ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療情報データベースの運営等に関する検討会> 第1回 医療情報データベースの運営等に関する検討会(2016年1月20日)




2016年1月20日 第1回 医療情報データベースの運営等に関する検討会

医薬・生活衛生局安全対策課

○日時

日時 平成28年1月20日(水)
18:00~


○場所

場所 航空会館501+502会議室


○議事

 

○安全使用推進室室長補佐 定刻になりましたので、これより第1回「医療情報データベースの運営等に関する検討会」を開催いたします。本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどお願いいたします。

 また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、申込時の留意事項の遵守をお願いいたします。

 それでは、開会に当たりまして、医薬・生活衛生局長の中垣より御挨拶を申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 医薬・生活衛生局長の中垣でございます。構成員の皆様方におかれましては大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。また、日頃から私どもの医薬行政に対しまして、御協力・御指導を賜り、心より感謝申し上げたいと思います。

 私は4年位前ですか、総務課長をしていたときに、2つ隣に座っている俵木安全管理監の情熱によって、この医療情報データベース事業をやろうということになったわけでございます。その後、金銭的な面もありますし、なかなか一直線に進んでいるという感じではありません。ただ、今も政府のほうでも医療 ICT をやらなければいけないということがありまして、ちょうど私は前任で内閣官房におりましたが、そのときも次世代医療 ICT 基盤協議会等をやっておりまして、永井先生や石川先生、皆さんにいろいろお話を伺わせていただいておりました。

 もともと医療 ICT は内閣官房主導でやっておりますが、実際に医療の関係は厚生労働省の所管の部分ですので、医療情報データベースによって医薬品の安全対策を進めていこうということでやっておりますが、厚生労働省の中でも NDB (レセプト情報・特定健診等情報データベース)をはじめ、いろいろなことをやっておりますので、そういった中で位置付けて、きちんとやっていかなければいけないと思っているところでございます。

 平成 23 年度から開始して、いろいろな評価はあると思いますが、これまで進んできて、私どもは是非とも平成 30 年度から本格運用したいということですので、是非、この検討会で諸先生方の英知を頂きまして、このデータの利活用のあり方とか、費用負担のあり方とか、更にこれをどうやってより発展性のあるものにしていくのかということを、是非御議論いただいて、うまくいけるようにと思っております。

 構成員の先生方におかれましては、是非この事業が将来にわたりまして、うまくいって、しかもそれが医薬品の安全対策から、更には日本の医療の向上のためということもありますので、是非、活発な御議論を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

○安全使用推進室室長補佐 局長の中垣は、所用により、途中で退席させていただきます。本日は第1回ということですので、私から構成員の紹介をさせていただきます。

 まず、この検討会の座長についてですが、開催要綱にて「本検討会に座長を置き、構成員の互選によってこれを定める」と規定されております。開催前に事務局より構成員に連絡させていただきまして、互選の手続を行った結果、自治医科大学学長の永井良三先生に座長をお願いすることといたします。永井先生、一言お願いいたします。

○永井座長 座長を務めさせていただきます自治医科大学の永井でございます。今、中垣局長からお話がありましたように、この事業は国際的にも非常にレベルの高いもので注目されていますし、医薬品安全の上、あるいは医療・医学の進歩の上でも非常に重要な事業だと思います。是非、皆様のお力を頂きまして、円滑に議事を進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○安全使用推進室室長補佐 続きまして、 50 音順に構成員の紹介をいたします。お手元の資料中の「構成員名簿」を御覧ください。

 まず初めに、日本製薬団体連合会の青木事成構成員です。川崎医療福祉大学副学長の秋山祐治構成員です。日本医師会常任理事の石川広己構成員です。東京大学医学部附属病院企画情報運営部教授の大江和彦構成員です。浜松医科大学医学部附属病院医療情報部教授の木村通男構成員です。お手元の名簿上、日本歯科医師会常務理事の小泉政幸構成員ですが、本日は御欠席です。続きまして、国立研究開発法人国立がん研究センター研究支援センター生物統計部長の柴田大朗構成員です。日本薬剤師会常務理事の田尻泰典構成員です。九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター教授の中島直樹構成員です。群馬大学大学院保健学研究科教授の林邦彦構成員は本日御欠席です。また、産業医科大学医学部公衆衛生学教授の松田晋哉構成員も本日急遽御欠席との連絡を頂いております。また、神戸大学大学院法学研究科教授の丸山英二構成員も御欠席です。続きまして、 NPO 法人ささえあい医療人権センター COML 理事長の山口育子構成員です。東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座特任准教授の山本隆一構成員です。首都大学東京大学院社会科学研究科法曹養成専攻教授の我妻学構成員です。

 続きまして、事務局を紹介いたします。医薬・生活衛生局長の中垣です。大臣官房審議官の森です。医薬・生活衛生局安全対策課長の宇津です。同じく安全対策課安全使用推進室長の上野です。医薬品医療機器総合機構安全管理監の俵木です。同じく医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長の宇山です。私の右隣に移りまして、医薬・生活衛生局安全対策課安全使用推進室専門官の吉田です。最後に私は安全対策課の大原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。(医薬・生活衛生局長退席)

 それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 以降の進行につきましては、永井座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井座長 それでは、議事に入ります前に、座長代理を指名させていただきたいと思います。座長代理は山本隆一先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

                                   (異議なし)

○永井座長 ありがとうございます。それでは、皆様の御了解を得られたということで、山本隆一先生を座長代理ということでお願いいたします。山本先生には座席の移動をお願いいたします。最初に事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは、お手元の資料の御確認をお願いいたします。まず、一番上に「議事次第」、2枚目に「座席表」、3枚目に「配付資料一覧」です。「配付資料一覧」と併せて御確認ください。

 まず初めに配付資料ですが、開催要綱、構成員名簿があります。資料1「医療情報データベース基盤整備事業の概要と検討会の開催について」、資料2「本検討会における検討事項(案)」、資料3「今後の進め方について(案)」です。

 参考資料1-1「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」の概要、参考資料1-2は、その報告書、参考資料2-1「電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言」の概要、参考資料2-2は、その報告書です。参考資料3-1「医療情報データベース基盤整備事業の実施要綱について」、参考資料3-2「本事業の協力医療機関の公募について」、参考資料3-3は本事業の実施要領です。参考資料4-1「本事業における医療情報の利活用要綱(試行期間用)」、参考資料4-2「本事業における医療情報の取扱いに関する倫理上の取扱い(試行期間用)」、参考資料5「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会報告書」です。以上ですが、配付資料の不足や乱丁等がありましたら、事務局までお知らせください。

○永井座長 それでは、議事を進めてまいります。最初に「医療情報データベース基盤整備事業の概要と検討会の開催について」、事務局から御説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは、御説明いたします。資料1をお手元に御用意ください。医療情報データベース基盤整備事業の概要と検討会の開催について御説明いたします。なお、スライドの番号は右下に付しておりますので、適宜御参照ください。

 スライド1は、本事業の経緯についてです。本事業は「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」と、それを受けて議論をされてまとめられた「電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言」を踏まえて、大規模データの活用により、現在の副作用の自発報告等の限界を補い、薬剤疫学的手法による医薬品等の安全対策を推進することを目的として、平成 23 年度より開始しました。

 その後、本事業では、厚生労働省内にて実施された行政事業レビュー公開プロセスの対象事業となり、そのレビュー結果を受けて、「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会」で今後の本事業のあり方について報告書がまとめられました。これらの提言や報告書は、参考資料として配付しておりますので、適宜御参照ください。

 続きまして、スライド2です。本事業では、電子カルテや検査結果、レセプトやオーダリングのデータなどの医療情報を収集するための医療情報データベースを全国 10 拠点 23 病院に構築するとともに、 PMDA に情報分析システムを構築しております。これらのシステムの構築と利活用によって、スライドの左下のとおり、特定の副作用の発生割合の比較や副作用と、もともとの疾患自体による症状との判別、安全対策の措置の効果の検証など、医薬品等の迅速で的確な安全対策の実施が期待されております。

 スライド3は、本事業で構築している医療情報データベースの基本構成です。まず、それぞれの病院における一番左の緑の筒、電子カルテなどの病院情報システムからデータを標準化した上で、 SS-MIX2 、標準化ストレージにデータを集積します。これをデータ検索に適した形に変換をして、右側の統合データソースに集積します。右上に示した PMDA などの利活用者は、データの抽出条件をスクリプトという形でまとめて、それぞれの医療機関に送付します。各医療機関はその内容を確認の上、データの抽出処理について承認をして実行しますと、データが統合データソースから抽出されます。抽出後のデータは右側にある抽出後個票( ID なし)となります。そして、各医療機関内で統計処理をし、集計結果データを作成します。

 各医療機関からは複数施設統合データ処理センター(以降「センター」という。)に緑色の集計結果データが送信され、 PMDA と医療機関相互の合意がある場合には、青色の抽出後個票( ID なし)などからなる分析用データセットを送信することが可能となっています。

 その後、センターでは、複数施設統合処理システムにより、各医療機関のデータを統合解析し、 PMDA などの利活用者が分析結果たる統計情報をダウンロードする仕組みになっております。

 スライド4は、医療情報データベースにおける情報の取扱いについてです。青が医療機関内、オレンジがセンター、赤が利活用者になります。一番左側の医療機関が保有するもともとの病院情報システムでは、当然ながら実名でデータが入っております。その右側の DB 用標準化ストレージでは、実患者 ID 、氏名、住所、郵便番号、生年月日を有する状態でデータが集積されます。その後、統合データソースにデータを集積する時点では、実患者 ID は一方向関数で変換され、新たな ID が付番されます。氏名、住所はこの段階で削除されます。

 次に、 PMDA などの利活用者から依頼された抽出処理を医療機関が行うと、抽出後個票が作成されます。利活用者が取り扱える情報では、統合データソースで付与された ID は削除され、郵便番号は抽出されません。また、生年月日などの日付情報は同一患者の情報を一括して、処方や副作用発生日などのイベント情報の前後関係を維持しながら、乱数で一定の日数をずらしています。更に抽出前後の情報の対応表は作成しません。したがって、利活用者が取り扱える情報は、他の医療機関のデータなどとの連結はできない形で抽出されます。また青枠で囲んでいる部分では、閉じたネットワークを形成しており、利活用者の組織のネットワークとはつながっておりません。利活用者は、センターでの解析処理の終了後、解析結果をセンター接続用の専用端末を介してダウンロードする仕組みとなっております。

 続きまして、スライド5です。複数の医療機関から抽出されたデータを統合して解析を行うためには、データの標準化などの品質管理が必要となりますが、スライドには、ある医療機関における1か月分のデータを用いた品質管理の状況を示しております。病院情報システムと統合データソース内のデータについて、当初は一致していないデータが数多くありましたが、品質管理作業を進めてきた結果、データの一致率は 100 %に近い状態まで達成されつつあります。ほとんどの医療機関では、このようなデータの品質管理作業が完了しつつあります。更に、一部の医療機関では、本データベースの有用な特徴の1つである、単施設で実際の検査値データを使った解析も行っております。

 スライド6は、ダミーデータを用いてセンターを用いた複数医療機関のデータの統合解析を行った結果です。一例として、ある複数の医療機関において、1年間に治療薬 A 剤、 B 剤のいずれかを新規処方された患者を想定し、処方後に血球減少が生じた患者の割合を解析した結果を示しました。なお、こちらに示した結果は、あくまでダミーデータから出した結果となりますので、値自体に特に意味はないということについては御留意ください。

 スライド7は、先ほどのダミーデータを用いた血球減少イベントの解析の際に使用した分析用データセットの一例です。本データセットは、スライド4に示した連結不可能匿名化処理により生成されますが、同一患者には表の左端にある同一の患者シーケンス番号が付され、各患者の赤血球数、白血球数及び血小板数の結果等のデータが含まれています。

 ダミーデータを用いた解析の説明は以上ですが、現在、複数医療機関が保有する実際のデータを用いて試行的に統合解析を行うための準備を進めております。参考として資料1の最後のスライド9に試行的な利活用テーマの一覧を示しましたので、適宜御参照ください。今後は試行的な利活用を進め、その実績を具体的に示していくことが重要であると考えております。

 スライド8は、本事業の事業計画です。現在スライド5で説明をしたシステムやデータの品質管理などの検証作業を進め、また一部の拠点では、この検証作業が完了しつつあり、スライド6に示したような統合解析の試行に向けた準備を進めております。そして、平成 30 年度にシステムの本格運用に進んでまいりたいと考えております。

 今回の検討会では、過去に行われた「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会」の報告書で指摘された、システムの本格運用時における利活用ルールなどの整備や、費用負担の枠組みなどを検討するために開催することとしました。後ほど検討事項案の詳細は資料2で御説明いたしますので、よろしくお願いいたします。また、費用負担の枠組みを整理した後、運営に必要な経費の整理などについては、企業や医療機関での経費などの内部情報等を公開することが適当ではない情報を取り扱う可能性がありますので、本検討会の下にワーキンググループを置いて、原則非公開にて御検討いただきたいと考えております。このようなワーキンググループを置くことについても御了解いただきますようお願いいたします。資料1については以上です。

○永井座長 ありがとうございました。検討会の検討事項については後ほど御説明いただくことになっております。今の時点で、ただいまの説明につきまして、医療情報データベース事業について、全体的な事項あるいは本検討会の開催について、何か御質問がありましたら、御発言いただきたいと思います。

○石川構成員 幾つかお聞きしたいことがあります。まず今回のこの検討会ですが、順調に行けば、2年位前にデータベースの利用の完成というのはあったと思います。今位のときには使えるという計画だったと思いますが、スライド5で、品質管理の結果ということで、この整備が遅れたという話を聞きましたが、どこをどのように変えて、今後のほかの医療情報のデータベースに役立つような整備がされたかどうか、もう少し詳しくお知らせいただきたいのです。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 それでは、実際に業務を担当しております PMDA から、少し詳しく御説明したいと思います。品質管理の中で我々が認められた幾つかの例を御紹介しますと、例えば糖尿病の自己注射製剤が、全量で5回と処方されているのが本当だったのですが、それがあたかも1回量として5回として送られているようなケースがあったり、あるいは処方された後、実際には処方が中止されている場合があると思いますが、それがうまくデータベースの中で区別できない状況になっていて、実際は処方されなかったのですが、処方されたものとされなかったものを区別していないということで、分析の際にそれが両方とも処方があったかのような解釈になりかねないようなデータがありました。

 品質管理の中で単位がいろいろなものがあって、我々の中で実際に送られてきたデータなどを見ますと、例えば国際単位の中でも千単位とか万単位といったものが標準化コードとしては含まれていなかったために、ローカルコードだけでしか送られてこなかったケースなどがあって、想定していた以上に病院側の運用にかなりのバリエーションがあるということなのだと思います。また、それがデータを抽出する側のプログラムと、受け取る側のプログラムと、 MID-NET の仕組みの中で、かなりいろいろなプログラムが動いておりますので、その中で不具合が幾つかの所で生じていた。それを我々が医療機関の先生方と協力しながら、1つずつ解決していったというのが現状です。

 実際には、ここで認められた経験をデータの標準化に詳しい先生方の御協力を頂いて、御提案をして、更なる改善を図っておりますので、ここでの経験は間違いなく日本の医療情報の標準化に寄与してきているのではないかと考えております。

○石井構成員 分かりました。

○永井座長 ほかにいかがですか。

○石川構成員 もう1つです。今度、医療における個人情報保護法の改正がされるということで、2年後に施行です。スライド4ですが、連結不可能匿名化が途中でされるのですが、基本的には医療機関の中で行われる内容になると思います。そうすると、この医療機関の中には民間の医療機関もあるわけですが、そこで連結不可能匿名化が行われて、センターに持っていって、そこから再利用する、利活用するという流れになっていますが、ここの連結不可能匿名化については、新しい個人情報保護法の改正の中でも有効なことになるのかどうなのか。そこの担保について、あるいは予測について教えてもらいたいのです。

○安全使用推進室長 今、御指摘いただきました件は、どのような匿名化処理を行えば連結不可能匿名化された情報になると判断できるのかというところの考え方ですが、その件については、改正個人情報保護法の施行に向けて、現在別途内閣官房 IT 総合戦略室など、関係の所で正に検討されているという状況だと承知をしております。

 したがって、 MID-NET に関しては、現行のルールの中で、スライド4で御説明したような匿名化処理をして、現時点では連結不可能匿名化されている情報だということで整理をして運用しているところです。現在検討されている匿名加工情報の基準、ルールが明らかになってきた段階で、 MID-NET の情報の取扱いについても必要な対応があれば、その部分も含めて対応を検討していきたいと考えているところです。

○石川構成員 分かりました。

○永井座長 よろしいですか。御質問がありましたら、また後ほどお伺いしたいと思います。

 では、次の「本検討会における検討事項について」、事務局から説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは、御説明いたします。お手元の資料2を御覧ください。本検討会における検討事項案について御説明いたします。まず1ページです。資料1の最後でも御説明しましたが、「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会報告書」における指摘を踏まえ、事務局としては本格運用に向けた課題の1つ目として、利活用の目的の範囲や利活用可能なものの範囲、2つ目として、利活用の方法や情報の取扱いなどのルール、3つ目として、データベースの運営に係る費用負担の枠組み、これらの3点に分類できるのではないかと考えました。

 これらの課題について御議論いただく前に、まずは現状の試行期間における利活用の範囲やルールについて、「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱(試行期間用)」に規定されている内容を御説明いたします。

 まず、利活用の目的は、医薬品等のリスク・ベネフィット評価を含めた安全対策とされており、利活用の申出は、厚生労働省、 PMDA 、協力・連携医療機関のみが可能であり、利活用申請書に記載された利活用者は、利活用申出者の管理の下で利活用は可能ではありますが、解析対象の医薬品等に関して利害関係がある者は利活用ができないことになっております。また、利活用をするためには PMDA に利活用申出書などを提出して審査を受ける必要があり、有識者会議の意見や審査基準に基づいて利活用の可否が決定されます。

 情報の取扱いについては、資料1のスライド4に示したとおり、利活用可能な情報は連結不可能匿名化された情報に当たると整理をし、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の対象外としております。

 続いて、利活用の場所は、利活用申出書に記載した場所に限定されます。実際には試行期間中は PMDA あるいは協力医療機関に設置された利用者端末を使って利活用をすることになります。 PMDA による利活用の審査の基準には、利活用場所の施錠の管理など、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に則った措置が講じられていることが含まれております。

 2ページを御覧ください。先に挙げた3点の課題について、過去の報告書で言及された内容をこちらにまとめました。今回は第1回目の検討会ですので、現状や過去の検討会での議論の内容などを踏まえて、本格運用に向けて検討すべき課題について、自由に御意見や御議論を頂きますようお願いいたします。

 過去の報告書で言及された内容について、まず1つ目の「利活用の範囲」について、御説明いたします。利活用の目的については、資料1のスライド1にも示しましたが、本事業は大規模データを活用することにより、現在の副作用の自発報告などの限界を補い、薬剤疫学的手法による医薬品等の安全対策を推進することを目的として事業が開始されました。また、過去の報告書では、製薬業界では市販後の使用成績調査の実施の一部に代えて、データベースの活用が期待されていることや、製薬企業により安全性監視のために利活用できるようにしておく必要があるとの言及がされております。更に、利活用可能な者の範囲については、アカデミアや製薬業界等による利用も想定され、製薬企業が利活用する場合には、薬事規制との整合などの観点でも検討を行う必要があるとの言及がされております。

 次に、利活用のルールについてですが、情報の取扱いについては、個人情報保護を含め、倫理的な取扱い、匿名化、セキュリティ、研究計画、研究結果の公表などに関するガイドライン等を整備すべきとの一方で、利活用の方法について、本格運用においてはデータベースを構築したことの目的が確実に達せられるように利活用の方法などを検討する必要がある。大学病院の場合、様々な研究でデータベース活用のニーズがあるため、利用者端末を院内に整備することや、利用熟練者養成などの環境整備も必要との言及がされております。また、医薬品等の安全対策の措置等につながるデータの場合、利益相反等についても十分な考慮が求められるとの言及もされております。

 このうち2点目の利活用場所についてですが、利活用者自らの責任の下でデータベースにアクセスをして解析を行うといった形態と、利用者はデータ解析を、例えば PMDA に依頼して、解析結果のみを入手する形態の2つが考えられますが、利用形態も含めて御検討いただければと考えております。

 3点目の利益相反については、先ほど御説明した「利活用可能な者の範囲」にも関連する内容であると思いますので、その点も踏まえて御検討いただければと考えております。

 3ページ目を御覧ください。最後に「データベースの運営に係る費用負担の枠組みについて」です。現状、本事業の経費については、おおむね国が 50 %、医薬品等の製造販売業者から拠出されている安全対策拠出金が 50 %となっておりますが、これらの必要経費の負担の枠組みについて、どのように考えるべきか、御意見を頂ければと思います。なお、過去の報告書では、本格運用後に必要な経費として、システム管理費、拠点病院の経費、利活用に関する有識者会議の経費、 PMDA 職員の人件費のほか、利用者向けの教育資材の作成、システム改修に係る経費、コンピューターシステムの置き換え(リプレイス)の経費を想定する必要があると言及されております。また、国費及び安全対策拠出金による負担に関しては、本格運用後においても、安全対策業務における利用分は安全対策拠出金と国費が充てられることや、データベースの利活用による最終受益者は国民であることを踏まえて、維持費用を含めたシステムの基盤部分は国民が負担するような枠組みが望ましいこと。試行期間では、拠点病院の経費は協力医療機関が負担していますが、システムの長期安定稼働を実現するために、当面の期間、国費の投入が必要であること。まずは現在の支出について整理・検討を進め、本事業から得られた収入マイナス支出の収支差額分から、国費や安全対策拠出金での支出額を算定し、資金的支援を確保していくべきとの言及がされております。利用者による負担に関しては、本格運用後はアカデミアや製薬業界等の利用が想定されるため、利用者の手数料などによる負担も含めた運営のあり方について検討が必要。今後は本事業に参画する医療機関を増やすためには、治験や製造販売後調査・試験の委託に関する費用の支払いと類似の考え方を採用し、医療機関にデータ抽出調査委託料を支払うといった枠組みの設計も必要との言及がされております。

 費用負担の詳細については、議題2で御説明したとおり、ワーキンググループを開催して検討をお願いしたいと考えておりますが、費用負担の枠組みや基本的な考え方については、この検討会の場において御議論をお願いしたいと考えております。資料2については以上です。

○永井座長 ただいまの御説明に御質問がありましたら、御発言いただきたいと思います。

○山口構成員 今も最終受益者は国民であるというような御説明があって、そのために費用負担をするのはもちろんだと私も思いますが、最終受益者である国民に対して、このような事業が行われていることや、どのような益があるのかということを公表することについては、どこにも触れられていないのですが、既にそのようなことについて、何らかの形で公表するようなことが行われているのかということと、今後そのようなことが併せて行われていくのかということが、ほとんど知られていないと思うのです。

 連結不可能匿名化ということで、それも安心できるのだということを分かった上で、益があるのだということが結果として知らされないと、不安だけが独り歩きする可能性もあると思いますので、そこをしっかりと伝えていく必要があると思うのですが、その辺りについて教えていただければと思います。

○安全使用推進室長 この事業は平成 23 年度から立ち上げたところです。事業の立ち上げの段階では、このような事業を行っていきたいということについては厚生労働省からも発表しているところです。その後も、折に触れて、このような事業を行っていることについては、いろいろな場を通じて御紹介をしているところです。

 しかしながら、現在は試行期間中というところで、このデータベースを正にこれから試行的に使って、何ができるのかという実際の利活用例も含めて成果を出そうとしているところです。

 今年度から来年度に向けて、試行的な利活用のテーマも設定しておりますので、間もなく、それらの利活用の結果、何ができるのかという辺りが実績として出てくると思いますので、それらを積極的に公表し、このデータベースを使うとどのようなことができるのかということを、国民の皆様にも分かりやすく御理解いただくようなことはしていきたいと思っております。

○山口構成員  NDB では、あらゆる所からデータが集まってくると思うのですが、 MID-NET では 23 の拠点内の病院ということでかなり限定されていて、それらの 23 病院については、そこにいらっしゃる患者に対しては何か説明は行われているのでしょうか。

○安全使用推進室長 各病院においては、掲示という形でそれらの病院にかかっている患者のいろいろな医療情報を、この MID-NET 事業のために利活用させていただきたいということを周知しております。また、各病院のホームページにも同様の内容を掲載し、お知らせをしているところです。

○木村構成員 これは一昨年の8月に日経新聞で1面に出ましたよね。

 もう1つは、先行の MIHARI という事業があって、この成果で、大体どのようなものはきちんと捕まるのかということを浜松近辺の病院でやっていただきました。私もまだ論文が書けていなくて申し訳ないのですが、少なくとも、 PMDA はそれを公表しておられるし、それを国民に向けてという部分はあれですが、どのようなことができて、どのような副作用はきちんと検知できるのかということは、 MID-NET の試行利活用の実施を待たずに少しできているので、それを厚労省及び PMDA も、より広報されていただいたほうがよろしいかと思います。

 もう1つは、このセンターにデータが行く部分は集計結果が行くケースと、全部行くように見えるケースがあって、資料1のスライド4では全部行くように見えるので、これはもう少し詰めないと。

 例えば浜松医大としては、データをそのまま全部出すつもりはないので、集計結果は喜んでお出しします。そこは、きれいに区別したほうがいいと思います。資料1のスライド3では、青と緑で表現されていますが、そこはもう少しはっきりされて、広報されたほうがよろしいかと思います。

○永井座長 個々の問題はまた改めていたしますので、今日は今御説明いただいた検討事項について、こういう事項でよろしいかと、その辺を中心に御意見を頂きたいと思います。

○石川構成員 資料2の今回の検討事項が1、2、3とあります。今お二人が言われた点で、前もってきちんとしておかなければいけない点が1つあります。それは、この「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」が平成 22 年4月に出されて、それで MIHARI ということでやるのですが、これは1つの事象を発見するということではなくて、こういうシステムによってもっと薬害の防止ができるか、早く見つけることができるかというのが、資料1のスライド2、3のポンチ絵だと思うのです。

 これでいきますと、協力医療機関、特に資料1のスライド3のポンチ絵で見ますと、協力医療機関においては例えば副作用が出てきて、これは大きな副作用の群になるのではないかということは、確知はどこなのかということを、私は平成 23 年のときにも言ったのですが、感じるわけです。

 つまり、医療機関には確知をしなければいけないということが義務付けられてやっているのかどうなのか、これは分からないのですが、そこで、どこが副作用などの確知になるのかというのをはっきりしておく必要があるのではないかと思うのです。それで、利活用というのが、その後にくるのではないかと思っているのですが、今の御説明で、例えば浜松では MIHARI の結論をきちんと出してもらいたいというようなお話なのですが、これはきちんと次の検討会あたりでやったほうがいいのではないかと思うので、今回は報告はなくてもいいと思うのですが、それをお願いしたいと思います。

○永井座長 事務局、いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 各安全対策をデータベースで行っていくことにつきましては、安全対策課及び PMDA で、いろいろな副作用情報を基に分析が必要だと判断された場合には、 MID-NET のような情報も使いながら、これから薬剤疫学的手法を用いて解析を行い、安全対策の必要がないかについて検討していく。そこは国全体の安全対策の推進という意味では、行政で責任をもって行っている部分だと考えております。

 また、先ほど御紹介のあった MIHARI プロジェクトに関して、今どのような状況なのかについては、資料を整理して、次回の検討会にて御説明させていただきたいと思います。

○石川構成員 是非お願いします。「自発報告の限界を補い」というのが非常に重たい課題ですので、そこを是非きちんとまとめていただかないと駄目だと思いますので、よろしくお願いします。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。

○安全対策課長 先ほどの御質問に関して追加で御説明いたします。このデータベースの利活用の利点というのは問題の検出というよりも、検証に利活用できるのではないかということで考えております。利活用例については、また次回の検討会にてまとめて御説明したいと思います。

○永井座長 既に協力医療機関として御参加いただいている病院から、大江構成員、木村構成員、中島構成員がいらっしゃいますが、何か今の時点で検討項目について、御発言はありますでしょうか。

○木村構成員 項目はこれでいいと思います。

○中島構成員 資料2の3ページの一番最初の「本格運用後に必要な経費」の中に、この当時には余り想定されていなかったところで、データの品質が驚くほど低かったので、データの品質を上げるために非常に苦労したところはあります。実際に、今はほぼ 100 %になったのですが、例えば新しい薬が出るとか、新しい検査試薬が出るとか、部門システムを更新するとか、病院システムを更新する度に、このデータの品質がまた落ちていくのです。

 ですから、これを継続的に使い続けるためには、リアルタイムでデータの品質を確保していかなければならないというのは、ここに書いてあるシステム管理の中に想定するのに非常に重いところがあったので、これはしっかりと考えた上で検討していかなければならないと思います。

○永井座長 医療情報の品質管理はどこが音頭を取ってやればいいのですか。

○中島構成員 このリアルタイムのデータの品質確保というところを AMED の研究で九州大学が今年度行っているのですが、 MID-NET の中では中心になっている PMDA に情報を集めて、そこで管理するという仕組みを構築する必要があるのです。それは PMDA と、それぞれの医療機関で同じルールの下でやらなければいけない。

 ただし、それぞれの病院で、例えば新しい薬を入れるときのルールが違ったり、それのマスターへの入れ方が違ったりするので、ある程度は各医療機関のやり方も入れなければならないということで、そこは少し工夫が要ると思います。

○永井座長 ということは、学会とか山本先生が理事長をされている医療情報システム開発センター( MEDIS )で音頭を取るということはできるのでしょうか。これから参加病院も増える可能性がありますが。

○山本座長代理 音頭を取れるかどうかは別として、コンテンツそのもののクオリティを高めるといったことは、 MEDIS としても取り組んでいて、調査事業等で結果は出していますが、それが個々の病院にどのくらい影響を与えられるかどうかというのは、まだ未定というか、今のところはそれほどは効果があるようには思えていないのです。これは MEDIS だけではなくて、様々な所から声が上がってきて、そういう方向性が全体として出てこないと、なかなか難しいです。結構手間のかかる話です。

○永井座長 ベンダーも絡んでくる話ですね。

○山本座長代理 はい。

○永井座長 検討項目として、品質管理の問題は非常に重要だということだと思います。ほかにいかがでしょうか。

○中島構成員 データの品質に関わることですが、今は標準病名に関してはかなり早く管理されているのですが、標準薬剤コードと JLAC10 という検査コードに関しては、かなり遅れているのと、 JLAC10 はコードのマッピングが難しいというところがありますので、ここがデータの品質を落とす大きな課題になっているのです。

 この MID-NET という事業を PMDA がやっているのですが、医薬品の安全のために、例えば新薬が出たときの HOT コードあるいは検査コード、新しい検査用の試薬ができたときの JLAC10 、これから JLAC11 が出ますが、 JLAC11 が出たときなどは、製造販売承認されるときに添付文書にコードが明記されたものを PMDA が承認すると、これは制度を大きく変えないといけないのですが、そうすることによってデータ品質が完全に変わると思います。

 これは販売された後、標準コードがしばらくないのです。その間の品質が落ちてしまうということがありますので、そこも是非検討していただきたいと思います。

○永井座長 これはしようと思えばできることですね、是非。

○中島構成員 以前からこういう話はあったのですが、なかなかそういう話が聞こえないというのがありまして。

○山本座長代理 医薬品コードに関しては薬価収載より遅くなることはないです。ですから、使われるより前には必ずコーディングがされています。

JLAC10 に関しては、コードを振るというよりは、コードを適切に作るということで、これは確かに新しく試薬が出たときに、それがきちんと検討されるべきなのですが、そこのところの体制が不十分な部分があります。

JLAC10 は検査のコードなのですが、最も大きな影響を与えるのが検査方法ですので、例えば新しい検査方法あるいは新しい試薬ができたときに JLAC10 コードを検討することが一番合理的なのですが、そこの仕組みがまだ十分ではないと思っています。

 その検査ができたときに特別なコードが振られるわけではなくて、 JLAC10 という体系の中で、コードを組み立てていくということになっていますので、何かできたら、そこでコードを別に考えて付けるわけではないのです。そこで組み立てないといけないのです。

○中島構成員 ただ、試薬があれば、検査方法は決まっていますので、あとは材料だけなのです。ですから、例えば添付文書に尿の場合はこのコード、血液の場合はこのコードというところまでは書けるのです。そうすると各病院では、簡単にそれをマスターに入れることができますので、この MID-NET にも大きなデータの品質向上に加えて、これから行われていくアカデミックな研究にも資することになると思います。

○大江構成員 今、中島先生が御指摘になったことのうち、医薬品は先ほど山本先生が回答されましたが、臨床検査の JLAC10 コードの付番についても、一昨年から臨床検査の標準コードについては臨床検査項目標準マスター運用協議会が組織横断的にできていまして、そこでは新しく出た検査試薬は承認より前、あるいは承認されたけれども販売より前のうちに、情報を全部運用協議会で収集して、 JLAC10 の付番を日本臨床検査医学会に依頼して、販売時には JLAC10 コードが付番されている体制ができていますので、過去の古いものについては積極的にやらないといけないと思うのですが、今後は新しく販売される試薬については、もう体制ができていると思っていますので、これについてはそれほど今後危惧することはなくて、ほぼ解決に向かっていると思います。あとは、運用協議会をうまく動かしていくことで解決していくのではないかと思います。

○中島構成員 是非添付文書などに、使用者、その病院の検査部の方が見られる部分に、それを載せるということがまだできていないので、そこを。

○大江構成員 私はそれに反対です。反対なのですが、今日のこの検討会で議論するには、余りに細部に入っているのではないかと思いますので、別の場で議論されたほうがいいのではないでしょうか。

○永井座長 項目としては挙げておくということですね。ほかにいかがでしょうか。企業のお立場で、青木先生からいかがでしょうか。

○青木構成員 企業の立場ということで申し上げられるものは特にないのですが、品質に関して申し上げると、やはりこの事業が安全性の担保、薬害の防止という視点でもありますので、必ずしも 100 点満点の品質を担保するという発想で考えていただくよりは、ある部分において諦めるというわけではないのでしょうけれども、必要なことに関しては 100 %遡及する、一部に関してはまだ品質レベルが 80 点、 90 点というところがあるという前提で、活用するやり方を模索していくということも、1つあるのかなと思いまして先生方のお話を伺っていたところです。

○大江構成員 この検討会で検討する事項が3つ掲げられたわけですが、そのうちの1番は「利活用の範囲」ということで、その中に「利活用の目的」というものが書かれています。

 私の理解では、この利活用の目的については、この事業がスタートした趣旨からしても、目的は最初から決まっていて、ぶれないものかと思っていたのです。

 ただ、これをもう一度この検討会で議論して、場合によっては予算の趣旨やこの事業がスタートしたときの目的は守るものの、更に目的をもう少し付加するといったことも議論していいのか、その辺が分からないのですが、よろしいのでしょうか。

○永井座長 それは構わないように思いますが、いかがですか。

○安全使用推進室長 その部分につきまして、この検討会で御議論いただきたいと考えております。すなわち、当初この事業は、安全対策を目的として立ち上がっているものです。この目的をもう少し広げていくべきかどうかという観点も含めて、先生方に御議論いただければと思います。

○永井座長 安全対策というとリスクの問題だと思うのですが、ベネフィットについては前に議論したことはありましたでしょうか。

○安全使用推進室長 リスク・ベネフィット評価というものに活用していくことについては、資料2の現状の試行期間中の利活用要項の「利用の目的」という所に記載されております。ベネフィットという部分についても、これまでに検討会の中でも御議論いただいております。

○永井座長 いかがでしょうか。

○大江構成員 そうしますと先ほどの目的の点ですが、当初は医薬品の安全対策ということが目的ではあるけれども、例えば医療経済的なこととか、そのような分析にこのデータベースを使うということも、この検討会で議論して、合意ができれば目的の拡大もあり得ると、柔軟に考えてよろしいわけですね。

○安全対策課長 いろいろと御意見を頂きたいと思うのですが、ベースとしては安全対策ということで予算を取って行ってきましたので、そこはベースがあると思いますが、それに付加してほかのものとして、どのようなものまで認めて、このデータベースを利活用していいのかということも、御意見を頂きたいということです。全て前提をなくして、どんどん広げていくということではなくて、ベースは安全対策ということだけれども、せっかくこのようなデータベースを作ったので、利活用の目的の範囲を広げるのであればどのような範囲まで広げてもよいのかというような御意見を頂ければということです。

○大江構成員 分かりました。

○永井座長 まだ御発言いただいていない構成員の方々、いかがでしょうか。我妻先生、何か法学的な立場からいかがでしょうか。

○我妻構成員 今の御趣旨だと、利活用の目的の範囲が広がっていくことになれば、当然利活用可能な者も広がっていくし、そうなると全部が重なって、利益相反になる可能性もあり得て、経済的なものにまで広がっていくので、合わせて検討していくということでよろしいのだと思います。

○永井座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

○秋山構成員 今日は検討事項の検討みたいなところかと思っていたのですが、前の報告書の中で、少し辛口なことを最初に1つ言いますと、いつまで試行するのかということがあって、私は 23 の医療機関には入っていないので、例えば実際にうちの附属病院で使わせてもらうとしたらどのようなことができるのかとか、逆に先ほど石川構成員がおっしゃられたようにどのようなことにメリットがあるといいますか、大学の薬剤部とか医療安全部にとってはこのようなメリットがあるというところを自分たちが研究者、利用者として使うときには何ができるのかとか、それが利活用の範囲や利活用のルールのところに関わってくると思います。

 試行に参加している医療機関以外の者、 PMDA も含めてですが、それ以外の者が利活用するときのことを少し強く打ち出していただきたいと思っています。今まで試行期間中に多くの成果が実際に出ていると思うのですが、それは余りそれ以外の所には伝播していないというところがあります。それぞれの多くの医療機関がデータベース的なものは持っていて準備というか構えは大分できているので、そこをどうするのかと思っております。

 それを踏まえて意見なのですが、利活用の範囲を考えるときに以前の報告書の中で、既存の基盤を活用した他のデータベースとの連携が少し課題に残っていたかと思うのですが、そういうところはどのようにこの場でまた議論していくのか、それとも今回は MID-NET の運営等について議論をそこだけに絞っていくのかということをお聞きしたいと思っています。

○永井座長 これは利活用のルールに関することになりますでしょうか。いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 今、御質問のありました他のデータベースとの連携については、平成 26 6 月にこの事業のあり方検討会の報告書の中でも触れられております。この事業については、まずは本格運用に向けて現在の 10 拠点 23 病院できちんとデータベースを構築していくことを第1の目標とすると言われております。将来的な課題としては他のデータベースとの連携を行っていく、連携をする上ではできるだけ既存の枠組みなどを利用しながら効率的にできるように検討すべきとされております。

 そのような状況ですので、まず、今回は本格運用に向けての運営に関する検討課題ということで、今回お示ししました3点プラス本日御意見いただいた点について中心に御意見を頂ければと思っております。他のデータベースとの連携について具体的にどのように進めていくかについては、この検討会の中でも御意見を頂きつつも、実際の検討はまた別の場で考えていきたいと思っております。

○永井座長 いかがでしょうか。

○柴田構成員 細かいことではなくて項目についてということでしたので、その項目に絞ってコメントいたします。資料1のスライド3に先ほど木村先生からもコメントがありましたが、分析用のデータセットを提供する場合と集計結果データを提供する場合があるということを明確に区別するべきであるというお話がありました。おそらく利活用可能な者の範囲を決める場合にも、このどちらであればどこまで使える、という議論が必要になってくるのではないかと思います。

 また、それらが、解析できること、どのような複雑なことができるかということ、調べようとすることとも絡んでくると思いますので、そこのところは今後ディスカッションの必要があるのではないかと感じたところです。

○田尻構成員 先ほどの利活用の目的で、山口構成員も言われましたが、いわゆるリスク・ベネフィットを含めた安全対策が幹であり、プラスアルファの部分はこの場で検討していけばいいと、運営に係る費用負担の枠組みの中でやはり最終受益者は国民ということを考えれば、そこだけはきちんと押えた上で利活用範囲の拡大を考えていく必要があるという気がいたしました。

○大江構成員 この3つ以外にもう1つ、参考資料5にもまとめの所に書いてあるのですが、データベースを使うためには、データベースの特徴やデータがどのように入っているのかということをかなり知っている人材が必要だと思います。そういう意味で、もし今後時間に余裕ができたときには4番目として、この事業のデータベースを十分に活用できる人材育成のあり方についても検討していただければいいかと思います。

○安全対策課長 御意見ありがとうございます。その点についての御意見を頂ければと思います。この検討会でのまとめということにも含めていきたいと思います。ありがとうございました。

○永井座長 ある意味での教育です。これをいかに使うかということと、この事業を通じて何を学習して日本としてどのような課題があるかということをきちんと抽出して、次の別の事業にいかすことをしないといけないと思います。特に SS-MIX2 を使ってどういう経験をされたのか。そういう人材を含めた教育ということは非常に重要なことのように思います。

 この事業をつないだということだけでも大変な経験をされるわけです。おそらく似たような事業がまたスタートすると思いますが、そのときに円滑にまた迅速に事業が動くように伝えていただきたいと思います。

○安全対策課長 先生方も御存じのとおり、いろいろな事業が動いておりますので我々の貴重な経験も共有する形と情報の共有も図られることも考えていきたいと思います。どうもありがとうございます。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。各項目については、また追って議論していただきたいと思います。今後の進め方について事務局から説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 資料3をご覧ください。本検討会の今後の進め方について事務局案を示したものです。本日は第1回として本事業の概要と検討会の開催について説明し、現状と今後の検討課題について御意見等を頂いております。これまでの説明や御議論を含めて、資料3に示した今後の進め方について御確認をお願いしたいと考えております。

 事務局案として、次回の第2回は平成 28 年3月 10 日(木)の 18 20 時に開催を予定しております。その後、第3回は5月頃、第4回は6月あるいは7月に開催を予定しており、平成 28 年の夏までをめどに中間報告書を確定し公表したいと考えております。また、運営に必要な経費の整理と費用負担の詳細については、中間報告書の内容を踏まえて非公開のワーキンググループを8月から 12 月にかけて3回程度開催し、御検討をお願いしたいと考えております。

 その後、第5回は平成 29 年1月頃に開催を予定しており、ワーキンググループにおける検討結果を報告するとともに現在、別途議論が進められている個人情報保護法の改正内容の詳細を踏まえて、必要に応じて医療情報の取扱いに関して御検討いただければと考えております。その後、第6回は平成 29 年3月頃に開催して報告書案について検討を行い、第7回の検討会を平成 29 年の夏頃に開催して、この時期までに予定されている個人情報保護法の改正法の施行状況を踏まえて最終報告書を確定して公表できればと考えております。検討会の開催についてはこのようなスケジュールで考えておりますが、こちらも含めて御議論、御検討いただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

○永井座長 何か御質問はございますか。検討事項は、この検討会とワーキンググループで検討していくということですが、その点はよろしいでしょうか。何か今の説明について御意見、御質問はございますか。

○山本座長代理 質問ではないのですが、この予定では平成 29 年1月頃に個人情報の取扱いに関する検討が入っています。皆様よく御承知のように今、政令が検討されていて、それが終わると個人情報保護委員会を中心にして様々な指針が作られることになっています。その中で多分非常に大きな要素を占めるのが、匿名加工情報の取扱いです。

 これは経緯を申し上げますと、最初にこの概念の検討を始めた「パーソナルデータに関する検討会 技術検討ワーキンググループ」の作業班は国立情報学研究所の佐藤先生が中心になってやったのですが、そこの答申に出てきた匿名加工情報と、今回の個人情報保護法の改正に関する国会審議の中で内閣官房がお答えになった匿名加工情報は随分違うのです。

 もともとは、それほど特定性をものすごく下げるのではなくても、一定の配慮をすることによって使えるようにしようということで、その一定の配慮の中に情報を絶対盗まれないといいますか安全管理がかなり厳しく入っていたのですが、実は改正法案で安全管理が少し弱くなったというか努力義務になったのです。その意味で匿名加工情報が非常に厳しく扱われる傾向にある。

 これは、まだ何も決まっていないのですが、いろいろな所から聞こえてくるうわさでは相当、特定性を下げないと匿名加工情報として取り扱うことはできないみたいなことが若干聞こえてきています。これは、まだ今熱い議論中なのですが私としては ID を外した、なおかつ日付を乱数でずらしたという情報を匿名加工情報として認めてもらうということは結構重要ではないかという気がしていて、個人情報保護法では非個人情報と匿名加工情報と個人識別情報の3つしかないので、これを認めてくれなかったら個人識別情報に入ってしまうということになります。

 ですから、それは少し余りにも運用が狭くなります。一方で、今の改正法施行時のルールでは安全管理は相当厳しくやっているということで、一般で言われているよりはかなり厳しい扱いをしているので、少なくともその条件の下で、この情報を匿名加工情報として主張すべきだと思います。これは、多分、平成 29 年1月では間に合わなくて、おそらく今年度中には結論が出されるような話ですので、そこは少し議論しておいて対外的に発信したほうがいいのではないかという気がしています。

○永井座長 そうしますと、第2回でその問題を議論すると。

○山本座長代理 少し議論したほうがいいのではないかと思います。要望としてきちんと出していかないと、今作られた個人情報保護委員会がどこまでこういうことを理解できるのかということがよく分からないところがあるので少し積極的に、もちろん安全の確保は最優先ですが、それを前提に提言していく必要があるのではないかと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。事務局で少し情報を集めていただいて、打合せができるのであれば対応等をお願いしたいと思います。

○安全使用推進室長 担当部局にも働き掛けながら現在の検討状況について情報収集をしようと考えております。その状況も踏まえながら、次回の検討会でも利活用ルール、情報の取扱いについても検討課題として含めておりますので、担当部局での検討状況によってはなかなか難しいと思いますが、 MID-NET としての考え方については、こちらの検討会で是非、先生方に御議論いただければと考えております。

○石川構成員 今の山本先生のお話ですと、先ほど私が資料1のスライド4の所でお話しましたように医療機関内でどのような匿名化をするのかということに非常に関わってくるわけです。ですから匿名化処理を医療機関内でするのか、それから ID 付きの状態でセンターでするのか、いろいろと変わってくるのではないかと思います。

 というのは、そこの医療機関にそれだけの責任を持たせるのかどうなのかとか、いろいろな問題が出てくると思います。そのような点で、次回の検討会だけで解決するのかどうかは少し自信がないということになります。

○永井座長 これは、非常に重要な問題ですから継続して当然、議論すべきだと思います。まずは、1回目の検討を早めに行うということです。そのような意味で次回の検討会で議論するということだと思います。いかがでしょうか。ほかに御発言ございますでしょうか。

○石川構成員 先ほどの3つの利活用の範囲、利活用のルール、費用の問題ということで、最初にある利活用の目的のことを考えると、例えば資料1のスライド2の本事業の全体像を見て、期待される成果、医薬品等の迅速で的確な安全対策の実施は、スライド2の絵の左側に書いてあります。ここに3つ書いてあります。

 利活用がこのようなものだということでやるのであれば、例えば利活用をする方たちに負担をさせると、例えば企業の方がこのようなものをやるのかどうかということはなかなか分からなくて、私は費用負担が国民に益があるから国が出すべきだとか、保険から出すべきだとかいろいろな議論になると思います。ここで目的に照らした利活用の範囲、利活用のルール、費用負担の枠組みということが全部リンクしてくるのです。目的と利活用ということについてです。

 資料2の話でいきますと、なかなか利活用はどういう範囲なのか、費用負担は誰がやるのかということについて、またぐるぐる回転してしまうような話になって大変難しいということになります。ですから、事務局で次回に提案をきちんとされたほうがいいということが私の今日の提案です。

○安全対策課長 確かに全てリンクする形で出発点がしっかりとしていないと議論が回ってくる可能性がありますので、その点は整理して次回の検討会で示したいと思います。ありがとうございます。

○中島構成員 私は協力医療機関でもあるのですが、今の費用負担の話です。資料2の3ページの中に、これはなかなか今の時点でどのように書くのかという言葉の問題かもしれませんが、ちょうど真ん中辺りに「当面の期間、国費の投入が必要」というような書き方がされています。病院情報システムを管理している我々として、例えば5年後の病院長が、これはお金が掛かるのであればもうやめてしまおうと判断することが想定されないでもないわけです。

 もともとは資料1の最初のページの下にあるように、この事業はこれまで何十年もの間いろいろな薬害が起きてきて、そしてそれを何とか食い止めると、悲惨な患者さんを出すのをやめるということを目的に始めたというところに原点があるわけですので、我々が手を挙げたのは正にそのために挙げたわけです。何となくニュアンスとしては最初はサポートをするけど、後は自分たちでやれるようにということにならないように、全てかどうかは別としても、これから特に最初は 1,000 万人規模のデータベースと言っていたわけですので 300 万人規模から始めてさらに強化していって、それぞれの今の協力医療機関はしっかりとこれをどんどん強めていって管理していくという感じの費用負担をきちんと考えていただきたいと思います。

 もちろん、当面の期間、国費の投入は必要でさらにその後はまた考えていただけると思うのですが、何となくこの書き方であれば、そのうちには何とかなる、各医療機関でやっていただくだろうという読み方が、何となく少し感じるのです。やはり先ほどのリアルタイムの品質保証管理とかいろいろな所にお金が掛かってきますので、しっかりと質の高いものを出すために、そして最終的には国民への薬害をなくして、その薬害からまたさらに医療費とか社会保障のお金が増えていくわけですから、それをきちんと抑制する形でその辺りの費用負担を考えていただきたいと考えております。

○安全対策課長 どうも御意見ありがとうございました。正にそのような点は、費用負担の所で御議論いただきたいと思っております。どのような経費がかかるのかということを出していただいて、その負担についてはどのようにして回していくのかという点を御議論いただきたいと思います。正にそのような御意見を頂ければと思っております。ありがとうございます。

○秋山構成員 先ほど、いつまで試行期間なのかという失言がありましたので訂正いたします。失礼いたしました。それに関わるのですが、もともとプリミティブな問題なのですが、「医療情報データベースの運営等に関する検討会」で、医療情報データベースというものはどこからどこまでを指すのかと今、頭を捻っています。資料1のスライド2にあります「医療情報データベース基盤整備事業」で作った基盤と、これを平成 30 年度から利用拡大、まだ試行期間といいますか協力医療機関の下で集めている最中といいますか、少し延びることはよくあることなので、それに対して何か言うものではありません。

 今後、資料1のスライド2にある絵のものを研究者が利用するということについて議論していくのか、それとも拠点病院を増やしていくというところまで、拠点病院ではなくなるわけですが参加医療機関を増やした場合どのように運営していくのかというところも御検討される、そのようなことも今後、利活用の範囲なのか利活用のルールになるのかは分かりませんが、そのような所もスコープに入ってくるのでしょうか。

○安全対策課長 この検討会で御議論いただきたいのは、 10 拠点 23 病院のデータを平成 30 年度から利用するための検討ということで御検討いただければということです。名称が「医療情報データベース」となっておりますのでかなり広いイメージになるのですが、この検討会で御議論いただきたいことは、 10 拠点 23 病院のデータを活用したやり方ということについて御議論いただきたいということです。

○永井座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題は以上です。何かほかに御発言等ございますか。あるいは後ほどお気付きの点があれば事務局に御連絡いただければと思います。事務局から何か連絡事項はありますか。

○安全使用推進室室長補佐 本日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。本日、多数の御意見等を頂きましたので次回の検討会以降、課題ごとに御検討いただきたいと考えております。本日の検討会の議事録案は後日送付いたします。構成員の皆様の了解を得た上で公表する予定ですので、その際は御確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 次回の検討会は3月 10 日(木)の 18 20 時にて開催予定です。開催場所も含めて構成員の先生方には改めて御案内いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○永井座長 少し早めですが、第1回医療情報データベースの運営等に関する検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療情報データベースの運営等に関する検討会> 第1回 医療情報データベースの運営等に関する検討会(2016年1月20日)

ページの先頭へ戻る