ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 > 第2回女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 議事録(2016年2月18日)




2016年2月18日 第2回女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 議事録

労働基準局

○日時

平成28年2月18日(木)
19:00〜21:00


○場所

中央合同庁舎第5号館19階共用第8会議室


○出席者

委員

阿部座長 安藤委員 戎野委員 大嶋委員 神吉委員 守島委員 山川委員

事務局

山越労働基準局長 土屋大臣官房審議官 小林雇用均等政策課長 増田大臣官房参事官(併)賃金時間室長 千谷企画官 東原賃金時間室長補佐

○議題

(1)配偶者を対象として手当に関する見直しが実施・検討された事例について
(2)就業調整の状況について
(3)配偶者手当の見直しを行う場合の留意事項ついて
(4)報告書の骨子について

○議事

○阿部座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 本日欠席の方はいらっしゃいませんが、山川委員が遅れていらっしゃるとお聞きしております。

 早速議題に入りたいと思いますので、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

(報道関係者退室)

○阿部座長 では、お手元の議事次第に沿って、まず議題1「配偶者を対象として手当に関する見直しが実施・検討された事例について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

○千谷賃金時間室企画官 労働条件政策課賃金時間室の千谷でございます。議題1について、資料の御説明をさせていただきます。

 まず、お手元の資料1−1、「第1回検討会事例紹介企業に対する追加ヒアリング結果」をご覧いただければと思います。

 前回、委員の先生方より紹介事例について、従業員の納得性や見直し後の効果などについて、今後検討を始める企業へのアドバイスの観点から、可能な範囲で紹介できないかとの御意見をいただきましたので、紹介企業に協力をお願いし、その結果をまとめさせていただきました。今後、検討を始めるに当たって、参考となる情報を多くいただけたのではないかと考えております。

 まず、1といたしまして、制度設計時の取組状況についてですが、制度を設計するに当たって事前に意見の収集を行う場合、従業員へのアプローチ方法としては、会社が直接行う方法と労働組合経由の方法と、2通りの回答がございました。

 会社が行う方法には、常日ごろから従業員ヒアリングや満足度調査の分析によってニーズを把握していたというところや、制度設計に当たって実際に従業員に集まっていただき、意見収集の機会を設けるといった例、それから各部門などの人事担当者から情報収集を行ったり、部門長へのヒアリングを行うといった例もございました。

 労働組合を通じて収集する場合、労働組合が集めた組合員の声を協議の場で伝えることや、労働組合から非公式に従業員の声を収集するという例もございました。

 続きまして、「2.労使協議・労使交渉の過程における従業員の意見の把握、制度趣旨の説明」についてですが、制度設計の段階から労働組合へ提案し、制度趣旨を伝えたことが、早い段階からコンセプトの共感につながった。段階を経てプロセスを踏んだため、従業員の納得性を高めることができた。団体交渉や協議の場で繰り返し会社の考えを説明し、組合からの要望も踏まえて修正を行った。経営陣が労働組合の支部大会に出向き、制度変更の必要性等を説明した。組合員が意見を述べる機会を設けたことにより、組合による疑問点や不満の解消につながった。労働組合の幹部の理解を得て交渉を行い、導入の趣旨を丁寧に説明した。機関誌によって組合員へ周知したといった例がありましたが、いずれも時間をかけた、納得性を高めるための丁寧な取組がなされているといった共通点がございました。

 続きまして、「3.新制度の説明」でございます。ここでは、制度確定後の説明状況をヒアリングした結果についてまとめております。納得性を高めるための丁寧な説明を行うため、職場ごとに説明会を実施した。人事担当者もしくは上長より、資料を配付して丁寧に説明を行い、質疑応答の時間を設けた。欠席者に対して、録画した説明会の動画を用意した。イントラネットに制度概要を掲載した。社長メッセージを配信したなどの例がございました。

 次に、次のページの「4.新制度の運用及び従業員の評価」でございますが、前回の検討会において効果についての御質問がございましたことも受け、制度導入後の従業員の評価、もしくは人事担当者の評価をお伺いいたしました。

 運用については、導入後、制度が適切に運用されるよう、継続的に教育を行ったり、社員の声を反映させたり、力を入れて取り組まれており、評価については、意識調査で満足度が向上しているところなど、社員に評価されていると認識されているようでございました。

 続きまして、資料を1ページおめくりいただきまして、「5.今後、検討を行う企業への助言」ということで、実際に賃金制度の変更を行った経験をもとに、これから制度変更を検討する企業への助言をいただきました。この点、特にプロセスについての回答が多く寄せられ、密なコミュニケーション、制度を一緒に作り上げること、丁寧な説明と段階を踏んだプロセスの実行、会社の意図を真摯に説明する。将来目指すべき姿を説明し、理解を得る、一方的に制度変更を押しつけないなどがございました。

 最後に、「6.子ども手当の支給基準」についてですが、ご回答いただきました企業につきましては、どの企業も税制上の扶養対象か否かを支給の基準としておりました。これに加えて、さらに年齢制限をつけたり、また健康保険上の扶養家族であることを条件としたりしている企業もございました。

 続きまして、資料1−2の御説明に入らせていただきたいと思います。こちらは、前回の検討会では御紹介できなかった企業事例について、追加でもう1社御紹介させていただきます。

 こちらの企業は、従業員規模が100名未満の労働組合がない企業の事例となっております。こちらの事例では、親会社の変更に伴う人事賃金制度の変更によって、年功給、職能給型の賃金制度から、成果型の賃金への変更となり、それに伴い配偶者手当を含む各種手当が廃止された事例となります。

 各種手当を廃止し、その原資については基本給部分へ組み入れた結果、若手社員のモチベーション向上につながったとのことでして、新制度における支給総額が旧制度における支給総額を下回る人には5年間の経過措置を設け、支給額を徐々に減らしていったとのことでございました。

 続きまして、資料1−3の説明に入らせていただきます。「中小企業における賃金制度見直しの状況について」でございますが、こちらにつきましては、前回の検討会において、中小企業の方は制度見直しについての他社の取組に関心が高いとのお話でしたので、数多くの中小企業の相談を担当されている東京商工会議所の専門相談員の方、この方々はいずれも社会保険労務士の方でございましたけれども、この専門相談員の方2名からお話を伺い、円滑な見直しに向けたプロセスや、従業員の納得性を高めるための取組など、実際に役立つ情報を得ることができました。

 まず、お1人目のA専門相談員からのヒアリング結果でございます。まず制度設計に当たっては、50名規模ぐらいまでの会社であれば、初動の段階から仕事の洗い出しを行ってもらったりすることで従業員に関わってもらい、100名以上の規模の会社であれば、管理職や次期管理職等関係社員を集めて制度設計をされるといったケースが多いとのことでございました。また、設計に概ね1年程度の期間をかけて行われていることが多いということでございました。

 次に、「制度変更の内容について」でございますが、ご担当された事例としては、原資を基本給へ振り替えるケース、また家族手当を廃止する場合、子女への一時金として支給するケースなどがあるようでございました。

 なお、手当の原資を基本給に振り替えるケースについては、中小企業におきましては退職金や割増賃金への影響も考慮して検討する必要があるケースもあるが、退職金の算出の計算式に基本給が含まれていないことも多いとのご回答でございました。

 次に、経過措置でございますけれども、経過措置の期間や内容については、制度設計の議論の過程で検討されることが多いということで、2年から3年程度の期間の移行措置を設けることが多いとのことでございました。また、期間をどの程度とするかについては、制度見直し後に資格取得や昇格などによって賃金額が上昇する可能性を勘案して、資格取得に通常必要となる期間を設定するようアドバイスしたりしているとのことでございました。

 続きまして、裏の頁、「従業員の納得性を高めるために」ということでございますが、従業員の納得性を高めるためにはどのようなことが重要かという点について、一方的なトップダウンでは納得性が得られにくいため、社員一人一人を参画させ、意識を高く持つことで納得性、そしてモチベーションや定着率の向上へつながるとのことでございました。また、丁寧な説明を心がけることが必要であり、社長自らの説明だけでなく、社労士も同席して説明を行うこともあるとのことでございました。

 続きまして、お2人目のB専門相談員からのヒアリング結果についてご紹介させていただきます。まず、制度設計に当たってでございますけれども、最近の賃金制度の相談の傾向としては、社員への還元のための制度変更に対する相談が増加しており、優秀な人材への配分を大きくしたいというニーズは高いとのことでございました。特に丁寧な制度設計、従業員への説明、そして原資維持に関してのアドバイスを重視しているとのことでした。

 また、この専門相談員の方は、IT企業を御担当されることが多いとのことでしたが、IT業界のようにスピードが求められる業界では、半年から1年程度といった短めの期間で制度設計から周知までを実施するということが多いとのことでございました。

 次に、制度変更の内容についてですが、賃金制度については職務給への変更となる企業が多いとのことでございました。また、IT業界では、若手社員や未婚者、子供のいない従業員比率が高いことも多く、配偶者手当をそもそも導入していない企業が多かったり、あと、子供手当へ原資を振り替えたり、資格などの取得に対する手当を支給したりするというようなケースもあるとのことでございました。

 経過措置についてですが、こちらは若干短めで、半年から2年程度の設定としている例が多く見られるとのことでございました。また、減額のタイミングですが、半年程度、旧制度の支給額を維持し、その後、段階的に減額されるといったケースが多いとのことでございました。

 最後に、「従業員の納得性を高めるために」でございますが、20名未満の企業であれば、経営者自ら説明を行うことが多く、職務給へ変更する場合には格付けにおいて納得性のある説明をするため、人事評価制度の確立、評価結果の透明性が重要だとのご回答をいただきました。

 議題1に関する資料の説明は以上となります。

○阿部座長 ありがとうございました。

 ただいま資料1−1で、第1回検討会で御報告いただいた事例紹介企業に対しての追加ヒアリングの結果をご報告いただき、資料1−2では、第1回ではご紹介いただけなかったR社の事例をご紹介いただきました。そして、資料1−3で、中小企業における賃金制度の見直しの状況について、東京商工会議所の専門相談員からのヒアリング結果を御報告していただきました。

 これら資料1−1から1−3まで、どの資料からでも結構ですので、もし皆さんのほうからご意見、ご質問等があれば、ご自由に議論いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。どなたからでも結構です。

 大嶋さん、お願いします。

○大嶋委員 ありがとうございます。

 東商の専門相談窓口の専門相談員の方のヒアリングは大変参考になりました。特に私として注目した点は、手当について配偶者手当よりも子女の養育や介護へのニーズが高いという点でございまして、共働き比率が上昇する中で従業員のニーズもかなり変化してきている可能性がある。特に中小企業は賃金カーブがフラットなので、色々な手当を用意することで、子女の養育費だったり、配偶者の生計費であったり、あるいは技能習得の奨励といった形で使用されていると思いますが、家族形成の変化も踏まえて、ニーズが変化している可能性を踏まえて、改めて従業員のニーズを確認する必要があるのではないかという点について、少し報告書で盛り込むようなことも可能ではないかと考えました。

○阿部座長 ありがとうございました。非常にいいポイントかと私も思います。

 他にはいかがですか。

 では、戎野委員、お願いします。

○戎野委員 まず、前回、事例に関して、賃金制度の変更の目的、その変更過程、プロセスですね、その結果どういう効果が上がったのかというところをぜひ明確にというお願いをしましたところ、今回かなり詳細に、また大企業のみならず中企業小企業の事例も上がってきています。こういうものをご紹介するということは、今後賃金制度を考える多くの企業、また労働者にとって有益なのではないかという感想を持ちました。

 それから、今お話のありました、この相談窓口についてですけれども、やはり労使で決めていくことですので、納得性を持つということは、労にとっても、使にとっても非常に重要だと思います。特に中小企業の場合、問題だなと思っていても、具体的に問題を洗い出し、どのように賃金制度を改革していったらいいのかというところを悩まれている経営者もたくさんいると思うのです。そういったときに、こういった専門の人に相談しながら、自分たちの問題点ややりたいこと、そしてそれをやった場合にどういうプロセスを踏んで、そして効果が期待できるのかということを相談できる窓口というのは非常に重要ではないかと思います。

 また、労働者側も経営側がどういうことを目的にして何をしようとしているのかということを、もちろん経営者からの丁寧な説明、先ほどの事例にもありましたけれども、たくさん時間をかけた丁寧な説明は非常に有益だと思うのですが、そのほかにも第三者の専門の方からのお話というのは、非常に納得感を持つし、当事者意識を持って積極的に改革に自分も乗っていこうと思える一つの重要な手段ではないかと思いました。

 こういった窓口というのは、労使にとって、これからどうなるのだろうという不安や、本当にこんなことをしていいのかなという不信、そういったものを払拭できるという意味で、非常に大きな意味を持ってくるのではないかと思います。

 このほか、例えば労働相談センターとか、もちろん労組の窓口等々、色々あると思うのですけれども、そういったものをできれば報告書でいろいろ手広くご紹介して、経営側もここで相談できるし、労働者側も何か不安だったら相談できる、そういった情報を提供するというのは、今後こういう改革をしていく上で非常に心丈夫なのではないかなと思いました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。

 第1回のときに、賃金制度変更等に関しての目的、プロセス、効果の把握というのは大事だと皆さんおっしゃっていただいて、今回追加ヒアリングでそのあたりを確認していただけたと思いますが、私の感想としては、これはこれでいいのですけれども、失敗した事例はないのかというのが、みんなうまくいった事例ばかりで、うまくいった事例を書けば、それをやらないと失敗しますよということにはなるのだろうとは思うのですけれども、何か失敗した事例が1個ぐらいあってもよかったかなと思うのですけれども、みんないい事例だったような感じがします。

 あと、相談窓口の話ですけれども、こういった賃金制度を変更する際に専門相談員が出て、第三者がいろいろと尽力されるということは大事なポイントなのかもしれないですね。そのあたりをどういうふうに報告書に書くかというのは、ちょっとまたご相談させていただければと思います。

○戎野委員 特に中小の場合は、ですね。

○阿部座長 そうですね、特に中小企業において、大事ですね。ありがとうございました。

 他に。では、守島委員、お願いします。

○守島委員 守島でございます。前回は欠席して失礼しました。

 こういう納得性をとっていくという作業は、すごく重要な話だと思います。特に、労働組合があればいいのですけれども、労働組合のないところもたくさんありますし、労働組合が弱いところ、もしくは2つに分裂しているところ、たくさんあると思いますので、こういう形で会社が主体性を持って納得性を確保する作業をしていくというのは、私は非常に重要な話だろうと思います。

 それを言った上で、阿部先生も言われましたけれども、やはりそろい過ぎているかなという感じはちょっとします。したがって、今回の資料1−1で制度を考える前のニーズ把握、それから制度設計側のコンサルテーションといいますか、相談、制度を入れた後の様々なフォローアップ、みんな重要だと思うのですけれども、聞いていただきたいのは、どこが一番重要でしたかというような、相対的に見てここを失敗すると絶対に困ると思っていたところはどこですかというようなことを聞いていただけるといいかなと思います。それは、ここに聞いてもいいし、相談員のような方にも聞いても構わないと思います。

 特に、企業の場合はニーズを把握しないで始めてしまったとか、先ほど大嶋委員が言われましたけれども、そういう可能性はあるので、そうなったときにどこにフォーカスすればいいのかとか、そういうこともあると思うので、全てそろっていない状況の場合に何をすればいいのかというのも少し考えていただけるといいかなという感じはしました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。何か事務局で追加的に情報はありますか。

○増田大臣官房参事官 ご指摘ありがとうございます。資料1−1の中でございますと、特に「5.今後、検討を行う企業への助言」という形で、4ページに挙げておりますが、ここに書かれている内容は、その前の1から4の中にも入っているものが多いかと思うのですけれども、特に今後行う企業への助言ということでおっしゃられていたのがここに掲げられている内容でございますので、制度内容とか制度導入後の話も出てはおりますけれども、見直しのプロセスとして、それぞれの人事の担当の方が一番重要だったということを挙げていただいているのかなと思っておりますけれども、その辺、もう少し確認できるのであれば、次回までに確認はしたいと思っております。

 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございます。

 確かに、検討を行う企業への助言ということであれば、ここは大事だということなのだろうと思います。でも、これを見ていると、ここでずっと皆様からお話が出ているコミュニケーションと納得性というのがずらっと出ているというのはそのとおりかなと思いました。ありがとうございました。

○増田大臣官房参事官 ここには、先ほど座長がおっしゃいました、ちょっと失敗したなということも含めて助言という形で現れているということもあるのかなと。表立って失敗しましたというお話はなかなかしにくいのではないかということで、今後検討を行う企業への助言という形で、別途項目を設けさせていただいてヒアリングをさせていだいております。

 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございます。

 他にいかがですか。では、安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 日本大学の安藤です。

 資料1−3のヒアリング結果はとても勉強になりました。企業規模とか業種によって、対応のスピード感であったり、移行措置の長さ、こういうものに違いがあるということ自体が、恐らくこれから取り入れようとしている企業にとって参考になる事実だと思います。よって、アドバイスをする際など、留意点として明記してもいいのではないかと感じました。

 また、配偶者への手当から例えば子供への手当に変えるなどということも、家族形態に中立ではないという観点から、もしかしたら様々な異議等が出るかもしれません。場合によっては基本給に振る方がいいのか、それとも労働者が納得していれば、介護であったり、子供手当に回していいのか、このあたりはちょっと難しい課題になり得る論点だと思っています。

 というのも、これは労使の対立というよりも、労働者同士の対立という面があるからです。例えば世代であったり、家族形態が異なる労働者同士で、どの制度にするかによって理解が異なるということが考えられるわけで、これを多数決で押し切っていいのかとか、労働者の過半数が賛成していたらいいのかというのは、残された少数派の人々がどう考えるのかへの配慮が必要です。こういうところでモチベーションの低下とかをもたらしてしまうともったいないですね。企業もそういうことは当然考えるでしょうけれども、そういう観点から、賃金総額が減らない形でやるにしても、その持って行く先には色々なパターンがあると思うので、そこへの配慮は必要かなと思いました。

 また、労働者が納得している、というこの納得感という言葉に2つぐらい意味がある気がしていて、まず前よりも全員が良くなってハッピーだという可能性はありますが、一方で時代の変化だし、みんなそう言っているからしょうがないかという意味での納得の可能性もあるわけです。それでもモチベーションが落ちない限りで世の中の変化に対応して、昔はたばこが吸えたのが吸えなくなったとか、そういうように企業内での文化が変わることは多々ございますので、理解を求める。全員が前よりハッピーになるというのがなかなか難しいとしても、丁寧な説明が求められるのではないかなと感じました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。企業規模、業種でスピード感が違うというのも大事だろうと思いますし、どういうふうに手当の変更をして、その原資をどこに持っていくかというお話で、労働者同士の問題というのもあるかもしれませんが、意外とここの資料1−3の真ん中ぐらいに書いてある、原資を基本給へ振り替える際に、他の制度に影響する。退職金ですとか割増賃金ですとか、そういうところも配慮しつつやっているので、必ずしも労働者同士のあんばいだけではなくて、賃金制度そのものをどうしていくかというところも大事なポイントのような気がしますので、もちろん労働者同士の問題というところも大事だとは思いますけれども、その辺りも色々考えておやりになっているのだろうなということは思いました。それは私の感想です。

 確かに納得感を得られるといいのでしょうけれども、仕方がないというのもあるのかもしれないですね。でも、納得していただいているのかな、今までやってこられた会社では、そういった納得感をどうやって得られるかにかなり注力されているような気が、ヒアリング結果をお聞きすると、そんな感じかなと思います。そういうところが大事だろうということではないかと思います。

 神吉委員、お願いします。

○神吉委員 神吉でございます。

 私は、資料1−3が非常に参考になりました。ちょっとそろい過ぎという意見は確かにあるとは思います。思います。一方で資料3−5のところで労働条件変更や賃金制度変更に係る裁判例というのが出てきます。裁判例というのは裁判で争うというかなりの失敗例なのでなの、このヒアリング結果はヒアリング結果として好事例を集め、かつ、失敗に対しては裁判例という公けになっている失敗から学ぶというのはどうでしょうか。ヒアリングだとなかなか失敗例は出てきづらいので、こちらのほうでそういった反面教師的にするということも一つあり得るかと思っております。

○阿部座長 適切なアドバイスをありがとうございました。ぜひ報告書にそのように活かしていただければと思います。

 では、山川委員がお見えですけれども、途中ですので、また何かあればご発言いただいて、時間もございますので、議題2に進んでいきたいと思います。

 それでは、議題2の資料のご説明をお願いします。

○千谷賃金時間室企画官 それでは、議題2の資料についてご説明させていただきます。

 まず、資料2−1でございますけれども、こちらは数値的なものとして、「平成23年パートタイム労働者総合実態調査の概況」をご紹介させていただきます。

 1ページ目、表2−1−1をご覧下さい。こちらの表では、パート労働者におけるパートを選んだ理由別の割合をお示ししております。複数回答となりますが、女性の中で最も多かったパートを選んだ理由は、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」で、これが58.6%、次に「勤務時間・日数が短いから」といった理由が38.6%となっておりまして、「就業調整(年収の調整や労働時間の調整)ができるから」という回答が続いて21.9%となってございました。

 続きまして、2ページをご覧いただければと思います。こちらは、働いている理由別パートの割合となっております。こちらも、1ページ目の調査と同様に複数回答となっておりますが、最も多かった回答が2番目の「主たる稼ぎ手ではないが、何らかの家計の足しにするため」で、全体で56%、女性のみで見ますと、70.9%となっておりました。

 次に、3ページ目でございますけれども、就業調整の有無及び就業調整をする理由別割合ですが、こちらは第1回検討会で既にご紹介させていただいております。まず、上部の表は、就業調整の有無及び就業調整をしない理由別パートの割合ですが、就業調整をしているパートは全体で15.6%、配偶者がいる女性に限ると21%という結果になっております。下の表は、その理由別の結果となっておりますが、1行目と3行目は、第1回検討会でも紹介させていただいた数値で、上の表で就業調整をしていると回答した人を100%としたときの割合となっておりまして、配偶者がいる女性で見た場合、就業調整をしている人の中では20.6%が、配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなることを理由として挙げております。

 なお、2行目と4行目のほうは、就業調整をしない人も含めた全体を100とした場合の割合をお示ししたものとなっております。

 続きまして、資料2−2をご覧いただければと思います。こちらは、日本チェーンストア協会の主要会員企業へのヒアリングの内容をまとめたものとなっております。スーパー・量販店は、上部の囲み枠の中に記載しておりますとおり、従業員構成比率に占めるパート労働者の割合が平均して約76%と、パート労働者を多く雇用されている企業が多いことから、これらの企業における就業調整の実態についてヒアリングをさせていただきました。

 まず、「就業調整の状況」ですが、何らかの形で就業調整が行われる実態がある企業が多くございましたが、全パート労働者に占める就業調整を行う従業員の割合は、企業によって5〜10%程度の企業から、約半数の方が就業調整を行うといった企業など、様々でございました。

 また、その就業調整の理由について従業員に確認をしたというある企業においては、第1の理由が「家庭の中で手が空く時間の範囲で働きたい」、第2の理由が「103万円、130万円の壁を超えないように働きたい」ということでございました。

 次に、「就業調整の問題点及び対応」でございますが、販売・接客業務は機械化になじまず、「人」に頼らざるを得ないという特性があり、就業調整が行われることが多い年末が繁忙期と重なる業界でもあるため、特に年末の人材確保には各企業とも苦慮している。それから、店舗での販売・接客が核であるので、従業員には高いレベル感が求められているため、特にそのような従業員が就業調整を行うことは企業としての影響が大きいといった、人材の確保の面での問題点を指摘する声が多くございました。

 それから、4つ目の〇や5つ目の〇ですが、こちらでは103万円、130万円の壁を超えずに就労するために賃金上昇を拒む場合があるといった声や、教育や資格の取得、評価などを実施して時給に反映させた場合、時給の上昇のために働く時間が短くなってしまう傾向がみられるといった声もございました。

 次に、裏の頁にございます、「就業調整に対する各企業の工夫」という点でございますが、この点につきましては、計画的に就業できるようにするため、年初からの支給累計金額を給与明細に記載することや、シフトを計画的に組んでいるといった取組、それから6時間以上の勤務者と4時間未満の勤務者とに振り分けることで、計画的に配置しているといった声がございました。

 また、「パート労働者の活用と意識」という点では、必要な教育投資を行うことで、離職率を低下させることが重要だといった声がある一方で、課題といたしまして、責任が重くなることを拒むパート労働者も少なくないことや、社会保険料負担が増えることから、心理的に130万円を超えて働くことに対してモチベーションが低くなること。それから、今年10月1日以降の第3号被保険者の適用拡大の実施に備えたアンケートでは、労働時間を長くするのではなく、103万円、106万円の範囲で就業すると回答した方が9割あり、労働力確保が至近の課題であるといった声もございました。

 その他、高稼働時間となる16時以降に働くためには、保育所の整備など、社会インフラが整うことも必要だとのご指摘をされた企業もございました。

 次に、今後、「配偶者手当の見直しが進んだ場合の就業調整への影響」という点でございますけれども、個人の働き方によるため、一律に考えることは難しいものの、一定の影響や効果があるであろうとのことでございました。ただ、この点に関しては、手当の見直しによって世帯収入が減る場合には、パート労働者がより長時間働く要因となり得る一方で、働きたい時間との関係や社会保険適用との関係から短時間労働化するということも考えられるので、不透明な問題であるとのことでございました。

 最後に、「その他」といたしまして、配偶者手当については時代とともに変化する側面があると感じている一方で、同業他社との関係で、自社だけが廃止するとよい人材を確保できなくなるおそれがあるので、見直す場合には産業界全体で考える必要があるのではないかといった問題提起もございました。

 なお、他に百貨店協会の加盟企業についてもヒアリングを実施させていただいていたのですが、本日の会議には全体の取りまとめが間に合わなかったことから、これまでのヒアリングをさせていただいた結果の概要を簡単に口頭でご説明させていただきます。

 百貨店協会の加盟企業につきましては、各企業によって事情や従業員構成などは様々でございましたが、就業調整が行われている割合につきましては、多くて2割未満、あるいは就業調整がほとんどないという企業もございましたので、全体としては就業調整が行われている割合はスーパーと比較して低いという印象でございました。

 また、就業調整に対する各企業の工夫としましては、事前に年間所定労働時間を定めてシフトを組んでいる。それから、従業員に対して年初より計画的に勤務するようお願いをしている。それから、就業に当たっては、社会保険に加入できるような勤務時間とする対応も行っているといった声がございました。

 議題2に関する資料説明は以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。ただいま資料2−1で、データから就業調整の状況をご説明いただき、資料2−2で、就業調整の状況について日本チェーンストア協会の主要会員企業からのヒアリング結果をご説明いただきました。百貨店協会からのものはまだまとまっていないということでしたが、口頭でご説明いただきました。

 これについて、ご質問あるいはご意見がございましたら、先ほどと同様、ご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 これは、もともとタイトルにもありますように、「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」ということで、配偶者手当の存在というか、配偶者手当があることによって、配偶者の就業に非中立的になっているのではないかということから、この就業調整がどういう状況になっているかというのをお調べいただいているということかと思います。

 結果としては、いろいろな方向性があるのかなと。労働時間が長くなりますと、女性活躍にはプラスの効果もあるという一方で、むしろ、もしかしたら就業時間を短くするという調整を行う方々もいるのではないかと、ヒアリング結果からはそのように考えられるわけで、どちらの方向もあり得るのかなということをお聞きしながら思っていた次第ですが、先生方からは何かご発言はございますか。

 では、戎野委員、どうぞ。

○戎野委員 パートタイム労働者に関して、就業調整をしているかどうかということは、、今回のテーマの配偶者手当がどういう影響を与えているかということで非常に注目するべきことです。けれども、以前百貨店業界の方に話を聞いたときに、パートタイムパートタイム労働者がお客お客が一番たくさん来る夕方に減ってしまうことも少なくなく、そこのところを正社員が補うことによって、正社員が非常に長時間になってしまって、いわゆるパートタイム労働者だけの問題ではなくなっていました。

 その問題を労使で検討した結果、契約社員を増やすということをもって労働時間の問題をクリアした事例もありました。そのため、パートタイマーが先ほどのチェーンストアに比べると就業調整をしていないというのは、もう契約社員とパートタイマーといわゆる正社員できちんと区分して、そこの段階で既に時間調整をしっかりするような体制をとってきているところがあるると思います。

 もちろんパートタイマーの就業時間というのを見るのは重要なのですけれども、そこの職場を構成しているほかの雇用形態との関係性も、実はこの裏にはあるのではないかと思います。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 ありがとうございます。

 資料2−2のチェーンストア協会へのヒアリング結果に関しまして、3ページ目の手当の見直しにより労働時間が長くなる方もいらっしゃれば、短くなる方もいらっしゃるという話がございました。

 これに関して、特にパートタイムの賃金が低めの地方では、130万円の年間収入を得るために必要な週の労働時間が30時間に近くなってくるということがございます。そうした状況を前提とした場合、配偶者手当による103万円の壁はなくなったとしても、配偶者の収入が130万円の壁を超えて夫婦の可処分所得が減らない155万円近辺まで行くというのは非常に難しい状況ですので、前回、座長がおっしゃいましたように、社会保険の制度との関係も非常に重要になる。

 併せて、女性に家事、育児の負担が集中することによって、女性が就業時間を増やせないという問題も、この検討会の本論ではございませんけれども、あわせて解決していくということが、配偶者手当の見直しを進めるに当たって、その効果を女性活躍に結びつける上では非常に重要なのではないか、その点も触れるべきなのではないかという感想を持ちました。

○阿部座長 ありがとうございます。私の頭の中に、報告書をどう書いていただこうかなというところがあって、今、大嶋委員のご発言からすると、女性活躍に比重をかけて、配偶者手当だけではなくて、それ以外の環境も色々整備する必要があるのではないかという。

○大嶋委員 併せてです。

○阿部座長 併せてですね。そういうふうになるということもあるし、就業調整の話で書くというのもあるかなとは思ってはいたのですけれども、大嶋委員のおっしゃるような点をむしろ書いたほうがいいかもしれないですね。どうですか。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 そこはどこまで踏み込むのかというのは、とても難しい課題だと思うのです。夫婦間での役割分担というか分業を考えた際に、両方とも夫婦それぞれが同じ時間、同じ程度外で働いて、全く同じ程度家事をやるというのが、その夫婦に合っていればいいのですけれども、やはりその中での話し合いで決まる要因というのもあるわけです。制度的に中立な部分を目指すところまでにするのか、それとももう一歩踏み込むのかといったときに、そこはなかなか難しいかなと感じます。

○阿部座長 ありがとうございます。おっしゃるとおりかもれません。またそれは皆さんと検討していきたいと思います。

 私が脱線させてしまったのかもしれませんが、他にいかがでしょうか。守島委員、どうぞ。

○守島委員 まず、お伺いをしたいのですが、ここでチェーンストア協会主要会員というときに、企業名は挙げていただかなくていいですけれども、どういう企業が前提になっていると理解すればよろしいのでしょうか。例えば大手のスーパーであるとか、そういうところですかね。

○千谷賃金時間室企画官 大手のスーパーさん、あるいは量販店さんが多かったです。

○守島委員 分かりました。そうなってくると、多分そういう企業では、言い方がいいかどうか分かりませんけれども、就業調整が人事制度の中に組み込まれているというか、ある意味ではもうそれを見越した上での人事をやっておられるところが非常に多いと思うのです。そうなると、もう個人の選択で何をやっているということではなくなってくるように思います。

 ですから、就業調整の数で見た場合に、先ほどの戎野委員の議論とちょっと似てくるのですけれども、低いということがどういう意味なのかというときに、そういうこともぜひお考えいただくといいかなと。それをもう組み込んだ上でシフトを組んでいますというのは、それを前提としてもう全てのことを決めてしまっているわけなので、そういう状態ではない状態も望むのかどうかというのは、この研究会の一つのポジションだと思うのですけれども、そういう感じがしました。

 以上です。

○阿部座長 色々とまた考えて、どういうふうに書いていくか。どちらかというと、戎野委員と守島委員がおっしゃっていたのは、パートの人たちをどう活用していくかというところでのお話かと思ってお聞きするのですけれども、私の念頭にあったのは配偶者手当が就業調整にどう影響しているかということで、もちろんその就業調整があるから労務管理がどう変わっているかという流れもあるかもしれませんが、そこまでは言っていなくて、配偶者手当、控除と就業調整のところのつながりといったところを意識して書くのかなと思ってはいたのですが、そこから先もあってもいいかもしれないということですよね。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 就業調整の実態について、今、データをお示しいただいているのですけれども、その就業調整があることがどういった影響をもたらしているのか。そこまで書かないといけないのではないでしょうか。就業調整があるのがどういう面で良くないのかという面で、先ほど戎野委員からあったように、就業調整をやらないでも契約社員でうまくやっているところもあればというところで、手当すべきところはしているという話なのか、それとも就業調整があるようなパート社員の方々というのは、それほど賃金を上げたいという方向にあまり圧力がないとすると、それによりパートであるけれども、就業調整せずにたくさん働いてたくさん稼ぎたいという人の賃金を下げてしまうような圧力にもなりかねないわけです。なので、女性はもっと働きたいのに抑制されている、就業調整をしている人がかわいそうとか、問題があるというだけではなくて、例えばほかの就業調整をしていないパートの方にも波及効果として悪影響があるからもう少し考える必要があるとか、その実態だけではなくて、どこにどういう影響が及んでいるのか、そこについても何か必要であれば書いてもいいのかなと感じました。

○阿部座長 分かりました。どうするかはまたご相談させていただきます。

 他にございますか。山川委員、どうぞ。

○山川委員 前回欠席して、今日も遅れて参りましたので、議論についていけていないかと思いますが、就業調整だけをとってみると、先ほどの資料2−1の3ページにもありますように、また座長もおっしゃいましたように、社会保険のほうが動機になっている比率が結構高いような気もしますので、やはりそういうものも考えないといけないという感じがします。

 あと、雑駁なお話になってしまいますけれども、資料2−2で割とおもしろかったのは、これも今の社会保険との関係で言えば、160万円程度まで働かざるを得ないので抵抗感があるということです。この辺りも割と実感としておもしろいところかなと思いました。ただ、これは負担が増えるというだけで捉え切れないといいますか、社会保険に加入すると、将来、例えば年金とかではね返ってくるベネフィットがあって、しかしそれは直近では目に見えないための負担増感だなという感じがしますので、その辺りの意識の啓発の問題もあるかなと思いました。

 3点目は、非常にランダムなのですけれども、就業調整でチェーンストア協会のお話を見ていると、本当に苦労されていることが分かるのですが、就業調整は働き方に中立的ではなくて、働くのを阻害しているという点と、それをなくすことによって利益を得るのは、要するにこういうチェーンストア協会のようないわばパートに依存している業界だと。しかし、一方で、例えば配偶者手当をなくすことによって、逆にその配偶者手当をもらっている企業の労働者はチェーンストアとは直接関係ないところであると。つまり、帰属する利益と起きる現象の帰属先が違うというか、全体的にパートの労働力の活用が阻害されるという全体的な生産性の向上の問題と、具体的に利益の帰属と、それによって例えば負担ないし不利益を受ける状況がやや錯雑としているというか、利益を受けるところと不利益を被るかもしれないところがずれてくるということがあって、全体的な視点が入らないとなかなか説明が難しいところもあるのかなという気がしています。非常にランダムな話で恐縮ですが。

○阿部座長 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 その点については、どこを出発点にするかだと思うのです。現状から考えると、どこかが得をして、どこかにゆがみが発生するように見えますし、また本来中立的なところをベースとして考えたら、今がゆがんでいたのであって、それを取り除いたら本来の姿に戻るという頭の整理も可能なわけで、それは価値判断の基準をどこに置くかということだと思うのですが、確かに山川委員がおっしゃるように、それによって何で自分たちがこのしわ寄せを食らっているのだと感じてしまう人たちもいないこともないと思いますので、そこもやはり当事者に対する企業側にも、こういうことがどういうメリットがあるのかという丁寧な説明が必要なのだろうなと感じました。

○阿部座長 私も、山川委員の最後の3点目のお話をお聞きして、ミクロ経済学で言うと、労働者余剰、企業余剰(生産者余剰)、そして総余剰とあるのですけれども、もし中立的ではなくて市場のゆがみがあったとしたら、そのゆがみを取り除くと結果的にそういう総余剰は増えるという可能性が高くなっていくのではないかと思います。それが生産者側に行くのか、労働者側に行くのか、あるいは個別のどういうところに行くのかというのは別の話にはなるかもしれませんが。

○山川委員 非常に興味深いところで、それはある意味では法学者というか、法律家と経済学者の発想の違いといいますか、法律家からすれば、現状における権利とか利益が、後で出てくる経過措置とも関わるのですけれども、ある一定の利益が現状で配分されているとすると、それが削減されるというのは一種の利益侵害とか権利侵害ということになるので、割とそこを強調するのですが、多分経済学者からすると最初の段階、いわば原始的な状態を考えた合理的な資源配分ということの効率性を考える。何かそのようなことを感じた次第です。

○阿部座長 どこまでやるかは、これも相談させてください。ありがとうございました。

 どうぞ

○増田大臣官房参事官 今の議論をお伺いいたしまして、私どものほうでヒアリングの内容から補足をさせていただきたいと思います。

 戎野委員、守島委員からお話がありましたように、百貨店協会については、先ほどおっしゃられたように、そのような実態を踏まえて、かなり人事制度的に組み込んでいる、進んでいらっしゃるという印象を私どもは受けておりまして、逆にスーパーさんは非常にパート労働者の方が多い。一人でも多く働いていただきたいという状況がありますので、そこは計画的に全て組み込むようなことがまだなかなかできていないということで、そういう業界として一番影響が出ている、ということをヒアリングを通して私どももご紹介できたのかなと思っております。

 また、山川委員からお話のありました社会保険との関係でございますけれども、やはり関係者の方からも、目先の負担の話が大きく認識され、後に年金額が増える等の話についてはなかなか伝わらない、というような話もヒアリングのときにされていたと聞いておりますので、ご紹介させていただきます。

○阿部座長 ありがとうございました。

 まだ色々と議論する点があるかもしれませんが、時間の関係もありますので、議題3に進めさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いします。

○千谷賃金時間室企画官 議題3「配偶者手当の見直しを行う場合の留意事項について」を説明させていただきます。

 まず、資料3−1でございますけれども、こちらは「労働条件の決定方法」ということですが、配偶者手当は賃金に該当し、労働条件の一つとなりますので、労働条件を決定する仕組みには、労働契約、就業規則、労働協約の3つの仕組みがあることについて、それぞれ簡単に概要をご説明させていただきます。

 まず、労働契約ですが、労働契約とは、労働者が使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うという契約でして、労働者と使用者の合意によって成立・変更されるというのが基本となっております。ただし、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分については、就業規則の定める基準により規律されることとなっております。

 次に、就業規則ですが、就業規則とは使用者が労働者を雇用する事業場において、当該事業場の秩序を維持し、業務運営を効率的に進めるため、統一的・画一的に定める職場の規律のことを言い、この中で賃金や就業時間などの労働条件が定められております。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務づけられておりまして、変更の場合にも同様に労働基準監督署への届出をすることが必要となります。また、就業規則の作成、変更に当たっては、事業場における過半数組合か、それがない場合には過半数代表者の意見を聞かなければいけないこととなっております。

 最後に労働協約ですが、労働協約とは、労働条件その他の事項に関する労働組合と使用者との合意のことを言います。労働協約の基準に違反する労働契約の部分は無効となり、無効となった部分はその基準の定めによるとされています。また、就業規則は労働協約に反してはならないこととなっております。ただし、労働協約に定める労働条件の基準の適用は、原則として当該労働協約を締結する労働組合の組合員に限られ、それ以外の労働者はいわゆる一般的拘束力の発生要件を満たす場合に、その適用を受けることとなっております。

 続きまして、資料3−2についてご説明いたします。こちらは、厚生労働省作成の「労働契約法のあらまし」の労働契約の成立及び変更の部分について抜粋してございます。労使において、配偶者手当など、賃金制度を見直すこととした場合には、労働条件を変更することとなりますので、その関係法令の紹介をさせていただきたいと思います。

 この資料の14ページ、8条のところをご覧いただければと思います。「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」となっております。

 続きまして、次のページで、こちらは就業規則による労働契約の内容の変更について規定している9条、10条の紹介になりますが、まず9条では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と規定されておりまして、その例外が10条に規定されています。

10条では、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」として、就業規則の変更によって労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとされる場合を明らかにしております。

 なお、これらの条文は、後で紹介させていただきます確立した最高裁判所の判例法理に沿って規定したものでありまして、判例法理に変更を加えるものではないとされております。

 続きまして、資料3−3でございますが、こちらはグローバル企業等が我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めるとともに、労働関係の紛争を生じることなく、事業を展開することが容易となるよう、国家戦略特別区域法に基づいて定められた労働関係の裁判例の分析・類型化による雇用指針でございます。

 こちらも労働条件の設定、変更部分の抜粋をつけておりますが、資料の12ページあたりに労働契約法の8条、9条、10条の内容についての説明がございます。これに記載されております判例については、まとめて後ほどご説明させていただければと思います。

 続きまして、資料3−4をご覧いただければと思います。こちらは、労働協約について、労働組合法のコンメンタールの抜粋を紹介させていただいております。先ほど、資料3−1で簡単に御説明させていただきました一般拘束力については、17条に規定されております。資料の6ページになります。その17条では、同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一つの労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるとなっております。

 そのほかの配付資料につきましては、必要に応じてご確認いただければと思います。

 続きまして、資料3−5、「労働条件変更、賃金制度変更に係る判例」についてご説明いたします。まず、1枚おめくりいただきまして、判例目次がございます。この資料の構成といたしましては、就業規則の変更に係る基本判例として、第四銀行事件、みちのく銀行事件、大曲市農業協同組合事件、第一小型ハイヤー事件を紹介させていただきまして、次に賃金制度の変更に係る裁判例として、みちのく銀行事件で判示された各考慮要素について必要な対応がなされていたとして、就業規則変更の合理性が認められた事例としてノイズ研究所事件、それから安易な賃金制度変更を行い、合理性が否定された公共社会福祉事業協会を紹介させていただきます。最後に、その他といたしまして、個別同意と労働協約に関わる判例として、それぞれ協愛事件と朝日火災海上保険(高田)事件をご紹介させていただきます。

 それでは、まず第四銀行事件についてご説明いたします。こちらは、就業規則の変更によって定年を55歳から60歳に延長する代わりに、55歳以降の給与が減額された事件で、後にご説明いたします秋北バス事件や大曲市農協事件の最高裁判例を踏襲した上で、合理性の有無の判断に当たっての考慮要素を具体的に列挙し、その考慮要素に照らした上で、就業規則に不利益変更の合理性が認められた事案となります。

 考慮要素として具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置とその他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきであると判示されました。

 続きまして、みちのく銀行事件でございます。みちのく銀行事件は、既に60歳定年が採用されている企業で、55歳以降の給与が減額された事件となっています。この事件では、多数組合の同意は得ましたが、少数組合の同意を得ないまま就業規則の変更を行い、当時、55歳以上の管理職・監督職階にあった少数組合の組合員が管理職の肩書を失うとともに賃金が減額されたことについて、第四銀行事件までの最高裁判決を踏襲しつつ、本件の就業規則の変更については、一方的に不利益を受ける労働者について、本件経過措置が救済ないし緩和措置としての効果が十分ではないとして、不利益を受ける少数組合員にその効力を及ぼすことができないとされた事例です。

 次に、大曲市農業協同組合事件です。この事件は、7つの農協の合併に伴い、長期勤続者にとって合併前より不利益な退職金規程に変更された事件です。この事件は、就業規則の不利益変更について、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないとの判断を示した秋北バス事件を踏襲した上で、合理性の判断に当たっては「特に賃金、退職金など、労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである」と判示されました。

 続きまして、第一小型ハイヤー事件でございます。この事件は、タクシー乗務員の歩合給の計算方法の変更に関する事件ですが、本件では就業規則の変更の内容の合理性について、「新計算方法に基づき支給された賃金が全体として従前より減少する結果になっているのであれば、就業規則の変更の内容の合理性は容易に認め難いが、従前より減少していなければ、それが従業員の利益をも適正に反映しているものである限り、その合理性を肯認することができる」と判示し、さらに、「減少していない場合であっても、それが変更後の労働強化によるものではないか、また、これまでの計算方法の変更の例と比較し急激かつ大幅な労働条件の低下であって、従業員に不測の損害を被らせるものではないかをも確認するべきである」と、原資総額の維持の考え方について判示されました。

 続きまして、ノイズ研究所事件でございます。こちらは、冒頭申し上げましたとおり、賃金制度の変更に係る裁判例として、みちのく銀行事件の各考慮要素について必要な対応がなされていたとして、就業規則変更の合理性が認められた事例としてご紹介させていただきます。

 この事件は、就業規則の改定により、給与制度が職能給から成果主義型賃金制度へと変更された事件ですが、賃金制度変更についての高度の必要性を認めた上で、賃金原資総額は減少していないこと、昇格、昇給に関し、どの従業員にも平等な機会を保障していること、使用者が従業員に対し変更内容の周知に努め、団体交渉を通じて労使間の合意により円滑に変更を行おうと努めていたこと、緩和措置としての意義を有する経過措置が採られていたことなどを総合考慮し、不利益を法的に受忍させることもやむを得ない程度の高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであると判示されました。

 次に、公共社会福祉事業協会事件でございます。この事件は賃金制度の安易な変更が認められなかった事例として紹介させていただきますが、この事件では、旧協会の事業の譲渡を受けて、新法人の従業員となった保母らの給与に関し、新給与規則の適用によって、通勤手当、扶養手当、住宅手当について、従来の基準を超える部分の支給が打ち切られた事件ですが、裁判所は変更の必要性は認めつつも、これらの手当の額は新法人が必要であると主張する人件費の削減にはさほど貢献する額ではない。一方で、労働者にとってはいわゆる実費を含む上、少なくない額であるとして、合理性を有しないとされました。

 続きまして、個別同意にかかわる判例として協愛事件をご紹介させていただきます。この事件は、2回にわたる就業規則の変更によって退職金が減額され、3回目の変更によって退職金制度が廃止され、退職時に退職金不支給とされた事件ですが、3回の変更のうち、1回目の変更については全従業員の同意を得て改定されたものと認められるが、2回目の就業規則改定については、具体的かつ明確に説明しなければならないところ、それを認めることができず、3回目の改定については、元従業員は退職金制度の廃止に同意しておらず、改定後の就業規則の内容に合理性があるとも言えないとされた事例でございます。

 この事件で、裁判所は労働契約法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと解されるが、このような合意の認定は慎重であるべきであって、単に労働者が就業規則の変更を提示されて異議を述べなかったというだけで認定すべきものではないと解するのが相当であり、また、合理性を欠く就業規則については、労働者の同意を軽々に認定することはできないと判示されました。

 最後に、朝日火災海上保険(高田)事件でございます。この事件は、先ほどご説明した労働協約の一般拘束力に関する事件でございますが、定年年齢の引下げや30年勤続の退職金支給率の引下げに係る労働協約の未組織労働者への拡張適用について、「特定の未組織労働者にもたらせる不利益の程度・内容、労働協約が締結される至った経緯、当該労働者が労働組合の組合員資格を認められているか等に照らし、当該労働協約を特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、労働協約の規範的効力を当該労働者に及ぼすことはできないと解するのが相当である」と判示され、当該労働協約の規範的効力が否定されました。

 最後に、資料3−6になりますが、こちらはこれまで説明させていただいた関係条文を掲載しておりますので、必要に応じてご参照いただければと思います。

 議題3に係る資料の説明は以上となります。

○阿部座長 ありがとうございました。

 議題3では、配偶者手当の見直しを行う場合の留意事項として、労働関係法令、参考判例などについてご説明をいただきました。先程、神吉委員からも、判例というのは良くない例としての側面もあるのではないかというご発言がありましたが、もしこれに関連してご質問、ご意見がございましたら、ご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 私は経済学がバックグラウンドなので、これの読み方というか、ここからどういうインプリケーションを読み取ればいいのかということが気になるのです。今、ご説明いただいた資料3−5の判例を見ると、大まかに言えば、人件費をダウンさせることが目的に見えないように、そうでないということのために、賃金総額が維持されていることが大事だというのと、あとは労働者の中で広く薄く得をする人がいる一方、一部の人に大きなしわ寄せがいっているものについては許されない場合があるという2点が大きく読み取れるのかなと思ったのですが、大体このぐらいの理解でいいのかということを教えていただきたいと思います。

○阿部座長 誰に教えてもらいたいですか。

 では、神吉委員でも、山川委員でも、教えていただければと思います。

○山川委員 全てではないかもしれませんけれども、重要なポイントであると思います。総額に変更がないということと、一部の人に大きな不利益を押しつけるようなものであってはならない、そういうご趣旨と思いますが、それは法律家から見て見て、これらの特に最高裁判例の読み方がポイントとしては重要な点だと思います。

○阿部座長 では、神吉委員。

○神吉委員 先ほどご説明がありましたように、労働条件の変更というのは、労働契約法8条にあるように労使の合意ですることが原則ですので、あくまでも合意が原則のところを一方的にどこまで変更できるか、そこの例外がどこまで認められるかということで高度の必要性と内容自体の相当性で判断していくということだと思いますいます。これは裁判になっているので、それ自体が合意が得られていない、納得感のない事例なのですけれども、そこで裁判所が判断するときに、高度の必要性、それから内容自体の相当性を判断していくときに、安藤委員が言われた賃金原資の維持や、特定の人に大きなマイナスがないということが合理性などを推定する一つの大きな要素になってくると思うのですね。

 でも、それ以外に、見ていただくと、話し合いをきちんとしているかが、色々言及されていると思います。例えば資料3−5の4ページの第一小型ハイヤー事件の線を引いていないところ、4ページの下から4行目ぐらいのところで、この計算方法が上告会社と新労との間の団体交渉により決められたものであることから、通常は使用者と労働者の利益が調整された内容のものであるという推測が可能であるといったように、色々話し合いを尽くしているということが、合意原則の例外の範疇を決める一つの要素になっていると言えると思います。

 ですので、今日冒頭であったように、コミュニケーションをきちんととって、そこである程度形成されてきた結果なのだということが、やはりここでも重視されてくるのではないかと思います。

○阿部座長 大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 ありがとうございます。

 私も、この判例の読み方について、知識がないものですから、的外れな質問であれば大変申し訳ありませんが、ノイズ研究所事件のところで経過措置が2年という期間について、いささか性急で柔軟性に欠ける嫌いがないとは言えないという指摘があるのですけれども、これは読み方としては、労使の話し合いの過程であるとか、原資が維持されているとか、そういった事情があれば、経過期間についてはある程度幅を持って許容されると読んでいいのか、それとも2年はやはり短いねというように読むべきなのか、その辺りを教えていただければと思います。

○山川委員 おっしゃるとおりかと思います。ただ、追加するとすれば、労働契約法10条で出てくるような合理性の判断というのは、いわゆる要素の総合判断で、ほかの部分がすごく重いと他の部分が相殺的な処理を受ける。例えば、ノイズ研究所事件の判決は一審判決は確か経過措置が不十分だということを重視して、不合理だとしたように記憶していますけれども、二審は恐らく競争力強化の必要性というか、成果主義的な賃金の必要性みたいなものを重い要素として捉えたので、その反面、経過措置がやや不十分であっても合理性を認めたのではないか。他に、確かこの事件ですと、人事考課制度がそれなりの合理性を備えていることなど他の要素との総合判断の結果こうなったということかなと思います。

○阿部座長 ありがとうございます。他にいかがですか。

 この判例ですとか、資料3−1から資料3−6まで、今、判例から読み取れる示唆というものがある程度出てきたと思うのですが、今出た以外にこれは大事というのがもしあれば。今すぐ無理だったら、後からでも結構ですけれども。

○山川委員 これ以外に大事ということとは直接つながらないかもしれないですけれども、現在、この研究会で問題になっているような事例で、例えば法科大学院ですと、よく10条の各要素の適用を学生にやらせるような事例というのを仮想的に作ってみるのですけれども、それをこの検討会のテーマで作るのは、なかなかリアリティーをもたせるもたせのが難しいと言いますか、端的に就業調整をなくすための就業規則変更という事例はこれまでたぶんないと思いますし、それだけでそういうことをするす企業、あるいは就業調整だけの問題で団体交渉をやるということはあまりない。たぶん恐らくこれまでのヒアリングでも、いろいろな賃金制度の見直しの中で、どういう手当に資源を分配するのが妥当かという中で検討されてさきたので、例えば就業調整をさせないさせということが変更の高度の必要性を基礎づけるという話はなかなかリアリティーを持って考えにくいという感じがします。先程の例えば就業調整の結果スーパーが困っているのは別の企業の話であって、配偶者の意欲を阻害するという状況は一つの必要性になるかもしれませんけれども、現実にそれだけを理由に就業規則を変えるとか団体交渉をするというのはあまりリアリティーを持って感じられない。そういうことがあって、要するに色々な制度の見直しの中で、人事施策としてやる中で出てくる話で、労働力の活用の促進というのは、労働契約法10条の中では、恐らく社会的相当性の中の一つのファクターにとどまり、多分法的な枠組みからすると、先ほど神吉委員が言いましたように、現状を変えることは本当は合意がないとできないところ、一方的に変えることを正当化するのが合理性であるということからすると、社会全体としての資源配分の合理性というのは一つのファクターにすぎないということで、そういう観点からして、事例問題を作ろうと思ってもなかなかリアリティーを持って作れないという感じを抱いたということだけです。

○阿部座長 ありがとうございました。

 まだ色々と先生方にはお話をお聞きしたいことがあるかもしれないですが、時間もだんだんなくなってきましたので、もし特段なければ、最後の議題4です。先程から私が少し言っていました報告書の骨子についてということで、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

○千谷賃金時間室企画官 それでは、議題4の資料についてご説明させていただきます。

 まず、資料4−1でございますが、こちらは報告書の骨子案となっております。構成として、「はじめに」の後、「1 女性の雇用をめぐる状況」。ここでは、まず今回の議論の前提となります女性の雇用をめぐる状況について、日本における少子高齢化の進展、労働人口の減少、女性の就労状況、非正規労働者割合などの記載。

 次に、「2 配偶者手当の背景・現状」。ここでは配偶者手当の歴史的経緯、支給状況、受給対象者の状況等について記載。

 次は、3といたしまして、第1回検討会と今回の議題1で紹介させていただきました企業の事例についてご紹介させていただければと思います。

 次に、「4 就業調整の状況」といたしまして、就業調整の実態・影響について、本日議題2において紹介させていただいたような内容を記載したらいかがかと考えております。その上で、これを踏まえ、女性が働きやすい制度等に向けてを記載したらいかがと考えております。

 続きまして、「5 配偶者手当の在り方について」でございますが、ここでは賃金の役割、すなわち配偶者手当は賃金ですので、賃金には例えば生活給的な性格など、どのような役割があるのかということについて。それから、賃金制度と決定の原則。これは賃金については各企業がそれぞれの目的に合わせて具体的に設計されるといったことを踏まえた上で、社会経済情勢の変化の中で企業の人事処遇制度に求められるものは何なのか。最後に、労使による配偶者手当の在り方の検討に向けてどうするのかといったことについて記載したらいかがかと考えております。

 続きまして、「6 賃金制度の見直しを行う場合の留意点」ですが、ここでは、賃金制度を見直すこととなった場合に留意すべき事項として、最低限抑えておかなければいけない事項として、今、議題3でご紹介させていただきました労働関係法令や参考判例、それから円滑な制度変更のためのポイントについて、実際に見直しを行った企業事例などから、参考となる取組などについて記載したらいかがかと考えております。

 骨子案の説明は以上となります。

 次に、資料4−2でございますが、こちらは今ご説明いたしました骨子案の項目ごとに、第1回検討会における委員の先生方のご発言の概要をまとめたものとなっておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 資料の説明は以上となります。

○阿部座長 ありがとうございます。

 それでは、骨子案について議論させていただければと思います。先程も少し私がお話しした点もありますが、骨子案の項目、あるいは並び順等も含めて、報告書案の作成に向けて色々と皆様からご意見をいただければと思います。

 なお、項目の並び順については、報告書にまとめていく段階で、読みやすい報告書となるように柔軟に考えているということでございますので、その順番についても色々とご示唆をいただければと思います。

 いかがでしょうか。では、神吉委員、どうぞ。

○神吉委員 先程、企業が配偶者手当を変更する、廃止するときに、高度の必要性があるのかどうか、社会的な相当性が就業調整の回避でいけるのかとお話しがありましたが、その観点からすると、まさにこの報告書がどういう方向性を打ち出すかが、その社会的相当性に関わってくるのではないかと思いますいます。企業が就業調整が良くないから配偶者手当をなくそうそうとした場合に、厚労省の検討会の報告書でそういうことが打ち出されているじゃないか、これは社会的に相当なのだというように、その報告書の在り方次第ではそういう方向にかなり影響を与えるということもありえます。そういった意味でこれをどのように位置づけるかというのはすごく重要な意味があると思います。

 ちょっと具体的な提言ではないのですけれども、以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。そういう意味では、就業調整の現状といったところをしっかり書いていただくということが大事かなと思いますし、色々考えるところはあるかもしれませんね。その点も、皆さんと考えさせていただければと思います。

 守島委員、どうぞ。

○守島委員 2点あるのですけれども、1つは、最初の「配偶者手当があるのは、世界的に珍しい」という、ここの導入部分なのですけれども、事実としては正しいと思います。ただし、なぜこれがずっと行われてきたのか、最初に行われてきたのかという歴史的な経緯というのですか、日本のいわゆるメンバーシップ雇用の中で、男性のメンバーシップ雇用というのは一般的な雇用形態で、それがある意味では経済の成長に適応していたという状況がある中でこれが行われてきたわけですから、これが別に何か変なことをやってきたという話では必ずしもないように思いますので、そこの部分の書きぶりは、でも環境が変わったのだからという話がそこで活きてくると思いますので、ぜひそこのところは強調していただきたいというのが第1点です。

 もう一点は、これはさっきの3番のところとも関連をするのですけれども、人事管理の立場から言うと、裁判が起こらなかったからいいという話ではないのですね。従業員のモチベーションがきちんと維持されて、納得性が高まって、彼ら彼女らが元気に働いてくれるという状態がやはり望ましいと思いますので、留意点と言ったときに、法律的な意味での留意点というのは確かに重要だと思うのですけれども、それだけではなくて、人事管理の観点から見た場合には、やはりモチベーションであるとか、納得性であるとか、そういった留意点を考えていかないといけないという話は絶対に書いていただきたいと思います。

 人によって色々な議論はできるのですけれども、成果主義を日本の大企業が入れたときに裁判になった例というのは実はあまりないのですけれども、モチベーションが下がったというのは、色々な調査を見ても明らかに出ているわけであって、そういう事態を起こしてはいけないという意見もぜひ書いていただきたいと思います。ですから、法律的な留意点は確かに大切ですが、それはもちろんそのとおりですけれども、人事管理的な留意点もぜひ書いていただきたいという感じがします。

 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございました。

 たぶん資料4−2は、第1回検討会で出た意見を報告書の並びで入れてみたらどうかということなので、守島委員がご指摘のとおり、私もその当時、何で配偶者手当が出たのかというようなことも話したと思いますが、今日ははここは主な意見から欠落しているということですので、守島委員がおっしゃったことと私が第1回で言ったことは大体同じような話だと思いますので、もちろん入れていただければと思います。

 それから、私も整理を少しさせていただいて、先ほど神吉委員から問題提起というか、この報告書が却ってと言うと変かな、合理性みたいなものに妥当するみたいなことになりかねないのではないかということもあったわけですが、私個人的な意見としては、むしろ大事なのは、守島委員がおっしゃっているような、何で配偶者手当というのを見直すのかという目的ですよね。それがもちろん政府が女性の活躍とか、時代がそういうのを求めているというのも一つあるけれども、やはりそれが従業員のモチベーションにつながらなければ、そもそも変更するということはないのだろうということなので、そういう意味で、山川委員がなかなか想像しづらいということを言っているのはそういうことなのかなと、頭の中で整理をつけたところです。

 報告書のところで大事なポイントとして、何を前面に出していくかということを考えていくと、やはり企業が賃金体系並びに手当制度をどうやって変えていくか、そのモチベーション、そこはどこに根源的にあるのかというのを書くということが大事かなと。そのときに、プロセスがどのようになっていくのが望ましいかとか、その結果、どういう結果が期待されるといったところを整理して書いていくのかなという感じはしました。

 今のは個人的な意見です。

 他にどうでしょうか。安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 今の座長の話を聞いていて感じたことなのですけれども、これまで争いがあったような事例というのは、企業側は一応やりたいと思っていた、企業側は必要だと思っていて、それが社会的に相当なのかというのが議論になっていたのに対して、今回は社会的な相当性とか必要性という言葉の意味は結構違うのではないかと感じております。

 今回の話は、社会的な相当性というのは、企業が変えたいという、新しいものに対して、それが社会的に望ましいのかという視点ではなく、別の意味で、社会的に時代の変化で求められているような、中立的なものであったり、そういうようなものが先にあって、それに対して企業は、例えばそれは必要ない、今までどおり配偶者手当を払っているままで企業もいいと思っている、労働者もこれまでどおりでいいのではないのと思っているところに、社会的な相当性という観点から少し視点を変えてみてはいかがですかみたいなアプローチが入っているように感じるのです。よって社会的な必要性、相当性という言葉を、同じ言葉を使っていながら、微妙に違うものをやっているのではないかなという気がしております。

 先程、教えていただいたとおり、賃金の決定というのは、例えば最低賃金だとか、一部の法律に触れない限りは、原則当事者の合意というのが教科書的にはそのとおりだと思っています。しかし、取引費用であったり、またはさまざまなコスト面を考えると、例外的に集団的に決定するほうが望ましいという事例があり得るだろう。それをどう決めるのか。または、内容がどのようなものがもっともらしいのか。こういうことを今議論されていると思ったのですが、先程申し上げたみたいに、企業が必要性があるのかないのか、また労働者にとっても必要性があるのかないのか、これで4パターンぐらい事象が分かれている気がしまして、恐らく企業も労働者も変えることが、つまり配偶者手当をやめようといっている場合には合意で納得がいくのだろうと思います。

 問題は、そうではない3つのパターンですね。企業は変えたいのだけれども、労働者が嫌がっている。企業はそのままでよくて、労働者が変えたい。両方とも変えたくない。こういうものに対して、社会的な事情の変化であったりとか、または波及効果としての就業調整の話、こういうところからどこまで踏み込んで企業に、または労働者に、こういう考え方が必要なのだよということを指摘していくのか。その踏み込み具合に関しては何パターンか考え方があるのではないかなと感じております。

 特に、企業も労働者も、それぞれ今のまま配偶者手当があっていいよ、現状ではこのままでいいよと思っている会社であったとしても、例えば今からまたもう少し時間が経ったときに、企業または労働者の環境が変わるであろうという話であったり、そういう観点から、今のままでいいじゃないかと思っている会社、または労働者であっても、自分のこととして考えてもらうきっかけとなるものになるといいなと考えているのですが、具体的にどう書くかというのは非常に難しいと感じております。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。第1回のところでもお話が出てきたと思いますが、今回はなかったですが、今後もしかしたら配偶者控除の見直し、税制のほうの見直しというのがあって、それをきっかけに色々考えることがあるかもしれないなと思うところがあって、そのためにもこういったものを参考にされるということが大事かなと思うのですが、安藤委員がおっしゃるように、この報告書がきっかけになるかどうかは私は分からないですけれども、もし見直しが実施、検討されるということが企業の中で、あるいは企業と労働者の間でなされるときには、どういう留意事項があるかというのは大事なところだと思います。

 山川委員、どうぞ。

○山川委員 先ほど就業調整だけをターゲットにすると、なかなかリアリティーをもたせることが難しいというお話をしましたが、現実にある事例ですと、いろいろな制度の見直しの中で話し合っていくうちにということでしたらリアリティーは十分ありますし、その中であるとしたら、公平感というか、あるいは労使で考えていくうちに、資源の配分としては、例えば子供をケアするということに対してより対価を払うべきだと、そういうことが出てくるということはあり得るかなと。それによってモチベーションにもつながるのかなという気がします。

 就業調整だけですと、それでモチベーションが上がるのはたぶん就業調整をしている配偶者ですね。世帯を一体と考えれば、世帯全体としてのモチベーションというところまで拡張されるのかもしれませんが、その意味で公平感とか、賃金制度の設計全体を見渡した上での必要性みたいなことも考慮したほうが実際的かなと思います。

 もう一点よろしいでしょうか。この構成の中で、資料4−1の4の「女性が働きやすい制度等に向けて」という項目が「就業調整の状況」というところにあるのですけれども、4−2の、2ページ目の5の直前の働きやすい制度の全体像から考えると、配偶者手当見直しは様々な課題の中の一つにすぎない。今日お話が出ました社会保険とか税制とか、色々な中で考えるとすると、そのようなお話、例えば女性の活躍が全体として推進するというような視点については、むしろ1というか、配偶者手当の問題に落とし込む過程でもっと広い話が出てきたほうがいいのかなという感じがします。この4のところに就業調整によって働く意欲が阻害されるということを書くのはもちろん構わないと思いますけれども、もう少し大きな絵の中で落とし込んでいくみたいなほうがいいのかなという、直感的なことです。

○阿部座長 そうですね。そうかもれないですね。確かに、ここで5番の手当のあり方というところに話をつなげていくということもあるのかもしれないですけれども、もっと上のほうで書いた方が分かりやすいところもあるかもしれません。

 山川委員、どうぞ。

○山川委員 就業調整をここで書くのは、配偶者手当の続きでよと思いますけれども、重複してももう少し広い視点があった方が良いという趣旨です。

○阿部座長 分かりました。ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。では、戎野委員、どうぞ。

○戎野委員 多くの委員のご意見に私も賛同していて、この報告書がどういうメッセージなのかというのが端的に伝わるようにしないいけないと思います。こういった人事制度は労使の合意なんだと反発されるような誤解されてしまわないように注意すべきだと思いました。

 それから、前回も申し上げましたけれども、賃金というのは時代背景の中で、合理性とか公平感というのは変わってきている。そして現在まさに非正規従業員が非常に増加しているし、女性もダイバーシティが進む中で活躍していく。そして、高齢化も進んで、60代以上の人もたくさん働くようになってくる。配偶者手当ということだけではなくて、もう賃金全体の見直しというものに取りかからなければいけない、考えなければいけないと思っている企業も今多いと思うのです。その中の一つとして、配偶者手当というのを考えるときの一つの指針という位置づけにもなろうかと思います。

 そのように考えたときに、先ほど申したように、社会、経済が大きく変わって、労働力人口も減る中で、今の仕組みよりも、一人一人がモチベーション高く、意欲高く働く制度は何なのかこれを考えるための一つのアイデアがあるというようなメッセージになっていくのかなと思いました。女性も含め、みんなが働きやすいということ、そしてモチベーション高く、生産性を上げて働ける、そういうこれからの日本の社会、そしてもちろん企業、一人一人の人生にとってもいい制度をつくっていくときの一つの考え方なのだということが重要なのではないかと思いました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。

 今、戎野委員のお話をお聞きして、先ほど山川委員がおっしゃったことと関連づけて、やはり4番の2つ目のポツは上に持って行った方がやはりいいなと思いましたし、あと、今もう少し、もしかして上に持って行ったときに、女性だけではなくて、働きたい人が働きやすい制度に向けてという方がむしろいいのかなとも、お聞きしながら思ったところです。戎野委員の意見は全くそのとおりだと思いますので、ぜひ報告書には反映させたいと思います。

 他にいかがでしょうか。守島委員は何か。どうぞ。

○守島委員 今の流れで言うと、日本の社会が絶対これからできないことの一つが、人的資源のunderutilizationというのですか、キャパまで使わないということが起こってはいけないと思うのです。

 こういう制度というのは、パートが中心なので、そういう意味では女性に限ってしまう。非正規が中心なので、女性が中心になってくるのですけれども、その人たちの人的資源をフルに使っていないという状況があって、それはやはり日本のこれからの経済の成長にとっては非常にまずいだろう。企業もそれを望んでいるのだし、そういうヒアリングがあったわけですから、本人もそれを望んでいる。全員ではないかもしれませんけれども、望んでいる人もいるという、その状態から始めるということではないかと思うのですね。

 先程もちょっと申し上げたのですけれども、現状どうなっているかというと、そのunderutilizationの状況が制度化されて、個人の選択でないところまで行ってしまっている。個人が自分の人的資源を使おうと思っても使えない状況になっているということも、書くかどうかは別ですけれども、あるのではないかと思っていて、その辺の視点から入っていくという、成長戦略みたいなイメージになるのですか、そういうようなイメージで書いていくというのも一つなのかなと。ちょっと大きな話になって申し訳ないです。

○阿部座長 とんでもないです。ありがとうございます。大変参考になりました。

 どうぞ、安藤委員。

○安藤委員 今のunderutilizationの話ですけれども、ここで気になるのが、確かに今こういう仕組みの中で活用されていないというのをもったいないと感じるのはその通りなのですけれども、例えば従来型のそれこそ大嶋委員から最初にお話があったような、日本的雇用慣行のもとで転勤が多いとか、男性が長時間労働をしているとか、それとの組み合わせで従来型のパートタイムであるとか、短時間労働をしてきて、それで家族としてある程度納得感があったところで、utilizationをもっと考えようといったときに、今度、今注目している女性ではなく、そのパートナーのほうの働き方にも当然影響が及ぶと思うのです。

 そこで、現状の、例えばそれこそ長時間労働も転勤もあるけれども、だからこそ労働者にそれを受け入れてもらうために、配偶者手当であったり、家族手当を出していて、それで労使がそれなりに納得しているという企業が未だにあるような気もしないでもなく、そういう会社に対してはどう考えるのか。これまでの仕組みが時代に合っていないと感じているところにはサポートするというのはとても大事なのですけれども、現状のままがいいと思っている労使に対して、先ほど私が申し上げた社会的な相当性というか、時代の変化に応じてみたいな、人手不足の時代が来るとか、こういうことを考えたときに、どこまで踏み込んでutilizationの議論ができるのかというのがとても気になりました。

○阿部座長 なかなか難しいところではありますが、もし労働者も企業も要らないと言っているところはやらないと思うのです。だけど、労働者は必要だ、企業は要らないと言っている場合は、そのときに何もやらなければ、では労働者はどうするかといったら、もしかしたらvoiceか、exitしていくか、そういう行動をとっていくのだろうと思うのです。だから、安藤委員がおっしゃることは理解できないわけではないのですが、そういう意味で労働者が転職するとか、あるいは声を上げるとすることによって、もしかしたら企業も気づく可能性はあるかもしれませんので、そこまで書くかというところが私は気になるところです。

 大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 チェーンストア協会のヒアリングでは、他社との競合関係で、自社だけで配偶者手当を変えると、それが労働条件が悪くなったように一瞬見えてしまって、人材を採用できなくなるということを指摘されていて、個社のレベルでの制度見直しにリスクを感じている。そうであるならば報告書を業界レベルであったり、産業界のレベルで配偶者手当のあり方を議論する一つのきっかけにして頂くことも意義があると考えています。その際、配偶者手当の見直しの社会的相当性という点で説得力のある、何かエビデンスみたいな数字があるといいだろうと考えております。

 これに関して過去の女性雇用者の増加の内訳を見てみると、2004年から2014年の10年間で女性雇用者は200万人強増えているけれど、入り繰りはあるにしても正社員女性はほとんど増えていない。増加している非正社員女性の中でも、年収100149万円という狭いレンジの非正社員女性は2004年の265万人から2014年の352万人へと大きく増えている。ちょっとこれは社会全体で見た女性のunderutilizationという点で甚だしいし、それは産業界としても見ても、長期的には人手を確保する上でデメリットになってくると思うのですす。そうした女性の就労状況に関する説明は報告書の骨子の中で盛り込まれる予定であったかと思いますけれども、その辺りで少しさらっと触れていただけると、有益なのではないかと考えました。

○阿部座長 ありがとうございます。きょう朝、NHKのラジオで中央大学の山田昌弘さんが出ていて、やはり同じようなお話をされていて、共働き世帯は増えていますと。ただし、フルタイム・フルタイムの共働き世帯はむしろ減っています、フルタイム・パートタイムは増えているのですと。それがもしかしたら消費活動に影響しているのではないかということをおっしゃっていたのですけれども、そういう状況なのだというのを数字の裏付けをとっていただいて、だからますます配偶者手当だとか、控除とか、それがパートタイマーの人たちの就業調整に与える影響は大きいのだというようなところはもしかしたら言えるかなと思います。それが結果として経済全体にも影響しているし、家計にも影響している。そこまで言っていいかどうか、ちょっと悩むところですけれども、そういったところで企業が何ができるかということも書けるのだったら書いてもいいかなと、今、大嶋委員とか安藤委員のお話を聞きながら思ったところであります。

 ですから、この並びで「女性の雇用をめぐる状況」で大きくそういった話を書いて、「配偶者手当の背景・現状」もこんな形でいいと思うのです。3番を先にするか、4番を先にするかというのはちょっと悩むところかもしれないですけれども、4番が上に来て3番が下に来るか、それとも3番を5番の下ぐらいにするか。そこら辺は考えたほうがいいかもしれないです。在り方の前に3番を持ってくる、事例を持ってくるというのもあるのかもしれませんが、それはまた皆さんとご相談させていただいて。たぶん、1番、2番はこの順番でいいと思うのですけれども、3番の事例をどこに持ってくると皆さんに読んでもらえるかといったところを気にしつつ考えたらいいかなと、今ずっと先生方のお話を聞きながら思ったところであります。

 その他、お気づきの点等はありますでしょうか。

 それでは、事務局から何か我々にご要望等はありますか。

○増田大臣官房参事官 本当に非常に多種多様な視点から貴重な意見をお伺いしましたので、色々なまとめ方がございますので、皆様方の意見を踏まえて、座長、また皆様方と相談させていただくことになるのかなと思いながら拝聴しておりました。

○阿部座長 それでは、そろそろ時間も参りますので、本日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。冒頭に申しましたように、夜遅くの開催になりまして大変申し訳ございませんでした。にもかかわらず、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。

 次回につきましては、これまでの皆さんからのご意見や提出資料を踏まえて、事務局と相談しながら報告書案を作成していきたいと思います。

 本日御発言以外のご意見等がありましたら、私か事務局の方へご連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、最後に次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。

○増田大臣官房参事官 ありがとうございました。次回第3回の検討会の日程でございますが、現在、3月下旬を目途に調整させていただいておりますので、確定次第、開催場所と併せましてご連絡をさせていただきます。

 以上でございます。

○阿部座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の第2回女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会は終了させていただきます。お忙しい中、遅い時間にお集まりいただきましてありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
政策係(内線:5373)
代表 : 03-5253-1111

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 > 第2回女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 議事録(2016年2月18日)

ページの先頭へ戻る