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2016年3月25日 第38回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成28年3月25日(金)
14:00~15:45


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

樋口会長、勝委員、鎌田委員、小杉委員、土橋委員、宮本委員

【労働者代表委員】

相原委員、板垣委員、逢見委員、永芳委員、野田委員、畠山委員、浜田委員、松谷委員、宮本委員、山本委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、鵜浦委員、岡田委員、岡本委員、工藤委員、栗原委員、中野委員、椋田委員、渡邊委員

○議題

(1)平成28年度労働行政関係予算案の主要施策について
(2)分科会及び部会等における審議状況について
(3)法案の国会審議状況について
(4)その他

○議事

○樋口会長

 ただいまから第38回労働政策審議会を開催いたします。

 議事に入る前に昨年1211日付で委員の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。お手元に資料1としまして委員名簿を配付しておりますので、ご参照ください。

 まず、労働者代表ですが、日本食品関連産業労働組合総連合会会長の松谷委員です。JAM会長の宮本委員です。日本労働組合総連合会副事務局長の山本委員です。

 次に、使用者代表ですが、株式会社高島屋執行役員総務部長の中野委員です。

 皆様、よろしくお願いいたします。

 続きまして、事務局にも異動がございましたので、報告をお願いします。

 

○鈴木労働政策担当参事官

 前回の開催が8月でございました。それ以降10月1日付で事務局に異動がございましたので、ご報告いたします。

 厚生労働審議官の岡崎でございます。雇用均等・児童家庭局長の香取でございます。政策統括官の安藤でございます。そして私、労働政策担当参事官の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。以上でございます。

 

○樋口会長

 それでは議事に入ります。本日の議題、その他も含めまして4つ用意されております。

 第1に「平成28年度労働行政関係予算案の主要施策について」、第2に「分科会及び部会等における審議状況について」、第3に「法案の国会審議状況について」、最後に「その他」となっております。

 最初に議題1「平成28年度労働行政関係予算案の主要施策」、議題2「分科会及び部会等における審議状況」、議題3「法案の国会審議状況」について、事務局から続けて説明をお願いします。

 

○岸本会計企画官

 大臣官房会計課の岸本と申します。私から議題1「平成28年度労働行政関係予算案の主要施策」につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、厚生労働省全体の予算のフレームを申し上げます。お手元の水色の冊子をご覧ください。表紙をめくっていただきまして、2ページをお開きいただけますでしょうか。上段下段に分かれておりますが、まず上段が厚生労働省全体の一般会計の予算の全体像でございます。一般会計予算額、この表の一番上の列ですけれども、28年度予算案では厚生労働省全体で303,110億円という金額でございます。この内訳は、社会保障関係費が約298,000億円、その他が約4,000億円でございます。

 なお、社会保障関係費といたしましては、子ども・子育て支援制度の関係、あるいは児童手当の関係などが内閣府に計上されているなど、厚生労働省以外に計上されている予算がございますので、それを合わせて政府全体の社会保障関係予算ということで申しますと、下の参考という少し小さなフォントで書いてある表ですが、319,738億円という予算額がこれに当たります。

 それから、下段は今申し上げた厚生労働省の一般会計の全体の予算のうち、社会保障関係費の内訳でございます。年金・医療がそれぞれ11兆円強、それから介護・福祉等、最後に雇用がございます。雇用は約1,700億円となっており、この太宗は雇用保険の国庫負担金でございます。

 3ページには厚生労働省の特別会計の予算の全体像がございます。このうち一番上の労働保険特別会計、これが労災保険と雇用保険の主に保険給付を行っている会計でありますが、28年度は35,268億円という金額になっております。このほか、東日本大震災復興特別会計の中で100億円ほどを労働関係の施策に充てております。

 4ページ以降では、厚生労働省の一億総活躍社会の実現に向けた主な予算を説明している部分、7ページからは消費税率引上げを財源といたします社会保障の充実・安定化の全体像を載せてございますが、時間の関係もございますので説明を省略させていただきます。

 労働行政関係予算案の概要でございますが、資料2をもってご説明いたします。

 まず1ページ目ですけれども、全体像の目次を付けております。第1「全員参加の社会の実現加速」、第2「公正、適正で納得して働くことのできる環境整備」、第3「施策横断的な課題への対応」、第4「被災地の復興」としております。昨年8月のこの場で「労働政策の重点事項」をご説明させていただきましたが、それに沿って概算要求を行い、政府としての予算案を決定し、現在国会にご審議をお願いしている内容でございまして、項目立てなどは「労働政策の重点事項」に沿って組み立てたものでございます。

 2ページからが各論になります。

 まず、第1の1は女性の活躍推進の関係でございます。(1)では昨年成立した女性活躍推進法に基づく情報開示のインフラとなる総合サイトの機能強化などを盛り込んでおります。また(2)ではひとり親の就業対策の強化ということで、マザーズハローワークへのひとり親支援専門のナビゲーターの配置などを新たに行ってまいります。それから(3)では仕事と家庭の両立支援、これは当審議会でもご議論いただきました介護休業制度の見直しと連動いたしまして、介護離職防止のために仕事と介護の両立支援に取り組んでいただく事業主の方々への助成金の新設や、雇用保険制度における介護休業給付の給付率の引上げなどを盛り込んでおります。3ページの(4)では、いわゆるマタニティハラスメント防止対策を盛り込んでおります。

 2は、若者の活躍推進の関係でございます。まず(1)では、これも昨年成立した若者雇用促進法に基づく職場情報の積極的な提供をしていただくためのベースとなるポータルサイトの整備の関係予算を計上しております。また(2)では、新卒応援ハローワークの体制強化ですとか、高校生就職ガイダンス等における労働関係法令の情報提供などの予算を計上しております。めくっていただきまして4ページでございますが、(3)では、フリーター・ニート等の不安定雇用の方々への支援ということで、わかものハローワークに訓練担当のナビゲーターを配置し、職業相談、職業指導と訓練との連動性を高めていくという施策や、夜間・休日相談の体制確保などの予算を計上しております。(4)では、いわゆる若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策ということで、労働条件相談ほっとラインというフリーダイヤル相談の運営ですとか、大学・高校等での労働関係法令の情報提供などの予算を計上しております。

 3は、生涯現役社会の実現、高齢者雇用の項目でございます。(1)では、雇用保険制度の改正と連動いたしまして、65歳以上の方への雇用保険の適用拡大、それに連動した高齢者の職域拡大等に取り組んでいただく事業主への助成の拡充など、(2)ではハローワークの就職支援窓口に新たに65歳以上に重点的に対応する窓口を設ける関係の予算などを計上しております。5ページですが、(4)ではシルバー人材センターについて、これも高年齢者雇用安定法の中での制度改正を国会にお諮りしているところですが、シルバー人材センターの機能強化を予算面でも後押しするような内容を盛り込んでおります。

 4は、障害者等の活躍推進の関係でございます。(1)では地域において障害者雇用に取り組んでいただく事業主への支援を行う障害者就業・生活支援センターのカウンセラーの充実など、実施体制の拡充の予算を盛り込んでいます。(2)では、ハローワークにおける福祉事務所や就労施設と連携したチーム支援実施のための関係予算を、それから、めくっていただきまして6ページですが、ICTを活用した障害者の方の在宅雇用の推進、あるいは農業分野に新たに障害者の職域を拡大するようなモデル的な事業などを盛り込んでおります。また、精神障害者、発達障害者、難病患者等々の方々に対するそれぞれの対応に応じた就労支援のモデル事業ですとか、ナビゲーターの増員などを盛り込んでおります。

 5は、外国人材の活用の関係でございます。(1)では留学生の国内就職支援、(2)では現在国会でご審議をいただいておりますが、外国人技能実習制度の見直しの関係、これに基づく外国人技能実習機構の創設に係る予算などを計上しております。

 7ページの6、重層的なセーフティネットの構築という項目でございます。(1)では雇用保険制度と求職者支援制度の運営に関する予算、特にそれに対する一般会計からの繰入れに係る予算を計上しております。(2)は、生活保護受給者あるいは刑務所出所者等の方への就労支援の関係の予算でございます。

 めくっていただきまして8ページからは第2としまして、公正、適正で納得して働くことのできる環境整備、平たく言えば雇用の質の確保に関わる施策をまとめております。

 まず1は、非正規で働く方の待遇改善の関係でございます。(1)では、企業における正社員転換・待遇改善等を強化していくために、特にキャリアアップ助成金を拡充して正社員転換や非正規の方の処遇改善に対する事業主支援をより強化してまいりたいと考えております。(2)は、改正労働者派遣法の着実な施行に関連する予算でございます。(3)は、多様で安心できる働き方の導入促進としていわゆる多様な正社員、こういう働き方に対する好事例の周知・啓発などを行うとともに、労働契約法の改正に基づく無期転換ルールが円滑に施行されるよう、その関係の周知なども強化してまいりたいと考えております。9ページはパートタイム労働対策ということで、改正パート法の履行確保の関係予算を計上しております。

 2は、働き方改革でございます。(1)では、過重労働解消対策、過労死等防止対策を整理しております。過重労働解消対策としては、時間外労働・休日労働協定の適正化指導、あるいは過重労働解消のためのセミナーなどの予算を計上しております。また、過労死等防止対策大綱が策定されてからの初年度の予算となりますので、調査研究や啓発、相談体制の整備などに関する予算を計上しております。(2)はワーク・ライフ・バランスの関係であります。「女性活躍推進法の円滑な施行」は、第1の1の女性活躍のところで出てきたものの再掲でございます。「働き方・休み方の見直しに向けた取組の促進」は、企業の働き方・休み方改革を支援するような改善指標の普及などの予算を計上しています。めくっていただきまして10ページの「良質なテレワーク・在宅就業の推進」は、テレワークの普及促進のための予算でございます。(3)は最低賃金・賃金引上げにつきまして、地域の中小企業、小規模事業者の方々への相談体制の更なる拡充を盛り込んでおります。

 3は、人材力強化・人材確保対策でございます。ここでは特に(1)職業生活の節目節目で定期的にキャリアコンサルティングを受けていくような仕組みを広めていくということで、セルフ・キャリアドックと名付けておりますが、こういった仕組みに取り組んでいただく事業主に対する支援ですとか、導入マニュアルの整備などを盛り込んでおります。(2)では、対人サービス分野などを中心としまして、そういった分野にも技能検定を広めていくなど、能力評価制度の普及に関する施策を盛り込んでおります。めくっていただいて11ページでございますが、(5)をご覧ください。人材不足、すなわち人材確保対策の関係でございます。「潜在有資格者の掘り起こし・マッチング対策の強化」では、介護、看護、保育という人材不足分野につきましてハローワークの福祉人材コーナーの拡充、それから建設分野につきまして、これもハローワークにおける人材確保プロジェクトの関係の予算を計上しております。その下の「雇用管理改善による魅力ある職場づくりの推進」では、職場環境を改善することで定着率を高め、結果として人材確保を実現していこうという取組みをしていただく事業主に対する職場定着支援助成金の対象拡大ですとか、あるいは特に介護分野に着目しまして、賃金制度を整備する介護事業所に対する助成の新設などを盛り込んでおります。

 めくっていただきまして12ページでございますが、4で労働安全衛生の関係です。12次防の着実な推進という標題で三次産業や陸上貨物、それから介護分野などに着目した安全衛生対策、それから東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設工事も増えてまいりますので、ここの建設安全対策についても充実をしてまいりたいというのが(1)でございます。(2)は、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策の周知徹底と、疾病を抱えた方が治療を行いながら就労を継続できるような支援を独立行政法人労働者健康福祉機構を通じて行っていくための予算でございます。

 それから13ページでございますが、パワーハラスメント防止対策については引き続き普及啓発マニュアルの周知徹底などを図ってまいりたいと考えております。13ページの下の方、5の地方創生に向けた取組みでございますが、ここは昨年度から引き続きになりますが、地域の多種多様なニーズに対応した人材育成プログラムの開発を地域主体でやっていただく地域創生人材育成事業などの拡充を図ってまいります。また若者のUIJターン支援にも引き続き取り組んでまいります。

 めくっていただきまして14ページの第3、これは国際労働関係をまとめております。(1)は技能実習生を含む外国人労働者の労働条件確保対策でございます。(3)ではEPAに基づく外国人看護師、介護福祉士候補者の方々に対する看護、介護導入研修や受入れ施設に対する巡回指導などを盛り込んでおります。

15ページは被災地の復興の関係でございます。(1)では、原子力災害の影響を受けた特に福島県を中心とした雇用確保対策を、これまでの事業を見直して新たに今後次のステージにつなげていきます。(2)では、従来からの産業施策と一体となった被災地全体の雇用復興支援について継続していくといったことを盛り込んでおります。

 はしょった説明で恐縮でございますが、予算の関係は以上でございます。

 

○大西大臣官房審議官

 続きまして、資料3に基づき、分科会及び部会等における審議状況につきましてご説明させていただきます。

 最初に労働基準局関係でございます。恐縮でございますが3ページをお開きください。労働基準局所管の分科会等の審議状況でございます。一つ目と二つ目の○は労災保険部会でございますが、労働者災害補償保険法の施行令及び施行規則、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則、それらにつきまして、一つ目の○につきましてはいわゆる併給調整のあり方、二つ目の○につきましては介護料の金額につきまして、それぞれ改正させていただきました。平成28年4月からの施行でございます。

 三つ目の○は安全衛生分科会でございます。これは労働安全衛生法の改正に伴う譲渡、あるいは提供するときに名称を通知しなければいけない化学物質を追加するというものでございます。施行日につきましては周知期間を設けまして平成29年3月になっております。

 おめくりいただきまして4ページの一番上、これも安全衛生分科会でございますが、これにつきましては省令、労働安全衛生規則の一部を改正するということでございまして、法人の代表者等が当該事業上の産業医を兼任することを禁止するという内容でございます。施行につきましては平成29年4月でございます。

 4ページの二つ目と三つ目の○につきましては、中小企業退職金共済部会の関係でございます。一つ目につきましては、独法改革に伴う整備法の中で規定されたものでございますが、特定退職金共済事業から他の共済事業へ移行する場合の手続と、建設業退職金共済制度の予定運用利回りについて定めたものでございます。平成28年4月から施行でございます。その次が平成28年度の付加退職金支給率についてでございます。これはゼロパーセントということで同じく平成28年4月から施行となっております。

 最後の○、2015年度の目標における評価については、別紙7、15ページでございます。労働条件分科会につきましては、年次有給休暇の取得率と、週労働時間60時間以上の雇用者の割合についてご審議いただきました。その下に書いてあります労働時間法制等の在り方についてでございますが、これにつきましては労働基準法等の一部を改正する法律案を国会に提出しておりまして、現在継続審議となっているところでございます。最後16ページ安全衛生分科会において設定された目標の動向でございますが、これは12次防の関係でございます。目標につきましては下から3行目、平成28年度の目標につきまして、そこに書いてあるとおりになったということでございます。以上でございます。

 

○生田職業安定局長

 次に職業安定局関係でございます。お手元の資料の19ページをお開きいただけますでしょうか。主要事項中心にご説明いたします。

 まず1点目でございますけれども、三つ目の○、雇用保険等の見直しに関する検討でございます。雇用保険料率の在り方や、65歳以上の者に対する雇用保険の適用、あるいはシルバー人材センターの就業時間の要件緩和、介護休業給付の給付率の引上げなどの論点につきまして、雇用保険部会と雇用対策基本問題部会でご議論いただきました。両部会で報告を取りまとめていただきまして、職業安定分科会でご了承いただきました。これを受けまして、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱が厚生労働大臣から1月13日に諮問がなされました。その上で雇用保険部会、雇用対策基本問題部会、職業安定分科会でご議論いただきまして1月15日におおむね妥当との答申をいただきました。これに基づきまして、法律案が1月29日に国会に提出され、現在審議中でございます。法律は日切れ法案の位置付けでございまして、年度内の成立を目指して今努力中でございます。

 それから20ページをお開きいただきまして、二つ目の○でございます。雇用対策における国と地方の連携強化に関する検討についてでございます。地方公共団体の行う無料職業紹介の届出要件その他各種規制を緩和する職業安定法の改正がまずございます。それから国と地方公共団体の連携を強化するための雇用対策協定ですとか、あるいは地方公共団体の要請を法定化する雇用対策法の改正等を内容としております。法律の名前が地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律ということでございまして、この法律案要綱について、職業安定法と雇用対策法の関係等を一本化させていただいております。行政側では地方分権一括法と呼んでおりますけれども、職業安定法と雇用対策法につきまして一括させていただいておりまして、2月23日に諮問がなされ、同日開催されました職業安定分科会におきましておおむね妥当との答申をいただきました。これに基づきまして、法律案は3月11日に国会に提出されております。

 それからその下の○でございますけれども、国家戦略特区における有限責任事業組合を活用した障害者雇用の特例制度の検討についてでございます。これは国家戦略特区法という法律の中に整理されるものなのですけれども、有限責任事業組合(LLP)を活用した障害者雇用の雇用率算定の特例を盛り込んだ国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案要綱、その障害者雇用の促進等に関する法律の特例関係につきまして、2月24日に諮問がなされまして、同日開催された障害者雇用分科会におきまして妥当との答申をいただきました。これに基づきまして、法律案につきましては3月11日に国会に提出されております。

 その他でございますけれども、19ページに戻っていただきまして改正派遣法の成立を受けた政令、若者雇用促進法の成立を受けた政令、それから助成金の拡充、創設等を内容とする雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案、建設雇用改善計画、それから障害者雇用促進法の施行に当たりまして労働者派遣制度の枠組みで講ずべき措置に関する告示につきましてそれぞれ答申をいただいております。

 最後に21ページの二つ目の○でございますけれども、2015年度の年度目標の中間評価等でございます。職業安定分科会と障害者雇用分科会におきましてそれぞれご審議をいただいております。今後はパブリックコメントを経まして、内容が確定次第公表したいと考えております。8月26日以降の職業安定局所管の分科会等における審議事項につきましては以上でございます。

 

○宮川職業能力開発局長

 続きまして職業能力開発局関係です。資料43ページをお開きください。職業能力開発分科会でございます。一つ目の○でございますが、第10次職業能力開発基本計画の策定に向けて計5回審議を行っております。今後とりまとめを行い4月中に告示を行う予定としております。

 二つ目の○でございますが、専門実践教育訓練の指定基準につきまして、文部科学大臣の認定する職業実践力育成プログラムのうち一定要件を満たすものについて、新たに専門実践教育訓練の対象とする指定基準の告示改正案について答申がなされました。また、同指定講座の充実を図る観点から、情報通信技術に関する一定レベル以上の資格取得を目指す教育訓練であって、現行の講座類型と同等の水準を満たすものについて対象とすることにつき諮問・答申を予定しております。

 三つ目の○でございます。求職者支援制度の今後のあり方につきまして、早期就職に結びつく訓練カリキュラムの設定等について報告書が取りまとめられ、これを受け必要な省令改正などについて諮問・答申を予定しております。

 四つ目の○の2015年度の年度目標における中間評価につきましては、3月29日開催予定の職業能力開発分科会において審議予定でございまして、今後は委員からのご意見を踏まえ、内容を確定次第公表する予定でございます。

44ページ、その他でございます。若者雇用促進法の施行に併せまして、キャリア形成促進助成金の内容、あるいはキャリアコンサルタント登録制度に係る答申をいただいているところでございます。また、労働政策審議会職業能力開発分科会運営規程の一部改正で若年労働者部会を廃止したところでございます。それから雇用保険法施行規則の改正による省令案要綱、キャリアアップ助成金の拡充、それから職業能力開発総合大学校に係る省令案要綱についても答申がなされたところでございます。以上でございます。

 

○香取雇用均等・児童家庭局長

 最後に雇用均等・児童家庭局関係でございます。雇用均等分科会と家内労働分科会の関係につきましてご報告いたします。資料61ページをお開きください。

 最初に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、女性活躍推進法でございますが、これは昨年8月28日に成立し、9月4日に公布されております。本年4月1日から全面施行ということで、この法律に規定する事業主の行動計画、これを策定する際に必要となる状況把握等の項目、事業主の行う女性の活躍状況の情報公開、情報公表の項目、あるいは同法に基づく認定に係る認定基準、こういった一連を規定する省令に関してご検討いただきまして、昨年1028日に省令を公布しました。また、事業主の行動計画を策定する際に参考としていただくということで、具体的な分析手法、あるいは女性の活躍推進のための効果的な取組みを規定する事業主行動計画策定指針、これにつきましても検討を行いまして、昨年11月2日に告示しております。

 それから二つ目は、労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定を定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針、いわゆる性差別指針でございますが、これの一部を改正する告示でございます。民間企業における女性の管理職登用、中途採用が行いやすくなるように女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない役職、具体的に言いますと、当該役職に占める女性割合は4割未満ということになりますが、その募集採用に当たっては、女性労働者に有利な取扱いをすることを可能とするということで、そういったアクションを可能とする内容の政策指針の改正につきまして検討を行いました。これは昨年1130日に告示したところでございます。

 大きな三つ目、育児・介護休業法等の改正についてでございます。育児・介護休業法は平成21年に改正を行っておりますが、この際の附則第7条に、施行後5年後の見直し規定というものがございます。これを踏まえまして育児・介護休業法、及び男女雇用機会均等法等につきまして検討を行いました。昨年12月の雇用均等分科会においてご報告いただきまして、本年1月に、先ほど職業安定局長からご説明申し上げた雇用保険法の一部を改正する法律案とともに国会に提出した法案ですが、これにつきまして育児・介護休業法の一部改正ということで諮問・答申を行いました。同法につきましては、先ほどご説明にありましたように、本年1月29日に閣議決定し国会に提出しております。現在、衆議院を通過して参議院で審議中ですが、これは日切れ法案ということでご審議をお願いしているものでございます。

 次に、雇用均等分科会の2015年度の目標に対する中間評価でございますが、これにつきましては3月30日開催予定の第169回雇用均等分科会においてご審議いただくこととしております。同分科会における審議を踏まえて、しかるべき時期に公表したいと考えております。

 次に、雇用均等分科会の下にあります家内労働部会の関係でございます。第12次の最低工賃新設・改正計画の方針等につきましてで、2月15日に家内労働部会を開催し、27年度の家内労働状況調査の結果報告、それから11次の最低工賃の新設改正計画の進捗状況についてご報告し、12次の最低工賃の新設・改正計画についてご検討いただきました。同じく3月7日には関連の委託事業等についての報告を行ったところでございます。以上でございます。

 

○樋口会長

 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきましてご意見・ご質問等がございましたらご発言をお願いします。

 

○工藤委員

 資料2の3ページの若者の活躍推進に関しまして、2点申し上げたいと思います。

 1点目は若者雇用促進法の周知徹底についてです。この法律は昨年10月から段階的に施行されておりますが、今年3月から施行された新卒採用時における青少年雇用情報の提供につきましては、雇用のミスマッチの減少や早期離職の防止に資することが期待されております。1月末に経済団体、業界団体に対して法律の周知依頼がございましたが、全ての事業者において新法の理解が浸透するように、厚生労働省には引き続き例のユースエール認定制度と併せまして周知徹底に注力をお願いしたいと思います。

 2点目でございますけれども、学校段階におけるキャリア教育についてでございます。人生経験や就業経験に乏しい若者たちが、適職を見いだせるよう就職活動時期だけではなく中等教育から働くとはどういうことか、あるいは自分の希望する仕事を見つけるためには何が必要かといった職業感の醸成や、自分の将来のキャリアを考える機会を増やしていくことが重要だと考えます。若者雇用促進法の基本方針に、在学段階から職業意識等の醸成が明記されておりますから、厚生労働省と文部科学省にはこれまで以上に連携を深めていただく必要があると考えております。そこでハローワークによる職場体験、インターンシップ受入れ企業の開拓に関しまして、具体的な数値目標を設定してPDCAを回して行くことも重要であると考えております。産業界といたしましても、インターンシップの機会の拡大や、学校への出張講師の積極的な派遣等々できることは協力していきたいと考えております。以上でございます。

 

○樋口会長

 そうしましたら、若者の活躍推進に関連するご質問がございましたらどうぞ。

 

○松谷委員

 人口減少、高齢化問題に加えて労働力不足の時代に入っております。一時の就職氷河期がうそのような失業率の改善に至っているという今日この頃でございますけれども、依然として非正規社員が増え続け、今日では40パーセントを超える事態になっております。総務省の統計によりますと非正規社員を年齢別でみれば若年層、あるいは高年齢層が多く占めております。そういった意味では現行の若者雇用対策、あるいは非正規雇用対策、そして中高年雇用対策がなされているところであると認識しております。

 一方、3月18日に内閣府から平成27年の自殺者の状況が発表され、18年ぶりに25,000名を下回ったということでございます。自殺者が減少傾向にありますけれども、その内訳をみれば20代・30代・40代においては、失業者その他の無職者の構成比率が高いということになっております。フリーター・ニートと呼ばれる人の中でも、年長ニートと呼ばれる就職氷河期時代を経験する年齢がこれに当たるということでございます。この35歳から40歳代に差し掛かる年齢層への正規への雇用対策や、職業能力開発への機会というものが少なく、他の者に比べると更にその環境は一段と厳しいと言わざるを得ないということでございます。こういった方々が安定した雇用環境で働け、安定した収入を得ることは、本人はもとより我が国が描いている安定経済につながり、このことが経済の好循環を生み出し、連帯経済、連帯社会が生まれるものと確信しております。働くことを通じた一層の社会参画支援の施策の展開をお願いします。以上です。

 

○樋口会長

 その他、若者関連で何かございますでしょうか。なければ、事務局から今の工藤委員、松谷委員からのご質問、ご意見について発言をお願いします。

 

○生田職業安定局長

 工藤委員から、若者雇用促進法につきまして、ユースエール認定制度も含めて周知をもっとやるべきではないかというご指摘がございました。これにつきましては、若者雇用促進法については厚生労働省ホームページで既に掲載しているわけですけれども、ハローワークで求人を受理する際、あるいは求人説明会をやる際に、様々な機会をとらえて周知広報をやっております。リーフレットなども作りまして広報をやっております。今年1月には厚生労働省から経済団体、業界団体442団体に対してユースエール認定制度、あるいは若者雇用促進法の中の職場情報の提供などについて周知し、傘下企業への周知のお願いをしたところでございます。若者雇用促進法につきましては、更に周知を徹底していきたいと考えております。

 それからもう一つ、在学段階からの職業意識の醸成が必要ではないか、文科省との連携をもっと強化すべきではないかというご指摘がございました。これにつきましては、ハローワークと学校が連携を図って今までもやってきた経緯はございます。一つはキャリア探索プログラムというものがございまして、中学校や高校などに企業で働く方などを講師として出向いていただいて、働くことの意義ですとか、あるいは職業生活に関して生徒に理解させ考えさせるといったようなことをやっております。それから高校生を対象にジュニアインターンシップといいまして、生徒が就業体験を行うような仕組みも取り入れております。それから高校2、3年生を対象として就職ガイダンス、これは就職に向けた準備をしていただくためのガイダンスでございますけれども、こういったものをやっております。それから若者雇用促進法の中に労働関係法令の知識の付与という規定ができたものですから、従来労働局の幹部が大学等に行って労働法制の講義をするということをやっていたのですけれども、去年の10月からは中学校や高校にも労働法制の周知ということでお邪魔するという取組みを行っております。ハローワークから講師を派遣してお話をさせていただくということもやっております。それから今年の1月に文科省に対して、こういった在学段階からの職業意識の醸成というものは非常に大事なので、一緒になってやりたいということで申入れをしまして、これから協力体制を更に強化していきたいと思っております。委員ご指摘の数値目標の設定の問題でございますけれども、まだ具体的にこういうもの対して個別の数値目標というのは設定されていないと思いますので、これから検討させていただきたいと思っております。

 それから、松谷委員ご指摘の35歳から40歳層への対策でございます。これは私どもも就職氷河期世代への対策ということで非常に大事だと思っております。現在はわかものハローワークという非正規雇用労働者のための対策を若者対策としてやっているところでございますけれども、一応45歳未満をターゲットにしておりまして、この就職氷河期世代も入ってはいるということでございます。その中で求職者の個別の事情に対応した担当者制によるきめ細かな相談、職業紹介をやっているところでございます。来年度の予算でこの分野につきましては更に強化したいと思っておりまして、まず非正規雇用で働くこういった年代層の方が気軽に相談できるように、仕事をしていても相談ができるように平日夜間、あるいは土日に就職相談が電話だとかメールでできるような仕組みを作るというふうにしております。それからわかものハローワーク自体の体制強化を図るということで、就職に結び付くような職業能力、技能を持たれていない方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方のための訓練の受講を勧めることが非常に大事だということもございまして、若者ハローワークの中に訓練のアドバイスをする担当を置いて訓練に積極的につないでいくと、それで安定した仕事についていただくということもやっておりますけれども、これから更に強化していく分野だと思っておりますので、委員のご指摘も踏まえて更なる工夫を検討していきたいと考えております。

 

○宮川職業能力開発局長

 能力開発の関係でお答えいたします。若者の数が減っているにもかかわらず、いわゆるニートと呼ばれる無業者の数は近来60万人程度と高止まっているところでございます。その中で地域若者サポートステーション事業などを通じまして、先ほど松谷委員からお話がありました30歳代後半を含めた形での職業の自立に向けての専門的相談支援等の事業を行っております。併せて、公共職業能力開発施設における訓練や求職者支援制度に基づく訓練などを活用してこれらの方々に対する能力開発に努めていきたいと考えております。

 

○樋口会長

 よろしければ次のご質問をいただきたいと思います。

 

○山本委員

 山本でございます。私からは女性の活躍推進について、要望を含めてお話しさせていただきます。

 資料でいいますと2ページになりますが、女性活躍推進法は本年4月1日に施行されますが、これに向けて今大企業では行動計画などの対応に追われているのではないかと思っています。しかし、法律、省令等の公布から施行まで本当に短い期間でありまして、果たして全ての企業が行動計画策定などの取組みをきちんと行えているのかということを非常に危惧しております。3月14日の毎日新聞によりますと、九州、山口、沖縄の各労働局に行動計画の届出を行っている企業は対象企業の4.7%にとどまっていると報じられておりました。まずは大企業に対して取組みの徹底が必要であると考えておりますし、努力義務と言われている中小企業の取組みの支援強化もそれと同時に必要であると考えております。女性の活躍推進のための取組みの予算が挙げられていますが、確実な取組みをお願いしたいと思っております。

 また、仕事と家庭の両立支援についてですが、先ほど報告がありましたように国会で育児・介護休業法案が審議されているところです。仕事と介護の両立には介護保険制度と法定の両立支援制度、更に労使の両立支援制度への知識が不可欠だと考えています。また、行政だけではなく企業内にも相談窓口があることが有効だと思います。今回、介護に直面した従業員支援のための相談窓口設置などの助成金が新設されており、私たちとしても評価するところです。有効に活用されることが第一ですので、行政の更なる取組みをお願いしたいと思います。

 

○岡田委員

 岡田です。女性の活躍推進に関連して、マタニティハラスメント防止措置について意見を申し上げます。上司や同僚からの嫌がらせによって女性労働者が退職せざるを得なかったり、本来の能力発揮ができなくなるような状態に置かれるということはあってはならないというのは言うまでもないことです。そういったことがないように、当社では妊娠、出産、育児休業を経ても休業が継続できるように、また両立のための支援ができるように様々な取組みを行っています。先ほど山本委員から、企業としてどれだけ4月1日以降の行動計画について具体化しているのかというご質問がございましたけれども、4月1日に向けて多くの企業はこの行動計画を具体化するための様々な討議、議論を重ねて準備を進めていると考えております。当社では委員会による情報交換であるとか、先輩ママを含む社内ネットワーク、社内外のロールモデルの方々からの講演会等の企画、実行を考えておりますし、安心・安全に子どもを産み育てるということを応援できる職場環境づくりに向けて真摯に取り組んでいこうと考えております。

 最も大事だと思うのは、やはり妊娠時における体調面の配慮だと思います。そのことは必ずしも職場の同僚、上司にとって周知されていることではございませんので、本人の今後のキャリア形成の観点も含めて、上司、職場でのコミュニケーションが非常に重要と思っております。したがいまして、そういった方がいらっしゃる場合は特にですけれども、管理者向けの研修を行動計画の中に盛り込む形で取り組んでいこうと考えております。

ただ一方でそうした配慮や言動にもかかわらず本人の意に反していた場合は、全てマタハラに当たるというようなことになってしまわないかということも同時に懸念しております。今回事業主に義務付けられるマタニティハラスメント防止措置の具体的内容は、セクシュアルハラスメント防止措置の指針を参考に省令、指針において示される予定と聞いております。業務上の必要性等、セクシュアルハラスメントとは異なる点もございますので、省令・指針の具体的な内容を議論される際には職場の雇用管理の実態を踏まえた検討をお願いできればと考えております。以上です。

 

○中野委員

 仕事と介護の両立支援について意見を申し上げたいと思います。今回の育児・介護休業法の改正法案につきましては、現行法に比べて柔軟かつ充実した内容と思っており、新・三本の矢で掲げられた介護離職ゼロに資するものと大変期待をしております。

 介護離職の防止には両立支援制度の充実だけではなく、労働者が介護に直面する前に仕事と介護の両立支援制度や、介護保険制度について基礎的な知識を持っていることが大変効果的だと思っております。弊社では既に23日間の分割取得が可能になっており、介護休業など自社の制度を活用すると1年以上休職することもできます。また、介護事由であれば男女を問わず50歳まで再雇用制度の対象でもありますので、出産と育児同様に介護で退職する従業員が大変少なくなってきました。ただそれでも決してなくなりません。子どもの誕生までに準備期間がある育児とは違い、意外かもしれませんが一緒に住んでいなかったりしますと介護は突然やってまいります。そのため、自社の従業員の人事制度さえ理解していないという従業員も大変多くて、相談もできないうちに家族や親戚の間で介護をする人が決まってしまう。実は、その多くが女性従業員です。そのため社内でも介護に備えるための相談会の開催ですとか、百貨店協会等々いろいろな所で懇談会でもたびたび取り上げていくなど努力はしてまいりました。企業としてこれからも両立支援制度などの情報提供、相談対応に取り組んでいくということはやってまいりますが、介護は個別的な事情が異なることから、企業が対応できる内容には限りがあるということをご理解いただきたいと思います。社会全体で育児・介護休業法への関心が高まっているこの機会を活用していただき、改正内容はもとより、介護保険サービスの概要など、介護に関する一般知識につきまして、まずは国から労働者に対して情報提供をお願いしたいと思います。

 また、今回の改正は、介護保険サービスの利用と様々な両立支援制度の組み合わせで継続就業を図るということが趣旨と聞いておりますので、当事者だけで介護を抱えるということがないよう、ぜひ介護保険サービスの充実も併せてお願いしたいと思います。以上でございます。

 

○畠山委員

 私からはマタニティハラスメント対策強化についてお願いとご質問をさせていただきます。育児・介護休業法の改正案が審議されている中、マタニティハラスメント、パタニティハラスメントの防止措置が全ての企業で義務付けられると認識しております。これらのハラスメントというのは、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントと複合的に発生するという事例もあることから、一元的な対応が重要ではないかと考えております。また今回、ハラスメント対策の総合的な取組みの推進を図るということが明記されておりまして、ハラスメント全般が起きない職場環境の整備を労使で取り組むように進めたいと考えております。

 もう1点ですが、ハラスメントに関連しまして、LGBTについても差別禁止や偏見のない職場、また安心して働ける環境ということで、ハラスメント対策の強化という点では重要であると思っております。このLGBTに関しまして厚生労働省の方で何かお考え、あるいは対策などがありましたら教えていただきたいと思います。加えて、ハラスメントの相談員につきましては、LGBTや性的指向などの基礎的な知識も踏まえた上での相談対応ということもお願いしたいと思っております。以上です。

 

○樋口会長

 関連するご質問はございますか。なければ事務局から山本委員、岡田委員、中野委員、畠山委員のご質問に答えてください。

 

○香取雇用均等・児童家庭局長

 まず、女性活躍推進の関係ですが、ご案内のようにこの法律は、安倍内閣の重要法案ということで成立した法案でございます。通常の法案に比べますと施行までの準備期間が短いということもございまして、各企業にはご迷惑をかけるというとちょっと語弊がありますが、大変ご努力をいただいているところでございます。私どもも夏の成立から施行まで半年強ということで、都道府県労働局を通じて周知徹底を図るということと、先ほど会計課からもご説明いたしましたが、様々な事業、助成金といったものを使って支援しているところでございます。現在の301人以上企業、届出を義務付けられた企業の提出状況でございますが、施行の段階で取りまとめをしてご報告をいただくということなので、中間的な数字しか私どもも抑えておりませんが、もちろん100パーセント提出ということはなかなか難しいのではないかと思っております。いずれにしてもこれは社会の関心も非常に高いですし、おそらく提出状況等は国会等でも聞かれることになろうかと思っておりますので、各労働団体、現場におかれましてもご協力をいただきまして、できるだけ早く提出していただけるよう、私どもも最大限の努力をしたいと考えております。

 二つ目は育児休業、介護休業の関係でございます。ご指摘のとおり、介護休業につきましては介護保険制度という公的・社会的な介護サービスを提供するという制度を前提に、それを使いながら柔軟に休業あるいは各種代替的措置などを使いながら介護と仕事を両立させるという制度でございます。国会等でも利用率が非常に低いということで認知度の低さを指摘されております。私どもの調査でもそもそも介護に直面した労働者の方々は、まず公的な介護休業制度を知らない、あるいは個々の企業の中でそういった制度があることも知らないとお答えになる方がかなりいらっしゃるということで、やはり制度をきちんと普及し理解していただくということが重要だと思っております。この点に関しましては、そもそも介護保険制度等を所管しております私どもとしては、実際の保険者が市町村であり、各市町村には地域包括支援センターやその他窓口がございますので、こういった自治体ルートあるいは厚生労働省であれば老健局といった介護担当部局等のルートを通じての情報提供あるいは相談をしていくことが大事だと思っています。またその意味で言いますと、介護休業制度に関して自治体側の情報提供で併せてきちんと徹底する、あるいは各企業で提供していただく情報の中に公的な制度の利用、あるいは代用についてご説明をいただく。これについては私どもといたしましても、企業の経営側の方にも介護保険制度を理解していただくため、研修等々で使っていただけるようなパンフレット等も作成しておりますので、併せてこの制度の普及に向けて努力してまいりたいと思っております。

 それからマタハラ、セクハラに関してですが、これはご指摘のとおりなのでこれから努力してまいりたいと思っております。ご質問の中でLGBTの話がございました。これは、当然セクシュアルハラスメントは職場における性的な言動によるハラスメントということですので、当然ながら全ての性的指向、あるいは性自認に関するものが含まれますから、男性に対するセクシュアルハラスメントというのも当然成立するということでございます。したがって、基本的にはLGBTも含めて全ての方が対象になるということで私どもは認識しております。都道府県労働局雇用均等室において様々な相談等を受けるわけですけれども、雇用均等室の担当も含めてこの点はきちんと認識をして対応できるようにということで、雇用均等室の担当者に対するいわゆるLGBTに関する基本的な知識でありますとか、あるいは対応のマニュアルでありますとか、そういったものもきちんと徹底して対応できるようにしてまいります。以上です。

 

○岡本委員

 岡本です。私は資料2の4ページの3、生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関して2点申し上げたいと思います。

 1点目は、企業における高齢者雇用の側面支援であります。今後労働力不足が一層深刻化していく中で、65歳以降の雇用確保に自主的に取り組む企業に対する支援は、人手不足や技能伝承といった課題への対応だけでなく、働く意欲と能力のある高齢者の方々に多様な活躍の場を提供していくという観点からも大変重要であると考えます。今回の予算案におきまして、高齢者の職域の拡大や作業環境の改善、健康管理制度の導入などを行う事業者に対する助成制度の拡充が盛り込まれていることは、企業の取組みを後押しするものであり、評価しております。新しい助成金ですので周知徹底はもちろんのこと、この助成金がしっかりと利用されるために、特に65歳以降の雇用のニーズが高い中小企業に対して重点的にPRをしていくべきと考えております。

 2点目は、5ページのキャリア人材バンク事業についてです。高齢者の就業促進に当たりましては、一つの企業に長く勤めるだけではなく、他社への自発的な転職や定年後に他の企業で活躍することを促す、そうした社会全体で高齢者の活躍を目指していくという視点も重要だと思います。働く意欲があり、知識や経験も豊富な高齢者がたくさんおられます。キャリア人材バンク事業により、人材不足に苦労しておられる地方の中堅中小企業とのマッチングが高まり、高齢者が活躍できる場が増えていくことを期待しております。この新事業につきまして、効果的に周知し利用促進を図るとともに、実施状況を踏まえながら今後必要な見直しもお願いしたいと思います。以上でございます。

 

○樋口会長

 高齢者関係ですが、事務局から発言をお願いします。

 

○生田職業安定局長

 岡本委員から2点ご指摘をいただきました。まず助成金の関係でございますけれども、こういった助成金につきましては、確かに周知を徹底して使っていただかないと意味がないと思っております。厚生労働省のホームページへの掲載、あるいはハローワーク窓口でパンフレットを使って周知をするというのはもちろんですけれども、特に中小企業などにつきましては事業所訪問などの機会をとらえまして、制度の周知をするといったようなことも含めて、効果的な周知をしていきたいと考えております。

 次にキャリア人材バンク事業ですけれども、これにつきましても委員ご指摘のように、産業雇用安定センターと一緒になって効果的な周知、利用促進を図ること、あるいは見直しを図ることは非常に大事だと思っておりますので、働く意欲のある高齢者に役立つようなマッチングができるように取り組んでいきたいと考えております。

 

○樋口会長

 次のご質問をどうぞ。

 

○野田委員

 私からは6ページになりますが、現在国会で継続審議となっている、技能実習制度の見直しについて申し上げます。

 技能実習制度の運用に当たりましては、これまでも多くの人権侵害行為ですとか、更には労働関係法令の違反という課題が指摘されておりましたし、こういった中で早急な改善が求められていたという認識を我々も持っているところでございます。このような中で、本法案には機構の新設による監督体制の強化ですとか、更には管理団体の許可制の導入などの適正化の施策が盛り込まれておりますし、併せて対象となる職種ですとか、あるいは人数の拡大などの拡充策も併せて盛り込まれているところです。これまでの課題認識に立つならば、今やるべきこと、更には優先すべきは、適正化するための施策の確立であるということはまず申し上げておきます。そのことを前提にして制度の拡充策として示されている職種の追加について、質問と要望を申し上げます。

 まずは質問になりますけれども、職種の追加を行う場合に、法律の改正ではなくて厚生労働省に設置される専門家会議の審議を経て、最終的には厚生労働省の大臣公示の改正において対処をするということを聞いておりまして、この専門家会議には、連合の委員も参加させていただいています。会議において職種の追加に対する反対意見があった場合に、追加の是非をどのように判断されるのか、この点について教えていただきたいと思います。

 その上で要望を申し上げておきたいと思います。昨年の厚生労働省の検討会では、技能実習の職種に介護職を追加することが適当であるとの報告書が出されております。併せて、経済産業省の研究会においてもコンビニの店員を追加する旨の報告書がまとめられたと聞いているところでございまして、これらの職種の追加について連合としては、人手不足が背景となって追加されている職種であると言わざるを得ないと思っており、国際貢献を目的とした技能実習制度から逸脱するのではないかという認識を持っております。加えて、国内労働市場に大きな影響を及ぼすということも併せて認識をするところでございまして、問題ありとも思っているところでございますから、その点について少し申し上げておきたいと思います。したがいまして、今後の拡充策の検討に当たりましては、我が国で高い技能、更には技術を習得した皆さんが、母国にお帰りになって母国の経済発展に貢献するという、この技能実習制度の趣旨を十分考慮した上での論議が必要だと思っております。そういう判断がなされることが大切であろうということを申し上げておきます。以上です

 

○樋口会長

 技能実習制度の関係でどなたかご発言はございますか。よろしければ事務局から。

 

○宮川職業能力開発局長

 外国人技能実習制度でございますが、開発途上地域の経済発展の人づくりという目的のため、我が国の国際貢献のうち重要な役割を果たしているものと考えております。一方、一部で法令違反等が発生しているということなどを踏まえて、前国会に提出しました技能実習法案におきまして、管理監督体制の強化を図るなどの制度の適正化に向けて取り組んでいるところでございます。

 なお、実習期間の延長など優良な受入れ機関に限るという形の拡充を認めることについては、技能実習の適正な実施へのインセンティブを高めることにもなることから、制度拡充の方策を講ずることが適切でないかと考えているところでございます。

 また、職種の具体的なご質問がございました。対象職種の追加でございますが、これは作業内容、送出し国のニーズ、評価システムの適格性等に関しまして、専門的実務的な知見を有する有識者の方で構成される専門家会議の意見を踏まえ、現状では職業能力開発局長が判断して認定しているところでございます。今後とも専門家会議の意見を十分尊重しながら適切に対応していきたいと考えております。以上です。

 

○鵜浦委員

 私からは資料2の9~10ページにあります、働き方改革の実現に関して意見を申し上げます。

 言わずもがなでありますが、我が国は急速な労働人口減少の時代に入っており、多くの産業で労働力不足が懸念されてきています。労働力を量・質の両面から維持・確保していくためには、誰もがいきいきと働ける職場環境を整えることが不可欠だと考えており、経済界としても一丸となって働き方・休み方改革に取り組んでおります。今年度に引き続き、2016年度も経済4団体による働き方・休み方改革セミナーの開催や、好事例集の横展開を予定しております。こうした活動により経営者の改革意識を高めながら企業の取組み支援を強化してまいる所存です。一方で働き方・休み方改革を進めるに当たっては、商慣行などの見直しも併せて行わなければ解決しがたい場合もあろうかと思います。厚生労働省と国土交通省及び内閣府が共同で立ち上げているトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会では、運送事業者や業界団体だけでなく荷主も参画しており、待機時間の短縮や積み込み作業の効率化に関する検討など幅広く議論が行われていると承知しております。厚生労働省にはトラック運送業をはじめ、飲食、小売、宿泊、介護などにおいても産業横断的な取組みを進めていただくとともに、中小企業に対する相談体制の拡充などきめ細かい政策支援を期待しております。

 最後に国会に上程されている労働基準法改正法案について申し上げます。本案は監督指導の強化や年5日の年次有給休暇の取得義務化といった働き過ぎ防止のための取組みと多様で柔軟な労働時間制度の充実がバランス良く盛り込まれたものとなっております。現在、残念ながら法案は継続審議となっております。企業の働き方・休み方改革を本法案は後押しするものであり、一部では残念なレッテル張りが行われておりますが、今通常国会における法案の早期成立を強く希望しております。以上でございます。

 

○相原委員

 相原です。同じく9ページの働き方改革の観点で申し上げます。一つは、働き方改革を論じる際に長時間労働の関係についてしっかり論じることが必要であると思います。現実には全体として2,000時間を超える労働実態にあるということは明らかな現状として把握しておく必要があります。それと、様々なところで報じられておりますが、2014年度のいわゆる隠れた労働実態、サービス残業についても厚労省などの調べによって是正指導されたところ、その是正指導によって残業代が新たに支給された従業員、それは20万人とも報じられており、100万円以上支払われた企業は1,300社、その合計は142億円という未払いの実績も明らかとなっております。指導強化を更に強めて立入調査に対しても月100時間から80時間に引き下げるなど、さまざまな最先端での取組強化が行われていることも十分承知しております。これらのことについて、いわゆる事後的な対処についてもちろん意義のあることだと認めるところですが、残念ながら年100人以上の方が過労死認定をされている実態ももちろん見逃すことができません。したがって過労死ゼロに向けた一層の取組みが喫緊の課題であることは申し上げるまでもないと思います。

 その点で申し上げると、昨年の7月24日に過労死等防止のための対策に関する大綱が閣議決定されており、現在大綱に定められた過労死等の事案分析や調査研究が進められていると伺っております。したがって今後過労死や自殺に至った労働実態、管理体制の把握を強力に進めて、必要な対策を速やかに実施すべきだということは論を待たないと考えております。今申し上げたように働く者が過重労働によって命を失うような事態は何としても防がなくてはならないと同時に、先ほどご意見にありましたとおり生産年齢人口の急減を踏まえるまでもなく労使、企業、働く者に与えられている命題は、一人ひとりの働き方を高めていく、高める中で職場の知見を活かしてよりよい付加価値を生み出していくということが喫緊の課題でもあります。したがって労使が力を合わせて健全な職場、公正な働き方を作っていくという事後的対処のみならず、日々の働き方をよりよいものにしていくということが大変大事だと思っております。そのためには勤務間インターバル規制や労働時間の上限規制など実効性のある長時間労働の抑止策が不可欠だと考えております。制度的な裏付けを持って働き方改革を進めていくことが重要だということを申し上げておきたいと思います。以上です。

 

○樋口会長

 他にこのテーマでございますでしょうか。それでは鵜浦委員、相原委員のご質問に事務局からお願いします。

 

○大西大臣官房審議官

 働き方改革でございますが、まず業種別の対応でございます。現状をご説明させていただきますと、小売業とか宿泊業につきましては、働き方・休み方改善ハンドブックというものを作成しておりまして、こういう業種の特性に応じた長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進、こういったものの啓発を行っているところでございます。また昨年ご指摘いただきましたように、トラックに関して関係省庁との合同会議を開催しているところでございますが、来年度IT産業について同じようなものができないか経産省と関係省庁と現在話を進めているところでございます。ご指摘いただきました中にちょっと手つかずの業界等もございますけれども、いずれにしても業界ごとの取引慣行に合った長時間労働対策というのも非常に大切だと考えておりますので、今後ともご指導いただきながらそういった対策を進めてまいりたいと考えております。

 また、同じく働き方改革につきまして、勤務間インターバルの確保のご指摘もございました。これにつきましては、一昨年労働条件分科会でも随分ご議論いただきまして、現在国会に提出されている法案では、労働時間等設定改善法の中でインターバルの確保措置についても推進するというものが盛り込まれているところでございますので、そういったところからも引き続き働き方改革についてはしっかり進めてまいりたいと思います。

 それと過労死等につきましても過労死等防止対策大綱に関するご質問がございました。これにつきましてサイトの中でスケジュールとか、こういうことをやりなさいということが定められているわけでございますけれども、それに従って、調査研究につきましては医学面での労災事案の分析や疫学研究に加えまして、労働社会面での実態研究につきましても民間シンクタンクに委託してアンケート調査を進めているところでございます。いずれにしても研究の結果等も踏まえた労働実態に合った対策は大変重要だと思っておりますので、これも大綱に従ってしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 

○樋口会長

 次のご質問をお願いします。

 

○浜田委員

 浜田でございます。私からは、労働者派遣について、ページで言いますと8ページです。2点ほど質問がございます。こちらに記載がありますように、労働者派遣法が改正されたことに対して着実な施行を行うということですけれども、私は未だに派遣労働者への周知は不十分だと認識しております。今後自分の働き方がどうなるのか不安を感じている派遣労働者は大変多く、派遣元から十分な説明を受けていないという声も実は連合に寄せられております。特に今改正で派遣元に義務付けられた雇用安定措置やキャリアアップに関する措置は、派遣労働者の希望を踏まえて行われるということが重要だと考えておりますが、そのためにはまずその前提として派遣労働者自身も制度をきちんと認識していくことが不可欠であると思います。質問になりますけれども、今後厚生労働省としてどのように派遣労働者への周知を行っていくのか具体的な取組みがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

 もう1点は派遣労働者の処遇についてです。今でも通勤費が支給されていない事例や、慶弔休暇が取れない事例などが一部派遣元で見られます。派遣労働者の不満がこの点については大変強くあります。これらの処遇については直接雇用労働者と派遣労働者との間に格差を設けることに合理的な理由があるとは思えません。改善が急務だと思っておりますけれども、この点について厚生労働省の見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。以上です。

 

○樋口会長

 派遣法関連ですが、事務局から回答をお願いします。

 

○生田職業安定局長

 まず労働者派遣法の周知の関係でございます。雇用安定措置やキャリアアップ措置をはじめといたします改正法の内容につきまして、派遣労働者の方に知っていただくためのパンフレットなどを作成しており、それを労働局で配布するといったこともやっております。また、ホームページでも公開しております。さらに、労働局に専門の相談窓口を設けておりまして、そこで相談に乗るという体制も作っております。今後ともそれ以外にもどんなことができるのか検討していきたいと考えております。

 それから、派遣労働者の処遇の関係でございますけれども、これにつきましては派遣元事業主が派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮しながら賃金決定、福利厚生の実施等を行う配慮義務というのがございますし、派遣元指針にも派遣元事業主においても無期雇用される労働者と有期雇用される労働者との間に、通勤手当の支給に関する労働条件の相違があるときは労働契約法第20条に基づき、働き方の実態やその他の事情を考慮して不合理であってはならないと規定しております。こういった法令の内容につきまして、きちんと周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

 

○樋口会長

 他にご質問はありますか。

 

○栗原委員

 栗原です。私からは5ページにあります障害者関係につきまして、2点ほどお願いを交えてお話をさせていただきます。ご案内のとおり障害者の雇用というのは昨年11月の厚労省の発表では過去最高になっているということでございます。その中でも障害者といっても身体、知的、精神の方々がいらっしゃるわけですが、精神の方々が今非常に増えています。そういうことから2年前でしたか、トライアル、要は定着に課題のある精神の方の雇用を促進するということでトライアル雇用の対象を12か月にしていただいたところでございます。本当にありがとうございます。ところが、身体の方で手帳を持たれている方の80%が60歳以上だというんですね。つまり、身体の方で新たに雇用できる方が少なくなっている。その一方で、精神の方々が増えている。ただ、精神の方々の場合、短時間労働で雇用されることも多い。重度の身体の方が1人退職された場合、短時間労働の精神の方を4人雇わなければならないということになるんです。これは極論になりますが、そうするとやはり大手の企業さんは雇用率を守るためにかなり苦労されるのではないかと。そういうことから今の雇用率の算定方法をちょっと考える時期に来ているのではないかという気がします。もし、可能であれば精神の方を雇用した場合にダブルカウントできるようにするというのも一つの方法ではないかというようなことを考えております。

 (1)に地域就労支援力の強化ということで、障害者就業・生活支援センターを増やすということが出ています。これは非常に良いことだと思いますが、ただ、この4月から障害者に対する差別禁止と合理的配慮の提供というのが義務化されますね。そうした中で、障害者就業・生活支援センターにもっと企業の出身者を入れていただきたい。例えば総務とか人事とかそういう関係で経験がある方を中に入れていただいて、その経験を活かすようなことができないのかという考えを私は持っております。そういうことでぜひご検討をいただければというのが一つです。

 もう一つそれに関連しているのですが、厚生労働省の行う事業を全て行政機関が行うのではなくて、事業を民間事業者に委託しているものもあるわけでございます。委託事業につきましても、入札では金額のみでなく、企画提案の内容や事業遂行を含めてより総合的に勘案して委託先を選定いただきたい。というのは、今のやり方ですと値段が安ければいい、安いところに事業を委託するということになりますと、言葉は悪いですが安かろう悪かろうということも出てきてしまう。ですから、もう少し内容を精査しながら、委託事業の応札要件をもう少し具体的な内容にしていただきたい。そうすれば中身も大分整った入札方法に変わるのではないかと思うわけです。以上でございます。

 

○樋口会長

 障害者関連で何かありますか。事務局からお願いします。

 

○生田職業安定局長

 栗原委員からご指摘をいただきました、障害者雇用率のカウントの問題ですけれども、これにつきましては今後検討させていただきたいと思います。それから障害者就業・生活支援センターですが、これは障害者の方の就職に効果を上げているということで非常に評判が高いわけですが、その相談をされる担当の方に企業出身者の方を入れるというご提案でございますけれども、どういう工夫ができるのかということも検討させていただきたいと思います。

 また、民間委託の場合の入札の在り方につきましては、入札方式には最低価格方式、企画競争、総合評価方式などの様々な方式があることから、事業の中身によって、事業に合った形になるように精査して対応していきたいと考えております。

 

○樋口会長

 他にございますか。恐縮ですが、時間が近づいていますので短めでお願いします。

 

○逢見委員

 私からは10ページの人材力強化・人材確保対策の推進に関わって雇用保険二事業関連の助成金である労働移動支援助成金について申し上げたいと思います。

 これは言うまでもなく、本来事業規模の縮小などに伴って企業が人員整理を行わざるを得なくなった場合に離職する労働者に対して再就職支援などを行う企業を支援するものであると同時に、労働者が失業せずに再就職できるようにするためのものであります。しかし昨今、一部の職業紹介事業者から企業に対し、人員削減や退職ノウハウの提供と併せてこの助成金の活用を提案するという営業活動が行われているということが明らかになっております。

 そもそもこうした政策の発端は、安倍内閣が2013年6月に日本再興戦略の中で行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を図るということを決め、その中で雇用調整助成金から労働移動支援助成金への大幅なシフトが行われたということが根源ではないかと思います。雇用の安定が第一目的の雇用保険制度が、本来の目的から逸脱しているのではないかと、そういう懸念を当時申し上げていましたけれども、やはりこれが現実のものとして露呈したということだと思います。

 こうした雇用保険二事業の助成金については、その財源が全て事業主拠出であることから、支給対象を事業主に限定しておりましたけれども、これが本来の政策目的にかなっていたのかどうか考え直す時期に来ているように思います。今後雇用安定事業に関する助成金については、内容に応じて事業主だけではなく、労働者本人に対しても支給することも検討すべきではないかと思っております。以上です。

 

○樋口会長

 ただいまの労働移動支援助成金について何かございますか。よろしければ事務局から。

 

○生田職業安定局長

 逢見委員からご指摘のございました労働移動支援助成金ですけれども、本来はリストラに伴って離職を余儀なくされた方の早期再就職の実現を図るためのものでございますので、その目的が達成できるようにしていく必要があるということでございます。今年の4月1日から一定の支給要件の厳格化を図って、リストラ企業から再就職援助を委託した再就職支援会社が、その企業に対して人員削減を促進するような退職コンサルティングを行う場合や、あるいは事業主が行った退職勧奨について働く方が退職強要と受け止めるような場合については支給しないということをやるわけですけれども、今後とも労働移動支援助成金の運用あるいは制度の在り方につきましては、委員の皆様のご意見も踏まえて不断の検討、改善に取り組んでいきたいと考えております。

 

○樋口会長

 次のご質問を。

 

○板垣委員

 板垣です。原子力災害からの復興への支援について意見を申し上げます。資料2の16ページになります。東電福島第一原発では、中長期ロードマップに基づき廃炉に向けた作業が進められています。廃炉に向けた作業に当たる作業員は、平日1日平均で約6,500人から7,000人にも上っています。資料には被ばく線量等管理に関する記述があります。福島労働局は201511月、東電福島第一原発の廃炉作業を行う事業者に対する監督指導結果を公表しました。直近では労働安全衛生法電離放射線障害防止規則違反の件数は減少しており、この間の取組みの成果と受け止めていますが、廃炉作業に関わる全労働者の被ばく線量低減につきましては、格段の努力が求められます。新たに策定されたガイドラインを踏まえて、労働者の命と健康が守られるよう安全衛生体制の強化に努めていただきたいというのが1点目です。

 併せまして、廃炉作業を行う事業者の主な違反内容について直近の平成27年1月~9月と過年度を比較した場合、労働条件の明示、定期賃金の支払、割増賃金の支払、法定労働時間といった労働基準法違反が増加傾向にあります。引き続き厳正な監督指導を実施するとともに、その状況につきましては定期的に公表していただきたいと思います。以上です。

 

○樋口会長

 この関連でございますでしょうか。よろしければ事務局からお願いします。

 

○大西大臣官房審議官

 板垣委員からご指摘いただきましたように、原子力発電所関連の労働者の安全衛生の確保あるいは労働条件の確保は大変重要だと思っております。ガイドラインにつきましてはもちろん、東電福島第一原発に直接持って行ってお願いしたところでありますし、今後とも福島労働局と労働基準監督署とで定期的な立入調査を実施し、こういったガイドラインの遵守について厳しく指導してまいりたいと思います。また、監督結果 につきましては、従来から定期的に公表しているところでございますが、今後とも定期的に公表してまいりたいと考えております。

 

○樋口会長

 他のご質問よろしいですか。

 

○宮本委員

 時間のないところ申し訳ありません、宮本です。本日の資料にはこれから私が申し上げる施策に関する記載がないのですが、大事なことなので申し上げておきたいと思います。

 いわゆるうつ病などの精神疾患を患っている労働者を事業主が適切な対応をせずにパワハラ等で追いつめて自己都合退職に追い込む、このようなやり方を指南している社会保険労務士がいるということが昨年末問題になりました。参議院厚生労働委員会でもこの問題が取り上げられました。我々の労働相談の窓口にも、このようないわゆるブラック社労士に関する苦情がたくさん寄せられておりまして、このような社労士が公開しているホームページを見てみますと、100%会社の立場で対応するとか、あるいは厚生労働省が示しているモデル就業規則は危険だから使うな、むしろない方がいいというような趣旨の宣伝をして顧客を集めている。こういうことが今でも行われています。

 社会保険労務士法の第1条には事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること、という目的を挙げておりますし、更に第2条には社労士は公正な立場で誠実にその業務を行わなければならないということも挙げられています。先ほど紹介した100%会社側の立場で対応するというような宣伝文句をしている社労士や、あるいはパワハラで追いつめて自己都合退職させるような社労士が、社会保険労務士法の労働者等の福祉の向上に資する役割を担っていて、なおかつ公正な立場で誠実に業務を行えているとは誰が見ても到底思えないのではないでしょうか。この問題を取り上げた参議院厚生労働委員会で塩崎厚生労働大臣が、不適切な情報発信の防止を求めるなど社労士の業務が適切となるよう努めてまいりたいと答弁をされております。塩崎大臣の仰る不適切な情報発信の防止を求めるという点について、具体的にどのような防止策なのか、具体案があれば伺いたいと思います。

 また、このようなブラック社労士は複数の地方で散見されるのですけれども、法令に抵触するような社労士を登録している各都道府県の社労士会が、このような事案に適切な指導をできていないのであれば、厚労省として社労士会を指導すべきではないかと思っております。よろしくお願いします。

 

○樋口会長

 ただいまのご質問に関連するものはございますか。なければ事務局から。

 

○大西大臣官房審議官

 委員ご指摘のとおり、社労士に適正に業務を行っていただくことは大切なことだと考えています。具体案をとのお話でございましたが、厚生労働省としましては、全国社会保険労務士会に対して文書を発出し、こういった不適切な取組みはしないということをしっかりとお願いしてまいりたいと考えているところでございます。またそういった社会保険労務士の登録に関しましては、社会保険労務士会の会則というものがございますので、これについても実効性のある会則についてお願いしてまいりたいと考えているところでございます。

 

○樋口会長

 ほかにご質問は。

 

○市瀬委員

 前回も申し上げたのですが、良い政策であっても企業に知られていない情報が多々あるとまだ思っておりまして、その周知がまだ不十分であると思っております。新たに施行される法律の内容や企業に役立つ助成金の情報など、毎年数多くのパンフレットや冊子、ポスター等が製作されておりますが、印刷費や輸送コストなどを考えると、1部当たりの費用は決して安いものではないと思います。周知を行う場合には、その目的や費用対効果を十分に比較検討していただき、効果的な方法を工夫して今以上に周知を充実していただくよう、よろしくお願いします。

 

○樋口会長

 これは依頼事項ということで。次のご質問を。

 

○渡邊委員

 私からは一億総活躍国民会議の関係で、同一労働同一賃金について一言申し上げたいと思います。2月の国民会議で日本商工会議所の三村会頭からも申し上げたとおり、いわゆる同一労働同一賃金は、正規労働者と非正規労働者の間の待遇差について不合理であると認められるものであれば改善しようという考えならば理解はできますけれども、最も重要なことは同一労働をどのように定義するかでありまして、誰と誰を比べ、その程度の差が非合理とされているか慎重に検討していく必要があるのではないかと思っています。また、政府あるいは厚生労働省として同一労働同一賃金という政策を導入する際に、日本型雇用の大きな特徴であります終身雇用や年功制との関係をどのように整理していくのかということについてお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

 

○永芳委員

 同一労働同一賃金について一言申し上げたいと思います。一億総活躍国民会議で安倍総理が指示されました同一労働同一賃金の実現は、非正規労働者の処遇改善を前進させるために非常に重要な施策だと考えております。連合はかねてより雇用形態に関わらない雇用均等待遇原則の法制化を強く求めてまいりました。雇用均等待遇原則の法制化は、現在の格差を改善するための政策の柱であることは明らかであると考えています。法律家などの有識者による会合が既に昨日開催されておりますが、労政審での議論を早期にスタートさせるべきであると考えております。

 なお、「同一労働同一賃金は職務給賃金でなければ実現しない」、また「日本の雇用慣行では均等待遇原則の法制化は困難」といった消極的な声も一部で見受けられますが、総理発言をみるに使用者側の方も前向きな発言をされている方が多くおられます。国民会議の中では労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法を見直しの対象とすべきとの提案もあったようですが、真に実効性のある法制化が実現するよう労働側としても労政審で前向きに議論していきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。以上でございます。

 

○椋田委員

 同一労働同一賃金の実現については、2月23日の国民会議で安倍総理から我が国の雇用慣行に十分留意をしつつ取り組むということが表明されております。これを受けまして3月23日には同一労働同一賃金の実現に向けた検討会も設置されていますけれども、やはり今後の検討に当たっては総理が十分に留意すると仰った我が国の様々な雇用慣行が、企業競争力の源泉になっていることを十分踏まえて、例えば制度の見直しによって競争力の低下を招くことがないように十分配慮していただきたいと思っております。特に我が国の多くの企業では、賃金の決定に当たって仕事の内容、責任の程度といった職務内容だけではなく、従業員に対する期待、役割、将来的な人材活用の要素などを勘案しております。こうした考え方が結果的に従業員のモチベーションの維持向上にも大きく寄与しており、今後も基本的に維持されるべきと考えております。

 同一労働同一賃金を実現する目的は、言うまでもなく非正規労働者の処遇改善にあると思います。経団連の調査では、2015年に非正規労働者・非正規従業員を対象として基本給、時給の増額を実施した企業が約6割、賞与・一時金の支給・増額を実施した企業が3割、正社員への転換制度の導入・充実が約3割に上っておりまして、企業は積極的に非正規従業員の処遇改善を図っているところです。1月に発表した経団連の経労委報告などでもやはりこの点を大きく取り上げております。こういったことを通して企業に非正規労働者の時給引上げ、正社員化などをまさに呼びかけておりまして、我々としては引き続きこういった処遇改善に向けて取組みを主体的に推進していきたいと思っているところであります。先ほど予算の話でキャリアアップ助成金の話等もありましたけれども、やはり政府には非正規労働者の能力開発、あるいは企業の生産性向上の取組みに対する支援など多面的な政策をぜひしっかりやっていただきたいと思います。私からは以上です。

 

○樋口会長

 同一労働同一賃金についてほかにありますか。短めにお願いします。

 

○市瀬委員

 同一労働同一賃金ですが、中小企業においては正規・非正規の労働者が同一労働をしているケースが少ない場合もあります。こうした現状を踏まえ、中小企業の労務対策コストが過大なものになったり、予見しにくいことがないように十分な検討をお願いします。以上でございます。

 

○樋口会長

 事務局から何か発言はありますか。

 

○生田職業安定局長

 たくさんの委員の方からご指摘をいただきました同一労働同一賃金ですけれども、総理から厚生労働省と内閣官房で協力して検討を進めるようにというご指示がございました。これにつきましては、3月23日に第1回の同一労働同一賃金の実現に向けた検討会が開催されております。委員ご指摘の我が国の雇用慣行、大事な部分がたくさんございます。確かに長期の勤続を前提とした人材育成、賃金体系、あるいは経営環境の変化に対応した柔軟な配置転換などさまざまな特徴を十分踏まえていく必要があると考えております。今後、検討会の議論も踏まえて非正規で働く方の待遇改善に向けて実効ある方策について必要な検討をしっかりと進めていきたいと考えております。

 なお、同一労働同一賃金に関して法律改正を行う場合につきましては、労働政策審議会でその内容についてご議論をいただくということは当然でございますので、関係者の合意形成をそういう場できちんと図っていきたいと考えております。

 

○樋口会長

 最後にその他でございますが、事務局から2点ほど報告事項がございますので説明をお願いします。

 

○鈴木労働政策担当参事官

 時間がないので簡単にご紹介だけします。資料5でございます。厚生労働省でこれから20年後の未来に向けてどういう働き方が必要となってくるのかということを、専門家に集まっていただいて議論をしている「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会というものを開催しております。委員の名簿は2ページ目にございますのでご覧いただきたいと思います。おおむね夏頃を目標に報告書を取りまとめる予定でございます。

 その次は資料6でございます。先ほどから同一労働同一賃金の話が出ておりますが、一億総活躍国民会議におきまして労働関係の議題が結構出ており、議論が進んでおります。昨年11月に緊急対策をまとめ、2順目の春にプランの策定という議論の中で働き方改革などについて議論しております。こちらもご覧いただきたいと思います。以上でございます。

 

○樋口会長

 私の方から1点。一億総活躍の関連で資料を配付させていただきました。「女性の活躍加速のためのワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を公共調達においてより幅広く評価する取組指針」です。これがもう既に決定しております。これにつきましては、具体的には、開いていただきましてこのワーク・ライフ・バランスに関わるという2番目の項目、取組内容というのがございますが、価格以外の様相を評価する調達、総合評価落札方式及び企画競争方式において、ワーク・ライフ・バランスの推進基準、特に女性活躍推進法、次世代法、若年雇用促進法に基づく認定の取得企業につきまして、あるいは女性活躍推進法に基づく計画策定中小企業に対して加点を行うというような方法になっております。

 加点の点数については3パーセントから10パーセントということで、これは公共事業も含んでということで約5兆円の対象予算になるのではないかというようなことで出ておりますので、これも情報提供ということで付けさせていただきました。

 それでは時間も過ぎておりますが、このほかに皆様から何かございますでしょうか。よろしければ本日はこのあたりで閉会させていただきたいと思います。本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により会長の他2人の委員に署名をいただくことになっています。労働者代表の浜田委員、使用者代表の岡田委員に署名人となっていただきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 本日の会議は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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