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2016年3月16日 第19回 緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年3月16日(水)
14:00~16:00


○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)
(東京都千代田区平河町2-4-2)


○議題

(1)がん対策加速化プランについて(報告)
(2)緩和ケア推進検討会報告書(案)について
(3)今後の緩和ケアのあり方について(案)
(4)その他

○議事

○事務局 定刻となりましたので、ただいまより、第19回「緩和ケア推進検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 昨年10月の健康局組織改編に伴いまして、「がん対策・健康増進課」より「がん・疾病対策課」に課名が変更となっております。また同時に、佐々木健課長が新たにがん・疾病対策課長に着任しております。本日の会議の開催に当たりまして、佐々木課長より御挨拶申し上げます。

○がん・疾病対策課長 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。第19回の緩和ケア推進検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。

 今、事務局から御紹介しましたが、がん対策の担当課が、昨年10月からがん・疾病対策課に変わっております。引き続き御指導を賜れればと思っておるところでございます。

 本日の検討会は、主に2つの内容がございます。

 一点は、昨年12月にがん対策加速化プランを政府として発表しておりまして、その内容についての御紹介でございます。これに関しましては、昨年7月15日に開催した本検討会で、「加速化プランの策定に当たっては、本検討会の御意見も踏まえながら、進めて行く」、というご説明をしておりましたけれども、実際は、そうした機会が確保できなかったところでございます。しかしながら、後ほど御説明いたしますが、加速化プランは、検討会で御議論いただいた内容を踏まえております。今後の加速化プランの具体的な進め方などについて、本日の検討会の御意見を参考にしながら、推進してまいりたいと思っております。

 もう一点が、今後の緩和ケアの方向性についてでございます。がん対策基本法で、診断された早期から緩和ケアを進めていくということを推進してきておりまして、これは非常に重要な課題でございます。現在、高齢化が進んでいる状況もありますので、がん対策としてということに加えて、他疾患へも緩和ケアの概念を広げていくということについても、御議論していただく予定でございます。

 先生方におかれましては、ぜひ忌憚なき御意見をいただきまして、がん・疾病対策における緩和ケアの推進方策についても御指導賜ればと思っておるところでございます。

 本日は、よろしくお願い申し上げます。

○事務局 本日の構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。

 本日は、小松構成員、武藤構成員より欠席の御連絡を、有澤構成員、中川構成員よりおくれるとの御連絡をいただいてございます。

 また、道永構成員は途中退席の御予定でございます。

 なお、樽見審議官は公務のため、おくれて出席する予定でございます。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表、議事次第に続きまして、資料1「緩和ケア推進検討会開催要綱」

 資料2「緩和ケア推進検討会構成員名簿」

 資料3-1「がん対策加速化プラン(概要)」

 資料3-2「がん対策加速化プラン(本文)」

 資料4「緩和ケア推進検討会報告書(案)」

 資料5「今後の緩和ケアのあり方について(案)」

 また、参考資料といたしましては、冊子として1~7をつけさせていただいております。

 以上でございます。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 それでは、以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 この後の進行は、花岡座長にお願いいたします。

○花岡座長 それでは、第19回の緩和ケア推進検討会を始めたいと思います。

 本日は、年度末の本当にお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 早速、議題の一つでございますが、まずは資料3-1、3-2「がん対策加速化プラン」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料3-1、3-2をごらんいただければと思います。

 まず、資料3-1は加速化プランの概要となります。この加速化プランは、平成2712月に策定したもので、基本計画に示されている分野のうち、おくれているために加速することが必要な分野、また当該分野を加速することにより、死亡率減少につながる分野に絞り、短期集中的に実行すべき具体策を明示したものでございます。

 プランの3つの柱は、がんの予防、がんの治療・研究、がんとの共生でございます。緩和ケアにつきましては、5枚目のスライドになりますが、プランの柱の3つ目に、がんとの共生がございまして、緩和ケアの概要を記載しております。

 続きまして、資料3-2でございます。これは加速化プランの本文になります。

 緩和ケアにつきましては、19ページ目に記載がございます。

 緩和ケアにつきまして、まず現状と課題について記載をしております。また、下段になりますが、実施すべき具体策を挙げており、ここは読ませていただきます。

 入院患者のみならず、 外来患者に対する緩和ケアも充実するため、以下の施策を実施するということで7つ挙げております。

● 緩和ケアチームの質の向上のため、緩和ケアチームの年間新規診療症例数が多い等、診療機能の高いチームが、他病院の緩和ケアチームの医療従事者を受け入れて、 実地研修を提供する。

● 苦痛のスクリーニングの事例集等を作成し、医療現場に普及する。

● 人材育成に関しては、関係学会や都道府県と協力して、引き続きがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の受講を進める。

● 関係団体と協力して、入院、外来、在宅等の診療の場を問わず、適切な緩和ケアを提供できるよう、緩和ケアに関するガイドブックの改訂を進める。

● 終末期の療養生活の質を向上させるため、関係団体等と協力し、遺族調査を通じて終末期の医療・介護サービスの実態を分析する。

● がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう、関係団体と 協力し、緩和ケアに携わる者や施設間の調整を担う人材の研修や、訪間看護ステーション等の看護師を対象とした研修を実施する。

● 近年、外来で治療を受けるがん患者が増えていることに鑑み、病院の外来から在宅医療への移行や、がん患者が安心して自宅等で療養できるよう緊急の症状緩和目的の入院を受け入れる緩和ケア病棟の評価を検討する。

というように、緩和ケアについてまとめさせていただいております。今後の進め方につきまして、御議論をいただければと思います。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 資料3-1、3-2の加速プランにつきましてのお話を伺いましたけれども、構成員の皆様方で何か御意見等ございますでしょうか。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 日本大学の小川でございます。

 ぱっと見たところ、緩和ケアの部分が非常に少ないような気がするのと、これまで19回、私どもがやってきたことの盛り込みがちょっと少ないような気がいたします。これについては今後どのようにお考えか。あるいは、蒸し返すわけではありませんが、先ほどこの会との接点を持っていなかったということをお伺いいたしましたが、持っていただけるようになるのかとか等につきまして、お願いいたします。

○花岡座長 事務局のほう、お願いいたします。

○がん・疾病対策課長 先ほど挨拶の中でも、触れさせていただきましたが、昨年の7月15日の本検討会では、加速化プランについて、検討会で議論いただき、その内容を踏まえるというご説明をしておりました。しかし、実際は、検討会を開催しなかったわけでございますけれども、先ほど事務局から御説明いたしましたが、加速化プランは、既存の第2期計画を加速化させるということであり、基本的には新しい内容を盛り込むということではなく、第2期計画をさらに進めるという内容です。本日は、加速化プランの具体的な進め方のみならず、第3期のがん対策計画策定に向けた御意見もいただければ、参考にさせていただくこととなると思っております。

○花岡座長 よろしゅうございますでしょうか。この項目は加速化するためのプランということで、新規事業を入れるものではないという趣旨でございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 池永でございます。

 今回の加速化プランの中で、緩和ケア病棟側からいたしますと、最後の項目、緩和ケア病棟が緊急の対応をするということ、従来から非常に熱心にやっている施設はございましたが、今回、診療報酬の改定に伴い、かなり大きなインパクトをいただいていると思います。緊急入院対応することによっての加算を算定できるとなったことと、あと緩和ケア病棟の中で、どうしても包括の中で行いにくかった放射線治療等の症状緩和ということができるようになったというのは、ある意味、大きなインパクトがあったと思います。

 しかしながら、緩和ケア病棟も人材的になかなか十分ではない部分もございまして、比較的人的資源が豊富で、地域連携も活発に行い、緊急入院をしている急性型の緩和ケア病棟と、もう一つは、基準ぎりぎりで、どちらかというと、独居の高齢者や在宅療養が難しい方の入院を受け入れているような施設、いわゆる療養型的な緩和ケア病棟もございますので、両方必要性は高いとは考えられます。その中でまた、この先、診療、入院料の区別も含めて、恐らく緩和ケア病棟は、今後比較的人材豊富で活発に緊急対応するような施設と、一方、どうしても家に帰れないような、しかしながら、緩和ケアが継続的に必要な患者さんを受けるような療養的な緩和ケアと2つの種類に分かれてくるのではないか。そういうことも見込んだ上で、また、がん対策を加速していただければと思っております。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 田村構成員、何かございますか。

○田村構成員 ありがとうございます。

 新しいことを盛り込むものではないという中で、この下から2つ目の●の中で「療養や生活を選択できるよう」という文面のところに、例えば、この施設間の調整とか、がんとの共生の柱のところの全体で相談支援というものがあってこそ、生活の安定とか選択というところができるので、例えば調整を担う、相談支援を行う人材というふうに「相談支援」という文言を押さえていただけたらと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 小笠原構成員、どうぞ。

○小笠原構成員 小笠原です。

 今回の診療報酬改定で、強化型の在宅療養支援診療所の中で「充実診療所」というものが出てきました。2年前に、私は拠点の緩和ケア診療所で、各県に1つぐらい在宅拠点センターがあって、あとは年20人以上看取りをしている診療所が複数できれば、それが良いとお話をさせていただいたと思います。医政局の話をしてもいけませんけれども、充実診療所である程度スキルがあって、在宅のドクターを教えられる、そういうところがあるといいなということで動いているのではないかと思っています。

 そこの中で、先ほどから、PCUに緊急入院というのも悪いことではないと思うのですが、最終的に在宅で支えようと思うと、地域の緩和ケアの中の在宅という視点になると、かかりつけ医であったり、在宅療養支援診療所をサポートできる強化型の、しかも充実した拠点診療所、そういうところへ相談とか、我々が教えに行っている。小笠原内科は今、83名の患者を教育的在宅緩和ケアで教えに行って、ほとんど看取りをしていますが、そういうことも全国の開業医の我々の仲間がやり始めています。それと、在宅では勇美財団がお金を出してくれて、在宅ケアライアンスという、日本医師会とか看護協会から我々の在宅関係の会の会長や医政局が集まって、そこの中でやはり先ほど田村委員がおっしゃったような、いわゆる相談支援のできるトータルヘルスプランナーと名前をつけるかどうかはさておいて、そういう人材を育てようということで、2年計画で28年度、29年度に動こうとしています。だから、地域で支える病院と開業医たちとの連携も含めて、いわゆる本当に困ったときに入院する方法と、地域の中で、患者さんの家の中で、スキルの高い充実型診療所がかかわれるようにしていこうという動きが実はあるということを御理解していただいて、もし健康局のそちらでも、最後まで住み慣れた家で旅立てるような、そんな日本ができるのが一番望ましいと思います。それだけではだめなときには、緩和ケア病棟のドクターのスキルも、助けてもらえるようになったらと思っていますので、その辺を何とか形にしていただけるとありがたいかなと思っています。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 はい、課長。

○がん・疾病対策課長 2点ほど。

 先ほど田村構成員から御指摘がありました「施設間の調整を担う人材の研修」の修正ご意見ですが、加速化プランは、昨年1222日に政府として公表しておりまして、修正はできないのですが、この内容を念頭に置いた事業がございますので、それを実施するに当たって、御指摘のような相談支援との連携が大事であるということについて、わかりやすく示すような形で展開していきたいと思っています。

 また、今、小笠原構成員から御指摘いただいた点に関しては、今回の診療報酬改定は、あくまでも緩和ケア病棟の中で急性期対応をやっている病院もあるため、そうした取り組みを評価するということです。地域によっては在宅の先生方が対応いただいているところもあると思いますが、選択肢を追加したというふうにご理解いただければと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 小笠原先生がおっしゃるとおり、今後やはり在宅でのみとり並びに緩和ケアというのは非常に重要であります。それをサポートするという形での緩和ケア病棟、緊急対応し、またもう一度帰っていただくということは大変重要だろうと思います。また、幾つかの拠点病院の緩和ケアチームや緩和ケア病棟に専門的緩和ケアスタッフがおりますので、在宅医や、また在宅のステーション等々とぜひ連携を組み、当然緩和ケア病棟の診療報酬の改定の中でも、事前に協議し合ってという文言も含まれておりますし、施設の中のスタッフが地域におりていくという形で、一緒に診せていただく。また、お互い学び、成長していけるようなシステムというのが今後先に評価されることを期待したいと思っております。

 以上です。

○花岡座長 ありがとうございます。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 田村先生がおっしゃったものも、それから小笠原先生も今おっしゃったことも、それから課長がおっしゃったことも全部、同じ問題を抱えています。つまり在宅でも、緩和ケア病棟でも地域、施設間格差が大きくあります。多分小笠原先生のところのような高いレベルの医療とスタッフを抱えているところでは、むしろ緩和ケア病棟に緊急で行くよりは、在宅の緩和ケアの先生に相談して、そこで診ていただくほうが患者さんも敷居が低く、手厚いケアも受けられると思います。

 今回、緊急入院ができる緩和ケア病棟を評価するとおっしゃっていただけるのですが、本来緩和ケア病棟というのはゆっくりと時間が流れるところで急性期病床ではありません。そこに救急(当然24時間体制です)で入られる患者さんを扱うというのは、本当に大変なものです。私も実は昨日オンコールだったのですけれども、わずか夜の12時間で朝まで6回呼ばれているのですね。私は泊まり込んでいるのでさほどでもないですが、看護師は深夜、準夜は16床に対して2人しかいないのでもっと大変です。今は満床に近いので、日勤の看護師が午後11時まで残って対応しているところです。入室されている患者さんは結構、2週間前、3週間前に緩和ケア外来をやって緩和ケア病棟を説明し、同時にスタッフが、患者の病状や家庭環境、家族構成、その他の様々な状況を把握した上で入室してもらっているのに、救急で突然、情報も少なくぽんと来られて入れるというのは、本来の緩和ケア病棟にはちょっとなじまないのです。

 我々の施設では、そういう緩和ケア緊急患者さんは緩和ケア病棟に入れずに、一般病棟にもう何年も前から3床それようのベッドを持っているので、そこでまず診ています。緩和ケア病棟は患者さんをゆっくり診ていくための組織であり続けるために、救急緩和ケアは、救急室を経由する救急患者さんと同様、まず状況把握をした上で、つぎにゆっくりと緩和ケアの患者さんとして診ていくという形にしています。

 もう一つは、在宅のしっかりした診療所と連携できていない施設は、支援センターや地域連携の看護師とかが、在宅に移る患者さんに結構何でもあったらすぐ病院に来てくださいと言うのですよ。小笠原先生も多分そうですけれども、よくできるレベルの高い在宅診療所では、「それを絶対に言わないでくれ。我々のところで通常のことは全部できていて、どうしても我々が困ったときだけ受けてくれるようにしてくれ」と。それを言ってしまうから、全部せっかくこちらですべてできるようにしているのに、その病院に行ってしまって、かえってややこしいことが起こってしまう。極端に言えば、そこで亡くなられたときに、心マッサージや気管内挿管をしてしまうケースも出てくるのです。救急は状況を把握していないので、急に来られて心停止だったら、やれることをやってしまうということが起こる。そうすると、今までせっかく紹介前の病院スタッフや在宅の先生が何カ月もかけて積み上げてきたところが、最後でぶち壊しになってしまったりすることが起こる。ですから、一律ではなくて、いつも各地域完結型を目指すということをおっしゃっておられるのですから、やはりその地域の格差、特徴、現状、できることに合わせて対応すべきだと思います。最初に緩和ケア救急の対応の話が出た際に、緩和ケアチームのスタッフが、救急で36524時間対応するべきという話がぽんと出たときがありました。今まで長い間、緩和ケアでは、患者さんを家族のためにゆっくり時間をつくって、病棟で患者さんと向き合って話をするようにと、そのために、専従の医師を付け、専従の看護師を付け、という形にしていこうとずっと言ってきたところに、いきなり同じスタッフに365日24時間救急対応せよ、現実に、緩和ケアの患者さんとゆっくりしゃべっている緩和ケアチームの看護師が救急で呼ばれて行かなければならないとしたら、今まで築いてきた緩和ケアチームの役割との整合性というのはどうなるのでしょう。

○花岡座長 ありがとうございます。医師会のほうで、道永先生、何かそういう議論はございますでしょうか。

○道永構成員 医師会としては、やはりかかりつけ医の役割が非常に大事だと思っています。小笠原先生がおっしゃったように、在宅でそれだけできる先生がどのようにふえていって積極的にやるかということを考えています。

 あと、先ほど池永先生がおっしゃったように、病院といわゆる役割分担で、病院で診たから「はい在宅」というのではなくて、本当にその患者さんを中心に、退院時のカンファレンスもそうですし、あと在宅でどういった医療がなされるかということを、逆に拠点病院の先生や看護師さんに見ていただけるような、そういうシステムができるといいなと思っています。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかには。

 小笠原構成員、どうぞ。

○小笠原構成員 今、道永構成員がおっしゃったように、岐阜でも一応岐阜大学病院の緩和ケアのトップとか、がん診療連携拠点病院のトップ、名前だけのトップではなくて、実際にやっている現場のトップ、現場のその人たちに我々の緩和ケア充実診療所に来ていただいて、研修という1日往診同行をしていただくことによって意識ががらっと変わっているのですよ。だから、これは看護師さんにも来てもらって、看護部長に来てもらうのが一番看護師さんの意識を変えられるし、大学病院もやはりトップが来ないとだめよといって、嫌がっていたわけではないのだけれども、大分強引に連れて来て、お願いして、そうするとやはり物すごく変わります。

 だから、在宅緩和ケアの内容を知らないから病院で入院とか、その辺のことの往診同行を緩和ケアの各病院とか大学とかいろいろなところの、せめてチーフとか看護師さんは1回はどこかの在宅緩和ケアをやっている現場を見学に行く、往診同行するということは制度で決められますよね。緩和ケアチームの者は必ず年に1回は例えば往診同行に行く、それを義務づける、だから点数をいっぱいつけるということも可能だと思うのですよ。そうすると、世の中ひっくり返りますよ。というのは、在宅のよさというのが、皆さん御存じになるから。もちろん在宅のよさも悪さも当然あるわけなのですが、そこを含めて、とにかく両方が一緒にやっていく仲間同士の知らない分野があると空論になってしまう可能性がありますから、そこだけでも進めていただけると物すごく変わってくると思うのです。

○花岡座長 ありがとうございます。

 加賀谷構成員、どうぞ。

○加賀谷構成員 ありがとうございます。

 これは既にできたプランということでお伺いはしたのですが、今後の検討の中で、実際には医療用麻薬ですとか医療用器具、あるいは器材というものが、供給体制は薬局が担うことになります。そういう意味で、私もこの検討会で何回か申し上げているのですが、地域保険薬局の整備というのもぜひ視野に入れていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 有澤構成員、どうぞ。

○有澤構成員 日本薬剤師会のほうとしても、このたび4月から健康サポート薬局という制度が新しく走るようになります。その中で、健康サポート薬局というのは、しっかりとしたかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師機能を備えるものだという定義の中に、24時間在宅の対応、あるいは地域の医師も含めた関係者のしっかりとした連携、そういったものをきちっと定義した中で、その上にそういった高度な薬学管理も含めた形の対応をできる薬局をこれから推進していこうということで、きちっとこれから事業でやっていきますので、そういったことも御考慮いただければと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 非常に活発な御意見・御議論をありがとうございました。

 引き続きまして、議題2にございます「緩和ケア推進検討会報告書(案)について」に移りたいと思います。資料4についての説明を事務局からお願いいたします。

○事務局 資料4をごらんください。事務局で報告書(案)として提出させていただきますので、御議論いただければと思います。

 1ページ目には目次を書いております。

 2ページ目からですが、まず「1.検討の経緯」といたしまして、この本検討会、あるいは拠点病院の整備に関する指針、以後「新指針」と呼ばせていただきますが、新指針の経緯、あるいは緩和ケアに関する実地調査のワーキングの経緯等を書かせていただいております。

 3ページ目からは、検討内容及び実施すべき取り組みを記載しております。主に5つの項目に分けて記載しております。

 1つ目は、新指針に基づく拠点病院における緩和ケアの提供について、これはワーキングの実地調査の結果を踏まえて記載をしております。

 ア.としまして「緩和ケア提供体制の整備について」を記載しておりますが、まず、新指針の概要を抜粋するような形でまとめさせていただきました。

 2は実地調査で抽出された課題及び実施すべき取り組みといたしまして、緩和ケアチームについて記載をしております。1つ目の段落の前半部分は、実地調査で見えてきた緩和ケアチームの現状でございます。「しかし」以下は課題と取り組みを記載させていただきました。

 2つ目の段落は、緩和ケアセンターについて、これもまず現状を記載した上で、「一方」以下、後半で課題を記載しております。

 3段落目はPDCAサイクルについて、まず現状を記載した上で、取り組みを記載するような形でまとめております。

 続きまして、「イ.苦痛のスクリーニングについて」、こちらも新指針の概要を抜粋するような形でまとめております。

 2で、実地調査で抽出された課題及び実施すべき取り組みを記載しております。実地調査で見られた現状、取り組みを書かせていただきました。「また」以下も、これを特に試行錯誤でスクリーニングを進めている病院が多いなどの現状が見られましたので、好事例等、全国の拠点病院に情報提供すべきとの取り組みをまとめております。

 6ページ目は、2番目としまして、緩和ケア研修会について記載しております。

 アは、基本計画における緩和ケア研修会の記載を載せております。

 イは、拠点病院の新指針の要件の概要を記載しております。

 ウとしまして、緩和ケア研修会の受講率向上に向けた課題及び実施すべき取り組みをまとめております。

 1つ目の段落は今までの取り組み、受講率等の現状、あるいは今までの取り組みとして研修修了計画書を提出してもらっているということをまとめております。

 2段落目は、患者の視点を取り入れた緩和ケア研修会を見直すということが基本計画にございますので、開催指針の見直し等もこの検討会、あるいはワーキングで御議論いただいたことを報告しております。

 最後の段落は、今後の受講率向上に向けた取り組みについて、具体的な記載をしております。

 8ページ目は、3つ目の項目としまして、普及啓発・教育についてまとめております。

 アは普及啓発ですが、国民の認知度がまだ6割程度にとどまっているという現状も踏まえまして、このワーキング及び検討会でこの緩和ケアを一言であらわす言葉として「緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげること」という文言を作成し、これを引き続き普及啓発を進めるに当たって積極的に使用していくということをまとめました。

 2つ目の段落は、(別添1)としまして最後のページに載せておりますが、普及啓発用のポスターも御議論いただいた上で作成しております。引き続き活用していくことをまとめております。

 イは、緩和ケア研修会の修了者へのバッジの配布についてまとめております。これも患者や御家族の方に緩和ケア研修会の修了者であることをわかりやすくお示しするということが求められておりますので、検討会やワーキング等で御議論いただき、このバッジを作成して、今後積極的に配布、着用を求めていくということをまとめております。

 ウに関しましては、医学生及び臨床研修医等への教育の充実ということで、まずは基本計画における記載を書かせていただいております。卒後研修というのは、先ほどの緩和ケア研修会等が行われてきてはいますが、学部教育といいましょうか、そういったものは不十分であるという御意見もワーキング等でもございましたので、引き続き、さらに医学生、臨床研修医等への緩和ケアに関する教育研修を推進する必要があるという形でまとめております。

 続きまして、10ページ目は、4番目の項目としまして、がん疼痛評価の指標について、構成員の細川先生の研究班の報告を検討会及びワーキングでも御議論いただきましたので、内容を簡潔にまとめております。

 全国の拠点病院において、共通で使用できる疼痛評価指標の開発ということが研究班の目的ですが、研究班のほうで4つの指標が提案されたということを1段落目にまとめております。

 2段落目には、今後の取り組みとしまして、引き続き全国の拠点病院において共通の疼痛評価指標が活用されることにより、施設間格差の少ない継続的ながん疼痛緩和が実施されることが望まれるという形でまとめさせていただいております。

11ページ目は5つ目の項目ですが、地域における緩和ケア提供体制について、こちらは昨年8月の地域緩和ケアの議論の整理を踏まえまして、さらに簡潔にまとめさせていただいております。

 1段落目は、引き続き「いつでもどこでも切れ目のない質の高い緩和ケア」として提供するために連携が必要であるということを書いております。

 2段落目は、課題としまして、地域の医療機関で症状緩和がうまくいかないときなどの専門的な緩和ケアが必要なときに、施設間の連携が図られていないケースがある。あるいは地域の医療従事者や患者・家族からの相談を受ける体制が整備されていない等の問題点、課題をまとめております。

 それを受けまして、3段落目、4段落目は取り組みとしまして、加速化プランにも反映させていただきしたが、地域連携を促進する役割を担うコーディネーターの育成、あるいは在宅において緩和ケアを提供する訪問看護師の育成が必要であるという取り組み、そしてもう一点、緩和ケアセンターの整備について書かせていただいております。

 最後の段落は、緩和ケア病棟等のあり方ということで、先ほど来、御議論いただいておりますが、地域からの緊急入院、あるいは外来通院の段階から早期に在宅の先生に紹介して連携を始めるということを記載しております。

12ページ目は、3番目の大きな項目としまして、今後検討すべき課題として、「2.検討内容及び実施すべき取組」を踏まえまして、次の3点について今後さらに検討を進める必要がある。

 1点目は、拠点病院における緩和ケア提供体制のあり方。例としまして、緩和ケアセンターの運営や苦痛のスクリーニングの実施体制を記載しております。

 2点目は、拠点病院以外の医療機関における緩和ケア提供体制のあり方。

 3点目は、全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを身につけるための方策という形で、今後検討すべき課題として記載をさせていただきました。

 最後に「4.おわりに」としまして、基本計画に掲げられた「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」について、ワーキングでの実地調査の結果も踏まえて議論を行ってまいりました。今後は「がん対策加速化プラン」を着実に実施するとともに、本報告書に記載した実施すべき取り組みの内容も踏まえまして、第3期基本計画の策定に向けて、緩和ケアにおいて対策のおくれている課題の整理や緩和ケアの今後のあり方についての検討を行い、患者さんや御家族に対する緩和ケアをより一層推進していくことが期待されるという形で終わらせていただいております。

13ページ目以降は、開催要綱及び開催の実績についてまとめさせていただいております。

19ページ目は、先ほども申し上げましたが、ポスター及びバッジを載せさせていただいております。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 今まで御説明がございました資料4を踏まえまして、御意見をいただきたいと思いますけれども、具体的にもし修正とかを行いたいということであれば、何ページの何行目という形で御意見を出していただくと非常に助かります。いかがでございましょうか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 3点ほど要望がありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず1点目ですけれども、もう課題にも挙がっておりますけれども、緩和ケアセンターのことが今年度、整備ということになっていると思います。少しずつですけれども、課題も見えてきているように伺っておりますが、4ページ目に、ジェネラルマネージャーに業務が集中するという課題の指摘があると書かれているのですけれども、現実的にどのような業務をしているのか、また、緩和ケアセンターで起こっている問題について実態把握していくことが必要かなと思いますので、報告書の文章は「課題の指摘があるので、ジェネラルマネージャーの業務の実態を把握した上で」といった文言をつけ加えていただいて、実際の緩和ケアセンターの実情把握をぜひ、していただきたいなと思っております。

 2点目ですけれども、5ページ目にございますが、スクリーニングのことも課題に挙がっておりまして、看護職がいるところは比較的スムーズにいっているということのお示しがありますけれども、スクリーニングのほうはやはり看護職だけではなくて、治療にかわってくる内容もございますので、患者に関わるすべての医療者が協力して行うものかと思います。よって、スクリーニングの実施の部分とその後の対応の部分を分けて表現していただけたらありがたいなと思っております。特に5ページ目の2のところですが、「スクリーニングの実施を効率よく実施するための方法の検討が必要である」とまず締めていただきまして、その後、「スクリーニングの対応を徹底するには」と文章を別に記載していただきたいと思います。この書き方ですと、スクリーニングに関する全てのことを看護職が対応するように読み取れてしまう可能性もございますので、その点をぜひ御検討いただきたいと思っております。

 3点目は教育に関することでございますが、窓口になる人材の育成が非常に重要だと田村委員からも御指摘がございました。今、この報告書の中での研修は医師のほうの研修等だけでございますので、ぜひ窓口になる看護職の研修等も引き続き検討していただきたいということと、8ページのほうですが、普及啓発・教育に関しまして、医学生のほうには書かれているのですが、看護職に関しましても、基礎教育において、がん看護とか緩和ケアのところに特化して教育ということがなかなかまだ十分ではないと考えておりますので、ぜひ文言を加えていただければありがたいなと思っております。

 以上、3点でございます。よろしくお願いします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 事務局としては、今の御意見につきましては、具体的に把握されましたでしょうか。

 どうぞ。

○事務局 御意見ありがとうございます。

 4ページ目のところは、2段目の「緩和ケアセンターに関しては」というところで、具体的に申しますと、「ジェネラルマネージャーに業務が集中するという課題の指摘があり、実態等の把握の上」を入れるということでしょうか。

○花岡座長 御指摘があるので云々という形ですね。

 それから、5ページの2のところで、スクリーニング。

○事務局 左側に行数を入れておりますので見ていただければと思いますが、18行目のところで、「スクリーニングの実施の体制整備」で一旦切る。

○川本構成員 そうですね。「検討が必要である」ということで切っていただいて、そしてその後「さらにスクリーニング後の対応」ということで、2つ分けてきちんと検討していくことが必要かなということで提案させていただきました。

○花岡座長 文章を分けてくださいということですね。

 もう一つは8ページですね。

○事務局 8ページ目は、ウの32行目が「医学生及び臨床研修医等への教育の充実」の段落で、看護職あるいは看護学生等の記載をということで、具体的には9ページの最後につけるような。

○川本構成員 はい。最後にしていただければ。

○事務局 「さらに」のところで。わかりました。

○川本構成員 よろしくお願いします。

○花岡座長 加賀谷先生、どうぞ。

○加賀谷構成員 今の8ページ目のところで、薬学教育では2015年の入学生から緩和ケアは新コアカリにもう既に入ったのですね。そういう意味で、ぜひ薬学のことも入れていただけないかと思います。

○花岡座長 実際に患者さんに緩和ケアを提供するというような職種と、チーム医療の一員ということを考えますと書き分けが必要なのではないかなと思っております。具体的にこう書いたほうがいいというものを、何かいい案があればいただけると助かるところでございます。

○花岡座長 いかがでしょうか。

○加賀谷構成員 少したたき台を提出させていただきます。

○花岡座長 恐らくここには医学生、臨床研修医等というところに看護とか薬剤師さんとかそういう言葉が入ってくるのですか。「等」というところに、そこが含まれているかということですが、具体的にその形を出したいということですね。文言としてそれを御協力いただければと思いますが、目に見えるような形になればと思います。

 課長、どうぞ。

○がん・疾病対策課長 今のご提案ですけれども、9ページで、「医学生・臨床研修医等」には、「看護学生、看護師」は並べて書いていいのではないかと思うのですが、薬剤師も薬学教育のモデル・コアカリキュラムに位置づけられている事実は記載して問題ないと思います。本報告書は今までの議論のまとめになりますので、「推進していくべき」という議論があったかどうかでございます。

○花岡座長 いかがでしょうか。加賀谷先生の中で。

○加賀谷構成員 基本的には、緩和ケアチームの算定要件に薬剤師が入っているわけですし、卒前教育をもっと充実させれば、もっと緩和医療を担える薬剤師が育つと我々としては考えておりますが。

○花岡座長 推進するということは必要なことではあるとは思うのですね。いずれにしても、全体的な構成員になるわけですので、薬剤師さんまで含めた形での推進ということで全体を含めて底上げしていきたいというところがあると思います。

 よろしゅうございますか。その辺のところを文言として考えていただければと思いますが。

 課長さん、よろしいですか。

○がん・疾病対策課長 本報告書は、今までの検討会での議論をまとめるというものでございますので、本日、新たに出た意見ということであれば、例えばそういう意見があったと書くという方法もあるかと思います。しかし、今までの検討会の議論の中で出てきた話と、本日、初めて出た意見で報告書の中に触れておくべき話と、同列に記載するのは少し検討が必要なのではないかというところでございます。

○花岡座長 議論そのものは何回かあったのですね。加賀谷先生の薬剤のほうからも出ておりますので、議論がなかったわけではないのですが、まとめとしてここに入るかどうかというところを突かれますと、いかがでしょうか。

 小笠原構成員、どうぞ。

○小笠原構成員 11ページの、地域ですけれども、我々がやっているのは地域の中の在宅なのですが、最後に「緊急時の症状緩和目的の入院を受け入れる緩和ケア病棟等」と書いてあるのですが、その「等」の中に「緩和ケア病棟や在宅での支援を受け入れる緩和ケア充実(拠点)診療所等のあり方」という、これからはかかりつけ医の方々が困ってしまったときに、入院させるだけではなくて、我々がサポートすればほとんど入院もせずにコントロールできてしまうことが多いものですから、これを入れていただけたらといいのかなと思います。

 それと、その前の行の「緊急入院できる緊急緩和ケア病床」という、これは緊急入院ではなくて、実際は病院で困ったら緊急退院してもらっていることも今、岐阜県でやっています。だんだん世の中、相当の勢いで在宅のプロというとおかしいのですけれども、スキルの高い診療所が増えてきていますので、だからここも「緊急入院できる緩和ケア病棟の確保」だけではなくて、先ほどの「緩和ケア充実(拠点)診療所の確保」としておいていただけると、これもかなり議論させていただいて、ペンディングになっていたかと思います。やはり言葉があると、健康局もそう思っているし、医政局も、いろいろなところで物事が早く進みやすいかなと思っているものですから、ぜひお願いしたいなと思います。

○花岡座長 11ページの18行目ですね。ここのところにそういう文言をちらりと入れていただきたいと。

○小笠原構成員 ちらちらと入れておいていただくと「ああ、そうなんだ」と。要するに、私のところは「困ったら小笠原へ相談ください」と言っているのですが、幾らでも教えられるよという在宅みとり率が95%、98%あり年間50人以上看取りをしているところは、そういう能力があるわけですが、「幾らでも行くよ」と言われても、なかなかオファーがないというのですね。やはりシステムとしてそういうことが大事だということで、制度もしくは診療報酬はまだついていないのですね。そこをつけるためにも、この健康局でがん対策推進の中の一環として盛り上がってくると、医政局もやりやすいので、医政局のことを言うわけではないのですが、世の中が進むと、これからも在宅でのがんの患者さんというのは、ここ3年で2~3割ふえているのですね。どんどんこれから在宅死がふえていくわけですから、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアの中で、がんの患者さんもみとりがふえてくるのが一番いいのかなと思っていますから、ここが一番肝になるかと思いますので、よろしくお願いします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 事務局のほうは、今のことにつきまして、何かございますか。

○がん・疾病対策課長 11ページでは、23行目に「在宅医と早期の連携」のあたりに、在宅医の例示として、「在宅療養支援診療所」を記載するということで、いかがでどうでしょうか。

 また、取りまとめに向けて、できれば、ここにこの文言をというように具体的な御意見をいただければと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。もう時間がないものですから、この場でできれば文言を具体的に申し出てほしいということでございますが、小笠原構成員、いかがですか。

○小笠原構成員 では、最後に1行だけでいいので、「入院を受け入れる緩和ケア病棟や在宅での支援を受け入れる緩和ケア充実(拠点)診療所等」にしていただくだけでいいかなと思います。「充実診療所」ということで「充実」という名前がつきましたので、強化型というのはいろいろあるのですが、ややこしいから。

○花岡座長 23行目のところですね。

○小笠原構成員 23行目の最後に書いてあると印象に残るかなと。要するに、今までは悪くなったときに緩和ケア病棟とか、細川先生もやはり緩和ケア病棟は穏やかにやっていくことも大事とおっしゃいましたが、我々だったら、ちょっと行ってちょっとやればそれで落ち着いてしまうわけですよ。だから、そこが結果として緩和ケア病棟のためにもいい。

○がん・疾病対策課長 今、御指摘いただいたところは入院の関係部分なので、先ほども申しましたように「在宅医との早期の連携」のところに、その名称が診療報酬上のみの名称かどうか確認が必要ですが、例示として「在宅医(在宅緩和ケア充実診療所)」、または「(在宅緩和ケア充実診療所・病院加算を算定している診療所)」のような記載もあり得るかもしれません。なお、在宅医の中に当然加算を算定されているところは含まれていると私は理解しております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか、小笠原先生。

○小笠原構成員 この文言は、緩和ケア病棟があって在宅医というのは一つのもので、在宅医はそんなにできない人が多いだろうなという、普通のかかりつけ医の在宅医とか、通常の在宅療養支援診療所との連携で、そこが悪くなったら緩和ケア病棟と、そういう意味の在宅医ととられやすいものですから、一般の在宅医とかスキルの高い在宅医というか、何がいいのですかね。医師会としてはどういう言葉がいいのですか。医師会員同士で解決できれば。

○道永構成員 在宅医という言葉が何となくそぐわなくて、「在宅医療を行っている医療機関」でよろしいのではないですか。在宅医というのは、何かぴんとこないのですよね。

 ついでに、今のところで早期の連携というのは、あえてこの4行は、医療だけに限っているのかもしれないのですけれども、在宅医療を行っている医療機関、あと訪問看護ステーションと関係機関との早期連携がすごく大事だと聞いていますので、そういう文言を入れていただければ、在宅医療をやっていらっしゃる医療機関のほうがよろしいのではないですか。がんに限らず。

○花岡座長 「在宅医療をやっている医療機関」。

 それから、今の先生がおっしゃっているのは、どこの何行目のところに。

○道永構成員 22行目です。「在宅医との早期の連携」とありますが、絶対訪問看護ステーションもこの中に入れるべきですし、あとは薬剤師さんとか支援センターの方々とかもそうなので、「関係機関」だとすごく早いと思うのです。最初の問題提起のところに、そういった機関ごとの連携ができていないという文言があるので、早期の連携ということで、機関間の連携ということを入れていただければと思います。

○花岡座長 在宅医療をやっている機関ということですね。在宅医という言葉はないのかもしれませんね。

○小笠原構成員 開業医、かかりつけ医というのは今、有名でありますけれどもね。

○花岡座長 かかりつけ医イコール在宅医と考えてもいいのですか。

○小笠原構成員 かかりつけ医が在宅医ではないです。だって外来をやらない在宅医が今、ふえていますので。

○花岡座長 言葉として、皆さんが共通で考えられるような言葉があればいいのですが、言葉がひとり歩きするような形になると、またまずいと思いますので。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 今、おっしゃった意見に賛成です。早期の連携は、関係者が早く連携することで安定した療養生活ができるのです。相談支援も、早くから介入しないと可能性が小さくなってしまうのですよね。ですので、早期の連携のところにおっしゃった文言をぜひ入れていただければと思います。

○花岡座長 具体的には10ページの22行目の、この言葉がいいかわかりませんけれども、「在宅医の早期の連携」のところですね。

 課長さん、どうぞ。

○がん・疾病対策課長 「在宅医の」ところを「在宅医療を担う関係機関」とすると全部入ってくるのではないかと思います。

○花岡座長 有澤構成員、どうぞ。

○有澤構成員 関係機関という形で包含されるよりは、少なくとも何カ所か訪問看護ステーションなり、薬局なり、そういうものはやはり例示として加えていただいたほうがイメージとして湧くのではないかと思います。

○花岡座長 関係機関の概念がかなり難しいということで、そこに例示として入れたらどうかという御意見ですね。事務局のほうではいかがでしょうか。その辺は考えていただいて、うまくまとめていただければと思います。

○花岡座長 加賀谷構成員、どうぞ。

○加賀谷構成員 9ページに入ってよろしいでしょうか。

 先ほどの医学生・臨床研修医等の後に看護教育が入るのだと思うのですが、その後に「また、薬学教育においても新コアカリキュラムに緩和ケアが含まれたこともあり、薬剤師に対する緩和ケアに関する教育研修も含めて推進する必要がある」とまとめていただければと思います。

○花岡座長 これは9ページの2行目のところに含めて、「臨床研修医等」というところに看護も入る。

○がん・疾病対策課長 今ご発言のあった文言をそのまま追加するというふうな理解でよろしいでしょうか。

○加賀谷構成員 もし追加していただけるのであれば是非お願い致します。

○花岡座長 では、それはよろしゅうございますか。

 林構成員、どうぞ。

○林構成員 話が変わるのですが、10ページのがん疼痛評価の指標の3、4行目に、拠点病院の調査で、がん患者の3~4割が身体や精神の苦痛にいまだに悩んでいるという調査結果が出ていると、事実だけを書いているのですけれども、これをどう捉えるかというのは非常に重要ではないかと思うのです。個人的には、これだけやってきていながら、いまだに拠点病院で3~4割苦しんでいるということは看過できないことではないかなと思うのですが、これに対する評価はなく、さらっとその後が書かれているかなと思ったのが1点。

 それに共通するのですけれども、その原因の一つは、やはり自分の病院を考えた場合でも、病院全体として、拠点病院としていろいろな要件を満たしていっても、緩和ケアの理念や各考え方を医療者全体に浸透させるというのが非常に苦しくて、それが緩和ケアの研修会の受講率の低さにも関連しているのではないかと思うのですね。やはり今見ても、いまだに1割、2割という病院がある中で、拠点病院自体にも緩和ケアの認識が浸透しているとは決して言えない状態で、そんな中で「今後検討すべき課題」というところで3つ書いてありますけれども、題目だけを見てしまうと、これは振り出しかなと思うところもありますよね。拠点病院で緩和ケアを提供して、拠点病院以外で緩和ケアを提供して、みんなが緩和ケアを身につけると。本当に非常にしんどいところではありますが、せめて、例えば12ページの「今後検討すべき課題」の中で「全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを身につける」と。この「基本的な緩和ケア」というのは何を想定して書かれているのでしょうか。

○花岡座長 事務局のほうはいかがです。まず、「基本的緩和ケアを身につける」という概念ですが。

 どうぞ。

○事務局 基本的な緩和ケアに関しましては、11ページの脚注に、以前の緩和ケア専門委員会の報告書より抜粋するような形で記載させていただいております。

○林構成員 そうですね。そうすると、やはり先ほど最初に言った10ページの3~4割いるというのは、むしろ今までの努力が全く反映されていないということに通じてきてしまうのではないかと思うので、もう少しここを掘り下げていただきたいなと思いました。

○花岡座長 どうぞ、細川構成員。

○細川構成員 今、基本的緩和ケアの話が出たのですけれども、この前もお伝えいたしましたように、中川構成員にも確認いただきましたように、2007年のがん対策基本法に“早期からの緩和ケア”という言葉が出てきました時代には、緩和ケアを行える医療者がほとんどいなかったのです。つまりあのときの「がんと診断された早期からの緩和ケアの提供」の緩和ケアは、最初から専門的緩和ケアを行える人材、つまり緩和ケアチーム等に早期から相談するということだったのです。その翌年2008年6月から、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会(PEACE研修会)」がスタートし、現在ではすでに7万人弱のPEACE修了者が全国に存在し、さらに看護師・薬剤師等にもかなり緩和ケアの普及が進んできたということをふまえ、2012年6月の第2期がん対策推進基本計画では、「“がん”と診断されたときからの緩和ケアの推進」が謳われ、ここでいう緩和ケアは基本的緩和ケアとなっています。つまり、PEACEで教えられている主治医や担当看護師レベルで最初に行うのが、基本的緩和ケアで、緩和ケアチームや緩和ケア病棟、ホスピスとか、在宅緩和ケアをおこなっている診療所の先生方などが提供するのが専門的緩和ケアと定義されています。もちろん“がん”と診断されたときからでも必要であれば、いつでも専門的緩和ケアの提供できるスタッフへ相談できるような体制を整えるということが、がん対策推進協議会のほうで再確認されたと思います。

 もう一つ、この3~4割というのですけれども、質問の仕方、患者さんの病期で随分変わってくる比率だということです。例えば末期の患者さんばかりに「今すっかり楽ですか」と聞かれて、「全然楽です」と答えられる方はまずおられないですよね。末期ではやはり倦怠感をとり切ることは簡単にはできない。その方が「しんどいです」と答えられれば、この3~4割に簡単に入ってきます。反対に早期の患者さんでは、その比率は下がります。私は1983年からがん患者さんに関わってきましたが、30年前はもちろんですが、この10年間の間に緩和ケアが進まなかったかというと、全然そうではなく、昨年の例えば痛みについての調査ですが、宮城の六つの拠点病院の痛みの状況は、平均で全部NRSで4以下なのですね。これが10年前ですと、6とか8ぐらいが普通だったわけです。ただゼロでないから痛みはあるとは患者さんはおっしゃるわけですが、それは動いたら痛いとかも含めるわけで、NRS2~4の間というのは、個人差もあるのですけれども、日常生活というか、今、走ったり飛んだりするわけではないので、日常生活には十分耐えられる程度の痛みというのも範疇も入ってしまうということになります。

○林構成員 おっしゃることは重々理解しております。ですから、例えば3~4割いるという評価を、ではそれは進捗が十分できているのか、それなりなのか、できていないのかという判断をここでしておいたほうがいいのではないかと思ったという意味です。

○花岡座長 どうぞ。

○がん・疾病対策課長 本日、できれば報告書を取りまとめたいということで、具体的な修文のご提案をとお願いしておりましたが、本日、たくさんのご意見をいただいております。そこで、ご意見を踏まえた修正案を座長と御相談した上で、委員の先生方にご確認をいただき、最終的にまとめさせていただくということとさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 中川構成員、どうぞ。

○中川委員 林構成員がおっしゃったことにも関係するのですが、やはり一般国民が緩和ケアについて理解していないということが、医療現場での緩和ケアがなかなか進まない遠因になっていると思います。そういう意味では、この「(3)普及啓発・教育について」、御承知のように平成29年度から全国の小・中・高、とりわけ中・高でがんの教育が始まります。ここにおられる構成員の中でも、道永構成員、前川構成員、私もそうですが、文科省側のがん教育の検討委員会に入っています。ですから、ぜひ「学校でのがん教育における緩和ケアの理解・推進」という文言を入れていただくのが必要かなという気がします。文章は、この会議が終わるまでに私がメールいたします。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 先ほどの11ページの「在宅医」を「在宅医療を担う関係機関」ではなく文言を書くという内容に、今まで出てきたのが訪問看護ステーション、薬局、それから加えて、相談センターという文言も入れていただきたいというところで確認させていただきます。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 細川構成員。

○細川構成員 最初のページに「28年●月」とすでに書いてあり、さらに最初の話で、きょうもうまとめてしまうとおっしゃったのであえて言わなかったのですけれども、10ページの平成26年度の報告なのですけれども、昨年は、この26年の報告内容については、厚労科研の研究成果発表会の終わった直後にこの会で発表の機会があったのですけれども、今回、27年度の発表は2月5日に終わっているのですけれども、今回はその成果を発表する機会がなかったことの内容は、10ページの中には27年度のものは盛り込まれていませんが構わないのでしょうか。研究結果は以前からこの会でもどこでもよく言われていた、「オピオイド、モルヒネ等々の消費量が日本は少ないので、本邦では“がん”疼痛のコントロールが非常に悪い」ということの検証に関して、今回、27年の研究は否定されて、大量消費国の割合とほとんど同じだということがわかりました。また現況を調査してみると、日本以外の国の大量のオピオイド鎮痛薬の消費は、がん以外の痛みに使われているケースがほとんどであるということも以前からお伝えしていたようにその通りでした。

○花岡座長 課長さん、どうぞ。

○がん・疾病対策課長 貴重な御指摘ありがとうございます。この報告書は、あくまでも本日までの議論を踏まえた、まとめという位置づけでございます。後ほど、今後のあり方という議題でご説明させていただきますが、緩和ケアの重要性、必要性ということは変わらないわけでございまして、今後の検討の場は考えております。ですので、最新の成果については、今後の検討の場で、披露していただくことも可能でございます。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 18ページに、ワーキンググループの開催実績とありますけれども、これは開催しましたよということだけの報告で、これでいろいろ問題点もみえてきました。それに関して、今後の課題というところにどのぐらい反映しているのかなと先ほどから思っているのですが、いろいろ問題点が出てきました、その問題点をもう一度、検討してほしいと思います。例えば実地調査をした結果、その病院がこれではいけない、厚労省が自分たちの病院を見ているのだという意識が高まり、やはり緩和ケアも一生懸命しないといけないなという病院がありますので、今後の課題として、これはあくまでも意見ですけれども、そういうワーキンググループで実地調査をするとか、そういう形に文言を入れていただければと思います。

 あと、19ページに痛み、つらさのポスターとかバッジが出ていますけれども、これを見ただけでは何のことやらと。ただ配布しているだけだと思うのですね。ですから、効果とかはあったのかという疑問があります。

 以上です。

○花岡座長 課長さん、どうぞ。

○がん・疾病対策課長 少なくとも実地調査でやっていただいたことについては、例えばこの報告書案の4ページ目に「実地調査で抽出された課題及び実質的な取組」ということでまとめておりますし、5ページにも同じく課題をまとめているところでございます。

 もし、ほかにもこういう成果があったということであれば、ここに追記をするというご意見をいただければと思います。

 また、このポスターなどについては、どういう成果があったかということについて、分析的な評価ができるような形で、配布しておりませんので、何らかのコメントを記載するというのは難しいと思っておるところでございます。

○花岡座長 どうもありがとうございます。活発な御意見、ありがとうございました。お時間の関係もございますので、本日いただきました御意見は事務局とともに精査して、報告書として取りまとめたいと思います。また、その結果は皆さま方にお送りさせていただきまして、御意見をいただきたいということにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○花岡座長 ありがとうございます。

 次に、議題3の「今後の緩和ケアのあり方について(案)」に移りたいと思います。

 それでは、事務局から資料5について御説明をお願いいたします。

○事務局 資料5でございます。「今後の緩和ケアのあり方について(案)」について御説明させていただきます。

 2枚目のスライドになりますが、緩和ケアの歴史1としまして、我が国の緩和ケアは、1981年に院内型ホスピスが誕生し、1990年に診療報酬として「緩和ケア病棟入院料」が新設されました。その後、在宅の診療報酬、あるいは緩和ケアチームの診療報酬が新設されております。そして、2006年にはがん対策基本法が成立し、第1期の基本計画、そこでは「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」、そして2012年からの2期では「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」となってございます。

 3枚目のスライドですが、歴史2としまして、2012年4月から本検討会が開催され、2013年からは緩和ケア推進事業として緩和ケアセンターの整備が行われてきております。また、2014年には拠点病院等の整備に関する指針とし、緩和ケアの内容もかなり盛り込まれて改正されております。そして、201410月には、緩和ケアの一言表現等の作成を経て、昨年8月には地域緩和ケアの議論の整理を行っている状況であります。

 続きまして、4枚目です。資料4にもございましたように、緩和ケアセンターの今後のあり方の検討が必要と課題に挙げさせていただいております。緩和ケアセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院においては28年3月までに整備することが求められておりまして、2月末時点で、49病院中39病院で整備が済んでいるという状況でございます。

 右側に主な活動とし、緩和ケアチームや緩和ケア外来、緩和ケア病棟等を有機的に統合し、院内拠点組織として整備されるということで、主に緩和ケアチームが以下のような活動を行うことになっております。

 人員構成の中では、先ほどもありましたようにジェネラルマネージャーを配置するということが盛り込まれています。

 続きまして、5枚目のスライドは、診療報酬の算定回数を示しております。左側は緩和ケア病棟入院料、右側は緩和ケア診療加算になります。赤で囲ったところは、病床数が多い病院での算定回数ということになりますが、病床数の多い病院で算定回数が多い傾向が見られるという状況でございます。

 下段も同様に、緩和ケア関連の診療報酬で、がん性疼痛緩和指導管理料やがん患者指導管理料におきましても、病床数の多い病院で算定回数が多い傾向が見られるという状況でございます。

 7枚目が、がん死亡者における死亡場所別の割合を示したスライドになります。拠点病院では大体4分の1ぐらいの患者さんが亡くなられておりますが、それ以外の4分の3の患者さんは、拠点病院以外の病院であったり、診療所、老健、自宅等の拠点病院等以外の場所でみとられているという現状でございます。

 次の8枚目は、研修の状況を示したスライドになります。緩和ケア研修会は順調に交付枚数、受講者数は増加しており、昨年の9月末時点では6万3,528人という状況になってございます。

 9枚目のスライドでは、医師の臨床研修の到達目標を載せておりますが、この臨床研修プログラムにおきましては、平成16年の当初から緩和ケアは盛り込まれております。平成21年に一部改正がなされまして、このような記載になっております。

 看護師研修につきましては、日本看護協会へ委託しまして、がん医療に携わる看護研修事業として、主に指導者を養成することを行ってまいりました。

11枚目は、次年度に予定しております地域緩和ケア等研修事業で、拠点病院のみならず、主に訪問看護ステーション等における看護師さん、これは昨年の地域緩和ケアの提供体制についての議論の整理で指摘されたことも踏まえまして、このような研修を行うことを想定しております。

12枚目は参考になりますが、WHO総会における緩和ケアの強化に関する決議から、緩和ケアの教育部分を抜粋したものです。この決議においては、3段階に緩和ケアの教育を分類しております。

 1つ目は、基本的な修練や継続教育ですが、全ての医学部や看護学部教育の必須科目として、また、プライマリーケアの提供者に対する実践的な訓練として、基本的な修練等は統合されるべきであるとなっております。

 中間的な修練としましては、生命を脅かす疾患の患者に日常的にかかわる全ての医療従事者に対して提供されるべきであるという形になっております。

 3段階目は専門職に対する緩和ケア教育ということで、通常以上の症状緩和を要する患者さんに対して、統合されたケアを実践するための専門職を養成するために行われるべきであるという形でまとめております。

13ページ目からは、緩和ケアの定義について記載させていただいております。緩和ケアの対象患者さんは、特定の疾病に限定したものではないということがWHOの定義では述べられております。

14ページ目は、これもWHOの報告になりますが、終末期に緩和ケアを必要とする者の疾患別割合についてのグラフになりますが、心血管疾患及びがんという順番で緩和ケアを必要とされているということが報告されている状況でございます。

15ページ目は、議論に当たっては疾患群別の予後経過を考慮する必要がございます。がんは最後の2カ月ぐらいで急速に機能が低下する一方、心・肺疾患末期は徐々に機能が低下して、最後は比較的急に低下するという予後経過があるということがございます。

 最後に16枚目のスライドは今後の議論の進め方についてですが、まず【現状と課題】としまして、緩和ケアについては、これまで「がん対策推進基本計画」に基づき、医療者向けの研修、がん診療連携拠点病院を中心とした体制整備(緩和ケアチーム、外来緩和ケア、緩和ケアセンター等)、診療報酬による評価を行ってきた。

 しかしながら、拠点病院以外を受診するがん患者が多くいることや、約4分の3のがん患者は拠点病院以外の場所でみとられていることを踏まえますと、今後は、拠点病院の緩和ケアもこれまで以上に推進しつつ、拠点病院以外の医療機関についても緩和ケアを充実させていくことが重要ではないか。また、緩和ケアの基本的な知識は全ての医療者が身につけるべきこととして、医療者に認識してもらうことが重要ではないか。

 3点目としまして、また、中小病院や診療所のように地域に近い医療機関の場合、がん以外の患者の割合も多いと推測される。WHOの定義では緩和ケアの対象患者は特定の疾病に限定したものではなく、がんに並び心血管疾患の患者も緩和ケアを必要としていることが報告されている。これらを踏まえ、がん患者への緩和ケアに加え、今後どのように対応していくか検討が必要ではないか。

 最後に、【今後の進め方案】としまして、以上を踏まえまして、検討会の運営を見直すこととしてはどうか。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 今後の緩和ケアのあり方についての案ということで出されておりますが、前川構成員、これで何か御意見ございますか。大丈夫ですか。ありがとうございます。

 波多江構成員、どうぞ。

○波多江構成員 患者団体の波多江伸子と申します。

 私はきのう、緩和ケア病棟で、仲間の一人が膵臓がんのために亡くなりまして、その人が意識があるときに、「私はしばらくすると、国の会議でお話しする機会がありますので、あなたが今まで受けてきた医療について、何か伝えたいことがあったら、私がお聞きしますよ」と言いました。拠点病院でその方が膵臓がんで余命があと半年であるという、いわゆる余命告知のときから、緩和ケア病棟に移って、最後に息を引き取られるまで、私はずっと付き添っていたのですけれども、その方が言われるには、体の痛みについては随分とってくれて楽になっていますと。臨床心理士さんとか精神科の先生が、眠れないとか心臓がどきどきするとか言ったら、呼吸法とかもいろいろ教えてくれて、細やかにやってくれるのだけれども、そして遺言も書いているので、社会的な意味でも余り心配はないけれども、どうしても死にたくないという気持ちを誰も取り上げてくれない、かかわってくれない、いわゆるスピリチュアルな痛みについてのケアが、今までずっと見ていても、日本の緩和ケアの中ではいつも抜け落ちていると私が感じていたのと同じような意見をその方もおっしゃっていました。

 スピリチュアルケアというのは、看護師さんとかに聞いても、宗教とか哲学とかかかわってくるので難しいと言われますが、そういうものではないと私は思うのですね。その方のそれまでの人生を肯定できるか、死を受容できるかというその問題は必ずしも哲学や宗教の問題ではない。そうであれば、ある意味で楽なことはあるのですけれども、それで苦しんでいる方がすごく多いので、この「今後の緩和ケアのあり方について(案)」の9ページの「臨床研究の到達目標」の「3)告知をめぐる諸問題への配慮ができる。4)死生観・宗教観などへの配慮ができる」のところが、実際に聞いていても余り重視にされず、研修の中でも取り上げられていないような気がします。これから先、もし心血管疾患とかにも緩和ケアが広がっていく場合に、がんの場合は、私がきのうみとった方はいわゆる適応障害で大変だったのです。ずっと最後まで受容できないような感じでしたけれども、私ども患者仲間がお話を聞いてくれるので随分と楽になりましたということをおっしゃっていただいたのです。前川さんもそういうことをこれまでしてきたのだと思うのですけれども、先ほど林構成員とお話ししていて、心臓の場合だとがんよりもっと納得感というか、もうちょっとほかに何かやることができるのではないかという意味で、とても気持ちが乱れて、最後に逝くのではないかという心配をされていて、私もそうだろうなという気がしましたで、何かその辺も踏まえて、もし広がっていった場合に、心のケアというか、実存的というか、そういったスピリチュアルなケアに力を入れていただかないと、患者はとても苦しむことになるのではないかと思うのです。

 私の意見です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 スピリチュアルペインといったときに、精神的な問題とか宗教的な問題というふうに漠然と捉えている方が残念ながらまだ非常に多いのですが、スピリチュアルペインにつきましては系統的な学問として既にかなりやられておりまして、例えば対人援助・スピリチュアルケア研究会というものがあります。その中で今、おっしゃっているようなことが系統的に学問づけられているというか、どうしてスピリチュアルケアを感じたらいいのかというような実例を挙げたりした研究会等もありまして、もし今後のことがあるのでしたら、そういう方々も入れてみたらいいかなと思います。

 そこに出てみますと、私も一回出てみたのですが、宗教的とか精神的な問題とは全く違うレベルのお話になっていますから、これはぜひとも今後そちらのほうの人も入れるというか、やってみたらいいかなと思っています。

○花岡座長 ありがとうございました。

 松島構成員、どうぞ。

○松島構成員 PEACEの緩和ケア研修会の原型、最初に当時のがんセンター中央病院で研修会を開いたときには、実はスピリチュアルも研修内容に入っていました。私が担当したのですが、そういう考え方というのは今、小川構成員も言われましたようにとても大事で、確かに当初は入れようとしていたのです。ただ、それを今度全国のがん診療連携拠点病院の研修会で伝えていくということになると、誰が講師を担当するのかという問題と、まだそこまではちょっと現状にはなじまないということもあって、正式な研修内容としては残らず、今の研修会の形になったのですね。

 ですから、我々も実はいろいろな形で、日本サイコオンコロジー学会や日本緩和医療学会でそういうことは議論してきておりますので、もし必要でしたら、できないわけではないのですが。ただ、これは患者さんに押しつけはできませんので、それぞれの患者さんの考え方に寄り添って、何とか納得した人生を過ごしてもらうように持っていくというところまでだと思います。こうやって生きるといいよとか、こうやって考えたらという押しつけはできないので、その辺が非常に難しいところだと思います。ただ、がん患者さんはスピリチュアルな苦痛を持っているということやその解決に向けてこんな考え方をしているということを皆さんに身につけていただいて、どうやって患者さんに寄り添ったらいいかということをお伝えすることはできるのではないかと思うのです。ですから、そういうレベルでしたら、研修会の中にも入れていただけるのではないかと思います。

○小川構成員 なるほど。ありがとうございました。

○花岡座長 ありがとうございました。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 私は、非がん疾患を緩和ケアの対象にすることには慎重であるべきだと思います。長期的には死にゆく病全てを対象にすべきですし、それがWHOの考えであることは間違いない。

 ただ、例えば、14ページのこのグラフは、欧米はこうなのですね。しかし、例えばアメリカの死因の第1位はがんではありません。心疾患です。しかし、我が国では圧倒的にがんが多い。そもそも男性の3人に2人、女性では2人に1人ががんになるわけです。そして、平均寿命がもっと延びれば、これらもふえていく。その中で果たして、がんとエイズを対象にこれまで進めてきた緩和ケアの対策が十分実を結んでいるか。もちろん細川構成員おっしゃったように随分とよくなってきたとは言えるかもしれない。しかし、林構成員がおっしゃったように3~4割の方がまだ苦しんでいるという事実もあるとするならば、あるいはこの実地調査の中で、かなり格差がある。これは前川構成員も、現実におくれているところはおくれている、もし、このまま非がんまで全て含めるということになると、確実にがんに関する緩和ケアが悪くなると思います。リソースは限られているのですね。ですから、私はまだ早いと思います。もう少しがんに関してやった上で、これはよくなったということが皆さんの共通認識になったときに、ほかまで広げていくべきではないかなと私は思います。

 以上です。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはよろしゅうございますか。

 細川構成員、どうぞ。

○細川構成員 波多江構成員のお話、本当に現場でしばしば実感できることであると思います。先ほどの林構成員の話とちょっと絡むのですけれども、多分その亡くなられた患者さんも、身体面が楽にはなっているけれどもゼロではないと絶対おっしゃると思うのですよ。そうすると、この方でも先ほどの3~4割に入る可能性がある。身体的などの部分はかなり満足されている。ただ、そのスピリチュアルな部分はやはりつらい。

 当京都府市立医科大学附属病院に緩和ケア病棟ができてからの2年間の入院患者さんについて、担当看護師が、身体的、社会的、精神的、スピリチュアルについての検討を相当細かくやったのですけれども、やはりスピリチュアルのところが一番点数が悪かったのですね。これはやはり今後の大きな課題だということです。

 スライドの9ページの4)に「死生観・宗教観などへの配慮ができる」と記載されてあるのですが、これは自分なりの死生観・宗教観を持っておられる方への配慮ということだと思います。しかし、現在、残念ながらほとんどの日本人の方が死生観というものを持っておられない。日常生活においては極めて宗教的ではあるにもかかわらず、死に対しての宗教観はお持ちではないということです。これは単一の宗教、例えばキリスト教徒だから死生観があるかという問題ではなく、身近に死があるかどうか、またはあったかどうかというところ随分大きく関わってきます。

 幸い日本という国家が、この71年間戦争がなく、若い人が病気以外のもので死んでいくというものを見なくて済んできたのですけれども、恐らく御存じのように日本以外の先進国は子も71年間全部戦争を経験してやってきているわけです。徴兵に行ったり、戦場に行ったりというところで、人はやはり死ぬのだということを再認識されている方が非常に多い。例えばベトナム戦争では、年間1万5,0006,000人アメリカの20歳前後の若い方が亡くなりました。イラクでは11年間で、5,500人程度ということで減ってはいるのですが、5,500人の若者がいたとしたら、仮にその一人が家族とか親戚だけでも10人ほどの近親者がおられますよね。学校の同級生とかを含めれば若いのですから、50100人はその死を悲しまれる方がおられるでしょう。戦死者と、それに掛け算するとすごく多くの若い人が死ぬということを見ていく形になるのですね。そういったところで、それぞれが死というものをもう一度ゆっくりと現実として見つめることが多くあります。しかし日本は20代の人たちがいずれは死ぬと言われば確かに頭では分かるのですが、何かはるかかなたの雲の上にあるように思っているのが普通です。これは実際に60708090歳の方と接していても、同じように感じるのです、つまりその年齢になられてもみんな“死”ははるか雲の上という感じで実感として認識されていないのです。

 ですから、本邦では、“死生観への配慮”ではなく、“死生観・宗教観などの構築”のほうが先だと思います。ですから、“がん”教育、緩和ケア教育とかはもちろんとても大事ですけれども、死生観というものについての教育、死というものの教育、ヒトは死ぬという教育も同時に、もしこれからがん教育ということをやっていかれるのであれば、そこも含めていかないと、最終的に日本でのスピリチュアルへの対応は今後もずっと難しいものになったままと思います。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 小笠原構成員、どうぞ。

○小笠原構成員 細川先生も、皆さんおっしゃることは確かなのですが、まずがん以外も含めて緩和ケアの定義を今、見ているのですが、「生命を脅かす疾患に云々」とあって、「苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチ」、これが緩和ケアなのですね。だから、緩和ケアは一言で言えば、QOLを改善することなのです。改善するためにはどうしたらいいかといったら、苦しみを和らげる、そこだけなのですよ。だから、いちゃもんをつけるわけではないのですが、緩和ケアの定義で苦しみを和らげるとか痛みをとることを緩和ケアの目的としてしまうと、そこでとまってしまうのですよ。要するに、「苦しみを和らげ、QOLを上げること」改善させる、これを緩和ケアの定義だとする。ではこれもがんであろうと非がんであろうと、私は心不全の治療で博士になっているので心不全が得意なのです。だから、心不全で亡くなっていく人も、実は慢性心不全を退院させると予後が延びますし、延びない人も笑顔になる。これは世の中がひっくり返るくらいだという話もしているのですが、なかなか退院しないのが現状なのですね。それは、病院でも入院していれば長く生きられると思うと、なかなか退院されないのだけれども、現実問題は、命をどう捉えるかという視点によって、実はかなり変わってくることであって、家で死んだら本望だぐらいの感じになって退院する人は予後が延びてしまうのですね。

 それで、先ほどから細川構成員が、死を見つめていない人間だから、日本人は死を見つめないような教育になっているし、疎外されて、死はだんだんタブー化されていってしまっているから余計にいけなくて、だからこそ家で亡くなる人がいることによって、家族全員が死を見ているわけだから、これは文科省の局長さんとも話していたのですけれども、やはりこれからの命の教育は、小学校、中学校、高校からやるのだけれども、一番の大きな問題は、家で家族が死ねば、それが一番大きな教育になるのですよと。だからこそ、もちろん学校での教育とともに、小学校はPTAが来るわけだから、そこで家族に家での在宅みとりも含めて視点を教育していく。それと同時に、大学教育であれば、医師や看護師でも大学にいるときに実際問題、人間はこうして死ぬのだよという話をきちんとしないと、死生観は変わってこないと思うのですね。だから、死生観が変われば、実は日本人もかなり変わってくると思います。

 そのためには一番いいのは在宅死をふやしていかないといけない。病院死が悪いわけではないのですけれども、病院で亡くなるということは死が隔離されていくものだから、そのあたりを含めて、在宅死を広げていくことにそろそろエネルギーをふやしていかないといけないかなと思っている。同時に、家で人が死んでいく人が多くなれば、死生観が変わってくるわけだし、実は循環器とか呼吸器の緩和ケアはとても大事であって、がんも緩和ケアが大事だし、いいと思っていますが、それ以外でもとてもいいのです。

 これはもう当然、緩和ケアはがん以外もやらねばいけないことは決まっているのですが、果たして今の日本の緩和ケアは、がんとエイズとかで緩和ケア病棟という名前がそこで来てしまっているわけだから、その中で、他の病気も入れるほうがこの検討会を、今後検討会としてやっていくかどうかということは、お金の問題と、それから循環器の医者を集めたり、いろいろな人を集めたり、がんの先生を集めてくると、かなりばらばらの話になりそうな気もするから、その辺のことをどうまとめていくかということは大変ですね。私はがんの患者さんは1~2割しかいなくて、あとはがん以外の患者さんを診ています。やらねばならないのは、やはりがんも含めた緩和ケアの概念で循環器疾患、呼吸器疾患、いろいろなことをやっていくとうまくいくのですよ。だから、日本全部を捉えたときの緩和ケアは厚労省で絶対やっていかなければいけない、がん以外のものについてもやっていかなければいけない、これは決まっていることなのですが、ここの流れの中でどうするかということは、偉い先生方と厚労省とでグランドデザインを話し合ってもらって、最終的にはお金の問題をどう使うかという、そこへくるかと思います。

 財務省の関係の方がうちにお見えになって、いろいろな話、特にいのちの話をしていたときに、「小笠原先生、どこに金を使ったらいいだろう」という話になったときに、文科省と厚労省ですよと。命をどう捉えるか、そこをワンポイントにターゲットに絞ってお金をつぎ込めば、日本人の意識改革が起こると、実は医療費は半額で済むようになってくるだろうし、すごく満足度が高くなると思います。

 イタリアの子で、心臓が悪いから赤ちゃんは産んではいけないと言われていた子がいました。うちの娘がイタリアにいたときに、そのイタリアの子が小笠原内科へ飛行機に乗って来ました。私は循環器が専門ですから、「すぐ赤ちゃん産めますよ」と言いました。そのくらいイタリアと日本のレベルが違っています。もっとも、実は昔の王様のお嬢様だったものですから、余り聴診器も検査もやってくれなかったらしいのですけれども、私は平気で聴診して超音波をして赤ちゃんを産んで大丈夫だと言って、赤ちゃんが産まれる。でも、もしその子がイタリアにいて、赤ちゃんを産まなくても、イタリアのお医者様に言われたことで満足していましたと。たまたまうちの娘と出会ってしまったものだから、うちの娘の話を聞いて日本に来て、それで私に出会って、赤ちゃんを産んでよかったと言っている。そういうことなのですね。

 だから、国民にどこまで真実を知らしめるか、そこにかかっていると思うのですよ。だから、お金も限られているわけですから、とりあえずは今、がんは正直言ってがんの緩和ケア病棟もそうだし、がんセンターと言われているところの大学病院とかいろいろなところの緩和ケアのレベル、レベルと言ってはいけませんが、そんなに高いとは誰も思っていないと思うのですよ。細川先生のところは、教授がみずから緩和ケアをやろうとしているから、それはレベルアップしているに決まっているけれども、現実の大学はなかなか難しい。がんの立場からいけば、やはりもっともっと緩和ケアを進めてもらいたいし、そこにお金をつぎ込んでいただきたいと私も思っていますが、国全体のグランドデザインを考えたときには、ちょっと違うかなという気がしています。

 私なんかおととしから来た新参者が、皆さんが苦労してつくってみえた緩和ケア推進検討会なものですから、このぐらいにさせていただきます。すみません。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 相談を受けていますと、緩和ケアがなぜがんだけなのだと、神経難病をお持ちの方とか、心疾患で長い方で難しい方が、実際に一般病院の中で相談室に御相談に来るのですよね。私自身も、主に北米で研修を受けまして、やはり生命を脅かす疾患というところでくくってあげたらいいなというのは、実際に一線で相談を受けていて本当に思うところなのですけれども、皆さん、先生たちがおっしゃっているように、やはり財源というか資源の部分が、この検討会をそういうふうに心疾患とか広げることで、またこの疾病対策という部分ではなく、枠を広げて違う財源とともに何か推進できるような、そういう計画みたいなところがあってなのか。対象を広げたらいいかどうかということを、ここで考えるというのがなぜかちょっとなじまなくて。今、おっしゃったように、国が本当に大きな、グランドデザインというのか、大きなお金をどう振り分けるのか、お金に関するその辺のところのお考えが、まずあってのことかなと思います。

 実際には、本当にがんの患者さんはうらやましいという相談をもちろん受けていることは事実なのです。ですけれども、何をどういうふうに優先してやっていくのが国策としていいのかというあたりは、どこをどう判断していいのかなというところが正直なところです。

○花岡座長 ありがとうございます。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 ありがとうございます。

 私自身も、中川構成員がおっしゃったとおり、いわゆる非がんまで広げるということについては、やや慎重に考えていかないといけないかなとは思っています。必要なことだと思いますが、少し考えないといけない。

 その大きな点は、やはり非がん、または循環器疾患に伴う緩和ケアというのは、どちらかというとやはりエンド・オブ・ライフケアという部分が非常に大きくなってまいります。がんの研修会、緩和ケア研修会では、どちらかというとエンド・オブ・ライフケアは少し置いておいて、より広く早い時期からということを強調し、症状緩和と診断告知という部分が非常に大きなウエートを占めているというところがあります。

 したがって、もう少しその研修の中にエンド・オブ・ライフケアだったり、先ほどありましたスピリチュアルの問題、または人生の最終段階で行う医療意思決定プロセスという、これは厚労省主導でも取り組んでおられますが、このACPというような概念の教育をがんの中でも進めていきつつ広げていかないと、少しやり方というのは違うのではないかとは思っています。必要なことだろうとは思います。ただ、このエンド・オブ・ライフケアの部分を少し深めていくことによって、全ての研修医であったり、医療従事者であったり、必要なケアであるのは間違いありませんし、拠点病院だけではなくて、広い病院において必要となる緩和ケアの研修ということで広めていく。その上で非がんに取り組んでいくということは大事なのかなと思います。

 あと、非がんの場合に、症状緩和という問題がまだまだ十分なエビデンスがなかったり、また病態の改善が症状緩和につながってまいりますので、がんで用いているような、例えば呼吸困難に対してモルヒネを使うというふうなことが現場ではよく行われるのですが、神経難病では、呼吸困難に対して医療用麻薬が使えるようなことが適応外使用として認められておりますが、心疾患はそこはまだ認められていない。そういうこととして取り組むのであれば、今後必要な部分なのではないかと考えております。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 小笠原構成員。

○小笠原構成員 先生は正しいことをおっしゃっていると思うのですが、一つだけ違うのは、エンド・オブ・ライフではないのですよ。心疾患は基本的に血管が収縮してストレスが非常に悪いことが多いものですから、ストレスをとっていく緩和ケアが元気なときから役に立って、だから心臓は、末期ではなくて前から緩和ケア的な発想が非常に役に立ちます。

 それともう一つは、心不全については、私は40年前からモルヒネを使っていました。予後がいいと思っていますから。

 やはりモルヒネが使えないような国はだめですよと思っています。だから、その辺を心不全の末期だけではなく、緩和ケアが広まって、モルヒネも大事なのだよということになると本当はいいのかなと思っています。今まで、がんで来ていたものですから、緩和ケア病棟に心不全の患者が入っても困りますので、ここの会で議論することがいいのかどうかがちょっとためらいます。

○花岡座長 活発な御議論をありがとうございました。時間も迫っておりますので、ここまでとしたいと思います。

○池永構成員 もう一つ。

○花岡座長 それでは、一旦区切りといたしまして、何か御発言をしたいことがあればということでお願いいたします。

○池永構成員 済みません、短時間で済ませます。

 私は、本当にがん対策基本法ができて、緩和ケアというものがある部分メジャーになったというか、重要なキーワードになったということを感じています。それ以前に、15年ぐらい緩和ケアの現場で働いておりましたが、医療の中で非常にマイナーな部分をずっと感じていた中で、基本法ができて大きな変化がございました。

 現在、緩和ケアの普及啓発の仕事をしておりますが、緩和ケアという言葉が一般国民に対してなかなかうまくなじめない。また、医療用麻薬というのは非常に怖いお薬ということがあります。やはり法律になるということの大きな力というのは、10年前に感じたという次第でありますので、がん対策基本法の中ではまだ緩和ケアという言葉は明文化されておりませんが、一般国民がこれを受けることは基本的な人権なのだと捉えることができるように、そのような緩和ケアという言葉や、医療用麻薬を使うということは人権の一部なのだということで広めるという意味合いも含めて、何らかの形で法律の中に言葉が入るということは大きな意味があるのだろうなと感じております。

 欧州では緩和ケアに関連する法律が出てきておりますが、アジア圏でもそのようなことが促進できるような、先進的にそういうことに取り組むことができればなというのは、今回検討会が終わりますので、私の意見として発言させていただきました。

 よろしくお願いいたします。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにどなたか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 先ほどのスライドのほうにも御紹介していいただきましたが、スライドの10番にあります「がん医療に携わる看護研修事業」につきまして、こちらにありますように、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進ということで承っている事業でございますが、3カ年の事業が終わりまして報告書を出しましたので、簡単にですけれども報告をさせていただきたいと思います。

 皆様のお手元にありますピンクの冊子でございます。成果報告書としてまとめさせていただきました。

 まず、右の下のほうにページ数が入っておりますが、5ページをあけていただきますと、この3カ年の構想ということで、緩和ケア推進のために拠点病院をまず中心にスペシャリストの認定看護師、専門看護師の方に研修等をして、そしてリンクナースあるいは地域まで看護師の方たちにも影響を与えていただきたいということで始めた事業でございます。

 6ページにございますが、この3カ年の内容を簡単にまとめたものでございます。最初にテキストをつくりまして、集合研修等をしております。

 この内容でございますけれども、実施を推進していただいたのは、7ページにございます事業体制で、本日欠席でございますが、小松構成員が委員長として12名の委員の方に御協力いただきまして推進してきたところでございます。

10ページからは、具体的な委員会の構成と、あるいは具体的に何をしたか、テキストの内容、それから研修会の内容等を書かせていただいております。アンケートをとらせていただきましたので、それに基づいた評価もしております。

 さらに、実際に自分の病院でリンクナースの育成をされていたところにヒアリングに行きました。3施設の結果を御報告させていただいておりますが、修了者の方のヒアリングの状況につきましては、56ページから実際に述べさせていただいております。

 事業の普及状況につきましては、80ページにございますけれども、どのくらいの数の方が修了されたかということで、現在、27年度の拠点病院の401施設のうち385施設、96%の方に受講していただきまして、最終的には拠点病院以外の方にも少し研修を拡大させていただいております。実際に、がん看護専門看護師、認定看護師の認定者数に対してどのぐらいの方が受講されたかということは、下のほうの表にありますが、1,646名の方、約35.3%の方に受講していただきました。以上、成果を挙げさせていただきました。

 最後になりますが、96ページ以降に、どの拠点病院の、どういう資格を所有している方が修了されたかということを一覧表にしておりますので、今後この修了者の方を御活用いただければありがたいかなと思っているところでございます。

 来年度の研修も、また引き続き受託させていただいておりますが、先ほどのスライドの11番にありましたように、この拠点病院の修了生の方と訪問看護ステーションの方のネットワークをつなぐようにして拡大していくような事業展開をしていきたいと考えておるところでございます。

 お時間をいただきまして、ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 お時間になりましたので、この辺で閉じたいと思いますけれども、2年間、この検討会にいろいろ御協力いただきまして、構成員の先生方には非常に感謝申し上げております。

 課長さん、どうぞ。

○がん・疾病対策課長 先ほどの報告書案についてでございますが、明日中までにメール等で意見をいただければ、それも踏まえて座長と御相談して修正案をつくり、その後、各構成員の先生方に確認をお願いするという手順で進めさせていただきたいと思います。お忙しいところ恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。

○花岡座長 御協力をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、最後に樽見審議官から一言いただければと思います。よろしくお願いします。

○審議官 厚生労働省大臣官房審議官、健康担当の樽見でございます。私も昨年の10月の人事異動で参りました。ここで御挨拶させていただいて、閉会の御挨拶となりまして、大変恐縮でございますけれども、一言お礼の御挨拶を申し上げる次第でございます。

 平成18年のがん対策基本法、がん対策推進基本計画に基づいて進めてきたわけでございますけれども、特に緩和ケアについては、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進ということを基本計画において重点的に取り組むべき課題ということで掲げてきたわけでございます。先生方におかれましては、緩和ケアの推進の観点から、平成26年6月以来、合計5回の検討会を重ねていただきまして、地域緩和ケアの提供体制についての議論の整理をおまとめいただきました上に、本日は緩和ケア推進検討会の報告書ということについて取りまとめに向けた御議論を重ねていただきましたことを心から感謝申し上げる次第でございます。

 これまで御検討いただきました内容について、最初に課長からも申し上げたと思いますけれども、昨年の12月のがん対策加速化プランの中にも、例えば緩和ケアチームの実地研修でありますとか、苦痛のスクリーニング事例集の作成でありますとか、地域連携の調整員や訪問看護師を対象とした研修事業といったことに反映しているところでございまして、今後さらに推進を図っていきたいと考えているところでございます。

 現体制での検討会の開催は本日が最終回ということになるわけでございますけれども、私も今、最後の皆様方の御発言を承っておりまして、まさに緩和ケアはこれからも非常に重要で、ますます力を入れて取り組まなければいけない課題だと強く思ったところでございます。健康局として、引き続きましてこの緩和ケアに関する検討の場を設けまして、今回いろいろいただきました課題の解決に向けた取り組みをさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。

 先生方、これまで2年の間、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。今後とも皆様方の御意見を踏まえまして、緩和ケア、あるいはがん対策の充実ということに向けて努力をしてまいりたいと考えておりますので、引き続きまして、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

 ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 それでは、時間が参りましたので、本日の会議は終了したいと思います。

 構成員皆様、長時間にわたり、まことにありがとうございました。



(了)

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