々の意見を申し上げる前に確認をさせていただきたいことがあるのですけれども、事前に事務局から資料の概要の御説明はいただいているところですが、今お聞きしたように論点が非常に多く記載されておりまして、それぞれの項目について保険者側、施術者側で議論をこの場で深めるとすると、相当時間的にも無理があるのかなと思っておりまして、事務局からきょうは論点の紹介で、ほかに抜けている論点がないかとか、この論点の記述に間違いはないかという確認を中心に、個別の論点に関する議論は今後の専門委員会でとお聞きしていたのですけれども、先ほどの座長の進行と事務局のスタンスに差があるように思うのですが、きょうの限られた時間の中で意見を言うべき領域で、事務局からどういった範囲の意見を主に求められるのかをもう一度言っていただけるとありがたいと思います。個別の項目の保険者側、施術者側の深い論点に、きょうこの場で入っていいのかどうかです。

○遠藤座長

 事務局と池上委員とのやりとりについては私は存じ上げなかったのですけれども、事務局にお答えいただければと思います。

○保険医療企画調査室長

 このような会は、遠方よりおいでの方もたくさんいらっしゃいますので、できるだけ限られた時間の中で有意義な議論をお願いできればと思っております。その中で、例えば足らざる論点があるのであれば御提示いただければと思いますし、この中で今日お示ししている論点について深めていくことについては、本日の限られた時間の中でできるだけお願いできればと考えております。

○池上委員

 続いて、今申し上げたような事前のお話だったので、私は個別項目のことよりもこういった議論をしていく上で、大前提としてお願いしておきたいことを2点ほど申し上げておきたいと思います。

 まず、先ほど資料にもありましたけれども、昨年11月の暴力団の絡んだこういった事件の発生、それから、お読みになった方がいらっしゃるかどうかあれですけれども、ことし3月16日の日経新聞の夕刊の記事で、保険者の任意団体が千代田区の施術所を網羅的にホームページなり広告を調査させていただいて、極めて不適切な広告の実態があるという報告は厚生労働省にも御説明に上がっているはずでございますけれども、そういった実態が一方であるということ。

 それから、社団の方にはちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、それこそ昔は8割を超える組織率だった社団さんが、今は組織率としては4割前後といった状態の中で、いわゆる個人契約の柔道整復師さんが圧倒的に多くなっているという実態。それから、もっと言えば医療費全体の話ですけれども、今や日本の医療費は40兆円を超えるという中で、骨太の方針を受けた改革工程表、中医協の場等でも要するに公的保険で賄う範囲がいかにあるべきかという議論が非常に高まっていると。こういったいろいろな状況を考えたときに、この柔整の問題について先ほどの資料にもありましたけれども、スタートは昭和11年、整形外科医が非常に不足しているといった状況の中で、補完的な位置づけで受領委任払いという支払いの方式も含めてこういった形がとられて、80年の時を経ているわけですけれども、先ほど申し上げたような不正領域の話もありますし、柔整さんに公的保険として求められる範囲に本当に変化はないのかとか原点の議論といったものをまずやっていただいて、その辺のベースがしっかりしないと個々の論点の的確な議論にはつながっていかないのかなと思っています。

 ただ、口で言うのは簡単ですけれども、今のような議論になると多分、施術者側と我々のほうで最もかみ合わない領域に入っていくのかなと。この専門委員会でその辺の議論がもし無理だということであれば、上の医療保険部会で大枠の議論をまずしていただくということも一つのやり方としてあるかもしれませんし、まず、今後の10年、20年先の日本の医療費の実態も踏まえた中で、柔整の問題を公的保険の中でどうとらえていくか、その原点をぜひ一度議論させていただきたいというのが1つの意見です。

 もう一つは、少しきょうの論点にもかかわってくると思いますけれども、こういったいろいろな取り扱い、厚生労働省からQ&Aという形でいろいろなものが出ていますけれども、そういった中に曖昧さを極限まで減らしていただくと、そういう基本的な発想で今後の議論や見直しを進めてほしいなと思っております。当事者というか、かかわる者として、施術者の方、保険者、患者、最低この三者がいるわけですけれども、その三者が同じような理解ができるルールを常に目指すという姿勢で議論をしていかないといけないのかなと。

 一例を申し上げますと、きょうの資料にも出ておりますけれども、15ページの亜急性の概念。例えば、これも先ほどの文章にありますけれども、普通の人は急性、亜急性と言えばそこに時間的経過のイメージ、急性というのは起きたばかり、少したったものを亜急性と理解をしがちであるし、多分、医療分野においてはそういった理解がなされているのだろうと思いますけれども、柔整についてはそうではなくて、損傷の状態が急性の状態に似ているというか近い、そういったものを期間にかかわらず亜急性ととらえるんだというのが先ほどの国会答弁の趣旨になっているわけです。きょうの論点でもその趣旨を踏まえて整理する、そこの概念そのものは変える余地がないような表現になっておりますけれども、そうではなくて、例えば、こういう概念だと患者さん自身が判断ができないですよね。お医者さんでもないわけですから。自分の傷を見て、これが急性の外傷の傷と同じなのかどうか。それは逆に何を表すかというと、施術所に行って診ていただいた結果で保険適用になるかならないかということにまでつながってくるわけで、非常に曖昧な概念のものというのはできるだけ取り払っていくことを考えるべきではないかと思っています。

 大きくは今申し上げた、これからの議論のベースをどういう視点でやっていくのかということと、今一例を申し上げた曖昧さをできるだけなくしていくという形でいろいろなところで議論をこれから深めたいなと思っております。その辺について、もし聞けるようであれば事務局の見解がいただければありがたいなと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ただいま主に2つのことをおっしゃられたわけですけれども、事務局からコメントがあればということですので、事務局お願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 どうもありがとうございます。2つほどいただいたと理解しております。給付範囲の話をどう議論していくかというお話、それから、できるだけ曖昧を減らす方向で議論をしたいというお話。

 まず、2つ目で申し上げますと、私どもは本日お示ししておりますとおり、できるだけこれまで曖昧だという形で御紹介をいただいていることについては整理を図りまして、そのような曖昧さについては、できるだけ少なくしていきたいと思っております。

 また、その結果として、最初にお尋ねがありました給付範囲なども結局曖昧になっているがゆえに、給付範囲自体も膨らんでしまっているといったようなことがあるのだとすれば、おのずと給付範囲の議論と各論を積み重ねることによって総論ができ上がるのかなと私は今、聞いた限りでは思いましたけれども、もしも理解が至っていなければ、また御指摘いただければと思います。

○遠藤座長

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 私だけ長くなるとあれなので。私が今申し上げた最初の案件が、各論を積み上げて総論にいくというのは、私の中ではちょっと理解しがたいかなと思っています。そういうレベルのものではないのかなと。もっと原点としてどうかということを先に議論すべきという気持は変わりません。それが1つ。

 先ほどちょっと言い漏らしたのですけれども、私が申し上げた2つの案件、特に医療部会の意見といいますか、お医者さんの方々のこういう領域に関する意見をうのみにするつもりはありませんけれども、施術者と保険者だけの議論では正しい道筋というか、難しい面もあるのかなと思っていまして、そこはやはり、しかるべき公平な医療分野の方々の意見もぜひ参考にして議論を進めていくといった視点も、できればお願いをしたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。今後の進め方についてのお考えをおっしゃったわけでございます。今のお話に関連してでも結構ですし、あるいは個別の議論ついての御意見でも結構でございますけれども、いかがでしょうか。

○萩原委員

 今の池上委員の御意見は同感するところが多々ございます。年数もたっているということも踏まえて、時代に沿わない点も多々出てきていることも現状を踏まえてのお話でございますので、感謝申し上げたいと思っています。

 実は、今関連する部分的な問題でいくと、2番目の支給基準に関する課題と論点についても、具体的な内容を今総括でお話しされたものと思っていますので、その中で例えば支給基準につきましても、公的審査委員会の中でも疑義附箋をつける判断、また各都道府県におきましても公的審査委員会がございますが、その中でも各地域によって判断が変わるというのも現状にございますので、その辺もぜひ統一した形で判断していきたいと。それが公平な支給基準ではなかろうかと思っているところがございます。長い間いろいろと各地域において返戻、また返戻という形でキャッチボールを随分しているところもございますけれども、そういうものをなくすためにも、ぜひ統一した見解ということで、14ページにも照会の例という形で少し載っていますが、できることならばこの委員会メンバーの中からでもいいし、その関係者でもいいのですが作業部会を立ち上げまして、返戻事例をたくさん集めて、それに対する見解を示していくという方向で、それはどのくらいの期間かわかりませんが、一つ一つ解釈することによって統一されていくのではなかろうかと思っております。1年やそこらでは無理かと思いますが、自分の考えでは2年ぐらいを目安に、1つの見解から1つのものをつくり上げていくことによって、最終的には支給基準ができ上がるだろうし、保険者様からも言われているように、最終的には電子請求化に向けても統一される、より支払いもしやすくなるのではなかろうかと思っておりますので、ぜひ作業チーム的なものを立ち上げて検討していただければありがたいと思っております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 関連でも結構でございますし、違う視点でも結構でございますが、いかがでしょうか。

伊藤委員どうぞ。

○伊藤委員

 先ほどのお話の中にも出ましたけれども、曖昧な点を少しでも少なくするという観点から、公的審査委員会の中の現場では、権限がないためになかなか適正化につながっていないという中で効果的に行うためにも、各審査会で起こった問題を47都道府県で共有して、その曖昧な部分を詰めていくことによって適正化につながるのではないかと思います。

 そして、公的審査委員会に一定の権限がなければ不適正なもの、施術者の調査権限、患者調査権限、施術者を審査会に呼んで聞く、それから、医科と同じく査定の権限も現状としてはないと。やはりこの権限を与えなければ、なかなか適正化につながらないという現状があります。

 あと、審査会の方式が3つ4つあるわけですけれども、47都道府県が同一の審査方式でやられていない。これも統一することによって一定の結果が出るのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 亜急性の議論については、さまざま今までもされてきていると思います。我々も公的審査会の中で見ていて問題になるのは、原因がないものについてまで亜急性の原因だと言ってくるものが、恐らくいろいろ問題になって波及しているのではないかと思っているのですけれども、いわゆる支給対象としての亜急性は何かといえば、亜急性でも原因があることは前提であって、原因がないものを亜急性という形で出してくるというのは本末転倒であって、亜急性であっても、急性であってもしっかりと原因があるものが我々の対象の範囲だと理解しているところでございます。これを周知徹底する必要があるのかなと思っているところでございます。

 以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。飯山委員お願いいたします。

○飯山委員

 私も以前、国保連合会におりまして審査委員会を所管していたわけですけれども、そこで先ほどから議論になっておりますように、曖昧な部分が残っているということで非常に審査がしづらい、審査委員の先生方も非常に苦労されているということがございますので、今、議論になっています曖昧さというのは極力取り除いていただいて、保険者側も施術者側も納得できる形できちんとした基準を示していく。そうすることによって、先ほどから議論になっておりますように、全国でのばらつきもなくなっていく、収れんしていくということも考えられますので、そこの議論は時間がかかってもぜひお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。田中委員どうぞ。

○田中委員

 先ほど池上委員からありましたけれども、今の曖昧な部分というのは、柔道整復師法の業務の制限と今の受領委任払い制度、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷という傷病名に限られていますけれども、余りにもそこの格差が大き過ぎて、柔道整復師法の中では業務の制限というのが外科手術をしてはいけない、薬品の投与をしてはいけない、骨折・脱臼はお医者さんの同意を得なさいよということを言っています。でも、受領委任払い制度の中では法律との間に余りにも格差があるものですから、その辺をもう少し、自分たちからすれば柔道整復師法にのっとった形に近づけてもらえれば、よりいい形ができるのではないかと。

 電子請求という話が先ほどありましたけれども、そこに持っていくにも、そこのところを整備しないと、今のままでやることは到底難しくて、もう少し整備してから電子請求という方向にいくことが大事だと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。高橋委員どうぞ。

○高橋委員

 2年前ですか、あのときは報酬の話が中心だったと思いますけれども、そのときも話をしましたが、先ほど池上委員のお話にもありましたけれども、私も保険者の立場として基本的なところがどうなったのかなと。つまり、法律をもう一回よくごらんいただければ、健保法の第87条では療養費は保険者が療養の給付などを行うことが困難であると認めるとき、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付などに代えて療養費を支給することができると書いてあるわけで、最初から、通常の医療による給付ではなくて、柔道整復の給付が当然のように動いてくるというのは、私どもはそういう制度になっていないだろうと思っているので、そこはもう一回考えていただきたいと思います。

 もう一つは、どういう支払いの仕方をするかというのは、受領委任があろうがなかろうが、つまり通常の償還払いの話のときも同じ基準ですね。ですから、受領委任をするかどうかという話と、報酬をどういう体系にするかは実は別の話なので、そこは分けて考えていただく。報酬体系は報酬体系でいろいろ議論があると思いますけれども、受領委任というのは昭和11年から続いているというお話ですが、法制的に少し疑問があるのは、戦前の法制と戦後の法制は違うはずなので、戦前の通知というのはかなり強制力を持った感じだったようですけれども、戦後の通知というのはそういう性格ではないはずです。私どもが理解するところでは、平成12年に行政手続法という法律が制定されて、そのときに法令にはっきりした根拠がない通知については、行政指導の相手方の任意の協力によってできるんだということが法律に明確に書いてあるわけです。ですから、今私ども保険者が任意の協力をしているわけで、別に強制措置ではないと受け止めています。ただ、別に今すぐ辞めろとは言いませんが。ただ、今動いている受領委任が昭和11年の発足のときと同じ状況なのかどうかは、もう一回よく考えていただかないといけないわけで、80年経って、なかなかお医者さんいないよね、整形外科の方がいらっしゃらないよねという状況ではないだろうと思います。駅の前に行けば大体整形外科はありますし、整形外科があると結構そのそばに柔整の施術所がたくさんありますけれども、それは昭和11年のときの話と同じなのかという疑問は感じざるを得ないわけです。そこを全部置いたまま報酬体系の話にすぐいくというのは、かなり違和感があるということは申し上げたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。資料にあります幾つかの課題、今お話しされているのは、かなり根本的な視点からのお話が大きいわけですけれども、個別の課題とも関連するものも多々あったかと思いますので、個別の議論をしていく上では今のような視点も必要だと思いますが、より個別の議論などに何かコメントがあればいただければと思います。もちろん全体的なお話であっても構いませんけれども、いかがでしょうか。

 山崎委員どうぞ。

○山崎委員

 個別の議論というよりも全体的な話になるとは思うのですけれども、我々後期高齢者の医療制度というのは、75歳の被保険者の方が皆さん入っていて、全国都道府県ごとに置かれているのは皆さん御存じのとおりだと思います。大変大規模なものになっておりまして、私ども東京の後期高齢者の広域連合は、今、被保険者の数は1395,000人を超える規模になっております。そういった多くの被保険者の方がいらっしゃる中で、我々事務効率も高めなければいけないということもございます。当然、我々は自治体、区市町村によって運営されていますので税金で賄っております。そのためにも、こういった支給基準や審査などをより明確化することによって、我々の事務効率を高めたいという意識がございます。

 また、こちらで療養費として支払っている金額9割ないし7割になるのですけれども、その部分の約1割を被保険者の方の保険料で賄っていただいていて、残りの4割を現役世代の支援金という形で、若者世代の保険料で支払っていただいております。残りの5割を国や都道府県や区市町村の財源で賄っていただいております。そういった大切な財源のもとに療養費を支給しておりますので、今回論点に書いていただいていますが、より一層、支給基準や審査に関する適正化や審査の厳格化みたいなものを速いスピードでなるべく丁寧にしっかりとしたものをつくっていっていただければと感じていますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに他の委員が発言された内容に対するコメントでも結構でございますけれども、何かあれば承りたいと思います。池上委員どうぞ。

○池上委員

 論点2番、3番、4番以外でもよろしいですか。53ページですが、急に各論的な確認で恐縮ですが、事務局に確認をさせていただきたいと思います。

 「保険者・施術者の意見」のマル4ですが、「骨折・脱臼に関する医師の同意書の添付について、見直しが必要ではないか」という表現でくくられておりますけれども、事前に我々も論点的なことについてのヒアリングは受けておりますが、この表現だと保険者側の意見なのか、施術者側の意見なのかよくわからないのですが、医師の同意書を辞めろという意見であれば施術者側の意見なのかなという感じもしますし、今のように必ずしも同意書がなくても医師の同意を受けたという記述さえあればいいという状況の中で、そういった取り扱いではなくて確実に同意書をとれという意見であれば保険者側の意見なのかなという感じがするのですけれども、ここはどういう意図なのか教えていただけますか。

○遠藤座長

 では、事務局お願いします。

○保険医療企画調査室長

 済みません、ここは私の理解が及んでいない可能性があります。私自身は、同意書を撤廃しろという形で御提案をいただいたという理解のもとで、撤廃自体は難しいというふうに論点としては仕立てたところでございます。

○池上委員

 ここの記述はそういう意図であるということですね。ということは、施術者側からの意見という理解でよろしいですか。

○遠藤座長

 それに関連して、施術側から何かコメントがあれば。三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 同意書に関して言えば柔道整復師法にかかわってくるので、第17条に書かれているように、応急手当ては除くという形になっておりますけれども、我々が望んで先ほどからずっとお話をさせていただいているのは、例えば脱臼の同意に関して言えば、脱臼の整復は早急に行わなければいけないという現状がありまして、我々施術所の中で患者さんが見えますと、その場ですぐ整復を行って、その後に同意をとりに近隣の医師の先生方にお願いするという形になっております。今のところ多角的な所見からして、実は科学的所見がとれませんので、一旦脱臼が入ってしまうと、レントゲンを撮ってもなかなかわからないという中で、我々柔道整復師が施術を行ったという信頼関係の中で、では、同意をするよという形で今までは同意をいただいていた。しかしながら、今、近隣の医師の先生方といろいろな連携がなかなかとれない中で、科学的根拠の中で脱臼したという事実がなければ同意ができないということで、脱臼を拒否されるケースが非常に多くなってきております。そういう中で、早急な整復操作、初回処置が必要になるものですから、できれば脱臼に関して言えば医師の同意を外していただければということでお話をしたこともございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 御要望の趣旨はそういうことだというのは今、理解をいたしましたけれども、私としては、ここの撤廃などはおおよそ考えられない世界なのかなと思っています。冒頭申し上げましたように、昨年の事件、それから、先ほどの不適正な広告が極めて散見される等々、もちろんきちんとしたルールできちんとした施術をやっていらっしゃる柔整師の方がたくさんいらっしゃることは否定するつもりは毛頭ありません。ただ、逆に不勉強な方、場合によっては多少の悪意のある方々がいらっしゃるがゆえに、こういう事態になっているという一方の事実も考えたときに、本当に公的保険の財源をきちんと使っていくということを考えたらどうすべきか、そういうところは非常に大事なところなのかなと思っています。

 先ほど昭和11年にスタートという話をしましたけれども、過去の取り扱いなども少し読ませていただくと、最初はかなり厚生労働省もいろいろな面の取り扱いとして厳格であったと。ただ、それに対して患者さんの便宜、場合によっては施術者の方々の信頼に上に立って、先ほどの医師の同意書にしても必ずしも書面でなくてもいいとか、もっと言えば、同意をする医師は必ずしも整形外科でなくてもいいといった中で、私自身も健保組合にいて何とも不思議なことですけれども、精神科の先生が同意書を書いて出すようなケースもあるわけです。もっと言えば、産婦人科の先生が書かれる同意書も現実には存在していると。だから、皆さんを信用して厚生労働省が緩和してきたルールが一方で悪用されるケースもある。そこの現実の見極めは非常に難しいと思うのですけれども、そういった実態を踏まえて、正すべきところはもっと厳しい形に正す、そういう視点もぜひ御理解いただく場面があるのかなと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 既に内容的には2番、3番、4番、9番以外のところに行っておりますので、全てに関してで結構でございます。報告のあった課題、あるいはそれから外れても結構でございますので、御発言いただければと思います。

 三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 先ほどからお話に上がっていますけれども、いわゆる広告の問題です。我々は施術者側も団体として非常に危惧しているところでして、厚労省にも、今、一番問題なのがホームページ上のとんでもないいろいろな広告、これは何とかならないかということでお願いしているところですが、保健所がなかなか動いてくれないということがありまして、対応が後手後手に回ってしまっていると。特に、ホームページ上につきましては、例えば医療機関のホームページのガイドライン等は文書等で出ている事実はあるのですが、これに準拠するでも構わないので何かしらの対応を打たないと、今、ホームページを見ますとわけのわからない広告が、柔道整復師というページを開けるととにかく出てくるんです。我々も会員に対しては自粛を呼びかけて、余りひどいものがあれば会員を呼んで指導することもしています。先ほどの千代田区の例もありましたが、看板等についても、保健所に届出を終わった後からどんどん看板を大きくして、あでやかにしていくような傾向がありまして、1回認めてしまうと、その後の指導がなかなか徹底されていないと。ですから、監視をするようなものまで含めて徹底的にやらなければいけないのかなと、我々は保険者さんのお考えと全く同一でございますので、何とか国で対応できるところは対応していただきたい、あるいは文書等で出せるものであれば何からの形で出していただきたいというのが我々の願いです。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 今の広告の関係なんですけれども、私自身は保険者という立場もあって、広告が不適正だというだけでは絶対に終わっていないのだろうと思っています。それが結果として、本来は医療保険で賄うべきではないものまで賄われていることに多分通じているという危惧を持っています。例えば、何でも保険が使えますみたいな広告を出されるところもあるわけですけれども、では、その広告を見て患者さんが実際に行ったときに、実はこれは保険は使えませんということは、そういう施術者の方はなかなかおっしゃらないのだろうと思います。そうすると、保険適用という形で今度は逆にどういう形で請求すればいいかをお考えになるのだろうと。等々を考えると、単なる広告のルール違反という問題ではなくて、そこには必ず不適切な療養師の資質が、何割かは別として、間違いなくついて回っている。やはりそういう意識で対策を厚労省の方もお考えいただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。田中委員どうぞ。

○田中委員

 先ほどの骨折・脱臼の同意の件ですけれども、例えば、歯医者さんのほうから治療中に顎関節脱臼、外れて接骨院の先生来てもらえないかということで行って、その場ではめるときもありますし、こちらに来てもらってはめるときもあるのですけれども、歯医者さんから回ってきて、整復法で医者の同意がなければだめということで、それを今度はお医者さんに送るという、歯医者さんと病院と接骨院のトライアングルの形になってしまって、事がすごく複雑になってしまっている。顎関節の脱臼に関しては歯科医師の同意でもいいのではないかと、これは柔道整復師法の問題ですけれども、厚生労働省にはその辺も考えていただきたいなという思いです。

○遠藤座長

 御要望としての御発言だったと思います。

 ほかにいかがでしょうか。高橋委員どうぞ。

○高橋委員

 さっきの話とは別ですけれども、私も請求のいろいろなものを見ていると、特に最近、多部位、こういう方々を見ていると非常に疑問に感じます。1ヶ月の間に骨折しました、次は捻挫しました、あるいはまた別のところを捻挫しましたと。これは柔整師の問題なのか、患者の問題なのかと。その場合、加入者のことを考えると、健保組合はもちろん会社の社員ですから当然本人を呼べばすぐわかりますので、変な請求はそう多くはないと思いますけれども、国保も多分そうだと思いますけれども、協会では保険者と加入者の間というのは非常に距離がありますので、私どもも加入者を知っているわけではありませんから、そういった意味でそういうものが出てきても、きちんと調べる手だてがない。しかし請求を見ていて明らかに患者本人がおかしいとわかるわけです。1ヶ月に3回も別の箇所を骨折したり、ねんざしたりするというものももしかしたら本当にあるかもしれないけれども、3か所別々の日に何かやって、しかも、家族もみんなそうだとか、誰が見てもおかしいのはわかっているわけです。そういうものは今の受領委任払いから外せないのかなと。ある意味では加入者による保険の濫用ですよね。これは柔整師の方の問題ではなくて、加入者が保険全体のお金を濫用しているわけです。ある意味で皆の金ですから、自分の金も少し入っているかもしれませんけれども、そこは今のシステムから外して、そういう方からは自分の責任できちんと払っていただいて、保険者に償還払いできちんと姿を現してほしいというのが私どもが感じるところです。

 真面目な方が真面目に柔整に行ってやるのは問題ないと思いますけれども、多部位何とかというのは柔整師の方にも問題があるかもしれませんけれども、もともとは加入者の方に問題があるわけで、そういう加入者に対する行動の制限をきちんと保険者からかけさせていただきたいというのが、保険者として最低限必要な事項です。そこにも手出しできないとすれば、保険者が加入者の詐欺を黙って見過ごすことになりますので、そこはきちんと保険者に権限を与えていただきたいというのがお願いです。

○遠藤座長

 保険者機能についての御要望ということで承りました。

 ほかにございますか。伊藤委員どうぞ。

○伊藤委員

 7番の請求に関する論点についてですが、いろいろ当初から曖昧な部分を含めて非常に請求に難しさがあるという中で、時代とともに電子化に向けて、ぜひこれはやらなければいけない問題であると思っております。電子化のモデル事業につきましては、日整としても対応を検討してやっていけるような状況にあります。したがって、保険者、行政様にも御協力をお願いしたいと。

 ただ、その中で、現行は申請書に施術機関コードがないので、ぜひ施術機関コードを設けてもらって、今、各地方厚生局で管轄しているものを厚労省で一括管理をしていただきたいということではないかと思います。

 そして、支給申請書の統一が平成23年1月にできたわけですけれども、現行現場での公的審査委員会等々におきましては、統一されていない申請書が非常に多く見られて困惑していることが多いですので、国のほうで決めた以上はしっかりと統一した様式でやっていただかないと現場が非常に混乱していますので、今後の要望といいますか、ぜひやっていただきたいこととしてお願いしたいと思っております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。飯山委員お願いいたします。

○飯山委員

 今、話題になっております電子請求の問題等様式の統一は、まず様式の統一を確実に早急に進めていただきたいと思います。これは保険者側ももちろんそうですし、審査委員会も様式がバラバラですと非常に困っています。それから、記載内容も実は千差万別でありまして、一例を挙げると、すごく細かい字で書いてありまして、何が書いてあるのか判読するのに非常に困難なものからいろいろございますので、記載要領みたいなきちんとしたものをつくっていただいて合わせるということも必要なのではないかと現場では思われます。そこをきちんとした上で電子化をお願いできればと思います。

 今は医療もほとんど電子化されておりますので、データの蓄積もふえていますから、いろいろな傾向等を統計的に調べることができます。今、話題になったようなことも請求書が電子化されれば、そこからいろいろなデータを読み取ることができますので、例えば、曖昧な部分はどこにあるかということもすぐわかるようになってくると思いますので、適正化に向けた大きな力になるのではないかと思います、御検討のほどよろしくお願いします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。では、池上委員お願いいたします。

○池上委員

 今の電子化の問題なのですけれども、この時代ですから、様式の統一、電子請求そのものを否定するつもりは毛頭ないのですけれども、やはり医療分野と似てくることによってあくまでも柔整の療養費というのは療養の給付を保管する意味合いでの最終的には保険者が決定する療養費であると、その原理原則は変わらないという大前提が崩れていかないように注意していきたいと保険者としても思いますし、厚労省としてもそういう形態が変わったことによって、ものの考え方まで変わるものではないということは十分御理解を置いていただきたいなと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。山崎委員どうぞ。

○山崎委員

 先ほどの電子化のお話ですけれども、先ほど高橋委員からお話のあったいろいろな施術内容によって、これは怪しいんじゃないかとか、被保険者自身が問題ではないかという問題も、医科の場合は今は電子なので、月を超えた照らし合わせ方といった横も縦も全部閲覧ができるのですけれども、柔整に限り紙で来ますので、この人が1カ月前はどうなのか、2カ月前はどうなのか、3カ月前どうなのか、御家族はどうなのかというのは、現状では突き合わせるのは不可能に近いんです。それが電子化になれば、その辺の作業がかなりしやすくなりますので、適正化に向けた大きな第一歩になるのは間違いないと感じております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。施術側から何かありますか。三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 今お話があったように、電子化というのは公的審査会の充実あるいは権限の強化を含めて、縦覧点検というのは原則でして、縦覧点検だけでも見られない、しっかりと充実が図れないというのは当たり前の話で、ぜひとも電子化に向けてお願いしたいところです。

 先ほど長期・頻回・多部位という話がございました。今、平成23年の通知以来かなり保険者さんも厳しく調査をされている部分もありまして、また審査会でも力を入れていることもありまして、かなり改善はされているようですけれども、先ほど厚労省から話があったとおり、今現場では部位転がしが明らかに多くなっているのは事実でありまして、昨年末の反社会勢力の問題も含めて、網の目をくぐっているのは部位転がしです。2カ月なり3カ月で部位を全部切ってしまう、新たに翌月から新しい部位が上がってくる。これは同じ部位が上がっているのではなくて、全く違う部位で上がってくるのが現実なんです。これは全て不正請求なわけです。患者さん自身に問い合わせれば部位が違うのは明らかなわけですから、それも含めまして公的審査会のほうで患者調査、施術者調査ができれば恐らく判明できるものだと思います。また縦覧点検が行えれば、その辺も恐らく明らかにできるのかなという思いがあります。

 我々は、部位転がしは何とかしたいということで、公的審査会の中でも4人の先生方にお願いしながら見ているのですけれども、なかなかフィルターをかけるのが難しくて、現状で言うと社団の会員だけが長期医療を書いているような状況がありまして、ほとんどの個人会員につきましては、2カ月、3カ月で全て終わった、全く長期医療が書いていないというのが今の審査会の現状ですので、それも含めていわゆる電子請求等は早急に進めていただければと思っているところでございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。山崎委員どうぞ。

○山崎委員

 医科のように電子請求などを進めていって、医科と同じような形に持っていくのであれば、なおさら5番の施術管理者の要件とか、研修や資格を付与する段階でかなり適正な研修やもう少ししっかりした資格を付与する条件とか、そういったものを今後も検討していくというか、同時に行っていく必要があると私は考えていますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。高橋委員どうぞ。

○高橋委員

 電子請求でいろいろなお話が出ていますけれども、請求の仕方も非常に便利にするわけですね。それは、保険者側にとってもいろいろなチェックがしやすいとか、メリットはあるのでしょう。実は私どものほうは受けた請求は全部私どもの方でパンチ入力して一応電子化していますから、私ども自身は別にそこに苦労は感じていないのですけれども、急に支払いの電子化に議論が飛ぶのではなくて、先ほどから言っている根本的なところと、あるいは報酬の体系はいくつか論点があるわけで、そのところがきちんと収まった後で支払いをどうするかを議論するべきで、突然、電子化の話が出てくるというのは議論の順番が逆ではないかと思います。

○遠藤座長

 それでは、まさに報酬体系について何か御意見ございますか。萩原委員どうぞ。

○萩原委員

 審査会の関係のお話と施術管理者のことについてお話をさせていただければと思っております。先ほど来、うちの三橋からも話があったように、審査会におきまして部位転がし等々につきましては、大体灰色だとか黒だという毎回同じ施術機関が目立っているわけでありまして、そういうところにつきましては全て附箋をつけて保険者さんにお返ししているんです。ところが、保険者さんに聞くと、受け取ったけれども、それ以後の調査の仕方は知らないとか、していないということで黙って支払いをされていると。それがまた次の月になるとそのままということで、半年も1年も同じ機関だけが同じような傾向が見られるというのも事実なんです。一応、我々は公的審査委員会である以上、公平に見ているわけですので、おかしいというものにつきましては全て附箋をつけてお返ししているはずですので、そういうところをもう一度お確かめいただければ、その辺はかなり改善できるのかなと思っているところでもございます。

 それと、施術管理者の問題につきましては、一番最初のときからお話が出ているように、資格を取ってすぐ開業して保険を扱えるというのはどうなのだということがありまして、最初のときから、ある程度の年数を課してから受領委任払いの制度に入っていくべきだということにつきましては共通の話題で賛成していたはずなのですけれども、これがいまだに実行されていないということも踏まえて、ある一定の期間、資格を取ってから実務経験が何年以上なければ、いわゆる受領委任払い制度というのはどういうものであるとか、我々の患者さんに対する見立てということにつきましても、十分な臨床経験を踏まないと患者さんに対する安全・安心の施術ができないということも踏まえて、そういう年数も課しながらやっていかなければならないだろうといまだに思っているところもございまして、その辺もある程度煮詰めていただければありがたいと思っているところでございます。

 以上、検討していただければと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。ただいまの発言に対するコメントでも結構ですが。三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 施術管理者に対しまして、今、非常に問題になっているケースというのは、養成学校を出てすぐに就職して、いわゆるチェーン展開をしているような接骨院が、新任の勤務柔道整復師まだ1年も満たない人間に、いわゆる施術管理者という指名をしてどんどんチェーン展開をしているというのが非常に問題になっているケースもありまして、実際に学生等に聞きますと、すぐに開業するという意思は全くないのですけれども、就職したところがたまたまそういう傾向の接骨院だったということで、施術管理者の指名を受けるというケースが非常に多くなっているのが現状ですけれども、我々施術者側からすると、せめて最低3年くらいの実務経験、またある程度の講習会は必要ではないかと。また、我々既存の柔道整復師に対しても反社会勢力の問題も含めて、更新の講習会等は今の集団指導を改善する形で、もう少し中身を変えていきながらやる必要があるだろうと。特に、施術者、施術管理者の3年等はぜひ早急に実現していただきたい。

 今実際に、義務化にはなっておりませんけれども、卒後臨床研修という形が試験財団で約1年間で行っているケースがあります。今、認定を受けている臨床研修施設の数が、柔道整復師の施術所が約5,312、医療機関が627御登録いただいておりますので、ここを使っていけば、例えば新しい柔道整復師が4,000名、5,000名出てきても十分に対応できる施設を持っておりますので、何とか早急に3年間の実務経験を実現していただきたいと思っているところでございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。飯山委員どうぞ。

○飯山委員

 私も先ほど山崎委員がおっしゃったように、保険者側としても審査支払い側といたしましても、請求をしてくる方々が一定以上のレベルに達していらっしゃるということは非常に大事だと思いますので、施術管理者の件につきましては御検討をよろしくお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。大体合意が形成されているような内容が書いてございますけれども、個別案件の中には合意がなかなか難しいかなということも含まれているかと思いますが、その辺について何か両側からコメントございますか。

 田中委員どうぞ。

○田中委員

 短期、中期、長期として見たときに、今、短期的に早急にやらなければいけないのは公的審査会を強化して、もう少し審査会のほうに権限を持たせていただきたいと。審査をしながら、見てすぐに矛盾する請求だなと思うものに関しては、保険者のほうに返戻の対象ですよということでお知らせしても、なかなかそれが戻っていないケースも結構あるんです。そういった場合には、審査会に対しての権限をもう少し強めていただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。池上委員どうぞ。

○池上委員

 今の審査会の権限の問題なのですけれども、ここで否定するつもりはないのですけれども、検討するに当たって非常に注意しなければいけないのは、先ほど来申し上げている最終的に支給するかしないかの決定権を保険者が持っている、そことの兼ね合いだと思うんです。どういう権限をどこまで広げるという意味でおっしゃっているのかよくわからないので何とも言えないのですけれども、審査会で決めた、したがって、これは保険者に判断の余地なく払えとか払わなくていいというまでの権限になると、根本的な概念が崩れてしまいますので、そこは非常に注意を要する点なのかなということだけは申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。三橋委員どうぞ。

○三橋委員

 公的審査会の権限という話の中で、今実際に公的審査会にないのが調査権です。返戻に際して、例えば施術者調査、患者調査が全く行われないんです。現在のところ東京、大阪に関して言えば、池上委員のところである健康保険組合が全く上がっていない状況にあります。これは、過去に信頼関係がない、あるいは費用対効果が望めないということで終えられたという経緯はお聞きしていますので、それに際しまして公的審査会の調査権限、簡単に言うと黒いところをつぶしていけば、恐らくグレーも白に変わっていくという現状が今、我々審査員として本当に右手が腱鞘炎になるほど意見書を書いているのですが、それがなかなか伝わらないという経緯があります。もちろん決定権は保険者さんにあっていいと思いますけれども、ある程度の調査権、先ほども資料に書いてありましたが、例えば、今呼べるのがいわゆる保険者が施術者から意見を徴することができるということがありますけれども、審査会として施術者を任意でも呼べるような体制ができれば、かなり適正化が図られるのではないかと思います。そうなれば、健康保険組合さんも公的審査会を御利用いただけるのではないかと。そういう中で一元化を図っていくと、かなり適正化がうまくいくような気がするのですが、いかがでしょうか。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。違う視点でも結構でございます。では、田村委員どうぞ。

○田村委員

 今の話の後にちょっと補足させてほしいのですけれども、受領委任制度の趣旨変革に照らして、柔整審査会に審査を委任していない健康保険組合については、柔整審査会での審査は強制することはできないのですが、健保連の主張には理由があると言わざるを得ませんが、健保連が柔整審査会に審査を委任する自由がある現在の取り扱い、その結果として1,400を超える健康保険組合の中、柔整審査会に審査を委任している健保組合が100程度しかないという現状があります。これで審査会強化とかいろいろ言っていますが、ここにどうか入ってきてほしい。それが健保組合さんにお願いしたいところです。よろしくお願いします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。何かコメントはございますか。特段なければ御意見として承りました。

 ほかに何かございますか。相原委員どうぞ。

○相原委員

 保険者と施術者側の話を今日よく伺って、いろいろ問題があることがわかりましたけれども、我々医療者として一番困るのは健康被害なんです。患者さんが施術によって悪化する、あるいは本来起こっては困るようなことが起こるという事態が現実にあります。その大元はどこにあるかというと、やはり厚労省の通知・通達、支給の対象範囲が曖昧であるからだろうと思います。さっき保険者側からも意見が出ましたけれども、この文章は日本語として非常にわかりにくい。「急性又は亜急性の外傷性の」と「の」が続きます。どこがどれにかかっているのか、これは国語の試験になっても難しいと思います。私は整形外科医ですが、我々が考えるのは、これは「外傷」にかかるものだと思っています。というのは、議員立法でできました柔道整復師法という法律の趣旨説明に「新鮮なる負傷に限る」ということを謳ってできた法律ですから、外傷でなければ困るわけです。柔道整復師法の中で外傷以外を診ることはできないと。ということは、外傷であることが前提ですから、全て「外傷」にかかるのだろうと思います。「外傷性」とわざわざ謳ったのは、外傷性でない脱臼や骨折もあるわけです。先天性脱臼もありますし、病的骨折もあります。だから、外傷性でなければだめですよという意味で厚労省が「外傷性」ということをわざわざ明記したのだと思います。

 問題は「急性又は亜急性の」とあるのですが、私どもの理解するのは、「急性期または亜急性期の外傷性の」、逆に言えば外傷性の急性期または亜急性期は柔道整復師の施術ではよろしかろうという文面だろうと思います。その中に「慢性」という言葉が抜けていますね。これは慢性期はそうではありませんよということで、長期・多部位というのもここに引っかかるのだろうと。

 保険者の方から「亜急性の外傷性の」の「亜急性」はどういう意味ですかと質問を頻りに受けます。お答えするのに、亜急性の外傷というのはありません。外傷の亜急性期を扱うと理解していますとお答えしています。このあたりを厚労省は曖昧にしないでもっと明確にしたら、保険者、患者、そして施術側の曖昧さが少しは軽減できるのではないかと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。冒頭、池上委員からも触れられた内容についての御発言だったと思います。

 ただいまのお話に関連してありますか。よろしゅうございますか。

 ほかにございますか。特段ないようであれば、そろそろ予定の時間になりますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。本日は非常にいろいろな御意見が出ましたので、事務局としましては、次回の議論に役立つように整理をお願いしたいと思います。それと、方向性もある程度固まった内容もあったかと思いますので、引き続き整理した上での議論を続けていきたいと考えております。

 事務局、そういう時間的余裕でよろしゅうございますか。では、そういう方向で議論していきたいと思います。

 それでは、次回の日程について、事務局から御説明をいただきたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 次回の日程はまだ調整させていただいているところでございまして、また調整の上、後日連絡させていただければと思います。

○遠藤座長

 そういうことでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、これをもちまして「第4回柔道整復療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 


(了)

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