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2016年3月24日 第8回 保健師に係る研修のあり方等に関する検討会

健康局

○日時

平成28年3月24日(木)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1 最終とりまとめ(案)について
2 その他

○議事

○保健指導専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第8回「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方には、御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。

 初めに、構成員の出席状況を申し上げます。本日は、清田構成員より欠席の御連絡をいただいております。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第をおめくりいただきまして、座席表。

 続きまして、

資料1-1 最終とりまとめ(案)が12ページでございます。それに続けて、別紙として、3ページ、キャリアラダーをつけております。

資料1-2 最終とりまとめ資料編ということで、33ページでございます。

参考資料1 中板構成員提出資料として、スライド9枚。

 参考資料2 藤原構成員提出資料として、5枚のスライドをつけております。

 構成員の皆様には、参考資料といたしまして、第1回から第7回までの検討会の資料をファイルにて配付させていただいております。

 以上でございます。

 資料に不足、落丁等ございましたら、挙手にてお申し出、お願いいたします。

 マスコミの方は、以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○保健指導専門官 それでは、村嶋座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○村嶋座長 皆様、こんにちは。第8回になりました。何とか年度内にこの報告書を出せるといいなと思っております。きょうも、どうぞよろしくお願いします。

 では、早速議事に入りたいと思います。

 「最終とりまとめ(案)について」、事務局から御説明をお願いします。

○保健指導専門官 よろしくお願いします。

 構成員の皆様には、最終とりまとめ(案)とキャリアラダー(案)について事前にごらんいただきまして、ありがとうございました。いただいた御意見を踏まえまして、修正案を作成いたしましたので、御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1-1「最終とりまとめ(案)」についてです。こちらのほうは読み上げをさせていただきたいと思います。

 「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会 最終とりまとめ~自治体保健師の人材育成体制構築の推進に向けて~」ということで表紙に記載しております。

 ページをおめくりいただきまして、目次がございます。全体を読み上げますので、中で確認いただければと思います。

 
 はじめに

 近年、地域保健を取り巻く状況が大きく変化してきたことから、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」が大幅に改正されるとともに、地域における保健師の保健活動の留意事項等を示した「地域における保健師の保健活動について」においても大幅に内容が見直されたところである。その中で、地域保健対策の主要な担い手である地方公共団体に所属する保健師において、保健、医療、福祉、介護等に関する最新の専門的な知識及び技術、連携・調整に係る能力、行政運営や評価に関する能力を養成することは自治体の保健福祉施策の推進において重要であることが示されており、各自治体には人事評価制度や人材育成基本方針に沿って、保健師の体系的な人材育成を図っていくことが求められている。

 また、現在、国や自治体等が実施している保健師の研修が必ずしも系統的に行われていいないこと等が課題とされており、このような課題を解決するため、本検討会は平成26年5月から5回にわたり検討を重ね、平成2612月に中間とりまとめを行い、保健師の研修等に係る現状と課題を整理した。

 その後、中間とりまとめに示された対応の方向性に沿って、更なる研修の実態把握や、保健師に必要な能力の整理、研修体制構築の推進や関係機関等との連携のあり方等について、厚生労働科学研究の成果等を活用し、また関係機関の協力も得て検討を進めてきた。本最終とりまとめは、その検討の結果をまとめたものである。検討過程において、保健師の専門的な知識・技術や行政運営能力等を向上するためには、研修に加え、組織の人材育成計画に沿ったジョブローテーション等の方法も有効であり、組織的な人材育成の推進が重要であることが確認された。

 本最終とりまとめは研修のあり方にとどまらず、ジョブローテーションやその他の推進方策を含めた自治体保健師の人材育成の推進に関する検討成果をとりまとめたものであり、その趣旨を踏まえ、「自治体保健飾の人材育成体制構築の推進に向けて」を副題とした。

 

 体系的な研修体制の構築

1.自治体保健師に求められる能力について

(1)自治体保健師の標準的なキャリアラダーによる能力の整理

 1)基本的な考え方

 保健師免許取得までの教育背景や、自治体に保健師として就職するまでの職務経験が多様化する中で、保健師の能力は経験年数に応じて一様ではないことから、保健師の人材育成において、各保健師の能力の獲得状況を的確に把握するためには、能力の成長過程を段階別に整理したキャリアラダーが必要である。本検討会では、厚生労働科学研究において作成されたキャリアラダーを基に検討を行い、自治体保健師の標準的なキャリアラダーを作成した。

 別紙にキャリアラダーをつけております。

 

 なお、本検討会で示すキャリアラダーは、自治体保健師に概ね共通して求められる標準的な能力を整理したものである。各自治体の保健師の人材育成において本キャリアラダーを活用するに当たっては、各自治体が自組織の保健師の年齢構成や職務範囲等を踏まえて、本キャリアラダーに示された保健師に求める能力を実際の保健師業務に対応させるなどにより、詳細かつ具体的に検討した上で、自治体独自の保健師のキャリアラダーを作成することが必要である。

 

 2)枠組み

 本キャリアラダーでは、保健師の活動領域ごとに類型化し、各領域において求められる能力をレベル別に整理して示した。

 保健師の専門的能力について5段階(キャリアレベル1~5)に分け、「専門的能力に係るキャリアラダー」を作成した。従来の自治体保健師の人材育成においては、主として経験年数に応じて「新任期」「中堅期」「管理期」に区分することが多かったが、本キャリアラダーでは、能力の成長過程を段階的に区分した。また、課長や部長など管理職に就く保健師が増加傾向にあることから、管理職の保健師に求められる能力を明確にするため、「管理職保健師に向けた能力に係るキャリアラダー」を別途示した。

 なお、各自治体において本キャリアラダーを活用して人材育成体系を構築するに当たっては、「専門的能力に係るキャリアラダー」はすべての保健師に適用されるものである一方で、「管理職保健師に向けた能力に係るキャリアラダー」は専門的能力に係るキャリアレベルが一定程度積み上げられた者に適用されるものであることに留意が必要である。

 

 囲みといたしまして、キャリアレベルの定義、保健師の活動領域を示しております。

 前後しますが、別紙のキャリアラダーのほうを御参照いただけますでしょうか。委員の皆様方には、たくさんの御意見をいただきまして、修正版を確認いただいているところでございますが、枠組みといたしまして、先ほど申し上げましたとおり、キャリアレベルの定義に基づいてキャリアレベルA-1からA-5まで記しております。また、縦軸といたしまして、保健師の活動領域及びその求められる能力を示しております。これが自治体保健師の標準的なキャリアラダー、いわゆる専門的能力に係るキャリアラダーをページ1からページ2で示しております。

 2ページおめくりいただきまして、3ページ目が管理職保健師に向けた能力に係るキャリアラダーとしております。これも同様に、キャリアレベルをB-1からB-4、こちらは係長級への準備段階から、係長級、課長級、部長級としてレベルを設定しております。保健師の活動領域については、こちらは管理的活動を3つの項目に区分して、求められる能力を示しております。それぞれの保健師の活動領域につきまして、各レベルにおいて求められる能力というものをキャリアラダーで示したものでございます。

 

 本文のほうに戻りたいと思います。3ページの11行目からでございます。

 

(2)統括的な役割を担う保健師に求められる能力とその育成

1)統括的な役割を担う保健師に求められる能力

 統括的な役割を担う保健師は、保健活動通知に「保健師の保健活動を組織横断的に総合調整及び推進し、技術的及び専門的側面から指導する役割を担う部署を保健衛生部門等に明確に位置付け、保健師を配置するよう努めること。」と明記されている。これを受けて、自治体ではその重要性が認知され、配置が進みつつある。統括保健師の配置と継続的な確保に向け、今後、各自治体でこのような役割を担う保健師をどのように育てていくかが重要な課題である。

 統括保健師の育成のためには、その役割と求められる能力を明らかにすることが必要である。統括保健師の役割については、保健活動通知に示されており、以下の3点にまとめることができる。

・保健師の保健活動の組織横断的な総合調整及び推進

・技術的及び専門的側面からの指導及び調整

・人材育成の推進

 すでに自治体に配置されている統括保健師は、上記に加えて関連する多様な役割を担っているが、本検討会では保健活動通知に示された基本的な役割に基づき、統括保健師に共通して求められる能力を整理した。統括保健師が多様な役割を担っている場合は、当然のことながらその役割に応じた能力が求められることから、各自治体で統括保健師の育成を行うに当たっては、まず自組織の統括保健師の役割の範囲と求められる能力を確認することが必要である。

 

 ページをおめくりいただきまして、4ページの頭から統括的な役割を担う保健師に求められる能力を示しております。大きく3つの項目に分けております。

・組織横断的な調整や交渉を行い、保健活動を総合的に推進する能力

・保健師としての専門的知識・技術について指導する能力

・組織目標等に基づき保健師の人材育成体制を整備する能力

としております。

 

 4ページの21行目から、

2)統括的な役割を担う保健師の育成

 前述のとおり、統括保健師については保健活動通知に明記されており、各自治体がその必要性や重要性を再確認し、統括保健師の育成を一層推進することが期待される。すでに自治体に配置されている統括保健師は、様々な部署での業務経験等を通じて段階的に能力を獲得していた。統括保健師の育成のためには、研修に加えて多様な業務経験等を通じた能力の獲得ができるよう、ジョブローテーションによるOJTと研修を組み合わせた早期からの計画的な人材育成が求められる。

 また、統括保健師の育成の過程において、統括保健師となる保健師がその役割や重要性を十分に理解し、主体的に能力の獲得に取り組み、自覚を持つことができるよう、上司や先輩保健師からのサポートも重要である。さらに、統括保健師がその役割を十分に果たすためには、統括保健師を補佐する保健師を位置づけることが有用であり、次世代の統括保健師の育成にもつながることから、その確保が望まれる。

 

2.体系的な研修体制構築の推進

(1)組織全体で取り組む人材育成

 保健師に対する効果的なジョブローテーションも含めた人材育成の仕組みを構築するに当たっては、人事部門とも連携しながら進めることが不可欠である。地方公務員法改正に伴い、全ての自治体で人事評価制度の導入が進められているところである。人事部門では人事評価で用いる標準職務遂行能力など、適正な評価指標の作成を課題としており、保健師の人材育成における評価指標への関心は高い。また、「地方自治体・新時代に対応した

地方公共団体の行政改革推進のための指針」に基づき、全ての自治体において人材育成基本方針が策定されることとなっている。

 こうした状況を踏まえ、自治体組織として効果的な保健師の人材育成体制を構築するためには、まず保健師の中で、目指すべき保健師像や人材育成の方針、体制等について議論を重ね、保健師の人材育成指針を定め、共通理解を図ることが必要である。その上で、自治体全体の人材育成を体系化する役割を持つ人事部門と共に検討する場を設け、保健師に求められる能力の評価指標を協働して策定するなど、各自治体の人材育成基本方針に体系づけられた保健師の人材育成について組織的に推進することが重要である。その際、人事部門等の自治体内の部署に加え、看護系大学等の自治体外部の関係機関の参画により、多角的な検討の場を設けることも有用である。

 

(2)キャリアパスを活用した体系的な人材育成体制構築の推進

 保健師が地域保健における課題を解決する能力を高めるためには、研修のみでなく様々な業務経験が重要である。能力に応じた職位や部署に配置し、多様な職場における指導等を通して能力を積み上げていけるようジョブローテーションによるOJTと研修を組み合わせた人材育成の仕組みの構築が必要であり、能力を積み上げる道筋をキャリアパス等として示し、可視化することが重要である。研修やジョブローテーション等を経て、キャリアラダーに示された能力を獲得していくとどのような場で能力を活かすことができるのか示されることにより、現場での実践能力を高めてさらに専門性を発揮していきたいと考える保健師にとっても、目的意識の明確化や一層の意欲向上につながるなど、より効果的に人材育成を推進することができると考えられる。

 キャリアパス等の構築に当たっては、人事部門との連携が不可欠である。ジョブロ-テーションや研修と連動したキャリアパスを作成した自治体の例をみると、キャリアパス作成のはじめの段階から、当事者である保健師と人事部門が協議・調整し、方針を共有した上で、自治体の人材育成方針との整合を図り、ジョブローテーションや研修と連動するキャリアパスを作成し、その結果、保健師の人材育成体制が構築されていた。このような事例を参考に、各自治体において、人事部門をはじめとする保健師の人材育成に関係する部署が連携し、キャリアパスを作成するプロセス等を通して、保健師の体系的な人材育成の必要性の理解や体制構築が推進されることが期待される。

 

 ページをおめくりいただきまして、6ページの前段に、ジョブローテーションや研修と連動したキャリアパスを作成した自治体におけるキャリアパス構築のプロセスを示しております。

 

 本文に戻りまして、19行目からでございます。

 自治体組織においてキャリアパスを活用して人材育成を効果的に推進するためには、キャリアパスの意義やメリットについて組織内の全ての保健師が理解し、自らのキャリアパスに反映させるとともに、人事部門等も含めた組織的な合意形成が不可欠である。

 キャリアパスは保健師の業務内容や配置計画、人材育成方針等と密接に関連しており、自治体の個々の状況により異なるものである。キャリアパスの構築に当たっては、各自治体の実情を踏まえた検討が行われるべきであり、各自治体において、本最終とりまとめや厚生労働科学研究報告書、先行自治体の取組事例等を参照し、検討が進められることが期待される。

 

(3)個別性に着目した人材育成の推進

1)「人材育成支援シート」の活用

丸1「人材育成支援シート」の活用により期待される効果

 中間とりまとめにおいて、保健師免許取得までの教育背景の多様化等により新任期の保健師については個別性にも着目した人材育成のあり方の検討が必要であることが示されたが、新任期に限らず各保健師の基本的能力の習得状況を確認しつつ、個別性に着目した人材育成を行うことは重要である。

 個別性に着目した人材育成を堆進するためには、個々の保健師の業務経験や研修受講履歴等を記録し、それらを通して獲得した能力等を自ら確認すると共に、その内容を上司との面談等において共有し、人材育成計画に反映する方法が考えられる。組織内で共通の様式(仮に「人材育成支援シート」とする)を活用することにより、効果的かつ組織的に人材育成を推進することができると考えられる。

 「新人看護職員研修ガイドライン」では、研修手帳の活用について述べられているが、「人材育成支援シート」は、これをベースに業務経験と業務を通じて獲得した能力をチェックシート等を用いて記録し、キャリアラダーやキャリアパスと連動させることで、全ての保健師の人材育成に活用することができる。

 また、「人材育成支援シート」に自らの目指す保健師像や伸ばしたい能力を個々の保健師が明記しておくことで、能力の獲得状況等の評価を行う際などに自らの目標を再確認することができ、自己研鑽や業務に対する意欲向上にもつながることが期待される。

 

 丸2「人材育成支援シート」の記載内容

 独自の「人材育成支援シート」を既に活用している自治体では、個々の保健師が、目指す保健師像や将来ビジョンを明記したり、業務経験や研修受講履歴等を記録し、それらを通して獲得した能力を自ら確認するなど、自己管理ツールとしていた。さらに、個々の保健師が記載し、自己評価した結果を、面談等によって上司や人材育成担当者・保健師と共有し、本人及び組織の人材育成計画に反映するといった方法で活用していた。「人材育成支援シート」の記載項目は、その活用方法により異なると考えられる。活用方法を、個々の保健師による活用と組織による活用に分け、それぞれの活用方法に応じた記載項目の例を整理した。

 各自治体において「人材育成支援シート」を作成する際には、「人材育成支援シート」をどのような目的で活用し、どのような運用方法とするのか等を明確にし、必要な記載項目をそれぞれ検討することが求められる。

 

 ページをおめくりいただきまして、8ページの前段部分に「人材育成支援シート」の活用方法に応じた記載項目の例を示しております。

 

 本文の5行目でございます。

2)人材育成における産休・育休取得者への支援

 中間とりまとめにおいて、中堅期の保健師は、産前産後休業や育児休業を取得する者も多く、多様性を踏まえた対応が必要であり、また主体的に自らの目指すべき方向を考えることができるような人材育成の推進が課題として示された。これは自治体保健師に限らず、他織種や一般企業にも共通する重要な課題である。

 産休・育休等により長期間職場を離れた保健師の人材育成やキャリア継続支援においては、個別の事情を勘案した対応が必要であり、ワーク・ライフ・バランス重視の職場環境づくりに加えて、個別性に着目した人材育成が求められる。

 具体的には、各自治体が作成した独自のキャリアラダーを参照しつつ、長期間職場を離れた個々の保健師の業務経験や能力の獲得状況について、保健師本人と指導者側が確認して「人材育成支援シート」に記録し、復帰面談等において共有するといった方法により、人材育成上の課題について共通認識を持つことができる。その上で、復帰面談や希望者向け研修等の機会を提供することにより、多様性を踏まえた効果的な支援となることが期待される。

 このように、キャリアラダーや「人材育成支援シート」は、産休・育休取得者等の人材育成やキャリア継続支援においても有効なツールになることが期待され、各自治体の人材育成方針やガイドライン等に盛り込み、組織全体で取り組むことが重要である。

 
 国の役割及び自治体間や関係機関との連携推進

1.国及び国立保健医療科学院の役割

 国は自治体保健師の人材育成の必要性について保健活動通知等で示しているところであるが、各自治体における人材育成体制の構築が一層推進されるよう、本最終とりまとめで示された具体的な推進方策について、関係機関と連携しつつ、周知等の取り組みを行うべきである。

 また、国立保健医療科学院は、研修を通じて都道府県・保健所設置市をはじめとする全国の自治体のトップエキスパートを継続的に育成し、育成された人材が当該地域の自治体の人材を育てていくといった波及効果を生むよう、その充実を図るべきである。さらに、国立保健医療科学院における人材育成体制やキャリアパス、研修手法・ツールに関する実践的研究等を通じて、全国の自治体保健師の人材育成の取組や研修の質の向上に寄与するよう努められたい。

 

2.都道府県と市町村との連携推進

 保健師の人材育成・研修を企画・実施するに当たっては、都道府県保健所が市町村保健飾を対象とした研修を実施するなど、都道府県による計画的・継続的な人材育成の支援・推進が今後も重要である。都道府県における取組や都道府県と市町村との連携状況等の事例により、全ての自治体における保健師の人材育成を推進するためには、特に規模の小さい自治体の支援が重要であることが明らかとなった。こうした点も踏まえ、都道府県・市町村において以下のような取組が推進されることが望まれる。

 

丸1都道府県や保健所による市町村への支援・連携の強化

・保健所には市町村保健師の人材育成を支援する役割が期待されており、この点については「保健活動通知」に示されている。まずは都道府県、市町村ともにそれを再確認することが必要である。

・都道府県及び保健所は、市町村連絡協議会等の定例開催などを通して市町村間の連携促進を図るとともに、人材育成に関する市町村からの相談対応体制を整備するなど市町村の実態を常に把壊する体制を整えることが求められる。

・また、困難事例に市町村と連携して対応したり、事業評価を共に実施するなどによる市町村の支援も効果的であり・把握した地域の課題を保健所業務に反映・活用することができる。

・都道府県は、管内市町村の参加を得て、市町村においても活用可能な人材育成ガイドラインを作成することが求められる。

・都道府県と市町村との間で保健師の人事交流を行う等、顔の見える関係性により、双方の人材育成における継続的な支援・連携体制を構築することが重要である。

・市町村は人材育成の方針について自組織内で検討し明確にしておくとともに、必要に応じて都道府県や保健所、大学等の関係機関を積極的かつ効果的に活用することが望ましい。

 

丸2市町村間連携の促進

・規模や特性が近い市町村間の連携は重要であり、広域連合など市町村間連携の仕組みを活用し、保健師の研修会を合同で開催するなどの方法が考えられる。

・人材育成に関して市町村間連携を担当する統括保健師等を各市町村に設置し、顔の見える関係性により連携促進を図ることが求められる。

 

3.教育機関との連携推進

 中間とりまとめにおいて、保健師を養成する大学等の教育機関と自治体との研修の企画・運営等の連携の実態について全国的なデータや事例を集約した上で、保健師の現任教育における有効な連携方策等を検討し、提示することとされた。自治体保健師の人材育成に関する教育機関の全国的な取り組み状況について調査が行われ、その結果より、教育機関が自治体保健師の現任教育に関わるメリットとして、「現場の保健師活動を教育機関がより理解し、教育・研究に活用することができる」、「自治体保健師との連携が強化される」、「自治体に就職した卒業生が学生のロールモデルとなり、教育への好影響となる」、「大学として地域貢献の役割を果たせる」といった点が明らかになった。

 自治体保健師は実践の現場に近いため地域の健康課題に係る着眼点や判断力においては強みがあるが、研究的に課題に取り組む時間や人材が不足している。一方、教育機関は実務の場から離れているが、一歩引いて客観的に課題を捉えることができる。両者の連携により、現場の活動にエビデンスや研究的視点を付加することができ、保健活動の質向上が期待される。このように、互いの強みと弱みを確認し、それを補完し合い、双方の特徴を活かした連携策が効果的と考えられる。

 保健師の現任教育における自治体と教育機関との連携を一層推進するためには、教育機関が自治体保健師の現任教育に関与することにより得られる教育機関側のメリットや多様な関わり方を、教育機関に対して広く周知することが重要である。また、実習の受け入れを調整する会議等の機会を活用し、教育機関と自治体が組織的かつ定期的に協議する場を活用することも効果的である。

 なお、教育機関との連携に際しては自治体が主導し、保健師の人材育成において教育機関と連携する目的や目標を明確にした上で、それを教育機関と共有し、協働して取り組むことが求められる。

 保健師の人材育成において自治体と未だ連携していない教育機関では、自治体に就職したそれぞれの卒業生への支援や、各大学の独自性と教員の得意分野等を活かした取り組みやすい支援から着手するなど、教育機関の現任教育への関与が一層推進されることが期待される。

 

4.関係機関との連携推進

 自治体保健師の人材育成の推進のためには、保健師の育成や業務において関係が深い日本看護協会や全国保健師長会等の関係機関との連携も重要であり、すでに多くの研修が実施されている。全国規模の研修もあるが、都道府県毎やブロック毎にも開催されており、自治体保健師がより参加しやすい方法がとられている。また、関係機関が開催する研修には、複数の自治体の保健師が参加するため、組織を越えた保健師間の横のつながりを構築する場にもなっている。関係機関の特性や視点を活かしたテーマ設定や実施方法など、行政とは違う多角的な研修が行われることにより、幅広い学習や検討ができる機会にもなっている。また、同規模や同特性の自治体との情報交換により、管理職クラスの保健師が施策化のために必要な考え方等の研鑽を行える重要な場となっている。

 一方、関係機関は自治体保健師を対象とした研修を通して、地域の保健活動における様々な課題をタイムリーに把握することができ、関係機関の事業計画策定や効果的な事業実施等に活用できるといったメリットがある。また、研修の企画そのものについても自治体保健師の意見を反映させることができ、保健師の活動の実態に沿った必要性の高い研修を実施できる。

 自治体保健師の現任教育において関係機関との連携を推進するためには、自治体と関係機関の双方のメリットを明らかにし、それぞれの持つ特性や役割・連携による効果等を互いに理解・共有し、効果的な活用をすることが重要である。地域の保健活動や保健師の質向上に向け、関係機関との連携が一層推進されることが期待される。

 

 自治体保健師の人材育成に資する今後の研修事業のあり方

 中間とりまとめにおいて、全国レベルで行われている保健師の研修事業について、実施主体によってそれぞれ目的をもって実施されており、一定の効果を上げているが、全体としてみると、研修の対象者や到達目標等について実施主体ごとの役割分担の整理が十分ではない状況にあり、既存の研修事業が今後も保健師の人材育成に有効に活用されるためには、研修に派遣する必要性が自治体に理解されるよう、研修の成果がどのように業務に活かせるのかを明確にすることが必要であることが示唆された。

 本検討会では、自治体保健師に求められる能力を整理し、「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」を示した。今後、自治体保健師を対象として実施されている様々な研修について、研修の対象者や到達目標等を「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」における各レベルや能力を用いて示すことにより、各研修の人材育成上の位置づけを明確にすることができ、各研修が人材育成において一層有効に活用されることが期待される。

 また、各研修の対象者や到達目標等を「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」と関連付けることにより、研修成果がどのような業務の質向上に効果的なのか、説明することが容易となると考えられ、自治体組織内における各研修の必要性に対する理解促進につながることも期待される。さらに、研修実施側にとっても、各研修の対象者を明確にし、到達目標等について受講者と共通認誠を持つことが容易となり、より高い研修効果が得られることが期待される。

 今般、「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」が示されたことを契機に、各研修事業の実施者が、各研修の対象者や到達目標等を「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」と関連付けて明示することが望まれる。

 また、様々な実施主体により実施されている研修事業について、研修の実施単位(全国単位、都道府県単位、保健所単位など)や実施機関の種別・特性(教育機関、職能団体等)等により整理し、研修の意義や役割を明らかにすることによって、各研修の位置づけが明確化され、一層活用されることが期待される。

 
 おわりに -自治体保健師の人材育成の一層の推進に向けて

 保健師は地域保健における最大のマンパワーであり、地域保健を取り巻く状況が大きく変化する中、保健師の資質の向上は極めて重要かつ急務である。各自治体においては、保健師に係る人材育成体制の構築に取り組まれることが期待される。

 また、保健師の免許取得前の教育体制は多様であり、就業後も産休や育休の取得等によりキャリアが中断される者も少なくない。保健師の人材育成上、多様性を踏まえた個別の対応が必要な状況がある。本検討会では、キャリアラダーという概念を導入し、自治体保健師に求められる能力を示すとともに、「人材育成支援シート」の活用方法と記載事項例を整理して示した。また、キャリアパスの策定プロセスと策定における留意事項を示した。今後、これらが活用されることにより、個々の保健師の目標や能力の獲得状況、ライフステージ等の多様性に応じた、効果的な人材育成体制の構築と人材育成の一層の推進が期待される。

 

 以上でございます。

 続きまして、資料編のほうも御説明させていただきます。これまでの検討会で御議論いただいた事項のうち、自治体や企業及び関連機関における取り組み事例について資料集として整理しております。

 おめくりいただきまして、目次を御紹介いたします。

 個別性に着目した人材育成。こちらは「人材育成支援シート」とか産休・育休に係る取り組み事例でございます。

 2つ目といたしまして、自治体間や関係機関との連携推進。

 3つ目といたしまして、「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」を活用した研修事業の位置付けの明確化の例。

 4つ目といたしまして、自治体保健師のキャリアパスのイメージ。

 5つ目といたしまして、自治体における「人材育成支援シート」でございます。

 以上でございます。

○村嶋座長 ありがとうございました。12ページの報告書と資料編でございます。

 キャリアラダーもございますが、いかがでしょうか。報告書のほうですね。

 まず、「自治体保健師の標準的なキャリアラダー」について御意見がありましたら、お願いいたします。修正の御意見は、修正箇所と具体的な修正案を御発言いただくようにお願いいたします。

 まず、別紙のほうのキャリアラダーでございます。いかがでしょうか。事前に御説明に伺っていると聞いております。

 どうぞ。

○田中構成員 表現的なところなのですけれども、キャリアレベルの定義のところで、A-3では、係の業務というところに加えて、チーム内の業務に対して責任を持つということで、「チーム」という表現が使ってあります。A-4にも8番にありますが、それを各レベルにおいて求められる能力としたときに、内容によっては、43とか48は所属係内という表現をしているので、このチーム内ということをどう捉えようかということで迷ったところがあります。

○村嶋座長 チームと所属係や所属課の表現ですね。所属課の中で、本当は幾つかチームがあるのでしょうけれどもね。

○田中構成員 12番は、係の保健事業に係る業務がどの施策に位置づいているか理解し、チーム内の業務に対して責任を持つ。ということは、係の中のチーム、例えば精神であれば精神のチームという捉え方ですか。

○村嶋座長 と思いました。こういう表現に関して、何かありますでしょうか。

 佐藤構成員のほうでは、今のチームとか係とか、ございますか。

○佐藤構成員 多分、組織の大きさと業務の係の中の範囲によって、係の中にチームがあったり、もしくはチームというのは係を超えてつくられたりという仕組みだと思います。このA-1からA-5の中の順番的に考えていくと、A-3というのは係の業務に対して責任を持つというレベルなのかなと私は理解していたので、わかりづらいのであれば、チームという言葉を外したほうがいいのかなという気はするのですが。

○村嶋座長 外したほうがいいですか。

○佐藤構成員 係という言い方をしないところもあるので。イメージとしての話だとは思うのですか、係(チーム)みたいな書き方でもいいのかなと思うのですが。

○村嶋座長 係(チーム)ですと、係やチームという感じになりますね。

○佐藤構成員 そういうことです。

○田中構成員 チームとか係という表現が意識してここに表現されているのかというところが、ちょっと気になりました。

○村嶋座長 どうぞ、関連ですね。

○中板構成員 私も言葉の使い方を何度か意見として挙げています。チームという場合、これはA-3では係内で、A-4では課内ということで、業務の範囲というのがレベルが上がっても、それ以上を超えないという印象が非常に強いです。今は、どちらかというと係を超えたプロジェクトや課を超えたプロジェクトも少なくないと思います。その例が自殺対策などではないかと思いますが、いろいろなことを含めて、課を超えたプロジェクト、プロジェクトの中で役割を果たすということもあります。チームというのをプロジェクトのような少し横の活動にまで広げると考えれば、書き方を変更したほうが良いと思います。

 係内でのことに理解を示して役割を果たすということと、例えばプロジェクトなどのチームの一員としての役割を果たす、そのような区分けもあるのかなと思いました。いずれにしても責任を持つ範囲がA-4までいっても課の中でおさまってしまうというのは、不十分ではないかと考えます。

○村嶋座長 そうすると、具体的な修文としては、丸12のところが「係の保健事業に係る業務がどの施策に位置づいているかを理解し、責任を持つ」というのと、もう一つポツを立てて、「プロジェクトやチーム内の業務に対して責任を持つ」、その二本立てにすればいいということでしょうか。

○中板構成員 そのほうがいいかなと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○保健指導専門官 ここで使っている係とチームですけれども、プロジェクトチームということではなくて、係の中にチームとして業務する範囲があると認識しておりましたので、係の保健事業にどう施策が位置づいているかを理解し、自分が所属する係の中のチームの業務に対して責任を持つと、このレベルとしては考えておりましたが、もちろん修文で意味がとりやすいということであれば、いただいた御意見で修文可能かと思います。

 もう一点、プロジェクトという観点で言いますと、組織内外の関係者との連携ということも入れてはおりますので、そのあたりとの整合性も見ていただければと思います。

○村嶋座長 組織内はどこに入っていましたか。

○保健指導専門官 現在、A-5の丸9の2つ目のポツに、組織内外の関係者との連携・調整を行うというのが出ております。

○村嶋座長 それだと、プロジェクト、組織内外にかかわるものが遅いという感じなのですね。

○中板構成員 組織内外の関係者との連携・調整を行うのはA-5ぐらいだと思いますが、プロジェクトのチームの一員として、係を代表して発言していくということは、A-3ぐらいでも当然役割として入ってくるのかなと思います。言葉を合わせればA-5の表現との整合性がとれるのではないかと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○保健指導室長 確認ですけれども、丸12の修文、先ほど点の後、チーム内の業務に対してではなく、ここは係の業務に対して責任を持つと修文ということですが、今、説明申し上げたように、それは管理職に係るラダーのキャリアレベルとも関係するのですけれども、組織として係があって、そこの係長がいて、課があって課長がいて、局があって部局長がいてという組織の大きさなのかなと思いまして、それを念頭に置きつつ、係と課というのを整理しております。

 その上で、今、申し上げたように、係の中での担当する業務が一定の範囲であるものをチームと表現して整理しているので、チームを係とするとなると、対象とする範囲が当然、係全体に広がるということになりますので、そこは御確認の上、それでも修正するということであれば、修正ということで意思決定していただければと思います。

○村嶋座長 分野横断的なプロジェクトのことをおっしゃりたいのかなと思うのですが、それは企業でも製品開発のときにアドホックに集まるみたいな、ありますね。そういうことを入れたほうがいいという御意見なのかなと思います。何かいい言葉はないですか。課という縦割りだけではなくて、そこをちょっと超えて、虐待にしろ、新しいことにしろ、ありますね。

 どうぞ。

○佐藤構成員 例えば教育分野に配属されていたり、いろいろなところにいる保健師は、そこの係の業務は全然別の業務の担当の方がほかにもたくさんいて、ただ、本人は虐待チームとして母子とかと関連しながら仕事をするという役割が、主に外との仕事が多い保健師も結構いるので、そのあたりは確かに係と限定してしまうと、外との仕事のことがイメージがつかなくなってしまうので、係もしくは担当業務に係るチームという、ちょっとわかりづらいですけれども、そういう書き方を両方書いたほうがいいのかなという気はします。

○村嶋座長 それは、キャリアレベルとしてはどのぐらいですか。A-3ぐらい。

○佐藤構成員 A-3だと思います。

○村嶋座長 担当業務に係る業務、ないしはプロジェクトチームにかかわって、その業務の遂行に責任を持つという表現かなと思います。それを入れることについてはよろしゅうございますでしょうか。

 永江構成員。

○永江構成員 関連するのですが、17番がまさにそうだと思うのです。2つ目のポツがありますね。健康課題を明確にし、チーム内で共有。このチーム内というのは、健康課題を明確にしていくためには、担当の業務だけではなくて、関連する係とか、さまざまな関係者がかかわってくる。そういった意味が、ここでのチームとにはあるのではなかろうかと思っております。そういう関連性がA-3のところでまずあって、そしてそれがA-5につながっていくという形になろうかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。では、分野横断的なチームやプロジェクトというのをA-3レベルで入れたいということですね。丸12に関しては先ほどの文章でよくて、丸17に関して、これはこのままでいいですかね。これは別に係にこだわっていないですね。チーム内で共有し、地域の人々と協働してですから、ここはこれでいいですか。

 では、高橋構成員。

○高橋構成員 ここで表現しているチームというのが、きっと表現としてわかりにくいのですね。御説明を聞いていると、ここではチームというのを自分の担当という意味で使っているのではないですか。係があって、その中で自分が担当する業務に責任を持つというので使っているのですね。

○保健指導専門官 そうです。業務を担当される場合、主担当というのはお一人だと思うのですけれども、恐らく係の中のチームで業務を担当されていると認識しております。そういう係の下のチームという意味で記載しております。

○高橋構成員 小さな意味で。

○保健指導専門官 そうです。

○高橋構成員 それで、今、出てきたのは大きなプロジェクト。その表現を分けたほうがいいと思う。チームという言葉は使わないで、ここは担当業務みたいな。

○保健指導専門官 おっしゃっていただいた、係の中の担当業務に係るチームという、少し長くなってしまうのですけれども、そういう書きぶりは可能かなと思います。

○村嶋座長 それと、担当業務に係るチームが課内の場合と、それから課とか係を超えた場合があるということで、係を超えた場合の用語をどうしましょうかということが今、課題になっているのですね。何かいい用語はないですか。それはA-3レベルで入れたほうがいいというのは、割と共通でしょうか。

 何か藤原構成員、適当な名称はないでしょうか。

○藤原構成員 これを読んだとき、チームは実務に合わせて考えると2つの種類があると思います。担当業務と、係をしょって代表選手で対外的に出るのは、A-3レベルでも、きちんと保健師としての発言を求められると思いますので、プロジェクトみたいなものにも参加する、両方の意味があるかなと思っていましたけれども、すぐには思い浮かびません。

○村嶋座長 プロジェクトでいいですか。

○藤原構成員 感覚的には一番近かったです。

○村嶋座長 プロジェクトだと。

○佐藤構成員 ちょっと大き過ぎる。

○村嶋座長 分野横断チームとか他課との連携チームみたいな形ですね。何かいい表現、ないですか。入れることはオーケーなのだけれども、名前がいま一つ、なかなか入らないです。ぴったりしたものをぜひ教えていただけますように。プロジェクトですか。

○中板構成員 チームという言葉を外したほうがいいのかなと思います。係全般に理解して責任を持つという中には、今、五十嵐さんがおっしゃった業務の主担当としての責任を持つという意味が入っていると思います。A-2が担当業務をしっかりとこなすということであると思います。A-3は、その担当業務について主担当としての責任を持つというのが1つあり、さらに係を超える組織横断的に対応せざるを得ない健康課題に対するプロジェクトや、委員会など、そういったものへの責任を持つ。そこで参加して役割と責任を持つ。ここの、2つあったほうがいいのではないでしょうか。

○保健指導室長 具体的に何をどう直せばいいか、ご提示をお願いします。

○村嶋座長 そうすると、丸12が「係の保健事業に係る業務がどの施策に位置づいているかを理解し、担当業務に責任を持つ」ということと、それから、何という表現がいいですか。今、中板構成員がおっしゃった。きょうは最終なので、ちゃんとした言葉を言わないといけない。

○保健指導室長 プロジェクトのチームというものについてのお考えは、先ほど佐藤構成員がおっしゃったように、大分大きいと捉えられる方と、そうでもないと捉えられる方と、一定でないと思うので、そのあたりの大きさのレベルもお示しいただきたい。

 それから、部署を超えたチームにおける個々の保健師の責任の範囲というものについて、これまでは念頭に置かずにA-2A-3A-4A-5というレベルの整理をしていますので、そのプロジェクトというものについて、保健師がどのレベルで、どの程度の責任を持つのかということについて合意していただいた上で、それをどこのレベルに当てはめるのかということを御議論いただいて、お決めいただきませんと、曖昧なままですと、捉えられる方によって、そこまでをこのレベルで求めるのかと、誤解が生じるかと思いますので、そのあたりを御議論いただきたいと思います。

 もう一点、今、修文案がございました丸12の担当業務に対して責任を持つ、につきましては、丸11の担当業務に対して責任を持つというA-2のレベルと同じになりますので、そのあたりについても御検討いただければと思います。

○村嶋座長 どうしますか。

○中板構成員 先ほど五十嵐さんがおっしゃっていたのは、A-2が担当業務に責任を持つということで、A-3になると係の中の小さなチームの業務に対して責任を持つということなので、主担当という意味合いが強いのかなと私は理解しました。しかし、主担当ということと、担当業務を何人かでやっている1人として責任を持つということでは、大分違うと思います。A-2は、チーム内の主担当としての責任を持つというのが、先ほど五十嵐さんがおっしゃったことなのかなと理解しました。そうではないのでしょうか。

○保健指導室長 なのでそういう書き方をしているのですけれども、チームという言葉を使わないということでしたので、どういった言葉で修文すればいいかということを御提案いただきたいと思います。

○中板構成員 そうしたら、担当業務に対して主任としての責任を持つという感じですか。係の中のチームという、表現は一般的ではないと思います。

○田中構成員 チームではなくて、1人が1担当というケースもあります。

○村嶋座長 そうすると、12に関して、「係の保健事業に係る業務がどの施策に位置づいているかを理解し、主担当として責任を持つ」というのが1つと、それから、部署を超えた専門のプロジェクトチームみたいなものをどのように書くかですね。そのことに対する責任をどう書くかということがあるのですが。プロジェクトチームに参画し、与えられた業務に対して責任を持つというのではまずいですか。いかがでしょう。

 どうぞ。

○曽根構成員 もし残すのであれば、例えば組織内チームはどうでしょうか。とか。組織内ということで、係の中とか横断的というのを曖昧な形にして、組織内という言葉であらわしてしまうことも一案かなと思います。

○村嶋座長 組織内というと、分野をちょっと超えたという意味を。

○曽根構成員 それもあるし、係の中の狭いチームも意味するということです。そこは曖昧に表現してしまうことになりますけれども。

○村嶋座長 やるのだったら、2つを分けたほうがいいような気がするのです。係内に対して主担当するというのと、幾つかの役割を持つので、ある側面でいろいろなところから集まった人たちのチームにかかわるという。責任を持つというより、チームを担当するとかチームに参画する。部署を超えたチームに参画するというイメージかなと思います。ここはそんなところでいかがでしょうか。いいですか。

○保健指導専門官 具体的な文章を新たに追記するということかと思いましたので、具体的なご提案をよろしくお願いします。

○村嶋座長 係の保健事業に係る業務がどの施策に位置づいているかを理解し、担当業務に対して主に責任を持つ、主担当として責任を持つというのと、担当業務にかかわるプロジェクトないしは業務に関連するプロジェクトに対して、プロジェクトに参画して役割を遂行するとか業務を遂行するという形かなと思います。いいですか。永江構成員とか中板構成員とか藤原構成員とか、そういう文章で。

○藤原構成員 論点は押さえていただいたような気がするのですけれども、そうすると、A-4とかA-5とか、丸13とか14もそれに連動させて、1組織だけではなくて、対外的なところも入ってこないとバランスが悪いような気がします。それで、1314も直していくのと。

 あとは、これだけ論議いただきましたけれども、自組織以外のところにも役割を果たしていくこと自体が、もともと係のミッションに沿って、係の担当業務の中の必要なものを持って外に行くわけだけれども、もともとの組織のミッションに関係なく個人で行くわけではないので、そういう意味も含んでいますということで、もともとの組織の保健事業のところに全部読み込んだとしたら、今のままでもいいかもしれません。

 だから、直すのだったら1314も合わせて直すべきですけれども、そういう対外的なところできちんと役割を果たすのが、もともとの自組織の保健事業をきちんと責任を持って役割を果たすこともちゃんと含まれていますという説明であれば、今のままの表現でいいような気がします。

○村嶋座長 はい。

○中板構成員 今、藤原構成員がおっしゃったのは、A-3A-4A-5も、要するに係内の業務だけをしているのではなく、もう少し広がりのある活動を実際にしているのだということが大前提だと思います。現場の多くは、同様の感覚だと思いますので、ここは1行、自組織以外のところにも役割を果たしていくといった内容を、それぞれのところに加えていただいたほうがよいと思います。縦割りの中で業務することが目的になっていきそうな責任の範囲の書き方になってしまうのは、本来の姿とは逆行すると思いますので、あえてここはつけ加えたほうがいいのではないかと思います。

○村嶋座長 そうすると、係や課以外のところでプロジェクトを持つ、参画するというので。ただ、丸12に対応する丸13と丸14を考えないといけないのですね。何か御提案があるとありがたいのですけれども。

 はい。

○保健指導専門官 横のラインを見ていただくと、丸3、責任を持つ業務の範囲として記しておりますので、恐らくA-3A-4で、今、御指摘いただいているとおりのプロジェクト的な横断チームでというのを実施することが求められているのだと思うのですけれども、それを次の業務の範囲として、ここに記載する必要があるかという点でも御検討いただければと思います。藤原構成員のほうから御意見があったとおり、いろいろな要素が責任を持つという範囲に含まれているかと思いますので、それは恐らく分野横断的なことだけではないものも含まれているかと思います。

 全体的にできるだけ簡素化という御指摘も大変たくさんいただいたところでありますので、そのあたりも一緒に検討いただければと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○座間構成員 係よりも小さな単位というのは、どういう組織ですか。例えば企業だとグループという言い方をします。組織は責任を示す範囲なので、全て自組織という表現をして、例えばA-1は担当業務、A-2は自組織のグループレベル、A-3は係レベル、A-4は課レベル、A-5は部レベル。全体には自組織という表現で、責任の範囲に加えて整理をするのがいいと思います。

 グループを超えて連携するというのは役割の話だと思うので、例えばA-3に自組織を超えた打ち合わせに参画する、A-4はそれで参加して主体的に発言する、A-5は自組織を超えた関係者とも連携調整を行うとか役割として定義するのがいいと思う。また、それぞれの自治体の状況に合わせて、後で定義したほうがいいのではないかと感じます。

○村嶋座長 そういう意味では、A-3レベルの丸7、丸8、丸9に今、おっしゃったような自組織を超えて。

○座間構成員 自組織を超えて参画するとか、もしくは自組織を超えた中で主体的に発信するとか。A-5はもう書いてある組織内外の関係者と連携。

 チームという言葉をどう定義するかという議論と、組織を超えて仕事をする役割を定義する話は分けて議論したほうが良いと思います。自組織を超え連携を役割としてしっかり定義したいのであれば、丸2のA-3A-4A-5に文章をきちんと定義したほうがいいのではないか。

○村嶋座長 丸7、丸8、丸9のところに入れたほうがいいということですね。

○座間構成員 例えば丸7に自組織を超えた役割に参画するとか。8は、自組織を超えた役割の中で主体的に行動するとか、9は自組織を超えた関係者との連携調整を行うというイメージです。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 はい。

○永江構成員 今、おっしゃられた役割のところに入れていくという部分もありかなと思って聞いておりました。

 そうした場合、4番目のレベルの定義の専門技術の到達レベルで、A-317にチームがありますね。健康課題を明確にし、チーム内で共有という。そこの表現をどうするのかというところにかかわってくるわけですが、そうしたときに、171819において、まずは17で、健康課題を明確にし、組織内外の関係者と共有あるいは協調してという流れで、チームという言葉を削るということもあろうかと思います。

 そうすると、1819のところでは、地域の潜在的な健康課題を明確にし、組織内外の関係者と協調し、あるいは組織内外関係者との連携・調整といいますか、いわゆる協調、共有、確認が、19のところでも、健康課題解決のための施策をというところで入ってくる。一緒に連動させていくということが必要ではないかと、感じたところです。

○村嶋座長 ありがとうございます。ただ、それが専門技術の到達レベルに入るかというと、それよりは役割のところに落としたほうがいいかなと思いますので、先ほど座間委員がおっしゃったような、丸7、丸8、丸9に文章を工夫して入れるということでいかがでしょうか。専門レベルのところにそれを言い出すと、ちょっと厳しいなと思います。

 あと、チーム内は、これは係のチーム内もあるし、係以外の連携するプロジェクトもありかなと思って、チームをどういうふうに規定するかというのは、ある程度読む側に任せられるというか、その自治体に任せてもいいのかなと思います。御提案ありがとうございました。

 これについては、ここでいいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○中板構成員 これも何度か提案申し上げているのですけれども、文言の修正です。A-3の今の役割のところですけれども、丸ポツの2つ、「上司と若い世代とのパイプ役」というのは、非常に情緒的な書き方だと思います。役割や立場の違いを理解した上で、つなぎ役として組織的に役割を担うという表現のほうがよいと思います。上司と若い世代とのパイプということとは、意味合いが違うかなと思います。

 ここはただの疑問なので、もう一点よろしいでしょうか。

○村嶋座長 役割や立場の違いを。

○中板構成員 理解した上で、つなぎ役となることで組織的な役割を担う、という文章への修正です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ほかに。どうぞ。

○中板構成員 2番の地域支援活動の22の地域組織活動なのですけれども、具体的には23番です。私としては、ここは保健の活動としてとても重要だと思っています。23番の部分の求められる能力のところで、いわゆる非常に総括的なことですが、健康課題やライフステージに応じて地域組織を育成し、ネットワーク化し協働する能力と書かれています。丸23番です。

 地区組織活動というのは、そもそも所属する私たちの組織内外にかかわらず、地域の中のいろいろなテーマに応じて、そこから発掘されていく、あるいは育成されていくという非常に水平的な成長をしていくのが組織活動だと思います。健康課題とかライフステージに応じてという上からの決まりで地域組織を育成しというのは、なじまないと思っております。地域の特性を理解した上で、住民と協働しながら住民の組織化というものを促していく能力ではないかと私は思っているのですけれども、それはいかがでしょうか。

○村嶋座長 地域の特性を理解した上で。

○中板構成員 理解した上で、住民と協働しながら、住民の組織化を促す能力です。住民がどんどん組織化されていくことによって、私たちが例えば健康課題として感じることもあると思います。それから例えば健診の受診率を上げたいと思ったときは、住民の組織化ということと、協働という活動だろうと思うのですけれども、23番の記載ですと、健康課題やライフステージに応じてという、こちら側のニーズだけでネットワーク化するということになってしまいます。組織活動として意味合いが不足していると思います。

○村嶋座長 そうすると、23をそのように修文した場合に、161718はどうなりますか。

○中板構成員 全部意見として出しているのですけれども、全部言いますか。

○村嶋座長 言ってください。

○中板構成員 16ですと、担当地域のコミュニティの特徴を理解した上で、住民とともに活動をすることができるというのがA-1ではないかと思います。

A-2が、多様なコミュニティの特徴を理解した上で、住民ニーズを把握しながら、地域組織とともに活動ができる。住民ニーズを把握するということが加わっていく、ではないかと思います。

A-3が、コミュニティの特徴を理解した上で、住民とともに活動を行いながら、住民のニーズに応じた組織化というものを提案していくことができる、ではないかと思います。

○村嶋座長 提案ですね。

○中板構成員 多様なコミュニティの特徴を理解した上で、住民ニーズに応じた組織化を提案し、さらに住民組織とともに健康課題解決に向けて活動することができる、ということです。

○村嶋座長 それが19ですね。

○中板構成員 はい。

○村嶋座長 20は。

○中板構成員 20が多様な住民組織のネットワーク化に向けて活動を維持し、それぞれ健康課題やライフステージに応じた地域組織の活動を活用することができる、ではないかと思います。

○村嶋座長 今、御提案いただきましたが、わかりましたか。

○保健指導専門官 1つは、コミュニティという言葉が今回のラダーの中で使っていない言葉で、新たな整理が必要になりますが、いかがでしょうか。

○保健指導室長 コミュニティというのが何を指しているのかということと、保健師の活動領域としては、地域診断・地区活動、地域組織活動としておりますので、その関係性を明確にしていただいた上で、コミュニティという言葉を使うかどうかというのは御提示いただきたいと思っています。

○村嶋座長 コミュニティというのをいきなり使うのは無理でしょうから、ここだと地域となると思います。だから、コミュニティという言葉は全部地域にしたほうがいいと思います。ないしは地域社会ですね。

○保健指導室長 先ほど17)で多様なコミュニティとおっしゃったのですけれども、多様な地域ということで、地域にすれば通じるということでよろしいですか。

○村嶋座長 まずは、今、中板構成員からいただきました御提案はいかがでしょうか。あったほうがいいですか。要するに、23はもうちょっと育てるという視点が入ったほうがいいのではないか。育てるという視点が入るのだったら、16から20を全部変えたほうがいいのではないかという御意見でございます。

 いかがでございましょうか。佐藤構成員。

○佐藤構成員 このあたりは、私も今、中板さんがおっしゃったような書きぶりのほうが、より地域に入っていって活動するというイメージがわかりやすいと思いますので、そのほうがいいと思います。

○村嶋座長 では、後で今の修文を出していただいて、検討するということにしたいと思いますが。

 どうぞ。

○曽根構成員 地域診断についてはその上に書いてあるので、そういうところはできるだけ省略したほうがいいのではないでしょうか。

○保健指導室長 今、この場で一言一句修正させていただくのは多分難しいと思うので、中板構成員からいただいたものを座長と相談させていただきまして、最終的に文言を決めたいと思いますが、それでよろしければ進めたいと思います。

○村嶋座長 それでよろしいでしょうか。はい。御提案、ありがとうございました。

 まだあるかもしれないのですが、とりあえずキャリアラダーに関しては、これで一応終わりで。

 どうぞ。

○曽根構成員 特定のところではないのですけれども、全体的にそれぞれの文章が長いなと思うところが幾つかあります。事務方にも見ていただくものなので、1つのフレーズが2行を超えないくらい、せいぜい3行くらいで、4行を超えるものは短くしたほうがいいのではないかと思います。よく読みますと、文章の特徴として、何々及び何々、何々と何々、何々マルポツ何々と、同じものを並列している文章が結構たくさんあります。

 例えば23)は、地域の健康課題や地域特性に基づき各種サービスの課題や実情を整理し、関係機関と協働し、地域ケアシステムの改善・強化について検討できるとありますが、課題や実情は基本的には課題でまとめられるでしょうし、改善・強化はどちらかにすれば言葉は通じると思いますので、そういう工夫をするともっと見やすくなると思います。

 もう一つ、21)も、担当地区の保健、医療、福祉、介護等の各種サービスと書いてありますが、そのあたりの定義は丸24にまとめて書いてあるので、ここは各種サービスでよいかと思います。

 あるいは、上のキャリアレベルの定義の丸162ポツ目の、担当地域の健康課題の優先度を判断し、地域の人々の主体性を尊重した解決・改善策を計画・立案するというのも、計画と立案がどう違うのかよくわからないので、このあたりは言葉を整理して、まとめられるところはまとめると、もう少し読みやすくなると思います。余計なことかもしれません。

○村嶋座長 ありがとうございます。どこがどうというのを、後で教えていただければ、相談して読みやすいものはもちろんでございますので。ただ、31日、年度末には出したいと思っております。

 よろしゅうございますでしょうか。はい。

○永江構成員 ラダーのところですね。たびたび申し上げていたのですけれども、先般、本県の統括等と話す機会がありました。ラダーの管理職保健師に向けた能力の人事管理のところですが、各自治体の人事育成方針には、マネジメント能力というのはかなり共通言語として出されております。そういった意味では、保健師の専門職がキャリアアップする上で、特にそこのマネジメント能力というものは求められているのだと、先日も聞いてきました。

 マネジメント能力は、業務推進能力という意味で使ってますが、係長級への準備段階では余り入らないかもしれませんが、そうは言っても、主任級に入ると指導力を求められますので、他職種に業務処理方法などを教えることができる。

 そして、係長級であれば、業務の推進監督力というものが求められますので、他者に対して明確な業務の指示とか指導を行って、あるいは他者支援をしながら、チームとして業務遂行ができるということ。

 課長あたりでは、既に統括力が求められますので、上位方針を他者に浸透させて、的確な業務指示が、つまり役割分担なのが行えて、仕事も任せて、組織として業務を推進・達成することができる。

 部局長のところでは、組織全体をマネジメントできるという流れで、保健師に一番不足しがちなマネジメント能力をキャリアレベルのラダーに書き込んでおくことが重要かと思いますので、ぜひ加えていただきたいというのがあります。

○村嶋座長 3の人事管理の丸3569707172に今のを入れるということですか。

○永江構成員 そうです。

○村嶋座長 マネジメント能力ですね。今のは、具体的な言葉としてあるということですか。

○永江構成員 はい。

○村嶋座長 どうぞ。

○保健指導室長 マネジメントという言葉の使い方がちょっと多義性があるのではないかということが、この場で御議論あるいは御意見をいただいておりまして、極力多義性がないように、読む人によって違うものでは困るということもございますので、そういう意図でマネジメントという言葉は盛り込んでいないところですが、もしここでそれを明確に定義していただければ、盛り込むことは可能と思っています。

 一方で、今、おっしゃられたような能力は、人事管理のみならず、ここで保健師の活動領域と挙げております管理的活動の全てに対応するところなので、もし人事管理でということであれば、人事管理ならではの内容を3.人事管理以降に盛り込むところかと思いますが、そのあたりの整理もよろしくお願いいたします。

○村嶋座長 人事管理に入れるのか、それとも何か基本的な能力としてつくるのかというところですね。つくるとなると、また大仕事だなという感じがしますが。

 どうぞ。

○中板構成員 大きな加筆・修正になるのかもしれませんが、現場がこの2つのラダーを見たときにどのように感じるかということを、ずっと考えています。この管理のキャリアラダーのところになると、専門性のラダーのほうにあるレベルの定義というものが書かれていません。2つのラダーは乖離していないものとして専門性のキャリアラダーと管理に係る2つラダーがあり、管理職のほうには定義がないというのは、違和感があります。

 また、定義のところについては、事前に意見としては言わせていただいていますが、B-2の係長級というのは、おそらく専門性のラダーほうで言うならば、おおよそA-3あたりの人と同等の程度になってくる感じがあるのかなと考えています。先ほどからいろいろ議論したA-3あたりとB-2というのはかなりかぶってくるということです。その中で、係長になる人と、係長ではないのだけれども、A-3の力を発揮する人に対する定義を明確にしたほうが良いと思います。また、キャリアレベルの定義に加えて、係内のリーダーとしての責任をマネジメントするというのが書き込まれるとにあると、よりわかりやすくなるのかなと思ったのです。

○村嶋座長 要するに、定義を一番上につけるということですね。

○中板構成員 そこにマネジメントをしっかり入れ込むという考えです。

○村嶋座長 藤原さんは。

○藤原構成員 マネジメントみたいなところが表現されているのが余りないのは、気になっていたのですが、人事管理に特化して書くのは多分違うかなと思います。例えば、危機管理とか保健施策全体に関してマネジメントが求められるので、中板構成員が言われたように、上に定義があったほうが、全体に関してマネジメント能力が段階的に期待されているというほうがすっきりするかと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○保健指導室長 もともと、この管理職保健師に向けた能力に係るキャリアラダーについて、保健師でなくても管理職になる方々に必要な能力がベースにあって、それでもなお、これを示す必要があるのかということを御検討いただいたかと思うのですけれども、その際の議論いただいた方向性としては、保健師ならではの部分に関して、キャリアラダーとして示すことが必要なのではないかといった御議論がありましたので、そういう他職種や事務職の方々にも共通して求められるような能力については、意図してここには盛り込まずに整理してきたという経緯があったかと思いますので、その点も含めて御検討いただければと思います。

○村嶋座長 この辺は、座間構成員とか曽根構成員はいかがでしょうか。

○曽根構成員 一般的に定義するのは難しいと思いますし、自治体ごとに違うのではないでしょうか。書き出したら切りがないところがあるのではないかと思いますので、今からこれを書き起こすのはかなり難しいのではないでしょうか。先ほど島田室長が言われた経緯もあるので、現段階では余り望ましくないのかなという気がします。必要かもしれないけれども、それは各自治体に任せていいのではないでしょうか。

○村嶋座長 どうぞ。

○永江構成員 現在、課長級の方々の反省も聞くと、自分たちが係長時代にマネジメント能力がなかった。それを反省するというのはかなり聞いているのですね。というのは、マネジメントというのはどういうことか、そもそもの話がきちんと理解できていないというのが根底にある。だから、あえてラダーとして示すのであれば、それを位置づけとしてきちんと書いておかないと無理かなというのもございました。

 それで、今までの意見をくださいというところで、キャリアレベル1から3までのところ、私もかなり出させてもらいました。でも、先ほど室長がおっしゃったように、さまざまな理解の状況があるというところで、そこの部分はカットされているという現実もございますが、あえてここのところは、昨日、統括とか管理職の人たちと話をする中で、ここの重要性を意見として聞いたものですから、できるだけ組み入れたほうがいいと考え意見を出させてもらったという状況がございます。

○村嶋座長 これは、確かに何回か議論していますね。それで、一般的なことは入れないということが確かに出てきていましたね。

 どうぞ。

○高橋構成員 私も、例えば64番でマネジメント的な統括をするという表現があったほうがいいのではないかという意見を申し上げたのですけれども、そういうふうに見ると、危機管理は多少入っているのですけれども、人事管理はないということで、全体的に事務職にも共通するような管理職としての能力というのは省いたほうがよいという、先ほどの室長さんからの御説明で納得しましたので、そういう考え方でそこをはっきりどこかに書くという手もあるかと思うのです。ここは保健師として管理職を目指す方に向けてのキャリアラダーだとしっかり整理したということを、どこかに明記しておけばいいのかなと思ったのですけれどもね。

○村嶋座長 どうぞ。

○佐藤構成員 室長がおっしゃったことは私もよくわかりますし、これ以上、たくさんの文言を入れるのは難しいというのも理解するのですが、現実的にラダーを示されたものをそれぞれの市町村の保健師や事務職が見たときに、保健師さんは別の理論で動いているというか、行政の中の話と違ったもので考えられているという感覚になられるのではないかということと。それは、事務職の側からです。

 それから、保健師の側からすれば、狭い範囲の中での自分たちの仕事のことしか考えないことが続いてしまうのではないかという危惧を私自身もしています。ですので、それはここに述べないということは、ラダーの中にはうたわないけれども、マネジメント能力というのは基本的には必要なのだということが、文章ででもどこかに述べてあればいいのかなと思います。

○村嶋座長 入れるとすると、本文ですね。

○佐藤構成員 はい。

○村嶋座長 どこに入れるかですね。困りましたね。

○佐藤構成員 もう一つ加えて、ついでに今のうちに言いたいのですけれども、保健師の活動基盤のところが私はずっと引っかかっていて、何を思って活動基盤と言うのかという説明がよくわからないというのが、多分、事務担当者もそういうところです。根拠に基づいた実践能力と社会的公正についての能力というのは、そしてそれが能力なのかどうなのか。それは、別に若いからラダーとともに育成される能力なのかと言うと、それは違うような気がするので、ここはかなり曖昧な言葉だし、わかりづらいなというところで言えば、私はラダーから除いていただきたいなと思っています。

○村嶋座長 今の意見はすごく矛盾しておりまして、マネジメントの能力を入れるのだったら、それは割と普遍性のある能力だから落とした。この保健師の活動基盤のところも、本当に普遍性があるのだったら、それは落とす。両方落とすか、両方入れるかというので、今ないものを入れて、あるものを削除するというのは、ちょっと矛盾しているような気がいたします。いかがでしょうか。

○佐藤構成員 A-1から5までのラダーの中で、例えば社会的な公正について理解をするというのは、同じレベルの話かなと思うのです。だとすると、横のラインを削ってというか、1から5まで続いていくものだという考え方であればいいと思うのですけれどもね。60番のところには社会的公正という言葉は出てこないので、そこはもうクリアしましたという話なのでしょうけれども、何ともわかりづらいなというところ。

○座間構成員 マネジメントのところに戻っていいですか。

○村嶋座長 どうぞ。

○座間構成員 マネジメントと言ったときに、マネジメントの定義をしっかりしなければいけないと思います。管理的活動の1、2、3というのは、これもマネジメントの定義の中に入っている、そのものだと思いますので、これはそのままにしておいて、本文中に管理職保健師においては、それぞれの係・課とか部レベルそれぞれの範囲での総合的なマネジメント能力が求められる、その上で、保健師の管理職としてより定義が必要な3つを取り上げたと、本文で整理したらいいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。本文ですと、2ページの下あたりですかね。一定程度積み上げた者に適用されるものであることに留意が必要である。

 はい。

○保健指導室長 そこのところですけれども、例えば20行目か21行目以降の部分に、今から申し上げる文言を追加したらどうかと思うのですが、「管理職一般に求められる能力については、本キャリアラダーに含んでいない」という文言を、文脈を見まして20行目までに書き込むか、あるいは21行目から25行目の間に書き込むかということで、今おっしゃられた御議論はここに反映させることができるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○村嶋座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○保健指導室長 1点、座間構成員がおっしゃったように、マネジメントという言葉を扱うのかどうかということはお決めいただいて、使うのであれば、意味をきちんと明確にした上で記載するということが必要なのかなと思いますので、その点についてはいま一度御確認をお願いしたいと思います。今、提案した文章ですとマネジメントという言葉は使っていないのですけれども、そこの点について御確認をお願いいたします。

○村嶋座長 管理職一般に求められる能力という形で、本文中にマネジメント能力が必要だという形で表現するということでよろしいでしょうか。

○保健指導室長 もう一点、よろしいでしょうか。そういう意味で齟齬がないかどうか、座間構成員とか曽根構成員にお聞きしたいのですが、例えば「『管理職一般に求められる能力(マネジメント能力)』については、本キャリアラダーには含んでいない」。済みません、自分で言っておいて恐縮ですが、キャリアラダーとして今、整理しているものの中にはマネジメント能力が入っているので、含んでいないと言い切ってしまうのは、ちょっと矛盾しますか。

○村嶋座長 含むという言い方ではなくて、保健師に特に必要なものについて強化して示したので、「一般的な管理職に求められるような素養については、特に明示していない」みたいな。

○保健指導室長 それを入れていただくということでよろしいでしょうか。

○村嶋座長 では、マネジメントに関しては、そのように処理させていただきたいと思います。

 確かに保健師の活動基盤に関しては、そういう御意見もあるかもしれないですが、そういう意味では、ベースになる倫理的判断や社会的公正性みたいなものは、ある程度明示しておいたほうがいいということで、ここまで。できれば、このままにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○中板構成員 私も佐藤構成員の意見に賛成ですけれども、丸31のところで、根拠に基づいた保健師活動を実践する能力、それから理念である社会的公平性について理解し、活動を倫理的に判断する能力と書かれていますが、これが段階的に横に行っているかというと、そうでもないと思います。ここは横の枠を取り払って、保健師活動の大前提というところで、そこには社会的公平性だけではなくて、公共性や公平性・公正性、生活の視点を尊重する、みずから支援を求めることができない人へ接近する能力を入れてしまうというのがよいのではないでしょうか。

 専門職として自己研鑽に励み、自分たちの職業倫理を守っていくということも大前提なのではないかと考えます段階的に獲得していくというよりは、そこは基礎教育の中でしっかり押さえてきていただいて、それがあって全ての能力があるという感じではないかと、思いました。

○村嶋座長 そうしますと、ここの中に枠を外して残すのか、それとも全く外してしまって、本文の中に修文するのかということになって、本文の中に修文すると見えにくくなるというのはあると思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○永江構成員 さっき中板構成員がおっしゃったように、枠を外して、これは全部に共通する中身なのだということで、なくしたら、これまた見えませんので、きちんとそれは残して枠を外すというところで、このラダーは完成したほうがいいかなと思います。

○村嶋座長 56から60を一括してしまうということですが、そこの文章と中身を何を残すかというのは、今まで全然議論しておりません。

 はい。

○曽根構成員 活動基盤の中の1番目に書いてある、根拠に基づいた保健師の活動を実践する能力、これは段階的に伸びていく能力、あるいは後で育成できる能力かと思いますが、その下の倫理的な話というのは全般的なことなので、ここは違う性質のものが2つ含まれていると感じます。

○中板構成員 しかし、実践能力のところの根拠に基づくというのは、例えば地域診断などの現場での活動でかなりカバーされていくのではないかと思います。ここはむしろ削除し、職業倫理観、公平性・公正性、専門職としての自己研鑽などではないでしょうか。研究的な視点なども入れてもいいのかなと思いますけれども、職業倫理観や公平性・公正性、自己研鑽などは、大前提として書いたほうがいいかなと思います。

○村嶋座長 そういう意味では、今の曽根構成員の意見を入れまして、31を上下に分けて、31の根拠に基づいた保健師の活動を実践する能力の中で、5657585960、根拠に基づく段階をそこで入れる。

 それから、下のほうに関しては、枠を外して大前提で、公共性・公平性等を入れるということでいかがでしょうか。特に御意見がなければ、ここのところはそのようにさせていただければと思います。わかりましたか、五十嵐さん。

○保健指導室長 丸31を2枠にして、根拠に基づいたというのは、それ以降、565758以降の展開を残す。そして、31の2つ目の黒丸は、56以降は1枠にして、この31の2つ目の黒丸のような内容を横に1枠に書き込むという理解でよろしいですか。

○村嶋座長 はい。よろしいでしょうか。ここはこのようにさせていただきたいと思います。

 ほかにあるかもしれませんが、キャリアラダーで随分時間を使ってしまいましたので、本文と資料編について御意見がありましたら、お願いします。

 いかがでしょうか。どうぞ。

○曽根構成員 一番最後のところでもよろしいですか。12ページの「おわりに」の2段落目で、「就業後も産休や育休の取得等によりキャリアが中断される者も少なくない」というところで、「キャリアの中断」という言い方が少し強く、また、ネガティブな印象で、今の世の中の趨勢には余りなじまないのではないかと思います。もともとの8ページの文章は、私も指摘して修正していただいたのです。ここももう少し柔らかく、「キャリアを中断される者も少なくない」ではなくて、例えば「長期間職場を離れる場合もある」という形で、中立的というか、事実を述べる表現にしたほうがいいと思います。

 というのは、私もその後、いろいろ本を読んだり、ウェブを見たりしまして、産休・育休、イコールキャリアの休止とか中断ではなくて、産休・育休中から復帰するところも含めて成長の機会だと捉える考え方がありました。自治体職員としては休んでいても、プロの保健師としては意識を持ち続けて成長し続けるのだという基本的な認識を持っていたほうが、よりポジティブだと思ったのです。

○村嶋座長 ありがとうございます。では、「就業後も産休や育休の取得等により長期間職場を離れる者も少なくない」という表現に。

○曽根構成員 離れる場合もある、でいかがでしょうか。少なくないというのも、ニュアンスとして若干ふさわしくないかなと思います。

○村嶋座長 離れる場合もある。ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。永江構成員、どうぞ。

○永江構成員 6ページか5ページの最後に当てはめてもらったらと思うのですが、(2)キャリアパスを活用した体系的な人材育成体制構築の推進のところの21行に、明確に「可視化することが重要である」と書いてあります。ということは、これを見ていきますと、6ページに、四角に囲んだジョブローテーションやプロセスがあります。その前段に、前回検討会でも議論され今回資料編に入っている、中板構成員が出されたモデル図をここに入れたほうが、その下のプロセスとうまく連動して、より具体的でわかりやすいと読んだ自治体は思います。

 あくまでもモデル図ですので、それがそのとおりという意味ではないと思いますので、モデル図の中には、今回のラダーに則したような形で入っていましたので、ここに入れ込んだほうがわかりやすいと思います。それが1つです。

 もう一つは、最後のおわりにのところにぜひ入れていただきたいのは、今回、研修体系、それもあくまでも人材育成というところがございます。おわりにのところの最後でもいいのですが、地域保健活動においては、ヘルスプロモーションの理念に基づいた活動を推進することが求められているし、推進しているところであるということで、改めて公衆衛生の中心的な機能でもあるヘルスプロモーションの理念に基づいた活動の推進を基本とすることが重要であるという文言を入れてもらいたい。

○村嶋座長 本文。

○永江構成員 おわりにの最後。

○村嶋座長 何行目から。

○永江構成員 期待されるという後です。そこに入れるのがいいのか、それはあくまでも私の考えですので、必要ないと言われれば、別のところに入れたり、あるいは括弧ということもあろうかと思いますが、公衆衛生の中心的な機能のヘルスプロモーションということは、せっかく研修体系として出てくるのであれば、きちんと押さえて、それの中身としての研修をどういうふうに能力として培っていくのかというのが見えたほうがいいのではないかと思いました。

○村嶋座長 ヘルスプロモーションの向上に寄与するということを、ここにもうちょっと入れるということですね。要するに、研修体制をつくることは、こういうふうに生きると入れるということですね。それは、もう一度読んでいただけますか。

○永江構成員 地域保健活動においては、ヘルスプロモーションの理念に基づいた活動を推進することが求められ、現在推進しているところである。改めて公衆衛生の中心的な機能である、ちょっと重なりますので、文言の整理が必要と思いますが、ヘルスプロモーションの理念に基づいた活動を推進していくことを基本として、各自治体において研修体系の構築をお願いするという文言になるのかなと思いますが。

○村嶋座長 要するに、自治体保健師の人材育成が、もうちょっと公衆衛生の向上に生きるのだよというメッセージを最後に入れろということですね。それは、いかがでしょうか。

 はい。

○佐藤構成員 今おっしゃったお話を、私はもっと前のほうに書いたほうがいいのかなと思います。体系的な研修体制の基本的な考え方の最初のところに、保健師という職種は公衆衛生・看護を担い、ヘルスプロモーションの手法をもって地域の健康づくりを行う職種であるということで、それを行うための系統立った研修が必要である。それを到達するために必要であるという書き方をしたらどうかなと思いました。

○村嶋座長 確かに何のために保健師の教育をこうやって育成するのかというメッセージが、もうちょっと入ったほうがいいということ。

 どうぞ。

○保健指導室長 8ページですけれども、今おっしゃられたような御趣旨の内容が9行目から記載しておりまして、ここは中間とりまとめのときにも記載していた部分なのですけれども、再度記載したほうがいいという御意見もいただいたので、ここには一応記載しております。ですので、こういった記載もあるので、どのように記載すればよいかということについて御議論いただければと思います。

○村嶋座長 要は、ヘルスプロモーションとか地域保健とか公衆衛生がもうちょっと欲しいという意見でしょうか。

○佐藤構成員 私が思っているのは、自治体の人事担当とかが見たときに、なぜ保健師をそういう研修をさせる必要があるのかということをきちんと理解していただくために、そのような保健師の特性といいますか、一般の事務職と違った仕事の仕方があるし、目指すものはもちろん同じだけれども、そこで保健師には特別にこのような研修もしていくことが、自治体の健康づくりや市民の幸福に寄与するというところの理解をしていただくための説明が要るかなと思います。

○村嶋座長 わかりました。では、少なくとも後ろは少しあったほうがいいかなと思います。前半は、これが十分かどうかということを含めて、事務局と座長とのほうで検討させていただいてよろしいでしょうか。少し入れるかということを含めて。

○保健指導専門官 今の御意見を反映するという方針は合意。

○村嶋座長 ヘルスプロモーションないし、保健師の研修体系をつくることがどういう意味があるかということを、もうちょっとここに一言二言書き加えるということですね。少しあってもいいかなと私も思いますので、文言は工夫させていただきたいと思います。

 あと、さっきのキャリアパスですが、この中に図として入れるのは、ボリュームの関係で似合わないかなということと、資料編にございますので、いろいろな形で。はい。

○中板構成員 単にページ数が増えるのはよくないという問題だけでキャリアパスを示すことができないというのは、納得がいきません。今回、週刊保健衛生ニュースには、前回の検討会に出したキャリアパスの資料をそのまま載せていただきました。その関係もあって、いろいろな自治体の保健師からは、やっとキャリアパスに関するイメージがついたという意見をもらっています。これからキャリアラダーが出て、それをいろいろな研修と重ねていくということがわかったという現場の声が多く寄せられています。それから、ジョブローテーションにおいても、最初は保健衛生部門で活動するという点について、その部分ををしっかりキャリアパスの中に書いていただいているので、これから自治体で運営していくに当たって、事務方に説明していくには非常に重要だということは、いろいろなところから伺っております。

 私のメモによれば、このキャリアパスについては前回の検討会でも議論しており、その中で座間構成員が、がっちりしたモデルというのは難しいのかもしれない。企業においてもいろいろなパスがあるといったお話をされたわけですけれども、それに対して、佐藤構成員が非常に重要なことをおっしゃっていました。企業でつくるものと自治体の中の今回の保健師という、いわゆる国家資格を持つ保健師が住民の健康を守るという大使命を持った上でキャリアパスをつくっていくときには、そんなにたくさんの枝葉があるものではない。モデルとしてイメージできるものならば、それがいいのではないかということもおっしゃっていただいたと思うのです。

 今回の私が資料として出した分については、詳細なことを書いているわけではありません。本当にイメージ的にジョブローテーションとOJToff-JTと自己研鑽と、あとは果たしていける機能とラダーというものが一体となっていくということを簡潔に示したものです。そういったことがとても重要だということを整理しているものですので、ぜひこれは本文に入れていただけると現場にとって大変利用しやすくなるのではないかと思っています。今回の報告書の趣旨とも合致するのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○村嶋座長 どうぞ。

○曽根構成員 私も重要性は大変よく理解できるのですけれども、報告書というのはシンプルでないといけないと思うし、資料編がついていますので。ただ、資料編と本文とのつながりが余りよくないように思います。ここは資料編の何ページを参照してください、この図を参照してくださいということをもう少しきちんと体系的に明記していけば、よいと思います。ただ、本文に入れるとちょっとわかりづらい気がいたします。

○中板構成員 曽根委員がおっしゃっていただいたので結構です。ですから、報告書の本文中に、資料編のページを示して、キャリアパスのイメージをしてくださいということを入れていただければと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 はい。

○保健指導室長 掲載する上での確認ですけれども、今、資料編の7ページに記載されておりますのがキャリアパスのイメージかと思いますが、この内容と、それから今、実際に検討会でおつくりいただいたキャリアラダーとは、記載ぶりも大分異なっておりますのと。

 あと、報告書の最終とりまとめは皆様の合意のもとでということになりますので、この7ページのキャリアパスで皆様御異論がないかどうかということだけは確認をさせていただければと思います。

○村嶋座長 まずは、level-IIIIIIの表現等から違いますね。

○中板構成員 A-1からA-5になったのはつい最近だと思いますので、それに合わせて、この上のレベルのところは書きかえることは可能だと思います。書きかえた上で、皆さんにはまた御意見いただければと思いますけれども、いかがですか。

○村嶋座長 どうぞ。

○曽根構成員 7ページの、例えばジョブローテーションのことについては余り議論していないと思いますし、off-JTの研修のところも、今回、余り個別には議論していないので、そのあたりは、こういう詳細な説明ではなくて、漠とした形で記載したほうが、いいのではないかと思います。誤解を招かないように。そういう意味では、議論の内容に則した形を基本に、議論していないところは余り細かく書かないということにしていただければよいと思います。

○村嶋座長 掲載するには、ある程度注意が必要かなと、これについては思いますね。

○中板構成員 前回の資料のほうが、もっと漠然としていました。なので、off-JTのところは、都道府県レベルとか市町村レベルといった形で書き加えた部分があります。実際の本文の中にも、国や都道府県という話がありますので、そこと合わせて整理することは可能だと思います。

 ジョブローテーションのところは、ここで議論していただければありがたいですけれども、まず最初、保健衛生部門に配置するのが望ましいというのは、これまでの国の報告書でも出されていましたし、これまでの考え方からしても、それほど齟齬はないかと考えています。そのような配置が実際にできるか、できないは別として、保健師が最初は地域にしっかりと出る、そういった位置に配属されるというのは、理想形といえば理想形ではないかと思っており、合意が得られるのではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○村嶋座長 そういう内容までは本文には書き込めないと思うのですが、これは資料として掲載する。資料として掲載するときに、北九州の例と看護協会がおつくりになったものとが、もうちょっと漠とした議論の内容に応じたものだけを取り入れるという形で、こういう資料を御参照いただきたいという形で脚注か何かに入れるのだったら可能でしょうか。

○保健指導室長 構成員の先生方が御了解ということであれば可能かと思います。ただ、どのクレジットで出すのかというのは御趣旨が若干異なるのではないかと思うので、そこは明確にしていただいたほうがいいのではないか。

○村嶋座長 どのクレジットというのは。

○保健指導室長 7ページは、中板構成員の提出資料ということと、下のほうに、厚生労働科研費で作成されたということで御提示していただいているものとして位置づけています。もし検討会で御議論いただいたものとするのであれば、中板構成員提出資料、厚生労働科研費作成でよいのか、それとも検討会のものとしてお出しになるのかということは御確認いただいたほうがいいのではないか。ほかの参考資料は、どこの自治体のものを出していますということなど明記しておりますので、それぞれ御参照いただく際に、そこはどこがつくったものかということが明確になった上で情報として提供しているところなので、そこを確認していただいたほうがよろしいかと。

○村嶋座長 検討会のものには、今の段階ではならない、そこまで議論していないなとちょっと思うところでございます。ですから、資料の7ページはここに掲載して、中板構成員の提出資料として書いて、本文の中にそういう例もあるよというのを、資料編を御参照いただくとそういう記載があるという形でおさめたいと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤構成員 本文に載せることができなくても、どのような形であっても、このようなイメージ図が見られることが必要かと思いますので、おっしゃったように、看護協会がつくりました、中板先生がつくりましたでも全然構わないので、参考資料としてはきちんと明示していただきたいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。

 ほかに。はい。

○藤原構成員 キャリアパスを本文にどのぐらい書き込めるかという御判断はいろいろあるかと思いますけれども、今回、研修のあり方に関する検討会ということで、Bのレベルに当たる具体的な研修イメージをどう整えていくのかというのは、自治体の保健師としては非常に期待したいところですが、今回の検討会の中ではそこまで具体的なところができませんでした。9ページあたりに、国及び国立保健医療科学院の役割等のところでいろいろ書いていただいている中で、科学院が質の向上に寄与するように努められたいとなっております。

 例えば師長会で、キャリアパスに関しましても、幾つか本当に限られた市町村、自治体を調査して、こんな傾向があるだろうぐらいのところはわかってきたのですけれども、こういうところにお示しできるような根拠のあるところまで調査をやっておりませんので、実際、このBに求められるような政策形成モデルとか管理能力は、どういう職務経験、どういう業務内容、どういう保健事業を経験することによって、それができるのかということも、例えば科学院で研究テーマとして、自治体のキャリアパスの実際と、その政策形成能力の可能性を研究していただけるという方面も必要だと思います。

 それによって、科学院でBの部分のラダーに合うような内容の研修が、例えばB-3をやるのだとしたら、こういう研修がありますみたいな研修メニューをそろえていただくことで、各自治体もそれに乗っていくということがあります。キャリアパスに関しては、各自治体で、こんなプロセスで検討すればいいですよということは出していただきましたが、どのレベルの何をやればいいのかというのが漠としております。

 各自治体では、1人いるか、いないかの事例に基づいてキャリアパスを考えるのはとても大変なことでございまして、全国の師長会の研修の中でも、同じような規模のほかの自治体と出会うと、こういう体系がそれに対して必要だということもわかりますので、そういう形のことに全国規模で少し何か研究的にやっていただくとか、ここにつながる具体策をつくっていくべきということももう少し書き込んでいただくことはできないでしょうかという、半分お願いのような。

○村嶋座長 ありがとうございます。今回の検討会がキャリアラダーというものをつくったのが初めてですし、それからキャリアパスという考え方や研修を育成の計画の中にきちんと位置づけてやるようにという意味では、大変新しいものだったと思います。今回、こういうものが検討会の報告書として出ますので、これを受けて各機関とか、また国も御配慮いただけると思いますし、そういうみんなの努力で、また次にやっていけるといいなと思います。そのような形で、とりあえずいかがでしょうか。

○藤原構成員 自治体側から読むと、あとは各自治体で頑張ってねと言われておしまいのような感じがするので。

○村嶋座長 きょう、最後ですので、そうしたら、どこにどういう文言を入れろと今、言っていただけますか。

○藤原構成員 例えば、9ページの国立保健医療科学院さんだけにお願いするわけではないですが、全国レベルでこういうことを見ていただける大事な機関だと思いますので、国立保健医療科学院でキャリアパスのB-1に当たるような能力開発の仕組みと関連したような、効果的なキャリアパスみたいなものを研究して、提示するみたいなことも書き込んでいただけると、各自治体としては少し手がかりになるものが提示していただけるのかなということを期待できるのですけれども、なかなか難しいでしょうか。

○村嶋座長 具体的な文言があれば、今、入れることができますが、具体的な文言がなければ、また今後の宿題ということになります。せっかくこういうものが出て、ここに保健医療科学院の名前もございますし、将来的に厚労科研でこういう開発が委ねられるとか、そういうことを含めて、この検討会を契機にみんなで頑張ってやっていけるといいなと思います。

 議論は以上にしたいのですが、よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。

○村嶋座長 今おっしゃられた御意見ですが、先ほど言及されたところですけれども、9ページの10行目に、国立保健医療科学院における人材育成体制、それから、キャリアパスに関する実践的研究等を通じてと盛り込んでおりまして、そういったところが該当するのかなと考えていますけれども、もし追加的な文言があれば教えていただければと思います。

○村嶋座長 よろしいですか。藤原構成員がおっしゃったのは、もう既にここに入っているという。それをみんなでいかにやるかだと思います。

 本日が最終でございます。幾つか御意見いただきまして、ありがとうございます。そういう意味では、時間も来ましたので、議論はここまでとしたいと思います。

 本日、御意見をいただいた修正箇所については、事務局に修正作業をしていただきまして、座長として私が最終的に確認して完成版とします。その後、構成員の皆様にお送りしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、御同意いただけたということで、これで今回の検討会は終了させていただきます。

 事務局から連絡事項をお願いいたします。

○保健指導室長 本日は最終回になりますので、健康局長より一言御挨拶させていただきます。

○健康局長 健康局長の福島でございます。本日、検討会も最後ということで、一言御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。

 まず、構成員の先生方には、一昨年の5月から精力的に御検討いただきまして、まことにありがとうございました。特に村嶋座長には、とりまとめに御尽力いただきまして、まことにありがとうございました。

 先生方、それぞれのお立場から幅広い観点で御意見をいただきましたし、また研究班あるいは関係団体の皆様にも御協力いただいて、おかげさまで保健師の人材育成の推進策について議論を深めることができたと考えております。

 保健師は、地域保健対策の重要な担い手でありまして、この保健師の人材育成が推進されて質向上が図られることが、それぞれの自治体における保健福祉施策の推進において極めて重要であると考えているわけでございます。この検討会で示されました自治体保健師の標準的なキャリアラダーを参照して、それぞれの自治体が独自のそれぞれの自治体に合ったキャリアラダーを策定いただくとともに、またキャリアパスや人材育成支援シートを活用した人材育成体制というものが構築していただけるように、私どもとしても関係機関と連携しながら、この検討会の報告の内容を周知していきたいと考えているところでございます。

 先生方には、ぜひ引き続き、この人材育成のみならず、保健衛生行政の推進につきまして御支援、御協力をお願い申し上げまして、検討会の終了に当たりましての御礼の御挨拶にさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

○保健指導室長 事務局より、以上でございます。

 先ほど座長からお話ございましたように、修正部分につきましては、事務局で修文案を作成いたしまして、座長と御相談の上、決定版を作成したいと思っております。

 どうもありがとうございました。

○村嶋座長 どうもありがとうございました。


(了)

健康局健康課 保健指導室
 代表:03-5253-1111
 内線:2392

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